JP2023017233A - 基板キャリア、成膜装置、成膜方法及び電子デバイスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023017233000001
【課題】アライメントされた基板とマスクとを一体的に搬送する際において、搬送中における基板とマスクとの間の相対位置ずれを抑制することができる技術を提供する。
【解決手段】基板を保持する基板保持手段と、保持される前記基板の外周を囲む外周部の搬送方向に平行な辺に設けられた支持体33c´と、を有し、支持体33c´を介してマスク6に載置された状態で搬送される、蒸着装置用の基板キャリア9において、支持体33c´は、搬送方向に平行な辺の中央近傍において基板キャリア9を支持することで、支持荷重が最大になることを特徴とする。
【選択図】図12

Description

本発明は、基板キャリア、成膜装置、成膜方法及び電子デバイスの製造方法に関する。
有機ELディスプレイを製造する方法として、所定のパターンで開口が形成されたマスクを介して基板上に成膜することで、所定のパターンの膜を形成するマスク成膜法が知られている。マスク成膜法では、マスクと基板を位置合わせ(アライメント)した後に、マスクと基板を密着させて成膜を行う。マスク成膜法によって精度よく成膜するためには、マスクと基板の位置合わせを高い精度で行うことが重要である。
特許文献1には、重ね合わせた基板とマスクを搬送しながら成膜を行うインライン型の蒸着装置が開示される。
また、特許文献2には、基板をチャックプレート(「基板キャリア」とも称する)に保持させ、チャックプレートごと基板を搬送することが記載されている。かかる構成においては、基板を保持させたキャリアをマスクに載置して搬送することになる。
特開2012-097330号公報 韓国公開特許第10-2018-0067031号公報
ローラ搬送時のマスク走行面の変形に起因する基板キャリアへの荷重によって搬送中に基板とマスクとの相対位置がずれてしまうと、歩留まりが低下するおそれがある。特に、複数の薄膜を積層して製造される電子デバイスにおいては、歩留まりへの影響が大きくなりやすい。
特許文献1では、基板とマスクとを重ねるための具体的な手段が開示されていない。そのため、基板とマスクとの相対位置がずれるおそれがある。また、特許文献2の構成を用いて、基板を保持させたキャリアをマスクに載置してインライン成膜室上を搬送する際には、マスクに対するチャックプレートの位置ずれを抑制することが課題となる。
本発明は、アライメントされた基板とマスクとを搬送する際において、搬送中における基板とマスクとの間の相対位置ずれを抑制することができる技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の基板キャリアは、
第1の距離で隣り合って並ぶように配置された2つの搬送ローラを少なくとも含み、搬送方向に沿って並ぶ複数の搬送ローラによって、基板を保持し、かつ、マスクに載置された状態で前記搬送方向に搬送される基板キャリアであって、
前記搬送方向の先端から前記搬送方向において前記第1の距離までの先端部と、
前記搬送方向の後端から前記搬送方向において前記第1の距離までの後端部と、
前記搬送方向において前記先端部と前記後端部との間の中間部と、を有し、
前記中間部における前記マスクへの単位面積当たりの加重が、前記先端部における前記
マスクへの単位面積当たりの加重より大きく、かつ、前記後端部における前記マスクへの単位面積当たりの加重より大きいことを特徴とする。
本発明によれば、アライメントされた基板とマスクとを搬送する際において、搬送中における基板とマスクとの間の相対位置ずれを抑制することができる。
比較例の支持体および基板キャリアの構成を示す模式図 有機ELパネルのインライン製造システムの模式的な構成図 アライメント機構の模式的な図 基板キャリアの反転とマスクへの載置の様子を示す模式図 基板およびマスクの保持の様子を示す平面図とマークの拡大図 実施例のアライメント機構の模式的な図 実施例のアライメント機構の斜視図 基板キャリアの変形例の構成を示す模式図 比較例の支持体および基板キャリアとマスクの構成を示す模式図 実施例における処理の各工程を示すフローチャート 実施例1の支持体および基板キャリアの構成を示す模式図 実施例1の支持体および基板キャリアとマスクの模式図 実施例1の支持体および基板キャリアとマスクの構成を示す模式図 実施例2、3、4の基板キャリアの構成を示す模式図 実施例5、6の基板キャリアの構成を示す模式図 有機EL表示装置の説明図
[実施例1]
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1~図16を参照して、本発明の実施例に係る基板キャリア、基板搬送装置、成膜装置、成膜方法、及び電子デバイスの製造方法について説明する。以下の説明においては、電子デバイスを製造するための装置に備えられるマスク装着装置等を例にして説明する。また、電子デバイスを製造するための成膜方法として、真空蒸着法を採用した場合を例にして説明する。ただし、本発明は、成膜方法としてスパッタリング法を採用する場合にも適用可能である。また、本発明のマスク装着装置等は、成膜工程に用いられる装置以外においても、基板にマスクを装着する必要のある各種装置にも応用可能であり、特に大型基板が処理対象となる装置に好ましく適用できる。なお、本発明に適用される基板の材料としては、ガラスの他、半導体(例えば、シリコン)、高分子材料のフィルム、金属などの任意の材料を選ぶことができる。また、基板として、例えば、シリコンウエハ、又はガラス基板上にポリイミドなどのフィルムが積層された基板を採用することもできる。なお、基板上に複数の層を形成する場合においては、一つ前の工程までに既に形成されている層も含めて「基板」と称するものとする。また、以下で説明する各種装置等の同一図面内に同一もしくは対応する部材を複数有する場合には、図面中にa、bなどの添え字を付与して示す場合があるが、説明文において区別する必要がない場合には、a、bなどの添え字を省略して記述する場合がある。
(キャリア構成)
図1を参照して、本発明の比較例に係る基板キャリア9の構成について説明する。図1(a)は、基板5を保持する保持面が上方(紙面手前方向)を向いた状態にある基板キャリア9の模式的平面図であり、(b)は(a)のA矢視断面図である。基板キャリア9は、平面視で略矩形の平板状の構造体である。基板キャリア9は、便宜的に、基板5が保持される位置に対応した基板保持部と、基板5の外周を囲む外周部とを含む。図1(a)において、基板5の外縁を示す点線が、基板保持部と、その周囲の外周部との境界である。このように、両者は保持される基板5によって便宜的に規定されるものであり、両者の境界に特徴的な構造はなくてもよい。なお、以下では基板保持部を基板保持エリアと呼ぶこともある。基板キャリア9の矩形外周縁部をなす四辺のうちの対向二辺近傍が、搬送ローラ15(図3、図6参照)によって支持される。当該対向二辺の各々が搬送方向に沿う姿勢で、基板キャリア9は支持される。搬送ローラ15は、基板キャリア9の搬送経路の両側に搬送方向に沿って複数配置された搬送回転体によって構成される。かかる支持構成により、上記搬送方向の基板キャリア9の移動が基板搬送手段としての搬送ローラの回転によって案内される。基板キャリア9は、矩形の平板状部材であるキャリア面板30と、複数のチャック部材32と、複数の支持体(着座部座)としてのギャップブロック33(以下、支持体33と称する)と、を有する。基板キャリア9は、キャリア面板30の保持面31に基板5を保持する。
チャック部材32は、基板5と接触して基板5をチャックするチャック面を有する突起である。本実施例のチャック部材32のチャック面は、粘着性の部材(PSC:Physical Sticky Chucking)によって構成された粘着面であり、物理的な粘着力、あるいは、物理的な吸着力(adsorption)によって基板5を保持する。それゆえ、本実施例のチャック部材32は、粘着パッドと呼ぶこともできる。複数のチャック部材32のそれぞれによって基板5をチャックすることで、基板5をキャリア面板30の保持面31に沿って保持することができる。複数のチャック部材32はそれぞれが有するチャック面がキャリア面板30の保持面31から所定の距離だけ飛び出た状態となるように配置されている。チャック部材32は、マスク6の形状に応じて配置されていることが好ましく、マスク6の基板5の被成膜領域を区画するための境界部(桟の部分)に対応して配置されていることがより好ましい。これにより、チャック部材32が基板5と接触することによる基板5の成膜エリアの温度分布への影響を抑制することができる。
なお、チャック部材32は、ディスプレイのアクティブエリアの外に配置されることが好ましい。これは、チャック部材32による吸着による応力が基板5を歪ませる、あるいは成膜時の温度分布を引き起こす懸念があるため、チャック部材32と基板5との接触面積はなるべく小さく、保持数はなるべく少ないほうがよい。また、チャック部材32の配列は、上記理由によりマスク部の背面に配置するのが成膜上好ましい。
キャリア面板30の材質は、基板キャリア9全体の重量を低減するためアルミニウムまたはアルミニウム合金を主材とすることが望ましい。
後述するように、基板5を保持するキャリア面板30の保持面31が下方を向くよう基板キャリア9が反転され、マスク6上に載置される際に、支持体33がマスク6に対して基板キャリア9を支持する。本実施例では、少なくとも支持体33の近傍においては、基板キャリア9に保持された基板5と、マスク6とが離間するように、支持体33が基板キャリア9を支持する。詳細は後述する。
(インライン成膜装置)
図2を参照して、本発明の実施例に係る製造システム(成膜装置)について説明する。図2は、本発明の実施例に係る製造システムの模式的な構成図であり、有機ELパネル(有機EL表示装置)をインラインで製造する製造システム300を例示している。有機E
