JP2023013302A - 植物性コンクリートおよび植物性コンクリートの製造方法 - Google Patents

植物性コンクリートおよび植物性コンクリートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐水性および曲げ強度に優れる植物性コンクリートを提供する。【解決手段】本発明の植物性コンクリートは、コンクリート粉とクラフトリグニンとを含む。【選択図】なし

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年7月17日に、令和2年度 第一回植物性コンクリート研究会にて発表した。
本発明は、植物性コンクリートおよび植物性コンクリートの製造方法に関するものである。
世界的なコンクリート消費の急増は、気候への悪影響、環境汚染の悪化、原材料の不足を招き、社会が再生可能材料の利用を増やす必要があるという認識が高まっている。持続可能な建材を開発するためのコンクリートがれきのリサイクルと再利用は有望なアプローチと見なされており、その中でもリサイクルコンクリート骨材をフレッシュコンクリートに再利用することが最も一般的である。フレッシュコンクリートの天然原料をリサイクルコンクリートがれきに置き換えるという従来のアプローチは、環境と経済の両方の観点から有望な概念である。しかしながら、特に原材料の置換率が高い場合、サンプルの性能が低いなど、このプロセスには制限がある。さらに、リサイクルプロセスで生成された微細な固形破片やセメントモルタル粒子は再利用が難しく、新たな汚染につながる。さらに、新たなセメントの投入は依然として必要であり、コンクリート原材料の不足の問題はまだ根本的に対処されていない。
コンクリートのリサイクルプロセスにおいて、新たなセメントを用いないことで上記のコンクリート原材料の不足に対処し、コンクリートのリサイクルプロセスにおける廃棄物の発生をゼロにする試みがなされている(非特許文献1)。この試みでは、コンクリートがれきを粉砕し、砂利やその他の成分を分離せずに粉末に粉砕し、高圧下で圧縮して新しいコンクリートサンプルが作成された。しかしながら、成形プロセス中に100MPaもの高い圧縮圧力が必要であり、商業生産での使用には実用的ではなかった。
一方で廃木材についても、年間約800万トンを超える量が発生しているが、その多くは最終的に焼却や埋め立て処分され、リサイクルを達成できていない。
これに関連して、コンクリートがれきと木材廃棄物の粉末を同時にホットプレスすることにより、廃木材とコンクリートがれきをリサイクルすることが可能な植物性コンクリート(Botanical Concrete: BC)を得る試みが行われている。従来のコンクリートリサイクルプロセスと比較して、廃木粉末の添加により、非特許文献1で提案された方法で必要とされる成形時の高い圧力を大幅に低減するとの知見が得られた。また、得られたサンプルは曲げ強度に優れるものであった。
しかしながら、他の木材ベースの複合材料と同様に、植物性コンクリートは、原料として用いる木材粒子が親水性であるため、耐水性に劣り、寸法安定性が低いものであった。そこで、これらの特性の改善が求められていた。
リグニンは、地球上で最も豊富で再生可能な資源の1つであり、紙パルプ産業の副産物である。主に木質パネルの製造に関して、高価な合成樹脂製のバインダーに代えて、コストおよび環境面で優れるリグニンを接着剤として利用する試みが行われている。このようにして得られた木質パネルは、パネルの水分安定性および機械的特性に優れるとの知見が得られていた(非特許文献2等)。
Journal of Advanced Concrete Technology vol.14 2016 47-54 Biomass and Bioenergy vol.21 2001 211-224
本発明の目的は、耐水性および曲げ強度に優れる植物性コンクリートを提供することである。さらに、本発明の目的は、このような植物性コンクリートの製造方法を提供することである。
発明者らは、上記課題を解決するために、はじめに、植物性コンクリートの耐水性と寸法安定性に及ぼす様々な成形条件の影響について検討し、次に、クラフトリグニンを添加することにより植物性コンクリートの特性が改善することを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、以下を提供する。
(1) コンクリート粉とクラフトリグニンとを含む植物性コンクリート。
(2) さらに木粉を含む(1)記載の植物性コンクリート。
(3) 前記木粉の粒径が100~500μmである(2)記載の植物性コンクリート。
(4) 前記木粉は、含水率が1~15%である(2)または(3)記載の植物性コンクリート。
(5) 前記クラフトリグニンの配合量は、前記木粉の絶乾重量に対して3~30重量%である(2)~(4)に記載の植物性コンクリート。
(6) コンクリート粉と、木粉と、クラフトリグニンとを混合する混合工程と、前記混合工程で得られた混合粉末をホットプレスするホットプレス工程とを含む植物性コンクリートの製造方法。
(7) 前記ホットプレス工程における加熱温度は、160~250℃である(6)記載の植物性コンクリートの製造方法。
