JP2023009245A - 振盪浮遊培養を用いた間葉系幹細胞の未分化性維持方法 - Google Patents

振盪浮遊培養を用いた間葉系幹細胞の未分化性維持方法 Download PDF

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Abstract

【課題】未分化性を維持したまま間葉系幹細胞を長期間培養すること。【解決手段】間葉系幹細胞を振盪培養することを特徴とする、未分化性を維持したまま間葉系幹細胞を細胞塊で培養する方法。【選択図】なし

Description

本発明は、間葉系幹細胞及びその培養方法に関する。
医科領域・歯科領域において骨組織の実質欠損に対しては、β-TCPなどの人工材料やチタンによる再建・インプラント治療や自家骨移植が行われる。自家骨移植を含めた人工材料を用いた治療では、治療後に起こる再生骨の吸収が問題となっている(非特許文献1、2)。また骨再生の分野では、手術時のスペースメーキングのためにスキャホールドや肉芽組織の侵入を防ぐメンブレンが必要なことが多く、再生の場におけるそれらの影響も考慮しなければならない。
また近年では、自己由来細胞を用いた研究・治療も行われてきており、その代表が間葉系幹細胞(MSC)である(以降も、本明細書において、間葉系幹細胞を略してMSCと示す)。
MSCは、元々、骨髄細胞をプラスチック培養皿に播種することで張り付き増殖し、脂肪・軟骨・骨という中胚葉系の組織・細胞に分化する能力を有している細胞として定義付けされた細胞である(非特許文献3)。
マウス骨髄MSCのマーカー探索が行われ、2009年に森川らによりフローサイトメーターを用い、PI-/CD45-/Ter119-/Sca-1+/PDGFRα+分画中にマウスMSCが濃縮されていることが報告された(非特許文献4、5)。この純化技術はHoulihanらにより詳細が公にされている(非特許文献6)。ヒト骨髄MSCは馬渕らにより、CD271(LNGFR)+/CD90(Thy-1)+分画中に高濃度に含まれることが報告されている(非特許文献7)。
MSCは様々な組織中に存在するが、一般的に安定的に多くのMSCを獲得可能な組織は骨髄である。MSCは骨髄中の細胞をプラスチック培養皿に播種することで、貼り着き増殖し、骨芽細胞・軟骨細胞・脂肪細胞へ分化可能な細胞と定義され(非特許文献3)、再生医療の細胞供給源として着目されている。しかしながら長期に及ぶ接着培養を繰り返すことで増殖能・分化能が低下することから、臨床においては施設間や患者間で結果に差が生じることが問題となっている。
具体的には、従来のMSCは接着培養環境下でその増殖能に限界があり、それに応じて分化能も喪失することが分かっている(非特許文献8、9)。純化MSCも接着培養環境では徐々に増殖能が落ちることが知られている(非特許文献5 Fig 1G参照)。
近年、MSCを特殊な培養皿上で培養すると、培養皿に接着することなく浮遊状態でMSCの3次元的な細胞塊(スフェアあるいはスフェロイド)を形成できることが報告されている(非特許文献10)。しかしながら、この方法では長期間培養することはできず、浮遊環境で培養することで細胞にどのような変化が起こるかについては報告がされていない。
Hatano et al. Clin Oral Impl Res, vol.15, p339~345, 2004 Verhoeven et al. Clin Oral Impl Res, vol.11, p583~594, 2000 Pittenger et al. Science, vol 284 2 April, 1999 Morikawa et al. BBRC, vol.379, p1114~1119, 2009. Morikawa et al. JEM, vol.206, p2483~2496, 2009. Houlihan et al. Nature Protocol, vol.7(12), p2103~2111, 2012. Mabuchi et al. Stem cell reports, vol.1(2), p152~165, 2013 Bonab et al. BMC Cell Biol, vol.7, p14, 2006. Bork et al. Aging Cell, vol.9(1), p54~63, 2010. Baraniak et al. Cell Tissue Res, vol.347(3), p701~711, 2012 Doetsch et al. Cell, 97 (6), p703~716, 1999. Laura et al. Protoc Exch, Doi:10.1038/nprot.2006.215, 2006
本発明が解決しようとする課題は、未分化性を維持したままMSCを長期間培養することにある。
かかる状況の下、本発明者らは、鋭意研究した結果、MSCを振盪培養することによって細胞塊の形成を導くことが可能であり、未分化性を維持したままMSCを長期間培養することできることを見出した。本発明は、かかる新規の知見に基づくものである。
従って、本発明は以下の項に示す方法及び細胞塊を提供する。
項1.MSCを振盪培養することを特徴とする、未分化性を維持したままMSCを培養する方法。
項2.前記振盪培養が回転数20~200rpm、好ましくは60~120rpm、より好ましくは85~95rpmで行われる、項1に記載の方法。
項3.前記振盪培養が振幅10~40mm、好ましくは25~40mmより好ましくは30~40mmで行われる、項1又は2に記載の方法。
項4.2回以上、継代培養を行う、項1~3のいずれか1項に記載の方法。
項5.振盪培養に供する前記MSCが所定の細胞への分化能を喪失している細胞であり、かつ該所定の細胞への分化能が振盪培養により回復する、項1~4のいずれか1項に記載の方法。
項6.項1~5のいずれか1項に記載の方法により得られる細胞塊。
項7.分化誘導培地中で項6に記載の細胞塊を培養する工程を含む、細胞分化方法。
項8.項7に記載の方法により所定の細胞に分化した細胞塊。
本発明によれば、振盪培養を行うことにより、MSCを細胞塊の形成に導き、その未分化性を維持したまま長期間培養することができる。また、本発明によれば、従来の接着培養等を長期間行うことにより分化能を失ったMSCを用いた場合、これを振盪培養することにより、その分化能を回復することもできる。本発明が属する幹細胞の分野においては、物理的刺激はむしろ分化を誘導すると考えられてきた。従って、MSCに対し振盪培養を行うことによって未分化性を長期間維持できるという本発明の上記効果は、従来技術から予想し得ない意外なものである。
振盪培養(2ヶ月間)によるマウス及びヒトMSCの細胞塊形成について示す。図1左:マウスMSC。接着継代培養12回後に使用。図1右:ヒトMSC。接着継代培養6回後に使用。 振盪培養がマウスMSCの分化能維持に及ぼす影響について示す。図2a上段:接着継代培養11回(図2a 上段左 骨芽細胞、上段中央軟骨細胞、上段右 脂肪細胞)。図2a下段:接着継代培養36回後に振盪培養(図2a下段左 骨芽細胞、下段右脂肪細胞)。図2b 左:接着継代培養8回。図2b 右:接着継代培養44回後に振盪培養。図2c:接着継代培養9回、25回、41回および接着継代培養11回、37回後に振盪培養を2ヶ月行なった細胞塊のPDGFRαの発現解析(RT-PCR)。 振盪培養を行なったOricellTM マウスMSCの中胚葉系分化能について示す。図3左列:骨芽細胞。図3中央列:軟骨細胞。図3右列:脂肪細胞。図3上段:接着継代培養9回後に振盪培養1ヶ月。図3下段:接着継代培養30回後に振盪培養1ヶ月。 中胚葉系細胞への分化誘導後の遺伝子発現解析(RT-PCR)を示す。図4a:骨分化誘導後。図4b:軟骨分化誘導後。図4c:脂肪分化誘導後。図4a、図4b、図4cの上に記載された数字は、接着継代培養数(回)を示す。 振盪培養がヒトMSCの分化能維持に及ぼす影響について示す。図5a左列:骨芽細胞。図5a右列:脂肪細胞。図5a上段:接着継代培養20回。図5a中段:接着継代培養6回後に振盪培養。図5a下段:骨分化誘導していない接着継代培養20回。図5b上段:接着継代培養21回。図5b下段:接着継代培養7回後に振盪培養。図5c:図5c上の数字は接着継代培養数(回)を示す。 ヒトMSCの軟骨分化能について示す。図6a上段:軟骨(トルイジンブルー染色)。接着継代培養9回。図6a下段:軟骨(トルイジンブルー染色)。接着継代培養9回後に振盪培養。図6b上段:軟骨(トルイジンブルー染色)。接着継代培養19回。軟骨ペレット形成せず。図6b下段:軟骨(トルイジンブルー染色)。