JP2023025859A - タイヤ用ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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晴子 澤木
Haruko Sawaki
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Abstract

【課題】温度変化に応答してタイヤ性能を可逆的に変化させることができ、氷上性能の向上が可能なタイヤ用ゴム組成物、及びタイヤを提供する。【解決手段】イソプレン系ゴム及び/又はブタジエンゴムを含むゴム成分と、温度応答性化合物と予め結合させる表面処理を行ったシリカと、炭化水素樹脂とを混合して得られ、前記ゴム成分100質量%中の前記イソプレン系ゴム及び前記ブタジエンゴムの合計含有量が、下記式(1)を満たすタイヤ用ゴム組成物に関する。式(1)イソプレン系ゴム及びブタジエンゴムの合計含有量>70質量%【選択図】なし

Description

本開示は、タイヤ用ゴム組成物及びタイヤに関する。
従来からタイヤには種々の性能が求められ、例えば、オールシーズンタイヤは、外気温の変化や路面の状況変化によって、タイヤ性能の変化が可能であることが望ましいと考えられるが、このような変化に応答してタイヤ性能を変化させる点について、これまであまり着目されていなかった。
タイヤの表面特性として、例えば、温度や環境に応じ、低温時の氷上では親水性表面でアイスグリップ性能を上げ、高温時には疎水性表面でドライグリップ性能を上げることが考えられるが、従来のゴム組成物は、表面特性(水による接触角)は配合に依存するため、配合により表面特性の温度変化を付与するためには、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)などの温度応答性材料を配合する手法などが想定される。しかしながら、本開示者が鋭意検討した結果、このような材料はタイヤ用ポリマーとの相溶性が悪く、また、低温時に水に対して溶解性を有し、雨天時や氷上の水で溶解して組成物から消失するため、可逆的な表面特性の変化を付与できないという課題が新たに生じることが判明した。
本開示は、前記課題を解決し、温度変化に応答してタイヤ性能を可逆的に変化させることができ、氷上性能の向上が可能なタイヤ用ゴム組成物、及びタイヤを提供することを目的とする。
本開示は、イソプレン系ゴム及び/又はブタジエンゴムを含むゴム成分と、温度応答性化合物と予め結合させる表面処理を行ったシリカと、炭化水素樹脂とを混合して得られ、前記ゴム成分100質量%中の前記イソプレン系ゴム及び前記ブタジエンゴムの合計含有量が、下記式(1)を満たすタイヤ用ゴム組成物に関する。
式(1)
イソプレン系ゴム及びブタジエンゴムの合計含有量>70質量%
本開示によれば、イソプレン系ゴム及び/又はブタジエンゴムを含むゴム成分と、温度応答性化合物と予め結合させる表面処理を行ったシリカと、炭化水素樹脂とを混合して得られ、かつ前記式(1)を満たすタイヤ用ゴム組成物であるので、温度変化に応答してタイヤ性能を可逆的に変化させることができ、氷上性能の向上が可能なタイヤ用ゴム組成物、及びタイヤを提供できる。
タイヤのトレッドの近辺が示された拡大断面図の一例である。
本開示は、イソプレン系ゴム及び/又はブタジエンゴム(BR)を含むゴム成分と、温度応答性化合物と予め結合させる表面処理を行ったシリカ(以下、「表面処理シリカ」とも称する)と、炭化水素樹脂とを混合して得られ、かつ前記式(1)を満たすタイヤ用ゴム組成物である。前記ゴム組成物は、温度変化に応答してタイヤ性能を可逆的に変化させることができ、氷上性能の向上が可能である。また、ウェットグリップ性能の向上も可能であり、氷上性能及びウェットグリップ性能の総合性能も向上できる。
このような作用効果が得られるメカニズムは必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
式(1)を満たし、イソプレン系ゴム、BRが大部分を占めるゴム成分に、表面処理シリカ及び炭化水素樹脂の両成分を添加すると、それぞれの成分が良好な分散状態となると推測される。そして、良好に分散した前記表面処理シリカが温度応答性化合物により親水性が変化することで、低温時にゴム表面が親水性となるため、除水の効果が高まり、氷上での摩擦が向上すると考えられる。また、親水性となることで、ゴムとの相溶性が下がり、フィラーとしての補強性が低下するため、ゴムが柔らかくなり、それによっても氷上での摩擦が向上する効果が発現しやすくなると考えられる。
更に、前記表面処理シリカの除水の効果と、良好に分散した炭化水素樹脂による粘弾性特性の改善とにより、ウェットグリップ性能も向上すると考えられる。加えて、前記表面処理シリカが温度応答性化合物とシリカとが結合した材料であるため、水中に溶出することが防止され、可逆的に氷上グリップ性能を向上できる。
従って、イソプレン系ゴム及び/又はBRを含むゴム成分と、表面処理シリカと、炭化水素樹脂とを混合して得られ、かつ前記式(1)を満たすゴム組成物により、温度変化に応答してタイヤ性能を可逆的に変化させることができ、氷上性能の向上が可能であると推察される。また、ウェットグリップ性能の向上も可能であり、氷上性能及びウェットグリップ性能の総合性能も向上できると推察される。
このように、イソプレン系ゴム及び/又はBRを含むゴム成分と、表面処理シリカと、炭化水素樹脂とを混合して得られ、かつ前記式(1)を満たすゴム組成物において、式(1)「イソプレン系ゴム及びBRの合計含有量>70質量%」を満たす構成にすることにより、温度変化に応答してタイヤ性能を可逆的に変化させ、氷上性能を向上するという課題(目的)を解決するものである。すなわち、式(1)「イソプレン系ゴム及びBRの合計含有量>70質量%」は課題(目的)を規定したものではなく、本願の課題は、温度変化に応答してタイヤ性能を可逆的に変化させ、氷上性能を向上することであり、そのための解決手段として当該パラメーターを満たすような構成にしたものである。
(ゴム成分)
前記ゴム組成物は、イソプレン系ゴム及びBRからなる群より選択される少なくとも1種を含み、かつイソプレン系ゴム及びBRの合計含有量(ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴム及びBRの合計含有量(質量%))が下記式(1)を満たす。
式(1)
イソプレン系ゴム及びブタジエンゴムの合計含有量>70質量%
イソプレン系ゴム及びブタジエンゴムの合計含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、100質量%でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
BRの含有量(ゴム成分100質量%中のBRの含有量(質量%))-イソプレン系ゴムの含有量(ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量(質量%))は、下記式を満たすことが好ましい。
BRの含有量-イソプレン系ゴムの含有量≧5.0質量%
BRの含有量-イソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは10.0質量%以上、より好ましくは14.0質量%以上、更に好ましくは20.0質量%以上である。上限は、好ましくは80.0質量%以下、より好ましくは60.0質量%以下、更に好ましくは40.0質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
イソプレン系ゴム、BRは、非変性ゴムでもよいし、変性ゴムでもよい。
変性ゴムとしては、シリカ、カーボンブラック等の充填剤と相互作用する官能基を有するゴムなどが挙げられる。具体的には、ゴムの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性ゴム(末端に上記官能基を有する末端変性ゴム)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性ゴムや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性ゴム(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端ゴム)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性ゴム等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記官能基としては、例えば、窒素原子、酸素原子、及び珪素原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む官能基等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、効果がより好適に得られるという理由から、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRは、SIR20、RSS♯3、TSR20等、IRは、IR2200等、タイヤ工業で一般的なものを使用できる。改質NRは、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRは、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRは、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上、特に好ましくは40質量%以上である。また、該含有量の上限は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
BRとしては特に限定されず、例えば、高シス含量のBR、1,2-シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR(SPB含有BR)、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴム(希土類系BR)、スズ化合物により変性されたスズ変性ブタジエンゴム(スズ変性BR)等、タイヤ工業において一般的なものが挙げられる。BRは、市販品としては、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
BRは、非変性BR、変性BRのいずれも使用可能である。
変性BRとしては、上記官能基を有するBRなどが挙げられる。
BRのシス含量は、氷上性能の観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。なお、本明細書において、シス含量(シス-1,4-結合量)は、赤外吸収スペクトル分析や、NMR分析により測定されるシグナル強度から算出される値である。
ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、特に好ましくは60質量%以上である。また、該含有量の上限は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
イソプレン系ゴム、BR以外に使用可能な他のゴム成分としては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合ゴム(SIBR)等の他のジエン系ゴム等が挙げられる。なかでも、SBRが好ましい。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRのスチレン含有量は、好ましくは5.0質量%以上、より好ましくは10.0質量%以上、更に好ましくは15.0質量%以上、特に好ましくは20.0質量%以上である。また、該スチレン含有量の上限は、好ましくは60.0質量%以下、より好ましくは50.0質量%以下、更に好ましくは40.0質量%以下、特に好ましくは30.0質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、SBRのスチレン含有量は、H-NMR測定により算出される。
