JP2023018246A - 圧力式流量制御装置 - Google Patents

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功二 西野
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正明 永瀬
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勝幸 杉田
Katsuyuki Sugita
洋平 澤田
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Abstract

【課題】 自己診断結果に基づいて流量補正が可能な圧力式流量制御装置を提供する。【解決手段】 圧力式流量制御装置10は、絞り部2と、上流側のコントロール弁6と、上流圧力P1を検出する上流圧力センサ3と、下流圧力P2を検出する下流圧力センサ4と、上流圧力の圧力降下データと基準圧力降下データとを用いて診断する自己診断機能を有する制御機構とを備え、臨界膨張条件を満足している期間において取得された圧力降下データを用いて、絞り部の開口変化の発生の有無を診断するステップと、開口変化の発生の有無の診断結果に基づいて、外部からの流量設定信号を補正するための補正式を決定するステップを実行するように構成されており、自己診断後に流量制御を行うときには、補正式に従って生成された内部流量制御信号を用いてコントロール弁6を制御する。【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体製造設備や化学プラント等に使用される圧力式流量制御装置に関し、特に、自己診断機能を備える圧力式流量制御装置に関する。
半導体製造装置や化学プラントにおいて、材料ガスやエッチングガス等の流量を制御するために、種々の流量計および流量制御装置が利用されている。このなかで圧力式流量制御装置は、コントロール弁と絞り部(例えばオリフィスプレートや臨界ノズル)とを組み合せた比較的簡単な機構によって各種流体の質量流量を高精度に制御することができるので広く利用されている。圧力式流量制御装置は、熱式流量制御装置とは異なり、一次側供給圧(コントロール弁の上流側の圧力)が大きく変動しても、安定した流量制御が行えるという、優れた流量制御特性を有している。
圧力式流量制御装置には、絞り部の上流側の流体圧力(以下、上流圧力P1と呼ぶことがある)を制御することによって流量を調整するものがある。上流圧力P1は、通常、絞り部上流側に設けたコントロール弁の開度を調整することによって制御される。臨界膨張条件(上流圧力P1/下流圧力P2≧約2:アルゴンガスの場合)を満たすとき、絞り部を流れるガスの速度は音速に固定され、絞り部の下流側に流れるガスの質量流量は、絞り部下流側の下流圧力P2の大きさにかかわらず上流圧力P1に比例することが知られており、上流圧力P1を制御することによって流量の制御が可能である。
国際公開第2017/170174号 国際公開第2021/111979号
ただし、長期間の使用等、特に使用するガス種によって、圧力式流量制御装置の絞り部には、腐食や目詰まり等が生じることがある。この場合、絞り部の開口面積が変化してしまい、上流圧力P1から算出される流量と、当初は適合していた実際の流量とがずれたものとなる。また、圧力式流量制御装置は、典型的には、サーマルセンサなどの流量計を有していないので、絞り部の開口変動後に流路を流れるガスの実際の流量を直接的に測定することはできない。このため、圧力式流量制御装置の構成を利用して、絞り部に異常が生じていないかどうかを判断するための自己診断機能を備えた圧力式流量制御装置が提案されている。
