JP2023018234A - 塗料組成物、被覆物品および硬化膜の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便に製造可能であり、優れた硬度、耐薬品性、防汚性、耐候性を有する硬化被膜を与える、有機樹脂とオルガノポリシロキサンとを含む塗料組成物を提供すること。【解決手段】(A)アクリルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールから選ばれるポリオール、(B)イソシアネート基を有し、かつケイ素原子を有しないポリイソシアネート、(C)イソシアネート基を有する有機ケイ素化合物、(D)下記式(I)で表されるオルガノポリシロキサンTIFF2023018234000010.tif10150(R1は一価炭化水素基、R2は水素原子またはアルキル基を表し、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦0.5、0≦d<1、a+b+c+d=1、0.5<(a+b)≦1、0<e≦4である。)を含み、(NCO(B)/OH(A))が0.5~1.1、(NCO(C)/OH(A))が0.03~0.5である塗料組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、塗料組成物、被覆物品および硬化膜の形成方法に関し、さらに詳述すると、有機樹脂とオルガノポリシロキサンとを含む塗料組成物、当該塗料組成物からなる硬化膜を有する被膜物品、および当該塗料組成物からなる硬化膜の形成方法に関する。
オルガノポリシロキサン系樹脂を主成分とした塗料は、塗膜硬度、耐薬品性、耐熱性、耐候性等に優れることから、建築や土木構造物の分野で汎用されている。
このオルガノポリシロキサン系塗料は、上記利点を有している反面、硬化速度が遅く、また、得られた塗膜が耐クラック性に劣るという欠点も有している。
これらの欠点を改善すべく、従来、オルガノポリシロキサンと、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の有機樹脂とを混合した組成物を塗料として用いる手法が知られている。このような組成物として、例えば、シリル基含有ビニル系重合体、シラノール基含有オルガノポリシロキサンおよびアルコキシ基含有オルガノポリシロキサンを含む塗料用組成物が提案されている(特許文献1)。
しかし、この組成物は、硬化性や耐クラック性は改善するものの、オルガノポリシロキサン系樹脂塗膜の特徴である、塗膜硬度、耐薬品性、耐熱性、耐候性等が低下してしまうという問題がある。
また、特許文献2~5には、有機樹脂とオルガノシランまたはオルガノポリシロキサンとを反応させて複合化を行う手法が開示されているが、この手法は、樹脂を複合化するための合成設備が必要であるため、汎用性という点で問題がある。
このため、オルガノポリシロキサンと有機樹脂との両者の特性を引き出すための簡便な手法が求められている。
特開平3-197548号公報 特開平11-116683号公報 特開平5-345877号公報 特許第5384939号公報 特許第6113456号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、簡便に製造可能であり、優れた硬度、耐薬品性、防汚性、耐候性を有する硬化被膜を与える、有機樹脂とオルガノポリシロキサンとを含む塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ポリオール、ポリイソシアネート、イソシアネート基を有する有機ケイ素化合物および所定のオルガノポリシロキサンを所定割合で混合した塗料組成物が、常温で硬化可能であるとともに、当該組成物から得られた塗膜が、硬度等の上記特性を満たすことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
1. (A)アクリルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールからなる群より選択される1種または2種以上のポリオール、
(B)1分子中にイソシアネート基を2個以上有し、かつケイ素原子を有しないポリイソシアネート、
(C)イソシアネート基を有する有機ケイ素化合物、および
(D)下記式(I)で表されるオルガノポリシロキサン:(A)成分100質量部に対して5~50質量部
Figure 2023018234000001
(式中、R1は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基を表し、R2は、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基を表し、a、b、c、dは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦0.5、0≦d<1、a+b+c+d=1、かつ、0.5<(a+b)≦1を満たす数であり、eは、0<e≦4を満たす数である。)
を含み、
前記(A)成分中の水酸基の個数に対する前記(B)成分中のイソシアネート基の個数の比(NCO(B)/OH(A))が、0.5~1.1であり、前記(A)成分中の水酸基の個数に対する前記(C)成分中のイソシアネート基の個数の比(NCO(C)/OH(A))が、0.03~0.5である塗料組成物、
2. 前記(A)成分が、アクリルポリオール、ポリエステルポリオールまたはこれらの両方である1記載の塗料組成物、
3. 前記(A)成分中の水酸基の個数に対する前記(B)成分および前記(C)成分中のイソシアネート基の合計個数の比[(NCO(B)+NCO(C))/OH(A)]が、0.8~1.2である1または2記載の塗料組成物、
4. 前記式(I)において、R1の全数のうち、置換または非置換の炭素原子数6~12のアリール基の占める割合が、20%以上である1~3のいずれかに記載の塗料組成物、
5. 前記式(I)において、R1が、それぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数2~8のアルケニル基、炭素原子数6~10のアリール基または炭素原子数7~10のアラルキル基である1~4のいずれかに記載の塗料組成物、
6. 前記式(I)において、R1が、それぞれ独立して、メチル基、エチル基またはフェニル基である5記載の塗料組成物、
