JP2023034155A - 有機金属錯体とその合成方法、フィルム、有機エレクトロニクスデバイス及び有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機金属錯体とその合成方法、フィルム、有機エレクトロニクスデバイス及び有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

【課題】光学的又は電気的に優れた機能を有する有機金属錯体とその合成方法、当該有機金属錯体を含有するフィルム及び有機エレクトロニクスデバイスを提供する。【解決手段】有機金属錯体は、下記一般式(1)で表される構造を有する。TIFF2023034155000015.tif44165(式中、Mは、ナトリウム以外の金属原子又はイオンを表す。Ar1は、各々独立に、2価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、置換基を有していてもよく、縮環していてもよい。mは、0~6の自然数を表す。Ar2は、各々独立に、金属原子又はイオンMと結合している少なくとも1つの窒素原子を有する2価の芳香族複素環基を表し、置換基を有していてもよく、縮環していてもよい。nは、1~6の自然数を表す。また、m及びnは、4≦m+n≦12を満たす。)【選択図】なし

Description

本発明は、有機金属錯体とその合成方法、フィルム、有機エレクトロニクスデバイス及び有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。より詳しくは、光学的又は電子工学的に優れた機能を有する有機金属錯体とその合成方法、当該有機金属錯体を含有するフィルム及び有機エレクトロニクスデバイス、特に、駆動電圧が低下し外部取り出し効率が向上した有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することに関する。
ポルフィリン、マクロライド、クラウンエーテル等の概ね10個以上の原子からなる環状構造を持つ有機化合物は、大員環化合物と呼ばれ、一部は、環状構造の中心において金属原子又はイオンと配位し、錯体を形成することができる。
このような大員環化合物を配位子とする有機金属錯体は、光学的又は電子工学的に優れた機能を有するものが多く、さまざまな分野で利用されている。例えば、フタロシアニンは、立体障害の少ない平面構造をとるため、分子全体にπ電子共役系が広がっており、銅との錯体においては、色合いに優れ鮮明で、耐久性に優れることから、青色の有機顔料、記録媒体としてのCD-R、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機トランジスタ等に幅広く利用されている。
このような大員環化合物は、特異な構造に由来してさまざまな機能を有しており、幅広い分野での利用が期待されている一方、簡便でかつ効率的な製造(合成)方法は限られている。このため、大員環化合物及び大員環化合物を配位子とする有機金属錯体の、簡便でかつ効率的な製造方法については、研究・開発が重ねられてきた。
非特許文献1では、6つのピリジンが単結合により結合した環状化合物の合成方法について記載されている。しかし、当該合成方法では、結合した6つのピリジンの両末端を選択的に結合させる方法については記載されておらず、環状化合物の収率は極めて低かった。
非特許文献2及び3についても、選択的に環状化合物を合成する方法については、記載されておらず、環状化合物の収率は極めて低かった。また、非特許文献2に記載の技術は、中心の金属原子又はイオンがナトリウムの場合についてのみ用いることができ、その他の金属種を用いる技術については更に検討する余地があった。
Newkome,G.R.et al.J.Am.Chem.Soc.1983,105,5956. Toner,J.L.Tetrahedron Lett.1983.24.2707. Bell,T.W.et al.J.Am.Chem.Soc.1986,108,8109
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、光学的又は電子工学的に優れた機能を有する有機金属錯体とその合成方法、当該有機金属錯体を含有するフィルム及び有機エレクトロニクスデバイス、特に、駆動電圧が低下し外部取り出し効率が向上した有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする有機金属錯体において、光学的又は電気的に優れた機能を有することを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.下記一般式(1)で表される構造を有する
ことを特徴とする有機金属錯体。
Figure 2023034155000001
(式中、Mは、ナトリウム以外の金属原子又はイオンを表す。Arは、各々独立に、2価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、置換基を有していてもよく、縮環していてもよい。mは、0~6の自然数を表す。mが、2~6の自然数を表す場合、m個のArは、全て同じでも、全て異なっていてもよい。Arは、各々独立に、金属原子又はイオンMと結合している少なくとも1つの窒素原子を有する2価の芳香族複素環基を表し、置換基を有していてもよく、縮環していてもよい。nは、1~6の自然数を表す。nが2~6の自然数を表す場合、n個のArは、全て同じでも、全て異なっていてもよい。また、m及びnは、4≦m+n≦12を満たす。なお、m個のAr及びn個のArの結合順序は、特に制限されない。)
2.前記有機金属錯体が、下記一般式(2)で表される構造を有する
ことを特徴とする第1項に記載の有機金属錯体。
Figure 2023034155000002
(式中、Mは、ナトリウム以外の金属原子又はイオンを表す。Arは、各々独立に、金属原子又はイオンMと結合している少なくとも1つの窒素原子を有する2価の芳香族複素環基を表し、置換基を有していてもよく、縮環していてもよい。nは、4~8の自然数を表し、n個のArは、全て同じでも、全て異なっていてもよい。)
3.前記有機金属錯体が、下記一般式(3)で表される構造を有する
ことを特徴とする第2項に記載の有機金属錯体。
Figure 2023034155000003
(式中、R~Rは、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。M及びnは、それぞれ、一般式(2)におけるM及びnと同義である。なお、nは、4~8の自然数を表し、n個のR~Rは、全て同じでも、全て異なっていてもよい。)
4.第1項から第3項までのいずれか一項に記載の有機金属錯体を合成する有機金属錯体の合成方法であって、
金属原子又はイオン共存下で、カップリング反応により、配位子を環状化する工程を有する
ことを特徴とする有機金属錯体の合成方法。
5.第1項から第3項までのいずれか一項に記載の有機金属錯体を含有する
ことを特徴とするフィルム。
6.第1項から第3項までのいずれか一項に記載の有機金属錯体を含有する有機機能層を有する
ことを特徴とする有機エレクトロニクスデバイス。
7.第1項から第3項までのいずれか一項に記載の有機金属錯体を含有する有機機能層を有する
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
本発明の上記手段により、光学的又は電子工学的に優れた機能を有する有機金属錯体とその合成方法、当該有機金属錯体を含有するフィルム及び有機エレクトロニクスデバイス、特に、駆動電圧が低下し外部取り出し効率が向上した有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
大員環化合物は、優れた機能を有するものが多く、幅広い分野での利用が期待されている一方、簡便でかつ効率的な製造(合成)方法は限られている。このため、大員環化合物の、簡便でかつ効率的な製造方法については、研究・開発が重ねられてきた。
一般的に、大員環化合物を合成する際の環状化反応は、環状化させたい反応点同士が出会う確率が低いため、反応物が鎖状に結合した化合物が生成しやすく、環状の化合物は生成しづらい。環状化合物の収率を向上させる方法としては、後述する高度希釈法が用いられるが、大量の溶媒を必要とするため、技術的・コスト的負荷が大きい。
本発明者が検討を重ねたところ、後述する鋳型反応を用いることにより、技術的・コスト的負荷を抑えつつ、高い収率で環状化合物が合成できることがわかった。また、この鋳型反応を用いることにより、大員環化合物を配位子とする有機金属錯体が形成されるが、この有機金属錯体は、光学的又は電子工学的に優れた機能を有することがわかった。さらに、ここで形成される有機金属錯体の金属種は、鋳型反応に用いられる特定の金属種であるが、大員環化合物を合成した後、中心の金属種を入れ替えることによって、その他の金属種を用いた有機金属錯体を合成できることがわかった。
有機EL素子の構成の一例を示す模式図 有機EL素子中での電荷の流れと発光のメカニズム示す模式図 バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子からなる太陽電池の一例を示す模式図
本発明の有機金属錯体は、上記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする。
この特徴は、下記実施形態に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施形態としては、本発明の効果発現の観点から、前記有機金属錯体が、上記一般式(2)で表される構造を有することが好ましく、さらに、上記一般式(3)で表される構造を有することが好ましい。
本発明の有機金属錯体の合成方法は、金属原子又はイオン共存下で、カップリング反応により、配位子を環状化する工程を有することを特徴とする。
また、本発明の有機金属錯体は、好適にフィルムに含有される。
さらに、本発明の有機金属錯体は、有機エレクトロニクスデバイスや有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する有機機能層に好適に含有される。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪本発明の有機金属錯体の概要≫
本発明の有機金属錯体は、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする。
Figure 2023034155000004
(式中、Mは、ナトリウム以外の金属原子又はイオンを表す。Arは、各々独立に、2価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、置換基を有していてもよく、縮環していてもよい。mは、0~6の自然数を表す。mが、2~6の自然数を表す場合、m個のArは、全て同じでも、全て異なっていてもよい。Arは、各々独立に、金属原子又はイオンMと結合している少なくとも1つの窒素原子を有する2価の芳香族複素環基を表し、置換基を有していてもよく、縮環していてもよい。nは、1~6の自然数を表す。nが2~6の自然数を表す場合、n個のArは、全て同じでも、全て異なっていてもよい。また、m及びnは、4≦m+n≦12を満たす。なお、m個のAr及びn個のArの結合順序は、特に制限されない。)
本発明において、「錯体」とは、1つの原子又はイオンを中心として、その周りにいくつかの他の原子、イオン、分子又は原子団(これらを「配位子」という。)が、方向性をもって立体的に結合してつくる1つの原子集団のことをいう。なお、結合は、上記一般式(1)において、金属原子又はイオンMとArとをつなぐ点線で表される。
錯体の中でも、中心の原子又はイオンが金属原子又はイオンである場合を、「金属錯体」といい、さらに、配位子が有機化合物である場合を、「有機金属錯体」という。
本発明の有機金属錯体は、Ar及びAr、又はArのみにより構成される大員環化合物と金属原子又はイオンMが結合して形成される。詳しくは、上記一般式(1)の点線で示すとおり、Ar中の1つの窒素原子が金属原子又はイオンMと結合する。この結合の仕組みは断定できないが、配位結合により結合していると考えられる。なお、Ar中の原子と金属原子又はイオンMは、結合していても結合していなくてもよい。
「配位結合」とは、結合を形成する2つの原子の一方からのみ結合電子が分子軌道に提供される化学結合のことをいう。本発明においては、Ar中の1つの窒素原子の非共有電子対が提供され、金属原子又はイオンMと配位結合すると考えられる。
本発明の有機金属錯体において、配位子である大員環化合物は環状構造を有し、金属原子又はイオンMと配位結合するAr中の1つの窒素原子は、環状構造の内側に位置する。窒素原子が環状構造の内側に位置することにより、環状構造の中心において金属原子又はイオンが配位しやすくなる。
本発明に係る大員環化合物は、上記一般式(1)の曲線で示すとおり、m個のAr及びn個のArが、それぞれ、一か所の単結合により相互に結合した構造であり、そのうち、Arが、金属原子又はイオンMとの配位結合に寄与する。また、Arにおいて、窒素原子は2つ以上含まれていてもよいが、そのうち1つのみが金属原子又はイオンMとの配位結合に寄与する。そのため、大員環化合物と金属原子又はイオンMとの配位結合数はnであり、nは1~6の自然数をとり得ることから、本発明の有機金属錯体における配位結合数は、1~6の範囲内である。配位結合数を変化させることにより、本発明の有機金属錯体の特性が変化する。
一例として、金属原子又はイオンMがNiである場合を考える。金属原子又はイオンの配位数はそれぞれの金属に固有のものであり、Niについては、配位数4又は6をとり得る。配位数が4である場合には、4つの配位結合が全て平面上にあるため、大員環化合物と4つの配位結合を有することが、安定性の観点から好ましい。また、配位数が6である場合には、大員環化合物と4つの配位結合を有し、さらに、他の配位子と2つの配位結合を有していることが、安定性の観点から好ましい。
なお、金属原子又はイオンMの配位数は限定されず、後述の本発明の有機金属錯体の製造方法で示すMO-9のように、大員環化合物と5つの配位結合を有し、さらに2つの塩化物イオンと配位結合を有してもよい。
本発明の有機金属錯体における配位結合数は、Ar及びArの種類、並びに、中心の金属原子又はイオンの種類によって選択され得る。
