JP2023012624A - 保液層の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液保持層に対して十分な液を含ませることが可能な保液層の製造方法、該保液層を用いた冷却体の製法方法、及び、該冷却体を用いたマスクの製造方法に関する。【解決手段】本発明の一形態に係る保液層の製造方法は、液難透過性層と前記液難透過性層の一方の面側に配置された液保持層との積層体と、前記液保持層に含有される液と、を含む保液層の製造方法であって、前記液保持層に前記液を複数回に分けて添加する、複数回の液添加工程を備える。【選択図】図7

Description

本発明は、マスク等に用いられる保液層の製造方法に関する。
近年、口及び鼻を覆うマスクの機能が多様化し、温熱を付与する温熱機能を有するマスクなど、様々なマスクが開発されている。
冷涼機能を有するマスクにおいて、吸熱機能を有する保液層を備えるものが検討されている。該保液層として、液保持部材に水分を主成分とする液を含ませた部材を用いる形態が考えられている。
特許文献1には、温熱付与機能と、香気発生、抗菌、消炎等の温熱付与以外の機能を有する温熱具の製造方法が開示されている。該温熱具は、通気性を有する袋体内に、温熱付与のための発熱体と、液保持性シートに温熱付与以外の機能を付与するための薬液を含有させた薬液含有シートとの積層体が収容されて構成される。
該温熱具の製造方法では、液保持性シートの一面に薬液を塗布した後、液保持シートの該一面が発熱組成物と対向するように発熱組成物を重ね合わせて積層体前駆体を得る。その後、該積層体前駆体を裁断して枚葉の積層体前駆体とし、該枚葉の積層体前駆体に電解質水溶液を塗布して上記積層体を得る。
特開2011-125525号公報
本発明は冷涼機能を有するマスクに関する。冷涼機能は、吸熱機能を有する保液層を備えるものであり得る。該保液層として、液保持部材に水分を主成分とする液を含ませた部材を用いる形態があり得る。
液を含む液保持層を有する保液層に、効果的な吸熱機能を持たせるため、液保持層に対して十分に液を含ませることが望まれる。
本発明の課題は、液保持層に対して十分な液を含ませることが可能な保液層の製造方法、該保液層を用いた冷却体の製法方法、及び、該冷却体を用いたマスクの製造方法に関する。
本発明の一形態に係る保液層の製造方法は、液難透過性層と前記液難透過性層の一方の面側に配置された液保持層との積層体と、前記液保持層に含有される液と、を含む保液層の製造方法であって、前記液保持層に前記液を複数回に分けて添加する、複数回の液添加工程を備える。
本発明によれば、十分な液を含む保液層を得ることが可能である。
本発明の一実施形態に係るマスクの斜視図である。 上記マスクに係るマスク本体の展開状態を示す添加図である。 図2のIII-III線に沿ったマスクの模式断面図である。 上記マスクが有する冷却体と該冷却体に配される接着剤の模式断面図である。 本発明の第1実施形態に係る、保液層の製造方法及び冷却体の製造に用いられる保液層及び冷却体の製造装置を上からみた模式図である。 図5の製造装置を横からみた模式図である。 図6の製造装置を用いた第1実施形態に係る保液層及び冷却体の製造方法のフロー図である。 上記製造装置を上から見た要部拡大図であり、1回目~4回目の液添加工程それぞれでの液の添加位置を説明するための図である。 液保持層に対する1回目の液添加工程における液散布幅を説明する模式図である。 本発明の第2実施形態に係る、保液層の製造方法及び冷却体の製造に用いられる保液層及び冷却体の製造装置を横からみた模式図である。 上記製造装置により製造された冷却体を用いた冷涼マスクの製造に用いられるマスク製造装置を上からみた模式図である。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、図面は、本発明を示すために適宜強調や省略、比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状や位置関係、比率とは異なる場合がある。
まず、本発明の製造方法によって製造された保液層を備えるマスクの構成について説明する。該マスクは、液(本実施形態においては水)を含む保液層を備えることで、マスク着用時に、気化熱冷却効果を発揮する、所謂冷涼マスク(以下、「冷涼マスク1」という)である。
<冷涼マスクの全体構成>
図1に示すように、冷涼マスク1は、マスク本体2と、保持部30と、冷却体20と、を備える。
冷涼マスク1は、典型的には、平面状に折り畳まれ、衛生面の観点から、個包装用の酸素遮断袋等の包材に収容された状態で、流通する。そして、冷涼マスク1は、着用時では、図1に示すように、後述する接顔側端部5の開口を拡開させて立体状で使用される。
<マスク本体の構成>
マスク本体2は、着用者の少なくとも一部(本実施形態では口及び鼻)を覆うことが可能に構成される。
図1において、マスク本体2の開放側(顔に接する側)の端部を「接顔側端部5」といい、接顔側端部5の反対側に位置する閉塞側(底側)の端部を「閉塞側端部6」という。
また、着用時、マスク本体2の上側に位置する縁部を「上縁部7」といい、下側に位置する縁部を「下縁部8」という。マスク本体2で着用者の口及び鼻を覆った際に、上縁部7は鼻側に位置する縁部であり、下縁部8は顎側に位置する縁部である。
ここでいう着用時は、通常の適正な着用位置(冷涼マスク1の想定される着用位置)が維持された状態を意味する。
本明細書において、「顔側」又は「内側」とは、冷涼マスク又はその構成部材における、着用時に着用者の顔側に向けられる側を示す。「非顔側」又は「外側」とは、冷涼マスク又はその構成部材における、着用時に着用者の顔側とは反対側に向けられる側をいう。
また、本明細書において、「上」、「下」、「右」、「左」とは、冷涼マスクを着用した着用者が正面を向いた状態での、着用者からみた「上」、「下」、「右」、「左」を意味する。
また、明細書において、「平面視」とは、厚さが薄い扁平状の構成を、その厚さ方向から見たときを意味する。
図1~図3に示すように、マスク本体2は、第1パネル部10Aと、第2パネル部10Bとを有する。
マスク本体2は、使用前においては、第1パネル部10Aと第2パネル部10Bが縦中心線100(閉塞側端部6)に沿って二つ折りされることで、平面状に折り畳まれている。更に、保持部30を、二つ折りされた冷涼マスク1の内側に折り込んで収納することで、コンパクト化することが可能である。
一方、マスク本体2は、使用時に縦中心線100(閉塞側端部6)とは反対側の縁部(接顔側端部5)から開かれ、マスク本体2が折り畳まれていた内側の面が着用者側の面となるように、着用される。すなわち、マスク本体2は、着用時に第1パネル部10Aの接顔側端部5と第2パネル部10Bの接顔側端部5とが互いに引き離されることにより、縦中心線100を中心として閉塞側端部6がマスク本体2の前方へ突出し、中空の保形立体形状となるように構成されている。
第1パネル部10A及び第2パネル部10Bは、図1に示すように、接顔側端部5から閉塞側端部6に向けて延びる周面を形成する。該周面により、着用時において着用者の顔面との間に内部空間4が形成されるように構成されている。
具体的には、第1パネル部10Aはマスク本体2の半周面を形成し、第2パネル部10Bは残りの半周面を形成する。
第1パネル部10A及び第2パネル部10Bは、接顔側端部5の開口を拡開させることで、図1に示すように、立体状に変形可能に構成される。
第1パネル部10Aと第2パネル部10Bとは同大同形状に構成される。
マスク本体2は、後述する内面シート14が内側となるよう、縦中心線100を中心として第1パネル部10A及び第2パネル部10Bが二つ折りされた状態で、縦中心線100の上縁部7近傍に形成された上側結合部4aと、縦中心線100の下縁部8側に形成された下側結合部4bとにより第1パネル部10A及び第2パネル部10Bが互いに結合されることで形成される。すなわち第1パネル部10A及び第2パネル部10Bの一体連続部分である縦中心線100と、縦中心線100よりも上方側(鼻側)を事後的に結合する上側結合部4aと、縦中心線100よりも下方側(顎側)を事後的に結合する下側結合部4bとにより、マスク本体2の閉塞側端部6が形成されている。
尚、第1パネル部10A及び第2パネル部10Bを結合させる手段は、両パネル部10A、10Bが分離しないよう結合可能な手段であれば特に制限されず、例えば、圧着、熱溶着、超音波溶着、高周波溶着及び接着剤等の任意の手段を採用することができる。
また、本実施形態では、第1パネル部10A及び第2パネル部10Bが当初から一体として形成された構成となっているが、この構成に代えて、別体として形成された第1パネル部10A及び第2パネル部10Bを機械的に結合させる構成であってもよい。