本発明によれば、耐水性および曲げ強度に優れる植物性コンクリートを提供することができる。さらに、本発明によれば、このような植物性コンクリートの製造方法を提供することができる。
本発明の植物性コンクリートの製造に用いられるホットプレス機の写真である。 条件1で成形した植物性コンクリートに関する、膨張率および吸水率に対する木粉の粒径の影響を示すグラフである。 条件2で成形した植物性コンクリートに関する、膨張率および吸水率に対する木粉の含水率の影響を示すグラフである。 条件4および5で成形した植物性コンクリートに関する、膨張率および吸水率に対する圧縮温度の影響を示すグラフである。 条件6で成形した植物性コンクリートに関する、膨張率および吸水率に対するクラフトリグニン含有量の影響を示すグラフである。 条件6で成形した植物性コンクリートに関する、密度に対するクラフトリグニン含有量の影響を示すグラフである。 条件6で成形した植物性コンクリートに関する、曲げ強度に対するクラフトリグニン含有量の影響を示すグラフである。 条件3で成形した植物性コンクリートに関する、膨張率および吸水率に対する圧縮圧力の影響を示すグラフである。 条件3で成形した植物性コンクリートに関する、スプリングバックに対する圧縮圧力の影響を示すグラフである。 成形条件が異なる植物性コンクリートの色を示す写真である:(a)粒径が異なる植物性コンクリートの色;(b)木粉の含水率が異なる植物性コンクリートの色;(c)圧縮圧力が異なる植物性コンクリートの色;(d)クラフトリグニン含有量が異なる植物性コンクリートの色;(e)圧縮温度が異なる植物性コンクリートの色。 一部の植物性コンクリートサンプルのSEM観察結果である:(a)条件2の木粉の含水率10%で成形した植物性コンクリートのSEM観察結果;(b)条件6のクラフトリグニンの割合15%で成形した植物性コンクリートのSEM観察結果;(c)コンクリート粉末を同じ粒径(178μm)の砂に置き換えたことのみが異なる、条件6のクラフトリグニンの割合15%で成形した植物性コンクリートのSEM観察結果。
本発明の植物性コンクリート(BC)は、コンクリート粉とクラフトリグニンとを含む。
(リグニン)
リグニンは、地球上で最も豊富で再生可能な資源の1つであり、紙パルプ産業の副産物である。アルカリパルプ化で木材粒子を蒸解(digestion)して生成される「黒液」(25~35%)の主成分の1つとして知られている。クラフトリグニンは最も一般的な工業リグニンの1つであり、アルカリ性の環境でのみ溶解する。
(クラフトリグニン)
本発明で用いることができるクラフトリグニンは、木材をクラフト蒸解する工程から排出される黒液から分離される。ここで、クラフト蒸解に供する原料の木材としては、例えば、広葉樹、針葉樹、雑木、タケ、ケナフ、バガス、パーム油搾油後の空房が使用でき、広葉樹、針葉樹を用いることが好ましい。
(クラフトリグニンの製造方法)
クラフト蒸解後に得られる黒液に酸及び/又は二酸化炭素を添加して、黒液のpHを1~11、好ましくは2~8に調整することにより、黒液中に溶解しているリグニン変性物を沈殿させる。この工程は2回以上繰り返し行ってもよい。使用する酸は無機酸でも有機酸でもよい。無機酸としては、硫酸、亜硫酸、塩酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、炭酸等が挙げられ、硫酸が好ましい。有機酸としては、酢酸、乳酸、蓚酸、クエン酸、ギ酸等が挙げられる。なお、黒液はpHを調整する前に、エバポレーターなどを用いて濃縮することができ、固形分は10重量%以上であることが好ましく、20重量%以上50重量%以下であることがより好ましい。なお、黒液のpHを1~11に調整する際の温度は室温~100℃が好ましい。
また、前述のpHを1~11に調整する工程に先立って、二酸化炭素を添加してpHを7~11に調整する工程を設けることが好ましい。処理温度としては、特に限定されないが、60℃程度が好ましい。二酸化炭素を加える方法は特に限定されないが、大気圧下で吹き込む方法、あるいは密閉容器中で二酸化炭素を吹き込んで加圧(0.1~1MPa)する方法がある。
上記の酸及び/又は二酸化炭素を添加してpHを1~11に調整する工程にて得られたリグニン変性物の沈殿物は脱水し、水で洗浄する。沈殿物を脱水・洗浄するための装置としては、フィルタープレス、ドラムプレス、遠心脱水装置、吸引濾過装置等を使用することができる。洗浄する際に使用する水のpHは1~11、温度は室温~80℃が好ましい。
(コンクリート粉)
本発明に用いるコンクリート粉は、コンクリートを粉末状にしたものである。コンクリートは一般的にはセメント、砂、砂利に水を加えて製造されるものである。循環型・持続型社会の達成に貢献できる観点から、コンクリートがれきを粉砕して粉末状にしたものを用いることが好ましい。
コンクリートを粉末状にする方法としては、特に限定されないが、例えばジョークラッシャーを用いて破砕した後に、300μmのふるいを通過するまでディスクミル等を用いて粉砕する方法等が挙げられる。
(木粉)
