JP2023019821A - 緑茶抽出物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】消費者にとって安心・安全であり、かつ従来よりも高濃度でテアニンを含有する緑茶抽出物を提供する。【課題を解決するための手段】0℃以上20℃以下の溶媒を用いて緑茶原料から抽出液を得る抽出工程と、前記抽出液を乾燥して緑茶抽出物を得る乾燥工程とを備える緑茶抽出物製造方法とした。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 「茶テアニン」の説明書 発行日:令和2年12月10日 茶テアニン高含有粉末「茶エキス」の説明書 発行日:令和3年3月8日 「茶エキス」規格書 発行日:令和3年3月29日 「茶エキス・カフェゼロ」規格書 発行日:令和3年3月29日 「茶エキス・テアニン」規格書 発行日:令和3年3月29日 茶テアニン高含有粉末「茶エキス」の説明書 発行日:令和3年4月5日
本発明は、緑茶原料から抽出された成分を含む緑茶抽出物およびその製造方法に関する。
緑茶抽出物には様々な成分が含有されているために、特有の成分のみを高濃度で抽出することが難しい。中でもリラックス作用を有する旨味成分テアニンを高濃度で抽出することは難しいと考えられている。
そこで、テアニンを効率よく生産する方法として、特許文献1に示すように、エチルアミンとグルタミンを基質とし、シュードモナス属菌の一種であるPseudomonas citronellosis GEAが生産するグルタミナーゼを用いる方法が考えられている。
このように細菌を用いれば、高価な緑茶を原料として用いなくて済むため、テアニン含有組成物を安価で量産可能である。
しかしながら、細菌を用いる食品製造では、高度に精製しても、用いた細菌に由来する副産物を最終製品(テアニン含有組成物)から完全に除去できるとは限らない。
特開2004-65105号公報
本発明は、消費者の安心・安全を第一に考え、また地元である京都府宇治市で緑茶製造業の振興を図る観点から、本発明者らが鋭意検討した結果、緑茶原料からテアニンを従来よりも高濃度で抽出することができる条件を見出したことによって初めて完成したものである。
すなわち本発明に係る緑茶抽出物の製造方法は、0℃以上20℃以下の溶媒を用いて緑茶原料から抽出液を得る抽出工程と、前記抽出液を乾燥して緑茶抽出物を得る乾燥工程とを備えることを特徴とするものである。
このような緑茶抽出物の製造方法によれば、緑茶原料からテアニン以外の成分が抽出されることを抑えることができるので、乾燥し粉末状にした緑茶抽出物中のテアニン含有量を従来よりも大幅に高めることができる。
よりテアニンを高濃度で抽出するには、前記抽出工程において、緑茶原料の質量に対して5倍以上10倍以下の溶媒を添加することが好ましい。
前記抽出工程において、緑茶原料を収容した容器1つ分の容量が4Lである場合は容器に溶媒を流速が5ml/min以上100ml/min以下の流速で添加することがより好ましい。最適な流速は、容器の容量によって変化し、例えば、容器の容量が8Lである場合には、流速が10ml/min以上200ml/min以下となり、容器の容量が16Lである場合には、20ml/min以上400ml/min以下となる。
抽出工程で得られた抽出液からテアニン以外の成分を除去する除去工程をさらに含むものとすれば、緑茶抽出物中のテアニン含有量をさらに向上させることができる。
前記抽出液が含有する主な成分としてはカフェイン及びカリウムイオンをあげることができる。そこで、前記除去工程がカフェイン及び/又はカリウムイオンを除去するものであることが好ましい。
カフェインを除去する具体的な方法としては、カフェイン吸着樹脂及び/又はイオン交換樹脂を用いたカラムクロマトグラフィーを挙げることができる。
使用する緑茶原料の種類は特に限定されないが、緑茶の葉脈や軸(茎)などを主成分とする棒茶を使用することが好ましい。主成分とは葉脈や軸を50%以上含有するものを意味する。
前述した製造方法によって製造された緑茶抽出物は、乾燥状態でのテアニン含有量が10%以上100%以下となっていることが好ましく、15%以上であることがより好ましく、50%以上であることが特に好ましい。
緑茶抽出物に含有されるテアニンの含有量(t)とポリフェノールの含有量(p)との比(p/t)が、0を超えて1.00以下であることが好ましく、0.65以下であることがより好ましく、0.14以下、さらには0.01以下であることが特に好ましい。
本発明に係る緑茶抽出物の製造方法によれば、消費者にとって安心・安全であり、かつ従来よりも高濃度でテアニンを含有する緑茶抽出物を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る緑茶抽出物の製造方法を説明するフローチャート。 本発明の一実施形態に係る緑茶抽出物の製造システムの概要を説明する模式図。
以下に図面を参照しながら本発明の一実施形態に係る緑茶抽出物の製造方法、この製造方法に用いる製造システム及びこれら製造方法、製造システムによって製造された緑茶抽出物について説明する。
<緑茶抽出物の製造方法>
