JP2023019911A - 光学素子及び虚像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】瞳拡大用の光学素子の大型化を防止すること。【解決手段】光学素子50は、基板50aの一方側に設けられる第1ホログラム素子51と、基板50aの他方側に設けられる第2ホログラム素子52と、を備え、正面視で、第1ホログラム素子51は、第2ホログラム素子52と重なるように設けられ、第1ホログラム素子51は、入射される第1波長帯の光の一部を回折し、入射される第1波長帯の光の他の一部を透過する第1ホログラム層51aを有し、第2ホログラム素子52は、第1ホログラム層51aを透過した第1波長帯の光の一部を第1ホログラム層51aに向けて回折によって反射し、第1ホログラム層51aを透過した第1波長帯の光の他の一部を透過する第2ホログラム層52aを有する。【選択図】図2
Description
本発明は、像形成装置からの画像光の光束幅を広げる光学素子及びこれを組み込んだ虚像表示装置に関する。
虚像表示装置又は眼球投影型映像表示装置として、反射型カラーホログラムを瞳拡大素子として組み込み、表示装置から出射された光を眼球に導く技術が公知となっている(特許文献1の図9等参照)。この装置では、表示装置からの光を、瞳拡大素子を構成する2つの反射型カラーホログラムで回折させることによって、光軸方向を2度折り曲げた後に眼球に向けて出射させている。
上記先行技術文献の装置では、光軸方向を2度折り曲げるため、反射型カラーホログラムが光軸に対して45度傾斜して配置され、瞳拡大素子が大型化してしまう。
本発明の一側面における光学素子は、基板と、基板の一方側に設けられる第1ホログラム素子と、第1ホログラム素子と基板を挟むように基板の他方側に設けられる第2ホログラム素子と、を備え、第1ホログラム素子は、入射される第1波長帯の光の一部を回折し、入射される第1波長帯の光の他の一部を透過する第1ホログラム層を有し、第2ホログラム素子は、第1ホログラム層を透過した第1波長帯の光の一部を第1ホログラム層に向けて回折し、第1ホログラム層を透過した第1波長帯の光の他の一部を透過する第2ホログラム層を有する。
〔第1実施形態〕
以下、図1を参照して、本発明に係る第1実施形態の光学素子及びこれを組み込んだ虚像表示装置について説明する。
以下、図1を参照して、本発明に係る第1実施形態の光学素子及びこれを組み込んだ虚像表示装置について説明する。
図1は、ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDとも称する。)200の装着状態を説明する図であり、HMD200は、これを装着する観察者又は装着者USに虚像としての映像を認識させる。図1等において、X、Y、及びZは、直交座標系であり、+X方向は、HMD200又は虚像表示装置100を装着した観察者又は装着者USの両眼EYの並ぶ横方向に対応し、+Y方向は、装着者USにとっての両眼EYの並ぶ横方向に直交する上方向に相当し、+Z方向は、装着者USにとっての前方向又は正面方向に相当する。±Y方向は、鉛直軸又は鉛直方向に平行になっている。
HMD200は、右眼用の第1虚像表示装置100Aと、左眼用の第2虚像表示装置100Bと、一対のテンプルを含み虚像表示装置100A,100Bを支持する支持装置100Cとを備える。第1虚像表示装置100Aは、装着者USの眼EYの前方つまり+Z側を覆うように配置されている。第1虚像表示装置100Aは、眼EYから離れた外界側に配置される画像光生成部101と、内側である眼EY側に配置される瞳拡大用の光学素子50とを備える。第1虚像表示装置100Aと第2虚像表示装置100Bとは、光学的に左右を反転させたもの、つまりYZ面に平行な対象面で反転させたものであり、以後では、右眼用の第1虚像表示装置100Aを代表の虚像表示装置100として説明する。
図2は、虚像表示装置100の光学的構造を説明する概念的な平面図である。虚像表示装置100は、画像光生成部101と光学素子50と制御装置13とを備える。画像光生成部101や光学素子50は、図1に示す支持装置100Cに支持され、制御装置13は、支持装置100Cのケース(不図示)に内蔵される。
画像光生成部101は、表示素子11と結像光学系12とを含む画像光生成装置又は像形成装置であり、画像投射モジュールとも呼ばれる。画像光生成部101は、遠方の虚像からの光に相当する画像光MLを生成し眼EYに向けて出射する。
表示素子11は、例えば有機EL(有機エレクトロルミネッセンス、Organic Electro-Luminescence)、無機EL、LEDのアレイディスプレイであり、2次元の表示面に静止画又は動画を形成する。表示素子11は、本実施形態の場合、単色の画像を形成する。つまり、画像光生成部101が出射する画像光MLは、例えば緑色光であり、具体的には波長約540nmを含む第1波長帯の光である。画像光MLの第1波長帯は、比較的広帯域であっても動作させることができるが、回折効率を高める観点で狭帯域である方が望ましい。
表示素子11は、自発光型の画像光生成装置に限らず、LCDその他の光変調素子で構成され、当該光変調素子をバックライトのような光源によって照明することによって画像を形成するものであってもよい。表示素子11として、LCDに代えて、LCOS(Liquid crystal on silicon, LCoSは登録商標)や、デジタル・マイクロミラー・デバイス等を用いることもできる。結像光学系12は、表示素子11から射出された画像光MLをコリメートしつつ眼EYに入射させる。この際、結像光学系12は、表示素子11の表示面11aの各点から射出された画像光MLの主光線ML0を本来の射出瞳P1の位置に向けて収束させる。結像光学系12は、シースルー視を可能にする光学部材を含み、外界光OLを透過させる。光学素子50は、詳細は後述するが、結像光学系12によってコリメートされた画像光MLの光束幅をコリメートされたままの状態で拡大する。光束幅が拡大された画像光MLは、拡大された射出瞳P2の位置に集められる。制御装置13は、図示を省略する通信部から取得した画像信号や内部で生成した画像信号に基づいて表示素子11を動作させ、表示面11aに動画や静止画といった映像を表示させる。
