JP2023028436A - セメント混和材、セメント組成物、及びコンクリート硬化体 - Google Patents

セメント混和材、セメント組成物、及びコンクリート硬化体 Download PDF

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Abstract

【課題】二酸化炭素の浸透性及び塩化物イオンの浸透性を抑制し、中性化及び塩害が複合的に作用する環境における長期耐久性を有するコンクリートを得るセメント混和材を提供する。【解決手段】γ-2CaO・SiO2、3CaO・2SiO2、α-CaO・SiO2、及びカルシウムマグネシウムシリケートからなる群から選ばれる1種又は2種以上の非水硬性化合物および、CaO/Al2O3モル比が0.15~0.7であるカルシウムアルミネートを含有するセメント混和材である。【選択図】なし

Description

本発明は、セメント混和材、セメント組成物、及び、コンクリート硬化体に関する。
近年、土木や建築分野において、コンクリート構造物の耐久性向上に対する要望が高まっている。
コンクリート構造物の劣化要因として、中性化や塩害などの劣化が挙げられる。中性化は空気中の二酸化炭素の作用によってコンクリートが中性化することにより、鉄筋の腐食が誘発される現象であり、塩害は塩化物イオンによる鉄筋の腐食により生じる劣化を総称するものである。
中性化は水酸化カルシウムが、大気中の二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムとなることにより、コンクリート中の細孔溶液のpHが低下し、コンクリート内部の鉄筋表面の不働態被膜が破壊され、腐食しやすい状態になる現象である。したがって、水酸化カルシウム生成量が多いコンクリートほど影響を受けにくいとされている。
一方、塩害はおもに海岸近くのコンクリート構造物で発生し、飛来塩分等に由来する塩化物イオンが表面からコンクリート内部に浸透することにより鉄筋が腐食し、その結果構造物としての耐力の低下やコンクリート片の剥落等の劣化を引き起こす現象である。塩害の影響を受けにくいコンクリートを得るためには、高炉スラグ及びフライアッシュなどの潜在水硬性物質を混和して、セメントの水和から生成する溶出しやすい水酸化カルシウムを消費させ、緻密なコンクリートとすることにより耐塩化物浸透性を向上させることが有効とされている。
そのため、中性化は水酸化カルシウム生成量が少ないほど影響を受けやすいのに対し、塩害はコンクリート中の水酸化カルシウム量が多いほど影響を受けやすいため、中性化抵抗性及び塩害抵抗性を付与することは、従来は相反する技術であった(非特許文献1参照)。
中性化抑制として、γ-CS(γ-2CaO・SiO;ビーライトγ相とも呼ばれる)のような非水硬性化合物を混和材として配合したコンクリートを強制的に炭酸(塩)化養生させることにより、CO吸収から表層部を緻密化した耐久性の高いコンクリートを得る技術が知られている(例えば特許文献1)。γ-CSは水和反応せず、COと反応してCaCOとSiOに富むゲルを生成する。これらの生成物はセメントマトリクス中の空隙を埋め、コンクリート表層部の耐久性を飛躍的に向上させる。
塩害抑制として、セメントコンクリートに早強性を付与し、かつ、鉄筋の腐食を防止するなどの目的で、CaO・2Alとセッコウを主体とし、ブレーン比表面積値が8000cm/gの微粉を含有するセメント混和材を使用する方法が提案されている(特許文献2参照)。さらに、CaO/Alモル比が0.3~0.7、ブレーン比表面積値が2000~7000cm/gのカルシウムアルミネートを含有するセメント混和材を使用し、優れた塩化物イオン浸透抵抗性を持ち、マスコンの温度ひび割れを抑制する方法が提案されている(特許文献3参照)。また、CaO/A1モル比が0.15~0.7で、Fe含有量が0.5~15質量%のカルシウムフェロアルミネート化合物を含有するセメント混和材が提案されている(特許文献4参照)。
「コンクリートの耐久性シリーズ、塩害(I)」、技報堂出版、岸谷孝一、西澤紀昭他編、pp.34-37、1986年5月
特開2006-182583号公報 特開昭47-035020号公報 特開2005-104828号公報 特許第5688073号公報
上述のように、従来のセメントやポゾラン物質を用いて、モルタル、コンクリートを製造すると、中性化抵抗性及び塩害抵抗性の向上の両立が難しく、中性化及び塩害が複合的に作用する環境における長期耐久性を有するコンクリートを得ることは困難であった。