Lパネルは、一般的に、回路素子を形成する回路素子形成工程と、基板上に有機発光素子を形成する有機発光素子形成工程と、形成した有機発光層上に保護層を形成する封止工程と、を経て製造される。本実施例に係る製造システム300は有機発光素子形成工程を主に行う。
製造システム300は、図2に示すように、マスク搬入室90と、アライメント室100(マスク取付室)と、複数の成膜室110a、110bと、反転室111a、111bと、搬送室112と、マスク分離室113と、基板分離室114と、キャリア搬送室115と、マスク搬送室116と、基板搬入室117(基板取付室)と、を有する。製造システム300はさらに、後述する搬送手段を有しており、基板キャリア9は搬送手段によって製造システム300の有する各チャンバ内を通る所定の搬送経路に沿って搬送される。
具体的には、図2の構成においては、基板キャリア9は、基板搬入室117、反転室111a、マスク搬入室90、アライメント室100(マスク取付室)、複数の成膜室110a、110b、搬送室112、マスク分離室113、反転室111b、基板分離室114、搬送室115、の順に各チャンバ内を通って搬送され、再度、基板搬入室117に戻る。一方、マスク6は、マスク搬入室90、アライメント室100(マスク取付室)、複数の成膜室110a、110b、搬送室112、マスク分離室113、の順に各チャンバ内を通って搬送され、再度、マスク搬入室90に戻る。このように、基板キャリア9とマスク6は、それぞれ所定の搬送経路(循環搬送経路)に沿って循環して搬送される。以下、各チャンバの機能について説明する。
未成膜の基板5は、基板搬入室117から循環搬送経路に投入され、基板キャリア9に保持された状態で成膜される。その後、成膜済みの基板5は、基板分離室114から搬出される。基板搬入室117に搬入された未成膜の基板5は、まず基板搬入室117で基板キャリア9に取り付けられ、保持される。それから成膜の前に、反転室111a、マスク搬入室90を経由してアライメント室110に搬入される。
反転室111a、111bには基板キャリア9の基板保持面の向きを鉛直方向上向きから鉛直方向下向きに、または、鉛直方向下向きから鉛直方向上向きに反転させる反転機構120a、120bが備えられている。反転手段としての反転機構120a、120bは、基板キャリア9を把持等して姿勢(向き)を変化させることができる従来既知の機構を適宜採用してよく、具体的な構成の説明は省略する。
基板5は、基板キャリア9が保持面が鉛直方向上を向いた状態で配置されている基板搬入室117に、被成膜面が鉛直方向上を向いた状態で搬入される。搬入された基板5は、基板キャリア9の保持面の上に載置され、基板キャリア9によって保持される。その後、反転室111aにおいて、反転機構120aによって基板5を保持した基板キャリア9が反転され、基板5の被成膜面が鉛直方向下を向いた状態になる。一方、基板キャリア9がマスク分離室113から反転室111bに搬入される際には、基板5の被成膜面が鉛直方向下を向いた状態で搬入されてくる。搬入後、反転機構120bによって基板5を保持した基板キャリア9が反転され、基板5の被成膜面が鉛直方向上を向いた状態となる。その後、基板5は被成膜面が鉛直方向上を向いた状態で基板分離室114から搬出される。
基板搬入室117に搬入された基板5を保持して反転された基板キャリア9がマスク搬入室90を経てアライメント室100に搬入されるのに合わせて、マスク6もマスク搬入室90からアライメント室100に搬入される。アライメント室100(マスク取付室)には、アライメント装置1が搭載されている。アライメント室100では、アライメント装置1が本実施例に係る基板キャリア9に載った基板5とマスク6とを高精度で位置合わせし、マスク6に基板キャリア9(基板5)が載置される。その後、基板キャリア9が載
置されたマスク6を搬送ローラ(搬送手段)に受け渡し、次工程に向けて搬送を開始する。図3、図6に示すように、搬送手段としての搬送ローラ15は、搬送経路の両脇に搬送方向に沿って複数配置されており、それぞれ不図示のACサーボモータの駆動力により回転することで、基板キャリア9やマスク6を搬送する構成となっている。
図2において、成膜室110a、110bでは、搬入されてきた基板キャリア9に吸着された基板5が、蒸着源7(図3参照)上を通過することで、基板5の被成膜面においてマスク6によって遮られる個所以外の面が成膜される。成膜室110は、真空ポンプや室圧計を備えた室圧制御部(不図示)により室圧(チャンバ内部の圧力)を調整可能である。成膜室110の内部には蒸着材料(成膜材料)を収納した蒸発源(成膜源)を配置可能であり、これにより、チャンバ内部に減圧された成膜空間が形成される。成膜空間においては、蒸発源から基板5に向けて蒸着材料が飛翔し、基板上に膜が形成される。蒸発源は、例えば、蒸着材料を収容する坩堝などの材料収容部と、蒸着材料を加熱するシースヒータなどの加熱手段を備えるものであってもよい。さらに、基板キャリア9およびマスク6と略平行な平面内で材料収容部を移動させる機構や蒸発源全体を移動させる機構を備えることで、蒸着材料を射出(放出)する射出口の位置をチャンバ4内で基板5に対して相対的に変位させ、基板5上への成膜を均一化してもよい。
成膜室110a、110bでの成膜完了後、基板キャリア9とマスク6は、マスク分離室113に到達し、マスク分離室113にて分離される。基板キャリア9から分離したマスク6は、マスク搬送室116へ搬送され、新たな基板5の成膜工程に回される。一方、基板5を保持した基板キャリア9は、反転室111b、基板分離室114へ搬送される。基板分離室114において、成膜が完了した基板5は、基板キャリア9から分離され、循環搬送経路内から回収される。基板キャリア9は、基板搬入室117に搬送され、基板搬入室117において新たな基板5が搬入、吸着される。その後、反転室111aにおいて反転された基板キャリア9は、再びアライメント室100において、搬入室90から搬送されてきたマスク6上にアライメントされて載置される。
図3は、本実施例のインライン蒸着装置のアライメント機構部における全体構成を示すための模式的な断面図であり、図2のBB矢視に対応する。
蒸着装置は、概略、チャンバ4と、基板キャリア9に保持された基板5およびマスク6を保持して相対位置合わせを行うアライメント装置1を備えている。チャンバ4は、真空ポンプや室圧計を備えた室圧制御部(不図示)により室圧(チャンバ内部の圧力)を調整可能である。
図示例では成膜時に基板5の成膜面(被成膜面)が重力方向下方を向いた状態で成膜されるデポアップの構成について説明する。しかし、成膜時に基板5の成膜面が重力方向上方を向いた状態で成膜されるデポダウンの構成でもよい。また、基板5が垂直に立てられて成膜面が重力方向と略平行な状態で成膜が行われる、サイドデポの構成でもよい。すなわち本発明は、基板キャリア9に保持された基板5とマスク6を相対的に接近させるときに、該基板キャリア9とマスク6の少なくともいずれかの部材に垂下や撓みが発生した状態において高精度で位置合わせすることが求められる際に、好適に利用できる。
なお、本実施例では、図5に示すように、マスク6は枠状のマスクフレーム6aに数μm~数十μm程度の厚さのマスク箔6bが溶接固定された構造を有する。マスクフレーム6aは、マスク箔6bが撓まないように、マスク箔6bをその面方向(後述するX方向およびY方向)に引っ張った状態で支持する。マスク箔6bは、基板の被成膜領域を区画するための境界部を含む。マスク箔6bの有する境界部は基板5にマスク6を装着したときに基板5に密着し、成膜材料を遮蔽する。なお、マスク6はマスク箔6bが境界部のみを
有するオープンマスクであってもよいし、境界部以外の部分、すなわち基板の被成膜領域に対応する部分に、画素または副画素に対応する微細な開口が形成されたファインマスクであってもよい。基板5としてガラス基板またはガラス基板上にポリイミド等の樹脂製のフィルムが形成された基板を用いる場合、マスクフレーム6aおよびマスク箔6bの主要な材料としては、鉄合金を用いることができ、ニッケルを含む鉄合金を用いることが好ましい。ニッケルを含む鉄合金の具体例としては、34質量%以上38質量%以下のニッケルを含むインバー材、30質量%以上34質量%以下のニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材、38質量%以上54質量%以下のニッケルを含む低熱膨張Fe-Ni系めっき合金などを挙げることができる。
図3に示すように、チャンバ4は、上部隔壁4a(天板)、側壁4b、底壁4cを有している。チャンバ内部は、上述した減圧雰囲気の他、真空雰囲気や、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気に維持されていてもよい。なお、本明細書における「真空」とは、大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間内の状態をいい、典型的には、1atm(1013hPa)より低い圧力の気体で満たされた空間内の状態をいう。
アライメント装置1は、概略、チャンバ4の上部隔壁4aの上に搭載されて基板キャリア9を駆動してマスク6との位置を相対的に合わせる位置合わせ機構60が含まれる。アライメント装置1は、基板キャリア9を保持するキャリア支持部8(基板キャリア支持部)と、マスク6を保持するマスク受け台16(マスク支持部)と、搬送ローラ15(搬送手段)と、を有している。
位置合わせ機構60は、チャンバ4の外側に設けられており、蒸着時に所望の精度を実現できるように、基板キャリア9とマスク6の相対的な位置関係を変化させたり安定的に保持したりする。位置合わせ機構60は、概略、面内移動手段11と、Z昇降ベース13と、Z昇降スライダ10を含んでいる。
面内移動手段11は、チャンバ4の上部隔壁4aに接続され、Z昇降ベース13をXYθ方向に駆動する。Z昇降ベース13は、面内移動手段11に接続され、基板キャリア9がZ方向に移動するときのベースとなる。Z昇降スライダ10は、Zガイド18に沿ってZ方向に移動可能な部材である。Z昇降スライダは、基板保持シャフト12を介して基板キャリア支持部8に接続されている。