m及びnは、4≦m+n≦12を満たす。m+nの値が3以下であると、環状構造を形成できない、又は、環状構造を形成できても環の中心の空孔に金属原子又はイオンが入り込めず、有機金属錯体を形成できない。また、m+nの値が13以上であると、空孔が大きくなりすぎてしまい、金属原子又はイオンMと窒素原子との距離が大きくなるため、配位結合しづらくなる。
m及びnは、4≦m+n≦8であることが好ましく、5≦m+n≦6であることがより好ましい。m+nの値が、上記範囲内であることにより、大員環化合物が立体障害の少ない平面構造となるため、分子全体にπ電子共役系が広がりやすくなる。また、空孔の大きさが小さすぎたり大きすぎたりしないため、金属原子又はイオンMと窒素原子が配位結合しやすい。
Arは、各々独立に、2価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、置換基を有していてもよく、縮環していてもよい。Arは、金属原子又はイオンMとは、結合していても結合していなくてもよい。また、mは、0~6の自然数を表す。mが、2~6の自然数を表す場合、m個のArは、全て同じでも、全て異なっていてもよい。
「2価の芳香族炭化水素基(「アリーレン基」ともいう。)」とは、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた2価の基、及び当該2価の基からなる群から選ばれる複数個(例えば、2~5個)が結合した2価の基のことをいう。2価の芳香族炭化水素基の炭素原子数は、通常、6~60であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。
2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、ナフタレン-ジイル基、アントラセン-ジイル基、フェナントレン-ジイル基、ジヒドロフェナントレン-ジイル基、ナフタセン-ジイル基、フルオレン-ジイル基、ピレン-ジイル基、ペリレン-ジイル基、クリセン-ジイル基等が挙げられる。
また、「2価の芳香族複素環基」とは、芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基、及び当該2価の基からなる群から選ばれる複数(例えば、2~4個)が結合した2価の基のことをいう。
2価の芳香族複素環基(「ヘテロアリーレン基」ともいう。)としては、例えば、ピリジレン基(ピリジン-ジイル基)、ピリダジン-ジイル基、イミダゾール-ジイル基、チエニレン(チオフェン-ジイル基)、キノリレン基(キノリン-ジイル基)、イソキノリレン基(イソキノリン-ジイル基)、オキサゾール-ジイル基、チアゾール-ジイル基、オキサジアゾール-ジイル基、ベンゾチアゾール-ジイル基、ベンゾチアジアゾール-ジイル基、フタルイミド-ジイル基、チエノチアゾール-ジイル基、チアゾロチアゾール-ジイル基、チエノチオフェン-ジイル基、チエノオキサゾール-ジイル基、ジベンゾフラン-ジイル基、ジベンゾチオフェン-ジイル基、カルバゾール-ジイル基などが挙げられる。
これらの芳香族基(芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基)は、任意の位置に置換基を有していても良い。
置換基としては、例えば、フェニル基、ピリジル基、ピロール基、チエニル基、フリル基、イミダゾリル基、ピリミジル基、ピラジル基、ピリダジル基、トリアジニル基などの芳香族基、及びそれらがさらに縮合した縮合芳香族基(例えば、ナフチル基、キノリル基、イミダゾリル基、インドロイミダゾリル基、イミダゾイミダゾリル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、アザジベンゾフリル基、ベンズイミダゾリル基、キナゾリル基、ベンゾピラジニル基、など)、アルキル、分岐アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニルなどの脂肪族基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、カルボニル基、アシル基、エステル基、ウレイド基、ウレタン基、などの置換基、フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子などが挙げられ、中でも、芳香族基(縮合体を含む)、脂肪族基、シアノ基、アルコキシ基、フッ素原子であることが好ましい。
Arは、各々独立に、金属原子又はイオンMと結合している少なくとも1つの窒素原子を有する2価の芳香族複素環基を表し、置換基を有していてもよく、縮環していてもよい。nは、1~6の自然数を表す。nが2~6の自然数を表す場合、n個のArは、全て同じでも、全て異なっていてもよい。
したがって、Arは、上記2価の芳香族複素環基のうち、窒素原子を有するものであり、例えば、ピリジレン基(ピリジン-ジイル基)、ピリダジン-ジイル基、イミダゾール-ジイル基、キノリレン基(キノリン-ジイル基)、イソキノリレン基(イソキノリン-ジイル基)、オキサゾール-ジイル基、チアゾール-ジイル基、オキサジアゾール-ジイル基、ベンゾチアゾール-ジイル基、ベンゾチアジアゾール-ジイル基、フタルイミド-ジイル基、チエノチアゾール-ジイル基、チアゾロチアゾール-ジイル基、チエノオキサゾール-ジイル基、カルバゾール-ジイル基などが挙げられる。
金属原子又はイオンMとしては、ナトリウム以外であれば特に制限されず、例えば、Li、K、Mg、Ca、Sr、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Pd、Ag、Rh、Pt、Au、La、Ce、Er、及びそのイオンなどが挙げられ、中でも、Pd、Pt、Ag、Ni、Au、Rh、Ir、Co、Cu、及びそのイオン等が挙げられる。
金属原子又はイオンMは、特に制限されないが、大員環化合物の空孔の大きさによって、配位できる金属が選択される。また、形成される有機金属錯体の特性は、配位する金属によって、大きく変化する。
以下に、本発明の有機金属錯体の例を示す。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記化学構造式において、Ar中の1つの窒素原子と金属原子又はイオンMとの結合を点線で表し、Ar中の原子と金属原子又はイオンとの結合を実線で表す。また、MO-20のRにおける*印は、Eu原子との結合箇所を表す。
Figure 2023034155000005
Figure 2023034155000006
Figure 2023034155000007
≪本発明の有機金属錯体の製造方法≫
本発明の有機金属錯体の製造(合成)方法は、金属原子又はイオン共存下で、カップリング反応により、配位子を環状化する工程を有することを特徴とする。
また、本発明の有機金属錯体の製造方法は、1)金属原子又はイオン共存下で、カップリング反応により、配位子を環状化する工程、に加え、必要に応じて、2)中心の金属原子又はイオンを入れ替える工程を有する。
通常、大員環化合物を合成しようとすると、環状化させたい反応点同士が出会う確率が低いため、反応物が鎖状に結合した化合物が生成しやすく、環状化合物は生成しづらい。そのため、溶媒を通常よりも非常に大量に用いることで、環状化させたい反応点同士が出会う確率を相対的に上げ、環状化合物の収率を向上させる方法(高度希釈法)が用いられる。しかし、大量の溶媒を必要とするため、技術的・コスト的負荷が大きい。
本発明の有機金属錯体は、このような高度希釈法を用いずとも、鋳型反応下においてカップリング反応を生じさせることにより、環状化合物を高い収率で合成することができる。
「鋳型反応」とは、有機化合物の合成方法において、金属原子又はイオンを共存させることにより、反応物が金属原子又はイオンと配位結合し、環状化に都合の良い位置状態で合成が進行する反応のことをいう。本発明においては、上記一般式(1)におけるAr中の1つの窒素原子の非共有電子対が提供され、金属原子又はイオンMと配位結合すると考えられる。
しかし、鋳型反応は、Ni、Pd等の特定の金属原子又はイオン共存下でのみ生じるため、Ni、Pd等の金属原子又はイオン共存下で、カップリング反応により、配位子を環状化した後、中心の金属原子又はイオンを入れ替えることによって、その他の金属原子又はイオンを用いた有機金属錯体を合成することができる。
以下、本発明の有機金属錯体の製造方法の一例について説明する。
Figure 2023034155000008
(金属原子又はイオン共存下で、カップリング反応により、配位子を環状化する工程)
2,2’-ビピリジル(23.4g、150.0mmol)、1,5-シクロオクタジエン(18.4mL、150.0mmol)、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)(41.3g、150.0mmol)に、DMF(62.5mL)とトルエン(62.5mL)を加え、80℃で30分間撹拌した。化合物2(3.78g、15.0mmol)のトルエン溶液(250mL)を、1時間かけて混合物に滴下して加え、80℃でさらに16時間撹拌を続けた。反応混合物を室温まで冷まし、2Mの塩酸(300mL)を加え、空気下で一晩激しく撹拌した。CHCl(400mL×3)で抽出し、有機層を飽和食塩水(200mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させた後、真空で濃縮した。粗生成物をシリカゲルショートパス(溶離液:CHCl:MeOH=20:1)に通し、さらに、GPC(YMC T30000、T4000、T2000カラム、溶媒:CHCl)で精製することで、化合物MO-9を黄色の固体として収率57%で得た(1.77g、1.71mmol)。なお、質量分析(MALDI-TOF MS)により、生成物が化合物MO-9であることがわかった。
(中心の金属原子又はイオンを入れ替える工程)
実施例1と同様に、2,2’-ビピリジル、1,5-シクロオクタジエン、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)のDMF/トルエン溶液に10当量のCuCl(14.9g、150mmol)を加えた以外は全く同様にして、合成を行うことにより、銅錯体MO-11が生成した。なお、質量分析により、生成物が化合物MO-11であることがわかった。
≪本発明のフィルム≫
本発明の有機金属錯体は、光学的又は電子工学的に優れた機能を有しており、フィルム化することにより様々な用途に応用でき、例えば、光るプラスチック、ディスプレイの発光色制御フィルム、感温シートなどが挙げられる。本発明の有機金属錯体は、環状の配位子を用いることで熱力学的安定性を利用できるため、錯体の安定性が高く、特に、ディスプレイ用カラーフィルターに有用である。
本発明のフィルムの厚さは、特に制限されないが、10~1500μmの範囲内であることが好ましく、20~1000μmの範囲内であることがより好ましい。
本発明のフィルムは、剥離層を有する基板上に単層フィルムとして形成し、剥離してもよい。また、基板上に形成し、各種の機能層を有する積層フィルムとしてもよい。
本発明のフィルムは、プラスチック材料に有機金属錯体を配合させて作製することができる。有機金属錯体の配合量は、プラスチック材料の総質量に対して、1~50質量%の範囲内であることが好ましい。プラスチック材料としては、特に制限されず、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、尿素樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。
フィルムの作製方法は、特に制限されず、従来公知の方法で作製できる。なお、後述の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法における、有機機能層の形成工程に記載の方法を用いてもよい。
また、配位子である大員環化合物を重合させて、フィルムを作製することもできる。大員環化合物を重合させる方法については、公知の合成方法(非特許文献:高分子化学 合成編、中條善樹他著、丸善出版、2010年6月発行)に記載の方法を利用できる。例えば分子内にあらかじめビニル基やエポキシ基等の重合性置換基を導入し、その連鎖重合により重合体を得る方法や、分子内にハロゲン置換基(「ハロゲノ基」ともいう。)を導入し、その脱ハロゲン化により縮重合を行う方法がある。
≪本発明の有機エレクトロニクスデバイス≫
本発明の有機エレクトロニクスデバイスは、本発明の有機金属錯体を含有する有機機能層を有することを特徴とする。本発明の有機金属錯体は、光学的又は電子工学的に優れた機能を有しており、有機機能層を構成する材料として使用することにより、有機エレクトロニクスデバイスの性能が向上し得る。
有機エレクトロニクスデバイスとしては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機太陽電池、有機トランジスタ等が挙げられる。以下、有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機太陽電池について説明する。
[有機エレクトロルミネッセンス素子]
本発明の有機エレクトロニクスデバイスは、本発明の有機金属錯体を含有する有機機能層を有することを特徴とする。本発明の有機金属錯体は、光学的又は電子工学的に優れた機能を有しており、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう。)の材料として好適に用いることができる。
本発明の有機金属錯体を用いて製造される有機EL素子における代表的な素子構成としては、以下の構成を挙げることができる。中でも、(vii)の構成が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。
(i)陽極/発光層/陰極
(ii)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(v)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(vi)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(vii)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/(電子阻止層/)発光層/(正孔阻止層/)電子輸送層/電子注入層/陰極
