JP2023004509A - 地盤凍結工法及び地盤凍結システム - Google Patents

地盤凍結工法及び地盤凍結システム Download PDF

Info

Publication number
JP2023004509A
JP2023004509A JP2021106223A JP2021106223A JP2023004509A JP 2023004509 A JP2023004509 A JP 2023004509A JP 2021106223 A JP2021106223 A JP 2021106223A JP 2021106223 A JP2021106223 A JP 2021106223A JP 2023004509 A JP2023004509 A JP 2023004509A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ground
groundwater
water
freezing
pipe
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021106223A
Other languages
English (en)
Inventor
毅 有泉
Takeshi Ariizumi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chemical Grouting Co Ltd
Original Assignee
Chemical Grouting Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chemical Grouting Co Ltd filed Critical Chemical Grouting Co Ltd
Priority to JP2021106223A priority Critical patent/JP2023004509A/ja
Publication of JP2023004509A publication Critical patent/JP2023004509A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)

Abstract

【課題】地下水流の流速が比較的速い地盤であっても、薬液の注入を伴うことなく、凍土の形成を促進可能な技術を提供する。【解決手段】地盤10に複数本の凍結管12,12を、相互に所定の間隔をおいて、地下水の流れる方向と交差する方向に並ぶように設置する工程と、凍結管12,12の並びよりも地下水流の上流側に揚水管16を設置する工程と、地下水流の下流側に放水管18を設置する工程と、凍結管12,12に冷媒を供給して地盤中に凍土14aを形成すると共に、揚水管16から汲み上げた地下水を、放水管18を介して地盤10中に放出する工程からなる地盤凍結工法。放水管18から放出される地下水は、地下水流と逆行する方向に放出される。【選択図】図3

Description

この発明は、地盤中に凍結管を埋設し、この凍結管内に冷媒を供給することによって凍結管周囲に凍土を形成し、連続した凍土壁や強化領域を形成する地盤凍結工法に関する。
地盤改良工法の一つとして、下記特許文献1に示すように、地下水を含む土壌を凍らせることによって地盤の安定化を図る地盤凍結工法が知られている。
この工法においては、例えば地中に凍結管と称する二重管構造のパイプを複数埋設し、冷凍機で冷却した不凍液等を各凍結管に循環させることが行われる。
この結果、各凍結管の凍結部(断熱材で覆われていない部分)の周囲に凍土が年輪のように成長していき、やがて隣接する凍結管の凍土が結合して、壁のような平板状の塊が形成される。
凍結した土は水を通すこともなく、コンクリートと同様の高い強度を備えるため、地下水の噴出や土砂の崩壊を防ぐことが可能となる。
特開平6-136738 特開2018-162632 凍結管列の凍結結合に対する地下水流の影響について/高志勤/土木学会論文報告集第161号/1969年1月
ところで、図13(a)に示すように、地下水流の流速が大きな地盤10に凍結管12のような障害物を配置すると、一様の地下水流が阻害される結果、同図(b)に示すように、凍結管12の上流側の水頭が上昇するダムアップが生じ、凍結管周辺で流速が高まることが知られている。
また、図14(a)に示すように、複数の凍結管12を流れに対し直角に並べ、凍結管12, 12間に凍土壁を形成しようとする場合、凍結管12単位でダムアップが生じるのはもちろん、同図(b)に示すように、凍結管12, 12間の地下水流にもダムアップの影響が及んで地下水頭がせり上がり、凍結管12, 12間の流速がさらに高くなる。
