JP2023042201A - シフト装置 - Google Patents

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佳明 宮里
Yoshiaki Miyasato
建正 畑
Takemasa Hata
広行 塩入
Hiroyuki Shioiri
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Abstract

【課題】耐久性や組み付け精度などに優れたシフト装置を提供する。【解決手段】円筒部2の外周側に嵌合させられて荷重を受けるリテーナ3の内周部と円筒部の外周部との間に、コッタ4が配置され、円筒部の外周部に凹部2aが設けられるとともに、コッタの内周部に凸部4bが設けられ、コッタの外周面とリテーナの内周面とがテーパ角の異なるテーパ面となっており、コッタにおける外径の小さい端部に軸線方向を向く外端面4aが形成されるとともに、外端面に軸線方向で対向する内端面3dがリテーナに形成され、さらにコッタのテーパ状の外周面の最小外径が、リテーナのテーパ状の内周面の最小内径よりも大きく、最小外径と最小内径とが等しくなる弾性変形が生じることにより、外端面に内端面が当接するように構成されている。【選択図】図1

Description

この発明は、シフトフォークを所定の軸線方向に前後動させることにより、変速段や走行モードを切り替えるシフト装置に関するものである。
シフトフォークの一例が特許文献1に記載されている。そのシフトフォークは、案内ロッドに摺動可能に嵌合する円筒状のボス部からその半径方向で外側に向けて延び出ているフォーク部を備え、そのフォーク部が変速ギヤの摺動溝などに係合するように構成されている。またボス部の外周の一部にピンが突出して設けられ、そのピンがチェンジドラムの外周部に形成されている案内溝に係合している。このように構成されたシフトフォークの全体がアルミニウム合金製とされて、軽量化が図られている。
特許文献1に記載されたシフトフォークは、その全体が一体に構成されているが、これに替えて複数部品によって構成することも可能である。その場合、例えば上記のボス部を小径部品とその外側に嵌合させる大径部品との二分割構造とし、それらの二部品を例えば特許文献2に記載されているようなコッタによって連結して一体化させることが考えられる。
特開2004-084751号公報 特開2020-169591号公報
シフトフォークを上述したように複数部品で構成するとともに、それらの部品のうち軸状の部品同士をコッタによって連結する構成とすれば、それらの軸状部品同士の締結強度を高くすることができる。一方、シフトフォークを構成する各部品は、その機能に応じた形状とするだけでなく、強度や製造性などを考慮して材料を選択することになる。例えば小型であるにも拘わらず大きい外力が掛かる部品にはスチールなどの高剛性の材料を使用し、それ以外の部品には軽量化を優先して軽金属を使用することが考えられる。その場合、各部品相互の間に作用する荷重あるいは応力に応じて接触面などの各部分の寸法や形状を決めることにより、全体としての強度を十分なものとすることができる。
しかしながら、特許文献2に記載されたコッタを用いた構成は、コッタによって連結し、一体化させるバルブステムおよびスプリングリテーナが共にスチール製であるために、コッタとバルブステムとは、それぞれの内外周面に形成した凸部および凹部を係合させて一体化させている。このような構造では、それぞれの素材の剛性が高いことにより、耐久性などの点で特に問題が生じないかも知れないが、上述したように、強度や軽量化などの相異なる要請を共に充足するために材質を異ならせた場合には、組み付けた後の荷重の掛かり方や相対移動などによって相手攻撃性が生じ、相対的に軟質な部品が摩耗してしまい、ひいてはこれが原因で耐久性が低下する可能性がある。
このように、軽量化を目指して構成したシフトフォークを複数部品化し、かつコッタを使用してそれらの部品を連結し、一体化する場合、従来知られている技術のみでは実用に耐え得る構成とすることは困難であり、新たな技術を開発する必要あるいは要請があった。