このような状況下、本発明は、二酸化炭素の浸透性及び塩化物イオンの浸透性を抑制し、中性化及び塩害が複合的に作用する環境における長期耐久性を有するコンクリートを得るセメント混和材を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題の解決のために、鋭意研究を進めたところ、γ-CSのような非水硬性化合物及び、特定のCaO/Alモル比を有するカルシウムアルミネートを用いることで、中性化抵抗性及び塩害抵抗性を両立させるのに好適なセメント混和材が得られることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] γ-2CaO・SiO、3CaO・2SiO、α-CaO・SiO、及びカルシウムマグネシウムシリケートからなる群から選ばれる1種又は2種以上の非水硬性化合物および、CaO/Alモル比が0.15~0.7であるカルシウムアルミネートを含有するセメント混和材。
[2] 前記非水硬性化合物中にLiを含有し、前記非水硬性化合物中のLiの含有率が酸化物換算で0.001~1.0質量%である上記[1]に記載のセメント混和材。
[3] 前記セメント混和材中に含まれる前記非水硬性化合物の量が65質量%以上である上記[1]又は[2]に記載のセメント混和材。
[4] 前記セメント混和材中に含まれる前記カルシウムアルミネートの量が5質量%以上である上記[1]~[3]のいずれかに記載のセメント混和材。
[5] 上記[1]~[4]のいずれかに記載のセメント混和材を含むセメント組成物。
[6] 上記[1]~[4]のいずれかに記載のセメント混和材の含有量が20~50質量%であるセメント組成物。
[7] 上記[1]~[4]のいずれかに記載のセメント混和材を含むコンクリート硬化体。
[8] 上記[5]又は[6]に記載のセメント組成物を含むコンクリート硬化体。
本発明のセメント混和材を使用することにより、中性化抵抗性と耐塩化物浸透性を付与できるセメント組成物とすることができるなどの効果を奏するため、本発明は土木・建築業界において、特に塩害及び/又は中性化を受けやすい環境において使用されるセメントコンクリート材料に適する。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明で使用する部や%は特に規定のない限り質量基準である。
<セメント混和材>
本発明のセメント混和材は、γ-2CaO・SiO、3CaO・2SiO、α-CaO・SiO、及びカルシウムマグネシウムシリケートからなる群から選ばれる1種又は2種以上の非水硬性化合物および、CaO/Alモル比が0.15~0.7であるカルシウムアルミネートを含有する。このセメント混和材を含むモルタルは、以下の実験例1~3に示されるように、中性化深さが比較的小さく、塩化物イオン浸透深さが比較的小さいことから、二酸化炭素の浸透性を抑制することができ、塩化物イオンの浸透性を抑制することができる。
<非水硬性化合物>
[γ-2CaO・SiO
γ-2CaO・SiOとは、2CaO・SiOで表される化合物のうちで、低温相として知られるものであり、高温相であるα-2CaO・SiOやα’-2CaO・SiO、β-2CaO・SiOとは全く異なるものである。これらはいずれも、2CaO・SiOで表されるが、結晶構造や密度は異なっている。
[3CaO・2SiO
3CaO・2SiOとは、偽ケイ灰石にCaOを含有する鉱物で、ランキナイトと呼ばれる。水和活性は無く化学的に安定な鉱物であるが、二酸化炭素との反応性が比較的高い。
[α-CaO・SiO
α-CaO・SiO(α型ワラストナイト)とは、CaO・SiOで表される化合物のうちで、高温相として知られるものであり、低温相であるβ-CaO・SiOとは全く異なるものである。これらはいずれも、CaO・SiOで表されるが、結晶構造や密度は異なっている。
[カルシウムマグネシウムシリケート]
カルシムマグネシウムシリケートとは、CaO-MgO-SiO系化合物を総称するものであるが、本実施形態では、3CaO・MgO・2SiO(CMS)で表されるメルヴィナイト(Merwinite)であることが好ましく、メルヴィナイトは二酸化炭素との反応性が比較的高い。
本実施形態に係るセメント混和材は、非水硬性化合物中にLiを含有することが好ましい。また、その含有量は酸化物換算で0.001~1.0質量%が好ましい。この所定量のLiにより、C-S-H(ケイ酸カルシウム水和物)の炭酸化のうち、炭酸カルシウムの1種であるバテライトの生成が促進されると推定され、炭酸(塩)化養生によってより緻密な硬化状態が得られやすくなると考えられる。二酸化炭素の浸透性を抑制することができ、塩化物イオンの浸透性を抑制することができるという観点から、非水硬性化合物中のLi含有量は、酸化物換算で0.05~1.0質量%であることがより好ましい。
