JP2023003758A - 靴底および靴 - Google Patents

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Abstract

【課題】緩衝材を備えた靴底において、履き心地と緩衝性能との両立を図る。【解決手段】靴底110は、ミッドソール111を含むソール本体と、緩衝材1D1とを備える。緩衝材1D1は、ソール本体の厚み方向と交差する方向においてミッドソール111に隣接して配置される。ミッドソール111は、緩衝材1D1に対向するとともに上記厚み方向に対して傾斜する第1対向面111aを有し、緩衝材1D1は、並行する一対の曲面によって外形が規定される壁11にて形作られた立体的形状を有する緩衝部10と、第1対向面111aに対向する第2対向面31を有する板状の固定用壁部30とを含む。固定用壁部30は、その第2対向面31が第1対向面111aに並行するように上記厚み方向に対して傾斜する。緩衝材1D1は、第1対向面111aと第2対向面31とが接着剤層113を介して接着されることにより、ミッドソール111に対して固定される。【選択図】図14

Description

本発明は、衝撃を緩和するための緩衝材を備えた靴底、および、当該靴底を備えた靴に関する。
従来、衝撃を緩和するための各種の緩衝材が知られており、これら各種の緩衝材が用途に応じて使用されている。たとえば、靴においては、着地時に生じる衝撃を緩和する目的で、靴底に緩衝材が設けられる場合がある。この靴底に設けられる緩衝材としては、一般に樹脂製またはゴム製の部材が利用される。
近年においては、靴底に格子構造やウェブ構造を有する部位を設け、材料的にのみならず、構造的に緩衝性能を高めた靴も開発されている。格子構造を有する部位が設けられた靴底を備えた靴が開示された文献としては、たとえば米国特許公開公報第2018/0049514号明細書(特許文献1)がある。
一方で、特表2017-527637号公報(特許文献2)には、三次元積層造形法を用いて製造される三次元物体として、内部に空洞を有する多面体や三重周期極小曲面等の幾何学的な面構造を基準にこれに厚みを付けたものが製造可能であることが記載されており、当該三次元物体を弾性材料にて構成することにより、たとえばこれを靴底に適用できることが開示されている。
米国特許公開公報第2018/0049514号明細書 特表2017-527637号公報
ここで、緩衝材を靴底に組付ける場合には、ミッドソールに対して緩衝材が接着剤によって固定されることが一般的である。その場合、緩衝材がミッドソールから剥がれることがないように、これを強固に固定することが必要になるが、その固定構造如何によっては、緩衝材が有する緩衝性能が十分に発揮されないおそれもある。また、当該固定構造如何によっては、緩衝材が設けられた部分とその余の部分との間において緩衝性能に大きな差が生じてしまい、履き心地が大幅に低下してしまうおそれもある。
したがって、本発明は、緩衝材を備えた靴底において、履き心地と緩衝性能との両立を図ることを目的とするとともに、当該靴底を備えた靴を提供することを目的とする。
本発明者は、並行する一対の曲面によって外形が規定される壁にて形作られた立体的形状を有する緩衝部を含む緩衝材を靴底に組付けるに当たって、当該緩衝材とミッドソールとの接着面積を確保するために、緩衝材に上記緩衝部に加えて接着のための固定用壁部を設けることに想念した。しかしながら、何らの手当ても行なわなかった場合には、この固定用壁部の剛性が周囲に比して高くなってしまうため、履き心地が低下してしまうおそれがある。
この点、本発明者、固定用壁部の構成および構造に所定の工夫を施すことにより、上述した問題の解決を図ることができることに着想し、本発明を完成させるに至った。
本発明の第1の局面に基づく靴底は、接地面が設けられるとともに、当該接地面と直交する方向を厚み方向とするソール本体と、上記ソール本体に組付けられた緩衝材とを備えている。上記ソール本体は、少なくともミッドソールを含んでおり、上記緩衝材は、上記厚み方向と交差する方向において上記ミッドソールと並ぶように配置されている。上記ミッドソールは、上記厚み方向と交差する方向において上記緩衝材に対向するとともに上記厚み方向に対して傾斜する第1対向面を有しており、上記緩衝材は、並行する一対の曲面によって外形が規定される壁にて形作られた立体的形状を有する緩衝部と、上記緩衝部から見て上記第1対向面が位置する側に設けられるとともに、上記第1対向面に対向する第2対向面を有する板状の固定用壁部とを含んでいる。上記固定用壁部は、上記第2対向面が上記第1対向面に並行するように上記厚み方向に対して傾斜して位置している。上記本発明の第1の局面に基づく靴底にあっては、上記第1対向面と上記第2対向面とが接着剤層を介して接着されることにより、上記緩衝材が、上記ミッドソールに固定されている。
本発明の第2の局面に基づく靴底は、接地面が設けられるとともに、当該接地面と直交する方向を厚み方向とするソール本体と、上記ソール本体に組付けられた緩衝材とを備えている。上記ソール本体は、少なくともミッドソールを含んでおり、上記緩衝材は、上記厚み方向と交差する方向において上記ミッドソールと並ぶように配置されている。上記ミッドソールは、上記厚み方向と交差する方向において上記緩衝材に対向する第1向面を有しており、上記緩衝材は、並行する一対の曲面によって外形が規定される壁にて形作られた立体的形状を有する緩衝部と、上記緩衝部から見て上記第1対向面が位置する側に設けられるとともに、上記第1対向面に対向するとともに上記第1対向面に並行する第2対向面を有する板状の固定用壁部とを含んでいる。上記固定用壁部には、上記緩衝材の内部の空間であってかつ上記緩衝部を取り巻く空間と上記第2対向面とを繋ぐ複数の貫通孔が設けられている。上記本発明の第2の局面に基づく靴底にあっては、上記第1対向面と上記第2対向面とが接着剤層を介して接着されることにより、上記緩衝材が、上記ミッドソールに固定されている。
本発明に基づく靴は、上述した本発明の第1の局面または第2の局面に基づく靴底と、上記靴底の上方に設けられたアッパーとを備えてなるものである。
本発明によれば、緩衝材を備えた靴底において、履き心地と緩衝性能との両立を図ることが可能になるとともに、当該靴底を備えた靴を提供することが可能になる。
実施の形態に係る靴底が具備する緩衝材に準じた構成の緩衝材の三次元構造部の斜視図、ならびに、シュワルツP構造の単位構造を基準にこれに厚みを付けた単位構造体の斜視図である。 実施の形態に係る靴底が具備する緩衝材に準じた構成の緩衝材の三次元構造部の正面図、左側面図、平面図および底面図である。 実施の形態に係る靴底が具備する緩衝材に準じた構成の緩衝材の三次元構造部の断面図である。 比較例1に係る緩衝材の斜視図、ならびに、当該緩衝材の緩衝性能をシミュレーションした結果を示すグラフである。 構成例1に係る緩衝材の斜視図、ならびに、当該緩衝材の緩衝性能をシミュレーションした結果を示すグラフである。 構成例2に係る緩衝材の斜視図、正面図および左側面図である。 構成例3に係る緩衝材の斜視図、正面図および左側面図である。 実施の形態に係る靴底および靴の斜視図である。 実施の形態に係る靴底を外足側から見た場合の側面図である。 実施の形態に係る靴底を内足側から見た場合の側面図である。 実施の形態に係る靴底における緩衝材の配設位置を示す模式平面図である。 実施の形態に係る靴底が具備する緩衝材の斜視図である。 実施の形態に係る靴底が具備する緩衝材の要部拡大図である。 実施の形態に係る靴底の部分断面図である。 比較例2および実施例に係る靴底のシミュレーションモデルを示す斜視図である。 比較例2および実施例に係る靴底の緩衝性能をシミュレーションした結果を示すグラフである。 第1変形例に係る靴底が具備する緩衝材の斜視図である。 第2変形例に係る靴底が具備する緩衝材の斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
<実施の形態に係る靴底が具備する緩衝材に準じた構成の緩衝材>
