JP2023039250A - ピストン、内燃機関、及びピストンの製造方法 - Google Patents

ピストン、内燃機関、及びピストンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐摩環の摩耗に対する強度を維持しながら、重量を減らすことができる耐摩環を備えたピストン、及びこのピストンを使用した内燃機関を提供する。【解決手段】ピストンヘッドが形成されたピストン本体部と、ピストンの移動方向と直交する方向でピストンヘッドの外周面に沿って配置され、ピストンリングが収納されるリング溝が形成された環状の耐摩環とを備え、耐摩環は少なくとも、リング溝を挟むように対向して配置された、ピストンヘッドの冠面に近い側の第1の環状耐摩環部と、冠面から遠い側の第2の環状耐摩環部を有し、第1の環状耐摩環部と第2の環状耐摩環部のどちらか一方が、リング溝の開口端であるピストンの外周面に近づくにつれて、ピストンの移動方向における厚さが厚くなるように形成されている。【選択図】図4

Description

本発明は、内燃機関に使用されるピストンに係り、特にレシプロ式の内燃機関に使用されるピストンに関するものである。
近年の内燃機関(以下エンジンと表記する)においては、軽量化及び放熱性を高める目的から、アルミニウム合金製が一般化しつつあり、ピストンもアルミニウム合金製となっている。一方、エンジンは低燃費化、及び高出力化の傾向にあり、より高温の燃焼環境となっている。このため、ピストンリングは高い耐摩耗性が要求されるため、高硬度のピストンリングが使用されるようになっている。
したがって、ピストンリング溝は高硬度のピストンリングが激しく当接するため、アルミニウム合金ではピストンリング溝が摩耗したり、変形したりしてしまう恐れがある。特に、ディーゼルエンジン等の燃焼温度の高いエンジンのトップリング(圧力リング)は、燃焼圧が直接作用するので、トップリング溝にはトップリングによる衝撃が繰り返し作用し、摩耗や変形が生じ易い。トップリング溝が摩耗すると、ブローバイガスの増加やオイル消費に繋がり、エンジン機能の低下をきたすこととなる。
このような現象を回避するため、アルミニウム合金製のピストンのトップリング溝に、ピストン本体のアルミニウム合金よりも高硬度の高温での耐摩耗性のあるニレジスト鋳鉄からなる耐摩環を鋳込んだ、耐摩環付ピストンが種々提案されている。このような内燃機関のピストンは、例えば、特開2019-56340号公報(特許文献1)に示されている。
特許文献1に記載されたピストンにおいては、ピストン本体部と耐摩環を有している。ピストン本体部はアルミニウム合金等で作られており、ピストン本体部は、有底筒状であり、ピストンヘッド、ピストンエプロン、及びピストンスカートが一体的に形成されている。そして、ニレジスト鋳鉄からなる耐摩環は、ピストンヘッドの上部側の周面に設けられており、耐摩環に形成された環状のトップリング溝にトップリングが収納されている。このように、耐摩環を使用することにより、ピストン本体部のトップリング溝の摩耗や変形を回避することが可能となる。
特開2019-56340公報
ところで、エンジンは高回転化の傾向にもあり、ピストンはできる限り軽量化されることが必要である。このため、ピストンと一体化される耐摩環においても軽量化が望まれている。特許文献1にある耐摩環においては、ピストンの移動方向で見た断面形状が、カタカナの「コ」字形状に形成されているが、更なる軽量化へのアプローチのためには、耐摩環の摩耗に対する強度を維持しながら、重量を減らすための適切な断面形状を探索することが必要である。
また、耐摩環は重力鋳造法でピストンに鋳込まれて一体化されるが、金型に耐摩環をセットして、アルミ合金の溶湯を下側から注湯すると、断面形状が「コ」字形状に形成されているため、耐摩環の下側の面が溶湯の流れを阻害して鋳造品質を低下させることがある。このため、鋳造品質の低下を抑制できるピストンの製造方法が要請されている。
本発明の第1の目的は、耐摩環の摩耗に対する強度を維持しながら、重量を減らすことができる耐摩環を備えたピストン、及びこのピストンを使用した内燃機関を提供することにある。
本発明の第2の目的は、耐摩環による鋳造品質の低下を抑制できるピストンの製造方法を提供することにある。
本発明の第1の特徴は、
ピストンヘッドが形成されたピストン本体部と、ピストンの移動方向と直交する方向でピストンヘッドの外周面に沿って配置され、ピストンリングが収納されるリング溝が形成された環状の耐摩環とを備えたピストンであって、耐摩環は少なくとも、
リング溝を挟むように対向して配置された、ピストンヘッドの冠面に近い側の第1の環状耐摩環部と、冠面から遠い側の第2の環状耐摩環部を有し、
第1の環状耐摩環部と第2の環状耐摩環部のどちらか一方が、リング溝の開口端であるピストンの外周面に近づくにつれて、ピストンの移動方向における厚さが厚くなるように形成されている
ところにある。
本発明の第2の特徴は、
ピストンヘッドが形成されたピストン本体部と、ピストン本体の移動方向と直交する方向でピストンヘッドの外周面に沿って配置され、ピストンリングが収納されるリング溝が形成された環状の耐摩環とを備えたピストンの製造方法であって、
ピストンヘッドが重力方向で上側に位置する形態で設置された金型に、ピストンヘッドの外周面から内側に向けて上側方向に傾斜した外側面を備える耐摩環をセットするセット工程を実施し、
重力方向で耐摩環より下側から溶湯を注湯してピストン本体部と耐摩環を一体化する鋳込み工程を実施し、
