JP2022553867A - 胃内滞留を改善するフィラメントを有する胃内滞留システム - Google Patents

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Abstract

コア、複数のリンカー部品を介して近位端でコアに接続された複数のアーム、および複数のアームの各アームを周方向に接続するフィラメントを含み、複数のリンカー部品のうちの1つのリンカー部品は複数のアームの各アームに対応し、複数のアームは近位端から放射状に延びている、胃内滞留システムを提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2019年11月8日に出願された米国仮特許出願第62/933,211号および2020年3月19日に出願された米国仮特許出願第62/992,075号の優先権の利益を主張するものである。それらの出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は胃内滞留システムに関し、より詳細には胃内滞留を改善するフィラメントを有する胃内滞留システムに関する。
胃内滞留システムは、数日から数週間、またはさらに長期間にわたって胃内に留まる薬剤の送達システムであり、その間に薬物または他の薬剤は胃腸管での吸収のためにシステムから溶出できる。そのようなシステムの例は、国際特許出願番号WO2015/191920、WO2015/191925、WO2017/070612、WO2017/100367、およびPCT/US2017/034856に記載されている。
胃内滞留システムは、典型的には嚥下されるか別の投与方法(たとえば、栄養管または胃管)で胃に導入されるカプセルで患者の胃に投与されるように設計される。カプセルが胃で溶けると、システムは拡張あるいは展開して、所望の滞留期間(3日間、7日間、2週間など)にわたり胃内に留まって幽門括約筋の通過に抵抗する大きさになる。このためには、所望の滞留期間にわたる機械的安定性が必要である。滞留期間中、システムは薬剤、たとえば1種以上の薬物を、好ましくは最小限の爆発的放出で放出するが、このためには所望の放出特性を付与するために薬剤の担持材料を慎重に選択する必要がある。胃内に滞留している間、システムは食物または他の胃内容物の正常な通過を妨げてはならない。システムは、所望の滞留時間が終了すると胃から出て患者から容易に排出されなければならない。システムが胃から小腸に早く通過してしまった場合、腸閉塞を引き起こしてはならず、やはり患者から容易に排出されなければならない。これらの特性により、システムを構成する材料、ならびにシステムの寸法および配置を慎重に選択する必要がある。
本環状フィラメントの開示で提供されるのは、胃内滞留改善用フィラメントを含む胃内滞留システム、およびフィラメント付の胃内滞留形態を調製する方法である。特に、本明細書に記載のフィラメント付の胃内滞留システムは、胃内滞留システムの胃内滞留を改善するのに役立つ。具体的には、フィラメントは、より一貫した胃内滞留時間および/またはより長い胃内滞留時間を提供するのに役立つ。したがって、フィラメントを含む本明細書で提供される胃内滞留システムは、より予測可能および/または制御可能な胃内滞留時間を提供する。予測可能なおよび/または制御可能な胃内滞留時間を有する胃内滞留システムは、胃内滞留システムが(例えば、食道内で)早く展開しすぎて閉塞を引き起こすリスクを最小にすることができる。予測可能および/または制御可能な胃内滞留時間を有する胃内滞留システムは、胃内滞留システムが胃を通過して胃腸管(すなわち、腸)で後に展開する可能性、または全く展開せずに胃腸管を通過する可能性も最小にすることができる。これらの考えられるシナリオのそれぞれにおいて、胃内滞留型剤形の治療薬は、意図されたとおりに患者に送達されない。
実施態様によっては、コア、複数のリンカー部品を介して近位端で前記コアに接続された複数のアーム、および前記複数のアームの各アームを周方向に接続するフィラメントを含み、前記複数のリンカー部品のうちの1つのリンカー部品は前記複数のアームの各アームに対応し、前記複数のアームは前記近位端から放射状に延びている、胃内滞留システムを提供する。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記フィラメントは、前記複数のアームの各アームの遠位端を周方向に接続している。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記複数のアームは、少なくとも3つのアームを含む。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記複数のアームは、医薬品有効成分を担持するように構成されている。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記複数のアームは、医薬品有効成分を40~60%担持している。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記リンカー部品は、胃内環境で分解、溶解、解離、あるいは機械的に弱化する。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、該胃内滞留システムは、投与中は折り畳まれるように構成され、患者の胃内にあるときに開いた構成をとるように構成されている。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記コアは、該胃内滞留システムが前記折り畳まれた構成にあるときに弾性変形を受け、該胃内滞留システムが前記開いた構成をとるときに反動する。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、該胃内滞留システムは、前記開いた構成において多アーム星形を有する。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、半径方向試験で測定された場合に、該胃内滞留システムが直径20 mmの開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力は、フィラメントのない胃内滞留システムが前記開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力より少なくとも1.5倍大きい。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、該胃内滞留システムをpH 1.6の環境で3日間恒温放置した後に測定した場合、前記複数のアームのうちの第1のアームの遠位端から前記フィラメントを分離するのに必要な引き抜き力が1 Nより大きい。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、該胃内滞留システムをpH 6.5の環境で3日間恒温放置した後に測定した場合、前記複数のアームのうちの前記第1のアームの遠位端から前記フィラメントを分離するのに必要な引き抜き力が2 N未満である。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記複数のアームの各アームの遠位端は腸溶性材料を含む。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記フィラメントは、弾性重合体、生体吸収性重合体、および可塑剤のうちの1種以上を含む。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記各アームの遠位端の前記腸溶性材料は、重合体、腸溶性重合体、可塑剤、および酸を含む。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記重合体はポリカプロラクトンまたはTPUを含む。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記腸溶性重合体は酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記可塑剤はプロピレングリコールを含む。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記酸はステアリン酸を含む。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記各アームの遠位端はノッチを含み、前記フィラメントは各遠位端の前記ノッチ内に配置されている。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記フィラメントは、第1のノッチ内で前記フィラメントの第1端と前記フィラメントの第2端とを重ね合わせて固定され、前記第1端と前記第2端は、前記フィラメントの第1端と前記第2端とを延伸して固定されている。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記複数のアームの各アームは、第1の重合体組成物を含む第1のセグメントと第2の重合体組成物を含む第2のセグメントを含み、前記第1のセグメントは、ASTM D790による3点曲げ試験で測定された場合、前記第2のセグメントの剛性よりも大きい剛性を有する。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、絞り試験機構を用いて測定した場合に、該胃内滞留システムが直径20 mmの開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力は、第1の重合体組成物のみを含むアームを有する胃内滞留システムが前記開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力の少なくとも1.2倍大きい。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記第1の重合体組成物は、PCL、PLA、PLGA、HPMCAS、およびTPUのうちの1種以上を含む。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記第2の重合体組成物は、ポリウレタン、ポリエーテル-ポリアミド共重合体、熱可塑性弾性体、熱可塑性ポリウレタン、ポリカプロラクトン-ポリ乳酸共重合体、ポリトリメチレンカルボナート、ポリセバシン酸グリセロール、およびシリコーンのうちの1種以上を含む。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記第2の重合体組成物は、少なくともポリカプロラクトンおよび可溶性材料を含み、水性環境に暴露されると軟化する材料を形成する。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記第1のセグメントは前記複数のアームの各アームの前記第2のセグメントに直接接続されている。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記第1のセグメントは前記第2のセグメントにリンカーを介して接続されている。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記第1のセグメントは、前記複数のアームの少なくとも第1のアームの長さの20~50%を構成し、この長さは、前記第1のアームの近位端から前記第1のアームの遠位端までで測定され、前記近位端は前記コアに近接している。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記第2のセグメントは、前記複数のアームの少なくとも第1のアームの長さの50~80%を構成し、この長さは、前記第1のアームの近位端から前記第1のアームの遠位端までで測定され、前記近位端は前記コアに近接している。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、二重漏斗試験を用いて測定した場合に、該胃内滞留システムの破断に要する疲労サイクル数が、第1の重合体組成物のみを含むアームを有する胃内滞留システムの破断に要する疲労サイクル数より少なくとも25%多い。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、該胃内滞留システムは、折り畳まれた構成にあるときはカプセル内に封入されて患者への投与に適した胃内滞留剤形を形成するように構成され、前記胃内滞留剤形は、前記患者の胃内で該胃内滞留システムを放出して、該胃内滞留システムが開いた構成をとるように構成されている。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、該胃内滞留システムは患者の治療に使用される。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記患者はヒトまたはイヌである。
実施態様によっては、近位端で接続された複数のアーム、および前記複数のアームの各アームの遠位端を周方向に接続するフィラメントを含み、前記複数のアームは前記近位端から放射状に延びている、胃内滞留システムを提供する。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、該胃内滞留システムはコアを含み、前記複数のアームの各アームは前記各アームの近位端で前記コアに接続されている。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記複数のアームは、少なくとも3つのアームを含む。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記複数のアームは、医薬品有効成分を担持するように構成されている。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記複数のアームは、医薬品有効成分を40~60%担持している。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、複数のリンカー部品を含み、前記複数のリンカー部品のうち1つのリンカー部品は、前記複数のアームのうち1つのアームを前記コアに接続する。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記複数のリンカー部品の各リンカー部品は、胃内環境で分解、溶解、解離、あるいは機械的に弱化する。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、該胃内滞留システムは、投与中は折り畳まれるように構成され、患者の胃内にあるときに開いた構成をとるように構成されている。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記コアは、該胃内滞留システムが前記折り畳まれた構成にあるときに弾性変形を受け、該胃内滞留システムが前記開いた構成をとるときに反動する。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、該胃内滞留システムは、前記開いた構成において多アーム星形を有する。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、半径方向試験で測定された場合に、該胃内滞留システムが直径20 mmの開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力は、フィラメントのない胃内滞留システムが前記開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力より少なくとも1.5倍大きい。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、該胃内滞留システムをpH 1.6の環境で3日間恒温放置した後に測定した場合、前記複数のアームのうちの第1のアームの遠位端から前記フィラメントを分離するのに必要な引き抜き力が1 Nより大きい。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、該胃内滞留システムをpH 6.5の環境で3日間恒温放置した後に測定した場合、前記複数のアームのうちの前記第1のアームの遠位端から前記フィラメントを分離するのに必要な引き抜き力が2 N未満である。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記複数のアームの各アームの遠位端は腸溶性材料を含む。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記フィラメントは、弾性重合体、生体吸収性重合体、および可塑剤のうちの1種以上を含む。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記各アームの遠位端の前記腸溶性材料は、重合体、腸溶性重合体、可塑剤、および酸を含む。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記重合体はポリカプロラクトンまたはTPUを含む。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記腸溶性重合体は酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記可塑剤はプロピレングリコールを含む。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記酸はステアリン酸を含む。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記各アームの遠位端はノッチを含み、前記フィラメントは各遠位端の前記ノッチ内に配置されている。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記フィラメントは、第1のノッチ内で前記フィラメントの第1端と前記フィラメントの第2端とを重ね合わせて固定され、前記第1端と前記第2端は節止めまたは加熱広げ加工のいずれかにより固定されている。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記複数のアームの各アームは、第1の重合体組成物を含む第1のセグメントと第2の重合体組成物を含む第2のセグメントを含み、前記第1のセグメントは、ASTM D790による3点曲げ試験で測定された場合、前記第2のセグメントの剛性よりも大きい剛性を有する。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、絞り試験機構を用いて測定した場合に、該胃内滞留システムが直径20 mmの開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力は、第1の重合体組成物のみを含むアームを有する胃内滞留システムが前記開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力の少なくとも1.2倍大きい。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記第1の重合体組成物は、PCL、PLA、PLGA、HPMCAS、およびTPUのうちの1種以上を含む。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記第2の重合体組成物は、ポリウレタン、ポリエーテル-ポリアミド共重合体、熱可塑性弾性体、熱可塑性ポリウレタン、ポリカプロラクトン-ポリ乳酸共重合体、ポリトリメチレンカルボナート、ポリセバシン酸グリセロール、およびシリコーンのうちの1種以上を含む。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記第2の重合体組成物は、少なくともポリカプロラクトンおよび可溶性材料を含み、水性環境に暴露されると軟化する材料を形成する。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記第1のセグメントは前記複数のアームの少なくとも前記第1のアームの前記第2のセグメントに直接接続されている。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記第1のセグメントは前記第2のセグメントにリンカー部品を介して接続されている。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記第1のセグメントは、少なくとも前記第1のアームの長さの20~50%を構成し、この長さは、前記第1のアームの近位端から前記第1のアームの遠位端までで測定され、前記近位端は前記コアに近接している。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記第2のセグメントは、少なくとも1つのアームの長さの50~80%を構成し、この長さは、前記少なくとも1つのアームの近位端から前記少なくとも1つのアームの遠位端までで測定され、前記近位端は前記コアに近接している。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、二重漏斗試験を用いて測定した場合に、該胃内滞留システムの破断に要する疲労サイクル数が、第1の重合体組成物のみを含むアームを有する胃内滞留システムの破断に要する疲労サイクル数より少なくとも25%多い。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、該胃内滞留システムは、折り畳まれた構成にあるときはカプセル内に封入されて患者への投与に適した胃内滞留剤形を形成するように構成され、前記胃内滞留剤形は、前記患者の胃内で該胃内滞留システムを放出して、該胃内滞留システムが開いた構成をとるように構成されている。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、該胃内滞留システムは患者の治療に使用される。
この胃内滞留システムの実施態様によっては、前記患者はヒトまたはイヌである。
実施態様によっては、胃内滞留システムを製造する方法であって、複数のリンカー部品を介して近位端でコアに接続された複数のアームを含み、前記複数のリンカー部品のうちの1つのリンカー部品は前記複数のアームの各アームに対応し、前記複数のアームは放射状に延びている胃内滞留システムを作製すること、前記複数のアームの各アームに切込みを入れて各アームにノッチを形成すること、前記胃内滞留システムの周りに、前記フィラメントが各アームの各ノッチ内に配置されるように周方向にフィラメントを巻くこと、および各ノッチを閉じて前記フィラメントを各ノッチ内に固定することを含む、方法を提供する。
この方法の実施態様によっては、前記フィラメントは、前記複数のアームの各アームの遠位端を周方向に接続している。
この方法の実施態様によっては、前記複数のアームは、少なくとも3つのアームを含む。
この方法の実施態様によっては、前記複数のアームは、医薬品有効成分を担持するように構成されている。
この方法の実施態様によっては、前記複数のアームは、医薬品有効成分を40~60%担持している。
この方法の実施態様によっては、前記リンカー部品は、胃内環境で分解、溶解、解離、あるいは機械的に弱化する。
この方法の実施態様によっては、前記胃内滞留システムは、投与中は折り畳まれるように構成され、患者の胃内にあるときに開いた構成をとるように構成されている。
この方法の実施態様によっては、前記コアは、前記胃内滞留システムが前記折り畳まれた構成にあるときに弾性変形を受け、前記胃内滞留システムが前記開いた構成をとるときに反動する。
この方法の実施態様によっては、前記胃内滞留システムは、前記開いた構成において多アーム星形を有する。
この方法の実施態様によっては、各ノッチを閉じることは節止めまたは加熱の少なくとも一方を含む。
この方法の実施態様によっては、半径方向試験で測定された場合に、前記胃内滞留システムが直径20 mmの開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力は、フィラメントのない胃内滞留システムが前記開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力より少なくとも1.5倍大きい。
この方法の実施態様によっては、前記胃内滞留システムをpH 1.6の環境で3日間恒温放置した後に測定した場合、前記複数のアームのうちの第1のアームの遠位端から前記フィラメントを分離するのに必要な引き抜き力が1 Nより大きい。
この方法の実施態様によっては、前記胃内滞留システムをpH 6.5の環境で3日間恒温放置した後に測定した場合、前記複数のアームのうちの前記第1のアームの遠位端から前記フィラメントを分離するのに必要な引き抜き力が2 N未満である。
この方法の実施態様によっては、前記複数のアームの各アームの遠位端は腸溶性材料を含む。
この方法の実施態様によっては、前記フィラメントは、弾性重合体、生体吸収性重合体、および可塑剤のうちの1種以上を含む。
この方法の実施態様によっては、前記各アームの遠位端の前記腸溶性材料は、重合体、腸溶性重合体、可塑剤、および酸を含む。
この方法の実施態様によっては、前記重合体はポリカプロラクトンを含む。
この方法の実施態様によっては、前記腸溶性重合体は酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。
この方法の実施態様によっては、前記可塑剤はプロピレングリコールを含む。
この方法の実施態様によっては、前記酸はステアリン酸を含む。
この方法の実施態様によっては、前記複数のアームの各アームは、第1の重合体組成物を含む第1のセグメントと第2の重合体組成物を含む第2のセグメントを含み、前記第1のセグメントは、ASTM D790による3点曲げ試験で測定された場合、前記第2のセグメントの剛性よりも大きい剛性を有する。
この方法の実施態様によっては、絞り試験機構を用いて測定した場合に、前記胃内滞留システムが直径20 mmの開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力は、第1の重合体組成物のみを含むアームを有する胃内滞留システムが前記開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力の少なくとも1.2倍大きい。
この方法の実施態様によっては、前記第1の重合体組成物は、PCL、PLA、PLGA、HPMCAS、およびTPUのうちの1種以上を含む。
この方法の実施態様によっては、前記第2の重合体組成物は、ポリウレタン、ポリエーテル-ポリアミド共重合体、熱可塑性弾性体、熱可塑性ポリウレタン、ポリカプロラクトン-ポリ乳酸共重合体、ポリトリメチレンカルボナート、ポリセバシン酸グリセロール、およびシリコーンのうちの1種以上を含む。
この方法の実施態様によっては、前記第2の重合体組成物は、少なくともポリカプロラクトンおよび可溶性材料を含み、水性環境に暴露されると軟化する材料を形成する。
この方法の実施態様によっては、前記第1のセグメントは少なくとも1つのアームの前記第2のセグメントに直接接続されている。
この方法の実施態様によっては、前記第1のセグメントは前記第2のセグメントにリンカー部品を介して接続されている。
この方法の実施態様によっては、前記第1のセグメントは、前記少なくとも1つのアームの長さの20~50%を構成し、この長さは、前記少なくとも1つのアームの近位端から前記少なくとも1つのアームの遠位端までで測定され、前記近位端は前記コアに近接している。
この方法の実施態様によっては、前記第2のセグメントは、前記少なくとも1つのアームの長さの50~80%を構成し、この長さは、前記少なくとも1つのアームの近位端から前記少なくとも1つのアームの遠位端までで測定され、前記近位端は前記コアに近接している。
この方法の実施態様によっては、二重漏斗試験を用いて測定した場合に、前記胃内滞留システムの破断に要する疲労サイクル数が、第1の重合体組成物のみを含むアームを有する胃内滞留システムの破断に要する疲労サイクル数より少なくとも25%多い。
この方法の実施態様によっては、前記胃内滞留システムは、折り畳まれた構成にあるときはカプセル内に封入されて患者への投与に適した胃内滞留剤形を形成するように構成され、前記胃内滞留剤形は、前記患者の胃内で前記胃内滞留システムを放出して、前記胃内滞留システムが開いた構成をとるように構成されている。
この方法の実施態様によっては、前記胃内滞留システムは患者の治療に使用される。
この方法の実施態様によっては、前記患者はヒトまたはイヌである。
実施態様によっては、胃内滞留システムを製造する方法であって、複数のリンカー部品を介して近位端でコアに接続された複数のアームを含み、前記複数のリンカー部品のうちの1つのリンカー部品は前記複数のアームの各アームに対応し、前記複数のアームは放射状に延びている胃内滞留システムを作製すること、前記複数のアームの各アームに対し1つの複数のチップ、および前記複数のチップの各チップに取り付けられたフィラメントを作製すること、ならびに前記複数のチップの各チップを前記複数のアームの1つのアームに接続してフィラメントを含む胃内滞留システムを形成することを含む、方法を提供する。
この方法の実施態様によっては、複数のチップおよびフィラメントを作製することは射出成形を含む。
以下、添付の図面を参照し、単に例として、本発明について説明する。図面においては以下のとおりである。
図1A、図1B、および図1Cは、いくつかの実施態様による、様々な胃内滞留システム構成を示す。 図1A、図1B、および図1Cは、いくつかの実施態様による、様々な胃内滞留システム構成を示す。 図1A、図1B、および図1Cは、いくつかの実施態様による、様々な胃内滞留システム構成を示す。
図2は、いくつかの実施態様による、複数のアームと、胃の収縮などの力で圧縮されたときに胃内滞留が最も容易に想定できる曲がった幾何形状を含む胃内滞留システムを示す。
図3A、図3B、および図3Cは、いくつかの実施態様による、胃内滞留システムが溶ける前に幽門を通過する可能性のある様々な方法を示す。 図3A、図3B、および図3Cは、いくつかの実施態様による、胃内滞留システムが溶ける前に幽門を通過する可能性のある様々な方法を示す。 図3A、図3B、および図3Cは、いくつかの実施態様による、胃内滞留システムが溶ける前に幽門を通過する可能性のある様々な方法を示す。
図4Aおよび図4Bは、いくつかの実施態様による、フィラメント付の胃内滞留システム、およびフィラメントが幽門を早期に通過するのを防止するのに役立ち得る方法を示す。 図4Aおよび図4Bは、いくつかの実施態様による、フィラメント付の胃内滞留システム、およびフィラメントが幽門を早期に通過するのを防止するのに役立ち得る方法を示す。
図5Aおよび図5Bは、いくつかの実施態様による、フィラメントを含む胃内滞留システムの2つの異なる構成を示す。 図5Aおよび図5Bは、いくつかの実施態様による、フィラメントを含む胃内滞留システムの2つの異なる構成を示す。
図6A、図6B、および図6Cは、いくつかの実施態様による、フィラメント付の胃内滞留システムを調製する段階を示す。 図6A、図6B、および図6Cは、いくつかの実施態様による、フィラメント付の胃内滞留システムを調製する段階を示す。 図6A、図6B、および図6Cは、いくつかの実施態様による、フィラメント付の胃内滞留システムを調製する段階を示す。
図7は、いくつかの実施態様による、フィラメントを固定する2つの方法を示す。
図8は、いくつかの実施態様による、胃内滞留システムの製造方法を示す。
図9は、いくつかの実施態様による、絞り機構を使用した半径方向の圧縮を試験する方法を示す図である。
図 10Aおよび図10Bは、いくつかの実施態様による、フィラメント付の胃内滞留システムの引出し力試験を示す図である。 図 10Aおよび図10Bは、いくつかの実施態様による、フィラメント付の胃内滞留システムの引出し力試験を示す図である。
図11は、いくつかの実施態様による、フィラメントのない胃内滞留システムおよびフィラメント付の胃内滞留システムの径方向力データを示す。
図12は、いくつかの実施態様による、フィラメントがなく、柔軟なアームを含む胃内滞留システム、およびフィラメントと剛直なアームとを有する胃内滞留システムの径方向の力データを示す。
図13は、いくつかの実施態様による、フィラメントおよび腸溶性先端部(処方14)を含む胃内滞留システムの引出し力データを示す。
図14は、いくつかの実施態様によるフィラメントおよび腸溶性先端部(処方15)を含む胃内滞留システムの引出し力データを示す。
図15は、いくつかの実施態様による、異なる固定方法のフィラメント付の胃内滞留システムのフィラメントの引き抜き力データを示す。
図16は、いくつかの実施態様による、犬の胃の中にあるときに視覚化するために調製されたフィラメント付の胃内滞留システムを示す。
図17Aは、いくつかの実施態様による、アーム側にスリーブされているフィラメントを含む、圧縮/折り畳み胃内滞留システムを示す。
図17Bは、いくつかの実施態様による、フィラメントを含むスリーブ状の圧縮/折り畳み胃内滞留システムを示す。
図17Cは、いくつかの実施態様による、コア側にスリーブされているフィラメントを含む、圧縮/折り畳み胃内滞留システムを示す。
図17Dは、いくつかの実施態様による、フィラメントを含むスリーブ状の圧縮/折り畳み胃内滞留システムを示す。
図17Eは、いくつかの実施態様による、フィラメントを含み、アーム側にスリーブが付けられ、ツーピースカプセルでカプセル化されている、圧縮/折り畳み胃内滞留システムを示す。
図17Fは、いくつかの実施態様による、フィラメントを含み、アーム側にスリーブが付けられ、ツーピースカプセルでカプセル化されている、圧縮/折り畳み胃内滞留システムを示す。
図17Gは、いくつかの実施態様による、カプセル化された圧縮/折り畳み胃内滞留システムを示す。
図18Aは、星状体胃内滞留システムの圧縮に対する抵抗力を高める際の弾性または非弾性フィラメントの能力を示す。
図18Bは、模擬胃環境における分解性縫合糸の胃内滞留システム腸溶性先端への接着強度を経時的に示す図である。
発明の詳細な説明
本明細書では、フィラメントを有する胃内滞留システム、およびフィラメントを有する胃内滞留システムを作製する方法について説明する。上記のとおり、胃腸管に所定時間滞留するように胃内滞留システムを設計する。時間(たとえば所定の滞留時間)が過ぎると、胃内滞留システムは幽門を通過するのに十分に小さい数個の部品に分解する。しかし、胃内滞留システムが曲がって患者の幽門を早く通過してしまうのに十分に小さい構成になると、胃内滞留システムの治療薬は患者に適切に投与されない。
そこで、本明細書で提供する胃内滞留システムは、胃内滞留システムの各アームの遠位端を接続するフィラメントを含む。このフィラメントは、所定の滞留時間が過ぎる前に胃内滞留システムが幽門を通過するのを防ぐのに役立ち得る。
典型的には、胃内滞留システムを折り畳まれた、閉じた、またはつぶれた構成で投与する。胃内滞留システムは患者の胃に入ると展開して開いた構成をとる。胃内滞留システムが物理的に開く(すなわち展開する)と、患者の幽門弁(すなわち胃と小腸との間の開口部)を通過するには大きすぎる有効寸法の剤形(すなわち開いた構成の胃内滞留システム)になる。配備あるいは展開された胃内滞留システムは、所定の期間(たとえば24時間、48時間、7日間、10日間など)、患者の胃内に留まることができる。
しかし、特に胃内滞留システムに関する1つの課題は、一貫した正確な滞留時間を確保することである。幽門を通過するのが早すぎる胃内滞留システムは、意図された量の治療薬を投与することができず、胃内滞留システムの有効性および信頼性を損なう。
そこで、本明細書で提供する胃内滞留システムは、患者の胃内でより一貫した正確な滞留時間のために設計されている。特に、本明細書で提供するフィラメントを含む胃内滞留システムは、幽門を早く通過してしまうのに抵抗する可能性が高い。したがって、本明細書で提供する胃内滞留システムは、一貫した正確な滞留時間を提供し、胃内滞留システムの有効性および信頼性を改善する可能性が高い。
定義
本明細書で使用される場合、「胃内滞留システム」は、治療薬を含む剤形であり、折り畳まれた構成で患者に投与されるように構成される。「胃内滞留剤形」は、折り畳まれた胃内滞留システムを含み、配備されるまで胃内滞留システムを折り畳まれた構成に保つように構成される。たとえば、胃内滞留剤形は、「胃内滞留剤形のためのカプセルおよびカプセル被覆」と題された米国特許出願第62/821,352号および/または「胃内滞留剤形のための被覆」と題された米国特許第62/821,361号に記載のものによるカプセルおよび/またはカプセル被覆を含んでもよい。
「担持重合体」は、本発明で使用するために薬物などの薬剤とブレンドするのに適した重合体である。
「薬剤」は、患者、個体、または対象において治療的、診断的、または栄養的な使用を意図した任意の物質である。薬剤には、薬物、栄養素、ビタミン、およびミネラルが含まれるが、これらに限定されない。
「分散剤」は、薬剤の粒子径の最小化およびキャリア重合体マトリックス中の薬剤粒子の分散を助ける物質と定義される。すなわち、分散剤は、システムの作製中に粒子の凝集または軟凝集を最小化または防止するのに役立つ。このように、分散剤は、抗凝集剤活性および抗軟凝集剤活性を有し、キャリア重合体マトリックス中の薬剤粒子の均一な分布を維持するのに役立つ。
