JP2022553382A - 乗物用のノイズ減衰トリム部品 - Google Patents

Abstract

本発明は、パイル層と、結合質量層と、バッキング層とを備え、結合質量層が隣接する層に接合している乗物用のノイズ減衰トリム部品であって、結合質量層が少なくとも５５重量％の充填材含有量を有する少なくとも熱可塑性エラストマーポリオレフィンベースの複合材料（ＴＰＯ）を含んでおり、かつ結合質量層が、１．４～１．７５ｋｇ／ｄｍ３の密度、５０，０００ｍＰａ・ｓ未満の粘度、及び２５０を超えるＭＦＩを有し、かつ結合質量層が、パイル層に隣接し、かつ部分的にパイルの下部領域に浸透し、それによってパイル内の繊維及び／又はフィラメント及び／又はタフトに結合している、乗物用のノイズ減衰トリム部品に関する。

Description

本発明は、車両用のノイズ減衰トリム部品及びそのようなトリム部品の使用に関する。

自動車産業では、ほとんどの部品について、制限された空間だけが車の音響処理に利用可能であるので、部品の実質的な厚さを増加させることなく、部品に重量を導入することができる高度に充填された材料が必要とされている。大抵の場合、３０ｍｍまでの厚さの部品を実際の処理のために利用することができる。

特に、インナーダッシュ及び床材部品については、自動車メーカーにとって音響機能は必須である。このためには、ノイズ吸収を増加させるために空気透過性が解決策となり得るし、かつ／又は質量バネシステムを形成するためにデカップリング層と組み合わせた音響質量層の組み合わせの形態での絶縁が解決策となり得る。ノイズ吸収による解決策は、通常、空気伝播ノイズを減衰させるために使用されるのに対し、絶縁による解決策は、振動ノイズを減衰させるために使用される。この２つを組み合わせたハイブリッドの解決策も同様に使用することができる。

自動車のトリム部品に、高度に充填した熱可塑性エラストマー層を使用することが知られている。これらの層は、マトリックスとしてのエチレンプロピレン（ＥＰ）－ジエンゴム（ＥＰＤＭ）又はスチレンエチレンブタジエンスチレン（ＳＢＳ）のような熱可塑性エラストマーをベースとし、かつ最大９０％の不活性粒子で充填することができる。このようなエラストマー層の例は、例えば国際公開第２０１５／１３５８１５号に見出すことができ、この文献は、好ましくはＬＬＤＰＥ又はＬＤＰＥを含有し、かつ３５％～９０％の充填材含有量を有するエチレンポリマー混合物をベースとするバリア層を開示している。材料の５０％を超える充填度合から、この材料の粘度は、分厚い生地のように増加し、かつ処理が困難になり、重機を必要とする。

これらのタイプの材料について提案されている現在の製造プロセスは、押出成形とカレンダー加工又は圧縮成形との組み合わせである。例えば、ブランク又はシートは、カレンダー加工によって製造することができる。シートは、形状及び／又はサイズに切断され、真空成形プロセスを使用して、最終的には、デカップリング層のような追加の層と一緒に、最終形状に形成される。このプロセスは、複数の工程を含み、かつ変化している厚さを実現することは困難である。

射出と圧縮とを組み合わせた製造プロセスは、成形層の溶液で遠隔領域及びより小さい細部を含み得る空洞全体を充填することが必要とされる。これらのプロセスでは、材料が冷却中に押し出され、半凝固領域に縞が付きかつ対になるリスクが増大する。これらの領域は、最終部品の成形工程の間だけでなく、自動車での部品の使用の間にも、亀裂又は破損を生じさせやすい。成形型は、充填中には開いておき、押出に必要な圧力及びトン数を減少させ、かつプロセスのより後で閉じ、圧力を増加させて材料を成形型の隅に押し込むことができるようになっている。

１９８０年代には、低粘度及び最大８０％の高充填材グレードを有するＥＶＡベースのホットメルトを使用することが知られていた。製造中、この材料は加工が容易であり、重機をあまり必要としなかった。

しかしながら、９０℃を超える温度で液体になるという、その低い溶融温度のために、この材料を車に使用することは不可能である。この低い溶融温度は、使用中に、特に排気管上のトンネル領域の熱源の近くで、及び／又は車が完全な日光にある暑い夏に、部品の層間剥離の危険性をもたらすからである。

