JP2023037789A - 皮膜を形成する方法 - Google Patents

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Makoto Tano
貴也 長濱
Takaya Nagahama
敬介 臼田
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Abstract

【課題】部品の耐久性を向上させるための皮膜を形成する際に、手間を省くことができる技術を提供する。【解決手段】めっき又は溶射によらず、基材に皮膜を形成する方法は、付加製造により基板の表面に皮膜を形成する皮膜形成工程と、皮膜形成工程において形成した皮膜に、研削を施す磨き工程と、を含む。【選択図】図5

Description

本開示は、皮膜を形成する方法に関する。
部品の耐久性を向上させるため、部品に、めっき又は溶射により、皮膜を形成することが知られている。例えば、特許文献1には、部品の耐久性の向上のため、溶射によりピストンリングに耐摩耗層を形成することが記載されている。
特表2010-515848号公報
ここで、めっき又は溶射により皮膜を形成する場合、様々な工程が実施される。例えば、電気めっきにより皮膜を形成する場合、前処理として、脱脂、洗浄、活性化等の工程が実施される。前処理の後、加工対象にめっきを施す。溶射により皮膜を形成する場合、前処理として、脱脂、洗浄、ブラスト加工等の工程が実施される。さらに、後処理として、封孔の工程が実施される。
めっきにより皮膜を形成する場合、前処理を実施した加工対象を、前処理を実施した作業場所から、めっき槽が設置されている作業場所に搬送する。さらに、めっきを施した加工対象を、研削工程のため、別の作業場所へと搬送する。溶射により皮膜を形成する場合、前処理を実施した加工対象を、溶射工程のため、別の作業場所に搬送する。このように、めっき又は溶射により皮膜を形成する場合には、作業場所間において加工対象を搬送するため、作業が煩雑であった。さらに、異なる作業場間において作業を行うため、作業場間での連携、各作業場における段取りが必須となり、煩雑な手間がかかっていた。このため、手間を省くことできる技術が望まれていた。
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の形態によれば、めっき又は溶射によらず、基材に皮膜を形成する方法が提供される。この方法は、付加製造により基板の表面に皮膜を形成する皮膜形成工程と、皮膜形成工程において形成した皮膜に、研削を施す磨き工程と、を含む。
このような態様によれば、めっき又は溶射により皮膜を形成する場合に比べて、作業場所間において加工対象を搬送しなくてよい。よって、煩雑な作業を省くことができる。
(2)上記形態の方法において、皮膜は、指向性エネルギー堆積により形成された硬質の皮膜であってもよい。
このような態様によれば、硬質の皮膜が形成されることにより、皮膜が形成された部品の耐久性を向上させることができる。
(3)上記形態の方法において、基材の表面を、皮膜の下地として研削する下地処理工程を含んでいてもよい。皮膜形成工程は、下地処理工程の後に実施されてもよい。
このような態様によれば、下地処理工程において、皮膜の下地の形状を整えるため、その後の皮膜形成工程において、チャックに取り付けられた部材を回転させた場合に、回転軸に対する振れを低減することができる。
(4)上記形態の方法において、下地処理工程の後であって、皮膜形成工程の前に、基材の表面に熱処理を行う熱処理工程を実施してもよい。
このような態様によれば、熱処理により基材の表面を硬化させるので、皮膜形成後の磨き工程において、形成された皮膜の表面に荷重がかかったとしても、皮膜の下にある基材が変形することを抑制できる。
(5)上記形態の方法において、下地処理工程の後であって、皮膜形成工程の前に、基材の表面に熱処理を行う工程を実施しなくてもよい。
このような態様によれば、熱処理工程を省くことで、生産効率の向上につながる。
(6)上記形態の方法において、皮膜の材料は、超硬合金であってもよい。
