JP2022548472A - T細胞調節ポリペプチド及びその使用方法 - Google Patents

T細胞調節ポリペプチド及びその使用方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022548472A
JP2022548472A JP2022506595A JP2022506595A JP2022548472A JP 2022548472 A JP2022548472 A JP 2022548472A JP 2022506595 A JP2022506595 A JP 2022506595A JP 2022506595 A JP2022506595 A JP 2022506595A JP 2022548472 A JP2022548472 A JP 2022548472A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polypeptide
seq
amino acid
hla
heavy chain
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022506595A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2021055594A5 (ja
Inventor
ザ サード ロナルド ディー. セイデル
ロドルフォ ジェイ. チャパーロ
ジョン エフ. ロス
サソ チェメルスキ
Original Assignee
キュー バイオファーマ, インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by キュー バイオファーマ, インコーポレイテッド filed Critical キュー バイオファーマ, インコーポレイテッド
Publication of JP2022548472A publication Critical patent/JP2022548472A/ja
Publication of JPWO2021055594A5 publication Critical patent/JPWO2021055594A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/70Carbohydrates; Sugars; Derivatives thereof
    • A61K31/7088Compounds having three or more nucleosides or nucleotides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/52Cytokines; Lymphokines; Interferons
    • C07K14/54Interleukins [IL]
    • C07K14/55IL-2
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • C07K14/70503Immunoglobulin superfamily
    • C07K14/70539MHC-molecules, e.g. HLA-molecules
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/82Translation products from oncogenes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/14Hydrolases (3)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide
    • C07K2319/30Non-immunoglobulin-derived peptide or protein having an immunoglobulin constant or Fc region, or a fragment thereof, attached thereto

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)

Abstract

Figure 2022548472000001
本開示は、免疫調節ポリペプチドと、クラスI HLAポリペプチド(クラスI HLA重鎖ポリペプチド及びβ2ミクログロブリンポリペプチド)と、T細胞受容体にエピトープを提示するKRASペプチド(例えば、がん関連変異を含むKRASペプチド)とを含むT細胞調節ポリペプチド(TMP)を提供する。TMPは、T細胞の活性の調節、及び個体の免疫応答の調節に有用である。