第1パネル部10A及び第2パネル部10Bは、シート状であり、例えば、2枚のシートが積層された一体的な多層構造で構成される。より具体的には、本実施形態の第1パネル部10A及び第2パネル部10Bは、図1及び図3に示すように、立体状となった際の内面を形成する内面シート14と、立体状となった際の外面を形成する外面シート16とを備える。内面シート14及び外面シート16は、同形同大に形成される。
図3に示すように、マスク本体2において、内面シート14と外面シート16との間に、冷却体20が配されている。
本実施形態において、冷却体20は、外面シート16の内面に後述する接着剤33により固定される。これにより、冷却体20のマスク本体2からの脱落を防ぐことができる。接着剤33としては、典型的には、ホットメルト型接着剤が用いられるが、これに限定されず、種々の公知の固定手段を用いることができる。
尚、冷却体20を保持する構成は上記構成に限定されない。
例えば、マスク本体2の内面にポケット状の収納部を設け、該収納部に冷却体20を保持する構成としてもよいし、接着剤等の固定手段を用いてマスク本体2の内面に冷却体20を固定する構成としてもよい。
また、例えば、外面シート16と内面シート14とを局所的に非接着とすることにより、外面シート16と内面シート14との間に冷却体20を挿脱可能な開口及び収納空間を形成する構成としても良い。
内面シート14及び外面シート16の材料は、口及び鼻を覆うマスクの技術分野において従来から用いられているものを用いることができ、一定の通気性を有するものであれば特にその種類に制限はない。例えば不織布、織布、紙などの繊維シート、樹脂発泡シート、金属シート又はこれらの組み合わせ等が用いられる。なかでも、加工のしやすさや経済性の観点から不織布を用いることが好ましい。
不織布の繊維素材としては、例えばポリエステル、ポリオレフィン、レーヨン、コットン等から選択される1種又は2種以上の繊維で構成されるものが好ましい。
ポリエステルとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)等が挙げられる。
ポリオレフィンとしては、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、エチレンプロピレン共重合体等が挙げられる。
また、不織布としては、上記の1種又は2種以上の素材の繊維を用いて、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布、メルトブローン不織布などを用いることができ、単層でも多層構造でもよい。なお、不織布は、目的に応じ化学処理を行ってもよい。
内面シート14は、着用者の顔から冷却体20への伝熱効率を高めると共に、冷却体20から発生される水蒸気を蒸発させやすくする観点から、通気性シートであることが好ましい。
一方、外面シート16は、製品の設計に応じて任意の材料を用いることができ、通気性シート、難通気性シート及び非通気性シートのいずれであってもよいが、該外面シート16に対向する冷却体20のシート(冷却体20の非顔側に向けて配向されるシート)が通気性シートである場合には、外面シート16も通気性シートであることが好ましい。
ここで、「難通気性」とは、気体透過させにくい性質を意味し、非通気性の性質を含む。
<保持部の構成>
図1に示すように、冷涼マスク1において、保持部30は、マスク本体2における左右方向両端部である左右の接顔側端部5それぞれに接合され、一対で設けられている。保持部30は、マスク本体2を着用者の顔に保持するものである。
本実施形態において、保持部30は、着用者の耳に取り付け可能な耳掛けである。保持部30は、耳掛け部本体31と、耳掛け孔32と、を有する。
保持部30は、マスク本体2と同様の材料であってもよく、異なる材料であってもよい。保持部30は、マスク本体2のフィット感を良好にする観点から、伸縮性を有する材料であることが好ましく、マスク本体2の横幅方向に伸長しやすいものがよい。
本実施形態において、保持部30は不織布からなることが好ましく、伸縮性を有する不織布であることがより好ましい。マスク本体2との結合性の観点から、構成繊維として熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。更に、加工のしやすさの観点から、PPを含むことがより好ましい。尚、保持部30は、PP以外の熱可塑性樹脂を更に含んでも良く、例えば、ウレタン、PE、PETからなる群から選ばれる一種以上を更に含むことが好ましく、ウレタンからなる合成繊維を用いることがより好ましい。このような構成とすることにより、保持部30の柔軟性及びフィット性を効率よく発現させることができるとともに、冷涼マスク1の使用時に十分な強度を発現できる。
尚、保持部30は、マスク本体2を着用者の顔前に保持することが可能な構成であれば、上述した平面状の耳掛けに限定されず、マスクに通常用いることが可能なものを任意に用いることが可能である。
<冷却体の構成>
図3に示すように、冷却体20は、着用時において、少なくとも一部が着用者の顔と直接的又は間接的に接触するようマスク本体2に配置されている。本実施形態においては、マスク本体2の内面シート14と外面シート16との間に冷却体20が配されている。このため、冷却体20は、着用時において、内面シート14を介して着用者の顔と間接的に接触する。
冷却体20は液(本実施形態においては水であり、以下、「水」ということがある。)を含んで構成される。水が含まれることにより、冷涼マスク1を着用した際、冷却体20は吸熱シートとして機能してマスク内の熱を吸収し、マスク内の温度上昇を抑制する。そして、冷却体20内に含まれている液の蒸散によって放熱され、マスク内の温度を低下させることができ、着用者に対して冷涼感を与えることができる。
冷却体20は、平面形状が略矩形の扁平体である。
図4に示すように、冷却体20は、保液層24と、第1被覆層26と、第2被覆層28と、を備える。冷却体20の第2被覆層28側の面には、接着剤33が塗布される。冷涼マスク1において、該接着剤33により外面シート16の内面に冷却体20が固定される。
第1被覆層26と第2被覆層28は、同形同大に形成され、その周縁部が接合部20aによって接合され、袋体を構成する。該袋体内に保液層24は保持される。このような袋体を構成することにより、保液層24の構成材料の意図しない脱落を防いで製造効率を高め、蒸気量を適宜調整することができる。
[第1被覆層及び第2被覆層]
第1被覆層26及び第2被覆層28の少なくとも一方は、難通気性(透気度が30000秒/100mL以上)部材を用いることができる。また、第1被覆層26及び第2被覆層28の他方は、透気性部材を用いることができる。
ここで「難通気性」とは、気体を透過させにくい性質を意味し、非通気(透気度が80000秒/100mL以上)性の性質を含む。
難通気性部材の透気度は、50000秒/100mL以上であることが好ましく、80000秒/100mL以上であることがより好ましい。第1被覆層26及び第2被覆層28の少なくとも一方にこのような難通気性の部材を用いることにより、保液層24の水分が蒸発する方向及び蒸発量をコントロールすることが可能となる。これにより、冷却体20から放出される蒸気の持続性を高め、冷却体20による冷涼効果を長時間に亘り維持することが可能となる。
このような難通気性部材としては、例えば、合成樹脂製のフィルムを単独で又は複数積層して用いることが可能である。また、難通気性部材は用途に応じ、外面に不織布等を積層して風合いを高めることができる。不織布は、ニードルパンチ不織布、エアスルー不織布、及びスパンボンド不織布等から選択することができるが、PEフィルムとパルプシートからならラミネートフィルムが好ましい。なお、難通気性シートは、全体として通気性の低いシートであれば、その一部が通気性を有していてもよい。
通気性部材の透気度は、発生した蒸気をゆるやかに放出しつつ、過度に加湿しない観点から、350秒/100mL以下であることが好ましく100秒/100mL以下であることがより好ましい。第1被覆層26及び第2被覆層28の一方にこのような通気性部材を用いることにより、水分の蒸発に伴う気化熱や放熱によって顔への冷涼効果を高めることも可能となる。
ここで、透気度は、JIS P8117(2009年改正版)によって測定される値であり、一定の圧力のもとで100mLの空気が6.42cmの面積を通過する時間として定義される。したがって、透気度の数値が大きいことは空気の通過に時間がかかること、即ち通気性が低いことを意味している。逆に、透気度の数値が小さいことは通気性が高いことを意味している。このように、透気度の数値の大小と通気性の高低とは逆の関係を示す。透気度は、王研式透気度計で計測することができる。なお、本明細書中において、この透気度が30000秒/100mL以上となるものを「難通気」、このうち80000秒/100mL以上となるものを「非通気」という。
