JP2023026940A - セメント組成物、アルカリシリカ反応抑制剤、およびアルカリシリカ反応抑制方法 - Google Patents

セメント組成物、アルカリシリカ反応抑制剤、およびアルカリシリカ反応抑制方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023026940A
JP2023026940A JP2021132399A JP2021132399A JP2023026940A JP 2023026940 A JP2023026940 A JP 2023026940A JP 2021132399 A JP2021132399 A JP 2021132399A JP 2021132399 A JP2021132399 A JP 2021132399A JP 2023026940 A JP2023026940 A JP 2023026940A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silica fume
mass
silica
alkali
cement composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021132399A
Other languages
English (en)
Inventor
慶一郎 中村
Keiichiro Nakamura
剛朗 石田
Takeaki Ishida
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Ube Cement Corp
Original Assignee
Mitsubishi Ube Cement Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Ube Cement Corp filed Critical Mitsubishi Ube Cement Corp
Priority to JP2021132399A priority Critical patent/JP2023026940A/ja
Publication of JP2023026940A publication Critical patent/JP2023026940A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/91Use of waste materials as fillers for mortars or concrete

Landscapes

  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Abstract

【課題】アルカリシリカ反応を抑制できるセメント組成物及びアルカリシリカ反応抑制剤を提供すること。【解決手段】セメント組成物は、セメント、骨材及びシリカフュームを含む。前記骨材は、JIS A1146:2017に準拠して測定された材齢26週における膨張率が0.05%以上である。前記シリカフュームのBET比表面積が、5m2/g以上15m2/g未満である。前記シリカフュームの含有量が、セメント100質量部に対して1質量部以上9質量部以下であることが好適である。前記シリカフュームは、電融ジルコニアの製造過程で発生する排気ガスから回収されたものであることも好適である。【選択図】図1

