JP2022546435A - 葉酸生産菌株およびその製造と使用 - Google Patents

葉酸生産菌株およびその製造と使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、葉酸生産菌株およびその製造と使用を提供し、特に、本発明の工学菌株における内因性folC遺伝子の発現レベルを低下させ、外因性folC遺伝子を導入し、出発菌株と比べ、工学菌株における葉酸、その前駆体またはその中間体の生産能力が顕著に向上する。

Description

発明の詳細な説明
[技術分野]
本発明は、生物技術工学の分野に関し、具体的に、葉酸を生成する菌株およびその製造と使用に関する。
[背景]
葉酸は、葉酸およびその多くの誘導体の総称で、酸化状態、プテリジン環の単炭素置換およびγ位に結合したグルタミン酸の数において異なる(図1に示す)。葉酸のプテリジン
部分は、完全酸化(葉酸)、または還元された7,8-ジヒドロ葉酸(DHF)、または5,6,7,8-テトラヒドロ葉酸(THF)といった、三つの酸化状態が存在する(構造式Iを参照する)
。THFは、ビタミンの補酵素の活性形態で、C1基の受け取り、転移および提供を担い、こ
れらのC1基はN5またはN10の位置に連結しているか、橋架けによってこれらの位置に連結
している。C1基の酸化状態も異なり、葉酸はギ酸誘導体(5-ホルミル-THF(5-FTHFまたはフォリン酸)、10-ホルミル-THF、5,10-メチレン-THFおよび5-ホルミノ-THF)、メタノー
ル誘導体(5-メチル-THF)またはホルムアルデヒド誘導体(5,10-メチレン-THF)でもよい。
また、多く天然に存在する葉酸はγ位結合のポリグルタミン酸複合体の様態で存在する。
葉酸(プテロイル-L-グルタミン酸)は合成化合物で、自然界に存在しない。葉酸は、
補酵素として活性がなく、細胞内においていくつかの代謝工程を経て転換して代謝活性を有するTHF形態になる。しかし、葉酸は商業的に最も重要な葉酸化合物で、工業的に化学
合成によって生産される。哺乳動物は、葉酸を合成することができず、食事サプリメントで葉酸の正常レベルを維持する。低葉酸の状態は、低い食事摂取量、摂取された葉酸の吸収不良および遺伝的欠陥または薬物の相互作用による葉酸代謝の変化によるものである。多くの国では、既に葉酸サプリメントまたは強化食品で葉酸の推薦摂取量が決められている。食事サプリメントに使用される葉酸は、葉酸、フォリン酸(5-FTHF、ホルミルテトラヒドロ葉酸)または5-MTHF(ScaglioneおよびPanzavolta 2014)を含む。現在、2種類の
塩形態の5-MTHFがサプリメントとして生産されている。Metafolin(登録商標)はメルク
ミリポアによって生産され、5-MTHFのカルシウム塩で、安定した結晶形態で、天然に存在する主な葉酸の形態である。(6S)-5-MTHFのグルコサミン塩はGnosis S.p.A.によって開発されて特許が取得され、商品名がQuatrefolic(登録商標)である。
現在、葉酸は工業的には主に化学合成によって生産され、ほかのビタミンと異なり、現在の細菌株によって生成される葉酸の収量が低く、工業的規模の微生物による葉酸の生産はまだ利用されていない(Rossiら、2016年)。化学的に生成する葉酸は天然に存在する
分子ではないが、ヒトはジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)の作用によって生物活性形態の葉酸に代謝することができる。化学合成法の代わりに微生物発酵で商業的に葉酸を生産することを支持する理由はいくつかある。まず、還元形態の葉酸は微生物によって生成し、ヒトにより有効に利用されることが可能である。最も重要なのは、原則的に、ワンステップ発酵プロセスは多段階の化学的プロセスよりも効率的で、環境に優しい。
以前の研究では、微生物における葉酸の生成は既に解明されている。葉酸を生産するための微生物の応用の多くは、発酵乳製品の強化および葉酸を生成するプロバイオティクスに限られている。また、培養条件の最適化による葉酸合成の向上が行われ、葉酸の収量が約150 μg/gに達した(Hjortmoら、2008;Sybesmaら、2003b)。一部の研究では、既に乳酸菌(Sybesmaら、2003a)、酵母菌(Walkeyら、2015 年)または糸状菌(Serrano-Amatriainら、2016年)の遺伝子組み換え株が記述され、これらは葉酸を生成することができ、力価が6.6 mg/Lと高い。もう一つの微生物による葉酸の生産に成功した方法は、p-アミノ
安息香酸(pABA)の存在下で酵母または細菌の菌株を培養するものである。これらの培養物の上清液で測定される総葉酸含有量が22 mg/Lと高い。
そのため、葉酸、その塩、その前駆体またはその中間体の生産能力が向上するように、新たな葉酸生産菌株の開発が切望されている。
[発明の概要]
本発明の目的は、葉酸を生成する菌株およびその製造と使用を提供することである。
本発明の第一の側面では、葉酸、その塩、その前駆体またはその中間体を合成するための遺伝子工学菌株であって、前記工学菌株において、内因性folC遺伝子の発現レベルが低下し、かつ外因性folC遺伝子が導入され、そして前記工学菌株は出発菌株よりも顕著に向上した葉酸、その前駆体またはその中間体の生産能力を有する遺伝子工学菌株を提供する。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸、その塩、その前駆体またはその中間体の構造式が式Iで表される。
Figure 2022546435000001
(ただし、aは単結合の場合、a’はなしであるか、a’は単結合の場合、aはなしである。
bは単結合の場合、b’はなしであるか、b’は単結合の場合、bはなしである。
R1は、-H、-CH3(5-メチル)、-CHO(5-ホルミル)、-CH=または=CH-(5,10-メチレン)、-CH2-(5,10-メチレン)、-CH=NH(5-イミノメチル)、またはこれらの組み合わせからなる
群から選ばれる。
R2は、-H、-CHO(10-ホルミル)、-CH=、=CH-(5,10-メチレン)、-CH2-(5,10-メチレン)、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。)
もう一つの好適な実施形態において、前記工学菌株の出発菌株は、大腸菌(Escherichia coli)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、カンジダ・ファマタ(Candida famata)およびアシュビア・ゴ
シッピイ(Ashbya gossypii)からなる群から選ばれる。
もう一つの好適な実施形態において、前記工学菌株の出発菌株はバチルス・サブチリスを含む。
もう一つの好適な実施形態において、前記遺伝子工学菌株は細菌である。
もう一つの好適な実施形態において、前記遺伝子工学菌株はバチルス属の細菌である。
もう一つの好適な実施形態において、前記遺伝子工学菌株はバチルス・サブチリスの細菌である。
もう一つの好適な実施形態において、内因性folC遺伝子の発現レベルの低下とは、出発菌株(野生型)と比べ、前記工学菌株における内因性folC遺伝子の発現レベルが少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、70%、80%、90%または100%低下することである
もう一つの好適な実施形態において、外因性folC遺伝子は、アシュビア・ゴシッピイまたはラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)由来のものである。
もう一つの好適な実施形態において、外因性folC遺伝子の発現産物は、ジヒドロ葉酸合成酵素(DHFS-EC 6.3.2.12)からなる群から選ばれるポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドである。
もう一つの好適な実施形態において、前記ジヒドロ葉酸合成酵素は、 アミノ酸配列が
配列番号22または23で示されるものである。
もう一つの好適な実施形態において、ジヒドロ葉酸合成酵素をコードするポリヌクレオチド配列が配列番号24または25で示されるものである。
もう一つの好適な実施形態において、外因性folC遺伝子は、外因性folC遺伝子との同一性が≧80%、好ましくは≧90%、より好ましくは≧95%、より好ましくは≧98%、より好ましくは≧99%の遺伝子である(注:ヌクレオチドレベルにおいて)。
もう一つの好適な実施形態において、外因性folC遺伝子は、配列番号24または25で示されるものである。
もう一つの好適な実施形態において、前記ジヒドロ葉酸合成酵素は、配列番号22または23と少なくとも70%、たとえば少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