図1(A)は、実施の形態に係る靴底が具備する緩衝材に準じた構成の緩衝材の三次元構造部の斜視図であり、図1(B)は、シュワルツP構造の単位構造を基準にこれに厚みを付けた単位構造体の斜視図である。図2(A)ないし図2(D)は、それぞれ図1(A)に示す緩衝材の三次元構造部を図1(A)中に示す矢印IIAないしIID方向に沿って見た正面図、左側面図、平面図および底面図である。また、図3(A)は、図2(B)に示すIIIA-IIIA線に沿った断面図であり、図3(B)は、図2(A)に示すIIIB-IIIB線に沿った断面図である。まず、本実施の形態に係る靴底およびこれを備えた靴について説明するに先立って、これら図1ないし図3を参照して、当該靴底が具備する緩衝材に準じた構成の緩衝材1について説明する。
図1ないし図3(ただし、図1(B)は除く)に示すように、緩衝材1は、緩衝機能を発揮する部分である緩衝部10を有している。緩衝部10は、並行する一対の曲面によって外形が規定される壁11にて形作られた立体的形状を有しており、内部に空洞を有する幾何学的な壁構造を有している。緩衝部10は、図示する如くの無負荷状態における形状を有する三次元構造部12を少なくとも1つ以上含んでいる。
図1(A)に示すように、三次元構造部12が占有する単位空間Sは、台状を成しており、当該単位空間Sは、図中に示すX軸方向に位置する1組の対向面A1,A2と、図中に示すY軸方向に位置する1組の対向面B1,B2と、図中に示すZ軸方向に位置する1組の対向面C1,C2とによって規定されている。なお、緩衝材1の緩衝部10は、これらX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のうち、特にZ軸方向において荷重を受けることで緩衝機能が発揮されるように企図されたものである。
X軸方向に位置する1組の対向面A1,A2は、平面視した場合に同じ大きさでかつ同じ形状を有しており、その各々は、Y軸方向に延在する1組の辺のうちの一方の辺である上辺の長さLTが他方の辺である下辺の長さLBよりも短い台形である。Y軸方向に位置する1組の対向面B1,B2は、平面視した場合に同じ大きさでかつ同じ形状を有しており、いずれも矩形である。Z軸方向に位置する1組の対向面C1,C2は、平面視した場合にいずれも矩形ではあるものの、一方の面C1のY軸方向に延在する1組の辺の長さLTが、他方の面C2のY軸方向に延在する1組の辺の長さLBよりも短くなっている。
これにより、単位空間Sは、Y軸方向に位置する1組の対向面B1,B2が傾斜した台状の空間にて構成されている。これに伴い、三次元構造部12は、これら対向面B1,B2が位置する側の端部を傾斜端部として有している。
なお、上述した辺の長さLT,LBの比は、特にこれが制限されるものではないが、1.1≦LT/LB≦4.0の条件を満たしていることが好ましい。
上述した3組の対向面に含まれる各々の面A1,A2,B1,B2,C1,C2には、三次元構造部12の端部に位置する開口部13が位置している。ここで、図1ないし図3(ただし、図1(B)は除く)においては、三次元構造部12の形状の理解が容易となるように、三次元構造部12のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の各々に位置する端面に濃い色を付すことにより、三次元構造部12が有する他の外表面とこれを区別している。
緩衝材1の三次元構造部12は、図1(B)に示す基準となる緩衝材1’の単位構造体U’を形状変化させたものであり、無負荷状態において図1ないし図3(ただし、図1(B)は除く)に示す如くの形状を有している。
図1(B)に示すように、基準となる緩衝材1’の単位構造体U’は、数学的に定義される三重周期極小曲面の一種であるシュワルツP構造の単位構造を基準にこれに厚みを付けたものである。なお、極小曲面とは、与えられた閉曲線を境界にもつ曲面の中で面積が最小のものと定義される。
当該単位構造体U’が占有する単位空間S’は、正六面体形状(立方体形状)を成しており、当該単位空間S’は、X軸方向に位置する1組の対向面A1’,A2’と、Y軸方向に位置する1組の対向面B1’,B2’と、Z軸方向に位置する1組の対向面C1’,C2’とによって規定されている。これら3組の対向面に含まれる各々の面A1’,A2’,B1’,B2’,C1’,C2’は、いずれも平面視正方形である。
緩衝材1の三次元構造部12の無負荷状態における形状は、基準となる緩衝材1’の正六面体形状の単位空間S’を、上述した如くの台状の単位空間Sに形状変化させた場合に、これに追従するように単位構造体U’を形状変化させることで得られる形状である。より詳細には、三次元構造部12の無負荷状態における形状は、基準となる緩衝材1’の正六面体形状の単位空間S’を、その3組の対向面のうち、Y軸方向に位置する1組の対向面B1,B2に含まれる面の各々を傾斜させることで台状の空間に形状変化させた場合に、これに追従するように単位構造体U’を形状変化させることで得られる形状である。
ここで、上述したように、緩衝材1の緩衝部10は、図示する如くの無負荷状態における形状を有する三次元構造部12を少なくとも1つ以上含んでいればよい。
すなわち、緩衝部10が、1種類の単位構造体のみにて構成されている場合には、その1種類の単位構造体が図示する如くの三次元構造部12にて構成されていればよく、その場合の三次元構造部12の数は、1つのみであってもよいし複数であってもよい。三次元構造部12の数が複数である場合には、複数の三次元構造部12が、上述したX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のうちの少なくとも1方向に沿って繰り返し配置されればよい。
また、緩衝材1が、複数種類の単位構造体にて構成されている場合には、そのうちの1種類の単位構造体が図示する如くの三次元構造部12にて構成されていればよく、その場合の三次元構造部12の数は、1つのみであってもよいし複数であってもよい。三次元構造部12の数が複数である場合には、複数の三次元構造部12が、上述したX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のうちの少なくとも1方向に沿って他の種類の単位構造体を間に挟みつつまたはこれを挟むことなく繰り返し配置されればよい。
なお、緩衝材1は、緩衝部10に加えて、後述する支持部20(図12等参照)や固定用壁部30(図12等参照)、補強部40,40’,40”(図13等参照)、延設部50(図18参照)等をさらに含んでいてもよい。その場合、これらの部位は、上述した緩衝部10に隣接して設けられる。
緩衝材1の製造方法は、特にこれが制限されるものではないが、緩衝材1は、たとえば三次元積層造形装置を用いた造形によって製造することができる。
緩衝材1の材質としては、弾性力に富んだ材料であれば基本的にどのような材料であってもよいが、樹脂材料またはゴム材料であることが好ましい。より具体的には、緩衝材1を樹脂製とする場合には、たとえばポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA、TPAE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)とすることができる。一方、緩衝材1をゴム製とする場合には、たとえばブタジエンゴムとすることができる。
緩衝材1は、ポリマー組成物にて構成することもできる。その場合にポリマー組成物に含有させるポリマーとしては、たとえばオレフィン系エラストマーやオレフィン系樹脂等のオレフィン系ポリマーが挙げられる。オレフィン系ポリマーとしては、たとえばポリエチレン(たとえば直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等)、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-4-メチル-1-ペンテン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-4-メチル-ペンテン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、1-ブテン-1-ヘキセン共重合体、1-ブテン-4-メチル-ペンテン、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート共重合体、プロピレン-メタクリル酸共重合体、プロピレン-メタクリル酸メチル共重合体、プロピレン-メタクリル酸エチル共重合体、プロピレン-メタクリル酸ブチル共重合体、プロピレン-メチルアクリレート共重合体、プロピレン-エチルアクリレート共重合体、プロピレン-ブチルアクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、プロピレン-酢酸ビニル共重合体のポリオレフィン等が挙げられる。
