JP2023038443A - 表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】狭い視野角での画像表示を可能とし、覗き込みを防止する。【解決手段】表示装置1は、表示パネル3と、表示パネル3の表示面に設けられた赤外線カットフィルタ4と、を備える。赤外線カットフィルタ4は、視認位置が表示パネル3の表示面の法線方向にあるとき、可視光領域を透過する透過特性を備え、視認位置が表示パネル3の表示面の法線方向から傾斜するにつれて、反射帯域のエッジが可視光領域内にシフトする反射特性を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、表示装置に関する。
パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット端末、スマートフォン等に用いられる表示装置において、秘密保持、プライバシー保護等の観点から、画面上に表示されている情報を他人に覗き見されることを防止する必要がある。
特許文献1は、バックライトの部材構成を改善することで、バックライトの水平方向を集光性の高い配光特性にし、斜め方向に出射する光を弱めて画面を暗くすることにより液晶表示装置に表示される画像を見えづらくすることで、覗き込み防止効果を高めることを開示する。
しかしながら、人は目の瞳孔が開くことで2nit程度の暗い表示でも見えてしまうため、斜め方向に出射するバックライトの光を減らしても、完全に画像を認識できない程度にまですることは難しい。そこで、バックライト全体の明るさを調整することにより、斜め方向に出射する光を2nit以下に弱めることが考えられる。しかしながら、斜め方向に出射する光を2nit以下になるようにバックライト全体の明るさを調整すると、光出射面の法線方向の明るさは133nitとなり、例えば、PC等のディスプレイに表示して事務作業等をする作業者は、表示画像を暗く感じてしまい、作業効率の低下を招くおそれがある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、狭い視野角での画像表示を可能とし、覗き込みを防止することを目的とする。
本発明に係る表示装置は、表示パネルと、前記表示パネルの表示面に設けられた赤外線カットフィルタと、を備える。前記赤外線カットフィルタは、視認位置が前記表示面の法線方向にあるとき、可視光領域を透過する透過特性を備え、前記視認位置が前記法線方向から傾斜するにつれて、反射帯域のエッジが前記可視光領域内にシフトする反射特性を備える。
本発明によれば、狭い視野角での画像表示を可能とし、覗き込みを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態にかかる表示装置について図面を参照して説明する。
図1は、画像を表示する表示装置1の構成を示す概略的な垂直断面図である。表示装置1は、面光源装置2と、その光出射面側に配置された表示パネル3と、赤外線カットフィルタ4とノングレア層5を備える液晶表示装置である。面光源装置2は、バックライトとして表示パネル3に向かって面状に光を出射し、表示パネル3は、ガラス板に挟まれて封入された液晶に電圧をかけて光の透過率を増減等させることで、像を表示する。赤外線カットフィルタ4とノングレア層5は、視認側に向かってこの順番で表示パネル3の表示面に積層されている。
面光源装置2は、導光板21、下向きプリズムシート22、上向きプリズムシート23、光吸収シート24、複数の光源25を備える。下向きプリズムシート22は、本発明の第1のプリズムシートの一例であり、上向きプリズムシート23は本発明の第2のプリズムシートの一例である。
導光板21は、板状に形成されており、図中の左側面に配置された光源25から発せられた光を導光板21の視認側の面に出射する。ここで、光源25から出射される光が入射する入射面である導光板21の左側面は、YZ平面に平行な側面であり、光源25の出射面が対向して配置されている。また、導光板21の上面(視認側の面)は、XY平面に平行な面であり、下向きプリズムシート22に対向している。導光板21は、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透光性材料から構成される。導光板21の下面(背面側の面)である上向きプリズムシート23に対向するXY平面に平行な面は、導光板21内を伝搬する光を上面に向かって反射する反射面を形成している。また、導光板21の上面は、全面にわたってパターン化された凹凸部が形成されており、光源25から入射した光を散乱し、導光板21からの出射光をXY平面内で均一化している。導光板21の上面(視認側の面)は、本発明の第1の面の一例であり、導光板21の下面(背面側の面)は本発明の第2の面の一例である。