乗用車室内での外部ノイズの低減に向けられた自動車メーカーからの増大するノイズ低減の要求に起因して、部品の厚さを増加させずに部品の重量を増加させることに対する必要性が存在する。しかしながら、このことは、現在の材料及び製造プロセスの解決策では経済的に実現することができない。

本発明の目的は、結合質量層のために、より容易な製造プロセス条件を可能にし、製造コスト及び装置の摩耗を低減する材料を提供することである。しかしながら、自動車用トリム部品のためのばね質量音響システムにおいてバッキング層及び／又はバリアとして使用するときには、製品の要求を維持する材料を提供することが必要である。

この目的は、主となる請求項１に記載の少なくともパイル層、バッキング層、及び結合質量層を有する乗物用ノイズ減衰トリム部品、及びそのようなトリム部品の使用によって達成される。

特に、隣接層に接合することができる結合質量層は、少なくとも５５重量％の充填材含有量を有する少なくとも熱可塑性エラストマーポリオレフィンベースの複合材料（ＴＰＯ）を含み、かつ１．４～１．７５ｋｇ／ｄｍ^３の密度、５０，０００ｍＰａ・ｓ未満の粘度、及び２５０を超えるメルトフローインデックス（ＭＦＩ）を有しており、かつこの結合質量層は、パイル層に隣接し、かつパイルの下部領域に部分的に浸透し、それによってパイル内の繊維及び／又はフィラメント及び／又はタフトに結合している。

さらに、請求項１の所与の特徴を有するＴＰＯベースの複合材料を使用することによって、重量増加層としてだけでなく、パイル表面層と隣接するバッキング層との間のバインダー層として、この重い充填材料を使用することが可能である。驚くべきことに、この結合質量層は、パイル層の表面に接着することができるだけでなく、パイル層に浸透することができ、したがって、この結合質量層は、パイル層に対して、繊維及びタフトのロックとして機能することができる。このため、例えばラテックスのような従来使用されていたタフトロック又は繊維ロック層は、良好なタフト又は繊維ロックのために、もはや必要とされず、必要な製造プロセス工程をさらに最適化することができる。

メルトフローインデックス（ＭＦＩ）は、２０１２年からのＩＳＯ １１３３－１に従って、１９０℃で測定される。一方、粘度は１９９５年のＩＳＯ １１４４３に従って、１９０℃で測定される。

結合質量層は、少なくとも一つの脂肪酸及び任意の添加剤をさらに含むことができ、ここで、不活性な充填材は、結合質量層全体の５５～７０重量％であり、かつ脂肪酸含有量は、結合質量層全体の０．２～０．８重量％である。驚くべきことに、脂肪酸は、材料がもろくなり、かつ割れやすくなるのを防止しながら、結合質量層内の充填材含有量を増加させることを可能にする。脂肪酸の量は、最終的な充填材の量に応じて、したがって、必要とされる結合質量層の密度に応じて調整することができる。

脂肪酸は、少なくとも１４の脂肪族鎖、好ましくは１６及び／又は１８の脂肪族鎖を有する脂肪酸を少なくとも含むことができる。

本発明による結合質量層は、ＴＰＯ複合材料、充填材、少なくとも一つの脂肪酸、及び任意にさらなる添加剤を含む。

この複合材料のためのＴＰＯは、部分的に非晶質のポリオレフィン、好ましくは非晶質のポリ－α－オレフィン（ＡＰＡＯ）の少なくとも一つからなる第１の成分と、０．８７ｋｇ／ｄｍ^３未満の密度を有するランダムなエチレン繰り返し分布を有するＰＰ－エチレンからなる第２の成分とからなる。

好ましくは、第１の成分は、結合バリア層全体の少なくとも３重量％であり、第２の成分は、結合バリア層全体の少なくとも７重量％である。

しかしながら、第１及び第２の成分は、一緒になって、好ましくは結合バリア層全体の１０～４８重量％である。

ノイズ減衰トリム部品は、部品の表面にわたって、一定の又は局所的に変化している面積重量を有する結合バリア層を有していてもよい。好ましくは、結合質量層は、１００～９８０ｇ／ｍ^２の面積質量を有する。

驚くべきことに、結合質量層の気孔率を調整することができることが見出された。面積質量が４００ｇ／ｍ^２未満では、この層は常に透過性であり、かつ６００ｇ／ｍ^２を超えると、この層は常に不透過性である。しかしながら、およそ４００～６００ｇ／ｍ^２の面積重量では、適用中に機械のパラメータを適合させることによって、透過性又は不透過性に気孔率を調節することができる。層が透過性であれば、部品内で空気流抵抗層として働くことができ、これは、ノイズがこの層を通過し、かつその下にあるオープンセルフォーム又は多孔質繊維層の形態にある可能なノイズ吸収層に到達することができることを意味する。