また、上記ポリマーは、たとえばアミド系エラストマーやアミド系樹脂等のアミド系ポリマーであってもよい。アミド系ポリマーとしては、たとえばポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド610等が挙げられる。
また、上記ポリマーは、たとえばエステル系エラストマーやエステル系樹脂等のエステル系ポリマーであってもよい。エステル系ポリマーとしては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
また、上記ポリマーは、たとえばウレタン系エラストマーやウレタン系樹脂等のウレタン系ポリマーであってもよい。ウレタン系ポリマーとしては、たとえばポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン等が挙げられる。
また、上記ポリマーは、たとえばスチレン系エラストマーやスチレン系樹脂等のスチレン系ポリマーであってもよい。スチレン系エラストマーとしては、スチレン-エチレン-ブチレン共重合体(SEB)、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、SBSの水素添加物(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS))、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、SISの水素添加物(スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体(SEPS))、スチレン-イソブチレン-スチレン共重合体(SIBS)、スチレン-ブタジエン-スチレン-ブタジエン(SBSB)、スチレン-ブタジエン-スチレン-ブタジエン-スチレン(SBSBS)等が挙げられる。スチレン系樹脂としては、たとえばポリスチレン、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)等が挙げられる。
また、上記ポリマーは、たとえばポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系ポリマー、ウレタン系アクリルポリマー、ポリエステル系アクリルポリマー、ポリエーテル系アクリルポリマー、ポリカーボネート系アクリルポリマー、エポキシ系アクリルポリマー、共役ジエン重合体系アクリルポリマーならびにその水素添加物、ウレタン系メタクリルポリマー、ポリエステル系メタクリルポリマー、ポリエーテル系メタクリルポリマー、ポリカーボネート系メタクリルポリマー、エポキシ系メタクリルポリマー、共役ジエン重合体系メタクリルポリマーならびにその水素添加物、ポリ塩化ビニル系樹脂、シリコーン系エラストマー、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレン(CR)、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等であってもよい。
以上において説明した緩衝材1は、緩衝性能に優れたものとなる。以下、この点について、本発明者が行なった第1検証試験の結果に基づいて詳細に説明する。
図4(A)は、比較例1に係る緩衝材の斜視図であり、図4(B)は、当該比較例1に係る緩衝材の緩衝性能をシミュレーションした結果を示すグラフである。また、図5(A)は、構成例1に係る緩衝材の斜視図であり、図5(B)は、当該構成例1に係る緩衝材の緩衝性能をシミュレーションした結果を示すグラフである。
第1検証試験においては、比較例1および構成例1に係る緩衝材のモデルをそれぞれ具体的に設計し、これらモデルに対して所定方向に沿って外力が加わった場合を想定し、その場合の挙動についてシミュレーションによって個別に解析を行なった。より具体的には、これらモデルのそれぞれについていわゆる荷重-変位曲線を得た。
ここで、図4(A)に示すように、比較例1に係る緩衝材1Xは、その無負荷状態における形状が、基準となる上述した緩衝材1’の正六面体形状の単位空間S’をZ軸方向においてのみ引き延ばし、これにより直方体形状の単位空間に形状変化させた場合に、これに追従するように単位構造体U’を形状変化させることで得られる形状の三次元構造部12Xを有している。一方で、構成例1に係る緩衝材1Aは、上述した緩衝材1と同様に、その無負荷状態における形状が、基準となる上述した緩衝材1’の正六面体形状の単位空間S’を台状の空間に形状変化させた場合に、これに追従するように単位構造体U’を形状変化させることで得られる形状の三次元構造部12Aを有している。
より詳細には、比較例1に係る緩衝材1Xは、単位構造体としての三次元構造部12XのX軸方向およびY軸方向の寸法をそれぞれ10mmとするとともに、当該三次元構造部12XのZ軸方向の寸法を20mmとしたものである。なお、三次元構造部12Xの壁11の厚みは、1.52mmとし、その材質は、弾性率が7.1MPaのウレタン系アクリルポリマーを想定した。
一方、構成例1に係る緩衝材1Aは、単位構造体としての三次元構造部12AのX軸方向およびZ軸方向の寸法をそれぞれ10mmおよび20mmとし、当該三次元構造部12Aの図1中に示す長さLT,LBをそれぞれ10mmおよび20mmとしたものである。なお、三次元構造部12Aの壁11の厚みは、2.32mmとし、その材質は、弾性率が7.1MPaのウレタン系アクリルポリマーを想定した。
また、比較例1および構成例1に係る緩衝材1X,1Aに加える外力の方向は、垂直方向(すなわち、Z軸方向)と、斜め方向(すなわち、X軸方向に直交し、かつ、Y軸方向およびZ軸方向の双方に交差する方向)とした。なお、図4(A)および図5(A)においては、それぞれ三次元構造部12X,12AをX軸方向に沿って4つ並べた状態を例示的に図示している。
図4(B)に示すように、比較例1に係る緩衝材1Xは、垂直方向に外力を加えた場合および斜め方向に外力を加えた場合の双方において、圧縮変位がある値に達した時点で荷重が急激に低下する性質を有している。この性質は、緩衝材としての一般的な用途を考慮した場合に必ずしも好ましいものではなく、たとえば当該緩衝材1Xを靴底に適用した場合には、履き心地が損なわれてしまうおそれがある。
一方、図5(B)に示すように、構成例1に係る緩衝材1Aは、垂直方向に外力を加えた場合および斜め方向に外力を加えた場合の双方において、荷重が徐々に増加する性質を有している。この性質は、緩衝材としての一般的な用途を考慮した場合に好適なものであり、外部から印加された荷重が増加する過程において緩衝材が安定して変位することになるため、たとえば当該緩衝材1Aを靴底に適用することとすれば、履き心地が格段に優れた靴とすることができる。
したがって、上述した緩衝材1とすることにより、各種の用途に使用することができる緩衝性能に優れた緩衝材とすることができる。なお、上述した構成例1に係る緩衝材1Aのように三次元構造部を列状に配置する場合には、複数の三次元構造部の各々において緩衝機能が発揮されるように企図された方向(すなわちZ軸方向)が、互いに略平行に配置されることが好ましい。
図6(A)は、構成例2に係る緩衝材の斜視図であり、図6(B)および図6(C)は、それぞれ図6(A)に示す緩衝材を図6(A)中に示す矢印VIBおよびVIC方向に沿って見た正面図および左側面図である。以下、この図6を参照して、構成例2に係る緩衝材1Bについて説明する。
図6(A)ないし図6(C)に示すように、構成例2に係る緩衝材1Bは、単位構造体として2種類の三次元構造部12A,12Bを含むものである。これら2種類の三次元構造部12A,12Bは、いずれも、上述した緩衝材1と同様に、その無負荷状態における形状が、基準となる上述した緩衝材1’の正六面体形状の単位空間S’を台状の空間に形状変化させた場合に、これに追従するように単位構造体U’を形状変化させることで得られる形状であるが、このうちの三次元構造部12Bについては、その台状の形状が、三次元構造部12AのそれとZ軸方向において反転したものである。なお、三次元構造部12Aは、上述した構成例1に係る緩衝材1Aが具備する三次元構造部12Aと同じものである。
