JP2022554014A - 特定のゴム組成物のトレッドを有するタイヤ及び関連方法 - Google Patents

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Abstract

改善されたウェット性能及び改善された剛性を有し、かつ特定の成分のゴム組成物から作製されたトレッドを有する、タイヤが本明細書に開示され、このゴム組成物は、エラストマー構成成分と、特定のヒドロキシル価を有するテルペンフェノール樹脂と、充填剤構成成分であって、補強シリカ充填剤及びカーボンブラックを含む充填剤構成成分と、任意選択的に、液体可塑剤と、硬化パッケージと、を含む。エラストマー構成成分と、補強シリカ充填剤及びカーボンブラックを含む充填剤構成成分と、任意選択的に、液体可塑剤と、硬化パッケージと、を含む、ゴム組成物において、特定のヒドロキシル価を有するテルペンフェノール樹脂を使用することによって、タイヤトレッドのウェット性能及び剛性を改善するための方法も開示される。【選択図】なし

Description

本出願は、特定のゴム組成物のトレッドを有するタイヤ及び関連方法を対象とする。
タイヤは、路面に接触するトレッドを含めて多くの構成要素を含んでいる。タイヤトレッドを含むゴム組成物を調製するために使用される特定の成分は、様々であり得る。タイヤトレッドのゴム組成物の配合は、1つの特性(例えば、ウェット性能)に改善をもたらす配合への変更が、別の特性(例えば、剛性)の劣化をもたらし得るので、複雑な科学である。
特定のゴム組成物のトレッドを有するタイヤ及び関連方法が本明細書に開示される。
第1の実施形態では、改善されたウェット性能及び改善された剛性を有し、かつゴム組成物から作製されたトレッドを含む、タイヤであって、ゴム組成物が、(a)スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリブタジエン、天然ゴム、及びポリイソプレンからなる群から選択される少なくとも1つのゴムを含む100部のエラストマー構成成分と、(b)80以上、好ましくは90以上、より好ましくは100以上のヒドロキシル価を有する20~60phrのテルペンフェノール樹脂と、(c)充填剤構成成分であって、91~140phr、好ましくは100~130phrの補強シリカ充填剤、及び1~20phr、好ましくは5~10phrのカーボンブラック充填剤、を含む充填剤構成成分と、(d)0~30phrの液体可塑剤と、(e)硬化パッケージと、を含む、タイヤが提供される。
第2の実施形態では、タイヤトレッドのウェット性能及び剛性を改善するための方法であって、100以上のヒドロキシル価を有する20~60phrのテルペンフェノール樹脂を、タイヤトレッドのゴム組成物に利用することを含み、タイヤトレッドのゴム組成物が、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリブタジエン、天然ゴム、及びポリイソプレンからなる群から選択される少なくとも1つのゴムを含む100部のエラストマー構成成分と、充填剤構成成分であって、91~140phrの補強シリカ充填剤、及び1~20phr、好ましくは5~10phrのカーボンブラック充填剤、を含む充填剤構成成分と、0~30phrの液体可塑剤と、硬化パッケージと、を含み、それによって、タイヤトレッドのゴム組成物を生成する、方法が提供される。
特定のゴム組成物のトレッドを有するタイヤ及び関連方法が本明細書に開示される。
第1の実施形態では、改善されたウェット性能及び改善された剛性を有し、かつゴム組成物から作製されたトレッドを含む、タイヤであって、ゴム組成物が、(a)スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリブタジエン、天然ゴム、及びポリイソプレンからなる群から選択される少なくとも1つのゴムを含む100部のエラストマー構成成分と、(b)80以上、好ましくは90以上、より好ましくは100以上のヒドロキシル価を有する20~60phrのテルペンフェノール樹脂と、(c)充填剤構成成分であって、91~140phr、好ましくは100~130phrの補強シリカ充填剤、及び1~20phr、好ましくは5~10phrのカーボンブラック充填剤、を含む充填剤構成成分と、(d)0~30phrの液体可塑剤と、(e)硬化パッケージと、を含む、タイヤが提供される。
第2の実施形態では、タイヤトレッドのウェット性能及び剛性を改善するための方法であって、100以上のヒドロキシル価を有する20~60phrのテルペンフェノール樹脂を、タイヤトレッドのゴム組成物に利用することを含み、タイヤトレッドのゴム組成物が、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリブタジエン、天然ゴム、及びポリイソプレンからなる群から選択される少なくとも1つのゴムを含む100部のエラストマー構成成分と、充填剤構成成分であって、91~140phrの補強シリカ充填剤、及び1~20phr、好ましくは5~10phrのカーボンブラック充填剤、を含む充填剤構成成分と、0~30phrの液体可塑剤と、硬化パッケージと、を含み、それによって、タイヤトレッドのゴム組成物を生成する、方法が提供される。第2の実施形態の方法はまた、本明細書に開示される第1の実施形態によるゴム組成物を使用して、タイヤトレッドのウェット性能及び剛性を改善するための方法として理解され得る。
定義
本明細書に記載される用語は、実施形態を説明するためだけのものであり、全体として本発明を限定すると解釈すべきではない。
本明細書で使用される場合、「BR」又は「ポリブタジエン」という用語は、1,3-ブタジエンのホモポリマーを指す。
本明細書で使用される場合、「主要量」という用語は、50%超(例えば、少なくとも50.1%、少なくとも50.5%、少なくとも51%など)を指す。
本明細書で使用される場合、「少量」という用語は、50%未満(例えば、49.5%以下、49%以下など)を指す。
本明細書で使用される場合、略記Mnは、数平均分子量に使用される。
本明細書で使用される場合、略記Mpは、ピーク分子量に使用される。
本明細書で使用される場合、略記Mwは、重量平均分子量に使用される。
本明細書で特に指示がない限り、「ムーニー粘度」という用語は、ムーニー粘度、ML1+4を指す。ゴム組成物のムーニー粘度は、加硫又は硬化に先立って測定されることを、当業者は理解するであろう。
本発明で使用する場合、「天然ゴム」という用語は、パラゴムノキ属(Hevea)のゴムの木などの原料、並びに非パラゴムノキ属の原料(例えば、グアユールゴムノキ(guayule shrub)及びタンポポ(TKSなど))から収穫することができるものなどの、天然ゴムを意味する。言い換えれば、「天然ゴム」という用語は、合成ポリイソプレンを除くものと解釈すべきである。
本発明で使用する場合、「phr」という用語は、ゴム100部当たりの部を意味する。100部のゴムは、本明細書において100部のエラストマー構成成分とも称される。
本明細書で使用する場合、「ポリイソプレン」という用語は、合成ポリイソプレンを意味する。言い換えれば、この用語は、イソプレンモノマーから製造されたポリマーを示すために用いられ、天然由来のゴム(例えば、パラゴムノキ天然ゴム、グアユール起源の天然ゴム、又はタンポポ起源の天然ゴム)を含むと解釈すべきではない。ただし、「ポリイソプレン」という用語は、イソプレンモノマーの天然源から製造されるポリイソプレンを含むと解釈すべきである。
本明細書で使用される場合、「SBR」という用語は、スチレン-ブタジエンコポリマーゴムを意味する。
本明細書で使用される場合、「トレッド」という用語は、通常の膨張及び負荷下で路面と接触するタイヤの部分、並びに任意のサブトレッドの両方を指す。
タイヤトレッドのゴム組成物
上述のように、本明細書に開示される第1及び第2の実施形態は、改善された剛性を有し、かつ特定のゴム組成物から作製されたトレッドを含むタイヤ、並びに特定のゴム組成物を生成することによってタイヤトレッドの剛性を改善するための方法を対象とする。ゴム組成物は、一般に、ゴム組成物のうちの1つを成形及び硬化することによるトレッドパターンの形成を含むプロセスによって、タイヤ用のトレッドを調製する際に使用される。したがって、タイヤトレッドは、ゴム組成物のうちの1つの硬化形態を含む。ゴム組成物は、形成されているがまだタイヤに組み込まれていないトレッドの形態で存在し得、及び/又はタイヤの一部を形成するトレッド内に存在し得る。
エラストマー構成成分
上述のように、第1及び第2の実施形態によれば、タイヤトレッド用のゴム組成物は、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソプレン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのゴムを含む、100部のエラストマー構成成分を含む。総量100部のエラストマー又はゴムが使用され、他の成分の量は、phrの量で、又はゴム100部(又はエラストマー構成成分100部)当たりの部数で列挙され得る。非限定例として、25部のスチレン-ブタジエンゴム、55部のポリブタジエン、及び20部の天然ゴム並びに110部の補強シリカ充填剤を含有するゴム組成物については、シリカ充填剤の量は、110phrとも記載され得る。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、100部のエラストマー構成成分は、少なくとも1つのスチレン-ブタジエンコポリマーゴム、少なくとも1つのポリブタジエンゴム、及び天然ゴム又はポリイソプレンのうちの少なくとも1つを含む。特定のそのような実施形態では、前述のゴムの各々のうちの1つのみ、すなわち、1つのSBR、1つのBR、及びポリイソプレンの天然ゴムのうちの1つが、エラストマー構成成分として使用される。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー構成成分は、少なくとも40部の天然ゴムと、少なくとも95%のシス結合含有量及び-101℃未満のTgを有する、10~40部のポリブタジエンと、10~40部のスチレン-ブタジエンコポリマーゴムと、を含む。第1及び第2の実施形態の他の実施形態では、エラストマー構成成分は、少なくとも95%のシス結合含有量及び-101℃未満のTgを有する、少なくとも60部のポリブタジエンゴムを含む。第1及び第2の実施形態の更に他の実施形態では、エラストマー構成成分は、以下でより詳細に論じられるように、シリカ反応性官能基を有する、少なくとも20phr、好ましくは30~60phrのSBRを含む。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、100部のエラストマー構成成分は、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソプレン、及びそれらの組み合わせから選択されるゴム(のみ)からなる。第1及び第2の実施形態の他の実施形態では、100部のエラストマー構成成分は、1つ以上の追加のゴムを含む。第1及び第2の実施形態によれば、1つ以上の追加のゴムが存在する場合、その量は、一般に、好ましくは20部以下(例えば、20部、15部、10部、5部以下)、15部以下(例えば、15部、10部、5部以下)、又は5部以下(例えば、5部、4部、3部、2部、1部以下)に限定される。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、1つ以上の追加のゴムがジエンモノマー含有ゴムから選択される。特定の実施形態では、1つ以上の追加のゴム(iv)は、スチレン-イソプレンゴム、ブタジエン-イソプレン-ゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム、ブチルゴム(ハロゲン化及び非ハロゲン化の両方)、エチレン-プロピレンゴム(EPR)、エチレン-ブチレンゴム(EBR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
スチレン-ブタジエンコポリマーゴム
第1及び第2の実施形態によれば、1つ以上のスチレン-ブタジエンコポリマーゴムが使用される場合、タイヤトレッド用のゴム組成物のエラストマー構成成分において使用される特定のスチレン-ブタジエンコポリマー及びその量は様々であり得る。1つ、又は2つ以上(例えば、2つ若しくは3つ)のスチレン-ブタジエンコポリマーゴムが使用され得る。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー構成成分は、少なくとも20phr(例えば、20phr、30phr、40phr、50phr、60phr、70phr、80phrなど)のスチレン-ブタジエンコポリマーゴムを含む。第1及び第2の実施形態の特定の他の実施形態では、エラストマー構成成分は、重量基準で主要量のスチレン-ブタジエンコポリマーゴム(例えば、51phr以上、60phr以上、70phr以上、51~80phr、51~70phr、60~80phrなど)を含む。第1及び第2の実施形態によれば、スチレン-ブタジエンコポリマーゴムは、官能化又は非官能化され得る。本明細書で使用される場合、官能化という用語は、官能基及びカップリング剤の両方の使用を包含すると理解されるべきである。1つ又は2つ以上の官能基が各SBRに利用され得る。一般に、官能基は、ポリマーの先端部に、ポリマーの末端部に、ポリマー鎖の骨格に沿って、又はこれらの組み合わせで存在し得る。ポリマーの一方又は両方の末端に存在する官能基は、一般に、官能性開始剤、官能性停止剤、又はその両方の使用の結果である。代替的に又は追加的に、官能基は、カップリング剤を使用した複数のポリマー鎖の結合の結果として存在し得る(以下に記載される)。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、ゴム構成成分は、官能化されており、好ましくは、シリカ反応性官能基で官能化されている、少なくとも1つのスチレン-ブタジエンコポリマーを含む。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー構成成分において使用される唯一のスチレン-ブタジエンコポリマーゴムは、シリカ反応性官能基で官能化されたスチレン-ブタジエンコポリマーゴムである。前述のうちの特定の実施形態では、シリカ反応性官能基を有するスチレン-ブタジエンコポリマーゴムの量は、少なくとも20phr(例えば、20phr、30phr、40phr、50phr、60phr、70phr、80phrなど)、好ましくは30~60phr(例えば、30phr、40phr、50phr、又は60phr)である。第1及び第2の実施形態の他の実施形態では、エラストマー構成成分は、官能化されていない少なくとも1つのスチレン-ブタジエンゴムを含み、特定のそのような実施形態では、非官能化スチレン-ブタジエンゴムは、例えば、シリカ反応性官能基で官能化された官能化スチレン-ブタジエンコポリマーゴムと組み合わせて使用される。シリカ反応性官能基の非限定例として、一般に、窒素含有官能基、ケイ素含有官能基、酸素又は硫黄含有官能基、及び金属含有官能基が挙げられ、以下でより詳細に記載する。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態のためにエラストマー構成成分において官能化SBRが使用される場合、官能化は、官能基をポリマーの一方若しくは両方の末端に付加することによって、官能基をポリの骨格に付加することによって(又は前述の組み合わせによって)、又は2つ以上のポリマー鎖をカップリング剤に結合することによって、又はこれらの組み合わせによって達成することができる。そのような効果は、他の鎖を結合及び/又は官能化するのに役立つカップリング剤、官能化剤、又はそれらの組み合わせを用いてリビングポリマーを処理することによって達成することができる。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、官能化SBRは、1つ以上の官能基を含むが、結合されていない(すなわち、いかなるカップリング剤も含んでいない)。一般的に、カップリング剤及び/又は官能化剤は、様々なモル比で使用することができる。代替的に、第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、官能化SBRは、単にカップリング剤の使用の結果に由来するシリカ反応性であり得る。本明細書においてカップリング剤及び官能化基(及びそのために使用される化合物)の両方の使用が参照されるが、当業者は、特定の化合物が両方の機能を果たし得ることを理解する。つまり、特定の化合物は、ポリマー鎖を結合すること、及び官能基とともにポリマー鎖を提供することの両方ができる。当業者はまた、ポリマー鎖を結合する能力はポリマー鎖と反応したカップリング剤の量に依存し得ることを理解する。例えば、反応開始剤のリチウムの当量とカップリング剤の脱離基(例えば、ハロゲン原子)の当量との1対1の比でカップリング剤を添加する場合、有利な結合を達成することができる。カップリング剤の非限定例としては、金属ハライド、半金属ハライド、アルコキシシラン、アルコキシスタンナン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態においてSBR中のシリカ反応性官能基として利用することができる窒素含有官能基の非限定例としては、置換又は非置換アミノ基、アミド残基、イソシアネート基、イミダゾリル基、インドリル基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、及びケチミン基が挙げられるが、これらに限定されない。上記置換又は非置換アミノ基は、一級アルキルアミン、二級アルキルアミン、又は環状アミン、及び、置換又は非置換イミン由来のアミノ基を含むと理解されたい。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー構成成分のSBRは、前述の窒素含有官能基のリストから選択される1つのシリカ反応性官能基において含む。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRは、イミノ基の形態で窒素を含む化合物からのシリカ反応性官能基を含む。このようなイミノ含有官能基は、ポリマー鎖の活性末端を、以下の式(I)を有する化合物と反応させることによって付加され得る。
Figure 2022554014000001