本発明に用いる木粉は、木材を粉末状にしたものである。木粉の粒径は、100~600μmであることが好ましく、200~500μmであることがより好ましく、250~450μmであることがさらに好ましく、250~350μmであることが特に好ましい。上記範囲の上限値以下であることにより、成形体中に木粉が均一に分布しにくくなることや、木粉の内部まで熱が通りにくくなることが抑制され、上記下限値以上であることにより、木粉の表面積が大きいために吸水能力が大きくなりすぎることを抑制することができ、木粉を細かくするために必要なエネルギー消費を抑制することができる。
木粉の種類は特に限定されず、杉、桧、竹、広葉樹等が挙げられる。これら複数種を混合したものを用いても良い。なお、竹は厳密にはイネ科であり木材ではないが、本明細書においては竹も含めて木材と呼ぶ。
本発明に用いる木粉の含水率は、1~15%であることが好ましく、5~10%であることがより好ましい。上記範囲の上限値以下であることにより、成形体の曲げ強度への悪影響を抑制することができ、上記下限値以上であることにより、コンクリートのアルカリ特性を発揮でき、成形体中のクラフトリグニンが可溶化されることで分散性および結着性に優れるものとなり、結果として得られる成形体は耐水性に優れる。
(植物性コンクリート)
本発明の植物性コンクリートは、コンクリート粉及びクラフトリグニンを必須の原料として含み、さらに木粉を含むことが好ましい。コンクリート粉100重量部に対する木粉(絶乾)の配合量は、20~200重量部が好ましく、50~150重量部がより好ましい。木粉の配合量が上記範囲の上限値以下であることにより、得られる植物性コンクリートの耐水性の悪化を抑制することができ、下限値以上であることにより、得られる植物性コンクリートは曲げ強度に優れるものとなる。
本発明の植物性コンクリートにおいて、クラフトリグニンの配合量は、得られる植物性コンクリートの耐水性および曲げ強度等の機械的特性に優れる観点から、木粉の絶乾重量に対して、3~30重量%が好ましく、5~25重量%がより好ましく、8~20重量%がさらに好ましい。
(植物性コンクリートの製造方法)
本発明の植物性コンクリートの製造方法は、特に限定されないが、例えば、コンクリート粉と、木粉と、クラフトリグニンとを混合する混合工程と、混合工程で得られた混合粉末をホットプレスするホットプレス工程とを含む方法により製造することができる。
(混合工程)
混合工程では、コンクリート粉と、木粉と、クラフトリグニンとを原料として混合する。
(ホットプレス工程)
混合工程で得られた混合粉末は、ホットプレス機を用いてホットプレス(加熱しつつ圧縮成形)することにより、成形し、成形体を得る。ホットプレス工程における加熱温度は、得られる植物性コンクリートの寸法安定性および曲げ強度に優れる観点から、160~250℃であることが好ましく、180~230℃であることがより好ましく、200~220℃であることがさらに好ましい。
ホットプレス工程における圧縮圧力は、所望の特性の植物性コンクリートを得ることができる範囲であれば、特に限定されない。圧縮圧力は高い方が植物性コンクリートの耐水性を改善するのに効果があるものの、実用的な観点から、50MPa以下とすることが好ましい。下限値については、20MPa以上が好ましく、30MPa以上がより好ましい。
本発明の植物性コンクリートは、クラフトリグニンを含むため、耐水性、および曲げ強度に優れる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(材料)
実験に使用したコンクリート粉末の最大粒度は300μmで、ジョークラッシャーで破砕し、ディスクミルで300μmのふるいを通過するまで粉砕した。コンクリートとしては、水セメント比(w/c)0.55のものを用い、詳細な組成は、水173.8(kg/m)、セメント316.0(kg/m)、砂846.8(kg/m)、砂利1083.1(kg/m)であった。コンクリートの含水率は1.1%で、オーブン法(105°Cで48時間)で測定した。実験では、最大サイズ178、300、500μmの3種類の木材(スギ)粉末粒子(株式会社那賀ウッド製、徳島県)を使用した。これらは、製材工程の副産物として生成したものである。サイズ<178、<300、および<500μmの3種類の木質粒子の含水率は、それぞれ4.38、5.16、および3.08%であった。実験に使用したクラフトリグニンは、下記の製造例1で示す方法により製造したものを、105℃のオーブンで2日間乾燥させた後、ジップロックビニール袋に保管したものを用いた。このクラフトリグニンの相対分子量(Mr)は2,000~3,000であり、ガラス転移温度(Tg)は160~190℃であり、水酸基の量は4.0~6.0mmol/gであり、フェノール水酸基の量は1.0~2.0mmol/gであり、硫黄は1.0~3.0重量%であった。
(製造例1)
(クラフトリグニンの製造)
製紙工場のクラフトパルプ製造においてクラフト蒸解から得られた黒液(固形分濃度16.0%)を、反応槽に仕込んで60℃に加温した。次に炭酸ガスをpHが9.8になるまで反応槽へ導入した。沈殿したリグニンは、フィルタープレス(Lab Pressure Filter VPA 04, Metso社製)に供して脱水した。フィルタークロスはポリプロピレン製平織のP28(薮田産業製、透気度1.0cm/cm/秒)を使用した。得られたリグニンは22.9kg(ドライ換算で7.8kg)であった。
