JP2022549596A - 回転軸のねじり振動を低減するシステムのための騒音低減構造 - Google Patents

Abstract

一態様では、クランク軸を有するエンジンのねじり振動を低減するためのシステムが提供される。システムは、防振装置を含み、防振装置は、クランク軸に取り付けられるシャフトアダプタと、シャフトアダプタに回転可能に取り付けられるプーリと、プーリとシャフトアダプタの間でトルクを弾性的に伝達する少なくとも１つの防振ばねとを含む。システムは、クランク軸に取り付け可能なねじり振動ダンパをさらに含む。騒音発生空間は、防振装置とねじり振動ダンパとの間で軸方向に延びる。システムは、防振装置及びねじり振動ダンパの一方から防振装置及びねじり振動ダンパの他方に向かって軸方向に延び、騒音発生空間の少なくとも一部を少なくとも部分的に半径方向に取り囲む騒音低減リングをさらに含む。【選択図】 図２

Description

（関連出願）
本出願は、２０２０年７月１７日に出願された米国仮出願第６３／０５３，４３３号、及び２０１９年９月２７日に出願された米国仮出願第６２／９０７，３７４号の利益を主張するものであり、これらの開示内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。

（技術分野）
本出願は、車両の回転軸上の防振装置から生じる騒音を低減するための、及び車両のエンジン駆動クランク軸上の防振装置から生じる騒音を低減するための騒音低減構造に関する。

補機駆動ベルトは、車両内で空調用コンプレッサ及びウォーターポンプなどの補機を駆動するために使用される。補機駆動ベルトは、エンジンのクランク軸によって駆動され、そこからの動力を補機に伝達する。しかながら、エンジンは、ピストンの往復運動によりクランク軸にねじり振動を与える。クランク軸には、ねじり振動を減衰させるために、防振装置及びねじり振動ダンパ（ＴＶＤ）という２つの要素が設けられる。場合によっては、防振装置から許容できない量の騒音が生じて車両の客室に到達する。

防振装置から生じる騒音量を低減する解決策を提供することが望ましいであろう。

第１の態様では、クランク軸を有するエンジンのねじり振動を低減するためのシステムが提供される。システムは、クランク軸上に取り付け可能でありかつクランク軸上で軸の周りを回転可能な防振装置を含む。防振装置は、クランク軸に取り付けられるシャフトアダプタと、シャフトアダプタに回転可能に取り付けられるプーリと、プーリとシャフトアダプタの間でトルクを弾性的に伝達する少なくとも１つの防振ばねとを含む。システムは、クランク軸に取り付け可能なねじり振動ダンパをさらに含む。騒音発生空間は、防振装置とねじり振動ダンパとの間で軸方向に延びる。システムは、防振装置及びねじり振動ダンパの一方から防振装置及びねじり振動ダンパの他方に向かって軸方向に延び、騒音発生空間の少なくとも一部を少なくとも部分的に半径方向に取り囲む騒音低減リングをさらに含む。騒音低減リングは、防振装置及びねじり振動ダンパの他方から選択された距離内まで延びる。いくつかの実施形態では、選択された距離は、約２ｍｍとすることができる。

別の態様では、クランク軸を有するエンジンのねじり振動を低減するためのシステムが提供される。システムは、クランク軸上に取り付け可能でありかつクランク軸上で軸の周りを回転可能な防振装置を含む。防振装置は、クランク軸に取り付けられるシャフトアダプタと、シャフトアダプタに回転可能に取り付けられ、エンドレス駆動部材又はギアのいずれかに係合するように成形された回転伝達部材と、プーリとシャフトアダプタとの間でトルクを弾性的に伝達する少なくとも１つの防振ばねとを含む。騒音発生空間は、防振装置とねじり振動ダンパとの間で軸方向に延びる。システムは、防振装置及びねじり振動ダンパの一方から防振装置及びねじり振動ダンパの他方に向かって軸方向に延び、騒音発生空間の少なくとも一部を少なくとも部分的に半径方向に取り囲む騒音低減リングをさらに含む。騒音低減リングは、防振装置及びねじり振動ダンパの他方から選択された距離内まで延びる。いくつかの実施形態では、選択された距離は、約２ｍｍとすることができる。

