JP2022546611A - ミトコンドリアdna枯渇障害の処置 - Google Patents
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Abstract
本開示は、ジヌクレオチド化合物又はこれらの混合物を含む治療量の組成物を投与することによってミトコンドリアDNA枯渇症候群を処置するための方法を記載する。更に、TK2欠乏症を処置するための化合物、組成物及び方法が本明細書において記載される。【選択図】図1
Description
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月5日に出願された米国仮特許出願第62/896,218号の利益を主張し、その開示はその全体がこの参照により組み込まれるものとする。
本出願は、2019年9月5日に出願された米国仮特許出願第62/896,218号の利益を主張し、その開示はその全体がこの参照により組み込まれるものとする。
発明の分野
本開示は、マルチヌクレオチド化合物又はこれらの混合物を含む治療量の組成物を投与することによってミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDS)を処置するための方法を記載する。更に、チミジンキナーゼ2(TK2)欠乏症を処置するための化合物、組成物及び方法が本明細書において記載される。
本開示は、マルチヌクレオチド化合物又はこれらの混合物を含む治療量の組成物を投与することによってミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDS)を処置するための方法を記載する。更に、チミジンキナーゼ2(TK2)欠乏症を処置するための化合物、組成物及び方法が本明細書において記載される。
背景
ミトコンドリアは、細胞のエネルギー産生細胞小器官として知られている。これらの二重膜細胞小器官は、細胞とは独立して機能し、細胞内に内在し、更に核ゲノムとは個別の独自のゲノムを有する。核ゲノムはいくつかのミトコンドリアタンパク質をコードするが、ミトコンドリアゲノムは、電子伝達鎖及びATP産生を含むエネルギーに関連する代謝プロセスと関連するタンパク質を特にコードする。ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDS)は、細胞ミトコンドリアDNAが大幅に減少することによって全てが特徴付けられる様々な障害を記載するために使用される包括的な用語である。MDSは、ミトコンドリアDNAのヌクレオチド合成又は複製に関与する核遺伝子における突然変異の結果であり、TK2、SUCLA2、SUCLG1、POLG、DGUOK、MPV17、TYMP、及びRRM2Bを含む様々な遺伝子と関連している(Chansprasertら、2017年)。結果的に、これらの常染色体劣性障害は、ミトコンドリアDNA(mtDNA)の極端な枯渇をもたらし、エネルギー産生に悪影響を与える(El-Hattabら、2013年)。
ミトコンドリアは、細胞のエネルギー産生細胞小器官として知られている。これらの二重膜細胞小器官は、細胞とは独立して機能し、細胞内に内在し、更に核ゲノムとは個別の独自のゲノムを有する。核ゲノムはいくつかのミトコンドリアタンパク質をコードするが、ミトコンドリアゲノムは、電子伝達鎖及びATP産生を含むエネルギーに関連する代謝プロセスと関連するタンパク質を特にコードする。ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDS)は、細胞ミトコンドリアDNAが大幅に減少することによって全てが特徴付けられる様々な障害を記載するために使用される包括的な用語である。MDSは、ミトコンドリアDNAのヌクレオチド合成又は複製に関与する核遺伝子における突然変異の結果であり、TK2、SUCLA2、SUCLG1、POLG、DGUOK、MPV17、TYMP、及びRRM2Bを含む様々な遺伝子と関連している(Chansprasertら、2017年)。結果的に、これらの常染色体劣性障害は、ミトコンドリアDNA(mtDNA)の極端な枯渇をもたらし、エネルギー産生に悪影響を与える(El-Hattabら、2013年)。
症状は、乳児期又は幼児期に出現し、主に筋肉、肝臓、又は脳の組織に影響を与え、筋力低下、臓器及び神経機能不全、並びに体重減少として一般的に出現する。しかし、これらの障害は表現型的に不均一である。例えば、SUCLA2、SUCLG1、又はRRM2Bにおける突然変異は、脳筋障害性MDSをもたらし、筋緊張低下及び神経学的問題として臨床的に表れる。DGUOK、MPV17、又はPOLGにおける突然変異は、早期発症の肝機能不全として出現する(El-Hattabら、2013年)。TYMPにおける突然変異は、進行性の胃腸運動不全及び末梢神経障害と関連する(El-Hattabら、2013年)。これらの障害の重症度及び進行も、軽度の兆候から乳児期及び小児期の間に死に至る重度の症状まで非常に様々である。臨床兆候におけるそのような不均一性のため、処置の選択肢は、主に栄養補給を介した症状の管理に限定される。
チミジンキナーゼ2(TK2)欠乏症は、特定のタイプのMDSである。チミジンキナーゼ2酵素は、ヌクレオチドのリサイクルに関与するミトコンドリアDNA(mtDNA)合成に関与する核にコードされる酵素である(Genetics Home Reference、2013年)。TK2遺伝子における突然変異は酵素活性を低下させ、mtDNAヌクレオチドリサイクルを障害し、デオキシチミジン一リン酸及びデオキシシチジン一リン酸のレベルの低下をもたらす。ヌクレオチドプールにおけるこの不足は、mtDNA合成に影響を与え、最終的には幼児期で発症する場合がある進行性ミオパチーをもたらし、やがて運動技能の損失をもたらす(Garoneら、2018年)。
Chansprasertら、2017年
El-Hattabら、2013年
Genetics Home Reference、2013年
Garoneら、2018年
現在のところ、TK2疾患に関する疾患修飾療法は存在せず、処置は主に対症的である。デオキシチミジン一リン酸、(dTMP)及びデオキシシチジン一リン酸(dCMP)の経口補給は、動物モデルにおけるmtDNA枯渇を回復させ、全体的な生存を延長する能力が実証されているが、そのような処置は、全体的な治療的利点を達成するために高用量のデオキシリボヌクレオシド一リン酸(dNMP)をそれぞれ必要とし、重大な副作用を伴う。
本明細書において記載される1つの実施形態は、それを必要とする対象におけるミトコンドリアDNA枯渇症候群を処置する方法であって、式I
(式中、
R1は、H又はOHであり、
R2は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R3は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R4は、H又はOHである)
の化合物を含む治療有効量のマルチヌクレオチド組成物を対象に投与することを含む方法である。
R1は、H又はOHであり、
R2は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R3は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R4は、H又はOHである)
の化合物を含む治療有効量のマルチヌクレオチド組成物を対象に投与することを含む方法である。
