JP2023028492A - (メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】黄色度が低く、分子量の均一性の高い(メタ)アクリル酸エステル重合体を高い重合開始効率で製造する方法を提供する。【解決手段】重合系内に、少なくとも1種類のルイス塩基(A)、有機リチウム化合物(B)、およびAlR1OAr1OAr2(I)(式中、R1は置換基を有してもよい飽和炭化水素基、または置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、OAr1およびOAr2はそれぞれ独立して置換基を有してもよいアリールオキシ基)で表される有機アルミニウム化合物(C)を存在させてメタクリル酸エステルをアニオン重合させ、ついでAlR2R3R4(II)(式中、R2、R3およびR4はそれぞれ独立して、水素、置換基を有してもよい飽和炭化水素基、または置換基を有してもよい芳香族炭化水素基)で表されるアルミニウム化合物(D)を存在させてさらに(メタ)アクリル酸エステルを重合させる(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、(メタ)アクリル酸エステル重合体を製造する方法に関する。
(メタ)アクリル酸エステル重合体は、その優れた透明性を活かし、光学部材、照明部材、看板部材、装飾部材等の材料に用いられている。
例えば特許文献1では、三級有機アルミニウム化合物、有機リチウム化合物、および少なくとも1種類のルイス塩基を存在させる(メタ)アクリル酸エステルのアニオン重合方法において、三級有機アルミニウム化合物として、特定の化学構造を有する化合物の割合が特定の範囲にあるアニオン重合方法によって、(メタ)アクリル系重合体の本来有する特性を損なわず、かつ分子量の均一性の高い(メタ)アクリル系重合体を高い重合開始効率で製造できることを提案している。
特開2018-178134号公報
しかしながら、上記特許文献に記載される方法により(メタ)アクリル酸エステル重合体を製造しようとした場合、製造時に用いる有機アルミニウム化合物由来のフェノール類(例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール)が製造物中に含まれ、そのフェノール類が熱や紫外線暴露によりキノン系化合物(例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチレン-2,5-シクロヘキサジエン-1-オン)となることで、得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体が黄変し、光学特性に悪影響を与える場合があることが分かった。
本発明の目的は、黄色度が低く、また分子量の均一性の高い(メタ)アクリル酸エステル重合体を高い重合開始効率で製造する方法を提供することにある。
本発明によれば、上記目的は、下記[1]~[7]を含む事項を提供することにより達成される。
[1] 重合系内に、少なくとも1種類のルイス塩基(A)、有機リチウム化合物(B)、およびAlROArOAr(I)(式中、Rは置換基を有してもよい飽和炭化水素基、または置換基を有してもよい芳香族炭化水素基を示し、OArおよびOArはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアリールオキシ基を示す。)で表される有機アルミニウム化合物(C)を存在させてメタクリル酸エステルをアニオン重合させ、次いでAlR(II)(式中、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、置換基を有してもよい飽和炭化水素基、または置換基を有してもよい芳香族炭化水素基を示す。)で表されるアルミニウム化合物(D)を存在させてさらに(メタ)アクリル酸エステルを重合させる、(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法。
[2] ルイス塩基(A) が、ポリアミン化合物(A1)である[1]に記載の製造方法。
[3] ポリアミン化合物(A1)が、N ,N ,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、および1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラアミンから選ばれる少なくとも1種である[2]に記載の製造方法
[4] ルイス塩基(A)がエーテル化合物(A2)である[1]に記載の製造方法。
[5] エーテル化合物(A2) が、1個以上のエーテル結合を分子中に有する非環状エーテル化合物(A2-1)または2個以上のエーテル結合を分子中に有する環状エーテル化合物(A2-2)である[4]に記載の製造方法。
[6] 有機アルミニウム化合物(C)が、イソブチルビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)アルミニウムである[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7] アルミニウム化合物(D)がトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、およびトリイソブチルアルミニウムから選ばれる少なくとも1種である[1]~[6]のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、透明性等の(メタ)アクリル酸エステル重合体の本来有する特性を損なうことなく、分子量均一性の高い(メタ)アクリル酸エステル重合体を高い重合開始効率で製造できる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸エステル」は「メタクリル酸エステル」と「アクリル酸エステル」との総称であり、また「(メタ)アクリル」は「メタクリル」と「アクリル」との総称、「(メタ)アクリロイル」は「メタクリルロイル」と「アクリロイル」との総称である。