本実施形態に係る緑茶抽出物製造方法は、例えば、抽出工程S1と、分離工程S2と、乾燥工程S3とを含むものである。
まず抽出工程について説明する。
抽出工程S1は、溶媒を用いて緑茶原料から成分を抽出する工程である。
なお、本明細書において緑茶原料とは、緑茶の茶葉、緑茶の茎部、及びこれらが砕かれた被破砕物からなる群より選ばれた1種以上を含む固形原料を指す。緑茶の茶葉は、茶樹(Camellia sinensis)から採取後に発酵が妨げられるように加熱処理された茶葉であり、例えば、碾茶、荒茶、碾茶または荒茶から分離された葉部、煎茶、玉露、かぶせ茶、番茶、又は芽茶などが挙げられる。緑茶の茎部は、茶樹から採取後に発酵が妨げられるように加熱処理されて葉部から分離された葉軸(茶軸)や葉脈に由来する部分であり、例えば、碾茶もしくは荒茶から分離された茎部、茎茶、又は棒茶などが挙げられる。被破砕物は、緑茶の茶葉または茎部が、例えば破砕、粉砕、裁断、又は酵素処理などされた微細な組織片になっている。ここでの酵素処理は例えば、セルラーゼ、へミセルラーゼ、又はペクチナーゼ等を用いて、茶樹に由来する細胞組織を細かく砕く処理である。市販されている被破砕物として例えば、粉茶、粉末茶、又は抹茶などが挙げられる。
緑茶原料は、本発明の目的に反しない限り、「緑茶の茶葉、緑茶の茎部、及びこれらのいずれかが砕かれた被破砕物」以外を含んでいてもよい。例えば、玄米茶には炒られた玄米が緑茶と共に含有されているが、玄米の含有量が少量であれば玄米茶は緑茶原料として許容され得る。夾雑物をなるべく避ける観点から、緑茶原料における「緑茶の茶葉、緑茶の茎部、及びこれらのいずれかが砕かれた被破砕物からなる群より選ばれた1種以上」の含有量は、例えば50質量%以上、好ましくは80質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、更により好ましくは実質的に100質量%である。本明細書において「含有量」は、例えば緑茶原料が碾茶とこれが砕かれた被破砕物を含んで成る場合など、対象となるものを2種以上含有する場合にはその合計の含有量を意味する。「実質的に」とは、本発明の目的や作用効果の妨げにならず問題にならない程度であれば、わずかな例外があっても本発明として許容されることを意味する。
テアニンの含有量が比較的に多いことから、緑茶原料は、緑茶の中でも碾茶、碾茶から分離された葉部、碾茶から分離された茎部、及びこれらのいずれかが破砕された被破砕物からなる群より選ばれた1種以上を含むものを使用することが好ましい。碾茶は、覆下茶園で茶樹から採取した生葉を蒸熱し、揉まないで碾茶炉等で乾燥させて製造された茶葉である。覆下茶園は、生葉の採取期前に棚施設などを用いて茶樹を被覆資材で例えば2週から3週程度かけて覆った茶園である。被覆資材として例えば、よしず、コモ、又は寒冷紗などが挙げられる。碾茶は、陽光を部分的にさえぎられた覆下茶園の茶樹に由来するため、カテキン等のテアニン以外の成分の含有量が抑えられ、テアニンが比較的に多く残存している。
碾茶において、抹茶の原料として需要がある葉部は約80質量%を占め、茎部は約20質量%を占める。碾茶から分離された茎部は、茎茶などに利用され得るものの需要がほとんどなくなく、その大半が産業廃棄物として焼却などされているのが現状である。そこで、この茎部を緑茶原料として用いれば、茎部は安価で容易に大量に入手可能であるから、原料コストを安価に抑えることができる。また、本発明者らがテアニン含有量を測定したところ、碾茶から分離された葉部で1.8質量%、碾茶から分離された茎部で2.4質量%であった。茶樹においてテアニンは根部で生合成されて、日中は葉部に貯められ、夜間は根部に貯められるため、根部と葉部との間を移行する途中であったテアニンが茎部に多く含有されているものと考えられる。これらの知見により、テアニン含有量がより多い原料を使用するという観点、及び茎部を再資源化させ原料コストを低減させる観点とから、緑茶として、碾茶から分離された茎部、及びこれが砕かれた被破砕物からなる群より選ばれた1種以上を主成分として含むいわゆる棒茶(茎茶)を使用することがより好ましい。
本実施形態において抽出液は、固体の緑茶原料残渣を実質的に含まないものであることが好ましい。そのために、本実施形態では、後述するように抽出容器に入れた緑茶原料に対して溶媒を供給して緑茶成分を抽出し、緑茶成分を含有する抽出物だけを抽出容器から取り出すようにしている。本実施形態において、固体の緑茶残渣を実質的に含まないとは、JIS Z 8801-1:2019に規定された公称目開きの主寸法が250μmである篩を通過させたときに篩上に濾物(原料残渣)が残らない抽出液であり、更に好ましくは前記主寸法が100μmである篩を通過させて濾物が残らない抽出液であり、更により好ましくは前記主寸法が20μmである篩を通過させて濾物が残らない抽出液を指す。このような抽出液を得る方法としては、抽出容器から流れ出る液体をフィルターで濾過し、フィルターを通過した濾液を抽出液として扱っても良いし。遠心分離などによって緑茶原料残渣を取り除くものとしても良い。
抽出容器に供給される溶媒として、本実施形態では水を使用している。水は、水道水であっても良いが、夾雑物の混入をなるべく避ける観点から蒸留水または精製水であるのが好ましい。
