以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
図1は、本発明の一実施例による電気車充電ステーションを用いたバッテリー性能管理システムの構成を示したブロックダイヤグラムである。
図1を参照すると、本発明の実施例によるバッテリー性能管理システム10は、複数の充電ステーションEVCkと、バッテリー性能管理サーバー11と、を含む。kは、図面符号で示された客体が複数であることを示すためのインデックスであって、充電ステーションEVCkが10,000個所に設けられているとしたら、kは1~10,000である。
望ましくは、充電ステーションEVCk及びバッテリー性能管理サーバー11は、ネットワーク12を介して相互に通信が可能に連結され得る。
ネットワーク12は、充電ステーションEVCkとバッテリー性能管理サーバー11との通信を支援するものであれば、その種類は制限されない。
ネットワーク12は、有線ネットワーク、無線ネットワーク、またはこれらの組合せを含む。有線ネットワークは、TCP/IPプロトコールを支援する近距離または広域インターネットを含む。無線ネットワークは、基地局基盤の無線通信網、衛星通信網、Wi-Fi(登録商標)のような近距離無線通信網またはこれらの組合せを含む。
ネットワーク12は、一例で、2G(second generation)~5G(fifth generation)ネットワーク、LTE(Long Term Evolution)ネットワーク、GSM(登録商標)(Global System for Mobile communication)ネットワーク、符号分割多重アクセス(Code Division Multiple Accesses)ネットワーク、EVDO(Evolution-Data Optimization)ネットワーク、パブリックランドモバイル(Public Land Mobile)ネットワーク及び/または他のネットワークを含み得る。
ネットワーク12は、他の例で、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)、無線LANネットワーク(WLAN: Wireless Local Area Network)、広域ネットワーク(Wide Area Network)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN:Metropolitan Network)、公衆交換電話網(PSTN:Public Switched Telephone Network)、アドホックネットワーク(ad-hoc network)、管理IPネットワーク(managed IP network)、仮想プライベートネットワーク(Virtual Private Network)、イントラネット、インターネット、光ファイバ基盤ネットワーク、及び/またはこれらの組合せ、または他のタイプのネットワークを含み得る。
充電ステーションEVCkは、電気車EVnのバッテリーBnを充電するために国内及び/または海外に設けられた充電デバイスである。nは、図面符号で示した客体が複数であることを示すためのインデックスであって、電気車の数が100万であれば、nは1~100万である。充電ステーションEVCkは、国内及び/または海外の駐車場、ガソリンスタンド、公共機関、ビル、アパート、マンション、一戸建てなどに設けられ得る。充電ステーションEVCkは、バッテリー性能管理サーバー11と通信可能にネットワーク12とカップルリングされ得る。
望ましくは、電気車EVnはバッテリーBnと制御システム15を含む。制御システム15は、コンピューターデバイスであって、バッテリーBnの充放電動作を制御し、バッテリーBnの充放電時にバッテリーBnの電圧、電流及び温度を測定して保存手段15aに記録する。また、制御システム15は、電気車EVnの運行に関わる機械メカニズム及び/または電子メカニズムの制御動作を行い得る。
保存手段15aは、非一時的メモリデバイス(non-transitory memory device)であって、データを記録及び/または消去及び/または修正及び/または伝送可能なコンピューター保存媒体である。保存手段15aは一例で、フラッシュメモリー(登録商標)、ハードディスク、SSD(Solid State Disk)または他のタイプのデータ保存用ハードウェアであり得る。
電気車EVnの制御システム15は、バッテリーBnが充電または放電される間にバッテリーBnの動作特性情報を収集して保存手段15aに記録し得る。動作特性情報は、バッテリーBnの電圧、電流及び温度より選択された一つ以上を含み得る。制御システム15は、バッテリーBnの動作特性情報をバッテリーBnの充電状態SOC及び/またはタイムスタンプと共に保存手段15aに記録し得る。制御システム15は、当業界における公知のアンペアカウンティング法、OCV法、拡張カルマンフィルターなどを用いてバッテリーBnの充電状態を推定し得る。制御システム15は、バッテリーBnの動作特性情報を収集するためにバッテリーBnに設けられた電圧センサー、電流センサー及び温度センサーと電気的に結合し得る。
制御システム15は、電気車EVnの運行特性情報を保存手段15aに記録し得る。運行特性情報は、電気車EVnの速度、電気車EVnの運行地域及び湿度からなる群より選択された少なくとも一つを含む。望ましくは、制御システム15は、電気車EVnの運行特性情報をタイムスタンプと共に保存手段15aに記録し得る。制御システム15は、運行特性情報の収集及び保存のために、電気車EVnの速度センサー、GPSセンサー及び湿度センサーと電気的に結合し得る。
充電ステーションEVCkは、電気車EVnの充電ポートを用いて電気車EVnのバッテリーBnを充電し、バッテリーBnの充電が行われる間にバッテリー性能評価情報を収集してバッテリー性能管理サーバー11へ伝送する。また、充電ステーションEVCkは、バッテリー性能管理サーバー11からバッテリーBnの充放電制御時に使用される多様な制御ファクターを受けて電気車EVnの制御システム15へ伝達し得る。そうすると、電気車EVnの制御システム15は、バッテリーBnの充放電制御に使用される制御ファクターを更新し得る。これについては、後述する。
