JP2023033799A - 酸化物及びその製造方法、固体電解質並びに全固体電池 - Google Patents

酸化物及びその製造方法、固体電解質並びに全固体電池 Download PDF

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康晴 大野
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Abstract

【課題】リン酸ジルコニウムベースの高Liイオン伝導性を有する新規な酸化物及びその製造方法、固体電解質並びに全固体電池を提供する。【解決手段】本酸化物は、下記式(1)を満たし、Liイオン伝導性を有する。Li1+2x+y+zM1xM2yZr2-x-ySizP3-zO12・・・ (1)但し、式(1)において、M1は2価金属であり、M2は3価金属であり、x、y及びzは、x≧0、y≧0、z>0及びx+y>0を満たす。本固体電解質は、前記酸化物を含む。本全固体電池は、前記固体電解質を備える。本製造方法は、Li、前記M1、前記M2、Zr、Si及びPのうちの1種又は2種以上を含んだ複数の供給成分を、前記式(1)を満たすように混合して、前記供給成分の混合物を得る混合工程と、前記混合物を焼成して前記酸化物を得る焼成工程と、を備える。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 公益社団法人日本セラミックス協会第34回秋季シンポジウムのオンライン予稿集において発表した事項 ウェブサイトの掲載日:令和3年8月16日
本発明は、酸化物及びその製造方法、固体電解質並びに全固体電池に関する。更に詳しくは、リチウム含有リン酸ジルコニウムをベースとする酸化物及びその製造方法、固体電解質並びに全固体電池に関する。
現在利用されている電解液型Liイオン電池は、電極にLiを使用することはできず、電池容量をこれ以上に大きくすることが難しいという問題がある。更に、電解液として可燃性有機溶媒を利用する必要あるため、発火の可能性を排除できないという問題がある。これらの問題を解決し得るものとして、Liイオン伝導性を有する固体電解質の検討がなされている。
Liイオン伝導性を有する固体電解質には、硫化物系固体電解質と酸化物系固体電解質とが知られているが、このうち、酸化物系固体電解質は、硫化物系固体電解質より大気下の安定性に優れ、安全性が高いと考えられる。その一方で、酸化物系固体電解質は、硫化物系固体電解質よりもLiイオン伝導性に劣る側面がある。このため、より優れたLiイオン伝導性を有する酸化物系固体電解質の検討が進められている。そして、このような酸化物系固体電解質の1種としてナシコン型のリン酸ジルコニウムが知られている。このリン酸ジルコニウムに関する技術としては、下記特許文献1~3が知られている。
特開2015-065021号公報 国際公開2017/141742号パンフレット 国際公開2018/088424号パンフレット
上記特許文献1は、主成分がリチウム含有リン酸ジルコニウム系化合物である固体電解質材料を備える全固体電池(特許文献1[請求項7])を開示し、更に、リン元素の一部がケイ素元素で置換されたリチウム含有リン酸ジルコニウム系化合物(特許文献1[請求項8])を利用できること、三斜晶系のLiZr(POや単斜晶系のLi1.3Zr(P0.9Si0.1は、50kJ/mol以上の活性化エネルギーEaを有することから、より好ましいこと(特許文献1[0063])を開示している。
上記特許文献2は、Li1+xZr2+yMαMβ(PO(Pの一部は、Si、B及びVからなる群から選ばれた少なくとも一種で置換されていてもよく、Mαは、Zrよりもイオン半径が大きく、Laよりもイオン半径が小さい元素であり、Mβは、1価~4価の陽イオンとなる元素のうちの少なくとも一種を含み、-0.500≦x≦3.000、-0.999≦y≦0.200、0.000≦z≦0.999、0≦w≦0.600)で表されるNaSICON型の結晶構造を有する固体電解質を開示している。そして、特許文献2の実施例1~11の固体電解質のX線回折チャートは、高イオン伝導相であるNaSICON型のTrigonalのLiZr(POのカードパターンに一致する(特許文献2[0056])ことを開示している。
上記特許文献3は、組成比率が、Li:M:M:P=1.0~1.7:0.10~0.35:2.0:3.00超過3.50以下であり、(2)前記Mは、Ca、Mg、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも一種であり、二種類以上を含有する場合には合計の組成比率が0.10~0.35であり、(3)前記Mは、Zr単独、又はZrとAl、Sc、Y、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される少なくとも一種とからなり、前記Mの組成比率のうちZrの組成比率は1.47~2.00であるリチウム含有リン酸ジルコニウムを開示している。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、リン酸ジルコニウムベースの高Liイオン伝導性を有する新規な酸化物及びその製造方法を提供することを目的とする。更に、この酸化物を用いた固体電解質並びに全固体電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、リン酸ジルコニウム[LiZr(PO]ベースの酸化物において、Zrサイトに2価金属及び/又は3価金属を、PサイトにSiをドーピングした場合に優れたLiイオン伝導性が発現されるという知見を得た。本明細書によれば、かかる知見に基づいて、以下の手段が提供される。
