JP2023014816A - 空気調和装置、および制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】人体の熱ストレス負荷を低減できる空調を実現できる空気調和装置を提供する。【解決手段】空気調和装置は制御部(100)を備える。制御部(100)は、室内空気温度、室内相対湿度、輻射温度、気流速度、着衣量、活動量、外気温度、外気湿度のうちいずれかひとつである第1指標と、人体エクセルギー消費速さとの関係における変曲点に応じた第1指標の値を求める第1処理を行うとともに、該第1処理で求めた前記第1指標の値に基づく第1目標値で空調を行う第1制御を実行する。【選択図】図5

Description

本開示は、空気調和装置、および制御システムに関する。
特許文献1には、就寝者の人体の熱収支量と、人体の濡れ面積率とを算出し、これらが所定値となるように空調を制御する空気調和装置が開示されている。
特開2002-130765号公報
特許文献1に記載の空気調和装置では、人体の熱ストレス負荷を十分に考慮した空調を行うことができない。本開示は、人体の熱ストレス負荷を低減できる空調を実現できる空気調和装置を提供することである。
第1の態様は、室内空気温度、室内相対湿度、輻射温度、気流速度、着衣量、活動量、外気温度、外気湿度のうちいずれかひとつである第1指標と、人体エクセルギー消費速さとの関係における変曲点に応じた第1指標の値を求める第1処理を行うとともに、該第1処理で求めた前記第1指標の値に基づく第1目標値で空調を行う第1制御を実行する制御部(100)を備えた空気調和装置である。
第1の態様では、第1処理において、制御部(100)が人体エクセルギー消費速さと第1指標との関係における変曲点に応じた第1指標の値を求める。ここで、この変曲点は、人体エクセルギー消費速さが比較的小さい値になる。人体エクセルギー消費速さは、人体の熱ストレス負荷と相関があり、人体エクセルギー消費速さが小さいほど、熱ストレス負荷も小さくなる。このため、第1制御において、制御部(100)が変曲点に応じた第1指標の値に基づく第1目標値で空調を行うことで、人体の熱ストレス負荷を軽減する空調を実現できる。
第2の態様は、第1の態様において、前記制御部(100)は、前記第1処理において、室内空気温度、室内相対湿度、輻射温度、気流速度、着衣量、活動量、外気温度、外気湿度のうちの前記第1指標と異なる第2指標の値を変化させたときの前記変曲点の集合である集合変曲点から所定の第1変曲点を決定し、該第1変曲点に応じた第1指標の値および第2指標の値を求め、前記第1制御において、該第1処理で求めた前記第1指標の値に基づく第1目標値および1処理で求めた前記第2指標の値に基づく第2目標値で空調を行う。
第2の態様では、第1処理において、制御部(100)は、第1指標と異なる第2指標の値を変化させたときの前記変曲点の集合である集合変曲点から所定の第1変曲点を決定する。第1処理において、制御部(100)は、第1変曲点に対応する第1指標の値に基づく第1目標値と、第1変曲点に対応する第2指標の値に基づく第2目標値とを求める。制御部(100)は、これらの目標値を満たすように空調を行う。これにより、対象空間(S)の環境に合った変曲点に基づく空調の制御を行うことができるので、人体の熱ストレス負荷をさらに軽減できる。
第3の態様は、第2の態様において、前記制御部(100)は、前記第1処理において、前記集合変曲点のうち人体エクセルギー消費速さが最も小さくなる、または人体エクセルギー消費速さが所定の第1値よりも小さくなる変曲点である第1変曲点を決定する。
第3の態様では、第1処理において、制御部(100)は、集合変曲点のうち人体エクセルギー消費速さが最も小さくなるように第1変曲点を求める。あるいは、制御部(100)は、集合変曲点のうち、第1変曲点の人体エクセルギー消費速さが所定の第1値よりも小さくなるように第1変曲点を求める。制御部(100)は、第1変曲点に対応する第1目標値および第2目標値を求める制御部(100)は、これらの目標値を満たすように空調を行う。以上により、第1制御では、人体エクセルギー消費速さを確実に小さくでき、人体の熱ストレス負荷を軽減できる。
第4の態様は、第2の態様において、前記第2指標を入力する入力部(35)を備え、前記制御部(100)は、前記第1処理において、前記集合変曲点のうち前記入力部(35)に入力された前記第2指標に対応する第1変曲点を決定する。
第4の態様では、制御部(100)は、入力部(35)に入力した第2指標に対応する変曲点を第1変曲点とし、この第1変曲点に応じた第1目標値および第2目標値を求める。これにより、対象空間(S)の第2指標を入力値に近づけるとともに、この環境下において、人体の熱ストレス負荷を軽減できる。
第5の態様は、第1~第4のいずれか1つの態様において、前記第1指標は、室内空気温度である。
第5の態様では、室内空気温度を制御することで、人体エクセルギー消費速さを低減でき、人体の熱ストレス負荷を軽減できる。
第6の態様は、第2~第5のいずれか1つの態様において、前記第2指標は、室内相対湿度、輻射温度、または気流速度である。
第6の態様では、室内相対湿度、輻射温度、および気流速度を第2指標として制御することで、より人体エクセルギー消費速さを低減できる空調制御を実現できる。
第7の態様は、第1~第6のいずれか1つの態様において、前記制御部(100)は、前記第1処理において、所定時間前から現在までの期間の、外気温度および外気湿度の少なくとも1つに関するデータに基づいて前記関係を決定する。
第7の態様では、第1処理において、制御部(100)は、外気温度、あるいは外気湿度の過去から現在までのデータに基づいて、エクセルギー消費速さと第1指標との関係を求める。外気温度や外気湿度は、人体の季節順応に影響を与える。このため、これらの指標を前記関係に反映させることで、季節順応を考慮しつつエクセルギー消費速さを低減できる第1指標を求めることができる。
第8の態様は、第1~第7のいずれか1つの態様の制御部(100)を備えた空気調和装置の制御システムである。
図1は、実施形態に係る空気調和装置の概略の構成図である。 図2は、実施形態に係る空気調和装置の概略の配管系統図である。 図3は、実施形態に係る空気調和装置のブロック図である。 図4は、実施形態に係る空気調和装置のエクセルギー制御運転のフローチャートである。 図5は、実施形態に係るエクセルギー制御運転において、第1処理で得た、人体エクセルギー消費速さと内気温度との関係を説明するためのグラフである。 図6は、変形例1の空気調和装置の利用ユニットの概略の構成図である。 図7は、変形例1に係る空気調和装置のエクセルギー制御運転のフローチャートである。 図8は、変形例1に係るエクセルギー制御運転において、第1処理で得た、人体エクセルギー消費速さと内気温度との関係を説明するためのグラフである。 図9は、変形例2に係る空気調和装置のエクセルギー制御運転のフローチャートである。 図10は、研究成果に関し、外気温度と人体エクセルギー消費速さの関係を表すグラフである。 図11は、研究成果に関し、関東の住宅における寒暑感「どちらでもない」時の各週の空気温度と着衣量の平均値±標準偏差を表すグラフである。 図12は、研究成果に関し、環境変化への適応行動パターンを示す表である。 図13は、研究成果に関し、「暑くも寒くもない」申告時の条件における外気温と人体エクセルギー消費速さの関係を表すグラフである。 図14は、研究成果に関し、室内温度と人体エクセルギー消費速さと濡れ率の関係を表すグラフである。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解の容易のために必要に応じて寸法、比、または数を、誇張あるいは簡略化して表す場合がある。