かかる構成において、面内移動手段11による基板キャリア9およびマスク6に略平行な面内でのXYθ駆動の際には、Z昇降ベース13、Z昇降スライダ10および基板保持シャフト12が一体として移動し、キャリア支持部8に駆動力を伝達する。そして、基板5を、基板5およびマスク6と略平行な平面内において移動させる。なお、マスク6および基板5は後述するように重力によって撓んでいるが、ここでいう基板5およびマスク6と略平行な平面とは、撓みが生じていない理想的な状態の基板5およびマスク6と略平行な平面を指す。例えば、デポアップやデポダウンなど、基板5とマスク6を水平に配置する構成においては、面内移動手段11は基板5を水平面内で移動させる。また、Zガイド18によってZ昇降スライダ10がZ昇降ベース13に対してZ方向に駆動する際には、駆動力が基板保持シャフト12(本実施例では、4本の基板保持シャフト12a、12b、12c、12dを備える。なお、図6では、シャフト12dが基板5及びマスク6に隠れていて不図示である。)を介してキャリア支持部8に伝達される。そして、基板5のマスク6に対する距離を変化(離隔または接近)させる。すなわち、Z昇降ベース13およびZガイド18は位置合わせ手段の距離変化手段として機能する。
図示例のように、可動部を多く含む位置合わせ機構60を成膜空間の外に配置することで、成膜空間内あるいはアライメントを行う空間内での発塵を抑制することができる。こ
れにより、発塵によってマスクや基板が汚染されて成膜精度が低下してしまうことを抑制することができる。なお、本実施例では位置合わせ機構60が基板5をXYθ方向およびZ方向に移動させる構成について説明したが、これに限定はされず、位置合わせ機構60はマスク6を移動させてもよいし、基板5およびマスク6の両方を移動させてもよい。すなわち、位置合わせ機構60は基板5およびマスク6の少なくとも一方を移動させる機構であり、これにより、基板5とマスク6の相対的な位置を合わせることができる。
(基板・キャリア・マスク反転載置の説明)
図4は、基板搬入室117から、反転室111a、マスク搬入室90を経て、アライメント室100に至る、基板5を基板キャリア9に取り付け、その基板キャリア9を反転してマスク6へ載置するまでの様子を示す模式的断面図である。基板キャリア9は、キャリア面板30(面板部材)と、チャック部材32と、支持体33(着座部材)と、を有する。
図4(a)に示すように、キャリア面板30は、金属等で構成された板状部材であり、基板5を保持する保持面31を構成する部材である。キャリア面板30は、ある程度の剛性(少なくとも基板5よりも高い剛性)を有しており、基板5を保持面31に沿って保持することで、基板5の撓みを抑制することができる。基板搬入室117において、保持面31が上方を向いた基板キャリア9に対して、基板5が上方から保持面31に下降して載置される。
図4(b)に示すように、反転室111aにおいて、基板キャリア9と基板5は、上下が逆転するように反転される。すなわち、基板キャリア9は、保持面31が下方を向く姿勢となり、基板5は、チャック部材32の保持力によって保持面31に下方から張り付き、被成膜面が下方を向く状態となる。
図4(c)、図4(d)に示すように、アライメント室100において、基板キャリア9がマスク6上に載置される。支持体33は、キャリア面板30の保持面31の基板保持エリア(基板保持部)の外側(外周部)に、保持面31及びチャック部材32よりも突出して複数配置されている。支持体33は、基板5が基板キャリア9に保持された状態で、基板5よりもマスク6側に突出するように設けられている。基板キャリア9は、支持体33を介してマスクフレーム6aの外周フレーム上に、アライメント動作を経て着座する。この時、少なくとも支持体33の近傍では、基板5とマスク6が離間することが好ましい。このような構成により、アライメントの精度を向上させることができる。ここでの「近傍」とは、基板5の一部がマスク6と接触しているときに、基板5の接触している部分よりも支持体33に近い基板5のいずれかの部分を指す。図4(d)では、基板5の全体がマスク6と離間している。この場合、当然に支持体33の近傍でも基板5とマスク6とが離間している。なお、基板5の撓みによって、基板5の一部がマスク6と接触してもよいし、あるいは、基板5の全部がマスク6と接触してもよい。
基板キャリア9は、さらに、保持した基板5を介してマスク6を磁力によって引き付けるための磁力発生手段(不図示)を有してよい。磁力発生手段としては、永久磁石や電磁石、永電磁石を備えた磁石プレートを用いることができる。また、磁力発生手段は、キャリア面板30に対して相対移動可能に設けられていてもよい。より具体的には、磁力発生手段は、キャリア面板30との間の距離を変更可能に設けられてもよい。
(その他の基板保持手段)
なお、基板キャリア9の基板保持手段の構成としては、本実施例で示すチャック部材32に限定されるものではない。例えば、図8(a)に示す変形例1としての基板キャリア9aのように、反転時において構造的に基板5を下方から支持する支持部321を備えた
構成としてもよい。あるいは、図8(b)に示す変形例2としての基板キャリ9aのように、キャリア面板30の内部に電極322を設け、電極322への電圧印加により生成される静電気力によって基板5を保持する構成(静電チャック)としてもよい。
(アライメント機構の詳細説明)
図6は、アライメント機構の一形態を示す斜視図である。マスク受け台16は、マスク台ベース19上に載置された昇降台案内34に沿って上下に案内(昇降)される。また、マスク6の搬送方向の辺下部には搬送ローラ15が載置されており、マスク6はマスク受け台16が下降することによって搬送ローラ15に受け渡される。
基板保持シャフト12は、チャンバ4の上部隔壁4aに設けられた貫通孔を通って、チャンバ4の外部と内部にわたって設けられている。成膜空間内では、基板保持シャフト12の下部にキャリア支持部8が設けられ、基板キャリア9を介して被成膜物である基板5を保持可能となっている。
基板保持シャフト12と上部隔壁4aとが干渉することのないよう、貫通孔は基板保持シャフト12の外径に対して十分に大きく設計される。また、基板保持シャフト12のうち貫通孔からZ昇降スライダ10への固定部分までの区間(貫通孔より上方の部分)は、Z昇降スライダ10と上部隔壁4aとに固定されたベローズ40によって覆われる。これにより、基板保持シャフト12がチャンバ4と連通する閉じられた空間によって覆われるため、基板保持シャフト12全体を成膜空間2と同じ状態(例えば、真空状態)に保つことができる。ベローズ40には、Z方向およびXY方向にも柔軟性を持つものを用いるとよい。これにより、アライメント装置1の稼働によってベローズ40が変位した際に発生する抵抗力を十分に小さくすることができ、位置調整時の負荷を低減することができる。
マスク受け部は、チャンバ4の内部において、上部隔壁4aの成膜空間2の側の面に設置されており、マスク6の支持が可能となっている。例えば有機ELパネルの製造に用いられるマスクは、成膜パターンに応じた開口を有するマスク箔6bが高剛性のマスクフレーム6aに架張された状態で固定された構成を有している。この構成により、マスク受け部はマスク箔6bの撓みを低減した状態で保持することができる。
アライメント装置1による各種の動作(面内移動手段11によるアライメント、距離変化手段によるZ昇降スライダ10の昇降、キャリア支持部8による基板保持、蒸発源7による蒸着など)は、制御部70によって制御される。制御部70は、例えば、プロセッサ、メモリ、ストレージ、I/Oなどを有するコンピュータにより構成可能である。この場合、制御部70の機能は、メモリ又はストレージに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。コンピュータとしては、汎用のパーソナルコンピュータを用いてもよいし、組込型のコンピュータ又はPLC(programmable logic controller)を用いてもよい。あるいは、制御部70の機能の一部又は全部をASICやFPGAのような回路で構成してもよい。なお、蒸着装置ごとに制御部70が設けられていてもよいし、1つの制御部70が複数の蒸着装置を制御してもよい。
アライメント装置1の位置合わせ機構60の詳細について説明する。Z昇降スライダ10を鉛直Z方向に案内するガイドは、複数本(ここでは4本)のZガイド18a~18dを含んでおり、Z昇降ベース13の側面に固定されている。Z昇降スライダ中央には駆動力を伝達するためのボールネジ27が配設され、Z昇降ベース13に固定されたモータ26から伝達される動力が、ボールネジ27を介してZ昇降スライダ10に伝えられる。
モータ26は、不図示の回転エンコーダを内蔵しており、エンコーダの回転数により間
接的にZ昇降スライダ10のZ方向位置を計測できる。モータ26の駆動を外部コントローラで制御することにより、Z昇降スライダ10のZ方向の精密な位置決めが可能となっている。なお、Z昇降スライダ10の昇降機構は、ボールネジ27と回転エンコーダに限定されるものではなく、リニアモータとリニアエンコーダの組み合わせなど、任意の機構を採用することができる。
図7は、本実施例のアライメント機構の面内移動手段11を示す斜視図である。図7の構成では、面内移動手段11は複数の駆動ユニット21a、21b、21c、21dを、ベースの四隅に有している。各駆動ユニット21a~21dは、駆動力を発生させる方向が四隅ごとに90度ずつ異なるように、隣接する隅に配置された駆動ユニットをZ軸周りに90度ずつ向きを回転させて配置されている。
各駆動ユニット21は、駆動力を発生させる駆動ユニットモータ25を備えている。各駆動ユニット21は更に、駆動ユニットモータ25の力が駆動ユニットボールネジ46を介して伝達されることにより第1の方向にスライドする第1のガイド22と、XY平面において第1の方向と直交する第2の方向にスライドする第2のガイド23とを備えている。さらに、Z軸周りに回転可能な回転ベアリング24を備えている。例えば、駆動ユニット21dの場合は、X方向にスライドする第1のガイド22、X方向と直交するY方向にスライドする第2のガイド23、回転ベアリング24を有しており、駆動ユニットモータ25の力が駆動ユニットボールネジ46を介して第1のガイド22に伝達される。他の駆動ユニット21a、21b、21cも、配置する向きが互いに90度ずつ異なるだけで、それぞれ駆動ユニット21dと同様の構成を有している。