Description

相互参照
本出願は、2019年9月20日に出願された米国仮特許出願第62/903,441号、2020年3月17日に出願された米国仮特許出願第62/990,693号、及び2020年7月6日に出願された米国仮特許出願第63/048,561号の利益を主張し、これらの各出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
序文
適応免疫応答は、T細胞の表面に存在するT細胞受容体(TCR)と、主要組織適合遺伝子複合体(MHC、ヒトではヒト白血球抗原(HLA)複合体とも呼ばれる)により抗原提示細胞(APC)の表面に非共有結合的に提示される小さなペプチド抗原との会合を伴う。この会合は、免疫系の標的指向化メカニズムを表しており、T細胞の調節(活性化または阻害)及びエフェクター機能に必要な分子相互作用である。エピトープ特異的細胞標的指向化に続いて、標的指向化されたT細胞は、APC上に見られる共刺激タンパク質と、対応するT細胞上の共刺激タンパク質との会合を通じて活性化される。T細胞の特異性及び活性化または阻害を促進するには、エピトープ/TCR結合、及びAPC共刺激タンパク質とT細胞共刺激タンパク質との会合の両方のシグナルが必要である。APC上の共刺激タンパク質は、T細胞上の共刺激タンパク質と結合するとT細胞の活性を調節することから、「免疫調節」タンパク質とも呼ばれ、特異的な調節は、APC上のどの免疫調節タンパク質が、T細胞上のどの共刺激タンパク質に結合するかの関数である。TCRは所与のエピトープに特異的であり、ただし、T細胞の共刺激タンパク質はエピトープ特異的ではなく、一般的には、すべてのT細胞上またはラージT細胞サブセット上で発現する。
本開示は、免疫調節ポリペプチドと、クラスI HLAポリペプチド(クラスI HLA重鎖ポリペプチド及びβ2ミクログロブリンポリペプチド)と、T細胞受容体にエピトープを提示するKRASペプチド(例えば、がん関連変異を含むKRASペプチド)とを含む、ヘテロ二量体及び一本鎖のT細胞調節ポリペプチド(TMP)、ならびにそれらの二量体を提供する。TMPは、T細胞の活性を調節し、個体の免疫応答を調節するのに役立つ。
図1A~1Fは、本開示の様々な例示的なTMPの概略図である。 図1Aの説明を参照。 図1Aの説明を参照。 図1Aの説明を参照。 図1Aの説明を参照。 図1Aの説明を参照。 図2A~2Fは、本開示の様々なジスルフィド結合TMPの概略図である。 図2Aの説明を参照。 図2Aの説明を参照。 図2Aの説明を参照。 図2Aの説明を参照。 図2Aの説明を参照。 図3A~3Gは、免疫グロブリンFcポリペプチドのアミノ酸配列を提供する。配列は、配列番号19~30に記載されている。 図3Aの説明を参照。 図3Aの説明を参照。 図3Aの説明を参照。 図3Aの説明を参照。 図3Aの説明を参照。 図3Aの説明を参照。 ヒト(Homo sapiens)(NP_004039.1、配列番号31)、チンパンジー(Pan troglodytes)(NP_001009066.1、配列番号31)、アカゲザル(Macaca mulatta)(NP_001040602.1、配列番号32)、ウシ(Bos taurus)(NP_776318.1、配列番号33)及びマウス(Mus musculus)(NP_033865.2、配列番号34)のβ2-ミクログロブリン(β2M)前駆体(すなわち、リーダー配列を含む)の複数アミノ酸配列アライメントを提供する。アミノ酸1~20はシグナルペプチドである。 対立遺伝子A0101(配列番号35)、A1101(配列番号36)、A2402(配列番号37)、及びA3303(配列番号38)の全長ヒトHLA重鎖のアミノ酸配列を提供する。 対立遺伝子B0702の全長ヒトHLA重鎖(配列番号39)のアミノ酸配列を提供する。 全長ヒトHLA-C重鎖(配列番号40)のアミノ酸配列を提供する。 リーダー配列、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインを含まない11種の成熟MHCクラスI重鎖アミノ酸配列のアラインメントを提供する。配列は、上から下の順に配列番号41~51に記載されている。 図6-1の続きを示す。 HLA-A重鎖アミノ酸配列(それぞれ、配列番号52~60)のアラインメントを提供する。 図7A-1の続きを示す。 HLA-A重鎖コンセンサス配列(配列番号61)を提供する。 HLA-B重鎖アミノ酸配列(それぞれ、配列番号62~68)のアラインメントを提供する。 図8A-1の続きを示す。 HLA-B重鎖コンセンサス配列(配列番号69)を提供する。 HLA-C重鎖アミノ酸配列(それぞれ、配列番号70~78)のアラインメントを提供する。 図9A-1の続きを示す。 HLA-C重鎖コンセンサス配列(配列番号79)を提供する。 HLA-E、-F、及び-G重鎖のそれぞれについてのコンセンサスアミノ酸配列を提供する(それぞれ、配列番号80~82)。可変アミノ酸(aa)の位置を、連続番号が付けられた「X」残基として示している。アミノ酸84、139、及び236の位置には二重下線が引かれている。 HLA-A(配列番号83)、-B(配列番号84)、-C(配列番号85)、-E(配列番号86)、-F(配列番号87)、及び-G(配列番号88)のコンセンサスアミノ酸配列のアラインメントを提供する。 図12A~12Dは、本開示の複数のジスルフィド結合TMPの概略図を提供する。 図12Aの説明を参照。 図12Aの説明を参照。 図12Aの説明を参照。 図13A~13Lは、本開示のTMPに含めるのに適したポリペプチドの例のアミノ酸配列を提供する。図13A~13Fの配列は、配列番号255~260に記載されている。図13G~13Lの配列は、配列番号339~344に記載されている。 図13Aの説明を参照。 図13Aの説明を参照。 図13Aの説明を参照。 図13Aの説明を参照。 図13Aの説明を参照。 図13Aの説明を参照。 図13Aの説明を参照。 図13Aの説明を参照。 図13Aの説明を参照。 図13Aの説明を参照。 図13Aの説明を参照。 図14A~14JJは、本開示のTMPに含めるのに適したポリペプチドの例のアミノ酸配列を提供する。配列は、配列番号261~296に記載されている。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図14Aの説明を参照。 図15A~15JJは、本開示のTMPに含めるのに適したポリペプチドの例のアミノ酸配列を提供する。配列は、配列番号297~332に記載されている。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図15Aの説明を参照。 図16A~16Cは、本開示のジスルフィド結合TMPの構成の例の概略図を提供する。 図16Aの説明を参照。 図16Aの説明を参照。 本開示の「分割鎖」TMPにおける免疫調節ポリペプチドの位置の例の概略図を提供する。 本開示の「一本鎖」TMPにおける免疫調節ポリペプチドの位置の例の概略図を提供する。 図19A~19Pは、本開示の一本鎖TMPのいくつかの例のアミノ酸配列を提供する。配列は、配列番号333~338及び593~602に記載されている。 図19Aの説明を参照。 図19Aの説明を参照。 図19Aの説明を参照。 図19Aの説明を参照。 図19Aの説明を参照。 図19Aの説明を参照。 図19Aの説明を参照。 図19Aの説明を参照。 図19Aの説明を参照。 図19Aの説明を参照。 図19Aの説明を参照。 図19Aの説明を参照。 図19Aの説明を参照。 図19Aの説明を参照。 図19Aの説明を参照。 インビトロでのKRAS G12V(7-16)特異的CD8T細胞の増殖に対するKRAS G12V(7-16)HLA-A11 TMPの効果を示す。 図21A~21JJは、本開示のTMPのHLA-A重鎖アミノ酸配列及びβ2Mアミノ酸配列のためのアミノ酸配列を提供する。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図21Aの説明を参照。 図22A~22BBは、本開示のTMPのHLA-A重鎖アミノ酸配列のアミノ酸配列を提供する。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。 図22Aの説明を参照。
定義
用語「ポリヌクレオチド」及び「核酸」は、本明細書において同じ意味で用いられ、任意の長さを有するヌクレオチドのポリマー形態(リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれか)を意味する。それゆえ、この用語は、一本鎖、二本鎖、もしくは多本鎖のDNAもしくはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA-RNAハイブリッド、または、プリン塩基及びピリミジン塩基、もしくは、その他の天然ヌクレオチド塩基、化学的に修飾したヌクレオチド塩基もしくは生化学的に修飾したヌクレオチド塩基、非天然ヌクレオチド塩基、もしくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むポリマー、を含むがこれらに限定されない。
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書において同じ意味で用いられ、任意の長さを有するアミノ酸のポリマー形態を意味し、コード及び非コードアミノ酸、化学的にもしくは生化学的に修飾もしくは誘導体化されたアミノ酸、及び、修飾ペプチド主鎖を有するポリペプチドを含んでいてもよい。さらに、本明細書中で使用する場合、「ポリペプチド」とは、タンパク質が望ましい活性を維持する限りにおいて、天然配列に対する欠失、付加、及び置換(一般的に当業者には公知であろう本質的に保存的な)などの改変を含むタンパク質を指す。これらの改変は、部位特異的変異誘発などによる意図的な改変であり得るか、あるいはタンパク質を産生する宿主の変異、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅もしくは他の組換えDNA法によるエラーなどによる偶発的な改変であり得る。本明細書中での既知のポリペプチドの特定の残基または残基番号への言及は、野生型ポリペプチドのその位置のアミノ酸を指すと理解される。1つ以上のアミノ酸の付加または欠失のいずれかによって野生型ポリペプチドの配列が改変される限り、当業者は、改変されたポリペプチド中の同じ特定のアミノ酸を参照するように、特定の残基または残基番号への参照が、それに応じて変更され、それが改変された位置番号の残基であると理解されることを理解するであろう。例えば、MHCクラスIポリペプチドを、N末端に1つのアミノ酸を付加することによって改変する場合、84位または84位の特定の残基への参照は、改変されたポリペプチドの85位にあるアミノ酸を示すと理解される。同様に、本明細書中での、特定の位置、例えば、Y84での特定のアミノ酸置換への言及は、野生型ポリペプチドの84位のアミノ酸のアミノ酸置換を指すと理解される。したがって、Y84C置換は、野生型配列に存在するTyr残基からCys残基への置換であると理解される。例えば、野生型ポリペプチドが改変されて、84位のアミノ酸がその野生型アミノ酸から代替アミノ酸に変化する場合、84位のアミノ酸の置換は、代替アミノ酸への置換を指すと理解されるであろう。そのような場合、ポリペプチドがまた、1つ以上のアミノ酸の付加または欠失によって改変される場合、置換への言及は、改変された位置番号での代替アミノ酸への置換を指すと理解されるであろう。ポリペプチド、例えば、MHCクラスIポリペプチドにおける「非天然のCys残基」への言及は、そのポリペプチドが、対応する野生型ポリペプチドにおいてCysが存在しない位置にCys残基を含むことを意味する。これは、野生型配列に存在するアミノ酸の代わりにシステインを使用する通常のタンパク質工学によって実現することができる。
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、別のポリヌクレオチドまたはポリペプチドに対する特定のパーセント「配列同一性」を有し、そのことは、アラインして2つの配列を比較した場合に、塩基またはアミノ酸のパーセンテージが同一であり、かつ同一の相対位置にあることを意味する。配列同一性については多数の異なる方法を用いて測定することができる。配列同一性を測定するために、様々な簡便な方法、及び、world wide webにおいて、ncbi.nlm.nili.gov/BLAST、ebi.ac.uk/Tools/msa/tcoffee/、ebi.ac.uk/Tools/msa/muscle/、mafft.cbrc.jp/alignment/software/を含むサイトで利用可能なコンピュータプログラム(例えば、BLAST、T-COFFEE、MUSCLE、MAFFTなど)を使用して配列をアラインしてもよい。例えば、Altschul et al.(1990),J.Mol.Bioi.215:403-10を参照されたい。特に明記しない限り、本明細書で言及される「配列同一性」は、Altschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403に記載されているように、BLAST(基本的なローカルアラインメント検索ツール)によって決定する。
用語「保存的アミノ酸置換」とは、類似した側鎖を有するアミノ酸残基のタンパク質における互換性を意味する。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の基は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンから構成され、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の基はセリン及びスレオニンから構成され、アミド含有側鎖を有するアミノ酸の基はアスパラギン及びグルタミンから構成され、芳香族側鎖を有するアミノ酸の基は、フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファンから構成され、塩基性側鎖を有するアミノ酸の基は、リジン、アルギニン、及びヒスチジンから構成され、酸性側鎖を有するアミノ酸の基はグルタミン酸及びアスパラギン酸から構成され、硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の基はシステイン及びメチオニンから構成される。例示的な保存的アミノ酸置換基は、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リジン-アルギニン、アラニン-バリン-グリシン、及びアスパラギン-グルタミンである。
本明細書で使用する場合、用語「免疫学的シナプス」または「免疫シナプス」とは一般に、適応免疫応答の2つの相互作用する免疫細胞間の自然境界面(例えば、抗原提示細胞(APC)または標的細胞と、エフェクター細胞(例えば、リンパ球)、エフェクターT細胞、ナチュラルキラー細胞などの間の境界面を含む)を意味する。APCとT細胞の間の免疫学的シナプスは通常、例えば、Bromley et al.,Annu Rev Immunol.2001、19:375-96(その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、T細胞抗原受容体と主要組織適合遺伝子複合体分子の相互作用によって開始される。
「T細胞」は、CD3を発現する全てのタイプの免疫細胞を含み、例えば、ヘルパーT細胞(CD4細胞)、細胞傷害性T細胞(CD8細胞)、T抑制細胞(Treg)、及びNK-T細胞を含む。
本明細書中で使用する場合、用語「免疫調節ポリペプチド」(本明細書中では「MOD」とも呼ばれる)とは、T細胞上の同族(cognate)共刺激ポリペプチドに特異的に結合し、それにより、例えば、TCR/CD3複合体がペプチド結合主要組織適合遺伝子複合体(MHC)ポリペプチドと結合することにより生じる一次シグナルに加えて、増殖、活性化、分化などを含むがこれらに限定されないT細胞応答を媒介するシグナルを生じさせるポリペプチドを意味する。本明細書中で述べるように、免疫調節ポリペプチドとしては、野生型または野生型ポリペプチドのバリアント、例えば、サイトカイン(例えば、IL-2)、CD7、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、PD-L1、PD-L2、4-1BBL、OX40L、Fasリガンド(FasL)、誘導性共刺激リガンド(ICOS-L)、細胞間接着分子(ICAM)、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、MICA、MICB、HVEM、リンホトキシンβ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、HVEM、Tollリガンド受容体に結合するアゴニストまたは抗体、及び、B7-H3に特異的に結合するリガンドを挙げることができるがこれらに限定されない。本開示のTMPの免疫調節ドメインすなわち「MOD」は、標的T細胞上に存在する同族共刺激ポリペプチドに結合することができる。
本明細書中で使用する場合、用語「インビボ」とは、体内で発生する任意のプロセスまたは手順を指す。
本明細書中で使用する場合、「インビトロ」とは、体外で起こる任意のプロセスまたは手順を指す。
本明細書中で使用する「異種」とは、それぞれ、天然の核酸またはタンパク質には見出されないヌクレオチドまたはポリペプチドを意味する。
本明細書で使用する場合、「組換え」とは、特定の核酸(DNAまたはRNA)が、天然系に存在する内在性核酸と識別することが可能な構造コードまたは非コード配列を有する構築物をもたらすクローニング工程、制限工程、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)工程及び/またはライゲーション工程の様々な組み合わせによる生成物であることを意味する。ポリペプチドをコードするDNA配列を、cDNAフラグメントまたは一続きの合成オリゴヌクレオチドからアセンブルして、細胞内または無細胞転写及び翻訳系内に含まれる組換え転写単位が発現可能な合成核酸を得てもよい。
用語「組換え発現ベクター」または「DNA構築物」は本明細書において同じ意味で用いられ、ベクターと少なくとも1つのインサートを含むDNA分子を意味する。組換え発現ベクターは通常、インサート(複数可)を発現及び/または増殖させることを目的として、または、その他の組換えヌクレオチド配列を構築するために、作製される。インサート(複数可)は、プロモーター配列に機能的に連結していてもしていなくてもよく、DNA調節配列に機能的に連結していてもしていなくてもよい。
本発明で使用する場合、用語「親和性」とは、2つの物質(例えば、抗体及び抗原)の可逆結合における平衡定数を意味し、また解離定数(K)で表される。親和性は、無関係なアミノ酸配列に対する抗体親和性の、少なくとも1倍超、少なくとも2倍超、少なくとも3倍超、少なくとも4倍超、少なくとも5倍超、少なくとも6倍超、少なくとも7倍超、少なくとも8倍超、少なくとも9倍超、少なくとも10倍超、少なくとも20倍超、少なくとも30倍超、少なくとも40倍超、少なくとも50倍超、少なくとも60倍超、少なくとも70倍超、少なくとも80倍超、少なくとも90倍超、少なくとも100倍超、もしくは、少なくとも1,000倍超、またはそれ以上であってもよい。標的タンパク質に対する抗体の親和性は、例えば、約100ナノモル(nM)~約0.1nM、約100nM~約1ピコモル(pM)、もしくは、約100nM~約1フェムトモル(fM)、またはそれ以上であってもよい。本明細書で使用する場合、用語「結合力」とは、希釈後における、2つ以上の物質の複合体の解離に対する抵抗力を意味する。用語「免疫反応性」及び「優先的に結合する」は、抗体及び/または抗原結合フラグメントに関し、本明細書において同じ意味で用いられる。
本明細書で使用する場合(例えば、T細胞上のポリペプチド(例えば、T細胞受容体)へのTMPの結合に関して)、用語「結合」とは、2つの分子間の非共有結合相互作用を意味する。非共有結合とは、例えば、塩橋及び水架橋などの相互作用を含む、静電相互作用、疎水性相互作用、イオン性相互作用及び/または水素結合相互作用による、2つの分子間の直接会合を意味する。非共有結合相互作用は通常、10-6M未満、10-7M未満、10-8M未満、10-9M未満、10-10M未満、10-11M未満、10-12M未満、10-13M未満、10-14M未満、または10-15M未満の解離定数(K)を特徴とする。「親和性」とは非共有結合の強度を意味し、高い結合親和性は低いKと相関している。「特異的結合」とは通常、少なくとも約10-7M以上、例えば、5×10-7M、10-8M、5×10-8M、10-9M、及び、それより高い親和性を有する結合を意味する。「非特異的結合」とは通常、約10-7M未満の親和性を有する結合(例えば、10-6M、10-5M、10-4Mの親和性を有する結合)(例えば、リガンドの指定結合部位または受容体以外の部分へのリガンドの結合)を意味する。しかしながら、一部の文脈、例えば、TCRとペプチド/MHC複合体の間の結合において、「特異的結合」は、1μM~100μM、または100μM~1mMの範囲内であってもよい。本明細書で使用する場合、「共有結合(covalent binding)」または「共有結合(covalent bond)」とは、2つの異なる分子間に1つ以上の共有化学結合が形成されることを意味する。
本明細書中で使用する場合、「リン酸緩衝生理食塩水」または「PBS」とは、通常、濃縮溶液として利用可能な水系緩衝液を意味する。特に明記しない限り、本開示で使用されるPBS溶液は、塩化ナトリウム(500mM)、リン酸二水素ナトリウム(10mM)、リン酸二水素カリウム(2mM)、塩化カリウム(2.7mM)、及び残部は水を含む。PBSのpHは7.5±0.15である。緩衝液は、18.2メガオームのDNase及びRNaseフリー水で調製し、0.22ミクロンのフィルターでろ過する。
本発明で使用する場合、用語「治療」、「治療すること」などは通常、所望の薬理学的効果及び/または生理学的効果を得ることを意味する。その効果は、疾患またはその症状を完全にまたは部分的に予防するという観点において予防的であり得、及び/または、疾患及び/またはその疾患に起因する副作用の部分的または完全な治癒という観点において治療的であり得る。本発明で使用する場合、「治療」は、哺乳動物における疾患または症状の任意の治療を包含し、(a)その疾患または症状にかかりやすいが、まだそれを有すると診断されていない対象における疾患または症状の発症を予防すること、(b)その疾患または症状を抑制すること、すなわち、その発症を阻止すること、及び/または、(c)その疾患を軽減すること、すなわち、その疾患を退行させること、を含む。疾患または障害の発症前、その間、またはその後に、治療薬を投与してもよい。進行中の疾患の治療(治療は患者の望ましくない臨床症状を安定化または抑制する)には特に利点がある。このような治療は、望ましくは、罹患組織の機能が完全に喪失される前に実施される。本治療薬は、望ましくは、疾患の症候期中に、一部の例では、疾患の症候期後に投与される。
用語「個体」、「対象」、「宿主」及び「患者」は本明細書において同じ意味で用いられ、診断、処置または治療が望まれる任意の哺乳動物対象を意味する。哺乳動物としては、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類(例えば、ラット、マウス)、ウサギ目(例えば、ウサギ)、有蹄類(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ヤギなど)などが挙げられる。
特に明記しない限り、用語「実質的に」とは、「完全に」及び「大部分ではあるが完全ではない」の両方を包含することを意図している。例えば、「実質的に細胞溶解を誘発しない」Ig Fcとは、細胞溶解を全く誘発しないか、または細胞溶解をほとんど誘発しないIg Fcを意味する。
本明細書中で使用する場合、量に関連して使用される用語「約」とは、その量が、記載される量の10%変動し得ることを示す。例えば、「約100」とは、90~110の量を意味する。範囲に関して約が使用される場合、範囲の下限量に関して使用される「約」は、下限量が範囲の下限量よりも10%低い量を含むことを意味し、範囲の上限量に関して使用される「約」は、上限量が範囲の上限量よりも10%高い量を含むことを意味する。例えば、約100~約1000は、範囲が90~1100に及ぶことを意味する。
本明細書中で使用する場合、用語「MHC重鎖ポリペプチド」とは、TMPに存在するMHC重鎖ポリペプチドのドメインを集合的に意味する。例えば、図17及び18に示すように、MHC重鎖ポリペプチドは、α1、α2及びα3ドメインを含み得る。
本開示を更に説明する前に、本開示が記載する特定の実施形態に限定されることはなく、それゆえ当然変化し得るということを理解されたい。本明細書で用いる専門用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることから、限定することを意図するものではないということを理解されたい。
数値の範囲を提供する場合、その範囲の上限と下限との間にある各介在値(文脈上明確に指示しない限り、下限値の単位の10分の1まで)、及び、その明示範囲内の任意のその他明示値または介在値が本開示に包含されることを理解されたい。これら狭めた範囲の上限値及び下限値は、その狭めた範囲内に独立して含まれていてもよく、また、明示範囲内において特に除外した任意の値に従い、本開示に包含される。明示範囲がそれら上限値及び下限値のうちの1つまたは両方を含む場合、それら包含される上限値及び下限値のいずれかまたは両方を除外する範囲もまた本開示に包含される。
別途定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者が一般に理解する意味と同一の意味を有する。本明細書に記載の方法及び物質と同様または同等の任意の方法及び物質を、本開示の実施または試験において使用することもできるが、好ましい方法及び物質については以下で説明する。本明細書で言及する全ての刊行物は、それら刊行物が引用する内容と関連させて本方法及び/または物質を開示及び説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意すべきである。それゆえ、例えば、「T細胞調節ポリペプチド」への言及は、複数のそのようなポリペプチドを含み、「免疫調節ポリペプチド」への言及は、1つ以上の免疫調節ポリペプチド及び当業者に周知のその同等物などへの言及を含む。更に、特許請求の範囲が任意の要素を除外するように作成されてもよいということに留意されたい。したがって、この記述は、クレーム要素の列挙と関連させて、「単に」、「のみ」などの排他的な用語の使用、または「否定的な」限定の使用が、先行詞として機能することを意図するものである。
分かりやすく、個々の実施形態との関係において記載した本開示における特定の特徴を、更に、単一の実施形態内において組み合わせて提供してもよいということを理解されたい。逆の言い方をすれば、簡潔とするため、単一の実施形態との関係において記載した本開示における様々な特徴を、更に、別々に、または任意の好適な副組み合わせで提供してもよい。本開示に属する実施形態の全ての組み合わせは、本開示により明示的に包含され、全ての組み合わせが個別にかつ明確に開示されるかのように本明細書において開示される。加えて、様々な実施形態及びそれらの要素における全ての副組み合わせもまた、本発明により明示的に包含され、全てのこのような副組み合わせが個別にかつ明確に本明細書において開示されるかのように、本明細書において開示される。
本明細書に記載する刊行物は、単に本願の出願日前にそれらの開示を提供したに過ぎない。本明細書におけるいずれの内容も、本開示が、このような刊行物に先行する権利を持たないことを認めるものとして解釈されるべきではない。更に、提供した刊行物の日付は実際の刊行日とは異なる場合があり、個別に確認する必要が生じる場合がある。
詳細な説明
本開示は、免疫調節ポリペプチドを含みかつエピトープ提示ペプチドを含む、T細胞調節ポリペプチドを提供する。TMPは、T細胞の活性化を調節するのに、また個体における免疫応答を調節するのに有用である。
T細胞調節ポリペプチド
本開示は、a)第1のポリペプチド、及びb)第2のポリペプチドを含むT細胞調節ポリペプチド(TMP)を提供し、TMPは、i)主要組織適合遺伝子複合体(MHC)ポリペプチドに結合するとT細胞受容体(TCR)にエピトープを提示する、KRASペプチド、ii)第1のMHCポリペプチド、iii)第2のMHCポリペプチド、及びiv)1つ以上の免疫調節ポリペプチド、ならびに任意選択で、免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチドまたは非Igスキャフォールドを含む。第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含むTMPはまた、本明細書中では「分割鎖TMP」または「ヘテロ二量体TMP」と呼ばれ得る。本明細書中で述べるように、そのようなTMPの第1及び第2のポリペプチドは、通常、1つ以上のジスルフィド結合によって互いに共有結合し、これは、TMPに高い安定性及び/または高い発現を付与し得る。
しかしながら、一部の例では、本開示のTMPは、一緒に連結されて単一のポリペプチド鎖を形成する複数の異なるポリペプチドを含み得る。そのような一本鎖TMPは、例えば、i)主要組織適合遺伝子複合体(MHC)ポリペプチドに結合するとT細胞受容体(TCR)にエピトープを提示する、KRASペプチド、ii)第1及び第2のMHCポリペプチド、及びiii)1つ以上の免疫調節ポリペプチド、ならびに任意選択で、免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチドまたは非Igスキャフォールドを含み得る。以下で述べるように、ヘテロ二量体TMP及び一本鎖TMPは、例えば、TMPがIg Fc、例えば、IgG1 Fcを含む場合に、二量体に自己組織化することができる。そのような場合、ジスルフィド結合が自発的に形成されて、2つのTMPを結合する。
本明細書中で使用する場合、用語「KRASペプチド」とは、少なくとも4アミノ酸、例えば、4アミノ酸~約25アミノ酸の長さ(例えば、4~20アミノ酸、6~18アミノ酸、8~15アミノ酸、8~12アミノ酸、5~10アミノ酸、10~20アミノ酸、及び15~25アミノ酸の範囲内を含む、4アミノ酸(aa)、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、10aa、11aa、12aa、13aa、14aa、15aa、16aa、17aa、18aa、19aa、20aa、21aa、22aa、23aa、24aa、または25aaの長さ)を有し、KRASペプチドがMHC複合体に結合した場合にTCRにKRASエピトープを提示するペプチドを意味する。本明細書中で使用する場合、用語「KRASエピトープ」とは、KRASタンパク質上に見出されるエピトープを意味する。本明細書中で使用する場合、用語「KRAS」及び「KRASタンパク質」は同義であり、以下のいずれかに存在するアミノ酸配列を有するタンパク質を意味する:(i)KRAS4Aポリペプチド、(ii)KRAS4B、及び(iii)例えば、変異型を含む、ヒトのがんで生じる(i)及び(ii)のバリアント。本明細書中で使用する場合、用語「KRASポリペプチド」とは、KRASタンパク質の全部または一部に見出されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、または特定される場合、KRASタンパク質、または変異型を含む、ヒトのがんにおいて生じるバリアントの全部または一部に見出されるアミノ酸配列に対して、例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドを意味する。
KRAS(「KRASがん原遺伝子、GTPアーゼ」、キルステンラット肉腫ウイルス発がん遺伝子ホモログ、及び「K-Ras P21タンパク質」としても知られる)は、細胞増殖を制御するGTPアーゼである。変異すると、KRASは細胞増殖の制御に失敗し、がんを引き起こし得る。
野生型(正常、非がん関連)KRASポリペプチドは、以下のアミノ酸配列:
Figure 2022548472000002
(配列番号1)を有し得る。
野生型(正常、非がん関連)KRASポリペプチドは、以下のアミノ酸配列:
Figure 2022548472000003
(配列番号2)を有し得る。
KRASの変異型は、特定のがんに関連しており、KRASの変異型の少なくとも一部が特定のがん細胞の表面に存在する。例えば、Prior et al.(2012)Cancer Res.72:2457、及びWarren and Holt(2010)Human Immunology 71:245を参照されたい。配列番号1及び配列番号2において、アミノ酸G12、G13、T35、I36、E49、Q61、K127、及びA156には、太字で下線が引かれており、これらの残基の1つ以上の置換が、がん関連KRASポリペプチドにおいて存在し得る。がん関連KRASポリペプチドには、以下の1つ以上が含まれ得る:i)G12の置換(例えば、G12C、G12V、G125、G12A、G12R、G12F、またはG12D)、ii)G13の置換(例えば、G13C、G13D、G13R、G13V、G13S、またはG13A)、iii)T35の置換(例えば、T35I)、iv)I36の置換(例えば、I36LまたはI36M)、v)E49の置換(例えば、E49K)、vi)Q61の置換(例えば、Q61H、Q61R、Q61P、Q61E、Q61K、Q61L、またはQ61K)、vii)K117の置換(例えば、K117N)、及びviii)A146の置換(例えば、A146TまたはA146V)、アミノ酸番号は、配列番号1及び配列番号2に記載されている通りである。例えば、U.S.2019/0194192を参照されたい。
例えば、がん関連の変異型KRASポリペプチドは、配列番号1または配列番号2に記載のアミノ酸配列と比較して、1つ以上のアミノ酸置換を有し得る。一部の例では、がん関連の変異型KRASポリペプチドは、配列番号1または配列番号2に記載のアミノ酸配列と比較して、単一のアミノ酸置換のみを有する。一部の例では、がん関連の変異型KRASポリペプチドは、配列番号1または配列番号2に記載のアミノ酸配列と比較して、2つのアミノ酸置換のみを有する。一部の例では、がん関連の変異型KRASポリペプチドは、配列番号1または配列番号2に記載のアミノ酸配列と比較して、3つのアミノ酸置換のみを有する。一部の例では、がん関連の変異型KRASポリペプチドは、配列番号1または配列番号2に記載のアミノ酸配列と比較して、4つのアミノ酸置換のみを有する。一部の例では、がん関連の変異型KRASポリペプチドは、配列番号1または配列番号2に記載のアミノ酸配列と比較して、5つのアミノ酸置換のみを有する。
例えば、KRAS(G12D)(配列番号1に記載のアミノ酸付番に基づいて、アミノ酸位置12でGからDへの置換を有するKRASポリペプチド)は、膵管腺癌(PDAC)と関連している。KRAS(G12V)(配列番号1または配列番号2に記載のアミノ酸付番に基づいて、アミノ酸位置12でGからVへの置換を有するKRASポリペプチド)もまた、膵臓癌に関連している。KRAS(G12R)(配列番号1または配列番号2に記載のアミノ酸付番に基づいて、アミノ酸位置12でGからRへの置換を有するKRASポリペプチド)もまた、膵臓癌に関連している。例えば、Waters and Der(2018)Cold Spring Harb.Perspect.Med.8:(9).pii:a031435.doi:0.1101/cshperspect.a031435を参照されたい。別の例として、KRAS(G12C)(配列番号1または配列番号2に記載のアミノ酸付番に基づいて、アミノ酸位置12でGからCへの置換を有するKRASポリペプチド)は、肺癌、例えば、非小細胞肺癌と関連している。例えば、Roman et al.(2018)Mol.Cancer 17:33を参照されたい。KRASの他の変異型(例えば、G12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13A、G13C、G13D、G13R、G13S、G13V)は様々ながんに関連しており、そのようながんには、例えば、胆管癌、胆嚢癌、腺癌、直腸腺癌、子宮内膜癌、造血器腫瘍、及び肺癌が含まれる。例えば、Prior et al.(20120 Cancer Res.72:2457を参照されたい。
別の例として、がん関連変異型のKRASポリペプチドは、KRASポリペプチド(例えば、配列番号1または配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するKRASポリペプチド)のアミノ酸61にアミノ酸置換を有し得る。例えば、がん関連変異型のKRASポリペプチドは、Q61H、Q61L、Q61E、Q61R、またはQ61Kなどのアミノ酸置換を有し得る。
上記のように、一部の例では、本開示は、ヘテロ二量体を含むTMPを提供し、ヘテロ二量体は、a) 第1のMHCポリペプチドを含む第1のポリペプチド、及びb)第2のMHCポリペプチドを含む第2のポリペプチドを含み、第1のポリペプチドまたは第2のポリペプチドは、KRASペプチド(例えば、がん関連変異を含むKRASペプチド、その場合、KRASペプチドは、少なくとも4アミノ酸(例えば、4アミノ酸~約25アミノ酸)の長さを有し、KRASペプチドは、MHC複合体に結合すると、T細胞受容体にエピトープを提示する)を含み、第1のポリペプチド及び/または第2のポリペプチドは、互いに同じかまたは異なり得る1つ以上の免疫調節ポリペプチド、及び任意選択で、Ig Fcポリペプチドまたは非Igスキャフォールドを含む。一部の例では、1つ以上の免疫調節ポリペプチドの少なくとも1つは、対応する野生型免疫調節ポリペプチドの同族共刺激ポリペプチドに対する親和性と比較して低い、同族共刺激ポリペプチドに対する親和性を示す、バリアント型免疫調節ポリペプチドである。
本開示のTMPに存在するKRASペプチド/MHC複合体は、少なくとも100μM(例えば、少なくとも10μM、少なくとも1μM、少なくとも100nM、少なくとも10nM、または少なくとも1nM)の親和性で、T細胞上のT細胞受容体(TCR)に結合する。一般的に言えば、本開示のTMPは、同族共刺激ポリペプチド及びTMPのKRASペプチド/MHC複合体に結合するTCRを有するT細胞に対して、同じTMPが、同じ同族共刺激ポリペプチドを有するが、KRASペプチド/MHC複合体に実質的に結合しないTCRを有する第2のT細胞に結合する親和性よりも高い、例えば25%高い親和性で結合し、例えば、KRASペプチド/MHC複合体は、10-7M未満の親和性でTCRに結合する。
本開示は、TMPを提供し、TMPは、a)第1のMHCポリペプチドを含む第1のポリペプチド、及びb)第2のMHCポリペプチドを含む第2のポリペプチドを含むヘテロ二量体であり、第1のポリペプチドまたは第2のポリペプチドは、KRASペプチドを含み、第1のポリペプチド及び/または第2のポリペプチドは、同じかまたは異なり得る1つ以上の免疫調節ポリペプチドを含み、1つ以上の免疫調節ポリペプチドの少なくとも1つは、野生型免疫調節ポリペプチドまたは野生型免疫調節ポリペプチドのバリアント型であってもよく、バリアント型免疫調節ポリペプチドは、対応する野生型免疫調節ポリペプチドのアミノ酸配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個のアミノ酸置換を含み、第1のポリペプチドまたは第2のポリペプチドは、任意選択で、Ig Fcポリペプチドまたは非Igスキャフォールドを含む。一部の例では、1つ以上の免疫調節ドメインの少なくとも1つは、対応する野生型免疫調節ポリペプチドの同族共刺激ポリペプチドに対する親和性と比較して低い、同族共刺激ポリペプチドに対する親和性を示す、バリアント型免疫調節ポリペプチドであり、例えば、生物層干渉法によって測定した場合の(i)同族共刺激ポリペプチドに対する野生型免疫調節ポリペプチドの結合親和性と、(ii)同族共刺激ポリペプチドに対する野生型免疫調節ポリペプチドのバリアント型の結合親和性との比率は、1.5:1~10:1の範囲であり、バリアント型免疫調節ポリペプチドは、対応する野生型免疫調節ポリペプチドのアミノ酸配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個のアミノ酸置換を含み、第1のポリペプチドまたは第2のポリペプチドは、任意選択で、Ig Fcポリペプチドまたは非Igスキャフォールドを含む。
一部の例では、本開示のヘテロ二量体TMPは、a)N末端からC末端の順に:i)KRASペプチド、ii)第1のMHCポリペプチドを含む第1のポリペプチド、ならびにb)N末端からC末端の順に:i)第2のMHCポリペプチド、及びii)任意選択で免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチドまたは非Igスキャフォールドを含む第2のポリペプチドを含んでいてもよく、TMPは、同じかまたは異なり得る1つ以上の免疫調節ドメインを含み、1つ以上の免疫調節ドメインの少なくとも1つは、A)第1のポリペプチドのC末端に、B)第2のポリペプチドのN末端に、C)第2のポリペプチドのC末端に、またはD)第1のポリペプチドのC末端及び第2のポリペプチドのN末端にあり、1つ以上の免疫調節ドメインの少なくとも1つは、野生型免疫調節ポリペプチドまたは野生型免疫調節ポリペプチドのバリアント型であってもよく、バリアント型免疫調節ポリペプチドは、対応する野生型免疫調節ポリペプチドのアミノ酸配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個のアミノ酸置換を含む。
本開示は、基本的なスキャフォールドとして:a)N末端からC末端の順に:i)KRASペプチド、ii)第1のMHCポリペプチドを含む第1のポリペプチド、ならびにb)N末端からC末端の順に:i)第2のMHCポリペプチド、及びii)任意選択でIg Fcポリペプチドまたは非Igスキャフォールドを含む第2のポリペプチドを含むTMPを提供する。本開示のTMPは、1つ以上の免疫調節ポリペプチドをさらに含み、1つ以上の免疫調節ポリペプチドのうちの少なくとも1つは、A)第1のポリペプチドのC末端に、B)第2のポリペプチドのN末端に、C)第2のポリペプチドのC末端に、またはD)第1のポリペプチドのC末端及び第2のポリペプチドのN末端にある。一部の例では、1つ以上の免疫調節ポリペプチドの少なくとも1つは、対応する野生型免疫調節ポリペプチドの同族共刺激ポリペプチドに対する親和性と比較して低い、同族共刺激ポリペプチドに対する親和性を示す、バリアント型免疫調節ポリペプチドである。
本開示のTMPに存在するKRASペプチド/MHC複合体は、少なくとも100μM(例えば、少なくとも10μM、少なくとも1μM、少なくとも100nM、少なくとも10nM、または少なくとも1nM)の親和性で、T細胞上のT細胞受容体(TCR)に結合する。
上記のように、一部の例では、本開示のTMPは、単一のポリペプチド鎖を含む。本開示のそのような一本鎖TMPは、i)第1のMHCポリペプチド、ii)第2のMHCポリペプチド、iii)MHCポリペプチドに結合するとTCRにエピトープを提示する、KRASペプチド、及びiv)1つ以上の免疫調節ポリペプチドを含み、任意選択で、Ig Fcポリペプチドまたは非Igスキャフォールドを含む。
一部の例では、本開示の一本鎖TMPは、N末端からC末端の順に:i)KRASペプチド、ii)第1のMHCポリペプチド、iii)第2のMHCポリペプチド、iv)1つ以上の免疫調節ポリペプチド、及びv)Ig Fcポリペプチドを含む。一部の例では、本開示の一本鎖TMPは、N末端からC末端の順に:i)KRASペプチド、ii)β2Mポリペプチド、iii)クラスI MHC重鎖ポリペプチド、iv)1つ以上の免疫調節ポリペプチド、及びv)Ig Fcポリペプチドを含む。この構成要素の配置は、図18ではMOD位置2と呼ばれる。
一部の例では、本開示の一本鎖TMPは、N末端からC末端の順に:i)KRASペプチド、ii)第1のMHCポリペプチド、iii)第2のMHCポリペプチド、iv)Ig Fcポリペプチド、及びv)1つ以上の免疫調節ポリペプチドを含む。一部の例では、本開示の一本鎖TMPは、N末端からC末端の順に:i)KRASペプチド、ii)β2Mポリペプチド、iii)クラスI MHC重鎖ポリペプチド、iv)Ig Fcポリペプチド、及びv)1つ以上の免疫調節ポリペプチドを含む。構成要素のこの配置は、図18ではMOD位置3と呼ばれる。
一部の例では、本開示の一本鎖TMPは、N末端からC末端の順に:i)1つ以上の免疫調節ポリペプチド、ii)KRASペプチド、iii)第1のMHCポリペプチド、iv)第2のMHCポリペプチド、及びv)Ig Fcポリペプチドを含む。一部の例では、本開示の一本鎖TMPは、N末端からC末端の順に:i)1つ以上の免疫調節ポリペプチド、ii)KRASペプチド、iii)第1のクラスI MHCポリペプチド、iv)第2のクラスI MHCポリペプチド、及びv)Ig Fcポリペプチドを含む。一部の例では、本開示の一本鎖TMPは、N末端からC末端の順に:i)1つ以上の免疫調節ポリペプチド、ii)KRASペプチド、iii)β2Mポリペプチド、iv)クラスI MHC重鎖ポリペプチド、及びv)Ig Fcポリペプチドを含む。この構成要素の配置は、図18ではMOD位置4と呼ばれる。
一部の例では、本開示のTMP内に存在するKRASペプチド/MHC複合体は、約10-4M~約5×10-4M、約5×10-4M~約10-5M、約10-5M~5×10-5M、約5×10-5M~10-6M、約10-6M~約5×10-6M、約5×10-6M~約10-7M、約10-7M~約5×10-7M、約5×10-7M~約10-8M、または約10-8M~約10-9Mの親和性で、T細胞上のTCRに結合する。別の様式で表すと、一部の例では、本開示のTMP内に存在するKRASペプチド/MHC複合体は、約1nM~約5nM、約5nM~約10nM、約10nM~約50nM、約50nM~約100nM、約0.1μM~約0.5μM、約0.5μM~約1μM、約1μM~約5μM、約5μM~約10μM、約10μM~約25μM、約25μM~約50μM、約50μM~約75μM、約75μM~約100μMの親和性で、T細胞上のTCRに結合する。
一部の例では、本開示のTMP内に存在する免疫調節ポリペプチドは、対応する野生型免疫調節ポリペプチドの同族共刺激ポリペプチドに対する親和性よりも少なくとも10%低い、少なくとも15%低い、少なくとも20%低い、少なくとも25%低い、少なくとも30%低い、少なくとも35%低い、少なくとも40%低い、少なくとも45%低い、少なくとも50%低い、少なくとも55%低い、少なくとも60%低い、少なくとも65%低い、少なくとも70%低い、少なくとも75%低い、少なくとも80%低い、少なくとも85%低い、少なくとも90%低い、少なくとも95%低い、または95%超低い親和性で、その同族共刺激ポリペプチドに結合する。
一部の例では、本開示のTMP内に存在するバリアント型免疫調節ポリペプチドは、同族共刺激ポリペプチドに対して、1nM~100nM、または100nM~100μMの結合親和性を有する。例えば、一部の例では、本開示のTMP内に存在するバリアント型免疫調節ポリペプチドは、同族共刺激ポリペプチドに対して、約100nM~150nM、約150nM~約200nM、約200nM~約250nM、約250nM~約300nM、約300nM~約350nM、約350nM~約400nM、約400nM~約500nM、約500nM~約600nM、約600nM~約700nM、約700nM~約800nM、約800nM~約900nM、約900nM~約1μM、約1μM~約5μM、約5μM~約10μM、約10μM~約15μM、約15μM~約20μM、約20μM~約25μM、約25μM~約50μM、約50μM~約75μM、または約75μM~約100μMの結合親和性を有する。一部の例では、本開示のTMP内に存在するバリアント型免疫調節ポリペプチドは、同族共刺激ポリペプチドに対して、約1nM~約5nM、約5nM~約10nM、約10nM~約50nM、約50nM~約100nMの結合親和性を有する。
免疫調節ポリペプチドのその同族共刺激ポリペプチドに対する低下した親和性と、TCRに対するKRASペプチドの親和性との組み合わせにより、本開示のTMPの向上した選択性がもたらされる。例えば、本開示のTMPは、i)TMP内に存在するエピトープ以外のエピトープに特異的なTCRとii)TMP内に存在する免疫調節ポリペプチドに結合する共刺激ポリペプチドとを提示する第2のT細胞への結合性と比較して、i)TMP内に存在するKRASペプチドに特異的なTCRとii)TMP内に存在する免疫調節ポリペプチドに結合する共刺激ポリペプチドとの両方を提示する第1のT細胞に選択的に結合する。例えば、本開示のTMPは、本開示のTMPが第2のT細胞に結合する親和性よりも少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、または100倍超高い親和性で第1のT細胞に結合する。
一部の例では、本開示のTMPは、それを必要とする個体に投与されると、エピトープ特異的T細胞応答とエピトープ非特異的T細胞応答の両方を誘導する。言い換えると、一部の例では、本開示のTMPは、それを必要とする個体に投与されると、i)TMP内に存在するKRASエピトープに特異的なTCRとii)TMP内に存在する免疫調節ポリペプチドに結合する共刺激ポリペプチドの両方を提示する第1のT細胞の活性化を調節することによって、エピトープ特異的T細胞応答を誘導し、かつi)TMP内に存在するKRASエピトープ以外のエピトープに特異的なTCRとii)TMP内に存在する免疫調節ポリペプチドに結合する共刺激ポリペプチドを提示する第2のT細胞の活性化を調節することによって、エピトープ非特異的T細胞応答を誘導する。エピトープ特異的T細胞応答とエピトープ非特異的T細胞応答の比率は、少なくとも2:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも50:1、または少なくとも100:1である。エピトープ特異的T細胞応答とエピトープ非特異的T細胞応答の比率は、約2:1~約5:1、約5:1~約10:1、約10:1~約15:1、約15:1~約20:1、約20:1~約25:1、約25:1~約50:1、もしくは約50:1~約100:1であるか、または100:1より大きい。T細胞の「活性化を調節すること」としては、i)細胞傷害性(例えば、CD8)T細胞を活性化させること、ii)細胞傷害性(例えば、CD8)T細胞の細胞傷害活性を誘導すること、iii)細胞傷害性(例えば、CD8)T細胞による細胞毒(例えば、パーフォリン、グランザイム、グラニュライシン)の産生及び放出を誘導すること、iv)細胞傷害性(例えば、CD8)T細胞の増殖を誘導すること、v)自己反応性T細胞の活性化を抑制することなどのうちの1つ以上を挙げることができる。
免疫調節ポリペプチドのその同族共刺激ポリペプチドに対する低下した親和性と、TCRに対するKRASエピトープの親和性との組み合わせにより、本開示のTMPの向上した選択性がもたらされる。それゆえ、例えば、本開示のTMPは、i)TMP内に存在するエピトープ以外のエピトープに特異的なTCRとii)TMP内に存在する免疫調節ポリペプチドに結合する共刺激ポリペプチドとを提示する第2のT細胞に本開示のTMPが結合する結合力よりも高い結合力で、i)TMP内に存在するKRASエピトープに特異的なTCRとii)TMP内に存在する免疫調節ポリペプチドに結合する共刺激ポリペプチドとの両方を提示する第1のT細胞に結合する。
免疫調節ポリペプチドとその同族共刺激ポリペプチドの間の結合親和性は、精製免疫調節ポリペプチド及び精製同族共刺激ポリペプチドを使用したバイオレイヤー干渉法(BLI)により測定することができる。TMPとその同族共刺激ポリペプチドの間の結合親和性は、精製TMP及び同族共刺激ポリペプチドを使用したBLIにより測定することができる。BLI法は当業者に周知である。例えば、Lad et al.(2015)J.Biomol.Screen.20(4):498-507、及びShah and Duncan(2014)J.Vis.Exp.18:e51383を参照されたい。
BLIアッセイは、Octet RED 96(Pal ForteBio)装置または類似装置を使用して以下のように実施することができる。TMP(例えば、本開示のTMP、対照TMP(対照TMPは野生型免疫調節ポリペプチドを含む))を不溶性支持体(「バイオセンサー」)上に固定する。固定TMPは「標的」である。固定化は、捕捉抗体を不溶性支持体上に固定することにより行うことができ、捕捉抗体はTMPを固定する。例えば、固定化は、抗Fc(例えば、抗ヒトIgG Fc)抗体を不溶性支持体上に固定することにより行うことができ、固定抗Fc抗体はTMPに結合してTMPを固定する(TMPはIg Fcポリペプチドを含む)。数種類の異なる濃度の共刺激ポリペプチドを固定TMPに加えて、装置の応答を記録する。アッセイは、25mM HEPES pH6.8、5%ポリ(エチレングリコール)6000、50mM KCl、0.1%ウシ血清アルブミン、及び0.02% Tween 20非イオン性界面活性剤を含む液体培地中で実施する。共刺激ポリペプチドの固定TMPへの結合は30℃で実施する。結合親和性のための陽性対照として、抗MHCクラスIモノクローナル抗体を使用することができる。例えば、7nMのKを有する抗HLAクラスIモノクローナル抗体W6/32(American Type Culture Collection No.HB-95、Parham et al.(1979)J.Immunol.123:342)を使用することができる。標準曲線は、抗MHCクラスIモノクローナル抗体の系列希釈液を使用して作成することができる。共刺激ポリペプチド、すなわち、抗MHCクラスI mAbは「検体」である。BLIでは、2つの表面、i)固定ポリペプチド(「標的」)及びii)内部基準レイヤーから反射した白色光の干渉縞を解析する。バイオセンサーチップに結合した分子(「検体」、例えば、共刺激ポリペプチド、抗HLA抗体)の数が変化すると、干渉縞のシフトが生じるが、干渉縞のこのシフトをリアルタイムで測定することができる。標的/検体相互作用の親和性を記述する2つの動力学用語は結合速度定数(k)及び解離定数(k)である。これら2つの用語の比率(k)により親和性定数(K)が求められる。
BLIアッセイはマルチウェルプレートを用いて実施する。アッセイをランするために、Octet Data Acquisitionソフトウェアを用いて、プレートレイアウトを定義し、アッセイ工程を定義し、バイオセンサーを割り当てる。バイオセンサーアセンブリを水和する。水和バイオセンサーアセンブリ及びアッセイプレートをOctet装置上で10分間平衡させる。データが得られると、得られたデータをOctet Data Analysisソフトウェアにロードする。リファレンスサブトラクション、y軸アライメント、工程間補正、及びSavitzky-Golayフィルタリングの方法を指定することにより、Processingウィンドウでデータを処理する。解析用工程(結合及び解離)を指定し、カーブフィッティングモデル(1:1)、フィッティング法(大域)、及び目的のウィンドウ(秒)を選択することにより、Analysisウィンドウでデータを解析する。フィッティングの質を評価する。3倍の範囲内である場合、それぞれのデータ記録のK値(検体濃度)を平均することができる。K誤差値は親和性定数値の1桁以内でなければならず、R値は0.95超でなければならない。例えば、Abdiche et al.(2008)J.Anal.Biochem.377:209を参照されたい。
本明細書において特に明記しない限り、同族共刺激ポリペプチドに対する本開示のTMPの親和性、または同族共刺激ポリペプチドに対する対照TMP(対照TMPは野生型免疫調節ポリペプチドを含む)の親和性は、上記のようにBLIを用いて測定される。
一部の例では、i)同族共刺激ポリペプチドに対する対照TMP(対照は野生型免疫調節ポリペプチドを含む)の結合親和性と、ii)同族共刺激ポリペプチドに対する野生型免疫調節ポリペプチドのバリアント型を含む本開示のTMPの結合親和性の比率は、BLI(上記)で測定した場合、少なくとも1.5:1、少なくとも2:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも50:1、少なくとも100:1、少なくとも500:1、少なくとも10:1、少なくとも5×10:1、少なくとも10:1、少なくとも5×10:1、少なくとも10:1、少なくとも10:1、または少なくとも10:1である。一部の例では、i)同族共刺激ポリペプチドに対する対照TMP(対照は野生型免疫調節ポリペプチドを含む)の結合親和性と、ii)同族共刺激ポリペプチドに対する野生型免疫調節ポリペプチドのバリアント型を含む本開示のTMPの結合親和性の比率は、BLIで測定した場合、1.5:1~10:1、例えば、1.5:1~10:1、10:1~50:1、50:1~10:1、10:1~10:1、10:1~10:1、10:1~10:1、または10:1~10:1の範囲である。
1つの例では、免疫調節ポリペプチドとして、対照TMPが野生型IL-2ポリペプチドを含み、本開示のTMPがバリアント型IL-2ポリペプチド(野生型IL-2ポリペプチドのアミノ酸配列と比較して1~10個のアミノ酸置換を含む)、例えば、本明細書に記載のH16A及びF42A置換を含むIL-2バリアントを含み、i)IL-2受容体(すなわち、同族共刺激ポリペプチド)に対する対照TMPの結合親和性と、ii)IL-2受容体に対する本開示のTMPの結合親和性の比率は、BLIで測定した場合、少なくとも1.5:1、少なくとも2:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも50:1、少なくとも100:1、少なくとも500:1、少なくとも10:1、少なくとも5×10:1、少なくとも10:1、少なくとも5×10:1、少なくとも10:1、少なくとも10:1、または、少なくとも10:1である。一部の例では、免疫調節ポリペプチドとして、対照TMPが野生型IL-2ポリペプチドを含み、本開示のTMPがバリアント型IL-2ポリペプチド(野生型IL-2ポリペプチドのアミノ酸配列と比較して1~10個のアミノ酸置換を含む)を含み、i)IL-2受容体(すなわち、同族共刺激ポリペプチド)に対する対照TMPの結合親和性と、ii)IL-2受容体に対する本開示のTMPの結合親和性の比率は、BLIで測定した場合、1.5:1~10:1、例えば、1.5:1~10:1、10:1~50:1、50:1~10:1、10:1~10:1、10:1~10:1、10:1~10:1、または、10:1~10:1の範囲である。
別の例では、免疫調節ポリペプチドとして、対照TMPが野生型CD80ポリペプチドを含み、本開示のTMPがバリアント型CD80ポリペプチド(野生型CD80ポリペプチドのアミノ酸配列と比較して1~10個のアミノ酸置換を含む)を含み、i)CTLA4ポリペプチド(すなわち、同族共刺激ポリペプチド)に対する対照TMPの結合親和性と、ii)CTLA4ポリペプチドに対する本開示のTMPの結合親和性の比率は、BLIで測定した場合、少なくとも1.5:1、少なくとも2:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも50:1、少なくとも100:1、少なくとも500:1、少なくとも10:1、少なくとも5×10:1、少なくとも10:1、少なくとも5×10:1、少なくとも10:1、少なくとも10:1、または、少なくとも10:1である。
別の例では、免疫調節ポリペプチドとして、対照TMPが野生型CD80ポリペプチドを含み、本開示のTMPがバリアント型CD80ポリペプチド(野生型CD80ポリペプチドのアミノ酸配列と比較して1~10個のアミノ酸置換を含む)を含み、i)CD28ポリペプチド(すなわち、同族共刺激ポリペプチド)に対する対照TMPの結合親和性と、ii)CD28ポリペプチドに対する本開示のTMPの結合親和性の比率は、BLIで測定した場合、少なくとも1.5:1、少なくとも2:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも50:1、少なくとも100:1、少なくとも500:1、少なくとも10:1、少なくとも5×10:1、少なくとも10:1、少なくとも5×10:1、少なくとも10:1、少なくとも10:1、または、少なくとも10:1である。
別の例では、免疫調節ポリペプチドとして、対照TMPが野生型4-1BBLポリペプチドを含み、本開示のTMPがバリアント型4-1BBLポリペプチド(野生型4-1BBLポリペプチドのアミノ酸配列と比較して1~10個のアミノ酸置換を含む)を含み、i)4-1BBポリペプチド(すなわち、同族共刺激ポリペプチド)に対する対照TMPの結合親和性と、ii)4-1BBポリペプチドに対する本開示のTMPの結合親和性の比率は、BLIで測定した場合、少なくとも1.5:1、少なくとも2:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも50:1、少なくとも100:1、少なくとも500:1、少なくとも10:1、少なくとも5×10:1、少なくとも10:1、少なくとも5×10:1、少なくとも10:1、少なくとも10:1、または、少なくとも10:1である。
別の例では、免疫調節ポリペプチドとして、対照TMPが野生型CD86ポリペプチドを含み、本開示のTMPがバリアント型CD86ポリペプチド(野生型CD86ポリペプチドのアミノ酸配列と比較して1~10個のアミノ酸置換を含む)を含み、i)CD28ポリペプチド(すなわち、同族共刺激ポリペプチド)に対する対照TMPの結合親和性と、ii)CD28ポリペプチドに対する本開示のTMPの結合親和性の比率は、BLIで測定した場合、少なくとも1.5:1、少なくとも2:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも50:1、少なくとも100:1、少なくとも500:1、少なくとも10:1、少なくとも5×10:1、少なくとも10:1、少なくとも5×10:1、少なくとも10:1、少なくとも10:1、または、少なくとも10:1である。
標的T細胞に対する本開示のTMPの結合親和性は、以下の方法、A)i)親野生型免疫調節ポリペプチドに結合する同族共刺激ポリペプチドとii)実質的にエピトープに結合するT細胞受容体をその表面上に発現する標的T細胞に、本開示のTMPを接触させて(TMPはエピトープタグを含み、その結果、TMPは標的T細胞に結合する)、B)エピトープタグに結合する蛍光標識結合因子(例えば、蛍光標識抗体)に標的T細胞結合TMPを接触させて、TMP/標的T細胞/結合因子複合体を作製して、C)フローサイトメトリーを使用してTMP/標的T細胞/結合因子複合体の平均蛍光強度(MFI)を測定することにより、測定することができる。エピトープタグは、例えば、FLAGタグ、ヘマグルチニンタグ、c-mycタグ、ポリ(ヒスチジン)タグなどであり得る。TMPの濃度範囲にわたり測定されたMFIにより親和性の指標がもたらされる。TMPの濃度範囲にわたり測定されたMFIによりTMPの半数効果濃度(EC50)がもたらされる。一部の例では、標的T細胞に対する本開示のTMPのEC50はnM範囲であり、対照T細胞(対照T細胞はその表面上に、i)親野生型免疫調節ポリペプチドに結合する同族共刺激ポリペプチドとii)TMP内に存在するエピトープに結合しないT細胞受容体を発現する)に対するTMPのEC50はμM範囲である。一部の例では、対照T細胞に対する本開示のTMPのEC50と、標的T細胞に対するTMPのEC50の比率は、少なくとも1.5:1、少なくとも2:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも50:1、少なくとも100:1、少なくとも500:1、少なくとも10:1、少なくとも5×10:1、少なくとも10:1、少なくとも5×10:1、少なくとも10:1、少なくとも10:1、または、少なくとも10:1である。対照T細胞に対する本開示のTMPのEC50と、標的T細胞に対するTMPのEC50の比率は、TMPの選択性の発現である。
一部の例では、直前の段落に記載したとおりに測定すると、低親和性MODを含む本開示のTMPは、i)親野生型MODに結合する同族共刺激ポリペプチドとii)TMP内に存在するエピトープ以外のエピトープに実質的に結合するT細胞受容体とを含む対照T細胞へのTMPの結合と比較して、標的T細胞への選択的結合を示す。
KRASペプチド
上記のように、本開示のTMPは通常、少なくとも約4アミノ酸の長さであり、MHC/ペプチド複合体(例えば、HLA/ペプチド複合体)内にある場合にKRASエピトープをT細胞に提示するKRASペプチドを含む。
本開示のTMPに存在するKRASペプチドは、少なくとも4アミノ酸の長さ、例えば、4アミノ酸~約25アミノ酸の長さ(例えば、9~10アミノ酸、4~20アミノ酸、6~18アミノ酸、8~15アミノ酸、8~12アミノ酸、5~10アミノ酸、10~20アミノ酸、及び15~25アミノ酸の長さの範囲内を含む、4アミノ酸(aa)、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、10aa、11aa、12aa、13aa、14aa、15aa、16aa、17aa、18aa、19aa、20aa、21aa、22aa、23aa、24aa、または25aa)を有し得る。一部の例では、KRASペプチドの長さは、9アミノ酸または10アミノ酸である。
本開示のTMPに存在するKRASエピトープは、T細胞によって特異的に結合されるペプチドであり、すなわち、エピトープは、エピトープ特異的T細胞、すなわち、KRASエピトープに特異的なTCRを有するT細胞によって特異的に結合される。エピトープ特異的T細胞は、参照アミノ酸配列を有するエピトープに結合するが、参照アミノ酸配列とは異なるエピトープには実質的に結合しない。例えば、エピトープ特異的T細胞は、参照アミノ酸配列を有するエピトープに結合し、参照アミノ酸配列とは異なるエピトープには、結合する場合でも、10-6M未満、10-5M未満、または10-4M未満の親和性で結合する。エピトープ特異的T細胞は、特異的なエピトープに、少なくとも10-7M、少なくとも10-8M、少なくとも10-9M、または少なくとも10-10Mの親和性で結合することができる。
一部の例では、好適なKRASペプチドは、以下のKRASアミノ酸配列のうちの1つに対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、少なくとも4アミノ酸の長さ、例えば、4アミノ酸~約25アミノ酸(例えば、9~10アミノ酸、4~20アミノ酸、6~18アミノ酸、8~15アミノ酸、8~12アミノ酸、5~10アミノ酸、10~20アミノ酸、及び15~25アミノ酸の長さの範囲内を含む、4アミノ酸(aa)、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、10aa、11aa、12aa、13aa、14aa、15aa、16aa、17aa、18aa、19aa、20aa、21aa、22aa、23aa、24aa、または25aa)のKRASポリペプチドである:
(A) MTEYKLVVVG AGGVGKSALT IQLIQNHFVD EYDPTIEDSY RKQVVIDGET CLWDILDTAG QEEYSAMRDQ YMRTGEGFLC VFAINNTKSF EDIHHYREQI KRVKDSEDVP MVLVGNKCDL PSRTVDTKQA QDLARSYGIP FIETSAKTRQ GVDDAFYTLV REIRKHKEKM SKDGKKKKKK SKTKCVIM (配列番号1)、ここで、当該KRASポリペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列と比較して、1つ以上(例えば、1、2、3、4、または5個)のアミノ酸置換を含み、1つ以上のアミノ酸置換は、がんに関連する置換、例えば、がん細胞のKRASポリペプチドに見出される置換を含み得、
(B)MTEYKLVVVG AGGVGKSALT IQLIQNHFVD EYDPTIEDSY RKQVVIDGET CLLDILDTAG QEEYSAMRDQ YMRTGEGFLC VFAINNTKSF EDIHHYREQI KRVKDSEDVP MVLVGNKCDL PSRTVDTKQA QDLARSYGIP FIETSAKTRQ RVEDAFYTLV REIRQYRLKK ISKEEKTPGC VKIKKCIIM (配列番号2)、ここで、当該KRASポリペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列と比較して、1つ以上(例えば、1、2、3、4、または5個)のアミノ酸置換を含み、1つ以上のアミノ酸置換は、がんに関連する置換、例えば、がん細胞のKRASポリペプチドに見出される置換を含み得、そして、
(C)MTEY(X1)L(X2)(X3)(X4)GA(X5)(X6)VGKSALT IQLIQNHFVD EYDPTIEDSY RKQVVIDGET CLWDILDTAG QEEYSAMRDQ YMRTGEGFLC VFAINNTKSF EDIHHYREQI KRVKDSEDVP MVLVGNKCDL PSRTVDTKQA QDLARSYGIP FIETSAKTRQ GVDDAFYTLV REIRKHKEKM SKDGKKKKKK SKTKCVIM (配列番号89)、配列中、X1は、Lys、Phe、またはLeuであり、X2は、ValまたはLeuであり、X3は、ValまたはThrであり、X4は、ValまたはThrであり、X5は、Gly、Asp、Cys、Val、またはSerであり、X6は、Gly、Cys、またはAspであり、X5とX6の一方または両方がCysではない。
好適なKRASペプチドの非限定的な例として、VVGADGVGK(配列番号176)、VVGACGVGK(配列番号177)、VVGAVGVGK(配列番号178)、VVVGADGVGK(配列番号179)、VVVGAVGVGK(配列番号180)、VVVGACGVGK(配列番号181)、VTGADGVGK(配列番号182)、VTGAVGVGK(配列番号183)、VTGACGVGK(配列番号184)、VTVGADGVGK(配列番号185)、VTVGAVGVGK(配列番号186)、及びVTVGACGVGK(配列番号187)からなる群から選択される配列を含むペプチドが挙げられ、KRASペプチドは、9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さ、または少なくとも9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さである。