[1]下記式(1)を満たし、Liイオン伝導性を有することを要旨とする酸化物。
Li1+2x+y+z Zr2-x-ySi3-z12 ・・・ (1)
(但し、式(1)において、Mは2価金属であり、Mは3価金属であり、x、y及びzは、x≧0、y≧0、z>0及びx+y>0を満たす。)
[2]x+y≦0.2を満たす前記[1]に記載の酸化物。
[3]z≦0.2を満たす前記[1]又は[2]に記載の酸化物。
[4]前記Mは、Mg、Ca、Sn、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記[1]乃至[3]のうちのいずれかに記載の酸化物。
[5]前記Mは、Al、Sc、Ga、Y、In、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sb及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記[1]乃至[4]のうちのいずれかに記載の酸化物。
[6]前記[1]乃至[5]のうちのいずれかに記載の酸化物を含むことを要旨とする固体電解質。
[7]前記[6]に記載の固体電解質を備えることを要旨とする全固体電池。
[8]前記[1]乃至[5]のうちのいずれかに記載の酸化物の製造方法であって、
Li、前記M、前記M、Zr、Si及びPのうちの1種又は2種以上を含んだ複数の供給成分を、前記式(1)を満たすように混合して、前記供給成分の混合物を得る混合工程と、
前記混合物を焼成して前記酸化物を得る焼成工程と、を備えることを要旨とする酸化物の製造方法。
[9]Li及びZrを供給する供給成分として、層状リン酸ジルコニウムを用いる前記[8]に記載の酸化物の製造方法。
[10]前記混合が、湿式混合である前記[8]又は[9]に記載の酸化物の製造方法。
本発明の酸化物によれば、リン酸ジルコニウムベースの酸化物において、高リチウムイオン伝導性を得ることできる。
本発明の固体電解質によれば、リン酸ジルコニウムベースの酸化物において、高リチウムイオン伝導性を得ることできる。
発明の全固体電池によれば、リン酸ジルコニウムベースの酸化物を固体電解質として利用することができる。
本発明の酸化物の製造方法によれば、高リチウムイオン伝導性を有するリン酸ジルコニウムベースの酸化物を得ることできる。
全固体電池の一例(a)及び他例(b)を模式的に示す説明図である。
以下、本発明について詳しく説明する。
尚、別途に明記しない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味し、「ppm」は「質量ppm」を意味し、「数値X~数値Y」は「数値X以上、数値Y以下」を意味する。更に、後述する各実施形態は、各々2以上を組み合わせた実施形態とすることができる。
[1]酸化物
本発明の酸化物は、下記式(1)を満たし、Liイオン伝導性を有することを特徴とする。
Li1+2x+y+z Zr2-x-ySi3-z12 ・・・ (1)
(但し、式(1)において、Mは2価金属であり、Mは3価金属であり、x、y及びzは、x≧0、y≧0、z>0及びx+y>0を満たす。)
即ち、この酸化物は、LiZr(POをベース(母構造)とする酸化物において、Zrの一部が、2価金属であるM及び/又は3価金属であるMによって置換されており、Pの一部が、Siによって置換された酸化物であるといえる。
式(1)において、「x」は0又は正数である。また、「y」は0又は正数である。更に、「x+y」は正数である。従って、「x」及び「y」は同時に0とならない。また、「z」は正数である。
例えば、x=0且つy>0である場合、式(1)は、「Li1+y+z Zr2-ySi3-z12」と表される。
また、x>0且つy=0である場合、式(1)は、「Li1+2x+z Zr2-xSi3-z12」と表される。
更に、x>0且つy>0である場合、式(1)は、「Li1+2x+y+z Zr2-x-ySi3-z12」として表される。
は2価金属である。即ち、2価の陽イオンとなる金属(金属元素)である。Mは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。Mは、2価の陽イオンとなる金属であれば限定することなく利用できる。
このような金属として、アルカリ土類金属(第2族金属元素)、遷移金属(第3~11族金属元素)、亜鉛族金属(第12族金属元素)、Sn等が挙げられる。これらのなかでは、アルカリ土類金属(第2族元素)及びSnが好ましく、更には、Mg、Ca、Sn、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、特にMg及び/又はCaが好ましい。
