JP2023037114A - 紙製の箱 - Google Patents

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Shingo Hashimoto
知也 畠山
Tomoya Hatakeyama
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Abstract

【課題】本発明の課題は、ホットメルト接着剤で貼合した場合に優れた強度を有する箱を製造する技術を提供することである。【解決手段】本発明によって、防水性塗工層を有する紙基材を、熱可塑性樹脂とセルロースナノファイバーを含むホットメルト接着剤で貼合して製函する。【選択図】図1

Description

本発明は紙製の箱に関する。特に本発明は、接着剤により貼合された紙製の箱、および、紙製の箱を製造するための製函用紙基材に関する。
従来、種々の物品を包装するために、紙基材を用いた種々の形態からなる紙製容器や梱包材等が使用されている。特に近年では、脱プラスチックの流れの中で発泡スチロールを代替する箱が要求されており、その箱を製造するために防水ライナが注目されている。
例えば、特許文献1には、スチレン・アクリル系樹脂を含有する塗工層を設けることにより、耐湿・防水性能の高い紙を得ることが記載されている。また、特許文献2には、基紙の少なくとも片面に少なくとも2層の塗工層を有し、最表面の塗工層と基紙との間に、アクリル系共重合体および/またはスチレン系共重合体を含有する塗工層を設けた防湿ライナが記載されている。
特開2000-037839号公報 特開2011-162899号公報
一般に、段ボール箱などの紙製の容器は、重量物をその内部に収容し、輸送や保管などの用途に用いられるが、箱を積み重ねて用いられることが多く、接着部でしっかりと接着され、十分な強度を備えていることが必要とされる。
このような状況に鑑み、本発明の課題は、ホットメルト接着剤で貼合した場合に十分な強度を有する箱を製造する技術を提供することである。
本発明は、これに限定されるものでないが、以下の発明を包含する。
[1] 防水性塗工層を有する紙基材を、熱可塑性樹脂とセルロースナノファイバーを含むホットメルト接着剤によって貼合した箱。
[2] 前記セルロースナノファイバーが酸化セルロースナノファイバーを含む、[1]に記載の箱。
[3] 前記ホットメルト接着剤に含まれるセルロースナノファイバーが3%以下である、[1]または[2]に記載の箱。[4] 前記紙基材が多層抄き板紙である、[1]~[3]のいずれかに記載の箱。
[5] 前記熱可塑性樹脂が、エチレン酢酸ビニル共重合体および/またはポリオレフィン系重合体を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の箱。
[6] 前記防水性塗工層が、スチレン・アクリル系樹脂を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の箱。
[7] 防水性塗工層を有する紙基材を、熱可塑性樹脂とセルロースナノファイバーを含むホットメルト接着剤によって貼合する工程を含む、製函方法。
[8] 熱可塑性樹脂とセルロースナノファイバーを含むホットメルト接着剤で貼合して製函するための、防水性塗工層を有する紙基材。
本発明によれば、セルロースナノファイバーと熱可塑性樹脂を含むホットメルト接着剤を用いて貼合した場合に十分な接着力を有する紙基材を得ることができる。本発明に基づいて製函することによって、潰れにくく、圧縮強度が高い箱を得ることができる。
図1は、実験2の剥離試験結果を示す写真である(上:◎、中:○、下:△)。
一つの態様において本発明は、箱を製造するための紙基材に関し、本発明に係る紙基材は、片面または両面に防水性塗工層を有する。本発明に係る紙基材は、セルロースナノファイバーと熱可塑性樹脂を含むホットメルト接着剤によって貼合すると強力に接着される。
紙基材
本発明においては、基材として紙基材を用いる。紙基材に用いるパルプは特に制限されず、用途に応じて種々のパルプを使用することができる。原料パルプとしては、例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、砕木パルプ(GP)、リファイナーグラウンドパルプ(RGP)、ケミカルパルプ(CP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の木材繊維由来の各種パルプ、ケナフ、バガス、竹、麻、ワラなどから得られた非木材パルプを挙げることができる。
好ましい態様において紙基材は、古紙パルプを含有する。古紙パルプを含有する場合、例えば、全パルプに占める古紙パルプの配合率は10重量%以上が好ましく、25重量%以上がより好ましく、50重量%以上がさらに好ましく、70重量%以上が最も好ましい。好ましい態様において、紙基材に用いるパルプのすべてを古紙由来のパルプとすることができ、また、古紙パルプ以外のパルプとしてクラフトパルプを配合してもよく、全量クラフトパルプとしてもよい。また、紙基材が2層以上の紙層を有する多層抄き板紙である場合、1層あたりの古紙パルプ配合率を上記の通りとすることができ、各層における古紙パルプ配合率が異なるものであってもよい。