本発明の有機EL素子において、発光層は単層又は複数層で構成されており、発光層が複数の場合は各発光層の間に非発光性の中間層を設けてもよい。必要に応じて、発光層と陰極との間に正孔阻止層(「正孔障壁層」ともいう。)や電子注入層(「陰極バッファー層」ともいう。)を設けてもよく、また、発光層と陽極との間に電子阻止層(「電子障壁層」ともいう。)や正孔注入層(「陽極バッファー層」ともいう。)を設けてもよい。
本発明に係る電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層であり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。また、複数層で構成されていてもよい。
本発明に係る正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層であり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。また、複数層で構成されていてもよい。上記の代表的な素子構成において、陽極と陰極を除いた層を「有機機能層」という。
本発明の有機EL素子は、上記有機金属錯体を含有する有機機能層を有する。すなわち、上記有機金属錯体は、(i)~(vii)に挙げる構成において、陽極及び陰極以外のどの層に含有されていてもよい。
図1は、有機EL素子の構成の一例であり、(vi)に挙げる構成に対応する模式図である。図1では、正孔注入層4、正孔輸送層5、発光層6及び電子輸送層7が有機機能層Fである。
図2は、有機EL素子中での電荷の流れと発光のメカニズム示す模式図である。有機EL素子1に電圧を印加すると、陰極9から電子注入層8に電子(e)が、陽極3から正孔注入層4に正孔(h)が注入される。
続いて電子及び正孔は、電極とは反対側の隣接有機層である、電子輸送層7、正孔輸送層5にそれぞれ輸送される。
最後に発光層6において出会った電子と正孔が再結合Rして励起子が生じ、これらが励起状態から基底状態に戻るときに放出する光(蛍光・リン光)Lを利用した発光素子が、有機EL素子である。図2では、正孔注入層4から電子注入層8までが有機機能層Fである。
また、本発明の有機EL素子は、少なくとも一層の発光層を含む発光ユニットを複数積層した、いわゆるタンデム構造の素子であってもよい。タンデム構造においても、陽極と陰極を除いた層全体を「有機機能層」という。
タンデム構造の代表的な素子構成としては、例えば以下の構成を挙げることができる。
陽極/第1発光ユニット/第2発光ユニット/第3発光ユニット/陰極
陽極/第1発光ユニット/中間層/第2発光ユニット/中間層/第3発光ユニット/陰極
ここで、上記第1発光ユニット、第2発光ユニット及び第3発光ユニットは全て同じであっても、異なっていてもよい。また、二つの発光ユニットが同じであり、残る一つが異なっていてもよい。さらに、第3発光ユニットはなくてもよく、一方で第3発光ユニットと電極の間にさらに発光ユニットや中間層を設けてもよい。
複数の発光ユニットは直接積層されていても、中間層を介して積層されていてもよく、中間層は、一般的に中間電極、中間導電層、電荷発生層、電子引抜層、接続層、中間絶縁層とも呼ばれ、陽極側の隣接層に電子を、陰極側の隣接層に正孔を供給する機能を持った層であれば、公知の材料及び構成を用いることができる。
中間層に用いられる材料としては、特に制限されず、例えば、ITO(インジウム・スズ酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ZnO、TiN、ZrN、HfN、TiO、VO、CuI、InN、GaN、CuAlO、CuGaO、SrCu、LaB、RuO、Al等の導電性無機化合物層や、Au/Bi等の二層膜や、SnO/Ag/SnO、ZnO/Ag/ZnO、Bi/Au/Bi、TiO/TiN/TiO、TiO/ZrN/TiO等の多層膜、また、C60等のフラーレン類、オリゴチオフェン等の導電性有機物層、金属フタロシアニン類、無金属フタロシアニン類、金属ポルフィリン類、無金属ポルフィリン類等の導電性有機化合物層等が挙げられる。
発光ユニット内の好ましい構成としては、特に制限されず、例えば、上記の代表的な素子構成で挙げた(i)~(vii)の構成から、陽極と陰極を除いたもの等が挙げられる。
タンデム型有機EL素子の具体例としては、特に制限されず、例えば、米国特許第6337492号明細書、米国特許第7420203号明細書、米国特許第7473923号明細書、米国特許第6872472号明細書、米国特許第6107734号明細書、米国特許第6337492号明細書、国際公開第2005/009087号、特開2006-228712号公報、特開2006-24791号公報、特開2006-49393号公報、特開2006-49394号公報、特開2006-49396号公報、特開2011-96679号公報、特開2005-340187号公報、特許第4711424号公報、特許第3496681号公報、特許第3884564号公報、特許第4213169号公報、特開2010-192719号公報、特開2009-076929号公報、特開2008-078414号公報、特開2007-059848号公報、特開2003-272860号公報、特開2003-045676号公報、国際公開第2005/094130号等に記載の素子構成や構成材料等が挙げられる。
<1 有機エレクトロルミネッセンス素子の構成要素>
以下、本発明の有機EL素子を構成する各層について説明する。
(発光層)
「発光層」とは、電極又は隣接層から注入されてくる電子及び正孔が再結合し、励起子を経由して発光する場を提供する層のことをいう。発光する部分は発光層の層内であっても、発光層と隣接層との界面であってもよい。
また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。この場合、各発光層間には非発光性の中間層を有していることが好ましい。本発明に係る発光層は、本発明で規定する要件を満たしていれば、その構成は特に制限されない。
発光層の厚さの総和は、特に制限されないが、形成する層の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、かつ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2nm~5μmの範囲内であることが好ましく、2~500nmの範囲内であることがより好ましく、5~200nmの範囲内であることが更に好ましい。なお、発光層間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層の厚さも、発光層の厚さの総和に含まれる。
発光層には、発光ドーパント(以下、「発光性ドーパント化合物」、「ドーパント化合物」、単に「ドーパント」ともいう。)と、ホスト化合物(以下、「マトリックス材料」、「発光ホスト化合物」、単に「ホスト」ともいう。)と、を含有することが好ましく、発光性材料より発光させることが好ましい。
(1)発光ドーパント
発光ドーパントとしては、蛍光発光性ドーパント(以下、「蛍光ドーパント」又は「蛍光性化合物」ともいう。)と、リン光発光性ドーパント(以下、「リン光ドーパント」又は「リン光性化合物」ともいう。)が好ましく用いられる。本発明においては、特に、リン光発光性ドーパント、又は、蛍光発光性ドーパントの中でも、熱活性型遅延蛍光発光性化合物(Thermally Activated Delayed Fluorescence:TADF)を用いることが好ましい。
発光層における発光ドーパントの濃度は、使用する特定のドーパント及びデバイスの必要条件に基づいて、任意に決定することができ、発光層の厚さ方向に対し、均一な濃度で含有されていてもよく、また任意の濃度分布を有していてもよい。
また、発光ドーパントは、複数種を併用して用いてもよく、構造の異なるドーパント同士の組み合わせや、蛍光発光性ドーパントとリン光発光性ドーパントとを組み合わせて用いてもよい。これにより、任意の発光色を得ることができる。
有機EL素子の発光色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS-1000(コニカミノルタ(株)製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
本発明においては、一層又は複数層の発光層が、発光色の異なる複数の発光ドーパントを含有し、白色発光を示すことも好ましい。
白色を示す発光ドーパントの組み合わせについては特に制限されないが、例えば青と橙や、青と緑と赤との組み合わせ等が挙げられる。
本発明における白色とは、特に制限されず、橙色寄りの白色であっても青色寄りの白色であってもよいが、2度視野角正面輝度を上記の方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がx=0.39±0.09、y=0.38±0.08の領域内にあることが好ましい。
(1.1)リン光発光性ドーパント
本発明に係るリン光発光性ドーパント(以下、「リン光ドーパント」ともいう。)について説明する。
リン光ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係るリン光ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光ドーパントの発光は、原理としては二種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光ドーパントに移動させることでリン光ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型である。もう一つはリン光ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光ドーパント上でキャリアの再結合が起こりリン光ドーパントからの発光が得られるというキャリアトラップ型である。いずれの場合においても、リン光ドーパントの励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
本発明においては、リン光ドーパントとして、上記有機金属錯体(上記一般式(1)で表される構造を有する有機金属錯体)を用いることができる。中でも、中心の金属原子又はイオンMが、Ir又はPtである有機金属錯体であることが好ましい。
上記金属錯体の他に、有機EL素子の発光層に使用される公知のリン光ドーパントを用いることができる。また、上記金属錯体と公知のリン光ドーパントを併用してもよい。公知のリン光ドーパントの具体例としては、以下の文献に記載されている化合物等が挙げられる。
Nature 395,151(1998)、Appl.Phys.Lett.78,1622(2001)、Adv.Mater.19,739(2007)、Chem.Mater.17,3532(2005)、Adv.Mater.17,1059(2005)、国際公開第2009/100991号、国際公開第2008/101842号、国際公開第2003/040257号、米国特許公開第2006/835469号明細書、米国特許公開第2006/0202194号明細書、米国特許公開第2007/0087321号明細書、米国特許公開第2005/0244673号明細書、Inorg.Chem.40,1704(2001)、Chem.Mater.16,2480(2004)、Adv.Mater.16,2003(2004)、Angew.Chem.Int.Ed.2006,45,7800、Appl.Phys.Lett.86,153505(2005)、Chem.Lett.34,592(2005)、Chem.Commun.2906(2005)、Inorg.Chem.42,1248(2003)、国際公開第2009/050290号、国際公開第2002/015645号、国際公開第2009/000673号、米国特許公開第2002/0034656号明細書、米国特許第7332232号明細書、米国特許公開第2009/0108737号明細書、米国特許公開第2009/0039776号明細書、米国特許第6921915号明細書、米国特許第6687266号明細書、米国特許公開第2007/0190359号明細書、米国特許公開第2006/0008670号明細書、米国特許公開第2009/0165846号明細書、米国特許公開第2008/0015355号明細書、米国特許第7250226号明細書、米国特許第7396598号明細書、米国特許公開第2006/0263635号明細書、米国特許公開第2003/0138657号明細書、米国特許公開第2003/0152802号明細書、米国特許第7090928号明細書、Angew.Chem.Int.Ed.47,1(2008)、Chem.Mater.18,5119(2006)、Inorg.Chem.46,4308(2007)、Organometallics23,3745(2004)、Appl.Phys.Lett.74,1361(1999)、国際公開第2002/002714号、国際公開第2006/009024号、国際公開第2006/056418号、国際公開第2005/019373号、国際公開第2005/123873号、国際公開第2007/004380号、国際公開第2006/082742号、米国特許公開第2006/0251923号明細書、米国特許公開第2005/0260441号明細書、米国特許第7393599号明細書、米国特許第7534505号明細書、米国特許第7445855号明細書、米国特許公開第2007/0190359号明細書、米国特許公開第2008/0297033号明細書、米国特許第7338722号明細書、米国特許公開第2002/0134984号明細書、米国特許第7279704号明細書、米国特許公開第2006/098120号明細書、米国特許公開第2006/103874号明細書、国際公開第2005/076380号、国際公開第2010/032663号、国際公開第2008/140115号、国際公開第2007/052431号、国際公開第2011/134013号、国際公開第2011/157339号、国際公開第2010/086089号、国際公開第2009/113646号、国際公開第2012/020327号、国際公開第2011/051404号、国際公開第2011/004639号、国際公開第2011/073149号、米国特許公開第2012/228583号明細書、米国特許公開第2012/212126号明細書、特開2012-069737号公報、特開2012-195554号公報、特開2009-114086号公報、特開2003-81988号公報、特開2002-302671号公報、特開2002-363552号公報等である。
