JP2022553329A - アルツハイマー病を治療するための抗ベータ-アミロイド抗体 - Google Patents

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Abstract

アルツハイマー病の治療を必要とするヒト対象に対して、抗ベータ-アミロイド抗体(例えば、アデュカヌマブ)を複数回投与することを含む、該ヒト対象におけるアルツハイマー病の治療方法を提供する。1つの態様では、本開示は、アルツハイマー病の治療を必要とするヒト対象におけるその治療方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、該アルツハイマー病は、軽度アルツハイマー病、初期アルツハイマー病、前駆アルツハイマー病、軽度アルツハイマー病認知症、またはアルツハイマー病に起因する軽度認知機能障害である。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月22日に出願された米国仮出願第62/924,633号の優先権の利益を主張するものであり、その内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、当該配列表は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。2020年10月16日に作成された当該ASCIIコピーは、13751-0323WO1_SL.txtという名称であり、10,440バイトのサイズである。
本開示は、概して、アルツハイマー病の治療方法に関する。
アルツハイマー病(AD)は、臨床的に認知機能障害、行動障害、精神症状、及び日常生活動作障害を呈する進行性神経変性障害である。これらの臨床症状がAD認知症を構成する。
AD Internationalは、世界的にみて、認知症の人の数は、現在の4,700万人から2050年までに1億3,100万人に増えると予測している。認知症の最も一般的な原因であるADは、認知症の症例の60~80%を占めている。米国では、520万人のアメリカ人がADによる認知症を抱えていること、及び効果的な治療法が見つからない限り、2050年までに患者数が2倍または3倍になることが推定される。
ADによる認知症の臨床研究基準は最近更新され、該疾患の最新概念に準拠しており、ADの認知症前段階(例えば、前駆AD)を包含するための診断フレームワークが開発された。該疾患の主な神経病理学的特徴は、(i)凝集したβ-アミロイド(Aβ)ペプチドを含む細胞外老人(神経炎)斑及び(ii)異常な過リン酸化タウタンパク質で構成される神経細胞内神経原線維変化(NFT)である。「アミロイドカスケード」仮説は、疾患経過を促す原動力が、脳内でのAβ産生とAβクリアランスの不均衡に起因するAβの蓄積であると提示している。
Aβは、アミロイド前駆体タンパク質の代謝から生じるペプチドである。いくつかのAβペプチドのアロフォームが存在する(例えば、Aβ40、Aβ42)。これらの単量体ペプチドは、より高次の二量体及びオリゴマーに凝集する可変傾向がある。原線維形成の過程を通じて、可溶性オリゴマーは、βプリーツシート構造を有する不溶性沈着物に移行する可能性がある。これらの沈着物はアミロイド斑とも呼ばれ、主に線維性アミロイドで構成されている。可溶性型と線維型の両方のAβが該疾患経過に寄与しているように見える。
バイオマーカー、臨床病理学、及びコホート研究により、該疾患経過が、症状の臨床的発症の10~20年前に始まり、初期の病理学的所見のいくつかには、新皮質老人斑の沈着及び内側側頭NFTが含まれ、数年後に新皮質NFTが続くことが示唆されている。
従って、アルツハイマー病患者を治療する方法が必要である。
本開示は、アルツハイマー病(AD)患者を治療する方法の要求を満たす。
1つの態様では、本開示は、アルツハイマー病の治療を必要とするヒト対象におけるその治療方法を特徴とする。該方法は、該ヒト対象に対して、抗ベータ-アミロイド抗体を複数回投与することを含み、該複数回投与は、以下のように施される:(a)該抗ベータ-アミロイド抗体を、該対象に対して、該対象の体重あたり1mg/kgの量で投与し、(b)ステップ(a)の4週間後、該抗体を、該対象に対して、該対象の体重あたり1mg/kgの量で投与し、(c)ステップ(b)の4週間後、該抗体を、該対象に対して、該対象の体重あたり3mg/kgの量で投与し、(d)ステップ(c)の4週間後、該抗体を、該対象に対して、該対象の体重あたり3mg/kgの量で投与し、(e)ステップ(d)の4週間後、該抗体を、該対象に対して、該対象の体重あたり6mg/kgの量で投与し、(f)ステップ(e)の4週間後、該抗体を、該対象に対して、該対象の体重あたり6mg/kgの量で投与し、(g)ステップ(f)の後、連続した4週間の間隔で、該抗体を少なくとも15回、該対象の体重あたり10mg/kgの量で投与する。ここで、該抗ベータ-アミロイド抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、該VHは、配列番号3のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(VHCDR1)、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3を含み、該VLは、配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、ステップ(g)は、少なくとも16回、少なくとも17回、少なくとも18回、少なくとも19回、または少なくとも20回、該抗体を連続した4週間の間隔で、各々、該対象の体重あたり10mg/kgの量で投与することを含む。
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、ステップ(a)~(g)で指定のすべての投与は、該ヒト対象がアミロイド関連画像異常(ARIA)を治療の過程で発症した場合であっても中断することなく施される。
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、該ヒト対象は、ARIAを治療の過程で発症し、ステップ(a)~(g)で指定のすべての投与は、中断することなく施される。
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、該アルツハイマー病は、軽度アルツハイマー病、初期アルツハイマー病、前駆アルツハイマー病、軽度アルツハイマー病認知症、またはアルツハイマー病に起因する軽度認知機能障害である。
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、各投与は、静脈内に施される。
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、該ヒト対象は、治療の開始前に脳アミロイドベータ病理を有することが確認される。いくつかの実施形態では、該脳アミロイドベータ病理は、陽電子放出断層撮影(PET)画像化によって特定される。いくつかの実施形態では、該脳アミロイドベータ病理は、コンゴーレッド染色及び偏光顕微鏡下での複屈折によって特定される。いくつかの実施形態では、該脳アミロイドベータ病理は、免疫組織化学によって特定される。いくつかの実施形態では、該脳アミロイドベータ病理は、電子顕微鏡法または質量分析法によって特定される。いくつかの実施形態では、該脳アミロイドベータ病理は、CSF分析によって特定される。いくつかの実施形態では、該脳アミロイドベータ病理は、血液の分析によって特定される。
別の態様では、本開示は、軽度アルツハイマー病、初期アルツハイマー病、前駆アルツハイマー病、軽度アルツハイマー病認知症、またはアルツハイマー病に起因する軽度認知機能障害の治療を必要とするヒト対象におけるその治療方法を特徴とする。該方法は、該ヒト対象に対して、抗ベータ-アミロイド抗体を複数回投与することを含み、該方法は、連続した4週間の間隔で、該抗体を少なくとも6回投与することを含み、各投与は、該対象の体重あたり10mg/kgの量で施され、該抗ベータ-アミロイド抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、該VHは、配列番号3のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(VHCDR1)、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3を含み、該VLは、配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、該方法は、連続した4週間の間隔で、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回、少なくとも14回、少なくとも15回、少なくとも16回、少なくとも17回、少なくとも18回、少なくとも19回、または少なくとも20回、該抗体を投与することを含み、各投与は、該対象の体重あたり10mg/kgの量で施される。
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、該指定のすべての投与は、該ヒト対象がARIAを治療の過程で発症した場合であっても中断することなく施される。
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、該ヒト対象は、ARIAを治療の過程で発症し、該指定のすべての投与は、中断することなく施される。
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、各投与は、静脈内に施される。
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、該ヒト対象は、治療の開始前に脳アミロイドベータ病理を有することが確認される。いくつかの実施形態では、該脳アミロイドベータ病理は、PET画像法によって特定される。
別の態様では、本開示は、アルツハイマー病の治療を必要とするヒト対象におけるその治療方法を特徴とする。該方法は、該ヒト対象に対して、抗ベータ-アミロイド抗体を複数回投与することを含み、該複数回投与は、以下のように施される:(a)該抗ベータ-アミロイド抗体を、該対象に対して、該対象の体重あたり1mg/kgの量で投与し、(b)ステップ(a)の4週間後、該抗体を、該対象に対して、該対象の体重あたり1mg/kgの量で投与し、(c)ステップ(b)の4週間後、該抗体を、該対象に対して、該対象の体重あたり3mg/kgの量で投与し、(d)ステップ(c)の4週間後、該抗体を、該対象に対して、該対象の体重あたり3mg/kgの量で投与し、(e)ステップ(d)の4週間後、該抗体を、該対象に対して、該対象の体重あたり6mg/kgの量で投与し、(f)ステップ(e)の4週間後、該抗体を、該対象に対して、該対象の体重あたり6mg/kgの量で投与し、(g)ステップ(f)の後、連続した4週間の間隔で、該抗体を該対象に対して、該対象の体重あたり10mg/kgの量で投与する。ここで、該抗ベータ-アミロイド抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、該VHは、配列番号3のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(VHCDR1)、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3を含み、該VLは、配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3を含み、該指定のすべての投与は、該ヒト対象が治療の過程でARIAを発症した場合であっても中断することなく施される。
いくつかの実施形態では、該ヒト対象は、ARIAを治療の過程で発症し、該指定のすべての投与は、中断することなく施される。
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、ステップ(g)は、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回、少なくとも14回、少なくとも15回、少なくとも16回、少なくとも17回、少なくとも18回、少なくとも19回、または少なくとも20回、該抗体を連続した4週間の間隔で、各々、該対象の体重あたり10mg/kgの量で投与することを含む。
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、該アルツハイマー病は、軽度アルツハイマー病、初期アルツハイマー病、前駆アルツハイマー病、軽度アルツハイマー病認知症、またはアルツハイマー病に起因する軽度認知機能障害である。
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、各投与は、静脈内に施される。
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、該ヒト対象は、治療の開始前に脳アミロイドベータ病理を有することが確認される。いくつかの実施形態では、該脳アミロイドベータ病理は、PET画像法によって特定される。
別の態様では、本開示は、アルツハイマー病の治療を必要とするヒト対象におけるその治療方法を特徴とする。該方法は、該ヒト対象に対して、抗ベータ-アミロイド抗体を複数回投与することを含み、該複数回投与は、以下のように施される:(a)該抗ベータ-アミロイド抗体を、該対象に対して、該対象の体重あたり1mg/kgの量で静脈内投与し、(b)ステップ(a)の4週間後、該抗体を、該対象に対して、該対象の体重あたり1mg/kgの量で静脈内投与し、(c)ステップ(b)の4週間後、該抗体を、該対象に対して、該対象の体重あたり3mg/kgの量で静脈内投与し、(d)ステップ(c)の4週間後、該抗体を、該対象に対して、該対象の体重あたり3mg/kgの量で静脈内投与し、(e)ステップ(d)の4週間後、該抗体を、該対象に対して、該対象の体重あたり6mg/kgの量で静脈内投与し、(f)ステップ(e)の4週間後、該抗体を、該対象に対して、該対象の体重あたり6mg/kgの量で静脈内投与し、(g)ステップ(f)の後、連続した4週間の間隔で、該抗体を少なくとも6回、該対象の体重あたり10mg/kgの量で静脈内投与する。ここで、該抗ベータ-アミロイド抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、該VHは、配列番号3のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(VHCDR1)、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3を含み、該VLは、配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3を含む。
いくつかの実施形態では、ステップ(g)は、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回、少なくとも14回、少なくとも15回、少なくとも16回、少なくとも17回、少なくとも18回、少なくとも19回、または少なくとも20回、該抗体を連続した4週間の間隔で、各々、該対象の体重あたり10mg/kgの量で静脈内投与することを含む。
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、ステップ(a)~(g)で指定のすべての投与は、該ヒト対象がARIAを治療の過程で発症した場合であっても中断することなく施される。
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、該ヒト対象は、ARIAを治療の過程で発症し、ステップ(a)~(g)で指定のすべての投与は、中断することなく施される。
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、該アルツハイマー病は、軽度アルツハイマー病、初期アルツハイマー病、前駆アルツハイマー病、軽度アルツハイマー病認知症、またはアルツハイマー病に起因する軽度認知機能障害である。
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、該ヒト対象は、治療の開始前に脳アミロイドベータ病理を有することが確認される。いくつかの実施形態では、該脳アミロイドベータ病理は、PET画像法によって特定される。
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、該抗ベータ-アミロイド抗体のVHは、配列番号1のアミノ酸配列を含み、該抗ベータ-アミロイド抗体のVLは、配列番号2のアミノ酸配列を含む。
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、該抗ベータ-アミロイド抗体は、ヒトIgG1定常領域を含む。