は3価金属である。即ち、3価の陽イオンとなる金属(金属元素)である。Mは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。Mは、3価の陽イオンとなる金属であれば限定することなく利用できる。
このような金属として、第13族金属元素、第3族金属元素、第15族金属元素等が挙げられる。これらのなかでは、Al、Sc、Ga、Y、In、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sb及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、特にAl、Sc及び/又はGaが好ましい。
式(1)において、x及びyは、前述の通り、x≧0、y≧0及びx+y>0を満たせばよいが、更に、x≧0、y≧0及び0<x+y≦0.2を満たすことにより、x≧0、y≧0及びx+y=0、又は、x≧0、y≧0及びx+y>0.2である場合に比べてより優れたLiイオン伝導性を得ることができる。これは、x≧0、y≧0及び0<x+y≦0.2を満たすことにより、M及びMの偏析を抑制できるためと考えられる。M及びMの含有量が多くなるとZrサイトへの固溶限界に近づき、M及びMが多く含まれた不純物相が形成され始め、不純物相がLiイオン伝導を阻害する。即ち、高いLiイオン伝導性を有するα相が優位な構造であっても、不純物相の存在がLiイオン伝導を阻害することになる。このため、不純物相が形成され難い組成が好ましく、このような観点から、x≧0、y≧0及び0<x+y≦0.2という条件が寄与すると考えられる。尚、M及びMの偏析の有無は、エネルギー分散型X線分光法を用いたM及びMの分布測定により検知できる。
また、式(1)において、zは、前述の通り、z>0を満たせばよいが、更に、0<z≦0.2を満たすことにより、z>0.2である場合に比べてより優れたLiイオン伝導性を得ることができる。Siは、M及びMと異なり、z>0.2(例えば、z=0.3)であってもSiの固溶限界には達することはなく、偏析を生じない(Siの偏析の有無は、エネルギー分散型X線分光法を用いたSiの分布測定により検知できる)。一方で、0<z≦0.2の範囲では、α相及び/又はα’相が安定相であるのに対して、Si含有量の増加に伴い、β相及び/又はβ’相が安定相となることが観察される。即ち、リン酸ジルコニウム系酸化物が取り得る4種の相(α相、α’相、β相及びβ’相)のうち、Liイオン伝導性はα相で高いことが知られており、0<z≦0.2は、α相形成に優位な条件であるといえる。但し、同じ焼成温度でz≦0.2とz>0.2とを比較した場合、後者の方がα相形成に要する焼成温度が高くなる。このため、焼成温度を上げることにより、z>0.2によるデメリットを解消可能と考えられるが、製造時のエネルギーコストの点からは、より低い焼成温度で高いLiイオン伝導性が得られる方が好ましい。
尚、式(1)で表される酸化物は、Oの量論比を12と記しているが、実際には、酸化物全体としての電荷の中性を保つことができればよく、12未満の値であってもよく、12を超える値であってもよい。例えば、式(1)を下記のように式(2)と表した場合(M、M、x、y及びzは、式(1)と同様)、
Li1+2x+y+z Zr2-x-ySi3-z12±α ・・・ (2)
αは、例えば、0≦α≦1とすることができる。
また、本発明の酸化物において、相構造は限定されず、結果として、Liイオン伝導性が高い酸化物であることが好ましい。そのなかでも、NASICON(Na Super Ionic Conductor)型を呈することが好ましい。NASICON型は、固体電解質としての利用において優位だからである。即ち、NASICON型は層状構造等とは異なり、3次元的にLiイオンの移動空間が広がっているうえ、ジルコニウムは、高電圧下においても、金属リチウムよって還元されることがないため、安定であることから、高動作電圧の固体電解質として有用である。
尚、本発明の酸化物が、NASICON型を呈するか否かは、粉末X線回折測定で得られる、回折プロファイルから判別できる。
更に、本発明の酸化物において、相構造は限定されないが、α相の割合が多いことが好ましい。リン酸ジルコニウム系酸化物は、α相、α’相、β相及びβ’相の4相を取り得るが、α相においては、結晶構造が等方性を有するため、Liイオン伝導率が最も高くなるからである。
尚、本発明の酸化物が、いずれの相を呈するかは、X線回折測定により同定できる。具体的には後述する実施例の測定により同定できる。
本発明の酸化物の用途は特に限定されないが、例えば、全固体電池用材料、各種2次電池材料、COセンサー等として用いることができる。
具体的には、全固体電池の固体電解質(固体電解質材料)、全固体電池の電極(電極材料)、セパレータ等が挙げられる。
[2]酸化物の製造方法
前述した酸化物は、どのように製造されてもよく、固相法を用いて製造してもよく、液相法を用いて製造してもよいが、本発明では、固相法を用いて製造することができる。より具体的には、混合工程と焼成工程とを備えて製造することができる。