一態様において、組成物は、R1がHであり、R2が5-メチル-2H-1λ2-ピリミジン-2,4(3H)-ジオンであり、R3が4-アミノ-2H-1λ2-ピリミジン-2-オンであり、R4がOHである、式Iの化合物を含む。別の態様において、組成物は、R1がOHであり、R2が9λ2-プリン-6-アミンであり、R3が2-アミノ-9λ2-プリン-6(1H)-オンであり、R4がOHである、式Iの化合物を更に含む混合物である。
一態様において、組成物は、経口、経腸、静脈内、又は皮下で投与される。更なる態様において、組成物は静脈内で投与される。
一態様において、各モノヌクレオシドの血漿レベルは、個々のモノヌクレオチドを経口投与した後の血漿レベルと比較して静脈内投与した後の方が高い。
別の態様において、組成物の静脈内投与が、第1のAUC0-24hを有する血漿レベルをもたらし、個々のモノヌクレオチドの経口投与が、第2のAUC0-24hを有する血漿レベルをもたらし、第1のAUC0-24hと第2のAUC0-24hとの比率は約100から約400の間である。
更に別の態様において、組成物が、約1mg/kgから約20mg/kgの間の投薬量で投与される場合、対応するヌクレオシドの血漿濃度は約50ng/mlから約5000ng/mlである。
一態様において、ミトコンドリアDNA枯渇症候群は、チミジンキナーゼ2欠乏症、スクシニルCoAシンテターゼ欠乏症、デオキシグアノシンキナーゼ欠乏症、スクシニルCoAリガーゼ欠乏症、リボヌクレオチド二リン酸レダクターゼサブユニットM2B酵素欠乏症、チミジンホスホリラーゼ欠乏症、及びポリメラーゼガンマ欠乏症を含む。更なる態様において、ミトコンドリアDNA枯渇症候群は、チミジンキナーゼ2欠乏症を含む。
一態様において、対象はヒトである。
本明細書において記載される別の実施形態は、それを必要とする対象におけるチミジンキナーゼ2(TK2)欠乏症を処置するための方法であって、a)対象から核酸試料を得るステップと、b)対象がTK2欠乏症を有するかどうかを判定するステップと、c)式1:
(式中、
R1は、H又はOHであり、
R2は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R3は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R4はH又はOHである)
のマルチヌクレオチド化合物を含む治療有効量の組成物を投与するステップと、d)対応するモノヌクレオシドの血漿レベルを測定するステップであって、対応するヌクレオシドの血漿レベルが約50ng/mLから約5000ng/mLである、ステップとを含む、方法である。
R1は、H又はOHであり、
R2は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R3は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R4はH又はOHである)
のマルチヌクレオチド化合物を含む治療有効量の組成物を投与するステップと、d)対応するモノヌクレオシドの血漿レベルを測定するステップであって、対応するヌクレオシドの血漿レベルが約50ng/mLから約5000ng/mLである、ステップとを含む、方法である。
本明細書において記載される別の実施形態は、式I:
(式中、
R1は、H又はOHであり、
R2は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R3は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R4は、H又はOHである)
の化合物である。
R1は、H又はOHであり、
R2は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R3は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R4は、H又はOHである)
の化合物である。
一態様において、化合物は不純物を実質的に含まない。別の態様において、R1はHであり、R2はチミンでありR3はシトシンであり、R4はOHである。
別の態様において、医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤及び治療有効量の本明細書において記載されるいずれかの化合物を含む。更なる態様において、組成物は、R1がHであり、R2が5-メチル-2H-1λ2-ピリミジン-2,4(3H)-ジオンであり、R3が4-アミノ-2H-1λ2-ピリミジン-2-オンであり、R4がOHである化合物を含む。
1つ以上の態様及び実施形態は、特に記載しないが、異なる実施形態に組み込んでもよい。すなわち、全ての態様及び実施形態は、任意の方法又は組合せで組み合わせてもよい。
本開示は、ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDS)を処置する方法を記載する。また、チミジンキナーゼ2(TK2)欠乏症を処置するための化合物及び方法が本明細書において記載される。
定義
本明細書において使用される場合、「約」という用語は、「約」という用語によって修飾された値の最大±10%の変動の範囲内の整数の構成要素と分数の構成要素の両方を含む任意の値を指す。例えば、「約50%」という句は、とりわけ、任意の値≒50±10%、例えば、44.6%、45%、46%、47%、48%、49%、49.5%、50%、50.3%、51%、52%、53%、54%、55%に相当する。
本明細書において使用される場合、「約」という用語は、「約」という用語によって修飾された値の最大±10%の変動の範囲内の整数の構成要素と分数の構成要素の両方を含む任意の値を指す。例えば、「約50%」という句は、とりわけ、任意の値≒50±10%、例えば、44.6%、45%、46%、47%、48%、49%、49.5%、50%、50.3%、51%、52%、53%、54%、55%に相当する。
本明細書において使用される場合、「a」又は「an」は、特に指定がない限り、1つ以上を意味する。本明細書において使用される場合、「有効量」は、処置を必要とする患者に投与した場合に治療効果を達成するのに十分な量を指す。
「AUC0→24」という用語は、本明細書において使用される場合、0から24時間までの時間曲線に対する血液(血漿、血清、又は全血)濃度の下の面積を指す。
「誘導体」という用語は、本明細書において使用される場合、プリン又はピリミジン前駆体から形成された化合物をそれぞれ含む、プリン又はピリミジン由来の化合物を指す。
「投薬量」又は「用量」という用語は、単回投与で治療効果を生み出すのに十分な量を含む活性成分製剤の任意の形態を示す。本明細書において使用される投薬形態は、経口、腸溶性又は静脈内投与のためのものであってもよい。
「製剤」又は「組成物」という用語は、本明細書において使用される場合、薬学的に許容される賦形剤と組み合わせた活性医薬成分又は薬物を指す。これらとしては、経口で投与可能な製剤並びに他の手段によって投与可能な製剤がある。
「含む(include)」、「含むこと(including)」、「含む(contain)」、「含むこと(containing)」、「有する(has)」、又は「有すること(having)」などの用語は、含むこと(comprising)を意味する。
「又は」という用語は、接続的であっても離接的であってもよい。
「モノヌクレオシド」という用語は、本明細書において使用される場合、糖に結合された単一のプリン又はピリミジン塩基を指す。例としては、デオキシシチジン(dC)及びデオキシチミジン(dT)がある。
「モノヌクレオチド」という用語は、本明細書において使用される場合、遊離酸として又は任意の塩の形態、例えばジナトリウム塩として、糖及びホスフェート基に結合された単一のプリン又はピリミジン塩基を指す。例としては、デオキシシチジン一リン酸(dCMP)及びデオキシチミジン一リン酸(dTMP)がある。
