JP2023021815A - 物体検出装置及び物体検出方法 - Google Patents

物体検出装置及び物体検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レーダセンサによる静止物の検出精度を向上可能な物体検出装置及び物体検出方法を提供する。【解決手段】移動体(1)に搭載されたレーダセンサ(11)による測定点群のデータを取得する取得部(61)と、取得した前記測定点群のデータに基づいて前記移動体(1)の周囲の物体を検出する処理を実行する物体検出処理部(63)と、を備えた物体検出装置(50)の前記物体検出処理部(63)は、前記レーダセンサ(11)の位置を原点(0R)とするセンサ座標系(CR)上でのそれぞれの測定点の座標(xr,yr)を、前記レーダセンサ(11)の位置が変化する場合であっても座標系が変化しない固定座標系(CW)の座標(xw,yw)に変換し、複数の異なる時間に取得された複数の前記測定点群のうち前記固定座標系(CW)上でクラスタを形成する測定点(Pi)に基づいて静止物の存在を特定する処理を実行する。【選択図】図10

Description

本発明は、車両等の移動体に適用される物体検出装置及び物体検出方法に関する。
近年、車両等の移動体には、移動体の周囲環境の検出に用いられるセンサが備えられている。例えば車両では、検出される周囲環境の情報に基づいて、例えば先行車両との車間距離を目標車間距離に維持しながら車両を自動で走行させるためのクルーズコントロール制御(ACC:Adaptive Cruise Control)や、先行車両を含む障害物等との衝突を回避あるいは衝突時の衝撃を軽減するための衝突安全機能が実行される。このような周囲環境を検出するセンサの一つとして、ミリ波レーダ等のレーダ波を用いたレーダセンサが知られている。
特開2017-122646号公報
レーダセンサにより検出される測定点群のデータはそれぞれの測定点の位置情報及び速度情報を含み、また、検出可能範囲(距離)が広いことから、レーダセンサは主に走行中の他車両等の動体の検出に用いられている。
本発明は、レーダセンサによる静止物の検出精度を向上可能な物体検出装置及び物体検出方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、移動体に搭載されたレーダセンサによる測定点群のデータを取得する取得部と、取得した測定点群のデータに基づいて移動体の周囲の物体を検出する処理を実行する物体検出処理部と、を備え、物体検出処理部は、レーダセンサの位置を原点とするセンサ座標系上でのそれぞれの測定点の座標を、レーダセンサの位置が変化する場合であっても座標系が変化しない固定座標系の座標に変換し、複数の異なる時間に取得された複数の測定点群のうち固定座標系上でクラスタを形成する測定点群のデータに基づいて静止物の存在を特定する処理を実行する物体検出装置が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、移動体に搭載されたレーダセンサによる測定点群のデータを取得することと、レーダセンサの位置を原点とするセンサ座標系上でのそれぞれの測定点の座標を、レーダセンサの位置が変化する場合であっても座標系が変化しない固定座標系の座標に変換することと、複数の異なる時間に取得された複数の測定点群のうち固定座標系上でクラスタを形成する測定点群のデータを特定することと、クラスタを形成する測定点群のデータに基づいて静止物の存在を特定することと、を含む物体検出方法が提供される。
以上説明したように本発明によれば、レーダセンサによる静止物の検出精度を向上させることができる。
本発明の実施の形態に係る移動体の一例としての車両の構成例を示す模式図である。 同実施形態に係る物体検出装置の構成例を示すブロック図である。 同実施形態に係る物体検出装置による処理動作のフローチャートを示す。 固定座標系上に車両座標系及びレーダセンサのセンサ座標系を示した説明図である。 各処理サイクルにおいてレーダセンサから取得されるロケーションデータを示す説明図である。 参考例の処理方法により検出されるゴーストデータを示す説明図である。 参考例の処理方法により誤測定点として除外される測定点を示す説明図である。 測定点群のデータを読み出す過去の処理サイクルの数(n)を1としたときの測定点群の位置を示す説明図である。 測定点群のデータを読み出す過去の処理サイクルの数(n)を10としたときの測定点群の位置を示す説明図である。 同実施形態に係る物体検出装置による判定用測定点及び誤測定点の判定方法を示す説明図である。 同実施形態に係る物体検出装置により抽出された判定用測定点を示す説明図である。 同実施形態に係る物体検出装置による静止物検出判定処理の具体例を示す説明図である。 同実施形態に係る物体検出装置による静止物検出判定処理のルーチンの一例を示すフローチャートである。 同実施形態に係る物体検出装置による空きスペースの判定処理の具体例を示す説明図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.移動体の構成例>
本実施形態に係る物体検出装置を適用可能な移動体の構成例を説明する。
本実施形態に係る物体検出装置は、四輪自動車や二輪自動車等の車両、船舶、航空機、ロボット等の種々の移動体に適用することができる。本実施形態では、移動体として四輪自動車に物体検出装置を適用した例を説明する。
図1は、移動体の一例としての車両1の構成例を示す模式図である。図1に示した車両1は、左前輪3LF、右前輪3RF、左後輪3LR及び右後輪3RR(以下、特に区別を要しない場合には「車輪3」と総称する)を備えた四輪自動車であって、内燃機関や駆動用モータ等の駆動力源13から出力される駆動トルクを左前輪3LF及び右前輪3RFに伝達する二輪駆動の車両1として構成されている。車両1は、四つの車輪3へ駆動力を伝達する四輪駆動の車両であってもよい。また、車両1が電気自動車やハイブリッド電気自動車の場合、車両1には、駆動用モータへ供給される電力を蓄積する二次電池や、駆動用モータへ供給される電力及びバッテリに充電される電力を発電する発電機が搭載される。
