JP2023008851A - 分離膜モジュール - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、溶液中に含まれる物質を効率よく分離するため用いられる分離膜モジュールに関する。
溶液中に含まれる物質を分離膜により分離する手法は、様々な用途で必要とされている。例えば、浄水用途では、水中に含まれる細菌やウイルスを分離することが求められる。なかには、滅菌された水が必要とされる場合もある。また、生物由来成分の分離も分離膜によって行われる場合がある。例えば、血液中の血球成分を除去や、溶液中に含まれるウイルスとタンパク質の分離や、サイズの異なるタンパク質の分離が挙げられる。
上記のような用途で用いられる分離膜には、平膜と中空糸膜があるが、容積あたりの膜面積を稼ぐことができることから中空糸膜が広く利用されている。
その中でも、分離性能を高めるために異なる孔径の中空糸膜を組み合わせたモジュールが考案されている。特許文献1や2では、U字形状とした中空糸膜からなるエレメントを2つ組み合わせたモジュールか開示されている。また、特許文献3では、複数のモジュールを多段に組み合わせたろ過装置が開示されている。
例えば特許文献1や2では、中空糸膜束をU字形状にする方法が開示されている。しかしながら特許文献1や2に開示の方法は、膜面積増大には有効であるものの、中空糸膜の素材によっては強度が低いためにU字形状に成形できない事や、U字形状にする際に孔径が変化する恐れがあり、精密な分離を目的とした用途には向いていない問題がある。
また、特許文献3では、複数のモジュールを組み合わせたろ過装置を開示しているが、溶液が連続的に分離膜を透過するような構成ではなく、多段分離を目的としたろ過装置は開示されていない。
そこで本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、簡便に溶液を多段階にろ過し、目的の物質を含む溶液を得ることができる多段式の中空糸膜ろ過装置に適用可能な分離膜モジュールを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための、本発明は、以下である。
液体から不要成分を除去するための分離膜モジュールであって、要件A~要件Cを満たす、分離膜モジュール。
要件A:上記分離膜モジュールは、ハウジングと、少なくとも2つの液体流出入口(以下、ポート、という)を有し、該ポートは上記分離膜モジュールの両端に配置される。
要件B:上記分離膜モジュールは、上記ハウジング内に中空糸膜を固定化したカートリッジを2つ以上有する。
要件C:上記カートリッジ内の中空糸膜は、長手方向に整列され、それぞれのカートリッジの両端で固定化されている。
本発明の分離膜モジュールは、簡便に溶液を多段階にろ過し、目的の物質を含む溶液を得ることができる。
本発明の分離膜モジュールは、液体から不要成分を除去するための分離膜モジュールであって、要件A~要件Cを満たす、分離膜モジュールである。
要件A:上記分離膜モジュールは、ハウジングと、少なくとも2つの液体流出入口(以下、ポート、という)を有し、上記ポートは上記分離膜モジュールの両端に配置される。
要件B:上記分離膜モジュールは、上記ハウジング内に中空糸膜を固定化したカートリッジを2つ以上有する。
要件C:上記カートリッジ内の中空糸膜は、長手方向に整列され、それぞれのカートリッジの両端で固定化されている。
以下、実施の形態例に基づいて本発明を説明するが、本発明は次に説明する実施形態に限定されるものではない。
本発明の分離膜モジュールは、要件Aを満たす。つまり本発明の分離膜モジュールは、ハウジングと、少なくとも2つの液体流出入口(以下、ポート、という)を有し、上記ポートは上記分離膜モジュールの両端に配置される。これについて、本発明の実施形態の一例である図1を参照して説明する。分離膜モジュール1は、ハウジング12の両端にヘッダー3(3’)を備え、それぞれのヘッダー上に2つの液体流出入口(以下、ポート、という)を有する。すなわち本発明の分離膜モジュールは、その両端にポートが配置される。なお、2つの液体流出入口(ポート)は、一方が液体流入口2であり、他方が液体流出口2’である。
また、本発明の分離膜モジュールは、要件B及び要件Cを満たす。つまり本発明の分離膜モジュールは、ハウジング内に中空糸膜を固定化したカートリッジを2つ以上有し、さらに上記カートリッジ内の中空糸膜は長手方向に整列され、それぞれのカートリッジの両端で固定化されている。これについて、図1を参照して説明する。本発明の分離膜モジュールは、ハウジング内に2つのカートリッジ4(4’)が配置され、その間にOリング5を備える。そしてこれらのカートリッジ4(4’)は、長手方向に並んだ中空糸膜が、カートリッジの両端で接着剤6(6’)によって固定されている。
なお、本発明の分離膜モジュールは、ハウジング内に少なくとも2つのカートリッジを有しさえすれば、ハウジング内のカートリッジの数に制限はなく、最初のカートリッジと最後のカートリッジの間に、さらに複数のカートリッジが配置されていてもよい。さらに、本発明の分離膜モジュールは、1つ目のポート、最初のカートリッジから最後のカートリッジ、2つ目のポートの順に配置されていればよく、ハウジングの形状は図1に示す直線状、又は図7に示すL字状などいずれの形状でもよい。上記の構成とすることで、1つ目のポートから液体を流入すると、2つ目のポートから、連続的にろ過された液体を得ることが可能となる。