ピストン本体部と一体化された耐摩環を径方向から切削してリング溝を形成することで、耐摩環に、リング溝を挟むように対向して配置された、ピストンヘッドの冠面に近い側の第1の環状耐摩環部と、冠面から遠い側の第2の環状耐摩環部を形成し、更に第2の環状耐摩環部が、リング溝の開口端であるピストンの外周面に近づくにつれて、ピストン本体部の移動方向における厚さが厚くなるように形成される切削工程とを実施する
ところにある。
本発明によれば、耐摩環の摩耗に対する強度を維持しながら、重量を減らすことができる耐摩環を得ることができる。また、耐摩環による鋳造品質の低下を抑制できるピストンの製造方法を得ることができる。
本発明が適用される内燃機関の簡単な構成を示す構成図である。 本発明の第1の実施形態になるピストンの断面を示す断面図である。 図2のZ部の部分を拡大した拡大断面図である。 図3の耐摩環が配置されている領域を更に拡大した拡大断面図である。 本発明の第2の実施形態になるピストンの耐摩環が配置されている領域を拡大した拡大断面図である。 本発明の第3の実施形態になるピストンの耐摩環が配置されている領域を拡大した拡大断面図である。 本発明の第4の実施形態になるピストンの耐摩環が配置されている領域を拡大した拡大断面図である。 本発明の第5の実施形態になるピストンの耐摩環が配置されている領域を拡大した拡大断面図である。 本発明の第6の実施形態になるピストンの耐摩環が配置されている領域を拡大した拡大断面図である。 本発明の第7の実施形態になるピストンの耐摩環が配置されている領域を拡大した拡大断面図である。 本発明の第8の実施形態になるピストンの耐摩環が配置されている領域を拡大した拡大断面図である。 本発明の第9の実施形態になるピストンの耐摩環が配置されている領域を拡大した拡大断面図である。 従来のピストンの断面を示す断面図である。 (A)はストンの耐摩環が配置されている領域を拡大した拡大断面図であり、(B)はトップリング溝の摩耗を説明する説明図である。 従来のピストンの製造方法を説明するための説明図である。 本発明のピストンの製造方法を説明するための説明図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
まず、本発明が適用されるピストン及び耐摩環の構成を、図13、及び図14を用いて説明する。尚、図13、及び図14は、本発明の課題を説明するために、従来の構成を示しているが、耐摩環以外の構成は、本発明でも同様の構成である。
ピストンは、自動車等の車両に搭載されるエンジンに用いられる。エンジンは、例えば4ストローク・ガソリンエンジンである。ピストンは、エンジンのシリンダの内部に、往復移動が可能なように収容されている。
図13、及び図14に示すように、ピストン50は、有底筒状であり、ピストンヘッド51、ピストンエプロン52、ピストンピンボス53、及びピストンスカート54、55を一体的に形成している。ここで、ピストンエプロン52、及びピストンピンボス53は、図示を省略しているが、一対で構成されている。
ピストンヘッド51は、冠部56とランド部57を有する。シリンダの内部における、ピストン50の移動方向に対し直交する平面で切ったピストンヘッド51(冠部56)の断面は略円形である。この円の中心を通り、かつピストンの移動方向と平行な線をピストン50の軸線といい、軸線が延びる方向を軸線方向という。
冠部56は、ピストンヘッド51における軸線方向の一方側に形成されている。また、冠部56の軸線方向の一方側にはピストン冠面(頂面)58が形成されている。ピストン冠面58は、エンジンのシリンダヘッドと共に燃焼室を形成し、燃焼室に対面している。冠部56の軸線方向の他方側には、ピストン冠面58の裏側の面(ピストン裏面)59が形成されている。
ランド部57は、冠部56の外周側から軸線方向の他方側に延びている。ランド部57の外周には、3つの環状のリング溝60、61、62が形成されている。各リング溝60、61、62は、ピストン50の軸線の周り方向(周方向)に延びてランド部58の全周を取り囲むように形成されている。リング溝60、61、62は、軸線方向の一方側から他方側にこの順に並んでいる。各リング溝60、61、62には、図示しないピストンリングが設置される。
リング溝60はトップリング溝であり、第1圧力リング(コンプレッションリング)としてのトップリングが設置される。リング溝61はセカンドリング溝であり、第2圧力リングとしてのセカンドリングが設置される。リング溝62はオイルリング溝であり、オイルコントロールリングとしてのオイルリングが設置される。
ピストンエプロン52、ピストンピンボス53、及びピストンスカート54、55は、ピストンヘッド51から軸線方向の他方側に延びている。これらピストンエプロン52、ピストンピンボス53、及びピストンスカート54、55の内周側は中空である。ピストンピンボス53は、軸線に対する径方向の両側に形成されている。ピストンピンボス53は、筒状のボス部内にピストンピン孔63を有している。ピストンピン孔63は、ピストンピンボス53を貫通して径方向に延びている。同様に、図示しないピストンピンボスは、筒状のボス部内にピストンピン孔を有している。ピストンピン孔63は径方向で対向し、ピストンピン孔63には、それぞれピストンピンの端部が挿入される。
ピストン50は、ピストンピンを介してコンロッドの小端部に連結される。コンロッドの大端部はクランクシャフトに連結される。ピストンスカート54、55は、上記径方向の両側に形成されている。ピストンスカート54、55の外周は、シリンダの内壁に摺接するものである。ピストンエプロン52は、ピストンピンボス53を包含しており、周方向の両端でピストンスカート54、55に接続されている。ピストンピンボス53は、ピストンエプロン52を介してピストンスカート54、55に接続されている。