下向きプリズムシート22は、導光板21の上面側に配置されており、導光板21の上面に対向する側に複数のプリズム部を形成している。下向きプリズムシート22は、導光板21の上面から出射して各プリズム部に対して斜め方向に入射する光の進行方向を変化させてZ方向へ出射させる。下向きプリズムシート22に設けられた各プリズム部は、-Z方向(導光板21側)へ突出する三角形状に形成されており、図中のY方向に対して平行に延在している。各プリズム部のX方向の長さ(幅)は、例えば50μm程度である。また、下向きプリズムシート22は、前記導光板と反対の方向に平坦面が形成されている。下向きプリズムシート22のプリズム部は、本発明の第1のプリズム部の一例であり、下向きプリズムシート22の平坦面は本発明の第1の平坦面の一例である。ここで、表示装置1の導光板21の上面側に配置されているプリズムシートは、下向きプリズムシート22が配置されているが、プリズム部分が上向きのプリズムシートを使用してもよい。
上向きプリズムシート23は、導光板21の下面側に配置されており、導光板21の下面に対向する側に複数のプリズム部を形成している。上向きプリズムシート23は、導光板21から出射した光であって、上向きプリズムシート23へ入射する漏れ光の一部の成分を導光板21へ戻す。また、上向きプリズムシート23は、漏れ光の他の一部の成分を光吸収シート24へ向かって-Z方向へ出射させる。上向きプリズムシート23に設けられた各プリズム部は、Z方向(導光板21側)へ突出する三角形状に形成されており、図中のY方向に対して平行に延在している。各プリズム部のX方向の長さ(幅)は、例えば50μm程度である。また、上向きプリズムシート23は、前記導光板と反対の方向に平坦面が形成されている。上向きプリズムシート23のプリズム部は、本発明の第2のプリズム部の一例であり、上向きプリズムシート23の平坦面は本発明の第2の平坦面の一例である。ここで、表示装置1の導光板21の下面側に配置されているプリズムシートは、上向きプリズムシート23が配置されているが、プリズム部分が下向きのプリズムシートを使用してもよい。
光吸収シート24は、上向きプリズムシート23の下側に配置されており、上向きプリズムシート23の下側から出射する導光板21からの漏れ光の一部を吸収する。これによって、導光板21の外部に漏れ出た光が反射又は散乱によって再び導光板21へ入射することを防止する。光吸収シート24は、例えば、黒色、灰色等の樹脂シートであり、ポリエステルにカーボンを混入させて形成された黒色のシート、黒色の塗装を施したシート等を用いることができる。
光源25は、導光板21の図中の左側面に光出射面が対向して配置されている。光源25は複数からなり、各光源25はY方向に一列に配置されている。各光源25は、図示しない駆動装置によってそれぞれ独立に点灯制御される。各光源25は、例えば、可視光の波長帯域の光を出射するLED(Light Emitting Diode)、又はレーザダイオードを用いて構成される。また、冷陰極蛍光管、熱陰極蛍光管等の線状光源を光源25として使用してもよい。なお、光源25は、導光板21の一の側面にだけに限らず、導光板21の他の側面に設けられてもよい。
上記において、上向きプリズムシート23及び光吸収シート24を用いて漏れ光を処理したが、これに代わって、銀色シートからなる反射シートを設けてよい。反射シートは、導光板21からの漏れ光を反射して、導光板21側に戻すことにより、光源25からの出射光を効率的に利用する。反射シートとしては、例えば、銀蒸着フィルム、多層膜反射フィルム等、白色PET等を用いることができる。
表示パネル3は、偏光板31と、液晶層32と、偏光板33と、を備える液晶パネルである。表示パネル3の光出射面である表示面には、赤外線カットフィルタ4、ノングレア層5が形成されている。偏光板31は、本発明の第1の偏光板の一例であり、偏光板33は本発明の第2の偏光板の一例である。
液晶層32は、板状に形成されており、光の出射方向である下向きプリズムシート22の上側に偏光板31を介して配置されている。液晶層32は、図示しない駆動回路からの電圧の印加に応じて内部を通過する光を変化させる。液晶層32では、電圧の印加に応じて液晶層32の内部にある液晶素子の配列を制御する。
