JP2023010731A - 植物由来ポリエチレン系樹脂を用いたフィルムおよび包装袋 - Google Patents

植物由来ポリエチレン系樹脂を用いたフィルムおよび包装袋 Download PDF

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Abstract

【課題】 再生可能資源である植物由来のポリエチレン系樹脂を原料に用いて、石油資源の節約を可能とすると共に、二酸化炭素の排出量削減による環境にやさしいフィルムおよび該フィルムを用いた包装袋を提供することを目的とする。【解決手段】 ポリエチレン系樹脂組成物からなる単層構成のフィルムであるか、または、該ポリエチレン系樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含む多層構成のフィルムであって、Tダイ法により押出成形されてなり、前記ポリエチレン系樹脂組成物は、植物由来高密度ポリエチレンまたは植物由来直鎖状低密度ポリエチレンから選択される植物由来ポリエチレン系樹脂を含むことを特徴とする、上記フィルムを提供する。【選択図】 図3

Description

本発明は、ポリエチレン系樹脂組成物からなるフィルムに関し、より詳細には、植物由来高密度ポリエチレン(HDPE)または植物由来直鎖状低密度(LLDPE)から選択される少なくとも1種の植物由来ポリエチレン系樹脂を含むポリエチレン系樹脂組成物からなるフィルム、および、このフィルムを用いた包装袋に関する。
従来、シャンプーやリンスなどの詰め替えや、食品などの包材として用いられるパウチなどに代表される包装袋は、シーラントフィルムおよび基材フィルムからなる包装材料で構成されている。そして、環境問題や石油など枯渇資源の節約に対応するため、これら石油資源の包装材料への使用量を低減することを目的とした、カーボンニュートラルな材料としてのポリ乳酸系樹脂に、エチレン-α-オレフィン共重合体およびエポキシ基を有する重合体をそれぞれ所定量含有させた生分解性の樹脂を含む包装袋(例えば特許文献1)が知られている。
特開2009-155516号公報
しかしながら、このような包装袋は、上述したように、包装袋を構成する樹脂組成物に石油由来原料以外の生分解性樹脂を含有させて石油由来原料の比率を下げているものの、石油系樹脂と比較して引張強度やシール強度、腰などの加工適性が著しく劣り、生産性を向上させることができないという問題があった。
従って、本発明の目的は、再生可能資源である植物由来のポリエチレン系樹脂を原料に用いて、石油資源の節約を図ると共に、二酸化炭素の排出量削減による環境にやさしいフィルムおよび該フィルムを用いた加工適性に優れる包装袋を提供することにある。
また、この発明の他の目的は、上記のようなフィルムを、Tダイ法による押出成形により提供することにある。
本発明者らは、種々研究の結果、以下の点を特徴とするフィルム及びそれを用いた包装袋が、上記の目的を達成することを見出した。
1.ポリエチレン系樹脂組成物からなる単層構成のシーラントフィルム(但し、前記フィルムの総重量に基づいてバージン石油系材料の含有量が15重量%未満のものを除く)であって、該ポリエチレン系樹脂組成物は、植物由来高密度ポリエチレンと石油由来ポリエチレン系樹脂を含み、フィルム全体に対して、植物由来高密度ポリエチレンの配合量が5~90質量%であり、石油由来ポリエチレン系樹脂の配合量が10~95質量%であり、前記植物由来高密度ポリエチレンは、放射性炭素年代測定C14の測定値から算定するバイオマス度80~100%を有することを特徴とする、シーラントフィルム。
2.前記植物由来高密度ポリエチレンは、密度が941~965kg/m3であることを特徴とする、上記のシーラントフィルム。
3.上記のいずれかのシーラントフィルムを、基材フィルムと積層させたことを特徴とする積層フィルム。
4.上記の積層フィルムを用いてなる包装袋。
5.上記のいずれかのシーラントフィルムを用いてなる包装袋。
以下、上記の植物由来HDPEまたは植物由来LLDPEから選択される植物由来ポリエチレン系樹脂を含むポリエチレン系樹脂組成物を、「本発明のポリエチレン系樹脂組成物」と呼ぶ。
本発明は、包装材用シーラントフィルムの構成を、全て石油由来の樹脂組成物に依存する状態から、植物由来のポリエチレン系樹脂を混成することで、石油資源の使用量を削減するとともに、包装材用シーラントフィルム製造時の二酸化炭素排出量を抑制することができる。
従って、環境負荷を低減させた包装材用シーラントフィルムを提供することができ、石油資源の節約および環境負荷を低減させた包装材用シーラントフィルムを提供することができる。
サトウキビ由来のポリエチレン製造の一例を示すフロー図である。 本発明のポリエチレン系樹脂組成物からなる単層構成のフィルムを模式的に示す断面側面図である。 本発明のポリエチレン系樹脂組成物からなる中間層と、石油由来ポリエチレン系樹脂からなる外層及び内層とを有する多層構造からなるフィルムを模式的に示す断面側面図である。 本発明の積層フィルムの一例を模式的に示す断面側面図である。 本発明の積層フィルムを用いて形成した包装袋の一例としてのスタンディングパウチを示す斜視図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
