JP2023037880A - 放射能評価方法及び崩壊熱評価方法 - Google Patents

放射能評価方法及び崩壊熱評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】使用済核燃料等の照射核燃料について少なくとも放射能を非破壊で評価する。【解決手段】照射核燃料からγ線とともに放射される制動線を検出器で検出することにより照射核燃料に含まれる90Srの放射能及び90Yの放射能を評価する。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 発行日 :令和03年08月25日 刊行物 :日本原子力学会2021年秋の大会予稿集 日本原子力学会 発行 参加登録者専用 予稿集公開アドレスより公開 <資料> 日本原子力学会2021年秋の大会 開催概要 ウェブページ <資料> 日本原子力学会2021年秋の大会予稿集 掲載論文 抜粋
本発明は、放射能評価方法及び崩壊熱評価方法に関する。
周知のように、90Sr及び90Yは核燃料を原子炉で使用した際に核分裂で生成するものであり、使用済核燃料に蓄積される放射能、毒性及び崩壊熱の代表核種である。90Srは、半減期が28.8年でβ崩壊することによって90Yとなる。一方、90Yは、半減期64.1時間であり、90Srよりも極端に短い期間でβ崩壊する。90Sr及び90Yは、何れかが移動しない状態では放射能が互いに等しくなる「永続平衡」をとる。
また、90Srは、骨等に沈着しやすく、一旦沈着すると90Srと90Yにより長く組織をβ線照射するため、ガン等を誘発しやすい毒性の高い核種であり、内部被ばくの観点で管理が重要な核種である。このため、核燃料が水中等で破損した場合はその放射能の把握が重要となる。90Srの放射能を把握する一般的な手法として試料の「ミルキングとβ線計数」が知られる。
一旦化学分離によりY等を除去したSrを含む試料を2週間程度放置することにより、90Yの放射能を永続平衡状態に到達させる。ここで化学操作によりYのみを分離・抽出する。この状態で90Yのβ線を液体シンチレータや4πガス検出器等で計数し、検出効率で除することにより90Yの放射能を取得する。そして、永続平衡の条件に基づいて90Srの放射能を90Yの放射能と同一の値として取得する。このYのみを分離抽出する操作は、数ヶ月の期間では放射能がほとんど変化しない90Srから、同じ放射能の90Yを2週間おきに繰り返し得られることから、「ミルキング」と呼ばれる。
例えば下記非特許文献1の9.4節には、上述したミルキングとβ線計数の概要が説明されている。
文部科学省 科学技術・学術政策局 原子力安全課防災環境対策室 平成15年改訂 放射能測定法シリーズ2「放射性ストロンチウム分析法」
ところで、上記背景技術(ミルキングとβ線計数)では、測定試料中に90Srと共存する90Yを化学的処理を用いて除去あるいは分離・抽出する必要がある。すなわち、背景技術(ミルキング)では、測定試料を破壊する破壊的な測定手法であり、原子力発電で実際に発生する使用済核燃料に適用することは実質的に不可能である。
例えば、原子力発電で発生する使用済核燃料については、その健全な管理のために崩壊熱をより正確に測定することが求められている。しかしながら、上記背景技術(ミルキングとβ線計数)は、使用済核燃料を破壊する必要のある破壊的な測定手法なので、使用済核燃料の健全な管理のためにその崩壊熱の主要素である90Sr、90Yの放射能を求めることは実質的に不可能である。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、使用済核燃料等の照射核燃料について少なくとも放射能を非破壊で評価することが可能な評価方法の提供を目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明では、放射能評価方法に係る第1の解決手段として、照射核燃料からγ線とともに放射される制動線を検出器で検出することにより、前記照射核燃料に含まれる90Srの放射能及び90Yの放射能を評価する、という手段を採用する。
本発明では、放射能評価方法に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、エネルギーが1.6~1.7MeVの範囲の前記γ線及び前記制動線に基づいて前記放射能を評価する、という手段を採用する。