上記非特許文献1においても指摘されているように、地下水流の流速の拡大は地盤凍結の阻害要因となり、凍土が壁として閉合できない場合が生じるため、上記特許文献2に示すように、これまでは地盤に薬液を注入することで透水係数を減じ、流速を低下させる対策が主として採られてきた。
しかしながら、薬液注入は環境に対する影響が懸念される。また、薬液を対象土壌に満遍なく行き渡らせること自体が難しいため、その実効性にも疑問があった。
この発明は、このような現状に鑑みて案出されたものであり、地下水流の流速が比較的速い地盤であっても、薬液の注入を伴うことなく、凍土の形成を促進可能な技術の提供を目的としている。
上記の目的を達成するため、請求項1に記載した地盤凍結工法は、凍結対象地盤に対し複数本の凍結管を、相互に所定の間隔をおいて地下水の流れる方向と交差する方向に並ぶように設置する工程と、上記凍結管の並びよりも地下水流の上流に位置する箇所に、揚水管を設置する工程と、上記凍結管の並びよりも地下水流の下流に位置する箇所に、放水管を設置する工程と、各凍結管に冷媒を供給して地盤中に凍土を形成すると共に、上記放水管を介して地盤中に水を放出する工程とからなる地盤凍結工法であって、上記放水管から放出される水は、上記地下水流と逆行する方向に放出されることを特徴としている。
請求項2に記載した地盤凍結工法は、請求項1の工法であって、さらに、上記揚水管によって汲み上げられた地下水が上記放水管に供給され、地盤中に放出されることを特徴としている。
請求項3に記載した地盤凍結工法は、請求項1の工法であって、さらに、上記揚水管によって汲み上げられた地下水が、所定の冷却手段を用いて冷却された上で上記放水管に供給され、地盤中に放出されることを特徴としている。
請求項4に記載した地盤凍結工法は、請求項1~3の工法であって、さらに、地盤中に設置された温度センサからの出力に基づいて上記凍結管における凍土の成長具合を監視する工程と、地盤中に設置された流速センサからの出力に基づいて上記揚水管と放水管との間の領域における地下水の流速を監視する工程と、上記凍土の成長具合及び地下水の流速に基づいて、上記揚水管からの揚水量及び上記放水管からの放水量を調整する工程とを備えたことを特徴としている。
請求項5に記載した地盤凍結工法は、請求項1~4の工法であって、さらに、各凍結管の周囲に形成された凍土が閉合して凍土壁が形成された後に、上記放水管から放出される水の放出方向を、上記地下水流と順行する方向に切り替えることを特徴としている。
請求項6に記載した地盤凍結システムは、地盤に対し、相互に所定の間隔をおいて、地下水の流れる方向と交差する方向に並ぶように設置される複数本の凍結管と、各凍結管に冷媒を供給する冷媒供給機構(配管、ポンプ、バルブ等)と、上記凍結管の並びよりも地下水流の上流に位置する箇所に設置され、地下水を汲み上げる揚水管と、上記凍結管の並びよりも地下水流の下流に位置する箇所に設置され、地下水流と逆行する方向に水を放出する放水管とを備えたことを特徴としている。
請求項7に記載した地盤凍結システムは、請求項6のシステムであって、さらに、上記揚水管によって汲み上げられた地下水を冷却する冷却手段と、冷却された地下水を上記放水管に供給する送水機構(配管、ポンプ、水槽、バルブ等)とを備えたことを特徴としている。
この発明に係る地盤凍結工法及び地盤凍結システムによれば、凍結管の上流側で揚水管が地下水を汲み上げて水量を減少させることにより、凍結管によるダムアップが低減される共に、汲み上げた地下水や水道水等を放水管から上流側に逆流吐出させることにより、凍結管に挟まれた領域における地下水の流速を減速させることができる。この結果、同領域における凍土の成長を促進することが可能となる。
また、揚水管によって汲み上げられた地下水を冷却した上で放水管から上記領域に逆流吐出させることにより、同領域の水温を低下させることができ、さらに凍土の成長を促進することが可能となる。
水温を下げることによって、同領域における地下水の動粘性係数が大きくなるため、地下水の流速低減による凍結促進効果も期待できる。