駆動ユニットモータ25は、不図示の回転エンコーダを内蔵しており、第1のガイド22の変位量を計測可能である。各駆動ユニット21において、駆動ユニットモータ25の駆動を制御部70で制御することにより、Z昇降ベース13のXYθz方向における位置を精密に制御することが可能となっている。
例えば、Z昇降ベース13を+X方向へ移動させる場合は、駆動ユニット21aと駆動ユニット21dのそれぞれにおいて+X方向にスライドさせる力を駆動ユニットモータ25で発生させ、Z昇降ベース13にその力を伝えるとよい。また、+Y方向へ移動させる場合には、駆動ユニット21bと駆動ユニット21cのそれぞれにおいて+Y方向にスライドさせる力を駆動ユニットモータ25で発生させ、Z昇降ベース13にその力を伝えるとよい。
Z昇降ベース13をZ軸に平行な回転軸まわりに+θ回転(時計周りにθz回転)させる場合は、対角に配置された駆動ユニット21aと21dとを用いて、Z軸周りに+θz回転させるために必要な力を発生させ、Z昇降ベース13にその力を伝えるとよい。あるいは、駆動ユニット21bと駆動ユニット21cとを用いて、Z昇降ベース13に回転に必要な力を伝えてもよい。
(アライメントマーク撮像)
次に、基板5とマスク6との位置を検出するために、それぞれのアライメントマークの位置を同時に計測するための撮像装置について説明する。図3、図6に示すように、上部隔壁4aの外側の面には、マスク6上のアライメントマーク(マスクマーク)および基板5上のアライメントマーク(基板マーク)の位置を取得するための位置取得手段である撮像装置14(14a、14b、14c、14d)が配設されている。上部隔壁4aには、撮像装置14によりチャンバ4の内部に配置されたアライメントマークの位置を計測できるよう、カメラ光軸上に撮像用貫通孔が設けられている。撮像用貫通孔には、チャンバ内部の気圧を維持するために窓ガラス17(17a、17b、17c、17d)等が設けら
れる。さらに、撮像装置14の内部または近傍に不図示の照明を設け、基板およびマスクのアライメントマーク近傍に光を照射することで、正確なマーク像の計測を可能としている。なお、図3では、撮像装置14d、窓ガラス17c、17dが、他の部材に隠れていて不図示である。
図5(a)~図5(c)を参照して、撮像装置14を用いて基板マーク37とマスクマーク38の位置を計測する方法を説明する。
図5(a)は、キャリア支持部8に保持されている状態のキャリア面板30上の基板5を上から見た図である。説明のため、キャリア面板30は点線で、透過されたように図示する。基板5上には撮像装置14で計測可能な基板マーク37a、37b、37c、37dが基板5の4隅に形成されている。この基板マーク37a~37dを4つの撮像装置14a~14dによって同時計測し、各基板マーク37a~37dの中心位置4点の位置関係から基板5のX方向移動量、Y方向移動量、回転量を算出することにより、基板5の位置情報を取得することができる。なお、キャリア面板30には貫通孔が開いており、上部から撮像装置14によって基板マーク37の位置を計測することが可能となっている。
図5(b)は、マスクフレーム6aを上面から見た図である。四隅には撮像装置で計測可能なマスクマーク38a、38b、38c、38dが形成されている。このマスクマーク38a~38dを4つの撮像装置14a、14b、14c、14dにより同時計測し、各マスクマーク38a~38dのそれぞれの中心位置4点の位置関係からマスク6のX方向移動量、Y方向移動量、回転量などを算出して、マスク6の位置情報を取得することができる。
図5(c)は、マスクマーク38および基板マーク37の4つの組の中の1組を、撮像装置14によって計測した際の、撮像画像の視野44を模式的に示した図である。この例では、撮像装置14の視野44内において、基板マーク37とマスクマーク38が同時に計測されているので、マーク中心同士の相対的な位置を測定することが可能である。マーク中心座標は、撮像装置14の計測によって得られた画像に基づいて、不図示の画像処理装置を用いて求めることができる。なお、マスクマーク38および基板マーク37として四角形や丸形状のものを示したが、マークの形状はこれに限られるわけではない。例えば、×印や十字形などのように中心位置を算出しやすく対称性を有する形状を用いることが好ましい。
精度の高いアライメントが求められる場合、撮像装置14として数μmのオーダーの高解像度を有する高倍率CCDカメラが用いられる。このような高倍率CCDカメラは、視野の径が数mmと狭いため、基板キャリア9をキャリア受け爪に載置した際の位置ズレが大きいと、基板マーク37が視野から外れてしまい、計測不可能となる。そこで、撮像装置14として、高倍率CCDカメラと併せて広い視野をもつ低倍率CCDカメラを併設するのが好ましい。その場合、マスクマーク38と基板マーク37が同時に高倍率CCDカメラの視野に収まるよう、低倍率CCDカメラを用いて大まかなアライメント(ラフアライメント)を行った後、高倍率CCDカメラを用いてマスクマーク38と基板マーク37の位置計測を行い、高精度なアライメント(ファインアライメント)を行う。
撮像装置14として高倍率CCDカメラを用いることにより、マスクフレーム6aと基板5の相対位置を誤差数μm内の精度で調整することができる。ただし、撮像装置14はCCDカメラに限られるわけではなく、例えばCMOSセンサを撮像素子として備えるデジタルカメラでもよい。また、高倍率カメラと低倍率カメラを別個に併設しなくとも、高倍率レンズと低倍率レンズを交換可能なカメラや、ズームレンズを用いることにより、単一のカメラで高倍率と低倍率の計測を可能にしてもよい。
撮像装置14によって取得したマスクフレーム6aの位置情報および基板5の位置情報から、マスクフレーム6aと基板5との相対位置情報を取得することができる。この相対位置情報を、アライメント装置の制御部70にフィードバックし、昇降スライダ10、面内移動手段11、キャリア支持部8など、それぞれの駆動部の駆動量を制御する。
(基板載置方法)
以下では、基板5を基板キャリア9にセットし、基板キャリア9上の基板5とマスク6とをアライメントし、基板キャリア9(基板5)をマスク6上に載置するまでの、蒸着装置の一連の動作を説明する。
図10は、実施例の蒸着装置の動作シーケンスを示すフローチャートである。
まず、ステップS101では、搬送機構に搭載された基板キャリア9がゲートバルブを介してチャンバ4内に搬入され、キャリア支持部8の両側のキャリア受け爪上に載置される。一方のキャリア受け爪は、基板5(基板キャリア9)の第一辺に沿って所定の間隔を空けて複数配置され、該基板5の第一辺近傍において基板キャリア9の周縁部を支持する。他方のキャリア受け爪は、基板5の上記第一辺と対向する第二辺に沿って所定の間隔を空けて複数配置され、該基板5の第二辺近傍において基板キャリア9の周縁部を支持する。
次に、ステップS103では、基板キャリア9を下降させ、低倍率CCDカメラで撮像する高さにセットする。次に、ステップS104では、低倍率CCDカメラで基板5に設けられた基板マーク37を撮像する。制御部70は、撮像された画像に基づき基板5の位置情報を取得してメモリに保存する。
ステップS105は、ステップS104に続いて実行される場合と、ステップS109またはステップS113での判定が「NO」のとき、これらのS109またはS113に続いて実行される場合とがある。
ステップS104に続いて実行されるステップS105では、基板キャリア9を下降させ、アライメント動作高さにセットし、ステップS104で取得した位置情報に基づいて基板5の位置を調整する。
まず基板キャリア9の高さについて言えば、キャリア受け面(キャリア受け爪の上面)とマスク6とを隔てる距離を、ステップS104のときより低い高さ変更する。ただしこのとき、キャリア受け面の位置は、自重により撓んだ基板キャリア9上の基板5がマスク6と接触しない高さに設定する。なお、場合によっては、ステップS105とステップS104を同じ高さで実行してもよい。
ステップS104に続いて実行されるステップS105におけるアライメント動作では、制御部70は、ステップS104で取得した基板5の位置情報に基づいて、アライメント装置1が備える位置合わせ機構60を駆動する。すなわち、制御部70は、基板5の基板マーク37が高倍率CCDカメラの視野内に入るように基板5の位置を調整する。なお、マスク6については、マスクマーク38が高倍率CCDカメラの視野内(望ましくは視野中心)に入るように、予め、マスク6と高倍率CCDカメラの相対位置が調整済みである。このため、ステップS104に続いて実行されるステップS105におけるアライメント動作により、基板マーク37とマスクマーク38の両方が高倍率CCDカメラの視野内に入るように調整される。ただしこの時点では、被写界深度の関係から、基板マーク37が高倍率CCDカメラで撮像できない可能性がある。なお、アライメント動作では、基
板5をXYθz方向に移動させるが、前述のように自重により撓んだ基板5がマスク6と接触しない高さで移動させるため、基板5の表面、あるいは、基板5表面に既に形成された膜パターンがマスク6と摺動して破損することはない。
次に、ステップS106では、基板キャリア9を下降させ、高倍率CCDカメラで撮像する高さに基板5をセットする。
ここでは、被写界深度が浅い高倍率CCDカメラを、基板マーク37とマスクマーク36の両方に合焦させて撮影するために、基板5の少なくとも一部(撓んだ部分)がマスク6に接触して基板マスク当接部ができるまで、基板5をマスク6に近接させる。
