JP2023013121A - 配線基板及び配線基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】配線基板の配線の微細化及び特性向上。【解決手段】実施形態の配線基板の製造方法は、絶縁層2と絶縁層2の両面に積層されている金属箔10cとを備える基板を用意することと、絶縁層2及び金属箔10cを貫く貫通孔20を形成することと、貫通孔20の内壁に金属膜層31を形成することと、金属膜層31に囲まれている貫通孔20の内部を充填材4で埋めることと、絶縁層2の両面それぞれに導体層11、12を形成することと、を含んでいる。導体層11、12を形成することは、金属箔10c上に金属膜10aを直接形成することと、金属膜10aの上に所定の開口R1を有するレジスト膜Rを設けることと、金属膜10aを給電層として用いる電解めっきによって開口R1内に金属膜10bを形成することと、金属箔10c及び金属膜10aのうちの金属膜10bに覆われていない部分を除去することと、を含んでいる。【選択図】図3H
Description
本発明は、配線基板及び配線基板の製造方法に関する。
特許文献1には、コア基板、コア基板の両面に形成されている導体回路、及びコア基板を貫通するスルーホールを含むプリント配線板が開示されている。スルーホールは、蓋めっき層及び側壁導体層から成り、側壁導体層の内部には樹脂充填材が充填されている。独立した導体回路及び蓋めっき層は、コア基板の表面を全面的に覆う側壁導体層の全面に形成されためっき膜の一部を除去することによって形成されている。
特許文献1に開示のプリント配線板では、導体回路に求められる大きな許容電流と微細な回路配置との両立が困難なことがある。例えば通電時の過熱、過小な接合面積による導体回路の剥離、又は回路間の短絡などの問題が生じることがある。
本発明の配線基板は、貫通孔を有する絶縁層と、前記絶縁層の両面それぞれに形成されている2つの導体層と、前記貫通孔内に形成されていて前記2つの導体層同士を接続するスルーホール導体と、前記スルーホール導体を貫く空洞を埋めている充填材と、を含んでいる。そして、前記2つの導体層は、それぞれ、前記絶縁層上に積層されている金属箔、電解めっき膜である第2金属膜、及び、前記第2金属膜の形成時の給電層であって前記金属箔上に直接形成されている第1金属膜による3層構造を含む積層構造を有し、前記2つの導体層の少なくとも一方の全体の厚さは35μm以上、75μm以下であり、前記少なくとも一方における前記金属箔と前記第1金属膜とを合わせた厚さは2μm以上、8μm以下である。
本発明の配線基板の製造方法は、絶縁層と前記絶縁層の両面に積層されている金属箔とを備える基板を用意することと、前記絶縁層及び前記金属箔を貫く貫通孔を形成することと、前記貫通孔の内壁に金属膜層を形成することと、前記金属膜層に囲まれている前記貫通孔の内部を充填材で埋めることと、前記絶縁層の両面それぞれに導体層を形成することと、を含んでいる。そして、前記導体層を形成することは、前記金属箔上に第1金属膜を直接形成することと、前記第1金属膜の上に所定の開口を有するレジスト膜を設けることと、前記第1金属膜を給電層として用いる電解めっきによって前記開口内に第2金属膜を形成することと、前記金属箔及び前記第1金属膜のうちの前記第2金属膜に覆われていない部分を除去することと、を含んでいる。
本発明の実施形態によれば、大きな許容電流を有し、且つ、微細な配線パターンを有する配線基板、及びそのような配線基板を適切に製造できる配線基板の製造方法が提供されると考えられる。
本発明の一実施形態の配線基板が図面を参照しながら説明される。図1は一実施形態の配線基板の一例である配線基板100を示す断面図であり、図2は、図1のII部の拡大図である。なお、配線基板100は本実施形態の配線基板の一例に過ぎない。実施形態の配線基板の積層構造、並びに、導体層及び絶縁層それぞれの数は、図1の配線基板100の積層構造、並びに配線基板100に含まれる導体層及び絶縁層それぞれの数に限定されない。
図1及び図2に示されるように、配線基板100は、絶縁層2と、絶縁層2の両面それぞれに形成されている2つの導体層(導体層11及び導体層12)と、を含んでいる。絶縁層2、導体層11、及び導体層12によって配線基板100のコア基板1が構成されている。絶縁層2は、第1面2a及び第1面2aと反対側の第2面2bを有しており、さらに、第1面2aと第2面2bとの間で絶縁層2を厚さ方向に貫いている貫通孔20を有している。導体層11は絶縁層2の第1面2a上に形成されており、導体層12は第2面2b上に形成されている。絶縁層2の第1面2a上及び導体層11上には、2つの絶縁層21それぞれと2つの導体層13それぞれとが交互に積層されており、絶縁層2の第2面2b上及び導体層12上には、2つの絶縁層22それぞれと2つの導体層14それぞれとが交互に積層されている。二組の絶縁層21と導体層13、及び、二組の絶縁層22と導体層14は、それぞれ絶縁層2の第1面2a側及び第2面2b側において配線基板100のビルドアップ部を構成している。
なお、実施形態の説明では、配線基板100の厚さ方向において絶縁層2から遠い側は「外側」、「上側」若しくは「上方」、又は単に「上」とも称され、絶縁層2に近い側は「内側」、「下側」若しくは「下方」、又は単に「下」とも称される。さらに、各導体層及び各絶縁層において絶縁層2と反対側を向く表面は「上面」とも称され、絶縁層2側を向く表面は「下面」とも称される。
