JP2022549424A - 量子情報処理デバイス、アセンブリ、構成、システム、及びセンサ - Google Patents

量子情報処理デバイス、アセンブリ、構成、システム、及びセンサ Download PDF

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Abstract

本開示は、本体を有するホストチップを備えた一体型量子情報処理デバイスに関する。各本体は第1の表面、第1の表面と反対側の第2の表面、欠陥クラスタ、及びホストチップに入った励起光を欠陥クラスタに向け、欠陥クラスタによって放出された蛍光を前記ホストチップから出るように向ける1つまたは複数の光学構造を有する。ベースチップは、各ホストチップの第2の表面に結合された第1の面、第2の面、電磁制御信号を欠陥クラスタに向けて誘導する電磁信号誘導構造を有する。磁場は欠陥クラスタのカラーセンタでスピン軸と整列し、カラーセンタの核スピン状態の初期化と読み出しを可能にする。各ホストチップについて、それぞれの欠陥クラスタは、第1の表面に対してそれぞれの第2の表面の近くに配置される。

Description

関連出願の相互参照
本願は、2019年9月18日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2019903476号の優先権を主張し、その内容のすべてが参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、量子情報処理に関する。
欠陥センタの量子情報処理装置は、ホスト材料内の1つまたは複数の欠陥クラスタに基づいている。このような欠陥クラスタは、光学的に対応可能な電子スピンと近隣の核スピンを伴う欠陥で構成されている。核スピンと電子スピンは量子情報処理(QIP)ユニットを形成し、電子スピンは量子バスとして機能し、量子ビットとして機能する核スピン状態を初期化して読み取る。1つまたは複数のQIPユニットを量子コンピュータとして使用できる。電子スピンはその環境のセンサとしても使用でき、近隣の核スピンはセンシング機能を強化するために使用される。欠陥センタの量子情報処理装置の1つの特別な実現は、ホスト材料としてダイヤモンドを使用することである。欠陥クラスタは、電子スピンと窒素核スピンの両方を備えた窒素空孔(NV)センタと、ダイヤモンド格子の13C原子によるものなどの近隣の核スピンで構成されている。別の潜在的な実現は、シリコンカーバイド(SiC)の空孔センタを使用することである。その電子スピンは、SiC格子における近隣の核スピンに囲まれたダイヤモンドNVセンタと同様に動作する。
核スピン状態の忠実度の高いシングルショットの読み出しは、量子情報処理にとって重要である。シングルショット読み出しの忠実度は、読み出し中の核T1寿命に強く依存する。高い忠実度を達成するために、読み出し中の核T1寿命は、磁場を印加することによって延長可能である。この磁場を電子スピンの量子化軸に整列させることが、シングルショットの読み取りの忠実度にとって重要である。
図1を参照すると、標準的なダイヤモンド量子コンピュータ100を示すブロック図が示されている。標準的なダイヤモンド量子コンピュータは、光学装置130、マイクロ波及び無線周波数源140、及び磁気装置150に動作可能に結合されたコントローラ120を含む。光学装置130は、1つまたは複数のパルスレーザーシステム、顕微鏡対物レンズ、光子検出器、及び量子プロセッサ110の欠陥クラスタに光路を整列させるための位置決めシステムを含む。光学装置130の位置決めシステムは、XYZナノまたはマイクロ位置決めステージ、あるいはZ軸ナノ位置決めまたはマイクロ位置決めステージとXYガルボミラー走査アセンブリとの組み合わせを含むことができる。磁気装置150は、磁場発生装置と、磁場発生装置によって生成された不均一磁場を量子プロセッサ110のNV軸と整列させるための位置決めシステムとを備える。磁気装置150の位置決めシステムは、XYZマイクロ位置決めステージを備える。量子プロセッサ110は、光学及び磁気装置との大まかな整列を容易にするために、XYZステージに取り付けられることが多い。このXYZステージは、通常、手動で操作される。
コントローラ120は、レーザー、マイクロ波及び/または無線周波数パルスの生成、及び量子プロセッサ110に向けられた不均一な磁場を制御するように構成される。コントローラ120は、光路を欠陥クラスタに整列させるために光学装置の位置決めシステムを正確に制御し、磁気装置150の位置決めシステムは、磁場を量子プロセッサ110のNV軸に整列させるように制御する。コントローラ120は、量子プロセッサ110によって放出され、光学装置によって捉えられた光を分析して、量子コンピュータ130の量子状態を読み取ることができる。
現在の量子コンピューティングアセンブリの1つの欠点は、量子プロセッサ110、光学装置130、及び磁気装置150の位置決めシステムが高額でかさばり、複雑さと機械的不安定性を加えることである。さらに、現在の量子コンピューティングアセンブリでは、通常、欠陥クラスタへの光学的なアクセスと、マイクロ波及び/または無線周波数パルスによって引き起こされる電磁制御フィールドと欠陥クラスタとの効率的な結合との間にトレードオフがある。さらに、現在の量子コンピューティングアセンブリでは、顕微鏡の対物レンズはかさばり、高額である。
本発明の目的は、既存の構成の1つまたは複数の欠点を実質的に克服するか、または少なくとも改善することである。
第1の態様では、一体型量子情報処理デバイスであって、1つまたは複数のホストチップであって、各ホストチップは本体を有し、各本体は第1の表面、第1の表面と反対側の第2の表面、欠陥クラスタ、及びホストチップに入った励起光をそれぞれの欠陥クラスタに向け、それぞれの欠陥クラスタによって放出された蛍光をそれぞれのホストチップから出るように向けるためにそれぞれの本体に形成された1つまたは複数の光学構造を有する、ホストチップ、ベースチップであって、複数のホストチップの各ホストチップの第2の表面に結合された第1の側、第2の側、電磁制御信号を各ホストチップの欠陥クラスタに向けて誘導するように構成された電磁信号誘導構造を有し、電磁制御信号は、マイクロ波または無線周波数範囲の中の少なくとも1つの周波数を有する、ベースチップ、を含み、それにおいて、各欠陥クラスタのカラーセンタでスピン軸と整列した磁場は、それぞれの欠陥クラスタのそれぞれのカラーセンタの核スピン状態の初期化及び読み出しのうちの少なくとも1つを可能にし、各ホストチップについて、それぞれの欠陥クラスタは、第1の表面に対してそれぞれの第2の表面の近くに配置される一体型量子情報処理デバイスが提供される。
第2の態様では、第1の態様の一体型量子情報処理デバイス、及びベースチップと統合された磁気装置を含む、一体型量子情報処理アセンブリが提供される。
第3の態様では、量子情報処理構成体であって、第1の態様の一体型量子情報処理デバイス、及びベースチップに近接して分離して配置された磁気装置を含む量子情報処理構成体が提供される。
第4の態様では、第2の態様に従って構成された量子情報処理アセンブリ、または第3の態様に従って構成され、サンプル構造をさらに含む量子情報処理構成体を含む量子センサが提供される。
第5の態様では、量子情報処理システムであって、複数の欠陥クラスタを含む、第2の態様に従って構成された一体型量子情報処理アセンブリ、または第3の態様に従って構成された量子情報処理構成体、変調器、光源、無線周波数範囲またはマイクロ波周波数範囲内の周波数を有する制御信号を放出するように構成された電磁制御信号源、1つまたは複数の光子検出器、光源、電磁制御信号源、及び1つまたは複数の光子検出器に動作可能に結合されたコントローラであって、光源を作動させて、変調器によって変調された励起光の1つまたは複数のビームを生成し、変調されたら、励起光の1つまたは複数のビームが、複数の欠陥クラスタの少なくともいくつかに個別に光学的に対応するように送られ、電磁制御信号源を作動させて、複数の欠陥クラスタの少なくともいくつかに個別に対応するようにし、個別に対応させた複数の欠陥クラスタの少なくともいくつかによって放出されている蛍光に応答して、1つまたは複数の光子検出器から1つまたは複数の信号を受信するように構成されるコントローラ、を含む、量子情報処理システムが提供される。
第6の態様では、一体型量子情報処理デバイスを製造する方法であって、ホスト基板に複数のホストチップをエッチングすること、複数のホストチップの少なくともいくつかをホスト基板から分離することであって、各ホストチップは本体を有し、本体は第1の表面、第1の表面の反対側の第2の表面、及び欠陥クラスタを有する、分離すること、及び除去されたホストチップを、各ホストチップの本体の第2の表面に結合された第1の側、第2の側、各ホストチップの欠陥クラスタに向けて電磁制御信号を誘導するように構成された電磁信号誘導構造を有するベースチップに取り付けることを含み、各ホストチップは、それぞれのホストチップに入った励起光を欠陥クラスタに向け、欠陥クラスタにより放出された蛍光を向けてそれぞれのホストチップから出るように本体に形成された1つまたは複数の光学構造を有し、各ホストチップについて、それぞれの欠陥クラスタは、第1の表面に対してそれぞれの第2の表面の近くに配置される方法が提供される。
他の態様及び実施形態は、実施形態の説明全体を通して理解されるであろう。