SBRのビニル含有量は、好ましくは5.0質量%以上、より好ましくは10.0質量%以上、更に好ましくは12.0質量%以上、特に好ましくは14.0質量%以上である。上記ビニル含有量は、好ましくは50.0質量%以下、より好ましくは30.0質量%以下、更に好ましくは20.0質量%以下、特に好ましくは18.0質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、ビニル含有量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
SBRは、非変性SBRでもよいし、変性SBRでもよい。
変性SBRとしては、上記官能基を有するSBRなどが挙げられる。
ゴム組成物がSBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
(表面処理シリカ)
前記表面処理シリカ(温度応答性化合物と予め結合させる表面処理を行ったシリカ)において、温度応答性化合物とは、水中で温度変化に応じて、水和と脱水和に伴うポリマー鎖のコンフォメーション変化を可逆的に生起し、温度の変化によって親水性、疎水性が可逆的に変化する材料である。この可逆変化は、一つの分子内に水素結合が可能な親水性基と、水とはなじみにくい疎水性基を有する分子構造に起因するものであることが知られている。
温度応答性高分子としては、水中で下限臨界溶液温度(Lower Critical Solution Temperature;LCST、下限臨界共溶温度、下限臨界溶解温度とも言う)を示す高分子と、水中で上限臨界溶液温度(Upper Critical Solution Temperature;UCST、上限臨界共溶温度、上限臨界溶解温度とも言う)を示す高分子が知られている。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
LCSTを示す高分子は、LCSTを境にそれより高い温度ではその分子内、又は分子間の疎水結合が強まりポリマー鎖が凝集し、疎水性となる。一方、LCSTよりも低い温度では、ポリマー鎖が水分子を結合し水和し、親水性となる。このように、LCSTを境に可逆的な相転移挙動を示す。
逆にUCSTを示す高分子は、UCSTよりも低温で疎水性となって不溶となる一方、UCSTよりも高温で親水性となり溶解する。このように、UCSTを境に可逆的な相転移挙動を示す。これは、複数個のアミド基を側鎖に有しており、側鎖間の水素結合を駆動力として分子間力が働き、UCST型挙動を示すと考えられている。
なかでも、より効果が得られる観点から、LCSTを示す高分子が望ましい。
以下において、LCSTを示す高分子について説明する。
LCSTを示す高分子は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
LCSTを示す高分子としては、LCSTを示す高分子であれば特に限定されないが、ポリ(N-置換(メタ)アクリルアミド)が好ましく、下記式(I)で表される高分子がより好ましい。
Figure 2023025859000001
(式中、nは1~1000の整数を表し、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はヒドロカルビル基を表し、R及びRの少なくとも1つが水素原子ではなく、RとRとで環構造を形成してもよい。)
nは、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、特に好ましくは20以上であり、好ましくは500以下、より好ましくは300以下、更に好ましくは150以下、特に好ましくは80以下、最も好ましくは40以下、より最も好ましくは30以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
及びRのヒドロカルビル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは14以下、特に好ましくは10以下、最も好ましくは6以下、より最も好ましくは4以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
及びRのヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基などのアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;メチルフェニル基、エチルフェニル基等のアリール基等があげられる。なかでも、アルキル基、シクロアルキル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
とRとで形成する環構造の炭素数は、好ましくは3以上、より好ましくは4以上であり、好ましくは7以下、より好ましくは5以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
及びRのヒドロカルビル基は、分岐であっても非分岐であってもよいが、分岐が好ましい。
及びRとしては、水素原子、アルキル基(特に、分岐のアルキル基)、シクロアルキル基、RとRとで形成する環構造が好ましく、表1に示す組み合わせがより好ましく、水素原子、アルキル基(特に、分岐のアルキル基)の組み合わせが更に好ましく、水素原子、プロピル基(特に、イソプロピル基)の組み合わせが特に好ましい。
Figure 2023025859000002
のヒドロカルビル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1以上、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、特に好ましくは1である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
のヒドロカルビル基としては、R及びRのヒドロカルビル基と同様の基があげられる。なかでも、アルキル基が好ましい。
のヒドロカルビル基は、分岐であっても非分岐であってもよい。
としては、水素原子、アルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
上記式(I)で表される高分子としては、例えば、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N-エチルアクリルアミド)、ポリ(N-n-プロピルアクリルアミド)、ポリ(N-エチル,N-メチルアクリルアミド)、ポリ(N,N-ジエチルアクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピル,N-メチルアクリルアミド)、ポリ(N-シクロプロピルアクリルアミド)、ポリ(N-アクリロイルピロリジン)、ポリ(N-アクリロイルピペリジン)等のポリ(N-アルキルアクリルアミド)ポリマー;
ポリ(N-イソプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N-エチルメタクリルアミド)、ポリ(N-n-プロピルメタクリルアミド)、ポリ(N-エチル,N-メチルメタクリルアミド)、ポリ(N,N-ジエチルメタクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピル,N-メチルメタクリルアミド)、ポリ(N-シクロプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N-メタクリロイルピロリジン)、ポリ(N-メタクリロイルピペリジン)等のポリ(N-アルキルメタクリルアミド)ポリマー;等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N,N-ジエチルアクリルアミド)が好ましく、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)がより好ましい。
PNIPAMは、小さな温度変化に応答して、大きな表面エネルギーの変化を示す熱感受性材料である。例えば、N.Moriら、Temperature Induced Changes in the Surface Wettability of SBR+PNIPA Films、292、Macromol.Mater.Eng.917、917-22(2007)を参照。
PNIPAMは、側鎖に疎水性のイソプロピル基と、イソプロピル基の根元部分に親水性のアミド結合を有する。
32℃より低い温度では、親水性部分であるアミド結合と水分子が水素結合を形成し、水に溶解する一方、32℃以上の温度では、分子の熱運動が激しくなり、水素結合が切断され、側鎖の疎水性部分であるイソプロピル基によって、分子内、分子間において疎水結合が強まりポリマー鎖が凝集し、水に不溶となる。
このように、PNIPAMの親水性状態と疎水性状態のスイッチング温度であるLCSTは約32℃である。
PNIPAMポリマー膜の上に置かれた水滴の接触角は、温度がLSCTより上および下で劇的に変化する。例えば、PNIPAM膜の上に置かれた水滴の接触角は、32℃未満で約60°(親水性)から、32℃を超える温度まで加熱すると、約93°を超える(疎水性)。
LCSTを示す高分子としては、ポリ(アルキルビニルエーテル)も好適に使用でき、例えば、下記式(A)で表される高分子が好ましい。これにより、効果がより好適に得られる傾向がある。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2023025859000003
(式中、mは1~1000の整数を表し、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はヒドロカルビル基を表す。)
mは、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、特に好ましくは20以上であり、好ましくは500以下、より好ましくは300以下、更に好ましくは150以下、特に好ましくは80以下、最も好ましくは40以下、より最も好ましくは30以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
のヒドロカルビル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは14以下、特に好ましくは10以下、最も好ましくは6以下、より最も好ましくは4以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
及びRのヒドロカルビル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、特に好ましくは1である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
、R及びRのヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基などのアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;メチルフェニル基、エチルフェニル基等のアリール基等があげられる。なかでも、アルキル基、シクロアルキル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
がアルキル基、R及びRが、水素原子であることが好ましく、Rがエチル基、R及びRが、水素原子であることがより好ましい。
上記式(A)で表される高分子としては、例えば、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリ(エチルビニルエーテル)、ポリ(プロピルビニルエーテル)、ポリ(ブチルビニルエーテル)、ポリ(ペンテニルエーテル)、ポリ(ヘキシルビニルエーテル)、ポリ(ヘプチルビニルエーテル)、ポリ(オクチルエーテル)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、ポリ(エチルビニルエーテル)(PEVE)が好ましい。
