JP2022554276A - Mtorc1モジュレーターを使用する処置方法 - Google Patents

Mtorc1モジュレーターを使用する処置方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、mTORC1活性を選択的にモジュレートするのに有用な方法、組成物、および単位剤形に関する。本発明は、特に、治療有効量の((S)-2-アミノ-5,5-ジフルオロ-4,4-ジメチルペンタン酸)またはその薬学的に許容され得る塩または組成物を、投与することを必要とする患者に投与することを含む、うつ病を処置する方法を提供する。一部の実施形態では、うつ病は、大うつ病性障害(MDD)である。一部の実施形態では、うつ病は、処置抵抗性うつ病(TRD)である。

Description

関連出願の相互参照
本願は、2019年11月1日付で出願された米国特許仮出願第62/929,449号の利益を主張し、その内容は参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。
発明の技術分野
本発明は、mTORC1活性をモジュレートするのに有用な方法に関する。本発明は、mTORC1活性を選択的にモジュレートするのに有用な方法に関する。本発明は、mTORC1を活性化するのに有用な方法に関する。
発明の背景
ラパマイシン標的タンパク質複合体1(mTORC1)プロテインキナーゼは、多様な環境要因、例えば成長因子、細胞ストレス、ならびに栄養素およびエネルギーレベルなどを感知する主要な成長調節因子である。活性化されると、mTORC1は、mRNA翻訳や脂質合成などの蛋白同化プロセスを強化する基質をリン酸化し、自食作用などの異化プロセスを制限する。mTORC1の調節不全は、とりわけ、糖尿病、癲癇、神経変性、免疫応答、骨格筋成長の抑制、およびがんを含む、広範囲の疾患で発生する(Howellら、(2013)Biochemical Society transactions 41,906-912;Kimら、(2013)Molecules and cells 35,463-473;Laplante and Sabatini,(2012)Cell 149,274-293)。
mTORC1に関連する疾患、障害、または状態のより効果的な処置に対する緊急かつ切実な、まだ対処されていない医学的ニーズがある。
Howellら、(2013)Biochemical Society transactions 41,906-912 Kimら、(2013)Molecules and cells 35,463-473;Laplante and Sabatini,(2012)Cell 149,274-293
本発明は、特に、治療有効量の((S)-2-アミノ-5,5-ジフルオロ-4,4-ジメチルペンタン酸)、すなわち化合物A:
Figure 2022554276000001
またはその薬学的に許容され得る塩または組成物を、投与することを必要とする患者に投与することを含む、うつ病を処置する方法を提供する。一部の実施形態では、うつ病は、大うつ病性障害(MDD)である。一部の実施形態では、うつ病は、処置抵抗性うつ病(TRD)である。
一部の実施形態では、本発明は、化合物A、またはその薬学的に許容され得る塩を含む組成物をさらに提供する。
一部の実施形態では、本発明は、化合物A、またはその薬学的に許容され得る塩を含む単位剤形をさらに提供する。
図1は、実施例1に記載される治験研究のパートAの用量漸増スキームを表す。
図2は、化合物Aの単回投与によって迅速かつ持続的な有効性を示すHAM-D6スコアを表す。
図3は、HAM-D6で測定される、投与後2時間の化合物Aの奏効率を表す。
図4は、HAM-D6で測定される、投与後12時間の化合物Aの奏効率を表す。
図5は、HAM-D6で測定される、投与後24時間の化合物Aの奏効率を表す。
図6は、うつ病の中核症状の測定におけるHAM-D6スケールとMADRSスケールとの間の相関関係を表す。
図7は、実施例2に記載される治験のための治験研究のフローチャートを表す。
図8は、有効量の化合物Aにおいてげっ歯類のレベルと一致するヒトのCSFレベルを示す。
図9は、化合物Aの単回投与後のCSF BDNFレベルを示す。
図10は、化合物Aの単回投与後のBDNF受容体(NTRK2)断片レベルを示す。
図11は、単一用量の化合物Aの投与後のqEEG帯域振幅の変化を示すチャートを表す。記号は、平均値の差における、顕著な変化なし(-)、微増から大幅増(↑、↑↑、↑↑↑)、微減から大幅減(↓、↓↓、↓↓↓)または減少と増加の混合(↓↑)のいずれかを示す。正式なANOVAモデルで有意な処置効果であることが確認された変化は、二重のアスタリスク(**)で示されている。
図12は、単一用量の化合物Aの投与後のqEEG帯域のコヒーレンスの変化を示すチャートを表す。記号は、平均値の差における、顕著な変化なし(-)、微増から大幅増(↑、↑↑、↑↑↑)、微減から大幅減(↓、↓↓、↓↓↓)または減少と増加の混合(↓↑)のいずれかを示す。正式なANOVAモデルで有意な処置効果であることが確認された変化は、二重のアスタリスク(**)で示されている。
図13は、投与日を重ねた、時間(x軸)に対する平均(±SD)血漿化合物A濃度(y軸)を示すグラフを表す(線形目盛)。
発明の詳細な説明
発明の特定の実施形態の一般的説明
大うつ病性障害(MDD)は、一般的な精神障害であり、米国での生涯有病率は約13~17%である。薬理学的処置のための選択肢は過去25年間で大幅に拡大したが、患者の3分の1から3分の2は最初に処方された抗うつ薬に反応せず、最大で33%が複数の介入にも反応しない。1またはそれを超える処置に適切に反応しなかった患者のMDDの症状を、重大な副作用を生じることなく緩和する新規な抗うつ薬は、処置抵抗性うつ病(TRD)の処置において重要な進歩となることであろう。
mTORC1は、ラパマイシン標的タンパク質複合体1としても公知であり、細胞の栄養素/エネルギー/酸化還元センサーとして機能し、タンパク質、脂質、および核酸合成をはじめとする複数の同化作用および異化作用を通して全体的な代謝恒常性を調節する多タンパク質複合体である。最近のデータにより、脊椎拡大、軸索伸長、樹状突起分枝の調節ならびに認知、気分、学習および記憶へのmTORC1の関与をはじめとする、ニューロンにおけるmTORC1活性についての重要な役割が支持されている。動物モデルにおいて抗うつ活性のためにmTORC1の活性化を必要とする2つの化合物、ケタミンとラパスチネル(GLYX-13としても公知)は、TRDを有する被験者のプラセボ対照試験で有効性を実証した。
化合物A[(S)-2-アミノ-5,5-ジフルオロ-4,4-ジメチルペンタン酸]は、気分に関与する中枢を含む脳においてmTORC1経路のシグナル伝達を活性化する、新規の経口で生物学的に利用可能な特異的小分子である。前臨床の複数のストレス誘発性抑うつ行動のげっ歯類モデルにおいて、化合物Aは、ケタミンと突き合わせて比較した場合に、重要な有害作用を生じることなく、ケタミンに匹敵する迅速な抗うつ作用を実証した。また、化合物Aの薬理活性は、非ヒト霊長類の抗不安/抑うつ行動反応モデルにおいてケタミンの薬理活性に匹敵することも見出された。最後に、ケタミンと同様に、化合物Aの抗うつ作用は、mTORC1のシナプス後活性化に依存することが示され、mTORC1の下流シグナル伝達、シナプスタンパク質の発現(例えば、GluR1およびシナプシン)、およびラットの内側前頭前皮質のV層錐体ニューロンにおけるシナプス分枝の増加に関連していた。しかし、ケタミンとは異なり、化合物Aの薬理学的有効性は、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体のモジュレーションに関連していなかった。総合すると、これらのデータは、TRDの処置のための化合物Aの抗うつ薬の潜在性を示している。
非臨床毒性研究は、化合物Aを用いてラットとカニクイザルで実施された。ラットで500mg/kgまで、カニクイザルで2000mg/kgまでの単回経口投与後に有害作用は観察されなかった。ラットでは、2000mg/kgの単回経口投与後に運動失調が認められた。この運動失調は、投与後24時間までに消散した。
160、500、または1000mg/kgのPOを3日ごと(Q3D)に14日間(合計5用量)投与したラットでは、無毒性量(NOAEL)は160mg/kgであった。500mg/kgでは、知見には腸間膜結節の傍皮質におけるリンパ球萎縮(他のリンパ組織にはない)、および好酸球数の減少が含まれていた。1000mg/kgでは、有害作用には、1名の男性における消化管(GI)出血のエピソードの可能性があると考えられる再生性貧血と、1名の男性における関連する組織病理学的所見のない肝細胞傷害が含まれていた。有害とみなされないその他の所見には、リンパ球、単球、および好中球数のわずかな減少があった。
160、500、または2000mg/kgのPOをQ3Dで14日間(合計5用量)投与したカニクイザルでは、NOAELは160mg/kgであった。500mg/kg以上では、有害作用には、心拍数の低下および嘔吐があった。2000mg/kgでは、有害作用には、1匹の動物で嘔吐に続発する可能性のある脱水症があり、1匹の動物でアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の増加があった。
これらの研究からの非臨床的安全性評価は、ヒトにおける化合物Aの臨床評価を支持する。この研究で最初に計画された化合物Aの用量は、化合物Aの非臨床的安全性データの評価に基づいて、毎日1回(QD)150mgであった。
したがって、一部の実施形態では、本発明は、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を患者に投与するステップを含む、うつ病を処置することを必要とする患者においてうつ病を処置する方法を提供する。
一部の実施形態では、うつ病は、大うつ病性障害(「MDD」)である。
一部の実施形態では、うつ病は、処置抵抗性うつ病(「TRD」)である。
一部の実施形態では、うつ病は、第一選択の処置に対して抵抗性である。
一部の実施形態では、うつ病は、第二選択の処置に対して抵抗性である。
一部の実施形態では、本発明は、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を含む、本明細書に記載される組成物を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を含む、本明細書に記載される単位剤形を提供する。
定義
本明細書において、「化合物A」という用語は、((S)-2-アミノ-5,5-ジフルオロ-4,4-ジメチルペンタン酸)、すなわち:
Figure 2022554276000002
またはその薬学的に許容され得る塩をさす。米国特許出願第15/331,362号として2016年10月21日付けで出願され、米国特許出願公開第2017/0114080号(「’080号公開」)として公開された米国特許第10,100,066号(「’066号特許」)(それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)は、化合物Aをはじめとする特定のmTORC1調整化合物を記載している。化合物Aは、’066号特許に化合物I-90と表され、化合物Aの合成は、’066号特許の実施例90に詳細に記載されている。
本明細書において、「薬学的に許容され得る塩」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激作用、アレルギー反応などを伴わずに、ヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するために適しており、合理的な利益/リスク比に合った塩を指す。薬学的に許容され得る塩は、当技術分野で周知である。例えば、S.M.Bergeらは、参照により本明細書に組み込まれるJ.Pharmaceutical Sciences、1977、66、1-19に薬学的に許容され得る塩を詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に許容され得る塩には、適した無機および有機の酸および塩基に由来するものが含まれる。薬学的に許容され得る無毒の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸と、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸などの有機酸と形成されるか、イオン交換などの当技術分野で使用される他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に許容され得る塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、蟻酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。
適切な塩基に由来する塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN(C1-4アルキル)塩が挙げられる。代表的なアルカリもしくはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらなる薬学的に許容され得る塩としては、適切な場合、無毒のアンモニウム、第四級アンモニウム、ならびにハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸、硫酸、リン酸、硝酸、低級アルキルスルホン酸およびアリールスルホン酸などの対イオンを使用して形成されたアミンカチオンが挙げられる。
本明細書において、「約」または「およそ」という用語は、所与の値または範囲の20%以内の意味を有するものとする。一部の実施形態では、「約」という用語は、所与の値の20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%以内を指す。
例示的な方法および用途の説明
本明細書において、「患者」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
本明細書において、「処置」、「処置する」および「処置すること」という用語は、本明細書に記載されるように、疾患、障害、または状態あるいはその1またはそれを超える症状の逆転、緩和、発症の遅延、または進行の抑制を指す。一部の実施形態では、処置は、1またはそれを超える症状が発症した後に投与されてよい。他の実施形態では、処置は、症状の不在下で投与されてよい。例えば、処置は、症状の発症の前に(例えば、症状の既往歴および/または遺伝的もしくはその他の感受性因子に照らして)感受性の高い個体に投与されてよい。症状が消散した後、例えばその再発を予防または遅延させるために処置を継続してもよい。
本明細書において、「mTORC1が介在する疾患、障害、または状態」という語句は、mTORC1が役割を果たすことが知られている疾患または他の有害な状態を指す。したがって、本発明の別の実施形態は、mTORC1が役割を果たすことが知られている1またはそれを超える疾患の処置または重症度の軽減に関する。
特に記載のない限り、上記および本明細書記載の本発明の方法において化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与が言及される場合、前記方法は、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を含む薬学的に許容され得る組成物の投与も企図することを理解されたい。
上記および本明細書に記載されるように、一部の実施形態では、本発明は、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を患者に投与することを含む、mTORC1活性をモジュレートすることを必要とする患者においてmTORC1活性をモジュレートする方法を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を患者に投与することを含む、mTORC1を活性化することを必要とする患者においてmTORC1を活性化する方法を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を患者に投与することを含む、うつ病を処置することを必要とする患者においてうつ病を処置する方法を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、治療有効量の、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を含む薬学的に許容され得る組成物を患者に投与することを含む、うつ病を処置することを必要とする患者においてうつ病を処置する方法を提供する。
一部の実施形態では、患者は大うつ病性障害(「MDD」)と診断されている。一部のそのような実施形態では、患者は、DSM-5基準で説明されているように、精神病の特徴のない大うつ病性障害(MDD)と診断されている。一部の実施形態では、患者は、精神病性障害、例として、本明細書に含まれる実施例に記載され定義されるような精神病性障害の既往歴を有さない。
一部の実施形態では、うつ病は、処置抵抗性うつ病(「TRD」)である。
一部の実施形態では、うつ病は、第一選択の処置に対して抵抗性である。
一部の実施形態では、処置抵抗性うつ病は、第二選択の処置に対して抵抗性である。
一部の実施形態では、患者はうつ病エピソードを経験しており、うつ病エピソード中に少なくとも1種の抗うつ薬に対して少なくとも1回の不十分な反応を示した。一部の実施形態では、患者はうつ病エピソードを経験しており、うつ病エピソード中に2、3、または4種の異なる抗うつ薬に対して不十分な反応を示した。
一部の実施形態では、患者は、化合物Aによる処置の前に、モントゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)の合計スコアが21以上であると評価されている。
一部の実施形態では、患者は、化合物Aによる処置の前に、ラスキンうつ病評価尺度のスコアが9以上であると評価されている。
一部の実施形態では、患者は、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩による処置から少なくとも1、2、3、または4週間前に抗うつ薬を使用していない。
一部の実施形態では、患者は18歳以上である。
一部の実施形態では、患者は発作障害を有していない。
一部の実施形態では、患者は脳電図(EEG)に臨床的に有意な異常を有していない。
一部の実施形態では、患者は、本明細書に含まれる実施例に記載されているような1またはそれを超える除外基準を有していない。
一部の実施形態では、患者は、本明細書に含まれる実施例に記載されているような1またはそれを超える選択基準を有している。
一部の実施形態では、本発明は、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を患者に投与することを含む、うつ病を処置することを必要とする患者においてうつ病を処置する方法を提供し、患者のうつ病尺度のスコアは少なくとも50%減少する。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から6週間未満以内に、患者のうつ病尺度のスコアは少なくとも50%減少する。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から4週間未満以内に、患者のうつ病尺度のスコアは少なくとも50%減少する。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から2週間以内に、患者のうつ病尺度のスコアは少なくとも50%減少する。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から2週間未満以内に、患者のうつ病尺度のスコアは少なくとも50%減少する。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から1週間以内に、患者のうつ病尺度のスコアは少なくとも50%減少する。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から7日以内に、患者のうつ病尺度のスコアは少なくとも50%減少する。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から6日以内に、患者のうつ病尺度のスコアは少なくとも50%減少する。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から5日以内に、患者のうつ病尺度のスコアは少なくとも50%減少する。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から4日以内に、患者のうつ病尺度のスコアは少なくとも50%減少する。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から3日以内に、患者のうつ病尺度のスコアは少なくとも50%減少する。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から2日以内に、患者のうつ病尺度のスコアは少なくとも50%減少する。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から1日以内に、患者のうつ病尺度のスコアは少なくとも50%減少する。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から24時間以内に、患者のうつ病尺度のスコアは少なくとも50%減少する。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から24時間以内に、患者のうつ病尺度のスコアは少なくとも10%、20%、30%、または40%減少する。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から12時間以内に、患者のうつ病尺度のスコアは少なくとも10%、20%、30%、または40%減少する。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11時間以内に、患者のうつ病尺度のスコアは少なくとも10%、20%、30%、または40%減少する。一部の実施形態では、うつ病尺度のスコアは、モントゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)、ハミルトンうつ病評価尺度(HAMD-6)、うつ病症候学自己評価尺度の質問票(Inventory of Depression Symptomatology Self-Rated Scale:IDS-SR)、および臨床全般印象重症度尺度(Clinical Global Impression Severity Scale:CGI-S)から選択される。一部の実施形態では、うつ病尺度のスコアは、上記および本明細書記載のうつ病評価尺度のいずれかから選択される。
