JP2023032330A - 長尺フィルム積層体の製造方法、画像表示装置の製造方法、および、長尺フィルム積層体 - Google Patents

長尺フィルム積層体の製造方法、画像表示装置の製造方法、および、長尺フィルム積層体 Download PDF

Info

Publication number
JP2023032330A
JP2023032330A JP2021138388A JP2021138388A JP2023032330A JP 2023032330 A JP2023032330 A JP 2023032330A JP 2021138388 A JP2021138388 A JP 2021138388A JP 2021138388 A JP2021138388 A JP 2021138388A JP 2023032330 A JP2023032330 A JP 2023032330A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
layer
film
light absorption
long
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021138388A
Other languages
English (en)
Inventor
伸一 吉成
Shinichi Yoshinari
晋也 渡邉
Shinya Watanabe
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2021138388A priority Critical patent/JP2023032330A/ja
Priority to KR1020220089402A priority patent/KR20230031134A/ko
Publication of JP2023032330A publication Critical patent/JP2023032330A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements
    • G02B5/3025Polarisers, i.e. arrangements capable of producing a definite output polarisation state from an unpolarised input state
    • G02B5/3033Polarisers, i.e. arrangements capable of producing a definite output polarisation state from an unpolarised input state in the form of a thin sheet or foil, e.g. Polaroid
    • G02B5/3041Polarisers, i.e. arrangements capable of producing a definite output polarisation state from an unpolarised input state in the form of a thin sheet or foil, e.g. Polaroid comprising multiple thin layers, e.g. multilayer stacks
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B38/00Ancillary operations in connection with laminating processes
    • B32B38/04Punching, slitting or perforating
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B7/00Layered products characterised by the relation between layers; Layered products characterised by the relative orientation of features between layers, or by the relative values of a measurable parameter between layers, i.e. products comprising layers having different physical, chemical or physicochemical properties; Layered products characterised by the interconnection of layers
    • B32B7/02Physical, chemical or physicochemical properties
    • B32B7/023Optical properties
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements
    • G02B5/3083Birefringent or phase retarding elements
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B37/00Methods or apparatus for laminating, e.g. by curing or by ultrasonic bonding
    • B32B37/14Methods or apparatus for laminating, e.g. by curing or by ultrasonic bonding characterised by the properties of the layers
    • B32B37/26Methods or apparatus for laminating, e.g. by curing or by ultrasonic bonding characterised by the properties of the layers with at least one layer which influences the bonding during the lamination process, e.g. release layers or pressure equalising layers
    • B32B2037/268Release layers
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B38/00Ancillary operations in connection with laminating processes
    • B32B38/04Punching, slitting or perforating
    • B32B2038/042Punching
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B2307/00Properties of the layers or laminate
    • B32B2307/40Properties of the layers or laminate having particular optical properties
    • B32B2307/42Polarizing, birefringent, filtering
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B2457/00Electrical equipment
    • B32B2457/20Displays, e.g. liquid crystal displays, plasma displays

