JP2023010535A - プリントヘッド、及びプリントヘッドの検査方法 - Google Patents

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Jun Sato
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稔仁 ▲高▼木
Toshihito Takagi
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Abstract

【課題】高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを検出することができるプリントヘッドを手依拠すること。【解決手段】第1端子に入力される印刷データに応じて第2端子に入力される駆動信号を駆動素子に供給することで印刷を行うプリントヘッドであって、第1端子と、第2端子と、第1端子に入力される第1信号に応じて第2端子の電位が正常であるか否かを判断する第1判断と、第1端子に入力される第2信号に応じて第2端子の電位が正常であるか否かを判断する第2判断と、を異なる判断基準で行う判断回路と、第1判断及び第2判断において第2端子の電位が正常であると判断された場合に印刷を許可し、第1判断又は第2判断において第2端子の電位が正常でないと判断された場合に印刷を不許可とする許可回路と、を備える、プリントヘッド。【選択図】図25

Description

本発明は、プリントヘッド、及びプリントヘッドの検査方法に関する。
インクジェットプリンター等の液体吐出装置は、プリントヘッドに設けられた圧電素子を駆動信号により駆動することで、キャビティーに充填されたインク等の液体をノズルから吐出し、媒体上に文字や画像を形成する。このような液体吐出装置において、プリントヘッドに動作不良が生じた場合、液体の吐出精度が低下し、媒体上に形成される文字や画像の品質が低下する。
このような吐出精度の低下の要因となるプリントヘッドの動作不良を検出する技術として、特許文献1には、プリントヘッドに入力される制御信号に基づいて、プリントヘッド自身が異常の有無を診断する技術が開示されている。
特開2017-114020号公報
プリントヘッドに生じる動作不良の要因の1つに、プリントヘッドに供給される信号精度の低下に起因する動作不良が挙げられる。プリントヘッドには、プリントヘッドの動作を制御するための低電圧の信号に加えて、液体が吐出される程度に駆動素子を駆動するための高電圧の信号が入力される。そのため、プリントヘッドに動作不良が生じるおそれを低減させるとの観点において、プリントヘッドには、高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常に供給されることが求められる。これに対して、特許文献1に記載の発明には、プリントヘッドに動作不良が生じるおそれを低減させるとの目的の基で、プリントヘッドに供給される高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを検出する技術について何らの記載もなく、したがって、プリントヘッドに動作不良が生じるおそれを低減するとの観点において改善の余地があった。
また、プリントヘッドを有する液体吐出装置では、媒体に画像を形成するためにノズルから吐出した液体の一部が、媒体に着弾する前にミスト化し液体ミストとして液体吐出装置の内部に浮遊する場合があり、さらに、ノズルから吐出された液体が媒体に着弾した後であっても、媒体の搬送等に伴い生じる気流により、液体吐出装置の内部に液体ミストとして再浮遊する場合もある。このような液体吐出装置の内部に浮遊する液体ミストは非常に微小であるが故に、レナード効果により帯電し、各種信号が伝搬される配線パターンや端子などの導電部に引き寄せられる。プリントヘッドは、媒体に対して液体を吐出する。それ故に、プリントヘッドの近傍には、特に多くの液体ミストが浮遊する。そのため、各種信号が供給されるプリントヘッドの端子には、多くの液体ミストが付着し、その結果、液体ミストに起因して短絡異常等が生じる可能性が高まる。それ故に、プリントヘッドに動作不良が生じるおそれを低減するとの観点において、液体ミストの影響が懸念されるプリントヘッドにおいては、プリントヘッドに供給される高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを精度よく検出することが強く求められている。
本発明に係るプリントヘッドの一態様は、
第1端子に入力される印刷データに応じて第2端子に入力される駆動信号を駆動素子に供給することで印刷を行うプリントヘッドであって、
前記第1端子と、
前記第2端子と、
前記第1端子に入力される第1信号に応じて前記第2端子の電位が正常であるか否かを判断する第1判断と、前記第1端子に入力される第2信号に応じて前記第2端子の電位が正常であるか否かを判断する第2判断と、を異なる判断基準で行う判断回路と、
前記第1判断及び前記第2判断において前記第2端子の電位が正常であると判断された場合に印刷を許可し、前記第1判断又は前記第2判断において前記第2端子の電位が正常でないと判断された場合に印刷を不許可とする許可回路と、
を備える。
本発明に係るプリントヘッドの検査方法の一態様は、
第1端子に入力される印刷データに応じて第2端子に入力される駆動信号を駆動素子に供給することで印刷を行うプリントヘッドの検査方法であって、
前記第1端子に入力される第1信号に応じて前記第2端子の電位が正常であるか否かを判断する第1判断と、前記第1端子に入力される第2信号に応じて前記第2端子の電位が正常であるか否かを判断する第2判断と、を異なる判断基準で行う判断工程と、
前記第1判断及び前記第2判断において前記第2端子の電位が正常であると判断された場合に印刷を許可し、前記第1判断又は前記第2判断において前記第2端子の電位が正常でないと判断された場合に印刷を不許可とする許可工程と、
を含む。
液体吐出装置の機能構成を示す図である。 駆動回路の機能構成を示す図である。 プリントヘッドの機能構成を示す図である。 駆動信号COMA,COMBの信号波形の一例を示す図である。 駆動信号VOUTの信号波形の一例を示す図である。 駆動信号選択回路の機能構成を示す図である。 デコード内容の一例を示す図である。 選択回路の構成を示す図である。 駆動信号選択回路の動作を説明するための図である。 液体吐出装置の概略構造を示す図である。 吐出制御ユニットの構造の一例を示す図である。 プリントヘッドの配置の一例を示す図である。 プリントヘッドの構造の一例を示す図である。 配線基板の構成の一例を示す図である。 ヘッドチップの概略構造を示す図である。 ケーブルの概略構造を示す図である。 コネクターの概略構造を示す図である。 ケーブルがコネクターに取り付けられた場合の一例を示す図である。 異常検出回路の機能構成を示す図である。 プリントヘッドに供給される信号が正常である場合の異常検出回路の動作の一例を示す図である。 プリントヘッドに供給される信号が正常である場合の異常検出回路の動作の一例を示す図である。 プリントヘッドに供給される信号が正常でない場合の異常検出回路の動作の一例を示す図である。 プリントヘッドに供給される信号が正常でない場合の異常検出回路の動作の一例を示す図である。 液体吐出装置におけるプリントヘッドの検査方法を示す図である。 判断工程の一例を示す図である。 許可工程の一例を示す図である。 第2実施形態のプリントヘッドの機能構成を示す図である。 第3実施形態のプリントヘッドの機能構成を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
以下の説明では、液体の一例としてインクを媒体に向かい吐出することで媒体に所望の画像を形成する所謂インクジェットプリンターを液体吐出装置の一例として説明を行うが、液体吐出装置は、インクジェットプリンターに限られるものではなく、例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材吐出装置、有機ELディスプレイ、面発光ディスプレイ等の電極形成に用いられる電極材料吐出装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物吐出装置等であってもよい。
さらに、以下の説明において、本実施形態における液体吐出装置としてのインクジェットプリンターは、インクを吐出するプリントヘッドが搬送される媒体の幅以上に並んで設けられ、媒体の搬送に同期して当該プリントヘッドからインクが吐出されることにより媒体に所望の画像を形成する所謂ラインヘッド型のインクジェットプリンターであるとして説明を行うが、液体吐出装置としてのインクジェットプリンターは、インクが吐出されるプリントヘッドを搭載したキャリッジを備え、媒体の搬送に同期して、当該キャリッジが、媒体の搬送方向と交差する方向に往復移動することで、媒体に所望の画像を形成するシリアルヘッド型のインクジェットプリンターであってもよい。
ここで、本実施形態を説明するにあたり、デジタル信号の高電位側の論理レベルをハイレベル又はHレベルと称し、デジタル信号の低電位側の論理レベルをローレベル又はLレベルと称する。
1.第1実施形態
1.1 液体吐出装置の機能構成
液体吐出装置1の機能構成について図1を用いて説明する。図1は、液体吐出装置1の機能構成を示す図である。図1に示すように液体吐出装置1は、プリントヘッド駆動回路2及びm個のプリントヘッド100を備える。また、プリントヘッド駆動回路2は、液体吐出装置1の外部から各種信号が入力されるメイン制御ユニット10と、m個のプリントヘッド100に対して各種信号を出力する吐出制御ユニット20と、を有する。そして、プリントヘッド駆動回路2は、液体吐出装置1の外部から入力される信号に基づいて、m個のプリントヘッド100を駆動する。ここで、以下の説明においてm個のプリントヘッド100を区別して説明する必要がある場合、プリントヘッド100-1~100-mと称する場合がある。ここで、mは、液体吐出装置1が有するプリントヘッド100の数に相当する1以上の整数である。
メイン制御ユニット10は、メイン制御回路11及び電源電圧出力回路12を有する。
電源電圧出力回路12には、液体吐出装置1の外部に設けられた不図示の商用交流電源から商用交流電圧である交流電圧ACが入力される。電源電圧出力回路12は、入力され
る交流電圧ACに基づいて、電圧値が42Vの直流電圧である電圧VHVと、電圧値が3.3Vの直流電圧である電圧VDDと、を生成する。すなわち、電源電圧出力回路12は、交流電圧ACを直流電圧である電圧VHVに変換するAC/DCコンバーターであって、例えば、電圧VHVを生成する絶縁型のフライバック回路等と、電圧VHVを降圧することで電圧VDDを生成する降圧コンバーターとを含んで構成されている。そして、電源電圧出力回路12は、生成した電圧VHV,VDDを、メイン制御ユニット10、吐出制御ユニット20、及びm個のプリントヘッド100を含む液体吐出装置1の各部に供給する。
ここで、電源電圧出力回路12は、電圧VHV,VDDに加えて、様々な電圧値の直流電圧を生成し、メイン制御ユニット10、吐出制御ユニット20、及びm個のプリントヘッド100を含む液体吐出装置1の各部に供給してもよい。メイン制御ユニット10、吐出制御ユニット20、及びm個のプリントヘッド100は、電圧VHV,VDDを電源電圧や制御電圧として動作する。
メイン制御回路11は、液体吐出装置1の外部に設けられたホストコンピューター等の外部機器から媒体に形成する画像情報を含む画像データPDを受信する。メイン制御回路11は、受信した画像データPDに対して所定の画像処理を施すことで画像情報信号IPを生成する。そして、メイン制御回路11は、生成した画像情報信号IPを吐出制御ユニット20に出力する。このメイン制御回路11から出力される画像情報信号IPは、例えば、差動信号等の高速通信が可能な電気信号であってもよく、また、光通信を行うための光信号であってもよい。ここで、メイン制御回路11で実行される画像処理としては、例えば、入力される画像信号を赤、緑、青の色彩情報に変換した後、液体吐出装置1から吐出されるインクの色彩に対応する色彩情報に変換する色彩変換処理や、色彩変換処理が成された色彩情報を二値化するハーフトーン処理等が含まれる。なお、メイン制御回路11が実行する画像処理は、上述した色変換処理やハーフトーン処理に限るものではない。このようなメイン制御回路11は、複数の機能を備えた1又は複数の半導体装置であって、例えば、SoC(System on a Chip)を含んで構成されてもよい。
吐出制御ユニット20は、吐出制御回路21、差動信号復元回路22-1~22-m、及び駆動電圧出力回路50を有する。
吐出制御回路21には、メイン制御回路11が出力する画像情報信号IPが入力される。吐出制御回路21は、メイン制御回路11から入力される画像情報信号IPに基づいて、吐出制御ユニット20の各部、及びm個のプリントヘッド100の動作を制御するための各種信号を生成し出力する。
具体的には、吐出制御回路21は、画像情報信号IPに基づいて、m個のプリントヘッド100からのインクの吐出を制御する制御信号に対応する差動信号dHC1~dHCm、差動信号dSI11~dSI1n,…,dSIm1~dSImn、及び差動信号dSCK1~dSCKmを生成する。そして、吐出制御回路21は、生成した差動信号dHC1~dHCm、差動信号dSI11~dSI1n,…,dSIm1~dSImn、及び差動信号dSCK1~dSCKmを対応する差動信号復元回路22-1~22-mに出力する。
差動信号復元回路22-1~22-mのそれぞれは、入力される差動信号dHC1~dHCm、差動信号dSI11~dSI1n,…,dSIm1~dSImn、及び差動信号dSCK1~dSCKmを復元することで、シングルエンドの診断制御信号HC1~HCm、印刷データ信号SI11~SI1n,…,SIm1~SImn、及びクロック信号SCK1~SCKmを生成する。そして、差動信号復元回路22-1~22-mのそれぞれ
は、生成した診断制御信号HC1~HCm、印刷データ信号SI11~SI1n,…,SIm1~SImn、及びクロック信号SCK1~SCKmを、対応するm個のプリントヘッド100に出力する。
詳細には、吐出制御回路21は、画像情報信号IPに基づいて、一対の信号dHC1+,dHC1-を含む差動信号dHC1、一対の信号dSI11+~dSI1n+,dSI11-~dSI1n-を含む差動信号dSI11~dSI1n、及び一対の信号dSCK1+,dSCK1-を含む差動信号dSCK1を生成し、差動信号復元回路22-1に出力する。差動信号復元回路22-1は、差動信号dHC1を復元することでシングルエンドの信号である診断制御信号HC1を生成し、差動信号dSCK1を復元することでシングルエンドの信号であるクロック信号SCK1を生成し、差動信号dSI11~dSI1nを復元することでシングルエンドの信号である印刷データ信号SI11~SI1nを生成する。そして、差動信号復元回路22-1は、生成した診断制御信号HC1、クロック信号SCK1、及び印刷データ信号SI11~SI1nをプリントヘッド100-1に出力する。
また、吐出制御回路21は、画像情報信号IPに基づいて、一対の信号dHCm+,dHCm-を含む差動信号dHCm、一対の信号dSIm1+~dSImn+,dSIm1-~dSImn-を含む差動信号dSIm1~dSImn、及び一対の信号dSCKm+,dSCKm-を含む差動信号dSCKmを生成し、差動信号復元回路22-mに出力する。差動信号復元回路22-mは、差動信号dHCmを復元することでシングルエンドの信号である診断制御信号HCmを生成し、差動信号dSCKmを復元することでシングルエンドの信号であるクロック信号SCKmを生成し、差動信号dSIm1~dSImnを復元することでシングルエンドの信号である印刷データ信号SIm1~SImnを生成する。そして、差動信号復元回路22-mは、生成した診断制御信号HCm、クロック信号SCKm、及び印刷データ信号SIm1~SImnをプリントヘッド100-mに出力する。
すなわち、吐出制御回路21は、画像情報信号IPに基づいて一対の信号dHCi+,dHCi-(iは1~mのいずれかの整数)を含む差動信号dHCi、一対の信号dSIi1+~dSIin+,dSIi1-~dSIin-を含む差動信号dSIi1~dSIin、及び一対の信号dSCKi+,dSCKi-を含む差動信号dSCKiを生成し、差動信号復元回路22-iに出力する。差動信号復元回路22-iは、差動信号dHCiを復元することでシングルエンドの信号である診断制御信号HCiを生成し、差動信号dSCKiを復元することでシングルエンドの信号であるクロック信号SCKiを生成し、差動信号dSIi1~dSIinを復元することでシングルエンドの信号である印刷データ信号SIi1~SIinを生成する。そして、差動信号復元回路22-iは、生成した診断制御信号HCi、クロック信号SCKi、及び印刷データ信号SIi1~SIinをプリントヘッド100-iに出力する。
ここで、吐出制御回路21が出力する差動信号dHC1~dHCm、差動信号dSI11~dSI1n,…,dSIm1~dSImn、及び差動信号dSCK1~dSCKmは、高速転送方式に準拠した差動信号であって、例えば、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)転送方式に準拠した差動信号、LVPECL(Low Voltage Positive Emitter Coupled Logic)転送方式に準拠した差動信号、CML(Current Mode Logic)転送方式に準拠した差動信号等であってもよい。また、図1では、差動信号復元回路22-1~22-mと、m個のプリントヘッド100と、が一対一で対応している場合を例示しているが、差動信号復元回路22-1~22-mとm個のプリントヘッド100とが一対一に対応している場合に限られるものではなく、例えば、1つの差動信号復元回路22-iが、複数のプリントヘッド100に対応する差動信号を復元するとともに、復元したシ
ングルエンドの信号を対応する複数のプリントヘッド100に出力してもよい。
ここで、nは、プリントヘッド100-1~100-mのそれぞれが有するヘッドチップ300の数に相当する1以上の整数である。そして、上述した印刷データ信号SI11~SI1n,…,SIm1~SImnの内の、印刷データ信号SIij(jは1~nのいずれかの整数)は、プリントヘッド100-iが有するヘッドチップ300-jに入力される印刷データ信号SIに相当し、差動信号dSIijは、印刷データ信号SIijに対応する差動信号に相当する。
また、吐出制御回路21は、メイン制御回路11から入力される画像情報信号IPに基づいて、m個のプリントヘッド100からのインクの吐出タイミングを制御する制御信号として、ラッチ信号LAT及びチェンジ信号CHを生成し、m個のプリントヘッド100に出力する。
さらに、吐出制御回路21は、メイン制御回路11から入力される画像情報信号IPに基づいて、プリントヘッド100を駆動させるための駆動電圧信号VDR1,VDR2の基となる基駆動信号dA,dBを生成し、駆動電圧出力回路50に出力する。
駆動電圧出力回路50は、駆動回路51a,51b及び基準電圧出力回路53を含む。駆動電圧出力回路50は、基駆動信号dA,dBに基づいて駆動電圧信号VDR1,VDR2を生成し、対応するm個のプリントヘッド100に出力する。
具体的には、基駆動信号dAは、駆動回路51aに入力される。駆動回路51aは、入力される基駆動信号dAをアナログ信号に変換した後、変換したアナログ信号を電圧VHVに基づいてD級増幅することで、駆動電圧信号VDR1を生成する。そして、駆動回路51aは、生成した駆動電圧信号VDR1をm個のプリントヘッド100のそれぞれに出力する。また、基駆動信号dBは、駆動回路51bに入力される。駆動回路51bは、入力される基駆動信号dBをアナログ信号に変換した後、変換したアナログ信号を電圧VHVに基づいてD級増幅することで、駆動電圧信号VDR2を生成する。そして、駆動回路51bは、生成した駆動電圧信号VDR2を、m個のプリントヘッド100のそれぞれに出力する。なお、駆動回路51a,51bの具体的な構成の一例、及び動作については後述する。
ここで、図1では、駆動電圧出力回路50が、駆動電圧信号VDR1を出力する1個の駆動回路51aと、駆動電圧信号VDR2を出力する1個の駆動回路51bと、を備える場合を例示しているが、駆動電圧出力回路50は、駆動電圧信号VDR1を出力する複数の駆動回路51aと、駆動電圧信号VDR2を出力する複数の駆動回路51bを備えてもよい。この場合において、複数の駆動回路51aは、それぞれが駆動電圧信号VDR1を生成し、生成した駆動電圧信号VDR1を対応するプリントヘッド100に出力し、複数の駆動回路51bは、それぞれが駆動電圧信号VDR2を生成し、生成した駆動電圧信号VDR2を対応するプリントヘッド100に出力してもよい。
例えば、駆動電圧出力回路50が、駆動電圧信号VDR1を出力する2個の駆動回路51aと、駆動電圧信号VDR2を出力する2個の駆動回路51bと、を備える場合、駆動電圧信号VDR1を生成する2個の駆動回路51aの内の一方が、プリントヘッド100-1~100-iに駆動電圧信号VDR1を出力し、駆動電圧信号VDR1を生成する2個の駆動回路51aの内の他方が、プリントヘッド100-i+1~100-mに駆動電圧信号VDR1を出力する。同様に、駆動電圧信号VDR2を生成する2個の駆動回路51bの内の一方が、プリントヘッド100-1~100-iに駆動電圧信号VDR2を出力し、駆動電圧信号VDR2を生成する2個の駆動回路51bの内の他方が、プリントヘ
ッド100-i+1~100-mに駆動電圧信号VDR2を出力する。
基準電圧出力回路53には、電圧VDDが供給される。基準電圧出力回路53は、供給される電圧VDDを昇圧又は降圧することで、m個のプリントヘッド100のそれぞれからインクが吐出される場合の基準電位となる基準電圧信号VBSを生成し、m個のプリントヘッド100のそれぞれに出力する。
以上のように、プリントヘッド駆動回路2は、商用交流電源から供給される交流電圧AC、及び外部機器から供給される画像データPDに基づいて、電圧VHV,VDD、診断制御信号HC1~HCm、印刷データ信号SI11~SI1n,…,SIm1~SImn、クロック信号SCK1~SCKm、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、駆動電圧信号VDR1,VDR2、及び基準電圧信号VBSを生成し、m個のプリントヘッド100に出力する。
m個のプリントヘッド100は、電圧VHV,VDDを電源電圧として、診断制御信号HC1~HCm、印刷データ信号SI11~SI1n,…,SIm1~SImn、クロック信号SCK1~SCKm、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHにより規定されるタイミングで、駆動電圧信号VDR1,VDR2を後述する圧電素子60に供給するか否かを切り替える。これにより、m個のプリントヘッド100は、それぞれが所定のタイミングで所定量のインクを吐出する。すなわち、m個のプリントヘッド100は、それぞれが、プリントヘッド駆動回路2により制御される。
また、プリントヘッド100-1~100-mは、プリントヘッド100-1~100-mに異常が生じているか否かを示す判定結果信号ES1~ESmを生成し、プリントヘッド駆動回路2の吐出制御ユニット20が有する吐出制御回路21に出力する。これにより、吐出制御回路21は、プリントヘッド100-1~100-mの状態に応じて、プリントヘッド100-1~100-mを駆動し、また停止することができる。なお、m個のプリントヘッド100の具体的な構成の一例、及び動作については後述する。
1.2 駆動回路の構成及び動作
次に、駆動電圧出力回路50が有する駆動回路51a,51bの構成及び動作について説明する。ここで、駆動回路51aと駆動回路51bとは、入力される信号及び出力する信号が異なるのみであり、構成及び動作は同様である。したがって、以下の説明では、基駆動信号dAに基づいて駆動電圧信号VDR1を出力する駆動回路51aの構成及び動作について説明を行い、基駆動信号dBに基づいて駆動電圧信号VDR2を出力する駆動回路51bの構成及び動作についての説明は省略する。
図2は、駆動回路51aの機能構成を示す図である。図2に示すように、駆動回路51aは、変調回路510を含む集積回路500、増幅回路550、平滑回路560、帰還回路570,572、及びその他複数の回路素子を有する。
集積回路500は、端子In、端子Bst、端子Hdr、端子Sw、端子Gvd、端子Ldr、端子Gnd、端子Ifb、及び端子Vfbを含む複数の端子を介して集積回路500の外部と電気的に接続される。そして、集積回路500は、端子Inから入力される基駆動信号dAに基づいて、増幅回路550が有するトランジスターM1を駆動するゲート信号Hgdと、トランジスターM2を駆動するゲート信号Lgdとを生成し出力する。
集積回路500は、DAC(Digital to Analog Converter)511、変調回路510、ゲートドライブ回路520、及び電源回路580を含む。
電源回路580は、電圧信号DAC_HVと電圧信号DAC_LVとを生成し、DAC511に出力する。
DAC511には、デジタルの基駆動信号dAが入力される。DAC511は、基駆動信号dAを、電圧信号DAC_HVと電圧信号DAC_LVとの間の電圧値のアナログ信号に変換し、基駆動信号aAとして変調回路510に出力する。ここで、基駆動信号aAの電圧振幅の最大値は電圧信号DAC_HVで規定され、基駆動信号aAの電圧振幅の最小値は電圧信号DAC_LVで規定される。すなわち、電圧信号DAC_HVは、DAC511における高電圧側の基準電圧であり、電圧信号DAC_LVは、DAC511における低電圧側の基準電圧となる。この基駆動信号aAを電圧VHVで増幅した信号が、駆動電圧信号VDR1となる。つまり、基駆動信号aAは、駆動電圧信号VDR1の増幅前の目標となる波形の信号に相当し、基駆動信号dAは、駆動電圧信号VDR1の波形を規定するデジタルの信号に相当する。なお、本実施形態における基駆動信号aAの電圧振幅は、例えば、1V~2Vである。
変調回路510には、基駆動信号aAが入力される。変調回路510は、入力される基駆動信号aAを変調することで変調信号Msを生成し、ゲートドライブ回路520に出力する。このような変調回路510は、加算器512,513、コンパレーター514、インバーター515、積分減衰器516、及び減衰器517を含む。
積分減衰器516には、端子Vfbを介して入力された端子Outの電圧、すなわち、駆動電圧信号VDR1が入力される。積分減衰器516は、駆動電圧信号VDR1を減衰するとともに積分し加算器512の-側の入力端に供給する。加算器512の+側の入力端には、基駆動信号aAが入力される。加算器512は、+側の入力端に入力された電圧から-側の入力端に入力された電圧を差し引き積分した電圧を、加算器513の+側の入力端に供給する。
ここで、基駆動信号aAの電圧振幅は、前述の通り1V~2V程度であるのに対して、駆動電圧信号VDR1の電圧の最大値は、電圧VHVの電圧値に依存するが故に40Vを超える場合がある。このため、積分減衰器516は、偏差を求めるにあたり両電圧の振幅範囲を合わせるために、端子Vfbを介して入力された駆動電圧信号VDR1の電圧を減衰させる。
減衰器517には、端子Ifbを介して駆動電圧信号VDR1の高周波成分が減衰された電圧が入力される。減衰器517は、入力される駆動電圧信号VDR1の高周波成分を減衰した電圧を、加算器513の-側の入力端に供給する。加算器513の+側の入力端には、加算器512から出力された電圧が入力される。加算器513は、+側の入力端に入力された電圧から-側の入力端に入力された電圧を減算した電圧を、電圧信号Asとしてコンパレーター514に出力する。
この加算器513から出力される電圧信号Asは、基駆動信号aAの電圧から端子Vfbに供給された信号の電圧を差し引き、さらに、端子Ifbに供給された信号の電圧を差し引いた電圧である。すなわち、加算器513から出力される電圧信号Asの電圧は、目標である基駆動信号aAの電圧から、駆動電圧信号VDR1の減衰電圧を差し引いた偏差を、駆動電圧信号VDR1の高周波成分で補正した信号となる。
コンパレーター514は、加算器513から出力される電圧信号Asに基づいて、パルス変調した変調信号Msを出力する。具体的には、コンパレーター514は、電圧信号Asが電圧上昇時に所定の閾値以上になった場合にHレベルとなり、電圧信号Asが電圧下降時に所定の閾値を下回った場合にLレベルとなる変調信号Msを生成する。この変調信
号Msは、基駆動信号dA,aAの変化に合わせて周波数やデューティー比が変化し、減衰器517が感度に相当する変調利得を調整することで、変調信号Msの周波数やデューティー比を調整することができる。
変調信号Msは、ゲートドライブ回路520に入力される。ゲートドライブ回路520は、ゲートドライバー521,522を含む。具体的には、コンパレーター514から出力された変調信号Msは、ゲートドライバー521に供給されるとともに、インバーター515により論理レベルが反転された後、ゲートドライバー522にも供給される。すなわち、ゲートドライバー521とゲートドライバー522とには、論理レベルが互いに排他的な関係の変調信号Msが入力される。
ここで、ゲートドライバー521に供給される信号の論理レベルとゲートドライバー522に供給される信号の論理レベルとが互いに排他的な関係にあるとは、厳密にいえば、ゲートドライバー521に供給される信号の論理レベルとゲートドライバー522に供給される信号の論理レベルとが同時にHレベルになることが含まれる。すなわち、後述する増幅回路550に含まれるトランジスターM1とトランジスターM2とが同時にオンすることがないことを意味する。
ゲートドライバー521は、入力される変調信号Msをレベルシフトして、端子Hdrからゲート信号Hgdとして出力する。ゲートドライバー521の電源電圧のうち高位側には、端子Bstを介して電圧が供給され、電源電圧のうち低位側には、端子Swを介して電圧が供給される。端子Bstは、コンデンサーC5の一端及びダイオードD1のカソードに接続されている。端子Swは、コンデンサーC5の他端に接続されている。また、ダイオードD1のアノードは、端子Gvdに接続されている。これにより、ダイオードD1のアノードには、電圧Vmが供給される。すなわち、コンデンサーC5とダイオードD1は、ブートストラップ回路を構成する。したがって、端子Bstと端子Swとの電位差は、コンデンサーC5の両端の電位差、すなわち、電圧Vmにおよそ等しくなる。よって、ゲートドライバー521は、入力される変調信号Msに従う端子Swに対して電圧Vmだけ大きな電圧のゲート信号Hgdを生成し、端子Hdrを介して集積回路500から出力する。
ゲートドライバー522は、入力される変調信号Msの論理レベルが反転された信号をレベルシフトして、端子Ldrからゲート信号Lgdとして出力する。ゲートドライバー522は、ゲートドライバー521よりも低電位側で動作する。ゲートドライバー522の電源電圧のうち高位側には、電圧Vmが供給され、電源電圧のうち低位側には、端子Gndを介してグラウンド電位が供給される。そして、ゲートドライバー522は、入力される変調信号Msの論理レベルが反転した信号に従う端子Gndに対して電圧Vmだけ大きな電圧のゲート信号Lgdを生成し、端子Ldrを介して集積回路500から出力する。
集積回路500から出力されたゲート信号Hgd,Lgdは、増幅回路550に入力される。増幅回路550は、トランジスターM1,M2を含む。トランジスターM1のドレインには、電圧VHVが供給される。トランジスターM1のゲートは、抵抗R1の一端と電気的に接続し、抵抗R1の他端は、集積回路500の端子Hdrと電気的に接続している。すなわち、トランジスターM1のゲートには、集積回路500の端子Hdrから出力されるゲート信号Hgdが供給される。トランジスターM1のソースは、集積回路500の端子Swと電気的に接続している。
トランジスターM2のドレインは、集積回路500の端子Swと電気的に接続している。すなわち、トランジスターM2のドレインとトランジスターM1のソースとは、互いに