7. 前記式(I)において、R2の全数のうち、炭素原子数1~6のアルキル基の割合が、80%以上である1~6のいずれかに記載の塗料組成物、
8. 前記式(I)において、dが、0である1~7のいずれかに記載の塗料組成物、
9. 前記(D)成分のゲル浸透クロマトグラフィーにおけるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1,000~10,000である1~8のいずれかに記載の塗料組成物、
10. 前記(D)成分の25℃における動粘度が、1~200mm2/sである1~9のいずれかに記載の塗料組成物、
11. さらに、(E)硬化触媒を含む1~10のいずれかに記載の塗料組成物、
12. 前記(A)~(D)成分を、10~40℃で混合する1~11のいずれかに記載の塗料組成物の製造方法、
13. 1~11のいずれかに記載の塗料組成物から形成された硬化膜、
14. 基材と、この基材の少なくとも一方の面に、直接または1つ以上のその他の層を介して形成された13記載の硬化膜とを有する被覆物品、
15. 基材の少なくとも一方の面に、直接または1つ以上のその他の層を介して1~11のいずれかに記載の塗料組成物を塗布した後、塗料組成物を硬化させる、基材上への硬化膜の形成方法
を提供する。
本発明の塗料組成物は、ポリオール、ポリイソシアネート、イソシアネート基を有する有機ケイ素化合物および特定のオルガノシロキサンおよび/またはその縮合物を混合するだけで製造でき、硬度、耐薬品性、防汚性、耐候性に優れる硬化膜を与えることから、種々の被膜物品の製造に好適である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の塗料組成物は、下記(A)~(D)成分を含む。
(A)ポリオール
(B)ポリイソシアネート
(C)イソシアネート基を有する有機ケイ素化合物
(D)下記式(I)で表されるオルガノポリシロキサン
Figure 2023018234000002
(1)(A)ポリオール
(A)成分のポリオールは、1分子中に2個以上の反応性水酸基を有し、硬化触媒の存在下または非存在下において、イソシアネート基を有する(B)成分および(C)成分と反応して架橋構造を形成する成分である。
ポリオールとしては、水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーと他の任意の(メタ)アクリルモノマー等との(共)重合体であるアクリルポリオール、多塩基酸と多価アルコールとの縮重合体であるポリエステルポリオール(多塩基酸および脂肪酸と多価アルコールとの縮重合体であるアルキドポリオールを含む)、多価アルコールとアルキレンオキサイドとの付加重合体であるポリエーテルポリオール等が挙げられる。
これらの中でも、アクリルポリオール、ポリエステルポリオールが好ましく、得られる塗膜の透明性や光沢に優れることから、アクリルポリオールが特に好ましい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリルモノマーは、アクリルモノマーおよびメタクリルモノマーの双方を含む意味である。
アクリルポリオールの原料モノマーである水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、具体的には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ-2-ヒドロキシエチルフマレート、モノ-2-ヒドロキシエチルモノブチルフマレート、ポリエチレングルコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、「プラクセルFMまたはプラクセルFA」〔ダイセル化学(株)製のカプロラクトン付加モノマー〕等の各種α,β-エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類、またはこれらとε-カプロラクトンとの付加物等が挙げられる。
これらの中でも、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが、反応が容易であり、好ましい。
水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーと共重合可能な他の(メタ)アクリルモノマーとしては、特に限定はなく、公知のモノマーを使用することが可能である。また、ビニルモノマーも共重合可能である。
例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の炭素原子数が1~22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類;ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェニルエチル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、4-メトキシブチル(メタ)アクリレート等のω-アルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;スチレン、p-tert-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル系モノマー類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;クロトン酸メチル、クロトン酸エチル等のクロトン酸のアルキルエステル類;ジメチルマレート、ジ-n-ブチルマレート、ジメチルフマレート、ジメチルイタコネート等の不飽和二塩基酸のジアルキルエステル類;エチレン、プロピレン等のα-オレフィン類;フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン等のフルオロオレフィン類;エチルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のシクロアルキルビニルエーテル類;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルピロリジン、N-ビニルピロリドン等の3級アミド基含有モノマー類などが挙げられる。