「ジヌクレオチド」という用語は、本明細書において使用される場合、遊離酸として又は任意の塩の形態、例えばジナトリウム塩として、2つのモノヌクレオチドを含む化合物を指す。例えば、デオキシシチジン-デオキシチミジン二リン酸dC(P2)dT又はdC(P2)dT.Na2である。
「マルチヌクレオチド」という用語は、本明細書において使用される場合、1つより多くのモノヌクレオチドを含む化合物を指す。例えば、マルチヌクレオチド化合物は、2つのヌクレオチドを含んでいてもよい。マルチヌクレオチドを構成するモノヌクレオチドは全て同じであっても異なっていてもよい。
「対応するモノヌクレオシド」という用語は、本明細書において使用される場合、モノヌクレオチドに対応する単一のモノヌクレオシド、又はジヌクレオチド若しくはマルチヌクレオチドに対応する単一のモノヌクレオシド構成成分を指す。例えば、モノヌクレオチドデオキシシチジン一リン酸(dCMP)において、対応するモノヌクレオシドはデオキシシチジン(dC)である。別の例において、ジヌクレオチドデオキシシチジン-デオキシチミジン二リン酸(dC(P2)dT)では、対応するモノヌクレオシドはデオキシシチジン(dC)及びデオキシチミジン(dT)である。
本明細書において使用される場合、「対象」及び「患者」という用語は、本明細書において区別せずに使用される。1つの実施形態において、対象はヒトである。
「実質的に純粋」という用語は、本明細書において使用される場合、当業者に「純粋」として認識されることになるレベルの純度を有することを意味する。この純度のレベルは、100%未満であってもよい。
本明細書において開示される化合物に言及する場合、特に指示がない限り、以下の用語は以下の意味を有する。以下の定義は、定義される用語を明確にすることを意図し、限定することは意図しない。本明細書において使用される特定の用語が特に定義されていない場合、そのような用語を不明瞭とみなすべきではない。むしろ、用語はその許容される意味の範囲内で使用される。
本明細書において使用される場合、「プリン」という用語は、イミダゾール環に縮合されたピリミジン環からなる複素環式芳香族有機化合物を指す。
本明細書において使用される場合、「ピリミジン」という用語は、芳香族複素環式有機化合物を指す。
本明細書において使用される場合、「置換された」は、水素原子、そうでなければ置換基上に存在することになる水素原子の置換を指す。環系について議論する場合、任意の置換は、通常存在する水素を、典型的には1、2、又は3つの置換基で置き換えることである。しかし、直鎖及び分岐状部分に言及する場合、置換の発生数は、水素が通常存在する場所であればどこでも更に増える場合がある。置換は同じであっても異なっていてもよい。例示的な置換としては、ニトロ、-NR'R''、シアノ、-NR'COR'''、アルキル、アルケニル、-C(O)、-SO2R'''、-NR'SO2R'''、-SO2NR'R''、-CONR'R''、-CONHC6H5、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルスルホニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルコキシ、メルカプト(-SH)、チオアルキル、ハロゲン、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールがあり、ここで、R'及びR''は同じであっても異なっていてもよく、それぞれが水素又はアルキルを表すか、又はR'及びR''がそれぞれ窒素原子に結合している場合、これらは4から6個の環原子を含む飽和又は不飽和複素環式環を形成してもよく、ここでR'''はアルキル又はハロアルキルである。
ある特定の場合において、図示される置換基は、光学及び/又は立体異性の一因となる場合がある。同じ分子式を有するが、それらの原子の結合の性質若しくは配列、又はそれらの原子の空間における配置が異なる化合物は「異性体」と称される。空間におけるそれらの原子の配置が異なる異性体は「立体異性体」と称する。互いに鏡像ではない立体異性体は「ジアステレオマー」と称し、互いに重ね合わせることができない鏡像のものは「エナンチオマー」と称する。化合物が不斉中心を有する場合、例えば、それが4つの異なる基に結合している場合、1対のエナンチオマーが可能である。エナンチオマーは、その不斉中心の絶対立体配置によって特徴付けてもよく、Cahn及びPrelogの規則に従って(R)又は(S)によって示されるか(Cahnら、1966年、Angew.Chem.78:413~447頁、Angew.Chem.、Int.Ed.Engl.5:385~414頁(正誤表:Angew.Chem.、Int.Ed.Engl.5:511頁);Prelog及びHelmchen、1982年、Angew.Chem.94:614~631頁、Angew.Chem.Internat.Ed.Eng.21:567~583頁;Mata及びLobo、1993年、Tetrahedron:Asymmetry 4:657~668頁)、又は分子が偏光面を回転させる様式によって特徴付けてもよく、右旋性又は左旋性によって(すなわち、それぞれ(+)-又は(-)-異性体として)示される。キラル化合物は、個々のエナンチオマーのいずれかとして又はこれらの混合物として存在していてもよい。等割合のエナンチオマーを含む混合物は「ラセミ混合物」と称される。
ある特定の実施形態において、本明細書において開示される化合物は、1つ以上の不斉中心を有していてもよく、したがって、そのような化合物は、個々の(R)-又は(S)-エナンチオマーとして又はこれらの混合物として生成してもよい。特に指示がない限り、例えば、式の任意の位置における立体化学の指定によって、明細書及び特許請求の範囲における特定の化合物の説明又は命名は、個々のエナンチオマーの両方、これらの混合物、ラセミ体又はその他を含むことを意図する。立体化学を判定し、立体異性体を分離するための方法は当技術分野において周知である。特定の実施形態において、本明細書において提供される化合物の立体異性体は塩基で処置する際に図示される。
ある特定の実施形態において、本明細書において開示される化合物は「立体化学的に純粋」である。立体化学的に純粋な化合物は、当業者に「純粋」として認識されることになるレベルの立体化学純度を有する。当然ながら、このレベルの純度は100%未満であってもよい。ある特定の実施形態において、「立体化学的に純粋」は、代替の異性体を実質的に含まない、すなわち少なくとも約85%以上の化合物を表す。特定の実施形態において、化合物は他の異性体を含まない、少なくとも約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%又は約99.9%のものである。
更に、式Iによって表される化合物の薬学的に許容されるプロドラッグも本発明に含まれる。薬学的に許容されるプロドラッグは、加溶媒分解によって又は生理学的条件下でアミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、又は類似のものに変換することができる基を有する化合物を指す。プロドラッグを形成する基の例としては、Prog.Med.、5、2157~2161頁(1985年)又は「Pharmaceutical Research and Development」(Hirokawa Publishing Company、1990年)、7巻、Drug Design、163~198頁で記載されているものがある。プロドラッグという用語は、患者に投与した際に活性化合物を提供する化合物の任意の薬学的に許容される形態を記載するために本明細書全体にわたって使用される。薬学的に許容されるプロドラッグは、宿主において代謝されて、例えば加水分解又は酸化されて、本発明の化合物を形成する化合物を指す。プロドラッグの典型的な例としては、活性化合物の官能部分上に生物学的に不安定な保護基を有する化合物がある。プロドラッグとしては、酸化、還元、アミノ化、脱アミノ化、ヒドロキシル化、脱ヒドロキシル化、加水分解、脱加水分解、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、脱アシル化、リン酸化、脱リン酸化されて、活性化合物を生成することができる化合物がある。