電気的に接続している。トランジスターM2のゲートは、抵抗R2の一端と電気的に接続し、抵抗R2の他端は、集積回路500の端子Ldrと電気的に接続している。すなわち、トランジスターM2のゲートには、集積回路500の端子Ldrから出力されるゲート信号Lgdが供給される。トランジスターM2のソースには、グラウンド電位が供給される。
ここで、以下の説明において、トランジスターM1,M2のドレインとソースとの間が導通に制御される場合をオンと称し、トランジスターM1,M2のドレインとソースとの間が非導通に制御される場合をオフと称する場合がある。
以上のように構成された増幅回路550において、トランジスターM1がオフ、トランジスターM2がオンに制御されている場合、端子Swが接続されているノードの電位は、グラウンド電位となる。したがって、端子Bstには電圧Vmが供給される。一方、トランジスターM1がオン、トランジスターM2がオフに制御されている場合、端子Swが接続されるノードの電位は、電圧VHVとなる。したがって、端子Bstには電圧VHV+Vmの電位の電圧信号が供給される。すなわち、トランジスターM1を駆動させるゲートドライバー521は、コンデンサーC5をフローティング電源として、トランジスターM1及びトランジスターM2の動作に応じて、端子Swの電位が0V又は電圧VHVに変化することで、Lレベルが電圧VHV又は0Vの電位であって、且つ、Hレベルが電圧VHV+電圧Vmの電位のゲート信号Hgdを生成し、端子HdrからトランジスターM1のゲートに供給する。
一方、トランジスターM2を駆動させるゲートドライバー522は、トランジスターM1及びトランジスターM2の動作に関係なく、Lレベルがグラウンド電位であって、且つ、Hレベルが電圧Vmの電位のゲート信号LgdをトランジスターM2のゲートに供給する。
以上のように構成された増幅回路550は、トランジスターM1とトランジスターM2とが、基駆動信号dA,aAが変調された変調信号Msに基づいて動作することで、トランジスターM1のソース、及びトランジスターM2のドレインが共通に接続される接続点に、変調信号Msが電圧VHVに基づいて増幅された増幅変調信号AMsを生成する。そして、増幅回路550は、生成した増幅変調信号AMsを平滑回路560に出力する。すなわち、増幅変調信号AMsは、変調信号Msの論理レベルに応じて電圧値がVHVとグラウンド電位との間で変化する信号である。
また、増幅回路550に電圧VHVを供給する経路には、コンデンサーC6が電気的に接続されている。具体的には、コンデンサーC6の一端には電圧VHVが供給され、他端にはグラウンド電位が供給されている。このコンデンサーC6は、増幅回路550に含まれるトランジスターM1,M2のスイッチング動作に起因して生じ得る電圧VHVの電位変動を低減する。このようなコンデンサーC6は、大きな容量であることが好ましく、例えば電解コンデンサーが用いられる。
平滑回路560は、増幅回路550から入力される増幅変調信号AMsを平滑することで、駆動電圧信号VDR1を生成し、端子Outを介して駆動回路51aから出力する。
具体的には、平滑回路560は、コイルL1とコンデンサーC1とを含む。コイルL1の一端には、増幅回路550から出力された増幅変調信号AMsが入力され、コイルL1の他端は、駆動回路51aの出力となる端子Outと接続されている。また、コイルL1の他端は、コンデンサーC1の一端とも接続されている。そして、コンデンサーC1の他端には、グラウンド電位が供給されている。すなわち、コイルL1とコンデンサーC1と
は、ローパスフィルター(Low Pass Filter)を構成し、平滑回路560は、当該ローパスフィルターにより増幅回路550が出力する増幅変調信号AMsを平滑することで復調し、駆動電圧信号VDR1として出力する。
帰還回路570は、抵抗R3と抵抗R4とを含む。抵抗R3の一端は、駆動電圧信号VDR1が出力される端子Outと接続し、他端は、端子Vfb及び抵抗R4の一端と接続している。抵抗R4の他端には、電圧VHVが供給される。これにより、端子Vfbには、端子Outから帰還回路570を通過した駆動電圧信号VDR1がプルアップされた状態で帰還する。
帰還回路572は、コンデンサーC2,C3,C4と、抵抗R5,R6と、を含む。コンデンサーC2の一端は、駆動電圧信号VDR1が出力される端子Outと接続し、他端は、抵抗R5の一端、及び抵抗R6の一端と接続している。また、抵抗R5の他端には、グラウンド電位が供給される。すなわち、コンデンサーC2と抵抗R5とがハイパスフィルター(High Pass Filter)として機能する。ここで、ハイパスフィルターのカットオフ周波数は、例えば約9MHzに設定される。また、抵抗R6の他端は、コンデンサーC4の一端、及びコンデンサーC3の一端と接続されている。コンデンサーC3の他端には、グラウンド電位が供給される。すなわち、抵抗R6とコンデンサーC3とは、ローパスフィルターとして機能する。ここで、ローパスフィルターのカットオフ周波数は、例えば約160MHzに設定される。
このよう構成された帰還回路572は、ハイパスフィルターとローパスフィルターとを含み構成されていることで、駆動電圧信号VDR1の所定の周波数域を通過させるバンドパスフィルター(Band Pass Filter)として機能する。そして、コンデンサーC4の他端が集積回路500の端子Ifbと接続されることで、端子Ifbには、所定の周波数成分を通過させるバンドパスフィルターとして機能する帰還回路572を通過した駆動電圧信号VDR1の高周波成分のうち、直流成分がカットされた信号が帰還する。
端子Outから出力される駆動電圧信号VDR1は、基駆動信号dAに基づく増幅変調信号AMsを平滑回路560によって平滑された信号であり、駆動電圧信号VDR1は、端子Vfbを介して積分・減算された上で、加算器512に帰還される。そのため、駆動回路51aは、帰還の遅延と、帰還の伝達関数で定まる周波数で自励発振する。しかしながら、端子Vfbを介した帰還経路では、信号の遅延量が大きいが故に、当該端子Vfbを介した帰還のみでは自励発振の周波数を駆動電圧信号VDR1の精度を十分に確保できるほど高くすることができない場合がある。そこで、端子Vfbを介した経路とは別に、端子Ifbを介して、駆動電圧信号VDR1の高周波成分を帰還する経路を設けることで、回路全体でみた場合における遅延を小さくしている。これにより、電圧信号Asの周波数は、端子Ifbを介した経路が存在しない場合と比較して、駆動電圧信号VDR1の精度を十分に確保できるほどに高くすることができる。
以上のように構成された駆動回路51aは、基駆動信号dAに基づく変調信号Msを電圧VHVにより増幅することで、増幅変調信号AMsを生成し、増幅変調信号AMsを平滑することで駆動電圧信号VDR1を生成する。すなわち、駆動回路51aは、基駆動信号dA,aAに基づいて、グラウンド電位である0Vから電圧VHVまでの範囲の電圧値であって、直流電圧を含む任意の波形の信号を駆動電圧信号VDR1として出力することができる。同様に本実施形態における駆動回路51bは、基駆動信号dBに基づく変調信号Msを電圧VHVにより増幅することで、増幅変調信号AMsを生成し、増幅変調信号AMsを平滑することで駆動電圧信号VDR2を生成する。すなわち、駆動回路51bは、基駆動信号dBに基づいて、グラウンド電位である0Vから電圧VHVまでの範囲の電圧値であって、直流電圧を含む任意の波形の信号を駆動電圧信号VDR2として出力する
ことができる。
1.3 プリントヘッドの構成及び動作
次に、プリントヘッド100の構成及び動作について説明する。ここで、液体吐出装置1が備えるm個のプリントヘッド100は、入力される信号が異なるのみであり、構成及び動作はいずれのプリントヘッド100も同様である。したがって、以下の説明では、1つのプリントヘッド100の構成及び動作についてのみ説明を行い、他のプリントヘッド100の構成及び動作の説明は省略する。また、以下の説明において、プリントヘッド100には、電圧VHV,VDDと、診断制御信号HC1~HCmとしての診断制御信号HCと、印刷データ信号SI11~SI1n,…,SIm1~SImnとしての印刷データ信号SI1~SInと、クロック信号SCK1~SCKmとしてのクロック信号SCKと、ラッチ信号LATと、チェンジ信号CHと、駆動電圧信号VDR1,VDR2と、基準電圧信号VBSと、が入力されるとして説明を行う。
図3は、プリントヘッド100の機能構成を示す図である。図3に示すようにプリントヘッド100は、異常検出回路250、駆動信号選択回路200-1~200-n、及びヘッドチップ300-1~300-nを有する。また、ヘッドチップ300-1~300-nは、それぞれがp個の圧電素子60を含む。なお、図3では、電源電圧及び制御電圧として用いられる電圧VHV,VDD等の図示を省略している。ここで、pは、1個のヘッドチップ300が有する吐出部600及び圧電素子60の数に相当する1以上の整数である。
異常検出回路250には、診断制御信号HC、印刷データ信号SI1、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び駆動電圧信号VDR1が入力される。そして、異常検出回路250は、診断制御信号HCと駆動電圧信号VDR1とに基づいて、プリントヘッド100に伝搬される信号が正常であるか否かの判定を実行する。すなわち、プリントヘッド100は、異常検出を行う異常検出回路250を含む。そして、異常検出回路250は、プリントヘッド100に伝搬される信号が正常であると判定した場合に、印刷データ信号SI1を駆動信号選択回路200-1に出力するとともに、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHを駆動信号選択回路200-1~200-nに出力する。また、異常検出回路250は、プリントヘッド100に伝搬される信号が正常であるか否かの判定結果を含む判定結果信号ESを生成し、プリントヘッド駆動回路2が有する吐出制御ユニット20に出力する。
ここで、異常検出回路250には、印刷データ信号SI1に代えて印刷データ信号SIjが入力されてもよく、また、駆動電圧信号VDR1に代えて、駆動電圧信号VDR2が入力されていてもよい。この場合、異常検出回路250は、印刷データ信号SIjを、対応する駆動信号選択回路200-jに出力する。なお、異常検出回路250の構成及び動作の詳細については後述する。
駆動信号選択回路200-1~200-nとヘッドチップ300-1~300-nとは、一対一で対応して設けられている。具体的には、駆動信号選択回路200-1はヘッドチップ300-1に対して各種信号を出力し、駆動信号選択回路200-nはヘッドチップ300-nに対して各種信号を出力し、駆動信号選択回路200-jはヘッドチップ300-jに対して各種信号を出力する。
詳細には、駆動信号選択回路200-1には、印刷データ信号SI1、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び駆動電圧信号VDR1,VDR2が入力される。駆動信号選択回路200-1は、印刷データ信号SI1に基づいて、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CHで規定されるタイミングで、駆動電圧信号VDR1,VDR
2の信号波形を選択又は非選択とすることで、ヘッドチップ300-1が有するp個の圧電素子60のそれぞれに対応するp個の駆動信号VOUTを生成する。
駆動信号選択回路200-1が生成したp個の駆動信号VOUTは、ヘッドチップ300-1に入力される。また、ヘッドチップ300-1には、基準電圧信号VBSも入力される。p個の駆動信号VOUTは、対応する圧電素子60の一端に個別に供給される。基準電圧信号VBSは、p個の圧電素子60の他端に共通に供給される。そして、p個の圧電素子60のそれぞれは、一端に個別に供給される駆動信号VOUTと他端に共通に供給される基準電圧信号VBSとの電位差に応じて駆動する。その結果、p個の圧電素子60のそれぞれに対応する不図示のノズルから、対応する圧電素子60の駆動に応じた量のインクが吐出される。
また、駆動信号選択回路200-1は、駆動信号選択回路200-1及びヘッドチップ300-1の温度や、駆動信号VOUTが圧電素子60に供給された後に生じる残留振動等に基づいてヘッドチップ300-1の状態を示すヘッド状態信号HS1を生成し、異常検出回路250に出力する。異常検出回路250は、入力されるヘッド状態信号HS1に基づいて、駆動信号選択回路200-1が正常であるか否かを判定する。そして、異常検出回路250は、駆動信号選択回路200-1が正常であるか否かの判定結果を、判定結果信号ESとして吐出制御ユニット20に出力する。
また、駆動信号選択回路200-nには、印刷データ信号SIn、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び駆動電圧信号VDR1,VDR2が入力される。駆動信号選択回路200-nは、印刷データ信号SInに基づいて、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CHで規定されるタイミングで、駆動電圧信号VDR1,VDR2の信号波形を選択又は非選択とすることで、ヘッドチップ300-nが有するp個の圧電素子60のそれぞれに対応するp個の駆動信号VOUTを生成する。
駆動信号選択回路200-nが生成したp個の駆動信号VOUTは、ヘッドチップ300-nに入力される。また、ヘッドチップ300-nには、基準電圧信号VBSも入力される。p個の駆動信号VOUTは、対応する圧電素子60の一端に個別に供給される。基準電圧信号VBSは、p個の圧電素子60の他端に共通に供給される。そして、p個の圧電素子60のそれぞれは、一端に個別に供給される駆動信号VOUTと他端に共通に供給される基準電圧信号VBSとの電位差に応じて駆動する。その結果、p個の圧電素子60のそれぞれに対応する不図示のノズルから、対応する圧電素子60の駆動に応じた量のインクが吐出される。
また、駆動信号選択回路200-nは、駆動信号選択回路200-n及びヘッドチップ300-nの温度や、駆動信号VOUTが圧電素子60に供給された後に生じる残留振動等に基づいてヘッドチップ300-nの状態を示すヘッド状態信号HSnを生成し、異常検出回路250に出力する。異常検出回路250は、入力されるヘッド状態信号HSnに基づいて、駆動信号選択回路200-nが正常であるか否かを判定する。そして、異常検出回路250は、駆動信号選択回路200-nが正常であるか否かの判定結果を、判定結果信号ESとして吐出制御ユニット20に出力する。
以上のように、プリントヘッド100において異常検出回路250は、プリントヘッド100に伝搬される信号が正常であるか否か、及びヘッドチップ300等が正常であるか否かを判定する。そして、異常検出回路250は、プリントヘッド100に伝搬される信号が正常であると判定した場合に、印刷データ信号SI1を駆動信号選択回路200-1に出力するとともに、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHを駆動信号選択回路200-1~200-nに出力する。駆動信号選択回路200-1~2
00-nは、入力される印刷データ信号SI1~SIn、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び駆動電圧信号VDR1,VDR2に基づいて駆動信号VOUTを生成し、対応するヘッドチップ300-1~300-nに出力する。そして、ヘッドチップ300-1~300-nは、入力される駆動信号VOUTに応じた量のインクを吐出する。
ここで、以下の説明において、異常検出回路250が、プリントヘッド100に伝搬される信号が正常であるか否かを判定する工程を診断工程と称し、駆動信号選択回路200-1~200-nが、駆動電圧信号VDR1,VDR2に基づく駆動信号VOUTを生成し、対応するヘッドチップ300-1~300-nに出力することで、ヘッドチップ300-1~300-nからインクが吐出される工程を印刷工程と称する場合がある。
なお、ヘッド状態信号HS1~HSnは、ワイヤードオア接続された1つの配線を伝搬することで異常検出回路250に入力されてもよく、個別に設けられた複数の配線を伝搬することで異常検出回路250に入力されてもよい。また、ヘッド状態信号HS1~HSnには、温度や残留振動の情報に代えて、若しくは温度や残留振動の情報に加えて、駆動信号選択回路200-1~200―n、及びヘッドチップ300-1~300-nの状態を示す各種情報が含まれてもよい。
1.4 駆動信号選択回路の構成、及び印刷工程における駆動信号選択回路の動作
次に駆動信号選択回路200-1~200-nの構成、及び印刷工程における駆動信号選択回路200-1~200-nの動作について説明する。ここで、駆動信号選択回路200-1~200-nはいずれも同様の構成であり、また、ヘッドチップ300-1~300-nはいずれも同様の構成である。そのため、以下の説明において、駆動信号選択回路200-1~200-nを区別する必要がない場合、単に駆動信号選択回路200と称し、ヘッドチップ300-1~300-nを区別する必要がない場合、単にヘッドチップ300と称する場合がある。その場合において、駆動信号選択回路200には、印刷データ信号SI、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHと、駆動電圧信号VDR1,VDR2と、が入力されるとして説明を行う。
駆動信号選択回路200の構成、及び印刷工程における駆動信号選択回路200の動作を説明するにあたり、まず、印刷工程において駆動信号選択回路200に入力される駆動電圧信号VDR1,VDR2の信号波形の一例、及び印刷工程において駆動信号選択回路200から出力される駆動信号VOUTの信号波形の一例について説明する。ここで、以下の説明において、印刷工程において吐出制御ユニット20が駆動電圧信号VDR1として出力する信号を駆動信号COMAと称し、駆動電圧信号VDR2として出力する信号を駆動信号COMBと称する。
図4は、駆動信号COMA,COMBの信号波形の一例を示す図である。図4に示すように、駆動信号COMAは、ラッチ信号LATが立ち上がってからチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T1に配置された台形波形Adp1と、チェンジ信号CHが立ち上がってからラッチ信号LATが立ち上がるまでの期間T2に配置された台形波形Adp2とを連続させた信号波形である。そして、台形波形Adp1がヘッドチップ300に供給された場合、ヘッドチップ300が有する対応するノズルから所定量のインクが吐出され、台形波形Adp2がヘッドチップ300に供給された場合、ヘッドチップ300が有する対応するノズルから所定量よりも多い量のインクが吐出される。ここで、以下の説明において台形波形Adp1がヘッドチップ300に供給された場合に吐出されるインクの量を小程度の量と称し、台形波形Adp2がヘッドチップ300に供給された場合に吐出されるインクの量を中程度の量と称する場合がある。
また、図4に示すように、駆動信号COMBは、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2とを連続させた信号波形である。そして、台形波形Bdp1がヘッドチップ300に供給された場合、ヘッドチップ300が有する対応するノズルからインクは吐出されない。この台形波形Bdp1は、ノズルの開孔部付近のインクを吐出されない程度に振動させて、インク粘度の増大を防止するための波形である。また、台形波形Bdp2がヘッドチップ300に供給された場合、ヘッドチップ300が有する対応するノズルから台形波形Adp1が供給された場合と同程度の量であって、小程度の量のインクが吐出される。
ここで、図4に示すように台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のそれぞれの開始タイミング及び終了タイミングでの電圧値は、いずれも電圧Vcで共通である。すなわち、台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のそれぞれは、電圧Vcで開始し電圧Vcで終了する信号波形である。そして、期間T1と期間T2とからなる周期Taが、媒体に新たなドットを形成する印刷周期に相当する。
なお、図4では、台形波形Adp1と台形波形Bdp2とが同じ信号波形である場合を図示しているが、台形波形Adp1と台形波形Bdp2とが異なる信号波形であってもよい。また、台形波形Adp1がヘッドチップ300に供給された場合と台形波形Bdp2がヘッドチップ300に供給された場合とでは、共に対応するノズルから小程度の量のインクが吐出されるとして説明を行うが、これに限るものではない。すなわち、駆動信号COMA,COMBの信号波形は、図4に示す信号波形に限られるものではなく、ヘッドチップ300が有するノズルから吐出されるインクの性質や、インクが着弾する媒体の材質等に応じて様々な形状の信号波形の組み合わせの信号が用いられてもよい。
また、図4では、駆動信号COMAに含まれる台形波形Adp1と台形波形Adp2とが切り替えられるタイミング、及び駆動信号COMBに含まれる台形波形Bdp1と台形波形Bdp2とが切り替えられるタイミングは、1つのチェンジ信号CHにより規定されているが、駆動信号COMAに含まれる台形波形Adp1と台形波形Adp2とが切り替えられるタイミングを規定するチェンジ信号CHと、駆動信号COMBに含まれる台形波形Bdp1と台形波形Bdp2とが切り替えられるタイミングを規定するチェンジ信号CHとが個別に設けられていてもよい。
図5は、印刷工程において媒体に形成されるドットの大きさが大ドットLD、中ドットMD、小ドットSD、及び非記録NDのそれぞれの場合における駆動信号VOUTの信号波形の一例を示す図である。
図5に示すように、媒体に大ドットLDが形成される場合の駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された台形波形Adp2と、を連続させた信号波形となっている。この駆動信号VOUTがヘッドチップ300に供給された場合、対応するノズルから、小程度の量のインクと中程度の量のインクとが吐出される。したがって、周期Taにおいて、それぞれのインクが媒体に着弾し合体することで媒体には大ドットLDが形成される。
媒体に中ドットMDが形成される場合の駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2と、を連続させた信号波形となっている。この駆動信号VOUTがヘッドチップ300に供給された場合、対応するノズルから、小程度の量のインクが2回吐出される。したがって、周期Taにおいて、それぞれのインクが媒体に着弾し合体することで媒体には中ドットMDが形成される。
媒体に小ドットSDが形成される場合の駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された電圧Vcで一定の信号波形と、を連続させた信号波形となっている。この駆動信号VOUTがヘッドチップ300に供給された場合、対応するノズルから、小程度の量のインクが1回吐出される。したがって、周期Taにおいて、このインクが媒体に着弾することで、媒体には小ドットSDが形成される。
媒体にドットを形成しない非記録NDに対応する駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された電圧Vcで一定の信号波形とを連続させた信号波形となっている。この駆動信号VOUTがヘッドチップ300に供給された場合、対応するノズルの開孔部付近のインクが微振動するのみで、インクは吐出されない。したがって、周期Taにおいて、インクが媒体に着弾せず、媒体にはドットが形成されない。
ここで、駆動信号VOUTにおける電圧Vcで一定の信号波形とは、駆動信号VOUTとして台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のいずれも選択されていない場合において、台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2の直前の電圧Vcが保持された電圧値の信号波形である。すなわち、駆動信号VOUTとして台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のいずれも選択されていない場合、直前の電圧Vcが駆動信号VOUTとしてヘッドチップ300に供給されることになる。
駆動信号選択回路200は、印刷工程における駆動電圧信号VDR1である駆動信号COMAに含まれる台形波形Adp1,Adp2と、印刷工程における駆動電圧信号VDR2である駆動信号COMBに含まれる台形波形Bdp1,Bdp2とを選択又は非選択とすることで、p個の圧電素子60のそれぞれに個別に対応する駆動信号VOUTを生成し、対応する圧電素子60に出力する。
図6は、駆動信号選択回路200の機能構成を示す図である。図6に示すように駆動信号選択回路200は、選択制御回路210と複数の選択回路230とを含む。また、図6には、駆動信号選択回路200から出力される駆動信号VOUTが供給されるヘッドチップ300の一例を併せて図示している。ヘッドチップ300は、p個の圧電素子60のそれぞれに対応するp個の吐出部600を含む。
選択制御回路210には、印刷データ信号SI、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHが入力される。選択制御回路210には、レジスター212とラッチ回路214とデコーダー216との組が、ヘッドチップ300が有するp個の吐出部600の各々に対応して設けられている。すなわち、選択制御回路210は、p個の吐出部600と同数のレジスター212とラッチ回路214とデコーダー216との組を含む。
印刷データ信号SIは、クロック信号SCKに同期した信号であって、p個の吐出部600の各々に対して、大ドットLD、中ドットMD、小ドットSD、及び非記録NDのいずれかを選択するための2ビットの印刷データ[SIH,SIL]をシリアルに含む、合計2pビットの信号である。印刷データ信号SIは、p個の吐出部600に対応して、印刷データ信号SIに含まれる印刷データ[SIH,SIL]毎に、レジスター212に保持される。
具体的には、選択制御回路210において、レジスター212は、互いに縦続接続されることによりp段のシフトレジスターを構成している。印刷データ信号SIとしてシリアルに入力される印刷データ[SIH,SIL]は、クロック信号SCKに従って順次後段
のレジスター212に転送される。そして、クロック信号SCKの供給が停止することで、p個の吐出部600のそれぞれに対応した印刷データ[SIH,SIL]が、p個の吐出部600のそれぞれに対応したレジスター212に保持される。なお、以下の説明において、シフトレジスターを構成するp個のレジスター212を区別するために、印刷データ信号SIが伝搬される上流側から下流側に向かい順に1段、2段、…、p段と称する場合がある。
p個のラッチ回路214の各々は、p個のレジスター212に対応して設けられている。ラッチ回路214の各々は、p個のレジスター212の各々で保持されている印刷データ[SIH,SIL]をラッチ信号LATの立ち上がりで一斉にラッチし、対応するデコーダー216に出力する。
図7は、デコーダー216におけるデコード内容の一例を示す図である。デコーダー216は、ラッチ回路214がラッチした印刷データ[SIH,SIL]を、図7に示す内容でデコードすることで選択信号S1,S2を生成し出力する。例えば、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択信号S1の論理レベルを、期間T1,T2においてH,Lレベルとして選択回路230に出力し、選択信号S2の論理レベルを、期間T1,T2においてL,Hレベルとして選択回路230に出力する。
選択回路230は、p個の吐出部600のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、駆動信号選択回路200は、p個の吐出部600と同数のp個の選択回路230を有する。図8は、吐出部600の1個分に対応する選択回路230の構成を示す図である。図8に示すように、選択回路230は、NOT回路であるインバーター232a,232bとトランスファーゲート234a,234bとを含む。
選択信号S1は、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付されていない正制御端に入力される一方で、インバーター232aによって論理反転されて、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付された負制御端に入力される。また、トランスファーゲート234aの入力端には、駆動電圧信号VDR1である駆動信号COMAが供給される。選択信号S2は、トランスファーゲート234bにおいて丸印が付されていない正制御端に入力される一方で、インバーター232bによって論理反転されて、トランスファーゲート234bにおいて丸印が付された負制御端に入力される。また、トランスファーゲート234bの入力端には、駆動電圧信号VDR2である駆動信号COMBが供給される。そして、トランスファーゲート234aの出力端とトランスファーゲート234bの出力端とが共通に接続される。このトランスファーゲート234aの出力端とトランスファーゲート234bの出力端とが共通に接続された接続端の信号が駆動信号VOUTとして出力される。
具体的には、選択信号S1がHレベルの場合、トランスファーゲート234aの入力端と出力端との間が導通となり、選択信号S1がLレベルの場合、トランスファーゲート234aの入力端と出力端との間が非導通となる。また、選択信号S2がHレベルの場合、トランスファーゲート234bの入力端と出力端との間が導通となり、選択信号S2がLレベルの場合、トランスファーゲート234bの入力端と出力端との間が非導通となる。すなわち、選択回路230は、選択信号S1,S2に基づいてトランスファーゲート234a,234bの入力端と出力端との間の導通状態を切り替え、トランスファーゲート234a,234bの入力端に供給される駆動信号COMA,COMBの信号波形を選択又は非選択とすることで、トランスファーゲート234aの出力端とトランスファーゲート234bの出力端とが共通に接続された接続端に、駆動信号VOUTを生成する。
図9を用いて、駆動信号選択回路200の動作について説明する。図9は、駆動信号選択回路200の動作を説明するための図である。印刷データ信号SIに含まれる印刷データ[SIH,SIL]は、クロック信号SCKに同期してシリアルで入力される。そして、印刷データ[SIH,SIL]は、クロック信号SCKに同期してp個の吐出部600に対応してシフトレジスターを構成するレジスター212で順次転送される。その後、クロック信号SCKの供給が停止することで、レジスター212のそれぞれには、p個の吐出部600のそれぞれに対応して印刷データ[SIH,SIL]が保持される。なお、印刷データ信号SIに含まれる印刷データ[SIH,SIL]は、シフトレジスターを構成するレジスター212のp段、…、2段、1段の吐出部600に対応した順に入力される。
そして、ラッチ信号LATが立ち上がると、ラッチ回路214のそれぞれは、レジスター212に保持されている印刷データ[SIH,SIL]を一斉にラッチする。なお、図9において、LS1、LS2、…、LSpは、1段、2段、…、p段のレジスター212に対応するラッチ回路214によってラッチされた印刷データ[SIH,SIL]を示す。
デコーダー216は、ラッチされた印刷データ[SIH,SIL]で規定されるドットのサイズに応じて、期間T1,T2のそれぞれにおいて、選択信号S1,S2の論理レベルを図7に示す内容で出力する。
具体的には、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[1,1]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてH,Hレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてL,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2を選択する。その結果、選択回路230の出力端には、図5に示す大ドットLDに対応する駆動信号VOUTが生成される。