次に、ステップS108では、高倍率CCDカメラによって基板5の基板マーク37とマスク6のマスクマーク38とを同時に撮像する。制御部70は、撮像された画像に基づき基板5とマスク6の相対位置情報を取得する。ここでいう相対位置情報とは、具体的には、基板マーク37とマスクマーク38の中心位置どうしの距離と位置ズレの方向に関する情報である。ステップS108は、基板5とマスク6の相対位置情報(相対位置ズレ量)を取得し、基板5とマスク6の位置ズレ量を計測する計測工程(計測処理)である。
次に、ステップS109では、制御部70はステップS108で計測した基板5とマスク6の位置ズレ量が所定の閾値以下かどうかを判定する。所定の閾値は、基板5とマスク6の位置ズレ量が成膜を行っても支障ない範囲内に収まるように、予め設定された値である。閾値は、求められる基板5とマスク6の位置合わせ精度を達成し得るように設定される。閾値は例えば、誤差数μm内のオーダーとする。
ステップS109において、基板5とマスク6の位置ズレ量が所定の閾値を越えると判定した場合には(ステップS109:NO)、ステップS105に戻ってアライメント動作を実行し、さらにステップS106以降の処理を続行する。
ステップS109の判定がNOの場合に実行されるステップS105では、基板キャリア9を上昇させ、アライメント動作高さにセットし、ステップS108で取得した相対位置情報に基づいて基板5の位置を調整する。
ステップS109の判定がNOの場合に実行されるアライメント動作では、制御部70は、ステップS108で取得した基板5とマスク6の相対位置情報に基づいて、アライメント装置1が備える位置合わせ機構を駆動する。すなわち、制御部70は、基板5の基板マーク37とマスク6のマスクマーク38とがより近接する位置関係になるように、基板5をXYθz方向に移動させて位置を調整する。
アライメント動作では、基板5をXYθz方向に移動させるが、前述のように自重により撓んだ基板5がマスク6と接触しない高さでの移動であるため、基板5の表面、あるいは、基板5表面に既に形成された膜パターンがマスク6と摺動して破損することはない。
ステップS105は、基板5とマスク6の位置ズレ量が減少するように基板5を移動させるアライメント工程(アライメント処理)であり、ステップS109の判定がNOの場合にはファインアライメントが行われる。
ステップS109の判定がYESの場合には、ステップS110において、基板キャリア9をさらに下降して、基板キャリア9全体がマスクフレーム6a上に載置された状態にする。すなわち、キャリア支持部8による基板キャリア9の支持が解かれ、基板キャリア9(基板5)とこれを搭載するマスクフレーム6a(マスク6)とが共に、マスク受け台
16(マスク支持部)によって支持される状態となる。そして、ステップS112において、高倍率CCDカメラにより基板マーク37とマスクマーク36を撮像し、基板5とマスク6の相対位置情報を取得する。
次に、ステップS113では、制御部70はステップS112で取得した基板5とマスク6の相対位置情報に基づき、基板5とマスク6の位置ズレ量が所定の閾値以下かどうかを判定する。所定の閾値は、その閾値内であれば成膜を行っても支障ない範囲内である条件として、予め設定しておく。
ステップS113において、基板5とマスク6の位置ズレ量が所定の閾値を越えると判定した場合には(ステップS113:NO)、キャリア受け爪を基板5の高さに上昇させ基板キャリア9を支持する。なお、かかるNO判定は、例えばステップS109~ステップS114の間に、外部振動により位置ズレが発生した場合などに起こりえる。
そして、ステップS105に戻ってアライメント動作を実行する。その後、ステップS106以降の処理を続行する。
一方、ステップS113において、基板5とマスク6aの位置ズレ量が所定の閾値以下であると判定した場合には(ステップS113:YES)、ステップS114に移行し、マスク昇降台16を下降させて、搬送ローラ15に受け渡す。これによりアライメントシーケンスは完了する(END)。
そして、取付工程として、基板キャリア9とマスク6を、基板キャリア9がマスク6から上方に離れた離隔位置から、基板キャリア9がマスク6の上に載せられる取付位置へと移動させる(離隔状態から取付状態へ移行させる)べく、基板キャリア支持部8を下降させる。本実施例では、第3の方向としてのZ軸方向に沿って下降させているが、本発明の所望の載置動作が実現できる範囲においてZ軸方向に対して多少の角度がついた方向であってもよい。また、基板キャリア支持部8は移動させず、マスク支持部の方を移動させてもよいし、両者を移動させてもよい。
(比較例の基板キャリア)
次に、図10で説明した一連のアライメント動作を完了し、比較例の基板キャリア9をマスク6に搭載して搬送ローラ15によって搬送する場合の搬送状態について、図9を用いて説明する。図9は、支持体33を介してマスク6上に載置される比較例の基板キャリア9が、搬送ローラ15の駆動によって搬送される際の状態(模式的断面図)を示している。また、図9は、図1におけるC-C矢視方向からみたキャリア構成を示し、基板キャリア9を反転しマスク6上に支持体33を介して搭載した際の模式的な断面図であって搬送ローラ15による搬送時の形態を示している。図9において紙面右方向が搬送方向であり、各搬送ローラ15が図中右回転することでマスク6および基板キャリア9が順次搬送され、図9(a)→図9(b)→図9(c)の順に搬送が進んでいく。
図1において、基板キャリア9のキャリア面板30の矩形外周縁部をなす四辺のうちの基板キャリア9の搬送方向に沿った対向二辺近傍が、マスク6が搬送ローラ15によって支持される位置に対応している。説明のため、紙面上方向が搬送方向とし、キャリア面板30の紙面左右の対向二辺に搬送方向に並ぶ複数の支持体を33cとし、以下の説明では、搬送方向支持体33cと称する場合がある。また、搬送方向と直交する幅方向に並ぶ複数の支持体を33sとし、以下の説明では、幅方向支持体33sと称する場合がある。さらに、各図において、各支持体グループを点線で囲った範囲で分けて示す場合がある。図9(a)において、搬送方向支持体33cは、対向二辺のうち搬送方向と直交する辺から直近でdgの位置に配置されている。この距離は、基板キャリア9の搬送方向におけるキ
ャリア面板30の端面と、搬送方向支持体33cのうち該端面と搬送方向において最も近い支持体33cの搬送方向中央部の位置と、の間の搬送方向における距離としている。
図9(a)は、マスク6の最後部が、最後部付近の搬送ローラ15bに接触し支持されている状態である。図9(b)は、図9(a)の位置から搬送が進んでマスク6の最後部の搬送ローラ15bから離れた状態を示している。この際、マスク6の最後部は、搬送ローラ15bによって支持されなくなり片持ち状態となるので、自重変形によって局所的にδの撓みが発生する状態となる。本比較例及び本実施例における基板キャリア(キャリア面板30)は、マスク6と比較して、撓み変形が生じにくい構成となっている。したがって、基板キャリア9は、マスク6の上記撓み変形に対して追従せず、その搬送方向の後端における撓み量は、マスク6の搬送方向後端の撓み量よりも小さい。なお、搬送方向の先端側における基板キャリア9とマスク6の撓み量の大小関係も同様である。
搬送ローラ15は、基板キャリア9及びマスク6の搬送方向と直交する幅方向に沿った回転軸線周りに回転するように配置されるとともに、搬送ライン上に上記搬送方向に間隔を空けて並ぶように複数配置されている。各搬送ローラ19は、隣り合う搬送ローラ15の間の搬送方向における距離、すなわち、ローラ間のスパン(隣り合う搬送ローラ15のそれぞれの回転中心の搬送方向における距離)が、距離dr(第1の距離)で等間隔に配置されている。ただし、真空チャンバ間の接続部は、ドアバルブを介した接続となるため、該接続部においてはローラ間スパンがdrよりも長くなることがあり、その場合には、その撓みはδよも大きくなる。図9(c)は、図9(b)の位置からさらに搬送が進み、マスク6の最後部が次の搬送ローラ15b´に接触し、マスク6後部が再び搬送ローラ15に支持された状態を示している。この際、自重によるδの撓みは解消される。
この図9(b)から図9(c)の過程において、マスク6上の基板キャリア9は、搬送方向支持体33cのうちキャリア後部付近における支持体33cを介して、マスク6の変形による荷重Fmを受けることになる。ここで、マスク6の変形による荷重Fmの横成分荷重をFsとし、搬送方向支持体33cのうち搬送方向中央部に配置された支持体33cで受ける基板キャリア荷重の垂直抗力をFvとし、垂直抗力Fvの横成分、すなわち横方向(搬送方向に対向する方向)の最大静止摩擦力をFhとする。この最大静止摩擦力Fhに対してFm>Fhの関係であると、マスク6と基板キャリア9の相対位置daが変化しズレが発生する。
この状態で複数の搬送ローラ15による搬送を繰り返すと、搬送ローラ15と接触する度に、マスク6後部には自重によるδのたわみが発生し、マスク6後部が再び搬送ローラ15に接触してマスク6の姿勢が平らに戻る際の変形による横荷重Fsが基板キャリア9に作用し、マスク6と基板キャリア9の相対位置daが変化する。この相対位置daは、インライン成膜を行う過程において累積されて数百μmのレベルで変化することになる。これは、基板キャリア9の搬送方向支持体33のうち搬送方向において最も端に配置される支持体33cが、キャリア面板30の搬送方向の端面からの搬送方向における距離をdgで配置され、その距離dgが搬送ローラ15間のスパンdrよりも短いことに起因する。すなわち、比較例に係る基板キャリア9の搬送方向支持体33cの配置は、搬送ローラ15との接触時のマスク6の変形による荷重変化の影響を受けやすい支持体の配置であると言える。
したがって、図10に示すアライメントフローのような一連の動作を経てマスク6と基板キャリア9を高精度で位置合わせしたにもかかわらず、その後の搬送によるズレが発生することがあり、インラインでの成膜時に大きな影響を与えることになる。例えば、基板成膜面の外周におけるマスク範囲にズレが生じて成膜ムラなどが発生し、有機ELパネルの製造過程において歩留まりが悪化することが想定される。
(本実施例の基板キャリア)
