JP2023041117A - 薬物の副作用関連遺伝子の配列解析方法とそれに使用されるプライマーセット - Google Patents

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Yasumasa Mushiroda
航也 福永
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Abstract

【課題】副作用関連HLA遺伝子及び薬物動態関連14遺伝子の配列を効率よく、かつ精度よく網羅的に解析するための方法を提供すること。【解決手段】薬物の副作用発現リスクを判定するためのデータ取得(遺伝子配列解析)方法であって;ヒト白血球型抗原(HLA)遺伝子である、HLA-A遺伝子、HLA-B遺伝子、HLA-DRB1遺伝子及びHLA-DQA1遺伝子並びに特定の14遺伝子のそれぞれについて、薬物動態に関連する変異を含む261~483bpの領域を増幅するための複数のプライマーセットを用意する工程、被験者由来の前記4種類のHLA遺伝子及び薬物動態関連14遺伝子のそれぞれについて、前記複数のプライマーセットを用いて増幅反応を複数の反応系に分けて行う工程、および得られた遺伝子増幅産物を配列解析する工程、を含むことを特徴とする方法。【選択図】図1

Description

本発明は遺伝子解析に関し、より詳細には遺伝子解析を利用した研究、診断、医療等に関する。
ヒト白血球型抗原を決定するヒト白血球型抗原(human leukocyte antigen:HLA)遺伝子には多くの種類が存在し、さらにそれぞれのHLA遺伝子が数十種類の異なるタイプ(アリ
ル)を持つ。HLAは免疫に関係が深く、薬疹や無顆粒球症などの副作用の発現に対して特
定のアリルがリスク因子となることが報告されている。消化管からの吸収、肝臓での薬物代謝、胆汁・尿への排泄などの薬物体内動態における個人差により、薬の血中濃度に個人間変動が生じる結果、薬の効果や副作用の発現リスクに個人差が見られることが知られている。このような薬物動態の個人差は薬物代謝及び薬物の生体膜輸送に関連する遺伝子群の塩基配列の違いによることが多く、このような遺伝子配列の個人差を調べることは、薬の副作用の発現リスクを予測することにつながる。
しかしながら、HLA遺伝子は互いに非常に類似した配列を有するため、PCRでは各構成因子を一緒に増幅してしまうことがあり、また、配列解析では、配列の違いが実際の配列の違いによるものか、配列解析における誤読(疑陽性)によるものかが区別できないこともあった。
このように、HLA遺伝子は複雑なゲノム領域に存在するため、従来のPCRや次世代シークエンサーを用いる方法では高精度かつ網羅的な遺伝子型判定は困難であった。
非特許文献1にはHLA遺伝子のタイピングにおいて配列特異的オリゴヌクレオチドプロー
ブを用いる方法と次世代シーケンサーを用いる方法の比較が開示されている。
特許文献1には、薬物動態関連遺伝子の網羅的解析法が開示されている。しかしながら、解析対象にHLA遺伝子は含まれていない。また、特許文献1では解析対象遺伝子が100種類にも及び、より少ない種類の遺伝子で薬物副作用を効率よく解析する方法が求められていた。
国際公開第2020/145351号
Smith AG et al., HLA.2019;1-11.
