1.遊技機の構造
本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2とを備えている。遊技機枠50のうちの前面枠51には、回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル60、遊技球を貯留する打球供給皿(上皿)61、及び打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62が設けられている。また前面枠51には、遊技の進行に伴って実行される演出時などに遊技者が操作し得る演出ボタン63およびセレクトボタン64(図1中の一点鎖線内の平面図参照)が設けられている。また前面枠51には、装飾用の枠ランプ66およびスピーカ67が設けられている。
遊技盤2には、ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。また遊技盤2には、装飾用の盤ランプ5(図5参照)が設けられている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技くぎ(図示せず)が突設されている。
また遊技領域3の中央付近には、液晶表示装置である画像表示装置7(所定の表示手段)が設けられている。画像表示装置7の表示画面7a(表示部)には、後述の第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示(可変表示)に同期した演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8Rの変動表示を行う演出図柄表示領域がある。演出図柄表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの表示領域からなる。左の表示領域には左演出図柄8Lが表示され、中の表示領域には中演出図柄8Cが表示され、右の表示領域には右演出図柄8Rが表示される。演出図柄はそれぞれ、例えば「1」~「8」までの数字をあらわした複数の図柄からなる。画像表示装置7は、左、中、右の演出図柄の組み合わせによって、後述の第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41b(図3参照)にて表示される第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示の結果(つまりは大当たり抽選の結果)を、わかりやすく表示する。
例えば大当たりや小当りに当選した場合には「777」などのゾロ目で演出図柄を停止表示する。また、はずれ(通常ハズレ)であった場合には「263」などのバラケ目で演出図柄を停止表示する。これにより、遊技者にとっては遊技の進行状況の把握が容易となる。つまり遊技者は、一般的には大当たり抽選の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bにより把握するのではなく、画像表示装置7にて把握する。なお、演出図柄8L,8C,8Rの表示領域の位置は固定的でなくてもよい。また、演出図柄の変動表示の態様としては、例えば上下方向にスクロールする態様がある。また、各抽選結果に応じてどのような演出図柄の組み合わせを停止表示するかは任意に変更可能であり、小当たり当選時にバラケ目で演出図柄を停止表示するようにしてもよい。
画像表示装置7は、上記のような演出図柄を用いた演出図柄変動演出(「装飾図柄変動演出」や単に「変動演出」とも言う)のほか、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出や、客待ち用のデモ演出などを表示画面7aに表示する。なお演出図柄変動演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の演出画像も表示される。
また画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留の記憶数に応じて演出保留9Aを表示する第1演出保留表示エリアと、後述の第2特図保留の記憶数に応じて演出保留9Bを表示する第2演出保留表示エリアとがある。演出保留の表示により、後述の第1特図保留表示器43aにて表示される第1特図保留の記憶数および第2特図保留表示器43b(図3参照)にて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことが可能となっている。
遊技領域3の中央付近であって画像表示装置7の前方には、センター装飾体10が配されている。センター装飾体10の下部には、上面を転動する遊技球を、後述の第1始動口20へと誘導可能なステージ部11が形成されている。またセンター装飾体10の左部には、入口から遊技球を流入させ、出口からステージ部11へ遊技球を流出させるワープ部12が設けられている。さらにセンター装飾体10の上部には、文字や図形等を表した装飾部材13が配されている。
遊技領域3における画像表示装置7の下方には、遊技球の入球し易さが常に変わらない第1始動口20(他の始動口の一例)を備える固定入賞装置19が設けられている。第1始動口20を、第1始動入賞口や固定始動口、固定入球口、第1入球口ともいう。第1始動口20への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
また第1始動口20の右上方には、第2始動口21を備える普通可変入賞装置(いわゆる電チュー)22が設けられている。第2始動口21を第2始動入賞口や可変始動口、可変入球口、第2入球口ともいう。第2始動口21への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
電チュー22は、前後に進退可能な可動部材(入球口開閉部材)23を備え、可動部材23の作動によって第2始動口21を開閉するものである。可動部材23は、電チューソレノイド24(図4参照)により駆動される。第2始動口21は、可動部材23が開いているとき(つまり可動部材23が開状態(第1状態)をとっているとき)だけ遊技球が入球可能となる。すなわち、可動部材23が閉じているとき(つまり可動部材23が閉状態(第2状態)をとっているとき)には遊技球が入球不可能となっている。なお、第2始動口21は、可動部材23が閉じているときには開いているときよりも遊技球が入球困難となるものであれば、可動部材23が閉じているときに完全に入球不可能となるものでなくてもよい。
また、遊技領域3における第1始動口20の下方には、第1大入賞口30を備えた第1大入賞装置31が設けられている。第1大入賞装置31を、第1特別可変入賞装置や、他の特別入賞手段ともいい、第1大入賞口30を他の特別入賞口ともいう。第1大入賞装置31は、開状態と閉状態とをとる開閉部材(他の特別入賞口開閉部材)32を備え、開閉部材32の作動により第1大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、第1大入賞口ソレノイド33(図4参照)により駆動される。第1大入賞口30は、開閉部材32が開いているとき(つまり開状態のとき)だけ遊技球が入球可能となる。
また、遊技領域3における第1大入賞口30の右方には、第2大入賞口35を備えた第2大入賞装置36が設けられている。第2大入賞装置36を、第2特別可変入賞装置、特別入賞手段ともいい、第2大入賞口35を特別入賞口ともいう。第2大入賞装置36は、開状態と閉状態とをとる開閉部材(特別入賞口開閉部材)37を備え、開閉部材37の作動により第2大入賞口35を開閉するものである。開閉部材37は、前後に進退する進退式のものであり、第2大入賞口ソレノイド38(図4参照)により駆動される。第2大入賞口35は、開閉部材37が開いているとき(つまり開状態のとき)だけ遊技球が入球可能となる。
より詳細には、図2に示すように、第2大入賞装置36の内部には、第2大入賞口35を通過した遊技球が通過可能な特定領域(V領域)39および非特定領域70が形成されている。なお、第2大入賞装置36において、特定領域39および非特定領域70の上流には、第2大入賞口35への遊技球の入賞を検知する第2大入賞口センサ35aが配されている。また、特定領域39には、特定領域39への遊技球の通過を検知する特定領域センサ39aが配されている。また、非特定領域70には、非特定領域70への遊技球の通過を検知する非特定領域センサ70aが配されている。また、第2大入賞装置36は、第2大入賞口35を通過した遊技球を特定領域39または非特定領域70のいずれかに振り分ける振分部材71と、振分部材71を駆動する振分部材ソレノイド73とを備えている。なお、振分部材71は、振分部材ソレノイド73の通電時には、遊技球を特定領域39に振り分ける第1の状態(通過許容状態)をとり、振分部材ソレノイド73の非通電時には、遊技球を非特定領域70に振り分ける第2の状態(通過阻止状態)をとる。
振分部材71は、図2に二点鎖線で示すように、振分部材ソレノイド73の通電時には、特定領域39への遊技球の通過を許容する通過許容状態にある。振分部材71が通過許容状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと特定領域39を通過する。この遊技球のルートを第1のルートという。
また振分部材71は、図2に破線で示すように、振分部材ソレノイド73の非通電時には、特定領域39への遊技球の通過を妨げる通過阻止状態にある。振分部材71が通過阻止状態にあるときは、第2大入賞口35に入賞した遊技球は、第2大入賞口センサ35aを通過したあと振分部材71上を転動して非特定領域70を通過する。この遊技球のルートを第2のルートという。
なお本パチンコ遊技機1では、特定領域39への遊技球の通過は、後述の大当たり遊技の実行契機となっている。つまり本形態では、特定領域39への遊技球の通過の有無によっても大当たり抽選を行っている。上述の第1特別図柄の抽選又は第2特別図柄の抽選により当選する大当たりを1種大当たりといい、特定領域39への遊技球の通過によって当選する大当たりを2種大当たりという。また、1種大当たりに当選して実行される大当たり遊技を1種大当たり遊技といい、2種大当たりに当選して実行される大当たり遊技を2種大当たり遊技という。また、1種大当たりを直撃大当たりともいう。
また図1に示すように、遊技領域3における第2始動口21の上方には、遊技球が通過可能なゲート28が設けられている。ゲート28への遊技球の通過は、電チュー22を開放するか否かを決める普通図柄抽選(すなわち普通図柄乱数(当たり乱数)の取得と判定)の実行契機となっている。
さらに遊技領域3の左下部には、普通入賞口27が設けられている。また遊技領域3の最下部には、遊技領域3へ打ち込まれたもののいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口6が設けられている。
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域3には、左右方向の中央より左側の左遊技領域(第1遊技領域)3Aと、右側の右遊技領域(第2遊技領域)3Bとがある。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちという。一方、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本形態のパチンコ遊技機1では、左打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第1流路R1といい、右打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第2流路R2という。
第1流路R1上には、第1始動口20と、第1大入賞装置31と、アウト口6とが設けられている。遊技者は第1流路R1を流下するように遊技球を打ち込むことで、第1始動口20への入賞を狙う。
一方、第2流路R2上には、ゲート28と、電チュー22と、第2大入賞装置36と、第1大入賞装置31と、アウト口6とが設けられている。遊技者は第2流路R2を流下するように遊技球を打ち込むことで、ゲート28への通過、電チュー22に係る第2始動口21、第1大入賞口30、又は第2大入賞口35への入賞を狙う。
なお本形態では、ゲート28と、電チュー22と、第2大入賞装置36とはユニット化されており、1つの構造体として遊技盤2に対して着脱可能となっている。また、固定入賞装置19と第1大入賞装置31とはユニット化されており、1つの構造体として遊技盤2に対して着脱可能となっている。
また図1および図3に示すように、遊技盤2の右下部には表示器類40が配置されている。表示器類40には、第1特別図柄(特図1、所定の図柄の一例)を可変表示する第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄(特図2、所定の図柄の一例)を可変表示する第2特別図柄表示器41b、及び、普通図柄(普図)を可変表示する普通図柄表示器42が含まれている。また表示器類40には、第1特別図柄表示器41aの作動保留(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43a、及び、第2特別図柄表示器41bの作動保留(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43bが含まれている。第1特図保留を特図1保留ともいい、第2特図保留を特図2保留ともいう。
第1特別図柄の可変表示は、第1始動口20への遊技球の入賞を契機として行われる。第2特別図柄の可変表示は、第2始動口21への遊技球の入賞を契機として行われる。なお以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して特別図柄(特図)ということがある。また、第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示器41ということがある。また、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称して特図保留表示器43ということがある。
特別図柄表示器41では、特別図柄(識別情報)を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた大当たり停止態様の特別図柄(大当たり図柄)である場合には、停止表示された大当たり図柄の種別(つまり当選した大当たりの種類)に応じた開放パターンにて第1大入賞口30を開放させる大当たり遊技が行われる。また、停止図柄が予め定めた小当たり停止態様の特別図柄(小当たり図柄)である場合には、停止表示された小当たり図柄の種別(つまり当選した小当たりの種類)に応じた開放パターンにて第2大入賞口35を開放させる小当たり遊技が行われる。なお、大当たり遊技及び小当たり遊技における大入賞口(第1大入賞口30及び第2大入賞口35)の開放パターンについては後述する。
具体的には特別図柄表示器41は、例えば横並びに配された8個のLEDから構成されており、その点灯態様によって大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示するものである。例えば大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「○○●●○○●●」(○:点灯、●:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯した大当たり図柄を表示する。また、小当たり(後述の複数種類の小当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「●●●●○○●●」というように左から5,6番目にあるLEDが点灯した小当たり図柄を表示する。また、ハズレ(後述の複数種類のハズレのうちの一つ)である場合には、「●●●●●●●○」というように一番右にあるLEDのみが点灯したハズレ図柄を表示する。なお、ハズレ図柄の一つとして全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示(可変表示)がなされるが、その変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなど、適宜変更可能である。
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(判定情報)は、特図保留記憶部85(図4参照)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入賞であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部85a(図4参照)に記憶され、第2始動口21への入賞であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部85b(図4参照)に記憶される。各々の特図保留記憶部85に記憶可能な特図保留の数には上限があり、本形態における上限値(上限記憶数、上限保留数)は第1特図保留記憶部85aが「4」、第2特図保留記憶部85bが「3」となっている。
特図保留記憶部85に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、すなわち特別図柄の可変表示の実行中や特別遊技(大当たり遊技又は小当たり遊技)の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。つまり本形態のパチンコ遊技機1は、第1始動口20(固定始動口)への入球に基づく大当たり抽選(後述の大当たり判定処理)の実行を保留可能な保留手段と、第2始動口21(可変始動口)への入球に基づく大当たり抽選(大当たり判定処理)の実行を保留可能な保留手段とを備えている。
そしてこのような特図保留の数は、特図保留表示器43に表示される。具体的には第1特図保留表示器43aは4個のLEDで構成され、第2特図保留表示器43bは3個のLEDで構成されていている。各特図保留表示器43は、特図保留の数だけLEDを点灯させることにより特図保留の数を表示する。
普通図柄の可変表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄(普図停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される普通図柄)は、普通図柄抽選によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(普通当たり図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。なお、第2始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的には普通図柄表示器42は、例えば2個のLEDから構成されており(図3参照)、その点灯態様によって普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば抽選結果が当たりである場合には、「○○」(○:点灯、●:消灯)というように両LEDが点灯した普通当たり図柄を表示する。また抽選結果がハズレである場合には、「●○」というように右のLEDのみが点灯した普通ハズレ図柄を表示する。普通ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示(可変表示)がなされるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなど、適宜変更可能である。
なお本パチンコ遊技機1は、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の可変表示がその通過後にすぐに行えない場合、すなわち普通図柄の可変表示の実行中や補助遊技の実行中にゲート28への通過があった場合には、その通過に基づく普通図柄乱数の取得を行わない構成である。すなわち、普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)を記憶しない構成である。なお、普図保留をRAM84(図4参照)内の所定の記憶領域に所定の上限数(例えば「4」)まで記憶可能な構成としてもよい。この場合、RAM84に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の可変表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄乱数を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の可変表示を実行することをいう。またこの場合、普図保留の記憶数を表示する普図保留表示器を設けるとよい。
2.遊技機の電気的構成
次に図4及び図5に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。図4及び図5に示すようにパチンコ遊技機1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う主制御基板(遊技制御基板)80、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板(演出制御基板)90、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110等を備えている。主制御基板80は、メイン制御部を構成し、サブ制御基板90は、後述する画像制御基板100、ランプ制御基板107、および音声制御基板106とともにサブ制御部99を構成する。なお、サブ制御部99は、少なくともサブ制御基板90を備え、演出手段(画像表示装置7や盤ランプ5、枠ランプ66、スピーカ67、盤可動体15等)を用いた各種の演出を制御可能であればよい。
またパチンコ遊技機1は、電源基板150を備えている。電源基板150は、主制御基板80、サブ制御基板90、及び払出制御基板110に対して電力を供給するとともに、これらの基板を介してその他の機器に対して必要な電力を供給する。電源基板150には、バックアップ電源回路151が設けられている。バックアップ電源回路151は、本パチンコ遊技機1に対して電力が供給されていない場合に、後述する主制御基板80のRAM84やサブ制御基板90のRAM94に対して電力を供給する。従って、主制御基板80のRAM84やサブ制御基板90のRAM94に記憶されている情報は、パチンコ遊技機1の電断時であっても保持される。また、電源基板150には、電源スイッチ155が接続されている。電源スイッチ155のON/OFF操作により、電源の投入/遮断が切替えられる。なお、主制御基板80のRAM84に対するバックアップ電源回路を主制御基板80に設けたり、サブ制御基板90のRAM94に対するバックアップ電源回路をサブ制御基板90に設けたりしてもよい。
また電源基板150には、後述する遊技制御用マイコン81のRAM84に記憶されている情報をCPU82にクリアさせるためのRAMクリアスイッチ(RAMクリア操作手段)152が設けられている。なお、RAMクリアスイッチ152は、本パチンコ遊技機1の裏側に配置された電源基板150上に設けられている。そのため、遊技機枠50を開放可能な遊技場の従業員等でなければ、RAMクリアスイッチ152を操作することはできない。即ち、RAMクリアスイッチ152は、実質的に遊技者による操作が不可能な操作手段といえる。なお、RAMクリアスイッチ152は、タクトスイッチであり、RAMクリアスイッチ152が押下操作されると、RAMクリアスイッチ152がONであることを示す検出信号が遊技制御用マイコン81に入力される。RAMクリアスイッチ152が押されている状態をRAMクリアスイッチ152のON状態といい、RAMクリアスイッチ152が押されていない状態をRAMクリアスイッチ152のOFF状態という。
図4に示すように、主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM83、ワークメモリとして使用されるRAM84、ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)87が含まれている。なお、ROM83は外付けであってもよい。RAM84には、上述した特図保留記憶部85(第1特図保留記憶部85a及び第2特図保留記憶部85b)が設けられている。
また主制御基板80には、図4に示すように、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a、非特定領域センサ70a、および普通入賞口センサ27aが接続されている。
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検出するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入賞した遊技球を検出するものである。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入賞した遊技球を検出するものである。特定領域センサ39aは、第2大入賞口35内の特定領域39に設けられて特定領域39を通過した遊技球を検出するものである。非特定領域センサ70aは、第2大入賞口35内の非特定領域70に設けられて非特定領域70を通過した遊技球を検出するものである。普通入賞口センサ27aは、普通入賞口27内にそれぞれ設けられて普通入賞口27に入賞した遊技球を検出するものである。
またソレノイド類としては、電チューソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38、および振分部材ソレノイド73が接続されている。電チューソレノイド24は、電チュー22の可動部材23を駆動するものである。第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するものである。第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動するものである。振分部材ソレノイド73は、第2大入賞装置36の振分部材71を駆動するものである。
さらに主制御基板80には、第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄表示器41b、普通図柄表示器42、第1特図保留表示器43a、および第2特図保留表示器43bが接続されている。すなわち、これらの表示器類40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