一部の実施形態では、本発明の方法は、標準化された効果量統計を使用して測定されるように、臨床的に有意な抗うつ作用を達成することを特徴とし、0.40またはそれ以上の効果量は、臨床的に有意な効果を示しているとみなされる。例として、一部の実施形態では、効果量は、上記および本明細書記載のうつ病価尺度のいずれかに従って測定され、特定の時間間隔での効果量は、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、または1.0以上である。一部の実施形態では、効果量は、上記および本明細書記載のうつ病価尺度のいずれかに従って測定され、2~4時間の効果量は、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、または1.0以上である。一部の実施形態では、効果量は、上記および本明細書記載のうつ病価尺度のいずれかに従って測定され、4~8時間の効果量は、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、または1.0以上である。一部の実施形態では、効果量は、上記および本明細書記載のうつ病価尺度のいずれかに従って測定され、8~12時間の効果量は、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、または1.0以上である。一部の実施形態では、効果量は、上記および本明細書記載のうつ病価尺度のいずれかに従って測定され、12、24、36、48、または72時間に測定される効果量は、0.20、0.30、0.40、0.50、0.60、0.70、0.80、0.90、または1.0以上である。一部のそのような実施形態では、サイズ効果(size effect)は、0.40以上である。一部のそのような実施形態では、サイズ効果は、0.50以上である。
一部の実施形態では、本発明は、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を患者に投与することを含む、うつ病を処置することを必要とする患者においてうつ病を処置する方法を提供し、患者は、腹腔内注射を介して投与されたケタミンに匹敵するうつ病価尺度のスコアの低下を経験する。一部の実施形態では、うつ病価尺度のスコアの低下は、単回投与に起因する。一部のそのような実施形態では、投与は経口投与である。一部の実施形態では、うつ病価尺度のスコアの低下は、少なくとも2回の投与に起因する。一部のそのような実施形態では、投与は経口投与である。一部の実施形態では、うつ病価尺度のスコアの低下は、複数の経口投与に起因する。一部のそのような実施形態では、投与は経口投与である。
一部の実施形態では、本発明は、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を患者に投与することを含む、抗うつ活性の迅速な発現を誘発することを必要とする患者において抗うつ活性の迅速な発現を誘発する方法を提供する。一部のそのような実施形態では、患者はTRDに罹患している。一部の実施形態では、抗うつ活性の迅速な発現は、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から2週間以内に起こる。一部の実施形態では、抗うつ活性の迅速な発現は、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から1週間以内に起こる。一部の実施形態では、抗うつ活性の迅速な発現は、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から7日以内に起こる。一部の実施形態では、抗うつ活性の迅速な発現は、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から6日以内に起こる。一部の実施形態では、抗うつ活性の迅速な発現は、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から5日以内に起こる。一部の実施形態では、抗うつ活性の迅速な発現は、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から4日以内に起こる。一部の実施形態では、抗うつ活性の迅速な発現は、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から3日以内に起こる。一部の実施形態では、抗うつ活性の迅速な発現は、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から2日以内に起こる。一部の実施形態では、抗うつ活性の迅速な発現は、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から1日以内に起こる。一部の実施形態では、抗うつ活性の迅速な発現は、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から24時間未満以内に起こる。一部の実施形態では、抗うつ活性の迅速な発現は、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の投与から23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、または2時間未満以内に起こる。
一部の実施形態では、本発明は、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を患者に投与することを含む、長期間持続する抗うつ活性を誘発することを必要とする患者において、長期間持続する抗うつ活性を誘発する方法を提供する。一部の実施形態では、それを必要とする患者はTRDに罹患している。一部の実施形態では、長期間持続する抗うつ活性は、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の単回投与後少なくとも24時間持続する。一部の実施形態では、長期間持続する抗うつ活性は、少なくとも2日間持続する。一部の実施形態では、長期間持続する抗うつ活性は、少なくとも3日間持続する。一部の実施形態では、長期間持続する抗うつ活性は、少なくとも4日間持続する。一部の実施形態では、長期間持続する抗うつ活性は、少なくとも5日間持続する。一部の実施形態では、長期間持続する抗うつ活性は、少なくとも6日間持続する。一部の実施形態では、長期間持続する抗うつ活性は、少なくとも7日間持続する。
一部の実施形態では、本発明は、急速に発生し、長期間持続する抗うつ活性を誘発する方法を提供する。
一部の実施形態では、本発明は、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を含む組成物を患者に投与することを含む、陽性の行動反応を誘発することを必要とする患者において、陽性の行動反応を誘発する方法を提供する。一部の実施形態では、患者はTRDに罹患している。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、気分の改善と相関している。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、不安の軽減と相関している。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、ストレスに対処する能力の改善と相関している。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、外見に表出される悲しみと相関している。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、言葉で表現された悲しみと相関している。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、睡眠の改善と相関している。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、食欲の改善と相関している。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、集中力の改善と相関している。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、自己肯定感の改善と相関している。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、倦怠感レベルの改善と相関している。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、悲観的思考および自殺思考の減少と相関している。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、仕事またはその他の活動への関心の増加と相関している。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、身体症状の減少と相関している。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、精神運動発達遅滞の症状の減少と相関している。
一部の実施形態では、本発明は、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を患者に投与することを含む、陽性の行動反応の迅速な発現を誘発することを必要とする患者において陽性の行動反応の迅速な発現を誘発する方法を提供する。一部の実施形態では、患者はTRDに罹患している。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、投与から24時間未満以内に起こる。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、投与から1日以内に起こる。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、投与から2日以内に起こる。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、投与から3日以内に起こる。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、投与から4日以内に起こる。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、投与から5日以内に起こる。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、投与から6日以内に起こる。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、投与から7日以内に起こる。一部の実施形態では、陽性の行動反応は、投与から1週間以内に起こる。
一部の実施形態では、本発明は、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を患者に投与することを含む、長期間持続する陽性の行動反応を誘発することを必要とする患者において長期間持続する陽性の行動反応を誘発する方法を提供する。一部の実施形態では、患者はTRDに罹患している。一部の実施形態では、長期間持続する陽性の行動反応は、1日より長く持続する。一部の実施形態では、長期間持続する陽性の行動反応は、少なくとも2日間持続する。一部の実施形態では、長期間持続する陽性の行動反応は、少なくとも3日間持続する。一部の実施形態では、長期間持続する陽性の行動反応は、少なくとも4日間持続する。一部の実施形態では、長期間持続する陽性の行動反応は、少なくとも5日間持続する。一部の実施形態では、長期間持続する陽性の行動反応は、少なくとも6日間持続する。一部の実施形態では、長期間持続する陽性の行動反応は、少なくとも7日間持続する。
一部の実施形態では、本発明は、急速に発生し、長期間持続する陽性の行動反応を誘発する方法を提供する。
投与
一部の実施形態では、本発明の方法は、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を、その必要のある患者に投与することを含み、治療有効量は、約10mg~約5000mg、または約20mg~約4000mg、または約40mg~約4000mg、または約60mg~約4000mg、または約80mg~約4000mg、または約100mg~約4000mg、または約120mg~約4000mg、または約130mg~約4000mg、または約140mg~約4000mg、または約100mg~約3000mg、または約150mg~約3000mg、または約160mg~約3000mg、または約170mg~約3000mg、または約180mg~約3000mg、または約190mg~約3000mg、または約200mg~約3000mg、または約210mg~約3000mg、または約220mg~約3000mg、または約230mg~約3000mg、または約240mg~約3000mg、または約250mg~約3000mg、または約260mg~約3000mg、または約270mg~約3000mg、または約280mg~約3000mg、または約290mg~約3000mg、または約300mg~約3000mg、または約310mg~約3000mg、または約320mg~約3000mg、または約330mg~約3000mg、または約340mg~約3000mg、または約350mg~約3000mg、または約360mg~約3000mg、または約370mg~約3000mg、または約380mg~約3000mg、または約390mg~約3000mg、または約400mg~約3000mg、または約410mg~約3000mg、または約420mg~約3000mg、または約430mg~約3000mg、または約440mg~約3000mg、または約450mg~約3000mg、または約460mg~約3000mg、または約470mg~約3000mg、または約480mg~約3000mg、または約490mg~約3000mg、または約500mg~約3000mg、または約510mg~約3000mg、または約520mg~約3000mg、または約530mg~約3000mg、または約540mg~約3000mg、または約550mg~約3000mg、または約560mg~約3000mg、または約570mg~約3000mg、または約580mg~約3000mg、または約590mg~約3000mg、または約600mg~約3000mg、または約610mg~約3000mg、または約620mg~約3000mg、または約630mg~約3000mg、または約640mg~約3000mg、または約650mg~約3000mg、または約660mg~約3000mg、または約670mg~約3000mg、または約680mg~約3000mg、または約690mg~約3000mg、または約700mg~約3000mg、または約710mg~約3000mg、または約720mg~約3000mg、または約730mg~約3000mg、または約740mg~約3000mg、または約750mg~約3000mg、または約760mg~約3000mg、または約770mg~約3000mg、または約780mg~約3000mg、または約790mg~約3000mg、または約800mg~約3000mg、または約810mg~約3000mg、または約820mg~約3000mg、または約830mg~約3000mg、または約840mg~約3000mg、または約850mg~約3000mg、または約860mg~約3000mg、または約870mg~約3000mg、または約880mg~約3000mg、または約890mg~約3000mg、または約900mg~約3000mg、または約910mg~約3000mg、または約920mg~約3000mg、または約930mg~約3000mg、または約940mg~約3000mg、または約950mg~約3000mg、または約960mg~約3000mg、または約970mg~約3000mg、または約980mg~約3000mg、または約990mg~約3000mg、または約1000mg~約3000mg、または約1000mg~約2500mg、または約1000mg~約2000mg、または約400mg~約2400mg、または約800mg~約2400mg、または約800mg~約1600mg、または約1600mg~約2400mgの総一日量を含む。
一部の実施形態では、本発明の方法は、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を、その必要のある患者に投与することを含み、治療有効量は、約50mg~約1600mg、または約50mg~約1500mg、または約50mg~約1400mg、または約50mg~約1300mg、または約50mg~約1200mg、または約50mg~約1100mg、または約50mg~約1000mg、または約50mg~約900mg、または約50mg~約800mg、または約50mg~約700mg、または約50mg~約400mg、または約50mg~約300mg、または約50mg~約200mg、または約50mg~約100mg、または約100mg~約500mg、または約100mg~約400mg、または約100mg~約300mg、または約100mg~約200mg、または約200mg~約1000mg、または約200mg~約900mg、または約200mg~約800mg、または約200mg~約700mg、または約200mg~約600mg、または約200mg~約500mg、または約200mg~約400mgの総一日量を含む。
一部の実施形態では、本発明の方法は、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を、その必要のある患者に投与することを含み、治療有効量は、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約1050mg、約1100mg、約1150mg、約1200mg、約1250mg、約1300mg、約1350mg、約1400mg、約1450mg、約1500mg、約1550mg、約1600mg、約1650mg、約1700mg、約1750mg、約1800mg、約1850mg、約1900mg、約1950mg、約2000mg、約2050mg、約2100mg、約2150mg、約2200mg、約2250mg、約2300mg、約2350mg、約2400mg、約2450mg、約2500mg、約2550mg、約2600mg、約2650me、約2700mg、約2750mg、約2800mg、約2850mg、約2900mg、約2950mg、または約3000mgの総一日量を含む。一部のそのような実施形態では、総一日量は、約150、約300、約400、約600、約800、約1000、約1600、約2400または約3000mgである。
一部の実施形態では、本発明の方法は、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を、その必要のある患者に投与することを含み、治療有効量は、約1~約100mg/kgの間、または約1~約90mg/kgの間、または約1~約80mg/kgの間、または約1~約70mg/kgの間、または約1~約60mg/kgの間、または約1~約50mg/kgの間、または約1~約40mg/kgの間、または約1~約35mg/kgの間、または約1~約30mg/kgの間、または約1~約25mg/kgの間、または約1~約20mg/kgの間、または約1~約19mg/kgの間、または約1~約18mg/kgの間、または約1~約17mg/kgの間、または約1~約16mg/kgの間、または約1~約15mg/kgの間、または約1~約14mg/kgの間、または約1~約13mg/kgの間、または約1~約12mg/kgの間、または約1~約11mg/kgの間、または約1~約10mg/kgの間、または約1~約9mg/kgの間、または約1~約8mg/kgの間、または約1~約7mg/kgの間、または約1~約6mg/kgの間、または約1~約5mg/kgの間、または約1~約4mg/kgの間、または約1~約3mg/kgの間の総一日量を含む。一部の実施形態では、総一日量は、一日あたり約2mg/kg~約40mg/kgの間、または約5mg/kg~約40mg/kgの間、または約10mg/kg~約40mg/kgの間、または約15mg/kg~約40mg/kgの間、または約20mg/kg~約40mg/kgの間、または約25mg/kg~約40mg/kgの間、または約30mg/kg~約40mg/kgの間、または約35mg/kg~約40mg/kg患者体重の間である。
一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の総一日量は、1日1回(QD)投与される。一部のそのような実施形態では、総一日量は、上記および本明細書記載のもののいずれかである。一部のそのような実施形態では、総一日量は、約150、約300、約400、約600、約800、約1000、約1600、約2400、または約3000mgである。