ここで、構成例2に係る緩衝材1Bにおいては、三次元構造部12A,12Bが、それぞれX軸方向に沿って4つ並べられることで列を形成しており、これら2列に並べられた三次元構造部12A,12Bが、Y軸方向において行状に配置されている。なお、このように配列した場合には、X軸方向に沿って見た場合に、緩衝材1Bの外形が概ね平行四辺形となる(図6(B)参照)。
このように構成した緩衝材1Bにおいても、上述した緩衝材1と同様に、各種の用途に使用することができる緩衝性能に優れた緩衝材とすることができる。なお、このように三次元構造部を行列状に配置する場合には、複数の三次元構造部の各々において緩衝機能が発揮されるように企図された方向(すなわちZ軸方向)が、互いに略平行に配置されることが好ましい。
図7(A)は、構成例3に係る緩衝材の斜視図であり、図7(B)および図7(C)は、それぞれ図7(A)に示す緩衝材を図7(A)中に示す矢印VIIBおよびVIIC方向に沿って見た正面図および左側面図である。以下、この図7を参照して、構成例3に係る緩衝材1Cについて説明する。
図7(A)ないし図7(C)に示すように、構成例3に係る緩衝材1Cは、単位構造体として2種類の三次元構造部12A,12Mを含むものである。このうちの三次元構造部12Aは、上述した緩衝材1と同様に、その無負荷状態における形状が、基準となる上述した緩衝材1’の正六面体形状の単位空間S’を台状の空間に形状変化させた場合に、これに追従するように単位構造体U’を形状変化させることで得られる形状であり、残る三次元構造部12Mは、上述した緩衝材1と異なり、その無負荷状態における形状が、基準となる上述した緩衝材1’の正六面体形状の単位空間S’を偏平な直方体形状の単位空間に形状変化させた場合に、これに追従するように単位構造体U’を形状変化させることで得られる形状である。なお、三次元構造部12Aは、上述した構成例1に係る緩衝材1Aが具備する三次元構造部12Aと同じものである。
ここで、構成例3に係る緩衝材1Cにおいては、三次元構造部12A,12Mが、それぞれX軸方向に沿って4つ並べられることで列を形成しており、三次元構造部12Aを含む2つの列の間に三次元構造部12Mを含む1つの列が配置されることにより、これら3列に並べられた三次元構造部12A,12Mが、Y軸方向において行状に配置されている。なお、このように配列した場合には、X軸方向に沿って見た場合に、緩衝材1Cの外形が全体として概ね台形となる(図7(B)参照)。
このように構成した緩衝材1Cにおいても、上述した緩衝材1と同様に、各種の用途に使用することができる緩衝性能に優れた緩衝材とすることができる。なお、このように三次元構造部を行列状に配置する場合には、複数の三次元構造部の各々において緩衝機能が発揮されるように企図された方向(すなわちZ軸方向)が、互いに略平行に配置されることが好ましい。
なお、以上においては、三次元構造部12,12Aの無負荷状態における形状が、基準となる緩衝材1’の正六面体形状の単位空間S’を、その3組の対向面のうち、Y軸方向に位置する1組の対向面B1,B2に含まれる面の各々を傾斜させることで台状の空間に形状変化させた場合に、これに追従するように単位構造体U’を形状変化させることで得られる形状である場合を例示して説明を行なったが、これを適宜変更することもできる。
たとえば、三次元構造部の無負荷状態における形状が、基準となる緩衝材1’の正六面体形状の単位空間S’を、その3組の対向面のうち、Y軸方向に位置する1組の対向面B1,B2に含まれる面のみならず、X軸方向に位置するに1組の対向面A1,A2に含まれる面の各々についても、これらを傾斜させることで台状の空間に形状変化させた場合に、これに追従するように単位構造体U’を形状変化させることで得られる形状としてもよいし、さらにこれに加えて、Z軸方向に位置する1組の対向面C1,C2についても、これを僅かに傾斜あるいは湾曲させることで略台状の空間に形状変化させた場合に、これに追従するように単位構造体U’を形状変化させることで得られる形状としてもよい。
これらいずれの形状の三次元構造部とした場合にも、上述した緩衝材1と同様に、各種の用途に使用することができる緩衝性能に優れた緩衝材とすることができる。
<実施の形態に係る靴底および靴)
図8は、実施の形態に係る靴底および靴の斜視図である。図9および図10は、それぞれ図8に示す靴底を外足側および内足側から見た場合の側面図である。また、図11は、図8に示す靴底における緩衝材の配設位置を示す模式平面図である。まず、これら図8ないし図11を参照して、本実施の形態に係る靴底110およびこれを備えた靴100の概略的な構成について説明する。
図8に示すように、靴100は、靴底110と、アッパー120とを備えている。靴底110は、足の足裏を覆う部材であり、略偏平な形状を有している。アッパー120は、挿入された足の甲側の部分の全体を少なくとも覆う形状を有しており、靴底110の上方に位置している。
アッパー120は、アッパー本体121と、シュータン122と、シューレース123とを有している。このうち、シュータン122およびシューレース123は、いずれもアッパー本体121に固定または取り付けられている。
アッパー本体121の上部には、足首の上部と足の甲の一部とを露出させる上側開口部が設けられている。一方、アッパー本体121の下部には、一例としては、靴底110によって覆われる下側開口部が設けられており、他の例としては、当該アッパー本体121の下端が袋縫いされること等で底部が形成されている。
シュータン122は、アッパー本体121に設けられた上側開口部のうち、足の甲の一部を露出させる部分を覆うようにアッパー本体121に縫製、溶着あるいは接着またはこれらの組み合わせ等によって固定されている。アッパー本体121およびシュータン122としては、たとえば織地や編地、不織布、合成皮革、樹脂等が用いられ、特に通気性や軽量性が求められる靴においては、ポリエステル糸を編み込んだダブルラッセル経編地が利用される。
シューレース123は、アッパー本体121に設けられた足の甲の一部を露出させる上側開口部の周縁を足幅方向において互いに引き寄せるための紐状の部材からなり、当該上側開口部の周縁に設けられた複数の孔部に挿通されている。アッパー本体121に足が挿入された状態においてこのシューレース123を締め付けることにより、アッパー本体121を足に密着させることが可能になる。
図8ないし図11に示すように、靴底110は、ソール本体としてのミッドソール111およびアウトソール112と、緩衝材1D1~1D3とを有している。
ミッドソール111は、上面と、下面と、これら上面および下面を接続する側面とを有しており、靴底110の上部側の部分を構成している。ミッドソール111の上面は、アッパー120に接合されている。
ミッドソール111は、適度な強度を有しつつも緩衝性に優れていることが好ましく、当該観点から、ミッドソール111は、たとえば樹脂製またはゴム製の部材にて構成することができ、特に好適にはポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA、TPAE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)等の発泡材または非発泡材にて構成することができる。
アウトソール112は、上面と、接地面112aとしての下面とを有しており、靴底110の下部側の部分を構成している。アウトソール112は、主としてミッドソール111に接合されている。
アウトソール112は、耐摩耗性やグリップ性に優れていることが好ましく、当該観点から、アウトソール112としては、たとえばゴム製とすることができる。なお、アウトソール112の下面である接地面112aには、グリップ性を高める観点から、トレッドパターンが付与されていてもよい。
緩衝材1D1~1D3は、ミッドソール111およびアウトソール112からなるソール本体の厚み方向(Z軸方向)と交差する方向においてミッドソール111と並ぶように配置されており、より具体的には、ミッドソール111の所定位置に設けられた切り欠き部に配設されている。これにより、緩衝材1D1~1D3は、ソール本体の厚み方向においてミッドソール111とアウトソール112とによって挟み込まれている。緩衝材1D1~1D3は、後述するように接着剤によってミッドソール111およびアウトソール112に接合されており、その一部は、靴底110の周面において露出するように位置している。