溶媒は、発明の趣旨に反しない限りにおいて、少量であれば水以外の化合物を含有しても良く、例えば、食品用の添加物としてエタノールのほか、塩酸等を含有しても良い。夾雑物をなるべく避ける観点から溶媒中の水の含有量は、好ましくは80質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、更により好ましくは99.5質量%以上である。
抽出工程S1で使用する溶媒の温度は、0℃以上20℃以下であり、5℃以上15℃以下であることが好ましく、6℃以上10℃以下であることがより好ましく、7℃以上9℃以下であることが特に好ましい。冷媒の温度を調節する方法は特に限定されず、例えば、溶媒を冷却装置などによって冷却する方法や、抽出作業全体を冷蔵庫内で行う方法などを採用してもよい。
緑茶原料に対して供給する溶媒の量は、緑茶原料の質量に対して5倍以上10倍以下の質量の溶媒を供給することが好ましく、7倍以上9倍以下の質量の溶媒を供給することがより好ましく、8倍の質量の溶媒を供給することが特に好ましい。
緑茶原料からテアニンなどの成分を抽出する方法としては、抽出容器内に溶媒を貯留して、この溶媒に緑茶原料を浸漬するものとしてもよいが、本実施形態では、緑茶原料を収容した抽出容器内に溶媒を流通させながら成分を抽出するようにしている。
抽出容器内に溶媒を流通させるために、溶媒を供給する流速としては、緑茶原料を入れた抽出容器1つ分の容量4Lあたり5ml/min以上100ml/min以下であることが好ましく、10ml/min以上70ml/min以下であることがより好ましく、11ml/min以上50ml/min以下であることが特に好ましい。
緑茶原料と溶媒とが触れている時間が長い方が緑茶からテアニンを多く抽出できると考えられることから抽出時間は30分間以上であることが好ましく、90分間以上であることがより好ましい。一方、抽出に長時間かけることで雑菌が繁殖する恐れがある。そこで、本実施形態においては、溶媒に塩酸を添加して溶媒及び抽出液のpHを、雑菌の増殖を抑えるために、例えば、pH1以上pH5以下の範囲に調節している。このようにすれば、抽出時間が、例えば12時間以上等とより長くなった場合であっても、雑菌の繁殖を抑えることができるので好ましい。
分離工程S2は、例えば、テアニン以外の成分を分離して除去する工程であり、本実施形態では、カフェイン及びカリウムイオンを除去するものである。
カフェインを分離して除去する手段としては、例えば、カフェインを吸着するカフェイン吸着樹脂を充填したカラムを備えるものとして、この脱カフェインカラムに抽出液を供給して、カフェイン吸着樹脂に接触させることによってカフェイン吸着樹脂にカフェインを吸着させて、抽出液からカフェインを除去した脱カフェイン処理液を得るものを挙げることができる。
カリウムイオンを分離して除去する手段としては、例えば、陽イオン交換樹脂を充填した陽イオン交換カラムを用いる方法を挙げることができる。より具体的には、この陽イオン交換カラムにpHを0より大きく3以下の範囲に調節した脱カフェイン処理液を供給して、脱カフェイン処理液中のテアニンを陽イオン交換樹脂に吸着させる。その後、さらにpHを0より大きく3以下の範囲に調節した水溶液を陽イオン交換カラムに供給してカリウムイオン等を流し去った後、pHが6以上14以下の溶離液を陽イオン交換カラムに供給して、このカラムに吸着しているテアニンを溶出させ回収することによってカリウムイオンを除去することができる。
乾燥工程S3は、例えば、これら分離工程S2を経て得られた脱カフェイン処理液又は脱カリウム処理液を凍結乾燥することによって固体、より好ましくは粉末状の緑茶抽出物を得る工程である。
乾燥は加熱乾燥であってもよいが、凍結乾燥によれば緑茶抽出物の成分の変化をできるだけ抑えることができるので、好ましい。
凍結乾燥は、乾燥させる脱カフェイン処理液又は脱カリウム処理液などの乾燥対象物の重量が4Kg以下の場合には、例えば、アルバック社製凍結乾燥機DFー05Hを使用することが好ましい。乾燥対象物が4Kg以上の場合には、例えば、アルバック社製凍結乾燥機DFー110-10Nを使用することが好ましい。いずれの装置を使用した場合であっても、真空凍結後の加熱温度は30℃程度であることが好ましい。
<緑茶抽出物製造システムの構成>
前述したような緑茶抽出物の製造に用いる製造システムの一例としては、図2に示すように、緑茶原料から成分を抽出する抽出部1と、抽出部1によって抽出した成分を分離する分離部2と、分離部2によって分離された処理液を乾燥させる乾燥部(不図示)とを備えるものを挙げることができる。
抽出部1は、例えば、緑茶原料を内部に収容し、緑茶を溶媒に浸漬することによって緑茶原料と溶媒とを接触させて緑茶成分を抽出する抽出容器11を備えている。