本発明では、放射能評価方法に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記検出器で検出される106Rh及び 144Prの計数率からγ線発生スペクトルの絶対値及び電子線発生スペクトルの絶対値に基づいて算出される106Rh及び 144Prの計数率を減算することにより補正し、当該補正の結果に基づいて前記放射能を評価する、という手段を採用する。
本発明では、放射能評価方法に係る第4の解決手段として、上記第1~第3のいずれかの解決手段において、前記照射核燃料は、使用済燃料プールに収容された使用済核燃料であり、前記検出器を前記使用済燃料プールの遮蔽水に浸漬させることにより前記制動線を検出する、という手段を採用する。
本発明では、放射能評価方法に係る第5の解決手段として、上記第4の解決手段において、前記検出器を水密容器に収納した状態で前記遮蔽水に浸漬させる、という手段を採用する。
本発明では、放射能評価方法に係る第6の解決手段として、上記第1~第3のいずれかの解決手段において、前記照射核燃料は、使用済燃料プールに収容された使用済核燃料であり、前記検出器は、前記使用済燃料プールの壁に埋め込まれたコリメータを介して前記制動線を検出する、という手段を採用する。
本発明では、崩壊熱評価方法に係る解決手段として、上記第1~第6のいずれかの解決手段に係る放射能評価方法によって評価された放射能に基づいて前記照射核燃料の崩壊熱を評価する、という手段を採用する。
本発明によれば、使用済核燃料等の照射核燃料について少なくとも放射能を非破壊で評価することが可能である。
本発明の一実施形態で使用する測定装置の機能構成を示すブロック図である。 上記測定装置におけるHP-Ge検出器の設定態様を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る放射能評価方法の手順を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態におけるγ線及び制動線の波高スペクトルの評価結果及び計数率に占める90Y制動線の割合を示す特性図である。 本発明の一実施形態に係る崩壊熱評価方法の手順を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態における崩壊熱の評価結果を示す特性図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る放射能評価方法及び崩壊熱評価方法は、図1に示す測定装置Aを用いるものであり、使用済核燃料Xの90Sr放射能及び90Y放射能等を評価するとともに使用済核燃料Xの崩壊熱をも評価する。
ここで、上記使用済核燃料Xは、燃料棒の集合体であり、β崩壊に伴ってγ線(ガンマ線)を周囲に放射する照射核燃料である。また、この使用済核燃料Xは、β崩壊で生じる高速電子を内包しており、当該高速電子が核種によって減速されることにより制動線 (電磁波の一種)を周囲に放出する。すなわち、使用済核燃料Xは、β崩壊に伴ってγ線と制動線とを周囲に放出する。
詳細については後述するが、本実施形態における測定装置Aは、このような使用済核燃料Xのγ線及び制動線を同時に検出し、γ線及び制動線のスペクトルを取得することにより使用済核燃料Xの90Sr放射能及び90Y放射能を評価するとともに、当該90Sr放射能及び90Y放射能に基づいて使用済核燃料Xの崩壊熱を評価する。
より具体的には、測定装置Aは、図示するようにHP-Ge検出器1、前置増幅器2、線形増幅器3、波高分析装置4及びコンピュータ5を備えている。HP-Ge検出器1は、使用済核燃料Xから放射されるγ線及び制動線を電流(信号電流)に変換する高純度ゲルマニウム検出器である。上記信号電流は、γ線及び制動線がHP-Ge検出器1に付与したエネルギーに応じた電荷が流れるパルス電流である。
前置増幅器2は、このような信号電流を積分し、その積分値に比例した振幅をもつパルス電流を線形増幅器3に出力する。線形増幅器3は、上記前置増幅器2から入力されるパルス電流を線形増幅するとともに波形成形し、比例積分信号電流として波高分析装置4に出力する。この線形増幅器3における増幅度は、0.5MeVから3.6MeV程度のエネルギーのγ線及び制動線が測定できるように設定される。波高分析装置4は、線形増幅器3から入力された比例積分信号電流の振幅をスペクトル評価信号(デジタル信号)としてコンピュータ5に出力する。
