JP2023006185A - 車両運転支援装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】実用性を構成させた車両運転支援装置を提供する。【解決手段】制御装置は、周辺認識システムが認識可能な最も遠い物標までの距離である認識可能距離Daが、天候状態及び車外の照度のいずれか一方又は両方に相関する場合、認識可能距離Da0を推定し、更に、運転者が認識可能な最も遠い物標までの距離である認識可能距離Db0を推定する。制御装置は、認識可能距離Da0が第1運転支援を実行するために必要な距離である必要距離Dn[VL0]以上である場合、第1運転支援を実行し、認識可能距離Da0が、必要距離Dn[VL0]より小さく、且つ認識可能距離Db0以上である場合、第2運転支援を実行し、認識可能距離Da0が、必要距離より小さく、且つ認識可能距離Dbより小さい場合、自車両を自律的に走行させる制御を実行しない。【選択図】図3
Description
本発明は、車両の運転者の運転操作を支援する車両運転支援装置に関する。
車両の運転者の運転操作を支援する車両運転支援装置(以下、「従来装置」と称呼する。)が知られている(例えば、下記特許文献1を参照。)。従来装置は、自車両の周辺の物標を認識する周辺認識システム(例えば、カメラ装置)、及び当該周辺認識システムの認識結果に基づいて、車両を制御する制御装置を備える。例えば、制御装置は、自車両の実速度が所定値を超えないように、自車両を自律走行させる。
ところで、自車両から、周辺認識システム(例えば、カメラ装置)が認識可能な最も遠い物標までの距離(以下、「システム認識可能距離」と称呼する。)は、天候状態、車外の明るさ(照度)などに相関する場合がある。具体的には、カメラ装置の認識可能距離は、晴天時に比べて、降雨時又は降雪時、霧が発生している場合などにおいて小さくなる傾向にある。また、例えば、カメラ装置の認識可能距離は、照度の高い昼間に比べて、照度の低い夜間において小さくなる傾向にある。
制御装置が運転支援(例えば、自律走行制御)を実行するためには、システム認識可能距離が所定値(その運転支援を実行するための下限値)以上である必要がある。以下、この所定値を「必要距離」と称呼する。例えば、制御装置が自車両を「100km/h」で自律走行させる運転支援を実行するための必要距離は「190m」である。また、例えば、制御装置が自車両を「50km/h」で自律走行させる運転支援を実行するための必要距離は「100m」である。
例えば、制御装置は、道路の法定速度を超えないように、自車両を自律走行させる運転支援を実行するに際し、現在のシステム認識可能距離を推定する。そして、制御装置は、当該推定結果が、当該運転支援に対して予め規定された必要距離以上であるか否かを判定する。推定したシステム認識可能距離が必要距離以上である場合、制御装置は、当該運転支援を実行する。この場合、車両の運転操作の主体は、制御装置である。
一方、推定したシステム認識可能距離が必要距離より小さい場合、当該運転支援の態様を縮退させる。例えば、制御装置は、車速の上限値を、法定速度より小さい所定値に設定したうえで、車両を自律走行させる。この場合も、車両の運転操作の主体は、制御装置である。
なお、推定したシステム認識可能距離が著しく小さい場合(所定の閾値より小さい場合)、制御装置は、車両を自律走行させる制御を停止する。すなわち、この場合、車両の運転者(乗員)が運転操作を実行する必要がある。なお、この場合、制御装置は、車両を自律走行させるような高度な運転支援は実行しないが、運転者の運転操作を補助するための支援(例えば、検出した物標の位置情報の提供)を実行する場合もある。
ところで、運転者が認識できる最も遠い物標までの距離(以下、「運転者認識可能距離」と称呼する。)も、天候状態、照度などに相関する。そして、運転者認識可能距離がシステム認識可能距離以上である場合もあれば、運転者認識可能距離がシステム認識可能距離より小さい場合もある。従来装置では、システム認識可能距離及び運転者認識可能距離の大小関係が考慮されていない。よって、従来装置を採用した場合、実際には、運転者が運転操作を実行するのが好ましい状況(運転者認識可能距離>システム認識可能距離)であるにも関わらず、制御装置が運転操作を実行する場合がある。逆に、制御装置が運転操作を実行するのが好ましい状況(システム認識可能距離>運転者認識可能距離)であるにも関わらず、運転者が運転操作を実行しなければならない場合がある。上記のように、従来装置において、制御装置及び運転者(乗員)のいずれか一方が、車両の運転操作の主体として選択(決定)されるが、その選択結果が実情(システム認識可能距離と運転者認識可能距離の大小関係)に即していない場合がある。よって、従来装置の実用性が低い。
本発明の目的の一つは、実用性を向上させた車両運転支援装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の車両運転支援装置(1)は、
自車両(V)の周辺の物標を認識する周辺認識システム(10)と、
前記周辺認識システムの認識結果に基づいて前記自車両を制御する制御装置(50)と、
を備えた車両運転支援装置であって、
前記制御装置は、
前記周辺認識システムが認識可能な最も遠い物標までの距離であるシステム認識可能距離(Da)が、天候状態(R)及び車外の照度(B)のいずれか一方又は両方に相関する場合に、前記システム認識可能距離(Da0)を推定し、さらに、前記運転者が認識可能な最も遠い物標までの距離である運転者認識可能距離(Db0)を推定し、
前記推定したシステム認識可能距離(Da0)が、所定の速度を超えないように前記自車両を自律的に走行させる第1運転支援を実行するために必要な距離として規定された必要距離(Dn[VL0])以上である場合、前記第1運転支援を実行し、
前記推定したシステム認識可能距離が、前記必要距離より小さく、且つ前記推定した運転者認識可能距離以上である場合、前記所定の速度よりも小さい速度であって前記システム認識可能距離に対応した速度(VL[Da0])を超えないように前記自車両を自律的に走行させる前記第2運転支援を実行し、
前記推定したシステム認識可能距離が、前記必要距離より小さく、且つ前記推定した運転者認識可能距離より小さい場合、自車両を自律的に走行させる制御を実行しない。
自車両(V)の周辺の物標を認識する周辺認識システム(10)と、
前記周辺認識システムの認識結果に基づいて前記自車両を制御する制御装置(50)と、
を備えた車両運転支援装置であって、
前記制御装置は、
前記周辺認識システムが認識可能な最も遠い物標までの距離であるシステム認識可能距離(Da)が、天候状態(R)及び車外の照度(B)のいずれか一方又は両方に相関する場合に、前記システム認識可能距離(Da0)を推定し、さらに、前記運転者が認識可能な最も遠い物標までの距離である運転者認識可能距離(Db0)を推定し、
前記推定したシステム認識可能距離(Da0)が、所定の速度を超えないように前記自車両を自律的に走行させる第1運転支援を実行するために必要な距離として規定された必要距離(Dn[VL0])以上である場合、前記第1運転支援を実行し、