次に、上記で得られたケーキ状のリグニン沈殿物に水30.5kgを添加し、反応槽内で撹拌して50℃に調整しながら懸濁した。次に炭酸ナトリウム(試薬特級、和光純薬(株))を2.2kg添加し、溶解させた。
次に、上記懸濁液(固形分濃度15%)に対して、pHが2.5になるまで硫酸を添加した。硫酸の添加量は4.0kgであった。その後、撹拌を1時間継続し、リグニンを沈殿させた。
次に、得られたケーキ状のリグニンを上記と同様にフィルタープレスに供して脱水した。次に、フィルタープレス内に脱水されたケーキ状のリグニンを保持させたままでpH7.2の工業用水を通水することで洗浄を実施した。洗浄は、洗浄ろ液の電気伝導度が0.5S/m以下となるまで行った。電気伝導度およびpHは、ポータブル型pH・ORP・電気伝導率メータD-74(HORIBA製)で測定した。
次に、フィルタープレスのろ室を7.5barに加圧して、圧搾、引き続いてろ室に空気を導入してリグニンから水分を可能な限り除去して、クラフトリグニン9.6kg(ドライ換算4.6kg)を得た。
(試験片の作製および実験の手順)
実験でのBCの製造は、図1に示すホットプレス機を用いて行った。すべての実験パラメータと範囲を表1に示す。実験では、木材粒子(木粉)の含水率については、105℃のオーブンで2日間乾燥させて得られた乾燥木材粉に水(木材粉の乾燥重量に基づく)を加えることによって制御した。クラフトリグニンの割合は、木粉の乾燥重量に基づいて添加した。45mm×65mm(曲げ試験用)と50mm×50mm(耐水性試験用)の2種類のサンプルを作成した。試験では、よく混合したコンクリートの粒子、木材の粒子(条件によってはクラフトリグニンも追加した)を型(die)に入れ、表2に示すような、さまざまな成形条件下で圧縮した。
Figure 2023013302000001
Figure 2023013302000002
実験のすべての試験片について、コンクリート粉末と木粉の重量比は1:1であった。膨張率(swelling)および吸水率は、水に24時間浸漬した後、JIS A 5908-2015に従ってテストし、BCの曲げ強度はASTM C 78(2015)で指定されているように評価した。浸漬試験後、JIS A 5908-2015の要件に従って、オーブン乾燥(105℃)および20℃および62%相対湿度での再調整後にスプリングバックを測定した。スプリングバックは、再保湿および加熱されたときの膨張した成形体の不可逆的な厚さであり、主に加えられた応力の緩和と粒子間の結合の破壊に起因するものである。成形条件ごとに3つのサンプルを測定し、平均値を求めた。いくつかのサンプル(寸法:8mm×8mm×2mm)は、エポキシ樹脂に埋め込んだ。切片(8mm×2mm)をアルゴンイオンビームで研磨し、5 kVの加速電圧で走査型電子顕微鏡(SEM、JSM-7000F、JEOL、東京、日本)で観察した。
図2は、表2に示す条件1で形成されたBCの膨張率と吸水率に対する木材の粒度(木粉の粒径)の影響を示す。BCの膨張率と吸水率の傾向はほぼ同じで、木材粒子の粒径が大きいほど増加した。さらに、これらのパラメータは両方とも、最大木材粒子の粒径が300μmのときに最小値に達した。条件2(表2参照)で成形されたBCの膨張率と吸水率に対する木粉の含水率の影響を図3に示す。結果は、木粉の含水率がおよそ5から10%の間で、木粉の含水率がBCの膨張率と吸水率に有意な良い影響を及ぼしたことが示された。これらの効果は水分含有量のさらなる増加(>10%)とともに徐々に減少した。さらに、木粉の含水率が5%未満の場合、成形体の膨張率と吸水率に大きな違いはなかった。
図4は、クラフトリグニンを使用した場合と使用しない場合における、それぞれ条件4及び5の範囲の圧縮温度で圧縮されたBCの膨張率と吸水率を示している。木粉の含水率の影響と同様に、圧縮温度の上昇により、BCの耐水性とその寸法安定性が大幅に向上した。さらに、実験では、クラフトリグニンを含まない成形体を260℃の温度で加熱した。加熱温度が260℃のときにサンプルに亀裂が発生し、木材に目に見える焼け跡が見られた。これは図4では観察されなかった。クラフトリグニンを使用すると、図4に示すように、クラフトリグニンを含まないそれぞれのBC成形体と比較して、BCの吸水率と膨張率が大幅に減少した。
上記の結果(図4)と一致して、条件6(表2)で圧縮されたBCの膨張率と吸水率は、図5に示すように、クラフトリグニンの割合が増えると一般に減少した。ただし、クラフトリグニンの割合が高い(>10%)BCにおいて、特に15%のクラフトリグニンを含む成形体においては、10%クラフトリグニンを含むBCよりも膨張率が高かった。図5のすべての成形体の密度分析(図6)は、図5に示されるBCの膨張率とほぼ同じ傾向を示した。クラフトリグニンの含有量を増やすと、曲げ強度も大幅に向上した(図7)。曲げ強度におけるサンプル間のバラツキはクラフトリグニンの含有量を増やすと、ゆるやかに減少した。
図8は、条件3(表2を参照)の範囲の圧縮圧力で圧縮されたBCの膨張率と吸水率を示す。BCの膨張率に対する圧縮圧力の影響は、最初に増加し、次に減少した。この傾向は、BCのスプリングバックの傾向と類似していた(図9)。吸水率は、圧縮圧力が40MPa未満のときはほぼ一定であったが、圧縮圧力をさらに上げると減少した。