車両1は、車両1の走行を制御する機器として、駆動力源13、電動ステアリング装置15及びブレーキ液圧制御ユニット30を備えている。駆動力源13は、図示しない変速機や差動機構を介して車輪3に伝達される駆動トルクを出力する。駆動力源13や変速機の駆動は車両制御装置40により制御される。
電動ステアリング装置15は図示しない電動モータやギヤ機構を含み、車両制御装置40により制御されることによって左前輪3LF及び右前輪3RFの操舵角を調節する。車両制御装置40は、手動運転中には、ドライバによるステアリングホイールの操舵角に基づいて電動ステアリング装置15を制御する。また、車両制御装置40は、自動運転中には、目標操舵角に基づいて電動ステアリング装置15を制御する。
ブレーキ液圧制御ユニット30は、それぞれの車輪3に設けられたブレーキキャリパに供給する油圧を調節し、制動力を発生させる。ブレーキ液圧制御ユニット30の駆動は、車両制御装置40により制御される。車両1が電気自動車あるいはハイブリッド電気自動車の場合、ブレーキ液圧制御ユニット30は、駆動用モータによる回生ブレーキと併用される。
車両制御装置40は、駆動力源9、電動ステアリング装置15及びブレーキ液圧制御ユニット30の駆動を制御する一つ又は複数の電子制御装置を含む。車両制御装置40は、物体検出装置50から送信される信号を取得可能に構成され、車両1の自動運転制御を実行可能に構成されている。なお、自動運転制御には、緊急ブレーキ制御やACC(Adaptive Cruise Control)を含むものとする。また、車両制御装置40は、車両1の手動運転時においては、ドライバの運転操作量の情報を取得し、駆動力源9、電動ステアリング装置15及びブレーキ液圧制御ユニット30の駆動を制御する。
車両1は、レーダセンサ11及び位置検出センサ17を備えている。図1に示した車両1では、レーダセンサ11は車両1のフロント部分の中央に設置されている。レーダセンサ11は、照射軸を車長方向前方に向けて設置されている。レーダセンサ11は、例えば照射軸Xと照射軸に直交する軸Yの2軸が成すX-Y平面が車高方向に直交するようにアライメントされた状態で設置される。ただし、レーダセンサ11の設置位置及び照射軸Xの軸方向はこの例に限定されるものではなく、任意の位置に任意の方向へ向けて設置されてよい。また、車両1に搭載されるレーダセンサ11の数は一つに限られない。
レーダセンサ11は、例えばミリ波を放射するものであってよいが、このほかにマイクロ波やサブミリ波を放射するものであってもよい。また、レーダセンサ11は長距離レーダセンサであってもよく、中距離レーダセンサであってもよい。
レーダセンサ11は、所定の角度範囲(角度解像度)に向けてレーダ波を送信するとともに当該レーダ波の反射波を受信し、送信波及び受信波の情報に基づいて反射点(以下「測定点」という)の位置及び速度を算出する。測定点の位置の情報は、レーダセンサ11から測定点までの距離の情報、及び、レーダ波の照射軸に対してレーダセンサ11から見た測定点の向きが成す角度(以下、「方位角」ともいう)の情報を含む。
具体的に、レーダセンサ11は、所定の時間間隔に設定された処理サイクルごとに、照射軸を中心とする所定の角度範囲に対してレーダ波を照射するとともに反射波を受信する。レーダセンサ11がそれぞれの処理サイクルごとに受信する反射波は、複数の反射波を含み得る。レーダセンサ11は、受信したすべての反射波について、従来公知の処理を実行して測定点の位置及び速度を算出し、それぞれ所定範囲に区分されるロケーションデータに関連付けて物体検出装置50へ送信する。つまり、それぞれのロケーションデータは、一つ又は複数の測定点のデータを含む。
位置検出センサ17は、例えばGPS(Global Positioning System)センサであり、GPS衛星からの衛星信号を受信し、GPSデータ上での位置検出センサ17の経度及び緯度の位置情報(L,L)を取得する。位置検出センサ17は、取得した位置情報(L,L)と、位置検出センサ17に設定されている基準方向の情報とを位置データとして物体検出装置50へ送信する。基準方向は、位置検出センサ17の設置位置を原点(x,y=0)とする車両座標系C(0,X,Y)のX軸を規定する方向であり、車両1の車長方向前方に一致する方向に設定されている。なお、GPSセンサの代わりに、位置検出センサ17の位置を特定する他の衛星システムからの衛星信号を受信するアンテナが用いられてもよい。
<2.物体検出装置>
本実施形態に係る物体検出装置50の構成例を説明する。
物体検出装置50は、レーダセンサ11から送信される測定点群のデータに基づいて物体を検出する処理を実行する。本実施形態では、物体検出装置50は、レーダセンサ11から送信される測定点群のデータに基づいて所定の速度で移動する移動物体を検出する処理と併せて、停止しあるいは固定又は設置されて速度を持たない静止物を検出する処理を実行可能に構成されている。
(2-1.構成例)
図2は、物体検出装置50の構成例を示すブロック図である。物体検出装置50は、CPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を含むマイクロコンピュータ又はマイクロプロセッサユニット等として構成されている。これらの装置の一部又は全部は、ファームウェア等の更新可能なもので構成されていてもよく、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
物体検出装置50は、通信部51、処理部53及び記憶部55を備える。通信部51は、レーダセンサ11、位置検出センサ17及び車両制御装置40と信号あるいはメッセージを送受信するためのインタフェースであり、LAN(Local Area Network)又はLIN(Local Inter Net)等の一つ又は複数の通信プロトコルの規格に適合する構成を有する。処理部53は、演算処理装置を含んで構成され、種々の演算処理を実行する。