望ましくは、バッテリー性能管理システム10は、バッテリー性能管理サーバー11と接続した大容量のデータベース16を含み得る。
一面によると、バッテリー性能管理サーバー11は、電気車EVnが充電ステーションEVCkで充電される間、ネットワーク12を介して充電ステーションEVCkから、電気車EVnの運行特性累積情報と、バッテリーBnの動作特性累積情報と、最新充電特性情報と、を含むバッテリー性能評価情報を収集して、データベース16の性能評価情報保存部16aに保存し得る。
望ましくは、バッテリーBnの動作特性累積情報は、電圧区間別の累積動作時間と、電流区間別の累積動作時間と、温度区間別の累積動作時間と、を含む群より選択された少なくとも一つを含み得る。
望ましくは、電気車EVnの運行特性累積情報は、速度区間別の累積運行時間と、運行地域別の累積運行時間と、湿度区間別の累積運行時間と、を含む群より選択された少なくとも一つを含み得る。
望ましくは、最新充電特性情報は、バッテリーBnが充電される間に測定または予測されたバッテリーBnの動作特性情報であって、複数の時点で測定または予測されたバッテリーの充電状態、電圧、電流及び温度を含む群より選択された少なくとも一つを含み得る。
充電ステーションEVCkは、電気車EVnの充電が行われる間、電気車EVnの制御システム15と通信を行って情報及び/またはデータを交換し得る。一例で、通信は、充電ケーブルに含まれたデータ通信ラインによって行われる。または、通信は、充電ステーションEVCkと電気車EVnの相互間の無線通信によって行われる。このために、充電ステーションEVCkと電気車EVnは、近距離無線通信デバイスを含み得る。
充電ステーションEVCkは、電気車EVnから収集された情報及び/またはデータを、ネットワーク12を介して予め定義された通信プロトコールによってバッテリー性能管理サーバー11に伝送し得る。
バッテリー性能管理サーバー11は、電気車EVnが充電ステーションEVCkで充電される間、充電ステーションEVCkから、電気車EVnの識別情報及びバッテリーBnの識別情報と、バッテリーBnの動作特性累積情報、電気車EVnの運行特性累積情報及び最新充電特性情報を含むバッテリー性能評価情報と、を受けて、データベース16の性能評価情報保存部16aに保存し得る。
ここで、電気車EVnの識別情報は自動車モデルコードであり得、バッテリーBnの識別情報はバッテリーBnのモデルコードであり得る。
望ましくは、充電ステーションEVCkは、電気車EVnの識別情報及びバッテリーBnの識別情報と、バッテリーBnの動作特性累積情報、電気車EVnの運行特性累積情報及び最新充電特性情報を含むバッテリー性能評価情報と、を電気車EVnの充電が行われる間に電気車EVnの制御システム15から受信し得、受信された情報及び/またはデータを、ネットワーク12を介してバッテリー性能管理サーバー11に伝送し得る。
一面によると、バッテリー性能管理サーバー11は、充電ステーションEVCkから伝送された電気車EVnの動作特性累積情報を分析して動作特性毎に度数分布データを生成した後、電気車EVnの識別情報及び/またはバッテリーBnの識別情報とマッチングしてデータベース16の学習データ保存部16bに記録し得る。
一面によると、動作特性累積情報に関わる度数分布データにおいて変量(variable)は、電圧、電流または温度であり、度数(frequency)は各変量におけるバッテリーBnの累積動作時間であり得る。
図2は、バッテリーBnの動作特性累積情報のうち電圧に関わる度数分布データの一例を示したグラフであり、図3は、バッテリーBnの動作特性累積情報のうち電流に関わる度数分布データの一例を示したグラフであり、図4は、バッテリーBnの動作特性累積情報のうち温度に関わる度数分布データの一例を示したグラフである。
図2~図4を参照すると、度数分布データは、電気車EVnが運行する間、電圧区間別のバッテリーBnの累積動作時間、電流区間別のバッテリーBnの累積動作時間及び温度区間別のバッテリーBnの累積動作時間情報を提供し得る。度数分布データは、電気車EVnの運行履歴を示し、バッテリー性能管理サーバー11が人工知能モデルを学習させるのに使用され得る。これについては、後述する。
他の面によると、バッテリー性能管理サーバー11は、充電ステーションEVCkから伝送された電気車EVnの運行特性累積情報を分析して運行特性毎に度数分布データを生成した後、電気車EVnの識別情報及び/またはバッテリーBnの識別情報とマッチングしてデータベース16の学習データ保存部16bに記録し得る。
運行特性に対する度数分布データにおいて、変量(variable)とは、電気車EVnの速度、電気車EVnの運行地域または電気車EVnが運行される地域の湿度であり、度数(frequency)は、各変量における電気車EVnの累積運行時間であり得る。
図5は、電気車EVnの運行特性累積情報のうち速度に関わる度数分布データの一例を示したグラフであり、図6は、電気車EVnの運行特性累積情報のうち電気車EVnの運行地域に関わる度数分布データの一例を示したグラフであり、図7は、電気車EVnの運行特性累積情報のうち電気車EVnが運行する地域の湿度に関わる度数分布データの一例を示したグラフである。
図5~図7を参照すると、度数分布データは、電気車EVnが運行する間、電気車EVnの速度区間別の累積運行時間、運行地域別の累積運行時間及び湿度区間別の累積運行時間に関わる情報を提供し得る。地域は、国内及び/または海外の行政区域であり得る。一例で、地域は、都市であり得るが、これに限定されない。度数分布データは、バッテリー性能管理サーバー11が人工知能モデルを学習させるのに使用され得る。これについては、後述する。
さらに他面によると、バッテリー性能管理サーバー11は、充電ステーションEVCkから伝送された電気車EVnの最新充電特性情報をデータベース16の性能評価情報保存部16aに記録し得る。
望ましくは、最新充電特性情報は、電気車EVnのバッテリーBnが充電ステーションEVCkで充電される間に複数の時点で測定または予測されたSOC、電圧、電流及び温度を含む群より選択された少なくとも一つの動作特性データを含む。
各測定時点で測定された動作特性データは、4次元ベクトルである、SOCk、Ik、Vk、Tkで示し得る。kは、動作特性の測定時点に関わるインデックスである。測定回数がn回であれば、kは、自然数として1~nであり、最新充電特性情報に含まれるデータの数は、nである。