式中、R、R’、R’’、及びR’’’はそれぞれ独立して、アルキル基、アリル基、及びアリール基からなる群から選択される1~18個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18個の炭素原子)を有する基から選択され、m及びnは、それぞれ、1~20(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20)及び1~3(1、2、又は3)の整数である。R、R’、R’’、及びR’’’の各々は、好ましくはヒドロカルビルであり、ヘテロ原子を含有しない。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、各R及びR’は、1~6個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子)、好ましくは1~3個の炭素原子(例えば、1、2、又は3個の炭素原子)を有するアルキル基から独立して選択される。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、mは2~6(例えば、2、3、4、5、又は6)、好ましくは2~3の整数である。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、R’’’は、1~6個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子)、好ましくは2~4個の炭素原子(例えば、2、3、又は4個の炭素原子)を有する基から選択される。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、R’’は、1~6個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子)、好ましくは1~3個の炭素原子(例えば、1、2、又は3個の炭素原子)、最も好ましくは1個の炭素原子(例えば、メチル)を有するアルキル基から選択される。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、nは3であり、トリアルコキシシラン部分などのトリヒドロカルボキシシラン部分を有する化合物をもたらす。SBRのためのシリカ反応性官能基を提供するのに好適な、イミノ基を有し、上記の式(I)を満たす化合物の非限定例としては、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1-メチルエチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-エチリデン-3-(トリエトキシシリル(triethoxysily1))-1-プロパンアミン、N-(1-メチルプロピリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、及びN-(4-N,N-ジメチルアミノベンジリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態においてSBR中のシリカ反応性官能基として利用することができるケイ素含有官能基の非限定例としては、有機シリル又はシロキシ基が挙げられるが、これらに限定されず、より正確には、このような官能基は、アルコキシシリル基、アルキルハロシリル基、シロキシ基、アルキルアミノシリル基、及びアルコキシハロシリル基から選択され得る。任意選択的に、有機シリル又はシロキシ基はまた、1つ以上の窒素を含有し得る。ジエン系エラストマーの官能化での使用に好適なケイ素含有官能基として、この開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,369,167号に開示されるものも挙げられる。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRは、前述のケイ素含有官能基のリストから選択される少なくとも1つのシリカ反応性官能基を含む。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRは、シロキシ基を有するケイ素含有官能基を含むシリカ反応性官能基を含み(例えば、ヒドロカルビルオキシシラン含有化合物)、化合物は、任意選択的に、少なくとも1つの官能基を有する一価の基を含む。このようなケイ素含有官能基は、ポリマー鎖の活性末端を、以下の式(II)を有する化合物と反応させることによって付加され得る。
Figure 2022554014000002
式中、Aは、エポキシ、イソシアネート、イミン、シアノ、カルボン酸エステル、カルボン酸無水物、環状三級アミン、非環状三級アミン、ピリジン、シラザン及び硫化物から選択される少なくとも1つの官能基を有する一価の基を表し、Rは、単結合、又は1~20個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子)を有する二価炭化水素基を表し、Rは、1~20個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子)を有する一価脂肪族炭化水素基、6~18個の炭素原子(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18個の炭素原子)を有する一価芳香族炭化水素基又は反応性基を表し、Rは、1~20個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子)を有する一価脂肪族炭化水素基、又は6~18個の炭素原子(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18個の炭素原子)を有する一価芳香族炭化水素基を表し、bは0~2の整数であり、2つ以上のR又はORが存在するとき、各R及び/又はORは、互いに同じであっても異なっていてもよく、並びに活性プロトンは、分子)及び/又はその部分縮合生成物内に含まれない。本明細書で使用される場合、部分縮合生成物は、ヒドロカルビルオキシシラン化合物中のSiOR基の一部(すべてではない)が、縮合によってSiOSi結合になっている生成物を指す。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、(a)Rが、1~12個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、若しくは12個の炭素原子)、2~6個の炭素原子(例えば、2、3、4、5、若しくは6個の炭素原子)、又は2~3個の炭素原子(例えば、2若しくは3個の炭素原子)を有する二価の炭化水素基を表す、(b)Rが、1~12個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、若しくは12個の炭素原子)、2~6個の炭素原子(例えば、2、3、4、5、若しくは6個の炭素原子)、又は1~2個の炭素原子を有する一価の脂肪族炭化水素基、又は6~8個の炭素原子を有する一価の芳香族炭化水素基を表す、(c)Rが、1~12個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、若しくは12個の炭素原子)、2~6個の炭素原子(例えば、2、3、4、5、若しくは6個の炭素原子)、又は1~2個の炭素原子を有する一価の脂肪族炭化水素基、又は6~8個の炭素原子を有する一価の芳香族炭化水素基を表す、のうちの少なくとも1つが満たされ、特定のそのような実施形態では、(a)、(b)及び(c)の各々が満たされ、R、R、及びRは、前述の基のうちの1つから選択される。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、Aは少なくとも1つのエポキシ基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、2-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、(2-グリシドキシエチル)メチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)-メチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシランなどが挙げられる。これらの中でも、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが特に適している。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、Aは少なくとも1つのイソシアネート基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリイソプロポキシシランなどが挙げられ、これらの中でも、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、Aは少なくとも1つのイミン基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1-メチルエチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-エチリデン-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1-メチルプロピリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(4-N,N-ジメチルアミノベンジリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(シクロヘキシリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、及び上記のトリエトキシシリル化合物に各対応するトリメトキシシリル化合物、メチルジエトキシシリル化合物、エチルジメトキシシリル化合物などが挙げられる。これらの中でも、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン及びN-(1-メチルプロピリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミンが特に適している。また、イミン(アミジン)基含有化合物としては、好ましくは、1-[3-トリメトキシシリル]プロピル]-4,5-ジヒドロイミダゾール、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、(1-ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール、N-(3-イソプロポキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール、N-(3-メチルジエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾールなどが挙げられ、これらの中でも、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール及びN-(3-イソプロポキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾールが好ましい。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、Aは少なくとも1つのカルボン酸エステル基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシランなどが挙げられ、これらの中でも、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、Aは少なくとも1つのカルボン酸無水物基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-メチルジエトキシシリルプロピルコハク酸無水物などが挙げられ、これらの中でも3-トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物が好ましい。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、Aは少なくとも1つのシアノ基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、2-シアノエチルプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、Aは少なくとも1つの環状三級アミン基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピルトリエトキシシラン、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピルトリメトキシシラン、(1-ヘキサメチレンイミノ)メチルトリエトキシシラン、(1-ヘキサメチレンイミノ)メチルトリメトキシシラン、2-(1-ヘキサメチレンイミノ)エチルトリエトキシシラン、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)エチルトリメトキシシラン、3-(1-ピロリジニル)プロピルトリメトキシシラン、3-(1-ピロリジニル)プロピルトリエトキシシラン、3-(1-ヘプタメチレンイミノ)プロピルトリエトキシシラン、3-(1-ドデカメチレンイミノ)プロピルトリエトキシシラン、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピルジエトキシメチルシラン、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピルジエトキシエチルシラン、3-[10-(トリエトキシシリル)デシル]-4-オキサゾリンなどが挙げられる。これらの中でも、好ましくは、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピルトリエトキシシラン及び(1-ヘキサメチレンイミノ)メチルトリエトキシシランを列挙することができる。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、Aは少なくとも1つの非環状三級アミン基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、3-ジブチルアミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられ、これらの中でも、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン及び3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシランが適している。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、Aは少なくとも1つのピリジン基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、2-トリメトキシシリルエチルピリジンなどが挙げられる。
第1及び第2の実施形態の特定の好ましい実施形態では、SBRの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、Aは少なくとも1つのシラザン基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、N,N-ビス(トリメチルシリル)-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1-トリメチルシリル-2,2-ジメトキシ-1-アザ-2-シラシクロペンタン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、又は1-トリメチルシリル-2,2-ジメトキシ-1-アザ-2-シラシクロペンタンが特に好ましい。
(上に詳述されているように)式(II)によるシリカ反応性官能基が使用され、式中、Aが1つ以上の保護された窒素を含有する、第1及び第2の実施形態のそれらの実施形態では、窒素は、保護された窒素を一級窒素に変換するために、加水分解又は他の手順によって脱保護又は脱ブロックされ得る。非限定例として、2つのトリメチルシリル基に結合した窒素は、脱保護され、一級アミン窒素に変換され得る(そのような窒素は、依然として式(II)の化合物の残部に結合されている)。したがって、SBRのシリカ反応性官能基が式(II)による化合物の使用から生じ、式中、Aが1つ以上の保護された窒素を含有する、第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、官能化ポリマーは、化合物の脱保護(又は加水分解)バージョンから生じる官能基を含有するものとして理解することができる。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態においてSBR中のシリカ反応性官能基として利用することができる酸素又は硫黄含有官能基の非限定例としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシドキシ基、ジグリシジルアミノ基、環状ジチアン由来官能基、エステル基、アルデヒド基、アルコキシ基、ケトン基、チオカルボキシル基、チオエポキシ基、チオグリシドキシ基、チオジグリシジルアミノ基、チオエステル基、チオアルデヒド基、チオアルコキシ基、及びチオケトン基が挙げられるが、これらに限定されない。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、前述のアルコキシ基は、ベンゾフェノン由来のアルコール由来アルコキシ基であり得る。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRは、前述の酸素又は硫黄含有官能基のリストから選択される少なくともシリカ反応性官能基を含む。
第1及び第2の実施形態によれば、シリカ反応性官能基を有するSBRを含む1つ以上のSBRは、溶液重合又は乳化重合のいずれかによって調製され得る。第1及び第2の実施形態の特定の好ましい実施形態では、SBRのみ、又はシリカ反応性官能基を有するSBRは、溶液重合によって調製される。第1及び第2の実施形態の他の実施形態では、SBRのみ、又はシリカ反応性官能基を有するSBRは、乳化重合によって調製される。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、2つ以上のSBR又はシリカ反応性官能基を有するSBRが使用される場合、ゴムは、溶液重合SBRと乳化重合SBRとの組み合わせである(例えば、1つの溶液SBR及び1つの乳化SBR)。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー構成成分中に存在するSBRのみ(シリカ反応性官能基を有するSBRを含む)は、溶液SBRである(すなわち、乳化SBRは存在しない)。
第1及び第2の実施形態の1つ以上の実施形態では、SBR用のカップリング剤は、式(1)R Y(4-n)、式(2)M、及び式(3)Mによって表される化合物を含む基から選択される金属ハロゲン化物又は半金属ハロゲン化物を含み、式中、各Rは、独立して、1~20個の炭素原子を有する一価の有機基であり、Mは、は、スズ原子、ケイ素原子、又はゲルマニウム原子であり、Mは、リン原子であり、Yは、ハロゲン原子であり、nは、0~3の整数である。
式(1)によって表される代表的な化合物としては、ハロゲン化有機金属化合物が挙げられ、式(2)及び(3)によって表される化合物としては、ハロゲン化金属化合物が挙げられる。
がスズ原子を表す場合、式(1)によって表される化合物は、例えば、トリフェニルスズクロリド、トリブチルスズクロリド、トリイソプロピルスズクロリド、トリヘキシルスズクロリド、トリオクチルスズクロリド、ジフェニルスズジクロリド、ジブチルスズジクロリド、ジヘキシルスズジクロリド、ジオクチルスズジクロリド、フェニルスズトリクロリド、ブチルスズトリクロリド、オクチルスズトリクロリド等であり得る。更に、式(2)によって表される化合物としては、スズテトラクロリド、スズテトラブロミド等が挙げられ得る。