《実施形態》
(1)空気調和装置の全体構成
本開示の空気調和装置(10)は、対象空間である室内空間(S)の空調を行う。室内空間(S)には人(H)が存在する。本例の空気調和装置(10)は、室内空気の温度を調節する機能を有する。
図1および図2に示すように、空気調和装置(10)は、熱源ユニット(20)と利用ユニット(30)とを有する。熱源ユニット(20)および利用ユニット(30)は、2本の連絡配管(液連絡配管(11)およびガス連絡配管(12))を介して互いに接続される。これにより、空気調和装置(10)では、冷媒回路(R)が構成される。冷媒回路(R)には、冷媒が充填される。冷媒回路(R)は、冷媒が循環することで冷凍サイクルを行う。
(1-1)熱源ユニット
熱源ユニット(20)は、室外空間(O)に配置される室外ユニットである。熱源ユニット(20)は、熱源ファン(21)を有する。熱源ユニット(20)は、冷媒回路(R)に接続される要素として、圧縮機(22)、熱源熱交換器(23)、切換機構(24)、および膨張機構(25)を有する。
圧縮機(22)は、吸入した冷媒を圧縮する。圧縮機(22)は、圧縮した冷媒を吐出する。圧縮機(22)は、揺動ピストン式などの回転式圧縮機である。圧縮機(22)は、インバータ式である。圧縮機(22)の第1モータ(M1)は、インバータ装置のよって回転数(運転周波数)が調節される。
熱源熱交換器(23)は、フィンアンドチューブ式の空気熱交換器である。熱源熱交換器(23)は、その内部を流れる冷媒と室外空気とを熱交換させる室外熱交換器である。
熱源ファン(21)は、熱源熱交換器(23)の近傍に配置される。本例の熱源ファン(21)は、プロペラファンである。熱源ファン(21)は、熱源熱交換器(23)を通過する空気を搬送する。
切換機構(24)は、冷房サイクルである第1冷凍サイクルと、暖房サイクルである第2冷凍サイクルとを切り換えるように、冷媒回路(R)の流路を変更する。切換機構(24)は、四方切換弁である。切換機構(24)は、第1ポート(P1)、第2ポート(P2)、第3ポート(P3)、および第4ポート(P4)を有する。切換機構(24)の第1ポート(P1)は、圧縮機(22)の吐出部と繋がる。切換機構(24)の第2ポート(P2)は、圧縮機(82)の吸入部と繋がる。切換機構(24)の第3ポート(P3)は、ガス連絡配管(12)を介して利用熱交換器(33)のガス側端部と繋がる。切換機構(24)の第4ポート(P4)は、熱源熱交換器(23)のガス側端部と繋がる。
切換機構(24)は、第1状態と第2状態とに切り換わる。第1状態(図2の実線で示す状態)の切換機構(24)は、第1ポート(P1)と第4ポート(P4)とを連通し且つ第2ポート(P2)と第3ポート(P3)とを連通する。第2状態(図2の破線で示す状態)の切換機構(24)は、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とを連通し、第2ポート(P2)と第4ポート(P4)とを連通する。
膨張機構(25)は、一端が熱源熱交換器(23)の液側端部と繋がり、他端が液連絡配管(11)を介して利用熱交換器(33)の液側端部と繋がる。膨張機構(25)は、膨張弁である。膨張機構(25)は、その開度が調節可能な電子膨張弁である。
(1-2)利用ユニット
利用ユニット(30)は室内空間(S)の壁面に設置される。言い換えると、利用ユニット(30)は、壁掛け式の室内空調機である。利用ユニット(30)は、ケーシング(31)と、利用ファン(32)とを有する。利用ユニット(30)は、冷媒回路(R)に接続される要素として、利用熱交換器(33)を有する。
ケーシング(31)は、利用ファン(32)および利用熱交換器(33)を収容する。ケーシング(31)は、吸込口(30a)と吹出口(30b)とを有する。ケーシング(31)の内部には、吸込口(30a)から吹出口(30b)に亘って空気通路(30c)が形成される。
利用熱交換器(33)は、フィンアンドチューブ式の空気熱交換器である。利用熱交換器(33)は、その内部を流れる空気と冷媒とを熱交換させる空気熱交換器である。
利用ファン(32)は、クロスフローファンである。利用ファン(32)の第2モータ(M2)の回転数は可変である。言い換えると、利用ファン(32)の風量は可変である。利用ファン(32)は、空気通路(30c)において利用熱交換器(33)の上流側に配置される。利用ファン(32)は、利用熱交換器(33)を通過する空気を搬送する。
(1-3)センサ
図2および図3に示すように、空気調和装置(10)は、複数のセンサを有する。本例の空気調和装置(10)は、外気温度センサ(41)、外気湿度センサ(42)、内気温度センサ(43)を有する。外気温度センサ(41)および外気湿度センサ(42)は、室外空間(O)に配置される。外気温度センサ(41)は、外気温度を検出する。外気湿度センサ(42)は、外気湿度(厳密には室外相対湿度)を検出する。内気温度センサ(43)は、室内空間(S)に配置される。内気温度センサ(43)は、室内空気温度を検出する。
空気調和装置(10)は、冷媒回路(R)の高圧圧力、低圧圧力、凝縮温度、蒸発温度などを検出する各種の冷媒センサ(図示省略)を有する。
(1-4)リモートコントローラ
図1~図3に示すように、空気調和装置(10)は、リモートコントローラ(35)を有する。リモートコントローラ(35)は、操作部(36)を有する。操作部(36)は、人(H)が空気調和装置(10)に対する各種の指示を入力するための機能部である。操作部(36)は、スイッチ、ボタン、またはタッチパネルを含む。人が操作部(36)を操作することで空気調和装置(10)の運転が選択される。空気調和装置(10)の運転は、冷房運転と暖房運転とを含む。人が操作部(36)を操作することで設定温度を変更できる。リモートコントローラ(35)は、目標値を入力するための入力部である。
(1-5)制御部
空気調和装置(10)は、制御部(100)を有する。図2および図3に示すように、制御部(100)は、第1制御装置(C1)と、第2制御装置(C2)と、第3制御装置(C3)とを含む。第1制御装置(C1)は、熱源ユニット(20)に設けられる。第2制御装置(C2)は、利用ユニット(30)に設けられる。第3制御装置(C3)は、リモートコントローラ(35)に設けられる。
第1制御装置(C1)と第2制御装置(C2)とは、第1通信線(W1)によって互いに接続される。第1通信線(W1)は有線または無線である。第2制御装置(C2)と第3制御装置(C3)とは、第2通信線(W2)によって互いに接続される。第2通信線(W1)は有線または無線である。
第1制御装置(C1)、第2制御装置(C2)、第3制御装置(C3)のそれぞれは、MCU(Micro Control Unit,マイクロコントローラユニット)、電気回路、電子回路を含む。MCUは、CPU(Central Processing Unit,中央演算処理装置)、メモリ、通信インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラムが記憶されている。