このような態様によれば、皮膜が形成された部品の耐久性を向上させることができる。
(7)上記形態の方法において、皮膜の材料は、セラミックスであってもよい。
このような態様によれば、皮膜が形成された部品の耐久性を向上させることができる。
(8)上記形態の方法において、皮膜の材料は、高速度鋼であってもよい。
このような態様によれば、皮膜が形成された部品の耐久性を向上させることができる。
(9)上記形態の方法において、材料は、硬質材として炭化タングステン(WC)と、超硬バインダとしてコバルト(Co)と、を含む。皮膜形成工程は、材料を、基材に供給する供給ステップと、基材に供給された材料に、材料を溶融するための光ビームである第1光ビームを照射することにより、材料を材料の融点以上に加熱する加熱ステップと、材料が溶融することにより形成された溶融池における単位時間当たりの温度低下を表す冷却速度が予め設定された条件を満たすように、溶融池に、溶融池を材料の融点未満に加熱して保温するための光ビームである第2光ビームを照射する保温ステップと、を含む。
このような態様によれば、溶融池の急冷が防止され、皮膜に割れが生じることを抑制することができる。
(10)上記形態の方法において、保温ステップでは、冷却速度が、溶融池に含まれる超硬バインダの凝固点において毎秒540度以下となるように、第2光ビームを溶融池に照射してもよい。
このような態様によれば、溶融池の急冷により、皮膜に割れが生じることを抑制することができる。
基材の斜視図である。 皮膜を形成した基材の側面図である。 付加製造装置の構成を示す図である。 基材に、材料の供給と光ビームの照射とを行う様子を表す図である。 第1実施形態に係る皮膜形成処理のフローチャートである。 第2実施形態に係る皮膜形成処理のフローチャートである。
A.第1実施形態
第1実施形態においては、付加製造により、基材に皮膜を形成する方法を説明する。付加製造(additive manufacturing:AM)は、3次元のモデルデータに基づいて、金属、樹脂等の材料を積層させて、3次元物体を形成する加工方法である。付加製造は、指向性エネルギー堆積(directed energy deposition:DED)、結合剤噴射(binder jetting)、材料押出(material extrusion)、材料噴射(material jetting)、粉末床溶融結合(powder bed fusion)、シート積層(sheet lamination)、液槽光重合(vat photopolymerization)を含む。第1実施形態においては、指向性エネルギー堆積により、基材に皮膜を形成する例を説明する。
指向性エネルギー堆積は、熱エネルギーを用いて、材料を溶解しながら堆積させる造形方法である。材料の供給の方式は、材料をワイヤで繰り出す方式と、粉末の材料を噴射する方式とがある。熱エネルギー源は、例えば、レーザ、電子ビーム、プラズマアークである。
図1は、基材Bの斜視図である。図2は、皮膜Fを形成した基材Bの側面図である。基材Bは、大径の円盤部材B1の両側面に、小径の円筒部材B2が同軸に一体化された形状を有する。基材Bは、炭素鋼を用いて形成されている。炭素鋼は、例えば、JIS G4051に規定されているS45Cである。
第1実施形態においては、斜線で示す円筒部材B2の端部側の周面B2Sに、超硬合金の材料の粉末を供給しつつ、材料を溶融することにより、皮膜Fを形成する。超硬合金の材料は、硬質材料である炭化タングステン(WC)と、結合材料であるコバルト(Co)とを含む。
図3は、付加製造装置100の構成を示す図である。図3において、XYZ直交座標系を設定する。付加製造装置100は、保持部110と、送り装置120と、付加材料供給装置130と、光ビーム照射装置140と、ベッド150と、制御部160とを備える。
保持部110は、基材Bを保持する。保持部110は、テーブル111と、主軸台112と、心押台113とを備える。
テーブル111は、送り装置120により、Z軸の方向に移動可能である。