もう一つの好適な実施形態において、「顕著に向上した」とは、出発菌株と比べ、発酵液の体積1 Lあたり、工学菌株の葉酸発酵収量が少なくとも0.01 g/L超、好ましくは少な
くとも0.01-0.1 g/L、より好ましくは少なくとも0.1-1 g/Lであること、ならびに/あるいは
「顕著に向上した」とは、出発菌株と比べ、工学菌株の葉酸生産能力が100%、好まし
くは200-50000%増加または向上したことである。
もう一つの好適な実施形態において、「顕著に向上した」とは、出発菌株と比べ、工学菌株における葉酸生産能力が少なくとも50%、たとえば少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも500%、少なくとも1000 %、少なくとも2000%、少なくとも5000%、少なくとも10000%、少なくとも20000%または少なくとも50000%増加または向上したことで
ある。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸生合成酵素をコードする遺伝子を工学菌株に導入するか、上方調節する。
もう一つの好適な実施形態において、上方調節とは、出発菌株(野生型)と比べ、葉酸生合成遺伝子を導入または上方調節した工学菌株において、葉酸生合成遺伝子の発現レベルが少なくとも80%、より好ましくは少なくとも100%、200%、300%、400%、500%、600%または800%増加したことである。
もう一つの好適な実施形態において、上方調節とは、出発菌株(野生型)と比べ、葉酸生合成遺伝子を導入または上方調節した工学菌株において、葉酸生合成遺伝子の発現レベルが少なくとも50%、たとえば少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも500%、
少なくとも1000%、少なくとも2000%、少なくとも5000%、少なくとも10000%、少なく
とも20000%または少なくとも50000%あることである。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸生合成遺伝子は、folE/mtrA、folB、folK、folP/sul、folA/dfrA、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸生合成遺伝子は、folE/mtrA、folB、folK、folP/sul、folA/dfrAから選ばれる少なくとも1種類の遺伝子(たとえば少なくとも2種類、少なくとも3種類、少なくとも4種類または少なくとも5種類の遺伝子)である。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸生合成遺伝子は、細菌または真菌由来のもので、好ましくはバチルス属、ラクトコッカス属およびアシュビア属から選ばれる。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸生合成遺伝子は、細菌、好ましくはバチルス属の種の細菌、最も好ましくはバチルス・サブチリスまたはラクトコッカス・ラクティスまたはアシュビア・ゴシッピイ由来のものである。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸生合成遺伝子の発現産物は、GTPシクロヒド
ロラーゼ、7,8-ジヒドロネオプテリンアルドラーゼ、2-アミノ-4-ヒドロキシ-6-ヒドロメチルジヒドロプテリジンピロホスホキナーゼ、ジヒドロプテロイン酸合成酵素、ジヒドロ葉酸還元酵素、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれるポリペプチドまたはその誘導体を含む。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸生合成遺伝子の発現産物は少なくとも1種類
の葉酸生合成に関与する酵素である。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸生合成に関与する少なくとも1種類の酵素は
遺伝子工学微生物に対して異種のものである。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸生合成に関与する少なくとも1種類の酵素は
細菌または真菌由来のもので、好ましくはバチルス属、ラクトコッカス属、シェワネラ属、ビブリオ属およびアシュビア属から選ばれる。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸生合成に関与する少なくとも1種類の酵素は
バチルス・ズブチリス、ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus Lactis)、シェワネラ・バイオレイシア(Shewanella violacea)、ビブリオ・ナトリエゲンス(Vibrio natriegens)またはアシュビア・ゴシッピイ由来のものである。
もう一つの好適な実施形態において、GTPシクロヒドロラーゼの活性を有するポリペプ
チドは、配列番号7と少なくとも70%、たとえば少なくとも80%、少なくとも85%、少な
くとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性有するアミノ酸配列を含む。
もう一つの好適な実施形態において、7,8-ジヒドロネオプテリンアルドラーゼの活性を有するポリペプチドは、配列番号8と少なくとも70%、たとえば少なくとも80%、少なく
とも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
もう一つの好適な実施形態において、2-アミノ-4-ヒドロキシ-6-ヒドロメチルジヒドロプテリジンピロホスホキナーゼの活性を有するポリペプチドは、配列番号9と少なくとも70%、たとえば少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少
なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
もう一つの好適な実施形態において、ジヒドロプテロイン酸合成酵素の活性を有するポリペプチドは、配列番号10と少なくとも70%、たとえば少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
もう一つの好適な実施形態において、ジヒドロ葉酸還元酵素の活性を有するポリペプチドは、配列番号12と少なくとも70%、たとえば少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
もう一つの好適な実施形態において、GTPシクロヒドロラーゼは、アミノ酸配列が配列
番号7で示されるものである。
もう一つの好適な実施形態において、GTPシクロヒドロラーゼは、コード配列が配列番
号1で示されるものである。
もう一つの好適な実施形態において、7,8-ジヒドロネオプテリンアルドラーゼは、アミノ酸配列が配列番号2で示されるものである。
もう一つの好適な実施形態において、7,8-ジヒドロネオプテリンアルドラーゼは、コード配列が配列番号8で示されるものである。
もう一つの好適な実施形態において、2-アミノ-4-ヒドロキシ-6-ヒドロメチルジヒドロプテリジンピロホスホキナーゼは、アミノ酸配列が配列番号3で示されるものである。
もう一つの好適な実施形態において、2-アミノ-4-ヒドロキシ-6-ヒドロメチルジヒドロプテリジンピロホスホキナーゼは、コード配列が配列番号9で示されるものである。
もう一つの好適な実施形態において、ジヒドロプテロイン酸合成酵素は、アミノ酸配列が配列番号4で示されるものである。
もう一つの好適な実施形態において、ジヒドロプテロイン酸合成酵素は、コード配列が配列番号10で示されるものである。
もう一つの好適な実施形態において、ジヒドロ葉酸還元酵素は、アミノ酸配列が配列番号6で示されるものである。
もう一つの好適な実施形態において、ジヒドロ葉酸還元酵素は、コード配列が配列番号12で示されるものである。
もう一つの好適な実施形態において、工学菌株は以下の方法によって得られたものである:
(a)出発菌株における内因性folC遺伝子の発現レベルおよび/または活性を低下させ、そして外因性folC遺伝子を導入する。
もう一つの好適な実施形態において、前記方法は、さらに、葉酸生合成遺伝子を出発菌株に導入するか、上方調節する工程(b)を含む。
もう一つの好適な実施形態において、生産能力は、発酵収量(収率)を含む。
第二の側面では、葉酸、その塩、その前駆体またはその中間体の製造方法であって、
(i)請求項1に記載の工学菌株を提供する工程、
(ii)工程(i)に記載の工学菌株を培養することにより、葉酸、その塩、その前駆体
またはその中間体の1つまたは複数の化合物を含有する発酵産物を得る工程、