本開示の上記及び他の態様は、添付図面を参照してより理解できるはずである。

本開示の一実施形態による補機駆動システムを備えた車両エンジンの正面図である。 図１に示す車両エンジンのための騒音低減構造を有する防振装置及びねじり振動ダンパ（ＴＶＤ）の斜視図である。 図２に示す騒音低減構造を有する防振装置及びＴＶＤの斜視分解図である。 図２に示す騒音低減構造を有する防振装置及びＴＶＤの別の斜視分解図である。 図２に示す騒音低減構造を有する防振装置及びＴＶＤの一部の立断面図である。 本開示の別の実施形態による騒音低減構造を有する防振装置及びＴＶＤの一部の立断面図である。 本開示の別の実施形態による騒音低減構造を有する防振装置及びＴＶＤの一部の立断面図である。 本開示の別の実施形態による騒音低減構造を有する防振装置及びＴＶＤの一部の立断面図である。 本開示の別の実施形態による騒音低減構造を有する防振装置及びＴＶＤの一部の立断面図である。 本開示の別の実施形態による騒音低減構造を有する防振装置及びＴＶＤの一部の立断面図である。 本明細書に示されかつ説明された幾つかのタイプの騒音低減構造の騒音レベルを示すグラフである。

説明を簡単かつ明確にするために、適切と考えられる場合には、対応する又は類似の要素を示すために、参照数字は、図面の間で繰り返し使用される場合がある。加えて、多くの具体的な詳細は、本明細書に記載された１又は複数の実施形態の完全な理解を可能にするために説明される。しかしながら、本明細書に記載された実施形態は、当業者であればこれらの具体的な詳細がなくても実施できることを理解できるはずである。よく知られた方法、手順、及び構成要素は、本明細書に記載された実施形態を不明瞭にしないように詳細には記載されない場合がある。最初に、例示的な実施形態が図面に示され、以下に説明されているが、本開示の原理は、現在知られているか否かにかかわらず、多くの技術を用いて実施することができることを理解されたい。本開示は、図面に示され、以下に説明される例示的な実施形態及び技術に限定されるべきではない。

本明細書全体を通して使用される様々な用語は、文脈上他の意味を示す場合を除き、以下のように読み取って理解することができる。全体を通して使用される「又は」は、「及び／又は」と書かれているように、包括的である。全体を通して使用される単数形の冠詞及び代名詞は、それらの複数形を含み、その逆もまた同様である。同様に、性別の代名詞は、代名詞が、本明細書に記載されているものを一方の性別による使用、実施、遂行などに限定するものと理解されるべきではないように、それらの対応する代名詞を含む。「例示的」は、「実例」又は「例証」と理解されるべきであり、必ずしも他の実施形態よりも「好ましい」と理解されるべきではない。用語のさらなる定義は、本明細書に記載される場合があり、これらは、本明細書を読むことで理解できるように、それらの用語の先行例及び後続例に適用することができる。

本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されたシステム、装置、及び方法の修正、追加、又は省略を行うことができる。例えば、システム及び装置の構成要素は、統合すること又は分離することができる。さらに、本明細書に開示されるシステム及び装置の動作は、より多くの、より少ない、又は他の構成要素で実行することができ、記載される方法は、より多くの、より少ない、又は他のステップを含むことができる。加えて、ステップは何らかの適切な順序で実行することができる。本文書で使用される「各々」は、セットの各々の部材又はセットの部分集合の各々の部材を指す。