また、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてH,Lレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてL,Hレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Bdp2を選択する。その結果、選択回路230の出力端には、図5に示す中ドットMDに対応する駆動信号VOUTが生成される。
また、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[0,1]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてH,Lレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてL,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2,Bdp2のいずれも選択しない。その結果、選択回路230の出力端には、図5に示す小ドットSDに対応する駆動信号VOUTが生成される。
また、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[0,0]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてL,Lレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてH,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Bdp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2,Bdp2のいずれも選択しない。その結果、選択回路230の出力端には、図5に示す非記録NDに対応する駆動信号VOUTが生成される。
以上のように、駆動信号選択回路200は、印刷データ信号SI、クロック信号SCK
、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHに基づいて、印刷工程における駆動電圧信号VDR1である駆動信号COMA、及び印刷工程における駆動電圧信号VDR2である駆動信号COMBの信号波形を選択することで駆動信号VOUTを生成し出力する。すなわち、駆動信号VOUTが駆動信号の一例である。また、駆動信号VOUTが駆動信号COMA,COMBの波形を選択することで生成されている点に鑑みると、駆動信号COMA,COMBもまた駆動信号の一例であるといえる。
1.5 液体吐出装置の構造
1.5.1 液体吐出装置の構造
次に、液体吐出装置1の構造の一例について説明を行う。図10は、液体吐出装置1の概略構造を示す図である。図10には、互いに直交するX方向、Y方向、及びZ方向を示す矢印を示している。ここで、Y方向は、媒体Pが搬送される搬送方向に相当し、X方向は、Y方向と直交し水平面に平行な方向であって主走査方向に相当し、Z方向は、液体吐出装置1の上下方向であって鉛直方向に相当する。また、以下の説明において、X方向、Y方向、及びZ方向に沿った向きを特定する場合、X方向を示す矢印の先端側を+X側、起点側を-X側と称し、Y方向を示す矢印の先端側を+Y側、起点側を-Y側と称し、Z方向を示す矢印の先端側を+Z側、起点側を-Z側と称する場合がある。
図10に示すように、液体吐出装置1は、上述したメイン制御ユニット10、吐出制御ユニット20、及びm個のプリントヘッド100に加えて、液体容器5、ポンプ8、及び搬送機構40を備える。なお、以下の説明において液体吐出装置1は、複数のプリントヘッド100として、プリントヘッド100-1~100-6の6個のプリントヘッド100を有する場合を例示して説明を行う。
メイン制御ユニット10には、液体吐出装置1の外部に設けられた商用交流電源7から商用交流電圧である交流電圧ACが供給される。液体吐出装置1は、交流電圧ACを電源電圧として動作を開始する。また、メイン制御ユニット10には、液体吐出装置1の外部に設けられたホストコンピューター等の外部機器3からLAN(Local Area Network)ケーブルやUSB(Universal Serial Bus)ケーブルを介して画像データPDが入力される。メイン制御ユニット10は、入力される画像データPDに基づいて、画像情報信号IPを生成し、吐出制御ユニット20に出力する。また、メイン制御ユニット10は、媒体Pを搬送する搬送機構40に対して搬送制御信号TCを出力することで、媒体Pの搬送を制御するとともに、ポンプ8にポンプ制御信号AIRを出力することで、ポンプ8の動作を制御する。
液体容器5には、媒体Pに吐出されるインクが貯留されている。具体的には、液体容器5は、シアンC、マゼンタM、イエローY、及びブラックKの4色のインクが貯留される4個の容器を含む。そして、液体容器5に貯留されているインクは、チューブ等のインク流路を介して吐出制御ユニット20に供給される。なお、液体容器5が備えるインクが貯留される容器は4個に限られるものではなく、また、貯留されるインクの色彩は、シアンC、マゼンタM、イエローY、及びブラックKの4色に限られるものではない。
吐出制御ユニット20は、チューブ等のインク流路を介して供給されるインクをプリントヘッド100-1~100-6のそれぞれに分配するとともに、メイン制御ユニット10から供給される画像情報信号IPに基づいて、プリントヘッド100-1~100-6のそれぞれを駆動する各種信号を生成し、プリントヘッド100-1~100-6に供給する。
プリントヘッド100-1~100-6は、吐出制御ユニット20の+Z側に位置し、X方向に沿って、-X側から+X側に向かい、プリントヘッド100-1、プリントヘッ
ド100-2、プリントヘッド100-3、プリントヘッド100-4、プリントヘッド100-5、プリントヘッド100-6の順に媒体Pの幅以上となるように並んで配置されている。そして、プリントヘッド100-1~100-6は、吐出制御ユニット20から入力される各種信号に基づいて、吐出制御ユニット20、及びチューブ等のインク流路を介して供給されるインクを吐出する。なお、液体吐出装置1が有するプリントヘッド100は6個に限られるものではなく、5個以下、又は7個以上であってもよい。
搬送機構40は、メイン制御ユニット10から入力される搬送制御信号TCに基づいて、媒体PをY方向に沿って搬送する。このような搬送機構40は、媒体Pを搬送するための不図示のローラーや、当該ローラーを回転駆動させるためのモーター等を含んで構成される。
ポンプ8は、メイン制御ユニット10から入力されるポンプ制御信号AIRに基づいて、吐出制御ユニット20に空気を供給するか否か、及び供給する空気の供給量を制御する。ポンプ8は、例えば、1本又は複数のチューブを介して、吐出制御ユニット20に接続されている。そして、ポンプ8は、各チューブに流れる空気を制御することで、吐出制御ユニット20が有するバルブの開閉を制御する。なお、以下の説明においてポンプ8は、2本のチューブを介して、吐出制御ユニット20に接続されている。
以上のように、液体吐出装置1は、メイン制御ユニット10が、ホストコンピューター等の外部機器3から入力される画像データPDに基づく画像情報信号IPを生成し、吐出制御ユニット20に供給するとともに、搬送制御信号TCにより搬送機構40における媒体Pの搬送を制御する。また、吐出制御ユニット20は、入力される画像情報信号IPに基づいて、プリントヘッド100-1~100-6からのインクの吐出を制御する。これにより、液体吐出装置1は、媒体Pの搬送とインクの吐出タイミングとを制御し、媒体Pの所望の位置にインクを着弾させる。その結果、媒体Pに所望の画像が形成される。
1.5.2 吐出制御ユニットの構造
次に、チューブ等のインク流路を介して液体容器5から供給されるインクをプリントヘッド100-1~100-6のそれぞれに分配するとともに、メイン制御ユニット10から供給される画像情報信号IPに基づいてプリントヘッド100-1~100-6のそれぞれを駆動する吐出制御ユニット20の構造の一例について説明する。
図11は、吐出制御ユニット20の構造の一例を示す図である。また、図11には、吐出制御ユニット20と併せて、吐出制御ユニット20の+Z側に位置するプリントヘッド100-1~100-6、及び吐出制御ユニット20とプリントヘッド100-1~100-6のそれぞれとを電気的に接続するケーブルFC1,FC2を図示している。
図11に示すように、吐出制御ユニット20は、液体容器5から供給されるインクを導入する導入流路部G1、導入されたインクのプリントヘッド100-1~100-6への供給を制御する供給制御部G2、プリントヘッド100-1~100-6が固定されるヘッド支持部G3、及びプリントヘッド100-1~100-6からのインクの吐出を制御する吐出制御部G4を有する。そして、導入流路部G1、供給制御部G2、ヘッド支持部G3、及び吐出制御部G4は、Z方向に沿って、-Z側から+Z側に向かい、吐出制御部G4、導入流路部G1、供給制御部G2、ヘッド支持部G3の順に積層され、不図示の接着剤やネジ等の固定手段によって固定される。
導入流路部G1は、吐出制御ユニット20に供給されるインク色の数に応じた複数の液体導入口IS1と、当該インク色の数やプリントヘッド100の数に応じた複数の液体排出口ID1とを有する。複数の液体導入口IS1のそれぞれは、導入流路部G1の-Z側
の面に位置している。この複数の液体導入口IS1には、不図示のチューブ等を介して液体容器5からインクが供給される。また、複数の液体排出口ID1は、導入流路部G1の+Z側の面に位置している。複数の液体排出口ID1は、吐出制御ユニット20に供給されるインクを液体吐出装置1が有する複数のプリントヘッド100のそれぞれに対応して排出する。すなわち、導入流路部G1は、液体吐出装置1が有する複数のプリントヘッド100の数と、吐出制御ユニット20に供給されるインク色の数との積に相当する数の液体排出口ID1とを有する。具体的には、本実施形態に示すように液体吐出装置1が6個のプリントヘッド100を有し、吐出制御ユニット20に4色のインクが供給される場合、導入流路部G1は、24個の液体排出口ID1を有することとなる。このような導入流路部G1の内部には、インク色毎に対応して液体導入口IS1と液体排出口ID1とを連通するインク流路が形成されている。
また、導入流路部G1は、複数の空気導入口AS1と、複数の空気排出口AD1とを有する。複数の空気導入口AS1のそれぞれは、導入流路部G1の-Z側の面に設けられ、不図示のチューブを介してポンプ8と接続されている。また、複数の空気排出口AD1のそれぞれは、導入流路部G1の+Z側の面に設けられている。複数の空気排出口AD1は、吐出制御ユニット20に供給される空気を液体吐出装置1が有する複数のプリントヘッド100のそれぞれに対応して排出する。導入流路部G1の内部には、1個の空気導入口AS1と、プリントヘッド100に対応する複数の空気排出口AD1とを連通する空気流路が形成されている。
供給制御部G2は、液体吐出装置1が有する複数のプリントヘッド100に対応する複数の圧力調節ユニットUを有する。また、複数の圧力調節ユニットUのそれぞれは、吐出制御ユニット20に供給されるインク色の数に応じた複数の液体導入口IS2と、複数の液体導入口IS2に一対一で対応する不図示の排出口とを有する。
複数の液体導入口IS2のそれぞれは、圧力調節ユニットUの-Z側において、導入流路部G1が有する液体排出口ID1のそれぞれに対応して位置し、対応する液体排出口ID1のそれぞれと接続される。また、不図示の複数の排出口のそれぞれは、圧力調節ユニットUの-Z側に位置している。そして、圧力調節ユニットUの内部には、1個の液体導入口IS2と1個の不図示の排出口とを連通するインク流路が形成されている。
また、複数の圧力調節ユニットUのそれぞれは、ポンプ8と接続されるチューブの数に応じた複数の空気導入口AS2を有する。複数の空気導入口AS2のそれぞれは、圧力調節ユニットUの-Z側において、導入流路部G1が有する空気排出口AD1のそれぞれに対応して位置し、対応する空気排出口AD1のそれぞれと接続される。また、圧力調節ユニットUの内部には、インク流路を開閉する不図示のバルブやインク流路を流れるインクの圧力を調節する不図示の調整弁が設けられている。圧力調節ユニットUは、空気導入口AS2から供給される空気によって当該バルブや調整弁の動作を制御することで、液体導入口IS2と不図示の排出口とを連通する不図示のインク流路に流れるインク量を制御する。
ヘッド支持部G3は、液体吐出装置1が有するプリントヘッド100-1~100-6を支持する支持部材35を有する。支持部材35は、+Z側において、プリントヘッド100-1~100-6のそれぞれを不図示の接着剤やネジ等の固定手段によって固定することで支持する。
支持部材35は、プリントヘッド100-1~100-6が有する後述する液体導入口IS3に対応して形成された開口部353を有する。そして、プリントヘッド100-1~100-6が有する後述する液体導入口IS3は、開口部353を挿通することで、ヘ
ッド支持部G3の-Z側に露出する。このプリントヘッド100-1~100-6が有する後述する液体導入口IS3が、供給制御部G2が有する不図示の排出口のそれぞれと接続される。
以上のように構成された、導入流路部G1、供給制御部G2、ヘッド支持部G3を介して、液体容器5に貯留されているインクがプリントヘッド100-1~100-6に供給される。具体的には、液体容器5に貯留されているインクは、不図示のチューブ等を介して、導入流路部G1が有する液体導入口IS1に供給される。液体導入口IS1に供給されたインクは、導入流路部G1の内部に設けられた不図示のインク流路によってプリントヘッド100-1~100-6に対応して分配された後、液体排出口ID1を介して圧力調節ユニットUが有する液体導入口IS2に供給される。液体導入口IS2に供給されたインクは、圧力調節ユニットUの内部に設けられたインク流路、及び不図示の排出口を介して、ヘッド支持部G3に支持されたプリントヘッド100-1~100-6のそれぞれの液体導入口IS3に供給される。すなわち、インクが液体容器5から供給されたインクは、導入流路部G1で分岐された後、供給制御部G2においてインクの供給量が制御され、ヘッド支持部G3が支持するプリントヘッド100-1~100-6に供給される。
吐出制御部G4は、導入流路部G1の-Z側に位置し、配線基板410と配線基板420とを有する。
配線基板410は、面411と、面411の反対側に位置する面412とを含む。そして、配線基板410は、面412が導入流路部G1、供給制御部G2、及びヘッド支持部G3側を向き、面411が導入流路部G1、供給制御部G2、及びヘッド支持部G3とは反対側を向くように配置される。
配線基板410の面411には、駆動電圧信号VDR1,VDR2を出力する駆動電圧出力回路50が設けられている。また、配線基板410の面412には、接続部413が設けられている。接続部413は、配線基板410と配線基板420とを電気的に接続し、駆動電圧出力回路50で生成された駆動電圧信号VDR1,VDR2を配線基板420に伝搬するとともに、駆動電圧出力回路50が出力する駆動電圧信号VDR1,VDR2の基となる基駆動信号dA,dBを含む複数の信号を配線基板410に伝搬する。
配線基板420は、面421と、面421の反対側に位置する面422とを含む。そして、配線基板420は、面422が導入流路部G1、供給制御部G2、及びヘッド支持部G3側を向き、面421が導入流路部G1、供給制御部G2、及びヘッド支持部G3とは反対側を向くように配置される。
配線基板420の面421には、半導体装置428、接続部423,426,427が設けられている。接続部423は、配線基板410に設けられた接続部413と接続される。これにより、配線基板420は、配線基板410と電気的に接続する。このような接続部413,423としては、配線基板410と配線基板420とをケーブルを用いずに直接電気的に接続するBtoB(Board To Board)コネクターが用いられる。半導体装置428は、前述した吐出制御回路21の少なくとも一部を構成する回路部品であって、例えば、SoC等で構成されている。半導体装置428は、接続部423よりも配線基板420の-X側の領域に設けられている。接続部426には、吐出制御ユニット20の電源電圧として機能する電圧VHV,VDDが入力される。この接続部426は、半導体装置428の-Y側に位置している。接続部427には、メイン制御ユニット10が出力する画像情報信号IPが入力される。すなわち、接続部427は、入力される画像情報信号IPが伝搬する複数の端子を有する。このような接続部427は、半導体装置428の-Y側であって、且つ接続部426の-X側に位置している。ここで、接続部426,427
は、1つの接続部で構成されていてもよい。
配線基板420の面422には、液体吐出装置1が有するプリントヘッド100と同数の複数の接続部424と、液体吐出装置1が有するプリントヘッド100と同数の複数の接続部425と、が設けられている。複数の接続部424は、配線基板420の-Y側の辺に沿って並んで設けられ、複数の接続部425は、配線基板420の+Y側の辺に沿って並んで設けられている。吐出制御部G4で生成された各種の制御信号は、接続部424,425を介して出力される。
接続部424には、ケーブルFC1の一端が接続される。そして、ケーブルFC1は、導入流路部G1、供給制御部G2、及びヘッド支持部G3の-Y側を通過し、ヘッド支持部G3に設けられた開口部351を挿通することで、ヘッド支持部G3の-Z側に位置する複数のプリントヘッド100のそれぞれと電気的に接続する。
また、接続部425には、ケーブルFC2の一端が接続される。そして、ケーブルFC2は、導入流路部G1、供給制御部G2、及びヘッド支持部G3の+Y側を通過し、ヘッド支持部G3に設けられた開口部352を挿通することで、ヘッド支持部G3の-Z側に位置する複数のプリントヘッド100のそれぞれと電気的に接続する。すなわち、ケーブルFC1,FC2は、それぞれがプリントヘッド100と同数設けられ、吐出制御部G4で生成された各種の制御信号を対応するプリントヘッド100に伝搬する。このようなケーブルFC1,FC2は、例えばフレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)やフレキシブル配線基板(FPC:Flexible Printed Circuit)で構成されている。
以上のように構成された、吐出制御ユニット20では、メイン制御ユニット10から入力される画像情報信号IPが、吐出制御部G4に供給される。吐出制御部G4が有する半導体装置428及び不図示の周辺回路は、メイン制御ユニット10から入力される画像情報信号IPに基づいて、プリントヘッド100-1~100-6の動作を制御する電圧VHV,VDD、診断制御信号HC1~HCm、印刷データ信号SI11~SI1n,…,SIm1~SImn、クロック信号SCK1~SCKm、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CHを生成するとともに、基駆動信号dA,dBを生成する。基駆動信号dA,dBは、配線基板410に設けられた駆動電圧出力回路50に供給される。これにより、駆動電圧出力回路50は、駆動電圧信号VDR1,VDR2と基準電圧信号VBSとを生成し、配線基板420に出力する。そして、吐出制御部G4は、生成した診断制御信号HC1~HCm、印刷データ信号SI11~SI1n,…,SIm1~SImn、クロック信号SCK1~SCKm、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、駆動電圧信号VDR1,VDR2、及び基準電圧信号VBSと、電圧VHV,VDDと、を対応するケーブルFC1,FC2を介して、対応するプリントヘッド100-1~100-6に供給する。
なお、本実施形態では、吐出制御ユニット20と1つのプリントヘッド100とは、ケーブルFC1とケーブルFC2との2つの信号ケーブルで接続されている場合を例示しているが、吐出制御ユニット20と1つのプリントヘッド100とは、3つ以上の信号ケーブルを用いて電気的に接続されてもよく、また、1つの信号ケーブルで電気的に接続されていてもよい。また、以下の説明においてケーブルFC1,FC2は、フレキシブルフラットケーブルであるとして説明を行う。
次に、ヘッド支持部G3に支持されるプリントヘッド100-1~100-6の配置の一例について説明する。図12は、プリントヘッド100-1~100-6の配置の一例を示す図である。図12に示すように、複数のプリントヘッド100-1~100-6は、それぞれが、X方向に沿って並んで配置された6個のヘッドチップ300を有する。各
ヘッドチップ300は、Z方向に垂直な方向であって、且つX方向とY方向とが成す平面において、列方向RDに沿って並んで配置され、インクを吐出する複数のノズル651を有する。なお、以下の説明において、列方向RDに沿って並んで配置された複数のノズル651のことをノズル列と称する場合がある。
ヘッドチップ300は、列方向RDに沿って2列のノズル列を有する。そして、プリントヘッド100が有する2列のノズル651には、シアンCの色彩のインクを吐出するグループと、マゼンタMの色彩のインクを吐出するグループと、イエローYの色彩のインクを吐出するグループと、ブラックKの色彩のインクを吐出するグループと、が含まれている。なお、プリントヘッド100-1~100-6のそれぞれが有するヘッドチップ300の数は6個に限られるものではない。
1.5.3 プリントヘッドの構造
次に、プリントヘッド100-1~100-6の構造について説明する。なお、前述のとおりプリントヘッド100-1~100-6はいずれも同様の構成であり、以下の説明では、プリントヘッド100-1~100-6を単にプリントヘッド100と称して説明を行う。
図13は、プリントヘッド100の構造の一例を示す図である。図13に示すように、プリントヘッド100は、フィルター部110、シール部材120、配線基板130、ホルダー140、6個のヘッドチップ300、及び固定板150を備える。そして、プリントヘッド100は、Z方向に沿って-Z側から+Z側に向かい、フィルター部110、シール部材120、配線基板130、ホルダー140、固定板150の順に重ね合されて構成されるとともに、ホルダー140と固定板150との間に6個のヘッドチップ300が収容される。
フィルター部110は、向かい合う2辺がX方向に沿って延在し、向かい合う2辺が列方向RDに沿って延在する略平行四辺形状である。フィルター部110は、4個のフィルター113と、4個の液体導入口IS3とを有する。4個の液体導入口IS3は、フィルター部110の内部に位置する4個のフィルター113に対応して、フィルター部110の-Z側に位置している。そして、4個の液体導入口IS3には、吐出制御ユニット20を介して液体容器5からインクが供給され、フィルター113は、液体導入口IS3から導入されるインクに含まれる気泡や異物を捕集する。
また、フィルター部110には、開口部115,117が形成されている。開口部115は、フィルター部110の-Y側の辺に沿って開口し、プリントヘッド100がヘッド支持部G3に支持された状態において、ヘッド支持部G3に設けられた開口部351と連通する。また、開口部117は、フィルター部110の+Y側の辺に沿って開口し、プリントヘッド100がヘッド支持部G3に支持された状態において、ヘッド支持部G3に設けられた開口部352と連通する。
シール部材120は、フィルター部110の+Z側に位置し、向かい合う2辺がX方向に沿って延在し、向かい合う2辺が列方向RDに沿って延在する略平行四辺形状である。シール部材120の四隅には、後述する液体流路145が挿通される貫通開口123が設けられている。このようなシール部材120は、例えば、ゴム等の弾性部材によって形成されている。また、シール部材120には、開口部125,127が形成されている。開口部125は、シール部材120の-Y側の辺に沿って開口し、フィルター部110に形成された開口部115と連通する。また、開口部127は、シール部材120の+Y側の辺に沿って開口し、フィルター部110に形成された開口部117と連通する。
配線基板130は、シール部材120の+Z側に位置し、向かい合う2辺がX方向に沿って延在し、向かい合う2辺が列方向RDに沿って延在する略平行四辺形状である。図14は、配線基板130の構成の一例を示す図である。なお、図14では、配線基板130を-Z側から見た場合の構成を実線で示し、配線基板130を-Z側から見た場合に視認できない構成の一部を破線で図示している。
図14に示すように、配線基板130は、基板400、コネクターCN1,CN2、及び半導体装置450を有する。なお、配線基板130は、基板400、コネクターCN1,CN2、及び半導体装置450に加えて、抵抗素子、容量素子、誘導素子、及び半導体素子等の不図示の電子部品を有してもよい。
基板400は、互いに向かい合って位置する辺403及び辺404と、互いに向かい合って位置する辺405及び辺406とを有する略平行四辺形状であって、面401と、面401と異なり面401と向かい合って位置する面402とを有する。そして、基板400は、辺403がX方向に沿って延在し、辺404が辺403よりも+Y側に位置しX方向に沿って延在し、辺405が列方向RDに沿って延在し、辺406が辺405よりも-X側に位置し列方向RDに沿って延在するとともに、面401が-Z側、面402が+Z側となるように設けられている。すなわち、基板400は、辺403と辺404とが、Y方向に沿った方向において互いに向かい合って位置し、辺405と辺406とが、X方向に沿った方向において互いに向かい合って位置するとともに、鉛直方向に沿って面401が上方を向き、面402が下方を向くように位置している。なお、この場合において、基板400は、面401が鉛直方向と直交するように位置していることが好ましい。
また、基板400の四隅には、切欠部135が形成されている。切欠部135には、後述するホルダー140に設けられた液体流路145が通過する。ここで、切欠部135は、基板400の+Z側に位置するホルダー140に設けられた液体流路145と、基板400の-Z側に位置するフィルター部110が有する液体導入口IS3とを連通可能に接続できる構成であればよく、例えば、液体流路145を挿通させるために面401と面402と貫通するように設けられた孔であってもよい。
また、基板400には、基板400の面401と面402とを貫通する4つのFPC挿通孔136と、基板400の辺405及び辺406のそれぞれの一部が切り欠かれた2つのFPC切欠部137とが形成されている。4つのFPC挿通孔136及びFPC切欠部137のそれぞれには、後述する6個のヘッドチップ300のそれぞれが有するフレキシブル配線基板346が通過する。そして、4つのFPC挿通孔136及びFPC切欠部137のそれぞれを通過したフレキシブル配線基板346は、基板400の面401に形成された接続端子138と電気的に接続される。
なお、基板400は、面401と、面401と向かい合って位置する面402との間に複数の配線層を含む所謂多層基板であってもよい。
コネクターCN1は、複数の端子TM1を有する。コネクターCN1は、複数の端子TM1が辺403に沿って並んで位置するように、基板400の面401に設けられている。そして、プリントヘッド100において、コネクターCN1は、フィルター部110に形成された開口部115、及びシール部材120に形成された開口部125を挿通し、プリントヘッド100の-Z側に露出する。また、コネクターCN2は、複数の端子TM2を有する。コネクターCN2は、複数の端子TM2が辺404に沿って並んで位置するように、基板400の面401に設けられている。そして、プリントヘッド100において、コネクターCN2は、フィルター部110に形成された開口部117、及びシール部材120に形成された開口部127を挿通し、プリントヘッド100の-Z側に露出する。
また、基板400の面402には、半導体装置450が位置している。半導体装置450は、前述した異常検出回路250の少なくとも一部を構成する。このような半導体装置450は、表面実装部品であって、例えば、バンプ電極を介して基板400と電気的に接続されている。なお、半導体装置450は、表面実装部品であって、例えば、半導体装置450の四辺に沿って形成された複数の電極を介して基板400と電気的に接続するQFN(Quad Flat No leaded package)であってもよく、また、QFNが有する複数の電極に変えて複数の端子を介して基板400と電気的に接続するQFP(Quad Flat Package)であってもよい。
異常検出回路250の少なくとも一部を構成する半導体装置450に異常が生じた場合、プリントヘッド100の動作異常を正常に検出できないおそれがある。本実施形態では、異常検出回路250の少なくとも一部を構成する半導体装置450を基板400の下方に位置する面402に設けることで、内部に浮遊するインクミストが半導体装置450に付着するおそれ、及びプリントヘッド100の内部で漏れ出したインクが半導体装置450に付着するおそれを低減し、異常検出回路250の少なくとも一部を構成する半導体装置450にインクミストの付着に起因した動作異常が生じるおそれを低減している。
図13に戻り、ホルダー140は、配線基板130の+Z側に位置し、向かい合う2辺がX方向に沿って延在し、向かい合う2辺が列方向RDに沿って延在する略平行四辺形状である。ホルダー140は、ホルダー部材141,142,143を有する。ホルダー部材141,142,143は、Z方向に沿って、-Z側から+Z側に向かいホルダー部材141、ホルダー部材142、ホルダー部材143の順に積層されている。また、ホルダー部材141とホルダー部材142との間、及びホルダー部材142とホルダー部材143との間は、接着剤等によって接着されている。
ホルダー部材143の内部には、+Z側に開口部を有する不図示の収容空間が形成されている。このホルダー部材143の内部に形成された収容空間にヘッドチップ300が収容される。ここで、ホルダー部材143の内部に形成される収容空間は、6個のヘッドチップ300のそれぞれを個別に収容可能な複数の空間であってもよく、6個のヘッドチップ300を共通に収容可能な1つの空間であってもよい。
また、ホルダー140には、6個のヘッドチップ300のそれぞれに対応するスリット孔146が設けられている。このスリット孔146には、後述する6個のヘッドチップ300のそれぞれが有するフレキシブル配線基板346が通過する。すなわち、ホルダー140に形成されたスリット孔146は、配線基板130が有する4つのFPC挿通孔136及びFPC切欠部137に対応して設けられている。
また、ホルダー140の-Z側の面の四隅には、4個の液体流路145が設けられている。液体流路145のそれぞれは、配線基板130の切欠部135を通過するとともに、シール部材120に設けられた貫通開口123を挿通し、フィルター部110に接続される。
固定板150は、ホルダー140の+Z側に位置し、ホルダー部材143の内部に形成された6個のヘッドチップ300が収容される収容空間を封止する。固定板150は、平面部151、及び折曲部152,153,154を有する。平面部151は、向かい合う2辺がX方向に沿って延在し、向かい合う2辺が列方向RDに沿って延在する略平行四辺形状である。平面部151には、ヘッドチップ300を露出させるための6個の開口部155が形成されている。ヘッドチップ300は、2列のノズル列が平面部151に開口部155を介してプリントヘッド100の+Z側に露出するように固定板150に固定され
る。
折曲部152は、平面部151のX方向に沿って延在する一方の辺と接続し-Z側に折り曲げられた平面部151と一体の部材であり、折曲部153は、平面部151の列方向RDに沿って延在する一方の辺と接続し-Z側に折り曲げられた平面部151と一体の部材であり、折曲部154は、平面部151の列方向RDに沿って延在する他方の辺と接続し-Z側に折り曲げられた平面部151と一体の部材である。