二組の導体層13及び絶縁層21のうちの外側の導体層13及び絶縁層21の上にはソルダーレジスト5が形成されている。同様に、二組の導体層14及び絶縁層22のうちの外側の導体層14及び絶縁層22の上にもソルダーレジスト5が形成されている。各ソルダーレジスト5には、導体層13の一部又は導体層14の一部を露出させる開口が設けられている。ソルダーレジスト5は、例えば、感光性のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などで形成される。
絶縁層21及び絶縁層22それぞれには各絶縁層を貫通するビア導体2dが形成されている。絶縁層21を貫通するビア導体2dは導体層13同士又は導体層13と導体層11とを接続している。絶縁層22を貫通するビア導体2dは導体層14同士又は導体層14と導体層12とを接続している。
配線基板100は、さらに、導体層11及び導体層12同士を物理的及び電気的に接続するスルーホール導体3を含んでいる。スルーホール導体3は、絶縁層2の貫通孔20内に形成されている。図1の配線基板100は、複数のスルーホール導体3を含んでいる。一部のスルーホール導体3の真上にビア導体2dが積層されている。スルーホール導体3と、そのスルーホール導体3と平面視で重なっていて積層されている複数のビア導体2dとによって配線基板100の一方の表面から他方の表面まで貫く貫通導体が形成されている。なお「平面視」は、実施形態の配線基板をその厚さ方向に沿う視線で見ることを意味している。
スルーホール導体3は、貫通孔20の内壁に沿ってその内壁を覆っており、貫通孔20の内部を完全に埋めずに貫通孔20の内壁上で所定の厚さを有している。すなわち、スルーホール導体3は、スルーホール導体3を絶縁層2の厚さ方向に貫く空洞30を有しており、全体として貫通孔20の内壁に沿う筒状の形体を有している。空洞30は、貫通孔20の内部において、スルーホール導体3を構成する膜体(金属膜3a及び金属膜3b)によって占められていない領域でもある。
配線基板100は、さらに、空洞30を埋めている充填材4を含んでいる。空洞30は、好ましくは充填材4によって略完全に埋められている。空洞30が充填材4で埋められているので、図1及び図2の例のように、貫通孔20の真上に安定してビア導体2dが形成され得る。また、貫通孔20の内部全体がスルーホール導体3で埋められる場合と比べて短い時間で貫通孔20の内部が埋められることがある。また、充填材4として、絶縁層2が有する熱膨張率と近い熱膨張率を有する樹脂などを選択することによって、絶縁層2内に生じる熱応力を軽減できることがある。しかし充填材4の材料は、空洞30を満たし得るものであれば特に限定されない。充填材4は非導電性であっても導電性であってもよい。充填材4は、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、若しくはフェノール樹脂などの絶縁性樹脂、又は、銀粒子などの導電性粒子とエポキシ樹脂などとを含む導電性ペースト若しくは導電性インクであってもよい。
絶縁層2及び絶縁層21、22は、任意の絶縁性樹脂によって形成される。絶縁性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)又はフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が例示される。図1の例では、絶縁層2は、ガラス繊維やアラミド繊維などで形成される芯材(補強材)2cを含んでいる。各絶縁層は、さらに、シリカ(SiO2)、アルミナ、又はムライトなどの微粒子からなる無機フィラー(図示せず)を含み得る。
導体層11~14、並びに、スルーホール導体3及びビア導体2dは、銅又はニッケルなどの任意の金属を用いて形成され得る。導体層13、14、及びビア導体2dは、図1の例では2層構造を有しているが、単層構造又は任意の層数の積層構造を有し得る。図1の導体層13、14、及びビア導体2dそれぞれは、例えば無電解めっき又はスパッタリングなどによって形成される金属膜131(第5金属膜)と、金属膜131を給電層として用いる電解めっきによって形成される金属膜132(第6金属膜)とを含んでいる。各ビア導体2dは、導体層13又は導体膜14と一体的に形成されている。
スルーホール導体3も1以上の任意の数の導体膜を含み得る。図1及び図2の例では、スルーホール導体3は、金属膜3a(第3金属膜)及び金属膜3b(第4金属膜)を含む2層構造を有している。金属膜3aは、例えば無電解めっき又はスパッタリングなどによって形成される無電解めっき膜又はスパッタリング膜である。金属膜3bは、例えば、金属膜3aを給電層として用いて形成される電解めっき膜である。金属膜3aは貫通孔20の内壁上に形成されている。金属膜3bは金属膜3a上に、すなわち、貫通孔20において金属膜3aの内側に形成されている。金属膜3aは貫通孔20の内壁に沿って形成されていて貫通孔20の内壁を覆っている。金属膜3bは、金属膜3a、及び貫通孔20の内壁に沿って形成されていて金属膜3aを覆っている。スルーホール導体3は、このように貫通孔20の内壁を覆う筒状の金属膜3a及び金属膜3bによって構成されている。
本実施形態において導体層11及び導体層12は、それぞれ、3層以下の層数を有する積層構造を有している。すなわち導体層11及び導体層12それぞれは、複数の層からなる積層構造を有しているが、それぞれの間に界面を有する4つ以上の層を含んでいない。導体層11及び導体層12それぞれが有する積層構造は、図2に示されるように、金属箔10c、金属膜10a(第1金属膜)、及び金属膜10b(第2金属膜)による3層構造を含んでいる。金属箔10c、金属膜10a、及び金属膜10bは、絶縁層2の第1面2a又は第2面2b上に、金属箔10c、金属膜10a、及び金属膜10bの順で、順に積層されている。図1の例では、導体層11及び導体層12は、それぞれの全面において3層構造を有している。しかし、導体層11及び導体層12は、それぞれ、その一部において3層構造を有していてもよく、その他の部分において2層構造を有していてもよい。導体層11及び導体層12それぞれは、部分的に3層構造を有していてもよい。