また、コンピュータ5は、演算装置、記憶装置、操作装置及び出力装置等を備えている。このコンピュータ5は、記憶装置に予め記憶された解析プログラムに基づいて上記スペクトル評価信号(デジタル信号)に所定の信号処理を施すことによりγ線及び制動線のスペクトル分析を行い、当該スペクトル分析の結果を出力装置に出力する。このスペクトル分析の結果は、記憶装置に一次的に保存された後に表示装置(出力装置)に画像として表示され、また操作装置に入力される管理者の操作指示に従って他の出力装置に出力される。
ここで、図2(a)、(b)を参照することにより使用済核燃料Xに対するHP-Ge検出器1の設置態様について説明する。本実施形態における使用済核燃料Xは、図2に示すように燃料棒の集合体として使用済燃料プールBに収容されている。これに対して、HP-Ge検出器1は、例えば図2(a)に示すように、水密容器6に収納された状態で使用済核燃料Xの近傍に配置される。
すなわち、図2(a)の設置態様では、HP-Ge検出器1は、水密容器6によって使用済燃料プールB内の遮蔽水C(冷却水)から保護された状態で当該遮蔽水Cに浸漬される。水密容器6は、遮蔽水Cに対してHP-Ge検出器1を気密に収容するとともに、γ線及び制動線を減衰させることなく透過させる材料から構成されている。このような設置態様において、HP-Ge検出器1は、使用済核燃料Xから放射されたγ線及び制動線を遮蔽水C及び水密容器6を介して検出する。
一方、HP-Ge検出器1は、上述した遮蔽水Cへの浸漬状態に代えて、図2(b)に示すように使用済燃料プールBの壁に埋め込まれたコリメータDを介してγ線及び制動線を検出する。コリメータDは、使用済燃料プールBの壁を貫通するように埋め込まれており、使用済核燃料Xから放射されたγ線及び制動線をHP-Ge検出器1の感応面に入射させる。
すなわち、図2(b)の設置態様では、HP-Ge検出器1は、遮蔽水Cに浸漬されることがないので、水密容器6を必要としない。すなわち、この設置態様におけるHP-Ge検出器1は、使用済核燃料Xから放射されたγ線及び制動線を遮蔽水C及びコリメータDを介して検出する。
次に、本実施形態に係る放射能評価方法の詳細手順について、図3に示すフローチャートに沿って説明する。
本実施形態に係る放射能評価方法では、最初に測定装置Aを用いることにより使用済核燃料Xに含まれる核種から放出されるγ線及び制動線の全てのエネルギー範囲のγ線のスぺクトル分布(計数率分布)を測定する(ステップS0)。このスぺクトル分布は、図4(a)に示すように、0~4MeVのエネルギー範囲に亘るγ線の計数率を示すものである。この測定したスペクトル分布より、106Rh及び 144Prから放射されるγ線を計数する(ステップS1)。例えば、106Rhから放射されるγ線のエネルギー(検出器への付与エネルギー)は2.366MeV及び2.406MeV、144Prから放射されるγ線のエネルギーは、2.186MeVが代表的である。
なお、106Rh及び 144Prは、上述した2.366MeV、2.406MeV、2.186MeVとは異なるエネルギー(検出器への付与エネルギー)のγ線をも放射する。このことを考慮すると、ステップS1では、上記異なるエネルギーのγ線を計数してもよい。
この放射能評価方法では、続いてβ線(ベータ線)とγ線の測定における応答関数及び検出効率を算出する(ステップS2)。このステップS2では、最初に使用済核燃料X中の90Y、106Rh及び 144Prから放射されるベータ線及びγ線の発生に関する空間分布とエネルギースペクトルを評価する。上記エネルギースペクトルについては、周知の「ICRU-56」(放射線防護のための外部ベータ線ドジメトリーの解説)のデータや同じく周知の「Table of Isotopes」のデータを利用することができる。
また、上記空間分布については、以下のような評価法が採り得る。すなわち、使用済核燃料X中で空間が一様であると仮定し、また使用済核燃料X中での空間分布を解析的な関数で表すことができると仮定し(例えば、鉛直方向に関して余弦関数に比例する分布等)、さらに燃焼度分布やγ線量分布の測定値が放射能の空間分布と相似であると仮定する。
さらにもう一つの方法として、このような仮定の下で、上記β線及びγ線の発生に関する空間分布を実際に計算する。この計算には、米国オークリッジ国立研究所で作成されたSCALEコードシステムの集合体燃焼計算機能や日本原子力研究開発機構(JAEA)の開発したSWAT、MVP-BURN等の計算コードが利用できる。これらの計算は、燃料棒の集合体である使用済核燃料Xの熱出力の時間変化と集合体の型、また冷却水の密度を入力することで可能となる。