好適なKRASペプチドの追加の非限定的な例として、VVVGAGDVGK(配列番号188)、VVGAGDVGK(配列番号189)、VVVGARGVGK(配列番号190)、及びVVGARGVGK(配列番号191)からなる群から選択される配列を含むペプチドが挙げられ、KRASペプチドは、9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さ、または少なくとも9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さである。
好適なKRASペプチドの非限定的な例として、LVVVGADGV(配列番号192)、LVVVGAVGV(配列番号193)、LVVVGACGV(配列番号194)、KLVVVGADGV(配列番号195)、KLVVVGAVGV(配列番号196)、KLVVVGACGV(配列番号197)、LLVVGADGV(配列番号198)、LLVVGAVGV(配列番号199)、LLVVGACGV(配列番号200)、FLVVVGADGV(配列番号201)、FLVVVGAVGV(配列番号202)、及びFLVVVGACGV(配列番号203)からなる群から選択される配列を含むペプチドが挙げられ、KRASペプチドは、9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さ、または少なくとも9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さである。
好適なKRASペプチドの追加の非限定的な例として、KLVVVGAGDV(配列番号204)、及びKLVVVGARGV(配列番号205)からなる群から選択される配列を含むペプチドが挙げられ、KRASペプチドは、9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さ、または少なくとも9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さである。
好適なKRASペプチドの追加の非限定的な例として、GAGDVGKSAL(配列番号206)、AGDVGKSAL(配列番号207)、DVGKSALTI(配列番号208)、GAVGVGKSAL(配列番号209)、AVGVGKSAL(配列番号210)、YKLVVVGAV(配列番号211)、ARGVGKSAL(配列番号212)、GARGVGKSAL(配列番号213)、EYKLVVVGAR(配列番号214)、RGVGKSALTI(配列番号215)、LVVVGARGV(配列番号216)、GADGVGKSAL(配列番号217)、ACGVGKSAL(配列番号218)、及びGACGVGKSAL(配列番号219)からなる群から選択される配列を含むペプチドが挙げられ、KRASペプチドは、9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さ、または少なくとも9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さである。
一部の例では、本開示のTMPは、上記のように、KRASポリペプチドのG12V形態に特異的なTCRを含むT細胞の活性を調節する。そのような場合、本開示のTMPに存在するKRASペプチドは、例えば、以下のアミノ酸配列:VVGAVGVGK(配列番号178)、VVVGAVGVGK(配列番号180)、VGAVGVGKS(配列番号222)、VGAVGVGKSA(配列番号223)、AVGVGKSAL(配列番号210)、AVGVGKSALT(配列番号225)、GAVGVGKSAL(配列番号209)、GAVGVGKSA(配列番号227)、LVVVGAVGVG(配列番号228)、LVVVGAVGV(配列番号193)、KLVVVGAVGV(配列番号196)、及びKLVVVGAVG(配列番号231)のうちの1つを含み得、KRASペプチドは、9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さ、または少なくとも9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さである。
一部の例では、本開示のTMPに存在するKRASペプチドは、HLA-A、-B、-C、-E、-F、または-G対立遺伝子に特異的なエピトープを提示する。一実施形態では、TMPに存在するKRASペプチドは、HLA-A0101、A0201、A0203、A0301、A1101、A2301、A2402、A2407、A3101、A3303、A3401、及び/またはA6801に限定されたエピトープを提示する。一実施形態では、TMPに存在するKRASエピトープペプチドは、HLA-B0702、B0801、B1502、B2705、B3802、B3802、B3901、B3902、B4001、B4601、B5101、及び/またはB5301に限定されたエピトープを提示する。一実施形態では、TMPに存在するKRASエピトープペプチドは、C0102、C0303、C0304、C0401、C0602、C0701、C702、C0801、及び/またはC1502に限定されたエピトープを提示する。
非限定的な例として、VVGADGVGK(配列番号176)、VVGACGVGK(配列番号177)、VVGAVGVGK(配列番号178)、VVVGADGVGK(配列番号179)、VVVGAVGVGK(配列番号180)、VVVGACGVGK(配列番号181)、VTGADGVGK(配列番号182)、VTGAVGVGK(配列番号183)、VTGACGVGK(配列番号184)、VTVGADGVGK(配列番号185)、VTVGAVGVGK(配列番号186)、VTVGACGVGK(配列番号187)、VVVGAGDVGK(配列番号188)、VVGAGDVGK(配列番号189)、VVVGARGVGK(配列番号190)、及びVVGARGVGK(配列番号191)からなる群から選択されるペプチドを含むKRASペプチド(当該KRASペプチドは、9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さ、または少なくとも9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さを有する)は、β2MポリペプチドとA1101 HLA-A重鎖とを含むHLA複合体に結合した場合に、エピトープを提示する。そのようなペプチドはまた、β2MポリペプチドとA6801 HLA-A重鎖とを含むHLA複合体との複合体として提示され得る。
非限定的な例として、LVVVGADGV(配列番号192)、LVVVGAVGV(配列番号193)、LVVVGACGV(配列番号194)、KLVVVGADGV(配列番号195)、KLVVVGAVGV(配列番号196)、KLVVVGACGV(配列番号197)、LLVVGADGV(配列番号198)、LLVVGAVGV(配列番号199)、LLVVGACGV(配列番号200)、FLVVVGADGV(配列番号201)、FLVVVGAVGV(配列番号202)、及びFLVVVGACGV(配列番号203)からなる群から選択されるペプチドを含むKRASペプチド(当該KRASペプチドは、9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さ、または少なくとも9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さを有する)は、β2MポリペプチドとA0201 HLA-A重鎖とを含むHLA複合体に結合した場合にエピトープを提示する。
さらなる例として、以下のKRASペプチドは、以下のようにβ2MポリペプチドとHLA-A重鎖とを含むHLA複合体に結合した場合にエピトープを提示することができる:GAGDVGKSAL(配列番号206)(β2MポリペプチドとB3801 HLA-A重鎖とを含むHLA複合体に結合した場合にエピトープを提示することができる)、AGDVGKSAL(配列番号207)(β2MポリペプチドとB0702、B3801、またはB3901 HLA-A重鎖とを含むHLA複合体に結合した場合にエピトープを提示することができる)、DVGKSALTI(配列番号208)(β2MポリペプチドとB5101 HLA-A重鎖とを含むHLA複合体に結合した場合にエピトープを提示することができる)、GAVGVGKSAL(配列番号209)(β2MポリペプチドとB0702またはB3801 HLA-A重鎖とを含むHLA複合体に結合した場合にエピトープを提示することができる)、AVGVGKSAL(配列番号210)(β2MポリペプチドとB0702 HLA-A重鎖とを含むHLA複合体に結合した場合にエピトープを提示することができる)、YKLVVVGAV(配列番号211)(β2MポリペプチドとA0203またはB3902 HLA-A重鎖とを含むHLA複合体に結合した場合にエピトープを提示することができる)、ARGVGKSAL(配列番号212)(β2MポリペプチドとB0702、B2705、またはB3901 HLA-A重鎖とを含むHLA複合体に結合した場合にエピトープを提示することができる)、GARGVGKSAL(配列番号213)(β2MポリペプチドとB0702 HLA-A重鎖とを含むHLA複合体に結合した場合にエピトープを提示することができる)、EYKLVVVGAR(配列番号214)(β2MポリペプチドとA3101 HLA-A重鎖とを含むHLA複合体に結合した場合にエピトープを提示することができる)、RGVGKSALTI(配列番号215)(β2MポリペプチドとB0702 HLA-A重鎖とを含むHLA複合体に結合した場合にエピトープを提示することができる)、LVVVGARGV(配列番号216)(β2MポリペプチドとA0203 HLA-A重鎖とを含むHLA複合体に結合した場合にエピトープを提示することができる)、GADGVGKSAL(配列番号217)(β2MポリペプチドとB3801 HLA-A重鎖とを含むHLA複合体に結合した場合にエピトープを提示することができる)、ACGVGKSAL(配列番号218)(β2MポリペプチドとB0702 HLA-A重鎖とを含むHLA複合体に結合した場合にエピトープを提示することができる)、ならびにGACGVGKSAL(配列番号219)(β2MポリペプチドとB3801 HLA-A重鎖とを含むHLA複合体に結合した場合にエピトープを提示することができる)。
MHCポリペプチド
上記のように、本開示のTMPは、MHCポリペプチドを含む。本開示の目的において、用語「主要組織適合遺伝子複合体(MHC)ポリペプチド」とは、ヒトMHC(ヒト白血球抗原(HLA)とも呼ばれる)ポリペプチド、げっ歯類(例えば、マウス、ラットなど)MHCポリペプチド、及び、その他の哺乳動物種(例えば、ウサギ目、非ヒト霊長類、イヌ科動物、ネコ科動物、有蹄類(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギなど))のMHCポリペプチドを含む、様々な種類のMHCポリペプチドを含むことを意味する。用語「MHCポリペプチド」とは、クラスIMHCポリペプチド(例えば、β-2ミクログロブリン及びMHCクラスI重鎖)を含むことを意味する。
一部の例では、第1のMHCポリペプチドはMHCクラスIβ2M(β2M)ポリペプチドであり、第2のMHCポリペプチドはMHCクラスI重鎖(H鎖)(「MHC-H」))である。他の例では、第1のMHCポリペプチドはMHCクラスI重鎖ポリペプチドであり、第2のMHCポリペプチドはβ2Mポリペプチドである。一部の例では、β2M鎖とMHC-H鎖の両方がヒト由来であり、すなわち、MHC-H鎖はHLA重鎖またはそのバリアントである。特に明記しない限り、本開示のTMPは、MHCクラスI重鎖の膜固定ドメイン(膜貫通領域)、または結果として生じるTMPを、それを発現する細胞(例えば、哺乳動物細胞などの真核細胞)に固定するのに十分なMHCクラスI重鎖の一部を含まない。一部の例では、本開示のTMPに存在するMHCクラスI重鎖は、天然のMHCクラスI重鎖に関連するシグナルペプチド、膜貫通ドメイン、または細胞内ドメイン(細胞質尾部)を含まない。したがって、例えば、一部の例では、本開示のTMPに存在するMHCクラスI重鎖は、MHCクラスI重鎖のα1、α2、及びα3ドメインのみを含む。一部の例では、本開示のTMPに存在するMHCクラスI重鎖は、約270アミノ酸(aa)~約290aaの長さを有する。一部の例では、本開示のTMPに存在するMHCクラスI重鎖は、270aa、271aa、272aa、273aa、274aa、275aa、276aa、277aa、278aa、279aa、280aa、281aa、282aa、283aa、284aa、285aa、286aa、287aa、288aa、289aa、または290aaの長さを有する。
一部の例では、TMPのMHCポリペプチドはヒトMHCポリペプチドであり、ヒトMHCポリペプチドはまた、「ヒト白血球抗原」(「HLA」)」ポリペプチドとも呼ばれる。一部の例では、TMPのMHCポリペプチドは、クラスIHLAポリペプチド、例えば、β2-ミクログロブリンポリペプチド、または、クラスIHLA重鎖ポリペプチドである。クラスIHLA重鎖ポリペプチドとしては、HLA-A重鎖ポリペプチド、HLA-B重鎖ポリペプチド、HLA-C重鎖ポリペプチド、HLA-E重鎖ポリペプチド、HLA-F重鎖ポリペプチド、及びHLA-G重鎖ポリペプチドが挙げられる。
MHCクラスI重鎖
一部の例では、本開示のTMPに存在するMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図7~13に示すヒトHLA重鎖ポリペプチドのいずれかのアミノ酸配列の全部または一部(例えば、50、75、100、150、200、または250個の連続アミノ酸)に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の例では、MHCクラスI重鎖は、270aa、271aa、272aa、273aa、274aa、275aa、276aa、277aa、278aa、279aa、280aa、281aa、282aa、283aa、284aa、285aa、286aa、287aa、288aa、289aa、または290aaの長さを有する。一部の例では、本開示のTMPに存在するMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図7~13に示すアミノ酸配列のいずれか1つの、1~30、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30個のアミノ酸の挿入、欠失、及び/または置換を含む(重鎖コンセンサス配列において可変であると示されるそれらの位置に加えて)。一部の例では、MHCクラスI重鎖は、膜貫通ドメインまたは細胞質ドメインを含まない。一例として、本開示のTMPのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図5A、5B、及び5Cのいずれか1つに示すヒトHLA-A重鎖ポリペプチドの、アミノ酸25~300(リーダー配列、膜貫通配列及び細胞質配列の全て、または実質的に全てを欠いている)またはアミノ酸25~365(リーダーを欠いている)に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。
図5A、5B及び5Cは、ヒト白血球抗原(HLA)クラスI重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列を提供する。シグナル配列であるアミノ酸1~24を、太字で示し、下線を引いている。図5Aのエントリー:3A.1は、HLA-A重鎖(HLA-A01:01:01:01またはA0101)(NCBI登録番号NP_001229687.1)であり、配列番号35、エントリー3A.2は、HLA-A1101配列番号36由来であり、エントリー3A.3は、HLA-A2402配列番号37由来であり、エントリー3A.4は、HLA-A3303配列番号38由来である。図5Bは、配列HLA-B07:02:01(HLA-B0702)NCBI GenBank登録番号NP_005505.2(GenBank登録番号AUV50118.1も参照のこと)を提供する。図5Cは、配列HLA-C0701(GenBank登録番号NP_001229971.1)(HLA-C07:01:01:01またはHLA-Cw070101、HLA-Cw07、GenBank登録番号CAO78194.1を参照のこと)を提供する。
上記のように、ヘテロ二量体TMPの第1及び第2のポリペプチドは、通常、1つ以上のジスルフィド結合を含み、TMPに高い安定性及び/または高い発現を付与する。1つ以上のジスルフィド結合は、同じポリペプチド内に提供されるCys残基、すなわち鎖内ジスルフィド結合との間に形成され得る。あるいは、またはそのような鎖内ジスルフィド結合に加えて、第1及び第2のポリペプチドで提供されるCys残基の間に1つ以上の鎖間ジスルフィド結合が形成され得、例えば、(i)非天然Cys残基が、MHCクラスIポリペプチドの両方、すなわち、β2Mポリペプチド及びMHCクラスI重鎖ポリペプチドに提供され得、及び/または(ii)Cys残基を含むリンカーが、第1及び第2のポリペプチドの両方に提供され得、及び/または(iii)Cys残基を含むリンカーが、第1及び第2のポリペプチドの一方に(例えば、第1のポリペプチドのエピトープとβ2Mとの間に)提供され得、非天然Cys残基が、他方のMHCクラスIポリペプチドに(例えば、MHCクラスI重鎖ポリペプチドに)提供され得る。例示的な構成を以下に記載する。
図6は、11種の成熟MHCクラスI重鎖アミノ酸配列(それらのリーダー配列または膜貫通ドメインまたは細胞内ドメインを含まない)のアライメントを示している。アラインした配列は、ヒトHLA-A、HLA-B、及びHLA-C、マウスH2Kタンパク質配列、HLA-Aの3種のバリアント型(バリアント型1、バリアント型2C、及びバリアント型2CP)、ならびに、3種のヒトHLA-Aバリアント型(HLA-A1101、HLA-A2402、及びHLA-A3303)である。アライメント内に示しているものは、MHCH鎖-β2M複合体を安定化させるジスルフィド結合を形成するために、システイン残基が導入され得る(例えば、置換によって)位置(成熟タンパク質の84及び139)である。更にアライメント内に示しているものは、β2Mと鎖間ジスルフィド結合を形成可能(例えば、aa12において)なシステイン残基で置換され得る236位(成熟ポリペプチドの)である。それらの位置のそれぞれの上に矢印を示し、残基を太字にしている。アライメント内に示す7番目のHLA-A配列(バリアント型2c)は、84位、139位及び236位においてC残基で置換されたバリアント型2の配列を示している。残基84、139及び236の両側に隣接するボックスは、(i)任意の天然アミノ酸、または(ii)プロリンもしくはグリシンを除く任意の天然アミノ酸から独立して選択される1~5つのアミノ酸で置換され得、aac1(「アミノ酸クラスター1」)、aac2(「アミノ酸クラスター2」)、aac3(「アミノ酸クラスター3」)、aac4(「アミノ酸クラスター4」)、aac5(「アミノ酸クラスター5」)、及びaac6(「アミノ酸クラスター6」)で示される、6セットの5残基の片側における5アミノ酸のグループを示している。
図6に関して、一部の例では、i)aac1(アミノ酸クラスター1)は、アミノ酸配列GTLRG(配列番号98)、または、1つまたは2つのアミノ酸が欠失したまたはその他の天然アミノ酸で置換されている(例えば、LがI、V、AまたはFで置換されている)配列であってもよく、ii)aac2(アミノ酸クラスター2)は、アミノ酸配列YNQSE(配列番号99)、または、1つまたは2つのアミノ酸が欠失したまたはその他の天然アミノ酸で置換されている(例えば、NがQで置換されている、QがNで置換されている、及び/または、EがDで置換されている)配列であってもよく、iii)aac3(アミノ酸クラスター3)は、アミノ酸配列TAADM(配列番号100)、または、1つまたは2つのアミノ酸が欠失したまたはその他の天然アミノ酸で置換されている(例えば、TがSで置換されている、AがGで置換されている、DがEで置換されている、及び/または、MがL、VまたはIで置換されている)配列であってもよく、iv)aac4(アミノ酸クラスター4)は、アミノ酸配列AQTTK(配列番号101)、または、1つまたは2つのアミノ酸が欠失したまたはその他の天然アミノ酸で置換されている(例えば、AがGで置換されている、QがNで置換されている、TがSで置換されている、及び/または、KがRまたはQで置換されている)配列であってもよく、v)aac5(アミノ酸クラスター5)は、アミノ酸配列VETRP(配列番号102)、または、1つまたは2つのアミノ酸が欠失したまたはその他の天然アミノ酸で置換されている(例えば、VがIまたはLで置換されている、EがDで置換されている、TがSで置換されている、及び/または、RがKで置換されている)配列であってもよく、及び/または、vi)aac6(アミノ酸クラスター6)は、アミノ酸配列GDGTF(配列番号103)、または、1つまたは2つのアミノ酸が欠失したまたはその他の天然アミノ酸で置換されている(例えば、DがEで置換されている、TがSで置換されている、または、FがL、WまたはYで置換されている)配列であってもよい。
図7~9は、成熟HLAクラスI重鎖アミノ酸配列(リーダー配列または膜貫通ドメインまたは細胞内ドメインを含まない)のアライメントを示す。図7Aのアラインされたアミノ酸配列は、以下の対立遺伝子のHLA-AクラスI重鎖である:A0101、A0201、A0301、A1101、A2301、A2402、A2407、A3303、及びA3401。図8Aのアラインされたアミノ酸配列は、以下の対立遺伝子のHLA-BクラスI重鎖である:B0702、B0801、B1502、B3802、B4001、B4601、及びB5301。図9Aのアラインされたアミノ酸配列は、以下の対立遺伝子のHLA-CクラスI重鎖である:C0102、C0303、C0304、C0401、C0602、C0701、C0801、及びC1502。アライメントには、HLAH鎖-β2M複合体を安定化するためのジスルフィド結合を形成するためにシステイン残基が(例えば、置換によって)導入され得る位置(成熟タンパク質の84及び139)を示している。アライメントには、位置236(成熟ポリペプチドの)も示しており、これは、β2Mと鎖間ジスルフィド結合を形成することができるシステイン残基によって置換され得る(例えば、aa12で)。残基84、139、及び236に隣接するボックスは、aac1(「アミノ酸クラスター1」の場合)、aac2(「アミノ酸クラスター2」の場合)、aac3(「アミノ酸クラスター3」の場合)、aac4(「アミノ酸クラスター4」の場合)、aac5(「アミノ酸クラスター5」の場合)、及びaac6(「アミノ酸クラスター6」の場合)で示される5残基の6つのセットのいずれかの側にある5つのアミノ酸群を示しており、これらは、(i)天然アミノ酸または(ii)プロリンもしくはグリシンを除く天然アミノ酸から独立して選択される1~5個のアミノ酸によって置換してもよい。
図7A、8A、及び9Aは、それぞれ、成熟HLA-A、HLA-B、及びHLA-CクラスI重鎖のアミノ酸配列のアライメントを示す。当該配列は、当該成熟タンパク質の細胞外部分を示す(リーダー配列または膜貫通ドメインまたは細胞内ドメインを含まない)。図6に記載のように、aa残基84、139、及び236の位置、ならびに(i)任意の天然アミノ酸または(ii)プロリンもしくはグリシンを除く天然アミノ酸から独立して選択される1~5個のアミノ酸によって置換され得るそれらの隣接残基(aac1~aac6)も示している。図7B、8B、及び9Bは、それぞれ、図7A、8A、及び9Aに示すHLA-A、HLA-B、及びHLA-C配列のコンセンサスアミノ酸配列を示す。コンセンサス配列では、可変アミノ酸位置を、連番の「X」残基として示し、アミノ酸84、139、及び236の位置に二重下線を引いている。
図7Aに関して、一部の例では、i)aac1(アミノ酸クラスター1)は、アミノ酸配列GTLRG(配列番号98)またはその配列から1つもしくは2つのアミノ酸を欠失させるか、もしくは他の天然アミノ酸に置換した(例えば、LをI、V、AまたはFに置換した)配列であってもよく、ii)aac2(アミノ酸クラスター2)は、アミノ酸配列YNQSE(配列番号99)またはその配列から1つもしくは2つのアミノ酸を欠失させるか、もしくは他の天然アミノ酸に置換した(例えば、NをQに置換、QをNに置換、及び/またはEをDに置換した)配列であってもよく、iii)aac3(アミノ酸クラスター3)は、アミノ酸配列TAADM(配列番号100)またはその配列から1つもしくは2つのアミノ酸を欠失させるか、もしくは他の天然アミノ酸に置換した(例えば、TをSに置換、AをGに置換、DをEに置換、及び/またはMをL、V、またはIに置換した)配列であってもよく、iv)aac4(アミノ酸クラスター4)は、アミノ酸配列AQTTK(配列番号101)またはその配列から1つもしくは2つのアミノ酸を欠失させるか、もしくは他の天然アミノ酸に置換した(例えば、AをGに置換、QをNに置換、TをSに置換、及び/またはKをRまたはQに置換した)配列であってもよく、v)aac5(アミノ酸クラスター5)は、アミノ酸配列VETRP(配列番号102)またはその配列から1つもしくは2つのアミノ酸を欠失させるか、もしくは他の天然アミノ酸に置換した(例えば、VをIまたはLに置換、EをDに置換、TをSに置換、及び/またはRをKに置換した)配列であってもよく、及び/またはvi)aac6(アミノ酸クラスター6)は、アミノ酸配列GDGTF(配列番号103)またはその配列から1つもしくは2つのアミノ酸を欠失させるか、もしくは他の天然アミノ酸に置換した(例えば、DをEに置換、TをSに置換、またはFをL、W,もしくはYに置換した)配列であってもよい。
図8Aに関して、一部の例では、i)aac1(アミノ酸クラスター1)は、アミノ酸配列RNLRG(配列番号104)またはその配列から1つもしくは2つのアミノ酸を欠失させるか、もしくは他の天然アミノ酸に置換した(例えば、NをTまたはIに置換、及び/またはLをAに置換、及び/または第2のRをLに置換、及び/またはGをRに置換した)配列であってもよく、ii)aac2(アミノ酸クラスター2)は、アミノ酸配列YNQSE(配列番号99)またはその配列から1つもしくは2つのアミノ酸を欠失させるか、もしくは他の天然アミノ酸に置換した(例えば、NをQに置換、QをNに置換、及び/またはEをDに置換した)配列であってもよく、iii)aac3(アミノ酸クラスター3)は、アミノ酸配列TAADT(配列番号105)またはその配列から1つもしくは2つのアミノ酸を欠失させるか、もしくは他の天然アミノ酸に置換した(例えば、第1のTをSに置換、及び/またはAをGに置換、及び/またはDをEに置換、及び/または第2のTをSに置換した)配列であってもよく、iv)aac4(アミノ酸クラスター4)は、アミノ酸配列AQITQ(配列番号106)またはその配列から1つもしくは2つのアミノ酸を欠失させるか、もしくは他の天然アミノ酸に置換した(例えば、AをGに置換、及び/または第1のQをNに置換、及び/またはIをLまたはVに置換、及び/またはTをSに置換、及び/または第2のQをNに置換した)配列であってもよく、v)aac5(アミノ酸クラスター5)は、アミノ酸配列VETRP(配列番号102)またはその配列から1つもしくは2つのアミノ酸を欠失させるか、もしくは他の天然アミノ酸に置換した(例えば、VをIまたはLに置換、EをDに置換、TをSに置換、及び/またはRをKに置換した)配列であってもよく、及び/またはvi)aac6(アミノ酸クラスター6)は、アミノ酸配列GDRTF(配列番号107)またはその配列から1つもしくは2つのアミノ酸を欠失させるか、もしくは他の天然アミノ酸に置換した(例えば、DをEに置換、及び/またはTをSに置換、及び/またはRをKまたはHに置換、及び/またはFをL、W、またはYに置換した)配列であってもよい。
図9Aに関して、一部の例では、i)aac1(アミノ酸クラスター1)は、アミノ酸配列RNLRG(配列番号104)またはその配列から1つもしくは2つのアミノ酸を欠失させるか、もしくは他の天然アミノ酸に置換した(例えば、NをKに置換、及び/またはLをAまたはIに置換、及び/またはRをHに置換、及び/またはGをTまたはSに置換した)配列であってもよく、ii)aac2(アミノ酸クラスター2)は、アミノ酸配列YNQSE(配列番号99)またはその配列から1つもしくは2つのアミノ酸を欠失させるか、もしくは他の天然アミノ酸に置換した(例えば、NをQに置換、QをNに置換、及び/またはEをDに置換した)配列であってもよく、iii)aac3(アミノ酸クラスター3)は、アミノ酸配列TAADT(配列番号105)またはその配列から1つもしくは2つのアミノ酸を欠失させるか、もしくは他の天然アミノ酸に置換した(例えば、第1のTをSに置換、及び/またはAをGに置換、及び/またはDをEに置換、及び/または第2のTをSに置換した)配列であってもよく、iv)aac4(アミノ酸クラスター4)は、アミノ酸配列AQITQ(配列番号106)またはその配列から1つもしくは2つのアミノ酸を欠失させるか、もしくは他の天然アミノ酸に置換した(例えば、AをGに置換、及び/または第1のQをNに置換、及び/またはIをLに置換、及び/または第2のQをNまたはKに置換した)配列であってもよく、v)aac5(アミノ酸クラスター5)は、アミノ酸配列VETRP(配列番号102)またはその配列から1つもしくは2つのアミノ酸を欠失させるか、もしくは他の天然アミノ酸に置換した(例えば、VをIまたはLに置換、EをDに置換、TをSに置換、及び/またはRをKまたはHに置換した)配列であってもよく、及び/またはvi)aac6(アミノ酸クラスター6)は、アミノ酸配列GDGTF(配列番号103)またはその配列から1つもしくは2つのアミノ酸を欠失させるか、もしくは他の天然アミノ酸に置換した(例えば、DをEに置換、及び/またはTをSに置換、及び/またはFをL、W、またはYに置換した)配列であってもよい。
HLA-A
一部の例では、本開示のTMPは、HLA-A重鎖ポリペプチドを含む。本開示のTMPに組み込まれ得るHLA-A重鎖ペプチド配列またはその一部として、限定されないが、対立遺伝子A0101、A0201、A0301、A1101、A2301、A2402、A2407、A3303、及びA3401が挙げられ、これらを、図7Aにおいて、リーダー配列、膜貫通配列及び細胞質配列の全て、または実質的に全てを含めずにアラインしている。これらの対立遺伝子のいずれも、84位、139位及び/または236位(図7Aに示す)の1か所以上で、以下から選択される変異を含んでいてもよい:84位でのチロシンからアラニン(Y84A)、84位でのチロシンからシステイン(Y84C)、139位でのアラニンからシステイン(A139C)、及び236位でのアラニンからシステインへの置換(A236C)。さらに、HLA-A対立遺伝子の配列の全部または一部(例えば、50、75、100、150、200、または250連続アミノ酸)に対して、少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%)または100%のアミノ酸配列同一性を有するHLA-A配列もまた、使用してよい(例えば、それは、1~25、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30アミノ酸の挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)。本開示のTMPは、図21A~21AA、21DD~21FF、21HH、及び22A~22BBのいずれか1つに示すアミノ酸配列を含むMHCクラスI重鎖を含み得る。
一部の例では、本開示のTMPは、図21II(配列番号61)に示すHLA-Aコンセンサスアミノ酸配列(X1は、F、Y、S、またはTであり、X2は、KまたはRであり、X3は、Q、G、E、またはRであり、X4は、NまたはEであり、X5は、RまたはGであり、X6は、NまたはKであり、X7は、MまたはVであり、X8は、HまたはQであり、X9は、TまたはIであり、X10は、DまたはHであり、X11は、A、V、またはEであり、X12は、NまたはDであり、X13は、GまたはRであり、X14は、TまたはIであり、X15は、LまたはAであり、X16は、RまたはLであり、X17は、GまたはRであり、X18は、AまたはDであり、X19は、I、L、またはVであり、X20は、I、R、またはMであり、X21は、FまたはYであり、X22は、SまたはPであり、X23は、WまたはGであり、X24は、R、H、またはQであり、X25は、DまたはYであり、X26は、NまたはKであり、X27は、TまたはIであり、X28は、KまたはQであり、X29は、RまたはHであり、X30は、AまたはTであり、X31は、AまたはVであり、X32は、HまたはRであり、X33は、R、L、Q、またはWであり、X34は、VまたはAであり、X35は、DまたはEであり、X36は、RまたはTであり、X37は、DまたはEであり、X38は、WまたはGであり、X39は、PまたはAであり、X40は、PまたはAであり、X41は、VまたはIであり、X42は、SまたはGであり、X43は、AまたはSであり、X44は、QまたはEであり、及びX45は、PまたはLである)を含むHLA-A重鎖ポリペプチドを含む。
一例として、TMPのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図21A(配列番号108)または21B(配列番号109)に示すヒトHLA-A重鎖アミノ酸配列に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。図21BのHLA-A重鎖ポリペプチドは、「HLA-A0201」または単に「HLA-A02」とも呼ばれる。一部の例では、C末端Proは本開示のTMPに含まれない。例えば、一部の例では、本開示のTMPに含めるのに適したHLA-A02ポリペプチドは、図21C(配列番号110)に示すアミノ酸配列に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有する。
HLA-A(Y84A、A236C)
一部の例では、MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、Y84A置換及びA236C置換を含む。例えば、一部の例では、MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図21D(配列番号111)に示すヒトHLA-A重鎖(Y84A、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はAlaであり、アミノ酸236はCysである)に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の例では、Cys-236は、R12C置換を含むバリアント型β2MポリペプチドのCys-12と鎖間ジスルフィド結合を形成する。
一部の例では、本開示のTMPに含めるのに適したHLA-A重鎖ポリペプチドは、図21E(配列番号112)のアミノ酸配列を含むHLA-A02(Y84A、A236C)ポリペプチドである。一部の例では、本開示のTMPに含めるのに適したHLA-A重鎖ポリペプチドは、図21F(配列番号113)に示すアミノ酸配列を含むHLA-A02(Y84A、A236C)ポリペプチドである。
HLA-A(Y84C、A139C)
一部の例では、MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、Y84C置換及びA139C置換を含む。例えば、一部の例では、MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図21G(配列番号114)に示すヒトHLA-A重鎖(Y84C、A139C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸139はCysである)に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の例では、Cys-84は、Cys-139と鎖内ジスルフィド結合を形成する。
HLA-A(Y84C、A139C、A236C)
一部の例では、本開示のTMPに含めるのに適したMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図21H(配列番号120)に示すヒトHLA-A重鎖(Y84C、A139C、A236C)アミノ酸配列に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、アミノ酸84はCys、アミノ酸139はCys、及びアミノ酸236はCysである。一部の例では、Cys-84は、Cys-139と鎖内ジスルフィド結合を形成する。アミノ酸236のCysは、第2のポリペプチド鎖のCys残基とジスルフィド結合を形成し得る。例えば、アミノ酸236のCysは、R12C置換を含むβ2MポリペプチドのCys-12残基とジスルフィド結合を形成し得る。
一部の例では、本開示のTMPに含めるのに適したHLA-A重鎖ポリペプチドは、図21I(配列番号232)に示すアミノ酸配列を含むHLA-A02(Y84C、A139C、A236C)ポリペプチドである。
HLA-A11(HLA-A1101)
1つの非限定例として、TMPのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図21J(配列番号115)に示すヒトHLA-A11重鎖アミノ酸配列に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。そのようなMHCクラスI重鎖は、アジア系の個人の集団を含むアジア人集団において顕著であり得る。
HLA-A11(Y84A、A236C)
1つの非限定例として、一部の例では、MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、Y84A置換とA236C置換を含むHLA-A11対立遺伝子である。例えば、一部の例では、MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図21K(配列番号116)に示すヒトHLA-A A11重鎖(Y84A、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はAlaであり、アミノ酸236はCysである)に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の例では、Cys-236は、図21L(配列番号233)に示すように、R12C置換を含むバリアント型β2MポリペプチドのCys-12と鎖間ジスルフィド結合を形成する(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)。
HLA-A24(HLA-A2402)
1つの非限定例として、本開示のTMPのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図21M(配列番号117)に示すヒトHLA-A24重鎖アミノ酸配列に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。そのようなMHCクラスI重鎖は、アジア系の個人の集団を含むアジア人集団において顕著であり得る。一部の例では、アミノ酸84はAlaである。一部の例では、アミノ酸84はCysである。一部の例では、アミノ酸236はCysである。一部の例では、アミノ酸84はAlaであり、アミノ酸236はCysである。一部の例では、アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである。
1つの非限定例として、本開示のTMPのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図21N(配列番号586)に示すヒトHLA-A24(HLA-A2402とも呼ばれる)重鎖アミノ酸配列に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。そのようなMHCクラスI重鎖は、アジア系の個人の集団を含むアジア人集団において顕著であり得る。一部の例では、84位のアミノ酸X1はAlaである。一部の例では、84位のアミノ酸はCysである。一部の例では、236位のアミノ酸X2はCysである。一部の例では、アミノ酸84はAlaであり、アミノ酸236はCysである。一部の例では、アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである。
一部の例では、本開示のTMPのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、以下の図のうちの1つに示すヒトHLA-A24(HLA-A2402とも呼ばれる)重鎖アミノ酸配列に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る:
(i)図21O(配列番号235)(アミノ酸84はTyrであり、アミノ酸236はAlaである)(アミノ酸84及び236には太字で下線が引かれている)(MHCクラスI重鎖の長さは約275アミノ酸である)
(ii)TMP図21P(配列番号236)(アミノ酸84はAlaであり、アミノ酸236はAlaである(アミノ酸84及び236には太字で下線が引かれている)(MHCクラスI重鎖の長さは約275アミノ酸である)
(iii)TMP図21Q(配列番号237)(アミノ酸84はTyrであり、アミノ酸236はCysである)(アミノ酸84及び236には太字で下線が引かれている)(MHCクラスI重鎖の長さは約275アミノ酸である)
(iv)TMP図21R(配列番号238)(アミノ酸84はAlaであり、アミノ酸236はCysである)(アミノ酸84及び236には太字で下線が引かれている)(MHCクラスI重鎖の長さは約275アミノ酸である)
(v)TMP図21S(配列番号239)(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はAlaである)(アミノ酸84及び236には太字で下線が引かれている)(MHCクラスI重鎖の長さは約275アミノ酸である)
(vi)TMP図21T(配列番号240)(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)(アミノ酸84及び236には太字で下線が引かれている)(MHCクラスI重鎖の長さは約275アミノ酸である)
HLA-A33(HLA-A3303)
1つの非限定的な例として、本開示のTMPのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図21U(配列番号118)に示すヒトHLA-A33重鎖アミノ酸配列に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。そのようなMHCクラスI重鎖は、アジア系の個人の集団を含むアジアの集団で顕著であり得る。一部の例では、アミノ酸84はAlaである。一部の例では、アミノ酸84はCysである。一部の例では、アミノ酸236はCysである。一部の例では、アミノ酸84はAlaであり、アミノ酸236はCysである。一部の例では、アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである。
HLA-B
一部の例では、本開示のTMPは、HLA-B重鎖ポリペプチドを含む。本開示のTMPに組み込まれ得るHLA-B重鎖ペプチド配列またはその一部として、限定されないが、対立遺伝子:B0702、B0801、B1502、B3802、B4001、B4601、及びB5301が挙げられ、これらを、図8Aにおいて、リーダー配列、膜貫通配列及び細胞質配列の全て、または実質的に全てを含めずにアラインしている。これらの対立遺伝子のいずれも、84位、139位及び/または236位(図8Aに示す)の1か所以上で、以下から選択される変異を含んでいてもよい:84位でのチロシンからアラニン(Y84A)、84位でのチロシンからシステイン(Y84C)、139位でのアラニンからシステイン(A139C)、及び236位でのアラニンからシステインへの置換(A236C)。さらに、HLA-B対立遺伝子の配列の全部または一部(例えば、50、75、100、150、200、または250連続アミノ酸)に対して、少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%)または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHLA-Bポリペプチドもまた使用してよい(例えば、それは、1~25、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30アミノ酸の挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)。
一部の例では、本開示のTMPは、図21JJ(配列番号69)に示すHLA-Bコンセンサスアミノ酸配列(X1は、H、Y、またはDであり、X2は、AまたはSであり、X3は、MまたはVであり、X4は、A、S、またはTであり、X5は、QまたはLであり、X6は、AまたはTであり、X7は、E、M、K、またはTであり、X8は、AまたはTであり、X9は、EまたはNであり、X10は、IまたはKであり、X11は、Y、F、S、またはCであり、X12は、NまたはQであり、X13は、AまたはTであり、X14は、DまたはYであり、X15は、EまたはVであり、X16は、SまたはNであり、X17は、T、N、またはIであり、X18は、AまたはLであり、X19は、LまたはRであり、X20は、RまたはGであり、X21は、TまたはIであり、X22は、LまたはIであり、X23は、RまたはSであり、X24は、RまたはSであり、X25は、SまたはTであり、X26は、LまたはWであり、X27は、EまたはVであり、X28は、R、D、L、またはWであり、X29は、AまたはTであり、X30は、L、E、またはTであり、X31は、EまたはDであり、X32は、KまたはTであり、X33は、EまたはQであり、X34は、IまたはVである)を含むHLA-B重鎖ポリペプチドを含む。
一例として、本開示のTMPのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図21V(配列番号119)に示すヒトHLA-B重鎖アミノ酸配列に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。
HLA-B(Y84A、A236C)
1つの非限定例として、一部の例では、MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、Y84A置換とA236C置換を含むHLA-Bポリペプチドである。例えば、一部の例では、MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図21W(配列番号121)に示すヒトHLA-B重鎖(Y84A、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はAlaであり、アミノ酸236はCysである)に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の例では、Cys-236は、R12C置換を含むバリアント型β2MポリペプチドのCys-12と鎖間ジスルフィド結合を形成する。
HLA-B(Y84C、A139C)
一部の例では、MHCクラスI重鎖ポリペプチドはY84C置換及びA139C置換を含む。例えば、一部の例では、MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図21X(配列番号122)に示すヒトHLA-B重鎖(Y84C、A139C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸139はCysである)に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の例では、Cys-84は、Cys-139と鎖内ジスルフィド結合を形成する。
HLA-B0702
一例として、一部の例では、本開示のTMPに存在するMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図8AのHLA-B0702(配列番号62)のアミノ酸配列、またはその配列の全部もしくは一部(例えば、50、75、100、150、200、または250連続アミノ酸)に対して、少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%)もしくは100%のアミノ酸配列同一性を有する配列(例えば、それは、1~25、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30アミノ酸の挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)を含む。一部の例では、本開示のTMPのHLA-B重鎖ポリペプチドが、図6においてHLA-Bとラベル付けされた配列、または図8Aにおいて「B0702」とラベル付けされた配列に対して100%未満の同一性を有する場合、それは、84位、139位及び/または236位のうちの1つ以上で、以下から選択される変異を含んでいてもよい:84位でのチロシンからアラニンへの置換(Y84A)、84位(Y84C)でのチロシンからシステインへの置換、139位でのアラニンからシステイン(A139C)、及び236位でのアラニンからシステインへの置換(A236C)。一部の例では、本開示のTMPのHLA-B重鎖ポリペプチドは、Y84A及びA236C置換を含む。一部の例では、本開示のTMPのHLA-B0702重鎖ポリペプチドは、Y84C及びA139C置換を含む。一部の例では、本開示のTMPのHLA-B重鎖ポリペプチドは、Y84C、A139C、及びA236C置換を含む。
HLA-C
一部の例では、本開示のTMPは、HLA-C重鎖ポリペプチドを含む。本開示のTMPに組み込まれ得るHLA-C重鎖ポリペプチドまたはその一部として、限定されないが、対立遺伝子:C0102、C0303、C0304、C0401、C0602、C0701、C0801、及びC1502が挙げられ、図9Aにおけるリーダー配列、膜貫通配列及び細胞質配列の全て、または実質的に全てを含めずにアラインしている。これらの対立遺伝子のいずれも、84位、139位及び/または236位(図9Aに示される)の1つ以上で、以下から選択される変異を含んでいてもよい:84位でのチロシンからアラニンへの置換(Y84A)、84位でのチロシンからシステインへの置換(Y84C)、139位でのアラニンからシステインへの置換(A139C)、236位でのアラニンからシステインへの置換(A236C)。さらに、HLA-C対立遺伝子の配列の全部または一部(例えば、50、75、100、150、200、または250連続アミノ酸)に対して、少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%)または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHLA-Cポリペプチドもまた、使用してよい(例えば、それは、1~25、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30アミノ酸の挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)。
一部の例では、本開示のTMPは、以下のHLA-Cコンセンサスアミノ酸配列:
Figure 2022548472000004
(配列番号79)を含むHLA-C重鎖ポリペプチドを含み、配列中、X1は、CまたはGであり、X2は、RまたはKであり、X3は、F、Y、S、またはDであり、X4は、RまたはWであり、X5は、HまたはRであり、X6は、AまたはSであり、X7は、QまたはRであり、X8は、AまたはEであり、X9は、NまたはKであり、X10は、TまたはAであり、X11は、SまたはNであり、X12は、NまたはKであり、X13は、AまたはDであり、X14は、GまたはRであり、X15は、TまたはIであり、X16は、LまたはIであり、X17は、WまたはRであり、X18は、C、Y、F、またはSであり、X19は、LまたはVであり、X20は、YまたはHであり、X21は、DまたはNであり、X22は、Y、F、S、またはLであり、X23は、LまたはWであり、X24は、E、A、またはTであり、X25は、R、L、またはWであり、X26は、LまたはTであり、X27は、EまたはKであり、X28は、EまたはKであり、X29は、HまたはPであり、X30は、RまたはVであり、X31は、WまたはRであり、X32は、VまたはMであり、X33は、EまたはQであり、X34は、MまたはVであり、X35は、PまたはQであり、X36は、RまたはSであり、X37は、PまたはGである。
一例として、本開示のTMPのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図21Y(配列番号123)に示すヒトHLA-C重鎖アミノ酸配列に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。
HLA-C(Y84A、A236C)
1つの非限定例として、一部の例では、MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、Y84A置換とA236C置換を含むHLA-Cポリペプチドである。例えば、一部の例では、MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図21Z(配列番号124)に示すヒトHLA-C重鎖(Y84A、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はAlaであり、アミノ酸236はCysである)に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の例では、Cys-236は、R12C置換を含むバリアント型β2MポリペプチドのCys-12と鎖間ジスルフィド結合を形成する。
HLA-C(Y84C、A139C)
一部の例では、MHCクラスI重鎖ポリペプチドはY84C置換及びA139C置換を含む。例えば、一部の例では、MHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図21AA(配列番号125)に示すヒトHLA-C重鎖(Y84C、A139C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸139はCysである)に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の例では、Cys-84は、Cys-139と鎖内ジスルフィド結合を形成する。
HLA-C0701
一部の例では、本開示のTMPのMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、図9AのHLA-C0701(図6においてHLA-Cとラベル付けされている)のアミノ酸配列、またはその配列の全部もしくは一部(例えば、50、75、100、150、200、または250連続アミノ酸)に対して、少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%)もしくは100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む(例えば、それは、1~25、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30アミノ酸の挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)。一部の例では、本開示のTMPのHLA-C重鎖ポリペプチドが図9AにおけるHLA-C0701とラベル付けされた配列に対して100%未満の同一性を有する場合、それは、84位、139位及び/または236位の1つ以上で、以下から選択される変異を含んでいてもよい:84位でのチロシンからアラニンへの置換(Y84A)、84位でのチロシンからシステインへの置換(Y84C)、139位でのアラニンからシステイン(A139C)、236位でのアラニンからシステインへの置換(A236C)。一部の例では、本開示のTMPのHLA-C重鎖ポリペプチドは、Y84A及びA236C置換を含む。一部の例では、T細胞MMPのHLA-C0701重鎖ポリペプチドまたはそのエピトープ複合体は、Y84C及びA139C置換を含む。一部の例では、本開示のTMPのHLA-C重鎖ポリペプチドは、Y84C、A139C、及びA236C置換を含む。
非古典的HLA-E、HLA-F、及びHLA-G MHCクラスI重鎖
一部の例では、本開示のTMPは、非古典的MHCクラスI重鎖ポリペプチドを含む。非古典的HLA重鎖ポリペプチドまたはその一部のうち、本開示のTMPに組み込まれ得るものとして、限定されないが、HLA-E、HLA-F、及びHLA-G対立遺伝子のものが挙げられる。HLA-E、HLA-F、及びHLA-G重鎖ポリペプチド(及びHLA-A、HLA-B、及びHLA-C対立遺伝子)のアミノ酸配列は、ワールドワイドウェブhla.alleles.org/nomenclature/index.html、European Molecular Biology Laboratory(EMBL)の一部であるEuropean Bioinformatics Institute(www.ebi.ac.uk)及びNational Center for Biotechnology Information(www.ncbi.nlm.nih.gov)に見出され得る。
好適なHLA-E対立遺伝子の非限定的な例として、HLA-E0101(HLA-E01:01:01:01)、HLA-E01:03(HLA-E01:03:01:01)、HLA-E01:04、HLA-E01:05、HLA-E01:06、HLA-E01:07、HLA-E01:09、及びHLA-E01:10が挙げられるが、これらに限定されない。好適なHLA-F対立遺伝子の非限定的な例として、HLA-F0101(HLA-F01:01:01:01)、HLA-F01:02、HLA-F01:03(HLA-F01:03:01:01)、HLA-F01:04、HLA-F01:05、及びHLA-F01:06が挙げられるが、これらに限定されない。好適なHLA-G対立遺伝子の非限定的な例として、HLA-G0101(HLA-G01:01:01:01)、HLA-G01:02、HLA-G01:03(HLA-G01:03:01:01)、HLA-G01:04(HLA-G01:04:01:01)、HLA-G01:06、HLA-G01:07、HLA-G01:08、HLA-G01:09:HLA-G01:10、HLA-G01:10、HLA-G01:11、HLA-G01:12、HLA-G01:14、HLA-G01:15、HLA-G01:16、HLA-G01:17、HLA-G01:18:HLA-G01:19、HLA-G01:20、及びHLA-G01:22が挙げられるが、これらに限定されない。リーダー配列、膜貫通配列及び細胞質配列の全てまたは実質的に全てを含まないそれらのHLA E、HLA-F及びHLA-G対立遺伝子のコンセンサス配列を図10に示し、図11において、上記のHLA-A、HLA-B及びHLA-C対立遺伝子のコンセンサス配列とともにアラインする。
図1は、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gのそれぞれについてのコンセンサス配列を示し、可変aa位置を、連番の「X」残基として示し、aas84、139、及び236の位置に二重下線を引いている。
図11は、図7~11に示すHLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-F、及びHLA-Gのコンセンサスアミノ酸配列のアライメントを示す。各配列の可変残基を、連番を削除した「X」として記載する。図6に示すように、(i)任意の天然アミノ酸または(ii)プロリンもしくはグリシンを除く任意の天然アミノ酸から独立して選択される1~5個のアミノ酸によって置換され得るそれらの隣接する5個のアミノ酸クラスターとともに示すaas84、139及び236の位置も示す。
上記のHLA-E、HLA-F、及び/またはHLA-G対立遺伝子のいずれも、コンセンサス配列について図11に示すように、84位、139位、及び/または236位のうちの1つ以上で置換を含み得る。一部の例では、置換は以下から選択され得る:84位でのチロシンからアラニン(Y84A)もしくはシステイン(Y84C)、またはHLA-Fの場合はR84AもしくはR84C置換、139位のアラニンからシステイン(A139C)、またはHLA-Fの場合はV139C、及び236位でのアラニンからシステインへの置換(A236C)。さらに、図11に記載のコンセンサス配列のいずれかの全部または一部(例えば、50、75、100、150、200、または250連続アミノ酸)に対して、少なくとも75%(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%)または100%のアミノ酸配列同一性を有するHLA-E、HLA-F及び/またはHLA-G配列もまた、使用してよい(例えば、配列は、図中に記載の可変残基での変化に加えて、1~25、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30個のアミノ酸の挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)。
マウスH2K
一部の例では、本開示のTMPに存在するMHCクラスI重鎖ポリペプチドは、マウスH2Kのアミノ酸配列(配列番号45)(図6のマウスH2K)、またはその配列の全部もしくは一部(例えば、50、75、100、150、200、または250連続アミノ酸)に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む(例えば、それは、1~25、1~5、5~10、10~15、15~20、20~25、または25~30アミノ酸の挿入、欠失、及び/または置換を含み得る)。一部の例では、本開示のTMPのマウスH2K重鎖ポリペプチドが、図6においてマウスH2Kとラベル付けされた配列に対して100%未満の同一性を有する場合、それは、84位、139位及び/または236位のうちの1つ以上で、以下から選択される変異を含んでいてもよい:84位でのチロシンからアラニン(Y84A)、84位でのチロシンからシステイン(Y84C)、139位でのアラニンからシステイン(A139C)、及び236位でのアラニンからシステインへの置換(A236C)。一部の例では、本開示のTMPのマウスH2K重鎖ポリペプチドは、Y84A及びA236C置換を含む。一部の例では、本開示のTMPのマウスH2K重鎖ポリペプチドは、Y84C及びA139C置換を含む。一部の例では、本開示のTMPのマウスH2K重鎖ポリペプチドは、Y84C、A139C及びA236C置換を含む。
組み合わせ例
以下の表1は、本開示のTMPに組み込むことができるMHCクラスI重鎖配列修飾の様々な組み合わせを示す。
(表1)
Figure 2022548472000005
Figure 2022548472000006
配列同一性の範囲は、コンセンサス配列の可変残基をカウントしない図6~11に列挙した配列の対応する部分と比較した、TMPに組み込むMHC-Hポリペプチド配列の配列同一性の許容範囲である。
β2ミクログロブリン
本開示のTMPのβ2-ミクログロブリン(β2M)ポリペプチドは、ヒトβ2Mポリペプチド、非ヒト霊長類β2Mポリペプチド、マウスβ2Mポリペプチドなどであり得る。一部の例では、β2Mポリペプチドは、図4に記載のβ2Mアミノ酸配列に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の例では、β2Mポリペプチドは、図4に記載のβ2Mアミノ酸配列のアミノ酸21~119に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
一部の例では、好適なβ2Mポリペプチドは、図21CC(配列番号126)に示すアミノ酸配列を含み、HLAクラスI重鎖ポリペプチドは、図21HH(配列番号127)に示すアミノ酸配列({C}で示すシステイン残基は、α1へリックスとα2-1へリックスの間にジスルフィド結合を形成し、この残基は、12位のβ2Mポリペプチドシステインとジスルフィド結合を形成する)を含む。上記の配列において、「aa1」は「アミノ酸クラスター1」であり、「aa2」は「アミノ酸クラスター2」であり、「aa3」は「アミノ酸クラスター3」であり、「aa4」は「アミノ酸クラスター4」であり、「aa5」は「アミノ酸クラスター5」であり、「aa6」は「アミノ酸クラスター6」であるが、例えば、図8を参照されたい。aa1、aa2、aa3、aa4、aa5、及びaa6のそれぞれの存在は、1~5アミノ酸残基であり、1~5アミノ酸残基となるように独立して選択され、それらアミノ酸残基は、i)任意の天然(例えば、コード)アミノ酸から独立して選択されるか、または、ii)プロリンはグリシンを除く任意の天然アミノ酸である。
一部の例では、MHCポリペプチドは、参照MHCポリペプチド(参照MHCポリペプチドは野生型MHCポリペプチドであってもよい)と比較して単一のアミノ酸置換を含み、その単一のアミノ酸置換は、アミノ酸をシステイン(Cys)残基で置換する。そのような非天然システイン残基は、本開示のヘテロ二量体TMPの第1のポリペプチドのMHCポリペプチド内に、または一本鎖TMPのMHCポリペプチド内に存在する場合、本開示のTMPの第2のポリペプチド鎖内に、または一本鎖TMPの別のMHCポリペプチド内に存在するシステイン残基とジスルフィド結合を形成し得る。
一部の例では、本開示のヘテロ二量体TMPの第1のポリペプチド内の第1のMHCポリペプチド、及び/または、本開示のヘテロ二量体TMPの第2のポリペプチド内の第2のMHCポリペプチドは、アミノ酸をシステインで置換するアミノ酸置換を含み、第1のMHCポリペプチド内の非天然システインが、第2のMHCポリペプチド内のシステインとジスルフィド結合を形成するか、第1のMHCポリペプチド内のシステインが、第2のMHCポリペプチド内の非天然システインとジスルフィド結合を形成するか、または、第1のMHCポリペプチド内の非天然システインが、第2のMHCポリペプチド内の非天然システインとジスルフィド結合を形成する。同様に、本開示の一本鎖TMP内のMHCポリペプチドの1つは、アミノ酸をシステインで置換するためのアミノ酸置換を含み、MHCポリペプチド内の非天然システインは、TMP内の異なるMHCポリペプチド内の天然システインまたは非天然システインとジスルフィド結合を形成する。
例えば、一部の例では、以下の、HLAβ2-ミクログロブリン内の残基とHLAクラスI重鎖内の残基のペア、1)β2M残基12、HLAクラスI重鎖残基236、2)β2M残基12、HLAクラスI重鎖残基237、3)β2M残基8、HLAクラスI重鎖残基234、4)β2M残基10、HLAクラスI重鎖残基235、5)β2M残基24、HLAクラスI重鎖残基236、6)β2M残基28、HLAクラスI重鎖残基232、7)β2M残基98、HLAクラスI重鎖残基192、8)β2M残基99、HLAクラスI重鎖残基234、9)β2M残基3、HLAクラスI重鎖残基120、10)β2M残基31、HLAクラスI重鎖残基96、11)β2M残基53、HLAクラスI重鎖残基35、12)β2M残基60、HLAクラスI重鎖残基96、13)β2M残基60、HLAクラスI重鎖残基122、14)β2M残基63、HLAクラスI重鎖残基27、15)β2M残基Arg3、HLAクラスI重鎖残基Gly120、16)β2M残基His31、HLAクラスI重鎖残基Gln96、17)β2M残基Asp53、HLAクラスI重鎖残基Arg35、18)β2M残基Trp60、HLAクラスI重鎖残基Gln96、19)β2M残基Trp60、HLAクラスI重鎖残基Asp122、20)β2M残基Tyr63、HLAクラスI重鎖残基Tyr27、21)β2M残基Lys6、HLAクラスI重鎖残基Glu232、22)β2M残基Gln8、HLAクラスI重鎖残基Arg234、23)β2M残基Tyr10、HLAクラスI重鎖残基Pro235、24)β2M残基Ser11、HLAクラスI重鎖残基Gln242、25)β2M残基Asn24、HLAクラスI重鎖残基Ala236、26)β2M残基Ser28、HLAクラスI重鎖残基Glu232、27)β2M残基Asp98、HLAクラスI重鎖残基His192、及び、28)β2M残基Met99、HLAクラスI重鎖残基Arg234、の一方は、システインで置換される(残基番号は成熟ポリペプチドの番号である)。MHC/HLAクラスI重鎖のアミノ酸付番は、シグナルペプチドを含まない成熟MHC/HLAクラスI重鎖を基準としている。例えば、一部の例では、成熟HLA-Aアミノ酸配列の残基236はCysで置換されている。一部の例では、成熟HLA-Bアミノ酸配列の残基236はCysで置換されている。一部の例では、成熟HLA-Cアミノ酸配列の残基236はCysで置換されている。一部の例では、図4に記載のアミノ酸配列の残基32(成熟β2MのArg-12に対応する)はCysで置換されている。
一部の例では、β2Mポリペプチドは、図21BB(配列番号128)または図21CC(配列番号129)に示すアミノ酸配列を含む。
一部の例では、HLAクラスI重鎖ポリペプチドは、図21DD(配列番号130)、21EE(配列番号131)または21FF(配列番号132)に示すアミノ酸配列を含む。
一部の例では、本開示のTMPのβ2Mポリペプチドは、図21CC(配列番号133)のアミノ酸配列を含み、TMPのHLAクラスI重鎖ポリペプチドは、図21EE(配列番号134)のアミノ酸配列を含む(下線が引かれ、太字で示されているCys残基は、TMP内で互いにジスルフィド結合を形成する)。