古紙パルプとしては、段ボール古紙、上白、特白、中白、白損等の未印刷古紙を離解した古紙パルプ、上質紙、上質コート紙、中質紙、中質コート紙、更紙等に印刷された古紙、および筆記された古紙、廃棄機密文書等の紙類、雑誌古紙、新聞古紙を離解後脱墨したパルプ(DIP)等を使用することができる。
紙基材には公知の填料および内添薬品を添加できる。填料としては、例えば、カオリン、焼成カオリン、デラミネーティッドカオリン、クレー、焼成クレー、デラミネーティッドクレー、イライト、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、シリカ、軽質炭酸カルシウム-シリカ複合物、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、ケイ酸ナトリウムの鉱酸による中和で製造される非晶質シリカ等の無機填料や、尿素-ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂等の有機填料等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし併用してもよい。また内添薬品として、歩留剤、嵩高剤、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向上剤、濾水性向上剤、保水剤、染料、サイズ剤、各種塩等を必要に応じて使用してもよい。
紙基材は、公知の抄紙方法で製造される。例えば、長網抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、ハイブリッドフォーマー型抄紙機、オントップフォーマー型抄紙機、丸網抄紙機等を用いて行うことができるが、これらに限定されない。
紙基材の坪量は特に制限されず、用途に応じて調整すればよいが、単層の紙の場合、例えば、40~750g/mとすることができ、70~600g/mとしたり、100~500g/mとしたり、150~400g/mとしたりしてもよい。また、紙基材は、2層以上の紙層を有する多層抄き板紙であってよく、例えば、2~7層の紙層を有することが好ましく、3~5層の紙層を有することがより好ましい。紙基材が2層以上の紙層を有する多層抄き板紙である場合、その全層合計の坪量は、例えば、70~750g/mとすることができ、100~600g/mとしたり、150~500g/mとしたりしてもよい。
また、紙基材は単層の紙もしくは多層抄き板紙を貼合等により加工したものを用いても良い。本発明の好ましい態様において、紙基材として板紙を用い、より好ましくは段ボールを用いる。段ボールとは、平らな紙(ライナ)と波型の紙(中しん)を接着剤で貼り合わせて作られ、商品の包装や緩衝材、荷物の運送、物品を保管するときなどの様々な用途に好適に使用される。
段ボールのライナについては特に制限されず、用途に応じてクラフトライナ、ジュートライナなどを使用することができる。ライナの坪量も特に制限されず、例えば、ライナ全体の坪量を70~550g/mとすることができ、100~500g/mとしたり、150~450g/mとしたりしてもよい。
段ボールを構成する中しんについては特に制限されず、Aフルート、Bフルート、Cフルート、Wフルート、Eフルートなどを使用することができる。中しんの坪量も特に制限されず、120g/m、160g/m、180g/m、強化180g/m、強化200g/mなどを好適に使用することができる。
(防水性塗工層)
本発明に係る紙基材は、その少なくとも片面に、防水性塗工層が設けられており、紙基材が水に接しても水が浸透しにくく、紙基材の強度が維持される。防水性塗工層は、合成樹脂を含有することが好適である。合成樹脂は、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ブタジエン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂の少なくとも1種類を含有することが好適である。合成樹脂がスチレン系樹脂および/またはアクリル系樹脂を含むことが好適であり、スチレン・アクリル系樹脂を含むと特に好適である。
本発明を構成する防水性塗工層が含有することのできるスチレン系樹脂とは、構造中にスチレン骨格を有するスチレン系単量体の共重合割合が50質量%以上である樹脂であり、スチレン系単量体の重合体のみからなるものであってもよい。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、エチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、α-メチル-p-メチルスチレン等が挙げられる。