接着継代培養19回後に振盪培養。 先行技術である三次元浮遊培養容器を用いたMSC細胞塊の接着培養結果について示す。図7a:ヒトMSC(接着継代培養9回後に使用)。培養7日。図7b:マウスMSC。図7b上段:接着継代培養25回後に使用(左から2番目:三次元浮遊培養容器、播種直後。左から3番目:三次元浮遊培養容器、培養7日目。左から4番目:培養皿に再接着、再接着7日目。左から5番目:培養皿に再接着、脂肪分化誘導)。図7b下段:接着継代培養41回後に使用(左から2番目:三次元浮遊培養容器、播種直後。左から3番目:三次元浮遊培養容器、培養7日目。左から4番目:培養皿に再接着、再接着7日目。左から5番目:培養皿に再接着、脂肪分化誘導)。 三次元浮遊培養容器(先行技術)を用いたOricellTM マウスMSC細胞塊の分化能解析を示す。図8a:接着継代培養25回後に使用(図8a左:骨。図8a右:脂肪)。図8b:接着継代培養41回後に使用(図8b左:骨芽細胞。図8b右:脂肪細胞) 振盪培養したヒトMSC細胞塊の形態保持及び細胞供給能力について示す。図9a上段左から1番目:細胞塊を接着培養皿へ播種、0日。図9a上段左から2番目:1日。図9a上段左から3番目:7日。図9a上段左から4及び5番目:細胞塊の際接着(1回目)。図9a中段左から1番目:12日。図9a中段左から2番目:15日。図9a中段左から3番目:27日。図9a中段左から4番目:44日。図9a中段左から5番目:54日。図9a下段左:57日。図9a下段右:67日。図9b:再接着3回目後の遊走細胞を分化誘導(図9b左:骨芽細胞。図9b右:脂肪細胞)。 マウス純化MSCの振盪培養によって形成された細胞塊について示す。図10a右:マウス純化MSC。図10b、c:接着継代培養2回後に振盪培養をし、細胞塊形成後、細胞塊を培養皿に再接着させた。図10bは接着1日目。分化誘導後の脂肪細胞(脂肪滴)を図10cに示す。 OricellTM マウスMSCの神経幹細胞用培地を用いた細胞塊形成について示す。図11a:接着継代培養9回後1ヵ月振盪培養。図11b:接着継代培養9回後1ヵ月振盪培養(図11b左から1番目:骨分化。図11b左から2番目:脂肪分化。図11b左から3番目:軟骨分化。)図11c神経分化。図11d:接着継代培養39回後1ヵ月振盪培養。図11e:振盪培養1ヵ月後のRT-PCR(図11d上の数字は継代数)
未分化性を維持したままMSCを培養する方法
本発明は、MSCを振盪培養することを特徴とする、未分化性を維持したまま細胞塊でMSCを培養する方法を提供する。
本発明において用いるMSCの種類としては、特に限定されず、骨髄由来の細胞、歯髄由来の細胞、脂肪組織由来の細胞等が挙げられる。また、MSCの動物種も特に限定されず、例えば、霊長類(例えば、ヒト、サル等、好ましくはヒト)、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、ウサギ等)等の哺乳類由来のものが挙げられる。
本発明は、かかるMSCを振盪培養することを特徴とする。培養容器としては特に限定されず、必要とされる培養液の量、振盪方法の種類等に応じて適宜設定することができる。培養容器の形状としては、例えば、三角フラスコ、WO2015/064705の図に示されるような、シーソー型バイオリアクター用フラスコ(例えば、底面が多角形(4~8角形)のフラスコ)等が挙げられる。培養容器の容量としては、例えば、125~3000ml、好ましくは125~500ml等のものが挙げられる。培養容器としては、容器内壁の底面等への細胞の接着が抑制されるような処理がされた非接着性培養容器(例えば、非接着性培養皿、非接着性ウェル、非接着性フラスコ等)を用いてもよいし、かかる処理を特に行っていない通常の培養容器を用いてもよい。
振盪方法の種類も特に限定されず、旋回、8の字、往復、シーソー型等が挙げられる。本発明においては、旋回が好ましいが、他の振盪様式を採用することができる。旋回による振盪培養の場合、回転数は特に限定されないが、典型的には、例えば、20~200rpm、好ましくは60~120rpm、より好ましくは85~95rpmの範囲で設定することができる。上記回転数の範囲で振盪培養することにより、培養容器内部の側面にも、底面(床部)にもスフェアが張り付きにくくなるため、好ましい。
本明細書においては、好ましい実施形態として旋回型を例に挙げて回転数、振幅等の振盪条件の説明を行ったが、幹細胞に対しこれと同様の物理的刺激を与えることができるものであれば、8の字型、往復、シーソー型等を採用することができる。例えば、8の字型の振盪培養の場合、一点で接する2つの略円形の軌道を通って培養容器が振盪されるため、8の字を形成する各円について、上記旋回型で例示した回転数、振幅となるよう条件を設定することができる。また、例えば、往復型の場合、1分間当たりの往復回数を、20~250往復/分とし、振幅を10~40mmの範囲で適宜設定することができる。例えば、シーソー型の場合、振盪培養の角度を2°~12°、振盪の周期を5~60rpmの範囲で適宜設定することができる。
用いる培地は、幹細胞の培養に適した液体培地であれば特に限定されるものではない。このような培地として、Minimum Essential Medium(MEM)培地等が挙げられる。培地は、必要に応じて通常の幹細胞の培養の際に含める添加剤を含むものであってもよい。添加剤の具体例として、牛胎児血清(fetal bovine serum)、アミノ酸(例えば、L-グルタミン、L-アラニル-L-グルタミン等)、抗生物質(例えば、ペニシリン、ストレプトマイシン等)などが挙げられる。
本発明の培養の好ましい態様として、継代培養が挙げられる。継代培養においては、コンフルエント状態に到達する前に幹細胞を回収し、例えば、MSCの場合は1×103~1×107細胞(個)/ml程度、好ましくは1×105~1×106細胞(個)/ml程度となるように細胞を新しい培地に播種する。また、本発明の培養において、培地を適宜(例えば、1~5日毎に、好ましくは3~4日毎に)交換することが好ましい。本発明の方法によれば、MSCを、未分化の状態でかつその分化能を失うことなく継代培養することができる。本発明においては、振盪培養により、例えば、1回以上、好ましくは3回以上、好ましくは5回以上、継代培養することができる。また、本発明において振盪培養による継代培養の上限も特に限定されないが、例えば、3回以下、好ましくは2回以下、好ましくは1回以下、継代培養することができる。
振盪培養の時間としては、例えば、約1~90日間(約24~2160時間)が好ましく、10~75日間(約240~1800時間)がより好ましく、14~60日間(約336~1440時間)がより好ましい。本工程における振盪培養温度は特に限定されず、例えば、30~42℃が好ましく、35~39℃がより好ましい。かかる培養は、3~10%CO2の雰囲気下で行うことが好ましい。
当該本発明の方法により、未分化の状態であり、かつ分化能を有した状態のものを含んだままMSCを培養することができる。また、当該振盪培養により、MSCが増殖及び凝集をして、細胞塊が形成される。従って、本発明は、MSCの培養は、MSCを振盪培養することを特徴とする、(未分化の)細胞塊の形成方法;MSCを振盪培養することを特徴とする、MSCの分化抑制方法等も提供する。尚、本発明の方法により得られる細胞塊は、中胚葉系に属する種々の細胞への分化能を有するが、好ましい実施形態において、当該細胞塊は骨芽細胞、脂肪細胞等、軟骨細胞、より好ましくは脂肪細胞等への分化能を有する。実施例に記載のように、従来の接着培養においては、脂肪細胞への分化能を喪失してしまうため、かかる実施形態が好ましい。
尚、本発明において、未分化性とは、細胞が未分化の状態でかつその分化能を有していることを意味する。本発明において、MSCの未分化性は、典型的には、例えば、本願実施例に示すように、骨芽細胞及び脂肪細胞の両方への分化能を示すか否か等により確認することができる。また、本発明において、「未分化性の維持」には、MSCが当初有していた分化能を失うことなく維持している状態だけでなく、MSCが本来分化し得る(前述したような)細胞のうち少なくとも1種への分化能が、振盪培養以前の培養過程において、一旦、低下し又は失われたものの、振盪培養をすることにより当該分化能が回復した状態も包含される。従って、本発明においては、例えば、本願実施例に示すように、振盪培養以外の方法(例えば、接着培養等)により継代培養を重ねた結果、所定の細胞(例えば、脂肪細胞等)への分化能を喪失したMSCに対し、振盪培養することによって、当該細胞への分化能を回復した状態も「未分化性の維持」の範囲に包含される。従って、本発明は、当該実施形態において、所定の細胞への分化能を喪失したMSCを、振盪培養することを特徴とする、当該所定の細胞への分化能を回復する方法も提供する。