食品や化粧品などに用いられるラミネートチューブなどに例示される容器や、シャンプーやリンスの詰め替えの包材として広く採用されているスタンディングパウチなどに例示される包装袋は、積層フィルムで構成されている。
この積層フィルムは、基材フィルムに、積層フィルムの内面となるシーラントフィルムを積層させるものがあり、基材フィルムの材質として、例えばポリエチレン系樹脂などが用いられる。また、シーラントフィルムを構成するには、積層体として例えば中間層を挟んだ直鎖状低密度あるいは高密度のポリエチレンが用いられている。
このように、積層フィルムの材質には、プラスチック樹脂であるポリエチレン系樹脂が多く用いられているが、これらのポリエチレン系樹脂は、出発原料を石油として製造されており、例えば、上述した直鎖状低密度ポリエチレンは、原油の精製などにより得られたエチレンと、コモノマー種であるα-オレフィンとを、メタロセン触媒の存在下、気相において、120℃以上などの高温で共重合させたものである。
なお、α-オレフィンは、一般式R-CH=CH2(式中、Rは炭素数1以上のアルキル基)で表される、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、オクタデセンなど例示することができる。
また、メタロセン触媒は特に限定しないが、例えば、シクロペンタジエニル基、置換基を有するシクロペンタジエニル基(置換シクロペンタジエニル基)、インデニル基、置換インデニル基から選ばれる1種類の基と、フルオレニル基、置換フルオレニル基から選ばれる1種類の基が、架橋基により架橋された配位子を有する周期表第4族の遷移金属化合物を挙げることができる。
その代表例としてジフェニルメチレン(1-シクロペンタジエニル)(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3-メチル-1-シクロペンタジエニル)(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1-シクロペンタジエニル)(2,7-ジメチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1-シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1-インデニル)(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(4-フェニル-1-インデニル)(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(4-フェニル-1-インデニル)(2,7-ジ-t-ブチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド等のジクロル体および上記メタロセン化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体等を例示するメタロセン化合物を主成分として含むメタロセン触媒が用いられる。
また、メタロセン触媒は、例えば、シクロペンタジエニル基、置換基を有するシクロペンタジエニル基(置換シクロペンタジエニル基)、インデニル基、置換インデニル基から選ばれる1種類の基と、フルオレニル基、置換フルオレニル基から選ばれる1種類の基が、架橋基により架橋された配位子を有する周期表第4族の遷移金属化合物を挙げることができ、その代表例としてジフェニルメチレン(1-シクロペンタジエニル)(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(3-メチル-1-シクロペンタジエニル)(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1-シクロペンタジエニル)(2,7-ジメチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1-シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1-インデニル)(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(4-フェニル-1-インデニル)(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(4-フェニル-1-インデニル)(2,7-ジ-t-ブチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド等のジクロル体および上記メタロセン化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体などを例示するメタロセン化合物を主成分とするものである。