LCSTを示す高分子としては、下記式(B)で表される高分子も好適である。これにより、効果がより好適に得られる傾向がある。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2023025859000004
(式中、mは1~1000の整数を表し、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はヒドロカルビル基を表す。)
mは、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、特に好ましくは20以上であり、好ましくは500以下、より好ましくは300以下、更に好ましくは150以下、特に好ましくは80以下、最も好ましくは40以下、より最も好ましくは30以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
のヒドロカルビル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは14以下、特に好ましくは10以下、最も好ましくは6以下、より最も好ましくは4以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
及びRのヒドロカルビル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、特に好ましくは1である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
、R及びRのヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基などのアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;メチルフェニル基、エチルフェニル基等のアリール基等があげられる。なかでも、アルキル基、シクロアルキル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
がアルキル基、R及びRが、水素原子であることが好ましく、Rがn-プロピル基又はイソプロピル基、R及びRが、水素原子であることがより好ましい。
上記式(B)で表される高分子としては、例えば、ポリ(イソプロピルビニルアクリルアミド)(PNIPVM、Rがイソプロピル基、R及びRが、水素原子)、ポリ(n-プロピルビニルアクリルアミド)(PNNPAM、Rがn-プロピル基、R及びRが、水素原子)、ポリ(n-ブチルビニルアクリルアミド)(Rがn-ブチル基、R及びRが、水素原子)、ポリ(tert-ブチルビニルアクリルアミド)(Rがtert-ブチル基、R及びRが、水素原子)、ポリ(sec-ブチルビニルアクリルアミド)(Rがsec-ブチル基、R及びRが、水素原子)、ポリ(メチルビニルアクリルアミド)(Rがメチル基、R及びRが、水素原子)、ポリ(エチルビニルアクリルアミド)(Rがエチル基、R及びRが、水素原子)、ポリ(n-ペンチルビニルアクリルアミド)(Rがn-ペンチル基、R及びRが、水素原子)、ポリ(イソペンチルビニルアクリルアミド)(Rがイソペンチル基、R及びRが、水素原子)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、PNIPVM、PNNPAM、ポリ(n-ブチルビニルアクリルアミド)、ポリ(tert-ブチルビニルアクリルアミド)が好ましく、PNIPVM、PNNPAMがより好ましい。
上記式(I)、(A)、(B)で表される高分子以外のLCSTを示す高分子としては、例えば、下記式(II)で表されるポリ(N-ビニル-カプロラクタム)(LSCT:約31℃)、下記式(III)で表されるポリ(2-アルキル-2-オキサゾリン)(LSCTは、Rがエチル基の場合には約62℃、Rがイソプロピル基の場合には約36℃であり、Rがn-プロピル基の場合には約25℃)、アルキル置換セルロース(例えば、下記式(IV)で表されるメチルセルロース(LSCT:約50℃)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリ(N-エトキシエチルアクリルアミド)(LSCT:約35℃)、ポリ(N-エトキシエチルメタクリルアミド)(LSCT:約45℃)、ポリ(N-テトラヒドロフルフリルアクリルアミド)(LSCT:約28℃)、ポリ(N-テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド)(LSCT:約35℃)、ポリビニルメチルエーテル、ポリ[2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート]、ポリ(3-エチル-N-ビニル-2-ピロリドン)、ヒドロキシルブチルキトサン、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、2~6個のエチレングリコール単位を有するポリ(エチレングリコール)メタクリレート、ポリエチレングリコール-co-ポリプロピレングリコール(好ましくは2~8個のエチレングリコール単位と2~8個のポリプロピレン単位とを有するもの、より好ましくは式(A)の化合物)、エトキシル化イソ-C1327-アルコール(好ましくは4~8のエトキシル化度を有するもの)、4~50個、好ましくは4~20個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール、4~30個、好ましくは4~15個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコール、4~50個、好ましくは4~20個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコールのモノメチル、ジメチル、モノエチル、およびジエチルエーテル、4~50個、好ましくは4~20個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコールのモノメチル、ジメチル、モノエチル、およびジエチルエーテル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)HO-[-CH-CH-O]-[-CH(CH)-CH-O]-[-CH-CH-O]-H
(式中、y=3~10かつxおよびz=1~8であり、ここでy+x+zは5~18である)
Figure 2023025859000005
(式(II)~(IV)中、nは上記式(I)のnと同様である。式(III)中、Rは、n-プロピル基、イソプロピル基又はエチル基から選択されるアルキル基である。)
上記以外のLCSTを示す高分子としては、例えば、N-イソプロピルアクリルアミドとブチルアクリレートとの共重合体、N-イソプロピルアクリルアミドとポリエチレンオキサイドとのブロック共重合体、N-イソプロピルアクリルアミドとフッ素モノマーとの共重合体、ポリ-N-アセチルアクリルアミドとポリエチレンオキサイドとの高分子複合体、ポリ-N-アセチルアクリルアミドとポリアクリルアミドとの高分子複合体、N-アセチルアクリルアミドとアクリルアミドとの共重合体とポリアクリルアミドとの高分子複合体、N-アクリロイルグリシンアミドとN-アセチルアクリルアミドとの共重合体、アクリル酸2メトキシエチルとN,N-ジメチルアクリルアミドとの共重合体、下記式1で表す化合物とN,N-ジメチルアクリルアミドとの共重合体、ポリ(N,N-ジメチル(アクリルアミドプロピル)アンモニウムプロパンサルフェイト)、N,N-ジエチルアクリルアミドと無水マレイン酸との共重合体、N,N-ジエチルアクリルアミドとフマル酸ジメチルとの共重合体、N,N-ジエチルアクリルアミドとヒドロキシエチルメタクリレートとの共重合体、N,N-ジエチルアクリルアミドとブタジエンとの共重合体、ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコールの加水分解物とポリアクリルアミドとの高分子複合体、N-アクリロイルアスパラギンアミド重合体、N-アクリロイルグルタミンアミド重合体、N-メタクリロイルアスパラギンアミド重合体、N-アクリロイルグリシンアミドとビオチンメタクリアミド誘導体との共重合体、N-アクリロイルグリシンアミドとN-アクリロイルアスパラギンアミドとの共重合体、ビオチン固定化温度応答性磁性微粒子(N-アクリロイルグリシンアミド、メタクリル化磁性微粒子及びビオチンモノマーを反応させることにより得られる微粒子)、ポリ(スルホベタインメタクリルアミド)、N-ビニル-n-ブチルアミドと無水マレイン酸との共重合体、N-ビニル-n-ブチルアミドとフマル酸ジメチルとの共重合体、N-ビニル-n-ブチルアミドとヒドロキシエチルメタクリレートとの共重合体、N-ビニル-n-ブチルアミドとブタジエンとの共重合体、ポリエステルアミド、ポリエーテルアミド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体のモノアミン化物、ポリエチレンオキサイド-ポリプロピレンオキサイド-ポリエチレンオキサイドブロック共重合体、ポリエチレンオキサイドとポリビニルアルコールとの高分子複合体、マルトペンタオース修飾ポリプロピレンオキサイド、ポリ(ラクチド-コ-グリコライド)-ポリエチレンオキサイド-ポリラクチド トリブロック共重合体、アクリル酸2メトキシエチルとアクリロイルモルホリンとの共重合体、アクリル酸2メトキシエチルとN-ビニルピロリドンとの共重合体、アクリル酸2メトキシエチルと2-ヒドロキシエチルアクリレートとの共重合体、アクリル酸2メトキシエチルとメトキシトリエチレングリコールアクリレートとの共重合体、ポリ[2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート]、ポリ(2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート-コ-2-(メトキシエトキシ)エチルメタクリレート、ポリ(2-(N,N-ジメチルアミノエチル)メタクリレート)、N-ビニルカプロラクタムとヒドロキシエチルメタクリレートとの共重合体、メチルビニルエーテルとヒドロキシエチルメタクリレートとの共重合体、N-ビニルカプロラクタム重合体、N-ビニルカプロラクタムと無水マレイン酸との共重合体、N-ビニルカプロラクタムとフマル酸ジメチルとの共重合体、N-ビニルカプロラクタムとブタジエンとの共重合体、N-ビニルカプロラクタムとビニルピロリジンとメタクリル酸グリシジルとの共重合体、N-ビニルカプロラクタムとビニルピロリジンとメタクリル酸との共重合体、N-ビニルカプロラクタムとビニルピロリドンとα,α-ジメチル-メタ-イソプロペニルベンジルイソシアネートとの共重合体、N-ビニルカプロラクタムとビニルピロリドンとヒドロキシエチルメタクリレートとの共重合体、ポリ(1-エチル-3-ビニル-2-イミダゾリドン)、ポリ(1-メチル-3-ビニル-2-イミダゾリドン)、ポリ(1-n-プロピル-3-ビニル-2-イミダゾリドン)、ポリ(1-イソプロピル-3-ビニル-2-イミダゾリドン)、ポリ(1-アセチル-3-ビニル-2-イミダゾリドン)、ポリ(1-プロピオニル-3-ビニル-2-イミダゾリドン)、下記式2で示す共重合体、ポリ(N-ビニル-2-イミダゾリドン化合物)、2-ヒドロキシエチルビニルエーテルと酢酸ビニルとの共重合体、ジエチレングリコールモノビニルエーテルと酢酸ビニルとの共重合体、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体、メチルビニルエーテルとフマル酸ジメチルとの共重合体、カルバモイル化したポリアミノ酸、下記式3で表す化合物の重合体、下記式4で表す化合物の重合体、ペンダント[N-(2-ヒドロキシエチル)-L-グルタミン]基を有するポリ(オルトエステル)、ポリアセタール-ポリ[N-(2-ヒドロキシエチル)-L-グルタミン]-ポリアセタールトリブロック共重合体、ポリ[N-(2-ヒドロキシエチル)-L-グルタミン]-ポリ(オルトエステル)-ポリ[N-(2-ヒドロキシエチル)-L-グルタミン]トリブロック共重合体、ポリ[N-(2-ヒドロキシエチル)-L-グルタミン]-ポリアセタールジブロック共重合体、アミノ末端ポリ[N-(2-ヒドロキシエチル)-L-グルタミン]、アミノ末端ポリ(オルトエステル)、アミノ末端ポリアセタール、セルローストリアセテート、磁性ナノ粒子、アミノ基を有するポリスチレン、グリコルリル重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2023025859000006
