JP2023043696A - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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寿範 小林
Hisanori Kobayashi
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Abstract

【課題】複列の軌道輪の間隔が増大しても軌道面に対する角度が所定値以下のファイバーフローを有する車輪用軸受装置を提供する。【解決手段】外輪2と、前記複列の外側軌道面に対向する複列の内側軌道面が成形され、外輪2とハブ輪3及び内輪4との両軌道面間に転動可能に収容された複列の転動体と、を備えた車輪用軸受装置1である。外輪2は、軸線方向の幅が60mm以上、または第1外側軌道面2cの曲率中心C1と第2外側軌道面2dの曲率中心C2との間隔W2が20mm以上であって、前記複列の外輪軌道面の間に位置するファイバーフロー端面2hにおいてファイバーフロー角度θ3が70度以上のファイバーフロー端面2hの中心が、間隔W2中心位置Cを基準として±25%の範囲に位置する。【選択図】図6

Description

本発明は車輪用軸受装置に関する。
車輪を回転可能に支持する車輪用軸受装置が知られている。前記車輪用軸受装置は、車輪に接続される内方部材であるハブ輪が転動体を介して外方部材である外輪に回転可能に支持されている。前記ハブ輪及び前記外輪は、主としてS53C等の鋼材が使用される。前記ハブ輪及び前記外輪は、一般的に鍛造加工による鍛造工程、ショットブラストによる表面スケール除去工程、切削による軌道面等の切削工程、高周波焼入れ工程及び研削工程によって製造される。前記外輪には、前記鍛造加工によって金属結晶が微細化され、且つ前記金属結晶の方向が揃うファイバーフローが生成される。前記外輪は、前記ファイバーフローを形状に沿って整えることで高強度且つ耐摩耗性に優れた性質を持つことができる。
前記外輪は、車輪を回転可能に支持する構造体としての機能と、転がり軸受の軌道輪としての機能を備えている。また、前記軌道輪では、軌道面に対する転動体の接触角の方向にせん断応力が加わる。軌道面は、軸線に沿った断面視でせん断応力が加わる方向である接触角に垂直な方向に前記ファイバーフローが流れているほど転がり疲労強度が向上することが知られている。そこで、前記車輪用軸受装置の転がり疲労強度を向上させるため、前記外輪の軌道面における前記ファイバーフロー角度を所定角度以下とする前記車輪用軸受装置の製造方法が提案されている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
特許文献1に記載の車輪用軸受装置の外方部材の製造方法は、鍛造工程において複列の軌道輪の略中間に鍛造工程において用いる金型の上型と下型との間の空間である円板状の内径抜き部が位置するように鍛造することによって、前記軌道輪の軌道面が成形される部分の外表面に沿ってファイバーフローが生じる。また、前記車輪用軸受装置の外方部材の製造方法は、前記内径抜き部を基準として、切削工程及び研削工程における前記軌道面の削り代を制限している。これにより、前記車輪用軸受装置の外方部材の製造方法で製造された前記車輪用軸受装置の外輪は、前記鍛造工程において外表面に沿って生成された前記ファイバーフローが前記切削工程及び前記研削工程において成形された前記軌道面の近傍に残る。
特開2015-71183号公報
しかし、特許文献1に記載の車輪用軸受装置の外方部材の製造方法は、軌道面を成形するための切削加工及び研削加工を行う部分に所定角度以下のファイバーフローが存在していなければならない。一方、鍛造工程において前記車輪用軸受装置の外輪を成形する場合、素材は、前記上型から前記下型に向かって流れる。従って、鍛造工程において、外方部材は、前記上型と前記下型との空間である内径抜き部の位置が下型の下部に位置する一方の軌道輪から距離が大きくなるにつれて、下型の下端部に素材がいきわたらない素材の不充足(欠肉)が生じる。このため、外方部材は、素材の不充足を防止するために前記内径抜き部を下型の軌道輪の近傍に設ける。近傍に前記内径抜き部が位置する前記下型の軌道面のファイバーフローは、前記内径抜き部に向かって流れる。よって、前記下型の軌道面には、軌道面に対するファイバーフロー角度が所定値以下のファイバーフローが生成し難い。つまり、車輪用軸受装置は、鍛造工程において素材の不充足を防止しつつ、軌道面に対するファイバーフロー角度を所定値以下にすることが難しい。