また、分離膜モジュール内では、液体が一方向に流れ、さらに上流側のカートリッジにてろ過されたろ液は、隣接する下流側のカートリッジに供給されることが好ましい。図1に示す分離膜モジュール1は、流路が1つ目のポート2、最初のカートリッジ4、2つ目のカートリッジ4’、2つ目のポート2’の順となっていることにより、1つ目のポートから流入した液体は一方向に流れ、かつ、上流側のカートリッジにてろ過された液体が、隣接する下流側のカートリッジに供給され、最後のカートリッジでろ過されたろ液が、2つ目のポートから流出する。すなわち、モジュールに供給された液体は、複数の中空糸膜により多段にろ過される。つまりこのような態様の本発明とすることにより、簡便に溶液を多段階にろ過し、目的の物質を含む溶液を得ることができるために好ましい。
また、本発明の分離膜モジュールは、ハウジング内に配置されるカートリッジは直線的に並んでおり、分離膜モジュール中の流路が、少なくとも1つ目のポート、最初のカートリッジ、最後のカートリッジ、2つ目のポートの順に直線的であることが好ましい。これについて、図1を参照しながら説明すると、図1に示すとおり、本発明の分離膜モジュールは、2つのカートリッジは、そのカートリッジの長手方向に直線的に並んでハウジング内に配置される。このとき、直線的に並ぶとは、ハウジング内の隣合うカートリッジの端部同士が正対していることを意味する。さらに本発明の分離膜モジュール中の流路は、少なくとも1つ目のポート2、最初のカートリッジ4、2つ目のカートリッジ4’、2つ目のポート2’の順に直線的となっている。ハウジング内に配置されるカートリッジが直線的に並んでおり、分離膜モジュール中の流路が、少なくとも1つ目のポート、最初のカートリッジ、最後のカートリッジ、2つ目のポートの順に直線的であることで、分離膜モジュールのデッドボリュームを小さくすることができ、通液する液体のロスを低減する事ができるために好ましい。
分離膜モジュールの両端に配置される流体流入口であるポートの形状は、接続するチューブに合わせて任意に選択することができる。例えば、ルアーロック構造や、タケノコ構造、ワンタッチ継ぎ手構造などが挙げられる。
ポートは、ハウジングの両端に取り付け可能なヘッダー上に存在することが好ましい。ハウジングの両端にヘッダーを取り付けることで、ハウジング内に装填するカートリッジを固定化することが容易となる。ハウジングへのヘッダーの取り付け方法は、ネジ式、接着剤や超音波などによる溶着などいずれの方法でもよいが、使用後のカートリッジを取り出し、新しいカートリッジを装填することが可能でハウジングの再利用が可能なネジ式が好ましい。
本発明は、少なくとも一方のカートリッジ(以下、カートリッジA、という)は、カートリッジA中の中空糸膜(以下、カートリッジA中の中空糸膜を中空糸膜A、という)の一方の端部がカートリッジAの外側と中空糸膜Aの内部が連通しており(以下、このような端部を端部A2、という)、中空糸膜Aの他方の端部は、カートリッジAの外側と連通していない(以下、このような端部を端部A1、という)態様であることが好ましい。つまりカートリッジは、一方向に液体を流した際に、中空糸膜により液体がろ過される構造である。そのため、カートリッジAの中空糸膜の一方の端部A1は、中空糸膜の内側に連通しておらず、他方の端部A2でのみ中空糸膜の内側と連通する。具体的にはカートリッジAの端部A1側の端部では、カートリッジと中空糸膜を固定化している接着剤部分で中空糸膜は開口しておらず、そのためカートリッジAの外側と中空糸膜の端部A1の内側とは連通していない。カートリッジの端部A2側の端部では、カートリッジと中空糸膜を固定化している接着剤部分で中空糸膜が開口しているため、カートリッジAの外側と中空糸膜の端部A2側の内側とが連通している。このようなカートリッジA中の中空糸膜Aの端部A1、端部A2の一例を、図3と図4に図示する。
カートリッジAにおいて、中空糸膜の外側に連通する流路は、端部A1の中空糸膜を固定化する接着剤部分もしくは、カートリッジのいずれかに形成される。接着剤部分に流路を形成する方法としては、固化後の接着剤部分に穴を空ける方法や、接着剤を固定化する際に、接着剤を貫通するように棒状の物質を設置し、接着剤が固化した後に、棒状の物質を除去する方法が、例として挙げられる。中でも、固定化する中空糸膜への影響が少ないため、後者の方法が好ましい。
本発明の分離膜モジュールでは、カートリッジAの端部A1の側に、カートリッジAの内側と外側を連通する流路、すなわち中空糸膜の外側に連通する流路を有することが好ましい。さらにカートリッジAの内側と外側を連通する流路が、端部A1の側のカートリッジAの端面に存在することが好ましい。つまり図3に示すように、カートリッジに固定化された中空糸膜の外側に連通する流路8が存在する場合は、流路8が端部A1の側のカートリッジ端面や、カートリッジ側面のいずれに存在していてもよいが、分離膜モジュールの構造がより単純にすることができるため、流路8がカートリッジの端部A1の側に配置されることが好ましく、より好ましくは端部A1の側のカートリッジAの端面に流路8を形成することが好ましい。