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、該抗ベータ-アミロイド抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、該重鎖は、配列番号10のアミノ酸配列を含み、該軽鎖は、配列番号11のアミノ酸配列を含む。
別の態様では、本開示は、Aベータ(Aβ)、特にAβ斑及びタウを減少させることを必要とするヒト対象におけるその減少方法を特徴とする。該方法は、該ヒト対象に対して、抗ベータ-アミロイド抗体を複数回投与することを含み、該抗ベータ-アミロイド抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、該VHは、配列番号3のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(VHCDR1)、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3を含み、該VLは、配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3を含む。特に好ましい実施形態では、該抗体は、BIIB037、別名アデュカヌマブである。下記を参照されたい。
本態様では、本発明は、とりわけ、アデュカヌマブによるアミロイド除去の観察、及びヒト患者における病理学的タウバリアントに対するアデュカヌマブのこれまで認識されていない多面発現活性に基づいている。
実施例14に示されているように、6mg/kgのアデュカヌマブの投与をその後30回受けたPRIME試験のヒト患者(LTE患者)で、さらにPETデータ(図10B及び10C)によって示されるアミロイド除去及び普通ではない「虫食い」アミロイド斑構造(図11D及び12B)、ならびにミクログリアの斑結合(図12C及び12D)を示した患者では、驚くべきことに、未治療の高AD症例の範囲と比較して該LTE患者で低い新皮質pタウ密度から明らかなように、pタウの神経病理学的減少もまた見られた(図13)。
驚くべきことに、該治療効果は、「逆Braakパターン」に従ってタウ病理の特殊な出現順序を逆転させなかったが、全Braak V-VI領域でタウ染色の強度を低下させた。全Braak V-VI領域におけるタウ染色強度のかかる低下のパターンは、該疾患の既知の特別な進行に従って以前にタウ病理を構築した全Braak領域における病理学的タウの量の減少によってのみ説明され得る。言い換えれば、治療標的としてタウに向けられた治療は、影響を受ける全Braak領域でタウ病理を減少させることが期待されるが、Braakステージのパターンを初期の段階、例えば、ステージVIからステージIIに「逆転」させることはない。
アデュカヌマブ治療は、以前に影響を受けた全Braak領域で病理学的タウ染色の量を減少させるまさにこのパターンを示した。よく引用される「アミロイドカスケード仮説」は、アミロイドをタウ病理の誘因と見なしているため、該メカニズムは驚くべきものである。この論理に従うと、アデュカヌマブによるアミロイド除去は、「新たな」タウ病理の形成を停止または低下させる。
データ及び考えられる理論を考慮に入れて、第3相試験、試験1及び試験2は、アデュカヌマブによる治療が患者のタウ病理及び臨床的利益に与える影響に関して評価された。従って、実施例12及び図9に示されるように、PET及びCSFバイオマーカー試験により、アデュカヌマブが初期アルツハイマー病の被験者においてAβタウ病理及び神経変性を減少させることが分かった。
しかしながら、観察された効果は、「新たな」タウ病理の除去を示すだけでなく、さらに重要なことには、アミロイドカスケード仮説の論理が適用されない新規な治療機序を介した既存のタウ病理の減少を示している。理論に拘束されることを意図するものではないが、この新規な機序は、影響を受けたニューロン内での細胞内病理学的タウのプロテアソームを介した分解、病理学的タウの細胞外種のミクログリア細胞またはマクロファージの食作用を介した除去を含む可能性があり、アデュカヌマブ治療を受けた患者で観察された病理学的ホスホ-タウのCSFレベルの減少を潜在的に説明する。
病理学的タウが自然な代謝回転の影響下にある場合、その産生を遮断することで、アデュカヌマブ治療を受けた患者で観察された染色強度の低下がもたらされる可能性もある。病変形成のかかる減少は、アデュカヌマブによるシナプス前軸索終末からの神経毒性オリゴマーアミロイドベータ種の中和及び除去によって、軸索がアミロイドによる損傷から保護され、リン酸化されていない微小管結合タウがその生理的軸索定位内に残ることにより、タウが異常にリン酸化されて凝集しやすくなるアミロイドに冒されたニューロンにおいて軸索から体細胞樹状突起区画へのタウの異常な再局在化を防ぐことによって説明することができる。タウの代謝回転の自然な機序としては、ユビキチン化後のプロテアソーム分解、ミクログリアの食作用ならびにCSF及び血液への血管周囲のドレナージが挙げられる。
さらに驚くべき予想外の可能性は、ミクログリアの食作用の刺激物質としてのアデュカヌマブの機能の多面発現性である。かかる多面発現効果は、病理学的なタウの凝集種をミクログリアの食作用及び分解の標的とするこれまで知られていなかったアデュカヌマブの活性によって説明することができる。それはまた、これまでに知られていなかったアミロイドベータオリゴマーと病理学的なタウの凝集体の共凝集体の取り込み及び分解を含む可能性もある。アミロイドベータ凝集体と他の無関係なタンパク質とのかかる共凝集は知られている。一例として、アミロイドベータは、インスリン分泌性膵ベータ細胞によって産生される自己凝集ポリペプチドである膵島アミロイドポリペプチドIAPP(アミリン)と共凝集する。
要するに、本発明に従って実施された臨床試験のデータは、アデュカヌマブによるアミロイド除去によって、疾患関連のタウの増加の減弱だけでなく、アルツハイマー病患者の脳内のタウの病理学的形態の減少を引き起こし、治療施行患者の認知改善に関連するという結論をもたらした。
これは、アデュカヌマブがアミロイドには結合するがタウには結合しないという予備知識のために全く予想外の発見である。
実際、これまでアルツハイマー病の免疫療法でAβを標的とした場合、タウは脳脊髄液(CSF)のバイオマーカーとしてのみ、過去数年間、AD診断のための陽電子放出断層撮影(PET)画像化において、臨床病期のモニタリング及び認知低下のタイプを分類するためと考えられていた。総説に関しては、例えば、Gabelli,J.Lab.Precis.Med.15(2020)|http://dx.doi.org/10.21037/jlpm.2019.12.04及びNguyen et al.,Diagnostics 2020,10, 326;doi:10.3390/diagnostics10050326を参照されたい。
従って、1つの実施形態では、本発明は、アルツハイマー病の治療を必要とするヒト対象におけるその治療方法を特徴とし、該方法は、該ヒト対象に対して、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含む抗ベータ-アミロイド抗体の治療有効量を投与することを含み、該VHは、配列番号3のアミノ酸配列を有するVH相補性決定領域1(VHCDR1)、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3を含み、該VLは、配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3を含み、該ヒト対象は、p-タウのもつれ、p-タウのスレッド、及び/またはp-タウの老人斑を有する。場合によっては、該ヒト対象は、新皮質のp-タウのもつれ、新皮質のp-タウのスレッド、及び/または新皮質のp-タウの老人斑を有する。
いくつかの実施形態では、該抗ベータ-アミロイド抗体の投与により、該ヒト対象の脳内のp-タウのもつれ、p-タウのスレッド、及び/またはp-タウの老人斑が減少するか、または該ヒト対象の脳脊髄液(CSF)中のリン酸化タウ(p-タウ)及び/または全タウ(t-タウ)の量が減少する。ある特定の例では、該抗ベータ-アミロイド抗体の投与前に、p-タウのもつれ、p-タウのスレッド、及び/またはp-タウの老人斑は、該ヒト対象の脳の陽電子放出断層撮影(PET)スキャンによって、または該ヒト対象のCSF中のp-タウ及び/またはt-タウの量の分析によって検出される。
場合によっては、該方法は、さらに、治療の過程でp-タウのもつれ、p-タウのスレッド、及び/またはp-タウの老人斑を、該ヒト対象の脳のPETスキャン、または該ヒト対象のCSF中のp-タウ及び/またはt-タウの量の分析によって監視することを含む。
ある特定の例では、該抗ベータ-アミロイド抗体の投与量及び/または該抗ベータ-アミロイド抗体の投与頻度は、該ヒト対象の脳内のp-タウのもつれ、p-タウのスレッド、及び/またはp-タウの老人斑をPETスキャンを用いて監視することによって、または該ヒト対象のCSF中のp-タウ及び/またはt-タウの量の分析によって、治療の過程で調整される。
場合によっては、該治療によって、(i)p-タウのもつれ、p-タウのスレッド、及び/またはp-タウの老人斑のSUVR、密度、及び/または分布の以前のPETスキャンと比較した減少、または(ii)CSF分析におけるp-タウ及び/またはt-タウの量の以前のCSF分析と比較した減少がもたらされる。
別の態様では、本開示は、タウを減少させることを必要とするヒト対象におけるその減少方法を特徴とする。該方法は、該ヒト対象に対して、VH及びVLを含む抗ベータ-アミロイド抗体の有効量を投与することを含み、該VHは、配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3を含み、該VLは、配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3を含む。場合によっては、該ヒト対象は、アルツハイマー病を有する。
さらに別の態様では、本開示は、ベータアミロイド及びタウを減少させることを必要とするヒト対象におけるその減少方法を特徴とする。該方法は、該ヒト対象に対して、VH及びVLを含む抗ベータ-アミロイド抗体の有効量を投与することを含み、該VHは、配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3を含み、該VLは、配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3を含む。場合によっては、該ヒト対象は、アルツハイマー病を有する。
別の態様では、本開示は、タウの量を減少させることによるアルツハイマー病の治療を必要とするヒト対象におけるその治療方法を提供する。該方法は、該ヒト対象に対して、VH及びVLを含む抗ベータ-アミロイド抗体の有効量を投与することを含み、該VHは、配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3を含み、該VLは、配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3を含む。
場合によっては、該ヒト対象は、脳内にp-タウのもつれ、p-タウのスレッド、及び/またはp-タウの老人斑を有すると診断されているか、または以前に診断されたことがある、及び/またはアルツハイマー病ではないヒト対象と比較して、該ヒト対象のCSF中のp-タウ及び/またはt-タウの量が増加していると診断されているか、または以前に診断されたことがある。
場合によっては、該ヒト対象の脳内及び/またはCSF中のタウの量が減少する。ある特定の場合では、該ヒト対象のp-タウ及び/またはt-タウの量が減少する。
ある特定の場合では、該ヒト対象は、該抗ベータ-アミロイド抗体の投与前に、CSF中またはPETスキャンによる脳内で測定したタウのレベルが上昇している。タウのレベルはADで上昇する(例えば、Blennow and Zetterberg,J.Int.Med 2018,Biomarkers for Alzheimer’s disease:current status and prospects for the future参照)。p-タウ及びt-タウのレベルは、CSF(例えば、腰椎穿刺により採取されるもの)中で測定されることも、血液検査によって測定されることもある。
場合によっては、該アルツハイマー病は、軽度アルツハイマー病、初期アルツハイマー病、前駆アルツハイマー病、軽度アルツハイマー病認知症、アルツハイマー病に起因する軽度認知機能障害、中期アルツハイマー病、または後期アルツハイマー病であり、任意に、中期アルツハイマー病は、ミニ・メンタル・ステート検査(MMSE)スコア約10~20または他のスケールで同等のスコアを特徴とし、後期アルツハイマー病は、MMSEスコア9以下または他のスケールで同等のスコアを特徴とする。場合によっては、該アルツハイマー病は、アルツハイマー病に起因する軽度認知機能障害である。ある特定の場合では、該アルツハイマー病は、軽度アルツハイマー病認知症である。
いくつかの実施形態では、該VHは、配列番号1のアミノ酸配列を含み、該VLは、配列番号2のアミノ酸配列を含む。ある特定の例では、該抗ベータ-アミロイド抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
場合によっては、該抗ベータ-アミロイド抗体は、静脈内に投与される。
ある特定の実施形態では、該方法は、該抗ベータ-アミロイド抗体を、該ヒト対象の体重あたり3mg抗体/kgの量で投与することを含む。ある特定の実施形態では、該方法は、該抗ベータ-アミロイド抗体を、該ヒト対象の体重あたり6mg抗体/kgの量で投与することを含む。他の実施形態では、該方法は、該抗ベータ-アミロイド抗体を、該ヒト対象の体重あたり10mg抗体/kgの量で投与することを含む。
ある特定の実施形態では、該方法は、該抗ベータ-アミロイド抗体を、以下の通り複数回投与することを含む:
(a)該抗ベータ-アミロイド抗体を、該ヒト対象に対して、該ヒト対象の体重あたり1mg抗体/kgの量で投与し、
(b)ステップ(a)の4週間後、該抗体を、該ヒト対象に対して、該ヒト対象の体重あたり1mg抗体/kgの量で投与し、
(c)ステップ(b)の4週間後、該抗体を、該ヒト対象に対して、該ヒト対象の体重あたり3mg抗体/kgの量で投与し、
(d)ステップ(c)の4週間後、該抗体を、該ヒト対象に対して、該ヒト対象の体重あたり3mg抗体/kgの量で投与し、
(e)ステップ(d)の4週間後、該抗体を、該ヒト対象に対して、該ヒト対象の体重あたり6mg抗体/kgの量で投与し、
(f)ステップ(e)の4週間後、該抗体を、該ヒト対象に対して、該ヒト対象の体重あたり6mg抗体/kgの量で投与し、
(g)ステップ(f)の後、連続した4週間の間隔で、該抗体を、該ヒト対象に対して、該ヒト対象の体重あたり10mg抗体/kgの量で投与する。
いくつかの実施形態では、該方法は、該抗体を、該ヒト対象の体重あたり、少なくとも150mg抗体/kgの累積投与量で投与することを含む。ある特定の実施形態では、該方法は、該抗体を、該ヒト対象の体重あたり、少なくとも200mg抗体/kgの累積投与量で投与することを含む。
ある特定の実施形態では、該方法は、該抗体を、該ヒト対象の体重あたり、10mg抗体/kgの量で、4週間ごとに少なくとも52週にわたり投与することを含む。他の実施形態では、該方法は、該抗体を、該ヒト対象の体重あたり、6mg抗体/kgの量で、4週間ごとに少なくとも112週にわたり投与することを含む。
いくつかの実施形態では、該方法は、該抗体を、該ヒト対象に対して複数回投与することを含み、該複数回投与は、以下を含む:
(a)該ヒト対象の体重あたり3mg抗体/kgでの少なくとも2回の4週間ごとの投与、及び
(b)該ヒト対象の体重あたり6mg抗体/kgでの少なくとも30回の4週間ごとの投与。
ある特定の実施形態では、該ヒト対象は、ApoE3キャリアである。
いくつかの実施形態では、該ヒト対象は、治療の中断を要するアミロイド関連画像異常(ARIA)を治療の過程で発症しない。
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本発明の実践または試験において、本明細書に記載のものと同様のまたは同等の方法及び材料を使用することができるが、例示的な方法及び材料を以下に記載する。本明細書において言及されるすべての出版物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照により全体として組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含め、本出願が優先される。材料、方法、及び実施例は、例示的なものに過ぎず、限定を意図したものではない。
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