図10は、実験でさまざまな条件下でプレスされたBC成形体の色を示す。それぞれ、図10(a)粒径が異なるBC成形体の色、図10(b)木粉の含水率が異なるBC成形体の色、図10(c)圧縮圧力が異なるBC成形体の色、図10(d)クラフトリグニン含有量が異なるBC成形体の色、図10(e)圧縮温度が異なるBC成形体の色を示している。基本的に、すべての成形体の色は、暗い中央領域と明るい周辺領域によって区別できるが、暗い部分の領域と境界は、さまざまな成形条件によって異なる。
図11に、実験で使用した一部のサンプルのSEM結果を示す。図11(a)は、条件2(表2を参照)の含水率10%でのBC圧縮を示す。図11(b)は、条件6(表2を参照)の15%クラフトリグニンを添加した条件でのBC圧縮を示し、図11(c)は、図11(b)で示したサンプルとほぼ同じ条件下で作成されたBCのSEM結果を示す。唯一の違いは、コンクリート粉末を同じ粒径(178μm)の砂に置き換えたことである。特に木材とコンクリートの境界での細孔分布を考慮すると、3つの図の違いは重要である。
(植物性コンクリートにおけるコンクリート粉末の効果について)
BCの開発の主な目的は、解体されたコンクリートと、現在のコンクリートリサイクル方法では効果的に処理できない小さなコンクリート粉末をリサイクルすることである。この場合、コンクリート粉末はBCの重要な構成要素である。さらに、その天然のアルカリ特性は、BC内の木材粒子とクラフトリグニンの両方に有益な可能性がある。木材粒子の場合、アルカリ性が表面粗さを促進し、ホットプレス中にセルロース繊維に反応性OH基の大部分を導入し、BCの異なる粒子間の良好な結合をもたらす可能性がある。また、木質粒子の熱安定性は、アルカリ熱処理後に低下する傾向があり、内部化学物質の分解に伴い、粒子はより圧縮可能になることがわかった。したがって、アルカリ性環境の助けを借りて、製造プロセス中のエネルギー消費を下げることができる。クラフトリグニンの場合、コンクリート粉末のアルカリ特性は、クラフトリグニンがBC内において溶解、分散、融合するのに役立つ可能性がある。
クラフトリグニンはアルカリ性環境でのみ水溶性であり、接着剤は物質の表面と分子レベルの接触を形成して良好な結合を形成する必要がある。クラフトリグニンを可溶化することは、マットに十分な粘着性を提供できなかった粉末リグニンと比較して、結合を強化するための有望な方法である可能性があることを示している。研究によると、廃コンクリートの浸出液のpHは10より高く、クラフトリグニンを溶解するためのアルカリ性環境を提供する。結論として、コンクリート粉末のアルカリ特性は、リグニンを可溶化することによってリグニンの強力な分散を達成するのに役立つだけでなく、元の粉末リグニンと比較して結合能力の大幅な改善にもつながった。これは、図11(b)および図11(c)に示すSEMの結果によって裏付けられる。図からわかるように、同じクラフトリグニン添加(15%)で、廃コンクリート粉末で作られた試験片の気孔率は、砂で作られた試験片の気孔率よりも大幅に低いものであった。さらに、コンクリートのサンプルでは、木材とコンクリートの境界が狭くなった。さらに、コンクリート粉末のアルカリ特性は菌類の攻撃を妨げる可能性があり、BC内の木材粒子の腐敗を防ぎ、その耐久性を確保する。
(植物性コンクリートにおける木粉の効果について)
上記の結果においては、他の木材ベースの複合体で得られた結果と同様に、BCの高い吸水率と膨張率が示された。より小さな木材粒子から作られた成形体は、より優れた耐水性を持つ傾向がある。これは、リグニンなどの耐水性材料がより小さな破壊粒子から放出されやすいためと考えられる。同じ成形条件下で、より薄い粒子は圧縮によってより簡単に破壊され、粒子表面に化学物質を放出しやすくなる。さらに、より細かい粒子はより大きな表面積を持つ。したがって、ホットプレス中の化学反応は、より集中的になる傾向がある。
これは、図10(a)に示すように、成形体の明るい周辺領域の色によってさらに示される。これは、より細かい木材粒子で作られた成形体の色がより黄色になる傾向があり、加熱中のリグニンと加水分解された炭水化物の化学反応に関連している可能性がある。木材内部のヘミセルロースなどの炭水化物の分解が、その耐水性を大幅に向上させる可能性がある。したがって、BCにおいてより細かい木材粒子を使用すると、より優れた耐水性を示す。ただし、図2に示すように、試験では、粒子径300μmの木材粒子を使用した成形体は、粒子径178μmの木材粒子を使用した成形体よりも、それほど明白ではないものの、耐水性に優れていることにも注意が必要である。これは、微粉砕によって引き起こされる過剰な表面積の増加が原因である可能性があり、その結果、BCの吸水率が高くなる。木材の粒子径が細かいほど多くのエネルギー消費が必要になることを考えると、木材粒子の粒子径は細かすぎる必要はない(<300μm)。