電子に対する応答関数Re(r,Ee→h)とγ線に対する応答関数Rγ(r,Eγ→h)は、位置rで発生したエネルギーEの電子線もしくはγ線がHP-Ge検出器1でエネルギーhとして検出される確率を表すものである。また、検出効率ε(h)は、γ線発生スペクトルの絶対値をSγ(r,Eγ)、電子線発生スペクトルの絶対値をSe(r,Ee)とした場合、下式(1)、(2)によって表される。
Figure 2023037880000002
測定前において上記絶対値Sγ(r,Eγ)、 Se(r,Ee)はわからないが、その相対値が評価あるいは仮定できれば検出効率ε(h)を計算することができる。そして、この相対値の計算には、米国ロスアラモス国立研究所で開発されたMCNPコード、日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構が開発したEGSコード、EGSコードの機能を組み込んだJAEAによるPHITSコード等が利用できる。これらコードのいずれも測定対象となる核燃料とHP-Ge検出器及び雰囲気の位置と組成、密度を入力し、上記絶対値Sγ(r,Eγ)、 Se(r,Ee) もしくは絶対値Sγ(r,Eγ)、 Se(r,Ee)の相対値を入力することで検出効率ε(h)を計算することができる。
この放射能評価方法では、続いて106Rh及び 144Prに関するγ線の発生数を算出する(ステップS3)。このステップS3では、最初にステップS1で得られた106Rh及び 144Prのピーク計数率C(h)をステップS2で得られた検出効率ε(h)で除算することにより106Rh及び 144Prに特有のエネルギーにおけるγ線の発生数を求め、続いて106Rh及び 144Prに関するγ線発生スペクトルの絶対値Sγ(r,Eγ)を算出する。
ここで、上記エネルギーhは、γ線のエネルギーのピークを示すものであり、例えば106Rhから放射されたγ線ではh=2.3660MeV、2.406MeV、144Prから放射されたγ線ではh=2.186MeVとなる。また、計数率C(h)は下式(3)によって与えられるので、106Rh及び 144Prに関するγ線の発生数は、上記計数率C(h)を検出効率で除算した下式(4)によって与えられる。
Figure 2023037880000003
この放射能評価方法では、続いて106Rh及び 144Prに関する電子線発生スペクトルの絶対値S(r,E)を算出する(ステップS4)。このステップS4では、上述した「Table of Isotopes」及び「ICRU-56」の各データ等からステップS3で得られたγ線発生スペクトルの絶対値Sγ(r,Eγ)と電子線発生スペクトルの絶対値S(r,E)との関係がわかるので、当該関係に基づいて電子線発生スペクトルの絶対値S(r,E)を算出する。
この放射能評価方法では、続いてエネルギーhが1.6~1.7MeVの範囲における106Rh及び 144Prの計数率を算出する(ステップS5)。この計数率を計算では、上述したMCNPコード、EGSコード、PHITSコードに体系情報とステップS3で得られたγ線発生スペクトルの絶対値Sγ(r,Eγ)及びステップS4で得られた電子線発生スペクトルの絶対値S(r,E)を入力することによって算出する。
より具体的には、γ線発生スペクトルの絶対値Sγ(r,Eγ) 及びステップS4で得られた電子線発生スペクトルの絶対値S(r,E)を入力としてMCNPコード、EGSコード、PHITSコード等でγ線の検出効率εγ(h)及び電子線の検出効率εe(h)を下式(5)、(6)に基づいて計算し、γ線発生スペクトルの絶対値Sγ(r,Eγ) の積分値及び電子線発生スペクトルの絶対値S(r,E)をそれぞれ乗じたものを合算する。なお、式(5)、(6)において、エネルギーhの範囲は1.6~1.7MeVである。
Figure 2023037880000004
すなわち、上式(5)、(6)に基づいて下式(7)を計算することにより、エネルギーhが1.6~1.7MeVの範囲における106Rh及び 144Prの計数率が得られる。ここで、上記γ線発生スペクトルの絶対値Sγ(r,Eγ) の積分値及び電子線発生スペクトルの絶対値S(r,E)の積分値の合算値には、106Rh及び 144Prから放射されるγ線と制動線とが全て含まれている。
Figure 2023037880000005