誤解を避けるために、「いくつかの実施形態では」、「ある特定の実施形態では」、「ある特定の例では」、「場合によっては」、「さらなる実施形態では」、「1つの実施形態では」及び「さらなる実施形態では」等の表現が使用され、該表現は、本明細書に記載の実施形態のいずれかが、それら実施形態の特徴の各々を組み合わせる考え方で読まれるべきであることを意味すること、及び本開示が、それら実施形態の特徴の組み合わせが1つの実施形態に詳しく説明されているのと同じように扱われるべきであることが強調される。実施形態の任意の組み合わせならびに添付の特許請求の範囲の特徴及び実施例に例示される特徴にも同じことが当てはまる。これらはまた、該説明に開示される対応する実施形態からの特徴と組み合わせられることもまた意図されている。一貫性及び簡潔さのためにのみ、該実施形態は、従属関係を特徴とするが、実際には、(複合)従属関係によって解釈される可能性のある各実施形態及び特徴の組み合わせは、文字通り開示されていると見なされなくてはならず、異なる選択肢の中からの選択と見なされるべきではない。これに関連して、当業者には、該実施形態及び実施例に開示される特徴が、そこに例示されるものと同じ機能を有する均等物に一般化されることを意図していることが理解されよう。
アデュカヌマブの用量を含めた試験デザインの概略図を示す。 AβPET複合SUVRにおけるベースラインからの変化(参照領域=小脳)をMMRMによって示す-18F-florbetapir AβPET分析集団-試験2。 AβPET複合SUVRにおけるベースラインからの変化(参照領域=小脳)をMMRMによって示す-18F-florbetapir AβPET分析集団-試験1。 試験1及び2において18か月でのCSFのp-タウ変化をANCOVAを用いて示す。CSF修正分析集団。 試験1及び2において18か月でのCSFのt-タウ変化をANCOVAを用いて示す。CSF修正分析集団。 定常状態で10/mg/kgを10回以上投与された患者の平均AβPET複合SUVRの時間プロファイルを示す。 10mg/kgでの≧6SS投与間隔群、10mg/kgでの≧8SS投与間隔群、及び10mg/kgでの≧10SS投与間隔群に属する試験1及び2からの患者の平均CDR-SBの時間プロファイルを示す。 試験2及び試験1における、脳脊髄液(CSF)のp-タウのレベルと、78週目までの累積アデュカヌマブ投与量との相関関係を示す散布図を含む。四角形は、低用量アデュカヌマブを表す。三角形は、高用量アデュカヌマブを表す(図1参照)。 試験2及び試験1における、CSFの全タウのレベルと、78週目までの累積アデュカヌマブ投与量との相関関係を示す散布図を含む。四角形は、低用量アデュカヌマブを表す。三角形は、高用量アデュカヌマブを表す(図1参照)。 図9A及びBは、被験者の脳の内側側頭複合におけるタウの沈着を観察している。Aは、タウのPET試験において、18F-MK-6240によって評価した、タウの陽電子放出断層撮影(PET)平均標準取り込み値比(SUVR)におけるベースラインからの調整平均変化を示すグラフである。従属変数としてベースラインからの変化を当てはめ、カテゴリー治療、ベースラインのタウPET値及び検査によるAPOE ε4ステータス(キャリア及び非キャリア)を独立変数とした、78週目の共分散分析(ANCOVA)モデルに基づく値。P値:***P<0.001、プラセボと比較(名目)。これらの試験が早期に終了したため、すべてのベースライン後のタウPET評価を、プラセボ対照期間のベースライン後9~20か月の範囲内で実施した。Bは、78週目までの累積投与量と相関する内側側頭複合SUVRのベースラインからの変化の散布図である。SE、標準誤差。 図9A及びBは、被験者の脳の内側側頭複合におけるタウの沈着を観察している。Aは、タウのPET試験において、18F-MK-6240によって評価した、タウの陽電子放出断層撮影(PET)平均標準取り込み値比(SUVR)におけるベースラインからの調整平均変化を示すグラフである。従属変数としてベースラインからの変化を当てはめ、カテゴリー治療、ベースラインのタウPET値及び検査によるAPOE ε4ステータス(キャリア及び非キャリア)を独立変数とした、78週目の共分散分析(ANCOVA)モデルに基づく値。P値:***P<0.001、プラセボと比較(名目)。これらの試験が早期に終了したため、すべてのベースライン後のタウPET評価を、プラセボ対照期間のベースライン後9~20か月の範囲内で実施した。Bは、78週目までの累積投与量と相関する内側側頭複合SUVRのベースラインからの変化の散布図である。SE、標準誤差。 A、B、及びCは、第1b相試験(試験221-AD-103)中にプラセボで処理され、長期継続投与(LTE)でアデュカヌマブで治療された一名のAD患者(被験者218-110)からの認知進行及びアミロイドPETバイオマーカーデータを観察している。Aは、最初の患者スクリーニングから第1b相(プラセボ)及びLTE(アデュカヌマブ)までのCDR-SB(黒色線)及びMMSE(灰色線)データの進行のグラフ表示である。スクリーニングデータは、y軸の左側に示されている。赤で強調表示されている認知データ点は、アデュカヌマブ投与の直前の測定値であり、LTEに登録する前の軽度から中等度の認知症と一致している。Bは、アキシャルスライスアミロイドPET(florbetapir)画像を、ベースライン(上段)、第1b相試験のプラセボ群の26週目及び54週目(2段目及び3段目)、ならびにLTEの110週目及び166週目(4段目及び5段目)で示している。これらの画像により、アデュカヌマブの投与後のAβ斑の減少を示すアミロイドPET標準取り込み値比(SUVR)の低下が実証される。Cは、複合及び局所的SUVR値のグラフ表示である。0週のグラフを例にとると、最も低いグラフは線条体であり、次が複合であり、その次が前頭であり、最上位は後頭SUVRである。それらは、前頭皮質、後頭皮質及び線条体におけるアミロイド斑の減少を示している。 A~Fは、アデュカヌマブ治療後に主に高密度コアで構成されるまばらな残存Aβ斑を示すAβの免疫組織化学染色(6E10抗体)を示す。A~Dは、頻出する皮質Aβ斑及びアミロイド血管症を示すYale ADRC研究コホートの未治療の高AD神経病理症例からの前頭新皮質の低倍率及び高倍率の画像を示す(A、C)。LTE被験者の画像は、反応性ミクログリアに囲まれた高密度コアで主に構成されるまばらな皮質Aβ斑を示している(B、D)。緻密でないAβの虫食い状態の周辺ハローで囲まれた高密度コアは、後頭新皮質で最も多く見られた(挿入図11D)。アミロイド血管症も確認された。Eは、中前頭皮質(左の列)、内側側頭皮質(中央の列)及び周有線皮質(右の列)の6E10免疫染色切片から生成されたヒートマップを示し、本発明者らのPRIME LTE被験者(下段)におけるAβ斑の免疫反応性が、未治療の高AD神経病理対照(上段)と比較して低いことを示している。Fは、9名の未治療の高AD対照の群における広範囲の側頭新皮質Aβ斑密度に対するPRIME LTE被験者における極低密度の側頭新皮質Aβ斑のグラフ比較を示す。 A~Dは、残存する高密度コアAβ斑を囲み、アメーバ様の反応性形態を示すミクログリアを示している。A及びBは、二重IBA1/6E10免疫組織化学染色プロトコルで反応した未治療の高AD症例対照(A)及びLTE患者(B)からの切片の低倍率画像である。LTE患者の残存斑の周囲に、反応性の高いアメーバ様ミクログリアの形態が認められる。Cは、Aβ斑の5ミクロン内でのIBA1免疫反応過程の定量をグラフで示しており、未治療の高AD症例対照のコホートと比較して、LTE患者でミクログリアによる斑の結合が増加していることを示す。Dは、反応性アメーバ様形態及びAβ食作用と一致する細胞質染色を示す残存する高密度コアAβ斑を囲むミクログリア(IBA1)を示している。 A~Eは、リン酸化タウ(pタウ、40E8)の免疫組織化学試験であり、LTE患者におけるまばらな新皮質老人斑(NP)を示している。Aは、Yale ADRC研究コホートからの未治療の高AD神経病理対照(上段)、Netherlands Brain Bankからの未治療の高AD神経病理対照(NBB、中段)及びLTE被験者(下段)からの中前頭新皮質の切片を示す。左の列:低倍率画像(元の倍率2.5倍)は、LTE被験者と比較して、Yale及びNBBからの高AD切片において、高密度のpタウの免疫組織化学反応性を示している。中央の列:Yale及びNBBからの高AD切片において頻出するNP(矢印)を示すが、LTE被験者の切片ではNPを示していない、左の列のボックスで識別される領域の中倍率画像。右の列:Yale及びNBBからの高AD切片におけるNP(矢印)、頻出するNFT及び高密度NTを示す高倍率画像。LTE患者からの切片は、比較的少ないNFT及びNTを示している。Bは、Yaleからの高AD神経病理症例(上段)及びPRIME LTE被験者(下段)の海馬、海馬傍回及び後頭側頭回を含む内側側頭葉の切片を示す。左の列:低倍率画像(元の倍率2.5倍)は、LTE被験者と比較して、Yaleからの高AD症例の後頭側頭新皮質において、高密度のpタウの免疫組織化学反応性を示している。海馬傍回の反応性は、これら2つの症例では同程度である。中央の列:Yaleからの高AD切片において頻出するNP(矢印)を示すが、LTE被験者の切片ではNPを示していない、左の列のボックスで識別される後頭側頭新皮質領域の中倍率画像。右の列:Yale及びNBBからの高AD切片におけるNP(矢印)、頻出するNFT及び高密度NTを示す高倍率画像。LTE患者からの切片は、比較的少ないNFT及びNTを示している。Cは、9名の未治療の高AD対照の群における広範囲の側頭新皮質pタウの神経病理に対するPRIME LTE被験者における極低密度の側頭新皮質pタウの神経病理のグラフ比較を示す。Dは、NPにおける二重Aβ/pタウ免疫反応性の代表的な画像を示す。上のパネル:高AD患者のNPは、通常のpタウ免疫反応性ジストロフィー神経突起(NPタウ)を示している。下のパネル:PRIME LTE被験者に残存する高密度コアアミロイド斑の周囲にあるわずかなpタウ免疫反応性ジストロフィー神経突起。Eは、9名の未治療の高AD対照の群における広範囲の側頭新皮質NPタウの神経病理に対するPRIME LTE被験者における極低密度のNPタウの神経病理のグラフ比較を示す。 78週にわたるCDR-SBスコアのベースラインからの平均変化を示す。ITT集団の臨床測定におけるベースラインからの長期的変化がここに示されている。CDR-SBスコアのベースラインからの平均変化を示す。スコアの範囲は0~18で、スコアが高いほど障害が大きいことを示す。各時点での値はMMRMモデルに基づいており、CDR-SBスコアのベースラインからの変化が従属変数であり、固定効果は、治療群、カテゴリービジット、治療×ビジット交互作用、ベースライン測定、ベースライン測定×ビジット交互作用、ベースラインMMSEスコア(MMSEモデルのベースラインスコアと同じ)、ベースラインでのアルツハイマー病症候性投薬使用、地域、及び検査によるApoE ε4ステータスである。P値:†P<0.1及び≧0.05、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。エラーバーは標準誤差を示す。adu、アデュカヌマブ、ApoE、アポリポタンパク質E、CDR-SB、臨床的認知症尺度スケール-全般。MMRM、反復測定の混合モデル、SE、標準誤差。 78週にわたるMMSEスコアのベースラインからの平均変化を示す。ITT集団の臨床測定におけるベースラインからの長期的変化がここに示されている。MMSEスコアのベースラインからの平均変化を示す。スコアの範囲は0~30で、スコアが低いほど障害が大きいことを示す。各時点での値はMMRMモデルに基づいており、MMSEスコアのベースラインからの変化が従属変数であり、固定効果は、治療群、カテゴリービジット、治療×ビジット交互作用、ベースライン測定、ベースライン測定×ビジット交互作用、ベースラインMMSEスコア(MMSEモデルのベースラインスコアと同じ)、ベースラインでのアルツハイマー病症候性投薬使用、地域、及び検査によるApoE ε4ステータスである。P値:†P<0.1及び≧0.05、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。エラーバーは標準誤差を示す。adu、アデュカヌマブ、ApoE、アポリポタンパク質E、MMRM、反復測定の混合モデル、MMSE、ミニ・メンタル・ステート検査、SE、標準誤差。 78週にわたるADAS-Cog13スコアのベースラインからの平均変化を示す。ITT集団の臨床測定におけるベースラインからの長期的変化がここに示されている。ADAS-Cog13スコアのベースラインからの平均変化を示す。スコアの範囲は0~85で、スコアが高いほど障害が大きいことを示す。各時点での値はMMRMモデルに基づいており、ADAS-Cog13スコアのベースラインからの変化が従属変数であり、固定効果は、治療群、カテゴリービジット、治療×ビジット交互作用、ベースライン測定、ベースライン測定×ビジット交互作用、ベースラインMMSEスコア(MMSEモデルのベースラインスコアと同じ)、ベースラインでのアルツハイマー病症候性投薬使用、地域、及び検査によるApoE ε4ステータスである。P値:†P<0.1及び≧0.05、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。エラーバーは標準誤差を示す。ADAS-Cog13、アルツハイマー病評価スケール、13項目、adu、アデュカヌマブ、ApoE、アポリポタンパク質E、MMRM、反復測定の混合モデル、SE、標準誤差。 78週にわたるADCS-ADL-MCIスコアのベースラインからの平均変化を示す。ITT集団の臨床測定におけるベースラインからの長期的変化がここに示されている。ADCS-ADL-MCIスコアのベースラインからの平均変化を示す。スコアの範囲は0~53で、スコアが低いほど障害が大きいことを示す。各時点での値はMMRMモデルに基づいており、ADCS-ADL-MCIスコアのベースラインからの変化が従属変数であり、固定効果は、治療群、カテゴリービジット、治療×ビジット交互作用、ベースライン測定、ベースライン測定×ビジット交互作用、ベースラインMMSEスコア(MMSEモデルのベースラインスコアと同じ)、ベースラインでのアルツハイマー病症候性投薬使用、地域、及び検査によるApoE ε4ステータスである。P値:†P<0.1及び≧0.05、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。エラーバーは標準誤差を示す。ADCS-ADL-MCI、アルツハイマー病共同研究-日常生活動作一覧、軽度認知機能障害バージョン、adu、アデュカヌマブ、ApoE、アポリポタンパク質E、MMRM、反復測定の混合モデル、SE、標準誤差。 アミロイドPET下位試験において18F-florbetapirによって評価されたアミロイドPET平均標準取り込み値比(SUVR)のベースラインからの長期的変化を示す。複合SUVRは、前頭、頭頂、側頭ならびに感覚運動皮質、前帯状皮質、及び後帯状皮質から計算し、参照領域として小脳を使用して正規化した。アミロイドPET SUVRのベースラインからの変化は、治療、カテゴリービジット、治療×ビジット交互作用、ベースラインSUVR、ベースラインSUVR×ビジット交互作用、ベースラインMMSE、検査によるApoE ε4ステータス(キャリア及び非キャリア)、及びベースラインの年齢の固定効果でMMRMモデルを使用して分析した。プラセボ(ひし形)値は、78週目でのベースラインからの調整平均変化を示す。低用量(正方形)及び高用量(三角形)のアデュカヌマブ値は、78週目でのプラセボとの差を示す。***P<0.001。エラーバーはSEを示す。adu、アデュカヌマブ、ApoE、アポリポタンパク質E、MMRM、反復測定の混合モデル、MMSE、ミニ・メンタル・ステート検査、PET、陽電子放出断層撮影、SE、標準誤差。 78週目でのCSFのAβ1-42を示す。これらの図は、CSFの下位試験におけるCSFのAβ1-42値のベースラインからの調整平均変化を示す。値は、78週目のANCOVAモデルに基づいており、従属変数としてベースラインからの変化を当てはめ、治療、ベースラインのCSFのAβ1-42値、ベースラインの年齢、及び検査によるApoE ε4ステータス(キャリア及び非キャリア)を独立変数とした。P値:***P<0.001。ANCOVA、共分散分析、ApoE、アポリポタンパク質E、CSF、脳脊髄液、SE、標準誤差。 78週目でのCSFのp-タウ及びt-タウを示す。CSF下位試験におけるp-タウ及びt-タウのCSFレベルのベースラインからの調整平均変化。値は、78週目のANCOVAモデルに基づいており、従属変数としてベースラインからの変化を当てはめ、治療、ベースラインのバイオマーカー値、ベースラインの年齢、及び検査によるApoE ε4ステータス(キャリア及び非キャリア)を独立変数とした。P値:*P<0.05、**P<0.01、及び***P<0.001。ANCOVA、共分散分析、ApoE、アポリポタンパク質E、CSF、脳脊髄液、p-タウ、リン酸化タウ181、SE、標準誤差、t-タウ、全タウ。 内側側頭複合におけるタウ沈着を示す。タウPET下位試験における18F-MK-6240によって評価されたタウPET平均SUVRのベースラインからの調整平均変化。従属変数としてベースラインからの変化を当てはめ、カテゴリー治療、ベースラインのタウPET値、及び検査によるApoE ε4ステータス(キャリア及び非キャリア)を独立変数とした、78週目のANCOVAモデルに基づく値。P値:*P<0.05、**P<0.01、及び***P<0.001。ANCOVA、共分散分析、PET、陽電子放出断層撮影、SE、標準誤差、SUVR、標準取り込み値比。