「賦形剤」は、薬剤の処方に添加される、薬剤そのものではない任意の物質である。賦形剤には、結合剤、被覆剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、香料、流動促進剤、滑沢剤、および防腐剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。分散剤という特定の範疇は、賦形剤のより一般的な範疇に含まれる。
「弾性重合体」または「弾性体」(伸長性重合体ともいう)は、一定期間、加えられた力で元の形状から変形することができ、その後、加えられた力が除かれると、実質的に元の形状に戻る重合体である。
「連結重合体」は、他の任意の重合体同士を連結する(たとえば第1の担持重合体-薬剤部品を第2の担持重合体-薬剤部品と連結する)のに適した重合体である。連結重合体は、一般には他の部品間のリンカー領域を形成する。
「時間依存性重合体」または「時間依存性連結重合体」は、胃内滞留システムが胃内に配備されると時間依存的に分解する重合体である。時間依存性重合体は一般に、胃内での通常のpH変化には影響されない。
「ほぼ一定の血漿レベル」は、胃内滞留システムが胃内に常駐する期間にわたって測定された平均血漿レベルの2倍以内(すなわち、平均血漿レベルの50%と200%との間)に留まる血漿レベルをいう。
「実質的に一定の血漿レベル」は、胃内滞留システムが胃内に常駐する期間にわたって測定された平均血漿レベルの±25%以内に留まる血漿レベルをいう。
「親水性治療薬」、「親水性薬剤」、または「親水性薬物」は水に溶けやすい薬剤である。親水性薬剤は、1 mg/ml以上の水溶解度を有する薬剤と定義される。あるいは、親水性薬剤は1-オクタノール/水系で0.5未満のlog Poct(分配係数Poctの対数。Poct =(1-オクタノール中の濃度)/(H2O中の濃度))を有する薬剤と定義されてもよい。溶解度またはlog Poctを測定するpHは1.6であり、胃の環境に近い。
「疎水性治療薬」、「疎水性薬剤」、または「疎水性薬物」は、水に溶けにくい薬剤である。疎水性薬剤は、1 mg/ml未満の水溶解度を有する薬剤と定義される。あるいは、疎水性薬剤は1-オクタノール/水系で1を超えるlog Poct(分配係数Poctの対数)を有する薬剤と定義されてもよい。あるいは、疎水性治療薬は、水中よりもエタノール中でより高い溶解度を有する薬剤と定義されてもよい。あるいは、疎水性治療薬は、100%模擬胃液中よりも40%エタノール/60%模擬胃液中でより高い溶解度を有する薬剤と定義されてもよい。
材料またはシステムを説明するために使用される場合、「生体適合性」は、材料またはシステムが、ヒトなどの生物と接触したときに、有害反応を誘発しない、または最小限の許容できる有害反応しか引き起こさないことを示す。胃内滞留システムの文脈では、生体適合性は胃腸管の環境で評価される。
「患者」、「個体」、または「被験者」は、哺乳類、好ましくはヒト、またはイヌやネコなどの家畜を指す。最も好ましい実施態様によっては、患者、個体、または対象は、ヒトである。
本明細書で使用される粒子の「直径」は、粒子の最も長い寸法を意味する。
本明細書に開示されたシステムおよび方法による疾患または障害の「治療」とは、疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の1つ以上の症状のいずれかを軽減もしくは除去するため、または疾患もしくは障害もしくは疾患もしくは障害の1つ以上の症状の進行を遅らせるため、または疾患もしくは障害もしくは疾患もしくは障害の1つ以上の症状の重症度を軽減するために、追加の薬剤と共にまたは追加せずに、それを必要とする患者に、本明細書に開示されるシステムのうちの1つ以上を投与することと定義される。本明細書に開示されるシステムおよび方法による疾患または障害の「抑制」は、疾患または障害の臨床的な発現を抑制するため、または疾患または障害の有害な症状の発現を抑制するために、追加の薬剤とともに、または追加の薬剤なしで、それを必要とする患者に対して本明細書に開示されるシステムのうちの1つ以上を投与することであると定義する。治療と抑制の違いは、治療は疾患または障害の有害な症状が患者に現れた後に行われ、抑制は疾患または障害の有害な症状が患者に現れる前に行われることである。抑制は、部分的、実質的に全体的、または全体的に行われる。一部の疾患または障害は遺伝するため、遺伝子スクリーニングは、疾患または障害のリスクを有する患者を同定するために使用できる。次に、本発明のシステムおよび方法は、あらゆる有害な症状の出現を抑制するために、疾患または障害の臨床症状を発症するリスクのある無症状の患者を治療するのに使用できる。
本明細書に開示されるシステムの「治療的使用」は、上に定義されるように、疾患または障害を治療するのに本明細書に開示されるシステムのうちの1つ以上を使用することと定義される。薬剤などの治療剤の「治療有効量」は、患者に投与された場合、疾患もしくは障害または疾患もしくは障害のうちの1つ以上の症状のいずれかを低減もしくは除去するか、疾患もしくは障害または疾患もしくは障害の1つ以上の症状の進行を遅らせるか、または疾患もしくは障害または疾患もしくは障害の1つ以上の症状の重症度を低減するのに十分な薬剤の量である。治療上有効な量は、単回投与として患者に投与でき、または分割して複数回投与できる。
本明細書に開示されるシステムの「予防的使用」は、上に定義されるように、疾患または障害を抑制するのに本明細書に開示されるシステムのうちの1つ以上を使用することと定義される。薬剤の「予防的に有効な量」は、患者に投与された場合に、疾患もしくは障害の臨床的な発現を抑制するのに、または疾患もしくは障害の有害な症状の発現を抑制するのに十分な薬剤の量である。予防的に有効な量を、1回で投与することも、分割して複数回投与することもできる。
材料の「曲げ弾性率」は、3点曲げ試験により測定される材料の曲げ変形における応力の歪みに対する比として計算される材料に固有の特性である。本明細書では、リンカーを胃内滞留システムの部品として説明するが、高分子材料の材料の曲げ弾性率を、単独で測定してもよい。例えば、胃内滞留システムの高分子リンカーは曲げ弾性率を測定するには短すぎるかもしれないが、曲げ弾性率を正確に決定するために同じ材料のより長い試料を使用してもよい。曲げ弾性率の測定に用いる長い試料は、胃内滞留システムに用いられる高分子リンカーと同じ断面寸法(形状およびサイズ)であることが望ましい。曲げ弾性率は、ASTM規格の3点曲げ試験(ASTM D790)に準拠して、支持体間の距離を10 mmとし、さらに断面が長方形でない材料に対応するように修正した3点曲げ試験を用いて測定する。高分子リンカーの断面の最長対称線を垂直に置き、下向きに力を加えて曲げ弾性率を測定することが望ましい。高分子リンカーの断面の最長の対称線が一本の平坦な辺に垂直な場合、一本の平坦な辺を上方に位置させることが好ましい。高分子リンカーの断面が三角形の場合、三角形の頂点が下向きになるようにする。下向きに力を加えながら、力と変位を測定し、直線領域での傾きを求め、曲げ弾性率を算出する。
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、他に示されない限り、または文脈から明らかに指示されない限り、複数参照の場合を含む。
本明細書において、数値が用語「約」を用いて表現される場合、指定された値および指定された値に適度に近い値の両方が含まれるものとする。例えば、「約50℃」という表現は、50℃の開示そのものと、50℃に近い値の両方を含む。したがって、「約X」という表現は、値Xそのものに関する説明を含む。また、「約50℃~60℃」、「約50℃~60℃」のように範囲を示す場合は、各端点で指定された値も含まれ、各端点または両端点に近い値も含まれるものとする。つまり、「約50℃~60℃」は、「50℃~60℃」と「約50℃~約60℃」の両方を記載することと同等である。
本明細書で開示する数値範囲に関して、ある成分について開示された任意の上限値を、その成分について開示された任意の下限値と組み合わせて、範囲を提供できる(ただし、上限値は、それが組み合わせられる下限値よりも大きいことが条件である)。開示された上限値および下限値のこれらの組み合わせのそれぞれは、本明細書で明示的に想定されている。例えば、ある成分の配合量の範囲を10%~30%、10%~12%、15%~20%とした場合、10%~20%、15%~30%も想定されるが、15%の下限値と12%の上限値の組み合わせは不可能であるため、想定されない。
特に指定しない限り、組成物中の成分のパーセントは、重量パーセント、または重量/重量パーセントとして表される。当然だが、組成物中の相対的な重量パーセントについて述べる場合は、組成物中の全ての成分の合計重量パーセントを100と仮定する。さらに、任意の特定の成分の重量パーセントがその成分について指定された範囲の限界の外にならない限り、組成物中の成分の重量パーセントが合計100に結合するように、1種以上の成分の相対重量パーセントを上方または下方に調整できるものとする。
ポリカプロラクトン相(PCL相)と模擬胃液相(SGF相)の間の薬剤の分配挙動を測定して2つの相の間での薬剤の分配係数PPCL-SGFを得ることができる。対数PPCL-SGFも計算することができる。ポリカプロラクトンジオール(MW 530):酢酸エチルの5:1混合物をPCL相、絶食状態の模擬胃液(FaSSGF)をSGF相として使用することができ、PPCL-SGF =(ポリカプロラクトンジオール中の濃度)/(FaSSGF中の濃度)である。
本明細書に記載される実施態様の中には、それらの様々な要素に関して「含む」または「含み」が使用される。代替的な実施態様によっては、それらの要素は、それらの要素に使用される経過句「から本質的になる」または「から本質的になり」と共に記載できる。さらなる代替的な実施態様によっては、それらの要素は、それらの要素に使用される経過句「を含む」または「からなり」と共に記載できる。したがって、例えば、組成物または方法がAおよびBを含むとして本明細書に開示されている場合、「AおよびBから本質的になる」というその組成物または方法に対する代替実施態様、および「AおよびBを含む」というその組成物または方法に対する代替実施態様も、本明細書に開示されていると見なされる。同様に、それらの様々な要素に関して「本質的にを含む」または「を含む」として記載される実施態様は、それらの要素に使用される「を含む」も含む。最後に、それらの様々な要素に関して「本質的にを含む」として援用される実施態様は、それらの要素に使用される「を含む」を含むも含み、それらの様々な要素に関して「を含む」として記述される実施態様は、それらの要素に使用される「から本質的になる」としても記述されることができる。
組成物またはシステムが、列挙された要素から「本質的になる」と記載されている場合、組成物またはシステムは、明示的に列挙された要素を含み、治療される状態に実質的に影響を与えない他の要素(状態の治療用の組成物について)、または記載されたシステムの性質(システムを構成する組成物について)を含むことができる。しかし、組成物またはシステムは、明示的に列挙された要素以外に、処置される状態に実質的に影響する他の要素を含まないか(システムを処置するための組成物の場合)、またはシステムの特性に実質的に影響する他の要素を含まない(システムを構成する組成物の場合)、または、組成物またはシステムが、処置される状態またはシステムの特性に実質的に影響し得る、列挙した要素以外の追加の要素を含む場合、組成物またはシステムが、処置される状態またはシステムの特性に実質的に影響するだけの追加の要素、濃度または量を含んでいないかのいずれかである。ある方法が、列挙された工程から「本質的になる」と記載されている場合、その方法は列挙された工程を含み、その方法で処理される状態またはその方法で生成されるシステムの特性に重大な影響を与えない他の工程を含むことができるが、その方法は、明示的に列挙した工程以外に処理される状態または生成するシステムに重大な影響を与える他の工程を含まない。
本開示は、いくつかの実施態様を提供する。任意の実施態様からの任意の構成は、可能な場合、他の任意の実施態様からの任意の構成と組み合わせることができることが企図される。この態様では、開示された構成のハイブリッド構成は、本発明の範囲内である。
ここに開示された実施態様および方法に加えて、胃内滞留システムの追加の実施態様、ならびにそのようなシステムを製造および使用する方法は、国際特許出願WO2015/191920、WO2015/191925、WO2017/070612、WO2017/100367、およびPCT/US2017/034856に開示され、これらは参照によりその全体が本書に組み込まれるものとする。
胃内滞留システム
本明細書では、胃内滞留システムのアームおよび胃内滞留システムに使用されるセグメントを提供し、これらは胃内滞留システムが幽門の早い通過を防ぐのを補助するフィラメントを含むことができる。以下は胃内滞留システム全体の構成の説明、ならびに胃内滞留システムの3つの主な部品、すなわち弾性体(すなわち中心弾性体またはコア)、アーム(すなわち細長い部材、担持重合体、または担持重合体-薬剤部品)、および連結重合体(すなわちリンカー、リンカー領域、またはリンカー部品)のそれぞれの詳細な説明である。より具体的には、本明細書では、システムの全体的な構成;システムの寸法;滞留時間;放出特性の評価;胃内滞留システムの胃内送達薬物動態;胃内滞留システムの溶解特性、生体利用度および薬物動態;弾性体;セグメントおよびアーム(担持重合体-薬剤部品)用の担持重合体;担持重合体-薬剤/薬剤塩の賦形剤および他の添加剤との組合せ;胃内滞留システムに使用される薬剤;アームおよびセグメントの薬剤高担持性;重合体配合物の薬剤放出および安定性を調節するための分散剤;胃内滞留システムに使用される安定剤;連結重合体;胃内滞留性を改善するためのフィラメント;調整された剛性を有するアームを含む胃内滞留システム;ならびにシステムの高分子組成について記載する。
胃内滞留剤形を嚥下、栄養管、胃管などで患者の胃に投与されるように設計することができる。胃内滞留剤形は胃に配置されると、所望の滞留時間(たとえば3日間、7日間、2週間など)にわたり胃内に留まることができる。胃内に適切に配置された胃内滞留剤形は、胃と小腸を隔てる幽門弁の通過に抵抗する。胃内滞留剤形は滞留期間にわたって制御放出で治療薬(すなわちAPIまたは薬物)を放出することができる。胃内に滞留している間、剤形は食物または他の胃内容物の正常な通過を妨げてはならない。この剤形は、所望の滞留時間が終わると胃から出て(すなわち幽門弁を通過して)患者から容易に排出される。
胃内滞留システムを患者に投与するために、胃内滞留システムを折り畳んで、嚥下されるまたはその他の方法で投与されるのに十分に小さな形態にすることができる。実施態様によっては、折り畳まれた胃内滞留システムを患者が飲み込めるカプセルまたは他の容器に保持してもよい。場合によっては、胃内滞留システムを胃瘻管、栄養管、胃管、またはその他の投与経路で患者の胃に送達してもよい。胃内滞留システムの具体例は、PCT/US2018/051816、WO 2015/191920、WO 2017/070612、WO 2017/100367、WO 2018/064630、WO 2017/205844、WO 2018/227147に記載されている。これらの文献はそれぞれ、その全体が本明細書に組み込まれる。
胃内滞留システムは患者の胃に到達すると開いた構成をとることができる。開いた胃内滞留システムの寸法は、変化なしで放置した場合、装置が胃内に滞留するよう意図されている期間にわたり装置が幽門弁を通過するのを防ぐのに適している。実施態様によっては、折り畳まれた胃内滞留システムを、カプセルの不具合の場合に胃内滞留システムが早く配備されてしまうのを防ぐことができる溶解可能な保持バンドまたはスリーブで固定してもよい。スリーブまたはバンドを有する折り畳み構成に折り畳まれ保持された胃内滞留システムをカプセルで被包してもよい。胃内滞留剤形の実施態様によっては、スリーブは、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルランのうちの少なくとも1種を含む。胃内滞留剤形の実施態様によっては、カプセルは、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルランのうちの少なくとも1種を含む。したがって、一実施態様では、胃内滞留システムはコア、複数のリンカー部品を介して近位端でコアに接続された複数のアーム、および複数のアームの各アームを周方向に接続するフィラメントを含み、複数のリンカー部品のうちの1つのリンカー部品は複数のアームの各アームに対応し、複数のアームは近位端から放射状に延びている。この胃内滞留システムは、折畳み構成の胃内滞留システムの少なくとも一部を囲むスリーブをさらに含んでもよい。この胃内滞留システムは、折畳み構成の胃内滞留システムを被包するカプセルをさらに含んでもよい。この胃内滞留システムは、折畳み構成の胃内滞留システムの少なくとも一部を囲むスリーブをさらに含んでもよく、折畳み構成の胃内滞留システムを被包するカプセルをさらに含んでもよい。これらの実施態様のいずれにおいても、スリーブは、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルランのうちの少なくとも1種を含んでもよい。これらの実施態様のいずれかにおいて、カプセルは、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルランのうちの少なくとも1種を含んでもよい。これらの実施態様のいずれかにおいて、スリーブは、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルランのうちの少なくとも1種を含んでもよく、カプセルは、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルランのうちの少なくとも1種を含んでもよい。
胃内に存在する間、胃内滞留システムは、胃または胃腸管の消化および他の正常な機能と両立する。胃内滞留システムは、幽門弁を通って胃を出て十二指腸に行く粥状液(部分的に消化された食物)または他の胃内容物の通過を干渉あるいは妨害しない。
カプセルから胃に放出されると、胃内滞留システムの治療薬は効力を発揮し始める。実施態様によっては、胃内滞留システムは複数の担持重合体-薬剤部品を含む。担持重合体-薬剤部品は、担持重合体、細孔形成剤、および治療薬(またはその塩)を含んでもよい。複数の担持重合体-薬剤部品は、1つ以上の連結重合体部品で連結されている。治療薬は、システムの所望の滞留時間にわたり担持重合体-薬剤部品から患者の胃液に溶出してもよい。担持重合体-薬剤部品の適切な製剤、たとえば担持重合体-薬剤部品の製剤に分散剤を使用すること、ならびに治療薬を粉砕して所望の大きさの粒子にしてから薬剤を担持重合体および分散剤と混ぜ合わせることなどにより、治療薬の放出を制御する。
また、胃内滞留システムの外面に被覆を用いてもよい。この被覆は、追加の治療薬または治療薬の放出もしくは胃内滞留システムの滞留期間に影響を及ぼすことができる薬剤を含むことができる。
所望の滞留時間が過ぎると、胃内滞留システムは胃から出る。そのために、胃送達システムの様々な部品を弱化・分解するように設計する。システムの具体的な寸法も考慮される。未変化の開いた構成では、胃内滞留システムは幽門弁の通過に抵抗するように設計されている。しかし、胃内滞留システムの連結重合体部品は、それらが胃内の特定の滞留期間にわたって徐々に分解するように選択される。連結重合体部品が分解によって十分に弱くなると、胃内滞留システムは圧縮または大きさ縮小に対する重要な弾力性を失い、より小さな部品に分解することができる。大きさが縮小された剤形およびより小さな任意の部品は幽門弁を通過するように設計される。次いでシステムは腸を通過し、患者から排出される。実施態様によっては、滞留時間が過ぎると胃内滞留システムが多数のより小さな断片に分解せずに未変化で幽門弁を通過できるように、特定の位置で弱化するように胃内滞留システムを設計してもよい。
システムの全体的な構成
胃内滞留システムは、異なる構成で調製できる。胃内滞留システムの「星状体」構成は、「星型」(または「星」)構成としても知られている。星状体システム100の一例が、図1Aに概略的に示されている。複数のアーム(明確化のために、一本のアームだけが108の番号が付されている)は、板状の中心弾性体106に貼付けられている。図1Aに描かれたアームは、セグメント102および103で構成され、リンカー領域として機能する連結重合体またはリンカー領域104(ここでも、明瞭化のため、部品は1つのアームのみに番号が付けられている)で接合されている。この構成により、システムを中心弾性体の位置で折り畳みまたは圧縮できる。図1Bは、図1Aの胃内滞留システムの折り畳み構成190を示す(明瞭化のために、図1Bには2つのアームのみが図示されている)。図1Bのセグメント192および193、リンカー領域194、弾性体196、およびアーム198は、それぞれ、図1Aのセグメント102および103、リンカー領域104、弾性体106、およびアーム108に対応する。折り畳まれた場合、システムの全長は約2分の1に減少し、システムは、経口投与に適したカプセルなどの容器に都合よく入れることができる。カプセルが胃に到達すると、カプセルは溶解し、胃内滞留システムは放出される。その後、胃内滞留システムは圧縮されていない状態に展開し、所望の滞留期間、胃内に滞留する。
リンカー領域104は、図1Aでセグメント102および103よりもわずかに大きい直径で示されるが、セグメントと同じ直径にして、アーム102-104-103全体が滑らかな外面を持つようにすることができる。
実施態様によっては、星状体システムは、リンカー領域で中心弾性体に取り付けられた、1つのセグメントのみでできたアームを持っていてもよい。これは、セグメント103が省略された図1Aに対応する。セグメント102を含む単一セグメントアームは、リンカー104を介して中心弾性体106に直接取り付けられる。リンカーは、連結重合体または崩壊性マトリックスを含むことができる。
星状体システムは、患者の胃に投与される胃内滞留システムであって、弾性体部品と、弾性体部品に取り付けられた、担持重合体および薬剤またはその塩を含む少なくとも3つの担持重合体-薬剤部品を含み、これらの担持重合体-薬剤部品の各々は、近位端、遠位端およびその間の外面を含むアームである。各アームの近位端は、弾性体部品に取り付けられ、弾性体部品から放射状に突出し、各アームは、その遠位端が弾性体部品に取り付けられておらず、近位端よりも弾性体部品から大きな半径方向の距離に位置する。各アームは、独立して1つ以上のセグメントを含み、各セグメントは、近位端、遠位端、およびその間の外側表面を含む。実施態様よっては、2つ以上のセグメントがアームに存在するとき、各セグメントは、リンカー領域を介して隣接するセグメントに取り付けられる。実施態様によっては、2つ以上のセグメントがアームに存在するとき、1つのセグメントは、リンカー領域を使用せずに、他のセグメントに直接取り付けられる。リンカー領域は、連結重合体または崩壊性マトリックスであってもよい。アームは、連結重合体または崩壊性マトリックスを介して中心弾性体に取り付けられ、境界重合体の介在部分を持つことができる。少なくとも3つのアームに関しては、複数のアームの場合、好ましいアームの数は6であるが、3、4、5、7、8、9、または10個のアームを使用できる。アームは、中心弾性体の周りに等間隔で配置されていることが好ましく、N個のアームがある場合、隣接するアームの間に約360/N度の角度が存在することになる。
図1Cは、胃内滞留システムのための別の可能な全体構成120を示し、これは環状構成である。セグメント122は、連結重合体またはリンカー領域124で結合されている(明確化のために、1つのセグメントと1つのカップリング連結のみに番号が付されている)。この設計における連結重合体/リンカー領域は、カプセルなどの容器に配置するためにリングをねじり圧縮状態にできるように、弾性体としても機能する必要がある。
星状体構成の一実施態様においては、セグメント102および103は、薬剤または薬物とブレンドされた担持重合体を含む。環状構成の一実施態様において、セグメント122は、薬剤または薬物とブレンドされた担持重合体を含む。
リンカー領域として機能する胃内滞留システムの連結重合体は、胃内滞留システムの滞留期間中に制御された方法で徐々に分解されるように設計されている。胃内滞留システムが無傷のまま早期に小腸に通過する場合の腸の閉塞を避けるために、このシステムははるかに急速に分解するように設計されている。これは、腸溶性重合体を連結重合体として使用することで容易に実現できる。腸溶性重合体は、胃の酸性pH には比較的強いが、十二指腸の高いpH では急速に溶解する。腸溶性連結重合体を安全な要素として使用することで、無傷の胃内滞留システムが小腸に望ましくない形で移行するのを防ぐことができる。腸溶性連結重合体の使用は、設計された滞留時間前に胃内滞留システムを除去する方法も提供する。システムを除去する必要がある場合、患者は重炭酸ナトリウム溶液などの弱アルカリ性溶液を飲むか、水酸化マグネシウム(マグネシアミルク)または炭酸カルシウムなどの制酸剤を服用すれば、胃内のpH レベルが上昇して腸溶性連結重合体が迅速に分解されるようになる。その後、胃内滞留しステムは分解され、患者から排出されることになる。図1Aに示すシステムでは、少なくともカップリング104に使用される連結重合体は、そのような腸溶性重合体から作られる。
さらなる実施態様において、時間依存性連結重合体またはリンカーを使用できる。そのような時間依存性連結重合体またはリンカーは、予測可能な時間依存性の様式で分解する。実施態様によっては、時間依存性連結重合体またはリンカーの分解は、胃腸系の変化するpH に影響されない場合がある。
さらなる実施態様では異なる種類のリンカーを胃内滞留システムで使用できる。すなわち、腸溶性リンカー(または腸溶性連結重合体)および時間依存性リンカー(または時間依存性連結重合体)の両方を使用できる。実施態様によっては、星状体システムの単一の多セグメントアームは、セグメント間のいくつかのリンカー領域で腸溶性リンカーとセグメント間の他のリンカー領域で時間依存性リンカーの両方を使用できる。
リンカー領域は、典型的には、幅約100ミクロン~約2ミリメートルであり、例えば、約200 μm~約2000 μm、約300 μm~約2000 μm、約400 μm~約2000 μm、約500 μm~約2000 μm、約600 μm~約2000 μm、約700 μm~約2000 μm、約800 μm~約 2000 μm、900 μm~約2000 μm、約1000 μm~約2000 μm、約1100 μm~約2000 μm、約1200 μm~約2000 μm、約1300 μm~約2000 μm、約1400 μm~約2000 μm、約1500 μm~約 2000 μm、約1600 μm~約 2000 μm、約1700 μm~約 2000 μm、約1800 μm~約 2000 μm、または約1900 μm~約 2000 μm、または約100 μm~約1900 μm、約100 μm~約1800 μm、約100 μm~約1700 μm、約100 μm~約1600 μm、約100 μm~約1500 μm、約100 μm~約1400 μm、約100 μm~約1300 μm、約100 μm~約1200 μm、約100 μm~約1100 μm、約100 μm~約1000 μm、約100 μm~約900 μm、約100 μm~約800 μm、約100 μm~約700 μm、約100 μm~約600 μm、約100 μm~約500 μm、約100 μm~約400 μm、約100 μm~300 μmまたは約100 μm~約200 μmの範囲である。リンカー領域は、約100 μm、約200 μm、約300 μm、約400 μm、約500 μm、約600 μm、約700 μm、約800 μm、約900 μm、約1000 μm、約1100 μm、約1200 μm、約1300 μm、約1400 μm、約1500 μm、約1600 μm、約1700 μm、約1800 μm、約1900 μm、または約2000 μmの幅、それぞれの値はプラスまたはマイナス50 μm(±50 μm)であってもよい。
星状体システムの中心弾性重合体は、典型的には腸溶性重合体ではないが、中心弾性重合体は、望ましくかつ実用的な場合には、そのような腸溶性重合体から作られることもできる。
中心弾性体は、特定の硬度および圧縮永久歪を有することが好ましい。硬度は、剤形の折り畳み力および胃内に滞留するかどうかを決定するため重要であり、好ましい範囲は約60~約90Aである。圧縮永久歪みは、その圧縮された構成でカプセルに貯蔵されたとき、胃内滞留システムが永久的な変形を持つことを避けるために、できるだけ低いことが望ましい。好ましい範囲は、約10%~約20%の範囲である。これらの要件に適合する材料の例は、Dow Corningからの液状シリコーンゴムのQP1シリーズである。中心弾性体を有する任意の実施態様において、QP1-270(70A硬度)液状シリコーンゴムを使用できる。実施態様によっては、中心弾性体は、50Aまたは60A硬度の液状シリコーンゴム(Shin Etsu)を含んでもよい。
胃内滞留システムのセグメントおよびアームは、円形(この場合、セグメントは円筒形である)、多角形(例えば三角形の断面、長方形の断面、または正方形の断面を有するセグメント)、またはパイ形の断面(この場合、セグメントは円筒形の断面である)の形状の断面を有することができる。断面が多角形や円柱形のセグメントや、胃組織に接触する円柱形のセグメントの端部は、安全性を高めるために角や縁を丸くすることができる。つまり、交差する縁や面の間に鋭い遷移を持たせる代わりに、ある縁や面から別の縁や面への遷移に円弧が使用される。したがって、「三角形の断面」には、角が丸みを帯びた三角形のような、ほぼ三角形の形状を持つ断面が含まれる。三角形の断面を持つアームは、縁が丸みを帯びており、アームの端の角が丸みを帯びているアームを含む。丸みを帯びた角や縁は、隅肉角(fillet corner, filleted corner)、隅肉縁(fillet edge, filleted edge)などとも呼ばれる。
しかしながら、星形の胃内滞留システムは、患者の幽門を早期に通過できるような構成に曲がることができることが実証されている。幽門を早期に通過する胃内滞留システムは、胃内滞留システムの治療剤を患者に送達できない。さらに、早すぎる通過は、矛盾を引き起こし、信頼性を欠き、胃内滞留システムの有効性を損ねる。
図2は、複数のアームを有する星型胃内滞留システムを示す。曲がった構成の一例は、図の右側に示されている。胃内の力(例えば、蠕動力)により、胃内滞留システムは、図2に示されるような構成に曲がることがあり、幽門を早期に通過できる。
他の可能な曲げられた構成を、図3A~3Cに示す。具体的には、図3A~3Cは、幽門を早期に通過させることができる胃内滞留システムの想定し得る3つの異なる構成を示す。各図に示すように、胃内滞留システムの比較的剛直なアームは、真っ直ぐなままである。しかし、各胃内滞留システムのコアは、アームよりも高い柔軟性を有するので、コアは曲がることができる。コアが曲がることで、比較的剛直なアームを有する胃内滞留システムは、患者の幽門を早期に通過できる。
図3Aに示すように、胃内滞留システム302aは、幽門開口部に進入する3つのアームを有する曲がった構成で示されている。図3Bは、幽門開口部に進入する2つのアームを有する曲がった構成の胃内滞留システム302bを示す。図3Cは、シャトルコックの形状に類似し、幽門開口部に進入するコアを有する曲がった構成の胃内滞留システム302cを示す。
従って、本明細書に記載されるのは、フィラメントを含む胃内滞留システムである。胃内滞留システムの周囲に円周方向に巻き付けられ、胃内滞留システムのアームを連結するフィラメントは、例えば、患者の幽門を早期に通過することを防止するのに役立つ。フィラメントおよびフィラメントを含む胃内滞留システムは、胃内滞留システムのアームおよび連結重合体に関してより詳細に説明される。
システムの寸法
システムは、患者がシステムを飲み込むことができる(あるいは別の手段、たとえば栄養管または胃管によりシステムを胃に導入するための)寸法の圧縮状態をとることができなければならない。一般に、カプセルなどの容器によりシステムを圧縮状態に保つ。胃に入ると、システムは容器から放出され、非圧縮状態、すなわち、システムが幽門括約筋を通過するのを防いでシステムを胃内に保持できるようにする寸法を有する拡張構造をとる。
したがって、システムは、製薬に一般に用いられる種類の標準の大きさのカプセルに配置できる必要がある。米国で使用される標準のカプセルの大きさを下のカプセル表に示す(“Draft Guidance for Industry on Size, Shape, and Other Physical Attributes of Generic Tablets and Capsules” (URL www.regulations.gov/#!documentDetail;D=FDA-2013-N-1434-0002)を参照のこと)。これらはカプセルの外寸であり、カプセルの製造業者によって寸法が若干異なるため、システムは示された外径よりも約0.5~1 mm小さく、カプセル表に示された長さよりも約1~2 mm短い構成をとることができる必要がある。
Figure 2022553867000001
当技術分野で周知の材料、たとえばゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースでカプセルを作製することができる。一実施態様では、胃内環境では溶けるが口腔または食道環境では溶けない材料でカプセルを作製し、胃に到達する前にシステムが早く放出されてしまうのを防ぐ。
一実施態様では、カプセルに収めるために、たとえば図1Bに示す方式でシステムを折り畳む、または押し込めて圧縮状態にする。カプセルが胃の中で溶けると、システムは、たとえば図1Aに示す方式で胃内での保持に適した構成をとる。好ましいカプセルの寸法は00および00el(00elの大きさのカプセルはほぼ000カプセルの長さおよびほぼ00カプセルの幅を有する)であり、このことが折り畳まれたシステムの長さおよび直径に制約を設けている。
容器から放出されると、システムは、胃内滞留システムが幽門括約筋を通過するのを防ぐのに適した寸法を有する非圧縮状態を取る。一実施態様では、システムは少なくとも2つの垂直寸法を有し、それぞれ少なくとも2 cmの長さである。すなわち、胃内滞留システムは少なくとも2つの垂直方向に少なくとも約2 cmの長さを有する。別の実施態様では、非圧縮状態のシステムの周囲は、平面に投影したときにそれぞれ少なくとも2 cmの長さの2つの垂直寸法を有する。この2つの垂直寸法は、独立して約2 cm~約7 cm、約2 cm~約6 cm、約2 cm~約5 cm、約2 cm~約4 cm、約2 cm~約3 cm、約3 cm~約7 cm、約3 cm~約6 cm、約3 cm~約5 cm、約3 cm~約4 cm、約4 cm~約7 cm、約4 cm~約6 cm、約4 cm~約5 cm、または約4 cm~約4 cmの長さを有してもよい。これらの寸法は、胃内滞留システムが幽門括約筋を通過するのを防ぐ。N個のアーム(Nは3以上、たとえばN = 6)を有する星形の重合体の場合、アームは、システムが少なくとも2つの垂直寸法を有し、それぞれが上記の長さになるような寸法を有してもよい。胃内滞留システムの保持を促すためにこれらの2つの垂直寸法を上記のように選択する。
システムは、所望の滞留時間(滞留期間)の終わりに最終的に胃で分解するように設計され、その時点では、システムの残りの部品は幽門括約筋、小腸、および大腸を通過できる寸法である。最後に、排便により、または最終的に小腸および大腸でシステムが完全に溶解することにより、システムは体から排出される。したがって、連結重合体または崩壊基質は、連結重合体または崩壊基質が破断あるいは溶解する所望の滞留期間の終わりに、胃内滞留システムの連結されていない部品が幽門括約筋を通過して消化管から排出されるのに適した寸法を有するような構成で本発明の胃内滞留システムに配置される。
滞留時間
胃内滞留システムの滞留時間は、胃へのシステムの投与と胃からのシステムの排出との間の時間として定義される。一実施態様では、胃内滞留システムは約24時間または最大約24時間の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約48時間または最大約48時間の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約72時間または最大約72時間の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約96時間または最大約96時間の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約5日または最大約5日の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約6日または最大約6日の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約7日(約1週間)または最大約7日(約1週間)の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約10日または最大約10日の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約14日(約2週間)または最大約14日(約2週間)の滞留時間を有する。