(1.2)蛍光発光性ドーパント
本発明に係る蛍光発光性ドーパント(以下、「蛍光ドーパント」ともいう)について説明する。
蛍光ドーパントは、励起一重項からの発光が可能な化合物であり、励起一重項からの発光が観測される限り特に限定されない。
本発明においては、蛍光ドーパントとして、上記有機金属錯体(上記一般式(1)で表される構造を有する有機金属錯体)を用いることができる。中でも、中心の金属原子又はイオンMが、Cu又はEuである有機金属錯体であることが好ましい。
上記金属錯体の他に、有機EL素子の発光層に使用される公知の蛍光ドーパントを用いることができる。また、上記金属錯体と公知の蛍光ドーパントを併用してもよい。公知の蛍光ドーパントの具体例としては、以下の文献に記載されている化合物等が挙げられる。
本発明に係る蛍光ドーパントとしては、例えば、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、ペリレン誘導体、フルオレン誘導体、アリールアセチレン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、スチリルアミン誘導体、アリールアミン誘導体、ホウ素錯体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、シアニン誘導体、クロコニウム誘導体、スクアリウム誘導体、オキソベンツアントラセン誘導体、フルオレセイン誘導体、ローダミン誘導体、ピリリウム誘導体、ペリレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、又は、希土類錯体系化合物等が挙げられる。
また、熱活性型遅延蛍光発光性化合物を用いてもよい。具体例としては、例えば、国際公開第2011/156793号、特開2011-213643号公報、特開2010-93181号公報等に記載の化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
(2)ホスト化合物
本発明に係るホスト化合物は、発光層において主に電荷の注入及び輸送を担う化合物であり、有機EL素子においてそれ自体の発光は実質的に観測されない。室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物であることが好ましく、リン光量子収率が0.01未満の化合物であることがより好ましい。
ホスト化合物の含有量は、発光層に含有される化合物の全質量に対して、20質量%以上であることが好ましい。なお、ホスト化合物の励起状態エネルギーは、同一層内に含有される発光ドーパントの励起状態エネルギーよりも高いことが好ましい。
本発明においては、ホスト化合物として、上記有機金属錯体(上記一般式(1)で表される構造を有する有機金属錯体)を用いることができる。中でも、中心の金属原子又はイオンMがIrである有機金属錯体であることが好ましい。
上記金属錯体の他に、有機EL素子の発光層に使用される公知のホスト化合物を用いることができる。また、上記金属錯体と公知のホスト化合物を併用してもよい。
ホスト化合物は、低分子化合物でも、繰り返し単位を有する高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような反応性基を有する化合物でもよい。ホスト化合物は、単独で用いてもよく、又は複数種併用してもよい。ホスト化合物を複数種併用することで、電荷の移動を調整することができ、有機EL素子を高効率化することができる。
また、正孔輸送能又は電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化を防ぎ、さらに、有機EL素子を高温駆動時や素子駆動中の発熱に対して安定して動作させる観点から、ホスト化合物は、高いガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。好ましくはTgが90℃以上であり、より好ましくは120℃以上である。ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Calorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS-K-7121に準拠した方法により求められる値である。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
特開2001-257076号公報、特開2002-308855号公報、特開2001-313179号公報、特開2002-319491号公報、特開2001-357977号公報、特開2002-334786号公報、特開2002-8860号公報、特開2002-334787号公報、特開2002-15871号公報、特開2002-334788号公報、特開2002-43056号公報、特開2002-334789号公報、特開2002-75645号公報、特開2002-338579号公報、特開2002-105445号公報、特開2002-343568号公報、特開2002-141173号公報、特開2002-352957号公報、特開2002-203683号公報、特開2002-363227号公報、特開2002-231453号公報、特開2003-3165号公報、特開2002-234888号公報、特開2003-27048号公報、特開2002-255934号公報、特開2002-260861号公報、特開2002-280183号公報、特開2002-299060号公報、特開2002-302516号公報、特開2002-305083号公報、特開2002-305084号公報、特開2002-308837号公報、米国特許公開第2003/0175553号明細書、米国特許公開第2006/0280965号明細書、米国特許公開第2005/0112407号明細書、米国特許公開第2009/0017330号明細書、米国特許公開第2009/0030202号明細書、米国特許公開第2005/0238919号明細書、国際公開第2001/039234号、国際公開第2009/021126号、国際公開第2008/056746号、国際公開第2004/093207号、国際公開第2005/089025号、国際公開第2007/063796号、国際公開第2007/063754号、国際公開第2004/107822号、国際公開第2005/030900号、国際公開第2006/114966号、国際公開第2009/086028号、国際公開第2009/003898号、国際公開第2012/023947号、特開2008-074939号公報、特開2007-254297号公報、EP第2034538号明細書等である。
上記に該当する例として、本発明に用いられるホスト化合物は、以下に示す一般式(a)又は(b)の部分構造を有することが好ましく、両方の部分構造を有していてもよい。
(複素芳香環構造)
Figure 2023034155000009
式中、Cは炭素原子を表し、R~R12は水素原子又は置換基を表す。CR~CR又はCRの少なくとも1つ、若しくは、CR~CR12の少なくとも1つが、窒素原子、酸素原子、硫黄原子のいずれかで置換されており、各原子の原子価を満足するように水素原子又は置換基で置換されている。隣り合うCR基同士は環を形成してもよい。このような構造を満足する例として、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、ピリジン、キノリン、クマリン、ベンゾフラン、インドール、アクリジン、フェノキサジン、カルバゾール、カルボリン、ジベンゾフラン構造等が挙げられる。
(トリアリールアミン構造)
Figure 2023034155000010
Ar~Arは、各々独立に、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、置換基を有してもよい。
(電子輸送層)
「電子輸送層」とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有している層のことをいう。
電子輸送層の厚さの総和は、特に制限されないが、2nm~5μmの範囲内であることが好ましく、2~500nmの範囲内であることがより好ましく、5~200nmの範囲内であることがさらに好ましい。
電子輸送層に用いられる材料(以下、「電子輸送材料」ともいう。)としては、電子の注入性又は輸送性、正孔の障壁性のいずれかを有していればよい。
本発明においては、電子輸送材料として、上記有機金属錯体(上記一般式(1)で表される構造を有する有機金属錯体)を用いることができる。中でも、中心の金属原子又はイオンMが、Ir又はZnである有機金属錯体であることが好ましい。
上記金属錯体の他に、有機EL素子の電子輸送層に使用される公知の材料を用いることができる。また、上記金属錯体と公知の材料を併用してもよい。
公知の電子輸送材料としては、例えば、含窒素芳香族複素環誘導体(カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体(カルバゾール環を構成する炭素原子の1つ以上が窒素原子に置換されたもの)、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリダジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、アザトリフェニレン誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体等)、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、シロール誘導体、芳香族炭化水素誘導体(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン等)等が挙げられる。
また、配位子にキノリノール骨格やジベンゾキノリノール骨格を有する金属錯体、例えば、トリス(8-キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7-ジクロロ-8-キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7-ジブロモ-8-キノリノール)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-キノリノール)アルミニウム、トリス(5-メチル-8-キノリノール)アルミニウム、ビス(8-キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリーやメタルフタロシアニン、それらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができ、正孔注入層及び正孔輸送層と同様にn型-Si、n型-SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
また、これらの材料を高分子鎖に導入した、又は、これらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
本発明に係る電子輸送層は、電子輸送層にドープ材をゲスト材料としてドープして、n性の高い(電子リッチ)電子輸送層を形成してもよい。ドープ材としては、金属錯体やハロゲン化金属など金属化合物等のn型ドーパントが挙げられる。このような構成の電子輸送層の具体例としては、例えば、特開平4-297076号公報、特開10-270172号公報、特開2000-196140号公報、特開2001-102175号公報、J.Appl.Phys.95,5773(2004)等の文献に記載されたものが挙げられる。
公知の電子輸送材料の具体例としては、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
米国特許第6528187号明細書、米国特許第7230107号明細書、米国特許公開第2005/0025993号明細書、米国特許公開第2004/0036077号明細書、米国特許公開第2009/0115316号明細書、米国特許公開第2009/0101870号明細書、米国特許公開第2009/0179554号明細書、国際公開第2003/060956号、国際公開第2008/132085号、Appl.Phys.Lett.75,4(1999)、Appl.Phys.Lett.79,449(2001)、Appl.Phys.Lett.81,162(2002)、Appl.Phys.Lett.81,162(2002)、Appl.Phys.Lett.79,156(2001)、米国特許第7964293号明細書、米国特許公開第2009/030202号明細書、国際公開第2004/080975号、国際公開第2004/063159号、国際公開第2005/085387号、国際公開第2006/067931号、国際公開第2007/086552号、国際公開第2008/114690号、国際公開第2009/069442号、国際公開第2009/066779号、国際公開第2009/054253号、国際公開第2011/086935号、国際公開第2010/150593号、国際公開第2010/047707号、EP2311826号、特開2010-251675号公報、特開2009-209133号公報、特開2009-124114号公報、特開2008-277810号公報、特開2006-156445号公報、特開2005-340122号公報、特開2003-45662号公報、特開2003-31367号公報、特開2003-282270号公報、国際公開第2012/115034号、等である。
中でも、本発明の電子輸送材料としては、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、トリアジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体であることがより好ましい。
電子輸送材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用してもよい。
(正孔阻止層)
「正孔阻止層」とは、広い意味では電子輸送層の機能を有する層のことをいう。好ましくは電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が小さい材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、上記電子輸送層の構成を、必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層の陰極側に隣接して設けられることが好ましい。