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、鍛造工程において素材の不充足を防止しつつ、軌道面に対する角度が所定値以下のファイバーフローを有する車輪用軸受装置の提供を目的とする。
即ち、第一の発明は、及び内周面に軸線が一致している円環状の複列の外側軌道面を有する外方部材と、外周面に前記複列の外側軌道面に対向する複列の内側軌道面が成形された内方部材と、前記外方部材と前記内方部材との両軌道面間に転動可能に収容された複列の転動体と、を備えた車輪用軸受装置である。前記外方部材は、軸線方向の幅が60mm以上または前記複列の外側軌道面における各曲率中心の軸線方向の間隔が20mm以上であって、前記複列の外輪軌道面の間に位置するファイバーフロー角度が70度以上のファイバーフロー端面の中心位置が、前記間隔の中心位置を基準として前記間隔の±25%の範囲に位置する。
即ち、第二の発明は、前記外方部材は、前記複列の外輪軌道面の少なくとも一方の軌道面に対するファイバーフローの角度が15度以下である。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、第一の発明において、前記外方部材は、鍛造工程によって前記外方部材の筒状の本体部と前記本体部の径方向内方に延びて成形されている前記内径抜き部とを有する。軸線方向の幅が60mm以上または前記複列の外側軌道面における各曲率中心の軸線方向の間隔が20mm以上の外方部材は、鍛造加工の際の素材の不充足を防止するため、複列の外輪軌道面のうちいずれか一方の外輪軌道面に近接した位置に内径抜き部が成形される。更に、外方部材は、前記複列の外輪軌道面に沿うファイバーフローをそれぞれ成形するため、鍛造加工により前記内径抜き部を他方の外輪軌道面に向かって移動される。この際、前記内径抜き部は、それぞれの前記外輪軌道面から最も離れた位置である前記複列の外輪軌道面に挟まれた部分における軸線方向の中央に移動される。移動された前記内径抜き部は、打ち抜き工程において打ち抜かれる。
前記外方部材は、前記内径抜き部の移動によって、前記複列の外輪軌道面に近い位置のファイバーフローが整えられて前記外輪軌道面に沿ったファイバーフローが成形される。前記内径抜き部は、筒状の前記本体部の軸線に対して略垂直に延びている。つまり、前記内径抜き部のファイバーフローは、前記軸線に対して70度以上の角度を有している。従って、前記外方部材は、前記内径抜き部の打ち抜きによって成形されるファイバーフローの端面であるファイバーフロー端面におけるファイバーフロー角度が70度以上のファイバーフロー端面が前記複列の外輪軌道面における各曲率中心の軸線方向の間隔の中心位置を基準として前記複列の外側軌道面における各曲率中心の軸線方向の間隔の±25%の範囲に位置する場合、前記外輪軌道面に沿ったファイバーフローが成形されている。これにより、複列の軌道輪の間隔が増大しても軌道面に対する角度が所定値以下のファイバーフローを有する車輪用軸受装置を提供することができる。
第二の発明において、前記複列の外輪軌道面の間隔が所定値以上の前記外方部材は、軸線方向の幅が60mm以上または前記複列の外側軌道面における各曲率中心の軸線方向の間隔が20mm以上であってファイバーフローの端面におけるファイバーフロー角度が70度以上のファイバーフロー端面が前記複列の外輪軌道面における各曲率中心の軸線方向の間隔の中心位置を基準として前記複列の外側軌道面における各曲率中心の軸線方向の間隔の±25%の範囲に位置する場合、前記内径抜き部の移動により前記複列の外輪軌道面に対するファイバーフロー角度が15度以下に整えられたファイバーフローを有する。これにより、複列の軌道輪の間隔が増大しても軌道面に対する角度が所定値以下のファイバーフローを有する車輪用軸受装置を提供することができる。
[ファイバーフロー]
本明細書において、ファイバーフローとは、鍛造加工によって金属結晶が微細化され、且つ前記金属結晶の方向が揃うことで繊維状に見える金属組織の流れを意味する。形状に沿って前記ファイバーフローが流れている部品は、高強度且つ耐摩耗性に優れた性質を発揮する。
[ファイバーフロー角度]