上記のうち、混合工程は、Li、前記M、前記M、Zr、Si及びPのうちの1種又は2種以上を含んだ複数の供給成分を、前記式(1)を満たすように混合して、供給成分の混合物を得る工程である。
また、上記のうち、焼成工程は、混合物を焼成して酸化物を得る工程である。
本方法において、Li、M、M、Zr、Si及びPの各々を供給する供給成分は、無機化合物でもよく有機化合物でもよい。
このうち、Li供給成分、M供給成分(例えば、Ca供給成分、Mg供給成分)、M供給成分(例えば、Al供給成分)、Zr供給成分、Si供給成分としては、例えば、これらの金属元素の炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、アンモニウム塩、酸化物、水酸化物、塩化物、硫化物等を利用することができる。尚、これらの供給成分は、1種類の供給成分が、Li、M、M、Zr及びSiのうちの2種以上を含む化合物であってもよい。
一方、P供給成分としては、例えば、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム等のようにLi、M、M、Zr及びSiのうちの1種又は2種以上を含まない化合物を用いることもできるが、本発明では、Li、M、M、Zr及びSiのうちの1種又は2種以上を含んだ化合物を用いることが好ましい。なかでも、本方法では、リン酸ジルコニウム系化合物を供給成分(Zr及びPの供給成分)として利用することが好ましい。
リン酸ジルコニウム系化合物には、Zr(HPO、Zr(HPO・nHO等のリン酸水素ジルコニウム、Zr(PO等のリン酸ジルコニウム、Zr(PO)(HPO)、Zr(PO)(HPO・nHO等のリン酸リン酸水素ジルコニウム、更には、HZr(PO、ZrP、(ZrO)等が含まれる。尚、上記nは、通常、0≦n≦2である(例えば、n=1、n=1.5、n=2とすることができる)。
本発明では、特に層状リン酸ジルコニウムとして称されるZr(HPO・nHOを用いることが好ましい。Zr(HPO・nHOを用いることで、焼成後(仮焼後も同様)における焼成物(仮焼物も同様)の回収を容易にすることができる。即ち、例えば、Zr(HPO・nHOに代えて、ZrOとNHPOとを利用して本発明の酸化物を得ることもできるが、これらの供給成分を利用して本発明の酸化物を製造しようとすると、焼成過程で焼成物(仮焼物も同様)の形状が変化し、容器に付着して、焼成物(仮焼物も同様)を回収し難いため、取り扱い性に劣る。これに対して、Zr(HPO・nHOを供給成分として利用すると、焼成物(仮焼物も同様)の形状がほとんど変化せず、容器に付着することがないため取り扱い性に優れる。
また、上述の混合工程では、Li、M、M、Zr、Si及びPのうちの1種又は2種以上を含んだ複数の供給成分を、式(1)を満たすように、即ち、式(1)で表される組成の化学量論比を満たすように、各供給成分を秤量したうえで、秤量物を混合する。
混合は、乾式混合により行ってもよいが、液体を用いて湿式混合することが好ましい。湿式混合を行うことにより、乾式混合を行う場合に比べて、焼成後の密度を大きくすることができ、また、Liイオン伝導性も相対的に向上させることができる。湿式混合に用いる液体としては、水、各種有機溶媒、これらの混合物等を適宜利用できる。
焼成工程では、混合工程で得られた混合物を、成形せず焼成してもよいし、成形してから焼成してもよい。
焼成温度は限定されないが、焼成温度の下限は、例えば、950℃とすることができ、1000℃が好ましく、1050℃がより好ましい。一方、焼成温度の上限は、例えば、1500℃とすることができ、1400℃が好ましく、1350℃がより好ましい。
更に、焼成に際しては、仮焼成を介して、最終的な焼成を行うことができる。即ち、焼成温度よりも低温から段階的に温度を上げて、最終的に焼成に必要な温度を課すことができる。また、各仮焼成では、得られた仮焼成物を粉砕する粉砕工程を各々介することができる。仮焼成を行う場合、例えば、100℃以上800℃未満の温度域で第1仮焼成を行い、800℃以上1200℃未満の温度域で第2仮焼成を行い、1200℃以上の温度域で本焼成を行う、というように3段階に分けて焼成を行うことができる。
また、焼成時間は限定されないが、例えば、仮焼成は、1時間以上36時間以下で行うことができ、本焼成は1時間以上12時間以下で行うことができる。
[2]固体電解質
本発明の固体電解質は、前述したLiイオン伝導性を有する酸化物を含むことを特徴とする。
この固体電解質に含まれる前述の酸化物の量は限定されず、例えば、固体電解質全体を100質量%とした場合の酸化物の含有量をX質量%とすると0<X(質量%)≦100とすることができる。また、例えば、50≦X(質量%)≦100とすることができ、75≦X(質量%)≦100とすることができる。
本発明の固体電解質は、Liイオン伝導性を有するものの、式(1)では表されない他の酸化物を含むことができる。他の固体電解質としては、例えば、下記式(3)を満たすLiイオン伝導性を有する酸化物、下記式(4)を満たすLiイオン伝導性を有する酸化物、下記式(5)を満たすLiイオン伝導性を有する酸化物等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