これらのモノマーを共重合させる際の重合方法、溶剤、および重合開始剤は、特に限定されるものではなく、例えば、塊状ラジカル重合、溶液ラジカル重合、非水分散ラジカル重合等の種々の重合法により、必要に応じてヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、イソプロピルアルコール等のアルコール類等の溶媒を用い、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、tert-ブチルパーオキシピバレート、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の重合開始剤を使用して重合を実施することができる。
(A)成分のポリオールの分子量は、特に限定されるものではないが、硬化性、耐候性および塗装性の観点から、ゲル浸透クロマトグラフィーにおけるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、好ましくは1,000~100,000であり、より好ましくは2,000~80,000である。
(A)成分に含まれる水酸基の量は、特に限定されるものではないが、水酸基価として、10~200mgKOH/gが好ましく、20~180mgKOH/gがより好ましい。なお、本発明において、水酸基価は、JIS K 0070:1992による値である。
なお、(A)成分は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)成分としては、市販品を用いることができ、例えば、アクリディックA-801P(アクリルポリオール)、バーノックD-220(ポリエステルポリオール)(いずれもDIC(株)製)等が挙げられる。
(2)(B)ポリイソシアネート
(B)成分は、1分子中にイソシアネート基を2個以上有し、かつケイ素原子を有しないポリイソシアネートである。
ポリイソシアネートとしては、芳香族、脂肪族、芳香脂肪族、脂環族ポリイソシアネート等の公知のものを使用することができるが、屋外での長期使用という観点から、脂肪族ジイソシアネートを主原料とする脂肪族ポリイソシアネートが好適である。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(以下「HDI」と略す)、2,2,4-(または、2,4,4)-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソイシアネート、リジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4-ジイソシアネートシクロヘキサン、1,3-ビス(ジイソシアネートメチル)シクロヘキサン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
これらの中でも、得られる塗膜の耐クラック性とコストの観点から、HDIが特に好適である。
脂肪族ジイソシアネートから得られる脂肪族ポリイソシアネートとしては、アロファネート型ポリイソシアネート、ビウレット型ポリイソシアネート、アダクト型ポリイソシアネートおよびイソシアヌレート型ポリイソシアネート等が挙げられるが、いずれも好適に使用することができる。
なお、前記したポリイソシアネートとしては、種々のブロック剤でブロック化された、いわゆるブロックポリイソシアネート化合物を使用することもできる。
ブロック剤としては、例えば、メタノール、エタノール、乳酸エステル等のアルコール類;フェノール、サリチル酸エステル等のフェノール性水酸基含有化合物類;ε-カプロラクタム、2-ピロリドン等のアマイド類;アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム等のオキシム類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン化合物類等を使用することができる。
(B)成分に含まれるイソシアネート基の量は、特に限定されるものではないが、イソシアネート含有率として、5~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましい。なお、本発明において、イソシアネート含有率は、JIS K1603-1:2007による値である。
(B)成分としては、市販品を用いることができ、例えば、DN-901S、DN-990S(いずれもDIC(株)製)等が挙げられる。
(B)成分の配合量は、前記(A)成分中の水酸基の個数に対する前記(B)成分中のイソシアネート基の個数の比(NCO(B)/OH(A))が、0.5~1.1となる量であるが、好ましくは0.7~1.0となる量である。0.5未満では、得られる硬化膜の硬度、耐薬品性、耐候性が劣り、1.1を超えると、得られる硬化膜の耐薬品性、防汚性、耐候性が劣る。
なお、(B)成分は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(3)(C)イソシアネート基を有する有機ケイ素化合物
(C)成分は、イソシアネート基を有する有機ケイ素化合であり、1分子中に1個または2個のイソシアネート基を有しているものが好ましい。
(C)成分としては、下記一般式(II)で表される有機ケイ素化合物を使用することができる。
Figure 2023018234000003
式中、Xは、炭素原子を1個以上有する2価の連結基であり、例えば、炭素原子数1~10の2価炭化水素基が挙げられる。2価炭化水素基としては、炭素原子数1~10の直鎖、分岐または環状のアルキレン基、炭素原子数6~10のアリーレン基等が好ましく、その具体例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、イソブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン基;フェニレン、ナフチレン基などが挙げられる。
3は、それぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基であり、その具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、n-オクチル基等が挙げられる。
4は、それぞれ独立して、炭素原子数1~6のアルキル基であり、その具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル基等が挙げられる。