しかしながら、石油などの枯渇資源の節約志向と共に、二酸化炭素排出量の増加による地球温暖化など環境問題の意識が高まる中で、上述したような石油由来によるポリエチレン系樹脂では、石化製品の製造から廃棄に至るまでの間に、石油原料の持つ固定化した二酸化炭素が大量に排出されてしまうため、上記志向に沿うことができない。
このようなことから、近年、プラスチック類を、カーボンニュートラルで再生可能な資源である植物から製造する技術の開発が進んでおり、その中でも、プラスチック類中で最も多く使用されるポリエチレンを、バイオマス系のサトウキビを出発原料として生産する技術が確立した(加工技術研究会編、コンバーテック2009.9、P63~67)。
なお、カーボンニュートラルとは、植物の生育時の二酸化炭素吸収量と、燃焼時の二酸化炭素排出量とが略同一であることをいう。
図1は、サトウキビ由来のポリエチレン製造の一例を示すフロー図である。また、図2は、本発明のサトウキビ由来のポリエチレン系樹脂を含むポリエチレン系樹脂組成物から
なるフィルムを模式的に示す断面側面図である。
この図1に示すように、畑より刈り取ったサトウキビから取り出した糖液を、加熱濃縮して結晶化させた粗糖と、廃糖密とを遠心分離機で分離する。次いで、廃糖密を適切な濃度まで水で希釈し、酵母菌により発酵させてエタノールを生成する。
そして、このバイオエタノールを加熱して触媒存在下で分子内脱水反応により得られたエチレンを、重合触媒により重合させてポリエチレンが得られる。なお、植物由来のエチレンおよびポリエチレンは、石油由来のエチレンおよびポリエチレンと同等の品質であることが確認されている。
そこで、本発明のフィルムに用いる植物由来のポリエチレン系樹脂は、上記のような出発原料を植物由来としたエチレンから生成されるLLDPEまたはHDPEである。これらは、石油由来のエチレンからポリエチレン系樹脂を生成する場合と同じように製造することができる。すなわち、植物由来エチレンと、α-オレフィンとを、メタロセン触媒の存在下において気相重合法により共重合させることにより、植物由来のLLDPEを製造することができる。
また、チーグラー触媒やフィリップス触媒の存在下で、中圧または低圧で、上記植物由来のエチレンを重合させることにより、分岐の少ないHDPEを製造することができる。
本発明では、上記のようにして得られた植物由来のポリエチレン系樹脂を用いて包装袋を構成した積層フィルムを形成するフィルムを製造することにより、積層フィルムに用いられる樹脂組成物において、石油由来樹脂の使用比率を低下させて、石油資源の節約を可能とすると共に、二酸化炭素の排出量削減による環境向上に貢献するものである。
このフィルムの製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法により製造することができる。
本発明では、押出成形により製造することが好ましく、均質な厚みで成膜することができ、かつ高速冷却及び高速成膜が可能であって生産性に優れる点で、Tダイ法による押出成形により製造することが特に好ましい。
本発明において、押出成形によるフィルムの製造は、例えば以下のように実施することができる。すなわち、フィルムに用いられる樹脂組成物を乾燥させ、この樹脂組成物中の樹脂の融点(Tm)から該融点+70℃(Tm+70)の温度に加熱した溶融押出機に、乾燥させた樹脂組成物を供給し、これを溶融する。
次いで、例えばTダイ等のダイにより、溶融した樹脂組成物をシート状に押出し、得られたシート状物を、回転している冷却ドラム等で急冷固化することにより、フィルムを製造することができる。
溶融押出機としては、一軸押出機、二軸押出機、ベント押出機、タンデム押出機等を目的に応じて使用することができる。
本発明では、上記サトウキビ(サトウキビに限定されず、ポリエチレン系樹脂の製造原料となる植物であればよい)由来のLLDPEまたはHDPEを含む樹脂組成物1を用いて、図2に示すようなフィルムF1とすることができる。
また、上記サトウキビ由来のLLDPEは、密度が910~925kg/m3であって、メルトフローレート(MFR)が2.4~8.0g/10分の範囲であり、植物由来エチレンと、植物由来または石油由来のコモノマーとのエチレン-α-オレフィン共重合体であって、該コモノマーは、ブテン-1、ヘキセン-1等の任意のα-オレフィン、またはこれらの混合物であってよい。
また、上記サトウキビ由来のHDPEは、密度が941~965kg/m3、メルトフローレート(MFR)が2.4~8.0g/10分の範囲とした各物性を有することができる。
なお、上記物性評価では、密度(d、単位:kg/m3)として、150℃でプレス成形して得られた厚さ1mmのシートを用い、JIS K 6760(1981)に従って測定を行ったものである。
また、メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)は、JIS K 7210(1995)に準じ、試験温度190℃の条件にて、試験荷重21.18Nで測定したものである。