バッテリー性能管理サーバー11は、所定の条件が満たされるとき、最新充電特性情報に含まれた動作特性データを用いてバッテリーBnの退化度を決定し、退化度を電気車EVnの識別情報及び/またはバッテリーBnの識別情報と共にデータベース16の学習データ保存部16bに記録し得る。
一例で、バッテリー性能管理サーバー11は、最新充電特性情報が予め設定された退化度の推定電圧区間で収集されたかを判断する。このために、バッテリー性能管理サーバー11は、最新充電特性情報に含まれた電圧データVkの分布を検査し得る。バッテリー性能管理サーバー11は、この判断の結果が「はい」であると、退化度推定電圧区間で測定された電流データを積算して充電容量変化量を決定し、基準充電容量変化量に対する充電容量変化量の割合を退化度として決定し得る。基準充電容量変化量は、BOL状態にあるバッテリーBnが退化度推定電圧区間で充電される間に示す充電容量変化量であって、基準充電容量変化量は、バッテリーBnのモデル毎にデータベース16のパラメーター保存部16cに予め記録され得る。
他の例で、バッテリー性能管理サーバー11は、最新充電特性情報を分析して予め設定された退化度推定電圧区間内でバッテリーBnが充電されており、可変充電電流条件下で複数の電圧データが測定されたかを判断する。このために、バッテリー性能管理サーバー11は、最新充電特性情報に含まれた電圧データ Vkと電流データIkの分布を検査し得る。バッテリー性能管理サーバー11は、この判断の結果が「はい」であれば、最新充電特性情報のうち予め設定された退化度推定電圧区間内で測定された複数の電流及び電圧データに対して線形回帰分析を施して|dV/dI|の平均値をバッテリーBnの内部抵抗値として決定し、内部抵抗値に対する基準内部抵抗値の割合をバッテリーBnの退化度として決定し得る。本実施例で、充電ステーションEVCkは、バッテリーBnが予め設定された退化度推定電圧区間内で充電される間に、交流充電電流及び/または振幅が異なる充電パルスをバッテリーBnに印加し得る。そうすると、可変充電電流条件下で、複数の電圧データが測定され得る。基準内部抵抗値は、BOL状態にあるバッテリーBnの内部抵抗値であり、基準内部抵抗値は、バッテリーモデルBn毎にデータベース16のパラメーター保存部16cに予め記録され得る。
バッテリー性能管理サーバー11は、人工知能モデルを用いて充電ステーションEVCkから伝送されたバッテリーBnの動作特性累積情報、電気車EVnの運行特性累積情報及び最新充電特性情報を含むバッテリー性能評価情報からバッテリーBnの退化度を決定し得る。
本発明において、最新充電特性情報から計算される退化度は、人工知能モデルを学習させるのに使用されるビックデータの一部を構成する。したがって、本発明の技術的課題を達成するための退化度の決定は、実質的にビックデータに基づいて学習された人工知能モデルによって決定される。
その理由は、最新充電特性情報から計算される退化度は、所定の条件が足される場合のみに決定可能であるという制限があり、バッテリーBnの過去使用履歴が十分に考慮されていないため、ビックデータに基づいて学習された人工知能モデルによって決定される退化度の方が正確度及び信頼性がさらに高いためである。
望ましくは、人工知能モデルは、プログラム言語でコーディングされたソフトウェアアルゴリズムであって、人工ニューラルネットワークであり得る。しかし、本発明はこれに限定されない。
図8は、本発明の一実施例による人工ニューラルネットワーク100の構造を示した図である。
図8を参照すると、人工ニューラルネットワーク100は、入力層101、複数の隠れ層102及び出力層103を含む。入力層101、複数の隠れ層102及び出力層103は、複数のノードを含む。
バッテリー性能管理サーバー11は、人工ニューラルネットワーク100を学習するとき、または人工ニューラルネットワーク100を用いてバッテリーBnの退化度を決定するとき、入力層101に充電ステーションEVCkから収集されたバッテリーBnの動作特性累積情報から生成された度数分布データ、電気車EVnの運行特性累積情報から生成された度数分布データ及び最新充電特性情報に含まれたデータを入力し得る。
入力層101のノードに入力(割当)される動作特性累積情報は、電圧区間別の第1累積時間値及び/または電流区間別の第2累積時間値及び/または温度区間別の第3累積時間値を含み得る。第1~第3累積時間値は、バッテリーBnの保証寿命に対応する全体使用可能時間を基準にした割合であって、正規化(normalization)することが望ましい。一例で、特定の電圧区間における累積時間値が1,000時間であり、全体の使用可能時間が20,000時間であれば、正規化した累積時間値は1/20(0.05)である。
第1累積時間値の個数は電圧区間の数に対応し、第2累積時間値の個数は電流区間の数に対応し、第3累積時間値の個数は、温度区間の数に対応し得る。例えば、電圧区間の数が5個、電流区間の数が9個、温度区間の数が10個であれば、第1~第3累積時間値の数は各々、5個、9個及び10個である。
望ましくは、入力層101は、第1累積時間値の数及び/または第2累積時間値の数及び/または第3累積時間値の数に対応する数のノードを含み得る。
入力層101のノードに入力(割当)される運行特性累積情報は、速度区間別の第4累積時間値及び/または運行地域別の第5累積時間値及び/または湿度区間別の第6累積時間値を含み得る。第4~第6累積時間値は、バッテリーBnの保証寿命に対応する全体使用可能時間を基準にした割合として正規化することが望ましい。一例で、特定の速度区間における累積時間値が2,000時間であり、全体の使用可能時間が20,000時間であれば、正規化した累積時間値は1/10(0.1)である。
第4累積時間値の個数は、速度区間の数に対応し、第5累積時間値の個数は、電気車EVnが運行される地域の数に対応し、第6累積時間値の個数は、湿度区間の数に対応し得る。例えば、速度区間の数が8個、運行地域の数が20個、温度区間の数が6個であれば、第4~第6累積時間値の数は各々、8個、20個及び6個である。
望ましくは、入力層101は、第4累積時間値の数及び/または第5累積時間値の数及び/または第6累積時間値の数に対応する数のノードを含み得る。