この放射能評価方法では、続いて90Yの計数率を算出する(ステップS6)。このステップS6では、ステップS1で取得したエネルギーhが1.6~1.7MeVの範囲における106Rh及び 144Prの計数率からステップS5で取得した106Rh及び 144Prの計数率を減算することにより90Yの計数率を算出する。
ここで、ステップS6における90Yの計数率の算出処理は、次のステップS7における90Yの放射能の評価精度(計算精度)をより向上させるための補正処理を含むものである。したがって、90Yの放射能の評価精度をある程度犠牲にしてよい場合には、ステップS1で取得した106Rh及び 144Prの計数率つまり測定装置Aで測定された106Rh及び 144Prの計数率からステップS5で取得した106Rh及び 144Prの計数率を減算することなく、測定装置Aで測定された106Rh及び 144Prの計数率をそのまま90Yの計数率としてもよい。
この放射能評価方法では、続いて90Y放射能を算出する(ステップS7)。このステップS7では、上記ステップS6で得られた90Yの計数率をステップS2で評価した検出効率ε(h)で除算することによって90Yに関するβ線発生率を算出し、さらに上述した「Table of Isotopes」等に記載された(崩壊あたりの電子線発生率)で90Yに関するβ線発生率を除算することによって90Y放射能を算出する。
さらに、この放射能評価方法では、90Sr放射能を算出する(ステップS8)。このステップS8では、上述した永続平衡の条件を用いることにより、90Sr放射能を90Y放射能と同量として求める。
本実施形態に係る放射能評価方法は、上述したステップS1~S8からなる一連の処理によって実現される。このような本実施形態によれば、使用済核燃料X(照射核燃料)について、少なくとも90Sr放射能及び90Y放射能を非破壊で評価することが可能である。
また、図4(a)は、燃焼度52GWd/t、 冷却期間が13年を経過した使用済核燃料Xに関するγ線及びβ崩壊に基づく制動線の波高スペクトルの計算結果である。この計算結果から、検出器(HP-Ge検出器1)への付与エネルギーが1.6~1.7MeVの領域では、計数率の大半が90Yによる放射能で占められることがわかる。
また、図4(b)は、検出器(HP-Ge検出器1)への付与エネルギーが1.6~1.7MeVの領域の計数率に占める90Y制動線の割合を示している。この図3(b)は、付与エネルギーが1.6~1.7MeVの領域に占める90Y制動線の割合が、冷却13年を超えると、どの燃焼度かに依らず94%程度となることを示している。したがって、これだけの冷却期間をおいた使用済核燃料Xであれば、単に付与エネルギーが1.6~1.7MeVの計数を求め、検出効率で除算するだけで誤差6%以内で90Y放射能及び90Sr放射能を求めることができる。
したがって、冷却期間が13年以上の使用済核燃料Xを評価対象とし、また90Sr放射能及び90Y放射能に関する6%の測定誤差を許容する場合には、ステップS6における補正処理を割愛してもよい。すなわち、測定装置Aで測定された106Rh及び 144Prの計数率に対する補正処理を行うことなく、ステップS7において測定装置Aで測定された106Rh及び 144Prの計数率のみに基づいて90Y放射能を算出してもよい。
さらに、1.6~1.7MeVの付与エネルギー領域(波高領域)での妨害となるγ線を調査した結果、2サイクル=26GWd/t以上の使用済核燃料Xであれば、それが144Ce→144Pr及び106Ru→106Rhによるものであり、この2成分と90Sr→90Yの制動線の成分を合算すると、1.6~1.7MeVの計数の98%を占めることがわかった。
144Ce→144Pr及び106Ru→106Rhは、ピーク構造をもつγ線を放出するので、この放射能を測定・定量することは容易である。1.6~1.7MeVの計数から、測定に基づいて144Ce→144Pr及び106Ru→106Rhによる成分を差し引き、さらに検出効率で除することにより、90Sr→90Yの放射能を冷却期間が13年よりも早い段階から測定評価することができる。例えば、図4(b)では冷却期間が1年目から90Sr→90Yの放射能を評価することができることを示している。
次に、本実施形態に係る照射核燃料の崩壊熱評価方法は、上述した本実施形態に係る放射能評価方法を基本とするものであり、上記評価方法によって得られた90Sr及び90Y等の放射能を用いることにより使用済核燃料X(照射核燃料)の崩壊熱を評価する。以下に、本実施形態に係る崩壊熱評価方法の手順について、図5のフローチャートに沿って説明する。