トップリング溝60は、ピストン50に鋳込まれた耐摩環64により形成されている。耐摩環64は、ニレジスト鋳鉄を含む円環状の部材であり、ピストンヘッド51の内部に固定され、ピストンヘッド51の外周を取り囲んでいる。耐摩環64の少なくとも一部65は、ピストンヘッド51の肉で包まれ、ピストンヘッド51と一体的に接合されている。
図14の(A)は、ピストンヘッド51の耐摩環64が形成されている部分を拡大したものである。耐摩環64の断面(細かい斜め実線で示した領域)は、カタカナの「コ」字状に形成されている。尚、耐摩環64のリング溝60は、鋳込み後に切削工具による切削によって形成されるものである。
耐摩環64は、図示の状態で、上端部64Uと下端部64B、及び上端部64Uと下端部64Bを接続する側端部64Sからなる環状に形成されている。そして耐摩環64を金型にセットして、アルミ合金の溶湯を金型に注湯することで、耐摩環64が一体化されたピストンが得られる。この状態で、耐摩環64の外周から切削工具で切削してリング溝60が形成され、断面が「コ」字状の耐摩環64が得られることになる。
上述したように、ピストンの軽量化のために、この「コ」字状の断面を有する耐摩環64の重量を如何に軽減するかが大きな課題である。そして、発明者等による耐摩環64の軽量化のための多くの試行錯誤の結果、以下の知見が得られた。
図14の(B)にあるように、耐摩環64を設けないでアルミ合金製のピストンに直接的に形成したトップリング溝60に、トップリング66を収容して疑似的にピストンを動作させた場合、トップリング溝60の摩耗は、実線(AL)で示すように、トップリング溝60の根元(RT)側からピストンヘッド51の外周の開口端(OS)の側に近づくにつれて、トップリング溝60の上面60Uと下面60Bとの間の長さ(D)が拡大することが判明した。
したがって、この摩耗に沿った形状に耐摩環64を形成すれば、耐摩環64の強度を維持しながら、耐摩環64の無駄な肉を削減して軽量化できることが理解される。このような知見に基づいて、本発明は以下の具体的な実施形態を提案するものである。
次に本発明の第1の実施形態の詳細について、図1~図4に基づき説明する。図1はピストンと、このピストンが配置されたシリンダの構成を示し、図2は本実施形態のピストンの断面を示し、図3は図2のZ部の拡大断面を示し、図4は耐摩環の配置された領域の断面を示している。
先ず、図1において、シリンダブロック10には、エンジンの出力軸であるクランクシャフト(図示せず)が回転可能に設置されている。シリンダブロック10は、円筒状のシリンダライナ(図示せず)を備え、シリンダライナの内周側はシリンダの内壁として機能する。ピストン11は、シリンダの内部に、往復移動が可能なように収容されている。シリンダヘッド(図示せず)は、シリンダの開口を塞ぐようにシリンダブロック10に設置されている。
図1に示すように、ピストン11が上死点にあるとき、ピストン11とシリンダヘッドとの間に、燃焼室12が区画、形成される。シリンダヘッドには、吸気/排気バルブ(図示せず)と、燃料噴射ノズル(図示せず)と、点火プラグ(図示せず)とが設置されている。ピストン11とクランクシャフトは、コンロッド13によって連結されており、ピストン11の往復運動をクランクシャフトの回転運動に変換している。ピストン11とコンロッド13はピストンピン14によって連結されている。これらの構成は、よく知られているエンジンの構成であるので、これ以上の説明は省略する。
図2、図3はピストンの構成を示しており、基本的には図13に示す構成と同じであるが、以下の説明では図13に付した参照番号とは異なった参照番号を用いて説明を進める。ただ、耐摩環を除いて実質的に同じ構成である。
図2、図3に示すように、ピストン11は、ピストン本体部15と耐摩環16を備えている。ピストン本体部15はアルミニウム合金をからなり、このアルミニウム合金は、例えばAC8A(JIS H 5202に規定される)である。ピストン本体部15は、有底筒状であり、ピストンヘッド17、ピストンエプロン18、ピストンボス19,及びピストンスカート20が一体的に形成されている。
ピストンヘッド17には、冠部21とランド部22が、一体的に形成されている。シリンダの内部におけるピストン11の移動方向に対し、直交する平面で切ったピストンヘッド17の断面は略円形である。この円の中心を通り、かつピストンの移動方向と平行な線をピストン11の軸線という。軸線が延びる方向を軸線方向という。冠部21は、ピストンヘッド17における軸線方向の一方側にある。冠部21の軸線方向の一方側には冠面23が形成されている。
ランド部22は、冠部21の外周側から軸線方向の他方側に延びており、ランド部22の外周には、3つの環状のリング溝24、25、26が形成されている。各リング溝24、25、26は、ピストン11の周方向に延びてランド部22の全周を取り囲むように形成されている。リング溝24、25、26は、軸線方向の一方側から他方側に、この順番で並んで形成されている。各リング溝24、25、26には図示しないピストンリングが収納される。
リング溝24はトップリング溝であり、第1圧力リング(コンプレッションリング)としてのトップリングが設置される。このリング溝24は、耐摩環16に形成されており、耐摩環16のリング溝24は、鋳込み後に切削によって形成されるものである。リング溝25はセカンドリング溝であり、第2圧力リングとしてのセカンドリングが設置される。リング溝26はオイルリング溝であり、オイルコントロールリングとしてのオイルリングが設置される。尚、リング溝26の底部にはオイル逃がし穴(図示せず)が開口されている。オイル逃がし穴はランド部22の内周面に開口されている。