金属箔10cは、導体層11又は導体層12を形成する任意の金属からなる、例えば銅箔やニッケル箔などの箔体である。金属箔10cは、例えば熱圧着によって絶縁層2に接合されている。金属膜10aは、金属箔10c上に直接形成されている。金属膜10aは、例えば無電解めっき又はスパッタリングなどによって形成されている無電解めっき膜又はスパッタリング膜であり得る。金属膜10a(及び金属箔10c)は、金属膜10bの形成時の給電層である。すなわち、金属膜10bは、金属膜10a及び金属箔10cを給電層として用いる電解めっきで形成されている電解めっき膜である。金属箔10cが絶縁層2の両面それぞれに積層されているため、例えば無電解めっき膜であり得る金属膜10aは絶縁層2上に直接形成されていない。図1及び図2の例のようにガラス繊維などからなる芯材2cが絶縁層2に含まれていても、金属箔10cを介して十分な強度で金属膜10aが絶縁層2に密着すると考えられる。
導体層11~14は、それぞれ、任意の導体パターンを含み得る。図1及び図2の例では、導体層11及び導体層12は、導体パッド1a、及び複数の配線パターン1bを含んでいる。また、導体層13は、複数の配線パターン13bを含んでいる。複数の配線パターン1bそれぞれは、互いの間に所定の間隔を空けて並列するように配置されている。同様に、複数の配線パターン13bそれぞれも、互いの間に所定の間隔を空けて並列するように配置されている。
導体パッド1aは、平面視でスルーホール導体3と重なるように設けられている。すなわち、導体パッド1aは、スルーホール導体3の所謂スルーホールパッドの機能を有している。また導体パッド1aは、平面視で貫通孔20及び空洞30と重なるように設けられている。導体パッド1aを構成する金属膜10a及び金属膜10bは、スルーホール導体3の端面を塞ぐと共に貫通孔20及び空洞30を塞いでいる。導体パッド1aは、スルーホール導体3の所謂蓋めっき導体でもある。貫通孔20及び空洞30は、導体層11が有する導体パッド1aと導体層12が有する導体パッド1aとに挟まれている。蓋めっき導体である導体パッド1aが設けられるので、図1の例のようにスルーホール導体3の真上でビア導体2dとスルーホール導体3とを安定して電気的に接続することができ、スルーホール導体3の真上にビア導体2dを積層することができる。配線基板の小型化が実現されることがある。導体層11及び導体層12は、このように、金属膜10a及び金属膜10bそれぞれの一部からなり、スルーホール導体3の端面を塞ぐ蓋めっきを含んでいてもよい。
本実施形態では、導体層11及び導体層12の一方又は両方の全体の厚さ、すなわち、導体層11及び導体層12の少なくとも一方の全体の厚さT1は、35μm以上である。導体層11及び導体層12のいずれか又は両方において、電圧降下や、ジュール熱による温度上昇が抑制されると考えられる。すなわち、導体層11及び/又は導体層12に含まれる導体パターンが大きな電流容量を有し得る。例えば、導体層11及び/又は導体層12が電源パターン又はGNDパターンを含む場合、配線基板100が用いられる電気機器において大きな電流容量を有する安定した電源及び/又はGNDが提供され得る。また、導体層11及び導体層12の少なくとも一方の全体の厚さT1は75μm以下である。導体層の過剰な厚さによる配線基板100の厚さの増大が回避されることがある。
そして、本実施形態では、全体の厚さT1として35μm以上、75μm以下の厚さを有する導体層11及び導体層12の少なくとも一方における金属箔10cと金属膜10aとを合わせた厚さT2は2μm以上、8μm以下である。以下に説明されるように、導体層11及び/又は導体層12において微細な配線パターンが、容易に且つ安定して形成されると考えられる。
配線基板において例えば電源配線やGND配線のような大きな電流が流れる導体層では、個々の導体パターンの幅を広げると共に導体層を厚くすることによって、電圧降下や発熱の抑制が図られる。しかし導体層の厚さの増加は微細な配線パターンの形成を困難にすることがある。例えば、導体層内の各導体パターン同士の分離のためのエッチングの際に、導体層の除去されるべき部分が残ってしまったり(アンダーエッチング)、所望の幅の配線パターンが形成されなかったりすることがある。
すなわち、導体層が厚いと、処理時間などのエッチング条件は、アンダーエッチングを防ぐべくエッチングが促進される方向に調整される。しかしこのような条件の調整は、厚さ方向だけでなく配線パターンの幅方向のエッチング(サイドエッチング)も促進させる。その結果、許容値よりも細い配線パターンが形成され、所望のコンダクタンスや特性インピーダンスが得られなかったり、絶縁層との接触面積が小さくなって十分な密着強度が得られなかったりすることがある。しかしエッチング時間などの条件が十分に調整されなければ、アンダーエッチングによって配線パターン間の短絡不良などが生じ得る。このようなアンダーエッチングの抑制とサイドエッチングの抑制とのトレードオフのために、導体層の厚さが厚い程、微細な配線パターンの形成が困難になり易い。そのため、各導体パターンは、それぞれの導体層の厚さに応じた配線ルール(L/S:最小配線幅/最小配線間隔)の下で配置される。