本明細書において、ファイバーフロー角度とは、部材の表面に対して垂直な仮想線と直交する線(曲面の場合は接線)に対するファイバーフローの流れの角度を意味する。ファイバーフロー角度が0度の場合、ファイバーフローは、部材の表面と平行に流れている。ファイバーフロー角度が小さい部品ほど高強度且つ耐摩耗性に優れた性質を発揮する。
[ファイバーフロー端面]
本明細書において、ファイバーフロー端面とは、ファイバーフローの流れに対して略垂直な面で部材を切断した際のファイバーフローの切断面を意味する。本実施形態において、ファイバーフロー端面は、内径抜き部を打ち抜いた際の内径抜き部と本体部との切断面と一致する。
[複列の外輪軌道面の間隔]
本明細書において、複列の外輪軌道面の間隔とは、インナー側の外輪軌道面である第1外側軌道面のインナー側端とアウター側の外輪軌道面である第2外側軌道面のアウター側端との幅を意味する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車輪用軸受装置の全体構成を示す斜視図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る車輪用軸受装置の全体構成を示す断面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る車輪用軸受装置の外輪軌道面におけるファイバーフロー角を示す部分拡大断面図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る車輪用軸受装置の外輪の据え込み工程を示す概略図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る車輪用軸受装置の外輪の成形工程において成形された荒成形品及び荒成形品のファイバーフローの端面図である。 図6は、本発明の一実施形態に係る車輪用軸受装置の外輪の調整工程において成形された本成形品及び本成形品のファイバーフローの端面図である。 図7は、本発明の一実施形態に係る車輪用軸受装置の外輪の打ち抜き工程において成形された打ち抜き品及び打ち抜き形品のファイバーフローの端面図である。
以下に、図1と図2とを用いて、本発明に係る車輪用軸受装置の一実施形態である車輪用軸受装置1について説明する。図1は、車輪用軸受装置1の全体構成を示す斜視図である。図2は、車輪用軸受装置の全体構成を示す断面図である。
図1に示すように、車輪用軸受装置1は、自動車等の車両の懸架装置において車輪を回転可能に支持するものである。本実施形態において、車輪用軸受装置1は、従動輪用の車輪用軸受装置である。車輪用軸受装置1は、外方部材である外輪2、内方部材であるハブ輪3と内輪4、転動列である2列のインナー側ボール列5(図2参照)、アウター側ボール列6(図2参照)、インナー側シール部材7及びアウター側シール部材8(図2参照)を具備する。ここで、インナー側とは、車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車体側を表し、アウター側とは、車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車輪側を表す。また、軸線方向とは、車輪用軸受装置1の回転軸に沿った方向を表す。
図2に示すように、外方部材である外輪2は、内方部材(ハブ輪3と内輪4)を支持する部材である。外輪2は、略円筒状に成形されたS53C等の炭素0.40~0.80wt%を含む中高炭素鋼で構成されている。外輪2は、インナー側端部にインナー側シール部材7が嵌合するインナー側開口部2aを有している。外輪2は、アウター側端部にアウター側シール部材8が嵌合するアウター側開口部2bを有している。
外輪2は、内周面に円環状の外輪軌道面である第1外側軌道面2cと第2外側軌道面2dとを有している。複列の外側軌道輪のうち一方の外側軌道輪である第1外側軌道面2cは、外輪2のインナー側に位置している。複列の外側軌道輪のうち他方の外側軌道輪である第2外側軌道面2dは、外輪2のアウター側に位置している。また、第1外側軌道面2cと第2外側軌道面2dとは、軸線が一致し、且つ周方向に互いに平行になるように位置している。第1外側軌道面2cのピッチ円直径と第2外側軌道面2dのピッチ円直径とは、等しい大きさである。なお、第1外側軌道面2cのピッチ円直径と第2外側軌道面2dのピッチ円直径とは、異なる大きさに構成してもよい。本実施形態において、外輪2は、軸線方向の幅が60mm以上または第1外側軌道面2cと第2外側軌道面2dとにおける各曲率中心の軸線方向の間隔が20mm以上である。第1外側軌道面2cと第2外側軌道面2dとは、高周波焼入れによって表面硬さを58~64HRCの範囲とする硬化層を有している。