前記推定したシステム認識可能距離が、前記必要距離より小さく、且つ前記推定した運転者認識可能距離以上である場合、前記所定の速度よりも小さい速度であって前記システム認識可能距離に対応した速度(VL[Da0])を超えないように前記自車両を自律的に走行させる前記第2運転支援を実行し、
前記推定したシステム認識可能距離が、前記必要距離より小さく、且つ前記推定した運転者認識可能距離より小さい場合、自車両を自律的に走行させる制御を実行しない。
上記のように、周辺認識システムが運転者より遠くの物標を認識できるとき、制御装置が自車両の運転操作の主体になる。逆に、運転者(乗員)が周辺認識システムより遠くの物標を認識できるとき、制御装置により自車両を自律的に走行させる制御が停止するため、運転者(乗員)が車両Vの運転操作の主体になる。よって、車両運転支援装置は、従来装置に比べて、その実用性が高い。
本発明の一態様に係る車両運転支援装置において、
前記推定したシステム認識可能距離が、前記必要距離より小さく、且つ前記推定した運転者認識可能距離より小さい場合、前記制御装置は、前記運転者の運転操作を補助するための運転支援を実行する。
前記推定したシステム認識可能距離が、前記必要距離より小さく、且つ前記推定した運転者認識可能距離より小さい場合、前記制御装置は、前記運転者の運転操作を補助するための運転支援を実行する。
これによれば、当該運転支援が実行されない場合に比べて、安全性が向上する。
本発明の他の態様に係る車両運転支援装置において、
前記制御装置は、
天候及び車外の照度のうちのいずれか一方又は両方と、運転者認識可能距離の標準値との関係を規定したルックアップテーブル(M2)を参照して、現在の運転者認識可能距離を決定する。
前記制御装置は、
天候及び車外の照度のうちのいずれか一方又は両方と、運転者認識可能距離の標準値との関係を規定したルックアップテーブル(M2)を参照して、現在の運転者認識可能距離を決定する。
これによれば、例えば、車室内を撮影するカメラを用いて、運転者を観察し、その観察結果に基づいて運転者認識可能距離を求める場合に比べて、簡単に運転者認識可能距離を決定できる。
本発明の他の態様に係る車両運転支援装置において、
前記制御装置は、
前記運転者の運転操作の特徴に基づいて、前記ルックアップテーブルを補正し、
補正後の前記ルックアップテーブルを参照して、現在の運転者認識可能距離を決定する。
前記制御装置は、
前記運転者の運転操作の特徴に基づいて、前記ルックアップテーブルを補正し、
補正後の前記ルックアップテーブルを参照して、現在の運転者認識可能距離を決定する。
これによれば、運転者の認識力(個性)がルックアップテーブルに反映されるので、車両運転支援装置の実用性がさらに向上する。
(概略)
図1に示したように、本発明の一実施形態に係る車両運転支援装置1は、車両Vに搭載される。車両運転支援装置1は、詳しくは後述するように、車載センサ(周辺認識システム10)から取得した情報に基づいて、車両Vの運転者の運転操作を支援する運転支援を実行する。例えば、車両運転支援装置1は、車両V(自車両)のエンジン、ブレーキ及びステアリング装置を制御して、運転者によって指定された目的地へ向かって車両Vを自律走行させる。また、例えば、車両運転支援装置1は、運転者による運転操作を支援する。例えば、車両運転支援装置1は、車両Vの周辺の物標を表す情報(画像、音声など)を運転者に提示する。
図1に示したように、本発明の一実施形態に係る車両運転支援装置1は、車両Vに搭載される。車両運転支援装置1は、詳しくは後述するように、車載センサ(周辺認識システム10)から取得した情報に基づいて、車両Vの運転者の運転操作を支援する運転支援を実行する。例えば、車両運転支援装置1は、車両V(自車両)のエンジン、ブレーキ及びステアリング装置を制御して、運転者によって指定された目的地へ向かって車両Vを自律走行させる。また、例えば、車両運転支援装置1は、運転者による運転操作を支援する。例えば、車両運転支援装置1は、車両Vの周辺の物標を表す情報(画像、音声など)を運転者に提示する。
(具体的構成)
車両運転支援装置1は、周辺認識システム10を備える。周辺認識システム10は、カメラ装置11、レインセンサ12及び照度センサ13を含む。
車両運転支援装置1は、周辺認識システム10を備える。周辺認識システム10は、カメラ装置11、レインセンサ12及び照度センサ13を含む。
カメラ装置11は、フロントウインドシールドガラスの上部に配設されている。カメラ装置11は、車両Vの前景を撮影する。そして、カメラ装置11は、撮影した前景の画像(画像データ)を解析して(例えば、周知のパターン認識技術を用いて)、「物標情報(物標(例えば、先行車両)までの距離、物標の方位など)」、「車線情報(車両Vが走行している車線を区画する区画線(白線)に関する情報、道路標識に関する情報など)」、「環境情報(天候状態(雨、雪、霧など)、照度、逆光など)」などを取得する。これらの情報が、後述する運転支援ECU50に供給される。なお、本実施形態では、天候状態の良否を表す指標として「降雨量」を採用した例であるが、天候状態の良否を表す指標として、「積雪量」、「霧の濃度」などを採用してもよい。
レインセンサ12は、現在の降雨量を検出する。レインセンサ12として、例えば、赤外線の発光素子であるLED、受光素子であるフォトダイオード、赤外線の光路を形成するレンズを含む構成を採用することができる。LEDによって車室側から車外に発せられた赤外線はフロントウインドシールドガラスで全反射するが、フロントウインドシールドガラスの外表面に水滴が存在すると赤外線の一部が水滴を透過して外部に放出されるため、反射量が減少する。その結果、受光素子であるフォトダイオードの受光量が減少する。このため受光量の減少に基づいて、降雨量を検出することができる。そして、降雨量を表す情報が、後述する運転支援ECU50に供給される。また、図示しないワイパーコントローラーが、レインセンサ12の検出結果に応じて、ワイパーアームの往復運動の速度を変更する。
照度センサ13は、現在の車外の照度を検出する。照度センサ13としてフォトダイオードを備える構成を採用することができる。そして、照度を表す情報が、後述する運転支援ECU50に供給される。また、図示しないヘッドライトコントローラーが、照度センサ13の検出結果に応じて、ヘッドライトのオン・オフ状態(点灯/消灯)を切り替える。
さらに、車両運転支援装置1は、エンジンECU20、ブレーキECU30、ステアリングECU40、及び運転支援ECU(以下、「DAECU」と称呼する。)50を備える。これらのECUは、図示しないCAN(Controller Area Network)を介してデータ交換可能(通信可能)に互いに接続されている。
ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略称であり、CPU、ROM(フラッシュROM)、RAM及びインターフェース等を含むマイクロコンピュータを主要構成部品として有する電子制御回路である。CPUは、ROM(フラッシュROM)に格納されたインストラクション(ルーチン)を実行することにより各種機能を実現する。なお、複数種類のECUの機能が、一つのECU(統合型ECU)によって実現されてもよい。