一部の実施形態では、総一日量は、1日に2回、3回、または4回投与される。一部のそのような実施形態では、各用量は同一である。一部のそのような実施形態では、少なくとも1回の用量は別の用量とは異なる。一部のそのような実施形態では、総一日量は、上記および本明細書記載のもののいずれかであり、用量は、「BID」で投与される。一部のそのような実施形態では、総一日量は、上記および本明細書記載のもののいずれかであり、用量は、「TID」で投与される。一部のそのような実施形態では、総一日量は、上記および本明細書記載のもののいずれかであり、用量は、「QID」で投与される。
一部の実施形態では、総一日量は、摂食条件下で患者に投与される。一部のそのような実施形態では、総一日量は、上記および本明細書記載のもののいずれかである。一部のそのような実施形態では、総一日量は、QD投与される。一部のそのような実施形態では、総一日量は、経口投与される。一部の実施形態では、総一日量は、少なくとも1、2、3、4、5、6、または7日間連続して毎日投与される。
一部の実施形態では、総一日量は、絶食条件下で患者に投与される。一部のそのような実施形態では、総一日量は、上記および本明細書記載のもののいずれかである。一部のそのような実施形態では、総一日量は、QD投与される。一部のそのような実施形態では、総一日量は、経口投与される。一部のそのような実施形態では、患者は、投与の前に少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24時間絶食する。一部のそのような実施形態では、患者は、投与の前に少なくとも約2~8時間絶食する。一部のそのような実施形態では、患者は、投与の前に約2時間、約4時間、または約8時間絶食する。
一部の実施形態では、患者は、投与後に一定時間絶食する。例として、一部の実施形態では、患者は、投与後に約1、2、3、4、5、6、7、または8時間絶食する。一部の実施形態では、患者は、投与後に約2時間絶食する。
一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の総一日量の約150mgは、絶食条件下で1日1回患者に投与される。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の総一日量の約150mgは、摂食条件下で1日1回患者に投与される。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の総一日量の約300mgは、絶食条件下で1日1回患者に投与される。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の総一日量の約300mgは、摂食条件下で1日1回患者に投与される。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の総一日量の約400mgは、絶食条件下で1日1回患者に投与される。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の総一日量の約400mgは、摂食条件下で1日1回患者に投与される。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の総一日量の約600mgは、絶食条件下で1日1回患者に投与される。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の総一日量の約600mgは、摂食条件下で1日1回患者に投与される。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の総一日量の約800mgは、絶食条件下で1日1回患者に投与される。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の総一日量の約800mgは、摂食条件下で1日1回患者に投与される。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の総一日量の約1000mgは、絶食条件下で1日1回患者に投与される。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の総一日量の約1000mgは、摂食条件下で1日1回患者に投与される。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の総一日量の約1600mgは、絶食条件下で1日1回患者に投与される。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の総一日量の約1600mgは、摂食条件下で1日1回患者に投与される。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の総一日量の約2400mgは、絶食条件下で1日1回患者に投与される。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の総一日量の約2400mgは、摂食条件下で1日1回患者に投与される。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の約2400mgよりも多い総一日量は、絶食条件下で1日1回患者に投与される。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の約2400mgよりも多い総一日量は、摂食条件下で1日1回患者に投与される。
一部の実施形態では、提供される方法は、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を、投与することを必要とする患者に投与することを含み、単一用量を投与することを含む。一部の実施形態では、提供される方法は、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を、投与することを必要とする患者に投与することを含み、少なくとも2用量を投与することを含む。一部のそのような実施形態では、少なくとも2用量は、第2の用量の投与の約24時間前に初回用量の投与を行うことを含む。一部のそのような実施形態では、少なくとも2用量の投与は、第2の用量の投与の約48時間前に初回用量の投与を行うことを含む。一部の実施形態では、提供される方法は、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を、投与することを必要とする患者に投与することを含み、複数回の用量を投与することを含む。一部の実施形態では、提供される方法は、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を、投与することを必要とする患者に投与することを含み、化合物Aを毎日、毎週、または毎月投与することを含む。一部の実施形態では、提供される方法は、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を、投与することを必要とする患者に投与することを含み、化合物Aを毎日同じ時間に投与することを含む。例として、一部の実施形態では、化合物Aは、毎朝同じ時間に投与される。一部の実施形態では、化合物Aは、毎晩同じ時間に投与される。
単位剤形
一部の実施形態では、本発明の方法は、1またはそれを超える単位用量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を含む医薬組成物を、投与することを必要とする患者に投与することを含む。一部のそのような実施形態では、単位用量は、約10mg~約5000mg、または約20mg~約4000mg、または約40mg~約4000mg、または約60mg~約4000mg、または約80mg~約4000mg、または約100mg~約4000mg、または約120mg~約4000mg、または約130mg~約4000mg、または約140mg~約4000mg、または約150mg~約3000mg、または約160mg~約3000mg、または約170mg~約3000mg、または約180mg~約3000mg、または約190mg~約3000mg、または約200mg~約3000mg、または約210mg~約3000mg、または約220mg~約3000mg、または約230mg~約3000mg、または約240mg~約3000mg、または約250mg~約3000mg、または約260mg~約3000mg、または約270mg~約3000mg、または約280mg~約3000mg、または約290mg~約3000mg、または約300mg~約3000mg、または約310mg~約3000mg、または約320mg~約3000mg、または約330mg~約3000mg、または約340mg~約3000mg、または約350mg~約3000mg、または約360mg~約3000mg、または約370mg~約3000mg、または約380mg~約3000mg、または約390mg~約3000mg、または約400mg~約3000mg、または約410mg~約3000mg、または約420mg~約3000mg、または約430mg~約3000mg、または約440mg~約3000mg、または約450mg~約3000mg、または約460mg~約3000mg、または約470mg~約3000mg、または約480mg~約3000mg、または約490mg~約3000mg、または約500mg~約3000mg、または約510mg~約3000mg、または約520mg~約3000mg、または約530mg~約3000mg、または約540mg~約3000mg、または約550mg~約3000mg、または約560mg~約3000mg、または約570mg~約3000mg、または約580mg~約3000mg、または約590mg~約3000mg、または約600mg~約3000mg、または約610mg~約3000mg、または約620mg~約3000mg、または約630mg~約3000mg、または約640mg~約3000mg、または約650mg~約3000mg、または約660mg~約3000mg、または約670mg~約3000mg、または約680mg~約3000mg、または約690mg~約3000mg、または約700mg~約3000mg、または約710mg~約3000mg、または約720mg~約3000mg、または約730mg~約3000mg、または約740mg~約3000mg、または約750mg~約3000mg、または約760mg~約3000mg、または約770mg~約3000mg、または約780mg~約3000mg、または約790mg~約3000mg、または約800mg~約3000mg、または約810mg~約3000mg、または約820mg~約3000mg、または約830mg~約3000mg、または約840mg~約3000mg、または約850mg~約3000mg、または約860mg~約3000mg、または約870mg~約3000mg、または約880mg~約3000mg、または約890mg~約3000mg、または約900mg~約3000mg、または約910mg~約3000mg、または約920mg~約3000mg、または約930mg~約3000mg、または約940mg~約3000mg、または約950mg~約3000mg、または約960mg~約3000mg、または約970mg~約3000mg、または約980mg~約3000mg、または約990mg~約3000mg、または約1000mg~約3000mg、または約1000mg~約2500mg、または約1000mg~約2000mg、または約400mg~約2400mg、または約800mg~約2400mg、または約800mg~約1600mg、または約1600mg~約2400mgである。
一部のそのような実施形態では、単位用量は、50mg~約1600mg、または約50mg~約1500mg、または約50mg~約1400mg、または約50mg~約1300mg、または約50mg~約1200mg、または約50mg~約1100mg、または約50mg~約1000mg、または約50mg~約900mg、または約50mg~約800mg、または約50mg~約700mg、または約50mg~約400mg、または約50mg~約300mg、または約50mg~約200mg、または約50mg~約100mg、または約100mg~約400mg、または約100mg~約300mg、または約100mg~約200mg、または約200mg~約1000mg、または約200mg~約900mg、または約200mg~約800mg、または約200mg~約700mg、または約200mg~約600mg、または約200mg~約500mg、または約200mg~約400mgである。
一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の単位用量は、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約1050mg、約1100mg、約1150mg、約1200mg、約1250mg、約1300mg、約1350mg、約1400mg、約1450mg、約1500mg、約1550mg、約1600mg、約1650mg、約1700mg、約1750mg、約1800mg、約1850mg、約1900mg、約1950mg、約2000mg、約2050mg、約2100mg、約2150mg、約2200mg、約2250mg、約2300mg、約2350mg、約2400mg、約2450mg、約2500mg、約2550mg、約2600mg、約2650me、約2700mg、約2750mg、約2800mg、約2850mg、約2900mg、約2950mg、または約3000mgである。一部のそのような実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩の単位用量は、約150、約300、約400、約600、約800、約1000、約1600、約2400mg、または約3000mgを含む。
一部の実施形態では、単位用量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩は、単回投与(QD)として投与される。一部のそのような実施形態では、単位用量は、約150、約300、約400、約600、約800、約1000、約1600、約2400mg、または約3000mgである。一部のそのような実施形態では、単位用量は、上記および本明細書記載のもののいずれかである。一部の実施形態では、単位剤形は、液体として投与される。例として、一部の実施形態では、単位剤形は、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩と、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を溶解または懸濁するための1またはそれを超える薬学的に許容され得る液体とを含む。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を溶解または懸濁するための1またはそれを超える薬学的に許容され得る液体は、水を含む。一部の実施形態では、化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を溶解または懸濁するための1またはそれを超える薬学的に許容され得る液体は、香味料を含む。一部のそのような実施形態では、単位剤形は、液剤の総重量1グラムあたり約10mgから約100mgの間、または約10mgから約90mgの間、または約10mgから約80mgの間、または約10mgから約70mgの間、または約15mgから約60mgの間、または約15mgから約55mgの間、または約15mgから約50mgの間、または約20から約50mgの間の化合物Aを含有する。一部のそのような実施形態では、単位剤形は、液剤の総重量1グラムあたり約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100mgの化合物Aを含有する。
一部の実施形態では、化合物Aの単位用量は、経口投与用の液体製剤であり、化合物Aは、全溶液に約10mg/mL、または約15mg/mL、または約20mg/mL、または約25mg/mL、または約30mg/mL、または約35mg/mL、または約40mg/mL、または約45mg/mL、または約50mg/mL、または約55mg/mL、または約60mg/mLの濃度で存在する。特定の実施形態では、単位用量は経口投与用の液体製剤であり、化合物Aは、全溶液に約40mg/mLの濃度で存在する。
薬学的に許容され得る組成物
一部の実施形態では、本発明の方法は、治療有効量の化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩と、薬学的に許容され得る担体、アジュバント、またはビヒクルを含む組成物を投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に提供される方法で使用するための組成物は、そのような組成物を必要とする患者、例えばうつ病に罹患している患者への投与用に製剤化される。一部の実施形態では、そのような組成物は、患者への経口投与用に製剤化される。
「薬学的に許容され得る担体、アジュバント、またはビヒクル」という用語は、一緒に製剤化される化合物の薬理活性を破壊しない無毒の担体、アジュバント、またはビヒクルを指す。本発明の組成物で使用されてよい薬学的に許容され得る担体、アジュバントまたはビヒクルとしては、限定されるものではないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられる。
組成物は、経口で、非経口で、吸入スプレーで、局所的に、直腸に、鼻に、頬側に、膣に、または埋め込み型リザーバを介して投与されてよい。本明細書において使用される「非経口」という用語には、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内および頭蓋内の注射または注入技法が含まれる。好ましくは、組成物は、経口で、腹腔内に、または静脈内に投与される。本発明の組成物の無菌の注射可能な形態は、水性または油性の懸濁液であってよい。これらの懸濁液は、適した分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、当技術分野で公知の技法に従って製剤化されてよい。無菌の注射可能な調製物は、無毒の非経口で許容され得る希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な液剤または懸濁剤、例えば1,3-ブタンジオール中の液剤であってもよい。用いることのできる許容され得るビヒクルおよび溶媒は、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌の固定油が溶媒または懸濁媒体として慣習的に用いられている。
この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドをはじめとする任意の刺激の少ない固定油を用いることができる。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、薬学的に許容され得る天然油、例えば、特にそのポリオキシエチル化型のオリーブ油またはヒマシ油のように、注射剤の調製に有用である。これらの油液剤または油懸濁剤は、長鎖アルコール希釈剤または分散剤、例えばカルボキシメチルセルロース、または、乳濁液および懸濁液をはじめとする薬学的に許容され得る剤形の製剤化に一般的に使用される同様の分散剤なども含有することができる。その他の一般的に使用される界面活性剤、例えばTween(登録商標)、Span(登録商標)および薬学的に許容され得る固体、液体、または他の剤形の製造に一般的に使用される、その他の乳化剤またはバイオアベイラビリティ増強剤も、製剤化の目的のために使用されてよい。
提供される方法で使用するための薬学的に許容され得る組成物は、限定されるものではないが、カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤または液剤をはじめとする任意の経口で許容され得る剤形で経口投与されてよい。経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用される担体にはラクトースとコーンスターチが含まれる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も、一般に添加される。カプセルの形態での経口投与の場合には、有用な希釈剤には、ラクトースと乾燥コーンスターチが含まれる。水性懸濁剤が経口使用に必要な場合、有効成分は乳化剤および懸濁化剤と組み合わされる。所望の場合、特定の甘味料、香味料または着色剤を添加することもできる。
一部の実施形態では、提供される方法で使用するための薬学的に許容され得る組成物は、経口投与用に製剤化される。そのような製剤は、食物とともに、または食物なしに投与されてよい。一部の実施形態では、提供される方法で使用するための薬学的に許容され得る組成物は、食物なしで投与される。一部の実施形態では、提供される方法で使用するための薬学的に許容され得る組成物は、食物とともに投与される。
経口投与用の液体剤形には、限定されるものではないが、薬学的に許容され得る乳液、マイクロエマルション剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。活性化合物に加えて、液体剤形は、当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒など、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、およびそれらの混合物を含有してよい。不活性希釈剤のほかに、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味料、香味料、および芳香剤などのアジュバントを含むことができる。
経口投与用の固体剤形には、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および課粒剤が含まれる。そのような固体剤形では、活性化合物は、少なくとも1つの不活性で薬学的に許容され得る賦形剤または担体、例えばクエン酸ナトリウムまたは第二リン酸カルシウムと、かつ/あるいはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤または増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアラビアゴムなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物などの滑沢剤と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、この剤形は、緩衝剤を含むこともある。