車両用のエンジン１０を示す図１を参照する。エンジン１０は、例えば、ベルト１４とすることができるエンドレス駆動要素を駆動するクランク軸１２を含む。エンジン１０は、ベルト１４を介して、複数の補機１６（破線で示す）、例えば、空調用コンプレッサ（１６ａで個別に示す）及びモータ／ジェネレータユニット（ＭＧＵ）（１６ｂで個別に示す）を駆動する。従って、ベルト１４は、補機駆動ベルト１４と呼ぶことができる。各補機１６は、ベルト１４によって駆動される、プーリ１３を有する補機軸１５を含む。加えて、本実施形態では、アイドラー軸１７ｂに設けられた１７ａで示すアイドラープーリと、テンショナアーム１９ｂに回転可能に取り付けられたテンショナプーリ１９ａとが示されており、これらはベルトテンショナ１９の一部を形作る。アイドラープーリ１７ａ及びベルトテンショナ１９の機能は、当業者にはよく知られている。

防振装置２０は、クランク軸１２とベルト１４との間でトルクを伝達するために、単純なプーリの代わりにクランク軸１２に設けられている。防振装置２０は、ねじり振動を減衰させながらトルクを伝達するための１又は２以上の防振ばねを含む防振器（ｉｓｏｌａｔｏｒ）とすることができ、代替方法として、当技術分野で知られているように、ワンウェイクラッチに加えて１又は２以上の防振ばねを含む減結合器（ｄｅｃｏｕｐｌｅｒ）とすることができる。

加えて、当技術分野で知られているように、ＴＶＤ２１は、クランク軸１２の他のねじり振動を減衰させるためにクランク軸１２に設けられている。ＴＶＤ２１は、図１において、背後にある構成要素を不明瞭にしないように破線輪郭でのみ示されている。

防振装置２０及びＴＶＤ２１は、図２、３Ａ、３Ｂ及び４に詳細に示されている。防振装置２０は、軸Ａを規定するシャフトアダプタ２２、軸Ａを中心にシャフトアダプタ２２に回転可能に取り付けられたプーリ２４、及び少なくとも１つの防振ばね２６を含む。シャフトアダプタ２２は、クランク軸１２に取り付けられるように成形され、図１ではクランク軸１２に取り付けられた状態で示されている。図示の例では、シャフトアダプタ２２は、シャフトアダプタ２２及び防振装置２０をクランク軸１２上に保持するための取付け締結具（そのうちの１つは図２及び図３Ｂに示されている）を受け入れるために、クランク軸１２の端部に設けられた４つの締結具開口３２（図３Ａ）と整列する４つの締結具貫通開口３０を含む。

図示の例示的な実施形態では、プーリ２４は、メインプーリ部分２４ａと、メインプーリ部分２４ａに固定的に取り付けられてばね室３０を取り囲むプーリカバー２４ｂとを含む。プーリ２４は、その間に設けられたブッシュ３４によって、シャフトアダプタ２２に回転可能に取り付けられる。適切なシール部材３６は、ブッシュ３４とプーリ２４又はシャフトアダプタ２２との間で汚れ及び他の汚染物資が移動するのを防ぐために適宜設けることができる。

プーリ２４は、ベルト１４にトルクを伝達するために、ベルト１４と係合するように成形されたベルト係合面３８を含む。ベルト係合面３８は、ベルト１４がポリＶベルトである場合には、Ｖパターンを有することができる。プーリ２４はさらに、ベルト係合面３８の第１の側にある第１のプーリフランジ４０と、ベルト係合面３８の第２の側にある第２のプーリフランジ４２とを含む。