Li1+2x+y Zr2-x-y12 ・・・ (3)
(但し、式(3)において、Mは2価金属であり、Mは3価金属であり、x及びyは、x≧0、y≧0及びx+y>0を満たす。)
Li1+zZrSi3-z12 ・・・ (4)
(但し、式(4)において、z>0を満たす。)
Li1+2x+y+z Zr2-x-y 3-z12 ・・・ (5)
(但し、式(5)において、Mは2価金属であり、Mは3価金属であり、MはSiを除く4価元素であり、x、y及びzは、x≧0、y≧0、z>0及びx+y>0を満たす。)
尚、上記式(3)及び式(5)におけるM及びMには、式(1)に関して例示した各種金属を利用できる。また、上記式(5)におけるMは、Si以外の4価の非金属元素、及び、4価の金属元素、を適用できる。
[3]全固体電池
本発明の全固体電池1は、前述した固体電解質23(固体電解質体)を備えることを特徴とする全固体電池(図1参照)。
通常、全固体電池1は、固体電解質23以外に、正極22(正極層)及び負極24(負極層)を備える。全固体電池は、バルク型(図1(a)参照)であってもよく、薄膜型(図1(b)参照)であってもよい。
全固体電池1が、バルク型(図1(a)参照)である場合、正極22及び負極24は、固体電解質23を介して対向して配置させることができる。また、正極22及び負極24は、各々固体電解質23と接して配置される。例えば、全固体電池1は、固体電解質23、正極22及び負極24を一体の焼成体として備えることができる。より具体的には、固体電解質23(固体電解質体)が2つの主面を有する性状である場合、即ち、板状体、膜状体、シート又はフィルム等である場合、固体電解質23を介して、一方の主面に正極22を備え、他方の主面に負極24を備えた構成とすることができる。
正極は、通常、正極活物質を含み、その他、例えば、導電材、固体電解質、バインダ等のうちの1種又は2種以上を含むことができる。
同様に、負極も、通常、負極活物質を含み、その他、例えば、導電材、固体電解質、バインダ等のうちの1種又は2種以上を含むことができる。
また、各電極は、各々集電体を備えることができる。即ち、正極22は、固体電解質23と接しない側の面に正極集電体21を備えることができる。同様に、負極24は、固体電解質23と接しない側の面に負極集電体25を備えることができる。
全固体電池1が、薄膜型(図1(b)参照)である場合、正極22及び負極24は、各々その一部が、固体電解質23と接するように離間して配置することができる。例えば、全固体電池1は、負極24、固体電解質23及び正極22の順に各層を積層した一体の焼成体として備えることができる。
全固体電池1が、薄膜型である場合も、バルク型と同様に、正極は、通常、正極活物質を含み、その他、例えば、導電材、固体電解質、バインダ等のうちの1種又は2種以上を含むことができ、負極も、通常、負極活物質を含み、その他、例えば、導電材、固体電解質、バインダ等のうちの1種又は2種以上を含むことができる。また、各電極は、各々集電体を備えることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
尚、本開示は、これらの実施例により限定されるものではない。
[1]酸化物の作製
(1)実施例1
表1の実施例1に示す量比(Li:Ca:Zr:P:Si=1.20:0.05:1.95:2.90:0.10)となるように、供給成分として、層状リン酸ジルコニウム(Zr(HPO・nHO)を8.996g、酸化ジルコニウムを1.232g、炭酸リチウムを0.887g、二酸化ケイ素を0.16g、水酸化カルシウムを0.074g、各々秤量し、各供給成分を乳鉢に投入して、純水25gを加えて湿式混合を行い、供給成分の混合物を得た。
得られた混合物を、120℃で1時間乾燥した後、アルミナるつぼ(容量30mL)に移し、5.5時間かけて1100℃まで昇温して5時間保持して、第1仮焼成を行った。その後、室温まで放冷して、第1仮焼成物を得た。
得られた第1仮焼成物を乳鉢で粉砕し、得られた第1仮焼成物の粉砕物0.3gを、直径1.2cmの金型に入れ、油圧プレスで1tの荷重をかけてコイン状に成型した。得られた成型物を白金板に載せ、30分かけて800℃まで昇温した後、更に、2時間かけて1200℃まで昇温して4時間保持して、本焼成を行った。その後、室温まで放冷して、実施例1の酸化物を得た。尚、本明細書の実施例では、Zr(HPO・nHOにおけるnの値は、熱重量示差熱分析の結果からn=1.5であるものとした。以下同様である。
(2)実施例2~4、実施例9~14
実施例1の場合と同様にして、表1の実施例2~4及び実施例9~14に示す量比となるように、供給成分として、実施例1と同じ化合物を用い、各々所定量を秤量し、各供給成分を乳鉢に投入して、純水25gを加えて湿式混合を行い、供給成分の混合物を得た。
得られた混合物を、実施例1と同条件で仮焼成及び本焼成を行って、実施例2~4及び実施例9~14の酸化物を得た。
(3)実施例5