一部の例では、β2Mポリペプチドは、図21GG(配列番号135)のアミノ酸配列を含む。
一部の例では、本開示のヘテロ二量体または一本鎖TMP内のMHCポリペプチドは、i)ペプチドエピトープとβ2Mポリペプチドを接続するリンカーに存在するCys残基、及びii)MHCクラスI重鎖内に存在するCys残基を介して互いにジスルフィド結合する。一部の例では、MHCクラスI重鎖内に存在するCys残基は、Y84C置換として導入されたCysである。一部の例では、ペプチドエピトープとβ2Mポリペプチドを接続するリンカーはGCGGS(GGGGS)n(配列番号583)であり、配列中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、または9である。例えば、一部の例では、リンカーは、アミノ酸配列GCGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号137)を含む。別の例として、リンカーは、アミノ酸配列GCGGSGGGGSGGGGS(配列番号138)を含む。本開示のヘテロ二量体TMPのジスルフィド結合した第1及び第2のポリペプチドの例を、図2A~2Fに概略的に示す。
多重ジスルフィド結合TMP
一部の例では、本開示のヘテロ二量体TMPの第1のポリペプチドと第2のポリペプチドを、少なくとも2つのジスルフィド結合(すなわち、2つの鎖間ジスルフィド結合)によって互いに連結する。そのような多重ジスルフィド結合TMPの例を、図12A及び12Bならびに図16Cに概略的に示す。さらに、本開示のヘテロ二量体TMPまたは一本鎖TMPが、Ig Fcポリペプチドを含む場合、ヘテロ二量体TMPを二量体化することができ、ジスルフィド結合が2つのヘテロ二量体TMP内のIg Fcポリペプチドを連結する。そのような配置を、図12C及び12Dに概略的に示し、図中、ジスルフィド結合を破線で表す。特に明記しない限り、本節における多重ジスルフィド結合TMPPに記載する少なくとも2つのジスルフィド結合は、二量体化TMPのIg Fcポリペプチドを連結するジスルフィド結合を指すものではない。
例えば、いくつかの例では、本開示のヘテロ二量体TMPの第1のポリペプチドと第2のポリペプチドを、2つの鎖間ジスルフィド結合によって互いに連結する。別の例として、一部の例では、本開示のTMPの第1のポリペプチドと第2のポリペプチドを、3つの鎖間ジスルフィド結合によって互いに連結する。別の例として、一部の例では、本開示のTMPの第1のポリペプチドと第2のポリペプチドを、4つの鎖間ジスルフィド結合によって互いに連結する。
一部の例では、本開示のヘテロ二量体または一本鎖TMPのペプチドエピトープを、Cysを含むリンカーによってβ2Mポリペプチドに連結する場合、少なくとも2つのジスルフィド結合のうちの少なくとも1つは、リンカー内のCysをTMP内のMHCクラスI重鎖のCysに連結する。一部の例では、本開示のTMPのペプチドエピトープをリンカーによってMHCクラスI重鎖ポリペプチドに連結する場合、少なくとも2つのジスルフィド結合のうちの少なくとも1つは、リンカー内のCysをTMPに存在するβ2Mポリペプチド内のCysに連結する。
一部の例では、本開示の多重ジスルフィド結合TMP(例えば、二重ジスルフィド結合TMP)は、少なくとも2つのジスルフィド結合のうちの1つのみを含む対照TMPに比べて高い安定性及び/または高い発現を示す。一部の例では、本開示の多重ジスルフィド結合TMP(例えば、二重ジスルフィド結合TMP)は、少なくとも2つのジスルフィド結合のうちの1つのみを含む対照TMPに比べて、高いインビトロ安定性を示す。例えば、一部の例では、本開示の多重ジスルフィド結合TMP(例えば、二重ジスルフィド結合TMP)は、少なくとも2つのジスルフィド結合のうちの1つのみを含む対照TMPに比べて、インビトロでの安定性が、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、または少なくとも10倍高い。
安定性は、指定温度の溶液中で指定時間後に溶液中に残存しているTMPの割合を測定することによって決定される。安定性は、500mM NaCl(上記)を含有するPBS緩衝液中にて、指定期間にわたって、指定温度で(例えば、37℃~42℃の温度の溶液中にて、1時間~28日の期間、例えば、37℃で1時間、37℃で1日間、37℃で5日間、42℃で1時間、42℃で1日間、42℃で5日間、37℃で5日間、37℃で10日間、37℃で14日間、37℃で28日間など)、ヘテロ二量体の第1のポリペプチドと第2のポリペプチドの間における少なくとも1つのジスルフィド結合を欠く対照TMMPと比較して、インビトロで測定することができる。TMMPは、0.1mg/mL~10mg/mLの濃度で、例えば、約1mL、約2mL、約3mL、約4mL、約5mL、約6mL、約7mL、約8mL、約9mL、または約10mLの濃度でPBS緩衝液中に存在させることができ、緩衝液は、37℃または42℃で1時間、5日間、10日間、14日間、21日間、または28日間、保持され得る。
本開示の複数のジスルフィド結合TMPが、少なくとも2つのジスルフィド結合のうちの1つのみを含む対照TMPと比較して、高いインビトロ安定性を示すかどうかは、上記で述べた、例えば、37℃及び/または42℃で、1時間、5日間、10日間、14日間、21日間、または28日間保持した試料中に存在する各TMPの量を測定することによって決定することができる。
例えば、一部の例では、本開示の多重ジスルフィド結合TMP(例えば、二重ジスルフィド結合TMP)は、TMPを37℃で一定期間(例えば、約1週間~約2週間、約2週間~約4週間、または約4週間~約2か月間)保存した場合、少なくとも2つのジスルフィドのうちの1つのみを含む対照TMPに比べて、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、または少なくとも10倍高いインビトロ安定性を示す。例えば、一部の例では、本開示の多重ジスルフィド結合TMP(例えば、二重ジスルフィド結合TMP)を37℃で28日間、インビトロで保存した後に残存するジスルフィド結合ヘテロ二量体TMPの量は、対照TMP(多重ジスルフィド結合TMPに存在する少なくとも2つのジスルフィド結合のうちの1つのみを含むTMP)を37℃で28日間、インビトロで保存した後に残存するジスルフィド結合ヘテロ二量体TMPの量に比べて、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、または少なくとも10倍多い。
一部の例では、本開示の多重ジスルフィド結合TMPは、少なくとも2つのジスルフィド結合のうちの1つのみを含む対照TMPに比べて、より高いインビボ安定性を示す。例えば、一部の例では、本開示の多重ジスルフィド結合TMPは、少なくとも2つのジスルフィド結合のうちの1つのみを含む対照TMPに比べて、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、または少なくとも10倍高いインビボ安定性を示す。
一部の例では、本開示の多重ジスルフィド結合TMP(例えば、二重ジスルフィド結合TMP)に2つのジスルフィド結合が存在することは、TMPが少なくとも2つのジスルフィド結合のうちの1つのみを含む対照TMPである場合に生成されるジスルフィド結合ヘテロ二量体TMPの量に比べて、ジスルフィド結合ヘテロ二量体または一本鎖TMPの産生量を高める。例えば、本開示の多重ジスルフィド結合TMP(例えば、二重ジスルフィド結合TMP)を、哺乳動物細胞を液体細胞培養培地で培養するインビトロ細胞培養において、哺乳動物細胞内で産生することができる。TMPは、細胞培養培地に分泌され得る。細胞を溶解して細胞溶解物を生成することができ、TMPを細胞溶解物中に存在させることができる。TMPは、細胞培養培地及び/または細胞溶解物から精製することができる。例えば、TMPがIgG1 Fcポリペプチドを含む場合、細胞培養培地及び/または細胞溶解物を、固定化したプロテインAと接触させることができる(例えば、細胞培養培地及び/または細胞溶解物を、プロテインAをビーズに固定化させたプロテインAカラムにアプライすることができる)。細胞培養液及び/または細胞溶解物に存在するTMPは、固定化されたプロテインAに結合する。カラムを洗浄して未結合の物質を除去した後、結合したTMPを溶出し、プロテインA溶出液を生成する。プロテインA溶出液中に存在するジスルフィド結合ヘテロ二量体または一本鎖TMPの量は、TMPが多重ジスルフィド結合TMP(例えば、二重ジスルフィド結合TMP)に存在する少なくとも2つのジスルフィド結合のうちの1つのみを含む対照TMPである場合、プロテインA溶出液中に存在するジスルフィド結合ヘテロ二量体または一本鎖TMPの量に比べて、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、または少なくとも10%高い。一部の例では、非凝集ジスルフィド結合ヘテロ二量体または一本鎖TMPである溶出液中の総TMPタンパク質の割合は、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%である。プロテインA溶出液は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)及び/または1つ以上の他の追加の精製工程に供することができる。
一部の例では、本開示のT細胞調節ポリペプチドは、以下を含む少なくとも1つのヘテロ二量体を含む:a)i)KRASペプチド(KRASペプチドは、少なくとも4アミノ酸の長さ、例えば、4アミノ酸~約25アミノ酸(例えば、4アミノ酸(aa)、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、10aa、11aa、12aa、13aa、14aa、15aa、16aa、17aa、18aa、19aa、20aa、21aa、22aa、23aa、24aa、または25aa、及び4~20アミノ酸、6~18アミノ酸、8~15アミノ酸、8~12アミノ酸、5~10アミノ酸、10~20アミノ酸、及び15~25アミノ酸の長さの範囲内のペプチド)を有する)、及びii)第1のMHCポリペプチドを含む第1のポリペプチド、b)第2のMHCポリペプチドを含む第2のポリペプチド、ならびにc)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド(第1及び/または第2のポリペプチドが免疫調節ポリペプチドを含み、ヘテロ二量体が第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとの間に少なくとも2つのジスルフィド結合(例えば、2つのジスルフィド結合)を含む(例えば、ヘテロ二量体は、i)第1のポリペプチドと第2のポリペプチドを連結する第1のジスルフィド結合、及びii)第1のポリペプチドと第2のポリペプチドを連結する第2のジスルフィド結合を含む))。別の言い方をすれば、第1のポリペプチドは、第2のポリペプチドの第1のCys残基とジスルフィド結合(第1のジスルフィド結合)を形成する第1のCys残基を含み、第1のポリペプチドは、第2のポリペプチドの第2のCys残基とジスルフィド結合(第2のジスルフィド結合)を形成する第2のCys残基を含む。
一部の例では、本開示のTMPは、a)N末端からC末端の順に、i)KRASペプチド、ii)ペプチドリンカー、及びiii)β2Mポリペプチドを含む第1のポリペプチド、ならびにb)MHCクラスI重鎖ポリペプチドを含む第2のポリペプチド(第1及び第2のポリペプチドの一方または両方が、少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含む)を含み、TMPは、a)i)KRASペプチドとβ2Mポリペプチドの間のリンカーに存在するCysと、ii)MHCクラスI重鎖ポリペプチドに導入された第1のCysとの間の第1のジスルフィド結合、及びb)第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとの間の少なくとも第2のジスルフィド結合を含み、少なくとも第2のジスルフィド結合は、i)第1のポリペプチド内の、リンカーに存在するCysに対してC末端のCysと、ii)第2のポリペプチド内の、MHCクラスI重鎖ポリペプチドに導入された第1のCysに対してC末端のCysとの間に存在する。
概して言えば、ジスルフィド結合のヘテロ二量体または一本鎖TMPの潜在的な位置は、TMPの異なるポリペプチドの残基が5オングストローム以下の距離で分離されている位置である。そのような位置は、Cys残基が、天然に存在しない場合、ポリペプチドに存在する残基の代わりになり得る潜在的な位置を表す。例えば、ヘテロ二量体TMPの第1及び第2のポリペプチドは、ヘテロ二量体において一般的に約5オングストローム以内で互いに離れている2つのCys残基間のジスルフィド結合を介して潜在的に連結され得る。一部の例では、Cys残基の一方または両方が非天然である。ヘテロ二量体または一本鎖TMPのβ2M及びMHC重鎖の、互いに5オングストローム以内のアミノ酸は、Cysで置換した場合に、本開示のTMP内でジスルフィド結合を形成し得るアミノ酸を表す。同様に、2つのCys残基が互いに約5オングストローム以内で離れている、リンカーのCys残基と、MHC重鎖の天然または非天然のCys残基との間に、ジスルフィド結合が形成され得る。しかしながら、特に、約5オングストローム以内で離れた残基のすべてのペアが、ジスルフィド結合の形成に適しているわけではなく、結果として生じるTMPを安定化するか、または発現を増強させるジスルフィド結合を提供するわけでもない。
本開示の多重ジスルフィド結合ヘテロ二量体TMP(例えば、二重ジスルフィド結合TMP)には、例えば、a)i)KRASペプチド(例えば、4アミノ酸~約25アミノ酸の長さのKRASペプチドであり、このペプチドがMHCポリペプチドと複合体を形成する場合、TCRが結合する)と、ii)第1のMHCポリペプチドとを含む第1のポリペプチド(第1のポリペプチドは、KRASペプチドと第1のMHCポリペプチドとの間にペプチドリンカーを含み、ペプチドリンカーはCys残基を含み、第1のMHCポリペプチドは、Cys残基を導入するアミノ酸置換を含むβ2Mポリペプチドを含む)、b)及び第2のMHCポリペプチドを含む第2のポリペプチド(第2のMHCポリペプチドは、HLA-A0201のアミノ酸付番に基づくY84C置換及びA236C置換(図7Aに示す)か、または別のクラスI重鎖対立遺伝子の対応する位置に置換を含むクラスI重鎖であり、TMPは、ペプチドリンカーのCys残基とクラスI重鎖のアミノ酸84位または別のクラスI重鎖対立遺伝子の対応する位置のCys残基との間にジスルフィド結合を有し、TMPは、β2Mポリペプチドに導入されたCys残基と、クラスI重鎖のアミノ酸236位または別のクラスI重鎖対立遺伝子の対応する位置のCysとの間にジスルフィド結合を有する)、ならびにc)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含ませることができ、第1及び/または第2のポリペプチドは、少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含む。例を、図12A及び図12Bに概略的に示す。
一部の例では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GCGGS(配列番号139)を含む。一部の例では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GCGGS(GGGGS)n(配列番号140)を含み、配列中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10、例えば、1、2、または3である。
一部の例では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列CGGGS(配列番号141)を含む。一部の例では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列CGGGS(GGGGS)n(配列番号142)を含み、配列中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10、例えば、1、2、または3である。
一部の例では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGCGS(配列番号587)を含む。一部の例では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGCGS(GGGGS)n(配列番号592)を含み、配列中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10、例えば、1、2、または3である。
一部の例では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGCS(配列番号588)を含む。一部の例では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGCS(GGGGS)n(配列番号589)を含み、配列中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10、例えば、1、2、または3である。
一部の例では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GGGGC(配列番号590)を含む。一部の例では、ペプチドリンカーはアミノ酸配列GGGGC(GGGGS)n(配列番号591)を含み、配列中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10、例えば、1、2、または3である。
以下は、HLA-A0201のアミノ酸付番(図7Aに示す)に基づくY84C置換及びA236C置換、または別のクラスI重鎖対立遺伝子の対応する位置における置換を含むMHCクラスI重鎖の非限定的な例である。
HLA-A
一部の例では、本開示の多重ジスルフィド結合ヘテロ二量体または一本鎖TMP(例えば、二重ジスルフィド結合TMP)は、i)KRASペプチド(例えば、4アミノ酸~25アミノ酸の長さのKRASペプチドであり、このペプチドがMHCポリペプチドと複合体を形成する場合、TCRが結合し、例えば、KRASペプチドは、がん関連変異を含む)、ii)第1のMHCポリペプチド、iii)ペプチドと第1のMHCポリペプチドとの間のペプチドリンカー(ペプチドリンカーは、Cys残基を含み、第1のMHCポリペプチドは、Cys残基を導入するアミノ酸置換を含むβ2Mポリペプチドである)、及びiv)図22A(配列番号143)に示すアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHLA-A MHCクラスI重鎖を含む第2のポリペプチド(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)を含み、TMPは、少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含む。一部の例では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GCGGS(配列番号139)を含む。一部の例では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GCGGS(GGGGS)n(配列番号140)を含み、配列中、nは、1~10の整数、例えば、1,2または3である。一部の例では、β2Mポリペプチドは、R12C置換を含む。例えば、β2Mポリペプチドには、図21CC(配列番号144)に示すアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含ませることができ、配列中、アミノ酸12はCysである。少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドは、免疫調節ポリペプチドの野生型またはバリアントであり得、例えば、サイトカイン(例えば、IL-2)、4-1BBLポリペプチド、CD80ポリペプチド、CD86ポリペプチド、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の例では、少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドは、本明細書中の他の箇所に記載されているように、親和性の低下したバリアント、例えば、親和性の低下したIL-2のバリアントである。一部の例では、TMPは、Ig Fcポリペプチド、例えば、図3Gに示すような細胞溶解を実質的に誘導しないヒトIgG1 Fcを含む。
一部の例では、本開示の多重ジスルフィド結合ヘテロ二量体または一本鎖TMP(例えば、二重ジスルフィド結合TMP)は、HLA-AクラスI重鎖ポリペプチドを含む。一部の例では、本開示の多重ジスルフィド結合TMP(例えば、二重ジスルフィド結合TMP)に存在するHLA-A重鎖ポリペプチドは、図7Aに示すHLA-A0101、HLA-A0201、HLA-A0202、HLA-A1101、HLA-A2301、HLA-A2402、HLA-A2407、HLA-A3303、またはHLA-A3401のアミノ酸配列に対して、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、HLA-A重鎖ポリペプチドは、Y84C及びA236C置換を含む。
一部の例では、本開示の複数のジスルフィド結合ヘテロ二量体または一本鎖TMP(例えば、二重ジスルフィド結合TMP)に存在するHLA-A重鎖ポリペプチドは、以下の配列のうちの1つに対して、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む:
(i)図22B(配列番号145)に示すHLA-A0101(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)、
(ii)図22C(配列番号146)に示すHLA-A0201(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)、
(iii)図22D(配列番号147)に示すHLA-A0202(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)、
(iv)図22E(配列番号148)に示すHLA-A1101(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)、
(v)図22F(配列番号149)に示すHLA-A2301(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)、
(vi)図22G(配列番号150)に示すHLA-A2402(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)、
(vii)図22H(配列番号151)に示すHLA-A2407(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)、
(viii)図22I(配列番号152)に示すHLA-A3303(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)、
(ix)図22J(配列番号153)に示すHLA-A3401(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)。
HLA-B
一部の例では、本開示の複数のジスルフィド結合ヘテロ二量体または一本鎖TMP(例えば、二重ジスルフィド結合TMP)は、i)KRASペプチド(このペプチドがTMPのMHCポリペプチドと複合体を形成する場合、TCRが結合する)、ii)非天然Cys残基を含むβ2Mポリペプチド、iii)KRASペプチドとβ2Mポリペプチドとの間のペプチドリンカー、及びiv)図22K(配列番号154)に示す以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHLA-B MHCクラスI重鎖ポリペプチド(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)を含む。一部の例では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GCGGS(配列番号139)を含む。一部の例では、ペプチドリンカーはアミノ酸配列GCGGS(GGGGS)n(配列番号140)を含み、配列中、nは、1~10の整数、例えば、1、2または3である。一部の例では、β2Mポリペプチドは、R12C置換を含む。例えば、β2Mポリペプチドは、図21CC(配列番号155)のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る(アミノ酸12はCysである)。TMPの少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドは、例えば、サイトカイン(例えば、IL-2)、4-1BBL、CD80、CD86、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、野生型またはバリアント型免疫調節ポリペプチドであり得る。一部の例では、少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドは、本明細書の他の箇所に記載されているように、IL-2バリアントなどの低親和性バリアントである。一部の例では、TMPは、Ig Fcポリペプチド、例えば、細胞溶解を実質的に誘発しないバリアント型ヒトIgG1 Fcポリペプチドを含む。
一部の例では、本開示の多重ジスルフィド結合ヘテロ二量体または一本鎖TMPは、HLA-BクラスI重鎖ポリペプチドを含む。一部の例では、本開示の多重ジスルフィド結合TMP(例えば、二重ジスルフィド結合TMP)に存在するHLA-B重鎖ポリペプチドは、図8Aに示すHLA-B0702、HLA-B0801、HLA-B1502、HLA-B3802、HLA-B4001、HLA-B4601、またはHLA-B5301アミノ酸配列に対して、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、HLA-B重鎖ポリペプチドはY84C及びA236C置換を含む。
HLA-B0702(Y84C、A236C)
一部の例では、本開示の多重ジスルフィド結合ヘテロ二量体または一本鎖TMP(例えば、二重ジスルフィド結合TMP)に存在するHLA-B重鎖ポリペプチドは、以下の配列に対して、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである):
(i)図22L(配列番号156)に示すHLA-B0702(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)、
(ii)図22M(配列番号157)に示すHLA-B0801(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)、
(iii)図22N(配列番号158)に示すHLA-B1502(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)、
(iv)図22O(配列番号159)に示すHLA-B3802(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)、
(v)図22P(配列番号160)に示すHLA-B4001(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)、
(vi)図22Q(配列番号161)に示すHLA-B4601(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)、
(vii)図22R(配列番号162)に示すHLA-B5301(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)。
HLA-C
一部の例では、本開示の多重ジスルフィド結合ヘテロ二量体または一本鎖TMP(例えば、二重ジスルフィド結合TMP)は、i)KRASペプチド(このペプチドがTMPのMHCポリペプチドと複合体を形成する場合、TCRが結合する)、ii)非天然Cys残基を含むβ2Mポリペプチド、iii)KRASペプチドとβ2Mポリペプチドとの間のペプチドリンカー、及びiv)図22S(配列番号163)に示すアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHLA-CMHCクラスI重鎖アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)、ならびにc)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド(第1及び/または第2のポリペプチドは、少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含む)を含む。一部の例では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GCGGS(配列番号139)を含む。一部の例では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列GCGGS(GGGGS)n(配列番号140)を含み、配列中、nは、1~10の整数、例えば、1、2または3である。一部の例では、β2Mポリペプチドは、R12C置換を含む。例えば、β2Mポリペプチドは、図21CC(配列番号164)に示す以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る(アミノ酸12はCysである)。少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドは、例えば、サイトカイン(例えば、IL-2)、4-1BBLポリペプチド、CD80ポリペプチド、CD86ポリペプチド、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される野生型またはバリアント型ポリペプチド免疫調節ポリペプチドを含む。一部の例では、少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドは、本明細書中の他の箇所に記載されているように、親和性の低下したバリアント、例えば、親和性の低下したIL-2のバリアントである。一部の例では、TMPは、Ig Fcポリペプチド、例えば、細胞溶解を実質的に誘発しないバリアント型ヒトIgG1 Fcポリペプチドを含む。
一部の例では、本開示の多重ジスルフィド結合TMP(例えば、二重ジスルフィド結合TMP)は、HLA-CクラスI重鎖ポリペプチドを含む。一部の例では、本開示の多重ジスルフィド結合TMP(例えば、二重ジスルフィド結合TMP)に存在するHLA-C重鎖ポリペプチドは、図9Aに示すHLA-C0102、HLA-C0303、HLA-C0304、HLA-C0401、HLA-C0602、HLA-C0701、HLA-C0702、HLA-C0801、またはHLA-C1502アミノ酸配列に対して、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、HLA-C重鎖ポリペプチドは、Y84C及びA236C置換を含む。
一部の例では、本開示の多重ジスルフィド結合TMP(例えば、二重ジスルフィド結合TMP)に存在するHLA-C重鎖ポリペプチドは、以下の配列のうちの1つに対して、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む:
(i)図22T(配列番号165)に示すHLA-C01:02(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)
(ii)図22U(配列番号166)に示すHLA-C03:03(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)
(iii)図22V(配列番号167)に示すHLA-C03:04(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)
(iv)図22W(配列番号168)に示すHLA-C04:01(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)
(v)図22X(配列番号169)に示すHLA-C06:02(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)
(vi)図22Y(配列番号170)に示すHLA-C07:01(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)
(vii)図22Z(配列番号171)に示すHLA-C07:02(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)
(viii)図22AA(配列番号172)に示すHLA-C08:01(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)、及び
(ix)図22BB(配列番号173)に示すHLA-C15:02(Y84C、A236C)アミノ酸配列(アミノ酸84はCysであり、アミノ酸236はCysである)。
抗原を提示するジスルフィド結合TMP(すなわち、MODを欠くTMP)
本開示は、ヘテロ二量体または一本鎖ポリペプチド(または2つのそのようなポリペプチドのホモ二量体)を含む抗原提示ポリペプチド(APP)を提供し、当該APPは、i)KRASペプチド(このペプチドがTMPのMHCポリペプチドと複合体を形成するとき、このペプチドはTCRにより結合される)、ii)任意選択で非天然Cys残基を含む、β2Mポリペプチド、iii)KRASペプチドとβ2Mポリペプチドとの間のペプチドリンカー(当該リンカーは任意選択でCys残基を含む)、及びiv)図21A~21AA、21DD~21FF、21HH~21JJ、または22A~22BBに示すアミノ酸配列のいずれかに対して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHLA-C MHCクラスI重鎖を含む。当該ヘテロ二量体または一本鎖APPは、上記の多重ジスルフィド結合ヘテロ二量体または一本鎖TMPのいずれかと同じ構成であり、かつそれらと同じ方式で単一または多重ジスルフィド結合することができ、唯一の違いは、上述のTMPとは異なり、APPにはMODが含まれていないことである。上述のように、本明細書中で言及されるジスルフィド結合は、APPのIg Fcポリペプチド、例えば、図3GのヒトIgG1 Fcポリペプチドなどの細胞溶解を実質的に誘発しないIg Fcポリペプチド間のジスルフィド結合を指すことを意図するものではない。
ヘテロ二量体APPの例として、a)i)図19Oに示す「4027」ポリペプチド、及びii)図14Qに示す「4030」ポリペプチドを含むAPP、b)i)図19Oに示す「4027」ポリペプチド、及びii)図14Kに示す「4029」ポリペプチドを含むAPPが挙げられる。一本鎖APPの例として、「4238」(図19G)、「4241」(図19H)、及び「4334」(図19I)と呼ばれるポリペプチドが挙げられる。
本開示のAPPは、診断用途及び治療用途に有用である。以下で述べるように、診断用途に使用する場合、APPに、検出可能な標識を含ませることもでき、それにより、標的T細胞へのAPPの結合が、検出可能な標識を検出することによって検出される。
したがって、本開示は、抗原特異的T細胞を検出する方法を提供する。方法は、T細胞を本開示のAPPと接触させ、T細胞へのAPPの結合を検出することを含む。本開示は、抗原特異的T細胞を検出する方法を提供し、方法は、T細胞を本開示のAPPと接触させることを含み、T細胞へのAPPの結合は、T細胞が、APPに存在するエピトープに特異的であることを示す。
一部の例では、APPは検出可能な標識を含む。好適な検出可能な標識として、放射性同位元素、蛍光ポリペプチド、または蛍光生成物を生成する酵素、及び着色生成物を生成する酵素が挙げられるが、これらに限定されない。APPが検出可能な標識を含む場合、T細胞へのAPPの結合は、検出可能な標識を検出することによって検出される。
一部の例では、本開示のAPPは、インビボイメージングでの使用に適した、例えば、ポジトロン放出断層撮影(PET)、単一光子放出断層撮影(SPECT)、近赤外(NIR)光学イメージング、X線イメージング、コンピューター断層撮影(CAT)、磁気共鳴イメージング(MRI)、または他のインビボイメージング法での使用に適した検出可能な標識を含む。インビボイメージングに適した標識の例として、ガドリニウムキレート剤(例えば、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、DTPA-ビスメチルアミド(BMA)、DOTA(ドデカン四酢酸)、またはHP-DO3A(1,4,7-トリス(カルボキシメチル)-10-(2’-ヒドロキシプロピル)-1,4,7,10-テトラアザサイクルオドデカン)を含むガドリニウムキレート剤)、鉄キレート剤、マグネシウムキレート剤、マンガンキレート剤、銅キレート剤、クロムキレート剤、ヨウ素系物質、及び放射性核種が挙げられる。好適な放射性核種として、123I、125I、130I、131I、133I、135I、47Sc、72As、72Se、90Y、88Y、97Ru、100Pd、101mRh、119Sb、128Ba、197Hg、211At、212Bi、212Pb、109Pd、111In、67Ga、68Ga、64Cu、67Cu、75Br、77Br、99mTc、14C、13N、15O、32P、33P、及び18Fが挙げられるが、これらに限定されない。一部の例では、検出可能な標識は、11C、13N、15O、18F、64Cu、68Ga、78Br、82Rb、86Y、90Y、22Na、26Al、40K、83Sr、89Zr、または124Iなどの陽電子放出同位体である。一部の例では、検出可能な標識は64Cuである。例えば、Woodham,Andrew et al.,In vivo detection of antigen-specific CD8+ T cells by immuno-positron emission tomography,Nature Methods Articles(2020) https://doi.org/10.1038/s41592-020-0934-5を参照されたい。
好適な蛍光タンパク質として、緑色蛍光タンパク質(GFP)またはそのバリアント、GFPの青色蛍光バリアント(BFP)、GFPのシアン蛍光バリアント(CFP)、GFPの黄色蛍光バリアント(YFP)、高感度GFP(EGFP)、高感度CFP(ECFP)、高感度YFP(EYFP)、GFPS65T、Emerald、Topaz(TYFP)、Venus、Citrine、mCitrine、GFPuv、不安定化EGFP(dEGFP)、不安定化ECFP(dECFP)、不安定化EYFP (dEYFP)、mCFPm、Cerulean、T-Sapphire、CyPet、YPet、mKO、HcRed、t-HcRed、DsRed、DsRed2、DsRed単量体、J-Red、dimer2、t-dimer2(12)、mRFP1、pocilloporin、Renilla GFP、Monster GFP、paGFP、Kaedeタンパク質及びkindlingタンパク質、B-フィコエリトリン、R-フィコエリトリン及びアロフィコシアニンを含むフィコビリタンパク質及びフィコビリタンパク質複合体が挙げられるが、これらに限定されない。蛍光タンパク質の他の例として、mHoneydew、mBanana、mOrange、dTomato、tdTomato、mTangerine、mStrawberry、mCherry、mGrape1、mRaspberry、mGrape2、mPlum(Shaner et al.(2005)Nat.Methods 2:905-909)などが挙げられる。例えば、Matz et al.(1999)Nature Biotechnol.17:969-973に記載されている、花虫類由来の様々な蛍光及び着色タンパク質のいずれかが、使用に適している。
好適な酵素として、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、βガラクトシダーゼ(GAL)、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、β-N-アセチルグルコサミニダーゼ、β-グルクロニダーゼ、インベルターゼ、キサンチンオキシダーゼ、ホタルルシフェラーゼ、グルコースオキシダーゼ(GO)などが挙げられる。
一部の例では、T細胞へのAPPの結合を、検出可能に標識されたAPP特異的抗体を使用して検出する。APP特異的抗体には、放射性同位元素、蛍光ポリペプチド、または蛍光産物を生成する酵素、または着色産物を生成する酵素などの検出可能な標識を含ませることができる。
一部の例では、検出されるT細胞を、複数のT細胞を含む試料中に存在させる。例えば、検出されるT細胞を、10~10個のT細胞、例えば、10~10個、10個~10個、10個~10個、10個~10個、10個~10個、または10個~10個、または10個超のT細胞を含む試料中に存在させることができる。
HLA/ペプチド結合アッセイ
所与のペプチド(例えば、KRASエピトープを含むKRASペプチド)がクラスI HLA(HLA重鎖及びβ2Mポリペプチドを含む)に結合するかどうか、及びHLA複合体に結合した場合にTCRに対してエピトープを効果的に提示できるかどうかを、多くの周知の方法のいずれかを使用して決定することができる。アッセイには、結合アッセイ及びT細胞活性化アッセイが含まれ、細胞ベースの結合アッセイ、生化学的結合アッセイ、T細胞活性化アッセイ、ELISPOTアッセイ、細胞傷害性アッセイ、及びペプチド-HLAテトラマーによる抗原特異的T細胞の検出が含まれる。そのようなアッセイは、公開科学文献ならびに公開PCT出願WO2020132138A1に記載されており、それらの開示は、それらが特異的結合アッセイに関するものとして、具体的には段落[00217]~[00225]を含めて、参照により本明細書に明示的に援用される。
別の例として、ペプチド-HLA複合体の多量体(例えば、四量体)を、蛍光または重金属タグで生成する。次いで、多量体を使用して、フローサイトメトリー(FACS)またはマスサイトメトリー(CyTOF)を介して特異的T細胞を同定し、定量化することができる。エピトープ特異的T細胞の検出は、ペプチド結合HLA分子が抗原特異的T細胞のサブセット上の特定のTCRに結合することができるという直接的なエビデンスを提供する。例えば、Klenerman et al.(2002)Nature Reviews Immunol.2:263を参照のこと。
免疫調節ポリペプチド
一部の例では、本開示のTMPに存在する免疫調節ポリペプチドすなわち「MOD」は、野生型免疫調節ポリペプチドである。他の例では、本開示のTMPに存在する免疫調節ポリペプチドは、共刺激ポリペプチドに対する親和性が、対応する野生型の免疫調節ポリペプチドの当該共刺激ポリペプチドに対する親和性に比べて低い、バリアント型免疫調節ポリペプチドである。共刺激ドメインに対する低い親和性を示す好適な免疫調節ドメインは、野生型免疫調節ドメインとの1アミノ酸(aa)~20aaの差異を有し得る。例えば、一部の例では、本開示のTMP内に存在するバリアント型免疫調節ポリペプチドは、対応する野生型免疫調節ポリペプチドとは、1aa、2aa、3aa、4aa、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、または10aa分、アミノ酸配列が異なる。別の例として、一部の例では、本開示のTMP内に存在するバリアント型免疫調節ポリペプチドは、対応する野生型免疫調節ポリペプチドとは、11aa、12aa、13aa、14aa、15aa、16aa、17aa、18aa、19aa、または20aa分、アミノ酸配列が異なる。
免疫調節性ポリペプチド及びその同族共刺激ポリペプチドの例示的なペアとして、以下の表1に記載のペアが挙げられるが、これらに限定されない。
(表1)
Figure 2022548472000007
一部の例では、本開示のTMP内に存在するバリアント型免疫調節ポリペプチドは、同族共刺激ポリペプチドに対して、100nM~100μMの結合親和性を有する。例えば、一部の例では、本開示のTMP内に存在するバリアント型免疫調節ポリペプチドは、同族共刺激ポリペプチドに対して、約100nM~150nM、約150nM~約200nM、約200nM~約250nM、約250nM~約300nM、約300nM~約350nM、約350nM~約400nM、約400nM~約500nM、約500nM~約600nM、約600nM~約700nM、約700nM~約800nM、約800nM~約900nM、約900nM~約1μM、約1μM~約5μM、約5μM~約10μM、約10μM~約15μM、約15μM~約20μM、約20μM~約25μM、約25μM~約50μM、約50μM~約75μM、または、約75μM~約100μMの結合親和性を有する。
本開示のTMP内に存在するバリアント型免疫調節ポリペプチドは、同族共刺激ポリペプチドに対して、低下した親和性を示す。同様に、バリアント型免疫調節ポリペプチドを含む本開示のTMPは、同族共刺激ポリペプチドに対して、低下した親和性を示す。それゆえ、例えば、バリアント型免疫調節ポリペプチドを含む本開示のTMPは、同族共刺激ポリペプチドに対して、100nM~100μMの結合親和性を有する。例えば、一部の例では、バリアント型免疫調節ポリペプチドを含む本開示のTMPは、同族共刺激ポリペプチドに対して、約100nM~150nM、約150nM~約200nM、約200nM~約250nM、約250nM~約300nM、約300nM~約350nM、約350nM~約400nM、約400nM~約500nM、約500nM~約600nM、約600nM~約700nM、約700nM~約800nM、約800nM~約900nM、約900nM~約1μM、約1μM~約5μM、約5μM~約10μM、約10μM~約15μM、約15μM~約20μM、約20μM~約25μM、約25μM~約50μM、約50μM~約75μM、または、約75μM~約100μMの結合親和性を有する。
図17に概略的に示すように、免疫調節ポリペプチド(すなわち、1つ以上の免疫調節ポリペプチド)を、本開示のヘテロ二量体TMPの様々な位置のいずれかに存在させることができる。図17は、バリアント型IL-2ポリペプチドの2つのコピーの位置を示すが、免疫調節ポリペプチドは、本明細書に記載のような、任意の数の任意の様々な免疫調節ポリペプチドであり得る。図17に示すように、免疫調節ポリペプチドを、1)MHCクラスI重鎖のN末端側、2)MHCクラスI重鎖のC末端側かつIg FcポリペプチドのN末端側、言い換えれば、MHCクラスI重鎖とIg Fcポリペプチドの間、3)Ig FcポリペプチドのC末端側、4)ペプチドエピトープのN末端側、または5)β2MポリペプチドのC末端側とすることができる。
図18に概略的に示すように、免疫調節ポリペプチド(すなわち、1つ以上の免疫調節ポリペプチド)を、本開示の一本鎖TMPの様々な位置のいずれかに存在させることができる。図18は、バリアント型IL-2ポリペプチドの2つのコピーの位置を示すが、免疫調節ポリペプチドは、本明細書に記載のような、任意の数の任意の様々な免疫調節ポリペプチドであり得る。図18に示すように、免疫調節ポリペプチドを、1)MHCクラスI重鎖のC末端側かつIg FcポリペプチドのN末端側、2)Ig FcポリペプチドのC末端側、または3)ペプチドエピトープのN末端側とすることができる。
免疫調節ポリペプチド及びバリアント(低親和性バリアントを含む)、例えば、PD-L1、CD80、CD86、4-1BBL、及びIL-2は、公開文献、例えば、公開PCT出願WO2020132138A1及びWO2019/051091に記載されており、その開示は、それらがPD-L1、CD80、CD86、4-1BBL、IL-2の免疫調節ポリペプチド及び特定のバリアント型免疫調節ポリペプチドに関連するものとして、WO2020132138A1の段落[00260]~[00455]及びWO2019/051091の段落[00157]-[00352]を含めて、参照により本明細書に明示的に援用される。
サイトカインIL-2のバリアントであるMODは特に興味深い。野生型IL-2は、T細胞表面のIL-2受容体(IL-2R)に結合する。野生型IL-2はIL-2Rに対して強い親和性を有し、結合してほとんどまたは実質的にすべてのCD8+T細胞を活性化させる。このため、薬剤アルデスロイキン(商品名Proleukin(登録商標))などの野生型IL-2の合成形態は、がんの治療のためにヒトに投与すると、標的T細胞と非標的T細胞の両方を無差別に活性化させるため、重篤な副作用があることが知られている。
IL-2受容体は、一部の例では、α鎖(IL-2Rα、CD25とも呼ばれる)、β鎖(IL-2Rβ、CD122とも呼ばれる)、及びγ鎖(IL-2Rγ、CD132とも呼ばれる)を含むヘテロ三量体ポリペプチドである。ヒトIL-2(配列番号15)、ヒトIL-2Rα(配列番号16)、IL2Rβ(配列番号17)、及びIL-2Rγ(配列番号18)のアミノ酸配列は既知である。例えば、上記の公開PCT出願WO2020132138A1及びWO2019/051091を参照されたい。
一部の例では、本開示のIL-2バリアント型MODは、IL-2Rαへの結合が実質的に低下しているか、または全く結合を示さず、それにより、IL-2バリアントによるTregの活性化を最小化または実質的に低下させる。一部の例では、本開示のIL-2バリアント型MODは、IL-2Rβ及び/またはIL-2Rγに対する親和性が低下しており、それにより、IL-2バリアント型MODは、IL-2Rに対して全体的に低い親和性を示す。一部の例では、本開示のIL-2バリアント型MODは、両方の特性を示し、すなわち、IL-2Rαへの結合が実質的に低下しているか、または全く結合を示さず、かつIL-2Rβ及び/またはIL-2Rγに対する親和性が低下しており、それにより、IL-2バリアント型ポリペプチドは、IL-2Rに対して全体的に低い親和性を示す。実質的にIL-2Rαに結合せずかつIL-2Rβに対する親和性が低下しているバリアントを含む、そのようなバリアントを含むTMPは、TMP上のペプチドエピトープに特異的な標的TCRを有するT細胞上のIL-2受容体に優先的に結合して活性化させる能力を示したが、それゆえ、非標的T細胞、すなわち、TMP上のペプチドエピトープに特異的に結合するTCRを有さないT細胞にIL-2を送達する可能性は低い。すなわち、T細胞上の共刺激ポリペプチドへのIL-2バリアント型MODの結合は、Il-2の結合によってではなく、MHC-エピトープ部分の結合によって実質的に駆動される。
したがって、好適なIL-2バリアント型MODは、IL-2Rについて、配列番号15に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。一部の例では、本開示のそのようなバリアント型IL-2ポリペプチドは、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むIL-2ポリペプチドの結合親和性と比較して低い、IL-2Rに対する結合親和性を示す。例えば、一部の例では、バリアント型IL-2ポリペプチドは、同じ条件下でアッセイした場合に、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含むIL-2ポリペプチドのIL-2R(例えば、配列番号16~18に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含むIL-2R)に対する結合親和性と比較して、少なくとも10%低い、少なくとも15%低い、少なくとも20%低い、少なくとも25%低い、少なくとも30%低い、少なくとも35%低い、少なくとも40%低い、少なくとも45%低い、少なくとも50%低い、少なくとも55%低い、少なくとも60%低い、少なくとも65%低い、少なくとも70%低い、少なくとも75%低い、少なくとも80%低い、少なくとも85%低い、少なくとも90%低い、少なくとも95%低い、または95%超低い結合親和性でIL-2Rに結合する。一部の例では、そのようなバリアント型IL-2ポリペプチドは、IL-2Rに対して、100nM~100μMの結合親和性を有する。別の例として、一部の例では、バリアント型IL-2ポリペプチドは、IL-2R(例えば、配列番号16~18に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含むIL-2R)に対して、約100nM~150nM、約150nM~約200nM、約200nM~約250nM、約250nM~約300nM、約300nM~約350nM、約350nM~約400nM、約400nM~約500nM、約500nM~約600nM、約600nM~約700nM、約700nM~約800nM、約800nM~約900nM、約900nM~約1μM、約1μM~約5μM、約5μM~約10μM、約10μM~約15μM、約15μM~約20μM、約20μM~約25μM、約25μM~約50μM、約50μM~約75μM、または約75μM~約100μMの結合親和性を有する。
一部の例では、好適なバリアント型IL-2ポリペプチドは、アミノ酸酸配列:
Figure 2022548472000008
(配列番号241)に対して、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、すなわち、バリアント型IL-2ポリペプチドは、野生型IL-2のアミノ酸配列を有しているが、H16A及びF42A置換(太字で示されている)を有する。あるいは、前述の配列であるが、H16及び/またはF42でのAla以外の置換を使用してもよく、例えば、H16Aの代わりにH16Tを使用してもよい。
スキャフォールドポリペプチド
本開示のTMPは、Fcポリペプチドを含んでもよいし、別の好適なスキャフォールドポリペプチドを含んでもよい。
好適なスキャフォールドポリペプチドとしては、抗体ベースのスキャフォールドポリペプチド及び非抗体ベースのスキャフォールドが挙げられる。非抗体ベースのスキャフォールドとしては、例えば、アルブミン、XTEN(伸長組換え)ポリペプチド、トランスフェリン、Fc受容体ポリペプチド、エラスチン様ポリペプチド(例えば、Hassouneh et al.(2012)Methods Enzymol.502:215を参照のこと。例えば、(Val-Pro-Gly-X-Gly、配列番号561)(式中、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸)のペンタペプチド繰り返し単位を含むポリペプチド)、アルブミン結合ポリペプチド、シルク様ポリペプチド(例えば、Valluzzi et al.(2002)Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci.357:165を参照のこと)、シルク-エラスチン様ポリペプチド(SELP、例えば、Megeed et al.(2002)Adv Drug Deliv Rev.54:1075を参照のこと)などが挙げられる。好適なXTENポリペプチドとしては、例えば、WO2009/023270、WO2010/091122、WO2007/103515、US2010/0189682、及びUS2009/0092582に開示されているXTENポリペプチドが挙げられるが、Schellenberger et al.(2009)Nat Biotechnol.27:1186もまた参照されたい。好適なアルブミンポリペプチドとしては、例えば、ヒト血清アルブミンが挙げられる。
好適なスキャフォールドポリペプチドは、一部の例では、半減期を延長するポリペプチドである。それゆえ、一部の例では、好適なスキャフォールドポリペプチドは、スキャフォールドポリペプチドを欠く対照TMPと比較して、TMPのインビボ半減期(例えば、血清中半減期)を延長する。例えば、一部の例では、スキャフォールドポリペプチドは、スキャフォールドポリペプチドを欠く対照TMPと比較して、TMPのインビボ半減期(例えば、血清中半減期)を、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、または100倍超延長する。1つの例として、一部の例では、Fcポリペプチドは、Fcポリペプチドを欠く対照TMPと比較して、TMPのインビボ半減期(例えば、血清中半減期)を、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、または100倍超延長する。
Fcポリペプチド
一部の例では、本開示のTMPの第1及び/または第2のポリペプチド鎖はFcポリペプチドを含む。本開示のTMPのFcポリペプチドは、ヒトIgG1 Fc、ヒトIgG2 Fc、ヒトIgG3 Fc、ヒトIgG4 Fcなどであってもよい。一部の例では、Fcポリペプチドは、図3A~図3Gに記載のFc領域のアミノ酸配列に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の例では、Fc領域は、図3Aに記載のヒトIgG1 Fcポリペプチドに対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択でN77の置換を含み、例えば、FcポリペプチドはN77A置換を含む。一部の例では、Fcポリペプチドは、図3Aに記載のヒトIgG2 Fcポリペプチドに対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、例えば、Fcポリペプチドは、図3Aに記載のヒトIgG2 Fcポリペプチドのアミノ酸99~325に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の例では、Fcポリペプチドは、図3Aに記載のヒトIgG3 Fcポリペプチドに対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、例えば、Fcポリペプチドは、図3Aに記載のヒトIgG3 Fcポリペプチドのアミノ酸19~246に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の例では、Fcポリペプチドは、図3Bに記載のヒトIgM Fcポリペプチドに対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、例えば、Fcポリペプチドは、図3Bに記載のヒトIgM Fcポリペプチドのアミノ酸1~276に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の例では、Fcポリペプチドは、図3Cに記載のヒトIgA Fcポリペプチドに対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、例えば、Fcポリペプチドは、図3Cに記載のヒトIgA Fcポリペプチドのアミノ酸1~234に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
一部の例では、Fcポリペプチドは、図3Cに示すヒトIgG4 Fcポリペプチドに対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の例では、Fcポリペプチドは、図3Cに示すヒトIgG4 Fcポリペプチドのアミノ酸100~327に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
一部の例では、IgG4 Fcポリペプチドは、以下のアミノ酸配列:
PPCPSCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
(配列番号175)を含む。
典型的には、TMPで使用されるIg Fcは、野生型配列中にアミノ酸の1つ以上の置換を含み、それにより、Ig Fcは、「実質的に細胞溶解を誘発しない」。例えば、一部の例では、TMPに存在するFcポリペプチドは、L234(図3Aに示すアミノ酸配列のL14)の、ロイシン以外のアミノ酸への置換、またはL235(図3Aに示すアミノ酸配列のL15)の、ロイシン以外のアミノ酸への置換を除いて、図3Aに示すアミノ酸配列(ヒトIgG1 Fc)を含む。
一部の例では、TMPに存在するFcポリペプチドは、図3Gに示すアミノ酸配列(図3Gに示すアミノ酸配列の14位及び15位に対応するL234A置換及びL235A置換を含むヒトIgG1 Fc)を含む。一部の例では、TMPに存在するFcポリペプチドは、L234及びL235(図3Aに示すアミノ酸配列のL14及びL15)でのロイシン以外のアミノ酸への置換を除いて、図3A(ヒトIgG1 Fc)に示すアミノ酸配列を含む。一部の例では、TMPに存在するFcポリペプチドは、L234及びL235(図3Aに示すアミノ酸配列のL14及びL15)でのロイシン以外のアミノ酸への置換、及びP331(図3Aに示すアミノ酸配列のP111)の、プロリン以外のアミノ酸への置換を除いて、図3A(ヒトIgG1 Fc)に示すアミノ酸配列を含む。一部の例では、TMPに存在するFcポリペプチドは、図3Eに示すアミノ酸配列(L234F、L235E、及びP331S置換を含むヒトIgG1 Fc(図3Eに示すアミノ酸配列のアミノ酸14位、15位、及び111位に対応する)を含む。一部の例では、TMPに存在するFcポリペプチドは、図3Gに示すように、L234A及びL235A置換(図3Aに示すアミノ酸配列のL14及びL15の、Alaへの置換)を含むIgG1 Fcポリペプチドである。
リンカー
本開示のTMPには、1つ以上のリンカーを含ませることができ、1つ以上のリンカーは、i)MHCクラスIポリペプチドとIg Fcポリペプチドの間(そのようなリンカーを本明細書中では「L1」と呼ぶ)、ii)免疫調節ポリペプチドとMHCクラスIポリペプチドの間(そのようなリンカーを本明細書中では「L2」と呼ぶ)、iii)第1の免疫調節ポリペプチドと第2の免疫調節ポリペプチドの間(そのようなリンカーを本明細書中では「L3」と呼ぶ)、iv)ペプチド抗原(「エピトープ」)とMHCクラスIポリペプチドの間、v)MHCクラスIポリペプチドと二量体化ポリペプチド(例えば、二量体化ペアの第1または第2のメンバー)の間、及び、vi)二量体化ポリペプチド(例えば、二量体化ペアの第1または第2のメンバー)とIgFcポリペプチドの間、のうちの1つ以上にある。
好適なリンカー(「スペーサー」とも呼ばれる)は、容易に選択することができ、多数の好適な長さ、例えば、4アミノ酸~10アミノ酸、5アミノ酸~9アミノ酸、6アミノ酸~8アミノ酸、または、7アミノ酸~8アミノ酸を含む、1アミノ酸~25アミノ酸、3アミノ酸~20アミノ酸、2アミノ酸~15アミノ酸、3アミノ酸~12アミノ酸などのいずれかであり得る。好適なリンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25アミノ酸長であり得る。一部の例では、リンカーは、25アミノ酸~50アミノ酸の長さ、例えば、25~30、30~35、35~40、40~45、または、45~50アミノ酸長を有する。
例示的なリンカーとしては、グリシンポリマー(G)、グリシン-セリンポリマー(例えば、(GS)、(GSGGS)(配列番号366)、及び(GGGS)(配列番号367)を含み、nは、少なくとも1の整数である)、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、及び、当技術分野において公知の他のフレキシブルリンカーが挙げられる。グリシンポリマー及びグリシン-セリンポリマーを使用してもよく、GlyとSerの両方は比較的自由であるため、構成要素間の中間テザーとして機能することができる。グリシンポリマーを使用してもよく、グリシンは、アラニンよりもさらに相当φ-ψ空間に接近し、より長い側鎖を有する残基と比べはるかに制限を受けない(Scheraga,Rev.Computational Chem.11173-142(1992)を参照されたい)。例示的なリンカーは、GGSG(配列番号368)、GGSGG(配列番号369)、GSGSG(配列番号370)、GSGGG(配列番号371)、GGGSG(配列番号372)、GSSSG(配列番号373)などを含むがこれらに限定されないアミノ酸配列を含んでいてもよい。例示的なリンカーとしては、例えば、Gly(Ser)n(配列番号374)(nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である)を挙げてもよい。一部の例では、リンカーは、アミノ酸配列(GSSSS)n(配列番号375)(nは4である)を含む。一部の例では、リンカーは、アミノ酸配列(GSSSS)n(配列番号376)(nは5である)を含む。
例示的なリンカーとして、(GGGGS)n(配列番号377)、「G4S」リンカーとも呼ばれる)が挙げられ、配列中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。一部の例では、リンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(配列番号377)を含み、配列中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。一部の例では、リンカーは、アミノ酸配列AAAGG(配列番号387)を含む。アミノ酸配列AAAGG(配列番号387)を有するリンカーもまた好適である。本開示の一本鎖TMPでは、β2Mポリペプチドは、(GGGGS)n(配列番号377)リンカーによってMHC重鎖ポリペプチドに接続することができ、配列中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10、例えば、n=3または7である。
一部の例では、本開示のTMPの第1のポリペプチド内に存在するリンカーポリペプチドは、本開示のTMPの第2のポリペプチド内に存在するシステイン残基とジスルフィド結合を形成し得るシステイン残基を含む。一部の例では、例えば、好適なリンカーは、アミノ酸配列
Figure 2022548472000009
(配列番号388)を含む。別の例では、好適なリンカーは、アミノ酸配列GCGGS(GGGGS)n(配列番号389)(nは、1、2、3、4、5、6、7、8、または9である)を含んでいてもよい。例えば、一部の例では、リンカーはアミノ酸配列GCGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号390)を含む。別の例では、リンカーはアミノ酸配列GCGGSGGGGSGGGGS(配列番号391)を含む。
二量体化TMP
一部の例では、本開示の一本鎖及びヘテロ二量体TMPは二量体を形成することができ、すなわち、本開示は、本開示のTMPの二量体を含むポリペプチドを提供する。本開示は、例えば、以下を含むタンパク質(本開示の二量体化TMP)を提供する:A)a)i)KRASペプチド、及びii)第1のMHCポリペプチドを含む第1のポリペプチド、ならびにb)i)第2のMHCポリペプチドを含む第2のポリペプチドを含む第1のヘテロ二量体を含み、第1のヘテロ二量体は、1つ以上の免疫調節ポリペプチドを含み、ならびにB)a)i)KRASペプチド、及びii)第1のMHCポリペプチドを含む第1のポリペプチド、ならびにb)i)第2のMHCポリペプチドを含む第2のポリペプチドを含む第2のヘテロ二量体を含み、第2のヘテロ二量体は、1つ以上の免疫調節ポリペプチドを含み、第1のヘテロ二量体及び第2のヘテロ二量体は、互いに共有結合している。あるいは、二量体化されたTMPは、互いに共有結合している2つの一本鎖TMPを含み得る。二量体の共有結合は、第1の一本鎖またはヘテロ二量体TMPのIg Fcポリペプチドと第2の一本鎖またはヘテロ二量体TMPのIg Fcポリペプチドとの間のジスルフィド結合であり得る。TMPがIg Fcポリペプチド、例えば、細胞溶解を実質的に誘発しないヒトIgG1 Fcポリペプチド(例えば、図3Gのポリペプチド)を含む場合、TMPは、通常、別のTMPのIgG1 Fcポリペプチドと自発的にジスルフィド結合を形成することによって二量体に自己集合する。したがって、例えば、第1の一本鎖またはヘテロ二量体TMP内、及び第2の一本鎖またはヘテロ二量体内のIg Fcポリペプチドは、1つ以上のジスルフィド結合によって互いに連結することができる。一部の例では、2つのTMPは、アミノ酸配列が互いに同一である。一部の例では、第1のヘテロ二量体及び第2のヘテロ二量体は、第1のヘテロ二量体の第2のポリペプチドのC末端領域及び第2のヘテロ二量体の第2のポリペプチドのC末端領域を介して互いに共有結合している。一部の例では、第1のヘテロ二量体及び第2のヘテロ二量体は、第1のヘテロ二量体の第2のポリペプチドのC末端アミノ酸及び第2のヘテロ二量体の第2のポリペプチドのC末端領域を介して互いに共有結合している。例えば、一部の例では、第1のヘテロ二量体の第2のポリペプチドのC末端アミノ酸及び第2のヘテロ二量体の第2のポリペプチドのC末端領域が、直接またはリンカーを介して互いに連結される。リンカーはペプチドリンカーであり得る。ペプチドリンカーは、1アミノ酸~200アミノ酸(例えば、1アミノ酸(aa)~5aa、5aa~10aa、10aa~25aa、25aa~50aa、50aa~100aa、100aa~150aa、または150aa~200aa)の長さを有し得る。一部の例では、第1のヘテロ二量体のペプチドエピトープ及び第2のヘテロ二量体のペプチドエピトープは、同じアミノ酸配列を含む。一部の例では、第1及び第2のヘテロ二量体の第1のMHCポリペプチドは、MHCクラスI β2-ミクログロブリンであり、第1及び第2のヘテロ二量体の第2のMHCポリペプチドはMHCクラスI重鎖である。一部の例では、第1のヘテロ二量体の免疫調節ポリペプチド及び第2のヘテロ二量体の免疫調節ポリペプチドは、同じアミノ酸配列を含む。一部の例では、第1のヘテロ二量体の免疫調節ポリペプチド及び第2のヘテロ二量体の免疫調節ポリペプチドは、対応する親の野生型免疫調節ポリペプチドと比較して1~10個のアミノ酸置換を含み、当該1~10個のアミノ酸置換は、バリアント型免疫調節ポリペプチドの同族共刺激ポリペプチドに対する親和性結合の低下をもたらす。一部の例では、第1のヘテロ二量体の免疫調節ポリペプチド及び第2のヘテロ二量体の免疫調節ポリペプチドはそれぞれ、IL-2、4-1BBL、PD-L1、CD80、CD86、ICOS-L、OX-40L、FasL、JAG1(CD339)、TGFβ、CD70、及びICAMの野生型及びバリアント型ポリペプチドからなる群から独立して選択される。好適なMHCポリペプチド、免疫調節ポリペプチド、及びペプチドエピトープの例を本明細書に記載する。