入力層101のノードに入力(割当)される最新充電特定情報は、電圧データ及び温度データを含み得る。バッテリーBnの電圧と温度はいずれもSOC毎に測定されるため、電圧データの入力のために100個のノードが割り当てられ得、温度データの入力のためにさらに他の100個のノードが割り当てられ得る。
ここで、100は、SOCが0%から100%まで1%ずつ変化するとしたら、1%から100%までのSOCに対応するノードの数である。もし、31~50%のSOC区間でバッテリーBnの電圧と温度が測定されたら、31~50%に対応する20個のノードに電圧データが入力され、31~50%に対応するさらに他の20個のノードに温度データが入力され得る。そして、1~30%区間のSOCと、51~100%区間のSOCに対応するノードには、電圧データと温度データが入力されず、0が割り当てられ得る。
一方、小数点以下の値を含むSOCで測定された電圧データと温度データは、内挿法(interpolation)または外挿法(extrapolation)を用いて小数点のない近くのSOCの電圧データ及び温度データに変換し得る。場合によって、人工ニューラルネットワークの学習演算量を減らすために、温度データは入力データから除外してもよい。この場合、入力層101は、温度データが入力されるノードを含まなくてもよい。
出力層103は、バッテリーBnの退化度情報が出力されるノードを含み得る。図8に示したように、人工ニューラルネットワーク100が確率論的モデル(stochastic model)に基づいて設計された場合、出力層103は、バッテリーBn退化度の確率分布を出力するための複数のノードを含み得る。
一例で、人工ニューラルネットワーク100が71%から100%までの退化度を1%単位で決定するように設計される場合、出力層103は合計30個のノードを含み得る。この場合、30個のノードのうち最も高い確率値が出力されるノードに対応する退化度がバッテリーBnの退化度として決定され得る。例えば、10番目のノードから出力される確率が最も高いと、バッテリーBnの退化度は80%として決定され得る。退化度の正確度を向上させるためにノードの数をさらに増加させてもよいことは当業者にとって自明である。
または、人工ニューラルネットワーク100が決定論的モデル(deterministic model)に基づいて設計された場合、出力層103は、バッテリーBnの退化度を直接的に出力するための少なくても一つのノードを含み得る。
入力層101と出力層103との間に介在される隠れ層102の数と、各隠れ層102に含まれるノードの数は、人工ニューラルネットワーク100の学習演算量と人工ニューラルネットワーク100の正確度及び信頼性を考慮して適切に選択し得る。
人工ニューラルネットワーク100において、活性化関数としてはシグモイド(Sigmoid)関数が使用され得る。または、SiLU(Sigmoid Linear Unit)関数、ReLu(Rectified Linear Unit)関数、ソフトプラス(softplus)関数、ELU(Exponential Linear Unit)関数、SQLU(Square Linear Unit)関数など、当業界における公知の多様な活性化関数が使われ得る。
人工ニューラルネットワーク100において、ノードの相互間の連結ウェート(weight)とバイアス(bias)の初期値はランダムで設定され得る。また、連結ウェートとバイアスは、人工ニューラルネットワークの学習過程で最適化させ得る。
一実施例で、人工ニューラルネットワークは、逆伝播アルゴリズムによって学習され得る。また、人工ニューラルネットワークが学習される間に連結ウェートとバイアスは、オプティマイザーによって最適化され得る。
一実施例で、オプティマイザーとしてはSGD(Stochastic Gradient Descent)アルゴリズムが使われ得る。または、NAG(Nesterov Accelerated Gradient)アルゴリズム、Momentumアルゴリズム、Nadamアルゴリズム、Adagradアルゴリズム、RMSPropアルゴリズム、Adadeltaアルゴリズム、Adamアルゴリズムなどが使われ得る。
バッテリー性能管理サーバー11は、データベース16の学習データ保存部16bに保存された学習データを用いて人工ニューラルネットワーク100を周期的に反復学習させ得る。
このために、バッテリー性能管理サーバー11は、上述した方法を用いて複数の充電ステーションEVCkから多くの電気車EVnが充電される間に学習データを収集してデータベース16の学習データ保存部16bに累積して記録する。
学習データは、学習入力データと学習出力データから構成される。学習入力データは、電気車EVnの運行特性累積情報から生成された度数分布データ、バッテリーBnの動作特性累積情報から生成された度数分布データ及び最新充電特性情報に含まれたデータを含み得る。また、学習出力データは、バッテリーBnの退化度を含む。学習データは、電気車EVnが充電ステーションEVCkで充電される間に得られる。
望ましくは、学習データは電気車EVnの識別情報及び/またはバッテリーBnの識別情報とマッチングされてデータベース16の学習情報保存部16bに記録され得る。したがって、学習データ保存部16bには、同じモデルのバッテリーBnを装着している同じモデルの電気車EVnから収集された多くの学習データが記録され得る。また、学習データは、充電ステーションEVCkで持続的に収集されるので、その量は次第に増加し得る。
望ましくは、バッテリー性能管理サーバー11は、データの分散処理によって人工ニューラルネットワーク100学習の演算量を減らし、人工ニューラルネットワーク100が予測する出力の信頼性を向上させるために、電気車EVnのモデル及び/またはバッテリーBnのモデル毎に人工ニューラルネットワークを個別に学習させ得る。
即ち、バッテリー性能管理サーバー11は、人工ニューラルネットワーク100を周期的に学習させるとき、学習データ保存部16bに保存された学習データのうち電気車EVnのモデル及び/またはバッテリーBnのモデルが同じ学習データのみを抽出し、該当電気車EVnのモデル及び/またはバッテリーBnのモデルに専属した人工ニューラルネットワーク100を独立的に学習させ得る。また、バッテリー性能管理サーバー11は、電気車EVnのモデル及び/またはバッテリーBnのモデルに対し、新規に収集された学習データの量が基準値以上に増加すると、該当人工ニューラルネットワーク100の学習を再開して人工ニューラルネットワーク100の正確度をさらに向上させることができる。