図9ないし図11に示すように、靴底110は、平面視した状態において着用者の足の足長方向に合致する方向である前後方向(図9および図10における図中左右方向、図11における図中上下方向)に沿って、着用者の足の足趾部および踏付け部を支持する前足部R1と、着用者の足の踏まず部を支持する中足部R2と、着用者の足の踵部を支持する後足部R3とに区画される。
ここで、靴底110の前方側末端を基準とし、当該前方側末端から靴底110の前後方向の寸法の40%の寸法に相当する位置を第1境界位置とし、当該前方側末端から靴底110の前後方向の寸法の80%の寸法に相当する位置を第2境界位置とした場合に、前足部R1は、前後方向に沿って前方側末端と第1境界位置との間に含まれる部分に該当し、中足部R2は、前後方向に沿って第1境界位置と第2境界位置との間に含まれる部分に該当し、後足部R3は、前後方向に沿って第2境界位置と靴底の後方側末端との間に含まれる部分に該当する。
また、図11に示すように、靴底110は、平面視した状態において着用者の足の足幅方向に合致する方向である左右方向(図中左右方向)に沿って、足のうちの解剖学的正位における正中側(すなわち正中に近い側)である内足側の部分(図中に示すS1側の部分)と、足のうちの解剖学的正位における正中側とは反対側(すなわち正中に遠い側)である外足側の部分(図中に示すS2側の部分)とに区画される。
図8ないし図11に示すように、ミッドソール111は、前足部R1から中足部R2を経由して後足部R3に至るように前後方向に沿って延在している。アウトソール112は、前足部R1と中足部R2の前後方向における前方側の位置とに跨がるように配置された部分と、中足部R2の前後方向における後方側位置と後足部R3とに跨がるように配置された部分とを含んでいる。
緩衝材1D1は、中足部R2の後足部R3寄りの部分と後足部R3とに跨がるように、靴底110の外足側の縁部に沿って位置している。緩衝材1D2は、中足部R2の後足部R3寄りの部分と後足部R3とに跨がるように、靴底110の内足側の縁部に沿って位置している。緩衝材1D3は、前足部R1の中足部R2寄り部分と中足部R2の前足部R1寄りの部分とに跨がるように、靴底110の外足側の縁部に沿って位置している。
図12は、図8に示す靴底が具備する緩衝材の斜視図であり、図13は、図12中に示す領域XIIIの拡大図である。次に、これら図12および図13を参照して、緩衝材1D1~1D3の詳細な構成について説明する。
図12および図13に示すように、緩衝材1D1~1D3は、いずれも上述した緩衝材1に準じた構成を有するものであり、緩衝部10を含んでいる。緩衝部10は、並行する一対の曲面によって外形が規定される壁11にて形作られた立体的形状を有しており、単位構造体としての三次元構造部12を複数含んでいる。
これら複数の三次元構造部12の各々は、基準となる緩衝材1’の正六面体形状の単位空間S’(図1(A)参照)を台状の空間に形状変化させた場合に、これに追従するように単位構造体U’を形状変化させることで得られる形状を有している。なお、緩衝材1D1~1D3の各々においては、複数の三次元構造部12が、靴底110の縁部に沿う方向に一列に並んで設けられている。
ここで、複数の三次元構造部12の各々は、緩衝機能が発揮されるように企図された方向(すなわちZ軸方向)がいずれもアウトソール112の接地面112aと直交する方向を向くように設けられている。このように構成することにより、着地時において足裏および地面から靴底110に付与される荷重は、当該三次元構造部12を含む緩衝部10が大きい変位量をもって変形することによって吸収され、靴底110から足裏に対して印加される荷重が減少し、高い緩衝性能が得られることになる。
緩衝材1D1~1D3は、それぞれ上述した緩衝部10に加えて、支持部20と固定用壁部30とを含んでいる。支持部20および固定用壁部30は、いずれも板状に構成されており、緩衝部10に隣接して当該緩衝部10と一体に設けられている。すなわち、緩衝材1D1~1D3は、緩衝部10、支持部20および固定用壁部30が連続して接続されるように形成された単一の部材からなる。
支持部20は、緩衝材1D1~1D3のうちの、複数の三次元構造部12の各々が緩衝機能を発揮するように企図された方向(すなわちZ軸方向)に位置するように設けられており、緩衝部10から見てアッパー120が位置する側である上側支持部21と、緩衝部10から見てアウトソール112が位置する側である下側支持部22とを含んでいる。これにより、緩衝部10は、これら上側支持部21と下側支持部22とによって挟み込まれて位置している。
上側支持部21には、複数の貫通孔21aが設けられている。これら複数の貫通孔21aは、複数の三次元構造部12の各々が有する、上側支持部21側の端面に位置する開口部13にそれぞれ対応付けられて連通している。一方、下側支持部22にも、複数の貫通孔22a(図14(A)参照)が設けられている。これら複数の貫通孔22aは、複数の三次元構造部12の各々が有する、下側支持部22側の端面に位置する開口部13にそれぞれ対応付けられて連通している。
固定用壁部30は、緩衝材1D1~1D3のうちの、複数の三次元構造部12の各々が緩衝機能を発揮するように企図された方向(すなわちZ軸方向)と交差する方向に位置するように設けられており、より具体的には、緩衝材1D1~1D3のうち、靴底110の周面において露出する部分以外の部分に設けられている。これにより、緩衝部10は、その周面のうちのミッドソール111側に位置する端面が、この固定用壁部30によって覆われている。
固定用壁部30は、その露出表面である第2対向面31を有している。また、固定用壁部30には、複数の貫通孔32が設けられている。これら複数の貫通孔32には、複数の三次元構造部12の各々が有する、固定用壁部30側の端面に位置する開口部13にそれぞれ対応付けられて連通したものが含まれている。また、これら複数の貫通孔32には、上述した開口部13に対応しておらず、三次元構造部12の周囲を取り巻く空間に連通したものも複数含まれている(この貫通孔32については、後において詳述する)。
これら上側支持部21、下側支持部22および固定用壁部30に設けられた複数の貫通孔21a,22a,32は、主として、上述した三次元積層造形法を用いて緩衝材1D1~1D3を製造する場合に、その製造時において未硬化樹脂を排出するための排出口となるものである。すなわち、これら貫通孔21a,22a,32が、緩衝部10の三次元構造部12の内部の空間および三次元構造部12の周囲を取り巻く空間に連通していることにより、製造の際にこれら貫通孔21a,22a,32を介して未硬化樹脂が排出できることになり、所望の形状の緩衝部10を高い寸法精度をもって造形することが可能になる。
上述した上側支持部21および固定用壁部30は、いずれもミッドソール111に対して固定される部位であり、上述した下側支持部22は、アウトソール112に対して固定される部位である。すなわち、複数の三次元構造部12からなる緩衝部10は、上述したように幾何学的な壁構造を有しているため、これをそのままミッドソール111やアウトソール112に対して直接的に接着することで固定した場合には、これら複数の三次元構造部12の変形が阻害されてしまい、所望の緩衝性能を得ることができなくなってしまう。
この点、緩衝部10に対して一体的にこれら上側支持部21、下側支持部22および固定用壁部30を設けることにより、複数の三次元構造部12の変形が阻害されることを抑制しつつ緩衝材1D1~1D3をミッドソール111やアウトソール112に対して接着によって固定することが可能になり、所望の緩衝性能を得ることができることになる。
図14(A)および図14(B)は、図8に示す靴底の部分断面図である。次に、この図14を参照して、本実施の形態に係る靴底110における緩衝材1D1~1D3の組付構造について詳細に説明する。なお、図14においては、代表的に緩衝材1D1の組付構造が図示されているが、緩衝材1D2,1D3の組付構造も同様である。