前記抽出容器11には、内部に溶媒を導入するための導入口111と、内部から緑茶成分を含んだ抽出液を導出する導出口112とが形成されている。溶媒をできるだけ多くの緑茶原料に触れさせるためには、導入口は導出口よりも下側に配置されていることが好ましく、導入口が抽出容器11の底面又は底面に近い側面に形成されており、導出口が抽出容器11の上面又は上面に近い側面に形成されていることが好ましい。抽出容器11の側面に導入口が形成されている場合には、抽出容器11の底面の下に溶媒を供給するためのスペースを作らなくてよいのでより好ましい。なお、導出口には抽出容器11内に緑茶原料が留まり、できるだけ抽出液だけが抽出容器11の外部に流れ出るように、使用する緑茶原料のサイズに合わせたフィルタや茶こし網等が設けられている。
本実施形態で使用している抽出容器11は、図1に示すように、例えば円筒状のものであり、抽出容器11内部の底面が、導入口が形成されている部分から導出口が形成されている側に向けてテーパー状になっている。
抽出容器11は、使用する緑茶原料の量に応じて1つのみでも良いし、複数個使用するようにしても良い。抽出容器11を複数個備える場合には、複数の抽出容器11を図1に示すように直列に接続することが好ましい。
本実施形態においては、図1に示すように、抽出容器11を直列に複数個並べて使用し、上流側の抽出容器11の導出口112から導出された抽出液を下流側の抽出容器11の導入口111から供給するようにして、抽出液に含まれる緑茶成分の濃度をできるだけ高めるようにしてある。
分離部2は、例えば、テアニン以外の緑茶成分を除去するカラムを備えるものであり、本実施形態では、抽出液からカフェインを除去する脱カフェインカラム21と、抽出液からカリウムイオン除去する陽イオン交換カラム22とを備えるものである。
脱カフェインカラム21は、例えば、抽出液を多孔質重合樹脂と接触させることにより、多孔質重合樹脂にカフェインを吸着させて除去するものであり、例えば、カフェイン吸着樹脂として機能する多孔質重合樹脂を充填したものを挙げることができる。
カフェイン除去率を高める観点から、このカラム内を通過した濃縮液を繰り返し同じカラム内に通液させるように、送液ポンプ等で濃縮液を循環させるようにしてもよい。
カフェイン吸着樹脂としては、多孔質重合樹脂を用いることが好ましく、カフェインは吸着しやすいがテアニンは吸着しにくい性質を有するものであれば、本発明の目的に反しない限り特に限定されない。多孔質重合樹脂として例えば、スチレン系の架橋重合体、または、スチレンとジビニルベンゼンの共重合体など、主に芳香族炭化水素ポリマーで構成された合成吸着剤が挙げられる。多孔質重合樹脂の構造として例えば、ミクロポアとマクロポアを有するポーラス型、ハイポーラス型、又はMR(macro-reticular)型などが挙げられる。市販されている多孔質重合樹脂として具体的に例えば、三菱化学株式会社製のダイヤイオンHPシリーズ、若しくはセパビーズSPシリーズ、または、ダウ・ケミカル社製もしくはオルガノ株式会社製のアンバーライト(登録商標)XAD(登録商標)シリーズが挙げられる。アンバーライトXADシリーズとして例えば、アンバーライトXAD2000、アンバーライトXAD4、アンバーライトFPX66、又はアンバーライトXAD1180N等のスチレン系の多孔質重合樹脂が挙げられる。本発明者らが各種の試験を行ったところ、ここで例示した市販の多孔質重合樹脂のうちでアンバーライト(登録商標)FPX66は、抽出液からカフェインを選択的に吸着しやすいが、その他の成分についてはテアニンに限らず吸着しにくいため好ましい。
なお、多孔質重合樹脂は、その母体構造と類似の構造を有する物質との親和性が高い。このため例えば、スチレン系重合樹脂は芳香族化合物を吸着しやすく、フェノール系重合樹脂はフミン酸などの多価フェノールを吸着しやすい。市販の多孔質重合樹脂では、その細孔構造が高度に制御されており、細孔径(ポアサイズ)、細孔分布、比表面積、又は細孔容積の違いなどによって吸着特性が異なる。カフェインは分子内にプリン環を有するキサンチンの誘導体であるのに対して、テアニンはアミノ酸の一種であるグルタミン酸の誘導体である。このように、カフェインとテアニンとでは、分子構造などが非類似であるから、それぞれ吸着しやすい多孔質重合樹脂の母体構造やポアサイズ等が異なっている。つまり、カフェインを吸着しやすい多孔質重合樹脂は、テアニンを吸着しにくい。当業者は、例えば各メーカーから市販されているカフェイン吸着能を有する多孔質重合樹脂(合成吸着剤)を購入すれば、カフェインは吸着しやすいがテアニンは吸着しにくい多孔質重合樹脂を入手可能である。
陽イオン交換カラム22は、抽出液又は脱カフェイン処理液を陽イオン交換樹脂と接触させることにより、陽イオン交換樹脂にテアニンを吸着させて、カリウムイオンを洗い流すことにより除去するものであり、例えば、株式会社オルガノ製のアンバーライトFPC10H等の市販の陽イオン交換樹脂を充填したものを挙げることができる。
カリウムの除去率を高める観点から、このカラム内を通過した脱カリウム処理液を繰り返し同じカラム内に通液させるように、送液ポンプ等で脱カリウム処理液を循環させるようにしてもよい。
陽イオン交換樹脂としては、分子中にスルホ基(‐SO3H)やカルボキシ基(‐COOH)などの酸性を示す官能基を多く含む合成樹脂であれば特に限定されることなく使用することができる。
なお、抽出容器11、脱カフェインカラム21及び陽イオン交換カラム22は、それぞれ適切な配管を介して接続されており、各配管には送液ポンプや貯留槽等が適宜備えられている。