ヘッドチップ300は、ホルダー140の+Z側であって固定板150の-Z側に位置する。ヘッドチップ300は、ホルダー140のホルダー部材143と固定板150とで形成された収容空間に収容されるとともに、ホルダー部材143、及び固定板150に固定される。
図15は、ヘッドチップ300の概略構造を示す図である。なお、図15では、ヘッドチップ300を少なくとも1つのノズル651を含むように列方向RDと垂直な方向に切断した場合のヘッドチップ300の断面を図示している。図15に示すように、ヘッドチップ300は、インクを吐出する複数のノズル651が設けられたノズルプレート310と、連通流路365、個別流路363、及びリザーバー367を画定する流路形成基板321と、圧力室369を画定する圧力室基板322と、保護基板323と、コンプライアンス部330と、振動板340と、圧電素子60と、フレキシブル配線基板346と、リザーバー367及び液体導入口361を画定するケース324とを有する。すなわち、プリントヘッド100は、駆動素子の一例としての圧電素子60を有する。
ヘッドチップ300には、ホルダー140に設けられた不図示の排出口から液体導入口361を介してインクが供給される。ヘッドチップ300に供給されたインクは、リザーバー367、個別流路363、圧力室369、及び連通流路365を含み構成されたインク流路360を介して、ノズル651に到達する。そして、ノズル651の到達したインクは、圧電素子60の駆動に伴い吐出される。
具体的には、インク流路360は、流路形成基板321、圧力室基板322、ケース324が、Z方向に沿って積層されることで構成されている。液体導入口361からケース324の内部に導入されたインクは、リザーバー367に貯留される。リザーバー367は、ノズル列を構成する複数のノズル651のそれぞれに対応する複数の個別流路363に連通する共通流路である。リザーバー367に貯留されたインクは、個別流路363を介して圧力室369に供給される。
圧力室369は、貯留されるインクに圧力を加えることで、圧力室369に供給されるインクを、連通流路365を介してノズル651から吐出する。圧力室369の-Z側には、圧力室369を封止するように振動板340が位置し、振動板340の-Z側には、圧電素子60が位置している。圧電素子60は、圧電体と、圧電体の両面に形成された一対の電極とによって構成されている。圧電素子60が有する一対の電極の一方には、フレキシブル配線基板346を介して駆動信号VOUTが供給され、圧電素子60が有する一対の電極の他方には、フレキシブル配線基板346を介して基準電圧信号VBSが供給される。そして、圧電体は、一対の電極間に生じた電位差に応じて変位する。すなわち、圧電体を含む圧電素子60が駆動する。そして、圧電素子60の駆動に伴い、圧電素子60が設けられた振動板340が変形することで、圧力室369の内圧が変化し、その結果、圧力室369に貯留されているインクが、連通流路365を介してノズル651から吐出される。
また、流路形成基板321の+Z側には、ノズルプレート310と、コンプライアンス
部330とが固定されている。ノズルプレート310は、連通流路355の+Z側に位置している。ノズルプレート310には、複数のノズル651が列方向RDに沿って並設されている。すなわち、ノズルプレート310は、インクを吐出する複数のノズル651を有する。コンプライアンス部330は、リザーバー367及び個別流路363の+Z側に位置し、封止膜331と支持体332とを含む。封止膜331は、可撓性を有する膜状部材であり、リザーバー367及び個別流路363の+Z側を封止する。そして、封止膜331の外周縁が枠状の支持体332によって支持されている。また、支持体332の+Z側は、固定板150の平面部151に固定されている。以上のように構成されたコンプライアンス部330によって、ヘッドチップ300が保護されるとともに、リザーバー367の内部や個別流路363の内部におけるインクの圧力変動が低減される。
ここで、圧電素子60、振動板340、ノズル651、個別流路363、圧力室369、及び連通流路365を含む構成が吐出部600に相当する。
また、フレキシブル配線基板346には、半導体装置201がCOF(Chip On Film)実装されている。半導体装置201は、駆動信号選択回路200を含む。そして、印刷データ信号SI1~SIn、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び駆動電圧信号VDR1,VDR2と、電圧VHV,VDDとは、フレキシブル配線基板346を伝搬し半導体装置201に供給され、半導体装置201は、供給される印刷データ信号SI1~SIn、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び駆動電圧信号VDR1,VDR2と、電圧VHV,VDDとに基づいて、複数の圧電素子60のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成する。そして、半導体装置201は、生成した駆動信号VOUTを、フレキシブル配線基板346を介して、圧電素子60に供給する。
吐出制御ユニット20において分配されたインクは、4個の液体導入口IS3を介してプリントヘッド100に供給される。そして、プリントヘッド100に供給されたインクはフィルター113において気泡や異物を除去された後、4個の液体流路145を介してホルダー140に供給される。ホルダー140は、供給されるインクをヘッドチップ300に対応して分岐するとともに、ホルダー部材143の内部に形成される収容空間に設けられた不図示の排出口を介して、ヘッドチップ300が有する液体導入口361に供給する。これにより、吐出制御ユニット20において分配されたインクが、ヘッドチップ300に供給される。そして、ヘッドチップ300に供給されたインクは、リザーバー367、個別流路363、圧力室369、及び連通流路365を含み構成されたインク流路360を介して、ノズル651に到達する。
また、ケーブルFC1の他端は、導入流路部G1、供給制御部G2、及びヘッド支持部G3の-Y側を通過し、ヘッド支持部G3に設けられた開口部351、フィルター部110が有する開口部115、及びシール部材120が有する開口部125を挿通し、配線基板130が有するコネクターCN1と電気的に接続する。ケーブルFC2の他端は、導入流路部G1、供給制御部G2、及びヘッド支持部G3の+Y側を通過し、ヘッド支持部G3に設けられた開口部352、フィルター部110が有する開口部117、及びシール部材120が有する開口部127を挿通し、配線基板130が有するコネクターCN2と電気的に接続する。これにより、吐出制御ユニット20が出力する診断制御信号HC、印刷データ信号SI1~SIn、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、駆動電圧信号VDR1,VDR2、及び基準電圧信号VBSと、電圧VHV,VDDとが、プリントヘッド100に供給される。
プリントヘッド100に供給された診断制御信号HC、印刷データ信号SI1~SIn、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、駆動電圧信号VDR1,
VDR2、基準電圧信号VBS、及び電圧VHV,VDDは、基板400を伝搬するとともに、異常検出回路250の少なくとも一部を構成する半導体装置450、接続端子138、及びフレキシブル配線基板346を介して駆動信号選択回路200を含む半導体装置201に供給される。半導体装置201は、供給される信号に基づいてヘッドチップ300が有する圧電素子60毎に対応する駆動信号VOUTを生成し、対応する圧電素子60に供給する。これにより、圧電素子60が駆動信号VOUTに基づいて駆動し、圧電素子60の駆動に応じて、ノズル651からインクが吐出される。
1.5.4 吐出制御ユニットとプリントヘッドとの電気的接続の構造
以上のように、吐出制御ユニット20が有するケーブルFC1の他端は、配線基板130に設けられたコネクターCN1と電気的に接続し、ケーブルFC2の他端は、配線基板130に設けられたコネクターCN2と電気的に接続する。これにより、吐出制御ユニット20とプリントヘッド100とが電気的に接続し、その結果、吐出制御ユニット20が出力する診断制御信号HC、印刷データ信号SI1~SIn、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、駆動電圧信号VDR1,VDR2、基準電圧信号VBS、及び電圧VHV,VDDを含む各種信号が、プリントヘッド100に供給される。そこで、吐出制御ユニット20とプリントヘッド100とを電気的に接続するケーブルFC1,FC2の構造、及びケーブルFC1,FC2が接続されるコネクターCN1,CN2の構造の一例について説明するとともに、ケーブルFC1,FC2とコネクターCN1,CN2との電気的接続の一例について説明する。ここで、以下の説明において、ケーブルFC1とケーブルFC2とは、同様の構成のフレキシブルフラットケーブルであって、特に区別する必要がない場合、単にケーブルFCと称する。また、コネクターCN1とコネクターCN2とは同じ構成のFFCコネクターであって、特に区別する必要がない場合、単にコネクターCNと称する。すなわち、以下の説明では、ケーブルFCの他端が、コネクターCNと電気的接続されるとして説明を行う。
図16は、ケーブルFCの概略構造を示す図である。ケーブルFCは、互いに対向する短辺191,192と、互いに対向する長辺193,194とを有する略矩形である。ケーブルFCは、短辺191に沿って並設された複数の端子ER1と、短辺192に沿って並設された複数の端子ER2と、複数の端子ER1と複数の端子ER2とを電気的に接続する複数の配線WIとを有する。
具体的には、ケーブルFCの短辺191側には、q個の端子ER1が、長辺193側から長辺194側に向かって並設されている。また、ケーブルFCの短辺192側には、q個の端子ER2が、長辺193側から長辺194側に向かって並設されている。また、ケーブルFCには、端子ER1のそれぞれと端子ER2のそれぞれとを電気的に接続するq個の配線WIが、長辺193側から長辺194側に向かって並設されている。そして、長辺193側から長辺194側に向かってk番目(kは1~qのいずれか)の端子ER1と、長辺193側から長辺194側に向かってk番目の端子ER2とが、長辺193側から長辺194側に向かってk番目の配線WIによって電気的に接続されている。
また、q個の配線WIは、それぞれが絶縁体ECによって、q個の配線WIの相互間及び配線WIとケーブルFCの外部との間で絶縁されている。そして、ケーブルFCは、q個の端子ER1が吐出制御ユニット20の接続部424又は接続部425と電気的に接続し、q個の端子ER2がプリントヘッド100のコネクターCNと電気的に接続する。なお、図16に示すケーブルFCの構成は一例であり、これに限られるものではなく、例えば、q個の端子ER1とq個の端子ER2とがケーブルFCの異なる面に設けられてもよい。また、ケーブルFC1が有する端子ER1,ER2、及び配線WIの数と、ケーブルFC2が有する端子ER1,ER2、及び配線WIの数とは、同数であってもよく、また異なってもよい。
ここで、qは、ケーブルFCに含まれる端子ER1,ER2及び配線WIの数に相当する1以上の整数である。
次に、コネクターCNの構成について説明する。図17は、コネクターCNの概略構造を示す図である。図17に示すように、コネクターCNは、ケーブルFCが挿通し取り付けられるケーブル取付部CIと、ケーブルFCが有するq個の端子ER2と電気的に接続するq個の端子TMと、q個の端子TMの相互間を絶縁するとともに、q個の端子TMを保持し、ケーブル取付部CIを形成するハウジングHPと、を有する。q個の端子TMは、一方向であってケーブル取付部CIの長手方向に沿って並設されている。ケーブル取付部CIには、ケーブルFCが取付けられる。この場合において、ケーブルFCに含まれるq個の端子ER2の内のk番目の端子ER2と、コネクターCNに含まれるq個の端子TMの内のk番目の端子TMとが電気的に接触する。その結果、ケーブルFCとコネクターCNとが電気的に接続する。ここで、q個の端子TMは、コネクターCN1における複数の端子TM1に相当し、コネクターCN2における複数の端子TM2に相当する。
ここで、ケーブルFCとコネクターCNとの電気接続の具体例について図18を用いて説明する。図18は、ケーブルFCがコネクターCNに取り付けられた場合の一例を示す図である。図18に示すように、コネクターCNの端子TMは、ケーブル保持部EL1、ハウジング挿通部EL2、及び基板取付部EL3を有する。基板取付部EL3は、コネクターCNの下方に位置し、ハウジングHPと基板400との間に設けられる。そして、基板取付部EL3は、例えば、はんだ等により基板400に設けられる不図示の電極と電気的に接続される。ハウジング挿通部EL2は、ハウジングHPの内部を挿通する。そして、ハウジング挿通部EL2は、基板取付部EL3とケーブル保持部EL1とを電気的に接続する。ケーブル保持部EL1は、ケーブル取付部CIの内部に突出する湾曲形状を有する。そして、ケーブル取付部CIにケーブルFCが取り付けられた場合、ケーブル保持部EL1と端子ER2とが接触部Cntを介して電気的に接触する。これにより、ケーブルFCとコネクターCNとが電気的に接続し、その結果、吐出制御ユニット20とプリントヘッド100とが電気的に接続し、吐出制御ユニット20とプリントヘッド100との間で各種信号が伝搬する。
1.6 プリントヘッドの検査方法
1.6.1 異常検出回路の機能構成
以上のように構成された液体吐出装置1において、プリントヘッド100に供給される信号が正常であるか異常であるかの検査方法について説明する。本実施形態における液体吐出装置1では、プリントヘッド100に異常が生じているか否かの検査の1つとして、吐出制御ユニット20からプリントヘッド100に供給される信号が正常であるか否かをプリントヘッド100が有する異常検出回路250が検査する。そして、異常検出回路250は、吐出制御ユニット20から供給される信号が正常であると判定した場合、プリントヘッド100からインクの吐出を許可し、吐出制御ユニット20から供給される信号が正常でないと判定した場合、プリントヘッド100からインクの吐出を不許可とする。すなわち、異常検出回路250は、プリントヘッド100に供給される信号が正常な場合に印刷を許可し、プリントヘッド100に供給される信号が正常でない場合に印刷を不許可とする。これにより、プリントヘッド100に意図しない電圧の信号が供給されることに起因して、プリントヘッド100に誤動作や故障等が生じるおそれを低減する。
そこで、プリントヘッド100に供給される信号が正常であるか正常でないかの検査方法を説明するにあたり、まず、プリントヘッド100に供給される信号が正常であるか異常であるかの検査を実行する異常検出回路250の機能構成について説明する。
図19は、異常検出回路250の機能構成を示す図である。図19には、機能構成を示す異常検出回路250のブロック図に加えて、異常検出回路250を有するプリントヘッド100に各種信号を出力する吐出制御ユニット20、吐出制御ユニット20が出力する各種信号をプリントヘッド100に伝搬するケーブルFC、ケーブルFCが接続されるコネクターCN、異常検出回路250に含まれる半導体装置450を含む配線基板130、異常検出回路250の出力が供給される駆動信号選択回路200-1を含む半導体装置201、及び半導体装置201が実装されたフレキシブル配線基板346を図示している。なお、図19では、プリントヘッド100が有する駆動信号選択回路200-2~200-6、駆動信号選択回路200-2~200-6に入力される印刷データ信号SI2~SI6、及び駆動信号選択回路200-2~200-6が出力するヘッド状態信号HS2~HS6の図示を省略している。
また、以下の説明において、ケーブルFCに含まれる複数の配線WI、及びコネクターCNに含まれる複数の端子TMの内、電圧VHVが伝搬する配線WIを配線WI-VHV、端子TMを端子TM-VHVと称し、電圧VDDが伝搬する配線WIを配線WI-VDD、端子TMを端子TM-VDDと称し、駆動電圧信号VDR1が伝搬する配線WIを配線WI-VDR1、端子TMを端子TM-VDR1と称し、駆動電圧信号VDR2が伝搬する配線WIを配線WI-VDR2、端子TMを端子TM-VDR2と称し、印刷データ信号SI1及び診断制御信号HCが伝搬する配線WIを配線WI-SI1/HC、端子TMを端子TM-SI1/HCと称し、クロック信号SCKが伝搬する配線WIを配線WI-SCK、端子TMを端子TM-SCKと称し、ラッチ信号LATが伝搬する配線WIを配線WI-LAT、端子TMを端子TM-LATと称し、チェンジ信号CHが伝搬する配線WIを配線WI-CH、端子TMを端子TM-CHと称し、判定結果信号ESが伝搬する配線WIを配線WI-ES、端子TMを端子TM-ESと称する。
すなわち、フレキシブルフラットケーブルであるケーブルFCは、圧電素子60に供給される駆動信号COMAを含む駆動電圧信号VDR1を伝搬する配線WI-VDR1と、圧電素子60に供給される駆動信号COMBを含む駆動電圧信号VDR2を伝搬する配線WI-VDR2と、プリントヘッド100による印刷を実行させるための印刷データ信号SI1及び診断制御信号HCを伝搬する配線WI-SI1/HCと、電源電圧の1つである電圧VHVを伝搬する配線WI-VHVと、電源電圧の異なる1つである電圧VDDを伝搬する配線WI-VDDと、クロック信号SCKを伝搬する配線WI-SCKと、プリントヘッド100の異常の有無を示す判定結果信号ESを伝搬する配線WI-ESと、を含む。
また、ケーブルFCが取り付けられるコネクターCNは、圧電素子60に供給される駆動信号COMAを含む駆動電圧信号VDR1を伝搬する端子TM-VDR1と、圧電素子60に供給される駆動信号COMBを含む駆動電圧信号VDR2を伝搬する端子TM-VDR2と、プリントヘッド100による印刷を実行させるための印刷データ信号SI1及び診断制御信号HCを伝搬する端子TM-SI1/HCと、電源電圧の1つである電圧VHVを伝搬する端子TM-VHVと、電源電圧の異なる1つである電圧VDDを伝搬する端子TM-VDDと、クロック信号SCKを伝搬する端子TM-SCKと、プリントヘッド100の異常の有無を示す判定結果信号ESを伝搬する端子TM-ESと、を含む。
さらに以下の説明において、フレキシブル配線基板346に形成されている配線パターンの内、駆動電圧信号VDR1を伝搬する配線パターンを配線P-VDR1と称し、駆動電圧信号VDR2を伝搬する配線パターンを配線P-VDR2と称し、クロック信号SCKを伝搬する配線パターンを配線P-SCKと称し、ラッチ信号LATを伝搬する配線パターンを配線P-LATと称し、チェンジ信号CHを伝搬する配線パターンを配線P-CHと称し、印刷データ信号SI1を伝搬する配線パターンを配線P-SI1と称し、ヘッ
ド状態信号HS1を伝搬する配線パターンを配線P-HS1と称する。
図19に示すように異常検出回路250は、半導体装置450及び電圧入力切替回路251を有する。また、半導体装置450は、判定制御回路451、電圧判定回路452、出力切替回路453、及び記憶回路454を含む。
判定制御回路451は、端子TM-SI1/HC及び端子TM-SCKと電気的に接続している。そして、判定制御回路451は、配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCを介して吐出制御ユニット20から入力される信号を、配線WI-SCK及び端子TM-SCKを介して吐出制御ユニット20から入力される信号のタイミングで取得し、取得した配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCを介して吐出制御ユニット20から入力される信号に応じて半導体装置450の各構成の動作を制御する。
判定制御回路451は、配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCを介して吐出制御ユニット20から入力される信号に応じて、記憶回路454に記憶される情報を読み出すとともに、記憶回路454に所望の情報を記憶するための記憶回路制御信号RWを生成し、記憶回路454に出力する。このような記憶回路454は、レジスターやRAM(Random Access Memory)等の一時記憶領域と、ストレージやROM(Read Only Memory)等の恒久記憶領域と、を含む。
また、判定制御回路451は、配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCを介して吐出制御ユニット20から入力される信号に応じて、半導体装置450の外部に設けられた電圧入力切替回路251に対して、電圧切替信号SVを出力する。
電圧入力切替回路251は、抵抗R10,R11,R12,R13と、トランジスターM10,M11と、を含む。ここで、本実施形態においてトランジスターM10は、nチャネル型のFET(Field-Effect Transistor)であり、トランジスターM11は、pチャネル型のFETであるとして説明を行う。
抵抗R10の一端は、駆動電圧信号VDR1が伝搬する端子TM-VDR1と電気的に接続し、抵抗R10の他端は、抵抗R11の一端と電気的に接続している。抵抗R11の他端は、トランジスターM10のドレインと電気的に接続している。トランジスターM10のゲートには、半導体装置450が出力する電圧切替信号SVが入力され、トランジスターM10のソースには、グラウンド電位が供給されている。また、トランジスターM11のソースは、駆動電圧信号VDR1が伝搬する端子TM-VDR1と電気的に接続し、トランジスターM11のゲートは、抵抗R10の他端及びR11の一端と電気的に接続し、トランジスターM11のドレインは、抵抗R12の一端と電気的に接続している。抵抗R12の他端は、抵抗R13の一端と電気的に接続し、抵抗R13の他端には、グラウンド電位が供給される。そして、電圧入力切替回路251は、抵抗R12の他端と抵抗R13の一端とが接続される接続点に生じた信号を電圧検出信号DETとして半導体装置450に出力する。すなわち、判定制御回路451は、電圧切替信号SVを用いて電圧入力切替回路251に含まれるトランジスターM10,M11の動作を制御し、電圧入力切替回路251は、電圧切替信号SVに基づいて端子TM-VDR1の電位に応じた電圧検出信号DETを半導体装置450に出力する。
また、判定制御回路451は、記憶回路制御信号RWを用いて記憶回路454に記憶されている電圧判定回路452における判定条件を示す情報を読み出す。そして、判定制御回路451は、読み出した情報を含む判定条件信号JCを生成し、電圧判定回路452に出力する。また、電圧判定回路452には、判定制御回路451が出力する判定条件信号JCとともに電圧入力切替回路251が出力する電圧検出信号DETが入力される。電圧
判定回路452は、入力される判定条件信号JCと電圧検出信号DETとに基づいて、電圧検出信号DETが正常であるか否かを判定し、判定の結果を示す判定結果信号JRを生成し、判定制御回路451に出力する。
判定制御回路451は、電圧判定回路452から入力される判定結果信号JRに基づくスイッチ制御信号OSを生成し、出力切替回路453に出力する。
出力切替回路453は、複数の切替スイッチを含むスイッチ群SWを有する。スイッチ群SWに含まれる複数の切替スイッチの内の1つの一端は、端子TM-SI1/HCと電気的に接続し、他端は、配線P-SI1と電気的に接続している。スイッチ群SWに含まれる複数の切替スイッチの内の異なる1つの一端は、端子TM-SCKと電気的に接続し、他端は、配線P-SCKと電気的に接続している。同様に、スイッチ群SWに含まれる複数の切替スイッチの内のさらに異なる1つの一端は、端子TM-LATと電気的に接続し、他端は、配線P-LATと電気的に接続し、スイッチ群SWに含まれる複数の切替スイッチの内のさらに異なる1つの一端は、端子TM-CHと電気的に接続し、他端は、配線P-CHと電気的に接続している。
そして、出力切替回路453に含まれるスイッチ群SWに含まれる複数の切替スイッチは、判定制御回路451から入力されるスイッチ制御信号OSに応じて、導通又は非導通が制御される。すなわち、出力切替回路453は、端子TM-SI1/HC,TM-SCK,TM-LAT,TM-CHのそれぞれで伝搬する信号を、対応する配線P-SI1,P-SCK,P-LAT,P-CHのそれぞれに伝搬するか否かを切り替える。
ここで、スイッチ群SWは、一端が、端子TM-VDR1,TM-VDR2のそれぞれと電気的に接続し、他端が、配線P-VDR1,PVDR2のそれぞれと電気的に接続する切替スイッチを含んでも良い。また、スイッチ群SWは、一端が、端子TM-SI1/HC,TM-SCK,TM-LAT,TM-CHのそれぞれと電気的に接続し、他端が、配線P-SI1,P-SCK,P-LAT,P-CHのそれぞれと電気的に接続する切替スイッチの内のいずれかが含まれていなくてもよい。すなわち、出力切替回路453は、端子TM-SCK,TM-LAT,TM-CH,TM-VDR1,TM-VDR2のそれぞれと、配線P-SCK,P-LAT,P-CH,P-VDR1,P-VDR2のそれぞれとの少なくともいずれかの電気的接続を制御できる切替スイッチを含んでいればよい。
このようなスイッチ群SWに含まれる複数の切替スイッチは、例えば、FET等のトランジスターを含んで構成されていてもよい。この場合、スイッチ群SWに含まれる複数の切替スイッチは、判定制御回路451が出力するスイッチ制御信号OSの論理レベルに応じて、導通又は非導通が制御される。なお、スイッチ群SWに含まれる切替スイッチは、図19に示す構成に限られるものではなく、例えば、各種信号が伝搬される配線をグラウンド電位に接続するか否かを切り替えることで、端子TM-SCK,TM-LAT,TM-CH,TM-VDR1,TM-VDR2のそれぞれと、配線P-SCK,P-LAT,P-CH,P-VDR1,P-VDR2のそれぞれとの間における信号の伝搬を制御してもよい。
ここで、本実施形態におけるスイッチ群SWに含まれる複数の切替スイッチは、判定制御回路451からHレベルのスイッチ制御信号OSが入力された場合に、一端と他端とを導通に制御し、Lレベルのスイッチ制御信号OSが入力された場合に、一端と他端とを非導通に制御するとして説明を行う。
また、判定制御回路451には、駆動信号選択回路200-1に対応するヘッドチップ300-1の状態を示すヘッド状態信号HS1が入力される。さらに、判定制御回路45
1には、図19では図示を省略している駆動信号選択回路200-2~200-6のそれぞれに対応するヘッドチップ300-2~300-6のそれぞれの状態を示すヘッド状態信号HS2~HS6も入力される。そして、判定制御回路451は、判定結果信号JR、及びヘッド状態信号HS1~HS6に基づいて、プリントヘッド100に供給される信号が正常であるか否か、及びプリントヘッド100が有する駆動信号選択回路200-1~200-6が正常であるか否かを示す判定結果信号ESを生成し、端子TM-ES及び配線WI-ESを介して吐出制御ユニット20に出力する。
以上のように構成された異常検出回路250は、電圧入力切替回路251、判定制御回路451、及び電圧判定回路452が端子TM-SI1/HCで伝搬する信号に基づいて、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で伝搬する信号の電位が正常であるか否かを判断し、判定制御回路451、出力切替回路453が、判断結果に基づいて、出力切替回路453に含まれるスイッチ群SWに含まれる複数の切替スイッチを制御することで、端子TM-SI1/HC,TM-SCK,TM-LAT,TM-CHで伝搬する信号を、配線P-SI1,P-SCK,P-LAT,P-CHを介して駆動信号選択回路200-1に供給するか否かを切り替える。これにより、駆動信号選択回路200-1~200-6よる駆動信号VOUTの生成が制御される。すなわち、異常検出回路250は、プリントヘッド100に供給される信号が正常である場合、プリントヘッド100からのインクの吐出を許可し、プリントヘッド100に供給される信号に異常が生じている場合、プリントヘッド100からインクの吐出を不許可とする。
ここで、図11~図14に示すように、本実施形態における液体吐出装置1において、吐出制御ユニット20は、ケーブルFCとしてのケーブルFC1とケーブルFC2と、コネクターCNとしてのコネクターCN1,CN2とを介して、駆動電圧信号VDR1,VDR2、電圧VHV,VDD、診断制御信号HC、印刷データ信号SI1、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び判定結果信号ESを伝搬する。このような液体吐出装置1において、プリントヘッド100が有する異常検出回路250に供給される駆動電圧信号VDR1,VDR2、電圧VHV,VDD、診断制御信号HC、印刷データ信号SI、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び判定結果信号ESは、同じケーブルFC及びコネクターCNで伝搬されることが好ましい。さらに、図14に示すような配線基板130にあっては、異常検出回路250に含まれる半導体装置450の近傍に設けられたケーブルFC1及びコネクターCN1で伝搬されることが好ましい。
これにより異常検出回路250に供給される信号が伝搬される配線長を短くすることができるともに、各種信号が伝搬される配線間において配線長に生じ得る差異を小さくすることができる。したがって、異常検出回路250に供給される信号にノイズ等が重畳するおそれが低減するとともに、異常検出回路250に供給される信号精度が低下するおそれが低減する。
1.6.2 異常検出回路の動作
次に、プリントヘッド100が有する異常検出回路250の動作の一例について説明する。まず、プリントヘッド100に供給される信号が正常である場合の異常検出回路250の動作について説明する。図20及び図21は、プリントヘッド100に供給される信号が正常である場合の異常検出回路250の動作の一例を示す図である。
図20に示すように、時刻t1において、商用交流電源7から例えば、100Vの商用交流電圧である交流電圧ACが、液体吐出装置1が有する電源電圧出力回路12に供給される。電源電圧出力回路12は、供給される交流電圧ACから電圧VHV,VDDを生成し、液体吐出装置1の各部に供給する。これにより、プリントヘッド100が有する異常
検出回路250、及び異常検出回路250に含まれる半導体装置450が動作を開始する。このとき、半導体装置450は、電源電圧が供給されることによりパワーオンリセット(POR:Power On Reset)を実行する。その結果、記憶回路454に含まれるレジスターやRAM等の一時記憶領域に保持されている情報が初期化される。
プリントヘッド100に電圧VHV,VDDが供給され電圧値が安定した後であって、半導体装置450がPORを実行した後の時刻t2において、吐出制御ユニット20は、駆動電圧信号VDR1として、閾値電圧Vtよりも高電位の電位V1で一定の直流電圧である電圧信号VS1を生成する。そして、吐出制御ユニット20は、生成した電圧信号VS1を配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1を介してプリントヘッド100に供給する。このとき、駆動電圧信号VDR1としての電圧信号VS1が配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で伝搬される。したがって、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1には、電位V1が保持される。
ここで、液体吐出装置1において、電圧VHV,VDDの電圧値が安定したか否かは、例えば、液体吐出装置1が不図示の検出回路を有し、当該検出回路が電圧VHV,VDDの電圧値を検出するとともに、電圧VHV,VDDの電圧値の変動幅が所定の範囲内であるか否かに基づいて判定してもよく、また、異常検出回路250に含まれる半導体装置450等の所定の回路が動作を開始した後、所定時間を経過したか否かにより判定してもよい。