ここで、図14(A)は、上述した、複数の三次元構造部12の各々が有する、固定用壁部30側の端面に位置する開口部13にそれぞれ対応付けられて連通する貫通孔32(図中においては、当該貫通孔を特に符号32(13)で示している)を含む部分の靴底110の断面図である。一方、図14(B)は、上述した、三次元構造部12の周囲を取り巻く空間に連通する貫通孔32(図中においては、当該貫通孔を単に符号32で示している)を含む部分の靴底110の断面図である。
図14(A)および図14(B)に示すように、緩衝材1D1は、接着剤層113を介してミッドソール111およびアウトソール112に固定されている。具体的には、緩衝材1D1は、その上側支持部21がミッドソール111に設けられた切り欠き部の上部側の壁面に接着剤層113を介して接合されており、その固定用壁部30がミッドソール111に設けられた切り欠き部の側部側の壁面に接着剤層113を介して接合されている。また、緩衝材1D1は、その下側支持部22がアウトソール112の上面に接着剤層113を介して接合されている。
より詳細には、ミッドソール111の切り欠き部の上部側の壁面と上側支持部21の上面とは、いずれも略平面状に構成されており、これら面同士に接着剤層113が接着することにより、当該部分において緩衝材1D1とミッドソール111とが固定されている。また、図14(A)に示すように、上側支持部21には、上述したように複数の貫通孔21aが設けられており、接着剤層113は、その一部がこれら複数の貫通孔21aに入り込んでいる。これにより、接着面積の増大と一種のアンカー効果とにより、当該部分における接合強度の増大が図られている。
また、アウトソール112の上面と下側支持部22の下面とは、いずれも略平面状に構成されており、これら面同士に接着剤層113が接着することにより、当該部分において緩衝材1D1とアウトソール112とが固定されている。また、図14(A)に示すように、下側支持部22には、上述したように複数の貫通孔22aが設けられており、接着剤層113は、その一部がこれら複数の貫通孔22aに入り込んでいる。これにより、接着面積の増大と一種のアンカー効果とにより、当該部分における接合強度の増大が図られている。
さらに、ミッドソール111の切り欠き部の側部側の壁面である第1対向面111aと、固定用壁部30の外面である第2対向面31とは、いずれも略平面状に構成されており、これら面同士に接着剤層113が接着することにより、当該部分において緩衝材1D1とミッドソール111とが固定されている。また、図14(A)に示すように、固定用壁部30には、上述したように複数の貫通孔32(13)が設けられており、接着剤層113は、その一部が複数の貫通孔32(13)に入り込んでいる。加えて、図14(B)に示すように、固定用壁部30には、上述したように複数の貫通孔32も設けられており、接着剤層113は、その一部がこれら複数の貫通孔32(13)にも入り込んでいる。これにより、接着面積の増大と一種のアンカー効果とにより、当該部分における接合強度の増大が図られている。
以上により、上側支持部21、下側支持部22および固定用壁部30が強固にミッドソール111およびアウトソール112に固定されることになり、緩衝材1D1~1D3がミッドソール111やアウトソール112から剥がれることが効果的に抑制できることになる。さらには、上側支持部21、下側支持部22および固定用壁部30に複数の貫通孔21a,22a,32を設けることにより、当該部分における接合強度の増大が図られることになり、さらに耐久性に優れた靴底110およびこれを備えた靴100とすることができる。
ここで、図14(A)および図14(B)に示すように、本実施の形態に係る靴底110にあっては、ミッドソール111の切り欠き部の側部側の壁面である第1対向面111aが、接地面112aと直交する方向(すなわち、ミッドソール111およびアウトソール112からなるソール本体の厚み方向(Z軸方向))に対して傾斜するように設けられており、より詳細には、その下端がソール本体の内側に位置するとともに、その上端がソール本体の外側に位置するように傾斜して設けられている。一方、緩衝材1D1の固定用壁部30は、その第2対向面31が第1対向面111aに並行するように、ソール本体の厚み方向に対して傾斜して設けられている。
このソール本体の厚み方向に対して傾斜する固定用壁部30は、緩衝部10に含まれる複数の三次元構造部12の各々が、上述した如くの台状の空間を単位空間Sとする単位構造体にて構成されているとともに、これら複数の三次元構造部12の上述した傾斜端部がそれぞれ固定用壁部30に接続されることとなるように、複数の三次元構造部12が当該固定用壁部30に沿って列状に並んで配置されることにより、その形成が可能になるものである。
このように、ミッドソール111と緩衝材1D1との境界部が、ソール本体の厚み方向に対して傾斜していることにより、緩衝材1D1の固定用壁部30をソール本体の厚み方向に平行となるように設けた場合に比べ、顕著に当該部分におけるソール本体の厚み方向における剛性を低減させることができる。
したがって、このように構成することにより、ミッドソール111と緩衝材1D1との境界部において周囲に比して剛性が高くなってしまうことが効果的に抑制できることになり、優れた履き心地の靴底110およびこれを備えた靴100とすることができる。
ここで、図12ないし図14(特に、図13および図14(A)および図14(B))に示すように、本実施の形態に係る靴底110にあっては、緩衝材1D1~1D3が、上述した緩衝部10、上側支持部21、下側支持部22および固定用壁部30に加えて、補強部40,40’,40”を含んでいる。
より詳細には、靴底110にあっては、接地面112aと直交する方向であるソール本体の厚み方向(すなわち、図中に示すZ方向)に沿って見た場合に、下側支持部22が、三次元構造部12の当該下側支持部22側の端部よりも外側に食み出した食み出し領域を有している。この食み出し領域は、何らの手当ても行なわなかった場合に、周囲に比して剛性が極端に小さい部分となり、外力が加えられることによって容易に変形してしまい、結果として繰り返しの使用等によって当該部分が比較的早期に破損してしまうおそれもある。
この点、本実施の形態に係る靴底110にあっては、図13および図14(A)に示すように、食み出し領域における下側支持部22の変形を抑制するために、三次元構造部12の下側支持部22側の端部寄りの部分と当該食み出し領域に相当する部分の下側支持部22とを結ぶように補強部40が設けられている。この補強部40は、三次元構造部12の周囲を取り巻く空間の一部が埋め込まれることで形成されたものであり、この補強部40が形成されることにより、当該部分における剛性が高まり、食み出し領域に相当する部分の下側支持部22が過度に変形してしまうことが抑制できることになる。
したがって、当該構成を採用することにより、耐久性に優れた靴底110およびこれを備えた靴100とすることができる。なお、当該補強部40は、緩衝部10が過度に圧縮変形してしまうことを抑制する機能をも副次的に有しているため、当該構成を採用した場合には、この点においても耐久性に優れた靴底110およびこれを備えた靴100とすることができる。
一方、図13および図14(A)に示すように、補強部40’は、三次元構造部12の上側支持部21側の端部寄りの部分と上側支持部21とを結ぶように設けられている。この補強部40’も、上述した補強部40と同様に、三次元構造部12の周囲を取り巻く空間の一部が埋め込まれることで形成されたものである。このように構成した場合には、緩衝部10が過度に圧縮変形してしまうことが抑制できることになり、耐久性に優れた靴底110およびこれを備えた靴100とすることができる。
さらに、図13および図14(B)に示すように、補強部40”は、隣り合う三次元構造部12同士を結ぶように、三次元構造部12の周囲を取り巻く空間の一部が埋め込まれることで形成されている。このように構成した場合には、特に接地面112aと平行な方向に沿って緩衝材1D1に外力が加わった場合にも、緩衝材1D1が過度に圧縮変形してしまうことが抑制できることになり、耐久性に優れた靴底110およびこれを備えた靴100とすることができる。