偏光板31、33は、液晶層32を挟み込むように、光の出射方向である液晶層32の上面及び下面の両面にそれぞれ配置されている。偏光板31の偏光方向と偏光板33の偏光方向とは、互いに直交する。表示装置1において、面光源装置2から出射されるランダムな光を偏光板31によって特定の方向に偏波した光に揃え、液晶層32への電圧印加に応じて液晶層32の内部を通る光の透過率を増減させる。液晶層32を通過した光は、偏光板33に入射され、偏光板33において選択され、映像として表示される。
赤外線カットフィルタ4は、表示パネル3の表示面側である偏光板33の上側(光出射側)に設けられている。赤外線カットフィルタ4は、可視光領域の光を透過し、可視光領域より長波長領域である赤外線領域の波長の光を反射させる光学フィルタである。各屈折率の違う誘電体透明膜を交互に多層に積層し、その屈折率と膜の厚みを適切に組合わせることで波長ごとの透過反射特性を制御する。この様な波長ごとに透過反射特性を制御するフィルタには、ダイクロイックミラーやコールドミラー等がある。なお、赤外線カットフィルタ4は、表示パネル3の表示面に貼り合わされる赤外線反射フィルムであってもよい。
ノングレア層5は、シリカ粒等を含有する樹脂を塗布して表面を凹凸状態にすること等によりノングレア処理された層である。反射防止層として、表示パネル3の表示面に入射する光をさまざまな方向に散乱反射させ、外光の映り込みを低減する。なお、ノングレア処理することに代えて、反射防止フィルムを接着することにより反射防止層を形成してもよい。
図2は、赤外線カットフィルタ4の透過特性を説明するグラフである。グラフの横軸は、波長を示しており、縦軸は、透過率又は反射率を示している。
図中の実線は、視認位置が光出射面である表示パネル3の表示面の法線方向から0°の傾斜位置すなわち表示パネル3の表示面を正面から見た時の赤外線カットフィルタ4の透過特性を示している。赤外線カットフィルタ4は、波長が約400~700nmの可視光領域の全波長領域において透過率が高くなっている。したがって、赤外線カットフィルタ4を備えた液晶表示装置を正面から見た時の画像ははっきりと視認され、特定の色により色付けされて特定の色が強調されるような現象は生じない。
図中の破線は、視認位置が光出射面の法線方向から±35°の傾斜位置すなわち表示パネル3の表示面を正面から±35°斜めの方向から見た時の赤外線カットフィルタ4の透過特性を示している。短波長側エッジと長波長側エッジとで挟まれた透過率が高い帯域である透過帯域の半値波長(透過率が50%のときの波長)が、表示パネル3の表示面を正面から見た時に比べ、短波長方向へ約25nmシフトしている。このような現象をブルーシフトと呼ぶ。長波長側エッジが短波長方向へ約25nmシフトすることにより、長波長側エッジは可視光領域内である赤色の波長領域内にシフトすることになり、可視光領域のうち、長波長側エッジより長波長である赤色の波長領域の一部の光の透過率が低くなる。
図中の一点鎖線は、破線の透過特性のグラフを反転させたグラフであり、反射特性を表している。この場合、グラフの縦軸は、透過率ではなく、反射率を示すこととなる(図示せず)。このグラフより、反射帯域は、表示パネル3の表示面を正面から見た時に比べ、短波長方向へ約25nmシフトし、反射帯域の長波長側エッジは可視光領域内である赤色の波長領域内にシフトすることになる。表示パネル3の表示面を正面から±35°斜めの方向から見た時、可視光領域のうち、長波長側エッジより長波長である赤色の波長領域の一部の光の反射率が高くなる。したがって、表示パネル3の表示面を正面から±35°斜めの方向から見た時、赤色の光が反射して、表示面が赤色に見える。これは、赤外線カットフィルタ4は、法線方向から見た時には可視光領域の全波長領域において透過率が高く特定の色により色付けされるようなことはないが、傾斜角を大きくとるにつれて赤色に色づいて見えることを示している。具体的には法線方向から±35°の傾斜位置から見た時に赤色の光(反射光)が強調され観察者にとって赤色を強く認識する。この赤色光は、透過光がブルーシフトすることの反転として反射特性に赤成分の光が増加することによるものである。法線方向から±60°の傾斜位置から見た時には±35°の傾斜位置から見た時よりも赤く見える。この反射光である赤色の光は、図1の液晶表示装置から発せられる光ではなく、例えば室内の照明等による光や、室外の環境光等の光が赤外線カットフィルタ4によって反射される光であって、赤色の波長域の光が反射されることによるものである。