図3を参照して、光学素子50の形状や構造について説明する。光学素子50は、平行平板状の部材であり、光透過性を有する基板50aと、基板50aの一方側に設けられる第1ホログラム素子51と、基板50aの他方側に設けられる第2ホログラム素子52とを備える。第1ホログラム素子51は、基板50aの一方側である第1面50eに貼り付けられて第1面50eを全体的に覆う。第2ホログラム素子52は、基板50aの他方側である第2面50fに貼り付けられて第2面50fを全体的に覆う。光学素子50は、光軸AXに垂直なXY面に平行に延び、第1ホログラム素子51及び第2ホログラム素子52も、光軸AXに垂直なXY面に平行に延びる。第1ホログラム素子51及び第2ホログラム素子52は、画像光MLが通る有効領域EA(図2参照)をカバーするように配置されている。つまり、第1ホログラム素子51は、-Z方向に向かって見た場合に相当する正面視で、第2ホログラム素子52と一致して重なるように設けられている。結果的に、第1ホログラム素子51の領域の大きさは、第2ホログラム素子52の領域の大きさと同じになっている。ここで、第1ホログラム素子51や第2ホログラム素子52の領域の大きさの差が2~3%であれば、両領域の大きさは同じであるとする。
基板50aは、可視波長域で光透過性を有する平行平板であり、例えばガラスで形成されるが、これに限らず、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリオレフィン系樹脂等で形成することもできる。基板50aの厚さは、重量や配置を考慮して10mm以下とする。基板50aの厚さは、後述する回折素子間の間隔Wに関連し、大きくするほど瞳サイズの拡大に効果があるが、典型的には5~6mm程度とする。
第1ホログラム素子51は、入射される第1波長帯の画像光MLの一部を回折し、入射される第1波長帯の画像光MLの他の一部を透過するシート状の第1ホログラム層51aを有し、第1ホログラム層51aの一方側、つまり結像光学系12が配置される外界側には、反射防止膜55(図2)が形成されている。第2ホログラム素子52は、第1ホログラム層51aを透過した第1波長帯の画像光MLの一部を第1ホログラム層51aに向けて回折し、第1ホログラム層51aを透過した第1波長帯の画像光MLの他の一部を透過するシート状の第2ホログラム層52aを有し、第2ホログラム層52aの他方側、つまり眼EYが配置される内側には、反射防止膜56(図2)が形成されている。以上において、画像光MLの波長範囲である第1波長帯は、具体的には緑色光に相当し、第1ホログラム層51aや第2ホログラム層52aは、この第1波長帯において、反射型の回折素子として機能する。
第1ホログラム層51aは、透過率が5%以上かつ50%以下の反射型の回折素子であり、第2ホログラム層52aも、透過率が5%以上かつ50%以下の反射型の回折素子である。第1ホログラム層51aや第2ホログラム層52aを反射型体積ホログラムとすることにより、所期の波長に対する反射回折効率を極めて高くすることができる。第1ホログラム層51aや第2ホログラム層52aの透過率は、回折効率を調整すること、具体的には干渉縞を形成した干渉層の厚みを通常よりも薄くすることによって調整することができる。第1ホログラム層51aや第2ホログラム層52aの透過率を5%以上とすることにより、これらを通過する0次光である直進光の減衰を抑えて、画像光MLの輝度を確保することができる。また、第1ホログラム層51aや第2ホログラム層52aの透過率を50%以下とすることにより、後に詳述する2度の回折によって形成される平行シフト光つまり2度回折光D2の減衰を抑えて、瞳拡大に対応する画像光MLの輝度を確保することができる。
第1ホログラム層51aの内部には、干渉縞RPが形成されている。ここで、干渉縞RPとは、第1ホログラム層51a中に記録された位相情報に相当するものであり、XZ断面に周期的なパターン又は物理状態として現れる。この周期的パターンは、屈折率分布のパターンとすることができる。干渉縞RPは、XZ断面において、光軸AXの延びる+Z方向に対して-X側に角度θだけ傾斜している。より具体的には、干渉縞RPを構成する基準面RPaの法線は、光軸AXに対して時計回りに傾斜角θをなして傾いている。この結果、第1ホログラム層51aの表面51sに入射角i=0°で入射した画像光MLは、第1ホログラム層51a内の干渉縞RPによって反射されつつ回折され、第1ホログラム層51aの表面51sから光軸AXに対して角度δaだけ傾いた偏向方向に出射する。この回折光DLが出射する角度δaは、干渉縞RPの傾斜角θを2倍した値2θに相当するものであり、厳密には第1ホログラム層51aの平均的な屈折率と空気の屈折率との差による屈折を考慮して値2θから換算されるものである。干渉縞RPにおいて、隣接する基準面RPaの間隔dは、干渉縞RPの周期間隔であり、回折される回折光DLの波長や偏向方向を反映したものとなっている。間隔dは、具体的には、第1ホログラム層51aの平均的屈折率をn、画像光MLの波長をλとして、以下の式
d=λ/(n・2cosθ)
で与えられる。
d=λ/(n・2cosθ)
で与えられる。