また、スチレン単量体と共重合可能な単量体として、例えば、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メチルフェニルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸等の不飽和カルボン酸、マレイン酸、イタコン酸等の無水物である不飽和ジカルボン酸無水物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン等の共役ジエン等が挙げられる。これらは1種単独、あるいは、2種以上の組み合わせで用いることができる。
本発明を構成する防水性塗工層が含有することのできるアクリル系樹脂とは、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体であるアクリル系単量体の共重合割合が50質量%以上である樹脂であり、アクリル系単量体の重合体のみからなるものであってもよい。
アクリル系単量体としては、例えば、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソプロピル等のアクリル酸エステル等を挙げることができ、アクリル系樹脂は、これらのアクリル系単量体から選ばれる1種以上の単量体を重合したものであってよい。
また、アクリル系単量体と共重合可能な単量体としては、スチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、エチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、α-メチル-p-メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物、メタクリル酸、アクリル酸等の不飽和カルボン酸等が挙げられる。これらは1種単独、あるいは、2種以上の組み合わせで用いることができる。
スチレン・アクリル系樹脂とは、構成単位にアクリルモノマー及びスチレンモノマーを交互に、又はランダムに含んでなるポリマーである。好ましい態様において、スチレン・アクリル系樹脂は、スチレン/アクリル=10/90~90/10で共重合された樹脂である。また、好ましい態様において、防水性塗工層に含まれる合成樹脂の50重量%以上がスチレン・アクリル系樹脂である。スチレン・アクリル系樹脂を構成するアクリルのモノマー成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸n-ブチル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、アクリロニトリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリルなどを例示することができるが、必要に応じて他のモノマー、ポリマーを導入することもできる。
紙表面における防水性をより向上させる効果があることから、防水性塗工層は、ワックスを含有していていることが好ましい。ワックスとしては、例えば、ポリエチレン系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、油脂系合成ワックス(脂肪酸エステル系、脂肪酸アミド、ケトン・アミン類)、水素硬化油等の合成ワックス、蜜蝋、木蝋、パラフィン系ワックス、マイクロクリスタリンワックス等の天然ワックス等を挙げることができる。これらのワックスは、1種単独、あるいは、2種以上の組み合わせで使用することができ、特に、パラフィンを含む炭化水素系ワックスが好適である。
本発明に係る紙基材に設けられている防水性塗工層には、防水性能を損なわない限り他の助剤が入っていてもよく、顔料、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、染料、蛍光染料等の通常使用される各種助剤を使用することができる。
防水性塗工層の形成は、公知の塗工方式を使用して塗工剤を塗工することにより設けることができ、例えば、エアナイフ塗工、カーテン塗工、ブレード塗工、ゲートロール塗工、ダイ塗工等の塗工方式を用いることができる。また、単層塗工であってよく、多層塗工を行ってもよい。多層塗工の場合、下塗り層を塗工し、乾燥後に上塗り層の塗工を行うドライオンウェット、下層塗工部を乾燥せずに上層塗工を行なうウェットオンウェットのいずれの塗工方式を用いてもよく、同一の塗工装置を用いても、異種の塗工装置を組み合わせて塗工を行ってもよい。塗工量も特に限定されず、塗工量の合計が4~30g/mとしてもよいが、経済性と防水機能とを両立させる観点から5~20g/mとすることが好ましい。
接着剤による貼合
本発明に係る紙基材は、熱可塑性樹脂とセルロースナノファイバーを含むホットメルト接着剤によって貼合される。
ホットメルト接着剤の種類については特に限定されず、水系、水分散系、溶液系、無溶剤系、固体系等が挙げられ、接着面となる紙基材の表面の状態および紙基材に設けられた防水性塗工層の成分に応じて適宜選択することができる。