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、視野角制御システムの生産性が良好となる長尺フィルム積層体の製造方法、画像表示装置の製造方法、および、長尺フィルム積層体を提供することを課題とする。【解決手段】光吸収異方性層の透過率中心軸と、光吸収異方性層の表面の法線方向とのなす角度が5°~60°であり、光吸収異方性層の透過率中心軸を光吸収異方性層の表面に投影した投影軸と、光吸収異方性層の長手方向とのなす角度が35°~55°または125°~145°であり、偏光子層の吸収軸と、偏光子層の長手方向とのなす角度が35°~55°または125°~145°であり、偏光子層の吸収軸と、光吸収異方性層の透過率中心軸の投影軸とのなす角が70°~110°となるように貼り合わせる貼合工程を有する、長尺フィルム積層体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、長尺フィルム積層体の製造方法、画像表示装置の製造方法、および、長尺フィルム積層体に関する。
カーナビ等の車載用ディスプレイを用いる場合、表示画面から上方向に出射される光がフロントガラスなどに映り込み、運転時に妨げになるという問題がある。
このような問題を解決する目的で、例えば、特許文献1には、配向が固定された吸収二色性物質を含有するフィルム状の、第1偏光子および第2偏光子を有する視角制御システムが開示されている。
特許第4902516号
本発明者らは、特許文献1に記載された視角(視野角)制御システムについて検討したところ、枚葉同士の第1偏光子および第2偏光子を貼り合わせて製造すると、生産性が低いことが明らかとなった。
そこで、本発明は、視野角制御システムの生産性が良好となる長尺フィルム積層体の製造方法、画像表示装置の製造方法、および、長尺フィルム積層体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、長尺の偏光子層の吸収軸および長尺の光吸収異方性層の透過率中心軸の投影軸が、各層の長手方向とのなす角度が所定の角度関係を満たし、かつ、偏光子層の吸収軸と光吸収異方性層の透過率中心軸の投影軸とのなす角が所定の角度関係を満たす状態で貼り合わせることで、視野角制御システムに用いることができる長尺フィルム積層体を容易に製造できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
[1] 長尺の光吸収異方性フィルムと長尺の偏光フィルムとを有する長尺フィルム積層体の製造方法であって、
光吸収異方性フィルムが、長尺のフィルム支持体と長尺の光吸収異方性層とを有し、
偏光フィルムが、長尺のフィルム支持体と長尺の偏光子層とを有し、
光吸収異方性層の透過率中心軸と、光吸収異方性層の表面の法線方向とのなす角度が5°~60°であり、
光吸収異方性層の透過率中心軸を光吸収異方性層の表面に投影した投影軸と、光吸収異方性層の長手方向とのなす角度が35°~55°または125°~145°であり、
偏光子層の吸収軸と、偏光子層の長手方向とのなす角度が35°~55°または125°~145°であり、
光吸収異方性層の透過率中心軸の投影軸と、偏光子層の吸収軸とのなす角度が70°~110°となるように、光吸収異方性フィルムと偏光フィルムとを貼り合わせる貼合工程を有する、長尺フィルム積層体の製造方法。
[2] 偏光フィルムのフィルム支持体と偏光子層との間に配向膜を有し、配向膜が光配向膜である、[1]に記載の長尺フィルム積層体の製造方法。
[3] 光吸収異方性フィルムのフィルム支持体と光吸収異方性層との間に、配向膜を有し、配向膜がハイブリッド配向した液晶層である、[1]または[2]に記載の長尺フィルム積層体の製造方法。
[4] 光吸収異方性フィルムのフィルム支持体と配向膜の間に、配向補助層を有し、配向補助層がラビング処理を施した樹脂層である、[3]に記載の長尺フィルム積層体の製造方法。
[5] 光吸収異方性フィルムと偏光フィルムとの間に、Bプレートを有する、[1]~[4]のいずれかに記載の長尺フィルム積層体の製造方法。
[6] Bプレートの波長550nmにおける面内位相差Reが60nmよりも大きい、[5]の記載の長尺フィルム積層体の製造方法。
[7] 光吸収異方性層および偏光子層の少なくとも一方が、液晶性化合物および二色性物質を含有する層である、[1]~[6]のいずれかに記載の長尺フィルム積層体の製造方法。
[8] 液晶性化合物および二色性物質を含有する層中の、二色性物質の含有量が、液晶性化合物および二色性物質を含有する層の全固形分質量に対して10質量%以上である、[7]に記載の長尺フィルム積層体の製造方法。
[9] [1]~[8]のいずれかに記載の長尺フィルム積層体の製造方法で製造された長尺フィルム積層体を打ち抜き、フィルム積層体を形成する打ち抜き工程と、
フィルム積層体を画像表示素子に貼り合わせる貼合工程とを有する、画像表示装置の製造方法。
[10] 貼合工程が、フィルム積層体が有する2個のフィルム支持体の一方を剥離して露出させた面を貼り合わせる工程である、[9]に記載の画像表示装置の製造方法。
[11] 長尺のフィルム支持体と、長尺の光吸収異方性層と、長尺の偏光子層とを有する長尺フィルム積層体であって、
光吸収異方性層の透過率中心軸と、光吸収異方性層の表面の法線方向とのなす角度が5°~60°であり、
光吸収異方性層の透過率中心軸を光吸収異方性層の表面に投影した投影軸と、光吸収異方性層の長手方向とのなす角度が35°~55°または125°~145°であり、
偏光子層の吸収軸と、偏光子層の長手方向とのなす角度が35°~55°または125°~145°であり、
光吸収異方性層の透過率中心軸の投影軸と、偏光子層の吸収軸とのなす角度が70°~110°である、長尺フィルム積層体。
[12] 偏光子層と光吸収異方性層との間に、Bプレートを有する、[11]に記載の長尺フィルム積層体。
[13] Bプレートの波長550nmにおける面内位相差Reが60nmよりも大きい、[12]の記載の長尺フィルム積層体。
[14] 偏光子層に隣接する配向膜を有し、配向膜が光配向膜である、[11]~[13]のいずれかに記載の長尺フィルム積層体。
[15] 光吸収異方性層に隣接する配向膜を有し、配向膜がハイブリッド配向した液晶層である、[11]~[14]のいずれかに記載の長尺フィルム積層体。
[16] 偏光子層および光吸収異方性層の少なくとも一方が、液晶性化合物および二色性物質を含有する層である、[11]~[15]のいずれかに記載の長尺フィルム積層体。
[17] 液晶性化合物および二色性物質を含有する層中の、二色性物質の含有量が、液晶性化合物および二色性物質を含有する層の全固形分質量に対して10質量%以上である、[16]に記載の長尺フィルム積層体。
本発明によれば、視野角制御システムの生産性が良好となる長尺フィルム積層体の製造方法、画像表示装置の製造方法、および、長尺フィルム積層体を提供することができる。
図1は、光吸収異方性層の透過率中心軸を光吸収異方性層の表面に投影した投影軸、および、偏光子層の吸収軸について、各層の長手方向との位置関係を説明する模式図である。 図2は、図1中の白矢印の方向から観察した際の、光吸収異方性層の透過率中心軸の投影軸と偏光子層の吸収軸との角度の関係を示す図である。 図3は、本発明の長尺フィルム積層体の製造方法で製造される長尺フィルム積層体の一例を示す模式的な断面図である。 図4は、本発明の長尺フィルム積層体の製造方法で製造される長尺フィルム積層体の他の一例を示す模式的な断面図である。 図5は、本発明の長尺フィルム積層体の製造方法で製造される長尺フィルム積層体の他の一例を示す模式的な断面図である。 図6は、画像評価装置を説明するための斜視図である。 図7は、画像評価装置を説明するための側面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、平行および直交とは、それぞれ厳密な意味での平行および直交を意味するのではなく、それぞれ、平行±5°の範囲、および、直交±5°の範囲を意味する。
また、本明細書において、液晶性組成物および液晶性化合物は、いずれも、硬化等により、もはや液晶性を示さなくなったものも概念として含まれる。
また、本明細書において、各成分は、各成分に該当する物質を1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上の物質を併用する場合、その成分についての含有量とは、特段の断りが無い限り、併用した物質の合計の含有量を指す。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」または「メタクリレート」を表す表記であり、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」または「メタクリル」を表す表記であり、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」または「メタクリロイル」を表す表記である。
本明細書において、Re(λ)およびRth(λ)は、それぞれ、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚み方向のレターデーションを表す。なお、波長λは、特に記載がないときは、550nmとする。
また、本明細書において、Re(λ)およびRth(λ)は、AxoScan OPMF-1(オプトサイエンス社製)において、波長λで測定した値である。
具体的には、AxoScan OPMF-1にて、平均屈折率((nx+ny+nz)/3)と膜厚(d(μm))を入力することにより、
遅相軸方向(°)
Re(λ)=R0(λ)
Rth(λ)=((nx+ny)/2-nz)×d
が算出される。
なお、R0(λ)は、AxoScan OPMF-1で算出される数値として表示されるものであるが、Re(λ)を意味している。
[置換基W]
本明細書で用いられる置換基Wは、以下の基を表す。
置換基Wとしては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素数1~20のシクロアルキル基、炭素数1~10のアルキルカルボニル基、炭素数1~10のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1~10のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基、アルキルアミノカルボニル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~20のアルケニル基、炭素数1~20のアルキニル基、炭素数1~20のアリール基、複素環基(ヘテロ環基といってもよい)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(-B(OH))、ホスファト基(-OPO(OH)2)、スルファト基(-OSOH)、その他の公知の置換基などが挙げられる。
なお、置換基の詳細については、特開2007-234651号公報の段落[0023]に記載される。
また、置換基Wは、下記式(W1)で表される基であってもよい。
Figure 2023032330000001
式(W1)中、LWは単結合又は2価の連結基を表し、SPWは2価のスペーサー基を表し、Qは後述の式(LC)におけるQ1又はQ2を表し、*は結合位置を表す。
LWが表す2価の連結基としては、-O-、-(CH-、-(CF-、-Si(CH-、-(Si(CHO)-、-(OSi(CH-(gは1~10の整数を表す。)、-N(Z)-、-C(Z)=C(Z’)-、-C(Z)=N-、-N=C(Z)-、-C(Z)-C(Z’)-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-O-C(O)O-、-N(Z)C(O)-、-C(O)N(Z)-、-C(Z)=C(Z’)-C(O)O-、-O-C(O)-C(Z)=C(Z’)-、-C(Z)=N-、-N=C(Z)-、-C(Z)=C(Z’)-C(O)N(Z”)-、-N(Z”)-C(O)-C(Z)=C(Z’)-、-C(Z)=C(Z’)-C(O)-S-、-S-C(O)-C(Z)=C(Z’)-、-C(Z)=N-N=C(Z’)-(Z、Z’、Z”は独立に、水素、炭素数1~4のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、シアノ基、又は、ハロゲン原子を表す。)、-C≡C-、-N=N-、-S-、-S(O)-、-S(O)(O)-、-(O)S(O)O-、-O(O)S(O)O-、-SC(O)-、及び、-C(O)S-、などが挙げられる。LWは、これらの基を2つ以上組み合わせた基であってもよい(以下「L-C」とも省略する)。
SPWが表す2価のスペーサー基としては、炭素数1~50の直鎖、分岐若しくは環状のアルキレン基、又は、炭素数1~20複素環基が挙げられる。
上記アルキレン基、複素環基の炭素原子は、-O-、-Si(CH-、-(Si(CHO)-、-(OSi(CH-(gは1~10の整数を表す。)、-N(Z)-、-C(Z)=C(Z’)-、-C(Z)=N-、-N=C(Z)-、-C(Z)-C(Z’)-、-C(O)-、-OC(O)-、-C(O)O-、-O-C(O)O-、-N(Z)C(O)-、-C(O)N(Z)-、-C(Z)=C(Z’)-C(O)O-、-O-C(O)-C(Z)=C(Z’)-、-C(Z)=N-、-N=C(Z)-、-C(Z)=C(Z’)-C(O)N(Z”)-、-N(Z”)-C(O)-C(Z)=C(Z’)-、-C(Z)=C(Z’)-C(O)-S-、-S-C(O)-C(Z)=C(Z’)-、-C(Z)=N-N=C(Z’)-(Z、Z’、Z”は独立に、水素、炭素数1~4のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、シアノ基、又は、ハロゲン原子を表す。)、-C≡C-、-N=N-、-S-、-C(S)-、-S(O)-、-SO-、-(O)S(O)O-、-O(O)S(O)O-、-SC(O)-、及び、-C(O)S-、これらの基を2つ以上組み合わせた基で置換されていてもよい(以下「SP-C」とも省略する)。
上記アルキレン基の水素原子、及び、複素環基の水素原子は、ハロゲン原子、シアノ基、-Z、-OH、-OZ、-COOH、-C(O)Z、-C(O)OZ、-OC(O)Z、-OC(O)OZ、-NZ’、-NZC(O)Z’、-NZC(O)OZ’、-C(O)NZ’、-OC(O)NZ’、-NZC(O)NZ’OZ’’、-SH、-SZ、-C(S)Z、-C(O)SZ、-SC(O)Z、で置換されていてもよい(以下、「SP-H」とも省略する)。ここで、Z、Z’は炭素数1~10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、-L-CL(Lは単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基の具体例は、上述したLW及びSPWと同じである。CLは架橋性基を表し、後述の式(LC)におけるQ1又はQ2で表される基が挙げられ、後述の式(P1)~(P30)で表される架橋性基が好ましい。)を表す。
[長尺フィルム積層体の製造方法]
本発明の長尺フィルム積層体の製造方法(以下、「本発明の製造方法」とも略す。)は、長尺の光吸収異方性フィルムと長尺の偏光フィルムとを有する長尺フィルム積層体の製造方法である。
ここで、上記光吸収異方性フィルムは、長尺のフィルム支持体と長尺の光吸収異方性層とを有する。
また、上記偏光フィルムは、長尺のフィルム支持体と長尺の偏光子層とを有する。
また、上記光吸収異方性層の透過率中心軸と、上記光吸収異方性層の表面の法線方向とのなす角度(以下、「透過率中心軸角度θ」とも略す。)が5°~60°である。
また、上記光吸収異方性層の透過率中心軸を上記光吸収異方性層の表面に投影した投影軸(以下、「透過率中心軸の投影軸」とも略す。)と、上記光吸収異方性層の長手方向とのなす角度(以下、「角度θ1」とも略す。)が35°~55°または125°~145°である。
また、上記偏光子層の吸収軸と、上記偏光子層の長手方向とのなす角度(以下、「角度θ2」とも略す。)が35°~55°または125°~145°である。
そして、本発明の製造方法においては、上記光吸収異方性層の透過率中心軸の上記投影軸と、上記偏光子層の上記吸収軸とのなす角度(以下、「角度θ3」とも略す。)が70°~110°となるように、上記長尺光吸収異方性フィルムと上記長尺偏光フィルムとを貼り合わせる貼合工程を有する。
ここで、光吸収異方性層の透過率中心軸とは、光吸収異方性層表面の法線方向に対する傾き角度(極角)と傾き方向(方位角)を変化させて透過率を測定した際に、最も高い透過率を示す方向を意味する。
具体的には、AxoScan OPMF-1(オプトサイエンス社製)を用いて、波長550nmにおけるミュラーマトリックスを実測する。より具体的には、測定の際には、透過率中心軸が傾いている方位角を最初に探し、次に、その方位角に沿った光吸収異方性層の法線方向を含む面(透過率中心軸を含み、層表面に直交する平面)内で、光吸収異方性層表面の法線方向に対する角度である極角を-70~70°まで1°毎に変更しつつ、波長550nmのミュラーマトリックスを実測し、光吸収異方性層の透過率を導出する。この結果、最も透過率の高い方向を透過率中心軸とする。
次に、図1および図2を用いて、上述した種々の角度について説明する。
図1に示す光吸収異方性層2においては、透過率中心軸角度θが、透過率中心軸vと光学異方性層表面の法線方向(z軸方向)とのなす角度として表されている。また、透過率中心軸vを光学異方性層表面に投影した投影軸が、v(xy)として表されている。更に、投影軸v(xy)と光吸収異方性層2の長手方向(x軸方向)とのなす角度が、θ1で表されている。
また、図1に示す偏光子層12においては、偏光子層12の面内に存在している吸収軸wと偏光子層12の長手方向(破線)とのなす角度が、θ2で表されている。
また、図2においては、図1中の白矢印の方向から観察した際の、光吸収異方性層2の透過率中心軸vの投影軸v(xy)と偏光子層12の吸収軸wとのなす角度が、θ3で表されている。
そして、本発明の製造方法は、上述した通り、透過率中心軸角度θが5°~60°を満たし、角度θ1が35°~55°または125°~145°を満たし、角度θ2が35°~55°または125°~145°を満たし、角度θ3が70°~110°を満たす。
本発明の製造方法は、このような角度関係を満たしているため、長尺の光吸収異方性フィルムと長尺の偏光フィルムとを貼り合わせることにより、視野角制御システムに用いることができる長尺フィルム積層体を容易に製造できる。
本発明においては、透過率中心軸角度θは、5°~60°であり、5°以上45°未満であることが好ましく、5°以上35°以下であることがより好ましく、5°以上35°未満であることが更に好ましく、5°超35°未満であることが特に好ましく、10°超35°未満であることが最も好ましい。
また、角度θ1は、35°~55°または125°~145°であり、40°以上50°以下または130°以上140°以下であることが好ましく、40°超50°未満または130°超140°未満であることがより好ましく、42°以上48°以下または132°以上138°以下であることが更に好ましく、44°以上46°以下または134°以上136°以下であることが特に好ましく、45°または135°であることが最も好ましい。
また、角度θ2は、35°~55°または125°~145°であり、40°以上50°以下または130°以上140°以下であることが好ましく、40°超50°未満または130°超140°未満であることがより好ましく、42°以上48°以下または132°以上138°以下であることが更に好ましく、44°以上46°以下または134°以上136°以下であることが特に好ましく、45°または135°であることが最も好ましい。
また、角度θ3は、70°~110°であり、80°以上100°以下であることが好ましく、80°超100°未満であることがより好ましく、82°以上98°以下であることが更に好ましく、89°以上91°以下であることが特に好ましく、90°であることが最も好ましい。
次に、図3~図5を用いて、本発明の製造方法で製造される長尺フィルム積層体について説明する。
図3に示す長尺フィルム積層体100は、長尺の光吸収異方性フィルム10と長尺の偏光フィルム20とを有する。また、長尺の光吸収異方性フィルム10は、長尺のフィルム支持体1と長尺の光吸収異方性層2とを有し、長尺の偏光フィルム20は、長尺のフィルム支持体11と長尺の偏光子層12とを有する。
図4に示す長尺フィルム積層体200は、長尺の光吸収異方性フィルム10が有する長尺のフィルム支持体1と長尺の光吸収異方性層2との位置が異なる以外は、図3に示す長尺フィルム積層体100と同じ積層体である。
図5に示す長尺フィルム積層体300は、長尺の光吸収異方性フィルム10と長尺の偏光フィルム20とを有する。また、長尺の光吸収異方性フィルム10は、長尺の、フィルム支持体1と配向補助層3と配向膜4と光吸収異方性層2とバリア層5とを有し、長尺の偏光フィルム20は、長尺の、フィルム支持体11と光配向膜13と偏光子層12と酸素遮断層14とを有する。
以下、本発明の製造方法で用いる長尺の光吸収異方性フィルム、長尺の偏光フィルム、および、これらのフィルムが有する長尺のフィルム支持体等の各層、ならびに、光吸収異方性フィルムと偏光フィルムとの貼合工程について説明する。
〔光吸収異方性フィルム〕
本発明の製造方法で用いる長尺の光吸収異方性フィルムは、長尺のフィルム支持体と長尺の光吸収異方性層とを有する。
<フィルム支持体>
フィルム支持体としては、透明フィルム基材であることが好ましい。
ここで、透明とは、可視光の透過率が60%以上であることを示す。本発明では、透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上の透過率がより好ましい。
透明フィルム基材としては、公知の透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートなどを用いることができ、特に限定は無い。
透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム等が使用できる。
中でも、透明性が高く、光学的に複屈折が少なく、製造が容易であり、偏光板の保護フィルムとして一般に用いられているセルロースアシレートフィルムが好ましく、セルローストリアセテート(トリアセチルセルロース(TAC)ともいう。)フィルムが特に好ましい。
透明フィルム基材の厚みは、通常20μm~100μmである。
本発明においては、フィルム支持体がセルロースエステル系フィルムであり、かつ、その厚みが20~70μmであるのが特に好ましい。
<光吸収異方性層>
光吸収異方性層は、透過率中心軸角度θが5°~60°を満たし、かつ、透過率中心軸の投影軸と光吸収異方性層の長手方向とのなす角度θ1が35°~55°または125°~145°を満たすものであれば、特に限定されない。
光吸収異方性層の厚さは、特に限定されないが、小型軽量化の観点から、100~8000nmであることが好ましく、300~5000nmであることがより好ましい。
<配向膜>
本発明の製造方法で用いる長尺の光吸収異方性フィルムは、上述したフィルム支持体と光吸収異方性層との間に配向膜を有していてもよい。
配向膜は、光吸収性異方性層の配向方向を制御するために設けている。
配向膜としては、具体的には、ラビング処理が施してある又は施していない、ポリビニルアルコールおよびポリイミドなどの層;偏光露光処理が施してある又は施してない、ポリビニルシンナメートおよびアゾ系染料などの光配向膜;などが挙げられる。
また、配向膜としては、例えば、フィルム支持体側から光吸収異方性層側に向かって液晶分子の配向方向が連続的に変化するハイブリッド配向した液晶層も好適に挙げられる。ハイブリッド配向した液晶層を用いると、ハイブリッド配向した液晶層の表面における液晶分子のチルト角に合わせて光吸収異方性層の透過率中心軸がチルトするため、光吸収異方性層の透過率中心軸を斜め方向にチルトさせることができるようになる。
<配向補助層>
本発明の製造方法で用いる長尺の光吸収異方性フィルムは、上述した配向膜としてハイブリッド配向した液晶層を有する場合、上述したフィルム支持体と配向膜(ハイブリッド配向した液晶層)との間に、配向補助層を有していることが好ましい。
配向補助層としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリイミド、多官能アクリレート化合物などから形成される層にラビング処理を施した層などが挙げられる。
これらのうち、ラビング処理した、ポリビニルアルコール又はポリイミドから形成される層が好ましい。
また、配向補助層としては、配向層の法線方向に対して直線偏光によりUV露光したポリビニルシンナメートやアゾベンゼン系化合物などの光配向膜を設けることも可能である。
〔偏光フィルム〕
本発明の製造方法で用いる長尺の偏光フィルムは、長尺のフィルム支持体と長尺の偏光子層とを有する。
<フィルム支持体>
フィルム支持体としては、上述した光吸収異方性フィルムにおいて説明したものと同様のものが挙げられる。
<偏光子層>
偏光層は、吸収軸と偏光子層の長手方向とのなす角度θ2が35°~55°または125°~145°を満たすものであれば、特に限定されない。
また、偏光子層は、本発明の製造方法により製造される長尺フィルム積層体を画像表示装置に利用する場合は、液晶表示装置が有する視認側の偏光子や、有機エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」と略す。)表示装置が有する円偏光板に含まれる偏光子を含む層であってもよい。
偏光子層としては、例えば、ヨウ素系偏光子、二色性染料を利用した染料系偏光子、およびポリエン系偏光子などが用いられる。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子には、塗布型偏光子と延伸型偏光子があり、いずれも適用できる。塗布型偏光子としては、液晶性化合物の配向を利用して二色性有機色素を配向させた偏光子が好ましく、延伸型偏光子としては、ポリビニルアルコールにヨウ素または二色性染料を吸着させ、延伸して作製される偏光子が好ましい。
長尺の偏光フィルムにおいて、偏光子層の吸収軸と、偏光子層の長手方向とのなす角度を35°~55°または125°~145°にするためには、偏光フィルムの光配向膜に対して偏光紫外線露光する角度を調整するなどの手段により、吸収軸の方向を変更しやすい理由より、塗布型偏光子を用いることが好ましい。
塗布型の偏光子を得るための手段としては、例えば、国際公開第2019/131943号の作成例46に記載された方法、特開2019-197168号公報に記載された方法などが挙げられる。
また、基材上にポリビニルアルコール層を形成した積層フィルムの状態で延伸および染色を施すことで偏光子を得る方法として、特許第5048120号公報、特許第5143918号公報、特許第5048120号公報、特許第4691205号公報、特許第4751481号公報、特許第4751486号公報を挙げることができ、これらの偏光子に関する公知の技術も好ましく利用することができる。
本発明においては、偏光子層の厚みは特に限定されないが、3μm~60μmであるのが好ましく、5μm~20μmであるのがより好ましく、5μm~10μmであるのが更に好ましい。
<配向膜>
本発明の製造方法で用いる長尺の偏光フィルムは、上述したフィルム支持体と偏光子層との間に配向膜を有していてもよい。
配向膜としては、上述した光吸収異方性フィルムにおいて説明したものと同様のものが挙げられるが、偏光フィルムが有する任意の配向膜としては、配向の均一性の観点から、光照射により形成する光配向膜が好ましい。
光照射により形成される光配向膜に用いられる光配向化合物としては、多数の文献等に記載がある。本発明においては、例えば、特開2006-285197号公報、特開2007-76839号公報、特開2007-138138号公報、特開2007-94071号公報、特開2007-121721号公報、特開2007-140465号公報、特開2007-156439号公報、特開2007-133184号公報、特開2009-109831号公報、特許第3883848号、特許第4151746号に記載のアゾ化合物、特開2002-229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002-265541号公報、特開2002-317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミド及び/又はアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号、特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003-520878号公報、特表2004-529220号公報、または、特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、ポリアミドもしくはエステルが好ましい例として挙げられる。より好ましくは、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、ポリアミド、または、エステルである。
本発明の製造方法においては、光吸収異方性層の透過率中心軸や偏光子層の吸収軸の方向を容易に調整できる理由から、上述した光吸収異方性フィルムが有する光吸収異方性層、および、上述した偏光フィルムが有する偏光子層の少なくとも一方が、液晶性化合物および二色性物質を含有する層(以下、「二色性物質含有層」とも略す。)であることが好ましく、光吸収異方性層および偏光子層のいずれもが二色性物質含有層であることがより好ましい。
ここで、液晶性化合物は、低分子液晶、高分子液晶の種々の化合物を使うことが可能であるが、二色性物質を光吸収性異方性層の中で良好な配向状態を得るには高分子液晶を少なくとも一部含有していることが好ましい。また、高分子液晶を用いることにより、光吸収異方性層の空気側界面と支持体側界面における液晶性化合物のチルト角の差を比較的小さく抑えることが可能であり、良好な視野角特性を得る上でも好ましい。
本発明においては、上記二色性物質含有層は、液晶性化合物と二色性物質とを含有する組成物(以下、「二色性物質含有層形成用組成物」ともいう。)から形成された層であることが好ましい。
また、二色性物質含有層形成用組成物は、溶媒、重合開始剤、重合性化合物、界面改良剤、および、その他の添加剤を含有していてもよい。
以下、各成分について説明する。
<液晶性化合物>
二色性物質含有層形成用組成物は、液晶性化合物を含有する。
液晶性化合物は、一般的に、その形状から棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。
また、液晶性化合物は、可視領域で二色性を示さない液晶性化合物が好ましい。
なお、以下の説明において、「形成される二色性物質含有層の配向度がより高くなる」ことを「本発明の効果がより優れる」ともいう。
液晶性化合物としては、低分子液晶性化合物及び高分子液晶性化合物のいずれも用いることができる。
ここで、「低分子液晶性化合物」とは、化学構造中に繰り返し単位を有さない液晶性化合物のことをいう。
また、「高分子液晶性化合物」とは、化学構造中に繰り返し単位を有する液晶性化合物のことをいう。
低分子液晶性化合物としては、例えば、特開2013-228706号公報に記載されている液晶性化合物が挙げられる。
高分子液晶性化合物としては、例えば、特開2011-237513号公報に記載されているサーモトロピック液晶性高分子が挙げられる。また、高分子液晶性化合物は、末端に架橋性基(例えば、アクリロイル基及びメタクリロイル基)を有していてもよい。
液晶性化合物は、本発明の効果が顕在化しやすい理由から、棒状液晶性化合物であることが好ましく、高分子液晶性化合物であることがより好ましい。
液晶性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
液晶性化合物は、本発明の効果がより優れる点から高分子液晶性化合物を含むことが好ましく、高分子液晶性化合物及び低分子液晶性化合物の両方を含むことが特に好ましい。
液晶性化合物は、式(LC)で表される液晶性化合物又はその重合体を含むことが好ましい。式(LC)で表される液晶性化合物又はその重合体は、液晶性を示す化合物である。液晶性は、ネマチック相であってもスメクチック相であってもよく、ネマチック相とスメクチック相の両方を示してもよく、少なくともネマチック相を示すことが好ましい。スメクチック相としては、高次スメクチック相であってもよい。ここでいう高次スメクチック相とは、スメクチックB相、スメクチックD相、スメクチックE相、スメクチックF相、スメクチックG相、スメクチックH相、スメクチックI相、スメクチックJ相、スメクチックK相、スメクチックL相、であり、中でもスメクチックB相、スメクチックF相、スメクチックI相、であることが好ましい。液晶性化合物が示すスメクチック液晶相がこれらの高次スメクチック液晶相であると、配向秩序度のより高い光学異方性層を作製でき好ましい。また、このように配向秩序度の高い高次スメクチック液晶相から作製した光学異方性層はX線回折測定においてヘキサチック相やクリスタル相といった高次構造由来のブラッグピークが得られるものである。上記ブラッグピークとは、分子配向の面周期構造に由来するピークであり、本発明の二色性物質含有層形成用組成物によれば、周期間隔が3.0~5.0Åである光学異方性層を得ることができる。
Figure 2023032330000002
式(LC)中、Q1及びQ2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~20のアルケニル基、炭素数1~20のアルキニル基、炭素数1~20のアリール基、複素環基(ヘテロ環基といってもよい)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(-B(OH))、ホスファト基(-OPO(OH))、スルファト基(-OSOH)、又は、下記式(P1)~(P-30)で表される架橋性基を表し、Q1及びQ2の少なくとも一方は、下記式で表される架橋性基であることが好ましい。
Figure 2023032330000003
式(P-1)~(P-30)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の直鎖、分岐、又は環状のアルキレン基、炭素数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~20のアルケニル基、炭素数1~20のアルキニル基、炭素数1~20のアリール基、複素環基(ヘテロ環基といってもよい)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル若しくはアリールスルフィニル基、アルキル若しくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール若しくはヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(-B(OH)2)、ホスファト基(-OPO(OH)2)、又は、スルファト基(-OSO3H)、を表し、複数のRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
架橋性基の好ましい態様としては、ラジカル重合性基、又はカチオン重合性基が挙げられる。ラジカル重合性基としては、上記式(P-1)で表されるビニル基、上記式(P-2)で表されるブタジエン基、上記式(P-4)で表される(メタ)アクリル基、上記式(P-5)で表される(メタ)アクリルアミド基、上記式(P-6)で表される酢酸ビニル基、上記式(P-7)で表されるフマル酸エステル基、上記式(P-8)で表されるスチリル基、上記式(P-9)で表されるビニルピロリドン基、上記式(P-11)で表される無水マレイン酸、又は、上記式(P-12)で表されるマレイミド基、が好ましい。カチオン重合性基としては、上記式(P-18)で表されるビニルエーテル基、上記式(P-19)で表されるエポキシ基、又は、上記式(P-20)で表されるオキセタニル基、が好ましい。
式(LC)において、S1及びS2はそれぞれ独立に、2価のスペーサー基を表し、S1及びS2の好適態様は、上記式(W1)中のSPWと同じ構造が挙げられるため、その説明を省略する。
式(LC)中、MGは後述するメソゲン基を表わす。MGが表すメソゲン基とは、液晶形成に寄与する液晶分子の主要骨格を示す基である。液晶分子は、結晶状態と等方性液体状態の中間の状態(メソフェーズ)である液晶性を示す。メソゲン基については特に制限はなく、例えば、「Flussige Kristalle in Tabellen II」(VEB Deutsche Verlag fur Grundstoff Industrie,Leipzig、1984年刊)、特に第7頁~第16頁の記載、及び、液晶便覧編集委員会編、液晶便覧(丸善、2000年刊)、特に第3章の記載、を参照することができる。MGが表すメソゲン基は、環状構造を2~10個含むのが好ましく、3~7個含むのがより好ましい。環状構造の具体例としては、芳香族炭化水素基、複素環基、及び脂環式基などが挙げられる。
MGが表すメソゲン基としては、液晶性の発現、液晶相転移温度の調整、原料入手性及び合成適性という観点、並びに、本発明の効果がより優れるから、下記式(MG-A)又は下記式(MG-B)で表される基が好ましく、式(MG-B)で表される基がより好ましい。
Figure 2023032330000004
式(MG-A)中、A1は、芳香族炭化水素基、複素環基及び脂環式基からなる群より選択される2価の基である。これらの基は、後述する置換基Wなどの置換基で置換されていてもよい。A1で表される2価の基は、4~15員環であることが好ましい。また、A1で表される2価の基は、単環でも、縮環であってもよい。
*は、S1又はS2との結合位置を表す。
A1が表す2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフチレン基、フルオレン-ジイル基、アントラセン-ジイル基及びテトラセン-ジイル基などが挙げられ、メソゲン骨格の設計の多様性や原材料の入手性などの観点から、フェニレン基、ナフチレン基が好ましい。
A1が表す2価の複素環基としては、芳香族又は非芳香族のいずれであってもよいが、配向度がより向上するという観点から、2価の芳香族複素環基であることが好ましい。2価の芳香族複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。芳香族複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。2価の芳香族複素環基の具体例としては、例えば、ピリジレン基(ピリジン-ジイル基)、ピリダジン-ジイル基、イミダゾール-ジイル基、チエニレン(チオフェン-ジイル基)、キノリレン基(キノリン-ジイル基)、イソキノリレン基(イソキノリン-ジイル基)、オキサゾール-ジイル基、チアゾール-ジイル基、オキサジアゾール-ジイル基、ベンゾチアゾール-ジイル基、ベンゾチアジアゾール-ジイル基、フタルイミド-ジイル基、チエノチアゾール-ジイル基、チアゾロチアゾール-ジイル基、チエノチオフェン-ジイル基、及び、チエノオキサゾール-ジイル基、下記の構造(II-1)~(II-4)などが挙げられる。
Figure 2023032330000005
式(II-1)~(II-4)中、Dは、-S-、-O-、又はNR11-を表し、R11は水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、Yは炭素数6~12の芳香族炭化水素基、又は、炭素数3~12の芳香族複素環基を表し、Z、Z、及びZはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素数3~20の脂環式炭化水素基、1価の炭素数6~20の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、-NR1213又は-SR12を表し、Z及びZは、互いに結合して芳香環又は芳香族複素環を形成してもよく、R12及びR13は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、J及びJはそれぞれ独立に、-O-、-NR21-(R21は水素原子又は置換基を表す。)、-S-及びC(O)-からなる群から選択される基を表し、Eは水素原子又は置換基が結合していてもよい第14~16族の非金属原子を表し、Jxは芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選択される少なくとも1つの芳香環を有する、炭素数2~30の有機基を表し、Jyは水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基、又は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選択される少なくとも1つの芳香環を有する、炭素数2~30の有機基を表し、Jx及びJyが有する芳香環は置換基を有していてもよく、JxとJyは結合して、環を形成していてもよく、Dは、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
式(II-2)中、Yが炭素数6~12の芳香族炭化水素基である場合、単環でも多環でもよい。Yが炭素数3~12の芳香族複素環基である場合、単環でも多環でもよい。式(II-2)中、J及びJが、-NR21-を表す場合、R21の置換基としては、例えば特開2008-107767号公報の段落0035~0045の記載を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれる。式(II-2)中、Eが、置換基が結合していてもよい第14~16族の非金属原子である場合、=O、=S、=NR’、=C(R’)R’が好ましい。R’は置換基を表し、置換基としては例えば特開2008-107767号公報の段落[0035]~[0045]の記載を参酌でき、-NZA1A2(ZA1及びZA2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。)が好ましい。
A1が表す2価の脂環式基の具体例としては、シクロペンチレン基及びシクロへキシレン基などが挙げられ、炭素原子は、-O-、-Si(CH-、-N(Z)-(Zは、水素、炭素数1~4のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、シアノ基、又は、ハロゲン原子を表す。)、-C(O)-、-S-、-C(S)-、-S(O)-、及び-SO-、これらの基を2つ以上組み合わせた基によって置換されていてもよい。
式(MG-A)中、a1は2~10の整数を表す。複数のA1は同一でも異なっていてもよい。
式(MG-B)中、A2及びA3はそれぞれ独立に、芳香族炭化水素基、複素環基及び脂環式基からなる群より選択される2価の基である。A2及びA3の具体例及び好適態様は、式(MG-A)のA1と同様であるので、その説明を省略する。式(MG-B)中、a2は1~10の整数を表し、複数のA2は同一でも異なっていてもよく、複数のLA1は同一でも異なっていてもよい。a2は、本発明の効果がより優れる理由から、2以上であることがより好ましい。式(MG-B)中、LA1は、単結合又は2価の連結基である。ただし、a2が1である場合、LA1は2価の連結基であり、a2が2以上である場合、複数のLA1のうち少なくとも1つが2価の連結基である。式(MG-B)中、LA1が表す2価の連結基としては、LWと同様のため、その説明を省略する。
MGの具体例としては、例えば以下の構造が挙げられ、以下の構造中、芳香族炭化水素基、複素環基及び脂環式基上の水素原子は、上述の置換基Wで置換されていてもよい。
Figure 2023032330000006
Figure 2023032330000007
Figure 2023032330000008
(低分子液晶性化合物)
式(LC)で表される液晶性化合物が低分子液晶性化合物の場合、メソゲン基MGの環状構造の好ましい態様としては、シクロへキシレン基、シクロペンチレン基、フェニレン基、ナフチレン基、フルオレン-ジイル基、ピリジン-ジイル基、ピリダジン-ジイル基、チオフェン-ジイル基、オキサゾール-ジイル基、チアゾール-ジイル基、チエノチオフェン-ジイル基、等が挙げられ、環状構造の個数は、2~10個が好ましく、3~7個が更に好ましい。
メソゲン構造の置換基Wの好ましい態様としては、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルカルボニル基、炭素数1~10のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1~10のアルキルカルボニルオキシ基、アミノ基、炭素数1~10のアルキルアミノ基、アルキルアミノカルボニル基、上述の式(W1)においてLWが単結合であり、SPWが2価のスペーサー基であり、Qが上述の(P1)~(P30)で表される架橋性基である基、などが挙げられ、架橋性基としては、ビニル基、ブタジエン基、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリルアミド基、酢酸ビニル基、フマル酸エステル基、スチリル基、ビニルピロリドン基、無水マレイン酸、マレイミド基、ビニルエーテル基、エポキシ基、オキセタニル基、が好ましい。
2価のスペーサー基S1及びS2の好ましい態様としては、上記SPWと同様のため、その説明を省略する。スメクチック性を示す低分子液晶性化合物を用いる場合、スペーサー基の炭素数(この炭素を「SP-C」で置き変えた場合はその原子数)は、炭素数6以上が好ましく、8以上が更に好ましい。
式(LC)で表される液晶性化合物が低分子液晶性化合物の場合、複数の低分子液晶性化合物を併用してもよく、2~6種を併用するのが好ましく、2~4種を併用することが更に好ましい。低分子液晶性化合物を併用することで、溶解性の向上や二色性物質含有層形成用組成物の相転移温度を調整することができる。
低分子液晶性化合物の具体例としては、以下の式(LC-1)~(LC-77)で表される化合物が挙げられるが、低分子液晶性化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2023032330000009