また、本発明の方法は、MSCを振盪培養することを特徴とするが、本発明の効果が得られる限りにおいて、静置培養を組み合わせてもよい。例えば、本願実施例に示すように、一定期間、振盪培養を行うことにより未分化性を保持した細胞塊を形成した後、かかる細胞塊を静置培養に供してもよい。かかる静置培養は、接着培養で行っても、非接着培養で行ってもよい。かかる静置培養における培地、培養温度、CO2濃度等は、前述の振盪培養と同様の条件を適宜採用できる。培養容器としては、容器内壁の底面等への細胞の接着が抑制されるような処理がされた非接着性培養容器(例えば、非接着性培養皿、非接着性ウェル、非接着性フラスコ等)を用いてもよいし、かかる処理を特に行っていない通常の培養容器を用いてもよい。静置培養における継代培養の回数は、本発明の効果が得られる限りにおいて特に限定されないが、例えば、本発明においては、2回以上、好ましくは3回以上、好ましくは5回以上、継代培養することができる。また、静置培養を行う場合、静置培養における継代培養の上限も特に限定されないが、例えば、5回以下、好ましくは3回以下、好ましくは1回以下、継代培養することができる。かかる実施形態において、静置培養の時間としては、例えば、約0.1~60日間が好ましく、1~30日間がより好ましく、3~14日間がより好ましい。また、本発明の当該実施形態において、静置培養の時間としては、例えば、約2.4~1440時間が好ましく、約24~720時間がより好ましく、約72~336時間がより好ましい。
未分化性を保持した細胞塊
本発明は、前述した本発明の培養方法により得られる細胞塊を提供する。本明細書において、細胞塊とは、接着培養等により培養容器内壁の底面及び/又は壁面にそって平面的に増殖した一群の細胞ではなく、3次元的な広がりを有する細胞の塊を意味する。細胞塊は、スフェア、スフェロイド等と言い換えることもできる。本発明の細胞塊は、長期間の培養を経ても未分化の状態でかつその分化能を失っていないという効果を示す。ここで、本発明においては、細胞塊を構成する全ての細胞が未分化性を維持していてもよいが、未分化性を保持した幹細胞を供給し続ける幹細胞プールとしての使用;再生医療への応用等の用途に用いることができる範囲で、未分化性が維持された細胞が細胞塊に含まれていればよい。
本願発明にかかる細胞塊が長期間の培養を経ても未分化性を維持するという効果は、上述した振盪培養を行うことにより獲得されたものであることは本願実施例等から明らかである。しかし、かかる細胞塊が有する特徴を、上記工程の記載を用いずに細胞塊自体の構造又は特性により文言をもって特定することは非常に困難である。
尚、前述した本発明の方法に関する説明において、細胞塊を得るための振盪培養における好ましい振盪方法の種類として、旋回式の振盪培養を挙げたが、例えば、本発明における「旋回式の振盪培養により得られる細胞塊」の範囲には、実際に旋回式の振盪培養により得られた細胞塊だけでなく、これと同様に未分化の状態でかつその分化能を失っていない細胞塊であれば、他の方法で振盪培養がされたものも当然に包含され得る。
また、本発明の細胞塊は、例えば、マウスMSCの場合、PDGFRα、Sca-1、これらの両方等、好ましくはPDGFRα等といったマーカーが陽性であってもよい。また、本発明の細胞塊は、例えば、ヒトMSCの場合、CD90、CD106等のマーカーが陽性であってもよい。かかるマーカーが陽性であるとは、例えば、本願実施例に記載の方法に準じて測定した場合、細胞塊のうち陽性画分の割合が5割以上であることを意味する。
分化誘導方法
本発明は、分化誘導培地中で前述した本発明の細胞塊を培養する工程を含む、細胞分化方法を提供する。
本発明の方法により、MSCから中胚葉系に属する細胞への分化を誘導することができる。中胚葉系や間葉系に属する細胞としては、例えば、脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、骨細胞、心筋細胞、腱細胞、歯髄細胞、象牙芽細胞等が挙げられ、好ましくは、骨芽細胞、脂肪細胞等が挙げられる。また、本発明の細胞塊は神経堤由来細胞を含む純化MSC(非特許文献4)の培養にも応用が可能であり、神経堤に属する細胞、例えば、神経細胞、グリア細胞、平滑筋細胞、歯髄細胞、象牙芽細胞、セメント芽細胞、歯根膜細胞等(好ましくは、神経細胞、象牙芽細胞、より好ましくは神経細胞)が挙げられる。
当該工程に用いる培地としては、求める種類の細胞への分化誘導に適した培地を適宜使用することができる。かかる培地としては、例えば、DMEM培地(例えば、ナカライテスク社製、sodium pyruvate非含有DMEM培地等);αMEM培地(例えばgibco社製、MEM Alpha(1×)培地等)タカラバイオ社製、Mesenchymal stem cell growth培地;LONZA社製、MSCGMTM Mesenchymal stem cell growth培地、hMSC-Human Mesenchymal Stem cell Osteogenic Differentiation Medium BullkKitTM、hMSC-Human Mesenchymal Stem cell Chondrogenic Differentiation Medium BullkKitTM、hMSC-Human Mesenchymal Stem cell Adipogenic Differentiation Medium BullkKitTM等が挙げられる。これらの培地は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせもよい。
本工程において、培地には、求める種類の細胞への分化誘導促進剤等を配合してもよい。
脂肪細胞への分化誘導促進剤としては、例えば、インシュリン、デキサメタゾン、3-イソブチル-1-メチルキサンシン等が挙げられる。これらの脂肪細胞への分化誘導促進剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせもよい。
骨芽細胞への分化誘導促進剤としては、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸-2-リン酸、β-グリセロリン酸、デキサメタゾン、ヘミコハク酸ヒドロコルチゾン、スタチン、イソフラボン誘導体、3-ベンゾチエピン誘導体TAK-778((2R,4S)-(-)-N-〔4-(ジエトキシホスホリルメチル)フェニル〕-1,2,4,5-テトラヒドロ-4-メチル-7,8-メチレンジオキシ-5-オキソ-3-ベンゾチエピン-2-カルボキサミド、ヘリオキサンチン誘導体TH(4-(4-メトキシフェニル)ピリド[40,30:4,5]チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド)、フェナミル(3,5-ジアミノ-6-クロロ-N-[イミノ(フェニルアミノ)メチル]ピラジン-2-カルボキサミド、ハルミン及びその類縁体、アセロゲニン及び類縁体、レスベラトロール等の化合物;骨形成に関与するタンパク質〔BMP(Bone morphogenic Protein)-2、BMP-4、IGF(Insulin-like growth factor)‐1、βFGF(basic fibroblast growth factor)、TGF(Transforming Growth Factor)-β1、PTH(parathyroid hormone)、Wnts等〕等が挙げられる。これらの骨芽細胞への分化誘導促進剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせもよい。
軟骨細胞への分化誘導促進剤としては、例えば、BMP-6、TGF-β3、デキサメタゾン、アスコルビン酸等が挙げられる。これらの軟骨細胞への分化誘導促進剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせもよい。
心筋細胞への分化誘導促進剤としては、例えば、KY03I、KY02111、βFGF等が挙げられる。これらの心筋細胞への分化誘導促進剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせもよい。