本発明に係るホットメルト接着剤は熱可塑性樹脂を含むものであり、好ましい態様において、70℃以上の軟化点を有し、加熱によって軟化する。好ましい態様において、本発明に係るホットメルト接着剤の軟化点は70~150℃であり、75~100℃であってもよい。
ホットメルト接着剤は、タンク内などで加熱溶融して、ポンプで圧送し、圧送したホットメルト接着剤をアプリケーターによって塗布することができる。接着剤の塗布方法は特に制限されないが、例えば、点塗布、線塗布、面塗布、スパイラル塗布、スロット塗布、スプレー塗布、ロール塗布など、多種多様な塗布方法が可能であり、グラビア方式で網点状に凹凸を付けて塗布してもよい。本発明においては、1穴ノズルを用いて接着剤を線状に連続塗布する線塗布方式が好ましい。
ホットメルト接着剤の使用量は、充分な接着強度を有すれば特に限定されないが、面塗布の場合は0.5~2000g/mとしてもよく、5~1500g/mとしてもよく、10~1000g/mとしてもよい。また線塗布の場合は、アプリケーターのノズル径、ノズルもしくは紙基材の移動速度、塗布時の接着剤粘度、接着する紙基材の幅等に応じて塗布幅を適宜変更することができ、また単位長さあたりの塗布量も特に限定されないが、例えば0.1~30g/mとしてもよく、0.5~20g/mとしてもよく、1~15g/mとしてもよい。 紙基材を製函して箱を製造する場合、製函機を用いることができる。使用する製函機は特に制限されず、例えば、垂直式や水平式の製函機を用いることができる。
本発明に係る接着剤に含まれる熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリオキシメチレン、ポリメチルメタアクリレート、メタクリル・スチレン共重合体、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレンや4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂、エチレン・4フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂などを挙げることができる。好ましい態様において、紙基材を接着する際に接着剤として使用する熱可塑性樹脂は、防水性塗工層にスチレン・アクリル系樹脂を用いる場合、エチレン・酢酸ビニル共重合体および/またはポリオレフィン系重合体を含む。この防水性塗工層と熱可塑性樹脂との組み合わせを採用することにより、紙基材の接着を行う際、非塗工面同士の接着はもとより、塗工面同士の接着、非塗工面と塗工面との接着のいずれにおいても十分な強度で接着することが可能となる。
本発明に係る接着剤には、接着性能を損なわない範囲であれば、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、液状ゴム、微粒子充填剤等の公知の添加剤が含有されていてもよい。可塑剤としては特に限定されず、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、流動パラフィン、炭化水素系合成オイル等が挙げられる。酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、n-オクタデシル-3-(4'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,4-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルべンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,4-ジ-t-アミル-6-〔1-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ぺンチルフェニル)]アクリレート、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;サリチル酸エステル系紫外線吸収剤;シアノアクリレート系紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。液状ゴムとしては、液状ポリブテン、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン及びこれらの水添樹脂が挙げられる。微粒子充填剤としては、特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、雲母、スチレンビーズ等が挙げられる。これらの可塑剤や添加剤は、1種単独で含有されていてもよく、2種以上を含有されていてもよい。