第1制御装置(C1)は、圧縮機(22)、熱源ファン(21)、切換機構(24)、および膨張機構(25)を制御する。第1制御装置(C1)は、圧縮機(22)の第1モータ(M1)の回転数を調節する。第2制御装置(C2)は、利用ファン(32)を制御する。第2制御装置(C2)は、利用ファン(32)の第2モータ(M2)の回転数を調節する。
制御部(100)には、上述した各センサの検出値が入力される。
制御部(100)は、記憶部(101)を有する。本例の記憶部(101)は、第1制御装置(C1)に設けられるが、第2制御装置(C2)や第3制御装置(C3)に設けられてもよい。記憶部(101)は、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)などを含む。記憶部(101)は、人体エクセルギー消費速さと、それに関連する指標とを関連付けたデータを記憶する。
記憶部(101)は、外気温度センサ(41)で検出した外気温度と、外気湿度センサ(42)で検出した外気湿度とを適宜記憶する。記憶部(101)は、所定期間における外気温度および外気湿度を履歴データとして記憶する。記憶部(101)は、外気温度および外気湿度を所定間隔(例えば30分)毎に記憶する。
(2)人体エクセルギー収支について
空気調和装置(10)は、人体エクセルギー消費速さを考慮した空調を行う。人体エクセルギー消費速さは、以下のエクセルギー収支に関する式に含まれる。
[人体エクセルギー消費速さ]=[人体エクセルギー入力]-[人体エクセルギー蓄積]-[人体エクセルギー出力]
人体エクセルギー消費速さは、人体の体表面1mあたりのエクセルギーの消費の速さを表す指標である。人体エクセルギー入力は、人体の体表面1mあたりのエクセルギーの発生の速さを表す指標である。人体エクセルギー蓄積は、人体の体表面1mあたりのエクセルギーの蓄積の速さを表す指標である。人体エクセルギー出力は、人体の体表面1mあたりのエクセルギーの放出の速さを表す指標である。これらの指標の単位は、W/mである。
人体エクセルギー消費速さは、体内で消費されるエクセルギーである。人体エクセルギー消費速さは、人体の内部と外部との温度差による熱拡散、人体と着衣との間の温度差による熱拡散、および人体と着衣との間の水蒸気圧力差による汗と空気との相互拡散に起因する。
人体エクセルギー入力は、主として、代謝によって発生するエクセルギー、吸気によるエクセルギー、代謝水によるエクセルギー、および着衣が吸収する放射熱によるエクセルギーから構成される。代謝によって発生するエクセルギーは、飲食によって人体に取り込まれたグルコース中に蓄えられたエクセルギーが細胞活動のために消費された結果、体内で発生したエクセルギーである。吸気によるエクセルギーとは、吸気の熱の拡散、および吸気に含まれる水蒸気の拡散などによって発生するエクセルギーである。代謝水によるエクセルギーとは、代謝水の熱の拡散、および代謝水の体外への拡散などによって発生するエクセルギーである。代謝水とは、代謝によって生じる水であり、例えば体内のグルコースの燃焼によって発生する水である。
人体エクセルギー蓄積とは、周囲の環境に応じて体内に蓄積されるエクセルギーである。周囲の環境の温度が高いほど、人体エクセルギー蓄積は増加する傾向にある。
人体エクセルギー出力とは、体内から体外に放出されるエクセルギーである。人体エクセルギー出力は、主として、吸気によるエクセルギー、汗の蒸発後に発生する湿り空気の拡散によって発生するエクセルギー、着衣が放出する放射熱によるエクセルギー、および着衣が放出する対流熱によるエクセルギーから構成される。吸気によるエクセルギーとは、吸気の熱の拡散、および吸気に含まれる水蒸気などの拡散によって発生するエクセルギーである。
人体エクセルギー消費速さは、人体の血管の拡張収縮の度合いと相関関係がある。人体エクセルギー消費速さが低いほど、人体の血管の拡張収縮の度合いが小さく、人体にかかる熱ストレス負荷が小さくなる。つまり、人体エクセルギー消費速さは、人体の熱ストレス負荷を表す指標となる。
人体エクセルギー消費速さは、寒い環境および暑い環境によって高くなり、寒くも暑くもない環境において低くなる傾向にある。人体エクセルギー消費速さが最小となる環境とは、1)人体の内部と外部との温度差による熱拡散、2)人体と着衣との間の温度差による熱拡散、および3)人体と着衣との間の水蒸気圧力差による汗と空気との相互拡散のうち、特に3)の項目の比率が小さい環境である。人体エクセルギー消費速さが最小となる環境は、人体にかかる熱ストレス負荷が最も小さい環境といえる。
(3)運転動作
空気調和装置(10)は、通常の冷房運転、通常の暖房運転、およびエクセルギー制御運転を行う。
(3-1)冷房運転
冷房運転では、切換機構(24)が第1状態となる。空気調和装置(10)は、熱源熱交換器(23)が放熱器として機能し、利用熱交換器(33)が蒸発器として機能する冷凍サイクル(冷房サイクル)を行う。具体的には、圧縮機(22)で圧縮された冷媒は、熱源熱交換器(23)で放熱し、膨張機構(25)で減圧される。膨張機構(25)で減圧された冷媒は、利用熱交換器(33)で蒸発し、圧縮機(22)に吸入される。
利用ユニット(30)では、利用ファン(32)が運転状態となる。室内空間(S)の空気は、吸込口(30a)から空気通路(30c)に吸い込まれる。空気通路(30c)の空気は、利用熱交換器(33)によって冷却された後、吹出口(30b)から室内空間(S)へ供給される。
(3-2)暖房運転
暖房運転では、切換機構(24)が第2状態となる。暖房運転中の空気調和装置(10)は、利用熱交換器(33)が放熱器として機能し、熱源熱交換器(23)が蒸発器として機能する冷凍サイクル(暖房サイクル)を行う。具体的には、圧縮機(22)で圧縮された冷媒は、利用熱交換器(33)で放熱し、膨張機構(25)で減圧される。膨張機構(25)で減圧された冷媒は、熱源熱交換器(23)で蒸発し、圧縮機(22)に吸入される。
利用ユニット(30)では、利用ファン(32)が運転状態となる。室内空間(S)の空気は、吸込口(30a)から空気通路(30c)に吸い込まれる。空気通路(30c)の空気は、利用熱交換器(33)によって加熱された後、吹出口(30b)から室内空間(S)へ供給される。
(3-3)エクセルギー制御運転
エクセルギー制御運転では、制御部(100)が人体エクセルギー消費速さに基づいて室内空間(S)の空調を制御する。エクセルギー制御運転は、暖房運転に対応する暖房エクセルギー運転と、冷房運転に対応する冷房エクセルギー運転とを含む。
エクセルギー制御運転について、図4および図5を参照しながら詳細に説明する。ここでは、例えば冬季に実行される暖房エクセルギー運転の例を説明する。
エクセルギー制御運転が実行されると、ステップS11において、外気温度センサ(41)は室外空間(O)の外気温度を取得する。記憶部(101)は外気温度センサ(41)が取得した外気温度を履歴データとして適宜記憶する。ステップS12において、外気湿度センサ(42)は室外空間(O)の外気湿度を取得する。記憶部(101)は外気湿度センサ(42)が取得した外気湿度を履歴データとして適宜記憶する。
ステップS13において、制御部(100)は、記憶部(101)に記憶された履歴データに基づき外気温度の平均値(平均外気温度Ta)を算出する。制御部(100)は、所定時間前から現在までの所定期間ΔTにおいて取得した複数の外気温度の平均値を算出する。本例では、所定期間ΔTが例えば1ヶ月(約30日)に設定される。複数の外気温度は、所定時間t1毎に取得され、記憶部(101)に記憶される。所定時間t1は例えば30分に設定される。このように、比較的長い期間における過去から現在までの外気温度を取得することで、人の季節順応を考慮した人体エクセルギー消費速さ(詳細は後述する)を求めることができる。