エンジンECU20は、図示しないエンジンを制御する。アクセルペダル操作量センサS1及びエンジンセンサS2が、エンジンECU20に接続されている。エンジンECU20は、これらのセンサの検出信号を受け取る。
アクセルペダル操作量センサS1は、車両Vのアクセルペダル(不図示)の操作量(即ち、アクセルペダル操作量AP)を検出する。運転者がアクセルペダルを踏み込んでいない場合のアクセルペダル操作量APは「0」である。アクセルペダルの踏み込み量が増大するに従って、アクセルペダル操作量APが増大する。
エンジンセンサS2は、図示しない「車両Vの駆動源であるガソリン燃料噴射式・火花点火・内燃機関」の運転状態量を検出するセンサである。エンジンセンサS2は、スロットル弁開度センサ、機関回転速度センサ、吸入空気量センサなどを含む。
さらに、スロットル弁アクチュエータ、燃料噴射弁などのエンジンアクチュエータA1が、エンジンECU20に接続されている。エンジンECU20は、エンジンアクチュエータA1を駆動することによって内燃機関が発生するトルクを変更し、以て、車両Vの駆動力を調整する。
エンジンECU20は、アクセルペダル操作量APが大きくなるほど目標スロットル弁開度が大きくなるように目標スロットル弁開度を決定する。エンジンECU20は、スロットル弁の開度が目標スロットル弁開度に一致するようにスロットル弁アクチュエータを駆動する。また、エンジンECU20は、自律走行時に、DAECU50からの指令に基づいてスロットル弁アクチュエータを制御する。
ブレーキECU30は、図示しないブレーキを制御する。車輪速センサS3及びブレーキペダル操作量センサS4がブレーキECU30に接続されている。ブレーキECU30は、これらのセンサの検出信号を受け取る。
車輪速センサS3は車両Vの車輪毎に設けられる。各車輪速センサS3は、対応する車輪が所定角度回転する毎に一つのパルス信号(車輪パルス信号)を発生させる。
ブレーキペダル操作量センサS4は、車両Vのブレーキペダル(不図示)の操作量(即ち、ブレーキペダル操作量BP)を検出する。ブレーキペダルが操作されていない場合のブレーキペダル操作量BPは「0」である。ブレーキペダルの踏み込み量が増大するに従って、ブレーキペダル操作量BPが増大する。
ブレーキECU30は、各車輪速センサS3から送信されてくる車輪パルス信号の単位時間におけるパルス数を計測し、その計測したパルス数に基づいて各車輪の回転速度(車輪速度)を計算する。ブレーキECU30は、各車輪の車輪速度に基づいて車両Vの車速Vs(実車速)を計算する。一例として、ブレーキECU30は、四つの車輪の車輪速度の平均値を車速Vsとして取得する。
さらに、ブレーキアクチュエータA2がブレーキECU30に接続されている。ブレーキアクチュエータA2は油圧制御アクチュエータを含む。ブレーキアクチュエータA2は、ブレーキペダルの踏力によって作動油を加圧するマスタシリンダと、各車輪に設けられる周知のホイールシリンダを含む摩擦ブレーキ装置と、の間の油圧回路(何れも、図示略)に配設される。ブレーキアクチュエータA2はホイールシリンダに供給する油圧を調整し、車両Vの制動力を調整する。
ブレーキECU30は、ブレーキペダル操作量BPに基づいて「負の値を有する目標加速度(即ち、正の値を有する目標減速度)」を決定する。ブレーキECU30は、車両Vの実際の加速度が目標加速度に一致するようにブレーキアクチュエータA2を駆動する。また、ブレーキECU30は、自律走行時に、DAECU50からの指令に基づいて、ブレーキアクチュエータA2を制御する。
ステアリングECU40は、ステアリング装置を制御する。操舵角センサS5及び操舵トルクセンサS6が、ステアリングECU40に接続されている。ステアリングECU40は、これらのセンサの検出信号を受け取る。さらに、操舵用モータMが、車両Vの「図示しないステアリングホイール、当該ステアリングホイールに連結された図示しないステアリングシャフト及び操舵用ギア機構等を含む図示しないステアリング機構」に組み込まれている。
操舵角センサS5は、車両Vの操舵角(舵角又は転舵角とも称呼される)θを検出する。操舵トルクセンサS6は、ステアリングシャフトに付与される操舵トルクTRを検出する。
操舵用モータMは、電力が供給されることによりトルクを発生し、このトルクによって操舵アシストトルクを加えたり、左右の操舵輪を操舵したりする。即ち、操舵用モータMは、車両Vの操舵角を変更することができる。なお、上記電力は車両Vに搭載された図示しないバッテリから供給される。操舵用モータMへの電力供給量が、ステアリングECU40によって制御される。
DAECU50は、エンジンECU20、ブレーキECU30及びステアリングECU40を制御する。DAECU50は、カメラ装置11から物標情報、車線情報及び環境情報を取得する。さらに、DAECU50は、ブレーキECU30と同様に、車速Vsを計算する。加えて、DAECU50は、ナビゲーションシステムNから、車両Vの現在地、目的地などの位置情報、及び走行中の道路の制限速度などの道路情報を取得する。DAECU50は、当該車速Vs、周辺認識システム10及びナビゲーションシステムNから取得した情報に基づいて、エンジンECU20,ブレーキECU30及びステアリングECU40を制御して、運転支援を実行する。
さらに、車両運転支援装置1は、操作スイッチ60を備える。操作スイッチ60は、運転者が運転支援の開始及び終了を要求するための運転支援スイッチ61(例えば、押しボタン式スイッチ操作子)を含む。運転支援が実行されていない期間に運転者が操作スイッチ60を操作した場合(ボタンを押した場合)、運転支援スイッチ61は「運転者が運転支援の開始を要求していること(運転支援開始要求)」を表す運転支援開始信号をDAECU50に送信する。DAECU50は、運転支援開始信号を受信すると、運転支援を開始する。運転支援が実行されている期間に運転者が運転支援スイッチ61を操作した場合、運転支援スイッチ61は「運転者が運転支援の終了を要求していること(運転支援終了要求)」を表す運転支援終了信号をDAECU50に送信する。DAECU50は、運転支援終了信号を受信すると、運転支援を終了する。
さらに、操作スイッチ60は、自律走行における最高車速(以下、「設定速度Vsm」と称呼する。)を指定するための車速設定スイッチ62(例えば、ロータリーエンコーダ)を含む。運転者が車速設定スイッチ62を操作すると、その操作態様(例えば、ロータリエンコーダの回転方向及び回転速度)に応じて、設定速度Vsmの変更量(増減値)を表す信号(パルス)をDAECU50に送信する。DAECU50は、車速設定スイッチ62から受信した信号に基づいて、設定速度Vsm(RAMに記憶されているデータ)を変更(増減)する。なお、車両Vの起動時に、設定速度Vsmが所定値(例えば、「0km/h」)に設定(初期化)される。また、現在の設定速度Vsmが、図示しない表示装置に表示される。