記憶部55は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶素子、あるいは、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記録媒体を含んで構成される。記憶部55は、処理部53により実行されるコンピュータプログラムや、演算処理に用いられる種々のパラメータ、レーダセンサ11及び位置検出センサ17から取得された情報、処理部53による演算処理結果等のデータを記憶する。
以下、処理部53の機能を簡単に説明した後に処理部53の具体的な動作例を説明する。処理部53は、取得部61及び物体検出処理部63を備える。取得部61及び物体検出処理部63の一部又は全部は、演算処理装置によるプログラムの実行により実現される機能である。
取得部61は、レーダセンサ11及び位置検出センサ17から送信されるデータを取得する。具体的に、取得部61は、所定の時間間隔に設定された処理サイクルごとにレーダセンサ11から送信される測定点群のデータと、位置検出センサ17から送信される位置データを取得する。
物体検出処理部63は、取得部61により取得された測定点群のデータに基づいて車両1の周囲の物体を検出する処理を実行する。具体的に、物体検出処理部63は、レーダセンサ11の位置を原点(x,y=0)とするセンサ座標系C(0,X,Y)上でのそれぞれの測定点の座標(x,y)を、レーダセンサ11の位置が変化する場合であっても座標系が変化しない固定座標系C(0,X,Y)の座標(x,y)に変換する。また、物体検出処理部63は、複数の異なる時間に取得された複数の測定点群のうち固定座標系C(0,X,Y)上でクラスタを形成する測定点群のデータに基づいて静止物の存在を特定する。
本実施形態では、車両1のシステム起動時に位置検出センサ17から取得される、システム起動時のGPSデータ上の位置検出センサ17の位置(L,L)を原点(x,y=0)とし、世界地図上の経度に沿う方向をX軸、緯度に沿う方向をY軸とする固定座標系C(0,X,Y)が用いられる。
ただし、固定座標系C(0,X,Y)は、緯度に沿う方向をX軸、経度に沿う方向をY軸としてもよい。また、X軸及びY軸は、車両1の移動にかかわらず不変とできるものであれば経度及び緯度に関連付けられることなく任意に設定されてよい。例えば車両1のシステム起動時の位置検出センサ17の基準方向で示される車両1の車長方向をX軸とし、車幅方向をY軸とする固定座標系C(0,X,Y)としてもよい。
また、物体検出処理部63は、検出した物体の情報を車両制御装置40へ送信する。車両制御装置40は、受信した物体の情報に基づいて車両1の自動運転制御を実行し、物体との衝突を回避し、あるいは、衝突時の衝撃を緩和する。
なお、測定点群のデータに基づいて移動物体を検出する処理は従来公知の処理により実行され得るため説明を省略し、測定点群のデータに基づいて静止物を検出する処理について説明する。
(2-2.動作例)
続いて、本実施形態に係る物体検出装置50により実行される処理の具体的な動作例をフローチャートに沿って説明する。
図3は、物体検出装置50による処理動作のフローチャートを示す。なお、図3に示す処理は、車両1のシステム起動中に常時実行されてもよく、運転開始から運転終了までの間に常時実行されてもよい。
まず、取得部61は、レーダセンサ11及び位置検出センサ17から送信されるデータを取得する(ステップS11)。具体的に、取得部61は、レーダセンサ11から送信される測定点群のデータ、及び、位置検出センサ17から送信される位置データを取得する。レーダセンサ11から送信される測定点群のデータは、それぞれ所定範囲に区分される複数のロケーションデータに関連付けられており、それぞれの測定点の位置情報及び速度情報を含む。測定点の位置情報は、レーダセンサ11の照射軸Xに対してレーダセンサ11から見た測定点の向きが成す角度(方位角)の情報、及び、レーダセンサ11から測定点までの距離の情報を含む。また、位置データは、GPSデータ上での位置検出センサ17の位置情報(L,L)と、車両座標系C(0,X,Y)のX軸を表す位置検出センサ17の基準方向の情報とを含む。
次いで、物体検出処理部63は、レーダセンサ11から取得した測定点群のデータのそれぞれの測定点の座標(x,y)を、固定座標系C(0,X,Y)の座標(x,y)に変換する処理を実行する(ステップS13)。つまり、車両1とともに移動するレーダセンサ11の位置を原点(x,y=0)とするセンサ座標系C(0,X,Y)の座標(x,y)を、レーダセンサ11の位置にかかわらず原点(x,y=0)が維持される固定座標系C(0,X,Y)の座標(x,y)に変換する。
物体検出装置50の記憶部55には、あらかじめ位置検出センサ17の設置位置とレーダセンサ11の設置位置との相対関係を示す情報が記録されている。本実施形態では、位置検出センサ17の設置位置を原点(x,y=0)とし、車長方向をX軸、車幅方向をY軸とする車両座標系C(0,X,Y)上での、レーダセンサ11の設置位置の座標(x,y)の情報が記憶部55に記録されている。また、記憶部55には、レーダセンサ11の照射軸Xと車両座標系CのX軸との成す角度(α)の情報が記録されている。また、GPSデータ上での位置検出センサ17の設置位置(L,L)及び基準方向は、常時位置検出センサ17から取得される。
したがって、物体検出処理部63は、レーダセンサ11により測定された測定点のセンサ座標系C(0,X,Y)の座標(x,y)を車両座標系C(0,X,Y)の座標(x,y)に変換し、さらに車両座標系C(0,X,Y)の座標(x,y)を固定座標系C(0,X,Y)の座標(x,y)に変換することができる。
図4を参照しながら、センサ座標系C(0,X,Y)の座標(x,y)を固定座標系C(0,X,Y)の座標(x,y)に変換する処理を具体的に説明する。図1に示した車両1では、レーダセンサ11は、車両1のフロント部分に、照射軸Xを前方に向けて設置されているが、ここでは、説明の都合上、車両1のフロント部分の左側に設置されたレーダセンサ11LFを例に採って説明する。
図4は、固定座標系C(0,X,Y)上に、車両座標系C(0,X,Y)及びレーダセンサ11LFのセンサ座標系C(0,X,Y)を示した説明図である。物体検出処理部63は、車両1のシステム起動時等、適宜の時期に位置検出センサ17から取得したGPSデータ上の位置検出センサ17の位置情報(L,L)を原点(x,y=0)とし、位置検出センサ17の基準方向をX軸とする座標系を固定座標系C(0,X,Y)として設定する。ここで設定された固定座標系C(0,X,Y)は、車両1のシステムが停止される等によってリセットされるまでの間、変更されることなく保持される。