一部の例では、本開示の一本鎖TMPは二量体化される。したがって、本開示は、a)本開示の第1の一本鎖TMP、及びb)本開示の第2の一本鎖TMPを含むタンパク質を提供し、第1及び第2の一本鎖TMPは、互いに共有結合している。共有結合は、第1の一本鎖TMPのIg Fcポリペプチドと第2の一本鎖TMPのIg Fcポリペプチドとの間のジスルフィド結合であり得る。
追加のポリペプチド
本開示のTMPのポリペプチド鎖は、上記のものに加えて、1つ以上のポリペプチド及び複合体薬物を含み得る。エピトープタグ及び親和性ドメインを含む好適な追加のポリペプチド、ならびに薬物複合体は、上記の公開PCT出願WO2020132138A1及びWO2019/051091に記載されており、その開示は、それらがエピトープタグ、親和性ドメイン及び薬物複合体に関連するものとして、具体的には、WO2020132138A1の段落[00498]~[00508]及びWO2019/051091の段落[00353]~[00363]を含めて、参照により本明細書に明示的に援用される。1つ以上の追加のポリペプチドは、TMPのポリペプチド鎖のN末端、TMPのポリペプチド鎖のC末端、またはTMPのポリペプチド鎖の内部に含まれ得る。
例示的なTMP
一部の例では、本開示のTMPは、a)i)KRASペプチド、及びii)第1のMHCポリペプチドを含む第1のポリペプチド、b)第2のMHCポリペプチドを含む第2のポリペプチド、ならびにc)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含む少なくとも1つのヘテロ二量体を含み、第1及び/または第2のポリペプチドは、免疫調節ポリペプチドを含み、任意選択でIg Fcを含む。したがって、一部の例では、本開示のTMPは、a)i)KRASペプチド、ii)第1のMHCポリペプチド、及びiii)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含む第1のポリペプチド、ならびにb)第2のMHCポリペプチドを含む第2のポリペプチドを含む少なくとも1つのヘテロ二量体を含み、任意選択でIg Fcを含む。他の例では、本開示のTMPは、a)i)KRASペプチド、及びii)第1のMHCポリペプチドを含む第1のポリペプチド、ならびにb)i)第2のMHCポリペプチド、及びii)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含む第2のポリペプチドを含む少なくとも1つのヘテロ二量体を含み、任意選択でIg Fcを含む。一部の例では、本開示のTMPは、a)i)KRASペプチド、ii)第1のMHCポリペプチド、及びiii)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含む第1のポリペプチド、ならびにb)i)第2のMHCポリペプチド、及びii)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含む第2のポリペプチドを含む少なくとも1つのヘテロ二量体を含み、任意選択でIg Fcを含む。一部の例では、少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドは野生型免疫調節ポリペプチドである。他の場合では、少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドは、対応する野生型免疫調節ポリペプチドの共刺激ポリペプチドに対する親和性と比較して低い、共刺激ポリペプチドに対する親和性を示す、バリアント型免疫調節ポリペプチドである。
上記のように、そして図17に概略的に示すように、免疫調節ポリペプチド(すなわち、1つ以上の免疫調節ポリペプチド)は、本開示のTMPに様々な位置のいずれかで存在させることができる。図17は、バリアント型IL-2ポリペプチドの2つのコピーの位置を示すが、免疫調節ポリペプチドは、本明細書に記載のように、任意の数及び任意の様々な免疫調節ポリペプチドであり得る。図17に示すように、免疫調節ポリペプチドは、1)MHCクラスI重鎖のN末端(位置1)、2)MHCクラスI重鎖のC末端及びIg FcポリペプチドのN末端、言い換えれば、MHCクラスI重鎖とIg Fcポリペプチドの間(位置2)、3)Ig FcポリペプチドのC末端(位置3)、4)ペプチドエピトープのN末端(位置4)。または5)β2MポリペプチドのC末端(位置5)とすることができる。したがって、一部の例では、本開示のTMPは、構成要素の定義された配置を有する以下のスキャフォールドのうちの1つを含み、第1のMHCポリペプチドは、β2Mポリペプチドであり、第2のMHCポリペプチドはHLA重鎖ポリペプチドである:
a)N末端からC末端の順に、i)KRASペプチド、及びii)第1のMHCポリペプチドを含む第1のポリペプチド、ならびにb)N末端からC末端の順に、i)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド、ii)第2のMHCポリペプチド、及びiii)Ig Fcポリペプチドを含む第2のポリペプチド(この配置はMOD位置1と呼ばれる)、
a)N末端からC末端の順に、i)KRASペプチド、及びii)第1のMHCポリペプチドを含む第1のポリペプチド、ならびにb)N末端からC末端の順に、i)第2のMHCポリペプチド、ii)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド、及びiii)Ig Fcポリペプチドを含む第2のポリペプチド(この配置はMOD位置2と呼ばれる)、TMP
a)N末端からC末端の順に、i)KRASペプチド、及びii)第1のMHCポリペプチドを含む第1のポリペプチド、ならびにb)N末端からC末端の順に、i)第2のMHCポリペプチド、ii)Ig Fcポリペプチド、及びiii)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含む第2のポリペプチド(この配置はMOD位置3と呼ばれる)。
a)N末端からC末端の順に、i)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド、ii)KRASペプチド、及びiii)第1のMHCポリペプチドを含む第1のポリペプチド、ならびにb)N末端からC末端の順に、i)第2のMHCポリペプチド、及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第2のポリペプチド(この配置はMOD位置4と呼ばれる)、
a)N末端からC末端の順に、i)KRASペプチド、ii)第1のMHCポリペプチド、及びiii)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含む第1のポリペプチド、ならびにb)N末端からC末端の順に、i)第2のMHCポリペプチド、及びii)Ig Fcポリペプチドを含む第2のポリペプチド(この配置はMOD位置5と呼ばれる)、
上記のスキャフォールドにおいて、第1及び第2のポリペプチドの構成要素のいずれかは、任意選択で、リンカーによってポリペプチドの後続の構成要素に接続されていてもよい。一部の例では、ペプチドリンカーは、i)第2のMHCポリペプチドとIg Fcポリペプチド、ii)エピトープと第1のMHCポリペプチド、iii)第1のMHCポリペプチドと免疫調節ポリペプチド、及び(TMPが第1のポリペプチド鎖上に2つの免疫調節ポリペプチドを含む場合)iv)2つの免疫調節ポリペプチドの間、v)第2のMHCポリペプチドとIg Fcポリペプチド、vi)第1のMHCポリペプチドと免疫調節ポリペプチド(複数可)の1つ以上の間にある。一部の例では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列AAAGG(配列番号387)を含む。一部の例では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)nを含み、配列中、nは、1~10の整数である(例えば、nは、2、3、または4である)。
上記のスキャフォールドのいずれかにおいて、KRASペプチドは、以下の群から選択されるアミノ酸配列を有する:VVGADGVGK(配列番号176)、VVGACGVGK(配列番号177)、VVGAVGVGK(配列番号178)、VVVGADGVGK(配列番号179)、VVVGAVGVGK(配列番号180)、VVVGACGVGK(配列番号181)、VTGADGVGK(配列番号182)、VTGAVGVGK(配列番号183)、VTGACGVGK(配列番号184)、VTVGADGVGK(配列番号185)、VTVGAVGVGK(配列番号186)、VTVGACGVGK(配列番号187)、LVVVGADGV(配列番号192)、LVVVGAVGV(配列番号193)、LVVVGACGV(配列番号194)、KLVVVGADGV(配列番号195)、KLVVVGAVGV(配列番号196)、KLVVVGACGV(配列番号197)、LLVVGADGV(配列番号198)、LLVVGAVGV(配列番号199)、LLVVGACGV(配列番号200)、FLVVVGADGV(配列番号201)、FLVVVGAVGV(配列番号202)、FLVVVGACGV(配列番号203)。
上記のスキャフォールドにおいて、一部の例では、第2のMHCポリペプチドは、HLA-A0201ポリペプチド、HLA-A1101ポリペプチドまたはHLA-A24ポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHLA重鎖である。一部の例では、HLA重鎖ポリペプチドは、HLA-A0201ポリペプチドである。一部の例では、HLA重鎖ポリペプチドは、A236C置換を含むHLA-A0201ポリペプチドである。一部の例では、HLA重鎖ポリペプチドは、A236C置換を含むHLA-A1101ポリペプチドである。
一部の例では、スキャフォールドは、2つの免疫調節ポリペプチドを含み、2つの免疫調節ポリペプチドは、同じアミノ酸配列を有し、例えば、免疫調節ポリペプチドは、H16A及びF42A置換を含むバリアント型IL-2ポリペプチド、またはH16T及びF42A置換を含むバリアント型IL-2ポリペプチドである。
一部の例では、Ig Fcポリペプチドは、細胞溶解を実質的に誘発しないヒトIgG1 Fcポリペプチドのバリアントであり、例えば、図3Gに示すようなL234A及びL235A置換を含むIgG1 Fcポリペプチドである。
一部の例では、第1及び第2のポリペプチドは、互いにジスルフィド結合している。
一部の例では、本開示のTMPは、MOD位置1または位置3の配置を有するスキャフォールドを含み、HLA重鎖ポリペプチドは、野生型またはバリアント型HLA-A0201ポリペプチド、例えば、A236C置換または図22Cに示すような配列を含むHLA-A0201ポリペプチド、またはそのバリアントである。一部の例では、Ig Fcポリペプチドは、細胞溶解を実質的に引き起こさないヒトIgG1 Fcポリペプチド、例えば、図3Gに示すようなL234A及びL235A置換を含むヒトIgG1 Fcポリペプチドである。一部の例では、第1及び第2のポリペプチドは、互いにジスルフィド結合している。一部の例では、免疫調節ポリペプチドは、H16A及びF42A置換またはH16T及びF42A置換を含むバリアント型IL-2ポリペプチドである。一部の例では、KRASペプチドは、以下の群から選択されるアミノ酸配列を有する:VVGADGVGK(配列番号176)、VVGACGVGK(配列番号177)、VVGAVGVGK(配列番号178)、VVVGADGVGK(配列番号179)、VVVGAVGVGK(配列番号180)、VVVGACGVGK(配列番号181)、VTGADGVGK(配列番号182)、VTGAVGVGK(配列番号183)、VTGACGVGK(配列番号184)、VTVGADGVGK(配列番号185)、VTVGAVGVGK(配列番号186)、VTVGACGVGK(配列番号187)、LVVVGADGV(配列番号192)、LVVVGAVGV(配列番号193)、LVVVGACGV(配列番号194)、KLVVVGADGV(配列番号195)、KLVVVGAVGV(配列番号196)、KLVVVGACGV(配列番号197)、LLVVGADGV(配列番号198)、LLVVGAVGV(配列番号199)、LLVVGACGV(配列番号200)、FLVVVGADGV(配列番号201)、FLVVVGAVGV(配列番号202)、FLVVVGACGV(配列番号203)。
一部の例では、本開示のTMPは、MOD位置1または位置3配置を有するスキャフォールドを含み、HLA重鎖ポリペプチドは、野生型またはバリアント型HLA-A24ポリペプチド(HLA-A2402とも呼ばれる)、例えば、A236C置換または図21O、21P、21Q、21R、21S、もしくは21Tのいずれか1つに示すアミノ酸配列を含むHLA-A0201ポリペプチド、またはそのバリアントである。一部の例では、Ig Fcポリペプチドは、細胞溶解を実質的に引き起こさないヒトIgG1 Fcポリペプチド、例えば、図3Gに示すようなL234A及びL235A置換を含むヒトIgG1 Fcポリペプチドである。一部の例では、第1及び第2のポリペプチドは、互いにジスルフィド結合している。一部の例では、免疫調節ポリペプチドは、H16A及びF42A置換またはH16T及びF42A置換を含むバリアント型IL-2ポリペプチドである。一部の例では、KRASペプチドは、以下の群から選択されるアミノ酸配列を有する:VVGADGVGK(配列番号176)、VVGACGVGK(配列番号177)、VVGAVGVGK(配列番号178)、VVVGADGVGK(配列番号179)、VVVGAVGVGK(配列番号180)、VVVGACGVGK(配列番号181)、VTGADGVGK(配列番号182)、VTGAVGVGK(配列番号183)、VTGACGVGK(配列番号184)、VTVGADGVGK(配列番号185)、VTVGAVGVGK(配列番号186)、VTVGACGVGK(配列番号187)、LVVVGADGV(配列番号192)、LVVVGAVGV(配列番号193)、LVVVGACGV(配列番号194)、KLVVVGADGV(配列番号195)、KLVVVGAVGV(配列番号196)、KLVVVGACGV(配列番号197)、LLVVGADGV(配列番号198)、LLVVGAVGV(配列番号199)、LLVVGACGV(配列番号200)、FLVVVGADGV(配列番号201)、FLVVVGAVGV(配列番号202)、FLVVVGACGV(配列番号203)。
一部の例では、本開示のTMPは、MOD位置1または位置3の配置を有するスキャフォールドを含み、HLA重鎖ポリペプチドは、本明細書中に開示するような野生型またはバリアント型HLA-A1101ポリペプチド、例えば、A236C置換を含むか、または図21Jもしくは21Kのうちの1つに示すようなアミノ酸配列を有するHLA-A1101ポリペプチド、またはそのバリアントである。一部の例では、Ig Fcポリペプチドは、細胞溶解を実質的に引き起こさないヒトIgG1 Fcポリペプチド、例えば、図3Gに示すようなL234A及びL235A置換を含むヒトIgG1 Fcポリペプチドである。一部の例では、第1及び第2のポリペプチドは、互いにジスルフィド結合している。一部の例では、免疫調節ポリペプチドは、H16A及びF42A置換またはH16T及びF42A置換を含むバリアント型IL-2ポリペプチドである。一部の例では、KRASペプチドは、以下の群から選択されるアミノ酸配列を有する:VVGADGVGK(配列番号176)、VVGACGVGK(配列番号177)、VVGAVGVGK(配列番号178)、VVVGADGVGK(配列番号179)、VVVGAVGVGK(配列番号180)、VVVGACGVGK(配列番号181)、VTGADGVGK(配列番号182)、VTGAVGVGK(配列番号183)、VTGACGVGK(配列番号184)、VTVGADGVGK(配列番号185)、VTVGAVGVGK(配列番号186)、VTVGACGVGK(配列番号187)、LVVVGADGV(配列番号192)、LVVVGAVGV(配列番号193)、LVVVGACGV(配列番号194)、KLVVVGADGV(配列番号195)、KLVVVGAVGV(配列番号196)、KLVVVGACGV(配列番号197)、LLVVGADGV(配列番号198)、LLVVGAVGV(配列番号199)、LLVVGACGV(配列番号200)、FLVVVGADGV(配列番号201)、FLVVVGAVGV(配列番号202)、FLVVVGACGV(配列番号203)。
一部の例では、本開示のTMPは、MOD位置1または位置3の配置を有するスキャフォールドを含み、HLA重鎖ポリペプチドは、本明細書に開示するような野生型またはバリアント型HLA-A1101ポリペプチド、例えば、A236C置換を含むか、または図21Jもしくは21Kのうちの1つに示すようなアミノ酸配列を有するHLA-A1101ポリペプチド、またはそのバリアントである。一部の例では、Ig Fcポリペプチドは、細胞溶解を実質的に引き起こさないヒトIgG1 Fcポリペプチド、例えば、図3Gに示すようなL234A及びL235A置換を含むヒトIgG1 Fcポリペプチドである。一部の例では、第1及び第2のポリペプチドは、互いにジスルフィド結合している。一部の例では、免疫調節ポリペプチドは、H16A及びF42A置換またはH16T及びF42A置換を含むバリアント型IL-2ポリペプチドである。一部の例では、KRASペプチドは、以下の群から選択されるアミノ酸配列を有する:VVGADGVGK(配列番号176)、VVGACGVGK(配列番号177)、VVGAVGVGK(配列番号178)、VVVGADGVGK(配列番号179)、VVVGAVGVGK(配列番号180)、VVVGACGVGK(配列番号181)、VTGADGVGK(配列番号182)、VTGAVGVGK(配列番号183)、VTGACGVGK(配列番号184)、VTVGADGVGK(配列番号185)、VTVGAVGVGK(配列番号186)、VTVGACGVGK(配列番号187)、LVVVGADGV(配列番号192)、LVVVGAVGV(配列番号193)、LVVVGACGV(配列番号194)、KLVVVGADGV(配列番号195)、KLVVVGAVGV(配列番号196)、KLVVVGACGV(配列番号197)、LLVVGADGV(配列番号198)、LLVVGAVGV(配列番号199)、LLVVGACGV(配列番号200)、FLVVVGADGV(配列番号201)、FLVVVGAVGV(配列番号202)、FLVVVGACGV(配列番号203)。MOD位置1の配置では、一部の例では、独立して選択された1つ以上のペプチドリンカーが、i)KRASペプチドと第1のMHCポリペプチド、ii)免疫調節ポリペプチドと第2のMHCポリペプチド(その場合、TMPは、2つの免疫調節ポリペプチドの間の第2のポリペプチド鎖上に2つの免疫調節ポリペプチドを含む)、及び/またはiii)第2のMHCポリペプチドとIg Fcポリペプチドのうちの1つ以上の間に配置される。MOD位置3の配置では、一部の例では、独立して選択された1つ以上のペプチドリンカーが、i)KRASペプチドと第1のMHCポリペプチド、ii)第2のMHCポリペプチドとIg Fcポリペプチド、及びiii)Ig Fcと免疫調節ポリペプチド(その場合、TMPは、2つの免疫調節ポリペプチドの間の第2のポリペプチド鎖上に2つの免疫調節ポリペプチドを含む)TMPのうちの1つ以上の間に配置される。一部の例では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列AAAGG(配列番号387)を含む。一部の例では、ペプチドリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(配列番号377)を含み、配列中、nは、1~10の整数である(例えば、nは、2、3、または4である)。
さらに、上述のように、及び図16A~16Cに概略的に示したように、本開示のTMPの第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖は、1つ以上のジスルフィド結合によって連結され得る。例えば、本開示のTMMPは、a)R12C置換を有するβ2Mポリペプチドを含む第1のポリペプチド鎖、及びb)A236C置換を有するクラスI MHC重鎖ポリペプチドを含む第2のポリペプチド鎖を含み得るが、それにより、第1のポリペプチド鎖のβ2Mポリペプチドの12位のCysと第2のポリペプチド鎖のクラスI MHC重鎖ポリペプチドの236位のCysとの間にジスルフィド結合が形成される。別の例として、本開示のTMMPは、a)N末端からC末端の順に、i)ペプチドエピトープ、ii)GCGGS(GGGGS)(配列番号582)配列を含むペプチドリンカー(配列中、nは、1、2、または3である)、及びiii)β2Mポリペプチドを含む第1のポリペプチド、ならびにb)Y84C置換を有するクラスI MHC重鎖ポリペプチドを含む第2のポリペプチドを含み得るが、それにより、第1のポリペプチド鎖のペプチドリンカーのCysと第2のポリペプチド鎖のクラスIのMHC重鎖ポリペプチドの84位のCysとの間にジスルフィド結合が形成される。他の例では、本開示のTMPは、a)N末端からC末端の順に、i)ペプチドエピトープ、ii)GCGGS(GGGGS)(配列番号582)配列を含むペプチドリンカー(配列中、nは、1、2、または3である)、iii)R12C置換を有するβ2Mポリペプチドを含む第1のポリペプチド、b)Y84C置換及びA236C置換を有するクラスI MHC重鎖ポリペプチドを含む第2のポリペプチドを含み得るが、それにより、i)第1のポリペプチド鎖のペプチドリンカーのCysと第2のポリペプチド鎖のクラスI MHC重鎖ポリペプチドの84位のCysとの間に第1のジスルフィド結合が形成され、ii)第1のポリペプチド鎖のβ2Mポリペプチドの12位のCysと第2のポリペプチド鎖のクラスI MHC重鎖ポリペプチドの236位のCysとの間に第2のジスルフィド結合が形成される。簡略化のために、第1のジスルフィド結合は「G2C/Y84C」と呼ばれ、第2のジスルフィド結合は「R12C/A236C」と呼ばれる。本開示のTMPは、a)G2C/Y84Cジスルフィド結合を含み、R12C/A236Cジスルフィド結合を含まないか、b)G2C/Y84Cジスルフィド結合を含まず、R12C/A236Cジスルフィド結合を含むか、またはc)G2C/Y84Cジスルフィド結合とR12C/A236Cジスルフィド結合を含む。
本開示のTMPは、a)G2C/Y84Cジスルフィド結合を含み、R12C/A236Cジスルフィド結合を含まず、b)位置1または3に、少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含み得る。本開示のTMPは、a)G2C/Y84Cジスルフィド結合を含み、R12C/A236Cジスルフィド結合を含まず、b)位置2、4または5に、少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含み得る。
本開示のTMPは、a)R12C/A236Cジスルフィド結合を含み、G2C/Y84Cジスルフィド結合を含まず、位置1または3に、少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含み得る。本開示のTMPは、a)R12C/A236Cジスルフィド結合を含み、G2C/Y84Cジスルフィド結合を含まず、位置2、4または5に、少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含み得る。
本開示のTMPは、a)G2C/Y84Cジスルフィド結合及びR12C/A236Cジスルフィド結合、ならびにb)位置1または3に、少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含み得る。本開示のTMPは、a)G2C/Y84Cジスルフィド結合及びR12C/A236Cジスルフィド結合、ならびにb)位置2、4または5に、少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含み得る。
一部の例では、本開示のTMPは、例えば、それぞれ図13A、13B、または13Cに示すように、(i)84位におけるAla及び236位におけるCysを含むHLA-A0201(Y84A、A236C)ポリペプチド、または(ii)84位及び139位におけるCysを含むHLA-A0201(Y84C、A139C)ポリペプチド、または(iii)84位におけるCys及び236位におけるアラニンを含むHLA-A0201(Y84C、A236)ポリペプチドを含む第2のポリペプチドを含む。
一部の例では、本開示の一本鎖TMPは、例えば、それぞれ図13D、図13E、または図13Fに示すように、(i)84位におけるAla及び236位におけるCysを含むHLA-A1101(Y84A、A236C)ポリペプチド、または(ii)84位及び236位におけるCysを含むHLA-A1101(Y84C、A236C)ポリペプチド、または(iii)84位におけるCys及び236位におけるアラニンを含むHLA-A1101(Y84C、A236)ポリペプチドを含むMHCクラスI重鎖ポリペプチドを含む。
一部の例では、本開示のTMPは、それぞれ図13G、図13Hまたは図13Iに示すように、(i)84位におけるAla及び236位におけるCysを含むHLA-A24(Y84A、A236C)ポリペプチド、または(ii)84位及び236位におけるCysを含むHLA-A24(Y84C、A236C)ポリペプチド、または(iii)84位におけるCys及び236位におけるアラニンを含むHLA-A24(Y84C、A236)ポリペプチドを含む第2のポリペプチドを含む。
非限定的な例として、本開示のTMPは、以下の表2に記載されている第1及び第2のポリペプチドの組み合わせのうちの1つを含み得る。
(表2)
Figure 2022548472000010
Figure 2022548472000011
非限定的な例として、本開示のTMPは、以下の表3に記載されている第1及び第2のポリペプチドの組み合わせのうちの1つを含み得る。
(表3)
Figure 2022548472000012
Figure 2022548472000013
Figure 2022548472000014
一部の例では、本開示のヘテロ二量体TMPは、鎖内ジスルフィド結合を含むクラスI MHC重鎖を含む。例えば、一部の例では、本開示のヘテロ二量体TMPは、Y84C及びA139C置換から生じるCys残基間に形成される鎖内ジスルフィド結合を含むクラスI MHC重鎖を含む。一部の例では、そのようなヘテロ二量体TMPは、A236C置換を含むクラスI MHC重鎖も含み、Cys-236は、i)ペプチドエピトープ、ii)R12C置換を含むβ2Mポリペプチド(それにより、Cys-12は、クラスI MHC重鎖のCys-236とジスルフィド結合を形成する)、及びiii)ペプチドエピトープとβ2Mポリペプチドとの間のペプチドリンカー(リンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)nを含み、配列中、nは、1~9の整数である(例えば、nは、1、2、または3である)を含む第2のポリペプチド鎖とジスルフィド結合を形成することができる。
例として、本開示のTMPは、Y84C、A139C、及びA236C置換を有するクラスI MHC A02重鎖対立遺伝子を含むヘテロ二量体TMPを提供するために、以下の表4に記載されている第1及び第2のポリペプチドの組み合わせのうちの1つを含み得るが、その場合、免疫調節ポリペプチドは、図17に示すように、位置1または位置3にある。
(表4)
Figure 2022548472000015
別の例として、本開示のヘテロ二量体TMPは、a)図13Lに示すアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド、及び図14Kに示すアミノ酸配列を含む第2のポリペプチドを含み得る。別の例として、本開示のヘテロ二量体TMPは、a)図13Lに示すアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド、及び図14Qに示すアミノ酸配列を含む第2のポリペプチドを含み得る。
上記のように、一部の例では、本開示のTMPは、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含むヘテロ二量体TMPであり、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは、1つ以上のジスルフィド結合、例えば、単一のジスルフィド結合または2つのジスルフィド結合によって連結されている。例えば、上記のように、本開示のTMPは、a)G2C/Y84Cジスルフィド結合を含み、R12C/A236Cジスルフィド結合を含まないか、b)R12C/A236Cジスルフィド結合を含み、G2C/Y84Cジスルフィド結合を含まないか、またはc)G2C/Y84Cジスルフィド結合及びR12C/A236Cジスルフィド結合を含み得る。一部の例では、例えば、本開示のTMPがG2C/Y84Cジスルフィド結合を含み、R12C/A236Cジスルフィド結合を含まない場合、β2MポリペプチドはR12C置換を含まず(代わりに12位にArgを有する)、クラスI MHC重鎖ポリペプチドはA236C置換を含まない(代わりに236位にAlaを有する)。言い換えれば、β2Mポリペプチド及びクラスI MHC重鎖ポリペプチドは、β2Mの12位及びクラスI MHC重鎖ポリペプチドの236位に「遊離の」(対になっていない)Cys残基を含まない。同様に、一部の例では、例えば、本開示のTMPがR12C/A236Cジスルフィド結合を含み、G2C/Y84Cジスルフィド結合を含まない場合、ペプチドエピトープとβ2Mポリペプチドとの間のリンカーは、Cys置換を含まず(そして代わりに、リンカーは(GGGGS)nリンカーであり、配列中、nは、1~5の整数である)、クラスI MHCポリペプチドは、Y84C置換を含まない(代わりに84位にTyrを有する)。言い換えれば、ペプチドエピトープとβ2Mポリペプチドとの間のリンカーも、クラスI MHCポリペプチドも、リンカー内またはクラスI MHCポリペプチドの84位に「遊離の」(対になっていない)Cys残基を含まない。
一本鎖TMP
上記のように、そして図18に概略的に示すように、免疫調節ポリペプチド(すなわち、1つ以上の免疫調節ポリペプチド)を、本開示の一本鎖TMPに様々な位置のいずれかで存在させることができる。図18は、バリアント型IL-2ポリペプチドの2つのコピーの位置を示すが、免疫調節ポリペプチドは、本明細書に記載のように、任意の数及び任意の様々な免疫調節ポリペプチドであり得る。図18に示すように、免疫調節ポリペプチドは、1)MHCクラスI重鎖のC末端及びIg FcポリペプチドのN末端、2)Ig FcポリペプチドのC末端、または3)ペプチドエピトープのN末端とすることができる。
本開示による一本鎖TMPのMHCクラスIポリペプチド(すなわち、β2M及び重鎖ポリペプチド)、免疫調節ポリペプチド、Ig Fc構成要素及びリンカーは、ヘテロ二量体TMPについて上記で記載したものと同一である。さらに、一本鎖TMPは、ヘテロ二量体TMPと同じジスルフィド結合、すなわち、MHCクラスI重鎖ポリペプチドの鎖内、例えば、上述の2つのCys残基間(例えば、重鎖のCys-84とCys-139)、β2Mと重鎖ポリペプチドの間の鎖間(例えば、β2MのR12Cと重鎖の残基236のCysの間)、及び/またはMHCクラスI重鎖のCysを、エピトープとβ2Mポリペプチドの間のリンカーのCys残基に接続するジスルフィドを含み得る。一部の例では、MHCクラスI重鎖は、A02対立遺伝子MHCクラスI重鎖である。一部の例では、MHCクラスI重鎖は、Y84C及びA139C置換を含み、それにより、鎖内ジスルフィド結合が、Cys-84とCys-139の間に形成される。一部の例では、MHCクラスI重鎖は、A02対立遺伝子MHCクラスI重鎖である。
一部の例では、本開示の一方鎖TMPは、図18に示すように、MOD位置2または位置3の配置を有するスキャフォールドを含み、HLA重鎖ポリペプチドは、野生型またはバリアント型HLA-A0201ポリペプチド、例えば、A236C置換、または図22Cに示す配列を含むHLA-A0201ポリペプチド、またはそのバリアントである。一部の例では、Ig Fcポリペプチドは、細胞溶解を実質的に引き起こさないヒトIgG1 Fcポリペプチド、例えば、図3Gに示すようなL234A及びL235A置換を含むヒトIgG1 Fcポリペプチドである。一部の例では、一本鎖TMPは、(i)MHCクラスI重鎖ポリペプチドの2つのCys残基間、(ii)β2Mと重鎖ポリペプチド間、及び/またはMHCクラスI重鎖のCysと、KRASエピトープとβ2Mポリペプチド間のリンカーのCysとの間の鎖内ジスルフィド結合を含む。一部の例では、免疫調節ポリペプチドは、H16A及びF42A置換またはH16T及びF42A置換を含むバリアント型IL-2ポリペプチドである。一部の例では、KRASペプチドは、以下の群から選択されるアミノ酸配列を有する:VVGADGVGK(配列番号176)、VVGACGVGK(配列番号177)、VVGAVGVGK(配列番号178)、VVVGADGVGK(配列番号179)、VVVGAVGVGK(配列番号180)、VVVGACGVGK(配列番号181)、VTGADGVGK(配列番号182)、VTGAVGVGK(配列番号183)、VTGACGVGK(配列番号184)、VTVGADGVGK(配列番号185)、VTVGAVGVGK(配列番号186)、VTVGACGVGK(配列番号187)、LVVVGADGV(配列番号192)、LVVVGAVGV(配列番号193)、LVVVGACGV(配列番号194)、KLVVVGADGV(配列番号195)、KLVVVGAVGV(配列番号196)、KLVVVGACGV(配列番号197)、LLVVGADGV(配列番号198)、LLVVGAVGV(配列番号199)、LLVVGACGV(配列番号200)、FLVVVGADGV(配列番号201)、FLVVVGAVGV(配列番号202)、FLVVVGACGV(配列番号203)。
一部の例では、本開示の一本鎖TMPは、図18に示すように、MOD位置2または位置3の配置を有するスキャフォールドを含み、HLA重鎖ポリペプチドは、野生型またはバリアント型HLA-A24ポリペプチド(HLA-A*2402とも呼ばれる)、例えば、A236C置換または図21O、21P、21Q、21R、21Sもしくは21Tに示すアミノ酸配列のうちのいずれか1つを含むHLA-A0201ポリペプチド、またはそのバリアントである。一部の例では、Ig Fcポリペプチドは、細胞溶解を実質的に引き起こさないヒトIgG1 Fcポリペプチド、例えば、図3Gに示すようなL234A及びL235A置換を含むヒトIgG1 Fcポリペプチドである。一部の例では、一本鎖TMPは、(i)MHCクラスI重鎖ポリペプチドの2つのCys残基間、(ii)β2Mと重鎖ポリペプチド間、及び/またはMHCクラスI重鎖のCysと、KRASエピトープとβ2Mポリペプチドの間のリンカーのCysとの鎖内ジスルフィド結合を含む。一部の例では、免疫調節ポリペプチドは、H16A及びF42A置換またはH16T及びF42A置換を含むバリアント型IL-2ポリペプチドである。一部の例では、KRASペプチドは、以下の群から選択されるアミノ酸配列を有する:VVGADGVGK(配列番号176)、VVGACGVGK(配列番号177)、VVGAVGVGK(配列番号178)、VVVGADGVGK(配列番号179)、VVVGAVGVGK(配列番号180)、VVVGACGVGK(配列番号181)、VTGADGVGK(配列番号182)、VTGAVGVGK(配列番号183)、VTGACGVGK(配列番号184)、VTVGADGVGK(配列番号185)、VTVGAVGVGK(配列番号186)、VTVGACGVGK(配列番号187)、LVVVGADGV(配列番号192)、LVVVGAVGV(配列番号193)、LVVVGACGV(配列番号194)、KLVVVGADGV(配列番号195)、KLVVVGAVGV(配列番号196)、KLVVVGACGV(配列番号197)、LLVVGADGV(配列番号198)、LLVVGAVGV(配列番号199)、LLVVGACGV(配列番号200)、FLVVVGADGV(配列番号201)、FLVVVGAVGV(配列番号202)、FLVVVGACGV(配列番号203)。
一部の例では、本開示のTMPは、図18に示すようなMOD位置2または位置3の配置を有するスキャフォールドを含み、HLA重鎖ポリペプチドは、本明細書中に開示するように、野生型またはバリアント型HLA-A1101ポリペプチド、例えば、A236C置換を含むか、または図21Jもしくは21Kのうちの1つに示すようなアミノ酸配列を有するHLA-A1101ポリペプチド、またはそのバリアントである。一部の例では、Ig Fcポリペプチドは、細胞溶解を実質的に引き起こさないヒトIgG1 Fcポリペプチド、例えば、図3Gに示すようなL234A及びL235A置換を含むヒトIgG1 Fcポリペプチドである。一部の例では、一本鎖TMPは、(i)MHCクラスI重鎖ポリペプチドの2つのCys残基間、(ii)β2Mと重鎖ポリペプチド間、及び/またはMHCクラスI重鎖のCysと、KRASエピトープとβ2Mポリペプチドの間のリンカーのCysとの鎖内ジスルフィド結合を含む。一部の例では、免疫調節ポリペプチドは、H16A及びF42A置換またはH16T及びF42A置換を含むバリアント型IL-2ポリペプチドである。一部の例では、KRASペプチドは、以下の群から選択されるアミノ酸配列を有する:VVGADGVGK(配列番号176)、VVGACGVGK(配列番号177)、VVGAVGVGK(配列番号178)、VVVGADGVGK(配列番号179)、VVVGAVGVGK(配列番号180)、VVVGACGVGK(配列番号181)、VTGADGVGK(配列番号182)、VTGAVGVGK(配列番号183)、VTGACGVGK(配列番号184)、VTVGADGVGK(配列番号185)、VTVGAVGVGK(配列番号186)、VTVGACGVGK(配列番号187)、LVVVGADGV(配列番号192)、LVVVGAVGV(配列番号193)、LVVVGACGV(配列番号194)、KLVVVGADGV(配列番号195)、KLVVVGAVGV(配列番号196)、KLVVVGACGV(配列番号197)、LLVVGADGV(配列番号198)、LLVVGAVGV(配列番号199)、LLVVGACGV(配列番号200)、FLVVVGADGV(配列番号201)、FLVVVGAVGV(配列番号202)、FLVVVGACGV(配列番号203)。
上記のように、一本鎖TMPのポリペプチドを、1つ以上のジスルフィド結合によって連結することができる。例えば、本開示のTMPに、R12C置換を有するβ2Mポリペプチド及びA236C置換を有するクラスI MHC重鎖ポリペプチドを含ませることができ、それにより、β2Mポリペプチドの12位のCysとクラスI MHC重鎖ポリペプチドの236位のCysとの間にジスルフィド結合が形成される。別の例として、本開示の一本鎖TMPに、i)GCGGS(GGGGS)(配列番号582)配列(配列中、nは、1、2、または3である)を含むペプチドリンカーによって接続されているKRASエピトープ及びβ2Mポリペプチド、ならびにii)Y84C置換を有するクラスI MHC重鎖ポリペプチドを含ませることができ、それにより、ペプチドリンカーのCysと、クラスI MHC重鎖ポリペプチドの84位のCysとの間にジスルフィド結合が形成される。他の例では、本開示の一本鎖TMPに、i)GCGGS(GGGGS)(配列番号582)配列(配列中、nは、1、2、または3である)を含むペプチドリンカーによって接続されているKRASエピトープ及びβ2Mポリペプチド(その場合、β2Mポリペプチドは、R12C置換を含む)、ii)Y84C置換及びA236C置換を有するクラスI MHC重鎖ポリペプチドを含ませることができ、それにより、a)ペプチドリンカーのCysと、クラスI MHC重鎖ポリペプチドの84位のCysとの間に第1のジスルフィド結合が形成され、b)β2Mポリペプチドの12位のCysと、クラスI MHC重鎖ポリペプチドの236位のCysとの間に第2のジスルフィド結合が形成される。簡略化のために、第1のジスルフィド結合は「G2C/Y84C」と呼ばれ、第2のジスルフィド結合は「R12C/A236C」と呼ばれる。本開示の一本鎖TMPは、a)G2C/Y84Cジスルフィド結合を含み、R12C/A236Cジスルフィド結合を含まないか、b)R12C/A236Cジスルフィド結合を含み、G2C/Y84Cジスルフィド結合を含まないか、またはc)G2C/Y84Cジスルフィド結合及びR12C/A236Cジスルフィド結合を含み得る。一部の例では、MHCクラスI重鎖は、84位に非天然Cys、及び139位に非天然残基を含み、それにより、鎖内ジスルフィド結合がCys-84とCys-139との間に形成される。
本開示の一本鎖TMPは、a)G2C/Y84Cジスルフィド結合を含み、R12C/A236Cジスルフィド結合を含まず、b)位置2または3に少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含み得る。本開示の一本鎖TMPは、a)R12C/A236Cジスルフィド結合を含み、G2C/Y84Cジスルフィド結合を含まず、b)位置2または3に少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含み得る。本開示の一本鎖TMPは、a)G2C/Y84Cジスルフィド結合及びR12C/A236Cジスルフィド結合、及びb)位置2または3に少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含み得る。
一部の例では、本開示の一本鎖TMPは、例えば、それぞれ、図13A、13Bまたは13Cに示すように、(i)84位におけるAla及び236位におけるCysを含むHLA-A0201(Y84A、A236C)ポリペプチド、または(ii)84位及び139位におけるCysを含むHLA-A0201(Y84C、A139C)ポリペプチド、または(iii)84位におけるCys及び236位におけるアラニンを含むHLA-A0201(Y84C、A236)ポリペプチドを含むMHCクラスI重鎖ポリペプチドを含む。
一部の例では、本開示の一本鎖TMPは、例えば、それぞれ図13D、図13E、または図13Fに示すように、(i)84位におけるAla、236位におけるCysを含むHLA-A1101(Y84A、A236C)ポリペプチド、または(ii)84位及び236位におけるCysを含むHLA-A1101(Y84C、A236C)ポリペプチド、または(iii)84位におけるCys、236位におけるアラニンを含むHLA-A1101(Y84C、A236)ポリペプチドを含むMHCクラスI重鎖ポリペプチドを含む。
一部の例では、本開示のTMPは、それぞれ、図13G、図13Hまたは図13Iに示すように、(i)84位におけるAla及び236位におけるCysを含むHLA-A24(Y84A、A236C)ポリペプチド、または(ii)84位及び236位におけるCysを含むHLA-A24(Y84C、A236C)ポリペプチド、または(iii)84位におけるCys及び236位におけるアラニンを含むHLA-A24(Y84C、A236)ポリペプチドを含む第2のポリペプチドを含む。
1つの非限定的な例として、本開示の一本鎖TMPは、図19Aに示すアミノ酸配列(TMP「4095」)を含み得る。別の非限定的な例として、本開示の一本鎖TMPは、図19Bに示すアミノ酸配列(TMP「4073」)を含み得る。別の非限定的な例として、本開示の一本鎖TMPは、図19Cに示すアミノ酸配列(TMP「4074」)を含み得る。別の非限定的な例として、本開示の一本鎖TMPは、図19Dに示すアミノ酸配列(TMP「4333」)を含み得る。別の非限定的な例として、本開示の一本鎖TMPは、図19Eに示すアミノ酸配列(TMP「4335」)を含み得る。別の非限定的な例として、本開示の一本鎖TMPは、図19Fに示すアミノ酸配列を含み得る。別の非限定的な例として、本開示の一本鎖TMPは、図19Gに示すアミノ酸配列(TMP「4238」)を含み得る。別の非限定的な例として、本開示の一本鎖TMPは、図19Hに示すアミノ酸配列(TMP「4241」)を含み得る。別の非限定的な例として、本開示の一本鎖TMPは、図19Iに示すアミノ酸配列(TMP「4334」)を含み得る。別の非限定的な例として、本開示の一本鎖TMPは、図19Jに示すアミノ酸配列(TMP「4144」)を含み得る。別の非限定的な例として、本開示の一本鎖TMPは、図19Kに示すアミノ酸配列(TMP「4145」)を含み得る。別の非限定的な例として、本開示の一本鎖TMPは、図19Lに示すアミノ酸配列(TMP「4146」)を含み得る。
多量体T細胞調節ポリペプチドの生成方法
対応する親野生型免疫調節ポリペプチドの共刺激ポリペプチドに対する親和性と比較してより低い、同族共刺激ポリペプチドに対する親和性を示す、1つ以上のバリアント型免疫調節ポリペプチドを含むTMPを取得する方法は、公開PCT出願出願WO2020132138A1及び上述のWO2019/051091に開示されており、その開示は、それらがTMPを生成する方法に関連するものとして、具体的にはWO2020132138A1の段落[00560]~[00583]及びWO2019/051091の段落[00364]~[00387]を含めて、参照により本明細書に明示的に援用される。
核酸
本開示は、本開示のTMPをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。本開示は、本開示のTMPをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。
本開示は、本開示のTMPをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。一部の例では、本開示のヘテロ二量体TMPの個々のポリペプチド鎖は、個々の核酸内でコードされる。一部の例では、本開示のヘテロ二量体または一本鎖TMPのすべてのポリペプチド鎖は、単一の核酸内でコードされる。一部の例では、第1の核酸は、本開示のヘテロ二量体TMPの第1のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、第2の核酸は、本開示のヘテロ二量体TMPの第2のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。一部の例では、単一の核酸は、本開示のTMPの第1のポリペプチドと本開示のヘテロ二量体TMPの第2のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
ポリペプチドの個々のポリペプチド鎖をコードする個々の核酸
上記のTMPAは、一部の例では、本開示のヘテロ二量体TMPの個々のポリペプチド鎖は、個々の核酸内でコードされる。一部の例では、本開示のTMPの個々のポリペプチド鎖をコードするヌクレオチド配列は、転写制御エレメント、例えば、プロモーター、例えば、真核細胞において機能的であるプロモーターなどに機能的に連結し、プロモーターは、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターであってもよい。
したがって、例えば、本開示は、第1の核酸及び第2の核酸を提供し、第1の核酸は、ヘテロ二量体TMPの第1のポリペプチドをコードする別個のヌクレオチド配列を含み、第2の核酸は、本開示のヘテロ二量体TMPの第2のポリペプチドをコードする別個のヌクレオチド配列を含む。例えば、ヘテロ二量体TMPについて上述したMOD位置1(図17を参照のこと)において、第1のMHCポリペプチドがβ2Mポリペプチドを含み、第2のポリペプチドがHLA重鎖ポリペプチドを含む場合、第1の核酸は、N末端からC末端の順に、i)KRASペプチド、及びii)β2Mポリペプチドを含み、第2の核酸は、N末端からC末端の順に、i)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド、ii)HLA重鎖ポリペプチド、及びiii)Ig Fcポリペプチドを含む第2のポリペプチドをコードする。上記のように、リンカーは、任意選択で、第1及び第2のポリペプチドの両方の個々の構成要素の間に含まれ得る。同様に、例えば、MOD位置3の場合、第1の核酸は、N末端からC末端の順に、i)KRASペプチド、及びii)β2Mポリペプチドを含む第1のポリペプチドをコードし、第2の核酸は、N末端からC末端の順に、i)HLA重鎖ポリペプチド、ii)Ig Fcポリペプチド、及びiii)i)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドを含む第2のポリペプチドをコードする。この場合も、リンカーは、任意選択で、第1及び第2のポリペプチドの両方の個々の構成要素の間に含まれ得る。
一部の例では、第1及び第2のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、転写制御エレメントに作動可能に連結されている。一部の例では、転写制御エレメントは真核細胞で機能するプロモーターである。一部の例では、核酸は、別々の発現ベクターに存在する。
ポリペプチドに存在する2つ以上のポリペプチドをコードする核酸
本開示はまた、本開示のヘテロ二量体または一本鎖TMPの少なくとも第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単一の核酸を提供する。単一の核酸を使用してヘテロ二量体TMPを調製するためのTMP方法は、公開PCT出願WO2020132138A1及びWO2019/051091に開示されており、その開示は、それらがTMPをコードする核酸に関連するものとして、具体的にはWO2020132138A1の段落[00507]~[00514]及びWO2019/051091の段落[00393]~[00400]を含めて、参照により本明細書に明示的に援用される。
組換え発現ベクター
本開示は、本開示の核酸を含む組換え発現ベクターを提供する。一部の例では、組換え発現ベクターは非ウイルスベクターである。一部の例では、組換え発現ベクターは、ウイルス構築物、例えば、組換えアデノ随伴ウイルス構築物(例えば、米国特許第7,078,387号を参照のこと)、組換えアデノウイルス構築物、組換えレンチウイルス構築物、組換えレトロウイルス構築物、非組み込み型ウイルスベクターなどである。
好適な発現ベクターは、公開PCT出願WO2020132138A1及びWO2019/051091に開示されており、その開示は、それらがそのような発現ベクターに関連するものとして、具体的にはWO2020132138A1の段落[00515]~[00520]及びWO2019/051091の段落[00401]~[00406]を含めて、参照により本明細書に明示的に援用される。
遺伝子組換え宿主細胞
本開示は遺伝子組換え宿主細胞を提供し、その宿主細胞は本開示の核酸で遺伝子組換えされている。
好適な宿主細胞としては、イースト菌などの真核細胞、昆虫細胞、及び哺乳動物細胞が挙げられる。一部の例では、宿主細胞は哺乳動物細胞株の細胞である。好適な哺乳動物細胞株としては、ヒト細胞株、非ヒト霊長類細胞株、げっ歯類(例えば、マウス、ラット)細胞株などが挙げられる。好適な哺乳動物細胞株としては、HeLa細胞(例えば、American Type Culture Collection(ATCC)番号CCL-2)、CHO細胞(例えば、ATCC番号CRL9618、CCL61、CRL9096)、293細胞(例えば、ATCC番号CRL-1573)、Vero細胞、NIH 3T3細胞(例えば、ATCC番号CRL-1658)、Huh-7細胞、BHK細胞(例えば、ATCC番号CCL10)、PC12細胞(ATCC番号CRL1721)、COS細胞、COS-7細胞(ATCC番号CRL1651)、RAT1細胞、マウスL細胞(ATCC番号CCLI.3)、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞(ATCC番号CRL1573)、HLHepG2細胞などが挙げられるがこれらに限定されない。
一部の例では、宿主細胞は、内在性MHCβ2-Mを合成しないように遺伝子組換えされた哺乳動物細胞である。
一部の例では、宿主細胞は、内在性MHCクラスI重鎖を合成しないように遺伝子組換えされた哺乳動物細胞である。一部の例では、宿主細胞は、内在性MHCβ2-Mを合成しないように、及び内在性MHCクラスI重鎖を合成しないように遺伝子組換えされた哺乳動物細胞である。
上記のように、TMPは、一部の例では、一本鎖ポリペプチドである(例えば、単一のポリペプチド鎖からなるか、または単一のポリペプチド鎖のホモ二量体である)。一本鎖TMPがインタクトかつ全長で、すなわちポリペプチド鎖の切断を伴わずに生成されることが観察された。一本鎖TMPは、一部の例では、ヘテロ二量体TMPよりも大量に生産され得る。
組成物
本開示は、本開示のTMP(synTac)を含む組成物(医薬組成物を含む)を提供する。本開示は、本開示のTMPを含む組成物(医薬組成物を含む)を提供する。本開示は、本開示の核酸または組換え発現ベクターを含む組成物(医薬組成物を含む)を提供する。
TMPを含む組成物
本開示の組成物は、本開示のTMPに加えて、塩、例えば、NaCl、MgCl、KCl、MgSOなど、緩衝剤、可溶化剤、界面活性剤、例えば、Tween-20などの非イオン性界面活性剤など、プロテアーゼ阻害剤、グリセロール、など、のうちの1種以上を含んでいてもよい。組成物はまた、薬学的に許容される賦形剤を含んでいてもよく、その様々な賦形剤は当技術分野で公知であり、本明細書で詳細に述べる必要はない。薬学的に許容される塩、緩衝剤、賦形剤、製剤、剤形などの例は、公開PCT出願WO2020132138A1及びWO2019/051091に開示されており、その開示は、本開示のTMPを含む組成物に関連するものとして、具体的には、WO2020132138A1の段落[00526]~[00536]及びWO2019/051091の段落[00412]~[00422]を含めて、参照により本明細書に明示的に援用される。
本開示のTMPが、注射剤として組織へと直接投与される(例えば、皮下、腹腔内、筋肉内及び/または静脈内)場合、製剤は、患者に直接注射または注入されるか、注入のために生理食塩水と混合されるか、あるいは非水性形態(例えば、再構成可能な保存安定性のある粉末)または水性形態(例えば、薬学的に許容される担体と、薬学的に許容される賦形剤からなる液体など)であり得るレディートゥーユース剤形として提供されてもよい。製剤はまた、投与後におけるTMPの血清中半減期を延長するように提供されてもよい。例えば、TMPは、コロイド状に調製されるリポソーム製剤として提供されてもよく、あるいは、血清中半減期を延長するためのその他の従来技術を用いて提供されてもよい。リポソームを調製するための様々な方法が利用可能であり、例えば、Szoka et al.1980 Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467,米国特許第4,235,871号、第4,501,728号及び第4,837,028号に記載されている。製剤はまた、制御放出形態または徐放形態で提供されてもよい。
液体組成製剤中における本開示のTMPの濃度は、広い範囲(例えば、重量比で、約0.1%未満から、通常は(または少なくとも)約2%から、20%~50%まで、またはそれ以上)で変化し得る。この範囲内に含まれる濃度は、約5~約15mg/mLの濃度であり、これには、約5mg/mL、約6mg/mL、約7mg/mL、約8mg/mL、約9mg/mL、約10mg/mL、約11mg/mL、約12mg/mL、約13mg/mL、約14mg/mL、及び約15mg/mLが含まれ、濃度は、液体組成物中のTMPの安定性を含む多くの因子に依存し得る。
一部の例では、本開示のTMPは、液体組成物中に存在する。一部の例では、本開示の組成物は、a)本開示のTMP、及びb)生理食塩水(例えば、0.9%NaCl)を含む。一部の例では、組成物は滅菌されており、ヒト対象への投与に好適である。
核酸または組換え発現ベクターを含む組成物
本開示は、本開示の核酸または組換え発現ベクターを含む組成物、例えば、医薬組成物を提供する。公開PCT出願WO2020132138A1及びWO2019/051091には、そのような組成物の調製方法が開示されている。WO2020132138A1の段落[00537]~[00546]及びWO2019/051091の段落[00423]~[00432]を参照されたい(その開示は、参照により本明細書に明示的に援用される)。
T細胞活性の調節方法
本開示は、エピトープ特異的T細胞(例えば、がん関連変異を含むKRASペプチドなどのKRASエピトープに特異的なT細胞)の活性を選択的に調節する方法を提供し、この方法は、T細胞を本開示のTMPと接触させることを含み、T細胞を本開示のTMPと接触させることにより、エピトープ特異的T細胞の活性が選択的に調節される。一部の例では、接触をインビトロで行う。一部の例では、接触をインビボで行う。
本開示のTMPが活性化型ポリペプチドである免疫調節ポリペプチドを含む場合、T細胞をTMPと接触させると、エピトープ特異的T細胞が活性化される。一部の例では、エピトープ特異的T細胞は、がん細胞に存在するエピトープに特異的なT細胞であり、エピトープ特異的T細胞をTMPと接触させると、がん細胞に対するT細胞の細胞傷害活性が増加し、及び/またはエピトープ特異的T細胞の数が増加する。
本開示は、個体における免疫応答の調節方法を提供し、方法は、有効量の本開示のTMPを個体に投与することを含む。TMPを投与することにより、エピトープ特異的T細胞応答(例えば、がんエピトープ特異的T細胞応答)及びエピトープ非特異的T細胞応答が誘導され、その場合、エピトープ特異的T細胞応答とエピトープ非特異的T細胞応答の比は、少なくとも2:1である。一部の例では、エピトープ特異的T細胞応答とエピトープ非特異的T細胞応答の比は、少なくとも5:1である。一部の例では、エピトープ特異的T細胞応答とエピトープ非特異的T細胞応答の比は、少なくとも10:1である。一部の例では、エピトープ特異的T細胞応答とエピトープ非特異的T細胞応答の比は、少なくとも25:1である。一部の例では、エピトープ特異的T細胞応答とエピトープ非特異的T細胞応答の比は、少なくとも50:1である。一部の例では、エピトープ特異的T細胞応答とエピトープ非特異的T細胞応答の比は、少なくとも100:1である。一部の例では、個体はヒトである。一部の例では、調節は、がん細胞、例えば、TMPに存在するKRASペプチドによって提示される同じエピトープを提示する抗原を発現するがん細胞に対する細胞傷害性T細胞応答を増加させ、及び/またはKRASエピトープに特異的なT細胞の数を増加させる。一部の例では、投与は、静脈内、皮下、筋肉内、全身、リンパ内、治療部位の遠位、局所、または治療部位もしくはその近位である。
本開示は、免疫調節ポリペプチドを標的T細胞に選択的に送達する方法を提供し、方法は、T細胞の混合集団を本開示のTMPに接触させることを含み、T細胞の混合集団は、標的T細胞及び非標的T細胞を含み、その場合、標的T細胞は、TMP内に存在するエピトープに特異的であり(例えば、標的T細胞は、TMP内に存在するエピトープに特異的である)、接触工程により、TMP内に存在する1つ以上の免疫調節ポリペプチドが標的T細胞に送達される。一部の例では、T細胞の集団はインビトロである。一部の例では、T細胞の集団は、個体内のインビボである。一部の例では、方法は、TMPを個体に投与することを含む。一部の例では、T細胞は細胞傷害性T細胞である。一部の例では、T細胞の混合集団は、個体から得られる混合T細胞のインビトロ集団であり、接触工程は、標的T細胞の活性化及び/または増殖をもたらし、活性化及び/または増殖した標的T細胞の集団を生成し、これらの例のいくつかでは、方法は、活性化及び/または増殖した標的T細胞の集団を個体に投与することをさらに含む。
本開示は、個体から得られるT細胞の混合集団において、目的のエピトープ(例えば、がんエピトープ、がん関連変異を含むKRASペプチド)に結合する標的T細胞の存在を検出する方法を提供し、方法は、a)T細胞の混合集団を本開示のTMPとインビトロで接触させ(TMPは、目的のKRASエピトープを含む)、b)前記接触に応答したT細胞の活性化及び/または増殖を検出することを含み、活性化及び/または増殖したT細胞は、標的T細胞が存在することを示す。
治療方法
本開示は個体を治療するための方法を提供し、その方法は、個体を治療するのに有効な量の、本開示のTMPまたはTMPをコードする1種以上の核酸を個体に投与することを含む。ヒトまたは非ヒト動物の体を治療するための方法に使用する本開示のTMPも提供する。一部の例では、本開示の治療方法は、本開示のTMPをコードするヌクレオチド配列を含む1種以上の組換え発現ベクターを必要とする個体にそれを投与することを含む。一部の例では、本開示の治療方法は、本開示のTMPをコードするヌクレオチド配列を含む1種以上のmRNA分子を必要とする個体にそれを投与することを含む。一部の例では、本開示の治療方法は、本開示のTMPを必要とする個体にそれを投与することを含む。治療可能な病態としては、例えば、上記のようながん、例えば、KRASポリペプチド、例えば、変異型KRASポリペプチドを発現するがんが挙げられる。
一部の例では、本開示のTMPは、それを必要とする個体に投与されると、エピトープ特異的T細胞応答とエピトープ非特異的T細胞応答の両方を誘導する。言い換えると、一部の例では、本開示のTMPは、それを必要とする個体に投与されると、i)TMP内に存在するエピトープに特異的なTCRとii)TMP内に存在する免疫調節ポリペプチドに結合する共刺激ポリペプチドの両方を提示する第1のT細胞の活性化を調節することによって、エピトープ特異的T細胞応答を誘導し、i)TMP内に存在するエピトープ以外のエピトープに特異的なTCRとii)TMP内に存在する免疫調節ポリペプチドに結合する共刺激ポリペプチドを提示する第2のT細胞の活性化を調節することによって、エピトープ非特異的T細胞応答を誘導する。エピトープ特異的T細胞応答とエピトープ非特異的T細胞応答の比率は、少なくとも2:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも50:1、または、少なくとも100:1である。エピトープ特異的T細胞応答とエピトープ非特異的T細胞応答の比率は、約2:1~約5:1、約5:1~約10:1、約10:1~約15:1、約15:1~約20:1、約20:1~約25:1、約25:1~約50:1、もしくは、約50:1~約100:1、または、100:1超である。T細胞の「活性化を調節すること」としては、i)細胞傷害性(例えば、CD8)T細胞を活性化させること、ii)細胞傷害性(例えば、CD8)T細胞の細胞傷害活性を誘導すること、iii)細胞傷害性(例えば、CD8)T細胞による細胞毒(例えば、パーフォリン、グランザイム、グラニュライシン)の産生及び放出を誘導すること、及びiv)細胞傷害性(例えば、CD8)T細胞の数を増加させること、などのうちの1つ以上を挙げることができる。
MODが野生型MODの低親和性バリアントである場合、MODの同族共刺激ポリペプチドに対するMODの低い親和性と、TCRに対するエピトープの親和性を組み合わせることにより、本開示のTMPの向上した選択性がもたらされる。それゆえ、例えば、本開示のTMPは、i)TMP内に存在するエピトープ以外のエピトープに特異的なTCRとii)TMP内に存在する免疫調節ポリペプチドに結合する共刺激ポリペプチドを提示する第2のT細胞に本開示のTMPが結合する結合力よりも高い結合力で、i)TMP内に存在するエピトープに特異的なTCRとii)TMP内に存在する免疫調節ポリペプチドに結合する共刺激ポリペプチドの両方を提示する第1のT細胞に結合する。
したがって、本開示は、個体におけるエピトープ特異的T細胞の活性化を選択的に調節するための方法を提供し、その方法は、有効量の、本開示のTMP、または、TMPをコードするヌクレオチド配列を含む1種以上の核酸(例えば、発現ベクター、mRNAなど)を個体に投与することを含み、TMPは、個体におけるエピトープ特異的T細胞の活性化を選択的に調節する。エピトープ特異的T細胞の活性化を選択的に調節することにより、個体における疾患または障害を治療することが可能となる。それゆえ、本開示は、有効量の本開示のTMPを必要とする個体にそれを投与することを含む治療方法を提供する。
一部の例では、免疫調節ポリペプチド(「MOD」)は活性化型ポリペプチドであり、TMPはエピトープ特異的T細胞を活性化させる。一部の例では、TMPは、KRASエピトープに特異的なT細胞の活性化を促進する。一部の例では、MODは活性化型ポリペプチドであり、TMPは、エピトープ特異的T細胞(例えば、KRASエピトープに特異的なT細胞)を活性化させる。一部の例では、T細胞は、Tヘルパー細胞(CD4細胞)、細胞傷害性T細胞(CD8細胞)、またはNK-T細胞である。一部の例では、エピトープはがんエピトープであり、TMPは、KRASがんエピトープを発現するがん細胞(例えば、Tヘルパー細胞(CD4細胞)、細胞傷害性T細胞(CD8細胞)、及び/またはNK-T細胞)の活性を増加させる。CD4T細胞の活性化には、CD4T細胞の増殖の増加、及び/またはCD4T細胞による放出サイトカインの誘導または増強が含まれ得る。NK-T細胞及び/またはCD8細胞の活性化には、NK-T細胞及び/またはCD8細胞の増殖の増加、及び/またはNK-T細胞及び/またはCD8細胞によるインターフェロンγなどのサイトカインの放出の誘導が含まれ得る。
本開示のTMPを、それを必要とする個体に投与して、個体におけるがんを治療することができ、その場合、がんは、TMPに存在するKRASペプチドを発現している。例えば、がんは、上記のように、がん細胞が、KRAS、例えば、KRASの変異型を発現するか、または過剰発現するがんであり得る。本開示は、個体におけるがんを治療するための方法を提供し、その方法は、有効量の、本開示のTMP、または、TMPをコードするヌクレオチド配列を含む1種以上の核酸(例えば、発現ベクター、mRNAなど)を個体に投与することを含み、TMPはKRASエピトープであるT細胞エピトープを含み、TMPは刺激性免疫調節ポリペプチドを含む。一部の例では、「有効量」の本開示のTMPとは、それを必要とする個体に1つ以上の用量で投与されると、個体におけるがん細胞の数を減少させる量のことである。例えば、一部の例では、「有効量」の本開示のTMPとは、それを必要とする個体に1つ以上の用量で投与されると、TMPを投与する前またはTMPを投与しない状態における、個体におけるがん細胞の数と比較して、個体におけるがん細胞の数を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または、少なくとも95%減少させる量のことである。一部の例では、「有効量」の本開示のTMPとは、それを必要とする個体に1つ以上の用量で投与されると、個体におけるがん細胞の数を減少させる(実質的に検出不能レベルにまで減少させることを含む)量のことである。
一部の例では、「有効量」の本開示のTMPとは、それを必要とする個体に1つ以上の用量で投与されると、個体における腫瘍重量を減少させる量のことである。例えば、一部の例では、「有効量」の本開示のTMPとは、それを必要とする個体(腫瘍を有する個体)に1つ以上の用量で投与されると、TMPを投与する前またはTMPを投与しない状態における、個体における腫瘍重量と比較して、個体における腫瘍重量を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または、少なくとも95%減少させる量のことである。一部の例では、「有効量」の本開示のTMPとは、それを必要とする個体(腫瘍を有する個体)に1つ以上の用量で投与されると、個体における腫瘍容積を減少させる量のことである。例えば、一部の例では、「有効量」の本開示のTMPとは、それを必要とする個体(腫瘍を有する個体)に1つ以上の用量で投与されると、TMPを投与する前またはTMPを投与しない状態における、個体における腫瘍容積と比較して、個体における腫瘍容積を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または、少なくとも95%減少させる量のことである。一部の例では、「有効量」の本開示のTMPとは、それを必要とする個体に1つ以上の用量で投与されると、個体の生存期間を延長させる量のことである。例えば、一部の例では、「有効量」の本開示のTMPとは、それを必要とする個体に1つ以上の用量で投与されると、TMPを投与しない状態の個体における想定生存期間と比較して、個体の生存期間を少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、3ヶ月間~6ヶ月間、6ヶ月間~1年間、1年間~2年間、2年間~5年間、5年間~10年間、または、10年間超、延長させる量のことである。
本開示の方法で治療することができるがんには、がん細胞が変異型のKRASを発現するがんが含まれる。例としては、腺癌及び血液系腫瘍が挙げられる。本開示の方法で治療することができるがんの例として、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、乳癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸直腸癌、前立腺癌、腎癌、急性骨髄性白血病、中皮腫、甲状腺癌、頭頸部癌、胃癌、尿路上皮癌、子宮頸癌、及び卵巣子宮内膜癌が挙げられる。
上記のように、一部の例では、本治療方法の実施において、本開示のTMPは、それを必要とする個体にそれ自体TMPとして投与される。その他の例では、本治療方法の実施において、本開示のTMPをコードするヌクレオチド配列を含む1種以上の核酸は、それを必要とする個体に投与される。それゆえ、その他の例では、本開示の1種以上の核酸、例えば、本開示の1種以上の組換え発現ベクターは、それを必要とする個体に投与される。