カートリッジに形成される流路の数、大きさ、形状は、特に限定されず、カートリッジの材質、強度や液体を処理する際の圧力損失などに応じて、設計すればよく、本発明の例に限定されるものではない。
また、ハウジング内に装填するカートリッジの方向も処理の目的に合わせて任意に設定してよい。例えば、中空糸膜に対して外表面側から液体を供給してろ過する、外内ろ過を多段に行う場合や、中空糸膜に対して内表面側から液体を供給してろ過する、内外ろ過を多段に行う場合、外内ろ過と内外ろ過を繰り返し行う場合などがある。
ハウジング内に装填するカートリッジの数も、分離対象や分離精度に応じて、任意に設計してよい。
ハウジング内に装填するカートリッジとカートリッジの間には、Oリングを配置することが好ましい。Oリングを配置することにより、ハウジングとカートリッジの隙間に液体が浸入し、中空糸膜でろ過されていない液体が流出することを防ぐことができる。同様の目的で、分離膜モジュール両端のヘッダー部にもOリングを配置し、ハウジングとカートリッジの隙間への液体の浸入を防止することが好ましい。
Oリングの材質としては、シリコーンゴムやフッ素ゴム、エチレン・プロピレンゴムなどが挙げられるが、使用条件によって任意に選択してよく、特に限定されない。
ハウジング内のカートリッジとカートリッジの間には、スペーサーを入れるなど、カートリッジが存在しない空間が存在していてもよい。一方で、分離膜モジュールのデッドボリュームを小さくすることができ、通液する液体のロスを低減することができるため、各カートリッジを隣接させ、カートリッジとカートリッジの間の空間を小さくすることが好ましい。
他の実施形態として、図6の分離膜モジュール11のように、カートリッジ、ハウジングを貫通した泡抜き用のポートを備えていてもよい。
本発明で用いる中空糸膜の孔径は、分離対象に合わせて設計すればよく、特に限定されない。また、カートリッジ毎に中空糸膜の孔径を変更してもよい。例えば、ウイルス除去のように分離対象のサイズが一つで、その分離精度を向上させたい時には、同じ孔径の分離膜を固定化したカートリッジを連続的に使用すればよい。一方、血液中の血球成分分離の様に、赤血球(7.5μm)、血小板(3μm)、血漿と順番に分離をしていく場合には、それぞれのサイズに合わせた孔径の分離膜を固定化したカートリッジを連続的に使用することで、目詰まりを抑制し、効率良く分離することが可能となる。
本発明の分離膜モジュールに用いるハウジング、カートリッジ、及びヘッダーの材質は、ポリスルホンやポリカーボネート、ポリスチレンなど一般的なエンジニアリングプラスチックが好適に用いられ、用途によって任意に選択すればよく、特に限定されるものではない。
本発明に用いる中空糸膜の材質は特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデンなどの結晶性ポリマー、及び、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系ポリマー、ポリメチルメタクリレートなどの非結晶性ポリマーのいずれでもよく、用途によって任意に選択してよい。一方で、分離対象が、血液や細胞培養由来溶液といった血球成分やタンパク質などの生物由来成分を含んだ溶液であり、血液浄化のような治療用途やバイオ医薬品製造用途に用いられる場合には、高い透水性が得られるポリスルホン系ポリマーが好ましい。
特に、上記の用途の場合、高透水性が求められるために中空糸膜の膜厚は80μm以下、さらには65μm以下が好ましい。一方で、膜厚が薄いとリークの可能性があるため、30μm以上、さらには45μm以上が好ましい。また、このように水処理用途の中空糸膜に比べて、膜厚が薄い場合、中空糸をU字形状にすると糸が折れたり、リークに繋がったりする可能性が高いため、カートリッジ内の中空糸膜は、長手方向に整列され、それぞれのカートリッジの両端で固定化されている必要がある。
また、生物由来成分は、ポリスルホン系ポリマーなどの疎水性の高いポリマーに吸着する傾向にあるため、分離膜は親水性ポリマーを含んでいることが好ましい。親水性ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ酪酸ビニルなどポリカルボン酸ビニルエステル、ポリN-イソプロピルアクリルアミド、ポリN-ビニルアセトアミドなどのノニオン性ポリマー、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ジエチルアミノエチルデキストランなどのカチオン性ポリマー、ポリアクリル酸、ポリビニル硫酸、デキストラン硫酸などのアニオン性ポリマーなどが挙げられる。また、上記2種類以上のポリマーで構成される共重合ポリマー、グラフト重合ポリマーなどでも好適に用いられ、特にノニオン性ポリマー、ノニオン性共重合ポリマー及びノニオン性共重合ポリマーは好適に用いられる。
特に、複数のカートリッジを装填した本発明の分離膜モジュールにおいては、圧力損失が高くなるため、生物由来成分を分離する場合、高圧損によりタンパク質が変性したり、膜の目詰まりが生じたりする可能性がある。そのため、膜表面には、なるべく生物由来成分の付着を抑制できるポリマーが存在していることが好ましい。具体的には、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合ポリマーや、ビニルピロリドン/プロパン酸ビニル共重合ポリマー、N-ビニルアセトアミド/ピバル酸ビニル共重合体、N-イソプロピルアクリルアミド/アクリル酸エチル共重合ポリマーなどが好適に用いられる。