トップリング、及びセカンドリングは、例えば高炭素鋼やマルテンサイト系ステンレス鋼等により形成され、周方向の一箇所に合い口が形成された平面視で略「C」形の平板状部材である。また、オイルリングは、周方向の一箇所に合い口が形成された平面視で略「C」形の平板状部材を2つ備え、これらの間にセンターリングが挟まれた3ピース構造とされている。
図3に示すように、トップリング溝24は、ピストン11に鋳込まれた耐摩環16に形成されている。耐摩環16は、ニレジスト鋳鉄からなる円環状の部材であり、冠部21の内部に鋳込みによって固定され、冠部21の外周を取り囲んでいる。図3の状態で見て、耐摩環16の上端部16Uは、冠部21の内側から外側に向けて上側に傾斜し、同様に耐摩環16の下端部16Bは、冠部21の内側から外側に向けて下側に傾斜している。つまり、耐摩環16の上端部16U、下端部16Bは、トップリング溝60の根元側からピストンヘッド17の外周側に向かって、厚さが連続的に厚くなるような形状(傾斜形状)とされている。この厚さが厚くなる形状は、図14の(B)に示した摩耗の形状に基づいている。
図4は耐摩環16を更に詳細に示したものである。尚、四角形の破線は、比較のために図14の(A)で示した従来の耐摩環64の断面形状を仮想的に示している。
図4において、ピストンヘッド17を形成する冠部21には、耐摩環16が鋳込まれて固定されている。尚、トップリング溝24は、耐摩環16を鋳込んだ後の「後加工」によって形成される。耐摩環16は円環状であり、円環の円の中心を通り、かつ円環を含む平面に直交する線を、耐摩環16の軸線とすると、耐摩環16の軸線はピストン11の軸線に略一致している。耐摩環16の軸線に直交する方向(径方向)に、トップリング溝24が形成されており、トップリンク溝24の軸線に沿った断面形状(空間形状)は、矩形の形状に加工されている。したがって、トップリング溝24の上面24Uと下面24Bとは平行の関係となっている。尚、トップリング溝24は、冠部21の内部側の根元(RT)の部分から、半径方向に延びて冠部21の外周に開口された開口端(OS)を備えている。
図示の状態(ピストンヘッドが上側に位置する)で、耐摩環16は、上端部(請求項でいう第1の環状耐摩環部に相当する)16Uと、下端部(請求項でいう第2の環状耐摩環部に相当する)16Bと、上端部16Uと下端部16Bとを接続する側端部(請求項でいう第3の環状耐摩環部に相当する)16Sとからなる円環状に形成されている。上端部16Uはピストンヘッド17の冠面23に近い側であり、下端部16Bはピストンヘッド17の冠面23から遠い側である。これらは、トップリング溝24を挟み込むように対向して配置されている。
そして、上端部16Uの傾斜状外側面16SLPは、トップリング溝24の根元(RT)の側(冠部21の内側)から冠部21の外周の開口端(OS)の側に向けて上側に徐々に厚くなる形状に形成されている。同様に、下端部16Bの傾斜状外側面16SLPは、トップリング溝24の根元(RT)の側(冠部21の内側)から冠部21の外周の開口端(OS)の側に向けて下側に徐々に厚くなる傾斜形状に形成されている。
このような傾斜状外側面16SLPの傾斜形状は、図14の(B)に示すように、トップリング溝が摩耗する形状に合致するような形状とされている。ただ、この傾斜形状はトップリング溝の摩耗の形状に完全に一致している必要はない。あくまでも、耐摩環16の摩耗に対する強度確保と、耐摩環16の重量の軽減を満足すれば良いものである。これは、後述する他の実施形態からも窺い知ることができる。
このように、耐摩環16を、トップリング溝24の根元(RT)の側から冠部21の外周の開口端(OS)の側に向けて徐々に厚くなる傾斜状外側面16SLPに形成することによって、必要な耐摩耗性を付与することができる。更に、破線で示す従来の耐摩環64の断面形状に比べて、本実施形態の耐摩環16では、上端部16U、下端部16Bの上下に存在する三角形の領域(TRA)だけ重量を軽減することができる。このような耐摩環16とすることによって、耐摩環16の摩耗に対する強度を維持しながら、重量を減らすことができる。よって、結果的にピストン全体を軽量化することができる。
次に本発明の第2の実施形態について、図5に基づき説明する。図5は耐摩環の配置された領域の断面を示している。尚、図4と同じ参照番号は同じ部品や要素を示しているので、必要ない場合は説明を省略する。
図5において、本実施形態では、第1の実施形態に比べて、耐摩環16の側端部16Sの厚さを薄くした点で異なっている。図5に示しているように、本実施形態の側端部16S-dは、第1の実施形態の側端部16Sに比べて、厚さが約1/2程度に設定されている。したがって、破線で示す従来の耐摩環64の断面形状に比べて、本実施形態の耐摩環16では、上端部16U、下端部16Bの上下に存在する三角形の領域(TRA)、及び側端部16S-dの隣に存在する矩形の領域(RCA)だけ重量を軽減することができる。
本実施形態では、第1の実施形態(図4参照)に比べて、更に耐摩環16の重量を軽減することができる。このような耐摩環16とすることによって、耐摩環16の摩耗に対する強度を維持しながら、重量を減らすことができる。よって、結果的にピストン全体を軽量化することができる。
次に本発明の第3の実施形態について、図6に基づき説明する。図6は耐摩環の配置された領域の断面を示している。尚、図4と同じ参照番号は同じ部品や要素を示しているので、必要ない場合は説明を省略する。