図11、図12、図13を用いて、本発明を適用したキャリア構成および支持体の配置を説明する。図11は、本発明の実施例1に係る基板キャリア9aの構成(支持体33の配置)を示している。なお、ここでは、本実施例に係る基板キャリアの構成において、比較例に係る基板キャリア9と異なる部分についてのみ説明する。本実施例に係る基板キャリアの構成において、ここで特に説明しない事項、例えば、支持体以外のキャリア構成や、上述した成膜装置における用いられ方などは、比較例に係る基板キャリア9と同様であり、再度の説明は省略する。
本実施例に係る基板キャリア9aは、キャリア面板30の搬送方向と平行な方向の辺に配置する複数の支持体33c´(搬送方向支持体33c´)が、基板キャリア9の搬送方向と直交する辺(キャリア面板30の搬送方向の端面)からの直近の位置(距離)がdg´となるように配置される。このdg´は、比較例の図1で示したdgよりもキャリア面板30の搬送方向端面から離れており、支持体33c´の配置がキャリア面板30の搬送方向の辺の中央付近に限定されている。この搬送方向の中央部に配置された搬送方向支持体33c´が基板キャリア9の荷重を集中的に受ける構成となっている。また、搬送方向と直交する幅方向の支持体33s´(幅方向支持体33s´)は、基板キャリア9の自重たわみによって基板5がマスク6と接触して破損しないように、基板キャリア9の端部を最低限の支持荷重で支持するようにキャリア面板30の4隅に配置されている。
図12は、本実施例における、基板キャリア9a、支持体33、マスク6の模式的断面図である。図12は、図11のC´-C´矢視方向からの断面図を示し、基板キャリア9aを反転して支持体33c´および支持体33s´を介してマスク6上に搭載した状態を示している。図13(a)は、マスク6の最後部が、最後部付近の搬送ローラ15bに接触し支持されている状態である。図13(b)は、図13(a)の位置から搬送が進んでマスク6の最後部の搬送ローラ15bから離れた状態を示している。図13(c)は、図13(b)の位置からさらに搬送が進み、マスク6の最後部が次の搬送ローラ15b´に接触し、マスク6後部が再び搬送ローラ15に支持された状態を示している。
前述の通り、本実施例ではキャリア面板30の幅方向対向二辺それぞれの搬送方向中央に配置された搬送方向支持体33c´によって基板キャリア9aの荷重を集中的に受けるようになる。したがって、垂直抗力Fvは、比較例の基板キャリア9における支持体配置の場合よりも増大するため、横方向(搬送方向に対向する方向)の最大静止摩擦力Fhは、比較例の基板キャリア9における支持体配置の場合よりも大幅に増大する。このとき、搬送方向支持体33c´のうち、キャリア面板30の搬送方向対向二辺から直近に位置する支持体33c´のキャリア面板30の搬送方向端面からの(距離)は、dg´となっている。dg´は、基板キャリア9aの搬送方向におけるキャリア面板30の端面と、搬送方向支持体33c´のうち該端面と搬送方向において最も近い支持体33c´の搬送方向中央部の位置と、の間の搬送方向における距離としている。本実施例に係る基板キャリア9aは、dg´がローラスパンdrよりも離れているので、マスク6が搬送ローラ15を跨ぐ際の自重変形による荷重変化を受けにくくなる。
一方、搬送方向における基板キャリア9a端部の支持は、キャリア面板30の搬送方向と直交する幅方向の沿った辺に配置される幅方向支持体33s´がキャリア面板30の保持面31の4隅を支持することで、補助的に受けている。4隅の支持体33s´からは搬送ローラ15を跨ぐ際の荷重Fm´を受け、その際の水平成分Fs´が発生するが、本実施例に係る基板キャリア9aの構成では、中央部の最大静止摩擦力が十分に大きく、Fh>Fs´の関係が維持される。したがって、マスク6の後端が搬送ローラ15を跨ぐ際に基板キャリア9aとマスク6の相対位置da´がずれて変化することはない。
したがって、本実施例によれば、インライン成膜時に複数の搬送ローラ15を跨いで搬送された状態であっても、図10に示す一連のアライメントフローで実施した高精度な基板キャリア9aとマスク6の位置合わせ状態が維持される。よって、本実施例によれば、例えば、基板外周部の成膜ムラが低減され、有機ELパネル生産の歩留まりが大幅に向上される。
なお、図12、図13では、搬送方向の後端部側でのマスク6の変形による荷重変化について説明したが、搬送方向の先端部側においても同様に搬送ローラ15の支持状態の変化によるマスク6の変形が生じる。したがって、基板キャリア9aの搬送方向先端側の支持体構成も、上述した後端側の支持体構成と同様に構成されている。すなわち、図1に示すように、搬送方向支持体33c´のうち搬送方向の先頭に配置される支持体33c´は、キャリア面板30の搬送方向先端面からの距離がdg´となるように配置される。
また、本実施例では、搬送方向支持体33c´を、搬送方向における基板キャリア9aの略中央部に集中的に配置しているが、上述した距離dg´が確保されるのであれば、中央部からずれた配置であってもよい。すなわち、搬送方向において、基板キャリア9aの先端から搬送方向逆向きの距離がdg´までの基板キャリア9aの領域を先端部、基板キャリア9aの後端から搬送方向に距離がdg´までの基板キャリア9aの領域を後端部、先端部と後端部との間の基板キャリア9aの領域を中間部としたときに、かかる中間部に搬送方向支持体33c´が配置されていればよい。そして、マスク6に作用する基板キャリア9aの加重(荷重)の単位面積当たりの大きさについて、先端部よりも中間部が大きく、かつ後端部よりも中間部が大きくなるように、搬送方向支持体33c´が配置されればよい。あるいは、マスク6と基板キャリア9aとの間に発生する摩擦力の大きさについて、先端部よりも中間部が大きく、かつ後端部よりも中間部が大きくなるように、搬送方向支持体33c´が配置されればよい。これらの関係が満たされる範囲において、中間部内における搬送方向支持体33c´の配置は、本実施例のように搬送方向に等間隔とする必要はなく、中間部に収まる範囲で任意に配置してよい。
図12における基板キャリア9aの支持状態において、垂直抗力Fvを比較例よりも増大させ、その結果、横方向の摩擦力Fhを増大させて搬送中のズレを低減させる方法としては、次のような構成が考えられる。すなわち、キャリア面板30の幅方向対向二辺の中央に配置された支持体33c´の高さghcを、キャリア面板30の保持面31の4隅の支持体33s´の高さghsよりも高くすることが考えられる。つまり、搬送方向に交差する高さ方向における第1のギャップブロックとしての支持体33c´の長さが、該高さ方向における第2のギャップブロックとしての支持体33s´の長さよりも長ければよい。この構成によって、マスク6上の基板キャリア9aが、マスク6の変形による荷重を受けるにあたって、支持体33c´側で受ける荷重が増大し、垂直抗力Fvが増大し、最大静止摩擦力Fhが増大し、相対的に支持体33s´側の荷重が低減される。したがって、基板キャリア9aの搬送方向中央部において受ける、搬送方向と対向する方向に作用する摩擦力が、相対的に増大することになり、これにより、マスク6と基板キャリア9aの搬送中のズレがより低減される。
また、垂直抗力Fvと最大静止摩擦力Fhは、静止摩擦係数をμとすると、Fh=μ×Fvの関係があるので、静止摩擦係数μを向上させることで、搬送ズレを低減させることが可能である。すなわち、第1のギャップブロックとしての支持体33c´とマスク6との間の摩擦係数が、第2のギャップブロックとしての支持体33s´とマスク6との間の摩擦係数よりも大きくなればよい。したがって、支持体33c´とマスク6の接触面における最大静止摩擦力Fhを向上させるため、支持台33c´の接触面を静止摩擦係数μの高い材質に変更することが有効である。例えば、接触面の材質をアルミ合金で被膜するこ
とが考えられる。また、接触面に微細な凹凸を設けて摩擦力を向上させる方向も考えられる。例えば、自動車のブレーキバッドの様にアスベストの繊維入りのフェノール樹脂としても摩擦力の向上に効果がある。
また、支持体33s´側を粘弾性のある材質、例えば、柔軟なゴムにすることでも、搬送ローラ15を跨ぐ際の変形δを吸収する効果があり、マスク6からの荷重Fm´の変化を受けにくくして搬送ズレを低減する効果がある。
[その他の実施例]
図14及び図15を参照して、本発明の実施例2~6に係る基板キャリア9b~9fについて説明する。以下の説明では実施例2~6において、実施例1と異なる点についてのみ説明する。実施例2~6の構成において、ここで特に説明しない事項は、実施例1の構成と同様であり、再度の説明は省略する。
図14(a)は、本発明の実施例2に係る基板キャリア9bの構成を示す模式的断面図である。キャリア面板30の幅方向対向二辺の搬送方向中央に配置された支持体33c´の高さghcの調整方法としては、シム等の薄板35を支持体33c´とキャリア面板30との間に挟んだような構成とすることで高さを調整する方法でもよい。なお、図14(a)に示す構成例では、複数の支持体33c´に対して共通の一枚の薄板35を配置する構成としているが、かかる構成に限定されるものではない。複数の支持体33c´のそれぞれに対応して複数に分割された薄板を介在させるようにしてもよいし、支持体33c´と薄板35の対応を一対一に配置する部分と、複数の支持体33c´に共通の一枚の薄板35を配置する部分と、を混在させてもよい。
図14(b)は、本発明の実施例3に係る基板キャリア9cの構成を示す模式的断面図である。キャリア面板30の幅方向対向二辺の搬送方向中央に配置された支持体33c´の高さghcの調整方法としては、支持体33c´に代えて、高さ調整可能なジャッキ機構39を配置する構成としてもよい。ジャッキ機構39は、従来既知の、例えばネジ式やくさび式のジャッキ機構を採用してよく、キャリア面板30を支える支持部391と、マスク6に載置される載置部392と、それらの間の高さ方向の距離を可変に構成された調整部393と、を備える。調整部393は、螺合位置の変化によって支持部391と載置部392との間の高さを変化させるネジや、差し込み量によって上記高さを変化させるくさび部などにより構成される。このように、基板キャリア9c(キャリア面板30)の搬送方向に沿った辺(長辺)の中央部を、ジャッキ機構39によってマスク6に対して支持する構成とすることで、該中央部における荷重を大きくし、搬送方向の端部側での荷重を相対的に小さくすることができる。