同様の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して、軟および硬ゼラチンカプセル中の充填剤として用いることもできる。錠剤、糖衣剤、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティングおよび医薬製剤化分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。これらは必要に応じて乳白剤を含んでよく、また、1つまたは複数の有効成分のみを放出するか、または腸管の特定の部分に優先的に、必要に応じて遅延して放出する組成物であり得る。使用され得る包埋組成物の例には、高分子物質およびワックスが含まれる。同様の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコール(polethylene glycol)などのような賦形剤を使用して、軟および硬ゼラチンカプセルの充填剤として用いることもできる。
化合物は、上記のように1またはそれを超える賦形剤とともにマイクロカプセル化された形態であってもよい。錠剤、糖衣剤、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティング、放出制御コーティングおよび医薬製剤化分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。そのような固体剤形では、活性化合物は、スクロース、ラクトースまたはデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混合されてもよい。そのような剤形はまた、通常の慣行のように、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースなどの、錠剤化滑沢剤ならびに他の錠剤化助剤を含んでもよい。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、この剤形は、緩衝剤を含むこともある。これらは必要に応じて乳白剤を含んでよく、また、1つまたは複数の有効成分のみを放出するか、または腸管の特定の部分に優先的に、必要に応じて遅延して放出する組成物であり得る。使用され得る包埋組成物の例には、高分子物質およびワックスが含まれる。
あるいは、提供される方法で使用するための薬学的に許容され得る組成物は、直腸または膣投与用の坐剤の形態で投与されてもよい。これらは、室温で固体であるが直腸温度では液体であるため、直腸で融解して薬物を放出する、適した非刺激性賦形剤と薬剤を混合することによって調製することができる。このような材料には、カカオバター、蜜ろうおよびポリエチレングリコールが含まれる。
提供される方法で使用するための薬学的に許容され得る組成物は、特に処置の標的が眼、皮膚、または下部腸管の疾患をはじめとする、局所適用によって容易に到達できる領域または器官を含む場合に、局所投与されてもよい。適した局所製剤は、これらの領域または器官ごとに容易に調製される。
下部腸管への局所適用は、直腸坐剤製剤(上記を参照)または適した浣腸製剤で行うことができる。局所経皮パッチを使用してもよい。
局所適用の場合、提供される方法で使用するための薬学的に許容され得る組成物は、1またはそれを超える担体に懸濁または溶解された活性成分を含有する、適した軟膏剤に製剤化されてよい。本発明の化合物の局所投与用の担体としては、限定されるものではないが、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられる。あるいは、提供される薬学的に許容され得る組成物は、1またはそれを超える薬学的に許容され得る担体に懸濁または溶解した活性化合物を含有する、適したローション剤またはクリーム剤に製剤化することができる。適した担体としては、限定されるものではないが、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられる。
提供される方法で使用するための薬学的に許容され得る組成物は、鼻エアロゾルまたは吸入により投与されてもよい。そのような組成物は、医薬製剤分野で周知の技法に従って調製され、ベンジルアルコールまたは他の適した保存剤、バイオアベイラビリティを高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の従来の可溶化剤もしくは分散剤を用いて、食塩水中の液剤として調製することができる。
単一剤形の組成物を生成するために担体材料と組み合わせることができる化合物Aの量は、処置する宿主および特定の投与様式に応じて変動する。一部の実施形態では、提供される方法で使用するための組成物は、これらの組成物を投与される患者に、0.01~100mg/kg体重/日の阻害剤の投与量を投与することができるように製剤化されるべきである。
また、任意の特定の患者に対する特定の投与量および処置計画が、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与時間、排泄率、薬物の組合せ、および処置する医師の判断および処置中の特定の疾患の重症度をはじめとする多様な要因に依存することも理解されるベキである。
上記および本明細書に記載のように、提供される方法で使用するための薬学的に許容され得る組成物は、処置されている感染の重症度に応じて、ヒトおよび他の動物に、経口で、直腸に、非経口で、大槽内に、膣内に、腹腔内に、局所に(散剤、軟膏剤、または滴剤として)、頬側に経口または鼻スプレーとして、などで、投与することができる。特定の実施形態では、化合物Aを、1日あたり約0.01mg/kg~約50mg/kg、好ましくは約1mg/kg~約25mg/kg被験者体重の投与量レベルで、1日に1またはそれを超える回数で経口または非経口投与して、所望の治療効果を得てもよい。
注射可能な調製物、例えば、無菌の注射可能な水性または油性の懸濁剤は、適した分散剤または湿潤剤と懸濁化剤とを使用して既知技術に従って製剤化されてよい。無菌の注射可能な調製物は、無毒の非経口で許容され得る希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な液剤、懸濁剤または乳剤、例えば1,3-ブタンジオール中の液剤であってもよい。用いることのできる許容され得るビヒクルおよび溶媒は、水、リンゲル液、U.S.P.および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌の固定油が溶媒または懸濁媒体として慣習的に用いられている。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドをはじめとする任意の刺激の少ない固定油を用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が注射剤の調製に使用されている。
注射可能な製剤は、例えば、細菌保持フィルターでろ過するか、あるいは使用前に滅菌水または他の無菌の注射可能な媒体に溶解または分散することのできる無菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことにより、滅菌することができる。
化合物の効果を延長するために、皮下または筋肉内注射からの化合物の吸収を遅らせることが望ましい場合がある。これは、水溶性の低い結晶性または非晶質な材料の液体懸濁液を使用することによって達成することができる。その場合、化合物の吸収速度はその溶解速度に依存し、ひいては、その溶解速度は、結晶サイズと結晶形に依存し得る。あるいは、非経口投与された化合物形態の遅延吸収は、化合物を油性ビヒクルに溶解または懸濁することによって達成される。注射可能なデポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマーに化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作製される。化合物とポリマー比率および用いる特定のポリマーの性質に応じて、化合物の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物)が含まれる。デポー注射可能な製剤は、身体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルションに化合物を封入することによっても調製される。
本発明の化合物の局所または経皮投与のための剤形には、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、スプレー剤、吸入剤またはパッチ剤が含まれる。活性成分は、必要に応じて、薬学的に許容され得る担体および必要とされる保存剤またはバッファーと無菌条件下で混合される。眼科用製剤、点耳薬、および点眼薬もまた、本発明の範囲内にあると企図される。さらに、本発明は、化合物の身体への制御送達をもたらすという追加の利点を有する経皮パッチの使用を企図する。そのような剤形は、化合物を適した媒体に溶解または分配することによって作製することができる。吸収促進剤を使用して、皮膚を横切る化合物の流れを増加させることもできる。速度は、速度制御膜を提供することによるか、あるいはポリマーマトリックスまたはゲルの中に化合物を分配することによって制御することができる。
本発明の各々の態様のすべての特徴は、必要な変更を加えて他のすべての態様に適用される。
本明細書に記載される本発明がより十分に理解され得るように、以下の実施例を記述する。これらの実施例は、説明目的のためだけのものであり、決して本発明を制限すると解釈されるものでないことは理解すべきである。
例証
実施例1:健康なボランティアおよび処置抵抗性うつ病の被験者における、化合物Aの単一用量の安全性、忍容性、薬物動態、および予備的有効性の無作為化二重盲検プラセボ対照試験
化合物A[(S)-2-アミノ-5,5-ジフルオロ-4,4-ジメチルペンタン酸]は、気分に関与する中枢を含む脳においてmTORC1経路のシグナル伝達を活性化する、新規の経口で生物学的に利用可能な特異的小分子である。前臨床の複数のストレス誘発性抑うつ行動のげっ歯類モデルにおいて、化合物Aは、ケタミンと突き合わせて比較した場合に、有意な有害作用を生じることなく、ケタミンの抗うつ作用に匹敵する迅速な抗うつ作用を実証した。また、化合物Aの薬理活性は、非ヒト霊長類の抗不安/抑うつ行動反応モデルにおいてケタミンの薬理活性に匹敵することも見出された。最後に、ケタミンと同様に、化合物Aの抗うつ作用は、mTORC1のシナプス後活性化に依存することが示され、mTORC1の下流シグナル伝達、シナプスタンパク質の発現(例えば、GluR1およびシナプシン)、およびラットの内側前頭前皮質のV層錐体ニューロンにおけるシナプス分枝の増加に関連していた。しかし、ケタミンとは異なり、化合物Aの薬理学的有効性は、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体のモジュレーションに関連していなかった。総合すると、これらのデータは、TRDの処置のための化合物Aの抗うつ薬の潜在性を示している。
研究目的:
主要目的:この研究の主要目的は、健康なボランティアにおける化合物A対プラセボの単回漸増投与量レベル、およびTRDを有する被験者における化合物A対プラセボの単一用量の安全性と忍容性を評価することであった。
副次的目的:副次的目的は、健康なボランティアとTRDを有する被験者における化合物Aの薬物動態を評価すること、およびTRDを有する被験者における化合物Aの予備的有効性を評価することであった。
研究エンドポイント:
安全性エンドポイント:
-健康なボランティアにおける化合物A対プラセボの単回漸増投与量レベルの安全性および忍容性を評価した
-TRDを有する被験者における化合物A対プラセボの単一用量の安全性および忍容性を評価した
予備的有効性エンドポイント:
主要有効性エンドポイント:主要有効性エンドポイントは、2日目(投与から24時間後)のモントゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)合計スコアのベースラインからの変化における化合物A群とプラセボ群との間の差であった。
副次的有効性エンドポイント:副次的予備的有効性エンドポイントは、以下の点での化合物A群とプラセボ群との間の差であった:
-各時点でのMADRS合計スコアのベースラインからの変化
-各時点でのハミルトンうつ病評価尺度-6項目(HAM-D6)合計スコアのベースラインからの変化
-各時点でのIDS-SR30合計スコアおよびドメインスコアのベースラインからの変化
-各時点での臨床全般印象度-重症度(CGI-S)スコアのベースラインからの変化
薬物動態エンドポイント:
-健康なボランティアにおける化合物Aの薬物動態を評価した
-TRDを有する被験者における化合物Aの薬物動態を評価した
薬力学的エンドポイント(パートBの被験者のみ):
-化合物Aの血漿中濃度と有効性パラメータとの間の潜在的な関連性を評価した
遺伝薬理学的エンドポイント(パートBの被験者のみ):
-BDNF遺伝子の一塩基多型(コドン66でバリン[Val]がメチオニン[Met]に置換されている;Val66Met)と有効性パラメータとの間の潜在的な関連性を評価した
全体的な研究デザイン:
これは、健康なボランティアにおける化合物Aの単回漸増投与量レベル(パートA)、およびTRDを有する被験者における化合物Aの単回投与(パートB)の、無作為化2部構成二重盲検プラセボ対照試験であった。48名の健康な被験者と32名のTRDを有する被験者を含む被験者を、異なる研究施設で無作為化した。各被験者の参加期間は、スクリーニング/ウォッシュアウトとフォローアップを含めて最大39日であった。研究の合計期間は、約12カ月と予想される。
本研究のパートA(健康なボランティアにおける単回漸増投与[SAD]部分)の全体的なデザイン:パートAは、健康なボランティアにおける化合物Aの単回漸増投与量レベルの無作為化2部構成二重盲検プラセボ対照単一施設試験であった。この研究には、最大28日間のスクリーニング期間、化合物Aまたはプラセボを投与する院内期間、および退院後3日~7日間のフォローアップ期間が含まれていた。最大約48名の健康なボランティアが、二重盲検処置に無作為に割り当てられた。8名の被験者を6つの投与量レベルのコホート(150、300、600、1000、1600、または2400mgの化合物A、またはプラセボ、経口液剤として投与)の各々に無作為化した。各コホート内では、6名の被験者を無作為化して化合物Aを投与し、2名の被験者を無作為化してプラセボを投与した。各被験者は、1日目に化合物Aまたはプラセボのいずれかを1用量だけ投与された。各コホート内では、最初に1名の被験者が化合物Aを投与され、1名の被験者がプラセボを投与された。コホートの最初の2名の被験者に投与後24時間で臨床的に有意な安全性の問題は認められなかったため、コホートにおいて残りの6名の被験者に投与した。院内期間は、6日/5泊であった。各被験者の参加期間は、スクリーニング/ウォッシュアウトとフォローアップを含めて最大39日であった。
本研究のパートAのチャートを表1に示し、パートAの用量漸増スキームを図1に示す。
Figure 2022554276000003
本研究のパートB(TRDを有する被験者の単回投与部分)の全体的なデザイン:パートBは、TRDを有する被験者における、化合物Aの無作為化2部構成二重盲検プラセボ対照多施設単回投与研究であった。この研究には、最大28日間のスクリーニング期間、化合物Aまたはプラセボを投与する院内期間、および退院後3日~7日間のフォローアップ期間が含まれていた。このコホートの投与量レベル(2400mg)は、本研究のパートAからの予備的安全性、忍容性、およびPKデータに基づいていた。このコホート内で、施設に依存しない審査プロセスにより、潜在的適格性が確認された。施設に依存しない審査プロセスは、潜在的な被験者への電話インタビュー(被験者が最初のスクリーニングに合格後、臨床ユニットへの入院前に実施)、および症状安定性の審査(-2日目に実施)で構成されていた。
本研究のパートBでは、約32名の被験者を、1つのコホート内の二重盲検処置に無作為に割り当てた。このコホート内では、16名の被験者を無作為化して化合物Aを投与し、16名の被験者を無作為化してプラセボを投与した。各被験者には、-3日目から-1日目まで単盲検でプラセボが毎日1回(QD)投与され、1日目に化合物Aまたはプラセボのいずれか(二重盲検)が単回投与された。単盲検プラセボ導入処置は、プラセボ反応者の選別を容易にすることを目的とするものであった。
本研究のパートBでは、インフォームドコンセントに署名した後、潜在的な被験者は、用量投与(1日目)の少なくとも14日前に抗うつ薬の使用を中断した。フルオキセチンの場合、20mg/日以下で少なくとも3週間、20mg/日超では少なくとも4週間の投与前のウォッシュアウト期間が必要であった。被験者は、スクリーニング期間中にうつ病の悪化をはじめとする有害事象を経験した場合には施設に連絡するように指示された。
院内期間は、8日/7泊であった。各被験者の参加期間は、スクリーニング/ウォッシュアウトとフォローアップを含めて最大39日であった。本研究のパートBのチャートを下の表2に示す。
Figure 2022554276000004
研究デザインの理論的根拠:
この研究は、化合物Aの安全性、忍容性、PK、および予備的有効性を評価するためにデザインされた。これは化合物Aの最初の臨床試験であったため、本研究のパートAでは、健康なボランティアが登録された。本研究のパートAで化合物Aの安全性、忍容性、およびPKが健康なボランティアで評価された後、化合物Aの安全性、忍容性、PK、および予備的有効性が、本研究のパートBでTRDを有する被験者で評価された。
最初に、本研究のパートAで、単回漸増用量が投与され、評価された。被験者の安全性を確保するために、安全性審査委員会(SRC)は、ある投与量レベルのコホートから次のより高い投与量レベルのコホートに上がる前、および本研究のパートAから本研究のパートBに移行する前に、安全性、忍容性、および血漿PKデータを評価した。
この研究には、標準的な安全性および忍容性の評価-例えば、身体的、神経学的および精神医学的検査、バイタルサイン、口腔温度、呼吸数、体重、12誘導心電図(pECG)、dECG、臨床検査試験、有害事象(AE)のモニタリングおよび併用薬と、本研究のパートAでは、心血管(CV)遠隔測定および安全性EEGが含まれていた。この研究には、精神医学的作用を有し得る薬物に特異的な安全性および忍容性の評価-例えば、コロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS;パートBのみ)、簡易精神症状評価尺度-陽性症状下位尺度[BPRS(+)]、および臨床医管理解離状態尺度(Clinician Administered Dissociative States Scale:CADSS)も含まれていた。
単回投与のPKを評価するために、頻繁なPKサンプリングが本研究に含められた。本研究のパートBには、予備的有効性を評価するように設計されたアセスメントが含められた。
用量選択の理論的根拠:
化合物Aのためのヒト用量の選択は、ヒトの化合物A曝露予測とともに、化合物Aの非臨床的安全性薬理学、毒性学、および化合物AのPK所見に基づいていた。
化合物Aの開始および停止用量に影響を与える要因:提案される化合物Aの開始用量(150mg)は、最も感受性の高い種における化合物AのNOAEL用量(ラットで14日間Q3D投与された160mg/kg)を考慮して、2つの種間の体表面積差に基づいてヒト等価用量(HED)(約26mg/kg、60kgのヒトの場合は約1560mg)を決定し、続いて、安全係数10を適用して最大推奨開始用量(MRSD)を得ることに基づいていた。上記の考慮事項に基づいて、本研究での化合物Aの開始用量は150mgであった。化合物Aによる非臨床所見の統合評価に基づいて、ヒトでの最初の(first-time-in-human)(FTIH)研究における化合物Aの計画最大用量は2400mgであった。体表面積に基づいて推定すると、2400mgの用量は、ラットでは247mg/kg、サルでは123mg/kgと同等である。ラットにおけるより高い用量レベル(500mg/kg)では、作用にはリンパ性萎縮および白血球の減少が含まれていた。サルの160mg/kgでは、唯一の作用は、心拍数のわずかな低下であった(約18%、または約30回/分、ビヒクルと比較)。結論として、完了した毒性学および安全性薬理学研究は、150mgの低い開始用量、2400mgの計画最大用量、および注意深く包括的なモニタリングによる化合物Aの投与を支持した。
対照群の理論的根拠:
プラセボは、化合物Aの安全性、忍容性、および予備的有効性の相対評価を可能にし、化合物Aによってもたらされる利益およびリスクのバランスの評価を容易にするために含めた。
被験者選択基準:
選択基準(パートAまたはパートBの被験者):
-被験者は、本研究の性質を理解し、任意の研究に関連する手順を行う前に署名および日付を記載した書面によるインフォームドコンセントを提供する必要があった。
-女性の被験者は、閉経後または外科的に不妊であるか、またはインフォームドコンセントの様式に署名した時点から試験品の投与から少なくとも30日後まで、1またはそれを超える次の避妊の形態(forms of contraception):ホルモンの(すなわち、経口、経皮、インプラント、または注射);二重障壁(すなわち、コンドーム、殺精子剤を含むダイアフラム);子宮内避妊器具(IUD);またはパートナーの精管切除(最低6カ月)を使用することに同意しなければならなかった。閉経後の女性は、12か月以上自然無月経であり、卵胞刺激ホルモン(FSH)が30mIU/mL以上でなければならなかった。外科的に不妊である女性は、子宮摘出、両側卵巣摘出、または両側卵管結紮を受けた女性として定義された。すべての女性は、試験品の投与前に妊娠検査の結果が陰性であることが必要であった。