(iii)任意に、工程(ii)で得られた発酵産物を分離・精製し、さらに葉酸、その塩
、その前駆体またはその中間体の1つまたは複数の化合物を得る工程、
(iv)任意に、工程(ii)または(iii)で得られた産物から酸性または塩基性の条件
を経てさらに葉酸、その塩、その前駆体またはその中間体の異なる化合物を得る工程を含み、
ここで、葉酸、その塩、その前駆体またはその中間体の構造式が式Iで表され、
Figure 2022546435000002
かつ、R1、R2、a、a'、b、b’は上記で定義された通りであることを特徴とする方法。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸、その塩、その前駆体またはその中間体は葉酸である。
別の側面では、葉酸、その前駆体またはその中間体を製造する方法であって、
(i)請求項1に記載の工学菌株を提供する工程、
(ii)工程(i)に記載の工学菌株を培養することにより、葉酸を含有する発酵産物を
得る工程、
(iii)任意に、工程(ii)で得られた発酵産物を分離・精製し、さらに葉酸、その前
駆体またはその中間体を得る工程を含むことを特徴とする方法。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸、その塩、その前駆体またはその中間体の構造式が式Iで表される。
Figure 2022546435000003
(ただし、aは単結合の場合、a’はなしであるか、a’は単結合の場合、aはなしである。
bは単結合の場合、b’はなしであるか、b’は単結合の場合、bはなしである。
R1は、-H、-CH3(5-メチル)、-CHO(5-ホルミル)、-CH=または=CH-(5,10-メチレン)、-CH2-(5,10-メチレン)、-CH=NH(5-イミノメチル)、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
R2は、-H、-CHO(10-ホルミル)、-CH=、=CH-(5,10-メチレン)、-CH2-(5,10-メチレン)、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。)
もう一つの好適な実施形態において、工学菌株の培養温度が32-42℃、好ましくは34-39℃、より好ましくは36-39℃、たとえば約37℃である。
もう一つの好適な実施形態において、工学菌株の培養時間が10-70 h、好ましくは24-60
h、より好ましくは36-50 hである。
もう一つの好適な実施形態において、工学菌株の培養のpHが6-8、好ましくは6.5-7.5、より好ましくは6.8-7.2である。
もう一つの好適な実施形態において、前記方法は、さらに、工程(ii)の培養過程でp-アミノ安息香酸(PABA)を添加する工程を含む。
もう一つの好適な実施形態において、p-アミノ安息香酸(PABA)は、p-アミノ安息香酸カリウム、p-アミノ安息香酸ナトリウム、p-アミノ安息香酸メチル、p-アミノ安息香酸エチル、p-アミノ安息香酸ブチル、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な実施形態において、さらに、工程(i)または(ii)または(iii)で得られた産物を酸性または塩基性の条件下に置き、さらに誘導体の化合物を得る工程を含む。
第三の側面では、本発明の第一の側面に記載の工学菌株の製造方法であって、以下の工程を含む方法を提供する:
(a)出発菌株における内因性folC遺伝子の発現レベルを低下させ、そして外因性folC
遺伝子を導入することにより、請求項1に記載の工学菌株を得る。
もう一つの好適な実施形態において、前記方法は、さらに、葉酸合成調節遺伝子を出発菌株に導入するか、上方調節する工程(b)を含む。
もう一つの好適な実施形態において、前記方法は、
(a1)宿主細胞における内因性folC遺伝子をノックアウトする工程、
(b1)前記宿主細胞を培養する工程を含み、ならびに
前記方法は、
(a2)外因性folC遺伝子を担持する発現ベクターを提供する工程、
(b2)前記発現ベクターを宿主細胞に導入する工程、
(c2)前記宿主細胞を培養する工程を含む。
もう一つの好適な実施形態において、前記ベクターはプラスミド、コスミドまたは核酸断片である。
第四の側面では、本発明の第一の側面に記載の工学菌株の使用であって、発酵で葉酸、その塩、その前駆体またはその中間体を生産する工学菌株として用いられる使用を提供する。
第五の側面では、遺伝子工学微生物、好ましくは細菌または酵母であって、i)ほかの
面において同様の微生物(参照微生物)と比べ、ジヒドロ葉酸合成酵素の活性およびホリルポリグルタミン酸合成酵素の活性を有するポリペプチドをコードする内因性遺伝子の発現レベルが低下し、ならびにii)ジヒドロ葉酸合成酵素の活性のみを有する異種ポリペプチドを発現するように修飾されたものを提供する。
もう一つの好適な実施形態において、ほかの面において同様の微生物と比べ、内因性遺伝子の発現レベルが少なくとも50%、たとえば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも100%低下する。
もう一つの好適な実施形態において、ジヒドロ葉酸合成酵素の活性およびホリルポリグルタミン酸合成酵素の活性を有するポリペプチドをコードする内因性遺伝子は既に失活している。
もう一つの好適な実施形態において、ジヒドロ葉酸合成酵素の活性およびホリルポリグルタミン酸合成酵素の活性を有するポリペプチドをコードする内因性遺伝子は遺伝子配列の一部または全部の欠失によって失活している。
もう一つの好適な実施形態において、ジヒドロ葉酸合成酵素の活性およびホリルポリグルタミン酸合成酵素の活性を有するポリペプチドをコードする内因性遺伝子は遺伝子folCである。
もう一つの好適な実施形態において、ジヒドロ葉酸合成酵素の活性およびホリルポリグルタミン酸合成酵素の活性を有するポリペプチドをコードする内因性遺伝子は内因性遺伝子folCである。
もう一つの好適な実施形態において、ジヒドロ葉酸合成酵素の活性およびホリルポリグルタミン酸合成酵素の活性を有するポリペプチドをコードする内因性遺伝子は、配列番号5で示される核酸配列と少なくとも70%、たとえば少なくとも80%、少なくとも85%、少
なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
もう一つの好適な実施形態において、内因性遺伝子によってコードされる同時にジヒドロ葉酸酵素の活性およびホリグルタミン酸合成酵素の活性を有するポリペプチドは、配列番号11で示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、たとえば少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同
一性を有するアミノ酸配列を含む。
もう一つの好適な実施形態において、ジヒドロ葉酸合成酵素の活性のみを有する異種ポリペプチドは、細菌または真菌由来のもので、好ましくはラクトバチルス・ロイテリおよびアシュビア・ゴシッピイから選ばれる。
もう一つの好適な実施形態において、ジヒドロ葉酸合成酵素の活性のみを有する異種ポリペプチドは、配列番号22または23と少なくとも70%、たとえば少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
もう一つの好適な実施形態において、遺伝子工学微生物は、ほかの面において同様の微生物(参照微生物)と比べ、顕著に向上した葉酸、その前駆体またはその中間体の生産能力を有するようにさらに修飾されている。
もう一つの好適な実施形態において、ほかの面において同様の微生物と比べ、葉酸、その前駆体またはその中間体の生産能力が少なくとも50%、たとえば少なくとも100%、少
なくとも200%、少なくとも500%、少なくとも1000%、少なくとも2000%、少なくとも5000%、少なくとも10000%、少なくとも20000%または少なくとも50000%増加している。
もう一つの好適な実施形態において、遺伝子工学微生物は、ほかの面において同様の微生物(参照微生物)と比べ、少なくとも1種類(たとえば少なくとも2種類、少なくとも3
種類、少なくとも4種類または少なくとも5種類)の葉酸生合成に関与する酵素の増加した発現レベルを有するようにさらに修飾されている。
もう一つの好適な実施形態において、ほかの面において同様の微生物と比べ、葉酸生合成に関与する酵素をコードする少なくとも1種類(たとえば少なくとも2種類、少なくとも3種類、少なくとも4種類または少なくとも5種類)の遺伝子の発現レベルが少なくとも50
%、たとえば少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも500%、少なくとも1000%