図14(c)は、本発明の実施例4に係る基板キャリア9dの構成を示す模式的断面図である。本実施例は、磁力による予圧をかけて最大静止摩擦力Fhを向上させる構成例である。すなわち、本実施例に係る基板キャリア9dは、支持体33c´に代えて、マグネット41を配置した構成となっている。マグネット41は、N極41NとS極41Sを有する永久磁石であり、マスク6とキャリア面板30の対向面周縁部の搬送方向に沿った辺の略中央部において、マスク6とキャリア面板30のそれぞれに磁極の配置が互い違いとなるように配置される。マグネット41は、磁力発生手段として、基板キャリア9dの搬送方向中央部がマスク6に向かうように引き寄せられる磁力を、キャリア面板30の搬送方向に沿った辺の中央部(搬送方向における先端部と後端部との間の中間部)に対して印加する。このような磁力による加重により、基板キャリア9dの搬送方向中央部におけるマスク6に対する荷重を、搬送方向端部に対して相対的に大きくすることができ、マスク6端部からの荷重Fm´の影響を受けにくくして搬送ズレを低減することが可能となる。
図14(c)に示す構成例では、基板キャリア9dに設けられたマグネット41と、マスク6に設けられたマグネット41とが、支持体33t´の近傍に配置され、支持体33t´の高さにより、両マグネット41が互いに離間する構成となっている。マグネット41の配置によっては、あるいは支持体の配置によっては、両マグネット41が磁力によって吸着する構成としてもよい。あるいは、マスク6が金属などの磁性体材料で構成されている場合には、マスク6にはマグネット41を設けず、基板キャリア9dに設けられたマグネット41によって、基板キャリア9dの搬送方向中央部に磁力による加重を発生させる構成としてもよい。かかる構成においても、基板キャリア9dの搬送方向中央部におけるマスク6に対する荷重を、搬送方向端部に対して相対的に大きくすることができる。
図15(a)は、本発明の実施例5に係る基板キャリア9eの構成を示す模式的断面図である。本実施例は、支持体33c´を設けずに、キャリア面板30の保持面31の周縁部における搬送方向に沿った辺の搬送方向中央部に凸部93を設け、該凸部93の先端面によって基板キャリア9eがマスク6に対して支持される構成としている。すなわち、基板キャリア9eの上記中間部が、上記先端部および上記後端部に比べてマスク6に向かって突出した突出部を有す構成となっており、基板キャリア9eは、上記中間部においてマスク6と接触し、上記先端部および上記後端部はマスク6と接触しない。かかる構成においても、基板キャリア9eの搬送方向中央部におけるマスク6に対する荷重を、搬送方向端部に対して相対的に大きくすることができる。
図15(a)に示す構成例では、キャリア面板30の搬送方向に沿った対向辺のそれぞれに、単一の凸部93を設ける構成としているが、例えば、複数の凸部を搬送方向中央部に集中するように配置した構成としてもよい。その場合、複数の凸部のそれぞれの大きさ(高さや搬送方向の幅)は、それぞれ同じ大きさにしてもよいし、異なる大きさとなるように構成してもよい。また、上記実施例と同様に、キャリア面板30の保持面31の四隅において凸部93よりも高さの低い支持体33s´が補助的に基板キャリア9eの搬送方向端部を支持する構成としてもよい。
図15(b)は、本発明の実施例6に係る基板キャリア9fの構成を示す模式的断面図である。上記実施例では、キャリア面板30の保持面31の四隅に配置した支持体33s´によって、搬送方向の端部での基板5とマスク6との接触を防ぐ構成としているが、実施例6に係る基板キャリア9fは、4隅の支持体33s´を廃した構成としている。例えば、キャリア面板30のサイズや材質、構成、支持部33の構成や配置等によっては、振動が発生しても基板5とマスク6の接触が生じない構成、あるいは接触が生じたとしても基板5の破損にまで及ばない程度に収まるような構成となる場合がある。そのような場合には、実施例1~4の基板キャリアが備えるような4隅の支持体33s´を廃した構成としてよい。かかる構成によれば、実施例1~4の基板キャリア9と比べて、マスク6端部からの荷重Fm´を受ける機会を減らすことができ、搬送ズレの低減効果を高めることができる。
上記各実施例の各構成は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせた構成としてよい。
<電子デバイスの製造方法>
上記の基板処理装置を用いて、電子デバイスを製造する方法について説明する。ここでは、電子デバイスの一例として、有機EL表示装置のようなディスプレイ装置などに用いられる有機EL素子の場合を例にして説明する。なお、本発明に係る電子デバイスはこれに限定はされず、薄膜太陽電池や有機CMOSイメージセンサであってもよい。本実施例においては、上記の成膜方法を用いて、基板5上に有機膜を形成する工程を有する。また、基板5上に有機膜を形成させた後に、金属膜または金属酸化物膜を形成する工程を有す
る。このような工程により得られる有機EL表示装置600の構造について、以下に説明する。
図16(a)は有機EL表示装置600の全体図、図16(b)は一つの画素の断面構造を表している。図16(a)に示すように、有機EL表示装置600の表示領域61には、発光素子を複数備える画素62がマトリクス状に複数配置されている。発光素子のそれぞれは、一対の電極に挟まれた有機層を備えた構造を有している。なお、ここでいう画素とは、表示領域61において所望の色の表示を可能とする最小単位を指している。本図の有機EL表示装置の場合、互いに異なる発光を示す第1発光素子62R、第2発光素子62G、第3発光素子62Bの組合せにより画素62が構成されている。画素62は、赤色発光素子と緑色発光素子と青色発光素子の組合せで構成されることが多いが、黄色発光素子とシアン発光素子と白色発光素子の組み合わせでもよく、少なくとも1色以上であれば特に制限されるものではない。また、各発光素子は複数の発光層が積層されて構成されていてもよい。
また、画素62を同じ発光を示す複数の発光素子で構成し、それぞれの発光素子に対応するように複数の異なる色変換素子がパターン状に配置されたカラーフィルタを用いて、1つの画素が表示領域61において所望の色の表示を可能としてもよい。例えば、画素62を少なくとも3つの白色発光素子で構成し、それぞれの発光素子に対応するように、赤色、緑色、青色の各色変換素子が配列されたカラーフィルタを用いてもよい。あるいは、画素62を少なくとも3つの青色発光素子で構成し、それぞれの発光素子に対応するように、赤色、緑色、無色の各色変換素子が配列されたカラーフィルタを用いてもよい。後者の場合には、カラーフィルタを構成する材料として量子ドット(Quantum Dot:QD)材料を用いた量子ドットカラーフィルタ(QD-CF)を用いることで、量子ドットカラーフィルタを用いない通常の有機EL表示装置よりも表示色域を広くすることができる。
図16(b)は、図16(a)のA-B線における部分断面模式図である。画素62は、基板5上に、第1電極(陽極)64と、正孔輸送層65と、発光層66R,66G,66Bのいずれかと、電子輸送層67と、第2電極(陰極)68と、を備える有機EL素子を有している。これらのうち、正孔輸送層65、発光層66R,66G,66B、電子輸送層67が有機層に当たる。また、本実施例では、発光層66Rは赤色を発する有機EL層、発光層66Gは緑色を発する有機EL層、発光層66Bは青色を発する有機EL層である。なお、上述のようにカラーフィルタまたは量子ドットカラーフィルタを用いる場合には、各発光層の光出射側、すなわち、図16(b)の上部または下部にカラーフィルタまたは量子ドットカラーフィルタが配置されるが、図示は省略する。
発光層66R,66G,66Bは、それぞれ赤色、緑色、青色を発する発光素子(有機EL素子と記述する場合もある)に対応するパターンに形成されている。また、第1電極64は、発光素子ごとに分離して形成されている。正孔輸送層65と電子輸送層67と第2電極68は、複数の発光素子62R,62G,62Bと共通で形成されていてもよいし、発光素子毎に形成されていてもよい。なお、第1電極64と第2電極68とが異物によってショートするのを防ぐために、第1電極64間に絶縁層69が設けられている。さらに、有機EL層は水分や酸素によって劣化するため、水分や酸素から有機EL素子を保護するための保護層Pが設けられている。
次に、電子デバイスとしての有機EL表示装置の製造方法の例について具体的に説明する。まず、有機EL表示装置を駆動するための回路(不図示)および第1電極64が形成された基板5を準備する。
次に、第1電極64が形成された基板5の上にアクリル樹脂やポリイミド等の樹脂層をスピンコートで形成し、樹脂層をリソグラフィ法により、第1電極64が形成された部分に開口が形成されるようにパターニングし絶縁層69を形成する。この開口部が、発光素子が実際に発光する発光領域に相当する。
次に、絶縁層69がパターニングされた基板5を第1の成膜装置に搬入し、基板保持ユニットにて基板を保持し、正孔輸送層65を、表示領域の第1電極64の上に共通する層として成膜する。正孔輸送層65は真空蒸着により成膜される。実際には正孔輸送層65は表示領域61よりも大きなサイズに形成されるため、高精細なマスクは不要である。ここで、本ステップでの成膜や、以下の各レイヤーの成膜において用いられる成膜装置は、上記各実施例のいずれかに記載された成膜装置である。
次に、正孔輸送層65までが形成された基板5を第2の成膜装置に搬入し、基板保持ユニットにて保持する。基板とマスクとのアライメントを行い、基板をマスクの上に載置し、基板5の赤色を発する素子を配置する部分に、赤色を発する発光層66Rを成膜する。本例によれば、マスクと基板とを良好に重ね合わせることができ、高精度な成膜を行うことができる。