この崩壊熱評価方法では、最初に106Rhの放射能及び144Prの放射能を算出する(ステップS9)。すなわち、このステップS9では、上述した90Srの放射能及び90Yの放射能の評価方法で得られた106Rh及び 144Prに関するγ線発生数及び電子線発生数を「Table of Isotopes」に記載されている1崩壊あたりのγ線発生数及び電子線発生数で除算することによって、106Rhの放射能及び144Prの放射能を求める。
この崩壊熱評価方法では、続いて106Ru及び144Ceの放射能を算出する(ステップS10)。すなわち、このステップS10では、106Rh及び144Prが各々に106Ru及び144Ceと永続平衡の条件が成立しているので、ステップS9で取得した106Rhの放射能及び144Prの放射能と同量として106Ru及び144Ceの放射能を取得する。
この崩壊熱評価方法では、ステップS0において測定装置Aを用いることにより使用済核燃料X(照射核燃料)の134Cs、137mBa及び154Euから放射されるγ線を含むスペクトルを得ており、これより134Cs、137mBa及び154Euから放射されるγ線を計数する(ステップS11)。γ線のピークエネルギーは、例えば134Csについて0.605MeV及び0.796MeVであり、137mBaについては0.662MeV、また154Euについては1.274MeVであるが、崩壊毎に複数のγ線が生じる134Cs及び154Euはこの限りではない。このような事情から、ステップS11では、134Cs、137mBa及び154Euに関するγ線のピークスペクトルを計数する。
この崩壊熱評価方法では、続いて応答関数及び検出効率を算出する(ステップS12)。すなわち、このステップS12では、上述したステップS2と同様の手法を用いることにより、γ線の測定における応答関数及び検出効率を取得する。
この崩壊熱評価方法では、続いて134Cs、137mBa及び154Euから放射されるγ線の発生数を算出する(ステップS13)。すなわち、このステップS13では、ステップS11で得られたピーク計数をステップS12で得られた検出効率で除算することにより、134Cs、137mBa及び154Euから放射されるγ線の発生数を取得する。
この崩壊熱評価方法では、続いて134Cs、137mBa及び154Euの放射能を算出する(ステップS14)。すなわち、このステップS14では、ステップS13で取得したγ線の発生数を「Table of Isotopes」に記載されている1崩壊あたりのγ線発生数で除算することにより、134Cs、137mBa及び154Euの放射能を取得する。
この崩壊熱評価方法では、続いて137Csの放射能を算出する(ステップS15)。137mBaと137Csとについては永続平衡の条件が成立するので、137Csの放射能は、ステップS14で取得された137mBaの放射能と同量である。
この崩壊熱評価方法では、最後に使用済核燃料X(照射核燃料)の崩壊熱を算出する(ステップS16)。「JENDL/DDF-2015」に記載されたデータから、β崩壊熱あたりのβ線エネルギー総和の計算値Qβ及びγ線エネルギー総和の計算値Qγを読み出し、放射能×(Qβ+Qγ)を134Cs、137Cs、137mBa、154Eu、90Sr、90Y、144Ce、144Pr、106Ru及び106Rhについて合算する。この合算値は、使用済核燃料Xの崩壊熱の75~90%以上を占める核種からの発熱量を示す値である。
以上説明したように、本実施形態に係る崩壊熱評価方法は、上述したステップS9~S16に亘る一連の処理によって実現される。このような崩壊熱評価方法によれば、134Cs、137Cs、137mBa、154Eu、90Sr、90Y、144Ce、144Pr、106Ru及び106Rhの各放射能から得られるエネルギーの総和に基づいて使用済核燃料Xに関する崩壊熱を算出するので、非破壊で取得することが可能であるともに、放射線測定による崩壊熱評価の信頼度を大幅に向上させることが可能である。
ここで、一般的な軽水炉燃料を対象に13GWd/t、26GWd/t、39GWd/t及び52GWd/tの燃焼度で406日、2×406日、3×406日及び4×406日の間燃焼させ、その後冷却(炉心から取り出して単に保管)させた際の放射能を、米国Oakridge国立研究所で開発されたSCALE-6.1コードのORIGEN-ARPモジュールで計算した。