このような通気性部材としては、例えば透湿性は有するが透水性を有さない、すなわち、液体である水が通ることを防止しつつ気体である酸素や気体になった湿気は通す、合成樹脂製の多孔性シート(透湿防水シート)が好適である。
具体的には、PE又はPP等を含有させ延伸したフィルムが挙げられる。かかる多孔性シートを用いる場合には、多孔性シートの外面に不織布を積層して、該通気性シートの風合いを高めてもよい。不織布としては、例えばニードルパンチ不織布、エアスルー不織布、及びスパンボンド不織布などが挙げられる。水は通さないが酸素や水蒸気を通すシートであって、且つ防漏性が考慮されていれば多孔性シート以外のものであってもよい。例えば、ポリアミド、ビニロン、ポリエステル、レーヨン、アセテート、アクリル樹脂、PE、PP及びポリ塩化ビニル等の人工繊維や、パルプ、綿、麻、絹及び獣毛等の天然繊維から選ばれた1種又は2種以上を混合した織布、不織布、紙、合成紙等を、通気性部材として用いることができる。
第1被覆層26及び第2被覆層28は、一方が通気性を有し、他方が難通気性であることが好ましい。その場合、目的に応じて適宜顔側、非顔側に配向して良い。
例えば、顔側に位置する被覆層に通気性部材を使用し、非顔側に位置する被覆層に難通気性部材を使用することが好ましい。
本実施形態においては、顔側に位置する第1被覆層26が通気性を有し、非顔側に位置する第2被覆層28が難通気性を有する。これにより、顔に対する吸熱効果を高めることが可能となるため、冷涼マスク1の着用初期の冷涼効果を高めると共に、長期間に亘り温度の変動が少ない安定した冷涼感を付与することが可能となる。
一方、顔側に位置する被覆層に難通気性部材を使用し、非顔側に位置する被覆層に通気性部材を使用する場合には、マスク本体2の内部空間4内に放出される蒸気量を抑えることが可能となる。このため、内部空間4内の湿度を抑え、蒸し暑さを低減することが可能となる。また、この場合には、気化熱による冷涼マスク1の外側(外気)への放熱効果を高めることが可能となるため、冷却体20によりマスク本体2内温度をより下げることが可能となる。
[保液層]
図4に示すように、保液層24は、第1被覆層26と第2被覆層28の間に位置する。保液層24は、液を保有可能に構成される。
保液層24は、液難透過性層23と、液保持層21と、接着剤22と、液保持層21に含有される液と、を含む。保液層24は、液難透過性層23と液保持層21とが厚み方向に積層された積層体71である。保液層24、該保液層24を構成する液難透過性層23及び液保持層21は、後述する保液層の製造時における搬送方向Xと、該搬送方向Xに直交する幅方向Yを有する。
図4に示すように、液難透過性層23は一方の面23aと、他方の面23bを有する。冷涼マスク1において、一方の面23aは内側に位置し、他方の面23bは外側に位置する。
液保持層21は、第1の面21aと第2の面21bとを有する。冷涼マスク1において、第1の面21aは外側に位置し、第2の面21bは内側に位置する。
保液層24において、液難透過性層23の一方の面23aと、液保持層21の第1の面21aとは、接着剤22により接合され、接着剤22を介して接して位置する。冷却体20において、液難透過性層23の他方の面23bは第2被覆層28と接して位置し、液保持層21の第2の面21bは第1被覆層26と接して位置する。
(液)
本実施形態において、液保持層21に保持される液は、水である。
液保持層21に保持される水は、電解質水溶液(例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の水溶液)由来のものであっても良く、また、例えばエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の防腐剤、静菌剤、殺菌剤や酸化防止剤が添加されていてもよい。
(液難透過性層)
液難透過性層23は、液保持層21の第1の面21aを被覆するように設けられる。
ここで「液難透過性」とは、液を透過させにくい性質を意味し、液を全く通さない性質と、少量ではあるが液を通す性質(非通液性)の両方を含む概念である。
図4に示すように、本実施形態では、着用時に、液難透過性層23は、液保持層21よりも非顔側(外側)に位置するよう配置される。これにより、保液層24の水分が顔側に向けて蒸発することを促進し、これに伴う気化熱によって顔への冷涼効果を高めることが可能となる。
また、液難透過性層23を液保持層21よりも非顔側に位置するよう配置することにより、保液層24の水分が非顔側に蒸発することが抑制される。これにより、冷却体20から放出される蒸気の持続性を高めることができるため、冷却体20による冷涼効果を長時間に亘り維持することが可能となる。
尚、着用時に、液難透過性層23が、液保持層21よりも顔側(内側)に位置するよう配置されてもよい。この場合、非顔側への蒸気発生を促進し、これに伴う気化熱によってマスク本体2内の冷涼効果を高めることが可能となる。また、保液層24の水分が顔側に蒸発することを抑制することにより、冷却体20から放出される蒸気による顔へのムレを抑制することが可能となる。
上述した、液難透過性層23が顔側、非顔側に配置されている場合でも液難透過性層23の透気度によって適宜非顔側や顔側への蒸気発生量を変えることができる。
例えば、液難透過性層23に伴う気化熱によって蒸気発生を促進し、マスク本体2内の冷涼効果を更に高めたい場合、液難透過性層23としては、透気度が50秒/100mL以下、好ましくは10秒/100mL以下、より好ましくは1秒/100mL以下の部材を用いることができる。
また、顔やマスク本体2内の冷却時間の持続効果を高めたい場合としては、非通気性(透気度が80000秒/100mL以上)又は難通気性(透気度が30000秒/00mL以上)の部材を用いることができる。液難透過性層23の透気度は、50000秒/100mL以上であることが好ましく、80000秒/100mL以上であることがより好ましい。
尚、液難透過性層23を非顔側になるように配置した場合、液難透過性層23の上に液保持層21を積層させることで、後述の製造方法において、マスク本体2に液保持層21への水添加工程(液添加工程)、マスク本体2に冷却体20を設置する工程での生産性が向上する。
液難透過性層23としては、例えば合成樹脂フィルムを用いることができ、PEフィルム、PETフィルム等が挙げられる。合成樹脂フィルムは、単層でも、複数層の積層体であってもよい。不織布、紙若しくはフィルム又はこれらの2種以上の積層体を用いることができる。
本実施形態では、液難透過性層23として、薄葉紙にPEフィルムをラミネートした、非通液性である、PEラミネート薄葉紙を用いた。
(接着剤)
図4に示すように、接着剤22は、液難透過性層23と液保持層21との間に配置され、両者を接合する。接着剤22としては、典型的には、ホットメルト型接着剤が用いられるが、これに限定されず、種々の公知の固定手段を用いることができる。
ここで、保液層24において、液難透過性層23と液保持層21とは、平面視で、同形同大で形成され、重なり合って積層体を構成する。該積層体は平面視で略矩形状を有する。図5及び図9に示すように、接着剤22は、積層体71である保液層24の対向する一対の側部24aに沿って線状に、その付近に塗布される。一対の側部24aの延在方向は、後述する製造時における搬送方向Xに対応する。また、図9に示すように、保液層24は、平面視で、一対の接着剤22間に、接着剤22が塗布されていない接着剤非塗布領域24bを有する。
(液保持層)
液保持層21は、添加された水を保持可能に構成される。
図3に示すように、本実施形態において、液保持層21は、保水材40を含む。より詳細には、液保持層21は、第1層紙41と第2層紙42との間に保水材40が配されて構成される。
((保水材))
保水材40とは、保水能(吸水作用又は除水作用)を有するものであり、水の保持が可能なものであれはその種類に特に制限はないが、蒸気放散性に優れたものであることが好ましい。
保水材40としては、例えば、炭素成分、繊維材料及び吸水性の粉体等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
炭素成分は、保水能を有するものであり、例えば、活性炭、アセチレンブラック、及び黒鉛から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
繊維材料としては、親水性繊維、中でもセルロース繊維を用いることがより好ましい。セルロース繊維としては、化学繊維(合成繊維)や天然繊維を用いることができる。
吸水性の粉体としては、バーミキュライト、おがぐず、シリカゲル、ケイ酸カルシウム、ゼオライト、パルプ粉末、及び高吸水性ポリマー(SAP:Super Absorbent Polymer)から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