これに対して、本実施形態では、導体層11及び導体層12の少なくとも一方の全体の厚さT1は、35μm以上、75μm以下であり、その一方における金属箔10cと金属膜10aとを合わせた厚さT2は、2μm以上、8μm以下である。厚さT1が35μm以上であるので、導体層11及び導体層12の一方又は両方に比較的大きな電流を流すことができる。導体層11及び導体層12の少なくとも一方の全体の厚さT1は、導体層13又は導体層14(図1参照)の全体の厚さよりも厚くてもよく、配線基板100に含まれる導体層それぞれの全体の厚さのうちで最も厚くてもよい。配線基板100において、導体層11及び/又は導体層12が電源配線又はGND配線の配置に適した導体層となり得る。
加えて、本実施形態の配線基板100では、金属箔10cと金属膜10aとを合わせた厚さT2が8μm以下であるので、微細な配線パターンが適切に備わり得る。図1及び図2に示されるように、導体層11及び導体層12それぞれにおいて、厚さ方向の大半の部分を金属膜10bが占めている。厚い金属膜10bを形成することによって35μm以上という全体の厚さT1を有する導体層11及び/又は導体層12が形成される。金属膜10bは、前述したように金属膜10a及び金属箔10cを給電層として用いる電解めっきによって形成される。また、金属膜10bは、導体パッド1a及び配線パターン1bのような金属膜10bの必要箇所だけにパターンめっきによって形成され得る。すなわち、後に除去されるべき箇所には厚い金属膜10bはそもそも形成されない。従って、アンダーエッチングなどの懸念を高めずに、所望の厚い金属膜10bが形成され得る。
そして、金属膜10bの形成後、8μm以下という薄い厚さT2を有する給電層(金属箔10c及び金属膜10a)の一部だけが不要部分(導体パッド1a及び配線パターン1bをなどの導体パターンを構成しない部分)として除去される。厚さT2は、例えば電解めっきによって形成されて導体層13又は導体層14の一部を構成する金属膜132の厚さT3(図1参照)よりも薄くてもよい。このように薄い厚さT2を有する金属箔10c及び金属膜10aだけが部分的に除去されるので、エッチング時間などの条件はエッチングが促進されるように金属膜10bの厚さに応じて特段調整されなくてもよい。そのため、配線パターン1bなどは、設計値に対して許容できないほど細い幅では形成され難い。従って、配線パターン1bにおいて所望の電気的特性や密着強度が得られ易い。また、給電層として機能する金属箔10cと金属膜10aとを合わせた厚さT2が2μm以上であるので、金属膜10bの形成時に必要十分なめっき電流が安定して供給される。従って、厚い金属膜10bが安定して適切に形成されると考えられる。このように本実施形態によれば、比較的大きな電流を支障なく流すことができ、しかも微細な配線パターンを適切に備える配線基板が提供されると考えられる。
なお、本実施形態では、前述したように、導体層11及び導体層12は2層構造の部分を有していてもよい。導体層11及び導体層12の少なくとも一方は、2層構造の部分も含めて35μm以上の厚さT1を有している。そして、その一方は、好ましくは3層構造の部分も含めて全面的に75μm以下の厚さT1を有している。
また、配線基板100のような配線基板において、コア基板の両面に形成されている導体層の両方(配線基板100における導体層11及び導体層12)に、大電流通電に対する適性と微細パターンの配置との両方が求められるとは必ずしも限らない。従って、導体層11、12の少なくとも一方において、その厚さが35μm以上、75μm以下であって金属箔10cと金属膜10aとを合わせた厚さが2μm以上、8μm以下である本実施形態は、配線基板の特性向上及び配線の微細化に実質的に寄与し得ることがある。
金属箔10cと金属膜10aとを合わせた厚さは、金属膜10bの形成時に十分なめっき電流が形成され得る限り、薄いほど好ましいことがある。従って、金属箔10cの厚さも薄いほど好ましいことがある。例えば、導体層11及び導体層12の少なくとも一方において、金属箔10cの厚さは、スルーホール導体3の厚さT4の1/20以上、1/2以下であってもよい。金属膜10bの形成時に十分なめっき電流が形成され、且つ、配線パターン1bなどが適切に形成され易いと考えられる。
本実施形態において35μm以上、75μm以下の厚さを有する導体層11及び導体層12の少なくとも一方は、最小配線幅及び最小配線間隔が40μm以上、70μm以下である配線パターン1bを含み得る。すなわち、導体層11及び導体層12の少なくとも一方は、40μm/40μm以上、70μm/70μm以下の配線ルールで配置された配線パターン1bのような導体パターンを含んでいてもよい。また、導体層11及び導体層12の少なくとも一方は、導体層13の配線パターン13b(図1参照)と同じ配線ルールで配置された配線パターン1bのような導体パターンを含んでいてもよい。配線基板100の小型化に寄与し得ることがある。
図2に示されるように、スルーホール導体3と、導体層11及び導体層12それぞれの導体パッド1aとは、直接接しているが、一体的に形成されていない。スルーホール導体3と各導体パッド1aとの間には界面が存在する。具体的には、金属膜3a及び金属膜3bそれぞれは、金属膜10a及び金属膜10bのいずれとも一体的に形成されておらず、もちろん金属箔10cとも一体的に形成されていない。金属膜3a及び金属膜3bそれぞれは、金属膜10aよりも先に形成されているため金属膜10aとの間に界面を有している。
前述したように、スルーホール導体3(金属膜3a及び金属膜3b)は、絶縁層2の厚さ方向を軸方向として有する筒状の形体を有している。図2に示されるように、筒状のスルーホール導体3は、絶縁層2だけでなく金属箔10cも貫通している。筒状の金属膜3a及び筒状の金属膜3bの端面3cと、金属箔10cにおける金属膜10aを向く表面10c1とは、図2の例のように略面一であってもよい。絶縁層2上に平坦な金属膜10a及び金属膜10bが形成され、それにより導体パッド1aとビア導体2dとの接合が安定すると考えられる。