本発明で用いられるルイス塩基(A)としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造に有効なものであれば特に制限はない。ルイス塩基(A)としては、ポリアミン化合物(A1)およびエーテル化合物(A2)からなる群から選ばれる少なくとも1種のルイス塩基であることが好ましい。
ポリアミン化合物(A1)はアミン構造を分子中に2個以上有する化合物であり、重合反応に悪影響を及ぼさないものである限り特に制限なく用いることができる。なお、本発明において「アミン構造」とは、一つの窒素原子に二つ又は三つの炭素原子が結合している形態の部分的化学構造を意味する。窒素原子が2つの炭素原子と結合する場合、1つは窒素-炭素単結合であり、他の1つは窒素-炭素二重結合であり、かつ、窒素原子と炭素原子はいずれも含窒素芳香環の環原子である。また、その窒素原子に結合する二つ又は三つの炭素原子は芳香環の一部を構成するものであってもよい。
ポリアミン化合物(A1)としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’N’-テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン、トリス[2-(ジメチルアミノ)エチル]アミン等の鎖状ポリアミン化合物;1,3,5-トリメチルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン、1,4,7,10,13,16-ヘキサメチル-1,4,7,10,13,16-ヘキサアザシクロオクタデカン等の非芳香族性複素環式化合物;2,2’-ビピリジル、2,2’:6’,2”-テルピリジン等の芳香族性複素環式化合物などが挙げられる。上記ポリアミン化合物(A1)の中でも、重合開始効率、および重合時のリビング性を高く保持できる観点から、鎖状ポリアミン化合物が好ましく、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラアミンがより好ましい。
なお、ルイス塩基(A)の代わりにトリエチルアミン等の三級モノアミン化合物を使用することは、重合開始効率や重合時のリビング性の低下を招くので好ましくない。上記ポリアミン化合物(A1)は1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用してもよい。
上記エーテル化合物(A2)は分子中にエーテル結合(-O-)を有し、かつ、金属成分を含有しない化合物であり、重合反応に悪影響を及ぼさないものである限り特に制限なく用いることができる。エーテル化合物(A2)としては、重合開始効率の高さ、重合時のリビング性の高さなどの点から、1個以上のエーテル結合を分子中に有する非環状エーテル化合物(A2-1)または2個以上のエーテル結合を分子中に有する環状エーテル化合物(A2-2)が好ましい。
1個以上のエーテル結合を分子中に有する非環状エーテル化合物(A2-1)としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール等の非環状モノエーテル化合物;1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、1,2-ジイソプロポキシエタン、1,2-ジブトキシエタン、1,2-ジフェノキシエタン、1,2-ジメトキシプロパン、1,2-ジエトキシプロパン、1,2-ジイソプロポキシプロパン、1,2-ジブトキシプロパン、1,2-ジフェノキシプロパン、1,3-ジメトキシプロパン、1,3-ジエトキシプロパン、1,3-ジイソプロポキシプロパン、1,3-ジブトキシプロパン、1,3-ジフェノキシプロパン、1,4-ジメトキシブタン、1,4-ジエトキシブタン、1,4-ジイソプロポキシブタン、1,4-ジブトキシブタン、1,4-ジフェノキシブタン等の非環状ジエーテル化合物;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジブチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジブチレングリコールジエチルエーテル等の非環状トリエーテル化合物;トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリブチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリブチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラブチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラブチレングリコールジエチルエーテル等のポリアルキレングリコールのジアルキルエーテルなどが挙げられる。
2個以上のエーテル結合を分子中に有する環状エーテル化合物(A2-2)としては、例えば、ジオキサン、12-クラウン-4、15-クラウン-5、18-クラウン-6等のクラウンエーテルなどが挙げられる。
上記エーテル化合物(A2)の中でも、本発明の効果が特に顕著に発揮される点、入手の容易さの点などから、非環状エーテル化合物(A2-1)が好ましく、ジエチルエーテルおよび1,2-ジメトキシエタンがより好ましい。
なお、テトラヒドロフラン、プロピレンオキシド等のエポキシ化合物などの1個のエーテル結合を分子中に有する環状エーテル化合物を上記エーテル化合物(A2)として用いた場合には、有機アルミニウム化合物(C)との相互作用が強すぎ、有機リチウム化合物(B)または成長途中のリビングポリマーと直接反応してしまう場合がある。したがって、ルイス塩基(A)としては1個のエーテル結合を分子中に有する環状エーテル化合物の使用は、通常避けた方が望ましい。