一実施態様では、胃内滞留システムは約24時間~約7日の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約48時間~約7日の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約72時間~約7日の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約96時間~約7日の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約5日~約7日の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約6日~約7日の滞留時間を有する。
一実施態様では、胃内滞留システムは約24時間~約10日の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約48時間~約10日の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約72時間~約10日の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約96時間~約10日の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約5日~約10日の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約6日~約10日の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約7日~約10日の滞留時間を有する。
一実施態様では、胃内滞留システムは約24時間~約14日の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約48時間~約14日の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約72時間~約14日の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約96時間~約14日の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約5日~約14日の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約6日~約14日の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約7日~約14日の滞留時間を有する。一実施態様では、胃内滞留システムは約10日~約14日の滞留時間を有する。
胃内滞留システムは、システムが胃内に滞留する滞留時間または滞留期間の少なくとも一部の間に、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約25%の間、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約50%の間、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約60%の間に治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約70%の間に治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約75%の間に治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約80%の間、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約85%の間、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約90%の間、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約95%の間、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約98%の間、治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。一実施態様においては、システムは、滞留時間の少なくとも約99%の間に治療上有効な量の薬剤(またはその塩)を放出する。
放出特性の評価
セグメント、アーム、および胃内滞留システムからの薬剤の放出特性を様々な検定で評価することができる。薬剤放出に関する検定について実施例に詳細に記載する。セグメント、アーム、または胃内滞留システムを液体、たとえば水、0.1NのHCl、絶食状態の模擬胃液(FaSSGF)、または摂食状態の模擬胃液(FeSSGF)に浸漬して、セグメント、アーム、および胃内滞留システムからの生体外での薬剤放出を測定することができる。放出検定には絶食状態の模擬胃液(FaSSGF)が好ましい。模擬胃液とは、絶食状態模擬胃液(FaSSGF)または摂食状態模擬胃液(FeSSGF)のいずれかを示し、模擬胃液(SGF)で測定することが制限されている場合、その制限は、絶食状態模擬胃液(FaSSGF)または摂食状態模擬胃液(FeSSGF)のどちらかが成立すれば満たされることになる。例えば、あるセグメントが模擬胃液中で最初の24時間に少なくとも10%の薬剤を放出すると示された場合、そのセグメントが絶食状態の模擬胃液中で最初の24時間に少なくとも10%の薬剤を放出する場合、またはそのセグメントが摂食状態の模擬胃液中で最初の24時間に少なくとも10%の薬剤を放出する場合、この制限が成立する。
一般に、セグメント、アーム、または胃内滞留システムを40%のエタノールおよび60%の絶食状態の模擬胃液の溶液に1時間浸漬した後に同じセグメント、アーム、または胃内滞留システムを100%の絶食状態の模擬胃液に残りの試験期間にわたり浸漬し、適切な時点での薬剤の放出を測定して、エタノール中の爆発的放出を測定する。この試験は、本発明の胃内滞留システムを胃に配備した患者によるアルコール飲料の消費の影響をシミュレートするために設計されている。
セグメント、アーム、または胃内滞留システムを用いて生体外試験を行うことができるが、放出特性を迅速に評価するにはセグメントを生体外試験に用いるのが最も便利である。異なる条件(100%FaSSGFでの放出と40%エタノール/60%FaSSGFでの放出など)での放出速度を比較するために生体外試験を行う場合、比較溶液を同じ温度、たとえば室温、25℃、または37℃に保つ。比較には、室温(周囲温度)が好ましい温度である。一実施態様では、周囲温度は、20℃を下回ったり25℃を超えたりしない(ただし、20℃~25℃で変動してもよい)。
生体内試験は、イヌ(例えば、ビーグル犬やハウンド犬)およびブタのような動物で実施することができる。生体内試験には胃内滞留システムが使用される、というのは個々のセグメントまたはアームは動物の胃に保持されないはずだからである。血液試料は適切な時点で得ることができ、所望により、胃内容物はカニューレまたは他の技術により採取することができる。
適切な法律、規制、機関指針に従って実施されるヒトでの臨床試験もまた、生体の内データを提供する。
胃内滞留システムの胃内送達薬物動態
本発明の胃内滞留システムは、システムの投与後に血漿中濃度曲線下面積(AUCinf)で測定した場合に、薬剤の従来の経口製剤の生体利用度に対して高い薬剤の生体利用度を提供する。システムはさらに、薬剤のほぼ一定の血漿中濃度または実質的に一定の血漿中濃度の維持を提供する。
2種の異なる製剤、製剤Aおよび製剤Bの相対的生体利用度(FREL)を
FREL = 100 × (AUCA × 用量B)/(AUCB × 用量A)
と定義する。式中、AUCAは製剤Aの曲線下面積、AUCBは製剤Bの曲線下面積であり、用量Aは使用する製剤Aの投薬量、用量Bは使用する製剤Bの投薬量である。同じ時点での製剤の相対的な生体利用度を得るため、通常、各製剤の投与後の同じ時間(t)に時間に対する薬剤の血漿中濃度のプロットに関する曲線下面積AUCを測定する。AUCinfは、「無限」時間、すなわち最初の投与に始まり薬剤の血漿中濃度が無視できる量まで下がったところで終わる期間にわたって測定あるいは計算されたAUCを指す。
一実施態様では、本発明の胃内滞留システムにより提供される実質的に一定の薬剤血漿中濃度は、従来の経口製剤で一日1回投与した場合の薬剤血漿中濃度のトラフ値(すなわち、即時放出製剤で一日1回投与される薬剤の最小血中濃度(Cmin))以上、従来の経口製剤で一日1回投与した場合のピーク薬剤血漿中濃度(すなわち、即時放出製剤で一日1回投与される薬剤の最大血中濃度(Cmax))以下の範囲であってもよい。実施態様によっては、本発明の胃内滞留システムにより提供される実質的に一定の薬剤血漿中濃度は、従来の経口製剤で一日1回投与した場合のピーク薬剤血漿中濃度(すなわち、即時放出製剤で一日1回投与した場合の薬剤のCmax)の約50%~約90%であってもよい。本発明の胃内滞留システムにより提供される実質的に一定の薬剤血漿中濃度は、従来の経口製剤で一日1回投与した場合の平均薬剤血漿中濃度(すなわち、即時放出製剤で一日1回投与した場合の薬剤のCave)の約75%~約125%であってもよい。本発明の胃内滞留システムにより提供される実質的に一定の薬剤血漿中濃度は、従来の経口製剤で一日1回投与した場合の薬剤血漿中濃度のトラフ値(すなわち、即時放出製剤で一日1回投与した場合の薬剤のCmin)以上、たとえばCminの約100%~約150%であってもよい。
本発明の胃内滞留システムにより、同量の薬剤を含む即時放出形態により得られる生体利用度の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%の、システムから放出される薬剤の生体利用度を提供する。上記のように、血漿中濃度-時間曲線下面積(AUCinf)で生体利用度を測定する。
胃内滞留システムの溶解特性、生体利用度、および薬物動態
溶解:本明細書に記載の胃内滞留システムは、長期間にわたり薬剤またはその薬学的に許容される塩の安定な放出を提供する。胃内に滞留している期間中、治療有効量の薬剤またはその塩を放出するようにシステムを設計する。薬剤(またはその塩)の放出を生体外または生体内で測定し、特定の環境における所定の滞留システムからの薬剤(またはその塩)の溶解特性(溶出特性、放出速度)を確立することができる。システムに存在する薬剤(またはその塩)の元の量のうちの所定の期間にシステムから溶出する割合で溶解特性を特定することができる。
したがって、実施態様によっては、胃内滞留システムに含まれる薬剤(またはその塩)は、所定の環境で0~24時間の間に10~20%の放出という溶解特性を有してもよい。すなわち、胃内滞留システムを目的の環境に最初に導入した後24時間の期間で、システムに含まれる初期の薬剤(またはその塩)の10~20%がシステムから溶出する。
目的の環境は、1)患者の胃(すなわち、生体内環境)であっても2)模擬胃液(すなわち、生体外環境)であってもよい。
本発明の胃内滞留システムは、システムの投与後にAUCinfで測定した場合に、薬剤(またはその塩)の従来の経口製剤の生体利用度に対して高い薬剤(またはその塩)の生体利用度を提供する。システムはさらに、薬剤(またはその塩)の実質的に一定の血漿中濃度の維持を提供する。
放出に関する目的の変数としては、胃内滞留システムの滞留期間にわたる放出の線形性、滞留期間にわたる放出の標準偏差(放出の線形性に関連し、標準偏差ゼロは放出が全滞留期間にわたり線形であることを示す)、滞留の最初の6時間にわたる放出(すなわち、最初の投与時の爆発的放出)、および滞留期間にわたる薬剤(またはその塩)の総放出が挙げられる。好ましい滞留期間は7日であるが、他の期間、たとえば2日、3日、4日、5日、6日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日などが有用な可能性がある。
滞留期間中の薬剤(またはその塩)放出の線形性は、24時間の滞留期間ごとに放出される量を指す。7日間の滞留期間の場合、およそその量の薬剤(またはその塩)が毎日放出される(すなわち、薬剤(またはその塩)放出の線形性が最大化する)ことが望ましい。これにより、滞留期間中の一日の薬剤または薬剤塩の放出の標準偏差は最小になる。実施態様によっては、胃内放出システムは、滞留期間中、約100%未満、約90%未満、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、または約5%未満の一日の薬剤(またはその塩)放出の変動(または標準偏差)を有する。実施態様によっては、滞留期間は約3日、約7日、約10日、または約2週間であってもよい。
予測可能かつ安定な放出特性を維持するには、爆発的放出、すなわち、滞留初期(胃内滞留システムの投与後6時間、12時間、または24時間など)の放出を最小にするのが望ましい。Tを滞留期間の薬剤(またはその塩)の総放出(質量単位)、Dを滞留期間の日数とすると、完全に線形の放出は、一日あたり約T/D質量の薬剤(またはその塩)が放出されることを意味する。爆発的放出が測定される期間が最初の6時間である場合、線形の放出特性の結果、最初の6時間で放出される薬剤(またはその塩)は0.25 x T/D質量になる。D日間の滞留期間に放出された薬剤(またはその塩)の総量の割合に関して、線形の放出は、一日あたり約100/D%の薬剤(またはその塩)であり、最初の6時間の線形の放出は25/D%である(なお、この文脈での100%は、最初の製剤に含まれる薬剤(またはその塩)の量に関係なく、放出される薬剤(またはその塩)の総量を示す。したがって、7日間の滞留期間の場合、最初の6時間の線形の放出は、7日の期間で放出される薬剤(またはその塩)の総量の約3.6%である。
実施態様によっては、投与後最初の6時間の滞留の間、胃内滞留システムはD日の滞留期間で放出される薬剤(もしくはその塩)の総質量TのT/Dの約0.2~約2倍、またはD日の滞留期間で放出される薬剤(もしくはその塩)の総質量TのT/Dの約0.2~約1.75倍、またはD日の滞留期間で放出される薬剤(もしくはその塩)の総質量TのT/Dの約0.2~約1.5倍、またはD日の滞留期間で放出される薬剤(もしくはその塩)の総質量TのT/Dの約0.2~約1.25倍、またはD日の滞留期間で放出される薬剤(もしくはその塩)の総質量TのT/Dの約0.2~約1倍、またはD日の滞留期間で放出される薬剤(もしくはその塩)の総質量TのT/Dの 約0.2~約0.8倍、またはT/Dの約0.2~約0.75倍、またはT/Dの約0.2~約0.7倍、またはT/Dの約0.2~約0.6倍、またはT/Dの約0.2~約0.5倍、またはT/Dの約0.2~約0.4倍、またはT/Dの約0.2~約0.3倍、またはT/Dの約0.25~約2倍、またはT/Dの約0.3~約2倍、またはT/Dの約0.4~約2倍、またはT/Dの約0.5~約2倍、またはT/Dの約0.6~約2倍、またはT/Dの約0.7~約2倍、またはT/Dの約0.25~約1.5倍、またはT/Dの約0.3~約1.5倍、またはT/Dの約0.4~約1.5倍、またはT/Dの約0.5~約1.5倍、またはT/Dの約0.6~約1.5倍、またはT/Dの約0.7~約1.5倍、またはT/Dの約0.25~約1.25倍、またはT/Dの約0.3~約1.25倍、またはT/Dの約0.4~約1.25倍、またはT/Dの約0.5~約1.25倍、またはT/Dの約0.6~約1.25倍、またはT/Dの約0.7~約1.25倍、またはT/Dの約0.25~約1倍、またはT/Dの約0.3~約1倍、またはT/Dの約0.4~約1倍、またはT/Dの約0.5~約1倍、またはT/Dの約0.6~約1倍、またはT/Dの約0.7~約1倍、またはT/Dの約0.25倍、またはT/Dの約0.25~約0.8倍、またはT/Dの約0.3~約0.8倍、またはT/Dの約0.4~約0.8倍、またはT/Dの約0.5~約0.8倍、またはT/Dの約0.6~約0.8倍、またはT/Dの約0.7~約0.8倍、またはT/Dの約0.8倍、T/Dの約1倍、T/Dの約1.25倍、T/Dの約1.5倍、またはT/Dの約2倍を放出する。
胃内滞留システムの実施態様によっては、投与後最初の6時間の滞留の間、胃内滞留システムは、滞留期間に放出される薬剤(またはその塩)の総質量の約2%~約10%、または約3%~約10%、または約4%~約10%、または約5%~約10%、または約6%~約10%、または約7%~約10%、または約8%~約10%、または約9%~約10%、または約2%~約9%、または約2%~約8%、または約2%~約7%、または約2%~約6%、または約2%~約5%、または約2%~約4%、または約2%~約3%を放出する。
胃内滞留システムの実施態様によっては、胃内滞留システムが約7日の滞留期間を有する場合、投与後最初の6時間の滞留の間、胃内滞留システムは、7日間の滞留期間に放出される薬剤(またはその塩)の総質量の約2%~約10%、または約3%~約10%、または約4%~約10%、または約5%~約10%、または約6%~約10%、または約7%~約10%、または約8%~約10%、または約9%~約10%、または約2%~約9%、または約2%~約8%、または約2%~約7%、または約2%~約6%、または約2%~約5%、または約2%~約4%、または約2%~約3%を放出する。
実施態様によっては、投与後最初の24時間の滞留の間、胃内滞留システムは、滞留期間に放出される薬剤(またはその塩)の総質量の約10%~約35%、または約10%~約30%、または約10%~約25%、または約10%~約20%、または約10%~約15%、または約15%~約35%、または約15%~約35%、または約15%~約30%、または約20%~約30%、または約25%~約35%、または約25%~約30%、または約30%~約35%を放出する。
実施態様によっては、胃内滞留システムが約7日の滞留期間を有する場合、投与後最初の24時間の滞留の間、胃内滞留システムは、7日間の滞留期間に放出される薬剤(またはその塩)の総質量の約10%~約35%、または約10%~約30%、または約10%~約25%、または約10%~約20%、または約10%~約15%、または約15%~約35%、または約15%~約35%、または約15%~約30%、または約20%~約30%、または約25%~約35%、または約25%~約30%、または約30%~約35%を放出する。
弾性体
弾性体(弾性重合体または伸長性重合体ともいう)により、胃内滞留システムを(たとえば折り畳むまたは押し込めることにより)圧縮して、圧縮されたシステムを含む容器またはカプセルの嚥下による胃への投与に適した形態にすることができる。カプセルが胃内で溶けると、胃内滞留システムは拡張し、所望のシステム滞留期間の間、システムが患者の幽門括約筋を通過できないような形状になる。したがって、弾性体は、妥当な貯蔵寿命の間カプセル内に圧縮構成で保存することができ、カプセルから放出されると元の形状またはほぼ元の形状に拡張することができなければならない。一実施態様では、弾性体はシリコーン弾性体である。一実施態様では、弾性体は液体シリコーンゴム(LSR)、たとえばDow Corning QP-1液体シリコーンゴムキットで販売されているものなどで形成される。一実施態様では、弾性体は、架橋ポリカプロラクトンである。一実施態様では、弾性体は腸溶性重合体、たとえば腸溶性重合体の表に列挙されているものなどである。実施態様によっては、システムに用いられる連結重合体も弾性体である。弾性体は、胃内滞留システムの星形すなわち星状体設計の中心重合体としての使用に好ましい。
一実施態様では、連結重合体および弾性体をいずれも腸溶性重合体とすることにより、システムが腸に入ったとき、または患者がシステムの通過を促すためにやや塩基性の溶液を飲んだときに、システムをより完全に破断して担持重合体-薬剤部品にする。
使用することができる弾性体の例としては、Dow Corning QP-1キットを使用して形成されたものなどのシリコーン、ウレタン架橋ポリカプロラクトン、ポリ(アクリロイル6-アミノカプロン酸)(PA6ACA)、ポリ(メタクリル酸-co-アクリル酸エチル)(EUDRAGIT L 100-55)、およびポリ(アクリロイル6-アミノカプロン酸)(PA6ACA)とポリ(メタクリル酸-co-アクリル酸エチル)(EUDRAGIT L 100-55)の混合物が挙げられる。
柔軟な連結重合体、すなわち弾性体連結重合体または弾性体を胃内滞留システムの星形または星状体設計の中心重合体として用いる。星状体または星形構成の中心弾性体として用いるのに特に好ましい弾性体はシリコーンゴムである。液体シリコーンゴム(LSR)を所望の形状に容易に成形し硬化させることができる。架橋ジメチルおよびメチルビニルシロキサン共重合体ならびに強化シリカを含むDow Corning QP-1シリーズは、このようなシリコーンゴム重合体の例である(たとえば、ウェブサイトwww.dowcorning.com/DataFiles/090276fe8018ed07.pdfを参照のこと)。次に、非分割のアーム、または担持重合体-薬剤部品のセグメントを含むアームを、中心シリコーンゴム弾性体に取り付けることができる。星状体設計の中心弾性体として用いることができる別の弾性体は架橋ポリカプロラクトンである。
胃内滞留システムの具体的な構成は国際特許出願第WO2017/100367号に開示されており、これらの構成のいずれも、本明細書に開示の胃内滞留システムに使用することができる。

セグメントおよびアーム(担持重合体-薬剤部品)用の担持重合体
胃内滞留システムのセグメントおよびアームは、胃内環境で胃内滞留システムから溶出する薬剤(または薬剤の薬学的に許容される塩)を含む担持重合体-薬剤部品を含む。薬剤を担持重合体に配合し、担持重合体-薬剤混合物を形成する。この混合物を、担持重合体-薬剤部品としてシステムに用いるために所望の1つ以上の形状に形成することができる。薬物または薬物塩を担持重合体に配合して担持重合体-薬物混合物を形成した後、配合済み混合物全体に薬物または薬物塩を分布あるいは分散させる。賦形剤、酸化防止剤、または他の成分を担持重合体-薬物配合物に含める場合、それらも配合済み混合物全体に分布または分散させる。
胃内滞留システムにおける薬剤またはその薬学的に許容される塩に対する担持材料の選択は、胃内滞留期間中の薬物の放出特性に影響する。ホットメルト押出または3D印刷技術を用いる押出ができるように、担持重合体は熱可塑性であってもよい。また、求められる形状に押出できるように、担持重合体は十分に高い溶融強度および粘度を有してもよい。製造中に薬剤または薬物が高温にさらされるのを防ぐために、担持重合体は低い融点を有してもよい(たとえば、約120℃未満)。所望の滞留期間の間、胃内で破断するのを避けるために、担持重合体は十分な機械的強度(ヤング率、圧縮強度、引張強度)を有してもよい。さらに担持重合体は、薬剤、治療薬、薬物、賦形剤、分散剤、および他の添加剤との安定な配合物を形成することができなければならない。
本発明に用いるのに適した模範的な担持重合体としては、限定されないが、親水性セルロース誘導体(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウム-カルボキシメチルセルロース)、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルピロリドン、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、カルボキシビニル重合体(カルボマー)、Carbopol(登録商標)酸性カルボキシ重合体、ポリカルボフィル、ポリエチレンオキシド(Polyox WSR)、多糖類およびその誘導体、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、キトサン、アルギン酸塩、ペクチン、アカシア、トラガカンス、グアーガム、ローカストビーンガム、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、デキストラン、天然ガム、寒天、アガロース、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、フコイダン、フルセララン、ラミナラン、イバラノリ属、キリンサイ属、アラビアガム、ガティガム、カラヤガム、アルビノガラクタン、アミロペクチン、ゼラチン、ジェラン、ヒアルロン酸、プルラン、スクレログルカン、キサンタン、キシログルカン、無水マレイン酸共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリメタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸アンモニオ共重合体(Eudragit RLまたはEudragit RSなど)、ポリ(アクリル酸エチル-メタクリル酸メチル)(Eudragit NE)、Eudragit E(メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよび中性メチルアクリル酸エステルに基づく陽イオン性共重合体)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチルなどのポリメタクリル酸/ポリエタクリル酸エステル、ポリカプロラクトンなどのポリラクトン、ポリ[ビス-(p-カルボキシフェノキシ)-プロパン無水物]、ポリテレフタル酸無水物などのポリ無水物、ポリリジン、ポリグルタミン酸などのポリペプチド、DETOSUとジオール(たとえばヘキサンジオール、デカンジオール、シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールなど)との共重合体などのポリ(オルトエステル)(米国特許第4,304,767号に記載・開示されるポリオルトエステルは参照により本明細書に組み込まれる)、デンプン、特にアルファ化デンプン、およびデンプン系の重合体、カルボマー、マルトデキストリン、アミロマルトデキストリン、デキストラン、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリエチレンイミン、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリヒドロキシアルカノアート、ポリヒドロキシブチラート、ポリ(エチレン-co-酢酸ビニル)、ならびにそれらの共重合体、混合物、配合物、および組合せが挙げられる。ポリカプロラクトン(PCL)および/または熱可塑性ポリウレタンが好ましい担持重合体である。実施態様によっては、ポリジオキサノンを担持重合体として用いる。胃内滞留システムの実施態様のいずれかにおいて、胃内滞留システムに用いられる担持重合体はポリカプロラクトン、例えば、約60キロダルトン(kDa)~約100 kDa、75 kDa~85 kDa、約80 kDa、約45 kDa~約55 kDa、約50 kDa~約110,000 kDa、または約80 kDa~約110,000 kDaの間の数平均分子量(Mn)の範囲を有する直鎖状ポリカプロクトンを含む。
さらに、担持重合体-薬剤部品に含まれる様々な賦形剤により薬物の放出を調節することができる。可溶性の賦形剤としては、P407、Eudragit E、PEG、ポリビニルピロリドン(PVP)、およびポリビニルアルコール(PVA)が挙げられる。不溶性の導水型の賦形剤としては、Eudragit RSおよびEudragit RLが挙げられる。分解性の賦形剤としては、PLA、PLGA、PLA-PCL、ポリジオキサノン、ならびにカプロラクトンとグリコリドの線状共重合体;グリコリド、カプロラクトン、およびトリメチレンカルボナートの多軸ブロック共重合体;グリコリド、トリメチレンカルボナート、およびラクチドの多軸ブロック共重合体;グリコリド、トリメチレンカルボナート、およびコハク酸ポリプロピレンの多軸ブロック共重合体;カプロラクトン、ラクチド、グリコリド、およびトリメチレンカルボナートの多軸ブロック共重合体;グリコリド、トリメチレンカルボナート、およびカプロラクトンの多軸ブロック共重合体;ならびにラクチド、カプロラクトン、およびトリメチレンカルボナートの線状ブロック共重合体が挙げられ、たとえば、カプロラクトン(95%)とグリコリド(5%)の線状共重合体;グリコリド(68%)、カプロラクトン(29%)、およびトリメチレンカルボナート(3%)の多軸ブロック共重合体;グリコリド(86%)、トリメチレンカルボナート(9%)、およびラクチド(5%)の多軸ブロック共重合体;グリコリド(70%)、トリメチレンカルボナート(27%)、およびコハク酸ポリプロピレン(2%)の多軸ブロック共重合体;カプロラクトン(35%)、ラクチド(34%)、グリコリド(17%)、およびトリメチレンカルボナート(14%)の多軸ブロック共重合体;グリコリド(55%)、トリメチレンカルボナート(25%)、およびカプロラクトン(20%)の多軸ブロック共重合体;ならびにラクチド(39%)、カプロラクトン(33%)、およびトリメチレンカルボナート(28%)の線状ブロック共重合体などが挙げられる。不溶性の膨潤型の賦形剤としては、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、クロスポピドン、クロスカルメロース、HPMCAS、ならびにジオキサノンとエチレングリコールの線状ブロック共重合体;ラクチドとエチレングリコールの線状ブロック共重合体;ラクチド、エチレングリコール、トリメチルカルボナート、およびカプロラクトンの線状ブロック共重合体;ラクチド、グリコリド、およびエチレングリコールの線状ブロック共重合体;グリコリド、ポリエチレングリコール、およびエチレングリコールの線状ブロック共重合体が挙げられ、たとえば、ジオキサノン(80%)とエチレングリコール(20%)の線状ブロック共重合体;ラクチド(60%)とエチレングリコール(40%)の線状ブロック共重合体;ラクチド(68%)、エチレングリコール(20%)、トリメチルカルボナート(10%)、およびカプロラクトン(2%)の線状ブロック共重合体;ラクチド(88%)、グリコリド(8%)、およびエチレングリコール(4%)の線状ブロック共重合体;グリコリド(67%)、ポリエチレングリコール(28%)、およびエチレングリコール(5%)の線状ブロック共重合体が挙げられる。界面活性剤としては、レシチン、タウロコール酸塩、SDS、Soluplus、脂肪酸、およびKolliphor RH40が挙げられる。
他の賦形剤を担持重合体に添加して、薬剤の放出を調節してもよい。そのような賦形剤を、約1%~75%、約5%~50%、または約5%もしくは約30%の量で添加してもよい。このような賦形剤の例としては、Poloxamer 407 (Kolliphor P407として入手可能、Sigmaカタログ番号62035)、ポリエチレングリコール-block-ポリプロピレングリコール-block-ポリエチレングリコール、CAS番号9003-11-6;H-(OCH2CH2)x-(O-CH(CH3)CH2)y-(OCH2CH2)z-OH (xおよびzは約101であり、yは約56である);Pluronic P407;Eudragit E、Eudragit EPO(Evonikから入手可能);ヒプロメロース(Sigmaから入手可能、カタログ番号H3785)、Kolliphor RH40(Sigmaから入手可能、カタログ番号07076)、ポリビニルカプロラクタム、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、およびSoluplus(BASFから入手可能、ポリビニルカプロラクタム、ポリ酢酸ビニル、およびポリエチレングリコールの共重合体)が挙げられる。好ましい可溶性賦形剤には、Eudragit E、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、およびポリビニルアルコール(PVA)が含まれる。好ましい不溶性賦形剤には、Eudragit RSおよびEudragit RLが含まれる。好ましい不溶性膨潤性賦形剤としては、クロスポビドン、クロスカルメロース、酢酸コハク酸ヒプロメロース(HPMCAS)、およびカーボポールが挙げられる。EUDRAGIT RSおよびEUDRAGIT RLは、Evonik(Darmstadt、ドイツ)のアクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよび第4級アンモニウム基を有するメタクリル酸エステル(メタクリル酸トリメチルアンモニオエチル塩化物)の共重合体の登録商標で、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸トリメチルアンモニウムニオエチルのモル比は、EUDRAGIT RLで約1:2:0.2、Eudragit(登録商標) RSでは約1:2:0.1である。好ましい不溶性で膨潤性の賦形剤としては、クロスポビドン、クロスカルメロース、酢酸コハク酸ヒプロメロース(HPMCAS)、カーボポール、およびジオキサノンとエチレングリコールの線状ブロック共重合体、ラクチドとエチレングリコールの線状ブロック共重合体、ラクチド、エチレングリコール、炭酸トリメチル、およびカプロラクトンの線状ブロック共重合体;ラクチド、グリコリド、およびエチレングリコールの線状ブロック共重合体;グリコリド、ポリエチレングリコール、およびエチレングリコールの線状ブロック共重合体、例えば、ジオキサノン(80%)とエチレングリコール(20%)の線状ブロック共重合体、ラクチド(60%)とエチレングリコール(40%)の線状ブロック共重合体;ラクチド(68%)、エチレングリコール(20%)、炭酸トリメチル(10%)、およびカプロラクトン(2%)の線状ブロック共重合体、ラクチド(88%)、グリコリド(8%)、エチレングリコール(4%)の線状ブロック共重合体、ならびにグリコリド(67%)、ポリエチレングリコール(28%)、エチレングリコール(5%)の線状ブロック共重合体が挙げられる。
胃内滞留システムのセグメントで使用できる賦形剤のさらなる例を、以下の賦形剤表に示す。
Figure 2022553867000002
担持重合体-薬剤または担持重合体-薬剤塩の配合物は、様々な賦形剤および他の添加剤を含むことができる。以下のCPE表1は、胃内滞留システムのアームまたはアームのセグメントを構成する組成物において薬剤またはその塩および担持重合体と組み合わせて用いることができる賦形剤および他の添加剤の組合せを示す。薬剤またはその塩(薬剤または薬剤塩は組成物の重量で約10%~約60%を構成する)、および組成物の残りの部分を構成するポリカプロラクトンなどの担持重合体と組み合わせて、これらの賦形剤および他の添加剤を用いることができる。賦形剤としては、組成物の重量で約1%~約30%の範囲(約5%~約20%など)の量で個別にまたは任意の組合せで用いることができる以下のもの、すなわち、Kolliphor P407(Poloxamer 407、ポリエチレングリコール-block-ポリプロピレングリコール-block-ポリエチレングリコール)、Eudragit RS(ポリ[アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、塩化メタクリル酸トリメチルアンモニオエチル] 1:2:0.1)、Eudragit RL(ポリ[アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、塩化メタクリル酸トリメチルアンモニオエチル] 1:2:0.2)、PDO(ポリジオキサノン)、PEG-PCL、SIF(BioRelevantのFaSSIF/FaSSGF粉末)、EPO(メタクリル酸ジメチルアミノエチル-メタクリル酸ブチル-メタクリル酸メチル共重合体)、Kollidon VA64 (ビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体(質量比6: 4))、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリジンが挙げられる。
他の添加剤としては、二酸化ケイ素(たとえば、組成物の重量で約0.1%~約5%、たとえば約0.1%~1%または約0.5%を構成する)および酸化防止剤、たとえばアルファトコフェロール(たとえば、組成物の重量で約0.1%~約5%、たとえば約0.1%~1%または約0.5%を構成する)が挙げられる。下の表の各行は、担持重合体および薬剤またはその塩と共に使用される賦形剤および他の添加剤の配合を表す。
Figure 2022553867000003
CPE表2は、胃内滞留システムのアームまたはアームのセグメントを構成する組成物で薬剤またはその塩および担持重合体と組み合わせて用いることができる賦形剤および他の添加剤の特定の量を示す。
CPE表2に示す量は、各成分の±20%だけ変動してもよい(たとえば、0.5%シリカは、0.5%の20%は0.1%であるから、0.4%~0.6%シリカで変動してもよい)。下の表の各行は、担持重合体および薬剤またはその塩と共に使用される賦形剤および他の添加剤の配合を表す。
Figure 2022553867000004
Figure 2022553867000005