金属膜3a及び金属膜3bの端面3cと金属箔10cの表面10c1とは、金属膜3a、3b及び金属箔10cの形成後に、略面一になるように加工されていてもよい。例えば、切削や研磨などの機械加工によって、金属膜3a、3bの端面3cと金属箔10cの表面10c1とが略面一にされていてもよい。従って金属箔10cの表面10c1は、研磨処理が施された研磨面であってもよい。
つぎに、一実施形態の配線基板の製造方法が、図1の配線基板100を例に用いて図3A~図3Lを参照して説明される。なお、以下に説明される製造方法において形成される各構成要素は、特に異なる記載が無い限り、図1の配線基板100の説明において対応する構成要素の材料として例示された材料を用いて形成され得る。
図3Aに示されるように、一実施形態の配線基板の製造方法は、絶縁層2と絶縁層2の両面に積層されている金属箔10cとを備える基板(出発基板10)を用意することを含んでいる。絶縁層2は、例えばエポキシ樹脂、BT樹脂、又はフェノール樹脂などの任意の絶縁性樹脂によって形成されている。図3Aの例では、絶縁層2内に芯材2cを含む出発基板10が用意されている。金属箔10cは、例えば銅やニッケルなどの任意の金属からなる。金属箔10cの厚さとしては、9μm以上、35μm以下が例示される。金属箔10cは、例えば熱圧着などの任意の方法で絶縁層2の両面それぞれに接合されている。例えば両面銅張積層板が出発基板10として用意されてもよい。
図3Bに示されるように、本実施形態の配線基板の製造方法は、さらに、絶縁層2及び金属箔10cを貫く貫通孔20を形成することを含んでいる。貫通孔20は、例えば、炭酸ガスレーザー光などのレーザー光を絶縁層2の第1面2a側及び/又は第2面2b側から照射することによって形成される。貫通孔20は、ドリル加工によって形成されてもよい。しかし貫通孔20の形成方法は任意に選択され、レーザー光の照射やドリル加工に限定されない。
図3C及び図3Dに示されるように、本実施形態の配線基板の製造方法は、さらに、貫通孔20の内壁に金属膜層31を形成することを含んでいる。図3C及び図3Dの例では、金属箔10cにおける絶縁層2と反対側の表面10c1の全面、及び金属箔10cにおける貫通孔20を向いて露出する端面にも金属膜層31が形成されている。なお、図3Dには、図3CのIIID部における金属膜層31の形成後の状態が拡大して示されている(後に参照される図3E~図3Hにも、各工程における図3CのIIID部に相当する部分の状態が示されている)。
図3Cに示されるように、先ず、金属箔10cの表面10c1の全面及び端面、並びに貫通孔20の内壁に、例えば銅又はニッケルなどの任意の金属からなる金属膜3a(第3金属膜)が、無電解めっき又はスパッタリングなどによって形成される。例えば0.5μm以上、3μm以下の厚さの金属膜3aが形成される。
そして、図3Dに示されるように、例えば金属膜3aを給電層として用いる電解めっきによって、例えば銅又はニッケルなどの任意の金属からなる金属膜3b(第4金属膜)が金属膜3a上に形成される。例えば4μm以上、18μm以下の厚さの金属膜3bが形成される。その結果、金属膜3a及び金属膜3bの2層の積層構造を有する金属膜層31が、金属箔10cの表面10c1の全面、金属箔10cの端面、及び貫通孔20の内壁上に形成される。例えば10μm以上、30μm以下の厚さの金属膜層31が形成される。貫通孔20内には、金属膜層31のうちの貫通孔20の内壁上の部分によって構成されていて空洞30を中央部に有するスルーホール導体3が形成される。また、絶縁層2の両面それぞれには、例えば19μm以上、65μm以下の厚さを有する導電体(金属箔10c及び金属膜層31)が備わっている。
本実施形態において、金属膜3a及び金属膜3bは、レジスト膜を用いないスパッタリング法又はめっき法(所謂パネルめっき)などによって形成され得る。レジスト膜の形成が不要なため、少ない工程数でスルーホール導体3が形成され得る。
図3Eに示されるように、本実施形態の配線基板の製造方法は、さらに、金属膜層31に囲まれている貫通孔20の内部(スルーホール導体3の空洞30)を充填材4で埋めることを含んでいる。例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、若しくはフェノール樹脂などの絶縁性樹脂、又は、銀粒子などの導電性粒子を含む導電性ペースト若しくは導電性インクが充填材4として用いられる。充填材4は、絶縁層2の第1面2a側及び第2面2b側のいずれか又は両方から空洞30内に注入される。例えば充填材4は、空洞30に対応する箇所に開口を有するマスクを用いるスクリーン印刷によって空洞30内に注入される。注入された充填材4は、必要に応じて、例えば加熱などによって硬化される。
図3Eに示されるように、好ましくは、絶縁層2の第1面2a側及び第2面2b側それぞれの金属膜層31の表面から充填材4が突出するように、空洞30の容積よりも大きな体積の充填材4が注入される。例えば硬化時の加熱などによる周囲の温度変化によって充填材4が収縮しても、空洞30に未充填部分が生じ難いと考えられる。
金属膜層31の表面から突出するように充填材4が注入された場合、充填材4における金属膜層31の表面から突出する部分が除去される。絶縁層2の第1面2a側及び第2面2b側それぞれにおいて、充填材4の端面と金属膜層31の表面とが、好ましくは略面一にされる。充填材4の突出部分は、例えば化学機械研磨(CMP)、ベルトサンダーによる研磨、及び/又はバフ研磨などによって除去されるが、充填材4の突出部分の除去方法はこれらに限定されない。