表1の実施例5に示す量比(Li:Mg:Zr:P:Si=1.20:0.05:1.95:2.90:0.10)となるように、供給成分として、層状リン酸ジルコニウム(Zr(HPO・nHO)を8.996g、酸化ジルコニウムを1.232g、炭酸リチウムを0.887g、二酸化ケイ素を0.16g、水酸化マグネシウムを0.058g、各々秤量し、各供給成分を乳鉢に投入して、純水25gを加えて湿式混合を行い、供給成分の混合物を得た。
得られた混合物を、120℃で1時間乾燥した後、アルミナるつぼ(容量30mL)に移し、5.5時間かけて1100℃まで昇温して5時間保持して、第1仮焼成を行った。その後、室温まで放冷して、第1仮焼成物を得た。
得られた第1仮焼成物を乳鉢で粉砕し、得られた第1仮焼成物の粉砕物0.3gを、直径1.2cmの金型に入れ、油圧プレスで1tの荷重をかけてコイン状に成型した。得られた成型物を白金板に載せ、30分かけて800℃まで昇温した後、更に、2時間かけて1200℃まで昇温して4時間保持して、本焼成を行った。その後、室温まで放冷して、実施例5の酸化物を得た。
(4)実施例6
実施例5の場合と同様にして、表1の実施例6に示す量比となるように、供給成分として、実施例5と同じ化合物を用い、各々所定量を秤量し、各供給成分を乳鉢に投入して、純水25gを加えて湿式混合を行い、供給成分の混合物を得た。
得られた混合物を、実施例5と同条件で仮焼成及び本焼成を行って、実施例6の酸化物を得た。
(5)実施例7
表1の実施例7に示す量比(Li:Al:Zr:P:Si=1.15:0.05:1.95:2.90:0.10)となるように、供給成分として、層状リン酸ジルコニウム(Zr(HPO・nHO)を8.996g、酸化ジルコニウムを1.232g、炭酸リチウムを0.85g、二酸化ケイ素を0.16g、水酸化アルミニウムを0.078g、各々秤量し、各供給成分を乳鉢に投入して、純水25gを加えて湿式混合を行い、供給成分の混合物を得た。
得られた混合物を、120℃で1時間乾燥した後、アルミナるつぼ(容量30mL)に移し、5.5時間かけて1100℃まで昇温して5時間保持して、第1仮焼成を行った。その後、室温まで放冷して、第1仮焼成物を得た。
得られた第1仮焼成物を乳鉢で粉砕し、得られた第1仮焼成物の粉砕物0.3gを、直径1.2cmの金型に入れ、油圧プレスで1tの荷重をかけてコイン状に成型した。得られた成型物を白金板に載せ、30分かけて800℃まで昇温した後、更に、2時間かけて1200℃まで昇温して4時間保持して、本焼成を行った。その後、室温まで放冷して、実施例7の酸化物を得た。
(6)実施例8
実施例7の場合と同様にして、表1の実施例8に示す量比となるように、供給成分として、実施例7と同じ化合物を用い、各々所定量を秤量し、各供給成分を乳鉢に投入して、純水25gを加えて湿式混合を行い、供給成分の混合物を得た。
得られた混合物を、実施例7と同条件で仮焼成及び本焼成を行って、実施例8の酸化物を得た。
(7)比較例1
表1の比較例1に示す量比(Li:Zr:P=1.00:2.00:3.00)となるように、供給成分として、層状リン酸ジルコニウム(Zr(HPO・nHO)を9.306g、酸化ジルコニウムを1.232g、炭酸リチウムを0.739g、各々秤量し、各供給成分を乳鉢に投入して、純水25gを加えて湿式混合を行い、供給成分の混合物を得た。
得られた混合物を、120℃で1時間乾燥した後、アルミナるつぼ(容量30mL)に移し、5.5時間かけて1100℃まで昇温して5時間保持して、第1仮焼成を行った。その後、室温まで放冷して、第1仮焼成物を得た。
得られた第1仮焼成物を乳鉢で粉砕し、得られた第1仮焼成物の粉砕物0.3gを、直径1.2cmの金型に入れ、油圧プレスで1tの荷重をかけてコイン状に成型した。得られた成型物を白金板に載せ、30分かけて800℃まで昇温した後、更に、2時間かけて1200℃まで昇温して4時間保持して、本焼成を行った。その後、室温まで放冷して、比較例1の酸化物を得た。
(8)比較例2
表1の比較例2に示す量比(Li:Ca:Zr:P=1.10:0.05:1.95:3.00)となるように、供給成分として、層状リン酸ジルコニウム(Zr(HPO・nHO)を9.151g、酸化ジルコニウムを1.170g、炭酸リチウムを0.813g、水酸化カルシウムを0.074g、各々秤量し、各供給成分を乳鉢に投入して、純水25gを加えて湿式混合を行い、供給成分の混合物を得た。
得られた混合物を、比較例1と同条件で仮焼成及び本焼成を行って、比較例2の酸化物を得た。
(9)比較例3
表1の比較例3に示す量比(Li:Mg:Zr:P=1.20:0.10:1.90:3.00)となるように、供給成分として、層状リン酸ジルコニウム(Zr(HPO・nHO)を9.306g、酸化ジルコニウムを0.986g、炭酸リチウムを0.887g、水酸化マグネシウムを0.117g、各々秤量し、各供給成分を乳鉢に投入して、純水25gを加えて湿式混合を行い、供給成分の混合物を得た。
得られた混合物を、比較例1と同条件で仮焼成及び本焼成を行って、比較例3の酸化物を得た。
(10)比較例4
表1の比較例4に示す量比(Li:Zr:P:Si=1.10:2.00:2.90:0.10)となるように、供給成分として、層状リン酸ジルコニウム(Zr(HPO・nHO)を8.996g、酸化ジルコニウムを1.356g、炭酸リチウムを0.813g、二酸化ケイ素を0.16g、各々秤量し、各供給成分を乳鉢に投入して、純水25gを加えて湿式混合を行い、供給成分の混合物を得た。