Description

本発明は、セメント組成物、アルカリシリカ反応抑制剤、およびアルカリシリカ反応抑制方法に関する。
アルカリシリカ反応は、セメントから主に供給されるアルカリ金属と、反応性骨材中の非晶質シリカとの化学反応によって生成されるアルカリシリカゲルが吸水膨張して、コンクリートにひび割れを発生させる現象である。このひび割れは、反応の進行に伴って、コンクリート構造物全体に発生することも多く、該構造物の耐久性の低下につながる。したがって、アルカリシリカ反応を抑制できる技術が望まれている。
アルカリシリカ反応の一般的な抑制方法として、例えば、コンクリート中のアルカリ総量をNaOeqで3.0kg/m以下としたり、高炉セメントやフライアッシュセメントなどを用いたり、JIS A1145またはJIS A1146の試験に基づいて無害と判定された骨材を使用したりすることが挙げられる。
特許文献1には、流動性が向上し、放射線量が高い箇所に好適に採用されるコンクリートを得ることを目的として、セメントと、膨張材と、酸性シリカフューム等のポゾラン微粉末と、発泡剤と、減水剤と、細骨材とを含む無収縮モルタル組成物が開示されている。
特開2020-93960号公報
上述した一般的な抑制方法では、高強度コンクリートの利用が増えることに起因してアルカリ総量を所定の範囲以下に制御できなかったり、需要の増加に伴って、高炉スラグやフライアッシュ、あるいは無害と判定された骨材の供給や入手が困難となったりすることがある。
また特許文献1に記載の技術は、アルカリシリカ反応の抑制あるいは制御に関して何ら検討されていない。
したがって、本発明は、アルカリシリカ反応を抑制できるセメント組成物及びアルカリシリカ反応抑制剤を提供することを目的とする。
本発明は、セメント、骨材、及びシリカフュームを含み、
JIS A1146:2017に準拠して測定された前記骨材の材齢26週における膨張率が0.05%以上であり、
前記シリカフュームのBET比表面積が、5m/g以上15m/g未満である、セメント組成物を提供するものである。
また本発明は、BET比表面積が5m/g以上15m/g未満であるシリカフュームを含み、
JIS A1146:2017に準拠して測定された材齢26週における膨張率が0.05%以上である骨材と併用される、セメント組成物用のアルカリシリカ反応抑制剤を提供するものである。
また本発明は、JIS A1146:2017に準拠して測定された材齢26週における膨張率が0.05%以上である骨材を含むセメント組成物を製造する工程のうちのいずれかの工程において、BET比表面積が5m/g以上15m/g未満であるシリカフュームを添加する、セメント組成物のアルカリシリカ反応抑制方法を提供するものである。
本発明によれば、アルカリシリカ反応を抑制できる。
図1は、実施例1並びに比較例1~4における硬化物の膨張率の結果を経時的に示すグラフである。 図2は、実施例2並びに比較例1、5及び6における硬化物の膨張率の結果を経時的に示すグラフである。 図3は、実施例3並びに比較例1、7及び8における硬化物の膨張率の結果を経時的に示すグラフである。
本発明の好適な実施形態を以下に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の説明において、「X~Y[Z]」(X及びYは任意の数値であり、[Z]は必要に応じて付される単位である。)と記載した場合、特に断りのない限り、「X[Z]以上Y[Z]以下」又は「X以上Y以下」を意味する。
本発明のセメント組成物は、セメント、骨材、及び所定の物性を有するシリカフュームを含む。
以下の説明において、特に断りのない限り、本明細書のセメント組成物は、水を含まない粉末状の組成物、必要に応じて水を含む硬化前の流動体、あるいは組成物の硬化物を包含し、文脈に応じて以下の説明が適宜適用される。また、水を含む流動体の態様とする場合には、骨材として細骨材のみを含むモルタルと、細骨材及び粗骨材をともに含むコンクリートとの双方が包含される。
本発明のセメント組成物は、BET比表面積が比較的低いシリカフュームを含むことを特徴の一つとしている。
シリカフュームは、フェロシリコンや金属シリコン、電融ジルコニア等を電気炉で製造する過程で発生する排気ガスから回収される粉末状の産業廃棄物であり、本技術分野において硬化物の強度を発現させるための混和材料として一般的に用いられている。またコンクリート用途としてシリカフュームを用いる場合、その好ましい品質に関する規格がJIS A6207で定められており、JIS A6207に準拠したものが一般的に使用される。一方で、産業廃棄物として産生されるシリカフュームは、JIS A6207に準拠しない品質を満たすものも多く存在するので、これらのシリカフュームの有効利用が望まれる。
この点に関して本発明者が鋭意検討したところ、JIS A6207で規定されたBET比表面積よりも低い比表面積を有するシリカフュームを用いることによって、意外にも、コンクリートの劣化の一因であるアルカリシリカ反応の発生を効果的に抑制でき、また材齢経過に伴うアルカリシリカ反応の進行も抑制できることを見出した。この理由は明らかでないが、BET比表面積の低いシリカフュームを用いることによって、シリカフュームの組成物中の分散性が高まり、組成物の硬化時又は硬化後においてアルカリ分を消費する水和物がより多く生成されるため、組成物全体におけるアルカリシリカ反応の進行が通常のものよりも緩やかになると考えられる。またこのことは、JIS A6207に準拠しないシリカフュームの有効利用及び環境負荷の低減の点でも有利であり、また作業の利便性の点でも有利である。