がケイ素原子を表す場合、式(1)によって表される化合物は、例えば、トリフェニルクロロシラン、トリヘキシルクロロシラン、トリオクチルクロロシラン、トリブチルクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジヘキシルジクロロシラン、ジオクチルジクロロシラン、ジブチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、メチルトリクロロシラン等であり得る。更に、式(2)によって表される化合物としては、ケイ素テトラクロリド、ケイ素テトラブロミド等が挙げられ得る。Mがゲルマニウム原子を表す場合、式(1)によって表される化合物は、例えば、トリフェニルゲルマニウムクロリド、ジブチルゲルマニウムジクロリド、ジフェニルゲルマニウムジクロリド、ブチルゲルマニウムトリクロリド等であり得る。更に、式(2)によって表される化合物としては、ゲルマニウムテトラクロリド、ゲルマニウムテトラブロミド等が挙げられ得る。式(3)で表される化合物としては、リンテトラクロリド(Phosphorous trichloride)、リンテトラブロミド(phosphorous tribromide)などが挙げられ得る。1つ以上の実施形態では、金属ハロゲン化物及び/又は半金属ハロゲン化物の混合物が使用され得る。
第1及び第2の実施形態の1つ以上の実施形態では、SBR用のカップリング剤は、式(4)R (OR^)4-nによって表される化合物を含む群から選択されるアルコキシシラン又はアルコキシスタンナンを含み、式中、各Rは、独立して、1~20個の炭素原子を有する一価の有機基であり、Mは、スズ原子、ケイ素原子、又はゲルマニウム原子であり、OR^は、アルコキシ基であり、R^は、一価の有機基であり、nは、0~3の整数である。
式(4)によって表される代表的な化合物としては、テトラエチルオルトシリケート、テトラメチルオルトシリケート、テトラプロピルオルトシリケート、テトラエトキシスズ、テトラメトキシスズ、及びテトラプロポキシスズが挙げられる。
本明細書に開示される第1及び第2の実施形態によれば、少なくとも1つのSBRがエラストマー構成成分中に存在する場合)、スチレン-ブタジエンゴムのMw、Mn、及び多分散度(Mw/Mn)は様々であり得る。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRは、300,000~600,000グラム/モル(例えば、300,000、325,000、350,000、375,000、400,000、425,000、450,000、475,000、500,000、525,000、550,000、575,000、又は600,000グラム/モル)のMwを有する。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRは、350,000~550,000、又は400,000~500,000グラム/モルのMwを有する。本明細書において言及されているMw値は、重量平均分子量であり、これは、スチレン-ブタジエン標準及び対象のポリマーに対してマルク-ハウインク定数により較正されたゲル浸透クロマトグラフィ(gel permeation chromatography、GPC)を使用することにより決定することができる。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRは、200,000~400,000グラム/モル(例えば、200,000、225,000、250,000、275,000、300,000、325,000、350,000、375,000、又は400,000グラム/モル)のMnを有する。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRは、200,000~300,000のMnを有する。本明細書において言及されているMn値は、数平均分子量であり、これは、スチレン-ブタジエン標準及び対象のポリマーに対してマルク-ハウインク定数により較正されたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を使用することにより決定することができる。本明細書に開示される第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRは、1.2~2.5(例えば、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、又は2.5)、好ましくは1.3~2のMw/Mn(多分散度)を有する。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRは、すべて前述の範囲のうちの1つの範囲内のMw、Mn、及びMw/Mnを有し、特定のそのような実施形態では、Mw、Mn、及びMw/Mnの各々は、前述の好ましい範囲のうちの1つの範囲内にある。第1及び第2の実施形態の他の実施形態では、利用されるSBRは、(a)350,000~600,000グラム/モル(例えば、350,000、400,000、450,000、500,000、550,000、若しくは600,000グラム/モル)、又は400,000~550,000グラム/モル(例えば、400,000、425,000、450,000、475,000、500,000、525,000、若しくは550,000グラム/モル)のMwを有するSBRと組み合わせて、前述の範囲のうちの1つの範囲内にあるMw、Mn、及び/又はMn/Mnを有する前述のSBRのうちの少なくとも1つを含むか、(b)又は350,000~600,000グラム/モル(例えば、350,000、400,000、450,000、500,000、550,000、若しくは600,000グラム/モル)、又は400,000~550,000グラム/モル(例えば、400,000、425,000、450,000、475,000、500,000、525,000、又は550,000グラム/モル)のMwを有する1つ以上のSBRのみ含むかのいずれかである。
第1及び第2の実施形態によれば、エラストマー構成成分において使用される任意のSBRのTgは様々であり得る。第1及び第2の実施形態の特定の好ましい実施形態では、SBRは、約-75~約-50℃、-75~-50℃(例えば、-75、-70、-65、-60、-55、又は-50℃)、好ましくは-70~-55℃(例えば、-70、-65、-60、又は-55℃)、又はより好ましくは-65~-55℃(例えば、-65、-60、又は-55℃)のTgを有する。第1及び第2の実施形態の他の実施形態では、利用されるSBRは、約-10~約-70℃、-10~-70℃(例えば、-10、-15、-20、-25、-30、-35、-40、-45、-50、-55、-60、-65、又は-70℃)、好ましくは約-10~約-49℃又は-10~-49℃(例えば、-10、-12、-14、-15、-16、-18、-20、-22、-24、-26、-28、-30、-32、-34、-36、-35、-38、-40、-42、-44、-45、-46、-48、又は-49℃)のTgを有するSBRを含む。SBRは、前述の範囲のうちの1つの範囲内のTgを、任意選択的に、上で考察されるMw、Mn、及び/又はMw/Mnの範囲のうちの1つ以上と組み合わせて、並びに特定の実施形態では、任意選択的に、以下に考察されるスチレンモノマー含有量のうちの1つと組み合わせて、有し得る。エラストマーについて本明細書で言及されるTg値は、油展を全く伴わずにエラストマー上で行われたTg測定値を表す。言い換えれば、油展性エラストマーでは、上記のTg値は、油展前のTg、又は同じエラストマーの非油展バージョンを指す。エラストマー又はポリマーTg値は、TA Instruments(New Castle,Delaware)製などの示差走査熱量測定(differential scanning calorimeter、DSC)計器を使用して測定され得、測定は、-120℃で冷却してから10℃/分の温度上昇を使用して実施する。その後、正接をDSC曲線の急上昇前後のベースラインに引く。DSC曲線上の温度(2つの接点の中間に対応する点で読み取る)をTgとして使用することができる。
第1及び第2の実施形態によれば、エラストマー構成成分において使用される任意のSBRのスチレンモノマー含有量(すなわち、ブタジエン単位とは対照的に、スチレン単位を含むポリマー鎖の重量パーセント)が様々であり得る。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRは、約10~約40重量%、10~40重量%(例えば、10%、15%、20%、25%、30%、35%、若しくは40%)、10~30重量%(例えば、10%、15%、20%、25%、若しくは30%)、又は10~20重量%(例えば、10%、12%、14%、16%、18%、若しくは20%)のスチレンモノマー含有量を有する。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRは、前述の範囲のうちの1つの範囲内のスチレンモノマー含有量を、任意選択的に、以下に記載されるMw、Mn、及び/又はMw/Mnの範囲のうちの1つ以上と組み合わせて、並びに特定の実施形態では、任意選択的に、上に記載したTgの範囲及び/又は以下に記載されるビニル結合含有量のうちの1つと組み合わせて、有し得る。
第1及び第2の実施形態によれば、エラストマー構成成分において使用される任意のSBRのビニル結合含有量(すなわち、1,2-微細構造)が様々であり得る。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRは、約10~約50%、10~50%(例えば、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、若しくは50%)、約10~約40%、10~40%(例えば、10%、15%、20%、25%、30%、35%、若しくは40%)、約20~約40%、又は20~40%(例えば、20%、25%、30%、35%、又は40%)のビニル結合含有量を有する。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、SBRは、前述の範囲のうちの1つの範囲内のビニル結合含有量を、任意選択的に上記のMw、Mn、Mw/Mn、Tg、及び/又はスチレンモノマー含有量の範囲のうちの1つ以上と組み合わせて、有し得る。本明細書で言及されるビニル結合含有量は、SBRポリマー鎖のブタジエン部分におけるビニル結合含有量ではなく、SBRポリマー鎖中の総ビニル結合含有量についてであるものとして理解されるべきであり、H-NMR及びC13-NMRによって(例えば、300MHz Gemini 300 NMR Spectrometer System(Varian)を使用して)決定することができる。
上述のように、第3の実施形態によれば、エラストマー構成成分の平均Tgは、約-60~約-90℃である。第1、第2、及び第4の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー構成成分の平均Tgは、約-60~約-90℃、-60~-90℃(例えば、-60、-61、-62、-63、-64、-65、-66、-67、-68、-69、-70、-71、-72、-73、-74、-75、-76、-77、-78、-79、-80、-81、-82、-83、-84、-85、-86、-87、-88、-89、又は-90℃)である。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー構成成分の平均Tgは、約-70~約-90℃、又は-70~-90℃(例えば、-70、-71、-72、-73、-74、-75、-76、-77、-78、-79、-80、-81、-82、-83、-84、-85、-86、-87、-88、-89、若しくは-90℃)である。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー構成成分の平均Tgは、約-75~約-90℃、又は-75~-90℃(例えば、-75、-76、-77、-78、-79、-80、-81、-82、-83、-84、-85、-86、-87、-88、-89、又は-90℃)である。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー構成成分の平均Tgは、約-80~約-85℃、又は-80~-85℃(例えば、-80、-81、-82、-83、-84、若しくは-85℃)である。エラストマー構成成分の平均Tgは、100部のエラストマー構成成分中に存在する各ゴムのTgを使用し、それらの相対重量パーセントを考慮して計算することができる。1つ(以上)のゴムが油展されている場合、ゴムの量のみ(すなわち、いかなる量の油も除外する)が、エラストマー構成成分の平均Tgを計算するのに利用される。1つ(以上)のゴムが油展されている場合、非油展性ゴムのTgが、エラストマー構成成分の平均Tgを計算するのに利用される。
ポリブタジエン
第1及び第2の実施形態によれば、タイヤトレッド用のゴム組成物のエラストマー構成成分は、ポリブタジエンゴムを含み得る。利用される特定の種類のポリブタジエンゴムは様々であり得る。好ましくは、第1及び第2の実施形態によれば、エラストマー構成成分中に存在する任意のポリブタジエンゴムは、少なくとも95%(例えば、95%、96%、97%、98%、99%以上)のシス結合含有量、及び-101℃未満のTg(例えば、-102、-103、-104、-105、-106、-107、-108、-109℃以下)を有する。特定のそのような実施形態では、ポリブタジエンゴムのTgは、-101~-110℃である。シス結合含有量は、シス1,4-結合含有量を指す。本明細書で言及されるシス1,4-結合含有量は、FTIR(Fourier Transform Infrared Spectroscopy、フーリエ変換赤外分光法)によって決定され、そこで、ポリマー試料は、CSに溶解され、次いで、FTIRに供する。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー構成成分中の存在するポリブタジエンゴムは、少なくとも98%(例えば、98%、99%以上)又は少なくとも99%(例えば、99%、99.5%以上)のシス1,4-結合含有量を有し得る。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー構成成分中の存在する任意のポリブタジエンゴムは、-105℃以下(例えば、-105、-106、-107、-108、-109℃以下)、例えば、-105~-110℃又は-105~-108℃のTgを有する。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー構成成分中の存在する任意のポリブタジエンゴムは、3重量%未満(例えば、3%、2%、1%、0.5%以下)、好ましくは1重量%未満(例えば、1%、0.5%以下)又は0重量%のシンジオタクチック1,2-ポリブタジエンを含有する。一般に、第1及び第2の実施形態によれば、少なくとも95%のシス結合含有量及び-101℃未満のTgを有する1つ、又は2つ以上のポリブタジエンゴムが、エラストマー構成成分において使用され得る。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、使用されるポリブタジエンゴムのみは、少なくとも95%(例えば、95%、96%、97%、98%、99%以上)のシス結合含有量及び-101℃未満のTgを有する。第1及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、エラストマー構成成分において使用される高ビニル含有量を有する任意のポリブタジエンゴムの量(すなわち、約70%超)は、25部未満に限定されず、より好ましくは、10部未満、更により好ましくは、5部又は0部未満である。
第1及び第2の実施形態によれば、ポリブタジエンゴムがゴム組成物において使用される場合、利用される量は様々であり得る。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー構成成分中に存在する任意のポリブタジエンゴムの総量は、重量基準で少量、又は50重量%未満であり得る。第1及び第2の実施形態のそのような実施形態では、エラストマー構成成分中に存在するポリブタジエンゴムの総量は、50phr未満、40phr未満、30phr未満、20phr未満、又は10phr未満である。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー構成成分中に存在するポリブタジエンゴムの総量は、5~49phr、5~40phr、5~30phr、5~20phr、5~10phr、10~49phr、10~40phr、10~30phr、10~20phr、20~49phr、20~40phr、又は20~30phrである。第1及び第2の実施形態の他の実施形態では、エラストマー構成成分中に存在する任意のポリブタジエンゴムの総量は、重量基準で主要量、又は50重量%超である。第1及び第2の実施形態のそのような実施形態では、エラストマー構成成分中に存在するポリブタジエンゴムの総量は、51phr以上、60phr以上、70phr以上、75phr以上、80phr以上、85phr以上、51~85phr、51~80phr、51~75phr、51~70phr、60~85phr、60~80phr、60~75phr、又は60~70phrである。
天然ゴム又はポリイソプレン
第1及び第2の実施形態によれば、エラストマー構成成分は、天然ゴム、ポリイソプレン、又はこれらの組み合わせを含み得る。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー構成成分は、天然ゴムを含むが、ポリイソプレンは含まない。第1及び第2の実施形態の他の実施形態では、エラストマー構成成分は、ポリイソプレンのみを含むが、天然ゴムは含まない。第1及び第2の実施形態によれば、天然ゴムがエラストマー構成成分中に存在する場合、それは、ヘビア天然ゴム、非ヘビア天然ゴム(例えば、グアユール天然ゴム)、又はそれらの組み合わせを含み得る。天然ゴムが第1及び第2の実施形態のゴム組成物中で使用されるとき、天然ゴムは、好ましくは、1,000,000~2,000,000グラム/モル(例えば、100万、110万、120万、130万、140万、150万、160万、170万、180万、190万、200万グラム/モル)、1,250,000~2,000,000グラム/モル、又は1,500,000~2,000,000グラム/モル(ポリスチレン標準を使用してGPCによって測定される)のMwを有する。第1及び第2の実施形態のゴム組成物に天然ゴムが使用される場合、天然ゴムのTgは様々であり得る。好ましくは、第1及び第2の実施形態によれば、天然ゴムが利用される場合、それは、-65~-80℃(例えば、-65、-66、-67、-68、-69、-70、-71-、-72、-73、-74、-75、-76、-77、-78、-79、若しくは-80℃)のTg、より好ましくは、-67~-77℃(例えば、-67、-68、-69、-70、-71、-72、-73、-74、-75、-76、又は-77℃)のTgを有する。第1及び第2の実施形態のゴム組成物にポリイソプレンが利用される場合、ポリイソプレンのTgは様々であり得る。好ましくは、第1及び第2の実施形態によれば、ポリイソプレンが利用される場合、それは、-55~-75℃(例えば、-55、-56、-57、-58、-59、-60、-61、-62、-63、-64、-65、-66、-67、-68、-69、-70、-71、-72、-73、-74、又は-75℃)、より好ましくは、-58~-74℃(例えば、-58、-59、-60、-61、-62、-63、-64、-65、-66、-67、-68、-69、-70、-71、-72、-73、又は-74℃)のTgを有する。