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される塩」は、その生物学的特性を保持し、毒性がなく、或いは殺有害生物、獣医、又は医薬用途に不所望のものではない本明細書において開示される化合物の任意の塩を指す。そのような塩は、当技術分野において既知の様々な有機及び無機対イオン由来であってもよい。そのような塩としては、(1)有機又は無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンチルプロピオン酸、グリコール酸、グルタル酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、ソルビン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ピクリン酸、桂皮酸、マンデル酸、フタル酸、ラウリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、樟脳酸、樟脳スルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert-ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、安息香酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、キナ酸、ムコン酸などの酸で形成される酸付加物塩がある。
塩としては更に、ほんの一例として、非毒性の有機又は無機酸、例えば、ハロゲン化物、例えば、塩化物及び臭化物、硫酸、リン酸、スルファミン酸、硝酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンチルプロピオン酸、グリコール酸、グルタル酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、ソルビン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ピクリン酸、桂皮酸、マンデル酸、フタル酸、ラウリン酸、メタンスルホン酸(メシル酸)、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシル酸)、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、樟脳酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert-ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、安息香酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、キナ酸、ムコン酸などの塩がある。
本開示は、1つ以上の原子が同じ原子番号を有するが、原子質量又は質量数が通常自然界で認められる原子質量又は質量数と異なる原子によって置き換えられた、本発明の全ての薬学的に許容される同位体標識化合物を含む。本発明の化合物に包含するのに好適な同位体の例としては、水素同位体、例えば2H及び3H、炭素同位体、例えば11C、13C及び14C、塩素同位体、例えば36Cl、フッ素同位体、例えば18F、ヨウ素同位体、例えば123I及び125I、窒素同位体、例えば13N及び15N、酸素同位体、例えば15O、17O及び18O、リン同位体、例えば32P、及び硫黄同位体、例えば35Sがある。本発明のある特定の同位体標識化合物、例えば放射性同位体が組み込まれたものは、薬物又は基質の組織分布研究において有用であり得る。放射性同位体トリチウム、すなわち3H、及び炭素-14、すなわち14Cは、取込みのその容易性及び検出の容易な手段を考慮してこの目的のために特に有用である。よい重い同位体、例えばジューテリウム、すなわち2Hでの置換は、より大きな代謝安定性に起因するある特定の治療的利点、例えば、in vivo半減期の増加又は必要とされる投薬量の減少をもたらすことができ、したがって状況次第では好ましい場合がある。陽電子放出同位体、例えば11C、18F、15O及び13Nでの置換は、基質受容体占有率を調査するためのポジトロン断層法(PET)研究において有用であり得る。本発明の同位体標識化合物は、当業者に既知の従来技術によって又は以前に用いられていた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して添付の実施例及び調製に記載するものと類似している方法によって一般的に調製してもよい。
本開示は、ミトコンドリアDNA枯渇症候群を処置する方法を提供する。ミトコンドリアDNA枯渇症候群は、mtDNAレベルが極めて枯渇し、細胞エネルギー産生に負の影響が与えられた場合に生じる(El-Hattabら、2013年)。したがって、どの特定の理論にも束縛されることを意図するものではないが、本明細書において提供される化合物は、その対応するモノヌクレオシドへ代謝され、したがってmtDNA合成のための構成ブロックを提供するために必要とされるヌクレオシドプールを補充すると考えられる。本開示によって検討される化合物としては、これらに限定されるものではないが、本明細書において提供される例示的な化合物及びこれらの塩がある。
本明細書において記載される1つの実施形態は、ミトコンドリアDNA枯渇症候群を処置するための方法であって、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩:
(式中、
R1は、H又はOHであり、
R2は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R3は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R4は、H又はOHである)
を含む治療有効量のマルチヌクレオチド組成物を投与することを含む方法である。
R1は、H又はOHであり、
R2は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R3は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R4は、H又はOHである)
を含む治療有効量のマルチヌクレオチド組成物を投与することを含む方法である。
プリン基の例としては、これらに限定されるものではないが、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、イソグアニンがある。一態様において、プリンはアデニン又はグアニンである。
ピリミジン基の例としては、これらに限定されるものではないが、チミン、シトシン及びウラシルがある。一態様において、ピリミジンは、チミン又はシトシンである。
マルチヌクレオチド組成物は、1つより多くのモノヌクレオチドを含んでいてもよい。一態様において、マルチヌクレオチドはジヌクレオチドである。