乾燥部は、例えば、凍結乾燥機を備えるものであり、乾燥させる抽出液や脱カフェイン処理液、脱カリウム処理液の量によって適宜選択することができる。凍結乾燥機の具体例としては、例えば、アルバック社製凍結乾燥機DFー05Hやアルバック社製凍結乾燥機DFー110-10Nなどを挙げることができるがこれらに限られない。
凍結乾燥機は、前述した抽出タンクと脱カフェイン処理カラムとの間、脱カフェイン処理カラムと脱カリウム処理カラムの間及び脱カリウム処理カラムの後段から抽出液、脱カフェイン処理液、又は脱カリウム処理液を導入するものとすればよく、これらタンクやカラムと流路で接続されていてもよいし、ユーザが凍結乾燥機まで抽出液、脱カフェイン処理液、脱カリウム処理液などの乾燥対象物を容器に採取して凍結乾燥機まで搬送するものとしてもよい。
このような緑茶抽出物の製造方法及び製造システムによれば、テアニンの含有量を従来よりも大幅に向上させた緑茶抽出物を得ることができる。本実施形態によって得ることができる緑茶抽出物について以下に説明する。
<緑茶抽出物>
本実施形態において得ることができる緑茶抽出物は、緑茶抽出物から溶媒などの液体成分を除いた固形分全体に対するテアニン含有量が10質量%以上100質量%以下であることを特徴とするものである。前記固形分全体に対するテアニン含有量は、15%以上であることがより好ましく、50%以上であることが特に好ましい。
なお、本実施形態における緑茶抽出物とは、前述した抽出液、脱カフェイン処理液、脱カリウムイオン処理液のいずれか1種又は2種以上の混合物を乾燥させて粉末状にしたものを指す。
本実施形態に係る緑茶抽出物には、緑茶原料から抽出されたカフェインも含有され得る。緑茶抽出物中のカフェイン含有量を減らしてテアニン含有量を相対的に高める観点から、緑茶抽出物から溶媒などの液体成分を除いた固形分全体に対するカフェイン含有量が1.0質量%未満であるのことが好ましい。固形分全体に対するカフェイン含有量が、より好ましくは0.50質量%未満、更に好ましくは0.20質量%未満、特に好ましくは0.10質量%未満である。
また、本実施形態に係る緑茶抽出物には、緑茶原料から抽出されたカリウムも含有され得る。カリウム含有量を減らしてテアニン含有量を相対的に高める観点から、緑茶抽出物から溶媒などの液体成分を除いた固形分全体に対するカリウム含有量が15.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以下であることがより好ましく、5.0質量%以下であることが特に好ましい。
また、緑茶抽出物に含有されるテアニン以外のアミノ酸由来の成分としてはポリフェノールを挙げることができる。ポリフェノールには、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、又はカテキンガレート等のカテキン類及びこれらカテキン類が酸化されると重合して生成される難溶性塩のタンニンを挙げることができる。また、緑茶抽出物には、前述した以外にもグルタミン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギンなどのアミノ酸が含まれている。
緑茶抽出物全体に対するこれらアミノ酸の含有量は、例えば、脱カフェイン処理後の緑茶抽出物においては、テアニンが15%質量、グルタミン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸及びアスパラギン等が約14質量%であり、これらを合わせたアミノ酸全体でおよそ29質量%となっている。残りの70質量%は、カリウムやポリフェノールなどを含有しており、ポリフェノールの含有量は2%程度であることが確認されている。
脱カリウム処理後の緑茶抽出物全体に対するアミノ酸の含有量は、テアニンが52質量%、グルタミン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸及びアスパラギン等が約40質量%を占め、これらを合わせたアミノ酸全体の含有量は90質量%となる。残りの10質量%中にポリフェノールなどを含有しており、ポリフェノールの含有量はおよそ0.7質量%程度となっている。
カテキン類の含有量が多い緑茶抽出物は、摂取したときに強い渋味により旨味を感じにくい。また、緑茶原料からカテキン類が多く抽出されるほど、前述したフィルターや多孔質重合樹脂がタンニンで目詰まりしやすくなり、本組成物の製造効率が悪化する。
このような理由から、緑茶抽出物から溶媒などの液体成分を除いた固形分全体に対するテアニンの含有量(t)とポリフェノールの含有量(p)との比(p/t)が、0を超えて1.00以下であることが好ましく、0.65以下であることがより好ましく、0.14以下、さらには0.01以下であることが特に好ましい。