好ましい態様において、本発明のフィルムを構成するポリエチレン系樹脂組成物は、上記の植物由来LLDPEまたはHDPEを、90質量%までの量で、より好ましくは5~90質量%の量で含有する。また、本発明の一態様において、上記ポリエチレン系樹脂組成物は、植物由来LLDPEまたはHDPEを5~90質量%、及び、石油由来ポリエチレン系樹脂を10~95質量%含有する。
さらには、上記サトウキビ由来のポリエチレン系樹脂には、放射性炭素年代測定C14によるバイオマス度が、80~100%を有するポリエチレン系樹脂が用いられる。
ここで、植物(バイオマス)由来と石油由来の樹脂は、分子量や機械的性質・熱的性質のような物性に差を生じない。そこで、これらを区別するためには、一般的にバイオマス度が用いられている。
このバイオマスでは、石油由来の樹脂の炭素には、C14(放射性炭素14、半減期5730年)が含まれていないことから、このC14の濃度を加速器質量分析により測定し、樹脂組成物における、植物由来樹脂の含有割合の指標にするものである。従って、植物由来の樹脂を用いたフィルムであれば、そのフィルムのバイオマス度を測定することにより、植物由来樹脂の含有量に応じたバイオマス度が得られる。
このバイオマス度の測定は、測定対象試料を燃焼して二酸化炭素を発生させ、真空ラインで精製した二酸化炭素を、鉄を触媒として水素で還元し、グラファイトを生成させる。そして、このグラファイトをタンデム加速器をベースとしたC14―AMS専用装置(NEC社製)に装着して、C14の計数、C13の濃度(C13/C12)、C14の濃度(C14/C12)の測定を行い、この測定値から標準現代炭素に対する試料炭素のC14濃度の割合を算出する。
この測定では、米国国立標準局(NIST)から提供されたシュウ酸(HOXII)を標準試料とした。
本発明ではこのような樹脂組成物からなるフィルムを用いることにより、全て石油由来の樹脂とするものから、この石油由来のポリエチレン系樹脂に、石油由来のポリエチレン系樹脂と性能的に違いがないサトウキビなど植物由来のポリエチレン系樹脂を混成(置換)したものとすることで、フィルム製造および廃棄時の二酸化炭素排出量を抑制することができる。
また、本発明において、ポリエチレン系樹脂組成物1中に含まれる植物由来ポリエチレン系樹脂として、コモノマー種がブテン-1、ヘキセン-1またはこれらの混合物であっ
て、密度が910~925kg/m3、メルトフローレートが2.4~8.0g/10分の植物由来のエチレン-α-オレフィン共重合体(LLDPE)、または、密度が941~965kg/m3、メルトフローレートが2.4~8.0g/10分のHDPEを用いることにより、既存のフィルム製造工程で、石油由来のポリエチレン系樹脂と物性的に違いのないフィルムを製造することができる。したがって、包材の加工適性を損ねることなく原料を切替えることができる。
さらに、本発明の樹脂組成物1は、放射性炭素年代測定C14の測定値から算定するバイオマス度を有するので、フィルムを構成するポリエチレン系樹脂の原料由来を、このバイオマス度を指標にして識別でき、フィルムの製造時から廃棄時までの由来原料を確認することができる。
本発明のフィルムを構成する植物由来のLLDPEまたは植物由来のHDPEのMFRは、好ましくは2.4~8.0g/10分である。そして、高いバイオマス度を示し、且つ、包装袋として良好な引張強度及びシール強度を得るためには、該MFRは、より好適には2.5~3.0g/10分である。
また、高いバイオマス度を示し、且つ、Tダイ法による押出成形によって、均一な膜厚を有するフィルムを高速で製造するためには、該MFRは、より好適には4.0より大きく、例えば4.1~8.0g/10分程度である。
次に、本発明では、上述した樹脂組成物1と、後述する石油由来ポリエチレン系樹脂2とで、以下のようなフィルムの構成とすることができる。
すなわち、フィルム全体に対して、植物由来ポリエチレン系樹脂の配合量が5~90質量%であり、石油由来ポリエチレン系樹脂の配合量が10~95質量%となるように、下記の(A)または(B)の要領にてフィルムを構成することができる。
まず(A)のフィルムF1として、図2に示すように、本発明のポリエチレン系樹脂組成物1からなる単層構成にすることができる。ここで、本発明のポリエチレン系樹脂組成物1は、5~90質量%の植物由来ポリエチレン系樹脂と、10~95質量%の石油由来ポリエチレン系樹脂とを含有する。
また、(B)のフィルムF2として、図3に示すように、本発明のポリエチレン系樹脂組成物1からなる中間層と、石油由来ポリエチレン系樹脂からなる外層及び内層とを有する多層構成にすることができる。ここで、本発明のポリエチレン系樹脂組成物1は、フィルム全体に対する植物由来ポリエチレン系樹脂の配合量が5~90質量%となるような濃度で、該植物由来ポリエチレン系樹脂を含有する。
このような構成にすることで、フィルムを構成するポリエチレン系樹脂の石油由来の使用比率を低下させることができ、フィルム製造および廃棄時の二酸化炭素排出量を抑制することができる。加えて、(B)のようなフィルムF2を構成する内外層に石油由来ポリエチレン系樹脂2を用いることで、既存の製造工程が有する特性でフィルムF2を製造することができる。これら多層構成のフィルムは、共押出成形により製造することができる。