表示パネル3の表示面より上側(観察者側)に赤外線カットフィルタ4を設け、その赤外線カットフィルタ4の反射光が観察されることで赤色に見えることによって、表示面に表示されている情報は赤色によって隠され、画面が暗くなり、見えにくくなる。また、例えば図1に記載されている構成以外でも、特許文献1(特開2019-212387)のような、出光面から出射する光の指向性を有する液晶表示装置に赤外線カットフィルタ4を用いることで、表示面を斜め方向から見た時に、赤色の光が反射することにより、表示面に表示されている情報が赤色の反射光によって隠され、さらに見にくくなる。赤外線カットフィルタ4は、図1や特許文献1に記載されている液晶表示装置以外にも適用可能であるが、指向性を有する液晶表示装置に用いる方が、よりプライバシー効果が期待できるので好ましい。
赤外線カットフィルタ4の斜めからの反射特性が赤く見える理由は、光が斜めに多層膜を透過することにより、膜内を進行する光の距離が長くなるため、破線に示す透過率特性が短波長側にシフトし、その反転である反射特性において赤成分の光が増加するためである。
表示パネル3の表示面を正面から±35°よりさらに大なる角度で斜めの方向から見た場合、長波長側エッジがさらに短波長方向へシフトする。したがって、表示パネル3の表示面を正面から±35°よりさらに大なる角度で斜めの方向から見た場合、可視光領域のうち、長波長側エッジがシフトされた部分の波長の光が反射して、表示面に表示されている情報は反射した光によって隠され、さらに見えにくくなる。
このように、赤外線カットフィルタ4は、正面から見た時に高透明で色付が出ないこと、かつ斜めから見た時、反射光が赤色に見えることが重要な要素となっている。
次に、以上の構成を備える表示装置1における光路について説明する。
Y方向に一列に配置された複数の光源25からX方向に出射された光は、導光板21の一端側(図1中左側面)に入射される。導光板21に入射した光は、導光板21に形成された反射面によって、Z方向に反射される。Z方向に反射された光は、導光板21の視認側の面の全面に形成された凹凸部によって、散乱し、導光板21の視認側の面内で均一化され、下向きプリズムシート22に入射する。
また、導光板21に入射した光の一部は漏れ光となって、導光板21から上向きプリズムシート23に入射する。上向きプリズムシート23に入射した光の一部は、上向きプリズムシート23に設けられた複数のプリズム部において全反射して再び導光板21へ戻る。また、残りの光は、各プリズム部に設けられた斜面との関係で臨界角を超えて上向きプリズムシート23から光吸収シート24に向かって出射する。光吸収シート24に入射した光は、光吸収シート24により吸収される。
下向きプリズムシート22に入射した光は、下向きプリズムシート22に設けられた複数のプリズム部によって、Z方向に進行方向を変化させて表示パネル3に向かって略垂直に出射される。すなわち、プリズム部は、面状に出射される光の進行方向を面に対して垂直方向に揃える役割を果たす。これによって表示パネル3から出射される光の出射角が広がることが抑制される。
表示パネル3に入射した光は、偏光板31、液晶層32及び出射側の偏光板33を順番に通ることで、映像光として形成される。偏光板33を通過した光は、赤外線カットフィルタ4に入射する。
赤外線カットフィルタ4に入射した光のうち、Z方向に進行する光は、可視光領域の成分について赤外線カットフィルタ4を透過し、赤外線カットフィルタ4から出射する。これに対して、赤外線カットフィルタ4に入射した光のうち、Z軸から傾斜した角度に進行する光は、角度が大きくなるにしたがい、赤外線カットフィルタ4を透過する波長帯域が長波長方向にシフトし、赤色の波長領域の一部について赤外線カットフィルタ4を透過しなくなる。逆に、視認側から赤外線カットフィルタ4を見た時、Z軸から傾斜した角度になるにつれて、可視光領域のうち、赤色に近い波長の光の反射率が高くなり、赤色の光が反射して、表示面が赤色に見えてくる。したがって、赤外線カットフィルタ4を透過してZ軸から傾斜した角度に進行する映像光は、赤色によって隠され、見えにくくなる。これによって、狭い視野角での画像表示を可能とし、覗き込みを防止することができる。