胃腸管にまたは胃腸管を介して投与することができる薬剤(たとえば医薬品有効成分、治療薬)を本発明の胃内滞留システムに使用することができる。薬剤は、担持重合体、および担持重合体に対する他の賦形剤または他の添加剤とブレンドされ、胃内滞留システムで使用されるセグメントに形成される。薬剤には、薬物、プロドラッグ、生物処方、および病気または傷害に対して有益な効果をもたらすために投与することができる他の任意の物質が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の胃内滞留システムに使用することができる薬剤としては、ロスバスタチンなどのスタチン;メロキシカムなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);エスシタロプラムおよびシタロプラムなどの選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI);クロピドグレルなどの抗凝血剤;プレドニゾンなどのステロイド;アリピプラゾールおよびリスペリドンなどの抗精神病薬;ブプレノルフィンなどの鎮痛薬;ナロキソンなどのオピオイド拮抗薬;モンテルカストなどの抗喘息薬;メマンチンなどの抗認知症薬;ジゴキシンなどの強心配糖体;タムスロシンなどのアルファ遮断薬;エゼチミブなどのコレステロール吸収阻害剤;コルヒチンなどの痛風予防治療薬;ロラタジンおよびセチリジンなどの抗ヒスタミン薬;ロペラミドなどのオピオイド;オメプラゾールなどのプロトンポンプ阻害剤;エンテカビルなどの抗ウイルス剤;ドキシサイクリン、シプロフロキサシン、アジスロマイシンなどの抗生剤;抗マラリア剤;レボチロキシン;メタドンおよびバレニクリンなどの薬物乱用治療薬;避妊薬;カフェインなどの刺激物質;葉酸、カルシウム、ヨウ素、鉄、亜鉛、チアミン、ナイアシン、ビタミンC、ビタミンD、ビオチン、植物抽出物、植物ホルモン、その他のビタミンやミネラルなどの栄養素が挙げられる。本発明の胃内滞留システムで薬剤として使用することができる生物学的製剤としては、タンパク質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、およびホルモンが挙げられる。薬剤の例示的なクラスには、鎮痛剤、抗痛剤、抗炎症剤、抗うつ剤、抗てんかん剤、抗精神病剤、神経保護剤、抗癌剤などの抗増殖剤、抗ヒスタミン剤、抗片頭痛剤、ホルモン、プロスタグランジン、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤などの抗菌剤、抗ムスカリン剤、抗不安剤、静菌剤、免疫抑制剤、鎮静剤、催眠剤、抗精神病薬、気管支拡張剤、抗喘息薬、循環器系薬剤、麻酔薬、抗凝固剤、酵素阻害剤、ステロイド剤、ステロイドまたは非ステロイド系抗炎症剤、副腎皮質ホルモン、ドーパミン作動薬、電解質、胃腸薬、筋弛緩剤、栄養剤、ビタミン、副交感神経刺激剤、興奮剤、鎮痛剤、抗不随意運動薬 および抗マラリア薬(キニーネ、ルメファントリン、クロロキン、アモジアキン、ピリメタミン、プログアニル、クロルプログアニル・ダプソン、スルホンアミド(スルファドキシン、スルファメトキシピリダジンなど)、メフロキン、アトバコン、プリマキン、ハロファントリン、ドキシサイクリン、クリンダマイシン、アルテミシニン、およびアルテミシニン誘導体(アルテメター、ジヒドロアルテミシニン、アルテエーテル、アルテスネートなど)が含まれるが、これらに限定されない。用語「薬剤」は、前述の物質の塩、溶媒和物、多形体、および共結晶を含む。実施態様によっては、セチリジン、ロスバスタチン、エスシタロプラム、シタロプラム、リスペリドン、オランザピン、ドネペジル、およびイベルメクチンからなる群から薬剤を選択する。実施態様によっては、薬剤は、抗精神病薬または抗認知症薬など精神神経障害の治療に使用される薬剤、たとえばメマンチンである。
実施態様によっては、薬剤はアダマンタン属の薬物を除外してもよい。実施態様によっては、薬剤は、メマンチン、アマンタジン、アダプロミン、ニトロメマンチン、リマンタジン、ブロマンタン、ネラメキサン、もしくはトロマンタジン、またはメマンチン、アマンタジン、アダプロミン、ニトロメマンチン、リマンタジン、ブロマンタン、もしくはトロマンタジンの薬学的に許容される塩のいずれか1種以上を除外してもよい。実施態様によっては、薬剤はメマンチンを除外してもよい。実施態様によっては、薬剤はメマンチンの塩またはメマンチンの薬学的に許容される塩を除外してもよい。
薬剤は、本発明の胃内滞留システムにおいて任意の適切な結晶形態、非晶形態、または結晶形態および非晶形態の両方で使用することができる。すなわち、胃内滞留システムに含まれる薬剤または薬物粒子は、結晶形態、非晶形態、または結晶形態(単一の結晶形態または複数の結晶形態)と非晶形態の混合物として使用することができ、所望の放出速度または所望の物理的もしくは化学的特性を提供する。
胃内滞留システムは、患者の投薬遵守が困難な疾患および障害の治療に使用するのに非常に適しており、したがって、実施態様によっては、患者の投薬計画の順守が問題である疾患または障害を治療するために胃内滞留システムを用いる。そのような疾患および障害としては、精神神経疾患および障害、認知症ならびに記憶に影響を与える他の疾患および障害、アルツハイマー病、精神病、統合失調症、妄想症が挙げられる。したがって、胃内滞留システムに使用することができる薬剤としては、抗認知症薬、抗アルツハイマー病薬、および抗精神病薬が挙げられるが、これらに限定されない。
システムに使用することができる模範的な親水性薬剤としては、リスペリドン、セチリジン、メマンチン、およびオランザピンが挙げられる。システムに使用することができる模範的な疎水性薬剤としては、アリピプラゾール、イベルメクチン、ロスバスタチン、シタロプラム、およびエスシタロプラムが挙げられる。
実施態様によっては、薬剤またはその塩(例えば、薬物)は、アームまたはセグメントの重量で約10%~約40%を占め、したがって、担持重合体および担持重合体に配合されるアームまたはセグメントの他の成分は、共にアームまたはセグメントの残部の重量を構成する。実施態様によっては、薬剤またはその塩は、重量でアームまたはセグメントの約10%~約35%、約10%~約30%、約10%~約25%、約10%~約20%、約10%~約15%、約15%~約40%、約20%~約40%、約25%~約40%、約30%~約40%、約35%~約40%、15%~約35%、約20%~約35%または約25%~約40%を構成する。
薬剤またはその塩がアームまたはセグメントの約40重量%超を構成する、アームまたはセグメントのさらなる実施態様について、以下の「アームおよびセグメントの薬剤高担持性」で説明する。
アームおよびセグメントの薬剤高担持性
本発明の実施態様によっては、アーム、またはアームを構成するセグメントは、薬剤またはその薬学的に許容される塩の高担持性を有することができる。「高担持性」は、一般に、薬剤またはその塩(たとえば薬物)がアームまたはセグメントの約40重量%超を構成し、したがって担持重合体、および担持重合体に配合される他の任意のアームまたはセグメントの構成成分がアームまたはセグメントの約60重量%未満を構成するようなアームまたはセグメントを意味する。担持重合体に配合されないアームまたはセグメント構成成分は重量パーセントの計算には含まれない。たとえば、アームのセグメント間に分散した1種以上の崩壊基質をアームが有する場合、そのような基質の重量は、アーム内の薬剤の重量パーセントの計算の際にアームの重量の一部として含まれない。薬剤の担持量が約60%に増加すると、薬剤を担持重合体に適切に配合することがますます難しくなり、薬剤と重合体の相分離が発生しやすくなる。したがって、アームまたはセグメントへの薬剤の担持量はアームの総重量の約60%を超えてはならない。
したがって、実施態様によっては、アームまたはアームを構成するセグメント内の薬剤の量は、重量で少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、または約60%を構成してもよい。実施態様によっては、アームまたはアームを構成するセグメント内の薬剤の量は、重量で約40%~約60%、約45%~約60%、約50%~約60%、約55%~約60%、約40%~約55%、約40%~約50%、または約40%~約45%を構成してもよい。実施態様によっては、アームまたはアームを構成するセグメント内の薬剤の量は、重量で約25%~約60%、約30%~約60%、または約35%~約60%を構成してもよい。実施態様によっては、アームまたはアームを構成するセグメント内の薬剤の量は、重量で約51%~約60%、約52%~約60%、約53%~約60%、約54%~約60%、約55%~約60%、約56%~約60%、または約57%~約60%を構成してもよい。実施態様によっては、薬剤または薬学的に許容されるその塩は、担持重合体の重量の約67%~約150%の重量で存在する。
薬剤または薬剤塩の高担持性と放出速度調整重合体フィルムとの組合せにより、システムの滞留期間にわたって良好な放出動態を維持しつつ、薬剤または薬剤塩の量が増加した胃内滞留システムを提供する。
重合体配合物の薬剤放出および安定性を調節するための分散剤
担持重合体-薬剤部品に分散剤を使用すると多くの利点が生み出される。担持重合体-薬剤部品からの薬剤の溶出速度は、以前に指摘されているように(それ自体が複数の高分子成分および非高分子成分を含んでもよい)担持重合体の組成および性質、薬剤の物理的・化学的性質、胃内環境などの多くの要因により影響を受ける。薬剤、特に親水性薬剤の爆発的放出を避け、有効放出期間または滞留期間にわたって薬剤の徐放を維持することがシステムの重要な特徴である。本発明による分散剤の使用により、より良好に放出速度を調整し爆発的放出を抑制することができる。様々な濃度の分散剤を用いて爆発的放出および放出速度を調整することができる。たとえば、様々な分散剤と様々な賦形剤を様々な濃度で用いて、模擬胃液中のセチリジンの爆発的放出を調整してもよい。
本発明で使用することができる分散剤としては、二酸化ケイ素(シリカ、SiO2)(親水性ヒューム)、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸マグネシウムなどのステアリン酸塩、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、疎水性コロイドシリカ、ヒプロメロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、リン脂質、ステアリン酸ポリオキシエチレン、酢酸亜鉛、アルギン酸、レシチン、脂肪酸、ラウリル硫酸ナトリウム、酸化アルミニウムなどの非毒性の金属酸化物が挙げられる。多孔質無機材料、極性無機材料を用いることができる。親水性フュームド二酸化ケイ素は、好ましい分散剤である。特に有用な二酸化ケイ素の1つは、Cabot Corporation(米国マサチューセッツ州ボストン)から登録商標CAB-O-SIL(登録商標) M-5P(CAS# 112945-52-5)で販売されており、これは約200 m2/g±15 m2/gのBET表面積を有する親水性ヒュームド二酸化ケイ素で、45ミクロンふるいにかけたこの製品のメッシュ滞留物は約0.02%未満である。典型的な一次凝集体のサイズは約150~約300 nmで、個々の粒子サイズは約5 nm~50 nmの範囲内の可能性がある。
抗凝集/抗凝結活性に加え、分散剤はシステムの製造および/または保管中の相分離を防ぐのに役立つ。これは、ホットメルト押出によるシステムの製造に特に役立つ。
分散剤の薬剤物質に対する重量/重量比は、約0.1%~約5 %、約0.1%~約4 %、約0.1%~約3 %、約0.1%~約2 %、約0.1%~約1 %、約1%~約5 %、約1%~約4 %、約1%~約3 %、約1%~約2 %、約2%~約4 %、約2%~約3 %、約3%~約4%、約4%~約5%、または約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%もしくは約5%であってもよい。
分散剤は、担持重合体-薬剤部品の約0.1%~約4%、たとえば約0.1%~約3.5%、約0.1%~約3%、約0.1%~約2.5%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1.5%、約0.1%~約1%、約0.1%~約0.5%、または約0.2%~約0.8%を構成してもよい。
分散剤を用いて、胃内滞留システムが投与される初期期間中の薬剤またはその薬学的に許容される塩の爆発的放出の量を調節することもできる。週に1回投与される胃内滞留システムの実施態様では、最初の投与後の最初の約6時間の爆発的放出は、システム中の薬剤(またはその塩)の総量の約8%未満、好ましくは約6%未満である。3日に1回投与される胃内滞留システムの実施態様では、最初の投与後の最初の約6時間の爆発的放出は、システム中の薬剤(またはその塩)の総量の約12%未満、好ましくは約10%未満である。1日に1回投与される胃内滞留システムの実施態様では、最初の投与後の最初の約6時間の爆発的放出は、システム中の薬剤(またはその塩)の総量の約40%未満、好ましくは約30%未満である。一般に、新しい胃内滞留システムをD日ごとに投与し、薬剤(またはその塩)の総質量がMである場合、胃内滞留システムは、最初の投与後の最初の約6時間でおよそ[(M/D) × 0.5]未満、好ましくは[(M/D) × 0.4]未満、または約[(M/D) × 3/8]未満、より好ましくは、約[(M/D) × 0.3]を放出する。さらなる実施態様では、胃内滞留システムは、最初の投与後の最初の約6時間で少なくとも約[(M/D) × 0.25]を放出する。すなわち、システムは、投与初日の第一四分位で一日の用量の少なくとも約1/4を放出する。
胃内滞留システムに使用される安定剤
多くの薬剤は、胃の中に存在し得る活性酸素種にさらされると、酸化分解を受けやすい。システムに含まれる薬剤は、このように、システムの胃内での長時間の滞留、およびシステムからの薬剤の長時間の放出期間に酸化する可能性がある。したがって、薬剤を安定化して酸化分解および他の分解を防ぐために、システムに安定剤または防腐剤を含めることが望ましい。
安定剤、たとえばトコフェロール、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、およびフマル酸などの酸化防止剤は、担持重合体-薬剤部品の約0.1%~約4%、たとえば約0.1%~約3.5%、約0.1%~約3%、約0.1%~約2.5%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1.5%、約0.1%~約1%、約0.1%~約0.5%、または約0.2%~約0.8%を構成してもよい。
薬剤の酸化を低減または防止するためにシステムに含めることができる酸化防止安定剤としては、アルファトコフェロール(約0.01~約0.05% v/v)、アスコルビン酸(約0.01~約0.1% w/v)、パルミチン酸アスコルビル(約0.01~約0.1% w/v)、ブチル化ヒドロキシトルエン(約0.01~約0.1% w/w)、ブチル化ヒドロキシアニソール(約0.01~約0.1% w/w)、およびフマル酸(最大3600 ppm)が挙げられる。酸化防止安定剤としては、ビタミンE、トコフェロール、ビタミンEエステル、トコフェロールエステル、アスコルビン酸、またはカロチン、例えばα-トコフェロール、ビタミンEコハク酸塩、α-トコフェロールコハク酸、ビタミンE酢酸、α-トコフェロール酢酸、ビタミンEニコチン酸、α-トコフェロールニコチン酸、ビタミンEリノール酸、またはα-トコフェロールリノール酸などが使用できる。
特定の薬剤は、特に胃内環境に存在する低pHでは、pHに敏感であってもよい。低pHで薬剤の分解を低減または防止するためにシステムに含めることができる緩衝すなわちpH安定化合物としては、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、および重炭酸ナトリウムが挙げられる。一般に、これらを最大約2% w/wの量で使用する。緩衝化合物またはpH安定剤化合物は、担持重合体-薬剤部品の約0.1%~約4%、たとえば約0.1%~約3.5%、約0.1%~約3%、約0.1%~約2.5%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1.5%、約0.1%~約1%、約0.1%~約0.5%、または約0.2%~約0.8%を構成してもよい。
酸化防止安定剤、pH安定剤、および他の安定剤化合物を、溶融した担持重合体-薬剤または薬剤塩の混合物に安定剤を配合することにより、薬剤(または薬学的に許容されるその塩)を含む重合体に配合する。溶融した担持重合体に安定剤を配合してから薬剤(またはその塩)を重合体-安定剤混合物に配合しても、安定剤を薬剤(またはその塩)に配合してから配合済みの薬剤(またはその塩)-安定剤混合物を担持重合体に配合しても、安定剤、薬剤(またはその塩)、および溶融した担持重合体を同時に混ぜ合わせてもよい。
一実施態様では、約24時間の胃内滞留期間後、システム中に残る薬剤(またはその塩)の約10%未満が分解あるいは酸化する。一実施態様では、約48時間の胃内滞留期間後、システム中に残る薬剤(またはその塩)の約10%未満が分解あるいは酸化する。一実施態様では、約72時間の胃内滞留期間後、システム中に残る薬剤(またはその塩)の約10%未満が分解あるいは酸化する。一実施態様では、約96時間の胃内滞留期間後、システム中に残る薬剤(またはその塩)の約10%未満が分解あるいは酸化する。一実施態様では、約5日の胃内滞留期間後、システム中に残る薬剤(またはその塩)の約10%未満が分解あるいは酸化する。実施態様によっては、約1週間の胃内滞留期間後、システム中に残る薬剤(またはその塩)の約10%未満が分解あるいは酸化する。実施態様によっては、約2週間の胃内滞留期間後、システム中に残る薬剤(またはその塩)の約10%未満が分解あるいは酸化する。
一実施態様では、約24時間の胃内滞留期間後、システム中に残る薬剤(またはその塩)の約5%未満が分解あるいは酸化する。一実施態様では、約48時間の胃内滞留期間後、システム中に残る薬剤(またはその塩)の約5%未満が分解あるいは酸化する。一実施態様では、約72時間の胃内滞留期間後、システム中に残る薬剤(またはその塩)の約5%未満が分解あるいは酸化する。一実施態様では、約96時間の胃内滞留期間後、システム中に残る薬剤(またはその塩)の約5%未満が分解あるいは酸化する。一実施態様では、約5日の胃内滞留期間後、システム中に残る薬剤(またはその塩)の約5%未満が分解あるいは酸化する。実施態様によっては、約1週間の胃内滞留期間後、システム中に残る薬剤(またはその塩)の約5%未満が分解あるいは酸化する。実施態様によっては、約2週間の胃内滞留期間後、システム中に残る薬剤(またはその塩)の約5%未満が分解あるいは酸化する。
連結重合体
1つ以上の担持重合体-薬剤部品(すなわちアームまたはアームのセグメント)を1つ以上の担持重合体-薬剤部品と連結するため、1つ以上の担持重合体-薬剤部品を1つ以上の弾性体部品(すなわちコア)と連結するため、あるいは1つ以上の弾性体部品を1つ以上の弾性体部品と連結するために連結重合体を用いる。したがって、連結重合体はシステムの他の部品の間のリンカー領域を形成する。連結重合体として用いるには腸溶性重合体および時間依存性重合体が好ましい。実施態様によっては、腸溶性重合体を連結重合体として用いる。実施態様によっては、pH耐性、すなわち腸溶性重合体よりもpH変化に敏感でない時間依存性重合体を連結重合体として用いる。実施態様によっては、腸溶性重合体と腸溶性重合体よりもpH変化に敏感でない時間依存性重合体の両方を連結重合体として用いる。
腸溶性重合体は酸性条件、たとえば胃内に見られる条件では相対的に不溶性だが、小腸に見られる低酸性条件から塩基性条件では可溶性である。pH5以上で溶ける腸溶性重合体を連結重合体として用いることができる。というのも、小腸の最初の区画である十二指腸のpHは約5.4~6.1の範囲だからである。胃内滞留システムが未変化で幽門弁を通過した場合、腸溶性連結重合体は溶解し、連結重合体で連結されている部品は分解して、滞留システムが小腸および大腸を通過できるようになる。したがって、腸内環境では連結重合体の溶解により迅速に連結が外れるように胃内滞留システムを設計する。
「pH耐性のある時間依存性重合体」(または同等に「pH耐性時間依存性重合体」)は、腸溶性重合体が部品を連結できなくなる点まで分解する条件でも、時間依存性重合体は部品を連結するのに十分な機械的強度を依然として有することを意味する。実施態様によっては、時間依存性重合体は、約pH7~約pH8の溶液への曝露後、約pH2~約pH3の溶液への曝露後に有するのとほぼ同じ連結能力、すなわちその連結強度の約100%を保持する(曝露は約1時間、約1日、約3日、または約1週間である)。実施態様によっては、時間依存性重合体は、約pH7~約pH8の溶液に曝露した後、約pH2~約pH3の溶液に曝露した後に有する結合強度の約90%の結合強度を保持する(曝露は約1時間、約1日、約3日、または約1週間である)。実施態様によっては、時間依存性重合体は、約pH7~約pH8の溶液に曝露した後、約pH2~約pH3の溶液に曝露した後に有する結合強度の約75%の結合強度を保持する(曝露は約1時間、約1日、約3日、または約1週間である)。実施態様によっては、時間依存性重合体は、約pH7~約pH8の溶液に曝露した後、約pH2~約pH3の溶液に曝露した後に有する結合強度の約60%の結合強度を保持する(曝露は約1時間、約1日、約3日、または約1週間である)。実施態様によっては、時間依存性重合体は、約pH7~約pH8の溶液に曝露した後、約pH2~約pH3の溶液に曝露した後に有する結合強度の約50%の結合強度を保持する(曝露は約1時間、約1日、約3日、または約1週間である)。実施態様によっては、時間依存性重合体は、約pH7~約pH8の溶液に曝露した後、約pH2~約pH3の溶液に曝露した後に有する結合強度の約25%の結合強度を保持する(曝露は約1時間、約1日、約3日、または約1週間である)。実施態様によっては、時間依存性重合体は、約pH7~約pH8の溶液に曝露した後、約0.2ニュートン(N)、約0.3 N、約0.4 N、約0.5 N、約0.75 N、約1 N、約1.5 N、約2 N、約2.5 N、約3 N、約4 N、または約5 Nの曲げ力に対して破断に抵抗する(曝露は約1時間、約1日、約3日、または約1週間である)。連結能力を試験するのに役立つ任意の関連試験、たとえば4点曲げ試験(ASTM D790)で連結強度を測定することができる。
模範的な連結重合体としては、限定されないが、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、フタル酸メチルセルロース、フタル酸エチルヒドロキシセルロース、ポリ酢酸フタル酸ビニル、ポリ酢酸酪酸ビニル、酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸モノエステル共重合体、メタクリル酸-メタクリル酸メチル共重合体、アクリル酸メチル-メタクリル酸共重合体、メタクリル酸塩-メタクリル酸-アクリル酸オクチル共重合体、ならびにそれらの共重合体、混合物、配合物、および組合せが挙げられる。本発明に使用することができる腸溶性重合体のいくつかをそれらの溶解pHと共に腸溶性重合体の表に示す。(Mukherji, Gour and Clive G. Wilson,"Enteric Coating for Colonic Delivery(大腸送達のための腸溶性被覆)," Chapter 18 of Modified-Release Drug Delivery Technology(変性放出薬物送達技術の第18章)(editors Michael J. Rathbone, Jonathan Hadgraft, Michael S. Roberts), Drugs and the Pharmaceutical Sciences(医薬品と薬学Volume 126, New York. Marcel Dekker、2002)を参照のこと。好ましくは、約5または約5.5を超えないpH で溶解する腸溶性重合体を使用する。ポリ(メタクリル酸-co-アクリル酸エチル)(商品名EUDRAGIT L 100-55で販売;EUDRAGITはEvonik Rohm GmbH, Darmstadt, Germanyの登録商標)は、好ましい腸溶性重合体である。別の好ましい腸溶性重合体は、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hypromellose acetate succinateまたはHPMCAS;Ashland, Inc., Covington, Kentucky, USA)であり、これは、約5.5~約7.0の調整可能なpH カットオフを有する。酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースも好適な腸溶性重合体である。
一実施態様では、胃内滞留システムに用いられる腸溶性重合体は約4を超えるpHで溶解する。実施態様によっては、胃内滞留システムに用いられる腸溶性重合体は約5を超えるpHで溶解する。実施態様によっては、胃内滞留システムに用いられる腸溶性重合体は約6を超えるpHで溶解する。実施態様によっては、胃内滞留システムに用いられる腸溶性重合体は約7を超えるpHで溶解する。実施態様によっては、胃内滞留システムに用いられる腸溶性重合体は約7.5を超えるpHで溶解する。実施態様によっては、胃内滞留システムに用いられる腸溶性重合体は約4~約5のpHで溶解する。実施態様によっては、胃内滞留システムに用いられる腸溶性重合体は約4~約6のpHで溶解する。実施態様によっては、胃内滞留システムに用いられる腸溶性重合体は約4~約7のpHで溶解する。実施態様によっては、胃内滞留システムに用いられる腸溶性重合体は約4~約7.5のpHで溶解する。実施態様によっては、胃内滞留システムに用いられる腸溶性重合体は約5~約6のpHで溶解する。実施態様によっては、胃内滞留システムに用いられる腸溶性重合体は約5~約7のpHで溶解する。実施態様によっては、胃内滞留システムに用いられる腸溶性重合体は約5~約7.5のpHで溶解する。実施態様によっては、胃内滞留システムに用いられる腸溶性重合体は約6~約7のpHで溶解する。実施態様によっては、胃内滞留システムに用いられる腸溶性重合体は約6~約7.5のpHで溶解する。
Figure 2022553867000006
連結重合体として使用されるさらなる好ましい重合体は、時間依存性重合体、すなわち胃内環境で時間依存的に分解する重合体である。たとえば、液体可塑剤トリアセチンは、模擬胃液中で7日間にわたり時間依存的に重合体配合物から放出されるが、プラストイドBは、模擬胃液中で7日間にわたりその強度を保持する。したがって、プラストイドBとトリアセチンを混合して時間依存的に分解する重合体を容易に調製することができる。混合物に用いるプラストイドBの量を増やして(すなわち、より少量のトリアセチンを混合物に用いて)プラストイドB-トリアセチン混合物の分解時間を延長することができ、また、混合物に用いるプラストイドBの量を減らして(すなわち、より多くのトリアセチンを混合物に用いて)分解時間を短縮することができる。
様々な時間依存性の機序を利用することができる。水溶性の時間依存性重合体は、水が重合体に浸透すると分解する。このような重合体の例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリ酢酸ビニルである。酸可溶性の時間依存性重合体は、酸性環境で時間が経つと分解する。例としてはEudragit EPOが挙げられる。時間依存性重合体は水溶性可塑剤を用いてもよい。可塑剤が放出されると、残りの重合体は脆くなり、胃の力で分解する。このような重合体の例としては、トリアセチンおよびクエン酸トリエチルが挙げられる。
実施態様によっては、担持重合体-薬剤部品は、腸溶性重合体で連結されたセグメントで構成されるアームである。実施態様によっては、担持重合体-薬剤部品は、腸溶性重合体でシステムの弾性体部品に取り付けられている。これらの実施態様のいずれかにおいて、腸溶性重合体をセグメントどうしの取り付けおよび弾性体部品へのアームの取り付けの両方に用いる場合、セグメントどうしの取り付けに用いられる腸溶性重合体は、弾性体部品へのアームの取り付けに用いられる腸溶性重合体と同じ腸溶性重合体であってもよいし、セグメントどうしの取り付けに用いられる腸溶性重合体は、弾性体部品へのアームの取り付けに用いられる腸溶性重合体と異なる腸溶性重合体であってもよい。セグメントどうしの取り付けに用いる腸溶性重合体は、すべて同じ腸溶性重合体であってもよいし、すべて異なる腸溶性重合体であってもよいし、あるいはセグメントどうしの取り付けの一部の腸溶性重合体が同じで、セグメントどうしの取り付けの一部の腸溶性重合体が異なっていてもよい。すなわち、セグメントどうしの各取り付けに用いる腸溶性重合体と、弾性体部品へのアームの取り付けに用いる腸溶性重合体を独立して選択することができる。
実施態様によっては、担持重合体-薬剤部品は、腸溶性重合体、時間依存性リンカー、または崩壊基質により、あるいは腸溶性重合体、時間依存性リンカー、および/もしくは崩壊性基質の任意の組合せにより、システムの弾性体部品に取り付けられた非分割のアームである。
本明細書に記載の胃内滞留システムのいずれにおいても、連結重合体またはリンカーは酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)およびポリカプロラクトン(PCL)を含んでもよい。これらの配合物を用いて崩壊リンカーまたは崩壊基質を形成することができる。崩壊リンカーまたは崩壊基質中のHPMCAS:ポリカプロラクトンの比は、約80% HPMCAS:20% PCL~約20% HPMCAS:80% PCLである。HPMCAS:ポリカプロラクトンの比は、約80% HPMCAS:20% PCL~約20% HPMCAS:80% PCL、約70% HPMCAS:30% PCL~約30% HPMCAS:70% PCL、約60% HPMCAS:40% PCL~約40% HPMCAS:60% PCL、約80% HPMCAS:20% PCL~約50% HPMCAS:50% PCL、約80% HPMCAS:20% PCL~約60% HPMCAS:40% PCL、約70% HPMCAS:30% PCL~約50% HPMCAS:50% PCL、約70% HPMCAS:30% PCL~約60% HPMCAS:40% PCL、約20% HPMCAS:80% PCL~約40% HPMCAS:60% PCL、約20% HPMCAS:80% PCL~約50% HPMCAS:50% PCL、約30% HPMCAS:70% PCL~約40% HPMCAS:60% PCL、約30% HPMCAS:70% PCL~約50% HPMCAS:50% PCL、または約80% HPMCAS:20% PCL、約70% HPMCAS:30% PCL、約60% HPMCAS:40% PCL、約50% HPMCAS:50% PCL、約40% HPMCAS:60% PCL、約30% HPMCAS:70% PCL、もしくは約20% HPMCAS:80% PCLであってもよい。リンカーは、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、グリセリン、ヒマシ油、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトール-ソルビタン混合物、およびジアセチル化モノグリセリドからなる群から選択される可塑剤をさらに含んでもよい。
リンカーは、所望の滞留期間後に胃内滞留システムが分解して幽門を通過し胃から出られる点に達するために、指定の期間後に十分に弱くなるように、あるいは、胃内滞留システムがもはや胃内に保持されないほど十分に弱くなるように、選択される。すなわち、リンカーは、連結が外れる点(分離点)または胃内滞留システムが幽門を通過できる点(幽門通過点、または通過点)まで弱くなる。したがって、一実施態様では、ヒトの胃内で約2日後、ヒトの胃内で約3日後、ヒトの胃内で約4日後、ヒトの胃内で約5日後、ヒトの胃内で約6日後、ヒトの胃内で約7日後、ヒトの胃内で約8日後、ヒトの胃内で約9日後、ヒトの胃内で約10日後、またはヒトの胃内で約2週間後に分離するリンカーを用いる。一実施態様では、イヌの胃内で約2日後、イヌの胃内で約3日後、イヌの胃内で約4日後、イヌの胃内で約5日後、イヌの胃内で約6日後、イヌの胃内で約7日後、イヌの胃内で約8日後、イヌの胃内で約9日後、イヌの胃内で約10日後、またはイヌの胃内で約2週間後に分離するリンカーを用いる。一実施態様では、ブタの胃内で約2日後、ブタの胃内で約3日後、ブタの胃内で約4日後、ブタの胃内で約5日後、ブタの胃内で約6日後、ブタの胃内で約7日後、ブタの胃内で約8日後、ブタの胃内で約9日後、ブタの胃内で約10日後、またはブタの胃内で約2週間後に分離するリンカーを用いる。一実施態様では、絶食状態の模擬胃液中で約2日後、絶食状態の模擬胃液中で約3日後、絶食状態の模擬胃液中で約4日後、絶食状態の模擬胃液中で約5日後、絶食状態の模擬胃液中で約6日後、絶食状態の模擬胃液中で約7日後、絶食状態の模擬胃液中で約8日後、絶食状態の模擬胃液中で約9日後、絶食状態の模擬胃液中で約10日後、または絶食状態の模擬胃液中で約2週間後に分離するリンカーを用いる。一実施態様では、摂食状態の模擬胃液中で約2日後、摂食状態の模擬胃液中で約3日後、摂食状態の模擬胃液中で約4日後、摂食状態の模擬胃液中で約5日後、摂食状態の模擬胃液中で約6日後、摂食状態の模擬胃液中で約7日後、摂食状態の模擬胃液中で約8日後、摂食状態の模擬胃液中で約9日後、摂食状態の模擬胃液中で約10日後、または摂食状態の模擬胃液中で約2週間後に分離するリンカーを用いる。一実施態様では、pH2の水中で約2日後、pH2の水中で約3日後、pH2の水中で約4日後、pH2の水中で約5日後、pH2の水中で約6日後、pH2の水中で約7日後、pH2の水中で約8日後、pH2の水中で約9日後、pH2の水中で約10日後、またはpH2の水中で約2週間後に分離するリンカーを用いる。一実施態様では、pH1の水中で約2日後、pH1の水中で約3日後、pH1の水中で約4日後、pH1の水中で約5日後、pH1の水中で約6日後、pH1の水中で約7日後、pH1の水中で約8日後、pH1の水中で約9日後、pH1の水中で約10日後、またはpH1の水中で約2週間後に分離するリンカーを用いる。
ヒト、イヌ、またはブタにおける分離または幽門通過点は、システムが胃から出るとき、すなわち幽門を通過するときに生じる。模擬胃液または酸性水での生体外測定では、リンカーが胃の通常の圧縮力(通常は約0.1ニュートン~0.2ニュートン)で破断する点まで弱くなると、分離または幽門通過点が生じる。連結能力すなわちリンカーの破断に必要な力を試験するのに役立つ任意の関連試験、たとえばWO2017/070612の実施例18、WO2017/100367の実施例12、13、15、17、または18に記載の4点曲げ試験(ASTM D790)などにより連結強度(破断点)を測定することができる。一実施態様では、リンカーが約0.2 Nの力で分離すると、分離または幽門通過点に到達する。別の実施態様では、リンカーが約0.1 Nの力で分離すると、分離または幽門通過点に到達する。
胃内滞留システムは、実際に破断するいかなるリンカーも用いずに幽門通過点に達してもよい。リンカーが胃内滞留システムを胃内に保持できなくなる点まで弱くなるあるいは分解した場合、リンカーのうちの1つ、いくつか、またはすべてが破断しなくても、胃内滞留システムは幽門を通過して小腸へ行く(幽門通過点または通過点)。実施態様によっては、ヒトの胃内で約2日後、ヒトの胃内で約3日後、ヒトの胃内で約4日後、ヒトの胃内で約5日後、ヒトの胃内で約6日後、ヒトの胃内で約7日後、ヒトの胃内で約8日後、ヒトの胃内で約9日後、ヒトの胃内で約10日後、またはヒトの胃内で約2週間後に通過点まで弱まるリンカーを用いる。実施態様によっては、イヌの胃内で約2日後、イヌの胃内で約3日後、イヌの胃内で約4日後、イヌの胃内で約5日後、イヌの胃内で約6日後、イヌの胃内で約7日後、イヌの胃内で約8日後、イヌの胃内で約9日後、イヌの胃内で約10日後、またはイヌの胃内で約2週間後に通過点まで弱まるリンカーを用いる。実施態様によっては、ブタの胃内で約2日後、ブタの胃内で約3日後、ブタの胃内で約4日後、ブタの胃内で約5日後、ブタの胃内で約6日後、ブタの胃内で約7日後、ブタの胃内で約8日後、ブタの胃内で約9日後、ブタの胃内で約10日後、またはブタの胃内で約2週間後に通過点まで弱まるリンカーを用いる。実施態様によっては、絶食状態の模擬胃液中で約2日後、絶食状態の模擬胃液中で約3日後、絶食状態の模擬胃液中で約4日後、絶食状態の模擬胃液中で約5日後、絶食状態の模擬胃液中で約6日後、絶食状態の模擬胃液中で約7日後、絶食状態の模擬胃液中で約8日後、絶食状態の模擬胃液中で約9日後、絶食状態の模擬胃液中で約10日後、または絶食状態の模擬胃液中で約2週間後に通過点まで弱まるリンカーを用いる。実施態様によっては、摂食状態の模擬胃液中で約2日後、摂食状態の模擬胃液中で約3日後、摂食状態の模擬胃液中で約4日後、摂食状態の模擬胃液中で約5日後、摂食状態の模擬胃液中で約6日後、摂食状態の模擬胃液中で約7日後、摂食状態の模擬胃液中で約8日後、摂食状態の模擬胃液中で約9日後、摂食状態の模擬胃液中で約10日後、または摂食状態の模擬胃液中で約2週間後に通過点まで弱まるリンカーを用いる。実施態様によっては、pH2の水中で約2日後、pH2の水中で約3日後、pH2の水中で約4日後、pH2の水中で約5日後、pH2の水中で約6日後、pH2の水中で約7日後、pH2の水中で約8日後、pH2の水中で約9日後、pH2の水中で約10日後、またはpH2の水中で約2週間後に通過点まで弱まるリンカーを用いる。実施態様によっては、pH1の水中で約2日後、pH1の水中で約3日後、pH1の水中で約4日後、pH1の水中で約5日後、pH1の水中で約6日後、pH1の水中で約7日後、pH1の水中で約8日後、pH1の水中で約9日後、pH1の水中で約10日後、またはpH1の水中で約2週間後に通過点まで弱まるリンカーを用いる。