第2ホログラム層52aの内部には、第1ホログラム層51aと同様に干渉縞RPが形成されている。干渉縞RPは、XZ断面において、光軸AXの延びる+Z方向に対して-X側に角度θだけ傾斜している。より具体的には、干渉縞RPを構成する基準面RPaの法線は、光軸AXに対して時計回りに傾斜角θをなして傾いている。この結果、第2ホログラム層52aの表面52sに入射角i=0°で入射した画像光MLは、第2ホログラム層52a内の干渉縞RPによって回折されることで、第2ホログラム層52aの表面52sから光軸AXに対して角度δbだけ傾いた偏向方向に出射する。この回折光DLが出射する角度δbは、干渉縞RPの傾斜角θを2倍した値2θに相当するものであり、厳密には第2ホログラム層52aの平均的な屈折率と基板50aの屈折率との差による屈折を考慮して値2θから換算されるものである。干渉縞RPにおいて、隣接する基準面RPaの間隔dは、干渉縞RPの周期間隔であり、回折される回折光DLの波長や偏向方向を反映したものとなっている。第2ホログラム層52aに形成された干渉縞RPの傾斜角θは、第1ホログラム層51aに形成された干渉縞RPの傾斜角θと等しく、かつ、第2ホログラム層52aに形成された干渉縞RPの周期間隔である間隔dは、第1ホログラム層51aに形成された干渉縞RPの周期間隔である間隔dと等しくなっている。このことは、第1ホログラム層51aに形成された干渉縞RPと第2ホログラム層52aに形成された干渉縞RPとが同一であり、第1ホログラム層51aにおける干渉縞RPの傾斜方向と、第2ホログラム層52aにおける干渉縞RPの傾斜方向とは、光軸AXを基準としてともに-X方向であり、同一であることを意味する。
第1ホログラム層51aや第2ホログラム層52aは、例えばフォトポリマーから形成される。フォトポリマーシートを貼り付けた樹脂基材に対し、レーザーの二光束干渉露光を行うことにより、具体的にはフォトポリマーシートの一方側から所定角度で緑色の平面波である参照光を照射しつつ他方側から緑色の平面波である物体光を照射することにより、フォトポリマーのシートに屈折率分布としての干渉縞RPを記録することができる。得られた第1ホログラム層51aや第2ホログラム層52aは、基板50aに貼り付けられ固定される。図3では、第1ホログラム層51aや第2ホログラム層52aにおいて、説明の便宜上、干渉縞RPが形成されたフォトポリマーシートのみが表示されているが、干渉縞RPが形成されたフォトポリマーシートを片面に形成した透明樹脂基材が第1ホログラム層51a等として基板50aに貼り付けられ固定される。以下では、説明の便宜上、ホログラム層としてフォトポリマーシートのみを図示するが、実際に作製されるホログラム層は、上記のようにフォトポリマーシートを支持する透明樹脂基材を含む。なお、第1ホログラム層51aと第2ホログラム層52aとは、同一構造を有するので、1回の二光束干渉露光によって一括して作製することができる。
光学素子50において、第1ホログラム素子51又は第1ホログラム層51aは、入射される画像光MLを部分的に透過させ、第2ホログラム素子52又は第2ホログラム層52aも、入射される画像光MLを部分的に透過させる。つまり、光学素子50に入射した画像光MLは、第1ホログラム素子51を所定の透過率で直進し、第2ホログラム素子52を所定の透過率で直進する。第1ホログラム素子51及び第2ホログラム素子52を通過した透過光である直進光SLは、元の画像光MLの光路を延長した位置から出射し光軸AXに平行に伝搬する。
第2ホログラム素子52又は第2ホログラム層52aは、入射される画像光MLを部分的に第1ホログラム素子51又は第1ホログラム層51aに向けて回折し、第1ホログラム素子51又は第1ホログラム層51aは、第2ホログラム層52aで回折されて戻ってきた回折光DLを第2ホログラム層52aに再度向かうように回折する。第2ホログラム層52aによる回折と第1ホログラム層51aによる回折とによってジグザグに進む2度回折光D2は、光軸AXに平行に伝搬し、第2ホログラム素子52を介して、第1ホログラム素子51及び第2ホログラム素子52を通過した直進光SLと同一の方向に平行シフトさせた状態で出射する。以上において、第1ホログラム素子51に最初に入射した画像光MLによって形成される回折光DLである反射光DR1と、第2ホログラム素子52に最初に入射した画像光MLによって形成される回折光DLであって第1ホログラム素子51を透過した反射光DR2と、第2ホログラム素子52及び第1ホログラム素子51による回折によってジグザグに進む2度回折光D2が第2ホログラム素子52によってさらに回折されて形成された反射光DR3とは、画像表示に利用されない成分となる。以上により、2度回折光D2は、直進光SLを基準としてシフト量DSで-X方向にシフトさせた状態で、直進光SLとともに-Z方向つまり眼EY側(図2参照)に出射される。ここで、シフト量DSは、第1ホログラム素子51と第2ホログラム素子52とのZ方向の間隔をWとして、
DS=W・tanδb
となる。
DS=W・tanδb
となる。
図2を参照して、結像光学系12の光軸AXに平行な中央の光線群LG1について考えると、かかる中央の光線群LG1は、光学素子50に入射し、第1ホログラム素子51及び第2ホログラム素子52を順次通過し、直進光SLとして射出瞳P1の位置に入射する。また、光線群LG1は、光学素子50に入射し、第1ホログラム素子51を通過し第2ホログラム素子52での回折によって傾いて逆行するように反射され、第1ホログラム素子51での回折によって光軸AXに平行に伝搬し、2度回折光D2として射出瞳P1の位置よりもシフト量DSだけ-X側に入射する。直進光SLと2度回折光D2とによって、画像光MLのX方向の幅が広がり、オリジナル光である直進光SLと、複製光である2度回折光D2とを合わせた光線群LG12である画像光MLは、拡大された射出瞳P2に入射する。つまり、横のX方向に関して光学系の射出瞳拡大が達成されている。
詳細な説明を省略するが、結像光学系12の光軸AXに対して所定の傾斜角をなす右斜め方向(つまり-X及び+Z方向)からの光線群LG2についても、元の画像光MLを部分的に透過させたオリジナル光である直進光SLと、元の画像光MLと傾斜角が等しい複製光である2度回折光D2とによって、画像光MLのX方向の幅が広がり、直進光SLと2度回折光D2とを合わせた光線群LG22である画像光MLは、拡大された射出瞳P2の位置に入射する。つまり、右斜め光についても、横のX方向に関して光学系の射出拡大が達成されている。