図6において、本実施形態では、第1の実施形態に比べて、耐摩環16の側端部16Sを省略した点で異なっている。図6に示しているように、本実施形態では、図4に示す側端部16Sは省略されている。図6では、鋳込む前の耐摩環16は、上端部16Uと下端部16Bは側端部16Sによって接続されているが、鋳込んだ後の「後加工」によって側端部16Sを取り除くことで、図6のような耐摩環16が形成されることになる。つまり、上端部16Uと下端部16Bは、トップリング溝24の開口端(OS)とは反対側で分離されている構成となっている。
したがって、破線で示す従来の耐摩環64の断面形状に比べて、本実施形態の耐摩環16では、上端部16U、下端部16Bの上下に存在する三角形の領域(TRA)、及びトップリング溝24の根元(RT)の隣に存在する矩形の領域(RCA)だけ重量を軽減することができる。
本実施形態では、第1の実施形態(図4参照)、及び第2の実施形態(図5参照)に比べて、更に重量を軽減することができる。このような耐摩環16とすることによって、耐摩環16の摩耗に対する強度を維持しながら、重量を減らすことができる。よって、結果的にピストン全体を軽量化することができる。
次に本発明の第4の実施形態について、図7に基づき説明する。図7は耐摩環の配置された領域の断面を示している。尚、図4と同じ参照番号は同じ部品や要素を示しているので、必要ない場合は説明を省略する。
図7において、本実施形態では、第1の実施形態に比べて、耐摩環16の上端部16U-cが従来の上端部と同じ形状である点で異なっている。図7に示しているように、本実施形態では、上端部16U-cは図14の(A)に示す上端部64Uと同じ形状である。つまり、上端部16U-cは、ピストンヘッド17の外周面までピストン11の移動方向における厚さが一定に形成されている。
したがって、図4に示す実施形態に比べてこの分だけ耐摩環16の重量の軽減が抑制されている。ただ、この上端部16U-cとすることで、耐摩環16の剛性を高めることができるという長所を得ることができる。加えて、図14の(A)に示す耐摩環64に比べて、下端部16Bの下側に存在する三角形の領域(TRA)だけ重量を軽減できる。
本実施形態では、第1の実施形態(図4参照)に比べて、耐摩環16の剛性を維持し、更に重量を軽減することができる。このような耐摩環16とすることによって、耐摩環16の摩耗に対する強度を維持しながら、重量を減らすことができる。よって、結果的にピストン全体を軽量化することができる。。
次に本発明の第5の実施形態について、図8に基づき説明する。図8は耐摩環の配置された領域の断面を示している。尚、図4と同じ参照番号は同じ部品や要素を示しているので、必要ない場合は説明を省略する。
図8において、本実施形態では、第1の実施形態に比べて、耐摩環16の下端部16B-cが従来の下端部と同じ形状である点で異なっている。図8に示しているように、本実施形態では、下端部16B-cは図14の(A)に示す下端部64Bと同じ形状である。つまり、上端部16B-cは、ピストンヘッド17の外周面までピストン11の移動方向における厚さが一定に形成されている。
したがって、図4に示す実施形態に比べてこの分だけ耐摩環16の重量の軽減が抑制されている。ただ、この下端部16B-cとすることで、耐摩環16の剛性を高めることができるという長所を得ることができる。加えて、図14の(A)に示す耐摩環64に比べて、上端部16Uの上側に存在する三角形の領域(TRA)だけ重量を軽減できる。
本実施形態では、第1の実施形態(図4参照)に比べて、耐摩環16の剛性を維持し、更に重量を軽減することができる。このような耐摩環16とすることによって、耐摩環16の摩耗に対する強度を維持しながら、重量を減らすことができる。よって、結果的にピストン全体を軽量化することができる。
次に本発明の第6の実施形態について、図9に基づき説明する。図9は耐摩環の配置された領域の断面を示している。尚、図4と同じ参照番号は同じ部品や要素を示しているので、必要ない場合は説明を省略する。
図9において、本実施形態では、第4の実施形態(図7参照)に比べて、耐摩環16の下端部16Bが連続した傾斜でなく、段差を有した傾斜となっている点で異なっている。図9に示しているように、本実施形態では、上端部16U-cは図14の(A)に示す上端部64Uと同じ形状である。つまり、上端部16U-cは、ピストンヘッド17の外周面までピストン11の移動方向における厚さが一定に形成されている。
したがって、図4に示す実施形態に比べてこの分だけ耐摩環16の重量の軽減が抑制されている。ただ、この上端部16U-cとすることで、耐摩環16の剛性を高めることができるという長所を得ることができる。
加えて、本実施形態では、下端部16Bは、第1段部16B-s1と、第2段部16B-s2からなる段状外側面16STPに形成されている。段状外側面16STPは、先に述べた傾斜状外側面16SLPと同様に、トップリング溝24の根元(RT)の側(冠部21の内側)から冠部21の外周の開口端(OS)の側に向けて下側に段階的に厚くなる形状に形成されている。このため、図14の(A)に示す耐摩環64に比べて、下端部16Bの下側に存在する2つの矩形の領域(RCA)だけ重量を軽減できる。
本実施形態では、第1の実施形態(図4参照)に比べて、耐摩環16の剛性を維持し、更に重量を軽減することができる。このような耐摩環16とすることによって、耐摩環16の摩耗に対する強度を維持しながら、重量を減らすことができる。よって、結果的にピストン全体を軽量化することができる。尚、本実施形態では、段状外側面16STPは、図14の(B)トップリング溝の摩耗の形状に一致していないが、このような形状であっても、耐摩環16の摩耗に対する強度確保と、耐摩環16の重量の軽減を満足すれば良いものである。