、少なくとも2000%、少なくとも5000%、少なくとも10000%、少なくとも20000%または少なくとも50000%増加している。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸生合成に関与する酵素をコードする少なくとも1種類の遺伝子は、folE/mtrA、folB、folK、folP/sulおよびfolA/dfrAからなる群から
選ばれる。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸生合成に関与する酵素は、GTPシクロヒドロ
ラーゼの活性を有するポリペプチド、7,8-ジヒドロネオプテリンアルドラーゼの活性を有するポリペプチド、2-アミノ-4-ヒドロキシ-6-ヒドロメチルジヒドロプテリジンピロホスホキナーゼの活性を有するポリペプチド、ジヒドロプテロイン酸合成酵素の活性を有するポリペプチドおよびジヒドロ葉酸還元酵素の活性を有するポリペプチドからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸生合成に関与する酵素をコードする少なくとも1種類の遺伝子は遺伝子工学微生物に対して異種のものである。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸生合成に関与する酵素をコードする少なくとも1種類の遺伝子は、細菌または真菌由来のもので、好ましくはバチルス属、ラクトコッ
カス属およびアシュビア属から選ばれる。
もう一つの好適な実施形態において、前記葉酸生合成に関与する酵素をコードする少な
くとも1種類の遺伝子は、バチルス・サブチリス、ラクトバチルス・ラクティスおよびア
シュビア・ゴシッピイから選ばれる細菌または真菌由来のものである。
もう一つの好適な実施形態において、遺伝子工学微生物は、ほかの面において同様の微生物(参照微生物)と比べ、葉酸生合成に関与する少なくとも1種類(たとえば少なくと
も2種類、少なくとも3種類、少なくとも4種類または少なくとも5種類)の酵素の増加した発現レベルを有するようにさらに修飾されている。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸生合成に関与する少なくとも1種類の酵素は
、GTPシクロヒドロラーゼの活性を有するポリペプチド、7,8-ジヒドロネオプテリンアル
ドラーゼの活性を有するポリペプチド、2-アミノ-4-ヒドロキシ-6-ヒドロメチルジヒドロプテリジンピロホスホキナーゼの活性を有するポリペプチド、ジヒドロプテロイン酸合成酵素の活性を有するポリペプチドおよびジヒドロ葉酸還元酵素の活性を有するポリペプチドからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸生合成に関与する少なくとも1種類の酵素は
遺伝子工学微生物に対して異種のものである。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸生合成に関与する少なくとも1種類の酵素は
細菌または真菌由来のもので、好ましくはバチルス属、ラクトコッカス属、シェワネラ属、ビブリオ属およびアシュビア属から選ばれる。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸生合成に関与する少なくとも1種類の酵素は
バチルス・ズブチリス、ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus Lactis)、シェワネラ・バイオレイシア(Shewanella violacea)、ビブリオ・ナトリエゲンス(Vibrio natriegens)またはアシュビア・ゴシッピイ由来のものである。
もう一つの好適な実施形態において、GTPシクロヒドロラーゼの活性を有するポリペプ
チドは、配列番号7と少なくとも70%、たとえば少なくとも80%、少なくとも85%、少な
くとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
もう一つの好適な実施形態において、7,8-ジヒドロネオプテリンアルドラーゼの活性を有するポリペプチドは、配列番号8と少なくとも70%、たとえば少なくとも80%、少なく
とも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
もう一つの好適な実施形態において、2-アミノ-4-ヒドロキシ-6-ヒドロメチルジヒドロプテリジンピロホスホキナーゼの活性を有するポリペプチドは、配列番号9と少なくとも70%、たとえば少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少
なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
もう一つの好適な実施形態において、ジヒドロプテロイン酸合成酵素の活性を有するポリペプチドは、配列番号10と少なくとも70%、たとえば少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
もう一つの好適な実施形態において、ジヒドロ葉酸還元酵素の活性を有するポリペプチドは、配列番号12と少なくとも70%、たとえば少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
もう一つの好適な実施形態において、遺伝子工学微生物は細菌である。
もう一つの好適な実施形態において、遺伝子工学微生物はバチルス属の細菌である。
もう一つの好適な実施形態において、遺伝子工学微生物はバチルス・サブチリスの細菌である。
第六の側面では、葉酸またはその塩、その前駆体またはその中間体を製造する方法であって、i)培地において、適切な培養条件で本発明の第五の側面に記載の遺伝子工学微生
物を培養することによって前記葉酸、その前駆体またはその中間体を含有する発酵産物を得る工程、ii)任意に、前記葉酸、その前駆体またはその中間体を分離および/または精
製する工程を含む方法を提供する。
もう一つの好適な実施形態において、工程i)は32-42℃、好ましくは34-39℃、より好
ましくは36-39℃、たとえば約37℃の培養温度で行われる。
もう一つの好適な実施形態において、工程i)は10-70時間、好ましくは24-60時間、よ
り好ましくは36-50時間の時間で行われる。
もう一つの好適な実施形態において、工程i)はpHが6-8、好ましくは6.5-7.5、より好
ましくは6.8-7.2の範囲内で行われる。
もう一つの好適な実施形態において、葉酸またはその塩、その前駆体またはその中間体は式I化合物である。
Figure 2022546435000004
(ただし、aは単結合の場合、a’はなしであるか、a’は単結合の場合、aはなしである。
bは単結合の場合、b’はなしであるか、b’は単結合の場合、bはなしである。
R1は、-H、-CH3(5-メチル)、-CHO(5-ホルミル)、-CH=または=CH-(5,10-メチレン)、-CH2-(5,10-メチレン)および-CH=NH(5-イミノメチル)からなる群から選ばれる。
R2は、-H、-CHO(10-ホルミル)、-CH=、=CH-(5,10-メチレン)および-CH2-(5,10-メチレン)からなる群から選ばれる。)
もう一つの好適な実施形態において、さらに、培養工程(i)でp-アミノ安息香酸(PABA)を添加する工程を含む。
もう一つの好適な実施形態において、p-アミノ安息香酸(PABA)は、p-アミノ安息香酸カリウム、p-アミノ安息香酸ナトリウム、p-アミノ安息香酸メチル、p-アミノ安息香酸エチ
ル、p-アミノ安息香酸ブチル、またはこれらの組み合わせから選ばれる。
もう一つの好適な実施形態において、さらに、工程(i)または(ii)で得られた産物
を酸性または塩基性の条件下に置き、さらに誘導体の化合物を得る工程を含む。
もう一つの好適な実施形態において、(a)ほかの面において同様の微生物(参照微生
物)と比べ、ジヒドロ葉酸合成酵素の活性およびホリルポリグルタミン酸合成酵素の活性を有するポリペプチドをコードする内因性遺伝子の発現レベルを低下させる工程、ならびにb)ジヒドロ葉酸合成酵素の活性のみを有する異種ポリペプチドを発現させる工程を含
む。
もう一つの好適な実施形態において、aa)前記微生物におけるジヒドロ葉酸合成酵素の活性およびホリルポリグルタミン酸合成酵素の活性を有するポリペプチドをコードする内因性遺伝子を失活させ、たとえば遺伝子配列の一部または全部をなくす工程、ならびに/
あるいはbb)ジヒドロ葉酸合成酵素の活性のみを有する異種ポリペプチドをコードする核酸配列を含む外因性核酸分子を前記微生物に導入する工程を含む。
もちろん、本発明の範囲内において、本発明の上記の各技術特徴および下記(たとえば実施例)の具体的に記述された各技術特徴は互いに組合せ、新しい、または好適な技術方案を構成できることが理解される。紙数に限りがあるため、ここで逐一説明しない。