第1及び第2の実施形態によれば、天然ゴム及び/又はポリイソプレンがゴム組成物において使用される場合、利用される量は様々であり得る。一般に、第1及び第2の実施形態によれば、エラストマー構成成分中に存在する任意の天然ゴム及び/又はポリイソプレンの総量は、重量基準で少量、又は50重量%未満であり得る。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー構成成分中に存在する天然ゴム及び/又はポリイソプレンの総量は、50phr未満、40phr未満、30phr未満、20phr未満、又は10phr未満である。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー構成成分中に存在する天然ゴム及び/又はポリイソプレンの総量は、5~49phr、5~40phr、5~30phr、5~20phr、5~10phr、10~49phr、10~40phr、10~30phr、10~20phr、20~49phr、20~40phr、又は20~30phrである。第1及び第2の実施形態の実施形態では、エラストマー構成成分は、天然ゴムを含むが、ポリイソプレンは含まず、天然ゴムの量は、前述の範囲のうちの1つの範囲内である。
樹脂構成成分
上述のように、第1及び第2の実施形態によれば、タイヤトレッド用のゴム組成物は、80以上(例えば、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165以上)のヒドロキシル価、好ましくは90以上(例えば、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165以上)のヒドロキシル価、より好ましくは100以上(例えば、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165以上)のヒドロキシル価を有する、20~60phr(例えば、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、又は60phr)のテルペンフェノール樹脂を含む。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、樹脂構成成分は、前述のうちの1つのヒドロキシル価(例えば、80以上、90以上、100以上など)を有する、20~50phr、20~45phr、20~40phr、20~35phr、20~30phr、25~55phr、25~50phr、25~45phr、25~40phr、又は25~35phrのテルペンフェノール樹脂を含む。第1及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、上記のヒドロキシル価を有するテルペンフェノール樹脂以外の任意の炭化水素樹脂の量が限定される。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、任意の他の炭化水素樹脂の量(すなわち、上記のヒドロキシル価を有するテルペンフェノール樹脂以外)は、10phr以下(例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、若しくは0phr、又は10~0phr、10~1phr、10~2phr以内の範囲など)、好ましくは5phr以下(例えば、5、4、3、2、1、又は0phr、又は5~0phr、5~1phr、5~2phrr以内の範囲など)又は更に0phrである。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、テルペンフェノール樹脂は、80~165、90~165、100~165、80~155、90~155、100~155、80~150、90~150、100~150、80~140、90~140、又は100~140のヒドロキシル価を有し、前述の量のうちの1つで使用される。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、上で考察されるように、80以上、90以上、又は100以上のヒドロキシル価を有するテルペンフェノール樹脂を含み、50以下(例えば、50、45、40、35、30、25、20、15、10以下)のヒドロキシル価を有するテルペンフェノール樹脂を更に含む。好ましくは、そのような実施形態では、50以下のヒドロキシ価を有するテルペンフェノール樹脂の量は、80以上、90以上、又は100以上のヒドロキシル価、例えば、より高いヒドロキシル価テルペンフェノール樹脂の重量の最大80%を有するテルペンフェノール樹脂の量よりも少ない。言い換えれば、80以上、90以上、又は100以上のヒドロキシル価を有するテルペンフェノール樹脂は、好ましくは、テルペンフェノール樹脂の総量の重量基準で主要量として存在し、例えば、テルペンフェノール樹脂の総量の少なくとも51重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%であり、50以下のヒドロキシル価を有するテルペンフェノール樹脂は、好ましくは、テルペンフェノール樹脂の総量の重量基準で少量として存在し、例えば、テルペンフェノール樹脂の総量の49重量%以下、45重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、20重量%以下、又は10重量%以下である。非限定的な例として、少なくとも80のヒドロキシル価を有するテルペンフェノール樹脂が25phrの量で使用され、20のヒドロキシル価を有するテルペンフェノール樹脂が、20phrの量で使用される場合、より低いヒドロキシル価を有するテルペンフェノール樹脂は、テルペンフェノール樹脂の総量に対して少量(より具体的には、44重量%)で存在し、より高いヒドロキシル価を有するテルペンフェノール樹脂は、テルペンフェノール樹脂の総量に対して主要量(より具体的には、56重量%)で存在するだろう。より低いヒドロキシル価を有するテルペンフェノール樹脂の量は、より高いヒドロキシル価を有するテルペンフェノール樹脂の量の80重量%である(20phrは、25phrの80%である)と説明することもできる。50以下のヒドロキシル価を有する限られた量のテルペンフェノール樹脂の使用は、ウェット性能及び/又は剛性/コーナリングの改善をもたらし得る。
上で考察されるように、比較的高いヒドロキシル価を有する1つ、又は2つ以上のテルペンフェノール樹脂は、ゴム組成物において使用され得る。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、そのような1つのテルペンフェノール樹脂のみが存在する。他の実施形態では、2つ以上のそのようなテルペンフェノール樹脂が存在する。上で考察されるヒドロキシル価以外に、テルペンフェノール樹脂の他の特性は様々であり得る。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、テルペンフェノール樹脂は、50~110℃(例えば、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、又は110℃、好ましくは60~80℃(例えば、62、64、66、68、70、72、74、76、78、又は80℃)のTgを有する。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、テルペンフェノール樹脂は、100~160℃(例えば、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、又は160℃)、好ましくは110~140℃(例えば、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、又は140℃)。50~110℃、好ましくは60~80℃の軟化点を有する。テルペンフェノール樹脂のヒドロキシル価は、Metrohmの848Titrino Plusなどの機器を使用して、ASTM E222-17に従って決定することができる。テルペンフェノール樹脂のTgは、TA Instruments(New Castle,Delaware)製などの示差走査熱量測定(DSC)計器を使用して決定され得、測定は、-120℃で冷却してから10℃/分の温度上昇を使用して実施する。その後、正接をDSC曲線の急上昇前後のベースラインに引く。DSC曲線上の温度(2つの接点の中間に対応する点で読み取る)をTgとして使用することができる。テルペンフェノール樹脂の軟化点は、ASTM E28-18(環及びボール法)によって決定することができる。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、テルペンフェノール樹脂は、前述の範囲のうちの1つの範囲内のヒドロキシル価を有するだけでなく、前述の範囲のうちの1つの範囲内のTgも有する。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、テルペンフェノール樹脂は、前述の範囲のうちの1つの範囲内のヒドロキシル価を有するだけでなく、前述の範囲のうちの1つの範囲内の軟化点も有する。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、テルペンフェノール樹脂は、前述の範囲のうちの1つの範囲内のヒドロキシル価を有するだけでなく、前述のそれぞれの範囲のうちの1つの範囲内のTg及び軟化点も有する。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、テルペンフェノール樹脂は、前述の好ましい範囲のうちの1つの範囲内のヒドロキシル価を有するだけでなく、前述の好ましい範囲のうちの1つの範囲内のTgも有する。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、テルペンフェノール樹脂は、前述の好ましい範囲のうちの1つの範囲内のヒドロキシル価を有するだけでなく、前述の範囲内の軟化点も有する。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、テルペンフェノール樹脂は、前述の好ましい範囲のうちの1つの範囲内のヒドロキシル価を有するだけでなく、前述のそれぞれの好ましい範囲のうちの1つの範囲内のTg及び軟化点も有する。
第1及び第2の実施形態によれば、テルペンフェノール樹脂のMw及びMnは様々であり得る。本明細書に開示する第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、テルペンフェノール樹脂は、500~900グラム/モル、好ましくは600~800グラム/モルのMwを有する。本明細書に開示する第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、テルペンフェノール樹脂は、400~800グラム/モル、好ましくは500~700グラム/モルのMnを有する。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、テルペンフェノール樹脂は、前述のそれぞれの範囲のうちの1つの範囲内のMw及びMnを有する。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、テルペンフェノール樹脂は、前述のそれぞれの好ましい範囲内のMw及びMnを有する。
第1及び第2の実施形態によれば、テルペンフェノール樹脂を含む特定のモノマーは、様々であり得るが、一般に、少なくとも1つのテルペン及び少なくとも1つのフェノール化合物を含むことになる。一般に、テルペンは、イソプレン単位に由来する化合物であり、(C5H8)nの基礎式を有し、nは、結合したイソプレン単位の数である。第1及び第2の実施形態によれば、テルペンフェノール樹脂のテルペンモノマー部分は、アルファ-ピネン、ベータ-ピネン、D-リモネン、ジペンテン(ラセミリモネン)、カレーン(careen)(デルタ-3-カレンとしても知られる)、ベータ-フェランドレン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。第1及び第2の実施形態によれば、テルペンフェノール樹脂のフェノールモノマー部分は、フェノール、アルキルフェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。一般に、第1及び第2の実施形態によれば、テルペンフェノール樹脂は、重量基準で主要量のテルペンモノマーを含むことになる。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、テルペンフェノール樹脂のテルペンモノマー部分は、全テルペンフェノール樹脂の60~95重量%、70~95重量%、又は60~85重量%であり、フェノールモノマー部分は、全テルペンフェノール樹脂の5~40重量%、5~30重量%、又は15~40重量%である。
第1及び第2の実施形態における使用に好適なテルペンフェノール樹脂は、様々な供給元から市販されている。非限定的な例として、第1及び第2の実施形態で使用するテンペンフェノール樹脂は、Pinova(H150及び1510などの商品名Dertophene(登録商標)で)から、ヤスハラケミカル(5145などの商品名Polyster(登録商標)で)から、並びにKraton(TP2040及びTP300などの商品名Sylvares及びSylvatraxxの商品名で)から、入手可能である。
充填剤構成成分
上述のように、第1及び第2の実施形態によれば、タイヤトレッド用のゴム組成物は、91~140phrの補強シリカ充填剤及び1~20phrのカーボンブラック充填剤を含む充填剤構成成分を含む。第1及び第2の実施形態の特定の好ましい実施形態では、充填剤構成成分は、100~130phrの補強シリカ充填剤を含む。第1及び第2の実施形態の特定の好ましい実施形態では、充填剤構成成分は、5~10phrのカーボンブラック充填剤を含む。特定の特に好ましい実施形態では、充填剤構成成分は、上記の好ましい量を有する補強シリカ充填剤及びカーボンブラック充填剤を含む。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、充填剤構成成分は、前述の量で補強シリカ充填剤及びカーボンブラック充填剤に限定される(すなわち、それからなるか、又はそれを含有する)。第1及び第2の実施形態の他の実施形態では、充填剤構成成分は、上述の量で補強シリカ充填剤及びカーボンブラック充填剤だけでなく、以下でより詳細に論じられるように、1つ以上の補強充填剤又は非補強充填剤も含む。
補強シリカ充填剤
上述のように、本明細書に開示される第1及び第2の実施形態によれば、タイヤトレッド用のゴム組成物の充填剤構成成分は、91~140phr(例えば、91、93、95、97、99、100、102、104、105、106、108、110、112、114、115、116、118、120、122、124、125、126、128、130、132、134、135、136、138、又は140phr)の量の少なくとも1つの補強シリカ充填剤を含む。第1及び第2の実施形態の特定の好ましい実施形態では、タイヤトレッド用のゴム組成物の充填剤構成成分は、100~130phr(例えば、100、102、104、105、106、108、110、112、114、115、116、118、120、122、124、125、126、128、又は130phr)の量の少なくとも1つの補強シリカ充填剤を含む。
第1及び第2の実施形態によれば、補強シリカ充填剤の表面積は様々であり得る。第1及び第2の実施形態によれば、少なくとも1つの補強シリカ充填剤のための特定の種類のシリカは、様々であり得る。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態において使用するのに好適な補強シリカ充填剤の非限定例としては、以下に限定されないが、沈殿非晶質シリカ、湿性シリカ(水和ケイ酸)、乾燥シリカ(無水ケイ酸)、フュームドシリカ、ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態において使用するための他の好適な補強シリカ充填剤としては、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム(MgSiO、MgSiOなど)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO)、ケイ酸カルシウム(CaSiOなど)、ケイ酸アルミニウム(AlSiO、Al.3SiO.5HOなど)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al.CaOSiOなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。列挙された補強シリカ充填剤の中で、沈殿非晶質湿式プロセス、含水シリカ充填剤が好ましい。このような補強シリカ充填剤は、水中の化学反応により生成され、そこから凝集体へと強力に結合し、順次、集塊物へとわずかに強く結合する一次粒子を伴う超微粒の球状粒子として、沈殿される。表面積は、BET法で測定すると、様々な補強シリカ充填剤の補強特性を特徴付ける好ましい測定値である。本明細書に開示される第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、約100m/g~約400m/g、100m/g~400m/g(例えば、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、若しくは400m/g)、約100m/g~約350m/g、又は100m/g~350m/g(例えば、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、又は350m/g)の表面積(BET法によって測定される)を有する補強シリカ充填剤を含む。本明細書に開示される第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、約140m/g~約230m/g、140m/g~230m/g(例えば、140、150、160、170、180、190、200、210、220、又は230m/g)のBET表面積を有する補強シリカ充填剤を含み、約170m/g~約230m/g及び170m/g~230m/g(例えば、170、180、190、200、210、220、又は230m/g)の範囲が含まれる。特定のそのような実施形態では、ゴム組成物中に存在する唯一のシリカ充填剤は、前述の範囲のうちの1つの範囲内のBET表面積を有する。