図3Fに示されるように、本実施形態の配線基板の製造方法は、さらに、絶縁層2上の導電体を薄くすることを含んでいてもよい。後述されるように絶縁層2の表面上への微細な配線パターンを有する導体層の適切な形成が容易になることがある。先に参照された図3Eに示される状態では、絶縁層2の両面それぞれに、導電体として絶縁層2側から順に金属箔10c及び金属膜層31が存在するので、具体的には、金属箔10cと金属膜層31とを合わせた厚さが薄くされる。例えば金属箔10cは、後述される金属膜10a(図3G参照)の形成の前に、研磨又はハーフエッチングによって1.5μm以上、5μm以下の厚さまで薄くされてもよい。絶縁層2上の導電体が研磨によって薄くされる場合、前述された充填材4の突出部分の研磨による除去工程から連続した一連の工程として、絶縁層2上の導電体の研磨が行われてもよい。配線基板100の製造工数が削減されると考えられる。
前述されたように、絶縁層2上の導電体を薄くする工程の前には、絶縁層2上に絶縁層2側から順に金属箔10c及び金属膜層31が存在する。従って金属膜層31だけが薄くされてもよく、図3Fに示されるように金属箔10c上の金属膜層31が除去されたうえでさらに金属箔10cが薄くされてもよい。従って、絶縁層2上の導電体(金属箔10c及び金属膜層31)を薄くすることは、金属膜層31のうちの金属箔10c上の部分を除去することと、少なくとも金属箔10cの厚さを1.5μm以上、5μm以下まで薄くすることと、を含んでいてもよい。金属膜層31について、貫通孔20の内部においてスルーホール導体3を構成している部分だけが残される。
さらに、少なくとも金属箔10cを薄くすることは、図3Fに示されるように金属箔10cの表面10c1と、貫通孔20の内部の金属膜層31及び充填材4それぞれにおける端面(絶縁層2の厚さ方向における端面)とを略面一にすることを含んでいてもよい。後述される金属膜10a(図3G参照)の形成において、平坦な金属膜10aが安定して形成されると考えられる。
図3G~図3Jに示されるように、本実施形態の配線基板の製造方法は、さらに、絶縁層2の両面それぞれに導体層(導体層11及び導体層12)を形成することを含んでいる。図3G~図3Jの例では、絶縁層2の第1面2a側に導体層11が形成され、第2面2b側に導体層12が形成されている。
図3Gに示されるように、導体層11及び導体層12を形成することは、先ず、金属箔10c上に金属膜10a(第1金属膜)を直接形成することを含んでいる。金属膜10aは、例えば無電解めっき又はスパッタリングなどによって、絶縁層2の両面それぞれの上の導電体(図3Gの例では金属箔10c)上、スルーホール導体3の端面上、及び充填材4の端面上に形成され得る。このように、金属膜10aを形成することは、空洞30内の充填材4を金属膜10aで覆うことを含み得る。図3Gの例では、金属膜10aは、薄くされた金属箔10cの表面10c1の全面に直接形成されている。
図3H及び図3Iに示されるように、導体層11、12を形成することは、さらに、金属膜10aの上に金属膜10b(第2金属膜)を形成することを含んでいる。図3Hには、金属膜10bの形成の直前の状態が示され、図3Iには、金属膜10bの形成後の製造途上の配線基板の全体が示されている。
本実施形態において導体層11、12の形成は、導体層11及び導体層12それぞれに含まれる各導体パターンが形成されるべき箇所だけに金属膜10bを形成することによって行われる。すなわち導体層11及び導体層12は、それぞれ、所謂パターンめっきによって形成される。従って、導体層11、12を形成することは、図3H及び図3Iに示されるように、所定の開口R1を有するレジスト膜Rを金属膜10a上に設けることと、開口R1内に金属膜10bを形成することと、を含んでいる。好ましくは、少なくとも充填材4と重なる位置に開口R1を有するレジスト膜Rが設けられる。レジスト膜Rの開口R1は、充填材4と重なる位置に加えて、導体層11及び導体層12それぞれに含まれる各導体パターンに対応する位置に設けられる。例えば感光性の樹脂からなるシート状のドライフィルムレジストが、金属膜10a上に積層され、フォトリソグラフィによって開口R1が形成される。
レジスト膜Rへの開口R1の形成後、好ましくは、開口R1内に露出する金属膜10aの表面が、酸素プラズマなどのプラズマ処理に晒される。レジスト膜Rの残渣が開口R1内の金属膜10a上に存在している場合、そのような残渣がプラズマ処理で除去される。
金属膜10bは、金属膜10a(及び金属箔10c)を給電層として用いる電解めっきによって開口R1内に形成される。金属膜10bの形成によって、導体パッド1a及び配線パターン1bなどの導体層11及び導体層12それぞれの導体パターンが、金属箔10c及び金属膜10aを介して互いに接続された状態で形成される。
金属膜10bの形成によって、金属膜10bの形成前の絶縁層2上の導電体(金属箔10c及び金属膜10a)の厚さが、金属膜10bの形成後の絶縁層2上の導電体、すなわち導体層11及び導体層12それぞれの厚さまで厚くされる。このように金属膜10bを形成することは、導体層11、12を、金属膜10bの形成前の絶縁層2上の導電体の厚さよりも厚くすることを含み得る。導体層11、12は、例えば、35μm以上、75μm以下まで厚くされてもよい。その場合、導体層11、12のシート抵抗を小さくすることができ、結果として、導体層11、12に含まれる導体パターンの電流容量を大きくすることができる。また、導体層の過剰な厚さによる配線基板100の厚さの増大が回避されることがある。