胃内滞留性を改善するためのフィラメント
以下、フィラメント付の胃内滞留システムについての説明である。以下に詳細に説明するように、フィラメント付の胃内滞留システムのフィラメントは、胃内滞留システムが患者の幽門を早期に通過することを防止するのに役立つ。したがって、本明細書に記載されるフィラメントおよびフィラメント付の胃内滞留システムは、胃内滞留システムの有効性および信頼性を向上させるのに役立つ。
フィラメント付の胃内滞留システムは、胃内滞留システムが患者の幽門を早期に通過するのを防止できる。本明細書に記載されるのは、胃内滞留システムが患者の幽門を早期に通過するリスクを最小にするのに役立つフィラメントを含む胃内滞留システムである。
フィラメントは、胃内滞留システムのアームの遠位端に取り付けられてもよい。図4Aおよび4Bは、フィラメントを含むことが、幽門を通る無傷の胃内滞留システムの最も一般的な曲げおよび通過様式にどのように影響するかを示す。特に、フィラメントは、例えば、1つまたは2つのアームが早期に幽門に入るのを防止できる。また、フィラメントは、アームの間隔を維持し、曲げ形状を変化させ、胃内滞留システムを圧縮して幽門を早期に通過するのに十分小さい構成にするのに必要な力を増大させる。
例えば、図4Aの胃内滞留システム400aは、中心コア402aおよび複数のアームを含む。図示のように、複数のアームの各アーム404aは、中心コア402から放射状に延びる。各アーム404は、近位端でコア402aに取り付けられている。フィラメント406aは、各アーム404aの遠位端に取り付けられているのが示されている。図4Aは、開いた構成の胃内滞留システム400aを示す。図示のように、胃内滞留システム400aが開いた構成に留まるとき、フィラメント406aは、胃内滞留システム400aが幽門を早期に通過するのを防止するのを助ける。
図4Bは、曲がった構成の胃内滞留システム400bを示す。胃内滞留システム400bは、コア402b、アーム404b、およびフィラメント406bを含む。図示のように、胃内滞留システム400bが、患者の幽門を早期に通過できるような構成に曲がったとしても(図3B参照)、フィラメント406bが、装置の通過を防ぐのに役立つことができる。特に、フィラメント406bは、胃内滞留システム400bを曲げたり歪めたりし得る胃の力にもかかわらずその完全性を維持し得るように、柔軟かつ伸縮自在である。
実施態様によっては、胃内滞留システムは1つ以上のアームの遠位端に位置する先端部を含んでもよい。先端部は、腸溶性重合体組成物で構成されてもよい。フィラメントは、遠位端にある先端部を介して各アームに接続されてもよい。先端部は、胃の環境にあるときにアームの残りの部分から分離するように構成されてもよい。特に、先端部は、アームから分離するように構成され、フィラメントが胃内滞留システムからも分離できるようにしてもよい。この分離は、所定の胃内滞留時間が満了に近づくと先端部およびフィラメントが分離し、所定の胃内滞留時間の満了時に胃内滞留システムが分離して患者の幽門を通過するように微調整できる。先端部および/またはフィラメントが早く離れすぎると、胃内滞留システムが患者の幽門を早期に通過してしまう危険性がある。
実施態様によっては、アーム先端部は1種以上の重合体、腸溶性材料、可塑剤、および酸を含んでもよい。適切な重合体は、ポリカプロラクトンおよび/または熱可塑性ポリウレタン(例えば、LubrizolのPathway(商標))を含んでもよい。実施態様によっては、アーム先端部の組成は、リンカー部品の組成と同じであってよい。実施態様によっては、アーム先端部の組成は、リンカー部品の組成と異なっていてもよい。実施態様によっては、アーム先端部は、10~50重量%の重合体を含んでもよい。実施態様によっては、アーム先端は、50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、または20重量%未満の重合体を含んでもよい。実施態様によっては、アームの先端部は、10重量%超、20重量%超、30重量%超、または40重量%超の重合体を含んでもよい。
実施態様によっては、アーム先端部の腸溶性材料は、腸溶性重合体から構成されてもよい。例えば、好適な腸溶性重合体には、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース50、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース55、ポリ酢酸フタル酸塩、メタクリル酸-メタクリル酸メチル共重合体(1:1)、メタクリル酸-メタクリル酸メチル共重合体(2: 1)、メタクリル酸-アクリル酸エチル共重合体(2: 1)、シェラック、(酢酸/コハク酸)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ(メチルビニルエーテル/マレイン酸)モノエチルエステル、またはポリ(メチルビニルエーテル/マレイン酸)n-ブチルエステルを挙げることができる。実施態様によっては、アームの先端部は、20~90重量%の腸溶性材料を含んでよい。実施態様によっては、アームの先端部は、90重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、60重量%未満、50重量%未満、40重量%未満、または30重量%未満の腸溶性材料を含んでもよい。実施態様によっては、アームの先端は、20重量%超、30重量%%超、40重量%超、50重量%超、60重量%超、70重量%超、または90重量%超の腸溶性材料を含んでもよい。
適切な可塑剤としては、プロピレングリコール、P407、クエン酸トリエチル、トリアセチン、セバシン酸ジブチル、および/またはポリエチレングリコールが挙げられ得る。実施態様によっては、アーム先端部は、1~20重量%の可塑剤を含んでよい。実施態様によっては、アーム先端部は、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、または5重量%未満の可塑剤を含んでもよい。実施態様によっては、アーム先端部は、1重量%超、5重量%超、10重量%超、または15重量%超の可塑剤を含んでもよい。
適切な酸は、ステアリン酸または他の脂肪酸を含むことができる。実施態様によっては、アーム先端部は、1~20重量%または1~10重量%の酸を含んでもよい。実施態様によっては、アーム先端部は、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、または5重量%未満の酸を含んでいてよい。実施態様によっては、アームの先端は、1重量%超、5重量%超、10重量%超、または15重量%超の酸を含んでもよい。
図5Aおよび5Bは、各アームの遠位端で先端部に接続されたフィラメント付の胃内滞留システムの2つの異なる構成である。特に、図5Aは、コア502aおよび6つのアーム504aを含む胃内滞留システム500aを示す。各アーム504aは、遠位端に先端部510aを含む。実施態様によっては、各アーム504aは、リンカー512aを介してコア502aに接続されてもよい。図示のように、フィラメント508aは、先端部510aで各アーム504aを接続する。実施態様によっては、単一のフィラメント508aが、胃内滞留システム500aの周囲を周方向に巻き、先端部510aで各アームに接続してもよい。実施態様によっては、複数のフィラメント508aが、胃内滞留システム500aの各アーム504aを接続してもよい。
図5Bは、コア502b、6つのアーム504b、各アーム504bの遠位端にある先端部510bを有する胃内滞留システム500bを示す。図5Aの胃内滞留システム500aとは異なり、この胃内滞留システム500bは、アーム504bをコア502bに接続するリンカー512bと、アーム504bの2つのセグメントを接続するリンカー512bを含む。図示のように、フィラメント508bは、先端部510bで各アーム504bを接続する。実施態様によっては、単一のフィラメント508bが、胃内滞留システム500aの周囲を周方向に巻き、先端部510aで各アームに接続してもよい。実施態様によっては、複数のフィラメント508bが、胃内滞留システム500bの各アーム504bを接続してもよい。
胃内滞留を改善するためフィラメントは、弾性重合体および/または生体吸収性重合体を含むことができる。
適切な弾性重合体としては、ポリウレタン(Lubrizol Pellethane、Pathways、Tecoflex、carbothane)、ポリアミド-ポリエーテルブロック共重合体(Pebax)、ポリ(エチレン-co-酢酸ビニル)(PEVAc)、酢酸ビニル、シリコーンおよび/またはそれらの組み合わせが挙げられ得る。実施態様によっては、フィラメントは、10~90重量%、20~80重量%、または30~70重量%の弾性重合体を含んでもよい。実施態様によっては、フィラメントは、90重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、60重量%未満、50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、または20重量%未満の弾性重合体を含んでいてよい。実施態様によっては、フィラメントは、10重量%超、20重量%超、30重量%超、40重量%超、50重量%超、60重量%超、70重量%超、または80重量%超の弾性重合体を含む。
適切な生体吸収性重合体は、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸(PLA)、PCL-PLA共重合体、ポリジオキサノン、ポリ炭酸トリメチレン、 PCL-ポリグリコール酸共重合体、ポリセバシン酸グリセロール、無水物重合体、ポリホスファゼン、ポリシアノアクリル酸アルキル、ポリアミノ酸、ポリフマル酸プロピレン、および/またはそれらの組合せが挙げられる。実施態様によっては、フィラメントは、10~90重量%、20~80重量%、または30~70重量%の生体吸収性重合体を含んでもよい。実施態様によっては、フィラメントは、90重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、60重量%未満、50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、または20重量%未満の生体吸収性重合体を含んでもよい。実施態様によっては、フィラメントは、10重量%以上、20重量%超、30重量%超、40重量%超、50重量%超、60重量%超、70重量%超、または80重量%超の生体吸収性重合体を含む。
実施態様によっては、フィラメントは、可塑剤を含んでもよい。例えば、適切な可塑剤は、プロピレングリコール、P407、クエン酸トリエチル、トリアセチン、セバシン酸ジブチル、および/またはポリエチレングリコールなどを含むことができる。実施態様によっては、フィラメントは、0.1~20重量%の可塑剤、または1~10重量%の可塑剤を含んでもよい。実施態様によっては、フィラメントは、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、または1重量%未満の可塑剤を含んでもよい。実施態様によっては、フィラメントは、0.1重量%超、1重量%超、5重量%超、10重量%超、または15重量%超の可塑剤を含んでもよい。
フィラメントの長さは、各アーム間の長さとして測定でき、または、胃内滞留システムの周縁を包む単一のフィラメントを含む実施態様については、前記周縁に包まれたフィラメントの全長とすることができる。いずれにせよ、フィラメントの長さは、胃内滞留システムのサイズとアームの数に依存する。例えば、6本のアームを含む星型胃内滞留システムの場合、周方向に巻き付けられた単一のフィラメントの長さは、100~150 mm、110~140 mm、または120~130 mmであってもよい。また、6本のアームのうち隣接する任意の2本のアーム間のフィラメントの長さは、18~24 mmまたは20~22 mmであってもよい。
実施態様によっては、ペレタンチューブから作られたフィラメントは、2つの隣接するアームの間で引き伸ばされて、アーム間のフィラメントに張力を生じさせてもよい。星型胃内滞留システムが6つのアームを含む場合、ペレタンチューブを含む周方向に巻かれた単一のフィラメントの長さは、90~130 mmまたは100~120 mmであってよい。また、6本のアームのうち隣接する任意の2本のアーム間のフィラメントの長さは、18~22 mmとすることができる。
フィラメントの断面形状は、円、楕円、矩形、または環状を含むが、これらに限定されない様々な形状のいずれであってもよい。フィラメントの太さすなわち直径は、100~1000ミクロン、好ましくは200~400ミクロンであってもよい。実施態様によっては、フィラメントの太さすなわち直径は、1000ミクロン未満、800ミクロン未満、600ミクロン未満、400ミクロン未満、または200ミクロン未満であってよい。実施態様によっては、フィラメントの太さすなわち直径は、100ミクロン超、200ミクロン超、400ミクロン超、600ミクロン超、または800ミクロン超であってもよい。
矩形断面を有するフィラメントを含む実施態様によっては、フィラメントの幅(すなわち、矩形断面の測定値の長い方の辺)は、1~4 mmであってよい。実施態様によっては、幅は、4 mm未満、3 mm未満、または2 mm未満であってよい。実施態様によっては、幅は、2 mm超、3 mm超、または4 mm超であってもよい。
フィラメント付の胃内滞留システムを圧縮するのに必要な力は、以下の「試験方法」の項で詳細に説明する半径方向圧縮試験を使用して定量できる。実施態様によっては、フィラメント付の胃内滞留システムを圧縮するのに必要な力は、フィラメントなしの胃内滞留システムを同じ圧縮直径に圧縮するのに必要な力の1.25倍~5倍であってよい。実施態様によっては、フィラメント付の胃内滞留システムを圧縮するのに必要な力は、フィラメントなしの胃内滞留システムを同じ圧縮直径に圧縮するのに必要な力の5倍未満、4倍未満、3倍未満、または2倍未満であってもよい。実施態様によっては、フィラメント付の胃内滞留システムを圧縮するのに必要な力は、フィラメントなしの胃内滞留システムを同じ圧縮直径に圧縮するのに必要な力の1.25倍超、2倍超、3倍超、または4倍超であってよい。
フィラメントをアーム先端部から分離するのに必要な力は、以下の「試験方法」の項で詳細に説明する引抜き力試験を使用して定量できる。実施態様によっては、フィラメントをその対応するアーム先端部から分離するのに必要な力は、0.5~10 Nまたは2~6 Nでよい。実施態様によっては、フィラメントをその対応するアーム先端部から分離するのに必要な力は、10 N未満、9 N未満、8 N未満、7 N未満、6 N未満、5 N未満、4 N未満、3 N未満、2 N未満、または1 N未満でよい。実施態様によっては、フィラメントをその対応するアーム先端部から分離するのに必要な力は、0.5 N超、1 N超、2 N超、3 N超、4 N超、5 N超、6 N超、7 N超、8 N超、または9 N超でよい。実施態様によっては、フィラメントをその対応するアーム先端部から分離するのに必要な力は、胃内滞留システムが胃内環境に長くとどまるほど減少してもよい。
実施態様によっては、フィラメントをその対応するアーム先端部から分離するのに必要な力は、フィラメントの端部を固定するために使用される方法(すなわち、結び目、加熱、または固定された端部なし)に依存する場合がある。実施態様によっては、結び目のある端部を有するフィラメントをその対応するアーム先端部から分離するのに必要な力は、加熱された端部を有するフィラメントをその対応するアーム先端部から分離するのに必要な力より大きくてもよい。実施態様によっては、結び目のある端部を有するフィラメントを分離するのに必要な力、および加熱された端部を有するフィラメントをその対応するアーム先端から分離するのに必要な力は、修飾されていない(すなわち、非固定)フィラメントをその対応するアーム先端部から分離するのに必要な力より大きくてもよい。
調整された剛性を有するアームを含む胃内滞留システム
実施態様によっては、本明細書に記載の胃内滞留システムは、調整された太さを有するアームをさらに含み、胃内滞留システムが患者の幽門を早く通過するのを防ぐようにしてもよい。
装置をその開いた構成に広げる/拡大する胃内滞留システムの要素(例えばアーム)の剛性を制御することで、幽門を通る胃内滞留システムの早期通過のリスクを最小にできる。したがって、制御された剛性のアームを有する胃内滞留システムは、胃内滞留システムの効力および信頼性を向上させるのに役立つ。さらに、制御された剛性のアームを有する胃内滞留システムは、胃内滞留システムが幽門を早期に通過できる構成に曲がらないようにするを助けることができる。
制御された剛性のアームを有する胃内滞留システムは、幽門を早期に通過するのに適した構成に曲がるには、より多くの力を必要とする。記載は、胃内滞留システムが患者の幽門を早期に通過するリスクを最小にするのを助けるために、胃内滞留システムをその開放構成(例えばアーム)に広げるまたは拡大できる任意の部材の制御された剛性を有する胃内滞留システムである。
制御された剛性のアームを有する胃内滞留システムは、柔軟な材料で作られたアームの少なくとも一部を有する1つ以上のアームを含むシステムとして定義される。実施態様によっては、1つ以上のアームは、第1の重合体組成物を含む第1のセグメント、および第2の重合体組成物を含む第2のセグメントを含むことができ、第2のセグメントは第1のセグメントよりも柔軟である。
実施態様によっては、1つ以上のアームは、放射状に延びる。1つ以上のアームの近位端は、コアに接続されてもよい。実施態様によっては、胃内滞留システムは放射状に延びる複数のアームを含んでもよい。実施態様によっては、胃内滞留システムは各アームの近位端でコアに接続された複数のアームを含んでもよく、複数のアームはコアから放射状に延びている。実施態様によっては、胃内滞留システムは複数のアームを含んでよく、各アームは、第1のセグメントおよび第2のセグメントを含んでよい。
胃内滞留システムの可撓性アームの第1の重合体組成物は、比較的剛直な重合体を含んでもよい。例えば、適切な重合体は、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、HPMCAS、高硬度TPU、および/またはそれらの組合せを含んでもよい。他の例としては、親水性セルロース誘導体(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウム-カルボキシメチルセルロース)、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルピロリドン、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、カルボキシビニル重合体(カルボマー)、酸性カルボキシ重合体カーボポール(登録商標)、ポリカルボフィル、ポリエチレンオキシド(ポリオックスWSR),多糖類およびその誘導体、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、キトサン、アルギナート、ペクチン、アカシア、トラガカント、グアーガム、ローカストビーンガム、ビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体、デキストラン、天然ガム、寒天、アガロース、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、フコイダン、ファーセララン、ラミナラン、ハイプネア、ユーチューマ、アラビアゴム、ガッティガム、カラヤガム、アルビノグラタン、アミロペクチン、ゼラチン、ジェラン、ヒアルロン酸、プルラン、スクレログルカン、キサン、キシログルカン、無水マレイン酸共重合体、エチレン無水マレイン酸共重合体、ポリメタクリル酸ヒドロキシエチル、アンモニオメタクリラート共重合体(例えばEudragit RLまたはEudragit RS)、ポリ(アクリル酸エチル-メタクリル酸メチル)(Eudragit NE)、Eudragit E(アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルと中性メチルアクリル酸エステルに基づく陽イオン性共重合体)、ポリメタクリル酸エステル/ポリエタクリル酸エステル(例えばポリメタクリル酸、メタクリル酸メチル、およびアクリル酸エチル)、ポリメタクリラート・ポリエタクリルラート、ポリカプロラクトンなどのポリラクトン、ポリ[ビス-(p-カルボキシフェノキシ)-プロパン無水物]、ポリテレフタル酸無水物などの無水物重合体、ポリリジン、ポリグルタミン酸などのポリペプチド、ポリオルトエステル、DETOSUとヘキサンジオール、デカンジオール、シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのジオールとの共重合体などのポリオルソエステル、および参照によりここに組み込まれる、米国特許第4,304,767号に記載および開示されたそれらのポリオルソエステル、デンプン、特に事前ゼラチン化デンプン、およびデンプン系重合体、カルボマー、マルトデキストリン、アミロマルトデキストリン、デキストラン、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリエチレンイミン、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)、ポリヒドロキシアルカノアート、ポリヒドロキシブチラート、およびこれらの共重合体、混合物、ブレンド、および組み合わせを含む。実施態様によっては、第1のセグメントは、1種以上の治療薬または医薬有効成分(API)を含んでもよい。
実施態様ではて、第1の重合体組成物は、10~90重量%または50~70重量%のポリカプロラクトンを含んでもよい。実施態様によっては、第1の重合体組成物は、90重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、60重量%未満、50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、または20重量%未満のポリカプロラクトンを含んでもよい。実施態様によっては、第1の重合体組成物は、20重量%超、30重量%超、40重量%超、50重量%超、60重量%超、70重量%超、または80重量%超のポリカプロラクトンを含んでもよい。
実施態様によっては、第1の重合体組成物は、10~90重量%または30~70重量%の治療剤またはAPIを含んでもよい。実施態様によっては、第1の重合体組成物は、90重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、60重量%未満、50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、または20重量%未満の治療薬またはAPIを含んでもよい。実施態様によっては、第1の重合体組成物は、20重量%超、30重量%超、40重量%超、50重量%超、60重量%超、70重量%超、または80重量%超の治療剤またはAPIを含んでもよい。
本明細書に開示される胃内滞留システムのアームの第2の重合体組成物は、第1の重合体組成物の重合体に対して柔軟な第1の重合体を含んでもよい。例えば、適切な相対的に「柔軟な」重合体は、ポリウレタン、ポリエーテル-ポリアミド共重合体、熱可塑性弾性体、熱可塑性ポリウレタン、ポリカプロラクトンポリ乳酸共重合体、ポリ炭酸トリメチレン、ポリセバシン酸ポリグリセロール、ポリエチレン-co-酢酸ビニルおよびシリコーンの1種以上を含んでもよい。実施態様によっては、アームの第2の重合体組成物は、実際には、第1の重合体組成物と同じ第1の重合体を含んでもよい。例えば、第2の重合体組成物は、ポリカプロラクトンを含んでももよい。しかしながら、第1の重合体組成物とは異なり、第2の重合体組成物は、可溶性材料(例えば、コポビドン、ポロキサマー)をさらに含んでもよい。したがって、水和時(例えば、胃内)に第2の重合体組成物は軟化して、第2のセグメントの第2の重合体組成物の剛性が第1のセグメントの第1の重合体組成物よりも低くなる。好適な市販の重合体としては、Pathway(商標)TPU重合体(The Lubrizol Corporation)、Tecoflex(商標)(The Lubrizol Corporation)、Tecophilic(商標)(The Lubrizol Corporation)、Carbothane(商標)(The Lubrizol Corporation)、Isoplast(登録商標)(The Lubrizol Corporation)、Pebax(登録商標)(Arkema)、Texin(登録商標)(Covestro)、Chronoflex (AdvanSource Biomaterials)、NEUSoft(商標)(PolyOne)、およびMedalist(登録商標)TPEs (Teknor Apex)を挙げることができる。
実施態様によっては、第2の重合体組成物は、10~90重量%または40~70重量%の一次重合体を含んでよい。実施態様によっては、第2の重合体組成物は、90重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、60重量%未満、50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、または20重量%未満の一次重合体を含んでもよい。実施態様によっては、第2の重合体組成物は、20重量%超、30重量%超、40重量%超、50重量%超、60重量%超、70重量%超、または80重量%超の一次重合体を含んでもよい。
実施態様によっては、第2の重合体組成物は、1種以上の水溶性賦形剤(これは、先に記載した第1の重合体に対する1種以上の重合体を含んでもよい)を追加で含んでもよい。例えば、好適な水溶性賦形剤としては、コポビドン、ポロキサマー、および/またはポリエチレンオキシドを挙げることができる。好適な市販の水溶性賦形剤は、Kolliphor P407(ポロキサマー407、ポリエチレングリコール-block-ポリプロピレングリコール-block-ポリエチレングリコール)、PEG-PCL,SIF(BioRelevant社製FaSSIF/FaSSGF粉末)、EPO(メタクリル酸ジメチルアミノエチル-メタクリル酸ブチル-メタクリル酸メチル共重合体)、コリドンVA64(質量比6:4のビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体)、ポリビニルピロリジンを含む。
第2の重合体組成物は、5~70重量%または10~40重量%の水溶性賦形剤を含んでもよい。実施態様によっては、第2の重合体組成物は、70重量%未満、60重量%未満、50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、20重量%未満、または10重量%未満の水溶性賦形剤を含んでもよい。実施態様によっては、第2の重合体組成物は、5重量%超、10重量%超、20重量%超、30重量%超、40重量%超、50重量%超、または60重量%超の水溶性賦形剤を含んでもよい。
実施態様によっては、第2の重合体組成物は、追加の賦形剤を含んでもよい。例えば、第2の重合体組成物は、亜炭酸ビスマス、シリカ、ビタミンEコハク酸塩、酸化鉄、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルカプロラクタム系グラフト共重合体(Soluplus(登録商標))、デンプングリコール酸ナトリウム、および/またはヒドロキシプロピルセルロースを含んでもよい。実施態様によっては、第2の重合体組成物は、10~70重量%または20~50重量%の賦形剤を含んでよい。実施態様によっては、第2の重合体組成物は、70重量%未満、60重量%未満、50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、または20重量%未満の賦形剤を含んでもよい。実施態様によっては、第2の重合体組成物は、10重量%超、20重量%超、30重量%超、40重量%超、50重量%超、または60重量%超の賦形剤を含んでもよい。
実施態様によっては、第2の重合体組成物は、治療剤またはAPIをさらに含んでもよい。第2の重合体組成物は、20~80重量%または40~60重量%の治療薬またはAPIを含んでもよい。実施態様によっては、第2の重合体組成物は、80重量%未満、70重量%未満、60重量%未満、50重量%未満、40重量%未満、または30重量%未満の治療薬またはAPIを含んでもよい。実施態様によっては、第2の重合体組成物は、20重量%超、30重量%超、40重量%超、50重量%超、60重量%超、または70重量%超の治療薬またはAPIを含んでもよい。
制御された剛性のアームを作成するのに有用な重合体材料には、熱安定性に付加的な利点を有するものがある。例えば、胃内滞留システムは、出荷および流通中に温度変化をうけることがある。出荷データは、気候では貨物温度の極端な変化が60℃に近づく可能性があることを示唆する(Singh et al,Packag.Technol.Sci. 2012; 25: 149-160)。胃内滞留システムを構成する重合体は、コールドチェーン包装や保管を行わずに出荷する場合、この温度で物理的に安定でなければならない。
ポリカプロラクトンは、比較的剛直なアーム(または剛直な/第1のセグメント)にとって好ましい重合体であり、熱可塑性ポリウレタンは、制御された剛性のアーム(すなわち、第2のセグメント)を作成するのに好ましい重合体である)。ポリカプロラクトン系のアームは、55℃の高温にさらされても物理的に安定だが、60℃に達すると溶ける。カプセルに保存される場合、融解し始めたアームは互いに付着し、胃内滞留システムが胃内で展開するのを防ぐことができる。適切な重合体は、Pathway(商標) TPU重合体(The Lubrizol Corporation)などの、62Aから83Dの硬度範囲を有するカスタマイズ可能な熱可塑性ポリウレタンを含んでもよい。Pathway PY-PT72AEなどの熱可塑性ポリウレタンは、熱安定性を向上させる。Pathway PY-PT72AEは非晶質材料であり、明確な溶融転移を起こさないが、高温では軟化する。
相対的に剛直なアームを含む胃内滞留システムが(たとえば胃の蠕動または半径方向圧縮試験により)圧縮されると、圧縮力が胃内滞留システムのより柔軟なコアに伝達され、胃内滞留システムは患者の幽門(すなわち、直径20 mmの開口部)を通過できる折り曲げられた構成になる。
反対に、相対的に柔軟なアームを含む(すなわち、第1のセグメントおよび第2のセグメントを有する)胃内滞留システムが圧縮されると、第2のセグメントは圧縮力の一部を吸収する。したがって、圧縮力は、相対的に剛直なアームを有する胃内滞留システムの場合のようには、相対的に柔軟なアームを有する胃内滞留システムのコアに伝達されない。アームの剛直な内側のセグメントを幽門の大きさに圧縮するには、より大きな力が必要である。というのも、柔軟なコアに取り付けられたレバーアームが短いからである。このことは、相対的に柔軟なアームを有する胃内滞留システムを、それを折り曲げて患者の幽門(すなわち、直径20 mmの開口部)を通過するのに十分に小さな構成にするにはより大きな圧縮力を必要とすることを意味し得る。
剛性を調整したアームを有する胃内滞留システムのアームの第2のセグメントが第1のセグメントに対して長くなるにつれて、胃内滞留システムを圧縮して幽門(すなわち、直径20 mmの開口部)を通過するのに十分に小さな折り曲げ構成にするために必要な圧縮力も大きくなる(剛直な内側部分およびコアの長さが幽門の直径よりもさらに大きい場合に限る)。
比較的柔軟なアームの第1のセグメントのアームの第2のセグメントに対する比を変えてもよい。第1のセグメントが第2のセグメントに比べて大きすぎる場合、圧縮力が胃内滞留システムのコアに早く伝わりすぎて、圧縮力で胃内滞留システムが幽門を早期に通過するのに十分な大きさの曲がった構成に圧縮される可能性がある。第2のセグメントが第1のセグメントと比較して大きすぎる場合、第2のセグメントは圧縮力を受けて容易に曲がりすぎ、力が胃内滞留システムを圧縮して、幽門を早期に通過するのに十分な大きさに曲がった構成にできる。どちらのシナリオでも、胃内滞留システムは、幽門を早期に通過するのを阻止する効果が期待できないことになる。
胃内滞留システムの可撓性アームの第2のセグメントに対する第1のセグメントの有効比を変えてもよい。実施態様によっては、第1のセグメントは、アームの長さの10~90%を構成してもよい(近位端から遠位端まで測定されるように)。実施態様によっては、第1のセグメントは、アームの長さの90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、または20%未満を構成してよい。実施態様によっては、第1のセグメントは、アームの長さの10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、または80%以上を構成してよい。実施態様によっては、第2のセグメントは、アームの長さの10~90%を構成してもよい(近位端から遠位端まで測定した場合)。実施態様によっては、第2のセグメントは、アームの長さの90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、または20%未満を構成してよい。実施態様によっては、第2のセグメントは、アームの長さの10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、または80%以上を構成してよい。
システムの高分子組成
担持重合体、連結重合体、および弾性体に関する個々の重合体の選択は、システムの多くの特性、たとえば、薬物溶出速度(担持重合体および他の因子に依存する)、システムの滞留時間(いずれかの重合体(主に連結重合体)の分解に依存する)、システムが腸へ通過するときのシステムの分離時間(主に、本明細書で説明するように、連結重合体の腸での分解速度に依存する)、および圧縮形態でのシステムの貯蔵寿命(主に弾性体の特性に依存する)などに影響を与える。システムは胃腸管に投与されるため、システムのすべての部品は胃腸環境と生体適合性を持つ必要がある。
担持重合体-薬物部品からの薬物の溶出速度は、多くの因子、たとえば、それ自体が数種の高分子または非高分子成分の混合物であり得る担持重合体の組成および性質、親水性/疎水性、電荷状態、pKa、水素結合能力などの薬物の特性、ならびに胃内環境の特性などに影響される。胃の水性環境では、薬物、特に親水性薬物の爆発的放出(爆発的放出は、システムを胃に最初に配備したときの医薬品有効成分の高い初期送達量を指す)を避け、数日~1、2週間の期間にわたって薬物の徐放を維持するのは難しい。
胃内のシステムの滞留時間は、リンカー領域に用いられる連結重合体の選択によって調整される。腸溶性連結重合体を使用しているにもかかわらず、システムは最終的に胃内で分解する。というのも、胃の機械的作用および変動するpHが最終的には腸溶性連結重合体を弱化させるからである。胃内で時間依存的に分解する連結重合体を用いてシステムが分解するまでの時間を調整し、ひいては滞留時間を調整することもできる。システムは分解すると通過して腸へ行き、そこで排出される。
システムに用いられる弾性体は、システムの貯蔵寿命にとって重要である。システムが圧縮されると、弾性体は機械的応力を受ける。応力はさらに、重合体のクリープを引き起こす可能性がある。クリープが十分に広範囲に及ぶと、カプセルまたは他の容器から解放されたときにシステムが非圧縮構成に戻るのを妨げる可能性がある。このことはさらに、システムが胃を早く通過することにつながる。重合体のクリープは温度にも依存するため、弾性体および他の重合体成分を選択するときには、システムの予想される保管条件も考慮する必要がある。
システムの部品および重合体は、胃内環境で膨潤しないか、最小限の膨潤でなければならない。部品は、滞留期間中に胃内環境にあるとき、約20%以下、約10%以下、または好ましくは約5%以下の膨潤でなければならない。
必要であれば、システムは放射線不透過性であってもよく、それにより腹部X線撮影により位置決めすることができる。実施態様によっては、システムの構築に用いられる材料のうちの1種以上は、X線で視覚化するのに十分に放射線不透過性である。他の実施態様では、放射線不透過性物質をシステムの1種以上の材料に追加するか、システムの1種以上の材料に被覆するか、システムのわずかな部分に追加する。好適な放射線不透過性物質の例は、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、塩化酸化ビスマス、および三酸化ビスマスである。担持重合体からの薬物放出または他のシステム重合体の所望の特性を変えないように、胃内滞留システムの構築に用いられる重合体にこれらの材料を配合しないことが好ましい。システムの部品のわずかな部分にタングステンなどの金属ストライピングまたはチップを用いてもよい。