この発明は上述した技術的課題に着目して成されたものであり、コッタによって組み付ける複数部品からなるシフトフォークを有するシフト装置であって、耐久性や組み付け精度などに優れたシフト装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、ガイド軸に摺動可能に嵌合している円筒部を有するシフトフォークを、前記円筒部に軸線方向の荷重を作用させて前後動させるように構成されたシフト装置において、前記シフトフォークは、前記円筒部の外周側に嵌合させられて前記荷重を受けるリテーナを備え、前記円筒部の外周部と前記リテーナの内周部との間に、半径方向に分割可能なコッタが配置され、前記円筒部の外周部に、円周方向に連続している凹部が設けられるとともに、前記コッタの内周部に、前記凹部に挿入されて前記軸線方向で前記凹部に係合する凸部が設けられ、前記コッタの外周面が、前記荷重の作用方向における前方側で外径が大きくなっているテーパ面とされるとともに、前記リテーナの内周面が、前記荷重の作用方向における前方側で径が大きくなり、かつ前記コッタの外周面のテーパ角より大きいテーパ角のテーパ面とされ、前記コッタにおける外径の小さい端部に前記軸線方向を向く外端面が形成されるとともに、前記外端面に前記軸線方向で対向する内端面が前記リテーナに形成され、さらに前記コッタのテーパ状の前記外周面の最小外径が、前記リテーナのテーパ状の内周面の最小内径よりも大きく、前記最小外径と前記最小内径とが等しくなる弾性変形が生じることにより、前記外端面に前記内端面が当接するように構成されていることを特徴とするものである。
この発明においては、円筒部の外周側にコッタが嵌合し、そのコッタの外周側にリテーナが嵌合して、円筒部とリテーナとがコッタを介して一体化される。そのコッタは、内周部に設けられている凸部を、円筒部の外周部に設けられている凹部に挿入し、それら凸部と凹部とによって、軸線方向で係合している。また、コッタの外周面とリテーナの内周面とがテーパ面とされ、かつコッタのテーパ状の外周面の最小外径が、リテーナのテーパ状の内周面の最小内径より大きいので、コッタの外周側にリテーナを強く嵌合させるように荷重を掛けると、リテーナがコッタを外周側から締め付け、その結果、円筒部とコッタとリテーナとの三者が半径方向で密着して一体化される。その場合、半径方向に締め付けることに伴って軸線方向の応力が生じるので、円筒部とリテーナとは軸線方向においても連結される。それに伴い、凹部と凸部とが軸線方向で係合することによる応力は、半径方向での締め付けに伴う軸線方向の応力の分、小さくなり、凹部や凸部の強度あるいは耐久性の点で有利になる。
また、このような半径方向での締め付け力は、各テーパ面の小径側の端部で生じるので、ガイド軸に嵌合している円筒部に対してその半径方向で中心側に掛かる荷重を低減し、応力の緩和の点で有利になる。このような作用は、コッタの外周面のテーパ角に対して、リテーナの内周面のテーパ角が大きいことにより生じ、しかもテーパ角がこのように相違していることにより、コッタの外周側へのリテーナに挿入が容易になり、組み付け性が向上する。
さらに、上述したコッタとリテータとの内外径差が解消されて両者が等しくなるように弾性変形が生じることにより、コッタの外端面とリテーナの内端面とが当接し、リテーナのコッタあるいは円筒部に対する軸線方向での位置が決まる。すなわち、コッタの外周面とリテーナの内周面とを単に上述したテーパ角のテーパ面とするだけでなく、上記の外端面および内端面を設けることにより、高強度でしかも組み付け精度の高いシフト装置を得ることができる。またさらに、コッタと円筒部とがリテーナによって強く締め付けられて一体化するから、両者の間の相対的な回転もしくは摺動が回避もしくは抑制される。そのため、コッタと円筒部とを剛性の異なる素材で構成しても、相手攻撃性による摩耗やそれに伴う耐久性の低下を回避もしくは抑制することができる。
この発明の実施形態の主要部分を示す概略的な断面図である。 この発明の実施形態の主要部分を分解して示す概略的な断面図である。
この発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態はこの発明の一例に過ぎないのであって、この発明を限定するものではない。
図1は、この発明の実施形態の主要部分を示す概略的な断面図であり、図2は分解して示す概略的な断面図であり、ここに示すシフトフォーク1はアルミニウム合金製であって、円筒部2とその外周側に組み付けたリテーナ3とをスチール製のコッタ4によって連結して一体化して構成されている。円筒部2には、その半径方向で外側に延びているフォーク(図示せず)が一体化されており、そのフォークをクラッチなどの係合機構や変速ギヤの溝に差し込み、その状態で直線的に前後動することにより、係合機構や変速ギヤを所定の軸線方向に移動させるように構成されている。このような移動を確実に行わせるために、円筒部2はガイド軸5に摺動可能に嵌合している。