本発明は副作用関連遺伝子、特にHLA遺伝子及び薬物動態関連遺伝子の配列を効率よく、
かつ精度よく網羅的に解析して薬物の副作用を予測するための情報を効率よく得るための方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、複数種類の副作用関連HLA遺伝子の配列を相互に区別して増幅するために、遺伝子ごとに、それぞれ261~483bpの領域を増幅するように設計されたプライマーセットを用い、各HLA遺伝子それぞれに
ついての増幅反応を複数の反応系に分けて行う第一工程、および第一工程で得られた遺伝子増幅産物を配列解析する第二工程、を行うことにより、被験者由来の複数種類の副作用関連HLA遺伝子の配列を効率よく、かつ高精度で網羅的に解析することができることを見
出した。
より具体的には、副作用に関与することが報告されている4種類のHLA遺伝子(HLA-A、HLA-B、HLA-DRB1及びHLA-DQA1)をリストアップした。それらの遺伝子の翻訳領域をターゲットとし、特定のゲノム領域のみを増幅可能なマルチプレックスPCR法でターゲット領域を
濃縮することにより、特定の副作用に関連するタイプ(アリル)及び極めて稀な変異 (レアバリアント)を網羅的かつ高精度に検出することができるターゲット・リシークエンス
解析パネルを開発することに成功した。また、14種類の薬物動態関連遺伝子についても同様に設計されたプライマーセットを用いて、HLA遺伝子と同じ複数の反応系で増幅反応を
行い、配列解析することで、より多くの薬物副作用のリスクに関する情報を効率よく得ることができることを見出した。
以上に基づき、本発明を完成させた。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]薬物の副作用発現リスクを判定するためのデータ取得(遺伝子配列解析)方法であって;
ヒト白血球型抗原(HLA)遺伝子である、HLA-A遺伝子、HLA-B遺伝子、HLA-DRB1遺伝子及
びHLA-DQA1遺伝子のそれぞれについて、副作用に関連する変異を含む261~483bpの領域を増幅するための複数のプライマーセットを用意する工程、
被験者由来の前記4種類のHLA遺伝子のそれぞれについて、前記複数のプライマーセットを用いて増幅反応を複数の反応系に分けて行う工程、および
得られた遺伝子増幅産物を配列解析する工程、
を含むことを特徴とする方法。
[2]前記複数の反応系は、4の反応系である、[1]に記載の方法。
[3]表1に記載されたプライマーセットを使用する、[1]または[2]に記載の方法。
Figure 2023041117000002

(配列番号1~74)
[4]さらに、CYP(Cytochrome P450)2A6、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A5、DPYD(dihydropyrimidine dehydrogenase)、NAT2(N-acetyltransferases 2)、NUDT15(Nudix hydrolase 15)、TPMT(Thiopurine S-methyltransferase)、UGT1A1(Uridine
diphosphate glucuronosyltransferase 1A1)、SLCO1B1(solute carrier organic anion transporter family member 1B1)、ABCG2(ATP binding cassette subfamily G member 2)、およびVKORC1(vitamin K epoxide reductase complex subunit 1)の14遺伝子について、
それぞれ、副作用に関連する変異を含む261~483bpの領域を増幅するための複数のプライマーセットを用意し、
前記HLA遺伝子の増幅工程において、HLA遺伝子の増幅反応と同じ、複数の反応系において、14遺伝子の増幅反応を行う、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]表2-1および表2-2に記載されたプライマーセットを使用して前記14遺伝子の増幅反応が行われる、[4]に記載の方法。
[6]被験者由来のHLA-A遺伝子、HLA-B遺伝子、HLA-DRB1遺伝子及びHLA-DQA1遺伝子の配列を網羅的に解析する方法に使用される試薬であって、前記表1に記載の複数のプライマーセットを含む試薬。
[7]さらに、被験者由来のCYP(Cytochrome P450)2A6、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A5、DPYD(dihydropyrimidine dehydrogenase)、NAT2(N-acetyltransferases 2)、NUDT15(Nudix hydrolase 15)、TPMT(Thiopurine S-methyltransferase)、UGT1A1(Uridine diphosphate glucuronosyltransferase 1A1)、SLCO1B1(solute carrier organic anion transporter family member 1B1)、ABCG2(ATP binding cassette subfa