この発明に係る地盤凍結工法の原理を説明する概念図である。 地下水の流速の変化を示すイメージ図である。 この地盤凍結工法の具体的な装置構成を例示する概念図である。 一対の凍結管と、揚水管及び放水管との位置関係を例示する概念図である。 凍土の成長具合に応じて揚水量及び放水量を調整する場合の構成を示す概念図である。 水温と水の動粘性係数との関係を示す表である。 凍土壁完成後における地盤凍結工法の運用例を示す概念図である。 冷媒として液体窒素を用いる場合の装置構成を例示する概念図である。 土壌に矩形状の凍土壁を形成する場合の凍結管、揚水管及び放水管の配置例を示す概念図である。 水位低下量S、自然水位H、井戸水位h及び井戸半径r0の意義を説明する概念図である。 一対の本線トンネル間を接続する連絡横坑の構成を示す概念図である。 連絡横坑の外形線に沿って凍土壁を形成する場合の凍結管、揚水管及び放水管の配置例を示す概念図である。 1本の凍結管を地下水流の激しい地盤中に配置した際に生じるダムアップを示す概念図である。 一対の凍結管を地下水流の激しい地盤中に配置した際に生じるダムアップを示す概念図である。
以下、添付の図面に従い、この発明の実施形態を説明する。
図1は、この発明に係る地盤凍結工法の原理を説明する概念図である。
まず、流速の速い地下水流(例えば2m/日以上)の存在する地盤10に対し、複数本の凍結管12を、所定間隔をおいて一列に埋設し、各凍結管12に冷却液を供給してそれぞれの周囲に凍土14aを成長させることにより、凍土壁14bを構築することを前提としている。
一般的に、地盤凍結工法において凍結管間で凍土が閉合できる最大地下流速を限界流速と称している。限界流速は、凍結管間隔や地盤条件などで異なるが、ここではこの限界流速を一般に言われている2m/日としている。
この際、凍結管12,12に挟まれた領域の上流側には揚水管16がそれぞれ設置され、ポンプによって地下水が地上に汲み上げられる。ここでは、揚水管底にポンプを設けたディープウェル工法を例示しているが、ウェルポイント工法を用いてもよい。すなわち、図1では、凍結管間それぞれに揚水管を設けているが、揚水量等を考慮して図中3本をまとめて1本の揚水管で代表し、揚水してもよい。
また、同領域の下流側にはそれぞれ放水管18が設置されており、地上において0℃近くまで冷却された地下水が、地下水流の上流に向けて放出される。
この結果、各凍結管12,12の間には、放水管18から放出された逆方向の冷却水の影響を受けて流速が低減すると共に水温の低下した「淀み領域20」が形成される。
このように、凍結管12,12の間に比較的流速が低くて水温も低い淀み領域20を形成することにより、凍土14aの成長が促進される結果、比較的流速の速い地下水流の存在する地盤10に対して、凍土壁14bをより確実に構築することが可能となる。
図2は、地下水の流速の変化を示すイメージ図であり、矢印の長さによって流速の大小が概念的に表現されている。
すなわち、上流側から比較的速い速度で流れてきた地下水流は(同図(a))、揚水管16における取水効果で水頭が低下する結果、流速がやや低減される(同図(b))。
つぎに、地下水流が凍結管12,12間に挟まれた淀み領域20に至ると、放水管18からの逆流冷水によって流速がさらに減殺される(同図(c))。
そして、放水管18を通過する辺りから地下水流の流速が回復し始め(同図(d))、最終的に本来の流速に復帰する(同図(e))。
図3は、この地盤凍結工法の具体的な装置構成を例示するものであり、地盤10内に埋設された揚水管16、凍結管12及び放水管18と、地上に設置された冷凍機22、水槽24及び冷却管26が描かれている。
図においては1本の凍結管12のみが描かれているが、実際には一対の凍結管12,12毎に揚水管16及び放水管18が設けられている。
また、複数の揚水管16及び複数の放水管18が共通の水槽24に接続されると共に、複数の凍結管12が共通の冷凍機22と接続されている。
冷凍機22は、圧縮機や蒸発器、凝縮器、膨張弁、冷媒配管等を備えており、凍結管12内及び冷却管26内を循環するブライン(不凍液)を冷却する機能を備えている。
揚水管16は、塩化ビニル等よりなる有底のケーシング28内に水中ポンプ30及び配管32を収納させた二重構造を備えており、水中ポンプ30を稼働させることにより、ケーシング28の下端に設けられたスクリーン部(取水部)から地下水を汲み上げ、配管32を介して地上の水槽24内に送る機能を備えている。
凍結管12は、内管12a及び外管12bを備えた二重管構造を備えており、冷凍機22によって冷却されたブラインが配管34aを介して内管12aに供給されると、下端で折り返したブラインが外管12b内を上昇し、その過程で周囲の土壌を冷却し、凍土14aを徐々に形成していく。
土壌の熱を受けて昇温したブラインは、配管34bを介して冷凍機22内に戻され、再度冷却される。