中空糸膜の内表面、外表面ともに、膜表面における上記の親水性ポリマー量は10質量%以上が好ましく、さらには15質量%以上が好ましい。また、多すぎると、物質透過性が低下することから50質量%以下、さらには45質量%以下が好ましい。
例えば、中空糸膜の材質がポリスルホンポリマーであり、親水性ポリマーとしてポリビニルピロリドンを含む場合、X電子分光法を用いて中空糸膜の表面を測定することで、内表面、外表面のポリビニルピロリドン量を算出することができる。
ビニルピロリドン由来の窒素量(c(原子数%))とポリスルホン由来の硫黄量(d(原子数%))から、次の式により中空糸膜表面でのポリビニルピロリドン量(質量%)を算出することができる。ここで、111はビニルピロリドン基の分子量であり、442はポリスルホンを構成する繰り返し単位の分子量である。
ポリビニルピロリドン量=100×(c×111)/(c×111+d×442)。
ビニルピロリドン由来の窒素量(c(原子数%))とポリスルホン由来の硫黄量(d(原子数%))から、次の式により中空糸膜表面でのポリビニルピロリドン量(質量%)を算出することができる。ここで、111はビニルピロリドン基の分子量であり、442はポリスルホンを構成する繰り返し単位の分子量である。
ポリビニルピロリドン量=100×(c×111)/(c×111+d×442)。
各カートリッジに固定化する中空糸膜の膜面積は、用途によって任意に選択すればよいが、通常は分離膜モジュールの上流に位置するカートリッジの中空膜から目詰まりする場合が多いので、上流に位置するカートリッジの膜面積は大きいことが好ましい。
膜面積を大きくする場合は、カートリッジを長くすると、圧力損失が大きくなり、連続的な処理を行う際に、効率が低下する可能性があるため、カートリッジの直径を大きくし、
固定化する中空糸膜本数を増加させることが好ましい。
固定化する中空糸膜本数を増加させることが好ましい。
固定化する中空糸膜の内径も、用途によって任意に選択すればよい。内径が小さすぎると圧力損失が大きくなるため、中空糸膜の内径は50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、さらには250μm以上が好ましい。一方で、内径が大きすぎると、カートリッジに納められる中空糸膜の本数が減少し、膜面積が小さくなりすぎるため、中空糸膜の内径は、2mm以下がよく、1mm以下が好ましく、さらには500μm以下が好ましい。
中空糸膜の内径及び膜厚は、カートリッジAの端部A2で開口した中空糸膜をマイクロウォッチャーで測定し、平均値を算出する。
カートリッジに納める中空糸膜の充填率は、デッドボリュームを小さくし、通液する液体のロスを低減する観点から、10%以上が好ましく、より好ましくは30%以上、さらには50%以上であることが好ましい。一方で、充填率が高すぎる場合、中空糸膜が密となり、接着剤がうまく浸透せず、リークが発生する懸念があるため、充填率は70%以下が好ましく、60%以下がより好ましい。
充填率は下記の式より算出することができる。
充填率(%)={π×(中空糸膜外径/2)2×中空糸膜本数}/カートリッジ断面積
カートリッジ断面積=π×(カートリッジ内径/2)2
本発明で用いる中空糸膜の製膜方法としては、相分離法が好ましい。相分離法としては、貧溶媒で相分離を誘起する手法や、比較的溶解性の低い溶媒を用いた高温の製膜原液の冷却により相分離を誘起する手法等を用いることができるが、中でも、貧溶媒で相分離を誘起する手法での製膜が特に好ましい。
カートリッジ断面積=π×(カートリッジ内径/2)2
本発明で用いる中空糸膜の製膜方法としては、相分離法が好ましい。相分離法としては、貧溶媒で相分離を誘起する手法や、比較的溶解性の低い溶媒を用いた高温の製膜原液の冷却により相分離を誘起する手法等を用いることができるが、中でも、貧溶媒で相分離を誘起する手法での製膜が特に好ましい。
この製膜過程で、製膜原液と貧溶媒の接触によって相分離が進行する。貧溶媒が接触する内表面から膜厚方向に連続的に孔径が変化するため、中空糸膜の内表面の孔径が最も小さくなり、表面部分が密で膜内部に向かうにつれて疎となる。このとき、貧溶媒濃度や吐出温度などを制御することで孔の成長速度を調整することが可能である。特に、孔径や緻密層の調整には貧溶媒濃度を変更することが効果的である。濃度を調整し凝固性を上げることで、表面の孔径と緻密層の厚みを制御することができる。
例として、ポリスルホン系ポリマーを用いた中空糸膜の製造方法を以下に示す。
例として、ポリスルホン系ポリマーを用いた中空糸膜の製造方法を以下に示す。
製膜原液に配合するポリスルホン系ポリマーとしては、前述のものを用いることができ、一種類のみでも、二種類以上を混合して使用してもよい。
製膜原液中のポリスルホン系ポリマーの濃度を高くすることで、中空糸膜の機械的強度を高めることができる。一方で、ポリスルホン系ポリマーの濃度が高すぎると、溶解性の低下や製膜原液の粘度増加による吐出不良などの問題が生じ得る。また、ポリスルホン系ポリマーの濃度によって透水性、分画分子量を調整することができる。ポリスルホン系ポリマーの濃度を高くし過ぎると、中空糸膜内表面におけるポリスルホン系ポリマーの密度が上がるため、透水性及び分画分子量は低下する。以上のことから、製膜原液中のポリスルホン系ポリマーの濃度は30質量%以下が好ましく、一方で下限としては10質量%以上が好ましい。