mily G member 2)、およびVKORC1(vitamin K epoxide reductase complex subunit 1)の14遺伝子を網羅的に解析する方法に使用される試薬であって、前記表2-1および表2-2に記載の複数のプライマーセットを含む、[6]に記載の試薬。
Figure 2023041117000003
(配列番号75~218)
Figure 2023041117000004

(配列番号219~358)
本発明によれば、副作用関連HLA遺伝子の配列を効率よく、低コストかつ精度よく網羅的
に解析することができる。これにより、薬物の副作用発現リスクを判定するためのデータ(情報)を得ることができる。例えば、本発明の解析手法によって得られるデータを用いて、精神・神経疾患治療薬などによる薬疹や無顆粒球症などの重篤な副作用の発現リスクを薬物治療開始前に予測でき、治療方針の決定に活用することができる。また、CYP(Cytochrome P450)2A6、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A5、DPYD(dihydropyrimidine dehydrogenase)、NAT2(N-acetyltransferases 2)、NUDT15(Nudix hydrolase 15
)、TPMT(Thiopurine S-methyltransferase)、UGT1A1(Uridine diphosphate glucuronosyltransferase 1A1)、SLCO1B1(solute carrier organic anion transporter family member 1B1)、ABCG2(ATP binding cassette subfamily G member 2)、およびVKORC1(vitamin K epoxide reductase complex subunit 1)の14遺伝子を組み合わせて解析す
ることで、より広範囲の副作用リスクの予測が効率よく行うことができる。
さらに、本発明によれば、薬物代謝酵素遺伝子変異の公開データベースであるPharmVar (https://www.pharmvar.org/) に登録されていない未知のバリアント を解析可能である。また、本発明によれば、多くの対象のサンプルを高スループットで解析できる。
本発明の方法の一態様を示す解析フロー図。
本発明の方法は、薬物の副作用発現リスクを判定するための遺伝子配列解析方法であって;
ヒト白血球型抗原(HLA)遺伝子である、HLA-A遺伝子、HLA-B遺伝子、HLA-DRB1遺伝子及
びHLA-DQA1遺伝子のそれぞれについて、副作用に関連する変異を含む261~483bpの領域を増幅するための複数のプライマーセットを用意する工程、
被験者由来の前記4種類のHLA遺伝子のそれぞれについて、前記複数のプライマーセットを用いて増幅反応を複数の反応系に分けて行う工程、および
得られた遺伝子増幅産物を配列解析する工程、
を含む。
HLA-A、HLA-B、HLA-DRB1及びHLA-DQA1の各HLA遺伝子は、下記表3に示される種々の薬物
に対する副作用に関連するアリルが存在することが知られている。したがって、本発明の方法で各HLA遺伝子の変異(アリル)を含む領域を増幅し、配列解析することで薬物の副
作用発現リスクを判定するためのデータを得ることができる。
Figure 2023041117000005
8) HLA研究所(http://hla.or.jp/med/frequency_search/ja/allele/)
以下、各工程について説明する。
<第一工程>
第一工程では4種類の副作用関連HLA遺伝子ごとに、薬物副作用関連変異を含む261~483bpの領域を増幅するように設計されたプライマーセット(プライマー対)を用い、前記4
種類の遺伝子それぞれについての増幅反応を複数の反応系に分けて行う。
<プライマーセット>
プライマーセットは4種類の副作用関連HLA遺伝子の配列を区別して増幅するために遺伝子ごとに設計される。
各遺伝子に対するプライマーセットは、公知の遺伝子配列情報に基づき、変異を含む領域の5’側と3’側それぞれに、他の遺伝子とは相同性の少ない領域に設定することができる。プライマーの長さは、例えば、15~30bpとすることができる。
また、HLA遺伝子領域には偽遺伝子や類似性の高い配列が多い。そのため汎用されている
次世代シークエンサーの2x100bp程度のリード長では各遺伝子の配列を区別することができなくなるため、前記プライマーセットはそれぞれ261~483bpの領域を増幅するように設計される。この範囲の長さの領域を増幅し、解析することで、増幅効率を低下させることなく配列を増幅でき、さらに、相同性の高い配列同士を正確に区別して精度の高い配列解析ができる。
1つの副作用関連HLA遺伝子につき、薬物副作用関連変異を含む領域を増幅して配列解析
する。これにより、より多くの変異を検出でき、遺伝子同士の区別もより正確に行うことができる。