特許文献1に記載の圧力式流量制御装置では、臨界膨張条件を満足する期間において、コントロール弁を閉じた後の上流圧力の降下が測定され、これを基準値と比較することによって自己診断が行われる。また、圧力降下期間において、ln(P1(t)/P1i)=-α・tの関係(ここでP1(t)は時間tに対する上流圧力P1の関数、P1iは初期上流圧力)が成り立つことがわかり、圧力測定結果から得られた傾きαを基準傾きα0と比較することによって、絞り部に異常が生じているか否かを判定できることが開示されている。特許文献1に記載の自己診断方法は、半導体製造プロセスの終了時等において、そのときの流量にかかわらず、任意の流量または任意の初期上流圧力から自己診断を開始することができるという利点を有する。
ただし、自己診断を行った結果、絞り部に詰まりや開口拡大が生じていることが判明したとしても、使用者に警告を与えることは可能であるが、そのまま装置の使用を続けることは困難である。このため、従来、絞り部の異常が検知されたときは、絞り部の交換を必要としていたが、絞り部のみの交換は容易ではなかった。そこで、現実的な対応としては、圧力式流量制御装置の全体を新しいものと交換することが多かった。
このように圧力式流量制御装置を都度取り換えるとなると、コストが大幅にかさみ、また、利便性も低下する。特に、使用するガスの腐食性が高い場合など、絞り部の口径が変化しやすい使用環境にあっては、圧力式流量制御装置の取り換えの頻度が高くなるので大きな問題となる。したがって、絞り部の口径が変化しやすい場合にも、より長期間にわたって安定的に使用することができる圧力式流量制御装置への要望があった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、より安定的に継続的に使用できる圧力式流量制御装置を提供することを主たる目的とする。
本発明の実施形態による圧力式流量制御装置は、絞り部と、前記絞り部の上流側に設けられたコントロール弁と、前記絞り部と前記コントロール弁との間の流路の圧力である上流圧力を検出する上流圧力センサと、前記絞り部の下流側流路の圧力である下流圧力を検出する下流圧力センサと、前記上流圧力センサによって測定される上流圧力の圧力降下データと基準圧力降下データとを用いて診断する自己診断機能を有する制御機構とを備える、圧力式流量制御装置であって、前記制御機構は、前記コントロール弁を閉じたあとの、前記下流圧力に対する前記上流圧力の圧力比が規定値以上であることを示す臨界膨張条件を満足している期間において取得された圧力降下データを用いて、前記絞り部の開口変化の発生の有無を診断するステップと、前記開口変化の発生の有無の診断結果に基づいて、外部からの流量設定信号を補正するための補正式を決定するステップとを実行するように構成され、自己診断後に流量制御を行うときには、前記流量設定信号を前記補正式によって補正して得られた内部流量制御信号を用いて前記コントロール弁を制御できるように構成されている。
ある実施形態において、前記開口変化の有無を診断するステップにおいて、前記開口変化によって生じる基準流量に対する流量誤差を算出するステップを更に含み、前記算出された流量誤差に基づいて前記補正式が決定される。
ある実施形態において、前記流量設定信号が指定する流量がNであり、算出された前記流量誤差がx%のとき、前記補正式は、N-N・x%で与えられる。
ある実施形態において、前記制御機構は、前記補正式の逆変換を前記内部流量制御信号に対して施すことによって外部に出力するための流量出力信号を生成するように構成されている。
ある実施形態において、前記圧力降下データおよび前記基準圧力降下データとして、ln(P1(t)/P1i)=-αtで規定される直線の傾きαが用いられ、ここで、P1(t)は時間に対する上流圧力の関数、P1iは圧力降下開始時の初期上流圧力、tは時間である。
ある実施形態において、前記制御機構は、ln(P1(t)/P1i)=-αtで規定される直線の傾きαに対応する基準傾きα0を、初期上流圧力P1iに関連付けて有している。
本発明の実施形態の圧力式流量制御装置によれば、臨界膨張条件下での圧力降下データを用いて自己診断を正確に行うことができるようになり、また、流量自己診断の結果に基づいて流量制御の補正を行うことができるので、より継続的に精度よく流量制御を行うことが可能である。