ここで、「非水硬性化合物中にLiを含有」しているとは、非水硬性化合物中に化学組成としてLiOを含む(ICP発光分光分析で存在を確認できる)が、X線回折測定ではLiOが同定されない(LiOの明確なピークが見られない)状態をいい、単に、非水硬性化合物とLi化合物とが物理的に混合された状態ではないことをいう。このような状態は、それぞれの原料を混合して1,000℃以上の高温での熱処理をすることで得られる。
セメント混和材中に含まれる非水硬性化合物の量は65質量%以上であることが好ましい。セメント混和材中に含まれる非水硬性化合物の量が65質量%以上であると非水硬性化合物の二酸化炭素との反応性が高まり、水酸化カルシウムとの二酸化炭素との反応を抑制し、硬化体の中性化が抑制される。二酸化炭素の浸透性を抑制することができ、塩化物イオンの浸透性を抑制することができるという観点から、セメント混和材中に含まれる非水硬性化合物の量は75質量%以上であることがより好ましい。
<カルシウムアルミネート>
カルシウムアルミネートは、カルシアを含む原料とアルミナを含む原料等を混合して、キルンでの焼成や電気炉での溶融等の熱処理をして得られる、CaOとAlを主成分とする化合物を総称するものである。
本発明に係るカルシウムアルミネートは、CaO/Alモル比が0.15~0.7の範囲にあることが特徴である。CaO/Alモル比が0.15未満では、水和反応の進行が遅く、短い養生期間で優れた塩害抵抗性を得ることができない。一方、CaO/Alモル比が0.7を超えると、水和反応による発熱が早くなり、十分な可使時間が確保できない。以上の観点から、CaO/Alモル比は0.3~0.7の範囲であることが好ましく、0.4~0.6の範囲であることがさらに好ましい。
セメント混和材中に含まれるカルシウムアルミネートの量が5質量%以上であることが好ましい。セメント混和材中に含まれるカルシウムアルミネートの量が5質量%以上であると、カルシウムアルミネートの水和で生成されハイドロカルマイトが増加し、塩化物イオンの固定が促進され、硬化体内部への塩化イオンの浸透が抑制される。二酸化炭素の浸透性を抑制することができ、塩化物イオンの浸透性を抑制することができるという観点から、セメント混和材中に含まれるカルシウムアルミネートの量が15質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
本発明に係るカルシウムアルミネートは、ブレーン比表面積値が2000~6000cm/gの範囲であることが好ましい。カルシウムアルミネートのブレーン比表面積値が2000cm/g以上であると、塩害抵抗性を十分に発揮することができる。一方、カルシウムアルミネートのブレーン比表面積値が6000cm/g以下であると、水和反応による発熱の制御が容易である。なお、ブレーン比表面積値が6000cm/gを超えても、塩害抵抗性の更なる向上は期待できない。以上の観点から、カルシウムアルミネートのブレーン比表面積値は2500~5000cm/gが好ましく、3000~4000cm/gがより好ましい。
本発明のセメント混和材に係るカルシウムアルミネートには、CaOとAlのほか、不純物が含まれることがある。不純物としては、SiO、Fe、TiO、KO、NaO、BO等が挙げられる。これらの不純物の存在は、カルシウムアルミネートを焼成する際の生成反応を助長する効果を発揮するものもあり、好ましい面もあるので、カルシウムアルミネートの総計で10質量%以下の範囲で存在しても差し支えない。
また、本発明のカルシウムアルミネートに加え、石灰石微粉末、高炉徐冷スラグ微粉末、メタカオリン、下水汚泥焼却灰やその溶融スラグ、都市ゴミ焼却灰やその溶融スラグ、パルプスラッジ焼却灰等の混和材料、増粘剤、収縮低減剤、ポリマー、凝結調整剤、ベントナイト等の粘土鉱物等のうちの1種または2種以上を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で併用することが可能である。
[セメント組成物]
本発明のセメント組成物は、本発明のセメント混和材とセメントを含有してなる。
本発明のセメント混和材は、いかなるコンクリート硬化体にも使用できる。