また主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球払出装置120およびカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されたプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御回路111を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には、ハンドル60(図1参照)が含まれる。
払出制御基板110は、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球の払い出しを行ったりする。払い出される賞球や貸球は、その計数のため賞球センサ122により検知される。なお遊技者による発射装置112のハンドル60(図1参照)の操作があった場合には、タッチスイッチ114がハンドル60への接触を検知し、発射ボリューム115がハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動されることとなる。なお本パチンコ遊技機1においては、0.6秒程度で一発の遊技球が発射されるようになっている。
また主制御基板80は、サブ制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との接続は、主制御基板80からサブ制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80とサブ制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
図5に示すように、サブ制御基板90には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)91が実装されている。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM93、ワークメモリとして使用されるRAM94、ROM93に記憶されたプログラムを実行するCPU92、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)97が含まれている。なお、ROM93は外付けであってもよい。
また図5に示すように、サブ制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、ランプ制御基板107が接続されている。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100のCPU102に画像表示装置7の表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAM104は、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板100のROM103には、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御基板100のCPU102は、演出制御用マイコン91からの指令に基づいてROM103から画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音響データは、サブ制御基板90のROM93に格納されている。なお、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御基板100のCPU102に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROM103に音響データを格納してもよい。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107を介して枠ランプ66や盤ランプ5等のランプの点灯制御を行う。詳細には演出制御用マイコン91は、枠ランプ66や盤ランプ5等のランプの発光態様を決める発光データ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を作成し、発光データに従って枠ランプ66や盤ランプ5などのランプの発光を制御する。なお、発光データの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。
さらに演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107に中継基板108を介して接続された盤可動体15を動作させる。なお盤可動体15は、図1では図示を省略したが、センター装飾体10に設けられた可動式のいわゆるギミックのことである。詳細には演出制御用マイコン91は、盤可動体15の動作態様を決める動作パターンデータ(駆動データともいう)を作成し、動作パターンデータに従って盤可動体15の動作を制御する。動作パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。なお、ランプ制御基板107にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUにランプの点灯制御や盤可動体15の動作制御を実行させてもよい。さらにこの場合、ランプ制御基板107にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
またサブ制御基板90には、演出ボタン検出スイッチ(SW)63a及びセレクトボタン検出スイッチ64aが接続されている。演出ボタン検出スイッチ63aは、演出ボタン63(図1参照)が押下操作されたことを検出するものである。演出ボタン63が押されると演出ボタン検出スイッチ63aからサブ制御基板90に対して検知信号が出力される。また、セレクトボタン検出スイッチ64aは、セレクトボタン64(図1参照)が押下操作されたことを検出するものである。セレクトボタン64が押されるとセレクトボタン検出スイッチ64aからサブ制御基板90に対して検知信号が出力される。
なお図4及び図5は、あくまで本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明するための機能ブロック図であり、図4及び図5に示す基板だけが設けられているわけではない。主制御基板80を除いて、図4及び図5に示す何れか複数の基板を1つの基板として構成しても良く、図4及び図5に示す1つの基板を複数の基板として構成しても良い。
3.遊技機における主な遊技
次に、パチンコ遊技機1により行われる主な遊技について説明する。パチンコ遊技機1は、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて、特図関係乱数を取得する。特図関係乱数には、図6(A)に示すように、大当たり乱数、図柄種別乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数がある。大当たり乱数は、大当たりの当否判定や小当たりの当否判定に用いられる。大当たり乱数は、0~65535までの範囲で値をとる。図柄種別乱数は、大当たり図柄の種別判定や小当たり図柄の種別判定、ハズレ図柄の種別判定に用いられる。図柄種別乱数は、0~1999までの範囲で値をとる。
また、リーチ乱数は、当否判定の結果がはずれである場合に、その結果を示す変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは、複数の演出図柄のうち変動表示されている演出図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す演出図柄の組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお、リーチ状態において停止表示されている演出図柄は、表示画面7a内で多少揺れているように表示されていたり、拡大と縮小を繰り返すように表示されていたりしてもよい。リーチ乱数は、0~255までの範囲で値をとる。
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0~99までの範囲で値をとる。なお、乱数を判定情報とも言う。
また、パチンコ遊技機1は、ゲート28への遊技球の通過に基づいて、図6(B)に示す普通図柄乱数(当たり乱数)を取得する。普通図柄乱数は、電チュー22を開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0~65535までの範囲で値をとる。
パチンコ遊技機1は、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得した大当たり乱数を、図7(A)に示す大当たり判定テーブルに従って判定することにより、大当たりか否か、及び、小当たりか否かを決定する。図7(A)に示すように、第1始動口20への入賞に基づく第1特別図柄(特図1)の抽選では、所定の確率で大当たりに当選するが、小当たりに当選することはない。一方、第2始動口21への入賞に基づく第2特別図柄(特図2)の抽選では、必ず小当たりに当選する。すなわち、特図2の抽選では、大当たり(1種大当たり)に当選することはなく、またハズレとなることもない。
パチンコ遊技機1は、大当たり当選と判定した場合、図柄種別乱数を、図7(B)に示す大当たり図柄種別判定テーブルに従って判定することにより、大当たり図柄の種別を決定する。特図1の抽選では、1%の割合で、「特図1_大当たり図柄A」に決定し、1%の割合で、「特図1_大当たり図柄B」に決定し、48%の割合で、「特図1_大当たり図柄C」に決定し、50%の割合で、「特図1_大当たり図柄D」に決定する。なお、特図2の抽選の結果に大当たり(1種大当たり)は含まれない。当選した大当たり図柄の種別が異なると、1種大当たり遊技における大入賞口の開放パターンや、大当たり遊技後の遊技状態に関する設定が異なる(図8参照)。この点については後述する。
またパチンコ遊技機1は、小当たり当選と判定した場合、図柄種別乱数を、図7(C)に示す小当たり図柄種別判定テーブルに従って判定することにより、小当たり図柄の種別を決定する。具体的には特図2の抽選では、2%の割合で、「特図2_小当たり図柄a」に決定し、2%の割合で、「特図2_小当たり図柄b」に決定し、16%の割合で、「特図2_小当たり図柄c」に決定し、50%の割合で、「特図2_小当たり図柄d」に決定し、30%の割合で、「特図2_小当たり図柄e」に決定する。当選した小当たり図柄の種別が異なると、小当たり遊技や2種大当たり遊技における大入賞口の開放パターンや、大当たり遊技後の遊技状態に関する設定が異なる(図8参照)。この点については後述する。
またパチンコ遊技機1は、大当たりにも小当たりにも当選していないと判定した場合(つまりハズレと判定した場合)、図柄種別乱数を、図7(D)に示すハズレ図柄種別判定テーブルに従って判定することにより、ハズレ図柄の種別を決定する。特図1の抽選では、99.85%の割合で、「特図1_ハズレ図柄A」に決定し、0.05%の割合で、「特図1_ハズレ図柄B」に決定し、0.1%の割合で、「特図1_ハズレ図柄C」に決定する。なお、特図2の抽選の結果にハズレは含まれない。ハズレ図柄の種別の違いは、ハズレ図柄が停止表示された後の遊技状態に関する設定に影響を与える(図9(A)参照)。この点については後述する。
またパチンコ遊技機1は、ハズレと判定した場合、リーチ乱数を、図7(E)に示すリーチ判定テーブルに従って判定することにより、変動演出において演出図柄8L,8C,8Rをリーチにするか否かを決定可能である。リーチ有りと判定される確率は、遊技状態が後述の時短状態であるか否かによって異なっている。時短状態でないときの方が、時短状態であるときよりも、リーチ有りと判定される確率が高い。
次に、大当たりの種類、小当たりの種類、ハズレの種類について、図8及び図9(A)に基づいて詳細に説明する。上述したように、特別図柄抽選(特図1の抽選や特図2の抽選)の結果には、「大当たり」、「小当たり」、「はずれ」がある。「大当たり」のときには、特別図柄表示器41に「大当たり図柄」が停止表示される。大当たり図柄には、「特図1_大当たり図柄A」、「特図1_大当たり図柄B」、「特図1_大当たり図柄C」、「特図1_大当たり図柄D」がある。また、「小当たり」のときには、特別図柄表示器41に「小当たり図柄」が停止表示される。小当たり図柄には、「特図2_小当たり図柄a」、「特図2_小当たり図柄b」、「特図2_小当たり図柄c」、「特図2_小当たり図柄d」、「特図2_小当たり図柄e」がある。「はずれ」のときには、特別図柄表示器41に「ハズレ図柄」が停止表示される。ハズレ図柄には、「特図1_ハズレ図柄A」、「特図1_ハズレ図柄B」、「特図1_ハズレ図柄C」がある。
特別図柄抽選にて大当たりに当選すると、停止表示された大当たり図柄の種別に応じた開放パターンにて第1大入賞口30を開放させる「大当たり遊技」が実行される。小当たりに当選すると、停止表示された小当たり図柄の種別に応じた開放パターンにて第2大入賞口35を開放させる「小当たり遊技」が実行される。そして、小当たり遊技の実行中に第2大入賞口35内の特定領域39に遊技球が進入すると、当選している小当たり図柄の種別に応じた開放パターンにて第1大入賞口30を開放させる「大当たり遊技」が実行される。特別図柄抽選の結果が大当たり当選であることに基づいて実行される大当たり遊技を1種大当たり遊技と称し、特定領域39への通過に基づいて実行される大当たり遊技を2種大当たり遊技と称する。2種大当たり遊技は、特定領域39への通過に基づいて当選する大当たりと言える。また、2種大当たり遊技は、特定領域39への通過の前に特別図柄抽選において小当たりに当選することが必要であることから、特別図柄抽選に基づいて実行される大当たり遊技であると言える。
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
また小当たり遊技は、本形態では、第2大入賞口35を開放する小当たり開放遊技と、小当たり開放遊技が開始される前のオープニング(開放前インターバル)と、小当たり開放遊技が終了した後のエンディング(閉鎖後インターバル)とを含んでいる。
特別図柄抽選の結果、大当たりに当選すると(つまり1種大当たりに当選すると)、第1大入賞口30を開放させる大当たり遊技(1種大当たり遊技)が実行される。本形態では図8に示すように、第1特別図柄(特図1)の抽選で当選可能な大当たり図柄(第1特別図柄表示器41aに停止表示される大当たり図柄)の種別には4種類ある。具体的には特図1の抽選では、「特図1_大当たり図柄A」、「特図1_大当たり図柄B」、「特図1_大当たり図柄C」、「特図1_大当たり図柄D」に当選する可能性がある。
図8に示すように、「特図1_大当たり図柄A」、「特図1_大当たり図柄B」、「特図1_大当たり図柄C」、及び「特図1_大当たり図柄D」は何れも、4R(ラウンド)大当たりであり、1Rあたりの第1大入賞口30の開放回数は1回であり、その最大開放時間は29.5秒である。
そして、「大当たり図柄A」に当選した場合の大当たり遊技後の遊技状態は、当選時の遊技状態が何れの遊技状態であっても、後述の「時短状態X」(複数種類ある時短状態のうちの1つ)である。本形態では、時短状態の終了条件として、補助遊技の実行回数が予め定められた上限実行回数に至ることという条件が設定されている。時短状態Xでは、時短状態終了となる補助遊技の実行回数(以下「上限補助遊技回数」とも称する)は、4回(第1回数の一例)に設定される。上限補助遊技回数が4回に設定される時短状態Xでは、1回目の補助遊技において第2始動口21への入賞が1球可能となり、その入賞に基づく特図2の変動表示中に、2回目、3回目、4回目の補助遊技がなされることとなり、この各補助遊技においてそれぞれ1球ずつの第2始動口21への入賞が可能となる。つまり、時短状態Xに制御されると、特図2保留を上限数である「3」(第1の数の一例)まで貯めることが可能である。
また、「大当たり図柄B」に当選した場合の大当たり遊技後の遊技状態は、当選時の遊技状態が何れの遊技状態であっても、後述の「時短状態Y」(複数種類ある時短状態のうちの1つ)である。時短状態Yでは、時短状態終了となる補助遊技の実行回数(上限補助遊技回数)は2回(第2回数の一例)に設定される。上限補助遊技回数が2回に設定される時短状態Yでは、1回目の補助遊技において第2始動口21への入賞が1球可能となり、その入賞に基づく特図2の変動表示中に、2回目の補助遊技がなされることとなり、この各補助遊技において第2始動口21への入賞が1球可能となる。つまり、時短状態Yに制御されると、特図2保留を上限数まで貯めることはできず、貯めることができる特図2保留は1つ(第2の数の一例)だけである。
また、「大当たり図柄C」に当選した場合の大当たり遊技後の遊技状態は、当選時の遊技状態が何れの遊技状態であっても、後述の「時短状態Z」(複数種類ある時短状態のうちの1つ)である。時短状態Zでは、時短状態終了となる補助遊技の実行回数(上限補助遊技回数)は1回(第3回数の一例)に設定される。上限補助遊技回数が1回に設定される時短状態Zでは、1回目の補助遊技において第2始動口21への入賞が1球可能となるだけであり、その入賞に基づく特図2の変動表示中は非時短状態となるため、特図2保留を1つも貯めることはできない。
また、「大当たり図柄D」に当選した場合の大当たり遊技後の遊技状態は、当選時の遊技状態が何れの遊技状態であっても、後述の「非時短状態」である。なお、遊技状態の詳細については後述する。
また特別図柄抽選の結果、小当たりに当選すると、第2大入賞口35を1回開放させる小当たり遊技が実行される。小当たり遊技によって開放された第2大入賞口35へ遊技球が入賞し、その遊技球が第2大入賞装置36内の特定領域39を通過した場合には、大当たり当選となり、続けて第1大入賞口30を開放させる大当たり遊技(2種大当たり遊技)が実行される。この大当たり遊技(特定領域39への通過を契機とする大当たり遊技)が実行された場合には、小当たり遊技としての第2大入賞口35の開放が1R目に相当することになる。なお、小当たり遊技において特定領域39への遊技球の通過がなければ、大当たり遊技は実行されない。大当たり遊技や小当たり遊技は、特別遊技の一例である。なお、特別遊技においては1ラウンド中に複数回大入賞口を開放させるラウンドがあってもよい。
本形態では図8に示すように、特図2の抽選で当選可能な小当たり図柄(第2特別図柄表示器41bに停止表示される小当たり図柄)の種別は5種類である。具体的には特図2の抽選では、「特図2_小当たり図柄a」、「特図2_小当たり図柄b」、「特図2_小当たり図柄c」、「特図2_小当たり図柄d」、「特図2_小当たり図柄e」に当選する可能性がある。
「小当たり図柄a」、「小当たり図柄b」、「小当たり図柄c」、「小当たり図柄d」、及び「小当たり図柄e」は、正しく遊技する限り、特定領域39への通過(V通過ともいう)が必ず可能な小当たりである。つまり本形態では、特図2の抽選に基づく小当たり当選は、実質的には大当たり当選と同じ意味をもつ。
各種別の小当たり図柄に基づく小当たり遊技では、第2大入賞口35の1.6秒開放が1回行われる。また、各小当たり遊技におけるオープニングの時間は、0.008秒である。また、特定領域39への遊技球の通過に基づいて実行される大当たり遊技(2種大当たり遊技)では、「小当たり図柄a」、「小当たり図柄b」「小当たり図柄c」、「小当たり図柄d」、「小当たり図柄e」の何れに基づく2種大当たり遊技でも、2R目から11R目まで1Rあたり1回、最大開放時間を29.5秒として第1大入賞口30を開放させる。つまり実質的に10Rの2種大当たり遊技が実行される。この2種大当たり遊技の実行後の遊技状態は、当選時の遊技状態、及び、当選した小当たり図柄の種類に応じて変わってくる。なお本形態では、時短状態として、電チュー22への入賞し易さを決める各種のパラメータ(普通図柄の変動時間、電チューの開放時間など)が異なる3つの時短状態(時短状態X、時短状態Y、時短状態Z)がある。
時短状態Xにおいて「小当たり図柄a」、「小当たり図柄b」、「小当たり図柄c」、又は「小当たり図柄d」に当選した場合には、2種大当たり遊技後の遊技状態は時短状態Xであり、上限補助遊技回数は4回に設定される。また、時短状態Xにおいて「小当たり図柄e」に当選した場合には、2種大当たり遊技後の遊技状態は非時短状態である。各小当たり図柄の振分率は図8に示す通りであるため、時短状態Xにおいて小当たりに当選した場合の2種大当たり遊技後の遊技状態は、70%の割合で再び、上限補助遊技回数が4回の時短状態Xとなり、30%の割合で、非時短状態となる。
また、時短状態Yにおいて「小当たり図柄a」、「小当たり図柄b」、「小当たり図柄c」、又は「小当たり図柄d」に当選した場合には、2種大当たり遊技後の遊技状態は時短状態Yであり、上限補助遊技回数は2回に設定される。また、時短状態Yにおいて「小当たり図柄e」に当選した場合には、2種大当たり遊技後の遊技状態は非時短状態である。各小当たり図柄の振分率は図8に示す通りであるため、時短状態Yにおいて小当たりに当選した場合の2種大当たり遊技後の遊技状態は、70%の割合で再び、上限補助遊技回数が2回の時短状態Yとなり、30%の割合で、非時短状態となる。
また、時短状態Zにおいて「小当たり図柄a」に当選した場合には、2種大当たり遊技後の遊技状態は時短状態Xであり、上限補助遊技回数は4回に設定される。また、時短状態Zにおいて「小当たり図柄b」に当選した場合には、2種大当たり遊技後の遊技状態は時短状態Yであり、上限補助遊技回数は2回に設定される。また、時短状態Zにおいて「小当たり図柄c」又は「小当たり図柄d」に当選した場合には、2種大当たり遊技後の遊技状態は時短状態Zであり、上限補助遊技回数は1回に設定される。また、時短状態Zにおいて「小当たり図柄e」に当選した場合には、2種大当たり遊技後の遊技状態は非時短状態である。各小当たり図柄の振分率は図8に示す通りであるため、時短状態Zにおいて小当たりに当選した場合の2種大当たり遊技後の遊技状態は、2%の割合で、上限補助遊技回数が4回の時短状態Xとなり、2%の割合で、上限補助遊技回数が2回の時短状態Yとなり、66%の割合で、上限補助遊技回数が1回の時短状態Zとなり、30%の割合で、非時短状態となる。
また、非時短状態において「小当たり図柄a」、「小当たり図柄b」、又は「小当たり図柄c」に当選した場合には、2種大当たり遊技後の遊技状態は時短状態Xであり、上限補助遊技回数は4回に設定される。また、非時短状態において「小当たり図柄d」、又は「小当たり図柄e」に当選した場合には、2種大当たり遊技後の遊技状態は非時短状態である。各小当たり図柄の振分率は図8に示す通りであるため、非時短状態において小当たりに当選した場合の2種大当たり遊技後の遊技状態は、20%の割合で、上限補助遊技回数が4回の時短状態Xとなり、80%の割合で、非時短状態となる。なお、非時短状態において小当たりに当選するのは、特図2保留が1つ以上残っている状態で、大当たり遊技の終了に応じて非時短状態に制御される場合である。
また特別図柄抽選の結果、ハズレと判定されると、ハズレ図柄の種別が決定される。図9(A)に示すように、特図1の抽選で決定されるハズレ図柄(第1特別図柄表示器41aに停止表示されるハズレ図柄)の種別は3種類ある。具体的には特図1の抽選では、「特図1_ハズレ図柄A」、「特図1_ハズレ図柄B」、「特図1_ハズレ図柄C」の何れかに決定される。
「特図1_ハズレ図柄A」は、通常ハズレであり、「特図1_ハズレ図柄B」及び「特図1_ハズレ図柄C」は、特殊ハズレである。特殊ハズレは、時短状態の制御契機となるハズレである。つまり特別図柄抽選の結果が特殊ハズレである場合、遊技制御用マイコン81は、ハズレ図柄の停止表示後の遊技状態を、時短状態に制御する。ここで、「特図1_ハズレ図柄B」(振分率0.05%)は、上限補助遊技回数が4回の時短状態Xの制御契機となるハズレである。一方、「特図1_ハズレ図柄C」(振分率0.1%)は、上限補助遊技回数が2回の時短状態Yの制御契機となるハズレである。このように本形態では、特殊ハズレによっても、時短状態Xや時短状態Yに制御され得るようになっている。なお、特殊ハズレに基づく時短状態への制御タイミングにおいて既に時短状態である場合(すなわち後述する時短フラグがONである場合)には、遊技状態の設定を変更しない。特殊ハズレを、時短ハズレとも称する。
また本形態のパチンコ遊技機1は、図9(B)に示すように、大当たり遊技の終了後に特定回数の特図変動(特別図柄の変動表示)が行われたことを契機として、大当たり遊技を経ることなく、上限補助遊技回数が4回の時短状態Xに制御可能である。この特定回数を天井回数と称し、本形態では950回に定められている。大当たり遊技後の特図変動の実行回数が天井回数に到達することを、天井到達と称する。なお、天井到達までの特図変動回数には、大当たり遊技後の時短状態における特図変動回数も、その後の非時短状態における特図変動回数も含まれる。つまり、天井到達までの特図変動回数として、大当たり遊技後の時短状態における特図変動回数と、その後の非時短状態における特図変動回数とが通算される。なお、RAMクリアがなされた場合(電源投入に際してRAMクリアスイッチ152が操作された場合)には、RAMクリア後の特図変動の実行回数が天井回数(950回)に到達したことを契機として、天井到達となり、時短状態Xに制御される。また、RAMクリアがなされた場合の遊技状態は、非時短状態(通常遊技状態)に設定される。
ここで、本形態のパチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。本形態では、遊技状態として、非時短状態と時短状態とがある。非時短状態を通常遊技状態とも称する。パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、非時短状態(通常遊技状態)である。時短状態は、非時短状態と比べて、電チュー22に遊技球が入賞し易い設定の遊技状態である。
時短状態の種類には、時短状態X、時短状態Y、時短状態Zの3つがある。時短状態の種類が異なると、普通図柄の変動パターンや電チュー22の開放パターン等、電チュー22への入賞し易さに関わる各種パラメータの設定が異なる。詳細には、本形態では図10(A)に示すように、時短状態(時短状態X、時短状態Y、時短状態Z)における普通図柄抽選の当選確率は、非時短状態における普通図柄の当選確率と同じである。具体的には本形態では、非時短状態、時短状態X、時短状態Y、時短状態Zのいずれの遊技状態においても、普通図柄抽選で当たりと判定される確率は、65535/65536に設定されている。つまり、いずれの遊技状態においても普通図柄抽選では、ほぼ当たりと判定される。なお、時短状態では普通図柄抽選の当選確率が非時短状態よりも高くなる構成(言い換えれば時短状態では普通図柄表示器42の確率変動機能が作動する構成)としてもよい。