本発明の実施形態による圧力式流量制御装置を示す模式図である。 ガス供給状態から閉弁動作を行ったときの、上流圧力P1および下流圧力P2の変化を示すグラフである。 開口部に異常が生じている場合の上流圧力の圧力降下の変化を示すグラフである。 (a)は、自己診断時における閉弁後の上流圧力の圧力降下データを示し、(b)は初期上流圧力値で除算したのちに対数を取った圧力降下データを示す。 初期流量(初期上流圧力に対応)と基準傾きとの関係を示すグラフである。 本発明の実施形態による流量自己診断および補正式決定の一実施形態を示すフローチャートである。 流量誤差に基づいて補正した内部流量制御信号に基づいて流量制御を行う態様を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
図1は、本実施形態による圧力式流量制御装置10を示す。圧力式流量制御装置10は、流路1に設けられた絞り部2と、絞り部2の上流側に設けられたコントロール弁6と、絞り部2とコントロール弁6との間の上流圧力P1を検出する上流圧力センサ3と、絞り部2の下流側の下流圧力P2を検出する下流圧力センサ4と、絞り部2とコントロール弁6との間の温度を検出する温度センサ5とを備えている。
上流圧力センサ3および下流圧力センサ4としては、例えば、半導体ピエゾ抵抗拡散圧力センサやキャパシタンスマノメータが用いられ、温度センサ5としては、例えば測温抵抗体やサーミスタが用いられる。コントロール弁6としては、例えば金属製ダイヤフラム弁体をピエゾアクチュエータによって開閉するピエゾ素子駆動型バルブ(以下、ピエゾバルブと称することがある)が用いられる。ピエゾバルブは、ピエゾ素子に印加する駆動電圧を調整することによって任意開度に開くことができる弁(比例弁)である。また、絞り部2としては、例えばオリフィスプレートや臨界ノズルが用いられ、絞り部2の開口径は、例えば10~2000μmに設定される。
圧力式流量制御装置10はまた、各センサ3、4、5およびコントロール弁6に接続された制御機構(または制御回路)7を備えている。制御機構7は、半導体製造装置のプロセス終了時(プロセスチャンバへのガス供給停止時)に自己診断機能を実行することができるように構成されている。本実施形態の制御機構7は、回路基板上に設けられたCPU、メモリ、A/Dコンバータ等を内蔵し、後述する動作を実行するためのコンピュータプログラムを含んでおり、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせによって実現される。制御機構7の一部または全ての構成要素は、圧力式流量制御装置10の外部に設けられていても良い。
圧力式流量制御装置10の上流側は図示しないガス供給源に接続されており、下流側は遮断弁11(典型的にはオンオフ弁)を介して半導体製造装置のプロセスチャンバ12に接続されている。プロセスチャンバ12には真空ポンプ13が接続されており、ガスGの供給時にプロセスチャンバ12の内部を真空引きすることができる。なお、図1に示す態様では、遮断弁11が圧力式流量制御装置10の外側に配置されているが、遮断弁11は圧力式流量制御装置10に内蔵されていてもよい。遮断弁11としては、例えばAOV(空気駆動弁)や電磁弁が用いられる。
半導体製造プロセスにおいて、プロセスチャンバ12にガスを供給するとき、制御機構7は、上流圧力センサ3(および下流圧力センサ4や温度センサ5)の出力を用いて、演算により流量を求めるとともに、絞り部2を通過する流量が設定流量になるようにコントロール弁6を制御する。演算により求められた流量は、外部制御装置の表示部に流量出力値として表示されてもよい。
より具体的には、臨界膨張条件(P1/P2≧約2:アルゴンガスの場合)を満たすときには、流量Q=K1P1(K1は流体の種類と流体温度に依存する比例係数)の関係にしたがって上流圧力センサ3の出力から演算流量を求め、演算流量が設定流量と同じになるようにコントロール弁6をフィードバック制御する。また、非臨界膨張条件下では、流量Q=K2P2m(P1-P2)n(K2は流体の種類と流体温度に依存する比例係数、指数m、nは実際の流量から導出された値)の関係にしたがって演算流量を求め、演算流量が設定流量と同じになるようにコントロール弁6をフィードバック制御する。