固定座標系C(0,X,Y)が設定される時点において、車両座標系C(0,X,Y)の原点(x,y=0)は、固定座標系C(0,X,Y)の原点(x,y=0)に一致する。以降、車両座標系C(0,X,Y)は、車両1の移動に伴って固定座標系C(0,X,Y)上で原点(x,y=0)が平行移動するとともにX軸及びY軸が原点(x,y=0)を中心に回転移動する。
また、レーダセンサ11LFは、位置検出センサ17とは異なる位置に固定されていることから、固定座標系C(0,X,Y)が設定される時点において、センサ座標系C(0,X,Y)の原点(x,y=0)は、固定座標系C(0,X,Y)の原点(x,y=0)とは異なる位置に位置する。また、センサ座標系C(0,X,Y)は、車両1の移動に伴って固定座標系C(0,X,Y)上で原点(x,y=0)が平行移動するとともにX軸及びY軸が原点(x,y=0)を中心に回転移動する。一方、レーダセンサ11LFは車両1に固定されていることから、センサ座標系C(0,X,Y)の原点(x,y=0)、X軸及びY軸は、車両1の移動にかかわらず車両座標系C(0,X,Y)上で変化することなく保持される。
ここで、センサ座標系C(0,X,Y)の座標(x,y)を固定座標系C(0,X,Y)の座標(x,y)に変換することを考える。図4に示した例では、センサ座標系C(0,X,Y)の原点(x,y=0)は、車両座標系C(0,X,Y)上において方位角αの方向に位置する。また、車両座標系C(0,X,Y)の原点(x,y=0)は、固定座標系C(0,X,Y)上において方位角αの方向に位置する。なお、方位角αは、それぞれのX軸あるいはX軸の左右のいずれかを正の値とする。例えば方位角αは、時計回り方向を正の値としてもよい。
センサ座標系C(0,X,Y)は、車両座標系(0,X,Y)を方位角αだけ回転移動させるとともに、車両座標系(0,X,Y)の原点(x,y=0)からセンサ座標系C(0,X,Y)の原点(x,y=0)までの距離だけ平行移動させたものに相当する。したがって、センサ座標系C(0,X,Y)の座標(x,y)を車両座標系(0,X,Y)の座標(x,y)に同次変換するための式TR(V,R)は、下記式(1)で表すことができる。
Figure 2023021815000002
同様に、車両座標系(0,X,Y)は、固定座標系(0,X,Y)を方位角αだけ回転移動させるとともに、固定座標系(0,X,Y)の原点(x,y=0)から車両座標系(0,X,Y)の原点(x,y=0)までの距離だけ平行移動させたものに相当する。したがって、車両座標系C(0,X,Y)の座標(x,y)を固定座標系(0,X,Y)の座標(x,y)に同次変換するための式TR(W,V)は、下記式(2)で表すことができる。
Figure 2023021815000003
上記式(1)及び式(2)より、センサ座標系C(0,X,Y)の座標(x,y)を固定座標系(0,X,Y)の座標(x,y)に同次変換するための式TR(W,R)は、下記式(3)で表すことができる。
Figure 2023021815000004
物体検出処理部63は、上記式(1)~式(3)により、レーダセンサ11LFから取得した測定点群のデータのすべての測定点の座標(x,y)を、固定座標系C(0,X,Y)の座標(x,y)に変換する。ここでは車両1のフロント部分の左側に設置されたレーダセンサ11LFを例に採って説明したが、車両座標系C(0,X,Y)上でのレーダセンサ11の設置位置の座標(x,y)及び照射軸Xの方位角(α)の情報をあらかじめ記憶部55に記憶しておくことで、上記式(1)~(3)により、測定点の座標(x,y)を固定座標系C(0,X,Y)の座標(x,y)に変換することができる。
なお、図1に示した車両1の場合、レーダ波の照射軸Xが車長方向に一致しており、車両座標系C(0,X,Y)に対するセンサ座標系C(0,X,Y)の回転角度はゼロである。
図3に戻り、次いで、物体検出処理部63は、レーダセンサ11から取得した測定点群のデータのうち、移動物体による反射点のデータを除外する処理を実行する(ステップS15)。具体的に、上述のとおり、それぞれの処理サイクルにおいてレーダセンサ11から取得される測定点群のデータは、それぞれ複数のロケーションデータのいずれかに関連付けられ、それぞれのロケーションデータには一つ又は複数の測定点が含まれる。また、それぞれの測定点のデータには、レーダセンサ11から見た視線方向の速度(視線速度)の情報、及び、レーダ波の照射軸Xに対してレーダセンサ11から見た測定点の向きが成す角度(方位角)の情報が含まれる。
上記式(3)をベクトル表現すると下記式(4)で示すことができる。
Figure 2023021815000005
固定座標系C(0,X,Y)上でのX軸に対する測定点の向き(方位角)をαとすると、上記式(4)から、それぞれの測定点の速度は下記式(5)で表すことができる。
Figure 2023021815000006
式(5)のうち、vcos(α)*q11+vsin(α)*q12は、固定座標系C(0,X,Y)上でのX軸方向の速度を表し、vcos(α)*q21+vsin(α)*q22は、固定座標系C(0,X,Y)上でのY軸方向の速度を表している。vcos(α)*q11+vsin(α)*q12、又は、vcos(α)*q21+vsin(α)*q22の少なくともいずれか一方がゼロでない場合、当該測定点は移動物体による反射点であることを意味する。物体検出処理部63は、上記式(5)を用いてそれぞれの測定点が移動物体による反射点であるか否かを判別し、移動物体による反射点と判定された測定点を除外する。
次いで、物体検出処理部63は、誤測定点を除外する処理を実行する(ステップS15)。上述のとおり、レーダセンサ11から取得されるロケーションデータには、一つ又は複数の測定点が含まれる。それぞれの測定点は、ロケーションデータ内で互いに離れた位置で検出され、そのうちの一部が正しいことがある。誤って検出された測定点(誤測定点)を含んだ状態では物体の検出精度が低下することから、物体検出処理部63は、誤測定点を除外する処理を行う。