製造方法および治療方法
以下は様々な製造方法および治療方法の説明である。特に、システムの製造/組立:三次元印刷、システムの製造/組立:共押出、薬剤の粒径および粉砕、担持重合体-薬剤(または薬剤塩)部品の製造方法、システムの製造/組立:中心弾性体へのアームの取り付け、システムの製造/組立、フィラメントを有する胃内滞留システムの製造方法、胃内滞留システムを用いる治療方法、ならびにキットおよび製造品についての詳細な説明が含まれる。
システムの製造/組立:三次元印刷
胃内滞留システムの部品、たとえばアームまたはアームセグメントの三次元印刷は、市販の装置を用いて実施される。三次元印刷は医薬品の調製に使用されてきた(Khaled et al., “Desktop 3D printing of controlled release pharmaceutical bilayer tablets,” International Journal of Pharmaceutics 461:105- 111 (2014); 米国特許第7,276,252号; Alhnan et al., “Emergence of 3D Printed Dosage Forms: Opportunities and Challenges,” Pharm. Res., May 18, 2016, PubMed PMID: 27194002); Yu et al., “Three-dimensional printing in pharmaceutics: promises and problems,” J. Pharm. Sci. 97(9):3666-3690 (2008);およびUrsan et al., “Three-dimensional drug printing: A structured review,” J. Am. Pharm. Assoc. 53(2):136-44 (2013)を参照のこと)。
三次元印刷用の最初の供給原料は、重合体または重合体配合物(たとえば、腸溶性重合体、時間依存性重合体、または薬剤、薬剤塩、薬物、賦形剤などの1種と担持重合体、腸溶性重合体、もしくは時間依存性重合体との配合物)である。製造されるセグメントまたはアームの1つの領域に使用される重合体または成分をホットメルト押出により混合しペレットにする。重合体または配合済み重合体材料を円形の型で押出して、スプールに巻かれた円柱状の繊維を作製する。
複数のスプールを3Dプリンター(Hyrel 3D(米国ジョージア州、ノークロス)から入手可能なHyrel Printerなど)に供給し、典型的なプリントヘッドに供給する。プリントヘッドを加熱し、ノズルで材料を溶かし、製造される部品の特定の位置の材料の薄層(重合体または重合体配合物)を置く。材料は数秒以内に冷めて硬化し、完全な構造が形成されるまで次の層を追加する。剤形の品質は、供給速度、ノズル温度、およびプリンターの解像度に依存し、供給速度およびノズル温度を調節して所望の品質を得ることができる。
三次元印刷を用いて個々のアームまたはアームのセグメントを製造することができる。三次元印刷を用いて、本明細書に記載の共押出法によって調製されるのと似た、固めた「スラブ」などのバルク構成を調製することもできる。必要に応じて、バルク構成を個々の部品(すなわち、個々のアームまたは個々のセグメント)に切断してもよい。
本発明の実施態様によっては、胃内滞留システムのアーム全体をアームの三次元印刷により作製することが考えられる。本発明の実施態様によっては、胃内滞留システムのアームのセグメントをアームのセグメントの三次元印刷により作製することが考えられる。実施態様によっては、厚板構成などのバルク構成の担持重合体-薬剤または担持重合体-薬剤塩配合物とリンカー材料の隣接部分を三次元印刷してアームまたはそのセグメントを作製する。三次元印刷に続いて、バルク構成を、アームまたはそのセグメントの所望の形状を有する断片に切断してもよい。三次元印刷に続いて、バルク構成の一部を、アームまたはそのセグメントの所望の形状を有する断片に圧縮成形してもよい。
三次元印刷は、多くの場合、固形材料の棒または繊維をプリントヘッドに供給し、そこで溶融堆積造形(押出堆積と呼ぶ場合もある)として知られる技術で溶融・堆積し、後に凝固させることで実現される(米国特許第5,121,329号および第5,340,433号を参照のこと)。担持重合体-薬物部品の製造に関して本明細書に記載する方法を用いて、胃内滞留システムの部品の三次元印刷による製造に使用できる供給材料を製造することもできる。
システムの製造/組立:共押出
胃内滞留システムの部品を共押出で製造してもよい。本明細書に記載のセグメントに関する様々な構成(海島(islands-in-the-sea)構成など)のほとんどは、三次元印刷でも共押出でも作製できる。しかし、共押出の方が低コストであり、一般にバッチ工程でおこなわれる三次元印刷と異なり、連続工程でおこなうことができる。
「海島」構成の共押出は、繊維工業および光ファイバーの作製に用いられるが、生物医学システムにはほとんど応用されていない。米国特許第3,531,368号、第3,716,614号、第4,812,012号、およびHaslauer et al., J. Biomed. Mater. Res. B Appl. Biomater. 103(5):1050-8 (2015)を参照のこと。
市販の装置を所望の構成のための専用の共押出配管および専用の型と組み合わせて用いて、胃内滞留システムの部品、たとえばアームまたはアームのセグメントの共押出を行うことができる。共押出用の最初の供給原料は、重合体または重合体配合物(たとえば、腸溶性重合体、時間依存性重合体、または薬剤、薬剤塩、薬物、賦形剤などの1種と担持重合体、腸溶性重合体、もしくは時間依存性重合体との配合物)である。製造されるセグメントまたはアームの1つの領域に使用される重合体または成分を、ホットメルト押出により混合しペレットにする。このように形成した重合体ペレットを単軸押出機の上のホッパーに入れ、乾燥させて表面の水分を除去する。ペレットを重量測定して個々の単軸押出機に供給し、そこで溶融・加圧して共押出する。
次に、必要とされる形状を形成する複数のチャネルを有する専用設計の型に適切な溶融重合体をポンプで送る。複合重合体ブロックを冷却(水冷、空冷、またはその両方)し、所望の形状(三角柱、角柱、円柱の断片(パイ形のくさび)などの形状が挙げられるが、これらに限定されない)に切断あるいは型抜きする。
本発明の実施態様によっては、胃内滞留システムのアーム全体をアームの共押出により作製することが考えられる。本発明の実施態様によっては、胃内滞留システムのアームのセグメントをアームのセグメントの共押出により作製することが考えられる。実施態様によっては、厚板構成などのバルク構成の担持重合体-薬剤または担持重合体-薬剤塩配合物とリンカー材料の隣接部分を共押出してアームまたはそのセグメントを作製する。共押出に続いて、バルク構成を、アームまたはそのセグメントの所望の形状を有する断片に切断してもよい。共押出に続いて、バルク構成の一部を、アームまたはそのセグメントの所望の形状を有する断片に圧縮成形してもよい。
実施態様によっては、担持重合体-薬剤または担持重合体-薬剤塩配合物およびリンカー材料の隣接部分を厚板構成などのバルク構成で共押出すると同時に、担持重合体-薬剤または担持重合体-薬剤塩配合物、リンカー材料、または担持重合体-薬剤(もしくは薬剤塩)配合物およびリンカー材料の両方に含まれる追加の重合体も共押出してアームまたはそのセグメントを作製する。担持重合体-薬剤もしくは担持重合体-薬剤塩配合物、リンカー材料、または担持重合体-薬剤(もしくは薬剤塩)配合物およびリンカー材料の両方との追加の重合体の共押出を海島構成で実施してもよい。共押出に続いて、バルク構成を、アームまたはそのセグメントの所望の形状を有する断片に切断してもよい。共押出に続いて、バルク構成の一部を、アームまたはそのセグメントの所望の形状を有する断片に圧縮成形してもよい。
薬剤の粒径および粉砕
胃内滞留システムに用いられる粒径の調整は、薬剤の最適な放出およびシステムの機械的安定性の両方にとって重要である。薬剤の粒径は、胃液がシステムの担持重合体-薬剤セグメントに浸透したときに溶解に利用できる薬剤の表面積に影響する。また、システムのアームは相対的に直径が小さい(たとえば、1ミリメートル~5ミリメートル)ため、アームの直径の数パーセントを超える大きさの薬剤粒子が存在すると、装置から薬剤が溶出する前も、溶出後に以前は薬剤粒子が占めていた空間に空隙が残った場合も、アームが弱くなる。このようなアームの弱化は、所望の滞留期間が終了する前にシステムの早期の破断および通過につながる可能性があるため、不利である。
一実施態様では、担持重合体-薬剤部品に配合するのに用いられる薬剤粒子は直径約100ミクロンより小さい。別の実施態様では、薬剤粒子は直径約75ミクロンより小さい。別の実施態様では、薬剤粒子は直径約50ミクロンより小さい。別の実施態様では、薬剤粒子は直径約40ミクロンより小さい。別の実施態様では、薬剤粒子は直径約30ミクロンより小さい。別の実施態様では、薬剤粒子は直径約25ミクロンより小さい。別の実施態様では、薬剤粒子は直径約20ミクロンより小さい。別の実施態様では、薬剤粒子は直径約10ミクロンより小さい。別の実施態様では、薬剤粒子は直径約5ミクロンより小さい。
一実施態様では、担持重合体-薬剤部品に配合するのに用いられる薬剤粒子の少なくとも約80%は直径約100ミクロンより小さい。別の実施態様では、薬剤粒子の少なくとも約80%は直径約75ミクロンより小さい。別の実施態様では、薬剤粒子の少なくとも約80%は直径約50ミクロンより小さい。別の実施態様では、薬剤粒子の少なくとも約80%は直径約40ミクロンより小さい。別の実施態様では、薬剤粒子の少なくとも約80%は直径約30ミクロンより小さい。別の実施態様では、薬剤粒子の少なくとも約80%は直径約25ミクロンより小さい。別の実施態様では、薬剤粒子の少なくとも約80%は直径約20ミクロンより小さい。別の実施態様では、薬剤粒子の少なくとも約80%は直径約10ミクロンより小さい。別の実施態様では、薬剤粒子の少なくとも約80%は直径約5ミクロンより小さい。
一実施態様では、担持重合体-薬剤部品に配合するのに用いられる薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約1ミクロン~約100ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約1ミクロン~約75ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約1ミクロン~約50ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約1ミクロン~約40ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約1ミクロン~約30ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約1ミクロン~約25ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約1ミクロン~約20ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約1ミクロン~約10ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約1ミクロン~約5ミクロンの大きさを有する。
一実施態様では、担持重合体-薬剤部品に配合するのに用いられる薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約2ミクロン~約100ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約2ミクロン~約75ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約2ミクロン~約50ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約2ミクロン~約40ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約2ミクロン~約30ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約2ミクロン~約25ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約2ミクロン~約20ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約2ミクロン~約10ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約2ミクロン~約5ミクロンの大きさを有する。
一実施態様では、担持重合体-薬剤部品に配合するのに用いられる薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約5ミクロン~約100ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約5ミクロン~約75ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約5ミクロン~約50ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約5ミクロン~約40ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約5ミクロン~約30ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約5ミクロン~約25ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約5ミクロン~約20ミクロンの大きさを有する。別の実施態様では、薬剤粒子の質量の少なくとも約80%は直径約5ミクロン~約10ミクロンの大きさを有する。
粉砕により、薬剤の粒径を容易に調整することができる。大きな粒子を小さくしてより小さな所望の大きさの粒子にするには、いくつかの粉砕技術を利用することができる。流体エネルギー粉砕は、粒子間の衝突を利用して粒径を小さくする乾式の粉砕技術である。エアジェット粉砕と呼ばれる流体エネルギー粉砕の一種は、薬剤粒子間の衝突を最大化するような方式で円筒形のチャンバーに空気を噴射する。ボールミルは、主軸を中心に回転する回転円筒形チャンバーを利用する。薬剤と研削材(クロム鋼またはCR-NI鋼でできた鋼球、ジルコニアなどのセラミック球、プラスチックポリアミドなど)が衝突し、薬剤の粒径が小さくなる。ボールミルを乾燥状態で行っても、薬剤も研削材も溶かさない液体をシリンダーに加えて行ってもよい。粉砕に関するさらなる情報は、Water-Insoluble Drug Formulation, Second Edition (Ron Liu, editor), Boca Raton, Florida: CRC Press, 2008のR.W. Leeらによる“Particle Size Reduction”と題する章、およびHandbook of Pharmaceutical Granulation Technology, Third Edition (Dilip M. Parikh, editor), Boca Raton, Florida: CRC Press/Taylor & Francis Group, 2010のA.W. Brzeczkoらによる“Granulation of Poorly Water-Soluble Drugs”と題する章(および同ハンドブックのその他の部分)に記載されている。流体エネルギー粉砕(すなわち、エアジェット粉砕)は、ボールミルなどの他の乾式粉砕技術に比べてスケールアップしやすいため、好ましい粉砕方法である。
粉砕中に物質を薬剤材料に添加して、所望の大きさの粒子を得るのを補助し、取扱い中の凝集を最小限に抑えることができる。シリカ(二酸化ケイ素、SiO2)は、安価で、広く入手可能で、毒性がないため、好ましい粉砕添加剤である。使用できる他の添加剤としては、シリカ、リン酸カルシウム、粉末セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、疎水性コロイド状シリカ、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、タルク、ポリビニルピロリドン、セルロースエーテル、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、および界面活性剤が挙げられる。特に、直径5ミクロン未満の疎水性粒子は特に凝集しやすく、そのような粒子を粉砕する場合、親水性添加剤を使用する。約0.1%~約5%の重量比、あるいは約0.1%~約4%、約0.1%~約3%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1%、約1%~約5%、約1%~約4%、約1%~約3%、約1%~約2%、または約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、もしくは約5%のシリカなどの粉砕添加剤を流体粉砕またはボールミルに使用できる。
粉砕後、粒子を適切な大きさのメッシュに通して、所望の大きさの粒子を得ることができる。所望の最大の大きさの粒子を得るには、所望の最大の大きさの穴を有するメッシュに粒子を通す。大きすぎる粒子はメッシュ上に残され、メッシュを通過する粒子は所望の最大の大きさを有する。所望の最小の大きさの粒子を得るには、所望の最小の大きさの穴を有するメッシュに粒子を通す。メッシュを通過する粒子は小さすぎて、所望の粒子はメッシュ上に残される。
担持重合体-薬剤(または薬剤塩)部品の製造方法
薬剤(またはその薬学的に許容される塩)を重合体基質に組み込むための配合温度は、典型的には約80℃~約120℃の範囲だが、その範囲外の温度で最適に配合された重合体については、より高温または低温を用いることができる。特定の大きさの薬剤(またはその塩)粒子が用いられ、配合中および配合後に粒子の大きさが維持されることが望ましい場合、粒子の所望の大きさを維持するために薬剤(またはその塩)の融点より低い温度で配合を行ってもよい。そうでなければ、重合体および薬剤(またはその塩)の両方を溶融する温度を用いることができる。配合温度は、薬剤(またはその塩)の分解温度より低温である必要がある。一実施態様では、薬剤(またはその塩)の約2%未満が製造中に分解する。一実施態様では、薬剤(またはその塩)の約1.5%未満が製造中に分解する。一実施態様では、薬剤(またはその塩)の約1%未満が製造中に分解する。一実施態様では、薬剤(またはその塩)の約0.75%未満が製造中に分解する。一実施態様では、薬剤(またはその塩)の約0.5%未満が製造中に分解する。一実施態様では、薬剤(またはその塩)の約0.4%未満が製造中に分解する。一実施態様では、薬剤(またはその塩)の約0.3%未満が製造中に分解する。一実施態様では、薬剤(またはその塩)の約0.2%未満が製造中に分解する。一実施態様では、薬剤(またはその塩)の約0.15%未満が製造中に分解する。一実施態様では、薬剤(またはその塩)の約0.1%未満が製造中に分解する。一実施態様では、薬剤(またはその塩)の約0.05%未満が製造中に分解する。一実施態様では、薬剤(またはその塩)の約0.04%未満が製造中に分解する。一実施態様では、薬剤(またはその塩)の約0.03%未満が製造中に分解する。一実施態様では、薬剤(またはその塩)の約0.02%未満が製造中に分解する。一実施態様では、薬剤(またはその塩)の約0.01%未満が製造中に分解する。
ホットメルト押出成形を用いて担持重合体-薬剤(または薬剤塩)部品を調製することができる。単軸スクリュー、または好ましくは二軸スクリューシステムを用いることができる。前述のように、配合中または配合後の粒子の大きさを維持することが望ましい場合、薬剤もその塩も分解しない温度で溶融できる担持重合体を用いる必要がある。そうでなければ、重合体と薬剤またはその塩の両方を溶融する温度を用いることができる。
溶融および流延を用いて担持重合体-薬剤(またはその塩)部品を調製することもできる。担持重合体および薬剤(またはその塩)、ならびに他の任意の所望の成分を混ぜ合わせる。担持重合体を溶融し、薬剤(またはその塩)粒子が溶融物に均一に分散するように溶融物を混合し、型に流し、冷却する。
溶媒流延を用いて担持重合体-薬剤(またはその塩)部品を調製することもできる。重合体を溶媒に溶解し、薬剤(またはその塩)の粒子を加える。薬剤(またはその塩)粒子の大きさを維持する場合は、粒子の大きさの性質の変化を避けるために、薬剤(またはその塩)粒子を溶解しない溶媒を用いる必要がある。そうでない場合、重合体と薬剤(またはその塩)粒子の両方を溶解する溶媒を用いることができる。次いで、溶媒-担持重合体-薬剤(またはその塩)粒子混合物(すなわち、溶媒-担体粒子-薬剤/薬剤塩溶液)を混合して粒子を均一に分散させ(すなわち溶液を完全に混合し)、型に流し、溶媒を蒸発させる。
システムの製造/組立:中心弾性体へのアームの取り付け
図1Aに示されるような星状体胃内滞留システムの場合、複数の方法で胃内滞留システムのアームを中心弾性体に取り付けることができる。中心重合体を短い「星状」アームで流延あるいは成形することができ、リンカー重合体を用いてアームを中心弾性体の星状アームに固定することができる。あるいは、中心弾性体をアームの近位端が突き出た型で形成してもよい。弾性体は固化、硬化、またはその他の方式で硬くなって、アームの一部が中心弾性体の本体に伸びている目的の形状になる。あるいは、アームをしっかりと挿入できる空洞を有する中心弾性体を作製してもよい。
したがって、本発明は、本明細書に開示の任意の薬物-担持重合体-賦形剤配合物を含む材料から形成される少なくとも3つのアームを作製すること、およびアームを中心弾性体に取り付けて胃内滞留システムを形成することを含む、胃内滞留システムの作製方法を包含する。アームは、放出速度を調整する重合体フィルムを有する少なくとも1つのセグメントを含んでもよい。胃内滞留システムのアームは、「ハブとスポーク」配置のように、中心弾性体から放射状に突き出る。アームの好ましい数は6である。ただし、3、4、5、7、または8本のアームを有する星状体システムを用いることもできる。
実施態様によっては、熱溶着、溶媒溶着、または他の方法で、任意の担持重合体-薬剤配合物を含むアームを他の要素、たとえば崩壊基質、連結重合体、または介在する重合体に固定してもよく、次いでこれらを中心弾性体に固定する。実施態様によっては、アームを中心弾性体に直接固定する。崩壊基質、連結重合体、または介在する重合体セグメントを溶着あるいは他の方法で中心弾性体に固定してからアームを固定してもよい。
実施態様によっては、本明細書に開示の任意の薬物-担持重合体-賦形剤配合物を含むアームをポリカプロラクトンセグメント、たとえば中心弾性体に取り付けられた短いポリカプロラクトン「星状」アームなどに熱溶着してもよい。リンカーセグメントを短い「星状」アームに溶着してから薬物-担持重合体-賦形剤配合物アームを固定してもよい。140℃~170℃の温度で薬物-担持重合体-賦形剤配合物アームをMW 80,000 PCLセグメントに熱溶着した後に8℃で24時間冷却すると、より強力な溶着になった。したがって、一実施態様では、本明細書に開示の任意の薬物-担持重合体-賦形剤配合物を含むアームを中心弾性体に取り付けて胃内滞留システムを形成することは、アームを他のシステム部品、たとえば、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のポリカプロラクトン(MW 80,000 PCLなど)を含む星状アームまたはその他のセグメントに約140℃~約170℃の温度で熱溶着した後に、他のシステム部品に取り付けられた溶着済み部材を約12~約48時間、約2℃~約14℃、たとえば約5℃~約10℃、または約8℃で冷却することを含み得る。あるいは、その他のシステム部品はリンカー要素であってもよい。
システムの製造/組立
胃内滞留システムのアームが中心弾性体に固定されると、システムは圧縮構成に折り畳まれて保管、輸送、最終的な投与のためにカプセルに入れられる準備が整う。自動化された機械的工程または手でシステムを折り畳んで、適切な大きさおよび材料のカプセルに入れることができる。胃内滞留システムの製造および組立、ならびにカプセルへの胃内滞留システムの詰込みに関する詳細は、国際特許出願第WO2015/191920号、第WO2015/191925号、第WO2017/070612号、第WO2017/100367号、および第PCT/US2017/034856号に記載されている。
フィラメントを有する胃内滞留システムの製造方法
既に説明したように、胃内滞留システムのフィラメントは、胃内滞留システムのアームの先端部に接続される場合がある。適切に接続されていない場合、胃内滞留システムが圧縮/曲げられると、アームがフィラメントに沿って並進し、胃内滞留システムの幽門への早期通過の防止に役立つフィラメントの能力が損なわれる可能性がある。したがって、以下は、フィラメント付の胃内滞留システムの製造方法についての説明である。
実施態様によっては、フィラメントは、切り欠き加工、包み込み、および端部形成で、予め組み立てられた胃内滞留システムのアームに取り付けられてもよい。胃内滞留システムは、各アームの各遠位端に特別に形成された先端部を用いて組み立てられてよい。各アームの各先端部は、図6Aに示すように、剃刀または丸鋸で切り欠いて、先端部に切り欠きを形成できる。図6Bは、胃内滞留システムのアームの周りに円周方向に巻かれ、各切り欠きをから供給されたフィラメントを示す。実施態様によっては、フィラメントは、制御された張力を有する巻付け具を用いて巻き付けることができる。図6Cは、フィラメントを固定するために閉じられ丸められた切り欠きを示す。実施態様によっては、切り欠きは、加熱されたダイにより各アームの端部に熱と圧力を加え、アームの端部に丸みを帯びた表面を残す固定具を使用して閉じられてよい。
フィラメントを巻きつけて2つ以上のアームを接続した後、フィラメントの端部を固定できる。図7は、フィラメントの両端を固定する2つの異なる方法を示す。フィラメントの2つの端部は、1つのアームの切り欠き内で重ねることで最初に固定できる。胃内滞留中に胃内で胃内滞留システムが曲がると、フィラメントに張力がかかり、フィラメントの2つの自由端部は、切り欠きをすり抜けてアームから離脱する可能性がある。したがって、フィラメント端部をよりしっかりと固定するために、フィラメント端部は、結び目および/または加熱により拡大される。実施態様によっては、フィラメントの端部は、胃内滞留システムに取り付ける前に、結び目および/または熱を加えることができる。
実施態様によっては、フィラメントを、アーム先端部を胃内滞留システムの残りの部分に取り付ける前に、複数のアーム先端部に取り付けてもよい。例えば、フィラメントおよびアーム先端部は、射出成形またはインサート成形(例えば、既存のフィラメントに先端部をオーバーモールドすること)により製造されてもよい。図8は、射出成形でフィラメントおよびアーム先端部を形成することを含む製造工程の一例を示す。図示のように、胃内滞留システム852は、射出成形されたフィラメントおよびアーム先端部(850)の中に挿入されてもよい。胃内滞留システム852は、フィラメントおよびアーム先端部850に溶着されて、フィラメント854を有する完成した胃内滞留システムを形成できる。
胃内滞留システムを用いる治療方法
胃内滞留システムを用いて、長期間にわたる薬物または薬剤の投与を必要とする状態を治療することができる。好ましい実施態様では、胃内滞留システムをヒトに投与する。数ヶ月、数年、または無期限に服用される薬剤または薬物の長期投与の場合、胃内滞留システムを定期的に(週に1回または2週間に1回など)投与することは患者の投薬遵守および利便性に大きな利点を提供することができる。したがって、3日毎に1回、5日毎に1回、週に1回、10日に1回、または2週間に1回、本発明の胃内滞留システムを投与してもよい。胃内滞留システムがその滞留期間後に胃から出るのとほぼ同時に新しい胃内滞留システムを投与するように、投与する胃内滞留システムの設計胃内滞留期間と一致するよう投与頻度を時間調整する。
胃内滞留システムを患者に投与すると、システムは胃内滞留期間にわたって薬剤または薬物を持続放出する。胃内滞留期間後、システムは分解して胃から出る。したがって、胃内滞留期間が1週間のシステムの場合、患者は毎週新しいシステムを飲み込む(あるいは他の方法で胃に投与される)。したがって、一実施態様では、所望の合計治療期間「合計T」(合計Tは日単位の所望の治療の長さである)にわたって「日数D」(日数Dは日単位の胃内滞留期間である)の胃内滞留期間を有する本発明の胃内滞留システムを用いる、システム中の薬剤または薬物による患者の治療方法は、所望の合計治療期間にわたってD日毎に経口投与または他の方法で新しい胃内滞留システムを患者の胃に導入することを含む。患者に投与する胃内滞留システムの数は、「合計T」を「D日」で割った数である。たとえば、患者の1年間の治療(合計T = 365日)が望ましく、システムの胃内滞留期間が7日(日数D = 7日)である場合、7日毎に1回新しいシステムを投与するため、365日間で約52個の胃内滞留システムを患者に投与することになる。
あるいは、患者は胃内滞留システムの有効放出期間の終了時に新しい胃内滞留システムを飲み込んで(あるいは他の方法で胃に投与されて)もよい。「有効放出期間」または「有効放出時間」は、胃内滞留システムがシステムに含まれる有効量の薬剤を放出する時間である。したがって、一実施態様では、所望の合計治療期間「合計T」(合計Tは日単位の所望の治療の長さである)にわたって「日数E」(日数Eは日単位の有効放出期間である)の有効放出期間を有する本発明の胃内滞留システムを用いる、システム中の薬剤による患者の治療方法は、所望の合計治療期間にわたってE日毎に経口投与または他の手段で新しい胃内滞留システムを患者の胃に導入することを含む。患者に投与する胃内滞留システムの数は、「合計T」を「E日」で割った数である。たとえば、患者の1年間の治療(合計T = 365日)が望ましく、システムの有効放出期間が7日(日数E = 7日)である場合、7日毎に1回新しいシステムを投与するため、365日間で約52個の胃内滞留システムを患者に投与することになる。
キットおよび製造品
本発明の胃内滞留システムで患者を治療するためのキットも本明細書で提供する。キットは、たとえば、所望の合計治療期間にわたって患者に定期的に投与するのに十分な数の胃内滞留システムを含んでもよい。日単位の合計治療期間が「合計T」で胃内滞留システムが「D日」の胃内滞留期間を有する場合、D日毎の投与のため、キットは(「合計T」÷「D日」)(整数に四捨五入)に等しい数の胃内滞留システムを含む。あるいは、日単位の合計治療期間が「合計T」で胃内滞留システムが「E日」の有効放出期間を有する場合、E日毎の投与のため、キットは(「合計T」÷「E日」)(整数に四捨五入)に等しい数の胃内滞留システムを含む。キットは、たとえば、容器に数個の胃内滞留システムを含んでもよい(容器はカプセルであってもよい)し、必要に応じて、印刷された、あるいはコンピュータで読み取り可能な投与計画、治療期間、あるいは胃内滞留システムの使用および/または胃内滞留システムに含まれる薬剤もしくは薬物に関する他の情報の指示も含んでもよい。たとえば、患者の所定の合計治療期間が1年間で、胃内滞留システムが1週間の滞留期間または1週間の有効放出期間を有する場合、キットはそれぞれ1個の胃内滞留システムを含む52個のカプセルを、週に1回同じ日(たとえば毎週土曜日)に1個のカプセルを飲むという指示と共に含んでもよい。
所望の合計治療期間にわたって患者に定期的に投与するのに十分な数の胃内滞留システムを含み、必要に応じて投与計画、治療期間、あるいは胃内滞留システムの使用および/または胃内滞留システムに含まれる薬剤もしくは薬物に関する他の情報についての指示も含む製造品も本発明に含まれる。製造品を適切な包装、たとえばディスペンサー、トレイ、または患者が所定の間隔で胃内滞留システムを投与するのを補助する他の包装で供給してもよい。
試験方法
3点曲げ試験。材料の「曲げ弾性率」は、3点曲げ試験により測定される材料の曲げ変形時の応力のひずみに対する比として計算される材料の固有特性である。本明細書では、リンカーは胃内滞留システムの部品として説明するが、高分子材料の曲げ弾性率は、単独で測定されてもよい。例えば、胃内滞留システムの高分子リンカーは曲げ弾性率を測定するには短すぎるかもしれないが、曲げ弾性率を正確に決定するために同じ材料のより長い試料を使用してもよい。曲げ弾性率の測定に用いる長い試料は、胃内滞留システムに用いられる高分子リンカーと同じ断面寸法(形状およびサイズ)であることが望ましい。曲げ弾性率は、ASTM規格の3点曲げ試験(ASTM D790)に準拠して、支持体間の距離を10 mmとし、さらに断面が長方形でない材料に対応するように修正した3点曲げ試験を用いて測定する。高分子リンカーの断面の最長対称線を垂直に置き、下向きに力を加えて曲げ弾性率を測定することが望ましい。高分子リンカーの断面の最も長い対称線が一本の平坦な辺に垂直な場合、一本の平坦な辺を上方に位置させることが好ましい。高分子リンカーの断面が三角形の場合、三角形の頂点が下向きになるようにする。下向きに力を加えながら、力と変位を測定し、直線領域での傾きを求め、曲げ弾性率を算出する。
半径方向の力の圧縮試験:図9は、絞り機構を用いた半径方向の力の圧縮試験を示す。具体的には、図9に示される胃内滞留システム902は、6本のアームを含むほぼ星状体の胃内滞留システムに周方向に巻かれたフィラメントを含む。半径方向の力の圧縮を測定するのに使用された機器(すなわち絞り試験機)は、Blockwise Model TTR2 Tensile Testing MachineおよびModel RLU124 Twin-Cam(商標)Radial Compression Station, 60 mm D x 124 mm Lであった。
測定される胃内滞留システムを、胃内滞留システムの平面が絞りシリンダーの軸と平行になるように絞り試験機に配置した。4つのアームチップを絞り試験機の内壁に接触させて配置し(6本のアームを含む胃内滞留システムの場合)、2本のアームを上向き、2本のアームを下向きに角度を付けた。2本のさらなるアームを絞りシリンダーの軸と平行に向けた。
引き抜き力試験:図10Aおよび10Bは、フィラメントの接着強度を試験する方法を示す。前述したように、フィラメントは、アームの遠位端に取り付けられてもよい。単一のフィラメントが2つ以上のアームを接続する場合、フィラメントは、胃内滞留システムが胃の力によって曲げられるときに、フィラメントに沿ったアームの並進を防止するために、各アームの遠位端に接続されてもよい。したがって、本明細書に記載の引き抜き力試験は、フィラメントをアームの遠位端から分離するのに必要な力を定量することができる。
6本のアームとフィラメント付の胃内滞留システムを調製し、弾性体コアを6つの部分に切断してアームを分離した。フィラメントは、各アームの間で切断した。各アーム先端からフィラメントを引き抜くのに必要な引張力を、インストロン3340シリーズ万能試験機を用いて、アームの基部とフィラメントの一端を把持することにより測定した。
二重漏斗耐久性試験。二重漏斗試験は、胃内滞留システムの耐久性および/または故障モードを定量するために使用される。胃内滞留システムの耐久性は、胃内滞留システムの繰り返される胃波/力(および幽門の早期通過)による早期の破断または弱化を防止するのに役立つ。二重漏斗試験を用いて胃内滞留システムを試験するには、試験するシステムをその中心(すなわちコア)でリニアアクチュエータに取り付けられたリングにより把持する。胃内滞留システムを上下に動かして円錐形の空洞に入れ、胃内滞留システムのアームをコアに対して前後に曲げることを繰り返す。円錐形の空洞は、円錐の頂点が互いに対向し、各円錐の基部が互いに近接するように、互いに向かい合っている。この上方および下方への運動は、数百サイクル、または胃内滞留システムが破断するまで繰り返される。異なる特定の破断モードは、接続点(例えば、アーム-コア間または第1セグメント-第2セグメント間)での破断またはシリコーンコアの引き裂きを含む。破断までのサイクル数および胃内滞留システムを曲げるのに必要な力は定量されてもよい。試験は、胃内滞留システムを水性媒体(例えば、模擬胃液)中に浸漬し、体温で行ってもよい。
平面円周曲げ耐久性試験(Planar Circumferential Bend Durability Test)。平面周方向試験は、胃内滞留システムの耐久性および/または故障モードを定量するのに使用される。特に、平面周方向曲げ耐久性試験は、胃内滞留システムのアームと接触する4つのグリップをそれぞれ有するパック上に胃内滞留システムを位置付けることで、胃内滞留システムを試験することができる。グリップは回転アクチュエータに接続されており、アームに円周方向に力を加える。この運動により、アームは胃内滞留システムの平面内で広がる。この動作は、数百サイクル、または胃内滞留システムが壊れるまで繰り返される。異なる特定の破断モードは、接続点(例えば、アーム-コア間または第1セグメント-第2セグメント間)での破断またはシリコーンコアの引き裂きを含む。破断までのサイクル数および胃内滞留システムを曲げるのに必要な力は、定量されてもよい。試験は、胃内滞留システムを水性媒体(例えば、模擬胃液)中に浸漬し、体温で行ってもよい。