また、本発明に係る接着剤は、ホットメルトの主成分である熱可塑性樹脂の接着性を補強するために粘着付与樹脂を含有していてもよい。粘着付与樹脂は、一般に常温で一定の粘着性を有しており、例えば、天然ロジン、変性ロジン、天然ロジンのグリセロールエステル、変性ロジンのグリセロールエステル、天然ロジンのペンタエリスリトールエステル、変性ロジンのペンタエリスリトールエステル、天然テルペンのコポリマー、天然テルペンの三次元ポリマー、天然テルペンのコポリマーの水素化誘導体、テルペン樹脂、フェノール系変性テルペン樹脂の水素化誘導体;C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂等の石油樹脂、また、それら石油樹脂に水素を添加した部分水添石油樹脂、完全水添石油樹脂等など挙げられる。好ましい態様において、本発明に用いられる接着剤には、紙基材の防水性塗工層に用いられるスチレン・アクリル系樹脂との接着性をより向上させる目的で、熱可塑性樹脂の他に、粘着付与樹脂としてテルペン樹脂が接着剤に含まれる全固形分のうち25%以下の割合で含有する。 (セルロースナノファイバー)
本発明に係るホットメルト接着剤はセルロースナノファイバー(CNF)を含有する。セルロースナノファイバーの配合量は、接着剤の全重量の3%以下であることが好ましく、0.1~2.5%がより好ましく、0.5~2%としてもよい。微細セルロース繊維であるセルロースナノファイバーを多く配合しすぎると、凝集が発生して接着強度向上効果が発現しにくくなる場合がある。
本発明のセルロースナノファイバーは、セルロース原料を、必要に応じ化学変性処理した後で、解繊処理することにより得られる微細繊維である。セルロースナノファイバーの平均繊維径は、通常2nm以上500nm未満で、好ましくは3nm以上100nm以下、より好ましくは3nm以上50nm以下、さらに好ましくは3nm以上20nm以下である。また、セルロースナノファイバーの平均繊維長は、好ましくは100nm~1000nm、より好ましくは200nm~900nm、さらに好ましくは300nm~800nmである。平均繊維径および平均繊維長は、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)、透過型電子顕微鏡(TEM)のいずれかを用いて、各繊維を観察した結果から得られる繊維径および繊維長を平均することによって得ることができる。
セルロースナノファイバーの平均アスペクト比は、特に制限されないが、50~1000とすることができ、100~600や150~400としてもよい。なお、セルロースナノファイバーの平均アスペクト比は、平均繊維長を平均繊維径で除すことによって算出できる。
セルロースナノファイバーの原料であるセルロース原料の由来は、特に限定されないが、例えば、植物、動物(例えばホヤ類)、藻類、酢酸菌(アセトバクター)などの微生物、微生物産生物等が挙げられる。本発明で用いるセルロース原料は、これらのいずれかであってもよいし2種類以上の組み合わせであってもよい。
本発明に係るセルロースナノファイバーの原料として植物を用いることが好ましく、例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプなどが挙げられる。パルプとしては、例えば、針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙パルプなどが挙げられ、漂白済みクラフトパルプ(BKP)、漂白済みサルファイトパルプ(BSP)が好ましい。また、セルロース系原料として、クラフトパルプやサルファイトパルプなどを必要に応じて酸加水分解などの化学処理により精製し、さらに高圧ホモジナイザーやミルなどによって粉砕したセルロース粉末などを使用することもできる。
本発明に係るセルロースナノファイバーの原料は、好ましくは植物または微生物由来のセルロース原料(例えば、セルロース繊維)であり、より好ましくは植物由来のセルロース原料(例えば、セルロース繊維)であり、さらに好ましくは広葉樹系または針葉樹径の木質系セルロース原料である。
セルロース原料の数平均繊維径は特に制限されないが、一般的なパルプである針葉樹クラフトパルプの場合は30~60μm程度、広葉樹クラフトパルプの場合は10~30μm程度である。その他のパルプの場合、一般的な精製を経たものは50μm程度である。例えば、チップ等の数cm大のものを精製したものである場合、リファイナー、ビーター等の離解機で機械的処理を行い、50μm程度に調整することが好ましい。
一般に、セルロース原料は、グルコース単位あたり3つのヒドロキシル基を有しており、各種の化学変性処理を行うことが可能である。本発明で用いるセルロースナノファイバーは、ヒドロキシル基(OH基)に対して変性を行ってもよく、また行わなくてもよいが、化学変性処理を行った方が好ましい。その理由は、セルロース原料の変性により繊維の微細化が十分に進み、均一な繊維長および繊維径が得られ、有効な繊維長および繊維径を持つ繊維数が十分に確保できるためである。また、機械的処理のみで解繊し、化学的処理を加えていないセルロースナノファイバーは凝集が発生しやすい傾向があるため、ヒドロキシル基に変性を加えたセルロースナノファイバーが好ましい。すなわち、TEMPOなどによる酸化やカルボキシメチル化などによってヒドロキシル基に変性を加えると、セルロースナノファイバーが凝集しにくくなり、ホットメルトへの配合量を増やしても接着強度向上効果の低下を招きにくくなるため好適である。