木粉の含水率の影響を考慮すると、木粉の含水率がBCの耐水性の促進およびBC内におけるクラフトリグニンの分散性に大きな影響を与えることは明らかだった。BCの耐水性の促進については、湿度の高い環境下における木材細胞内の化学物質の激しい加水分解に起因する可能性がある。図10(b)に示すように、高い含水率条件下での成形体内部の強い化学活性により、木粉の含水率が低い成形体よりも色の変化がより明確になった。さらに、図10に示す他の成形体の中央領域と周辺領域の色の違いは、成形プロセス中のこれら2つの領域の含水率の違いが原因であった。水分は100℃を超える温度で蒸発することが知られているが、試験における最低成形温度は180℃であった。雌型がプラグにしっかりと取り付けられていなかったため、加熱プロセス中に水分が隙間から逃げた。明らかに、試験片の外側部分の水分が最も速く蒸発し、異なる色になった。これら2つの領域の圧力差が、色の違いのもう1つの理由である可能性があることに注意が必要である。この点については、後述する。
さらに、コンクリートのアルカリ性の特性は特定の湿度条件下でのみ明らかになるため、木粉の含水率はアルカリ性環境のための水分のサポートを供給する可能性がある。クラフトリグニンの分散性の増加は、アルカリ性環境でのクラフトリグニンの溶解によって引き起こされた。これについては後述する。したがって、木粉の含水率が少ない(<5%)BCは、ほぼ同じ膨張率および吸水能力であった(図3)。木粉の含水率はBCの耐水性を改善したが、木粉の含水率は一定のレベルに制御する必要がある。含水率が一定量(>10%)に達すると、図3に示すように、加水分解反応の制限により耐水性の増加が減少する。さらに、以前の研究の結果によれば、BCの木粉の含水率が10%を超えると、木材粒子の含水率の増加が成形体の曲げ強度に悪影響を与えることが示されている。したがって、BCに最適な木粉の含水率は5~10%の範囲である。
木材自体の有益な効果を考慮すると、木粉は試験片の曲げ強度に大きく貢献し、繊維強化材として機能した。特定の圧力と温度の条件下で、木材はプラスチックと同様の特性を示す。図11に示すように、木材内部の木材細胞は圧縮され、変形され、コンクリート粒子と十分に固められている。さらに、従来のコンクリートと比較して、BCに木材を組み込むと、コンクリートの密度が大幅に低下する可能性がある。この研究では、木材とコンクリートの比率は1:1であったことに注意が必要である。したがって、この研究では、木材とコンクリートの比率の影響は調査していないが、木材粉末の含有量を適切に減らすと、BCの耐水性が向上すると推測できる。木材とコンクリートの混合比は、使用されるBCの最終用途(例えば、構造または非構造、内部材料または外部材料など)によって決定する必要がある。BCの研究はまだ初期段階にあり、木材の種類、木材粒子の形態、およびその他の木材関連パラメータがBCの性能に影響を与えることは明らかであり、製造プロセスでさらに改善および最適化する必要がある。
(植物性コンクリートにおけるクラフトリグニンの効果)
前述したクラフトリグニンの添加に関する実験結果によると、クラフトリグニンは、耐水性、寸法安定性(図5)、および曲げ強度(図7)に対してプラスの効果を示し、低価格であり入手可能性が高いためにBCへの添加剤としてかなり有益であることがわかった。BCの性能に対するクラフトリグニンのプラスの効果は、プラスチックとしてのクラフトリグニンの特性によって簡単に説明できる。高温下におけるプラスチックの接着特性のようなクラフトリグニンの接着特性によって引き起こされる粒子間の結合の強化は、曲げ強度の改善に大きく寄与する可能性がある。さらに、図11(a)および図11(b)に示すSEMの結果(それぞれ15%のクラフト添加無し、および有り)は、クラフトリグニンがサンプルの気孔率を大幅に低減することを示している。これは曲げ強度の改善にも役立つ可能性がある。
BCの耐水性は、クラフトリグニンがプラスチックの耐水性と似た特性を持つために、クラフトリグニン含有量の増加とともに増加する。BCの膨張率に関しては、クラフトリグニンはプラスチックに似て熱硬化性のために膨張率値を下げることができる。しかし、図5に示すように、過剰なクラフトリグニン(>10%)は、成形体の膨張率に悪影響を与える可能性がある。クラフトリグニンを10%添加したサンプルと比較すると、比較的高い膨張率は、より高い圧縮サンプル比に起因する可能性がある。これは、図6に示すように、成形体の密度によって示される。クラフトリグニン含有量が高いほど潤滑効果があり、サンプルの密度を高めることを促進するが、膨張力に抵抗しない粒子間の凝集により、より高い膨張率をもたらす。ペレット形成プロセス中の粒子間または粒子とスキン間の摩擦を克服するために、50%の力が使用されたと評価された。クラフトリグニンの潤滑効果は、その成形中のエネルギー消費を大幅に軽減することが期待される。さらに、ホットプレスに必要な時間と圧力はさらに減少すると予想される。
BCのエネルギー消費量の削減と、その耐水性と曲げ強度の向上を考慮すると、より高いクラフトリグニン含有量(>10%)の使用が提案される。しかし、図5に示すように、クラフトリグニンの添加量が多いと、サンプルの膨張率が大きくなる可能性がある。したがって、クラフトリグニン含有量の高いサンプルの膨張率をさらに低減するための追加の方法を提供する必要がある。サンプルの膨張率をさらに減らすために、木材の内部に含まれるリグニンに注意を払う必要がある。リグニンは、木材の3つの主要成分(セルロース、ヘミセルロース、リグニン)の1つであり、多糖類繊維間の接着剤として機能し、木材の成形、支持、構造化を行うものである。クラフトリグニンを添加していないBCの場合、高温高圧下において木材粒子からリグニンの放出がおこり、BCの結合と耐水性に寄与した。これは、BCの自己接着メカニズムの理由の1つである。しかし、木材粒子内の大量のリグニン残留物の圧縮率は低いため、試験片の強度と寸法安定性をさらに改善することはできなかった。