また時短状態(時短状態X、時短状態Y、時短状態Z)では、図10(B)に示すように、普通図柄の変動時間及び停止時間が、非時短状態よりも短くなる。具体的には本形態では、普通図柄の変動時間は、非時短状態では60000msであるが、時短状態Xでは100msであり、時短状態Yでは110msであり、時短状態Zでは120msである。すなわち各時短状態では、普通図柄表示器42の変動時間短縮機能が作動する。また、普通図柄の停止時間は、非時短状態では500msであるが、時短状態(時短状態X、時短状態Y、時短状態Z)では100msである。
また時短状態(時短状態X、時短状態Y、時短状態Z)では、図10(C)に示すように、補助遊技における電チュー22の開放時間が、非時短状態よりも長くなる。具体的には本形態では、電チュー22の開放時間は、非時短状態では1回あたり0.05秒であるが、時短状態Xでは1.2秒であり、時短状態Yでは1.1秒であり、時短状態Zでは1.0秒である。すなわち各時短状態では、電チュー22の開放時間延長機能が作動する。なお本形態では、何れの時短状態(時短状態X、時短状態Y、時短状態Z)でも、非時短状態と同様、補助遊技における電チュー22の開放回数を1回としている。
ここで非時短状態では、普通図柄抽選が実行されればほぼ当たりとなるものの、普通図柄の変動時間が60秒と長く、補助遊技における電チュー22の開放は0.05秒の開放が1回と極短時間である。よって非時短状態では、右打ち(遊技球がゲート28を通過し得る打ち方)にて遊技を行っても、電チュー22への入賞はまず見込めない。
これに対して時短状態Xでは、普通図柄抽選が実行されればほぼ当たりとなり、普通図柄の変動時間は100ms、停止時間は100msと共に短く、また、補助遊技における電チュー22の開放は1.2秒の開放が1回と比較的長い。また、時短状態Yでも、普通図柄抽選が実行されればほぼ当たりとなり、普通図柄の変動時間は110ms、停止時間は100msと共に短く、また、補助遊技における電チュー22の開放は1.1秒の開放が1回と比較的長い。また、時短状態Zでも、普通図柄抽選が実行されればほぼ当たりとなり、普通図柄の変動時間は120ms、停止時間は100msと共に短く、また、補助遊技における電チュー22の開放は1.0秒の開放が1回と比較的長い。よって各時短状態(時短状態X、時短状態Y、時短状態Z)では、右打ちにて遊技を行うことで、電チュー22への入賞が可能である。すなわち時短状態は、非時短状態と比べて、電チュー22への入賞が容易な設定の遊技状態である。
ここで本形態では、各時短状態において補助遊技が1回行われる毎に遊技球が1球だけ電チュー22に必ず入賞するように、電チュー22の開放パターン(作動パターン)、普通図柄の変動パターン(変動時間、停止時間)が設定されている。言い換えれば、各時短状態において正しく右打ちを継続していれば、1回の補助遊技中に2球以上の遊技球が入賞することはまずないし、1球も遊技球が入球しないこともまずない。図10に示す各テーブルの設定は、そのような設定となっている。そして、このように構成しているのは次の理由による。すなわち、本形態では特図2の抽選では必ず小当たりに当選する。そして、小当たりに当選した場合には、何れの小当たり図柄であっても、正しく遊技を行っていれば必ず特定領域39に遊技球を通過させることが可能となっている(この点については後述する)。よって、補助遊技1回につき電チュー22への入賞が1球だけ必ず発生する構成とすることにより、補助遊技の実行回数と、獲得が確定する大当たり遊技の回数とを一致させている。
つまり本形態では、上限補助遊技回数が4回の時短状態Xに制御された場合には、残り4回の大当たり遊技の実行が確定することとなる。よって、特図2の保留が1つも無い状態で、時短状態Xの制御契機となる当たり(大当たり、小当たり)に当選した場合には、その当たりの分も含めると、1回の当選が、合計5回の大当たり遊技の獲得を意味することとなる。
また上限補助遊技回数が2回の時短状態Yに制御された場合には、残り2回の大当たり遊技の実行が確定することとなる。よって、特図2の保留が2個以下の状態で、時短状態Yの制御契機となる当たり(大当たり、小当たり)に当選した場合には、その当たりの分も含めると、1回の当選が、合計3回の大当たり遊技の獲得を意味することとなる。
また上限補助遊技回数が1回の時短状態Zに制御された場合には、残り1回の大当たり遊技の実行が確定することとなる。よって、時短状態Zの制御契機となる当たり(大当たり、小当たり)に当選した場合には、その当たりの分も含めると、1回の当選が、合計2回の大当たり遊技の獲得を意味することとなる。
このように本形態では、移行する時短状態の種類が異なれば、確定する大当たり遊技の回数が異なることとなる。なお、遊技者にとって最も有利な時短状態Xには、大当たりや小当たりの他、特殊ハズレ(ハズレ図柄B)や天井到達によっても移行することがある。また、2番目に有利な時短状態Yには、大当たりや小当たりの他、特殊ハズレ(ハズレ図柄C)によっても移行することがある。また、時短状態の中では最も不利な時短状態Zには、大当たりや小当たりでのみ移行可能となっている。
なお本形態では、各時短状態(時短状態X、時短状態Y、時短状態Z)において、補助遊技1回あたりの電チュー22の開放時間、及び、普通図柄の変動時間を若干異ならせている(つまり電チュー22への入賞し易さに関するパラメータを異ならせている)が、何れの時短状態においても、補助遊技1回につき電チュー22への入賞が1球だけ確実に生じるようにしている点には変わりがない。この意味において各時短状態毎のパラメータの違いは形式的なものと言える。なお、電チュー22への入賞し易さに関するパラメータとしては、普通図柄の変動時間や停止時間、電チュー22の開放パターンの他、普通図柄抽選の当選確率も挙げられる。
ちなみに、各時短状態(時短状態X、時短状態Y、時短状態Z)では、非時短状態と比べて、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。よって、時短状態を「高ベース状態」ともいい、非時短状態を「低ベース状態」ともいう。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー22により第2始動口21への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。そのため、高ベース状態を電サポ制御状態ともいう。また低ベース状態を非電サポ制御状態ともいう。
なお、時短状態は、普通図柄表示器42の確率変動機能、普通図柄表示器42の変動時間短縮機能、電チュー22の開放時間延長機能、及び、電チュー22の開放回数増加機能のうち一つ以上の機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも電チュー22に係る第2始動口21に遊技球が入賞し易くなっていればよく、これらの全ての機能が作動するものでなくてもよい。
ここで、本形態における非時短状態は非特定遊技状態に相当し、時短状態は特定遊技状態に相当する。また、時短状態Xは第1特定遊技状態に相当し、時短状態Yは第2特定遊技状態に相当し、時短状態Zは第3特定遊技状態に相当する。なお、時短状態と非時短状態とで普通図柄抽選の当選確率が同じであっても、1回の補助遊技における電チュー22の開放時間は時短状態の方が非時短状態よりも長く、普通図柄の変動時間は時短状態の方が非時短状態よりも短い。よって、時短状態と非時短状態とで同じ時間遊技した場合には、時短状態の方が非時短状態よりも、電チュー22が開放されている期間は長くなる。従って、「時短状態の方が非時短状態よりも電チュー22が開放され易い(可動部材23が開状態をとり易い)」と言える。
次に、特別図柄の変動パターン(特図変動パターン)の決定について説明する。パチンコ遊技機1は、非時短状態と時短状態とで異なる特図変動パターン判定テーブルに従って、特図変動パターンを決定する(図11及び図12参照)。時短状態における特図変動パターン判定テーブル(図12)は、非時短状態における特図変動パターン判定テーブル(図11)に比べて、変動時間が短い変動パターンが選択され易いテーブルである。また本形態では、時短状態Xと時短状態Yと時短状態Zとで、異なる特図変動パターン判定テーブルに従って特図変動パターンを決定する(図12(A)(B)(C)参照)。時短状態X用の特図変動パターン判定テーブル(図12(A))と、時短状態Y用の特図変動パターン判定テーブル(図12(B))と、時短状態Z用の特図変動パターン判定テーブル(図12(C))とでは、特図2に係るテーブルが異なっており、特図1に係るテーブルは共通である。
ここで、大当たり判定(特別図柄の抽選)の結果が大当たりである場合、或いは、小当たりである場合に決定される特図変動パターンには、変動演出において最終的に停止表示される演出図柄8L,8C,8Rの出目が関連付けられている。
<特図1の抽選(図11、図12)>
具体的には、特図1の抽選に基づいて、時短状態Xの制御契機となる大当たり図柄Aに当選した場合には、非時短状態では特図変動パターンP1又はP2が選択され(図11参照)、時短状態では特図変動パターンP31が選択される(図12参照)。これらの特図変動パターンに基づく変動演出では、最終的に「7」のゾロ目が停止表示される。なお本形態では、各演出図柄8L,8C,8Rは、それぞれ1~9までの数字図柄を含んでおり、変動表示を経て、これらのうちの1つの数字図柄が停止表示されるものとする。
また、特図1の抽選に基づいて、時短状態Yの制御契機となる大当たり図柄Bに当選した場合には、非時短状態では特図変動パターンP3又はP4が選択され(図11参照)、時短状態では特図変動パターンP32が選択される(図12参照)。これらの特図変動パターンに基づく変動演出では、最終的に「3」のゾロ目が停止表示される。
また、特図1の抽選に基づいて、時短状態Zの制御契機となる大当たり図柄Cに当選した場合には、非時短状態では特図変動パターンP5又はP6が選択され(図11参照)、時短状態では特図変動パターンP33が選択される(図12参照)。これらの特図変動パターンに基づく変動演出では、最終的に「1」、「5」の何れか(すなわち「3」及び「7」を除く奇数の数字図柄)のゾロ目が停止表示される。
また、特図1の抽選に基づいて、非時短状態の制御契機となる大当たり図柄Dに当選した場合には、非時短状態では特図変動パターンP7又はP8が選択され(図11参照)、時短状態では特図変動パターンP34が選択される(図12参照)。これらの特図変動パターンに基づく変動演出では、最終的に「2」、「4」、「6」、「8」の何れか(すなわち偶数の数字図柄)のゾロ目が停止表示される。
このように本形態では、演出図柄8L,8C,8Rが「7」のゾロ目で停止表示されることは、大当たり遊技の終了後に時短状態Xに制御されることの示唆となっており、演出図柄8L,8C,8Rが「3」のゾロ目で停止表示されることは、大当たり遊技の終了後に時短状態Yに制御されることの示唆となっており、演出図柄8L,8C,8Rが「1」又は「5」のゾロ目で停止表示されることは、大当たり遊技の終了後に時短状態Zに制御されることの示唆となっており、演出図柄8L,8C,8Rが「2」「4」「6」又は「8」のゾロ目で停止表示されることは、大当たり遊技の終了後に非時短状態に制御されることの示唆となっている。
なお、非時短状態において特図1の抽選に基づいてハズレ図柄B又はハズレ図柄Cを引いた場合には、後述するRUSH突入演出を伴う変動演出が実行される(図11の特図変動パターンP15、P16参照)。RUSH突入演出は、所定の時短状態(時短状態X又は時短状態Y)への移行を示唆する演出である。
<非時短状態における特図2の抽選(図11)>
また、非時短状態において特図2の抽選に基づいて小当たり図柄a、小当たり図柄b、小当たり図柄cの何れかに当選した場合には、2種大当たり遊技の終了に応じて時短状態Xに制御されるため(図8参照)、特図変動パターンP21が選択され、この特図変動パターンに基づく変動演出では、最終的に「7」のゾロ目が停止表示される。
また、非時短状態において特図2の抽選に基づいて小当たり図柄d、小当たり図柄eの何れかに当選した場合には、2種大当たり遊技の終了に応じて非時短状態に制御されるため(図8参照)、特図変動パターンP24が選択され、この特図変動パターンに基づく変動演出では、最終的に「2」、「4」、「6」、「8」の何れか(すなわち偶数の数字図柄)のゾロ目が停止表示される。
<時短状態Xにおける特図2の抽選(図12(A))>
また、時短状態Xにおいて特図2の抽選に基づいて小当たり図柄a、小当たり図柄b、小当たり図柄c、小当たり図柄dの何れかに当選した場合には、2種大当たり遊技の終了に応じて時短状態Xに制御されるため(図8参照)、特図変動パターンP41が選択され、この特図変動パターンに基づく変動演出では、最終的に「7」のゾロ目が停止表示される。
また、時短状態Xにおいて特図2の抽選に基づいて小当たり図柄eに当選した場合には、2種大当たり遊技の終了に応じて非時短状態に制御されるため(図8参照)、特図変動パターンP44が選択され、この特図変動パターンに基づく変動演出では、最終的に「2」、「4」、「6」、「8」の何れか(すなわち偶数の数字図柄)のゾロ目が停止表示される。
<時短状態Yにおける特図2の抽選(図12(B))>
また、時短状態Yにおいて特図2の抽選に基づいて小当たり図柄a、小当たり図柄b、小当たり図柄c、小当たり図柄dの何れかに当選した場合には、2種大当たり遊技の終了に応じて時短状態Yに制御されるため(図8参照)、特図変動パターンP51が選択され、この特図変動パターンに基づく変動演出では、最終的に「3」のゾロ目が停止表示される。
また、時短状態Yにおいて特図2の抽選に基づいて小当たり図柄eに当選した場合には、2種大当たり遊技の終了に応じて非時短状態に制御されるため(図8参照)、特図変動パターンP54が選択され、この特図変動パターンに基づく変動演出では、最終的に「2」、「4」、「6」、「8」の何れか(すなわち偶数の数字図柄)のゾロ目が停止表示される。
<時短状態Zにおける特図2の抽選(図12(C))>
また、時短状態Zにおいて特図2の抽選に基づいて小当たり図柄aに当選した場合には、2種大当たり遊技の終了に応じて時短状態Xに制御されるため(図8参照)、特図変動パターンP61が選択され、この特図変動パターンに基づく変動演出では、最終的に「7」のゾロ目が停止表示される。
また、時短状態Zにおいて特図2の抽選に基づいて小当たり図柄bに当選した場合には、2種大当たり遊技の終了に応じて時短状態Yに制御されるため(図8参照)、特図変動パターンP62が選択され、この特図変動パターンに基づく変動演出では、最終的に「3」のゾロ目が停止表示される。
また、時短状態Zにおいて特図2の抽選に基づいて小当たり図柄c、小当たり図柄dの何れかに当選した場合には、2種大当たり遊技の終了に応じて時短状態Zに制御されるため(図8参照)、特図変動パターンP63が選択され、この特図変動パターンに基づく変動演出では、最終的に「1」、「5」の何れか(すなわち「3」及び「7」を除く奇数の数字図柄)のゾロ目が停止表示される。
また、時短状態Zにおいて特図2の抽選に基づいて小当たり図柄eに当選した場合には、2種大当たり遊技の終了に応じて非時短状態に制御されるため(図8参照)、特図変動パターンP64が選択され、この特図変動パターンに基づく変動演出では、最終的に「2」、「4」、「6」、「8」の何れか(すなわち偶数の数字図柄)のゾロ目が停止表示される。
なお本形態では、非時短状態および各時短状態において特図2の抽選に基づいて小当たり図柄に当選した場合には必ず、10秒の変動時間の特図変動パターンが選択され、この特図変動パターンに基づいて、後述する即当たり演出が実行される(図11、図12参照)。即当たり演出は、何れの演出図柄(数字図柄)でリーチが形成されるかを煽るリーチ煽り演出を経て、ある演出図柄でリーチが形成されるやいなや、その演出図柄でのゾロ目を停止表示させる演出である。このようにしているのは、特図2の抽選の結果にはハズレが含まれておらず、特図2の抽選が行われると必ず小当たりに当選するためである。なお、時短状態において特図1の抽選に基づいて大当たり図柄に当選した場合にも、同様に、即当たり演出が実行される。
また時短状態において特図1の抽選に基づいてハズレに係る変動が行われる場合には、500msの極めて短い変動時間の特図変動パターンが選択される。このようにしているのは、時短状態に制御された場合に残っている特図1保留(第1特図保留)を素早く消化して、特図2の変動を開始するとともに、特図2保留(第2特図保留)を予定通りに貯めさせるためである。すなわち仮に、特図1保留が4個貯まっている状態で時短状態Xに制御された場合であっても、その特図1保留に係る特図変動(すべてハズレの判定結果に基づく変動とする)は素早く消化され、1回目の特図2の変動が行われるとともに、その特図2の変動中に、特図2保留を上限数である3個まで貯めることが可能となっている。
4.始動入賞コマンドについて
本形態のパチンコ遊技機1は、所謂先読み演出を実行可能である。先読み演出とは、始動入賞によって取得された判定情報(大当たり乱数等の乱数値)に基づいて特定された始動入賞コマンドを利用して、その始動入賞に基づく特図変動(特別図柄の変動表示)の開始直前の当否判定よりも前にその始動入賞に対する当選期待度を示唆する演出である。
図13に示すように、本形態において生成される始動入賞コマンドには、大当たりであるか、小当たりであるか、通常ハズレであるか、特殊ハズレ(時短ハズレ)であるかの抽選結果情報が含まれている。また、本形態の始動入賞コマンドには、第1始動口20と第2始動口21とのどちらの始動口に入賞したのかの始動口情報が含まれている。なお、始動入賞コマンドには抽選結果情報が含まれていればよく、抽選結果情報の他に、始動入賞コマンドにどのような情報を含ませるかは適宜変更可能である。
また本形態では、抽選結果情報として特別図柄の種別の情報まで含ませているが(図13参照)、大当たりであるか、小当たりであるか、通常ハズレであるか、特殊ハズレ(時短ハズレ)であるかを区別することができれば、特別図柄の種別の情報まで含ませなくてもよい。すなわち始動入賞コマンドは、大当たり図柄の種別や小当たり図柄の種別、ハズレ図柄の種別まで区別できるものでなくてもよい。
5.遊技制御用マイコン81の動作
[主制御メイン処理]次に図14~図34に基づいて遊技制御用マイコン81の動作について説明する。なお、遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、RAM84に設けられている。主制御基板80に備えられた遊技制御用マイコン81は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM83から図14に示した主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理では、まず初期設定を行う(ステップS001)。初期設定では例えば、スタックの設定、定数設定、割り込み時間の設定、CPU82の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)の設定や、各種のフラグ、ステータス及びカウンタ等のリセット等を行う。フラグの初期値は「0」つまり「OFF」であり、ステータスの初期値は「1」であり、カウンタの初期値は「0」である。なお初期設定(S001)は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
初期設定(S001)に次いで、割り込みを禁止し(S002)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)を実行する。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)では、図6に示した種々の乱数カウンタ値を1加算して更新する。各乱数カウンタ値は上限値に至ると「0」に戻って再び加算される。なお各乱数カウンタの周期初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また各乱数は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成される所謂ハードウェア乱数であってもよい。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)が終了すると、割り込みを許可する(S004)。割り込み許可中は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行が可能となる。メイン側タイマ割り込み処理(S005)は、例えば4msec周期でCPU82に繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。すなわち、例えば4msec周期で実行される。そして、メイン側タイマ割り込み処理(S005)が終了してから、次にメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)による各種カウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。なお、割り込み禁止状態のときにCPU82に割り込みパルスが入力された場合は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)はすぐには開始されず、割り込み許可(S004)がされてから開始される。
[メイン側タイマ割り込み処理]次に、メイン側タイマ割り込み処理(S005)について説明する。図15に示すように、メイン側タイマ割り込み処理(S005)では、まず出力処理(S101)を実行する。出力処理(S101)では、以下に説明する各処理において主制御基板80のRAM84に設けられた出力バッファにセットされたコマンド等を、サブ制御基板90や払出制御基板110等に出力する。
出力処理(S101)に次いで行われる入力処理(S102)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、普通入賞口センサ27a等(図4参照))が検知した検出信号を読み込み、賞球情報としてRAM84の出力バッファに記憶する。また、下皿62の満杯を検出する下皿満杯スイッチからの検出信号も取り込み、下皿満杯データとしてRAM84の出力バッファに記憶する。なお、各入賞口への入賞に応じた賞球数は、例えば第2始動口21であれば2球など、所定の値に設定されているものとする。但し、各入賞口への入賞に応じた賞球数を何球に設定するかは適宜変更可能である。
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)は、図14の主制御メイン処理で行う普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)と同じである。即ち、図6に示した各種乱数カウンタ値(普通図柄乱数カウンタ値も含む)の更新処理は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行期間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割り込み処理(S005)の終了後、次のメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)に次いで、後述するセンサ検出処理(S104)、普通動作処理(S105)、特別動作処理(S106)、振分部材制御処理(S107)、および特定領域センサ検出処理(S108)を実行する。その後、その他の処理(S109)を実行して、メイン側タイマ割り込み処理(S005)を終了する。その他の処理(S109)としては、後述の特図2保留球数に基づいて第2特図保留表示器43bをその数を示す表示態様に制御したり、後述の特図1保留球数に基づいて第1特図保留表示器43aをその数を示す表示態様に制御したりする。そして、次にCPU82に割り込みパルスが入力されるまでは主制御メイン処理のステップS002~S004の処理が繰り返し実行され(図14参照)、割り込みパルスが入力されると(約4msec後)、再びメイン側タイマ割り込み処理(S005)が実行される。再び実行されたメイン側タイマ割り込み処理(S005)の出力処理(S101)においては、前回のメイン側タイマ割り込み処理(S005)にてRAM84の出力バッファにセットされたコマンド等が出力される。
[センサ検出処理]図16に示すように、センサ検出処理(S104)ではまず、ゲート28に遊技球が通過したか否か、即ち、ゲートセンサ28aによって遊技球が検出されたか否か判定する(S201)。ゲート28を遊技球が通過していれば(S201でYES)、後述のゲート通過処理(S202)を行う。一方、遊技球がゲート28を通過していなければ(S201でNO)、ゲート通過処理(S202)をパスしてステップS203に進む。
ステップS203では、第2始動口21に遊技球が入賞したか否か、即ち、第2始動口センサ21aによって遊技球が検出されたか否か判定する(S203)。第2始動口21に遊技球が入賞していない場合(S203でNO)にはステップS209に進むが、第2始動口21に遊技球が入賞した場合には(S203でYES)、特図2保留球数(第2特図保留の数、具体的にはRAM84に設けた第2特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が「3」(上限記憶数)に達しているか否か判定する(S204)。そして、特図2保留球数が「3」に達している場合(S204でYES)には、ステップS209に進むが、特図2保留球数が「3」未満である場合には(S204でNO)、特図2保留球数に1を加算する(S205)。
続いて特図2関係乱数取得処理(S206)を行う。特図2関係乱数取得処理(S206)では、大当たり乱数カウンタ値(ラベル-TRND-A)、図柄種別乱数カウンタ値(ラベル-TRND-AS)、リーチ乱数カウンタ値(ラベル-TRND-RC)及び変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)を取得し(つまり図6(A)に示す乱数値群を取得し)、それら取得乱数値を第2特図保留記憶部85b(図4)のうち現在の特図2保留球数に応じた第2特図保留記憶部85bの記憶領域に格納する。