外輪2は、外周面に図示しない懸架装置のナックルに取り付けられるための車体取り付けフランジ2eを有している。車体取り付けフランジ2eは、インナー側開口部2aの近傍に位置している。車体取り付けフランジ2eのインナー側には、車両のナックルに嵌合される円筒状のパイロット部2gを有している。
内方部材を構成するハブ輪3は、図示しない車両の車輪を回転可能に支持する円筒状の部材である。ハブ輪3は、S53C等の炭素0.40~0.80wt%を含む中高炭素鋼で構成されている。ハブ輪3は、インナー側端部にインナー側端から軸線方向に所定の範囲だけ外径が小さい部分である小径段部3aを有している。つまり、小径段部3aのインナー側端は、ハブ輪3のインナー側端であり、後述するかしめ部3bを有している。ハブ輪3は、アウター側端部に車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジ3cを有している。車輪取り付けフランジ3cは、円周等配位置にハブボルト3dを有している。ハブ輪3は、アウター側(車輪取り付けフランジ3c側)の外周面に周方向に環状のシール摺動面3eと複列の内側軌道面のうち一方の環状の第2内側軌道面3fとを有している。ハブ輪3は、第2内側軌道面3fと外輪2の第2外側軌道面2dとが対向するように配置されている。
ハブ輪3は、インナー側の小径段部3aからアウター側の第2内側軌道面3fまでを高周波焼入れにより表面硬さを58~64HRCの範囲に硬化処理されている。これにより、ハブ輪3は、車輪取り付けフランジ3cに付加される回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有し、耐久性が向上する。ハブ輪3は、小径段部3aに内輪4が嵌合されるとともに、内輪4を固定するためにインナー側端部が径方向外側に塑性変形されたかしめ部3bを有する。
内輪4は、転動列であって車載時に車体側に配置されるインナー側ボール列5と車載時に車輪側に配置されるアウター側ボール列6とに予圧を与える部材である。内輪4は、外周面に複列の内側軌道面のうち他方の第1内側軌道面4aを有している。内輪4は、圧入および加締加工によりハブ輪3の小径段部3aに固定されている。つまり、ハブ輪3のインナー側には、内輪4によって第1内側軌道面4aが構成されている。内輪4の第1内側軌道面4aは、外輪2の第1外側軌道面2cに対向している。
転動体が環状に連なっている転動列であるインナー側ボール列5とアウター側ボール列6とは、転動体である複数のボールが保持器によって環状に保持されている。インナー側ボール列5は、内輪4の第1内側軌道面4aと、外輪2のインナー側の第1外側軌道面2cとの間に転動可能に収容されている。アウター側ボール列6は、ハブ輪3の第2内側軌道面3fと、外輪2のアウター側の第2外側軌道面2dとの間に転動可能に収容されている。
車輪用軸受装置1は、外輪2と、ハブ輪3および内輪4と、インナー側ボール列5と、アウター側ボール列6とからなる複列アンギュラ玉軸受で構成されている。なお、本実施形態において、車輪用軸受装置1は、複列アンギュラ玉軸受に限らず、複列円錐ころ軸受で構成されていてもよい。
密閉部材であるインナー側シール部材7は、外輪2と内輪4との隙間を塞ぐパックシールである。インナー側シール部材7は、例えば2枚のシールリップを接触させる2サイドリップタイプのパックシールから構成されている。インナー側シール部材7は、略円筒状のシール板と略円筒状のスリンガとを具備する。インナー側シール部材7のシール板は、外輪2のインナー側開口部2aに嵌合される。インナー側シール部材7のスリンガは、円筒部分が内輪4に嵌合される。インナー側シール部材7は、シール板の一側シールリップが油膜を介してスリンガと接触することでスリンガに対して摺動可能に構成されている。これにより、インナー側シール部材7は、外輪2のインナー側開口部2aと内輪4との間からのグリースの漏れ、および外部からの雨水及び粉塵等の侵入を防止する。
密閉部材であるアウター側シール部材8は、主に外輪2とハブ輪3との隙間を塞ぐシール部材である。アウター側シール部材8は、外輪2のアウター側開口部2bに円筒部分が嵌合され、ハブ輪3のシール摺動面3eに複数のシールリップが油膜を介して接触または近接することで外輪2とハブ輪3との間から泥水または異物等の入り込みを防止している。