温度応答性高分子の重量平均分子量は、好ましくは330以上、より好ましくは560以上、更に好ましくは1130以上であり、好ましくは57000以下、より好ましくは34000以下、更に好ましくは17000以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
温度応答性高分子の相転移温度(下限臨界溶液温度(LCST)又は上限臨界溶液温度(UCST))は、好ましくは-50℃以上、より好ましくは-40℃以上、更に好ましくは-30℃以上、特に好ましくは-20℃以上、最も好ましくは-10℃以上、より最も好ましくは0℃以上、更に最も好ましくは5℃以上であり、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下、更に好ましくは40℃以下、特に好ましくは35℃以下、最も好ましくは30℃以下、より最も好ましくは25℃以下、更に最も好ましくは20℃以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
本明細書において、温度応答性高分子の相転移温度の測定は、温調機能付き分光光度計を用いて行う。10質量%に調整した温度応答性高分子水溶液をセルに入れ、蒸発を防ぐためにパラフィルムでふたをし、セル内温度センサをとりつけ、測定波長600nm、取り込み温度0.1℃、昇温速度0.1℃として、実験を行い、相転移温度は透過率が90%に達したときの温度とした。
温度応答性化合物は、公知の方法で合成でき、例えば、モノマーを放射線照射によって重合する方法、溶液重合による方法などにより合成できる。また、『Anal. Chem., 68, 100-105(1996)』に記載の方法により合成することも可能である。更に市販品も使用できる。
前記表面処理シリカ(温度応答性化合物と予め結合させる表面処理を行ったシリカ)において、シリカ(表面処理が施される原料シリカ)としては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカとしては、例えば、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは150m/g以上である。また、該NSAは、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下、更に好ましくは230m/g以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-81に準拠して測定できる。
表面処理シリカにおいて、温度応答性化合物とシリカとを結合させる方法は、公知の方法を採用可能である。例えば、温度応答性化合物とシリカ分散液(シリカを水などの溶媒に分散した分散液)とを接触させ、結合、反応などをさせる方法が挙げられる。
温度応答性化合物とシリカとの結合、反応時において、シリカ100質量部に対する温度応答性化合物の添加量は、より効果が得られる観点から、好ましくは40質量部以上、より好ましくは60質量部以上、更に好ましくは80質量部以上であり、また、好ましくは200質量部以下、より好ましくは180質量部以下、更に好ましくは160質量部以下である。
温度応答性化合物とシリカとの結合、反応を進行させる観点から、例えば、所定のpHの条件下で、温度応答性化合物とシリカ分散液とを接触させることが好ましい。pHは、好ましくは10.0以下、より好ましくは9.5以下、更に好ましくは9.0以下であり、また、好ましくは6.5以上、より好ましくは7.0以上、更に好ましくは7.5以上である。なお、pHの調整は、酸、アルカリの添加など、公知の方法で実施できる。
温度応答性化合物とシリカとの結合、反応時の温度は、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上であり、また、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは30℃以下である。反応時間は、好ましくは60分以上、より好ましくは120分以上、更に好ましくは150分以上であり、また、好ましくは24時間以下、より好ましくは18時間以下、更に好ましくは12時間以下である。
前記結合、反応などにより作製される前記表面処理シリカは、シリカ100質量部に対する温度応答性化合物の付着量が、より効果が得られる観点から、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。
ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対する前記表面処理シリカの含有量は、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上、更に好ましくは10質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
(他のシリカ材料)
ゴム組成物は、シリカ材料として、前記表面処理シリカを用いるものであるが、より効果が得られる観点から、他のシリカ材料として、温度応答性化合物と予め結合させる表面処理を行っていないシリカ(以下、「未処理シリカ」とも称する)を含むことが好ましい。ここで、本明細書において、シリカ材料とは、シリカを含有する材料であり、前記表面処理シリカの他、これ以外のシリカ含有材料が挙げられる。
未処理シリカとしては、例えば、表面処理を施していないシリカなどが挙げられる。表面処理を施していないシリカとしては、前記表面処理シリカの作製の原料として使用される前記シリカ(乾式法シリカ、湿式法シリカなど)などが挙げられる。また、未処理シリカとしては、例えば、前記温度応答性化合物以外の化合物と予め結合させる表面処理を行ったシリカも挙げられる。なかでも、前記乾式法シリカ、湿式法シリカなどの表面処理を施していないシリカが好ましい。未処理シリカのNSAは、前記シリカ(表面処理が施される原料シリカ)と同様の範囲が好適である。
このような作用効果が得られるメカニズムは必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
前記表面処理シリカ及び前記未処理シリカの両方をゴム成分中に配合すると、前記表面処理シリカが温度応答性化合物により親水性が変化することで、低温時にゴム表面が親水性となるため、除水の効果が高まり、氷上での摩擦が向上すると考えられる。また、親水性となることで、ゴムとの相溶性が下がり、フィラーとしての補強性が低下するため、ゴムが柔らかくなり、それによっても氷上での摩擦が向上すると考えられる。更に未処理シリカを併用することで、操縦安定性などに必要な強度も十分に付与される。加えて、前記表面処理シリカが温度応答性化合物とシリカとが結合した材料であるため、水中に溶出することが防止され、可逆的に氷上グリップ性能を向上できる。従って、前記表面処理シリカと前記未処理シリカとを混合して得られるゴム組成物では、温度変化に応答してタイヤ性能を可逆的に変化させることができ、また、氷上性能が顕著に向上すると推察される。
ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対する前記未処理シリカの含有量は、好ましくは30質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは60質量部以上であり、また、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下、更に好ましくは80質量部以下、特に好ましくは70質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム組成物において、前記表面処理シリカと前記未処理シリカとの配合比率(前記表面処理シリカの含有量(質量部)/前記未処理シリカの含有量(質量部))は、効果がより良好に得られる観点から、95/5~50/50が好ましく、90/10~60/40がより好ましく、88/12~70/30が更に好ましい。
前記ゴム組成物において、前記シリカ材料の総量(前記表面処理シリカ及び前記未処理シリカの合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは40質量部以上、より好ましくは60質量部以上、更に好ましくは70質量部以上、特に好ましくは80質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは120質量部以下、特に好ましくは100質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
(シランカップリング剤)
前記ゴム組成物は、シランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、効果がより良好に得られるという理由から、スルフィド系、メルカプト系が好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。
シランカップリング剤の含有量は、前記シリカ材料の総量(前記表面処理シリカ及び前記未処理シリカの合計含有量)100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、また、25質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
(他の充填材)
ゴム組成物は、前記表面処理シリカ、未処理シリカ以外の他の充填材を含んでもよい。
他の充填材としては特に限定されず、ゴム分野で公知の材料を使用でき、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、マイカなどの無機フィラー等が挙げられる。なかでも、カーボンブラックが好ましい。
前記ゴム組成物において、充填材の含有量(充填材の合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは70質量部以上、更に好ましくは80質量部以上、特に好ましくは90質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは120質量部以下、特に好ましくは110質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物において、充填材100質量%中の前記シリカ材料の総量(前記表面処理シリカ及び前記未処理シリカの合計含有量)は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上が好ましく、85質量%以上が更に好ましい。上限は特に限定されないが、95質量%以下が好ましく、93質量%以下がより好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物に使用可能なカーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、50m/g以上が好ましく、70m/g以上がより好ましく、90m/g以上が更に好ましい。また、上記NSAは、200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、130m/g以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2:2001によって求められる。