一方、電気車EVnの運行特性累積情報のうち運行地域別の運行累積時間情報から生成される度数分布データ(図6参照)の変量が多すぎる場合、複数の地域をグルーピングした広域地域毎に人工ニューラルネットワーク100を個別に学習させ得る。
一例で、電気車EVnのモデルが総100個であり、電気車EVnに搭載されたバッテリーBnのモデルが総10個であり、電気車EVnの運行都市が国内及び海外を含んで総1000個である場合を仮定する。この場合、バッテリー性能管理サーバー11は、都市を所定の基準によってグルーピングし、総「100×10×(地域のグルーピング数)」に対応する数の人工ニューラルネットワークを学習させ得る。一例で、都市のグルーピングは、国単位で行われ得る。他の例で、グルーピングは、同じ国家内で所定の数の隣接都市単位で行われ得る。
この場合、バッテリー性能管理サーバー11は、人工ニューラルネットワーク100を学習させるとき、学習データ保存部16bに保存された学習データのうち電気車EVnのモデル及び/またはバッテリーBnのモデルが同一であり、かつ運行地域に対する度数分布データの変量(都市)が同じ学習データのみを抽出し、運行地域及び/または電気車EVnのモデル及び/またはバッテリーBnのモデルに専属した人工ニューラルネットワーク100を独立的に学習させ得る。また、バッテリー性能管理サーバー11は、運行地域及び/または電気車EVnのモデル及び/またはバッテリーBnのモデルが同じ新規学習データの量が基準値以上に増加すると、該当人工ニューラルネットワーク100の学習を再開して人工ニューラルネットワーク100の正確度をさらに向上させることができる。
本発明において、人工知能モデルは、人工ニューラルネットワークに限定されない。したがって、人工ニューラルネットワークの他にも、ガウス過程モデル(Gaussian Process Model)などが使用され得る。電気車EVnの累積運行特性情報及び/またはバッテリーBnの累積動作特性情報及び/または最新充電特性データと退化度との相関関係についての学習時には、サポートベクターマシン(SVM;Support Vector Machine)、k近傍法(K-Nearest Neighbor Algorithm)、単純ベイズ分類器(Naive-Bayes Classifier)などを活用し得る。学習に使用された退化度情報の信頼性に問題がある場合、k平均法(K-Means Clustering)などが退化度情報を得る補助手段として使用され得る。
一方、バッテリー性能管理サーバー11は、バッテリー製造社から提供されたサイクル別の動作特性累積情報とサイクル別の最新充電特性情報を用いて学習された補助人工ニューラルネットワークを備え得る。
図9は、本発明の一実施例による補助人工ニューラルネットワーク100'の構造を例示した図である。
図9を参照すると、補助人工ニューラルネットワーク100'は、入力層101'、複数の隠れ層102'及び出力層103'を含む。補助人工ニューラルネットワーク100'は、入力層101'に電気車EVnの運行特性累積情報に対応するデータが入力されるノードがないということを除いては、図8に示した人工ニューラルネットワーク100と実質的に同一である。
補助人工ニューラルネットワーク100'は、人工ニューラルネットワーク100の学習が充分に行われなかった場合、バッテリーBnの退化度を決定するのに活用され得る。
バッテリー性能管理サーバー11は、補助人工ニューラルネットワーク100'の学習に使用されるデータを収集するために、ネットワーク12を介してバッテリーデータ提供サーバー17と通信可能に連結され得る。
望ましくは、バッテリーデータ提供サーバー17は、バッテリー製造会社内に設けられ得る。バッテリーデータ提供サーバー17は、電気車EVnに搭載されるバッテリーBnに関する充放電サイクル実験から得たサイクル別の動作特性累積情報、サイクル別の最新充電特性情報及びサイクル別のバッテリーBnの退化度をバッテリーBnの識別情報と共にネットワーク12を介してバッテリー性能管理サーバー11に伝送し得る。
充放電サイクル実験は、充放電シミューレーターという装備を用いてバッテリーBnに対して多様な充放電条件下で充電と放電を所定の回数反復する実験を指す。充放電サイクル実験は、バッテリーBnが商用化する前にバッテリー製造社で必須に行う実験である。充放電条件は、電気車EVnの多様な運行条件(山岳走行、悪路走行、都心走行、高速道路走行など)と気候条件(温度、湿度など)に倣うことが望ましい。
充放電シミューレーターは、制御コンピューター、充放電装置及び温度/湿度調節チャンバが結合した自動化実験装備である。充放電シミューレーターは各サイクルの充電が行われる度に、電圧区間別の累積動作時間及び/または電流区間別の累積動作時間及び/または温度区間別の累積動作時間を積算して動作特性累積情報を生成し、充電が行われる間にSOC及び/または電圧及び/または電流及び/または温度を測定または予測して最新充電特性情報を生成して保存手段に記録し得る。
また、充放電シミューレーターは、各サイクルの充電が完了すると、充電完了時点を基準でバッテリーBnの退化度を決定し得る。退化度は、所定の充電電圧区間でアンペアカウント法によって決定された充電容量の変化量または所定の充電電圧区間で測定した電圧及び電流データの線形回帰分析によって得たバッテリーの内部抵抗から算出でき、これについては前述した。
バッテリーデータ提供サーバー17は、充放電サイクル実験によって得たデータを保存するデータベース18を含み得る。バッテリーデータ提供サーバー17は、バッテリーBnに対して、各充放電サイクルにおいて、サイクル別の動作特性累積情報、サイクル別の最新充電特性情報及びサイクル別の退化度をバッテリーBnの識別情報とマッチングしてデータベース18に保存し得る。データベース18に保存されるデータは、充放電シミューレーターからネットワーク12を介して伝送され得る。