図15(A)および図15(B)は、それぞれ比較例2および実施例に係る靴底のシミュレーションモデルを示す斜視図であり、図16は、これら比較例2および実施例に係る靴底の緩衝性能をシミュレーションした結果を示すグラフである。次に、これら図15および図16を参照して、上述した固定用壁部30をソール本体の厚み方向に対して傾斜させることによって得られる効果を確認するために、本発明者が行なった第2検証試験について詳細に説明する。
第2検証試験においては、比較例2および実施例に係る靴底のシミュレーションモデルをそれぞれ具体的に作成し、これらシミュレーションモデルに対して所定方向に沿って外力が加わった場合を想定し、その場合の挙動についてシミュレーションによって個別に解析を行なった。より具体的には、これらシミュレーションモデルのそれぞれについて、ミッドソールと緩衝材との境界部におけるいわゆる荷重-変位曲線を得た。
ここで、図15(A)に示すように、比較例2に係る靴底のシミュレーションモデル110Yにおいては、無負荷状態における形状が、基準となる上述した緩衝材1’の正六面体形状の単位空間S’をY軸方向において引き延ばし、さらにZ軸方向において僅かに引き延ばし、これにより直方体形状の単位空間に形状変化させた場合に、これに追従するように単位構造体U’を形状変化させることで得られる形状の三次元構造部12Yを有する緩衝材1Yを用いた。
この緩衝材1Yは、上側支持部21と固定用壁部30とを含んでおり、固定用壁部30は、ソール本体の厚み方向に平行な垂直の壁にて構成した。これにより、固定用壁部30に設けられた第2対向面31(図14参照)は、ソール本体の厚み方向に平行な面にて構成されることになり、これに伴い、ミッドソール111の切り欠き部の側部側の壁面である第1対向面111a(図14参照)も、ソール本体の厚み方向に平行な面にて構成した。
一方、図15(B)に示すように、実施例に係る靴底のシミュレーションモデル110Aにおいては、上述した緩衝材1と同様に、無負荷状態における形状が、基準となる上述した緩衝材1’の正六面体形状の単位空間S’を台状の空間に形状変化させた場合に、これに追従するように単位構造体U’を形状変化させることで得られる形状の三次元構造部12Eを有する緩衝材1Eを用いた。
この緩衝材1Eは、上側支持部21と固定用壁部30とを含んでおり、固定用壁部30は、ソール本体の厚み方向に対して傾斜した壁にて構成した。これにより、固定用壁部30に設けられた第2対向面31(図14参照)は、ソール本体の厚み方向に対して傾斜した面にて構成されることになり、これに伴い、ミッドソール111の切り欠き部の側部側の壁面である第1対向面111a(図14参照)も、ソール本体の厚み方向に対して傾斜した面にて構成した。
ここで、比較例2に係る靴底のシミュレーションモデル110Yと実施例に係るシミュレーションモデル110Aとは、上述した点を除き、すべての条件を同じに設定した。なお、比較例2および実施例に係る靴底のシミュレーションモデル110Y,110Aに加える外力の方向は、垂直方向(すなわち、Z軸方向)とした。
図16に示すように、比較例2に係る靴底のシミュレーションモデル110Yと、実施例に係る靴底のシミュレーションモデル110Aとを比較すると、ミッドソール111と緩衝材1Y,1Eとの境界部における剛性が、実施例に係る靴底のシミュレーションモデル110Aにおいて、比較例2に係る靴底のシミュレーションモデル110Yよりもより低剛性化していることが分かる。
そのため、第2検証試験の結果に基づけば、本実施の形態に係る靴底110およびこれを備えた靴100とすることにより、履き心地と緩衝性能との両立が図られることが実験的にも確認されたと言える。
<第1変形例>
図17は、第1変形例に係る靴底が具備する緩衝材の斜視図である。以下、この図17を参照して、上述した本実施の形態に基づいた第1変形例に係る靴底が具備する緩衝材1D1’について説明する。なお、当該緩衝材1D1’は、上述した本実施の形態に係る靴底110が具備する緩衝材1D1に代えて、当該靴底110に具備されるものである。
図17に示すように、本変形例に係る靴底が具備する緩衝材1D1’は、上述した本実施の形態に係る靴底110が具備する緩衝材1D1と比較した場合に、補強部40,40’,40”が設けられていない点においてのみ相違している。すなわち、緩衝材1D1’においては、複数の三次元構造部12によって構成された緩衝部10と、支持部20としての上側支持部21および下側支持部22と、固定用壁部30とのみを有している。
このように構成した場合にも、上述した本実施の形態に係る靴底110およびこれを備えた靴100とした場合に得られる効果に準じた効果が得られることになり、ミッドソール111と緩衝材1D1’との境界部において周囲に比して剛性が高くなってしまうことが効果的に抑制でき、これにより履き心地に優れた靴底およびこれを備えた靴とすることができる。
<第2変形例>
図18は、第2変形例に係る靴底が具備する緩衝材の斜視図である。以下、この図18を参照して、上述した本実施の形態に基づいた第2変形例に係る靴底が具備する緩衝材1D1”について説明する。なお、当該緩衝材1D1”は、上述した本実施の形態に係る靴底110が具備する緩衝材1D1に代えて、当該靴底110に具備されるものである。
図18に示すように、本変形例に係る靴底が具備する緩衝材1D1”は、上述した第1変形例に係る靴底が具備する緩衝材1D1’と比較した場合に、延設部50が設けられている点においてのみ相違している。具体的には、延設部50は、板状の形状を有しており、下側支持部22と固定用壁部30との接続部から下側支持部22の延在方向に沿って固定用壁部30を超えるように延設されたものである。
延設部50は、緩衝材1D1”のミッドソール111およびアウトソール112に対する接合面積を増大させるための部位であり、この延設部50を設けることにより、緩衝材1D1”がミッドソール111およびアウトソール112に対してより強固に接合されることになる。
したがって、このように構成した場合には、上述した本実施の形態に係る靴底110およびこれを備えた靴100とした場合に得られる効果に準じた効果が得られることになり、ミッドソール111と緩衝材1D1”との境界部において周囲に比して剛性が高くなってしまうことが効果的に抑制でき、これにより履き心地に優れた靴底およびこれを備えた靴とすることができるばかりでなく、さらには耐久性に優れた靴底およびこれを備えた靴とすることができる。
<実施の形態等における開示内容の要約>
上述した実施の形態および実施例ならびにそれらの変形例において開示した特徴的な構成を要約すると、以下のとおりとなる。
本開示のある態様に従った靴底は、接地面が設けられるとともに、当該接地面と直交する方向を厚み方向とするソール本体と、上記ソール本体に組付けられた緩衝材とを備えている。上記ソール本体は、少なくともミッドソールを含んでおり、上記緩衝材は、上記厚み方向と交差する方向において上記ミッドソールと並ぶように配置されている。上記ミッドソールは、上記厚み方向と交差する方向において上記緩衝材に対向するとともに上記厚み方向に対して傾斜する第1対向面を有しており、上記緩衝材は、並行する一対の曲面によって外形が規定される壁にて形作られた立体的形状を有する緩衝部と、上記緩衝部から見て上記第1対向面が位置する側に設けられるとともに、上記第1対向面に対向する第2対向面を有する板状の固定用壁部とを含んでいる。上記固定用壁部は、上記第2対向面が上記第1対向面に並行するように上記厚み方向に対して傾斜して位置している。上記本開示のある態様に従った靴底にあっては、上記第1対向面と上記第2対向面とが接着剤層を介して接着されることにより、上記緩衝材が、上記ミッドソールに固定されている。
上記本開示のある態様に従った靴底にあっては、上記緩衝部が、三重周期極小曲面の単位構造を基準にこれに厚みを付けた単位構造体を形状変化させることで得られる三次元構造部を複数含んでいてもよく、その場合には、上記三次元構造部の各々の無負荷状態における形状が、上記単位構造体が占有する正六面体形状の空間である単位空間を台状の空間に形状変化させた場合に、これに追従するように上記単位構造体を形状変化させることで得られる形状であってもよい。また、その場合には、上記複数の三次元構造部の各々が有する傾斜端部が上記固定用壁部に接続されるように、上記複数の三次元構造部が、上記固定用壁部に沿って列状に並んで配置されていてもよい。
上記本開示のある態様に従った靴底にあっては、上記三重周期極小曲面が、シュワルツPであってもよい。