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは8質量部以上、特に好ましくは10質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
(可塑剤)
前記ゴム組成物は、可塑剤として、炭化水素樹脂を含む。
本明細書において、可塑剤とは、ゴム成分に可塑性を付与する材料であり、また、「炭化水素樹脂」とは、炭化水素により形成される骨格を有するポリマーを指す。炭化水素樹脂としては、液状炭化水素樹脂(25℃で液体(液状)の炭化水素樹脂)、固体炭化水素樹脂(25℃で固体の炭化水素樹脂)が挙げられる。なかでも、効果がより良好に得られる観点から、固体炭化水素樹脂が望ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム組成物において、炭化水素樹脂の含有量(液状炭化水素樹脂及び固体炭化水素樹脂の合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上、特に好ましくは20質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは80質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
液状炭化水素樹脂としては、液状ポリマー(液状樹脂、液状ジエン系ポリマー等)等が挙げられる。
液状樹脂としては、例えば、25℃で液状のテルペン系樹脂(テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂を含む)、ロジン樹脂、スチレン系樹脂、C5系樹脂、C5C9系樹脂、クマロンインデン系樹脂(クマロン、インデン単体樹脂を含む)、オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
上記液状樹脂としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、RutgersChemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXTGエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
液状ジエン系ポリマーとしては、例えば、25℃で液状の液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。
液状ジエン系ポリマーとしては、例えば、サートマー社、(株)クラレ等の製品を使用できる。
ゴム組成物において、液状炭化水素樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上、特に好ましくは20質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは80質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
固体炭化水素樹脂としては、25℃で固形(固体)のタイヤ業界で通常用いられるような固体樹脂類などが挙げられる。
固体樹脂類としては、特に限定されないが、例えば、25℃で固体状のスチレン系樹脂、クマロンインデン樹脂、テルペン系樹脂、p-t-ブチルフェノールアセチレン樹脂、アクリル系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂(DCPD系樹脂)、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂等が挙げられる。なかでも、効果がより良好に得られる観点から、固体状のテルペン系樹脂が望ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状のスチレン系樹脂は、スチレン系単量体を構成モノマーとして用いた固体状ポリマーであり、スチレン系単量体を主成分(50質量%以上)として重合させたポリマー等が挙げられる。具体的には、スチレン系単量体(スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-フェニルスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン等)をそれぞれ単独で重合した単独重合体、2種以上のスチレン系単量体を共重合した共重合体の他、スチレン系単量体及びこれと共重合し得る他の単量体のコポリマーも挙げられる。上記他の単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのアクリロニトリル類、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸類、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸エステル類、クロロプレン、ブタジエンイソプレンなどのジエン類、1-ブテン、1-ペンテンのようなオレフィン類;無水マレイン酸等のα,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物;等が例示できる。なかでも、固体状のα-メチルスチレン系樹脂(α-メチルスチレン単独重合体、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体等)が好ましい。
固体状のクマロンインデン樹脂としては、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂などが挙げられる。クマロン、インデン以外に骨格に含まれていてもよいモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
固体状のテルペン系樹脂としては、ポリテルペン、テルペンフェノール、芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。
ポリテルペンは、テルペン化合物を重合して得られる樹脂及びそれらの水素添加物である。テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオールなどが挙げられる。
固体状のポリテルペンとしては、前記テルペン化合物を原料とするα-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、β-ピネン/リモネン樹脂などのテルペン樹脂の他、該テルペン樹脂に水素添加処理した水素添加テルペン樹脂等の固体樹脂も挙げられる。
固体状のテルペンフェノールとしては、上記テルペン化合物とフェノール系化合物とを共重合した固体樹脂、及び該樹脂に水素添加処理した固体樹脂が挙げられ、具体的には、上記テルペン化合物、フェノール系化合物及びホルマリンを縮合させた固体樹脂が挙げられる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。
固体状の芳香族変性テルペン樹脂としては、テルペン樹脂を芳香族化合物で変性して得られる固体樹脂、及び該樹脂に水素添加処理した固体樹脂が挙げられる。なお、芳香族化合物としては、芳香環を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール、不飽和炭化水素基含有フェノールなどのフェノール化合物;ナフトール、アルキルナフトール、アルコキシナフトール、不飽和炭化水素基含有ナフトールなどのナフトール化合物;スチレン、アルキルスチレン、アルコキシスチレン、不飽和炭化水素基含有スチレンなどのスチレン誘導体;クマロン、インデンなどが挙げられる。
固体状のテルペン系樹脂のなかでも、効果がより良好に得られる観点から、固体状のポリテルペンが好ましい。
固体状のp-t-ブチルフェノールアセチレン樹脂としては、p-t-ブチルフェノールとアセチレンとを縮合反応させて得られる固体樹脂などが挙げられる。
固体状のアクリル系樹脂としては特に限定されないが、不純物が少なく、分子量分布がシャープな樹脂が得られるという点から、無溶剤型アクリル系固体樹脂を好適に使用できる。
固体状の無溶剤型アクリル樹脂は、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4,414,370号明細書、特開昭59-6207号公報、特公平5-58005号公報、特開平1-313522号公報、米国特許第5,010,166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42-45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリルは、メタクリル及びアクリルを意味する。
固体状のアクリル系樹脂は、実質的に副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを含まないことが好ましい。また、上記アクリル系樹脂は、連続重合により得られる組成分布や分子量分布が比較的狭いものが好ましい。
上述のように、固体状のアクリル系樹脂としては、実質的に副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを含まないもの、すなわち、純度が高いものが好ましい。固体状のアクリル系樹脂の純度(該樹脂中に含まれる樹脂の割合)は、好ましくは95質量%以上、より好ましくは97質量%以上である。
固体状のアクリル系樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル(アルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド、及び(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
また、固体状のアクリル系樹脂を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体と共に、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ビニルを使用してもよい。
固体状のアクリル系樹脂は、(メタ)アクリル成分のみで構成される樹脂であっても、(メタ)アクリル成分以外の成分をも構成要素とする樹脂であっても良い。
また、固体状のアクリル系樹脂は、水酸基、カルボキシル基、シラノール基等を有していてよい。
固体炭化水素樹脂としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、RutgersChemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXTGエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
固体炭化水素樹脂(レジン)の軟化点は、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは160℃以下、更に好ましくは140℃以下、特に好ましくは120℃以下である。上記範囲内にすることで、前記効果がより好適に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、固体炭化水素樹脂(レジン)の軟化点は、JIS K 6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
ゴム組成物において、固体炭化水素樹脂(好ましくは固体状のテルペン系樹脂)の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上、特に好ましくは20質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは80質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記ゴム組成物は、可塑剤として、前記炭化水素樹脂以外にオイルを含むことが好適である。なお、本明細書において、オイルは、「炭化水素樹脂」に該当しないものとする。