(作動)
DAECU50は、以下に述べるように、所定の状況下において(所定の条件が成立しているとき)、車両Vを自律走行させる。すなわち、DAECU50は、カメラ装置11及びナビゲーションシステムNから取得した車線情報に基づいて、走行中の車線の曲率(カーブの半径)を認識するとともに、当該車線の法定速度VMを認識する。そして、DAECU50は、設定速度Vsm及び法定速度VM(厳密には、法定速度VMに所定の小さい値を加算した速度)のうち、小さい方の速度を、自律走行における上限速度VLとして採用する。DAECU50は、車速Vsが、上限速度VLを超えないように、エンジンECU20及びブレーキECU30を制御するとともに、車両Vが目的地へ向かって進行するようにステアリングECU40を制御する。さらに、DAECU50は、カメラ装置11から取得した物標情報に基づいて、先行車が存在するか否かを判定する。先行車が存在する場合には、DAECU50は、その先行車と自車両との距離(車間距離)が、車速Vsに応じて予め規定された距離以上であるように、エンジンECU20及びブレーキECU30を制御する。
DAECU50は、以下に述べるように、所定の状況下において(所定の条件が成立しているとき)、車両Vを自律走行させる。すなわち、DAECU50は、カメラ装置11及びナビゲーションシステムNから取得した車線情報に基づいて、走行中の車線の曲率(カーブの半径)を認識するとともに、当該車線の法定速度VMを認識する。そして、DAECU50は、設定速度Vsm及び法定速度VM(厳密には、法定速度VMに所定の小さい値を加算した速度)のうち、小さい方の速度を、自律走行における上限速度VLとして採用する。DAECU50は、車速Vsが、上限速度VLを超えないように、エンジンECU20及びブレーキECU30を制御するとともに、車両Vが目的地へ向かって進行するようにステアリングECU40を制御する。さらに、DAECU50は、カメラ装置11から取得した物標情報に基づいて、先行車が存在するか否かを判定する。先行車が存在する場合には、DAECU50は、その先行車と自車両との距離(車間距離)が、車速Vsに応じて予め規定された距離以上であるように、エンジンECU20及びブレーキECU30を制御する。
自律走行において、車両Vの前方の物標(例えば、先行車)への過剰な接近、衝突などを回避するため、カメラ装置11が、車両Vの制動距離よりも遠くの物標を認識可能である必要がある。以下、自律走行における、カメラ装置11の認識可能距離Daの下限値を「必要距離Dn」と称呼する。すなわち、自律走行において、認識可能距離Daが必要距離Dn以上でなければならない。ここで、車速Vsが大きいほど車両Vの制動距離が大きい。よって、必要距離Dnは、車速Vsに相関する。後述するように、本実施形態において、必要距離Dnは、上限速度VL(Vs≦VL)に基づいて決定される。
ところで、カメラ装置11の認識可能距離Da(車両Vの前方に位置する物標であって、カメラ装置11が認識可能な物標のうち最も遠い物標までの距離)は、天候状態及び照度に相関する。加えて、運転者の認識可能距離Db(車両Vの前方に位置する物標であって、運転者が認識(視認)可能な物標のうち最も遠い物標までの距離)も、天候状態及び照度に相関する。そこで、DAECU50は、以下に述べるように、認識可能距離Da及び認識可能距離Dbを推定し、それらの推定結果、及び必要距離Dnに応じて、運転操作の主体及び運転支援の態様を変更する。
(必要距離Dnの決定)
図2Aに示したように、上限速度VLと必要距離Dnとの関係を表すマップM1(ルックアップテーブル)がDAECU50のROMに記憶されている。車速Vsの異なる各試験条件下における制動距離(乗員が不快に感じない程度の減速度及びジャークにて車両Vを減速させて、停止させるまでの距離)が複数回計測され、その平均値に基づいて、マップM1が構築されている。DAECU50は、マップM1を参照して、現在の上限速度VLに対応する必要距離Dnを決定(取得)する。
図2Aに示したように、上限速度VLと必要距離Dnとの関係を表すマップM1(ルックアップテーブル)がDAECU50のROMに記憶されている。車速Vsの異なる各試験条件下における制動距離(乗員が不快に感じない程度の減速度及びジャークにて車両Vを減速させて、停止させるまでの距離)が複数回計測され、その平均値に基づいて、マップM1が構築されている。DAECU50は、マップM1を参照して、現在の上限速度VLに対応する必要距離Dnを決定(取得)する。
(認識可能距離Daの推定)
DAECU50は、カメラ装置11から、車両Vの前景を撮影して得られた画像を表す画像データを取得し、当該画像データを解析して、現在の認識可能距離Daを推定(計算)する。例えば、DAECU50は、先行車が存在する場合、その先行車までの距離を逐次計測している。そして、その先行車両を認識できなくなった時点の直前の計測結果(距離)を、認識可能距離Daとして採用する。また、DAECU50は、前記画像データを解析して、複数の物標を認識するとともに、車両Vから各物標までの距離を計算し、そのうち、最も遠い物標までの距離を認識可能距離Daとして採用してもよい。例えば、DAECU50は、道路に隣接している看板、道路標識などの画像の劣化度(正常状態(例えば、晴れた日の昼間における画像と、現在の画像との差分(例えば、明瞭度の差)))に基づいて、認識可能距離Daを計算してもよい。
DAECU50は、カメラ装置11から、車両Vの前景を撮影して得られた画像を表す画像データを取得し、当該画像データを解析して、現在の認識可能距離Daを推定(計算)する。例えば、DAECU50は、先行車が存在する場合、その先行車までの距離を逐次計測している。そして、その先行車両を認識できなくなった時点の直前の計測結果(距離)を、認識可能距離Daとして採用する。また、DAECU50は、前記画像データを解析して、複数の物標を認識するとともに、車両Vから各物標までの距離を計算し、そのうち、最も遠い物標までの距離を認識可能距離Daとして採用してもよい。例えば、DAECU50は、道路に隣接している看板、道路標識などの画像の劣化度(正常状態(例えば、晴れた日の昼間における画像と、現在の画像との差分(例えば、明瞭度の差)))に基づいて、認識可能距離Daを計算してもよい。
(認識可能距離Dbの推定)
図2Bに示したように、降雨量R及び照度Bと、標準的な運転者の認識可能距離Dbとの関係を表すマップM2(ルックアップテーブル)がDAECU50のROMに記憶されている。マップN2は、降雨量R及び照度Bの異なる各試験条件下において、複数の被験者の認識可能距離が計測(又は模擬実験装置を用いた実験結果に基づいて計算)され、それらの平均値に基づいて、マップM2が構築されている。DAECU50は、カメラ装置11、レインセンサ12及び照度センサ13から取得した情報に基づいて、現在の降雨量R及び照度Bを計算する。なお、DAECU50は、現在の環境(降雨量R及び照度B)を認識(計算)するに際し、主に、カメラ装置11から取得した画像データを用い、レインセンサ12及び照度センサ13から取得した情報を補助的に用いてもよい。そして、DAECU50は、マップM2を参照して、現在の降雨量R及び照度Bに対応する認識可能距離Dbを推定(取得)する。