Figure 2023032330000010

Figure 2023032330000011

Figure 2023032330000012

Figure 2023032330000013

Figure 2023032330000014
Figure 2023032330000015

Figure 2023032330000016

Figure 2023032330000017

Figure 2023032330000018
(高分子液晶性化合物)
高分子液晶性化合物は、後述する繰り返し単位を含むホモポリマー又はコポリマーであることが好ましく、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー、スターポリマーなど、いずれのポリマーであってもよい。
(繰り返し単位(1))
高分子液晶性化合物は、式(1)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(1)」ともいう。)を含むことが好ましい。
Figure 2023032330000019
式(1)中、PC1は繰り返し単位の主鎖を表し、L1は単結合又は2価の連結基を表し、SP1はスペーサー基を表し、MG1は上述の式(LC)におけるメソゲン基MGを表し、T1は末端基を表す。
PC1が表す繰り返し単位の主鎖としては、例えば、式(P1-A)~(P1-D)で表される基が挙げられ、なかでも、原料となる単量体の多様性及び取り扱いが容易である観点から、下記式(P1-A)で表される基が好ましい。
Figure 2023032330000020
式(P1-A)~(P1-D)において、「*」は、式(1)におけるL1との結合位置を表す。式(P1-A)~(P1-D)において、R11、R12、R13、R14はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基を表す。上記アルキル基は、直鎖又は分岐のアルキル基であってもよいし、環状構造を有するアルキル基(シクロアルキル基)であってもよい。また、上記アルキル基の炭素数は、1~5が好ましい。式(P1-A)で表される基は、(メタ)アクリル酸エステルの重合によって得られるポリ(メタ)アクリル酸エステルの部分構造の一単位であることが好ましい。式(P1-B)で表される基は、エポキシ基を有する化合物のエポキシ基を開環重合して形成されるエチレングリコール単位であることが好ましい。式(P1-C)で表される基は、オキセタン基を有する化合物のオキセタン基を開環重合して形成されるプロピレングリコール単位であることが好ましい。式(P1-D)で表される基は、アルコキシシリル基及びシラノール基の少なくとも一方の基を有する化合物の縮重合によって得られるポリシロキサンのシロキサン単位であることが好ましい。ここで、アルコキシシリル基及びシラノール基の少なくとも一方の基を有する化合物としては、式SiR14(OR15-で表される基を有する化合物が挙げられる。式中、R14は、(P1-D)におけるR14と同義であり、複数のR15はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。
L1が表す2価の連結基は、上述の式(W1)におけるLWと同様の2価の連結基であり、好ましい態様としては、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-C(O)NR16-、-NR16C(O)-、-S(O)-、及び、-NR1617-などが挙げられる。式中、R16及びR17はそれぞれ独立に、水素原子、置換基(例えば、上述の置換基W)を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表わす。2価の連結基の具体例において、左側の結合手がPC1と結合し、右側の結合手がSP1と結合する。PC1が式(P1-A)で表される基である場合には、L1は-C(O)O-又は-C(O)NR16-で表される基が好ましい。PC1が式(P1-B)~(P1-D)で表される基である場合には、L1は単結合が好ましい。
SP1が表すスペーサー基は、上述の式(LC)におけるS1及びS2と同じ基を表わし、配向度の観点から、オキシエチレン構造、オキシプロピレン構造、ポリシロキサン構造及びフッ化アルキレン構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を含む基、又は、炭素数2~20の直鎖又は分岐のアルキレン基が好ましい。ただし、上記アルキレン基は、-O-、-S-、-O-CO-、-CO-O-、-O-CO-O-、-O-CNR-(Rは、炭素数1~10のアルキル基を表す。)、又は、-S(O)-、を含んでいてもよい。SP1が表すスペーサー基は、液晶性を発現しやすいことや、原材料の入手性などの理由から、オキシエチレン構造、オキシプロピレン構造、ポリシロキサン構造及びフッ化アルキレン構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を含む基であることがより好ましい。ここで、SP1が表すオキシエチレン構造は、*-(CH-CHO)n1-*で表される基が好ましい。式中、n1は1~20の整数を表し、*はL1又はMG1との結合位置を表す。n1は、本発明の効果がより優れる理由から、2~10の整数であることが好ましく、2~6の整数がより好ましく、2~4であることが最も好ましい。
また、SP1が表すオキシプロピレン構造は、*-(CH(CH3)-CH2O)n2-*で表される基が好ましい。式中、n2は1~3の整数を表し、*はL1又はMG1との結合位置を表す。また、SP1が表すポリシロキサン構造は、*-(Si(CH3)2-O)n3-*で表される基が好ましい。式中、n3は6~10の整数を表し、*はL1又はMG1との結合位置を表す。また、SP1が表すフッ化アルキレン構造は、*-(CF2-CF2)n4-*で表される基が好ましい。式中、n4は6~10の整数を表し、*はL1又はMG1との結合位置を表す。
T1が表す末端基としては、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、-SH、カルボキシル基、ボロン酸基、-SOH、-PO、-NR1112(R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子又は置換又は非置換の炭素数1~10のアルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表わす)、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルチオ基、炭素数1~10のアルコキシカルボニルオキシ基、炭素数1~10のアシルオキシ基、炭素数1~10のアシルアミノ基、炭素数1~10のアルコキシカルボニル基、炭素数1~10のアルコキシカルボニルアミノ基、炭素数1~10のスルホニルアミノ基、炭素数1~10のスルファモイル基、炭素数1~10のカルバモイル基、炭素数1~10のスルフィニル基、及び、炭素数1~10のウレイド基、架橋性基含有基などが挙げられる。
上記架橋性基含有基としては、例えば、上述の-L-CLが挙げられる。Lは単結合又は連結基を表す。連結基の具体例は上述したLW及びSPWと同じである。CLは架橋性基を表し、上述のQ1又はQ2で表される基が挙げられ、上述の式(P1)~(P30)で表される基が好ましい。また、T1は、これらの基を2つ以上組み合わせた基であってもよい。
T1は、本発明の効果がより優れる理由から、炭素数1~10のアルコキシ基が好ましく、炭素数1~5のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基が更に好ましい。これらの末端基は、これらの基、又は、特開2010-244038号公報に記載の重合性基によって、更に置換されていてもよい。
T1の主鎖の原子数は、本発明の効果がより優れる理由から、1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~10が更に好ましく、1~7が特に好ましい。T1の主鎖の原子数が20以下であることで、光学異方性層の配向度がより向上する。ここで、T1おける「主鎖」とは、M1と結合する最も長い分子鎖を意味し、水素原子はT1の主鎖の原子数にカウントしない。例えば、T1がn-ブチル基である場合には主鎖の原子数は4であり、T1がsec-ブチル基である場合の主鎖の原子数は3である。
繰り返し単位(1)の含有量は、高分子液晶性化合物が有する全繰り返し単位(100質量%)に対して、40~100質量%が好ましく、50~95質量%がより好ましい。繰り返し単位(1)の含有量が40質量%以上であれば、良好な配向性により優れた光学異方性層が得られる。また、繰り返し単位(1)の含有量が100質量%以下であれば、良好な配向性により優れた光学異方性層が得られる。繰り返し単位(1)は、高分子液晶性化合物中において、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。繰り返し単位(1)が2種以上含まれる場合、上記繰り返し単位(1)の含有量は、繰り返し単位(1)の含有量の合計を意味する。
(logP値)
式(1)において、PC1、L1及びSP1のlogP値(以下、「logP」ともいう。)と、MG1のlogP値(以下、「logP」ともいう。)との差(|logP-logP|)が4以上であり、光学異方性層の配向度がより向上する観点から、4.25以上が好ましく、4.5以上がより好ましい。また、上記差の上限値は、液晶相転移温度の調整及び合成適性という観点から、15以下が好ましく、12以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。ここで、logP値は、化学構造の親水性及び疎水性の性質を表現する指標であり、親疎水パラメータと呼ばれることがある。logP値は、ChemBioDraw Ultra又はHSPiP(Ver.4.1.07)などのソフトウェアを用いて計算できる。また、OECD Guidelines for the Testing of Chemicals,Sections 1,Test No.117の方法などにより、実験的に求めることもできる。本発明では特に断りのない限り、HSPiP(Ver.4.1.07)に化合物の構造式を入力して算出される値をlogP値として採用する。
上記logPは、上述したように、PC1、L1及びSP1のlogP値を意味する。「PC1、L1及びSP1のlogP値」とは、PC1、L1及びSP1を一体とした構造のlogP値を意味しており、PC1、L1及びSP1のそれぞれのlogP値を合計したものではない、具体的には、logPは、式(1)におけるPC1~SP1までの一連の構造式を上記ソフトウェアに入力することで算出される。ただし、logPの算出にあたって、PC1~SP1までの一連の構造式のうち、PC1で表される基の部分に関しては、PC1で表される基そのものの構造(例えば、上述した式(P1-A)~式(P1-D)など)を用いてもよいし、式(1)で表される繰り返し単位を得るために使用する単量体を重合した後にPC1になりうる基の構造を用いてもよい。ここで、後者(PC1になりうる基)の具体例は、次の通りである。PC1が(メタ)アクリル酸エステルの重合によって得られる場合には、CH=C(R)-で表される基(Rは、水素原子又はメチル基を表す。)である。また、PC1がエチレングリコールの重合によって得られる場合にはエチレングリコールであり、PC1がプロピレングリコールの重合により得られる場合にはプロピレングリコールである。また、PC1がシラノールの重縮合により得られる場合にはシラノール(式Si(R(OH)で表される化合物。複数のRはそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。ただし、複数のRの少なくとも1つはアルキル基を表す。)である。
logPは、上述したlogPとの差が4以上であれば、logPよりも低くてもよいし、logPよりも高くてもよい。ここで、一般的なメソゲン基のlogP値(上述したlogP)は、4~6の範囲内になる傾向がある。このとき、logPがlogPよりも低い場合には、logPの値は、1以下が好ましく、0以下がより好ましい。一方で、logPがlogPよりも高い場合には、logPの値は、8以上が好ましく、9以上がより好ましい。上記式(1)におけるPC1が(メタ)アクリル酸エステルの重合によって得られ、かつ、logPがlogPよりも低い場合には、上記式(1)におけるSP1のlogP値は、0.7以下が好ましく、0.5以下がより好ましい。一方、上記式(1)におけるPC1が(メタ)アクリル酸エステルの重合によって得られ、かつ、logPがlogPよりも高い場合には、上記式(1)におけるSP1のlogP値は、3.7以上が好ましく、4.2以上がより好ましい。なお、logP値が1以下の構造としては、例えば、オキシエチレン構造及びオキシプロピレン構造などが挙げられる。logP値が6以上の構造としては、ポリシロキサン構造及びフッ化アルキレン構造などが挙げられる。
(繰り返し単位(21)及び(22))
配向度を向上させる観点から、高分子液晶性化合物は、末端に電子供与性及び/又は電子吸引性を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。より具体的には、メソゲン基とこれの末端に存在するσp値が0より大きい電子吸引性基とを有する繰り返し単位(21)と、メソゲン基とこれの末端に存在するσp値が0以下の基とを有する繰り返し単位(22)と、を含むことがより好ましい。このように、高分子液晶性化合物が繰り返し単位(21)と繰り返し単位(22)を含む場合、上記繰り返し単位(21)又は上記繰り返し単位(22)のいずれかのみを含む場合と比べて、これを用いて形成される光学異方性層の配向度が向上する。この理由の詳細は明らかではないが、概ね以下のように推定している。すなわち、繰り返し単位(21)と繰り返し単位(22)に発生する逆向きの双極子モーメントが、分子間相互作用をすることによって、メソゲン基の短軸方向への相互作用が強くなって、液晶の配向する向きがより均一となると推察され、その結果、液晶の秩序度が高くなると考えられる。これにより、二色性物質の配向性も良好になるので、形成される光学異方性層の配向度が高くなると推測される。なお上記繰り返し単位(21)及び(22)は、上記式(1)で表される繰り返し単位であってもよい。
繰り返し単位(21)は、メソゲン基と、上記メソゲン基の末端に存在するσp値が0より大きい電子吸引性基と、を有する。上記電子吸引性基は、メソゲン基の末端に位置しており、σp値が0より大きい基である。電子吸引性基(σp値が0よりも大きい基)としては、後述の式(LCP-21)におけるEWGで表される基が挙げられ、その具体例も同様である。上記電子吸引性基のσp値は、0よりも大きく、光学異方性層の配向度がより高くなる点から、0.3以上が好ましく、0.4以上がより好ましい。上記電子吸引性基のσp値の上限値は、配向の均一性が優れる点から、1.2以下が好ましく、1.0以下がより好ましい。
σp値とは、ハメットの置換基定数σp値(単に「σp値」とも略記する)であり、置換安息香酸の酸解離平衡定数における置換基の効果を数値で表したものであり、置換基の電子吸引性及び電子供与性の強度を示すパラメータである。本明細書におけるハメットの置換基定数σp値は、置換基が安息香酸のパラ位に位置する場合の置換基定数σを意味する。本明細書における各基のハメットの置換基定数σp値は、文献「Hansch et al., Chemical Reviews, 1991, Vol, 91, No. 2, 165-195」に記載された値を採用する。なお、上記文献にハメットの置換基定数σp値が示されていない基については、ソフトウェア「ACD/ChemSketch(ACD/Labs 8.00 Release Product Version:8.08)」を用いて、安息香酸のpKaと、パラ位に置換基を有する安息香酸誘導体のpKaとの差に基づいて、ハメットの置換基定数σp値を算出できる。
繰り返し単位(21)は、側鎖にメソゲン基と上記メソゲン基の末端に存在するσp値が0より大きい電子吸引性基とを有していれば、特に限定されないが、光学異方性層の配向度がより高くなる点から、下記式(LCP-21)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
Figure 2023032330000021
式(LCP-21)中、PC21は繰り返し単位の主鎖を表し、より具体的には上記式(1)中のPC1と同様の構造を表し、L21は単結合又は2価の連結基を表し、より具体的には上記式(1)中のL1と同様の構造を表し、SP21A及びSP21Bはそれぞれ独立に単結合又はスペーサー基を表し、スペーサー基の具体例は上記式(1)中のSP1と同様の構造を表し、MG21はメソゲン構造、より具体的には上記式(LC)中のメソゲン基MGを表し、EWGはσp値が0より大きい電子吸引性基を表す。
SP21A及びSP21Bが表わすスペーサー基は、上記式S1及びS2と同様の基を表わし、オキシエチレン構造、オキシプロピレン構造、ポリシロキサン構造及びフッ化アルキレン構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を含む基、又は、炭素数2~20の直鎖又は分岐のアルキレン基が好ましい。ただし、上記アルキレン基は、-O-、-O-CO-、-CO-O-、又は-O-CO-O-を含んでいてもよい。SP1が表すスペーサー基は、液晶性を発現しやすいことや、原材料の入手性などの理由から、オキシエチレン構造、オキシプロピレン構造、ポリシロキサン構造及びフッ化アルキレン構造からなる群より選択される少なくとも1種の構造を含むことが好ましい。
SP21Bは、単結合、又は、炭素数2~20の直鎖若しくは分岐のアルキレン基が好ましい。ただし、上記アルキレン基は、-O-、-O-CO-、-CO-O-、又は-O-CO-O-を含んでいてもよい。これらの中でも、SP21Bが表すスペーサー基は、光学異方性層の配向度がより高くなる点から、単結合が好ましい。換言すれば、繰り返し単位21は、式(LCP-21)における電子吸引性基であるEWGが、式(LCP-21)におけるメソゲン基であるMG21に直結する構造を有するのが好ましい。このように、電子吸引性基がメソゲン基に直結していると、高分子液晶性化合物中に適度な双極子モーメントによる分子間相互作用がより効果的に働くことで、液晶の配向する向きがより均一となると推察され、その結果、液晶の秩序度が高くなり、配向度がより高くなると考えられる。
EWGは、σp値が0より大きい電子吸引性基を表す。σp値が0より大きい電子吸引性基としては、エステル基(具体的には、*-C(O)O-Rで表される基)、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、-S(O)(O)-OR、-S(O)(O)-R、-O-S(O)(O)-R、アシル基(具体的には、*-C(O)Rで表される基)、アシルオキシ基(具体的には、*-OC(O)Rで表される基)、イソシアネート基(-N=C(O))、*-C(O)N(R、ハロゲン原子、並びに、これらの基で置換されたアルキル基(炭素数1~20が好ましい。)が挙げられる。上記各基において、*はSP21Bとの結合位置を表す。Rは、炭素数1~20(好ましくは炭素数1~4、より好ましくは炭素数1~2)のアルキル基を表す。Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~20(好ましくは炭素数1~4、より好ましくは炭素数1~2)のアルキル基を表す。上記基の中でも、EWGは、本発明の効果がより発揮される点から、*-C(O)O-Rで表される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、又は、シアノ基、ニトロ基、が好ましい。
繰り返し単位(21)の含有量は、光学異方性層の高い配向度を維持しつつ、高分子液晶性化合物及び二色性物質を均一に配向できる点から、高分子液晶性化合物が有する全繰り返し単位(100質量%)に対して、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下が特に好ましい。繰り返し単位(21)の含有量の下限値は、本発明の効果がより発揮される点から、高分子液晶性化合物が有する全繰り返し単位(100質量%)に対して、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましい。
本発明において、高分子液晶性化合物に含まれる各繰り返し単位の含有量は、各繰り返し単位を得るために使用される各単量体の仕込み量(質量)に基づいて算出される。繰り返し単位(21)は、高分子液晶性化合物中において、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。高分子液晶性化合物が繰り返し単位(21)を2種以上含むと、高分子液晶性化合物の溶媒に対する溶解性が向上すること、及び、液晶相転移温度の調整が容易になることなどの利点がある。繰り返し単位(21)を2種以上含む場合には、その合計量が上記範囲内であることが好ましい。
繰り返し単位(21)を2種以上含む場合には、EWGに架橋性基を含まない繰り返し単位(21)と、EWGに重合性基を含む繰り返し単位(21)と、を併用してもよい。これにより、光学異方性層の硬化性がより向上する。なお、架橋性基としては、ビニル基、ブタジエン基、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリルアミド基、酢酸ビニル基、フマル酸エステル基、スチリル基、ビニルピロリドン基、無水マレイン酸、マレイミド基、ビニルエーテル基、エポキシ基、オキセタニル基、が好ましい。この場合、光学異方性層の硬化性と配向度のバランスの点から、EWGに重合性基を含む繰り返し単位(21)の含有量が、高分子液晶性化合物が有する全繰り返し単位(100質量%)に対して、1~30質量%であることが好ましい。
以下において、繰り返し単位(21)の一例を示すが、繰り返し単位(21)は、以下の繰り返し単位に限定されるものではない。
Figure 2023032330000022
本発明者らは、繰り返し単位(21)及び繰り返し単位(22)について、組成(含有割合)並びに末端基の電子供与性及び電子吸引性について鋭意検討した結果、繰り返し単位(21)の電子吸引性基の電子吸引性が強い場合(すなわち、σp値が大きい場合)には、繰り返し単位(21)の含有割合を低くすれば光学異方性層の配向度がより高くなり、繰り返し単位(21)の電子吸引性基の電子吸引性が弱い場合(すなわち、σp値が0に近い場合)には、繰り返し単位(21)の含有割合を高くすれば光学異方性層の配向度がより高くなることを見出した。
この理由の詳細は明らかではないが、概ね以下のように推定している。すなわち、高分子液晶性化合物中に適度な双極子モーメントによる分子間相互作用が働くことで、液晶の配向する向きがより均一となると推察され、その結果、液晶の秩序度が高くなり、光学異方性層の配向度がより高くなると考えられる。具体的には、繰り返し単位(21)における上記電子吸引性基(式(LCP-21)においてはEWG)のσp値と、高分子液晶性化合物中の繰り返し単位(21)の含有割合(質量基準)と、の積は、0.020~0.150が好ましく、0.050~0.130がより好ましく、0.055~0.125が特に好ましい。上記積が上記範囲内であれば、光学異方性層の配向度がより高くなる。
繰り返し単位(22)は、メソゲン基と上記メソゲン基の末端に存在するσp値が0以下の基とを有する。高分子液晶性化合物が繰り返し単位(22)を有することで、高分子液晶性化合物及び二色性物質を均一に配向できる。メソゲン基は、液晶形成に寄与する液晶分子の主要骨格を示す基であり、詳細は後述の式(LCP-22)におけるMGで説明する通りであり、その具体例も同様である。上記基は、メソゲン基の末端に位置しており、σp値が0以下の基である。上記基(σp値が0以下である基)としては、σp値が0である水素原子、及び、σp値が0よりも小さい後述の式(LCP-22)におけるT22で表される基(電子供与性基)が挙げられる。上記基のうち、σp値が0よりも小さい基(電子供与性基)の具体例は、後述の式(LCP-22)におけるT22と同様である。上記基のσp値は、0以下であり、配向の均一性がより優れる点から、0よりも小さいことが好ましく、-0.1以下がより好ましく、-0.2以下が特に好ましい。上記基のσp値の下限値は、-0.9以上が好ましく、-0.7以上がより好ましい。
繰り返し単位(22)は、側鎖にメソゲン基と上記メソゲン基の末端に存在するσp値が0以下である基とを有していれば、特に限定されないが、液晶の配向の均一性がより高くなる点から、上記式(LCP-21)で表される繰り返し単位に該当せず、下記式(PCP-22)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
Figure 2023032330000023
式(LCP-22)中、PC22は繰り返し単位の主鎖を表し、より具体的には上記式(1)中のPC1と同様の構造を表し、L22は単結合又は2価の連結基を表し、より具体的には上記式(1)中のL1と同様の構造を表し、SP22はスペーサー基を表し、より具体的には上記式(1)中のSP1と同様の構造を表し、MG22はメソゲン構造、より具体的には上記式(LC)中のメソゲン基MGと同様の構造を表し、T22はハメットの置換基定数σp値が0より小さい電子供与性基を表す。
T22は、σp値が0より小さい電子供与性基を表す。σp値が0より小さい電子供与性基としては、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、及び、炭素数1~10のアルキルアミノ基などが挙げられる。T22の主鎖の原子数が20以下であることで、光学異方性層の配向度がより向上する。ここで、T22おける「主鎖」とは、MG22と結合する最も長い分子鎖を意味し、水素原子はT22の主鎖の原子数にカウントしない。例えば、T22がn-ブチル基である場合には主鎖の原子数は4であり、T22がsec-ブチル基である場合の主鎖の原子数は3である。
以下において、繰り返し単位(22)の一例を示すが、繰り返し単位(22)は、以下の繰り返し単に限定されるものではない。
Figure 2023032330000024
繰り返し単位(21)と繰り返し単位(22)は、構造の一部が共通しているのが好ましい。繰り返し単位同士の構造が類似しているほど、液晶が均一に整列すると推察される。これにより、光学異方性層の配向度がより高くなる。具体的には、光学異方性層の配向度がより高くなる点から、式(LCP-21)のSP21Aと式(LCP-22)のSP22とが同一構造であること、式(LCP-21)のMG21と式(LCP-22)のMG22とが同一構造であること、及び、式(LCP-21)のL21と式(LCP-22)のL22とが同一構造であること、のうち、少なくとも1つを満たすことが好ましく、2つ以上を満たすことがより好ましく、全てを満たすことが特に好ましい。
繰り返し単位(22)の含有量は、配向の均一性が優れる点から、高分子液晶性化合物が有する全繰り返し単位(100質量%)に対して、50質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましい。繰り返し単位(22)の含有量の上限値は、配向度が向上する点から、高分子液晶性化合物が有する全繰り返し単位(100質量%)に対して、99質量%以下が好ましく、97質量%以下がより好ましい。繰り返し単位(22)は、高分子液晶性化合物中において、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。高分子液晶性化合物が繰り返し単位(22)を2種以上含むと、高分子液晶性化合物の溶媒に対する溶解性が向上すること、及び、液晶相転移温度の調整が容易になることなどの利点がある。繰り返し単位(22)を2種以上含む場合には、その合計量が上記範囲内であることが好ましい。
(繰り返し単位(3))
高分子液晶性化合物は、汎用溶媒に対する溶解性を向上させる観点から、メソゲンを含有しない繰り返し単位(3)を含むことができる。特に配向度の低下を抑えながら溶解性を向上させるためには、このメソゲンを含有しない繰り返し単位(3)として、分子量280以下の繰り返し単位であることが好ましい。このように、メソゲンを含有しない分子量280以下の繰り返し単位を含むことで配向度の低下を抑えながら溶解性を向上させられる理由としては以下のように推定している。すなわち、高分子液晶性化合物がその分子鎖中にメソゲンを持たない繰り返し単位(3)を含むことで、高分子液晶性化合物中に溶媒が入り込みやすくなるために溶解性は向上するが、非メソゲン性の繰り返し単位(3)は配向度を低下させると考えられる。しかしながら、上記繰り返し単位の分子量が小さいことで、上記メソゲン基を含む繰り返し単位(1)、繰り返し単位(21)又は繰り返し単位(22)の配向が乱されにくく、配向度の低下を抑えられる、と推定される。
上記繰り返し単位(3)は、分子量280以下の繰り返し単位であることが好ましい。繰り返し単位(3)の分子量とは、繰り返し単位(3)を得るために使用するモノマーの分子量を意味するのではなく、モノマーの重合によって高分子液晶性化合物に組み込まれた状態における繰り返し単位(3)の分子量を意味する。繰り返し単位(3)の分子量は、280以下であり、180以下が好ましく、100以下がより好ましい。繰り返し単位(3)の分子量の下限値は、通常、40以上であり、50以上がより好ましい。繰り返し単位(3)の分子量が280以下であれば、高分子液晶性化合物の溶解性に優れ、かつ、高い配向度の光学異方性層が得られる。一方で、繰り返し単位(3)の分子量が280を超えると、上記繰り返し単位(1)、繰り返し単位(21)又は繰り返し単位(22)の部分の液晶配向を乱してしまい、配向度が低くなる場合がある。また、高分子液晶性化合物中に溶媒が入り込みにくくなるので、高分子液晶性化合物の溶解性が低下する場合がある。
繰り返し単位(3)の具体例としては、架橋性基(例えば、エチレン性不飽和基)を含まない繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(3-1)」ともいう。)、及び、架橋性基を含む繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(3-2)」ともいう。)が挙げられる。
・繰り返し単位(3-1)
繰り返し単位(3-1)の重合に使用されるモノマーの具体例としては、アクリル酸[72.1]、α-アルキルアクリル酸類(例えば、メタクリル酸[86.1]、イタコン酸[130.1])、それらから誘導されるエステル類及びアミド類(例えば、N-i-プロピルアクリルアミド[113.2]、N-n-ブチルアクリルアミド[127.2]、N-t-ブチルアクリルアミド[127.2]、N,N-ジメチルアクリルアミド[99.1]、N-メチルメタクリルアミド[99.1]、アクリルアミド[71.1]、メタクリルアミド[85.1]、ジアセトンアクリルアミド[169.2]、アクリロイルモルホリン[141.2]、N-メチロールアクリルアミド[101.1]、N-メチロールメタクリルアミド[115.1]、メチルアクリレート[86.0]、エチルアクリレート[100.1]、ヒドロキシエチルアクリレート[116.1]、n-プロピルアクリレート[114.1]、i-プロピルアクリレート[114.2]、2-ヒドロキシプロピルアクリレート[130.1]、2-メチル-2-ニトロプロピルアクリレート[173.2]、n-ブチルアクリレート[128.2]、i-ブチルアクリレート[128.2]、t-ブチルアクリレート[128.2]、t-ペンチルアクリレート[142.2]、2-メトキシエチルアクリレート[130.1]、2-エトキシエチルアクリレート[144.2]、2-エトキシエトキシエチルアクリレート[188.2]、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート[154.1]、2,2-ジメチルブチルアクリレート[156.2]、3-メトキシブチルアクリレート[158.2]、エチルカルビトールアクリレート[188.2]、フェノキシエチルアクリレート[192.2]、n-ペンチルアクリレート[142.2]、n-ヘキシルアクリレート[156.2]、シクロヘキシルアクリレート[154.2]、シクロペンチルアクリレート[140.2]、ベンジルアクリレート[162.2]、n-オクチルアクリレート[184.3]、2-エチルヘキシルアクリレート[184.3]、4-メチル-2-プロピルペンチルアクリレート[198.3]、メチルメタクリレート[100.1]、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート[168.1]、ヒドロキシエチルメタクリレート[130.1]、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート[144.2]、n-ブチルメタクリレート[142.2]、i-ブチルメタクリレート[142.2]、sec-ブチルメタクリレート[142.2]、n-オクチルメタクリレート[198.3]、2-エチルヘキシルメタクリレート[198.3]、2-メトキシエチルメタクリレート[144.2]、2-エトキシエチルメタクリレート[158.2]、ベンジルメタクリレート[176.2]、2-ノルボルニルメチルメタクリレート[194.3]、5-ノルボルネン-2-イルメチルメタクリレート[194.3]、ジメチルアミノエチルメタクリレート[157.2])、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル[86.1])、マレイン酸又はフマル酸から誘導されるエステル類(例えば、マレイン酸ジメチル[144.1]、フマル酸ジエチル[172.2])、マレイミド類(例えば、N-フェニルマレイミド[173.2])、マレイン酸[116.1]、フマル酸[116.1]、p-スチレンスルホン酸[184.1]、アクリロニトリル[53.1]、メタクリロニトリル[67.1]、ジエン類(例えば、ブタジエン[54.1]、シクロペンタジエン[66.1]、イソプレン[68.1])、芳香族ビニル化合物(例えば、スチレン[104.2]、p-クロルスチレン[138.6]、t-ブチルスチレン[160.3]、α-メチルスチレン[118.2])、N-ビニルピロリドン[111.1]、N-ビニルオキサゾリドン[113.1]、N-ビニルサクシンイミド[125.1]、N-ビニルホルムアミド[71.1]、N-ビニル-N-メチルホルムアミド[85.1]、N-ビニルアセトアミド[85.1]、N-ビニル-N-メチルアセトアミド[99.1]、1-ビニルイミダゾール[94.1]、4-ビニルピリジン[105.2]、ビニルスルホン酸[108.1]、ビニルスルホン酸ナトリウム[130.2]、アリルスルホン酸ナトリウム[144.1]、メタリルスルホン酸ナトリウム[158.2]、ビニリデンクロライド[96.9]、ビニルアルキルエーテル類(例えば、メチルビニルエーテル[58.1])、エチレン[28.0]、プロピレン[42.1]、1-ブテン[56.1]、並びに、イソブテン[56.1]が挙げられる。なお、[ ]内の数値は、モノマーの分子量を意味する。上記モノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。上記モノマーの中でも、アクリル酸、α-アルキルアクリル酸類、それらから誘導されるエステル類及びアミド類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、並びに、芳香族ビニル化合物が好ましい。上記以外のモノマーとしては、例えば、リサーチディスクロージャーNo.1955(1980年、7月)に記載の化合物を使用できる。