fは、1~2の数であり、gは、0~2の数であり、hは、1~3の数である。
上記一般式(II)で表される有機ケイ素化合物の具体例としては、例えば、イソシアネートメチルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、イソシアネートイソプロピルトリメトキシシラン、4-イソシアネート-n-ブチルトリメトキシシラン、イソシアネート-t-ブチルトリメトキシシラン、イソシアネートメチルメチルジメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、イソシアネートメチルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネートメチルメチルジエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、イソシアネートイソプロピルトリエトキシシラン、4-イソシアネート-n-ブチルトリエトキシシラン、イソシアネート-t-ブチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
(C)成分に含まれるイソシアネート基の量は、特に限定されるものではないが、イソシアネート含有率として、1~40質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましい。
(C)成分の配合量は、前記(A)成分中の水酸基の個数に対する前記(C)成分中のイソシアネート基の個数の比(NCO(C)/OH(A))が、0.03~0.5となる量であるが、好ましくは0.03~0.3となる量である。0.03未満では、得られる硬化膜の耐薬品性、防汚性、耐候性が劣り、0.5を超えると、得られる硬化膜の硬度、耐薬品性、耐候性が劣る。
また、前記(A)成分中の水酸基の個数に対する前記(B)成分および前記(C)成分中のイソシアネート基の合計個数の比[(NCO(B)+NCO(C))/OH(A)]は、好ましくは0.8~1.2である。
なお、(C)成分は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(4)(D)オルガノポリシロキサン
(D)成分は、下記式(I)で表されるシロキサン単位構成比を有するオルガノポリシロキサンである。
Figure 2023018234000004
1は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基を表し、R2は、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基を表し、a、b、c、dは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦0.5、0≦d<1、a+b+c+d=1、かつ、0.5<(a+b)≦1を満たす数であり、eは、0<e≦4を満たす数である。
1の一価炭化水素基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、例えば、炭素原子数1~12、好ましくは炭素原子数1~8のアルキル基;炭素原子数2~12、好ましくは炭素原子数2~8のアルケニル基;炭素原子数6~12、好ましくは炭素原子数6~10のアリール基;炭素原子数7~12、好ましくは炭素原子数7~10のアラルキル基等が挙げられる。
炭素原子数1~12のアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル基等が挙げられる。
炭素原子数2~12のアルケニル基の具体例としては、ビニル、アリル基等が挙げられる。
炭素原子数6~12のアリール基の具体例としては、フェニル、ナフチル基等が挙げられる。
炭素原子数7~12のアラルキル基の具体例としては、ベンジル、フェニルエチル基等が挙げられる。
また、これら一価炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子や、シアノ基等のその他の置換基で置換されていてもよく、それらの具体例としては、クロロメチル、ブロモエチル、トリフルオロプロピル、クロロフェニル、ブロモフェニル基等のハロゲン置換炭化水素基;シアノエチル基等のシアノ置換炭化水素基などが挙げられる。
これらの中でも、R1としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、フェニル、ベンジル、ビニル基が好ましく、メチル、エチル、フェニル基がより好ましい。
なお、上記R1は、好ましくはR1の全数のうち20%以上が置換または非置換の炭素原子数6~12のアリール基であり、より好ましくはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数6~12のアリール基である。
一方、R2の炭素原子数1~6のアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ヘキシル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル、エチル基が好ましい。
また、本発明において、R2の全数のうち、炭素原子数1~6のアルキル基の割合は、80%以上が好ましい。
aは、0≦a≦1を満たす数であるが、得られる硬化膜のクラック抑制効果の観点から、0≦a≦0.8が好ましく、0≦a≦0.3がより好ましい。
bは、0≦b≦1を満たす数であるが、得られる硬化膜の耐擦傷性の観点から、0.1≦b≦0.8が好ましく、0.2≦b≦0.6がより好ましい。
cは、0≦c≦0.5を満たす数であるが、組成物の硬化性および得られる硬化膜の硬度の観点から、0≦c≦0.4が好ましく、0.1≦c≦0.3がより好ましい。
dは、0≦d<1を満たす数であるが、組成物の硬化性および得られる硬化膜の硬度の観点から、0≦d≦0.4が好ましく、0がより好ましい。
eは、0<e≦4を満たす数であるが、縮合性官能基による縮合反応の抑制に効果的であることや、得られる硬化膜の耐クラック性、耐水性および耐候性の観点から、0<e≦3を満たす数が好ましい。
なお、a+b+c+d=1であり、かつ、a+bは、0.5<(a+b)≦1、好ましくは0.7≦(a+b)≦1を満たす数である。
(D)成分は、一般的なオルガノポリシロキサンの製造方法に従って製造することができ、例えば、加水分解性基を有するシラン化合物を加水分解縮合させて得ることができる。