パイル層は、ニードルパンチ層又はタフテッドカーペット層であってよく、２００～８００ｇ／ｍ^２の面積質量を有することができる。

例えば、パイル層は、一次バッキング層にタフトされたＢＣＦヤーンからなるタフテッドカーペット層であってもよい。

パイル層はまた、密集化ソール領域と、好ましくは、中実繊維、中空繊維、バインダー繊維、又は複合繊維の少なくとも一つを含む表面に実質的に垂直に立っているループ状繊維から形成された表面領域とを有するニードルパンチカーペット層であってもよい。

従属項のいずれか一項によるノイズ減衰トリム部品では、パイル層の繊維及び／又はフィラメント及び／又はヤーンが、ポリエステル、好ましくはポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、又はポリアミド、好ましくはポリアミド－６（ＰＡ６）若しくはポリアミド－６６（ＰＡ６６）、又はポリオレフィン、好ましくはポリプロピレン（ＰＰ）若しくはポリエチレン（ＰＥ）、又はこれらのポリマー及び／又はコポリマーの２つ又はそれを超えるものの混合物からなる群からの少なくとも一つのポリマー又はコポリマーでできている。この繊維、フィラメント、及び／又はヤーンは、バイオ資源、再生又はリサイクル材料をベースとするものであってよく、あるいはそのようなタイプの原材料を含んでいてもよい。

ノイズ減衰トリム部品は、その基本構成において、パイル層と、本発明による結合質量層と、バッキング層とを備え、ここで、結合質量層は、隣接する複数の層に接合しており、かつ結合質量層は、パイル層に少なくとも隣接し、かつパイルの下部領域に部分的に浸透し、それによってパイル内の繊維及び／又はフィラメント及び／又はタフトに結合している。

バッキング層は、繊維層、好ましくは、再生羊毛、リサイクル繊維ウェブ、若しくは再生繊維ウェブのうちの一つ、又はフォーム層、好ましくは、スラブフォーム、若しくはインモールド反応性フォーム層、好ましくはポリウレタンフォームのうちの少なくとも一つとすることができる。好ましくは、フォーム層は、オープンセルフォームであり、好ましくは、スキンを有さないか、又は多孔質スキンを有する。

結合質量層の面積質量が８００ｇ／ｍ^２未満であり、したがって多孔質である場合には、部品全体が吸音カーペット層として機能し、かつ床材又はインナーダッシュとして使用することができるが、自動車の前部トランク（ｆｒｕｎｋ）又は後部トランク（ｔｒｕｎｋ）の収納領域のクラッディング（被覆材）として使用することもできる。驚くべきことに、結合質量層の余分な充填材含有量は、より堅い部品を可能にし、したがって、この層は、曲がったり又は滑動したりしにくい。さらに、この基本的な配置は、ラテックスの二次バッキングを有する通常の標準部品に匹敵する良好な摩耗性能を既に示している。

別の好ましい実施形態では、パイル層、本発明による結合質量層、及びバッキング層の基本構成に加えて、ノイズ減衰トリム部品は、追加の層をさらに含み、この追加の層は、好ましくは、高密度熱可塑性エラストマー層、フィルム層、又は少なくとも１０００レイル（Ｒａｙｌｓ）の空気流抵抗を有する空気流抵抗性繊維層のうちの一つである。

追加の一つ又は複数の層は、パッチの形態で局所的にのみ配置するか、又は完全な層として配置することができる。

例えば、パイル層、結合質量層及び追加の高充填熱可塑性層又はパッチ、並びにバッキング層を有する部品は、音響質量ばねシステムとして機能する。この部品は、主にノイズを絶縁し、ここでは、結合質量層の面積重量を増加させ、この追加の層の質量効果をさらに最適化することができる。

別の調整された構成では、結合質量層は、その最大重量に近いところで使用することができ、ノイズ絶縁トリム部品における薄い質量層として機能することができる。熱可塑性材料のパッチを使用して、局所的な振動ホットスポットの重量をさらに増大させることができる。これにより、軽量のノイズ絶縁部品としてこの部品全体が機能しながら、追加的なノイズ減衰を必要とするそうした領域に、より多くの重量のみを配置する部品の調製が可能となる。