詳細な説明を省略するが、結像光学系12の光軸AXに対して所定の傾斜角をなす左斜め方向(つまり+X及び+Z方向)からの光線群LG3についても、元の画像光MLを部分的に透過させたオリジナル光である直進光SLと、元の画像光MLと傾斜角が等しい複製光である2度回折光D2とによって、画像光MLのX方向の幅が広がり、直進光SLと2度回折光D2とを合わせた光線群LG32である画像光MLは、拡大された射出瞳P2の位置に入射する。つまり、左斜め光についても、横のX方向に関して光学系の射出拡大が達成されている。
図4は、結像光学系12の具体例を説明する平面図である。結像光学系12は、投射レンズ21と導光体25とを備える。導光体25は、導光部材71と光透過部材72とを接着層CCを介して接合したものである。導光部材71や光透過部材72は、可視域で高い光透過性を示す樹脂材料で形成されている。導光部材71は、第1~第5面S11~S15を有し、これらのうち第1及び第3面S11,S13は、互いに平行な平面であり、第2、第4、及び第5面S12,S14,S15は、全体として凸の光学面であり、例えば自由曲面からなる。光透過部材72は、第1~第3透過面S21~S23を有し、これらのうち第1及び第3透過面S21,S23は、互いに平行な平面であり、第2透過面S22は、全体として凹の光学面であり、例えば自由曲面からなる。導光部材71の第2面S12と光透過部材72の第2透過面S22とは、凹凸を反転させた等しい形状を有し、両者の一方の表面に部分反射面MCが形成されている。
導光体25の光射出面25eである第1面S11と第1透過面S21とに対向して瞳拡大用の光学素子50が配置されている。
以下、画像光MLの光路について概要を説明する。導光部材71は、投射レンズ21から射出された画像光MLを、第1~第5面S11~S15での反射等により観察者の眼に向けて導光する。具体的には、投射レンズ21からの画像光MLは、まず第4面S14に入射して反射膜RMの内面である第5面S15で反射され、第4面S14に内側から再度入射して全反射され、第3面S13に入射して全反射され、第1面S11に入射して全反射される。第1面S11で全反射された画像光MLは、第2面S12に入射し、第2面S12に設けた部分反射面MCを部分的に透過しつつも部分的に反射されて第1面S11に再度入射して通過する。第1面S11を通過した画像光MLは、光学素子50によって光束幅が拡大され、観察者の眼EYが配置される射出瞳P2の位置に略平行光束として入射する。つまり、観察者は、虚像としての画像光MLにより画像を観察することになる。
導光体25は、導光部材71により観察者に画像光MLを視認させるとともに、導光部材71と光透過部材72とを組み合わせた状態で、観察者に歪みの少ない外界像を観察させるものとなっている。この際、第3面S13と第1面S11とが互いに略平行な平面(視度略0)となっていることで、外界光OLについて、収差等をほとんど生じさせない。また、第3透過面S23と第1透過面S21とが第1面S11に略平行な平面となっていることで、収差等をほとんど生じない。
以上では、光学素子50は、緑色の画像光MLに対して回折光DLを生じさせるとしているが、青色や赤色の画像光MLに対して所期の回折角の回折光DLを生じさせるものであってもよい。ただし、光学素子50が例えば青色用である場合、表示素子11は、青色の画像光MLを出射する装置とする必要がある。
上記実施形態の光学素子50では、第2ホログラム層52aが第1ホログラム素子51を通過した第1波長帯の光すなわち緑色の画像光MLを部分的に第1ホログラム素子51に向かって回折し、かつ、第1ホログラム層51aが第2ホログラム層52aで回折された緑色の画像光MLを第2ホログラム層52aに再度向かうように回折するので、2度回折させた光である2度回折光D2を、第2ホログラム素子52を介して、第1ホログラム素子51及び第2ホログラム素子52を通過した直進光SLと同一の方向に平行シフトさせた状態で出射させることができる。これにより、画像光MLの光束幅を広げることができ、画像光MLを出射する画像光生成部101の瞳拡大が可能になる。
〔第2実施形態〕
以下、図5を参照して、第2実施形態の光学素子等について説明する。第2実施形態の光学素子は、第1実施形態の光学素子を部分的に変更して回折による分岐光路を増やしたものであり、共通部分については説明を省略する。
以下、図5を参照して、第2実施形態の光学素子等について説明する。第2実施形態の光学素子は、第1実施形態の光学素子を部分的に変更して回折による分岐光路を増やしたものであり、共通部分については説明を省略する。
光学素子50は、基板50aと、基板50aの一方側つまり外界側に設けられる第1ホログラム素子251と、基板50aの他方側つまり眼EYのある内側に設けられる第2ホログラム素子252とを備える。第1ホログラム素子251は、シート状の第1ホログラム層51aと、シート状であるが第1ホログラム層51aとは異なるシート状の第3ホログラム層51cとを有し、第2ホログラム素子252は、シート状の第2ホログラム層52aと、シート状であるが第2ホログラム層52aとは異なる第4ホログラム層52cとを有する。第1ホログラム素子251において、第3ホログラム層51cは、第1ホログラム層51aと基板50aとの間に配置されてこれらに接合され、第2ホログラム素子252において、第2ホログラム層52aは、第4ホログラム層52cと基板50aとの間に配置されてこれらに接合されている。