加水分解性基を有するシラン化合物は、加水分解性基であるクロルまたはアルコキシ基をケイ素原子上に1~4個含有し、上記条件を満たす有機置換基を有するシラン化合物であれば特に限定されるものではない。
その具体例としては、テトラクロロシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルイソプロポキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、プロピルメチルジクロロシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、プロピルメチルジエトキシシラン、ヘキシルメチルジクロロシラン、ヘキシルメチルジメトキシシラン、ヘキシルメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジクロロシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルフェニルクロロシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルフェニルエトキシシラン、およびこれらの部分加水分解物等が挙げられるが、操作性、副生物の留去のしやすさ、および原料の入手の容易さから、メトキシシラン、エトキシシランが好適である。
なお、上記シラン化合物は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
加水分解を実施するに際し、加水分解触媒を使用してもよい。加水分解触媒としては、従来公知の触媒を使用することができ、その水溶液がpH1~7の酸性を示すものが好ましく、特に酸性のハロゲン化水素、スルホン酸、カルボン酸、酸性または弱酸性の無機塩、イオン交換樹脂等の固体酸等が好ましい。
酸性触媒の具体例としては、フッ化水素、塩酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸、マレイン酸、安息香酸、乳酸、燐酸、表面にスルホン酸またはカルボン酸基を有するカチオン交換樹脂等が挙げられる。
加水分解触媒の使用量は、特に限定されるものではないが、反応を速やかに進行させるとともに、反応後の触媒の除去の容易性を考慮すると、加水分解性シラン1モルに対して0.0002~0.5モルの範囲が好ましい。
加水分解性シランと、加水分解縮合反応に要する水との質量比は、特に限定されるものではないが、触媒の失活を防いで反応を十分に進行させるとともに、反応後の水の除去の容易性を考慮すると、加水分解性シラン1モルに対し、水0.1~10モルの割合が好ましい。
加水分解縮合時の反応温度は、特に限定されるものではないが、反応率を向上させるとともに、加水分解性シランが有する有機官能基の分解を防止することを考慮すると、-10~150℃が好ましい。
なお、加水分解縮合の際には、有機溶剤を使用してもよい。使用できる有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
また、(D)成分は、溶剤等を除く不揮発分が85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。揮発分が多くなると、組成物を硬化した際のボイド発生による外観の悪化や、機械的性質の低下の原因となるおそれがある。
(D)成分の分子量は、特に限定されるものではないが、ゲル浸透クロマトグラフィーにおけるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000~10,000であることが好ましい。
(D)成分の動粘度は、特に限定されるものではないが、1~200mm2/sが好ましい。なお、動粘度は、JIS-Z-8803に準拠し、キャノン-フェンスケ粘度計による25℃での測定値である。
(D)成分の配合量は、上記(A)成分の不揮発分100質量部に対して、不揮発分質量で5~50質量部であるが、5~40質量部が好ましい。(D)成分の量が上記範囲より少ないと、得られる硬化膜の耐候性、防汚性が不十分であり、一方、多すぎると耐薬品性、硬度、耐候性が不十分となる。
なお、(D)成分は、単一の組成でも、組成の異なる複数の化合物の混合物であってもよい。特に、平均組成の異なる複数の化合物を混合することで好適に製造できる。
(5)(E)硬化触媒
本発明の塗料組成物は、硬化触媒を含有していてもよい。硬化触媒としては、オルガノシロキサン系塗料において一般的に用いられるものであれば、特に限定されるものではないが、有機金属化合物が好ましく、例えば、Ti、Al、Zr、Sn等の金属アルコキシド化合物、金属キレート化合物、金属エステル化合物等が挙げられるが、有機錫化合物を含むものが好ましい。
金属アルコキシド化合物の具体例としては、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ-n-プロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリ-n-ブトキシド、アルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリ-s-ブトキシド、アルミニウムトリ-t-ブトキシド等のアルミニウムアルコキシド;テトラメチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラ-n-プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、テトライソブチルチタネート、テトラ-t-ブチルチタネート、テトラ-n-ヘキシルチタネート、テトライソオクチルチタネート、テトラ-n-ラウリルチタネート等のチタニウムアルコキシド;テトラエチルジルコネート、テトラ-n-プロピルジルコネート、テトライソプロピルジルコネート、テトラ-n-ブチルジルコネート、テトラ-s-ブチルジルコネート、テトラ-t-ブチルジルコネート、テトラ-n-ペンチルジルコネート、テトラ-t-ペンチルジルコネート、テトラ-t-ヘキシルジルコネート、テトラ-n-ヘプチルジルコネート、テトラ-n-オクチルジルコネート、テトラ-n-ステアリルジルコネート等のジルコニウムアルコキシド;ジブチルスズジブトキシドなどが挙げられる。