セメント組成物に含まれるセメント混和材の含有量は20~50質量%であることが好ましい。セメント組成物に含まれるセメント混和材の含有量が20質量%以上だと、塩害抵抗性に有効なカルシウムアルミネートとの水和で生成されるハイドロカルマイトが増加し、塩化物イオンの浸透を抑制する。50質量%以上となると、カルシウムアルミネートの水和で消費される水酸化カルシウムが減少し、硬化体中のpHが相対的に低下するため、中性化抵抗性の潜在抵抗性が低下するためセメント混和材の適切な混合量が外れる。二酸化炭素の浸透性を抑制することができ、塩化物イオンの浸透性を抑制することができるという観点から、セメント組成物に含まれるセメント混和材の含有量は20~30質量%であることがより好ましい。
本発明のコンクリート硬化体は、本発明のセメント混和材とセメント、又は、本発明のセメント組成物を含有する。コンクリート硬化体に使用するセメントとしては、普通、早強、超早強、低熱、中庸熱,及び耐硫酸塩等の各種ポルトランドセメント、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ、又は石灰石微粉等を混合した各種混合セメント、並びに、廃棄物利用型セメント、いわゆるエコセメント等が挙げられる。中でも、普通ポルトランドセメント又は早強ポルトランドセメントとの相性が良い。
本発明のセメント混和材やセメント組成物は、それぞれの材料を施工時の直前に混合してもよいし、あらかじめ一部あるいは全部を混合しておいてもよい。
混合装置としては、既存のいかなる装置も使用可能であり、例えば、モルタルミキサー、傾胴ミキサー、オムニミキサー、V型ミキサー、ヘンシェルミキサー、強制二軸ミキサー、及びナウターミキサー等が利用可能である。
本発明のセメント組成物は、セメント、セメント混和材、及び砂等の細骨材や砂利等の粗骨材の他に、膨張材、急硬材、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、消泡剤、増粘剤、従来の防錆剤、防凍剤、収縮低減剤、高分子エマルジョン、凝結調整剤、ベントナイト等の粘土鉱物、ハイドロタルサイト等のアニオン交換体、高炉徐冷スラグ微粉末等のスラグ、石灰石微粉末等の混和材料からなる群のうちの1種又は2種以上を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で併用することが可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実験例1>
水/セメント比50%、セメントと骨材(砂)の割合が1対2(質量比)のモルタルであって、混和材が、セメント100質量部に対して、表1に示す割合で骨材と置換したモルタルを調製した。以下に示されるように、調製したモルタルから供試体を作製し、処理を施した供試体の中性化深さ及び塩化物イオン浸透深さを測定した。表1に示されるセメント混和材の含有量(質量%)を、セメント混和材の量(質量部)とセメントの量(質量部)との合計量に対するセメント混和材(質量部)の量とした。
[使用材料]
・セメントは、市販の普通ポルトランドセメント(表1~4では「OC」と記載する。)であって、ブレーン比表面積3200cm/gであり、比重3.15g/cmであるものを使用した。
・γ-CS:試製品。Li含有γ-2CaO・SiO(表1~4では「γ」と記載する。)。試薬1級の炭酸カルシウムと試薬1級の二酸化ケイ素とをモル比2:1で混合し、さらに混合物に対してLiの含有量が酸化物(LiO)換算で0.1質量部(内割置換)となるように試薬1級の炭酸リチウムを混合した。次に、混合した試料を1,400℃で2時間熱処理した後、室温まで放冷した。そして、放冷した試料を、ブレーン比表面積が4,000cm/gとなるように粉砕した。なお、Li含有γ-2CaO・SiOに含まれるLiOの量を0.1質量%とした。
・カルシウムアルミネート:試薬1級の炭酸カルシウム、酸化アルミニウムを所定の割合で混合した。次に、混合した試料を電気炉により1500℃で溶融した後、徐冷してカルシウムアルミネート(表1~4では「CA」と記載する。)を合成した。そして、合成した試料を、ブレーン比表面積値が3000cm/gとなるように粉砕した。なお、カルシウムアルミネートのCaO/Al(モル比)を0.5とした。
・セメント混和材の一部として、市販のアルミナセメント(表1~4では「AC」と記載する。)であって、ブレーン比表面積5000cm/g、比重3.00g/cmの品を使用した。
・水:水道水
・骨材:新潟県姫川水系産川砂
[評価方法]
・中性化深さ