金属膜10bの形成後、例えばアミン系の剥離液や、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性剥離剤を用いて、レジスト膜Rが除去される。レジスト膜Rの除去によって、金属膜10aにおける金属膜10bに覆われていない部分が露出する。
図3Jに示されるように、金属膜10aにおける金属膜10bに覆われていない部分が除去され、さらに、金属箔10cのうちの金属膜10b及び金属膜10aに覆われていない部分が除去される。金属膜10a及び金属箔10cにおける金属膜10bに覆われていない部分は、例えば、フラッシュエッチング又はクイックエッチングと呼ばれる短時間のエッチングによって除去される。先に図3Fを参照して説明されたように絶縁層2上の導電体が薄くされていると、極めて短い時間でアンダーエッチングなどを生じさせずに、金属膜10a及び金属箔10cそれぞれの除去されるべき部分が除去される。従って、金属膜10a、10b、及び金属箔10cそれぞれにおいて、サイドエッチングの過剰な進行が生じ難い。例えば設計値に近い幅を有する配線パターン1bが得られると考えられる。
金属膜10a及び金属箔10cの部分的な除去によって、導体パッド1a及び配線パターン1bなどの導体層11、12それぞれに含まれるべき導体パターンが、互いに分離される。導体パッド1a及び配線パターン1bなどのそれぞれ独立した複数の導体パターンを含む導体層11及び導体層12が得られる。このように、本実施形態において導体層11、12を形成することは、さらに、金属箔10c及び金属膜10aそれぞれのうちの金属膜10bに覆われていない部分を除去することを含んでいる。
本実施形態の配線基板の製造方法では、絶縁層2の表面に接合されている金属箔10c上への金属膜10aの形成を経て、金属箔10c及び金属膜10aを含む導体層11、12が形成される。金属箔10cは、絶縁層2に例えば熱圧着などによって強固に接合されている。従って、芯材2cを含み得る絶縁層2の表面上に無電解めっきによって金属膜10aが形成される場合と比べて、導体層11、12と絶縁層2との密着強度が高いと考えられる。
また、スルーホール導体3は、導体層11、12の個々の導体パターンの形成よりも前に、例えば所謂パネルめっきによって貫通孔20内に所望の厚さで形成される。そしてスルーホール導体3の空洞30が充填材4で埋められる。導体層11、12の個々の導体パターンが未だ形成されていないので、例えばスクリーン印刷によって容易に空洞30内に充填材4を注入することができる。さらに、空洞30内の未充填を防止すべく空洞30の容量よりも多めに注入された充填材4における空洞30からの突出部分は、導体層11、12の個々の導体パターンが形成される前に除去される。すなわち導体パターンへのストレス無く、充填材4の突出部分が容易に研磨などによって除去され得る。
そして、導体層11、12の導体パッド1a及び配線1bなどの導体パターンは、所謂パターンめっきを用いて所望の厚さまで金属膜10bを形成することによって厚く形成され得る。パターンめっきが用いられるので、給電層(金属箔10c及び金属膜10a)の厚さの増大を伴うことなく、金属膜10bが厚く形成され得る。従って、給電層の不要部分は、過剰なサイドエッチングを生じさせない短い時間で、しかもアンダーエッチングを伴わずに除去され得る。結果として、許容電流の大きな、しかも微細な配線パターンを含む導体層11、12が形成され得る。
加えて、充填材4による空洞30の充填後、絶縁層2上の導電体(金属箔10cなど)を薄くすることによって、微細な配線パターンを一層容易且つ適切に形成することができる。このように本実施形態によれば、大きな許容電流を有し、且つ、微細な配線パターンを有する配線基板を適切に製造できる配線基板の製造方法が提供されると考えられる。
図1の配線基板100が製造される場合、図3Kに示されるように、絶縁層2の第1面2a側に絶縁層21及び導体層13が形成され、絶縁層2の第2面2b側に絶縁層22及び導体層14が形成される。絶縁層21及び絶縁層22の形成では、絶縁層2の第1面2a及び導体層11の上、並びに絶縁層2の第2面2b及び導体層12の上に、例えばフィルム状のエポキシ樹脂が積層され、加熱及び加圧される。その結果、絶縁層21及び絶縁層22が形成される。各絶縁層には、ビア導体2dを形成するための貫通孔2eが、例えば炭酸ガスレーザー光の照射などによって形成される。
導体層13及び導体層14は、それぞれ、例えばセミアディティブ法によって形成される。すなわち、絶縁層21及び絶縁層22の表面、及び貫通孔2e内に無電解めっきやスパッタリングによって金属膜が形成される。その金属膜を給電層として用いる電解めっきを含むパターンめっきによってめっき膜が形成される。その後、金属膜の不要部分が例えばエッチングなどで除去される。その結果、配線パターン13bなどの所定の導体パターンを含む導体層13、及び所定の導体パターンを含む導体層14が形成される。貫通孔2e内にはビア導体2dが形成される。
図3Lに示されるように、絶縁層2の第1面2a側にさらに一組の絶縁層21及び導体層13が形成され、絶縁層2の第2面2b側にさらに一組の絶縁層22及び導体層14が形成される。第1面2a側及び第2面2b側それぞれに形成される一組の絶縁層21及び導体層13、及び、一組の絶縁層22及び導体層14は、図3Kを参照して説明された方法と同様の方法で、それぞれ形成され得る。