アルツハイマー病
本明細書ではADと略されるアルツハイマー病は、主に臨床診断によって識別され、該疾患のマーカーによって確立される認知症である。
ADは、ある特定の操作的に定義された疾患進行の病期を有する連続体である。ADの病理は、臨床症状の発現前に始まる。例えば、ADの病理の1つのマーカーであるアミロイド斑は、AD認知症の発症の10~20年前に形成される。現在認識されているADの病期には、症状発現前、前駆症状、軽度、中等度、及び重度が含まれる。これらの病期は、症状の重症度及びAD進行の測定に基づいて、さらに下位カテゴリーに分類され得る。
ADは、個別の病期では生じないため、当業者には、患者群間の違いが、特定の臨床環境で区別されない可能性があることが認識されよう。それにもかかわらず、この臨床病期は、測定によって、及び経時的なこれらの測定、例えば、Aβの蓄積(CSF/PET)、シナプス機能障害、(FDG-PET/fMRI)、タウが媒介する神経細胞障害(CSF)、脳の構造(体積MRI)、認知、及び臨床機能の変化によって特徴づけることができる。(Jack CR,et al.Hypothetical model of dynamic biomarkers of the Alzheimer’s pathological cascade.Lancet Neurol.,2010;9(1):119-28)。
すべての認知症のためのNINCDS-ADRDA基準と呼ばれる現在のコア臨床基準(McKhann GM,V.diagnosis of dementia due to Alzheimer’s disease:Recommendations from the National Inst.on Aging-Alzheimer’s Association workgroups on diagnostic guidelines for Alzheimer’s disease.Alzheimer’s & Dementia,7(2011)263-269)が当技術分野で知られており、本発明の実施において使用され得る。それらには、新たな情報を取得して記憶する能力の障害、複雑なタスクの論理的思考及び処理の障害、視空間能力の障害、言語機能(話す、読む、書く)の障害、ならびに人格、行動、もしくは態度の変化を含めた認知または行動の障害が含まれる。アルツハイマー病は現在、このコア基準を使用して診断されており、通常、数時間または数日で突然発症するのではなく、数か月から数年で徐々に発症する症状(潜行性発症)を特徴とする。通常、アルツハイマー病の対象には、報告または観察による認知の明確な悪化の病歴がある。
ADに関する新たな情報が利用可能になるにつれて、他の診断分類システムが進化した。これらシステムとしては、International Working Group(IWG)のAD診断に関する新たな研究基準(Dubois B et al.,Lancet Neurol.,2007;6(8):734-736)、IWG研究基準、(Dubois et al.,Lancet Neurol.,2010;9(11):1118-27)、NIA/AA基準(Jack CR et al.Alzheimer’s Dement.,2011;7(3):257-62)、及びDSM-5基準(American Psychiatric Association,DSM-5,2013)が挙げられる。これらの分類システムはまた、本開示の方法に従う治療のためにAD対象を診断する際にも使用され得る。
患者
「患者」という用語は、アルツハイマー病の診断、予測、予防、または治療が望まれる任意のヒト対象を含むことを意味し、治療を必要とするヒト対象を含む。治療を必要とするヒト対象としては、すでにADを有するヒト対象、ADを有する傾向があるヒト対象、またはADの兆候を予防するべきヒト対象が挙げられる。典型的な患者は、40~90(例えば、45~90、50~90、55~90、60~90)歳の男性または女性である。1つの実施形態では、本開示は、AD患者(症状発現前、前駆症状、軽度、中等度、または重度のAD患者が挙げられるがこれらに限定されない)を治療する方法を提供する。ある特定の例では、本開示は、前駆アルツハイマー病の患者を治療する方法を提供する。場合によっては、本開示は、初期アルツハイマー病の患者を治療する方法を提供する。場合によっては、本開示は、アルツハイマー病の臨床的悪化を縮小するために患者を治療する方法を提供する。場合によっては、本開示は、アルツハイマー病に起因する軽度認知機能障害の患者を治療する方法を提供する。他の例では、本開示は、軽度アルツハイマー病認知症の患者を治療する方法を提供する。さらなる実施形態では、該患者は、例えば、陽電子放出断層撮影(PET)画像化によって確認されるアミロイド病理を有する。場合によっては、アミロイドβ病理は、[18F]-florbetapir PET画像化によって確認される。場合によっては、アミロイドβ病理は、[18F]-flutemetomol PET画像化によって確認される。場合によっては、アミロイドβ病理は、[18F]-florbetaben PET画像化によって確認される。場合によっては、アミロイドβ病理は、CSFのアミロイドβ分析によって確認される。場合によっては、アミロイドβ病理は、血液のアミロイドβ分析によって確認される。場合によっては、アミロイドβ病理は、コンゴーレッド染色及び偏光顕微鏡下での複屈折によって確認される。場合によっては、アミロイドβ病理は、免疫組織化学(IHC)、電子顕微鏡、または質量分析によって確認される。場合によっては、アミロイドβ病理は、アミロイドβのレベルを評価する任意の方法によって確認される。
ある特定の例では、治療を受ける患者は、MMSEスコア24~30(端点を含む)を有する。場合によっては、治療を受ける患者は、CDRグローバルスコア0.5を有する。場合によっては、治療を受ける患者は、RBANSスコア85以下(遅延記憶指数スコアに基づく)を有する。場合によっては、治療を受ける患者は、少なくとも6年の就労経験がある。場合によっては、治療を受ける患者は、MMSEスコア24~30(端点を含む)、CDRグローバルスコア0.5、及びRBANSスコア85以下(遅延記憶指数スコアに基づく)を有する。ある特定の例では、該患者は、ApoE4キャリア(ApoE4陽性)である。ある特定の例では、該患者は、ApoE4非キャリア(ApoE4陰性)である。
治療を必要とするAD患者は、アミロイド病理及び初期神経変性を有する対象から、進行性認知障害及び機能障害を伴う広範囲に及ぶ神経変性を有しかつ不可逆的にニューロンが損失した対象に及び、認知症の対象に向かう。
症状発現前のAD患者は、記憶症状ならびに新たなエピソード記憶及び実行機能障害を伴うまたは伴わない無症候期によって識別され得る。この病期は通常、ADのインビボ分子バイオマーカーの出現及び臨床症状がないことを特徴とする。
前駆AD患者は、主に、疾患の進行を伴う認知障害及び新たな機能障害を特徴とする認知症前段階である。前駆AD患者は通常、ミニ・メンタル・ステート検査(MMSE)スコア24~30(端点を含む)、自発的記憶症状、手がかりがある場合とない場合の選択的想起試験(FCSRT)での自由再生スコアとして定義される客観的記憶障害27未満、グローバル臨床的認知症尺度(CDR)スコア0.5を有し、他の認知領域に有意なレベルの障害がなく、日常生活動作が本質的に維持され、かつ認知症がない。
軽度AD患者は、通常、MMSEスコア20~26(端点を含む)、グローバルCDR0.5または1.0を有し、米国国立老化研究所-アルツハイマー協会のADの可能性に関するコア臨床基準(セクション22参照)を満たす。
臨床症状に基づいてADを診断すると、軽度病期のAD患者は、職場での目立つ行動、物忘れ、感情起伏、及び注意障害を呈する。中等度病期のAD患者は、認知障害、日常活動の制限、見当識障害、失行症、失認症、失語症、及び行動異常を呈する。重度病期のAD患者は、自立性の喪失、記憶及び発話の崩壊、ならびに失禁を特徴とする。
ある特定の実施形態では、治療は、[18F]-florbetapir PETスキャンで評価して、アミロイド陽性である初期段階の患者のものである。ある特定の実施形態では、治療は、[18F]-flutemetomol PETスキャンで評価して、アミロイド陽性である初期段階の患者のものである。ある特定の実施形態では、治療は、[18F]-florbetaben PETスキャンで評価して、アミロイド陽性である初期段階の患者のものである。ある特定の例では、該ヒト対象は、治療の開始前に脳アミロイドベータ病理を有することが確認される。該患者は、頭痛、錯乱、歩行困難、または視覚障害に関して無症候性である場合もあれば、一過性の症状のみを示す場合もある。該患者は、ApoE遺伝子型決定によって特定されるApoE4キャリアである場合とない場合がある。
他の実施形態では、治療は、対象の認知機能障害の原因となる可能性がある任意の医学的または神経学的状態(AD以外)、例えば、脳卒中または他の脳血管状態、他の神経変性疾患、臨床的に重要な精神疾患の病歴、急性もしくは亜急性の微小もしくはマクロ出血、以前のマクロ出血、または脳表ヘモジデリン沈着症を有する患者のものである。これらの患者は、認定臨床医によるスクリーニング及び選択の後に治療され得る。
抗ベータアミロイド抗体
アデュカヌマブとしても知られる抗体BIIB037は、アルツハイマー病の生物学的治療である。これは、斑を含めた凝集型のAβを認識する抗Aβ抗体である。BIIB037は、ヒトカッパ軽鎖を含む。BIIB037は、鎖間ジスルフィド結合によって連結された2本の重鎖及び2本のヒトカッパ軽鎖からなる。「BIIB037」または「アデュカヌマブ」とは、配列番号10及び11に示されるアミノ酸配列を含む抗Aβ抗体を意味する。
インビトロ特性評価試験によって、その蓄積がADの発症及び進行の根底にあると考えられているAβ凝集体に存在するコンフォメーションエピトープを、抗体BIIB037が認識することが確認された。
インビボでの薬理学的研究により、同様の特性を有する抗体のマウスIgG2aキメラ型(ch 12F6A)が、ADのマウスモデルである老齢Tg2576マウスの脳においてアミロイド斑量を有意に減少させることが示されている。ある特定の抗Aβ抗体に関して報告された(Wilcock OM,Colton CA.Immunotherapy,vascular pathology,and microhemorrhages in transgenic mice.CNS & Neurological Disorders Drug Targets,2009 Mar;8(1):50-64)通り、実質アミロイドの減少は、血管アミロイドの変化を伴わなかった。
抗体BIIB037のVH及びVLは、米国特許第8,906,367号に記載の抗体NI-101.12F6AのVH及びVLのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を有する(表2~4参照、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。具体的には、抗体BIIB037は、表A(VH)及び表B(VL)に示されるVH及びVL可変領域を含む抗原結合ドメイン、表Cに示される対応する相補性決定領域(CDR)、ならびに表D(H)及び表E(L)に示される重鎖及び軽鎖を有する。
Figure 2022553329000002
Figure 2022553329000003
Figure 2022553329000004
BIIB037の成熟重鎖のアミノ酸配列を以下の表Dに示す。
Figure 2022553329000005
BIIB037の成熟軽鎖のアミノ酸配列を以下の表Eに示す。
Figure 2022553329000006
抗体BIIB037に加えて、本開示は、他の抗ベータ-アミロイド抗体、例えば、配列番号1を含むもしくはそれからなるVH領域または配列番号2を含むもしくはそれからなるVL領域のいずれかを含む抗体、あるいは配列番号1を含むまたはそれからなるVH領域及び配列番号2を含むまたはそれからなるVL領域を含む抗体であって、該VH及び/またはVL領域が1つ以上の置換、欠失、及び/または挿入を有する抗体の使用を企図する。いくつかの実施形態では、これらのVH及びVL領域は、最大25、最大20、最大15、最大10、最大5、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20個のアミノ酸置換を有し得るとともに、それでもなおベータアミロイドに結合し得る。特定の実施形態では、これらのアミノ酸置換は、フレームワーク領域でのみ生じる。いくつかの実施形態では、該アミノ酸置換(複数可)は、保存的アミノ酸置換である。ある特定の実施形態では、該VH及びVL領域は、1~5(1、2、3、4、5)個のアミノ酸の欠失及び/または付加を含み得るとともに、それでもなおベータ-アミロイドに結合し得る。ある特定の実施形態では、これらの欠失及び/または付加は、該VH領域及び/またはVL領域のN末端及び/またはC末端でなされる。1つの実施形態では、1つのアミノ酸が、該VH領域のN末端及び/またはC末端で欠失及び/または付加される。1つの実施形態では、1つのアミノ酸が、該VL領域のN末端及び/またはC末端で欠失及び/または付加される。
本開示での使用が企図される他の抗体としては、表Cの可変重鎖(VH)CDR及び可変軽鎖(VL)CDRを含む抗体が挙げられる。従って、該抗ベータアミロイド抗体は、配列番号3~8のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるCDRを含む。1つの実施形態では、該抗ベータアミロイド抗体は、配列番号4~8のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるCDRを含み、GFAFSSYGMH(配列番号9)を含むまたはそれからなるアミノ酸配列をVH CDR1として含む。場合によっては、本開示は、任意のCDR定義(例えば、Kabat、Chothia、改良Chothia、AbM、またはcontactの定義)に基づくBIIB037のVH CDR及びVL CDRを含む抗ベータ-アミロイド抗体を包含する。例えば、http://www.bioinf.org.uk/abs/index.htmlを参照されたい。1つの実施形態では、本開示は、Chothiaの定義に基づくBIIB037のVH CDR及びVL CDRを含む抗ベータ-アミロイド抗体を包含する。1つの実施形態では、本開示は、改良Chothiaの定義に基づくBIIB037のVH CDR及びVL CDRを含む抗ベータ-アミロイド抗体を包含する。別の実施形態では、本開示は、AbMの定義に基づくBIIB037のVH CDR及びVL CDRを含む抗ベータ-アミロイド抗体を包含する。さらに別の実施形態では、本開示は、contactの定義に基づくBIIB037のVH CDR及びVL CDRを含む抗ベータ-アミロイド抗体を包含する。
本発明で使用される抗体BIIB037及び他の抗体は、既知の方法を使用して調製され得る。いくつかの実施形態では、該抗体は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株で発現される。
該抗Aβ抗体の最大耐容量は、アルツハイマー病の治療において臨床的に重要な反応をもたらす抗体の安全性と一致する量である。本発明の方法に従って患者を治療する際の主な安全上の懸念は、ARIA、特にARIA-EまたはARIA-Hの発生である。本発明の方法によって、以前から知られているプロトコルを使用して実現可能であったよりも高用量の抗体BIIB037をADの患者の治療のために使用することができるようになる。
用量調整は、治療プロトコルの中で実施され得ることが理解されよう。例えば、安全性または有効性の理由から、抗Aβ抗体がADに与える効果を高めることができるように用量が増量される場合もあれば、ARIA率及び重症度が軽減され得るように用量が減量される場合もある。投薬を逃した場合、該患者は、好ましくは、逃した用量を受け、その後、説明されたレジメンに従って継続することによって投薬を再開するべきである。
ある特定の実施形態では、該抗Aβ抗体は、生理食塩水で希釈した後、静脈内注入によって患者に投与される。この投与方法を使用する場合、本発明の滴定レジームにおける各注入段階には、通常約1時間を要する。
本明細書における用量範囲及び他の数値は、患者のアルツハイマー病の治療によって示される、数値で表される量と同じ効果を有する量、及び本発明の方法による治療を受けていない個人と比較した際の該患者のARIAに対する出現率及び感受性の低下を含む。少なくとも、各数値パラメータは、通常の丸め手法を適用して、有効桁数に照らして解釈する必要がある。さらに、任意の数値は、本質的に、その測定の標準偏差からある特定の誤差を含み、かかる値は、本発明の範囲内である。