過剰なクラフトリグニンが添加されると、木材細胞から押し出されたリグニンの自己接着性の利点がクラフトリグニンによって相殺され、木材細胞の圧縮性に対するその悪影響により木材細胞内のリグニンをもたらした。したがって、BCの性能をさらに向上させるためには、木材細胞内の部分的なリグニンを除去するため、木材のさらなる前処理が必要であり、リグニンの過剰な除去はサンプルの吸水に有害である可能性があるので、リグニン除去は厳密に行う必要がある。さらに、実験では、クラフトリグニンの最大含有量(20%)がBCに添加された。クラフトリグニンの比率がはるかに高い(>20%)成形体については追加のテストは実行されなかったが、リグニンの比率が高い(>20%)BCの性能は推定できる。圧縮プラスチックコンクリートの接着剤として廃プラスチックを使用した以前の研究に基づいて、クラフトリグニン含有量が一定の高レベルで添加されると、試験片の曲げ強度が最高点に達し、その後安定したままであると推測される。
(外部成形条件の効果)
上記の要因は別として、圧縮圧力と温度の影響はまだ分析されていない。圧縮圧力の増加に伴うBCの耐水性の改善は、より密度の高い構造と、木材粒子の表面へのリグニンの放出によって引き起こされている可能性がある。木材細胞は、より高い圧縮圧力で割れやすくなり(図11(a)に示すとおり)、リグニンなどの耐水性材料を木材内に放出できるようになる。この点は、成形体の表面の色にも反映されていた。図10(c)に示すように、試験片の圧力が高くなると、おそらく木質粒子からのリグニン放出のために、暗い領域が大きくなる。BCの膨張率に対する圧縮圧力の影響に関して、結果はクラフトリグニンの結果とかなり一致している。プロットされた結果(図8に示す)は、圧縮圧力が40MPaのときに最大平均膨張率が約60%に到達したことを示しているが、圧縮圧力が30または50MPaのときは、到達していない。
以前の研究は、木材ベースの複合体の寸法安定性は、木材のミクロフィブリルに蓄積された応力の解放、または膨張によって生成される引張力が粒子間の結合力よりも大きい場合の粒子間の結合の緩和によって影響を受ける可能性があると想定していた。木質複合体の寸法安定性に影響を与える可能性のある3つの主な理由として、1)マトリックス構成要素の分子間の架橋反応、2)マトリックスとマイクロファイバーの内部応力の解放、3)木材粒子の耐水性の向上が提案されている。上記の説明から、様々な圧縮圧力下で圧縮された成形体の膨張率が異なる値をとる理由が、異なる可能性があることが示される。他の2つの成形体と比較して40MPa条件で圧縮された成形体の膨張率値が大きい理由としては、クラフトリグニンの割合がより高いことにより50MPa条件で圧縮された成形体よりも接着が弱いこと、および、内部応力の蓄積がより少ない30MPa条件で圧縮された成形体の内部応力の解放量よりも内部応力の解放量が多いことの組み合わせに起因する可能性がある。
図9に示すように、40MPaの条件で圧縮された成形体の内部応力解放量が30MPaの条件で圧縮された成形体のそれと比較して高い可能性があることは、40MPaの条件で圧縮された成形体のスプリングバック値が最も高いという事実によってさらに確認された(図11)。さらに、40MPaの条件で圧縮された成形体の膨張率と比較して、50MPaの条件で圧縮された成形体の膨張率が低いことは、粒子間の結合がBCの膨張率を低減する上でより重要な役割を果たしたことを示している。したがって、将来的にBCの寸法安定性を確保するために、粒子間の結合を改善するという点について、より多くの注意を払う必要がある。
上記したように、図10に示すように、圧力差が成形体の中央部と周辺部の色の違いの原因の1つである可能性がある。雌型がしっかり取り付けられておらず、粉末が隙間を通り抜ける可能性があった。木材粒子の外側部分によって圧縮された、型(die)の中央部分の木材粒子の圧搾力は最大に達し、外側部分の木材粒子の歪みのために中央部分からの距離の増加とともに圧搾力は徐々に減少した。この差は、図10(c)に示すように、圧力の増加とともに増加すると予想された。この違いは、図10(d)に示すように、クラフトリグニンの含有量を増やすことで部分的に解消される可能性があることに注意する必要がある。不均一な応力と、高い圧縮圧力によって引き起こされる大きな膨張率のこの有害な影響と組みあわせて、圧縮圧力は将来の研究でさらに低下させる必要がある。
これらの変数の中で、圧縮温度はBCの耐水性と寸法安定性に最も顕著な影響を示す。これは、木材の熱処理に関連する以前の研究の結果と一致する。これは、温度が主にBC内の木材粒子に影響を与えることを意味する。研究によれば、木材粒子の吸収能力に影響を与える重要な成分であるヘミセルロースは、160℃を超える温度で分解することが示されている。実験では、すべての圧縮温度は160℃より高くなっている。図10(e)に示すように、サンプルの色は温度の上昇とともに濃くなった。