本実施形態に係る緑茶抽出物は、そのまま食用されても良いし、水または湯を注がれて飲用されても良い。また、テアニンに由来する旨味を各種の食品に付与可能な観点から、加工食品、調味料、食品添加物、及びサプリメントからなる群より選ばれた1種以上の食品組成物を製造するための食品原料組成物として用いられるのが好ましい。食品原料組成物である場合の本組成物は、食品組成物を製造するために他の食品原料と混合され得る。この製造の際には、本組成物(食品原料組成物)を他の飲食物もしくはその食品原料に配合もしくは添加するか、または、本組成物に他の飲食物もしくはその食品原料を配合もしくは添加する。
上記した加工食品として例えば、漬物、乾物、練り製品、粉類、缶詰め、冷凍食品、インスタント食品、乳製品、菓子類、嗜好品、又は飲料などの形態をとり得る。飲料として例えば、本組成物が混合された、水、湯、ジュース、茶、清涼飲料水、又はアルコール飲料などの形態をとり得る。上記したサプリメントとして例えば、本組成物が薬理学的に許容される1種以上の公知の添加剤と混合された形態でも良く、例えば、散剤、粉剤、顆粒剤、錠剤、タブレット剤、丸剤、カプセル剤、又はチュアブル剤などの形態をとり得る。公知の添加剤として例えば、賦形剤、甘味料、抗酸化剤、粘滑剤、滑沢剤、希釈剤、緩衝剤、着香剤、又は着色剤などが挙げられる。食品添加剤として用いられる場合の本組成物は、例えば小袋に収納されて、食品にふりかけられて飲食されても良い。
食品原料組成物である場合の本組成物は、リラックス作用を有するテアニンを多く含有する観点から、健康食品またはサプリメントの原料として用いられるのが更に好ましい。または、本組成物はカフェイン含有量が低減されテアニン含有量が多く保たれている観点から、カフェイン摂取を避けたい人が飲食するための食品組成物またはこれを製造するための食品原料組成物として用いられるのが好ましく、このためには、本組成物または本組成物を用いて製造された食品組成物に、そのように用いられることを表現する文言を付すのが更に好ましい。このための表現は、本発明の目的に反しない限り特に限定されないが例えば、「脱カフェイン」、「低カフェイン」、又は「カフェイン低減」等の文言を含んでも良い。その他、本組成物の由来である緑茶原料や、本組成物の製造過程で生じる抽出液や濃縮液などについて、詳細や好ましい事項は本製法や本システムの説明で前述したとおりである。
<本実施形態の効果>
以上に説明した緑茶抽出物の製造方法及び製造システムによれば、緑茶原料からのテアニン以外の成分の抽出量をできるだけ減らして、テアニンの抽出量を従来よりも高めることが可能であるので、前述したようにテアニン含有量が非常に高い緑茶抽出物を製造することができる。
本発明は前述したものに限られない。
例えば、前述した実施形態では、脱カフェイン処理をした後に脱カリウム処理を行っていたが、これら処理のうちいずれかのみを行うようにしてもよいし、これら処理の順序を入れ替えてもよい。
カフェイン吸着樹脂や陽イオン交換樹脂を充填したカラムを使用する場合を説明したが、これに限られず、例えば、抽出液が充填されたビーカーなどの容器内にカフェイン吸着樹脂や陽イオン交換樹脂を投入して混合する手法を用いるようにしてもよい。
溶媒による抽出前に緑茶原料を破砕しておくと、よりテアニンを抽出しやすくなるので、緑茶抽出物の製造システムが、緑茶原料を破砕して被破砕物を生成する破砕機を備えるようにしてもよい。
被破砕物は、好ましくはJIS Z 8801-1:2019に規定された公称目開きの主寸法が1.0mmである篩を通過するサイズ、更に好ましくは前記主寸法が500μmである篩を通過するサイズに砕かれたものであるのが良い。一方、細かく砕き過ぎて抽出液から被破砕物を除去しにくくなるのを避けるという観点から、被破砕物は、好ましくは前記主寸法が20μmである篩を通過しないサイズ、更に好ましくは前記主寸法が100μmである篩を通過しないサイズ、更により好ましくは前記主寸法が250μmである篩を通過しないサイズであることが好ましい。
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用または効果が生じる範囲内で、いずれかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
<実施例1.抽出温度の検討>
溶媒の温度について最適化を図るために、溶媒の温度を様々に変えたときのテアニンの抽出量を調べた。
500gの茎茶(緑茶原料)を6L容量のタンク1つに入れ、溶媒として温度を5℃に調整した冷水を5000ml入れた。タンク内の水温を5℃に保ち、時間毎にタンクから抽出液を少量取り出して、抽出液のBrixとテアニン濃度を測定した。冷媒の温度、及びタンク内の温度を8℃、10℃、15℃、20℃、25℃及び30℃とした場合についても、温度以外の条件はすべて同条件に揃えた状態で抽出液のBrixとテアニン濃度を測定した。その結果を表1に示す。また、16時間浸漬後にろ布で、茶葉を漉して得られた抽出液全量を凍結乾燥させて水分約6%の粉末としたときの粉末(緑茶抽出物)の量とテアニン含有量を表2に示す。なお、Brixは、溶媒に溶出する全成分の濃度を表す指標として用いている。また、以下すべての実施例において凍結乾燥は、乾燥対象物の重量が4Kg以下の場合には、アルバック社製凍結乾燥機DFー05Hを、乾燥対象物が4Kg以上の場合には、アルバック社製凍結乾燥機DFー110-10Nを使用した。いずれの装置を使用する場合であっても、真空凍結後の加熱温度は30℃とした。