上記エーテル化合物(A2)は1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用してもよい。
上記ルイス塩基(A)としては、分子中に1個以上のエーテル結合と1個のアミン構造を有する化合物および分子中に1個以上のエーテル結合と2個以上のアミン構造を有する化合物も使用できる。なお分子中に1個以上のエーテル結合と1個のアミン構造を有する化合物は上記エーテル化合物(A2)に分類することができ、分子中に1個以上のエーテル結合と2個以上のアミン構造を有する化合物は上記ポリアミン化合物(A1)に分類することができる。
上記ルイス塩基(A)は1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用してもよい。したがって、上記ポリアミン化合物(A1)と上記エーテル化合物(A2)の混合物を用いてもよい。
本発明で用いられる有機リチウム化合物(B)としては、陰イオン中心となる炭素原子を分子中に1個以上含有し、該陰イオン中心の対イオン中心として該陰イオン中心と同じ個数のリチウム陽イオンを有する有機リチウム化合物が好ましい。有機リチウム化合物(B)は、その陰イオン中心の炭素原子に着目すると、三級炭素原子を陰イオン中心とする化学構造を有する有機リチウム化合物(B1)、二級炭素原子を陰イオン中心とする化学構造を有する有機リチウム化合物(B2)および一級炭素原子を陰イオン中心とする化学構造を有する有機リチウム化合物(B3)の3種類に区別される。
三級炭素原子を陰イオン中心とする化学構造を有する有機リチウム化合物(B1)としては、例えば、t-ブチルリチウム、1,1-ジメチルプロピルリチウム等のt-アルキルリチウム;1,1-ジフェニルヘキシルリチウム、1,1-ジフェニル-3-メチルペンチルリチウム等の1,1-ジアリールアルキルリチウム;エチルα-リチオイソブチレート、ブチルα-リチオイソブチレート、メチルα-リチオイソブチレート等のα,α-ジアルキル-α-リチオ酢酸エステルなどが挙げられる。
二級炭素原子を陰イオン中心とする化学構造を有する有機リチウム化合物(B2)としては、例えば、イソプロピルリチウム、1-メチルプロピルリチウム(sec-ブチルリチウム)、1-メチルブチルリチウム、2-エチルプロピルリチウム、1-メチルペンチルリチウム等のsec-アルキルリチウム;シクロヘキシルリチウム等のシクロアルキルリチウム;ジフェニルメチルリチウム等のジアリールメチルリチウム;α-メチルベンジルリチウム等の1-アルキル-1-アリールメチルリチウムなどが挙げられる。
一級炭素原子を陰イオン中心とする化学構造を有する有機リチウム化合物(B3)としては、例えば、メチルリチウム、プロピルリチウム、n-ブチルリチウム、n-ペンチルリチウム等のn-アルキルリチウムなどが挙げられる。
上記有機リチウム化合物(B)の中でも、工業的使用面での利便性(発火の危険性の低さ、取り扱いの容易さ、製造の容易さ等)および重合開始能力が高度に両立される点から、二級炭素原子を陰イオン中心とする化学構造を有する有機リチウム化合物(B2)が好ましく、二級炭素原子を陰イオン中心とする化学構造を有する炭素数3~40の炭化水素のリチウム塩がより好ましく、1-メチルプロピルリチウム(sec-ブチルリチウム)が特に好ましい。
上記有機リチウム化合物(B)は1種のみ使用しても、2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の製造方法では、重合系内に、少なくとも1種類のルイス塩基(A)、有機リチウム化合物(B)、および有機アルミニウム化合物(C)を存在させてメタクリル酸エステルをアニオン重合させ、ついで特定のアルミニウム化合物(D)を存在させてさらにメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルを重合させることが重要である。
本発明の好ましい1つの実施形態において、少なくとも1種類のルイス塩基(A)、有機リチウム化合物(B)、および有機アルミニウム化合物(C)を必要に応じて溶媒の存在下に混合し、その混合物にメタクリル酸エステルを加えて重合し、その後、反応混合物にアルミニウム化合物(D)と(メタ)アクリル酸エステルを加えてさらに重合することが好ましい。アルミニウム化合物(D)と(メタ)アクリル酸エステルは、この順に添加することが好ましい。
有機アルミニウム化合物(C)としては、例えば、下記一般式(I)で示される含酸素有機アルミニウム化合物が挙げられる。
AlROArOAr (I)
(上記式(I)中、Rは置換基を有してもよい飽和炭化水素基、または置換基を有してもよい芳香族炭化水素基を示し、OArおよびOArはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアリールオキシ基を示す。)
が示し得る飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基などが挙げられる。
が示し得る芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基などが挙げられる。
これらの飽和炭化水素基、および芳香族炭化水素基がそれぞれ有してもよい置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t-ブトキシ基等のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。置換基を有する飽和炭化水素基、または置換基を有する芳香族炭化水素基の置換基の数としては、好ましくは1~3個、より好ましくは1~2個である。