ポリスルホン系ポリマーを溶解する際は、高温で溶解することが溶解性向上のために好ましいが、熱によるポリマーの変性や溶媒の蒸発による組成変化の懸念がある。そのため、溶解温度は、30℃以上、120℃以下が好ましい。ただし、ポリスルホン系ポリマー及び添加剤の種類によってこれらの最適範囲は異なることがある。
さらに、製膜原液に親水性ポリマーを配合することにより、造孔剤として透水性を向上する効果や、親水性を向上することによるタンパク質の付着抑制効果が期待できる。また、親水性ポリマーの配合により製膜原液の粘度の調整を行うことが可能であり、膜の強度低下の要因となるマクロボイドの生成を抑制することが可能である。ただし、かかる製膜原液中の親水性ポリマーの配合量が多すぎると、製膜原液の粘度増加による溶解性の低下や吐出不良が起こることがあり、また、中空糸膜中に多量の親水性ポリマーが残存することで、透過抵抗の増大による透水性の低下などが起こる恐れがある。親水性ポリマーとしては、前述のものを用いることができ、一種類のみでも、二種類以上を混合して使用してもよい。親水性ポリマーの最適な製膜原液への添加量は、その種類や目的の性能によって異なるが、製膜原液全体に対して1質量%以上が好ましく、一方で20質量%以下が好ましい。なお、比較的低分子量(分子量1000~200000)の親水性ポリマーを用いることで造孔作用が強まるため、中空糸膜の透水性を向上させることができる。
二重環口金の内管から吐出する液(芯液)は、ポリスルホン系ポリマーに対する良溶媒と貧溶媒の混合液であり、その比率によって中空糸膜の透水性及び分画分子量を調整することができる。貧溶媒としては、特に限定されないが、水やエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒が用いられ、中でも水が最も好適に用いられる。良溶媒としては、特に限定されないが、N,N-ジメチルアセトアミドが好適に用いられる。
前述の製膜原液と芯液が接触することで、貧溶媒の作用によって製膜原液の相分離が誘起され、凝固が進行する。芯液における貧溶媒比率を高くし過ぎると、膜の透水性及び分画分子量が低下する。一方で、貧溶媒比率が低すぎると、液体のまま滴下されることになるため、中空糸膜を得ることができないことがある。芯液における適正な両者の比率は、良溶媒と貧溶媒の種類によって異なるが、貧溶媒が上記両溶媒の混合液中10質量%以上であることが好ましく、一方で80質量%以下であることが好ましい。
吐出時の二重管口金の温度は、製膜原液の粘度、相分離挙動、芯液の製膜原液への拡散速度に影響を与え得る。一般的に、二重管口金の温度が高い程、得られる中空糸膜の透水性と分画分子量は大きくなる。ただし、二重管口金の温度が高過ぎると、製膜原液の粘度の低下や凝固性の低下によって、吐出が不安定となるため紡糸性が低下する。一方で、二重管口金の温度が低いと、結露によって二重管口金に水分が付着することがある。そのため、二重管口金の温度は20℃以上が好ましく、一方で90℃以下が好ましい。
二重管口金から吐出された後は乾式部と呼ばれる所定区間を空走することが好ましい。乾式部では、外表面が空気と接触することで、空気中の水分を取り込み、これが貧溶媒となるため、相分離が進行する。そのため、乾式部の露点を制御することで、外表面の開孔率を調整することができる。乾式部の露点が低いと相分離が十分に進行しないことがあり、外表面の開孔率が低下し、中空糸膜の摩擦が大きくなって紡糸性が悪化し得る。一方で、乾式部の露点が高過ぎても、外表面が凝固するため開孔率が低下することがある。乾式部の露点は60℃以下が好ましく、一方で10℃以上が好ましい。
乾式部の空走距離(乾式長)が短すぎると相分離が十分に進行する前に凝固してしまい、透水性能や分画性能が低下するため、乾式長は50mm以上が好ましく、さらに好ましくは100mm以上である。一方、乾式長が長すぎると糸揺れなどによって紡糸安定性が低下しかねないため、600mm以下が好ましい。
乾式部を空走した後は、ポリスルホン系ポリマーに対する貧溶媒を主成分とする凝固浴に供されることが好ましい。貧溶媒としては水が好適に用いられる。製膜原液が凝固浴に入ると、凝固浴中の多量の貧溶媒によって製膜原液は凝固し、膜構造が固定化される。また、凝固浴には必要に応じて良溶媒が添加されていてもよい。凝固浴の温度を高くするほど、又は、良溶媒の濃度を高くするほど凝固が抑制され、相分離が進行するため、透水性と分画分子量は大きくなる。
凝固浴で凝固させることによって得られた中空糸膜は、溶媒や原液に由来する余剰の親水性ポリマーを含んでいるため、さらに洗浄に供されることが好ましい。洗浄方法としては、ポリスルホン系ポリマーが溶解せず、余剰の親水性ポリマーが溶解する組成の溶媒中を通過させる方法が好ましい。溶媒の例としては、エタノールなどのアルコール類やポリスルホン系ポリマーが溶解しない程度に良溶媒を混合した水溶液、水が挙げられる。中でも取り扱い性の観点から水が好ましい。また、洗浄に用いる溶媒の温度を上げることで洗浄効率を高めることができるため、洗浄温度は、50~100℃が好ましい。