図1は、葉酸のコア構造を示す。天然の葉酸において、プテリン環はテトラヒドロの形態(図に示す)または7,8-ジヒドロの形態で存在する。当該環は化学的に生成する葉酸において完全に酸化されている。葉酸は、通常、1番目のグルタミン酸と結合した約8個以下の残基のγ位結合のポリグルタミルのテイルを有する。一つの炭素単位(ホルミル基、メチル基など)をN5および/またはN10の位置とカップリングさせることにより、5-ホルミル葉酸、10-ホルミル葉酸または5-メチル葉酸を合成することができる。 図2は、ラクトコッカス・ラクティスの遺伝子で構成される葉酸オペロンの例示の概略図を示す。 図3は、アシュビア・ゴシッピイ(A. gossypii)の遺伝子で構成される葉酸オペロンの例示の概略図を示す。 図4は、バチルス・サブチリスの遺伝子で構成される葉酸オペロンの例示の概略図を示す。 図5は、Pvegプロモーターの下にテトラサイクリン耐性遺伝子(TetR)、異種folC2-LRまたはfolC2-AG遺伝子を有するFolC干渉カセットの概略図を示し、フランキングの相同末端は天然folC標的遺伝子の破壊のためのものである。DNA干渉カセットのPCR増幅のためのプライマーの位置は線で示される。 図6は、10-ホルミル葉酸の標準品のスペクトルを示す。黒色:UV信号、赤色:MS/MS信号。 図7は、CE 20Vにおけるm/z 470由来のSRM断片を示す。 図8は、5-ホルミル-THFの標準品のスペクトルを示す。黒色:UV信号、赤色:MS/MS信号。 図9は、CE 20Vにおけるm/z 474由来のSRM断片を示す。 図10は、5-メチル-THFの標準品のスペクトルを示す。黒色:UV信号、赤色:MS/MS信号。 図11は、CE 20Vにおけるm/z 460由来のSRM断片および発酵液のサンプルのスペクトルを示す。黒色:UV信号、赤色:MS走査信号。 図12は、CE 20Vにおけるm/z 472由来のSRM断片を示す。RT=10分の新たなピークの特性で10-ジヒドロ-ホルミル葉酸と同定された。 図13は、発酵液のサンプルのスペクトルを示す。黒色:UV信号、赤色:MS走査信号。 図14は、10-ホルミルジヒドロ葉酸が酸素ガスの存在下で10-ホルミル葉酸に酸化される概略図、10-ホルミルジヒドロ葉酸が過酸化水素の存在下で10-ホルミル葉酸に酸化される概略図および10-ホルミルジヒドロ葉酸が過ヨウ素酸ナトリウムの存在下で10-ホルミル葉酸に酸化される概略図を示す。 図15は、10-掘るミス葉酸が酸性媒体において脱ホルミルして葉酸になる概略図を示す。 図16は、10-掘るミス葉酸が塩基性媒体において脱ホルミルして葉酸になる概略図を示す。 図17は、葉酸生産の生物過程の概要を示す。葉酸(mg/L):黒星、グルコース濃度(g/L):白四角、アセトイン濃度(g/L):黒四角、PABA濃度(mg/L):白丸、PABA仕込み(mg/L):縦線、光密度:黒丸。 図18は、バチルス・サブチリスの菌種w.t. 168、菌株VBB38、菌株FL21およびFL23のシェーカー5 ml増幅実験における総葉酸生産力価を示す。
[詳述]
幅広く深い研究および大量のスクリーニングを行ったところ、発明者は、意外に、出発菌株において内因性folC遺伝子の発現レベルを低下させ、同時に外因性folC遺伝子を導入し、そしてただ生合成の葉酸に1種類のグルタミン酸を添加すると、葉酸、その塩、その
前駆体またはその中間体の生産能力が顕著に向上することを見出した。また、本発明者は、さらに、葉酸生合成遺伝子(たとえば、folE/mtrA、folB、folK、folP/sul、folA/dfrA)を出発菌株に導入するか、上方調節しても、顕著に葉酸、その塩、その前駆体またはその中間体の生産能力が顕著に向上することを見出した。発明者は、さらに、意外に、上記のように得られた菌株の培養過程でp-アミノ安息香酸(PABA)を添加すると、さらに葉酸、その塩、その前駆体またはその中間体の生産能力が顕著に向上することを見出した。これに基づき、発明者らが本発明を完成した。
本明細書で用いられるように、「異種」とは、ポリペプチドが、通常、宿主生物において見られるか、宿主生物によって製造(すなわち、発現)されることがなく、異なる種から由来することである。
本明細書で用いられるように、「失活」とは、検討さえる遺伝子が機能性タンパク質を発現しなくなることである。遺伝子配列の一部または全部の欠失、遺伝子の読み枠のシフト、ミスセンス/ナンセンス突然変異の導入、あるいは遺伝子発現を制御する配列、たと
えばプロモーター、エンハンサー、アッテネーター、リボソーム結合部位などを含む、遺伝子に隣接する領域の修飾のため、修飾されたDNA領域が自然に遺伝子を発現しない可能
性がある。標的遺伝子は、遺伝子配列の一部または全部の欠失、たとえば遺伝子の置換によって失活することが好ましい。
PCR、サザンブロッティングなどの周知の方法によって細菌の染色体における遺伝子の
存在の有無を検出することができる。また、ノーザンブロッティング、定量RT-PCRなどを含む様々な周知の方法で遺伝子から転写されるmRNA量を測定することによって遺伝子の発現レベルを推測することができる。当該遺伝子によってコードされるタンパク質の量は、SDS-PAGEに続くイムノブロット分析(ウェスタンブロッティング分析)などを含む公知の方法によって測定することができる。
本発明において、用語「遺伝子工学菌株」と「遺伝子工学微生物」は入れ替えて使用してもよい。
出発菌株
本明細書で用いられるように、用語「本発明の出発菌株」または「本発明の出発微生物
」とは、ゲノムにおいてジヒドロ葉酸合成酵素の活性およびホリルポリグルタミン酸合成酵素の活性を有するポリペプチドがコードされる任意の細菌または真菌、たとえば任意のバチルス属の種、たとえばバチルス・サブチリスのことで、入れ替えて使用してもよい。
一つの好適な実施形態において、出発菌株は工業用微生物遺伝・選択研究所(Institute of Genetics and Selection of Industrial Microorganisms)のロシア国家工業用微生物寄託センター(Russian National Collection of Industrial Microorganisms)から獲得または購入され、番号がVKPM B-2116で、汎用の代替名がVNIIGenetika-304またはVBB38である。
本発明の出発菌株の生理・生化的特徴は、リボフラビン生合成の調節不全、プリン塩基生合成の調節不全、8-アザグアニンの存在下における生長能力、ロセオフラビンの存在下における生長能力である。
なお、出発菌株は番号がVKPM B-2116の菌株に限られない。当該菌株は、さらに、それ
由来の菌株を含む。
葉酸、その塩、その前駆体またはその中間体
本発明において、葉酸、その塩、その前駆体またはその中間体は式Iで表される。
Figure 2022546435000005
(ただし、aは単結合の場合、a’はなしであるか、a’は単結合の場合、aはなしである。
bは単結合の場合、b’はなしであるか、b’は単結合の場合、bはなしである。
R1は、-H、-CH3(5-メチル)、-CHO(5-ホルミル)、-CH=または=CH-(5,10-メチレン)、-CH2-(5,10-メチレン)、-CH=NH(5-イミノメチル)、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
R2は、-H、-CHO(10-ホルミル)、-CH=、=CH-(5,10-メチレン)、-CH2-(5,10-メチレン)、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。)
葉酸はB群ビタミンのうちの一つの重要なビタミンで、幅広く食品および動物飼料の強
化ならびに食事サプリメントの生産に使用される。葉酸は、通常、新生児の神経管欠陥のリスクを低下させるために、妊娠期間中に女性にサプリメントとして使用される。長期間の補充は、卒中および心血管疾患のリスクの小幅な低下にも関わる。
「葉酸」は、複数のビタミンの形態、葉酸およびそのホモログの命名に使用される用語
で、テトラヒドロ葉酸(ビタミンの活性化形態)、メチルテトラヒドロ葉酸(血清における主な形態)、メチレンテトラヒドロ葉酸、フォリン酸、および葉酸が含まれる。
従来の葉酸生産は化学合成に基づくものである。2,4,5-トリアミノ-6-ヒドロキシピリ
ミジン、1,1,3-トリクロロアセトンおよびN-(4-アミノベンゾイル)-L-グルタミン酸とい
う三つの主要成分から酸沈降・塩基精製を経て縮合してプテロイン酸モノグルタミン酸塩が生成する。このような葉酸の化学的生産プロセスは、低収率、大量の廃水の発生、重度な環境汚染などの欠点が存在する。
発明者は、出発菌株に対して遺伝子工学の改変を行うことにより、顕著に当該菌株における葉酸、その塩、その前駆体またはその中間体の生産能力を向上させることができることを見出した。