以下において、繰り返し単位(3-1)の具体例及びその分子量を示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2023032330000025
・繰り返し単位(3-2)
繰り返し単位(3-2)において、架橋性基の具体例としては、上記P1~P30で表される基が挙げられ、ビニル基、ブタジエン基、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリルアミド基、酢酸ビニル基、フマル酸エステル基、スチリル基、ビニルピロリドン基、無水マレイン酸、マレイミド基、ビニルエーテル基、エポキシ基、オキセタニル基、がより好ましい。繰り返し単位(3-2)は、重合が容易である点から、下記式(3)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
Figure 2023032330000026
上記式(3)中、PC32は繰り返し単位の主鎖を表し、より具体的には上記式(1)中のPC1と同様の構造を表し、L32は単結合又は2価の連結基を表し、より具体的には上記式(1)中のL1と同様の構造を表し、P32は上記式(P1)~(P30)で表される架橋性基、を表わす。
以下において、繰り返し単位(3-2)の具体例及びその重量平均分子量(Mw)を示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2023032330000027
繰り返し単位(3)の含有量は、高分子液晶性化合物が有する全繰り返し単位(100質量%)に対して、14質量%未満であり、7質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。繰り返し単位(3)の含有量の下限値は、高分子液晶性化合物が有する全繰り返し単位(100質量%)に対して、2質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましい。繰り返し単位(3)の含有量が14質量%未満であれば、光学異方性層の配向度がより向上する。繰り返し単位(3)の含有量が2質量%以上であれば、高分子液晶性化合物の溶解性がより向上する。繰り返し単位(3)は、高分子液晶性化合物中において、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。繰り返し単位(3)を2種以上含む場合には、その合計量が上記範囲内であることが好ましい。
(繰り返し単位(4))
高分子液晶性化合物は、密着性や面状均一性を向上させる点から、分子鎖の長い柔軟な構造(後述の式(4)のSP4)をもつ繰り返し単位(4)を含むことができる。この理由については以下のように推定している。すなわち、このような分子鎖の長い柔軟な構造を含むことで、高分子液晶性化合物を構成する分子鎖同士の絡まりが生じやすくなり、光学異方性層の凝集破壊(具体的には、光学異方性層自体が破壊すること)が抑制される。その結果、光学異方性層と、下地層(例えば、基材又は配向膜)との密着性が向上すると推測される。また、面状均一性の低下は、二色性物質と高分子液晶性化合物との相溶性が低いために生じると考えられる。すなわち、二色性物質と高分子液晶性化合物は相溶性が不十分であると、析出する二色性物質を核とする面状不良(配向欠陥)が発生すると考えられる。これに対して、高分子液晶性化合物が分子鎖の長い柔軟な構造を含むことで、二色性物質の析出が抑制されて、面状均一性に優れた光学異方性層が得られたと推測される。ここで、面状均一性に優れるとは、高分子液晶性化合物を含む二色性物質含有層形成用組成物が下地層(例えば、基材又は配向膜)上ではじかれて生じる配向欠陥が少ないことを意味する。
上記繰り返し単位(4)は、下記式(4)で表される繰り返し単位である。
Figure 2023032330000028
上記式(4)中、PC4は繰り返し単位の主鎖を表し、より具体的には上記式(1)中のPC1と同様の構造を表し、L4は単結合又は2価の連結基を表し、より具体的には上記式(1)中のL1と同様の構造を表し(単結合が好ましい)、SP4は主鎖の原子数が10以上のアルキレン基を表し、T4は末端基を表わし、より具体的には上記式(1)中のT1と同様の構造を表す。
PC4の具体例及び好適態様は、式(1)のPC1と同様であるので、その説明を省略する。
L4としては、本発明の効果がより発揮される点から、単結合が好ましい。
式(4)中、SP4は、主鎖の原子数が10以上のアルキレン基を表す。ただし、SP4が表すアルキレン基を構成する1個以上の-CH-は、上述の「SP-C」より置き換えられていてもよく、特に、-O-、-S-、-N(R21)-、-C(=O)-、-C(=S)-、-C(R22)=C(R23)-、アルキニレン基、-Si(R24)(R25)-、-N=N-、-C(R26)=N-N=C(R27)-、-C(R28)=N-及びS(=O)-からなる群より選択される少なくとも1種の基で置き換えられていることが好ましい。ただし、R21~R28はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又は炭素数1~10の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表す。また、SP4が表すアルキレン基を構成する1個以上の-CH-に含まれる水素原子は、上述の「SP-H」により置き換えられていてもよい。
SP4の主鎖の原子数は、10以上であり、密着性及び面状均一性の少なくとも一方がより優れた光学異方性層が得られる点から、15以上が好ましく、19以上がより好ましい。また、SP2の主鎖の原子数の上限は、配向度により優れた光学異方性層が得られる点から、70以下が好ましく、60以下がより好ましく、50以下が特に好ましい。ここで、SP4における「主鎖」とは、L4とT4とを直接連結するために必要な部分構造を意味し、「主鎖の原子数」とは、上記部分構造を構成する原子の個数を意味する。換言すれば、SP4における「主鎖」は、L4とT4を連結する原子の数が最短になる部分構造である。例えば、SP4が3,7-ジメチルデカニル基である場合の主鎖の原子数は10であり、SP4が4,6-ジメチルドデカニル基の場合の主鎖の原子数は12である。また、下記式(4-1)においては、点線の四角形で表す枠内がSP4に相当し、SP4の主鎖の原子数(点線の丸で囲った原子の合計数に相当)は11である。
Figure 2023032330000029
SP4が表すアルキレン基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。SP4が表すアルキレン基の炭素数は、配向度により優れた光学異方性層が得られる点から、8~80が好ましく、15~80が好ましく、25~70がより好ましく、25~60が特に好ましい。
SP4が表すアルキレン基を構成する1個以上の-CH-は、密着性及び面状均一性により優れた光学異方性層が得られる点から、上述の「SP-C」によって置き換えられているのが好ましい。また、SP4が表すアルキレン基を構成する-CH-が複数ある場合、密着性及び面状均一性により優れた光学異方性層が得られる点から、複数の-CH-の一部のみが上述の「SP-C」によって置き換えられていることがより好ましい。
「SP-C」のうち、-O-、-S-、-N(R21)-、-C(=O)-、-C(=S)-、-C(R22)=C(R23)-、アルキニレン基、-Si(R24)(R25)-、-N=N-、-C(R26)=N-N=C(R27)-、-C(R28)=N-及びS(=O)-からなる群より選択される少なくとも1種の基が好ましく、密着性及び面状均一性により優れた光学異方性層が得られる点から、-O-、-N(R21)-、-C(=O)-及びS(=O)-からなる群より選択される少なくとも1種の基が更に好ましく、-O-、-N(R21)-及びC(=O)-からなる群より選択される少なくとも1種の基が特に好ましい。
特に、SP4は、アルキレン基を構成する1個以上の-CH-が-O-によって置き換えられたオキシアルキレン構造、アルキレン基を構成する1個以上の-CH-CH-が-O-及びC(=O)-によって置き換えられたエステル構造、並びに、アルキレン基を構成する1個以上の-CH-CH-CH-が-O-、-C(=O)-及びNH-によって置き換えられたウレタン結合からなる群より選択される少なくとも1つを含む基であるのが好ましい。
SP4が表すアルキレン基を構成する1個以上の-CH-に含まれる水素原子は、前述の「SP-H」によって置き換えられていてもよい。この場合、-CH-に含まれる水素原子の1個以上が「SP-H」に置き換えられていればよい。すなわち、-CH-に含まれる水素原子の1個のみが「SP-H」によって置き換えられていてもよいし、-CH-に含まれる水素原子の全て(2個)が「SP-H」によって置き換えられていてもよい。
「SP-H」のうち、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1~10の直鎖状のアルキル基及び炭素数1~10の分岐状のアルキル基、炭素数1~10ハロゲン化アルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の基であることが好ましく、ヒドロキシ基、炭素数1~10の直鎖状のアルキル基及び炭素数1~10の分岐状のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の基が更に好ましい。
T4は、上述したように、T1と同様の末端基を表し、水素原子、メチル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、ボロン酸基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよいフェニル基、-L-CL(Lは単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基の具体例は上述したLW及びSPWと同じである。CLは架橋性基を表し、上記Q1又はQ2で表される基が挙げられ、式(P1)~(P30)で表される架橋性基が好ましい。)であることが好ましく、上記CLとしては、ビニル基、ブタジエン基、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリルアミド基、酢酸ビニル基、フマル酸エステル基、スチリル基、ビニルピロリドン基、無水マレイン酸、マレイミド基、ビニルエーテル基、エポキシ基、又は、オキセタニル基、が好ましい。
エポキシ基は、エポキシシクロアルキル基であってもよく、エポキシシクロアルキル基におけるシクロアルキル基部分の炭素数は、本発明の効果がより優れる点から、3~15が好ましく、5~12がより好ましく、6(すなわち、エポキシシクロアルキル基がエポキシシクロヘキシル基である場合)が特に好ましい。
オキセタニル基の置換基としては、炭素数1~10のアルキル基が挙げられ、本発明の効果がより優れる点から、炭素1~5のアルキル基が好ましい。オキセタニル基の置換基としてのアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよいが、本発明の効果がより優れる点から直鎖状であることが好ましい。
フェニル基の置換基としては、ボロン酸基、スルホン酸基、ビニル基、及び、アミノ基が挙げられ、本発明の効果がより優れる点から、ボロン酸基が好ましい。
繰り返し単位(4)の具体例としては、例えば以下の構造が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記具体例において、n1は2以上の整数を表し、n2は1以上の整数を表す。
Figure 2023032330000030
繰り返し単位(4)の含有量は、高分子液晶性化合物が有する全繰り返し単位(100質量%)に対して、2~20質量%が好ましく、3~18質量%がより好ましい。繰り返し単位(4)の含有量が2質量%以上であれば、密着性により優れた光学異方性層が得られる。また、繰り返し単位(4)の含有量が20質量%以下であれば、面状均一性により優れた光学異方性層が得られる。繰り返し単位(4)は、高分子液晶性化合物中において、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。繰り返し単位(4)が2種以上含まれる場合、上記繰り返し単位(4)の含有量は、繰り返し単位(4)の含有量の合計を意味する。
(繰り返し単位(5))
高分子液晶性化合物は、面状均一性の観点から、多官能モノマーを重合して導入される繰り返し単位(5)を含むことができる。特に配向度の低下を抑えながら面状均一性を向上させるためには、この多官能モノマーを重合して導入される繰り返し単位(5)を10質量%以下含むことが好ましい。このように、繰り返し単位(5)を10質量%以下含むことで配向度の低下を抑えながら面状均一性を向上させられる理由としては以下のように推定している。繰り返し単位(5)は、多官能モノマーを重合して、高分子液晶性化合物に導入される単位である。そのため、高分子液晶性化合物には、繰り返し単位(5)によって3次元架橋構造を形成した高分子量体が含まれていると考えられる。ここで、繰り返し単位(5)の含有量は少ないため、繰り返し単位(5)を含む高分子量体の含有率はわずかであると考えられる。
このように3次元架橋構造を形成した高分子量体が僅かに存在することで、二色性物質含有層形成用組成物のはじきが抑制されて、面状均一性に優れた光学異方性層が得られたと推測される。また、高分子量体の含有量が僅かであるため、配向度の低下を抑えられるという効果が維持できたと推測される。
上記多官能モノマーを重合して導入される繰り返し単位(5)は、下記式(5)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
Figure 2023032330000031
式(5)中、PC5A及びPC5Bは繰り返し単位の主鎖を表し、より具体的には上記式(1)中のPC1と同様の構造を表し、L5A及びL5Bは単結合又は2価の連結基を表し、より具体的には上記式(1)中のL1と同様の構造を表し、SP5A及びSP5Bはスペーサー基を表し、より具体的には上記式(1)中のSP1と同様の構造を表し、MG5A及びMG5Bはメソゲン構造、より具体的には上記式(LC)中のメソゲン基MGと同様の構造を表し、a及びbは0又は1の整数を表す。
PC5A及びPC5Bは、同一の基であってもよいし、互いに異なる基であってもよいが、光学異方性層の配向度がより向上する点から、同一の基であるのが好ましい。L5A及びL5Bは、いずれも単結合であってもよいし、同一の基であってもよいし、互いに異なる基であってもよいが、光学異方性層の配向度がより向上する点から、いずれも単結合又は同一の基であるのが好ましく、同一の基であるのがより好ましい。SP5A及びSP5Bは、いずれも単結合であってもよいし、同一の基であってもよいし、互いに異なる基であってもよいが、光学異方性層の配向度がより向上する点から、いずれも単結合又は同一の基であるのが好ましく、同一の基であるのがより好ましい。ここで、式(5)における同一の基とは、各基が結合する向きを問わずに化学構造が同一であるという意味であり、例えば、SP5Aが*-CH-CH-O-**(*はL5Aとの結合位置を表し、**はMG5Aとの結合位置を表す。)であり、SP5Bが*-O-CH-CH-**(*はMG5Bとの結合位置を表し、**はL5Bとの結合位置を表す。)である場合も、同一の基である。
a及びbはそれぞれ独立に、0又は1の整数であり、光学異方性層の配向度がより向上する点から、1であるのが好ましい。a及びbは、同一であっても、異なっていてもよいが、光学異方性層の配向度がより向上する点から、いずれも1であるのが好ましい。a及びbの合計は、光学異方性層の配向度がより向上する点から、1又は2であるのが好ましく(すなわち、式(5)で表される繰り返し単位がメソゲン基を有すること)、2であるのがより好ましい。
-(MG5A)-(MG5B)-で表される部分構造は、光学異方性層の配向度がより向上する点から、環状構造を有するのが好ましい。この場合、光学異方性層の配向度がより向上する点から、-(MG5A2)-(MG5B)-で表される部分構造における環状構造の個数は、2個以上が好ましく、2~8個がより好ましく、2~6個が更に好ましく、2~4個が特に好ましい。MG5A及びMG5Bが表すメソゲン基はそれぞれ独立に、光学異方性層の配向度がより向上する点から、環状構造を1個以上含むのが好ましく、2~4個含むのが好ましく、2~3個含むのがより好ましく、2個含むのが特に好ましい。環状構造の具体例としては、芳香族炭化水素基、複素環基、及び脂環式基が挙げられ、これらの中でも芳香族炭化水素基及び脂環式基が好ましい。MG5A及びMG5Bは、同一の基であってもよいし、互いに異なる基であってもよいが、光学異方性層の配向度がより向上する点から、同一の基であるのが好ましい。
MG5A及びMG5Bが表すメソゲン基としては、液晶性の発現、液晶相転移温度の調整、原料入手性及び合成適性という観点、並びに、本発明の効果がより優れるから、上記式(LC)中のメソゲン基MGであることが好ましい。
特に、繰り返し単位(5)は、PC5AとPC5Bが同一の基であり、L5AとL5Bがいずれも単結合又は同一の基であり、SP5AとSP5Bがいずれも単結合又は同一の基であり、MG5AとMG5Bが同一の基であるのが好ましい。これにより、光学異方性層の配向度がより向上する。
繰り返し単位(5)の含有量は、高分子液晶性化合物が有する全繰り返し単位の含有量(100質量%)に対して、10質量%以下が好ましく、0.001~5質量%がより好ましく、0.05~3質量%が更に好ましい。繰り返し単位(5)は、高分子液晶性化合物中において、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。繰り返し単位(5)を2種以上含む場合には、その合計量が上記範囲内であることが好ましい。
(星型ポリマー)
高分子液晶性化合物は、星型ポリマーであってもよい。本発明における星型ポリマーとは、核を起点として延びるポリマー鎖を3つ以上有するポリマーを意味し、具体的には、下記式(6)で表される。高分子液晶性化合物として式(6)で表される星型ポリマーは、高溶解性(溶媒に対する溶解性が優れること)でありながら、配向度の高い光学異方性層を形成できる。
Figure 2023032330000032
式(6)中、nは、3以上の整数を表し、4以上の整数が好ましい。nの上限値は、これに限定されないが、通常12以下であり、6以下が好ましい。複数のPIはそれぞれ独立に、上記式(1)、(21)、(22)、(3)、(4)、(5)で表される繰り返し単位のいずれかを含むポリマー鎖を表す。ただし、複数のPIのうちの少なくとも1つは、上記式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマー鎖を表す。Aは、星型ポリマーの核となる原子団を表す。Aの具体例としては、特開2011-074280号公報の[0052]~[0058]段落、特開2012-189847号公報の[0017]~[0021]段落、特開2013-031986号公報の[0012]~[0024]段落、特開2014-104631号公報の[0118]~[0142]段落等に記載の多官能チオール化合物のチオール基から水素原子を取り除いた構造が挙げられる。この場合、AとPIは、スルフィド結合によって結合される。
Aの由来となる上記多官能チオール化合物のチオール基の数は、3つ以上が好ましく、4以上がより好ましい。多官能チオール化合物のチオール基の数の上限値は、通常12以下であり、6以下が好ましい。多官能チオール化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2023032330000033
高分子液晶性化合物は、配向度を向上させる観点から、サーモトロピック性液晶、かつ、結晶性高分子であってもよい。
(サーモトロピック性液晶)
サーモトロピック性液晶とは、温度変化によって液晶相への転移を示す液晶である。特定化合物は、サーモトロピック性液晶であり、ネマチック相及びスメクチック相のいずれを示してもよいが、光学異方性層の配向度がより高くなり、且つ、ヘイズがより観察され難くなる(ヘイズがより良好になる)理由から、少なくともネマチック相を示すことが好ましい。ネマチック相を示す温度範囲は、光学異方性層の配向度がより高くなり、かつ、ヘイズがより観察され難くなることから、室温(23℃)~450℃であることが好ましく、取り扱いや製造適性の観点から、40℃~400℃であることがより好ましい。
(結晶性高分子)
結晶性高分子とは、温度変化によって結晶層への転移を示す高分子である。結晶性高分子は結晶層への転移の他にガラス転移を示すものであってもよい。結晶性高分子は、光学異方性層の配向度がより高くなり、かつ、ヘイズがより観察され難くなることから、加熱した時に結晶相から液晶相への転移を持つ(途中にガラス転移があってもよい)高分子液晶性化合物、又は、加熱により液晶状態した後で温度を下降させた時に結晶相への転移(途中にガラス転移があってもよい)を持つ高分子液晶性化合物であることが好ましい。
なお、高分子液晶性化合物の結晶性の有無は以下のように評価する。光学顕微鏡(Nikon社製ECLIPSE E600 POL)の二枚の光学異方性層を互いに直交するように配置し、二枚の光学異方性層の間にサンプル台をセットする。そして、高分子液晶性化合物をスライドガラスに少量乗せ、サンプル台上に置いたホットステージ上にスライドガラスをセットする。サンプルの状態を観察しながら、高分子液晶性化合物が液晶性を示す温度までホットステージの温度を上げ、高分子液晶性化合物を液晶状態にする。高分子液晶性化合物が液晶状態になった後、ホットステージの温度を徐々に降下させながら液晶相転移の挙動を観察し、液晶相転移の温度を記録する。なお、高分子液晶性化合物が複数の液晶相(例えばネマチック相とスメクチック相)を示す場合、その転移温度も全て記録する。
次に、高分子液晶性化合物のサンプル約5mgをアルミパンに入れて蓋をし、示差走査熱量計(DSC)にセットする(リファレンスとして空のアルミパンを使用)。上記で測定した高分子液晶性化合物が液晶相を示す温度まで加熱し、その後、温度を1分保持する。その後、10℃/分の速度で降温させながら、熱量測定を行う。得られた熱量のスペクトルから発熱ピークを確認する。その結果、液晶相転移の温度以外の温度で発熱ピークが観測された場合は、その発熱ピークが結晶化によるピークであり、高分子液晶性化合物は結晶性を有すると言える。一方、液晶相転移の温度以外の温度で発熱ピークが観測されなかった場合は、高分子液晶性化合物は結晶性を有さないと言える。
結晶性高分子を得る方法は特に制限されないが、具体例としては、上記繰り返し単位(1)を含む高分子液晶性化合物を用いる方法が好ましく、なかでも、上記繰り返し単位(1)を含む高分子液晶性化合物における好適な態様を用いる方法がより好ましい。
・結晶化温度
高分子液晶性化合物の結晶化温度は、光学異方性層の配向度がより高くなり、かつ、ヘイズがより観察され難くなることから、-50℃以上150℃未満であることが好ましく、なかでも120℃以下であることがより好ましく、-20℃以上120℃未満であることが更に好ましく、なかでも95℃以下であることが特に好ましい。上記高分子液晶性化合物の結晶化温度は、ヘイズを減らす観点から、150℃未満であることが好ましい。なお、結晶化温度は、上述したDSCにおける結晶化による発熱ピークの温度である。
(分子量)
高分子液晶性化合物の重量平均分子量(Mw)は、本発明の効果がより優れる点から、1000~500000が好ましく、2000~300000がより好ましい。高分子液晶性化合物のMwが上記範囲内にあれば、高分子液晶性化合物の取り扱いが容易になる。
特に、塗布時のクラック抑制の観点から、高分子液晶性化合物の重量平均分子量(Mw)は、10000以上が好ましく、10000~300000がより好ましい。
また、配向度の温度ラチチュードの観点から、高分子液晶性化合物の重量平均分子量(Mw)は、10000未満が好ましく、2000以上10000未満が好ましい。
ここで、本発明における重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)法により測定された値である。
・溶媒(溶離液):N-メチルピロリドン
・装置名:TOSOH HLC-8220GPC
・カラム:TOSOH TSKgelSuperAWM-H(6mm×15cm)を3本接続して使用
・カラム温度:25℃
・試料濃度:0.1質量%
・流速:0.35mL/min
・校正曲線:TOSOH製TSK標準ポリスチレン Mw=2800000~1050(Mw/Mn=1.03~1.06)までの7サンプルによる校正曲線を使用
高分子液晶性化合物の液晶性は、ネマチック性及びスメクチック性のいずれを示してもよいが、少なくともネマチック性を示すことが好ましい。ネマチック相を示す温度範囲は、0℃~450℃であることが好ましく、取り扱いや製造適性の観点から、30℃~400℃であることが好ましい。
液晶性化合物の含有量は、二色性物質含有層形成用組成物中の二色性物質の含有量100質量部に対して、25~2000質量部が好ましく、100~1300質量部がより好ましく、200~900質量部がさらに好ましい。液晶性化合物の含有量が上記範囲内にあることで、偏光子の配向度がより向上する。液晶性化合物は、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。液晶性化合物が2種以上含まれる場合、上記液晶性化合物の含有量は、液晶性化合物の含有量の合計を意味する。
<二色性物質>
二色性物質含有層形成用組成物は、更に二色性物質を含有する。
本発明において、二色性物質とは、方向によって吸光度が異なる色素を意味する。二色性物質は、液晶性を示してもよいし、液晶性を示さなくてもよい。
二色性物質は、特に限定されず、可視光吸収物質(二色性色素、二色性アゾ化合物)、発光物質(蛍光物質、燐光物質)、紫外線吸収物質、赤外線吸収物質、非線形光学物質、カーボンナノチューブ、無機物質(例えば量子ロッド)、などが挙げられ、従来公知の二色性物質(二色性色素)を使用することができる。
好ましく用いられる二色性物質は、有機二色性色素化合物であり、特に二色性アゾ色素化合物がより好ましい。二色性アゾ色素化合物は、特に限定されず、従来公知の二色性アゾ色素を使用することができるが、後述の化合物が好ましく用いられる。
本発明において、二色性アゾ色素化合物とは、方向によって吸光度が異なる色素を意味する。二色性アゾ色素化合物は、液晶性を示してもよいし、液晶性を示さなくてもよい。二色性アゾ色素化合物が液晶性を示す場合には、ネマチック性またはスメクチック性のいずれを示してもよい。液晶相を示す温度範囲は、室温(約20℃~28℃)~300℃が好ましく、取扱い性および製造適性の観点から、50℃~200℃であることがより好ましい。
本発明においては、色味調整の観点から、二色性物質含有層が、波長560~700nmの範囲に極大吸収波長を有する少なくとも1種の色素化合物(以下、「第1の二色性アゾ色素化合物」とも略す。)と、波長455nm以上560nm未満の範囲に極大吸収波長を有する少なくとも1種の色素化合物(以下、「第2の二色性アゾ色素化合物」とも略す。)とを少なくとも有していることが好ましく、具体的には、後述する式(1)で表される二色性アゾ色素化合物と、後述する式(2)で表される二色性アゾ色素化合物とを少なくとも有していることがより好ましい。
本発明においては、3種以上の二色性アゾ色素化合物を併用してもよく、例えば、二色性物質含有層を黒色に近づける観点から、第1の二色性アゾ色素化合物と、第2の二色性アゾ色素化合物と、波長380nm以上455nm未満の範囲に極大吸収波長を有する少なくとも1種の色素化合物(以下、「第3の二色性アゾ色素化合物」とも略す。)を併用することが好ましい。
本発明においては、耐押圧性がより良好となる観点からは、二色性アゾ色素化合物が架橋性基を有していることが好ましい。架橋性基としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタニル基、スチリル基などが挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
(第1の二色性アゾ色素化合物)
第1の二色性アゾ色素化合物は、核である発色団と、発色団の末端に結合する側鎖と、を有する化合物であることが好ましい。発色団の具体例としては、芳香族環基(例えば、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基)、アゾ基などが挙げられ、芳香族環基およびアゾ基の両方を有する構造が好ましく、芳香族複素環基(好ましくはチエノチアゾール基)と2つのアゾ基を有するビスアゾ構造がより好ましい。側鎖としては、特に限定されず、後述の式(1)のL3、R2またはL4で表される基が挙げられる。
第1の二色性アゾ色素化合物は、波長560nm以上700nm以下の範囲に最大吸収波長を有する二色性アゾ色素化合物であり、偏光子の色味調整の観点から、波長560~650nmの範囲に最大吸収波長を有する二色性アゾ色素化合物であることが好ましく、波長560~640nmの範囲に最大吸収波長を有する二色性アゾ色素化合物であるのがより好ましい。本明細書における二色性アゾ色素化合物の最大吸収波長(nm)は、二色性アゾ色素化合物を良溶媒中に溶解させた溶液を用いて、分光光度計によって測定される波長380~800nmの範囲における紫外可視光スペクトルから求められる。
本発明においては、形成される二色性物質含有層の配向度が更に向上する理由から、第1の二色性アゾ色素化合物が、下記式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2023032330000034
式(1)中、Ar1およびAr2はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基、または、置換基を有していてもよいナフチレン基を表し、フェニレン基が好ましい。
式(1)中、R1は、水素原子、炭素数1~20の置換基を有していてもよい直鎖もしくは分岐状のアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルキルカーボネート基、アルキルアミノ基、アシルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アルキルスルファモイル基、アルキルカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アルキルウレイド基、アルキルリン酸アミド基、アルキルイミノ基、または、アルキルシリル基を表す。上記アルキル基を構成する-CH-は、-O-、-CO-、-C(O)-O-、-O-C(O)-、-Si(CH-O-Si(CH-、-N(R1’)-、-N(R1’)-CO-、-CO-N(R1’)-、-N(R1’)-C(O)-O-、-O-C(O)-N(R1’)-、-N(R1’)-C(O)-N(R1’)-、-CH=CH-、-C≡C-、-N=N-、-C(R1’)=CH-C(O)-、または、-O-C(O)-O-によって置換されていてもよい。R1が水素原子以外の基である場合、各基が有する水素原子は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-N(R1’)、アミノ基、-C(R1’)=C(R1’)-NO、-C(R1’)=C(R1’)-CN、または、-C(R1’)=C(CN)、によって置換されていてもよい。R1’は、水素原子または炭素数1~6の直鎖もしくは分岐状のアルキル基を表す。各基において、R1’が複数存在する場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。
式(1)中、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20の置換基を有していてもよい直鎖もしくは分岐状のアルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルアミド基、アルキルスルホニル基、アリール基、アリールカルボニル基、アリールスルホニル基、アリールオキシカルボニル基、または、アリールアミド基を表す。上記アルキル基を構成する-CH-は、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)-O-、-O-C(O)-、-C(O)-S-、-S-C(O)-、-Si(CH32-O-Si(CH32-、-NR2’-、-NR2’-CO-、-CO-NR2’-、-NR2’-C(O)-O-、-O-C(O)-NR2’-、-NR2’-C(O)-NR2’-、-CH=CH-、-C≡C-、-N=N-、-C(R2’)=CH-C(O)-、または、-O-C(O)-O-、によって置換されていてもよい。R2およびR3が水素原子以外の基である場合、各基が有する水素原子は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-OH基、-N(R2’)、アミノ基、-C(R2’)=C(R2’)-NO、-C(R2’)=C(R2’)-CN、または、-C(R2’)=C(CN)によって置換されていてもよい。R2’は、水素原子または炭素数1~6の直鎖もしくは分岐状のアルキル基を表す。各基において、R2’が複数存在する場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。R2およびR3は、互いに結合して環を形成してもよいし、R2またはR3は、Ar2と結合して環を形成してもよい。
耐光性の観点からは、R1は電子吸引性基であることが好ましく、R2およびR3は電子供与性が低い基であることが好ましい。このような基の具体例として、R1としては、アルキルスルホニル基、アルキルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルキルスルホニルアミノ基、アルキルスルファモイル基、アルキルスルフィニル基、および、アルキルウレイド基などが挙げられ、R2およびR3としては、下記の構造の基などが挙げられる。なお下記の構造の基は、上記式(1)において、R2およびR3が結合する窒素原子を含む形で示す。
Figure 2023032330000035
第1の二色性アゾ色素化合物の具体例を以下に示すが、これに限定されるものではない。
Figure 2023032330000036