例示的な実施形態は、添付の図に関連して説明される、少なくとも1つの好ましいが非限定的な実施形態の、例としてのみ与えられる以下の説明から明らかになるはずである。
従来技術のダイヤモンド量子コンピュータの例のブロック図である。 一体型量子情報処理デバイスから構成される一体型量子情報処理アセンブリの例の概略図である。 図2の一体型量子処理アセンブリのホストチップの例の概略図である。 図2の一体型量子処理アセンブリのホストチップのさらなる例の概略図である。 図2の一体型量子処理アセンブリのベースチップの例の概略図である。 量子情報処理構成体の例の概略図である。 図7Aは、図2の量子情報処理アセンブリ及び/または図6の量子情報処理構成体の磁気デバイスの例の概略図である。図7Bは、図2の量子情報処理アセンブリ及び/または図6の量子情報処理構成体の磁気デバイスの代替的な例の概略図である。 一体型量子情報処理システムの例の概略図である。 一体型量子情報処理アセンブリを製造するために、ホスト基板に複数のホストチップを製造する例示的な方法を示すブロック図である。 ベースチップの電磁制御信号誘導構造に関連する複数のホストチップを含む、一体型量子情報処理アセンブリまたは量子情報処理構成体の例の概略図である。 図11Aは、量子センサの形で設けられる一体型量子情報処理アセンブリ及び構成体の例の概略図である。 図11Bは、量子センサの形で設けられる一体型量子情報処理アセンブリ及び構成体の例の概略図である。 図11Cは、量子センサの形で設けられる一体型量子情報処理アセンブリ及び構成体の例の概略図である。 図11Dは、量子センサの形で設けられる一体型量子情報処理アセンブリ及び構成体の例の概略図である。 図8の一体型量子情報処理システムの一部として使用するのに適した例示的なコントローラの概略的なブロック図である。
以下の例は、好ましい実施形態(複数可)の主題の、より正確な理解をもたらすために説明されている。例示的な実施形態の特徴を説明するために組み込まれた図では、図全体を通して同様の部分を識別するために同様の参照番号が使用されている。
図2を参照すると、この例では、一体型量子情報処理アセンブリ200の一部を形成する、一体型量子コンピューティングデバイス205の例が示されている。一体型量子コンピューティングデバイス205は、ホストチップ210及びベースチップ220を備える。ホストチップ210は、第1の表面312(図3を参照)、第1の表面312(図3を参照)の反対側の第2の表面311(図3を参照)、欠陥クラスタ320(図3を参照)、及びホストチップ210に入った励起光を欠陥クラスタ320(図3を参照)に向け、それぞれの欠陥クラスタ320によって放出された蛍光を、それぞれのホストチップを出て、光子検出器850(図8を参照)などの光学装置260による検出のために向ける本体310(図3を参照)に形成された1つまたは複数の光学構造330/340(図3を参照)を有する本体310(図3を参照)を有する。ベースチップ220は、本体310(図3を参照)の第2の表面に直接または間接的に結合された第1の側511(図5を参照)、第2の側512(図5を参照)、電磁制御信号240をホストチップ210(図3を参照)の欠陥クラスタ320に向けて誘導するように構成された電磁信号誘導構造520を有し、電磁制御信号240は、マイクロ波及び無線周波数範囲に及ぶ周波数範囲内の周波数を有する。例えば、マイクロ波及び無線周波数範囲に及ぶ周波数範囲は、約3kHz~約300GHzである。欠陥クラスタ320のカラーセンタでスピン軸と整列した磁場は、それぞれの欠陥クラスタ320のそれぞれのカラーセンタの核スピン状態の初期化及び読み出しのうちの少なくとも1つを可能にする。
図2に示されるように、欠陥クラスタ320での磁場は、磁気装置230によって生成されるか、または磁気装置230によって寄与され、この場合、一体型量子情報処理アセンブリ200は、ベースチップ220と統合されて欠陥クラスタ320での磁場を生成する、またはそれに寄与する磁気装置230を含む。一体型量子情報処理アセンブリ200は、一体型量子プロセッサを形成する。さらなる例で論じられるように、磁気装置230は、一体型量子情報処理デバイス205と必ずしも統合される必要はない。
一体型量子情報処理デバイス205は、1つまたは複数の重要な利点を提供する。ホストチップ210に1つまたは複数の光学構造を統合することにより、量子ビットの初期化及び読み出しの忠実度が向上する。さらに、顕微鏡の対物レンズや関連する走査システムなどの別個の光学素子の使用が(ホストチップに対して)排除され、それにより、機械的安定性が向上し、コストが削減され、量子情報処理アセンブリ、装置、一体型量子情報処理デバイス205を利用する装置及びシステムのサイズが縮小される。さらに、視野が制限された多数の開口数の顕微鏡の対物レンズに対する必要性を排除することにより、複数のクラスタに、広範囲にわたって高い忠実度で光学的に対応することができる。
ホストチップ210は、光学的に対応可能な電子スピン及び近隣の核スピンを有する欠陥クラスタ320から構成される様々な材料で作られていてもよい。例えば、ホストチップ210は、Waldherr, G. et al., Quantum error correction in a solid-state hybrid spin register, Nature 506, 204-207 (2014)で論じられているように、欠陥クラスタ320がNV(窒素空孔)中心及び13C原子近隣の形態で設けられるカラーセンタを含むダイヤモンドであってもよい。別の形態では、ホストチップ210は、Christle, D.J. et al., Isolated Spin Qubits in SiC with a High Fidelity Infrared Spin-to-Photon Interface, Phys. Rev. X 7 021046 (2017)、及びChristle, D.J. et al., Isolated electron spins in silicon carbide with millisecond coherence times, Nat. Mater. 14, 160-163 (2014)、で論じられているように、酸化ケイ素であってもよい。両方の文書の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
一体型量子処理デバイス205からの量子ビットの初期化及び読み出しの忠実度は、様々な方法で改善することができる。一実施態様では、量子ビットの初期化及び読み出しの忠実度は、カラーセンタからの蛍光の収集効率を高めることによって改善することができる。追加または代替の実施態様において、量子ビットの初期化及び読み出しの忠実度は、本体310に緊密に集束された光励起及び蛍光収集のボリュームを形成することによってバックグラウンド蛍光検出を低減することによって、改善され得る。これらの改善の1つ以上をもたらすべく追求する機能について、以下で説明する。
図3を参照すると、欠陥クラスタ320への光学的アクセスは、ホストチップ210の第1の表面312(すなわち、裏面)を介して達成することができる。したがって、欠陥クラスタ320は、ベースチップ220によって設けられる電磁信号誘導構造520(図5を参照)にまた近接する第1の表面312に対して第2の表面311に近接して配置することができ、それにより、電磁制御信号のパルスを介して欠陥クラスタ320内で回転する効果的な制御を可能にするが、前面(すなわち、第2の表面311)からの光学的アクセスを阻害する。光学的歪み及びバックグラウンドの蛍光を最小限に抑えるために、ホストチップ210の厚さは好ましくは最小化される。
図3に示されるように、1つまたは複数の光学構造の少なくともいくつかは、ホストチップ210の第2の表面311(すなわち、前面)上にパターン化された反射性光学構造330を含み得る。光学構造330は、集束レンズとして機能し、ホストチップ210に入射するコリメートされた光を欠陥クラスタ320に集束させ、欠陥クラスタ320によって放出された蛍光をコリメートして、光学装置260による検出のためにホストチップ210に出るように設計され得る。光学構造330は、表面312に適用され得る反射コーティングまたはフィルム、または本体310からホスト材料を除去することによって、及び/または材料を(例えば、蒸発または結晶の成長により)表面312に追加することによって形成される反射構造の形態に、設けられ得る。
図3に示されるように、1つまたは複数の光学構造の少なくともいくつかは、反射を最小限に抑えるためにホストチップ210の第1の表面312(すなわち裏面)をパターン化することができる反射防止性光学構造340を含むことができる。一形態では、反射防止性光学構造340は、ホストチップ210に入った光を欠陥クラスタ320に集束させ、光学装置260による検出のためにホストチップ210を出るカラーセンタによって放出された蛍光を集束させるように構成される。光学構造330は、表面312に適用され得る非反射コーティングまたはフィルム、または本体310からホスト材料を除去することによって及び/または材料を(例えば、蒸発または結晶の成長により)表面312に追加することによって形成される反射防止性構造の形態に、設けられ得る。反射防止性光学構造340は、SiO2または他の適切なコーティング材料のコーティングの形態で設けることができる。この例では、ホストチップにダイヤモンドを使用する場合に、SiO2コーティングの厚さは約100nm+/-20nmになり得る。別の構成では、1つまたは複数の光学構造は、パターン化されていないホストチップ210の前面311を含むことができ、これは、ホスト材料と空気の屈折率の不一致が反射面を作成することにより、反射性光学構造として使用され得る。