好ましくは、高密度熱可塑性エラストマー層又はパッチは、不透過性であり、８００～２０００ｇ／ｍ^２の面積質量を有する。

高密度熱可塑性エラストマー層又はパッチは、結合質量層と同一又は類似の材料でできていてよく、例えば、結合質量層の裏面に第２の層又は局所パッチを適用することによって、又は成形中に２つの結合質量層を組み合わせることによって作製することができる。

あるいは、高密度熱可塑性層は、ＥＰＤＭ、ＬＤＰＥ、又は他の充填された熱可塑性材料などの古典的な質量材料又は重層材料から作製されてもよい。

好ましくは、ノイズ減衰トリム部品は、乗物内の専用スペースに適合するために必要な形状に適合する３Ｄ形状に成形される。

本発明によるノイズ減衰トリム部品は、自動車の床材、インナーダッシュ、アウターダッシュ、音響トリムパネル、又は前部若しくは後部トランクの被覆材として使用することができる。

図１は、連続する層を有する技術水準による自動車カーペットシステム（１）を示す。 図２は、本発明による配置を有するノイズ減衰トリム部品について、一次バッキング（４）にタフトされたタフトヤーン（３）によって形成されたパイル（２）を有する本発明による基本構造を示す。 図３は、本発明による配置を有するノイズ減衰トリム部品について、ニードルパンチカーペット層（９）を有する本発明による基本構造を示す。 図４は、本発明によるパイルカーペットシステムの好ましい製造方法を示す。

図１は、以下の連続する層を有する技術水準による自動車カーペットシステム（１）を示している（これらの層は、互いに対して実際の厚さの関係で描かれていない）：
・ パイルによって形成されたカーペットの目に見える表面（２）。パイルは、ループ及び／又は切断形態のヤーンの房（タフト）からなるタフテッドパイル（３）とすることができる。ヤーンは、一次バッキング層（４）と呼ばれる生地に房状に付けられている。また、パイルは、ニードルパンチタイプのフェース層とすることができ、例えば、フォークとクラウンニードルとの交互の工程のような可変のニードリング工程によって、タフテッドパイルの外観が模倣される（図示せず）。
・ 裏面コーティング又はプレコート（５）は、パイルの反対側の表面に適用される。裏面コーティングの機能は、構造体内の繊維又はフィラメントの結合であり、かつ／又はタフテッドパイルの場合には、タフトの一次バッキングへの結合である。裏面コーティングは、単独の繊維、フィラメント、及び／又はフルタフトの引き抜きを防止する。多くの場合、ラテックスコーティングが、表面を調製し、かつ次の層への良好な積層を可能にする裏面コーティング層として使用されている。ラテックスコーティングは、パイルの下部領域に浸透し、かつ最終的には一次バッキング層に浸透するようになっており、この効果を得るために、泡立った又は発泡したラテックスが裏面に適用される。これは、ラテックスによる表面の完全でない被覆、及び／又は不均一な被覆層をもたらす。ラテックスは、ラテックスを含有する廃棄物及び使用済み製品のリサイクルを含め、環境上の理由から望ましくない。
・ 二次裏面コーティング層としても知られているさらなる裏面コーティング層（６）は、パイル層の剛性及び耐久性を向上させるために使用されている。特にパイルの摩耗性能を向上させる。

このようにして形成されたカーペットシステムを、最上部に配置するか、又は絶縁質量ばねシステムに積層することができ、絶縁質量ばねシステムは、高度に充填された熱可塑性材料の押出ブランクから通常形成される質量層（重層とも呼ばれる）（７）と、フォーム又はフェルト材料のいずれかでできた軟質デカップリング層（８）とを有している。

驚くべきことに、本発明による結合質量層を、図１による古典的なシステムにおける裏面コーティング（５）、二次バッキング層（６）、及びバリア層（７）によって形成されたバッキング層（Ｂ）と置き換えることができるが、これらの層の機能を維持することができる。

図２及び図３は、本発明による配置を有するノイズ減衰トリム部品を示している。

図２は、一次バッキング（４）に房状に付けられたタフトヤーン（３）によって形成されたパイル（２）を有する本発明による基本構造を示している。

図３は、ニードルパンチカーペット層（９）を有する本発明による基本構造を示しており、フォーク及び／又はクラウンニードルの相互作用によって、カーペット表面層が、密集化領域（９ｂ）と、タフテッドパイルの外観及び手触りを模倣するより緩い最上部領域（９ａ）とを有する繊維のマットから製造されている。