シリカフュームのBET比表面積は、好ましくは5m/g以上15m/g未満、より好ましくは7~14m/g、更に好ましくは9~12m/gである。これらのBET比表面積は、JIS A6207に規定されるものよりも小さい範囲のものである。このようなBET比表面積を有するシリカフュームを採用することによって、硬化物の強度を維持しつつ、アルカリシリカ反応の発生を効果的に抑制でき、環境負荷を低減することができる。シリカフュームのBET比表面積は、JIS A6207に記載の方法に準じて測定することができる。
シリカフュームは、上述のとおり、金属シリコンや電融ジルコニア等の製造過程で発生する排気ガスから回収されるものであるところ、電融ジルコニアの製造過程で発生する排気ガスから回収されたものを用いることが好ましい。このような由来を有するシリカフュームを用いることによって、アルカリシリカ反応の発生をより効果的に抑制できる。これに加えて、特段の工程を経ることなく、上述したBET比表面積を満たすシリカフュームを容易に得ることができ、利便性が高い点でも有利である。
シリカフュームの由来は、例えばシリカフュームの構成粒子中のジルコニウム元素の有無によって判断することができる。ジルコニウム元素がシリカフュームの粒子中に含まれていれば、そのシリカフュームは電融ジルコニアの製造過程由来のものであると判断する。ジルコニウム元素がシリカフュームの粒子中に含まれていなければ、そのシリカフュームは電融ジルコニアの製造過程由来のものでないと判断する。ジルコニウム元素の有無及びその含有量は、例えばICP発光分析によって測定することができる。
シリカフュームは、酸化ジルコニウム(ZrO)を含むことが好ましい。シリカフュームが酸化ジルコニウムを含む場合、その含有量は、好ましくは1~8質量%、より好ましくは2~7質量%、更に好ましくは3~6質量%である。このような範囲であることによって、アルカリシリカ反応の発生を効果的に抑制できる。これに加えて、酸化ジルコニウムは高靭性であり且つ熱伝導率が小さいため、セメント硬化体の靭性を向上させ、耐火性や断熱性を向上させることができる。酸化ジルコニウムの有無及びその含有量は、例えばICP発光分析によって分析することができる。
シリカフュームは、そのAl含有量が、好ましくは0.4~3質量%、より好ましくは0.6~2質量%、更に好ましくは0.8~1.2質量%、一層好ましくは0.8~1質量%である。このような範囲であることによって、アルカリシリカ反応の発生をより効果的に抑制できる。Al含有量は、例えばJIS R5202に記載の方法に準じて測定することができる。
上述したAl含有量を満たすシリカフュームを用いることによって、アルカリシリカ反応を抑制できる理由は明らかではないが、シリカフュームに含まれるアルミニウムが、硬化物中に存在するケイ酸カルシウム水和物中のケイ素と置換することでケイ酸カルシウム水和物とアルミニウムとの複合体が形成され、複合体中で負に帯電したアルミニウムイオンが硬化物中のアルカリ分をイオン吸着することで、アルカリシリカ反応の発生を低減すると推測される。
シリカフュームは、その25℃におけるpHが好ましくは1.0~5.0、より好ましくは1.5~4.5、更に好ましくは2.0~4.0である。このようなpHを有するシリカフュームを用いることによって、アルカリシリカ反応の発生をより効果的に抑制できる。
シリカフュームのpHは、25℃の水道水100mLに測定対象のシリカフューム10gを添加し、スターラーで10分間攪拌した攪拌液に対して、pHメータを使用して測定されたものである。
比較的低いpHを有するシリカフュームを用いることによって、アルカリシリカ反応を抑制できる理由は明らかではないが、硬化前の組成物中あるいは硬化物中において、シリカフューム粒子が存在する微視的領域にてアルカリ分との中和反応が起こり、pHが中性または酸性側に調整される。そして、pHが低下したミクロな領域では、アルカリ分が少なくなり、アルカリシリカ反応が発生しにくくなるので、その結果、組成物全体としてもアルカリシリカ反応が発生しづらくなったと考えられる。
シリカフュームは、そのRO含有量が、好ましくは0.01~0.4質量%、より好ましくは0.02~0.3質量%、更に好ましくは0.03~0.1質量%である。このような範囲であることによって、アルカリシリカ反応発生の要因となり得るアルカリ分を十分に低減して、シリカとの反応発生を低減できるので、アルカリシリカ反応の発生をより効果的に抑制できる。これに加えて、セメントの凝結に与える悪影響を低減できる。RO含有量は、例えばJIS R5202に記載の方法に準じて測定することができる。
シリカフュームの平均粒子径は、好ましくは0.3~4μm、より好ましくは0.6~3μm、更に好ましくは0.9~2μm、一層好ましくは1.2~1.6μmである。このような粒子径を有するシリカフュームを採用することによって、組成物中の均一分散性を高めて、アルカリシリカ反応の発生を効果的に抑制でき、環境負荷を低減することができる。シリカフュームの平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置によって測定および算出された、重み付き体積基準平均径(MV)である。
セメント組成物におけるシリカフュームの含有量は、セメント100質量部に対して、好ましくは1~9質量部、より好ましくは2~7質量部、更に好ましくは3~5質量部である。
硬化物の強度発現を主な目的としてシリカフュームを用いる場合には、セメント100質量部に対するシリカフュームの質量割合として10~20質量部程度の範囲で使用されることが一般的であるところ、上述のとおり、本発明におけるシリカフュームの含有量は通常使用される使用量よりも少ないものである。このような質量範囲でシリカフュームを添加することによって、アルカリシリカ反応の発生をより効果的に抑制できる。