得られた混合物を、比較例1と同条件で仮焼成及び本焼成を行って、比較例4の酸化物を得た。
[2]評価方法の説明
(1)イオン伝導率の評価
(1-1)集電体層の形成
上記[1](1)~(10)で得られた実施例1~14及び比較例1~4の各酸化物(コイン状の焼結ペレット)の両面を研磨したうえで、その中心に5mm四方の露出面が形成されるようにポリイミドテープでマスキングを行った。その後、上記露出面に、スパッタリングにより、集電体層を形成した。集電体層は、厚さ約50nmの金(Au)層として形成した。スパッタリングには、金蒸着装置(株式会社エイコー製、イオンコーター IB-2/IB-3)を使用した。
(1-2)交流インピーダンス測定
上記(1-1)において、集電体層を形成した実施例1~14及び比較例1~4の各酸化物の交流インピーダンスを測定し、複素インピーダンスプロットを作成した。実施例1~8及び比較例1~4は、インピーダンス・アナライザ(キーサイト社製、型式「E4990A」)を用いて、周波数20Hz~120MHz、電圧10mV、温度25℃で測定した。また、実施例9~14は、FRA(Frequency Response Analyzer)を搭載したマルチポテンショ/ガルバノスタット「バイオロジック社製、型式「VMP3」」を用いて、周波数1Hz~1MHz、電圧10mV、温度25℃で測定した。
(1-3)イオン伝導率の算出
上記(1-2)により得られた複素インピーダンスプロットにおける円弧の右端の終端の値を各酸化物の抵抗R(粒子と粒界抵抗の和)とし、下記式を用いてイオン伝導率σ(Liイオン伝導率)を算出した。その結果を表1に示した。
σ=(t/A)×(1/R)
σ:イオン伝導率
t:試料の厚さ
A:電極の面積
R:酸化物の抵抗
(1-4)粒内イオン伝導率の算出
上記(1-2)により得られた実施例1~8及び比較例1~4の複素インピーダンスプロットにおいて、2つの円弧の波形が認められた例では、1つ目の円弧の直径を粒子抵抗(Rb)として、下記式を用いて粒子のイオン伝導率σb(粒内Liイオン伝導率)を算出した。その結果を、下記に示すと共に、表1に併記した。
σb=(t/A)×(1/Rb)
σb:イオン伝導率
t:試料の厚さ
A:電極の面積
Rb:酸化物の抵抗
実施例1の酸化物のLiイオン伝導率は2.6×10-5S/cmであり、粒内Li伝導率は2.5×10-4S/cmであった。
実施例2の酸化物のLiイオン伝導率は2.4×10-5S/cmであり、粒内Li伝導率は2.3×10-4S/cmであった。
実施例3の酸化物のLiイオン伝導率は1.9×10-5S/cmであり、粒内Li伝導率は1.8×10-4S/cmであった。
実施例4の酸化物のLiイオン伝導率は1.5×10-5S/cmであり、粒内Li伝導率は1.4×10-4S/cmであった。
実施例5の酸化物のLiイオン伝導率は1.0×10-5S/cmであり、粒内Li伝導率は1.1×10-4S/cmであった。
実施例6の酸化物のLiイオン伝導率は1.0×10-5S/cmであり、粒内Li伝導率は1.0×10-4S/cmであった。
実施例7の酸化物のLiイオン伝導率は1.6×10-5S/cmであり、粒内Li伝導率は1.5×10-4S/cmであった。
実施例8の酸化物のLiイオン伝導率は1.5×10-5S/cmであり、粒内Li伝導率は1.4×10-4S/cmであった。
実施例9の酸化物のLiイオン伝導率は1.5×10-5S/cmであった。
実施例10の酸化物のLiイオン伝導率は8.6×10-6S/cmであった。
実施例11の酸化物のLiイオン伝導率は1.2×10-5S/cmであった。
実施例12の酸化物のLiイオン伝導率は1.2×10-6S/cmであった。
実施例13の酸化物のLiイオン伝導率は1.5×10-5S/cmであった。
実施例14の酸化物のLiイオン伝導率は1.1×10-5S/cmであった。
即ち、実施例1~14の酸化物は、いずれも、Liイオン伝導性を有する固体電解質としての性質を有していることが分かった。
比較例1の酸化物のLiイオン伝導率は5.7×10-8S/cmであった。
比較例2の酸化物のLiイオン伝導率は9.2×10-7S/cmであった。
比較例3の酸化物のLiイオン伝導率は3.8×10-7S/cmであった。
比較例4の酸化物のLiイオン伝導率は1.3×10-7S/cmであった。
即ち、実施例1~14の酸化物は、いずれも、Liイオン伝導性を有する固体電解質としての性質を有していることが分かった。一方、比較例1~4の酸化物では、いずれも、複素インピーダンスプロットの円弧が1つしか認められず、粒内Li伝導率を算出することができなかった。
(2)結晶相の同定
実施例1~14及び比較例1~4の各試料の結晶相の同定を、X線回折(XRD)測定を用いて行った。XRD測定条件は、以下の通りである。
X線回折測定装置:株式会社リガク社製、Mini Flex 600
特性X線:CuKα
測定電圧:40kV
測定電流:15mA
測定方法:連続
測定範囲:10°≦2θ≦60°