発光層66Rの成膜と同様に、第3の成膜装置により緑色を発する発光層66Gを成膜し、さらに第4の成膜装置により青色を発する発光層66Bを成膜する。発光層66R、66G、66Bの成膜が完了した後、第5の成膜装置により表示領域61の全体に電子輸送層67を成膜する。発光層66R、66G、66Bのそれぞれは単層であってもよいし、複数の異なる層が積層された層であってもよい。電子輸送層65は、3色の発光層66R、66G、66Bに共通の層として形成される。本実施例では、電子輸送層67、発光層66R、66G、66Bは真空蒸着により成膜される。
続いて、電子輸送層67の上に第2電極68を成膜する。第2電極は真空蒸着によって形成してもよいし、スパッタリングによって形成してもよい。その後、第2電極68が形成された基板を封止装置に移動してプラズマCVDによって保護層Pを成膜して(封止工程)、有機EL表示装置600が完成する。なお、ここでは保護層PをCVD法によって形成するものとしたが、これに限定はされず、ALD法やインクジェット法によって形成してもよい。
絶縁層69がパターニングされた基板5を成膜装置に搬入してから保護層Pの成膜が完了するまでは、水分や酸素を含む雰囲気にさらしてしまうと、有機EL材料からなる発光層が水分や酸素によって劣化してしまうおそれがある。従って、本例において、成膜装置間の基板の搬入搬出は、真空雰囲気または不活性ガス雰囲気の下で行われる。
100:アライメント室,1:アライメント装置,9:基板キャリア,5:基板,6:マスク,33:支持体

Claims (19)

  1. 第1の距離で隣り合って並ぶように配置された2つの搬送ローラを少なくとも含み、搬送方向に沿って並ぶ複数の搬送ローラによって、基板を保持し、かつ、マスクに載置された状態で前記搬送方向に搬送される基板キャリアであって、
    前記搬送方向の先端から前記搬送方向において前記第1の距離までの先端部と、
    前記搬送方向の後端から前記搬送方向において前記第1の距離までの後端部と、
    前記搬送方向において前記先端部と前記後端部との間の中間部と、を有し、
    前記中間部における前記マスクへの単位面積当たりの加重が、前記先端部における前記マスクへの単位面積当たりの加重より大きく、かつ、前記後端部における前記マスクへの単位面積当たりの加重より大きい
    ことを特徴とする基板キャリア。
  2. 第1の距離で隣り合って並ぶように配置された2つの搬送ローラを少なくとも含み、搬送方向に沿って並ぶ複数の搬送ローラによって、基板を保持し、かつ、マスクに載置された状態で前記搬送方向に搬送される基板キャリアであって、
    前記搬送方向の先端から前記搬送方向において前記第1の距離までの先端部と、
    前記搬送方向の後端から前記搬送方向において前記第1の距離までの後端部と、
    前記搬送方向において前記先端部と前記後端部との間の中間部と、を有し、
    前記中間部における前記基板キャリアと前記マスクとの摩擦力が、前記先端部における前記基板キャリアと前記マスクとの摩擦力より大きく、かつ、前記後端部における前記基板キャリアと前記マスクとの摩擦力より大きい
    ことを特徴とする基板キャリア。
  3. 前記基板を保持する基板保持部と、
    前記基板保持部の周囲の外周部に配置された複数のギャップブロックと、を有し、
    前記複数のギャップブロックを介して前記マスクに載置される
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の基板キャリア。
  4. 前記複数のギャップブロックは前記中間部に配置され、前記先端部および前記後端部には配置されない
    ことを特徴とする請求項3に記載の基板キャリア。
  5. 前記複数のギャップブロックは、前記中間部に配置された第1のギャップブロックと、前記先端部または前記後端部に配置された第2のギャップブロックとを含み、
    前記第1のギャップブロックと前記マスクとの間の摩擦係数は、前記第2のギャップブロックと前記マスクとの間の摩擦係数より大きい
    ことを特徴とする請求項3に記載の基板キャリア。
  6. 前記複数のギャップブロックは、前記中間部に配置された第1のギャップブロックと、前記先端部または前記後端部に配置された第2のギャップブロックとを含み、
    前記搬送方向に交差する高さ方向における前記第1のギャップブロックの長さは、前記高さ方向における前記第2のギャップブロックの長さより長い
    ことを特徴とする請求項3に記載の基板キャリア。
  7. 前記先端の撓み量が、前記搬送方向における前記マスクの先端の撓み量より小さく、
    前記後端の撓み量が、前記搬送方向における前記マスクの後端の撓み量より小さい
    ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の基板キャリア。
  8. 前記マスクに向かう磁力を前記中間部に印加する磁力発生手段を有する
    ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の基板キャリア。
  9. 前記中間部が、前記先端部および前記後端部に比べて前記マスクに向かって突出した突出部を有する
    ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の基板キャリア。
  10. 第1の距離で隣り合って並ぶように配置された2つの搬送ローラを少なくとも含み、搬送方向に沿って並ぶ複数の搬送ローラによって、基板を保持し、かつ、マスクに載置された状態で前記搬送方向に搬送される基板キャリアであって、
    前記搬送方向の先端から前記搬送方向において前記第1の距離までの先端部と、
    前記搬送方向の後端から前記搬送方向において前記第1の距離までの後端部と、
    前記搬送方向において前記先端部と前記後端部との間の中間部と、を有し、
    前記中間部は前記マスクと接触し、
    前記先端部および前記後端部は前記マスクと接触しない
    ことを特徴とする基板キャリア。
  11. 前記基板を保持する基板保持部と、
    前記基板保持部の周囲の外周部に配置された複数のギャップブロックと、を有し、
    前記複数のギャップブロックを介して前記マスクに載置される
    ことを特徴とする請求項10に記載の基板キャリア。
  12. 前記複数のギャップブロックは前記中間部に配置され、前記先端部および前記後端部には配置されない
    ことを特徴とする請求項11に記載の基板キャリア。
  13. 前記先端の撓み量が、前記搬送方向における前記マスクの先端の撓み量より小さく、
    前記後端の撓み量が、前記搬送方向における前記マスクの後端の撓み量より小さい
    ことを特徴とする請求項10~12のいずれか1項に記載の基板キャリア。
  14. 前記マスクに向かう磁力を前記中間部に印加する磁力発生手段を有する
    ことを特徴とする請求項10~13のいずれか1項に記載の基板キャリア。
  15. 前記中間部が、前記先端部および前記後端部に比べて前記マスクに向かって突出した突出部を有する
    ことを特徴とする請求項10~14のいずれか1項に記載の基板キャリア。
  16. 請求項1~15のいずれか1項に記載の基板キャリアと、
    前記複数の搬送ローラと、
    成膜材料を放出する成膜源と、を備え、
    前記基板キャリアが前記基板を保持し、かつ、前記マスクに載置された状態で、前記基板を前記搬送方向に搬送しながら、前記マスクを介して前記基板に成膜を行う
    ことを特徴とする成膜装置。
  17. 第1の距離で隣り合って並ぶように配置された2つの搬送ローラを少なくとも含み、搬送方向に沿って並ぶ複数の搬送ローラと、
    成膜材料を放出する成膜源と、を備える成膜装置によって成膜を行う成膜方法であって、
    前記搬送方向の先端から前記搬送方向において前記第1の距離までの先端部と、前記搬送方向の後端から前記搬送方向において前記第1の距離までの後端部と、前記搬送方向において前記先端部と前記後端部との間の中間部と、を有する基板キャリアに、基板を保持
    させる基板保持工程と、
    前記中間部における前記マスクへの単位面積当たりの加重が、前記先端部における前記マスクへの単位面積当たりの加重より大きく、かつ、前記後端部における前記マスクへの単位面積当たりの加重より大きくなるように、前記基板キャリアをマスクに載置する載置工程と、
    前記基板キャリアが前記基板を保持し、かつ、前記マスクに載置された状態で、前記基板を前記搬送方向に搬送しながら、前記マスクを介して前記基板に成膜を行う成膜工程と、を有する
    ことを特徴とする成膜方法。
  18. 第1の距離で隣り合って並ぶように配置された2つの搬送ローラを少なくとも含み、搬送方向に沿って並ぶ複数の搬送ローラと、
    成膜材料を放出する成膜源と、を備える成膜装置によって成膜を行う成膜方法であって、
    前記搬送方向の先端から前記搬送方向において前記第1の距離までの先端部と、前記搬送方向の後端から前記搬送方向において前記第1の距離までの後端部と、前記搬送方向において前記先端部と前記後端部との間の中間部と、を有する基板キャリアに、基板を保持させる基板保持工程と、
    前記中間部がマスクに接触し、前記先端部と前記後端部とが前記マスクに接触しないように、前記基板キャリアを前記マスクに載置する載置工程と、
    前記基板キャリアが前記基板を保持し、かつ、前記マスクに載置された状態で、前記基板を前記搬送方向に搬送しながら、前記マスクを介して前記基板に成膜を行う成膜工程と、を有する
    ことを特徴とする成膜方法。
  19. 請求項17又は18に記載の成膜方法を用いて、基板上に有機膜を形成する工程を有することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
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