温度が上昇すると、化学反応が加速し、吸水率が低下する。さらに、クラフトリグニンの場合、表2に示すように、160℃がガラス転移の初期温度である。さらに、木材はポリマー(リグニン、セルロース、ヘミセルロース)の複合体であり、加熱すると熱硬化性を示す。その結果、これらの特性はすべてBCのパフォーマンスを向上させる。しかし、加熱しすぎると、木材粒子の炭化によりBCのパフォーマンスが低下する。圧縮温度は一定のレベルに維持する必要があり、テストでは220℃の温度を推奨することに注意が必要である。
本研究で示したように、調査したさまざまな要因により、BCの耐水性と寸法安定性が向上する可能性がある。ただし、レンガの吸水率は19%未満である必要がある。パーティクルボードの場合、吸水率は5~13%である必要がある。耐荷重パーティクルボードの膨張率は、14%未満にとどまるように制御する必要がある。しかしながら、BCを水にさらした場合、クラフトリグニンを成形体に添加しても、期待値を完全に達成することはできなかった(BCの膨張率が14%未満になるなど)。これは、BCのホットプレスプロセス中の木材の熱処理だけでは、BCを水にさらすのに十分ではなかったことを示している。
木粉の含有量を減らして試験片の耐水性をさらに向上させることができると述べたが、そのような方法は、試験片の強度を失う結果となるため、最適ではない。BCの高い膨張を低減し、その寸法安定性を維持するには、圧縮前に木材粒子の前処理を行うなどのさらなる処理が必要である。木材粒子の一貫性のない特性によって引き起こされるBCの性能の大きな変動は、木材粒子の前処理後にさらに減少する可能性があると予想できる。
この研究では、BCの特性に対するさまざまな成形条件の影響と、BCの製造におけるクラフトリグニンの革新的な使用法を調査して、その性能をさらに向上させた。BC内で廃コンクリートと組み合わせたクラフトリグニンは、コンクリートのアルカリ性の特性のためにクラフトリグニンの溶解を助けることが見いだされた。さらに、これによりクラフトリグニンをより高い割合で添加することが可能になり、それによってクラフトリグニンの利用と再生可能資源としてのその付加価値についての新しい洞察が得られる。実験の主な結果は以下の通りである。
1.BCに用いる木材粒子は粒径が小さいほど、より優れた耐水性を持つ傾向がある。ただし、粒子が細かすぎると表面積が大きくなり、吸水能力が大きくなる。この研究の範囲では、300μmの木の粒子が強く推奨される。
2.BCの合成には、5~10%の含水率を有する木粉の使用が示唆される。これは、木材の加水分解のために湿った環境を提供するだけでなく、アルカリ性環境でのクラフトリグニンの溶解を促進する可能性もある。
3.高い圧縮圧力は、BCの耐水性を改善するのに有益であった。しかしながら、特に蓄積された内部応力が解放されるため、及び、粒子間の結合が不十分であったため、膨張には効果がない場合がある。研究で使用された圧縮圧力はさらに下げる必要がある。
4.クラフトリグニンを高含有量含むと、BCの寸法安定性と曲げ強度を改善するのに有益である。しかし、それは木材表面へのリグニンの流れを遅らせ、その圧縮性を低下させる可能性がある。さまざまな製品に対応する最適なクラフトリグニン含有量をさらに調査する必要があり、将来的にBCの性能を向上させるために、クラフトリグニンの接着特性を改善することについてさらに注意を払う必要がある。
5.再生可能な材料としてのBCは、湿った環境で使用される可能性がある。より優れた耐水性を実現するには、圧縮前に木材粒子を前処理することが必要である。
本発明により得られるBCは、耐水性の向上により、その用途がさらに広がり、湿った環境や屋外環境での使用が可能になった。本発明のBCは、曲げ強度が高く、成形が速く、環境に優しく、持続可能な素材である。本発明によれば、BCの耐水性がさらに向上したため、本発明のBCは、建物の内部または外部の非構造部分のレンガやブロックなどの建設資材に使用することができる。また、本発明のBCは、補強材として他の材料を組み込んで、建物の構造フレームワークの一部としてプレハブコンポーネントとして使用できる。

Claims (7)

  1. コンクリート粉とクラフトリグニンとを含む植物性コンクリート。
  2. さらに木粉を含む請求項1記載の植物性コンクリート。
  3. 前記木粉の粒径が100~500μmである請求項2記載の植物性コンクリート。
  4. 前記木粉は、含水率が1~15%である請求項2または3記載の植物性コンクリート。
  5. 前記クラフトリグニンの配合量は、前記木粉の絶乾重量に対して3~30重量%である請求項2~4の何れか一項に記載の植物性コンクリート。
  6. コンクリート粉と、木粉と、クラフトリグニンとを混合する混合工程と、
    前記混合工程で得られた混合粉末をホットプレスするホットプレス工程と
    を含む植物性コンクリートの製造方法。
  7. 前記ホットプレス工程における加熱温度は、160~250℃である請求項6記載の植物性コンクリートの製造方法。
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