腱細胞等への分化誘導促進剤としては、例えば、PDGF、VEGF等が挙げられる。これらの腱細胞への分化誘導促進剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせもよい。
分化誘導された細胞塊
本発明は、前述した本発明の分化誘導方法により所定の細胞に分化した細胞塊を提供する。
本発明にかかる分化誘導された細胞塊は、原料として前述した本発明の方法により得られた未分化の細胞塊を用いる。前述したように、原料となる本発明の未分化細胞塊は、従来のMSCの細胞塊とは相違し、かつ長期間の継代培養を経ても未分化の状態でかつその分化能を失っていないという予想外の効果を奏している。従って、かかる未分化の細胞塊を原料として、所望の細胞に分化誘導された細胞塊も、従来の細胞塊と異なるものであることは明らかである。
以下実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明するとともに本発明による作用効果を例証する。これらの実施例は例示及び具体的説明のためのものであり、本発明はこれらの実施例に限定されない。
実験方法
以下の方法に従い、実験を行った。
マウスMSCの純化ソーティング(非特許文献6参照)
C57/BL6雄4週齢(CLEA JAPAN)5匹の大腿骨・脛骨を乳鉢乳棒にて砕き、2%FBS(Cat.#SH30910.03:Hyclone),10mM HEPES(Cat.#346-01373:Dojindo),及び1%Penicillin/Streptomycin(P/S:Cat.#168-23191,Wako)を添加したHBSS+(Cat.#14025134:Gibco)(以下HBSS+調整溶液とする)にて懸濁し、赤血球を除去した。粉々に砕いた骨を1時間37℃で0.2%collagenase(Cat.#034-10533:Wako)の10mM HEPES(Cat.#346-01373:Dojindo)及び1%P/S(Cat.#168-23191:Wako)含有DMEM(Cat.#08459-64:Nacalai tesque)溶液にて酵素処理した。酵素処理した骨を40μm径のcell strainer (Cat.#352340:Falcon) に通し、280Gで7分、4℃で遠心分離し、上清を除去し、細胞を回収した。標準的には1匹から1×107~3×107個の細胞が回収できる。回収した細胞1×107個を1mlのHBSS+調整溶液に懸濁し、PE-conjugated CD45(30-F11:Cat.#12-0451-83, 0.2mg/ml, eBioscience),TER119 (TER-119:Cat.#12-5921-83,0.2mg/ml, eBioscience),APC-conjugated PDGFRα(APA5:Cat.#17-1401-81, 0.2mg/ml, eBioscience)及びFITC-conjugated Sca-1(Ly6A/E:Cat.#11-5981-85, 0.5mg/ml, eBioscience)抗体を各2μl加え、遮光、4℃の環境で30分間静置した。次に、280Gで7分、4℃で遠心分離し、1×107個/1mlの細胞懸濁液となるようHBSS+調整溶液で調整し、最終濃度1μg/mlのヨウ化プロピジウム(PI:Cat.#169-26281,WAKO)染色により死細胞を標識後、Aria III flow-cytometer(BD Bioscience)を用いてPI-/CD45-/Ter119-/PDGFRα+/Sca-1+の細胞をソーティングした(図6-a)。
マウスMSCのFACS解析
接着培養で継代培養した細胞試料:10cm培養皿(Cat.#664160-013:CELLSTAR)に接着培養した細胞を、2度PBSを用いて洗浄した後、1mlのCell dissociation Buffer(Cat.#13151014:Gibco)を用い細胞を剥がし、HBSS+調整溶液を加え、280Gで5分間、4℃で遠心分離し、上清を除去し、沈殿した細胞を回収した。
振盪培養によって形成した細胞塊試料:細胞塊の各細胞または細胞表面抗原に障害を与えずにsingle cellに分離して回収することが困難であることを考慮し、一旦、平均10個の細胞塊を10cm培養皿(Cat.#664160-013:CELLSTAR)に7日間静置し、培養皿に接着した細胞塊から遊走した細胞を、2度PBSを用いて洗浄した。PBSを除去後、培養皿に1mlのCell dissociation Buffer(Cat.#13151014:Gibco)を添加し、2~3分間作用させて細胞を剥がした。続いて、9mlのHBSS+調整溶液を加え、280Gで5分、4℃で遠心分離し、上清を破棄し、沈殿した細胞を回収した。回収した細胞1×107個を1mlのHBSS+調整溶液に懸濁し、APC-conjugated Sca-1(Ly6A/E:Cat.#11-5981-85, 0.5mg/ml, eBioscience)抗体を各2μl加え、遮光、4℃の環境で30分間静置した。次に、280Gで7分、4℃で遠心分離し、1×107個/1mlの細胞懸濁液となるようHBSS+調整溶液で調整し、Aria III(BD Bioscience)を用いて解析した。なお、細胞塊由来細胞の解析では継代培養は1度も行わず、細胞塊から遊走した細胞を直接解析に用いた。
供与されたヒトMSCの純化ソーティング(非特許文献7参照)
東京医科歯科大学より譲り受けたヒトMSCは、19歳男性大腿骨骨髄よりPE-conjugated CD271 (LNGFR:Cat.#130-091-885,Miltenyi Biotec)、FITC-conjugated CD90 (Thy-1:Cat.#328110,Biolegend)抗体を用いて、MoFlo(BECKMAN COULTER)でソーティングされたものである(非特許文献7)。死細胞の標識にはPIを用い、陰性分画を生細胞としてソーティング後、2度継代した細胞を供与された。
ヒトMSCのFACS解析
マウス細胞の解析と同様、接着細胞は10cm培養皿(Cat.#664160-013:CELLSTAR)で培養した細胞を2度PBSで洗浄し、1mlのCell dissociation Buffer(Cat.#13151014:Gibco)を用いて細胞を剥がし、9mlのHBSS+調整溶液を加え、280Gで5分、4℃で遠心分離し上清を除去し、細胞を回収した。細胞塊の解析では、平均10個の細胞塊を10cm培養皿(Cat.#664160-013:CELLSTAR)に7日間静置し、培養皿に接着した細胞塊から遊走した細胞を2度PBSで洗浄し、1mlのCell dissociation Buffer(Cat.#13151014:Gibco)を用いて細胞を剥がし、9mlのHBSS+調整溶液を加え、280Gで5分、4℃で遠心分離し上清を除去し、細胞を回収した。なお、細胞塊由来細胞の解析では継代培養は1度も行わず、細胞塊から遊走した細胞を直接解析に用いた。接着培養した場合、及び細胞塊由来の接着培養の場合共に、10cm培養皿1枚から7×106~1×107個の細胞が回収可能であった。回収した細胞1×107個を1mlのHBSS+調整溶液に懸濁し、(PE-conjugated LNGFR:Cat.#130-091-885,5.5μg/ml,Miltenyi Biotec),FITC-conjugated Thy-1:Cat.#328110, 0.2mg/ml, Biolegend)、及びAPC-conjugated CD106(VCAM-1):Cat.#305810,0.5mg/ml, Biolegend)抗体を各2μl加え、遮光、4℃の環境で30分間静置した。次に、280Gで5分、4℃で遠心分離し、1×107個/1mlの細胞懸濁液となるようHBSS+調整溶液で調整し、Aria III(BD Bioscience)を用いて解析した。
マウスおよびヒトMSCの接着培養
OriCellTM Strain C57BL/6 マウスMSCs(MUBMX-01001:CYAGEN)およびマウス純化MSCは、増殖維持培地として10%FBS(Cat.#SH30910.03:Hyclone),1%P/S(Cat.#168-23191:Wako)及び10mM HEPES(Cat.#346-01373:Dojindo)を含むMEM-α+GlutaMAX-I(Cat.#32561-102:Gibco)を用いて培養した。
ヒトMSCは、増殖維持培地として20%FBS(Cat.#SH30910.03:Hyclone),1%P/S(Cat.#168-23191:Wako),10mM HEPES(Cat.#346-01373:Dojindo),及び20ng/ml βFGF(Cat.#064-05384:WAKO)を含むDMEM(Cat.#08459-64:Nacalai tesque)を用いて培養した。