Figure 2023019821000002
Figure 2023019821000003
Brixは、ATAGO PR-201糖度計を使用して測定した。
テアニン濃度は、高速液体クロマトグラフィーで測定した。分析条件としては以下の分析条件1を用いた。
(分析条件1)
カラム ・・・Shimagi Hydro RP (4.6 mm I.D. x 150 mm)
移動相A ・・・20 mM Sodium phosphate buffer + 10 mM Sodium 1-Hexaneslufoate
移動相B ・・・Methanol
流速 ・・・0.8mL/min
カラム温度・・・45℃
反応試薬 ・・・Amino Acid Reagent Kit
試薬の流速・・・0.2mL/min
反応温度 ・・・45℃
検出器 ・・・RF-10AxL, Ex. At 350nm, Em. At 450nm
試料注入量・・・10μl
表1の結果から、テアニンは低温でも高温でもほとんど同じように溶出していることがわかる。一方でBrixの値から、テアニン以外の成分(例えば、タンニンやカフェイン等の溶出成分)は抽出溶媒の温度が高いほど抽出量が多くなっていることが分かる。
さらに、表2の結果からもテアニンの抽出量が多く、他の成分の抽出量が少ない低温領域で、凍結乾燥させた緑茶抽出物中のテアニン濃度が最も高くなることが示された。これら表1及び表2の結果からテアニンをできるだけ高濃度で抽出するためには緑茶原料に供給する冷媒の温度は、5℃以上20℃以下であることが好ましく、5℃以上15℃以下であることがより好ましく、6℃以上10℃以下であることがさらに好ましく、7℃以上9℃以下であることが特に好ましいことが分かった。
<実施例2.使用する溶媒量の検討>
使用する緑茶原料の質量に対して、添加する溶媒の量を最適化するために以下の実験を行った。
500gの茎茶(緑茶原料)を6L容量のタンク1つに入れて、このタンクに溶媒である冷水(8℃)を5000ml添加した。タンク内の温度を8℃に保ったまま茎茶を溶媒に16時間浸漬させた後、ろ布で茶葉を濾別して抽出液を回収した。
添加する溶媒の量を1000ml、3000ml、6000mlとした以外は、同様の手順で抽出液を回収し、これら各抽出液中のBrixとテアニン濃度を測定した。結果を表3に示す。なお、Brix及びテアニン濃度は、実施例1と同じ方法で測定した。
Figure 2023019821000004
表3の結果から、500gの緑茶原料に対しては質量がおよそ10倍である5000mlの溶媒を添加すればテアニン抽出量が上限に達することが分かった。
また、500gの緑茶原料に対して3000ml(質量が6倍)の溶媒を添加することによって、1000ml(2倍)の溶媒を供給した場合に比べて十分に多い量のテアニンを抽出することができた。
<実施例3.溶媒の流速の検討>
緑茶原料に供給される溶媒の流速がテアニンの抽出効率に与える影響について調べた。
直径が100mm、長さが500mmのカラム(4L容量)内に茎茶(緑茶原料)1kgを充填し、溶媒である冷水(8℃)をカラムの上端から茎茶の質量の10倍量である10kg添加し、カラム下端から流れでる抽出液を回収した。溶媒の流速はカラム上端から添加した溶媒を自然落下によって流した状態で、カラム下端部に設置した活栓の開度を変化させることによって調節した。各流速で得られた抽出液はおよそ8kgであった。
各流速で得られた抽出液について、テアニン濃度、カフェイン濃度及びカリウム濃度を測定した結果を表4に示す。
Figure 2023019821000005
表4中のテアニン濃度、カフェイン濃度及びカリウム濃度は、以下の分析条件を用いて測定した。
テアニン濃度は実施例1と同様に分析条件1で測定した。
カフェイン濃度は以下の分析条件2で測定した。
(分析条件2)
カラム ・・・Shodex Asahipak NH2P-50 4E (4.6 mm I.D. x 250 mm)
溶出液 ・・・aq./CH3CN=85/15
流速 ・・・1.0 mL/min
検出器 ・・・UV (245 nm)
カラム温度 ・・・30 ℃
カリウム濃度は、島津製作所製の原子吸光分光光度計AA-6400によって測定した。
表4の結果から、4L容量のカラムを用いた場合には30ml/min以上60ml/min以下においてテアニンの抽出量が多く、カフェインやカリウムなどの他の成分の抽出量が抑えられていることが分かった。この傾向は4L容量の容器を用いた場合には、5ml/min以上100ml/min以下であればこの傾向がみられることが確かめられており、また容器の容量を2倍、3倍にすれば、流速も2倍、3倍にした場合に最もテアニンの抽出効率が良くなることが確かめられている。
<実施例4.脱カフェイン処理>
実施形態において説明した脱カフェイン処理の具体例を以下に説明する。
まず、実施形態において説明したような底面がテーパー状になっている64L容量のタンクを4つ直列につなぎ、これらタンクの内部に1つのタンク当たり13kg(合計52kg)の茎茶を入れた。