本発明による両方のパイルカーペットシステムにおいて、図１に示されるような技術水準のプレコート、二次バッキング層、及びバリア層は、一つの単一層である結合質量層（１０）に置き換えられる。この層は、驚くべきことに、タフテッドパイルにおける、繊維又はフィラメント及びタフトと一次バッキングとを結合することができ、又はニードルパンチパイル層における繊維を結合することができ、カーペット構造の剛性を向上させることができ、かつおよそ４００ｇ／ｍ^２を超えるその重量に応じてバリア層として機能することができる。

本発明による結合質量層を用いて、３つの層を置き換えることができる多目的層を作製し、技術水準のカーペット構造を単純化し、かつそれに応じて製造プロセス工程を低減することができた。これは材料及び資源の節約になる。

図４は、本発明によるパイルカーペットシステムの好ましい製造プロセスを示している。１つ又は２つのホッパー２０、２１を介して、熱可塑性ポリオレフィンベースの樹脂、充填材、及び添加剤を一軸スクリュー押出機２２に投入することができる。材料を混ぜ合わせ、加熱し、かつ溶融させて適用するために好ましい温度にする。

このようにして調製された材料２９は、投与ローラ２４と適用ローラ２５との間に投与される。投与ローラは、適用ローラが受け取った結合質量材料を均一に広げられた層にすることができるようにする。

第１のローラ２６は、対向する圧力ローラ２７にパイル層を移送し、この圧力ローラが、結合材料を担持している適用ローラに対してパイル層の裏面を押し付け、それによって、結合質量材料をパイル層の面に移して、結合担体材料の浅い浸透をパイル層の中へ作り出す。驚くべきことに、高度に充填された結合材料との良好な積層のみならず、良好に均一な層を作り出すことが可能である。驚くべきことに、この簡素な適用システムは、本発明による高充填で低粘度の結合質量材料を少なくとも９８０ｇ／ｍ^２まで移すことができる。

驚くべきことに、固化した層は、後の工程で製品を成形した後に、もろくなったり、柔軟性を失ったりしない。さらに、意図される層は、層が損なわれるようには成形工程の間に移動しない。

結合材料をバッキング担体に適用した後に、第２の積層ローラ２８は、バッキング層を対向する圧力ローラ２７に移送する。バッキング層は、結合質量材料の面に押し付けられて、３つの材料すべてのサンドイッチを形成する。製品の最終的な配置に応じて、バッキング層は、フィルム又はスクリムであってもよく、次の工程で部品のバック発泡が可能であるようになっているか、あるいは最終的には圧密化されるフェルト層であってもよい。

このようにして形成された材料は、ロールにして貯蔵することができ、又はブランクに切断することができる。選択されたバッキング層とは無関係に、この材料は、冷間又は熱間成形を用いた熱変換プロセスにおいて、最終的には予熱工程で形成することができる。

驚くべきことに、高充填バッキング担体材料を適用ローラで取り上げ、かつこの材料を、許容可能な範囲内の最終厚さで、かつ折り目又は延伸マークのような表面の大きな傷を伴わずに、均一な層として繊維層に移すことができる。

バッキング層がフェルト材料である場合には、この材料は、車の特定のフロアパンの輪郭に適合するように成形することができ、最終的には境界をトリミングし、かつ最終的には器具用の孔を使って最終的な乗物のフロア部品を形成するようになっている。図４は、このような成形構造の例を示す。

バッキング層がフォームである場合、フェルトと同じ成形工程を用いてパイル層構造を予備成形し、かつ第２の成形工程を用いて、バッキング層の裏面に対してバック発泡させてデカップリング層を形成することができる。このバッキング層は、軽いスクリム層、又は単層若しくは多層のいずれかの適合性フィルム層とすることができる。

驚くべきことに、本発明による結合質量材料は、簡素な適用又はコーティングプロセスによって移送することができる。しかしながら、凝固させた後は、その層は、良好な音響絶縁バリア層を形成するのに十分に剛性であると同時に、成形され、かつ最終部品への成形後にそのバリア特性を維持するのに十分に柔軟である。