リテーナ3は、円筒部2をガイド軸5に沿って移動させる軸線方向力(推力)Fを受けるためのものであり、ボス部3aと、ボス部3aの軸線方向での一端部で半径方向で外側に突出したフランジ部3bとを備えており、そのフランジ部3bに推力Fを作用させるようになっている。ボス部3aの内周面は、推力Fの作用方向での前方側(図1での左側)が内径が増大するテーパ面となっている。また、そのテーパ状の内周面が開口している端部とは反対側(図1での右側)の端部には、前記円筒部2の外周面に近接する程度の内周側に延びたいわゆる内フランジ部3cが形成されており、その内フランジ部3cにおける前記テーパ面側の端面が、前記軸線方向に対して垂直な面となっていて、ここがこの発明の実施形態における内端面3dとなっている。
コッタ4は、上記の円筒部2とリテーナ3とを半径方向で一体化させ、また少なくとも上記の推力Fの作用方向で前方に向けて円筒部2とリテーナ3とを一体化させるためのものであり、円筒部2の外周面とリテーナ3の内周面との間にはめ込まれている。図1に示す例では、コッタ4は上記のリテーナ3におけるテーパ状の内周面の軸長とほぼ等しい軸長の円筒状の部材であり、円筒部2に対する組み付けを可能にするために、円弧状に二分割もしくは複数分割されている。その外周面は、上記のリテーナ3の内周面であるテーパ面と近似したテーパ面とされている。より具体的には、リテーナ3の内周面のテーパ角θに対して、コッタ4の外周面のテーパ角θがわずかに小さく(θ>θ)なっている。なお、これらのテーパ角θ,θは、リテーナ3とコッタ4との組み付け後に分離できるようにするために、摩擦角より大きい角度に設定されている。一例を挙げると、θ=13.7°、θ=13°である。
また、コッタ4の最小外径(テーパ状外周面における図1での右側端部の外径)Dが、リテーナ3の内周面の最小内径(テーパ状内周面における図1での右側端部の内径)Dよりわずかに大きく(D>D)なっている。そして、コッタ4における最小外径側の端面が、この発明の実施形態における外端面4aとなっていて、この外端面4aが、リテーナ3における上記の内端面3dに軸線方向で対向している。これらの外端面4aと内端面3dとは、リテーナ3における上記の最小内径Dとコッタ4における上記の最小外径Dとに寸法差があるために、コッタ4の外周側にリテーナ3を単に嵌合させた状態では所定のクリアランスが生じてしまい、互いに密接することはない。しかしながら、リテーナ3に所定の推力を作用させた場合、リテーナ3とコッタ4との接触面がテーパ面であるから、その推力に応じて半径方向に締め付け力が生じ、これによって半径が弾性的に変化する。上記の最小内径Dと最小外径Dとの寸法差は、このような弾性変形によって解消されて、上記の内端面3dと外端面4aとが密接する寸法に設定されている。
さらに、コッタ4と円筒部2とは上記の推力Fの作用方向において一体化するように構成されている。すなわち、円筒部2の外周部には、その全周に亘って凹部2aが形成されている。また、コッタ4の内周部の軸線方向でのほぼ中央部には、凹部2aに緩く嵌合する凸部4bが全周に亘って形成されている。したがって、コッタ4がリテーナ3によって図1の左方向に押された場合、凸部4bの側面が凹部2aの内側壁面に押し付けられて、コッタ4と円筒部2とが上記の推力Fの作用方向において一体化する。なお、リテーナ3に作用する推力Fが大きいことにより、上記の凸部4bや凹部2aの大きい応力が生じるので、これら凸部4bや凹部2aを形成することに伴う角部には、応力集中を回避もしくは緩和するためのR加工を適宜に施すことが好ましい。
円筒部2とリテーナ3とは、以下のようにして組み付けられてシフトフォーク1とされる。まず、コッタ4を構成している円弧状の各分割片を円筒部2の外周面に沿わせて円筒部2に組み付ける。その場合、コッタ4の最大外径部が推力Fの作用方向で前方側となるようにコッタ4を配置する。また、凸部4bを凹部2aに挿入するが、凹部2aの開口幅に対して凸部4bの軸線方向の長さ(厚さ)が小さいので、コッタ4は軸線方向に幾分移動できる状態で円筒部2に組み付けられる。
ついで、円筒部2の外周側に嵌合させておいたリテーナ3を、コッタ4の小径側から大径側にスライドさせてコッタ4の外周側に嵌合させる。リテーナ3の内周面のテーパ角θがコッタ4の外周面のテーパ角θより大きく、かつリテーナ3の最小内径Dがコッタ4の最小外径Dより小さいので、リテーナ3とコッタ4とは軸線方向での後端側(リテーナ3のスライド方向での後ろ側)の部分で、点接触に近い状態で接触する。この時点では、特には弾性変形が生じていないので、リテーナ3における前述した内端面3dとコッタ4の外端面4aとの間に所定のクリアランスが空いていて両者は離隔している。すなわち、正規の組み付け状態から幾分ずれが生じている。