また、プリントヘッド100に供給される電圧VHV,VDDの電圧値が安定したとは、プリントヘッド100に供給される電圧VHV,VDDの電圧値が完全に一定となった状態に限られるものではなく、回路ばらつきによる誤差や、温度特性、ノイズ等による電圧値の変動を加味した場合に、電圧VHV,VDDが略一定の電圧値であると見做せる場合が含まれる。なお、以下の説明において、電圧VHV,VDD以外の各種信号に対して「電圧値が安定した後」との表現を用いた場合も同様の解釈を用いる。
吐出制御ユニット20が出力する駆動電圧信号VDR1としての電圧信号VS1の電圧値が、電位V1で安定した後の時刻t3において、吐出制御ユニット20は、クロック信号SCKに同期した診断制御信号HCであって、電位V1の電圧信号VS1に対応した第1コマンドcmd1を生成する。そして、吐出制御ユニット20は、生成した第1コマンドcmd1を配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCを介してプリントヘッド100に供給するとともに、クロック信号SCKを配線WI-SCK及び端子TM-SCKを介してプリントヘッド100に供給する。プリントヘッド100に供給された第1コマンドcmd1及びクロック信号SCKは、異常検出回路250が有する半導体装置450に含まれる判定制御回路451に入力される。
判定制御回路451は、入力される第1コマンドcmd1をクロック信号SCKで規定されるタイミングに基づいて解析する。そして、判定制御回路451が第1コマンドcmd1は正常なコマンドであると認識した後の時刻t4において、判定制御回路451は、第1コマンドcmd1に対応する判定情報c1を記憶回路454から読み出すための記憶回路制御信号RWを生成し、記憶回路454に出力する。これにより、電位V1の電圧信号VS1に対応した判定情報c1が記憶回路454から読み出される。そして、判定制御回路451は、読み出した判定情報c1を含む判定条件信号JCを生成し、電圧判定回路452に出力する。本実施形態において、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1には、閾値電圧Vtよりも高電位の電位V1が供給される。したがって、判定情報c1には、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位に応じた電圧検出信号DETの電圧値が、閾値電圧Vtに応じた閾値電圧Vthを超えている場合に電圧検出信号DETが正常であると判断する判定条件が含まれる。ここで、閾値電圧Vthは、閾値電
圧Vtを抵抗R12と抵抗R13とで分圧した電位である。
また、判定制御回路451が第1コマンドcmd1は正常なコマンドであると認識した後の時刻t5において、判定制御回路451は、Hレベルの電圧切替信号SVを生成し、電圧入力切替回路251に出力する。これにより、電圧入力切替回路251に含まれるトランジスターM10のドレインとソースとの間が導通に制御され、これに伴い、トランジスターM11のソースとドレインとの間が導通に制御される。その結果、電圧入力切替回路251は、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に保持される電圧信号VS1の電位V1を、抵抗R12と抵抗R13とで分圧した電圧値の電圧検出信号DETを電圧判定回路452に出力する。
ここで、図20に示す異常検出回路250の動作の一例では、判定制御回路451が第1コマンドcmd1は正常なコマンドであると認識した後、判定制御回路451が、第1コマンドcmd1に基づいて記憶回路454に記憶されている判定情報c1を読み出し、判定情報c1を含む判定条件信号JCを電圧判定回路452に出力し、その後、判定制御回路451が、Hレベルの電圧切替信号SVを電圧入力切替回路251に出力することで、電圧判定回路452に配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に保持される電位に応じた電圧値の電圧検出信号DETが供給されるとして図示しているが、判定制御回路451が第1コマンドcmd1は正常なコマンドであると認識した後、判定制御回路451が、Hレベルの電圧切替信号SVを電圧入力切替回路251に出力することで、電圧判定回路452に配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に保持される電位に応じた電圧値の電圧検出信号DETを供給し、その後、判定制御回路451が、第1コマンドcmd1に基づいて記憶回路454に記憶されている判定情報c1を読み出し、判定情報c1を含む判定条件信号JCを電圧判定回路452に出力してもよい。また、判定制御回路451が第1コマンドcmd1は正常なコマンドであると認識した後、判定制御回路451が、第1コマンドcmd1に基づいて記憶回路454に記憶されている判定情報c1を読み出し、判定情報c1を含む判定条件信号JCを電圧判定回路452に出力する動作と、判定制御回路451が、Hレベルの電圧切替信号SVを電圧入力切替回路251に出力することで、電圧判定回路452に配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に保持される電位に応じた電圧値の電圧検出信号DETを供給する動作とが並行して実行されてもよい。
すなわち、図20に示す時刻t4で実行される動作と時刻t5で実行される動作とは、どちらが先に実行されてもよく、また、並行して実行されてもよい。
電圧判定回路452に判定情報c1を含む判定条件信号JCと、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に保持される電位に応じた電圧値の電圧検出信号DETとが入力された後の時刻t6において、電圧判定回路452は、電圧検出信号DETと判定条件信号JCに含まれる判定情報c1とを比較する。図20に示す異常検出回路250の動作の一例では、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1には、閾値電圧Vtよりも高電位の電位V1が保持されている。したがって、電圧判定回路452には、閾値電圧Vthよりも高電位の電圧検出信号DETが入力される。その結果、電圧判定回路452は、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位が正常であると判断し、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位が正常であることを示す判定結果信号JRを生成し、判定制御回路451に出力する。なお、図20では、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位が正常であることを示す判定結果信号JRをHレベルの信号として図示しているがこれに限られるものではなく、特定のコマンドであってもよい。
その後、判定制御回路451は、入力される判定結果信号JRに基づいて、配線WI-
VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位が正常であることを示す結果情報r1を生成する。そして、判定制御回路451は、生成した結果情報r1を記憶回路454に記憶するための記憶回路制御信号RWを記憶回路454に出力する。これにより、記憶回路454には、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位が正常であることを示す結果情報r1が記憶される。
結果情報r1が記憶回路454に記憶された後の時刻t7において、吐出制御ユニット20は、クロック信号SCKに同期した診断制御信号HCとして、第2コマンドcmd2を生成する。そして、吐出制御ユニット20は、生成した第2コマンドcmd2を配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCを介してプリントヘッド100に供給するとともに、クロック信号SCKを配線WI-SCK及び端子TM-SCKを介してプリントヘッド100に供給する。プリントヘッド100に供給された第2コマンドcmd2及びクロック信号SCKは、異常検出回路250が有する半導体装置450に含まれる判定制御回路451に入力される。
判定制御回路451は、入力される第2コマンドcmd2をクロック信号SCKで規定されるタイミングに基づいて解析する。そして、判定制御回路451が第2コマンドcmd2は正常なコマンドであると認識した後の時刻t8において、判定制御回路451は、Lレベルの電圧切替信号SVを生成し、電圧入力切替回路251に出力する。これにより、電圧入力切替回路251に含まれるトランジスターM10のドレインとソースとの間が非導通に制御され、これに伴い、トランジスターM11のソースとドレインとの間が非導通に制御される。その結果、電圧入力切替回路251に含まれる抵抗R12と抵抗R13との接続点と、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1とが電気的に切断され、電圧入力切替回路251は、抵抗R13を介して接続されるグラウンド電位の電圧検出信号DETを電圧判定回路452に出力する。
また、判定制御回路451が第2コマンドcmd2は正常なコマンドであると認識した後の時刻t8において、判定制御回路451は、第1コマンドcmd1に基づいて実行した配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に保持される電位が正常であるか否かの判断を終了させるための停止情報stを含む判定条件信号JCを生成し、電圧判定回路452に出力する。電圧判定回路452は、停止情報stを含む判定条件信号JCが入力されることで、判断処理を終了し、判定結果信号JRの論理レベルをLレベルとする。
電圧判定回路452が判定結果信号JRの出力を停止した後の時刻t9において、吐出制御ユニット20は、駆動電圧信号VDR1として、閾値電圧Vtよりも低電位の電位V2で一定の直流電圧である電圧信号VS2を生成する。そして、吐出制御ユニット20は、生成した電圧信号VS2を配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1を介してプリントヘッド100に供給する。このとき、駆動電圧信号VDR1としての電圧信号VS2が配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1を伝搬する。したがって、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1には、電位V2が保持される。
吐出制御ユニット20が出力する駆動電圧信号VDR1としての電圧信号VS2の電圧値が、電位V2で安定した後の時刻t10において、吐出制御ユニット20は、クロック信号SCKに同期した診断制御信号HCであって、電位V2の電圧信号VS2に対応した第3コマンドcmd3を生成する。そして、吐出制御ユニット20は、生成した第3コマンドcmd3を配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCを介してプリントヘッド100に供給するとともに、クロック信号SCKを配線WI-SCK及び端子TM-SCKを介してプリントヘッド100に供給する。プリントヘッド100に供給された第3コマンドcmd3及びクロック信号SCKは、異常検出回路250が有する半導体装置450に含まれる判定制御回路451に入力される。
判定制御回路451は、入力される第3コマンドcmd3をクロック信号SCKで規定されるタイミングに基づいて解析する。そして、判定制御回路451が第3コマンドcmd3は正常なコマンドであると認識した後の時刻t11において、判定制御回路451は、第3コマンドcmd3に対応する判定情報c2を記憶回路454から読み出すための記憶回路制御信号RWを生成し、記憶回路454に出力する。これにより、電位V2の電圧信号VS2に対応した判定情報c2が記憶回路454から読み出される。そして、判定制御回路451は、読み出した判定情報c2を含む判定条件信号JCを生成し、電圧判定回路452に出力する。本実施形態において、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1には、閾値電圧Vtよりも低電位の電位V2が供給される。したがって、判定情報c2には、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位に応じた電圧検出信号DETの電圧値が、閾値電圧Vtに応じた閾値電圧Vthを下回る場合に電圧検出信号DETの電位が正常であると判断するための判定条件が含まれる。
また、判定制御回路451が第3コマンドcmd3は正常なコマンドであると認識した後の時刻t12において、判定制御回路451は、Hレベルの電圧切替信号SVを生成し、電圧入力切替回路251に出力する。これにより、電圧入力切替回路251に含まれるトランジスターM10のドレインとソースとの間が導通に制御され、これに伴い、トランジスターM11のソースとドレインとの間が導通に制御される。その結果、電圧入力切替回路251は、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に保持される電圧信号VS2の電位V2を、抵抗R12と抵抗R13とで分圧した電圧値の電圧検出信号DETを電圧判定回路452に出力する。
ここで、図20に示す時刻t11で実行される動作と時刻t12において実行される動作とは、前述した時刻t4及び時刻t5で実行される動作と同様に、どちらが先に実行されてもよく、また、並行して実行されてもよい。
電圧判定回路452に判定情報c2を含む判定条件信号JCと、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に保持される電位に応じた電圧値の電圧検出信号DETとが入力された後の時刻t13において、電圧判定回路452は、電圧検出信号DETと判定条件信号JCに含まれる判定情報c2とを比較する。図20に示す異常検出回路250の動作の一例では、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1には、閾値電圧Vtよりも低電位の電位V2が保持されている。したがって、電圧判定回路452には、閾値電圧Vthよりも低電位の電圧検出信号DETが入力される。その結果、電圧判定回路452は、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位が正常であると判断し、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位が正常であることを示すHレベルの判定結果信号JRを生成し、判定制御回路451に出力する。
その後、判定制御回路451は、入力される判定結果信号JRに基づいて、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位が正常であることを示す結果情報r2を生成する。そして、判定制御回路451は、生成した結果情報r2を記憶回路454に記憶するための記憶回路制御信号RWを記憶回路454に出力する。これにより、記憶回路454には、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位が正常であることを示す結果情報r2が記憶される。
結果情報r2が記憶回路454に記憶された後の時刻t14において、吐出制御ユニット20は、クロック信号SCKに同期した診断制御信号HCとして、第4コマンドcmd4を生成する。そして、吐出制御ユニット20は、生成した第4コマンドcmd4を配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCを介してプリントヘッド100に供給するとともに、クロック信号SCKを配線WI-SCK及び端子TM-SCKを介してプリ
ントヘッド100に供給する。プリントヘッド100に供給された第4コマンドcmd4及びクロック信号SCKは、異常検出回路250が有する半導体装置450に含まれる判定制御回路451に入力される。
判定制御回路451は、入力される第4コマンドcmd4をクロック信号SCKで規定されるタイミングに基づいて解析する。そして、判定制御回路451が第4コマンドcmd4は正常なコマンドであると認識した後の時刻t15において、判定制御回路451は、Lレベルの電圧切替信号SVを生成し、電圧入力切替回路251に出力する。これにより、電圧入力切替回路251に含まれるトランジスターM10のドレインとソースとの間が非導通に制御され、これに伴い、トランジスターM11のソースとドレインとの間が非導通に制御される。その結果、電圧入力切替回路251に含まれる抵抗R12と抵抗R13との接続点と、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1とが電気的に切断され、電圧入力切替回路251は、抵抗R13を介して接続されるグラウンド電位の電圧検出信号DETを電圧判定回路452に出力する。
また、判定制御回路451が第4コマンドcmd4は正常なコマンドであると認識した後の時刻t15において、判定制御回路451は、第3コマンドcmd3に基づいて実行した配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に保持される電位が正常であるか否かの判断を終了させるための停止情報stを含む判定条件信号JCを生成し、電圧判定回路452に出力する。電圧判定回路452は、停止情報stを含む判定条件信号JCが入力されることで、判定結果信号JRの論理レベルをLレベルとする。
電圧判定回路452が判定結果信号JRの出力を停止した後の時刻t16において、吐出制御ユニット20は、駆動電圧信号VDR1としての電位V2で一定の電圧信号VS2の生成を停止する。これにより、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1には、グラウンド電位が保持されることとなる。
そして、図21に示すように、吐出制御ユニット20が駆動電圧信号VDR1の生成を停止した後の時刻t17において、判定制御回路451は、記憶回路454に記憶されている結果情報r1,r2を読み出すための記憶回路制御信号RWを生成し、記憶回路454に出力する。
図20,図21に示す異常検出回路250の動作の一例において、記憶回路454には、時刻t6においてプリントヘッド100に入力される信号が正常である旨を示す結果情報r1と、時刻t13においてプリントヘッド100に入力される信号が正常である旨を示す結果情報r2とが記憶されている。すなわち、判定制御回路451が記憶回路454から読み出した結果情報r1,r2の双方は、プリントヘッド100に入力される信号が正常である旨の情報を含む。判定制御回路451は、時刻t17において読み出した結果情報r1,r2の双方が正常であると判定した後の時刻t18において、Hレベルのスイッチ制御信号OSを出力する。これにより、出力切替回路453が有するスイッチ群SWに含まれる複数の切替スイッチが導通に制御される。したがって、配線WI-SI1/SC及び端子TM-SI1/HCと配線P-SI1とが導通し、配線WI-SCK及び端子TM-SCKと配線P-SCKとが導通し、配線WI-LAT及び端子TM-LATと配線P-LATとが導通し、配線WI-CH及び端子TM-CHと配線P-CHとが導通する。
判定制御回路451がHレベルのスイッチ制御信号OSを出力した後の時刻t19において、吐出制御ユニット20は、電圧値が電圧Vcで一定の駆動電圧信号VDR1を生成し配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給し、電圧値が電圧Vcで一定の駆動電圧信号VDR2を生成し配線WI-VDR2及び端子TM-VDR2に供給する。そし
て、液体吐出装置1に画像データPDが入力された時刻t20において、吐出制御ユニット20は、駆動電圧信号VDR1として台形波形Adp1,Adp2を含む駆動信号COMAを生成し、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給し、駆動電圧信号VDR2として台形波形Bdp1,Bdp2を含む駆動信号COMBを生成し、配線WI-VDR2及び端子TM-VDR2に供給する。これにより、駆動信号COMAは、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1を伝搬し、駆動信号選択回路200-1に供給され、駆動信号COMBは、配線WI-VDR2及び端子TM-VDR2を伝搬し、駆動信号選択回路200-1に供給される。
駆動信号COMA,COMBの供給が開始した後の時刻t21において、吐出制御ユニット20は、画像データPDに基づく画像を媒体Pに形成するための印刷データ信号SI1、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHを生成する。そして、吐出制御ユニット20は生成した印刷データ信号SI1、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHを、対応する配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCと、配線WI-SCK及び端子TM-SCKと、配線WI-LAT及び端子TM-LATと、配線WI-CH及び端子TM-CHと、に出力する。すなわち、配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCは、第1コマンドcmd1、第2コマンドcmd2、第3コマンドcmd3、及び第4コマンドcmd4を含む診断制御信号HC1を伝搬した後、プリントヘッド100に印刷を実行させるための印刷データ信号SIを伝搬する。
この場合において、出力切替回路453が有するスイッチ群SWに含まれる複数の切替スイッチが、スイッチ制御信号OSにより導通に制御されているが故に、配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCで伝搬する印刷データ信号SI1が、配線P-SI1を介して駆動信号選択回路200-1に供給され、配線WI-SCK及び端子TM-SCKで伝搬するクロック信号SCKが、配線P-SCKを介して駆動信号選択回路200-1に供給され、配線WI-LAT及び端子TM-LATを伝搬するラッチ信号LATが、配線P-LATを介して駆動信号選択回路200-1に供給され、配線WI-CH及び端子TM-CHを伝搬するチェンジ信号CHが、配線P-CHを介して駆動信号選択回路200-1に供給される。
そして、駆動信号選択回路200-1は、入力される印刷データ信号SI1、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、駆動電圧信号VDR1としての駆動信号COMA、及び駆動電圧信号VDR2としての駆動信号COMBに基づいて駆動信号VOUTを生成し、生成した駆動信号VOUTを圧電素子60に供給する。
また、図19~図21では図示を省略したが、駆動信号選択回路200-2~200-6にも同様に、異常検出回路250が出力するクロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHと、吐出制御ユニット20が出力する対応する印刷データ信号SI2~SI6、駆動電圧信号VDR1としての駆動信号COMA、及び駆動電圧信号VDR2としての駆動信号COMBと、が供給される。これにより、駆動信号選択回路200-2~200-6も同様に、駆動信号VOUTを生成し、生成した駆動信号VOUTを対応する圧電素子60に供給する。
その結果、プリントヘッド100が有する圧電素子60に対応するノズル651からインクが吐出され、媒体Pに所望の画像が形成される。
次に、プリントヘッド100に供給される信号に異常が生じている場合であって、プリントヘッド100に各種信号を伝搬するケーブルFCの配線WIの相互間、又はコネクターCNの端子TMの相互間に短絡異常が生じている場合の異常検出回路250の動作につ
いて説明する。図22及び図23は、プリントヘッド100に供給される信号が正常でない場合の異常検出回路250の動作の一例を示す図である。なお、図22及び図23に示す異常検出回路250の動作の一例では、駆動電圧信号VDR1を伝搬する配線WI-VDR1又は端子TM-VDR1がグラウンド電位を伝搬する配線WI又は端子TMと短絡している場合を図示している。
図22に示すように、時刻t31において、商用交流電源7から例えば、100Vの商用交流電圧である交流電圧ACが、液体吐出装置1が有する電源電圧出力回路12に供給される。電源電圧出力回路12は、供給される交流電圧ACから電圧VHV,VDDを生成し、液体吐出装置1の各部に供給する。これにより、プリントヘッド100が有する異常検出回路250、及び異常検出回路250に含まれる半導体装置450が動作を開始する。このとき、半導体装置450は、PORを実行する。その結果、記憶回路454に含まれるレジスターやRAM等の一時記憶領域に保持されている情報が初期化される。
プリントヘッド100に電圧VHV,VDDが供給され電圧値が安定した後であって、半導体装置450がPORを実行した後の時刻t32において、吐出制御ユニット20は、駆動電圧信号VDR1として、閾値電圧Vtよりも高電位の電位V1で一定の直流電圧である電圧信号VS1を生成する。そして、吐出制御ユニット20は、生成した電圧信号VS1を配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給する。このとき、配線WI-VDR1又は端子TM-VDR1は、グラウンド電位が伝搬する配線WI又は端子TMと短絡している。したがって、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1は、グラウンド電位で保持される。
吐出制御ユニット20が出力する駆動電圧信号VDR1としての電圧信号VS1の電圧値が、電位V1で安定した後の時刻t33において、吐出制御ユニット20は、クロック信号SCKに同期した診断制御信号HCであって、電位V1の電圧信号VS1に対応した第1コマンドcmd1を生成する。そして、吐出制御ユニット20は、生成した第1コマンドcmd1を配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCを介してプリントヘッド100に供給するとともに、クロック信号SCKを配線WI-SCK及び端子TM-SCKを介してプリントヘッド100に供給する。プリントヘッド100に供給された第1コマンドcmd1及びクロック信号SCKは、異常検出回路250が有する半導体装置450に含まれる判定制御回路451に入力される。
判定制御回路451は、入力される第1コマンドcmd1をクロック信号SCKで規定されるタイミングに基づいて解析する。そして、判定制御回路451が第1コマンドcmd1は正常なコマンドであると認識した後の時刻t34において、判定制御回路451は、第1コマンドcmd1に対応する判定情報c1を記憶回路454から読み出すための記憶回路制御信号RWを生成し、記憶回路454に出力する。これにより、電位V1の電圧信号VS1に対応した判定情報c1が記憶回路454から読み出される。そして、判定制御回路451は、読み出した判定情報c1を含む判定条件信号JCを生成し、電圧判定回路452に出力する。本実施形態において、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に短絡異常が生じていない場合、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1には、閾値電圧Vtよりも高電位の電位V1が供給される。したがって、判定情報c1には、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位に応じた電圧検出信号DETの電圧値が、閾値電圧Vtに応じた閾値電圧Vthを超えている場合に電圧検出信号DETが正常であると判断するための判定条件が含まれる。
また、判定制御回路451が第1コマンドcmd1は正常なコマンドであると認識した後の時刻t35において、判定制御回路451は、Hレベルの電圧切替信号SVを生成し、電圧入力切替回路251に出力する。これにより、電圧入力切替回路251に含まれる
トランジスターM10のドレインとソースとの間が導通に制御され、これに伴い、トランジスターM11のソースとドレインとの間が導通に制御される。その結果、電圧入力切替回路251は、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に保持されるグラウンド電位の電圧検出信号DETを電圧判定回路452に出力する。
ここで、時刻t34で実行される動作と時刻t35で実行される動作とは、前述した時刻t4で実行される動作、及び時刻t5で実行される動作と同様に、どちらが先に実行されてもよく、また、並行して実行されてもよい。
電圧判定回路452に判定情報c1を含む判定条件信号JCと、グラウンド電位の電圧検出信号DETとが入力された後の時刻t36において、電圧判定回路452は、電圧検出信号DETと判定条件信号JCに含まれる判定情報c1とを比較する。図22に示す異常検出回路250の動作の一例では、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1には、閾値電圧Vtよりも低電位のグラウンド電位が保持されている。したがって、電圧判定回路452には、閾値電圧Vthよりも低電位のグラウンド電位の電圧検出信号DETが入力される。その結果、電圧判定回路452は、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位は正常でないと判断し、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位が正常であることを示すHレベルの判定結果信号JRを生成しない。すなわち、電圧判定回路452は、判定結果信号JRの論理レベルをLレベルで維持する。なお、図22では、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位が正常でないことを示す判定結果信号JRをLレベルの信号として図示しているがこれに限られるものではなく、特定のコマンドであってもよい。
その後、判定制御回路451は、入力される判定結果信号JRに基づいて、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位が正常でないことを示す結果情報r1を生成する。そして、判定制御回路451は、生成した結果情報r1を記憶回路454に記憶するための記憶回路制御信号RWを記憶回路454に出力する。これにより、記憶回路454には、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位が正常でないことを示す結果情報r1が記憶される。
結果情報r1が記憶回路454に記憶された後の時刻t37において、吐出制御ユニット20は、クロック信号SCKに同期した診断制御信号HCとして、第2コマンドcmd2を生成する。そして、吐出制御ユニット20は、生成した第2コマンドcmd2を配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCを介してプリントヘッド100に供給するとともに、クロック信号SCKを配線WI-SCK及び端子TM-SCKを介してプリントヘッド100に供給する。プリントヘッド100に供給された第2コマンドcmd2及びクロック信号SCKは、異常検出回路250が有する半導体装置450に含まれる判定制御回路451に入力される。