図4を参照すると、1つまたは複数の光学構造の少なくともいくつかが、第2の表面311に製造されている、ホストチップ210の特定の実施態様が示されている。一形態では、第2の表面311に作製された1つまたは複数の光学構造は、湾曲したマイクロミラーまたはマイクロミラーと集束要素との組み合わせなどの湾曲した反射面の形態で設けることができる。さらなる例では、光学構造は、放物面ミラー410を含み、欠陥クラスタ320に焦点を合わせて配置され得る。放物面ミラー410などの湾曲した反射面は、ホストチップ210の本体の第2の面311を部分的に画定する。欠陥クラスタ320は、放物面ミラー410の焦点に配置されている。放物面ミラー410のような湾曲した反射面は、励起光を欠陥クラスタ320に反射及び集束し、カラーセンタの放出された蛍光を反射及び集束して、光学装置260による検出のためにホストチップ210を出るように構成される。放物面ミラー410は、40%を超える実証された効率、及び75%を超えるシミュレートされた収集効率で、有利な蛍光収集効率を提供する。一形態では、湾曲した反射面は、完全には内部反射されていない角度で入射する光の反射を強化するために、反射コーティングまたはフィルムを有することができる。ただし、他の構成では、湾曲した反射面は、ホストと空気の境界での全内部反射を利用して、コーティングやフィルムなしで動作することができる。
別の形態では、ホストチップ210の裏側(すなわち、第1の表面312)に作製された1つまたは複数の光学構造の少なくともいくつかは、固体浸漬レンズ、フレネル固体浸漬レンズ(屈折または回折)、または、空気/ホスト材料の充填率を変化させることによって有効屈折率が変調される構造(ナノピラーなど)で構成される回折レンズの1つを含むことができる。
図5を参照すると、一体型量子情報処理デバイス205のベースチップ220の例が示されている。図2に関連して論じた例から、ホストチップ210の前面311がベースチップ220に直接結合されていることが理解されよう。ただし、後の例で説明するように、ベースチップ220は、1つまたは複数の中間デバイスを介してホストチップ210に結合することができる。
図5に示されるように、ベースチップ220は、表面511及び裏面512の両方を備えた基板510から構成される。基板の前面511は、1つまたは複数の電磁源870(図8を参照)によって放出された外部で生成された電磁制御信号240を欠陥クラスタ320に誘導する1つまたは複数の電磁制御信号誘導構造520から構成される。基板510は、好ましくは、高い機械的強度、高い熱伝導率、及び低コストの材料から製造される。基板の厚さを最小化するため、欠陥クラスタ320と磁気装置230との間の分離距離を最小化するのに機械的強度が必要である。電磁制御信号240によって生成された熱を分配するために、高い熱伝導率が必要とされる。ベースチップ220に適した基板の材料の1つはサファイアである。これは、高い機械的強度と熱伝導率を示すが、ダイヤモンドなどの他の適切な材料よりもはるかに安価である。
ベースチップ220は、電磁制御信号240と欠陥クラスタ320との結合効率を最大化するように設計されている。ベースチップ220は、より小さなマイクロ波/無線周波数電力を使用して、高忠実度の量子計算に必要な欠陥クラスタ320のスピンでの高速量子ゲートを駆動することを可能にする。電磁力の要件が緩和されることで、電磁誘導加熱によって引き起こされる量子計算の忠実度の低下が最小限に抑えられ、電磁電子機器のコストとサイズが最小限に抑えられる。効率的な電磁結合は、電磁制御信号誘導構造520によって達成される。単一の誘導構造520を使用して簡単な製造を行うことができるか、または別個の誘導構造520を使用して、マイクロ波及び無線周波数(例えば、3kHzから300GHzの周波数範囲内)に対して別々に最適化することができる。ダイヤモンド裏面311を介して欠陥クラスタ320に光学的に対応することにより、発生した電磁場が強く、カラーセンタのスピン軸と整列するように最適に配向される場所に、欠陥クラスタ320が配置されるように、電磁制御信号誘導構造520を配置することが可能である。
一実施態様では、電磁制御信号誘導構造520は、マイクロストリップ及びコプレーナ導波路(CPW)の形で設けることができる。カラーセンタ320のスピン軸に対する磁場の最適な配向を確実にするために、マイクロストリップまたはCPW信号線の中心は、欠陥クラスタ320の下に直接配置され、マイクロストリップまたはCPW信号線により発生される線形に分極化される電磁場は、欠陥クラスタ320での正味の磁場を、欠陥クラスタ320でのスピン軸に対して実質的に垂直に、好ましくは垂直に配向させる。金属誘導構造におけるジョンソンノイズは、欠陥クラスタ320と誘導構造520との間の数百ナノメートルの最小分離距離をもたらす。電磁場の振幅を最大化するために、マイクロストリップまたはCPW信号線の幅は小さく保たれ、一方で欠陥クラスタ320とマイクロストリップまたはCPWとの間の距離は、マイクロストリップまたはCPW信号線の幅に対して小さく保たれる。
一変形形態では、ベースチップ220の電磁信号誘導構造520は、ホストチップ210を出て欠陥クラスタ320に向かって戻る光を反射し、好ましくは集束させるための反射構造を備えて、励起及び読み出し効率を高めることができる。
図6を参照すると、量子情報処理構成体600の例が示されている。量子情報処理構成体600は、図2から4に関連して説明した一体型量子情報処理デバイス205を含む。量子情報処理構成体600のホストチップ210及びベースチップ220は、図5に関して例示及び説明したのと同じ方法で構成される。したがって、明確にするため、また内容の重複を避けるために、ホストチップ210及びベースチップ220に関連して説明された実施形態は、図6に関連して説明された実施形態に適用されることが理解されよう。しかし、磁気装置230がベースチップ220に固定されている量子情報処理アセンブリ200とは対照的に、量子情報処理構成体600の磁気装置230は、ベースチップ220に近接して分離して配置され、欠陥クラスタ320と整列した磁場を生成する。
磁気装置230は、それがベースチップ220に固定されているか分離されているかにかかわらず、高透磁率材料532に結合された永久磁石材料531を含むことができる。
ダイヤモンド裏面311への光学的アクセスを維持するために、片面磁気装置230を使用して、ホストチップ210の前面311の近く及びベースチップ220の後ろに配置することができる。1つまたは複数の永久磁石などの1つまたは複数の磁気コンポーネントを使用することができる。磁石の上部の磁束は、磁気の構成に高透磁率材料、例えば高透磁率鋼から作られた構造を含めることによって強化することができる。この磁気の構成は、欠陥クラスタ320でのより大きな磁場を可能にし、量子ビットの初期化及び読み出しの忠実度を改善することができる。あるいは、そのような磁気の構成は、欠陥クラスタ320で所与の磁場を生成するために必要とされる磁石のサイズの縮小を可能にすることができる。
図7Aを参照すると、1つまたは複数の磁気コンポーネント710、730から構成される磁気装置230の例が示されている。図7Aの磁気装置230は、磁気装置230がベースチップ220に固定されているという意味でベースチップ220と統合されている、一体型量子情報処理アセンブリ200の一部であり得る。あるいは、図7Aの磁気装置230は、磁気装置230が、ベースチップ220に近接して分離して配置され、各欠陥クラスタ320のそれぞれのカラーセンタで磁場を生成またはそれに寄与するように構成される、量子情報処理構成体600の一部を形成することができる。いずれの態様においても、磁気装置230は、大径のベース750及び小径の頂点760を備えた、円錐軸740に沿って磁化された円錐形の磁石710から構成される。この形状は、円錐形の磁石710の頂点に、円錐軸740に実質的に平行または平行に配向された強い磁場を生成する。欠陥クラスタ320は、磁気装置230がベースチップ220に固定されているか、またはその近くに配置されているが分離されているかどうかにかかわらず、いずれかの態様で円錐710の頂点760から少し離れた上方に配置される。円錐710の頂点での磁束は、円錐ベース750と側面との間の角度720を30°から40°、好ましくは35.3°と定義する円錐の形状を使用して拡大することができる。円錐710の頂点760での磁束は、高透磁率材料730、例えば、高透磁率鋼のディスクを円錐710のベース750に取り付けることによって増強することができる。図7Aに示される構成を使用して実施された実験では、磁気装置230の質量は、3165gから220gに小型化されていた。