セメントは、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、等の各種のポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント等の混合セメント、エコセメント、アルミナセメント等の特殊セメント等を用いることができる。これらは単独で使用してもよく、複数組み合わせて用いることができる。これらのセメントとして、例えばJIS R5210、JIS R5211、JIS R5212、JIS R5213及びJIS R5214にそれぞれ規定されるセメントを用いることもできる。
骨材としては、細骨材及び粗骨材が挙げられる。これらの骨材は、目的とする組成物の性状に応じて、細骨材のみを使用したモルタルの態様とするか、あるいは、細骨材及び粗骨材をともに使用したコンクリートの態様とすることができる。
細骨材としては、例えば、川砂、山砂、陸砂及び海砂等の天然骨材、砕砂、珪砂、高炉スラグ細骨材、フェロニッケルスラグ細骨材及び電気炉酸化スラグ細骨材等の人工細骨材や、再生細骨材等が挙げられる。細骨材として、JIS A1102に規定される細骨材を用いることもできる。これらは単独で又は複数組み合わせて用いることができる。
粗骨材としては、例えば、川砂利、海砂利、山砂利、砕石、スラグ砕石等が挙げられる。粗骨材として、JIS A5005に規定される粗骨材を用いることもできる。これらは単独で又は複数組み合わせて用いることができる。
密度を高めて強度が十分に発現した硬化物を得る観点から、細骨材の含有量は、結合材100質量部に対して、好ましくは50~400質量部、より好ましくは100~300質量部、更に好ましくは150~250質量部である。
また同様の観点から、粗骨材を含む場合、該粗骨材の含有量は、結合材100質量部に対して、好ましくは100~400質量部、より好ましくは150~350質量部、更に好ましくは200~300質量部である。
本明細書における「結合材」とは、粉体のうち、水と反応し、硬化物の強度発現に寄与する物質の総称である。結合材の具体例としては、本発明のセメント組成物を構成するセメント及びシリカフュームや、必要に応じて含まれ得る高炉スラグ微粉末、フライアッシュ等の水反応性の混和材が包含される。また、結合材からは、骨材などの水と反応しない材料は除外される。
セメント組成物に含まれる骨材は、その膨張率が所定の範囲であることが好ましい。詳細には、JIS A1146:2017に準拠して測定された材齢26週における骨材の膨張率は、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.05~5%、更に好ましくは0.10~3%,一層好ましくは0.20~2%、より一層好ましくは0.40~1%である。
また、JIS A1146:2017に準拠して測定された材齢13週における骨材の膨張率は、好ましくは0.05~5%、より好ましくは0.10~3%,更に好ましくは0.20~2%、一層好ましくは0.20~1%である。
骨材の膨張率が大きいこととアルカリシリカ反応の発生頻度とは相関関係があるところ、このような膨張率であることによって、上述のJIS規格にて判定されたアルカリシリカ反応性が「無害でない」とされた膨張率(材齢26週で0.1%以上)を有する骨材を使用した場合でも、アルカリシリカ反応を十分に抑制することができる。また骨材は、その産地や採取時期、あるいは用いる原材料によって膨張率の変動が生じ得るところ、使用する骨材の選別に時間やコストを過度に要する必要がなくなるとともに、資源を有効に利用することができる。
上述した骨材の膨張率は、アルカリシリカ反応抑制の観点から、少なくとも細骨材において満たすことが好ましく、粗骨材を用いる場合には、細骨材及び粗骨材の双方において満たすことがより好ましい。
細骨材の絶乾密度は、好ましくは2.4~5g/cm、より好ましくは2.5~4g/cm、更に好ましくは2.5~3g/cmである。細骨材がこのような密度であることによって、アルカリシリカ反応を効果的に抑制することができるとともに、得られるセメント組成物及びその硬化物の品質が向上する。絶乾密度は、例えばJIS A1109に準じて測定することができる。
細骨材の表乾密度は、好ましくは2.4~5g/cm、より好ましくは2.5~4g/cm、更に好ましくは2.6~3g/cmである。細骨材がこのような密度であることによって、アルカリシリカ反応を効果的に抑制することができるとともに、得られるセメント組成物及びその硬化物の品質が向上する。表乾密度は、例えばJIS A1109に準じて測定することができる。
細骨材の吸水率は、少なければ少ないほど好ましいが、好ましくは0%超4.0%以下、より好ましくは0.5~3.0%、更に好ましくは1.0%~2.0%である。細骨材がこのような吸水率であることによって、アルカリシリカ反応の媒体である水分を低減することができるので、アルカリシリカ反応の発生を更に効果的に抑制することができる。また、打設時や圧送時におけるセメント組成物の取り扱い性が向上するとともに、得られるセメント組成物及びその硬化物の品質が向上する。吸水率は、例えばJIS A1109に準じて測定することができる。
細骨材の粗粒率は、好ましくは1.0~4.5、より好ましくは1.5~4.0、更に好ましくは2.0~3.5、一層好ましくは2.5~3.0である。細骨材がこのような粗粒率であることによって、アルカリシリカ反応の発生を効果的に抑制することができるとともに、水を含有させたときのセメント組成物のワーカビリティを向上させるといった効果が奏される。粗粒率は、例えばJIS A1102に準じて測定することができる。
本発明のセメント組成物は、その目的に応じて、更に水を含んでいてもよい。この場合、水は、例えば上水道水、井戸水、雨水、蒸留水、精製水、イオン交換水等の本技術分野において通常用いられる水を特に制限なく用いることができる。
セメント組成物に水を更に含む場合、得られる硬化物の強度を更に高める観点から、水結合材比(結合材質量に対する水質量の比)は、好ましくは0.3~0.6、より好ましくは0.35~0.55、更に好ましくは0.4~0.55である。