ステップサイド:0.01°
スキャンスピード:10°/min
そして、無機結晶構造データベース(ICSD)に収録されたLiZr(POの結晶相データである、ICSD:201935(α相)、ICSD:89456(α’相)、ICSD:91113(β相)、ICSD:91112(β’相)の各データと、統合粉末X線解析ソフトウェア(株式会社リガク製、品名「PDXL」)と、を用いて、実施例1~14の各試料に生成された結晶相の同定と、その割合を評価し、その結果を表1に併記した。また、比較例1~4の各試料については、生成された結晶相の同定を行い、その結果を表1に併記した。
表1において、実施例1~14における、例えば、「α:100」の表記は「α相が100%の割合で生成されている」ことを表している。また、比較例1~4における「α’」は主結晶相がα’相であることを表し、「β’」は主結晶相がβ’相であることを表す。
Figure 2023033799000002
[3]短絡試験
銅箔上にリチウム箔を載せてプレスすることにより、銅リチウム多層箔を作製した。実施例1の酸化物(コイン状成型酸化物)の表裏の2つの主面に、各々多層箔のリチウム箔が接するように挟んで、実施例1の酸化物を用いた試験セルを形成した。
得られた試験セル(実施例1の酸化物を利用)を、インピーダンス・アナライザ(キーサイト社製、型式「E4990A」)に接続して定電流試験を行った。定電流試験は、下記(1)~(4)のサイクルを50回繰り返して行った。その結果、この試験セルは短絡を生じなかった。
(1)50μA/cmを1時間
(2)電流を与えない(開回路)30分
(3)-50μA/cm(1と逆方向)を1時間
(4)電流を与えない(開回路)30分
一方、ガーネット型の酸化物固体電解質であるLiLaZr12(株式会社豊島製作所製)を、直径1.2cmの金型に入れ、油圧プレスで1tの荷重をかけてコイン状に成型した。得られた成型物を白金板に載せて1200℃で焼成して、比較例5の酸化物を得た。
比較例5の酸化物(コイン状成型酸化物)の表裏の2つの主面に、上記と同様に各々多層箔のリチウム箔が接するように挟んで、比較例5の酸化物を用いた試験セルを形成した。
得られた試験セル(比較例5の酸化物を利用)を用いて、上記と同様に定電流試験を行った結果、上記(1)~(4)のサイクルを10回繰り返したところで短絡を生じた。
この結果から、本発明の酸化物を固体電解質として利用する電池は、優れた耐短絡性を有することが分かる。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的及び例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施例を参照したが、本発明をここに掲げる開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
1:全固体電池、
21:集電体(正極集電体)、
22:正極、
23:固体電解質、
24:負極、
25:集電体(負極集電体)、
26:基板。

Claims (10)

  1. 下記式(1)を満たし、Liイオン伝導性を有することを特徴とする酸化物。
    Li1+2x+y+z Zr2-x-ySi3-z12 ・・・ (1)
    (但し、式(1)において、Mは2価金属であり、Mは3価金属であり、x、y及びzは、x≧0、y≧0、z>0及びx+y>0を満たす。)
  2. x+y≦0.2を満たす請求項1に記載の酸化物。
  3. z≦0.2を満たす請求項1又は2に記載の酸化物。
  4. 前記Mは、Mg、Ca、Sn、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の酸化物。
  5. 前記Mは、Al、Sc、Ga、Y、In、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lum、Sb及びBiからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の酸化物。
  6. 請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の酸化物を含むことを特徴とする固体電解質。
  7. 請求項6に記載の固体電解質を備えることを特徴とする全固体電池。
  8. 請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の酸化物の製造方法であって、
    Li、前記M、前記M、Zr、Si及びPのうちの1種又は2種以上を含んだ複数の供給成分を、前記式(1)を満たすように混合して、前記供給成分の混合物を得る混合工程と、
    前記混合物を焼成して前記酸化物を得る焼成工程と、を備えることを特徴とする酸化物の製造方法。
  9. Li及びZrを供給する供給成分として、層状リン酸ジルコニウムを用いる請求項8に記載の酸化物の製造方法。
  10. 前記混合が、湿式混合である請求項8又は9に記載の酸化物の製造方法。
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