次に本発明の第7の実施形態について、図10に基づき説明する。図9は耐摩環の配置された領域の断面を示している。尚、図4と同じ参照番号は同じ部品や要素を示しているので、必要ない場合は説明を省略する。
図10において、本実施形態では、第5の実施形態(図8参照)に比べて、耐摩環16の上端部16Bが連続した傾斜でなく、段差を有した傾斜となっている点で異なっている。図10に示しているように、本実施形態では、下端部16B-cは図14の(A)に示す下上端部64Bと同じ形状である。つまり、下端部16B-cは、ピストンヘッド17の外周面までピストン11の移動方向における厚さが一定に形成されている。
したがって、図4に示す実施形態に比べてこの分だけ耐摩環16の重量の軽減が抑制されている。ただ、この下端部16B-cとすることで、耐摩環16の剛性を高めることができるという長所を得ることができる。
加えて、本実施形態では、上端部16Uは、第1段部16U-s1と、第2段部16U-s2からなる段状外側面16STPに形成されている。段状外側面16STPは、先に述べた傾斜状外側面16SLPと同様に、トップリング溝24の根元(RT)の側(冠部21の内側)から冠部21の外周の開口端(OS)の側に向けて上側に段階的に厚くなる形状に形成されている。このため、図14の(A)に示す耐摩環64に比べて、上端部16Uの上側に存在する2つの矩形の領域(RCA)だけ重量を軽減できる。
本実施形態では、第1の実施形態(図4参照)に比べて、耐摩環16の剛性を維持し、更に重量を軽減することができる。このような耐摩環16とすることによって、耐摩環16の摩耗に対する強度を維持しながら、重量を減らすことができる。よって、結果的にピストン全体を軽量化することができる。尚、本実施形態では、段状外側面16STPは、図14の(B)トップリング溝の摩耗の形状に一致していないが、このような形状であっても、耐摩環16の摩耗に対する強度確保と、耐摩環16の重量の軽減を満足すれば良いものである。
次に本発明の第8の実施形態について、図11に基づき説明する。図11は耐摩環の配置された領域の断面を示している。尚、図4と同じ参照番号は同じ部品や要素を示しているので、必要ない場合は説明を省略する。図11において、本実施形態では、第6の実施形態(図9参照)と第7の実施形態(図10参照)を組み合わせた実施形態である。
図11に示しているように、本実施形態では、下端部16Bは、第1段部16B-s1と、第2段部16B-s2からなる段状外側面16STPに形成されている。段状外側面16STPは、先に述べた傾斜状外側面16SLPと同様に、トップリング溝24の根元(RT)の側(冠部21の内側)から冠部21の外周の開口端(OS)の側に向けて下側に段階的に厚くなる形状に形成されている。このため、図14の(A)に示す耐摩環64に比べて、下端部16Bの下側に存在する2つの矩形の領域(RCA)だけ重量を軽減できる。
また、上端部16Uは、第1段部16U-s1と、第2段部16U-s2からなる段状外側面16STPに形成されている。段状外側面16STPは、先に述べた傾斜状外側面16SLPと同様に、トップリング溝24の根元(RT)の側(冠部21の内側)から冠部21の外周の開口端(OS)の側に向けて上側に段階的に厚くなる形状に形成されている。このため、図14の(A)に示す耐摩環64に比べて、上端部16Uの上側に存在する2つの矩形の領域(RCA)だけ重量を軽減できる。
このように、耐摩環16を、トップリング溝24の根元(RT)の側から冠部21の外周の開口端(OS)の側に向けて段階的に厚くなる段状外側面16STPに形成することによって、必要な耐摩耗性を付与することができる。更に、破線で示す従来の耐摩環64の断面形状に比べて、本実施形態の耐摩環16では、上端部16U、下端部16Bの上下に存在する矩形の領域(RCA)だけ重量を軽減することができる。このような耐摩環16とすることによって、耐摩環16の摩耗に対する強度を維持しながら、重量を減らすことができる。よって、結果的にピストン全体を軽量化することができる。尚、本実施形態では、段状外側面16STPは、図14の(B)トップリング溝の摩耗の形状に一致していないが、このような形状であっても、耐摩環16の摩耗に対する強度確保と、耐摩環16の重量の軽減を満足すれば良いものである。
次に本発明の第9の実施形態について、図12に基づき説明する。図12は耐摩環の配置された領域の断面を示している。尚、図4と同じ参照番号は同じ部品や要素を示しているので、必要ない場合は説明を省略する。
図9において、本実施形態では、第1の実施形態(図4参照)に比べて、耐摩環16の下端部16Bが、異なった傾斜角を有する2つの連続した傾斜で形成されている点で異なっている。図12に示しているように、本実施形態では、上端部16Uは図4に示す上端部16Uと同じ形状である。したがって、図4に示す実施形態と同様に耐摩環16の重量が軽減されている。
一方、本実施形態では、下端部16Bは、第1傾斜部16SLP-1と、第2傾斜部16SLP-2からなる傾斜状外側面16SLPに形成されている。この傾斜状外側面16SLPは、先に述べた傾斜状外側面16SLPと同様に、トップリング溝24の根元(RT)の側(冠部21の内側)から冠部21の外周の開口端(OS)の側に向けて下側に2段の傾斜によって段階的に厚くなる形状に形成されている。このため、図14の(A)に示す耐摩環64に比べて、下端部16Bの下側に存在する変形三角形の領域(TRA)だけ重量を軽減できる。