本発明の「葉酸、その塩、その前駆体またはその中間体の生産能力」とは、葉酸系化合物、その塩、その前駆体またはその中間体の生産能力で、すなわち、その前駆体またはその中間体の「工業生産グレード」、「工業的潜在力」、「工業生産能力」、「生産能力」に該当し、入れ替えて使用することができ、発酵収量が少なくとも0.01 g/L、好ましくは少なくとも0.05-0.1 g/L、より好ましくは少なくとも0.5-1 g/Lであることで、発酵液の
全体積で計算する当該範囲内における任意の整数および非整数の値で、ここで重複説明を省略する。
本発明の実験において、本発明の遺伝子工学菌株(たとえば、バチルス・サブチリス)では、葉酸およびその塩、その前駆体またはその中間体の合成能力が顕著に向上し、振とうフラスコ実験における収量が333 mg/Lにも達することが示された。野生型菌株(たとえば、バチルス・サブチリス)では、葉酸およびその前駆体またはその中間体の合成能力が劣り、収量がわずか0.31 mg/Lしか達さなかった。これは非常に予想外のことである。
folC遺伝子
一部の細菌、たとえば、バチルス・サブチリスにおいて、ジヒドロプテロイン酸(ジヒドロ葉酸合成酵素(DHFS)の活性、EC 6.3.2.12)にL-グルタミン酸を添加した後、γ-カルボキシ基を介してテトラヒドロ葉酸にL-グルタミン酸(ホリルポリグルタミン酸合成酵素(FPGS)の活性、EC 6.3.2.17)を添加し、同様の酵素FolCで触媒される。逆に、真核生物
およびほかの一部の細菌において、DHFSおよびFPGS酵素の活性は異なる遺伝子でコードされる。ほかの多くの細菌と同様に、バチルス・サブチリスでは、γ位結合のポリグルタミン酸のテイルを葉酸に添加することで、このような必須の補助因子が環境に逃げないように溶解度を増加させる。そのため、バチルス・サブチリスFolCはホリルポリグルタミン酸合成酵素(FPGS)の活性を有し、最初から葉酸を生合成する経路においてジヒドロ葉酸合成酵素として作用する以外、そのγ-カルボキシ基を介して葉酸のポリグルタミル化を触媒
する。葉酸のポリアニオンは細胞外に輸送されず、細胞内に留まって増強する(Sybesma
ら、2003c)。また、FPGS酵素の産物であるホリルポリグルタミン酸は葉酸生合成酵素の
強い阻害剤である(McGuireとBertino、1981)。そのため、葉酸の収量を増加させるため、天然folC遺伝子をノックアウトし、必要なジヒドロ葉酸合成酵素(DHFS)の活性のみをコードする異種のfolC遺伝子に変えることにより、葉酸のポリグルタミル化をなくし、必要なグルタミン酸部分のみを添加することになる。ジヒドロ葉酸合成酵素(DHFS)のみを有してホリルポリグルタミン酸合成酵素(FGPS)の活性がないFolCホモログは、多くの細菌の種、たとえばラクトバチルス・ロイテリおよび多くの真核生物、たとえばアシュビア・ゴシッピイに見られる。
葉酸生合成遺伝子
本発明において、葉酸生合成遺伝子はfolE/mtrA、folB、folK、folP/sulおよびfolA/df
rAを含む。
葉酸分子はグアノシン三リン酸(GTP)由来の一つのプテリン部分を有し、p-アミノ安
息香酸(pABA)および少なくとも一つのグルタミン酸分子と結合する。そのため、葉酸を最初から生合成するには、GTP、pABAおよびグルタミン酸という三つの前駆体が必要である
葉酸の生合成は、GTPを四つの連続した工程において6-ヒドロキシメチル-7,8-ジヒドロプテリジンピロホスファート(DHPPP)に転換させることによって行われる。第一工程は、GTPシクロヒドロラーゼI(EC 3.5.4.16)(遺伝子folE/mtrA)によって触媒され、GTPの広範な転換が関わり、プテリジン環の構造になる。脱リン酸化後、プテリジン分子はアルドラーゼ(EC 4.1.2.25)(遺伝子folB)およびピロホスホキナーゼ(EC 2.7.6.3)(遺伝子folK)によ
る反応を経て、活性化されたピロリン酸化したDHPPPが生成する。ジヒドロプテロイン酸
合成酵素(EC 2.5.1.15)(遺伝子folP/sul)による触媒で、p-アミノ安息香酸(pABA)とDHPPPが1回目の縮合をしてジヒドロプテロイン酸が生成する。2回目の縮合はグルタミン酸とジヒドロプテロイン酸がジヒドロ葉酸合成酵素(DHFS)(EC 6.3.2.12) (遺伝子folC)によって反応してジヒドロ葉酸が生成する。その後、DHFはDHF還元酵素-DHFR(EC 1.5.1.3) (遺伝
子folA/dfrA)によって生物活性を有する補助因子のテトラヒドロ葉酸(THF)に還元される
本発明における葉酸生合成遺伝子の情報は表1に示す。

Figure 2022546435000006
Figure 2022546435000007
Figure 2022546435000008
Figure 2022546435000009
Figure 2022546435000010
Figure 2022546435000011
Figure 2022546435000012
Figure 2022546435000013
Figure 2022546435000014
Figure 2022546435000015
Figure 2022546435000016
Figure 2022546435000017
Figure 2022546435000018
工学菌株およびその製造方法
本発明の「工学菌」、「工学菌株」および「遺伝子工学菌株」は入れ替えて使用することができ、いずれも内因性folC遺伝子の発現レベルを低下させ、かつ外因性folC遺伝子を導入したものである。一つの好適な実施形態において、葉酸合成調節遺伝子(たとえば、folE/mtrA、folB、folK、folP/sul、folA/dfrA)も導入または上方調節されてもよい。
なお、本発明の工学菌株は出発菌株よりも顕著に向上した葉酸、その前駆体またはその中間体の生産能力を有し、ここで、葉酸、その前駆体またはその中間体の構造は式Iで表
される。
本発明の工学菌株に転換するための出発菌株はバチルス属に属する菌株、特にバチルス・サブチリスである。野生型の出発菌株は葉酸、前駆体または中間体の合成能力が劣り(Zhuら、2005)、あるいは工業的に必要な量の葉酸、その前駆体またはその中間体の合成
能力を備えない。本発明の工学菌は遺伝子改変後、一つのGlu残基のみが生成する葉酸、
その前駆体またはその中間体に添加されることで、葉酸が細胞から発酵培地へ分泌される発現型が増強し、葉酸、その前駆体またはその中間体の生産能力が顕著に向上し、あるいは出発菌株よりも当該能力が大幅に向上する。好適に、「顕著に増加する」とは、その出発菌株と比べ、工学菌株における葉酸、その塩、その前駆体またはその中間体の生産能力が少なくとも100%、好ましくは少なくとも200-50000%増強または増加することである。
また、本発明の工学菌株に転換可能な出発菌株は下記表3における菌株を含んでもよい

本発明の工学菌株は、以下の方法によって得られる。
(a1)宿主細胞における内因性folC遺伝子をノックアウトする。
(b1)前記宿主細胞を培養する。そして、
当該方法は以下の工程を含む。
(a2)外因性folC遺伝子を担持する発現ベクターを提供する。
(b2)発現ベクターを宿主細胞に導入する。
(c2)前記宿主細胞を培養する。
なお、宿主細胞は出発菌株である。
ここで、一つの部分があり、すなわち、任意のバチルス・サブチリス菌株から生成する葉酸化合物は、その後、異なる誘導体、特に化学的工程を使用する後記の実施例に記載の葉酸に転換してもよい。
薬物組成物および施用様態
本発明の菌株の発酵産物における葉酸またはその前駆体またはその中間体は薬物の製造に使用することができる。本発明の化合物は哺乳動物、たとえばヒトに施用することができ、そして経口、直腸、胃腸外(静脈内、筋肉内または皮下)、局部で施用することができる。これらの化合物は、単独で投与してもよく、あるいはほかの薬学的に許容される化合物と併用して投与してもよい。なお、本発明の化合物は、組み合わせて投与してもよい。
経口投与のための固体剤形は、カプセル、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤を含む。これらの固体剤形において、活性化合物は通常、少なくとも一種の不活性賦形剤(または担体)、たとえばクエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムと混合されるか、あるいは、(a)充填剤または相溶剤、たとえば、でん粉、乳糖、ショ糖、グルコース、マンニトールや
ケイ酸、(b)バインダー、たとえば、ヒドロメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン
、ポリビニルピロリドン、ショ糖やアラビアゴム、(c)保湿剤、たとえば、グリセリン、(d)崩壊剤、たとえば、寒天、炭酸カルシウム、馬鈴薯澱粉やタピオカ澱粉、アルギン酸、ある複合ケイ酸塩や炭酸ナトリウム、(e)溶液遅延剤、たとえばパラフィン、(f)吸収促進剤、たとえば、アンモニウム化合物、(g)湿潤剤、たとえばセタノール、グリセリンモノ