ここで左右両側に路側帯が存在する道路を車両1が走行する場合を考える。図5に示すように、ある処理サイクルにおいてレーダセンサ11から取得されるロケーションデータLD(LD1-LD7)は、それぞれ一つ又は複数の測定点を含む。なお、ロケーションデータLDの数は7つに限定されない。また、それぞれのロケーションデータLDに含まれる測定点の数は、反射波の数によるため、特に限定されない。
測定点群のデータは、路側帯により反射された正しい測定点だけでなく、何も存在しない位置を検出する誤測定点を含む場合がある。静止物を特定する際にこれらの測定点をすべて用いる場合、図6に示すように、実際には物体が存在しない位置に架空の物体(以下、「ゴースト」ともいう)Gpが誤検出されるおそれがある。
また、互いに所定の距離内に位置する測定点の集合であるクラスタを判定してゴーストを除外する手法も考えられるが、図5に示した例では、車両1から離れて位置するロケーションデータLD7の測定点はクラスタを形成していない。このため、ある処理サイクルにおいてレーダセンサ11から取得される測定点のみを用いた場合、図7に示すように、ロケーションデータLD7の測定点は、路側帯に近いであるにもかかわらず誤測定点Pfとして除外されるおそれがある。
そこで、本実施形態に係る物体検出装置50では、物体検出処理部63は、複数の異なる時間に取得された測定点群のデータを用いて誤測定点を除外する。具体的に、物体検出処理部63は、それぞれの処理サイクルごとに、当該処理サイクルで取得された測定点群だけでなく、過去の複数回(n)の処理サイクルで取得された測定点群の固定座標系Cの座標(x,y)のデータを読み出す。このとき読み出す測定点群のデータは、移動物体の測定点を除外した測定点群である一方、誤測定点のデータを含む。レーダセンサ11から送信される測定点群のデータは、すべてセンサ座標系Cの座標(x,y)から固定座標系Cの座標(x,y)に変換されていることから、同じ静止物により反射された測定点の固定座標系Cの座標(x,y)は取得された時刻にかかわらず近接した位置となる。
例えば図8は、測定点群のデータを読み出す過去の処理サイクルの数(n)を1としたときの測定点群の位置を示す。また、図9は、測定点群のデータを読み出す過去の処理サイクルの数(n)を10としたときの測定点群の位置を示す。図8及び図9を比較すると明らかなように、測定点群のデータを読み出す処理サイクルの数が多いほど、静止物により反射された測定点により形成されるクラスタが顕著となる。測定点群のデータを読み出す過去の処理サイクルの数(n)は、クラスタ形成が顕著に現れる状態を考慮して任意の数に設定されてよいが、例えば5~10の範囲内の値に設定される。
物体検出処理部63は、今回の処理サイクルで取得された測定点群から移動物体の測定点を除外した後のそれぞれの測定点について、過去に取得された測定点群のデータと併せてクラスタリング処理を実行する。クラスタリング処理は、それぞれの測定点の固定座標系Cの座標(x,y)のデータに基づいて、互いの距離があらかじめ設定された所定の距離内に位置する測定点の集合を求めることにより実行される。このとき用いる距離の値は、クラスタリングによる測定点の判定精度を考慮して任意の値に設定されてよい。そして、物体検出処理部63は、それぞれのロケーションデータLDごとに、求められたクラスタの中から、構成する測定点の数が最も多いクラスタを選択する。また、物体検出処理部63は、今回の処理サイクルで得られた測定点群のうち、当該クラスタを構成する測定点群以外の測定点のデータを誤測定点として除外する。
例えば図10に示すように、白丸(〇)で示す過去の測定点群のデータに、黒丸(●)で示す今回の処理サイクルで得られた測定点群のデータを重ね合わせた場合、それぞれのロケーションデータLD内に一つ又は複数のクラスタが形成される。物体検出処理部63は、それぞれのロケーションデータLDについて、構成する測定点の数が最も多いクラスタを選択し、今回の処理サイクルで得られた測定点群のうち、当該クラスタを構成する測定点群以外の測定点のデータを誤測定点Pfとして除外する。一方、誤測定点Pfを除外した残りの測定点のデータを、今回の処理サイクルで静止物により反射された判定用測定点Pi(i=1,2,…,n)とする。これにより、図11に示すように、今回の処理サイクルに取得された測定点群のデータから移動物体の測定点及び誤測定点Pfを除外した判定用測定点Pi(i=1,2,…,n)を抽出することができる。
図3に戻り、次いで、物体検出処理部63は、静止物を検出するための判定処理を実行する(ステップS19)。本実施形態では、物体検出処理部63は、レーダセンサ11から取得された測定点群のデータのうち、移動物体の測定点及び誤測定点Pfを除外した判定用測定点Pi(i=1,2,…,n)に基づいて静止物の存在の確度を評価し、静止物を特定する処理を実行する。
ここで、本実施形態に係る物体検出装置50による静止物検出判定処理方法の概略を説明する。以下に説明する静止物検出処理方法では、物体検出処理部63は、抽出したそれぞれの判定用測定点Piが、前回の処理サイクルまでに認識済みでありかつ特定前の静止物候補の測定点であるかを判定する。判定用測定点Piが静止物候補の測定点に該当しない場合、物体検出処理部63は、当該判定用測定点Piの位置に静止物候補の可能性を示す情報を設定する。静止物候補の可能性を示す情報を設定する場合、物体検出処理部63は、当該静止物候補についての存在の確度の評価をプラス側に更新する。また、判定用測定点Piが静止物候補の測定点に該当する場合、物体検出処理部63は、該当する静止物候補についての存在の確度の評価をさらにプラス側に更新する。
そして、確度の評価が、あらかじめ設定された確度に到達した場合、物体検出処理部63は、該当する静止物候補を、存在する静止物として特定する。物体検出処理部63は、マッチング処理技術を利用して静止物の種類を特定してもよいが、静止物の種類の特定は必須ではない。