ここで、第1ホログラム層51aと第2ホログラム層52aとは、互いに対になって、第1実施形態と同様に機能する。また、第3ホログラム層51cと第4ホログラム層52cとは、互いに対になって、第1ホログラム層51a及び第2ホログラム層52aと同様に機能するが、第1ホログラム層51a及び第2ホログラム層52aとは回折の方向が横の±X方向に関して左右反転する。具体的には、第3ホログラム層51cは、入射される画像光MLの一部を反射によって+X方向と+Z方向との間の方向に回折し、入射される画像光MLの一部を透過し直進させる。第4ホログラム層52cは、第3ホログラム層51cを透過した画像光MLの一部を反射によって+X方向と+Z方向との間の方向に回折し、第3ホログラム層51cを透過した画像光MLの一部を透過し直進させる。このため、第1ホログラム層51aにおける干渉縞RPの傾斜方向は、隣接する第3ホログラム層51cにおける干渉縞RPの傾斜方向とXY面を挟んで鏡面対称であり、第2ホログラム層52aにおける干渉縞RPの傾斜方向は、第4ホログラム層52cにおける干渉縞RPの傾斜方向とXY面を挟んで鏡面対称である。つまり、第3ホログラム層51c中の干渉縞RPは、XZ断面において、光軸AXの延びる+Z方向に対して+X側に角度θだけ傾斜している。また、第3ホログラム層51c中の干渉縞RPの周期間隔は、外界側に隣接する第1ホログラム層51a中の干渉縞RPの周期間隔と等しい。第4ホログラム層52c中の干渉縞RPは、XZ断面において、光軸AXの延びる+Z方向に対して+X側に角度θだけ傾斜している。また、第4ホログラム層52c中の干渉縞RPの周期間隔は、外界側に隣接する第2ホログラム層52a中の干渉縞RPの周期間隔と等しい。
なお、第3ホログラム層51c及び第4ホログラム層52cで回折された回折光DLは、第1ホログラム層51a及び第2ホログラム層52aに記録されている傾斜方向の干渉縞RPに対して回折効率が低い。逆に、第1ホログラム層51a及び第2ホログラム層52aで回折された回折光DLは、第3ホログラム層51c及び第4ホログラム層52cに記録されている傾斜方向の干渉縞RPに対して回折効率が低い。したがって、第3ホログラム層51c及び第4ホログラム層52cでの回折と、第1ホログラム層51a及び第2ホログラム層52aでの回折とは、実質的に独立と考えてよい。
光路に関して、第2ホログラム層52aは、入射される画像光MLを部分的に第1ホログラム層52aに回折することにより、第1方向(-X方向)に傾斜させて伝搬させる。より具体的には、第2ホログラム層52aは、入射した画像光MLを回折することにより、光軸AXに平行な+Z方向に対して時計方向に角度δbだけ回転させた傾斜方向に向けて画像光MLを出射させ、第1ホログラム層51aは、第2ホログラム層52aで回折されて戻ってきた回折光DLを、第2ホログラム層52aに再度向かうように回折することにより、光軸AXに平行な元の方向に出射させる。結果的に、2度回折光D2は、直進光SLを基準としてシフト量DSで-X方向にシフトさせた状態で、直進光SLとともに-Z方向つまり眼EY側(図2参照)に出射される。
第4ホログラム層52cは、入射される画像光MLを部分的に第3ホログラム層51cに向かって回折することにより、第2方向(+X方向)に傾斜させて伝搬させる。より具体的には、第4ホログラム層52cは、入射した画像光MLを回折することにより、光軸AXに平行な+Z方向に対して反時計方向に角度δbだけ回転させた傾斜方向に向けて画像光MLを出射させ、第3ホログラム層51cは、第4ホログラム層52cで回折されて戻ってきた回折光DLを第4ホログラム層52cに再度向かうように回折することによって、光軸AXに平行な方向に画像光MLを出射させる。第4ホログラム層52cによる回折と第3ホログラム層51cによる回折とによってジグザグに進む2度回折光D2は、光軸AXに平行に伝搬し、第2ホログラム素子52を介して、第1ホログラム素子51及び第2ホログラム素子52を通過した直進光SLと同一の方向に平行シフトさせた状態で出射する。以上により、2度回折光D2は、直進光SLを基準としてシフト量DSで+X方向にシフトさせた状態で、直進光SLとともに-Z方向つまり眼EY側(図2参照)に出射される。ここで、第4ホログラム層52cと第3ホログラム層51cとによる2度回折光D2のシフト量DSは、第2ホログラム層52aと第1ホログラム層51aとによる2度回折光D2のシフト量DSと等しくなっている。つまり、本実施形態の光学素子50では、横の±X方向に関して、第1実施形態の2倍、つまり値2DSに相当する分、瞳サイズが左右対称的に拡大している。
第1ホログラム素子251において、第1ホログラム層51aと第3ホログラム層51cとの順番を入れ替えることができ、第3ホログラム層51cを第1ホログラム層51aの外界側に配置することができる。この場合も、シフト量が左右で若干異なるが、同様の瞳拡大効果が得られる。また、第2ホログラム素子252において、第2ホログラム層52aと第4ホログラム層52cとの順番を入れ替えることができ、第4ホログラム層52cを第2ホログラム層52aの外界側(基板50a側)に配置することができる。
上記実施形態の光学素子50では、第4ホログラム層52cが第1ホログラム素子251を通過した第1波長帯の光すなわち緑色の画像光MLを部分的に第3ホログラム層51cに向かって回折し、かつ、第3ホログラム層51cが第4ホログラム層52cで回折された緑色の画像光MLを第4ホログラム層52cに再度向かうように回折するので、得られた2度回折光D2を、第2ホログラム素子52を介して、第1ホログラム素子51及び第2ホログラム素子52を通過した直進光SLと同一の方向に平行シフトさせた状態で出射させることができる。この際、第2ホログラム層52aによる回折光DLの伝搬の傾斜方向と第4ホログラム層52cによる回折光DLの伝搬の傾斜方向とが逆であり、第2ホログラム層52aからの回折光DL又は2度回折光D2と、第4ホログラム層52cからの回折光DL又は2度回折光D2とは、互いに逆方向に平行シフトしたものとなり、画像光MLの光束幅を対称的に広げることができる。
〔第3実施形態〕
以下、図6を参照して、第3実施形態の光学素子等について説明する。第3実施形態の光学素子は、第1実施形態の光学素子を部分的に変更してカラー表示に対応させたものであり、共通部分については説明を省略する。
以下、図6を参照して、第3実施形態の光学素子等について説明する。第3実施形態の光学素子は、第1実施形態の光学素子を部分的に変更してカラー表示に対応させたものであり、共通部分については説明を省略する。
光学素子50には、単色の緑色光ではなく、カラーの画像光MLcが入射する。画像光MLcは、第1波長帯の緑色成分MLgと、第2波長帯の青色成分MLbと、第3波長帯の赤色成分MLrとを含む。ここで、第2波長帯は、具体的には波長約470nmを含み、第3波長帯は、具体的には波長約630nmを含む。