-生物学的に子供を持つことが可能な(すなわち、精管切除していない)男性の被験者は、インフォームドコンセントの様式に署名した時点から試験品の投与から少なくとも90日後まで、適切に、自分たち自身または1もしくは複数のパートナーのいずれかのために、1またはそれを超える上記の避妊の形態(forms of birth control)を使用することに同意しなければならなかった。
-被験者は、治験責任医師の見解によれば、予定されたすべての評価に参加することができ、必要なすべての試験を完了する可能性があり、遵守する可能性があることが必要であった。
-被験者は英語が流暢でなければならなかった。
選択基準(パートAの被験者のみ):
-被験者は、18歳以上55歳以下でなければならなかった。
-被験者は、肥満指数(BMI)が19以上30以下でなければならなかった。
選択基準(パートBの被験者のみ):
-被験者は、18歳以上65歳以下でなければならなかった。
-被験者は、BMIが19以上35以下でなければならなかった。
-被験者は、臨床評価に基づいて、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、第5版(DSM-5)基準に従って、精神病の特徴のない大うつ病性障害(MDD)と診断され、精神疾患簡易構造化面接法(Mini International Neuropsychiatric Interview:MINI)によって確認された。
-被験者は、現在のうつ病エピソードにおいて、少なくとも1種類、但し4種類以下の抗うつ薬(安定した、適切な用量、少なくとも6週間処置)に対する反応が不十分でなければならなかった。マサチューセッツ総合病院の抗うつ処置反応質問票(ATRQ)を使用して、抗うつ処置の反応を評価した。50%未満の改善は、不十分な反応とみなされた。
-被験者は、スクリーニング時およびスクリーニングから用量投与(1日目)までのすべての評価で、モントゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)の合計スコアが21以上である必要があった。
-被験者は、スクリーニング時およびスクリーニングから用量投与(1日目)までのすべての評価で、ラスキンうつ病評価尺度のスコアが9以上である必要があった。
-被験者は、用量投与(1日目)より少なくとも2週間前に抗うつ薬の使用を中断する意思がなければならなかった。フルオキセチンの場合、20mg/日以下で少なくとも3週間、20mg/日超では少なくとも4週間の投与前のウォッシュアウト期間が必要であった。
除外基準:以下の除外基準のいずれかを満たす場合には、被験者は本研究に参加しなかった:
除外基準(パートAまたはパートBの被験者):
-妊娠検査結果が陽性であるか、授乳中である。
-スクリーニング前30日以内、またはスクリーニングから用量投与(1日目)までの、臨床的に有意な疾病(慢性、持続性、または急性の感染を含む)、医学的/外科的処置、または外傷。
-臨床的に有意な肝臓、腎臓、胃腸、心血管、内分泌、呼吸器、免疫、血液、皮膚、または神経の異常の既往歴または存在。
-薬物の吸収、分布、代謝、または排泄に影響を与える可能性のある任意の疾患、状態、または手術の既往歴または存在。
-スクリーニング時またはスクリーニングから用量投与(1日目)までの、身体検査、神経学的検査、心電図(ECG)、または検査値の評価での臨床的に有意な異常。
-スクリーニング時またはスクリーニングから用量投与(1日目)までの、正常上限(ULN)の1.5倍を超えるアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベル。
-スクリーニング時またはスクリーニングから用量投与(1日目)までの、ULNの1.5倍を超えるクレアチンキナーゼ(CK)レベル。さらに、スクリーニング時またはスクリーニングから用量投与(1日目)までの臨床的に有意なCKレベル(治験責任医師が決定)は除外された。
-Cockcroft-Gault式による、60mL/分未満のクレアチニンクリアランス。
-スクリーニング時またはスクリーニングから用量投与(1日目)までの、正常下限(LLN)未満の白血球または好中球数。
-スクリーニング時またはスクリーニングから用量投与(1日目)までの、臨床的に有意なバイタルサインの異常。これには、限定されないが、仰臥位で(少なくとも5分間の仰臥位制御安静(supine controlled rest)後)、以下が含まれる:(a)収縮期血圧>150mmHg、(b)拡張期血圧>95mmHg、または(c)心拍数<45回/分または>85回/分。
-スクリーニング時またはスクリーニングから用量投与(1日目)までの、制御安静の間のFridericia法に従って補正された、補正QT間隔測定値(QTF)が、男性で>450msec、女性で>470msecであるか、またはQT延長症候群の家族歴があること。
-安静時ECGのリズム、伝導、または形態の任意の臨床的に有意な異常、および、治験責任医師の判定で、異常なST-T波の形態または左心室肥大をはじめとするQT間隔の変化の解釈を妨げることがあり得る12誘導ECGの任意の異常。
-PR(PQ)間隔の短縮が120msec未満(PR<120msecであるが、心室早期興奮の証拠がない場合には>110msecは許容された)。
-PR(PQ)間隔の延長(>240msec)、断続的な第2度(睡眠の間または深い安静の際のウェンケバッハ型ブロックは除外しない)または第3度房室ブロック。
-持続的または断続的な完全脚枝ブロック(BBB)、またはQRS>110msecの心室内伝導遅延(IVCD)。QRSが110msecを超えるが115msec未満の被験者は、心室肥大または早期興奮の証拠がない場合には許容された。
-スクリーニング前30日以内、またはスクリーニングから用量投与(1日目)までの、有意な(>10%)体重の減少または増加。
-発作の既往歴。
-意識消失を伴う閉鎖性頭部外傷をはじめとする、臨床的に有意な頭部外傷の既往歴。
-臨床的に有意な症候性起立性低血圧(すなわち、起立性失神)の既往歴。
-神経弛緩薬性悪性症候群の既往歴。
-慢性尿路感染症の既往歴。
-スクリーニング前5年以内、またはスクリーニングから無作為化までの、がんの既往歴(皮膚の非転移性基底細胞癌および/または扁平上皮癌を除く)、腎細胞癌または乳がんの任意の既往歴、または結節性硬化症(TSC-LAM)に関連するリンパ脈管筋腫症の家族歴。
-治験責任医師の見解によれば、(a)本研究への被験者の参加に関連する潜在的なリスクが有意に増加した、(b)被験者が本研究を完了する尤度が低下した、および/または(c)本研究の結果を混乱させることがあり得る、疾病または状態。
-知的障害(知的発達障害)または精神遅滞の診断。
-スクリーニング前1か月以内、またはスクリーニングから用量投与(1日目)までの、注意欠陥多動性障害(ADHD)、ナルコレプシー、または認知強化のための処方薬または非処方薬(例えば、メチルフェニデート、アトモキセチン、モダフィニル、イチョウ、およびフペルジンA)の使用。
-治験責任医師およびメディカルモニターに承認された場合を除く、用量投与(1日目)前2週間以内の、任意のビタミンまたはハーブサプリメントの使用。
-スクリーニング前7日以内、またはスクリーニングから用量投与(1日目)までの、アルコール消費または任意の市販薬(1日あたり3gまでのパラセタモール/アセトアミノフェンを除く)の使用。
-スクリーニング前30日以内、またはスクリーニングから用量投与(1日目)までに、過剰な量のキサンチン含有飲料(例えば、1日あたり5杯を超えるコーヒーまたは同等物)を定期的に消費したこと(例えば、消費しない日よりも消費した日のほうが多いこと)。
-スクリーニング前6週間以内、またはスクリーニングから用量投与(1日目)までに、血液または血漿を提供したこと。
-用量投与(1日目)前3か月または5半減期(いずれか長い方)以内の、任意の実験的薬物、デバイス、または生物製剤の使用。
-現在、Navitor Pharmaceuticals、Inc.またはこの研究に参加している臨床試験施設に雇用されている、あるいはNavitor Pharmaceuticals、Inc.の従業員もしくは参加臨床試験施設の従業員の第一度近親者であったこと。
-治験責任医師またはメディカルモニターの見解により、被験者を本研究に不適切とする任意の状態。
-用量投与(1日目)前1週間以内の激しい身体活動。
-不十分な静脈アクセス。
-治験薬または治験薬賦形剤に対する既知のまたは疑われる過敏症または特異体質反応。
除外基準(パートAの被験者のみ):
-スクリーニング時のEEGの臨床的に有意な異常(例えば、てんかん様活動)。
-乱用薬物に対して陽性の尿中薬物スクリーニング。
-スクリーニング前2週間以内、またはスクリーニングから用量投与(1日目)までの、任意の処方薬(ホルモン避妊薬以外)の使用。
-スクリーニング前3か月以内の、任意のタバコを含む製品(例えば、葉巻、紙巻きタバコ、または嗅ぎタバコ)またはニコチンを含む製品(例えば、ニコチンチューインガム、ニコチン絆創膏、または禁煙に使用される他の製品)の頻繁な使用。頻繁な使用は、1週間に3日またはそれより多くの日数と定義される。任意のタバコまたはニコチンを含む製品の使用は、用量投与(1日目)から1週間以内に禁止された。
-DSM-5基準による、物質使用障害をはじめとする精神障害の任意の既往歴。
除外基準(パートBの被験者のみ):
-大麻を除く乱用薬物に対して陽性の尿中薬物スクリーニング。大麻の事前使用は、被験者が、用量投与(1日目)から1週間以内および本研究の間(フォローアップ期間を含む)に禁煙または大麻の摂取を絶つことに同意し、治験責任医師の判定で、被験者がこの制限に関して遵守する可能性がある場合に限って許可された。
-用量投与(1日目)の前2週間以内の任意の精神薬理学的薬物(抗うつ薬を含む)の使用。ただし、睡眠薬をスクリーニング前1か月以内およびスクリーニングから用量投与(1日目)までに週4日未満使用した場合を除く。フルオキセチンの場合、20mg/日以下で少なくとも3週間、20mg/日超では少なくとも4週間の投与前のウォッシュアウト期間が必要であった。
-DSM-5基準による精神病性障害、精神病を伴うMDD、双極性障害または関連障害、外傷後ストレス障害、強迫性障害(原発性の場合)、知的障害(DSM-5診断コード319)、境界性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、または自己愛性パーソナリティ障害、あるいは被験者に過度のリスクをもたらすかまたは本研究を危険にさらすことがあり得るその他の精神または神経の障害または症状の既往歴。
-DSM-5基準による、スクリーニング前1年以内の中程度または重度の物質使用障害。
-スクリーニング時またはスクリーニングから用量投与(1日目)までに、C-SSRSの質問4(「過去1年間」)または質問5(「過去1年間」)で「はい」と答えることによって証明される、任意の行動する意図をもつ積極的な自殺思考を示す、急性自殺傾向。
-C-SSRS(「過去1年間」)の自殺行動の項で「実際の試み」、「中断された試み」、「中止された試み」または「準備行為または行動」に「はい」の決定を行うような自殺行動の履歴。
-スクリーニング時またはスクリーニングから用量投与(1日目)までの、MADRSの10項目のスコアが5である。
--4日目(入院)からベースライン(1日目、投与前)までのMADRS合計スコアの変化が25%を超える。
-スクリーニング時またはスクリーニングから用量投与(1日目)までの、Covi不安尺度スコア≧ラスキンうつ病評価尺度スコア。
-臨床的に有意な身体的、性的、または心理的虐待の既往歴(年齢≦7歳)。
-施設に依存しない審査により不適格と決定されたもの。
研究の実施:
併用処置と研究の制限(パートAの被験者のみ)
研究中および指定期間中の禁止事項:
-スクリーニング前3か月以内のタバコまたはニコチンを含む製品の頻繁な使用、および用量投与(1日目)前1週間以内のタバコまたはニコチンを含む製品の使用。
-用量投与(1日目)前3か月または5半減期(いずれか長い方)以内の、任意の実験的薬物、デバイス、または生物製剤。
-スクリーニング前1か月以内、またはスクリーニングから用量投与(1日目)までの、ADHD、ナルコレプシー、または認知強化のための任意の処方薬または非処方薬(例えば、メチルフェニデート、アトモキセチン、モダフィニル、イチョウ、およびフペルジンA)。
-治験責任医師およびメディカルモニターに承認された場合を除く、用量投与(1日目)前2週間以内の任意のビタミンまたはハーブサプリメント。
-スクリーニング前2週間以内、またはスクリーニングから用量投与(1日目)までの、任意の処方薬(ホルモン避妊薬以外)。
-スクリーニング前7日以内、またはスクリーニングから用量投与(1日目)までの、アルコールまたは任意の市販薬(1日あたり3gまでのパラセタモール/アセトアミノフェンを除く)。
併用処置と研究の制限(パートBの被験者のみ)
研究中および指定期間中の禁止事項:
-用量投与(1日目)前3か月または5半減期(いずれか長い方)以内の、任意の実験的薬物、デバイス、または生物製剤。
-スクリーニング前1か月以内、またはスクリーニングから用量投与(1日目)までの、ADHD、ナルコレプシー、または認知強化のための任意の処方薬または非処方薬(例えば、メチルフェニデート、アトモキセチン、モダフィニル、イチョウ、およびフペルジンA)。
-治験責任医師およびメディカルモニターに承認された場合を除く、用量投与(1日目)前2週間以内の任意のビタミンまたはハーブサプリメント。
-用量投与(1日目)から2週間以内の任意の精神薬理学的薬物(抗うつ薬を含む)。ただし、睡眠薬をスクリーニング前1か月以内およびスクリーニングから用量投与(1日目)までに週4日未満使用した場合を除く。フルオキセチンの場合、20mg/日以下で少なくとも3週間、20mg/日超では少なくとも4週間の投与前のウォッシュアウト期間が必要であった。睡眠薬は研究中に使用することができたが、週に3日を超えて投与されていないこと、および可能であれば-1日目または1日目に投与されていないことが必要である。治験責任医師は、睡眠薬を投与する前にメディカルモニターに連絡して、意図する処置について話し合う必要があった。
-スクリーニング前7日以内、またはスクリーニングから用量投与(1日目)までの、アルコールまたは任意の市販薬(1日あたり3gまでのパラセタモール/アセトアミノフェンを除く)。
処置:
化合物Aは、ボトルに入った粉末として提供されて、地方条例に従って、施設の薬剤師または他の適切な資格のあるスタッフメンバーによって調合された。化合物Aの経口液剤の場合、調合された材料は、化合物A(20~50mg/g;これは液剤の総重量1グラムあたりの化合物Aのミリグラムを表す)、USP精製水(70%)、およびFlavor Sweet-SF(商標)(フレーバーマスキング剤;30%)から成った。プラセボ経口液剤は、USP精製水(70%)とFlavor Sweet-SF(商標)(30%)を含んでいた。二重盲検要件を維持するため、投与されたプラセボの体積は、投与毎にに投与された化合物Aの体積と等しかった。治験薬の実体を下の表3に示す。
Figure 2022554276000005
用量および処置計画:
本研究のパートA(健康なボランティアのSAD部分):
・ 被検者を無作為化して化合物Aを投与した:1日目に、単一固定用量の150、300、600、1000、1600、または2400mgの化合物Aが液剤として経口投与された。被験者は、投与の前後2時間は飲食を控えることが要求された。
・ 被験者を無作為化してプラセボ(精製水およびFlavor Sweet-SF(商標))を投与した:1日目に、単一用量プラセボが液剤として経口投与された。被験者は、投与の前後2時間は飲食を控えることが要求された。
本研究のパートB(TRDを有する被験者の単回投与部分):
・ 被検者を無作為化して化合物Aを投与した:各被験者には、-3日目から-1日目まで単盲検でプラセボがQD投与され、1日目に単一固定用量の2400mgの化合物Aが投与された。化合物Aとプラセボは液剤として経口投与された。化合物Aの投与量レベル(2400mg)は、本研究のパートAからの安全性、忍容性、およびPKデータに基づいていた。
・ 被験者を無作為化してプラセボ(精製水およびFlavor Sweet-SF(商標))を投与した:各被験者には、-3日目から-1日目まで単盲検でプラセボがQD投与され、1日目に単一用量のプラセボが投与された。プラセボは液剤として経口投与された。
研究変数のコレクション:
特に記載のない限り、各患者について以下の項目を評価した:
1.ECG
2.呼吸数および口腔温度
3.血圧および脈拍数
4.PK血液試料
5.EEG(パートAのみ)
6.臨床検査安全試料
7.神経学的検査および身体検査
8.精神医学的評価
有害事象(AE)、試験治療下で発現したAE(TEAE)、および有害薬物反応(ADR)の定義
AEは、医学的処置または手技に関連しているとみなされるか否かに関係なく、医学的処置または手技の使用に一時的に関連する、任意の好ましくないかつ意図しない徴候(異常な検査室所見を含む)、症状、または疾患である。臨床研究では、AEには、たとえ研究処置が施行されていなくても、導入期間またはウォッシュアウト期間を含むいつでも発生する望ましくない医学的状態が含まれ得る。AEという用語は医療文書および科学分析に使用される特定の事象の特有の表現である。
TEAEは、研究処置の開始後に始まったか、あるいは研究処置の前には存在していたが、研究処置の開始後に頻度または重症度が増加したAEである。
有害薬物反応(ADR)は、医薬品の任意の用量に関連するとみなされる、つまり、医薬品とAEとの間の因果関係には少なくとも合理的な可能性のある(関係を除外することのできない)、あらゆるAEである。
重篤な有害事象(SAE)の定義:重篤な有害事象(SAE)は、任意の研究段階(すなわち、導入、処置、ウォッシュアウト、またはフォローアップ)中に起こる、1またはそれを超える以下の基準を満たすAEである。
・ 死に至る
・ 直ちに生命を脅かす
・ 入院または既存の入院の延長が必要
・ 持続的もしくは重大な身体障害/機能不全、または通常の生活機能を行う能力の実質的な崩壊に至る
・ 先天性異常または出生時欠損である
・ 被験者を危険にさらす可能性があるか、または上記の転帰の1つを防ぐために医学的介入を必要とし得る重要な医学的事象である
精神医学的評価:
簡易精神症状評価尺度-陽性症状下位尺度[BPRS(+)]:BPRS(+)は、健康な人には通常みられない精神病的行動(「陽性」症状)を測定するために使用される、臨床医が管理する尺度である。この尺度には4つの項目が含まれ、それぞれが1~7のスケールで点数化される。
臨床医管理解離状態尺度(CADSS):CADSSは、解離症状の現状を測定するために使用される、臨床医が管理する手段である。これは23項目からなり、すべて0~4のスケールで評価される。これは、記憶喪失、離人症、および現実感消失の症状を評価する3つの要因を有する。
コロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS):C-SSRSは、行動と観念化の両方を評価するユニークで単純で短い方法であり、すべての自殺事象を追跡し、自殺傾向の概要を提供する。これは、未遂の致死率および他の観念化の特徴(頻度、期間、制御可能性、観念化の理由、および抑止力)を評価するものであり、これらはすべて自殺完遂を有意に予測する。C-SSRSは、スクリーニング時、研究施設で拘束中の毎日、および自殺傾向の存在を判断するためのフォローアップ来院時に実施された。
小児外傷アンケート-ショートフォーム(CTQ-SF):CTQ-SFは、広範な虐待経験を評価するために使用される自記式質問票である。1~5のスケールで点数化された28項目(25の臨床項目と3の妥当性項目)を含むCTQ-SFは、より長い(78項目)質問票に由来するものである。
Covi不安およびラスキンうつ病尺度(Covi-ラスキン):Covi不安およびラスキンうつ病尺度は、不安およびうつ病の全体的なレベルを評価するために使用される、臨床医が管理する尺度である。各尺度には3つの項目が含まれ、それぞれが1~5で点数化される。
予備的有効性評価:他の精神医学的評価は、パートBのみで予備的有効性を評価するために実施された。これらの評価には、モントゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)、ハミルトンうつ病評価尺度-6項目(HAM-D)、臨床全般印象度-重症度(CGI-S)、およびうつ病症状の質問票(30項目、自己評価版)(IDS-SR30)が含まれた。モントゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)。
MADRSは、大うつ病の患者で最も頻繁に観察される症状の範囲を評価するために使用される、臨床医が管理する尺度である。この尺度には10項目が含まれ、それぞれが0~6のスケールで点数化される。MADRSは、プロトコール、来院、および処置に関して盲検化された第三者の独立した評価者によって一元的に管理された。
ハミルトンうつ病評価尺度-6項目(HAM-D):HAM-Dは、うつ病症状の主要なドメインを評価するために使用される、臨床医が管理する尺度である。HAM-Dは、元の17項目の尺度(HAM-D17)に由来するものであった。6項目のうち5項目は0~4のスケールで点数化され、1項目は0~2のスケールで点数化されている。
臨床全般印象度-重症度(CGI-S):CGI-Sは、同じ診断を受けた患者を診察した臨床医の過去の経験と比較して、評価時の患者の疾病の重症度を評価するために使用される、臨床医が管理する7ポイントの尺度である。
うつ病症状の質問票(30項目、自己評価版)(IDS-SR30):IDS-SR30は、うつ病症状の重篤度を評価するために使用される、自己評価式尺度である。この尺度には30項目が含まれ、それぞれが0~3のスケールで点数化される。
研究結果
内訳:48名の無作為化された被験者;6つの薬物群(n=合計36)と1つのプラセボ群(n=12)。すべての被験者が本研究を完了した。