オイルとしては、特に限定されず、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどのプロセスオイル、TDAE、MES等の低PCA(多環式芳香族)プロセスオイル、植物油脂、及びこれらの混合物等、従来公知のオイルを使用できる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、プロセスオイルが好ましく、パラフィン系プロセスオイルがより好ましい。
オイルとしては、例えば、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)等の製品を使用できる。
ゴム組成物において、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上、特に好ましくは20質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは80質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、オイルの含有量には、ゴム(油展ゴム)、硫黄(オイル含有硫黄)に含まれるオイルの量も含まれる。
ゴム組成物において、可塑剤の含有量(液体可塑剤(オイル、液状炭化水素樹脂などの25℃で液体(液状)の可塑剤)と、固体可塑剤(固体炭化水素樹脂などの25℃で固体の可塑剤)との合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上、特に好ましくは40質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、可塑剤の含有量には、ゴム(油展ゴム)、硫黄(オイル含有硫黄)に含まれるオイルの量も含まれる。
ゴム組成物において、効果がより良好に得られる観点から、前記イソプレン系ゴム及びBRの合計含有量(ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴム及びBRの合計含有量(質量%))と、前記炭化水素樹脂の含有量(ゴム成分100質量部に対する液状炭化水素樹脂及び固体炭化水素樹脂の合計含有量)と、前記シリカ材料の総量(ゴム成分100質量部に対する前記表面処理シリカ及び前記未処理シリカの合計含有量)とが、下記式(2)を満たすことが望ましい。
式(2)
(イソプレン系ゴム及びBRの合計含有量-炭化水素樹脂の含有量)/シリカ材料の総量<2.50
(イソプレン系ゴム及びBRの合計含有量-炭化水素樹脂の含有量)/シリカ材料の総量は、好ましくは2.00以下、より好ましくは1.50以下、更に好ましくは1.30以下、特に好ましくは1.10以下である。上限は、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.50以上、更に好ましくは0.60以上、特に好ましくは0.70以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム組成物において、効果がより良好に得られる観点から、前記イソプレン系ゴム及びBRの合計含有量(ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴム及びBRの合計含有量(質量%))と、前記炭化水素樹脂の含有量(ゴム成分100質量部に対する液状炭化水素樹脂及び固体炭化水素樹脂の合計含有量)とが、下記式を満たすことが望ましい。
イソプレン系ゴム及びBRの合計含有量-炭化水素樹脂の含有量≦95質量部
イソプレン系ゴム及びBRの合計含有量-炭化水素樹脂の含有量は、好ましくは90質量部以下、より好ましくは85質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。上限は、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上、更に好ましくは50質量部以上である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム組成物において、前記表面処理シリカの含有量と、前記可塑剤の含有量との配合比(ゴム成分100質量部に対する前記表面処理シリカの含有量(質量部)/ゴム成分100質量部に対する前記可塑剤の含有量(質量部))は、好ましくは0.10以上、より好ましくは0.25以上、更に好ましくは0.40以上、特に好ましくは0.50以上である。上限は、好ましくは2.00以下、より好ましくは1.00以下、更に好ましくは0.80以下、特に好ましくは0.70以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム組成物において、前記シリカ材料の総量(前記表面処理シリカ及び前記未処理シリカの合計含有量)と、前記可塑剤の含有量との配合比(ゴム成分100質量部に対する前記シリカ材料の総量(質量部)/ゴム成分100質量部に対する前記可塑剤の含有量(質量部))は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは1.8以上、特に好ましくは2.0以上である。上限は、好ましくは5.0以下、より好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.5以下、特に好ましくは2.3以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム組成物において、前記表面処理シリカの含有量と、前記液体可塑剤の含有量との配合比(ゴム成分100質量部に対する前記表面処理シリカの含有量(質量部)/ゴム成分100質量部に対する前記液体可塑剤の含有量(質量部))は、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.7以上、特に好ましくは1.0以上である。上限は、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.30以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム組成物において、前記シリカ材料の総量(前記表面処理シリカ及び前記未処理シリカの合計含有量)と、前記液体可塑剤の含有量との配合比(ゴム成分100質量部に対する前記シリカ材料の総量(質量部)/ゴム成分100質量部に対する前記液体可塑剤の含有量(質量部))は、好ましくは1.5以上、より好ましくは3.0以上、更に好ましくは3.5以上、特に好ましくは4.0以上である。上限は、好ましくは8.0以下、より好ましくは6.0以下、更に好ましくは5.5以下、特に好ましくは5.0以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム組成物において、前記表面処理シリカの含有量と、前記液状樹脂及び前記液状ジエン系ポリマーの合計含有量との配合比(ゴム成分100質量部に対する前記表面処理シリカの含有量(質量部)/ゴム成分100質量部に対する前記液状樹脂及び前記液状ジエン系ポリマーの合計含有量(質量部))は、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.7以上、特に好ましくは1.0以上である。上限は、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.3以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム組成物において、前記シリカ材料の総量(前記表面処理シリカ及び前記未処理シリカの合計含有量)と、前記液状樹脂及び前記液状ジエン系ポリマーの合計含有量との配合比(ゴム成分100質量部に対する前記シリカ材料の総量(質量部)/ゴム成分100質量部に対する前記液状樹脂及び前記液状ジエン系ポリマーの合計含有量(質量部))は、好ましくは2.5以上、より好ましくは3.5以上、更に好ましくは3.7以上、特に好ましくは4.0以上である。上限は、好ましくは8.0以下、より好ましくは7.0以下、更に好ましくは6.0以下、特に好ましくは5.0以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム組成物において、前記表面処理シリカの含有量と、前記固体炭化水素樹脂の含有量との配合比(ゴム成分100質量部に対する前記表面処理シリカの含有量(質量部)/ゴム成分100質量部に対する前記固体炭化水素樹脂の含有量(質量部))は、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.8以上、特に好ましくは1.0以上である。上限は、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.8以下、特に好ましくは1.5以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム組成物において、前記シリカ材料の総量(前記表面処理シリカ及び前記未処理シリカの合計含有量)と、前記固体炭化水素樹脂の含有量との配合比(ゴム成分100質量部に対する前記シリカ材料の総量(質量部)/ゴム成分100質量部に対する前記固体炭化水素樹脂の含有量(質量部))は、好ましくは2.0以上、より好ましくは3.0以上、更に好ましくは3.5以上、特に好ましくは4.0以上である。上限は、好ましくは10.0以下、より好ましくは7.0以下、更に好ましくは5.5以下、特に好ましくは5.0以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
前記表面処理シリカ量、未処理シリカ量、可塑剤量、液体可塑剤量、液状樹脂量、液状ジエン系ポリマー量、炭化水素樹脂量などを調整することで、前述の作用効果が得られるメカニズムは必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
前記表面処理シリカの温度応答性化合物により、低温時にゴム表面が親水性となるため、氷上での摩擦が向上すると共に、ゴムとの相溶性が下がってゴムが柔らかくなることによっても氷上での摩擦が向上すると考えられる。また、未処理シリカを併用することで、操縦安定性などに必要な強度も十分に付与される。更に、表面処理シリカ量、未処理シリカ量と、可塑剤量、液体可塑剤量、液状樹脂量、液状ジエン系ポリマー量、炭化水素樹脂量とを、所定配合で混合することで、氷上での摩擦の向上効果がより高く得られると考えられる。従って、温度変化に応答してタイヤ性能を可逆的に変化させることができ、また、氷上性能が顕著に向上すると推察される。
(他の材料)
上記ゴム組成物は、硫黄を含むことが好ましい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硫黄としては、例えば、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.8質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下、更に好ましくは5質量部以下、特に好ましくは3質量部以下、最も好ましくは2質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、加硫促進剤を含有することが好ましい。
加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい。
加硫促進剤としては、例えば、川口化学(株)、大内新興化学(株)、ラインケミー社製等の製品を使用できる。
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、ステアリン酸を含むことが好ましい。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含有してもよい。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、老化防止剤を含んでもよい。