ステップS14において、制御部(100)は、記憶部(101)に記憶された履歴データに基づき外気湿度の平均値(平均外気湿度Ha)を算出する。制御部(100)は、所定時間前から現在までの所定期間ΔTにおいて取得した複数の外気湿度の平均値を算出する。本例では、所定期間ΔTが例えば1ヶ月(約30日)に設定される。複数の外気湿度は、所定時間t2毎に取得され、記憶部(101)に記憶される。所定時間t2は例えば30分に設定される。このように、比較的長い期間における過去から現在までの外気湿度を取得することで、人の季節順応を考慮した人体エクセルギー消費速さ(詳細は後述する)を求めることができる。
ステップS15において、内気温度センサ(43)は、室内空間(S)の内気温度(室内空気温度)を取得する。
ステップS16において、制御部(100)は室内空間(S)の人(H)の着衣量を取得する。ここで、着衣量(単位clo)は、予め制御部(100)に記憶された設定値であってもよい。この場合、制御部(100)には、空気調和装置(10)が運転される季節や時期毎の着衣量を設定するのが好ましい。この場合、例えば寒い時期であれば、着衣量が比較的大きくなり、暑い時期であれば、着衣量が比較的小さくなる。
人(H)が入力部としてのリモートコントローラ(35)に着衣量を直接入力してよい。この場合、制御部(100)は、現在の人(H)の着衣量をより正確に取得することができる。
ステップS17において、本例の制御部(100)は、人体エクセルギー消費速さと内気温度との関係を求める。ここで、内気温度は本開示の第1指標であり、空調の制御値である。
人体エクセルギー消費速さは、室外空間(O)の外気温度および外気湿度、人(H)が存在する対象空間の内気温度および内気湿度、人(H)が存在する対象空間の壁面温度(輻射温度)、空気調和装置(10)から人(H)に供給される気流の流速(気流速度)、人(H)の着衣量、および人(H)の活動量をパラメータとして得られる指標である。したがって、これらの指標を用いることで、図5に示すように、人体エクセルギー消費速さと内気温度との関係を得ることができる。
ここで、外気温度としては、ステップS13で取得した平均外気温度Taを、外気湿度としては、ステップS14で取得した平均外気湿度Haを用いる。
本例では、内気湿度(室内相対湿度)としては、予め制御部(100)に記憶された設定値(例えば相対湿度50%)を用いる。この場合、制御部(100)には、空気調和装置(10)が運転される季節や時期毎の内気湿度を設定するのが好ましい。利用ユニット(30)に、内気湿度を検出する内気湿度センサを設け、現在の内気湿度を直接取得してもよい。
対象空間の壁面温度としては、内気温度と同じ温度を用いる。
風速としては、予め制御部(100)に記憶された設定値(例えば0.1m/s)を用いる。風速は、現在の利用ファン(32)の風量(回転数)に応じた設定値とするのがよい。制御部(100)は、現在の利用ファン(32)の風量に対応する設定値を読み込み、この設定値を、前記関係を求めるためのパラメータとする。現在の風速を風速計などによって取得してもよい。
着衣量は、上述したように予め制御部(100)に記憶された設定値(寒い時期であれば例えば0.94clo)を用いる。
人(H)の活動量は、予め制御部(100)に記憶された設定値(例えば1.1met)を用いる。
ステップS17において、制御部(100)は、以上のパラメータを用いて、図5に示す関係を作成する。この関係は、複数の内気温度と、複数の内気温度に対応する人体エクセルギー消費速さとからなる関係であり、グラフ、データテーブル、関係式などであってもよい。
図5から明らかなように、人体エクセルギー消費速さは、内気温度が比較的低い範囲(図5の範囲A)において、内気温度が高くなるほど、急激に低下する。そして、変曲点aを境に内気温度がさらに高くなる範囲(図5の範囲B)において、人体エクセルギー消費速さが山なりにカーブしながら少しずつ低下する。ここでいう変曲点は、数学的に定義された変曲点ではなく、内気温度と人体エクセルギー消費速さの関係を示す曲線の傾きが急激に変化する折れ曲がり点を指す。
このように人体エクセルギー消費速さに変曲点が生じるのは、人体の発汗の影響であると考えられる。図5では、参考のために、内気温度に対応する濡れ率を表している。ここで、濡れ率は、人の発汗を表す指標である。濡れ率が不感蒸泄の上限値を示す0.06を越えると、発汗が始まることになる。
ステップS18において、制御部(100)は、ステップS17で取得した関係に基づいて、人体エクセルギー消費速さの変曲点を求める。例えば制御部(100)は、人体エクセルギー消費速さが急激に低下する範囲Aにおいて、その人体エクセルギー消費速さが最小となる点を変曲点(変曲点a)と判定する。
ステップS19において、制御部(100)は変曲点aに対応する内気温度を求める。本例では、変曲点aに対応する内気温度(以下、最適内気温度ともいう)は21℃である。この最適内気温度は、第1指標の値である。
ステップS17、ステップS18、およびステップS19は、本開示の第1処理に対応する。
ステップS20において、制御部(100)は、ステップS19で求めた最適内気温度を第1目標値として空調を制御する第1制御を実行する。具体的には、制御部(100)は、第1制御において、内気温度センサ(43)で検出した内気温度が第1目標値に近づくように、空気調和装置(10)の空調能力を調節する。暖房エクセルギー運転であれば、制御部(100)は、圧縮機(22)の回転数を調節することにより、利用熱交換器(33)の高圧圧力(凝縮圧力、あるいは凝縮温度)を調節する。その結果、室内空間(S)の内気温度が、最適内気温度に収束する。ここで、最適内気温度から所定の範囲の値(例えば、±3℃の範囲。より好ましくは、±1℃の範囲)に近づくように、空気調和装置(10)の空調能力を調節してもよい。例えば人体エクセルギー消費速さがほとんど変化せず、かつ発汗の負担の少ない濡れ率が0.1未満の範囲において最大となる温度に近づくように、空気調和装置(10)の空調能力を調整してもよい。
ステップS20の後、ステップS21において所定時間が経過すると、再びステップS11に移行し、同様の処理が実行される。ここで、ステップS21の所定時間は例えば30分に設定される。
(4)特徴
(4-1)
制御部(100)は、人体エクセルギー消費速さと、第1指標(内気温度)との関係における変曲点に応じた第1指標の値を求める第1処理を行う。制御部(100)は、第1処理で求めた第1指標の値に基づく第1目標値を制御目標として空調を行う第1制御を実行する。具体的には、図5の例では、制御部(100)は、変曲点aに対応する最適内気温度(約21℃)を第1指標の第1目標値とする。その結果、室内空間(S)の内気温度が最適内気温度に収束すると、人体エクセルギー消費速さを比較的小さくできる。
ここで、人体エクセルギー消費速さは、人体の熱ストレス負荷と相関があり、その値が低いほど熱ストレス負荷も小さくなる。したがって、第1制御により、室内空間(S)の人(H)の人体エクセルギー消費速さを小さくすることで、人体の熱ストレス負荷を軽減できる。