正孔阻止層の厚さは、3~100nmの範囲内であることが好ましく、5~30nmの範囲内であることがより好ましい。
正孔阻止層に用いられる材料としては、上記の電子輸送層やホスト化合物に用いられる材料であることが好ましい。
(電子注入層)
「電子注入層(「陰極バッファー層」ともいう。)」とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために陰極と発光層との間に設けられる層のことをいい、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123~166頁)に詳細に記載されている。
電子注入層は、必要に応じて、上記のように陰極と発光層との間、又は陰極と電子輸送層との間に形成される。電子注入層は薄膜であることが好ましく、素材にもよるが、厚さは0.1~5nmの範囲内であることが好ましい。また、構成材料が断続的に存在する不均一な膜であってもよい。
本発明においては、電子注入層に用いられる材料として、上記有機金属錯体(上記一般式(1)で表される構造を有する有機金属錯体)を用いることができる。中でも、中心の金属原子又はイオンMが、Ir又はZnである有機金属錯体であることが好ましい。
上記金属錯体の他に、有機EL素子の電子注入層に使用される公知の材料を用いることができる。また、上記金属錯体と公知の材料を併用してもよい。
また、電子注入層は、特開平6-325871号公報、特開平9-17574号公報、特開平10-74586号公報等にもその詳細が記載されており、電子注入層に好ましく用いられる材料の具体例としては、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等に代表されるアルカリ金属化合物、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等に代表されるアルカリ土類金属化合物、酸化アルミニウムに代表される金属酸化物、リチウム8-ヒドロキシキノレート(Liq)等に代表される金属錯体等が挙げられる。上記の電子輸送材料を用いることも可能である。これらの材料は単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
(正孔輸送層)
「正孔輸送層」とは、正孔を輸送する機能を有する材料からなり、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有する層のことをいう。
正孔輸送層の厚さの総和は、特に制限されないが、5nm~5μmの範囲内であることが好ましく、2~500nmの範囲内であることがより好ましく、5~200nmの範囲内であることが更に好ましい。
正孔輸送層に用いられる材料(以下、正孔輸送材料という)としては、正孔の注入性又は輸送性、電子の障壁性のいずれかを有していればよい。
本発明においては、正孔輸送材料として、上記有機金属錯体(上記一般式(1)で表される構造を有する有機金属錯体)を用いることができる。中でも、中心の金属原子又はイオンMが、Ir又はCuである有機金属錯体であることが好ましい。
上記金属錯体の他に、有機EL素子の正孔輸送層に使用される公知の材料を用いることができる。また、上記金属錯体と公知の材料を併用してもよい。
公知の正孔輸送材料としては、例えば、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、イソインドール誘導体、アントラセンやナフタレン等のアセン系誘導体、フルオレン誘導体、フルオレノン誘導体、及びポリビニルカルバゾール、芳香族アミンを主鎖又は側鎖に導入した高分子材料又はオリゴマー、ポリシラン、導電性ポリマー又はオリゴマー(例えばPEDOT:PSS、アニリン系共重合体、ポリアニリン、ポリチオフェン等)等が挙げられる。
トリアリールアミン誘導体としては、α-NPDに代表されるベンジジン型や、MTDATAに代表されるスターバースト型、トリアリールアミン連結コア部にフルオレンやアントラセンを有する化合物等が挙げられる。また、特表2003-519432号公報や特開2006-135145号公報等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体も同様に用いられる。
不純物をドープしたp性の高い正孔輸送材料を用いることもでき、例えば、特開平4-297076号公報、特開2000-196140号公報、特開2001-102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載のものが挙げられる。
また、特開平11-251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、いわゆるp型正孔輸送材料やp型-Si、p型-SiC等の無機化合物を用いることもできる。さらに、Ir(ppy)に代表されるような中心金属にIrやPtを有するオルトメタル化有機金属錯体も好ましく用いられる。
中でも、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、アザトリフェニレン誘導体、有機金属錯体、芳香族アミンを主鎖又は側鎖に導入した高分子材料又はオリゴマー等が好ましく用いられる。具体例としては、上記で挙げた文献の他、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。なお、正孔輸送材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用してもよい。
Appl.Phys.Lett.69,2160(1996)、J.Lumin.72-74,985(1997)、Appl.Phys.Lett.78,673(2001)、Appl.Phys.Lett.90,183503(2007)、Appl.Phys.Lett.90,183503(2007)、Appl.Phys.Lett.51,913(1987)、Synth.Met.87,171(1997)、Synth.Met.91,209 (1997)、Synth.Met.111,421(2000)、SID Symposium Digest,37,923(2006)、J.Mater.Chem.3,319(1993)、Adv.Mater.6,677(1994)、Chem.Mater.15,3148(2003)、米国特許公開第2003/0162053号、米国特許公開第2002/0158242号、米国特許公開第2006/0240279号、米国特許公開第2008/0220265号、米国特許第5061569号、国際公開第2007/002683号、国際公開第2009/018009号、EP650955、米国特許公開第2008/0124572号、米国特許公開第2007/0278938号、米国特許公開第2008/0106190号、米国特許公開第2008/0018221号、国際公開第2012/115034号、特表2003-519432号公報、特開2006-135145号公報、米国特許出願番号13/585981号等である。
(電子阻止層)
「電子阻止層」とは、広い意味では正孔輸送層の機能を有する層のことをいい、好ましくは正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、必要に応じて、上記正孔輸送層の構成を、本発明に係る電子阻止層として用いることができる。電子阻止層は、発光層の陽極側に隣接して設けられることが好ましい。
電子阻止層の厚さは、3~100nmの範囲内であることが好ましく、5~30nmの範囲内であることがより好ましい。
本発明においては、電子阻止層に用いられる材料として、上記有機金属錯体(上記一般式(1)で表される構造を有する有機金属錯体)を用いることができる。中でも、中心の金属原子又はイオンMが、Ir、Fe又はCuである有機金属錯体であることが好ましい。
上記金属錯体の他に、有機EL素子の電子阻止層に使用される公知の材料を用いることができる。また、上記金属錯体と公知の材料を併用してもよい。電子阻止層に用いられる材料としては、上記正孔輸送層に用いられる材料が好ましく用いられ、また、上記ホスト化合物として用いられる材料も電子阻止層に好ましく用いられる。
(正孔注入層)
「正孔注入層(「陽極バッファー層」ともいう。)」とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために陽極と発光層との間に設けられる層のことをいい、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123~166頁)に詳細に記載されている。
正孔注入層は、必要に応じて、上記のように陽極と発光層又は陽極と正孔輸送層との間に形成される。
本発明においては、正孔注入層に用いられる材料として、上記有機金属錯体(上記一般式(1)で表される構造を有する有機金属錯体)を用いることができる。中でも、中心の金属原子又はイオンMが、Ir、Fe又はCuである有機金属錯体であることが好ましい。
本発明の有機金属錯体を、正孔注入層の材料として用いることにより、有機EL素子の駆動電圧を低下させ、外部取り出し効率を向上させることができる。
上記金属錯体の他に、有機EL素子の正孔注入層に使用される公知の材料を用いることができる。また、上記金属錯体と公知の材料を併用してもよい。
正孔注入層は、特開平9-45479号公報、特開平9-260062号公報、特開平8-288069号公報等にもその詳細が記載されており、公知の正孔注入層に用いられる材料としては、例えば上記の正孔輸送材料等が挙げられる。
中でも、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン誘導体、特表2003-519432号公報や特開2006-135145号公報等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体、酸化バナジウムに代表される金属酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム錯体等に代表されるオルトメタル化錯体、トリアリールアミン誘導体等が好ましい。これらの材料は単独で用いてもよく、また、複数種を併用してもよい。
下記実施例内の比較例において、正孔注入層に用いられる材料として、銅フタロシアニン及びポリチオフェン導電性高分子を使用しているが、本発明の有機金属錯体を、他の層の材料として使用する場合には、銅フタロシアニン及びポリチオフェン導電性高分子は、正孔注入層の好適な材料として用いられる。
本発明に係る有機機能層は、その他の化合物を含有してもよい。
その他の化合物としては、例えば、臭素、ヨウ素及び塩素等のハロゲン元素やハロゲン化化合物、Pd、Ca、Na等のアルカリ金属やアルカリ土類金属、遷移金属の化合物や錯体、塩等が挙げられる。
その他の化合物の含有量は、任意に決定できるが、含有される層の全質量に対して1000ppm以下であることが好ましく、500ppm以下であることがより好ましく、50ppm以下であることが更に好ましい。ただし、電子や正孔の輸送性を向上させる目的や、励起子のエネルギー移動を有利にするための目的などによってはこの範囲内ではない。
(陽極)
陽極は、発光層に正孔を供給するために機能する電極であり、光透過性を有することが好ましい。陽極の厚さは、材料にもよるが、10nm~1μmの範囲内であることが好ましく、10~200nmの範囲内であることがより好ましい。
陽極に用いられる材料としては、酸化物半導体や、薄膜の金属又は合金で構成されていることが好ましく、例えば、Ag、Au等の金属又は金属を主成分とする合金、CuI、又はインジウム・スズの複合酸化物(ITO)、SnO及びZnO等の酸化物半導体が挙げられる。
光透過性を有する陽極の場合、銀を主成分として構成することが好ましく、銀の純度としては、99%以上であることが好ましい。また、銀の安定性を確保するためにパラジウム(Pd)、銅(Cu)及び金(Au)等が添加されていてもよい。
光透過性を有する陽極が、銀を主成分として構成されている層である場合は、具体的には、銀単独で形成しても、又は銀(Ag)を含有する合金から構成されていてもよい。そのような合金としては、例えば、銀・マグネシウム(Ag・Mg)、銀・銅(Ag・Cu)、銀・パラジウム(Ag・Pd)、銀・パラジウム・銅(Ag・Pd・Cu)、銀・インジウム(Ag・In)などが挙げられる。
本発明に係る陽極が、銀を主成分として構成されている層である場合、陽極の厚さが、2~20nmの範囲内であることが好ましく、4~12nmの範囲内であることがより好ましい。厚さが20nm以下であることにより、光透過性を有する陽極の吸収成分及び反射成分が低く抑えられ、高い光透過率が維持される。
本発明において、「銀を主成分として構成されている層」とは、光透過性を有する陽極中の銀の含有量が60質量%以上であることをいう。また、銀の含有量が80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、98質量%以上であることが特に好ましい。
なお、「光透過性」とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。
銀を主成分として構成されている層は、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であっても良い。
また、陽極が、銀を主成分として構成されている層であり、光透過性を有する場合、膜の厚さを均一する観点から、その下部に、下地層を設けることが好ましい。下地層としては、特に制限されないが、窒素原子又は硫黄原子を有する有機化合物を含有する層であることが好ましい。
下地層に用いられる窒素原子含有化合物は、分子内に窒素原子を含んでいる化合物であれば、特に制限されないが、窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物であることが好ましい。窒素原子をヘテロ原子とした複素環としては、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾリジン、アゾール、アジナン、ピリジン、アゼパン、アゼピン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン、チアジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、カルバゾール、ベンゾ-C-シンノリン、ポルフィリン、クロリン及びコリン等が挙げられる。