主軸台112は、テーブル111上に設けられている。主軸台112は、チャック114と、主軸115と、モータとを備える。チャック114は、基材Bの一端を保持する。制御部160により、主軸台112が備えるモータが駆動されると、主軸115が回転する。この結果、基材Bが、Z軸回りに回転する。
心押台113は、テーブル111上に設けられている。心押台113は、センタ116を備える。センタ116は、基材Bの他端を支持する。基材Bは、主軸台112のチャック114と、心押台113のセンタ116とによって支持される。
送り装置120は、モータを備える。送り装置120が備えるモータは、制御部160の制御に従って、駆動する。送り装置120は、モータにより、テーブル111及び主軸台112をZ軸の方向に移動する。この結果、基材Bは、Z軸の方向に移動する。
図4は、基材Bに材料の供給及び光ビームの照射を行う様子を表す図である。付加材料供給装置130は、制御部160の制御に従って、硬質材料の粉末と結合材料の粉末とを混合した粉末材料Pを、ノズル131から噴射する。付加材料供給装置130は、光ビーム照射装置140により光ビームが基材Bに照射されているときに、粉末材料Pを基材Bに順次供給する。例えば、付加材料供給装置130は、決められた量の粉末材料Pを連続して基材Bに供給してもよい。あるいは、付加材料供給装置130は、決められた時間間隔で、決められた量の粉末材料Pを基材Bに供給してもよい。
光ビーム照射装置140は、制御部160の制御に従って、光ビームを基材Bに照射する。光ビーム照射装置140は、第1光ビーム照射装置141と、第2光ビーム照射装置142とを有する。
第1光ビーム照射装置141は、発振部141aと、光学系141bとを備える。発振部141aは、制御部160の制御に従って、レーザ光L1を射出する。光学系141bは、発振部141aが射出したレーザ光L1を収束させ、円筒部材B2の周面B2Sに照射させる。図4においては、光学系141bを1つの凸レンズの形状で示す。
第1光ビーム照射装置141が照射する光ビームを第1光ビームLCと呼ぶ。第1光ビーム照射装置141は、第1光ビームLCを周面B2Sにおいて円形状の内側光照射範囲CSに照射する。第1光ビームLCは、基材Bの周面B2Sに供給された粉末材料Pを溶融するために使用される。このため、第1光ビーム照射装置141が射出するレーザ光L1のパワー密度は、粉末材料Pを溶融することができるように、制御される。
第2光ビーム照射装置142は、発振部142aと、光学系142bとを備える。発振部142aは、制御部160の制御に従って、レーザ光L2を射出する。光学系142bは、発振部142aが射出したレーザ光L2を収束させ、円筒部材B2の周面B2Sに照射させる。図4においては、光学系142bを1つの凸レンズの形状で示す。
第2光ビーム照射装置142が照射する光ビームを第2光ビームLSと呼ぶ。第2光ビーム照射装置142は、第2光ビームLSを周面B2Sにおいて円形の外側光照射範囲SSに照射する。外側光照射範囲SSは、内側照射半にCSより広い範囲である。また、外側光照射範囲SSは、第1光ビームLCが照射される内側光照射範囲CSを含んでいる。よって、内側光照射範囲CSにおいては、第1光ビームLCと、第2光ビームLSとが、照射される。
第2光ビームLSは、基材Bの周面B2Sに供給された粉末材料Pを溶融する前に、基材Bの周面B2Sを予熱するために使用される。予熱を行う理由は次の通りである。基材Bの周面B2Sの温度が低い状態では、レーザ照射による熱エネルギーが基材Bに逃げ易い。これにより、皮膜Fを基材Bに形成する際に、粉末材料Pの溶融不足が起こり得るからである。粉末材料Pの溶融不足を抑制するため、予熱処理を行うことが有効である。
さらに、第2光ビームLSは、粉末材料Pの溶融により基材Bの周面B2Sにおいて形成された溶融池を保温するために使用される。溶融池を保温するのは以下のような理由による。炭化タングステン(WC)を含む皮膜Fは、靭性が低いために、急冷により割れが発生しやすくなる。皮膜Fの急冷を防止するために、保温処理を行うことが有効である。よって、溶融池における単位時間当たりの温度低下が予め設定された条件を満たすように、溶融池に、第2光ビームLSを照射する。具体的に、バインダとして作用するコバルト(Co)の凝固点における単位時間当たりの温度低下を毎秒540度以下となるように基材Bを保温した場合に、皮膜Fの急冷が防止され、皮膜Fの割れが生じることを抑制することができる。単位時間当たりの温度低下を冷却速度とも呼ぶ。