1つ目のタンクの下部に設けられた導入口から溶媒である冷水(8℃)500kgを毎分1.02kgの流速で注入した。冷媒は4つのタンクの内部を流通し、4つ目のタンク上部に設けられた導出口から流れ出るようにした。
この導出口を、株式会社オルガノ製の吸着樹脂AMBERLITE FPX66を50L充填した脱カフェインカラムに接続し、この脱カフェインカラムから流れ出た脱カフェイン処理液400kgを得た。
このようにして得た脱カフェイン処理液をエバポレータなどによって濃縮し、40kgの濃縮液を得た。この濃縮液を凍結乾燥して粉末状の緑茶抽出物6.5kgを得た。この緑茶抽出物中のテアニン含有量は17.0質量%、カフェイン含有量は0.1質量%、カリウム含有量は14.0質量%であった。なお、緑茶抽出物中のテアニン含有量は以下の分析条件3で測定した。カフェイン含有量及びカリウム含有量は実施例3と同じ方法で測定した。
(分析条件3)
カラム ・・・Shodex Asahipak NH2P-50 4E (4.6 mm I.D. x 250 mm)
溶出液 ・・・20 mM NaH2PO4 + 30 mM H3PO4 aq./CH3CN=30/70
流速 ・・・1.0 mL/min
検出器 ・・・UV (210 nm)
カラム温度・・・30℃
この実施例4の結果から、脱カフェインカラムによって、緑茶抽出物中のカフェイン含有量を十分に低減することによって、テアニン含有量を向上させることができることが確認できた。
<実施例5.脱カリウム処理>
実施形態において説明した脱カリウム処理の具体例を以下に説明する。
実施例4で得た脱カフェイン処理液を濃縮せずにそのまま陽イオン交換カラムに供給した。
具体的には、実施例4で説明した脱カフェインカラムから流れ出す脱カフェイン処理液をpH調整槽に導入し、例えば、塩酸水溶液などのpH調整液を注入してpHが4以下になるように調整した。pHを4以下に調整した液をpH調整槽から陽イオン交換カラムに導入した。陽イオン交換カラムとしては、株式会社オルガノ製陽イオン交換樹脂AMBERLITE FPC10Hを充填したカラムを用いた。pH4以下に調整された脱カフェイン処理液を前述した陽イオン交換カラムに導入して、陽イオン交換カラムから導出された液はすべて廃棄した。
pH調整槽でpHを調整した後の脱カフェイン処理液がすべて陽イオン交換カラムを通過した後に、陽イオン交換カラムに対して1規定のアンモニア水35kgを注入し、その後に続けて純粋100kgを注入し、陽イオン交換カラムからの流出駅130kgを得た。
アンモニアを除去するために、流出液をエバポレータによって100kgまで濃縮した。
この濃縮液を凍結乾燥して粉末状の緑茶抽出物を得た。
この緑茶抽出物中のテアニン含有量は52.0質量%、カフェイン含有量は0.07質量%、カリウム含有量は0.6質量%であった。なお、緑茶抽出物中のテアニン含有量は実施例4と同じ方法で測定した。カフェイン含有量及びカリウム含有量は実施例3と同じ方法で測定した。
この実施例5の結果から、陽イオン交換カラムによって緑茶抽出物中のカリウム含有量が十分に低減され、テアニン含有量がさらに向上することが分かった。
この脱カリウム処理は、必ずしも脱カフェイン処理の後に行う必要はなく、タンクから流出した抽出液のpHを4以下に調製して前述した陽イオン交換カラムに直接導入するようにしても良いことは言うまでもない。
S1 ・・・抽出工程
S2 ・・・分離工程
S3 ・・・乾燥工程
100・・・緑茶抽出物製造システム
1 ・・・抽出部
11 ・・・抽出容器
111・・・導入口
112・・・導出口
2 ・・・分離部
21 ・・・脱カフェインカラム
22 ・・・陽イオン交換カラム

Claims (8)

  1. 0℃以上20℃以下の溶媒を用いて緑茶原料から抽出液を得る抽出工程と、前記抽出液を乾燥して緑茶抽出物を得る乾燥工程とを備える緑茶抽出物製造方法。
  2. 前記抽出工程において、前記緑茶原料の質量に対して5倍以上10倍以下の質量の溶媒を添加する、請求項1に記載の緑茶抽出物製造方法。
  3. 前記抽出工程において、前記緑茶原料に対して容器1つ分の容量4Lあたり5ml/min以上100ml/min以下の流速で溶媒を添加する、請求項1又は2に記載の緑茶抽出物製造方法。
  4. 前記抽出工程で得られた前記抽出液からテアニン以外の成分を除去する除去工程をさらに含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の緑茶抽出物製造方法。
  5. 前記除去工程がカフェイン及び/又はカリウムイオンを除去するものである、請求項4に記載の緑茶抽出物製造方法。
  6. 前記緑茶原料として、葉脈や軸(茎)などを主成分とする棒茶を使用する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の緑茶抽出物製造方法。
  7. 固形分全体に対するテアニン含有量が10%以上100%以下である緑茶抽出物。
  8. テアニンの含有量(t)とポリフェノールの含有量(p)との比(p/t)が、0を超えて1.00以下である、請求項7に記載の緑茶抽出物。
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