本明細書に開示される第1及び第2の実施形態の他の実施形態では、ゴム組成物は、約100m/g~約140m/g、100m/g~140m/g(例えば、100、105、110、115、120、125、130、135、若しくは140m/g)、約100m/g~約125m/g、100m/g~125m/g(例えば、100、105、110、115、120、若しくは125m/g)、約100m/g~約120m/g、又は100~120m/g(例えば、100、105、110、115、若しくは120m/g)のBET表面を有する補強シリカ充填剤を含み、特定のそのような実施形態では、ゴム組成物中に存在する唯一のシリカ充填剤は、前述の範囲のうちの1つの範囲内のBET表面積を有する。本明細書に開示される第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、約5.5~約8、5.5~8(例えば、5.5、5.7、5.9、6.1、6.3、6.5、6.7、6.9、7.1、7.3、7.5、7.7、7.9、又は8)、約6~約8、6~8(例えば、6、6.2、6.4、6.6、6.8、7、7.2、7.4、7.6、7.8、又は8)、約6~約7.5、6~7.5、約6.5~約8、6.5~8、約6.5~約7.5、6.5~7.5、約5.5~約6.8、又は5.5~6.8のpHを有する補強シリカ充填剤を含む。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態で使用することができる市販の補強シリカ充填剤のいくつかとしては、PPG Industries(Pittsburgh,Pa.)によって製造された、Hi-Sil(登録商標)EZ120G、Hi-Sil(登録商標)EZ120G-D、Hi-Sil(登録商標)134G、Hi-Sil(登録商標)EZ 160G、Hi-Sil(登録商標)EZ 160G-D、Hi-Sil(登録商標)190、Hi-Sil(登録商標)190G-D、Hi-Sil(登録商標)EZ 200G、Hi-Sil(登録商標)EZ 200G-D、Hi-Sil(登録商標)210、Hi-Sil(登録商標)233、Hi-Sil(登録商標)243LD、Hi-Sil(登録商標)255CG-D、Hi-Sil(登録商標)315-D、Hi-Sil(登録商標)315G-D、Hi-Sil(登録商標)HDP 320Gなど、が挙げられるが、これらに限定されない。同様に、複数の有用な商用の異なる補強シリカ充填剤もまた、Evonik Corporation(例えば、Ultrasil(登録商標)320 GR、Ultrasil(登録商標)5000 GR、Ultrasil(登録商標)5500 GR、Ultrasil(登録商標)7000 GR、Ultrasil(登録商標)VN2 GR、Ultrasil(登録商標)VN2、Ultrasil(登録商標)VN3、Ultrasil(登録商標)VN3 GR、Ultrasil(登録商標)7000 GR、Ultrasil(登録商標)7005、Ultrasil(登録商標)7500 GR、Ultrasil(登録商標)7800 GR、Ultrasil(登録商標)9500 GR、Ultrasil(登録商標)9000 G、Ultrasil(登録商標)9100 GR)及びSolvay(例えば、Zeosil(登録商標)1115MP、Zeosil(登録商標)1085GR、Zeosil(登録商標)1165MP、Zeosil(登録商標)1200MP、Zeosil(登録商標)Premium、Zeosil(登録商標)195HR、Zeosil(登録商標)195GR、Zeosil(登録商標)185GR、Zeosil(登録商標)175GR、及びZeosil(登録商標)165 GR)から入手可能である。
シリカカップリング剤
本明細書に開示される第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、1つ、又は2つ以上のシリカカップリング剤もまた、(任意選択的に)利用され得る。第1及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、少なくとも1つのシリカカップリング剤が利用される。シリカカップリング剤は、ゴム組成物中のシリカ充填剤の凝集の防止又は低減に有用である。シリカ充填剤粒子の凝集は、ゴム組成物の粘度を上昇させると考えられ、したがって、この凝集を防止することにより、粘度が低下し、ゴム組成物の加工性及びブレンドが改善される。
概して、シラン及び構成する構成成分、又はポリマー、特に加硫性ポリマーと反応可能な部分を有するものなどの任意の従来のシリカカップリング剤の種類が使用可能である。シリカカップリング剤は、シリカとポリマーとの間の連結架橋として作用する。本明細書において開示されている第1及び第2の実施形態の特定の実施形態における使用に好適なシリカカップリング剤としては、アルキルアルコキシ、メルカプト、ブロックされたメルカプト、硫化物含有(例えば、一硫化物をベースとするアルコキシ含有、二硫化物をベースとするアルコキシ含有、四硫化物をベースとするアルコキシ含有)、アミノ、ビニル、エポキシ、及びこれらの組み合わせなどの基を含有するものが挙げられる。特定の実施形態では、シリカカップリング剤は、前処理されたシリカの形態でゴム組成物に添加されてもよい。前処理されたシリカは、ゴム組成物に添加される前にシランで前表面処理されている。前処理されたシリカを使用することにより、1つの成分中に2つの成分(すなわち、シリカ及びシリカカップリング剤)を添加することが可能になり、これによって一般にゴムの配合が容易になる傾向がある。
アルキルアルコキシシランは、一般式R10 Si(OR114-pを有しており、各R11は独立して、一価の有機基であり、pは整数1~3であるが、ただし、少なくとも1つのR10はアルキル基であることを条件とする。好ましくは、pは1である。一般に、各R10は、独立して、C~C20脂肪族、C~C20脂環式、又はC~C20芳香族を含み、各R11は、独立して、C~C脂肪族を含む。特定の例示的な実施形態では、各R10は、独立して、C~C15脂肪族を含み、追加の実施形態では、各R10は、独立して、C~C14脂肪族を含む。メルカプトシランは、一般式HS-R13-Si(R14)(R15を有し、式中、R13は、二価有機基であり、R14は、ハロゲン原子又はアルコキシ基であり、各R15は、独立して、ハロゲン、アルコキシ基、又は一価有機基である。ハロゲンは塩素、臭素、フッ素又はヨウ素である。アルコキシ基は、好ましくは、1~3個の炭素原子を有する。ブロックされたメルカプトシランは、一般式B-S-R16-Si-Xを有しており、シリル基がシリカ-シラン反応におけるシリカとの反応に利用可能であり、ブロック基Bがメルカプト水素原子を置換して硫黄原子とポリマーとの反応を遮断する。上述の一般式において、Bは、不飽和ヘテロ原子の形態であり得る、又は単結合を介して硫黄に直接結合される炭素であり得るブロック基である。R16は、C~C直鎖又は分岐鎖アルキリデンであり、各Xは、独立して、C~Cアルキル又はC~Cアルコキシからなる群から選択される。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態における使用に好適なアルキルアルコキシシランの非限定例としては、以下に限定されないが、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシ-シラン、エチルトリメトキシシラン、シクロヘキシル-トリブトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、メチルオクチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、オクタデシル-トリメトキシシラン、メチルオクチルジメトキシシラン、及びそれらの混合物が挙げられる。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態における使用に好適なビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ポリスルフィドの非限定例としては、ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ジスルフィド及びビス(トリアルコキシシリルオルガノ)テトラスルフィドが挙げられる。ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ジスルフィドの具体的な非限定例としては、以下に限定されないが、3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリ-t-ブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、2,2’-ビス(ジメチルメトキシシリルエチル)ジスルフィド、3,3’-ビス(ジフェニルシクロヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(エチル-ジ-sec-ブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(プロピルジエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、12,12’-ビス(トリイソプロポキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(ジメトキシフェニルシリル-2-メチルプロピル)ジスルフィド及びそれらの混合物が挙げられる。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態における使用に好適なビス(トリアルコキシシリルオルガノ)テトラスルフィドシリカカップリング剤の非限定例としては、以下に限定されないが、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスフィド(tetrasufide)、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-ベンゾチアゾールテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、及びそれらの混合物が挙げられる。ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドは、Evonik Degussa Corporation製のSi69(登録商標)として市販されている。
本明細書に開示される第1及び第2の実施形態の特定の実施形態における使用に好適なメルカプトシランの非限定例としては、1-メルカプトメチルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリプロポキシシラン、18-メルカプトオクタデシルジエトキシクロロシラン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に開示される第1及び第2の実施形態の特定の実施形態において使用するのに好適なブロックされたメルカプトシランの非限定例としては、米国特許第6,127,468号、同第6,204,339号、同第6,528,673号、同第6,635,700号、同第6,649,684号、及び同第6,683,135号(これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。ブロックされたメルカプトシランの代表例としては、2-トリエトキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-トリメトキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-(メチルジメトキシシリル)-1-エチルチオアセテート、3-トリメトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、トリエトキシシリルメチル-チオアセテート、トリメトキシシリルメチルチオアセテート、トリイソプロポキシシリルメチルチオアセテート、メチルジエトキシシリルメチルチオアセテート、メチルジメトキシシリルメチルチオアセテート、メチルジイソプロポキシシリルメチルチオアセテート、ジメチルエトキシシリルメチルチオアセテート、ジメチルメトキシシリルメチルチオアセテート、ジメチルイソプロポキシシリルメチルチオアセテート、2-トリイソプロポキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-(メチルジエトキシシリル)-1-エチルチオアセテート、2-(メチルジイソプロポキシシリル)-1-エチルチオアセテート、2-(ジメチルエトキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-(ジメチルメトキシシリル)-1-エチルチオアセテート、2-(ジメチルイソプロポキシシリル)-1-エチルチオアセテート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、3-トリイソプロポキシシリル-1-プロピルチオアセテート、3-メチルジエトキシシリル-1-プロピル-チオアセテート、3-メチルジメトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、3-メチルジイソプロポキシシリル-1-プロピルチオアセテート、1-(2-トリエトキシシリル-1-エチル)-4-チオアセチルシクロヘキサン、1-(2-トリエトキシシリル-1-エチル)-3-チオアセチルシクロヘキサン、2-トリエトキシシリル-5-チオアセチルノルボルネン、2-トリエトキシシリル-4-チオアセチルノルボルネン、2-(2-トリエトキシシリル-1-エチル)-5-チオアセチルノルボルネン、2-(2-トリエトキシ-シリル-1-エチル)-4-チオアセチルノルボルネン、1-(1-オキソ-2-チア-5-トリエトキシシリルフェニル)安息香酸、6-トリエトキシシリル-1-ヘキシルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-5-ヘキシルチオアセテート、8-トリエトキシシリル-1-オクチルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-7-オクチルチオアセテート、6-トリエトキシシリル-1-ヘキシルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-5-オクチルチオアセテート、8-トリメトキシシリル-1-オクチルチオアセテート、1-トリメトキシシリル-7-オクチルチオアセテート、10-トリエトキシシリル-1-デシルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-9-デシルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-2-ブチルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-3-ブチルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-3-メチル-2-ブチルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-3-メチル-3-ブチルチオアセテート、3-トリメトキシシリル-1-プロピルチオオクタノエート、3-トリエトキシシリル-1-プロピル-1-プロピルチオパルミテート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオオクタノエート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオベンゾエート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオ-2-エチルヘキサノエート、3-メチルジアセトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、3-トリアセトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、2-メチルジアセトキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-トリアセトキシシリル-1-エチルチオアセテート、1-メチルジアセトキシシリル-1-エチルチオアセテート、1-トリアセトキシシリル-1-エチル-チオアセテート、トリス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)トリチオホスフェート、ビス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)メチルジチオホスホネート、ビス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)エチルジチオホスホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルジメチルチオホスフィネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルジエチルチオホスフィネート、トリス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)テトラチオホスフェート、ビス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)メチルトリチオホスホネート、ビス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)エチルトリチオホスホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルジメチルジチオホスフィネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルジエチルジチオホスフィネート、トリス-(3-メチルジメトキシシリル-1-プロピル)トリチオホスフェート、ビス-(3-メチルジメトキシシリル-1-プロピル)-メチルジチオホスホネート、ビス-(3-メチルジメトキシシリル-1-プロピル)-エチルジチオホスホネート、3-メチルジメトキシシリル-1-プロピルジメチルチオホスフィネート、3-メチルジメトキシシリル-1-プロピルジエチルチオホスフィネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルメチルチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルメタンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルエタンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルベンゼンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルトルエンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルナフタレンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルキシレンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルメチルチオサルフェート、トリエトキシシリルメチルメタンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルエタンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルベンゼンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルトルエンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルナフタレンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルキシレンチオスルホネートなどが挙げられるが、これらに限定されない。様々なブロックされたメルカプトシランの混合物を使用することができる。ある特定の例示的実施形態における使用に好適なブロックされたメルカプトシランの更なる例は、Momentive Performance Materials Inc.(Albany,NY)から入手可能なNXT(商標)シラン(3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン)である。