このため、第2光ビーム照射装置142が射出するレーザ光L2のパワー密度は、コバルト(Co)の凝固点における単位時間当たりの温度低下が毎秒540度以下となるように基材Bを予熱及び保温することができるように、制御される。
図3に示すように、ベッド150は、保持部110、送り装置120を支持する。
制御部160は、保持部110、送り装置120、付加材料供給装置130、光ビーム照射装置140を制御する。
本実施形態においては、制御部160は、主軸台112及び送り装置120を制御することにより、基材Bを回転及び移動させる。回転及び移動している基材Bに、光ビーム照射装置140が光ビームを照射する。これにより、周面B2Sの全体にわたって、第1光ビームLC及び第2光ビームLSを走査させることができる。さらに、光ビームの照射と並行して、付加材料供給装置130により、粉末材料Pが周面B2Sに順次供給される。このようにして、付加製造装置100は、周面B2Sの全体にわたって皮膜Fを形成する。
続いて、上記の付加製造装置100による皮膜Fの付加製造方法を説明する。まず、主軸台112及び送り装置120が、基材Bを回転及び移動させる。続いて、第2光ビーム照射装置142が第2光ビームLSの照射を開始する。第2光ビームLSにより、回転及び移動している基材Bの周面B2Sが予熱される。
予熱の後、付加材料供給装置130が、あらかじめ決められた量の粉末材料Pを周面B2Sに向けて噴射する。粉末材料Pを基材Bの周面B2Sに供給する工程を供給ステップとも呼ぶ。その後、第1光ビーム照射装置141が第1光ビームLCの照射を開始する。第1光ビームLCにより、粉末材料Pが粉末材料Pの融点以上に加熱される。よって、内側光照射範囲CSにおいて、粉末材料Pが溶融する。この結果、溶融池が形成される。溶融池が溶融状態から凝固状態に遷移すると、周面B2Sに皮膜Fが形成される。粉末材料Pを加熱する工程を加熱ステップとも呼ぶ。
基材Bの回転及び移動により、第1光ビームLCが照射される内側光照射範囲CSが移動する。よって、溶融池が拡大する。また、基材Bの回転及び移動により、第2光ビームLSが照射される外側光照射範囲SSも移動する。第2光ビームLSの照射により、周面B2Sの予熱又は溶融池の保温が行われる。保温処理を実施する工程を保温ステップとも呼ぶ。
図5は、基材Bの周面B2Sに皮膜Fを形成する皮膜形成処理のフローチャートである。まず、ステップS101において、素材Mが、旋盤に運搬され、旋盤のチャックに取り付けられる。素材Mは、炭素鋼の丸鋼である。旋盤により、素材Mに旋削加工が行われる。旋削加工により、素材Mから基材Bが形成される。旋削加工後、基材Bが、旋盤から取り外される。さらに、必要な場合は、この工程において、基材Bに穴開け加工を行ってもよい。
ステップS102において、基材Bが、研削盤に運搬され、研削盤のチャックに取り付けられる。研削盤には、粗研削用の砥石車が取り付けられている。研削盤により、基材Bの円筒部材B2の端部側の周面B2Sに粗研削が施される。粗研削により周面B2Sの形状を整える。これにより、後述の皮膜形成工程において、保持部110のチャック114に円筒部材B2が取り付けられたときに、チャック114の回転軸に対する振れを低減することができる。粗研削の後、基材Bが研削盤から取り外される。この工程を下地処理工程と呼ぶ。
ステップS103において、基材Bが、付加製造装置100に運搬され、保持部110により固定される。付加製造装置100により、基材Bの周面B2Sに皮膜Fが形成される。付加製造により形成された皮膜Fの表面は平坦ではない。皮膜Fの形成後、保持部110から取り外される。この工程を皮膜形成工程とも呼ぶ。