ステアレート、(h)吸着剤、たとえば、カオリン、また(i)潤滑剤、たとえば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウム、またはこれらの混合物、のような成分と混合される。カプセル、錠剤および丸剤において、剤形はさらに緩衝剤を含んでよい。
固体剤形、たとえば錠剤、ピル、カプセル、丸剤や顆粒剤は、コーディングやシェル、たとえば腸衣および本分野で既知のほかの材料で製造することができる。遮光剤を含んでもよく、そして活性化合物またはこのような組成物における化合物の放出は遅延様態で消化管の一部で放出してもよい。使用可能なしてもよい配合成分の例は重合体およびワックス材料である。必要により、活性化合物は1つまたは複数の上記賦形剤とマイクロカプセ
ル化の形態にしてもよい。
経口投与に用いられる液体剤形は、薬学的に許容される乳剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤またはエリキシル剤を含む。活性化合物の以外、液体剤形は、本分野でよく使用される不活性希釈剤、たとえば水またはほかの溶媒、相溶剤および乳化剤、たとえば、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、プロピレングリコール、1、3-ブタ
ンジオール、ジメチルホルムアミドおよび油類、特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油やゴマ油またはこれらの物質の混合物を含んでもよい。
これらの不活性希釈剤のほか、組成物はさらに補助剤、たとえば、湿潤剤、乳化剤や懸濁化剤、甘味料や香料を含んでもよい。
活性化合物のほか、懸濁液は、さらに懸濁剤、たとえばエトキシ化イソオステアリンデカノール、ポリオキシエチレンソルビトールや硝酸イソソルビド、微晶質セルロース、メトキシアルミニウムや寒天またはこれらの混合物などを含んでもよい。
胃腸外注射用組成物は、生理的に許容される無菌の水溶液または非水溶液、分散体、懸濁液や乳液、および無菌の注射液または分散体に再構築するための無菌粉末を含む。適切な水性または非水性担体、希釈剤、溶媒または賦形剤は、水、エタノール、多価アルコールおよびこれらの適切な混合物を含む。
局所投与のための本発明の化合物の剤形は、軟膏剤、散剤、湿布剤、駆出剤や吸入剤を含む。無菌条件で活性成分を生理学的に許容される担体および任意の防腐剤、緩衝剤、または必要によって駆出剤と一緒に混合する。
薬物組成物を使用する場合、安全有効量の本発明の化合物を治療が必要な哺乳動物(た
とえばヒト)に施用するが、ここで、投与量は薬学的に有効な投与量で、体重60 kgの個体には、毎日の投与量は、通常、1-1000 mg、好ましくは20-500 mgである。勿論、具体的はいずれ量は、さらに投与の様態、個体の健康状況およびほかの要素を考えるべきで、すべて熟練の医者の技能範囲内である。
本発明の主な利点は以下の通りである。
(1)本発明の方法によって遺伝子工学改変された菌株は、生成する葉酸、その塩、そ
の前駆体またはその中間体に一つのGlu残基のみが添加されることで、葉酸が細胞から発
酵培地へ分泌される発現型が増強し、葉酸およびその前駆体またはその中間体の生産能力が顕著に向上する。また、当該菌株の特徴は葉酸生合成遺伝子が過剰発現し、生産能力がさらに向上する。
(2)工学菌株は遺伝的に安定し、突然変異しやすくない。
(3)工学菌株は標準の発酵培地においてほかの工業的なバチルス・サブチリス菌株に
相当する生長を示す。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに説明する。なお、これらの実施例は本発明を説明するために用いられるものだけで、本発明の範囲の制限にはならないと理解されるものである。以下の実施例で具体的に説明されていない実験方法の条件は、通常、Sambrookら、「モレキュラー・クローニング:研究室マニュアル」(ニューヨーク、コールド
・スプリング・ハーバー研究所出版社、1989) に記載の通常の条件、あるいは「微生物学:実験マニュアル」(James CappuccinoとNatalie Sherman編、Pearson Education出版社)に記載の条件、あるいはメーカーのお薦めの条件に従う。別途に説明しない限り、百分率および部はいずれも重量百分率および重量部である。
別途に説明しない限り、実施例で使用された材料はいずれも市販品である。
実施例1:バチルス・サブチリスのゲノムにおける葉酸生合成遺伝子の同定
葉酸生合成経路に関与する遺伝子および酵素は文献で既知のもので、そしてKEGGデータベース (www.genome.jp/kegg/pathway.html) で詳しく記載さている。BLASTアルゴリズムでバチルス・サブチリスのゲノムおよびタンパク質データベースを研究することにより、バチルス・サブチリスの重要な葉酸生合成遺伝子のヌクレオチドおよびタンパク質の配列を得た。葉酸生合成遺伝子および酵素の配列は「クエリ(query)」として導入され、相
応するバチルス・サブチリスの配列は「ヒット(hits)」と確認された。葉酸生合成遺伝子の配列は下記表2に示す。
Figure 2022546435000019
実施例2:葉酸生合成の合成遺伝子の合成、バチルス・サブチリスに対する最適化
アミノ酸配列(配列番号7、8、9、10および12)は遺伝子コドン最適化(IDTインテグレー
テッドDNAテクノロジーズ社からのコドン最適化ツール)によりバチルス・サブチリスにおけるタンパク質の発現を向上させた。合成されるDNA断片(それぞれ配列番号13、14、15
、16および17)は、RBS配列、遺伝子過剰発現のための調節プロモーター配列(たとえばp15、配列番号38)が添加され、そしてさらに葉酸オペロンカセットに必要な両末端短リンカー配列が組み立てられるように設計された。
実施例3:葉酸オペロンの組み立て
・バチルス・サブチリス遺伝子から組み立てられる葉酸オペロン
バチルス・サブチリス遺伝子由来の重要な葉酸生合成遺伝子はDNA断片(配列番号13、14、15、16および17)に合成され、葉酸オペロン(FOL-OP-BS2)の組み立てに使用される
。葉酸オペロンをバチルス・サブチリスゲノムに組み込むため、2つのさらなるlacA ホモログおよびエリスロマイシン選択マーカー(配列番号18および19)のDNA断片を設計して
合成し、安定したゲノムへ組み込みに使用した。
葉酸オペロンの組み立ての第一の工程において、特定のプライマー組(配列番号13の断片に対するプライマー対の配列番号26と配列番号27を、配列番号17の断片に対するプライマー対の配列番号32と配列番号28を、配列番号15の断片に対するプライマー対の配列番号33と配列番号29を、配列番号16の断片に対するプライマー対の配列番号34と配列番号30を、配列番号14の断片に対するプライマー対の配列番号35と配列番号31) で単独のDNA断片
に対してPCR増幅を行った。
Eppendorf循環装置およびPhusionポリメラーゼ(Thermo Fisher)で断片を増幅し、緩衝
液はメーカーより提供され、200 μM dNTP、5% DMSO、各プライマー 0.5 μMおよび約20
ng 鋳型が添加され、最終体積が50 μlで、32サイクル持続した。
使用されるプログラム:98℃ 2分間
32サイクル(98℃ 30s、65℃ 15s、72℃ 30s)
72℃ 5分間
10℃ 維持
各断片のPCRは0.8%アガロースゲルにおいて行われ、そしてWizard PCR精製キット(Promega)で提供されるプロトコールによりゲールから精製した。重複の制限および連結の工
程により断片を人工葉酸オペロンに組み立てた。兼用的な制限性末端の連結に成功するように、NdeI とAseI 制限部位の組み合わせを使用した。各工程の連結後、合併した断片を新たな鋳型として次のPCR増幅を行った。50 μlの体積で制限し、5 μlのFD緑色緩衝液、3 μlの選ばれた酵素および約1500 ngのPCR断片を添加した。Wizard SVゲルおよびPCR精
製システム(PCR Clean-up system)で制限した後、断片を精製し、前者の二つは連結に
使用した。2,5 U T4 DNAリガーゼ(Thermo Fisher)およびメーカーより提供される緩衝液
を使用し、5% PEG 4000および二つの断片を添加し、モルが1:1で、最終体積が15 μlで
あった。次の工程において、1 μlの不活性化連結物を新たな50 μL PCRにおける鋳型と
して使用し、ここで、プライマーが配列番号26と配列番号28で、同様のプログラム(より長い伸長時間を有する)を使用し、上記のように混合した。0.8%アガロースゲルにおい
てPCRを行い、ゲルから断片を切り出して精製した(cleaned)。Asel 制限酵素で精製さ
れた新たな断片(配列番号13と配列番号17の組み合わせ)を切断し、そして第三の断片(