図2Bに示したように、降雨量R及び照度Bと、標準的な運転者の認識可能距離Dbとの関係を表すマップM2(ルックアップテーブル)がDAECU50のROMに記憶されている。マップN2は、降雨量R及び照度Bの異なる各試験条件下において、複数の被験者の認識可能距離が計測(又は模擬実験装置を用いた実験結果に基づいて計算)され、それらの平均値に基づいて、マップM2が構築されている。DAECU50は、カメラ装置11、レインセンサ12及び照度センサ13から取得した情報に基づいて、現在の降雨量R及び照度Bを計算する。なお、DAECU50は、現在の環境(降雨量R及び照度B)を認識(計算)するに際し、主に、カメラ装置11から取得した画像データを用い、レインセンサ12及び照度センサ13から取得した情報を補助的に用いてもよい。そして、DAECU50は、マップM2を参照して、現在の降雨量R及び照度Bに対応する認識可能距離Dbを推定(取得)する。
(第1運転支援)
DAECU50は、マップM1を参照して、現在の上限速度VL(以下、「上限速度VL0」と称呼する。)に対応する必要距離Dn(以下、必要距離Dn[VL0]と称呼する。)を決定する。そして、DAECU50は、図3の(1)及び図4の(1)に示したように、現在の認識可能距離Da(以下、「認識可能距離Da0」と称呼する。)が、必要距離Dn[VL0]以上であるとき(第1状況)、DAECU50は、車速Vsが上限速度VL0を超えないように、車両Vを自律走行させる「第1運転支援」を実行する。すなわち、この場合、車両Vの運転操作の主体は、DAECU50である。第1運転支援は、例えば、晴天時の昼間に実行される。
DAECU50は、マップM1を参照して、現在の上限速度VL(以下、「上限速度VL0」と称呼する。)に対応する必要距離Dn(以下、必要距離Dn[VL0]と称呼する。)を決定する。そして、DAECU50は、図3の(1)及び図4の(1)に示したように、現在の認識可能距離Da(以下、「認識可能距離Da0」と称呼する。)が、必要距離Dn[VL0]以上であるとき(第1状況)、DAECU50は、車速Vsが上限速度VL0を超えないように、車両Vを自律走行させる「第1運転支援」を実行する。すなわち、この場合、車両Vの運転操作の主体は、DAECU50である。第1運転支援は、例えば、晴天時の昼間に実行される。
(第2運転支援)
認識可能距離Da0が、図3の(2)及び図4の(2)に示したように、必要距離Dn[VL0]より小さく、且つ図3の(2)に示したように、現在の認識可能距離Db(以下、「認識可能距離Db0」と称呼する。)以上であるとき(第2状況)、DAECU50は、第1運転支援に代えて、下記の第2運転支援を実行する。具体的には、DAECU50は、図4の(2)に示したように、マップM1を参照して、認識可能距離Da0と同一(又は最も近似)の必要距離Dnに対応した上限速度VL(以下、「上限速度VL[Da0]」と称呼する。)を計算(取得)する。ここで、認識可能距離Da0は、必要距離Dn[VL(0)]よりも短いので、上限速度VL[Da0]は、上限速度VL0よりも低い。そして、DAECU50は、上限速度VL[Da0]を超えないように、車両Vを自律走行させる「第2運転支援」を実行する。すなわち、この場合、車両Vの運転操作の主体は、DAECU50である。第2運転支援は、例えば、霧が発生しているとき、逆光であるときなどに実行されることが多い。なお、第2運転支援は、第1運転支援よりも支援レベルの低い運転支援ということもできる。
認識可能距離Da0が、図3の(2)及び図4の(2)に示したように、必要距離Dn[VL0]より小さく、且つ図3の(2)に示したように、現在の認識可能距離Db(以下、「認識可能距離Db0」と称呼する。)以上であるとき(第2状況)、DAECU50は、第1運転支援に代えて、下記の第2運転支援を実行する。具体的には、DAECU50は、図4の(2)に示したように、マップM1を参照して、認識可能距離Da0と同一(又は最も近似)の必要距離Dnに対応した上限速度VL(以下、「上限速度VL[Da0]」と称呼する。)を計算(取得)する。ここで、認識可能距離Da0は、必要距離Dn[VL(0)]よりも短いので、上限速度VL[Da0]は、上限速度VL0よりも低い。そして、DAECU50は、上限速度VL[Da0]を超えないように、車両Vを自律走行させる「第2運転支援」を実行する。すなわち、この場合、車両Vの運転操作の主体は、DAECU50である。第2運転支援は、例えば、霧が発生しているとき、逆光であるときなどに実行されることが多い。なお、第2運転支援は、第1運転支援よりも支援レベルの低い運転支援ということもできる。
(第3運転支援)
認識可能距離Da0が、図3の(3)に示したように、必要距離Dn[VL0]より小さく、且つ認識可能距離Db0より小さいとき(第3状況)、DAECU50は、車両Vを自律走行させるためのエンジンECU20、ブレーキECU30及びステアリングECU40の制御を実行しない。つまり、DAECU50は、自車両を自律的に走行させる制御を停止する。この場合、DAECU50は、運転者に運転操作させる(引き継がせる)ために、ナビゲーションシステムNの表示装置、音響装置などを制御して、所定の情報(画像及び/又は音声)を提示する。すなわち、車両Vの運転操作の主体は、DAECU50ではなく、運転者(乗員)である。なお、この場合、運転者が運転操作を開始すると、DAECU50は、周辺認識システム10、ナビゲーションシステムNなどから取得した情報に基づいて、運転者による運転操作を補助するための情報(例えば、接近する物標の位置、距離などを表す画像及び/又は音声)を提示する第3運転支援を実行する。第3運転支援は、例えば、降雨量が比較的多いときに実行されることが多い。なお、上記の所定の情報を提示してから所定の時間内に運転者が運転操作を開始しない場合、DAECU50は、車両Vを停止させる。
認識可能距離Da0が、図3の(3)に示したように、必要距離Dn[VL0]より小さく、且つ認識可能距離Db0より小さいとき(第3状況)、DAECU50は、車両Vを自律走行させるためのエンジンECU20、ブレーキECU30及びステアリングECU40の制御を実行しない。つまり、DAECU50は、自車両を自律的に走行させる制御を停止する。この場合、DAECU50は、運転者に運転操作させる(引き継がせる)ために、ナビゲーションシステムNの表示装置、音響装置などを制御して、所定の情報(画像及び/又は音声)を提示する。すなわち、車両Vの運転操作の主体は、DAECU50ではなく、運転者(乗員)である。なお、この場合、運転者が運転操作を開始すると、DAECU50は、周辺認識システム10、ナビゲーションシステムNなどから取得した情報に基づいて、運転者による運転操作を補助するための情報(例えば、接近する物標の位置、距離などを表す画像及び/又は音声)を提示する第3運転支援を実行する。第3運転支援は、例えば、降雨量が比較的多いときに実行されることが多い。なお、上記の所定の情報を提示してから所定の時間内に運転者が運転操作を開始しない場合、DAECU50は、車両Vを停止させる。
