JP2023039556A - 発光体 - Google Patents
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Abstract
【課題】赤、近赤外域に高い発光量の発光を有し、潮解性のない発光体を提供する。【解決手段】この発光体は、式EuxAE1-xO(ただし、0.0001≦x≦0.1、AEはMg,Ca,Sr,Baから選ばれた1種又は2種以上)で示される材料から構成されたものであり、赤色および近赤外域の光に対して透明である。上記材料は、例えば単結晶である。この発光体は、赤色および近赤外域に、Eu2+4f5d発光由来のピーク発光を有するものとなる。また、この発光体は、放射線励起により、24000photon/MeV以上の発光量の発光が得られる。【選択図】 なし
Description
本発明は、放射線などの放射線の検出に用いる発光体に関する。
シンチレータなどの発光体は、ガンマ線、X線、α線、β線、中性子線などを検出する放射線検出器に用いられる。これらの検出器は、自然放射能計測、医療画像装置、高エネルギー物理用の各種放射線計測装置、資源探査装置などに幅広く応用されている。
特に、赤色および近赤外域に発光を有する発光体は、生体内の透過性が高いことから、バイオイメージング用途に用いられる。また、赤色および近赤外域に発光を有する発光体は、光ファイバーを用いた光伝送の効率が高いことから、シンチレータと光ファイバーを接続した、遠隔モニタリングによる原子炉などの高線量場計測にも用いられる。
S. Kodama et al, "Development of a novel red-emitting cesium hafnium iodide scintillator", Radiation Measurements, vol. 124, pp. 54-58, 2019.
I. Holl et al, "A Measurement of the Light Yield of Common Inorganic Scintillators", IEEE Transactions on Nuclear Science, vol. 35, Issue 1, pp. 105-109, 1988.
N. Yamashita et al, "Coexistence of the Eu 2+ and Eu 3+ Centers in the CaO:Eu Powder Phosphor", Journal of The Electrochemical Society, vol. 140, no. 3, pp. 840-843, 1993.
赤色の発光体としては、Cs2HfI6が知られている(非特許文献1)。Cs2HfI6は、発光量が64000photon/MeVと高いが、強い潮解性を有するために、空気中での使用が困難になる点や、蛍光寿命が1.9μsと長いことが問題である。
一方、潮解性がない発光体として、Eu:CaF2が知られている(非特許文献2)。しかしながら、Eu:CaF2は、発光量が24000photon/MeVと低く、発光波長が435nmと短く赤色および近赤外に発光を有さない。
また、Eu:CaO粉末焼結体において、570―700nmの波長域に、数百~数千μsの蛍光寿命となるEu3+4f4f遷移由来の発光が確認されている(非特許文献3)。また、波長733nmを発光ピークとした、Eu2+由来の発光が確認され、約1μsの蛍光寿命が報告されている。しかしながら、粉末焼結体では、透明度が低いため放射線に対する発光現象を観測することが困難となり、放射線計測装置に用いることが困難となる。また、Eu:CaO粉末焼結体の発光は、蛍光寿命が非常に長く、放射線計測装置への応用には適さない。Eu3+4f4f遷移由来の蛍光寿命が約1μsと長い点も問題となる。
上述したように、現在、赤色および近赤外域に高い発光量の発光を有し、潮解性のない材料がないという問題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、赤色および近赤外域に高い発光量の発光を有し、潮解性のない発光体の提供を目的とする。
本発明に係る発光体は、式EuxAE1-xO(ただし、0.0001≦x≦0.1、AEはMg,Ca,Sr,Baから選ばれた1種又は2種以上)で示される材料から構成されている。
上記発光体の一構成例において、上述した材料は、赤色および近赤外域の光に対して透明である。
上記発光体の一構成例において、上述した材料は、単結晶またはセラミックスである。
以上説明したように、本発明によれば、式EuxAE1-xO(ただし、0.0001≦x≦0.1、AEはMg,Ca,Sr,Baから選ばれた1種又は2種以上)で示される材料から構成したので、赤色および近赤外域に高い発光量の発光を有し、潮解性のない発光体が提供できる。
以下、本発明の実施の形態に係る発光体について説明する。この発光体は、ガンマ線、X線、α線、β線、中性子線など放射線の照射(放射線励起)により、赤色および近赤外域の発光が得られるものであり、式EuxAE1-xO(ただし、0.0001≦x≦0.1、AEはMg,Ca,Sr,Baから選ばれた1種又は2種以上)で示される材料から構成されたものである。また、この材料は、赤色および近赤外域の光に対して透明である。なお、Oの組成は、実質的には、0.95以上、1.05以下とすることができる。言い換えると、実施の形態に係る発光体は、式EuxAE1-xOy(ただし、0.0001≦x≦0.1、0.95≦y≦1.05、AEはMg,Ca,Sr,Baから選ばれた1種又は2種以上)で示される材料から構成されたものとすることができる。この発光体は、放射線励起により、600nm~1080nmの赤色および近赤外域の発光をする。