老化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、p-フェニレンジアミン系老化防止剤がより好ましい。
老化防止剤としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、ワックスを含んでもよい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックスなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ワックスとしては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物には、前記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤を配合することができ、硫黄以外の加硫剤(例えば、有機架橋剤、有機過酸化物)等を例示できる。これら各成分の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上であり、好ましくは200質量部以下である。
上記ゴム組成物は、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
混練条件としては、架橋剤(加硫剤)及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常100~180℃、好ましくは120~170℃である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常120℃以下、好ましくは80~110℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、通常140~190℃、好ましくは150~185℃である。
上記ゴム組成物は、例えば、タイヤ部材に(タイヤ用ゴム組成物として)使用できる。
タイヤ部材としては特に限定されず、トレッド(キャップトレッド、ベーストレッド)、サイドウォール、ビードエイペックス、クリンチエイペックス、インナーライナー、アンダートレッド、ブレーカートッピング、プライトッピング等、任意のタイヤの各部材が挙げられる。なかでも、トレッド、サイドウォール、厚み1.0mm以上の内部部材が好ましく、トレッドが特に好ましい。
本開示のタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどのタイヤの各部材の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造することができる。
上記タイヤとしては、特に限定されず、例えば、空気入りタイヤ、ソリッドタイヤ、エアレスタイヤ等が挙げられる。なかでも、空気入りタイヤが好ましい。
上記タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、重荷重用タイヤ(トラック・バス用タイヤなど)、二輪車用タイヤ、競技用タイヤ、冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ、スノータイヤ、スタッドタイヤ)、オールシーズンタイヤ、ランフラットタイヤ、航空機用タイヤ、鉱山用タイヤ等として使用できる。
なかでも、乗用車用タイヤとして好適に使用できる。
なおn本明細書において、乗用車用タイヤとは、四輪で走行する自動車に装着されることを前提としたタイヤであり、その最大負荷能力が1000kg以下のものを指す。ここで、最大負荷能力とはそのタイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定める最大負荷能力であり、例えば、JATMA規格(日本自動車タイヤ協会規格)であれば、ロードインデックス(LI)に基づく最大負荷能力、TRAであれば表”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば”LOAD CAPACITY”である。
また、氷上性能が良好である点からは、冬用タイヤ、オールシーズンタイヤに好適に使用でき、更に温度変化に応答してタイヤ性能を可逆的に変化できる点からは、オールシーズンタイヤに特に好適に使用できる。
効果がより良好に得られる観点から、前記ゴム組成物で構成されるタイヤ部材を有するタイヤは、該ゴム組成物中のゴム成分100質量部に対する前記シリカ材料の総量(ゴム成分100質量部に対する前記表面処理シリカ及び前記未処理シリカの合計含有量(質量部))と、該タイヤ部材の厚み(mm)とが、下記式(3)を満たすことが望ましい。
式(3)
シリカ材料の総量×タイヤ部材の厚み≧200
シリカ材料の総量×タイヤ部材の厚みは、好ましくは350以上、より好ましくは450以上、更に好ましくは550以上である。上限は、好ましくは1500以下、より好ましくは1200以下、更に好ましくは1000以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
タイヤ部材の厚みは、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは5.0mm以上、更に好ましくは7.0mm以上、特に好ましくは8.0mm以上である。上限は、好ましくは20.0mm以下、より好ましくは15.0mm以下、更に好ましくは12.0mm以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、タイヤ部材の厚みとは、該タイヤ部材の表面上の各点におけるタイヤ部材の厚みのうち、最大寸法であり、この各点におけるタイヤ部材の厚みは、当該点におけるタイヤ部材の表面の法線に沿って計測される。
以下、適宜図面を参照しつつ、好ましい実施形態の一例に基づいて、前記タイヤを詳細に説明する。なお、本実施形態は一例であり、本開示がこれに拘束されることは意図しない。
図1は、タイヤのトレッド4の近辺が示された拡大断面図の一例である。図1において、上下方向がタイヤの半径方向であり、左右方向がタイヤの軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤの周方向である。
図1のタイヤは、トレッド4が、イソプレン系ゴム及び/又はBRを含むゴム成分と、表面処理シリカと、炭化水素樹脂とを混合して得られ、かつ前記式(1)を満たす前述のゴム組成物で構成されたものである。そして、効果がより良好に得られる観点から、トレッド4を構成するゴム組成物中のゴム成分100質量部に対する前記シリカ材料の総量(質量部)と、トレッド4の厚み(mm)とが、前記式(3)を満たすことが望ましく、好適な範囲も同様である。また、トレッド4の厚みも、前記タイヤ部材の厚みと同様の範囲が望ましい。
トレッドの厚みとは、トレッド面上の各点における各トレッドの厚みのうち、最大寸法である。図1において、符号Pは、トレッド面24上の点である。点Pは、最も軸方向内側に位置する溝26よりも外側に位置する。両矢印Tは、点Pにおけるトレッド4の厚みである。厚みTは、点Pにおけるキャップ層30及びベース層28の厚みの合計である。この厚みTは、点Pにおけるトレッド面24の法線に沿って計測される。なお、図1では、キャップ層30及びベース層28からなる2層構造トレッド4の例が示されているが、単層構造トレッド4の場合、トレッドの厚みTはその点Pにおける単層構造トレッドの厚み、3層以上の構造を有するトレッドの場合、トレッドの厚みTはその点Pにおける3層以上の層の厚みの合計であり、その場合の点Pにおける厚みTもその点Pにおけるトレッド面24の法線に沿って計測される。
以下、以下の実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
SBR1:日本ゼオン(株)製のNipol 1502(E-SBR、スチレン含有量:23.5質量%、ビニル含有量:16質量%)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス含量:98質量%)
NR:TSR20(天然ゴム)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のシーストN220(NSA:111m/g、DBP:115ml/100g)
シリカ(未処理シリカ):エボニックテグッサ社製のウルトラシルVN3(表面処理を施していないシリカ、NSA:175m/g)
表面処理シリカ1:下記製造例1-1~1-2
表面処理シリカ2:下記製造例2-1~2-2
シランカップリング剤:エボニックテグッサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
ワックス:日本精鑞(株)製のオゾエースワックス
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
オイル:出光興産(株)製のPS-32
液状ジエン系ポリマー:サートマー社製のライコン150(液状ブタジエン重合体、Mn5200)
固体炭化水素樹脂1:ヤスハラケミカル(株)製のYSレジンPX850(軟化点85℃、β-ピネン樹脂(テルペン系樹脂))ヤスハラケミカル(株)製のYSレジンPX800(軟化点:80℃、β-ピネン樹脂)
固体炭化水素樹脂2:Arizona chemical社製のSYLVARES SA85(α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体、軟化点85℃)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
<製造例1-1 PNIPAMの合成>
窒素置換したガラス製フラスコにN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAMモノマー)11.32gを添加し、トルエン25mLを添加し室温にて30分撹拌し、均一の溶液とした後、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)1.10gを添加した後、3時間還流をして反応させた。反応液を薄層クロマトグラフィー(担体;シリカゲル)にかけ、原料のNIPAMモノマー(Rf値0.8)のスポット消失とNIPAMポリマー(PNIPAM)由来の新スポットの出現を確認した。反応液をロータリーエバポレーターによってトルエン溶媒を留去した後、残った白色粉末を減圧度0.1Pa以下、80℃で8時間減圧乾燥をして95%の収率でPNIPAMを得た。
PNIPAMを水で1質量%になるように水溶液とした後、PNIPAM水溶液を20℃から40℃に加温して、外観を確認したところ、32℃以下では無色澄明に、32℃以上では白濁することを確認した。Mwは、2000であった。
<製造例1-2 表面処理シリカ1の製造>
以下の反応条件で、製造例1-1で得られたPNIPAM10gと、シリカと水を混合して作製したシリカ水分散液(シリカ濃度10質量%)100gとを混合、撹拌し、PNIPAMとシリカとの結合(反応)を進行させ、表面処理シリカ1(シリカ100質量部に対する温度応答性化合物の付着量20質量部)を作製した。
(反応条件)
温度:25℃
時間:12時間
pH:7.5
<製造例2-1 PNNPAMの合成>
N-イソプロピルアクリルアミドに代えてN-n-プロピルアクリルアミド(NNPAMモノマー)を用いた以外は、上記製造例1-1と同様の方法により、NNPAMポリマー(PNNPAM)を合成した。
<製造例2-2 表面処理シリカ2の製造>
PNIPAMに代えてPNNPAMを用いた以外は、上記製造例1-2と同様の方法により、表面処理シリカ2(シリカ100質量部に対する温度応答性化合物の付着量22質量部)を作製した。
<実施例及び比較例>