図3Lに示されるように、図1の配線基板100が製造される場合は、二組の導体層13及び絶縁層21のうちの外側の導体層13及び絶縁層21の上にソルダーレジスト5が形成される。二組の導体層14及び絶縁層22のうちの外側の導体層14及び絶縁層22の上にもソルダーレジスト5が形成される。ソルダーレジスト5は、例えば感光性のエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などを塗布したり噴霧したりフィルム状態で積層したりすることによって形成される。そして、例えば露光及び現像、又はレーザー加工などによって、導体層13の一部又は導体層14の一部を露出させる開口が各ソルダーレジスト5に形成される。以上の工程を経ることによって図1の例の配線基板100が完成する。
実施形態の配線基板は、各図面に例示される構造、並びに、本明細書において例示される構造、形状、及び材料を備えるものに限定されない。前述したように、実施形態の配線基板は任意の積層構造を有し得る。実施形態の配線基板は、任意の数の導体層及び絶縁層を含み得る。例えば、実施形態の配線基板は、導体層13、14、及び、絶縁層21、22のいずれか又は全部を含んでいなくてもよい。
実施形態の配線基板の製造方法は、各図面を参照して説明された方法に限定されない。実施形態の配線基板の製造方法には、前述された各工程以外に任意の工程が追加されてもよく、前述された工程のうちの一部が省略されてもよい。
100 配線基板
10a 金属膜(第1金属膜)
10b 金属膜(第2金属膜)
10c 金属箔
10c1 金属箔の表面
1b 配線パターン
11、12 導体層(2つの導体層)
2、21、22 絶縁層
20 貫通孔
3 スルーホール導体
30 空洞
31 金属膜層
3a 金属膜(第3金属膜)
3b 金属膜(第4金属膜)
3c 金属膜の端面
4 充填材
R レジスト膜
R1 開口
T1 導体層の全体の厚さ
T2 金属箔と第1金属膜とを合わせた厚さ
T4 スルーホール導体の厚さ
10a 金属膜(第1金属膜)
10b 金属膜(第2金属膜)
10c 金属箔
10c1 金属箔の表面
1b 配線パターン
11、12 導体層(2つの導体層)
2、21、22 絶縁層
20 貫通孔
3 スルーホール導体
30 空洞
31 金属膜層
3a 金属膜(第3金属膜)
3b 金属膜(第4金属膜)
3c 金属膜の端面
4 充填材
R レジスト膜
R1 開口
T1 導体層の全体の厚さ
T2 金属箔と第1金属膜とを合わせた厚さ
T4 スルーホール導体の厚さ
Claims (12)
- 貫通孔を有する絶縁層と、
前記絶縁層の両面それぞれに形成されている2つの導体層と、
前記貫通孔内に形成されていて前記2つの導体層同士を接続するスルーホール導体と、
前記スルーホール導体を貫く空洞を埋めている充填材と、
を含む配線基板であって、
前記2つの導体層は、それぞれ、前記絶縁層上に積層されている金属箔、電解めっき膜である第2金属膜、及び、前記第2金属膜の形成時の給電層であって前記金属箔上に直接形成されている第1金属膜による3層構造を含む積層構造を有し、
前記2つの導体層の少なくとも一方の全体の厚さは35μm以上、75μm以下であり、前記少なくとも一方における前記金属箔と前記第1金属膜とを合わせた厚さは2μm以上、8μm以下である。 - 請求項1記載の配線基板であって、前記2つの導体層は、前記スルーホール導体の端面を塞ぐ蓋めっきを含んでいる。
- 請求項1記載の配線基板であって、前記2つの導体層の少なくとも一方において、前記金属箔の厚さは、前記スルーホール導体の厚さの1/20以上、1/2以下である。
- 請求項1記載の配線基板であって、前記第1金属膜を向く前記金属箔の表面は研磨面である。
- 請求項1記載の配線基板であって、前記2つの導体層の少なくとも一方は、最小配線幅及び最小配線間隔が40μm以上、70μm以下である配線パターンを含んでいる。
- 請求項1記載の配線基板であって、
前記スルーホール導体は前記貫通孔の内壁を覆う筒状の金属膜によって構成されており、
前記筒状の金属膜の端面と、前記第1金属膜を向く前記金属箔の表面とが略面一である。 - 絶縁層と前記絶縁層の両面に積層されている金属箔とを備える基板を用意することと、
前記絶縁層及び前記金属箔を貫く貫通孔を形成することと、
前記貫通孔の内壁に金属膜層を形成することと、
前記金属膜層に囲まれている前記貫通孔の内部を充填材で埋めることと、
前記絶縁層の両面それぞれに導体層を形成することと、
を含んでいる配線基板の製造方法であって、
前記導体層を形成することは、前記金属箔上に第1金属膜を直接形成することと、前記第1金属膜の上に所定の開口を有するレジスト膜を設けることと、前記第1金属膜を給電層として用いる電解めっきによって前記開口内に第2金属膜を形成することと、前記金属箔及び前記第1金属膜のうちの前記第2金属膜に覆われていない部分を除去することと、を含んでいる。 - 請求項7記載の配線基板の製造方法であって、前記第1金属膜を形成することは、前記第1金属膜で前記充填材を覆うことを含んでいる。
- 請求項7記載の配線基板の製造方法であって、さらに、
前記第1金属膜の形成の前に、研磨又はハーフエッチングによって前記絶縁層上の少なくとも前記金属箔を1.5μm以上、5μm以下まで薄くすることを含んでいる。 - 請求項9記載の配線基板の製造方法であって、さらに、前記金属膜層を前記金属箔の表面の全面に形成することを含み、
少なくとも前記金属箔を薄くすることは、前記金属膜層のうちの前記金属箔上の部分を除去することを含んでいる。 - 請求項9記載の配線基板の製造方法であって、少なくとも前記金属箔を薄くすることは、前記金属箔の前記表面と、前記貫通孔の内部の前記金属膜層及び前記充填材それぞれの端面とを略面一にすることを含んでいる。
- 請求項7記載の配線基板の製造方法であって、
前記第2金属膜を形成することは、前記導体層を35μm以上、75μm以下まで厚くすることを含んでいる。
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