治療
本明細書で使用される、「治療する」または「治療」という用語は、一般に、該抗ベータアミロイド抗体を投与されている対象において所望の薬理学的及び/または生理学的効果を得ることを意味する。従って、本明細書で使用される、「治療」という用語には、(a)ADを抑制すること、例えば、発症を停止させること、(b)ADを軽減すること、例えば、ADの退行を引き起こすこと、または(c)治療を受けなかった場合に予想される生存と比較して、生存を延長することが含まれる。
1つの実施形態では、該治療は、治療的である。別の実施形態では、治療は、疾患修飾効果を有する。これは、該治療が、病理学的または病態生理学的な基礎疾患経過を減速または遅延させること、及びプラセボと比較したADの臨床兆候及び症状の改善が存在することを意味する。
さらなる実施形態では、治療により、症状の改善がもたらされる。これは、限られた期間だとしても、認知力の増強、自律性の向上、及び/または神経精神医学的及び行動的機能障害の改善からなり得る。
別の実施形態では、本開示は、疾患の臨床的悪化もしくは進行を遅延させるため、または症状緩和のための方法に関する。臨床的悪化または疾患進行を遅延させることにより、患者及び介護者が直接影響を受ける。それにより、障害が遅延し、自立が維持され、患者がより長い期間、通常の生活を送ることが可能になる。症状を可能な限り緩和することで、認知、機能、行動上の症状、及び心的状態を徐々に改善することができる。
本開示は、アルツハイマー病を治療するための滴定レジメン(抗ベータアミロイド抗体の漸増用量の連続投与)を特徴とする。場合によっては、該アルツハイマー病は、軽度アルツハイマー病、初期アルツハイマー病、前駆アルツハイマー病、軽度アルツハイマー病認知症、またはアルツハイマー病に起因する軽度認知機能障害である。
アルツハイマー病の治療の1つの方法では、該抗ベータアミロイド抗体は、ある期間にわたって量を増加させてヒト患者に投与される。該患者に該抗体を連続的に投与するこの手順は、それが、既知濃度の標準化された薬剤を慎重に測定された量で当該手順の完了まで投与することを含むため、本明細書では「滴定」と呼ばれる。
本発明の滴定レジームの1つの利点は、標準的な用量レジメンで観察されるものと同じ程度のARIAを招くことなくAD患者に対してモノクローナル抗体をより高用量投与することが可能になることである。ある特定の実施形態では、該より高用量とは、該対象の体重あたり、10mg/kgの該抗Aβ抗体の用量(複数可)を含む。いかなる特定の機序にも制限されることを意図するものではないが、滴定により、初期のアミロイド除去が少なくなり、全治療の過程で除去が減速すると考えられる。
抗Aβ抗体(例えば、BIIB037)の滴定は複数回投与で行われる。例えば、2回の抗体の投与を、該患者に対して、1回当たり最小治療量未満の量で施すことができ、その後、該抗体の4回の投与を、1回あたり最小治療量とほぼ等しい量で施すことができる。次に、このレジームの後に、1回あたり最小治療量より多い量であるが、最大耐容量未満の量での複数回投与が、該患者のADに受け入れられる変化が生じるまで施され得る。例えば、投与は、約4週間隔で約52週にわたって(合計14回)施され得る。進捗は、定期的な評価によって監視され得る。
場合によっては、本開示は、タウを低減することまたはAベータ及び/またはタウを低減してアルツハイマー病を治療することを必要とするヒト患者におけるその方法を特徴とし、該方法は、該ヒト患者に対して、抗Aβ抗体(例えば、BIIB037)を量を増加させて一定期間にわたって複数回連続的に投与することを含み、この場合、該ヒト患者に対して、該ヒト患者の体重あたり、1mg抗体/kgの複数回投与が約4週間隔で施され、該ヒト患者に対して、該ヒト患者の体重あたり、3mg抗体/kgの複数回投与が約4週間隔で施され、該ヒト患者に対して、該ヒト患者の体重あたり、6mg抗体/kgの複数回投与が約4週間隔で施され、該ヒト患者に対して、該ヒト患者の体重あたり、10mg抗体/kgの複数回投与が約4週間隔で施される。複数回投与とは、少なくとも2(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、123、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30)回の投与を意味する。
プロトコルAと呼ばれる、本開示による1つのプロトコルは、以下を含む。
(A)該抗ベータアミロイド抗体を、該患者に対して、該患者の体重あたり1mg/kgの量で投与し、
(B)ステップ(A)の4週間後、該抗ベータアミロイド抗体を、該患者に対して、該患者の体重あたり1mg/kgの量で投与し、
(C)ステップ(B)の4週間後、該抗ベータアミロイド抗体を、該患者に対して、該患者の体重あたり3mg/kgの量で投与し、
(D)ステップ(C)の4週間後、該抗ベータアミロイド抗体を、該患者に対して、該患者の体重あたり3mg/kgの量で投与し、
(E)ステップ(D)の4週間後、該抗ベータアミロイド抗体を、該患者に対して、該患者の体重あたり6mg/kgの量で投与し、
(F)ステップ(E)の4週間後、該抗ベータアミロイド抗体を、該患者に対して、該患者の体重あたり6mg/kgの量で投与し、
(G)ステップ(F)の後、連続した4週間の間隔で、該抗ベータアミロイド抗体を、該患者に対して、該患者の体重あたり10mg/kgの量で投与する。
言い換えれば、プロトコルAは、該患者に対して、抗ベータアミロイド抗体の初回投与を、該患者の体重あたり1mg/kgの量で施し、その後2回目の投与を初回投与の4週間後に体重あたり1mg/kgの量で施すことを含む。2回目の投与後4週間隔で、3回目及び4回目の抗体投与が該患者に対して体重あたり3mg/kgの量で施される。4回目の投与後4週間隔で、5回目及び6回目の抗体投与が該患者に対して体重あたり6mg/kgの量で施される。その後、6回目の投与の4週間後、7回目の抗体投与が該患者に対して体重あたり10mg/kgの量で施される。
場合によっては、プロトコルAの7回目の投与後、該抗ベータアミロイド抗体の5、6、7、8、9、または10回の投与が体重あたり10mg/kgの量で該患者に施される。ある特定の例では、該抗ベータアミロイド抗体の少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回、または少なくとも14回の投与が、対象の体重あたり10mg/kgの量で該患者に施される。ある特定の例では、該抗ベータアミロイド抗体の少なくとも15回、少なくとも16回、少なくとも17回、少なくとも18回、少なくとも19回、または少なくとも20回の投与が、対象の体重あたり10mg/kgの量で該患者に施される。ある特定の例では、該抗ベータアミロイド抗体の15~16、15~17、15~18、15~19、15~20、15~21、15~22、15~23、15~24、または15~25回の投与が、対象の体重あたり10mg/kgの量で該患者に施される。ある特定の例では、上記の投与は、連続した4週間の間隔で施される。ある特定の例では、上記の投与は、該患者に対して静脈内に施される。
場合によっては、プロトコルAの7回目の投与後、該患者に対して、該抗ベータアミロイド抗体の少なくとも10回の投与が、対象の体重あたり10mg/kgの量で中断なしの4週間隔で(例えば、静脈内に)施される。
プロトコルBと呼ばれる、本開示による別のプロトコルは、以下を含む。
(a)該抗ベータ-アミロイド抗体を、該対象に対して、該対象の体重あたり1mg/kgの量で投与し、
(b)ステップ(a)の4週間後、該抗ベータ-アミロイド抗体を、該対象に対して、該対象の体重あたり3mg/kgの量で投与し、
(c)ステップ(b)の4週間後、該抗ベータ-アミロイド抗体を、該対象に対して、該対象の体重あたり6mg/kgの量で投与し、
(d)ステップ(c)の後、連続した4週間の間隔で、該抗ベータ-アミロイド抗体の少なくとも10回の投与を、該対象の体重あたり10mg/kgの量で施す。
場合によっては、プロトコルBのステップ(d)の後、該抗ベータアミロイド抗体のさらなる投与が、体重あたり10mg/kgの量で該患者に施される。ある特定の例では、該抗ベータアミロイド抗体の少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回、少なくとも14回、少なくとも15回、少なくとも16回、少なくとも17回、少なくとも18回、少なくとも19回、または少なくとも20回の投与が、対象の体重あたり10mg/kgの量で該患者に施される。ある特定の例では、該抗ベータアミロイド抗体の少なくとも21回、少なくとも22回、少なくとも23回、少なくとも24回、少なくとも24回、または少なくとも25回の投与が、対象の体重あたり10mg/kgの量で該患者に施される。ある特定の例では、該抗ベータアミロイド抗体の11~12、11~13、11~14、11~15、11~16、11~17、11~18、11~19、11~20、または11~25回の投与が、対象の体重あたり10mg/kgの量で該患者に施される。ある特定の例では、上記のさらなる投与は、連続した4週間の間隔で施される。ある特定の例では、上記の投与は、該患者に対して静脈内に施される。
ある特定の例では、患者がアミロイド関連画像異常(ARIA)、例えば、ARIA-Eを治療の過程で発症した場合、該ARIAが解消するまで中断される。場合によっては、該治療を1~15(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15)週間中断してARIAを解消し、その後再開する。ある特定の場合では、該対象が重篤な臨床症状を伴うARIA-E及び/またはARIA-Hを発症した場合、または10以上の微小出血及び/または2つ以上の脳表ヘモジデリン沈着症病巣領域を伴うARIA-Hを発症した場合、または任意の新たな付随するマクロ出血を発症した場合には、治療は恒久的に中止される。
ある特定の例では、該患者がプロトコルAまたはBの治療の過程でアミロイド関連画像異常(ARIA)を発症した場合、用量を減量することなく上記の投与が該患者に対して継続して施される。場合によっては、ARIAが解消した後に該用量が投与され得る。
何らかの理由で治療が中断された場合(例えば、医師の診察を逃した場合、またはARIAもしくは他の副作用に起因する医師の勧め)、該患者は、治療の再開後に同用量または高用量で継続するべきである。例えば、該患者が中断前にすでに2回、該抗ベータアミロイド抗体の3mg/kgの投与を受けている場合、治療の再開後は、該患者には6mg/kgの投与が施されるべきである。該患者が中断前にすでに2回、該抗ベータアミロイド抗体の6mg/kgの投与を受けている場合、治療の再開後は、該患者には10mg/kgの投与が施されるべきである。該患者が中断前にすでに2回、該抗ベータアミロイド抗体の10mg/kgの投与を受けている場合、治療の再開後は、該患者には10mg/kgの投与が施されるべきであり、できるだけ長期間、10mg/kgの投与が継続して施されるべきである。
本開示はまた、軽度アルツハイマー病、初期アルツハイマー病、前駆アルツハイマー病、軽度アルツハイマー病認知症、またはアルツハイマー病に起因する軽度認知機能障害の治療を必要とするヒト対象におけるその治療方法を特徴とする。該方法は、該ヒト対象に対して、抗ベータ-アミロイド抗体を複数回投与することを含み、該方法は、連続した4週間の間隔で、該抗体を少なくとも6回投与することを含み、各投与は、該対象の体重あたり10mg/kgの量で施される。場合によっては、該方法は、連続した4週間の間隔で、該抗体を少なくとも7回投与することを含み、各投与は、該対象の体重あたり10mg/kgの量で施される。場合によっては、該方法は、連続した4週間の間隔で、該抗体を少なくとも8回投与することを含み、各投与は、該対象の体重あたり10mg/kgの量で施される。場合によっては、該方法は、連続した4週間の間隔で、該抗体を少なくとも9回投与することを含み、各投与は、該対象の体重あたり10mg/kgの量で施される。場合によっては、該方法は、連続した4週間の間隔で、該抗体を少なくとも10回投与することを含み、各投与は、該対象の体重あたり10mg/kgの量で施される。場合によっては、該方法は、連続した4週間の間隔で、該抗体を少なくとも11回投与することを含み、各投与は、該対象の体重あたり10mg/kgの量で施される。場合によっては、該方法は、連続した4週間の間隔で、該抗体を少なくとも12回投与することを含み、各投与は、該対象の体重あたり10mg/kgの量で施される。場合によっては、該方法は、連続した4週間の間隔で、該抗体を少なくとも13回投与することを含み、各投与は、該対象の体重あたり10mg/kgの量で施される。場合によっては、該方法は、連続した4週間の間隔で、該抗体を少なくとも14回投与することを含み、各投与は、該対象の体重あたり10mg/kgの量で施される。場合によっては、該方法は、連続した4週間の間隔で、該抗体を少なくとも15回投与することを含み、各投与は、該対象の体重あたり10mg/kgの量で施される。ある特定の例では、該指定のすべての投与は、該ヒト対象がARIAを治療の過程で発症した場合であっても中断することなく施される。ある特定の例では、ARIAまたは他の副作用のために投与が中断されたとしても、該治療は、同用量または高用量の該抗体で継続される。該患者がプロトコルAの最高用量(10mg/kg)にある場合、中断後に治療を再開する際は、該患者には該抗体の10mg/kgの投与が継続して施される。
場合によっては、上記のプロトコル及び方法の抗ベータアミロイド抗体は、BIIB037の6つのCDRを含むVH及びVLを含む。ある特定の例では、該抗ベータアミロイド抗体は、BIIB037のVH及びVLを含む。他の例では、該抗ベータアミロイド抗体は、BIIB037の重鎖及び軽鎖を含む。場合によっては、該抗ベータ-アミロイド抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、該VHは、配列番号3のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(VHCDR1)、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3を含み、該VLは、配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3を含む。場合によっては、該抗ベータアミロイド抗体は、配列番号1を含むまたはそれからなるVH、及び配列番号2を含むまたはそれからなるVLを含む。場合によっては、該抗ベータアミロイド抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、該重鎖は、配列番号10を含むかまたはそれからなり、該軽鎖は、配列番号11を含むかまたはそれからなる。
実施例1:第3相試験の概要
アルツハイマー病に起因する軽度認知機能障害(MCI)または軽度アルツハイマー病認知症の被験者におけるアデュカヌマブの有効性及び安全性を、2つの同様にデザインされた第3相試験、試験1及び試験2で評価した。これらの試験は、アデュカヌマブの作用機序の理解、以前の試験の結果、ならびに疾患経過及び基礎病理の現在の理解に基づいてデザインした。表1は、この試験デザインの概要を示す。
Figure 2022553329000007
これらの第3相試験では、AβPETスキャンで評価して(視覚的読み取りによる)Aβ陽性であり、アルツハイマー病に起因するMCIまたは軽度アルツハイマー病認知症に関する臨床基準(NIA-AA基準によって定義される)を満たす初期段階の患者をリクルートした。登録を、この第3相試験集団の約80%がアルツハイマー病に起因するMCIのベースライン臨床病期の被験者を含むようにモニタリングした(治験責任医師の臨床的評価による)。被験者はまた、CDRグローバルスコア0.5、RBANSスコア≦85(遅延記憶指数スコアに基づく)、及びMMSEスコア24~30(端点を含む)を有することが必要であり、少なくとも6年の教育または就労経験を有していることが必要であった。被験者は、スクリーニング時に50~85歳であることが必要であった。被験者の認知機能障害に寄与した可能性のあるアルツハイマー病以外の医学的または神経学的状態を伴う被験者は除外した。被験者は、アルツハイマー病を除いて健康である必要があった。
注目すべきことに、この第3相プロトコルでは、ε4対立遺伝子がアルツハイマー病の主要な危険因子であることを考慮して、被験者にApoE遺伝子型決定を受けることも求めた。ApoEε4キャリア及び非キャリアの両方を第3相の両試験に登録したが、キャリアのステータスに基づく投薬差別は、アデュカヌマブ「低」用量のみに限定した。図1を参照されたい。
実施例2:試験2の主要有効性エンドポイント
modified intent to treat(mITT)及び78週目のビジットを完了する機会を有したOpportunity to Complete(OTC)被験者に関する主要エンドポイントの結果を表2に要約する。
・高用量群では、プラセボに対するアデュカヌマブのCDR-SBの平均変化における有意性は、-0.40であった(23%悪化が少ない、名目p=0.0101)。