冷涼マスク1における冷涼効果を長時間持続させる観点から、冷却体20は水を十分に含んでいることが好ましい。液保持層において、高い吸水率を得る観点から、保水材40として、高吸水性ポリマーを用いることが好ましい。以下、保水材40を高吸水性ポリマー40に置き換えて説明する。
高吸水性ポリマー40としては、自重の20倍以上の液体を吸収、保持できる架橋構造を有する親水性のポリマーが挙げられる。高吸水性ポリマー40の形状は、球状、塊状、ブドウ房状、及び繊維状のいずれでもよい。高吸水性ポリマー40の質量平均粒径は、1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることより好ましく、100μm以上であることがさらに好ましい。また、高吸水性ポリマー40の平均粒径は、1000μm以下であることが好ましく、700μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらにより好ましい。高吸水性ポリマーの粒径はレーザー回折法により測定される。
高吸水性ポリマーの具体例としては、例えば、デンプン、架橋カルボキシメチル化セルロース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体からなる群から選択される1種又は2種以上が挙げられる。これらのなかでも、担持される水の量を特定の範囲に維持しやすいことから、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体が好ましい。
マスク着用時の冷却効果を効果的に発揮するために十分な保水性を得る観点から、水添加前の保液層における高吸水性ポリマーの坪量は20g/m以上であることが好ましく、30g/m以上であることより好ましい。
((第1層紙及び第2層紙))
第1層紙41と第2層紙42は、これらの間に高吸水性ポリマー40を保持する。
第1層紙41及び第2層紙42は、いずれも透湿性シートであり、例えば木材パルプ製の紙を用いることができる。
本実施形態では、液保持層21は、木材パルプ製の紙(第2層紙42)と、高吸水性ポリマー40(株式会社 日本触媒製 アクアリックCAW151)と、木材パルプ製の紙(第1層紙41)とをこの順で積層して一体化した構成となっている。
(保液層に保有される水の初期含有量)
1つの冷却体20において、保液層24に保有される水の初期含有量(すなわち、酸素遮断袋等の包材を開封させた直後の水含有量)は、冷涼マスク1の着用初期の冷涼効果を高めるとともに、冷却体20から放出される蒸気の持続性を高め、冷却体20による冷涼効果を長時間に亘り維持する観点から、水添加前の保液層24の重量の5.5倍以上の重量を有することが好ましく、6倍以上の重量を有することがより好ましい。
また、保液層24に保有される水の初期含有量は、冷却体20の重さを抑え、顔に対する冷涼マスク1のずれ落ちを防止する観点から、水添加前の保液層24の重量の20倍以下の重量を有することが好ましく、15倍以下の重量を有することがより好ましい。
ここで、「保液層24の重量」とは、接着剤22の重量を除く液難透過性層23と液保持層21との合計の重量を指すものとする。
保液層24に保有される水の初期含有量は、冷涼マスク1の着用初期の冷涼効果を高めるとともに、冷却体20から放出される蒸気の持続性を高め、冷却体20による冷涼効果を長時間に亘り維持する観点から、1cmあたり0.04mL以上であることが好ましく、1cmあたり0.08mL以上であることがより好ましく、1cmあたり0.10mL以上であることがさらに好ましく、また、冷却体20の重さを抑え、顔に対する冷涼マスク1のずれ落ちを防止する観点から、1cmあたり0.40mL以下であることが好ましく、1cmあたり0.30mL以下であることがより好ましく、1cmあたり0.25mL以上であることがさらに好ましい。
(保液層に保有される水の初期含有量の測定方法)
予め、液を含んでいない液難透過性層と液保持層の重量を電子天秤にて測定する(液添加前重量)。液添加後の保液層の重量を測定する(液添加後の重量)。
(液の初期含有量)=(液添加後の重量)-(液添加前の重量)
保液層24に保有される水の初期含有量は、冷涼マスク1の着用初期の冷涼効果を高めるとともに、冷却体20から放出される蒸気の持続性を高め、冷却体20による冷涼効果を長時間に亘り維持する観点から、保液層24の最大吸水量の1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらにこのましく、4質量%以上であることがよりさらに好ましい。また水の初期含有量は、冷却体20の重さを抑え、顔に対する冷涼マスク1のずれ落ちを防止する観点から、保液層24の最大吸水量の20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、7質量%以下であることがよりさらに好ましい。
(最大吸水量の測定方法)
保液層24の最大吸水量は、例えば次の方法により測定することができる。すなわち、まず、250メッシュ(61μm)のナイロン製織物袋(100mm×150mm)と試料を秤量し、メッシュ袋の風袋重量と試料の重量を量る。次に、上記メッシュ袋内に試料を入れ、300mLビーカー内に立てて入れ、脱イオン水をメッシュ袋に直接当たらないように300mL加え、30分間浸せきし、充分膨潤させる。その後、10分間吊り下げて水切りを行い、化学天秤で小数点以下2桁まで秤量する。そして、以上により求めた「メッシュ袋総重量」、「メッシュ袋の風袋重量」及び「試料の重量」を用いて、以下の式により最大吸水量を求める。
「最大吸水量」=「メッシュ袋総重量」-「メッシュ袋の風袋重量」-「試料の重量」
[冷涼成分]
冷却体20に、より一層の冷涼感を付与する観点から、冷涼成分を、発明を妨げない範囲で配合又は任意の箇所に付加することもできる。身体に存在する温度感受性TRPチャネルのうち、冷受容体であるTRPM8に作用するアゴニストを含有するもの、TRPM8アゴニストを含有するものを使用してもよい。
TRPM8に作用するアゴニストを含有するものとしては、例えば、メントール、メンタンジオール、シネオール、メンチルグリセリルエーテル、メントングリセリンアセタール、ブチルシクロヘキサノン、イソプレゴール、酸メンチル、コハク酸メンチル、グルタル酸メンチル、トリメチルイソプロピルブタンアミド、メントキシプロパンジオール、カンフル等が挙げられる。
メントールとしては、L-メントール、DL-メントールが挙げられる。
TRPM8アゴニストを含有するものとしては、植物油や精油等が挙げられる。
植物油としては、ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油、ユーカリ油等が挙げられる。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
なかでも、使用時の心地よさ及び実効感、安全性の観点から、メントール、乳酸メンチル、コハク酸メンチル、グルタル酸メンチル、トリメチルイソプロピルブタンアミド、メントキシプロパンジオール、及びカンフルから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、メントールがより好ましい。
冷涼成分は、着用者の肌への刺激を和らげる観点から、冷涼マスク1において、より非肌側に位置する部材に付加されることが好ましい。例えば、本実施形態では、冷涼成分は、冷却体20の第2被覆層28に付加される。
このように、冷涼マスク1は、保液層による冷涼機能に加え、冷涼成分による冷触覚を与える機能を有していても良い。また、他の機能として、香料成分を有していても良い。
<保液層及び冷却体の製造装置>
次に、上記保液層及び冷却体の製造に用いられる第1及び第2実施形態に係る製造装置について説明する。
該製造装置による本発明の保液層24の製造方法では、液保持層21に対して複数回に分けて水を添加する。これにより、保液層24の液保持層21に水を十分に含有させることができ、長時間に亘る冷涼効果の維持が可能な保液層24及び冷却体20を得ることができる。以下、詳細に説明する。
<<第1実施形態>>
[保液層及び冷却体の製造装置の全体構成]
まず、保液層24及び冷却体20の製造に用いられる製造装置50について図5及び図6を用いて説明する。製造装置50は、保液層、及び、該保液層を含む冷却体を、同じ製造装置上で連続して製造する製造装置である。
図5及び図6において、保液層及び冷却体を搬送する搬送方向をX方向、X方向と直交する幅方向をY方向として説明する。
製造装置50では、保液層24及び冷却体20における各構成は、連続したシート状部部材を裁断することにより形成される。
以下、裁断前の、保液層24における液保持層21を構成するシート状部材を液保持シート210という。液保持シート210は、第1の面210aと第2の面210bとを有する。第1の面210aは、裁断により構成される液保持層21の第1の面21aに対応し、第2の面210bは、裁断により構成される液保持層21の第2の面21bに対応する。