水槽24内の冷却管26も、内管26a及び外管26bを備えた二重管構造を備えており、冷凍機22によって冷却されたブラインが配管34cを介して内管26aに供給されると、下端で折り返したブラインが外管26b内を上昇し、その過程で水槽24内の水を冷却する。
水槽24内の水の熱を受けて昇温したブラインは、配管34dを介して冷凍機22内に戻され、再度冷却される。
放水管18は、塩化ビニル等よりなる有底のケーシング36に設けられたスクリーン部(放水部)を通じて、水槽24内の冷却水を土壌中に放出する機能を備えている。
ケーシング36内は縦方向に延設された仕切板38によって上流側室40及び下流側室42に分割されており、図示しないバルブを切り替えることにより、水槽24内の水の供給先が変更される構造を備えている。
図3においては、水槽24内の冷却水が給水パイプ44及び給水ポンプ46を介して上流側室40に供給された結果、上流側室40のスクリーン部から地下水流の上流側に向けて放水される様子が描かれている。
図4は、一対の凍結管12,12と、揚水管16及び放水管18との位置関係を例示するものである。
まず、揚水管16の中心点と放水管18の中心点を結ぶ直線Xは、各凍結管12,12の中心点を結ぶ直線Yの中心点Cにおいて、直線Yと直交している。
ここで、揚水管16の中心点とC点との距離L1と、放水管18の中心点とC点との距離L2は必ずしも等しい必要はなく、凍土14aの閉合を確保する観点から、地下水流の流速や凍結管12,12の間隔、凍結管12内の冷媒温度、揚水管16における揚水量、放水管18における逆流放水量等に応じてそれぞれ調整される。
例えば、揚水管16からの揚水量を比較的多く設定すると共に、L1を比較的長く設定することにより、C点から下流における地下水位が低下し、水頭差を小さくすることができる。
また、放水管18からの放水量(逆流量)を比較的多く設定すると共に、L2を比較的長く設定することにより、C点における水頭差及び地下水流を小さくすることができる。
凍土14aが成長して凍土14a,14a間の隙間が狭まると、凍結管12と凍結管12との間の未凍土部分を流れる地下水の流速が大きくなり、そのままでは凍土14a,14a間が閉合しない場合が生じる。
そこで、水頭差の低減、凍結管12,12間の流速の低減、凍結管12,12間における未凍土の低減を図り、凍土14a,14a間の閉合不全を回避するために、凍土14aの成長度に応じて揚水量と逆流放水量を調整することが望ましい。
具体的には、図5に示すように、複数の温度センサ50を地盤10中に設置して凍土14aの成長を監視すると共に、放水管18の冷水吐出方向に約90℃をなす位置に流速センサ52を設置し、下流側へ向かう地下水流の流速を監視する。
そして、温度センサ50からの出力によって凍土14aが所定以上の半径にまで成長し、その結果凍土14a,14a間の流速が増していることが判明した場合には、揚水管16からの取水量及び放水管18からの逆流量を増やし、凍土14aの成長を促進させる。
上記のように、揚水管16を介して地下水を上流側で汲み上げて水量を減じると共に、汲み上げた地下水を放水管18から逆流吐出させることにより、凍結管12,12に挟まれた淀み領域20における地下水流速を減速させることができる。
また、汲み上げた地下水を水槽24内で0℃近くまで冷却することによって淀み領域20の地下水及び土粒子の温度を低下させることができ、その分、凍土14aの成長を促進することが可能となる。
さらに、淀み領域20の地下水温を下げることによって水の動粘性係数も大きくなるため、地下水の流速低減による凍結促進効果も期待できる。
図6の表は、水温と動粘性係数の関係を示しており、水温の低下とともに動粘性係数は大きくなる。
地下水の温度を15 ℃程度とみなせば、0 ℃まで水温を低下させることにより、 動粘性係数は1.57 倍に増加する。
一方、地下水は以下のダルシー則に従うとされている。
ダルシー則: v=k×i
v:浸透流速
k:透水係数
i:動水勾配
すなわち、透水係数は動粘性係数に逆比例するので、動水勾配が一定ならば、上記の水温低下による動粘性係数の増加により、地下水流速は 0 .63 倍に減じられることになる。
凍結管12,12間の凍土14aが閉合した後には、放水管18による冷水の上流側への逆流放水は不要となるが、閉合した凍土壁14bへの地下水流のダムアップが顕著となり、凍土壁14bを越えて壁内に地下水が流入する可能性もあるため、揚水管16による取水は継続することが望ましい。
このため、図7に示すように、凍土壁14bが完成した後には揚水管16から汲み上げた地下水を、放水管18から下流方向にバイパス放流することで、ダムアップによる越流を防止することが有効となる。