続いて第2始動入賞コマンド特定処理(S207)を行う。第2始動入賞コマンド特定処理(S207)では、ステップS206で格納した乱数値群に基づき、図13に示す始動入賞コマンド特定テーブルを用いて第2始動入賞コマンド(入賞情報の一例)を特定する。具体的には、大当たり乱数が「65535」であり、図柄種別乱数が「0」であれば、図13の始動入賞コマンド特定テーブルにおける第2始動口の箇所を参照して、第2始動入賞コマンドとして「E2H21H」というコマンドを特定する。なおコマンドは、2バイトの情報(1バイトの上位コマンド(例えばE2H)と1バイトの下位コマンド(例えば21H))からなっている。
図13に示すテーブルにおける大当たり乱数の区分けは、大当たり判定テーブル(図7(A)参照)における区分けと対応し、図柄種別乱数の区分けは、小当たり図柄種別判定テーブル(図7(C))の区分けと対応している。よって、このような特図2に係る始動入賞コマンドを受信した演出制御用マイコン91は、小当たり図柄の種別の情報に基づいて、2種大当たり遊技の終了に応じた遊技状態の種類を示唆するような先読み演出を実行することが可能である。
なお本形態の始動入賞コマンドでは、16進数で二桁の上位コマンドのうち上の桁の値は、コマンドの種類(始動入賞コマンドであること)を指定する情報である。また、上位コマンドのうち下の桁の値は、始動口の種類(第1始動口20への入賞か第2始動口21への入賞か)を指定する始動口情報である。また、16進数で二桁の下位コマンドの値は、大当たり、小当たり、ハズレの何れであるかの情報、及び、特別図柄の種別は何れであるかの情報を含む抽選結果情報である。なお、このような始動入賞コマンドの生成に関するルールは、一例であり、任意に変更可能である。
続いて遊技制御用マイコン81は、ステップS207で特定した第2始動入賞コマンドをRAM84の出力バッファにセットする(S208)。
続いてセンサ検出処理(S104)では、第1始動口20に遊技球が入賞したか否か、即ち、第1始動口センサ20aによって遊技球が検出されたか否かを判定する(S209)。第1始動口20に遊技球が入賞していない場合(S209でNO)には処理を終えるが、第1始動口20に遊技球が入賞した場合には(S209でYES)、特図1保留球数(第1特図保留の数、具体的にはRAM84に設けた第1特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が「4」に達しているか否か判定する(S210)。そして、特図1保留球数が「4」に達している場合(S210でYES)には、処理を終えるが、特図1保留球数が「4」未満である場合には(S210でNO)、特図1保留球数に「1」を加算する(S211)。
続いて特図1関係乱数取得処理(S212)を行う。特図1関係乱数取得処理(S212)では、特図2関係乱数取得処理(S206)と同様に、大当たり乱数カウンタ値(ラベル-TRND-A)、図柄種別乱数カウンタ値(ラベル-TRND-AS)、リーチ乱数カウンタ値(ラベル-TRND-RC)及び変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1)を取得し(つまり図6(A)に示す乱数値群を取得し)、それら取得乱数値を第1特図保留記憶部85a(図4)のうち現在の特図1保留球数に応じた第1特図保留記憶部85aの記憶領域に格納する。
続いて第1始動入賞コマンド特定処理(S213)を行う。第1始動入賞コマンド特定処理(S213)では、ステップS212で格納した乱数値群に基づき、図13に示す始動入賞コマンド特定テーブルを用いて第1始動入賞コマンド(入賞情報の一例)を特定する。具体的には、大当たり乱数が「65535」であり、図柄種別乱数が「0」であれば、図13の始動入賞コマンド特定テーブルにおける第1始動口の箇所を参照して、第1始動入賞コマンドとして「E1H01H」というコマンドを特定する。特定された第1始動入賞コマンドには、抽選結果情報が含まれている。
上述の第2始動入賞コマンドの場合と同様、図13に示すテーブルにおける大当たり乱数の区分けは、大当たり判定テーブル(図7(A)参照)における区分けと対応している。また、図柄種別乱数の区分けは、大当たり図柄の種別あるいはハズレ図柄の種別を区別できるようになっている(図7(B)(D)参照)。よって、このような特図1に係る始動入賞コマンドを受信した演出制御用マイコン91は、大当たりであるかの情報に基づいて、大当たり当選を示唆するような先読み演出をしたり、大当たり図柄の種別の情報に基づいて、1種大当たり遊技の終了に応じた遊技状態の種類を示唆するような先読み演出を実行したり、ハズレ図柄の種別の情報に基づいて、時短状態Xや時短状態Yに移行することを示唆する先読み演出を実行したりすることが可能である。
続いて遊技制御用マイコン81は、ステップS213で特定した第1始動入賞コマンドをRAM84の出力バッファにセットして(S214)、処理を終える。
[ゲート通過処理]図17に示すようにゲート通過処理(S202)ではまず、普通図柄の変動待機中か否かを判定する(S221)。普通図柄の変動待機中とは、普通図柄の変動表示の実行中でも補助遊技の実行中でもない状態である。普通図柄の変動待機中でなければ(S221でNO)、直ちに本処理を終えるが、普通図柄の変動待機中であれば(S221でYES)、普通図柄乱数取得処理(S222)を行う。普通図柄乱数取得処理(S222)では、普通図柄乱数カウンタ値(ラベル-TRND-Hの値、図6(B))を取得し、その取得乱数値をRAM84の所定の記憶領域に格納する。
[普通動作処理]遊技制御用マイコン81は、センサ検出処理(S104)に次いで、図18に示す普通動作処理(S105)を行う。普通動作処理(S105)ではまず、電チュー22の作動中か否かを判定する(S301)。電チューの作動中でなければ(S301でNO)、続いて、普通図柄の停止表示中(普通図柄の停止時間の開始から終了まで)か否かを判定する(S302)。普通図柄の停止表示中でなければ(S302でNO)、続いて、普通図柄の変動表示中か否かを判定する(S303)。普通図柄の変動表示中でなければ(S303でNO)、続いて、上述のステップS222で取得した当たり判定前の普通図柄乱数の記憶があるか否かを判定する(S304)。普通図柄乱数の記憶がなければ(S304でNO)、本処理を終える。
ステップS304において普通図柄乱数の記憶があれば(S304でYES)、当たり判定処理(S305)を行う。当たり判定処理(S305)では、非時短状態であれば、非時短状態用の普通図柄当たり判定テーブル(図10(A)に示すテーブルの非時短状態の欄参照)に基づいて当たりか否か判定し、時短状態(時短状態X、時短状態Y、時短状態Z)であれば、時短状態用の普通図柄当たり判定テーブル(図10(A)に示すテーブルの時短状態の欄参照)に基づいて当たりか否か判定する。そして、当たり判定処理の結果に応じた普図停止図柄データをRAM84の所定の記憶領域にセットする図柄決定処理を行う(S306)。つまり図柄決定処理(S306)では、「ハズレ」であれば「普通ハズレ図柄」に応じたデータをセットし、「当たり」であれば「普通当たり図柄」に応じたデータをセットする。なお、本形態では、非時短状態であっても時短状態(時短状態X、時短状態Y、時短状態Z)であっても普通図柄抽選の当選確率は同じである。
続いて遊技制御用マイコン81は、普通図柄変動時間決定処理(S307)を行う。普通図柄変動時間決定処理(S307)では、図10(B)に示す普通図柄変動パターン判定テーブルを参照して、遊技状態が非時短状態であれば、普通図柄の変動時間が60秒の普通図柄変動パターンを選択する。一方、遊技状態が時短状態Xであれば、普通図柄の変動時間が100msの普通図柄変動パターンを選択し、遊技状態が時短状態Yであれば、普通図柄の変動時間が110msの普通図柄変動パターンを選択し、遊技状態が時短状態Zであれば、普通図柄の変動時間が120msの普通図柄変動パターンを選択する。このように各時短状態における普通図柄の変動時間は極めて短い。
その後、遊技制御用マイコン81は、ステップS307で選択した普通図柄変動パターンにて普通図柄の変動表示を開始する(S310)。なおこれに伴い、サブ制御基板90に普通図柄の変動開始を知らせるため、普通図柄変動開始コマンドをセットする。
上述のステップS303にて普通図柄の変動表示中であれば(S303でYES)、続いて、普通図柄の変動時間が経過したか否か判定し(S311)、経過していなければ処理を終える。一方、経過していれば(S311でYES)、普通図柄の変動表示を、普通図柄乱数の判定結果に応じた表示結果(普通当たり図柄又は普通ハズレ図柄)で停止させる(S312)。そして、サブ制御基板90に普通図柄の変動停止を知らせるための普通図柄変動停止コマンドをセットするとともに(S313)、普通図柄の停止時間(本形態では非時短状態では500ms、時短状態では100ms、図10(B)参照)をセットして(S314)本処理を終える。このように各時短状態における普通図柄の停止時間は極めて短い。
また、上述のステップS302にて普通図柄の停止表示中であれば(S302でYES)、続いて、ステップS314でセットした普通図柄の停止時間が経過したか否か判定し(S315)、経過していなければ処理を終える。一方、経過していれば(S315でYES)、普通当たり図柄の普図停止図柄データがセットされているか否かを判定し(S316)、普通当たり図柄のデータでなければ(つまり当たりでなければ(S316でNO))、本処理を終える。一方、普通当たり図柄のデータであれば(つまり当たりであれば(S316でYES))、電チュー22の開放パターンをセットする(S317)。詳細には、非時短状態中であれば、電チュー22の開放パターンとして非時短状態用の開放パターン(図10(C)の電チュー開放TBL1参照)をセットする。これに対して、時短状態X中であれば、電チュー22の開放パターンとして時短状態X用の開放パターン(図10(C)の電チュー開放TBL2参照)をセットし、時短状態Y中であれば、電チュー22の開放パターンとして時短状態Y用の開放パターン(図10(C)の電チュー開放TBL3参照)をセットし、時短状態Z中であれば、電チュー22の開放パターンとして時短状態Z用の開放パターン(図10(C)の電チュー開放TBL4参照)をセットする。そして、ステップS317でセットした開放パターン(所定の作動パターン)に従って、電チュー22を作動させる(S318)。
また、上述のステップS301にて電チュー22の作動中であれば(S301でYES)、続いて、電チュー22の作動時間が経過したか否かを判定し(S319)、経過していなければ処理を終える。一方、経過していれば(S319でYES)、電チュー22の作動を終了させて(S320)、時短状態終了処理(S321)を行う。
[時短状態終了処理]時短状態終了処理は、補助遊技(電チュー22の作動)の終了に基づいて、時短状態を終了させるための処理である。図19に示すように、時短状態終了処理(S321)ではまず、遊技制御用マイコン81は、時短フラグがONか否か判定し(S401)、ONでなければ本処理を終え、ONであれば、時短状態中に実行した補助遊技の回数をカウントする補助遊技カウンタの値を1ディクリメントするとともに(S402)、補助遊技カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S403)。そして、「0」でなければ本処理を終えるが、「0」であれば、時短フラグをOFFするとともに(S404)、遊技状態フラグ更新処理(S405)を行う。なお、補助遊技カウンタは、各時短状態に移行する際に、移行先の時短状態に応じた値にセットされる。
遊技状態フラグ更新処理(S405)では、遊技状態フラグの値を、現在の遊技状態に応じた値にセットする。図19中の表に示すように、遊技状態フラグの値は、時短フラグがOFFであって補助遊技カウンタの値が「0」であれば、非時短状態に移行するところであるため、非時短状態に対応する値「1」にセットされる。また、時短フラグがONであって補助遊技カウンタの値が「4」であれば、時短状態Xに移行するところであるため、時短状態Xに対応する値「2」にセットされる。また、時短フラグがONであって補助遊技カウンタの値が「2」であれば、時短状態Yに移行するところであるため、時短状態Yに対応する値「3」にセットされる。また、時短フラグがONであって補助遊技カウンタの値が「1」であれば、時短状態Zに移行するところであるため、時短状態Zに対応する値「4」にセットされる。
この遊技状態フラグ更新処理(S405)では、時短フラグをOFFしたところであり、補助遊技カウンタの値は「0」であるため、遊技状態フラグの値を、非時短状態に対応する値「1」にセットする。ステップS405に続いて、遊技制御用マイコン81は、遊技状態フラグの情報(すなわち現在の遊技状態の情報)を含む遊技状態指定コマンドを、RAM84の出力バッファにセットする(S406)。このコマンドが出力されることにより、サブ制御基板90に現在の遊技状態の情報が通知される。
[特別動作処理]遊技制御用マイコン81は、普通動作処理(S105)に次いで、図20に示す特別動作処理(S106)を行う。特別動作処理(S106)では、特別図柄表示器41および大入賞装置(第1大入賞装置31および第2大入賞装置36)に関する処理を5つの段階に分け、それらの各段階に「特別動作ステータス1,2,3,4,5」を割り当てている。そして、「特別動作ステータス」が「1」である場合には(S901でYES)、特別図柄待機処理(S902)を行い、「特別動作ステータス」が「2」である場合には(S901でNO、S903でYES)、特別図柄変動中処理(S904)を行い、「特別動作ステータス」が「3」である場合には(S901,S903で共にNO、S905でYES)、特別図柄確定処理(S906)を行い、「特別動作ステータス」が「4」である場合には(S901,S903,S905で共にNO、S907でYES)、大当たり遊技としての特別電動役物処理1(S908)を行い、「特別動作ステータス」が「5」である場合には(S901,S903,S905,S907の全てがNO)、小当たり遊技としての特別電動役物処理2(S909)を行う。なお特別動作ステータスは、初期設定では「1」である。
[特別図柄待機処理]図21に示すように、特別図柄待機処理(S902)ではまず、第2始動口21の保留球数(即ち特図2保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1001)。特図2保留球数が「0」である場合(S1001でYES)、即ち、第2始動口21への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶がない場合には、第1始動口20の保留球数(即ち特図1保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1007)。そして、特図1保留球数も「0」である場合(S1007でYES)、即ち、第1始動口20への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶もない場合には、既に画像表示装置7の表示画面7aを待機画面(客待ち用のデモ画面)としたか否かを判定し(S1013)、そうであれば(S1013でYES)処理を終え、そうでなければ(S1013でNO)、待機画面設定処理(S1014)を行う。待機画面設定処理(S1014)では、所定の待機時間の経過を待って、待機画面を表示させるための客待ち待機コマンドをセットする。
ステップS1001において特図2保留球数が「0」でない場合(S1001でNO)、即ち、第2始動口21への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特図2の保留情報)がある場合には、後述の特図2大当たり判定処理(S1002)及び特図2変動パターン選択処理(S1003)を行う。その後、遊技制御用マイコン81は、特図2保留球数を1ディクリメントする(S1004)。そして、第2特図保留記憶部85bにおける各種カウンタ値の格納場所(記憶領域)を、現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、第2特図保留記憶部85bにおける保留3個目に対応する記憶領域(読み出される側から最も遠い記憶領域)をクリアする(S1005)。このようにして、第2特図保留が保留された順に消化されるようにしている。続いて遊技制御用マイコン81は、特図2変動開始処理(S1006)を実行する。特図2変動開始処理(S1006)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドをRAM84の出力バッファにセットして、第2特別図柄の変動表示を開始する。なお、特図2変動開始処理(S1006)でセットされる変動開始コマンド(特図2変動開始コマンドともいう)には、特図2大当たり判定処理(S1002)でセットされた特図停止図柄データの情報や特図2変動パターン選択処理(S1003)でセットされた変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。
また、特図2保留球数が「0」であるが特図1保留球数が「0」でない場合(S1001でYES且つS1007でNO)、即ち、特図2の保留情報はないが、第1始動口20への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特図1の保留情報)が1つ以上ある場合には、後述の特図1大当たり判定処理(S1008)及び特図1変動パターン選択処理(S1009)を行う。その後、遊技制御用マイコン81は、特図1保留球数を1ディクリメントする(S1010)。そして、第1特図保留記憶部85aにおける各種カウンタ値の格納場所(記憶領域)を、現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、第1特図保留記憶部85aにおける保留4個目に対応する記憶領域(読み出される側から最も遠い記憶領域)をクリアする(S1011)。このようにして、第1特図保留が保留された順に消化されるようにしている。続いて遊技制御用マイコン81は、特図1変動開始処理(S1012)を実行する。特図1変動開始処理(S1012)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドをRAM84の出力バッファにセットして、第1特別図柄の変動表示を開始する。なお、特図1変動開始処理(S1012)でセットされる変動開始コマンド(特図1変動開始コマンドともいう)には、特図1大当たり判定処理(S1008)でセットされた特図停止図柄データの情報や特図1変動パターン選択処理(S1009)でセットされた変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。
上記のように本形態では、第1特図保留に基づく特別図柄の変動表示は、第2特図保留が「0」の場合(S1001でYESの場合)に限って行われる。すなわち第2特図保留の消化は、第1特図保留の消化に優先して実行される。そして本形態では、第2特図保留に基づく抽選では必ず小当たりに当選し、その小当たり遊技では必ず特定領域39を通過することができるようになっている。この点については後に詳述する。
[特図2大当たり判定処理(特図1大当たり判定処理)]特図2大当たり判定処理(S1002)と特図1大当たり判定処理(S1008)とは、処理の流れが同じであるため図22に基づいてまとめて説明する。図22に示すように、特図2大当たり判定処理(S1002)又は特図1大当たり判定処理(S1008)ではまず、判定値として、大当たり乱数カウンタ値(ラベル-TRND-Aの値)を読み出す(S1101)。詳細には、特図2大当たり判定処理(S1002)では、RAM84の第2特図保留記憶部85b(詳しくは第2特図保留の1個目に対応する記憶領域)に記憶されている大当たり乱数カウンタ値を読み出す。また特図1大当たり判定処理(S1008)では、RAM84の第1特図保留記憶部85a(詳しくは第1特図保留の1個目に対応する記憶領域)に記憶されている大当たり乱数カウンタ値を読み出す。
次に、大当たり判定テーブル(図7(A))をセットする(S1102)。次いで、セットした大当たり判定テーブルに基づいて大当たりか否かを判定する(S1103)。大当たり判定(S1103)の結果が「大当たり」であれば、大当たりフラグをONするとともに(S1104)、図柄種別乱数カウンタ値(ラベル-TRND-ASの値)を読み出して、図7(B)に示す大当たり図柄種別判定テーブルに基づいて大当たり図柄種別(大当たりの種類)を判定する(S1105)。大当たり図柄種別を判定(S1105)した後は、大当たり図柄種別に応じた特図停止図柄データ(図7(B)参照)をRAM84に設けた特図種別バッファにセットして(S1106)処理を終える。
一方、大当たり判定(S1103)の結果が「大当たり」でなければ、小当たりか否かを判定する(S1107)。小当たり判定(S1107)の結果が「小当たり」であれば、小当たりフラグをONするとともに(S1108)、図柄種別乱数カウンタ値(ラベル-TRND-ASの値)を読み出して、図7(C)に示す小当たり図柄種別判定テーブルに基づいて小当たり図柄種別(小当たりの種類)を判定する(S1109)。小当たり図柄種別を判定(S1109)した後は、小当たり図柄種別に応じた特図停止図柄データ(図7(C)参照)をRAM84に設けた特図種別バッファにセットして(S1110)処理を終える。
また、大当たりでなく(S1103でNO)、小当たりでもなければ(S1107でNO)、「ハズレ」であるので、図柄種別乱数カウンタ値(ラベル-TRND-ASの値)を読み出して、図7(D)に示すハズレ図柄種別判定テーブルに基づいてハズレ図柄種別(ハズレの種類)を判定する(S1112)。ハズレ図柄種別を判定(S1112)した後は、ハズレ図柄種別に応じた特図停止図柄データ(図7(D)参照)をRAM84に設けた特図種別バッファにセットして(S1113)処理を終える。
[特図2変動パターン選択処理(特図1変動パターン選択処理)]特図2変動パターン選択処理(S1003)と特図1変動パターン選択処理(S1009)とは、処理の流れが同じであるため図23及び図24に基づいてまとめて説明する。図23に示すように、特図2変動パターン選択処理(S1003)又は特図1変動パターン選択処理(S1009)ではまず、遊技状態が非時短状態か否か(時短フラグがOFFか否か)を判定する(S1301)。
非時短状態であれば(S1301でYES)、続いて大当たりフラグがONか否かを判定する(S1302)。ONであれば(S1302でYES)、非時短状態中大当たり用のテーブル(図11に示すテーブルのうち大当たりに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1の値)に基づいて変動パターンを選択する(S1303)。図11に示すように、変動パターンが決まれば変動時間も決まる。
なお、変動パターンには変動演出が関連付けられており、変動パターンが決定されると、その変動パターンに応じた変動演出が実行される。具体的には例えば、変動パターンP1に基づく変動演出ではSPリーチが実行され、変動パターンP2に基づく変動演出ではノーマルリーチ(Nリーチ)が実行される(図11に示すテーブルの備考欄参照)。ここでSPリーチ(スーパーリーチ)とは、ノーマルリーチよりもリーチ後の変動時間が長いリーチであり、当選期待度(大当たり当選に対する期待度)がノーマルリーチよりも高くなるようにテーブルの振分率が設定されている。本形態では、スーパーリーチはノーマルリーチを経て発展的に実行される。
またステップS1302において、大当たりフラグがONでなければ(S1302でNO)、小当たりフラグがONか否かを判定する(S1304)。ONであれば(S1304でYES)、非時短状態中小当たり用のテーブル(図11に示すテーブルのうち小当たりに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1305)。なお、非時短状態において特図2の抽選に基づいて小当たりに当選した場合の停止時間は20000msと長く設定されている(図11参照)。これは、非時短状態であれば、遊技者は右打ちをしていないため、この停止時間を利用して、右打ちを報知して、V通過の発生を促すためである。
またステップS1304において、小当たりフラグがONでなければ(S1304でNO)、ハズレ図柄の種別が「ハズレ図柄B」であるか否かを判定する(S1306)。「ハズレ図柄B」は、特別図柄の停止時間の経過に応じて時短状態X(上限補助遊技回数4回)に移行させる特殊ハズレである(図9(A)参照)。ハズレ図柄の種別が「ハズレ図柄B」であれば(S1306でYES)、非時短状態中ハズレ図柄B用のテーブル(図11に示すテーブルのうちハズレ図柄Bに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1の値)に基づいて変動パターンを選択する(S1307)。本形態では、ハズレ図柄Bである場合、変動パターンP15に決定される。
またステップS1306において、「ハズレ図柄B」でなければ(S1306でNO)、続いて、ハズレ図柄の種別が「ハズレ図柄C」であるか否かを判定する(S1308)。「ハズレ図柄C」は、特別図柄の停止時間の経過に応じて時短状態Y(上限補助遊技回数2回)に移行させる特殊ハズレである(図9(A)参照)。ハズレ図柄の種別が「ハズレ図柄C」であれば(S1308でYES)、非時短状態中ハズレ図柄C用のテーブル(図11に示すテーブルのうちハズレ図柄Cに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル-TRND-T1の値)に基づいて変動パターンを選択する(S1309)。本形態では、ハズレ図柄Cである場合、変動パターンP16に決定される。
なお本形態では、変動パターンP15に決定された場合、及び、変動パターンP16に決定された場合には、大当たり期待度が高いSPリーチが実行される。そして、このSPリーチでは、失敗演出(落選演出)が実行されるが、変動パターンP15に基づくSPリーチであれば、失敗演出の後に時短状態Xへの移行を示唆するRUSH突入演出(超特別RUSH突入演出)が実行され、変動パターンP16に基づくSPリーチであれば、失敗演出の後に時短状態Yへの移行を示唆するRUSH突入演出(特別RUSH突入演出)が実行される(図46(A)~(D)参照)。この点については後述する。