図7Bを参照すると、上面771及び下面772を備えた一対の磁石780、790から構成される磁気装置230の代替の実施態様が示されている。図7Bの磁気装置230は、前述の態様で説明したように、ベースチップに固定するか、またはベースチップから分離することができる。磁石780、790は、各磁石の反対の極性が互いに隣接して配置されるように、共に結合されている。第1の磁石780は、上下方向795に沿って磁化され、第2の磁石790は、上下796に磁化される。第2の磁石790に対する第1の磁石780の配向は、磁石780、790の上方に、広範囲の磁場配向を伴う強い磁場を生成する。磁石の対780、790のベースに高透磁率材料799、例えば高透磁率鋼のブロックを取り付けることによって、磁石の上部の磁束を増強することができる。図7Bに示される構成を使用して実施された実験では、磁気装置230の質量は、720gから170gに小型化された。
ホストチップ210、ベースチップ220、及び磁気装置230の高透磁率材料によってもたらされる小型化は、一体型量子情報処理アセンブリ200に関して上記で論じたように、磁気装置230とベースチップ220との結合を可能にする。この結合により、高額でかさばる高精度のXYZポジショニングステージが不要になり、いくつかの追加の利点がもたらされる。例えば、磁気装置230と欠陥クラスタ320との間の機械的な動きは、磁場の空間的不均一性のために、欠陥クラスタ320での磁場の振幅及び/または配向の変動をもたらす可能性がある。一体型量子情報処理アセンブリ200は、磁気装置230と欠陥クラスタ320との間の機械的な動きを防ぎ、したがって、欠陥クラスタ320での磁場の改善された安定性から利益を得る。さらに、ベースチップ220の基板510の磁性層230と裏面512との間のエアギャップを最小化することにより、磁気装置230と欠陥クラスタ320との間の距離が最小化される。この最小化された距離は、磁気装置230の所与の形状に対して欠陥クラスタ320での磁場強度を増加させ、磁石サイズの縮小またはより大きな磁場(したがって、量子ビットのシングルショットでの読み出しの忠実度の向上)のいずれかを可能にする。温度の安定化に加えて、小型化は、量子情報処理デバイス205を(極低温で)冷却できるようにし得る。冷却により、量子ビットコヒーレンス時間が増加し、次のいずれかが可能になる。(1)量子ビットコヒーレンス時間中に適用される量子ゲートの数が増えること、または、(2)量子ゲートの持続時間が長くなる代わりに、クラスタ内の量子ビットが増える(弱い結合の原子核は、周波数空間での十分な分離が低程度となり、選択性のためにはより遅いゲートが必要となる)ことである。一実施態様では、ペルチェ素子、またはペルチェ素子のスタックを使用して、量子情報処理デバイス205を電気的に冷却することができる。冷却された量子情報処理デバイス205での凝縮を防ぐために、量子情報処理デバイス205は、好ましくは、制御された雰囲気または真空中にてパッケージ化される。
永久磁石によって生成される磁場は、温度次第である。磁場の強度による圧倒するようなドリフトを回避するために、磁気装置230の安定した磁石の温度を、少なくとも数分のタイムスケールにわたって数十ミリケルビン以内に維持することが好ましい。一体型量子情報処理デバイス205によって成される小型化は、熱負荷の低減につながり、それにより、受動的及び能動的な温度の安定化を単純化する。さらに、小型化された一体型量子情報処理デバイス205は、本質的に、熱膨張によって引き起こされるドリフトの影響を受けにくい。
磁気装置230によって生成される磁場の配向は、一体型量子情報処理アセンブリ200の組立てプロセスの間に整列させることができる。磁気装置230は、最初に精密位置決めステージに取り付けられ、欠陥センタを監視しながらその位置がスキャンされ得る。最適な磁気装置の位置は、量子ビットの読み出しの忠実度を最適化する。磁性層が最適に配置された状態で、磁気装置230をベースチップ220に取り付け、精密位置決めステージから分離することができる。接着は、接着剤または他の既知の固定技術で達成することができる。
別の組立て方法では、磁気装置230の位置をスキャンして欠陥センタとの十分に整列した磁場を達成する代わりに、欠陥クラスタ320に対する磁場の高精度の整列は、磁気装置230を最適な方向に恒久的に再磁化する大きな外部電磁場を使用することによって、達成することができる。これは、一体型量子情報処理アセンブリ200を超伝導ベクトル磁石のボアに配置し、磁場の向きを調整して、量子ビットのスピンのシングルショットでの読み出しの忠実度を最適化することによって実現することができる。このステップの前に、永久磁石は正味の磁気モーメントを必要としない(つまり、最後の磁化ステップは必要ない)。次に、一体型量子情報処理アセンブリ200を、すぐに使用できる超伝導ベクトル磁石のボアから除去することができる。
一実施形態では、ベースチップ220は、さらに、調整可能な電磁場生成デバイス1280を備え(図12を参照)、これは、カラーセンタのスピン軸での磁場の整列を調整するように構成可能であり、その結果カラーセンタでの正味の磁場(すなわち、磁気装置によって生成される磁場及び調整可能な電磁場生成デバイス1280によって生成される電磁場)がスピン軸と整列する。一形態では、調整可能な電磁場生成デバイス1280は、互いに電気的に絶縁され、ホストチップ内の欠陥クラスタ320の位置の近くで交差する、交差したワイヤの1つまたは複数の対を含むことができる。直流(DC)を一方または両方のワイヤに印加して、欠陥クラスタ320に磁場を生成することができ、これは、スピン軸と整列するようにカラーセンタでの正味の磁場の配向を調整するように作用する。
一形態では、ホストチップ210は、多量子プロセッサを形成する複数の欠陥クラスタ320から構成されることが多い。光学構造は、適切な欠陥クラスタ320ごとに製造することができ、構造化された光を使用して、多量子プロセッサの1つまたは複数の量子ビットの任意の組み合わせに光学的に対応することができる。電磁制御信号240で個々の量子プロセッサに対処するために、電磁場が空間的に局在化し得るか、または量子プロセッサのスピン共鳴を周波数空間で分離し、空間的に非局在化することができる電磁場によって対応することができる。両方の手法を組み合わせることも可能である。
図8を参照すると、複数の欠陥クラスタ320を有する単一のホストチップ210によって設けられる複数の量子プロセッサに光学的に対応するための量子情報処理システム800が示されている。特に、量子情報処理システム800は、複数の欠陥クラスタ830、変調器810、光源865、電磁制御信号源870、1つまたは複数の光子検出器850、光源865、電磁制御信号源870、及び1つまたは複数の光子検出器850に動作可能に結合されたコントローラ860を有する一体型量子情報処理アセンブリ200または量子情報処理構成体600を備える。コントローラ860は、光源865を作動させて、変調器810によって変調される励起光の1つまたは複数のビームを生成するように構成され、その結果、変調された励起光の1つまたは複数のビームは、一体型量子情報処理アセンブリ200または量子情報処理構成体600に向けて送られ、複数の欠陥クラスタ830の少なくともいくつかに個別に対応するようにする。コントローラ860はまた、電磁制御信号源870を作動させて、複数の欠陥クラスタ830の少なくともいくつかに個別に対応するように構成される。コントローラ860はまた、個別に対応させた複数の欠陥クラスタ830の少なくともいくつかによって放出されている蛍光に応答して、1つまたは複数の光子検出器850から1つまたは複数の信号890を受信するように構成される。
変調器810は、空間光変調器または音響光学変調器の形で備えることができる。構造化された光は、ダイクロイックミラーまたはビームスプリッタ820の形態で設けられる光学素子820によって反射されて、同じホストチップ210でホストされる複数の欠陥クラスタ830として設けられる様々な量子プロセッサに対応することができる。次に、カラーセンタ830からの蛍光は、光学素子820を透過し、1つまたは複数の光子検出器850によって検出される。
異なる時点で個々の欠陥クラスタ830に対応することにより、蛍光の収集を特定の欠陥クラスタ831と時間的に関連付けることができ、したがって、単一の光子検出器のみが必要とされ得ることが理解されるであろう。例えば、光の第1の励起ビームは、第1の欠陥クラスタ831に対処するために最初にホストチップ210に入り、続いて光の第2の励起ビームが、第2の欠陥クラスタ832に対応するためにホストチップ210に入る。これにより、第1の蛍光が第1の欠陥クラスタ831によって放出され、続いて第2の蛍光が第2の欠陥クラスタ832によって放出される。光の励起ビームのこの一時的な作動により、単一光子検出器を使用して、第1及び第2の蛍光を順番に捉えることができる。複数の欠陥クラスタ830に同時に対応する必要がある場合、複数の単一光子検出器850を使用する必要がある。
個々のプロセッサに局在する電磁界は、イオントラップ量子コンピューティング用に開発されたものと同様のマルチセグメント回路を使用して実現できる。この方法の利点は、任意の数の量子プロセッサを空間的に局所化されたフィールドで対応できることであるが、実際には(有限の磁気勾配の場合)、周波数空間の混雑により、個別に対応可能な周波数分離される量子ビットの数が制限される可能性がある。上で論じたように、調整可能な電磁場生成デバイス1280は、各カラーセンタで正味の磁場を調整するために利用することができる。周波数空間で量子プロセッサのスピンの共鳴を分離するために、磁場の勾配(例えば、X及びY方向に沿ったもの)を量子プロセッサのアレイ全体に適用することができる。これは、要求の厳しい技術的オーバーヘッドを必要とする、空間的に局所化されたマイクロ波及び無線周波数フィールドを生成する必要性を回避するため、有利である。量子情報処理システム800の1つの実施態様では、磁場の勾配は、くさび形などの様々な厚さの磁性材料を使用して実現することができる。