判定制御回路451は、入力される第2コマンドcmd2をクロック信号SCKで規定されるタイミングに基づいて解析する。そして、判定制御回路451が第2コマンドcmd2は正常なコマンドであると認識した後の時刻t38において、判定制御回路451は、Lレベルの電圧切替信号SVを生成し、電圧入力切替回路251に出力する。これにより、電圧入力切替回路251に含まれるトランジスターM10のドレインとソースとの間が非導通に制御され、これに伴い、トランジスターM11のソースとドレインとの間が非導通に制御される。その結果、電圧入力切替回路251に含まれる抵抗R12と抵抗R13との接続点と、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1とが電気的に切断され、電圧入力切替回路251は、抵抗R13を介して接続されるグラウンド電位の電圧検出信号DETを電圧判定回路452に出力する。
また、判定制御回路451が第2コマンドcmd2は正常なコマンドであると認識した後の時刻t38において、判定制御回路451は、第1コマンドcmd1に基づいて実行した配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に保持される電位が正常であるか否かの判断を終了させるための停止情報stを含む判定条件信号JCを生成し、電圧判定回路452に出力する。電圧判定回路452は、停止情報stを含む判定条件信号JCが入力されることで、判断処理を終了し、判定結果信号JRの論理レベルをLレベルとする。
電圧判定回路452が判定結果信号JRの出力を停止した後の時刻t39において、吐出制御ユニット20は、駆動電圧信号VDR1として、閾値電圧Vtよりも低電位の電位V2で一定の直流電圧である電圧信号VS2を生成する。そして、吐出制御ユニット20は、生成した電圧信号VS2を配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給する。このとき、配線WI-VDR1又は端子TM-VDR1は、グラウンド電位が伝搬する配線WI又は端子TMと短絡している。したがって、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1は、グラウンド電位で保持される。
吐出制御ユニット20が出力する駆動電圧信号VDR1としての電圧信号VS2の電圧値が、電位V2で安定した後の時刻t40において、吐出制御ユニット20は、クロック信号SCKに同期した診断制御信号HCであって、電位V2の電圧信号VS2に対応した第3コマンドcmd3を生成する。そして、吐出制御ユニット20は、生成した第3コマンドcmd3を配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCを介してプリントヘッド100に供給するとともに、クロック信号SCKを配線WI-SCK及び端子TM-SCKを介してプリントヘッド100に供給する。プリントヘッド100に供給された第3コマンドcmd3及びクロック信号SCKは、異常検出回路250が有する半導体装置450に含まれる判定制御回路451に入力される。
判定制御回路451は、入力される第3コマンドcmd3をクロック信号SCKで規定されるタイミングに基づいて解析する。そして、判定制御回路451が第3コマンドcmd3は正常なコマンドであると認識した後の時刻t41において、判定制御回路451は、第3コマンドcmd3に対応する判定情報c2を記憶回路454から読み出すための記憶回路制御信号RWを生成し、記憶回路454に出力する。これにより、電位V2の電圧信号VS2に対応した判定情報c2が記憶回路454から読み出される。そして、判定制御回路451は、読み出した判定情報c2を含む判定条件信号JCを生成し、電圧判定回路452に出力する。本実施形態において、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に短絡異常が生じていない場合、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1には、閾値電圧Vtよりも低電位の電位V2が供給される。したがって、判定情報c2には、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位に応じた電圧検出信号DETの電位が閾値電圧Vtに応じた閾値電圧Vthを下回る場合に電圧検出信号DETの電位が正常であると判断するための判定条件が含まれる。
また、判定制御回路451が第3コマンドcmd3は正常なコマンドであると認識した後の時刻t42において、判定制御回路451は、Hレベルの電圧切替信号SVを生成し、電圧入力切替回路251に出力する。これにより、電圧入力切替回路251に含まれるトランジスターM10のドレインとソースとの間が導通に制御され、これに伴い、トランジスターM11のソースとドレインとの間が導通に制御される。その結果、電圧入力切替回路251は、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に保持されるグラウンド電位の電圧検出信号DETを電圧判定回路452に出力する。
ここで、時刻t41で実行される動作と時刻t42で実行される動作とは、前述した時刻t11で実行される動作、及び時刻t12で実行される動作と同様に、どちらが先に実行されてもよく、また、並行して実行されてもよい。
電圧判定回路452に判定情報c2を含む判定条件信号JCと、グラウンド電位の電圧検出信号DETとが入力された後の時刻t43において、電圧判定回路452は、電圧検出信号DETと判定条件信号JCに含まれる判定情報c2とを比較する。図22に示す異常検出回路250の動作の一例では、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1には、閾値電圧Vtよりも低電位のグラウンド電位が保持されている。したがって、電圧判定回路452には、閾値電圧Vthよりも低電位の電圧検出信号DETが入力される。その結果、電圧判定回路452は、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位が正常であると判断し、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位が正常であることを示すHレベルの判定結果信号JRを生成し、判定制御回路451に出力する。
その後、判定制御回路451は、入力される判定結果信号JRに基づいて、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位が正常であることを示す結果情報r2を生成する。そして、判定制御回路451は、生成した結果情報r2を記憶回路454に記憶するための記憶回路制御信号RWを記憶回路454に出力する。これにより、記憶回路454には、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1で保持される電位が正常であることを示す結果情報r2が記憶される。
結果情報r2が記憶回路454に記憶された後の時刻t44において、吐出制御ユニット20は、クロック信号SCKに同期した診断制御信号HCとして、第4コマンドcmd4を生成する。そして、吐出制御ユニット20は、生成した第4コマンドcmd4を配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCを介してプリントヘッド100に供給するとともに、クロック信号SCKを配線WI-SCK及び端子TM-SCKを介してプリントヘッド100に供給する。プリントヘッド100に供給された第4コマンドcmd4及びクロック信号SCKは、異常検出回路250が有する半導体装置450に含まれる判定制御回路451に入力される。
判定制御回路451は、入力される第4コマンドcmd4をクロック信号SCKで規定されるタイミングに基づいて解析する。そして、判定制御回路451が第4コマンドcmd4は正常なコマンドであると認識した後の時刻t45において、判定制御回路451は、Lレベルの電圧切替信号SVを生成し、電圧入力切替回路251に出力する。これにより、電圧入力切替回路251に含まれるトランジスターM10のドレインとソースとの間が非導通に制御され、これに伴い、トランジスターM11のソースとドレインとの間が非導通に制御される。その結果、電圧入力切替回路251に含まれる抵抗R12と抵抗R13との接続点と、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1とが電気的に切断され、電圧入力切替回路251は、抵抗R13を介して接続されるグラウンド電位の電圧検出信号DETを電圧判定回路452に出力する。
また、判定制御回路451が第4コマンドcmd4は正常なコマンドであると認識した後の時刻t45において、判定制御回路451は、第3コマンドcmd3に基づいて実行した配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に保持される電位が正常であるか否かの判断を終了させるための停止情報stを含む判定条件信号JCを生成し、電圧判定回路452に出力する。電圧判定回路452は、停止情報stを含む判定条件信号JCが入力されることで、判定結果信号JRの論理レベルをLレベルとする。
電圧判定回路452が判定結果信号JRの出力を停止した後の時刻t46において、吐出制御ユニット20は、駆動電圧信号VDR1としての電位V2で一定の電圧信号VS2の生成を停止する。これにより、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1には、グラウンド電位が保持されることとなる。
そして、図23に示すように、吐出制御ユニット20が駆動電圧信号VDR1の生成を停止した後の時刻t47において、判定制御回路451は、記憶回路454に記憶されている結果情報r1,r2を読み出すための記憶回路制御信号RWを生成し、記憶回路454に出力する。
図22,図23に示す異常検出回路250の動作の一例において、記憶回路454には、時刻t36においてプリントヘッド100に入力される信号が正常でない旨を示す結果情報r1と、時刻t43においてプリントヘッド100に入力される信号が正常である旨を示す結果情報r2とが記憶されている。すなわち、判定制御回路451が記憶回路454から読み出した結果情報r1,r2の少なくとも一方には、プリントヘッド100に入力される信号が正常でない旨の情報が含まれる。判定制御回路451は、時刻t47において読み出した結果情報r1,r2の少なくとも一方が正常でないと判定した後の時刻t48において、プリントヘッド100に入力される信号が正常でないと判断し、Lレベルのスイッチ制御信号OSの出力を継続する。これにより、出力切替回路453が有するスイッチ群SWに含まれる複数の切替スイッチは非導通を継続する。したがって、配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCと配線P-SI1とは非導通を継続し、配線WI-SCK及び端子TM-SCKと配線P-SCKとは非導通を継続し、配線WI-LAT及び端子TM-LATと配線P-LATとは非導通を継続し、配線WI-CH及び端子TM-CHと配線P-CHとは非導通を継続する。
判定制御回路451がLレベルのスイッチ制御信号OSを出力した後の時刻t49において、吐出制御ユニット20は、電圧値が電圧Vcで一定の駆動電圧信号VDR1を生成し配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給し、電圧値が電圧Vcで一定の駆動電圧信号VDR2を生成し配線WI-VDR2及び端子TM-VDR2に供給する。このとき、配線WI-VDR1又は端子TM-VDR1は、グラウンド電位と短絡している。それ故に、配線WI-VDR1又は端子TM-VDR1には、グラウンド電位が保持される。
そして、液体吐出装置1に画像データPDが入力された時刻t50において、吐出制御ユニット20は、駆動電圧信号VDR1として台形波形Adp1,Adp2を含む駆動信号COMAを生成し、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給し、駆動電圧信号VDR2として台形波形Bdp1,Bdp2を含む駆動信号COMBを生成し、配線WI-VDR2及び端子TM-VDR2に供給する。このとき、配線WI-VDR1又は端子TM-VDR1は、グラウンド電位と短絡しているが故に、駆動信号COMAは、駆動信号選択回路200-1に供給されず、駆動信号COMBのみが、配線WI-VDR2及び端子TM-VDR2を伝搬し、駆動信号選択回路200-1に供給される。
駆動信号COMA,COMBの供給が開始した後の時刻t51において、吐出制御ユニット20は、画像データPDに基づく画像を媒体Pに形成するための印刷データ信号SI1、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHを生成する。そして、吐出制御ユニット20は生成した印刷データ信号SI1、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHを、対応する配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCと、配線WI-SCK及び端子TM-SCKと、配線WI-LAT及び端子TM-LATと、配線WI-CH及び端子TM-CHと、に出力する。
この場合において、出力切替回路453が有するスイッチ群SWに含まれる複数の切替スイッチが、スイッチ制御信号OSにより非導通に制御されている。それ故に、配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCで伝搬する印刷データ信号SI1は、配線P-SI1及び駆動信号選択回路200-1に供給されず、配線WI-SCK及び端子TM
-SCKで伝搬するクロック信号SCKは、配線P-SCK及び駆動信号選択回路200-1に供給されず、配線WI-LAT及び端子TM-LATを伝搬するラッチ信号LATは、配線P-LAT及び駆動信号選択回路200-1に供給されず、配線WI-CH及び端子TM-CHを伝搬するチェンジ信号CHは、配線P-CH及び駆動信号選択回路200-1に供給されない。その結果、駆動信号選択回路200-1は、駆動信号VOUTを生成せず、圧電素子60には、駆動信号VOUTが供給されない。
また、図19、図22~図23では図示を省略したが、駆動信号選択回路200-2~200-6にも同様に、異常検出回路250が出力するクロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHが供給されず、駆動信号選択回路200-2~200-6は、駆動信号VOUTを生成せず、圧電素子60には、駆動信号VOUTが供給されない。
その結果、プリントヘッド100が有する圧電素子60に対応するノズル651からインクは吐出され、媒体Pに画像が形成されない。
ここで、診断制御信号HCとしての第1コマンドcmd1は、電位V1の電圧信号VS1が配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給されているか否かの検査を実行するためのコマンドであって、診断制御信号HCとしての第2コマンドcmd2は、第1コマンドcmd1により実行された検査を終了するためのコマンドである。すなわち、電位V1の電圧信号VS1が配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給されているか否かの検査は、第1コマンドcmd1と第2コマンドcmd2とにより実行される。この電位V1の電圧信号VS1が配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給されているか否かの検査を実行する第1コマンドcmd1と第2コマンドcmd2とを含む信号を第1コマンド信号HCfと称する。すなわち、第1コマンド信号HCfは、第1コマンドcmd1と、第1コマンドcmd1の後に続く第2コマンドcmd2とを含む。
また、診断制御信号HCとしての第3コマンドcmd3は、電位V2の電圧信号VS2が配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給されているか否かの検査を実行するためのコマンドであって、診断制御信号HCとしての第4コマンドcmd4は、第3コマンドcmd3により実行された検査を終了するためのコマンドである。すなわち、電位V2の電圧信号VS2が配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給されているか否かの検査は、第3コマンドcmd3と第4コマンドcmd4とにより実行される。この電位V2の電圧信号VS2が配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給されているか否かの検査を実行する第3コマンドcmd3と第4コマンドcmd4とを含む信号を第2コマンド信号HCsと称する。すなわち、第2コマンド信号HCsは、第3コマンドcmd3と、第3コマンドcmd3の後に続く第4コマンドcmd4とを含む。
ここで、第1コマンド信号HCfは、電位V1の電圧信号VS1が配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給されているか否かの検査を実行するための信号であって、第1コマンドcmd1は、電位V1の電圧信号VS1が配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給されているか否かの検査を開始するためのコマンドである。これに対して、第2コマンド信号HCsは、電位V2の電圧信号VS2が配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給されているか否かの検査を実行するための信号であって、第3コマンドcmd3は、電位V2の電圧信号VS2が配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給されているか否かの検査を開始するコマンドである。そして、判定制御回路451は、第1コマンドcmd1が入力された場合、記憶回路454から電位V1の電圧信号VS1に対応する判定情報c1を読み出し、第3コマンドcmd3が入力された場合、記憶回路454から電位V2の電圧信号VS2に対応する判定情報c2を読み出す。すなわち、第1コマンドcmd1と第3コマンドcmd3とは、配線WI-VDR1及び端子
TM-VDR1に供給されている電位が正常であるか否かの検査を開始するコマンドである点で共通するが、第1コマンドcmd1により判定制御回路451が読み出す判定情報c1と、第3コマンドcmd3により判定制御回路451が読み出す判定情報c2と、は異なる。したがって、第1コマンドcmd1と第3コマンドcmd3とには、異なる情報が含まれている。
第1コマンド信号HCfに含まれる第1コマンドcmd1と、第2コマンド信号HCsに含まれる第3コマンドcmd3とが異なる情報を含むことで、異常検出回路250は、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給されている電位に制限されずに、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給されている電位が正常であるか否かの検査を実行することができる。すなわち、第1コマンドcmd1と第3コマンドcmd3とには、異なる情報が含まれていることで、異常検出回路250は、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給されている幅広い電位の範囲に対して、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給されている電位が正常であるか否かの検査を実行することができる。その結果、異常検出回路250を含むプリントヘッド100の汎用性、及び診断制御信号HC1を出力するとともに、プリントヘッド100を制御するプリントヘッド駆動回路2の汎用性を高めることができる。
一方で、第1コマンド信号HCfに含まれる第2コマンドcmd2は、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給されているか否かの検査を停止するためのコマンドであり、第2コマンド信号HCsに含まれる第4コマンドcmd4は、配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給されているか否かの検査を停止するためのコマンドである。すなわち、第2コマンドcmd2と第4コマンドcmd4とは、共に配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給されているか否かの検査を終了するためのコマンドである。このような第2コマンドcmd2と第4コマンドcmd4とは、同じ情報を含むことが好ましく、これにより、プリントヘッド100、及びプリントヘッド駆動回路2は、第2コマンドcmd2及び第4コマンドcmd4に対応する情報を一括して記憶することが可能となる。その結果、プリントヘッド100、及びプリントヘッド駆動回路2で管理すべきコマンド数が増加するおそれを低減できるとともに、プリントヘッド100及びプリントヘッド駆動回路2が有する記憶領域の活用効率を高めることができる。
また、図20~図23に示すように、本実施形態において吐出制御ユニット20が出力する電圧信号VS1の電位V1と電圧信号VS2の電位V2とは異なり、電圧信号VS1の電位V1は、電圧信号VS2の電位V2よりも大きい。
具体的には、電圧信号VS1の電位V1は、液体吐出装置1の外部に設けられたホストコンピューター等の外部機器3から供給される画像データPDのハイレベルの電位よりも高電位であって、診断制御信号HC1として出力される第1コマンド信号HCfのハイレベルの電位の5倍よりも高電位であり、又は18.2Vよりも高電位である。このような電圧信号VS1の電位V1は、ケーブルFCで伝搬される信号の内、電圧VHVに次いで2番目に高電位であって、外部から供給される交流電圧ACの実効値の10%よりも大きいことが好ましく、例えば、電圧信号VS1の電位V1は、電圧VHV電圧値の70%以上の大きさであって、29.4V以上である。
駆動電圧信号VDR1としての電圧信号VS1は、診断制御信号HC1とともに、異常検出回路250に供給される。また、駆動電圧信号VDR1としての電圧信号VS1が直流電圧であるのに対して、診断制御信号HC1として出力される第1コマンド信号HCfは、高周波で情報を伝搬するデジタル信号である。それ故に、駆動電圧信号VDR1としての電圧信号VS1の電位V1が、診断制御信号HC1のハイレベルの電位であって、電圧VDDにより規定される3.3V付近の電位である場合、電圧信号VS1に診断制御信
号HC1が重畳し、その結果、異常検出回路250に入力される電圧信号VS1の電位V1に基づく電圧検出信号DETの精度が低下する。すなわち、電圧信号VS2の電位V2よりも高電位の電圧信号VS1の電位V1を、液体吐出装置1の外部から供給される画像データPDのハイレベルの電位よりも高い電位であって、駆動電圧信号VDR1として電位V1の電圧信号VS1が出力されている期間に、診断制御信号HC1として出力される第1コマンド信号HCfのハイレベルの場合の電位の5倍、又は、18.2Vよりも大きい電位とすることで、電圧信号VS1の電位V1に診断制御信号HC1等の低電位のデジタル信号が重畳した場合であっても、電圧検出信号DETの精度が低下するおそれが低減し、その結果、異常検出回路250における配線WI-VDR1、及び端子TM-VDR1の電位の検査精度を向上させることができる。
一方で、電圧信号VS2の電位V2は、診断制御信号HC1として出力される第2コマンド信号HCsのハイレベルの場合の電位の5倍よりも低電位であり、又は18.2Vよりも低電位である。このような電圧信号VS2の電位V2は、電圧VHVの30%以下であって、例えば、12.6V以下、より好ましくは、グラウンド電位である。
これにより、異常検出回路250に入力される駆動電圧信号VDR1としての電圧信号VS1の電位V1と電圧信号VS2の電位V2との電位差を大きくすることができ、その結果、異常検出回路250における配線WI-VDR1、及び端子TM-VDR1の電位の検査精度をさらに向上させることができる。
さらに、電圧信号VS1の電位V1よりも低電位の電圧信号VS2の電位V2を、電位V1が正常であると判定される電位の範囲とは異なる電位とすることで、駆動電圧信号VDR1が伝搬する配線WI-VDR1又は端子TM-VDR1に短絡異常が生じた場合に、異常検出回路250が配線WI-VDR1又は端子TM-VDR1の異常を誤検出するおそれを低減することもできる。
ここで、図20~図23では、吐出制御ユニット20が出力する電圧信号VS1の電位V1と電圧信号VS2の電位V2とは異なる電位であって、電圧信号VS1の電位V1が電圧信号VS2の電位V2よりも大きい場合を図示しているが、電圧信号VS2の電位V2が電圧信号VS1の電位V1よりも大きくてもよい。この場合、電圧信号VS2の電位V2は、液体吐出装置1の外部に設けられたホストコンピューター等の外部機器3から供給される画像データPDのハイレベルの電位よりも高電位であってもよく、診断制御信号HC1として出力される第2コマンド信号HCsのハイレベルの電位の5倍よりも高電位であり、又は18.2Vよりも高電位であってもよい。さらに、電圧信号VS2の電位V2は、ケーブルFCで伝搬される信号の内、電圧VHVに次いで2番目に高電位であって、外部から供給される交流電圧ACの実効値の10%よりも大きいことが好ましく、例えば、電圧信号VS2の電位V2は、電圧VHV電圧値の70%以上の大きさであって、29.4V以上である。
一方で、電圧信号VS1の電位V1は、診断制御信号HC1として出力される第1コマンド信号HCfのハイレベルの場合の電位の5倍よりも低電位であり、又は18.2Vよりも低電位である。このような電圧信号VS1の電位V1は、電圧VHVの30%以下であって、例えば、12.6V以下であって、好ましくは、グラウンド電位である。この場合であっても、同様の作用効果を奏する。
以上のように、本実施形態の液体吐出装置1において、プリントヘッド100は、端子TM-VDR1の電位が電位V1の状態で端子TM-SI1/HCに入力される第1コマンドcmd1、及び第2コマンドcmd2を含む第1コマンド信号HCfと、端子TM-VDR1の電位が電位V2の状態で端子TM-SI1/HCに入力される第3コマンドc
md3、及び第4コマンドcmd4を含む第2コマンド信号HCsと、に応じて、異常検出を行い、プリントヘッド駆動回路2は、第1コマンド信号HCf、及び第2コマンド信号HCsを出力する吐出制御ユニット20と、端子TM-VDR1と電気的に接続する配線WI-VDR1と、端子TM-SI1/HCと電気的に接続する配線WI-SI1/HCと、を有する。そして、吐出制御ユニット20が、配線WI-VDR1に電位V1の電圧信号VS1が供給されている状態において配線WI-SI1/HCに第1コマンド信号HCfを出力し、第1コマンド信号HCfを出力した後であって、配線WI-VDR1に電位V1と異なる電位V2の電圧信号VS2が供給されている状態において、配線WI-SI1/HCに第2コマンド信号HCsを出力し、第1コマンド信号HCfと、第2コマンド信号HCsと、電圧信号VS1と、電圧信号VS2と、に応じて、プリントヘッド100に異常検出を行わせる。
これにより、本実施形態の液体吐出装置1では、高電圧のVHVに基づく駆動電圧信号VDR1が、電位V1の電圧信号VS1と、電位V1と異なる電位の電位V2の電圧信号VS2と、を含み、電圧信号VS1と電圧信号VS2との双方において、電位が正常であるか否かを検出する。これにより、異なる電位の電圧信号VS1,VS2を含む駆動電圧信号VDR1が伝搬する伝搬経路における異常の有無を検出することができる。すなわち、本実施形態の液体吐出装置1では、高電圧の駆動電圧信号VDR1に異常が生じているか否かを精度よく判断することができる。
また、本実施形態の液体吐出装置1では、配線WI-SI1/HC、配線WI-SCK、端子TM-SI1/HC、及び端子TM-SCKの少なくともいずれかに異常が生じているが故に、第1コマンド信号HCf、及び第2コマンド信号HCsの少なくとも一方が正常なコマンドとしてプリントヘッド100に入力されていない場合も検出することができる。
上述の通り、本実施形態の液体吐出装置1において、異常検出回路250が有する判定制御回路451は、クロック信号SCKに同期して入力される第1コマンド信号HCf、又は第2コマンド信号HCsに応じて、電圧入力切替回路251、電圧判定回路452、及び記憶回路454の動作を制御することで、配線WI-VDR1又は端子TM-VDR1に保持される駆動電圧信号VDR1に含まれる電圧信号VS1,VS2の電圧値が正常であるか否かを判断する。そのため、配線WI-SI1/HC、端子TM-SI1/HC、配線WI-SCK、端子TM-SCKのいずれかに短絡異常や接続不良等の異常が生じ、プリントヘッド100に入力されるクロック信号SCK、第1コマンド信号HCf、及び第2コマンド信号HCsの少なくともいずれかに異常が生じた場合、判定制御回路451は、配線WI-VDR1又は端子TM-VDR1に保持される駆動電圧信号VDR1に含まれる電圧信号VS1,VS2の電圧値が正常であるか否かの判断を行わない。判定制御回路451は、半導体装置450のPORが実行された後、所定の期間内に、駆動電圧信号VDR1に含まれる電圧信号VS1,VS2の電圧値が正常であるか否かの判断を実行するための第1コマンド信号HCf、及び第2コマンド信号HCsが入力されない場合、配線WI-SI1/HC、端子TM-SI1/HC、配線WI-SCK、端子TM-SCKのいずれかに短絡異常や接続不良等の異常が生じ、その結果、プリントヘッド100に入力されるクロック信号SCK、第1コマンド信号HCf、及び第2コマンド信号HCsの少なくともいずれかに異常が生じていると判断する。
すなわち、本実施形態の液体吐出装置1では、駆動電圧信号VDR1に含まれる電圧信号VS1,VS2の電圧値が正常であるか否かの判断を実行するための第1コマンド信号HCf、及び第2コマンド信号HCsが、所定の期間内に異常検出回路250に入力されたか否かによって、低電圧のクロック信号SCK、第1コマンド信号HCf、及び第2コマンド信号HCsの少なくともいずれかに異常が生じているか否かを判断することもでき
る。
以上のように、本実施形態の液体吐出装置1において、端子TM-VDR1の電位が電位V1の状態で端子TM-SI1/HCに入力される第1コマンドcmd1、及び第2コマンドcmd2を含む第1コマンド信号HCfと、端子TM-VDR1の電位が電位V2の状態で端子TM-SI1/HCに入力される第3コマンドcmd3、及び第4コマンドcmd4を含む第2コマンド信号HCsと、に応じて、異常検出を行うプリントヘッド100に対して、プリントヘッド駆動回路2が有する吐出制御ユニット20が、配線WI-VDR1に電位V1の電圧信号VS1が供給されている状態において配線WI-SI1/HCに第1コマンド信号HCfを出力し、第1コマンド信号HCfを出力した後であって、配線WI-VDR1に電位V1と異なる電位V2の電圧信号VS2が供給されている状態において、配線WI-SI1/HCに第2コマンド信号HCsを出力し、第1コマンド信号HCfと、第2コマンド信号HCsと、電圧信号VS1と、電圧信号VS2と、に応じて、プリントヘッド100に異常検出を行わせることで、プリントヘッド100に供給される高電圧の信号と低電圧の信号とが正常であるか否かを判別することができ、その結果、プリントヘッド100に動作不良が生じるおそれを低減することができる。
ここで、判定制御回路451が、低電圧のクロック信号SCK、第1コマンド信号HCf、及び第2コマンド信号HCsの少なくともいずれかに異常が生じているか否かを判断するための所定の期間は、半導体装置450のPORの実行後の期間に限るものではなく、例えば、第1コマンドcmd1が入力された後、第2コマンドcmd2が入力されるまでの期間、第2コマンドcmd2が入力された後、第3コマンドcmd3が入力されるまでの期間、及び第3コマンドcmd3が入力された後、第4コマンドcmd4が入力されるまでの期間であってもよい。
1.6.3 プリントヘッドの検査方法