この結合質量材料及び好ましい製造プロセスを用いて、より少ない工程で、かつ同じ音響及び剛性要件を有する経済的なカーペット構造を作製することが可能である。

図４は、本発明による本発明のための好ましい製造プロセスを示している。１つ又は２つのホッパー２０、２１を介して、熱可塑性樹脂、充填材、及び添加剤を一軸スクリュー押出機に投入することができる。材料を混ぜ合わせ、加熱し、かつ溶融させて適用するために好ましい温度にする。

このようにして調製された材料２９は、投与ローラ２４と適用ローラ２５との間に投与され、投与ローラは、適用ローラが受け取った結合バリア材料を均一に広げられた層にすることができるようにする。

第１のローラ２６は、対向する圧力ローラ２７にバッキング担体を移送し、この圧力ローラが、結合材料を担持している適用ローラにこのパイル層の裏面を押し付け、それによって、結合質量材料をパイル層の表面に移送して、結合担体材料の浅い浸透をパイル層の中に作り出す。驚くべきことに、高度に充填された結合材料との良好な積層のみならず、良好に均一な層を作り出すことが可能である。

結合材料をバッキング担体に適用した後に、第２の積層ローラ２８は、バッキング層を対向する圧力ローラ２７に移送する。バッキング層は、結合バリア材料の面に押し付けられて、３つの材料すべてのサンドイッチを形成する。製品の最終的な配置に応じて、バッキング層は、フィルム又はスクリムであってもよく、次の工程で部品のバック発泡が可能であるようになっているか、あるいは最終的には圧密化されるフェルト層、又はスラブフォーム層であってもよい。

このようにして形成された材料は、ロールにして貯蔵することができ、又はブランクに切断することができる。選択されたバッキング層とは無関係に、この材料は、冷間又は熱間成形を用いた熱変換プロセスにおいて、最終的に予熱工程で形成することができる。

バッキング層がフェルト材料である場合には、この材料は、車の特定のフロアパンの輪郭に適合するように成形することができ、最終的には境界をトリミングし、かつ最終的には器具用の孔を使って最終的な乗物のフロア部品を形成するようになっている。図４は、このような成形構造の例を示す。

バッキング層がフォームである場合、フェルトと同じ成形工程を用いてパイル層構造を予備成形し、かつ第２の成形工程を用いて、バッキング層の裏面に対してバック発泡させてデカップリング層を形成することができる。このバッキング層は、軽いスクリム層、又は単層若しくは多層のいずれかの適合性フィルム層とすることができる。

驚くべきことに、本発明による結合バリア材料は、簡素な適用又はコーティングプロセスによって移送することができる。しかしながら、凝固させた後は、その層は、良好な音響絶縁バリア層を形成するのに十分に剛性であると同時に、成形され、かつ最終部品への成形後にそのバリア特性を維持するのに十分に柔軟である。