現在の製造技術を使用して、わずかな量子ビットの複数の量子プロセッサを伴うホストチップの製造を、大規模に達成することは、困難であることが理解されよう。わずかな量子ビットの複数の量子プロセッサ(すなわち、多量子ビットプロセッサ)を備えた一体型量子情報処理デバイス1000(図10を参照)を作製するためのスケーリング方法が、図9に関連して説明される。特に、それぞれが単一のカラーセンタ320(または少数のカラーセンタ)を有する複数のホストチップ210は、ホスト基板910にエッチング930をすることによって製造される。ホストチップ210は、ホストチップ210が1つ以上のホストブリッジ920によってメインホスト基板910に接続だけされるように、各ホストチップ210の周囲からホスト材料を除去することによって容易に除去できるように、ホスト基板910にエッチング930をすることによって製造することができる。ホストチップ210は、特徴付けられることができ(すなわち、欠陥クラスタ320が存在するかどうかを決定するために検査される)、例えば適切なマイクロマニピュレータを使用して、適切な欠陥クラスタ320を備えたホストチップ210を、ホスト基板910から分離して、ベース構造220上に組み立てることができる。
複数のホストチップを有する一体型量子情報処理デバイス1000の1つの実施態様が図10に示され、ここでは、複数のホストチップ210は、ベースチップ220の誘導構造520に取り付けられている。誘導構造520は、母材の構造の形態で設けることができる。1つまたは複数の磁気装置230が、ベースチップ220のベース表面512に結合されている。図10の一体型量子情報処理デバイス1000は、図8に関連して論じたように、量子情報処理システム800で使用されている一体型量子情報処理アセンブリ200または一体型量子情報処理アセンブリデバイス600を置き換えることができる。特に、コントローラ860は、光源865を作動させて、変調器810によって変調される励起光の1つまたは複数のビームを生成するように構成され、励起光の1つまたは複数のビームは、変調されると、複数のホストチップの複数の欠陥クラスタ320の少なくともいくつかに個別に対応するべく一体型量子情報処理デバイス1000に向かって送られる。コントローラ860はまた、電磁制御信号源870を作動させて、複数の欠陥クラスタ320の少なくともいくつかに個別に対応するように構成される。コントローラ860はまた、個別に対応させた複数の欠陥クラスタ320の少なくともいくつかによって放出されている蛍光250に応答して、1つまたは複数の光子検出器850から1つまたは複数の信号890を受信するように構成される。
図11Aから11Dを参照すると、量子センサ1100の形態で設けられる一体型量子情報処理アセンブリ200または量子情報処理構成体600の概略図が示されている。特に、アセンブリ200または構成600の量子情報処理デバイス205は、サンプリング構造1110をさらに含み、それによって量子センサ1100を形成する。サンプリング構造は、欠陥クラスタ320に近接して対象のサンプルを運ぶように構成される。次に、欠陥クラスタ320を量子センサ1100として使用して、サンプルに関連する電磁場を測定するか、またはサンプルによってホスト材料に誘発される温度またはひずみの変化を測定することができる。欠陥クラスタ320の量子ビットは、カラーセンタの感知能力を強化するように作用する。量子ビットによって成される拡張には、信号対雑音比を改善するための量子ビット支援読み出し、及び拡張されたコヒーレント相互作用時間が含まれる。センシングには、核磁気共鳴(NMR)分光法、及び/または電子常磁性共鳴分光法(EPR)を含めることができる。
対象のサンプルと欠陥クラスタ320との間の距離を確実に最小にする(したがって、感度及び空間分解能/選択性を最大にする)ために、サンプリング層1110は、ホストチップ210に直接隣接して配置することができる。この距離をさらに最小化するために、欠陥クラスタ320は、ホストチップ210の同じ表面の近く、例えば、約10nmの深さで製造することができる。次に、欠陥クラスタ320の近くの表面(例えば、100nm以内)からのホスト材料(例えば、ダイヤモンド)の粉砕を回避することによって、欠陥クラスタ320の損傷を回避するように、欠陥クラスタ320の周りの光学構造の設計を調整することができる。
一実施形態では、サンプリング構造1110は、アセンブリ200または構成体600の構成について、図11A及び11Bに示されるように、ホストチップ210の表面312に、またはそれに対して配置される。次に、欠陥クラスタ320が表面312の近くで製造される。サンプリング構造1110を介した欠陥クラスタ320への光学的アクセスを可能にするために、サンプリング構造1110は、励起光及びカラーセンタによって放出される蛍光250に対して少なくとも部分的に透明にする。この形状により、サンプリング構造1110の直接的な置換えが可能になり、したがって、サンプルの簡単な交換またはサンプリング構造1110の洗浄が可能になる。サンプルへの損傷を避けるために、励起光の強度及び/またはデューティサイクルを制限する必要がある場合がある。
代替構成では、サンプリング構造1110は、アセンブリまたは構成体の構成のための図11C及び11Dに示されるように、ホストチップ210とベースチップ220との間に配置される。欠陥クラスタ320は、ホストチップ210の前面に対して、ホストチップ210の背面に近接して製造される。この形状は、欠陥クラスタ320への妨げられない光学的アクセスを保証し、潜在的に損傷を与える励起光へのサンプルの曝露を最小限に抑える。ベースチップ220の電磁制御信号誘導構造520と欠陥クラスタ320との間にサンプルを配置することにより、潜在的に、サンプルは強い電磁場にさらされる。サンプルの損傷を回避するために、電磁制御信号240の振幅及び/またはデューティサイクルを低減することができる。
あるいは、サンプリング構造1110は、サンプルと欠陥クラスタ320との間の隔たりの増加を犠牲にして、任意の都合のよい位置に配置することができる。
量子センサ1100の一実施形態では、サンプリング構造1110は、1つまたは複数のマイクロ流体チャネルの形で設けることができる。1つまたは複数のマイクロ流体チャネルにより、単一分子レベルまでの超少量の気体または液体サンプル(例えば、サブ・ゼプトリットル)の量子センシングが可能になる。対象のサンプルと欠陥クラスタ320との間の距離を最小化するために、1つまたは複数のマイクロ流体チャネルは、サンプルとホストチップ210との間の閉じ込め壁の厚さを最小化する。あるいは、ホストチップ210は、閉じ込め壁の1つとして使用することができ、その結果、サンプルは、ホストチップ210と直接接触する。一形態では、サンプル構造1110は、量子情報処理アセンブリ200のホストチップ210上に直接製造され得る。1つのオプションでは、サンプリング構造1110は、ホストチップ及びガラスサンプリング構造の酸による洗浄が可能である、製造において有利なガラスであり得る。ただし、サンプリング構造には他の材料が使用できるということを理解しておくべきである。
別の代替の実施形態では、サンプルは、量子情報処理アセンブリ200のホストチップ210に単に堆積させることができ、その場合量子情報処理アセンブリ200は、量子センサ1100として機能する。この実施形態では、サンプルは、例えば、液滴または固体であり得る。
一形態では、量子センサ1100の量子情報処理アセンブリ200または構成体600は、複数の欠陥クラスタ320を含むことができる。特に、1つまたは複数のホストチップは、複数の欠陥クラスタ320を含むことができ、または複数のホストチップは、一緒に複数の欠陥クラスタ320を含むベースチップ220に取り付けられる。この構成体では、量子センサ1100は、量子センサアレイを形成する。
量子センサ1100の1つまたは複数の磁気装置230は、サンプル全体に十分な磁場の均一性をもたらすように設計されている。あるいは、磁場の勾配がよく知られていて、及び/または1つまたは複数の調整可能な電磁場生成デバイス1280を介して制御される場合、これは、サンプルの異なる部分に対処することを可能にするので、重要な利点である。
図12を参照すると、処理システムの形態で設けられるコントローラ1200の例が示されている。コントローラ1200は、バス1240を介して共に結合されたプロセッサ1210、メモリ1220、及び入力/出力(i/o)インターフェース1230から構成される。メモリ1220は、揮発性及び不揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、図8及び10に関連して上記のステップを実行するためにプロセッサ1210によって実行可能である実行可能命令1250をその中に格納することができる。I/ Oインターフェース1230は、好ましくは、入力命令を提示するための入力デバイス1260と、出力結果を出力するための出力デバイス1270とに結合される。コントローラ1200は、光源865、電磁制御信号源870、1つまたは複数の光子検出器850、及び任意選択で(図12の破線で示されるように)、i/oインターフェース1230を介して、調整可能な電磁場生成デバイス1280に動作可能に結合される。