メルトフローインデックス(MFI)。メルトフローインデックス(MFI)は、低せん断における粘度の測定値であり、設定温度および加えた重量で10分間にダイを流れる材料のグラム数で測定される。これらの測定は、Ray-Ran 6MPCA Advanced Melt Flow Systemを用い、2.16 kgの重量(ただし、標準化された重量の範囲とすることができる)で、ASTM D1238 "Standard Test Method for Melt Flow Rates of Thermoplastics by Extrusion Plastometer" の手順Aに従って実施される。
引張試験。特注グリップ(図C)を有するインストロン機を用いて、 (1) 各種恒温放置液中、(2) 数回の恒温放置、(3) 室温または体温(37-40℃)での、恒温放置星状体部品の任意の組み合わせの間の結合の極限引張強度(UTS)を評価することができる。低い極限引張強度は、星形の潜在的な破断点を示す。処方および実験過程の最適化により、引張強度を最大にし、理想的な星状体性能を実現することができる。
三角形の断面を持つ星状体アームを試験するために、1枚の平板と1枚の切り欠きを持つ特注グリップを使用することができる。三角形のアームの頂点が切り欠きに収まるようにし、板からの圧力を三角形のアームの長さ方向の3つの面により均等に分散させることができるようにした。
引張試験は、インストロン3342シリーズを用いて実施した。3.33 mmの三角形の底面を有するホットメルト押出成形され、熱的に接合された一連の正三角柱を、空気圧作動により把持する。クロスヘッドを、試験材料の弾力性に応じて、5~500 mm/分で上方に移動する。測定器は力(N)対変位( mm)を記録し、最大力を界面の断面積で割って極限引張強度(応力)を計算する。
薬物放出速度試験。薬物の放出速度を、絶食状態模擬胃液(FaSSGF)中で試験する。FaSSGFは、製造者の説明書(biorelevant.com)に従って、以下のように調製した。975 mLの脱イオン水と25 mLの1N塩酸を1Lのガラス製媒体瓶で混合した。必要に応じて1N HClまたはNaOHを用いてpHを1.6に調整した。2.0gのNaClを添加し、混合した。使用直前に、60 mgのBiorelevant粉末を溶液に混合した。FaSSGFの組成は、タウロコール酸(0.08 mM)、リン脂質(0.02 mM)、ナトリウム(34 mM)、塩化物(59 mM)であった。担持重合体--薬剤組成物は、重合体粉末と活性医薬品成分をブレンドし、押し出すことで薬剤を担持した重合体アームに形成された。アームは、フィルム重合体を適切な溶媒、典型的には酢酸エチルまたはアセトンに溶解し、フィルム重合体の溶液でアームをパンコートまたはディップコートして放出速度調節重合体フィルムで被覆した。次に、被覆されたアームを、FaSSGFを含む容器に入れ、37℃で恒温放置され、典型的には、7日間にわたって少なくとも4回採取する。薬物含有量をHPLCで測定した。試料を、分析前に4℃3日以内で保存した。各測定時点において、シンク状態を維持するために、放出媒体の全量を37℃に予め平衡化された新鮮な溶液と交換した。
実施例1:胃内滞留システムを様々な絞り直径に圧縮するのに必要な半径方向の力を、先に詳細に説明した半径方向力試験機により試験した。図11に示すように、フィラメント付の胃内滞留システムおよびフィラメントなしの胃内滞留システムを試験した。図示のように、フィラメント付の胃内滞留システムを圧縮するのに必要な力と、フィラメントなしの胃内滞留システムとの間の不一致は、圧縮された直径が減少するにつれて増加する。その結果、胃内滞留装置が幽門を通過してしまうほど小さな圧縮径(すなわち、径20 mm以下)では、フィラメント付き胃内滞留装置を圧縮するのに必要な力は、フィラメントなしの胃内滞留装置を圧縮するのに必要な力の少なくとも2倍であることが明らかになった。
実施例2:胃内滞留システムを様々な絞り直径に圧縮するのに必要な半径方向の力を、先に詳細に説明した半径方向力試験で試験した。特に、フィラメント付およびフィラメントなしの比較的柔軟なアーム(実施例1で試験した胃内滞留システムと比較して)を有する胃内滞留システムを試験した。実施例1で試験した胃内滞留システムと同様に、図12は、フィラメント付の胃内滞留システムを圧縮するのに必要な力とフィラメントなしの胃内滞留システムとの間の不一致が圧縮された直径が減少するにつれて増加することを示す。さらに、図に示すように、幽門を早期に通過するのに十分小さい圧縮直径(すなわち、20 mm以下の直径)にフィラメント付の胃内滞留システムを圧縮するのに必要な力は、同じ圧縮直径にフィラメントなしの胃内滞留システムを圧縮するのに必要な力より少なくとも2倍も大きい。
実施例3:フィラメントをアーム先端から分離するのに必要な引き抜き力を、種々の恒温放置設定で試験した。図13に示すように、引き抜き力を、先に詳細に説明した引き抜き力試験手順に従い、処方14(表1に示す)を有するアーム先端に接続されたフィラメントを試験した。この処方を含む先端は、強酸性、すなわち胃の環境ではフィラメントに接続されたままであり、腸の環境では胃内滞留システムの各部品が患者の腸を通過する際にフィラメントから分離または滑るように設計されている。試料を絶食状態模擬胃液(FaSSGF、pH 1.6)または絶食状態模擬腸液(FaSSIF、pH 6.5)中で1日および3日間恒温放置した後、接着力を測定した。図に示すように、恒温放置の長さ(すなわち、1日または3日)は、絶食状態模擬胃液および絶食状態模擬腸液で恒温放置した試料の引き抜き力にわずかに影響するだけであった。しかし引き抜き力は、2つの模擬液間で著しく異なった。絶食状態の模擬胃液で恒温放置した試料の引き抜き力は、絶食状態の模擬腸液で恒温放置した試料の引き抜き力の約2倍であった。
Figure 2022553867000007
実施例4:フィラメントをアーム先端から分離するのに必要な引き抜き力を、様々な恒温放置設定で試験した。図14に示すように、引き抜き力は、先に詳細に説明した引き抜き力試験手順に従い、処方15(表1に示す)を有するアーム先端に接続されたフィラメントを試験した。この処方を含む先端は、強酸性、すなわち胃の環境ではフィラメントに接続されたままであり、腸の環境では胃内滞留システムの各部品が患者の腸を通過する際にフィラメントから分離または滑るように設計されている。試料を絶食状態模擬胃液(FaSSGF、pH 1.6)または絶食状態模擬腸液(FaSSIF、pH 6.5)中で1日および3日間恒温放置した後、接着力を測定した。図に示すように、恒温放置の長さ(すなわち、1日または3日)は、絶食状態模擬胃液中で恒温放置した試料の引き抜き力にわずかに影響しただけであった。しかし、3日間恒温放置した試料の吸引力は、絶食状態の模擬腸液中で1日だけ恒温放置した試料の吸引力の約75%であった。さらに、絶食状態の模擬胃液中で恒温放置した試料の引き抜き力は、絶食状態の模擬腸液中で恒温放置した試料の引き抜き力よりも少なくとも20%大きい。
実施例5:フィラメントをアーム先端から分離するのに必要な引き抜き力を、結び目のあるフィラメント端と加熱されたフィラメント端の両方を試験した。図15は、この試験の結果を示す。試料を絶食状態の模擬胃液中で3日間恒温放置した。図に示すように、フィラメント端に結び目がある試料は、フィラメントをアーム先端から分離するために最も大きな力を必要とした。また、フィラメントの先端を加熱広げ加工した試料は、フィラメントの先端が結び目の試料よりもアームの先端からフィラメントを引き離すのに必要な力が小さく、対照試料(結び目も加熱もしない)よりも大きな力が必要であった。図に示すように、結び目のあるフィラメント端を分離するのに必要な引き抜き力は、加熱したフィラメント端をアーム先端から分離するのに必要な引き抜き力の少なくとも約1.5倍、また対照(すなわち、結び目がなく、加熱されていない)フィラメント端をアーム先端から分離するのに必要な引き抜き力の約5倍であった。
実施例6:フィラメントを含む胃内滞留システムの胃内滞留をイヌで試験した。図16は、結び目のある端部を有するフィラメント1608を含む胃内滞留システム1602を示す。放射線不透過性チューブ/マーカー1660を、各アーム先端1610の間のフィラメント1608上に配置した。2つ以上のX線不透過チューブ/マーカー1660を用いて、X線イメージングにより胃内滞留システムの位置および無傷さを生体内で識別することができる。放射線不透過性チューブ/マーカ1660は、高分子マトリックスにビスマスを配合したものであった。具体的には、ビスマスを配合したポリカプロラクトンをチューブに成形し、フィラメント組み立ての際に、チューブを各アーム間のフィラメントに通した。放射線不透過性のチューブはフィラメントに沿って自由に滑り、フィラメントの端が星状体から滑り落ちると、チューブはフィラメントから滑り落ちることができた。動物実験では、X線で見えるX線不透過チューブの数と向きを観察してフィラメントの完全性を追跡した。
胃内滞留システムを、図5A~5Cに示すように、切り込み、巻きつけ、および丸めを経て、腸溶処方14(表1参照)を含むアーム先端1610で組み立てた。アーム先端1610を丸鋸で切り欠いた。ペレタンフィラメントを長さに切断し、放射線不透過性チューブをフィラメントに通し、フィラメントの端部を結び付けた。フィラメントを、1つのX線不透過性マーカーが各アームの間に位置するように、アームの先端の切り込みから供給して、胃内滞留システムに加えた。その後、加熱したダイから圧力をかけてノッチを閉じた(85℃、25 psi、30秒)。胃内滞留システムをヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルに充填し、ビーグル犬に経口投与した。胃内滞留システムは1週間毎日X線で可視化した。X線で見えるポリカプロラクトンのチューブの数を表2に示す。3頭のイヌのうち2頭では、ウェブは1週間以上そのままであった。3頭目の胃内滞留システムでは、7日目までに2本のX線不透過チューブが星状体から分離し、8日目までに星状体が体から抜けた。これらの材料を含むフィラメントは、1週間の胃内滞留を支えるのに十分な耐久性があることが示された。
Figure 2022553867000008
実施例7:星形の胃内滞留システムが未変化で胃を通過するのを防ぐフィラメントの能力をイヌのモデルで評価した。40Aの押込み硬度のシリコーンコア、腸溶性基質、およびPCLを基礎とするプラセボアームを有する剤形を、外径37 mmになるよう組み立てた。アームは、胃内滞留をX線で追跡するために放射線不透過性マーカーを含んでいた。被覆HPMCカプセルに剤形を充填し、5頭のビーグル犬に投与した。最初の試験として、胃内滞留システムをフィラメントなしで投与した。胃内滞留時間は1~7日の範囲で、平均3.2日であった。X線画像は腸内の未変化の星状体を示し、剤形が未変化で胃から出られたことを示唆している。剤形へのフィラメントの追加は剤形が幽門を未変化で通過するのに抵抗するのを補助することを目的とすることから、未変化での通過に抵抗して胃内滞留時間を改善するフィラメントの能力を評価するためにこの星状体構成を選んだ。同様の星状体(40Aのコア、外径37 mm、PCLを基礎とするアーム)を組み立て、フィラメントを各アームの端に取り付けた。フィラメントは柔軟なペレタンチューブで、押込み硬度80A、外径約400ミクロン、内径約250ミクロンであった。剤形を折り畳んで被覆HPMCカプセルに入れ、5頭のビーグル犬に投与した。X線画像から、胃内滞留時間が4~10日の範囲で平均6.4日であることがわかった。フィラメントの追加により、本来なら幽門を未変化で通過した剤形の胃内滞留時間を延長することができた。
実施例8:フィラメントを含み、アーム側にスリーブされた胃内滞留システムの展開時間と、フィラメントを含み、コア側にスリーブされた胃内滞留システムの展開時間をテストした。具体的には、星型胃内滞留システムなどの胃内滞留システムの中には、芯の部分で圧縮/折り畳まれるように構成されているものがある。したがって、圧縮/折り畳まれたとき、胃内滞留システムは、アーム側(例えば、図17Aで矢印で示される側)およびコア側(例えば、図17Cで矢印で示される側)を有する。本明細書に記載される実施例は、アーム側で圧縮されたスリーブされた胃内滞留システム、およびコア側で圧縮されたスリーブされた胃内滞留システムの展開時間を試験するものである。
図17A~図17Gは、フィラメントを含む胃内滞留システムのための異なるスリーブおよび圧縮構成を示す。具体的には、図17Aは、スリーブ1712Aでアーム側にスリーブされて圧縮/折り畳まれた胃内滞留システム1710Aを示す。圧縮/折り畳まれた胃内滞留システム1710Aは、胃内滞留システムの各アーム間にフィラメントを含む。従って、胃内滞留システムのフィラメントは、スリーブ1712Aで覆われている。図17Bは、スリーブされて圧縮/折り畳まれた胃内滞留システム1740Bを形成するために、胃内滞留システムのアーム側のスリーブ1712Aでスリーブされた胃内滞留システム1710Aを示す。図17Cは、圧縮/折り畳まれた胃内滞留システム1710Cを示す。ただし、圧縮/折り畳まれた胃内滞留システム1710Cは、スリーブ1712Cを有する胃内滞留システムのコア側にスリーブされていることが示されている。図17Dは、圧縮/折り畳まれた胃内滞留システム1710Dが、胃内滞留システムのコア側で、スリーブ1712Cでスリーブされていることを示す。したがって、図17Bのスリーブされた圧縮/折り畳み胃内滞留システム1740Bとは異なり、スリーブされた圧縮/折り畳み胃内滞留システム1740Dでは、圧縮/折り畳み胃内滞留システム1710Cのウェビングはスリーブ1712Cで覆われていない。
図17Eおよび図17Fは、スリーブされた圧縮/折り畳まれた胃内滞留システムのための異なるカプセル化構成を示す。図17Eのスリーブされた圧縮/折り畳み胃内滞留システム1740Eおよび図17Fのスリーブされた圧縮/折り畳み胃内滞留システム1740Fは共に、胃内滞留システムのアーム側でスリーブされている。さらに、図17Eは、スリーブされた胃内滞留システム1740Eがツーピースカプセルに封入されている様子を示す。ツーピースカプセルの蓋1716Eは、そのコア側でスリーブされた胃内滞留システムをカプセル化しており、ツーピースカプセルの本体1714Eは、そのスリーブされたアーム側でスリーブされた胃内滞留システムをカプセル化していることを示す。図17Fは、スリーブされた胃内滞留システム1740Fがツーピースカプセルでカプセル化されている様子を示す。しかし、図17Eのそれとは異なり、図17Fのスリーブされた圧縮/折り畳み胃内滞留システム1740Fは、ツーピースカプセルの本体1714Fがコア側をカプセル化し、ツーピースカプセルの蓋1716Fが胃内滞留システムのスリーブされたアーム側をカプセル化することにより、カプセル化されている。
図17Gは、カプセル化されたスリーブされた圧縮/折り畳まれた胃内滞留システム1742Gを示す。
これらの試験で使用されたスリーブは、VCaps Plus HPMCのサイズ0であった。その後、スリーブされた胃内滞留システムを、VCaps Plus HPMCカプセルに封入した。表3はアーム側でスリーブされた胃内滞留システムの展開時間データを示し、表4はコア側でスリーブされた胃内滞留システムの展開時間データを示す。表3および4の両方のデータは、以下でさらに詳細に説明するpH 7での展開(Rocker)試験を用いて得られたものである。
Figure 2022553867000009
Figure 2022553867000010
表3および4に示すように、コア側スリーブされた胃内滞留システムおよびアーム側スリーブされた胃内滞留システムの展開時間は類似している。コア側スリーブされた胃内滞留システムの平均展開時間は、アーム側スリーブされた胃内滞留システムのそれよりもわずかに大きいが、その差は、統計的に有意であるほどではない。したがって、表3および4のデータに基づくアーム側胃内滞留システムの展開時間とコア側胃内滞留システムの展開時間は、ほぼ同じであると言える。
実施例9:分解性縫合糸を、胃内滞留システムの胃内滞留特性を強化するためのフィラメントとして使用することができる。分解可能な縫合糸は、弾性でも非弾性でもよい。さらに、分解性縫合糸は、生体吸収性であもよい。実施態様によっては、分解性縫合糸は、星状体アームの腸溶性先端に取り付けられている。
幽門を通過できるサイズへの圧縮に対する星状体抵抗に対する外側フィラメントの弾性の効果を評価するために、弾性の異なるフィラメントを使用して星状体胃内滞留システムを組み立てた。弾性フィラメント材料としてポリウレタン弾性体(ペレタンチューブ)を、非弾性フィラメントとしてポリグリコール酸縫合糸を使用した。フィラメントは星状体アームの腸溶性先端にノッチ形成、巻きつけ、丸め加工などの方法で取り付けた。星状体を直径20 mmに圧縮するのに必要な半径方向の力を絞り試験機で測定した。
図 18A に示すように、いずれのフィラメント材料も、フィラメントなしの星状体と比較して、星状体の圧縮に対する抵抗力を増加させた。さらに、非弾性ウェブを有する星状体は、弾性ウェブを有する星状体よりも圧縮に対する抵抗が大きかった。
さらに、腸溶性先端を有する星状体アームへのPLGA縫合糸の接着強度を、恒温放置後の引き抜き力を測定することにより評価した。星状体胃内滞留システムを腸溶性先端に、ポリウレタン弾性体(Pellethane)またはPLGA縫合糸のいずれかから作られたフィラメントを用いて組み付けた。フィラメントを、ノッチ形成、巻き取り、丸め加工により星状体アームの腸溶性先端に取り付けた。星状体アームへのフィラメントの接着を、指定された期間(0日、1日、4日、7日)絶食状態の模擬胃液中で恒温放置する前と後に測定した。
図18Bに示すように、どちらの種類のフィラメントの接着も、早い時点で最も強く、遅い時点では減少し、観察された腸溶性先端材料の水和および軟化と一致した。より重要なことは、ポリウレタン弾性体およびPLGAフィラメント材料の両方とも、少なくとも7日間、1N目標以上の接着強度を維持したことである。
例示的な実施態様
実施態様1 コア、
複数のリンカー部品を介して近位端で前記コアに接続された複数のアーム、および
前記複数のアームの各アームを周方向に接続するフィラメント
を含み、
前記複数のリンカー部品のうちの1つのリンカー部品は前記複数のアームの各アームに対応し、前記複数のアームは前記近位端から放射状に延びている、
胃内滞留システム。
実施態様2 前記フィラメントは、前記複数のアームの各アームの遠位端を周方向に接続している、実施態様1に記載の胃内滞留システム。
実施態様3 前記複数のアームは、少なくとも3つのアームを含む、実施態様1または2に記載の胃内滞留システム。
実施態様4 前記複数のアームは、医薬品有効成分を担持するように構成されている、実施態様1~3のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様5 前記複数のアームは、医薬品有効成分を40~60%担持している、実施態様1~4のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様6 前記リンカー部品は、胃内環境で分解、溶解、解離、あるいは機械的に弱化する、実施態様1~5のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様7 該胃内滞留システムは、投与中は折り畳まれるように構成され、患者の胃内にあるときに開いた構成をとるように構成されている、実施態様1~6のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様8 前記コアは、該胃内滞留システムが前記折り畳まれた構成にあるときに弾性変形を受け、該胃内滞留システムが前記開いた構成をとるときに反動する、実施態様7に記載の胃内滞留システム。
実施態様9 該胃内滞留システムは、前記開いた構成において多アーム星形を有する、実施態様1~8のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様10 半径方向試験で測定された場合に、該胃内滞留システムが直径20 mmの開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力は、フィラメントのない胃内滞留システムが前記開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力より少なくとも1.5倍大きい、実施態様1~9のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様11 該胃内滞留システムをpH 1.6の環境で3日間恒温放置した後に測定した場合、前記複数のアームのうちの第1のアームの遠位端から前記フィラメントを分離するのに必要な引き抜き力が1 Nより大きい、実施態様2~10のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様12 該胃内滞留システムをpH 6.5の環境で3日間恒温放置した後に測定した場合、前記複数のアームのうちの前記第1のアームの遠位端から前記フィラメントを分離するのに必要な引き抜き力が2 N未満である、実施態様2~11のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様13 前記複数のアームの各アームの遠位端は腸溶性材料を含む、実施態様1~12のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様14 前記フィラメントは、弾性重合体、生体吸収性重合体、および可塑剤のうちの1種以上を含む、実施態様1~13のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様15 前記各アームの遠位端の前記腸溶性材料は、重合体、腸溶性重合体、可塑剤、および酸を含む、実施態様13または14に記載の胃内滞留システム。
実施態様16 前記重合体はポリカプロラクトンまたはTPUを含む、実施態様15に記載の胃内滞留システム。
実施態様17 前記腸溶性重合体は酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、実施態様15または16に記載の胃内滞留システム。
実施態様18 前記可塑剤はプロピレングリコールを含む、実施態様15~17のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様19 前記酸はステアリン酸を含む、実施態様15~18のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様20 前記各アームの遠位端はノッチを含み、前記フィラメントは各遠位端の前記ノッチ内に配置されている、実施態様1~19のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様21 前記フィラメントは、第1のノッチ内で前記フィラメントの第1端と前記フィラメントの第2端とを重ね合わせて固定され、前記第1端と前記第2端は、前記フィラメントの第1端と前記第2端とを延伸して固定されている、実施態様20に記載の胃内滞留システム。
実施態様22 前記複数のアームの各アームは、第1の重合体組成物を含む第1のセグメントと第2の重合体組成物を含む第2のセグメントを含み、前記第1のセグメントは、ASTM D790による3点曲げ試験で測定された場合、前記第2のセグメントの剛性よりも大きい剛性を有する、実施態様1~21のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様23 絞り試験機構を用いて測定した場合に、該胃内滞留システムが直径20 mmの開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力は、第1の重合体組成物のみを含むアームを有する胃内滞留システムが前記開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力の少なくとも1.2倍大きい、実施態様22に記載の胃内滞留システム。
実施態様24 前記第1の重合体組成物は、PCL、PLA、PLGA、HPMCAS、およびTPUのうちの1種以上を含む、実施態様22または23に記載の胃内滞留システム。
実施態様25 前記第2の重合体組成物は、ポリウレタン、ポリエーテル-ポリアミド共重合体、熱可塑性弾性体、熱可塑性ポリウレタン、ポリカプロラクトン-ポリ乳酸共重合体、ポリトリメチレンカルボナート、ポリセバシン酸グリセロール、およびシリコーンのうちの1種以上を含む、実施態様22~24のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様26 前記第2の重合体組成物は、少なくともポリカプロラクトンおよび可溶性材料を含み、水性環境に暴露されると軟化する材料を形成する、実施態様22~25のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様27 前記第1のセグメントは前記複数のアームの各アームの前記第2のセグメントに直接接続されている、実施態様22~26のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様28 前記第1のセグメントは前記第2のセグメントにリンカーを介して接続されている、実施態様22~27のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様29 前記第1のセグメントは、前記複数のアームの少なくとも第1のアームの長さの20~50%を構成し、この長さは、前記第1のアームの近位端から前記第1のアームの遠位端までで測定され、前記近位端は前記コアに近接している、実施態様22~28のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様30 前記第2のセグメントは、前記複数のアームの少なくとも第1のアームの長さの50~80%を構成し、この長さは、前記第1のアームの近位端から前記第1のアームの遠位端までで測定され、前記近位端は前記コアに近接している、実施態様22~29のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様31 二重漏斗試験を用いて測定した場合に、該胃内滞留システムの破断に要する疲労サイクル数が、第1の重合体組成物のみを含むアームを有する胃内滞留システムの破断に要する疲労サイクル数より少なくとも25%多い、実施態様22~30のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様32 該胃内滞留システムは、折り畳まれた構成にあるときはカプセル内に封入されて患者への投与に適した胃内滞留剤形を形成するように構成され、前記胃内滞留剤形は、前記患者の胃内で該胃内滞留システムを放出して、該胃内滞留システムが開いた構成をとるように構成されている、実施態様1~31のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様33 該胃内滞留システムは患者の治療に使用される、実施態様1~32のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様34 前記患者はヒトまたはイヌである、実施態様33に記載の胃内滞留システム。
実施態様35 近位端で接続された複数のアーム、および
前記複数のアームの各アームの遠位端を周方向に接続するフィラメント
を含み、
前記複数のアームは前記近位端から放射状に延びている、
胃内滞留システム。
実施態様36 コアを含み、前記複数のアームの各アームは前記各アームの近位端で前記コアに接続されている、実施態様35に記載の胃内滞留システム。
実施態様37 前記複数のアームは、少なくとも3つのアームを含む、実施態様35または36に記載の胃内滞留システム。
実施態様38 前記複数のアームは、医薬品有効成分を担持するように構成されている、実施態様35または36に記載の胃内滞留システム。
実施態様39 前記複数のアームは、医薬品有効成分を40~60%担持している、実施態様35~38のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様40 複数のリンカー部品を含み、前記複数のリンカー部品のうち1つのリンカー部品は、前記複数のアームのうち1つのアームを前記コアに接続する、実施態様36~39のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様41 前記複数のリンカー部品の各リンカー部品は、胃内環境で分解、溶解、解離、あるいは機械的に弱化する、実施態様40に記載の胃内滞留システム。
実施態様42 該胃内滞留システムは、投与中は折り畳まれるように構成され、患者の胃内にあるときに開いた構成をとるように構成されている、実施態様35~41のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様43 前記コアは、該胃内滞留システムが前記折り畳まれた構成にあるときに弾性変形を受け、該胃内滞留システムが前記開いた構成をとるときに反動する、実施態様42に記載の胃内滞留システム。
実施態様44 該胃内滞留システムは、前記開いた構成において多アーム星形を有する、実施態様35~43のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様45 半径方向試験で測定された場合に、該胃内滞留システムが直径20 mmの開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力は、フィラメントのない胃内滞留システムが前記開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力より少なくとも1.5倍大きい、実施態様35~44のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様46 該胃内滞留システムをpH 1.6の環境で3日間恒温放置した後に測定した場合、前記複数のアームのうちの第1のアームの遠位端から前記フィラメントを分離するために必要な引き抜き力が1 Nより大きい、実施態様35~45のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様47 該胃内滞留システムをpH 6.5の環境で3日間恒温放置した後に測定した場合、前記複数のアームのうちの前記第1のアームの遠位端から前記フィラメントを分離するために必要な引き抜き力が2 N未満である、実施態様35~46のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様48 前記複数のアームの各アームの遠位端は腸溶性材料を含む、実施態様35~47のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様49 前記フィラメントは、弾性重合体、生体吸収性重合体、および可塑剤のうちの1種以上を含む、実施態様35~48のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様50 前記各アームの遠位端の前記腸溶性材料は、重合体、腸溶性重合体、可塑剤、および酸を含む、実施態様48または49に記載の胃内滞留システム。
実施態様51 前記重合体はポリカプロラクトンまたはTPUを含む、実施態様50に記載の胃内滞留システム。
実施態様52 前記腸溶性重合体は酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、実施態様50または51に記載の胃内滞留システム。
実施態様53 前記可塑剤はプロピレングリコールを含む、実施態様50~52のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様54 前記酸はステアリン酸を含む、実施態様50~53のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様55 前記各アームの遠位端はノッチを含み、前記フィラメントは各遠位端の前記ノッチ内に配置されている、実施態様35~54のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様56 前記フィラメントは、第1のノッチ内で前記フィラメントの第1端と前記フィラメントの第2端とを重ね合わせて固定され、前記第1端と前記第2端は節止めまたは加熱広げ加工のいずれかにより固定されている、実施態様55に記載の胃内滞留システム。
実施態様57 前記複数のアームの各アームは、第1の重合体組成物を含む第1のセグメントと第2の重合体組成物を含む第2のセグメントを含み、前記第1のセグメントは、ASTM D790による3点曲げ試験で測定された場合、前記第2のセグメントの剛性よりも大きい剛性を有する、実施態様35~56のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様58 絞り試験機構を用いて測定した場合に、該胃内滞留システムが直径20 mmの開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力は、第1の重合体組成物のみを含むアームを有する胃内滞留システムが前記開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力の少なくとも1.2倍大きい、実施態様57に記載の胃内滞留システム。
実施態様59 前記第1の重合体組成物は、PCL、PLA、PLGA、HPMCAS、およびTPUのうちの1種以上を含む、実施態様57または58に記載の胃内滞留システム。
実施態様60 前記第2の重合体組成物は、ポリウレタン、ポリエーテル-ポリアミド共重合体、熱可塑性弾性体、熱可塑性ポリウレタン、ポリカプロラクトン-ポリ乳酸共重合体、ポリトリメチレンカルボナート、ポリセバシン酸グリセロール、およびシリコーンのうちの1種以上を含む、実施態様57~59のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様61 前記第2の重合体組成物は、少なくともポリカプロラクトンおよび可溶性材料を含み、水性環境に暴露されると軟化する材料を形成する、実施態様57~60のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様62 前記第1のセグメントは前記複数のアームの少なくとも前記第1のアームの前記第2のセグメントに直接接続されている、実施態様57~61のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様63 前記第1のセグメントは前記第2のセグメントにリンカー部品を介して接続されている、実施態様57~62のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様64 前記第1のセグメントは、少なくとも前記第1のアームの長さの20~50%を構成し、この長さは、前記第1のアームの近位端から前記第1のアームの遠位端までで測定され、前記近位端は前記コアに近接している、実施態様57~63のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様65 前記第2のセグメントは、少なくとも1つのアームの長さの50~80%を構成し、この長さは、前記少なくとも1つのアームの近位端から前記少なくとも1つのアームの遠位端までで測定され、前記近位端は前記コアに近接している、実施態様57~64のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様66 二重漏斗試験を用いて測定した場合に、該胃内滞留システムの破断に要する疲労サイクル数が、第1の重合体組成物のみを含むアームを有する胃内滞留システムの破断に要する疲労サイクル数より少なくとも25%多い、実施態様57~65のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様67 該胃内滞留システムは、折り畳まれた構成にあるときはカプセル内に封入されて患者への投与に適した胃内滞留剤形を形成するように構成され、前記胃内滞留剤形は、前記患者の胃内で該胃内滞留システムを放出して、該胃内滞留システムが開いた構成をとるように構成されている、実施態様35~66のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様68 該胃内滞留システムは患者の治療に使用される、実施態様35~67のいずれか1つに記載の胃内滞留システム。
実施態様69 前記患者はヒトまたはイヌである、実施態様68に記載の胃内滞留システム。
実施態様70 胃内滞留システムを製造する方法であって、
複数のリンカー部品を介して近位端でコアに接続された複数のアームを含み、前記複数のリンカー部品のうちの1つのリンカー部品は前記複数のアームの各アームに対応し、前記複数のアームは放射状に延びている胃内滞留システムを作製すること、