つぎに、図5を参照して、DAECU50の動作をさらに具体的に説明する。DAECU50は、運転支援スイッチ61から運転支援開始要求信号を受信すると、同図に示した運転支援プログラムの実行を開始する。DAECU50は、ステップ500から運転支援処理を開始する。つぎに、DAECU50は、ステップ501にて、上限速度VL0を決定する。
つぎに、DAECU50は、ステップ502にて、認識可能距離Da0を計算(推定)する。つぎに、DAECU50は、ステップ503にて、マップM1を参照して、必要距離Dn[VL0]を決定(取得)する。つぎに、DAECU50は、ステップ504にて、第1運転支援を実行可能か否かを判定する。具体的には、DAECU50は、認識可能距離Da0が、必要距離Dn[VL0]以上であるか否かを判定する。認識可能距離Da0が、必要距離Dn[VL0]以上である場合(ステップ504:Yes)、DAECU50は、ステップ505に進む。DAECU50は、ステップ505にて、第1運転支援を実行する。すなわち、DAECU50は、車速Vsが上限速度VL0を超えないように、エンジンECU20及びブレーキECU30を制御するとともに、車両Vが目的地へ向かって進行するように、ステアリングECU40を制御する。そして、DAECU50は、ステップ501に戻る。
ステップ504において、認識可能距離Da0が必要距離Dn[VL0]より小さい場合(ステップ504:No)、DAECU50は、ステップ506に進む。DAECU50は、ステップ506にて、認識可能距離Db0を推定(取得)する。つぎに、DAECU50は、ステップ507にて、第2運転支援を実行可能か否かを判定する。具体的には、DAECU50は、認識可能距離Da0が認識可能距離Db0以上であるか否かを判定する。認識可能距離Da0が認識可能距離Db0以上である場合(ステップ507:Yes)、DAECU50は、ステップ508にて、第2運転支援を実行する。すなわち、DAECU50は、車速Vsが上限速度VL[Da0]を超えないように、エンジンECU20及びブレーキECU30を制御するとともに、車両Vが目的地へ向かって進行するように、ステアリングECU40を制御する。そして、DAECU50は、ステップ501に戻る。
ステップ507において、認識可能距離Da0が認識可能距離Db0より小さい場合(ステップ507:No)、DAECU50は、ステップ509に進む。DAECU50は、ステップ509にて、自車両を自律的に走行させる制御を実行しない処理を行う。具体的には、DAECU50が第1運転支援及び第2運転支援を実行している場合は、これらの運転支援の実行を停止する。なお、DAECU50が自車両を自律的に走行させる制御を実行していない場合には、その状態が維持される。加えて、DAECU50は、第3運転支援を実行する。すなわち、DAECU50は、運転者による運転操作を補助する。そして、DAECU50は、ステップ501に戻る。
上記のように、DAECU50は、ステップ501乃至ステップ509からなる処理を繰り返し実行する。例えば、晴天時の昼間には、認識可能距離Da0が必要距離Dn[VL0]以上である場合が多い。この場合、DAECU50は、ステップ504からステップ505へ進み、DAECU50が運転操作を実行する。その後、天候が悪化してくると、認識可能距離Da0が徐々に減少してくる。認識可能距離Da0が必要距離Dn[VL0]より小さくなると、DAECU50は、ステップ504からステップ506へ進む。DAECU50は、認識可能距離Da0及び認識可能距離Db0の大小関係に応じて、運転操作の主体を切り替える。すなわち、認識可能距離Da0が認識可能距離Db0以上であれば、DAECU50が運転操作を実行し、認識可能距離Da0が認識可能距離Db0より小さければ、運転者(乗員)に運転操作を実行させる。その後、天候が回復してくると、認識可能距離Da0が徐々に増大してくる。認識可能距離Da0が必要距離Dn[VL0]以上になると、DAECU50は、第1運転支援を実行する。
なお、DAECU50は、運転支援プログラムを実行している途中で、運転支援停止信号を受信した場合、運転支援プログラムを終了する。また、DAECU50は、第1運転支援又は第2運転支援を実行している途中で、運転者が運転操作を開始した場合、運転支援プログラムを終了、又は一時的に第3運転支援を実行する。
(効果)
上記のように、周辺認識システム10による視認性が良好ではないと考えられる状況、具体的には、認識可能距離Da0が必要距離Dn[VL0]未満の状況において、周辺認識システム10が運転者より遠くの物標を認識できるとき、DAECU50が車両Vの運転操作の主体になる。逆に、運転者が周辺認識システム10より遠くの物標を認識できるとき、運転者(乗員)が車両Vの運転操作の主体になる。よって、車両運転支援装置1は、従来装置に比べて、その実用性が高い。また、運転者が運転操作の主体である場合に、第3運転支援が実行される。よって、当該第3運転支援が実行されない場合に比べて、安全性が向上する。また、DAECU50は、マップM2を参照して認識可能距離Db0を決定する。これによれば、例えば、車室内を撮影するカメラを用いて、運転者を観察し、その観察結果に基づいて運転者認識可能距離を求める場合に比べて、簡単に認識可能距離Db0を決定できる。
上記のように、周辺認識システム10による視認性が良好ではないと考えられる状況、具体的には、認識可能距離Da0が必要距離Dn[VL0]未満の状況において、周辺認識システム10が運転者より遠くの物標を認識できるとき、DAECU50が車両Vの運転操作の主体になる。逆に、運転者が周辺認識システム10より遠くの物標を認識できるとき、運転者(乗員)が車両Vの運転操作の主体になる。よって、車両運転支援装置1は、従来装置に比べて、その実用性が高い。また、運転者が運転操作の主体である場合に、第3運転支援が実行される。よって、当該第3運転支援が実行されない場合に比べて、安全性が向上する。また、DAECU50は、マップM2を参照して認識可能距離Db0を決定する。これによれば、例えば、車室内を撮影するカメラを用いて、運転者を観察し、その観察結果に基づいて運転者認識可能距離を求める場合に比べて、簡単に認識可能距離Db0を決定できる。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、以下に述べるように、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
<変形例1>
周辺認識システム10が、上記のカメラ装置11、レインセンサ12及び照度センサ13に加え、レーダー装置14を含んでもよい。レーダー装置14として、例えば、レーザー光を発射する発光部と、レーザー光の反射光(発光部から発射されたレーザー光が物標にて反射した光)を受光する受光部を備えたレーザーレーダー(LiDAR)を採用することができる。また、レーダー装置14として、例えば、電波(ミリ波)を発信する発信部と、その電波の反射波を受信する受信部とを備えたミリ波レーダーを採用してもよい。