光学素子50は、基板50aの一方側である外界側に、第1ホログラム素子251と、第3ホログラム素子53と、第5ホログラム素子55とを備え、基板50aの他方側である内側に、第2ホログラム素子252と、第4ホログラム素子54と、第6ホログラム素子56とを備える。第1ホログラム素子251と第2ホログラム素子252とは、第2実施形態を構成する一対の素子と同一のものであり、緑色の画像光である緑色成分MLgに関して瞳サイズを拡大する。第3ホログラム素子53と第4ホログラム素子54とは、緑色成分MLgよりも短波長である青色成分MLbに関して瞳サイズを拡大する。第5ホログラム素子55と第6ホログラム素子56とは、緑色成分MLgよりも長波長である赤色成分MLrに関して瞳サイズを拡大する。
第3ホログラム素子53は、第5ホログラム層53aと第7ホログラム層53cとを有し、第4ホログラム素子54は、第6ホログラム層54aと第8ホログラム層54cとを有する。第5ホログラム素子55は、第9ホログラム層55aと第11ホログラム層55cとを有し、第6ホログラム素子56は、第10ホログラム層56aと第12ホログラム層56cとを有する。
第3ホログラム素子53を構成する第5ホログラム層53aと第7ホログラム層53cには、青色成分MLbを対象とし青色の波長に関して回折効率を高めた干渉縞RPが形成され、青色成分MLbを第1ホログラム素子251における緑色成分MLgと同様の方向に回折させる。第4ホログラム素子54を構成する第6ホログラム層54aと第8ホログラム層54cには、青色成分MLbを対象とし青色の波長に関して回折効率を高めた干渉縞RPが形成され、青色成分MLbを第2ホログラム素子252における緑色成分MLgと同様の方向に回折させる。第5ホログラム素子55を構成する第9ホログラム層55aと第11ホログラム層55cには、赤色成分MLrを対象とし赤色の波長に関して回折効率を高めた干渉縞RPが形成され、赤色成分MLrを第1ホログラム素子251における緑色成分MLgと同様の方向に回折させる。第6ホログラム素子56を構成する第10ホログラム層56aと第12ホログラム層56cには、赤色成分MLrを対象とし赤色の波長に関して回折効率を高めた干渉縞RPが形成され、赤色成分MLrを第2ホログラム素子252における緑色成分MLgと同様の方向に回折させる。
青色に関して、第6ホログラム層54aは、入射される青色成分MLbを回折によって部分的に反射することによって、光軸AXに平行な+Z方向に対して時計方向に角度δbだけ回転させた傾斜方向に青色成分MLbを出射させ、第5ホログラム層53aは、第6ホログラム層54aで回折されて戻ってきた回折光DLbを、第6ホログラム層54aに再度向かうように回折することによって角度δbの傾斜を相殺する-Z方向に出射させる。第6ホログラム層54aと第5ホログラム層53aとを経た2度回折光D2bは、直進光SLと同一の方向に直進光SLに対して-X方向に平行シフトした状態で、光学素子50から眼EYが配置される内側に出射する。
青色に関して、第8ホログラム層54cは、入射される青色成分MLbを回折によって部分的に反射することによって、光軸AXに平行な+Z方向に対して反時計方向に角度δbだけ回転させた傾斜方向に青色成分MLbを出射させ、第7ホログラム層53cは、第8ホログラム層54cで回折されて戻ってきた回折光DLbを、第8ホログラム層54cに再度向かうように回折することによって角度δbの傾斜を相殺する-Z方向に出射させる。第8ホログラム層54cと第7ホログラム層53cとを経た2度回折光D2bは、直進光SLと同一の方向に直進光SLに対して+X方向に平行シフトした状態で、光学素子50から眼EYが配置される内側に出射する。
以上により、青色成分MLbについては、直進光SLと一対の2度回折光D2との合成によって、横の±X方向に関して瞳サイズが拡大される。
赤色に関して、第10ホログラム層56aは、入射される赤色成分MLrを回折によって部分的に反射することによって、光軸AXに平行な+Z方向に対して時計方向に角度δbだけ回転させた傾斜方向に赤色成分MLrを出射させ、第9ホログラム層55aは、第10ホログラム層56aで回折されて戻ってきた回折光DLrを、第10ホログラム層56aに再度向かうように回折することによって角度δbの傾斜を相殺する-Z方向に出射させる。第10ホログラム層56aと第9ホログラム層55aとを経た2度回折光D2rは、直進光SLと同一の方向に直進光SLに対して-X方向に平行シフトした状態で、光学素子50から眼EYが配置される内側に出射する。
赤色に関して、第12ホログラム層56cは、入射される赤色成分MLrを回折によって部分的に反射することによって、光軸AXに平行な+Z方向に対して反時計方向に角度δbだけ回転させた傾斜方向に赤色成分MLrを出射させ、第11ホログラム層55cは、第12ホログラム層56cで回折されて戻ってきた回折光DLrを、第12ホログラム層56cに再度向かうように回折することによって角度δbの傾斜を相殺する-Z方向に出射させる。第12ホログラム層56cと第11ホログラム層55cとを経た2度回折光D2rは、直進光SLと同一の方向に直進光SLに対して+X方向に平行シフトした状態で、光学素子50から眼EYが配置される内側に出射する。
以上により、赤色成分MLrについては、直進光SLと一対の2度回折光D2との合成によって、横の±X方向に関して瞳サイズが拡大される。
図6に示す光学素子50は、図2に示す虚像表示装置100に組み込むことができる。この場合、画像光生成部101を構成する表示素子11は、カラーの動画や静止画を表示する。
上記実施形態において、外界側の第1ホログラム素子251、第3ホログラム素子53、及び第5ホログラム素子55は、相互に順番を入れ替えることができ、内側の第2ホログラム素子252、第4ホログラム素子54、及び第6ホログラム素子56も、相互に順番を入れ替えることができる。ただし、第1ホログラム素子251及び第2ホログラム素子252の間隔と、第3ホログラム素子53及び第4ホログラム素子54の間隔と、第5ホログラム素子55及び第6ホログラム素子56の間隔とを一致させるように入れ替えることが、瞳サイズの拡大を各色間で一致させることができる観点で望ましい。