一方、静止物候補についての存在の確度の評価を一旦プラス側に更新した後、静止物候補が存在する静止物として特定されるまでの処理サイクル中に、当該静止物候補の測定点に該当する判定用測定点Piが存在しなくなった場合、物体検出処理部63は、当該静止物候補の情報を消去する。また、静止物候補が存在する静止物として一旦特定された後、当該特定済みの静止物の測定点に該当する判定用測定点Piが存在しない場合、物体検出処理部63は、当該静止物についての評価をマイナス側に更新する。そして、確度の評価があらかじめ設定された所定の確度を下回る状態となった場合、物体検出処理部63は、特定済みの静止物の情報を消去する。
これにより、ある静止物候補についての判定用測定点Piが連続して所定回数測定されたときに静止物の存在が特定される。一方、一旦存在が特定された静止物についての判定用測定点Piが、所定回数測定されなくなったときに、静止物が存在しなくなったと判定される。
本実施形態では、確度の評価として、確度評価点を0.25加算することにより評価をプラス側に更新し、確度評価点が1.00に到達した場合に静止物候補を存在する静止物として特定する。静止物として特定された後は、当該静止物の測定点に該当する判定用測定点Piがあったとしても、確度評価点は最大値である1.00で維持される。一方、一旦存在が特定された静止物については、確度評価点を0.25減算することにより評価をマイナス側に更新し、確度評価点がマイナスになった場合に静止物の情報を消去する。
図12は、静止物検出判定処理の具体例を示す説明図である。
時刻t1で、特定済みの静止物あるいは認識済みかつ特定前の静止物候補の測定点に該当しない判定用測定点Piが現れたとする。この場合、物体検出処理部63は、固定座標系C(0,X,Y)上の当該判定用測定点Piの座標(x,y)に関連付けて新たな静止物候補の可能性を示す情報を記録するとともに、確度評価点を0.25加算する。
時刻t2で、時刻t1で記録した静止物候補に該当する判定用測定点Piが現れなかったとする。この場合、物体検出処理部63は、当該静止物候補の情報を消去する。
時刻t3で、特定済みの静止物あるいは認識済みかつ特定前の静止物候補の測定点に該当しない判定用測定点Piが現れたとする。この場合、物体検出処理部63は、時刻t1で行った処理と同様に、固定座標系C(0,X,Y)上の当該判定用測定点Piの座標(x,y)に関連付けて新たな静止物候補の可能性を示す情報を記録するとともに、確度評価点を0.25加算する。
次いで、時刻t4~t6で、時刻t3で記録した静止物候補に該当する判定用測定点Piが測定されたとすると、それぞれの時刻において、物体検出処理部63は、確度評価点を0.25加算する。これにより、時刻t6では、確度評価点が1.00に到達することから、当該静止物候補を存在する静止物として特定する。
次いで、時刻t7~t9で、時刻t6で特定した静止物に該当する判定用測定点Piが測定された場合、物体検出処理部63は、確度評価点を最大値である1.00に保持する。
次いで、時刻t10~t13で、時刻t6で特定した静止物に該当する判定用測定点Piが測定されなくなった場合、それぞれの時刻において、物体検出処理部63は、確度評価点を0.25減算する。これにより、時刻t13では確度評価点がマイナスになることから、当該静止物の情報を消去する。この状態は、例えば駐車車両等の静止物の脇を車両1が通過し、駐車車両がレーダセンサ11の測定範囲から外れた状態である。
このように、静止物の存在が特定される前の静止物候補の段階で、該当する判定用測定点Piが現れなくなったとき、物体検出処理部63は、静止物の存在の確度が低いことから静止物の存在を特定することなく静止物候補の情報を消去する。一方、静止物の存在が特定された後に、所定期間(上記の例では少なくとも5回の処理サイクル)該当する判定用測定点Piが現れなくなったとき、物体検出処理部63は、静止物がレーダセンサ11の測定範囲から外れたものとして特定済みの静止物の情報を消去する。確度評価点の最大値が設定されていることから、静止物がレーダセンサ11の測定範囲から外れたにもかかわらず特定された静止物として残り続けることを防ぐことができる。
図13は、静止物検出判定処理のルーチンの一例を示すフローチャートである。
まず、物体検出処理部63は、ステップS17までの処理で抽出された判定用測定点Pi(i=1,2,…,n)の中からいずれかの判定用測定点Piを選択する(ステップS31)。判定用測定点Piの選択順序は特に限定されるものではなく、ランダムに選択されてもよいし、車両1あるいはレーダセンサ11からの距離が近い順に選択されてもよい。
次いで、物体検出処理部63は、選択した判定用測定点Piが、すでに存在を特定済みのいずれかの静止物の測定点に該当するか否かを判定する(ステップS33)。例えば物体検出処理部63は、判定用測定点Piの固定座標系C(0,X,Y)上の座標(x,y)及び速度を、存在を特定済みの静止物の測定点の固定座標系C(0,X,Y)上の座標(x,y)及び速度と比較することにより、選択した判定用測定点Piが、すでに存在を特定済みのいずれかの静止物の測定点に該当するか否かを判定する。具体的に、固定座標系C(0,X,Y)上の判定用測定点Piの座標(x,y)が、固定座標系C(0,X,Y)の座標(x,y)に関連付けて記録されているいずれかの静止物の座標(x,y)から所定の距離内にあり、かつ、判定用測定点Piの速度と当該静止物の速度とが同等である場合に、物体検出処理部63は、判定用測定点Piが当該特定済みの静止物の測定点に該当すると判定する。このとき、物体検出処理部63は、反射波の反射強度等、判定用測定点Piの信頼性を評価し、信頼性が保証される場合に、判定用測定点Piが当該特定済みの静止物の測定点に該当すると判定するようにしてもよい。
選択した判定用測定点Piが、すでに存在を特定済みのいずれかの静止物の測定点に該当すると判定された場合(S33/Yes)、物体検出処理部63は、当該特定済みの静止物の情報を更新する(ステップS35)。例えば物体検出処理部63は、固定座標系C(0,X,Y)上の判定用測定点Piの座標(x,y)に基づいて、固定座標系C(0,X,Y)上の特定済みの静止物の位置を補正する。