ステップS104において、基材Bが、研削盤に運搬され、研削盤のチャックに取り付けられる。研削盤には、粗研削用の砥石車が取り付けられている。研削盤により、後処理として、周面B2S上に形成された皮膜Fに粗研削が施される。粗研削により、皮膜Fの表面が除去加工される。従って、皮膜Fの表面が平らになる。さらに、皮膜Fの膜厚が均一となる。なお、この工程において使用する砥石車は、ステップS102において使用したものと同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
ステップS105において、まず、砥石車が交換される。具体的には、研削盤から、粗研削用の砥石車が取り外される。その後、研削盤に、仕上げ研削用の砥石車が取り付けられる。砥石車の交換後、研削盤により、周面B2S上に形成された皮膜Fに仕上げ研削が施される。仕上げ研削の後、基材Bは研削盤から取り外され、例えば、完成品置き場に運搬される。以上が皮膜Fの形成処理である。
第1実施形態に係る方法によれば、旋削加工、研削加工、皮膜形成、研削加工を順次実行する。旋削盤、研削盤、付加製造装置100は、すべて同じ作業場所に設置されているものとする。よって、作業場所間における加工対象の搬送が不要となる。このように、実施形態に係る方法を使用して皮膜Fを形成する場合、めっき又は溶射により皮膜を形成する場合に比べて、作業場所間において加工対象の搬送が不要となる。よって、作業場間での連携、各作業場における段取りが不要となり、煩雑な手間を省くことができる。
さらに、皮膜Fを付加製造により形成するので、めっき又は溶射により皮膜を形成する場合に比べて、皮膜の形成に要する時間を短縮することができる。
めっき又は溶射により皮膜を形成する場合、皮膜の形成前に、基材の表面を硬化させることを目的として、基材の表面に焼入れを行うことがある。焼入れは、めっき又は溶射により形成する皮膜の表面に荷重がかかったときに、皮膜の下にある基材が変形することを抑制するために行われている。
しかし、第1実施形態に係る方法では、超硬合金で皮膜Fを形成する。皮膜Fを超硬合金で形成することにより、基材Bの周面B2Sの耐久性を向上させることができる。このため、例えば、皮膜Fの形成後の磨き工程において、皮膜Fの表面に荷重がかかった場合でも、皮膜Fの下にある基材Bの変形を抑制できる。よって、皮膜Fの形成前に、下地に熱処理を行う必要がない。熱処理のための処理時間が不要である。さらに、熱処理のため加工対象を作業場所間で搬送しなくてもよい。このように、第1実施形態に係る方法では、簡易な工程で皮膜Fを形成することができる。よって、生産効率の向上につながる。
B.第2実施形態
第1実施形態においては、皮膜Fの厚さを厚くすることで、皮膜Fの形成前の熱処理の処理を省く例を説明した。しかし、加工対象によっては、皮膜Fを薄くすることが好ましいこともある。このような場合には、皮膜Fの形成前に、基材Bに熱処理を行うことが好ましい。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図6は、基材Bの周面B2Sに皮膜Fを形成する皮膜形成処理のフローチャートである。まず、ステップS201において、旋削及び穴あけの工程が実施される。この工程は、第1実施形態のステップS101と同様である。
ステップS202において、焼入れの工程が実施される。まず、基材Bを熱処理炉に搬送する。基材Bを熱処理炉に入れ、基材Bに焼入れを行う。その後、基材Bを熱処理炉から取り出す。取り出した基材Bを急速に冷却する。この工程を熱処理工程とも呼ぶ。
ステップS203において、粗研削の工程が実施される。この工程は、第1実施形態のステップS102と同様である。
ステップS204において、皮膜Fの形成の工程が実施される。この工程は、第1実施形態のステップS103と同様である。
ステップS205において、粗研削の工程が実施される。この工程は、第1実施形態のステップS104と同様である。
ステップS206において、仕上げ研削の工程が実施される。この工程は、第1実施形態のステップS105と同様である。