またステップS1308において、「ハズレ図柄C」でなければ(S1308でNO)、通常ハズレ(ハズレ図柄A、図9(A)参照)であるため、続いて、リーチ乱数カウンタ値(ラベル-TRND-RCの値)がリーチ成立乱数値か否かを判定する(S1310)。図7(E)に示すように、リーチ成立乱数値は時短状態であれば「0」~「11」であり、非時短状態であれば「0」~「27」である。すなわち、時短状態の方が非時短状態よりも通常ハズレ時のリーチがかかりにくくなっている。これは、時短状態において変動時間の短いリーチ無しハズレがより多く選択されるようにすることで、特図保留の消化スピードを早めるためである。リーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値である場合(S1310でYES)、即ち、リーチ有りハズレの場合には、非時短状態中リーチ有りハズレ用のテーブル(図11に示すテーブルのうちリーチ有りハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1311)。
一方、リーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値でない場合(S1310でNO)、即ち、リーチ無しハズレの場合には、非時短状態中リーチ無しハズレ用のテーブル(図11に示すテーブルのうちリーチ無しハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1312)。
なお、特図1変動パターン選択処理(S1009)におけるリーチ無しハズレ時には、保留球数に応じた短縮変動の機能が働くようになっている。すなわち、特別図柄の保留球数が「3」又は「4」であるときは、特別図柄の保留球数が「0」~「2」であるときに比して変動時間の短い変動パターンが選択されるようになっている。
またステップS1301において、遊技状態が非時短状態でないと判定した場合(S1301でNO)、すなわち時短状態であると判定した場合には、図24に示すように、時短状態の種類が「時短状態X」であれば(S1313でYES)、図12(A)に示す時短状態X用の特図変動パターン判定テーブルに従って、変動パターンを選択する(S1314)。また、時短状態の種類が「時短状態Y」であれば(S1313でNO,S1315でYES)、図12(B)に示す時短状態Y用の特図変動パターン判定テーブルに従って、変動パターンを選択する(S1316)。また、時短状態の種類が「時短状態Z」であれば(S1313でNO,S1315でNO)、図12(C)に示す時短状態Z用の特図変動パターン判定テーブルに従って、変動パターンを選択する(S1317)。なお本形態では、時短状態の種類は、遊技状態フラグの値を参照して判定する(図19中の表参照)。
時短状態における変動パターンの選択では、参照する特図変動パターン判定テーブルを各時短状態に応じたテーブル(図12(A)~(C)参照)にする事以外は非時短状態と同様の流れで処理を行う。なお時短状態X、時短状態Y、及び、時短状態Zでは、主に特図2の抽選が行われる。そして、特図2の抽選の結果が何れの小当たり図柄であっても、図12に示すように変動時間が10秒の変動パターンが選択され、即当たり演出が実行される。
また時短状態X、時短状態Y、及び、時短状態Zにおける特図1の抽選の結果が特殊ハズレ(ハズレ図柄B、ハズレ図柄C)である場合には、通常ハズレ(ハズレ図柄A)である場合と同様、変動パターンP35が選択される。この変動パターンP35が選択された場合には、変動時間が500msの短縮変動が行われる。短縮変動に伴う変動演出では、演出図柄8L,8C,8Rの変動表示が開始されるとすぐに演出図柄8L,8C,8Rがハズレを示す出目(バラケ目)で停止表示される。このように、時短状態における特殊ハズレは実質的には通常ハズレと同様に扱われる。
上記のようにして変動パターンの選択を行った後は、図23に示すように、選択した変動パターンをセットして(S1320)、本処理を終える。ステップS1320でセットした変動パターンの情報は、特別図柄待機処理(S902)におけるステップS1006又はS1012でセットされる変動開始コマンドに含められる。
[特別図柄変動中処理]図25に示すように、特別図柄変動中処理(S904)ではまず、特別図柄の変動時間(ステップS1003又はS1009で選択された変動パターンに応じて決まる変動時間、図11及び図12参照)が経過したか否かを判定する(S1501)。経過していなければ(S1501でNO)、直ちにこの処理を終える。これにより特別図柄の変動表示が継続される。
一方、変動時間が経過していれば(S1501でYES)、変動停止コマンドをセットするとともに(S1502)、特別動作ステータスを「3」にセットする(S1503)。そして、特別図柄の変動表示を、セットされている特図停止図柄データ(図7(B)~(D)参照)に応じた図柄(大当たり図柄、小当たり図柄又はハズレ図柄)で停止させる等のその他の処理を行ってから(S1504)、この処理を終える。
[特別図柄確定処理]図26に示すように、特別図柄確定処理(S906)ではまず、特別図柄の停止時間(図11及び図12参照)が経過したか否かを判定する(S1601)。経過していなければ(S1601でNO)、直ちにこの処理を終える。一方、停止時間が経過していれば(S1601でYES)、後述の遊技状態管理処理を行う(S1602)。
次に、大当たりフラグがONであるか否かを判定する(S1603)。大当たりフラグがONであれば(S1603でYES)、特別動作ステータスを「4」にセットする(S1604)。そして、遊技制御用マイコン81は、時短フラグがONか否かを判定し(S1605)、ONでなければステップS1607-1に進むが、ONであれば時短フラグをOFFして(S1606)ステップS1607-1に進む。これにより、大当たり遊技の実行中は非時短状態(低ベース状態)に制御される。なお、本形態における低ベース状態とは、電チュー22が頻繁に開放されることによる入賞サポートがないという意味での低ベース状態であり、大入賞装置の作動に基づくベースアップを考慮したものではない。
ステップS1607-1では、遊技制御用マイコン81は、天井カウンタの値を0にクリアする。上述したように、本形態のパチンコ遊技機1は、大当たり遊技の終了後に所定回数(天井回数、本形態では950回)の特図変動が行われたことを契機として、大当たり遊技を経ることなく、非時短状態から時短状態Xに制御する。天井カウンタは、大当たり遊技の終了のタイミングで「950」にセットされ、特図変動が行われる毎に1ディクリメントされる。ステップS1607-1は、大当たり遊技の開始に際して、この天井カウンタの値を0にクリアする処理である。なお、天井カウンタは、RAMクリアがなされた場合にも、「950」にセットされる。
ステップS1607-1に続いて、遊技制御用マイコン81は、大当たり遊技を開始するべく、大当たりのオープニングコマンドをセットして(S1607-2)、大当たり遊技のオープニングを開始する(S1608)。ステップS1608に続いて、遊技制御用マイコン81は、当選した大当たり図柄の種別に応じた開放パターン(詳しくは図8を参照)をセットする(S1609)。このときに、特別遊技中の大入賞口の開放回数をカウントする大入賞口開放カウンタの値を、当選した大当たり図柄の種別に応じた値にセットする。なお、開放パターンのセット(開放パターンに応じたデータのセット)は、ラウンド毎に行うようにしてもよい。
一方、ステップS1603において大当たりフラグがONでなければ(S1603でNO)、続いて小当たりフラグがONであるか否かを判定する(S1610)。小当たりフラグがONであれば(S1610でYES)、特別動作ステータスを「5」にセットする(S1611)。なお小当たりフラグがONである場合には、時短フラグがONであってもOFFにはしない。その後、小当たり遊技を開始するべく、小当たりのオープニングコマンドをセットして(S1612)、小当たり遊技のオープニングを開始する(S1613)。
ステップS1613に続いて、遊技制御用マイコン81は、当選した小当たり図柄の種別に応じた開放パターン(詳しくは図8を参照)をセットする(S1614)。なおこのときに、大入賞口開放カウンタの値を、当選した小当たり図柄の種別に応じた値にセットする。その後遊技制御用マイコン81は、振分部材作動フラグをONにして(S1615)、本処理を終える。振分部材作動フラグは、振分部材71を作動させる期間であることを示すフラグである。つまり本形態では、振分部材71の作動は小当たり遊技のオープニングとともに開始される。なお、振分部材の作動パターンについては後に詳述する。
ステップS1610において小当たりフラグがONでなければ(S1610でNO)、大当たり遊技も小当たり遊技も開始しないため、特別動作ステータスを「1」にセットして(S1616)、本処理を終える。
[遊技状態管理処理]図27に示すように、遊技状態管理処理(S1602)ではまず、時短フラグがOFFであるか否かを判定する(S1710)。時短フラグがOFFでなければ(S1710でNO)、ステップS1720に進むが、時短フラグがOFFであれば(S1710でYES)、続いて、停止表示されている特別図柄が、特殊ハズレ(ハズレ図柄B又はハズレ図柄C)であるか否かを判定する(S1711)。そして、特殊ハズレでなければ(S1711でNO)、ステップS1720に進むが、特殊ハズレであれば(S1711でYES)、時短フラグをONするとともに(S1712)、ハズレ図柄の種別に応じた上限補助遊技回数(図9(A)参照)を補助遊技カウンタにセットし(S1713)、遊技状態フラグ更新処理(S1714)を行う。
この遊技状態フラグ更新処理(S1714)では、ハズレ図柄Bに基づいて時短フラグをONしたところであれば、補助遊技カウンタの値は「4」にセットされているため、遊技状態フラグの値を、時短状態Xに対応する値「2」にセットする(図19の表参照)。これにより、時短状態Xに制御される。また、ハズレ図柄Cに基づいて時短フラグをONしたところであれば、補助遊技カウンタの値は「2」にセットされているため、遊技状態フラグの値を、時短状態Yに対応する値「3」にセットする(図19の表参照)。これにより、時短状態Yに制御される。
なお本形態では、時短状態は、所定の上限実行回数(上限補助遊技回数)の補助遊技が実行されること、又は、次の大当たり遊技が実行されることにより終了する。また、時短状態中に天井到達となった場合には、天井到達に基づく時短状態が新たに設定される。なお本形態では、特殊ハズレに基づいて時短状態に制御されるのは、非時短状態であるとき(ステップS1710でYESのとき)に限られる。
ステップS1714に続いて、遊技制御用マイコン81は、遊技状態フラグの情報(すなわち現在の遊技状態の情報)を含む遊技状態指定コマンドを、RAM84の出力バッファにセットして(S1715)、ステップS1720に進む。このコマンドが出力されることにより、サブ制御基板90に現在の遊技状態の情報が通知される。
ステップS1720では、遊技制御用マイコン81は、後述する天井処理を行う。天井処理(S1720)は、天井到達に基づく時短状態への制御に関する処理である。
[天井処理]図28に示すように、天井処理(S1720)ではまず、遊技制御用マイコン81は、天井カウンタの値が0より大きいか否かを判定する(S1721)。この判定結果がNOであれば、直ちに本処理を終了するが、この判定結果がYESであれば、天井カウンタの値を1ディクリメントするとともに(S1722)、天井カウンタの値が0であるか否かを判定する(S1723)。
そして、天井カウンタの値が0でなければ(S1723でNO)、直ちに本処理を終了するが、天井カウンタの値が0であれば(S1723でYES)、天井到達であるため、時短フラグをONするとともに(S1724)、天井到達に応じた上限補助遊技回数(本形態では4回、図9(B)参照)を補助遊技カウンタにセットし(S1725)、遊技状態フラグ更新処理(S1726)を行う。この遊技状態フラグ更新処理(S1726)では、天井到達に基づいて時短フラグをONしたところであり、補助遊技カウンタの値は「4」にセットされているため、遊技状態フラグの値を、時短状態Xに対応する値「2」にセットする(図19の表参照)。これにより、時短状態Xに制御される。
ステップS1726に続いて、遊技制御用マイコン81は、遊技状態フラグの情報(すなわち現在の遊技状態の情報)を含む遊技状態指定コマンドを、RAM84の出力バッファにセットして(S1727)、本処理を終える。このコマンドが出力されることにより、サブ制御基板90に現在の遊技状態の情報が通知される。なお、この天井処理は、非時短状態中だけでなく時短状態中でも行われる。よって、時短状態中に天井カウンタの値が1ディクリメントされて0になった場合には、新たに時短状態Xが設定されることとなる。
[特別電動役物処理1(大当たり遊技)]特別電動役物処理1は、1種大当たり遊技や2種大当たり遊技といった大当たり遊技の実行のための処理である。図29に示すように、特別電動役物処理1(S908)ではまず、大当たり終了フラグがONであるか否かを判定する(S2001)。大当たり終了フラグは、当選した大当たり遊技において第1大入賞装置31の開放が全て終了したことを示すフラグである。
大当たり終了フラグがONでなければ(S2001でNO)、第1大入賞口30の開放中か否か(すなわち第1大入賞装置31の開放中か否か)を判定する(S2002)。開放中でなければ(S2002でNO)、第1大入賞口30を開放させる時間に至ったか否か、すなわち大当たりのオープニングの時間が経過して第1大入賞口30の開放を開始する時間に至ったか、又は、開放間のインターバルの時間が経過して次の開放を開始する時間に至ったか否かを判定する(S2003)。
ステップS2003の判定結果がNOであれば、そのまま処理を終える。一方、ステップS2003の判定結果がYESであれば、セットされている開放パターンに従って第1大入賞口30を開放させる(S2004)。
ステップS2002において第1大入賞口30の開放中であれば(S2002でYES)、その単位開放遊技における第1大入賞口30への入賞個数が規定の最大入賞個数(本形態では10個)に達しているか否かを判定する(S2005)。規定入賞個数に達していなければ(S2005でNO)、第1大入賞口30を閉鎖させる時間に至ったか否か(すなわち第1大入賞口30を開放してから所定の開放時間(図8参照)が経過したか否か)を判定する(S2006)。そして、第1大入賞口30の開放時間が経過していなければ(S2006でNO)、本処理を終える。
これに対して、規定入賞個数に達している場合(S2005でYES)又は第1大入賞口30の開放時間が経過した場合(S2006でYES)、すなわち2つの開放終了条件のうちのいずれかが満たされている場合には、第1大入賞口30を閉鎖(閉塞)する(S2007)。そして、大入賞口開放カウンタの値を1ディクリメントし(S2008)、大入賞口開放カウンタの値が「0」であるか否か判定する(S2009)。「0」でなければ(S2009でNO)、次の開放を開始するためにそのまま処理を終える。
一方「0」であれば(S2009でYES)、大当たり遊技を終了させるべく、大当たりのエンディングコマンド(図8参照)をセットするとともに(S2010)、大当たりのエンディングを開始する(S2011)。そして、大当たり終了フラグをセットして処理を終える(S2012)。
またステップS2001において大当たり終了フラグがONであれば(S2001でYES)、大当たり遊技における第1大入賞口30の開放が全て終了しているので、大当たりのエンディングの時間が経過したか否かを判定し(S2013)、エンディング時間が経過していなければ(S2013でNO)処理を終える。一方、エンディング時間が経過していれば(S2013でYES)、大当たり終了フラグをOFFするとともに(S2014)、大当たりフラグをOFFする(S2015)。そして、特別動作ステータスを「1」にセットした後(S2016)、後述の遊技状態設定処理(S2017)を行って、本処理を終える。
[遊技状態設定処理]図30に示すように、遊技状態設定処理(S2017)ではまず、今回の大当たり遊技の実行契機となった当たり図柄(大当たり図柄又は小当たり図柄)が、当選時の遊技状態に鑑みて、時短状態への制御契機となる図柄(図8参照)であるか否かを判定する(S2101)。この判定結果がNOであればステップS2104に進むが、判定結果がYESであれば、時短フラグをONするとともに(S2102)、当たり図柄の種別および当選時の遊技状態に応じた上限補助遊技回数(図8参照)を補助遊技カウンタにセットして(S2103)、ステップS2104に進む。ステップS2102及びS2103が実行されることにより、今回の大当たり遊技後の遊技状態が時短状態X、時短状態Y、あるいは時短状態Zになる。
ステップS2104では、遊技制御用マイコン81は、遊技状態フラグ更新処理(S2104)を行う。この遊技状態フラグ更新処理(S2104)では、時短フラグがOFFであれば遊技状態フラグの値を非時短状態に対応する値「1」にセットし、時短フラグがONであり補助遊技カウンタの値が「4」にセットされていれば、遊技状態フラグの値を時短状態Xに対応する値「2」にセットし、時短フラグがONであり補助遊技カウンタの値が「2」にセットされていれば、遊技状態フラグの値を時短状態Yに対応する値「3」にセットし、時短フラグがONであり補助遊技カウンタの値が「1」にセットされていれば、遊技状態フラグの値を時短状態Zに対応する値「4」にセットする(図19中の表参照)。
ステップS2104に続いて遊技制御用マイコン81は、遊技状態フラグの情報(すなわち現在の遊技状態の情報)を含む遊技状態指定コマンドを、RAM84の出力バッファにセットする(S2105)。このコマンドが出力されることにより、サブ制御基板90に現在の遊技状態の情報が通知される。
その後、遊技制御用マイコン81は、天井カウンタの値を「950」にセットする(S2106)。そして本処理を終える。
[特別電動役物処理2(小当たり遊技)]特別電動役物処理2は、特定領域39を備えた第2大入賞装置36を開放させる小当たり遊技の実行のための処理である。図31及び図32に示すように、特別電動役物処理2(S909)ではまず、小当たり終了フラグがONであるか否かを判定する(S2301)。小当たり終了フラグは、小当たり遊技において第2大入賞装置36の開放が終了したことを示すフラグである。
小当たり終了フラグがONでなければ(S2301でNO)、第2大入賞口35の開放中か否か(すなわち第2大入賞装置36の開放中か否か)を判定する(S2302)。開放中でなければ(S2302でNO)、第2大入賞口35を開放させる時間に至ったか否か、すなわち所定の開放前インターバル(小当たりのオープニング)の時間が経過して第2大入賞口35の開放を開始する時間に至ったか否かを判定する(S2303)。
ステップS2303の判定結果がNOであれば、そのまま処理を終える。一方、ステップS2303の判定結果がYESであれば、当選している小当たり図柄の種別に応じた開放パターン(図8参照)に従って第2大入賞口35を開放させる(S2304)。
ステップS2302において第2大入賞口35の開放中であれば(S2302でYES)、第2大入賞口35への入賞個数が規定の最大入賞個数(本形態では10個)に達しているか否かを判定する(S2305)。規定入賞個数に達していなければ(S2305でNO)、第2大入賞口35を閉鎖させる時間に至ったか否か(すなわち第2大入賞口35を開放してから所定の開放時間(図8に示すように本形態では1.6秒)が経過したか否か)を判定する(S2306)。そして、第2大入賞口35の開放時間が経過していなければ(S2306でNO)、本処理を終える。
これに対して、規定入賞個数に達している場合(S2305でYES)又は第2大入賞口35の開放時間が経過した場合(S2306でYES)、すなわち2つの開放終了条件のうちのいずれかが満たされている場合には、第2大入賞口35を閉鎖(閉塞)する(S2307)。そして、大入賞口開放カウンタの値を1ディクリメントするとともに(S2308)、小当たり終了フラグをセットして(S2309)、本処理を終える。
またステップS2301において小当たり終了フラグがONであれば(S2301でYES)、図32に示すように、小当たり遊技における第2大入賞口35の閉鎖後の所定時間(閉鎖後インターバルの時間)が経過したか否かを判定し(S2310)、閉鎖後インターバルの時間が経過していなければ(S2310でNO)処理を終える。なお、小当たり遊技の閉鎖後インターバルの時間については後述する。一方、閉鎖後インターバルの時間が経過していれば(S2310でYES)、小当たり終了フラグをOFFするとともに(S2311)、小当たりフラグをOFFして(S2312)、ステップS2313に進む。
ステップS2313では、VフラグがONか否かを判定する。Vフラグは、小当たり遊技の実行中に特定領域39への遊技球の通過があったことを示すフラグであり、後述するステップS2603(図34参照)でONされるフラグである。このVフラグがONでなければ(S2313でNO)、2種大当たり遊技を実行しないため、大入賞口開放カウンタの値を「0」にクリアするとともに(S2314)、特別動作ステータスを「1」にセットして(S2315)処理を終える。
一方、VフラグがONであれば(S2313でYES)、2種大当たり遊技を実行するため、遊技制御用マイコン81は、VフラグをOFFするとともに(S2317)、大当たりフラグをONして(S2318)、特別動作ステータスを「4」にセットする(S2319)。続いて、時短フラグがONであれば(S2320でYES)時短フラグをOFFする(S2321)。そして、天井カウンタの値を0にクリアする(S2322-1)。その後、遊技制御用マイコン81は、大当たりのオープニングコマンド(図8参照)をセットするとともに(S2322-2)、大当たりのオープニングを開始する(S2323)。これにより、第2大入賞口35を短時間にわたって開放する小当たり遊技から2種大当たり遊技に移行する。
[振分部材制御処理]遊技制御用マイコン81は、特別動作処理(S106)に次いで振分部材制御処理(S107)を行う(図15参照)。振分部材制御処理(S107)では図33に示すように、まず、振分部材作動フラグがONか否かを判定する(S2501)。振分部材作動フラグがONでなければ本処理を終える。一方、振分部材作動フラグがONであれば、小当たり遊技のオープニングが開始しているため(図26参照)、振分部材71を所定の作動パターンにて作動させるべく振分部材作動処理(S2502)を行うとともに、V有効期間設定処理(S2503)を行う。
振分部材作動処理(S2502)では、振分部材71の作動時間を計測するためのタイマをセットし、そのタイマを用いた計時に基づいて、振分部材71の開放タイミングになったら振分部材ソレノイド73をONし、振分部材71の閉鎖タイミングになったら振分部材ソレノイド73をOFFする。これにより、振分部材71は、小当たり遊技のオープニングの開始から一定の動作で動くこととなる。
具体的には図39(c)に示すように、振分部材71をまず、小当たり遊技のオープニングの開始から8msにわたって通過阻止状態(図2に破線で示す状態)に制御する。これを開放前インターバルという。続いて、4600msにわたって通過許容状態(図2に二点鎖線で示す状態)に制御する。これを、V開放という。次いで、3000msにわたって通過阻止状態に制御する。これを、閉鎖後インターバルという。このような、「開放前インターバル⇒V開放⇒閉鎖後インターバル」からなる一連の動作が振分部材71の一定動作である。
また、V有効期間設定処理(S2503)では、上記のような振分部材71の一定動作に対してV有効期間を設定する。V有効期間とは、特定領域センサ39aによる検知があった場合にその検知を有効なものとみてVフラグをONにする期間である。図39(d)に示すように、V有効期間は、特定領域39の開放開始(振分部材71を通過許容状態に制御した時点)から所定の時間が経過するまでである。所定の時間は、特定領域39の開放時間(振分部材71を通過許容状態に制御している時間)よりも長い時間に設定されている。これは、振分部材71の配置位置を通過した遊技球が特定領域39に至るまでのタイムラグを考慮してのことである。
具体的にはV有効期間設定処理(S2503)では、V有効期間を計測するためのタイマをセットし、そのタイマを用いた計時に基づいて、特定領域39を有効にするタイミングになったらV有効フラグをONし、特定領域39を無効にするタイミングになったらV有効フラグをOFFする。なお、後述する特定領域センサ検出処理(S108)のステップS2602では、このV有効フラグがONか否かを判断することにより、V有効期間中か否かを判定する。
V有効期間設定処理(S2503)に続いて遊技制御用マイコン81は、振分部材71の動作が終了したか否かを判定する(S2504)。具体的には、ステップS2502でセットした振分部材71の作動時間を計測するためのタイマに基づいて、振分部材71が一定動作を開始してから終了するまでの総作動時間(7608ms(図39(c)参照))が経過したか否かを判定する。そして、振分部材71の動作が終了していなければそのまま本処理を終える。これに対して、振分部材71の動作が終了していれば、振分部材作動フラグをOFFしてから(S2505)本処理を終える。
ここで図39に基づいて、上記のような振分部材71の一定動作と、小当たり遊技における第2大入賞口35(開閉部材37)の開放パターンとの関係について説明する。本形態では、小当たり遊技における第2大入賞口35の開放パターンとして、図39(b)に示す開放パターンがある。なお、図39(a)は、小当たり遊技の開始のタイミングをわかりやすくするために、特別図柄の変動表示および停止表示のタイミングを示したものである。
図39(b)に示す開放パターンは、特図2の抽選にて小当たりに当選した場合に選択される開放パターンである。つまり、「特図2_小当たり図柄a」、「特図2_小当たり図柄b」、「特図2_小当たり図柄c」、「特図2_小当たり図柄d」、あるいは「特図2_小当たり図柄e」(図8参照)に当選した場合に選択される開放パターンである。この開放パターンは、特定領域39への通過が可能な通過用開放パターンである。
より詳細には、この通過用開放パターンは、8msにわたって第2大入賞口35を閉塞した後に1600msにわたって第2大入賞口35を開放し、その後、6000msにわたって第2大入賞口35を閉塞する開放パターンである。言い換えれば、この開放パターンにて実行される小当たり遊技は、8msにわたって第2大入賞口35が閉塞されるオープニングと、1600msにわたって第2大入賞口35が開放される小当たり開放遊技と、6000msにわたって第2大入賞口35が閉塞される閉鎖後インターバルとを含んでいる。