Figure 2023032330000037

Figure 2023032330000038
(第2の二色性アゾ色素化合物)
第2の二色性アゾ色素化合物は、第1の二色性アゾ色素化合物異なる化合物であり、具体的にはその化学構造が異なっている。第2の二色性アゾ色素化合物は、二色性アゾ色素化合物の核である発色団と、発色団の末端に結合する側鎖と、を有する化合物であることが好ましい。発色団の具体例としては、芳香族環基(例えば、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基)、アゾ基などが挙げられ、芳香族炭化水素基およびアゾ基の両方を有する構造が好ましく、芳香族炭化水素基と2または3つのアゾ基とを有するビスアゾまたはトリスアゾ構造がより好ましい。側鎖としては、特に限定されず、後述の式(2)のR4、R5またはR6で表される基が挙げられる。
第2の二色性アゾ色素化合物は、波長455nm以上560nm未満の範囲に最大吸収波長を有する二色性アゾ色素化合物であり、偏光子の色味調整の観点から、波長455~555nmの範囲に最大吸収波長を有する二色性アゾ色素化合物であることが好ましく、波長455~550nmの範囲に最大吸収波長を有する二色性アゾ色素化合物であることがより好ましい。特に、最大吸収波長が560~700nmである第1の二色性アゾ色素化合物と、最大吸収波長が455nm以上560nm未満の第2の二色性アゾ色素化合物と、を用いれば、偏光子の色味調整がより容易になる。
第2の二色性アゾ色素化合物は、偏光子の配向度がより向上する点から、式(2)で表される化合物であるのが好ましい。
Figure 2023032330000039
式(2)中、nは1または2を表す。式(2)中、Ar3、Ar4およびAr5はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基または置換基を有していてもよい複素環基を表す。複素環基としては、芳香族または非芳香族のいずれであってもよい。芳香族複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子および酸素原子が挙げられる。芳香族複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。芳香族複素環基の具体例としては、例えば、ピリジレン基(ピリジン-ジイル基)、ピリダジン-ジイル基、イミダゾール-ジイル基、チエニレン(チオフェン-ジイル基)、キノリレン基(キノリン-ジイル基)、イソキノリレン基(イソキノリン-ジイル基)、オキサゾール-ジイル基、チアゾール-ジイル基、オキサジアゾール-ジイル基、ベンゾチアゾール-ジイル基、ベンゾチアジアゾール-ジイル基、フタルイミド-ジイル基、チエノチアゾール-ジイル基、チアゾロチアゾール-ジイル基、チエノチオフェン-ジイル基、および、チエノオキサゾール-ジイル基などが挙げられる。
式(2)中、R4の定義は、式(1)中のR1と同様である。式(2)中、R5およびR6の定義はそれぞれ、式(1)中のR2およびR3と同様である。
耐光性の観点からは、R4は電子吸引性基であることが好ましく、R5およびR6は電子供与性が低い基であることが好ましい。このような基のうち、R4が電子吸引性基である場合の具体例は、R1が電子吸引性基である場合の具体例と同様であり、R5およびR6が電子供与性の低い基である場合の具体例は、R2およびR3が電子供与性の低い基である場合の具体例と同様である。
第2の二色性アゾ色素化合物の具体例を以下に示すが、これに限定されるものではない。
Figure 2023032330000040