OArおよびOArがそれぞれ示し得る置換基を有してもよいアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2-メチルフェノキシ基、4-メチルフェノキシ基、2,6-ジメチルフェノキシ基、2,4-ジ-t-ブチルフェノキシ基、2,6-ジ-t-ブチルフェノキシ基、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ基、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノキシ基、2,6-ジフェニルフェノキシ基、1-ナフトキシ基、2-ナフトキシ基、9-フェナントリルオキシ基、1-ピレニルオキシ基等の置換基を有しないアリールオキシ基;および7-メトキシ-2-ナフトキシ基等の置換基を有するアリールオキシ基などが挙げられる。
OArとOArとが結合して示し得る、置換基を有してもよいアリーレンジオキシ基としては、例えば、2,2’-ビフェノール、2,2’-メチレンビスフェノール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、(R)-(+)-1 ,1’- ビ-2-ナフトール、(S)- (-)- 1,1’-ビ-2-ナフトール等から2個のフェノール性水酸基中の水素原子を除いた形の基が挙げられる。
なお、上記の置換基を有してもよいアリールオキシ基および上記の置換基を有してもよいアリーレンジオキシ基がそれぞれ有していてもよい1以上の置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t-ブトキシ基等のアルコキシ基;塩素、臭素等のハロゲン原子等が挙げられる。
なお、一般式(I)におけるOArおよびOArは上記定義の範囲内であれば、それぞれ同じ化学構造を有していてもよく、また相異なる化学構造を有していてもよい。
上記の有機アルミニウム化合物(C)としては、例えば、エチルビス(2 ,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)アルミニウム、エチルビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノキシ)アルミニウム、エチル〔2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、イソブチルビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル〔2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、n-オクチルビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)アルミニウム、n-オクチルビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノキシ)アルミニウム、n-オクチル〔2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、フェニルビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)アルミニウム、ベンジルビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)アルミニウムなどが挙げられる。
アルミニウム化合物(D)のアルミニウムと直接結合する原子団には、アリールオキシ基が含まれないことにより、重合停止後の重合溶液中にアルミニウム化合物(D)由来のフェノール類が含まれず、重合体の黄変原因となる物質がないため、透明性の高い(メタ)アクリル酸エステル重合体が得られる。
アルミニウム化合物(D)としては、例えば、下記一般式(II)で示されるアルミニウム化合物が挙げられる。
AlR(II)
(上記式(II)中、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、置換基を有してもよい飽和炭化水素基、または置換基を有してもよい芳香族炭化水素基)
、RおよびRが示し得る置換基を有してもよい飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基などが挙げられる。
、RおよびRが示し得る置換基を有してもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基などが挙げられる。
これらの飽和炭化水素基、および芳香族炭化水素基がそれぞれ有してもよい1以上の置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t-ブトキシ基等のアルコキシ基;塩素、臭素等のハロゲン原子等が挙げられる。
上記のアルミニウム化合物(D)としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ(n-ブチル)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ(n-ヘキシル)アルミニウム、トリ(n-オクチル)アルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、トリフェニルアルミニウム、トリベンジルアルミニウムなどが挙げられる。
上記のアルミニウム化合物(D)の中でも、入手の容易さ、および経済性の観点から、トリメチルアルミニウム、およびトリイソブチルアルミニウムが好ましく、トリイソブチルアルミニウムが特に好ましい。
本発明で使用されるメタクリル酸エステルは、アニオン重合性を有する限り特に制限はない。
メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N-ジエチルアミノエチル等の単官能メタクリル酸エステルなどが挙げられる。
本発明で使用されるアクリル酸エステルは、アニオン重合性を有する限り特に制限はない。
アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ビニル、アクリル酸アリル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N-ジエチルアミノエチル等の単官能アクリル酸エステルなどが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステルは、1種のみ使用しても、2種以上組み合わせて使用してもよい。上記例示の単官能(メタ)アクリル酸エステルに加えて、それら以外のアニオン重合性単量体を組み合わせて用いてもよい。
単官能(メタ)アクリル酸エステル以外のアニオン重合性単量体(以下、「他のアニオン重合性単量体」と略す)を使用する場合、本発明の製造方法で得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体中の他のアニオン重合性単量体に由来する構造単位の割合は、好ましくは1~50モル%、より好ましくは3~20モル%である。また、他のアニオン重合性単量体は、ルイス塩基(A)、有機リチウム化合物(B)、有機アルミニウム化合物(C)の存在下の重合時に、好ましくは1~50モル%、より好ましくは3~20モル%であり、アルミニウム化合物(D)の存在下の重合時に、好ましくは1~50モル%、より好ましくは3~20モル%である。
かかる単官能(メタ)アクリル酸エステル以外のアニオン重合性単量体としては、例えば、2-メチルプロパン-1,2-ジオールジメタクリラート、1,1-ジメチルプロパン-1,3-ジオールジメタクリラート、2-メチルプロパン-1,2-ジオールジアクリラート、1,1-ジメチルプロパン-1,3-ジオールジアクラレート、等の(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
アルミニウム化合物(D)存在前に重合させるメタクリル酸エステルとアルミニウム化合物(D)存在下に重合させる(メタ)アクリル酸エステルは、同一であっても異なっていても良い。
なお、2種以上の(メタ)アクリル酸エステルを組み合わせてアニオン重合すること、典型的には、各重合体ブロックに対応する(メタ)アクリル酸エステルを逐次重合することにより、複数の重合体ブロックを有するブロック共重合体を製造することができる。
(メタ)アクリル酸エステルおよび必要に応じて使用されるそれら以外のアニオン重合性単量体は、窒素ガス等の不活性ガス気流下等で予め十分に乾燥処理しておくことが重合反応を円滑に進行させる点から好ましい。乾燥処理は、例えば、水素化カルシウム、モレキュラーシーブス、活性アルミナ等の脱水・乾燥剤により行うことができる。
上記ルイス塩基(A)の使用量は、その反応条件等により適宜設定できるが、重合開始効率の高さ、重合時のリビング性の高さなどの点から、ルイス塩基(A)の有機リチウム化合物(B)に対するモル比が、0.1倍以上であることが好ましく、0.3倍以上であることがより好ましく、0.5倍以上であることがさらに好ましい。
また、ルイス塩基(A)を溶媒として使用することも可能であるが、重合開始効率を著しく低下させないために、一般には、ルイス塩基(A)の使用量は重合系の全質量に対して95質量%以下となるように留めることが好ましい。
上記有機リチウム化合物(B)の使用量は、使用する単量体、目的とする重合体の重合度などに応じて適宜設定できるが、目的とする重合体を円滑に製造できることなどから、(メタ)アクリル酸エステルを含むアニオン重合性単量体の合計100モルに対して、0.01~10モルであることが好ましい。
上記有機アルミニウム化合物(C)の使用量は、重合操作の種類、溶液重合を行う場合は重合系を構成する溶媒の種類、その他種々の重合条件等に応じて適宜設定できる。有機アルミニウム化合物(C)の使用量は、通常有機リチウム化合物(B)1モルに対して、0.3~300モルの範囲が好ましく、1~100モルの範囲がより好ましい。
上記アルミニウム化合物(D)の使用量は、重合操作の種類、溶液重合を行う場合は重合系を構成する溶媒の種類、その他種々の重合条件等に応じて適宜設定できる。
アルミニウム化合物(D)の使用量は、有機アルミニウム化合物(C)1モルに対して、0.1~100モルの範囲が好ましく、1~20モルの範囲がより好ましい。
上記アルミニウム化合物(D)は、重合系内にルイス塩基(A)、有機リチウム化合物(B)、および有機アルミニウム化合物(C)を存在させてメタクリル酸エステルをアニオン重合させた後に添加する。アルミニウム化合物(D)添加前のメタクリル酸エステル重合体の重合度は、目的とする(メタ)アクリル酸エステル重合体の重合度などに応じて適宜設定できるが、1~500が好ましい。重合度が1未満だと分子量の均一性が低くなる、あるいは重合開始効率が低くなる。重合度が500を超えると生産性が悪くなる。
アルミニウム化合物(D)を添加した後に加える(メタ)アクリル酸エステル単量体のモル数は、アルミニウム化合物(D)を添加する前に重合させるメタクリル酸エステル単量体1モルに対して、1~10,000モルの範囲が好ましく、1~5,000モルの範囲がより好ましい。