膜表面には、生物由来成分の付着を抑制できる親水性ポリマーを配置させるために、親水性ポリマーを製膜時の原液や芯液に添加する方法や、製膜後に表面にコーティングする方法が挙げられる。中でも、製膜条件に影響を与えない点で、製膜後にコーティングする方法が好ましい。製膜後にコーティングする方法としては、親水性ポリマー溶液に中空糸膜を浸漬する方法や、その溶液を通液させる方法、又はスプレーなどで吹きつける方法などいずれの方法でもよい。中でも、中空糸膜の内部にまで親水性ポリマーを付与することが可能であることから、中空糸膜に親水性ポリマー溶液を通液させる方法が好ましい。
親水性ポリマー溶液を中空糸膜に通液させる場合には、溶液中の親水性ポリマーの濃度が低すぎると十分な量の親水性ポリマーが表面に導入されない。よって、溶液中の親水性ポリマーの濃度は10ppm以上が好ましく、100ppm以上がより好ましく、300ppm以上がさらに好ましい。ただし、濃度が高すぎると、モジュールからの溶出物が増加することや、孔径が変化することが懸念されるため、上記水溶液中の親水性ポリマーの濃度は100,000ppm以下が好ましく、10,000ppm以下がより好ましい。
親水性ポリマー溶液の調製に使用する溶媒としては、水が好ましい。ただし、水に所定の濃度溶解しない場合は、中空糸膜を溶解しない有機溶媒、又は水と相溶し、かつ中空糸膜を溶解しない有機溶媒と水との混合溶媒に親水性ポリマーを溶解させてもよい。上記有機溶媒又は混合溶媒に用いうる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、又はプロパノール等のアルコール系溶媒が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
中空糸膜に通液させる方向は、中空糸膜の内側から外側、外側から内側のいずれでもよい。ただし、使用する親水性ポリマーの大きさが中空糸膜内表面の孔径よりも大きい場合、内側から通液させると親水性ポリマーが孔を通過せず、内表面側に濃縮され、中空糸膜内部及び外表面に親水性ポリマーを担持させることができない。そのような場合は、別途中空糸膜の外側に親水性ポリマー溶液を流すことで、中空糸膜全体に親水性ポリマーを担持させることができる。使用する親水性ポリマーの分子量は、中空糸膜の細孔径に合わせて、適宜、設定することが可能であるが、重量平均分子量で1万以上、50万以下がこのましく、さらには3万以上、20万以下が好ましい。
また、親水性ポリマーは化学的な結合によって中空糸膜に固定化されることが好ましい。化学的な結合によって固定化する方法としては、特に限定されないが、親水性ポリマーを接触させた後に放射線を照射する方法や、親水性ポリマー、及び固定化する中空糸膜表面にアミノ基やカルボキシル基などの反応性基を導入し、縮合させる方法が挙げられる。
上記放射線照射にはα線、β線、γ線、X線、紫外線、又は電子線等を用いることができる。中空糸膜モジュール内の中空糸膜に親水性ポリマーを溶解した溶液を接触させた状態、又は表面に親水性ポリマーを導入したのちに中空糸膜、カートリッジ、及びモジュール内の溶液を除去した状態や中空糸膜を乾燥させた状態で放射線を照射する。本方法では、親水性ポリマーの固定化と同時に中空糸膜モジュールの滅菌も達成できるため好ましい。その場合、放射線の照射線量は15kGy以上が好ましく、25kGy以上がより好ましい。一方で、照射線量が高すぎる場合、親水性ポリマーの劣化、分解が促進されるため、照射線量は100kGy以下が好ましい。
また、放射線の照射による親水性ポリマーの架橋反応を抑制するため、抗酸化剤を用いてもよい。抗酸化剤とは、他の分子に電子を与えやすい性質を持つ物質のことを意味し、例えば、ビタミンC等の水溶性ビタミン類、ポリフェノール類又はメタノール、エタノール若しくはプロパノール等のアルコール系溶媒が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの抗酸化剤は単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いてもよい。安全性を考慮する必要がある場合は、エタノールやプロパノール等、毒性の低い抗酸化剤が好適に用いられる。
中空糸膜表面に反応性基を導入する方法としては、反応性基を有するモノマーを重合して表面に反応性基を有する基材を得る方法や、重合後、オゾン処理、プラズマ処理によって反応性基を導入する方法等が挙げられる。
本発明に用いる中空糸膜を接着剤にてカートリッジに固定化する方法としては、遠心ポッティングや静置ポッティングが挙げられる。固定化する際は、一方の端部は、カートリッジAの端部A1側のように中空糸膜が開口しておらず、他方の端部は、端部A2のように中空糸膜を開口させる。中空糸膜を開口させる方法としては、カートリッジの端部から中空糸膜が飛び出した状態でカートリッジの端部と中空糸膜を接着し、接着剤が固化した後、中空糸膜が開口するようにカートリッジの端部に沿って接着剤部分を切断する方法が挙げられる。また、中空糸膜端部を開口させない方法としては、上述のとおり開口するように接着部分を切断したのち、接着剤で開口部を埋める方法や、中空糸膜をカートリッジに接着する際に中空糸膜の末端が接着剤の内部となるように中空糸膜の長さを調整する方法が挙げられる。その後、カートリッジをハウジング内に装填する。