次に、図1の表示装置1において、表示パネル3の表示面に赤外線カットフィルタ4が設けられている場合と、赤外線カットフィルタ4が設けられていない場合で測定した光学特性の評価結果の一例を図3に示す。ここで、光学特性の評価の項目として、明るさ、明るさ比率、プライバシー効果、色度が示されている。この測定にはRadiant Vision System社製のImaging SphereやELDIM社のEZContrastなどの視野角特性測定評価装置を用いることで、各角度の明るさ、色度を測定する事が可能である。図3においては、Radiant Vision System社製のImaging Sphereを用いて得られた評価結果を示している。
図3において、明るさは、光出射面の法線方向から0°の位置すなわち表示パネル3の表示面を正面から見た時の明るさを示している。明るさの比率は、表示面に赤外線カットフィルタ4が設けられていない場合を100%として表している。プライバシー効果は、光出射面の法線方向から±45°あるいは±35°の位置の光量について、光出射面の法線方向の光量を100とした場合の比率であり、数値が低いほど好ましい。色度は、色の特性をx-y直交座標の数値で示している。
まず、明るさについて、表示面に赤外線カットフィルタ4が設けられていない場合の明るさは、770nitである。
これに対して表示面に赤外線カットフィルタ4が設けられている場合の明るさも赤外線カットフィルタ4が設けられていない場合と同様に770nitである。したがって、明るさ比率は、100%である。これは、光出射面の法線方向から0°の位置すなわち表示パネル3の表示面を正面から見た場合において、赤外線カットフィルタ4があるなしに関わらず、透過率に変化はないことを示している。赤外線カットフィルタ4を介して光出射面の法線方向から0°の位置から見た場合において、透過率の低下はなく、逆に反射率の増加もない。したがって、赤外線カットフィルタ4を介しても表示画面を見る人は画面に表示された情報を明瞭に確認することができる。
プライバシー効果について、光出射面の法線方向から±45°の位置すなわち表示パネル3の表示面を正面から±45°斜めの方向から見た時のプライバシー効果と光出射面の法線方向から±35°の位置すなわち表示パネル3の表示面を正面から±35°斜めの方向から見た時のプライバシー効果が示されている。
赤外線カットフィルタ4が設けられていない場合における光出射面の法線方向から±45°斜めの位置から見た場合のプライバシー効果は、1.42%である。また、光出射面の法線方向から±35°斜めの位置から見た場合のプライバシー効果は、3.8%である。これに対して、赤外線カットフィルタ4が設けられている場合における光出射面の法線方向から±45°斜めの位置から見た場合のプライバシー効果は、0.9%である。また、光出射面の法線方向から±35°斜めの位置から見た場合のプライバシー効果は、3.1%である。
±45°、±35°のいずれの場合においても、赤外線カットフィルタ4が設けられている場合のほうが、数値が低く、プライバシー効果が高くなっている。±45°の場合、明るさは、正面から見た場合に比べ、36%暗くなっている。また、±35°の場合、明るさは、正面から見た場合に比べ、18%暗くなっている。さらに、赤外線カットフィルタ4の反射特性により、表示面に入射する外光のうち、シフトした波長の成分である赤色光が反射される。したがって、表示面を斜めから見る人は、表示面が赤色に見えることとなり、表示画面に表示された情報を認識できなくなる。
色度は、色の特性をx-y直交座標の数値で示している。ここで、赤外線カットフィルタ4がない場合の色度は、(0.313,0.335)であり、赤外線カットフィルタ4がある場合の色度は、(0.319,0.348)である。両者を比較すると、色度に大きな変化はみられない。したがって、表示面を正面から見る場合、赤外線カットフィルタ4の有無で、画面上の色の見え方に違いはない。
プライバシー効果が高いことから、画面の明るさを通常の明るさであるパブリックモードより暗くするプライバシーモードに切り替えることにより、表示画面を斜めから見た場合の出射光量は少なくなり、画面の明るさはさらに暗くなる。したがって、プライバシーモードにおいて光出射面の法線方向から±45°斜めの位置から見たときの画面の明るさが2nit以下になるようにバックライトの明るさを調整しても、光出射面の法線方向から0°の位置すなわち表示パネル3の表示面を正面から見た明るさは222nitと十分明るく、パーソナルコンピュータ等の表示装置で事務作業などをする場合においても、画面が明るくなり、暗く感じてしまうことなく事務作業を行うことができる。さらに、プライバシーモードにすることにより、液晶表示装置の表示面から出射される光の強度が下がり、赤外線カットフィルタ4による赤色の反射光が強調され、画面に表示されている情報をさらに認識しにくくなり、さらにプライバシー効果が高くなる。