次いで、物体検出処理部63は、当該特定済みの静止物の確度評価点がすでに最大値(=1.00)となっているか否かを判定する(ステップS37)。確度評価点が最大値となっている場合(S37/Yes)、物体検出処理部63は、当該特定済みの静止物の確度評価点を最大値のまま保持し(ステップS39)、ステップS57に進む。一方、確度評価点が最大値となっていない場合(S37/No)、物体検出処理部63は、当該特定済みの静止物の確度評価点を加算(+0.25)することにより更新し(ステップS41)、ステップS57に進む。
上記のステップS33において、選択した判定用測定点Piが、すでに存在を特定済みの静止物のいずれにも該当しないと判定された場合(S33/No)、物体検出処理部63は、選択した判定用測定点Piが、認識済みかつ特定前のいずれかの静止物候補の測定点に該当するか否かを判定する(ステップS43)。物体検出処理部63は、ステップS33と同様の手順で、判定用測定点Piが、認識済みかつ特定前のいずれかの静止物候補の測定点に該当すると判定する。
選択した判定用測定点Piが、認識済みかつ特定前のいずれかの静止物候補の測定点に該当すると判定された場合(S43/Yes)、物体検出処理部63は、当該認識済みかつ特定前の静止物候補の情報を更新する(ステップS45)。例えば物体検出処理部63は、固定座標系C(0,X,Y)上の判定用測定点Piの座標(x,y)に基づいて、固定座標系C(0,X,Y)上の静止物候補の位置を補正する。
次いで、物体検出処理部63は、当該静止物候補の確度評価点を加算することにより更新し(ステップS47)、当該静止物候補の確度評価点が最大値(=1.00)に到達したか否かを判定する(ステップS49)。当該静止物候補の確度評価点が最大値に到達した場合(S49/Yes)、物体検出処理部63は、当該静止物候補を、現実に存在する静止物として特定して静止物の情報を更新し(ステップS51)、ステップS57に進む。一方、当該静止物候補の確度評価点が最大値に到達していない場合(S49/No)、そのままステップS57に進む。
上記のステップS43において、選択した判定用測定点Piが、認識済みかつ特定前の静止物候補のいずれにも該当しないと判定された場合(S43/No)、物体検出処理部63は、今回の判定用測定点Piを、新たな静止物候補の測定点として記録する(ステップS53)。さらに、物体検出処理部63は、新たに記録した静止物候補の確度評価点を加算し(+0.25)(ステップS55)、ステップS57に進む。
特定済みの静止物、あるいは、認識済みかつ特定前の静止物候補の情報及び確度評価点の更新、又は、新たな静止物候補の記録及び確度評価点の更新を行った後、物体検出処理部63は、今回の処理サイクルで抽出されたすべての判定用測定点Pi(i=1,2,…,n)を用いた判定処理が完了したか否かを判定する(ステップS57)。判定処理を行っていない判定用測定点Piがある場合(S57/No)、物体検出処理部63は、ステップS31に戻り、判定処理を行っていない判定用測定点Piを選択して、上述した各ステップの処理を実行する。
一方、すべての判定用測定点Pi(i=1,2,…,n)を用いた判定処理が完了した場合(S57/Yes)、物体検出処理部63は、いずれの判定用測定点Pi(i=1,2,…,n)にも該当しなかった特定済みの静止物の確度評価点を減算(-0.25)する(ステップS59)。次いで、物体検出処理部63は、確度評価点がマイナスとなった特定済みの静止物が存在する場合には、当該特定済みの静止物の情報を消去し(ステップS61)、さらに、いずれの判定用測定点Pi(i=1,2,…,n)にも該当しなかった、認識済みかつ特定前の静止物候補の情報を消去する(ステップS63)。これにより、次回以降の処理サイクルで、当該特定済みの静止物、及び、認識済みかつ特定前の静止物候補の情報が判定処理に用いられないように設定される。
なお、図12及び図13に基づいて説明した例では、静止物が存在する確度の評価として、1.00を最大値として、0.25ずつ加算又は減算される確度評価点が用いられていたが、評価の指標はこの例に限定されない。例えばA,B,C,D等の適宜の評価の指標を設定し、判定用測定点Piが該当する静止物あるいは静止物候補の評価の指標値を上昇させ又は下降させてもよい。
図3に戻り、次いで、物体検出処理部63は、存在を特定済みの静止物の測定点に該当した判定用測定点Pi(i=1,2,…,n)に基づいて、車両1の前方の空きスペースを判定する処理を実行する(ステップS21)。レーダセンサ11から取得されるそれぞれのロケーションデータLDごとに抽出される判定用測定点Pi(i=1,2,…,n)の密度が高くない場合、判定用測定点Pi(i=1,2,…,n)から静止物の大きさを正確に推定することは容易ではない。このため、本実施形態では、物体検出処理部63は、特定済みの静止物の測定点に該当したそれぞれの判定用測定点Pi(i=1,2,…,n)を、あらかじめ設定した直径サイズの仮想円Obと見做す。仮想円Obの直径サイズは任意の値に設定されてよいが、例えば普通乗用車の幅を考慮して1mとすることができる。
そして、物体検出処理部63は、レーダセンサ11と仮想円Obの左右の外郭とを結ぶ二本の直線で囲まれる領域を空きスペースSfと判定する。レーダセンサ11により物体が検出される場合、当該物体とレーダセンサ11との間には他の物体が存在しないので、当該物体とレーダセンサ11との間を空きスペースSfと判断できる。
具体的に、図14に示すように、物体検出処理部63は、固定座標系C(0,X,Y)上のそれぞれの判定用測定点Pi(i=1,2,…,n)の座標(x,y)を中心とする、所定の直径サイズの仮想円Obを設定する。また、物体検出処理部63は、固定座標系C(0,X,Y)上のレーダセンサ11の設置位置の座標(x,y)から、それぞれの仮想円Obの左右の外郭を結ぶ直線を設定し、二本の直線で囲まれる領域を空きスペースSfと判定する。
物体検出装置50は、車両1のシステム起動中、上述したステップS11~S21の処理を繰り返し、静止物の存在を特定する処理及び空きスペースSfを判定する処理を実行する。これにより、レーダセンサ11を用いて移動物体を検出するだけでなく、静止物を検出することができる。特に、本実施形態に係る物体検出装置50は、レーダセンサ11から取得される測定点の位置を、レーダセンサ11の位置が変化する場合であっても座標系が変化しない固定座標系C(0,X,Y)の座標(x,y)に変換し、複数の異なる処理サイクルに取得された複数の測定点群のうち固定座標系C(0,X,Y)上でクラスタを形成する測定点を判定用測定点Pi(i=1,2,…,n)として静止物の存在を判定する。