少なくとも１つの防振ばね２６は、シャフトアダプタ２２とプーリ２４との間でトルクを弾性的に伝達する。実施形態では、シャフトアダプタ２２は、シャフト取付け部２２ａと、その上にばね係合アーム４４を有するドライバプレート２２ｂとを含む。図４で最も良く分かるように、プーリ２４は、その上にばね係合突起４６を含む。少なくとも１つの防振ばね２６の各々は、シャフトアダプタ２２とプーリ２４との間でトルクを伝達するように、ドライバプレート２２ｂ又はばね係合突起４６のいずれかに係合する第１の端部４８と、ドライバプレート２２ｂ及びばね係合ラグ４６の他方に係合ずる第２の端部５０とを有するアーチ形らせん圧縮ばねとすることができる。図示の例では、２つの防振ばね２６が存在するが、他の実施形態では、より多くの又はより少ない防振ばね２６が存在することができる。さらに、少なくとも１つの防振ばね２６は、らせん状ねじりばね又はエラストマー部材など、異なる種類のばねとすることができる。

エンジン１０の動作時、どんなときでも伝達されるトルクの変化に起因して、プーリ２４とクランク軸１２との間に相対運動が生じることになる。

また、ＴＶＤ２１は、クランク軸１２に取り付け可能である。ＴＶＤ２１は、何らかの適切なタイプのＴＶＤとすることができる。図４で最も良く分かるように、ＴＶＤ２１は、ハブ５２と、ハブ５２の半径方向外側で、ハブ５２上に支持されるねじり振動構造体５４とを含む。ねじり振動構造体５４は、当技術分野で知られているように、慣性部材５６と、図示の実施形態では、これを介して慣性部材５６がハブ５２に取り付けられる弾性部材５８とを含む。弾性部材の代わりに、ねじり振動構造体５４は、ハブ５２と慣性部材５６との間に流体室を含むことができる。図６は、ハブ５２と慣性部材５６との間に流体室５９が設けられている実施形態を示す。流体室５９は、当技術分野で知られているような粘性減衰流体６０を含む。ハブ５２及び慣性部材５６の形状は、図６に示す実施形態と図４に示す実施形態とでは異なることを理解されたい。

図４で最も良く分かるように、騒音発生空間６２は、防振装置２０とＴＶＤ２１との間に軸方向に延びる。エンジン１０の動作時、防振ばね２６がドライバプレート２２ｂ上のアーム４４又はプーリ２４上の突起４６のいずれかと係合すると騒音が発生する。騒音は、ＴＶＤ２１と防振装置２０との間の騒音発生空間６２から放出される可能性がある。エンジン１０が搭載される車両の客室内から騒音が聞こえる可能性を低減するために、騒音低減リング６４が設けられている。騒音低減リング６４は、防振装置２０及びＴＶＤ２１の一方から防振装置２０及びＴＶＤ２１の他方に向かって軸方向に延び、騒音発生空間６２の少なくとも一部を半径方向に取り囲む。騒音低減リング６４は、防振装置２０及びＴＶＤ２１の他方から選択された距離内まで延びる。

図示の実施形態では、騒音低減リング６４は、防振装置２０に取り付けられ、ＴＶＤ２１に向かって延びるが、図６に示す実施形態では、騒音低減リング６４は、ＴＶＤ２１に取り付けられ、防振装置２０に向かって延びる。

本出願人は、騒音低減リング６４を、防振装置２０とＴＶＤ２１の他方に十分に近接するように延ばすことにより、騒音低減リング６４は、客室内の平均的な乗員には実質的に聞こえないように、騒音を十分に減衰させることを理解している。

図示の実施形態では、騒音低減リング６４は、防振装置２０及びＴＶＤ２１の他方まで延びている。より具体的には、騒音低減リング６４は、第１の係合面６６を含み、防振装置２０とＴＶＤ２１の他方（この例ではＴＶＤ２１）は、第１の係合面６６が係合する第２の係合面６８を含む。

図示の例では、第１の係合面６６は、第２の係合面６８が作られる第２の材料よりも柔らかい第１の材料から作られている。図示の例では、第１の係合面６６は、ＰＡ４６のような適切なナイロン材料から作られている。第２の係合面６８は、図示の例では、慣性部材５６上にあり、鋼又は何か他の適切な金属から作ることができる。