また、下地層に用いられる窒素原子含有化合物は、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する芳香族複素環化合物であることが好ましい。
これらの窒素原子含有化合物の具体例としては、特開2015-046364号公報の段落(0097)~同(0221)に記載の例示化合物No.1~No.134が挙げられる。
陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、又は、パターン精度を余り必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
また、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましい。
(陰極)
陰極は、発光層に電子を供給するために機能する電極であり、光反射性又は光透過性を有する電極であることが好ましい。
陰極に用いられる材料としては、金属、合金、有機又は無機の導電性化合物又はこれらの混合物として、例えば、金、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、ITO、ZnO、TiO及びSnO等の酸化物半導体などが挙げられるが、中でも、薄膜の金属又は合金であることが好ましい。
光透過性を有する陰極が、銀を主成分として構成されている層である場合は、上記陽極の説明で記載したのと同様の材料を挙げることができ、具体的には、銀単独で形成しても、又は銀(Ag)を含有する合金から構成されていてもよい。そのような合金としては、例えば、銀・マグネシウム(Ag・Mg)、銀・銅(Ag・Cu)、銀・パラジウム(Ag・Pd)、銀・パラジウム・銅(Ag・Pd・Cu)、銀・インジウム(Ag・In)などが挙げられる。
陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成して作製できる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましく、厚さは、10nm~5μmの範囲内であることが好ましく、50~200nmの範囲内であることがより好ましい。
発光した光を透過させ、発光輝度を向上させる観点から、陽極又は陰極のいずれか一方が透明又は半透明であることが好ましい。1~20nmの範囲内の厚さの上記金属を作製し、その上に、上記陽極の説明に記載の導電性透明材料を作製することにより、透明又は半透明の陰極を作製できる。また、これを応用することにより、陽極及び陰極の両方が透過性を有する有機EL素子を作製できる。
(基板)
本発明の有機EL素子に用いられる基板としては、特に制限されず、透明であっても不透明であってもよい。基板側から光を取り出す場合には、基板は透明であることが好ましい。透明な基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムが挙げられる。また、有機EL素子にフレキシブル性を付与できる観点から、フレキシブル性を有する樹脂フィルムであることがより好ましい。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(略称:TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(略称:CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類及びそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート(略称:PC)、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(略称:PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル及びポリアリレート類、シクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
シクロオレフィン系樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、JSR社製のアートン(登録商標)、三井化学社製のアペル(登録商標)等が挙げられる。
これらの樹脂フィルムのうち、コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)、ポリカーボネート(略称:PC)等のフィルムが、フレキシブル性を有する樹脂フィルムとして好適に用いられる。
また、上記の樹脂フィルムは、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
樹脂フィルムは、従来公知の一般的な製膜方法により製造できる。例えば、材料となる樹脂を押出機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の樹脂フィルムを製造できる。また、未延伸の樹脂フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、樹脂フィルムの搬送方向(縦軸方向、MD方向)、又は樹脂フィルムの搬送方向と直角の方向(横軸方向、TD方向)に延伸することにより、延伸樹脂フィルムを製造できる。この場合の延伸倍率は、樹脂フィルムの原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2~10倍の範囲内であることが好ましい。
樹脂フィルムの厚さは、3~200μmの範囲内であることが好ましく、10~100μmの範囲内であることがより好ましく、20~80μmの範囲内であることが更に好ましく、20~50μmの範囲内であることが特に好ましい。厚さを薄くすることにより光遮蔽部を大きくすることなく、効果的に光遮蔽できる。
また、透明な基板として用いられるガラスとしては、ソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス等が挙げられる。
不透明な基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
本発明の有機EL素子の室温における外部取り出し量子効率は、1%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましい。外部取り出し量子効率は、下記式で表される。
外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルターや、蛍光体を用いて有機EL素子からの発光色を多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。
(ガスバリアー層)
本発明の有機EL素子においては、上記説明した基板上に、必要に応じて、ガスバリアー層を設ける構成であってもよい。特に、基板が樹脂フィルムである場合は、ガスバリアー層を設けることが好ましい。
ガスバリアー層を形成した樹脂フィルムは、JIS K 7129-1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、さらには、JIS K 7126-1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、10-3mL/(m・24h・atm)以下、水蒸気透過度が、10-5g/(m・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
ガスバリアー層を形成する材料としては、水分や酸素などの有機EL素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等の無機物が用いられる。さらに、脆弱性の改良の観点から、これら無機層と有機材料からなる有機層の積層構造とすることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限されないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
ガスバリアー層の形成方法については、特に制限されず、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等の薄膜形成方法を用いることができるが、特開2004-68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法が特に好ましい。また、ポリシラザン含有液を湿式塗布方式により塗布して塗膜を形成した後に乾燥し、形成された塗膜に波長200nm以下の真空紫外光(VUV光)を照射することにより、形成した塗布膜に改質処理を施して、ガスバリアー層を形成する方法も好適に用いられる。
ガスバリアー層の厚さは、1~500nmの範囲内であることが好ましく、10~300nmの範囲内であることがより好ましい。ガスバリアー層の厚さが1nm以上であれば、所望のガスバリアー性能を発揮でき、500nm以下であれば、緻密な酸窒化ケイ素膜でのクラックの発生等の膜質劣化を防止できる。
(封止)
上記有機機能層及び電極に用いられる材料は、耐湿性が低く酸化しやすい、すなわち、環境中の水や酸素等によって分解や酸化が生じるため、有機機能層及び電極に水分が入り込まないよう、封止することが好ましい。封止手段としては、例えば、封止部材と、電極、基板とを接着剤で接着する方法が挙げられる。封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されていればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また、透明性、電気絶縁性は特に限定されない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等が挙げられる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等が挙げられる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、有機EL素子の薄膜化の観点から、ポリマーフィルム又は金属フィルムであることが好ましい。また、ポリマーフィルムは、JIS K 7126-1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10-3mL/m/24h以下、JIS K 7129-1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%)が、1×10-3g/(m/24h)以下のものであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工する方法としては、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が用いられる。
接着剤としては、例えば、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマー等の反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2-シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型接着剤、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)接着剤、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等のホットメルト型接着剤、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤等が挙げられる。
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるため、室温から80℃までの範囲内において接着硬化できるものが好ましい。また、上記接着剤中に乾燥剤を分散させてもよい。封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、有機層を挟み基板と対向する側の電極の外側に、当該電極と有機機能層を被覆し、基板と接する形で無機物又は有機物の層を形成し、封止膜を形成することも好ましい。この場合、封止膜を形成する材料としては、水分や酸素等の素子の劣化をもたらすものの侵入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。
さらに、封止膜の脆弱性を改良する観点から、これら無機物の層と有機物の層の積層構造とすることが好ましい。封止膜の形成方法については、特に制限されず、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコーンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空としてもよく、内部に吸湿性化合物を封入してもよい。
吸湿性化合物としては、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
(保護膜、保護板)
有機機能層を挟み基板と対向する側の上記封止部材又は封止膜の外側に、素子の機械的強度を高める観点から、保護膜又は保護板を設けてもよい。特に、封止膜を用いる場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜又は保護板を設けることが好ましい。保護膜及び保護板に用いられる材料としては、上記封止部材及び封止膜と同様、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化の観点からポリマーフィルムを用いることが好ましい。
(光取り出し向上技術)
本発明の有機EL素子は、一般的に、空気よりも屈折率の高い(屈折率1.6~2.1の範囲内)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せない。これは、臨界角以上の角度θで界面(基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし、有機EL素子の外部に取り出すことができないことや、電極又は発光層と基板との間で光が全反射を起こし、光が電極又は発光層を導波し、結果として、光が有機EL素子の側面方向に逃げるためである。