加えて、変曲点aは、人(H)が発汗する内気温度よりもやや低い温度に対応する。このため、対象空間の内気温度を変曲点aに対応する最適内気温度に収束させることで、室内空間(S)における人(H)の発汗も抑制できる。
(4-2)
第1指標は、内気温度(室内空気温度)である。このため、室内空間(S)の内気温度の調節により、人体の熱ストレス負荷を軽減できる。
(4-3)
制御部(100)は、第1処理において、所定時間前から現在までの期間の、外気温度および外気湿度に関するデータに基づいて前記関係を決定する。なお、制御部(100)は、所定時間前から現在までの期間の、外気温度に関するデータに基づいて前記関係を決定してもよい。制御部(100)は、所定時間前から現在までの期間の、外気湿度に関するデータに基づいて前記関係を決定してもよい。
外気温度や外気湿度の過去から現在までの履歴データは、ある期間において、人が暴露される空気の温度や湿度に相当する。このため、このような履歴データは、人の季節順応に影響する指標となる。制御部(100)は、この履歴データに基づいて図5に示す関係を求めるため、人の季節順応を考慮しつつ、その人の人体エクセルギー消費速さを低くするための第1指標の値(ここでは、内気温度)を得ることができる。したがって、第1制御では、人の季節順応を考慮しながら、その人の熱ストレス負荷を精度よく軽減できる。加えて、第1制御では、人の季節順応を考慮しながら、その人の発汗を抑制できる。
(5)変形例
上記実施形態においては、以下のような変形例の構成としてもよい。なお、以下では、原則として上記実施形態と異なる点について説明する。
(5-1)変形例1:湿度コントロールを含む空気調和装置(1)
(5-1-1)空気調和装置の全体構成
図6に模式的に示すように、変形例1の空気調和装置(10)の利用ユニット(30)は、利用熱交換器(33)、利用ファン(32)、および調湿部(50)を有する。利用熱交換器(33)は、空気の温度を調節する温度調節部である。調湿部(50)は、空気の湿度を調節する。
調湿部(50)は、例えば水分の吸着および脱離を行うことで、空気の湿度を調節する吸着部材を含む。この場合、調湿部(50)は、吸着部材を再生するための加熱部を含む。
調湿部(50)は、例えば熱交換器のフィンや伝熱管の表面に吸着剤を担持した吸着熱交換器を含んでもよい。この場合、調湿部(50)は、吸着熱交換器を流れて吸着材を加熱あるいは冷却する熱媒体(例えば冷媒)を含む。調湿部(50)は、回転式の吸着ロータを含んでもよい。この場合、吸着ロータは、吸着ロータを回転する駆動源や、吸着ロータを再生する加熱部を含む。吸着ロータは、熱源ユニット(20)(室外機)に設けられてもよい。吸着ロータにより、加湿、あるいは除湿した空気は、ダクトを経由して利用ユニット(30)の空気通路(30c)に供給される。
調湿部(50)は、空気中に水分を放出する加湿エレメントや、噴霧器であってもよい。
調湿部(50)は、例えば室内空気と室外空気との間で、顕熱および潜熱を交換する全熱交換器であってもよい。
空気調和装置(10)は、内気温度センサ(43)に加えて、内気湿度センサ(44)を有する。内気湿度センサ(44)は、室内空間(S)の室内空気の湿度(厳密には、相対湿度)を検出する。
(5-1-2)エクセルギー制御運転
変形例1のエクセルギー制御運転について、図7および図8を参照しながら詳細に説明する。ここでは、例えば夏期に実行される冷房エクセルギー運転の例を説明する。
変形例1において、ステップS21~S25は、上述した実施形態のステップS11~S15と同じである。ステップS26において、内気湿度センサ(44)は、室内空間(S)の内気湿度を取得する。ステップS27において、制御部(100)は、ステップS16と同様、室内空間(S)の人(H)の着衣量を取得する。
ステップS28において、制御部(100)は、人体エクセルギー消費速さと内気温度との関係を求める。ここで、内気温度は本開示の第1指標であり、空調の制御値である。変形例1の制御部(100)は、複数の内気湿度毎に、前記関係を求める。これらの関係は、室外空間(O)の外気温度および外気湿度、人(H)が存在する対象空間の内気温度および内気湿度、人(H)が存在する対象空間の壁面温度(輻射温度)、空気調和装置(10)から人(H)に供給される空気の風速、人(H)の着衣量、および人(H)の活動量をパラメータとして作成される。制御部(100)は、内気湿度の制御範囲において、複数の内気湿度に応じた関係を作成する。
図8の例では、ステップS28において、制御部(100)は、内気湿度が70%に対応する第1の関係R1と、内気湿度が50%に対応する第2の関係R2と、内気湿度が30%に対応する第3の関係R3とを作成する。図8の例では、第1の関係R1に変曲点aが、第2の関係R2に変曲点bが、第3の関係R3に変曲点cがそれぞれ存在する。これらの変曲点の集合を集合変曲点という。言い換えると、ステップS28において、制御部(100)は、第1指標と異なる第2指標の値を変化させたときの変曲点の集合である集合変曲点を求める。
ステップS29において、制御部(100)は、複数の変曲点a、b、cのうち、人体エクセルギー消費速さが最も小さくなる第1変曲点を求める。第1変曲点は、内気湿度(第2指標)の値に対応する変曲点ということもできる。本例の第1変曲点は、第1の関係R1に対応する変曲点aとなる。
ステップS30において、制御部(100)は第1変曲点に対応する第1指標の値および第2指標の値を求める。第1指標の値は、第1変曲点に対応する内気温度(最適内気湿度)である。第2指標の値は、第1変曲点、あるいは第1変曲点の第1の関係R1に対応する内気湿度(以下、最適内気湿度ともいう)である。
ステップ28、ステップS29、およびステップS30は、本開示の第1処理に対応する。
ステップS31において、制御部(100)は、ステップS30で求めた最適内気温度を第1目標値として空調を制御する。具体的には、制御部(100)は、内気温度センサ(43)で検出した内気温度が第1目標値に近づくように、利用熱交換器(33)の能力を調節する。冷房エクセルギー運転であれば、制御部(100)は、圧縮機(22)の回転数を調節することにより、利用熱交換器(33)の低圧圧力(蒸発圧力、あるいは蒸発温度)を調節する。その結果、室内空間(S)の内気温度が、最適内気温度に収束する。
ステップS32において、制御部(100)は、ステップS30で求めた最適内気湿度を第2目標値として空調を制御する。具体的には、制御部(100)は、内気湿度センサ(44)で検出した内気湿度が第2目標値に近づくように、調湿部(50)の能力を調節する。その結果、室内空間(S)の内気湿度が、最適内気湿度に収束する。ここで、最適内気湿度から所定の範囲の値(例えば、±20%の範囲。より好ましくは、±10%の範囲)に近づくように、調湿部(50)の能力を調節してもよく、例えば最適内気湿度が70%でも、調湿部で設定できる湿度の範囲が40~60%の場合には、60%に近づくように、調湿部(50)の能力を調整してもよい。
ステップS31、およびステップS32は、本開示の第1制御に対応する。
その後、ステップS33に移行し、所定時間(例えば30分)が経過すると、ステップS21以降の処理が再び実行される。
(5-2)特徴