第2実施形態に係る構成においては、皮膜Fの形成前に、基材Bに焼入れを実施する。これにより、皮膜Fの下地を硬化させる。下地を硬化させることにより、皮膜Fの膜厚を薄くしても、皮膜Fの表面に荷重がかかったときに、皮膜Fの下にある基材Bが変形することを抑制できる。
また、第2実施形態においても、皮膜Fを付加製造により形成するので、めっき又は溶射により皮膜を形成する場合に比べて、皮膜の形成に要する時間を短縮することができる。
C.他の実施形態
C1.他の実施形態1
付加製造により形成する皮膜Fの膜厚は、例えば、最大で1ミリメートルとなるように形成してもよい。なお、この膜厚は、付加製造により皮膜Fを形成した後、皮膜Fの表面を平らにし、膜厚を均一にするため、粗研削を行った後の膜厚である。この場合、皮膜Fは、めっき又は溶射により形成される皮膜に比べ、厚いといえる。さらに、皮膜Fは超硬合金により形成されている。よって、皮膜Fが形成された基材Bの耐久性を向上させることができる。
C2.他の実施形態2
付加製造により形成した皮膜Fは、平坦でないため、その後の粗研削の工程により膜厚が均一にされる。このため、例えば、付加製造の工程後の皮膜Fの最も厚い部分の厚さは、最終的に目標とする膜厚の2倍となるように、付加製造により皮膜Fが基材Bに形成される。
C3.他の実施形態3
実施形態においては、超硬バインダとして、コバルト(Co)を用いる例を説明した。あるいは、超硬バインダとして、コバルト(Co)ではなく、例えば、ニッケル(Ni)を用いてもよい。
C4.他の実施形態4
皮膜Fは、高速度鋼により形成されてもよい。高速度鋼は、例えば、JIS G4403に規定されているSKH2、SKH3、SKH4、SKH10、SKH40、SKH51、SKH53、SKH54、SKH55、SKH56、SKH57、SKH58、SKH59である。高速度鋼は、ハイスピード鋼、あるいは、ハイス鋼と呼ぶこともある。皮膜Fを高速度鋼で形成することにより、皮膜Fが形成された基材Bの耐久性を向上させることができる。
あるいは、皮膜Fは、セラミックスで形成されてもよい。セラミックスは、例えば、アルミナチタンカーバイト(Al-TiC)である。皮膜Fをセラミックスで形成することにより、皮膜Fが形成された基材Bの耐久性を向上させることができる。
C5.他の実施形態5
第1実施形態においては、ステップS103の工程と、ステップS104及びS105の工程と、は別の機械により実施された。しかし、ステップS103からステップS105までの工程を、同一の機械により実施してもよい。例えば、研削盤の機能と、付加製造装置の機能とを備える複合加工機により、ステップS103からステップS105までの工程を実施することができる。このような場合、研削盤から付加製造装置へ、基材Bを搬送する必要がない。よって、基材Bを運搬する時間、運搬に関する段取りを省くことができる。また、ステップS103からステップS105において、チャックから基材Bを取り外さないため、精度よく加工することができる。
また、あるいは、研削盤の機能と付加製造装置の機能とを備える複合加工機により、ステップS102からステップS105までの工程を、同一の機械により実施してもよい。この場合も、基材Bを運搬する時間、運搬に関する段取りを省くことができる。また、ステップS102からステップS105において、チャックから基材Bを取り外さないため、精度よく加工することができる。
C6.他の実施形態6
第1実施形態においては、図5のステップS102に示すように、基材Bの円筒部材B2の端部側の周面B2Sに粗研削を施す下地処理工程が実施される例を説明した。しかしながら、下地処理工程を省くこともできる。この場合、基材Bを運搬する時間、運搬に関する段取りを省くことができる。
C7.他の実施形態7
第2実施形態においては、基材Bを熱処理炉に入れて、焼入れを行う例を説明したが、熱処理を行う方法は他の方法であってもよい。例えば、レーザにより基材Bに焼入れを行ってもよい。
上記の実施形態においては、指向性エネルギー堆積により、基材Bの周面B2Sに皮膜Fを形成する例を説明した。しかし、皮膜Fを、指向性エネルギー堆積以外の方法によって形成してもよい。例えば、皮膜Fを形成する面が平面である場合には、粉末床溶融結合により、皮膜Fを形成してもよい。