判定用測定点Pi(i=1,2,…,n)には、移動物体により反射された測定点が含まれていない。また、さらに複数の異なる処理サイクルに取得された複数の測定点群により形成されるそれぞれのクラスタのうち、クラスタを構成する測定点の数が最も多いクラスタに属する測定点がそれぞれのロケーションデータLDにおける判定用測定点Pi(i=1,2,…,n)とされる。これにより、静止物によって反射された可能性が高い判定用測定点Pi(i=1,2,…,n)を用いて静止物の存在が特定され、実際には物体が存在しない位置に架空の物体が検出されるゴーストデータに起因する誤検出を低減することができる。したがって、レーダセンサ11による静止物の検出精度を高めることができる。また、レーダセンサにより精度よく静止物を検出することができれば、カメラ等の他のセンサを用いた検出処理の負荷を軽減することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが本発明はこのような例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば上記実施形態では、レーダセンサ11が測定点の位置及び速度を算出し、算出した位置及び速度の情報を物体検出装置50へ送信していたが、レーダセンサ11が測定点の位置を算出するとともに算出した位置の情報を物体検出装置50へ送信し、物体検出装置50が測定点の速度の情報を算出してもよい。
1:車両、11・11LF:レーダセンサ、17:位置検出センサ、40:車両制御装置、50:物体検出装置、51:通信部、53:処理部、55:記憶部、61:取得部、63:物体検出処理部、C:センサ座標系、C:車両座標系、C:固定座標系、LD:ロケーションデータ、Pf:誤測定点、Pi:判定用測定点、Sf:空きスペース、αr・αv:方位角

Claims (9)

  1. 移動体(1)に搭載されたレーダセンサ(11)による測定点群のデータを取得する取得部(61)と、
    取得した前記測定点群のデータに基づいて前記移動体(1)の周囲の物体を検出する処理を実行する物体検出処理部(63)と、を備え、
    前記物体検出処理部(63)は、
    前記レーダセンサ(11)の位置を原点(0)とするセンサ座標系(C)上でのそれぞれの測定点の座標(x,y)を、前記レーダセンサ(11)の位置が変化する場合であっても座標系が変化しない固定座標系(C)の座標(x,y)に変換し、
    複数の異なる時間に取得された複数の前記測定点群のうち前記固定座標系(C)上でクラスタを形成する測定点(Pi)に基づいて静止物の存在を特定する処理を実行する、物体検出装置。
  2. 前記物体検出処理部(63)は、
    前記クラスタを形成する測定点(Pi)が、前記存在を特定済みの静止物の測定点であるか否かを判定し、
    前記クラスタを形成する測定点(Pi)が前記存在を特定済みの静止物の測定点である場合、前記クラスタを形成する測定点(Pi)に基づいて前記存在を特定済みの静止物の位置を更新する、請求項1に記載の物体検出装置。
  3. 前記物体検出処理部(63)は、
    前記クラスタを形成する測定点(Pi)が前記存在を特定済みの静止物の測定点であるか否かによって前記存在を特定済みの静止物についての確度の評価を更新し、
    前記確度の評価が所定の確度を下回る状態となった場合、前記存在を特定済みの静止物の情報を消去する、請求項2に記載の物体検出装置。
  4. 前記物体検出処理部(63)は、
    前記クラスタを形成する測定点(Pi)が前記存在を特定済みの静止物の測定点でない場合、
    前記クラスタを形成する測定点(Pi)が、認識済みかつ特定前の静止物候補の測定点であるか否かを判定し、
    前記クラスタを形成する測定点(Pi)が前記静止物候補の測定点である場合、前記静止物候補についての前記確度の評価を更新し、
    前記確度の評価が所定の確度に到達した場合、前記静止物候補を、存在する前記静止物として特定する、請求項3に記載の物体検出装置。
  5. 前記物体検出処理部(63)は、
    前記クラスタを形成する測定点(Pi)が前記静止物候補の測定点であると判定された前記静止物候補以外の前記静止物候補の情報を消去する、請求項4に記載の物体検出装置。
  6. 前記物体検出処理部(63)は、
    前記クラスタを形成する測定点(Pi)がいずれの前記認識済みかつ特定前の静止物候補の測定点でもない場合、前記クラスタを形成する測定点(Pi)を新たな前記静止物候補の測定点として記録し、前記静止物候補についての前記確度の評価を更新する、請求項5に記載の物体検出装置。
  7. 前記物体検出処理部(63)は、
    前記レーダセンサ(11)の位置から前記存在を特定済みの静止物までの間の領域を、物体が存在しない空きスペース(Sf)として判定する、請求項1~6のいずれか1項に記載の物体検出装置。
  8. 前記物体検出処理部(63)は、
    前記存在を特定済みの静止物の大きさが、あらかじめ設定したサイズであると仮定して前記空きスペース(Sf)を判定する、請求項7に記載の物体検出装置。
  9. 移動体(1)に搭載されたレーダセンサ(11)による測定点群のデータを取得することと、
    前記レーダセンサ(11)の位置を原点(0)とするセンサ座標系(C)上でのそれぞれの測定点の座標(x,y)を、前記レーダセンサ(11)の位置が変化する場合であっても座標系が変化しない固定座標系Cの座標(x,y)に変換することと、
    複数の異なる時間に取得された複数の前記測定点群のうち前記固定座標系(C)上でクラスタを形成する測定点を特定することと、
    前記クラスタを形成する測定点に基づいて静止物の存在を特定することと、
    を含む、物体検出方法。
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