この結合バリア材料及び好ましいプロセスを用いて、より少ない工程で、かつ同じ音響及び剛性要件を有する経済的なカーペット構造を作製することが可能である。

この結合バリア材料及び好ましいプロセスを用いて、より少ない工程で、かつ同じ音響及び剛性要件を有する経済的なカーペット構造を作製することが可能である。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む：
［１］パイル層と、結合質量層と、バッキング層とを備え、前記結合質量層が隣接する層に接合している乗物用ノイズ減衰トリム部品であって、
前記結合質量層が、少なくとも５５重量％の充填材含有量を有する少なくとも熱可塑性エラストマーポリオレフィンベースの複合材料（ＴＰＯ）を含んでおり、かつ
前記結合質量層が、１．４～１．７５ｋｇ／ｄｍ ^３ の密度、５０，０００ｍＰａ・ｓ未満の粘度、及び２５０を超えるＭＦＩを有し、かつ
前記結合質量層が、前記パイル層に隣接し、かつ部分的にパイルの下部領域に浸透し、それによって前記パイル内の繊維及び／又はフィラメント及び／又はタフトに結合している、
乗物用ノイズ減衰トリム部品。
［２］前記結合質量層が、少なくとも一つの脂肪酸及び任意の添加剤をさらに含み、不活性な前記充填材が前記結合質量層全体の５５～７０重量％であり、かつ前記脂肪酸の含有量が前記結合質量層全体の０．２～０．８重量％である、上記［１］に記載の乗物用ノイズ減衰トリム部品。
［３］前記結合質量層の面積重量が、１００～９８０ｇ／ｍ ^２ である、上記［１］又は［２］に記載の乗物用ノイズ減衰トリム部品。
［４］前記ＴＰＯが、部分的に非晶質のポリオレフィンの、好ましくは非晶質のポリα－オレフィン（ＡＰＡＯ）の少なくとも一つからなる第１の成分；及び０．８７ｋｇ／ｄｍ ^３ 未満の密度を有するランダムなエチレン繰り返し分布を有するＰＰ－エチレンからなる第２の成分からなる、上記［１］～［３］のいずれか一つに記載のノイズ減衰トリム部品。
［５］前記第１の成分が、前記結合バリア層全体の少なくとも３重量％であり、かつ前記第２の成分が、前記結合バリア層全体の少なくとも７重量％である、上記［４］に記載のノイズ減衰トリム部品。
［６］前記第１及び第２の成分は、一緒になって、前記結合バリア層全体の１０～４８重量％である、上記［５］又は［６］に記載の騒音減衰トリム部品。
［７］前記脂肪酸が、少なくとも１４の脂肪族鎖、好ましくは１６及び／又は１８の脂肪族鎖を有する脂肪酸を少なくとも含む、上記［２］～［６］のいずれか一つに記載のノイズ減衰トリム部品。
［８］前記結合バリア層が、前記部品の表面にわたって一定の面積重量を有する、上記［１］～［７］のいずれか一つに記載のノイズ減衰トリム部品。
［９］前記パイル層の面積重量が、４００～２０００ｇ／ｍ ^２ である、上記［１］～［８］のいずれか一つに記載のノイズ減衰トリム部品。
［１０］前記パイル層が、一次バッキング層にタフトされたＢＣＦヤーンからなるタフテッドカーペット層、又は密集化ソール領域と、中実繊維、中空繊維、バインダー繊維、又は複合繊維の少なくとも一つを含む表面に実質的に垂直に立っているループ状繊維から形成された表面領域とを有するニードルパンチカーペット層のうちの一つである、上記［１］～［９］のいずれか一つに記載のノイズ減衰トリム部品。
［１１］前記パイル層の繊維及び／又はフィラメント及び／又はヤーンが、ポリエステル、好ましくはＰＥＴ、又はポリアミド、好ましくはＰＡ６若しくはＰＡ６６、又はポリオレフィン、好ましくはポリプロピレン（ＰＰ）若しくはポリエチレン（ＰＥ）、又はこれらのポリマー若しくはコポリマーの２つ又はそれを超えるものの混合物からなる群の少なくとも一つのポリマー又はコポリマーでできている、上記［１］～［１０］のいずれか一つに記載のノイズ減衰トリム部品。
［１２］前記バッキング層が、繊維層、好ましくは、再生羊毛、リサイクル繊維ウェブ、若しくは再生繊維ウェブのうちの一つ、又はフォーム層、好ましくは、スラブフォーム、若しくはインモールド反応性フォーム層、好ましくはポリウレタンフォームのうちの少なくとも一つである、上記［１］～［１１］のいずれか一つに記載のノイズ減衰トリム部品。
［１３］前記結合バリア層と、デカップリング層、好ましくは、高密度熱可塑性エラストマー層、フィルム層、又は少なくとも１０００レイルの空気流抵抗を有する空気流抵抗性繊維層のうちの一つとの間に、少なくとも部分的に少なくとも一つの追加の層又はパッチをさらに含む、上記［１］～［１２］のいずれか一つに記載のノイズ減衰トリム部品。
［１４］前記高密度熱可塑性エラストマー層は、不透過性であり、かつ８００～２０００ｇ／ｍ ^２ の面積重量を有する、上記［１３］に記載のノイズ減衰トリム部品。
［１５］自動車の床材、インナーダッシュ、アウターダッシュ、音響トリムパネル、又はトランクカバーとしての、上記［１］～［１４］のいずれか一つに記載のノイズ減衰トリム部品の使用。

Claims (15)