上記本開示のある態様に従った靴底にあっては、上記固定用壁部には、上記緩衝材の内部の空間であってかつ上記緩衝部を取り巻く空間と上記第2対向面とを繋ぐ複数の貫通孔が設けられていてもよい。
本開示の他の態様に従った靴底は、接地面が設けられるとともに、当該接地面と直交する方向を厚み方向とするソール本体と、上記ソール本体に組付けられた緩衝材とを備えている。上記ソール本体は、少なくともミッドソールを含んでおり、上記緩衝材は、上記厚み方向と交差する方向において上記ミッドソールと並ぶように配置されている。上記ミッドソールは、上記厚み方向と交差する方向において上記緩衝材に対向する第1対向面を有しており、上記緩衝材は、並行する一対の曲面によって外形が規定される壁にて形作られた立体的形状を有する緩衝部と、上記緩衝部から見て上記第1対向面が位置する側に設けられるとともに、上記第1対向面に対向するとともに上記第1対向面に並行する第2対向面を有する板状の固定用壁部とを含んでいる。上記固定用壁部には、上記緩衝材の内部の空間であってかつ上記緩衝部を取り巻く空間と上記第2対向面とを繋ぐ複数の貫通孔が設けられている。上記本開示の他の態様に従った靴底にあっては、上記第1対向面と上記第2対向面とが接着剤層を介して接着されることにより、上記緩衝材が、上記ミッドソールに固定されている。
上記本開示のある態様に従った靴底または上記本開示の他の態様に従った靴底にあっては、上記緩衝材が、上記ソール本体の周縁に沿って位置していてもよい。
本開示のある態様に従った靴は、上述した本開示のある態様に従った靴底または上述した本開示の他の態様に従った靴底と、上記靴底の上方に設けられたアッパーとを備えてなるものである。
<その他の形態等>
上述した実施の形態およびその変形例等においては、靴底の周縁の一部に沿って緩衝材を配設した場合を例示して説明を行なったが、緩衝材を設ける位置はこれに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。たとえば靴底の周縁の全体に沿って緩衝材が配設されてもよいし、靴底の周縁よりも内側の位置に緩衝材が配設されてもよい。さらには、靴底の全域にわたって緩衝材が配設されてもよい。また、当該靴が使用される競技の種類や用途に応じて、靴底の内足側の部分および外足側の部分のいずれかのみに緩衝材が配設されてもよい。さらには、緩衝材は、ミッドソールとアッパーとの間に設けることとしてもよいし、緩衝材自体がアウトソールを兼ねるように構成されてもよい。ここで、靴底の全面に緩衝材を設けるようにする場合には、ミッドソールに代えてその全体を緩衝材に置き換えることとしてもよい。
また、上述した実施の形態およびその変形例等においては、緩衝部を構成する三次元構造部が、シュワルツP構造の単位構造を基準にこれに厚みを付けた単位構造体を形状変化させたものである場合を例示して説明を行なったが、緩衝部を構成する三次元構造部は、この他にも、シュワルツP構造の単位構造を基準にこれに厚みを付けた単位構造体そのものであってもよいし、ジャイロイド構造やシュワルツD構造等の他の三重周期極小曲面の単位構造を基準にこれに厚みを付けた単位構造体そのもの、あるいは、当該単位構造体を形状変化させたもの等であってもよい。
また、上述した実施の形態およびその変形例等においては、シュータンおよびシューレースを備えてなる靴に本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、これらを備えない靴(たとえばソック状のアッパーを備えてなる靴等)およびこれに具備される靴底に本発明を適用してもよい。
また、上述した実施の形態およびその変形例等において開示した特徴的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、相互に組み合わせることが可能である。
このように、今回開示した上記実施の形態等はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
1,1A~1E,1D1~1D3,1D1’,1D1” 緩衝材、10 緩衝部、11 壁、12,12A,12B,12M 三次元構造部、13 開口部、20 支持部、21 上側支持部、21a 貫通孔、22 下側支持部、22a 貫通孔、30 固定用壁部、31 第2対向面、32,32(13) 貫通孔、40,40’,40” 補強部、50 延設部、100 靴、110 靴底、110A,110Y 靴底のシミュレーションモデル、111 ミッドソール、111a 第1対向面、112 アウトソール、112a 接地面、113 接着剤層、120 アッパー、121 アッパー本体、122 シュータン、123 シューレース、A1,A2,B1,B2,C1,C2 対向面、R1 前足部、R2 中足部、R3 後足部、S 単位空間。

Claims (7)

  1. 接地面が設けられるとともに、当該接地面と直交する方向を厚み方向とするソール本体と、
    前記ソール本体に組付けられた緩衝材とを備え、
    前記ソール本体は、少なくともミッドソールを含み、
    前記緩衝材は、前記厚み方向と交差する方向において前記ミッドソールと並ぶように配置され、
    前記ミッドソールは、前記厚み方向と交差する方向において前記緩衝材に対向するとともに前記厚み方向に対して傾斜する第1対向面を有し、
    前記緩衝材は、並行する一対の曲面によって外形が規定される壁にて形作られた立体的形状を有する緩衝部と、前記緩衝部から見て前記第1対向面が位置する側に設けられるとともに、前記第1対向面に対向する第2対向面を有する板状の固定用壁部とを含み、
    前記固定用壁部は、前記第2対向面が前記第1対向面に並行するように前記厚み方向に対して傾斜して位置し、
    前記第1対向面と前記第2対向面とが接着剤層を介して接着されることにより、前記緩衝材が、前記ミッドソールに固定されている、靴底。
  2. 前記緩衝部が、三重周期極小曲面の単位構造を基準にこれに厚みを付けた単位構造体を形状変化させることで得られる三次元構造部を複数含み、
    前記三次元構造部の各々の無負荷状態における形状が、前記単位構造体が占有する正六面体形状の空間である単位空間を台状の空間に形状変化させた場合に、これに追従するように前記単位構造体を形状変化させることで得られる形状であり、
    前記複数の三次元構造部の各々が有する傾斜端部が前記固定用壁部に接続されるように、前記複数の三次元構造部が、前記固定用壁部に沿って列状に並んで配置されている、請求項1に記載の靴底。
  3. 前記三重周期極小曲面が、シュワルツPである、請求項2に記載の靴底。
  4. 前記固定用壁部には、前記緩衝材の内部の空間であってかつ前記緩衝部を取り巻く空間と前記第2対向面とを繋ぐ複数の貫通孔が設けられている、請求項1から3のいずれかに記載の靴底。
  5. 接地面が設けられるとともに、当該接地面と直交する方向を厚み方向とするソール本体と、
    前記ソール本体に組付けられた緩衝材とを備え、
    前記ソール本体は、少なくともミッドソールを含み、
    前記緩衝材は、前記厚み方向と交差する方向において前記ミッドソールと並ぶように配置され、
    前記ミッドソールは、前記厚み方向と交差する方向において前記緩衝材に対向する第1対向面を有し、
    前記緩衝材は、並行する一対の曲面によって外形が規定される壁にて形作られた立体的形状を有する緩衝部と、前記緩衝部から見て前記第1対向面が位置する側に設けられるとともに、前記第1対向面に対向するとともに前記第1対向面に並行する第2対向面を有する板状の固定用壁部とを含み、
    前記固定用壁部には、前記緩衝材の内部の空間であってかつ前記緩衝部を取り巻く空間と前記第2対向面とを繋ぐ複数の貫通孔が設けられ、
    前記第1対向面と前記第2対向面とが接着剤層を介して接着されることにより、前記緩衝材が、前記ミッドソールに固定されている、靴底。
  6. 前記緩衝材が、前記ソール本体の周縁に沿って位置している、請求項1から5のいずれかに記載の靴底。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の靴底と、
    前記靴底の上方に設けられたアッパーとを備えた、靴。
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