上述した実施形態のセメント組成物は、セメント、骨材及びシリカフューム、並びに必要に応じて水を、任意の順序であるいはこれらを同時に投入して混合する工程を経て製造することができる。水を含有しない場合、本工程を経て得られるセメント組成物は、粉末状の混合物である。一方、水を含有する場合、本工程を経て得られるセメント組成物は、流動性のあるペースト状混合物からなる組成物となる。
いずれの場合であっても、原料の混合に使用するミキサは特に限定されず、ケミカルミキサ、モルタル用ミキサ、二軸強制練りミキサ、パン型ミキサ、グラウトミキサ等を使用することができる。
本発明の効果が奏される限りにおいて、必要に応じて、上述したセメント、骨材及びシリカフューム以外の他の混和材料を、任意の順序で又は同時に更に添加してもよい。
他の混和材料としては、例えば、石膏、高炉スラグ微粉末等の水の存在下で硬化物の強度発現に寄与する水反応性の混和材や、炭酸カルシウム、石灰石又はその粉末等の水非反応性の混和材、あるいは化学混和剤等が挙げられる。化学混和剤としては、例えばJIS A6204に規定される混和剤が挙げられ、具体的には、減水剤、高性能減水剤、AE剤、AE減水剤、消泡剤、収縮低減剤、流動化剤、増粘剤、硬化促進剤等が挙げられる。
以上の実施形態のセメント組成物は、アルカリシリカ反応を抑制することができるとともに、得られる硬化物の強度を発現することができる。また、この組成物はアルカリシリカ反応を抑制するための所定の物性を有するシリカフュームを含むので、アルカリシリカ反応を予防保全的に抑制できる点でも有利である。またシリカフュームを用いるので、環境負荷及び製造コストが両立して低減され、また簡便にアルカリシリカ反応を抑制できる点でも有利である。
また本発明によれば、上述の説明から明らかなように、セメント組成物用のアルカリシリカ反応抑制剤及びセメント組成物のアルカリシリカ反応抑制方法も提供される。
アルカリシリカ反応抑制剤は、上述した所定のBET比表面積を有するシリカフュームを含み、JIS A1146:2017に準拠して測定された材齢26週における膨張率が0.05%以上である骨材と併用されるものである。
アルカリシリカ反応抑制方法は、JIS A1146:2017に準拠して測定された材齢26週における膨張率が0.05%以上である骨材を含むセメント組成物を製造する工程のうちのいずれかの工程において、上述した所定のBET比表面積を有するシリカフュームを添加するものである。
これらの方法に関する説明はそれぞれ、上述の実施形態に関する説明が適宜適用され、また各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
以下に、実施例を挙げて本発明の内容を詳細に説明する。本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[1.使用材料]
使用した材料を以下の表1及び表2に示す。なお以下の説明では、評価の便宜上、骨材として細骨材のみを含むモルタルを用いて評価しているが、コンクリートについても同様の結果が得られるものである。
表1に記載の骨材の絶乾密度、表乾密度及び吸水率はいずれもJIS A1109によって測定された値であり、粗粒率はJIS A1102によって測定された値である。
また表2におけるシリカフュームの物性ならびに成分の各含有量は、JIS R5202といった方法で測定されたものである。表2中、「%」は「質量%」を意味し、「-」で示す欄は未測定を意味する。
Figure 2023026940000002
Figure 2023026940000003
[2.モルタルの配合]
本試験に用いたセメント組成物(モルタル)の配合を以下の表3に示す。配合は、JIS A1146:2017に準拠した。またこれとは別に、シリカフューム非含有のものも併せて作製した。本配合における結合材はセメント及びシリカフュームが該当するので、水結合材比は0.5、結合材100質量部に対する骨材の割合は225質量部であった(表3参照)。
[3.アルカリシリカ反応性の評価(実施例1~3ならびに比較例1~8)]
上述した材料を以下の表3に示す割合で配合したセメント組成物(実施例1~3ならびに比較例1~8)をそれぞれ用いて、JIS A1146:2017に記載の方法に準じて供試体を作成し、材齢2~26週における供試体(硬化物)の膨張率を測定した。なお、細骨材の粒度調整は行わずに使用した。
養生は、組成物が外部に流出しないように水分が常に保たれている吸取紙で供試体を覆い、これをビニール袋に入れ密閉した状態で、温度40±2℃、相対湿度95%以上の環境下で、目的とする材齢となるまで行った。
膨張率の値が小さいほど、アルカリシリカ反応が抑制されていることを意味する。結果を以下の表3、並びに図1~図3に示す。
表3並びに図1~図3に示すように、各実施例の膨張率は、いずれの材齢でもシリカフューム非含有の比較例1よりも小さく、アルカリシリカ反応を抑制できることが判る。
また、シリカフュームの含有量を同じとした実施例及び比較例の各結果を比較すると、実施例1及び比較例2~4、実施例2及び比較例5~6、並びに実施例3及び比較例7~8のいずれの組み合わせであっても、各実施例は膨張率の増加度合いが各比較例のものよりも小さくなっており、材齢が増加した場合でもアルカリシリカ反応及びその進行を抑制できることが判る。このことは、材齢17、21及び26週における実施例2と比較例5~6の膨張率の差や、材齢26週における実施例3と比較例7~8の膨張率の差が顕著であることからも判る。
更に、各実施例は、アルカリシリカ反応性判定において「無害でない」と判定された細骨材(表1参照)を用いた場合でも、膨張率が更に低減されているので、アルカリシリカ反応の抑制効果に優れることが判る。
Figure 2023026940000004