また、本実施形態の圧力式流量制御装置10は、コントロール弁6が閉状態へと移行してガス供給を停止するプロセス終了時において、自己診断を行うように構成されている。プロセス終了時においてコントロール弁6に加えて遮断弁11をも閉じて自己診断を行うこともでき、この場合には、任意のガス供給ラインにおいて、他のガス供給ラインを用いた半導体製造に影響を及ぼすことなく自己診断工程を実行することができる。
図2の実線で示すグラフは、コントロール弁6を閉じたときの、上流圧力P1および下流圧力P2の変化を示すグラフである。図2に示すように、コントロール弁6が、時刻t1に閉命令を受け、その後も閉状態に維持されているとき、上流圧力P1はガス流通時の初期上流圧力P1iから降下し、下流圧力P2も初期下流圧力P2iから降下する。
そして、本実施形態では、臨界膨張条件を満足する時刻t1~t2の間の臨界膨張期間Δt、すなわち、P1/P2≧約2(アルゴンガスの場合)が成立する期間内において測定したP1(t)に基づく自己診断を行う。このように、実際に臨界膨張条件下であるかどうかを確認しながら自己診断を行うことによって、流体供給制御系の設計や半導体製造プロセスの内容にかかわらず、診断に有効な最大限の圧力降下データ取得期間を確保することが可能になる。また、近年では、ガス供給時の下流圧力P2(すなわち、図2のおける初期下流圧力P2i)が比較的高いときもあるが、実際に臨界膨張条件下であるか否かを判定したうえで自己診断を行うので、診断精度を向上させることができるとともに、コントロール弁6のみを閉じることで、臨界膨張条件を維持できる期間がより長くなるため、より容易に自己診断を行い得る。
一方、図2の破線で示すグラフは、コントロール弁6と同時に遮断弁11を閉じたときの、上流圧力P1および下流圧力P2の変化を示すグラフである。上流圧力P1はガス流通時の初期上流圧力P1iから降下し、下流圧力P2はガス流通時の初期下流圧力P2iから上昇する。すなわち、絞り部2の上流側と下流側とで差圧が解消するように圧力変動が生じ、上流圧力P1と下流圧力P2とは、時間の経過とともに実質的に同じ平衡圧力値P’’へと収束する。臨界膨張条件を満足する時刻t1~t2‘の間の臨界膨張期間Δt’は、実線の場合と比べ短いものの、遮断弁11を閉じているので、他のガス供給ラインを用いた半導体製造に影響を及ぼすことなく自己診断工程を実行することができる。
臨界膨張条件の下限を示す圧力比P1/P2は、ガス種によって異なり、例えば、アルゴンガスの場合は2.05であるが、水素では1.90、窒素では1.89というように、ガス種それぞれで決まった値がある。また、臨界膨張条件は、上流ガス温度によっても変化する。このため、制御機構7は、ガスの種類およびガス温度のうちの少なくとも一方に基づいて、自己診断時における臨界膨張条件の判定式を決定するように構成されていてもよい。
以下、自己診断の具体例を説明する。制御機構7は、コントロール弁6を閉じた後、測定された上流圧力P1および下流圧力P2から臨界膨張条件下であるか否かを確認するとともに、臨界膨張期間Δtにおいて測定された上流圧力P1の圧力降下データP1(t)と、予め記憶された基準圧力降下データY(t)とを比較する。基準圧力降下データY(t)は、一般には、工場出荷前に予め計測され、制御機構7のメモリに記憶されている。基準圧力降下データY(t)は、ここでは工場出荷前に予め計測された正常時の圧力降下データであるが、異常状態時の測定データ、前回測定データ、または、測定によらない設定データなどであってもよい。
図3は、コントロール弁6を閉じた後の、正常時の上流圧力P1の圧力降下曲線A1、絞り部に目詰まりが生じているときの圧力降下曲線A2、および、絞り部に腐食等による開口拡大が生じているときの圧力降下曲線A3を示す。