光取り出し効率を向上させる手法としては、例えば、基板表面に凹凸を形成し、基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(例えば、米国特許第4774435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(例えば、特開昭63-314795号公報)、有機EL素子の側面等に反射面を形成する方法(例えば、特開平1-220394号公報)、基板と発光層の間に中間の屈折率である平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(例えば、特開昭62-172691号公報)、基板と発光層との間に基板よりも低屈折率である平坦層を導入する方法(例えば、特開2001-202827号公報)、基板、電極及び発光層のいずれかの層間又は層中に回折格子を形成する方法(特開平11-283751号公報)などが挙げられる。
本発明においては、基板と発光層の間に基板よりも低屈折率である平坦層を導入する方法、又は、基板、電極及び発光層のいずれかの層間又は層中に回折格子を形成する方法を用いることが好ましい。
基板と電極との間に、低屈折率である平坦層(以下、「低屈折率層」ともいう。)を光の波長よりも長い厚さで形成することにより、低屈折率層の屈折率が低いほど、外部への光の取り出し効率が高くなる。本発明は、これらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度又は耐久性に優れた有機EL素子を得ることができる。
低屈折率層の形成に用いられる材料としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマーなどが挙げられる。一般的に、基板の屈折率は1.5~1.7の範囲内であるため、低屈折率層の屈折率は、1.5以下であることが好ましく、1.35以下であることがより好ましい。
また、エバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込み、低屈折率層の効果が薄れるのを抑制する観点から、低屈折率層の厚さが、低屈折率層中の波長の2倍以上であることが好ましい。
回折格子を形成する方法では、回折格子が1次の回折や、2次の回折といった、いわゆるブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち、層間での全反射等により外に出ることができない光を、基板、電極及び発光層のいずれかの層間又は層中に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するため、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な一次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど向上しない。しかし、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光取り出し効率が向上する。
回折格子を形成する位置としては、基板、電極及び発光層のいずれかの層間、又は層中であればよいが、光が発生する場所である発光層の近傍であることが好ましい。このとき、回折格子の周期は、媒質中の光の波長の約1/2~3倍程度の範囲内が好ましい。回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状など、二次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
(集光シート)
本発明の有機EL素子は、基板の光取り出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造を設けるように加工する、又は、集光シートを用いることにより、特定方向、例えば有機EL素子の発光面に対して正面方向に集光することができ、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を二次元に配列する。一辺は10~100μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲内であることにより、集光機能を有し、かつ、厚さを十分薄くすることができる。
集光シートとしては、例えば、液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることができ、具体的には、住友スリーエム社製の輝度上昇フィルム(BEF)などを用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば、基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であっても良い。
また、有機EL素子からの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを、集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製の拡散フィルム(ライトアップ)などを用いることができる。
<2 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法>
本発明の有機EL素子の製造方法を以下に説明する。
(陽極の形成工程)
陽極は、Ag、Au等の金属又は金属を主成分とする合金、CuI、又はインジウム・スズの複合酸化物(ITO)、SnO及びZnO等の酸化物半導体、IDIXO(In-ZnO)等の非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いて、蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよい。パターン精度を余り必要としない場合(100μm以上程度)は、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。また、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いてもよい。
(有機機能層の形成工程)
本発明に係る有機機能層(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)の形成方法について説明する。
有機機能層の形成方法は、特に制限されず、従来公知の例えば真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいう)等による形成方法を用いることができる。
湿式法としては、例えば、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の印刷法のほか、スピンコート法、キャスト法、インクジェット印刷法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、スプレーコート法、カーテンコート法、ドクターコート法、LB法(ラングミュア-ブロジェット法)等が挙げられるが、塗布液を容易に精度良く塗布でき高生産性である観点から、インクジェットヘッドを用いたインクジェット印刷法であることがより好ましい。インクジェット印刷法の詳細については後述する。また、層毎に異なる製膜方法を用いてもよい。
湿式法に用いる塗布液としては、有機機能層を形成する材料が液媒体に均一に溶解される溶液でも、材料が固形分として液媒体に分散される分散液でも良い。分散方法としては、超音波分散、高剪断力分散、メディア分散等が挙げられる。
液媒体としては、特に制限されず、例えば、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、ジクロロヘキサノン等のハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、n-プロピルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族系溶媒、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族系溶媒、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ-ブチロラクトン、炭酸ジエチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、1-ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド、水又はこれらの混合液媒体等が挙げられる。
これらの液媒体の沸点は、迅速に液媒体を乾燥させる観点から、乾燥処理の温度未満であることが好ましく、具体的には、60~200℃の範囲内であることが好ましく、80~180℃の範囲内であることがより好ましい。
塗布液は、塗布範囲を制御する目的や、塗布後の表面張力勾配に伴う液流動(例えば、コーヒーリングと呼ばれる現象を引き起こす液流動)を抑制する目的に応じて、界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤としては、溶媒に含まれる水分の影響、レベリング性、基板への濡れ性等の観点から、例えば、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤等が挙げられる。具体的には、含フッ素系活性剤や、国際公開第08/146681号、特開平2-41308号公報等に挙げられた界面活性剤を用いることができる。
塗布膜の粘度及び厚さは、有機機能層として必要とされる機能と有機材料の溶解度又は分散性に応じて適宜選択することができる。具体的には、塗布膜の粘度は、0.3~100mPa・sの範囲内であることが好ましく、厚さは、1~90μmの範囲内であることが好ましい。
湿式法により塗布膜を形成した後、上記の液媒体を除去する乾燥工程を有することが好ましい。乾燥工程の温度は、特に制限されないが、有機機能層、電極、基板等が損傷しない程度の温度であることが好ましい。塗布液の組成等によって異なるが、例えば、乾燥工程の温度は、80~300℃の範囲内であることが好ましく、時間は、10秒~10分の範囲内であることが好ましい。上記範囲内であることにより、迅速に乾燥できる。
有機機能層の形成方法として蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等によって異なるが、例えば、ボート加熱温度は50~450℃の範囲内、真空度は、1×10-6~1×10-2Paの範囲内、蒸着速度は0.01~50nm/秒の範囲内、基板温度は-50~300℃の範囲内であることが好ましい。また、有機機能層全体の厚さは、0.1nm~5μmの範囲内であることが好ましく、5~200nmの範囲内であることがより好ましい。
有機機能層の形成は、1回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜方法を施してもよい。その際は、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
(陰極の形成工程)
このようにして有機機能層を形成した後、この上部に上記の電極物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは10~200nmの範囲内となるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成し、陰極を形成する。同時に、陰極端部に、外部電源と接続する部分を形成する。陰極の形成後、基材、陽極、有機機能層及び陰極を、上記の封止部材で封止する。
<3 有機EL素子の用途>
本発明の有機EL素子は、ドット発光してパターニングや文字を再現したり、多色発光してカラーの有機ELデバイスを提供したりすることができる。発光光源として、例えば、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられる。これに限定されないが、ピクセルの高精細化を実現することができることから、前述のディスプレイのサブピクセルを構成するR(赤)・G(緑)・B(青)の個々が独立したLEDであるマイクロLED等の電子デバイスに好適である。
[有機太陽電池]
図3は、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子からなるシングル構成(バルクヘテロジャンクション層が一層の構成)の太陽電池の一例を示す模式図である。図3において、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子10は、基板11の一方面上に、透明電極(陽極)12、正孔輸送層17、バルクヘテロジャンクション層の光電変換部14、電子輸送層18及び対極(陰極)13が順次積層されている。
基板11は、順次積層された透明電極12、光電変換部14及び対極13を保持する部材である。基板11側から光電変換される光が入射するので、基板11は、この光電変換される光を透過させることが可能な、すなわち、この光電変換すべき光の波長に対して透明な部材であることが好ましい。基板11としては、例えば、ガラスや樹脂フィルムなどが用いられる。
光電変換部14は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する層であって、p型半導体材料とn型半導体材料とを一様に混合したバルクヘテロジャンクション層を有して構成される。p型半導体材料は、相対的に電子供与体(ドナー)として機能し、n型半導体材料は、相対的に電子受容体(アクセプター)として機能する。ここで、電子供与体及び電子受容体は、“光を吸収した際に、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)を形成する電子供与体及び電子受容体”であり、電極のように単に電子を供与又は受容するものではなく、光反応によって、電子を供与又は受容するものである。
図3において、基板11を介して透明電極12から入射された光は、光電変換部14のバルクヘテロジャンクション層における電子受容体又は電子供与体で吸収され、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。発生した電荷は、内部電界、例えば、透明電極12と対極13の仕事関数が異なる場合では透明電極12と対極13との電位差によって、電子は電子受容体間を通り、また、正孔は電子供与体間を通り、それぞれ異なる電極へ運ばれ光電流が検出される。例えば、透明電極12の仕事関数が対極13の仕事関数よりも大きい場合では、電子は透明電極12へ、正孔は対極13へ輸送される。なお、仕事関数の大小が逆転すれば、電子と正孔はこれとは逆方向に輸送される。また、透明電極12と対極13との間に電位をかけることにより、電子と正孔の輸送方向を制御することもできる。