次に、本発明では、上記フィルムF1~F2を用いた積層フィルムとすることができる。図4は、積層フィルムの一例を模式的に示す断面側面図、図5は本発明の積層フィルムを用いて形成した包装袋の一例としてのスタンディングパウチを示す斜視図である。
積層フィルム3は、図4に示すように、上記フィルムF1~F2のいずれかをシーラントフィルム4として、基材フィルム5と積層させる。
なお、基材フィルム5としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等の各種樹脂フィルムまたはシートを使用することができる。
このような構成にすることで、ヒートシールに用いるシーラントフィルム4の各フィルムF1~F2を構成する石油由来のポリエチレン系樹脂の使用比率を低下させることができ、石油資源の節約と共に、積層フィルム3の製造および廃棄時の二酸化炭素排出量を抑制することができる。
以上のような積層フィルム3を用い、積層フィルム3からなる2枚の側面シートのシーラントフィルム4面同士を対向して配置し、積層フィルム3の下端部に少なくとも片面にシーラントフィルム4が積層された積層体からなる底面シートを、シーラントフィルム4面を外面にして中央で山折りして挿入し、ガセット部を有する形式に形成されており、山折りされた底面シートの両側下端近傍には、略半円形の底面シートの切り欠き部が設けられ、ガセット部が、周縁部を含む船底形の底部シール部でヒートシールされ底部が形成される。
次いで、表裏の2枚の側面シートの両側端縁部を側端縁シール部でヒートシールして胴部が形成され、上端部を残して内容物の充填口とする、図5に示すようなスタンディングパウチ形式に製袋されたパウチ(包装袋)が形成される。そして、上端部の充填口に設けた上部シール部は、この部分から内容物を充填した後、例えば、脱気シールなどによりヒートシールして密封するものである。なお、図示しないが、胴部の上部などにレーザーにて開封用切れ目線を設けた注出口部を形成させてもよい。
このような構成にすることで、包装袋6を構成する積層フィルム3における石油由来のポリエチレン系樹脂の使用比率を低下させることができ、石油資源の節約と共に、包装袋6の製造および廃棄時の二酸化炭素排出量を抑制することができる。特にこの包装袋6が、詰め替え用スタンディングパウチであるので、使い捨てとするこのような包装袋を構成する石油由来のポリエチレン系樹脂の使用比率を低下させると共に、二酸化炭素排出量を大きく抑制することができる。
なお、本発明のポリエチレン系樹脂組成物1からなるフィルムF1~F2や、これらフィルムF1~F2を用いた積層フィルム3を使用して、上述したスタンディングパウチに例示される包装袋6以外にも、飲食品・化粧品・薬品・雑貨品などの内容物を収容するラミネートチューブ、液体紙容器などを含む容器や、容器の蓋材、あるいは容器のラベルなどを構成することができ、石油由来の使用比率を低下させると共に、二酸化炭素排出量を大きく抑制することができる。
さらに、本発明においては、課題を解決するための手段として、以下のとおりの対応とすることができる。
1.ポリエチレン系樹脂組成物からなる単層構成のフィルムであるか、または、該ポリエチレン系樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含む多層構成のフィルムであって、Tダイ法により押出成形されてなり、前記ポリエチレン系樹脂組成物は、植物由来HDPE
または植物由来LLDPEから選択される植物由来ポリエチレン系樹脂を含むことを特徴とする、上記フィルム。
2.前記植物由来ポリエチレン系樹脂は、メルトフローレート(MFR)が2.4~8.0g/10分であることを特徴とする、上記1に記載のフィルム。
3.前記植物由来LLDPEは、密度が910~925kg/m3であり、植物由来エチレンと、石油由来コモノマーとのエチレン-α-オレフィン共重合体であって、該石油由来コモノマーは、ブテン-1、ヘキセン-1、またはこれらの混合物であることを特徴とする、上記1または2に記載のフィルム。
4.放射性炭素年代測定C14の測定値から算定するバイオマス度を有することを特徴とする、上記1~3のいずれかに記載のフィルム。
5.フィルム全体に対して、植物由来ポリエチレン系樹脂の配合量が5~90質量%であり、石油由来ポリエチレン系樹脂の配合量が10~95質量%であり、下記の(A)または(B)の構成を有することを特徴とする、上記1~4のいずれかに記載のフィルム。
(A)前記ポリエチレン系樹脂組成物からなる単層構成
(B)前記ポリエチレン系樹脂組成物からなる中間層と、石油由来ポリエチレン系樹脂からなる外層及び内層とを有する多層構成
6.上記1~5のいずれかに記載のフィルムをシーラントフィルムとし、基材フィルムと積層させたことを特徴とする積層フィルム。
7.上記1~5のいずれかに記載のフィルムをシーラントフィルムとし、基材フィルムと積層させた積層フィルムを用いてなる包装袋。
8.前記包装袋は、詰め替え用スタンディングパウチであることを特徴とする、上記7に記載の包装袋。