このように構成される車輪用軸受装置1は、外輪2とハブ輪3と内輪4とインナー側ボール列5とアウター側ボール列6とから複列アンギュラ玉軸受が構成されている。ハブ輪3は、インナー側ボール列5とアウター側ボール列6とを介して外輪2に回転可能に支持されている。また、車輪用軸受装置1は、外輪2と内輪4との隙間をインナー側シール部材7によって塞ぎ、外輪2とハブ輪3との隙間をアウター側シール部材8によって塞いでいる。これにより、車輪用軸受装置1は、内部からのグリースの漏れ、および外部からの雨水及び粉塵等の侵入を防止しつつ外輪2に支持されているハブ輪3を回転可能に支持している。
次に、図3から図7を用いて、鍛造工程による外輪2の成形及び外輪2のファイバーフローFについて説明する。図3は、外輪2の第2外側軌道面2dにおけるファイバーフロー角度θ2を示す部分拡大断面図である。図4は、素材Mの据え込み工程S101を示す概略図である。図5は、外輪2の成形工程S102において成形された荒成形品2A及び荒成形品2AのファイバーフローFの端面図である。図6は、外輪2の調整工程S103において成形された本成形品2B及び本成形品2BのファイバーフローFの端面図である。
図7は、外輪2の打ち抜き工程S104において成形された打ち抜き品2C及び打ち抜き品2CのファイバーフローFの端面図である。本実施形態において外輪2の鍛造工程は、据え込み工程S101、成形工程S102、調整工程S103、打ち抜き工程S104を有する。本実施形態において、外輪2は、軸線方向の幅が60mm以上であって第1外側軌道面2cと第2外側軌道面2dとにおける各曲率中心の軸線方向の間隔が20mm以上の外輪である。なお、図面に記載したファイバーフローを表す曲線は、説明のために間隔を広げて示している。実際のファイバーフローは、図面に記載したファイバーフローを表す曲線よりも微細な間隔である。
図3に示すように、外輪2における第2外側軌道面2d近傍のファイバーフロー角度θ2は、第2外側軌道面2dの接線Tに対するファイバーフローFの流れの角度を意味する。ファイバーフロー角度θ2が0度の場合、ファイバーフローFは、部材の表面と平行に流れている。第2外側軌道面2dは、ファイバーフロー角度θ2が小さいほど高強度且つ耐摩耗性に優れた面になる。
図4に示すように、据え込み工程S101は、丸棒状の素材M(ビレット)を軸線方向に加圧し、径方向に押し広げる工程である。据え込み工程S101は、素材Mの形状を変形するとともに素材Mの金属結晶を微細化する。
図5に示すように、成形工程S102は、第1上型101と第1下型102とによって径方向に押し広げた素材Mを挟み込むことでフランジ部2xと、円筒状の本体部2yと、内径抜き部2zとを含む切削加工前の荒成形品2Aを成形する工程である。フランジ部2xは、車体取り付けフランジ2e(図2参照)等を含む部分である。本体部2yは、インナー側開口部2a、第1外側軌道面2c、第2外側軌道面2d及びアウター側開口部2b(図2参照)を含む部分である。内径抜き部2zは、本体部2yの内径を覆う円板状の部分である。内径抜き部2zは、本体部2yの内周面に直交する径方向内方に延びている。
第1上型101は、車体取り付けフランジ2eの一部、インナー側開口部2a及び第1外側軌道面2cを含む部分と、内径抜き部2zのインナー側面とを形成する。第1下型102は、アウター側開口部2b、第2外側軌道面2d及び車体取り付けフランジ2eの一部を含む部分と、内径抜き部2zのアウター側面を形成する。本実施形態において、成形工程S102では、第1上型101と第1下型102とによって第1外側軌道面2cの曲率中心C1及び第2外側軌道面2dの曲率中心C2とに挟まれた軸線方向の間隔W2における軸線方向の中心位置Cよりもアウター側の第2外側軌道面2dに近い位置に内径抜き部2zが形成される。第1外側軌道面2cの曲率中心C1と第2外側軌道面2dの曲率中心C2との軸線方向の間隔W2は20mm以上である。
成形工程S102によって成形された荒成形品2Aにおける第2外側軌道面2dの近傍には、内径抜き部2zが位置している。従って、第2外側軌道面2d近傍のファイバーフローFは、本体部2yの内周面に直交する径方向内方に延びている内径抜き部2zの影響を受けている。つまり、第2外側軌道面2d近傍のファイバーフローFは、本体部2yの軸線方向に直交する内径抜き部2zの方向に向かって流れている。従って、第2外側軌道面2d近傍のファイバーフローFは、切削加工後(破線参照)の第2外側軌道面2dに沿って流れていない。荒成形品2Aにおける切削加工後の第2外側軌道面2d近傍のファイバーフローFのファイバーフロー角度θ2は、例えば60度から80度程度である。