裁断前の、保液層24における液難透過性層23を構成するシート状部材を液難透過性シート230という。液難透過性シート230は、一方の面230aと他方の面230bを有する。一方の面230aは、裁断により構成される液難透過性層23の一方の面23aに対応する。他方の面230bは、裁断により構成される液難透過性層23の他方の面23bに対応する。
裁断前の、冷却体20における第1被覆層26を構成するシート状部材を第1被覆シート260という。
裁断前の、冷却体20における第2被覆層28を構成するシート状部材を第2被覆シート280という。
図5及び図6に示すように、製造装置50は、保液層24を製造する保液層製造部50Aと、冷却体20を製造する冷却体製造部50Bと、を備える。
製造装置50は、搬送ローラ49等の搬送手段を有し、該搬送手段により、各種シート状部材、保液層24及び冷却体20は、搬送方向Xに搬送される。
製造装置50において、保液層製造部50Aでは、それぞれ連続シート状の液保持シート210と液難透過性シート230とが積層されて形成された積層シート70が裁断されて複数の積層体71(保液層24)が形成される。また、保液層製造部50Aでは、保液層24の液保持層21に対して、複数回(本実施形態においては4回)の水添加工程により水が添加され、水を含む保液層24が製造される。
保液層製造部50Aは、接着剤塗布部57と、1回目水添加部51と、スリット及びミシン目形成用切断刃55と、シート裁断用カッターロール56と、2回目水添加部52と、3回目水添加部53と、4回目水添加部54と、を有する。このように、本実施形態の製造装置50は、計4つの水添加部51~54を有し、複数回に分けて互いに異なる時点で水を添加することが可能に構成される。
製造装置50において、冷却体製造部50Bでは、それぞれ連続シート状の第1被覆シート260と第2被覆シート280とを重ね、これらの間に保液層24を挟んだ積層物を切断して、複数の冷却体20が製造される。
冷却体製造部50Bは、接合部58と、裁断刃59と、を有する。
[保液層及び冷却体の製造装置の各部構成]
(接着剤塗布部)
接着剤塗布部57は、液保持シート210の第1の面210aに接着剤22を塗布する。図5に示すように、接着剤22は、裁断されて分割された個々の保液層24(積層体71)において、平面視で、一対の側部24aに位置するように塗布される。尚、接着剤22は、液難透過性シート230の一方の面230aに塗布されてもよい。
(1回目水添加部)
1回目液添加部としての1回目水添加部51は、液難透過性シート230の一方の面230a側に対して水を供給する。本実施形態においては、1回目水添加部51は、連続して水を吐出する。すなわち常時、1回目水添加部51から水が流れている状態となっている。1回目水添加部は間欠的に水を吐出するものであってもよい。
詳細については後述するが、1回目水添加部51による1回目の水添加後、液難透過性シート230と液保持シート210とが重ね合わされることにより、液難透過性シート230に供給された水が液保持シート210に添加されることになる。
(スリット及びミシン目形成用切断刃)
スリット及びミシン目形成用切断刃55は、接着剤22が塗布された液保持シート210と、1回目の水添加が行われた液難透過性シート230とが、接着剤22により貼り合わせてなる積層シート70にスリット43及びミシン目44を形成する。
スリット43は、保液層24の形態において、接着剤非塗布領域24bに複数形成される。スリット43は、液保持シート210をその厚み方向で貫通するように設けられる。製造装置50において、幅方向Yに2つの保液層24が並ぶよう形成される。
ミシン目44は、幅方向Yに並ぶ2つの保液層24との間に設けられる。該ミシン目44が形成される領域には、接着剤22が塗布されないように接着剤22は塗布される。
(シート裁断用カッターロール)
シート裁断用カッターロール56は、幅方向Yに延在する複数の裁断刃を有する。シート裁断用カッターロール56の回転により、裁断刃で積層シート70が裁断され、搬送方向Xに隣り合って並ぶ保液層(積層体)24同士が分離される。シート裁断用カッターロール56での裁断後では、幅方向Yに並ぶ2つの保液層24は連なった形態となっている。後の拡幅工程で、両者の間に設けられているミシン目44に沿って2つの保液層24は分離される。これにより、液難透過性シート230が裁断されて複数の液難透過性層23が形成され、液保持シート210が裁断されて複数の液保持層21が形成される。
(2回目水添加部、3回目水添加部、4回目水添加部)
2回目液添加部としての2回目水添加部52、3回目液添加部としての3回目水添加部53、4回目液添加部としての4回目水添加部54は、それぞれ、液保持層21に対し、第2の面21b側から水を添加する。2回目水添加部52、3回目水添加部53及び4回目水添加部54は、間欠的に水を吐出する。
(接合部)
接合部58は、複数回に分けて水が添加された液保持層21を間に挟んで配置された第1被覆シート260と第2被覆シート280とを接合し、接合部20aを形成する。該接合部20aは、液保持層21毎に形成される。
(裁断刃)
裁断刃59は、接合部20aにより接合された第1被覆シート260と第2被覆シート280を裁断し、個々の冷却体20に分離する。
[各水添加部の水添加位置の関係]
各水添加部の水添加位置の関係について、図8を用いて説明する。
図8(A)~(D)において、ドットにより塗りつぶされた領域は添加された液の拡がりを模式的に示すものである。
ここでは、保液層24を構成する液難透過性層23及び液保持層21は、平面視で、幅方向Yの長さaが49mm、搬送方向Xの長さbが49mmの矩形状を有する例をあげる。尚、この数値及び以下に説明するノズルの位置関係などを示す数値は一例であり、これらの数値に限定されるものではない。
図8(A)~(D)に示すように、各水添加部51~54は、水を吐出するノズル51a~54aを有する。各水添加部51~54におけるノズル51a~54aの数は1以上であればよく、本実施形態では1つとした。
ノズル51a~54aからは、液難透過性シート230の一方の面230a又は液保持層21に水が供給される。液難透過性シート230が後工程で裁断されることにより液難透過性層23が形成される。
1回目水添加部51による1回目の水添加後に、液難透過性シート230と液保持シート210とは貼り合わされる。これにより、液難透過性シート230に供給された水は液保持シート210により吸水される。すなわち、1回目水添加部51により、間接的に液保持シート210に、その第2の面21b側から水が添加されることになる。
図8(A)に示すように、後の裁断工程で分離形成される液難透過性層23となる部分において、平面視で、ノズル51aは、該ノズル51aの中心が、液難透過性層23の幅方向Yを二等分する搬送方向Xに平行な仮想中心線72上に位置する。
ノズル51aからは、液難透過性層23に対して、その一方の面230a側から水が供給される。
図8(B)に示すように、平面視で、2回目水添加部52のノズル52aの中心は、仮想中心線72上に位置する。言い換えると、保液層24を構成する液難透過性層23又は液保持層21に対するノズルの相対位置において、ノズル52aは、ノズル51aと同じ位置にあり、後述するノズル53a及び54aに対しては幅方向Yに沿ってずれて位置する。
ノズル52aから、液保持層21に対して、その第2の面21b側から水が供給される。
図8(C)に示すように、平面視で、3回目水添加部53のノズル53aは、ノズル53aの中心と仮想中心線72との幅方向Yに沿った距離dが10mmのところに位置する。言い換えると、保液層24を構成する液難透過性層23又は液保持層21に対するノズルの相対位置において、ノズル53aは、ノズル51aよりも、幅方向Yに沿って一方の側(図8上、下側)にずれて位置する。
ノズル53aからは、液保持層21に対して、その第2の面21b側から水が供給される。
図8(D)に示すように、平面視で、4回目水添加部54のノズル54aは、ノズル54aの中心と仮想中心線72との幅方向Yに沿った距離eが10mmのところに位置する。言い換えると、保液層24を構成する液難透過性層23又は液保持層21に対するノズルの相対位置において、ノズル54aは、ノズル51aよりも、幅方向Yに沿って他方の側(図8上、上側)にずれて位置する。
ノズル54aからは、液保持層21に対して、その第2の面21b側から水が供給される。
このように、液保持層21への間接的又は直接的な複数回の水添加工程のうち少なくとも2回の水添加工程は、互いに、液保持層への水添加位置(液添加位置)が異なっている。本実施形態においては、3回の水添加工程が、互いに液添加位置が異なっている。より詳細には、該水添加位置は、平面視において、水添加対象となる液保持層21の面内において、製造時の搬送方向Xに対して垂直方向(幅方向Y)にずれて異なる。