本発明の有機金属錯体は、分子内で分極し電荷分離に有利であること等から、キャリア伝導を行いやすい化合物である。そのため、太陽電池、とりわけ有機太陽電池では、ヘテロジャンクション型のn型材料としての適用が有効である。
本発明の有機金属錯体は、例えば、有機EL素子のように、n型層とp型層を積層してなるヘテロジャンクション型太陽電池や、光電変換部14にn型化合物とp型化合物とを共存させ、その海島構造によりp/n界面の面積を増大させるバルクへテロジャンクション型太陽電池にも使用できる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
≪実施例1≫
[鋳型反応による金属錯体MO-9の合成方法]
Figure 2023034155000011
2,2’-ビピリジル(23.4g、150.0mmol)、1,5-シクロオクタジエン(18.4mL、150.0mmol)、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)(41.3g、150.0mmol)に、DMF(62.5mL)とトルエン(62.5mL)を加え、80℃で30分間撹拌した。化合物2(3.78g、15.0mmol)のトルエン溶液(250mL)を、1時間かけて混合物に滴下して加え、80℃でさらに16時間撹拌を続けた。反応混合物を室温まで冷まし、2Mの塩酸(300mL)を加え、空気下で一晩激しく撹拌した。CHCl(400mL×3)で抽出し、有機層を飽和食塩水(200mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させた後、真空で濃縮した。粗生成物をシリカゲルショートパス(溶離液:CHCl:MeOH=20:1)に通し、さらに、GPC(YMC T30000、T4000、T2000カラム、溶媒:CHCl)で精製することで、化合物MO-9を黄色の固体として収率57%で得た(1.77g、1.71mmol)。得られたMO-9は高スピン錯体の状態をとり、その磁気的性質の利用も可能である。
≪実施例2≫
[金属錯体MO-11の合成方法:中心金属の交換]
実施例1と同様に、2,2’-ビピリジル、1,5-シクロオクタジエン、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)のDMF/トルエン溶液に10当量のCuCl(14.9g、150mmol)を加えた以外は全く同様にして、合成を行ったところ、質量分析の結果から銅錯体MO-11が生成していることが明らかとなった。実施例2で用いた銅塩を種々の金属塩に置換え、共存させて反応を行うことで、鋳型反応によるC-Cカップリング/環化反応の後金属種交換が生じ、他の金属に変換可能であることがわかった。
≪実施例3≫
[MO-9を含有する薄膜(光るプラスチックフィルム)の作製]
1.0mLのクロロホルムに、PMMA(ポリメタクリル酸メチル、Mw:15,000、アルドリッチ社製)10mg、MO-9を0.1mg加え、PMMAに対するMO-9の含有量が1質量%となる溶液を調製した。3cm角の石英基板上に、この溶液を塗布し、スピンコート法により、MO-9を含有する薄膜を形成した。得られた薄膜に、254nmのUVライトを照射したところ、MO-9のクロロホルム中での発光(353nm)に由来する青白い発光が観察できた。
≪実施例4≫
[有機エレクトロニクスデバイス]
(比較用の有機EL素子4-1の作製)
第1電極(陽極)としてITO(Indium Tin Oxide)を100nm製膜したガラス板を、イソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥及びUVオゾン洗浄を行い、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。次いで、銅フタロシアニンを10nm蒸着して正孔注入層を設け、α-NPD(4,4’-ビス〔N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ〕ビフェニル)を前記正孔注入層上に蒸着し、厚さ40nmの正孔輸送層を設けた。
ホスト材料として、CBP(4,4’-ビス〔9H-カルバゾール-9-イル〕ビフェニル)と、発光性材料として、Ir(ppy)(トリス〔2-フェニルピリジナト〕イリジウム(III))とを、それぞれ94%、6%の体積%になるように共蒸着し、厚さ30nmの発光層を設けた。
その後、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)を蒸着し、厚さ330nmの電子輸送層を設けた。さらに、アルミニウムを蒸着し、厚さ100nmの第2電極(陰極)を設けた。
次に、有機EL素子全体の封止部材として下記ガスバリアーフィルムを作製した。
ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人フィルムソリューション株式会社製)の全面に、特開2004-68143号公報に記載の構成の大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、SiOからなる無機物のガスバリアー層を厚さ500nmとなるように形成し、酸素透過度0.001mL/(m・24h)以下、水蒸気透過度0.001g/(m・24h)以下のガスバリアー性を有する可撓性のガスバリアーフィルムを作製した。
ガスバリアーフィルムの片面に、封止樹脂層として熱硬化型の液状接着剤(エポキシ系樹脂)を厚さ25μmで形成した。そして、この封止樹脂層を設けたガスバリアーフィルムを、上記で作製した有機EL素子に重ね合わせた。このとき、陽極及び陰極の取出し部の端部が外に出るように、ガスバリアーフィルムの封止樹脂層形成面を、有機EL素子の封止面側に連続的に重ね合わせた。
次に、ガスバリアーフィルムを貼り合せた試料を減圧装置内に配置し、90℃で0.1MPaの減圧条件下で押圧をかけて5分間保持した。続いて、試料を大気圧環境に戻し、さらに90℃で30分間加熱して接着剤を硬化させた。
(本発明の有機EL素子4-2の作製)
上記で作製した有機EL素子4-1の正孔注入材料として用いた銅フタロシアニンを、実施例1で合成したMO-9に変更した以外は全く同様にして、有機EL素子4-2を作製した。
作製した有機EL素子について、温度23℃において、発光開始時の電圧を測定した。駆動電圧は、電流密度2.5mA/cmとなったときの電圧値とし、有機EL素子4-1を100とした場合の相対評価を行ったところ、有機EL素子4-2では95となり、駆動電圧の低下が確認され、本発明材料の優位性が明らかである。
≪実施例5≫
[有機エレクトロニクスデバイス]
(比較用の有機EL素子5-1の作製)
第1電極(陽極)としてITO(Indium Tin Oxide)を100nm製膜したガラス基板を、イソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥及びUVオゾン洗浄を行った。ついで、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)(Heraeus社製、CLEVIOS P VP AI 4083)を純水で70%に希釈した溶液を3000rpm、30秒でスピンコート法により成膜した後、200℃にて1時間乾燥し、膜厚30nmの正孔注入層を設けた。次いで、α-NPD(4,4’-ビス〔N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ〕ビフェニル)を前記正孔注入層上に蒸着し、厚さ40nmの正孔輸送層を設けた。
半導体性材料であるホスト材料として、CBP(4,4’-ビス〔9H-カルバゾール-9-イル〕ビフェニル)と発光性材料としてIr(ppy)(トリス〔2-フェニルピリジナト〕イリジウム(III))とを、それぞれ94%、6%の体積%になるように共蒸着し、厚さ30nmの発光層を設けた。
その後、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)を蒸着し、厚さ330nmの電子輸送層を設けた。
さらに、第2電極(陰極)としてアルミニウムを厚さ100nmでさらに蒸着して電極を設けた。
次に、有機EL素子全体の封止部材として下記ガスバリアーフィルムを作製した。
ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人フィルムソリューション株式会社製)の全面に、特開2004-68143号公報に記載の構成の大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、SiOからなる無機物のガスバリアー層を厚さ500nmとなるように形成した。これにより、酸素透過度0.001mL/(m・24h)以下、水蒸気透過度0.001g/(m・24h)以下のガスバリアー性を有する可撓性のガスバリアーフィルムを作製した。
ガスバリアーフィルムの片面に、封止樹脂層として熱硬化型の液状接着剤(エポキシ系樹脂)を厚さ25μmで形成した。そして、この封止樹脂層を設けたガスバリアーフィルムを、上記で作製した有機EL素子に重ね合わせた。このとき、陽極及び陰極の取出し部の端部が外に出るように、ガスバリアーフィルムの封止樹脂層形成面を、有機EL素子の封止面側に連続的に重ね合わせた。
次に、ガスバリアーフィルムを貼り合せた試料を減圧装置内に配置し、90℃で0.1MPaの減圧条件下で押圧をかけて5分間保持した。続いて、試料を大気圧環境に戻し、さらに90℃で30分間加熱して接着剤を硬化させた。
(本発明の有機EL素子5-2の作製)
上記で作製した有機EL素子5-1で用いたPEDOT/PSSの代わりにMO-11を用いて真空蒸着法によって厚さ30nmの正孔注入層を設けた以外は全く同様にして、有機EL素子5-2を作製した。
作製した有機EL素子について、温度23℃において、発光開始時の電圧を測定した。駆動電圧は、電流密度2.5mA/cmとなったときの電圧値とし、有機EL素子5-1を100とした場合の相対評価を行ったところ、有機EL素子5-2では96となり、駆動電圧の低下が確認され、本発明材料の優位性が明らかである。
1 有機EL素子
2 基板
3 陽極
4 正孔注入層
5 正孔輸送層
6 発光層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極
F 有機機能層
R 再結合
L 光
10 バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子
11 基板
12 透明電極(陽極)
13 対極(陰極)
14 光電変換部(バルクヘテロジャンクション層)
17 正孔輸送層
18 電子輸送層

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される構造を有する
    ことを特徴とする有機金属錯体。
    Figure 2023034155000012
    (式中、Mは、ナトリウム以外の金属原子又はイオンを表す。Arは、各々独立に、2価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、置換基を有していてもよく、縮環していてもよい。mは、0~6の自然数を表す。mが、2~6の自然数を表す場合、m個のArは、全て同じでも、全て異なっていてもよい。Arは、各々独立に、金属原子又はイオンMと結合している少なくとも1つの窒素原子を有する2価の芳香族複素環基を表し、置換基を有していてもよく、縮環していてもよい。nは、1~6の自然数を表す。nが2~6の自然数を表す場合、n個のArは、全て同じでも、全て異なっていてもよい。また、m及びnは、4≦m+n≦12を満たす。なお、m個のAr及びn個のArの結合順序は、特に制限されない。)
  2. 前記有機金属錯体が、下記一般式(2)で表される構造を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の有機金属錯体。
    Figure 2023034155000013
    (式中、Mは、ナトリウム以外の金属原子又はイオンを表す。Arは、各々独立に、金属原子又はイオンMと結合している少なくとも1つの窒素原子を有する2価の芳香族複素環基を表し、置換基を有していてもよく、縮環していてもよい。nは、4~8の自然数を表し、n個のArは、全て同じでも、全て異なっていてもよい。)
  3. 前記有機金属錯体が、下記一般式(3)で表される構造を有する
    ことを特徴とする請求項2に記載の有機金属錯体。
    Figure 2023034155000014
    (式中、R~Rは、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。M及びnは、それぞれ、一般式(2)におけるM及びnと同義である。なお、nは、4~8の自然数を表し、n個のR~Rは、全て同じでも、全て異なっていてもよい。)
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の有機金属錯体を合成する有機金属錯体の合成方法であって、
    金属原子又はイオン共存下で、カップリング反応により、配位子を環状化する工程を有する
    ことを特徴とする有機金属錯体の合成方法。
  5. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の有機金属錯体を含有する
    ことを特徴とするフィルム。
  6. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の有機金属錯体を含有する有機機能層を有する
    ことを特徴とする有機エレクトロニクスデバイス。
  7. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の有機金属錯体を含有する有機機能層を有する
    ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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