Figure 2023032330000041

Figure 2023032330000042

Figure 2023032330000043
(logP値の差)
logP値は、化学構造の親水性および疎水性の性質を表現する指標である。第1の二色性アゾ色素化合物の側鎖のlogP値と、第2の二色性アゾ色素化合物の側鎖のlogP値と、の差の絶対値(以下、「logP差」ともいう。)は、2.30以下が好ましく、2.0以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.0以下が特に好ましい。logP差が2.30以下であれば、第1の二色性アゾ色素化合物と第2の二色性アゾ色素化合物との親和性が高まって、配列構造をより形成しやすくなるため、二色性物質含有層の配向度がより向上する。
なお、第1の二色性アゾ色素化合物または第2の二色性アゾ色素化合物の側鎖が複数ある場合、少なくとも1つのlogP差が上記値を満たすことが好ましい。ここで、第1の二色性アゾ色素化合物および第2の二色性アゾ色素化合物の側鎖とは、上述した発色団の末端に結合する基を意味する。例えば、第1の二色性アゾ色素化合物が式(1)で表される化合物である場合、式(1)中のR1、R2およびR3が側鎖であり、第2の二色性アゾ色素化合物が式(2)で表される化合物である場合、式(2)中のR4、R5およびR6が側鎖である。特に、第1の二色性アゾ色素化合物が式(1)で表される化合物であり、第2の二色性アゾ色素化合物が式(2)で表される化合物である場合、R1とR4とのlogP値の差、R1とR5とのlogP値の差、R2とR4とのlogP値の差、および、R2とR5とのlogP値の差のうち、少なくとも1つのlogP差が上記値を満たすことが好ましい。
ここで、logP値は、化学構造の親水性および疎水性の性質を表現する指標であり、親疎水パラメータと呼ばれることがある。logP値は、ChemBioDraw UltraまたはHSPiP(Ver.4.1.07)などのソフトウェアを用いて計算できる。また、OECD Guidelines for the Testing of Chemicals,Sections 1,Test No.117の方法などにより、実験的に求めることもできる。本発明では特に断りのない限り、HSPiP(Ver.4.1.07)に化合物の構造式を入力して算出される値をlogP値として採用する。
(第3の二色性アゾ色素化合物)
第3の二色性アゾ色素化合物は、第1の二色性アゾ色素化合物および第2の二色性アゾ色素化合物以外の二色性アゾ色素化合物であり、具体的には、第1の二色性アゾ色素化合物および第2の二色性アゾ色素化合物とは化学構造が異なっている。二色性物質含有層形成用組成物が第3の二色性アゾ色素化合物を含有すれば、二色性物質含有層の色味の調整が容易になるという利点がある。第3の二色性アゾ色素化合物の最大吸収波長は、380nm以上455nm未満であり、385~454nmが好ましい。
第3の二色性アゾ色素化合物は、下記式(6)で表される二色性アゾ色素を含有することが好ましい。
Figure 2023032330000044
式(6)中、AおよびBは、それぞれ独立に、架橋性基を表す。式(6)中、aおよびbは、それぞれ独立に、0または1を表す。420nmの配向度に優れる点においては、aおよびbは、ともに0であることが好ましい。式(6)中、a=0の場合にはLは1価の置換基を表し、a=1の場合にはLは単結合または2価の連結基を表す。また、b=0の場合にはLは1価の置換基を表し、b=1の場合にはLは単結合または2価の連結基を表す。式(6)中、Arは(n1+2)価の芳香族炭化水素基または複素環基を表し、Arは(n2+2)価の芳香族炭化水素基または複素環基を表し、Arは(n3+2)価の芳香族炭化水素基または複素環基を表す。式(6)中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、1価の置換基を表す。n1≧2である場合には複数のRは互いに同一でも異なっていてもよく、n2≧2である場合には複数のRは互いに同一でも異なっていてもよく、n3≧2である場合には複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。式(6)中、kは、1~4の整数を表す。k≧2の場合には、複数のArは互いに同一でも異なっていてもよく、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。式(6)中、n1、n2およびn3は、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。ただし、k=1の場合にはn1+n2+n3≧0であり、k≧2の場合にはn1+n2+n3≧1である。
式(6)において、AおよびBが表す架橋性基としては、例えば、特開2010-244038号公報の[0040]~[0050]段落に記載された重合性基が挙げられる。これらの中でも、反応性および合成適性の向上の観点から、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、オキセタニル基、および、スチリル基が好ましく、溶解性をより向上できるという観点から、アクリロイル基およびメタクリロイル基がより好ましい。
式(6)において、a=0の場合にはLは1価の置換基を表し、a=1の場合にはLは単結合または2価の連結基を表す。また、b=0の場合にはLは1価の置換基を表し、b=1の場合にはLは単結合または2価の連結基を表す。
およびLが表す1価の置換基としては、二色性物質の溶解性を高めるために導入される基、または、色素としての色調を調節するために導入される電子供与性や電子吸引性を有する基が好ましい。例えば、置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~12、特に好ましくは炭素数1~8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2~20、より好ましくは炭素数2~12、特に好ましくは炭素数2~8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2-ブテニル基、3-ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2~20、より好ましくは炭素数2~12、特に好ましくは炭素数2~8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3-ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6~30、より好ましくは炭素数6~20、特に好ましくは炭素数6~12のアリール基であり、例えば、フェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、3,5-ジトリフルオロメチルフェニル基、ナフチル基、および、ビフェニル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0~20、より好ましくは炭素数0~10、特に好ましくは炭素数0~6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~15であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、オキシカルボニル基(好ましくは炭素数2~20、より好ましくは炭素数2~15、特に好ましくは2~10であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2~20、より好ましくは炭素数2~10、特に好ましくは2~6であり、例えば、アセトキシ基およびベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2~20、より好ましくは炭素数2~10、特に好ましくは炭素数2~6であり、例えばアセチルアミノ基およびベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2~20、より好ましくは炭素数2~10、特に好ましくは炭素数2~6であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7~20、より好ましくは炭素数7~16、特に好ましくは炭素数7~12であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~10、特に好ましくは炭素数1~6であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0~20、より好ましくは炭素数0~10、特に好ましくは炭素数0~6であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~10、特に好ましくは炭素数1~6であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~10、特に好ましくは炭素数1~6であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6~20、より好ましくは炭素数6~16、特に好ましくは炭素数6~12であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~10、特に好ましくは炭素数1~6であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~10、特に好ましくは炭素数1~6であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~10、特に好ましくは炭素数1~6であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~10、特に好ましくは炭素数1~6であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1~30、より好ましくは1~12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3~40、より好ましくは炭素数3~30、特に好ましくは、炭素数3~24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ヒドロキシ基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、および、アゾ基、などを用いることができる。
これらの置換基は、さらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を2つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。上記置換基がさらに上記置換基によって置換された基としては、例えば、アルコキシ基がアルキル基で置換された基である、R-(O-Rna-基が挙げられる。ここで、式中、Rは炭素数1~5のアルキレン基を表し、Rは炭素数1~5のアルキル基を表し、naは1~10(好ましくは1~5、より好ましくは1~3)の整数を表す。これらの中でも、LおよびLが表す1価の置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、および、これらの基がさらにこれらの基によって置換された基(例えば、上述したR-(O-Rna-基)が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、および、これらの基がさらにこれらの基によって置換された基(例えば、上述したR-(O-Rna-基)がより好ましい。
およびLが表す2価の連結基としては、例えば、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-CO-O-、-CO-NR-、-O-CO-NR-、-NR-CO-NR-、-SO-、-SO-、アルキレン基、シクロアルキレン基、および、アルケニレン基、ならびに、これらの基を2つ以上組み合わせた基などが挙げられる。これらの中でも、アルキレン基と、-O-、-COO-、-OCO-および-O-CO-O-からなる群より選択される1種以上の基と、を組み合わせた基が好ましい。ここで、Rは、水素原子またはアルキル基を表す。Rが複数存在する場合には、複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。
二色性物質の溶解性がより向上するという観点からは、LおよびLの少なくとも一方の主鎖の原子の数は、3個以上であることが好ましく、5個以上であることがより好ましく、7個以上であることがさらに好ましく、10個以上であることが特に好ましい。また、主鎖の原子の数の上限値は、20個以下であることが好ましく、12個以下であることがより好ましい。
一方で、二色性物質含有層の配向度がより向上するという観点からは、LおよびLの少なくとも一方の主鎖の原子の数は、1~5個であることが好ましい。ここで、式(6)におけるAが存在する場合には、Lにおける「主鎖」とは、Lと連結する「O」原子と、「A」と、を直接連結するために必要な部分を指し、「主鎖の原子の数」とは、上記部分を構成する原子の個数のことを指す。同様に、式(6)におけるBが存在する場合には、Lにおける「主鎖」とは、Lと連結する「O」原子と、「B」と、を直接連結するために必要な部分を指し、「主鎖の原子の数」とは、上記部分を構成する原子の数のことを指す。なお、「主鎖の原子の数」には、後述する分岐鎖の原子の数は含まない。また、Aが存在しない場合には、Lにおける「主鎖の原子の数」とは、分岐鎖を含まないLの原子の個数のことをいう。Bが存在しない場合には、Lにおける「主鎖の原子の数」とは、分岐鎖を含まないLの原子の個数のことをいう。
具体的には、下記式(D1)においては、Lの主鎖の原子の数は5個(下記式(D1)の左側の点線枠内の原子の数)であり、Lの主鎖の原子の数は5個(下記式(D1)の右側の点線枠内の原子の数)である。また、下記式(D10)においては、Lの主鎖の原子の数は7個(下記式(D10)の左側の点線枠内の原子の数)であり、Lの主鎖の原子の数は5個(下記式(D10)の右側の点線枠内の原子の数)である。
Figure 2023032330000045
およびLは、分岐鎖を有していてもよい。ここで、式(6)においてAが存在する場合には、Lにおける「分岐鎖」とは、式(6)におけるLと連結する「O」原子と、「A」と、を直接連結するために必要な部分以外の部分をいう。同様に、式(6)においてBが存在する場合には、Lにおける「分岐鎖」とは、式(6)におけるLと連結する「O」原子と、「B」と、を直接連結するために必要な部分以外の部分をいう。また、式(6)においてAが存在しない場合には、Lにおける「分岐鎖」とは、式(6)におけるLと連結する「O」原子を起点として延びる最長の原子鎖(すなわち主鎖)以外の部分をいう。同様に、式(6)においてBが存在しない場合には、Lにおける「分岐鎖」とは、式(6)におけるLと連結する「O」原子を起点として延びる最長の原子鎖(すなわち主鎖)以外の部分をいう。分岐鎖の原子の数は、3以下であることが好ましい。分岐鎖の原子の数が3以下であることで、二色性物質含有層の配向度がより向上するなどの利点がある。なお、分岐鎖の原子の数には、水素原子の数は含まれない。
式(6)において、Arは(n1+2)価(例えば、n1が1である時は3価)、Arは(n2+2)価(例えば、n2が1である時は3価)、Arは(n3+2)価(例えば、n3が1である時は3価)、の芳香族炭化水素基または複素環基を表す。ここで、Ar~Arはそれぞれ、n1~n3個の置換基(後述するR~R)で置換された2価の芳香族炭化水素基または2価の複素環基と換言できる。Ar~Arが表す2価の芳香族炭化水素基としては、単環であっても、2環以上の縮環構造を有していてもよい。2価の芳香族炭化水素基の環数は、溶解性がより向上するという観点から、1~4が好ましく、1~2がより好ましく、1(すなわちフェニレン基であること)がさらに好ましい。
2価の芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニレン基、アズレン-ジイル基、ナフチレン基、フルオレン-ジイル基、アントラセン-ジイル基およびテトラセン-ジイル基などが挙げられ、溶解性がより向上するという観点から、フェニレン基およびナフチレン基が好ましく、フェニレン基がより好ましい。以下に、第3の二色性色素化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記具体例中、nは、1~10の整数を表す。
Figure 2023032330000046
Figure 2023032330000047
420nmの配向度に優れる点では、第3の色素がラジカル重合性基を有さない構造が好ましい。例えば、以下の構造が挙げられる。
Figure 2023032330000048