表2~3に示す配合処方にしたがい、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を用いて、トレッドの形状に合わせて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを作製し、170℃で15分間加硫して試験用タイヤ(サイズ:195/65R15、トレッドの厚み:表2~3に記載)を得た。
得られた試験用タイヤについて、室温暗所で三ヶ月保管した後、下記の評価を行った。結果を表2、3に示した。表2、3の基準比較例は、それぞれ比較例1-1、2-1とした。
<ウェットグリップ性能>
試験用タイヤを車輌(国産FF2000cc)の全輪に装着して、湿潤アスファルト路面にて初速度100km/hからの制動距離を求めた。結果は基準比較例を100とした時の指数で表し、数字が大きいほどウェットグリップ性能が良好である。指数は次の式で求めた。
ウェットグリップ性能指数=(基準比較例の制動距離)/(各配合の制動距離)×100
<氷上性能>
試験用タイヤを用いて、下記の条件で雪氷上での実車性能を評価した(試験条件:氷上気温-2~-6℃、雪上気温-3~-10℃)。試験用タイヤを国産2000ccのFR車に装着し、時速30km/hでロックブレーキを踏み停止させるまでに要した氷上の停止距離を測定した。そして、基準比較例を基準として、下記式により指数化した。指数が大きいほど、氷上性能に優れることを示す。
(氷上性能)=(基準比較例の制動停止距離)/(停止距離)×100
Figure 2023025859000007
Figure 2023025859000008
表2~3から、イソプレン系ゴム及び/又はBRを含むゴム成分と、温度応答性化合物と予め結合させる表面処理を行ったシリカと、炭化水素樹脂とを混合して得られ、かつ前記式(1)を満たす実施例のゴム組成物は、低温時にゴム表面が親水性となり、氷上性能が向上するものであり、温度変化に応答してタイヤ性能を可逆的に変化させることが可能であることが分かった。
また、実施例では、氷上性能が向上し、更に氷上性能及びウェットグリップ性能の総合性能(氷上性能及びウェットグリップ性能の2つの指数の総和で表す)に優れていた。
本開示(1)は、イソプレン系ゴム及び/又はブタジエンゴムを含むゴム成分と、温度応答性化合物と予め結合させる表面処理を行ったシリカと、炭化水素樹脂とを混合して得られ、前記ゴム成分100質量%中の前記イソプレン系ゴム及び前記ブタジエンゴムの合計含有量が、下記式(1)を満たすタイヤ用ゴム組成物である。
式(1)
イソプレン系ゴム及びブタジエンゴムの合計含有量>70質量%
本開示(2)は、イソプレン系ゴム及びブタジエンゴムの合計含有量、炭化水素樹脂の含有量、並びに、シリカ材料の総量が、下記式(2)を満たす本開示(1)記載のタイヤ用ゴム組成物である。
式(2)
(イソプレン系ゴム及びブタジエンゴムの合計含有量-炭化水素樹脂の含有量)/シリカ材料の総量<2.50
本開示(3)は、イソプレン系ゴム及びブタジエンゴムの合計含有量、並びに、炭化水素樹脂の含有量が、下記式を満たす本開示(1)又は(2)記載のタイヤ用ゴム組成物である。
イソプレン系ゴム及びブタジエンゴムの合計含有量-炭化水素樹脂の含有量≦90質量部
本開示(4)は、イソプレン系ゴム及びブタジエンゴムの合計含有量、並びに、炭化水素樹脂の含有量が、下記式を満たす本開示(1)又は(2)記載のタイヤ用ゴム組成物である。
イソプレン系ゴム及びブタジエンゴムの合計含有量-炭化水素樹脂の含有量≦85質量部
本開示(5)は、ゴム成分100質量部に対するシリカ材料の総量が60質量部以上である本開示(1)~(4)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物である。
本開示(6)は、ゴム成分100質量部に対するシリカ材料の総量が80質量部以上である本開示(1)~(4)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物である。
本開示(7)は、ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量が10質量部以上である本開示(1)~(6)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物である。
本開示(8)は、ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が40質量部以上である本開示(1)~(7)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物である。
本開示(9)は、炭化水素樹脂がテルペン系樹脂を含む本開示(1)~(8)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物である。
本開示(10)は、シリカ材料の総量と、可塑剤の含有量とが下記式を満たす本開示(1)~(9)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物である。
1.0≦シリカ材料の総量/可塑剤の含有量≦2.5
本開示(11)は、シリカ材料の総量と、液体可塑剤の含有量とが下記式を満たす本開示(1)~(10)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物である。
3.5≦シリカ材料の総量/液体可塑剤の含有量≦5.5
本開示(12)は、シリカ材料の総量と、液状樹脂及び液状ジエン系ポリマーの合計含有量とが下記式を満たす本開示(1)~(11)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物である。
3.5≦シリカ材料の総量/液状樹脂及び液状ジエン系ポリマーの合計含有量≦7.0
本開示(13)は、シリカ材料の総量と、固体炭化水素樹脂の含有量とが下記式を満たす本開示(1)~(12)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物である。
3.5≦シリカ材料の総量/固体炭化水素樹脂の含有量≦5.5
本開示(14)は、本開示(1)~(13)のいずれかに記載のゴム組成物で構成されたタイヤ部材を有するタイヤである。
本開示(15)は、ゴム組成物中のゴム成分100質量部に対するシリカ材料の総量(質量部)と、タイヤ部材の厚み(mm)とが下記式(3)を満たす本開示(14)記載のタイヤである。
式(3)
シリカ材料の総量×タイヤ部材の厚み≧200
本開示(16)は、下記式を満たす本開示(15)記載のタイヤである。
シリカ材料の総量×タイヤ部材の厚み≧450
本開示(17)は、タイヤ部材の厚みが1.0mm以上である本開示(14)~(16)のいずれかに記載のタイヤである。
本開示(18)は、タイヤ部材の厚みが5.0mm以上である本開示(14)~(16)のいずれかに記載のタイヤである。
本開示(19)は、前記タイヤ部材がトレッドである本開示(14)~(18)のいずれかに記載のタイヤである。
本開示(20)は、乗用車用タイヤである本開示(14)~(19)のいずれかに記載のタイヤである。
4 トレッド
16 ベルト
18 バンド
20 インナーライナー
24 トレッド面
26 溝
28 ベース層
30 キャップ層
36 カーカスプライ
38 内側層
40 外側層
42 主溝
44 リブ
P トレッド面24上の点
T トレッド4の厚み

Claims (20)

  1. イソプレン系ゴム及び/又はブタジエンゴムを含むゴム成分と、温度応答性化合物と予め結合させる表面処理を行ったシリカと、炭化水素樹脂とを混合して得られ、前記ゴム成分100質量%中の前記イソプレン系ゴム及び前記ブタジエンゴムの合計含有量が、下記式(1)を満たすタイヤ用ゴム組成物。
    式(1)
    イソプレン系ゴム及びブタジエンゴムの合計含有量>70質量%
  2. イソプレン系ゴム及びブタジエンゴムの合計含有量、炭化水素樹脂の含有量、並びに、シリカ材料の総量が、下記式(2)を満たす請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
    式(2)
    (イソプレン系ゴム及びブタジエンゴムの合計含有量-炭化水素樹脂の含有量)/シリカ材料の総量<2.50
  3. イソプレン系ゴム及びブタジエンゴムの合計含有量、並びに、炭化水素樹脂の含有量が、下記式を満たす請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
    イソプレン系ゴム及びブタジエンゴムの合計含有量-炭化水素樹脂の含有量≦90質量部
  4. イソプレン系ゴム及びブタジエンゴムの合計含有量、並びに、炭化水素樹脂の含有量が、下記式を満たす請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
    イソプレン系ゴム及びブタジエンゴムの合計含有量-炭化水素樹脂の含有量≦85質量部
  5. ゴム成分100質量部に対するシリカ材料の総量が60質量部以上である請求項1~4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. ゴム成分100質量部に対するシリカ材料の総量が80質量部以上である請求項1~4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量が10質量部以上である請求項1~6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  8. ゴム成分100質量部に対する可塑剤の含有量が40質量部以上である請求項1~7のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  9. 炭化水素樹脂がテルペン系樹脂を含む請求項1~8のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  10. シリカ材料の総量と、可塑剤の含有量とが下記式を満たす請求項1~9のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
    1.0≦シリカ材料の総量/可塑剤の含有量≦2.5
  11. シリカ材料の総量と、液体可塑剤の含有量とが下記式を満たす請求項1~10のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
    3.5≦シリカ材料の総量/液体可塑剤の含有量≦5.5
  12. シリカ材料の総量と、液状樹脂及び液状ジエン系ポリマーの合計含有量とが下記式を満たす請求項1~11のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
    3.5≦シリカ材料の総量/液状樹脂及び液状ジエン系ポリマーの合計含有量≦7.0
  13. シリカ材料の総量と、固体炭化水素樹脂の含有量とが下記式を満たす請求項1~12のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
    3.5≦シリカ材料の総量/固体炭化水素樹脂の含有量≦5.5
  14. 請求項1~13のいずれかに記載のゴム組成物で構成されたタイヤ部材を有するタイヤ。
  15. ゴム組成物中のゴム成分100質量部に対するシリカ材料の総量(質量部)と、タイヤ部材の厚み(mm)とが下記式(3)を満たす請求項14記載のタイヤ。
    式(3)
    シリカ材料の総量×タイヤ部材の厚み≧200
  16. 下記式を満たす請求項15記載のタイヤ。
    シリカ材料の総量×タイヤ部材の厚み≧450
  17. タイヤ部材は、厚みが1.0mm以上である請求項14~16のいずれかに記載のタイヤ。
  18. タイヤ部材は、厚みが5.0mm以上である請求項14~16のいずれかに記載のタイヤ。
  19. 前記タイヤ部材がトレッドである請求項14~18のいずれかに記載のタイヤ。
  20. 乗用車用タイヤである請求項14~19のいずれかに記載のタイヤ。
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