以上のように本実施形態における異常検出回路250を含むプリントヘッド100を有する液体吐出装置1は、端子TM-SI1/HCに入力される印刷データ信号SI1に応じて端子TM-VDR1に入力される駆動電圧信号VDR1としての駆動信号COMAを駆動素子としての圧電素子60に供給することで印刷を行うプリントヘッド100と、プリントヘッド100に印刷を実行されるプリントヘッド駆動回路2と、を備える。
プリントヘッド駆動回路2は、第1コマンド信号HCf及び第2コマンド信号HCsを出力する吐出制御ユニット20と、端子TM-VDR1と電気的に接続する配線WI-VDR1と、端子TM-SI1/HCと電気的に接続する配線WI-SI1/HCと、を有し、吐出制御ユニット20は、配線WI-VDR1に電位V1の電圧信号VS1が供給されている状態において配線WI-SI1/HCに第1コマンド信号HCfを出力し、第1コマンド信号HCfを出力した後であって、配線WI-VDR1に電位V1と異なる電位V2の電圧信号VS2が供給されている状態において配線WI-SI1/HCに第2コマンド信号HCsを出力する。
また、プリントヘッド100は、端子TM-VDR1の電位が電位V1の状態で端子TM-SI1/HCに入力される第1コマンド信号HCfに応じて、端子TM-VDR1と電気的に接続する電圧入力切替回路251及び電圧判定回路452を含む回路の出力を処理し、端子TM-VDR1の電位が電位V2の状態で端子TM-SI1/HCに入力される第2コマンド信号HCsに応じて、端子TM-VDR1と電気的に接続する電圧入力切替回路251及び電圧判定回路452を含む回路の出力を処理する。
具体的には、プリントヘッド100は、端子TM-SI1/HCと、端子TM-VDR1と、電圧入力切替回路251と、電圧判定回路452と、出力切替回路453と、を備
える。そして、電圧入力切替回路251及び電圧判定回路452は、端子TM-SI1/HCに入力される第1コマンド信号HCfに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かを判断するとともに、端子TM-SI1/HCに入力される第2コマンド信号HCsに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かを判断する。この場合において、電圧入力切替回路251及び電圧判定回路452は、端子TM-SI1/HCに入力される第1コマンド信号HCfに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かの判断を、判定情報c1により規定される判定基準により実行し、端子TM-SI1/HCに入力される第2コマンド信号HCsに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かの判断を、判定情報c1と異なる判定情報c2により規定される判定基準により実行する。すなわち、電圧入力切替回路251及び電圧判定回路452は、端子TM-SI1/HCに入力される第1コマンド信号HCfに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かの判断と、端子TM-SI1/HCに入力される第2コマンド信号HCsに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かの判断とを異なる判断基準で行う。
そして、出力切替回路453は、端子TM-SI1/HCに入力される第1コマンド信号HCfに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かの判断と、端子TM-SI1/HCに入力される第2コマンド信号HCsに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かの判断との双方において、端子TM-VDR1の電位が正常であると判断された場合に印刷を許可し、端子TM-SI1/HCに入力される第1コマンド信号HCfに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かの判断と、端子TM-SI1/HCに入力される第2コマンド信号HCsに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かの判断との少なくとも一方において、端子TM-VDR1の電位が正常でないと判断された場合に印刷を不許可とする。
以上のように構成された本実施形態における液体吐出装置1では、吐出制御ユニット20がプリントヘッド100に向けて出力する高電圧の駆動電圧信号VDR1と、低電圧の診断制御信号HC1とを用いてプリントヘッド100に供給される信号が正常であるか否かを検査することができる。これにより、プリントヘッド100に供給される高電圧の信号と低電圧の信号とが正常であるか否かを精度よく判別することができ、その結果、プリントヘッド100に異常が生じた信号が供給されることに起因し、プリントヘッド100に動作不良が生じるおそれを低減できるとともに、プリントヘッド駆動回路2は、プリントヘッド100に異常が生じているか否かに応じてプリントヘッド100を制御することができる。
このようなプリントヘッド100の検査方法の詳細について説明する。図24は、液体吐出装置1におけるプリントヘッド100の検査方法を示す図である。図24に示すように液体吐出装置1におけるプリントヘッド100の検査方法は、判断工程(ステップS100)と、判定工程(ステップS100)の後に続く許可工程(ステップS300)とを含む。
図25は、判断工程の一例を示す図である。図25に示すように、判断工程(ステップS100)において、吐出制御ユニット20は、駆動電圧信号VDR1として電位V1で一定の直流電圧の電圧信号VS1を生成する。そして、吐出制御ユニット20は、電位V1で一定の電圧信号VS1を配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給する(ステップS110)。また、吐出制御ユニット20は、診断制御信号HCとして第1コマンド信号HCfを生成する。そして、吐出制御ユニット20は、第1コマンド信号HCfを配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCに出力する(ステップS120)。
吐出制御ユニット20が出力する第1コマンド信号HCfは、配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCを介して異常検出回路250が有する判定制御回路451に
入力される。判定制御回路451は、第1コマンド信号HCfに基づいて記憶回路454に記憶されている判定情報c1を読み出す。すなわち、判定制御回路451は、記憶回路454から判定情報c1を読み出す(ステップS130)。なお、ステップS130において、所定の期間、判定制御回路451に第1コマンド信号HCfが入力されない場合、判定制御回路451は、第1コマンド信号HCfに異常が生じていると判断する。そして、判定制御回路451は、プリントヘッド100に異常が生じていることを示す判定結果信号ESを生成し、吐出制御ユニット20に出力する。このとき、判定制御回路451は、プリントヘッド100の検査を終了してもよい。
その後、判定制御回路451は、第1コマンド信号HCfに基づいて電圧入力切替回路251が配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に保持される電位に応じた電圧検出信号DETを生成するように制御するとともに、電圧判定回路452が電圧検出信号DETと判定情報c1とに基づいて電圧検出信号DETの電位が正常であるか否かを判定するように制御する。すなわち、判定制御回路451は、端子TM-SI1/HC1に入力される第1コマンド信号HCfに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かを判断する(ステップS140)。
そして、判定制御回路451は、端子TM-SI1/HCに入力される第1コマンド信号HCfに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かの判断結果を含む結果情報r1を記憶回路454に記憶する。すなわち、判定制御回路451は、記憶回路454に結果情報r1を記憶する(ステップS150)。
その後、吐出制御ユニット20は、駆動電圧信号VDR1として電位V1と異なる電位V2で一定の直流電圧の電圧信号VS2を生成する。そして、吐出制御ユニット20は、電位V2で一定の電圧信号VS2を配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に供給する(ステップS210)。また、吐出制御ユニット20は、診断制御信号HCとして第2コマンド信号HCsを生成する。そして、吐出制御ユニット20は、第2コマンド信号HCsを配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCに出力する(ステップS220)。
吐出制御ユニット20が出力する第2コマンド信号HCsは、配線WI-SI1/HC及び端子TM-SI1/HCを介して異常検出回路250が有する判定制御回路451に入力される。判定制御回路451は、第2コマンド信号HCsに基づいて記憶回路454に記憶されている判定情報c2を読み出す。すなわち、判定制御回路451は、記憶回路454から判定情報c2を読み出す(ステップS230)。なお、ステップS230において、所定の期間、判定制御回路451に第2コマンド信号HCsが入力されない場合、判定制御回路451は、第2コマンド信号HCsに異常が生じていると判断する。そして、判定制御回路451は、プリントヘッド100に異常が生じていることを示す判定結果信号ESを生成し、吐出制御ユニット20に出力する。このとき、判定制御回路451は、プリントヘッド100の検査を終了してもよい。
その後、判定制御回路451は、第2コマンド信号HCsに基づいて電圧入力切替回路251が配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1に保持される電位に応じた電圧検出信号DETを生成するように制御するとともに、電圧判定回路452が電圧検出信号DETと判定情報c2とに基づいて電圧検出信号DETの電位が正常であるか否かを判定するように制御する。すなわち、判定制御回路451は、端子TM-SI1/HCに入力される第2コマンド信号HCsに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かを判断する(ステップS240)。
そして、判定制御回路451は、端子TM-SI1/HCに入力される第2コマンド信
号HCsに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かの判断結果を含む結果情報r2を記憶回路454に記憶する。すなわち、判定制御回路451は、記憶回路454に結果情報r2を記憶し(ステップS250)、判断工程(ステップS100)を終了する。
以上のように、判断工程(ステップS100)では、端子TM-SI1/HCに入力される第1コマンド信号HCfに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かを判断するステップS140を含む判断と、端子TM-SI1/HCに入力される第2コマンド信号HCsに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かを判断するステップS240を含む判断とを、判定情報c1、及び判定情報c2のそれぞれで規定される異なる判断基準で行う。
次に許可工程(ステップS300)の一例について説明する。図26は、許可工程の一例を示す図である。図26に示すように、許可工程(ステップS300)において、判定制御回路451は、記憶回路454から結果情報r1と結果情報r2とを読み出す(ステップS310)。そして、判定制御回路451は、読み出した結果情報r1と結果情報r2の双方が端子TM-VDR1の電位が正常であると示す情報であるか否かを判断する(ステップS320)。
判定制御回路451が、結果情報r1と結果情報r2の双方が端子TM-VDR1の電位が正常を示す情報であると判断した場合(ステップS320のY)、判定制御回路451は、出力切替回路453にスイッチ群SWを導通に制御するスイッチ制御信号OSを出力する(ステップS330)。これにより、出力切替回路453が有するスイッチ群SWに含まれる切替スイッチが導通に制御され、その結果、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHが駆動信号選択回路200に入力される。そして、駆動信号選択回路200は、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHが入力されることで、圧電素子60に駆動信号VOUTを供給する。すなわち、媒体Pへの印刷が許可される。
一方で、判定制御回路451が、結果情報r1と結果情報r2との少なくとも一方が端子TM-VDR1の電位が正常を示す情報ではないと判断した場合(ステップS320のN)、判定制御回路451は、出力切替回路453にスイッチ群SWを非導通に制御するスイッチ制御信号OSを出力する(ステップS340)。これにより、出力切替回路453が有するスイッチ群SWに含まれる切替スイッチは非導通に制御され、その結果、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHは、駆動信号選択回路200に入力されない。したがって、駆動信号選択回路200は、圧電素子60に駆動信号VOUTを供給しない。すなわち、媒体Pへの印刷が不許可とされる。
以上のように許可工程(ステップS300)では、ステップS140の判断及びステップS240の判断において、端子TM-VDR1の電位が正常であると判断された場合に印刷を許可し、ステップS140の判断又はステップS240の判断において、端子TM-VDR1の電位が正常でないと判断された場合に印刷を不許可とする。具体的には、許可工程(ステップS300)では、出力切替回路453が有するスイッチ群SWに含まれる切替スイッチを制御することで、その結果、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHの駆動信号選択回路200への供給を制御し、駆動信号COMA,COMBに基づく駆動信号VOUTの圧電素子60への供給を制御する。すなわち、許可工程(ステップS300)では、駆動信号COMA,COMBに基づく駆動信号VOUTを圧電素子60に供給するか否かによって、印刷を許可するか不許可とするかを切り替える。
ここで、判定制御回路451が、端子TM-SI1/HCに入力される第1コマンド信号HCfに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であると判断する場合、端子TM-VDR1には、電位V1が保持され、判定制御回路451が、端子TM-SI1/HCに入力される第2コマンド信号HCsに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であると判断する場合、端子TM-VDR1には、電位V2が保持される。この場合において、端子TM-VDR1に保持される電位V1と、端子TM-VDR1に保持される電位V2とは、異なる電位である。
例えば、判定制御回路451が、端子TM-SI1/HCに入力される第1コマンド信号HCfに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であると判断した場合の端子TM-VDR1の電位V1は、端子TM-SI1/HCに入力される第2コマンド信号HCsに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であると判断した場合の端子TM-VDR1の電位V2よりも高くてもよく、若しくは、判定制御回路451が、端子TM-SI1/HCに入力される第2コマンド信号HCsに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であると判断した場合の端子TM-VDR1の電位V2は、端子TM-SI1/HCに入力される第1コマンド信号HCfに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であると判断した場合の端子TM-VDR1の電位よりも高くても良い。
ここで、図24~図26に示すプリントヘッド100の検査方法において、判断工程(ステップS100)と許可工程(ステップS300)とは、プリントヘッド100が有する異常検出回路250が実行する場合を例示して説明を行ったが、判断工程(ステップS100)及び許可工程(ステップS300)の少なくとも一部が、プリントヘッド駆動回路2で実行されてもよい。すなわち、異常検出回路250が有する構成の一部がプリントヘッド駆動回路2に設けられていてもよい。この場合であっても同様の作用効果を奏することができる。
ここで、コネクターCNに含まれる端子TM-SI1/HCが第1端子の一例であり、端子TM-VDR1が第2端子の一例であり、端子TM-VHV及び端子TM-VDDの少なくとも一方が第3端子の一例であり、端子TM-SCKが第4端子の一例であり、端子TM-ESが第5端子の一例である。また、印刷データ信号SI1が印刷データの一例であり、第1コマンド信号HCfが第1信号の一例であり、第2コマンド信号HCsが第2信号の一例であり、電位V1が第1電位の一例であり、電位V2が第2電位の一例である。また、第1コマンド信号HCf及び第2コマンド信号HCsに基づいて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かを判定する電圧入力切替回路251、判定制御回路451及び電圧判定回路452が判断回路の一例であり、電圧入力切替回路251、判定制御回路451及び電圧判定回路452の判断結果に基づいて印刷を許可するか不許可とするかを制御する判定制御回路451、及び出力切替回路453が許可回路の一例であり、判断回路の一例である電圧入力切替回路251、判定制御回路451及び電圧判定回路452の少なくとも一部と、許可回路である判定制御回路451、及び出力切替回路453の少なくとも一部を構成する半導体装置450が半導体集積回路の一例であり、出力切替回路453がスイッチ回路の一例である。
また、駆動信号選択回路200が圧電素子60に供給される駆動信号VOUTを生成する点に鑑みると、判定制御回路451、及び出力切替回路453に駆動信号選択回路200を加えた構成が許可回路の他の一例であり、この場合、駆動信号選択回路200はスイッチ回路の他の一例である。そして、判断工程(ステップS100)におけるステップS140の判断が第1判断の一例であり、ステップS240の判断が第2判断の一例である。
1.7 作用効果
以上のように構成された液体吐出装置1が有するプリントヘッド100は、端子TM-SI1/HCに入力される第1コマンド信号HCfと端子TM-SCKに入力されるクロック信号SCKとに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かを判断し、端子TM-SI1/HCに入力される第2コマンド信号HCsと端子TM-SCKに入力されるクロック信号SCKとに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かを判断する電圧入力切替回路251及び電圧判定回路452を含む。これにより、仮に端子TM-SI1/HCに入力される低電圧の第1コマンド信号HCf,第2コマンド信号HCs、及び端子TM-SCKに入力されるクロック信号SCKの少なくともいずれかに異常が生じていた場合、プリントヘッド100に入力される信号が正常であるか否かを判断することができず、当該判断が実行できないことに基づいて、プリントヘッド100に入力される信号に異常が生じている旨を判別することができる。さらに、端子TM-SI1/HCに入力される第1コマンド信号HCfと端子TM-SCKに入力されるクロック信号SCKとに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かを判断し、端子TM-SI1/HCに入力される第2コマンド信号HCsと端子TM-SCKに入力されるクロック信号SCKとに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かを判断する端子TM-VDR1に供給される高電圧の信号が正常であるか否かを判断することができる。
すなわち、本実施形態におけるプリントヘッド100では、低電圧の第1コマンド信号HCf及び第2コマンド信号HCsを含む診断制御信号HCと、高電圧の駆動電圧信号VDR1との双方に異常が生じているか否かを判断することができる。これにより、プリントヘッド100に供給される高電圧の信号と低電圧の信号とが正常であるか否かを判別することができ、プリントヘッド100に動作不良が生じるおそれを低減することができる。
さらに、端子TM-SI1/HCに入力される第1コマンド信号HCfと端子TM-SCKに入力されるクロック信号SCKとに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かを判断し、端子TM-SI1/HCに入力される第2コマンド信号HCsと端子TM-SCKに入力されるクロック信号SCKとに応じて端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かを判断した後、第1コマンド信号HCfに応じた端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かを判断と、第2コマンド信号HCsに応じた端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かを判断との双方において、端子TM-VDR1の電位が正常である場合に、印刷を許可することで、プリントヘッド100に供給される高電圧の信号と低電圧の信号とが正常であるか否かの判別精度を高めることができ、プリントヘッド100に動作不良が生じるおそれをさらに低減することができる。
また、本実施形態における液体吐出装置1において、端子TM-VDR1の電位が電位V1の状態で端子TM-SI1/HCに入力される第1コマンド信号HCfと端子TM-SCKに入力されるクロック信号SCKとに応じて、端子TM-VDR1と電気的に接続する電圧入力切替回路251及び電圧判定回路452からの出力を処理し、端子TM-VDR1の電位が電位V2の状態で端子TM-SI1/HCに入力される第2コマンド信号HCsと端子TM-SCKに入力されるクロック信号SCKとに応じて、電圧入力切替回路251及び電圧判定回路452からの出力を処理するプリントヘッド100に印刷を実行させるプリントヘッド駆動回路2は、吐出制御ユニット20が端子TM-VDR1と電気的に接続する配線WI-VDR1に電位V1の電圧信号VS1が供給されている状態において端子TM-SI1/HCと電気的に接続する配線WI-SI1/HCに第1コマンド信号HCfを出力し、第1コマンド信号HCfを出力した後であって、配線WI-VDR1に電位V1と異なる電位V2の電圧信号VS2が供給されている状態において配線WI-SI1/HCに第2コマンド信号HCsを出力する。これにより、プリントヘッド100は、端子TM-VDR1に入力される電位V1,V2、及び端子TM-SI1/HCに入力される第1コマンド信号HCf,第2コマンド信号HCsが、所定のタイミング且
つ所定の状態で入力された場合にのみ印刷を実行し、端子TM-VDR1に入力される電位V1,V2、及び端子TM-SI1/HCに入力される第1コマンド信号HCf,第2コマンド信号HCs、及び端子TM-SCKに入力されるクロック信号SCKの少なくともいずれかが入力されるタイミング、又は入力される状態が異なる場合に、印刷を実行しない。
すなわち、プリントヘッド駆動回路2は、プリントヘッド100に端子TM-VDR1と電気的に接続する配線WI-VDR1に電位V1の電圧信号VS1が供給されている状態において端子TM-SI1/HCと電気的に接続する配線WI-SI1/HCに第1コマンド信号HCfを出力し、端子TM-SCKと電気的に接続する配線WI-SCKにクロック信号SCKを出力し、第1コマンド信号HCfを出力した後であって、配線WI-VDR1に電位V1と異なる電位V2の電圧信号VS2が供給されている状態において配線WI-SI1/HCに第2コマンド信号HCsを出力し、端子TM-SCKと電気的に接続する配線WI-SCKにクロック信号SCKを出力することで、入力される信号が正常であるか否かをプリントヘッド100自身に診断させる。これにより、プリントヘッド駆動回路2は、プリントヘッド100に供給される高電圧の信号と低電圧の信号とが正常であるか否かに基づいて、プリントヘッド100を制御することができ、その結果、プリントヘッド100に動作不良が生じるおそれを低減することができる。
また、本実施形態における液体吐出装置1では、プリントヘッド100、及びプリントヘッド駆動回路2は、異なる2つ電位である電位V1,V2と、当該電位V1,V2のそれぞれに対応する第1コマンド信号HCf,第2コマンド信号HCsに基づいてプリントヘッド100に入力される信号が正常であるか否かを判別することで、プリントヘッド100に供給される高電圧の信号と低電圧の信号とが正常であるか否かの判別精度を高めることができ、プリントヘッド100に動作不良が生じるおそれをさらに低減することができる。
1.8 変形例
以上に説明した本実施形態の液体吐出装置1では、診断制御信号HCが、印刷データ信号SI1と共通の配線WI-SI1/HCで伝搬し、共通の端子TM-SI1/HCに供給される場合を例示しているが、診断制御信号HCと印刷データ信号SI1とは、異なる配線WIで伝搬してもよく、また、異なる端子TMから入力されてもよい。
また、以上に説明した本実施形態の液体吐出装置1では、駆動電圧信号VDR1として電圧信号VS1,VS2及び駆動信号COMAを共通の配線WI-VDR1で伝搬し、共通の端子TM-VDR1に供給される場合を例示しているが、電圧信号VS1,VS2及び駆動信号COMAは、それぞれが異なる配線WIで伝搬してもよく、また、異なる端子TMから入力されてもよい。
また、以上に説明した本実施形態の液体吐出装置1において、駆動電圧信号VDR1に含まれる電圧信号VS1の電位V1が、電圧信号VS2の電位V2よりも大きい場合を例示しているが、駆動電圧信号VDR1に含まれる電圧信号VS2の電位V2が、電圧信号VS1の電位V1よりも大きくてもよい。
以上のような変形例の液体吐出装置1であっても、上述した作用効果を奏することができる。
2.第2実施形態
次に第2実施形態における液体吐出装置1について説明する。第2実施形態の液体吐出装置1について説明するにあたり、第1実施形態の液体吐出装置1と同様の構成について
は同じ符号を付し、その説明を簡略、又は省略する場合がある。
図27は、第2実施形態の液体吐出装置1が有するプリントヘッド100の機能構成を示す図である。図27に示すように第2実施形態のプリントヘッド100では、印刷データ信号SI1に加えて印刷データ信号SI2~SInが異常検出回路250に入力されている点で第1実施形態における液体吐出装置1と異なる。
具体的には、異常検出回路250には、診断制御信号HC、印刷データ信号SI1~SIn、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び駆動電圧信号VDR1が入力される。
異常検出回路250は、診断制御信号HCと駆動電圧信号VDR1とに基づいて、第1実施形態と同様に、プリントヘッド100に伝搬される信号が正常であるか否かの判定を実行する。そして、異常検出回路250は、プリントヘッド100に伝搬される信号が正常であると判定した場合に、印刷データ信号SI1~SIn、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHを駆動信号選択回路200-1~200-nに出力する。
以上のように構成された第2実施形態の液体吐出装置1であっても、第1実施形態に示す液体吐出装置1と同様の作用効果を奏する。
また、第2実施形態における液体吐出装置1において、診断制御信号HCは、印刷データ信号SI1~SInが伝搬する配線のそれぞれで伝搬してもよく、この場合において、診断制御信号HCは、第1コマンド信号HCfとして、印刷データ信号SI1に対応する第1コマンド信号HCf1と、印刷データ信号SInに対応する第1コマンド信号HCfnと、印刷データ信号SIj(jは1~nのいずれか)に対応する第1コマンド信号HCfjと、を含んでもよい。同様に、診断制御信号HCは、第2コマンド信号HCsとして、印刷データ信号SI1に対応する第2コマンド信号HCs1と、印刷データ信号SInに対応する第2コマンド信号HCsnと、印刷データ信号SIj(jは1~nのいずれか)に対応する第2コマンド信号HCsjと、を含んでもよい。
そして、ケーブルFCにおいて、印刷データ信号SI1と診断制御信号HCに含まれる第1コマンド信号HCf1、第2コマンド信号HCs1とが共通の配線WI及び端子TMを伝搬し、印刷データ信号SInと診断制御信号HC1に含まれる第1コマンド信号HCfn、第2コマンド信号HCsnとが共通の配線WI及び端子TMを伝搬し、印刷データ信号SIjと診断制御信号HC1に含まれる第1コマンド信号HCfj、第2コマンド信号HCsjとが共通の配線WI及び端子TMを伝搬する。
異常検出回路250は、入力される第1コマンド信号HCf1~HCfnの全てが正常であると認識することで、電位V1の電圧信号VS1が供給される配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かの判定を実行し、第2コマンド信号HCs1~HCsnの全てが正常であると認識することで、電位V2の電圧信号VS2が供給される配線WI-VDR1及び端子TM-VDR1の電位が正常であるか否かの判定を実行する。これにより、印刷データ信号SI1が伝搬する配線WI及び端子TMに加えて、印刷データ信号SI2~SInが伝搬する配線WI及び端子TMのそれぞれの電位が正常であるか否かを判別することが可能となり、その結果、プリントヘッド100に供給される高電圧の信号と低電圧の信号とが正常であるか否かの判別精度を高めることができ、プリントヘッド100に動作不良が生じるおそれをさらに低減することができる。
3.第3実施形態
次に第3実施形態における液体吐出装置1について説明する。第3実施形態の液体吐出装置1について説明するにあたり、第1実施形態の液体吐出装置1、及び第2実施形態の液体吐出装置1と同様の構成については同じ符号を付し、その説明を簡略、又は省略する場合がある。
図28は、第3実施形態の液体吐出装置1が有するプリントヘッド100の機能構成を示す図である。図28に示すように第3実施形態のプリントヘッド100では、駆動信号選択回路200-1~200-nのそれぞれに対応したn個の異常検出回路250を有する点で第1実施形態及び第2実施形態における液体吐出装置1と異なる。ここで、駆動信号選択回路200-1に対応する異常検出回路250を異常検出回路250-1と称し、駆動信号選択回路200-nに対応する異常検出回路250を異常検出回路250-nと称し、駆動信号選択回路200-j(jは1~nのいずれか)に対応する異常検出回路250を異常検出回路250-nと称する。
具体的には、異常検出回路250-1には、診断制御信号HC、印刷データ信号SI1、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び駆動電圧信号VDR1が入力される。そして、異常検出回路250-1は、診断制御信号HCと駆動電圧信号VDR1とに基づいて、プリントヘッド100に伝搬される信号が正常であるか否かの判定を実行し、プリントヘッド100に伝搬される信号が正常であると判定した場合に、印刷データ信号SI1、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHを駆動信号選択回路200-1に出力する。