パートA-安全性:化合物A:化合物Aは忍容性が高く、重篤な有害事象はなく、有害事象に起因する中止もなかった。すべての有害事象は軽度であり、第1相試験に典型的なものであった。最大耐量には達しなかった。バイタル所見、検査室所見、およびECG所見は顕著ではなかった。BPRS+とCADSSのスコアは処置群間で同程度であった。TEAEデータは、各コホートについて下の表4に提供されている。
Figure 2022554276000006
内訳:予定被験者40名;研究は最終的に32名の被験者を無作為化し、そのうち31名を有効性サンプルに含めた。下の表5を参照されたい。
Figure 2022554276000007
パートB-ITT(処置意図)集団における患者の人口動態:下の表6を参照されたい。
Figure 2022554276000008
パートB-安全性:化合物A:化合物Aは忍容性が高く、重篤な有害事象はなく、有害事象に起因する中止もなかった。すべての有害事象は軽度から中等度であった。バイタル所見、検査室所見、およびECG所見は顕著ではなかった。BPRS+とCADSSのスコアは処置群間で同程度であった。安全性の要約を下の表7に、TEAEデータを下の表8に示す。
Figure 2022554276000009
Figure 2022554276000010
下の表9は、有効性評価のタイミングを表す。MADRS合計スコアは一元管理された。HAM-D6は施設で管理された。CGI-Sは施設の医師によって管理された。IDS-SRは、患者が自分で記入した。次に、MADRS-6スコアとMADRS-8スコアをMADRS合計スコアから事後に推定した。
Figure 2022554276000011
MADRS-10項目には、外見に表出される悲しみ、言葉で表現された悲しみ、内的緊張、睡眠減少、食欲減退、集中困難、倦怠感、感情をもてないこと、悲観的思考、および自殺思考が含まれる。MADRS-6項目には、外見に表出される悲しみ、言葉で表現された悲しみ、内的緊張、倦怠感、感情をもてないこと、および悲観的思考が含まれる。MADRS-8項目には、外見に表出される悲しみ、言葉で表現された悲しみ、内的緊張、集中困難、倦怠感、感情をもてないこと、悲観的思考、および自殺思考が含まれる。HAM-D6項目には、抑うつ気分、低い自己肯定感/罪悪感、仕事と興味、精神運動発達遅滞、精神的不安、および身体症状が含まれる。
臨床的に有意な抗うつ作用を判定する場合は、標準化された効果量統計を使用することが推奨される。抗うつ薬の臨床試験におけるうつ病評価尺度の正しい使い方は、うつ病の具体的な項目の効果量を示し、0.40またはそれより高い効果量を臨床的に有意な効果であるとして受け入れることである。本研究の効果量を下の表10に示す。0.2以上の効果量は、早期改善を示す。0.4以上の効果量は、臨床反応を示す。
Figure 2022554276000012
ベースラインで測定された、より若く、より重度のうつ病患者についての有効性シグナルを下の表11に示す。
Figure 2022554276000013
図2は、単一用量の化合物Aによって迅速かつ持続的な有効性を示すHAM-D6スコアを表す。有効性は投与後2時間という早さで観察され、数値的利点は最大24~72時間継続した。表12は、各時間間隔での効果量の概要を示す。
Figure 2022554276000014
図3は、HAM-D6で測定される、投与から2時間後の化合物Aの奏効率を表す。図4は、HAM-D6で測定される、投与から12時間後の化合物Aの奏効率を表す。図5は、HAM-D6で測定される、投与から24時間後の化合物Aの奏効率を表す。
HAM-D6の6項目のうち5項目は、MADRSと同様または重複する方法で同じ症状に対処する。共通の5つの項目について、HAM-D6項目のスコアの変化は、化合物Aで処置した被験者のMADRS項目のスコアの変化とよく相関していた。スケール間の共通項目については下の表13を参照されたい。また、うつ病の中核症状の測定におけるHAM-D6スケールとMADRSスケールとの間の相関関係を表す図6を参照されたい。
Figure 2022554276000015
下の表14は、投与から24時間後のMADRS項目のスコアを提供する。MADRS-6項目は、二重のアスタリスク(**)で示されている。化合物Aは、ベースラインスコアが実質的により低いにもかかわらず、集中スコアに著しい改善を示した。プラセボ被験者は全体的により重篤な症状を示した。
Figure 2022554276000016
下の表15には、化合物Aで観察された、うつ病の中核症状に関連するいくつかのMADRS項目に対する有効性シグナルデータが含まれている。MADRS-6項目は、二重のアスタリスク(**)で示されている。
Figure 2022554276000017
化合物Aはプラセボよりも、内的緊張、集中、悲観的思考、および感情をもてないことに大きな影響を与えることが見出された。
実施例2.健康な男性ボランティアの血漿および脳脊髄液中の経口化合物Aの無作為化二重盲検プラセボ対照単回投与薬物動態研究
血液脳関門は、タンパク質だけでなく、多くの低分子物質の脳への出入りの流れを制限している。約150mLのCSFが脳の細胞外間隙と直接接触している。全身に投与された薬物は、脈絡叢を直接通過するか、血液脳関門を間接的に通過することにより、中枢神経系(CNS)に到達することができる。これらの関門を越えると、薬物は間質液を通ってCSFに向かって拡散していく。薬物がCSFに到達すると、薬物は脳室系を介した対流によってCNS全体に輸送される。第4脳室を出ると、薬物は小脳延髄槽を通って脊髄を下り、大脳半球を越えて流れる。CSFは脳組織と直接接触しているため、脳間質液濃度と容易に平衡化することが想定される。CSFは、臨床薬理学研究におけるCNSへの曝露のインビボアセスメントに有用な代替物として使用されてきた。
化合物Aを用いた非臨床試験では発作は観察されていないが、発作の潜在的なリスクを軽減するために、発作の既往歴のある被験者は、本臨床研究から除外された。
NMDA拮抗薬、特にケタミンは、精神障害に見られる精神症状または解離症状に類似した精神状態の変化を伴う。非臨床研究では化合物AはNMDA拮抗活性を示さなかったが、本研究では、精神医学的既往歴のある被験者を除外することによる、潜在的な解離作用およびその他の精神医学的有害作用に関する予防措置が含まれていた。
研究目的:
主要目的:本研究の主要目的は、健康な正常男性ボランティアの血漿およびCSF中の化合物AのPKプロファイルを評価することであった。
副次的目的:本研究の副次的目的は、健康な正常男性ボランティアにおける、2400mgの化合物Aの単回経口投与の安全性および忍容性を評価することであった。
1または複数の探索的目的:PK試料と同じ時間枠で収集されたCSFおよび血漿試料を用いる本研究の探索的目的は、以下の通りであった:
-以下に記載されるような検証済みの方法を使用して偏りのないメタボローム解析を実施した:https://www.metabolon.com/what-we-do/our-technology。
-以下に記載されるような検証済みの方法を使用して偏りのないプロテオミクス解析を実施した:https://www.biognosys.com/technology。
研究エンドポイント:
安全性エンドポイント:本研究中、以下の安全性変数を一定間隔で記録した:
・ バイタルサイン(仰臥位BP、HR、体温、および呼吸数[RR])
・ 12誘導心電図:PR間隔、QRS間隔、RR間隔、QT間隔、および心拍数について補正したQT間隔(QTc)(バゼット補正[QTcB]およびFridericia補正[QTcF])
・ 臨床検査試験(臨床化学、血液学、および凝固)
・ AE評価
・ 神経学的検査
・ 身体検査
薬物動態エンドポイント:化合物Aについての以下のPKパラメータは、適切に血清およびCSFで決定された:
・ Cmax:濃度-時間プロファイルから直接決定される化合物Aの最大濃度
・ Tmax:濃度-時間プロファイルから直接決定される化合物Aの最大濃度の時間
・ AUClast:線形対数台形公式を使用して計算した、投与前(時間0)から最後の定量可能な濃度の時間(tlast)までの濃度時間曲線下面積
・ AUCinf:線形対数台形公式を使用して計算した、投与前(時間0)から無限時間まで外挿した濃度時間曲線下面積(AUClast+Clast/λ
・ AUC%extrap:tlastを超える外挿に起因するAUCinfの割合
・ λ:濃度-時間曲線の終末相で少なくとも3データポイントの選択により決定される終末消失速度定数
・ t1/2:ln2/λとして計算される、終末消失半減期
・ CL/F:用量/AUCinfとして計算される、見かけの体内クリアランス
・ Vz/F:用量/(AUCinf λ)として計算される、見かけの分布容積
・ MRT:(未変化薬物の体循環中の)平均滞留時間:AUMC/AUC
・ RA(AUC):AUCτ,ss/AUCτ,sdとして計算される、定常状態のAUCinf,ssと単回投与後のAUCτ,sdの比として計算される蓄積CSF/血漿比
・ RA(Cmax):Cmax,ss/Cmax,sdとして計算される、定常状態のCmax,ssと単回投与後のCmax,sdの比として計算される蓄積CSF/血漿比
・ CSF化合物Aの経時的な濃度と、時間を一致させた血漿中濃度とを比較した比も評価した
・ CSF化合物Aの経時的な濃度と、時間を一致させた血漿中濃度とを比較した比も評価した
全体的な研究デザイン:
この研究は、18歳から55歳までの健康な男性被験者の血漿およびCSF中の化合物AのPK、メタボロームおよびプロテオミクスプロファイルを評価するための第1相二重盲検プラセボ対照単回投与研究であった。被験者は、治験薬投与前28日以内にスクリーニング来院を行った。適格基準を満たしてICFに署名すると、被験者は-1日目にCRUに入院した。1日目に、硬膜内および静脈カテーテルが挿入され、被験者は、2400mgの化合物Aまたはプラセボの単回経口投与による二重盲検処置に無作為に割り当てられた。カテーテル挿入部位は、局所感染または脳脊髄液漏出の初期徴候について定期的に評価された。次に、時間を一致させたCSFと血液試料を36時間採取し、その後、硬膜内および静脈のカテーテルを取り外した。本研究のフローチャートについては、図7を参照されたい。
研究デザインの理論的根拠:
この研究は、化合物A対プラセボ単回投与の安全性、忍容性、およびPKを評価するために実施された。この臨床研究のデザインは、二重盲検プラセボ対照研究に関する米国食品医薬品局(FDA)のガイダンス文書の推奨に従った。この研究は、単回経口用量(2400mg)として液剤で投与した化合物Aの安全性、忍容性、PK、メタボロミクス、およびプロテオミクスを評価した。
用量選択の理論的根拠:
この研究の投与量レベル(2400mg)は、単回漸増用量研究(上記実施例1のパートA参照)からの予備的安全性、忍容性、およびPKデータに基づいていた。
研究期間:
各被験者の参加期間は約38日であった。推定研究期間は以下の通りである。
1.スクリーニング期間:最長28日間
2.処置期間:2日目まで
3.退院:硬膜内カテーテルの抜去から少なくとも36時間後
4.EOS:CRUから退院後7日(+/-1日)
研究の完了:
被験者は、本研究の予定されたすべての手順を完了し、予定されているすべてのCSFおよび血液試料を提供した場合、本研究を完了したとみなされた。本研究の終了は、本研究の最後の被験者の活動予定に示された最後の予定された手順の日付として定義された。
被験者選択基準:
研究対象集団は健康な男性ボランティアで構成されていた。被験者は、書面によるインフォームドコンセントを提供でき、すべての選択基準を満たし、除外基準を1つも満たさないことが必要であった。13名の被験者が無作為化され、13名の被験者が安全性について評価され、12名の被験者が、CSFについて評価された。
選択基準:以下の基準を満たした被験者を、臨床研究への参加に適格であるとみなした。
-被験者は、本研究の性質を理解し、任意の研究に関連する手順を行う前に署名および日付を記載した書面によるインフォームドコンセントを提供する必要があった。
-被験者は、インフォームドコンセントに署名する時点で18歳以上55歳以下でなければならなかった。
-被験者は、スクリーニング前12か月以内に、非喫煙者である(すなわち、タバコ[例、葉巻、紙巻きタバコ、または嗅ぎタバコ]またはニコチンを含む[例、ニコチンチューインガム、ニコチン絆創膏、または禁煙に使用されるその他の製品]または電子タバコ製品を控えている)必要があった。
-被験者は、19以上30kg/m以下のBMIを有している必要があった。
-生物学的に子供を持つことが可能な(すなわち、精管切除していない)被験者は、インフォームドコンセントに署名した時点から試験品の投与から少なくとも90日後まで、自分たち自身または1もしくは複数のパートナーのいずれかのために、1またはそれを超える適切な避妊の形態を使用することに同意しなければならなかった。
-被験者は、主任治験責任医師の見解によれば、予定されたすべての評価に参加することができ、必要なすべての試験を完了する可能性があり、遵守する可能性があることが必要であった。
除外基準:以下の除外基準のいずれかを満たす場合には、被験者は本研究に参加しなかった:
-スクリーニング前30日以内、またはスクリーニングから無作為化前(1日目)までの、臨床的に有意な疾病(慢性、持続性、または急性の感染を含む)、医学的/外科的処置、または外傷。
-臨床的に有意な肝臓、腎臓、胃腸、心血管、内分泌、呼吸器、免疫、血液、皮膚、または神経の異常の既往歴または存在。
-薬物の吸収、分布、代謝、または排泄に影響を与える可能性のある任意の疾患、状態、または手術の既往歴または存在。
-スクリーニング時またはスクリーニングと-1日目との間の、臨床的に有意な身体的神経学的心電図(ECG)、または検査室試験の異常。主任治験責任医師の裁量により、手順は1回繰り返すこととなった。
-発作の既往歴。
-意識消失を伴う閉鎖性頭部外傷をはじめとする、臨床的に有意な頭部外傷の既往歴。
-ヒト免疫不全ウイルス抗体、B型肝炎表面抗原、またはC型肝炎抗体についての血清学的試験結果が陽性。
-スクリーニング時または-1日目の尿中薬物スクリーニング、アルコール検査、またはコチニン検査(cotinine test)が陽性。
-スクリーニング時またはスクリーニングから-1日目までの、臨床的に有意なバイタルサインの異常。これには、少なくとも5分間の仰臥位制御安静後、以下を含んだ:(a)収縮期BP>150mmHg、(b)拡張期BP>95mmHg、または(c)心拍数<50回/分または>90回/分(bpm)。主任治験責任医師の裁量により、バイタルは1回繰り返すこととなった。
-スクリーニング前6カ月以内、またはスクリーニングからCRUへの入院(-1日目)までの、不明な(>10%)体重減少または増加。
-臨床的に有意な症候性起立性低血圧(すなわち、起立性失神)の既往歴。
-神経弛緩薬性悪性症候群の既往歴。
-スクリーニング前5年以内、またはスクリーニングから無作為化までの、がんの既往歴(皮膚の非転移性基底細胞癌および/または扁平上皮癌を除く)、腎細胞癌または乳がんの任意の既往歴、または結節性硬化症に関連するリンパ脈管筋腫症の家族歴。
-スクリーニング時またはスクリーニングから無作為化前(1日目)までの、主任治験責任医師の見解によれば、a)本研究への被験者の参加に関連する潜在的なリスクが有意に増加した、b)被験者が本研究を完了する尤度が低下した、および/またはc)本研究の結果を混乱させることがあり得る、疾病または状態。
-知的障害(知的発達障害)または精神遅滞の診断;DSM-5基準による、物質使用障害をはじめとする、精神障害の任意の既往歴;および、a)スクリーニング前の1か月以内またはb)スクリーニングから無作為化前(1日目)までの、注意欠陥多動性障害、ナルコレプシー、または認知強化(例えば、メチルフェニデート、アトモキセチン、モダフィニル、イチョウ、およびフペルジンのための処方薬または非処方薬の服用歴。
-主任治験責任医師およびメディカルモニターに承認された場合を除く、無作為化(1日目)前2週間以内の、任意のビタミンまたはハーブサプリメントの使用。
-無作為化(1日目)前7日以内の、アルコール消費または任意の市販薬(1日あたり2gまでのパラセタモール/アセトアミノフェンを除く)の使用。
-無作為化(1日目)の72時間前に、過剰な量のキサンチン含有飲料(例えば、1日あたり5杯を超えるコーヒーまたは同等物)を定期的に消費したこと(例えば、消費しない日よりも消費した日のほうが多いこと)。
-無作為化(1日目)前6週間以内に血液または血漿を提供したこと。
-無作為化(1日目)前の、非生物学的製剤の場合は30日以内、生物学的製剤の場合は3か月以内、または5半減期のいずれか長い方の期間内の実験的医薬品、デバイス、または生物製剤の使用。
-現在、Navitorまたはこの研究に参加しているCRUに雇用されているか、あるいはNavitorの従業員またはCRUの従業員の第一度近親者であったこと。
-主任治験責任医師またはメディカルモニターの見解により、被験者を本研究に不適切とする任意の状態。
-無作為化(1日目)前1週間以内の激しい身体活動。
-静脈へのアクセスが不適切または困難、あるいは直接静脈穿刺またはカテーテル挿入を受けることを望まないかまたは受けられない。
-治験薬または治験薬賦形剤に対する既知のまたは疑われる過敏症または特異体質反応。
-腰椎穿刺中に使用される麻酔薬(例、リドカイン)に対する既知のまたは疑われる過敏症または特異体質反応。
-無作為化(1日目)前の2週間以内の任意の処方薬の使用。
-主任治験責任医師および/または麻酔科医によって判断された腰椎穿刺または脳脊髄液採取の禁忌(例、腰椎側弯症、凝固障害、穿刺部位の皮膚感染など)。
-必要な生活様式の制限に従おうとしない、または従うことができない。
処置:
化合物Aおよびプラセボのボトルは、Sherpa Clinical Packaging(PCI社)から、粉末の入ったボトルと空のボトルとして提供され、地方条例に従って、施設の薬剤師または他の適切な資格のあるスタッフメンバーによって再構成された。化合物Aの経口液剤の場合、臨床用量は、約42mLの米国薬局方(USP)精製水で再構成された2400mgの化合物A、および18mLのFlavor Sweet-SF(商標)(フレーバーマスキング剤)で構成されていた。プラセボ用量には、有効成分を含まないこれらの同じ成分が含まれていた。治験薬の実体を下の表16に示す。
Figure 2022554276000018
用量および処置計画:被験者は、1日目の投与の少なくとも8時間前にすべての飲食物(水を除く)を控えた。水分は研究薬物の投与の1時間前まで許可された。絶食制限は投与後少なくとも2時間継続された。水は、投与後1時間から制限なく消費することができた。
薬物動態、メタボロミクス、およびプロテオミクス変数:薬物動態、メタボロミクス、およびプロテオミクス変数:化合物AのPK、メタボロミクス、およびプロテオミクス解析のための血液およびCSF試料が様々な時点で採取され、処理され、化合物Aの濃度を決定するための検証済みの方法によって解析された。
研究結果:
結果は、化合物Aの循環への急速な取込みと、脳への急速な曝露を示している。結果は、半減期が10~13時間で毎日の投与に適していることも示している。有効量でげっ歯類のレベルと一致するヒトのCSFレベルを示す図8を参照されたい。図9および10は、それぞれ単回投与後のCSF BDNFとBDNF受容体(NTRK2)断片のレベルを示している。mTORC1活性化により、BDNFの急速な放出、および受容体の分解が起こった。
化合物Aの単回投与は、処置後2時間以内に、GABA、ヒスタミン、セロトニン、およびドーパミンなどの主要な神経伝達物質の代謝回転に急速に影響を及ぼし、投与後36時間持続した。HVAの低いCSF濃度は、抑うつ症状のマーカーであることが報告されている。表17は、単回投与後のCSF神経伝達物質のメタボロミクスを示している。値は、ベースラインと比較した各時点の代謝産物濃度の比を表す。ベースラインからの増加は、単一のアスタリスク()で示されている。
Figure 2022554276000019
結論:要約すると、この研究は、化合物Aの2400mgの単回投与が脳内で有効な濃度を達成し、うつ病に重要な神経経路を活性化するという重要なバイオマーカーの証拠を提供する。
実施例3.健康な成人男性における化合物Aの2回の連続投与の定量的脳電図記録および事象関連電位への影響に関する無作為化二重盲検プラセボ対照試験
単回漸増用量の化合物Aは、2部構成無作為化二重盲検プラセボ対照ファーストインヒューマン試験のパートAで、健康な成人男性および女性で評価された(パートA、実施例1参照)。パートAからの予備的な盲検化の結果に基づいて、2400mg以下の単回漸増用量の化合物Aは、一般的に安全であり、忍容性が高いことが見出された。本研究のパートA(実施例1参照)からの用量直線性ならびにPKパラメータと用量を比較した予備評価により、以下のことが明らかになった。
・ 血漿化合物A濃度は急速に増加した。Tmax値の中央値は、投与から0.5~1.5時間の範囲であった。
・ 血漿化合物A曝露パラメータ(CmaxおよびAUC)は、150mgから2400mgまで用量比例的よりもやや下回る用量で増加した。
・ 化合物AのCL/FおよびVz/Fの推定値は用量とともに増加したが、終末消失半減期の推定値はコホート間で類似していた(12.7~15.9時間)。これは、用量の増加に伴う相対的バイオアベイラビリティの低下と一致している。
・ 単回投与の薬物動態データに基づくモデリングにより、1日おきまたは3日おきの投与で最小限の蓄積が予想されることが裏付けられる。
本研究に関する研究仮説は、プラセボと比較して、約48時間間隔で投与された2400mgの化合物Aの2回の連続経口投与が、一般に安全で忍容性が高く、qEEGの特定のスペクトルパワー変化に関連し、化合物Aの連続経口投与の安全性および忍容性、ならびに化合物Aの薬力学的活性の機能指標(バイオマーカー)としてのqEEQの有用性を支持するというものであった。qEEGの前臨床変化は、うつ病の活動、そしてスペクトル分析でのより高い周波数活動を示唆している。
前臨床データは、mTORC1経路の下流のシグナル伝達の変化が、選択されたERPパラダイムの変化に反映されるように、刺激のシグナル処理の改善をもたらすはずであることを示唆している。