Figure 2023032330000049
第3の二色性アゾ色素化合物は、420nmの配向度に特に優れる点で、下記式(1-1)で表される構造を有する二色性物質であるのがより好ましい。
Figure 2023032330000050
式(1-1)中、R、R、R、R、n1、n3、LおよびLの定義はそれぞれ、式(1)のR、R、R、R、n1、n3、LおよびLと同義である。式(1-1)中、R21およびR22の定義はそれぞれ独立に、式(1)のRと同義である。式(1-1)中、n21およびn22の定義はそれぞれ独立に、式(1)のn2と同義である。n1+n21+n22+n3≧1であり、n1+n21+n22+n3は、1~9が好ましく、1~5がより好ましい。
以下に、特定二色性物質の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2023032330000051
Figure 2023032330000052
Figure 2023032330000053
(二色性物質の含有量)
二色性物質の含有量は、二色性物質含有層において二色性物質の配向度が高くなる理由から、二色性物質含有層の全固形分質量に対して10質量%以上が好ましく、10~30質量%がより好ましく、15~25質量%が更に好ましい。
視角中心の照度と視角中心からずれた方向の照度のコントラストを高める観点からは、二色性物質の単位面積当たりの含量が、0.2g/m以上であることが好ましく、0.3g/m以上であることがより好ましく、0.5g/m以上であることがより好ましい。上限は特にないが、通常1.0g/m以下で用いられることが多い。
第1の二色性アゾ色素化合物の含有量は、二色性物質含有層形成用組成物中の二色性物質全体の含有量100質量部に対して、40~90質量部が好ましく、45~75質量部がより好ましい。第2の二色性アゾ色素化合物の含有量は、二色性物質含有層形成用組成物中の二色性物質全体の含有量100質量に対して、6~50質量部が好ましく、8~35質量部がより好ましい。第3の二色性アゾ色素化合物の含有量は、二色性物質含有層形成用組成物中の二色性アゾ色素化合物の含有量100質量に対して、3~35質量部が好ましく、5~30質量部がより好ましい。
第1の二色性アゾ色素化合物と、第2の二色性アゾ色素化合物と、および必要に応じて用いられる第3の二色性アゾ色素化合物と、の含有比は、二色性物質含有層の色味調整するために、任意に設定することができる。ただし、第1の二色性アゾ色素化合物に対する第2の二色性アゾ色素化合物の含有比(第2の二色性アゾ色素化合物/第1の二色性アゾ色素化合物)は、モル換算で、0.1~10が好ましく、0.2~5がより好ましく、0.3~0.8が特に好ましい。第1の二色性アゾ色素化合物に対する第2の二色性アゾ色素化合物の含有比が上記範囲内にあれば、配向度が高められる。
<界面改良剤>
二色性物質含有層形成用組成物は、界面改良剤を含有していてもよい。
界面改良剤としては、後述する実施例欄に記載の界面改良剤を用いることができる。二色性物質含有層形成用組成物が界面改良剤を含む場合、界面改良剤の含有量は、二色性物質含有層形成用組成物中の上記二色性物質と上記液晶性化合物との合計100質量部に対し、0.001~5質量部が好ましい。
<重合性化合物>
二色性物質含有層形成用組成物は、重合性化合物を含有していてもよい。
重合性化合物としては、アクリレートを含む化合物(例えば、アクリレートモノマー)が挙げられる。この場合、二色性物質含有層は、上記アクリレートを含む化合物を重合させて得られるポリアクリレートを含む。重合性化合物としては、例えば、特開2017-122776号公報の段落0058に記載の化合物が挙げられる。二色性物質含有層形成用組成物が重合性化合物を含む場合、重合性化合物の含有量は、二色性物質含有層形成用組成物中の上記二色性物質と上記液晶性化合物との合計100質量部に対し、3~20質量部が好ましい。
<垂直配向剤>
二色性物質含有層形成用組成物は、必要に応じて垂直配向剤を含有することもできる。垂直配向剤としては、ボロン酸化合物、及び、オニウム塩が挙げられる。
ボロン酸化合物としては、式(30)で表される化合物が好ましい。
式(30)
Figure 2023032330000054
式(30)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換若しくは無置換のアリール基、又は、置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。R3は、(メタ)アクリル基を含む置換基を表す。ボロン酸化合物の具体例としては、特開2008-225281号公報の段落0023~0032に記載の一般式(I)で表されるボロン酸化合物が挙げられる。
ボロン酸化合物としては、以下に例示する化合物も好ましい。
Figure 2023032330000055
オニウム塩としては、式(31)で表される化合物が好ましい。
式(31)
Figure 2023032330000056
式(31)中、環Aは、含窒素複素環からなる第4級アンモニウムイオンを表す。Xは、アニオンを表す。L1は、2価の連結基を表す。L2は、単結合、又は、2価の連結基を表す。Y1は、5又は6員環を部分構造として有する2価の連結基を表す。Zは、2~20のアルキレン基を部分構造として有する2価の連結基を表す。P1及びP2は、それぞれ独立に、重合性エチレン性不飽和結合を有する一価の置換基を表す。オニウム塩の具体例としては、特開2012-208397号公報の段落0052~0058号公報に記載のオニウム塩、特開2008-026730号公報の段落0024~0055に記載のオニウム塩、及び、特開2002-37777号公報に記載のオニウム塩が挙げられる。
組成物中の垂直配向剤の含有量は、液晶性化合物全質量に対して、0.1~400質量%が好ましく、0.5~350質量%がより好ましい。垂直配向剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。垂直配向剤が2種以上を用いられる場合、それらの合計量が上記範囲であることが好ましい。
<レベリング剤>
二色性物質含有層形成用組成物は、以下のレベリング剤を含むことが好ましい。二色性物質含有層形成用がレベリング剤を含むと、二色性物質含有層の表面にかかる乾燥風による面状の荒れを抑制し、二色性物質含有層においては二色性物質がより均一に配向する。レベリング剤は特に制限されず、フッ素原子を含むレベリング剤(フッ素系レベリング剤)、又は、ケイ素原子を含むレベリング剤(ケイ素系レベリング剤)が好ましく、フッ素系レベリング剤がより好ましい。
フッ素系レベリング剤としては、脂肪酸の一部がフルオロアルキル基で置換された多価カルボン酸の脂肪酸エステル類、及び、フルオロ置換基を有するポリアクリレート類が挙げられる。特に、二色性物質及び液晶性化合物として棒状化合物を用いる場合、二色性物質及び液晶性化合物の垂直配向を促進する点から、式(40)で表される化合物由来の繰り返し単位を含むレベリング剤が好ましい。
式(40)
Figure 2023032330000057
R0は、水素原子、ハロゲン原子、又は、メチル基を表す。Lは、2価の連結基を表す。Lとしては、炭素数2~16のアルキレン基が好ましく、上記アルキレン基において隣接しない任意の-CH2-は、-O-、-COO-、-CO-、又は、-CONH-に置換されていてもよい。nは、1~18の整数を表す。
式(40)で表される化合物由来の繰り返し単位を有するレベリング剤は、さらに他の繰り返し単位を含んでいてもよい。他の繰り返し単位としては、式(41)で表される化合物由来の繰り返し単位が挙げられる。
式(41)
Figure 2023032330000058
R11は、水素原子、ハロゲン原子、又は、メチル基を表す。Xは、酸素原子、硫黄原子、又は、-N(R13)-を表す。R13は、水素原子、又は、炭素数1~8のアルキル基を表す。R12は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、又は、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。上記アルキル基の炭素数は、1~20が好ましい。上記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、及び、環状のいずれであってもよい。また、上記アルキル基の有していてもよい置換基としては、ポリ(アルキレンオキシ)基、及び、重合性基が挙げられる。重合性基の定義は、上述した通りである。
レベリング剤が、式(40)で表される化合物由来の繰り返し単位、及び、式(41)で表される化合物由来の繰り返し単位を含む場合、式(40)で表される化合物由来の繰り返し単位の含有量は、レベリング剤が含む全繰り返し単位に対して、10~90モル%が好ましく、15~95モル%がより好ましい。レベリング剤が、式(40)で表される化合物由来の繰り返し単位、及び、式(41)で表される化合物由来の繰り返し単位を含む場合、式(41)で表される化合物由来の繰り返し単位の含有量は、レベリング剤が含む全繰り返し単位に対して、10~90モル%が好ましく、5~85モル%がより好ましい。
また、レベリング剤としては、上述した式(40)で表される化合物由来の繰り返し単位に代えて、式(42)で表される化合物由来の繰り返し単位を含むレベリング剤も挙げられる。
式(42)
Figure 2023032330000059
R2は、水素原子、ハロゲン原子、又は、メチル基を表す。L2は、2価の連結基を表す。nは、1~18の整数を表す。
レベリング剤の具体例としては、特開2004-331812号公報の段落0046~0052に例示される化合物、及び、特開2008-257205号公報の段落0038~0052に記載の化合物が挙げられる。
組成物中のレベリング剤の含有量は、液晶性化合物全質量に対して、0.001~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましい。レベリング剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。レベリング剤が2種以上を用いられる場合、それらの合計量が上記範囲であることが好ましい。
<重合開始剤>
二色性物質含有層形成用組成物は、重合開始剤を含むことが好ましい。
重合開始剤としては特に制限はないが、感光性を有する化合物、すなわち光重合開始剤であることが好ましい。光重合開始剤としては、各種の化合物を特に制限なく使用できる。光重合開始剤の例には、α-カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号および同2951758号の各明細書)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報および米国特許第4239850号明細書)、オキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書)、o-アシルオキシム化合物(特開2016-27384明細書[0065])および、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63-40799号公報、特公平5-29234号公報、特開平10-95788号公報および特開平10-29997号公報)などが挙げられる。
このような光重合開始剤としては、市販品も用いることができ、BASF社製のイルガキュア-184、イルガキュア-907、イルガキュア-369、イルガキュア-651、イルガキュア-819、イルガキュア-OXE-01およびイルガキュア-OXE-02等が挙げられる。
二色性物質含有層形成用組成物が重合開始剤を含有する場合、重合開始剤の含有量は、二色性物質含有層形成用組成物中の上記二色性物質と上記液晶性化合物との合計100質量部に対し、0.01~30質量部が好ましく、0.1~15質量部がより好ましい。重合開始剤の含有量が0.01質量部以上であることで、光吸収異方性膜の耐久性が良好となり、30質量部以下であることで、光吸収異方性膜の配向度がより良好となる。重合開始剤は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。重合開始剤を2種以上含む場合、その合計量が上記範囲内であるのが好ましい。
<溶媒>
二色性物質含有層形成用組成物は、作業性等の観点から、溶媒を含有するのが好ましい。溶媒としては、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、2-ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロペタンタノン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロピラン、ジオキソランなど)、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(例えば、シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンなど)、ハロゲン化炭素類(例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、クロロトルエンなど)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチルなど)、アルコール類(例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコールなど)、セロソルブ類(例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1,2-ジメトキシエタンなど)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなど)、および、ヘテロ環化合物(例えば、ピリジン、N-メチルイミダゾールなど)などの有機溶媒、ならびに、水が挙げられる。これの溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの溶媒のうち、溶解性に優れるという効果を活かす観点から、ケトン類(特にシクロペンタノン、シクロヘキサノン)、エーテル類(特にテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロピラン、ジオキソラン)、および、アミド類(特に、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン)が好ましい。
二色性物質含有層形成用組成物が溶媒を含有する場合、溶媒の含有量は、二色性物質含有層形成用組成物の全質量に対して、80~99質量%であることが好ましく、83~97質量%であることがより好ましく、85~95質量%であることが特に好ましい。溶媒は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。溶媒を2種以上含む場合、その合計量が上記範囲内であるのが好ましい。
<二色性物質含有層の形成方法>
二色性物質含有層の形成方法は特に限定されず、上述した二色性物質含有層形成用組成物を塗布して塗布膜を形成する工程(以下、「塗布膜形成工程」ともいう。)と、塗布膜に含まれる液晶性成分や二色性物質を配向させる工程(以下、「配向工程」ともいう。)と、をこの順に含む方法が挙げられる。なお、液晶性成分とは、上述した液晶性化合物だけでなく、上述した二色性物質が液晶性を有している場合は、液晶性を有する二色性物質も含む成分である。
(塗布膜形成工程)
塗布膜形成工程は、二色性物質含有層形成用組成物を塗布して塗布膜を形成する工程である。上述した溶媒を含有する二色性物質含有層形成用組成物を用いたり、二色性物質含有層形成用組成物を加熱などによって溶融液などの液状物としたものを用いたりすることにより、二色性物質含有層形成用組成物を塗布することが容易になる。二色性物質含有層形成用組成物の塗布方法としては、具体的には、例えば、ロールコーティング法、グラビア印刷法、スピンコート法、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法、スプレー法、および、インクジェット法などの公知の方法が挙げられる。
(配向工程)
配向工程は、塗布膜に含まれる液晶性成分を配向させる工程である。これにより、二色性物質含有層が得られる。配向工程は、乾燥処理を有していてもよい。乾燥処理によって、溶媒などの成分を塗布膜から除去することができる。乾燥処理は、塗布膜を室温下において所定時間放置する方法(例えば、自然乾燥)によって行われてもよいし、加熱および/または送風する方法によって行われてもよい。ここで、二色性物質含有層形成用組成物に含まれる液晶性成分は、上述した塗布膜形成工程または乾燥処理によって、配向する場合がある。例えば、二色性物質含有層形成用組成物が溶媒を含む塗布液として調製されている態様では、塗布膜を乾燥して、塗布膜から溶媒を除去することで、光吸収異方性を持つ塗布膜(すなわち、光吸収異方性膜)が得られる。乾燥処理が塗布膜に含まれる液晶性成分の液晶相への転移温度以上の温度により行われる場合には、後述する加熱処理は実施しなくてもよい。
塗布膜に含まれる液晶性成分の液晶相への転移温度は、製造適性等の面から10~250℃が好ましく、25~190℃がより好ましい。上記転移温度が10℃以上であると、液晶相を呈する温度範囲にまで温度を下げるための冷却処理等が必要とならず、好ましい。また、上記転移温度が250℃以下であると、一旦液晶相を呈する温度範囲よりもさらに高温の等方性液体状態にする場合にも高温を要さず、熱エネルギーの浪費、ならびに、基板の変形および変質等を低減できるため、好ましい。
配向工程は、加熱処理を有することが好ましい。これにより、塗布膜に含まれる液晶性成分を配向させることができるため、加熱処理後の塗布膜を光吸収異方性膜として好適に使用できる。加熱処理は、製造適性等の面から10~250℃が好ましく、25~190℃がより好ましい。また、加熱時間は、1~300秒が好ましく、1~60秒がより好ましい。
配向工程は、加熱処理後に実施される冷却処理を有していてもよい。冷却処理は、加熱後の塗布膜を室温(20~25℃)程度まで冷却する処理である。これにより、塗布膜に含まれる液晶性成分の配向を固定することができる。冷却手段としては、特に限定されず、公知の方法により実施できる。以上の工程によって、光吸収異方性膜を得ることができる。なお、本態様では、塗布膜に含まれる液晶性成分を配向する方法として、乾燥処理および加熱処理などを挙げているが、これに限定されず、公知の配向処理によって実施できる。
(他の工程)
二色性物質含有層の形成方法は、上記配向工程後に、二色性物質含有層を硬化させる工程(以下、「硬化工程」ともいう。)を有していてもよい。硬化工程は、例えば、二色性物質含有層が架橋性基(重合性基)を有している場合には、加熱および/または光照射(露光)によって実施される。このなかでも、硬化工程は光照射によって実施されることが好ましい。硬化に用いる光源は、赤外線、可視光または紫外線など、種々の光源を用いることが可能であるが、紫外線であることが好ましい。また、硬化時に加熱しながら紫外線を照射してもよいし、特定の波長のみを透過するフィルタを介して紫外線を照射してもよい。露光が加熱しながら行われる場合、露光時の加熱温度は、液晶膜に含まれる液晶性成分の液晶相への転移温度にもよるが、25~140℃であることが好ましい。また、露光は、窒素雰囲気下で行われてもよい。ラジカル重合によって液晶膜の硬化が進行する場合において、酸素による重合の阻害が低減されるため、窒素雰囲気下で露光することが好ましい。
<二色性物質含有層のパターニング>
本発明に用いられる二色性物質含有層は、面内に領域Aと領域Bを有し、それぞれの領域において透過率中心軸が異なる二色性物質含有層とすることができる。液晶の画素毎にパターニングすることで発光画素を制御すれば、狭視野の視野中心の切り替えが可能になる。
また、本発明に用いられる二色性物質含有層は、面内に領域Cと領域Dを有し、領域Cと領域Dで、透過率中心軸と二色性物質含有層表面の法線とを包含する平面において、透過率中心軸から法線方向に30°傾けた透過率が異なる、二色性物質含有層とすることができる。この場合、領域Cの透過率中心軸から法線方向に30°傾けた透過率が50%以下であり、領域Dの透過率中心軸から法線方向に30°傾けた透過率が80%以上である、二色性物質含有層であることが好ましい。
上記パターニングを行うことで、一部の領域で視野角依存性を強めたり弱めたりすることが可能となる。これにより、視野角依存性を強めた領域にのみ機密度の高い情報を表示したりすることもできる。また、表示装置として視野角依存性を表示位置別に制御することにより、意匠性に優れた設計も可能となる。さらに、液晶の画素毎にパターニングすることで発光画素を制御すれば、狭視野角/広視野角の切り替えが可能になる。
(パターン形成方法)
このように面内で異なる2つ以上の領域を有するパターン二色性物質含有層の形成方法には、制限はなく、例えばWO2019/176918号公報に記載されているような公知の各種の方法が利用可能である。一例として、光配向膜に照射する紫外光の照射角度を変化させてパターンを形成させる方法、パターン二色性物質含有層の厚さを面内で制御する方法、パターン二色性物質含有層中の二色性色素化合物を偏在させる方法、光学的に均一なパターン二色性物質含有層を後加工する方法などが挙げられる。
パターン二色性物質含有層の厚さを面内で制御する方法としては、リソグラフィを利用する方法、インプリントを利用する方法、および、凹凸構造を有する基材にパターン二色性物質含有層を形成する方法等が挙げられる。パターン二色性物質含有層中の二色性色素化合物を偏在させる方法としては、溶剤浸漬により二色性色素を抽出する方法(ブリーチング)が挙げられる。さらに、光学的に均一なパターン二色性物質含有層を後加工する方法としては、レーザー加工等によって、平坦な二色性物質含有層の一部を裁断する方法が挙げられる。
〔位相差層〕
本発明の製造方法においては、上述した光吸収異方性フィルムと偏光フィルムとの間に、偏光子層および光吸収異方性層とは異なる位相差層を有していてもよい。
このような位相差層を積層させると、位相差値および光軸方向を制御することで、透過・遮光性能を制御することができる。
位相差層としては、正のAプレート、負のAプレート、正のCプレート、負のCプレート、Bプレート、Oプレートなどを用いることができる。
位相差層の厚みは、視角制御システムを薄型化する観点で、光学特性、機械物性、及び、製造適性を損ねない限りは薄いことが好ましく、具体的には、1~150μmが好ましく、1~70μmがより好ましく、1~30μmがさらに好ましい。
本発明の製造方法においては、本発明の製造方法により製造される長尺フィルム積層体を用いて作製した画像表示装置の斜め漏れ光が低減する理由から、上述した光吸収異方性フィルムと偏光フィルムとの間に、Bプレートを有していることが好ましい。
ここで、Bプレートとは、屈折率nx、ny、およびnzが互いに異なる値である二軸性の光学部材を意味する。
また、Bプレートの波長550nmにおける面内位相差(面内レタデーション)Reは特に制限されないが、斜め方向の光漏れをより効果的に抑制できる理由から、60nmより大きいことが好ましく、100~250nmがより好ましく、150~200nmが更に好ましい。
〔保護層〕
本発明の製造方法においては、耐久性向上の観点から、上述した光吸収異方性フィルムおよび偏光フィルムは、保護層を有していてもよい。
保護層としては、公知の材質の層であればよいが、樹脂フィルムが好ましく挙げられる。樹脂フィルムとしては、例えば、アクリル樹脂フィルム、セルロースエステル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタラート樹脂フィルム、ポリビニルアルコール樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、および、これらの変性樹脂フィルムなどが挙げられる。
また、保護層は、接着剤や粘着剤を付設する前に、接着性の向上等を目的として、表面改質処理を行ってもよい。具体的な処理としてば、コロナ処理、プラズマ処理、プライマー処理、ケン化処理等が挙げられる。
〔バリア層/酸素遮断層〕
本発明の製造方法においては、上述した光吸収異方性フィルムおよび偏光フィルムは、バリア層を有していてもよい。
ここで、バリア層は、ガス遮断層(酸素遮断層)とも呼ばれ、大気中の酸素等のガス、水分、または、隣接する層に含まれる化合物等から本発明の偏光素子を保護する機能を有する。
バリア層については、例えば、特開2014-159124号公報の[0014]~[0054]段落、特開2017-121721号公報の[0042]~[0075]段落、特開2017-115076号公報の[0045]~[0054]段落、特開2012-213938号公報の[0010]~[0061]段落、特開2005-169994号公報の[0021]~[0031]段落の記載を参照できる。
〔屈折率調整層〕
本発明の製造方法においては、上述した光吸収異方性フィルムおよび偏光フィルムは、必要に応じて、屈折率調整層を有していてもよい。
屈折率調整層は、光吸収異方性層に接するように配置される層であることが好ましく、波長550nmにおける面内平均屈折率が1.55以上1.70以下である。いわゆるインデックスマッチングを行うための屈折率調整層であることが好ましい。
〔貼合工程〕
本発明の製造方法が有する貼合工程は、上述した光吸収異方性層の透過率中心軸の投影軸と、上述した偏光子層の吸収軸とのなす角度θ3が70°~110°となるように、上述した光吸収異方性フィルムと上述した偏光フィルムとを貼り合わせる工程である。
ここで、上述した光吸収異方性フィルムと上述した偏光フィルムとを貼合する手段は特に限定されないが、長尺フィルム積層体をより容易に製造できる理由から、ロールトゥロールを用いて貼合する方法が好適に挙げられる。
貼合工程には、粘着層を用いることが好ましい。
粘着層は、通常の画像表示装置に使用されるものと同様の透明で光学的に等方性の接着剤であることが好ましく、通常は感圧型接着剤が使用される。
粘着層には、母材(粘着剤)、導電性粒子、及び必要に応じて用いられる熱膨張性粒子の他に、架橋剤(例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等の適宜な添加剤を配合してもよい。
[画像表示装置の製造方法]
本発明の画像表示装置の製造方法は、上述した本発明の製造方法で製造された長尺フィルム積層体を打ち抜き、フィルム積層体を形成する打ち抜き工程と、フィルム積層体を画像表示素子に貼り合わせる貼合工程とを有する。
〔打ち抜き工程〕
本発明の画像表示装置の製造方法が有する打ち抜き工程は、貼り合わせる画像表示素子のサイズに応じて、長尺フィルム積層体を打ち抜き、フィルム積層体を形成する工程である。
〔貼合工程〕
本発明の画像表示装置の製造方法が有する貼合工程は、フィルム積層体を画像表示素子に貼り合わせる工程である。
また、上記貼合工程は、フィルム積層体が有する2個のフィルム支持体の一方を剥離して露出させた面を画像表示素子に貼り合わせる工程であることが好ましい。
<画像表示素子>
画像表示素子は特に限定されず、例えば、液晶セル、有機EL表示パネル、および、プラズマディスプレイパネルなどが挙げられる。
これらのうち、液晶セルまたは有機EL表示パネルであるのが好ましい。すなわち、本発明の画像表示装置としては、表示素子として液晶セルを用いた液晶表示装置、表示素子として有機EL表示パネルを用いた有機EL表示装置であるのが好ましい。
[長尺フィルム積層体]
本発明の長尺フィルム積層体は、長尺のフィルム支持体と、長尺の光吸収異方性層と、長尺の偏光子層とを有する長尺フィルム積層体である。
ここで、上記光吸収異方性層の透過率中心軸と、上記光吸収異方性層の表面の法線方向とのなす角度(すなわち、上述した透過率中心軸角度θ)が5°~60°である。
また、上記光吸収異方性層の透過率中心軸を上記光吸収異方性層の表面に投影した投影軸と、上記光吸収異方性層の長手方向とのなす角度(すなわち、上述した角度θ1)が35°~55°または125°~145°であり、
また、上記偏光子層の吸収軸と、上記偏光子層の長手方向とのなす角度(すなわち、上述した角度θ2)が35°~55°または125°~145°である。
また、上記光吸収異方性層の透過率中心軸の投影軸と、上記偏光子層の吸収軸とのなす角度(すなわち、上述した角度θ3)が70°~110°である。
すなわち、本発明の長尺フィルム積層体は、上述した本発明の製造方法で製造される長尺フィルム積層体から、光吸収異方性フィルムおよび偏光フィルムのいずれか一方に含まれる長尺のフィルム支持体を剥離した構成を有するものである。
そのため、本発明の長尺フィルム積層体は、上述した本発明の製造方法において説明した配向膜、配向補助層、Bプレートなどの任意の構成を有していることが好ましく、保護層、バリア層(酸素遮断層)、屈折率調整層などを有していてもよい。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容及び処理手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
〔長尺の偏光フィルムの作製〕
<フィルム支持体の作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、コア層セルロースアシレートドープとして用いるセルロースアセテート溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
コア層セルロースアシレートドープ
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・アセチル置換度2.88のセルロースアセテート 100質量部
・特開2015-227955号公報の作成例に
記載されたポリエステル化合物B 12質量部
・下記化合物F 2質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 430質量部
・メタノール(第2溶媒) 64質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
化合物F
Figure 2023032330000060
上記のコア層セルロースアシレートドープ90質量部に下記のマット剤溶液を10質量部加え、外層セルロースアシレートドープとして用いるセルロースアセテート溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製) 2質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 76質量部
・メタノール(第2溶媒) 11質量部
・上記のコア層セルロースアシレートドープ 1質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
上記コア層セルロースアシレートドープと上記外層セルロースアシレートドープを平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルタでろ過した後、上記コア層セルロースアシレートドープとその両側に外層セルロースアシレートドープとを3層同時に流延口から20℃のドラム上に流延した(バンド流延機)。
次いで、フィルム中の溶媒含有率が略20質量%の状態でドラム上のフィルムを剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をテンタークリップで固定し、横方向に延伸倍率1.1倍でフィルムを延伸しつつ乾燥した。
その後、得られたフィルムを熱処理装置のロール間を搬送することにより、更に乾燥し、厚さ40μmの長尺のフィルム支持体を作製し、これをセルロースアシレートフィルムA1とした。
<光配向膜B1の形成>
後述する光配向膜形成用組成物を、ワイヤーバーで連続的に上記セルロースアシレートフィルムA1上に塗布した。塗膜が形成された支持体を140℃の温風で120秒間乾燥した。
次いで、塗膜に対し、ワイヤーグリッド偏光子を用いて、電場の振動方向が支持体の長手方向に対して135°の角度を有する偏光紫外線を照射(10mJ/cm、超高圧水銀ランプ使用)することで、光配向膜B1を形成し、光配向膜付きTAC(トリアセチルセルロース)フィルムを得た。光配向膜B1の膜厚は0.25μmであった。
なお、電場の振動方向が135°である偏光紫外線を照射することにより、光配向膜上に塗布する偏光子層は、偏光子層の吸収軸と偏光子層の長手方向とのなす角度が45°となるように配向することになる。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光配向膜形成用組成物
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記重合体PA-1 100.00質量部
・下記酸発生剤PAG-1 8.25質量部
・下記安定化剤DIPEA 0.6質量部
・キシレン 1126.60質量部
・メチルイソブチルケトン 125.18質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
重合体PA-1(式中、各繰り返し単位に記載の数値は、全繰り返し単位に対する各繰り返しの含有量(質量%)を表す。)
Figure 2023032330000061
酸発生剤PAG-1
Figure 2023032330000062
安定化剤DIPEA
Figure 2023032330000063
<偏光子層C1の作製>
得られた光配向膜B1上に、下記組成の偏光子層形成用組成物C1をワイヤーバーで連続的に塗布し、塗膜を形成した。
次に、塗膜を140℃で15秒間加熱し、続けて80℃5秒間加熱処理し、塗膜を室温(23℃)になるまで冷却した。次に、塗膜を75℃で60秒間加熱し、再び室温になるまで冷却した。
その後、LED(light emitting diode)灯(中心波長365nm、半値幅10nm)を用いて照度200mW/cmの照射条件で2秒間照射することにより、光配向膜B1上に偏光子層C1(偏光子)(厚さ:2.0μm)を作製した。
偏光子層C1の吸収軸は、偏光子層C1の面内にあり、セルロースアシレートフィルムA1の幅方向に対して直交であった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
偏光子層形成用組成物C1の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記第1の二色性物質Dye-C1 0.59質量部
・下記第2の二色性物質Dye-M1 0.14質量部
・下記第3の二色性物質Dye-Y1 0.25質量部
・下記液晶性化合物L-1 3.27質量部
・下記液晶性化合物L-2 1.44質量部
・下記密着改良剤A-1 0.06質量部
・重合開始剤
IRGACUREOXE-02(BASF社製) 0.18質量部
・下記界面活性剤F-1 0.030質量部
・シクロペンタノン 91.70質量部
・ベンジルアルコール 2.35質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
二色性物質Dye-C1
Figure 2023032330000064
二色性物質Dye-M1
Figure 2023032330000065
二色性物質Dye-Y1
Figure 2023032330000066
液晶性化合物L-1(式中、各繰り返し単位に記載の数値(「59」、「15」、「26」)は、全繰り返し単位に対する各繰り返しの含有量(質量%)を表す。)
Figure 2023032330000067
液晶性化合物L-2
Figure 2023032330000068
密着改良剤A-1
Figure 2023032330000069
界面活性剤F-1(式中、各繰り返し単位に記載の数値は、全繰り返し単位に対する各繰り返しの含有量(質量%)を表す。)
Figure 2023032330000070
<酸素遮断層D1の形成>
偏光子層C1上に、下記組成の塗布液D1をワイヤーバーで連続的に塗布した。その後、80℃の温風で5分間乾燥し、紫外線照射(300mJ/cm、超高圧水銀ランプ使用)して、厚さ1.0μmのポリビニルアルコール(PVA)からなる酸素遮断層D1が形成された積層体、すなわち、セルロースアシレートフィルムA1(フィルム支持体)、光配向膜B1、偏光子層C1、および、酸素遮断層D1をこの順に隣接して備える長尺の偏光フィルムCP1を得た。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
酸素遮断層形成用塗布液D1の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記の変性ポリビニルアルコール 3.30質量部
・開始剤Irg2959 0.20質量部
・下記界面活性剤F-2 0.0018質量部
・水 74.1質量部
・メタノール 22.4質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
変性ポリビニルアルコール
Figure 2023032330000071
界面活性剤F-2
Figure 2023032330000072
〔長尺の光吸収異方性フィルムの作製〕
<フィルム支持体の作製>
長尺のフィルム支持体としてセルロースアシレートフィルム1(厚み40μmのTAC基材;TG40 富士フィルム社)を用い、その表面をアルカリ液で鹸化し、その上にワイヤーバーで下記の配向層形成用塗布液1を塗布した。塗膜が形成された支持体を60℃の温風で60秒間、さらに100℃の温風で120秒間乾燥し、配向補助層1を形成し、配向補助層付きTACフィルムを得た。
配向補助層の膜厚は0.5μmであった。
さらに作製した配向補助層付きTACフィルムは、配向補助層の表面にラビング処理を施して使用した。この時、TACフィルムの長尺方向に対するラビング処理用ロールの傾き角度と、ラビング処理時のTACフィルムの搬送速度V1を調整することにより、セルロースアセテートフィルムの長手方向に対して、45°の角度でラビング処理を行えるように調整した。最終的に行われたラビング方向の角度は、作製した光吸収異方性層の透過率中心軸の投影軸がセルロースアセテートフィルムの長手方向に対して45°の角度となっていることをもって確認した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
(配向補助層形成用塗布液1)
――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記の変性ポリビニルアルコール 3.80質量部
・開始剤Irg2959 0.20質量部
・水 70質量部
・メタノール 30質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
変性ポリビニルアルコール
Figure 2023032330000073
<配向膜(ハイブリッド配向した液晶層)の作製>
作製した配向補助層付きTACフィルムの配向膜上に、ワイヤーバーを用いて下記の組成の配向膜用液晶層形成用組成物T1を塗布し塗布層T1を作製した。
次いで、配向膜用液晶層塗布層T1を120℃で30秒間加熱し、塗布層T1を室温(23℃)になるまで冷却した。さらに80℃で60秒間加熱し、再び室温になるまで冷却した。
その後、LED灯(中心波長365nm)を用いて照度200mW/cmの照射条件で、かつ窒素ガスによるパージ処理を行い残留酸素濃度が約30ppmの条件下で、1秒間紫外線照射することにより、配向補助層1上に配向膜(ハイブリッド配向した液晶層)T1を作製した。
配向膜T1の膜厚は0.25μm、表面エネルギーは35.0mN/mであった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
配向膜用液晶層形成用組成物T1の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記高分子液晶性化合物P-1 55.20質量部
・下記低分子液晶性化合物M-1 40.49質量部
・重合開始剤
IRGACUREOXE-02(BASF社製) 4.049質量部
・下記界面活性剤F-1 0.2620質量部
・シクロペンタノン 660.6質量部
・テトラヒドロフラン 660.6質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
高分子液晶性化合物P-1
Figure 2023032330000074
低分子液晶性化合物M-1
Figure 2023032330000075
界面活性剤F-1
Figure 2023032330000076
<光吸収異方性層P1の形成>
得られた配向膜T1上に、下記の光吸収異方性層形成用組成物P1をワイヤーバーで塗布し、塗布層P1を形成した。
次いで、塗布層P1を120℃で30秒間加熱し、塗布層P1を室温(23℃)になるまで冷却した。
次いで、80℃で60秒間加熱し、再び室温になるまで冷却した。
その後、LED灯(中心波長365nm)を用いて照度200mW/cmの照射条件で1秒間照射することにより、配向膜T1上に光吸収異方性層P1を作製した。
光吸収異方性層P1の膜厚は1.4μm、表面エネルギーは26.5mN/mであった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光吸収異方性層形成用組成物P1の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記二色性物質D-1 7.356質量部
・下記二色性物質D-2 3.308質量部
・下記二色性物質D-3 11.02質量部
・高分子液晶性化合物P-1 43.29質量部
・低分子液晶性化合物M-1 31.75質量部
・重合開始剤
IRGACUREOXE-02(BASF社製) 3.175質量部
・下記界面活性剤F-2 0.1027質量部
・シクロペンタノン 514.4質量部
・テトラヒドロフラン 514.4質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
二色性物質D-1
Figure 2023032330000077
二色性物質D-2
Figure 2023032330000078
二色性物質D-3
Figure 2023032330000079
界面活性剤F-2
Figure 2023032330000080
<バリア層B1の形成>
作製した光吸収異方性層P1の上に、下記のバリア層形成用組成物B1をワイヤーバーで塗布し、80℃5分間乾燥してバリア塗布層B1を形成した。
次いで、バリア塗布層B1を酸素濃度100ppm、温度60℃環境にて、LED灯(中心波長365nm)を用いて照度150mW/cmの照射条件で2秒間照射することにより光吸収異方性層P1の上に、バリア層B1を形成した。バリア層B1の厚みは、1.0μmであった。これを光吸収異方性フィルムP1とした。
――――――――――――――――――――――――――――――――
(バリア層形成用組成物B1)
――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記の変性ポリビニルアルコール 3.80質量部
・開始剤Irg2959 0.20質量部
・水 70質量部
・メタノール 30質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
変性ポリビニルアルコール
Figure 2023032330000081
<光吸収異方性層の透過率中心軸角度θの測定>
作製した光吸収異方性フィルムP1を無色のガラス板(厚み0.5mm、縦横5cm)上に、光学用粘着材(綜研化学株式会社製)を用いて全面を貼り付けた後、配向膜、配向補助層ごとフィルム支持体を剥離し、光吸収異方性層をバリア層とともにガラス板上に転写し、サンプル片1を作製した。
作製したサンプル片1について、上述した方法で透過率中心軸角度θを測定した。なお、サンプル片1が有する光吸収異方性層以外の層構成は、いずれも吸収異方性がないため、上記で算出した透過率中心軸角度θは、サンプル片1が有する光吸収異方性層の値と読み替えることができる。また、透過率中心軸の方向の解釈は、ガラス板上に転写した際の方向の反転を考慮して行った。
[長尺フィルム積層体の作製]
作製した長尺の偏光フィルムと長尺の光吸収異方性フィルムとの長尺方向を揃えて、±1°以内の貼り合わせ精度により、ロールトゥロール方式により光学用粘着材(総研化学、SKダイン)を用いて、偏光フィルムの酸素遮断層と光吸収異方性フィルムのバリア層とが対面するように貼合した。
その後、偏光フィルムのフィルム支持体を剥離して、長尺フィルム積層体を作製した。
[実施例2]
偏光フィルムの作製に関して、光配向膜B1に代えて、以下に記載するPVA配向膜を形成し、ラビング処理を施した以外は、実施例1と同様の方法で、長尺フィルム積層体を作製した。
<PVA配向膜>
上記セルロースアシレートフィルムA1の表面をアルカリ液で鹸化し、その上にワイヤーバーで下記の配向膜形成用塗布液1を塗布した。塗膜が形成された支持体を60℃の温風で60秒間、さらに100℃の温風で120秒間乾燥し、配向膜1を形成し、配向膜付きTACフィルムを得た。
膜厚は0.5μmであった。
さらに作製した配向膜付きTACフィルムは配向膜面をラビング処理して使用した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
(配向膜形成用塗布液1)
――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記の変性ポリビニルアルコール 3.80質量部
・開始剤Irg2959 0.20質量部
・水 70質量部
・メタノール 30質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
変性ポリビニルアルコール
Figure 2023032330000082
[実施例3]
光吸収異方性フィルムの作製に関して、配向補助層1および配向膜(ハイブリッド配向した液晶層)を設けず、長尺のフィルム支持体としてのセルロースアシレートフィルム1(厚み40μmのTAC基材;TG40 富士フィルム社)上に、下記の光配向膜形成用組成物を塗布したのち90℃で1分間乾燥し光配向膜1を形成し、光配向膜1の法線に対して30°の角度で光配向膜の斜め上方より傾斜紫外線露光を行った以外は、実施例1と同様の方法で、光吸収異方性フィルムを作製し、長尺フィルム積層体を作製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
光配向膜形成用組成物の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記光配向材料E-1 0.3質量部
・2-ブトキシエタノール 41.6質量部
・ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 41.6質量部
・純水 16.5質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
光配向材料E-1
Figure 2023032330000083
[実施例4]
長尺フィルム積層体を作製する際に、以下に記載する方法で作製したBプレート(Re=160nm、Rth=390nm)を、Bプレートの遅相軸と偏光子の吸収軸が平行になるように、光学用粘着材を用いて貼り合わせた以外は、実施例1と同様の方法で、長尺フィルム積層体を作製した。
〔Bプレートの作製〕
<押出成形>
シクロオレフィン樹脂 ARTON G7810(JSR社)を、100℃において2時間以上乾燥し、2軸混練押し出し機を用いて、280℃で溶融押し出しした。このとき押し出し機とダイの間にスクリーンフィルター、ギアポンプ、リーフディスクフィルターをこの順に配置し、これらをメルト配管で連結し、幅1000mm、リップギャップ1mmのTダイから押し出し、180℃、175℃、170℃に設定した3連のキャストロール上にキャストし、幅900mm、厚み320μmの未延伸フィルム1を得た。
<延伸・熱固定>
搬送されている上記未延伸フィルム1に対し、以下の方法で、延伸工程および熱固定工程を施した。
(a)縦延伸
未延伸フィルム1に対し、縦横比(L/W)が0.2であるロール間縦延伸機を用いて搬送しながら下記条件にて縦延伸した。
<条件>
予熱温度:170℃、延伸温度:170℃、延伸倍率:155%
(b)横延伸
縦延伸したフィルムに対し、テンターを用いて搬送しながら下記条件にて横延伸した。
<条件>
予熱温度:170℃、延伸温度:170℃、延伸倍率:80%
(c)熱固定
延伸工程の後に続いて、延伸フィルムをテンタークリップで端部を把持して幅が一定(3%以内の拡大または縮小の範囲)となるように延伸フィルム両端部を保持しながら、下記条件にて熱処理して、熱固定を行った。
熱固定温度:165℃、熱固定時間:30秒
なお、予熱温度、延伸温度および熱固定温度は、放射温度計を用いて、幅方向に5点で測定した値の平均値である。
<巻き取り>
熱固定の後、両端をトリミングし、張力25kg/mで巻き取り、幅は1340mm、巻長は2000mのフィルムロールを得た。得られた延伸フィルムのReは160nm、Rthは390nm、Nz係数は2.9、遅相軸はMD方向、膜厚は80μmであった。これを、Bプレートとした。
[評価]
〔偏光度〕
作製した長尺の偏光フィルムについて、以下の方法で偏光度を測定した。
具体的には、自動偏光フィルム測定装置(日本分光株式会社製、商品名VAP-7070)を用いて、光吸収異方性膜の透過率を測定し、以下の式により偏光度を算出した。結果を下記表1に示す。
偏光度[%]=[(MD-TD)/(MD+TD)]×100
MD:光吸収異方性膜のy軸方向の偏光に対する透過率
TD:光吸収異方性膜のx軸方向の偏光に対する透過率
〔画像表示装置の作製〕
作製した長尺フィルム積層体より、横310mm×縦185mmのサイズのサンプルを切り出した。この時、偏光子層の吸収軸が長辺(310mm)と平行になるように切り出しを行った。
次いで、ノートパソコン(Lenovo社製、ThinkPad T490S 14型)のフロント側偏光板を剥離し、作製した長尺フィルム積層体を、偏光子層がバックライト側を向くように、光学用粘着材(総研化学、SKダイン)を用いて積層し、画像表示装置を作製した。この時、偏光子層の吸収軸がディスプレイの水平方向を向くように貼り合わせした。
〔映り込み画像の評価〕
作製した画像表示装置を用いて、アクリル板に対する映り込み像を評価するために、図6および図7のような映り込み画像評価装置を作製した。
画像表示装置30の全面に白色の画像(R256、G256、B256)を背景に、20ポイントで黒色の任意のアルファベット文字を表示させた状態で、アクリル板32表面に映り込んだ画像の明るさを評価した。同様にして、画像表示装置30を直接目視にて観察した画像の視認性についても同時に評価した。これらの結果を下記表1に示す。
この時、映り込み像を観察する方向は、図6および図7に示すように、画像表示装置30の中心からアクリル板32の正面方向に伸ばした直線に対して約30°の角度(θ4)をつけた斜め方向で、かつ、アクリル板32の平面に対して約20°の角度(θ5)をつけた斜め上方から観察を行うようにした。
なお、アクリル板32は、画像表示装置30の表面に対して45°傾いていた。つまり、θ6は45°であった。
<映り込み画像の評価基準>
A:アクリル板に画像が明るく映り込んでしまい、アクリル板の向こう側の風景を視認しづらくなっている。
B:アクリル板に対する画像の映り込みは少なく、アクリル板の向こう側の風景も十分に視認できる
<直接目視の視認性>
A:画像を直接視認した時に、画面の明るさが充分であり画像の内容も視認しやすい
Figure 2023032330000084
表1に示すように、実施例1~4では、いずれも、長尺の光吸収異方性フィルムと長尺の偏光フィルムとをロールトゥロール方式を用いて貼合し、長尺フィルム積層体を製造することができるため、これを用いて作製される視野角制御システムの生産性が良好となる。
また、実施例1~4で作製した長尺フィルム積層体を利用した画像表示装置は、いずれも、直接目視した場合の画像は視認し易く、また、映り込み画像を抑制できることが分かった。
v 光吸収異方性層の透過率中心軸
v(xy) 透過率中心軸の投影軸
w 偏光子層の吸収軸
θ 光吸収異方性層の透過率中心軸と、光吸収異方性層の表面の法線方向とのなす角度
θ1 光吸収異方性層の透過率中心軸の投影軸と、光吸収異方性層の長手方向とのなす角度
θ2 偏光子層の吸収軸と、偏光子層の長手方向とのなす角度
θ3 光吸収異方性層の透過率中心軸の投影軸と、偏光子層の吸収軸とのなす角度
1 長尺のフィルム支持体
2 長尺の光吸収異方性層
3 長尺の配向補助層
4 長尺の配向膜
5 長尺のバリア層
10 長尺の光吸収異方性フィルム
11 長尺のフィルム支持体
12 長尺の偏光子層
13 長尺の光配向膜
14 長尺の酸素遮断層
20 長尺の偏光フィルム
30 画像表示装置
32 アクリル板
100、200、300 長尺フィルム積層体