図3からわかるように、絞り部2に目詰まりが生じている場合、ガスがより流れにくくなっているので、正常時の圧力降下曲線A1に対して圧力降下曲線A2は上側にずれる。このとき、上流圧力P1が所定値まで低下するまでに必要な時間がより長くなる。また、コントロール弁6を閉じた後の所定時間経過後の上流圧力P1が正常時に比べて高くなる。
一方、絞り部2の開口拡大が生じている場合、ガスがより流れやすくなっているので、正常時の圧力降下曲線A1に対して圧力降下曲線A3は下側にずれる。このとき、上流圧力P1が所定値まで低下するまでに必要な時間がより短くなる。また、コントロール弁6を閉じた後の所定時間経過後の上流圧力P1が正常時に比べて低くなる。
したがって、測定した圧力降下曲線とメモリされていた正常時の圧力降下曲線とを比較することによって、絞り部に目詰まりや開口拡大などの異常が生じているか否かを判断することができる。特に、本実施形態では、コントロール弁6を閉じた後にも臨界膨張条件を満足している期間に限定して自己診断を行うので、半導体製造プロセスの終了時などに向上した診断精度でこれを実施できる。
上記の上流圧力P1の圧力降下データP1(t)と基準圧力降下データY(t)との比較は、サンプリングポイントごとに生じた差の累積を求めることによって行うこともできるが、他の態様によって行うことも可能である。
図4(a)は、基準圧力降下データY(t)の一例を示す。基準圧力降下データY(t)によって示される上流圧力は、一般に指数関数的に減衰する。そして、基準圧力降下データY(t)は、図4(b)に示すように、下記式(1)で示す基準圧力降下データZ(t)として表すこともできる。
Z(t)=ln(P1(t)/P1i)=-(SC(RT)1/2/V)t ・・・(1)
上記式(1)において、P1iはコントロール弁6の閉鎖時の初期上流圧力、P1(t)は時間tが経過後の上流圧力、Sは絞り部2の開口断面積、Cはガス比熱比、Rはガス定数、Tはガス温度、Vはコントロール弁6と絞り部2との間の流路の内容積、tは時間である。
式(1)からわかるように、初期上流圧力P1iで除算した上流圧力P1の時間関数P1(t)の対数は、傾きα(=SC(RT)1/2/V)を用いて-α・tと表すことができる。この傾きα(より正確には負の傾き-αであるが、以下では絶対値としての正のαを傾きとして説明する)は、開口断面積Sを要素として含むものである。このため、正常時に測定した基準傾きα0をメモリしておき、これを自己診断時の上流圧力P1の測定から得られた近似直線の傾きαと比較することによっても、開口断面積Sの変化を検知することができる。
より具体的には、基準傾きα0に対して、測定により得られた傾きαが閾値以上小さい(すなわち直線グラフの傾きがより緩やか)であるときには、開口断面積Sが基準より小さくなっており、絞り部2に詰まり等の開口縮小が生じたものと判断できる。また、基準傾きα0に対して、測定により得られた傾きαが閾値以上大きい(すなわち直線グラフの傾きがより急峻)であるときには、開口断面積Sが基準より大きくなっており、絞り部2に腐食等による開口拡大が生じたものと判断できる。
また、上記の対数をとった基準圧力降下データZ(t)=ln(P1(t)/P1i)は、初期上流圧力P1iおよび初期流量、すなわち、コントロール弁閉鎖直前の開始時上流圧力P1iまたは開始時流量の大きさに関わらず、ほぼ同じ直線を示すことが、本発明者の実験によって確認されている。このため、基準傾きα0としては、初期流量の大きさによらず、1つの値を用いることもできる。
ただし、他の実施形態において、初期流量に対応づけられた基準圧力降下データ(基準傾きα0)を用いて自己診断を行うこともできる。図5は、初期流量に対応付けて設定された基準傾きαxを示すグラフである。図5を参照してわかるように、初期流量と基準傾きαxとの関係は、複数の離散的な定点D1~D6(初期流量と基準傾きとの組み合わせ)のデータを、制御機構7のメモリに補正テーブルとして格納しておくとともに、初期流量が定点D1~D6の間のときには、補正テーブルを参照して計算により基準傾きを求めることができる。具体的には、図5に示すように、例えば初期流量が2つの定点D3、D4の間の流量X%にあるとき、この2つの定点D3、D4を結ぶ直線の式を参照して、初期流量X%から基準傾きαxを計算により求めることができる。