増幅する領域はコード領域(エクソン)であることが好ましく、複数の領域を増幅する場合、各エクソンについてそれぞれ増幅することが好ましい。なお、1つのエクソンについ
て複数領域を増幅してもよい。
各遺伝子に対するプライマーセットの例を表1に示す。これらプライマーセットから適宜選択して使用することができる。HLA-A、HLA-B、HLA-DRB1及びHLA-DQA1のそれぞれの遺伝子について、表1のプライマーセットの中から2組以上、4組以上、または5組以上のプライマーセットを使用することが好ましく、表1のプライマーセットを全て使用することが特に好ましい。
<増幅反応>
前記4種類の副作用関連HLA遺伝子それぞれについて、上記で選択されたプライマーセットを用いて増幅反応を行う。
例えば、被験者由来のゲノムDNAを含む試料(唾液、血液、毛髪等)とDNAポリメラーゼを含む反応試薬を上記プライマーセットとともに反応容器に入れて反応を行うことができる。
増幅反応は複数の反応系に分けて行う。ここで複数の反応系とは、2以上、3以上、または4以上が好ましく、10以下、8以下、または6以下が好ましく、特に好ましくは4である。
例えば、4種類の遺伝子につき、それぞれ6ヵ所(6つの領域)ずつ増幅する場合、合計24の反応を行うことになるが、これらを複数の反応系に分ける。例えば、1反応系当たり、6プライマーセットを用いた6反応を行い、合計4つの反応系で反応を行うことができる。
なお、各反応系の反応数は必ずしも同じである必要はない。
例えば、表1では、Pool 1~Pool 4に分け、各プライマーセットを各Poolの反応チューブに入れて反応を行っている。
反応は通常のPCRの条件に準じて行うことができる。
例えば、熱変性、アニーリング、増幅のサイクルを20~30サイクル行う。これらの各ステップの温度はプライマーのTm値や使用する酵素などに応じて適宜設定できる。
<第二工程>
第二工程では、第一工程で得られた各副作用関連HLA遺伝子の増幅産物について配列解析
を行う。
なお、配列解析の前に、配列解析用の配列を付加するために、配列解析用の配列を含むプライマーを用いて増幅してもよい。
配列解析の方法は特に制限されないが、次世代シークエンサーなどを用いることが好ましい。
次世代シークエンサーなどを用いて網羅的に解析し、各遺伝子を野生型配列と比較することで変異の有無などを調べることができる。
これにより、被験者がどのHLA遺伝子にどの変異を有し、その結果、どの薬物を投与した
ときに副作用の危険性が高いという情報を得ることができる。
本発明の配列解析法によって得られた情報により、副作用関連HLA遺伝子のタイプ(アリ
ル)に応じ、薬物の種類の変更や、投与量を調節することができる。例えば、特定の薬物に対する副作用に対して高リスク型アリルを有する場合、その薬物の投与を中止したり、投与量を減らしたりすることができる。
<HLA以外の薬物動態関連遺伝子>
本発明の方法においては、CYP(Cytochrome P450)2A6、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A5、DPYD(dihydropyrimidine dehydrogenase)、NAT2(N-acetyltransferases 2)、NUDT15(Nudix hydrolase 15)、TPMT(Thiopurine S-methyltransferase)、UGT1A1(Uridine diphosphate glucuronosyltransferase 1A1)、SLCO1B1(solute carrier organic anion transporter family member 1B1)、ABCG2(ATP binding cassette subfamily G member 2)、およびVKORC1(vitamin K epoxide reductase complex subunit 1)の薬物動態関連14遺伝子を同時に解析してもよい。
これらの遺伝子は表4に示すように、種々の薬物動態に関連する変異が存在することが知られている。これらの遺伝子は、特許文献1にも開示されているが、その中でもより少ない遺伝子で広範な薬物に関する体内動態(薬物血中濃度)を効率よく予測するために選定された遺伝子群である。
Figure 2023041117000006
1)Kumondai et al. Biol Pharm Bull. 2016;39(1):84-9.
2)Nakajima et al. Pharmacogenet Genomics. 2007 Jun;17(6):431-45.
3)Mushiroda at al. J Hum Genet. 2006;51(3):249-53.
4)Tamura et al. J Clin Oncol. 2020 Feb 20;38(6):558-566.
5)NBDCヒトデータベース(https://humandbs.biosciencedbc.jp/hum0163-v2#hum0163.v1.freq.v1)
6)Kakuta et al. J Gastorenterol. 2018 Sep;53(9):1065-1078.
7)Hikino et al. J Hum Genet. 2019 Dec;64(12):1195-1202.