金属キレート化合物の具体例としては、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(n-プロピルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(イソプロピルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(n-ブチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(プロピオニルアセトナト)アルミニウム、ジイソプロポキシプロピオニルアセトナトアルミニウム、アセチルアセトナト・ビス(プロピオニルアセトナト)アルミニウム、モノエチルアセトアセテート・ビス(アセチルアセトナト)アルミニウム、アセチルアセトナトアルミニウム・ジ-s-ブチレート、メチルアセトアセテートアルミニウム・ジ-s-ブチレート、ジ(メチルアセトアセテート)アルミニウム・モノ-tert-ブチレート、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、モノアセチルアセトナト・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタネート、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタネート、ジ-n-ブトキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタネート等のチタニウムキレート化合物;テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウム、テトラキス(n-プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジ(2-エチルヘキシレート)、ジベンジル錫ジ(2-エチルヘキシレート)、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレエート、ジブチル錫ビス(アセチルアセトネート)等の錫エステル化合物等の錫キレート化合物などが挙げられるが、錫キレート化合物を使用することが、形成される塗膜の耐薬品性の点から適している。
上記錫エステル化合物としては、市販品を用いることもでき、例えば、ネオスタンU-100、U-130、U-200、U-220H、U-303、U-700、U-810、U-820、U-830(以上、日東化成(株)製)、BT-120S(カネカ(株)製)等が挙げられる。
(E)成分を配合する場合、その配合量は、組成物を硬化させるのに十分な量であればよいが、通常、(A)成分の不揮発分100質量部に対して0.01~20質量部が好ましく、0.1~10質量部がより好ましい。
なお、(E)成分の硬化触媒は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(6)任意成分
本発明の塗料組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、適宜に任意の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤の具体例としては、溶剤、非反応性シリコーンオイル、反応性シリコーンオイル、シランカップリング剤等の密着付与剤、非反応性高分子樹脂、充填剤、レベリング剤、レオロジー調整剤、反応性希釈剤、非反応性希釈剤、界面活性剤、分散剤、消泡剤、脱水剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、染料、顔料、香料、研磨剤、防錆剤、チキソトロピー付与剤等が挙げられる。
これらは、それぞれ1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
顔料としては、例えば、酸化チタン、ベンガラ、シアニン系着色顔料、カーボンブラック、ジルコン粉末等の着色顔料;シリカ、バリタ粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、ホワイトカーボン、珪藻土、タルク、炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、タンカル等の体質顔料;リン酸亜鉛、リン・ケイ酸亜鉛、リン酸アルミニウム亜鉛、リン酸カルシウム亜鉛、リン酸カルシウム、ピロリン酸アルミニウム、ピロリン酸カルシウム、トリポリリン酸二水素アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、メタリン酸カルシウム、酸化亜鉛、リンモリブデン酸亜鉛、リンモリブデン酸アルミニウム、亜鉛、酸化亜鉛、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム、ホウ酸塩系、メタホウ酸バリウム、シアナミド亜鉛カルシウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、;カルシウム、亜鉛、コバルト、鉛、ストロンチウム、バリウムなどのカチオンを多孔質シリカ粒子に結合させた変性シリカ、カチオンをイオン交換によって結合させることにより得られるイオン交換シリカ、ピロリン酸アルミニウム、五酸化バナジウム、バナジン酸カルシウム、メタバナジン酸アンモニウム等のバナジウム系化合物等の防錆顔料等が挙げられ、これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗料組成物が顔料を含む場合、その含有量は、形成される塗膜の耐候性の観点から、(A)~(D)成分の合計不揮発分100質量部に対して、不揮発分質量で5~100質量部が好ましく、30~90質量部がより好ましい。
(7)製造方法
本発明の塗料組成物は、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、必要に応じて(E)成分および任意成分を、任意の順序で混合し、撹拌して得ることができる。混合条件は、特に限定されるものではないが、作業性や塗料組成物の安定性を考慮し、10~40℃で混合することが好ましい。
本発明の塗料組成物の粘度は、特に限定されるものではないが、成形または塗布作業性を良好にし、スジムラ等の発生を抑制することを考慮すると、回転粘度計により測定される25℃での粘度が、100,000mPa・s以下が好ましく、20,000mPa・s以下がより好ましい。粘度の下限は、特に限定されないが、10mPa・s以上が好ましい。