このように、制御機構7が、基準傾きαxを、初期流量X%または初期上流圧力P1iの関数として有していることによって、任意の初期流量X%または初期上流圧力P1iに対してより適切な基準傾きαxを用いることができる場合がある。これによって、自己診断の精度をより向上させ得る。
なお、上記の基準傾きおよび自己診断時の測定傾きは、圧力降下データの一部分(例えば、100%流量から70%流量に低下するまでの期間)だけを用いて得ることもできる。初期段階のデータを選択的に用いてln(P1(t)/P1i)の傾きを求めるようにすれば、サンプル数を少なくすることができるので、データサンプリングの高速化を実現することができる。これにより、半導体製造の1プロセスを構成する複数のステップ間などの短い時間においても自己診断が可能となり、異常の検出をより頻繁に行うことも可能になる。
また、上記のように、傾きα(=SC(RT)1/2/V)は、ガス温度Tによっても変化し得る。したがって、傾きαまたは基準傾きα0を温度Tに基づいて補正することによって、絞り部開口断面積Sの変化をより正確に推定し得る。
以上のようにして、プロセス終了時等におけるコントロール弁閉鎖後の上流圧力の測定によって、絞り部の開口面積の変化を測定することが可能であるが、本実施形態の圧力式流量制御装置は、有意な開口面積変化が検出されたときには、その度合いから流量誤差がどの程度生じているかをさらに判定する。そして、求めた流量誤差に基づいて、外部から与えられた流量設定信号を補正するための補正式を決定する。そして、補正式に従って内部流量制御信号を生成し、これを用いて、現在の絞り部開口面積に適合するようにその後の流量制御を行う。これによって、絞り部の開口面積が変化した後でも、絞り部や圧力式流量制御装置の交換を必要とせずに、続けて圧力式流量制御装置を使用することができる。このため、HF(フッ化水素)のような比較的腐食性が高いガスの流量制御を行う場合であっても、絞り部の開口面積の変化の発生にかかわらず、より長期間にわたって継続的に安定して流量制御を行うことが可能である。
なお、本願出願人による特許文献2(国際公開第2021/111979号)には、流量制御装置の上流側の圧力(供給圧力P0)を用いて自己診断を行い、その結果に基づいて流量制御装置を校正することが記載されている。しかしながら、特許文献2は、コントロール弁を閉じた状態で上流圧力P1を用いてプロセス終了時などに自己診断を行う技術に関連するものではなく、また、流量制御装置の具体的な校正方法までは開示するものではないことに留意されたい。
以下、本実施形態における流量制御の具体例について説明する。図6は圧力式流量制御装置10で行った自己診断の結果に基づいて内部流量制御信号を生成するための補正式を決定する工程を示すフローチャートである。また、図7は、圧力式流量制御装置10において、測定した流量誤差に基づいて生成された内部流量制御信号を用いて流量制御を行う態様を説明するための図である。
図6に示すように、圧力式流量制御装置10では絞り部の状態を判定するための自己診断が行われ、まずステップS1に示すように、設定流量、例えば60%設定流量でガスが流されている状態で制御機構7がガス供給の停止命令を受け取り、コントロール弁6に閉命令(例えば流量0%命令)を出す。
次に、ステップS2に示すように、上流圧力センサ3および下流圧力センサ4の出力に基づいて臨界膨張条件を満たしているか否かを判定しながら、上流圧力センサ3の出力をサンプリングし、圧力降下データP1(t)を取得する。
次に、ステップS3に示すように、ln(P1(t)/P1i)=-αtの関係に従って、最小二乗法などにより近似直線の傾きαを求め、これを予めメモリに格納していた基準傾きα0と比較する。次にステップS4に示すように、この比較結果が許容範囲内であるとき、例えば、差(α-α0)の絶対値が閾値以下のときは、ステップS7に示すように、絞り部に異常が発生しておらず、流量制御信号の補正は必要ないものと判断して診断工程を終了する。