マウスあるいはヒトMSCは、37℃、5%CO2の環境下で10cm培養皿(Cat.#664160-013:CELLSTAR)に1×106細胞(個)/皿の濃度で播種して4~7日間培養し、80%コンフルエントの状態で継代培養を行なった。継代培養は、培地を吸引後1×PBSにて血清成分を除去し、0.25%トリプシンEDTA(Cat.#201-16945:Wako)にて2分間細胞を処理した。優しくディッシュをタッピングし、細胞が剥がれてきたら直ちに増殖維持培地を加え、細胞を回収した。250×gにて5分間遠心後、上清を吸引除去した沈殿細胞に増殖維持培地を加え、新たな10cm培養皿に細胞を1×106個/皿で播種した。
尚、OriCellTM Strain C57BL/6 mouse MSCs(MUBMX-01001:Cyagen)は購入時にすでに製造元にて継代培養を6回行われたものである。また、購入細胞は製造元にてCD29,CD44,CD31,Sca-1陽性(>70%)CD117陰性(<5%)を確認し出荷されている。また、製造者は継代培養数10回以下での使用を推奨しており、それ以降の継代培養は購入時の細胞の性質を保証していない。また、細胞の維持培養にはOriCellTMMouse MSC Growth Medium(MUXMX90011:Cyagen)の使用が推奨されている。
MSC振盪浮遊培養
振盪培養にはTAITEC BR-40LF bio-shakerを用いた。125ml erlenmeyerフラスコ(Cat.#431405:Corning)の中に、20mlの増殖維持培地で調整したマウスあるいはヒトMSCの細胞懸濁液を用意した。マウスMSC(OriCellTM マウスMSC及び純化したマウスMSC)の振盪培養時には、増殖維持培地に20ng/ml βFGF(Cat.#064-05384:WAKO)を添加した。振盪培養開始時のフラスコあたりの細胞数は、OriCellTM マウスMSCで1.0×107個、純化したマウスMSCで5.0×105個、ヒトMSCで1.0×106個あるいは1.0×107個になるように調整した。振盪培養は37℃,5%CO2,85~95r/min,振幅40mmで旋回しながら行い、3~4日に1度培地交換を行った。培地交換は、まず細胞を含む全培地を50ml遠沈管(Cat.#TR2004:True Line)に移し、280Gで5分、4℃で遠心分離した。上清を除去後、25mlピペット(Cat.#760180:greiner bio-one)を用いて新たな培地を20ml加え、2~3回ピペッティングを行いフラスコに移した。振盪培養を開始して10~14日後には肉眼による細胞塊の形成が確認できた。
神経幹細胞用培地を用いたマウスMSC振盪浮遊培養
神経幹細胞用培地(非特許文献4、非特許文献11、非特許文献12参照)には、1%P/S(Cat.#168-23191:Wako)及び10mM HEPES(Cat.#346-01373:Dojindo)、1×N2(Cat.#17502-048:Gibco)、20ng/ml EGF(Cat.#059-07873:WAKO)、20ng/ml FGF(Cat.#064-05384:WAKO)、1×B27(Cat.#17504-044:Gibco)を含むAdvanced DMEM/F12(Cat.12491015:Gibco)を用いた。
マウスMSC(OricellTM マウスMSC:1.0×107個)の細胞懸濁液を20mlの神経幹細胞用培地で調整し、125ml erlenmeyerフラスコ(Cat.#431405:Corning)の中に用意した。これら細胞懸濁液を、TAITEC BR-40LF bio-shakerを用いて37℃,5%CO2,85~95r/min,振幅40mmで旋回しながら振盪培養を行った。培地交換は3~4日に1度行った。培地交換は、まず細胞を含む全培地を50ml遠沈管(Cat.#TR2004:True Line)に移し、280Gで5分、4℃で細胞を遠心分離した。上清を除去後、25mlピペット(Cat.#760180:Greiner bio-one)を用いて新たな培地を20ml加え、2~3回ピペッティングを行いフラスコに移した。振盪培養を開始して10~14日後には肉眼による細胞塊の形成が確認された。
既存の三次元浮遊培養容器を用いたMSC細胞塊の形成
接着培養したマウスあるいはヒトMSCを、3×106細胞(個)/mlの細胞懸濁濃度でKuraray三次元培養容器(Elplasia Cat.#RB 500 400 NA Plate:Kuraray)に播種した。培養には、上述のMSC振盪浮遊培養と同様の増殖維持培地を用い、3~4日に1度の培地交換を行った。
MSC細胞塊の再接着と細胞増幅
マウスあるいはヒトMSCを振盪培養することで形成された細胞塊を、増殖維持培地の入ったプラスチック培養皿へ静置して接着させた。この際、ヒトMSCでは上述の増殖培地からβFGF除いた培地を用いた。その結果、マウスおよびヒトMSCの細胞増幅が可能であった。培養皿に接着した細胞塊の周囲からは多くの細胞が遊走し、増幅して培養皿の培養表面に広がった。細胞の遊走・増幅後、培養皿に接着した細胞塊の本体は、200μlピペットチップの先端を用いて、細胞塊の底面を剥ぎとることで容易に回収が可能であった。回収した細胞塊を別の培養皿へ再度静置すると同様の細胞遊走による細胞増幅が可能であった。10cm培養皿(Cat.#664160-013:CELLSTAR)あるいは12wellプレート(Cat.#665-180:CELLSTAR)に遊走・増幅させた細胞を、それぞれFrow-cytometory解析あるいは分化誘導解析に用いた。分化誘導解析では12wellプレートの各ウェルに2~3個の細胞塊を播種した(分化誘導法参照)。10cm培養皿での培養では、直径200μmを超える8~12個の細胞塊を、培養皿全体に均等な距離を保つ様静置した。
分化誘導法、染色法(非特許文献6参照)
骨芽細胞及び脂肪細胞への分化誘導は、接着培養では細胞を12wellプレート(Cat.#665-180:CELLSTAR)へ1×105細胞(個)/wellの濃度で播種して行った。細胞塊由来遊走細胞では、同様の12wellプレートの各ウェルに2~3個の細胞塊を播種し、細胞塊からから遊走・増幅した細胞を用いた。播種後細胞の接着状態を確認し、60-70%コンフルエントの状態(約7日培養)で骨芽細胞分化誘導培地(Cat.#PT3002:Lonza)及び脂肪細胞分化誘導培地(Cat.#PT3004:Lonza)に交換し、以降3~4日に1度培地交換を行い、最大21日間の分化誘導を行った。誘導期間中約2週間で接着細胞及び形成された脂肪滴が浮遊し剥がれる場合があった。その場合は、その時点で培養を終了した。骨芽細胞分化の確認にはアルカリフォスファターゼ(ALP)染色を、脂肪細胞分化の確認にはオイルレッドO染色を用いた。どちらの染色法においても、ヘマトキシリン染色は行わなかった。
軟骨細胞への分化誘導は15mlの遠沈管に細胞を150Gでペレットを形成し、10ng/ml transforming growth factor-β3(Cat.#PT4124:LONZA)、500ng/ml bone morphogenetic protein-6(Cat.#6325-BM-020:R&D Systems)を添加した軟骨細胞誘導培地(Cat.#PT3003:Lonza)を用いて培養した。1週間に2回培地交換を行い21日間の培養を行った。誘導した軟骨細胞はトルイジンブルー染色(Cat.#209-14545:Wako)にて分化の確認を行った。ヘマトキシリン染色は行わなかった。
染色細胞は全て4%PFA(パラホルムアルデヒド)(Cat.#163-20145:Wako)を用いた固定を行った。
ALP染色(非特許文献6参照)
染色にはHistofine assay Kit(Cat.#415161:ニチレイ)を用いた。PFAをPBSで洗浄し、染色直前にkit中の試薬を混合調整し、孔径0.22μmのシリンジフィルター(Cat.#SLGP033RS:Merk Millipore)でろ過した染色液で30分染色し、水洗した。ネガティブコントロール(NC)は骨芽細胞分化誘導前のMSCを同時にALP染色したものを用いた。
オイルレッドO染色(非特許文献6参照)
PFAをPBSで洗浄後、60%イソプロピルアルコールで1分処理し、孔径0.22μmのシリンジフィルター(Cat.#SLGP033RS:Merk Millipore)でろ過したオイルレッドO染色液(Cat.#40492:Muto Pure Chemicals)にて30分染色した。染色後染色液を除去し、再び60%イソプロピルアルコールで1分処理した後、水洗した。