そして、本発明のフィルムは、上記1~8の課題を解決するための手段をとることにより、以下の効果を発揮する。
本発明のフィルムは、植物由来HDPEまたは植物由来LLDPEから選択される植物由来ポリエチレン系樹脂を含むことにより、石油由来のポリエチレン系樹脂からなるフィルムと性能的に違いがなく、しかも、石油資源の使用量を削減すると共に、フィルム製造および廃棄時の二酸化炭素排出量を抑制することができる。
従って、環境負荷を低減させたポリエチレン系樹脂からなるフィルムを提供することができる。また、Tダイ法により押出成形されてなるため、厚みが均質であり、かつ、低コストのフィルムを提供することができる。
また、本発明のフィルムにおいて使用する植物由来ポリエチレン系樹脂として、MFRが2.4~8.0g/10分であるものを使用することにより、Tダイ法による押出成形時に、均質なフィルムを高速で製造することができる。
また、本発明のフィルムにおいて使用する植物由来LLDPEとして、密度が910~925kg/m3であり、植物由来エチレンと、植物由来または石油由来のブテン-1、
ヘキセン-1またはこれらの混合物とのエチレン-α-オレフィン共重合体を使用することにより、フィルムは、包装袋、例えば詰め替え用スタンディングパウチとして好適な引張強度、シール強度及び腰を有し、優れた加工適性を示す。
また、本発明のフィルムは、放射性炭素年代測定C14の測定値から算定するバイオマス度を有するので、フィルムを構成するポリエチレン系樹脂の原料由来を、このバイオマス度を指標にして識別でき、フィルムの製造時から廃棄時まで由来原料を確認することができる。
従って、原料由来の識別を可能としたポリエチレン系樹脂からなるフィルムを提供することができる。
さらに、本発明の一態様において、本発明のフィルムは、フィルム全体に対して、植物由来ポリエチレン系樹脂の配合量が5~90質量%であり、石油由来ポリエチレン系樹脂
の配合量が10~95質量%であり、下記の(A)または(B)の構成を有する:
(A)前記ポリエチレン系樹脂組成物からなる単層構成
(B)前記ポリエチレン系樹脂組成物からなる中間層と、石油由来ポリエチレン系樹脂からなる外層及び内層とを有する多層構成。
したがって、フィルムを構成するポリエチレン系樹脂の石油由来の使用比率を低下させることができ、石油資源の使用量を削減すると共に、フィルム製造および廃棄時の二酸化炭素排出量を抑制することができる。
加えて、(B)のようなフィルムを構成する内外層に石油由来ポリエチレン系樹脂を用いることで、既存の製造工程が有する特性でフィルムを製造することができる。
従って、石油資源の節約および環境負荷を低減させたポリエチレン系樹脂からなるフィルムを提供することができる。
また、植物由来ポリエチレン系樹脂を含む本発明のフィルムをシーラントフィルムとし、基材フィルムと積層させた積層フィルムは、石油資源の使用量を削減すると共に、積層フィルムの製造および廃棄時の二酸化炭素排出量を抑制することができる。従って、石油資源の節約および環境負荷を低減させたポリエチレン系樹脂からなる積層フィルムを提供することができる。
また、植物由来ポリエチレン系樹脂を含む本発明のフィルムをシーラントフィルムとし、基材フィルムと積層させた積層フィルムを用いてなる包装袋は、包装袋を構成する積層フィルムにおけるポリエチレン系樹脂の石油由来の使用比率を低下させることができ、石油資源の使用量を削減すると共に、包装袋の製造および廃棄時の二酸化炭素排出量を抑制することができる。従って、石油資源の節約および環境負荷を低減させたポリエチレン系樹脂からなる包装袋を提供することができる。
さらに、本発明の包装袋は、詰め替え用スタンディングパウチであってよく、使い捨てとして世の中に数多く出回る包装袋を構成するポリエチレン系樹脂の石油由来の使用比率を低下させることができ、石油資源の使用量を削減すると共に、包装袋の製造および廃棄時の二酸化炭素排出量を抑制することができる。従って、石油資源の節約および環境負荷を低減させたポリエチレン系樹脂からなる包装袋を提供することができる。
次に、本発明のポリエチレン系樹脂組成物1を用いて構成したフィルムの実施例を説明する。
[実施例1]
スクリュー径30mmφ押出機を用いて、サトウキビ由来LLDPEであるブラスケム社製C4LL-LL318(d=0.918、MFR=2.7g/10分)を200℃で溶融混練し、本発明のポリエチレン系樹脂組成物を得た。
次いで、Tダイキャスト製膜機により、押出し温度220℃、回転数45rpmの加工条件において樹脂組成物を成形することで、厚み120μmの図2に示すフィルムF1を製膜することができた。そのバイオマス度を測定すると、約88%であった。また、このフィルムは、均質な膜厚で、美麗な外観を有していた。なお、サトウキビ由来LLDPEに含まれるコモノマー種のブテン-1(C4)は石油由来のものであり、その含有量は1~15モル%(以下同様)である。
これに対し、比較例1として、石化由来のプライムポリマー社製C6LL-エボリュー
SP2040(d=0.918、MFR=3.8g/10分)100%を用いて、実施例1と同様にして、200℃で溶融混練し、押出し温度220℃、回転数45rpmの加工条件で厚み120μmのフィルムに成形した。バイオマス度を測定すると、0%であった。