制御部(100)は、第1処理において、集合変曲点のうち人体エクセルギー消費速さが最も小さくなるように第1変曲点を決定し、第1変曲点に応じた第1指標の値および第2指標の値を求める。言い換えると、第1制御において、制御部(100)は、第1指標(内気温度)の値、及び第2指標(内気湿度)の値を目標値として空調を制御する。これにより、図8に示すように、第1制御では、人体エクセルギー消費速さが最も少ない変曲点aを目指した空調を行うことができる。その結果、人体エクセルギー消費速さを最小化でき、人の熱ストレス負荷を効果的に軽減できる。
加えて、変曲点aは、発汗が始まる前の内気温度および内気湿度に対応するため、人の発汗も抑制できる。
なお、変形例1のエクセルギー制御運転のステップS29において、制御部(100)は、ステップS28で作成した集合変曲点のうち、人体エクセルギー消費速さが所定の第1値よりも低くなる変曲点を第1変曲点としてもよい。ここで、第1値は、第2指標の制御範囲に対応する人体エクセルギー消費速さの上限値をEuと、下限値をElとすると、これらの中央値(Eu-El/2)以下であることが好ましい。このように第1変曲点を決定することで、第1制御において、人体エクセルギー消費速さを低くでき、人の熱ストレス負荷を軽減できる。
(6)変形例2:湿度コントロールを含む空気調和装置(2)
変形例2は、変形例1において、第1変曲点の決定方法が異なる。図9に示すように、変形例2の制御部(100)は、変形例1のステップS29にかえて、ステップS34の制御を行う。
変形例2では、人が入力部であるリモートコントローラ(35)に目標値としての内気湿度(第2指標)を入力する。制御部(100)は、ステップS34において、集合変曲点から、リモートコントローラ(35)に設定された内気湿度に対応する第1変曲点を決定する。例えば人(H)がリモートコントローラ(35)に相対湿度30%を入力した場合、制御部(100)は、相対湿度30%に対応する第1の関係R1の変曲点aを第1変曲点とする。その後の制御は、変形例1と同様である。
変形例2の第1制御では、制御部(100)がリモートコントローラ(35)に設定された内気湿度を目標値として空調を行う。このため、人が望む内気湿度を満足させながら、人体エクセルギー消費速さを低減できる。その結果、人の快適性を確保しつつ、人の熱ストレス負荷を軽減できる。加えて、人の発汗も抑制できる。
なお、変形例2において、制御部(100)は、ステップS34において、入力部(35)に設定された第2指標(内気湿度)に代えて、内気湿度センサ(44)で検出した第2指標(内気湿度)に対応する第1変曲点を決定してもよい。
入力部(35)に入力される第2指標は、必ずしも人によって入力されなくてもよい。入力部(35)には、他の装置の出力値が入力されてもよい。具体的には、他の加湿器に目標湿度を設定される場合、この設定値が入力部(35)に入力されてもよい。
(7)変形例3:第2指標の変形例
制御部(100)は、変形例1や2で述べたエクセルギー制御運転において、第2指標として内気湿度を用いている。この第2指標は、対象空間の輻射温度、対象空間に供給する気流の流速であってもよい。
対象空間の輻射温度は、対象空間に面する壁、床、天井などの輻射温度(放射温度)を意味する。空気調和装置(10)から供給する空気の温度、流速、風向などを調節することで、輻射温度を制御できる。輻射温度は、人体エクセルギー消費速さに関するパラメータの一つであるため、第1処理において、制御部(100)は、内気湿度に代えて、輻射温度に応じた関係を得ることができる。輻射温度は、壁面などに設けた温度センサで取得できる、対象空間に配置した赤外線センサで取得できる。
対象空間に供給する気流の流速は、人にあたる風速に相当する。空気調和装置(10)の利用ファン(32)の回転数などを調節することで、気流の流速を制御できる。気流の流速は、人体エクセルギー消費速さに関するパラメータの一つであるため、第1処理において、制御部(100)は、内気湿度に代えて、流速に応じた関係を得ることができる。流速は、風速センサなどで取得することができる。
(8)変形例4:制御部
本開示の制御部(100)は、空気調和装置(10)に設けられる。しかし、制御部(100)は、空気調和装置(10)とは異なる部分に設けられる制御システムであってよい。制御部(100)は、空気調和装置(10)とネットワークを介して接続されるサーバ装置に設けられてもよい。制御部(100)は、例えば人(H)が所有する端末装置に設けられてもよい。端末装置は、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレットなどを含む。
(9)その他の実施形態
上述した例では、制御部(100)は、第1指標と、人体エクセルギー消費速さとの関係における変曲点を求めた後、変曲点に応じた第1指標の値を求めている。しかしながら、制御部(100)は、第1指標と、人体エクセルギー消費速さとの関係を用いて、変曲点に応じた第1指標を直接求めてもよい。
上述した例では、制御部(100)は、集合変曲点を求めた後、この集合変曲点から所定の第1変曲点を決定している。しかしながら、制御部(100)は、集合変曲点を直接的に求めずに、第1変曲点を決定してもよい。
上述した例では、変曲点に対応する第1指標の値をそのまま第1目標値としている。しかし、第1目標値は、この第1指標の値に基づく第1目標値であればよく、上述したように、例えば第1指標の値に所定値を加えたり、所定値を引いたりした値であってもよいし、第1指標の値に所定の係数を乗算した値であってもよい。
上述した例では、変曲点に対応する第2指標の値をそのまま第2目標値としている。しかし、第2目標値は、この第2指標の値に基づく第2目標値であればよく、上述したように、例えば第2指標の値に所定値を加えたり、所定値を引いたりした値であってもよいし、第2指標の値に所定の係数を乗算した値であってもよい。
第1処理においては、制御部(100)は、前記関数における第1指標(例えば室内空気温度)に上限値と下限値とを設定し、上限値と下限値との範囲内において、変曲点を求めてもよい。
第1処理においては、制御部(100)は、前記集合変曲点に対応する第2指標に上限値と下限値とを設定し、上限値と下限値との範囲内において第1変曲点を求めてもよい。
第1処理においては、制御部(100)は、人体エクセルギー消費速さを求めるためのパラメータを、第1指標そのものを用いて算出してもよい。例えば第1指標が室内空気温度である場合、上記パラメータの一つである輻射温度を、室内空気温度から求めることができる。あるいはPMV(Predicted Mean Vote,予想平均温冷感申告)がゼロの関係を満たすように、室内空気温度、室内相対湿度、輻射温度、気流速度、着衣量、活動量を決定してもよい。
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
第1指標として、着衣量を用いてもよい。この場合、変曲点に応じた着衣量の値を推奨着衣量として、ユーザに通知してもよいし、着衣のタイプに応じて空調機を制御し、当該着衣量に応じて熱抵抗を変更してもよい。
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
<本開示に関係する研究成果>
本開示に関連する研究成果を以下に述べる。
1.はじめに
前報、前々報では、外気温度変動に対する順応に合わせて環境制御する必要性を検討するために、適応モデルを適用して室内温湿度条件を設定した場合と、従来の標準的な温湿度条件を設定した場合について、主観的寒暑感と生理データの違いを考察した。その結果、適応モデルに基づいた温湿度条件の方が快適であることを確認した。また、生理データのひとつである血流量を用いて、寒暑感を判別するモデルを考案した。