バッテリーデータ提供サーバー17は、周期的にデータベース18に保存されたサイクル別の動作特性累積情報、サイクル別の最新充電特性情報及びサイクル別の退化度を含む補助学習データを、バッテリーBnの識別情報と共にネットワーク12を介してバッテリー性能管理サーバー11に伝送し得る。補助学習データの数は、充放電サイクル実験を行った回数に対応する。例えば、特定のモデルのバッテリーに対する充放電サイクル実験が200回行われたら、補助学習データの数は200個である。
バッテリー性能管理サーバー11は、バッテリーデータ提供サーバー17から伝送された補助学習データをバッテリーBnの識別情報とマッチングしてデータベース16の学習データ保存部16bに記録し得る。
望ましくは、補助学習データのうち、動作特性累積情報に含まれた電圧区間別の累積動作時間及び/または電流区間別の累積動作時間及び/または温度区間別の累積動作時間に関わる情報は、度数分布データに変換されてデータベース16の学習データ保存部16bに保存され得る。
バッテリー性能管理サーバー11は、データベース16に補助学習データが保存された後、補助学習データを用いてバッテリーモデル毎に補助人工ニューラルネットワーク100'を学習させ得る。
補助人工ニューラルネットワーク100'の構造は、図8に示した人工ニューラルネットワーク100の構造と類似である。相違点は、電気車EVnの運行特性累積情報から生成された度数分布データが入力されるノードが非活性化されるということである。しかし、補助人工ニューラルネットワーク100'についての学習方法や残りの特徴は、前述したことと実質的に同一である。
バッテリー性能管理サーバー11は、バッテリーデータ提供サーバー17から伝送された補助学習データによって学習された補助人工ニューラルネットワーク100'と、複数の充電ステーションEVCkから伝送されたデータによって学習された人工ニューラルネットワーク100と、を相互補完的に使用して、充電ステーションEVCkから電気車EVnが充電された後にバッテリーBnの退化度を決定し、決定された退化度によってバッテリーBnの充放電制御に使用される制御ファクターを電気車EVnの制御システム15に提供し得る。
以下、図10及び図11を参照して、充電ステーションEVCKから電気車EVnが充電される間に人工知能モデルの学習データが収集される過程、バッテリーBnの退化度を決定する過程、決定された退化度によってバッテリーBnの充放電制御に使用される制御ファクターがアップデートされる過程を詳しく説明する。
図10を参照すると、段階S10で、バッテリー性能管理サーバー11は、充電ステーションEVCkで電気車EVnの充電中または充電完了後に、ネットワーク12を介して充電ステーションEVCkから、バッテリーBnの識別情報及び電気車EVnの識別情報と、電気車EVnの運行特性累積情報、バッテリーBnの動作特性累積情報及び最新充電特性情報を含むバッテリー性能評価情報と、を受ける。段階S10で、バッテリー性能管理サーバー11は、ネットワーク12を介して伝送されたバッテリー性能評価情報をデータベース16の性能評価情報保存部16aに記録し得る。
段階S20で、バッテリー性能管理サーバー11は、最新充電特性情報に含まれた電圧データVk及び/または電流データIkを参照して退化度の算出が可能な条件が満たされるかを判断する。
一例で、退化度算出可能条件は、電圧データVkが予め設定された退化度推定電圧区間内でバッテリーBnが充電されたときに成立され得る。他の例で、退化度算出可能条件は、予め設定された退化度推定電圧区間内でバッテリーBnが充電されており、かつ可変充電電流条件下で複数の電圧データVkが測定されたときに成立され得る。
段階S20の判断が「はい」であれば、段階S30へ進み、段階S20の判断が「いいえ」であれば、段階S60へ進む。
段階S30で、バッテリー性能管理サーバー11は、最新充電特性情報に含まれた電圧データVk及び/または電流データIkを用いてバッテリーBnの退化度を決定する。退化度決定方法は、前述した。段階S30の後に、段階S40へ進む。
段階S40で、バッテリー性能管理サーバー11は、バッテリーBnの動作特性累積情報から電圧及び/または電流及び/または温度に関わる度数分布データを生成し、電気車EVnの運行特性累積情報から速度及び/または運行地域及び/または湿度に関わる度数分布データを生成する。段階S40の後、段階S50へ進む。
段階S50で、バッテリー性能管理サーバー11は、動作特性累積情報から生成された度数分布データ、運行特性累積情報から生成された度数分布データ、最新充電特性情報及び段階S30で決定あれたバッテリーBnの退化度を、バッテリーBnの識別情報及び/または電気車EVnの識別情報とマッチングしてデータベース16の学習情報保存部16bに記録する。ここで、動作特性累積情報から生成された度数分布データ、運行特性累積情報から生成された度数分布データ及び最新充電特性情報は、学習入力データとなり、バッテリーBnの退化度は、学習出力データとなる。段階S50の後、段階S60へ進む。
段階S60で、バッテリー性能管理サーバー11は、バッテリーBnの識別情報及び/または電気車EVnの識別情報を参照し、バッテリーBnのモデル及び/または電気車EVnのモデルに対応する学習された人工ニューラルネットワーク100が準備されているかを判断する。
一例で、バッテリーBnのモデルがBBB001であり、電気車EVnのモデルがEV001であると仮定する。この場合、バッテリー性能管理サーバー11は、BBB001モデルのバッテリーを搭載したEV001モデルの電気車が充電ステーションEVCkで充電される過程で収集された基準値以上のデータを用いて学習された人工ニューラルネットワーク100が存在するかを判断する。基準値は、一例で、数百~数千であり得る。
段階S60で、バッテリー性能管理サーバー11は、段階S40で生成された運行地域別の度数分布データを参照し、バッテリーBnのモデル及び/または電気車EVnのモデルが同じであり、運行地域が同じ電気車EVnから収集されたデータによって学習された人工ニューラルネットワーク100が存在するかを判断し得る。