調製したモルタルについて、寸法が4×4×16cmの供試体を作製し、材齢28日まで温度20℃で水中養生を施した。JIS A 1153に準じて、大気圧下で20℃、相対湿度60%、炭酸ガス濃度5%の環境で促進中性化を行い、8週間後に供試体を供試体の長手方向に対して垂直に切断した。JIS A 1152に準じて、切断した断面にフェノールフタレインアルコール溶液を塗布し、切断した断面の外縁部から赤紫色に呈色した部分までの距離をノギスで各8点を測定し、その平均値を中性化深さとした。
・塩化物イオン浸透深さ
調製したモルタルについて、寸法が4×4×16cmの供試体を作製し、材齢28日まで温度20℃で水中養生を施した。JSCE-G 572-2010「浸せきによるコンクリート中の塩化物イオンの見掛けの拡散係数試験方法」に準じて、10質量%のNaCl水溶液に供試体を浸漬させ、浸漬13週の時点で、この供試体を供試体の長手方向に対して垂直に切断した。切断した断面に対して硝酸銀溶液噴霧法により塩化物イオンの浸透深さを測定した。具体的には、切断した断面の外縁部から供試体の断面が褐色に変色しなかった部分までの距離をノギスで各8点を測定し、その平均値を塩化物イオン浸透深さとした。
中性化深さと塩化物イオン浸透深さを測定した結果を以下の表1に示す。
Figure 2023028436000001
表1より、実施例に示されるモルタルは、中性化深さが比較的小さく、塩化物イオン浸透深さが比較的小さいことから、二酸化炭素の浸透性を抑制することができ、塩化物イオンの浸透性を抑制することができる。また、本発明のセメント混和材の組成では、γ-2CaO・SiOが多くなるほど、中性化深さが小さくなり中性化を低減していることがわかる。カルシウムアルミネートの量が増加するほど塩化物イオンが小さくなり、耐塩害性が向上することがわかる。一方で、アルミナセメントをセメント混和材として用いた場合では、カルシウムアルミネートをセメント混和材として用いた場合よりも塩化物イオンの浸透深さは低減せず、効果が小さいことがわかる。
<実験例2>
セメント混和剤中のLi含有γ-2CaO・SiOに含まれるLiOの含有量を変えた場合について、実験例1と同様の実験を行った。水/セメント比50%、セメントと骨材(砂)の割合が1対2(質量比)のモルタルであって、セメント100質量部に対して骨材30質量部の割合で、骨材を同じ量のセメント混和材に置換したモルタルを調製した。なお、セメント混和材は、セメント混和材100質量部中にカルシウムアルミネート(CA)を15質量部とγ-2CaO・SiOを85質量部とを含むものとした。実験例1と同様に、供試体の中性化深さ及び塩化物イオン浸透深さを測定した。中性化深さと塩化物イオン浸透深さを測定した結果を以下の表2に示す。
[使用材料]
Li含有γ-2CaO・SiOの試製は、試薬1級の炭酸リチウムの使用量を変えたこと以外は、実験例1と同様の方法で試製した。
・Li+γ-CS A:試製品。Li含有γ-2CaO・SiO。ブレーン比表面積が4,000cm/g。LiO量0.1質量%。(実験例1と同様のもの)。
・Li+γ-CS B:試製品。Li含有γ-2CaO・SiO。ブレーン比表面積が4,000cm/g。LiO量0.01質量%。
・Li+γ-CS C:試製品。Li含有γ-2CaO・SiO。ブレーン比表面積が4,000cm/g。LiO量0.05質量%。
・Li+γ-CS D:試製品。Li含有γ-2CaO・SiO。ブレーン比表面積が4,000cm/g。LiO量0.5質量%。
・Li+γ-CS E:試製品。Li含有γ-2CaO・SiO。ブレーン比表面積が4,000cm/g。LiO量1.0質量%。
・Li+γ-CS F:試製品。Li含有γ-2CaO・SiO。ブレーン比表面積が4,000cm/g。LiO量3.0質量%。
Figure 2023028436000002
表2より、実施例に示されるモルタルは、中性化深さが比較的小さく、塩化物イオン浸透深さが比較的小さいことから、二酸化炭素の浸透性を抑制することができ、塩化物イオンの浸透性を抑制することができる。また、本発明のセメント混和剤について、LiO量を調整することで、中性化深さが低下しており、中性化が低減していることがわかる。一方で、LiO量が少ないとγ-2CaO・SiOの純度低下によって示される中性化抵抗性は比較的小さいことがわかる。
<実験例3>
実験例1では、セメント混和剤中のγ-2CaO・SiO及びカルシウムアルミネートの混合比をほぼ一定としていた(No.1-1を除く)が、実験例3では、その混合比を変えた場合について、実験例1と同様の実験を行った。水/セメント比50%、セメントと骨材(砂)の割合が1対2(質量比)のモルタルであって、セメント100質量部に対して表3に示すセメント混和剤の量により、セメント混和材と同じ量の骨材を置換したモルタルを調製した。実験例1と同様の方法にて、供試体の中性化深さ及び塩化物イオン浸透深さを測定した。表3に示されるセメント混和材の含有量(質量%)を、セメント混和材の量(質量部)とセメントの量(質量部)との合計量に対するセメント混和材の量(質量部)とした。中性化深さと塩化物イオン浸透深さを測定した結果を以下の表3に示す。