本連報では、人に優しい空間を提供すること、すなわち熱ストレスの少ない環境の提供を目標にしている。ここで熱ストレスとは、暑熱または寒冷環境において人体の体温調節のためにかかるストレスのことを指す。本研究では、新たな空調制御方法を開発したいと考えて、人体エクセルギー収支理論と適応モデルを組み合わせて季節順応を考慮した熱ストレス評価方法を導き出したいと考えている。
外気温度の季節変化が快適性に与える影響は適応モデルで表現できるが、さらに人体への熱ストレスも考慮に入れるためには別途検討が必要となる。そこで、本稿では、外気温度の季節変動が快適温度や着衣量に及ぼす影響を考慮して、人体エクセルギー収支を計算し、特に人体エクセルギー消費速さの季節変化について検討を行った結果を報告する。
2.適応モデル理論
人には季節順応という性質があるので、環境温度が瞬間的には同じであっても夏季と冬季では温熱知覚が異なる。人に優しい環境制御を行うためには、この知見を取り入れることが不可欠である。環境温度の変化により変動する人間の中立温度(暑くも寒くもなく、快適と知覚する温度値)を定式化したものとして、適応モデルがASHRAEやCENで提案されている。適応モデルによると、人間の中立温度は過去1週間の暴露温度の履歴によって決められている。
このような順応、つまり、中立温度の変化は、人間の基礎代謝量が季節変動する特性などにより生じると筆者らは考えている。適応モデルでは人間の生理的および行動的な適応を現場測定の結果を反映させることで捉えてはいるものの、人間の生理状態や、温熱環境が人体に与える熱ストレスなどのメカニズムとの対応関係は不明である。
3.人体エクセルギー収支理論
3.1.人体エクセルギー収支の概要
これまでの環境制御についての検討は、人体の熱エネルギーバランスに基づいていたが、これに加えて、人体エクセルギー収支も考慮すると、人に優しい環境制御の方法が新たに見いだせる可能性がある。
人体エクセルギー収支理論は、対流・放射・蒸発に関わる消費を計算することのできるモデルである5)。中間計算として血流量や濡れ率などを計算している。なお、このモデルにより算出される人体エクセルギー消費速さは次式で表せ、温熱環境由来のストレス(疲労感)に対応する可能性があると考えた。
[人体エクセルギー消費速さ]
=[代謝で発生する温エクセルギー]
+[吸気の温(冷)・湿(乾)エクセルギー]
+[代謝水(肺)の温・湿エクセルギー]
+[代謝水(皮膚)と乾き空気の温(冷)・湿(乾)エクセルギー]
+[着衣が吸収する温(冷)放射エクセルギー]
-[温エクセルギーの蓄積]
-[呼気の温・湿エクセルギー]
-[汗水蒸発後にできる湿り空気の熱・分離エクセルギー]
-[着衣から出る温(冷)放射エクセルギー]
-[着衣から対流で出ていく温(冷)エクセルギー]
人体エクセルギー収支理論では、対流・放射・蒸発といった異なる形態の熱・湿気移動を、拡散能力を示す量(エクセルギー)で統一的に表現することができる。放射・対流・蒸発の熱移動の割合が異なっても、エネルギーの出入りと蓄積の収支が同じになる条件は多数あるが、エクセルギー収支の場合には消費に違いが現れる。
人体のエクセルギー収支を導くためには外気温が必要となるので、エネルギー収支とは異なって季節の違いが現れうる。したがって、外気温を変数としてまとめられている適応モデルの快適温度と対応関係を調べるのは重要だと考えられる。
3.2.様々な外気温度における人体エクセルギー収支
人体エクセルギー消費速さが外気温に応じてどのようになるかを図10に示す。この図は、空気温度と壁面温度は等しく25℃、相対湿度50%、風速0.1m/s、着衣量1clo、活動量1.1met、外気湿度50%としている。室内環境が同じ場合でも、外気温度が違うと、エクセルギー消費速さが異なっており、屋外環境状態に対する拡散の起き方の大小が反映されていることがわかる。しかし、人体エクセルギー収支には、人の熱環境経験(過去の外気温度履歴)が含まれているわけではない。そこで本論では、人体エクセルギー収支理論に適応モデルのデータを融合させることで、人体エクセルギー消費速さがどのように変化するかを考察する。
4.季節順応と人体エクセルギー消費速さ
4.1.季節順応に応じた人体エクセルギー消費速さ
計算条件として、関東の住宅を調査対象とした環境測定及び主観申告のデータを用いて、寒暑感申告が「どちらでもない(暑くも寒くもない)」(n=7,333)だった際の、各週の平均室内空気温度と標準偏差、平均着衣量と標準偏差を用いた。各値を図11に示す。輻射温度は空気温度と等しいとし、相対湿度、風速、活動量はそれぞれ、50%、0.1m/s、1.1metで固定とした。外気温湿度については、前述の調査データと同時期・同地域の気象庁の公開データを用いた。外気温度の変動に応じた室内空気温度と着衣量の調整方法には個人差があると考え、図12に示すように5種類の適応行動パターンを仮定して、人体エクセルギー収支計算の入力条件とした。各パターンの詳細について以下に説明する。
平均パターンは、常に平均的な環境変化への適応行動を行うと想定し、空気温度、着衣量共に図11の平均値を用いた。Aパターンは、暑がりの人を想定した。一年中、空気温度は平均的だが常に薄着であると仮定し、空気温度は平均値を用い、着衣量は平均値-標準偏差を用いた。Bパターンは、冷暖房はあまり使わずに服装を大きく変える人を想定した。空気温度は、冷房期は平均値+標準偏差、暖房期は平均値-標準偏差とし、弱めの冷暖房を表現した(以下、弱めの空調条件と記載する)。ここで、週の最高外気温度の平均>空気温度の場合を冷房期、週の最高外気温度の平均≦空気温度の場合を暖房期としている(以下同じ)。一方、着衣量は、冷房期は平均値-標準偏差、暖房期は平均値+標準偏差とした。Cパターンは、冷暖房はあまり使わずに、服装は平均的に変える人を想定した。空気温度はBと同じ弱めの空調条件を用い、着衣量は平均値を用いた。Dパターンは、冷暖房を積極的に用い、服装は平均的に変える人を想定した。空気温度は、B,Cとは逆に、冷房期は平均値-標準偏差、暖房期は平均値+標準偏差とし、強めの冷暖房を表現した。着衣量は平均値を用いた。以上の値を用いて計算した人体エクセルギー収支速さと外気温の関係を図13に示す。
まず全体を見ると、寒暑感申告としては「どちらでもない」であっても、外気温度が高くなる夏季は人体エクセルギー消費速さが低く、外気温度が低くなる冬季は人体エクセルギー消費速さが高くなっている。これは、外気温度が低いほど、人体から熱が出ていきやすくなっていることを表しており、冬季には人体から熱が逃げやすい環境になっていることがわかる。いずれのパターンにおいても、外気温度が20℃付近の場合に人体エクセルギー消費速さが一年を通して最小だった。これは5月または10月前後の中間期に対応しており、その時期には冷暖房を行わずに快適に過ごせることと一致している。さらに、人体エクセルギー消費速さのばらつきは冬季に大きく、夏季に小さくなっている。これは、環境条件や着衣条件によるものである。空気温度や着衣量の標準偏差は、冬季が夏季よりもばらつきが大きい傾向にあるため、表1のように平均値と標準偏差を用いて各パターンの入力値を設定した際に、入力値の乖離が冬季のほうが大きいことが計算結果に反映され、同じ外気温度においても人体エクセルギー消費速さがばらついたと考えられる。冬季が夏季よりも環境条件のばらつきが大きい理由としては、夏季に比べて冬季は、こたつ、ひざ掛け、電気行火など、空気温湿度などの入力値に反映されない環境調節方法が多いことが挙げられる。