セルロース原料を変性するための変性方法は特に制限されないが、例えば、酸化、エーテル化、リン酸化、エステル化、シランカップリング、フッ素化、カチオン化などの化学変性が挙げられる。中でも、カルボキシル化などの酸化、エーテル化、カチオン化、エステル化が好ましく、酸化が特に好ましい。
セルロース原料の解繊は、セルロース原料に変性処理を施す前に行ってもよいし、後に行ってもよい。また、解繊は、一度に行ってもよいし、複数回行ってもよい。複数回の場合それぞれの解繊の時期はいつでもよい。
本発明において酸化CNFを用いる場合、セルロースナノファイバーは、例えば、セルロース系原料を、(1)N-オキシル化合物、および(2)臭化物、ヨウ化物またはそれらの混合物の存在下で、酸化剤を用いて酸化し、さらに該酸化されたセルロースを湿式微粒化処理して解繊し、ナノファイバー化することにより製造できる。
セルロース系原料を酸化する際に用いるN-オキシル化合物としては、目的の酸化反応を促進する化合物であれば、いずれの化合物も使用できる。例えば、本発明で使用されるN-オキシル化合物としては、下記式1で示される物質が挙げられる。ここで、式1において、R1~R4は、独立して、炭素数1~4程度のアルキル基である。
Figure 2023037114000002
式1で表される化合物のうち、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-N-オキシラジカル(以下、「TEMPO」ともいう)、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-N-オキシラジカル(以下、「4-ヒドロキシTEMPO」ともいう)を発生する化合物が好ましい。また、TEMPOまたは4-ヒドロキシTEMPOから得られる誘導体も用いることができ、特に、4-ヒドロキシTEMPOの誘導体が最も好ましい。
4-ヒドロキシTEMPO誘導体としては、4-ヒドロキシTEMPOの水酸基を、炭素数4以下の直鎖または分岐状炭素鎖を有するアルコールでエーテル化して得られる誘導体、あるいはカルボン酸またはスルホン酸でエステル化して得られる誘導体が好ましい。4-ヒドロキシTEMPOをエーテル化する際には、炭素数が4以下のアルコールを用いれば、アルコール中の飽和、不飽和結合の有無にかかわらず、得られる誘導体が水溶性となり、酸化触媒として良好に機能する4-ヒドロキシTEMPO誘導体を得ることができる。
4-ヒドロキシTEMPO誘導体としては、例えば、以下の式2~式4の化合物が挙げられる。ここで、式2~4において、Rは炭素数4以下の直鎖または分岐状炭素鎖である。
Figure 2023037114000003
さらに、下記式5で表されるN-オキシル化合物のラジカル、すなわち、アザアダマンタン型ニトロキシラジカルも、短時間で均一なCNFを製造できるため、特に好ましい。ここで、式5において、R5およびR6は、独立して、水素またはC1~C6の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基である。
Figure 2023037114000004
セルロース系原料を酸化する際に用いるTEMPOや4-ヒドロキシTEMPO誘導体などのN-オキシル化合物の量は、セルロース系原料をナノファイバー化できる触媒量であれば特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロース系原料に対して、0.01~10mmol、好ましくは0.05~5mmol程度である。
セルロース系原料の酸化に用いる臭化物またはヨウ化物としては、水中で解離してイオン化可能な化合物、例えば臭化アルカリ金属やヨウ化アルカリ金属などを使用することができる。臭化物またはヨウ化物の使用量は酸化反応を促進できる範囲で選択できる。例えば、絶乾1gのセルロース系原料に対して0.1~100mmol、好ましくは0.1~10mmol、さらに好ましくは0.5~5mmol程度である。
セルロース系原料の酸化に用いる酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物など、目的の酸化反応を推進し得る酸化剤であれば、いずれの酸化剤も使用できる。中でも、生産コストの観点から、現在工業プロセスにおいて最も汎用されている安価で環境負荷の少ない次亜塩素酸ナトリウムが特に好ましい。酸化剤の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択できる。例えば、絶乾1gのセルロース系原料に対して、0.5~500mmol、好ましくは0.5~50mmol、さらに好ましくは2.5~25mmol程度である。
本発明におけるセルロース系原料の酸化は、上記のとおり、(1)4-ヒドロキシTEMPO誘導体などのN-オキシル化合物と、(2)臭化物、ヨウ化物およびこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を用いて、水中で実施することが好ましい。この方法は、温和な条件であってもセルロース系原料の酸化反応を円滑に効率良く進行させることができるため、反応温度は15~30℃程度の室温であってもよい。