これらの14遺伝子のそれぞれについても、変異を含む261~483bpの領域を増幅するためのプライマーセットを複数用意する。
そして、これらのプライマーセットを用いた増幅反応も、前記のHLA遺伝子の増幅反応と
同じ複数の反応系において行う。
各遺伝子に対するプライマーセットの例を表2-1および表2-2に示す。解析対象遺伝子の種類に応じ、これらプライマーセットから適宜選択して使用することができる。
プライマーセットは上記14種類の遺伝子それぞれについて、表2-1および表2―2のプライマーセットの中から2組以上、4組以上、または5組以上使用することが好ましく、表2-1および表2―2のプライマーセットを全て使用することが特に好ましい。
例えば、4種のHLA遺伝子と上記14種の遺伝子の合計18種の遺伝子につき、それぞれ6ヵ所ずつ増幅する場合、合計108の反応を行うことになるが、これらを複数の反応系に分ける。例えば、1反応系当たり、27プライマーセットを用いた27の反応を行い、合計4つの反応系で反応を行うことができる。なお、各反応系の反応数は必ずしも同じである必要はない。
例えば、表2-1および表2-2では、Pool 1~Pool 4に分け、各プライマーセットを各Poolの反応チューブに入れて反応を行っている。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施態様には限定されない。
本発明の方法を用いたターゲット・リシークエンシングのワークフローを図1に示す。
副作用関連4種類のHLA遺伝子(HLA-A、HLA-B、HLA-DRB1及びHLA-DQA1)及び薬物動態関連14遺伝子における翻訳(コード)領域を特異的に増幅することができる1st PCR用のプ
ライマー (182セット) を設計する(表1、表2-1および表2-2)。プライマーセッ
トを4つのグループに分け、それぞれのグループでマルチプレックスPCRを実施する。得
られたPCR産物に、イルミナ社MiSeqの解析に必要なアダプター配列や多検体識別用のインデックス配列を付加するために2ndPCRを実施し、得られたライブラリーをイルミナ社のMiSeqでシークエンシングする (2 × 250 bp)。
具体的手順は以下の通り。
(1)プライマーの設計
18遺伝子の翻訳領域は合計67505 bpであった。これらの翻訳領域を特異的に増幅するために、261~483bpのPCR産物が得られるように、16-29 bpのプライマーを設計した。最終
的に、182セットのプライマー(表1、表2-1および表2-2) を4つのグループ(各表に記載のPool)に分けた後、1st PCRを実施し、67505 bpの領域を増幅した。
(2)PCR
1stPCRは、サーマルサイクラー(GeneAmp PCR System 9700、Thermo Fisher Scientific) により、5 ng/μLテンプレートDNA 2 μL、2×Platinum Multiplex PCR Master Mix (Thermo Fisher Scientific) 5 μL、GCエンハンサー 1 μL、0.1 nMプライマー溶液2 μL、
反応溶液総量10 μLについて、初期熱変性を95℃、2分間、サイクリングは、熱変性を95
℃、30秒間、アニーリングを60℃、90秒間、伸長反応を72℃、3分間で25サイクルとし、
最終伸長を72℃、10分間行った。
2ndPCRは、サーマルサイクラー(GeneAmp PCR System 9700、Thermo Fisher Scientific) により、5×KAPA HiFi Fidelity Buffer (Kapa Biosystems) 2 μL、10 mM dNTP 0.3 μL、0.2 U KAPA HiFi HotStart DNA Polymerase (Kapa Biosystems)、プライマー溶液 (5
μM equimolar mix of index 1 and index 2) 0.05 μL、1stPCR産物 2 μL、反応溶液総量5 μLについて、初期熱変性を98℃、45秒間、サイクリングは、熱変性を99℃、15秒間
、アニーリングを65℃、30秒間、伸長反応を72℃、30秒間で4サイクルとし、最終伸長を72℃、1分間行った。
qPCRをリアルタイムPCRシステム (Applied Biosystems 7900HT Fast Real-Time PCR System、Thermo Fisher Scientific) により、2×KAPA SYBR FAST qPCR Master Mix (Kapa Biosystems) 5 μL、2nd PCR産物の精製後産物 2 μL、反応溶液総量10 μLについて、初期熱変性を95℃、5分間、サイクリングは、熱変性を95℃、30秒間、アニーリング及び伸長
反応を60℃、45秒間で40サイクルの条件下で行った。
(3)ライブラリー精製とシークエンスラン
2ndPCR産物より、AMPure XP (Beckman Coulter) を用いて目的サイズのDNA断片を回収し