すなわち、図示しないバルブを切り替えることにより、水槽24内の水が給水パイプ44及び給水ポンプ46を介して放水管18の下流側室42に供給され、この下流側室42のスクリーン部から下流側に向けて順流放水される。
この場合、汲み上げた地下水を冷却する必要はないため、水槽24内の冷却管26に冷媒は供給されない。
上記においては、凍結管12内及び冷却管26内に冷凍機22で冷却した不凍冷媒としてのブラインを循環させる冷却方法を採用した例を示したが、この発明はこれに限定されるものではなく、液化CO2を冷媒循環させてもよく、他の冷却方法を適用することもできる。
さらに、例えば図8に示すように、地上のタンク54内に充填された液体窒素を配管56及びバルブ58を介して凍結管12の内管12a及び冷却管26の内管26aに供給する冷却方式を採用することができる。
凍結管12の内管12aに供給された液体窒素は、下端で折り返して外管12b内を上昇し、その過程で周囲の土壌を冷却し、凍土を徐々に形成していく。土壌の熱を受けて蒸発した窒素は、外管12bの上端開口から大気中に放散される。
同様に、冷却管26の内管26aに供給された液体窒素は、下端で折り返して外管26b内を上昇し、その過程で水槽24内の水を冷却する。水槽24内の水の熱を受けて蒸発した窒素は、外管26bの上端開口から大気中に放散される。
地下水流の激しい地盤に矩形状の立坑を形成する際には、事前に矩形状の凍土壁を形成する必要が生じるが、このような場合にも本発明は適用できる。
図9はその一例を示すものであり、立坑の外形線である正方形60沿って複数本の凍結管12が所定間隔(例えば1mピッチ)で地盤10に設置されている。
また、地下水流の方向と交差する正方形60の左辺60a及び右辺60bに沿って設置された凍結管12,12間には、それぞれ上流側に揚水管16が設置されると共に、下流側に放水管18が設置されている。
上記と同様、地下水流の上流側に配置された揚水管16によって汲み上げられた地下水は、地上の水槽24内において0℃近くまで冷却され、各揚水管16と対向するように配置された放水管18を介して、地下水流の逆流方向に放出される。
この結果、凍結管12,12間に挟まれた領域に流速が比較的小さくて低くて水温の低い淀み領域20が形成され、凍土14aの成長が促進される。
図においては、地下水流の方向に平行する正方形60の上辺60c及び下辺60dに沿って設置された凍結管12,12間にも放水管18が設置されると共に、複数の揚水管16が不規則に設置されているが、これらは必須の要素ではなく、省略することもできる。
ここで、矩形立坑(6m×6m)の前列面(図中の左列面)における水頭差、影響半径、揚水量を試算する。
(1) 水頭差の試算
まず、放水管18による冷水逆流のない一般的な1辺6mの止水壁の水頭差Sを、以下の式より求める。
S=L/k×U∞
L :矩形辺長(6m)
k :透水係数(1×10-1 cm/sec=3.6m/h)
U∞:地下水流速(4m/day=0.167m/h)
S=6/3.6×0.167=0.278m
ここで、放水管18による冷水逆流によって地下水流速(U∞)が半減し、「2m/day=0.083m/h」になるものと仮定すると、矩形立坑の前列面における水頭差Sは以下のようになる。
S=L/k×U∞=6/3.6×0.083=0.139m
(2) 影響半径の試算
つぎに影響半径Rを、Sichardt(シーハルト)式で求める。
R=3000×S×(k/100)1/2
S:水位低下量(0.139m)
k:透水係数(1×10-1 cm/sec)
R=3000×0.139×(0.1/100)1/2 =13.176m
この場合、影響半径R≒13.2mとなり、凍結壁長の6mを上回る。
(3) 揚水量の試算
揚水量Q を、Thiem(ティーム)の井戸公式で求める。
Q=π×60×k/100×(H2-h2)/ln(R-r0)
Q :1本当り揚水量(m3 /min)
R :影響半径(m)
k :透水係数(1×10-1 cm/sec)
H :自然水位(m)
h :井戸水位(m) h=H-S
S :水位低下量(0.139m)
r0 :井戸半径(0.075m)
※S、H、h、r0 の意義については、図10を参照のこと。
Q=3.14×60×0.1/100×(52-4.862)/ln(13.176-0.075)
=0.100m3/min/本
=144.54m3/day/本
この場合、影響半径 R = 13.2 m なので、凍結壁長6mの揚水管6本で計算上の1本分を分担する。損失は40%とする。
したがって、揚水管1本分の揚水量Q'は以下のようになる。