・低用量群もまた、CDR-SBの低下がプラセボより少なかったが、その差は高用量群よりも小さく、統計的有意性は達成されなかった。
Figure 2022553329000008
実施例3:試験2の副次的エンドポイント
mITTデータセット及びOTCデータセットの副次的有効性エンドポイントの結果を表3に要約する。
高用量群では、プラセボからの統計的な有意差(名目p値<0.05)が、mITTデータセットにおけるMMSEを除いた両データセットのすべての副次的エンドポイントで認められた。低用量群は、mITTデータセットにおいてもOTCデータセットにおいても、これら3つの副次的エンドポイントのいずれにも統計的有意性を示さなかった。しかしながら、MMSEを除くすべてのエンドポイントで、低用量に関してプラセボに対するわずかな数値的利点が認められた。
Figure 2022553329000009
実施例4:試験2の第三次エンドポイント-PETで測定し、標準取り込み値比(SUVR)として定量化した脳Aβ
AβPETで測定し、SUVRとして定量化した脳のAβ斑のレベルの連続評価は、長期的AβPET下位試験に参加した被験者のサブセットで行った。この長期的下位試験におけるPETスキャンは、18F-florbetapir AβPETトレーサーを使用して行った(別のトレーサーを使用した少数の被験者を除く)。これらの18F-florbetapir PETスキャンの被験者に関する結果をここに要約する。
PETで測定した脳のAβ斑のレベルにアデュカヌマブが与える影響の分析のために、標準取り込み値比(SUVR、Aβ病理があると予想される領域のAβ病理が最小または全くない参照領域に対する放射性トレーサーの取り込みの比)を、脳の主要な皮質領域(前頭、頭頂、側頭、感覚運動皮質、前帯状皮質、及び後帯状皮質の部分)を含む目的の複合領域とともに、参照領域として小脳全体に関して計算した[Ostrowitzki et al.,Alzheimers Res.Ther.8;9(1):95(2017)、Chiao et al.,J Nucl Med.60(1):100-106(2019)、Sevigny,Nature 537(7618):50-6(2016)]。この複合領域に関するSUVRを、AβPET分析の主要エンドポイントとして使用した。この複合SUVRのベースラインからの負の変化は、Aβ斑のレベルの低下を示し、負の治療差(アデュカヌマブからプラセボを引いたもの)はアデュカヌマブに好都合である。
図2は、脳のAβレベルの時間及び用量依存的な減少を示す。滴定段階の終了に一致した26週目で、AβPET複合SUVRのベースラインからの調整平均変化は、プラセボ群の0.007と比較して、低用量群及び高用量群でそれぞれ-0.070及び-0.076であった。滴定段階では投与が類似しているため、低用量群と高用量群の分離は予測されなかった。78週目では、AβPET複合SUVRのベースラインからの調整平均変化は、低用量群及び高用量分でそれぞれ-0.165及び-0.272であったのに対して、プラセボ群では0.019であった。
実施例5:試験1の主要有効性エンドポイント
この主要エンドポイントのmITT及びOTC分析の結果により、アデュカヌマブ高用量がプラセボと比較して悪化を減少させなかったことが示される(表4)。低用量群は、この主要エンドポイントでは名目上の統計的有意性を示さなかった。しかしながら、低用量に関してプラセボに対するわずかな数値的利点が認められた。この差は、実施例1における低用量とプラセボの間の差と大きさでは似ていた。
Figure 2022553329000010
実施例6:試験1の副次的有効性エンドポイント
この副次的エンドポイントのmITT及びOTC分析の結果により、MMSE、ADAS-Cog13、またはADCS-ADL-MCIの低下に関しては、プラセボと比較して統計的な有意差がないことが示される(表5)。しかしながら、低用量に関してプラセボに対するわずかな数値的利点がこれらのエンドポイントで認められた。ADAS-Cog13、またはADCS-ADL-MCIに関しては、高用量群の結果は低用量群と同様であった。
Figure 2022553329000011
実施例7:試験1の第三次エンドポイント-PETで測定し、標準取り込み値比(SUVR)として定量化した脳Aβ
実施例3の試験と同様に、18F-florbetapir AβPETトレーサーを使用して長期的なAβPET下位試験を行った。
図3から分かるように、アデュカヌマブは、脳のAβレベルに時間及び用量依存的な低下をもたらした。滴定段階の終了と一致した26週目で、AβPET複合SUVRのベースラインからの調整平均変化は、アデュカヌマブ低用量群及び高用量群の両方で-0.066であったのに対して、プラセボ群では-0.002であった。滴定段階では投与が類似しているため、低用量群と高用量群の分離は予測されなかった。78週目では、AβPET複合SUVRのベースラインからの調整平均変化は、アデュカヌマブ低用量群及び高用量群でそれぞれ-0.168及び-0.238であったのに対して、プラセボ群では-0.005であった。
実施例8:試験1及び2におけるp-タウのCSFレベル
脳脊髄液(CSF)を、ベースライン及び78週目に、選択された実施施設での被験者のサブセットで採取した。p-タウ181P、及び全タウのCSFレベルをLumipulse(登録商標)Gイムノアッセイ(Fujirebio,Malvern,PA,USA)を使用して測定した。
p-タウのCSFレベルは、新皮質の神経原線維変化[Buerger,Brain,129(Pt 11):3035-41(2006)]及びタウのPET画像化[Gordon,Brain 139(Pt8):2249-60(2016)]と相関している。p-タウのCSFレベルの上昇は、アルツハイマー病に特異的であることが報告されている[Olsson,Lancer Neurol.,15(7):673-684(2016)]。公開されているAlzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative(ADNI)のデータの分析によって、予想されるCSFのp-タウの年次増加約2%が示される。
アデュカヌマブがタウPETに与える影響と一致して、試験1及び2において、統計的に有意な低下がCSFのp-タウレベルに認められ、試験2では用量に比例した反応であった(図4及び8A参照)。
実施例9:試験1及び2におけるt-タウレベル
p-タウとは対照的に、CSFのt-タウレベルの上昇は、複数の神経変性疾患ならびに外傷性脳損傷及び脳卒中で報告されており[Jack et al.,Alzheimers Dement,14(4):535-562(2018)]、脳における非特異的神経変性及び軸索変性を反映していると考えられている[Blennow et al.,Nat.Rev.Neurol.,6(3):131-44(2010)]。図5及び8Bから分かるように、アデュカヌマブは、試験1及び試験2におけるCSFのt-タウレベルに数値的減少をもたらし、試験2では用量に比例した反応であった。
実施例10:定常状態で10/mg/kgを10回以上投与された患者の平均AβPET複合SUVRの時間プロファイル
図6は、10回以上の定常状態の投与間隔での10mg/kgの投与を受けた群に属する試験1及び2の被験者の平均脳AβPET複合SUVR-時間プロファイルと、それぞれのプラセボ群のAβPET複合SUVRプロファイルを示す。試験1及び2の目的の2群の平均AβPET複合SUVRプロファイルは、極めて類似した形状を有しており、78週目の平均値は等しい。
実施例11:試験1及び2の被験者の平均CDR-SB時間プロファイル
図7は、6回以上の定常状態の投与間隔で10mg/kg(サンプルサイズ試験1:n=241及び試験2:n=257)、8回以上の定常状態の投与間隔で10mg/kg(サンプルサイズ試験1:n=186及び試験2:n=194)、ならびに10回以上の定常状態の投与間隔で10mg/kg(サンプルサイズ試験1:n=116及び試験2:n=147)を投与された試験1及び2の患者の平均CDR-SB時間プロファイルを示す。それぞれのプラセボ群のCDR-SBプロファイルも示す。
試験2では、様々な投与群が同様のCDR-SB反応を示した。試験1では、中断なしの10mg/kgの投与回数が増えるにつれてプラセボからの差が大きくなった。この結果は、試験間の差の多くが、10回未満の中断なしの10mg/kgの準最適投与を受けた被験者に起因し得ることを暗示している。
実施例12:タウPET試験
18F-MK-6240リガンドを使用したタウPET画像化を、選択された実施施設での被験者のサブセットにおいて、スクリーニング時及び78週目に行った。内側側頭、側頭、及び前頭領域の複合標準取り込み値比(SUVR)を、参照領域として小脳皮質を使用して計算した。サンプルサイズが小さいため、すべての分析を、両試験からプールされたデータを使用して行った。
このタウPET試験は、両試験(n=37)からのデータをプールし、18F-MK-6240をタウリガンドとして使用してタウの沈着を分析した。アデュカヌマブで治療された被験者は、プラセボに対して、内側側頭複合脳領域において、タウのSUVRレベルに統計的に有意かつ用量依存的な低下を示した(低用量でP=0.0012及び高用量でP=0.0005)(図9A)。タウPET内側側頭複合SUVRのベースラインからの変化は、78週目までの累積投与量と相関していた(図9B)。18F-MK-6240は、アルツハイマー病におけるタウの神経原線維変化及び凝集体の特性評価及び定量化だけでなく、インビボ画像化に適したPETタウトレーサーとして示されている。例えば、Pascoal et al.Alzheimer’s Research & Therapy(2018)10:74及びBetthauser et al.,J.Nucl.Res.Med.60(2019),93-99を参照されたい。従って、以下の実施例14に示すPRIME試験での知見とともに、このタウPET試験の結果によって、特に高用量及び本明細書に開示する投与レジームでのアデュカヌマブが、アルツハイマー病患者の脳内のタウのもつれの数を減少させることが可能であることが明示される。
要約すると、PET及びCSFバイオマーカー試験により、アデュカヌマブが初期アルツハイマー病の被験者においてAβ、ならびにタウ病理及び神経変性を減少させることが分かった。これは、基礎疾患の病理の修正が、臨床的悪化の統計的に有意な減速と関連していることを示す第3相試験での最初の証拠であった。従って、試験1及び試験2の結果は、Aβのクリアランスが臨床的利益につながり得るという重要な確証を与える。
実施例13:安全性
プラセボ対照試験期間中に生じた有害事象の発生率は、両試験にわたってプラセボとアデュカヌマブ群間で同等であった。試験2では、高用量で被験者の93.1%、低用量で89.5%、及びプラセボ群で87.4%が有害事象を有し、試験1では、高用量で被験者の90.1%、低用量で被験者の90.0%、及びプラセボ群で86.5%が有害事象を有した。アミロイド関連画像異常(ARIA)を除いて、有害事象の発生率及び性質は、アルツハイマー病の診断及び試験対象集団の年齢(年齢の中央値:試験2では70.7歳、試験1では70.1歳)に対して予想される併存疾患と一致していた。2試験間のプラセボ対照期間で16の致命的事象があり、11事象がアデュカヌマブ治療被験者においてであり、5事象がプラセボ処理被験者においてであった。報告された死因は、アルツハイマー病または基礎併存疾患、例えば、心血管疾患と一致していた。
表6に示す通り、いずれの治療群でも発生率が10%を超える最も一般的な有害事象は、ARIA-浮腫(ARIA-E)、脳微小出血(本試験ではARIA-H微小出血と呼ばれる)、頭痛、鼻咽頭炎、転倒、限局性脳表ヘモジデリン沈着症(本試験ではARIA-H脳表ヘモジデリン沈着症と呼ばれる)、及びめまいであった。ARIA-Eは、アデュカヌマブ治療を受けた被験者で最も一般的な有害事象であった。プラセボと比較して、アデュカヌマブ治療を受けた被験者では、脳微小出血及び限局性脳表ヘモジデリン沈着症の発生率の増加が認められた。これらの被験者では、微小出血及び限局性脳表ヘモジデリン沈着症がARIA-Eとしばしば同時に生じた。ARIA-Eがない場合、脳微小出血及び限局性脳表ヘモジデリン沈着症の発生率は、アデュカヌマブ群とプラセボ群間で同等であった。
Figure 2022553329000012
ARIAの被験者の大部分は、ARIAの過程で症状を示さなかった(試験2:高用量で80.3%、低用量で78.7%、プラセボで96.4%、試験1:高用量で71.2%、低用量で83.6%、プラセボで94.5%)。ARIAの設定で報告された症状は一過性であり、頭痛、錯乱、及びめまいを含んでいた。ARIA-Eのエピソードの大部分は12週間以内に解消し、ARIAの被験者の大部分は、中断することなく治療を継続したか、または一時的な中断後に治療を再開した。具体的には、試験2では合計65名の被験者(高用量で7.0%、低用量で4.8%、プラセボで0.2%)及び試験1では73名の被験者(高用量で7.2%、低用量で5.1%、プラセボで0.9%)がARIAのために試験治療を恒久的に中止した。
ARIAの被験者の恒久的な治療中止は、被験者が以下のいずれかを発症した場合に必要になる可能性がある:
o「他の医学的に重要な事象」を除く重篤な臨床症状を伴うARIA-E
o「他の医学的に重要な事象」を除く重篤な臨床症状を伴う症候性ARIA-H(微小出血)
o「他の医学的に重要な事象」を除く重篤な臨床症状を伴う症候性ARIA-H(脳表ヘモジデリン沈着症)
o10以上の微小出血及び/または2つ以上の脳表ヘモジデリン沈着症病巣領域を伴うARIA-H。
o任意の新たな付随するマクロ出血(T2シーケンスで直径>1cmと定義)。
o被験者が妊娠する。試験治療は直ちに中止しなければならず、妊娠を報告しなければならない。
o被験者が、試験治療を継続する同意を取り下げる。
o被験者が、試験治療の恒久的な中止または被験者の治療割り当ての非盲検化を必要とする医学的緊急事態を経験する。
o被験者が、解消しないAEまたは除外基準を満たす継続的な治療を必要とするAEを経験する。
o被験者が、重度の注入反応を経験する。
o医学的理由による治験責任医師の裁量。
o服薬不履行に対する治験責任医師またはスポンサーの裁量。
治療を中止した被験者は試験に残り、最終投与の18週後のFUビジットに参加し、直ちに、イベントのスケジュールに従って試験の終了まで、または該被験者が同意を取り下げるまでクリニックのビジットのサブセットでのプロトコルが要求する試験及び評価を継続する。
=「他の医学的に重要な事象」には、生命を脅かすもの(治験責任医師の意見による)、患者の入院もしくは既存の入院の延長を必要とするもの、及び/または持続的もしくは重大な障害/無能力もしくは先天異常/出生異常をもたらすものが含まれる。
要約すると、最も一般的な有害事象はARIA-E及び頭痛であった。ARIAのエピソードの大部分は、一過性及び無症候性であった。
実施例14:アデュカヌマブで治療された患者におけるアルツハイマー病の神経病理
症例提示
患者は84歳の女性で、2013年に軽度のADの可能性があると診断された。この患者のAPOE遺伝子型はE3/E3であった。この患者の病歴は、冠状動脈疾患(冠状動脈ステント歴)、高血圧、高脂血症及び鬱病に関連していた。この患者の薬物治療には、Exelonパッチ及びNamendaが含まれていた。試験用の認知データのスクリーニングにより、CDR-SBスコア3.5及びMMSE23が示され、軽度認知機能障害に相当した(図10A)。アミロイド-PET(florbetapir)スキャンによって、大脳皮質及び線条体全体にAβ斑が示された(図10B~C)。この患者は、第1b相PRIME試験のプラセボ群にランダム化され、その間、2013年5月1日から2014年4月30日までに14回のプラセボのIV注入を受けた。この患者は、認知機能障害の急速な進行を示し、54週目のスコアでCDR-SBが6及びMMSEが15であり、軽度~中等度の認知症に相当した(図10A)。
この患者はその後、長期継続投与(LTE)に登録され、その間に月1回のアデュカヌマブ3mg/kgのIV投与を2回受け、その後、2014年6月2日から2016年11月10日までに月1回6mg/kgのIV投与を30回受けた。この間、すべてのサーベイランスMRIでは、アミロイド関連画像異常(ARIA)に関して陰性であった。110週と166週、すなわち、それぞれ、アデュカヌマブ投与開始後56週と112週でのアミロイドPETスキャン試験では、前頭、側頭及び頭頂皮質及び線条体において強力な標準取り込み値比(SUVR)の低下が示された(図10B~C)。SUVRシグナルは、アデュカヌマブ投与中に後頭皮質で低下したが、他の領域と比較して高いままであった。強力なAβ斑の減少にもかかわらず、この患者は、認知機能が悪化し続け、中等度から重度の認知症であった(CDR-SB11、MMSE5/30)。この患者は2016年11月に高度看護ケアに入り、その時点でアデュカヌマブを中止した。この患者は4か月後の2017年3月に死亡した。脳提供の剖検は、死後17時間の間隔の後にYale大学で行われた。