化合物Aは、TRDの処置のために開発されることを目的としている。上記のように、単回漸増用量の化合物Aは、2部構成無作為化二重盲検プラセボ対照試験の最初のパートで、健康な成人男性および女性で評価された(パートA、実施例1参照)。その研究の最初のパートからの予備的な結果に基づいて、2400mg以下の単回漸増用量の化合物Aは、安全であり、忍容性が高いことが見出された。この研究は、24名の健康な成人男性(12名が化合物Aを投与され、12名がプラセボを投与される)において、プラセボと比較した、2400mgの化合物Aの2回の連続投与(2日間隔)の安全性、忍容性、薬力学、および薬物動態を調査するために設計された。薬力学的評価には、qEEGおよび事象関連電位(ERP)の測定値が含まれていた。
化合物Aを用いた非臨床試験やこれまでの限られた臨床実験では発作は観察されていないが、発作の潜在的なリスクを軽減するために、発作の既往歴のある被験者は、本臨床研究から除外された。さらに、潜在発作の可能性のある被験者を除外するために、スクリーニング時の安全EEGを初回用量投与前に神経科医が読み取り、EEGは投与後8時間(1日目および3日目)連続的に収集された。これらの連続的なEEG記録は、経験豊富な登録EEG技術者(R.EEG T)によって事後に再調査された。再調査中にてんかん様活動の徴候が認められた記録は、神経科医に送られた。EEG取得中に臨床スタッフによって観察された発作を示す疑わしい臨床徴候も、神経科医によるEEG記録の再調査、および/または主任治験責任医師の裁量で被験者を病院施設への移送を潜在的に引き起こした。
NMDA拮抗薬、特にケタミンは、精神障害に見られる精神症状または解離症状に類似した精神状態の変化を伴う。非臨床研究では化合物AはNMDA拮抗活性示さなかったが、本研究では、精神医学的既往歴のある被験者の除外、本研究のコース中の精神医学的症状の臨床評価、および精神医学的症状の評価をはじめとする、潜在的な解離作用およびその他の精神医学的有害作用に関する予防措置が含まれていた。
NMDA拮抗薬であるケタミンを含む一部の薬物は、乱用のリスクに関連している。化合物Aによる潜在的な乱用傾向は、入手可能な非臨床データに基づくと低いようであるが、特定の非臨床的および臨床的乱用傾向の研究は化合物Aではまだ実施されていない。したがって、本研究には、精神障害(物質使用障害を含む)の既往歴のある被験者の除外、および本研究全体にわたる精神医学的症状の臨床評価をはじめとする潜在的な乱用傾向に関連した予防措置が含まれていた。
非臨床研究(ラット)では、高用量の化合物A(≧500mg/kgをQ3Dで14日間)の経口投与は、リンパ性萎縮および白血球数の減少に関連していた。この臨床研究では、化合物Aを用いる非臨床研究における血液学的所見に関連する予防措置には、白血球または好中球絶対数が正常範囲を臨床的に有意に下回っている被験者の除外が含まれていた。その上、本臨床研究には、頻繁な臨床検査試験が含まれていた。
カニクイザルにおける心血管研究では、化合物Aの単一用量(≧160mg/kg)の経口投与は、心拍数および体温の低下に関連していた。より高い投与量レベル(≧500mg/kg)で血圧の上昇が認められた。カニクイザルにおける毒性学研究では、化合物Aの経口投与(≧500mg/kgをQ3Dで14日間)は、心拍数の低下に関連していた。この臨床研究における心血管の安全性に関連する予防措置には、バイタルサイン(例えば、血圧、脈拍、および体温)の頻繁な測定および頻繁な心電図(ECG)が含まれていた。
研究目的:
主要目的:本研究の主要目的は、健康な男性ボランティアにおける2400mgの化合物A対プラセボの2回の連続投与の(1)安全性および忍容性を評価すること、ならびに(2)薬力学を評価すること(qEEGによる評価)であった。
副次的目的:副次的目的は、健康な男性ボランティアにおける2400mgの化合物Aの2回の連続投与の(1)薬力学を評価すること(ERPによる評価);(2)薬物動態を評価すること、ならびに(3)化合物Aの血漿中濃度の関数としてqEEGおよびERPの変化を測定し、用量1と用量2の効果の間にいかなるPK/PD差があるかどうかを決定するPK/PDモデルを開発することであった。
1または複数の探索的目的:探索的目的は、BDNF遺伝子の一塩基多型(コドン66でバリン[Val]がメチオニン[Met]に置換されている;Val66Met)と薬力学的パラメータとの間の潜在的な関連性を評価することであった。
研究エンドポイント:
安全性エンドポイント:安全性エンドポイントは、臨床検査パラメータ、身体検査、神経学的検査、および精神医学的検査、バイタルサイン、ECG、EEG、および有害事象によって評価される、健康な男性ボランティアにおける化合物A対プラセボの連続投与の安全性および忍容性を評価することであった。
薬力学的エンドポイント:主要な薬力学的エンドポイントは、以下のqEEGパラメータにおける化合物A群とプラセボ群との間の差におけるベースラインからの変化であった。
フラクタルおよび振動EEG帯域振幅
フラクタルおよび振動EEG帯域の半球内および半球間コヒーレンス
副次的な薬力学的エンドポイントは、以下のERPパラメータにおける化合物A群とプラセボ群との間の差におけるベースラインからの変化であった。
・ ミスマッチ陰性電位(MMN)の振幅および潜時
・ P300aの振幅および潜時
・ P300bの振幅および潜時
・ N100の振幅および潜時
・ N200の振幅および潜時
・ P200の振幅および潜時
・ 聴覚定常状態応答(ASSR)の頂点間振幅
・ ASSR事象関連スペクトル摂動(ERSP)
・ ASSR試行間位相コヒーレンス(ITPC)
・ qEEG平行因子分析(PARAFAC)原子エンドポイントの平均時間スコア
薬物動態エンドポイント:薬物動態エンドポイントは、健康な男性ボランティアにおける化合物Aの連続投与の薬物動態を評価することであった。
遺伝薬理学的エンドポイント:遺伝薬理学的エンドポイントは、BDNF遺伝子の一塩基多型(Val66Met)と薬力学的パラメータとの間の潜在的な関連性を評価することであった。
全体的な研究デザイン:
この研究は、健康な成人男性ボランティアにおける化合物Aの48時間±30分間隔の2回投与の無作為化二重盲検プラセボ対照試験であった。この研究には、最大28日間のスクリーニング期間、化合物Aまたはプラセボを投与する院内期間、および退院後3日~7日間のフォローアップ期間が含まれていた。
最大約24名の健康な男性ボランティアを、化合物A 2400mgまたはプラセボのいずれかによる二重盲検処置に無作為に(1:1)割り当てた。各被験者は、1日目に2400mgの化合物Aまたはプラセボのいずれかを1回投与され、3日目に同じ処置の2回目を投与された。
二重盲検処置の初回投与は、1日目の午前7:00から午前10:00の間に施行された。2回目の(3日目)投与は、1回目(1日目)の投与から48時間±30分後に行われた。前投与の評価は、1日目および3日目の両日の投与前30分以内に実施された投与前dECG、1日目および3日目の投与前60分以内に実施された投与前qEEGおよびERP、ならびに3日目の投与前15分以内に実施された投与前PK採血を除いて、1日目および3日目の投与の120分前までに実施された。
最初に、1名の被験者に化合物A(1日目および3日目)を、1名の被験者にプラセボ(1日目および3日目)を盲検下で投与した。最初の2名の被験者に投与後24時間に臨床的に有意な安全性の問題が認められない限り、追加の被験者に投与された。院内期間は、8日/7泊であった。各被験者の参加期間は、スクリーニングとフォローアップを含めて最大41日であった。
Figure 2022554276000020
研究デザインの理論的根拠:
この研究は、24名の健康な成人男性(12名が化合物Aを投与され、12名がプラセボを投与される)において、プラセボと比較した2400mgの化合物Aの2回の連続投与(2日間隔)の安全性、忍容性、薬力学、および薬物動態を評価するために設計された。この研究には、標準的な安全性および忍容性の評価-例えば、身体的、神経学的および精神医学的検査、バイタルサイン、口腔温度、呼吸数、体重、12誘導心電図(pECG)、dECG、臨床検査試験、有害事象(AE)のモニタリングおよび併用薬、および安全性EEGが含まれていた。この研究には、精神医学的作用を有し得る薬物に特異的な安全性および忍容性の評価-例えば、コロンビア自殺重症度評価尺度(C SSRS)、簡易精神症状評価尺度-陽性症状下位尺度[BPRS(+)]、および臨床医管理解離状態尺度(Clinician Administered Dissociative States Scale:CADSS)も含まれていた。
薬力学は、qEEGおよび事象関連電位(ERP)によって評価した。約48時間の間隔で与えられた2回投与の化合物AのPKを評価するために、頻繁なPKサンプリングが本研究に含まれた。化合物Aの血漿中濃度の関数としてqEEGおよびERPの変化を測定し、用量1と用量2の効果の間にいかなるPK/PD差があるかどうかを決定する、PK/PDモデルが開発された。
用量選択の理論的根拠:
選択された2400mgの化合物Aの用量は、実施例1、パートAで健康な成人の男性および女性の被験者において一般に安全であり、忍容性が高いことが見出された。これは試験された最高用量である。
対照群の理論的根拠:
プラセボは、化合物Aの安全性、忍容性、および薬力学の相対評価を可能にし、化合物Aによってもたらされる利益およびリスクのバランスの評価を容易にするために含めた。
被験者選択基準:
選択基準:以下の基準を満たした被験者を、臨床研究への参加に適格であるとみなした。
-被験者は、本研究の性質を理解し、任意の研究に関連する手順を行う前に署名および日付を記載した書面によるインフォームドコンセントを提供する必要があった。
-被験者は男性で18以上55歳以下であった。
-生物学的に子供を持つことが可能な(すなわち、精管切除していない)被験者は、インフォームドコンセントの様式に署名した時点から試験品の最後の投与から少なくとも90日後まで、適切に、自分たち自身または1もしくは複数のパートナーのいずれかのために、1またはそれを超える以下の避妊の形態を使用することに同意しなければならなかった:ホルモンの(すなわち、経口、経皮、インプラント、または注射);二重障壁(すなわち、コンドーム、殺精子剤を含むダイアフラム);子宮内避妊器具(IUD)。精管切除された男性は、初回用量投与(1日目)の少なくとも6か月前に精管切除されているか、あるいは、インフォームドコンセントの様式に署名した時点から試験品の最後の投与から少なくとも90日後まで、適切に、自分たち自身または1もしくは複数のパートナーのいずれかのために、1またはそれを超える上記の避妊の形態を使用することに同意していなければならなかった。
-被験者は、治験責任医師の見解によれば、予定されたすべての評価(qEEGおよびERPを含む)に参加することができ、必要なすべての試験を完了する可能性があり、遵守する可能性があることが必要であった。
-被験者は英語が流暢でなければならなかった。
-被験者は、肥満指数(BMI)が19以上30以下でなければならなかった。
除外基準:以下の除外基準のいずれかを満たす場合には、被験者は本研究に参加しなかった:
-スクリーニング前30日以内、またはスクリーニングから初回用量投与(1日目)までの、臨床的に有意な疾病(慢性、持続性、または急性の感染を含む)、医学的/外科的処置、または外傷
-臨床的に有意な肝臓、腎臓、胃腸、心血管、内分泌、呼吸器、免疫、血液、皮膚、または神経の異常の既往歴または存在
-薬物の吸収、分布、代謝、または排泄に影響を与える可能性のある任意の疾患、状態、または手術の既往歴または存在
-DSM-5基準による、任意の精神障害の既往歴または存在、限定されるものではないが、任意の精神病性障害、物質使用障害、うつ病性障害、不安障害、双極性障害、または注意欠陥/多動性障害(ADHD)など
-コロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)で質問4(「生涯」)または質問5(「生涯」)に「はい」と答え、スクリーニング時またはスクリーニングから初回用量投与(1日目)までの間の、行動する意図を持った積極的な自殺思考を示すことによるか、あるいはC-SSRSの質問3(「過去1年間」)に「はい」と答え、スクリーニング時またはスクリーニングから初回用量投与(1日目)までの間の、行動する意図のない何らかの方法(計画ではない)による積極的な自殺思考を示すことにより明らかな、自殺傾向の履歴または存在
-C-SSRS(「生涯」)の自殺行動の項で「実際の試み」、「中断された試み」、「中止された試み」または「準備行為または行動」に「はい」の決定を行うような自殺行動の履歴または存在。
-スクリーニング時またはスクリーニングから初回用量投与(1日目)までの、身体検査、神経学的検査、心電図(ECG)、または検査値の評価での臨床的に有意な異常。
-神経科医がてんかん様活動のEEGのスクリーニングで指摘した臨床的に有意な知見、あるいは、被験者を危険にさらす、qEEGまたはERP検査を妨害する、またはデータの解釈を混乱させる可能性のある神経障害または他の異常を示唆する1または複数の他の所見
-スクリーニング時またはスクリーニングから初回用量投与(1日目)までの、正常上限(ULN)の1.5倍を超えるアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベル。
-スクリーニング時またはスクリーニングから初回用量投与(1日目)までの、ULNの1.5倍を超えるクレアチンキナーゼ(CK)レベル。さらに、任意の臨床的に有意なCKレベル(治験責任医師が決定)は除外された。
-Cockcroft-Gault式による、60mL/分未満のクレアチニンクリアランス。
スクリーニング時またはスクリーニングから初回用量投与(1日目)までに、臨床的に有意に正常範囲を下回っていた白血球または好中球絶対数。
-スクリーニング時またはスクリーニングから初回用量投与(1日目)までの、臨床的に有意なバイタルサインの異常。これには、限定されないが、仰臥位で(少なくとも5分間の仰臥位制御安静後)、以下が含まれる:(a)収縮期血圧>150mmHg、(b)拡張期血圧>95mmHg、または(c)心拍数<45回/分または>95回/分。
-スクリーニング時またはスクリーニングから初回用量投与(1日目)までに、制御安静の間のFridericia法に従って補正された、補正QT間隔測定値(QTcF)が、>450msecであるか、またはQT延長症候群の家族歴があること。
-安静時ECGのリズム、伝導、または形態の任意の臨床的に有意な異常、および、治験責任医師の判定で、異常なST-T波の形態または左心室肥大をはじめとするQTc間隔の変化の解釈を妨げることがあり得た12誘導ECGの任意の異常。
-PR(PQ)間隔の短縮が120msec未満(PR<120msecであるが、心室早期興奮の証拠がない場合には>110msecは許容できた)。
-PR(PQ)間隔の延長(>240msec)、断続的な第2度(睡眠の間または深い安静の際のウェンケバッハ型ブロックは除外しない)または第3度房室ブロック。
-持続的または断続的な完全脚枝ブロック(BBB)、またはQRS>110msecの心室内伝導遅延(IVCD)。
-スクリーニング前30日以内、またはスクリーニングから初回用量投与(1日目)までの、有意な(>10%)体重の減少または増加。
-発作の既往歴、未知の原因による意識消失、または被験者を発作の危険に置く任意のその他の既知の神経障害。
-意識消失を伴う閉鎖性頭部外傷をはじめとする、臨床的に有意な頭部外傷の既往歴。
-臨床的に有意な症候性起立性低血圧(すなわち、起立性失神)の既往歴。
-神経弛緩薬性悪性症候群の既往歴。
-スクリーニング前5年以内、またはスクリーニングから無作為化までの、がんの既往歴(皮膚の非転移性基底細胞癌および/または扁平上皮癌を除く)、腎細胞癌または乳がんの任意の既往歴、または結節性硬化症(TSC-LAM)に関連するリンパ脈管筋腫症の家族歴。
-治験責任医師の見解によれば、(a)本研究への被験者の参加に関連する潜在的なリスクが有意に増加した、(b)被験者が本研究を完了する尤度が低下した、および/または(c)本研究の結果を混乱させることがあり得る、疾病または状態。
-知的障害(知的発達障害)または精神遅滞の診断。
-スクリーニング前7日以内、またはスクリーニングから初回用量投与(1日目)までのアルコール消費。
-スクリーニング前30日以内、またはスクリーニングから初回用量投与(1日目)までに、過剰な量のキサンチン含有飲料(例えば、1日あたり5杯を超えるコーヒーまたは同等物)を定期的に消費したこと(例えば、消費しない日よりも消費した日のほうが多いこと)。
-スクリーニング前6週間以内、またはスクリーニングから初回用量投与(1日目)までに、血液または血漿を提供したこと。
-初回用量投与(1日目)前3か月または5半減期(いずれか長い方)以内の、任意の実験的薬物、デバイス、または生物製剤の使用。
-現在、Navitor Pharmaceuticals、Inc.またはこの研究に参加している臨床試験施設に雇用されている、あるいはNavitor Pharmaceuticals、Inc.の従業員もしくは参加臨床試験施設の従業員の第一度近親者であったこと。
-治験責任医師またはメディカルモニターの見解により、被験者を本研究に不適切とする任意の状態。
-初回用量投与(1日目)前1週間以内の激しい身体活動(例えば、運動、重量挙げ、および家具の移動)。
-不十分な静脈アクセス。
-治験薬または治験薬賦形剤に対する既知のまたは疑われる過敏症または特異体質反応。
-尿中薬物スクリーニングが乱用薬物(大麻を含む)またはコチニンに対して陽性、または尿アルコールスクリーニングが陽性であること。
-スクリーニング前2週間、または5半減期(いずれか長い方)以内、またはスクリーニングから初回用量投与(1日目)までの、任意の処方薬の使用。
-初回用量投与(1日目)の前の2週間または5半減期(いずれか長い方)以内の、任意の非処方薬(1日あたり3gまでのパラセタモール/アセトアミノフェンを除く)の使用。
-治験責任医師およびメディカルモニターに承認された場合を除く、初回用量投与(1日目)前2週間以内の、任意のビタミンまたはハーブサプリメントの使用。
-スクリーニング前3か月以内、またはスクリーニングから初回用量投与までの、任意のタバコを含む製品(例えば、葉巻、紙巻きタバコ、または嗅ぎタバコ)またはニコチンを含む製品(例えば、ニコチンチューインガム、ニコチン絆創膏、または禁煙に使用される他の製品)の使用。
-スクリーニング時に施行された聴力試験で、聴覚が不十分であること。
処置:
化合物Aは、地方条例に従って、施設の薬剤師または他の適切な資格のあるスタッフメンバーによって調合されたボトルに入った粉末として提供された。化合物Aの経口液剤の場合、臨床用量は、約42mLの米国薬局方(USP)精製水で再構成された2400mgの化合物A、および18mLのFlavor Sweet-SF(商標)(フレーバーマスキング剤)で構成されていた。プラセボ用量には、有効成分を含まないこれらの同じ成分が含まれていた。治験薬の実体を下の表19に示す。
Figure 2022554276000021
用量および処置計画:被検者を無作為化して化合物Aを投与した:1日目および3日目の各日に、単一用量の2400mgの化合物Aを液剤として経口投与した。被験者は、用量投与の2時間前から用量投与の2時間後まで、飲食を控えることが求められた。
被験者を無作為化してプラセボ(精製水およびFlavor Sweet-SF(商標))を投与した:1日目および3日目の各日に、単一用量プラセボが液剤として経口投与された。
結果:
化合物Aの単回投与は、プラセボに対してqEEGで急速なかつ有意な神経の活性化を示した。帯域効果の増加は、覚醒(arousal)またはアラートネス(alertness)に関連しており、ポジティブな気分状態と認知機能の改善を示唆する。コヒーレンスの増加は、機能的な脳ネットワークの活性化に関連している。qEEG帯域の振幅の変化とqEEG帯域のコヒーレンスの変化をそれぞれ示す図11と12を参照されたい。記号は、平均値の差における、顕著な変化なし(-)、微増から大幅増(↑、↑↑、↑↑↑)、微減から大幅減(↓、↓↓、↓↓↓)または減少と増加の混合(↓↑)のいずれかを示す。正式なANOVAモデルで有意な処置効果であることが確認された変化は、二重のアスタリスク(**)で示されている。
化合物Aについての血漿中濃度-時間データに関して、1日目に、定量可能な血漿中化合物A濃度が、投与後最初の試料である0.5時間のサンプリング時間までにすべての被験者で到達した。すべての被験者が投与後24時間まで定量可能な濃度を有し、1名を除くすべての被験者が投与から36時間後に定量可能な濃度を有していた。平均プロファイルのピーク濃度は投与から1時間後に生じ、平均血漿中濃度はその後ほぼ2相性に低下した。
すべての被験者は、3日目に定量可能な投与前濃度を示し、72時間のサンプリングウインドウ全体にわたって、濃度はすべての被験者で定量可能なままであった。平均プロファイルについての最高濃度は投与から0.5時間後に発生し、濃度はその後ほぼ二相性に低下した。1日目と3日目の化合物Aの時間プロファイルに対する平均血漿中濃度はほぼ重ね合わせることができた(図13を参照)。
投与日ごとの血漿中化合物Aについての主要PKパラメータを表20にまとめている。Cmax、AUC(0~24)、およびAUC(0~48)で測定した、化合物Aへの幾何平均曝露は、1日目にと3日目でほぼ同じ(5%以内)であった。化合物Aの吸収は急速であった。これは、個々のTmax値が両方の投与日にすべての被験者で0.5時間から1.0時間の間であったためである。幾何平均終末消失半減期値は、1日目よりも3日目で約20%大きかった。幾何CV%はすべての主要パラメータで30%未満であったため、被験者間の変動は低かった。
Figure 2022554276000022
薬力学:投与後の時間に関連するほぼすべての顕著なqEEG、PARAFAC、およびASSRの変化は、化合物A群に限定され、プラセボ群は、いずれの方法でも投与後の時間の影響の証拠をほとんどまたは全く示さなかった。化合物A群は、デルタおよびシータ帯域振幅の有意な減少、投与後1時間以内のアルファ帯域振幅の減少、シータ-ベータ比の低下、および高周波帯域振幅の増加(より高いベータおよびガンマ帯域)を示した。化合物A群は、アルファ、ベータ、およびガンマ帯域のコヒーレンスの増加も示した。