、ライブラリーを精製した。各グループのライブラリーを4 nMに希釈した後、等量混合し、Illumina MiSeqシステム及びMiSeq Reagent Kit v2を用いてシークエンシングを行った
(2 × 250 bp、500サイクル)。
(4)変異の検出
HLAアレルの検出を、シークエンシングによって得られたFastqファイルを、HLAタイピン
グアルゴリズムであるHLA-HD (Kawaguchi S et al、Hum Mutat、2017、38(7):
788-797)を用いて解析することにより、行った。
その結果、上記182のプライマーセットによって増幅される各領域を区別して配列解析
をすることができ、18種類の遺伝子における薬物動態または副作用に関連する変異を効率よく検出することができた。

Claims (7)

  1. 薬物の副作用発現リスクを判定するための遺伝子配列解析方法であって;
    ヒト白血球型抗原(HLA)遺伝子である、HLA-A遺伝子、HLA-B遺伝子、HLA-DRB1遺伝子及
    びHLA-DQA1遺伝子のそれぞれについて、副作用に関連する変異を含む261~483bpの領域を増幅するための複数のプライマーセットを用意する工程、
    被験者由来の前記4種類のHLA遺伝子のそれぞれについて、前記複数のプライマーセットを用いて増幅反応を複数の反応系に分けて行う工程、および
    得られた遺伝子増幅産物を配列解析する工程、
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記複数の反応系は、4の反応系である、請求項1に記載の方法。
  3. 表1に記載されたプライマーセットを使用する、請求項1または2に記載の方法。
    Figure 2023041117000007

    (配列番号1~74)
  4. さらに、CYP(Cytochrome P450)2A6、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A5、DPYD(dihydropyrimidine dehydrogenase)、NAT2(N-acetyltransferases 2)、NUDT15(Nudix hydrolase 15)、TPMT(Thiopurine S-methyltransferase)、UGT1A1(Uridine diphosphate glucuronosyltransferase 1A1)、SLCO1B1(solute carrier organic anion transporter family member 1B1)、ABCG2(ATP binding cassette subfamily G member 2)
    、およびVKORC1(vitamin K epoxide reductase complex subunit 1)の14遺伝子につ
    いて、
    それぞれ、薬物動態に関連する変異を含む261~483bpの領域を増幅するための複数のプライマーセットを用意し、
    前記HLA遺伝子の増幅工程において、HLA遺伝子の増幅反応と同じ、複数の反応系において、14遺伝子の増幅反応を行う、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 表2-1および表2-2に記載されたプライマーセットを使用して前記14遺伝子の増幅反応が行われる、請求項4に記載の方法。
    Figure 2023041117000008
    (配列番号75~218)
    Figure 2023041117000009

    (配列番号219~358)
  6. 被験者由来のHLA-A遺伝子、HLA-B遺伝子、HLA-DRB1遺伝子及びHLA-DQA1遺伝子の配列を網羅的に解析する方法に使用される試薬であって、前記表1に記載の複数のプライマーセットを含む試薬。
  7. さらに、被験者由来のCYP(Cytochrome P450)2A6、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A5、DPYD(dihydropyrimidine dehydrogenase)、NAT2(N-acetyltransferases 2)
    、NUDT15(Nudix hydrolase 15)、TPMT(Thiopurine S-methyltransferase)、UGT1A1(Uridine diphosphate glucuronosyltransferase 1A1)、SLCO1B1(solute carrier organic anion transporter family member 1B1)、ABCG2(ATP binding cassette subfamily G member 2)、およびVKORC1(vitamin K epoxide reductase complex subunit 1)の1
    4遺伝子を網羅的に解析する方法に使用される試薬であって、前記表2-1および表2-2に記載の複数のプライマーセットを含む、請求項6に記載の試薬。
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