上記のように、本開示のAPPはまた、APPのKRASペプチドに特異的なT細胞のTCRに会合することが望まれる事例において、治療目的で患者に投与することができる。そのような事例では、患者における天然の免疫調節ポリペプチドの存在は、APPがTCRに会合するときにT細胞の調節に影響を及ぼし得る。
製剤
好適な製剤は、上記のとおりであり、好適な製剤は、薬学的に許容される賦形剤を含む。一部の例では、好適な製剤は、a)本開示のTMP、及びb)薬学的に許容される賦形剤を含む。一部の例では、好適な製剤は、a)本開示のTMPをコードするヌクレオチド配列を含む核酸、及びb)薬学的に許容される賦形剤を含み、一部の例では、核酸はmRNAである。一部の例では、好適な製剤は、a)本開示のTMPの第1のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第1の核酸、b)本開示のTMPの第2のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第2の核酸、及びc)薬学的に許容される賦形剤を含む。一部の例では、好適な製剤は、a)本開示のTMPをコードするヌクレオチド配列を含む組換え発現ベクター、及びb)薬学的に許容される賦形剤を含む。一部の例では、好適な製剤は、a)本開示のTMPの第1のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第1の組換え発現ベクター、b)本開示のTMPの第2のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む第2の組換え発現ベクター、及びc)薬学的に許容される賦形剤を含む。好適な薬学的に許容される賦形剤は、上記のとおりである。
用量
好適な用量については、様々な臨床因子に基づき、主治医またはその他の資格のある医療関係者が決定することができる。医学技術分野においては周知のことではあるが、任意の1名の患者の用量は、患者の大きさ、体表面積、年齢、投与する特定のポリペプチドまたは核酸、患者の性別、投与期間及び投与経路、全身健康、ならびに、同時に投与するその他の薬物、を含む多くの因子によって決まる。本開示のTMPは、用量あたり0.1mg/kg(体重)~20mg/kg(体重)、例えば、0.1mg/kg(体重)~10mg/kg(体重)、例えば、0.5mg/kg(体重)~5mg/kg(体重)、1mg/kg(体重)~5mg/kg(体重)、5mg/kg(体重)~10mg/kg(体重)、10mg/kg(体重)~15mg/kg(体重)、15mg/kg(体重)~20mg/kg(体重)の量で投与してもよいが、この例示的な範囲超の用量は、特に上記の因子を考慮して想定されている。レジメンが持続注入である場合、1分間あたり体重1キログラムあたり1μg~10mgの範囲であってもよい。本開示のTMPは、約1mg/kg(体重)~50mg/kg(体重)、例えば、約1mg/kg(体重)~約5mg/kg(体重)、約5mg/kg(体重)~約10mg/kg(体重)、約10mg/kg(体重)~約15mg/kg(体重)、約15mg/kg(体重)~約20mg/kg(体重)、約20mg/kg(体重)~約25mg/kg(体重)、約25mg/kg(体重)~約30mg/kg(体重)、約30mg/kg(体重)~約35mg/kg(体重)、約35mg/kg(体重)~約40mg/kg(体重)、または、約40mg/kg(体重)~約50mg/kg(体重)の量で投与してもよい。
当業者は、体液または組織中における投与薬剤の測定滞留時間及び濃度に基づき、投与の反復速度を容易に概算することができる。奏効した治療に続き、患者に維持療法を受けさせて疾患状態の再発を予防することが望ましい場合があるが、本開示のTMPは、約1mg/kg(体重)~約5mg/kg(体重)、約5mg/kg(体重)~約10mg/kg(体重)、約10mg/kg(体重)~約15mg/kg(体重)、約15mg/kg(体重)~約20mg/kg(体重)、または、20mg/kg(体重)を上回る量の範囲の維持量で投与される。
特定のTMP、症状の重症度、及び、対象の副作用の受けやすさに応じて用量レベルが変化し得るということを、当業者は容易に理解する。任意の化合物の好ましい用量は、当業者が様々な方法を用いて容易に決定することができる。
一部の例では、複数回用量の、本開示のTMP、本開示の核酸、または、本開示の組換え発現ベクターを投与する。本開示のTMP、本開示の核酸、または、本開示の組換え発現ベクターの投与頻度は、様々な因子、例えば、症状の重症度などのいずれかに応じて変化し得る。例えば、一部の例では、本開示のTMP、本開示の核酸、または、本開示の組換え発現ベクターは、月に1回、月に2回、月に3回、1週おき(qow)、週に1回(qw)、2週に1回、3週に1回、4週に1回、週に2回(biw)、週に3回(tiw)、週に4回、週に5回、週に6回、1日おき(qod)、毎日(qd)、1日2回(qid)、または、1日3回(tid)で投与される。
本開示のTMP、本開示の核酸、または、本開示の組換え発現ベクターの投与の持続期間、例えば、本開示のTMP、本開示の核酸、または、本開示の組換え発現ベクターを投与する期間は、様々な因子、例えば、患者の応答などのいずれかに応じて変化し得る。例えば、本開示のTMP、本開示の核酸、または、本開示の組換え発現ベクターを、約1日間~約1週間、約2週間~約4週間、約1ヶ月間~約2ヶ月間、約2ヶ月間~約4ヶ月間、約4ヶ月間~約6ヶ月間、約6ヶ月間~約8ヶ月間、約8ヶ月間~約1年間、約1年間~約2年間、もしくは、約2年間~約4年間、または、それ以上の範囲の期間にわたり投与してもよい。
投与経路
活性剤(本開示のTMP、本開示の核酸、または、本開示の組換え発現ベクター)は、全身及び局所投与経路に加えて、インビボ法及びインビトロ法を含む任意の利用可能な方法及び薬物送達に好適な経路を使用して、個体に投与される。
本開示のTMPは、通常、静脈内投与を介して送達されるが、腫瘍内、腫瘍周囲、筋肉内、リンパ管内、気管内、頭蓋内、皮下、皮膚内、局所塗布、動脈内、経直腸、経鼻、経口、ならびに、他の経腸及び非経口投与経路を含む、他の従来の薬学的に許容される投与経路を使用してもよい。必要に応じて投与経路を組み合わせてもよく、または、TMP及び/または所望の効果に応じて投与経路を調整してもよい。本開示のTMP、または、本開示の核酸または組換え発現ベクターを、単回用量または複数回用量で投与してもよい。
本開示のTMP、本開示の核酸、または、本開示の組換え発現ベクターは、任意の利用可能な一般的な方法、及び、全身または局所経路を含む一般的な薬物の送達に好適な経路を使用して、宿主に投与されてもよい。一般的に、本開示の方法における使用を検討する投与経路としては、経腸経路、非経口経路、及び、吸入経路が挙げられるが必ずしもこれらに限定されるものではない。
併用療法
本開示のTMPを、1つ以上の追加の治療薬または治療処置と組み合わせて、それを必要とする個体に投与することができる。TMPの好適な用量は、APPを用いた単剤療法の用量(上記)と同じであるか、または単剤療法の用量より少なくても多くてもよい。好適な追加の治療薬として、例えば、i)免疫チェックポイント阻害剤、ii)がん化学療法剤、iii)がん関連変異型のKRASを阻害する薬剤、及びiv)1つ以上の追加のTMPが挙げられる。好適な追加の治療的処置には、例えば、放射線、外科手術(例えば、腫瘍の外科的切除)などが含まれる。
一部の例では、方法は、それを必要とする個体に、a)本開示のTMPを含む第1の組成物、及びb)免疫チェックポイント阻害剤を含む第2の組成物を投与することを含む。一部の例では、方法は、それを必要とする個体に、a)本開示のTMPを含む第1の組成物、及びb)KRAS(G12C)などのがん関連変異型のKRASを阻害する薬剤を含む第2の組成物を投与することを含む。一部の例では、方法は、それを必要とする個体に、a)本開示のTMPを含む第1の組成物、及びb)第2のTMPを含む第2の組成物を投与することを含む。
本開示のTMPは、1つ以上の追加の治療薬を投与するのと同時に、または様々な時間で、それを必要とする個体に投与することができる。
したがって、例えば、本開示の治療方法は、本開示のTMPと少なくとも1つの追加の治療薬との共投与を含み得る。「共投与」とは、TMPと少なくとも1つの追加の治療薬の両方を投与した結果である治療効果を達成するために、必ずしも同時である必要はないが、本開示のTMPと少なくとも1つの追加の治療薬の両方を個体に投与することを意味する。TMPと少なくとも1つの追加の治療薬の投与は、実質的に同時にすることができ、例えば、TMPを、少なくとも1つの追加の治療薬の投与の約1分~約24時間以内(例えば、約1分以内、約5分以内、約15分以内、約30分以内、約1時間以内、約4時間以内、約8時間以内、約12時間以内、または約24時間以内)に、個体に投与することができる。一部の例では、本開示のTMPを、少なくとも1つの追加の治療薬で治療を受けているか、または治療を受けていた個体に投与する。TMPと少なくとも1つの追加の治療薬の投与は、様々な時間及び/または様々な頻度で行うことができる。
別の例として、本開示の治療方法は、本開示のTMPと、免疫チェックポイントに特異的な抗体などの免疫チェックポイント阻害剤との共投与を含み得る。「共投与」とは、TMPと免疫チェックポイントの阻害剤の両方を投与した結果である治療効果を達成するために、本開示のTMPと免疫チェックポイントに特異的な抗体の両方を、必ずしも同時である必要はないが、個体に投与することを意味する。TMPと免疫チェックポイントポリペプチドに特異的な抗体の投与は、実質的に同時にすることができ、例えば、TMPを、免疫チェックポイントに特異的な抗体の投与の約1分~約24時間以内(例えば、約1分以内、約5分以内、約15分以内、約30分以内、約1時間以内、約2時間以内、約4時間以内、約8時間以内、約12時間以内、または約24時間以内))に、個体に投与することができる。一部の例では、本開示のTMPを、免疫チェックポイントに特異的な抗体で治療を受けているか、または治療を受けていた個体に投与する。TMPと免疫チェックポイントに特異的な抗体の投与は、様々な時間及び/または様々な頻度で行うことができる。
例示的な免疫チェックポイント阻害剤として、CD27、CD28、CD40、CD122、CD96、CD73、CD47、OX40、GITR、CSF1R、JAK、PI3Kδ、PI3Kγ、TAM、アルギナーゼ、CD137(4-1BBとしても知られる)、ICOS、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、LAG3、TIM3、VISTA、CD96、TIGIT、CD122、PD-1、PD-L1及びPD-L2などの免疫チェックポイントポリペプチドを標的とする阻害剤が挙げられる。一部の例では、免疫チェックポイントポリペプチドは、CD27、CD28、CD40、ICOS、OX40、GITR、CD122、及びCD137から選択される刺激チェックポイント分子である。一部の例では、免疫チェックポイントポリペプチドは、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、IDO、KIR、LAG3、PD-1、TIM3、CD96、TIGIT及びVISTAから選択される阻害チェックポイント分子である。
一部の例では、免疫チェックポイント阻害剤は、免疫チェックポイントに特異的な抗体である。好適な抗免疫チェックポイント抗体として、ニボルマブ(Bristol-Myers Squibb)、ペンブロリズマブ(Merck)、ピジリズマブ(Curetech)、AMP-224(GlaxoSmithKline/Amplimmune)、MPDL3280A(Roche)、MDX-1105(Medarex,Inc./Bristol Myer Squibb)、MEDI-4736(Medimmune/AstraZeneca)、arelumab(Merck Serono)、ipilimumab(YERVOY,(Bristol-Myers Squibb)、tremelimumab(Pfizer)、ピジリズマブ(CureTech,Ltd.)、IMP321(Immutep S.A.)、MGA271(Macrogenics)、BMS-986016(Bristol-Meyers Squibb)、リリルマブ(Bristol-Myers Squibb)、ウレルマブ(Bristol-Meyers Squibb)、PF-05082566(Pfizer)、IPH2101(Innate Pharma/Bristol-Myers Squibb)、MEDI-6469(MedImmune/AZ)、CP-870,893(Genentech)、モガムリズマブ(Kyowa Hakko Kirin)、バルリルマブ(CelIDex Therapeutics)、アベルマブ(EMD Serono)、ガリキシマブ(Biogen Idec)、AMP-514(Amplimmune/AZ)、AUNP12(Aurigene及びPierre Fabre)、インドキシモド(Indoximod)(NewLink Genetics)、NLG-919(NewLink Genetics)、INCB024360(Incyte)、KN035、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、一部の例では、免疫チェックポイント阻害剤は抗PD-1抗体である。好適な抗PD-1抗体として、例えば、ニボルマブ、ペンブロリズマブ(MK-3475としても知られる)、ピジリズマブ、SHR-1210、PDR001、及びAMP-224が挙げられる。一部の例では、抗PD-1モノクローナル抗体は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、またはPDR001である。好適な抗PD1抗体は、米国特許公開第2017/0044259号に記載されている。ピジリズマブについては、例えば、Rosenblatt et al.(2011)J.Immunother.34:409-18を参照のこと。一部の例では、免疫チェックポイント阻害剤は抗CTLA-4抗体である。一部の例では、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブまたはトレメリムマブである。トレメリムマブについては、例えば、Ribas et al.(2013)J.Clin.Oncol.31:616-22を参照のこと。一部の例では、免疫チェックポイント阻害剤は抗PD-L1抗体である。一部の例では、抗PD-L1モノクローナル抗体は、BMS-935559、MEDI4736、MPDL3280A(RG7446としても知られる)、KN035、またはMSB0010718Cである。一部の実施形態では、抗PD-L1モノクローナル抗体は、MPDL3280A(アテゾリズマブ)またはMEDI4736(デュルバルマブ)である。デュルバルマブについては、例えば、WO2011/066389を参照のこと。アテゾリズマブについては、例えば、米国特許第8,217,149号を参照のこと。
一部の例では、少なくとも1つの追加の治療薬は、KRAS(G12C)、KRAS(K117A)などの変異型のKRASを選択的に阻害する薬剤である。変異型のKRASを選択的に阻害する薬剤の例として、ARS-1620、AMG510、KRA-533、及びMRTX849が挙げられる。
AMG150は、以下の構造:
Figure 2022548472000016
を有する。
ARS-1620は、以下の構造:
Figure 2022548472000017
を有する。
一部の例では、少なくとも1つの追加の治療薬は、1つ以上の追加のTMPを含む。一部の例では、方法は、それを必要とする個体に、a)第1のTMPを含む第1の組成物(第1のTMPは、本開示のTMPである)、及びb)第2のTMPを含む第2の組成物(第2のTMPは、例えば、異なるKRASエピトープ及び/または1つ以上の異なるMODを含む、本開示の第1のTMPとは異なる本開示のTMPである)を投与することを含む。さらに、または代替として、1つ以上の追加のTMPは、KRASペプチドエピトープ以外のがん関連ペプチドであるエピトープを含み得る。
治療に好適な対象
本開示の方法を用いた治療に好適な対象としては、がんを有すると診断されている個体と、がんの治療を受けてはいるがその治療に反応を示していない個体と、がんの治療を受けており最初は反応を示していたがその後治療に反応しなくなった個体と、を含む、がんを有する個体が挙げられる。本開示の方法を用いた治療に好適な対象としては、がん細胞が変異型のKRASを発現するがんを有する個体が挙げられ、その場合、変異型のKRASはがん関連変異型である。本開示の方法による治療に適した対象としては、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、乳癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸直腸癌、前立腺癌、腎癌、急性骨髄性白血病、中皮腫、甲状腺癌、頭頸部癌、胃癌、尿路上皮癌、子宮頸癌、及び卵巣子宮内膜癌などのがんを有する個体が挙げられる。
一部の例では、対象は、免疫チェックポイント阻害剤による治療を受けている個体である。一部の例では、対象は、免疫チェックポイント阻害剤による治療を受けたが、そのような治療を受けたにもかかわらず疾患が進行した個体である。一部の例では、対象は、がん化学療法剤で治療を受けているか、または治療を受けた個体である。一部の例では、対象は、免疫チェックポイント阻害剤による治療を受ける準備をしているか、治療を受けているか、または治療を受けた個体である。一部の例では、対象は、がん化学療法剤、放射線治療、外科手術、及び/または別の治療薬による治療を受ける準備をしているか、治療を受けているか、または治療を受けた個体である。
本開示の非限定態様の例
実施形態を含む、上記の本主題の態様は、単独で、または1つ以上の他の態様もしくは実施形態と組み合わせて有益であり得る。前述の記載を制限することなく、開示の特定の非限定的な態様を以下に提供する。本開示を読解することにより当業者には明らかとなるが、個別に番号を振った態様のそれぞれを使用してもよく、あるいは、個別に番号を振った態様のそれぞれを、個別に番号を振った先行するまたは後に続く態様のいずれかと組み合わせてもよい。このことは、態様の全てのこのような組み合わせに対する支持を提供することを意味し、以下において明確に記載する態様の組み合わせに限定されない。
態様1.T細胞調節ポリペプチド(TMP)であって、
i)がん細胞上に発現するKRASエピトープを含み、少なくとも4アミノ酸の長さを有する、KRASペプチド、
ii)第1の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)ポリペプチド、
iii)第2のMHCポリペプチド、及び
iv)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド
を含む、T細胞調節ポリペプチド(TMP)。
態様2.Ig Fcポリペプチドをさらに含む、態様1に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様3.前記Ig Fcポリペプチドが、細胞溶解を実質的に誘発しないヒトIgG1 Fcポリペプチドである、態様2に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様4.前記IgG1 Fcポリペプチドが、N297A、L234A、L235A、L234F、L235E、及びP331Sから選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む、態様2または3に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様5.前記IgG1 Fcポリペプチドが、図3Gのアミノ酸配列を含む、態様4に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様6.前記第1の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)ポリペプチドがβ2-ミクログロブリンポリペプチドであり、前記第2のMHCポリペプチドがMHCクラスI重鎖ポリペプチドである、態様1~5のいずれか一つに記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様7.前記β2-ミクログロブリンポリペプチドが、第1のリンカーによって前記KRASペプチドに接続されている、態様5に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様8.前記β2-ミクログロブリンポリペプチド及びMHCクラスI重鎖ポリペプチドが、互いに共有結合している、態様1~7のいずれか一つに記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様9.前記共有結合が、1つ以上のジスルフィド結合を介する、態様8に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様10.前記β2Mポリペプチド及び前記MHC重鎖ポリペプチドが、前記β2MポリペプチドのCys残基と、前記MHC重鎖ポリペプチドのCys残基とを接続するジスルフィド結合によって接続されている、態様9に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様11.前記β2Mポリペプチドのアミノ酸残基12のCysが、前記MHC重鎖ポリペプチドのアミノ酸残基236のCysにジスルフィド結合している、態様10に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様12.前記第1のリンカーがCysを含み、ジスルフィド結合が、前記第1のリンカーに存在するCysを前記MHC重鎖ポリペプチドに存在するCysと連結する、態様7~11のいずれか一つに記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様13.前記第1のリンカーが、配列CGGGS(配列番号141)、GCGGS(配列番号139)、GGCGS(配列番号587)、GGGCS(配列番号588)またはGGGGC(配列番号590)を含み、ジスルフィド結合が、前記リンカー中のCysを、前記MHC重鎖ポリペプチドのTyr84から置換されたCysと連結する、態様12に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様14.前記第1のリンカーが、配列CGGGS(GGGGS)n(配列番号142)またはGCGGS(GGGGS)n(配列番号140)を含み、配列中、nは、1~10の整数、例えば2または3であり、ジスルフィド結合が、前記リンカーのCysを前記MHC重鎖ポリペプチドのTyr84から置換されたCysと連結する、態様13に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様15.前記TMPが、(i)前記β2MポリペプチドのCys残基と前記MHC重鎖ポリペプチドのCys残基との間の第1のジスルフィド結合、及び(ii)前記第1のリンカーに存在するCysを前記MHC重鎖ポリペプチドに存在するCysと連結する第2のジスルフィド結合を含む、態様9~14に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様16.(i)前記β2Mポリペプチドのアミノ酸残基12のCysが、前記MHC重鎖ポリペプチドのアミノ酸残基236のCysにジスルフィド結合しており、(ii)前記第1のリンカーが、配列CGGGS(配列番号141)、GCGGS(配列番号139)、GGCGS(配列番号587)、GGGCS(配列番号588)またはGGGGC(配列番号590)を含み、ジスルフィド結合が、前記リンカーのCysを前記MHC重鎖ポリペプチドのTyr84から置換されたCysと連結する、態様15に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様17.前記第1のリンカーが、配列CGGGS(GGGGS)n(配列番号142)またはGCGGS(GGGGS)n(配列番号140)を含み、配列中、nが、1~10の整数、例えば、2または3である、態様16に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様18.ジスルフィド結合が、MHC重鎖ポリペプチドに存在する2つのCys残基を接続する、態様1~17のいずれかのT細胞調節ポリペプチド。
態様19.前記MHC重鎖ポリペプチドが、
a)図7Aに示すHLA-A0101、HLA-A0201、HLA-A1101、HLA-A2301、HLA-A2402、HLA-A2407、HLA-A3303、もしくはHLA-A3401アミノ酸配列に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、または、
b)図8Aに示すHLA-B0702、HLA-B0801、HLA-B1502、HLA-B3802、HLA-B4001、HLA-B*4601、もしくはHLA-B5301アミノ酸配列に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列、または
c)図9Aに示すHLA-C0102、HLA-C0303、HLA-C0304、HLA-C0401、HLA-C0602、HLA-C0701、HLA-C0702、HLA-C0801、もしくはHLA-C1502に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列
を含む、態様1~18のいずれか一つに記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様20.前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A0201ポリペプチド、HLA-A1101ポリペプチド、HLA-A3303ポリペプチド、及びHLA-A2401ポリペプチドからなる群から選択されるHLA-Aポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様19に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様21.前記少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドが、野生型またはバリアント型の活性化型免疫調節ポリペプチドである、態様1~20のいずれか一つに記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様22.前記少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドが、IL-2ポリペプチド、4-1BBLポリペプチド、CD80ポリペプチド、CD86ポリペプチド、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される野生型またはバリアント型の活性化型免疫調節ポリペプチドである、態様1~21のいずれか一つに記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様23.前記少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドの少なくとも1つが、対応する野生型免疫調節ポリペプチドの同族共刺激ポリペプチドに対する親和性と比較して低い、前記同族共刺激ポリペプチドに対する親和性を示す、バリアント型免疫調節ポリペプチドである、態様1~22のいずれか一つに記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様24.前記少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドが、実質的にIL-2Rαに結合せずかつIL-2Rβに対して低い親和性を有するバリアント型IL-2である、態様21~23のいずれか一つに記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様25.前記バリアント型IL-2ポリペプチドが、i)H16A置換及びF42A置換、またはii)H16T置換及びF42A置換を含む、態様24に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様26.前記ポリペプチドが、少なくとも2つの免疫調節ポリペプチドを含み、前記少なくとも2つの免疫調節ポリペプチドが同じである、態様1~25のいずれか一つに記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様27.前記2つ以上の免疫調節ポリペプチドがタンデムに存在する、態様25または26のいずれか一つに記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様28.それぞれが、i)H16A置換及びF42A置換、またはii)H16T置換及びF42A置換を含む、2つのバリアント型IL-2ポリペプチドをタンデムに含む、態様27に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様29.前記KRASペプチドが、少なくとも4アミノ酸の長さ、例えば、4アミノ酸~約25アミノ酸(例えば、4~20アミノ酸、6~18アミノ酸、8~15アミノ酸、8~12アミノ酸、5~10アミノ酸、9~10アミノ酸、10~20アミノ酸、及び15~25アミノ酸の長さの範囲を含む、4アミノ酸(aa)、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、10aa、11aa、12aa、13aa、14aa、15aa、16aa、17aa、18aa、19aa、20aa、21aa、22aa、23aa、24aa、または25aa)のペプチドである、態様1~28のいずれか一つに記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様30.前記KRASペプチドが、VVGADGVGK(配列番号176)、VVGACGVGK(配列番号177)、VVGAVGVGK(配列番号178)、VVVGADGVGK(配列番号179)、VVVGAVGVGK(配列番号180)、VVVGACGVGK(配列番号181)、VTGADGVGK(配列番号182)、VTGAVGVGK(配列番号183)、VTGACGVGK(配列番号184)、VTVGADGVGK(配列番号185)、VTVGAVGVGK(配列番号186)、及びVTVGACGVGK(配列番号187)からなる群から選択される配列を含み、前記KRASペプチドが、9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さ、または少なくとも9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さを有する、態様29に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様31.前記KRASペプチドが、VVVGAGDVGK(配列番号188)、VVGAGDVGK(配列番号189)、VVVGARGVGK(配列番号190)、及びVVGARGVGK(配列番号191)からなる群から選択される配列を含み、前記KRASペプチドが、9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さ、または少なくとも9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さを有する、態様29に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様32.前記KRASペプチドが、LVVVGADGV(配列番号192)、LVVVGAVGV(配列番号193)、LVVVGACGV(配列番号194)、KLVVVGADGV(配列番号195)、KLVVVGAVGV(配列番号196)、KLVVVGACGV(配列番号197)、LLVVGADGV(配列番号198)、LLVVGAVGV(配列番号199)、LLVVGACGV(配列番号200)、FLVVVGADGV(配列番号201)、FLVVVGAVGV(配列番号202)、及びFLVVVGACGV(配列番号203)からなる群から選択される配列を含み、前記KRASペプチドが、9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さ、または少なくとも9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さを有する、態様29に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様33.前記KRASペプチドが、KLVVVGAGDV(配列番号204)、及びKLVVVGARGV(配列番号205)からなる群から選択される配列を含み、前記KRASペプチドが、9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さ、または少なくとも9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さを有する、態様29に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様34.前記KRASペプチドが、GAGDVGKSAL(配列番号206)、AGDVGKSAL(配列番号207)、DVGKSALTI(配列番号208)、GAVGVGKSAL(配列番号209)、AVGVGKSAL(配列番号210)、YKLVVVGAV(配列番号211)、ARGVGKSAL(配列番号212)、GARGVGKSAL(配列番号213)、EYKLVVVGAR(配列番号214)、RGVGKSALTI(配列番号215)、LVVVGARGV(配列番号216)、GADGVGKSAL(配列番号217)、ACGVGKSAL(配列番号218)、及びGACGVGKSAL(配列番号219)からなる群から選択される配列を含み、前記KRASペプチドが、9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さ、または少なくとも9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さを有する、態様29に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様35.前記KRASペプチドが、VVGAVGVGK(配列番号178)、VVVGAVGVGK(配列番号180)、VGAVGVGKS(配列番号222)、VGAVGVGKSA(配列番号223)、AVGVGKSAL(配列番号210)、AVGVGKSALT(配列番号225)、GAVGVGKSAL(配列番号209)、GAVGVGKSA(配列番号227)、LVVVGAVGVG(配列番号228)、LVVVGAVGV(配列番号193)、KLVVVGAVGV(配列番号196)、及びKLVVVGAVG(配列番号231)からなる群から選択される配列を含み、前記KRASペプチドが、9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さ、または少なくとも9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さを有する、態様29に記載のT細胞調節ポリペプチド。。
態様36.前記KRASペプチドが、9または10アミノ酸の長さのペプチドである、態様29~35のいずれか一つに記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様37.前記KRASペプチドが、アミノ酸配列VVGADGVGK(配列番号176)、VVGACGVGK(配列番号177)、またはVVGAVGVGK(配列番号178)を有し、9アミノ酸の長さを有する、態様36に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様38.前記KRASペプチドが、アミノ酸配列VVVGADGVGK(配列番号179)、VVVGACGVGK(配列番号181)、またはVVVGAVGVGK(配列番号180)を有し、10アミノ酸の長さを有する、態様36に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様39.前記KRASペプチドが、アミノ酸配列VTGADGVGK(配列番号182)、VTGACGVGK(配列番号184)、またはVTGAVGVGK(配列番号183)を有し、9アミノ酸の長さを有する、態様36に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様40.前記KRASペプチドが、アミノ酸配列VTVGADGVGK(配列番号185)、VTVGACGVGK(配列番号187)、またはVTVGAVGVGK(配列番号186)を有し、10アミノ酸の長さを有する、態様36に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様41.前記KRASペプチドが、KLVVVGADGV(配列番号195)であり、かつ前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A0201ポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様32に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様42.前記KRASペプチドがVVVGADGVGK(配列番号179)であり、かつ前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A1101ポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様32に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様43.前記KRASペプチドがVVGAVGVGK(配列番号178)であり、かつ前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A1101ポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様37に記載のT細胞調節ポリペプチド。
態様44.
a)
i)がん細胞上に発現するKRASエピトープを含み、少なくとも4アミノ酸の長さを有する、KRASペプチド、及び
ii)β2-ミクログロブリンポリペプチド
を含む第1のポリペプチド、ならびに
b)MHCクラスI重鎖ポリペプチド、ならびに
c)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド
を含み、前記第1及び/または第2のポリペプチドが、前記免疫調節ポリペプチドを含む、態様1~43のいずれか一つに記載のヘテロ二量体T細胞調節ポリペプチド。
態様45.
a1)前記第1のポリペプチドが、N末端からC末端の順に、
i)前記KRASペプチド、及び
ii)β2-ミクログロブリンポリペプチド
を含み、かつ
b1)前記第2のポリペプチドが、N末端からC末端の順に、
i)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド、
ii)MHCクラスI重鎖ポリペプチド、及び
iii)Ig Fcポリペプチド
を含むか、または
a2)前記第1のポリペプチドが、N末端からC末端の順に、
i)前記KRASペプチド、及び
ii)β2-ミクログロブリンポリペプチド
を含み、かつ
b2)前記第2のポリペプチドが、N末端からC末端の順に、
i)MHCクラスI重鎖ポリペプチド、及び
ii)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド、及び
iii)免疫グロブリン(Ig)Fcポリペプチド
を含むか、または
a3)前記第1のポリペプチドが、N末端からC末端の順に、
i)前記KRASペプチド、及び
ii)β2-ミクログロブリンポリペプチド
を含み、かつ
b3)前記第2のポリペプチドが、N末端からC末端の順に、
i)MHCクラスI重鎖ポリペプチド、及び
ii)Ig Fcポリペプチド、及び
iii)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド
を含むか、または
a4)前記第1のポリペプチドが、N末端からC末端の順に、
i)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド、
ii)前記KRASペプチド、及び
iii)β2-ミクログロブリンポリペプチド
を含み、かつ
b4)前記第2のポリペプチドが、N末端からC末端の順に、
i)MHCクラスI重鎖ポリペプチド、及び
ii)Ig Fcポリペプチド
を含むか、または
a5)前記第1のポリペプチドが、N末端からC末端の順に、
i)前記KRASペプチド、
ii)β2-ミクログロブリンポリペプチド、及び
iii)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド
を含み、かつ
b5)前記第2のポリペプチドが、
i)MHCクラスI重鎖ポリペプチド、及び
ii)Ig Fcポリペプチド
を含む、
態様44に記載のヘテロ二量体T細胞調節ポリペプチド。
態様46.
a1)前記第1のポリペプチドが、N末端からC末端の順に
i)前記KRASペプチド、及び
ii)β2-ミクログロブリンポリペプチド
を含み、かつ
b1)前記第2のポリペプチドが、N末端からC末端の順に
i)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド、
ii)MHCクラスI重鎖ポリペプチド、及び
iii)Ig Fcポリペプチド
を含むか、または
a3)前記第1のポリペプチドが、N末端からC末端の順に、
i)前記KRASペプチド、及び
ii)β2-ミクログロブリンポリペプチド
を含み、かつ
b3)前記第2のポリペプチドが、N末端からC末端の順に、
i)MHCクラスI重鎖ポリペプチド、及び
ii)Ig Fcポリペプチド、及び
iii)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド
を含み、
前記Ig Fcポリペプチドが、細胞溶解を実質的に誘発しないヒトIgG1 Fcポリペプチドであり、任意選択で、図3Gのアミノ酸配列を含み、
前記β2-ミクログロブリンポリペプチドが、配列CGGGS(GGGGS)n(配列番号142)またはGCGGS(GGGGS)n(配列番号140)を含む第1のリンカーによって前記KRASペプチドに接続されており、配列中、nが、1~10の整数、例えば、2または3であり、
前記MHC重鎖ポリペプチドが、残基84におけるCys及び残基236におけるCysを含み、
前記β2Mポリペプチドが、残基12におけるCysを含み、
前記β2Mポリペプチドのアミノ酸残基12のCysが、前記MHC重鎖ポリペプチドのアミノ酸残基236のCysにジスルフィド結合し、
ジスルフィド結合が、前記リンカーのCysを前記MHC重鎖ポリペプチドのTyr84から置換されたCysと連結し、
前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A0201ポリペプチド、HLA-A1101ポリペプチド、HLA-A3303ポリペプチド、及びHLA-A2401ポリペプチドからなる群から選択されるHLA-Aポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、
前記少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドが、i)H16A置換及びF42A置換、またはii)H16T置換及びF42A置換を含むバリアント型IL-2であり、ならびに
前記ポリペプチドが、同一であり、タンデムであり、かつi)H16A置換及びF42A置換、またはii)H16T置換及びF42A置換を含むバリアント型IL-2を含む、2つの免疫調節ポリペプチドを含む、
態様45に記載のヘテロ二量体T細胞調節ポリペプチド。
態様47.前記KRASペプチドが、アミノ酸配列VVGADGVGK(配列番号176)、VVGACGVGK(配列番号177)、またはVVGAVGVGK(配列番号178)を含み、9アミノ酸の長さを有する、態様46に記載のヘテロ二量体T細胞調節ポリペプチド。
態様48.前記KRASペプチドが、アミノ酸配列VVVGADGVGK(配列番号179)、VVVGACGVGK(配列番号181)、またはVVVGAVGVGK(配列番号180)を含み、10アミノ酸の長さを有する、態様46に記載のヘテロ二量体T細胞調節ポリペプチド。
態様49.前記KRASペプチドが、アミノ酸配列VTGADGVGK(配列番号182)、VTGACGVGK(配列番号184)、またはVTGAVGVGK(配列番号183)を含み、9アミノ酸の長さを有する、態様46に記載のヘテロ二量体T細胞調節ポリペプチド。
態様50.前記KRASペプチドが、アミノ酸配列VTVGADGVGK(配列番号185)、VTVGACGVGK(配列番号187)、またはVTVGAVGVGK(配列番号186)を含み、10アミノ酸の長さを有する、態様46に記載のヘテロ二量体T細胞調節ポリペプチド。
態様51.前記KRASペプチドが、KLVVVGADGV(配列番号195)であり、かつ前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A0201ポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様46に記載のヘテロ二量体T細胞調節ポリペプチド。
態様52.前記KRASペプチドが、VVVGADGVGK(配列番号179)であり、かつ前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A1101ポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様46に記載のヘテロ二量体T細胞調節ポリペプチド。
態様53.前記KRASペプチドが、VVGAVGVGK(配列番号178)であり、かつ前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A1101ポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様46に記載のヘテロ二量体T細胞調節ポリペプチド。
態様54.
i)がん細胞上に発現するKRASエピトープを含み、少なくとも4アミノ酸の長さを有する、KRASペプチド、
ii)β2-ミクログロブリンポリペプチド、
iii)MHCクラスI重鎖ポリペプチド、及び
iv)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド
を含む、態様1~43のいずれか一つに記載の一本鎖T細胞調節ポリペプチド。
態様55.N末端からC末端の順に、
A)i)KRASペプチド、ii)β2Mポリペプチド、iii)クラスI MHC重鎖ポリペプチド、iv)1つ以上の免疫調節ポリペプチド、及びv)Ig Fcポリペプチド、または
B)i)KRASペプチド、ii)β2Mポリペプチド、iii)クラスI MHC重鎖ポリペプチド、iv)Ig Fcポリペプチド、及びv)1つ以上の免疫調節ポリペプチド、または
C)i)1つ以上の免疫調節ポリペプチド、ii)KRASペプチド、iii)β2Mポリペプチド、iv)クラスI MHC重鎖ポリペプチド、及びv)Ig Fcポリペプチドを含む、態様54に記載の一本鎖T細胞調節ポリペプチド。
態様56.前記一本鎖T細胞調節ポリペプチドが、N末端からC末端の順に、
i)KRASペプチド、ii)β2Mポリペプチド、iii)クラスI MHC重鎖ポリペプチド、iv)Ig Fcポリペプチド、及びv)1つ以上の免疫調節ポリペプチドを含み、
前記Ig Fcポリペプチドが、細胞溶解を実質的に誘発しないヒトIgG1 Fcポリペプチドであり、任意選択で、図3Gのアミノ酸配列を含み、
前記β2-ミクログロブリンポリペプチドが、配列CGGGS(GGGGS)n(配列番号142)またはGCGGS(GGGGS)n(配列番号140)を含む第1のリンカーによって前記KRASペプチドに接続されており、配列中、nは、1~10の整数、例えば2または3であり、
前記MHC重鎖ポリペプチドが、残基84におけるCys及び残基236におけるCysを含み、
前記β2Mポリペプチドが、残基12におけるCysを含み、
前記β2Mポリペプチドのアミノ酸残基12のCysが、前記MHC重鎖ポリペプチドのアミノ酸残基236のCysにジスルフィド結合し、
ジスルフィド結合が、前記リンカーのCysを前記MHC重鎖ポリペプチドのTyr84から置換されたCysと連結し、
前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A0201ポリペプチド、HLA-A1101ポリペプチド、HLA-A3303ポリペプチド、及びHLA-A2401ポリペプチドからなる群から選択されるHLA-Aポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、
前記β2Mポリペプチドが、(GGGGS)n(配列番号377)リンカーによって前記MHC重鎖ポリペプチドに接続されており、配列中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10、例えば、n=3または7であり、
前記少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドが、i)H16A置換及びF42A置換またはii)H16T置換及びF42A置換を含むバリアント型IL-2であり、前記ポリペプチドが、同一であり、タンデムであり、かつi)H16A置換及びF42A置換またはii)H16T置換及びF42A置換を含むバリアント型IL-2を含む、2つの免疫調節ポリペプチドを含む、
態様55に記載の一本鎖T細胞調節ポリペプチド。
態様57.前記KRASペプチドが、アミノ酸配列VVGADGVGK(配列番号176)、VVGACGVGK(配列番号177)、またはVVGAVGVGK(配列番号178)を含み、9アミノ酸の長さを有する、態様56に記載のヘテロ二量体T細胞調節ポリペプチド。
態様58.前記KRASペプチドが、アミノ酸配列VVVGADGVGK(配列番号179)、VVVGACGVGK(配列番号181)、またはVVVGAVGVGK(配列番号180)を含み、10アミノ酸の長さを有する、態様56に記載のヘテロ二量体T細胞調節ポリペプチド。
態様59.前記KRASペプチドが、アミノ酸配列VTGADGVGK(配列番号182)、VTGACGVGK(配列番号184)、またはVTGAVGVGK(配列番号183)を含み、9アミノ酸の長さを有する、態様56に記載のヘテロ二量体T細胞調節ポリペプチド。
態様60.前記KRASペプチドが、アミノ酸配列VTVGADGVGK(配列番号185)、VTVGACGVGK(配列番号187)、またはVTVGAVGVGK(配列番号186)を含み、10アミノ酸の長さを有する、態様56に記載のヘテロ二量体T細胞調節ポリペプチド。
態様61.前記KRASペプチドが、KLVVVGADGV(配列番号195)であり、かつ前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A0201ポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様56に記載のヘテロ二量体T細胞調節ポリペプチド。
態様62.前記KRASペプチドが、VVVGADGVGK(配列番号179)であり、かつ前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A1101ポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様56に記載のヘテロ二量体T細胞調節ポリペプチド。
態様63.前記KRASペプチドが、VVGAVGVGK(配列番号178)であり、かつ前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A1101ポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様56に記載のヘテロ二量体T細胞調節ポリペプチド。
態様64.T細胞調節ポリペプチドであって、前記TMPが、態様44~53のいずれか一つに記載の第1及び第2のヘテロ二量体を含むホモ二量体であり、前記第1及び第2のヘテロ二量体が、同じであり、かつ前記第1及び第2のヘテロ二量体のIg Fcポリペプチド間の1つ以上のジスルフィド結合によって共有結合している、前記T細胞調節ポリペプチド。
態様65.T細胞調節ポリペプチドであって、前記TMPが、態様54~63のいずれか一つに記載の第1及び第2の一本鎖TMPを含むホモ二量体であり、前記第1及び第2の一本鎖TMPが、同じであり、かつ前記第1及び第2のTMPのIg Fcポリペプチド間の1つ以上のジスルフィド結合によって共有結合している、前記T細胞調節ポリペプチド。
態様66.態様44~53のいずれか一つに記載の第1または第2のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、核酸。
態様67.態様54~63のいずれか一つに記載の一本鎖TMPをコードするヌクレオチド配列を含む、核酸。
態様68.態様66または67に記載の核酸を含む発現ベクター。
態様69.KRASペプチドエピトープに特異的なT細胞の活性を選択的に調節する方法であって、前記方法が、前記T細胞を、態様1~65のいずれか一つに記載のT細胞調節ポリペプチドと接触させることを含み、前記接触が、前記エピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節する、前記方法。
態様70.KRAS関連がんを有する患者において前記がんを治療する方法であって、前記方法が、態様1~65のいずれか一つに記載のT細胞調節ポリペプチドを含む有効量の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、前記方法。
態様71.前記がんが、非小細胞肺癌、肺腺癌、粘液性腺腫、膵管癌、結腸直腸癌、または白血病である、態様70に記載の方法。
態様72.前記投与が静脈内である、態様70または71に記載の方法。
態様73. 前記患者に免疫チェックポイント阻害剤を同時投与することをさらに含む、態様70~72のいずれか一つに記載の方法。
態様74.前記免疫チェックポイント阻害剤が、PD-L1、PD-1、またはCTLA4に特異的な抗体である、態様73に記載の方法。
態様75.KRAS(G12C)阻害剤を投与することをさらに含む、態様70~74のいずれか一つに記載の方法。
態様76.個体における免疫応答を調節する方法であって、前記方法が、態様1~65のいずれか一つに記載の有効量のT細胞調節ポリペプチドを前記個体に投与することを含み、前記投与が、エピトープ特異的T細胞応答及びエピトープ非特異的T細胞応答を誘導し、前記エピトープ特異的T細胞応答と前記エピトープ非特異的T細胞応答との比率が、少なくとも2:1である、前記方法。
態様77.標的T細胞への免疫調節ポリペプチドの選択的な送達方法であって、前記方法が、T細胞の混合集団を、態様1~65のいずれか一つに記載のT細胞調節ポリペプチドと接触させることを含み、前記T細胞の混合集団が、前記標的T細胞と非標的T細胞を含み、前記標的T細胞が、前記T細胞調節ポリペプチド内に存在する前記KRASエピトープに特異的であり、前記接触が、前記T細胞調節ポリペプチド内に存在する前記1つ以上の免疫調節ポリペプチドを前記標的T細胞に送達する、前記送達方法。
態様78.個体から得られたT細胞の混合集団において、がん関連変異を含むKRASペプチドに結合する標的T細胞の存在の検出方法であって、前記方法が、a)前記T細胞の混合集団を、態様1~65のいずれか一つに記載のT細胞調節ポリペプチドとインビトロで接触させることを含み、前記T細胞調節ポリペプチドが前記ペプチドエピトープを含み、前記方法がまた、b)前記接触に応答してT細胞の活性化及び/または増殖を検出することを含み、活性化及び/または増殖したT細胞が、前記標的T細胞の存在を示す、前記検出方法。
態様79.KRAS特異的T細胞の存在の検出方法であって、
A)KRAS特異的T細胞を、
i)KRAS特異的T細胞上のTCRに特異的なKRASエピトープを含むKRASペプチド、
ii)第1の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)ポリペプチド、
iii)第2のMHCポリペプチド、及び
iv)検出可能な標識
を含む抗原提示ポリペプチド(APP)と接触させるステップ、ならびに
B)標識の存在を検出するステップ
を含む、前記検出方法。
態様80.前記接触させるステップを、インビボで実施する、態様79に記載の方法。
態様81.前記接触させるステップを、インビトロで実施する、態様79に記載の方法。
態様82.前記APPが、第1及び第2のポリペプチドを含むヘテロ二量体であり、
a1)前記第1のポリペプチドが、N末端からC末端の順に
i)前記KRASペプチド、及び
ii)β2-ミクログロブリンポリペプチド
を含み、かつ
b1)前記第2のポリペプチドが、N末端からC末端の順に、
i)MHCクラスI重鎖ポリペプチド、及び
ii)Ig Fcポリペプチド
を含むか、または
a3)前記第1のポリペプチドが、N末端からC末端の順に
i)前記KRASペプチド、及び
ii)β2-ミクログロブリンポリペプチド
を含み、かつ
b3)前記第2のポリペプチドが、N末端からC末端の順に
i)MHCクラスI重鎖ポリペプチド
ii)Ig Fcポリペプチド
を含み、
前記Ig Fcポリペプチドが、細胞溶解を実質的に誘発しないヒトIgG1 Fcポリペプチドであり、任意選択で、図3Gのアミノ酸配列を含む、
態様79~81のいずれか一つに記載の方法。
態様83.
前記β2-ミクログロブリンポリペプチドが、配列CGGGS(GGGGS)n(配列番号142)またはGCGGS(GGGGS)n(配列番号140)を含む第1のリンカーによってKRASペプチドに接続されており、配列中、nが、1~10の整数、例えば、2または3であり、
前記MHC重鎖ポリペプチドが、残基84におけるCys及び残基236におけるCysを含み、
前記β2Mポリペプチドが、残基12におけるCysを含み、
前記β2Mポリペプチドのアミノ酸残基12のCysが、前記MHC重鎖ポリペプチドのアミノ酸残基236のCysにジスルフィド結合し、
ジスルフィド結合が、前記リンカーのCysを前記MHC重鎖ポリペプチドのTyr84から置換されたCysに連結し、
前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A0201ポリペプチド、HLA-A1101ポリペプチド、HLA-A3303ポリペプチド、及びHLA-A2401ポリペプチドからなる群から選択されるHLA-Aポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、
態様82に記載の方法。
態様84.前記APPが、
i)KRASペプチド、
ii)β2-ミクログロブリンポリペプチド、及び
iii)MHCクラスI重鎖ポリペプチド。
を含む一本鎖ポリペプチドである、態様79~81のいずれか一つに記載の方法。
態様85.前記一本鎖APPが、N末端からC末端の順に、A)i)KRASペプチド、ii)β2Mポリペプチド、iii)クラスI MHC重鎖ポリペプチド、及びiv)Ig Fcポリペプチドを含み、
前記Ig Fcポリペプチドが、細胞溶解を実質的に誘発しないヒトIgG1 Fcポリペプチドであり、任意選択で、図3Gのアミノ酸配列を含む、態様84に記載の方法。
態様86.
前記β2-ミクログロブリンポリペプチドが、配列CGGGS(GGGGS)n(配列番号142)またはGCGGS(GGGGS)n(配列番号140)を含む第1のリンカーによって前記KRASペプチドに接続されており、配列中、nが、1~10の整数、例えば、2または3であり、
前記MHC重鎖ポリペプチドが、残基84におけるCys及び残基236におけるCysを含み、
前記β2Mポリペプチドが、残基12におけるCysを含み、
前記β2Mポリペプチドのアミノ酸残基12のCysが、前記MHC重鎖ポリペプチドのアミノ酸残基236のCysにジスルフィド結合し、
ジスルフィド結合が、前記リンカーのCysを前記MHC重鎖ポリペプチドのTyr84から置換されたCysに連結し、
前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A0201ポリペプチド、HLA-A1101ポリペプチド、HLA-A3303ポリペプチド、及びHLA-A2401ポリペプチドからなる群から選択されるHLA-Aポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、態様85に記載の方法。
以下の実施例は、当業者に、本開示を作成及び使用する方法の完全な開示及び説明を提供するために提示されており、発明者が見なす範囲を限定することを意図するものではなく、また、それらの発明が、以下の実験が実行されたすべてまたは唯一の実験であることを表すことを意図したものでもない。使用される数値(例えば、量、温度など)に関して精度を確保するための努力が払われているが、多少の実験誤差と偏差を考慮する必要がある。特に明記されていない限り、部は重量部、分子量は重量平均分子量、温度は摂氏、圧力は大気圧または大気圧近傍である。標準的な略語、例えば、bp、塩基対(複数可)、kb、キロベース(複数可)、pl、ピコリットル(複数可)、sまたはsec、秒(複数可)、min、分(複数可)、hまたはhr、時間(複数可)、aa、アミノ酸(複数可)、kb、キロベース(複数可)、bp、塩基対(複数可)、nt、ヌクレオチド(複数可)、i.m.、筋肉内(に)、i.p.、腹腔内(に)、s.c.、皮下(に)、などが使用され得る。
実施例1:KRAS G12V特異的HLA-A11+T細胞の生成及びKRAS G12V HLA-A11 TMPに応答したその増殖の評価
T細胞受容体(TCR)を形質導入した初代ヒトT細胞を、HLA-A11+ドナーから生成した。TCRは、KRAS G12V(7-16)ペプチドに応答性であった。KRAS G12V(7-16)及びHLA-A11を含むTMPが、KRAS G12V(7-16)特異的な、TCRを形質導入されたCD8T細胞を増殖させる能力を評価した。
材料及び方法
以下のTMPを使用した:(i)TMP4074(一本鎖、ペプチドエピトープとしてG12V(7-16)を含む)、(ii)TMP4073(一本鎖、ペプチドエピトープとしてG12D(7-16)を含む)、(iii)TMP4072-4030(構築物4072及び構築物4030のヘテロ二量体を含み、ペプチドエピトープとしてG12V(7-16)を含む、分割鎖)、(iv)TMP4072-4029(構築物4072及び構築物4029のヘテロ二量体を含み、ペプチドエピトープとしてG12D(7-16)を含む、分割鎖)。TMPは、HLA-A11:01対立遺伝子重鎖、β2Mポリペプチド、ペプチドエピトープとしてのKRAS G12V(7-16)またはKRAS G12D(7-16)、親和性が減弱されたIL-2バリアント(IL-2(H16A、F42A))、及びヒト免疫グロブリンG1(IgG1)フラグメント結晶性(Fc)ポリペプチドを含んでいた。
G12D(7-16)ペプチドエピトープは、アミノ酸配列:
Figure 2022548472000018
(配列番号179)を有する。G12V(7-16)ペプチドエピトープは、アミノ酸配列:
Figure 2022548472000019
(配列番号180)を有する。
4072-4029TMPは、2つのヘテロ二量体のホモ二量体であり、各ヘテロ二量体は、a)i)G12D(7-16)ペプチド、ii)GCGGS(GGGS)2)(配列番号584)リンカー、及びiii)R12C置換を含むβ2Mポリペプチドを含む「軽鎖」ポリペプチドである4029ポリペプチド(図14K)、ならびにb)i)Y84C及びA236C置換を有するHLA-A11:01対立遺伝子重鎖、ii)L234A及びL235A置換を有するIgG1 Fcポリペプチド、及びiii)IL2(H16A、F42A)の2つのコピーを含む「重鎖」ポリペプチドである4072ポリペプチド(図13L)を含む。重鎖及び軽鎖ポリペプチドは、i)GCGGS(GGGGS)2(配列番号585)リンカーのCysとHLA-A11.01重鎖ポリペプチドのY84C置換によって形成されるCys、及びii)β2MポリペプチドのR12C置換によって形成されるCysとHLA-A11.01重鎖ポリペプチドのA236C置換によって形成されるCysの間に形成される2つのジスルフィド結合によって接続される。4072-4029TMPは、ヘテロ二量体の2つのコピーのホモ二量体であり、それぞれのIgG1 Fc領域間に形成されるジスルフィド結合によって接続される。4072-4029TMPは、図20では「分割鎖G12D TMP」と呼ばれる。
4072-4030TMPは、2つのヘテロ二量体のホモ二量体であり、各ヘテロ二量体は、a)i)G12V(7-16)ペプチド、ii)GCGGS(GGGS)2)(配列番号584)リンカー、及びiii)R12C置換を含むβ2Mポリペプチドを含む4030ポリペプチド(図14Q)、ならびにb)i)Y84C及びA236C置換を有するHLA-A11:01対立遺伝子重鎖、ii)L234A及びL235A置換を有するIgG1 Fcポリペプチド、及びiii)IL2(H16A、F42A)の2つのコピーを含む「重鎖」ポリペプチドである4072ポリペプチド(図13L)を含む。重鎖及び軽鎖ポリペプチドは、i)GCGGS(GGGGS)2(配列番号585)リンカーのCysとHLA-A11.01重鎖ポリペプチドのY84C置換によって形成されるCys、及びii)β2MポリペプチドのR12C置換によって形成されるCysとHLA-A11.01重鎖ポリペプチドのA236C置換によって形成されるCysの間に形成される2つのジスルフィド結合によって接続される。4072-4030TMPは、ヘテロ二量体の2つのコピーのホモ二量体であり、それぞれのIgG1 Fc領域間に形成されるジスルフィド結合によって接続される。4072-4030TMPは、図20では「分割鎖G12V TMP」と呼ばれる。
4073TMPは、2つの一本鎖ポリペプチドのホモ二量体であり、各一本鎖ポリペプチド(図19Bに示す)は、i)G12D(7-16)ペプチド、ii)GCGGS(GGGGS)2(配列番号585)リンカー、iii)β2M(R12C)ポリペプチド、iv)Y84C及びA236C置換を有するHLA-A11:01対立遺伝子重鎖、v)L234A及びL235A置換を有するIgG1 Fcポリペプチド、及びvi)IL2(H16A、F42A)の2つのコピーを含む。2つの一本鎖ポリペプチドのそれぞれは、i)GCGGS(GGGGS)2(配列番号585)リンカーのCysとHLA-A11.01重鎖ポリペプチドのY84C置換によって形成されるCys、及びii)β2MポリペプチドのR12C置換によって形成されるCysとHLA-A*11.01重鎖ポリペプチドのA236C置換によって形成されるCysの間に形成される鎖内ジスルフィド結合を含み得る。2つの一本鎖ポリペプチドは、それぞれの一本鎖ポリペプチドのIgG1 Fcポリペプチド間に形成されるジスルフィド結合を介して互いにジスルフィド結合する。4073TMPは、図20では「一本鎖G12D TMP」と呼ばれる。
4074TMPは、2つの一本鎖ポリペプチドのホモ二量体であり、各一本鎖ポリペプチド(図19Cに示す)は、i)G12V(7-16)ペプチド、ii)GCGGS(GGGGS)2(配列番号585)リンカー、iii)β2M(R12C)ポリペプチド、iv)Y84C及びA236C置換を有するHLA-A11:01対立遺伝子重鎖、v)L234A及びL235A置換を有するIgG1 Fcポリペプチド、及びvi)IL2(H16A、F42A)の2つのコピーを含む。2つの一本鎖ポリペプチドのそれぞれは、i)GCGGS(GGGGS)2(配列番号585)リンカーのCysとHLA-A11.01重鎖ポリペプチドのY84C置換によって形成されるCys、及びii)β2MポリペプチドのR12C置換によって形成されるCysとHLA-A11.01重鎖ポリペプチドのA236C置換によって形成されるCysの間に形成される鎖内ジスルフィド結合を含み得る。2つの一本鎖ポリペプチドは、それぞれの一本鎖ポリペプチドのIgG1 Fcポリペプチド間に形成されるジスルフィド結合を介して互いにジスルフィド結合する。4074TMPは、図20では「一本鎖G12V TMP」と呼ばれる。
HLA-A11ヒト健康ドナーCD8T細胞に、KRAS G12V(7-16)に特異的なTCRを形質導入した。形質導入されたCD8T細胞を、フィーダーとしての自己末梢血単核細胞(PBMC)の存在下で、ペプチドエピトープとしてKRAS G12V(7-16)を含むか、またはペプチドエピトープとしてKRAS G12D(7-16)を含むTMPで刺激した。TCRで形質導入されたT細胞の増殖を、TCRのマウス定常領域(TCRに組み込まれた)に特異的な抗体を使用してモニタリングし、フローサイトメトリーによって評価した。
結果
図20に示すように、KRAS G12V(7-16)HLA-A11 TMPは、KRAS G12V(7-16)特異的なCD8T細胞を、10日間のインビトロアッセイにおけるCD8T細胞の割合(上段パネル)及び抗原特異的細胞の総数(下段パネル)として、用量依存的に増殖させることができる。KRAS G12D(7-16)を含む対照TMPが用量依存的に増殖を誘発しなかったことから、効果はエピトープ特異的であった。
本発明における特定の実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明の真の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な変更を行うことが可能であること、また均等物で置き換え可能であることを当業者は理解するであろう。更に、特定の状態、材料、物質の組成物、プロセス、1つのプロセス工程または複数のプロセス工程について多くの修正を行い、本発明の目的、趣旨及び範囲に適合させることも可能である。全てのこのような修正は、本書に添付する特許請求の範囲の範囲内となることを意図している。