一方、荒成形品2Aにおける第1外側軌道面2cの近傍には、内径抜き部2zが位置していない。従って、第1外側軌道面2c近傍のファイバーフローFは、内径抜き部2zの影響を受けていない。つまり、第1外側軌道面2c近傍のファイバーフローFは、第1外側軌道面2cに沿って流れている。荒成形品2Aにおける第1外側軌道面2c近傍のファイバーフローFのファイバーフロー角度θ1は、例えば10度から15度以下である。
図6に示すように、調整工程S103は、第2上型103と第2下型104とによって荒成形品2Aにおける内径抜き部2zの軸線方向の位置を調整した切削加工前の本成形品2Bを成形する工程である。第2上型103及び第2下型104は、第1上型101及び第1下型102と比べて内径抜き部2zを形成する位置が異なる。第2上型103及び第2下型104は、第1外側軌道面2c及び第2外側軌道面2dに挟まれた部分における軸線方向の中央部分に内径抜き部2zが形成される。つまり、本実施形態において、調整工程S103では、第2上型103と第2下型104とによって第1外側軌道面2cの曲率中心C1及び第2外側軌道面2dの曲率中心C2とに挟まれた軸線方向の間隔W2における軸線方向の中心位置Cよりも第2外側軌道面2d側に位置する内径抜き部2zを中心位置Cに移動した本成形品2Bを成形する。
調整工程S103によって成形された本成形品2Bにおける第2外側軌道面2dの近傍には、内径抜き部2zが位置していない。すなわち、内径抜き部2zは、第2外側軌道面2dから離れる方向である軸線方向のインナー側に向かって移動されている。従って、第2外側軌道面2d近傍のファイバーフローFは、内径抜き部2zの影響を受けていない。つまり、第2外側軌道面2d近傍のファイバーフローFは、内径抜き部2zがインナー側に移動されることにより本体部2yの軸線方向に向かう流れに整えられる。従って、第2外側軌道面2d近傍のファイバーフローFは、第2外側軌道面2dに沿って流れている。本成形品2Bにおける第2外側軌道面2d近傍のファイバーフローFのファイバーフロー角度θ2は、例えば10度から15度以下である。
一方、本成形品2Bにおける第1外側軌道面2cの近傍には、内径抜き部2zが位置していない。従って、第1外側軌道面2c近傍のファイバーフローFは、内径抜き部2zの影響を受けていない。つまり、第1外側軌道面2c近傍のファイバーフローFは、内径抜き部2zがインナー側に移動されても第1外側軌道面2cに沿って流れている。本成形品2Bにおける第1外側軌道面2c近傍のファイバーフローFのファイバーフロー角度θ1は、例えば10度から15度以下である。
図7に示すように、打ち抜き工程S104は、フランジ部2x及び内径抜き部2zを、打ち抜き工具によって打ち抜いた打ち抜き品2Cを成形する工程である。打ち抜き工程S104は、調整工程S103において第1外側軌道面2cの曲率中心C1及び第2外側軌道面2dの曲率中心C2に挟まれた軸線方向の間隔W2における軸線方向の中心位置Cに移動された内径抜き部2zを打ち抜く。本体部2yには、切断面が形成される。
打ち抜き工程S104によって成形された打ち抜き品2Cにおける内径抜き部2zの切断面には、内径抜き部2zに向かって流れていたファイバーフローFの端面であるファイバーフロー端面2hが位置している。ファイバーフロー端面2hには、本体部2yの内周面に直交する径方向内方に向かって流れるファイバーフローFが位置している。従って、ファイバーフロー端面2hにおけるファイバーフローFのファイバーフロー角度θ3は、例えば70度から90度未満である。
荒成形品2Aは、軸線方向の幅が60mm以上、または間隔W2が20mm以上であって、間隔W2内に位置する内径抜き部2zの中心位置が間隔W2の中心位置Cを基準として間隔W2の±25%の範囲内に位置する場合、内径抜き部2zから形状が複雑な下型の先端までの距離が長くなり素材Mが下型の端部まで到達しない素材Mの不充足(欠肉)が生じる可能性が高い。
従って、軸線方向の幅が60mm以上、または第1外側軌道面2cの曲率中心C1と第2外側軌道面2dの曲率中心C2との間隔W2が20mm以上である外輪2の荒成形品2Aは、間隔W2の軸線方向の中心位置Cよりも第2外側軌道面2dに近い位置に内径抜き部2zを成形することで内径抜き部2zから下型の端部までの距離が短くなる。これにより、成形工程S102では、素材Mの不充足を防止することができる。