Q'=144.54/6×0.4≒9.64m3/day/本=0.007m3/min/本
上記においては、地上から地盤に対して鉛直(縦)方向に凍結管12、揚水管16及び放水管18を埋設する例を示したが、この発明は地盤に対して水平(横)方向に凍結管12、揚水管16及び放水管18を埋設する場合にも適用可能である。
例えば、図11に示すように、地下水流の激しい地盤10に形成された一対の本線トンネル62, 64の途中に、本線トンネル62, 64間を接続する連絡横坑66を構築する際には、図12に示すように、連絡横坑66の外形線である馬蹄形状68に沿って複数本の凍結管12が所定間隔で水平方向に向けて設置される。
また、地下水流の方向と交差する馬蹄形状68の左辺68a及び右辺86bに沿って設置された凍結管12,12間には、それぞれ上流側に揚水管16が設置されると共に、下流側に放水管18が設置されている。
上記と同様、地下水流の上流側に配置された揚水管16によって汲み上げられた地下水は、地上の水槽24内において0℃近くまで冷却され、各揚水管16と対向するように配置された放水管18を介して、地下水流の逆流方向に放出される。
この結果、凍結管12,12間に挟まれた部分に流速が比較的小さく水温も低い淀み領域20が形成され、凍土14aの成長が促進される。
図においては、馬蹄形状の上辺68c及び下辺68dに沿って設置された凍結管12,12間にも放水管18や揚水管16が不規則に設置されているが、これらは必須の要素ではなく、省略することもできる。
10 地盤
12 凍結管
14a 凍土
14b 凍土壁
16 揚水管
18 放水管
20 淀み領域
22 冷凍機
24 水槽
26 冷却管
30 水中ポンプ
40 上流側室
42 下流側室
44 給水パイプ
46 給水ポンプ
50 温度センサ
52 流速センサ
54 液体窒素のタンク

Claims (7)

  1. 地盤に対し複数本の凍結管を、相互に所定の間隔をおいて地下水の流れる方向と交差する方向に並ぶように設置する工程と、
    上記凍結管の並びよりも地下水流の上流に位置する箇所に、揚水管を設置する工程と、
    上記凍結管の並びよりも地下水流の下流に位置する箇所に、放水管を設置する工程と、
    各凍結管に冷媒を供給して地盤中に凍土を形成すると共に、上記放水管を介して地盤中に水を放出する工程とからなる地盤凍結工法であって、
    上記放水管から放出される水は、上記地下水流と逆行する方向に放出されることを特徴とする地盤凍結工法。
  2. 上記揚水管によって汲み上げられた地下水が上記放水管に供給され、地盤中に放出されることを特徴とする請求項1に記載の地盤凍結工法。
  3. 上記揚水管によって汲み上げられた地下水が、所定の冷却手段を用いて冷却された上で上記放水管に供給され、地盤中に放出されることを特徴とする請求項1に記載の地盤凍結工法。
  4. 地盤中に設置された温度センサからの出力に基づいて上記凍結管における凍土の成長具合を監視する工程と、
    地盤中に設置された流速センサからの出力に基づいて上記揚水管と放水管との間の領域における地下水の流速を監視する工程と、
    上記凍土の成長具合及び地下水の流速に基づいて、上記揚水管からの揚水量及び上記放水管からの放水量を調整する工程と、
    を備えたことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の地盤凍結工法。
  5. 各凍結管の周囲に形成された凍土が閉合して凍土壁が形成された後に、上記放水管から放出される水の放出方向を、上記地下水流と順行する方向に切り替えることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の地盤凍結工法。
  6. 地盤に対し、相互に所定の間隔をおいて地下水の流れる方向と交差する方向に並ぶように設置される複数本の凍結管と、
    各凍結管に冷媒を供給する冷媒供給機構と、
    上記凍結管の並びよりも地下水流の上流に位置する箇所に設置され、地下水を汲み上げる揚水管と、
    上記凍結管の並びよりも地下水流の下流に位置する箇所に設置され、地下水流と逆行する方向に水を放出する放水管と、
    を備えたことを特徴とする地盤凍結システム。
  7. 上記揚水管によって汲み上げられた地下水を冷却する冷却手段と、
    冷却された地下水を上記放水管に供給する送水機構と、
    を備えたことを特徴とする請求項6に記載の地盤凍結システム。