トルイジンブルー染色(非特許文献6参照)
分化誘導後の細胞ペレットをパラフィン包埋し、スライドガラス上に切片を作製した。キシレンによる脱パラフィン、100%アルコールによる脱キシレンを行い、80%アルコールで処理した後、孔径0.22μmのシリンジフィルター(Cat.#SLGP033RS:Merk Millipore)でろ過したトルイジンブルー染色液(Cat.#209-14545: Wako)にて30分染色した。染色後、100%アルコールにて脱水し、キシレン処理後マリノール(Cat.#2009-3: Muto pure Chemicals)にて封入した。
神経細胞誘導(非特許文献4参照)
神経幹細胞用培地で振盪培養した細胞塊を、神経幹細胞用培地中からEGF、FGF、1×B27を取り除き、10%FBS(Cat.#SH30910.03:Hyclone)を加えた培地に移し、ポリ-L-オルニチン(Cat.#163-27421:WAKO;37℃,12時間)処理後、フィブロネクチン(Cat.#062-05701:WAKO;37℃,12時間)処理したチャンバースライド(Cat.#SCS-NO8:MATSUNAMI)へ播種した(2~3個の細胞塊/well)。播種7日後に細胞塊から遊走した細胞を4%PFA(Cat.#163-20145:WAKO)を用いて固定し、蛍光免疫染色観察に用いた。
蛍光免疫染色(非特許文献4参照)
PFAで固定した試料を1×PBSで洗浄後、0.3%Triton-X100(Cat.#160-24751:WAKO)を用いて室温で5分間処理し、再度1×PBSで洗浄した。洗浄した細胞はブロッキングバッファー(0.01%Triton-X100(Cat.#160-24751:WAKO)、5%Bovine Serum Albumin(Cat.#23208:Thermoscientific)を添加した1×PBS)にて30分間処理後、500倍に希釈した抗βIII-Tublin抗体(Cat.#ab18207:abcom)を用いて一次染色(4℃,オーバーナイト)を行った。その後1×PBSにて洗浄し、1000倍に希釈したDonkey Anti-Rabbit IgG H&L(Alexa Flour(登録商標)488;Cat#ab150073:abcom)を用いて二次染色(室温1時間)を行った。細胞試料を1×PBSにて洗浄し、VECTASHIELD mounting medium with DAPI (Cat#H-1200:VECTOR)を用いて封入し、共焦点レーザー走査顕微鏡(LSM780:Zeiss)を用いて観察した。
RT-PCR
Total RNA抽出にはTrizol(Cat.#15596108:Invitrogen)とRNeasy Mini Kit(Cat.#74106:Quiagen)を使用し(Quiagen Kitプロトコールに従い抽出)、DNase I (Cat.#AM2222:Ambion)にてgenomic DNAを除去した。逆転写反応にはReverse Transcription System(Cat.#A3500:Promega)を用い、プロトコール手順に従いランダムプライマー(Cat.#C118B:Promega)、AMVリバーストランスクリプターゼ(Cat.#M900B:Promega)及びMgCl2(Cat.#A351H:Promega)を使用した。PCR反応はcDNAをGo Taq Green Master Mix(Cat.#M7123:Promega)を用いて増幅した(Promega プロトコール手順に従った)。PCR productsは1.0~1.5%アガロースゲルに泳動した:
マウス
PDGFRα;270bp,60℃,35サイクル
F: 5'-TACATCATCCCCCTGCCAGA-3'(配列番号1)
R: 5'-AAGGTTATCCCGAGGAGGCT-3'(配列番号2)
GAPDH;418bp,アニーリング67℃,26サイクル
F: 5'-CACCATGGAGAAGGCCGGGG-3'(配列番号3)
R: 5’-GACGGACACATTGGGGGTAG-3’(配列番号4)
OPN;437bp,62℃,35サイクル
F: 5’-TCACCATTCGGATGAGTCTG-3’(配列番号11)
R: 5’-ACTTGTGGCTCTGATGTTCC-3’ (配列番号12)
OCN;292bp,62℃,35サイクル
F: 5’-AAGCAGGAGGGCAATAAGGT-3’ (配列番号13)
R: 5’-AGCTGCTGTGACATCCATAC-3’ (配列番号14)
Adipsin;433bp,64℃,40サイクル
F: 5’-ACTCCCTGTCCGCCCCTGAACC-3’ (配列番号15)
R: 5’-CGAGAGCCCCACGTAACCACACCT-3’ (配列番号16)
PPARγ;460bp,56℃,35サイクル
F: 5’-GTGCGATCAAAGTAGAACCTGC-3’(配列番号17)
R: 5’-CCTATCATAAATAAGCTTCAATCG-3’(配列番号18)
Agrican;146bp,64℃,35サイクル
F: 5’-CGCCACTTTCATGACCGAGA-3’(配列番号19)
R: 5’-TCATTCAGACCGATCCACTGGTAG-3’(配列番号20)
Sox9;132bp,61℃,35サイクル
F: 5’-CCTTCAACCTTCCTCACTACAGC-3’ (配列番号21)
R: 5’-GGTGGAGTAGAGCCCTGAGC-3’(配列番号22)
Col2A1;121bp,61℃,35サイクル
F: 5’-CCTCCGTCTACTGTCCACTGA-3’(配列番号23)
R: 5’-ATTGGAGCCCTGGATGAGCA-3’(配列番号24)
Nestin;492bp,60℃,35サイクル
F: 5’-AATGGGAGGATGGAGAATGGAC-3’(配列番号25)
R: 5’-TAGACAGGCAGGGCTAGCAAG-3’(配列番号26)
Twist;225bp,64 ℃,35サイクル
F: 5’-GGAGGATGGAGGGGGCCTGG-3’(配列番号27)
R: 5’-TGTGCCCCACGCCCTGATTC-3’(配列番号28)
ヒト
Sox2;151bp,64℃,40サイクル
F: 5'-GGGAAATGGGAGGGGTGCAAAAGAGG-3'(配列番号5)
R: 5'-TTGCGTGAGTGTGGATGGGATTGGTG-3'(配列番号6)
Oct3/4:144bp,68℃,40サイクル
F: 5'-GACAGGGGGAGGGGAGGAGCTAGG-3'(配列番号7)
R: 5'-CTTCCCTCCAACCAGTTGCCCCAAAC-3'(配列番号8)
GAPDH;613bp,56℃,35サイクル
F: 5'-GTCAAGGCCGAGAATGGGAA-3'(配列番号9)
R: 5'-GCTTCACCACCTTCTTGATG-3(配列番号10)
結果
図1:振盪培養によるマウス及びヒトMSCの細胞塊形成
OriCellTM マウスMSC(MUBMX-01001:Cyagen)及びヒトMSC(19歳男性骨髄から純化したMSC)を接着培養にて継代培養を重ね、継代培養数の少ない細胞及び多い細胞を用意して振盪培養に供した。マウスMSCは購入後最大50回(出荷前からのカウントでは56回)まで接着培養による継代培養が可能であった。ヒトMSCは供与後20回(供与前からのカウントで22回)まで接着培養による継代培養が可能であった。
フラスコ内に1.0×106個のマウスMSC(出荷前からの合計継代培養数:12回)、あるいは1.0×107個のヒトMSC(供与前からの合計継代培養数:6回)を用意し、振盪培養を2カ月間行った結果、マウス及びヒトMSCはどちらも細胞塊を形成した(図1-a)。また、同様の振盪培養条件で、出荷前からの継代培養数が44回のマウスMSC、及び供与前からの継代培養数が22回のヒトMSCを用いて振盪培養を2カ月間行った結果、マウスおよびヒトMSCどちらも細胞塊を形成した(図示せず)。
尚、前述したように、今回使用したOriCellTM マウスMSCは購入時にすでに製造元にて継代培養が6回行われており、ヒト由来MSCは供与された時点ですでに継代培養が2回行われている。本実施例においては、以降、継代培養数は出荷前及び供与前から継続したカウント数(出荷前及び供与前の継代培養数を含む数)を示す。