図示の実施形態では、騒音低減リング６４全体は、ＰＡ４６などの単一材料から作ることができる。さらに後述する他の実施形態では、騒音低減リング６４は、異なる材料から作られた複数の構成要素を含むことができる。

騒音低減リング６４は、防振装置２０及びＴＶＤ２１の他方から選択された距離内まで延びる。例えば、騒音低減リング６４は、防振装置２０及びＴＶＤ２１の他方から２ｍｍ以内まで延びることができる。いくつかの実施形態では、騒音低減リング６４は、防振装置２０及びＴＶＤ２１の他方から１ｍｍ以内まで延びることができる。図４に示す実施形態では、騒音低減リングは、防振装置２０及びＴＶＤ２１の他方まで延びている。本出願人は、防振装置２０及びＴＶＤ２１の他方からの距離を変えて騒音低減リング６４の性能を試験した結果、約２ｍｍに近づけることが、防振装置２０とＴＶＤ２１の間で経時的に発生する可能性のある軸方向の動きがある場合でも、経時的な騒音低減リング６４の摩耗が少ないという点で好都合な場合があることを見出している。約１ｍｍに近づけることは、騒音低減リング６４上で多少の摩耗がある可能性はあるが、それは比較的少量であり、約２ｍｍに近づけることに比べて騒音低減の改善があるという点で好都合である。

防振装置２０及びＴＶＤ２１の他方まで延びることにより、騒音低減リング６４は、騒音発生空間６２の少なくとも一部を完全に半径方向に取り囲む。図４では、騒音低減リング６４は、騒音発生空間６２の７０で示される部分を取り囲むように示されており、騒音発生空間６２のごく一部だけが騒音低減リング６４の外側にある（７１で示される）。これは、騒音低減リング６４が防振装置２０及びＴＶＤ２１の他方に向かって延びるが接触しない実施形態とは対照的に、改善された騒音低減を可能にする。

図４から分かるように、第１の係合面６６の近くで、騒音低減リングは、軸Ａに対してある斜角で半径方向及び軸方向に延びる屈曲部分７２を含む。図４に示す実施形態の屈曲部分７２は、半径方向内向き及び軸方向に延びる。他の実施形態（図６に示す実施形態など）では、屈曲部分７２は、半径方向外向き及び軸方向に延びる。半径方向外向き及び軸方向に延びることは、屈曲部分７２が半径方向内向き及び軸方向に延びる実施形態と比較して、騒音低減リング６４が騒音発生空間６２のより大きな部分を半径方向に取り囲むことを意味する点で好都合である。

騒音低減リングは、その近位端（７４で示す）で、何らかの適切な手段でプーリ２４に連結することができる。図４に示す実施形態では、騒音低減リング６４は、第１のプーリフランジ４０から延びる。近位端７４をぴったりと受け入れる形状の凹部７６は、第１のプーリフランジ４０に設けることができる。随意的に、騒音低減リング６４を所定の位置に保持するのを助けるために接着剤などを使用することができる。また、随意的に、騒音低減リング６４の剛性は、それ自体を凹部７６内の所定の位置に保持するのに十分なものとすることができる。凹部７６への挿入のために騒音低減リング６４を十分に屈曲させるのを容易にするように、近位端７４の近くの騒音低減リングにアンダースコアを設けることができる。

ばね室３０の少なくとも一部が、騒音低減リング６４によって少なくとも部分的に取り囲まれている騒音発生空間６２の部分に軸方向に面することに留意されたい。その結果、ばね室３０が騒音低減リング６４によって少なくとも部分的に取り囲まれている騒音発生空間６２の部分に軸方向に全く面していない実施形態と比較して、改善された騒音低減が提供されることが理論づけされる。図４に示す実施形態では、ばね室３０の全体が、騒音低減リング６４によって少なくとも部分的に取り囲まれている騒音発生空間６２の部分に軸方向に面する。対照的に、図６及び７に示す実施形態では、ばね室３０の一部のみが、騒音低減リング６４によって少なくとも部分的に取り囲まれている騒音発生空間６２の部分に軸方向に面する。