Figure 2023028436000003
表3より、実施例に示されるモルタルは、中性化深さが比較的小さく、塩化物イオン浸透深さが比較的小さいことから、二酸化炭素の浸透性を抑制することができ、塩化物イオンの浸透性を抑制することができる。本発明のセメント混和剤中の、カルシウムアルミネートの混合量を増加させることで、塩化物イオンの浸透深さを低減することが可能となる。一方で、カルシウムアルミネートの量が増加すると、相対的にγ-2CaO・SiOの量が減少するため中性化深さが大きくなる傾向にある。このことから、最適なセメント混和材の混合比が存在することが分かる。
<実験例4>
セメント混和剤中のカルシウムアルミネートのCaO/Alモル比を変えた場合について、実験例1と同様の実験を行った。水/セメント比50%、セメントと骨材(砂)の割合が1対2(質量比)のモルタルであって、セメント混和材が、セメント100質量部に対して、砂と30質量部置換したモルタルを調製した。なお、セメント混和材は、セメント混和材100質量部中にカルシウムアルミネート(CA)を15質量部とγ-2CaO・SiOを85質量部とを含むものとした。実験例1と同様に、供試体の中性化深さ及び塩化物イオン浸透深さを測定した。中性化深さと塩化物イオン浸透深さを測定した結果を以下の表4に示す。
[使用材料]
カルシウムアルミネートのCaO/Alモル比の試製は、試薬1級の炭酸カルシウムと試薬1級の酸化アルミニウムの混合量とを変えたこと以外は、実験例1と同様の方法で試製した。試製した試料を、ブレーン比表面積値が3000cm/gとなるように粉砕した。
Figure 2023028436000004
表4より、実施例に示されるモルタルは、中性化深さが比較的小さく、塩化物イオン浸透深さが比較的小さいことから、二酸化炭素の浸透性を抑制することができ、塩化物イオンの浸透性を抑制することができる。また、本発明のセメント混和材について、カルシウムアルミネートのCaO/Alモル比を調整することで、塩化物イオンの浸透深さが低下しており、塩害が低減していることがわかる。一方で、CaO/Alモル比が低い場合や、高い場合はカルシウムアルミネートの水和による塩素を固定する水和物量が低下し、塩化物イオンの浸透深さが増加し、耐塩害性が低下する。
<変形例>
上記の実施例に沿って調製する際に、さらに粗骨材を加えてコンクリートとしてもよく、この場合、養生した後にコンクリート硬化体を作製することができる。このようなコンクリート硬化体は、上記の実施例と同様に、二酸化炭素の浸透性を抑制することができ、塩化物イオンの浸透性を抑制することができる。
本発明のセメント混和材を使用することで、優れた中性化抵抗性及び耐塩害性を兼ね備える高耐久なコンクリートを製造することが可能となるため、土木および建築用途に広範に利用でき、コンクリート構造物の長寿命化に貢献する。

Claims (8)

  1. γ-2CaO・SiO、3CaO・2SiO、α-CaO・SiO、及びカルシウムマグネシウムシリケートからなる群から選ばれる1種又は2種以上の非水硬性化合物および、CaO/Alモル比が0.15~0.7であるカルシウムアルミネートを含有するセメント混和材。
  2. 前記非水硬性化合物中にLiを含有し、前記非水硬性化合物中のLiの含有率が酸化物換算で0.001~1.0質量%である請求項1に記載のセメント混和材。
  3. 前記セメント混和材中に含まれる前記非水硬性化合物の量が65質量%以上である請求項1又は2に記載のセメント混和材。
  4. 前記セメント混和材中に含まれる前記カルシウムアルミネートの量が5質量%以上である請求項1~3のいずれかに記載のセメント混和材。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載のセメント混和材を含むセメント組成物。
  6. 請求項1~4のいずれかに記載のセメント混和材の含有量が20~50質量%であるセメント組成物。
  7. 請求項1~4のいずれかに記載のセメント混和材を含むコンクリート硬化体。
  8. 請求項5又は6に記載のセメント組成物を含むコンクリート硬化体。

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