神経病理学的検査
全脳検査で脳重量1,000グラムが明らかになった。軟髄膜は出血もヘモジデリンも示さなかった。前頭葉、側頭葉及び頭頂葉を巻き込む対称な皮質萎縮があった。冠状断面は海馬萎縮を示した。黒質は正常に色素沈着していた。新たな梗塞及び以前の梗塞も実質性出血もなかった。NIA/AAコンセンサスガイドラインによれば、Yaleで検査された組織切片により、アルツハイマー病の神経病理学的変化の存在が確認された。Aβ斑は、新皮質及び海馬で認められ(Thalフェーズ2)、NFTは、連合新皮質の切片で認められ(BraakステージV)、まばらな新皮質NPが修正Bielschowsky染色切片で認められた(CERADスコア1)。複合NIA/AA ABCスコアはA1、B3、C1であり、「低AD神経病理学的変化」と一致した。有意なグリア性タウオパチーも、風船様ニューロンも、他の非アルツハイマータウオパチーの神経病理学的兆候もなかった。この神経病理学的検査は、レビー小体及びTDP-43プロテイノパチー、海馬硬化症(LATE)ならびに微小梗塞についても陰性であった。
Aβの免疫組織化学染色(抗体6E10)は、未治療の高AD症例からの切片に頻出するAβ斑を示した(図11A、11C)。対照的に、このLTE患者からの皮質切片(図11B、11D)は、まばらなAβ斑を示した。このLTE患者からの切片に残存する斑は、主に緻密でないAβの周辺ハローを欠く高密度コアで構成されていた(図11D)。特に周有線皮質の切片において、緻密でないAβの周辺ハローが存続した場合、それらは、反応性ミクログリアが明白な虫食い外観を示した(図11D、挿入図)。Visiopharmで生成された皮質Aβ斑全スライド画像(WSI)ヒートマップは、このLTE患者において、未治療の高AD症例からの切片での高斑密度と比較して、前頭、側頭及び後頭皮質の切片全体でAβ斑のクリアランスを示した(図11E)。最も高レベルの残存するAβ斑の免疫反応性は、後頭葉の周有線皮質に存在し(図11E、右のパネル)、アミロイド-PET SUVRデータと一致した。大脳基底核及び中脳の切片にはAβ斑はなかった。側頭新皮質Aβ斑密度を、このLTE患者とアデュカヌマブを受けなかった高AD患者のコホート間で比較した(図11F)ところ、Aβ斑がLTE患者で顕著に少ないことが分かった。総合すれば、これらのエキソビボでの神経病理学的所見により、florbetapir-PETが実証するLTE患者における強力なAβ斑のクリアランスが確認される。
二重6E10/IBA1免疫組織化学アッセイを使用して、残存するAβ斑に対するミクログリアの反応性を調べた。未治療の高AD症例からの切片(図12A)と比較して、このLTE患者の残存及び虫食い斑は、ミクログリアと高反応性アメーバ様形態(図12B)とのより大きな関連を示しているように見えた。Aβ斑の縁から半径5μm以内のミクログリアIBA1の免疫反応性をセグメント化するようにデザインされたWSI分析アルゴリズムは、このLTE患者において、未治療の高AD患者のコホートと比較して高いミクログリアの斑結合を示した(図12C)。このLTE患者のAβ斑の高倍率表示により、ミクログリア突起に囲まれたAβ斑及びアメーバ様ミクログリアの原形質膜境界内のAβが示された(図12D)。
このLTE患者の切片で行ったリン酸化TAUSer202,Thr205(pタウ、40E8)免疫組織化学染色(図13)により、連合新皮質の切片においてBraakステージV/VI(NIA/AAステージB3)の神経原線維変化を示す神経原線維変化が示された。しかしながら、未治療の高AD症例からの切片と比較して、このLTE患者の前頭及び後頭側頭新皮質の切片は、pタウ免疫反応性の密度が顕著に低かった(図13A、図13B)。体細胞及びニューロピルスレッドのpタウの免疫反応性をセグメント化及び定量化するようにデザインされた全スライド画像化分析アルゴリズムにより、このLTE患者において、未治療の高AD症例の範囲と比較して、新皮質のpタウ密度が低いことが示された(図13C)。老人斑pタウ(NPタウ)、すなわち、ADにおいてプロテオパチータウシードを伝播するAβ斑の周りのpタウ免疫反応性ジストロフィー神経突起をセグメント化するために使用した二重Aβ、pタウ(40E8)免疫組織化学アッセイにより、未治療の高AD患者からの切片において豊富なNPタウが示された(図13D、上のパネル)が、このLTE患者では、残存するNPタウを含まない斑が示された(図13D、下のパネル)。このLTE患者のNPタウの平均密度は、対照の高AD標本のNPタウの密度の範囲より低かった(図13E)。
要約すると、これらはアデュカヌマブで治療されたAD患者からの最初の神経病理学的データである。この神経病理学的所見は、Aβ斑の除去を示すflorbetapir-PETデータを裏付け、Aβ斑のミクログリアの結合及び食作用を示し、試験1及び試験2のタウ-PET及びCSFのpタウバイオマーカーアッセイデータと一致するpタウの神経病理学的減少の証拠を提供する。
実施例15:試験1及び試験2のプラセボ対照期間の最終分析
試験2で主要エンドポイントは達成された。高用量アデュカヌマブ対プラセボで、78週目でのCDR-SBスコアのベースラインからの変化の差の平均が-0.39(95%信頼区間、-0.69~-0.09、P=0.012)、22%の減少であったことが示された(表7、図14A~D)。高用量アデュカヌマブはまた、プラセボに対して、悪化の速度が遅いことを、MMSE(-18%)、ADAS-Cog13(-27%)、及びADCS-ADL-MCI(-40%)スコアにおいて示した(P<0.05)。低用量アデュカヌマブ群では、プラセボに対して統計的に有意な差は得られなかった。
試験1では主要エンドポイントは達成されなかった。高用量アデュカヌマブ対プラセボでは、78週目でのCDR-SBスコアのベースラインからの変化の差の平均は0.03(95%信頼区間、-0.26~0.33、P=0.833)、2%の増加であった(表7、図14A~D)。プラセボに対するMMSEスコアの変化(3%)、ADAS-Cogスコアの変化(-11%)、及びADCS-ADL-MCIスコアの変化(-18%)は、統計的に有意ではなかった。この低用量群の結果は、試験2の結果と一致した。
Figure 2022553329000013
アミロイドPETの下位試験では、用量及び時間依存的なアミロイドPET SUVRの低下が78週目で認められた。ベースラインからの調整平均変化の高用量アデュカヌマブとプラセボ間の差は、試験2では-0.28(95%信頼区間、-0.31~-0.25、P<0.001)であり、試験1では-0.23(95%信頼区間、-0.26~-0.21、P<0.001)であった(図15)。
CSFの下位試験では、プラセボを投与された患者と比較して、高用量アデュカヌマブを投与された患者において、標的結合の尺度であるAβ1-42のCSFレベルが用量依存的に増加した(図16)。78週目でのAβ1-42のCSFレベルのベースラインからの調整平均変化におけるプラセボとの差は、試験2及び試験1でそれぞれ、318.88(95%信頼区間、247.18~390.58、P<0.001)及び198.73(95%信頼区間、91.02~306.43、P<0.001)であった。予想通り、CSFのAβ1-40は、治療群間で有意差はなかった(データは示さず)。試験2では、疾患バイオマーカーであるp-タウ及び神経変性の非特異的マーカーであるt-タウのCSFレベルが用量依存的かつ有意に減少した(図17)。試験1では、p-タウ及びt-タウのCSFレベルで統計的有意性に達しない数値の減少があった。
タウPETの下位試験には、両方の試験にわたってプールされた患者を含めた。アデュカヌマブ治療を受けた患者は、プラセボ処理を受けた患者に対して、内側側頭葉、側頭葉、及び前頭葉においてタウPET SUVRの統計的に有意な用量依存的減少を示した(図18)。頭頂葉、帯状葉、及び後頭葉の結果は統計的に有意ではなかった(データは示さず)。
試験2及び試験1の結果が異なる理由を評価するために、複数の調査ラインを含めた分析計画を立てた。試験1と試験2の高用量群の結果の不一致に寄与する2つの主な要因は、急速な進行者(78週目でのCDR-SBスコアのベースラインからの変化が8を超える患者として定義される)及び低投薬の影響であった。
16週目またはそれ以前にPV4(またはそれ以降のプロトコルバージョン)に同意したPV4後下位群と呼ばれる下位群の患者を分析した。高用量のアデュカヌマブを投与するためにランダム化されたこの下位群の患者は、10mg/kgのアデュカヌマブの14回の投与すべてを受ける機会を有した。この下位群におけるARIAのプロトコル管理もまた、より少ない投薬の中断及び投薬の中断後に滴定を開始できる可能性を規定した。従って、試験1のPV4前下位群における高用量群の平均累積投与量は、PV4後下位群の平均累積投与量と比較して低かった(表8)。さらに、試験1における18名の急速な進行者のうち15名はPV4前下位群に属していた。
従って、試験1のPV4後下位群の分析により、より少ない投薬及び急速に進行する患者の影響がない結果が示される。78週目のCDR-SBスコアでのベースラインからの調整平均変化におけるプラセボとの差は、高用量アデュカヌマブを投与された試験1のPV4後群の患者で-0.49(95%信頼区間、-1.02~0.04)であり、27%の減少を表した(表8)。
Figure 2022553329000014
結論
試験2の最終データセットからの分析により、78週目に、事前に指定された主要エンドポイントであるCDR-SBにおいて、プラセボに対する高用量アデュカヌマブの統計的に有意な利点が実証された。臨床的悪化の統計的に有意な減速が3つの副次的エンドポイントにわたって検出され、プラセボに対するアデュカヌマブの一貫した臨床的優位性が、初期AD患者の認知及び機能の両変化を評価する転帰尺度を使用して実証された。
試験1では、主要エンドポイントは達成されなかった。標的投与量として10mg/kgのアデュカヌマブでの患者のサブセット(PV4後下位群)の事後分析により、試験1の結果が、不十分な投与及び急速な疾患進行を伴う患者のクラスターによるものであることが示唆された。
近接薬力学的バイオマーカー(Aβ CSF及びPET)ならびにアルツハイマー病に特異的な下流バイオマーカー(タウPET及びCSFのp-タウ)ならびに神経変性(CSFのt-タウ)の下位試験の結果は、臨床所見をさらに裏付けた。これは、基礎疾患の病理のバイオマーカーの修正が、臨床的悪化の統計的に有意な減速と関連していることを示す第3相試験での最初の証拠であった。タウPET及びCSFの下位試験では少数の患者を考慮することが重要である。しかしながら、試験1のより少ない累積投与量と一致して、試験1の高用量群におけるバイオマーカーに対する影響は、試験2と比較して小さかった。
アデュカヌマブに関連する最も一般的な有害事象は、両試験で脳のMRIを介して検出された画像異常であるARIA-Eであった。抗アミロイドモノクローナル抗体の他の試験で観察されたように、ARIAは大部分無症候性であり、ARIA患者のほとんどは治療を継続することができた。全体として、試験2及び試験1におけるアデュカヌマブの安全性及び忍容性プロファイルは以前の試験と一致していた。要約すると、試験2は、プラセボに対するアデュカヌマブの臨床的有意性を実証し、初期アルツハイマー病患者の現在の標準治療に対して利点を反映させた。高用量のアデュカヌマブに曝露された試験1の患者の下位群からの結果により、これらの知見が裏付けられる。
他の実施形態
本発明を、その詳細な説明とともに記載してきたが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を例示するためのものであり、限定するものではない。他の態様、利点、及び変更は、以下の特許請求の範囲内である。

Claims (59)

  1. アルツハイマー病の治療を必要とするヒト対象におけるその治療方法であって、前記ヒト対象に対して、抗ベータ-アミロイド抗体を複数回投与することを含み、前記複数回投与は、
    (a)前記抗ベータ-アミロイド抗体を、前記対象に対して、前記対象の体重あたり1mg/kgの量で投与し、
    (b)ステップ(a)の4週間後、前記抗体を、前記対象に対して、前記対象の体重あたり1mg/kgの量で投与し、
    (c)ステップ(b)の4週間後、前記抗体を、前記対象に対して、前記対象の体重あたり3mg/kgの量で投与し、
    (d)ステップ(c)の4週間後、前記抗体を、前記対象に対して、前記対象の体重あたり3mg/kgの量で投与し、
    (e)ステップ(d)の4週間後、前記抗体を、前記対象に対して、前記対象の体重あたり6mg/kgの量で投与し、
    (f)ステップ(e)の4週間後、前記抗体を、前記対象に対して、前記対象の体重あたり6mg/kgの量で投与し、
    (g)ステップ(f)の後、連続した4週間の間隔で、前記抗体を少なくとも15回、前記対象の体重あたり10mg/kgの量で投与する、前記方法であり、
    前記抗ベータ-アミロイド抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、
    前記VHは、配列番号3のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(VHCDR1)、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3を含み、
    前記VLは、配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3を含む、前記方法。
  2. ステップ(g)が、少なくとも18回、前記抗体を連続した4週間の間隔で、各々、前記対象の体重あたり10mg/kgの量で投与することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. ステップ(g)が、少なくとも20回、前記抗体を連続した4週間の間隔で、各々、前記対象の体重あたり10mg/kgの量で投与することを含む、請求項1に記載の方法。
  4. ステップ(a)~(g)で指定のすべての投与が、前記ヒト対象がアミロイド関連画像異常(ARIA)を前記治療の過程で発症した場合であっても中断することなく施される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記ヒト対象が、ARIAを前記治療の過程で発症し、ステップ(a)~(g)で指定のすべての投与が、中断することなく施される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記アルツハイマー病が、軽度アルツハイマー病、初期アルツハイマー病、前駆アルツハイマー病、軽度アルツハイマー病認知症、またはアルツハイマー病に起因する軽度認知機能障害である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 軽度アルツハイマー病、初期アルツハイマー病、前駆アルツハイマー病、軽度アルツハイマー病認知症、またはアルツハイマー病に起因する軽度認知機能障害の治療を必要とするヒト対象におけるその治療方法であって、前記ヒト対象に対して、抗ベータ-アミロイド抗体を複数回投与することを含む前記方法であり、連続した4週間の間隔で、前記抗体を少なくとも6回投与することを含む前記方法であり、各投与は、前記対象の体重あたり10mg/kgの量で施され、
    前記抗ベータ-アミロイド抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、
    前記VHは、配列番号3のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(VHCDR1)、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3を含み、
    前記VLは、配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3を含む、前記方法。
  8. 連続した4週間の間隔で、前記抗体を少なくとも8回投与することを含む請求項7に記載の方法であって、各投与は、前記対象の体重あたり10mg/kgの量で施される、前記方法。
  9. 連続した4週間の間隔で、前記抗体を少なくとも10回投与することを含む請求項7に記載の方法であって、各投与は、前記対象の体重あたり10mg/kgの量で施される、前記方法。
  10. 連続した4週間の間隔で、前記抗体を少なくとも15回投与することを含む請求項7に記載の方法であって、各投与は、前記対象の体重あたり10mg/kgの量で施される、前記方法。
  11. 前記指定のすべての投与が、前記ヒト対象がARIAを前記治療の過程で発症した場合であっても中断することなく施される、請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記ヒト対象が、ARIAを前記治療の過程で発症し、前記指定のすべての投与が中断することなく施される、請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