実施例1及び比較例1の樹脂組成物について次の各物性評価試験を行い、得られた結果を以下に記す。
Figure 2023010731000002
上記のとおり、植物由来LLDPEを含むポリエチレン系樹脂組成物からなる本発明のフィルムは、石化由来LLDPEのみからなるフィルムと同等の物性を有し、良好な引張強度、製造加工適性及びシール強度を示した。
[試験方法]
引張破断強度(伸び)は、JIS-Z1702を参考にテンシロン万能試験機を用い、試験速度500mm/min.N=3 JIS-K7127試験片タイプ5(ダンベル片:最小平行巾6mm、チャック間距離80mm)で行った。
腰は、ループスティフネステスターを用い、ループ長さ60mm、サンプル巾15mm、N=3、押しつぶし距離17mm(目盛り3)で行った。
シール強度は、ヒートシールテスターTP-701Sを用い、PET12μmを評価サンプルの上に載せて180℃×1kgf/cm2×1.0秒でシールし、巾15mmの短冊状サンプルを切り出し、テンシロン万能試験機において試験速度300mm/min.N=3で測定した。
[実施例2]
実施例1と同様に、スクリュー径30mmφ押出機を用いて、サトウキビ由来LLDPEであるブラスケム社C4LL-LL318(d=0.918、MFR=2.7g/10分)と、プライムポリマー社製C6LL-エボリューSP2040(d=0.918、MFR=3.8g/10分)とを質量比7:3で200℃において混練溶融し、本発明のポリエチレン系樹脂組成物を得た。次いで、Tダイキャスト製膜機により、押出し温度220℃、回転数45rpmの加工条件において樹脂組成物を成形することで、厚み120μmの図2に示すフィルムF1を製膜することができた。
そのバイオマス度を測定すると、約59%であった。また、このフィルムは、均質な膜厚で美麗な外観を有し、引張強度、製造加工適性及びシール強度に優れていた。
[実施例3]
実施例1と同様に、スクリュー径30mmφ押出機を用いて、サトウキビ由来HDPEであるブラスケム社SHC7260(d=0.959、MFR=7.2g/10分)を200℃において混練溶融し、本発明のポリエチレン系樹脂組成物を得た。次いで、Tダイキャスト製膜機により、押出し温度220℃、回転数45rpmの加工条件において樹脂組成物を成形することで、厚み120μmの図2に示すフィルムF1を製膜することができた。そのバイオマス度を測定すると、約95%であった。また、このフィルムは、均質な膜厚で美麗な外観を有し、引張強度、製造加工適性及びシール強度に優れていた。
[実施例4]
実施例1と同様に、スクリュー径30mmφ押出機を用いて、サトウキビ由来LLDPEであるブラスケム社C4LL-LL118(d=0.916、MFR=1.0g/10分)を50質量%と、石油由来LLDPEである宇部丸善ポリエチレンLDPE-F120N(d=0.920、MFR=1.2g/10分)50質量%とを200℃で溶融混練し、本発明のポリエチレン系樹脂組成物を得た。
次いで、Tダイキャスト製膜機により、押出し温度200℃、回転数60rpmの加工条件において樹脂組成物を厚み130μmの図2に示すフィルムF1に成形した。そのバイオマス度を測定すると、約44%であった。また、このフィルムは、均質な膜厚で美麗な外観を有し、引張強度、製造加工適性及びシール強度に優れていた。
[実施例5]
第1層(内層)用および第3層(外層)用樹脂として、スクリュー径30mmφ押出機を用いて、三井化学C6LL-エボリューSP2020(d=0.916、MFR=2.3g/10分)を200℃で溶融混練し、石油由来ポリエチレン系樹脂を調製した。同様に第2層(中間層)用樹脂として、スクリュー径30mmφ押出機を用いて、サトウキビ由来LLDPEであるブラスケム社C4LL-LL118(d=0.916、MFR=1.0g/10分)を200℃で溶融混練し、本発明のポリエチレン系樹脂組成物を得た。なお、第1層:第2層:第3層の層厚の比は1:1:1とした。次いで、Tダイキャスト共押出製膜機により、押出し温度200℃、回転数60rpmの加工条件において樹脂組成物を厚み130μmの図3に示すフィルムF2に成形した。
そのバイオマス度を測定すると、約29%であった。また、このフィルムは、均質な膜厚で美麗な外観を有し、引張強度、製造加工適性及びシール強度に優れていた。
[実施例6]
第1層(内層)用および第3層(外層)用樹脂組成物として、スクリュー径30mmφ押出機を用いて、三井化学C6LL-エボリューSP2020(d=0.916、MFR=2.3g/10分)を200℃で溶融混練し、石油由来ポリエチレン系樹脂を調製した
。同様に第2層(中間層)用樹脂組成物として、スクリュー径30mmφ押出機を用いて、サトウキビ由来LLDPEであるブラスケム社C4LL-LL118(d=0.916、MFR=1.0g/10分)50質量%と、宇部丸善ポリエチレンLDPE-F120N(d=0.920、MFR=1.2g/10分)50質量%とを200℃で溶融混練し、本発明のポリエチレン系樹脂組成物を得た。なお、第1層:第2層:第3層の層厚比は1:2:1とした。