ヒトMSC(継代培養数:6~7回)が振盪培養によって形成した細胞塊の数は、振盪培養開始時の細胞数が1.0×106個の場合には、1ヶ月後で14.3±2.0個、2ヶ月で10.7±2.1個であった。振盪培養開始時の細胞数が1.0×107個の場合には、1ヶ月後で15.0±1.0個、2ヶ月後で11.7±2.5個であった(3回の実験結果の平均値±標準偏差)。つまり、振盪培養開始時の細胞数を1.0×106個から10倍に増やしても細胞塊の形成数に大きな差は生じなかった。
継代培養数が7回のヒトMSCが振盪培養によって形成した細胞塊の大きさは、振盪培養開始時の細胞数が1.0×106個の場合には、1ヶ月で433.3±103.3μm、2ヶ月で533.3±150.6μmであった。振盪培養開始時の細胞数が1.0×107個の場合には、1ヶ月後で783.3±248.3μm、2ヶ月後で833.3±186.1μmであった(6回の実験結果の平均値±標準偏差)。
継代培養数が多い(19回)ヒトMSCが1ヶ月間の振盪培養によって形成した細胞塊の数は、振盪培養開始時の細胞数が1.0×106個の場合には、14個、1.0×107個の場合には15個であった(1回の実験結果)。また、継代培養数が19回のヒトMSCが1ヶ月間の振盪培養によって形成した細胞塊の大きさは、振盪培養開始時の細胞数が1.0×106個の場合には500±126.5μm、1.0×107個の場合には766.7±206.6μmであった(6個の細胞塊の平均値±標準偏差)。
図2:振盪培養がマウスMSCの分化能維持に及ぼす影響
振盪培養がマウスMSCの分化能維持に及ぼす影響を検討した。接着培養においてOriCellTM マウスMSCは、継代培養数が11回という比較的少ない段階では、骨芽細胞への分化能(ALP染色陽性)及び軟骨細胞への分化能(トルイジンブルー染色陽性)を保っているが、すでに脂肪への分化能は喪失しており、オイルレッドO染色に対して陰性を示した(図2-a:上段)。
しかしながら、接着培養で多くの継代培養(36回)を重ねたOriCellTM マウスMSCであっても、振盪培養に2カ月間供して細胞塊を形成させることで、細胞塊から遊走・増殖した細胞は骨芽細胞への分化能(ALP染色陽性)だけでなく、脂肪細胞への分化能(図2-aの矢印に示される脂肪滴)を保持・回復していた(図2-a:下段)。
細胞表面にPDGFRα及びSca-1を共発現しているマウスMSCは未分化な状態を維持した良質のMSCであることが知られている(非特許文献4、5)。接着培養で7回継代培養したOriCellTM マウスMSCは、PDGFRα+/Sca-1+(共陽性分画)を約90%保持していた(図示せず)が、そのまま継代培養を繰り返すと、この共陽性分画は8回の継代培養で46.1%に減少し(図2-b:左図)、23回の継代培養では25.0%にまで低下した(図示せず)。
しかしながら接着培養で多くの継代培養(44回)を重ねたOriCellTM マウスMSCであっても、振盪培養に2カ月間供して細胞塊を形成させることで、細胞塊から遊走・増殖した細胞の共陽性分画は68.3%に回復した(図2-b:右図)。
RT-PCR解析の結果、接着培養で培養したOriCellTM マウスMSCは、継代培養数が9回の時点ではPDGFRα遺伝子を高発現しているが、継代培養数が25回、41回と多くなるにつれてPDGFRα遺伝子の発現は著明に低下し、未分化能が喪失している可能性が示唆される。
しかしながら、継代培養を37回重ねたOriCellTM マウスMSCであっても、振盪培養に2カ月間供して細胞塊を形成させることで、PDGFRα遺伝子の発現は高い状態に回復することが確認された(図2-C)。
図3:振盪培養を行なったOricell TM マウスMSCの中胚葉系分化
OricellTM マウスMSCを用い、接着培養継代数の少ない細胞(継代数9回)及び多い細胞(継代数30回)を用意し、振盪培養を1か月行った後に中胚葉系の細胞である骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞へ分化誘導した結果を図3に示す。
振盪培養後に分化誘導した接着培養継代数の少ない細胞(継代数9回)及び多い細胞(継代数30回)のどちらも、骨芽細胞(ALP陽性)、軟骨細胞(トルイジンブルー陽性)、脂肪細胞(オイルレッドO陽性)への分化能を示した。
図4:中胚葉系細胞への分化誘導時における組織特異的遺伝子発現解析(RT-PCR)
OricellTM マウスMSCを用い、接着継代数の少ない細胞(継代数8~9回)及び多い細胞(継代数30回)を準備した。接着培養後すぐに分化誘導を行なった細胞と接着培養後に振盪培養し分化誘導を行なった細胞で、それぞれ骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞に関連する遺伝子の発現をRT-PCRを用いて解析した。
骨芽細胞に21日間分化誘導した場合、接着培養継代数の少ない細胞(継代数8~9)では、振盪培養細胞の方が接着培養細胞と比較して骨芽細胞マーカーであるOCN、OPNの発現が高かった。接着継代培養数の多い細胞(継代数30回)では、振盪培養細胞の方が接着培養細胞と比較してOPNの発現が高かった(図4-a)。
軟骨細胞に21日間分化誘導した場合、接着培養継代数の少ない細胞(継代数8~9)では、振盪培養細胞の方が接着培養細胞と比較して軟骨細胞マーカーであるAgrican、Sox9、Col2A1の発現が高かった。接着継代培養数の多い細胞(継代数30回)では、振盪培養細胞の方が接着培養細胞と比較してAgrican、Sox9の発現が高かった(図4-b)。
脂肪細胞に21日間分化誘導した場合、接着培養した細胞は継代数にかかわらず脂肪細胞マーカーであるAdipsinおよびPPARγを発現しなかった。一方、接着継代数の少ない細胞(継代数9回)を振盪培養するとAdipsinおよびPPARγの著明な発現を認め、接着継代数の多い細胞(継代数30回)細胞を振盪培養するとPPARγの発現を認めた(図4-c)。
図5:振盪培養がヒトMSCの分化能維持に及ぼす影響
振盪培養がヒトMSCの分化能維持に及ぼす影響を検討した。接着培養においてヒトMSCは、継代培養を20回重ねると骨芽細胞への分化能(ALP染色陽性)は示すが、脂肪細胞への分化能は喪失していた(オイルレッドO染色陰性)(図5-a:上段)。
しかしながら、接着培養で6回継代培養したヒトMSCを振盪培養に2カ月間供して細胞塊を形成させることで、細胞塊から遊走・増殖した細胞は骨芽細胞への分化能(ALP染色陽性)だけでなく、脂肪細胞への高い分化能(オイルレッドO染色陽性)を保持していた(図5-a:中段)。特に培養皿に接着した細胞塊の周囲に遊走した細胞は脂肪滴を多く形成し、未分化性が高い可能性が示された。尚、6回継代培養したヒトMSCに対して、振盪培養と同様の2ヵ月間を接着培養した場合、その継代培養数は12回に達し、脂肪への分化能はすでに喪失していた(オイルレッドO染色陰性:図示せず)。
細胞表面にCD271(LNGFR)、CD90(Thy-1)及びCD106(VCAM-1)を発現しているヒトMSCは未分化な状態を維持した良質のMSCであることが知られている(非特許文献7)。接着培養で21回継代培養したヒトMSCはCD90を高発現していた(図5-b:左上図)。同様に、接着培養にて7回継代培養したヒトMSCを2ヵ月間振盪培養して形成した細胞塊から遊走・増殖した細胞も、CD90の発現を97.9%~98.0%の高さで維持していた(図5-b:左下図)。一方、接着培養で7回継代培養したヒトMSCにおけるCD271の発現はすでに低下し、振盪培養においてもその発現が回復することはなかった(図示せず)。
しかしながら、高品質なMSCの細胞表面マーカーであるCD106(非特許文献7)についてFACS解析した結果、接着培養で21回継代培養したヒトMSC細胞ではその発現は6.0~7.5%まで低下していたが(図5-b:右上図)、接着培養にて7回継代培養したヒトMSCを2ヵ月間振盪培養して形成した細胞塊から遊走・増殖した細胞ではその発現は59.6%~87.1%に維持されていた(図5-b:右下図)。
RT-PCR解析の結果、接着培養で培養したヒトMSCは、継代培養数が7回の時点では未分化な幹細胞マーカーとして知られるOct3/4遺伝子を発現しているが、継代培養数が19回と多くなるとその発現は低下し、未分化能が喪失している可能性が示唆される。しかしながら、継代培養を19回重ねたヒトMSCであっても、振盪培養に2カ月間供して細胞塊を形成させることで、幹細胞関連マーカーとして知られるSox2やOct3/4遺伝子の発現は高い状態に回復することが確認された(図5-C)。
図6:ヒトMSCの軟骨分化能