本発明の範囲から逸脱することなく、多くの修正が当業者には明らかであろう。
本明細書及び続く特許請求の範囲の全体にわたって、文脈に別途要求のない限り、「含む(comprise)」という単語ならびに「含む(comprises)」または「含むこと(comprising)」などの変化形は、記載の完全体もしくはステップ、または完全体もしくはステップの群を含むが、他の任意の完全体もしくはステップ、または完全体もしくはステップの群を除外することを意味すると理解されるであろう。
110 量子プロセッサ
120 コントローラ
130 光学装置
140 MW及びRF
150 磁気装置
200 一体型量子情報処理アセンブリ
205 一体型量子コンピューティングデバイス
210 ホストチップ
220 ベースチップ
230 磁気装置
250 蛍光
260 光学装置
310 本体
311 表面
312 表面
320 欠陥クラスタ
330 光学構造
340 光学構造
410 放物面ミラー
510 基板
511 表面
512 裏面
520 電磁信号誘導構造
531 永久磁石材料
532 高透磁率材料
600 量子情報処理構成体
710 磁気コンポーネント
720 円錐ベースと側面との間の角度
730 高透磁率材料
740 円錐軸
750 円錐ベース
760 円錐の頂点
771 上面
772 下面
780 磁石
790 磁石
799 高透磁率材料
800 量子情報処理システム
810 変調器
820 光学素子
830 欠陥クラスタ
831 第1の欠陥クラスタ
832 第2の欠陥クラスタ
850 光子検出器
860 コントローラ
865 光源
870 電磁制御信号源
890 複数の信号
910 ホスト基板
920 ホストブリッジ
930 エッチング
1000 一体型量子情報処理デバイス
1100 量子センサ
1110 サンプリング構造
1200 コントローラ
1210 プロセッサ
1220 メモリ
1230 I/Oインターフェース
1240 バス
1250 実行可能命令
1260 入力デバイス
1270 出力デバイス
1280 調整可能な電磁場生成デバイス
欠陥センタの量子情報処理装置は、ホスト材料内の1つまたは複数の欠陥クラスタに基づいている。このような欠陥クラスタは、光学的に対応可能な電子スピンと近隣の核スピンを伴う欠陥で構成されている。核スピンと電子スピンは量子情報処理(QIP)ユニットを形成し、電子スピンは量子バスとして機能し、量子ビットとして機能する核スピン状態を初期化して読み取る。1つまたは複数のQIPユニットを量子コンピュータとして使用できる。電子スピンはその環境のセンサとしても使用でき、近隣の核スピンはセンシング機能を強化するために使用される。欠陥センタの量子情報処理装置を1つ特定で具現化することは、ホスト材料としてダイヤモンドを使用する欠陥クラスタは、電子スピンと窒素核スピンの両方を備えた窒素空孔(NV)センタと、ダイヤモンド格子の13C原子によるものなどの近隣の核スピンで構成されている。別の潜在的な実現は、シリコンカーバイド(SiC)の空孔センタを使用するその電子スピンは、SiC格子における近隣の核スピンに囲まれたダイヤモンドNVセンタと同様に動作する。
従来技術のダイヤモンド量子コンピュータの例のブロック図である。 一体型量子情報処理デバイスから構成される一体型量子情報処理アセンブリの例の概略図である。 図2の一体型量子情報処理アセンブリのホストチップの例の概略図である。 図2の一体型量子情報処理アセンブリのホストチップのさらなる例の概略図である。 図2の一体型量子情報処理アセンブリのベースチップの例の概略図である。 量子情報処理構成体の例の概略図である。 図7Aは、図2の量子情報処理アセンブリ及び/または図6の量子情報処理構成体の磁気デバイスの例の概略図である。図7Bは、図2の量子情報処理アセンブリ及び/または図6の量子情報処理構成体の磁気デバイスの代替的な例の概略図である。 一体型量子情報処理システムの例の概略図である。 一体型量子情報処理アセンブリを製造するために、ホスト基板に複数のホストチップを製造する例示的な方法を示すブロック図である。 ベースチップの電磁制御信号誘導構造に関連する複数のホストチップを含む、一体型量子情報処理アセンブリまたは量子情報処理構成体の例の概略図である。 図11Aは、量子センサの形で設けられる一体型量子情報処理アセンブリ及び構成体の例の概略図である。 図11Bは、量子センサの形で設けられる一体型量子情報処理アセンブリ及び構成体の例の概略図である。 図11Cは、量子センサの形で設けられる一体型量子情報処理アセンブリ及び構成体の例の概略図である。 図11Dは、量子センサの形で設けられる一体型量子情報処理アセンブリ及び構成体の例の概略図である。 図8の一体型量子情報処理システムの一部として使用するのに適した例示的なコントローラの概略的なブロック図である。
ホストチップ210は、光学的に対応可能な電子スピン及び近隣の核スピンを有する欠陥クラスタ320から構成される様々な材料で作られていてもよい。例えば、ホストチップ210は、Waldherr, G. et al., Quantum error correction in a solid-state hybrid spin register, Nature 506, 204-207 (2014)で論じられているように、欠陥クラスタ320がNV(窒素空孔)中心及び13C原子近隣の形態で設けられるカラーセンタを含むダイヤモンドであってもよい。別の形態では、ホストチップ210は、Christle, D.J. et al., Isolated Spin Qubits in SiC with a High Fidelity Infrared Spin-to-Photon Interface, Phys. Rev. X 7 021046 (2017)、及びChristle, D.J. et al., Isolated electron spins in silicon carbide with millisecond coherence times, Nat. Mater. 14, 160-163 (2014)、で論じられているように、酸化ケイ素であってい。両方の文書の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
一体型量子処理デバイス205からの量子ビットの初期化及び読み出しの忠実度は、様々な方法で改善することができる。一実装形態では、量子ビットの初期化及び読み出しの忠実度は、カラーセンタからの蛍光の収集効率を高めることによって改善することができる。追加または代替の実装形態において、量子ビットの初期化及び読み出しの忠実度は、本体310に緊密に集束された光励起及び蛍光収集のボリュームを形成することによってバックグラウンド蛍光検出を低減することによって、改善され得る。これらの改善の1つ以上をもたらすべく追求する機能について、以下で説明する。
図4を参照すると、1つまたは複数の光学構造の少なくともいくつかが、第2の表面311に製造されている、ホストチップ210の特定の実装形態が示されている。一形態では、第2の表面311に作製された1つまたは複数の光学構造は、湾曲したマイクロミラーまたはマイクロミラーと集束要素との組み合わせなどの湾曲した反射面の形態で設けることができる。さらなる例では、光学構造は、放物面ミラー410を含み、欠陥クラスタ320に焦点を合わせて配置され得る。放物面ミラー410などの湾曲した反射面は、ホストチップ210の本体の第2の面311を部分的に画定する。欠陥クラスタ320は、放物面ミラー410の焦点に配置されている。放物面ミラー410のような湾曲した反射面は、励起光を欠陥クラスタ320に反射及び集束し、カラーセンタの放出された蛍光を反射及び集束して、光学装置260による検出のためにホストチップ210を出るように構成される。放物面ミラー410は、40%を超える実証された効率、及び75%を超えるシミュレートされた収集効率で、有利な蛍光収集効率を提供する。一形態では、湾曲した反射面は、完全には内部反射されていない角度で入射する光の反射を強化するために、反射コーティングまたはフィルムを有することができる。ただし、他の構成では、湾曲した反射面は、ホストと空気の境界での全内部反射を利用して、コーティングやフィルムなしで動作することができる。
実装形態では、電磁制御信号誘導構造520は、マイクロストリップ及びコプレーナ導波路(CPW)の形で設けることができる。カラーセンタ320のスピン軸に対する磁場の最適な配向を確実にするために、マイクロストリップまたはCPW信号線の中心は、欠陥クラスタ320の下に直接配置され、マイクロストリップまたはCPW信号線により発生される線形に分極化される電磁場は、欠陥クラスタ320での正味の磁場を、欠陥クラスタ320でのスピン軸に対して実質的に垂直に、好ましくは垂直に配向させる。金属誘導構造におけるジョンソンノイズは、欠陥クラスタ320と誘導構造520との間の数百ナノメートルの最小分離距離をもたらす。電磁場の振幅を最大化するために、マイクロストリップまたはCPW信号線の幅は小さく保たれ、一方で欠陥クラスタ320とマイクロストリップまたはCPWとの間の距離は、マイクロストリップまたはCPW信号線の幅に対して小さく保たれる。