図6(a)は、この計算に基づいて得られた崩壊熱全体に占める90Sr→90Yの割合を示している。この2核種の崩壊熱に占める割合は、図6(a)に示すように、取り出し後1~20年の間では最大であり、崩壊熱評価にはこの2核種の放射能評価が欠くべからざるものであることがわかる。
また、図6(b)は、崩壊熱全体に占める測定可能な核種の崩壊熱の割合を示している。この図6(b)では、崩壊熱の全体値に対し、スウェーデンSKB社で測定されている134Cs、137Cs及び154Euのγ線計数率から評価できる崩壊熱の割合を線で示し、また中性子測定による244Cmの放射能と、本実施形態に係る放射能評価方法による90Sr→90Y、106Ru→106Rh、144Ce→144Prの放射能から評価できる崩壊熱をドットで示している。
この図6(b)によれば、従前の3核種では、崩壊熱のうち実測可能なものの割合が冷却5年以降でも40%前後であったが、冷却5年で90%前後となることが分かる。これは、数値計算で補わなければならない崩壊熱の割合が大幅に減るということを示している。したがって、本実施形態に係る放射能評価方法によって得られる各核種の放射能を用いて崩壊熱を評価することにより、崩壊熱評価における信頼性を大幅に向上させることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、使用済燃料プールBに収容された使用済核燃料X(照射核燃料)を評価対象としたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明は、使用済核燃料Xに代表される照射核燃料を評価対象とするものである。
(2)上記実施形態では、図2(a)、(b)に示したように、HP-Ge検出器1を使用済燃料プールBの遮蔽水Cに浸漬させた状態、あるいは使用済燃料プールBの壁に埋め込まれたコリメータDを介して使用済核燃料Xから放射されたγ線及び制動線を検出したが、本発明はこれに限定されない。
(3)上記実施形態では、図1に測定装置Aの詳細構成を示したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明に係る放射能評価方法及び崩壊熱評価方法で使用する測定装置の構成は図1に示した構成に限定されない。
A 測定装置
X 使用済核燃料(照射核燃料)
1 HP-Ge検出器
2 前置増幅器
3 線形増幅器
4 波高分析装置
5 コンピュータ

Claims (7)

  1. 照射核燃料からγ線とともに放射される制動線を検出器で検出することにより、前記照射核燃料に含まれる90Srの放射能及び90Yの放射能を評価することを特徴とする放射能評価方法。
  2. エネルギーが1.6~1.7MeVの範囲の前記γ線及び前記制動線に基づいて前記放射能を評価することを特徴とする請求項1に記載の放射能評価方法。
  3. 前記検出器で検出される106Rh及び 144Prの計数率からγ線発生スペクトルの絶対値及び電子線発生スペクトルの絶対値に基づいて算出される106Rh及び 144Prの計数率を減算することにより補正し、当該補正の結果に基づいて前記放射能を評価することを特徴とする請求項1または2に記載の放射能評価方法。
  4. 前記照射核燃料は、使用済燃料プールに収容された使用済核燃料であり、
    前記検出器を前記使用済燃料プールの遮蔽水に浸漬させることにより前記制動線を検出することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の放射能評価方法。
  5. 前記検出器を水密容器に収納した状態で前記遮蔽水に浸漬させることを特徴とする請求項4に記載の放射能評価方法。
  6. 前記照射核燃料は、使用済燃料プールに収容された使用済核燃料であり、
    前記検出器は、前記使用済燃料プールの壁に埋め込まれたコリメータを介して前記制動線を検出することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の放射能評価方法。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の放射能評価方法によって評価された放射能に基づいて前記照射核燃料の崩壊熱を評価することを特徴とする崩壊熱評価方法。
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