また、皮膜Fを形成する際に使用する材料は、粉末材料ではなく、ワイヤとして供給されてもよい。
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
100…付加製造装置、110…保持部、111…テーブル、112…主軸台、113…心押台、114…チャック、115…主軸、116…センタ、120…送り装置、130…付加材料供給装置、131…ノズル、140…光ビーム照射装置、141…第1光ビーム照射装置、141a…発振部、141b…光学系、142…第2光ビーム照射装置、142a…発振部、142b…光学系、150…ベッド、160…制御部、B…基材、B1…円盤部材、B2…円筒部材、B2S…周面、C…中心軸、CS…内側光照射範囲、F…皮膜、L1,L2…レーザ光、LC…内側光ビーム、LS…外側光ビーム、M…素材、P…粉末材料、SS…外側光照射範囲

Claims (10)

  1. めっき又は溶射によらず、基材に皮膜を形成する方法であって、
    付加製造により前記基材の表面に前記皮膜を形成する皮膜形成工程と、
    前記皮膜形成工程において形成した前記皮膜に、研削を施す磨き工程と、
    を含む、皮膜を形成する方法。
  2. 請求項1に記載の皮膜を形成する方法であって、
    前記皮膜は、指向性エネルギー堆積により形成された硬質の皮膜である、
    皮膜を形成する方法。
  3. 請求項1または2に記載の皮膜を形成する方法であって、
    前記基材の表面を、前記皮膜の下地として研削する下地処理工程を含み、
    前記皮膜形成工程は、前記下地処理工程の後に実施される、
    皮膜を形成する方法。
  4. 請求項3に記載の皮膜を形成する方法であって、
    前記下地処理工程の後であって、前記皮膜形成工程の前に、前記基材の表面に熱処理を行う熱処理工程を含む、
    皮膜を形成する方法。
  5. 請求項3に記載の皮膜を形成する方法であって、
    前記下地処理工程の後であって、前記皮膜形成工程の前に、前記基材の表面に熱処理を行う工程を実施しない、
    皮膜を形成する方法。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の皮膜を形成する方法であって、
    前記皮膜の材料は、超硬合金である、
    皮膜を形成する方法。
  7. 請求項1から5のいずれか1項に記載の皮膜を形成する方法であって、
    前記皮膜の材料は、セラミックスである、
    皮膜を形成する方法。
  8. 請求項1から5のいずれか1項に記載の皮膜を形成する方法であって、
    前記皮膜の材料は、高速度鋼である、
    皮膜を形成する方法。
  9. 請求項6に記載の皮膜を形成する方法であって、
    前記材料は、硬質材として炭化タングステン(WC)と、超硬バインダとしてコバルト(Co)と、を含み、
    前記皮膜形成工程は、
    前記材料を、前記基材に供給する供給ステップと、
    前記基材に供給された前記材料に、前記材料を溶融するための光ビームである第1光ビームを照射することにより、前記材料を前記材料の融点以上に加熱する加熱ステップと、
    前記材料が溶融することにより形成された溶融池における単位時間当たりの温度低下を表す冷却速度が予め設定された条件を満たすように、前記溶融池に、前記溶融池を前記材料の融点未満に加熱して保温するための光ビームである第2光ビームを照射する保温ステップと、
    を含む、
    皮膜を形成する方法。
  10. 請求項9に記載の皮膜を形成する方法であって、
    前記保温ステップにおいて、前記冷却速度が、前記溶融池に含まれる超硬バインダの凝固点において毎秒540度以下となるように、前記第2光ビームを前記溶融池に照射する、
    皮膜を形成する方法。
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