また、図6に示すように、外輪2の本成形品2Bは、調整工程S103において内径抜き部2zを間隔W2の軸線方向の中心位置Cに移動させることで第1外側軌道面2c及び第2外側軌道面2d近傍のファイバーフローFのファイバーフロー角度θ1、θ2のうち少なくとも一方を15度以下にすることができる。
また、図7に示すように、打ち抜き工程S104において内径抜き部2zを打ち抜かれた打ち抜き品2Cは、間隔W2におけるファイバーフロー角度θ3が70度から90度未満のファイバーフロー端面2hが間隔W2の中心位置Cを基準として±25%の範囲に位置している。つまり、間隔W2の間に位置するファイバーフロー端面2hの軸線方向の幅W1の中心位置が間隔W2の中心位置Cを基準として±25%の範囲に位置する外輪2は、第1外側軌道面2cのファイバーフロー角度θ1及び第2外側軌道面2dのファイバーフロー角度θ2のうちすくなくとも一方が15度以下のファイバーフローFを有する。
これにより、軸線方向の幅が60mm以上、または第1外側軌道面2cの曲率中心C1と第2外側軌道面2dの曲率中心C2の間隔W2が20mm以上であっても第1外側軌道面2c及び第2外側軌道面2dのファイバーフロー角度θ1、θ2のうち少なくとも一方が15度以下の車輪用軸受装置1を提供することができる。外輪2は、ファイバーフローFを第1外側軌道面2c及び第2外側軌道面2dに沿わせることで、第1外側軌道面2c及び第2外側軌道面2dの転がり疲労寿命が向上する。
本願における車輪用軸受装置1は、内方部材として一つの内輪4が嵌合されたハブ輪3を備え、外方部材である外輪2と内方部材である内輪4とハブ輪3の嵌合体で構成された内輪回転仕様の第3世代構造としているが、外方部材である外輪2と内方部材である一対の内輪4で構成された第1世代構造、外方部材である外輪2と内方部材である一対の内輪4とで構成され、この一対の内輪4がハブ輪3の外周に嵌合される内輪回転仕様の第2世代構造であってもよい。
また、車輪用軸受装置1は、従動輪用の車輪用軸受装置として説明したが駆動輪用の車輪用軸受装置でもよい。また、本願における車輪用軸受装置1は、車輪取り付けフランジ3cを有するハブ輪3及び内輪4が回転する内輪回転用の車輪用軸受装置1である。しかしながら、車輪用軸受装置は、車輪取り付けフランジを有する外輪が回転する外輪回転用の車輪用軸受装置でもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1 車輪用軸受装置
2 外輪
2a インナー側開口部
2b アウター側開口部
2c 第1外側軌道面
2d 第2外側軌道面
2e 車体取り付けフランジ
2g パイロット部
2h ファイバーフロー端面
2x フランジ部
2y 本体部
2z 内径抜き部
2A 荒成形品
2B 本成形品
2C 打ち抜き品
3 ハブ輪
3a 小径段部
3b かしめ部
3c 車輪取り付けフランジ
3d ハブボルト
3e シール摺動面
3f 第2内側軌道面
4 内輪
4a 第1内側軌道面
5 インナー側ボール列
6 アウター側ボール列
7 インナー側シール部材
8 アウター側シール部材
F ファイバーフロー
θ1、θ2、θ3 ファイバーフロー角度

Claims (2)

  1. 内周面に軸線が一致している円環状の複列の外側軌道面を有する外方部材と、
    外周面に前記複列の外側軌道面に対向する複列の内側軌道面が成形された内方部材と、
    前記外方部材と前記内方部材との両軌道面間に転動可能に収容された複列の転動体と、を備えた車輪用軸受装置であって、
    前記外方部材は、
    軸線方向の幅が60mm以上または前記複列の外側軌道面における各曲率中心の軸線方向の間隔が20mm以上であって、前記複列の外輪軌道面の間に位置するファイバーフロー角度が70度以上のファイバーフロー端面の中心位置が、前記間隔の中心位置を基準として前記間隔の±25%の範囲に位置する、
    車輪用軸受装置。
  2. 請求項1に記載の車輪用軸受装置において、
    前記外方部材は、
    前記複列の外輪軌道面の少なくとも一方の軌道面に対するファイバーフローの角度が15度以下である、
    車輪用軸受装置。
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