このような開放パターンで第2大入賞口35が開放された場合、1600msにわたる第2大入賞口35の開放期間中および第2大入賞口35の閉鎖後の3000msの期間中は、振分部材71のV開放にあたり、振分部材71が通過許容状態をとっている(図39(b)及び(c)参照)。従って、どのような入賞タイミングで第2大入賞口35へ遊技球が入賞したとしても、その遊技球は特定領域39を通過することが可能である。なお本形態では、右打ちにて遊技球を連続的に発射し続けていれば、1.6秒にわたる開放期間中に必ず第2大入賞口35へ遊技球が入賞するように、第2大入賞装置36等の各装置が配されている。また、第2大入賞口35を通過した遊技球が振分部材71の配置位置に至るまでの所要時間は3000msよりも短い。つまり本形態では、小当たりは実質的には大当たりとして機能する。なお本明細書では、特図2の抽選に基づく小当たりを、特2V通過小当たりと称することがある。
また本形態では、小当たり遊技中は、第2大入賞装置36内に入球した遊技球の数を第2大入賞口センサ35aによる検知に基づいてカウントしているとともに、第2大入賞装置36外へ排出された遊技球の数を特定領域センサ39a又は非特定領域センサ70aによる検知に基づいてカウントしている。つまり本形態では、特定領域センサ39a及び非特定領域センサ70aは、第2大入賞装置36外へ排出された遊技球の数をカウントする排出口センサとしても機能している。そして、振分部材71の一定動作の終了時点で、両カウント値が一致していないときにはエラー報知を行うようにしている。なお第2大入賞口35の閉鎖後、両カウント値が一致したときに振分部材71の作動を停止するようにしてもよい。このようにすれば、第2大入賞口35の閉鎖後に特別図柄の変動表示をスムーズに開始することが可能となる。
[特定領域センサ検出処理]遊技制御用マイコン81の動作の説明に戻る。遊技制御用マイコン81は、振分部材制御処理(S107)に次いで特定領域センサ検出処理(S108)を行う(図15参照)。特定領域センサ検出処理(S108)では図34に示すように、まず、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったか否かを判定する(S2601)。検知がなければ(S2601でNO)処理を終了するが、検知があれば(S2601でYES)V有効期間中か否かを判定する(S2602)。V有効期間は、前述の振分部材制御処理(図33)におけるV有効期間設定処理(S2503)にて設定される期間である。具体的にはV有効期間は、図39(d)に示す期間である。
ステップS2602でV有効期間中であると判定した場合には(S2602でYES)、VフラグをONするとともに(S2603)、V通過コマンドをセットして(S2604)処理を終える。一方、ステップS2602でV有効期間中でないと判定した場合には(S2602でNO)、ステップS2603及びS2604の処理を行うことなく、特定領域センサ検出処理を終える。なお、V通過コマンドは、サブ制御基板90にV通過(特定領域39の通過)の報知を行わせるためのコマンドである。
6.演出制御用マイコン91の動作
次に、図35~図38に基づいて演出制御用マイコン91の動作について説明する。なお、演出制御用マイコン91の動作の説明において登場するカウンタ、タイマ、フラグ、バッファ等は、RAM94に設けられている。
[サブ制御メイン処理]演出制御用マイコン91は、パチンコ遊技機1が電源投入されると、図35に示したサブ制御メイン処理のプログラムをROM93から読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、最初に、電源投入に応じた電源投入時処理を行う(S4001)。電源投入時処理では、例えば、CPU92の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定等を行う。
次に、割り込みを禁止し(S4002)、乱数更新処理を実行する(S4003)。乱数更新処理(S4003)では、種々の演出に関する判定を行うための種々の演出判定用乱数カウンタの値を更新する。種々の演出についての演出判定用乱数カウンタの更新方法は、一例として、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。更新に際して乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。これは、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理においても同様である。
乱数更新処理が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S4004)。コマンド送信処理(S4004)では、サブ制御基板90のRAM94内の出力バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板100に送信する。コマンドを受信した画像制御基板100は、受信したコマンドに従って、表示画面7a(表示部)に画像を表示する(画像による種々の演出を実行する)。なお、サブ制御基板90は、画像制御基板100によって行われる種々の演出とともに、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声を出力させたり(音声による種々の音演出を実行したり)、ランプ制御基板107を介して盤ランプ5や枠ランプ66を発光させたり(発光による種々の発光演出を実行したり)、盤可動体15を作動させたり(動作による種々の可動体演出を実行したり)する。このようにして、各種の演出(変動演出、保留演出、可動体演出、操作演出、先読み演出、その他の予告演出、特別遊技に伴うオープニング演出、開放遊技演出、エンディング演出、客待ち演出、演出モードの制御など)が実現される。
演出制御用マイコン91は続いて、割り込みを許可する(S4005)。以降、ステップS4002~S4005をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4010)、1msタイマ割り込み処理(S4011)、および10msタイマ割り込み処理(S4012)の実行が可能となる。
受信割り込み処理(S4010)は、主制御基板80から送られた各種のコマンドが演出制御用マイコン91に入力される度に実行される。受信割り込み処理(S4010)では、演出制御用マイコン91は主制御基板80の出力処理(S101)により送信されてきて受信した各種のコマンドをRAM94の受信バッファに格納する。この受信割り込み処理は、他の割り込み処理(S4011,S4012)に優先して実行される。
[1msタイマ割り込み処理]1msタイマ割り込み処理(S4011)は、サブ制御基板90に1msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。1msタイマ割り込み処理(S4011)では、図36に示すように、入力処理(S4101)、発光データ出力処理(S4102)、可動体制御処理(S4103)、ウォッチドッグタイマ処理(S4104)を順次行う。
入力処理では、演出ボタン検出スイッチ63aやセレクトボタン検出スイッチ64aなどの遊技者が操作可能な操作部に対する操作を検出し、検出結果に応じてコマンドをセットしたり演出用データを作成したりする。発光データ出力処理では、入力処理や後述する演出データ作成処理等で作成された演出用データに基づいて、画像による演出等に合うタイミングなどで枠ランプ66、および盤ランプ5などのランプを発光させるべく、発光データ(ランプデータ)をランプ制御基板107に出力する。つまり、演出制御用マイコン91は、発光データに従って枠ランプ66、および盤ランプ5などを所定の発光態様で発光させる。可動体制御処理では、入力処理や後述する演出データ作成処理等で作成された演出用データに基づいて、所定のタイミングで盤可動体15などの可動体を動作させる可動体演出を行うべく、駆動データを出力する。つまり、演出制御用マイコン91は、駆動データに従って、盤可動体15などを所定の動作態様で動作させる可動体演出を行う。ウォッチドッグタイマ処理では、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行う。
[10msタイマ割り込み処理]10msタイマ割り込み処理(S4012)は、サブ制御基板90に10msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。10msタイマ割り込み処理(S4012)では、図37に示すように、後述する受信コマンド解析処理(S4201)、演出タイマ更新処理(S4202)、音声制御処理(S4203)、演出用データ作成処理(S4204)を順次行う。
受信コマンド解析処理では、受信割り込み処理(S4010)によってRAM94の受信バッファに格納されたコマンドを解析し、そのコマンドに応じた処理(例えば演出の選択や演出モードの設定、コマンドのセット等)を行う。演出タイマ更新処理では、各演出に関する時間を計測するためのタイマを更新する。例えば、演出タイマ更新処理では、演出ボタン63やセレクトボタン64といった操作部の操作有効期間の開始タイミングや終了タイミングを計測する。音声制御処理では、入力処理や受信コマンド解析処理の処理結果に基づいて、音声データ(スピーカ67からの音声の出力を制御するデータ)の作成と音声制御基板106への出力が行われる。演出用データ作成処理では、受信コマンド解析処理の処理結果に基づいて、演出用データの作成が行われる。
ここで、演出制御用マイコン91が遊技制御用マイコン81からコマンドを受信した場合の処理の一例を説明する。演出制御用マイコン91が受信するコマンドは、変動開始コマンド(特図1変動開始コマンド又は特図2変動開始コマンド)とする。演出制御用マイコン91は、受信コマンド解析処理(S4201)において、変動開始コマンドを受信していると判定した場合、変動開始コマンド受信時処理として、そのコマンドが示す特図変動パターンに基づいて、変動演出の演出パターン(サブ変動パターン)を選択し、そのサブ変動パターンの情報をセットするとともに、そのサブ変動パターンの情報を含む変動演出開始コマンドを出力バッファにセットする。例えば、変動開始コマンドが示す特図変動パターンがSP変動(SPリーチに関連付けられた変動パターン)である場合、SPリーチを行うサブ変動パターンを選択し、そのサブ変動パターンに対応する変動演出開始コマンドを出力バッファにセットする。その後、各処理(コマンド送信処理(S4004)、発光データ出力処理(S4102)、可動体制御処理(S4103)、音声制御処理(S4203)など)が実行されることで、選択したサブ変動パターンに対応する変動演出が実現される。なお、このような演出の実現に関する処理の流れは、特別遊技に伴う演出や客待ち演出、先読み演出、所謂当該変動に伴う予告演出、演出モードの制御などの他の演出についても基本的には同じである。
[受信コマンド解析処理]次に、受信コマンド解析処理(S4201)について、図38に基づいて詳述する。受信コマンド解析処理(S4201)ではまず、図38に示すように、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から始動入賞コマンドを受信したか否か判定し(S4401)、受信していれば先読み演出判定処理(S4402)を行う。先読み演出判定処理(S4402)では、始動入賞コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、所謂保留変化予告や連続予告などの先読み演出の抽選を行い、その抽選結果に応じた先読み演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。本形態では、始動入賞コマンドに特別図柄の種別(大当たり図柄種別、小当たり図柄種別、ハズレ図柄種別)の情報が含まれているため(図13参照)、時短状態Xあるいは時短状態Yへの移行を示唆する先読み演出を実行したり、時短状態への移行を示唆する先読み演出を実行したりすることが可能である。
続いて、演出制御用マイコン91は、遊技状態指定コマンドを受信したか否か判定し(S4403)、受信していれば演出モード更新処理(S4404)を行う。演出モード更新処理(S4404)では、遊技状態指定コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、演出モードの選択を行い、その選択に応じた演出モードに設定するための演出モード設定コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。なお、演出モード更新処理による演出モードの変更は、大当たり遊技の終了や特図変動の終了に際して行われるものとし、補助遊技の実行を契機とする時短状態の終了に際しては行われないものとする。
ここで、図38中の表に示すように、演出モード更新処理では、演出制御用マイコン91は、遊技状態指定コマンドが示す遊技状態が「非時短状態」であって特図2保留が無い場合には、通常演出モードに設定する。また、演出制御用マイコン91は、遊技状態指定コマンドが示す遊技状態が「時短状態X」である場合には、超特別RUSHモードに設定する。また、演出制御用マイコン91は、遊技状態指定コマンドが示す遊技状態が「時短状態Y」である場合には、特別RUSHモードに設定する。また、演出制御用マイコン91は、遊技状態指定コマンドが示す遊技状態が「時短状態Z」である場合には、通常RUSHモードに設定する。また、演出制御用マイコン91は、遊技状態指定コマンドが示す遊技状態が「非時短状態」であって特図2保留が有る場合には、チャンスモードに設定する。なお、演出制御用マイコン91は、始動入賞コマンドの受信や変動開始コマンドの受信に基づいて、特図1保留の数や特図2保留の数をカウントしているものとする。
各演出モードの詳細については後述するが、超特別RUSHモードは、時短状態Xに制御される際に設定される演出モードであるため、残り4回の大当たり遊技の獲得が実質的に確定していることを遊技者に示唆する演出として機能する。また、特別RUSHモードは、時短状態Yに制御される際に設定される演出モードであるため、残り2回の大当たり遊技の獲得が実質的に確定していることを遊技者に示唆する演出として機能する。また、通常RUSHモードは、時短状態Zに制御される際に設定される演出モードであるため、残り1回の大当たり遊技の獲得が実質的に確定していることを遊技者に示唆する演出として機能する。また、チャンスモードは、非時短状態において特図2の抽選が行われる際に設定される演出モードであるため、時短状態Xに移行する確率が、非時短状態において特図1の抽選を受けているときに比べて、大幅に上昇していることを示唆する演出として機能する。なお本形態では、非時短状態における特図2の抽選に係る小当たり当選に基づいて時短状態Xに移行する確率は20%であるのに対して、非時短状態における特図1の抽選に係る大当たり当選に基づいて時短状態Xに移行する確率は1%である(図8参照)。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動開始コマンドを受信したか否か判定し(S4405)、受信していれば変動演出開始処理(S4406)を行う。変動演出開始処理(S4406)では、変動開始コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、変動演出のパターン(内容)、及び、最終的に停止表示する演出図柄8L,8C,8Rの組み合わせを選択する。そして、選択した内容の変動演出を実行するための変動演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。なお、変動演出の演出内容については、後に具体的に説明する。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動停止コマンドを受信したか否か判定し(S4407)、受信していれば変動演出終了処理(S4408)を行う。変動演出終了処理(S4408)では、変動停止コマンドを解析して、その解析結果に基づいて、演出図柄8L,8C,8Rを確定的に停止表示させるための変動演出終了コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。なお、非時短状態において特図2の小当たり変動(小当たり当選に基づく変動)に係る変動停止コマンドを受信した場合には、右打ちによって第2大入賞口35へ入賞させるべき旨を報知する右打ち報知演出を実行するためのコマンドも、RAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からオープニングコマンドを受信したか否か判定し(S4409)、受信していればオープニング演出選択処理(S4410)を行う。オープニング演出選択処理(S4410)では、オープニングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、特別遊技のオープニング中に実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からエンディングコマンドを受信したか否か判定し(S4411)、受信していればエンディング演出選択処理(S4412)を行う。エンディング演出選択処理(S4412)では、エンディングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のエンディング中に実行するエンディング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したエンディング演出パターンにてエンディング演出を開始するためのエンディング演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からV通過コマンドを受信したか否か判定し(S4413)、受信していればV通過報知演出開始処理(S4414)を行う。V通過報知演出開始処理(S4414)では、V通過報知演出を開始するためのV通過報知演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。V通過報知演出とは、V通過(特定領域39への通過)があったことを遊技者に報知するための演出である。本形態では、所定のV通過報知画像(例えば「V」の文字を示す文字画像)を表示画面7aに表示する演出である。このV通過報知演出としての「V」の文字画像の表示は、特定領域39への通過に基づいて2種大当たり遊技を実行する本パチンコ遊技機1では、大当たり当選の報知としての意味ももつ。なお、V通過報知演出は、特別の効果音をスピーカ67から出力するなど、他の態様であってもよい。
続いて、その他の処理(S4415)として、上記のコマンド以外の受信コマンドに基づく処理を行って、受信コマンド解析処理を終える。
7.本形態における遊技の流れ
次に、本形態のパチンコ遊技機1における遊技の進行の流れについて、図40に基づいて説明する。図40に示すように、まず、非時短状態(通常遊技状態)であって特図2保留が1つも無い状態では、左打ちにて遊技を進行し、特図1の抽選に基づく大当たり当選を狙う。特図2保留が1つも無い非時短状態では、通常演出モードに制御される。
特図1の抽選にて大当たりに当選した場合、大当たり図柄の種別が「特図1_大当たり図柄A」(振分率1%)であれば、4Rの大当たり遊技の後、上限補助遊技回数が4回の時短状態Xに移行する(図8参照)。また、大当たり図柄の種別が「特図1_大当たり図柄B」(振分率1%)であれば、4Rの大当たり遊技の後、上限補助遊技回数が2回の時短状態Yに移行する。また、大当たり図柄の種別が「特図1_大当たり図柄C」(振分率48%)であれば、4Rの大当たり遊技の後、上限補助遊技回数が1回の時短状態Zに移行する。また、大当たり図柄の種別が「特図1_大当たり図柄D」(振分率50%)であれば、4Rの大当たり遊技の後、非時短状態に移行する(詳細には特図2保留が1つも無い状態で非時短状態に移行する)。
各時短状態(時短状態X、時短状態Y、時短状態Z)では右打ちにて遊技を進行し、特図2の抽選に基づく大当たり(すなわち、小当たり当選からの特定領域39の通過に基づく大当たり)を狙う。時短状態において右打ちによってゲート28に遊技球を通過させるとすぐに補助遊技が実行される。何れの時短状態でも補助遊技1回につき電チュー22(第2始動口21)への入賞が1球だけ生じる。そして、特図2の抽選では必ず小当たりに当選し、正しく遊技している限り必ず特定領域39に遊技球を通過させることができる。よって、時短状態に制御されると、上限補助遊技回数の大当たり遊技の獲得が確定することとなる。
ここで、時短状態Xの上限補助遊技回数は4回であるため、初回の補助遊技における第2始動口21への入賞に応じた特図2の変動表示中に、残り3回の補助遊技が実行されてその各々で第2始動口への入賞が1球ずつ生じる。よって、時短状態Xでは特図2の変動表示中に特図2保留を3個貯めることができる。従って時短状態Xに制御されると、残り4回の大当たり遊技の獲得が確定する。時短状態Xは、本形態の遊技状態の中で最も遊技者に有利な遊技状態である。時短状態Xでは、超特別RUSHモードに制御される。
時短状態Xにおいて当選した小当たり図柄の種別が「特図2_小当たり図柄a」、「特図2_小当たり図柄b」、「特図2_小当たり図柄c」、及び「特図2_小当たり図柄d」の何れか(合計の振分率70%)であれば、実質10Rの2種大当たり遊技の後、再び上限補助遊技回数が4回の時短状態Xに制御される(図8参照)。よって、再び残り4回の大当たり遊技の獲得が確定する。本形態では、一度時短状態Xに制御された場合には70%と高い割合で時短状態Xがループするようになっている。
一方、時短状態Xにおいて当選した小当たり図柄の種別が「特図2_小当たり図柄e」(振分率30%)であれば、実質10Rの2種大当たり遊技の後、特図2保留が3個貯まっている状態で非時短状態に制御される。特図2保留が1つ以上貯まっている状態で非時短状態に制御された場合には、チャンスモードに制御される。
また、時短状態Yの上限補助遊技回数は2回であるため、初回の補助遊技における第2始動口21への入賞に応じた特図2の変動表示中に、残り1回の補助遊技が実行されて第2始動口への入賞がさらに1球生じる。よって、時短状態Yでは特図2の変動表示中に特図2保留を1個貯めることができる。従って時短状態Yに制御されると、残り2回の大当たり遊技の獲得が確定する。時短状態Yは、本形態の遊技状態の中で2番目に遊技者に有利な遊技状態である。時短状態Yでは、特別RUSHモードに制御される。
時短状態Yにおいて当選した小当たり図柄の種別が「特図2_小当たり図柄a」、「特図2_小当たり図柄b」、「特図2_小当たり図柄c」、及び「特図2_小当たり図柄d」の何れか(合計の振分率70%)であれば、実質10Rの2種大当たり遊技の後、再び上限補助遊技回数が2回の時短状態Yに制御される(図8参照)。時短状態Yから再び時短状態Yに制御される場合には、特図2保留が1つは残っている。よって、再び時短状態Yに制御された場合には、残っていた特図2保留に基づく変動表示中に、特図2保留の上限数3までの範囲で特図2保留を最大2個追加で発生させることが可能である。本形態では、一度時短状態Yに制御された場合には70%と高い割合で時短状態Yがループするようになっている。
一方、時短状態Yにおいて当選した小当たり図柄の種別が「特図2_小当たり図柄e」(振分率30%)であれば、実質10Rの2種大当たり遊技の後、特図2保留が最低1個は貯まっている状態で非時短状態に制御される。上述した通り、特図2保留が1つ以上貯まっている状態で非時短状態に制御された場合には、チャンスモードに制御される。
また、時短状態Zの上限補助遊技回数は1回であるため、その1回の補助遊技における第2始動口21への入賞に基づいて特図2の抽選を1回受けることができるが、特図2保留は1つも貯めることはできない。従って時短状態Zに制御された場合は、残り1回の大当たり遊技の獲得が確定するだけである。時短状態Zは、本形態の遊技状態の中で3番目に遊技者に有利な遊技状態である。時短状態Zでは、通常RUSHモードに制御される。
時短状態Zにおいて当選した小当たり図柄の種別が「特図2_小当たり図柄a」(振分率2%)であれば、実質10Rの2種大当たり遊技の後、上限補助遊技回数が4回の時短状態Xに制御される(図8参照)。また、小当たり図柄の種別が「特図2_小当たり図柄b」(振分率2%)であれば、実質10Rの2種大当たり遊技の後、上限補助遊技回数が2回の時短状態Yに制御される。また、小当たり図柄の種別が「特図2_小当たり図柄c」又は「特図2_小当たり図柄d」(合計の振分率66%)であれば、実質10Rの2種大当たり遊技の後、再び時短状態Zに制御される。また、小当たり図柄の種別が「特図2_小当たり図柄e」(振分率30%)であれば、実質10Rの2種大当たり遊技の後、非時短状態(特図2保留無しの非時短状態)に制御される。
このように本形態では、時短状態Zに制御された場合には66%と高い割合で時短状態Zがループするようになっているだけでなく、各2%の割合で時短状態Xや時短状態Yにも移行し得るようになっている。時短状態Xへの移行確率(2%)は、非時短状態において特図1の抽選で大当たりに当選した場合の時短状態Xへの移行確率(1%)よりも高い。また、時短状態Yへの移行確率(2%)も、非時短状態において特図1の抽選で大当たりに当選した場合の時短状態Yへの移行確率(1%)よりも高い。よって、時短状態Zは、非時短状態における特図1の抽選と比べて時短状態Xや時短状態Yに移行することに期待が持てる遊技状態と言える。
時短状態Xや時短状態Yにおいて「特図2_小当たり図柄e」に当選して、2種大当たり遊技後に特図2保留が1つ以上ある状態で非時短状態に制御された場合には、新たに第2始動口21への入賞を発生させることはできないが、残っている特図2保留(特図2の残保留)に基づいて特図2の抽選を受けることができる。つまり、特図2の抽選に基づく小当たり当選を経て、2種大当たり遊技を実行させることができる。
非時短状態において当選した小当たり図柄の種別が「特図2_小当たり図柄a」、「特図2_小当たり図柄b」、及び「特図2_小当たり図柄c」の何れか(合計の振分率20%)であれば、実質10Rの2種大当たり遊技の後、上限補助遊技回数が4回の時短状態Xに制御される(図8参照)。一方、非時短状態において当選した小当たり図柄の種別が「特図2_小当たり図柄d」又は「特図2_小当たり図柄e」(合計の振分率80%)であれば、実質10Rの2種大当たり遊技の後、非時短状態に制御される。このとき特図2保留が1つ以上あれば、再び非時短状態において特図2の抽選を受けることができる。この場合、チャンスモードが継続する。これに対して、特図2保留が1つも無ければ、左打ちにて特図1の抽選に基づく大当たり当選を狙う遊技に戻ることとなる。この場合、通常演出モードに戻る。