Claims (20)

  1. T細胞調節ポリペプチド(TMP)であって、
    i)がん細胞上に発現するKRASエピトープを含み、少なくとも4アミノ酸の長さを有する、KRASペプチド、
    ii)第1の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)ポリペプチド、
    iii)第2のMHCポリペプチド、及び
    iv)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド
    を含み、
    前記第1の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)ポリペプチドがβ2-ミクログロブリンポリペプチドであり、前記第2のMHCポリペプチドがMHCクラスI重鎖ポリペプチドである、前記T細胞調節ポリペプチド。
  2. 前記T細胞調節ポリペプチドが、細胞溶解を実質的に誘発しないIg Fcポリペプチドをさらに含み、任意選択で、IgG1 Fcポリペプチドが、N297A、L234A、L235A、L234F、L235E、及びP331Sから選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む、請求項1に記載のT細胞調節ポリペプチド。
  3. 前記β2Mポリペプチド及び前記MHC重鎖ポリペプチドが、前記β2MポリペプチドのCys残基と前記MHC重鎖ポリペプチドのCys残基とを接続するジスルフィド結合によって接続されており、任意選択で、前記β2Mポリペプチドのアミノ酸残基12のCysが、前記MHC重鎖ポリペプチドのアミノ酸残基236のCysにジスルフィド結合されている、請求項1または2に記載のT細胞調節ポリペプチド。
  4. 前記β2-ミクログロブリンポリペプチドが、Cysを含む第1のリンカーによって前記KRASペプチドに接続されており、ジスルフィド結合が前記第1のリンカーに存在するCysを前記MHC重鎖ポリペプチドに存在するCysに連結し、任意選択で、前記第1のリンカーが、配列CGGGS(GGGGS)n(配列番号142)またはGCGGS(GGGGS)n(配列番号140)を含み、配列中、nが、1~10の整数、例えば、2または3であり、ジスルフィド結合が、前記リンカーのCysを前記MHC重鎖ポリペプチドのTyr84から置換されたCysに連結する、請求項1~3に記載のT細胞調節ポリペプチド。
  5. 前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A0201ポリペプチド、HLA-A1101ポリペプチド、HLA-A3303ポリペプチド、及びHLA-A2401ポリペプチドからなる群から選択されるHLA-Aポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項4に記載のT細胞調節ポリペプチド。
  6. 前記少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドが、IL-2、4-1BBL、CD80、CD86、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される活性化型免疫調節ポリペプチドの野生型またはバリアント型であり、任意選択で、前記少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドの少なくとも1つが、対応する野生型免疫調節ポリペプチドの同族共刺激ポリペプチドに対する親和性と比較して低い、前記同族共刺激ポリペプチドに対する親和性を示す、バリアント型免疫調節ポリペプチドである、請求項1~5のいずれか一項に記載のT細胞調節ポリペプチド。
  7. 前記少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドが、実質的にIL-2Rαに結合せずかつIL-2Rβに対する親和性が低下しているバリアント型IL-2であり、任意選択で、前記バリアント型IL-2ポリペプチドが、i)H16A置換及びF42A置換、またはii)H16T置換及びF42A置換を含む、請求項6に記載のT細胞調節ポリペプチド。
  8. 前記KRASペプチドが、以下からなる群から選択される配列を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のT細胞調節ポリペプチド:
    A)VVGADGVGK(配列番号176)、VVGACGVGK(配列番号177)、VVGAVGVGK(配列番号178)、VVVGADGVGK(配列番号179)、VVVGAVGVGK(配列番号180)、VVVGACGVGK(配列番号181)、VTGADGVGK(配列番号182)、VTGAVGVGK(配列番号183)、VTGACGVGK(配列番号184)、VTVGADGVGK(配列番号185)、VTVGAVGVGK(配列番号186)、及びVTVGACGVGK(配列番号187);ここで前記KRASペプチドは、9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さ、または少なくとも9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さを有する;
    B)VVVGAGDVGK(配列番号188)、VVGAGDVGK(配列番号189)、VVVGARGVGK(配列番号190)、及びVVGARGVGK(配列番号191);ここで前記KRASペプチドは、9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さ、または少なくとも9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さを有する;
    C)LVVVGADGV(配列番号192)、LVVVGAVGV(配列番号193)、LVVVGACGV(配列番号194)、KLVVVGADGV(配列番号195)、KLVVVGAVGV(配列番号196)、KLVVVGACGV(配列番号197)、LLVVGADGV(配列番号198)、LLVVGAVGV(配列番号199)、LLVVGACGV(配列番号200)、FLVVVGADGV(配列番号201)、FLVVVGAVGV(配列番号202)、及びFLVVVGACGV(配列番号203);ここで前記KRASペプチドは、9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さ、または少なくとも9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さを有する;
    D)KLVVVGAGDV(配列番号204)、及びKLVVVGARGV(配列番号205);ここで前記KRASペプチドは、9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さ、または少なくとも9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さを有する;
    E)GAGDVGKSAL(配列番号206)、AGDVGKSAL(配列番号207)、DVGKSALTI(配列番号208)、GAVGVGKSAL(配列番号209)、AVGVGKSAL(配列番号210)、YKLVVVGAV(配列番号211)、ARGVGKSAL(配列番号212)、GARGVGKSAL(配列番号213)、EYKLVVVGAR(配列番号214)、RGVGKSALTI(配列番号215)、LVVVGARGV(配列番号216)、GADGVGKSAL(配列番号217)、ACGVGKSAL(配列番号218)、及びGACGVGKSAL(配列番号219);ここで前記KRASペプチドは、9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さ、または少なくとも9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さを有する;ならびに
    F)VVGAVGVGK(配列番号178)、VVVGAVGVGK(配列番号180)、VGAVGVGKS(配列番号222)、VGAVGVGKSA(配列番号223)、AVGVGKSAL(配列番号210)、AVGVGKSALT(配列番号ID NO:225)、GAVGVGKSAL(配列番号209)、GAVGVGKSA(配列番号227)、LVVVGAVGVG(配列番号228)、LVVVGAVGV(配列番号193)、KLVVVGAVGV(配列番号196)、及びKLVVVGAVG(配列番号231);ここで前記KRASペプチドは、9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さ、または少なくとも9アミノ酸もしくは10アミノ酸の長さを有する。
  9. A)前記KRASペプチドが、KLVVVGADGV(配列番号195)であり、かつ前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A0201ポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、または
    B)前記KRASペプチドが、VVVGADGVGK(配列番号179)またはVVGAVGVGK(配列番号178)であり、かつ前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A1101ポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、
    請求項1~8のいずれか一項に記載のT細胞調節ポリペプチド。
  10. 前記TMPがヘテロ二量体を含み、前記ヘテロ二量体が以下を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のT細胞調節ポリペプチド:
    a1)第1のポリペプチドが、N末端からC末端の順に、
    i)前記KRASペプチド、及び
    ii)β2-ミクログロブリンポリペプチド
    を含み、かつ
    b1)第2のポリペプチドが、N末端からC末端の順に、
    i)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド、
    ii)MHCクラスI重鎖ポリペプチド、及び
    iii)Ig Fcポリペプチド
    を含むか、または
    a3)第1のポリペプチドが、N末端からC末端の順に、
    i)前記KRASペプチド、及び
    ii)β2-ミクログロブリンポリペプチド
    を含み、かつ
    b3)第2のポリペプチドが、N末端からC末端の順に、
    i)MHCクラスI重鎖ポリペプチド、及び
    ii)Ig Fcポリペプチド、及び
    iii)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド
    を含み、
    ここで、前記Ig Fcポリペプチドが、細胞溶解を実質的に誘発しないヒトIgG1 Fcポリペプチドであり、任意選択で、図3Gのアミノ酸配列を含む。
  11. 前記β2-ミクログロブリンポリペプチドが、配列CGGGS(GGGGS)n(配列番号142)またはGCGGS(GGGGS)n(配列番号140)を含む第1のリンカーによって前記KRASペプチドに接続されており、配列中、nは、1~10の整数、例えば、2または3であり、
    前記MHC重鎖ポリペプチドが、残基84におけるCys及び残基236におけるCysを含み、
    前記β2Mポリペプチドが、残基12におけるCysを含み、
    前記β2Mポリペプチドのアミノ酸残基12のCysが、前記MHC重鎖ポリペプチドのアミノ酸残基236のCysにジスルフィド結合し、
    ジスルフィド結合が、前記リンカーのCysを前記MHC重鎖ポリペプチドのTyr84から置換されたCysに連結し、
    前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A0201ポリペプチド、HLA-A1101ポリペプチド、HLA-A3303ポリペプチド、及びHLA-A2401ポリペプチドからなる群から選択されるHLA-Aポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、
    前記少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドが、i)H16A置換及びF42A置換またはii)H16T置換及びF42A置換を含むバリアント型IL-2であり、ならびに
    前記ポリペプチドが、同一であり、タンデムであり、かつi)H16A置換及びF42A置換またはii)H16T置換及びF42A置換を含むバリアント型IL-2を含む、2つの免疫調節ポリペプチドを含む、
    請求項10に記載のヘテロ二量体T細胞調節ポリペプチド。
  12. A)前記KRASペプチドが、KLVVVGADGV(配列番号195)であり、かつ前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A0201ポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、または
    B)前記KRASペプチドが、VVVGADGVGK(配列番号179)またはVVGAVGVGK(配列番号178)であり、かつ前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A1101ポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、
    請求項10または11に記載のヘテロ二量体T細胞調節ポリペプチド。
  13. 前記TMPが、
    i)がん細胞上に発現するKRASエピトープを含み、少なくとも4アミノ酸の長さを有する、KRASペプチド、
    ii)β2-ミクログロブリンポリペプチド、
    iii)MHCクラスI重鎖ポリペプチド、及び
    iv)少なくとも1つの免疫調節ポリペプチド
    を含む単一のポリペプチド鎖である、請求項1~9のいずれか一項に記載のT細胞調節ポリペプチド。
  14. 前記一本鎖T細胞調節ポリペプチドが、N末端からC末端の順に、
    i)KRASペプチド、ii)β2Mポリペプチド、iii)クラスI MHC重鎖ポリペプチド、iv)Ig Fcポリペプチド、及びv)1つ以上の免疫調節ポリペプチドを含み、
    前記Ig Fcポリペプチドが、細胞溶解を実質的に誘発しないヒトIgG1 Fcポリペプチドであり、任意選択で、図3Gのアミノ酸配列を含む、
    請求項13に記載の一本鎖T細胞調節ポリペプチド。
  15. 前記β2ミクログロブリンポリペプチドが、配列CGGGS(GGGGS)n(配列番号142)またはGCGGS(GGGGS)n(配列番号140)を含む第1のリンカーによって前記KRASペプチドに接続されており、配列中、nは、1~10の整数、例えば、2または3であり、
    前記MHC重鎖ポリペプチドが、残基84におけるCys及び残基236におけるCysを含み、
    前記β2Mポリペプチドが、残基12におけるCysを含み、
    前記β2Mポリペプチドのアミノ酸残基12のCysが、前記MHC重鎖ポリペプチドのアミノ酸残基236のCysにジスルフィド結合し、
    ジスルフィド結合が、前記リンカーのCysを前記MHC重鎖ポリペプチドのTyr84から置換されたCysに連結し、
    前記β2Mポリペプチドが、(GGGGS)nリンカーによって前記MHC重鎖ポリペプチドに接続されており、配列中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10、例えば、n=3または7であり、
    前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A0201ポリペプチド、HLA-A1101ポリペプチド、HLA-A3303ポリペプチド、及びHLA-A2401ポリペプチドからなる群から選択されるHLA-Aポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、
    前記少なくとも1つの免疫調節ポリペプチドが、i)H16A置換及びF42A置換またはii)H16T置換及びF42A置換を含むバリアント型IL-2であり、
    前記ポリペプチドが、同一であり、タンデムであり、かつi)H16A置換及びF42A置換またはii)H16T置換及びF42A置換を含むバリアント型IL-2を含む、2つの免疫調節ポリペプチドを含む、
    請求項14に記載の一本鎖T細胞調節ポリペプチド。
  16. A)前記KRASペプチドが、KLVVVGADGV(配列番号195)であり、かつ前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A0201ポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、または
    B)前記KRASペプチドが、VVVGADGVGK(配列番号179)またはVVGAVGVGK(配列番号178)であり、かつ前記MHC重鎖ポリペプチドが、HLA-A1101ポリペプチドに対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、
    請求項15に記載の一本鎖T細胞調節ポリペプチド。
  17. T細胞調節ポリペプチドであって、前記TMPが、請求項10~12のいずれか一項に記載の第1及び第2のヘテロ二量体TMPまたは請求項13~16のいずれか一項に記載の第1及び第2の一本鎖TMPを含む、ホモ二量体であり、前記第1及び第2のヘテロ二量体が、同じであり、かつ前記第1及び第2のヘテロ二量体の前記Ig Fcポリペプチド間の1つ以上のジスルフィド結合によって共有結合している、前記T細胞調節ポリペプチド。
  18. 請求項10~12のいずれか一項に記載のヘテロ二量体TMPの第1もしくは第2のポリペプチドまたは請求項13~16のいずれか一項に記載の一本鎖TMPをコードするヌクレオチド配列を含む、核酸。
  19. KRASペプチドエピトープに特異的なT細胞の活性を選択的に調節する方法であって、前記方法が、前記T細胞を、態様1~17のいずれか一つに記載のT細胞調節ポリペプチドと接触させることを含み、前記接触が、前記エピトープ特異的T細胞の活性を選択的に調節する、前記方法。
  20. KRAS関連がんを有する患者において前記がんを治療する方法であって、前記方法が、請求項1~17のいずれか一項に記載のT細胞調節ポリペプチドを含む有効量の医薬組成物を前記患者に投与することを含み、任意選択で、前記患者に免疫チェックポイント阻害剤を同時投与することをさらに含み、任意選択で、前記免疫チェックポイント阻害剤が、PD-L1、PD-1、またはCTLA4に特異的な抗体である、前記方法。
JP2022506595A 2019-09-20 2020-09-17 T細胞調節ポリペプチド及びその使用方法 Pending JP2022548472A (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201962903441P 2019-09-20 2019-09-20
US62/903,441 2019-09-20
US202062990693P 2020-03-17 2020-03-17
US62/990,693 2020-03-17
US202063048561P 2020-07-06 2020-07-06
US63/048,561 2020-07-06
PCT/US2020/051255 WO2021055594A1 (en) 2019-09-20 2020-09-17 T-cell modulatory polypeptides and methods of use thereof