一例で、バッテリーBnのモデルがBBB001であり、電気車EVnのモデルがEV001であり、電気車EVnの運行地域から生成された度数分布データの地域変量が韓国内の都市であると仮定する。この場合、バッテリー性能管理サーバー11は、BBB001モデルのバッテリーを搭載したEV001モデルの電気車が韓国内の充電ステーションEVCkで充電される過程で収集された基準値以上のデータを用いて学習された人工ニューラルネットワーク100が準備されているかを判断する。基準値は、一例で、数百~数千であり得る。
段階S60の判断が「はい」であれば、段階S70へ進む。
段階S70で、バッテリー性能管理サーバー11は、人工ニューラルネットワーク100の入力層101に、電気車EVnの運行特性累積情報から生成された度数分布データと、バッテリーBnの動作特性累積情報から生成された度数分布データと、バッテリーBnの最新充電特性情報に含まれた電圧データVkと、温度データTkと、を入力する。人工ニューラルネットワーク100は、基準値以上の学習データによって学習された状態にあるため、入力層101からデータが入力されると、出力層103からバッテリーBnの退化度を出力する。そうすると、バッテリー性能管理サーバー11は、人工ニューラルネットワーク100を介してバッテリーBnの現在退化度を決定し得る。段階S70の後、図11の段階S80へ進む。
一方、段階S60の判断が「いいえ」であれば、バッテリー性能管理サーバー11は、段階S70'で、補助人工ニューラルネットワーク100'の入力層101'に、バッテリーBnの動作特性累積情報から生成された度数分布データ(図2~図5参照)と、バッテリーBnの最新充電特性情報に含まれた電圧データVkと、温度データTkと、を入力して、バッテリーBnの現在退化度を決定し得る。補助人工ニューラルネットワーク100'は、バッテリーデータ提供サーバー17から提供されたバッテリーBnに対する充放電サイクル実験データを 用いて事前に学習された人工ニューラルネットワークであって、その学習方法については、前述した。
段階S70または段階S70'で、バッテリーBnの現在退化度が決定されると、図11の段階S80へ進む。
段階S80で、バッテリー性能管理サーバー11は、データベース16の退化度情報保存部16dに、人工ニューラルネットワーク100または補助人工ニューラルネットワーク100'によって決定された退化度を、電気車EVnの識別情報及び/またはバッテリーBnの識別情報とマッチングして、タイムスタンプと共に保存する。段階S80の後、段階S90へ進む。
段階S90で、バッテリー性能管理サーバー11は、データベース16の退化度情報保存部16dに記録されたバッテリーBnの以前退化度と現在退化度とを比較し、現在退化度が基準値以上に増加したかを判断する。
基準値とは、事前に定義される値であって、バッテリーBnの充放電制御過程で使われる多様な制御ファクターに対する更新ロジッグを実行するか否かを決定するためのものである。一例で、基準値は3~5%であり得る。
一例で、制御ファクターは、充電状態区間毎に適用される充電電流の大きさ、充電上限電圧値、放電下限電圧値、最大充電電流、最大放電電流、最小充電電流、最小放電電流、最大温度、最小温度、充電状態別のパワーマップ及び充電状態別の内部抵抗マップのうち選択された少なくとも一つであり得る。
他の例で、制御ファクターは、バッテリーBnがパルス充放電されるときに使用されるものであって、パルス電流デューティ比(パルス休止時間に対するパルス維持時間の割合)の上限、パルス電流デューティ比の下限、パルス電流デュレーションの上限、パルス電流デュレーションの下限、パルス電流の最大値及びパルス電流の最小値のうち選択された少なくとも一つを含み得る。
さらに他の例で、制御ファクターは、バッテリーBnがステップ充電されるときに使用されるものであって、充電状態区間毎に適用される充電電流の大きさを含み得る。
さらに他の例で、制御ファクターは、バッテリーBnがCC/CVモードで充電される場合に使用されるものであって、定電流充電(CC)モードにおける電流の大きさ、定電流充電(CC)モードが終了するカットオフ電圧及び定電圧充電(CV)モードにおける電圧の大きさのうち選択された少なくとも一つを含み得る。
段階S90の判断が「はい」であれば、段階S100へ進む。
段階S100で、バッテリー性能管理サーバー11は、データベース16の制御ファクター保存部16eを参照してバッテリーBnの現在退化度に対応する最新制御ファクターを読み出し、現在退化度と最新制御ファクターを含むバッテリー性能評価結果を、ネットワーク12を介して充電ステーションEVCkに伝送する。
制御ファクター保存部16eは、バッテリーBnの退化度毎に制御ファクター情報を定義したルックアップテーブルを収録している。ルックアップテーブルは、バッテリーBnの識別情報及び/または電気車EVnの識別情報とマッチングされて記録される。これによって、制御ファクターは、バッテリーBnのモデル及び/または電気車EVnのモデルに対応するルックアップテーブルから読み出すことが望ましい。段階S100の後、段階S110へ進む。
段階S110で、充電ステーションEVCkは、バッテリーBnの現在退化度及びこれに対応する最新制御ファクターを含むバッテリー性能評価結果を、ネットワーク12を介して受けた後、充電ケーブルの通信ラインまたは近距離無線通信によって電気車EVnの制御システム15に伝送する。段階S110の後、段階S120へ進む。
段階S120で、電気車EVnの制御システム15は、バッテリー性能評価結果に含まれた最新制御ファクターを参照して、バッテリーBnの充放電を制御するのに使用する、以前の制御ファクターを更新する。これによって、制御システム15は、充電ステーションEVCkで充電が完了した後には、バッテリーBnの退化度に応じて最適に更新された最新制御ファクターを用いてバッテリーBnの充放電が安全に制御可能になる。
一方、段階S90の判断が「いいえ」であれば、段階S130へ進む。
段階S130で、バッテリー性能管理サーバー11は、バッテリーBnの現在退化度が基準値以上に増加しなかったため、制御ファクターの更新が不要であることを示すメッセージと、現在退化度を含むバッテリー性能評価結果とをネットワーク12を介して充電ステーションEVCkに伝送する。段階S130の後、段階S140へ進む。
段階S140で、充電ステーションEVCkは、バッテリー性能評価結果が受信されると、充電ケーブルまたは近距離無線通信によって電気車EVnの制御システム15にバッテリー性能評価結果を伝達する。段階S140の後、段階S150へ進む。