一方、ステップS4において、誤差が許容範囲ではないと判断されたときは、ステップS5に示すように、現在の状態で、どれほどの流量誤差が生じているのかを算出により求める。この工程は、例えば、式(1)に基づいて、差(α-α0)を、絞り部2の開口断面積の変化量ΔSに変換し、これを流量演算式Q=K1P1に代入して求めることができる。ここで、流量演算式Q=K1P1において、係数K1は、例えば、K1=S・FF/T1/2で与えられる。この式において、Sは、上記の開口断面積であり、FFはガス物性によって決まる定数(フローファクタと呼ばれることがある)であり、Tはガス温度である。したがって、開口断面積の変化量ΔSが検出できれば、現行のQ=K1P1から求められる演算流量が実際の流量に対してどれくらいずれているのかを算出により求めることができる。
このようにして、自己診断工程の結果から、流量誤差Qeが求められる。流量誤差Qeは、典型的には、その流量に対する誤差率として求められる。例えば外部から与えられる目標値である基準流量が10sccmのときに、上記開口断面積の変化量ΔSから求められた流量誤差が+1.5%と判明したとき、表示流量が10sccmであるにも関わらず、実際に流れているガスは10.15sccmであると考えることができる。
そこで、求められた流量誤差に基づいて、次回以降の流量制御で用いる内部流量制御信号を生成するための補正式が決定される。補正式は、流量誤差をx%ととし、設定流量をNとしたときに、例えば、N-N・x%で与えられる。このように補正式が決定すれば、その後は、外部からの流量設定信号を、補正式を用いて補正することによって内部流量制御信号を生成し、内部流量制御信号に従ってコントロール弁の制御を行えば、開口面積の変化が生じている状態であっても、設定流量通りの流量制御を行うことが可能になる。
図7は、フルスケール(定格)流量100sccmの圧力式流量制御装置において、10sccmでガスを流したいときに、判明した誤差x%に基づいて決定された補正式を用いて流量制御を行う場合の制御動作を示す。
図7に示すように、圧力式流量制御装置10には、外部制御機構20が接続されている。外部制御機構20は、ユーザが操作する外部装置と圧力式流量制御装置10の制御機構7との間に設けられるものであるが、外部装置に組み込まれていても良いし、圧力式流量制御装置10において、入出力信号を制御する部分として組み込まれていても良い。
まず、外部装置から10sccmでガスを流す指令が入力されると、外部制御機構20は、流量値変換回路を介して、定格(100sccm)の10%流量でガスを流す指令に変換する。この10%流量設定信号は圧力式流量制御装置10の制御機構に入力されるが、圧力式流量制御装置10は、予め実施された自己診断工程で求められていた上記の流量誤差x%に基づいて、内部流量制御信号を生成する。ここでは、10%流量設定に対して、10%-10%×x%の信号に補正する。例えば、開口拡大などの影響により生じた流量誤差が上記のように1.5%であったときには、内部流量制御信号は、目標流量を10%-10%×x%=9.85%流量に設定する。また、例えば、開口詰まりなどの影響により生じた流量誤差が-1.5%であったときには、目標流量を10%-10%×x%=10.15%流量に設定する。
そして、このように補正された内部流量制御信号によってコントロール弁6を制御することによって、絞り部の開口面積の変化が生じた状態のままで、入力された流量設定信号通りにガス流量を制御することが可能になる。