一態様において、マルチヌクレオチド組成物は、R1がHであり、R2が5-メチル-2H-1λ2-ピリミジン-2,4(3H)-ジオンであり、R3が4-アミノ-2H-1λ2-ピリミジン-2-オンであり、R4がOHである式Iの化合物を含む。別の態様において、組成物は、R1がOHであり、R2が9λ2-プリン-6-アミンであり、R3が2-アミノ-9λ2-プリン-6(1H)-オンであり、R4がOHである式Iの化合物を更に含む混合物を含む。
一態様において、化合物は不純物を実質的に含まない。実質的に純粋な化合物は、当業者に「純粋」として認識されることになるレベルの純度を有する。当然ながら、このレベルの純度は100%未満であってもよい。ある特定の態様において、「実質的に純粋」は、他の化合物を実質的に含まない、すなわち少なくとも約85%又はそれを超える化合物を示す。特定の実施形態において、化合物は、他の化合物を含まない、少なくとも約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%又は約99.9%のものである。
一態様において、本明細書において記載される式Iの化合物のうちの1つ以上、及び1つ以上の薬学的に許容される担体を含む組成物が本明細書において記載される。
「組成物」という用語は、本明細書において使用される場合、指定の量で特定の成分を含む製品、並びに指定の量の指定の成分の組合せから直接的に又は間接的に得られる任意の製品を包含することを意図する。「薬学的に許容される」は、担体、希釈剤又は賦形剤が製剤の他の成分に適合し、その受容者にとって有害であってはならないことを意味する。
本開示の化合物を投与するための医薬組成物は、単位投薬形態で好都合には提示してもよく、薬剤学の技術分野において周知の方法のいずれかによって調製してもよい。全ての方法は、活性成分を1つ以上の補助成分を構成する担体と合わせるステップを含む。一般的に、医薬組成物は、活性成分を液体担体又は微粉化固体担体又はこれら両方と均一によく合わせ、次いで必要に応じて、製品を所望の製剤に成形することによって調製される。医薬組成物において、目的の活性化合物は疾患のプロセス又は状態に対して所望の効果を生み出すのに十分な量で含まれる。
活性成分を含む医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性若しくは油性懸濁剤、分散性の散剤若しくは顆粒剤、エマルション剤、及び米国特許第6,451,339号に記載されている自己乳化剤、硬カプセル若しくは軟カプセル剤、又はシロップ若しくはエリキシル剤として経口使用に好適な形態であってもよい。経口使用を意図する組成物は、医薬組成物の製造技術分野で既知の任意の方法に従って調製してもよい。そのような組成物は、薬学的にエレガントで味の良い調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤、及び保存剤から選択される1つ以上の薬剤を含んでいてもよい。錠剤は、錠剤の製造に好適な、他の非毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合された活性成分を含む。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例えば、セルロース、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、グルコース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム;造粒剤及び崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン、又はアルギン酸;結合剤、例えば、PVP、セルロース、PEG、デンプン、ゼラチン又はアカシア、並びに滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクであってもよい。錠剤は、コーティングされていなくても、腸溶性に、そうでなければ崩壊を遅延させ、胃腸管において吸収させるための既知の技術によってコーティングされ、その結果長期間にわたり持続的な作用を提供してもよい。例えば、時間遅延材料、例えば、グリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレートを用いてもよい。これらはまた、米国特許第4,256,108号、同第4,166,452号、及び同第4,265,874号に記載される技術によってコーティングして、制御放出用の浸透圧性治療用錠剤を形成してもよい。
経口使用のための製剤はまた、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリンと混合された硬ゼラチンカプセル剤として、又は活性成分が水若しくは油性媒体、例えば、落花生油、液体パラフィン、若しくはオリーブ油と混合された軟ゼラチンカプセル剤として調製してもよい。更に、エマルション剤は、非水混和性成分、例えば油を用いて調製し、界面活性剤、例えば、モノ-ジグリセリド、PEGエステルなどで安定化してもよい。更に、本明細書において記載されるマルチヌクレオチドは、化合物がマルチヌクレオチドを細胞に直接細胞内送達するのを可能にする方法で合成されるように、プロドラッグとして製剤化してもよい。
水性懸濁剤は、水性懸濁剤、例えば生理食塩水塩又は緩衝液の製造に好適な賦形剤と混合された活性材料を含む。そのような賦形剤は、懸濁化剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガムであり、分散剤又は湿潤剤は、天然発生のホスファチド、例えば、レシチン、又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアレート、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール由来の部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物由来の部分エステルとの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートであってもよい。水性懸濁剤はまた、1つ以上の保存剤、例えば、エチル、又はnプロピル、pヒドロキシベンゾエート、1つ以上の着色剤、1つ以上の香味剤、及び1つ以上の甘味剤、例えばスクロース又はサッカリンを含んでいてもよい。
油性懸濁剤は、活性成分を植物油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油又はココナツ油中に、又は無機油などの液体パラフィン中に懸濁することによって製剤化してもよい。油性懸濁剤は、増粘剤、例えば、蜜蝋、固形パラフィン又はセチルアルコールを含んでいてもよい。甘味剤、例えば、上記に示すもの、及び香味剤を添加して味の良い経口調製物を提供してもよい。これらの組成物は、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸を添加することによって保存してもよい。
水を添加することによる水性懸濁液の調製に好適な分散性の散剤及び顆粒剤は、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤及び1つ以上の保存剤と混合された活性成分を提供する。好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤は、すでに上述のものによって例示されている。追加の賦形剤、例えば、甘味剤、香味剤及び着色剤も存在していてもよい。