Claims (10)

  1. セメント、骨材及びシリカフュームを含み、
    JIS A1146:2017に準拠して測定された前記骨材の材齢26週における膨張率が0.05%以上であり、
    前記シリカフュームのBET比表面積が、5m/g以上15m/g未満である、セメント組成物。
  2. 前記シリカフュームの含有量が、セメント100質量部に対して1質量部以上9質量部以下である、請求項1に記載のセメント組成物。
  3. 前記シリカフュームは、電融ジルコニアの製造過程で発生する排気ガスから回収されたものである、請求項1又は2に記載のセメント組成物。
  4. 前記シリカフュームのAl含有量が、0.4質量%以上3質量%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のセメント組成物。
  5. 前記シリカフュームのRO含有量が、0.01質量%以上0.4質量%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載のセメント組成物。
  6. 前記シリカフュームが酸化ジルコニウムを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のセメント組成物。
  7. 前記シリカフュームの酸化ジルコニウム含有量が、1質量%以上8質量%以下である、請求項6に記載のセメント組成物。
  8. 前記シリカフュームの25℃におけるpHが1.0以上5.0以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載のセメント組成物。
  9. BET比表面積が5m/g以上15m/g未満であるシリカフュームを含み、
    JIS A1146:2017に準拠して測定された材齢26週における膨張率が0.05%以上である骨材と併用される、セメント組成物用のアルカリシリカ反応抑制剤。
  10. JIS A1146:2017に準拠して測定された材齢26週における膨張率が0.05%以上である骨材を含むセメント組成物を製造する工程のうちのいずれかの工程において、BET比表面積が5m/g以上15m/g未満であるシリカフュームを添加する、セメント組成物のアルカリシリカ反応抑制方法。