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022548472A true JP2022548472A (ja) 2022-11-21
JPWO2021055594A5 JPWO2021055594A5 (ja) 2023-09-25

Family

ID=74884186

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022506595A Pending JP2022548472A (ja) 2019-09-20 2020-09-17 T細胞調節ポリペプチド及びその使用方法

Country Status (11)

Country Link
US (1) US20220143063A1 (ja)
EP (1) EP4030897A4 (ja)
JP (1) JP2022548472A (ja)
KR (1) KR20220066075A (ja)
CN (1) CN114423284A (ja)
AU (1) AU2020348373A1 (ja)
CA (1) CA3146591A1 (ja)
IL (1) IL290635A (ja)
MX (1) MX2022003367A (ja)
TW (1) TW202126683A (ja)
WO (1) WO2021055594A1 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DK3558339T3 (da) 2016-12-22 2024-02-26 Cue Biopharma Inc T-celle-modulerende multimere polypeptider og fremgangsmåder til anvendelse deraf
US20200010528A1 (en) 2017-03-15 2020-01-09 Cue Biopharma, Inc. Methods for modulating an immune response
CA3169949A1 (en) 2020-05-12 2021-11-18 Cue Biopharma, Inc. Multimeric t-cell modulatory polypeptides and methods of use thereof
US11058751B1 (en) * 2020-11-20 2021-07-13 Think Therapeutics, Inc. Compositions for optimized RAS peptide vaccines
US11421015B2 (en) 2020-12-07 2022-08-23 Think Therapeutics, Inc. Method of compact peptide vaccines using residue optimization
EP4267605A2 (en) * 2020-12-23 2023-11-01 Janssen Biotech, Inc. Neoantigen peptide mimics
CA3212382A1 (en) * 2021-03-19 2022-09-22 Ronald D. Seidel Iii T-cell modulatory polypeptides and methods of use thereof
US11464842B1 (en) * 2021-04-28 2022-10-11 Think Therapeutics, Inc. Compositions and method for optimized peptide vaccines using residue optimization
WO2023196896A2 (en) * 2022-04-07 2023-10-12 Cue Biopharma, Inc. Immune cell binding polypeptides
CN115820736B (zh) * 2022-12-08 2024-05-10 西南大学 家蚕丝胶蛋白Ser4在提高蚕丝性能中的应用及其方法

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3480213B1 (en) * 2014-06-18 2019-11-13 Albert Einstein College of Medicine Syntac polypeptides and uses thereof
CN108137685B (zh) * 2015-03-23 2022-11-11 约翰·霍普金斯大学 由体细胞突变基因编码的hla限制性表位
CA3012037A1 (en) * 2016-01-27 2017-08-03 Csl Behring Recombinant Facility Ag Recombinant igg fc multimers
AU2017226269B2 (en) * 2016-03-02 2021-10-28 Cue Biopharma, Inc. T-cell modulatory multimeric polypeptides and methods of use thereof
KR20180132070A (ko) * 2016-03-03 2018-12-11 큐 바이오파마, 인크. T-세포 조절 다량체 폴리펩타이드 및 이의 사용 방법
KR20190019068A (ko) * 2016-05-18 2019-02-26 큐 바이오파마, 인크. T-세포 조절 다량체 폴리펩타이드 및 이의 사용 방법
DK3558339T3 (da) * 2016-12-22 2024-02-26 Cue Biopharma Inc T-celle-modulerende multimere polypeptider og fremgangsmåder til anvendelse deraf
WO2018129474A1 (en) * 2017-01-09 2018-07-12 Cue Biopharma, Inc. T-cell modulatory multimeric polypeptides and methods of use thereof
US20200010528A1 (en) * 2017-03-15 2020-01-09 Cue Biopharma, Inc. Methods for modulating an immune response
WO2019051127A1 (en) * 2017-09-07 2019-03-14 Cue Biopharma, Inc. MULTIMER MODULATOR POLYPEPTIDE OF LYMPHOCYTE T HAVING CONJUGATION SITES AND METHODS OF USE THEREOF
EP3737689A4 (en) * 2018-01-09 2021-12-01 Cue Biopharma, Inc. MULTIMERIC T CELL-MODULATING POLYPEPTIDES AND METHOD OF USING THEREOF

Also Published As

Publication number Publication date
CN114423284A (zh) 2022-04-29
AU2020348373A1 (en) 2022-02-24
KR20220066075A (ko) 2022-05-23
MX2022003367A (es) 2022-04-11
EP4030897A4 (en) 2023-10-18
IL290635A (en) 2022-04-01
TW202126683A (zh) 2021-07-16
US20220143063A1 (en) 2022-05-12
CA3146591A1 (en) 2021-03-25
WO2021055594A1 (en) 2021-03-25
EP4030897A1 (en) 2022-07-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20220143063A1 (en) T-cell modulatory polypeptides and methods of use thereof
JP7403703B2 (ja) 多量体ポリペプチド、ホモ二量体及び医薬組成物
US20220112252A1 (en) Multimeric t-cell modulatory polypeptides and methods of use thereof
JP2022522404A (ja) T細胞調節抗原提示ポリペプチド及びその使用方法
US20220089680A1 (en) Multimeric t-cell modulatory polypeptides and methods of use thereof
CN113286621A (zh) 多聚体t细胞调节多肽及其使用方法
US11878062B2 (en) Multimeric T-cell modulatory polypeptides and methods of use thereof
CN114423497A (zh) 修饰的细胞毒性t细胞及其使用方法
US20230414777A1 (en) Antigen Presenting Polypeptide Complexes and Methods of Use Thereof
US20240067700A1 (en) T-cell modulatory polypeptides and methods of use thereof
US20230241192A1 (en) Multimeric t-cell modulatory polypeptides and methods of use thereof

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220527

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20230628

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230913

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230913