周辺認識システム10が、上記のカメラ装置11、レインセンサ12及び照度センサ13に加え、レーダー装置14を含んでもよい。レーダー装置14として、例えば、レーザー光を発射する発光部と、レーザー光の反射光(発光部から発射されたレーザー光が物標にて反射した光)を受光する受光部を備えたレーザーレーダー(LiDAR)を採用することができる。また、レーダー装置14として、例えば、電波(ミリ波)を発信する発信部と、その電波の反射波を受信する受信部とを備えたミリ波レーダーを採用してもよい。
この場合、カメラ装置11の認識可能距離Da11とレーダー装置14の認識可能距離Da14をそれぞれ計算(推定)し、それらの平均値を、認識可能距離Da0として採用してもよい。また、この場合、カメラ装置11の認識可能距離Da11とレーダー装置14の認識可能距離Da14のうちの大きい方を、認識可能距離Da0として採用してもよい。
ところで、カメラ装置11が、レーダー装置14に比べて、より遠くの物標を認識可能である場合がある。逆に、レーダー装置14が、カメラ装置11に比べて、より遠くの物標を認識可能である場合がある。そこで、例えば、車速Vs、降雨量R、照度Bなどに応じて、カメラ装置11及びレーダー装置14の認識結果の優先度を変更してもよい。
例えば、図6に示したように、車速Vsが所定の閾値Vsth以上であるとき、認識可能距離Da11を、認識可能距離Da0として採用し、車速Vsが閾値Vsthより小さいとき、認識可能距離Da14を認識可能距離Da0として採用してもよい。なお、車速Vsが閾値Vsthより小さいとき、認識可能距離Da11及び認識可能距離Da14の平均値を認識可能距離Da0として採用してもよい。また、車速Vsが閾値Vsthより小さいとき、認識可能距離Da11及び認識可能距離Da14のうちの大きい方を、認識可能距離Da0として採用してもよい。
また、例えば、晴天時や昼間に、認識可能距離Da11を認識可能距離Da0として採用し、雨天時や夜間に、認識可能距離Da14を認識可能距離Da0として採用してもよい。
<変形例2>
上記のマップM1は、車両Vが上限速度VLにて走行している場合の制動距離の平均値に基づいて構築されている。ここで、制動距離は、路面状況によって大きく変化する。例えば、降雨時、積雪時などには、車両Vがスリップし易く、制動距離が比較的長くなる。そこで、DAECU50は、車輪速センサS3、カメラ装置11、レインセンサ12、ナビゲーションシステムNなどから取得した情報に基づいて、車両Vのスリップのし易さを表すスリップ度SLを計算(推定)するとよい。この場合、図7に示したように、マップM1を、上限速度VLに加え、スリップ度SLをパラメータ(検索キー)とした多次元マップ(多次元配列)としておくとよい。そして、DAECU50は、当該多次元マップを参照して、必要距離Dnを決定すればよい。
上記のマップM1は、車両Vが上限速度VLにて走行している場合の制動距離の平均値に基づいて構築されている。ここで、制動距離は、路面状況によって大きく変化する。例えば、降雨時、積雪時などには、車両Vがスリップし易く、制動距離が比較的長くなる。そこで、DAECU50は、車輪速センサS3、カメラ装置11、レインセンサ12、ナビゲーションシステムNなどから取得した情報に基づいて、車両Vのスリップのし易さを表すスリップ度SLを計算(推定)するとよい。この場合、図7に示したように、マップM1を、上限速度VLに加え、スリップ度SLをパラメータ(検索キー)とした多次元マップ(多次元配列)としておくとよい。そして、DAECU50は、当該多次元マップを参照して、必要距離Dnを決定すればよい。
<変形例3>
上記のマップM2は、複数の被験者の認識可能距離の平均値に基づいて構築されている。ここで、車両Vの運転者の認識可能距離が、上記の「複数の被験者の認識可能距離の平均値」とは異なる可能性がある。そこで、DAECU50は、以下に述べるように、マップM2を、車両Vの運転者の運転操作の特徴に基づいて補正するとよい。
上記のマップM2は、複数の被験者の認識可能距離の平均値に基づいて構築されている。ここで、車両Vの運転者の認識可能距離が、上記の「複数の被験者の認識可能距離の平均値」とは異なる可能性がある。そこで、DAECU50は、以下に述べるように、マップM2を、車両Vの運転者の運転操作の特徴に基づいて補正するとよい。
例えば、運転操作の主体が運転車であるときに、運転者が先行車を認識したタイミングT0にてブレーキペダルを踏み込み始めた場面を想定する。
当該タイミングT0において、カメラ装置11が先行車(以下、「先行車VA」と称呼する。)を認識できた場合、図8に示したように、DAECU50は、カメラ装置11から取得した画像に基づいて、車両V(以下、「自車両VB」と称呼する。)から先行車VAまでの距離Δd[T0]を計算する。さらに、DAECU50は、運転者が先行車VAを認識してからブレーキペダルを踏み込み始めるまでに車両Vが進行した距離である応答距離Δdd(=Vs×Δt)を計算する。ここで、運転者が先行車を認識してからブレーキペダルを踏み込み始めるまでに要する時間Δtは、次のようにして決定される。例えば、DAECU50は、自車両の運転者の運転行動の特徴を学習して、時間Δtを決定するとよい。そして、DAECU50は、距離Δd[T0]に応答距離Δddを加算して得られた推定値DDを、運転者が実際に先行車VAを認識した時点での自車両VBと先行車VAとの距離として採用する。
つぎに、DAECU50は、補正前のマップM2を参照して、現在の降雨量R1及び照度B1に対応した認識可能距離Db0を取得する。つぎに、DAECU50は、推定値DDと、前記取得した認識可能距離Db0との差分に基づいて、マップM2を補正する。例えば、図9に示したように、DAECU50は、推定値DDと認識可能距離Db0との平均値Dmを計算する。そして、DAECU50は、既存のマップM2のうち、現在の降雨量R1及び照度B1に対応する認識可能距離Db0を、平均値Dmに更新する。
一方、タイミングT0において、カメラ装置11が先行車VAを認識できなかった場合、DAECU50は、カメラ装置11が先行車VAを認識するまで待機する。カメラ装置11が先行車VAを認識したタイミングT1において、図10に示したように、DAECU50は、カメラ装置11から取得した画像に基づいて、自車両VBから先行車VAまでの距離ΔdAB[T1]を計算する。つぎに、DAECU50は、タイミングT1における先行車VAの挙動(例えば、先行車VAの加速度(減速度)及び速度)に基づいて、タイミングT0からタイミングT1に至るまでに先行車VAが進行した距離ΔdA[T1―T0]を推定する。さらに、DAECU50は、所定の時間間隔ごとに自車両VBの車速Vsを車速データとして記録している。DAECU50は、当該車速データに基づいて、タイミングT0からタイミングT1に至るまでに自車両VBが進行した距離ΔdB[T1-T0]を計算する。タイミングT0における先行車VAと自車両VBとの距離ΔdAB[T0]は、距離ΔdAB[T1]に距離ΔdB[T1-T0]を加算して得られた値から距離ΔdA[T1-T0]を控除することにより得られる(下記の(演算式1)を参照)。