反応の進行に伴ってセルロース中にカルボキシル基が生成するため、反応液のpHの低下が認められるが、酸化反応を効率良く進行させるためには水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して反応液のpHを9~12、好ましくは10~11程度に維持することが望ましい。
このようにして得た酸化処理されたセルロース系原料を、湿式微粒化処理する等によって解繊することにより、CNFを製造できる。湿式微粒化処理としては、例えば、高速せん断ミキサーや高圧ホモジナイザー等の混合、撹拌、乳化、分散装置を必要に応じて単独もしくは2種類以上組合せて用いることができる。特に、100MPa以上、好ましくは120MPa以上、さらに好ましくは140MPa以上の圧力を印加できる超高圧ホモジナイザーを用いて湿式微粒化処理を行なうとCNFを効率よく製造できる。
上記した水分散液のB型粘度は、主として湿式微粒化処理を最適化することで達成できる。例えば前述のとおりに調製した酸化セルロースの場合、超高圧ホモジナイザーを用いて、150MPaで2~4パス程度の処理を行うことで、水分散液のB型粘度を所望する範囲とすることができる。パス数が少ないと解繊が不十分となり、B型粘度を上記範囲とすることが困難であることがある。反対にパス数が多いと結晶性が低下して繊維長が短くなるため、やはりB型粘度を上記範囲とすることが困難であることがある。また、カルボキシル基の量が多いほど水分散液のB型粘度は向上する傾向にあるので、処理条件はカルボキシル基量によっても適宜調整する。
本発明においてエーテル化CNFを用いる場合、エーテル化としては、カルボキシメチル(エーテル)化、メチル(エーテル)化、エチル(エーテル)化、シアノエチル(エーテル)化、ヒドロキシエチル(エーテル)化、ヒドロキシプロピル(エーテル)化、エチルヒドロキシエチル(エーテル)化、ヒドロキシプロピルメチル(エーテル)化などが挙げられる。
本発明においてカチオン化CNFを用いる場合、カチオン化セルロースナノファイバーは、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム等のカチオン、または該カチオンを有する基を分子中に含んでいればよい。カチオン化セルロースナノファイバーは、アンモニウムを有する基を含むことが好ましく、四級アンモニウムを有する基を含むことがより好ましい。
本発明においてエステル化CNFを用いる場合、エステル化の方法は特に限定されないが、例えば、セルロース系原料にエステル化剤の粉末または水溶液を混合する方法、セルロース系原料のスラリーにエステル化剤の水溶液を添加する方法などが挙げられる。
以下、具体例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の具体例に限定されるものではない。また、本明細書において特に記載しない限り、濃度や部等は重量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
実験1.酸化セルロースナノファイバーの調製
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)5.00g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)39mg(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム514mg(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を次亜塩素酸ナトリウムが5.5mmol/gになるように添加し、室温にて酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。
反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水洗することで酸化されたパルプ(カルボキシル化セルロース)を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.6mmol/gであった。これを水で0.55%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150Mpa)で3回処理して、酸化セルロースナノファイバーの水分散液を得た。
得られた酸化セルロースナノファイバーの平均繊維径は3nm、平均繊維長は750nm、アスペクト比は250であった。この酸化セルロースナノファイバーを以降の実験に使用した。
実験2.接着剤による板紙の貼合
3層を抄き合わせた坪量280g/mの板紙を使用した。表層:中層:裏層の重量比は15:60:25であり、各層のパルプ構成は下記のとおりである。
(表層)未晒クラフトパルプ70%および古紙パルプ30%
(中層)古紙パルプ100%
(裏層)古紙パルプ100%