本発明の製造方法では、溶液重合法、バルク重合法、沈殿重合法などの任意の重合形態を採用することができる。重合温度の制御、重合系内の条件の均一化等が可能であって重合を円滑に進行させ得る点から、有機溶媒中における溶液重合法が好ましい。有機溶媒は特に限定されないが、取り扱い時の安全性が比較的高く、廃水への混入が生じにくく、溶媒の回収精製が容易である等の点から、一般に、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の飽和炭化水素系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒;フタル酸ジメチル等のエステル系溶媒などが好ましく用いられる。これら有機溶媒は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の製造方法で有機溶媒を使用する場合、その使用量は、目的とする重合体の重合度、単量体の種類、使用するルイス塩基(A)の種類、有機リチウム化合物(B)の種類、有機アルミニウム化合物(C)の種類、アルミニウム化合物(D)の種類、有機溶媒の種類等に応じて適宜調整し得る。重合の円滑な進行、生成した重合体の分離取得のし易さ、廃液処理負担の軽減等の点から、一般的には有機溶媒を、使用する(メタ)アクリル酸エステルを含むアニオン重合性単量体100重量部に対して200~3000重量部の範囲で使用することが好ましい。
本発明の製造方法では、重合開始効率を高く保持する点からは、有機リチウム化合物(B)との接触前にルイス塩基(A)と有機アルミニウム化合物(C)とを接触させることが好ましい。有機アルミニウム化合物(C)は、(メタ)アクリル酸エステルを含むアニオン重合性単量体より先に重合系に添加してもよく、該単量体と同時に重合系に添加してもよい。さらに後者の場合、有機アルミニウム化合物(C)と単量体とを事前に混合し、混合物の形態で添加してもよい。
本発明の製造方法では、アルミニウム化合物(D)は、(メタ)アクリル酸エステルを含むアニオン重合性単量体と同時に重合系に添加してもよく、アルミニウム化合物(D)とアニオン重合性単量体とを事前に混合し、混合物の形態で添加してもよい。
本発明の製造方法では、(メタ)アクリル酸エステル2種以上、または(メタ)アクリル酸エステル1種以上と他のアニオン重合性単量体1種以上を使用する場合、共重合体を得ることが可能である。この場合、通常のアニオン重合と同様に単量体の添加方法(例えば、2種以上の単量体を同時に添加するか、または時間間隔をおいて別々に添加するかなどの点)、単量体の種類の組み合わせ等に応じて、ランダム、ブロック、テーパードブロック等の任意の共重合形態のものを製造できる。本発明の製造方法は、高いリビング性を発揮させることができるため、高いブロック化効率が要求されるブロック共重合体の製造に好適である。
本発明の製造方法では、必要に応じて、公知のアニオン重合技術に準じて重合系に公知の他の添加剤を存在させてもよい。該添加剤の例としては、塩化リチウム等の無機塩類;リチウムメトキシエトキシエトキシド、カリウムt-ブトキシド等の金属アルコキシド化合物;テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルホスホニウムブロミド等の有機四級塩等が挙げられる。
本発明の製造方法では、その重合温度は、使用する(メタ)アクリル酸エステルの種類等に応じて適切な温度を選択すればよい。重合温度は、多くの場合、-60℃~+100℃の範囲であることが好ましく、-30℃~+50℃の範囲であることがより好ましい。また、アクリル酸エステルを重合させる場合、重合温度が低すぎると、得られる重合体の立体規則性が高くなるため、優れた柔軟性を有するアクリル酸エステル重合体の製造を目的とするのであれば、重合温度は-50℃以上の温度であることが好ましい。なお、本発明のアニオン重合方法では、従来のアニオン重合方法に比べ、重合系の冷却条件を緩和でき、より室温に近い温度で重合する場合であっても、高いリビング性を達成できる。
本発明の製造方法では、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。また、本発明のアニオン重合方法では、重合系が均一になるように十分な撹拌条件下で重合することが好ましい。本発明の製造方法では重合時間は、重合体の分子量等に応じて適宜設定できるが、従来の重合方法と比べて、重合を高い速度で進行させることが可能である。採用する重合条件にも依存するが、例えば、メタクリル酸エステルを重合する場合は数分間以内で重合を完結させることも可能であり、アクリル酸エステルを重合する場合は数十秒間以内で重合を完結させることも可能である。したがって、本発明の製造方法では、生産性が高く、かつ冷却効率が良好な管型連続重合装置でアニオン重合を行うことも可能である。
本発明の製造方法では、目的とする重合体鎖が形成された段階で、公知のアニオン重合法に準じ、重合停止剤を反応混合物に添加することによって重合反応を停止できる。重合停止剤としては、例えばメタノール、酢酸、塩酸のメタノール溶液等のプロトン性化合物を使用することができる。重合停止剤の使用量は、その重合体の活性末端量等に応じて適宜設定できるが、一般には、有機リチウム化合物(B)1モルに対して、1~100モルの範囲内であることが好ましい。
なお、本発明の製造方法では、所定の重合を全て終えた後であってかつ重合停止剤を添加する前の段階で、末端官能基付与剤( 例えばアルデヒド、ラクトン、二酸化炭素等)を反応系に添加してもよく、その場合には分子鎖の末端に水酸基、カルボキシル基等の官能基を有する重合体を得ることができる。重合停止後の反応混合物から分離取得した重合体中に使用した有機リチウム化合物(B)、有機アルミニウム化合物(C)、およびアルミニウム化合物(D)に由来する金属成分が残存していると、重合体やそれを用いた材料の物性の低下、透明性不良等を生じる場合があるので、重合体の使用目的に応じて、有機リチウム化合物(B)、有機アルミニウム化合物(C)、およびアルミニウム化合物(D)に由来する金属化合物を重合終了後に除去することが好ましい。該金属化合物の除去方法としては、重合体を、酸性水溶液を用いた洗浄処理、イオン交換樹脂等の吸着剤を用いた吸着処理等の清浄化処理に付することが有効である。ここで、酸性水溶液としては、例えば、塩酸、硫酸水溶液、硝酸水溶液、酢酸水溶液、プロピオン酸水溶液、クエン酸水溶液等を使用できる。