図４に示す実施形態では、ＴＶＤ２１及びリテーナ７８はシャフトアダプタ２２上の突出部７９に取り付けられ、それによってＴＶＤ２１はクランク軸１２に間接的に取り付けられる。しかしながら、代替的に、ＴＶＤ２１は、クランク軸１２に直接取り付けることも可能である。別のシール部材３６は、ＴＶＤハブ５２とドライバプレート２２ｂとの間に設けられる。

図５に示す実施形態は、図４に示す実施形態と同様とすることができるが、図５に示す実施形態では、騒音低減リング６４の近位端７４を保持する凹部を設ける代わりに、騒音低減リング６４をプーリ２４に捕捉するために、騒音低減リング６４は、プーリ２４の壁の開口に係合する円周方向に離間して配置された複数のプラグ６９を含む。

図６は、上記である程度説明したような代替的な実施形態を示す。図６に示す実施形態では、騒音低減リング６４は、ＴＶＤ２１のハブ５２に連結され、そこから半径方向外向きに延びる。騒音低減リング６４は、防振装置２０に係合するまで延びる。図示の実施形態では、第２の係合面６８は、プーリ２４上にある。

また、上述したように、騒音低減リング６４の屈曲部分７２は、半径方向内向き及び軸方向ではなく、半径方向外向き及び軸方向に延びる。

図６に示す実施形態では、騒音低減リング６４は、例えば、適切なナイロンのような単一の材料から作られている。

粘性ＴＶＤを使用することに加えて、図２－５に示した実施形態と比較した図示の実施形態の別の相違点は、プーリ２４が、防振ばね２６を保持する別個のばねシェル８０を内部に含む点である。ばねシェル８０は、当技術分野で知られているように、ポリマー材料から作ることができる。しかしながら、図２－４の実施形態は、粘性ＴＶＤ及び／又は図６に示されているものと同様のばねシェルを使用することができることを理解されたい。

図７は、図６に類似しているが、第１の材料から作られた第１のリング要素６４ａと、第１の材料よりも柔らかい第２の材料から作られた第２のリング要素６４ｂとを含む複数の要素から作られた騒音低減リング６４を使用する実施形態を示す。第１のリング要素６４ａは、鋼又はアルミニウムなどの金属から作ることができる。第２のリング要素６４ｂは、適切なナイロンなどのポリマー材料から作ることができる。第２のリング要素６４ｂは、ねじり振動ダンパ２１に対して（すなわち、騒音低減リング６４が取り付けられている構成要素に対して）、第１のリング要素６４ａより遠位にある。図示のように、図７の屈曲部分７２は、半径方向外向き及び軸方向に延びる。

図８は、第１のリング要素６４ａ及び第２のリング要素６４ｂを含む騒音低減リング６４を使用する点で図７に類似する別の実施形態を示す。しかしながら、図８に示す実施形態では、第２のリング要素６４ｂは、その近位端７４から半径方向に延びており、防振装置２０に係合していない。

図９は、図４に示された実施形態に類似するが、第１のリング要素６４ａ及び第２のリング要素６４ｂを含む騒音低減リング６４を使用する別の実施形態を示す。しかしながら、図９に示す実施形態では、第１のリング要素６４ａは、プーリ２４自体によってまだカバーされていない騒音減衰空間６２の一部をカバーするように、ＴＶＤ２１に向かって軸方向に延び、第２のリング要素６４ｂは、ＴＶＤ２１に係合するように、残りの道筋を軸方向に（及び半径方向上方に）延びる。図９に示す実施形態では、第１のリング要素６４ａは、ＴＶＤ２１から約２ｍｍのところまで延び、第２のリング要素６４ｂは残りの道筋を延びる。