本開示の医薬組成物は、水中油エマルションの形態であってもよい。油性相は、植物油、例えば、オリーブ油若しくはラッカセイ油、又は無機油、例えば、液体パラフィン、又はこれらの混合物であってもよい。好適な乳化剤は、天然発生のガム、例えば、アカシアガム又はトラガカントガム、天然発生のホスファチド、例えば、大豆、レシチン、及びエステル又は脂肪酸及びヘキシトール無水物由来の部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレエート、及び前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであってもよい。エマルション剤も甘味剤及び香味剤を含んでいてもよい。
シロップ剤及びエリキシル剤は、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースを用いて製剤化してもよい。そのような製剤は、粘滑剤、保存剤及び香味料及び着色剤も含んでいてもよい。経口溶液剤は、例えば、シクロデキストリン、PEG及び界面活性剤と組み合わせて調製してもよい。
一態様において、組成物は静脈内で投与してもよい。医薬組成物は、無菌の注射可能な水性又は油性懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は、分散剤又は湿潤剤及び上述の懸濁化剤に好適なものを使用した既知の技術に従って製剤化してもよい。無菌の注射可能な調製物は、例えば1,3ブタンジオール溶液のような非毒性の非経口で許容される希釈剤又は溶媒中の無菌の注射用溶液又は懸濁液であってもよい。用いてもよい許容されるビヒクル及び溶媒のうちの1つは、水、リンゲル溶液及び等張塩化ナトリウム溶液である。更に、無菌の固定油が溶媒又は懸濁媒体として慣例的に用いられる。この目的のために、合成モノ又はジグリセリドを含む任意の無菌の固定油を用いてもよい。更に、脂肪酸、例えばオレイン酸が注射剤の調製における使用が見い出されている。
実施例によって実証されるように、経口投与と比較して顕著に低い投薬量での本明細書において記載される組成物の静脈内投与は、個々のモノヌクレオチド療法の経口投与と比較して、対応するモノヌクレオシドの血漿濃度を改善することが実証された(実施例1)。
別の態様において、組成物は皮下投与してもよい。
本開示の化合物は、薬物を直腸投与するための坐剤の形態で投与してもよい。これらの組成物は、薬物と、常温では固体であるが、直腸温度では液体であり、その結果直腸内で融解して薬物を放出することになる好適な非刺激性賦形剤とを混合することによって調製してもよい。そのような材料はココアバター及びポリエチレングリコールである。
投薬形態は、約1mg/kgから約20mg/kgの間の本明細書において記載されるマルチヌクレオチド組成物を含んでいてもよい。一態様において、組成物は、約1mg/kgから約5mg/kgの間の投薬量で投与される。別の態様において、組成物は、約3mg/kgから約8mg/kgの間の投薬量で投与される。別の態様において、組成物は、約5mg/kgから約10mg/kgの間の投薬量で投与される。別の態様において、組成物は、約8mg/kgから約13mg/kgの間の投薬量で投与される。一態様において、組成物は、約10mg/kgから約15mg/kgの間の投薬量で投与される。更に別の態様において、組成物は、約13mg/kgから約18mg/kgの間の投薬量で投与される。一態様において、組成物は、約15mg/kgから約20mg/kgの間の投薬量で投与される。
式Iの化合物は、ミトコンドリアDNA枯渇症候群を処置することに有用である。そのような症候群の例としては、これらに限定されるものではないが、チミジンキナーゼ2欠乏症、スクシニルCoAシンテターゼ欠乏症、デオキシグアノシンキナーゼ欠乏症、スクシニルCoAリガーゼ欠乏症、リボヌクレオチド-二リン酸レダクターゼサブユニットM2B酵素欠乏症、チミジンホスホリラーゼ欠乏症、及びポリメラーゼガンマ欠乏症がある。本明細書において記載される一態様において、ミトコンドリアDNA枯渇症候群はチミジンキナーゼ2欠乏症である。
式Iの化合物は、例えば活性を高めるために、同じ活性範囲を有する1つ以上の薬剤と、又は例えば活性範囲を広げるために、別の活性範囲を有する物質と併用してもよい。個々に挙げられる薬剤のいずれかを、式Iの化合物及びその他の1つ以上の挙げられる薬剤と個別に組み合わせて使用してもよい。
組合せ療法に好適な薬剤としては、例えば、MDSの特定の形態の症状を処置するための治療剤、これらに限定されないが、テトラヒドロウリジン、トリアセチルウリジン、N-アセチルシステイン、N-アセチルシステインアミド、ビタミンE、インムシリンH、及びチピラシルを含む遍在性ヌクレオシド分解酵素の阻害剤があり、それによって1つ以上の式Iの化合物は、1つ以上の他の薬学的活性物質との組合せとして、そのままで又はその調製物若しくは製剤の形態で用いることができる。組合せは、同じ製剤の一部であっても、個別に又は連続的に投与してもよい。
ヒト又は他の哺乳動物に送達するための式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬調製物は、好ましくは単位投薬形態であり、調製物は、適切な量の活性構成成分を含む単位用量中に細分化されている。単位投薬形態は、個別の量の調製物、例えば、バイアル又はアンプル中に包装された錠剤、カプセル剤、及び散剤を含む包装された調製物であってもよい。また、単位投薬形態は、カプセル剤、錠剤又は注射剤であっても、包装された形態の適切な数のこれらのいずれかであってもよい。
単位用量調製物中の活性構成成分の量は、活性構成成分の特定の適用及び効力に応じて約0.1mgから約1000mgまで変更又は調整してもよい。必要に応じて、組成物は他の適合する治療剤を含んでいてもよい。
ヒト又は他の哺乳動物におけるミトコンドリアDNA枯渇症候群を処置するための治療的使用において、処置する方法において利用される化合物は、1間隔あたり約0.1mg/kgから約100mg/kgの初期投薬量で投与される。好ましい間隔は、毎日、毎週、半月に1度、毎月、隔月、3カ月に1度、3年に1度、半年に1度、又は毎年であってもよい。投薬量は、1日1回、1日2回、1日3回又は施術者によって判定される必要に応じた回数だけ投与してもよい。投薬量は、患者の要件、例えば、処置されることになるヒト又は哺乳動物のサイズ、処置されることになる状態の重症度、投与経路、及び使用される化合物の効力に応じて変更してもよい。特定の状況に関する適切な投薬量及び投与経路の判定は、施術者の技術分野の範囲内である。一般的に、処置は、少ない投薬量で開始することになり、これは化合物の最適な用量よりも少なく、特定の環境下で最適な効果に達するまで少しずつ増加させてもよい。便宜上、総1日投薬量を必要に応じて分割し、1日の間に分割して投与してもよい。
本明細書において記載される組成物の代謝を理解するために、その対応するモノヌクレオシドへ代謝されたマルチヌクレオチドの血漿レベルを投与後に測定した。本明細書において記載される一態様において、対応するモノヌクレオシドの血漿レベルは個々のモノヌクレオチドの投与と比較して高い。別の態様において、対応するヌクレオシドの血漿レベルは約50ng/mLから約5000ng/mLである。別の態様において、対応するヌクレオシドの血漿レベルは約75ng/mLから約2500ng/mLである。
血漿レベルに関して0から約24時間にわたる時間の曲線下面積(AUC0-24h)の測定値は、静脈内投与に関しては約5000ng-h/mLから約120,000ng-h/mLの間である。
本明細書において記載される別の実施形態は、対象においてチミジンキナーゼ2を処置するための方法であって、対象から核酸試料を得るステップと、