ここで、「水添加位置(液添加位置)」とは、平面視において、水(液)添加対象となる液保持層21に対する各水添加部(液添加部)のノズル先端位置をいうものとする。
また、2回目、3回目及び4回目の水添加工程では、液保持層21には、第2の面21b側から水が添加されるのに対し、1回目の水添加工程では、液保持層21には、第1の面21a側から水が添加される。
1回目の水添加工程は、液保持シート210と液難透過性シート230の貼り合わせ工程前に行われる水添加工程である。
液保持層21(液保持シート210)の第1の面21a(第1の面210a)は、積層体71(積層シート70)の状態で、液難透過性層23(液難透過性シート230)の一方の面23a(一方の面230a)と接する側の面である。第1の面21a(第1の面210a)と一方の面23a(一方の面230a)とは接着剤22により接着されている。
このため、積層体71(積層シート70)において、液保持層21(液保持シート210)と液難透過性層23(液難透過性シート230)との剥離を抑制する観点から、図9に示すように、平面視で、貼り合わせ工程前に行われる1回目の水添加工程による水添加域(液添加域)45と、接着剤22の塗布域とが重複しないことが好ましい。言い換えると、一対の接着剤22間である接着剤非塗布領域24b内に水添加域45が位置することが好ましい。
また、貼り合わせ工程前に行われる1回目の水添加工程による水添加域45と、接着剤22の塗布域とが重複しない構成とすることで、液難透過性層23(液難透過性シート230)上に供給された水は、接着剤22に阻害されることなく、速やかに液保持層21(液保持シート210)に吸収されることとなり、液保持層21(液保持シート210)への水の添加を効率良く行うことができる。
ここで、「水添加域(液添加域)」とは、液難透過性層23(液難透過性シート230)に供給され、液難透過性層23(液難透過性シート230)上で拡散したときの水(液)が存在する領域を意味する。
図9を参照し、一例として、幅方向Yにおける一対の接着剤22間の距離、すなわち、接着剤非塗布領域24bの幅方向Yにおける長さfは、41mmである。水添加域45の幅方向Yにおける長さgは37mmである。
<保液層及び冷却体の製造方法>
次に、製造装置50を用いた、保液層及び該保液層を用いた冷却体の製造方法について図7のフローに従って、図5及び図6を用いて説明する。
図5及び図6に示すように、液保持シート210の第1の面210aに接着剤塗布部57により接着剤22が塗布される(接着剤塗布工程、ST1)。
また、液難透過性シート230の一方の面230aに対して、1回目水添加部51から水が供給される(1回目水添加工程、ST2)。1回目水添加工程(ST2)は、積層シート70を裁断する前に行われる裁断前水添加工程(裁断前液添加工程)である。
次に、液保持シート210の接着剤22が塗布された第1の面210aと、液難透過性シート230の一方の面230aとを対向させ、接着剤22を介して、液保持シート210と液難透過性シート230とを貼り合わせ(貼り合わせ工程、ST3)、積層シート70が形成される。
この貼り合わせ工程において、液難透過性シート230の、1回目水添加工程で水が添加された側の一方の面230aと、液保持シート210の第1の面210aとが接することで、液難透過性シート230に供給された水が、液保持シート210に対して、第1の面210a側から添加されることになる。このように、1回目水添加工程及び貼り合わせ工程により、液保持シート210に対して、第1の面210a側から水が添加される。
次に、スリット及びミシン目形成用切断刃55により、積層シート70にスリット43及びミシン目44が形成される(ST4)。
次に、シート裁断用カッターロール56により、積層シート70が裁断され(ST5)。この裁断工程により、積層シート70は、幅方向Yに並ぶ2つの保液層24は連なり、搬送方向Xに隣り合って並ぶ保液層24同士は分離された形態の積層体に裁断される。
次に、リピッチ工程によって、幅方向Yに並ぶ2つの保液層24は連なった形態の積層体それぞれは、搬送方向Xに沿って間隔が広げられる(ST6)。
次に、拡幅工程によって、幅方向Yに並ぶ2つの保液層24が連なった形態の積層体は、ミシン目44に沿って2つの保液層24に分離される(ST7)。
次に、保液層24の液難透過性層23の他方の面23bを被覆するように第2被覆シート280が配置される(ST8)。本実施形態では、第2被覆シート280には冷涼成分が付与されている。
次に、保液層24の液保持層21の第2の面21bに対して、2回目水添加部52から水が添加される(2回目水添加工程、ST9)。2回目水添加部52は、間欠的に水を添加する。
次に、保液層24の液保持層21の第2の面21bに対して、3回目水添加部53から水が添加される(3回目水添加工程、ST10)。3回目水添加部53は、間欠的に水を添加する。
次に、保液層24の液保持層21の第2の面21bに対して、4回目水添加部54から水が添加される(4回目水添加工程、ST11)。4回目水添加部54は、間欠的に水を添加する。
2回目水添加工程(ST9)、3回目水添加工程(ST10)、及び4回目水添加工程(ST11)は、積層シート70を裁断した後に行われる裁断後水添加工程(裁断後液添加工程)である。
以上により、液保持層21と、液難透過性層23と、液保持層21と液難透過性層23とを接着する接着剤22と、液保持層21に保持された水と、を有する保液層24が製造される。
次に、保液層24の液保持層21の第2の面21bを被覆するように第1被覆シート260が配置され、保液層24は、第1被覆シート260と第2被覆シート280とにより挟まれ、保持される(ST12、被覆工程)。
次に、第1被覆シート260と第2被覆シート280とが、保液層24の外周縁に沿ってその外側に接合部20aが位置するように接合され、切断されて個々の冷却体20に分離される(ST13)。これにより、第1被覆層26と第2被覆層28との間に保液層24が保持された冷却体20が複数製造される。
<作用効果>
上述の保液層の製造方法では、液保持層に複数回に分けて水を添加することにより、製造装置を汚染することなく、保液層に十分な水を含ませることができ、効率よく保液層を製造することができる。
すなわち、水を複数回に分けて添加することにより、1回の水添加量を少なくすることができるので、製造装置50の搬送速度に対して、各水添加工程での液保持層による水の吸水時間を十分に確保することが可能となる。従って、吸水時間を十分に確保できず水が溢れて製造装置を汚染するといったことを防ぐことができるとともに、連続して複数の保液層を効率的に製造することができ、保液層の製造効率を向上させることができる。
このように製造された保液層は十分な水を含んでいるため、長時間の冷涼効果を発揮し得る保液層とすることができる。
また、保液層は、液難透過性層と液保持層とを含み、保液層の製造工程時、液難透過性層は液保持層の下方に位置する。このため、液保持層に添加された水が液難透過性層を通りにくいため、例えば液保持層に吸水された水が漏れだして製造装置の汚染を招くといったことがない。
複数回の水添加工程による水添加によって、水添加前の保液層(液透過性層と液保持層との積層体)の総重量に対して5.5倍以上の水というように、保液層の大きさに比して大量の水を、効率よく含ませることが可能となる。これにより、長時間の冷涼効果を発揮する保液層を得ることができる。
上述のように、複数回の水添加工程の間に裁断工程が設けられてもよい。上述の製造方法例においては、複数回の水添加工程は、裁断前水添加工程(ST2)と、裁断後水添加工程(ST9、ST10、ST11)とを含んでいる。
このように複数回の水添加工程の間に裁断工程が設けられることにより、最終的に含有される目標の水添加量よりも少ない水量が液保持層に含まれた状態で裁断されることになる。従って、裁断工程時での裁断刃からの押圧がかかることによる、水を保持している液保持層からの水溢れを低減することができ、製造装置の汚染の発生を抑制することができる。
また、上述のように、複数回の水添加工程のうち1回目の水添加工程では、間接的に液保持層21の第1の面21a側から水の添加が行われる。一方、2回目~4回目の水添加工程では、直接的に液保持層21の第2の面21b側から行われる。
このように、液保持層21に対して、両側の面から水添加が行われることにより、液保持層21に対して、その厚み方向全域に亘って十分な水を効率よく添加することができる。
また、1回目の水添加工程後、液難透過性シート230と液保持シート210が貼り合わされて積層シート70が形成される。1回目の水添加では、液保持層21の第1の面21a側から水が添加されることになるので、積層シート70の状態では、水が添加される側の第1の面210aは露出せずシート内部に位置することになるため、第2の面210b側から水が蒸発しにくくなっている。これにより、水の利用効率を向上させることができ、効率よい水添加が可能となる。