(8)塗料組成物の硬化膜および被覆物品
本発明の塗料組成物を被塗物に塗布し、これを硬化させることで硬化膜および被覆物品が得られる。
塗布の方法に制限はなく、例えば、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り、流し塗り等の公知の手法を採用できる。
本発明の塗料組成物は、常温で硬化可能であるが、硬化促進のために必要に応じて加熱を行ってもよい。
加熱温度は、40~150℃が好ましく、これにより、形成した硬化塗膜が優れた耐候性、耐薬品性、防汚性を発揮することができる。
被塗物としては、ガラスや所望により下地処理された金属素材、例えば、鋼板、亜鉛めっき鋼板、ステンレス鋼、アルミニウム等、アルカリ性を有する基材、例えば、コンクリート、モルタル、スレート、スレート瓦等、窯業系建材、プラスチック等、およびそれらの上に古い塗膜が形成されているものなどが挙げられる。
本発明の塗料組成物の用途としては、特に制限されるものではないが、橋梁、送電鉄塔、プラント、タンク等の鋼製構造物の重防食塗装用途などが挙げられる。
本発明の塗料組成物は、長期の耐候性に優れ、当該組成物単独で厳しい環境から被塗物を保護し、美観を維持する硬化膜を与えるが、必要に応じて公知の下塗りおよび/または中塗りによる層を設けてもよい。
上記下塗り塗料としては、例えば、エポキシ樹脂塗料、変性エポキシ樹脂塗料、エポキシ樹脂系ガラスフレーク塗料、エポキシ樹脂被覆材料、超厚膜形エポキシ樹脂塗料、エポキシ樹脂ジンクリッチペイント、無機ジンクリッチペイント、塩化ゴム樹脂系塗料、フタル酸樹脂系塗料、エポキシエステル樹脂塗料等が挙げられ、中塗り塗料の例として、エポキシ樹脂系塗料、ポリウレタン系塗料、エポキシ樹脂MIO塗料、フェノール樹脂系MIO塗料、塩化ゴム樹脂系塗料、フタル酸樹脂系塗料等が挙げられる。
以下、実施例および比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、水酸基価は、JIS K 0070:1992に準拠して中和滴定法で測定した値であり、イソシアネート含有率は、JIS K1603-1:2007に準拠して試料中に存在するイソシアネート基量を質量分率で表したものであり、重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、HLC-8220 東ソー(株)製)を用いてテトラヒドロフラン(THF)を展開溶媒として測定した値であり、不揮発分は、JIS K 5601-1-2:2008に準じ、アルミニウムシャーレ上で105℃、3時間加熱乾燥後の加熱残量法による測定値であり、動粘度は、キャノン・フェンスケ型粘度計を用いて25℃で測定した値である。また、下記(D)成分における各シロキサン単位の構成比は、1H-NMRおよび29Si-NMR測定の結果から算出した。
[1]塗料組成物の製造
[実施例1-1~1-12,比較例1-1~1-6]
表1,2に示す組成比(質量比)で下記各成分を25℃で混合し、硬化性組成物(i)~(xviii)を製造した。
<(A)成分>
(A-1):アクリディックA-801P(アクリルポリオール、不揮発分50質量%、水酸基価50mg KOH/g、DIC(株)製)
(A-2):バーノックD-220(ポリエステルポリオール、不揮発分100質量%、水酸基価147mg KOH/g、DIC(株)製)
<(B)成分>
(B-1):DN-901S(ポリイソシアネート、不揮発分100質量%、イソシアネート含有率23.1質量%、DIC(株)製)
(B-2):DN-990S(ポリイソシアネート、不揮発分100質量%、イソシアネート含有率18.0質量%、DIC(株)製)
<(C)成分>
(C-1):KBE-9007(3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネート含有率16.4質量%、信越化学工業(株)製)
(C-2):X-12-1159L(イソシアネート基含有オルガノシラン、イソシアネート含有率10.2質量%、信越化学工業(株)製)
<(D)成分>
(D-1):式(I)においてa=0.1、b=0.6、c=0.3、d=0、e=0.24、R1=メチル基、フェニル基(R1の全数のうちフェニル基の数が占める割合:30%)、R2=メチル基で表されるオルガノポリシロキサン(不揮発分:96質量%、重量平均分子量1,800、25℃における動粘度100mm2/s、信越化学工業(株)製)
(D-2):式(I)においてa=0.8、b=0.2、c=0、d=0、e=0.26、R1=メチル基、フェニル基(R1の全数のうちフェニル基の数が占める割合:20%)、R2=メチル基で表されるオルガノポリシロキサン(不揮発分:87質量%、重量平均分子量1,000、25℃における動粘度5mm2/s、信越化学工業(株)製)
<(E)成分>
(E):ネオスタンU-810(ジオクチル錫、日東化成(株)製)
<(F)成分>
(F):酢酸エチル/酢酸ブチル混合溶剤(質量比1:1)
Figure 2023018234000005
Figure 2023018234000006
[2]被覆物品の製造および評価
[実施例2-1~2-12,比較例2-1~2-6]
実施例1-1~1-12、比較例1-1~1-6で得られた塗料組成物(i)~(xviii)をフローコートにより乾燥塗膜厚が30μmとなるように金属基板上に塗布し、23℃,50%RHの条件下で7日間養生して被膜を得た。
得られた被覆物品について、塗膜外観、ラビング試験、鉛筆硬度、防汚性試験、促進耐候性の評価を行った。結果を表3,4に示す。
(1)塗膜外観
目視にて、塗膜表面が均一で、凝集物による凹凸やクラックが入っていないものを○、塗膜表面が不均一で、白化や凝集物による凹凸やクラックが発生したものを×とした。
(2)ラビング試験
アセトンをベンコットM-3II(面積4cm2、旭化成(株)製)に浸し、荷重500gfで表面を往復回数30回塗擦し、目視での塗膜外観を評価した。ラビング試験後に試験前の塗膜外観と比べて変化が見られないものを○、塗膜の剥がれや白色化が見られたものを×とした。
(3)鉛筆硬度
JIS K5600-5-4に準じて750g荷重にて測定した。
(4)防汚性試験