本明細書において開示されている第1及び第2の実施形態の特定の実施形態における使用に好適な前処理されたシリカ(すなわち、シランで前表面処理されたシリカ)の非限定例としては、以下に限定されないが、メルカプトシランで前処理されたCiptane(登録商標)255 LD及びCiptane(登録商標)LP(PPG Industries)シリカ、並びにオルガノシランビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド(Si69)とUltrasil(登録商標)VN3シリカとの間の反応の生成物であるCoupsil(登録商標)8113(Degussa)が挙げられる。Coupsil 6508、Agilon 400(商標)シリカ(PPG Industries製)、Agilon 454(登録商標)シリカ(PPG Industries製)、及び458(登録商標)シリカ(PPG Industries製)。シリカが前処理されたシリカを含む実施形態では、前処理されたシリカは、シリカ充填剤について既に開示されている量で使用される(すなわち、81~120phr又は約90~約120phrなど)。
第1及び第2の実施形態の一実施形態においてシリカカップリング剤が利用される場合、使用される量は様々となり得る。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、いかなるシリカカップリング剤も含んでいない。第1及び第2の実施形態の他の好ましい実施形態では、シリカカップリング剤は、シリカ充填剤に対するシリカカップリング剤の総量の比が、約0.1:100~約1:5(すなわち、シリカ100部当たり約0.1~約20重量部)(0.1:100~1:5を含む)、約1:100~約1:10(1:100~1:10を含む)、約1:100~約1:20(1:100~1:20を含む)、約1:100~約1:25(1:100~1:25を含む)、並びに約1:100~約0:100(1:100~0:100を含む)となるように、十分な量で存在する。第1及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、シリカカップリング剤のシリカ充填剤に対する総量の比は、1:10~1:20の比(すなわち、100部のシリカ当たり10~5重量部)の範囲内にある。第1及び第2の実施形態による特定の実施形態では、ゴム組成物は、約0.1~約15phrのシリカカップリング剤を含み、これには、0.1~15phr(例えば、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15phr)、約0.1~約12phr、0.1~12phr、約0.1~約10phr、0.1~10phr、約0.1~約7phr、0.1~7phr、約0.1~約5phr、0.1~5phr、約0.1~約3phr、0.1~3phr、約1~約15phr、1~15phr(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15phr)、約1~約12phr、1~12phr(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12phr)、約1~約10phr、1~10phr(例えば、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、又は10phr)、約1~約7phr、1~7phr、約1~約5phr、1~5phr、約1~約3phr、1~3phr、約3~約15phr、3~15phr、約3~約12phr、3~12phr、約3~約10phr、3~10phr、約3~約7phr、3~7phr、約3~約5phr、3~5phr、約5~約15phr、5~15phr、約5~約12phr、5~12phr、約5~約10phr、5~10phr、約5~約7phr、又は5~7phrが含まれる。第1及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、ゴム組成物は、8~12phr、又はこの範囲内にある前述の範囲のうちの1つの量のシリカカップリング剤を含む。
カーボンブラック充填剤
本明細書に開示される第1及び第2の実施形態によれば、トレッドのためにゴム組成物において使用されるカーボンブラック充填剤の量は限定される。より具体的には、本明細書に開示される第1及び第2の実施形態によれば、ゴム組成物の充填剤構成成分は、1~20phrのカーボンブラック充填剤(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20phr)のみを含有する。第1及び第2の実施形態の特定の好ましい実施形態では、トレッドゴム組成物は、5~10phrのカーボンブラック充填剤(例えば、5、6、7、8、9、又は10phr)のみを含有する。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、前述の限定された量のカーボンブラック充填剤は、補強カーボンブラック充填剤(言い換えれば、1~20phrの補強カーボンブラック充填剤又は5~10phrの補強カーボンブラック充填剤が使用される)を指すと理解されるべきである。第1及び第2の実施形態の他の実施形態では、前述の限定された量のカーボンブラック充填剤は、非補強カーボンブラック充填剤(言い換えれば、1~20phrの非補強カーボンブラック充填剤又は5~10phrの非補強カーボンブラック充填剤)を指すと理解されるべきである。第1及び第2の実施形態の更に他の実施形態では、前述の限られた量のカーボンブラック充填剤は、カーボンブラック充填剤の組み合わせ(すなわち、補強及び非補強カーボンブラック充填剤の両方)を指すと理解されるべきである。
第1及び第2の実施形態によれば、使用されるカーボンブラックの特定の種類は様々であり得る。一般に、第1及び第2の実施形態の特定の実施形態のゴム組成物中の補強充填剤として使用するための好適なカーボンブラックには、少なくとも約20m/g(少なくとも20m/gを含む)及び、より好ましくは、少なくとも約35m/g~約200m/g又はそれより高い(35m/g~200m/gを含む)の表面積を有するものを含めた、一般に入手可能な商用製造されたカーボンブラックのいずれかを含む。カーボンブラックについて本明細書において使用される表面積の値は、臭化セチルトリメチル-アンモニウム(cetyltrimethyl-ammonium bromide、CTAB)技法を使用するASTM D-1765によって決定される。有用なカーボンブラックの中には、ファーネスブラック、チャネルブラック、及びランプブラックがある。より詳細には、有用なカーボンブラックの例としては、超耐摩耗ファーネス(super abrasion furnace、SAF)ブラック、高耐摩耗ファーネス(high abrasion furnace、HAF)ブラック、良押出性ファーネス(fast extrusion furnace、FEF)ブラック、微細ファーネス(fine furnace、FF)ブラック、準超耐摩耗ファーネス(intermediate super abrasion furnace、ISAF)ブラック、半補強性ファーネス(semi-reinforcing furnace、SRF)ブラック、中加工性チャネルブラック、難加工性チャネルブラック、及び導電性チャネルブラックが挙げられる。利用され得る他のカーボンブラックとしては、アセチレンブラックが挙げられる。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、上述のブラックの2つ以上の混合物を含む。好ましくは、第1及び第2の実施形態によれば、カーボンブラック充填剤が存在する場合、1つの種類(又は等級)の補強カーボンブラックのみからなる。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態における使用に好適な典型的なカーボンブラックは、ASTM D-1765-82aによって表記されている、N-110、N-220、N-339、N-330、N-351、N-550、及びN-660である。使用されるカーボンブラックは、ペレット化形状又は非ペレット化綿状塊とすることができる。好ましくは、一層均質な混合を行うため、非ペレット化カーボンブラックが好ましい。
他の補強充填剤
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、カーボンブラックでもシリカでもない補強充填剤を含む(すなわち、追加の補強充填剤)。1つ、又は2つ以上の追加の補強充填剤が利用され得るが、それらの総量は、好ましくは、10phr以下(例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、又は0phr)、又は5phr以下(例えば、5、4、3、2、1、又は0phr)に限定される。第1及び第2の実施形態の特定の好ましい実施形態では、トレッドゴム組成物は、追加の補強充填剤を含有しない(すなわち、0phr)。言い換えれば、そのような実施形態では、シリカ及び任意選択的にカーボンブラック以外の補強充填剤は存在しない。
追加の補強充填剤が利用される、第1及び第2の実施形態の実施形態では、追加の補強充填剤(複数可)は、様々であり得る。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態のゴム組成物において使用するのに好適な追加の補強充填剤の非限定例としては、以下に限定されないが、アルミナ、水酸化アルミニウム、クレイ(補強等級)、水酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、二酸化チタン、補強酸化亜鉛及びそれらの組み合わせが挙げられる。
非補強充填剤
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、トレッド用のゴム組成物は、非カーボンブラック非補強充填剤である少なくとも1つの非補強充填剤を更に含む。第1及び第2の実施形態の他の好ましい実施形態では、ゴム組成物は、非カーボンブラック非補強充填剤を含有しない(すなわち、0phr)。第1及び第2の実施形態の更に他の実施形態では、ゴム組成物は、非補強充填剤を含有しない(このような実施形態では、充填剤構成成分のカーボンブラック充填剤は、補強カーボンブラック充填剤である)。少なくとも1つの非カーボンブラック非補強充填剤が利用される、第1及び第2の実施形態の実施形態では、少なくとも1つの非補強充填剤は、クレイ(非補強等級)、黒鉛、二酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、デンプン、窒化ホウ素(非補強等級)、窒化ケイ素、窒化アルミニウム(非補強等級)、ケイ酸カルシウム、炭化ケイ素、粉砕ゴム、及びこれらの組み合わせから選択され得る。「非補強充填剤」という用語は、約20m/g未満(20m/g未満を含む)、及び特定の実施形態では、約10m/g未満(10m/g未満を含む)となる窒素吸着比表面積(NSA)を有する微粒子材料を指すために使用される。微粒子材料のNSA表面積は、ASTM D6556を含めた様々な標準的方法に準拠して決定することができる。ある特定の実施形態では、「非補強充填剤」という用語は、代替的に又は追加的に、約1000nmより大きな(1000nm超を含む)粒径を有する微粒子材料を指す。非補強充填剤がゴム組成物中に存在する、第1及び第2の実施形態のそれらの実施形態では、非カーボンブラック非補強充填剤の総量は様々であり得るが、好ましくは20phr以下(例えば、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1phr)であり、特定の実施形態では、1~10phr、10phr以下、5phr以下(例えば、5、4、3、2、若しくは1phr)、1~5phr、又は1phr以下である。
液体可塑剤
上述のように、第1及び第2の実施形態によれば、タイヤトレッド用のゴム組成物は、0~30phrの液体可塑剤を含む。液体可塑剤の下限が0phrであると述べることは、液体可塑剤構成成分が第1及び第2の実施形態の特定の実施形態において任意選択的であることを意味する。液体可塑剤という語句は、油及びエステル可塑剤を含むが、これらに限定されない、25℃で液体である可塑剤を指すと理解されるべきである。一般に、第1及び第2の実施形態によれば、液体可塑剤が使用される場合、1つ、又は2つ以上の液体可塑剤が利用され得る。液体可塑剤の総量は、可塑剤構成成分の量と称され得る。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、1~30phr(例えば、1、2、4、6、8、10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、若しくは30phr)の液体可塑剤、1~20phr又は5~20phrなどの前述の範囲内の量、好ましくは10~30phr(例えば、10、12、14、15、16、18、20、22、24、25、26、28、若しくは30phr)の液体可塑剤、又は10~25phr若しくは10~20phrなどの範囲内の量を含む。用語「油」は、遊離油(通常、配合プロセス中に添加される)及び伸展油(ゴムを伸展させために使用される)の両方を包含することを意味する。非限定例として、ゴム組成物が20phrの油を含むことを主張することにより、任意の遊離油及び任意の伸展油の総量が20phrであると理解されるべきである。同様に、ゴム組成物が20phrの液体可塑剤を含有すると言及することにより、任意の液体可塑剤(遊離油、延長油、及びエステル可塑剤を含む)の総量が20phrであることを理解されたい。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物が油を含有するとき、油のみは、前述の量(例えば、1~30phr、10~30phr、5~20phrなど)のうちの1つの遊離油である。第1及び第2の実施形態の他の実施形態では、トレッドゴム組成物が油を含有するとき、油のみは、前述の量(例えば、1~30phr、10~30phr、5~20phrなど)のうちの1つの伸展油である。油展性ゴムが使用される、第1及び第2の実施形態のそれらの実施形態では、油展性ゴムを調製するために使用される油の量は、様々であり得る。特定のそのような実施形態では、油展ゴム(ポリマー)中に存在する伸展油の量は、ゴム100部当たり10~50部の油(例えば、ゴム100部当たり10、15、20、25、30、35、40、45又は50部の油)、好ましくはゴム100部当たり10~40部の油又はゴム100部当たり20~40部の油である。油展性ゴムが、本明細書に開示されるゴム組成物のエラストマー構成成分中に使用されている場合、上で考察されるように、エラストマー構成成分のゴムについて指定された量は、油展性ゴムの量ではなく、ゴムのみの量を指すと理解されるべきである。非限定例として、伸展油は、ゴム組成物全体で15部の量で使用されているSBR中にゴム100部当たり油40部の量で使用され得、したがって、油展SBRによってゴム組成物に寄与する油の量は、6phrとして記載されるだろう。本明細書で使用される場合、油は、石油系油(例えば、芳香油、ナフテン油、及び低PCA油)及び植物油(野菜、木の実、及び種子から採取することができるものなど)の両方を指す。植物油は一般にトリグリセリドを含み、この用語は、合成トリグリセリド、及び実際に植物から供給されたものを含むと理解されるべきである。
第1及び第2の実施形態によれば、1つ以上の油がゴム組成物中に存在する場合、様々な種類の加工油及び伸展油が利用され得、これには、芳香油、ナフテン油、及び低PCA油(石油由来又は植物由来)が挙げられるが、これらに限定されない。好適な低PCA油としては、IP346法によって決定して、3重量%未満の多環式芳香族含有量を有するものが挙げられる。IP346法の手順は、Institute of Petroleum(英国)発行のStandard Methods for Analysis&Testing of Petroleum and Related Products and British Standard 2000 Parts,2003,62nd edition,に見出すことができる。例示的な石油由来の低PCA油としては、軽度抽出溶媒和物(mild extraction solvate、MES)、処理留出物芳香族抽出物(treated distillate aromatic extract、TDAE)、TRAE、及び重ナフテン系が挙げられる。例示的なMES油は、CATENEX SNR(SHELL製)、PROREX 15及びFLEXON 683(EXXONMOBIL製)、VIVATEC 200(BP製)、PLAXOLENE MS(TOTAL FINA ELF製)、TUDALEN 4160/4225(DAHLEKE製)、MES-H(REPSOL製)、MES(Z8製)、並びにOLIO MES S201(AGIP製)として市販されている。例示的なTDAE油は、TYREX 20(EXXONMOBIL製)、VIVATEC 500、VIVATEC 180、及びENERTHENE 1849(BP製)、並びにEXTENSOIL 1996(REPSOL製)として入手可能である。例示的な重ナフテン系油は、SHELLFLEX 794、ERGON BLACK OIL、ERGON H2000、CROSS C2000、CROSS C2400、及びSAN JOAQUIN 2000Lとして入手可能である。例示的な低PCA油としてはまた、野菜、木の実、及び種子から採取することができるものなど、様々な植物由来の油も挙げられる。非限定例としては、以下に限定されないが、ダイズ油、ヒマワリ油(高オレイン酸ヒマワリ油を含む)、サフラワー油、コーン油、亜麻仁油、綿実油、菜種油、カシュー油、ゴマ油、ツバキ油、ホホバ油、麻油、マカダミアナッツ油、ココナツ油、及びヤシ油が挙げられる。前述の加工油を、伸展油として、すなわち、油展性ポリマー又はコポリマーの調製のために、又は加工油若しくは遊離油として使用することができる。