重合を停止させた後の反応混合物から重合体を分離取得するための方法は特に制限されず、公知の方法に準じた任意の方法を採用することができる。重合体を分離取得する方法としては、例えば、反応混合物を重合体の貧溶媒に注いで該重合体を沈殿させる方法、反応混合物から溶媒を留去して重合体を取得する方法などが挙げられる。
また、本発明によれば、任意の分子量の重合体を製造することができる。製造可能な重合体の分子量は広範囲にわたるが、一般には、数平均分子量(Mn)が1,000~1,000,000の範囲内であることが、得られる重合体の取り扱い性、流動性、力学特性等の点から好ましい。また、本発明によれば、通常、分子量の均一性が高い(すなわち、分子量分布の狭い)重合体が得られ、分子量分布(Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)) の値において1 .5以下の重合体を製造することが可能である。ただし、アニオン重合性単量体の重合系への添加速度、単量体の重合系内での拡散速度等を制御することにより、分子量分布の広い重合体を意図的に得ることもできる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
なお、実施例および比較例中の各種物性は以下の方法により測定または評価した。また、以下の実施例等において、化学品は常法により乾燥精製し、窒素にて脱気したものを使用した。また、化学品の移送および供給は窒素雰囲気下で行った。
「重合転化率」
島津製作所社製ガスクロマトグラフ GC-2014A に、カラムとしてAgilent Technologies,Inc.製DB-1 (df=1.0μm、0.25mmI.D.×60m)を繋ぎ、インジェクション温度を250℃に、検出器温度を300℃に、カラム温度を60℃(2分間保持)から昇温速度10℃/分で100℃まで昇温し、ついで昇温速度30℃/分で250℃まで昇温する条件にて測定を行い、この結果に基づいて重合転化率を算出した。なおn-デカンを内部標準物質に用いた。
「重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分子量分布(Mw/Mn)」
後述の実施例および比較例で得られた重合体の重量平均分子量、数平均分子量、および、分子量分布は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(以下GPCと略記する)によりポリスチレン換算分子量で求めた。詳細は以下のとおりである。
・装置: 東ソー株式会社製GPC装置「HLC-8220」
・分離カラム: 東ソー株式会社製「TSK-gel SuperMultiporeHZ-M(カラム径=4.6mm、カラム長=15cm)」2本を直列に連結
・溶離剤:テトラヒドロフラン
・溶離剤流量:0.36mL/分
・カラム温度:40℃
・検出方法:示差屈折率(RI)
「重合開始効率」
得られた重合体のMn( Mn(R1)とする)、および重合開始効率が100% である場合に得られる重合体のMn(計算値:Mn(I1)とする)から、重合開始効率(F1)を以下の式によって算出した。
F1= Mn(I1)/Mn(R1)
なお、使用するメタクリル酸エステル単量体の分子量をM1、使用する有機リチウム化合物(B)1モルに対する、使用するメタクリル酸エステルのモル数をN1、使用する(メタ)アクリル酸エステル単量体の分子量をM2、使用する有機リチウム化合物(B)1モルに対する、使用する(メタ)アクリル酸エステルのモル数をN2とし、Mn(I1)を以下の式によって算出した。
Mn(I1)=M1×N1+M2×N2
F1が0.85以上の場合を重合開始効率が高いとして「+」、0.85未満の場合を重合開始効率が低いとして「-」と評価した。
「分子量の均一性」
後述の実施例および比較例で得られた重合体の分子量分布について、1.5以下の場合を分子量の均一性が高いとして「+」、1.5超の場合は分子量の均一性が低いとして「-」と評価した。
「黄色度測定」
日本電色製カラーコンピュータSD 7000を用いて黄色度(YI)を測定した。YI=3.0以下の場合を黄色度が低いとして「+」、3.0超の場合は黄色度が高いとして「-」と評価した。
[実施例1]
(操作1)内容積1Lの四口フラスコにフラット-ブレードディスク翼付撹拌棒を設置し、系内の雰囲気をアルゴンで置換した後、トルエン200gを加え、メタノールバスを用いて0℃に冷却した。1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン1.18g(5.12mmol)、およびイソブチルビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)アルミニウムを0.45mol/Lの濃度で含有するトルエン溶液16.2mL(7.29mmol)を加え、これに、sec-ブチルリチウムを1.22mol/L含有するシクロヘキサン/ヘキサン溶液4.00mL(4.88mmol)を加え、10分間撹拌した。この溶液を激しく撹拌しながら、0℃で、これにメタクリル酸メチル14.65g(146mmol)を滴下した。溶液の一部をサンプリングしメタノール中に注いで、析出した白色沈殿物(PMMA)を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、GPCで測定した結果、Mnは3,000であった。ついでトリイソブチルアルミニウム1.45g(7.31mmol)を加え、さらにメタクリル酸メチル58.63g(586mmol)を滴下した。