段階S150で、電気車EVnの制御システム15は、バッテリー性能評価結果から以前の制御ファクターの更新が不要であるというメッセージを確認し、バッテリーBnの充放電を制御するのに使用される制御ファクターをそのまま維持する。
図示していないが、バッテリー性能管理サーバー11は、人工ニューラルネットワーク100の学習が完了した後にも、バッテリーBnの退化度を決定するとき、補助人工ニューラルネットワーク100'を補助的に活用し得る。
即ち、バッテリー性能管理サーバー11は、段階S70で人工ニューラルネットワーク100を用いてバッテリーBnの退化度(第1値)を決定した後、段階S70'をさらに行って補助人工ニューラルネットワーク100'を用いてバッテリーBnの退化度(第2値)を決定し得る。その後、第1値及び第2値の加重平均値をバッテリーBnの退化度として決定し得る。この場合、第1値に付与される加重値(weight)は、人工ニューラルネットワーク100を学習するのに使用される学習データの量が増加するほど、第2値に付与される加重値より次第に増加させ得る。
一例で、第1値に付与される加重値は、人工ニューラルネットワーク100と補助人工ニューラルネットワーク100'を学習させるのに使用されたデータの総量に対する人工ニューラルネットワーク100の学習に使用されたデータの割合として決定し得る。
このような変形実施例によると、人工ニューラルネットワーク100の学習が繰り返して行われるほど、バッテリーBnの退化度(第1値)は、人工ニューラルネットワーク100から決定された退化度に収斂する。逆に、人工ニューラルネットワーク100の学習に使用された学習データの量が少ない場合、バッテリーBnの退化度は、補助人工ニューラルネットワーク100から決められた退化度(第2値)に収斂される。
本発明において、電気車EVnの制御システム15は、充電ステーションEVCkから伝送されたバッテリー性能評価結果に含まれたバッテリーBnの現在退化度を、電気車EVnに設けられた統合制御ディスプレイパネルを用いて運転者にグラフィックユーザーインターフェースで提供できる。望ましくは、グラフィックユーザーインターフェースは、退化度を示す数字及び/またはグラフィックゲージを含み得る。
一方、前述した本発明の実施例によるバッテリー性能管理システム10は、バッテリー性能管理サーバー11とネットワーク12を介して通信可能に連結された保険会社サーバー19をさらに含み得る。
この場合、バッテリー性能管理サーバー11は、電気車EVnの退化度と総運行距離及び電気車EVnの識別情報を保険会社サーバー19へ伝送するように構成され得る。電気車EVnの総運行距離は、電気車EVnが充電ステーションEVCkで充電される間、充電ステーションEVCkを介して電気車EVnの制御システム15から受け得る。
保険会社サーバー19は、電気車EVnの識別情報を参照して、該当電気車EVnに関わる保険料を、退化度情報を参照して算出するように構成され得る。
即ち、保険会社サーバー19は、バッテリーBnの退化度が高いほど電気車EVnの減価償却の割合を増加させて電気車EVnの値段を算定し得る。また、保険会社サーバー19は、電気車EVnの総運行距離に比べてバッテリーBnの退化度が平均より大きい場合、運転者の運転習慣がよくないと判断して自動車事故による危険料率を増加させて保険料を増額し得る。
保険会社サーバー19によって計算された保険料は、保険会社サーバー19のデータベース(図示せず)に保存された後、電気車EVnの保険更新過程で参照できることは自明である。
本発明の実施例による電気車充電ステーションを用いたバッテリー性能管理方法は、複数のプロセッサ実行命令でコーディングされた後、バッテリー性能管理サーバー11に備えられた非一時的メモリデバイス(non-transitory memory device:図1の11a)に保存され得る。プロセッサ実行命令は、バッテリー性能管理サーバー11に備えられたプロセッサ(図1の11b)に、前述した段階の少なくとも一部を実行するようにし得る。または、ハードウェア論理回路がプロセッサ実行命令を代わりに、前述した段階の少なくとも一部を行うようにバッテリー性能管理サーバー11内に提供され得る。ハードウェア論理回路は、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit,特定用途向け集積回路)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array,フィールドプログラマブルゲートアレイ)であり得る。しかし、実施例段階が特定のプロセッサ実行命令、特定のハードウェア回路またはその組合せのみならず、他の公知のソフトウェア、ハードウェア回路またはその組合せによっても実行可能であることは当業者に自明である。
本発明によると、複数充電ステーションと連携されたビックデータ基盤の人工知能プラットフォームシステムを用いて電気車の運行履歴とバッテリーの動作履歴によってバッテリーの性能を高い信頼性で評価し、バッテリーの充放電制御に使用される制御ファクターを最適化することができるので、バッテリーの使用寿命を延ばすだけでなく、安全性も増大させることができる。
信頼性の高いバッテリーの性能管理サービスを電気車の使用者に提供することで、適切な時点でバッテリーの交替を誘導できるだけでなく、バッテリー製造会社の信頼性も高めることができる。
電気車使用者の運転性向が反映されたバッテリー性能評価情報をビックデータ基盤のデータベースとして構築することで、自動車保険会社の正確な保険料算定資料として活用可能である。
本発明の多様な実施様態を説明するに際し、「~サーバー」と命名された構成要素は、物理的に区分される要素というよりは、機能的に区分される要素として理解されなければならない。したがって、各々の構成要素は、他の構成要素と選択的に統合されるか、または各々の構成要素が制御ロジッグの効率的な実行のためにサブ構成要素に分割され得る。しかし、構成要素が統合または分割されても機能の同一性が認められるなら、統合または分割された構成要素も本発明の範囲内にあると解釈すべきことは、当業者にとって自明である。
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。