図１０は、本明細書に示されて説明された幾つかの騒音低減リング６４の性能を比較するグラフである。図１０のＹ軸は、デシベルでの騒音レベルである。試験構成は、防振装置２０から２０ｃｍ離れてマイクロホンを使用した。Ｘ軸は、クランク軸１２を介して伝達されるトルクである。図１０のグラフの曲線１００は、ＴＶＤ２１と防振装置２０の間に騒音低減リング６４が装着されていない場合の騒音レベルを示す。曲線１０２は、図９に示す実施形態であるが、第２のリング要素６４ｂが設けられておらず、第１のリング要素とＴＶＤ２１との間に２ｍｍの隙間がある場合の騒音レベルを示す。曲線１０４は、図９に示す実施形態であるが、第２のリング要素６４ｂが設けられておらず、第１リング要素とＴＶＤ２１との間に１ｍｍの隙間がある場合の騒音レベルを示す。曲線１０６は、図９に示す実施形態の騒音レベルを示し、第１及び第２のリング要素６４ａ、６４ｂの両方が設けられており、騒音低減リング６４とＴＶＤ２１との間に係合がある場合である。第１及び第２のリング要素６４ａ、６４ｂの両方を設けることによって達成される騒音レベルは、ＴＶＤが試験構成から取り除かれ、防振装置２０のみがクランク軸上に存在する場合よりも低いことに留意されたい。

図示のプーリ２４は、防振装置２０に設けることができる回転伝達部材の単なる一例である。他の実施形態では、回転伝達部材は、タイミングチェーンに係合するスプロケットとすることができる。理解できるように、図示のベルトは、適切なタイプのエンドレス駆動部材の単なる一例であり、一方、タイミングチェーンは、適切なタイプのエンドレス駆動部材の別の一例である。さらに別の実施形態では、回転伝達部材は、さらなる歯車と係合する歯車とすることができる。

いくつかの実施形態では、特に騒音低減リング６４が防振装置２０及びＴＶＤ２１の他方と係合する場合、半径方向に取り囲まれた騒音発生空間６２の部分７０に液体を供給することができる。

当業者であれば、本明細書に開示された実施形態は、添付の請求項の範疇を逸脱することなく、様々な他の方法で変更又は適合することができることを理解できるであろう。

２０ 防振装置
２１ ねじり振動ダンパ（ＴＶＤ）
２４ プーリ
２４ａ メインプーリ部分
２４ｂ プーリカバー
３２ 締結具開口
３８ ベルト係合面
４０ 第１のプーリフランジ
４２ 第２のプーリフランジ

Claims (14)