全てのメタクリル酸メチルを滴下し終えてから10分後に得られた溶液の一部をサンプリングし、ガスクロマトグラフにより重合転化率を測定したところ、99.8%であった。
(操作2)また得られた溶液50gを250gのメタノール中に注いで、析出した白色沈殿物(PMMA) を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、GPCで測定した結果、Mnは15,600であり、Mw/Mnは1.10(分子量の均一性は「+」)であった。また、重合開始効率は0.96(「+」)であった。
上記の析出した白色沈殿物をクロロホルムに溶解させ、キャスト膜(厚さ0.05mm)を作製した。得られた膜を25℃にて高圧水銀ランプ(出力:3kW)を用いて5,000mJ/cm紫外線照射した。照射後の膜をカラーコンピュータで黄色度を測定したところ、YI=0.94(黄色度は「+」)であった。
[実施例2]
実施例1の(操作1)の後、さらにメタクリル酸メチル219.86g(2196mmol) を滴下した。
全てのメタクリル酸メチルを滴下し終えてから10分後に得られた溶液の一部をサンプリングし、ガスクロマトグラフにより重合転化率を測定したところ、99.8%であった。
また得られた溶液50gを250gのメタノール中に注いで、析出した白色沈殿物(PMMA) を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、GPCで測定した結果、Mnは63,100であり、Mw/Mnは1.12(分子量の均一性は「+」)であった。また、重合開始効率は0.95(「+」)であった。
上記の析出した白色沈殿物をクロロホルムに溶解させ、キャスト膜(厚さ0.05mm)を作製した。得られた膜を25℃にて高圧水銀ランプ(出力:3kW)を用いて5,000mJ/cm紫外線照射した。照射後の膜をカラーコンピュータで黄色度を測定したところ、YI=0.95(黄色度は「+」)であった。
[比較例1]
実施例1で用いたイソブチルビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)アルミニウムの0.45mol/Lトルエン溶液を32.4mL(14.6mmol)にし、トリイソブチルアルミニウムを加えずに行った以外は、実施例1と同様にして重合操作および重合停止操作を行った。重合転化率は99.9%。Mnは15,300であり、Mw/Mnは1.09(分子量の均一性は「+」)、重合開始効率は0.98(「+」)であった。また、YI=5.3(黄色度は「-」)であった。
[比較例2]
実施例1でトリイソブチルアルミニウムの添加をsec-ブチルリチウムの滴下後、メタクリル酸メチルの滴下前に行った以外は、実施例1と同様にして重合操作および重合停止操作を行った。重合転化率は99.8%。Mnは24,500であり、Mw/Mnは1.67(分子量の均一性は「-」)、重合開始効率は0.61(「-」)であった。また、YI=1.0(黄色度は「+」)であった。
本発明によれば、黄色度が低く、また分子量の均一性の高い(メタ)アクリル酸エステル重合体を高い重合開始効率で製造できる。

Claims (7)

  1. 重合系内に、少なくとも1種類のルイス塩基(A)、有機リチウム化合物(B)、およびAlROArOAr(I)(式中、Rは置換基を有してもよい飽和炭化水素基、または置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、OArおよびOArはそれぞれ独立して置換基を有してもよいアリールオキシ基)で表される有機アルミニウム化合物(C)を存在させてメタクリル酸エステルをアニオン重合させ、ついでAlR(II)(式中、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、置換基を有してもよい飽和炭化水素基、または置換基を有してもよい芳香族炭化水素基)で表されるアルミニウム化合物(D)を存在させてさらに(メタ)アクリル酸エステルを重合させる(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法。
  2. ルイス塩基(A)が、ポリアミン化合物(A1)である請求項1に記載の製造方法。
  3. ポリアミン化合物(A1)が、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、および1,1 ,4,7,10 ,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラアミンから選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の製造方法
  4. ルイス塩基(A)がエーテル化合物(A2)である請求項1に記載の製造方法。
  5. エーテル化合物(A2)が、1個以上のエーテル結合を分子中に有する非環状エーテル化合物(A2-1)または2個以上のエーテル結合を分子中に有する環状エーテル化合物(A2-2)である請求項4に記載の製造方法。
  6. 有機アルミニウム化合物(C)が、イソブチルビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)アルミニウムである請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. アルミニウム化合物(D)がトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、およびトリイソブチルアルミニウムから選ばれる少なくとも1種である請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
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