1つ以上の油がゴム組成物中に存在する、第1及び第2の実施形態のそれらの実施形態では、使用される油(複数可)のTgは、様々であり得る。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、利用される任意の油は、約-40~約-100℃、-40~-100℃(例えば、-40、-45、-50、-55、-60、-65、-70、-75、-80、-85、-90、-95、又は-100℃)、約-40~約-90℃、-40~-90℃(例えば、-40、-45、-50、-55、-60、-65、-70、-75、-80、-85、又は-90℃)、約-45~約-85℃、-45~-85℃(例えば、-45、-50、-55、-60、-65、-70、-75、-80、又は-85℃)、約-50~約-80℃、又は-50~-80℃(例えば、-50、-55、-60、-65、-70、-75、又は-80℃)のTgを有する。
好ましくは、第1及び第2の実施形態によれば、ゴム組成物は、5phr未満(例えば、4.5、4、3、2、1、又は0phr)のMES又はTDAE油を含有する、好ましくはMES又はTDAE油を含有しない(すなわち、0phr)。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、石油系油を含有せず(すなわち、0phr)、代わりに、利用される任意の油は植物油である。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、上述の量のうちの1つのダイズ油を含有する。特定のそのような実施形態では、含まれる唯一の油は、大豆油である。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、ヒマワリ油を含有しない(すなわち、0phr)。第1及び第2の実施形態の他の実施形態では、含まれる唯一の油は、ヒマワリ油である。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、室温で一般に液体である可塑剤の種類である1つ以上のエステル可塑剤を含む。好適なエステル系可塑剤は当業者に既知であり、リン酸エステル、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、及びオレイン酸エステル(すなわち、オレイン酸由来)が挙げられるが、これらに限定されない。エステルが、少なくとも1つの-OHが-O-アルキル基で置換されている酸から誘導される化合物であることを考慮すると、様々なアルキル基が、C~C20(例えば、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20)、又はC~C12の一般的に直鎖又は分岐鎖アルキルを含む、トレッドゴム組成物において使用するための好適なエステル可塑剤において使用され得る。前述のエステルのうちの特定のものは、2つ以上の-OH基を有する酸に基づき、したがって、1つ又は2つ以上のO-アルキル基(例えば、リン酸トリアルキル、フタル酸ジアルキル、アジピン酸ジアルキル)を収容することができる。好適なエステル可塑剤の非限定例としては、リン酸トリオクチル、フタル酸ジオクチル、アジピン酸ジオクチル、オレイン酸ノニル、オレイン酸オクチル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。前述のうちの1つ以上など、エステル可塑剤の使用は、エステル可塑剤の比較的低いTgに少なくとも部分的に起因して、このようなエステル可塑剤を含有するトレッドゴム組成物から作製されたタイヤの雪又は氷性能に有益であり得る。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、-40℃~-70℃(例えば、-40、-45、-50、-55、-60、-65、又は-70℃)、又は-50℃~-65℃(例えば、-50、-51、-52、-53、-54、-55、-56、-57、-58、-59、-60、-61、-62、-63、-64、又は-65℃)のTgを有する1つ以上のエステル系可塑剤を含む。1つ以上のエステル可塑剤が利用される、第1及び第2の実施形態のそれらの実施形態では、利用される量は様々であり得る。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、1つ以上のエステル系可塑剤は、1~25phr(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、若しくは25phr)、1~20phr(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは20phr)、1~15phr(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、若しくは15phr)、1~10phr(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10phr)、2~6phr(例えば、2、3、4、5、若しくは6phr)、又は2~5phr(例えば、2、3、4、若しくは5phr)の総量で利用される。第1及び第2の実施形態の特定の好ましい実施形態では、任意のエステル可塑剤の量は、15phr以下又は12phr以下である。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、1つ以上のエステル系可塑剤は、油と組み合わせて(前述の量のうちの1つで)使用され、油は1~10phr未満、又は1~5phrの量で存在する。第1及び第2の実施形態の他の実施形態では、1つ以上のエステル系可塑剤は、トレッドゴム組成物中にいかなる油も存在することなく(すなわち、0phrの油)、使用される。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、30~70phr(例えば、30、32、34、35、36、38、40、42、44、45、46、48、50、52、54、55、56、58、60、62、64、65、66、68、又は70phr)の総量の可塑剤を含み、可塑剤は、すべて上で考察されるように、樹脂構成成分及び任意の液体可塑剤(例えば、任意の油及び任意のエステル可塑剤)の樹脂を含む。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、60phr以下(例えば、60、55、50、45、40、35、若しくは30phr)、20~60phr(例えば、20、22、24、25、26、28、30、32、34、35、36、38、40、42、44、45、46、48、50、52、54、55、56、58、若しくは60phr)、30~60phr(例えば、30、32、34、35、36、38、40、42、44、45、46、48、50、52、54、55、56、58、若しくは60phr)、40~60phr(例えば、40、42、44、45、46、48、50、52、54、55、56、58、若しくは60phr)、50phr以下(例えば、50、45、40、35、若しくは30hr)、20~50phr(例えば、20、22、24、25、26、28、30、32、34、35、36、38、40、42、44、45、46、48、若しくは50phr)、又は30~50phr(例えば、30、32、34、35、36、38、40、42、44、45、46、48、若しくは50phr)の可塑剤の総量を含む。前述のうちの特定の実施形態では、可塑剤の総量は、重量基準で少量の液体可塑剤(例えば、49重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、10重量%以下、又は5重量%以下)を含む。
硬化パッケージ
上述のように、本明細書に開示される第1及び第2の実施形態によれば、タイヤトレッドのために使用されるゴム組成物は、硬化パッケージを含む。硬化パッケージの含有量は、第1及び第2の実施形態によって様々であり得るが、一般に、硬化パッケージは、加硫剤、加硫促進剤、加硫活性化剤(例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸など)、加硫阻害剤、及びスコーチ防止剤のうちの少なくとも1つを含む。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、硬化パッケージは、少なくとも1つの加硫剤と、少なくとも1つの加硫促進剤と、少なくとも1つの加硫活性化剤と、任意選択的に、加硫阻害剤及び/又はスコーチ防止剤と、を含む。加硫促進剤及び加硫活性化剤は、加硫剤のための触媒として働く。様々な加硫阻害剤及びスコーチ防止剤は、当技術分野で既知であり、所望の加硫特性に基づいて、当業者により選択され得る。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態に使用するのに好適な加硫剤の種類の例としては、以下に限定されないが、硫黄、又は過酸化物をベースとする硬化性構成成分が挙げられる。したがって、特定のこのような実施形態では、硬化パッケージとしては、硫黄系硬化剤又は過酸化物をベースとする硬化剤が挙げられる。第1及び第2の実施形態の好ましい実施形態では、加硫剤は、硫黄系硬化剤であり、特定のそのような実施形態では、加硫剤は、硫黄系硬化剤(のみ)からなる。特定の好適な硫黄加硫剤の例としては、「ゴム製造業者(rubbermaker)」の可溶性硫黄、二硫化アミン、ポリマー性ポリスルフィド、又は硫黄オレフィン付加物などの硫黄供与性硬化剤、及び不溶性のポリマー性硫黄が挙げられる。好ましくは、硫黄加硫剤は、可溶性硫黄、又は可溶性硫黄ポリマーと不溶性硫黄ポリマーとの混合物である。硬化に用いられる好適な加硫剤及びその他の構成成分(例えば、加硫阻害剤、スコーチ防止剤)の一般的な開示として、Kirk-Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,3rd ed.,Wiley Interscience,N.Y.1982,Vol.20,pp.365 to 468、特にVulcanization Agents and Auxiliary Materials,pp.390 to 402又はA.Y.CoranによるVulcanization(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Second Edition(1989 John Wiley&Sons,Inc.))を参照することができ、これらの両方ともが、参照により本明細書に組み込まれる。加硫剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。一般に、加硫剤は、第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、1~7.5phrを含む、1~5phrを含む、好ましくは、1~3.5phr(例えば、1、1.5、2、2.5、3、又は3.5phr)の、0.1~10phrの範囲(例えば、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10phr)の量で使用され得る。
加硫促進剤は、加硫に必要な時間及び/又は温度を制御し、加硫物の特性を改善させるために使用される。本明細書において開示されている第1及び第2の実施形態の特定の実施形態における使用に好適な加硫促進剤の例としては、チアゾール加硫促進剤、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、2,2’-ジチオビス(ベンゾチアゾール)(2,2’-dithiobis(benzothiazole)、MBTS)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾール-スルフェンアミド(N-cyclohexyl-2-benzothiazole-sulfenamide、CBS)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾール-スルフェンアミド(N-tert-butyl-2-benzothiazole-sulfenamide、TBBS)、及び同様のものなど、グアニジン加硫促進剤、例えば、ジフェニルグアニジン(diphenyl guanidine、DPG)など、チウラム加硫促進剤、カルバミン酸加硫促進剤などが挙げられるが、これらに限定されない。一般に、使用される加硫促進剤の量は、0.1~10phr(例えば、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10phr)、好ましくは0.5~5phr(例えば、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、又は5phr)の範囲である。好ましくは、第1及び第2の実施形態のゴム組成物に使用される任意の加硫促進剤は、一硫化チウラム及び多硫化チウラムなどの任意のチウラム(その例としては、TMTM(tetramethyl thiuram monosulfide、テトラメチルチウラムモノスルフィド)、TMTD(tetramethyl thiuram disulfide、テトラメチルチウラムジスルフィド)、DPTT(dipentamethylene thiuram tetrasulfide、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド)、TETD(tetraethyl thiuram disulfide、テトラエチルチウラムジスルフィド)、TiBTD(tetraisobutyl thiuram disulfide、テトライソブチルチウラムジスルフィド)、及びTBzTD(tetrabenzyl thiuram disulfide、テトラベンジルチウラムジスルフィド)が挙げられる)を除外し、言い換えれば、第1及び第2の実施形態のゴム組成物は、好ましくは、チウラム促進剤を含有しない(すなわち、0phr)。
加硫活性化剤は、加硫を補助するために使用される添加剤である。一般的に、加硫活性化剤は、無機構成成分及び有機構成成分の両方を含む。酸化亜鉛は、最も広く使用されている無機加硫活性化剤である。ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、及び前述の各々の亜鉛塩を含む様々な有機加硫活性化剤が、一般的に使用されている。一般に、第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、使用される加硫活性化剤の量は、0.1~6phr(例えば、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、又は6phr)、好ましくは0.5~4phr(例えば、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、又は4phr)の範囲である。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、酸化亜鉛及びステアリン酸の両方が、前述の範囲のうちの1つの範囲内の、利用される総量を有する加硫活性化剤として使用され、特定のそのような実施形態では、使用される唯一の加硫活性化剤は、酸化亜鉛及びステアリン酸である。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、1つ以上のチオ尿素化合物(前述の量で使用される)を含む1つ以上の加硫活性化剤が使用され、任意選択的に前述の加硫活性化剤のうちの1つ以上と組み合わせられる。一般に、チオ尿素化合物は、(R)(R)NS(=C)N(R)(R)の構造を有する化合物として理解され得る(式中、R、R、R、及びRの各々は、独立して、H、アルキル、アリール、及びN含有置換基(例えば、グラニル)から選択される。任意選択的に、前述の構造のうちの2つが、ジチオビ尿素化合物中でNを介して(R基のうちの1つを除去して)一緒に結合することができる。特定の実施形態では、R又はRのうちの1つ、及びR又はRのうちの1つは、その間に1つ以上のメチレン基(-CH-)と一緒に結合することができる。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、チオ尿素は、前述の基のうちの1つから選択されるR、R、R、及びRのうちの1つ又は2つを有し、残りのR基は水素である。例示的なアルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、ペンチル、ヘキシル、及びシクロヘキシルなどのC1~C6直鎖、分岐鎖、又は環状基が挙げられる。例示的なアリールとしては、フェニル、トリル、及びナフチルなどのC6~C12芳香族基が挙げられる。例示的なチオ尿素化合物としては、ジアルキルチオ尿素及びジアリールチオ尿素などのジヒドロカルビルチオ尿素が挙げられるが、これらに限定されない。特定のチオ尿素化合物の非限定例としては、チオ尿素、N,N’-ジフェニルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、N,N’-ジエチルチオ尿素(N,N’-diethylthiourea、DEU)、N,N’-ジメチルチオ尿素、N,N’-ジブチルチオ尿素、エチレンチオ尿素、N,N’-ジイソプロピルチオ尿素、N,N’-ジシクロヘキシルチオ尿素、1,3-ジ(o-トリル)チオ尿素、1,3-ジ(p-トリル)チオ尿素、1,1-ジフェニル-2-チオ尿素、2,5-ジチオビ尿素、グアニルチオ尿素、1-(1-ナフチル)-2-チオ尿素、1-フェニル-2-チオ尿素、p-トリルチオ尿素、及びo-トリルチオ尿素のうちの1つ以上が挙げられる。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、活性化剤は、チオ尿素、N,N’-ジエチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、N,N’-ジフェニルチオ尿素、及びN-N’-ジメチルチオ尿素から選択される少なくとも1つのチオ尿素化合物を含む。
加硫阻害剤は、加硫プロセスを制御するため、一般的には、所望の時間及び/又は温度に達するまで加硫を遅らせるか又は阻害するために使用される。一般的な加硫阻害剤としては、以下に限定されないが、Santogard製のPVI(cyclohexylthiophthalmide、シクロヘキシルチオフタルミド)が挙げられる。一般に、第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、加硫阻害剤の量は、0.1~3phr(例えば、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、又は3phr)、好ましくは0.5~2phr(例えば、0.5、1、1.5、又は2phr)の範囲である。
他の成分
本明細書に開示される第1及び第2の実施形態のゴム組成物に任意選択的に添加され得る様々な他の成分は、ワックス(いくつかの例では、酸化防止剤である)、加工助剤、補強樹脂、ペプチド、及び酸化防止剤/劣化防止剤を含む。劣化防止剤である成分はまた、N,N’二置換-p-フェニレンジアミン、例えば、N-1,3-ジメチルブチル-N’フェニル-p-フェニレンジアミン(6PPD)、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン(77PD)、N-フェニル-N-イソプロピル-p-フェニレンジアミン(IPPD)、及びN-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(HPPD)から選択されるものなどのオゾン劣化防止剤又は酸化防止剤として分類され得る。オゾン劣化防止剤の他の例としては、アセトンジフェニルアミン縮合生成物、2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、オクチル化ジフェニルアミン、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、及び特定のワックスが挙げられる。第1及び第2の実施形態の特定の他の実施形態では、組成物は、酸化防止剤又はオゾン劣化防止剤などの劣化防止剤を含まないか、本質的に含まなくてもよい。