前記複数のアームの各アームに切込みを入れて各アームにノッチを形成すること、
前記胃内滞留システムの周りに、前記フィラメントが各アームの各ノッチ内に配置されるように周方向にフィラメントを巻くこと、および
各ノッチを閉じて前記フィラメントを各ノッチ内に固定すること
を含む、方法。
実施態様71 前記フィラメントは、前記複数のアームの各アームの遠位端を周方向に接続している、実施態様70に記載の方法。
実施態様72 前記複数のアームは、少なくとも3つのアームを含む、実施態様70または71に記載の方法。
実施態様73 前記複数のアームは、医薬品有効成分を担持するように構成されている、実施態様70~72のいずれか1つに記載の方法。
実施態様74 前記複数のアームは、医薬品有効成分を40~60%担持している、実施態様70~73のいずれか1つに記載の方法。
実施態様75 前記リンカー部品は、胃内環境で分解、溶解、解離、あるいは機械的に弱化する、実施態様70~74のいずれか1つに記載の方法。
実施態様76 前記胃内滞留システムは、投与中は折り畳まれるように構成され、患者の胃内にあるときに開いた構成をとるように構成されている、実施態様70~75のいずれか1つに記載の方法。
実施態様77 前記コアは、前記胃内滞留システムが前記折り畳まれた構成にあるときに弾性変形を受け、前記胃内滞留システムが前記開いた構成をとるときに反動する、実施態様76に記載の方法。
実施態様78 前記胃内滞留システムは、前記開いた構成において多アーム星形を有する、実施態様70~77のいずれか1つに記載の方法。
実施態様79 各ノッチを閉じることは節止めまたは加熱のうちの少なくとも一方を含む、実施態様70~78のいずれか1つに記載の方法。
実施態様80 半径方向試験で測定された場合に、前記胃内滞留システムが直径20 mmの開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力は、フィラメントのない胃内滞留システムが前記開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力より少なくとも1.5倍大きい、実施態様70~79のいずれか1つに記載の方法。
実施態様81 前記胃内滞留システムをpH 1.6の環境で3日間恒温放置した後に測定した場合、前記複数のアームのうちの第1のアームの遠位端から前記フィラメントを分離するために必要な引き抜き力が1 Nより大きい、実施態様70~80のいずれか1つに記載の方法。
実施態様82 前記胃内滞留システムをpH 6.5の環境で3日間恒温放置した後に測定した場合、前記複数のアームのうちの前記第1のアームの遠位端から前記フィラメントを分離するために必要な引き抜き力が2 N未満である、実施態様70~81のいずれか1つに記載の方法。
実施態様83 前記複数のアームの各アームの遠位端は腸溶性材料を含む、実施態様70~82のいずれか1つに記載の方法。
実施態様84 前記フィラメントは、弾性重合体、生体吸収性重合体、および可塑剤のうちの1種以上を含む、実施態様70~83のいずれか1つに記載の方法。
実施態様85 前記各アームの遠位端の前記腸溶性材料は、重合体、腸溶性重合体、可塑剤、および酸を含む、実施態様70~84に記載の方法。
実施態様86 前記重合体はポリカプロラクトンを含む、実施態様85に記載の方法。
実施態様87 前記腸溶性重合体は酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、実施態様85または86に記載の方法。
実施態様88 前記可塑剤はプロピレングリコールを含む、実施態様85~87のいずれか1つに記載の方法。
実施態様89 前記酸はステアリン酸を含む、実施態様85~88のいずれか1つに記載の方法。
実施態様90 前記複数のアームの各アームは、第1の重合体組成物を含む第1のセグメントと第2の重合体組成物を含む第2のセグメントを含み、前記第1のセグメントは、ASTM D790による3点曲げ試験で測定された場合、前記第2のセグメントの剛性よりも大きい剛性を有する、実施態様70~89のいずれか1つに記載の方法。
実施態様91 絞り試験機構を用いて測定した場合に、前記胃内滞留システムが直径20 mmの開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力は、第1の重合体組成物のみを含むアームを有する胃内滞留システムが前記開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力の少なくとも1.2倍大きい、実施態様90に記載の方法。
実施態様92 前記第1の重合体組成物は、PCL、PLA、PLGA、HPMCAS、およびTPUのうちの1種以上を含む、実施態様90または91に記載の方法。
実施態様93 前記第2の重合体組成物は、ポリウレタン、ポリエーテル-ポリアミド共重合体、熱可塑性弾性体、熱可塑性ポリウレタン、ポリカプロラクトン-ポリ乳酸共重合体、ポリトリメチレンカルボナート、ポリセバシン酸グリセロール、およびシリコーンのうちの1種以上を含む、実施態様90~92のいずれか1つに記載の方法。
実施態様94 前記第2の重合体組成物は、少なくともポリカプロラクトンおよび可溶性材料を含み、水性環境に暴露されると軟化する材料を形成する、実施態様90~93のいずれか1つに記載の方法。
実施態様95 前記第1のセグメントは少なくとも1つのアームの前記第2のセグメントに直接接続されている、実施態様90~94のいずれか1つに記載の方法。
実施態様96 前記第1のセグメントは前記第2のセグメントにリンカー部品を介して接続されている、実施態様90~95のいずれか1つに記載の方法。
実施態様97 前記第1のセグメントは、前記少なくとも1つのアームの長さの20~50%を構成し、この長さは、前記少なくとも1つのアームの近位端から前記少なくとも1つのアームの遠位端までで測定され、前記近位端は前記コアに近接している、実施態様90~96のいずれか1つに記載の方法。
実施態様98 前記第2のセグメントは、前記少なくとも1つのアームの長さの50~80%を構成し、この長さは、前記少なくとも1つのアームの近位端から前記少なくとも1つのアームの遠位端までで測定され、前記近位端は前記コアに近接している、実施態様90~97のいずれか1つに記載の方法。
実施態様99 二重漏斗試験を用いて測定した場合に、前記胃内滞留システムの破断に要する疲労サイクル数が、第1の重合体組成物のみを含むアームを有する胃内滞留システムの破断に要する疲労サイクル数より少なくとも25%多い、実施態様90~98のいずれか1つに記載の方法。
実施態様100 前記胃内滞留システムは、折り畳まれた構成にあるときはカプセル内に封入されて患者への投与に適した胃内滞留剤形を形成するように構成され、前記胃内滞留剤形は、前記患者の胃内で前記胃内滞留システムを放出して、前記胃内滞留システムが開いた構成をとるように構成されている、実施態様90~99のいずれか1つに記載の方法。
実施態様101 患者の治療に使用される、実施態様70~100のいずれか1つに記載の方法で作製された胃内滞留システム。
実施態様102 前記患者はヒトまたはイヌである、実施態様101に記載の胃内滞留システム。
実施態様103 胃内滞留システムを製造する方法であって、
複数のリンカー部品を介して近位端でコアに接続された複数のアームを含み、前記複数のリンカー部品のうちの1つのリンカー部品は前記複数のアームの各アームに対応し、前記複数のアームは放射状に延びている胃内滞留システムを作製すること、
前記複数のアームの各アームに対し1つの複数のチップ、および前記複数のチップの各チップに取り付けられたフィラメントを作製すること、ならびに
前記複数のチップの各チップを前記複数のアームの1つのアームに接続してフィラメントを含む胃内滞留システムを形成すること
を含む、方法。
実施態様104 複数のチップおよびフィラメントを作製することは射出成形を含む、実施態様103に記載の方法。
特に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語、表記法、および他の科学技術用語または用語法は、特許請求の対象が属する技術分野の当業者が一般に理解するのと同じ意味を有するものとする。場合によっては、一般に理解される意味を持つ用語を、明確にするため、かつ/あるいは参照しやすくするために本明細書で定義する。本明細書にそのような定義を含めることは、当技術分野で一般に理解されることとの実質的な相違を表すと必ずしも解釈されるべきではない。
本明細書で値または変数に「約」と記載した場合、その値または変数自体に関する変動を包含(かつ記載)する。たとえば、「約X」という記載は、「X」という記載も含む。
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上そうではないことが明らかに示されない限り、複数形も含むものとする。またなお、本明細書で使用する場合、「および/または」という用語は、関連する列挙項目のうちの1つ以上のあらゆる可能な組合せを指し、包含する。またなお、本明細書で使用される場合、「含む(includes、including、comprises、および/またはcomprising)という用語は、記載された特徴、整数、工程、動作、構成要素、成分、および/または単位が存在すること特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、構成要素、成分、単位、および/またはそれらの群の存在または追加を排除するものではない。
本願は、文中および図中にいくつかの数値範囲を開示する。本開示は開示された数値範囲全体で実施可能であるため、開示された数値範囲は、正確な範囲の限定が明細書に逐語的に記載されていない場合でも、その開示された数値範囲に含まれる任意の範囲または値(両端の値も含む)を本質的に裏付けるものとする。
以上の記載では、説明の目的で特定の実施態様を参照し記載した。しかし、上記の例示的な記載は、網羅的であることまたは開示された厳密な形態に本発明を限定することを意図するものではない。上記の教示を考慮し、多くの修正および変形が可能である。技術の原理および実際の応用を最もよく説明するべく実施態様を選択し記載した。それにより、他の当業者は、想定される特定の用途に合わせた様々な修正と共に本技術および様々な実施態様を最もよく利用することができる。
本開示および実施例について添付の図を参照して十分に説明したが、なお、様々な変更および修正が当業者には明らかである。そのような変更および修正は、特許請求の範囲が定義する本開示および実施例の範囲内に含まれるものとする。

Claims (104)

  1. コア、
    複数のリンカー部品を介して近位端で前記コアに接続された複数のアーム、および
    前記複数のアームの各アームを周方向に接続するフィラメント
    を含み、
    前記複数のリンカー部品のうちの1つのリンカー部品は前記複数のアームの各アームに対応し、前記複数のアームは前記近位端から放射状に延びている、
    胃内滞留システム。
  2. 前記フィラメントは、前記複数のアームの各アームの遠位端を周方向に接続している、請求項1に記載の胃内滞留システム。
  3. 前記複数のアームは、少なくとも3つのアームを含む、請求項1または2に記載の胃内滞留システム。
  4. 前記複数のアームは、医薬品有効成分を担持するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  5. 前記複数のアームは、医薬品有効成分を40~60%担持している、請求項1~4のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  6. 前記リンカー部品は、胃内環境で分解、溶解、解離、あるいは機械的に弱化する、請求項1~5のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  7. 該胃内滞留システムは、投与中は折り畳まれるように構成され、患者の胃内にあるときに開いた構成をとるように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  8. 前記コアは、該胃内滞留システムが前記折り畳まれた構成にあるときに弾性変形を受け、該胃内滞留システムが前記開いた構成をとるときに反動する、請求項7に記載の胃内滞留システム。
  9. 該胃内滞留システムは、前記開いた構成において多アーム星形を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  10. 半径方向試験で測定された場合に、該胃内滞留システムが直径20 mmの開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力は、フィラメントのない胃内滞留システムが前記開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力より少なくとも1.5倍大きい、請求項1~9のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  11. 該胃内滞留システムをpH 1.6の環境で3日間恒温放置した後に測定した場合、前記複数のアームのうちの第1のアームの遠位端から前記フィラメントを分離するのに必要な引き抜き力が1 Nより大きい、請求項2~10のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  12. 該胃内滞留システムをpH 6.5の環境で3日間恒温放置した後に測定した場合、前記複数のアームのうちの前記第1のアームの遠位端から前記フィラメントを分離するのに必要な引き抜き力が2 N未満である、請求項2~11のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  13. 前記複数のアームの各アームの遠位端は腸溶性材料を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  14. 前記フィラメントは、弾性重合体、生体吸収性重合体、および可塑剤のうちの1種以上を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  15. 前記各アームの遠位端の前記腸溶性材料は、重合体、腸溶性重合体、可塑剤、および酸を含む、請求項13または14に記載の胃内滞留システム。
  16. 前記重合体はポリカプロラクトンまたはTPUを含む、請求項15に記載の胃内滞留システム。
  17. 前記腸溶性重合体は酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項15または16に記載の胃内滞留システム。
  18. 前記可塑剤はプロピレングリコールを含む、請求項15~17のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  19. 前記酸はステアリン酸を含む、請求項15~18のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  20. 前記各アームの遠位端はノッチを含み、前記フィラメントは各遠位端の前記ノッチ内に配置されている、請求項1~19のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  21. 前記フィラメントは、第1のノッチ内で前記フィラメントの第1端と前記フィラメントの第2端とを重ね合わせて固定され、前記第1端と前記第2端は、前記フィラメントの第1端と前記第2端とを延伸して固定されている、請求項20に記載の胃内滞留システム。
  22. 前記複数のアームの各アームは、第1の重合体組成物を含む第1のセグメントと第2の重合体組成物を含む第2のセグメントを含み、前記第1のセグメントは、ASTM D790による3点曲げ試験で測定された場合、前記第2のセグメントの剛性よりも大きい剛性を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  23. 絞り試験機構を用いて測定した場合に、該胃内滞留システムが直径20 mmの開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力は、第1の重合体組成物のみを含むアームを有する胃内滞留システムが前記開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力の少なくとも1.2倍大きい、請求項22に記載の胃内滞留システム。
  24. 前記第1の重合体組成物は、PCL、PLA、PLGA、HPMCAS、およびTPUのうちの1種以上を含む、請求項22または23に記載の胃内滞留システム。
  25. 前記第2の重合体組成物は、ポリウレタン、ポリエーテル-ポリアミド共重合体、熱可塑性弾性体、熱可塑性ポリウレタン、ポリカプロラクトン-ポリ乳酸共重合体、ポリトリメチレンカルボナート、ポリセバシン酸グリセロール、およびシリコーンのうちの1種以上を含む、請求項22~24のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  26. 前記第2の重合体組成物は、少なくともポリカプロラクトンおよび可溶性材料を含み、水性環境に暴露されると軟化する材料を形成する、請求項22~25のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  27. 前記第1のセグメントは前記複数のアームの各アームの前記第2のセグメントに直接接続されている、請求項22~26のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  28. 前記第1のセグメントは前記第2のセグメントにリンカーを介して接続されている、請求項22~27のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  29. 前記第1のセグメントは、前記複数のアームの少なくとも第1のアームの長さの20~50%を構成し、この長さは、前記第1のアームの近位端から前記第1のアームの遠位端までで測定され、前記近位端は前記コアに近接している、請求項22~28のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  30. 前記第2のセグメントは、前記複数のアームの少なくとも第1のアームの長さの50~80%を構成し、この長さは、前記第1のアームの近位端から前記第1のアームの遠位端までで測定され、前記近位端は前記コアに近接している、請求項22~29のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  31. 二重漏斗試験を用いて測定した場合に、該胃内滞留システムの破断に要する疲労サイクル数が、第1の重合体組成物のみを含むアームを有する胃内滞留システムの破断に要する疲労サイクル数より少なくとも25%多い、請求項22~30のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  32. 該胃内滞留システムは、折り畳まれた構成にあるときはカプセル内に封入されて患者への投与に適した胃内滞留剤形を形成するように構成され、前記胃内滞留剤形は、前記患者の胃内で該胃内滞留システムを放出して、該胃内滞留システムが開いた構成をとるように構成されている、請求項1~31のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  33. 該胃内滞留システムは患者の治療に使用される、請求項1~32のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  34. 前記患者はヒトまたはイヌである、請求項33に記載の胃内滞留システム。
  35. 近位端で接続された複数のアーム、および
    前記複数のアームの各アームの遠位端を周方向に接続するフィラメント
    を含み、
    前記複数のアームは前記近位端から放射状に延びている、
    胃内滞留システム。
  36. コアを含み、前記複数のアームの各アームは前記各アームの近位端で前記コアに接続されている、請求項35に記載の胃内滞留システム。
  37. 前記複数のアームは、少なくとも3つのアームを含む、請求項35または36に記載の胃内滞留システム。
  38. 前記複数のアームは、医薬品有効成分を担持するように構成されている、請求項35または36に記載の胃内滞留システム。
  39. 前記複数のアームは、医薬品有効成分を40~60%担持している、請求項35~38のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  40. 複数のリンカー部品を含み、前記複数のリンカー部品のうち1つのリンカー部品は、前記複数のアームのうち1つのアームを前記コアに接続する、請求項36~39のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  41. 前記複数のリンカー部品の各リンカー部品は、胃内環境で分解、溶解、解離、あるいは機械的に弱化する、請求項40に記載の胃内滞留システム。
  42. 該胃内滞留システムは、投与中は折り畳まれるように構成され、患者の胃内にあるときに開いた構成をとるように構成されている、請求項35~41のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  43. 前記コアは、該胃内滞留システムが前記折り畳まれた構成にあるときに弾性変形を受け、該胃内滞留システムが前記開いた構成をとるときに反動する、請求項42に記載の胃内滞留システム。
  44. 該胃内滞留システムは、前記開いた構成において多アーム星形を有する、請求項35~43のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  45. 半径方向試験で測定された場合に、該胃内滞留システムが直径20 mmの開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力は、フィラメントのない胃内滞留システムが前記開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力より少なくとも1.5倍大きい、請求項35~44のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  46. 該胃内滞留システムをpH 1.6の環境で3日間恒温放置した後に測定した場合、前記複数のアームのうちの第1のアームの遠位端から前記フィラメントを分離するのに必要な引き抜き力が1 Nより大きい、請求項35~45のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  47. 該胃内滞留システムをpH 6.5の環境で3日間恒温放置した後に測定した場合、前記複数のアームのうちの前記第1のアームの遠位端から前記フィラメントを分離するために必要な引き抜き力が2 N未満である、請求項35~46のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  48. 前記複数のアームの各アームの遠位端は腸溶性材料を含む、請求項35~47のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  49. 前記フィラメントは、弾性重合体、生体吸収性重合体、および可塑剤のうちの1種以上を含む、請求項35~48のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  50. 前記各アームの遠位端の前記腸溶性材料は、重合体、腸溶性重合体、可塑剤、および酸を含む、請求項48または49に記載の胃内滞留システム。
  51. 前記重合体はポリカプロラクトンまたはTPUを含む、請求項50に記載の胃内滞留システム。
  52. 前記腸溶性重合体は酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項50または51に記載の胃内滞留システム。
  53. 前記可塑剤はプロピレングリコールを含む、請求項50~52のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  54. 前記酸はステアリン酸を含む、請求項50~53のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  55. 前記各アームの遠位端はノッチを含み、前記フィラメントは各遠位端の前記ノッチ内に配置されている、請求項35~54のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  56. 前記フィラメントは、第1のノッチ内で前記フィラメントの第1端と前記フィラメントの第2端とを重ね合わせて固定され、前記第1端と前記第2端は節止めまたは加熱広げ加工のいずれかにより固定されている、請求項55に記載の胃内滞留システム。
  57. 前記複数のアームの各アームは、第1の重合体組成物を含む第1のセグメントと第2の重合体組成物を含む第2のセグメントを含み、前記第1のセグメントは、ASTM D790による3点曲げ試験で測定された場合、前記第2のセグメントの剛性よりも大きい剛性を有する、請求項35~56のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  58. 絞り試験機構を用いて測定した場合に、該胃内滞留システムが直径20 mmの開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力は、第1の重合体組成物のみを含むアームを有する胃内滞留システムが前記開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力の少なくとも1.2倍大きい、請求項57に記載の胃内滞留システム。
  59. 前記第1の重合体組成物は、PCL、PLA、PLGA、HPMCAS、およびTPUのうちの1種以上を含む、請求項57または58に記載の胃内滞留システム。
  60. 前記第2の重合体組成物は、ポリウレタン、ポリエーテル-ポリアミド共重合体、熱可塑性弾性体、熱可塑性ポリウレタン、ポリカプロラクトン-ポリ乳酸共重合体、ポリトリメチレンカルボナート、ポリセバシン酸グリセロール、およびシリコーンのうちの1種以上を含む、請求項57~59のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  61. 前記第2の重合体組成物は、少なくともポリカプロラクトンおよび可溶性材料を含み、水性環境に暴露されると軟化する材料を形成する、請求項57~60のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  62. 前記第1のセグメントは前記複数のアームの少なくとも前記第1のアームの前記第2のセグメントに直接接続されている、請求項57~61のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  63. 前記第1のセグメントは前記第2のセグメントにリンカー部品を介して接続されている、請求項57~62のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  64. 前記第1のセグメントは、少なくとも前記第1のアームの長さの20~50%を構成し、この長さは、前記第1のアームの近位端から前記第1のアームの遠位端までで測定され、前記近位端は前記コアに近接している、請求項57~63のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  65. 前記第2のセグメントは、少なくとも1つのアームの長さの50~80%を構成し、この長さは、前記少なくとも1つのアームの近位端から前記少なくとも1つのアームの遠位端までで測定され、前記近位端は前記コアに近接している、請求項57~64のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  66. 二重漏斗試験を用いて測定した場合に、該胃内滞留システムの破断に要する疲労サイクル数が、第1の重合体組成物のみを含むアームを有する胃内滞留システムの破断に要する疲労サイクル数より少なくとも25%多い、請求項57~65のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  67. 該胃内滞留システムは、折り畳まれた構成にあるときはカプセル内に封入されて患者への投与に適した胃内滞留剤形を形成するように構成され、前記胃内滞留剤形は、前記患者の胃内で該胃内滞留システムを放出して、該胃内滞留システムが開いた構成をとるように構成されている、請求項35~66のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  68. 該胃内滞留システムは患者の治療に使用される、請求項35~67のいずれか一項に記載の胃内滞留システム。
  69. 前記患者はヒトまたはイヌである、請求項68に記載の胃内滞留システム。
  70. 胃内滞留システムを製造する方法であって、
    複数のリンカー部品を介して近位端でコアに接続された複数のアームを含み、前記複数のリンカー部品のうちの1つのリンカー部品は前記複数のアームの各アームに対応し、前記複数のアームは放射状に延びている胃内滞留システムを作製すること、
    前記複数のアームの各アームに切込みを入れて各アームにノッチを形成すること、
    前記胃内滞留システムの周りに、前記フィラメントが各アームの各ノッチ内に配置されるように周方向にフィラメントを巻くこと、および
    各ノッチを閉じて前記フィラメントを各ノッチ内に固定すること
    を含む、方法。
  71. 前記フィラメントは、前記複数のアームの各アームの遠位端を周方向に接続している、請求項70に記載の方法。
  72. 前記複数のアームは、少なくとも3つのアームを含む、請求項70または71に記載の方法。
  73. 前記複数のアームは、医薬品有効成分を担持するように構成されている、請求項70~72のいずれか一項に記載の方法。
  74. 前記複数のアームは、医薬品有効成分を40~60%担持している、請求項70~73のいずれか一項に記載の方法。
  75. 前記リンカー部品は、胃内環境で分解、溶解、解離、あるいは機械的に弱化する、請求項70~74のいずれか一項に記載の方法。
  76. 前記胃内滞留システムは、投与中は折り畳まれるように構成され、患者の胃内にあるときに開いた構成をとるように構成されている、請求項70~75のいずれか一項に記載の方法。
  77. 前記コアは、前記胃内滞留システムが前記折り畳まれた構成にあるときに弾性変形を受け、前記胃内滞留システムが前記開いた構成をとるときに反動する、請求項76に記載の方法。
  78. 前記胃内滞留システムは、前記開いた構成において多アーム星形を有する、請求項70~77のいずれか一項に記載の方法。
  79. 各ノッチを閉じることは節止めまたは加熱のうちの少なくとも一方を含む、請求項70~78のいずれか一項に記載の方法。
  80. 半径方向試験で測定された場合に、前記胃内滞留システムが直径20 mmの開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力は、フィラメントのない胃内滞留システムが前記開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力より少なくとも1.5倍大きい、請求項70~79のいずれか一項に記載の方法。
  81. 前記胃内滞留システムをpH 1.6の環境で3日間恒温放置した後に測定した場合、前記複数のアームのうちの第1のアームの遠位端から前記フィラメントを分離するために必要な引き抜き力が1 Nより大きい、請求項70~80のいずれか一項に記載の方法。
  82. 前記胃内滞留システムをpH 6.5の環境で3日間恒温放置した後に測定した場合、前記複数のアームのうちの前記第1のアームの遠位端から前記フィラメントを分離するために必要な引き抜き力が2 N未満である、請求項70~81のいずれか一項に記載の方法。
  83. 前記複数のアームの各アームの遠位端は腸溶性材料を含む、請求項70~82のいずれか一項に記載の方法。
  84. 前記フィラメントは、弾性重合体、生体吸収性重合体、および可塑剤のうちの1種以上を含む、請求項70~83のいずれか一項に記載の方法。
  85. 前記各アームの遠位端の前記腸溶性材料は、重合体、腸溶性重合体、可塑剤、および酸を含む、請求項70~84に記載の方法。
  86. 前記重合体はポリカプロラクトンを含む、請求項85に記載の方法。
  87. 前記腸溶性重合体は酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項85または86に記載の方法。
  88. 前記可塑剤はプロピレングリコールを含む、請求項85~87のいずれか一項に記載の方法。
  89. 前記酸はステアリン酸を含む、請求項85~88のいずれか一項に記載の方法。
  90. 前記複数のアームの各アームは、第1の重合体組成物を含む第1のセグメントと第2の重合体組成物を含む第2のセグメントを含み、前記第1のセグメントは、ASTM D790による3点曲げ試験で測定された場合、前記第2のセグメントの剛性よりも大きい剛性を有する、請求項70~89のいずれか一項に記載の方法。
  91. 絞り試験機構を用いて測定した場合に、前記胃内滞留システムが直径20 mmの開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力は、第1の重合体組成物のみを含むアームを有する胃内滞留システムが前記開口部を通過するのに十分小さい構成に圧縮されるのに必要な力の少なくとも1.2倍大きい、請求項90に記載の方法。
  92. 前記第1の重合体組成物は、PCL、PLA、PLGA、HPMCAS、およびTPUのうちの1種以上を含む、請求項90または91に記載の方法。
  93. 前記第2の重合体組成物は、ポリウレタン、ポリエーテル-ポリアミド共重合体、熱可塑性弾性体、熱可塑性ポリウレタン、ポリカプロラクトン-ポリ乳酸共重合体、ポリトリメチレンカルボナート、ポリセバシン酸グリセロール、およびシリコーンのうちの1種以上を含む、請求項90~92のいずれか一項に記載の方法。
  94. 前記第2の重合体組成物は、少なくともポリカプロラクトンおよび可溶性材料を含み、水性環境に暴露されると軟化する材料を形成する、請求項90~93のいずれか一項に記載の方法。
  95. 前記第1のセグメントは少なくとも1つのアームの前記第2のセグメントに直接接続されている、請求項90~94のいずれか一項に記載の方法。
  96. 前記第1のセグメントは前記第2のセグメントにリンカー部品を介して接続されている、請求項90~95のいずれか一項に記載の方法。
  97. 前記第1のセグメントは、前記少なくとも1つのアームの長さの20~50%を構成し、この長さは、前記少なくとも1つのアームの近位端から前記少なくとも1つのアームの遠位端までで測定され、前記近位端は前記コアに近接している、請求項90~96のいずれか一項に記載の方法。
  98. 前記第2のセグメントは、前記少なくとも1つのアームの長さの50~80%を構成し、この長さは、前記少なくとも1つのアームの近位端から前記少なくとも1つのアームの遠位端までで測定され、前記近位端は前記コアに近接している、請求項90~97のいずれか一項に記載の方法。
  99. 二重漏斗試験を用いて測定した場合に、前記胃内滞留システムの破断に要する疲労サイクル数が、第1の重合体組成物のみを含むアームを有する胃内滞留システムの破断に要する疲労サイクル数より少なくとも25%多い、請求項90~98のいずれか一項に記載の方法。
  100. 前記胃内滞留システムは、折り畳まれた構成にあるときはカプセル内に封入されて患者への投与に適した胃内滞留剤形を形成するように構成され、前記胃内滞留剤形は、前記患者の胃内で前記胃内滞留システムを放出して、前記胃内滞留システムが開いた構成をとるように構成されている、請求項90~99のいずれか一項に記載の方法。
  101. 患者の治療に使用される、請求項70~100のいずれか一項に記載の方法で作製された胃内滞留システム。
  102. 前記患者はヒトまたはイヌである、請求項101に記載の胃内滞留システム。
  103. 胃内滞留システムを製造する方法であって、
    複数のリンカー部品を介して近位端でコアに接続された複数のアームを含み、前記複数のリンカー部品のうちの1つのリンカー部品は前記複数のアームの各アームに対応し、前記複数のアームは放射状に延びている胃内滞留システムを作製すること、
    前記複数のアームの各アームに対し1つの複数のチップ、および前記複数のチップの各チップに取り付けられたフィラメントを作製すること、ならびに
    前記複数のチップの各チップを前記複数のアームの1つのアームに接続してフィラメントを含む胃内滞留システムを形成すること
    を含む、方法。
  104. 複数のチップおよびフィラメントを作製することは射出成形を含む、請求項103に記載の方法。
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