更に、本実施形態では、液保持層21の第1の面21a側からの水の添加は、裁断工程(ST5)の前に行われる。裁断工程時、裁断刃は、水が添加される第1の面21aとは反対側の第2の面21b側から入るため、裁断工程時に、裁断刃からの押圧がかかることによる、水を保持している液保持層からの液溢れをより低減することができる。従って、製造装置の汚染の発生をより抑制することができる。
また、上述の製造方法では、1回目の水添加工程(ST2)の直後に、液難透過性シート230と液保持シート210との貼り合わせが行われる(貼り合わせ工程ST3)。この貼り合わせに用いられる液保持シート210は、貼り合わせ前では搬送方向にテンションがかかって搬送される。このため、1回目の水添加工程では、液保持シート210ではなく、液難透過性シート230に水が添加されることが好ましい。すなわち、液保持シート210に直接水を添加する場合、液難透過性シート230と合流する前の液保持シート210にはテンションがかかっているため、水の添加により破断しやすい傾向にある。このため、液保持シート210の破断発生を抑制する観点から、液難透過性シート230に水を添加し、これに液保持シート210を接触させて間接的に液保持シート210に水を添加することが好ましい。
また、上述のように、複数回の水添加工程のうち少なくとも2回の水添加工程は、互いに、液保持層に対する水添加位置が、液保持層の面内において、搬送方向Xに対して垂直方向(幅方向Y)にずれて異なっているようにすることが好ましい。
このように水添加位置を異ならせて複数回の水添加工程を行うことにより、液保持層21に対して、幅方向Yに亘って満遍なく水を添加することができる。また、水添加工程時、水添加対象となる液保持層21は常に搬送方向Xに流れているため、液保持層21に対して、搬送方向Xに亘って満遍なく水を添加することができ、結果的に、液保持層21のほぼ全面に亘って水を効率よくいきわたらせることができる。
また、上述したように、図9に示すように、液難透過性シート230と液保持シート210とを貼り合わせた積層シート70の状態において、平面視で、貼り合わせ工程前に行われる1回目水添加工程での水添加域45と接着剤22の塗布域が重複しない構成とすることが好ましい。
これにより、積層シート70において、液難透過性シート230と液保持シート210との接着強度を十分に確保でき、両者の剥離が抑制される。また、積層体71(保液層24)において、液難透過性層23と液保持層21との接着強度を十分に確保でき、両者の剥離が抑制される。これにより、積層シート70及び積層体71(保液層24)の搬送安定性を向上させることができ、高品質の保液層を安定して製造することができる。
また、上述のように、2回目~4回目の水添加工程の前に、液保持層21を構成する液保持シート210に複数のスリット43を設けてもよい。スリット43を設けることにより、2回目~4回目の水添加工程での液保持層21における水の吸収が促進されやすくなり、製造装置の汚染の発生をより抑制することができる。
具体的な各水添加工程における水添加量については、一実施例として後述するが、後半の水添加工程(例えば、3回目水添加工程、4回目水添加工程)での水添加量を、前半の水添加工程(例えば、1回目水添加工程、2回目水添加工程)での水添加量よりも少なくすることが好ましい。
これにより、製造装置の汚染をより抑制することができる。
すなわち、複数の水添加工程のうち、前半の水添加工程の時点では、水添加対象となる液保持層21の水吸収能が十分に高いのに対し、後半の水添加工程の時点では、液保持層21が既に水を保有している状態であるため、若干水吸収能が低くなる傾向にある。従って、相対的に、前半で水量が多くなるように水を添加し、後半で水量が少なくなるように水を添加することによって、後半での水溢れの発生が抑制され、製造装置の汚染が抑制される。
上述の冷却体20の製造方法では、上述した製造方法により製造された保液層24を第1被覆シート260と第2被覆シート280とで挟み、保液層24毎に、平面視で、保液層24を囲むように第1被覆シート260と第2被覆シート280とを接合する接合部30aを形成し、その後切断することにより、個々の冷却体20に分離する。
本実施形態では、保液層24と該保液層24を含む冷却体20が、同じ製造装置50上で連続して製造される。従って、水が添加されて製造された保液層24を、直ちに第1被覆シート260及び第2被覆シート280により覆い、これら両者シートを接合して形成される袋体の中に保液層24を保持させることで、水の蒸発が抑制されやすくなる。その結果、冷涼マスク1の冷涼効果の品質を安定して維持することができる。
<<第2実施形態>>
第2実施形態における製造装置150及び該製造装置150による保液層24及び冷却体20の製造方法について、図10を用いて説明する。
製造装置150は、第1実施形態の製造装置50と同様に、保液層、及び、該保液層を含む冷却体を、同じ製造装置上で連続して製造する製造装置である。以下、第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
図10において、保液層及び冷却体を搬送する搬送方向をX方向、X方向と直交する幅方向をY方向として説明する。
第1実施形態の製造装置50による製造方法では、製造装置50に、液保持シート210と液難透過性シート230が別々に搬入され、接着剤を塗布した液保持シート210と1回目水添加が行われた液難透過性シート230を貼り合わせて積層シート70が形成されていた。すなわち、積層シート70が形成される前に、1回目の水添加が行われていた。
これに対し、第2実施形態の製造装置150では、図10に示すように、既に液保持シート210に液難透過性シート230がラミネートされてなる積層シート70が搬入される。該積層シート70が裁断されることで、複数の積層体71が得られる。
第2実施形態における積層シート70は、液保持シート210と液難透過性シート230との積層構造を有する。液保持シート210の、液難透過性シート230側の面を第1の面210aとし、その反対側の面を第2の面210bとする。液難透過性シート230の、液保持シート210側の面を一方の面230aとし、その反対側の面を他方の面230bとする。液保持シート210は積層体71の液保持層21を構成し、液難透過性シート230は積層体71の液難透過性層23を構成する。
第2実施形態では、全ての複数回の水添加工程での水添加が、積層シート70又は積層体71に対し、液保持シート210側又は液保持層21側から行われる。つまり、第2実施形態では、複数回の水添加工程での水添加が、液保持シート210の第2の面210b側から、又は、液保持層21の第2の面21b側から行われる。本実施形態では、1回目の水添加は、積層シート70に対して行われ、2~4回目の水添加は、積層シート70が裁断されてなる積層体71に対して行われる。
この第2実施形態の製造装置150を用いた製造方法のように、積層シート70の形成以前に水添加工程を行わず、積層シート70に対して複数回の水添加が行われる製造方法としても良い。
図10に示すように、製造装置150は、搬送ローラ49等の搬送手段を有し、該搬送手段により、各種シート状部材、保液層24及び冷却体20は、搬送方向Xに搬送される。
製造装置150は、1回目水添加部51と、スリット及びミシン目形成用切断刃(図示せず)と、シート裁断用カッターロール56と、2回目水添加部52と、3回目水添加部53と、4回目水添加部54と、接合部58と、裁断刃59と、を有する。
製造装置150では、液保持シート210と液難透過性シート230とが積層されて形成された積層シート70が搬入される。
次に、1回目水添加部51により、積層シート70を構成する液保持シート210の第2の面210bに対して水が供給される。
その後、第1実施形態で説明した製造方法のST4~ST13と同様の工程を経て、冷却体20が製造される。
このように、第2実施形態に係る製造方法では、複数回の液添加工程は、全て、液保持層21の第2の面21b側からの液添加工程である。
第2実施形態に係る製造方法においても、第1実施形態と同様に、液保持層に複数回に分けて水を添加することにより、製造装置を汚染することなく、保液層に十分な水を含ませることができ、効率よく保液層を製造することができる。
<冷涼マスクの製造方法>
次に、図11を用いて、上述の製造装置50や150により製造された冷却体20を有する冷涼マスク1の製造装置60の構成について説明する。
図11において、冷却体20及び冷涼マスク1を搬送する搬送方向をX方向、X方向と直交する幅方向をY方向として説明する。
製造装置60では、冷涼マスク1の一部を構成する内面シート14及び外面シート16は、連続したシート状部材を裁断することにより形成される。