同様に、異常検出回路250-nには、診断制御信号HC、印刷データ信号SIn、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び駆動電圧信号VDR1が入力される。そして、異常検出回路250-nは、診断制御信号HCと駆動電圧信号VDR1とに基づいて、プリントヘッド100に伝搬される信号が正常であるか否かの判定を実行し、プリントヘッド100に伝搬される信号が正常であると判定した場合に、印刷データ信号SIn、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHを駆動信号選択回路200-nに出力する。
同様に、異常検出回路250-jには、診断制御信号HC、印刷データ信号SIj、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び駆動電圧信号VDR1が入力される。そして、異常検出回路250-jは、診断制御信号HCと駆動電圧信号VDR1とに基づいて、プリントヘッド100に伝搬される信号が正常であるか否かの判定を実行し、プリントヘッド100に伝搬される信号が正常であると判定した場合に、印刷データ信号SIj、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHを駆動信号選択回路200-jに出力する。
以上のように構成された第3実施形態の液体吐出装置1であっても、第1実施形態に示す液体吐出装置1と同様の作用効果を奏する。
また、第3実施形態における液体吐出装置1において、診断制御信号HCは、吐出制御ユニット20で分岐された後、診断制御信号HCの分岐された1つが印刷データ信号SI1と同じ配線WI及び端子TMで伝搬し、診断制御信号HCの分岐された異なる1つが印刷データ信号SInと同じ配線WI及び端子TMで伝搬し、さらに、診断制御信号HCの分岐されたさらに異なる1つが診断制御信号HCjと印刷データ信号SIjとが同じ配線WI及び端子TMで伝搬してもよい。これにより、異常検出回路250-1~250-nは、印刷データ信号SI1が伝搬する配線WI及び端子TMに加えて、印刷データ信号SI2~SInが伝搬する配線WI及び端子TMのそれぞれの電位が正常であるか否かを判別することが可能となり、その結果、プリントヘッド100に供給される高電圧の信号と
低電圧の信号とが正常であるか否かの判別精度を高めることができ、プリントヘッド100に動作不良が生じるおそれをさらに低減することができる。
さらに、異常検出回路250-1~250-nのそれぞれに含まれる半導体装置450と異常検出回路250-1~250-nのそれぞれに対応する駆動信号選択回路200を含む半導体装置201とが1つの集積回路で構成されてもよい。これにより、プリントヘッド100の小型化が可能となる。
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
上述した実施形態から以下の内容が導き出される。
プリントヘッドの一態様は、
第1端子に入力される印刷データに応じて第2端子に入力される駆動信号を駆動素子に供給することで印刷を行うプリントヘッドであって、
前記第1端子と、
前記第2端子と、
前記第1端子に入力される第1信号に応じて前記第2端子の電位が正常であるか否かを判断する第1判断と、前記第1端子に入力される第2信号に応じて前記第2端子の電位が正常であるか否かを判断する第2判断と、を異なる判断基準で行う判断回路と、
前記第1判断及び前記第2判断において前記第2端子の電位が正常であると判断された場合に印刷を許可し、前記第1判断又は前記第2判断において前記第2端子の電位が正常でないと判断された場合に印刷を不許可とする許可回路と、
を備える。
このプリントヘッドによれば、判断回路が、印刷データ等の低電圧の信号が伝搬する第1端子に入力される第1信号に応じて、駆動信号などの高電圧の信号が伝搬する第2端子の電位が正常であるか否かを判断する第1判断と、印刷データ等の低電圧の信号が伝搬する第1端子に入力される第2信号に応じて、駆動信号などの高電圧の信号が伝搬する第2端子の電位が正常であるか否かを、第1判断と異なる判断基準で判断する第2判断と、を実行し、許可回路は、第1判断及び第2判断の双方において、第2端子の電位が正常であると判断された場合に、印刷を許可し、第1判断又は第2判断において、第2端子の電位が正常でないと判断された場合に、印刷を不許可とする。すなわち、第1端子に入力される低電圧の信号に基づいて、第2端子に入力される異なる電位の信号の双方が正常に入力されている場合に印刷を許可する。
すなわち、プリントヘッドは、第1端子に入力される第1信号に応じて、第2端子に入力される第1電位の信号が正常であるか否かを判断し、第1端子に入力される第2信号に応じて、第2端子に入力される第2電位の信号が正常であるか否かを判断する。さらに、プリントヘッドが、高電位の信号が正常であるか否かの判断を低電位の第1信号、及び第2信号に応じて判断する点に鑑みると、プリントヘッドは、第1信号、及び第2信号に入
力される信号が正常である場合と判断した場合、高電位の信号が正常であるか否かの判断を行い、第1信号、及び第2信号が正常でない場合、高電位の信号が正常であるか否かの判断を行わない。すなわち、プリントヘッドは、高電位の信号が正常であるか否かの判断を行うか否かによって、低電圧の信号が正常であるか否の判断も行う。
これにより、プリントヘッドは、供給される高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを検出することができ、プリントヘッドに動作不良が生じるおそれを低減することができる。
さらに、第2端子に入力される異なる電位の双方が正常であるか否かを異なる判断基準により判断することで、例えば、固定出力しか供給されない場合等の異常が生じた場合であってもプリントヘッドに供給される高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを検出することができ、プリントヘッドに動作不良が生じるおそれをさらに低減することができる。
前記プリントヘッドの一態様において、
前記判断回路が前記第1判断において正常であると判断した場合の前記第2端子の電位である第1電位は、前記判断回路が前記第2判断において正常であると判断した場合の前記第2端子の電位である第2電位よりも高く、且つ前記第1端子に入力される信号の電位よりも高くてもよい。
このプリントヘッドによれば、判断回路が第1判断において正常であると判断した場合の第2端子の第1電位が、判断回路が第2判断において正常であると判断した場合の第2端子の第2電位よりも大きく、且つ第1端子入力される信号の電位より大きい場合であっても、プリントヘッドに供給される高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを検出することができ、プリントヘッドに動作不良が生じるおそれを低減することができる。
前記プリントヘッドの一態様において、
前記第1電位は、前記第1信号がハイレベルの場合の電位の5倍よりも大きくてもよい。
このプリントヘッドによれば、第1電位が、第1信号がハイレベルの場合の電位の5倍よりも大きいことで、第1電位の信号に第1信号が重畳した場合であっても、第1電位の信号に対する第1信号の影響を低減することができる。これにより、プリントヘッドに供給される高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを検出精度が向上する。
前記プリントヘッドの一態様において、
前記第2電位は、前記第2信号がハイレベルの場合の電位の5倍よりも小さくてもよい。
このプリントヘッドによれば、第1電位の信号と第2電位の信号とを1つの閾値を基準として異なる電圧値とすることができ、さらに、第1電位と第2電位との電位差を大きくすることができる。これにより、プリントヘッドにおいて、第1電位と第2電位との検出精度が向上し、プリントヘッドに供給される高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを検出精度が向上する。
前記プリントヘッドの一態様において、
前記第1電位は、18.2Vよりも大きくてもよい。
このプリントヘッドによれば、第1電位を18.2Vよりも大きくすることで、第1信号として用いられる3.3V等の電位に対して十分に大きくすることができ、その結果、第1電位の信号に第1信号が重畳した場合であっても、第1電位の信号に対する第1信号の影響を低減することができる。これにより、プリントヘッドに供給される高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを検出精度が向上する。
前記プリントヘッドの一態様において、
前記第2電位は、18.2Vよりも小さくてもよい。
このプリントヘッドによれば、第1電位の信号と第2電位の信号とを1つの閾値を基準として異なる電圧値とすることができ、さらに、第1電位と第2電位との電位差を大きくすることができる。これにより、プリントヘッドにおいて、第1電位と第2電位との検出精度が向上し、プリントヘッドに供給される高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを検出精度が向上する。
前記プリントヘッドの一態様において、
前記判断回路の少なくとも一部と前記許可回路の少なくとも一部とは、1つの半導体集積回路で構成されていてもよい。
このプリントヘッドによれば、プリントヘッドの小型化が可能となる。
前記プリントヘッドの一態様において、
前記第1信号は、第1コマンドと、前記第1コマンドの後に続く第2コマンドと、を含んでもよい。
前記プリントヘッドの一態様において、
前記第2信号は、第3コマンドと、前記第3コマンドの後に続く第4コマンドと、を含んでもよい。
前記プリントヘッドの一態様において、
前記第1コマンドと前記第3コマンドとは、異なる情報を含んでもよい。
このプリントヘッドによれば、第1信号に基づいて実行する第1判断の判断基準と第2信号に基づいて実行する第2判断の判断基準とを、第1コマンド及び第3コマンドにより任意に規定することができる。これにより、プリントヘッドに供給される高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを検出精度、及び検出の汎用性が向上する。
前記プリントヘッドの一態様において、
前記第2コマンドと前記第4コマンドとは、同じ情報を含んでもよい。
このプリントヘッドによれば、第1信号と第2信号との少なくとも一部のコマンドが共通することで、プリントヘッドで管理すべきコマンド情報を少なくすることができる。
前記プリントヘッドの一態様において、
前記第1端子と前記第2端子とは、1つのコネクターに含まれていてもよい。
このプリントヘッドによれば、第1端子から入力される信号が伝搬する配線の配線校と、第2端子から入力される信号が伝搬する配線の配線長とにばらつきが生じるおそれが低減し、当該信号の伝搬時間にばらつきが生じるおそれが低減する。その結果、プリントヘ
ッドに供給される高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを検出精度が向上する。
前記プリントヘッドの一態様において、
前記コネクターは、電源電圧を伝搬する第3端子を含んでもよい。
前記プリントヘッドの一態様において、
前記コネクターは、クロック信号を伝搬する第4端子を含んでもよい。
前記プリントヘッドの一態様において、
前記コネクターは、前記判断回路の判断結果を示す信号を伝搬する第5端子を含んでもよい。
前記プリントヘッドの一態様において、
前記許可回路は、印刷を許可するか不許可とするのかを切り替えるスイッチ回路を含んでもよい。
前記プリントヘッドの一態様において、
前記スイッチ回路は、前記駆動信号を前記駆動素子に供給するか否かを切り替えてもよい。
このプリントヘッドによれば、スイッチ回路により、駆動素子に駆動信号を供給するか否かを切り替えることで、印刷を許可とするか不許可とするのかを切り替える場合であっても、プリントヘッドに供給される高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを検出することができる。
プリントヘッドの検査方法の一態様は、
第1端子に入力される印刷データに応じて第2端子に入力される駆動信号を駆動素子に供給することで印刷を行うプリントヘッドの検査方法であって、
前記第1端子に入力される第1信号に応じて前記第2端子の電位が正常であるか否かを判断する第1判断と、前記第1端子に入力される第2信号に応じて前記第2端子の電位が正常であるか否かを判断する第2判断と、を異なる判断基準で行う判断工程と、
前記第1判断及び前記第2判断において前記第2端子の電位が正常であると判断された場合に印刷を許可し、前記第1判断又は前記第2判断において前記第2端子の電位が正常でないと判断された場合に印刷を不許可とする許可工程と、
を含む。
このプリントヘッドの検査方法によれば、判断工程において、印刷データ等の低電圧の信号が伝搬する第1端子に入力される第1信号に応じて、駆動信号などの高電圧の信号が伝搬する第2端子の電位が正常であるか否かを判断する第1判断と、印刷データ等の低電圧の信号が伝搬する第1端子に入力される第2信号に応じて、駆動信号などの高電圧の信号が伝搬する第2端子の電位が正常であるか否かを、第1判断と異なる判断基準で判断する第2判断と、を実行し、許可工程において、第1判断及び第2判断の双方において、第2端子の電位が正常であると判断された場合に、印刷を許可し、第1判断又は第2判断において、第2端子の電位が正常でないと判断された場合に、印刷を不許可とする。すなわち、第1端子に入力される低電圧の信号に基づいて、第2端子に入力される異なる電位の信号の双方が正常に入力されている場合に印刷を許可する。
すなわち、このプリントヘッドの検査方法によれば、判断工程において、第1端子に入力される第1信号に応じて、第2端子に入力される第1電位の信号が正常であるか否かが
判断され、第1端子に入力される第2信号に応じて、第2端子に入力される第2電位の信号が正常であるか否かが、異なる判断基準で判断される。そして、判断工程において、高電位の信号が正常であるか否かの判断が低電位の第1信号、及び第2信号に応じて実行されている点に鑑みると、判断工程において、第1信号、及び第2信号に入力される信号が正常である場合と判断された場合に、高電位の信号が正常であるか否かの判断が行われ、第1信号、及び第2信号が正常でない場合と判断された場合に、高電位の信号が正常であるか否かの判断が行われない。すなわち、判断工程では、高電位の信号が正常であるか否かの判断を行うか否かによって、低電圧の信号が正常であるか否の判断も行われる。
これにより、このプリントヘッドの検査方法によれば、プリントヘッドに供給される高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを検出することができ、プリントヘッドに動作不良が生じるおそれを低減することができる。
さらに、第2端子に入力される異なる電位の双方が正常であるか否かを異なる判断基準により判断することで、例えば、固定出力しか供給されない等の異常が生じた場合であっても、プリントヘッドに供給される高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを検出することができ、プリントヘッドに動作不良が生じるおそれをさらに低減することができる。
前記プリントヘッドの検査方法の一態様において、
前記第1判断において正常であると判断された場合の前記第2端子の電位である第1電位は、前記第2判断において正常であると判断された場合の前記第2端子の電位である第2電位よりも高く、且つ前記第1端子に入力される信号の電位よりも高くてもよい。
このプリントヘッドの検査方法によれば、第1判断において正常であると判断された場合の第2端子の第1電位が、第2判断において正常であると判断された場合の第2端子の第2電位よりも大きく、且つ第1端子入力される信号の電位より大きい場合であっても、プリントヘッドに供給される高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを検出することができ、プリントヘッドに動作不良が生じるおそれを低減することができる。
前記プリントヘッドの検査方法の一態様において、
前記第1電位は、前記第1信号がハイレベルの場合の電位の5倍よりも大きくてもよい。
このプリントヘッドの検査方法によれば、第1電位が、第1信号がハイレベルの場合の電位の5倍よりも大きいことで、第1電位の信号に第1信号が重畳した場合であっても、第1電位の信号に対する第1信号の影響を低減することができる。これにより、プリントヘッドに供給される高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを検出精度が向上する。
前記プリントヘッドの検査方法の一態様において、
前記第2電位は、前記第2信号がハイレベルの場合の電位の5倍よりも小さくてもよい。
このプリントヘッドの検査方法によれば、第1電位の信号と第2電位の信号とを1つの閾値を基準として異なる電圧値とすることができ、さらに、第1電位と第2電位との電位差を大きくすることができる。これにより、第1電位と第2電位との検出精度が向上し、プリントヘッドに供給される高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを検出精度が向上する。
前記プリントヘッドの検査方法の一態様において、
前記第1電位は、18.2Vよりも大きくてもよい。
このプリントヘッドの検査方法によれば、第1電位を18.2Vよりも大きくすることで、第1信号として用いられる3.3V等の電位に対して十分に大きくすることができ、その結果、第1電位の信号に第1信号が重畳した場合であっても、第1電位の信号に対する第1信号の影響を低減することができる。これにより、プリントヘッドに供給される高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを検出精度が向上する。
前記プリントヘッドの検査方法の一態様において、
前記第2電位は、18.2Vよりも小さくてもよい。
このプリントヘッドの検査方法によれば、第1電位の信号と第2電位の信号とを1つの閾値を基準として異なる電圧値とすることができ、さらに、第1電位と第2電位との電位差を大きくすることができる。これにより、第1電位と第2電位との検出精度が向上し、プリントヘッドに供給される高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを検出精度が向上する。
前記プリントヘッドの検査方法の一態様において、
前記判断工程の少なくとも一部と前記許可工程の少なくとも一部とは、1つの半導体集積回路で実行されてもよい。
前記プリントヘッドの検査方法の一態様において、
前記第1信号は、第1コマンドと、前記第1コマンドの後に続く第2コマンドと、を含んでもよい。
前記プリントヘッドの検査方法の一態様において、
前記第2信号は、第3コマンドと、前記第3コマンドの後に続く第4コマンドと、を含んでもよい。
前記プリントヘッドの検査方法の一態様において、
前記第1コマンドと前記第3コマンドとは、異なる情報を含んでもよい。
このプリントヘッドの検査方法によれば、第1信号に基づいて実行する第1判断の判断基準と第2信号に基づいて実行する第2判断の判断基準とを、第1コマンド及び第3コマンドにより任意に規定することができ、これにより、プリントヘッドに供給される高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを検出精度、及び検出の汎用性が向上する。
前記プリントヘッドの検査方法の一態様において、
前記第2コマンドと前記第4コマンドとは、同じ情報を含んでもよい。
このプリントヘッドの検査方法によれば、第1信号と第2信号との少なくとも一部のコマンドが共通することで、管理すべきコマンド情報を少なくすることができる。
前記プリントヘッドの検査方法の一態様において、
前記第1端子と前記第2端子とは、1つのコネクターに含まれていてもよい。
前記プリントヘッドの検査方法の一態様において、
前記コネクターは、電源電圧を伝搬する第3端子を含んでもよい。
前記プリントヘッドの検査方法の一態様において、
前記コネクターは、クロック信号を伝搬する第4端子を含んでもよい。
前記プリントヘッドの検査方法の一態様において、
前記コネクターは、前記判断工程における判断結果を示す信号を伝搬する第5端子を含んでもよい。
前記プリントヘッドの検査方法の一態様において、
前記許可工程は、前記駆動信号を前記駆動素子に供給するか否かによって印刷を許可するか不許可とするかを切り替えてもよい。
このプリントヘッドの検査方法によれば、駆動素子に駆動信号を供給するか否かを切り替えることで、印刷を許可とするか不許可とするのかを切り替える場合であっても、プリントヘッドに供給される高電圧の信号と低電圧の信号との双方が正常であるか否かを検出することができる。
1…液体吐出装置、2…プリントヘッド駆動回路、3…外部機器、5…液体容器、7…商用交流電源、8…ポンプ、10…メイン制御ユニット、11…メイン制御回路、12…電源電圧出力回路、20…吐出制御ユニット、21…吐出制御回路、22-1~22-m…差動信号復元回路、35…支持部材、40…搬送機構、50…駆動電圧出力回路、51a,51b…駆動回路、53…基準電圧出力回路、60…圧電素子、100…プリントヘッド、110…フィルター部、113…フィルター、115,117…開口部、120…シール部材、123…貫通開口、125,127…開口部、130…配線基板、135…切欠部、136…FPC挿通孔、137…FPC切欠部、138…接続端子、140…ホルダー、141~143…ホルダー部材、145…液体流路、146…スリット孔、150…固定板、151…平面部、152~154…折曲部、155…開口部、191,192…短辺、193,194…長辺、200…駆動信号選択回路、201…半導体装置、210…選択制御回路、212…レジスター、214…ラッチ回路、216…デコーダー、230…選択回路、232a,232b…インバーター、234a,234b…トランスファーゲート、250…異常検出回路、251…電圧入力切替回路、300…ヘッドチップ、310…ノズルプレート、321…流路形成基板、322…圧力室基板、323…保護基板、324…ケース、330…コンプライアンス部、331…封止膜、332…支持体、340…振動板、346…フレキシブル配線基板、351~353…開口部、355…連通流路、360…インク流路、361…液体導入口、363…個別流路、365…連通流路、367…リザーバー、369…圧力室、400…基板、401,402…面、403~406…辺、410…配線基板、411,412…面、413…接続部、420…配線基板、421,422…面、423~427…接続部、428,450…半導体装置、451…判定制御回路、452…電圧判定回路、453…出力切替回路、454…記憶回路、500…集積回路、510…変調回路、512,513…加算器、514…コンパレーター、515…インバーター、516…積分減衰器、517…減衰器、520…ゲートドライブ回路、521,522…ゲートドライバー、550…増幅回路、560…平滑回路、570,572…帰還回路、580…電源回路、600…吐出部、651…ノズル、AD1…空気排出口、AS1,AS2…空気導入口、C1~C6…コンデンサー、CI…ケーブル取付部、CN,CN1,CN2…コネクター、Cnt…接触部、D1…ダイオード、EC…絶縁体、EL1…ケーブル保持部、EL2…ハウジング挿通部、EL3…基板取付部、ER1,ER2…端子、FC,FC1,FC2…ケーブル、G1…導入流路部、G2…供給制御部、G3…ヘッド支持部、G4…吐出制御部、HP…ハウジング、ID
1…液体排出口、IS1~IS3…液体導入口、L1…コイル、M1,M2,M10,M11…トランジスター、P…媒体、P-CH,P-HS1,P-LAT,P-SCK,P-SI1,P-VDR1,P-VDR2…配線、R1~R6,R10~R13…抵抗、SW…スイッチ群、TM,TM-CH,TM-ES,TM-LAT,TM-SCK,TM-VDD,TM-VDR1,TM-VDR2,TM-VHV…端子、U…圧力調節ユニット、WI,WI-CH,WI-ES,WI-LAT,WI-SCK,WI-VDD,WI-VDR1,WI-VDR2,WI-VHV…配線、c1,c2…判定情報、r1,r2…結果情報、st…停止情報

Claims (33)

  1. 第1端子に入力される印刷データに応じて第2端子に入力される駆動信号を駆動素子に供給することで印刷を行うプリントヘッドであって、
    前記第1端子と、
    前記第2端子と、
    前記第1端子に入力される第1信号に応じて前記第2端子の電位が正常であるか否かを判断する第1判断と、前記第1端子に入力される第2信号に応じて前記第2端子の電位が正常であるか否かを判断する第2判断と、を異なる判断基準で行う判断回路と、
    前記第1判断及び前記第2判断において前記第2端子の電位が正常であると判断された場合に印刷を許可し、前記第1判断又は前記第2判断において前記第2端子の電位が正常でないと判断された場合に印刷を不許可とする許可回路と、
    を備える、
    ことを特徴とするプリントヘッド。
  2. 前記判断回路が前記第1判断において正常であると判断した場合の前記第2端子の電位である第1電位は、前記判断回路が前記第2判断において正常であると判断した場合の前記第2端子の電位である第2電位よりも高く、且つ前記第1端子に入力される信号の電位よりも高い、
    ことを特徴とする請求項1に記載のプリントヘッド。
  3. 前記第1電位は、前記第1信号がハイレベルの場合の電位の5倍よりも大きい、
    ことを特徴とする請求項2に記載のプリントヘッド。
  4. 前記第2電位は、前記第2信号がハイレベルの場合の電位の5倍よりも小さい、
    ことを特徴とする請求項3に記載のプリントヘッド。
  5. 前記第1電位は、18.2Vよりも大きい、
    ことを特徴とする請求項2に記載のプリントヘッド。
  6. 前記第2電位は、18.2Vよりも小さい、
    ことを特徴とする請求項5に記載のプリントヘッド。
  7. 前記判断回路の少なくとも一部と前記許可回路の少なくとも一部とは、1つの半導体集積回路で構成されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプリントヘッド。
  8. 前記第1信号は、第1コマンドと、前記第1コマンドの後に続く第2コマンドと、を含む、
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のプリントヘッド。
  9. 前記第2信号は、第3コマンドと、前記第3コマンドの後に続く第4コマンドと、を含む、
    ことを特徴とする請求項8に記載のプリントヘッド。
  10. 前記第1コマンドと前記第3コマンドとは、異なる情報を含む、
    ことを特徴とする請求項9に記載のプリントヘッド。
  11. 前記第2コマンドと前記第4コマンドとは、同じ情報を含む、
    ことを特徴とする請求項9又は10に記載のプリントヘッド。
  12. 前記第1端子と前記第2端子とは、1つのコネクターに含まれている、
    ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のプリントヘッド。
  13. 前記コネクターは、電源電圧を伝搬する第3端子を含む、
    ことを特徴とする請求項12に記載のプリントヘッド。
  14. 前記コネクターは、クロック信号を伝搬する第4端子を含む、
    ことを特徴とする請求項12又は13に記載のプリントヘッド。
  15. 前記コネクターは、前記判断回路の判断結果を示す信号を伝搬する第5端子を含む、
    ことを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載のプリントヘッド。
  16. 前記許可回路は、印刷を許可するか不許可とするのかを切り替えるスイッチ回路を含む、
    ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載のプリントヘッド。
  17. 前記スイッチ回路は、前記駆動信号を前記駆動素子に供給するか否かを切り替える、
    ことを特徴とする請求項16に記載のプリントヘッド。
  18. 第1端子に入力される印刷データに応じて第2端子に入力される駆動信号を駆動素子に供給することで印刷を行うプリントヘッドの検査方法であって、
    前記第1端子に入力される第1信号に応じて前記第2端子の電位が正常であるか否かを判断する第1判断と、前記第1端子に入力される第2信号に応じて前記第2端子の電位が正常であるか否かを判断する第2判断と、を異なる判断基準で行う判断工程と、
    前記第1判断及び前記第2判断において前記第2端子の電位が正常であると判断された場合に印刷を許可し、前記第1判断又は前記第2判断において前記第2端子の電位が正常でないと判断された場合に印刷を不許可とする許可工程と、
    を含む、
    ことを特徴とするプリントヘッドの検査方法。
  19. 前記第1判断において正常であると判断された場合の前記第2端子の電位である第1電位は、前記第2判断において正常であると判断された場合の前記第2端子の電位である第2電位よりも高く、且つ前記第1端子に入力される信号の電位よりも高い、
    ことを特徴とする請求項18に記載のプリントヘッドの検査方法。
  20. 前記第1電位は、前記第1信号がハイレベルの場合の電位の5倍よりも大きい、
    ことを特徴とする請求項19に記載のプリントヘッドの検査方法。
  21. 前記第2電位は、前記第2信号がハイレベルの場合の電位の5倍よりも小さい、
    ことを特徴とする請求項20に記載のプリントヘッドの検査方法。
  22. 前記第1電位は、18.2Vよりも大きい、
    ことを特徴とする請求項19に記載のプリントヘッドの検査方法。
  23. 前記第2電位は、18.2Vよりも小さい、
    ことを特徴とする請求項22に記載のプリントヘッドの検査方法。
  24. 前記判断工程の少なくとも一部と前記許可工程の少なくとも一部とは、1つの半導体集積回路で実行される、
    ことを特徴とする請求項18乃至23のいずれか1項に記載のプリントヘッドの検査方法。
  25. 前記第1信号は、第1コマンドと、前記第1コマンドの後に続く第2コマンドと、を含む、
    ことを特徴とする請求項18乃至24のいずれか1項に記載のプリントヘッドの検査方法。
  26. 前記第2信号は、第3コマンドと、前記第3コマンドの後に続く第4コマンドと、を含む、
    ことを特徴とする請求項25に記載のプリントヘッドの検査方法。
  27. 前記第1コマンドと前記第3コマンドとは、異なる情報を含む、
    ことを特徴とする請求項26に記載のプリントヘッドの検査方法。
  28. 前記第2コマンドと前記第4コマンドとは、同じ情報を含む、
    ことを特徴とする請求項26又は27に記載のプリントヘッドの検査方法。
  29. 前記第1端子と前記第2端子とは、1つのコネクターに含まれている、
    ことを特徴とする請求項18乃至28のいずれか1項に記載のプリントヘッドの検査方法。
  30. 前記コネクターは、電源電圧を伝搬する第3端子を含む、
    ことを特徴とする請求項29に記載のプリントヘッドの検査方法。
  31. 前記コネクターは、クロック信号を伝搬する第4端子を含む、
    ことを特徴とする請求項29又は30に記載のプリントヘッドの検査方法。
  32. 前記コネクターは、前記判断工程における判断結果を示す信号を伝搬する第5端子を含む、
    ことを特徴とする請求項29乃至31のいずれか1項に記載のプリントヘッドの検査方法。
  33. 前記許可工程は、前記駆動信号を前記駆動素子に供給するか否かによって印刷を許可するか不許可とするかを切り替える、
    ことを特徴とする請求項18乃至32のいずれか1項に記載のプリントヘッドの検査方法。
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