上記板紙の表層側にエアナイフコーターを用いてスチレン・アクリル系防水剤(Michelman社、VaporCoat2200)を10g/m塗布し、防水性塗工層を設けた製函用ライナを製造した(坪量:290g/m)。
次いで、製函用ライナを所定の大きさに切断した試験片に、下記の接着剤を線状に塗布して貼合した(塗布量:2g/m)。具体的には、同一寸法の試験片を2枚1組で用意し、下記の熱可塑性樹脂を製函用ライナの表層側にグルーガンを用いて線状に塗布後、製函用ライナの裏層を接着剤が試験片からはみ出さないように貼合した。
(接着剤A) 熱可塑性樹脂としてエチレン・酢酸ビニル共重合体を含有し、粘着付与樹脂としてテルペン樹脂を含有するホットメルト接着剤(軟化点:約80℃、メープル工房製、HB-STD)
(接着剤B) 接着剤Aに、実験1で製造した酸化セルロースナノファイバーを1%配合したホットメルト接着剤(軟化点:約80℃)
(接着剤C) 熱可塑性樹脂を含有するホットメルト接着剤(軟化点:108~118℃、東洋アドレ製、トヨメルトP-907YB-5)
(接着剤D) 酢酸ビニルエステルを含有する工作用接着剤(コニシ製、ボンド 木工用)
(接着剤E) ポリビニルアルコールを含有する液状糊(ヤマト製、アラビックヤマト)
貼合したサンプルを5℃または23℃の環境に24時間放置してから、サンプルを人力にて強制的に剥離させ、表層側の剥離面の様子から接着の強さを評価した。評価基準は下記のとおりである。
◎:強力に接着されている(強制剥離すると貼合部分全体が材破、図1上)
○:よく接着されている(強制剥離すると貼合部分の一部が材破、図1中)
△:接着性が弱い(強制剥離しても貼合部分が材破しない、図1下)
Figure 2023037114000005
上記の評価結果から明らかなように、セルロースナノファイバーを含有する本発明のホットメルト接着剤は、5℃または23℃のいずれの環境下においても紙基材を十分な接着力にて接着することができた。
実験3.段ボールの製函
実験2で製造した板紙および製函用ライナから、製函用段ボールシートを作製した。具体的には、板紙の表層側に防水性塗工層を設けた製函用ライナを表ライナ、防水性塗工層を設けていない板紙を裏ライナとして用い、防水性塗工層が段ボールの外側になるように、Aフルートの中しんを介して表ライナと裏ライナを接着した。
次いで、製函用段ボールシートから、製函機を用いてA式段ボール箱を製造した(外寸:583×383×190mm)。具体的には、グルーガンを用いてホットメルト接着剤(実験2の接着剤B)を箱側面に設けた継ぎ代部に線状に塗布し(塗布量:10g/m、塗布長190mm)、製函用段ボールシートの表ライナと裏ライナを継ぎ代部で接着した。
得られた段ボール箱について、実験2と同様にして接着部分の接着強度を評価した。すなわち、5℃の環境に24時間放置してから段ボール箱の継ぎ代部を人力にて強制的に剥離させ、剥離面の様子から接着の強さを評価した。
また、段ボール箱に、氷16kgを入れた防水袋を収容し、5℃の環境下に24時間放置後、箱圧縮強度を測定した。なお、箱圧縮強度は、内容物を箱に入れたままJIS Z 0212に準拠し、下記の手順により測定した。
1)サンプルとなる箱を圧縮試験機の中央にセットする。
2)圧縮試験機を起動し、箱上面全体に満遍なく徐々に下方向へ力を加えていく。
3)箱側面が変形、もしくは箱側面に設けた継ぎ代部が剥離した際の加重を読み取り、箱圧縮強度とする。
Figure 2023037114000006
上記の評価結果から明らかなように、本発明に基づいて製造した段ボール箱は、継ぎ代部が強力に接着されていた。すなわち、強制的に継ぎ代部を剥離した場合、材破が確認された。
また、本発明に基づいて製造した段ボール箱は、箱圧縮強度が十分に高く、実輸送において多段で棒積みした場合でも十分な強度を有していた。

Claims (8)

  1. 防水性塗工層を有する紙基材を、熱可塑性樹脂とセルロースナノファイバーを含むホットメルト接着剤によって貼合した箱。
  2. 前記セルロースナノファイバーが酸化セルロースナノファイバーを含む、請求項1に記載の箱。
  3. 前記ホットメルト接着剤に含まれるセルロースナノファイバーが3%以下である、請求項1または2に記載の箱。
  4. 前記紙基材が多層抄き板紙である、請求項1~3のいずれかに記載の箱。
  5. 前記熱可塑性樹脂が、エチレン酢酸ビニル共重合体および/またはポリオレフィン系重合体を含む、請求項1~4のいずれかに記載の箱。
  6. 前記防水性塗工層が、スチレン・アクリル系樹脂を含む、請求項1~5のいずれかに記載の箱。
  7. 防水性塗工層を有する紙基材を、熱可塑性樹脂とセルロースナノファイバーを含むホットメルト接着剤によって貼合する工程を含む、製函方法。
  8. 熱可塑性樹脂とセルロースナノファイバーを含むホットメルト接着剤で貼合して製函するための、防水性塗工層を有する紙基材。
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