以下、裁断前の、内面シート14を構成するシート状部材を裁断前内面シート140という。裁断前の、外面シート16を構成するシート状部材を裁断前外面シート160という。
図11に示すように、製造装置60は、図示しない搬送手段を有し、該搬送手段により、各種シート状部材、冷却体20及び冷涼マスク1は、搬送方向Xに搬送される。
図11を用いて、製造装置60による冷涼マスク1の製造方法について説明する。
図11に示すように、製造装置60では、裁断前外面シート160上に接着剤33が塗布され、該接着剤33上に、製造装置50で製造された冷却体20が配置されるように、冷却体20が搬入される。製造装置50で製造された冷却体20は、第1被覆層26が上側に位置するように搬出される。該冷却体20は、第1被覆層26が上側に位置する状態で製造装置60へ搬入される。
次に、接着剤33により固定された冷却体20を有する裁断前外面シート160上に、冷却体20を覆うように裁断前内面シート140が配置される。
冷却体20が間に挟んで保持されて、裁断前外面シート160と裁断前内面シート140とが重ね合わされた後、一対の保持部30が裁断前内面シート140上に配置される。その後、積層された保持部30、裁断前内面シート140及び裁断前外面シート160は、シートの幅方向Yの両側部で接合され、接合部390が形成される。該接合部390が、冷涼マスク1において、保持部30とマスク本体2を接合する接合部39となる。
次に、裁断前内面シート140が内側となるように、幅方向Yを二等分する中心線に沿った折り線で、裁断前内面シート140及び裁断前外面シート160が折り畳まれる。
次に、折り畳まれた状態の裁断前内面シート140及び裁断前外面シート160は、冷涼マスク1の外形に沿った形状に切り抜かれる。
次に、切り抜いた部材の周縁の一部が接合されて上側結合部4a及び下側結合部4bが形成され、冷涼マスク1が製造される。
このように製造された冷涼マスク1は、水を十分に含有した冷却体20を備えているので、長時間の冷涼効果を発揮する冷涼マスク1とすることができる。
<実施例>
以下、具体的な数値をあげて、保液層の製造方法に係る一実施例について説明する。尚、以下の説明において、構成部材の構成を示す具体的な数値や、保液層及び冷却体の製造装置における製造条件を示す具体的な数値をあげるが、これらは一例であり、これら数値に限定されない。
保液層24を構成する液難透過性層23及び液保持層21として、それぞれ平面形状が49mm×49mmの部材を用いた。
液難透過性層23として、坪量32g/mのPEラミネート薄葉紙(ニットク株式会社製、セルロース坪量21g/m、ポリエチレン坪量11g/m)を用いた。
液保持層21の一部を構成する第1層紙41及び第2層紙42には、坪量が20~40g/mの木材パルプ紙を用いることができる。本実施例では、第1層紙41として坪量30g/mの木材パルプ紙を用い、第2層紙42として坪量20g/mの木材パルプ紙を用いた。
液保持層21の一部を構成する高吸水性ポリマー(株式会社 日本触媒製 アクアリックCAW151)40の坪量は例えば20~70g/mであり、本実施例では70g/mものを用いた。
接着剤22を除く保液層24の総重量は約0.365gであった。
このように構成される1つの保液層24に対し、上記製造装置50を用い、上記製造方法で、1回目の水添加工程における水添加量を0.8g、2回目の水添加工程における水添加量を1.2g、3回目の水添加工程における水添加量を0.5g、4回目の水添加工程における水添加量を0.5gとし、合計で3.0gの水を添加し、保液層24及び冷却体20を製造した。
また、製造装置50において、1分あたり、200個の冷却体20が製造されるように加工速度を調整した。
本実施例では、水添加前の保液層の重量に対して、約8.2倍の水を添加している。このような保液層の大きさに比して大量の水を保液層に添加する場合であっても、複数回に分けて水を添加することにより、搬送速度(加工速度)に対して、各水添加工程での液保持層21による液の吸水時間を十分に確保でき、液溢れによる製造装置の汚染の発生を抑制しつつ、連続して複数の保液層及び冷却体を効率的に製造することができることが確認された。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、上述の実施形態では、4回の水添加工程(液添加工程)を含む例を挙げて説明したが、4回に限定されず、2回以上であればよい。
また、例えば、上述した実施形態では、冷涼機能を発揮する水を含んだ保液層を例にあげたが、これに限定されない。被液添加物である保液層に対し、大量の液(上述の実施形態では水)を添加する、液を保有する保液層の製造方法に適用することができる。この場合においても、液溢れによる製造装置の汚染を抑制しつつ、製造効率を向上させることができる。
21…液保持層
23…液難透過性層
23a…一方の面
24…保液層

Claims (10)

  1. 液難透過性層と前記液難透過性層の一方の面側に配置された液保持層との積層体と、前記液保持層に含有される液と、を含む保液層の製造方法であって、
    前記液保持層に前記液を複数回に分けて添加する、複数回の液添加工程を備える、
    保液層の製造方法。
  2. 複数回の前記液添加工程により液添加された前記保液層は、液添加前の前記保液層の総重量の5.5倍以上の前記液を含む、
    請求項1に記載の保液層の製造方法。
  3. 前記液保持層は高吸水性ポリマーを含み、
    前記液は水を含む、
    請求項2に記載の保液層の製造方法。
  4. 前記液保持層は、搬送方向と、該搬送方向に直交する幅方向を有し、
    複数回の前記液添加工程は、互いに異なる時点で行われる液添加工程であり、
    複数回の前記液添加工程のうち少なくとも2回の液添加工程は、前記液保持層に対する液添加位置が、前記液保持層の面内において、前記幅方向に互いに異なる、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の保液層の製造方法。
  5. 前記液保持層は、前記液難透過性層と接する第1の面と、該第1の面と反対側の第2の面とを有し、
    複数回の前記液添加工程は、前記第1の面側からの液添加工程と、前記第2の面側からの液添加工程と、を含む、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の保液層の製造方法。
  6. 前記第1の面側からの液添加工程では、前記液難透過性層の前記一方の面に前記液を供給した後、前記第1の面と前記一方の面とが接することによって、前記液保持層に前記第1の面側から前記液が添加される、
    請求項5に記載の保液層の製造方法。
  7. 前記積層体は、前記液難透過性層を構成する液難透過性シートと、前記液保持層を構成する液保持シートとを接着剤により貼り合わせてなる積層シートを裁断することにより形成され、
    前記液難透過性シート又は前記液保持シートの少なくとも一方に前記接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
    前記液難透過性シートと前記液保持シートを、前記接着剤を介して貼り合わせる貼り合わせ工程と、を更に備え、
    複数の前記液添加工程のうち少なくとも1回の液添加工程は、前記貼り合わせ工程前に行われ、
    前記積層シートにおいて、平面視で、前記貼り合わせ工程前に行われる前記液添加工程による液添加域と、前記接着剤の塗布域とが重複しない、
    請求項5又は6に記載の保液層の製造方法。
  8. 前記積層体は、前記液保持層を構成する液保持シートに前記液難透過性層を構成する液難透過性シートがラミネートされてなる積層シートを裁断することにより形成され、
    複数回の前記液添加工程では、前記積層シート又は前記積層体に対し、前記液保持シート側又は前記液保持層側から、前記液の添加が行われる
    請求項1から4のいずれか1項に記載の保液層の製造方法。
  9. 第1被覆シートと、第2被覆シートと、前記第1被覆シートと前記第2被覆シートの間に保持された保液層と、を有する冷却体の製造方法であって、
    前記保液層を、請求項1から8のいずれか1項に記載の製造方法により製造する工程と、
    前記保液層を、前記第1被覆シートと前記第2被覆シートとの間に保持する、被覆工程と、を備える、
    冷却体の製造方法。
  10. 外面シートと内面シートとの間に冷却体を有するマスク本体を備えるマスクの製造方法であって、
    前記冷却体を請求項9に記載の製造方法により製造する工程と、
    前記冷却体を、前記外面シートと前記内面シートとの間に保持する工程と、を備える、
    マスクの製造方法。
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