1. クランク軸を有するエンジンのねじり振動を低減するシステムであって、
   前記クランク軸上に取り付け可能でありかつ前記クランク軸上で軸の周りを回転可能な防振装置であって、前記クランク軸に取り付けられるシャフトアダプタと、前記シャフトアダプタに回転可能に取り付けられるプーリと、前記プーリと前記シャフトアダプタとの間でトルクを弾性的に伝達する少なくとも１つの防振ばねとを含む防振装置と、
   前記クランク軸に取り付け可能なねじり振動ダンパであって、騒音発生空間が、前記防振装置とねじり振動ダンパとの間で軸方向に延びる、ねじり振動ダンパと、
   前記防振装置及び前記ねじり振動ダンパの一方から前記防振装置及び前記ねじり振動ダンパの他方に向かって軸方向に延び、前記騒音発生空間の少なくとも一部を少なくとも部分的に半径方向に取り囲む騒音低減リングと、
   を備え、
   前記騒音低減リングは、前記防振装置及び前記ねじり振動ダンパの他方から２ｍｍ以内の距離まで延びる、システム。
2. 前記騒音低減リングは、前記防振装置及び前記ねじり振動ダンパの他方まで延びる、請求項１に記載のシステム。
3. 前記騒音低減リングは、第１の係合面を含み、前記防振装置及び前記ねじり振動ダンパの他方は、前記第１の係合面が係合する第２の係合面を含み、前記第１の係合面は、前記第２の係合面が作られる第２の材料よりも柔らかい第１の材料から作られている、請求項２に記載のシステム。
4. 前記騒音低減リングは、第１の材料から作られた第１のリング要素と、前記第１の材料よりも柔らかい第２の材料から作られた第２のリング要素とを含み、前記第２のリング要素は、前記防振装置及び前記ねじり振動ダンパの一方に対して、前記第１のリング要素より遠位にある、請求項１に記載のシステム。
5. 前記第２のリング要素は、ポリマー材料から作られている、請求項４に記載のシステム。
6. 前記第１のリング要素は、金属から作られている、請求項４に記載のシステム。
7. 前記ねじり振動ダンパは、ハブと、前記ハブの半径方向外側で、前記ハブ上に支持されるねじり振動構造体とを含み、前記ねじり振動構造体は、慣性部材と、粘性減衰流体を含む流体室又は弾性部材のうちの一方とを含み、前記騒音低減リングは、前記ハブに結合され、そこから半径方向外向きに延びる、請求項１に記載のシステム。
8. 前記騒音低減リングは、前記防振装置及び前記ねじり振動ダンパの他方と係合する第１の係合面をさらに含み、前記騒音低減リングは、前記第１の係合面の近くで、軸に対して所定の斜角で、半径方向及び軸方向に延びる屈曲部分を含む、請求項１に記載のシステム。
9. 前記屈曲部分は、半径方向外向き及び軸方向に延びる、請求項８に記載のシステム。
10. 前記騒音低減リングは、前記防振装置及び前記ねじり振動ダンパの他方から１ｍｍ以内のところまで延びる、請求項１に記載のシステム。
11. 前記防振装置は、少なくとも１つの防振ばねを含むばね室を含み、前記ばね室の少なくとも一部は、前記騒音低減リングによって少なくとも部分的に取り囲まれている前記騒音発生空間の少なくとも一部に軸方向に面している、請求項１に記載のシステム。
12. 前記ばねチャンバの全体は、前記騒音低減リングによって少なくとも部分的に取り囲まれている前記騒音発生空間の少なくとも一部に軸方向に面している、請求項１１に記載のシステム。
13. 前記プーリは、前記クランク軸を介して補機駆動ベルトを駆動するために、前記補機駆動ベルトと係合するように配置されかつ成形されたベルト係合面と、前記ベルト係合面の第１の側に設けられた第１のプーリフランジと、前記ベルト係合面の第２の側に設けられた第２のプーリフランジとを有し、前記騒音低減リングは、前記第１のプーリフランジから延びる、請求項１２に記載のシステム。
14. 車両の回転軸のねじり振動を低減するシステムであって、
    前記回転軸上に取り付けられかつ前記クランク軸上で軸の周りを回転可能であって、前記回転軸に取り付けられるシャフトアダプタと、前記シャフトアダプタに回転可能に取り付けられ、エンドレス駆動部材又はギアのいずれかに係合するように成形された回転伝達部材と、前記プーリと前記シャフトアダプタとの間でトルクを弾性的に伝達する少なくとも１つの防振ばねとを含む、防振装置と、
    前記回転軸に取り付け可能なねじり振動ダンパであって、騒音発生空間が、前記防振装置と前記ねじり振動ダンパとの間で軸方向に延びる、ねじり振動ダンパと、
    前記防振装置及び前記ねじり振動ダンパの一方から前記防振装置及び前記ねじり振動ダンパの他方に向かって軸方向に延び、前記騒音発生空間の少なくとも一部を少なくとも部分的に半径方向に取り囲む騒音低減リングと、
    を備え、
    前記騒音低減リングは、前記防振装置及び前記ねじり振動ダンパの他方から選択された距離内まで延びる、システム。

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