  13. アルツハイマー病の治療を必要とするヒト対象におけるその治療方法であって、前記ヒト対象に対して、抗ベータ-アミロイド抗体を複数回投与することを含み、前記複数回投与は、
    (a)前記抗ベータ-アミロイド抗体を、前記対象に対して、前記対象の体重あたり1mg/kgの量で投与し、
    (b)ステップ(a)の4週間後、前記抗体を、前記対象に対して、前記対象の体重あたり1mg/kgの量で投与し、
    (c)ステップ(b)の4週間後、前記抗体を、前記対象に対して、前記対象の体重あたり3mg/kgの量で投与し、
    (d)ステップ(c)の4週間後、前記抗体を、前記対象に対して、前記対象の体重あたり3mg/kgの量で投与し、
    (e)ステップ(d)の4週間後、前記抗体を、前記対象に対して、前記対象の体重あたり6mg/kgの量で投与し、
    (f)ステップ(e)の4週間後、前記抗体を、前記対象に対して、前記対象の体重あたり6mg/kgの量で投与し、
    (g)ステップ(f)の後、連続した4週間の間隔で、前記抗体を、前記対象に対して、前記対象の体重あたり10mg/kgの量で投与する、前記方法であり、
    前記抗ベータ-アミロイド抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、
    前記VHは、配列番号3のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(VHCDR1)、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3を含み、
    前記VLは、配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3を含み、
    前記指定のすべての投与は、前記ヒト対象がARIAを前記治療の過程で発症した場合であっても中断することなく施される、前記方法。
  14. 前記ヒト対象が、ARIAを前記治療の過程で発症し、前記指定のすべての投与が中断することなく施される、請求項13に記載の方法。
  15. ステップ(g)が、少なくとも6回、前記抗体を連続した4週間の間隔で、各々、前記対象の体重あたり10mg/kgの量で投与することを含む、請求項13または14に記載の方法。
  16. ステップ(g)が、少なくとも8回、前記抗体を連続した4週間の間隔で、各々、前記対象の体重あたり10mg/kgの量で投与することを含む、請求項13または14に記載の方法。
  17. ステップ(g)が、少なくとも10回、前記抗体を連続した4週間の間隔で、各々、前記対象の体重あたり10mg/kgの量で投与することを含む、請求項13または14に記載の方法。
  18. 前記アルツハイマー病が、軽度アルツハイマー病、初期アルツハイマー病、前駆アルツハイマー病、軽度アルツハイマー病認知症、またはアルツハイマー病に起因する軽度認知機能障害である、請求項13~17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 各投与が静脈内に施される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
  20. アルツハイマー病の治療を必要とするヒト対象におけるその治療方法であって、前記ヒト対象に対して、抗ベータ-アミロイド抗体を複数回投与することを含み、前記複数回投与は、
    (a)前記抗ベータ-アミロイド抗体を、前記対象に対して、前記対象の体重あたり1mg/kgの量で静脈内投与し、
    (b)ステップ(a)の4週間後、前記抗体を、前記対象に対して、前記対象の体重あたり1mg/kgの量で静脈内投与し、
    (c)ステップ(b)の4週間後、前記抗体を、前記対象に対して、前記対象の体重あたり3mg/kgの量で静脈内投与し、
    (d)ステップ(c)の4週間後、前記抗体を、前記対象に対して、前記対象の体重あたり3mg/kgの量で静脈内投与し、
    (e)ステップ(d)の4週間後、前記抗体を、前記対象に対して、前記対象の体重あたり6mg/kgの量で静脈内投与し、
    (f)ステップ(e)の4週間後、前記抗体を、前記対象に対して、前記対象の体重あたり6mg/kgの量で静脈内投与し、
    (g)ステップ(f)の後、連続した4週間の間隔で、前記抗体を少なくとも6回、前記対象の体重あたり10mg/kgの量で静脈内投与する、前記方法であり、
    前記抗ベータ-アミロイド抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、
    前記VHは、配列番号3のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(VHCDR1)、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3を含み、
    前記VLは、配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3を含む、前記方法。
  21. ステップ(g)が、少なくとも8回、前記抗体を連続した4週間の間隔で、各々、前記対象の体重あたり10mg/kgの量で静脈内投与することを含む、請求項20に記載の方法。
  22. ステップ(g)が、少なくとも10回、前記抗体を連続した4週間の間隔で、各々、前記対象の体重あたり10mg/kgの量で静脈内投与することを含む、請求項20に記載の方法。
  23. ステップ(a)~(g)で指定のすべての投与が、前記ヒト対象がARIAを前記治療の過程で発症した場合であっても中断することなく施される、請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記ヒト対象が、ARIAを前記治療の過程で発症し、ステップ(a)~(g)で指定のすべての投与が、中断することなく施される、請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記アルツハイマー病が、軽度アルツハイマー病、初期アルツハイマー病、前駆アルツハイマー病、軽度アルツハイマー病認知症、またはアルツハイマー病に起因する軽度認知機能障害である、請求項20~24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記ヒト対象が、治療の開始前に脳アミロイドベータ病理を有することが確認される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
  27. 前記脳アミロイドベータ病理が、陽電子放出断層撮影(PET)画像化によって特定される、請求項26に記載の方法。
  28. 請求項1~27のいずれか1項に記載の方法であって、
    前記VHが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、
    前記VLが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、前記方法。
  29. 前記抗体が、ヒトIgG1定常領域を含む、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 前記抗ベータ-アミロイド抗体が、重鎖及び軽鎖を含み、
    前記重鎖が、配列番号10のアミノ酸配列を含み、
    前記軽鎖が、配列番号11のアミノ酸配列を含む、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
  31. アルツハイマー病の治療を必要とするヒト対象におけるその治療方法であって、前記ヒト対象に対して、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含む抗ベータ-アミロイド抗体の治療有効量を投与することを含む前記方法であり、前記VHは、配列番号3のアミノ酸配列を有するVH相補性決定領域1(VHCDR1)、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3を含み、前記VLは、配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3を含み、前記ヒト対象は、p-タウのもつれ、p-タウのスレッド、及び/またはp-タウの老人斑を有し、任意に、前記ヒト対象は、新皮質のp-タウのもつれ、新皮質のp-タウのスレッド、及び/または新皮質のp-タウの老人斑を有する、前記方法。
  32. 前記抗ベータ-アミロイド抗体の投与により、前記ヒト対象の脳内のp-タウのもつれ、p-タウのスレッド、及び/またはp-タウの老人斑が減少するか、または前記ヒト対象の脳脊髄液(CSF)内のリン酸化タウ(p-タウ)及び/または全タウ(t-タウ)の量が減少する、請求項31に記載の方法。
  33. 前記抗ベータ-アミロイド抗体の投与前に、p-タウのもつれ、p-タウのスレッド、及び/またはp-タウの老人斑は、前記ヒト対象の脳の陽電子放出断層撮影(PET)スキャンによって、または前記ヒト対象のCSF中のp-タウ及び/またはt-タウの量の分析によって検出される、請求項31または32に記載の方法。
  34. さらに、治療の過程でp-タウのもつれ、p-タウのスレッド、及び/またはp-タウの老人斑を、前記ヒト対象の脳のPETスキャン、または前記ヒト対象のCSF中のp-タウ及び/またはt-タウの量の分析によって監視することを含む、請求項31~33のいずれか1項に記載の方法。
  35. 前記抗ベータ-アミロイド抗体の投与量及び/または前記抗ベータアミロイド抗体の投与頻度が、前記ヒト対象の脳内のp-タウのもつれ、p-タウのスレッド、及び/またはp-タウの老人斑をPETスキャンを用いて監視することによって、または前記ヒト対象のCSF中のp-タウ及び/またはt-タウの量の分析によって、治療の過程で調整される、請求項31~33のいずれか1項に記載の方法。
  36. 前記治療によって、(i)p-タウのもつれ、p-タウのスレッド、及び/またはp-タウの老人斑のSUVR、密度、及び/または分布の以前のPETスキャンと比較した減少、または(ii)CSF分析におけるp-タウ及び/またはt-タウの量の以前のCSF分析と比較した減少がもたらされる、請求項35に記載の方法。
  37. アルツハイマー病を有するヒト対象においてタウを減少させる方法であって、前記ヒト対象に対して、VH及びVLを含む抗ベータ-アミロイド抗体の有効量を投与することを含む前記方法であり、前記VHは、配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3を含み、前記VLは、配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3を含む、前記方法。
  38. タウの量を減少させることによるアルツハイマー病の治療を必要とするヒト対象におけるその治療方法であって、前記ヒト対象に対して、VH及びVLを含む抗ベータ-アミロイド抗体の有効量を投与することを含む前記方法であり、前記VHは、配列番号3のアミノ酸配列を有するVHCDR1、配列番号4のアミノ酸配列を有するVHCDR2、及び配列番号5のアミノ酸配列を有するVHCDR3を含み、前記VLは、配列番号6のアミノ酸配列を有するVLCDR1、配列番号7のアミノ酸配列を有するVLCDR2、及び配列番号8のアミノ酸配列を有するVLCDR3を含む、前記方法。
  39. 前記ヒト対象が、脳内にp-タウのもつれ、p-タウのスレッド、及び/またはp-タウの老人斑を有すると診断されているか、または以前に診断されたことがある、及び/またはアルツハイマー病ではないヒト対象と比較して、前記ヒト対象のCSF中のp-タウ及び/またはt-タウの量が増加していると診断されているか、または以前に診断されたことがある、請求項37または38に記載の方法。
  40. 前記ヒト対象の脳内及び/またはCSF中のタウの量が減少する、請求項37~39のいずれか1項に記載の方法。
  41. 前記ヒト対象においてp-タウ及び/またはt-タウの量が減少する、請求項37~40のいずれか1項に記載の方法。
  42. 前記ヒト対象が、前記抗ベータ-アミロイド抗体の投与前に、CSF中またはPETスキャンによる脳内で測定したタウのレベルが上昇している、請求項37~41のいずれか1項に記載の方法。
  43. 前記アルツハイマー病が、軽度アルツハイマー病、初期アルツハイマー病、前駆アルツハイマー病、軽度アルツハイマー病認知症、アルツハイマー病に起因する軽度認知機能障害、中期アルツハイマー病、または後期アルツハイマー病であり、任意に、中期アルツハイマー病は、ミニ・メンタル・ステート検査(MMSE)スコア約10~20または他のスケールで同等のスコアを特徴とし、後期アルツハイマー病は、MMSEスコア約9以下または他のスケールで同等のスコアを特徴とする、請求項31~42のいずれか1項に記載の方法。
  44. 前記アルツハイマー病が、アルツハイマー病に起因する軽度認知機能障害である、請求項31~42のいずれか1項に記載の方法。
  45. 前記アルツハイマー病が、軽度アルツハイマー病認知症である、請求項31~42のいずれか1項に記載の方法。
  46. 前記VHが、配列番号1のアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項31~45のいずれか1項に記載の方法。
  47. 前記抗ベータ-アミロイド抗体が、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項31~45のいずれか1項に記載の方法。
  48. 前記抗ベータ-アミロイド抗体が、静脈内に投与される、請求項31~47のいずれか1項に記載の方法。
  49. 前記抗ベータ-アミロイド抗体を、前記ヒト対象の体重あたり3mg抗体/kgの量で投与することを含む、請求項31~48のいずれか1項に記載の方法。
  50. 前記抗ベータ-アミロイド抗体を、前記ヒト対象の体重あたり6mg抗体/kgの量で投与することを含む、請求項31~48のいずれか1項に記載の方法。
  51. 前記抗ベータ-アミロイド抗体を、前記ヒト対象の体重あたり10mg抗体/kgの量で投与することを含む、請求項31~48のいずれか1項に記載の方法。
  52. 前記抗ベータ-アミロイド抗体を、以下の通り複数回投与することを含む、請求項31~48のいずれか1項に記載の方法:
    (a)前記抗ベータ-アミロイド抗体を、前記ヒト対象に対して、前記ヒト対象の体重あたり1mg抗体/kgの量で投与し、
    (b)ステップ(a)の4週間後、前記抗体を、前記ヒト対象に対して、前記ヒト対象の体重あたり1mg抗体/kgの量で投与し、
    (c)ステップ(b)の4週間後、前記抗体を、前記ヒト対象に対して、前記ヒト対象の体重あたり3mg抗体/kgの量で投与し、
    (d)ステップ(c)の4週間後、前記抗体を、前記ヒト対象に対して、前記ヒト対象の体重あたり3mg抗体/kgの量で投与し、
    (e)ステップ(d)の4週間後、前記抗体を、前記ヒト対象に対して、前記ヒト対象の体重あたり6mg抗体/kgの量で投与し、
    (f)ステップ(e)の4週間後、前記抗体を、前記ヒト対象に対して、前記ヒト対象の体重あたり6mg抗体/kgの量で投与し、
    (g)ステップ(f)の後、連続した4週間の間隔で、前記抗体を、前記ヒト対象に対して、前記ヒト対象の体重あたり10mg抗体/kgの量で投与する。
  53. 前記抗体を、前記ヒト対象の体重あたり、少なくとも150mg抗体/kgの累積投与量で投与することを含む、請求項31~48のいずれか1項に記載の方法。
  54. 前記抗体を、前記ヒト対象の体重あたり、少なくとも200mg抗体/kgの累積投与量で投与することを含む、請求項31~48のいずれか1項に記載の方法。
  55. 前記抗体を、前記ヒト対象の体重あたり10mg抗体/kgの量で、少なくとも52週にわたって4週間ごとに投与することを含む、請求項31~48のいずれか1項に記載の方法。
  56. 前記抗体を、前記ヒト対象の体重あたり6mg抗体/kgの量で、少なくとも112週にわたって4週間ごとに投与することを含む、請求項31~48のいずれか1項に記載の方法。
  57. 前記抗体を、前記ヒト対象に対して複数回投与することを含み、前記複数回投与は、以下を含む、請求項31~48のいずれか1項に記載の方法:
    (a)前記ヒト対象の体重あたり3mg抗体/kgでの少なくとも2回の4週間ごとの投与、及び
    (b)前記ヒト対象の体重あたり6mg抗体/kgでの少なくとも30回の4週間ごとの投与。
  58. 前記ヒト対象が、ApoE3キャリアである、請求項31~57のいずれか1項に記載の方法。
  59. 前記ヒト対象が、治療の中断を要するアミロイド関連画像異常(ARIA)を前記治療の過程で発症しない、請求項31~58のいずれか1項に記載の方法。
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