図7Bを参照すると、上面771及び下面772を備えた一対の磁石780、790から構成される磁気装置230の代替の実装形態が示されている。図7Bの磁気装置230は、前述の態様で説明したように、ベースチップに固定するか、またはベースチップから分離することができる。磁石780、790は、各磁石の反対の極性が互いに隣接して配置されるように、共に結合されている。第1の磁石780は、上下方向795に沿って磁化され、第2の磁石790は、上下796に磁化される。第2の磁石790に対する第1の磁石780の配向は、磁石780、790の上方に、広範囲の磁場配向を伴う強い磁場を生成する。磁石の対780、790のベースに高透磁率材料799、例えば高透磁率鋼のブロックを取り付けることによって、磁石の上部の磁束を増強することができる。図7に示される構成を使用して実施された実験では、磁気装置230の質量は、720gから170gに小型化された。
ホストチップ210、ベースチップ220、及び磁気装置230の高透磁率材料によってもたらされる小型化は、一体型量子情報処理アセンブリ200に関して上記で論じたように、磁気装置230とベースチップ220との結合を可能にする。この結合により、高額でかさばる高精度のXYZポジショニングステージが不要になり、いくつかの追加の利点がもたらされる。例えば、磁気装置230と欠陥クラスタ320との間の機械的な動きは、磁場の空間的不均一性のために、欠陥クラスタ320での磁場の振幅及び/または配向の変動をもたらす可能性がある。一体型量子情報処理アセンブリ200は、磁気装置230と欠陥クラスタ320との間の機械的な動きを防ぎ、したがって、欠陥クラスタ320での磁場の改善された安定性から利益を得る。さらに、ベースチップ220の基板510の磁性層230と裏面512との間のエアギャップを最小化することにより、磁気装置230と欠陥クラスタ320との間の距離が最小化される。この最小化された距離は、磁気装置230の所与の形状に対して欠陥クラスタ320での磁場強度を増加させ、磁石サイズの縮小またはより大きな磁場(したがって、量子ビットのシングルショットでの読み出しの忠実度の向上)のいずれかを可能にする。温度の安定化に加えて、小型化は、量子情報処理デバイス205を(極低温で)冷却できるようにし得る。冷却により、量子ビットコヒーレンス時間が増加し、次のいずれかが可能になる。(1)量子ビットコヒーレンス時間中に適用される量子ゲートの数が増えること、または、(2)量子ゲートの持続時間が長くなる代わりに、クラスタ内の量子ビットが増える(弱い結合の原子核は、周波数空間での十分な分離が低程度となり、選択性のためにはより遅いゲートが必要となる)ことである。一実装形態では、ペルチェ素子、またはペルチェ素子のスタックを使用して、量子情報処理デバイス205を電気的に冷却することができる。冷却された量子情報処理デバイス205での凝縮を防ぐために、量子情報処理デバイス205は、好ましくは、制御された雰囲気または真空中にてパッケージ化される。
異なる時点で個々の欠陥クラスタ830に対応することにより、蛍光の収集を特定の欠陥クラスタ831と時間的に関連付けることができ、したがって、単一の光子検出器のみが必要とされ得ることが理解されるであろう。例えば、光の第1の励起ビームは、第1の欠陥クラスタ831に対処するために最初にホストチップ210に入り、続いて光の第2の励起ビームが、光の第2の欠陥クラスタ832に対応するためにホストチップ210に入る。これにより、第1の蛍光が第1の欠陥クラスタ831によって放出され、続いて第2の蛍光が第2の欠陥クラスタ832によって放出される。光の励起ビームのこの一時的な作動により、単一光子検出器を使用して、第1及び第2の蛍光を順番に捉えることができる。複数の欠陥クラスタ830に同時に対応する必要がある場合、複数の単一光子検出器850を使用する必要がある。
個々のプロセッサに局在する電磁界は、イオントラップ量子コンピューティング用に開発されたものと同様のマルチセグメント回路を使用して実現できる。この方法の利点は、任意の数の量子プロセッサを空間的に局所化されたフィールドで対応できることであるが、実際には(有限の磁気勾配の場合)、周波数空間の混雑により、個別に対応可能な周波数分離される量子ビットの数が制限される可能性がある。上で論じたように、調整可能な電磁場生成デバイス1280は、各カラーセンタで正味の磁場を調整するために利用することができる。周波数空間で量子プロセッサのスピンの共鳴を分離するために、磁場の勾配(例えば、X及びY方向に沿ったもの)を量子プロセッサのアレイ全体に適用することができる。これは、要求の厳しい技術的オーバーヘッドを必要とする、空間的に局所化されたマイクロ波及び無線周波数フィールドを生成する必要性を回避するため、有利である。量子情報処理システム800の1つの実装形態では、磁場の勾配は、くさび形などの様々な厚さの磁性材料を使用して実現することができる。
複数のホストチップを有する一体型量子情報処理デバイス1000の1つの実装形態が図10に示され、ここでは、複数のホストチップ210は、ベースチップ220の誘導構造520に取り付けられている。誘導構造520は、母材の構造の形態で設けることができる。1つまたは複数の磁気装置230が、ベースチップ220のベース表面512に結合されている。図10の一体型量子情報処理デバイス1000は、図8に関連して論じたように、量子情報処理システム800で使用されている一体型量子情報処理アセンブリ200または一体型量子情報処理アセンブリデバイス600を置き換えることができる。特に、コントローラ860は、光源865を作動させて、変調器810によって変調される励起光の1つまたは複数のビームを生成するように構成され、励起光の1つまたは複数のビームは、変調されると、複数のホストチップの複数の欠陥クラスタ320の少なくともいくつかに個別に対応するべく一体型量子情報処理デバイス1000に向かって送られる。コントローラ860はまた、電磁制御信号源870を作動させて、複数の欠陥クラスタ320の少なくともいくつかに個別に対応するように構成される。コントローラ860はまた、個別に対応させた複数の欠陥クラスタ320の少なくともいくつかによって放出されている蛍光250に応答して、1つまたは複数の光子検出器850から1つまたは複数の信号890を受信するように構成される。
開示の範囲から逸脱することなく、多くの修正が当業者には明らかであろう。

Claims (32)

  1. 一体型量子情報処理デバイスであって、
    1つまたは複数のホストチップであって、各ホストチップは本体を有し、各本体は第1の表面、前記第1の表面と反対側の第2の表面、欠陥クラスタ、及び前記ホストチップに入った励起光を前記それぞれの欠陥クラスタに向け、前記それぞれの欠陥クラスタによって放出された蛍光を前記それぞれのホストチップから出るように向けるために前記それぞれの本体に形成された1つまたは複数の光学構造を有する、前記ホストチップ、
    ベースチップであって、前記複数のホストチップの各ホストチップの前記第2の表面に結合された第1の側、第2の側、電磁制御信号を各ホストチップの前記欠陥クラスタに向けて誘導するように構成された電磁信号誘導構造を有し、前記電磁制御信号は、マイクロ波または無線周波数範囲の少なくとも1つの中の周波数を有する、前記ベースチップ、を含み、
    それにおいて、各欠陥クラスタのカラーセンタでスピン軸と整列した磁場は、前記それぞれの欠陥クラスタの前記それぞれのカラーセンタの核スピン状態の初期化及び読み出しのうちの少なくとも1つを可能にし、
    各ホストチップについて、前記それぞれの欠陥クラスタは、前記第1の表面に対して前記それぞれの第2の表面の近くに配置される、前記一体型量子情報処理デバイス。
  2. 各ホストチップについて、前記1つまたは複数の光学構造は、前記励起光を前記それぞれの欠陥クラスタに反射及び集束し、前記蛍光が前記ホストチップを出るため反射し集束するよう構成される、湾曲した反射面から構成される、請求項1に記載の一体型量子情報処理デバイス。
  3. 各ホストチップの前記それぞれの湾曲した反射面が反射コーティングを有する、請求項2に記載の一体型量子情報処理デバイス。
  4. 各ホストチップについて、前記1つまたは複数の反射性光学構造が、前記それぞれの本体の前記それぞれの第2の表面に反射性光学構造を含み、各ホストチップについて、前記それぞれの反射性光学構造は、前記それぞれの本体の前記それぞれの第2の表面をパターン化すること、及び前記それぞれの第2の表面にコーティングまたはフィルムを適用することの少なくとも1つによって形成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の一体型量子情報処理デバイス。
  5. 各ホストチップについて、前記それぞれの第1の表面が、前記それぞれの第1の表面での光反射を最小化するための反射防止性光学構造を有し、各ホストチップについて、前記それぞれの反射防止性光学構造は、前記それぞれの第1の表面をパターン化すること、及び前記それぞれの第1の表面にコーティングまたはフィルムを適用することの少なくとも1つによって形成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の一体型量子情報処理デバイス。