このように本形態では、非時短状態における特図2の抽選に基づく小当たり当選時には、20%の割合で時短状態Xに移行するようになっている。この20%という時短状態Xへの移行確率は、非時短状態における特図1の抽選に基づく大当たり当選時の時短状態Xへの移行確率(1%)や、時短状態Zにおける小当たり当選時の時短状態Xへの移行確率(2%)、時短状態Yにおける小当たり当選時の時短状態Xへの移行確率(0%)に比べて極めて高い。よって本形態では、時短状態Xが継続しないで非時短状態に制御されても、再び時短状態Xに戻ることに期待が持てるようになっている。また、時短状態Yが継続しないで非時短状態に制御されても、次は時短状態Yよりも有利な時短状態Xに移行するかもしれないと期待が持てるようになっている。
ここで本形態では、非時短状態において特図1の抽選に基づいて特殊ハズレの1つである「ハズレ図柄B」を引いた場合には、大当たり遊技が実行されることなく、時短状態Xに移行する。ハズレ図柄Bの当選確率は1/2000と極めて低いが、もし引いた場合には最低4回の大当たりが確定する時短状態Xに移行できる。よって、大当たりに当選できなくても、突然、時短状態Xに移行できる可能性があるため、遊技興趣が向上されている。
また本形態では、非時短状態において特図1の抽選に基づいて特殊ハズレの1つである「ハズレ図柄C」を引いた場合には、大当たり遊技が実行されることなく、時短状態Yに移行する。ハズレ図柄Cの当選確率は1/1000と低いが、もし引いた場合には最低2回の大当たりが確定する時短状態Yに移行できる。よって、大当たりに当選できなくても、突然、時短状態Yに移行できる可能性があるため、遊技興趣が向上されている。
また本形態では、非時短状態において大当たりにも特殊ハズレにも当選できなくても、特別図柄の変動表示(特図変動)が950回実行されれば、時短状態Xに移行する。よって、大当たりや特殊ハズレといった通常ハズレ以外の抽選結果を全く引けなくても、とにかく特図変動950回分遊技を行えば必ず、最低4回の大当たりが確定する時短状態Xに移行できるため、遊技者の過度な不利益が軽減されているとともに、遊技興趣が向上されている。
なお特図2の変動は、特図1の変動よりも実質的に大当たりに当選し易いため(本形態では大当たり確定であるため)、特図2の変動を「チャンス変動」とも称する。
8.本形態における演出例
8-1.演出モード
次に、本形態のパチンコ遊技機1における演出例について、図41~図46に基づいて説明する。まず、演出モードについて説明する。演出モードとは、画像表示装置7、スピーカ67、盤ランプ5、及び枠ランプ66等を用いた演出の態様であり、演出モードが異なると、例えば画像表示装置7に表示されるキャラクタやアイテム、背景画像等が異なり、演出図柄8L,8C,8Rを用いた変動演出も演出モードに応じた態様で実行される。
本形態の演出モードには、図41(A)に示す昼の背景画像が表示される通常演出モード、図41(B)に示す宇宙の背景画像が表示される超特別RUSHモード、図41(C)に示す夜の背景画像が表示される特別RUSHモード、図41(D)に示す空の背景画像が表示される通常RUSHモード、図41(E)に示す特別な昼の背景画像(図41(A)に示す通常の昼の背景画像に炎のエフェクト画像が組み合わされた背景画像)が表示されるチャンスモード、が含まれている。
通常演出モード(図41(A))は、非時短状態であって特図2保留が無い場合に設定される演出モードである。つまり、非時短状態であって特図1の抽選を主として遊技が進行される状態において設定される演出モードである。
超特別RUSHモード(図41(B))は、上限補助遊技回数が4回の時短状態Xに制御された場合に設定される演出モードである。時短状態では、右打ちにて第2始動口21への入賞を狙って遊技を行うため、超特別RUSHモードに制御されると、演出制御用マイコン91は、右打ちにて遊技を行うべき旨を報知する右打ち報知画像RIを表示画面7aの右上部に表示する。また、超特別RUSHモードでは、特図2保留の数に応じて演出保留9Bが表示画面7aの右下部に表示される。
特別RUSHモード(図41(C))は、上限補助遊技回数が2回の時短状態Yに制御された場合に設定される演出モードである。特別RUSHモードにおいても、右打ち報知画像RIおよび特図2保留の数に応じた演出保留9Bが表示画面7aに表示される。
通常RUSHモード(図41(D))は、上限補助遊技回数が1回の時短状態Zに制御された場合に設定される演出モードである。通常RUSHモードにおいても、右打ち報知画像RIが表示画面7aに表示される。
チャンスモード(図41(E))は、非時短状態であって特図2保留がある場合に設定される演出モードである。チャンスモードでは、特図2保留の数に応じた演出保留9Bが表示画面7aに表示される。またチャンスモードでは、「超特別RUSH突入率上昇中!」の文字を含む帯状の帯画像G10が表示画面7aの上部に表示される。帯画像G10の表示は、超特別RUSHモード(つまり時短状態X)に移行する確率が他の遊技状況と比べて高くなっていることを遊技者に示す演出である。つまり本形態では、図40に示したように非時短状態における特図2の抽選に基づく時短状態Xへの移行確率は20%と相対的に高いため、このことを遊技者に示して、遊技者の期待感を刺激し、遊技興趣を高めている。
8-2.変動演出
次に、変動演出について説明する。パチンコ遊技機1は、特別図柄の変動表示が開始されると、特別図柄の変動表示に係る変動パターンおよび特別図柄抽選の結果(大当たり判定や小当たり判定の結果、図柄種別判定の結果、リーチ判定の結果、および、変動パターン判定の結果)などに基づいて、変動演出を実行する。変動演出では、表示画面7aにおいて、所定の背景画像に重畳的に、演出図柄8L,8C,8Rの変動表示が行われる。演出図柄8L,8C,8Rの変動表示では、演出図柄8L,8C,8Rが変動した後に停止する。すなわち、特別図柄の変動時間にわたって、演出図柄8L,8C,8Rの変動表示が行われた後に、当該変動が停止して、演出図柄8L,8C,8Rの停止表示が行われる。そして、演出図柄8L,8C,8Rの停止表示によって特別図柄抽選の結果が報知される。
8-2-1.演出図柄表示領域
画像表示装置7の表示画面7aには、図42(A)に示すように、表示画面7aを水平方向に3つに略均等に分けた左側、中央および右側それぞれに、左演出図柄領域50b1、中演出図柄領域50b2、および右演出図柄領域50b3が設けられている。左演出図柄領域50b1は、変動演出における演出図柄8L,8C,8Rの停止表示のときに、左演出図柄8Lを表示する領域である。同様に、中演出図柄領域50b2および右演出図柄領域50b3は、中演出図柄8Cおよび右演出図柄8Rを表示する領域である。
また、図42(A)に示すように、表示画面7aの上端部の左端の一区画(左上部)には、小図柄領域50cが設けられている。小図柄領域50cは、特別図柄の変動表示が行われているときに小図柄KZ1,KZ2,KZ3を変動表示する領域である。なお、演出図柄8L,8C,8Rは、変動演出中に非表示となることがあるのに対して、小図柄KZ1,KZ2,KZ3は非表示となることがない。この点において、小図柄KZ1,KZ2,KZ3は演出図柄8L,8C,8Rの役割を補う図柄として機能する。
なお、図42(A)において、左演出図柄領域50b1、中演出図柄領域50b2、右演出図柄領域50b3、および小図柄領域50cは二点鎖線で明示されているが、これは左演出図柄領域50b1、中演出図柄領域50b2、右演出図柄領域50b3、および小図柄領域50cの範囲を表すために記載したものであり、実際には表示されていない。また、各領域の範囲は適宜に変更可能である。
8-2-2.通常変動
パチンコ遊技機1は、変動演出において、先ず通常変動を行うことが可能である。通常変動は、特別図柄の変動表示が開始されたことを示唆する演出として機能する。
特別図柄の変動表示が開始されると、例えば、図42(A)に示すように、表示画面7aにおいて、左演出図柄8L、中演出図柄8Cおよび右演出図柄8Rが停止表示されていると共に、左小図柄KZ1、中小図柄KZ2および右小図柄KZ3が停止表示されており、特別図柄の変動表示が行われておらず、特別図柄の変動表示を待機している状態から、図42(B)に示すように、その開始に伴って演出図柄8L,8C,8Rの変動表示が開始されると共に、小図柄KZ1,KZ2,KZ3の変動表示が開始される。そして、この特別図柄の変動表示の変動パターンが、例えば「通常ハズレ変動」(リーチ無しハズレの変動)の場合には、図42(C―1)に示すように、左演出図柄8Lと右演出図柄8Rとが異なる停止態様で仮停止してから、図42(D)に示すように、ハズレを示唆する停止態様(所謂バラケ目)で演出図柄8L,8C,8Rが停止表示する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3もハズレを示唆する停止態様で一斉に停止表示する。一方、特別図柄の変動表示の変動パターンが、例えば「Nハズレ変動」(ノーマルリーチによってハズレが示されるリーチ有りハズレの変動)などのリーチ有りの変動パターンの場合には、図42(C―2)に示すように、左演出図柄8Lと右演出図柄8Rとが同じ停止態様で仮停止して、リーチが成立する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3の変動表示は継続して行われ、変動パターンに応じたリーチ演出が行われる。なお、演出図柄8L,8C,8Rの停止順序や停止態様は、適宜に変更することが可能である。
8-2-3.Nリーチ(ノーマルリーチ)
パチンコ遊技機1は、通常変動においてリーチが成立するとNリーチを行うことが可能である。Nリーチは、特別図柄抽選の結果が「大当たり」であった可能性があることを示唆する演出であり、遊技者に大当たりを期待させるための演出として機能する。
Nリーチでは、図43(A)に示すように、リーチが成立した状態が所定時間(例えば、10秒)維持され、図43(B)に示すように、中演出図柄8Cの変動速度が徐々に減速していく。そして、特別図柄の変動表示の変動パターンが、例えば「Nハズレ変動」の場合には、図43(C―1)に示すように、ハズレを示唆する停止態様(所謂バラケ目)で演出図柄8L,8C,8Rが停止表示する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3もハズレを示唆する停止態様で一斉に停止表示する。一方、特別図柄の変動表示の変動パターンが、例えば「N大当たり変動」(ノーマルリーチによって大当たり当選が示される大当たり変動)の場合には、図43(C-2)に示すように、大当たりを示唆する停止態様(所謂ゾロ目(所定の停止態様の一例))で停止表示する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3も大当たりを示唆する停止態様で一斉に停止表示する。なお、Nリーチの演出内容は、中演出図柄8Cが徐々に減速することに限られず、適宜に変更または追加することが可能である。
また、ハズレを示唆する演出図柄8L,8C,8Rの停止態様に関して、リーチが成立しない場合のバラケ目を「非リーチバラケ目」や「非リーチハズレ目」と称し、リーチが成立する場合のバラケ目を「リーチバラケ目」や「リーチハズレ目」と称する。非リーチバラケ目を構成する各演出図柄8L,8C,8Rの組み合わせをどのようにするか(例えば「2・3・1」や「5・8・6」等)、および、リーチバラケ目を構成する各演出図柄8L,8C,8Rの組み合わせをどのようにするか(例えば「2・1・2」や「5・4・5」等)は、演出制御用マイコン91によって選択される。また、当たり(大当たり、小当たり)を示唆する停止態様(ゾロ目)を構成する各演出図柄8L,8C,8Rの組み合わせをどのようにするか(例えば「2・2・2」や「7・7・7」等)は、当選した大当たり図柄の種別や小当たり図柄の種別と、当選時の遊技状態とに基づいて、演出制御用マイコン91によって選択される。具体的には、図11及び図12に示す通りである。
8-2-4.SPリーチ
パチンコ遊技機1は、Nリーチの後にSPリーチを行うことが可能である。SPリーチは、特別図柄抽選の結果が「大当たり」であった可能性が、Nリーチよりも高いことを示唆する演出であり、遊技者に大当たりを期待させるための演出として機能する。
SPリーチでは、Nリーチの後に、例えば、図44(A)に示すように、表示画面7aにSPリーチ専用の背景画像(SPリーチ用背景画像G113)が表示され、表示画面7aの中央にSPリーチが開始されたことを表す画像(SPリーチ開始タイトル画像)G1が表示される。その後、図44(B)に示すように、SPリーチ専用演出(例えば味方キャラクタと敵キャラクタAとがバトルを行うバトル演出)が行われる。そして、SPリーチ専用演出の最終局面を迎えると、特別図柄の変動表示の変動パターンが、例えば「SP大当たり変動」(SPリーチによって大当たり当選が示される大当たり変動)の場合には、図44(C―1)に示すように、表示画面7aに、大当たりを示唆する成功演出(例えば、味方キャラクタがバトルに勝利して仁王立ちしている表示、勝利演出)が行われるとともに、演出図柄8L,8C,8Rが大当たりを示唆する停止態様(所謂ゾロ目)で停止表示する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3も大当たりを示唆する停止態様で一斉に停止表示する。一方、特別図柄の変動表示の変動パターンが、例えば「SPハズレ変動」(SPリーチによってハズレが示されるリーチ有りハズレの変動)の場合には、図44(C―2)に示すように、ハズレを示唆する失敗演出(例えば、敵キャラクタAがバトルに勝利して仁王立ちしている表示、敗北演出)が行われるとともに、演出図柄8L,8C,8Rがハズレを示唆する停止態様(所謂バラケ目)で停止表示する。このとき、小図柄KZ1,KZ2,KZ3もハズレを示唆する停止態様で一斉に停止表示する。なお、SPリーチの演出内容は、適宜に変更または追加することが可能である。本形態では、特図1の抽選に基づくSPリーチとして、図44に示す演出が実行されるものとする。
8-2-5.即当たり演出
パチンコ遊技機1は、各時短状態(時短状態X、時短状態Y、時短状態Z)や非時短状態において特図2の抽選に基づいて、即当たり演出を実行することが可能である(図11、図12参照)。即当たり演出は、10秒という比較的短い変動時間を利用して、当たりであることを直ぐに遊技者に報知する演出である。本形態では特図2の抽選結果は必ず小当たり(特定領域39への通過が必ず生じる点で実質大当たりと言える)となるため、即当たり演出によって当選を報知するようにしている。
図45は時短状態X(超特別RUSHモード)における即当たり演出の具体例を示している。図45に示すように、即当たり演出では、演出図柄8L,8C,8Rの変動表示が開始されるとすぐに、いずれかの奇数図柄(1図柄、3図柄、5図柄、7図柄のいずれか、図45では7図柄)でリーチがかかるか否かを煽るリーチ煽り演出が行われる(図45(A)(B))。そして、リーチ煽り演出が成功してその図柄(7図柄)でリーチがかかると(図45(C))、その後すぐに左演出図柄8Lおよび右演出図柄8Rと同じ図柄で中演出図柄8Cが停止する。すなわち、演出図柄8L,8C,8Rがゾロ目(7・7・7)で停止表示される(図45(D))。なおこの演出図柄8L,8C,8Rの確定停止に合わせて、小図柄KZ1,KZ2,KZ3もゾロ目で停止表示される。
一方、リーチ煽り演出が失敗して、停止を煽られていた奇数図柄(図45では7図柄)とは別の偶数図柄(図45では8図柄)でリーチがかかると(図45(E))、その後すぐに左演出図柄8Lおよび右演出図柄8Rと同じ図柄で中演出図柄8Cが停止する。すなわち、演出図柄8L,8C,8Rがゾロ目(8・8・8)で停止表示される(図45(F))。なおこの演出図柄8L,8C,8Rの確定停止に合わせて、小図柄KZ1,KZ2,KZ3もゾロ目で停止表示される。
このように即当たり演出には、いずれかの奇数図柄でのリーチ煽り演出が含まれ、リーチ煽り演出が成功するとその奇数図柄でゾロ目が形成され、リーチ煽り演出が失敗すると偶数図柄でゾロ目が形成される。本形態では、時短状態Xに移行する当たりでは7図柄のゾロ目が選択され、時短状態Yに移行する当たりでは3図柄のゾロ目が選択され、時短状態Zに移行する当たりでは1図柄又は5図柄のゾロ目が選択され、非時短状態に移行する当たりではいずれかの偶数図柄(2図柄、4図柄、6図柄、8図柄)のゾロ目が選択される(図8、図11、図12参照)。よって、特図2の変動表示が行われた場合、遊技者は、奇数図柄のゾロ目が停止して大当たり遊技後に時短状態になるかに関心を持つため、このようなリーチ煽り演出を含む即当たり演出によって、遊技興趣が高められている。
なお即当たり演出は、各時短状態において特図1の抽選が行われて大当たりに当選した場合にも行われる(図12に示す特図変動パターンP31~P34参照)。また各時短状態において特図1の抽選が行われてハズレであった場合には、ハズレ図柄の種別が何れであっても、変動時間500msの短縮変動が選択され(図12に示す特図変動パターンP35参照)、その変動演出では変動開始に応じてすぐにバラケ目が停止表示される。このような特図1の変動時間の設定により、仮に特図1保留が4個貯まっている状態で時短状態Xに移行しても、1球目の第2始動口21への入賞に基づく特図2の変動表示が開始される前に、ハズレの結果となる特図1保留すべてが消化されるようになっている。
8-2-6.特殊ハズレ(時短ハズレ)に基づく変動演出
次に、非時短状態における特図抽選の結果が、時短状態への制御契機となる特殊ハズレ(ハズレ図柄B、ハズレ図柄C)である場合の変動演出について説明する。演出制御用マイコン91は、非時短状態において、遊技制御用マイコン81から受信した特図1変動開始コマンドが示す変動パターンが「P15」又は「P16」である場合、変動パターンが「P11」である場合と同様、SPリーチを伴う変動演出を実行する(図11参照)。
このSPリーチでは、図46(A)に示すように、失敗演出(敗北演出)が実行される。ここで、特図抽選の結果が通常ハズレ(ハズレ図柄A)の場合には、SPリーチで失敗演出が実行されると、バラケ目で仮停止表示されている演出図柄8L,8C,8Rはそのまま確定的に停止表示され、これに合わせて、小図柄KZ1,KZ2,KZ3もバラケ目で停止表示される(図44(C―2)参照)。
これに対して、特図抽選の結果が特殊ハズレ(ハズレ図柄B、ハズレ図柄C)の場合には、SPリーチで失敗演出が実行されると、演出図柄8L,8C,8Rが確定的に停止表示されることなく、復活画像G70が表示画面7aに表示される(図46(B)参照)。なお本形態では、復活画像G70は、主人公キャラクタの仲間のキャラクタの画像である。
復活画像G70が表示されることにより、遊技者には時短状態に移行することが示唆される。つまり、復活画像G70を表示する演出は、時短状態に移行することを示唆する演出や、特図抽選の結果が通常ハズレではないことを示唆する演出として機能する。なお、復活画像G70を表示する演出を、RUSH突入演出(時短突入演出)と称する。RUSH突入演出の演出内容は、適宜変更可能である。
その後、図46(C)に示すように、演出制御用マイコン91は、復活画像G70を非表示とするとともに、中演出図柄8Cを特殊図柄TZとする特殊目で演出図柄8L,8C,8Rを仮停止表示する。本形態では、特殊図柄TZは、移行先の時短状態(時短状態X又は時短状態Y)に対応する演出モード(すなわち超特別RUSHモード又は特別RUSHモード)の名称の文字(超特別RUSH又は特別RUSH)を含む画像である。そして、この特殊目で演出図柄8L,8C,8Rを確定的に停止表示するとともに、小図柄KZ1,KZ2,KZ3を、「1・3・5」の特定目で停止表示する(図46(D)参照)。このように本形態では、演出図柄8L,8C,8Rが特殊目で停止表示されることや、小図柄KZ1,KZ2,KZ3が特定目で停止表示されることによっても、時短状態に移行することが示唆される。すなわち、演出図柄8L,8C,8Rが特殊目で停止表示されることや、小図柄KZ1,KZ2,KZ3が特定目で停止表示されることは、時短状態に移行すること(特殊ハズレを引いたこと)を遊技者に示唆する演出として機能する。なお、演出図柄8L,8C,8Rの特殊目や、小図柄KZ1,KZ2,KZ3の特定目は、適宜変更可能である。
図46(D)に示す演出が実行された場合には、ハズレ図柄Bに当選していればその後は時短状態Xに対応する超特別RUSHモードに制御され(図41(B))、ハズレ図柄Cに当選していればその後は時短状態Yに対応する特別RUSHモードに制御される(図41(C))。また、天井到達に応じて時短状態Xに制御される場合にも、時短状態Xへの移行に応じて超特別RUSHモードに制御される(図41(B))。なお、図46(B)に示す演出の後に「超特別RUSHモード」に対応する特殊図柄TZを停止する演出を、超特別RUSH突入演出と言い、図46(B)に示す演出の後に「特別RUSHモード」に対応する特殊図柄TZを停止する演出を、特別RUSH突入演出と言う。
9.本形態の効果
以上詳細に説明したように本形態のパチンコ遊技機1によれば、時短状態を、補助遊技の実行回数(つまり、時短状態の種類に応じた作動パターンで作動させた回数)に基づいて終了させるため(図19参照)、時短状態中に第2始動口21に入球する遊技球の数を、製造者の意図した通りに制限し易い。特に本形態では、時短状態における補助遊技の実行1回に対して第2始動口21への入球が1回生じるように構成している。そして、特図2の抽選の結果にハズレを含まないようにしている。よって、時短状態の終了条件としての補助遊技の実行回数を、実質的に確定する当たり回数とすることができ、新たなゲーム性の提供、及び、遊技興趣の向上が可能である。
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、時短状態に複数の種類があり(時短状態X、時短状態Y、時短状態Z)、時短状態の種類に応じて、時短状態の終了条件となる補助遊技の実行回数が異なっている(図8参照)。よって、時短状態の種類毎に、時短状態中に第2始動口21に入球する遊技球の数を変えることが可能である。特に本形態では、時短状態Xでは特図2保留を上限数(3個)まで貯めることができるが、時短状態Yや時短状態Zでは特図2保留を上限数まで貯めることができない。よって、時短状態の種類に応じて保留を上限数まで貯めることができたりできなかったりする、という新たなゲーム性を提供でき、遊技興趣の向上が見込める。
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、特図2保留を上限数まで貯めることができる時短状態Xと、保留を上限数までは貯めることができない時短状態Yに加えて、保留を1つも貯めることができない時短状態Zを備えているため、ゲームが単調になるのが防止されて、遊技興趣の向上が見込める。
つまり本形態では、1種2種混合機において、確定する大当たり遊技の回数が異なる複数種類の時短状態が設けられている、という新たなゲーム性が実現されており、遊技興趣が向上されている。
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、時短状態Y中の特図2の抽選に基づいて大当たり遊技(小当たり経由の2種大当たり遊技)が実行されたときには、時短状態Yよりも遊技者に有利な時短状態Xに制御されないが(振分率0%)、非時短状態中の特図2の抽選に基づいて大当たり遊技が実行されたときには、時短状態Xに制御され易い(振分率20%、図40参照)。よって、時短状態Yが終了して非時短状態になってしまっても、その非時短状態での特図2の抽選に期待をさせることが可能であり、その結果、遊技興趣を向上させることが可能である。
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、時短状態Y中の特図2の抽選に基づいて大当たり遊技が実行されたときには、非時短状態中の特図2の抽選に基づいて大当たり遊技が実行されたときよりも、非時短状態に制御され難い(振分率30%、図40参照)。よって、時短状態Xには移行できないものの、時短状態Y中の特図2の抽選にも一定のメリットがあるため、遊技興趣の向上が見込める。
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、図40に示すように、時短状態Y中の特図2の抽選では、非時短状態に制御され難いが(振分率30%)、最も遊技者に有利な時短状態Xにも制御され難い一方で(振分率0%)、非時短状態中の特図2の抽選では、非時短状態に制御され易いものの(振分率80%)、最も遊技者に有利な時短状態Xにも制御され易くなっている(振分率20%)。よって、時短状態Y中の特図2の抽選と非時短状態中の特図2の抽選の役割にメリハリがついており、興趣性の高い遊技を提供可能である。
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、特図1の抽選(第1始動口20に係る抽選)に基づいてハズレ図柄Bを引くことで、大当たり遊技を経ないで、最も遊技者に有利な時短状態Xに制御され得るようになっているため(図40参照)、大当たり遊技が実行されないと時短状態Xに移行することがない構成と比べて、時短状態Xへの移行に期待が持て、遊技興趣の向上が見込める。
また本形態のパチンコ遊技機1によれば、特図変動の実行回数が天井回数(950回)に至ったことに基づいて、大当たり遊技を経ないで、最も遊技者に有利な時短状態Xに制御され得るようになっているため(図40参照)、大当たり遊技が実行されないと時短状態Xに移行することがない構成と比べて、時短状態Xへの移行に期待が持て、遊技興趣の向上が見込める。また本形態のパチンコ遊技機1では、天井到達に基づいて制御される時短状態を、最も遊技者に有利な時短状態Xとしているため、時短状態Yや時短状態Zとした場合と比べて、遊技興趣を向上可能である。
10.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、上記形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。勿論、変更例に係る構成同士を適宜組み合わせて構成してもよい。また、上記形態および下記変更例中の技術的特徴は、本明細書において必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