(1)ポリスルホン中空糸膜の紡糸
ポリスルホン(SOLVAY社製ユーデル(登録商標)P-3500)18質量部、ポリビニルピロリドン(ASHLAND LCC社製 ポビドン(PLASDONE) K29/K32)6質量部、ポリビニルピロリドン(ASHLAND LCC社製 ポビドン(PLASDONE) K90)3質量部を、N,N-ジメチルアセトアミド72質量部及び水1質量部からなる溶液に加え、90℃で14時間加熱溶解し、製膜原液を得た。この製膜原液を40℃に調整したオリフィス型二重円筒型口金より吐出し、同時に芯液としてN,N-ジメチルアセトアミド72質量部及び水28質量部からなる溶液を内側の管より吐出し、吐出液を乾式長350mmの空間を通過させた後、水の入った50℃の凝固浴に導き、中空糸膜を得た。得られた中空糸膜は内径282μm、膜厚49μmであった。
ポリスルホン(SOLVAY社製ユーデル(登録商標)P-3500)18質量部、ポリビニルピロリドン(ASHLAND LCC社製 ポビドン(PLASDONE) K29/K32)6質量部、ポリビニルピロリドン(ASHLAND LCC社製 ポビドン(PLASDONE) K90)3質量部を、N,N-ジメチルアセトアミド72質量部及び水1質量部からなる溶液に加え、90℃で14時間加熱溶解し、製膜原液を得た。この製膜原液を40℃に調整したオリフィス型二重円筒型口金より吐出し、同時に芯液としてN,N-ジメチルアセトアミド72質量部及び水28質量部からなる溶液を内側の管より吐出し、吐出液を乾式長350mmの空間を通過させた後、水の入った50℃の凝固浴に導き、中空糸膜を得た。得られた中空糸膜は内径282μm、膜厚49μmであった。
(2)ウイルス除去性能の測定
ウイルス原液は、大きさが約27nmのバクテリオファージMS-2(Bacteriophage MS-2 ATCC 15597-B1)を約1.0×107PFU/mlの濃度を含有する様に蒸留水中で調製した。ここで蒸留水は121℃で20分間高圧蒸気滅菌したものを用いた。温度約20℃、印加圧力200kPaの条件でウイルス原液を中空糸膜外表面から内表面に向けて流れるようにカートリッジを装填した中空糸膜モジュールに送液した。Overlay agar assay、Standard Method 9211-D(APHA、1998、Standard methods for the examination of water and wastewater, 18th ed.)の方法に基づいて、採取した透過液もしくは蒸留水で適宜希釈した透過液1mlを検定用シャーレに接種し、プラークを計数することによってバクテリオファージMS-2の濃度を求めた。プラークとは、ウイルスが感染して死滅した細菌の集団で、点状の溶菌斑として計数することができる。ウイルス除去性能をウイルス対数除去率(LRV)で表した。例えばLRV2とは-log10x=2すなわち0.01のことであり、残存濃度が100分の1(除去率99%)であることを意味する。
ウイルス原液は、大きさが約27nmのバクテリオファージMS-2(Bacteriophage MS-2 ATCC 15597-B1)を約1.0×107PFU/mlの濃度を含有する様に蒸留水中で調製した。ここで蒸留水は121℃で20分間高圧蒸気滅菌したものを用いた。温度約20℃、印加圧力200kPaの条件でウイルス原液を中空糸膜外表面から内表面に向けて流れるようにカートリッジを装填した中空糸膜モジュールに送液した。Overlay agar assay、Standard Method 9211-D(APHA、1998、Standard methods for the examination of water and wastewater, 18th ed.)の方法に基づいて、採取した透過液もしくは蒸留水で適宜希釈した透過液1mlを検定用シャーレに接種し、プラークを計数することによってバクテリオファージMS-2の濃度を求めた。プラークとは、ウイルスが感染して死滅した細菌の集団で、点状の溶菌斑として計数することができる。ウイルス除去性能をウイルス対数除去率(LRV)で表した。例えばLRV2とは-log10x=2すなわち0.01のことであり、残存濃度が100分の1(除去率99%)であることを意味する。
[実施例1]
(1)で得られた中空糸膜について、内径7mm、長さ49mmの円筒状ケースに、23本を挿入し、カートリッジを2つ作製した。該カートリッジをハウジング内に装填した図1のような分離膜モジュールを作製した。該モジュールに、ビニルピロリドン/プロパン酸ビニル共重合体(プロパン酸ビニルユニットのモル分率40%、重量平均分子量72,500)を濃度50ppm、エタノールを濃度200ppmとなるように溶解した水溶液を通液し、膜全体にコーティングを行った後、25kGyのγ線を照射し、ウイルス除去率を測定した。200L/m2処理時のLRVは6.6と高い値を示した。
(1)で得られた中空糸膜について、内径7mm、長さ49mmの円筒状ケースに、23本を挿入し、カートリッジを2つ作製した。該カートリッジをハウジング内に装填した図1のような分離膜モジュールを作製した。該モジュールに、ビニルピロリドン/プロパン酸ビニル共重合体(プロパン酸ビニルユニットのモル分率40%、重量平均分子量72,500)を濃度50ppm、エタノールを濃度200ppmとなるように溶解した水溶液を通液し、膜全体にコーティングを行った後、25kGyのγ線を照射し、ウイルス除去率を測定した。200L/m2処理時のLRVは6.6と高い値を示した。