対象がTK2欠乏症を有するかどうかを判定するステップと、治療有効量の式I:
(式中、
R1は、H又はOHであり、
R2は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R3は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R4は、H又はOHである)
の化合物を含む組成物を投与するステップと、
対応するモノヌクレオシドの血漿レベルを測定するステップであって、対応するヌクレオシドの血漿レベルが約50ng/mLから約5000ng/mLである、ステップと
を含む方法である。
対象がTK2欠乏症を有するかどうかを判定するステップと、治療有効量の式I:
R1は、H又はOHであり、
R2は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R3は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R4は、H又はOHである)
の化合物を含む組成物を投与するステップと、
対応するモノヌクレオシドの血漿レベルを測定するステップであって、対応するヌクレオシドの血漿レベルが約50ng/mLから約5000ng/mLである、ステップと
を含む方法である。
全身性筋緊張低下、近位筋力低下、以前に獲得した運動技能の損失、摂食不良、及び呼吸困難によって特徴付けられる進行性筋疾患の最も典型的な症候を含む表現型TK2欠乏症を示す患者を試験して、疾患を確定診断してもよい。
mtDNA枯渇症候群をもたらすことが既知である遺伝子パネルを使用した分子遺伝学的試験を行ってもよい(Chanprasertら、2012年)。試験は、TK2のコード領域を配列分析することによって行ってもよい。また、試験血清クレアチンキナーゼ濃度、筋電図検査、骨格筋に対する組織病理、ミトコンドリアDNA含有量(コピー数)、及び骨格筋における電子伝達鎖(ETC)活性を含む更なる試験を行って、TK2欠乏症診断を確認してもよい。
式Iの化合物の調製
本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩の調製は、本明細書において以下に示す経路及び中間体を介して達成してもよい。
スキーム1
本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩の調製は、本明細書において以下に示す経路及び中間体を介して達成してもよい。
スキーム1
スキーム1は、式Iの化合物を調製するための一般的な方法を記載する。二リン酸ヌクレオチドの合成は、カップリング剤としてカルボニルジイミダゾールを使用して個別のヌクレオチドトリブチルアンモニウム塩をカップリングして、所望の生成物を得ることによって達成した。このジヌクレオチドの形成において、不斉化合物、例えば(dC(P2)dC)及び(dT(P2)dT)も形成され、現在使用されている方法は小規模製造(1~5g)に十分であり、大規模製造(数百グラム)ではより優れた方法が望ましい。
[実施例1]
2つのモノヌクレオチド(dCMP及びdTMP)の経口投薬及びジヌクレオチド(dC(P2)dT)の静脈内投薬後の、2つのモノヌクレオチド(dCMP及びdTMP)及びこれらの対応するモノヌクレオシド(dC及びdT)の全身曝露を判定した。被検物品を以下のように調製した。
被検非標識物品:
dC=デオキシシチジン(ヌクレオシド)
dT=デオキシチミジン(ヌクレオシド)
dCMP=デオキシシチジン一リン酸(モノヌクレオチド)
dTMP=デオキシチミジン一リン酸(モノヌクレオチド)
dC(P2)dT又はdT(P2)dC=デオキシシチジン-デオキシチミジン二リン酸(ジヌクレオチド)
被検標識物品:
dC*=15N3標識dC(標識ヌクレオシド)
dT**=13C10及び15N2標識dT(標識ヌクレオシド)
対応する標識ヌクレオチドはdC*MP及びdT**MPである
対応する標識ジヌクレオチドはdC*(P2)dT**又はdT**(P2)dC*である。
2つのモノヌクレオチド(dCMP及びdTMP)の経口投薬及びジヌクレオチド(dC(P2)dT)の静脈内投薬後の、2つのモノヌクレオチド(dCMP及びdTMP)及びこれらの対応するモノヌクレオシド(dC及びdT)の全身曝露を判定した。被検物品を以下のように調製した。
被検非標識物品:
dC=デオキシシチジン(ヌクレオシド)
dT=デオキシチミジン(ヌクレオシド)
dCMP=デオキシシチジン一リン酸(モノヌクレオチド)
dTMP=デオキシチミジン一リン酸(モノヌクレオチド)
dC(P2)dT又はdT(P2)dC=デオキシシチジン-デオキシチミジン二リン酸(ジヌクレオチド)
被検標識物品:
dC*=15N3標識dC(標識ヌクレオシド)
dT**=13C10及び15N2標識dT(標識ヌクレオシド)
対応する標識ヌクレオチドはdC*MP及びdT**MPである
対応する標識ジヌクレオチドはdC*(P2)dT**又はdT**(P2)dC*である。
これらの被検物品の構造及び代謝を図1に示す。
dCMP+dTMPの単回P.O.投与の用量強度と比較したdC(P2)dTの単回IV注射の用量強度を判定し、これはdC及びdTの全身曝露に相当するという結果になり、全身曝露をAUC0-24hとして定量化した。
ヌクレオシド(dC及びdT)及びその対応する一リン酸ヌクレオチド(dCMP及びdTMP)は体内で自然に産生される。自然発生対外因的に投与されたdC/dT及びdCMP/dTMPを区別するために、標識dC*MP/dT**MP及び非標識dCMP/dTMPの混合物を、経口経路を介して投薬し、標識dC*(P2)dT**及び非標識dC(P2)dTの混合物を、I.V.経路を介して投薬した。標識被検物品は、投薬後に外因性dC/dT及びdCMP/dTMPの全身レベルを判定するためのトレーサーとして機能した。
次いで、血漿試料を以下の分析物に関して分析した:dT**、dC*、dT**MP、dC*MP、及びdC*(P2)dT**。dT**及びdC*のみが検出可能であり、in vivoでのdT**MP、dC*MP及びdC*(P2)dT**の急速な代謝が示唆された。結果を表1に示す。
表1で示すように、P.O.経路で投与された全被検物品(TA)の10%を標識し、非経口経路(I.V.)で投与された全TAの20%を標識した。投与された全TA(標識+非標識)を補正するために、標識分析物の血漿レベルに、P.O.及びI.V.処置群に関してそれぞれ10及び5を掛けた。更に、投与された全TA用量は、P.O.及びI.V.処置群に関してそれぞれ1000mg/kg(900mg/kg非標識+100mg/kg標識)及び10mg/kg(8mg/kg非標識及び2mg/kg標識)であった。投与されたTAの単位用量で正規化するために、分析物の血漿レベルを、P.O.及びI.V.処置群に関してそれぞれ1000及び10で割った。P.O.及びI.V.投与経路に関するdT及びdCの標識補正及び用量正規化されたレベルの結果を図2に示す。
図3は、図2からの総用量正規化dT及びdC血漿レベルに関する曲線下面積(AUC0-24h)を算出することによって判定された、投薬後最初の24時間の2つの分析物に関する血漿曝露を示す。両分析物に関するI.V.対P.O.に関するAUC0-24hの差は、統計的に異なっていた(p<0.01、t検定)。I.V./P.O.AUC(0-24h)の比率は、dTに関しては約350であり、dCに関しては約である。したがって、標識補正及び用量正規化PK分析に基づき、これらのデータによって、dT及びdCの相当する血漿曝露を行うために、静脈内dC(P2)dTと比較してそれぞれ約350倍及び約110倍高い用量の経口dTMP及びdCMPを投与することが必要とされるであろうことが示された。