ただし、内部流量制御信号は補正されているが、流量表示信号などとして外部に出力すべき信号は、内部流量制御信号とは異なる。そこで、本実施形態では、内部流量制御信号に従って流量制御された結果得られる流量出力信号に対して、今度は、適用した補正式の逆変換を施すことによって、元に戻した状態の流量出力信号を生成している。これにより、外部に出力するための流量出力信号としては、10%流量に対応する出力が外部制御機構20に与えられ、ユーザに表示される信号としても10%流量(10sccm)に対応する流量が表示される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、種々の改変が可能である。例えば、上記には、流量をN、判明した流量誤差をx%として、補正式をN-N・x%に設定する場合を説明したが、これに限られない。例えば、誤差x%を含む流量変化率で除算した値を目標流量に設定するために、補正式を、N×(100/(100+x))に設定してもよい。また、上記には、プロセス終了時の自己診断工程から求めた流量誤差x%に基づいて補正式を決定し、これを用いて次回以降の内部流量制御信号を生成する態様を説明したが、開始流量ごとに自己診断工程を実施して、流量誤差xをそれぞれ測定しておき、次回以降の内部流量制御信号は、各設定流量に対応する流量誤差xを用いて生成するようにしてもよい。また、制御流量が大流量域であるときと小流量域であるときとで異なる補正式を用いる制御を行ってもよい。
本発明の実施形態による圧力式流量制御装置は、半導体製造設備等において供給するガスの流量を長期間にわたり精度よく制御するための好適に利用される。
1 流路
2 絞り部
3 上流圧力センサ
4 下流圧力センサ
5 温度センサ
6 コントロール弁
7 制御機構
10 圧力式流量制御装置
11 遮断弁
12 プロセスチャンバ
13 真空ポンプ

Claims (6)

  1. 絞り部と、
    前記絞り部の上流側に設けられたコントロール弁と、
    前記絞り部と前記コントロール弁との間の流路の圧力である上流圧力を検出する上流圧力センサと、
    前記絞り部の下流側流路の圧力である下流圧力を検出する下流圧力センサと、
    前記上流圧力センサによって測定される上流圧力の圧力降下データと基準圧力降下データとを用いて診断する自己診断機能を有する制御機構と
    を備える、圧力式流量制御装置であって、
    前記制御機構は、
    前記コントロール弁を閉じたあとの、前記下流圧力に対する前記上流圧力の圧力比が規定値以上であることを示す臨界膨張条件を満足している期間において取得された圧力降下データを用いて、前記絞り部の開口変化の有無を診断するステップと、
    前記開口変化の有無の診断結果に基づいて、外部からの流量設定信号を補正するための補正式を決定するステップとを実行するように構成され、
    自己診断後に流量制御を行うときには、前記流量設定信号を前記補正式によって補正して得られる内部流量制御信号を用いて前記コントロール弁を制御することができるように構成されている、圧力式流量制御装置。
  2. 前記絞り部の開口変化の有無を診断するステップにおいて、前記絞り部の開口変化によって生じる基準流量に対する流量誤差を算出するステップを更に含み、前記算出された流量誤差に基づいて前記補正式が決定される、請求項1に記載の圧力式流量制御装置。
  3. 前記流量設定信号が指定する流量がNであり、算出された前記流量誤差がx%のとき、前記補正式は、N-N・x%で与えられる、請求項2に記載の圧力式流量制御装置。
  4. 前記制御機構は、前記内部流量制御信号に従って流量制御された結果得られる流量出力信号に対して前記補正式の逆変換を施すことによって外部に表示するための流量出力信号を生成するように構成されている、請求項1から3のいずれかに記載の圧力式流量制御装置。
  5. 前記圧力降下データおよび前記基準圧力降下データとして、ln(P1(t)/P1i)=-αtで規定される直線の傾きαが用いられ、ここで、P1(t)は時間に対する上流圧力の関数、P1iは圧力降下開始時の初期上流圧力、tは時間である、請求項1から4のいずれかに記載の圧力式流量制御装置。
  6. 前記制御機構は、ln(P1(t)/P1i)=-αtで規定される直線の傾きαに対応する基準傾きα0を、初期上流圧力P1iに関連付けて有している、請求項5に記載の圧力式流量制御装置。
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