[比較例1]
実施例1と同様に(1)で得られた中空糸膜を46本挿入したカートリッジを1つ作製し、該カートリッジと中空糸膜を固定化していない円筒状ケースをハウジング内に装填した分離膜モジュールを作製した。該モジュールに、ビニルピロリドン/プロパン酸ビニル共重合体(プロパン酸ビニルユニットのモル分率40%、重量平均分子量72,500)を濃度50ppm、エタノールを濃度200ppmとなるように溶解した水溶液を通液し、膜全体にコーティングを行った後、25kGyのγ線を照射し、ウイルス除去率を測定した。200L/m2処理時のLRVは1.6であった。膜面積は実施例1と同じとしたが、LRVは低い値であった。
実施例1と同様に(1)で得られた中空糸膜を46本挿入したカートリッジを1つ作製し、該カートリッジと中空糸膜を固定化していない円筒状ケースをハウジング内に装填した分離膜モジュールを作製した。該モジュールに、ビニルピロリドン/プロパン酸ビニル共重合体(プロパン酸ビニルユニットのモル分率40%、重量平均分子量72,500)を濃度50ppm、エタノールを濃度200ppmとなるように溶解した水溶液を通液し、膜全体にコーティングを行った後、25kGyのγ線を照射し、ウイルス除去率を測定した。200L/m2処理時のLRVは1.6であった。膜面積は実施例1と同じとしたが、LRVは低い値であった。
[比較例2]
実施例1と同じ円筒状ケースに、(1)で得られた中空糸膜がU字形状となるように挿入したところ、糸が折れたため、カートリッジを作製することができなかった。
実施例1と同じ円筒状ケースに、(1)で得られた中空糸膜がU字形状となるように挿入したところ、糸が折れたため、カートリッジを作製することができなかった。
1、11 分離膜モジュール
2’ ポート(液体流入口)
2’ ポート(液体流出口)
3、3’ ヘッダー
4、4’ カートリッジ
5 Oリング
6、6’ 接着剤部分
7 中空糸膜
8 流路
9 中空糸膜の開口部
10 泡抜き用ポート
12、13、14 ハウジング
2’ ポート(液体流入口)
2’ ポート(液体流出口)
3、3’ ヘッダー
4、4’ カートリッジ
5 Oリング
6、6’ 接着剤部分
7 中空糸膜
8 流路
9 中空糸膜の開口部
10 泡抜き用ポート
12、13、14 ハウジング
Claims (8)
- 液体から不要成分を除去するための分離膜モジュールであって、要件A~要件Cを満たす、分離膜モジュール。
要件A:前記分離膜モジュールは、ハウジングと、少なくとも2つの液体流出入口(以下、ポート、という)とを有し、該ポートは前記分離膜モジュールの両端に配置される。
要件B:前記分離膜モジュールは、前記ハウジング内に中空糸膜を固定化したカートリッジを2つ以上有する。
要件C:前記カートリッジ内の中空糸膜は、長手方向に整列され、それぞれのカートリッジの両端で固定化されている。 - 前記分離膜モジュール内では、液体が一方向に流れ、
さらに上流側の前記カートリッジにてろ過されたろ液は、隣接する下流側の前記カートリッジに供給されることを特徴とする、請求項1に記載の分離膜モジュール。 - 前記カートリッジはハウジング内で直線的に並んでおり、前記分離膜モジュール中の流路が、少なくとも1つ目のポート、最初のカートリッジ、最後のカートリッジ、2つ目のポートの順に直線的である請求項1又は2記載の分離膜モジュール。
- 少なくとも一方の前記カートリッジ(以下、カートリッジA、という)は、カートリッジA中の中空糸膜(以下、カートリッジA中の中空糸膜を中空糸膜A、という)の一方の端部がカートリッジAの外側と中空糸膜Aの内部が連通しており(以下、このような端部を端部A2、という)、
前記中空糸膜Aの他方の端部は、カートリッジAの外側と中空糸膜Aの内部が連通していない(以下、このような端部を端部A1、という)ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の分離膜モジュール。 - 前記カートリッジAの前記端部A1の側に、前記カートリッジAの内側と外側を連通する流路を有する、請求項4に記載の分離膜モジュール。
- 前記カートリッジAの内側と外側を連通する流路が、前記端部A1の側の前記カートリッジAの端面に存在することを特徴とする、請求項5に記載の分離膜モジュール。
- 前記中空糸膜の構成成分に親水性ポリマーが含有されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の分離膜モジュール。
- 前記液体が、生物由来成分を含んだ溶液であり、治療用やバイオ医薬品製造用に用いられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の分離膜モジュール。
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- 2022-06-22 JP JP2022100051A patent/JP2023008851A/ja active Pending
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