Claims (17)

  1. 長尺の光吸収異方性フィルムと長尺の偏光フィルムとを有する長尺フィルム積層体の製造方法であって、
    前記光吸収異方性フィルムが、長尺のフィルム支持体と長尺の光吸収異方性層とを有し、
    前記偏光フィルムが、長尺のフィルム支持体と長尺の偏光子層とを有し、
    前記光吸収異方性層の透過率中心軸と、前記光吸収異方性層の表面の法線方向とのなす角度が5°~60°であり、
    前記光吸収異方性層の透過率中心軸を前記光吸収異方性層の表面に投影した投影軸と、前記光吸収異方性層の長手方向とのなす角度が35°~55°または125°~145°であり、
    前記偏光子層の吸収軸と、前記偏光子層の長手方向とのなす角度が35°~55°または125°~145°であり、
    前記光吸収異方性層の透過率中心軸の前記投影軸と、前記偏光子層の前記吸収軸とのなす角度が70°~110°となるように、前記光吸収異方性フィルムと前記偏光フィルムとを貼り合わせる貼合工程を有する、長尺フィルム積層体の製造方法。
  2. 前記偏光フィルムの前記フィルム支持体と前記偏光子層との間に配向膜を有し、前記配向膜が光配向膜である、請求項1に記載の長尺フィルム積層体の製造方法。
  3. 前記光吸収異方性フィルムの前記フィルム支持体と前記光吸収異方性層との間に、配向膜を有し、前記配向膜がハイブリッド配向した液晶層である、請求項1または2に記載の長尺フィルム積層体の製造方法。
  4. 前記光吸収異方性フィルムの前記フィルム支持体と前記配向膜の間に、配向補助層を有し、前記配向補助層がラビング処理を施した樹脂層である、請求項3に記載の長尺フィルム積層体の製造方法。
  5. 前記光吸収異方性フィルムと前記偏光フィルムとの間に、Bプレートを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の長尺フィルム積層体の製造方法。
  6. 前記Bプレートの波長550nmにおける面内位相差Reが60nmよりも大きい、請求項5の記載の長尺フィルム積層体の製造方法。
  7. 前記光吸収異方性層および前記偏光子層の少なくとも一方が、液晶性化合物および二色性物質を含有する層である、請求項1~6のいずれか1項に記載の長尺フィルム積層体の製造方法。
  8. 前記液晶性化合物および前記二色性物質を含有する層中の、前記二色性物質の含有量が、前記液晶性化合物および前記二色性物質を含有する層の全固形分質量に対して10質量%以上である、請求項7に記載の長尺フィルム積層体の製造方法。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の長尺フィルム積層体の製造方法で製造された長尺フィルム積層体を打ち抜き、フィルム積層体を形成する打ち抜き工程と、
    前記フィルム積層体を画像表示素子に貼り合わせる貼合工程とを有する、画像表示装置の製造方法。
  10. 前記貼合工程が、前記フィルム積層体が有する2個のフィルム支持体の一方を剥離して露出させた面を貼り合わせる工程である、請求項9に記載の画像表示装置の製造方法。
  11. 長尺のフィルム支持体と、長尺の光吸収異方性層と、長尺の偏光子層とを有する長尺フィルム積層体であって、
    前記光吸収異方性層の透過率中心軸と、前記光吸収異方性層の表面の法線方向とのなす角度が5°~60°であり、
    前記光吸収異方性層の透過率中心軸を前記光吸収異方性層の表面に投影した投影軸と、前記光吸収異方性層の長手方向とのなす角度が35°~55°または125°~145°であり、
    前記偏光子層の吸収軸と、前記偏光子層の長手方向とのなす角度が35°~55°または125°~145°であり、
    前記光吸収異方性層の透過率中心軸の前記投影軸と、前記偏光子層の前記吸収軸とのなす角度が70°~110°である、長尺フィルム積層体。
  12. 前記偏光子層と前記光吸収異方性層との間に、Bプレートを有する、請求項11に記載の長尺フィルム積層体。
  13. 前記Bプレートの波長550nmにおける面内位相差Reが60nmよりも大きい、請求項12の記載の長尺フィルム積層体。
  14. 前記偏光子層に隣接する配向膜を有し、前記配向膜が光配向膜である、請求項11~13のいずれか1項に記載の長尺フィルム積層体。
  15. 前記光吸収異方性層に隣接する配向膜を有し、前記配向膜がハイブリッド配向した液晶層である、請求項11~14のいずれか1項に記載の長尺フィルム積層体。
  16. 前記偏光子層および前記光吸収異方性層の少なくとも一方が、液晶性化合物および二色性物質を含有する層である、請求項11~15のいずれか1項に記載の長尺フィルム積層体。
  17. 前記液晶性化合物および前記二色性物質を含有する層中の、前記二色性物質の含有量が、前記液晶性化合物および前記二色性物質を含有する層の全固形分質量に対して10質量%以上である、請求項16に記載の長尺フィルム積層体。
JP2021138388A 2021-08-26 2021-08-26 長尺フィルム積層体の製造方法、画像表示装置の製造方法、および、長尺フィルム積層体 Pending JP2023032330A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021138388A JP2023032330A (ja) 2021-08-26 2021-08-26 長尺フィルム積層体の製造方法、画像表示装置の製造方法、および、長尺フィルム積層体
KR1020220089402A KR20230031134A (ko) 2021-08-26 2022-07-20 장척 필름 적층체의 제조 방법, 화상 표시 장치의 제조 방법, 및, 장척 필름 적층체

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021138388A JP2023032330A (ja) 2021-08-26 2021-08-26 長尺フィルム積層体の製造方法、画像表示装置の製造方法、および、長尺フィルム積層体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023032330A true JP2023032330A (ja) 2023-03-09

Family

ID=85416510

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021138388A Pending JP2023032330A (ja) 2021-08-26 2021-08-26 長尺フィルム積層体の製造方法、画像表示装置の製造方法、および、長尺フィルム積層体

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2023032330A (ja)
KR (1) KR20230031134A (ja)

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS492516B1 (ja) 1969-01-13 1974-01-21

Also Published As

Publication number Publication date
KR20230031134A (ko) 2023-03-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2018186500A1 (ja) 偏光素子、円偏光板および画像表示装置
US20230118336A1 (en) Viewing angle control system and image display device
US20230314854A1 (en) Light absorption anisotropic film, viewing angle control system, and image display device
JP2022068164A (ja) 偏光子および画像表示装置
JP7428785B2 (ja) 液晶表示装置
KR20230000979A (ko) 광학 적층체, 시야각 제어 시스템 및 화상 표시 장치
US20230417971A1 (en) Light absorption anisotropic film, viewing angle control system, and image display device
JP7457739B2 (ja) 偏光素子、円偏光板および画像表示装置
WO2022138504A1 (ja) 光学フィルム、視角制御システム及び画像表示装置
JP7377833B2 (ja) 光学要素および表示装置
JP7367036B2 (ja) 組成物、偏光子層、積層体、および画像表示装置
JP2023032330A (ja) 長尺フィルム積層体の製造方法、画像表示装置の製造方法、および、長尺フィルム積層体
CN114930206A (zh) 光吸收各向异性层、层叠体、光学膜、图像显示装置、背光模组
WO2022181414A1 (ja) 積層体、映り込み防止システム、および、画像表示装置
US11982897B2 (en) Liquid crystal display device
WO2024048272A1 (ja) 光吸収異方性膜、光吸収異方性膜の製造方法、積層体及び画像表示装置
WO2022215751A1 (ja) 光吸収異方性層、積層体、表示装置、赤外光照射装置及び赤外光センシング装置
WO2022270466A1 (ja) 光学フィルム、光吸収異方性層の製造方法および画像表示装置
JP7454695B2 (ja) 光配向膜用組成物、光配向膜および光学積層体
JP7376721B2 (ja) 液晶組成物、光学異方性層、積層体及び画像表示装置
WO2023176672A1 (ja) 光学フィルムおよび視角制御システム
JP7016412B2 (ja) 光学積層体の製造方法、表示装置の製造方法
WO2024048193A1 (ja) 光吸収異方性膜及びその製造方法、積層体、並びに、画像表示装置
WO2022202268A1 (ja) 視角制御システム、画像表示装置、光学異方性層、積層体
JP2023004859A (ja) 光学積層体、視野角制御システム及び画像表示装置