なお、上記の実施の形態に示す表示装置1において、表示パネル3にタッチセンサが組み込まれたタッチパネルを搭載することが可能である。この場合、赤外線カットフィルタ4は、液晶層32の視認側の偏光板33とタッチパネルの中間層に配置することが好適である。赤外線カットフィルタ4を液晶層32の偏光板33とタッチパネルの中間層に配置することにより、タッチセンサの反応が赤外線カットフィルタ4によって妨げられることがない。
また、赤外線カットフィルタ4は、液晶層32の視認側の偏光板33に直接貼り付けて表示パネル3として一体化しているが、赤外線カットフィルタ4を直接貼り付けることなく、着脱可能に表示パネル3上に配置するものであってもよい。これによって、赤外線カットフィルタ4が設けられていない表示装置であっても、後から赤外線カットフィルタ4を取り付けることにより、プライバシー効果の高い、狭い視野角での画像表示を可能にする。
本実施の形態に示した表示装置1は、用途として、例えば、ATM(Automatic Teller Machine)用表示装置、公的機関の個人情報を扱うために用いられる表示装置、医療機関で用いられる表示装置等の機密を扱うような表示装置に用いることが好適である。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
1…表示装置、2…面光源装置、3…表示パネル、4…赤外線カットフィルタ、5…ノングレア層、21…導光板、22…下向きプリズムシート、23…上向きプリズムシート、24…光吸収シート、25…光源、31,33…偏光板、32…液晶層
Claims (6)
- 表示パネルと、
前記表示パネルの表示面に設けられた赤外線カットフィルタと、
を備え、
前記赤外線カットフィルタは、視認位置が前記表示面の法線方向にあるとき、可視光領域を透過する透過特性を備え、前記視認位置が前記法線方向から傾斜するにつれて、反射帯域のエッジが前記可視光領域内にシフトする反射特性を備える、
表示装置。 - 光源と、
前記光源から出射される光が入射する入射面と、前記入射面から内部に入射された光を視認側に出射する第1の面と、前記第1の面と対向する第2の面とを有する導光板と、
前記第1の面と対向して配置されており、前記導光板の方向に形成された第1のプリズム部と、前記導光板と反対の方向に形成された第1の平坦面とを有する第1のプリズムシートと、
前記第1のプリズムシートの前記第1の平坦面に対向して配置されており、第1の偏光板と、第2の偏光板と、前記第1の偏光板と前記第2の偏光板で挟持された液晶層と、を有する表示パネルと、
前記表示パネルの表示面に設けられた赤外線カットフィルタと、
前記第2の面と対向して配置されており、前記導光板の方向に形成された第2のプリズム部と、前記導光板と反対の方向に形成された第2の平坦面とを有する第2のプリズムシートと、
前記第2の平坦面と対向して配置されており、前記導光板及び前記第2のプリズムシートを通じて入射された光を吸収する光吸収シートと、
を備え、
前記赤外線カットフィルタは、視認位置が前記表示面の法線方向にあるとき、可視光領域を透過する透過特性を備え、前記視認位置が前記法線方向から傾斜するにつれて、反射帯域のエッジが前記可視光領域内にシフトする反射特性を備える、
表示装置。 - 前記赤外線カットフィルタは、屈折率の異なる誘電体透明膜を交互に多層に積層されている、
請求項1又は2に記載の表示装置。 - 前記赤外線カットフィルタは、前記視認位置が前記表示面の法線方向から35度以上傾斜する位置において、反射帯域の短波長側エッジが可視光領域内に存在する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置。 - 前記赤外線カットフィルタは、反射帯域のエッジが可視光領域の赤色の波長領域内に存在する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の表示装置。 - 光源から発せられた光を導光板と複数のプリズム部を配置したプリズムシートを通じて前記表示パネルに出射する面光源装置を備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の表示装置。
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2021
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