上記発光体において、発光中心となるEuイオンの原料として酸化ユーロピウムを用いる場合、酸化ユーロピウムの化学式は、一般にEu2O3でありEuイオンの価数は3価である。アルカリ土類金属酸化物と混合し、溶融固化あるいは固相反応した場合には、Euイオンの一部は、二価に変化することとなる。二価に変化したEuイオンが発光中心となることで、Eu2+4f5d発光を有し、赤色あるいは近赤外域に発光ピークを有する発光体となる。アルカリ土類金属酸化物の酸素数は、一般に1であるが、Euイオンを含有することで、酸素(O)の組成比は、0.95から1.05の範囲に変化しうる。なお、発光中心となるEuイオンの原料としては、2価あるいは3価のEuイオンを含有する無機物であればよく、水酸化ユーロピウム、硫化ユーロピウムなどを用いることができる。
ここで、赤色および近赤外域の光に対して透明な上記材料は、単結晶である。また、赤色および近赤外域の光に対して透明な上記材料は、セラミックスとすることができる。この発光体は、赤色および近赤外域に、Eu2+4f5d発光由来のピーク発光を有するものとなる。また、この発光体は、放射線励起により、24000photon/MeV以上の発光量の発光が得られる。また、この発光体は、放射線励起により、蛍光寿命が900ns以下の発光が得られる。
微量の放射線の測定(検出)においては、測定器(検出器)に高いS/N比が求められる。このため、この種の測定(検出)に用いられる、放射線励起により発光する発光体には、20000photon/MeV以上の発光量が求められる。また、放射線の測定は、高い放射線量の環境で行われるため、偶発同時計数成分を低減する必要があることから、900ns以下と蛍光寿命が短い発光体が望まれる。
この種の発光体は、高い発光量が要求される観点から、高い透明性を有することが望ましい。従って、実施の形態にかかる発光体は、好ましくは、発光波長において1cmあたり70%以上の拡散透過率、より好ましくは1cmあたり85%以上の拡散透過率、さらにより好ましくは1cmあたり95%以上の拡散透過率を有することが望ましい。
実施の形態に係る発光体の単結晶は、例えば、上記式を構成する各元素(O以外)の酸化物の粉体を原料とし、所定の組成比となるように各原料を混合し、この混合原料を溶融して固化することで作製することができる。
例えば、酸化ユーロピウム、酸化カルシウムによる混合原料の中にIr金属ペレットを埋め込み、埋め込んだIr金属ペレットをアークプラズマにより過熱し溶融させることで、周囲の混合原料を加熱して、溶融、固化させることで、Eu0.01Ca0.99O結晶体を得た。この結晶は、約2mmの直径および約1mmの厚さを有し、紫色透明であった。また、この結晶より、Eu2+の4f5d準位からの発光が、760nm付近の波長に確認された。
また、試料1、試料2、試料3、試料4の結晶体、および比較1、比較2、比較3の結晶体を作製し、各々について発光量および蛍光寿命を測定した。試料1、試料2、試料3、試料4、比較1、比較2、比較3の結晶組成、発光ピーク波長、発光量(photon/MeV)、潮解性の有無、蛍光寿命(ns)について、表1に示す。
試料1、試料2、試料3、試料4、試料5、比較1、比較2、比較3は、表1に示す結晶組成となるように作製した単結晶を、φ2×1mmサイズに加工・研磨した。なお、式(化学式)に示される組成比は、元素数の比であるが、各材料の作製時の原料の混合比により制御できる。試料1:Eu0.005Ca0.995Oの単結晶、試料2:Eu0.005Sr0.4Ca0.595Oの単結晶、試料3:Eu0.005Ba0.05Ca0.09Oの単結晶、試料4:Eu0.01Sr0.4Ba0.59Oの単結晶、試料5:Eu0.002Mg0.4Ca0.598Oの単結晶、比較1:Eu0.01Ca0.99F2の単結晶、比較2:Eu0.00005Ca0.99995Oの単結晶、比較3:Eu0.005Ca0.995Oの粉末焼結体である。
加工・研磨した各試料を、光学接着剤を用いて赤色波長に感度を有する光電子増倍管に接着し、上面をフッ素樹脂テープで覆い、137Csガンマ線を照射し、デジタルオシロスコープにより電圧パルス信号を得た。得られた電圧パルス信号を解析し、発光量、蛍光寿命を評価した。また、透過率測定装置により1cmあたりの拡散透過率を測定した。
表1に示すように、Euの組成が0.00005と0.0001より小さい結晶(比較2)では、発光量が6000(photon/MeV)と小さくなる。この結果より、Euの組成は0.0001以上とすることが好ましいことがわかる。また、フッ化物とした場合(比較1)、発光量も十分にあり潮解性もないが、発光ピーク波長が435nmとなり、赤色および近赤外域に高い発光量の発光が得られない。また、比較3に示すように、透明ではない粉末焼結体では、発光を確認することができないが、透明な結晶体やセラミックスとすることで高い発光量と短い蛍光寿命を有する発光体が提供できるようになる。
以上に示したように、本発明によれば、赤色および近赤外域に高い発光量の発光を有し、潮解性のない発光体の提供ができるようになる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、EuxAE1-xO(ただし、0.0001≦x≦0.1、AEはMg,Ca,Sr,Baから選ばれた1種又は2種以上)で示される材料であれば、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
Claims (3)
- 式EuxAE1-xO(ただし、0.0001≦x≦0.1、AEはMg,Ca,Sr,Baから選ばれた1種又は2種以上)で示される材料から構成された発光体。
- 請求項1記載の発光体において、
前記材料は、赤色および近赤外域の光に対して透明であることを特徴とする発光体。 - 請求項2記載の発光体において、
前記材料は、単結晶またはセラミックスであることを特徴とする発光体。
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