試験面に、油性マジックペン(有機溶媒型マーカー、商品名:マッキ一極細、ゼブラ(株)製)で線を描き3時間放置した後、エタノール:トルエン(質量比で1:1)の混合溶媒を浸したベンコットM-3II(面積4cm2、旭化成(株)製)で拭き取れるか否かを評価した。試験終了後の、塗膜に残ったインクの量を目視によって観察し、3段階で評価した。
○:現状試験片と比べて大きな変化が見られない。
△:現状試験片と比べてややインクが残る。
×:現状試験片と比べて著しくインクが残る。
(5)促進耐候性
促進耐候性試験は、超促進耐候試験機(アイスーパーUVテスター、岩崎電気(株)製)を用いて行った。また、試験片にはポリエステル塗装鋼板(0.8mm×70mm×60mm)を用いた。試験条件としては、8時間照射(紫外線照射度90mW、ブラックパネル温度63℃,70%RH)、4時間暗黒(ブラックパネル温度63℃,70%RH)、4時間結露(ブラックパネル温度30℃,90%RH)の16時間を1サイクルとし、30サイクル試験した。試験終了後、塗膜の膨れ、割れ、剥がれ、艶の変化を目視によって観察し、3段階で評価した。
○:現状試験片と比べて大きな変化が見られない。
△:現状試験片と比べてやや艶引けがある。
×:現状試験片と比べて著しい艶引け、割れ、剥がれがある。
Figure 2023018234000007
Figure 2023018234000008
表3,4に示されるように、実施例2-1~2-12で得られた硬化膜は、耐薬品性、硬度、防汚性および耐候性に優れていることがわかる。
一方で、(B)成分または配合量が不足した組成物を用いた比較例2-2、2-6の硬化膜においては耐薬品性、硬度、防汚性および耐候性が不十分となり、(B)成分を過剰に配合した組成物を用いた比較例2-5の塗膜においては、外観のツヤ、耐薬品性、防汚性および耐候性が劣る結果となった。
また、(C)成分の配合量が不足した組成物を用いた比較例2-1の塗膜においては、耐薬品性、防汚性および耐候性が不十分であり、さらに、(D)成分が過剰に配合された組成物を用いた比較例2-3の塗膜においては、耐薬品性、硬度および耐候性が不十分となり、(D)成分の配合量が不足した組成物を用いた比較例2-4の塗膜においては、耐薬品性および硬度は問題ないものの、防汚性および耐候性が劣る結果となった。

Claims (15)

  1. (A)アクリルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールからなる群より選択される1種または2種以上のポリオール、
    (B)1分子中にイソシアネート基を2個以上有し、かつケイ素原子を有しないポリイソシアネート、
    (C)イソシアネート基を有する有機ケイ素化合物、および
    (D)下記式(I)で表されるオルガノポリシロキサン:(A)成分100質量部に対して5~50質量部
    Figure 2023018234000009
    (式中、R1は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基を表し、R2は、水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基を表し、a、b、c、dは、0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦0.5、0≦d<1、a+b+c+d=1、かつ、0.5<(a+b)≦1を満たす数であり、eは、0<e≦4を満たす数である。)
    を含み、
    前記(A)成分中の水酸基の個数に対する前記(B)成分中のイソシアネート基の個数の比(NCO(B)/OH(A))が、0.5~1.1であり、前記(A)成分中の水酸基の個数に対する前記(C)成分中のイソシアネート基の個数の比(NCO(C)/OH(A))が、0.03~0.5である塗料組成物。
  2. 前記(A)成分が、アクリルポリオール、ポリエステルポリオールまたはこれらの両方である請求項1記載の塗料組成物。
  3. 前記(A)成分中の水酸基の個数に対する前記(B)成分および前記(C)成分中のイソシアネート基の合計個数の比[(NCO(B)+NCO(C))/OH(A)]が、0.8~1.2である請求項1または2記載の塗料組成物。
  4. 前記式(I)において、R1の全数のうち、置換または非置換の炭素原子数6~12のアリール基の占める割合が、20%以上である請求項1~3のいずれか1項記載の塗料組成物。
  5. 前記式(I)において、R1が、それぞれ独立して、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数2~8のアルケニル基、炭素原子数6~10のアリール基または炭素原子数7~10のアラルキル基である請求項1~4のいずれか1項記載の塗料組成物。
  6. 前記式(I)において、R1が、それぞれ独立して、メチル基、エチル基またはフェニル基である請求項5記載の塗料組成物。
  7. 前記式(I)において、R2の全数のうち、炭素原子数1~6のアルキル基の割合が、80%以上である請求項1~6のいずれか1項記載の塗料組成物。
  8. 前記式(I)において、dが、0である請求項1~7のいずれか1項記載の塗料組成物。
  9. 前記(D)成分のゲル浸透クロマトグラフィーにおけるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1,000~10,000である請求項1~8のいずれか1項記載の塗料組成物。
  10. 前記(D)成分の25℃における動粘度が、1~200mm2/sである請求項1~9のいずれか1項記載の塗料組成物。
  11. さらに、(E)硬化触媒を含む請求項1~10のいずれか1項記載の塗料組成物。
  12. 前記(A)~(D)成分を、10~40℃で混合する請求項1~11のいずれか1項記載の塗料組成物の製造方法。
  13. 請求項1~11のいずれか1項記載の塗料組成物から形成された硬化膜。
  14. 基材と、この基材の少なくとも一方の面に、直接または1つ以上のその他の層を介して形成された請求項13記載の硬化膜とを有する被覆物品。
  15. 基材の少なくとも一方の面に、直接または1つ以上のその他の層を介して請求項1~11のいずれか1項記載の塗料組成物を塗布した後、塗料組成物を硬化させる、基材上への硬化膜の形成方法。
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