ヒトMSCを用い、接着継代培養数の少ない細胞(継代数9回)と多い細胞(継代数19回)を準備し、軟骨細胞への分化能解析を行なった。
接着培養後すぐに分化誘導を行った接着継代培養数の少ない細胞(継代数9回)を21日間軟骨へ分化誘導した場合、ペレット形成は認めたが軟骨基質を染めるトルイジンブルーに陽性の細胞はわずかであった。一方、接着継代培養数の少ない細胞(継代数9回)を振盪培養した後に軟骨へ分化誘導した場合、トルイジンブルー陽性細胞によるペレット形成を認めた(図6-a)。
接着培養後すぐに分化誘導を行った接着継代培養数の多い細胞(継代数19回)を軟骨へ21日間分化誘導した場合、ペレット形成を認めなかった。一方、接着継代培養数の多い細胞(継代数19回)を振盪培養した後に軟骨へ分化誘導した場合、トルイジンブルー陽性細胞によるペレット形成を認めた(図6-b)。
図7:三次元浮遊培養容器(先行技術)を用いたMSC細胞塊の接着培養
MSCの細胞塊を形成する既存の方法に用いられている低接着性の三次元培養容器(Kuraray Elplasia RB 500 400 NA Plate)に、接着培養で維持培養したヒトMSC(継代培養数:9回)あるいはOriCellTM マウスMSC(継代培養数:25回および41回)を3×106個/mlで播種した。結果、ヒトMSCにおいては培養皿に接着してしまい、7日経っても細胞塊の形成は得られなかった(図7-a)。一方マウスMSCにおいては、Baraniakらの報告(非特許文献10)と同様、培養器中で培養7日後には細胞塊を形成した(図7-b)。この時点で回収した細胞塊を再度培養皿に移して接着培養環境下に静置した結果、細胞塊は培養皿に接着し周囲に細胞が遊走したが、細胞塊はその形態を保つことなく7日後には消失し、脂肪細胞への分化能は失われていた(オイルレッドO染色陰性かつ脂肪滴を認めず)(図7-b)。
図8:三次元浮遊培養容器(先行技術)を用いたOricell TM マウスMSC細胞塊の分化能解析
低接着性の三次元浮遊培養容器(Kuraray Elplasia RB 500 400 NA Plate)に、接着培養で維持培養したOricellTM マウスMSC(継代培養数:25回および41回)を3×106個/mlで播種した。7日後に形成された細胞塊を12well plate(Cat.#665-180:CELLSTAR,greiner bio-one)に播種することで接着培養へ移行し、接着した細胞塊から遊走した細胞の骨芽細胞および脂肪細胞への分化を検証した。
接着継代培養25回後及び41回後のOricellTM マウスMSCを骨芽細胞へ21日間分化誘導した結果、どちらもALP陽性を示し、骨芽細胞への分化能が確認された(図8-a)。一方、接着継代培養25回後及び41回後のOricellTM マウスMSCを脂肪細胞へ21日間分化誘導した結果、オイルレッドO陽性の脂肪滴の形成は認めなかった(図8-b)。
図9:振盪培養したヒトMSC細胞塊の形態保持及び細胞供給能力
接着培養にて7回継代培養したヒトMSCを2ヵ月間振盪培養して形成した細胞塊を培養皿に静置した結果、翌日には細胞塊周囲への細胞の遊走を認め、7日後には細胞は培養皿を満たすように増殖した(図9-a:上段)。また、再接着した細胞塊は7日後にもその形態を保持しており、細胞塊を機械的に剥がして新たな培養皿に静置することが可能であった(再接着1回目)。再度細胞塊を静置した翌日には、先述同様に細胞塊周囲への細胞の遊走を認め、10日以内に細胞は培養皿を満たすように増殖し、細胞塊はその形態を保持していた(図9-a:中段左2枚の写真)。この細胞塊を機械的に剥がして新たな培養皿に静置することをさらに4回繰り返しても(再接着2~5回目)、同様に細胞塊周囲への細胞の遊走を認め、14日以内に細胞は培養皿を満たすように増殖し、細胞塊はその形態を保持していた(図9-a:中段右3枚の写真~下段)。
また、この細胞塊を剥がして再度培養皿に接着させる工程を3回行うことで遊走した細胞は、骨芽細胞への分化能(ALP染色陽性)および脂肪細胞への分化能(脂肪滴およびオイルレッドO染色陽性)を示し、従って、未分化性を維持していることが明らかとなった(図9-b)。従って、本発明によるMSC細胞塊は、細胞同士が強靭な接着力を持ち、再度接着培養環境に戻しても、その細胞塊の形態を崩すことなく培養皿に未分化なMSCを供給し続けることが分かった。
図10:マウス純化MSCの振盪培養によって形成された細胞塊
純化したマウスMSCにおいても振盪培養に供することによってOriCellTM マウスMSCの場合と同様の細胞塊を形成するか否かを検討した。ソーティング後のマウス純化MSCは、細胞数を確保するため、接着培養にて2回継代培養を行った。この2回継代したマウス純化MSC(5.0×105個/フラスコ)を2ヶ月間振盪培養した結果、OriCellTM マウスMSCの場合と同様の細胞塊を形成した(図示せず)。形成した細胞塊を新たな培養皿に静置した結果、翌日には細胞塊周囲への細胞の遊走を認め(図10-b:左図)、遊走した細胞は10日以内に培養皿を満たすように増殖した。なお、この際も細胞塊は形を崩すことはなくその形態を保持していた。また、遊走・増殖した細胞は、脂肪細胞へ分化誘導すると14日後には脂肪滴を産生したことから(図10-c)、脂肪細胞への分化能を保持していることが明らかとなった。
図11:OricellTM マウスMSCの神経幹細胞用培地を用いた細胞塊形成
OricellTMマウスMSCを用い、神経幹細胞用培地中で同様の振盪培養を行った場合にも細胞塊が形成されるか否かを検証した。また、得られた細胞塊における中胚葉系細胞(骨、脂肪、軟骨)および神経細胞への分化能について検証した。さらに、RT-PCRにて神経堤幹細胞マーカーであるNestin、Twistの発現および間葉系幹細胞マーカーであるPDGFRαの発現を解析した。
接着継代培養の少ない細胞(継代数9回)を神経幹細胞用培地中で振盪培養した結果、1か月以内に細胞塊の形成を認めた(図11-a)。
この細胞塊を用いて骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞へ分化誘導した結果、ALP陽性の骨芽細胞、オイルレッドO陽性の脂肪滴を示す脂肪細胞、トルイジンブルー陽性細胞による軟骨ペレットの形成を認めた(図11-b)。また、この細胞塊を用いて神経細胞へ分化誘導した結果、βIII-Tublin陽性の神経細胞を認めた(図11-c)。
さらに、接着継代培養の多い細胞(継代数39回)であっても、神経幹細胞用培地を用いることで細胞塊の形成は可能であった(図11-d)。RT-PCR解析の結果、この細胞塊の細胞は神経堤幹細胞マーカーであるNestin、Twistおよび間葉系幹細胞マーカーであるPDGFRαを著明に発現していた(図11-e)。
まとめ
上記結果から明らかなように、振盪培養を用いることにより、未分化性を失ったMSCを再び高い未分化性MSC集団の細胞塊へと回復させることができた。また、振盪培養にて形成されたMSC細胞塊は未分化性を保持すると同時に、強靭な形態保持能力を有しており、新たな培養皿に再度接着させることで未分化なMSCを供給することができる。
本発明の方法によれば、MSCを接着環境から全く新しい攪拌振盪培養法にて培養することで、分化能を維持させ形態を維持した強靭な三次元的MSC塊(スフェア)を形成できる。
従って、未分化性を保持した幹細胞を供給し続ける幹細胞プールとしての有用性があることが示唆される。
また再生医療への応用の観点では、この細胞塊はそれ自体がスキャホールドとして欠損部位のスペースメーキングし、幹細胞の組織再生を促すことが期待される。

Claims (8)

  1. 間葉系幹細胞を振盪培養することを特徴とする、未分化性を維持したまま間葉系幹細胞を培養する方法。
  2. 前記振盪培養が回転数20~200rpmで行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記振盪培養が振幅10~40mmで行われる、請求項1に記載の方法。
  4. 2回以上、継代培養を行う、請求項1に記載の方法。
  5. 振盪培養に供する前記間葉系幹細胞が所定の細胞への分化能を喪失している細胞であり、かつ該所定の細胞への分化能が振盪培養により回復する、請求項1に記載の方法。
  6. 請求項1に記載の方法により得られる細胞塊。
  7. 分化誘導培地中で請求項6に記載の細胞塊を培養する工程を含む、細胞分化方法。
  8. 請求項7に記載の方法により所定の細胞に分化した細胞塊。
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