(演算式1)
ΔdAB[T0]=ΔdAB[T1]+ΔdB[T1-T0]―ΔdA[T1-T0]
(演算式1)
ΔdAB[T0]=ΔdAB[T1]+ΔdB[T1-T0]―ΔdA[T1-T0]
つぎに、DAECU50は、距離ΔdAB[T0]に応答距離Δddを加算して得られた推定値DDを、運転者が実際に先行車を認識した時点における自車両VBと先行車VAとの距離として採用する。そして、DAECU50は、図9に示したように、マップM2を補正する。
これによれば、運転者の認識力(個性)がマップM2に反映されるので、車両運転支援装置1の実用性がさらに向上する。
<変形例4>
DAECU50は、運転者の運転行動の特徴を学習し、その結果に基づいて、マップM2を補正してもよい。具体的には、DAECU50は、運転操作の主体が運転者である場合であって、先行車両追従時に、自車両が先行車両に接近して運転者がブレーキペダルを踏み込み始めた時点の車間距離ΔL、その後の減速度Va及び減速ジャークJなどを取得し、これらを特徴データとして記憶する。そして、DAECU50は、蓄積された特徴データの平均値と、標準値とを比較して、その比較結果に基づいて、マップM2を補正する。具体的には、車間距離ΔLが標準値より小さく、減速度Va及び減速ジャークJが標準値より大きいとき(急ブレーキ)、自車両Vの運転者の認識可能距離Dbは、標準値よりも小さい可能性が高い。そこで、この場合、DAECU50は、マップM2の各認識可能距離Dbを減少させる。例えば、DAECU50は、各認識可能距離Dbから所定値(又は、前記比較した平均値と標準値との差分に応じた値)を減算して得られた値を、新たな認識可能距離Dbとして記憶する。
DAECU50は、運転者の運転行動の特徴を学習し、その結果に基づいて、マップM2を補正してもよい。具体的には、DAECU50は、運転操作の主体が運転者である場合であって、先行車両追従時に、自車両が先行車両に接近して運転者がブレーキペダルを踏み込み始めた時点の車間距離ΔL、その後の減速度Va及び減速ジャークJなどを取得し、これらを特徴データとして記憶する。そして、DAECU50は、蓄積された特徴データの平均値と、標準値とを比較して、その比較結果に基づいて、マップM2を補正する。具体的には、車間距離ΔLが標準値より小さく、減速度Va及び減速ジャークJが標準値より大きいとき(急ブレーキ)、自車両Vの運転者の認識可能距離Dbは、標準値よりも小さい可能性が高い。そこで、この場合、DAECU50は、マップM2の各認識可能距離Dbを減少させる。例えば、DAECU50は、各認識可能距離Dbから所定値(又は、前記比較した平均値と標準値との差分に応じた値)を減算して得られた値を、新たな認識可能距離Dbとして記憶する。
<その他の変形例>
上記実施形態では、第3状況下にて、DAECU50が第3運転支援を実行しているが、第3状況下にて、DAECU50は、第3運転支援を実行しなくてもよい。また、DAECU50は、ナビゲーションシステムN(及び/又は図示しない狭域通信装置)から道路の構造、周辺の建造物などに関する情報を取得し、これらの情報に基づいて、車線上の物標とそれ以外の物標とを判別したうえで、カメラ装置11(及び/又はレーダー装置14)の認識可能距離Daを推定してもよい。
上記実施形態では、第3状況下にて、DAECU50が第3運転支援を実行しているが、第3状況下にて、DAECU50は、第3運転支援を実行しなくてもよい。また、DAECU50は、ナビゲーションシステムN(及び/又は図示しない狭域通信装置)から道路の構造、周辺の建造物などに関する情報を取得し、これらの情報に基づいて、車線上の物標とそれ以外の物標とを判別したうえで、カメラ装置11(及び/又はレーダー装置14)の認識可能距離Daを推定してもよい。
1…車両運転支援装置、20…エンジンECU、30…ブレーキECU、40…ステアリングECU、50…運転支援ECU(DAECU)、Da…認識可能距離(システム認識可能距離)、Db…認識可能距離(運転者認識可能距離)、Dn…必要距離
Claims (4)
- 自車両の周辺の物標を認識する周辺認識システムと、
前記周辺認識システムの認識結果に基づいて前記自車両を制御する制御装置と、
を備えた車両運転支援装置であって、
前記制御装置は、
前記周辺認識システムが認識可能な最も遠い物標までの距離であるシステム認識可能距離が、天候状態及び車外の照度のいずれか一方又は両方に相関する場合に、前記システム認識可能距離を推定し、さらに、前記運転者が認識可能な最も遠い物標までの距離である運転者認識可能距離を推定し、
前記推定したシステム認識可能距離が、所定の速度を超えないように前記自車両を自律的に走行させる第1運転支援を実行するために必要な距離として規定された必要距離以上である場合、前記第1運転支援を実行し、
前記推定したシステム認識可能距離が、前記必要距離より小さく、且つ前記推定した運転者認識可能距離以上である場合、前記システム認識可能距離に対応した速度を超えないように前記自車両を自律的に走行させる第2運転支援を実行し、
前記推定したシステム認識可能距離が、前記必要距離より小さく、且つ前記推定した運転者認識可能距離より小さい場合、自車両を自律的に走行させる制御を実行しない、
ように構成された、車両運転支援装置。 - 請求項1に記載の車両運転支援装置において、
前記推定したシステム認識可能距離が、前記必要距離より小さく、且つ前記推定した運転者認識可能距離より小さい場合、前記制御装置は、前記運転者の運転操作を補助する第3運転支援を実行する、車両運転支援装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の車両運転支援装置において、
前記制御装置は、
天候及び車外の照度のうちのいずれか一方又は両方と、運転者認識可能距離との関係を規定したルックアップテーブルを参照して、現在の運転者認識可能距離を決定する、
ように構成された車両運転支援装置。 - 請求項3に記載の車両運転支援装置において、
前記制御装置は、
前記運転者の運転操作の特徴に基づいて、前記ルックアップテーブルを補正し、
補正後の前記ルックアップテーブルを参照して、現在の運転者認識可能距離を決定する、
ように構成された車両運転支援装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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2021
- 2021-06-30 JP JP2021108650A patent/JP2023006185A/ja active Pending
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