  6. 各ホストチップについて、前記それぞれの反射防止性光学構造は、前記それぞれの第1の表面から前記ホストチップに入る前記励起光を前記それぞれの欠陥クラスタに集束させ、前記蛍光を集束して前記ホストチップを出るように構成された1つまたは複数の光学構造の1つである、請求項5に記載の一体型量子情報処理デバイス。
  7. 各ホストチップが、
    ダイヤモンド、または
    炭化ケイ素で作られる、請求項1から6のいずれか一項に記載の一体型量子情報処理デバイス。
  8. 前記ベースチップが、各欠陥クラスタの前記それぞれのカラーセンタで前記磁場を調整して前記それぞれのスピン軸と整列させるように構成された1つまたは複数の調整可能な磁場生成デバイスをさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の一体型量子情報処理デバイス。
  9. 一体型量子情報処理アセンブリであって、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の一体型量子情報処理デバイス、及び
    前記ベースチップと統合され、各欠陥クラスタの前記それぞれのカラーセンタで磁場を生成するか、それに寄与するように構成された磁気装置を含む、前記一体型量子情報処理アセンブリ。
  10. 前記磁気装置は、第2の永久磁石に結合された第1の永久磁石を含み、前記第1及び第2の永久磁石の反対の極が共に結合される、請求項9に記載の一体型量子情報処理アセンブリ。
  11. 前記磁気装置が、ベース及び頂点を含む円錐形プロファイルを有する永久磁石材料を含み、前記永久磁石材料が、前記永久磁石材料の前記円錐形プロファイルの軸に沿って磁化される、請求項9に記載の一体型量子情報処理アセンブリ。
  12. 前記磁気装置が、前記永久磁石材料の前記ベースに結合された透磁率材料ベース部分を含む、請求項10または11に記載の一体型量子情報処理アセンブリ。
  13. 量子情報処理構成体であって、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の一体型量子情報処理デバイス、及び
    前記ベースチップと近隣に配置されて分離され、各欠陥クラスタの前記それぞれのカラーセンタで前記磁場を生成するか、それに寄与するように構成された磁気装置を含む、前記量子情報処理構成体。
  14. 前記磁気装置は、第1の磁気配向を有する第1の永久磁石と、第2の磁気配向を有する第2の永久磁石とを含み、前記第1の磁気配向は、前記第2の磁気配向と反対である、請求項13に記載の量子情報処理構成体。
  15. 前記磁気装置が、ベース及び頂点を含む円錐形プロファイルを有する永久磁石材料を含み、前記頂点は前記ベースよりも小さく、前記永久磁石材料が、前記永久磁石材料の前記円錐形プロファイルの軸に沿って磁化される、請求項14に記載の量子情報処理構成体。
  16. 前記磁気装置が、前記永久磁石材料の前記ベースに結合された透磁率材料ベース部分を含む、請求項14または15に記載の量子情報処理構成体。
  17. 請求項9から12のいずれか一項に記載の量子情報処理アセンブリ、または請求項13から16のいずれか一項に記載の量子情報処理構成体を含み、サンプル構造をさらに備えた量子センサ。
  18. 前記サンプル構造が前記ホストチップの前記第1または第2の表面に配置されている、請求項17に記載の量子センサ。
  19. 前記サンプル構造が、前記ホストチップの前記第1または第2の表面に設けられるマイクロ流体構成を含む、請求項18に記載の量子センサ。
  20. 量子情報処理システムであって、
    複数の欠陥クラスタを含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の一体型量子情報処理アセンブリ、または請求項13から16のいずれか一項に記載の量子情報処理構成体、
    変調器、
    光源、
    無線周波数範囲またはマイクロ波周波数範囲内の周波数を有する制御信号を放出するように構成された電磁制御信号源、
    1つまたは複数の光子検出器、
    前記光源、前記電磁制御信号源、及び前記1つまたは複数の光子検出器に動作可能に結合されたコントローラであって、
    前記光源を作動させて、前記変調器によって変調された励起光の1つまたは複数のビームを生成し、変調されたら、励起光の1つまたは複数のビームが、前記複数の欠陥クラスタの少なくともいくつかに個別に光学的に対応するように送られ、
    前記電磁制御信号源を作動させて、前記複数の前記欠陥クラスタの少なくともいくつかに個別に対応するようにし、
    個別に対応させた前記複数の欠陥クラスタの前記少なくともいくつかによって放出されている蛍光に応答して、前記1つまたは複数の光子検出器から1つまたは複数の信号を受信するように構成される前記コントローラ、を含む、前記量子情報処理システム。
  21. 前記励起光の変調された1つまたは複数のビームを、前記1つまたは複数のホストチップに向けて送り、前記蛍光を前記1つまたは複数の光子検出器に向けて送るように構成された光学素子をさらに備える、請求項20に記載の量子情報処理システム。
  22. 前記光学素子は、ダイクロイックミラーまたはビームスプリッタである、請求項21に記載の量子情報処理システム。
  23. 前記変調器は、空間光変調器または音響光学変調器のうちの1つである、請求項20から22のいずれか一項に記載の量子情報処理システム。
  24. 一体型量子情報処理デバイスを製造する方法であって、
    ホスト基板に複数のホストチップをエッチングすること、
    前記複数のホストチップの少なくともいくつかを前記ホスト基板から分離することであって、各ホストチップは本体を有し、前記本体は第1の表面、前記第1の表面の反対側の第2の表面、及び欠陥クラスタを有する、前記分離すること、及び
    前記除去されたホストチップを、各ホストチップの前記本体の前記第2の表面に結合された第1の側、第2の側、各ホストチップの前記欠陥クラスタに向けて電磁制御信号を誘導するように構成された電磁信号誘導構造を有するベースチップに取り付けることを含み、
    各ホストチップは、前記それぞれのホストチップに入った励起光を前記欠陥クラスタに向け、前記欠陥クラスタにより放出された蛍光を向けて前記それぞれのホストチップから出るように前記本体に形成された1つまたは複数の光学構造を有し、
    各ホストチップについて、前記それぞれの欠陥クラスタは、前記第1の表面に対して前記それぞれの第2の表面の近くに配置される、前記方法。
  25. 前記方法が、分離するために前記複数のホストチップの一部を識別することを含む、請求項24に記載の方法。
  26. 前記方法は、前記ホストチップをエッチングする前に、前記それぞれの複数の欠陥クラスタの前記基板の複数の位置を識別することを含み、前記ホストチップは、前記それぞれの複数の欠陥クラスタの前記複数の位置の前記識別に基づいて前記基板にエッチングされる、請求項24に記載の方法。
  27. 前記ホストチップの少なくともいくつかが、エッチング後にブリッジ部分を介して前記ホスト基板に接続され、前記ホストチップの前記少なくともいくつかが、前記ブリッジ部分で前記ホスト基板から分離される、請求項24から26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記方法は、前記ホストチップの少なくともいくつかについて、前記本体の前記第2の表面において、前記励起光を反射して前記それぞれの欠陥クラスタに集束させ、前記蛍光を反射して集束させて前記それぞれのホストチップを出るように構成されている湾曲した反射面の形態である前記1つまたは複数の光学構造の少なくともいくつかを製造することを含む、請求項24から27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記方法が、各湾曲した反射面に反射コーティングまたはフィルムを適用することを含む、請求項28に記載の方法。
  30. 前記方法が前記それぞれの第2の表面の前記光の反射を増加させるよう前記ホストチップの少なくともいくつかの前記本体の前記第2の表面にて反射性光学構造の形態で前記1つまたは複数の光学構造を製造することを含み、前記方法が、前記それぞれの本体の前記それぞれの第2の表面で各反射性光学構造をパターン化すること、及び/または前記本体の前記それぞれの第2の表面にコーティングまたはフィルムを適用することによる、をさらに含む、請求項24から29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記方法が前記ホストチップの前記少なくともいくつかの各ホストチップについて、前記本体の前記第1の表面における前記光の反射を最小限に抑えるべく前記それぞれの本体の前記それぞれの第1の表面に反射防止性光学構造を作製することをさらに含み、前記方法が前記ホストチップの前記本体の前記第1の表面をパターン化すること、及び/または前記ホストチップの前記本体の前記第1の表面にコーティングまたはフィルムを適用することをさらに含む、請求項24から30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 各ホストチップが、
    ダイヤモンド、または
    炭化ケイ素のうちの1つから作られる、請求項24から31のいずれか一項に記載の方法。
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