この状態からリテーナ3を更に強くコッタ4側に押し込むと、コッタ4がその凸部4bと凹部2aとの間の軸線方向での隙間分、移動して両者が軸線方向で接触する。このようにしてコッタ4とこれに嵌合しているリテーナ3との軸線方向の移動が規制された後は、主として円筒部2やリテーナ3が弾性変形するので、リテーナ3がコッタ4側に移動し、ついにはその内端面3dがコッタ4の外端面4aに当接する。また、リテーナ3の内周面のテーパ角θとコッタ4の外周面のテーパ角θとが異なっていることにより、点接触に近い状態で接触していた両者が、弾性変形が生じることにより面接触とほぼ同様の状態で接触する。さらに、分割構造のコッタ4が円筒部2を締め付けるので、リテーナ3はコッタ4を介して円筒部2に強固に嵌合し、固定される。こうして、リテーナ3は円筒部2に対する軸線方向での位置が決められて、正規の状態で円筒部2に組み付けられる。
組み付けが完了したシフトフォーク1を動作させる推力Fは、リテーナ3におけるフランジ部3bに軸線方向に作用する。したがって、その推力Fはコッタ4を介して円筒部2に作用するが、リテーナ3とコッタ4とは、それぞれの内周面および外周面であるテーパ面を介して接触しているから、リテーナ3からコッタ4に掛かる軸線方向の力は、コッタ4を軸線方向に押す分力と半径方向で中心側に締め付ける分力としてコッタ4や円筒部2に作用する。そして、コッタ4から円筒部2に対しては、コッタ4が円筒部2を締め付けることによる摩擦力によって軸線方向の推力Fの一部が伝達され、またコッタ4の凸部4bが円筒部2の凹部2aに当接していることにより、その当接部分でコッタ4から円筒部2に軸線方向の推力Fの一部が伝達される。すなわち、シフトフォーク1を動作させる推力Fが、軸線方向において係合している凸部4bと凹部2aとに、全て掛かる訳ではなく、コッタ4が円筒部2を締め付けることによる摩擦力と、凸部4bと凹部2aとの間の面圧とに分散させられて推力Fが伝達されるので、凸部4bや凹部2aの強度の維持に有利になる。
さらに、上記の構成では、弾性変形による応力でコッタ4が円筒部2を締め付けるので、両者が強固に一体化される。そのため、例えば円筒部2とコッタ4との間に相対回転させるトルクあるいは振動が生じたとしても、両者の滑りを伴う相対回転を阻止もしくは抑制できる。そのため、円筒部2が軽量化のためにアルミニウム合金製で、コッタ4が強度上の要求でスチール製であったとしても、円筒部2の摩耗を回避もしくは抑制することができ、ひいてはシフト装置の耐久性を向上させることができる。またさらに、上記の構成では、推力Fを受けるリテーナ3とコッタ4とは、それぞれのテーパ面の小径側の一部で接触して強固に嵌合するから、推力Fが掛かることによる半径方向の締め付け力すなわち円筒部2に半径方向で中心側に向けて掛かる荷重あるいは応力を低減でき、それに伴い耐久性を向上させることができる。また、大荷重が掛かった場合の永久変位をなくすことができる。
1 シフトフォーク
2 円筒部
2a 凹部
3 リテーナ
3a ボス部
3b フランジ部
3c 内フランジ部
3d 内端面
4 コッタ
4a 外端面
4b 凸部
5 ガイド軸
θ,θ テーパ角
最小内径
最小外径
F 推力

Claims (1)

  1. ガイド軸に摺動可能に嵌合している円筒部を有するシフトフォークを、前記円筒部に軸線方向の荷重を作用させて前後動させるように構成されたシフト装置において、
    前記シフトフォークは、前記円筒部の外周側に嵌合させられて前記荷重を受けるリテーナを備え、
    前記円筒部の外周部と前記リテーナの内周部との間に、半径方向に分割可能なコッタが配置され、
    前記円筒部の外周部に、円周方向に連続している凹部が設けられるとともに、
    前記コッタの内周部に、前記凹部に挿入されて前記軸線方向で前記凹部に係合する凸部が設けられ、
    前記コッタの外周面が、前記荷重の作用方向における前方側で外径が大きくなっているテーパ面とされるとともに、
    前記リテーナの内周面が、前記荷重の作用方向における前方側で径が大きくなり、かつ前記コッタの外周面のテーパ角より大きいテーパ角のテーパ面とされ、
    前記コッタにおける外径の小さい端部に前記軸線方向を向く外端面が形成されるとともに、
    前記外端面に前記軸線方向で対向する内端面が前記リテーナに形成され、さらに
    前記コッタのテーパ状の前記外周面の最小外径が、前記リテーナのテーパ状の内周面の最小内径よりも大きく、
    前記最小外径と前記最小内径とが等しくなる弾性変形が生じることにより、前記外端面に前記内端面が当接するように構成されている
    ことを特徴とするシフト装置。
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