本実施形態では、第1の実施形態(図4参照)に比べて、下端部16Bが厚く形成されているので、耐摩環16の剛性を維持し、更に重量を軽減することができる。このような耐摩環16とすることによって、耐摩環16の摩耗に対する強度を維持しながら、重量を減らすことができる。よって、結果的にピストン全体を軽量化することができる。尚、本実施形態では、下端部16Bの傾斜形状は、図14の(B)トップリング溝の摩耗の形状に一致していないが、このような形状であっても、耐摩環16の摩耗に対する強度確保と、耐摩環16の重量の軽減を満足すれば良いものである。
次に、ピストンの製造方法について説明する。先ず、本発明のピストンの製造方法を説明する前に、従来のピストンの製造方法について説明する。
図15は、図14の(A)に示す耐摩環64を金型にセットしてアルミ合金の溶湯を注湯する状態を示している。斜めの斜線で示す領域が、溶湯が充填される領域である。そして、破線で囲まれた領域Pがピストン(50)の外形形状である。したがって、注湯が完了した後に破線で示す外形形状に切削工具によって「後加工」が実施されることになる。
ここで、従来の耐摩環64は予め金型にセットされ、この状態で溶湯が下側(ピストンスカート部分)から注湯される。尚、トップリング溝はまだ形成されていない状態である。そして、注湯された溶湯は、矢印(ALW)に沿った流れとなって、耐摩環64の部分に到達する。
ところが、耐摩環64の下端部64Bはピストン50の軸線(C)と直交する平面となっているので、溶湯は下端部64Bに沿うように、その流れを横方向に大きく変えて下端部64Bの平面に沿って流れることになる。このため、耐摩環64の下端部64Bと側端部64Sの領域付近に円滑な溶湯の流れが生じ難くなり、鋳造欠陥(引け巣)を引き起こす恐れがある。
一方、本実施形態になるピストンの製造方法は次の通りである。図16にあるように、ピストンヘッド17が上側に位置するように金型を設置し、更に図7に示すような耐摩環16をセットしてアルミ合金の溶湯を注湯する。図15と同様に、斜めの斜線で示す領域が、溶湯が充填される領域である。そして、破線で囲まれた領域Pがピストン(11)の外形形状である。したがって、注湯が完了した後に破線で示す外形形状に切削工具によって「後加工」が実施されることになる。
ここで、本実施形態の耐摩環16(図7参照)は予め金型にセットされ、この状態で溶湯が下側(ピストンスカート部分)から注湯される。尚、トップリング溝はまだ形成されていない状態である。そして、注湯された溶湯は、矢印(ALW)に沿った流れとなって、耐摩環16の部分に到達する。
本実施形態の耐摩環16の下端部16Bはピストン11の軸線(C)と斜め上方で交叉する面となっているので、溶湯は下端部16Bに沿うように、その流れを斜め上方向に変えて下端部16Bの外側面に沿って流れることになる。このため、耐摩環16の下端部16Bと側端部16Sの領域付近に円滑な溶湯の流れが生じ、鋳造欠陥(引け巣)を引き起こす恐れが少なくなる。尚、溶湯の流れを円滑にできる耐摩環16は、図4~図7、図9、図11~図12に示す実施形態である。そして、以上に説明した製造方法は、具体的は以下のような方法となる。
≪工程1≫
ピストンヘッドが重力方向で上側に位置する形態で設置された金型に、ピストンヘッド17の外周面から内側に向けて上側方向に傾斜した外側面(図7の下端部16Bに相当する部分)を備える耐摩環16をセットする「セット工程」が実施される。この時、耐摩環16にはトップリング溝24は形成されていない。工程1が完了すると工程2が実施される。
≪工程2≫
重力方向で耐摩環16より下側に位置するピストンスカート20の部分から溶湯を注湯してピストン本体部15と耐摩環16を一体化する「鋳込み工程」が実施される。溶湯はアルミニウム、或いはアルミ合金が使用される。工程2が完了すると工程3が実施される。
≪工程3≫
ピストン本体部15と一体化された耐摩環16を径方向から切削してトップリング溝24を形成する「切削工程」を実行する。このトップリング溝24を形成することで、耐摩環16が、トップリング溝24を挟み込むように対向して配置された、ピストンヘッド17の冠面23に近い側の上端部16Uと、冠面23から遠い側の下端部16Bが形成される。更に、下端部16Bが、トップリング溝24の開口端(OS)であるピストンの外周面に近づくにつれて、ピストンの移動方向における厚さが厚くなるように形成されることになる。
以上述べたように、本発明によれば、耐摩環は少なくとも、リング溝を挟むように対向して形成された第1の環状端部と第2の環状端部を有し、第1の環状端部と第2の環状端部のどちらか一方が、リング溝の開口端であるピストンの外周面に近づくにつれて、ピストンの移動方向における厚さが厚くなるように形成されていることを特徴としている。これによれば、耐摩環の摩耗に対する強度を維持しながら、重量を減らすことができる。
尚、本発明は上記したいくつかの実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。各実施例の構成について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
10…シリンダブロック、11…ピストン、12…燃焼室、13…コンロッド、14…ピストンピン、15…ピストン本体部、16…耐摩環、16U…上端部、16B…下端部、16S…側端部、17…ピストンヘッド、18…ピストンエプロン、19…ピストンボス、20…ピストンカート、21…冠部、22…ランド部、23…冠面、24…トップリング溝、24U…上面、24B…下面、25…セカンドリング溝、26…オイルリング溝、RT…トップリング溝の根元、OS…トップリングの開口端。

Claims (15)

  1. 内燃機関のシリンダ内を往復動するピストンであって、