上記実施形態の光学素子50では、第1波長帯の緑色成分MLg、第2波長帯の青色成分MLb、及び第3波長帯の赤色成分MLrについて光束幅を広げることができ、カラーの画像光MLcについて瞳拡大が可能になる。特に、第1ホログラム素子251、第2ホログラム素子252、第3ホログラム素子53、第4ホログラム素子54、第5ホログラム素子55、及び第6ホログラム素子56が反射型回折素子であることから、色のクロストークが生じにくく、これらの反射型回折素子を光軸AXに沿って配置することで小型化が容易となる。
〔変形例その他〕
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
虚像表示装置100に組み込む結像光学系12は、図4に例示するものに限らず、様々な構成とすることができる。例えば、図4に示す例では、結像光学系12がX方向又は横方向に非対称性を持たせた横型の軸外し光学系となっているが、Y方向又は縦方向に非対称性を持たせた軸外し光学系とすることもできる。結像光学系12を構成する光学要素についても、図4に示すものは単なる例示であり、導光部材71や光透過部材72をレンズ、ミラー等に置き換えることができる。
光学素子50の眼EY側に視力矯正レンズを着脱可能に配置することもできる。視力矯正レンズは、光学素子50に固定してもよいが、光学素子50や結像光学系12の支持体に固定することもできる。
結像光学系12については、外界光OLを透過させない非シースルー視型の光学系とすることができる。この場合、虚像表示装置100は、クローズド型の虚像表示装置となる。
以上では、虚像表示装置100が頭部に装着されて使用されることを前提としたが、上記虚像表示装置100は、頭部に装着せず双眼鏡のようにのぞき込むハンドヘルドディスプレイとしても用いることができる。
具体的な態様における光学素子は、基板と、基板の一方側に設けられる第1ホログラム素子と、第1ホログラム素子と基板を挟むように基板の他方側に設けられる第2ホログラム素子と、を備え、第1ホログラム素子は、入射される第1波長帯の光の一部を回折し、入射される第1波長帯の光の他の一部を透過する第1ホログラム層を有し、第2ホログラム素子は、第1ホログラム層を透過した第1波長帯の光の一部を第1ホログラム素子に向けて回折し、第1ホログラム層を透過した第1波長帯の光の他の一部を透過する第2ホログラム層を有する。
上記光学素子では、第2ホログラム層が第1ホログラム素子を通過した第1波長帯の光を部分的に回折し、かつ、第1ホログラム層が第2ホログラム層で回折された第1波長帯の光を第1ホログラム素子に向けて再度回折するので、2度回折させた光を、第2ホログラム素子を介して、第1ホログラム素子及び第2ホログラム素子を通過した光と同一の方向に平行シフトさせた状態で出射させることができる。これにより、画像光の光束幅を広げることができ、画像光を出射する画像光生成部の瞳拡大が可能になる。
具体的な態様において、第1ホログラム素子は、透過率が5%以上かつ50%以下であり、第2ホログラム素子は、透過率が5%以上かつ50%以下である。透過率を5%以上とすることにより、直進光の減衰を抑えて、画像光の輝度を確保することができる。また、透過率を50%以下とすることにより、2度回折させた光の減衰を抑えて、瞳拡大に対応する画像光の輝度を確保することができる。
具体的な態様において、第1ホログラム素子が設けられている領域の大きさは、第2ホログラム素子が設けられている領域の大きさと同じである。この場合、第1ホログラム素子から出射される光を第2ホログラム素子に取り込むことができ、光のロスを低減することができる。
具体的な態様において、第1ホログラム層は、干渉縞を有し、第2ホログラム層は、干渉縞を有し、第1ホログラム層における干渉縞の傾斜方向は、第2ホログラム層における干渉縞の傾斜方向と同じである。ホログラム層における干渉縞の傾斜方向は、回折によって反射される光が偏向される角度に対応するものとなっている。
具体的な態様において、第1ホログラム層における干渉縞の周期間隔は、第2ホログラム層における干渉縞の周期間隔と同一である。両ホログラム層における干渉縞の周期間隔は、回折によって反射される光の波長や偏向方向を反映したものとなっている。
具体的な態様において、第1ホログラム素子は、第1ホログラム層とは異なる第3ホログラム層を有し、第2ホログラム素子は、第2ホログラム層とは異なる第4ホログラム層を有し、第3ホログラム層は、入射される第1波長帯の光の一部を回折し、入射される第1波長帯の光の他の一部を透過し、第4ホログラム層は、第3ホログラム層を透過した第1波長帯の光の一部を第3ホログラム層に向けて回折し、第3ホログラム層を透過した第1波長帯の光の他の一部を透過し、第2ホログラム層は、第1ホログラム層を透過した第1波長帯の光の一部を回折することで、第1波長の光を第1方向に傾斜させて伝搬させ、第4ホログラム層は、第3ホログラム層を透過した第1波長帯の光の一部を回折することで、第1波長の光を第1方向とは反対の第2方向に傾斜させて伝搬させる。この場合、第4ホログラム層が第1ホログラム素子を通過した第1波長帯の光を部分的に回折し、かつ、第3ホログラム層が第4ホログラム層で回折された第1波長帯の光を再度回折するので、2度回折させた光を、第2ホログラム素子を介して、第1ホログラム素子及び第2ホログラム素子を通過した光と同一の方向に平行シフトさせた状態で出射させることができる。この際、第2ホログラム層による回折光の伝搬の傾斜方向と第4ホログラム層による回折光の伝搬の傾斜方向とが逆であり、第2ホログラム層からの回折光と、第4ホログラム層からの回折光とは、互いに逆方向に平行シフトしたものとなり、画像光の光束幅を対称的に広げることができる。