JP2021106223A 2021-06-28 2021-06-28 地盤凍結工法及び地盤凍結システム Pending JP2023004509A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021106223A JP2023004509A (ja) 2021-06-28 2021-06-28 地盤凍結工法及び地盤凍結システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021106223A JP2023004509A (ja) 2021-06-28 2021-06-28 地盤凍結工法及び地盤凍結システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023004509A true JP2023004509A (ja) 2023-01-17

Family

ID=85101085

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021106223A Pending JP2023004509A (ja) 2021-06-28 2021-06-28 地盤凍結工法及び地盤凍結システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023004509A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116180785A (zh) * 2023-04-10 2023-05-30 中铁一局集团有限公司 一种富水地层深基坑围护结构渗漏液氮处理装置及方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116180785A (zh) * 2023-04-10 2023-05-30 中铁一局集团有限公司 一种富水地层深基坑围护结构渗漏液氮处理装置及方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7141650B2 (ja) 連絡通路の凍結工法及び凍結システム
CN104074525B (zh) 全断面注浆、矩形水平冻结与管棚联合加固结构及方法
US7578140B1 (en) Deep well/long trench direct expansion heating/cooling system
US20130277017A1 (en) Zone freeze pipe
CN110080202B (zh) 一种基坑坑底水平冻结加固结构及施工方法
CN205260038U (zh) 盾构隧道端头箱型冻结壁加固结构
CN104790961A (zh) 一种盾构隧道端头垂直杯型冻结加固结构及方法
CN206052685U (zh) 螺纹冻结管
CN204609889U (zh) 一种盾构隧道端头垂直杯型冻结加固结构
JP2023004509A (ja) 地盤凍結工法及び地盤凍結システム
KR101584095B1 (ko) 교대 운전이 가능한 지중 열교환기
US20130327497A1 (en) Method of heating/cooling structure using geothermal system
CN212272200U (zh) 一种竖井冻结系统
JP2003239270A (ja) 凍結工法及びその凍結工法に使用されるパイプ材
CN214616530U (zh) 能控制冻土帷幕的垂直杯形冻结加固结构
Crippa et al. Artificial ground freezing at Sophiaspoortunnel (The Netherlands)—Freezing parameters: Data acquisition and processing
CN104863596B (zh) X形冻结管及其在冻结施工中的应用方法
CN203961981U (zh) 全断面注浆、矩形水平冻结与管棚联合加固结构
CN101375113A (zh) 利用低能的管道和系统
CN210049225U (zh) 一种基坑坑底冻结加固结构
Nikolaev et al. Low-temperature ground freezing methods for underground construction in urban areas
CN112431189A (zh) 地下连续墙施工用富水粉砂地层超前冻结加固方法
JPH0941356A (ja) 凍結工法における凍結制御方法
CN208884475U (zh) 用于河道清淤过程的边坡防止滑坡装置
JP5041238B2 (ja) 低温岩盤貯槽