次いで、Tダイキャスト共押出製膜機により、押出し温度200℃、回転数60rpmの加工条件において樹脂組成物を厚み130μmの図3に示すフィルムF2に成形した。このバイオマス度を測定すると、約22%であった。また、このフィルムは、均質な膜厚で美麗な外観を有し、引張強度、製造加工適性及びシール強度に優れていた。
[実施例7]
外層に厚み25μmの、基材フィルム5としての二軸延伸ナイロンフィルム(ONy、東洋紡ハーデンN-1102)と、実施例1のフィルムとを用いて2液硬化型のウレタン系接着剤を使用し、ONy面に該接着剤を約4g/m2塗布してポリエチレンのコロナ処理面をドライラミネーション法により貼合し、2層構成の図4に示す積層フィルム3を得た。
このバイオマス度を測定すると、約70%であった。
そして、この積層フィルム3を使用し、レーザーにて開封用切れ目線を設けた注出口部付詰め替え用スタンディングパウチ(包装袋6)を作成し、この詰め替え用スタンディングパウチに内容物を入れて口部を密封したものについて、内容物の漏れ、転倒、座屈、胴部の折れを観察したが、認められなかった。さらに1mの高さから落下テストを5回行ったが、破袋、漏れなどは全く認められなかった。
[実施例8]
外層に厚み25μmの、基材フィルム5としての二軸延伸ナイロンフィルム(ONy、東洋紡ハーデンN-1102)と、中間層に、片面にアルミニウム蒸着された厚さ12μmのVMPET(金属蒸着フィルムであり、ポリエチレンテレフタレートフィルムにアルミニウムを蒸着したもの)のアルミニウム蒸着面と積層し、さらにVMPETのポリエチレンテレフタレート面に2液硬化型のウレタン系接着剤を約4g/m2塗布して、実施例1のフィルムのコロナ処理面とをドライラミネーション法により貼合し、3層構成の積層フィルムを得た。
そして、この積層フィルムを使用し、レーザーにて開封用切れ目線を設けた注出口部付詰め替え用スタンディングパウチ(包装袋6)を作成した。
バイオマス度を測定すると、約62%であった。
作成した詰め替え用スタンディングパウチに内容物を入れて口部を密封したものについて、内容物の漏れ、転倒、座屈、胴部の折れを観察したが、認められなかった。さらに1mの高さから落下テストを5回行ったが、破袋、漏れ等は全く認められなかった。
[実施例9]
上記実施例8の注出口部付詰め替え用スタンディングパウチにおける底材のみを、延伸ポリアミド(ONY)/LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)からなる石油由来フィルムを用いて作成した詰め替え用スタンディングパウチに内容物を入れて口部を密封したものについて、内容物の漏れ、転倒、座屈、胴部の折れを観察したが、認められなかった。
さらに1mの高さから落下テストを5回行ったが、破袋、漏れ等は全く認められなかった。
従って、本発明のスタンディングパウチの底材には、胴部と同じ植物由来を含む積層フィルムでも、石油由来のフィルムでもどちらを用いてもよい。
以上詳述したように、本発明のポリエチレン系樹脂からなるフィルムは、気相重合法により得られた植物由来のLLDPEまたはHDPEを含む樹脂組成物1からなるものである。また、これらフィルムをシーラントフィルムとし、基材フィルムと積層させた積層フィルムとすると共に、包装袋は、この積層フィルムからなるものである。
なお、この発明は、ポリエチレン系樹脂からなるフィルムおよび、このフィルムで構成された包装袋など、ポリエチレン系樹脂を用いたあらゆる製品に適用することができる。
1 本発明のポリエチレン系樹脂組成物
2 石油由来ポリエチレン系樹脂
3 積層フィルム
4 シーラントフィルム
5 基材フィルム
6 包装袋
7、8 側面シート
9 底面シート
F1~F2 フィルム

Claims (5)

  1. ポリエチレン系樹脂組成物からなる単層構成のシーラントフィルム(但し、前記フィルムの総重量に基づいてバージン石油系材料の含有量が15重量%未満のものを除く)であって、
    該ポリエチレン系樹脂組成物は、植物由来高密度ポリエチレンと石油由来ポリエチレン系樹脂を含み、
    フィルム全体に対して、植物由来高密度ポリエチレンの配合量が5~90質量%であり、
    石油由来ポリエチレン系樹脂の配合量が10~95質量%であり、
    前記植物由来高密度ポリエチレンは、放射性炭素年代測定C14の測定値から算定するバイオマス度80~100%を有することを特徴とする、シーラントフィルム。
  2. 前記植物由来高密度ポリエチレンは、密度が941~965kg/m3であることを特徴とする、請求項1に記載のシーラントフィルム。
  3. 請求項1または2に記載のシーラントフィルムを、基材フィルムと積層させたことを特徴とする積層フィルム。
  4. 請求項3に記載の積層フィルムを用いてなる包装袋。
  5. 請求項1または2に記載のシーラントフィルムを用いてなる包装袋。
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