    前記ピストンは、ピストンヘッドが形成されたピストン本体部と、前記ピストンの移動方向と直交する方向の前記ピストンヘッドの外周面に沿って配置され、ピストンリングが収納されるリング溝が形成された環状の耐摩環とを備え、
    前記耐摩環は少なくとも、前記リング溝を挟むように対向して配置された、前記ピストンヘッドの冠面に近い側の第1の環状耐摩環部と、前記冠面から遠い側の第2の環状耐摩環部を有し、
    前記第1の環状耐摩環部と前記第2の環状耐摩環部のどちらか一方が、前記リング溝の開口端である前記ピストンの外周面に近づくにつれて、前記ピストンの移動方向における厚さが厚くなるように形成されている
    ことを特徴とするピストン。
  2. 請求項1に記載のピストンであって、
    前記第1の環状耐摩環部、及び前記第2の環状耐摩環部の両方が、前記ピストンの外周面に近づくにつれて、前記ピストンの移動方向における厚さが厚くなるように形成されている
    ことを特徴とするピストン。
  3. 請求項1に記載のピストンであって、
    前記第2の環状耐摩環部は、前記ピストンの外周面に近づくにつれて、前記ピストンの移動方向における厚さが厚くなるように形成されている
    ことを特徴とするピストン。
  4. 請求項3に記載のピストンであって、
    前記第1の環状耐摩環部は、前記ピストンの外周面まで前記ピストンの移動方向における厚さが一定に形成されている
    ことを特徴とするピストン。
  5. 請求項3に記載のピストンであって、
    前記第2の環状耐摩環部は、前記ピストンの外周面に近づくにつれて、前記ピストンの移動方向における厚さが、連続して厚くなる傾斜状に形成されている
    ことを特徴とするピストン。
  6. 請求項3に記載のピストンであって、
    前記第2の環状耐摩環部は、前記ピストンの外周面に近づくにつれて、前記ピストンの移動方向における厚さが、段状に厚くなる階段状に形成されている
    ことを特徴とするピストン。
  7. 請求項1に記載のピストンであって、
    前記第1の環状耐摩環部は、前記ピストンの外周面に近づくにつれて、前記ピストンの移動方向における厚さが厚くなるように形成されている
    ことを特徴とするピストン。
  8. 請求項7に記載のピストンであって、
    前記第2の環状耐摩環部は、前記ピストンの外周面まで前記ピストンの移動方向における厚さが一定に形成されている
    ことを特徴とするピストン。
  9. 請求項7に記載のピストンであって、
    前記第1の環状耐摩環部は、前記ピストンの外周面に近づくにつれて、前記ピストンの移動方向における厚さが、連続して厚くなる傾斜状に形成されている
    ことを特徴とするピストン。
  10. 請求項7に記載のピストンであって、
    前記第1の環状耐摩環部は、前記ピストンの外周面に近づくにつれて、前記ピストンの移動方向における厚さが、段状に厚くなる階段状に形成されている
    ことを特徴とするピストン。
  11. 請求項1に記載のピストンであって、
    前記第1の環状耐摩環部と前記第2の環状耐摩環部は、前記リング溝の前記開口端とは反対側で第3の環状耐摩環部で接続されている
    ことを特徴とするピストン。
  12. 請求項1に記載のピストンであって、
    前記第1の環状耐摩環部と前記第2の環状耐摩環部は、前記リング溝の前記開口端とは反対側で分離されている
    ことを特徴とするピストン。
  13. 請求項1に記載のピストンであって、
    前記耐摩環は、ニレジスト鋳鉄で形成され、
    前記ピストン本体部は、アルミニウム、或いはアルミ合金で形成されている
    ことを特徴とするピストン。
  14. シリンダブロック、及び前記シリンダブロックに組み合わされ燃焼室を形成するシリンダヘッドを備えたシリンダと、前記シリンダブロックに形成されたシリンダ内に配置されたピストンと、前記ピストンとクランクシャフトを連結するコンロッドを備え、前記燃焼室の混合気の燃焼ガスによって前記ピストンを往復動させて前記クランクシャフトを回転させる内燃機関であって、
    前記ピストンは、請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の前記ピストンである
    ことを特徴とする内燃機関。
  15. ピストンヘッドが形成されたピストン本体部と、前記ピストン本体部の移動方向と直交する方向で前記ピストンヘッドの外周面に沿って配置され、ピストンリングが収納されるリング溝が形成された環状の耐摩環とを備えたピストンの製造方法であって、
    前記ピストンヘッドが重力方向で上側に位置する形態で設置された金型に、前記ピストンヘッドの外周面から内側に向けて上側方向に傾斜した外側面を備える前記耐摩環をセットするセット工程を実施し、
    重力方向で前記耐摩環より下側から溶湯を注湯して前記ピストン本体部と前記耐摩環を一体化する鋳込み工程を実施し、
    前記ピストン本体部と一体化された前記耐摩環を径方向から切削して前記リング溝を形成することで、前記耐摩環に、前記リング溝を挟むように対向して配置された、前記ピストンヘッドの冠面に近い側の第1の環状耐摩環部と、冠面から遠い側の第2の環状耐摩環部を形成し、更に前記第2の環状耐摩環部が、前記リング溝の開口端であるピストンの外周面に近づくにつれて、前記ピストン本体部の移動方向における厚さが厚くなるように形成される切削工程とを実施する
    ことを特徴とするピストンの製造方法。
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