JP2021132399A 2021-08-16 2021-08-16 セメント組成物、アルカリシリカ反応抑制剤、およびアルカリシリカ反応抑制方法 Pending JP2023026940A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021132399A JP2023026940A (ja) 2021-08-16 2021-08-16 セメント組成物、アルカリシリカ反応抑制剤、およびアルカリシリカ反応抑制方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021132399A JP2023026940A (ja) 2021-08-16 2021-08-16 セメント組成物、アルカリシリカ反応抑制剤、およびアルカリシリカ反応抑制方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023026940A true JP2023026940A (ja) 2023-03-01

Family

ID=85327132

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021132399A Pending JP2023026940A (ja) 2021-08-16 2021-08-16 セメント組成物、アルカリシリカ反応抑制剤、およびアルカリシリカ反応抑制方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023026940A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2010323416B2 (en) Inorganic binder system for the production of chemically resistant construction chemistry products
JP4834574B2 (ja) 高流動性コンクリート用セメント組成物および高流動性コンクリート組成物
Ramezanianpour et al. Fly ash
EP3647295B1 (en) Concrete composition and production method therefor
Khan et al. Effect of Microsilica on Strength and Microstructure of the GGBS-based Cement composites
JP2006131488A (ja) 耐酸性グラウト組成物
Droll Influence of additions on ultra high performance concretes–grain size optimisation
EP3875444B1 (en) Cement admixture, expansion material, and cement composition
Hussein et al. Development and performance of sustainable structural lightweight concrete containing waste clay bricks
JPH07267697A (ja) 水硬性組成物
JP7173827B2 (ja) 超速硬性組成物、セメント組成物、コンクリート組成物及び吹付け施工方法
Tuleun et al. Performance of rice husk ash-calcium carbide waste in concrete
JP2023026940A (ja) セメント組成物、アルカリシリカ反応抑制剤、およびアルカリシリカ反応抑制方法
JP2024501295A (ja) 三成分系水硬性結合材組成物
JP2023109331A (ja) セメント組成物、アルカリシリカ反応抑制剤、及びアルカリシリカ反応抑制方法
JP4617073B2 (ja) 急硬性材料及び急硬性セメント組成物
JP3485122B2 (ja) セメント組成物
JP2022134233A (ja) セメント組成物及びその製造方法、アルカリシリカ反応抑制剤、アルカリシリカ反応抑制方法
JP4208211B2 (ja) グラウト混和材、セメント組成物、及びグラウト材
JP4028966B2 (ja) セメント系組成物の製造方法
JP2001019529A (ja) セメント硬化体
Spychał et al. Physico-Mechanical Properties and Hydration Processes of Cement Pastes Modified with Pumice, Trass and Waste Chalcedonite Powder
WO2024142512A1 (ja) セメント混和材、及び該セメント混和材を含むセメント組成物
JP7150405B2 (ja) グラウト組成物及びグラウト
JP7158306B2 (ja) セメント複合材

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20220613

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240716