上記形態において、時短状態の終了条件としての補助遊技の実行回数は、実現したい遊技性に応じて、適宜変更可能である。
また上記形態では、時短状態Xは、特図2保留が「0」の状態から特図2保留を上限数「3」まで貯めることが可能な遊技状態としたが、時短状態Yよりも貯めることが可能な特図2保留の数が多ければ上限数まで貯めることができない構成としてもよい。
また上記形態では、特図2の抽選の結果にハズレを含まない構成としたが、ハズレを含む構成としてもよい。また、特図2の抽選の結果に大当たりを含まない構成としたが、大当たり(1種大当たり)を含む構成としてもよい。この場合、1種大当たり遊技後の遊技状態は、何れかの時短状態に制御される構成とするとよい。
また上記形態では、特図2の抽選に基づく時短状態Yから時短状態Xへの移行確率を0%としたが(図40参照)、時短状態Xに移行可能に構成してもよい。この場合、時短状態Yから時短状態Xへの移行確率は、時短状態Yから時短状態Yへの移行確率(上記形態では70%)、及び、非時短状態から時短状態Xへの移行確率(上記形態では20%)よりも低い確率とするとよい。
また上記形態では、特図2の抽選に基づく非時短状態から時短状態Yへの移行確率を0%としたが(図40参照)、時短状態Yに移行可能に構成してもよい。この場合、非時短状態から時短状態Yへの移行確率は、非時短状態から時短状態Xへの移行確率(上記形態では20%)、及び、時短状態Yから時短状態Yへの移行確率(上記形態では70%)よりも低い確率とするとよい。
また上記形態では、特図2の抽選に基づく時短状態Yから非時短状態への移行確率は、時短状態Yから時短状態Y(つまり非時短状態以外の遊技状態)への移行確率よりも低い構成としたが(図40参照)、高い構成としてもよい。
また上記形態では、特図2の抽選に基づく非時短状態から非時短状態への移行確率は、時短状態Yから非時短状態への移行確率よりも高い構成としたが(図40参照)、低い構成としてもよい。
また上記形態では、時短状態の種類として、時短状態X、時短状態Y、時短状態Zの3種類を設けたが(図40参照)、時短状態Xと時短状態Yだけを設けたり、時短状態Xと時短状態Zだけを設けたり、時短状態Yと時短状態Zだけを設けたりするなど、時短状態の種類は、実現したい遊技性に応じて適宜変更可能である。
また上記形態では、特殊ハズレに基づいて時短状態Xや時短状態Yに制御可能に構成したが、特殊ハズレに基づいて時短状態Zに移行し得る構成としてもよく、また、特殊ハズレのない構成としてもよい。また、特殊ハズレに基づいては時短状態Xにのみ制御可能な構成としたり、特殊ハズレに基づいては時短状態Yにのみ制御可能な構成としたりしてもよい。また上記形態では、天井到達に基づいて時短状態Xに制御可能に構成したが、天井到達に基づいて時短状態Yに移行し得る構成としたり、時短状態Zに移行し得る構成としたりしてもよく、また、天井到達に基づく時短状態への制御を行わない構成としてもよい。
また上記形態において、特図2保留が有る場合の非時短状態の演出モードを、大当たり遊技前の演出モードと同じ演出モードに設定されるように構成してもよい。つまり、大当たり遊技前の演出モードが超特別RUSHモードであれば非時短状態においても超特別RUSHモードが継続され、大当たり遊技前の演出モードが特別RUSHモードであれば非時短状態においても特別RUSHモードが継続されるように構成してもよい。
また上記形態では、時短状態X(超特別RUSHモード)の制御契機となる当たりの報知は、演出図柄8L,8C,8Rを7図柄(第1の図柄)のゾロ目で停止表示することにより行い、時短状態Y(特別RUSHモード)の制御契機となる当たりの報知は、演出図柄8L,8C,8Rを3図柄(第2の図柄)のゾロ目で停止表示することにより行い、時短状態Z(通常RUSHモード)の制御契機となる当たりの報知は、演出図柄8L,8C,8Rを7図柄および3図柄を除く奇数図柄(第3の図柄)のゾロ目で停止表示することにより行い、非時短状態(通常演出モード、チャンスモード)の制御契機となる当たりの報知は、演出図柄8L,8C,8Rを偶数図柄(第4の図柄)のゾロ目で停止表示することにより行ったが、当たりの種類の示唆(言い換えれば、大当たり遊技後の遊技状態の示唆)の方法は、適宜変更可能である。具体的には例えば、時短状態Xの制御契機となる当たりの報知を、いわゆる全回転演出によって行うようにしてもよい。また、時短状態Yの制御契機となる当たりの報知を、数字図柄ではない特定の図柄(例えばV図柄)のゾロ目(V・V・V)の停止表示によって行うようにしてもよい。
また上記形態において、特図1の抽選および特図2の抽選で当選可能な当たりの種類、及び、当選に基づく各時短状態への移行確率は、実現したい遊技性に応じて、適宜変更可能である。
また上記形態において、各時短状態中の電チュー22への入球し易さを決めるパラメータ(普通図柄の変動時間や停止時間、電チューの開放パターンなど)は、遊技に支障をきたさない範囲で適宜変更可能である。
また上記形態において、天井回数は、遊技に支障をきたさない範囲で適宜変更可能である。
また上記形態では、特図2保留(第2特図保留)の上限記憶数を「3」としたが、特図2保留の上限記憶数は適宜変更可能である。
また上記形態では、第2大入賞口35内の特定領域39への遊技球の通過に基づいて大当たり遊技を実行可能な所謂1種2種混合機として構成したが、所謂「ST機」や「確変ループ機」など、1種2種混合機以外のタイプの遊技機としてもよい。ST機や確変ループ機とする場合、当選した特別図柄の種類に基づいて大当たり当選確率が高い高確率状態への移行が決定される所謂「図柄確変機」としてもよいし、Vアタッカー(特定領域を有する大入賞装置)内の特定領域への通過に基づいて高確率状態への移行が決定される所謂「V確変機」としてもよい。なお、「ST機」や「確変ループ機」として構成する場合には、高確率状態における特図変動は、天井到達までの特図変動回数にカウントされないものとする。
ここで、「ST機」や「確変ループ機」として構成する場合には、大当たり遊技の実行中以外の遊技状態として、低確率状態且つ非時短状態(低確非時短状態、通常遊技状態)、低確率状態且つ時短状態(低確時短状態)、高確率状態且つ時短状態(高確時短状態)に制御可能に構成すればよい。そして、低確時短状態や高確時短状態における時短状態を、補助遊技の実行回数を終了条件とする各種の時短状態(時短状態X、時短状態Y、時短状態Z等)とすればよい。
また上記形態では、所謂1種2種混合機として構成したが、実現したい遊技性によっては、1種大当たりのない所謂ハネモノ(2種機)としてもよい。すなわち、特図1の抽選でも特図2の抽選でも所謂「直撃大当たり」に当選し得ない構成としてもよい。
また上記形態では、特図2の抽選に基づく小当たり遊技では、必ずV通過が発生するように第2大入賞口35(開閉部材37)の開放制御や振分部材71の作動制御が行われる構成とした。これに対して、特図2の抽選に基づく小当たり遊技では、V通過することもあるがV通過しないこともあるような第2大入賞口35の開放制御や振分部材71の作動制御が行われる構成(つまり振分部材71が通過許容状態をとっているタイミングと第2大入賞口35への入賞タイミングがうまく合えば特定領域39への通過が生じるが、合わなければ特定領域39への通過が生じない構成)としてもよい。
また上記形態では、特図2の抽選に基づく小当たり遊技の開放パターンを、第2大入賞口35に入賞した遊技球がその入賞タイミングにかかわらず特定領域39を通過する開放パターン(図39(b)及び(c)参照)とした。しかしながら、正しく遊技している限り(右打ちを継続している限り)小当たり遊技中に必ず特定領域39への通過を生じさせることができるのであれば、第2大入賞口35に入賞した遊技球の全てが特定領域39を通過することができる開放パターンでなくてもよい。具体的には例えば、0.1秒開放を12回繰り返す開放パターンとし、1回~9回までの開放時に入賞した遊技球は特定領域39を通過するが、10回~12回までの開放時に入賞した遊技球は非特定領域70を通過するように構成してもよい。つまり通過用開放パターンは、第2大入賞口35への入賞が可能であって第2大入賞口35へ入賞した遊技球の少なくとも1球が特定領域39を通過する開放パターンであればよい。なお、この変更例のような開放パターンとする場合には、各開放時に第2大入賞口35に遊技球が入賞し易くなるように、第2大入賞装置の開閉部材を次のようなものにするとよい。即ち、前後に進退可能であり、前方に出ているときには第2大入賞口を閉塞し、後方に退いているときには第2大入賞口を開放する進退式のものとするとよい。そして第2流路R2を流下する遊技球が開閉部材の上面を転動するように配置するとよい。その上で、開閉部材の上面の摩擦係数を高くして(例えばゴムのような弾性力の高い部材を利用した面として)、遊技球が開閉部材の上面をゆっくりと転動するようにしておくとよい。若しくは、開閉部材の上面を床面とする遊技球の通路上に、遊技球の転動速度を遅くするための突起を設けておいてもよい。
また上記形態では、小当たり遊技の開始時点を基準に、時間で管理された所定の作動パターンに従って、特定領域39が開放されるように構成した(図39参照)。これに対して、第2大入賞口35への入賞球数が予め定められた作動契機入賞球数(例えば1球)になったときに、特定領域39を開放させる(通過許容状態にする)構成としてもよい。この場合、特2V通過小当たりでは、作動契機入賞球数を例えば「1」とするとよい。このようにすれば、特2V通過小当たり時には、第2大入賞口35への入賞球を特定領域39に通過させることができる。なお、作動契機入賞球数に基づいて振分部材71が作動する構成であっても、特定領域39が予め定められたタイミングで通過の可否が切り替えられていることにかわりはない。
また上記形態では、何れの小当たり図柄に当選した場合であっても、小当たり遊技において第2大入賞口35を1.6秒にわたって1回開放させる構成としたが、小当たり遊技における第2大入賞口35の開放パターンは、例えば0.1秒開放を18回行うなど、総開放時間が1.8秒を超えない範囲で、別の開放パターンとしてもよい。0.1秒開放を複数回(例えば18回)繰り返す構成とした場合には、開閉部材37の上面を遊技球がゆっくりと移動するように構成する等の工夫により、総開放時間が比較的短い時間であっても、小当たり遊技中に最大入賞個数(例えば10個)の入賞を可能とすることができる。また、2種大当たり遊技のラウンド数は、適宜変更可能である。例えば、ある小当たり図柄に当選した場合、最大入賞個数の入賞が可能な1回の小当たり遊技と、その小当たり遊技中の特定領域39への通過に基づく9ラウンド分のラウンド遊技とを実行する構成とすれば、10ラウンド分の賞球を獲得可能な実質10ラウンドの2種大当たり遊技を実現することが可能である。
また上記形態では、大当たり乱数を用いた判定の結果がハズレであり、図柄種別乱数を用いた判定の結果がハズレ図柄B又はハズレ図柄Cである場合に、大当たり遊技を実行することなく時短状態に制御する構成とした。これに対して、時短状態に制御するか否かの抽選(時短抽選)のための乱数(時短乱数)を別途取得することとし、特別図柄の変動表示の開始前に、時短乱数を用いて時短抽選(時短状態にするか否かの判定)を行う構成としてもよい。この場合、時短抽選は、大当たりであるか否かの判定の前に行ってもよいし、後に行ってもよい。また時短抽選を行う構成とする場合、時短乱数に代えて、大当たり乱数や図柄種別乱数を用いて時短抽選を行う構成としてもよい。
また上記形態では、特図1の抽選に基づいて大当たり遊技が実行された場合よりも、特図2の抽選に基づいて大当たり遊技(2種大当たり遊技を含む)が実行された場合の方が、遊技者が獲得可能な特典が大きい構成としたが、逆若しくは同じであってもよい。なお、遊技者が獲得可能な特典には、大当たり遊技において獲得可能な賞球の量や、大当たり遊技後の遊技状態に関する各種の設定(時短状態に制御されるか否かや、時短状態に制御された場合の上限補助遊技回数など)が含まれる。
また上記形態では、変動演出を行う表示部を、1つの表示装置の表示画面(画像表示装置7の表示画面7a)によって構成したが、2つ以上の表示装置の各表示画面によって構成してもよい。例えば、メイン表示装置としての画像表示装置7の他に、サブ表示装置を備えている構成では、メイン表示装置の表示画面にて演出図柄8L,8C,8Rの変動演出を行い、サブ表示装置の表示画面にて小図柄KZ1,KZ2,KZ3の変動演出を行うように構成してもよい。なお、タッチセンサと液晶表示装置からなるタッチパネルを遊技機枠50に搭載し、このタッチパネルにおける液晶表示装置をサブ表示装置としてもよい。
また上記形態では、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得する乱数(判定情報)として、大当たり乱数等の4つの乱数を取得することとしたが、一つの乱数を取得してその乱数に基づいて、大当たり又は小当たりか否か、大当たり図柄、小当たり図柄、ハズレ図柄の種別、リーチの有無、及び変動パターンの種類を決めるようにしてもよい。すなわち、始動入賞に基づいて取得する乱数の個数および各乱数において何を決定するようにするかは任意に設定可能である。
また上記形態では、特図2の抽選結果に大当たりを含まない構成としたが、大当たり(1種大当たり)を含む構成としてもよい。すなわち、特図2の抽選結果に大当たりと小当たりとを含むが、ハズレを含まない構成としてもよい。
11.本明細書に開示されている発明
この[発明を実施するための形態]における前段落までには、以下の発明が開示されている。以下の説明では、実施形態における対応する構成の名称や表現、図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。なお、発明Aは、以下の発明A1~A5の総称であり、発明Bは、以下の発明B1~B7の総称である。
発明A1:
所定の入球口(第2始動口21)に遊技球が入球し易い第1状態(開状態)と、前記第1状態よりも入球し難い又は入球不能な第2状態(閉状態)とをとり得る可動部材(可動部材23)と、
前記可動部材を所定の作動パターン(図10(C)に示す遊技状態に応じた電チュー22の開放パターン)で作動させることが可能な可動部材制御手段(遊技制御用マイコン81による補助遊技の実行に関する処理)と、
非特定遊技状態(非時短状態)よりも前記可動部材が前記第1状態をとり易い設定の特定遊技状態(時短状態)に制御可能な遊技状態制御手段(遊技制御用マイコン81による遊技状態の設定処理)と、を備え、
前記遊技状態制御手段は、前記特定遊技状態において前記可動部材を前記所定の作動パターンで特定回数作動させたことを条件として、前記特定遊技状態を終了させる(図19に示すステップS403でYESであればステップS404を実行する)ことを特徴とする遊技機。
この構成の遊技機によれば、所定の入球口に遊技球が入球し易い第1状態に可動部材が制御され易い特定遊技状態を、可動部材の作動回数に基づいて終了させるため、特定遊技状態中に所定の入球口に入球する遊技球の数を、製造者の意図した通りに制限し易い。よって、これを利用した斬新なゲーム性の提供と、それによる遊技興趣の向上が可能となる。
発明A2:
発明A1に記載の遊技機であって、
前記特定遊技状態には、前記特定回数が第1回数(4回)に設定される第1特定遊技状態(時短状態X)と、前記特定回数が前記第1回数よりも小さい第2回数(2回)に設定される第2特定遊技状態(時短状態Y)とが含まれる(図19の表参照)ことを特徴とする遊技機。
この構成の遊技機によれば、特定遊技状態の種類に応じて、特定遊技状態中に所定の入球口に入球する遊技球の数を変えることが可能である。
発明A3:
発明A2に記載の遊技機であって、
前記所定の入球口への入球に基づいて、所定の抽選(特図2の抽選)を行う抽選手段(遊技制御用マイコン81による特図2の抽選に関する処理、図22等)と、
前記抽選の実行を所定の上限数(実施形態では「3」)まで保留可能な保留手段(遊技制御用マイコン81による特図2保留の発生に関する処理、図16等)と、を備え、
前記第1特定遊技状態(時短状態X)は、前記保留手段による保留が無い状態から前記保留手段による保留を前記所定の上限数まで貯めることが可能な遊技状態であり、
前記第2特定遊技状態(時短状態Y)は、前記保留手段による保留が無い状態から前記保留手段による保留を前記所定の上限数まで貯めることが不可能な遊技状態である(図40参照)ことを特徴とする遊技機。
この構成の遊技機によれば、特定遊技状態の種類に応じて保留を上限数まで貯めることができたりできなかったりする、という新たなゲーム性を提供でき、遊技興趣の向上が見込める。
発明A4:
発明A3に記載の遊技機であって、
前記所定の入球口への入球に基づく前記抽選の結果には、遊技者に有利な特別遊技(実施形態では小当たり遊技)を行う旨の当たりが含まれるが、前記特別遊技を行わない旨のハズレが含まれない(図7(A)参照)ことを特徴とする遊技機。
この構成の遊技機によれば、所定の入球口への入球に基づく抽選の結果にハズレが含まれないため、特定遊技状態における可動部材の作動1回に対して所定の入球口への入球が1回生じるように構成すれば、特定遊技状態の終了条件としての可動部材の作動回数を、実質的に確定する当たり回数とすることが可能である。
発明A5:
発明A3又は発明A4に記載の遊技機であって、
前記特定遊技状態として、前記特定回数が前記第2回数よりも小さい第3回数(1回)に設定される第3特定遊技状態(時短状態Z)をさらに含み、
前記第3特定遊技状態は、前記保留手段による保留を1つも貯めることができない遊技状態である(図40参照)ことを特徴とする遊技機。
この構成の遊技機によれば、保留を上限数まで貯めることができる第1特定遊技状態と、保留を上限数までは貯めることができない第2特定遊技状態に加えて、保留を1つも貯めることができない第3特定遊技状態を備えるため、ゲームが単調になるのが防止されて、遊技興趣の向上が見込める。
発明B1:
所定の抽選(特図2の抽選、図22等)の結果に基づいて、遊技者に有利な特別遊技(実施形態では大当たり遊技)を実行可能な特別遊技実行手段(遊技制御用マイコン81による大当たり遊技の実行に関する処理)と、
前記特別遊技の終了後の遊技状態を、非特定遊技状態(非時短状態)よりも遊技者に有利な特定遊技状態(時短状態)に制御することが可能な遊技状態制御手段(遊技制御用マイコン81による遊技状態の設定に関する処理)と、を備え、
前記特定遊技状態には、第1特定遊技状態(時短状態X)と、前記第1特定遊技状態よりも遊技者に不利な第2特定遊技状態(時短状態Y)とが含まれ、
前記第2特定遊技状態(時短状態Y)における前記抽選の結果に基づいて前記特別遊技が実行された場合、当該特別遊技の終了後に前記第1特定遊技状態(時短状態X)に制御される確率(実施形態では0%)よりも前記第2特定遊技状態(時短状態Y)に制御される確率(実施形態では70%)の方が高く、
前記非特定遊技状態(非時短状態)における前記抽選の結果に基づいて前記特別遊技が実行された場合、当該特別遊技の終了後に前記第1特定遊技状態(時短状態X)に制御される確率(実施形態では20%)の方が前記第2特定遊技状態(時短状態Y)に制御される確率(実施形態では0%)よりも高い(図40参照)ことを特徴とする遊技機。
この構成の遊技機によれば、第2特定遊技状態中の抽選に基づいて特別遊技が実行されたときには、第2特定遊技状態よりも遊技者に有利な第1特定遊技状態に制御され難いが、非特定遊技状態中の抽選に基づいて特別遊技が実行されたときには、第2特定遊技状態よりも第1特定遊技状態に制御され易い。よって、第2特定遊技状態が終了して非特定遊技状態になってしまっても、その非特定遊技状態での抽選に期待をさせることが可能であり、その結果、遊技興趣を向上させることが可能である。
発明B2:
発明B1に記載の遊技機であって、
前記第2特定遊技状態(時短状態Y)における前記抽選の結果に基づいて前記特別遊技が実行された場合、当該特別遊技の終了後に前記非特定遊技状態(非時短状態)に制御される確率(実施形態では30%)よりも前記第2特定遊技状態(時短状態Y)に制御される確率(実施形態では70%)の方が高い(図40参照)ことを特徴とする遊技機。
この構成の遊技機によれば、第2特定遊技状態中の抽選に基づいて特別遊技が実行されたときには、非特定遊技状態に制御され難い。よって、第2特定遊技状態中の抽選にも一定のメリットを持たせており、その結果、遊技興趣の向上が見込める。
発明B3:
発明B2に記載の遊技機であって、
前記第2特定遊技状態(時短状態Y)における前記抽選の結果に基づいて前記特別遊技の終了後に前記非特定遊技状態(非時短状態)に制御される確率(実施形態では30%)よりも、前記非特定遊技状態(非時短状態)における前記抽選の結果に基づいて前記特別遊技の終了後に前記非特定遊技状態(非時短状態)に制御される確率(実施形態では80%)の方が高い(図40参照)ことを特徴とする遊技機。
この構成の遊技機によれば、非特定遊技状態に制御され難いが、遊技者に有利な第1特定遊技状態にも制御され難い第2特定遊技状態中の抽選と、非特定遊技状態に制御され易いものの、遊技者に有利な第1特定遊技状態にも制御され易い非特定遊技状態中の抽選といった具合に各遊技状態の役割にメリハリがつき、これによって、興趣性の高い遊技を提供可能である。
発明B4:
発明B1から発明B3までのいずれかに記載の遊技機であって、
前記特定遊技状態は、遊技球の入球し易さが変化可能な可変始動口(第2始動口21)に前記非特定遊技状態よりも遊技球が入球し易い設定の遊技状態であり、
前記抽選は、前記可変始動口への入球に基づいて行われるものであり、
前記抽選の実行を保留可能な保留手段(遊技制御用マイコン81による特図2保留の発生に関する処理、図16等)を備え、
前記第1特定遊技状態と前記第2特定遊技状態とでは、発生させることが可能な前記保留手段による保留の数が異なる(時短状態Xでは3個、時短状態Yでは1個)ことを特徴とする遊技機。
この構成の遊技機によれば、特定遊技状態の種類に応じて、発生させることが可能な保留(可変始動口に係る保留)の数が異なってくる。つまり、特定遊技状態の種類に応じて、受けることが可能な可変始動口に係る抽選の数が変わってくる。よって、従来にない斬新な特典の特定遊技状態となり、特定遊技状態に係るゲーム性に関して新たな興趣を提供可能である。
発明B5:
発明B4に記載の遊技機であって、
前記第1特定遊技状態は、発生させることが可能な前記保留手段による保留の数が第1の数(実施形態では「3」)であり、
前記第2特定遊技状態は、発生させることが可能な前記保留手段による保留の数が前記第1の数よりも小さい第2の数(実施形態では「1」)であり、
前記特定遊技状態には、前記保留手段による保留を1つも貯めることができない第3特定遊技状態(時短状態Z)が含まれることを特徴とする遊技機。
この構成の遊技機によれば、発生させることが可能な保留(可変始動口に係る保留)の数が異なる特定遊技状態として、第1特定遊技状態と第2特定遊技状態だけでなく、第3特定遊技状態も備えているため、ゲームが単調になるのが防止されて、遊技興趣の向上が見込める。
発明B6:
発明B4又は発明B5に記載の遊技機であって、
前記可変始動口とは異なる他の始動口(第1始動口20)への入球に応じた抽選の結果に基づいて(特図1の抽選でハズレ図柄Bを引いたことに基づいて)、前記特別遊技が実行されることなく前記第1特定遊技状態(時短状態X)に制御されることがある(図40参照)ことを特徴とする遊技機。
この構成の遊技機によれば、他の始動口に係る抽選に基づいて、大当たり遊技を経ることなく、第2特定遊技状態よりも遊技者に有利な第1特定遊技状態に制御され得るようになっているため、第1特定遊技状態への制御に期待が持て、遊技興趣の向上が見込める。
発明B7:
発明B4から発明B6までのいずれかに記載の遊技機であって、
所定の図柄(特別図柄)を変動させて前記抽選の結果を示す態様で停止させる図柄変動を実行可能であり、
前記図柄変動の実行回数が特定回数(950回)に至ったことに基づいて、前記第1特定遊技状態(時短状態X)に制御されることがある(図40参照)ことを特徴とする遊技機。
この構成の遊技機によれば、図柄変動の実行回数が特定回数に至ったことに基づいて、大当たり遊技を経ることなく、第2特定遊技状態よりも遊技者に有利な第1特定遊技状態に制御され得るようになっているため、第1特定遊技状態への制御に期待が持て、遊技興趣の向上が見込める。
ところで従来より、遊技機の一例であるパチンコ遊技機では、例えば特開2018-88993号公報に記載されているように、始動口に遊技球が入球することを条件に、大当たりか否かを判定する大当たり判定が行われる。大当たり判定が行われると、大当たり判定の結果を報知する特別図柄の変動表示が行われる。特別図柄の変動表示で、大当たり判定の結果が大当たりであるという結果が導出されると、遊技者に有利な大当たり遊技が実行される。そして特開2018-88993号公報に係る遊技機では、大当たり遊技が実行された後に、開閉可能な可変始動口に非時短遊技状態(非特定遊技状態)よりも遊技球が入球し易い時短遊技状態(特定遊技状態)になることがある。しかしながら、開閉可能な可変始動口に非時短遊技状態よりも遊技球が入球し易い遊技状態になることがある遊技機については、遊技興趣の向上を図るために未だ改善の余地がある。
上記した発明Aは、特開2018-88993号公報に記載の遊技機に対して、「所定の入球口に遊技球が入球し易い第1状態と、前記第1状態よりも入球し難い又は入球不能な第2状態とをとり得る可動部材を、所定の作動パターンで特定回数作動させたことを条件として、可動部材が第1状態をとり易い設定の特定遊技状態を終了させる」という点で相違している。これにより、発明Aは、「遊技の興趣を向上させる」という課題を解決する(作用効果を奏する)ことが可能である。
また特開2018-88993号公報に記載の遊技機のように、大当たり遊技の終了後等に、遊技者に有利な遊技状態に設定され得る遊技機については、遊技興趣の向上を図るために未だ改善の余地がある。上記した発明Bは、特開2018-88993号公報に記載の遊技機に対して、「非特定遊技状態よりも遊技者に有利な特定遊技状態には、第1特定遊技状態と、第1特定遊技状態よりも遊技者に不利な第2特定遊技状態とが含まれ、第2特定遊技状態における抽選の結果に基づいて特別遊技が実行された場合、当該特別遊技の終了後に第1特定遊技状態に制御される確率よりも第2特定遊技状態に制御される確率の方が高く、非特定遊技状態における抽選の結果に基づいて特別遊技が実行された場合、当該特別遊技の終了後に第1特定遊技状態に制御される確率の方が第2特定遊技状態に制御される確率よりも高い」という点で相違している。これにより、発明Bは、「遊技の興趣を向上させる」という課題を解決する(作用効果を奏する)ことが可能である。