ゴム組成物の調製
本明細書に開示される第1及び第2の実施形態のゴム組成物の調製に関与する特定の工程は、一般に、少なくとも1回の非生産用マスターバッチ段階及び最終生産用混合段階で成分を混合することを含む、従来実施されている方法の工程である。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、例えば、Banburyミキサー又はミル粉砕用ロールで、成分を一緒に混錬するなどによる当技術分野において既知の方法によって、ゴム組成物(上で開示した)の成分を混合することにより調製される。このような方法は、一般に、少なくとも1回の非生産用マスターバッチ混合段階と、最終生産用混合段階とを含む。非生産用マスターバッチ段階という用語は、当業者に既知であり、一般に、加硫剤又は加硫促進剤を添加しない混合段階(複数可)であると理解されている。最終生産用混合段階という用語も当業者に既知であり、一般に、ゴム組成物中に加硫剤及び加硫促進剤を添加する混合段階であると理解されている。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、1を超える非生産用マスターバッチ混合段階を含むプロセスにより調製される。
第1及び第2の実施形態の特定の好ましい実施形態では、トレッドゴム組成物は、マスターバッチ混合段階が、タンデム混合又は相互噛合混合のうちの少なくとも1つを含むプロセスによって調製される。タンデム混合は、2つの混合チャンバを有し、各チャンバが1組の混合用ローターを有する、ミキサーを使用することを含むものとして理解することができ、一般に、2つの混合チャンバは、一次ミキサーである上部ミキサーと一緒に積層され、下部ミキサーは、上部又は一次ミキサーからバッチを受け入れる。特定の実施形態では、一次ミキサーは噛み合うローターを利用し、他の実施形態では、一次ミキサーは接線方向のローターを利用する。好ましくは、下部ミキサーは、噛み合うローターを利用する。噛み合い混合は、噛み合うローターを有するミキサーの使用を含むものとして理解され得る。噛み合うローターとは、ローターが互いに噛み合うように、セット内の1つのローターの大径が、セット内の対向するローターの小径と相互作用するローターのセットを指す。噛み合うローターは、ローター間の相互作用により、均一の速度で駆動されなければならない。噛み合うローターとは対照的に、接線方向ローターとは、各ローターが、側面と称され得る空洞内で互いに独立して回転する、1組のローターを指す。一般に、接線方向のローターを有するミキサーは、ラムを含むのに対し、ラムは、噛み合うローターを有するミキサーでは必要ではない。
一般に、ゴム(又はポリマー)及び少なくとも1つの補強充填剤(及び任意のシランカップリング剤、液体可塑剤、及び樹脂)を非生産用又はマスターバッチ混合段階(複数可)で添加する。一般に、硬化パッケージの少なくとも加硫剤構成成分及び加硫促進構成成分を最終又は生産用混合段階で添加する。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、少なくとも1回の非生産用マスターバッチ混合段階が約130℃~約200℃の温度で実施されるプロセスを使用して調製される。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、ゴム組成物の望ましくない事前硬化を回避するために加硫温度を下回る温度で実施する最終生産用混合段階を使用して調製される。したがって、生産用又は最終混合段階の温度は、約120℃を超えるべきではなく、通常、約40℃~約120℃、又は約60℃~約110℃、とりわけ約75℃~約100℃である。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、少なくとも1回の非生産用混合段階と少なくとも1回の生産用混合段階とを含むプロセスによって調製される。シリカ充填剤の使用は、任意選択的に、そのような充填剤の一部又は全部を別個に添加するための別個の再粉砕段階を必要とし得る。この段階は、多くの場合、マスターバッチ段階で採用される温度と同様であるが、往々にしてわずかに低い温度、すなわち、約90℃から約150℃の降下温度までの温度で行われる。
タイヤトレッドのために使用されるゴム組成物の特性
上述のように、第1の実施形態によれば、タイヤのトレッドは、改善されたウェット性能及び改善された剛性を有する。同じく上述のように、第2の実施形態によれば、タイヤトレッドのウェット性能及び剛性を改善するための方法が、提供される。異なる温度でのE’(動的貯蔵弾性率)の測定値は、タイヤトレッドとして利用される場合、ゴム組成物の様々な特性の指標を提供することができる(例えば、-20℃でのE’は、より良好な雪上トラクションを示す比較的より低いE’を有する雪上トラクションと相関し、30℃でのE’は、剛性又はコーナリングを示す比較的より高いE’を有する剛性又はコーナリングと相関する。ゴム組成物がタイヤトレッドに組み込まれると、乾燥路面上でのコーナリングを含む操縦安定性は、一般に、より高い温度(例えば、30℃)でE’によって影響され、より高い値が好まれ、雪上トラクションは、一般に、より低い温度(例えば、-20℃及び-40℃)でE’によって影響を受け、より低い値が好まれる。本明細書で言及される測定値及び性能は、実験室で調製された硬化ゴム組成物(第1及び第2の実施形態について本明細書で論じられるようなゴム組成物)のスラブ上で測定することができるか、又はタイヤトレッドから切断された試料(例えば、第1及び第2の実施形態について本明細書で論じられるようなゴム組成物の硬化バージョンを含有する)で測定することができる。
本明細書で言及される剛性特性は、170℃で15分間硬化させた後、30℃で、試料ゴム組成物のE’を測定することによって定量化することができる。E’測定は、以下の方法に従って、Gabo機器を使用して実行することができる。動的機械的熱分光計(Gabo Qualimeter Testanlagen GmbH(Ahiden,Germany)のEplexor(登録商標)500N)を、以下の条件で、測定モード:引張試験モード、測定周波数:52Hz、50~-5℃で0.2%ひずみ、-5~65℃で1%ひずみを適用、測定温度(例えば、-20℃、30℃などを含む)、試料形状:幅4.75mm×長さ29mm×厚さ2.0mmで用いて、Gabo測定は実行され得る。
様々な温度でのtanδの測定値を使用して、タイヤトレッドに組み込まれるときに予想されるゴム組成物のウェット性能及び転がり抵抗を定量化することができる。tanδ値は、一般にASTM D5992-96(2011)のガイドラインに従って、動的機械熱分光計(Gabo Qualimeter Testanlagen GmbH(Ahiden,Germany)のEplexor(登録商標)500N)を用いて以下の条件下で測定することができる:測定モード:引張試験モード、測定周波数:52Hz、温度掃引測定:-50~-5℃の0.2%のひずみ、及び-5~65℃の1%のひずみを適用し、開始温度は、-50℃をいくらか下回り、終了温度は、-5℃をいくらか超える、-30℃、0℃、30℃、及び60℃の温度での測定値を提供するために、約1℃ごとにデータを収集、試料形状:幅4.75mm×長さ29mm×厚さ2.0mm。測定は、硬化したゴムの試料(170℃で15分間硬化)に対して行われる。0℃におけるゴム組成物のtanδは、タイヤトレッド内に組み込まれるとき、その湿式トラクションを示し、60℃におけるtanδは、タイヤトレッド内に組み込まれるとき、その転がり抵抗を示す。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、タイヤトレッド用のゴム組成物は、30℃で、少なくとも15(例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23以上)、好ましくは少なくとも17(例えば、17、18、19、20、21、22、23以上)、より好ましくは少なくとも20(例えば、20、21、22、23以上)のE’によって測定される剛性を有する。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、タイヤトレッド用のゴム組成物は、30℃で、15~25、15~23、17~25、17~23、20~25、又は20~23のE’によって測定される剛性を有する。
第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、タイヤトレッド用のゴム組成物は、0℃で、少なくとも0.45(例えば、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65以上)、好ましくは少なくとも0.5(例えば、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65以上)、より好ましくは少なくとも0.55(例えば、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65以上)のtanδによって測定されるウェット性能を有する。第1及び第2の実施形態の特定の実施形態では、タイヤトレッド用のゴム組成物は、0℃で、0.45~0.65、0.5~0.65、0.55~0.65、0.45~0.6、0.5~0.6、又は0.55~0.6のtanδによって測定されるウェット性能を有する。第1及び第2の実施形態の好ましい特定の実施形態では、タイヤトレッド用のゴム組成物は、前述の範囲のうちの1つの範囲内の剛性と組み合わせて、前述の範囲のうちの1つの範囲内のウェット性能を有し、特定のそのような実施形態では、ウェット性能及び剛性の両方が、前述の好ましい(又はより好ましい)範囲内にある。
本出願は、本明細書において開示されている組成物及び方法の実施形態が開示される数値範囲全体で実行できるため、明確な範囲限界が明細書内に言葉どおりに言及されていなくても、開示される数値範囲内の任意の範囲を支持する、いくつかの数値範囲限界を開示している。実質的に任意の複数又は単数の用語を本明細書で用いることに関して、当業者は、状況又は用途に適切となるように、複数から単数へ、又は単数から複数へ置き換えることができる。様々な単数又は複数の置き換えは、簡潔にするため、本明細書では明示的に記述されている場合がある。
一般的に、当業者は、本明細書及び特に添付の特許請求の範囲で使用された用語は、概して「オープン」な用語を意図していることを理解するだろう。例えば、用語「含む」は、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「有する」は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「挙げられる」は、「挙げられるがこれらに限定されない」と解釈されるべきである。更に、当業者は、前置きされた請求項の記載において特定の数が意図される場合、そのような意図は請求項中に明示的に記載されるものとし、そのような記載がない場合は、そのような意図も存在しないことを理解するだろう。例えば、理解を助けるものとして、以下の添付の特許請求の範囲には、請求項の記載を前置きするために、前置き語句「少なくとも1つ」及び「1つ以上」の使用を含む場合がある。しかしながら、かかる語句の使用は、同じ請求項が、前置き語句「1つ以上」又は「少なくとも1つ」、及び、「a」又は「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」又は「an」による請求項の記載の前置きが、そのように前置きされた請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、かかる記載を1つのみ含む発明に限定することを意味するものとして解釈されてはならず(例えば、「a」又は「an」は、典型的には、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)、請求項の記載の前置きに使用される定冠詞の使用についても同じことが言える。加えて、前置きされた請求項の記載において特定の数が明示的に記載される場合でも、当業者は、このような記載が、少なくとも記載される数を意味するものと典型的には解釈されるべきであることを理解している(例えば、他の修飾語句を持たない明らかな記載である「2つの記載」は、典型的には、少なくとも2つの記載、又は2つ以上の記載を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうち少なくとも1つ」に類似する慣例表現を用いる場合、一般に、このような構成は、当業者がその慣例表現を理解し得るという意味において意図される(例えば、「A、B、及びCのうち少なくとも1つを有するシステム」として、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBをともに、A及びCをともに、B及びCをともに、並びに/又は、A、B、及びCをともになどを有するシステムが挙げられ得るが、これらに限定されない)。更に、当業者は、事実上、2つ以上の代替用語を示す任意の離接的単語又は語句は、明細書、請求項、又は図面を問わず、これらの用語のうちの1つ、これらの用語のうちのいずれか、又はこれらの用語の両方を含む可能性を企図すると理解されるべきであることを、理解するであろう。例えば、語句「A又はB」は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されるであろう。特許、特許出願、及び非特許文献を含むがこれらに限定されないすべての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。組成物及び方法の様々な態様並びに実施形態を本明細書に開示してきたが、他の態様及び実施形態が、当業者には明らかであろう。本明細書で開示されている様々な態様及び実施形態は、例示目的であり、特許請求の範囲により示されている真の範囲及び趣旨を限定することを意図していない。

Claims (17)

  1. 改善されたウェット性能及び改善された剛性を有し、かつゴム組成物から作製されたトレッドを含む、タイヤであって、前記ゴム組成物が、
    スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリブタジエン、天然ゴム、及びポリイソプレンからなる群から選択される少なくとも1つのゴムを含む100部のエラストマー構成成分と、
    80以上、好ましくは90以上、より好ましくは100以上のヒドロキシル価を有する20~60phrのテルペンフェノール樹脂と、
    充填剤構成成分であって、
    91~140phr、好ましくは100~130phrの補強シリカ充填剤、及び
    1~20phr、好ましくは5~10phrのカーボンブラック充填剤、を含む充填剤構成成分と、
    0~30phrの液体可塑剤と、
    硬化パッケージと、を含む、タイヤ。
  2. 前記補強シリカ充填剤が、約140~約230m/gのBET表面積を有する、請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記補強シリカ充填剤が、約100~約140m/gのBET表面積を有する、請求項1に記載のタイヤ。
  4. 前記トレッドの前記ゴム組成物が、80以上(好ましくは90以上、より好ましくは100以上)のヒドロキシル価を有する前記テルペンフェノール樹脂の最大80重量%の量で、50以下のヒドロキシル価を有するテルペンフェノール樹脂を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤ。
  5. 前記トレッドの前記ゴム組成物が、5phr以下の任意の非テルペンフェノール樹脂、好ましくは2phr以下の任意の非テルペンフェノール樹脂、より好ましくは0phrの任意の非テルペンフェノール樹脂を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のタイヤ。
  6. 前記エラストマー構成成分が、少なくとも95%のシス結合含有量及び-101℃未満のTgを有する、少なくとも60部のポリブタジエンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のタイヤ。
  7. 前記エラストマー構成成分が、少なくとも40部の天然ゴム又はポリイソプレンと、少なくとも95%のシス結合含有量及び-101℃未満のTgを有する、10~40部のポリブタジエンと、10~40部のスチレン-ブタジエンコポリマーと、を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のタイヤ。
  8. 前記エラストマー構成成分が、シリカ反応性官能基を有する、少なくとも20phr、好ましくは30~60phrのスチレン-ブタジエンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のタイヤ。
  9. 前記トレッドの前記ゴム組成物が、10~40phrの液体可塑剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のタイヤ。
  10. 前記エラストマー構成成分が、約-65~約-40℃のTgを有するスチレン-ブタジエンコポリマーを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のタイヤ。
  11. 前記充填剤構成成分が、10phr以下の補強カーボンブラック充填剤、好ましくは5phr以下の補強カーボンブラック充填剤、又は0phrの補強カーボンブラック充填剤を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のタイヤ。
  12. タイヤトレッドのウェット性能及び剛性を改善するための方法であって、請求項1~11のいずれか一項に記載のゴム組成物を含むトレッドを含むタイヤを提供することを含む、方法。
  13. 前記タイヤトレッドのゴム組成物が、0℃で、少なくとも0.45、好ましくは少なくとも0.5、より好ましくは少なくとも0.55のtanδによって測定されるウェット性能を有する、請求項12に記載の方法。
  14. 前記タイヤトレッドのゴム組成物が、30℃で、少なくとも14、好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも17のE’によって測定される剛性を有する、請求項12又は13に記載の方法。
  15. 前記タイヤトレッドのゴム組成物が、改善された摩耗抵抗を有する、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 請求項12~15のいずれか一項に記載の方法から得られる、タイヤトレッド。
  17. 請求項16に記載のタイヤトレッドを組み込んだ、タイヤ。
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