[実施例2]
dC(P2)dTの単回I.V.注射後対dC(P2)dTの1回及び2回の皮下(S.C.)注射後のdC及びdTの全身曝露を比較し、2回目のS.C.注射は最初の注射から24時間後に投与した。研究デザインを表2に要約する。
dC(P2)dTの単回I.V.注射後対dC(P2)dTの1回及び2回の皮下(S.C.)注射後のdC及びdTの全身曝露を比較し、2回目のS.C.注射は最初の注射から24時間後に投与した。研究デザインを表2に要約する。
次の分析物:dT**、dC*、dT**MP、dC*MP、及びdC*(P2)dT**に関する血漿試料を分析し、実施例1と同様に、dT**及びdC*が検出可能であった。標識及び非標識のdC(P2)dT群の単回I.V.後並びに1回及び2回のS.C.投与後の標識正規化dT及びdCレベルの血漿レベルを図4に示す。図5は、3つの処置群の2つの分析物に関する投薬後最初の24時間の血漿曝露を示し、これらは図4からの総用量正規化dT及びdC血漿レベルに関する平均曲線下面積(AUC0-24h)を算出することによって判定した。3つの処置群間の平均AUC0-24h値は統計的に差がなく、dC(P2)dTのI.V.及びS.C.投与は、血漿中のdT及びdCの曝露に相当するという結果をもたらすことを示す。
本明細書で挙げる全ての刊行物、特許及び特許出願は、そのような引用が使用される教示のために参照により本明細書に組み込まれるものとする。
観察された特異的応答は、選択された特定の活性化合物又は存在する担体が存在するかどうか、並びに用いられる製剤のタイプ及び投与様式に従って及び応じて変化する場合があり、結果におけるそのような予想される変化又は違いは本発明の実施によって検討される。
本発明の具体的な実施形態を本明細書において示し、詳細に説明してきたが、本発明はこれらに限定されない。上記の詳細な説明が本発明の例示として提供されており、本発明のいかなる限定も構成すると解釈されるべきではない。改良は当業者であれば自明であり、全ての本発明の趣旨から逸脱しない改良は、添付の特許請求の範囲内に含まれることを意図する。
参考文献
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R., Barca E., Lopez Gomez , C., Jayawant, S., Thomas, N.D., Manzur, A.Y., Kleinsteuber, K., Martin, M.A., Kerr, T., Gorman, G.S., Sommerville, E.W., Chinnery, P.F., Hofer, M., Karch, C., Ralph, J., Camara, Y., Madruga-Garrido, M., Dominguez-Carral. J., Ortez, C., Emperador, S., Montoya, J., Chakrapani, A., Kriger, J.F., Schoenaker, R., Levin, B., Thompson, J.L.P, Long, Y., Rahman, S., Donati, M.A., DiMauro. S., and Hirano M., (2018) Retrospective natural history of thymidine kinase 2 deficiency. J Med Genet. Aug; 55(8):515-521.
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Claims (17)
- 組成物が、R1がHであり、R2が5-メチル-2H-1λ2-ピリミジン-2,4(3H)-ジオンであり、R3が4-アミノ-2H-1λ2-ピリミジン-2-オンであり、R4がOHである式Iの化合物を含む、請求項1に記載の方法。
- 組成物が、R1がOHであり、R2が9λ2-プリン-6-アミンであり、R3が2-アミノ-9λ2-プリン-6(1H)-オンであり、R4がOHである式Iの化合物を更に含む混合物である、請求項1に記載の方法。
- 組成物が経口、経腸、静脈内、又は皮下で投与される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
- 組成物が静脈内で投与される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 各モノヌクレオシドの血漿レベルが、個々のモノヌクレオチドを経口投与した後の血漿レベルと比較して静脈内投与した後の方が高い、請求項5に記載の方法。
- 組成物の静脈内投与が、第1のAUC0-24hを有する血漿レベルをもたらし、個々のモノヌクレオチドの経口投与が、第2のAUC0-24hを有する血漿レベルをもたらし、第1のAUC0-24hと第2のAUC0-24hとの比率が約100から約400の間である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
- 組成物が約1mg/kgから約20mg/kgの間の投薬量で投与される場合、対応するヌクレオシドの血漿濃度は約50ng/mlから約5000ng/mlの間である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
- ミトコンドリアDNA枯渇症候群が、チミジンキナーゼ2欠乏症、スクシニルCoAシンテターゼ欠乏症、デオキシグアノシンキナーゼ欠乏症、スクシニルCoAリガーゼ欠乏症、リボヌクレオチド二リン酸レダクターゼサブユニットM2B酵素欠乏症、チミジンホスホリラーゼ欠乏症、及びポリメラーゼガンマ欠乏症を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
- ミトコンドリアDNA枯渇症候群が、チミジンキナーゼ2欠乏症を含む、請求項9に記載の方法。
- 対象がヒトである、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
- それを必要とする対象におけるチミジンキナーゼ2(TK2)欠乏症を処置するための方法であって、
a)対象から核酸試料を得るステップと、
b)対象がTK2欠乏症を有するかどうかを判定するステップと、
c)式1:
R1は、H又はOHであり、
R2は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R3は、プリン誘導体又はピリミジン誘導体であり、
R4は、H又はOHである)
のマルチヌクレオチド化合物を含む治療有効量の組成物を投与するステップと、
d)対応するモノヌクレオシドの血漿レベルを測定するステップであって、対応するヌクレオシドの血漿レベルが約50ng/mLから約5000ng/mLである、ステップと
を含む、方法。 - 不純物を実質的に含まない、請求項13に記載の化合物。
- R1がHであり、R2がチミンであり、R3がシトシンである場合、R4がOHである、請求項13又は14に記載の化合物。
- 少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤及び請求項13から15のいずれか一項に記載の治療有効量の化合物を含む、医薬組成物。
- R1がHであり、R2が5-メチル-2H-1λ2-ピリミジン-2,4(3H)-ジオンであり、R3が4-アミノ-2H-1λ2-ピリミジン-2-オンであり、R4がOHである化合物を含む、請求項16に記載の組成物。
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