具体的な態様において、第1ホログラム素子において、第3ホログラム層は、第1ホログラム層と基板との間に設けられ、第2ホログラム素子において、第2ホログラム層は、第4ホログラム層と基板との間に設けられる。この場合、第3ホログラム層と第4ホログラム層との間隔が第1ホログラム素子と第2ホログラム層との間隔に等しくなる。
具体的な態様において、第3ホログラム層は、干渉縞を有し、第4ホログラム層は、干渉縞を有し、第1ホログラム層における干渉縞の傾斜方向は、第3ホログラム層における干渉縞の傾斜方向と鏡面対称であり、第2ホログラム層における干渉縞の傾斜方向は、第4ホログラム層における干渉縞の傾斜方向と鏡面対称である。両ホログラム層における干渉縞の傾斜方向は、回折される光が偏向される角度に対応するものとなっている。
具体的な態様において、第1波長帯よりも短波長帯である第2波長帯に対応する第3ホログラム素子と第4ホログラム素子と、を備え、第1波長帯よりも長波長帯である第3波長帯に対応する第5ホログラム素子と第6ホログラム素子と、を備える。この場合、第1波長帯、第2波長帯、及び第3波長帯で、画像光の光束幅を広げることができ、カラーの画像光について瞳拡大が可能になる。
具体的な態様における虚像表示装置は、画像光を生成する画像光生成部と、上記光学素子とを備え、光学素子は、画像光生成部から出射された画像光を射出瞳が形成される位置に出射する。
11…表示素子、12…結像光学系、13…制御装置、21…投射レンズ、25…導光体、50…光学素子、50a…基板、71…導光部材、72…光透過部材、100,100A,100B…虚像表示装置、101…画像光生成部、CC…接着層、RP…干渉縞、RPa…基準面、AX…光軸、P1,P2…射出瞳、EA…有効領域、D2…2度回折光、D2b,D2r…2度回折光、DL…回折光、DLb,DLr…回折光、DR1,DR2,DR3…反射光、LG1,LG2,LG3…光線群、LG12,LG22,LG32…光線群、ML…画像光、ML0…主光線、MLb…青色成分、MLg…緑色成分、MLr…赤色成分、OL…外界光、SL…直進光、EY…眼、US…装着者
Claims (10)
- 基板と、
前記基板の一方側に設けられる第1ホログラム素子と、
前記1ホログラム素子と前記基板を挟むように前記基板の他方側に設けられる第2ホログラム素子と、を備え、
前記第1ホログラム素子は、入射される第1波長帯の光の一部を回折し、入射される前記第1波長帯の光の他の一部を透過する第1ホログラム層を有し、
前記第2ホログラム素子は、前記第1ホログラム層を透過した前記第1波長帯の光の一部を前記第1ホログラム層に向けて回折し、前記第1ホログラム層を透過した前記第1波長帯の光の他の一部を透過する第2ホログラム層を有する、光学素子。 - 前記第1ホログラム素子は、透過率が5%以上かつ50%以下であり、前記第2ホログラム素子は、透過率が5%以上かつ50%以下である、請求項1に記載の光学素子。
- 前記第1ホログラム素子が設けられている領域の大きさは、前記第2ホログラム素子が設けられている領域の大きさと同じである、請求項1及び2のいずれか一項に記載の光学素子。
- 前記第1ホログラム層は、干渉縞を有し、
前記第2ホログラム層は、干渉縞を有し、
前記第1ホログラム層における前記干渉縞の傾斜方向は、前記第2ホログラム層における前記干渉縞の傾斜方向と同じである、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学素子。 - 前記第1ホログラム層における前記干渉縞の周期間隔は、前記第2ホログラム層における前記干渉縞の周期間隔と同一である、請求項4に記載の光学素子。
- 前記第1ホログラム素子は、前記第1ホログラム層とは異なる第3ホログラム層を有し、
前記第2ホログラム素子は、前記第2ホログラム層とは異なる第4ホログラム層を有し、
前記第3ホログラム層は、入射される前記第1波長帯の光の一部を回折し、入射される前記第1波長帯の光の他の一部を透過し、
前記第4ホログラム層は、前記第3ホログラム層を透過した前記第1波長帯の光の一部を前記第3ホログラム層に向けて回折し、前記第3ホログラム層を透過した前記第1波長帯の光の他の一部を透過し、
前記第2ホログラム層は、前記第1ホログラム層を透過した前記第1波長帯の光の一部を回折することで、前記第1波長の光を第1方向に傾斜させて伝搬させ、
前記第4ホログラム層は、前記第3ホログラム層を透過した前記第1波長帯の光の一部を回折することで、前記第1波長の光を前記第1方向とは反対の第2方向に傾斜させて伝搬させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学素子。 - 前記第1ホログラム素子において、前記第3ホログラム層は、前記第1ホログラム層と前記基板との間に設けられ、
前記第2ホログラム素子において、前記第2ホログラム層は、前記第4ホログラム層と前記基板との間に設けられる、請求項6に記載の光学素子。 - 前記第3ホログラム層は、干渉縞を有し、
前記第4ホログラム層は、干渉縞を有し、
前記第1ホログラム層における前記干渉縞の傾斜方向は、前記第3ホログラム層における干渉縞の傾斜方向と鏡面対称であり、
前記第2ホログラム層における前記干渉縞の傾斜方向は、前記第4ホログラム層における干渉縞の傾斜方向と鏡面対称である、請求項6及び7のいずれか一項に記載の光学素子。 - 前記第1波長帯よりも短波長帯である第2波長帯に対応する第3ホログラム素子と第4ホログラム素子と、を備え、
前記第1波長帯よりも長波長帯である第3波長帯に対応する第5ホログラム素子と第6ホログラム素子と、を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の光学素子。 - 画像光を生成する画像光生成部と、
請求項1~9のいずれか一項に記載の光学素子と、を備え、
前記光学素子は、前記画像光生成部から出射された前記画像光を射出瞳が形成される位置に出射する、虚像表示装置。
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