1. パイル層と、結合質量層と、バッキング層とを備え、前記結合質量層が隣接する層に接合している乗物用ノイズ減衰トリム部品であって、
   前記結合質量層が、少なくとも５５％の充填材含有量を有する少なくとも熱可塑性エラストマーポリオレフィンベースの複合材料（ＴＰＯ）を含んでおり、かつ
   前記結合質量層が、１．４～１．７５ｋｇ／ｄｍ^３の密度、５０，０００ｍＰａ・ｓ未満の粘度、及び２５０を超えるＭＦＩを有し、かつ
   前記結合質量層が、前記パイル層に隣接し、かつ部分的にパイルの下部領域に浸透し、それによって前記パイル内の繊維及び／又はフィラメント及び／又はタフトに結合している、
   乗物用ノイズ減衰トリム部品。
2. 前記結合質量層が、少なくとも一つの脂肪酸及び任意の添加剤をさらに含み、不活性な前記充填材が前記結合質量層全体の５５～７０重量％であり、かつ前記脂肪酸の含有量が前記結合質量層全体の０．２～０．８重量％である、請求項１に記載の乗物用ノイズ減衰トリム部品。
3. 前記結合質量層の面積重量が、１００～９８０ｇ／ｍ^２である、請求項１又は２に記載の乗物用ノイズ減衰トリム部品。
4. 前記ＴＰＯが、部分的に非晶質のポリオレフィンの、好ましくは非晶質のポリα－オレフィン（ＡＰＡＯ）の少なくとも一つからなる第１の成分；及び０．８７ｋｇ／ｄｍ^３未満の比密度を有するランダムなエチレン繰り返し分布を有するＰＰ－エチレンからなる第２の成分からなる、請求項１～３のいずれか一項に記載のノイズ減衰トリム部品。
5. 前記第１の成分が、前記結合バリア層全体の少なくとも３重量％であり、かつ前記第２の成分が、前記結合バリア層全体の少なくとも７重量％である、請求項４に記載のノイズ減衰トリム部品。
6. 前記第１及び第２の成分は、一緒になって、前記結合バリア層全体の１０～４８重量％である、請求項５又は６に記載の騒音減衰トリム部品。
7. 前記脂肪酸が、少なくとも１４の脂肪族鎖、好ましくは１６及び／又は１８の脂肪族鎖を有する脂肪酸を少なくとも含む、請求項２～６のいずれか一項に記載のノイズ減衰トリム部品。
8. 前記結合バリア層が、前記部品の表面にわたって一定の面積重量を有する、請求項１～７のいずれか一項に記載のノイズ減衰トリム部品。
9. 前記パイル層の面積重量が、４００～２０００ｇ／ｍ^２である、請求項１～８のいずれか一項に記載のノイズ減衰トリム部品。
10. 前記パイル層が、一次バッキング層にタフトされたＢＣＦヤーンからなるタフテッドカーペット層、又は密集化ソール領域と、中実繊維、中空繊維、バインダー繊維、又は複合繊維の少なくとも一つを含む表面に実質的に垂直に立っているループ状繊維から形成された表面領域とを有するニードルパンチカーペット層のうちの一つである、請求項１～９のいずれか一項に記載のノイズ減衰トリム部品。
11. 前記パイル層の繊維及び／又はフィラメント及び／又はヤーンが、ポリエステル、好ましくはＰＥＴ、又はポリアミド、好ましくはＰＡ６若しくはＰＡ６６、又はポリオレフィン、好ましくはポリプロピレン（ＰＰ）若しくはポリエチレン（ＰＥ）、又はこれらのポリマー若しくはコポリマーの２つ又はそれを超えるものの混合物からなる群の少なくとも一つのポリマー又はコポリマーでできている、請求項１～１０のいずれか一項に記載のノイズ減衰トリム部品。
12. 前記バッキング層が、繊維層、好ましくは、再生羊毛、リサイクル繊維ウェブ、若しくは再生繊維ウェブのうちの一つ、又はフォーム層、好ましくは、スラブフォーム、若しくはインモールド反応性フォーム層、好ましくはポリウレタンフォームのうちの少なくとも一つである、請求項１～１１のいずれか一項に記載のノイズ減衰トリム部品。
13. 前記結合バリア層と、デカップリング層、好ましくは、高密度熱可塑性エラストマー層、フィルム層、又は少なくとも１０００レイルの空気流抵抗を有する空気流抵抗性繊維層のうちの一つとの間に、少なくとも部分的に少なくとも一つの追加の層又はパッチをさらに含む、請求項１～１２のいずれか一項に記載のノイズ減衰トリム部品。
14. 前記高密度熱可塑性エラストマー層は、不透過性であり、かつ８００～２０００ｇ／ｍ^２の面積重量を有する、請求項１６に記載のノイズ減衰トリム部品。
15. 自動車の床材、インナーダッシュ、アウターダッシュ、音響トリムパネル、又はトランクカバーとしての、請求項１～１５のいずれか一項に記載のノイズ減衰トリム部品の使用。

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