化合物Aは、低周波EEG帯域(デルタ、シータ)の用量依存的な減少と、高周波EEG帯域(ガンマ)の増加をもたらした。アルファ帯域では、投与後1時間で振幅の減少(または脱同期化)が見られた。これらの変化はすべてEEG活性化の徴候であり、プラセボ群では生じなかった。覚醒、ヴィジランス(vigilance)、およびアラートネスの増加は、非同期アルファ波(低アルファ振幅)およびデルタ波とシータ波の欠如を特徴とし、高周波帯域振幅(高ベータおよびガンマ帯)も示し得る「活性化した」EEGスペクトルに関連している。EEGの活性化は、デルタ、シータ、およびアルファ帯域振幅がベースラインから減少することによって示されるとおり、1回目と2回目の投与から1時間以内に起こった。EEGの活性化は、ベータ-2、高ベータ、およびすべてのガンマ帯域振幅の増加によっても証明された。活性化は、アラートネスと覚醒の増加に関連している。ベータ-ガンマ帯域振幅の増加は、知覚または認知過程のレベルの増加も示し得る。
全体として、qEEG帯域のコヒーレンスの最も顕著で一貫した変化は、眼を閉じた状態ではアルファからガンマ3への、眼を開けた状態では高ベータからガンマ3への高周波帯域における処置に関連する増加であった。
その他のqEEGおよびERPエンドポイントの変化。PARAFAC原子時間スコアの有意な変化により、このパターンが確認された。化合物Aは、プラセボ群では明らかではなかったASSR高周波高調波共振の増加に関連していた。これはガンマ帯域振幅の増加に一致しており、知覚および認知のための機能的ネットワークの促進を示し得る。さらに、化合物Aは、聴覚のオッドボールタスクにおけるN100、P200、P300A(AUCも減少)成分のピーク潜時を減少させた、これはプラセボ群では明らかではなかった。これは、注意力、アラートネス、または感覚知覚処理速度の向上を示し得る。
血漿中の化合物A濃度の関数としてのEEGエンドポイントの変化。化合物Aについての血漿中濃度尺度の関数としてのEEGエンドポイントの変化は、プラセボ対化合物Aの処置群についての平均の投与後の変化と概ね一致していた。qEEG効果の優勢なパターンは、(1)化合物Aの血漿レベルの増加を伴う、投与後のデルタおよびシータ帯域振幅の値の減少、(2)眼を閉じた状態と眼を開けた状態で異なる時定数を用いる、投与後のガンマ帯域振幅の増加に関連した化合物Aの血漿中濃度の増加、および(3)化合物Aの血漿中濃度の増加を伴う、PARAFACデルタ原子平均時間スコアの減少を示した。
結論:
薬物動態:
・ 化合物Aは、1日目および3日目の投与にわたって個々のTmax値が0.5から1.0時間の範囲であることによって観察されるように、急速に吸収された。
・ 曝露パラメータの幾何平均値が日間で5%以内であったため、1日目から3日目までの化合物Aの蓄積はごくわずかであった。
・ 幾何平均t1/2値は、1日目よりも3日目のほうがわずかに(約20%)高かったが、これは3日目の投与後のサンプリングウインドウが長くなったことによるアーチファクトであり得る。
・ 化合物Aの主要なPKパラメータの変動は、両方の投与日にわたって低かった(幾何学的CV<30%)。
薬力学:
化合物Aは、低周波EEG帯域(デルタ、シータ)の用量依存的な減少と、高周波EEG帯域(ガンマ)の増加をもたらした。アルファ帯域では、投与後1時間で振幅の減少(または脱同期化)が見られた。これらの変化はすべてEEG活性化の徴候であり、プラセボ群では生じなかった。
-覚醒、ヴィジランス、およびアラートネスの増加は、非同期アルファ波(低アルファ振幅)およびデルタ波とシータ波の欠如を特徴とし、高周波帯域振幅(高ベータおよびガンマ帯)も示し得る「活性化した」EEGスペクトルに関連している。
-EEGの活性化は、デルタ、シータ、およびアルファ帯域振幅がベースラインから減少することによって示されるとおり、1回目と2回目の投与から1時間以内に起こった。
-EEGの活性化は、ベータ-2、高ベータおよびすべてのガンマ帯域振幅の増加によっても証明された。
-活性化は、アラートネスと覚醒の増加に関連している。
-ベータ-ガンマ帯域振幅の増加は、知覚または認知過程のレベルの増加も示し得る。
化合物Aは、プラセボ群では明らかではなかったASSR高周波共振の増加に関連していた。
-これは、ガンマ帯域の振幅の増加に一致している。
-それは、知覚および認知のための機能的ネットワークの促進を示し得る。
化合物Aは、聴覚のオッドボールタスクにおけるN100、P200、およびP300A成分のピーク潜時を減少させた、これはプラセボ群では明らかではなかった。
-これは、注意力、アラートネス、または感覚知覚処理速度の向上を示し得る。
化合物Aについての血漿中濃度尺度の関数としてのEEGエンドポイントの変化は、プラセボ対化合物Aの処置群についての平均の投与後の変化と概ね一致していた。qEEG効果の優勢なパターンは、以下を示した。
-化合物Aの血漿レベルの増加に伴う、デルタおよびシータ帯域振幅についての投与後の値の減少
-化合物Aの血漿中濃度の上昇は、投与後のガンマ帯域振幅の上昇と関連しており、眼を閉じた状態と眼を開けた状態についての時定数が異なっている。
-化合物Aの血漿中濃度の上昇に伴う、PARAFACデルタ原子平均時間スコアの減少。
安全性:
48時間間隔で投与された2400mgの化合物Aの2用量は、健康な男性被験者において一般に安全で忍容性が高かった。
本研究において、死亡や他のSAE、TEAEに起因する中止、ならびに中等度(グレード2)や重度(グレード3)のTEAEはなかった。
化合物Aで処置した被験者において報告されたTEAEはすべて軽度(グレード1)であった。
TEAEの発生率は、薬物関連TEAEの発生率(プラセボは15.4%に対して化合物Aは0)と同様に、プラセボ群(15.4%)が化合物A群(8.3%)よりも高かった。解離効果は報告されなかった。
検査室試験結果、バイタルサイン、ECGデータ、安全性EEGデータ、BPRS(+)またはCADSSスコア、あるいは神経学的または身体検査所見に臨床的に意味のある異常はなかった。安全性EEGでは痙攣誘発活性の証拠はなかった。
実施例4.安全性および忍容性に関する盲検化反復投与ゆ用量漸増(MAD)研究
Navitor Pharmaceuticals,Inc.(Navitor)は、現在、健康なボランティアにおいて化合物Aの反復投与用量漸増(400mg、800mg、1600mg、2400mg、および潜在的に3000mg)対、適合するプラセボの安全性、忍容性、およびPKを評価する研究を行っている。この研究には、CSFと臨床バイオマーカーの評価、ならびに認知機能試験が含まれている。
この研究は、4つのコホートと1つの追加の必要に応じたコホートで予定されている。最大約40名の健康なボランティアは、二重盲検処置のために無作為に割り当てられる。最初の4つのコホートでは、経口液剤として投与される4つの投与量レベルのコホート(800mg、1600mg、2400mg、および400mg)の各々に8名の被験者が無作為化される(3:1;化合物A:プラセボ)。各コホート内では、6名の被験者を無作為化して化合物Aを投与し、2名の被験者を無作為化してプラセボを投与する。無作為化された各被験者は、化合物Aまたはプラセボを毎日1回7日間投与される。被験者は朝に投与され、毎日同じ時間に投与される。コホート3(2400mg)の場合、各被験者は、最低5日間のウォッシュアウト後にユニットに戻り、期間2の摂食条件下で化合物Aまたはプラセボの追加の単回投与を受ける。安全性、忍容性、およびPKならびに探索的バイオマーカーおよび臨床尺度の評価が行われる。
最初の4つのコホートで十分な安全性および忍容性が観察された場合、2400mgを超える1日量の安全性、忍容性、およびPKを特徴づけるために、最大3000mgの用量を評価する必要に応じた第5のコホートを実施することができる。この第5コホートでは、1名の被験者に化合物Aを、1名の被験者にプラセボを盲検様式で投与する。最初の2名の被験者について投与から24時間後に臨床的に有意な安全性または忍容性の問題が認められなければ、他の6名の被験者に投与することができる。この必要に応じたコホートでは、安全性、忍容性、およびPKのみが評価される。探索的バイオマーカーおよび臨床尺度は評価されない。PK試料は特定のコホートの後に分析してもよく、PKデータ解析を盲検化された方法で実施してPKパラメータを生成してもよい。
この研究は、安全審査委員会(SRC)によって監視される。SRCは、処置が被験者に過度のリスクをもたらさないことを確実にすることを目的としている。安全性および忍容性は、ある投与量レベルのコホートから次のより高い投与量レベルのコホートに上がる前に、SRCによって評価される。さらに、SRCは、利用可能なデータのレビューに応じて、投与量または用量漸増スケジュールを改変することを選択することができる。
選択基準:以下の基準を満たした被験者を、臨床研究への参加に適格であるとみなした。
すべてのボランティアは、研究への参加を検討するために次の基準を満たさなければならない。
1.被験者は、本研究の性質を理解し、任意の研究に関連する手順を行う前に署名および日付を記載した書面によるインフォームドコンセントを提供する必要がある。
2.被験者は18歳以上65歳未満でなければならない。
3.被験者は、肥満指数(BMI)が18kg/m以上35kg/m以下でなければならない。
4.女性の被験者は、閉経後または外科的に不妊であるか、またはインフォームドコンセントの様式に署名した時点から治験薬の最後の投与から少なくとも30日後まで、1またはそれを超える次の避妊の形態:ホルモンの(すなわち、経口、経皮/皮下、インプラント、または注射);二重障壁(すなわち、コンドーム、殺精子剤を含むダイアフラム);子宮内避妊器具(IUD);またはパートナーの精管切除(最低6カ月)を使用することに同意しなければならない。閉経後の女性は、12か月以上自然無月経であり、卵胞刺激ホルモン(FSH)が30mIU/mL以上でなければならない。外科的に不妊である女性は、子宮摘出、両側卵巣摘出、または両側卵管結紮を受けた女性として定義される。すべての女性は、治験薬の投与前に妊娠検査の結果が陰性でなければならない。
5.生物学的に子供を持つことが可能な(すなわち、精管切除していない)男性の被験者は、インフォームドコンセントの様式に署名した時点から治験薬の最後の投与から少なくとも90日後まで、適切に、自分たち自身および1もしくは複数のパートナーのために、1またはそれを超える上記の避妊の形態を使用することに同意しなければならない。彼らはまた、治験薬の最初の投与から、治験薬の最後の投与から90日後まで、精子提供を控えることにも同意しなければならない。
6.潜在的な被験者は、主任治験責任医師の見解によれば、予定されたすべての評価に参加することができ、必要なすべての試験を完了する可能性があり、遵守する可能性があることが必要である。
除外基準:以下の基準を満たした被験者を、臨床研究への参加に不適格であるとみなした。
ボランティアは、以下のいずれかの理由で研究参加から除外される。
1.主任治験責任医師の見解で、被験者の安全性に悪影響を及ぼし得る、過去または現在進行中の医学的状態、既往歴、身体的または神経学的所見、ECG、EEG、検査室またはバイタルサインの異常。
2.スクリーニング時または1日目の投与前にコロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)によって決定される、自殺思考を伴う自殺傾向(タイプ4-5)の既往歴(過去1年以内)または存在
3.スクリーニング時または-1日目で正常上限(ULN)の1.5倍を超えるアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベル
4.スクリーニング時または-1日目で1.5×ULNよりも大きいクレアチンキナーゼ(CK)レベル
5.Cockcroft-Gault式による、80mL/分未満のクレアチニンクリアランス
6.スクリーニング時または-1日目で臨床的に有意に正常範囲を下回っている白血球または好中球絶対数
7.スクリーニング時またはスクリーニングから初回用量投与(1日目)までの、制御安静の間のFridericia法に従って補正されたQT間隔測定値(QTF)が、男性で>450msec、女性で>470msecであるか、またはQT延長症候群の家族歴があること。
8.PR(PQ)間隔の短縮が120msec未満(PR<120msecであるが、心室早期興奮の証拠がない場合には>110msecは許容され得る)。
9.PR(PQ)間隔の延長(>240msec)、断続的な第2度(睡眠の間または深い安静の際のウェンケバッハ型ブロックは除外しない)または第3度房室ブロック。
10.持続的または断続的な完全脚枝ブロック(BBB)、またはQRS>110msecの心室内伝導遅延(IVCD)。
11.発作の既往歴、未知の原因による意識消失、または被験者を発作の危険に置く任意のその他の既知の神経障害。
12.意識消失を伴う閉鎖性頭部外傷をはじめとする、臨床的に有意な頭部外傷の既往歴。
13.臨床的に有意な症候性起立性低血圧(すなわち、起立性失神またはめまい)の既往歴。
14.神経弛緩薬性悪性症候群の既往歴。
15.スクリーニング前5年以内、またはスクリーニングから無作為化までの、がんの既往歴(皮膚の非転移性基底細胞癌および/または扁平上皮癌を除く)、腎細胞癌または乳がんの任意の既往歴、または結節性硬化症に関連するリンパ脈管筋腫症(TSC-LAM)の家族歴。
16.知的障害(知的発達障害)または精神遅滞の診断。
17.スクリーニング前6か月以内のアルコール使用障害の既往歴。これは、毎週の平均摂取量が男性の場合は21単位超、女性の場合は14単位超と定義される。1単位は、ビールならハーフパイント、ハードリカーなら1杯分、ワインならグラス1杯に相当する。
18.スクリーニング前30日以内、またはスクリーニングから治験薬の初回用量投与(1日目)までに、過剰な量のキサンチン含有飲料(例えば、1日あたり5杯を超えるコーヒーまたは同等物)を定期的に消費したこと(例えば、消費しない日よりも消費した日のほうが多いこと)。
19.スクリーニング前3か月以内、またはスクリーニングから治験薬の初回用量投与(1日目)までに、血液または血漿を提供したこと。
20.治験薬の初回用量投与(1日目)前3か月または5半減期(いずれか長い方)以内の、任意の実験的薬物、デバイス、または生物製剤の使用。
21.治験薬の初回用量投与(1日目)前1週間以内の激しい身体活動(例えば、運動、重量挙げ、および家具の移動)。
22.不十分な静脈アクセス。
23.治験薬または治験薬賦形剤に対する既知のまたは疑われる過敏症または特異体質反応。
24.スクリーニング時の乱用薬物(限定されるものではないが、大麻、コチニン、アルコール、および精神刺激薬を含む)の尿中薬物スクリーニングが陽性であることによって決定される、既知のまたは疑わしい物質使用障害。
25.スクリーニング前2週間、または5半減期(いずれか長い方)以内、またはスクリーニングから治験薬の初回用量投与(1日目)までの、任意の処方薬の使用。
26.初回用量投与(1日目)の前の2週間または5半減期(いずれか長い方)以内の、任意の非処方薬(1日あたり3gまでのパラセタモール/アセトアミノフェンを除く)の使用。
27.主任治験責任医師およびメディカルモニターに承認された場合を除く、初回用量投与(1日目)前2週間以内の、任意のビタミン、ハーブサプリメント、またはグレープフルーツまたはベリー(ジュース/カプセル)の使用。
28.スクリーニング前3か月以内の、またはスクリーニングから治験薬の初回用量投与までの、任意のタバコを含む製品(例えば、葉巻、紙巻きタバコ、または嗅ぎタバコ)またはニコチンを含む製品(例えば、ニコチンチューインガム、ニコチン絆創膏、または禁煙に使用される他の製品)の使用。
29.化合物Aが投与された臨床試験に以前に参加した
コホート3の被験者の場合:
30.投与前30分以内にFDA標準の高脂肪、高カロリーの食事を完全に摂取することができない。
コホート1(800mg)およびコホート2(1600mg)は完了した。これらのコホートでは、健康なボランティアを化合物Aまたはプラセボ(6:2)のいずれかに無作為化した。
・ コホート1aは、2名の被験者から構成された
・ コホート1bは、3名の被験者から構成された
・ コホート1cは、3名の被験者から構成された
・ コホート2aは、2名の被験者から構成された
・ コホート2bは、3名の被験者から構成された
・ コホート2cは、3名の被験者から構成された
これらのコホートからの予備的安全性データは、安全性審査委員会により審査された。臨床検査値、バイタルサインまたはECGに臨床的に有意な異常は観察されなかった。すべてのAEは軽度であった。重篤なものはなかった。以下に列挙される事前に指定されたプロトコール停止基準を満たす事象を経験した被験者はいなかった。
事前に指定された停止基準のレビュー:
Figure 2022554276000023
停止基準を満たす被験者がいなかったため、高用量の2400mgの評価に進むことが決定された。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明者らの基本的な例が、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供するために変更され得ることは明らかである。したがって、本発明の範囲は、例として表されている特定の実施形態によってではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されることが理解される。

Claims (22)

  1. うつ病の処置を必要とする患者においてうつ病を処置する方法であって、治療有効量の、化合物A:
    Figure 2022554276000024
    またはその薬学的に許容され得る塩を含む薬学的に許容され得る組成物を前記患者に投与することを含む方法。
  2. 前記治療有効量が、約100mg~約3000mgの総一日量を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記治療有効量が、約150mg、約300mg、約400mg、約600mg、約800mg、約1000mg、約1600mg、約2400mg、または約3000mgの総一日量を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記総一日量がQD投与される、請求項2または3のいずれかに記載の方法。
  5. 単一用量を投与することを含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
  6. 少なくとも2用量を投与することを含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
  7. 化合物Aを毎日少なくとも2、3、4、5、6、または7日連続で投与することを含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
  8. 第2の用量投与の約48時間前に初回用量を投与することを含む、請求項6に記載の方法。
  9. 前記総一日量が絶食条件下で投与される、請求項2~8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記総一日量が摂食条件下で投与される、請求項2~8のいずれかに記載の方法。
  11. 前記うつ病が処置抵抗性うつ病(「TRD」)である、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記うつ病が第一選択の処置に抵抗性である、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記うつ病が第二選択の処置に抵抗性である、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記患者が大うつ病性障害(「MDD」)と診断されている、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記患者がうつ病エピソードを経験しており、前記うつ病エピソード中に少なくとも1種の抗うつ薬に対して少なくとも1回の不十分な反応を示した、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
  16. 前記患者がうつ病エピソードを経験しており、前記うつ病エピソード中に少なくとも2、3、または4種の異なる抗うつ薬に対して少なくとも1回の不十分な反応を示した、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
  17. 前記患者が、処置の前に、モントゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)の合計スコアが21以上であると評価されている、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
  18. 前記患者が、処置の前に、ラスキンうつ病評価尺度のスコアが9以上であると評価されている、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
  19. 投与が経口である、請求項1~18のいずれかに記載の方法。
  20. 前記総一日量が単一単位剤形である、請求項2~19のいずれかに記載の方法。
  21. 前記総一日量が、約150mg、約300mg、約400mg、約600mg、約800mg、約1000mg、約1600mg、約2400mg、または約3000mgの化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を含む液体単位剤形を含む、請求項2~20のいずれかに記載の方法。
  22. 前記総一日量が、約2400mgの化合物Aまたはその薬学的に許容され得る塩を含む液体単位剤形を含む、請求項2~21のいずれかに記載の方法。
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