次に、個人の環境調節を模擬したパターンA,B,C,Dの計算結果について考察する。4パターンの中で、BとCが特に夏季と冬季で人体エクセルギー消費速さに差が生じている。これは、冬季の人体エクセルギー消費速さが高くなっているためである。BとCの共通点としては、夏季も冬季も弱めの空調で、夏季は温度が高め、冬季は温度が低めな空間を模擬している。つまり、特に冬季において、着衣を大幅に変えて快適な状態を保っている場合でも、人体エクセルギー消費速さとしては高くなっており、AやDのような、環境制御を積極的に行っている場合よりも身体に熱ストレスがかかっている状態となる。したがって、着衣のみで温度調節を行うよりも、ある程度の環境制御も同時に行うことで、より身体へのストレスを減らすことができると考えられる。
4.2.季節順応を考慮した最適な設定温度の推定
4.1の結果は、人体エクセルギー消費速さの目標値は一定ではなく、外気温度の履歴、その人の着衣量等、環境条件によって適切な値があることを示している。そこで、本節では、空気温度、壁面温度以外の環境条件、活動量、着衣量が与えられている場合に、壁面温度を空気温度と同じとした時の、人体エクセルギー消費速さを用いた空気温度の設定の仕方を述べる。以下に、具体的な環境条件を仮定して設定空気温度を定める方法を記載する。
冬季の環境を想定し、外気温度5.5℃、外気相対湿度45%、室内相対湿度50%、風速0.1m/s、着衣量0.94clo、活動量1.1metにおける、室内温度と人体エクセルギー消費速さならびに濡れ率の関係を図14に示す。なお、空気温度と壁面温度は同一とし、2つを総称して室内温度と表記することとする。人体エクセルギー消費速さは、室内温度14~21℃では急激に2.6w/m2程度まで下降し、21℃で急激な下降が止まり、山なりにカーブをしながら少しずつ下降している。最適な室内温度とは、人体エクセルギー消費速さの変曲点となる21℃付近である。
最適な室内温度を変曲点付近とする理由を述べる。変曲点が現れるのは、不感蒸泄を超えた発汗が現れるためと考えられる。実際に、図14に示した濡れ率は、人体エクセルギー消費速さの変曲点と同じ21℃で、不感蒸泄を示す0.06から上昇しており、汗をかきはじめたことを示している。冬季で発汗をする実環境を考えると、例えば、暖房をつけたが空気温度が高くなり過ぎて汗ばんでいるという状態が例として挙げられ、このような状態は明らかに不快である。また、人体エクセルギー消費速さは放熱量に比例しているため、常に放熱している人体はある一定以上である必要がある。特に室内温度28℃以上において、発汗しているにも関わらず人体エクセルギー消費速さは降下しており、これは発汗しても汗が蒸発せずに放熱ができていないことを示している。この状態が続くと、身体に蓄熱し続け、コア温度が上がり、やがて熱中症になる。以上のことから、冬期において、着座状態で在宅し、リラックスしたい時の環境としては、発汗をしていない21℃以下が適切であると考えられる。
次に、図14の21℃以下では、人体エクセルギー消費速さが、温度が低いほどに極端に高くなっている。人体エクセルギー消費速さは人体の恒常的な放熱のため一定以上である必要はあるが、高過ぎると放熱し過ぎて身体にあるべき熱も失われる、つまり、身体に熱ストレスがかかっており、体感としても寒くて不快となる。以上のことから、今回想定した環境においては、人体エクセルギー消費速さが高過ぎない、室内温度20~21℃が最適であると考えられる。
以上のように、室内温度以外の環境を定めることで、その環境における、人への熱ストレスが少ない室内温度を導出することができる。次節では、上記の計算方法を用いたシステムについて説明する。
5.人体エクセルギー収支に基づく空調機制御の一案
5.1.概要
前報、前々報で述べた通り、本システムでは人に優しい環境制御システムを目指している。今回は、4.2節で述べた人への熱ストレスが少ない室内温度の導出方法を用いて、設定温度を定める機能を持ったシステムについて説明する。
本システムを用いることによって、その人の状態や季節に沿って、身体に対して負担の少ない温度設定を自動で行うことができる。
5.2.システム構成
最適な室内温度を導出するためには、現在の外気温湿度、室内湿度、風速、着衣量、活動量が必要となる。本システムの主な使用シーンは在宅着座リラックスの状態であり、風速は0.1m/s、活動量は1.1metとおいて良いと考えられる。ただし、春季から秋季においては扇風機の運転状況データを取得することで、風速の設定値を変化させる可能性も考えられる。外気温湿度は、室外機に備わった温湿度センサより取得し、室内湿度は室内機に備わった温湿度センサより取得する。着衣量は、夏季、中間期、冬季でそれぞれ固定とする。ただし、着衣量についてはユーザが直接入力することも可能とする。本システムは、以上を備え、4節で述べた計算方法を用いて導出した室内温度を環境に与える空調制御システムである。
以上に説明したように、本開示は、について有用である。
S 対象空間
10 空気調和装置
35 入力部
100 制御部

Claims (8)

  1. 室内空気温度、室内相対湿度、輻射温度、気流速度、着衣量、活動量、外気温度、外気湿度のうちいずれかひとつである第1指標と、人体エクセルギー消費速さとの関係における変曲点に応じた第1指標の値を求める第1処理を行うとともに、該第1処理で求めた前記第1指標の値に基づく第1目標値で空調を行う第1制御を実行する制御部(100)を備えた空気調和装置。
  2. 前記制御部(100)は、
    前記第1処理において、室内空気温度、室内相対湿度、輻射温度、気流速度、着衣量、活動量、外気温度、外気湿度のうちの前記第1指標と異なる第2指標の値を変化させたときの前記変曲点の集合である集合変曲点から所定の第1変曲点を決定し、該第1変曲点に応じた第1指標の値および第2指標の値を求め、
    前記第1制御において、該第1処理で求めた前記第1指標の値に基づく第1目標値および1処理で求めた前記第2指標の値に基づく第2目標値で空調を行う
    請求項1に記載の空気調和装置。
  3. 前記制御部(100)は、
    前記第1処理において、前記集合変曲点のうち人体エクセルギー消費速さが最も小さくなる、または人体エクセルギー消費速さが所定の第1値よりも小さくなる変曲点である第1変曲点を決定する
    請求項2に記載の空気調和装置。
  4. 前記第2指標を入力する入力部(35)を備え、
    前記制御部(100)は、前記第1処理において、前記集合変曲点のうち前記入力部(35)に入力された前記第2指標に対応する第1変曲点を決定する
    請求項2に記載の空気調和装置。
  5. 前記第1指標は、室内空気温度である
    請求項1~4のいずれか1つに記載の空気調和装置。
  6. 前記第2指標は、室内相対湿度、輻射温度、または気流速度である
    請求項2~5のいずれか1つに記載の空気調和装置。
  7. 前記制御部(100)は、前記第1処理において、所定時間前から現在までの期間の、外気温度および外気湿度の少なくとも1つに関するデータに基づいて前記関係を決定する
    請求項1~6のいずれか1つに記載の空気調和装置。
  8. 請求項1~7のいずれか1つに記載の制御部(100)を備えた空気調和装置の制御システム。
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