配列番号15)と連結するときに使用される余分な精製後、Ndelで切断して精製した。鋳型
としての連結物に対して新たなPCRを行った後、さらに同様のプロトコールによって断片4および5を添加することで、5つも葉酸生合成遺伝子の断片を製造した。
総葉酸の培養・測定後、バチルス・サブチリス遺伝子から組み立て構築された葉酸オペロン(図4に示す)を転換に使用し(実施例5を参照する)、菌株FL722を生成させた(実施例13を参照する)。
・ラクトコッカス・ラクティス・亜種ラクティス(Lactococcus lactis subsp. lactis)のラクトコッカス・ラクティス遺伝子由来の葉酸オペロン
PCRによってラクトコッカス・ラクティス・亜種ラクティス由来のラクトコッカス・ラ
クティス葉酸オペロンFOL-OP-LL (配列番号49)の異種遺伝子(folA、clpX、ysxL、folB、folE、folP、ylgG およびfolC)を増幅し、そして分離されたゲノムDNAを鋳型として使用した。PCR増幅に使用されたプライマーは二つの単独のPCR反応に使用されるように設計され、そのうち、第一のPCR反応プライマー(配列番号45と配列番号46)は特異的なゲノムDNAからの遺伝子の増幅に、第二のPCR反応プライマー(配列番号47と配列番号48)はオペロンの両末端へのさらなる制限部位(NheIとNotI)の導入に使用された。PCR産物を低コピーベ
クターpFOL1にサブクローニングし、そしてFOL-OP-LLオペロンの起点に強い構成的プロモーターP15(配列番号38)を添加した。FOL-OP-LLオペロンの組み込みカセットを構築するため、クロラムフェニコール耐性カセットおよびamyE 遺伝子座の下流ホモログを導入した
。最後の工程において、SbfI制限酵素でクローニングベクターから組み込みカセットを実現させ、連結に使用し、多コピーゲノム組み込みを実現させた。ラクトコッカス・ラクティス・亜種ラクティスのラクトコッカス・ラクティス遺伝子から組み立て構築された葉酸オペロン(図2に示す)は、形質転換して菌株FL84を生成させ、培養後、総葉酸の測定を
行った(実施例13を参照する)。
・アシュビア・ゴシッピイ(Ashbya gossypii) (Eremothecium gossypii)遺伝子由来の
葉酸オペロン
2種類の合成された葉酸生合成遺伝子fol1-AG (配列番号50)およびfol2-AG (配列番号51)で既知のビタミンB2を生成する糸状真菌アシュビア・ゴシッピイ(Ashbya gossypii) (Eremothecium gossypii)由来の発現カセット(FOL-OP-AG)を構築した。バチルス・サブチリ
スの最適な発現のため、遺伝子に対してコドン最適化を行って2つの単独のDNA断片FOL1-AG(配列番号52)およびFOL2-AG(配列番号53)を構成し、それにさらなる調節プロモーター配列(プロモーターP15)を導入した。まず、クロラムフェニコール耐性カセットの下流のSpeI/BamHI 制限部位および強い構成的プロモーターP15でFOL1-AG断片を低コピーベクターpFOL1にクローニングした。第二の工程において、EcoRV 制限部位でFOL2-AG断片を低コピーベクターpFOL2のamyE 遺伝子座のホモログの上流にサブクローニングした。次の工程において、プライマー(配列番号54と配列番号55)でPCRによってP15-fol2-AGおよびamyE ホモ
ログを含むDNA断片を増幅し、そしてBamHI 制限部位でプラスミドpFOL1のクロラムフェニコール耐性カセットおよびP15-fol1-AGの下流にクローニングした 。最後の工程において、プライマー(配列番号56と配列番号57)組み立てられた組み込みカセットFOL-OP-AGをPCRによって増幅し、そしてPCR産物を細胞の形質転換に使用した。総葉酸の培養・測定後、
構築されたアシュビア・ゴシッピイ遺伝子から組み立てられた葉酸オペロン(図3に示す)
を転換に使用し、菌株FL260を生成させた(実施例13を参照する)。
実施例4:folC置き換えのための遺伝的構築体の組み立て
複数のグルタミン酸残基を葉酸に連結する天然のホリルポリグルタミン酸合成酵素(folC)を葉酸生合成において1つ目のグルタミン酸残基のみを連結するバリアントに置き換
えるため、相応する遺伝的構築体の生成に取り組んだ。folC干渉カセットは相応するプライマー対の配列番号43と配列番号44でgDNA B.subtilis VBB38からPCRによって増幅されたfolC相同末端で組み立てられた。PCR混合物はメーカーによって提供されたPhusionポリメラーゼ(Thermo Fisher)および緩衝液で調製され、5% DMSO、200 μM dNTPsおよび0.5 μMの各プライマーを最終体積が50 μLになるように添加し、計32サイクル(アニーリン
グ温度65℃、伸長時間2分間)であった。0.8%ガロースゲルから増幅されたPCR断片を切
り出し、WizardゲルおよびPCR精製システムキットによって精製し、そしてメーカーによ
って提供される緩衝AにおいてT4ポリヌクレオチドキナーゼ(Thermo Fisher)でリン酸化し、1 mM ATPを添加した。
製造された断片を低コピープラスミドpET-29c(Novagen)に連結し、当該プラスミドを予めFspA1 およびXhoI で切断し、DNAポリメラーゼI大 (Klenow)断片 (Thermo Fisher)で平滑末端にしてFastAP熱感受性アルカリホスファターゼ(Thermo Fisher)で脱リン酸化した
テトラサイクリン耐性カセット(配列番号21)はfolC遺伝子配列の破壊に使用された。Bsp119l制限酵素でプラスミドを切断し、テトラサイクリン耐性カセットをfolC 配列に挿入し、DNAポリメラーゼI大 (Klenow)断片(Thermo Fisher)で平滑末端にし、FastAPで脱リン酸化してT4 DNAリガーゼ(Thermo Fisher)で連結した。
また、ラクトバチルス・ロイテリ(folC2-LR) (配列番号22)およびアシュビア・ゴシッ
ピイ(folC2-AG) (配列番号23)由来の異種folC2 タンパク質配列はfolC2-LR (ラクトバチ
ルス・ロイテリ) (配列番号24)およびfolC2-AG(アシュビア・ゴシッピイ) (配列番号25)
の異種遺伝子発現のためのコドン最適化DNA配列の設計に使用された。DNA断片(IDTイン
テグレーテッドDNAテクノロジーズ社)を合成して2つの組み込みカセットを構築した(図5に示す)。まず、DNAポリメラーゼI大(Klenow)断片(Thermo Fisher)でPvegプロモーター(配列番号37)を含む平滑末端断片を生成し、そしてそれをfolC ホモログを有するプラス
ミドに連結し、事前にXbalで切断してDNAポリメラーゼI大 (Klenow)断片(Thermo Fisher)で平滑末端にした。
次に、BculおよびFspA1制限酵素で新たに構築されたプラスミドを切断してFastAPで脱
リン酸化した。その後、プラスミドをfolC2-LRにおける規則的な最適化配列folC2-AGに連結し、事前にBculおよびFspA1制限酵素で切断した。当該テトラサイクリン耐性プラスミ
ドにおいて、FspA1でプラスミドを制限して脱リン酸化した後、事前にEcoRI制限酵素で切断して平滑末端にしたプラスミドを連結した。構築されたプラスミドをPCRのプライマー
の配列番号43と配列番号44の鋳型として使用し、形質転換のためのfolC干渉/置換カセッ
トを生成させた。
実施例5 形質転換のための葉酸オペロン構築体の組み立て
葉酸オペロン(実施例3を参照する)を組み立てた後、葉酸生合成遺伝子を有するDNA断片をさらにXbal制限酵素で切断し、そしてプライマーの配列番号40と配列番号41(62℃、40 s)でエリスロマイシン耐性カセット(配列番号58)の合成DNA断片と連結し、そして連結の
ために兼用のDNA末端が確保されるようにXbaIで切断した。連結後、プライマー(配列番
号36と配列番号39)で断片全体をPCRによって増幅した。
組み立ての最後の工程において、lacA ホモログおよび調節プロモーター領域を有する
断片(配列番号18)を添加した。Spel制限酵素で断片を切断して連結に供した。連結混合物をプライマー(配列番号42と配列番号39)を有するPCR鋳型として使用し、それで人工
葉酸オペロン(図4に示す)の組み立てを完成させて発現カセット(配列番号20)として
用いてゲノムをバチルス・サブチリス菌株に形質転換した。
実施例6:葉酸生産の工学化のための可能なバチルス・サブチリス宿主菌株の選択
葉酸生産の工学化の出発菌株として様々なバチルス菌株が使用可能である(表3)。バ
チルス菌株は自然界から分離するか、培養物寄託センターから獲得することができる。中では、バチルス・サブチリス菌株から葉酸生産のための出発菌株を選んでもよいが、過剰にプリン生合成経路に関連する代謝物を生産するように、これらの菌株は従来の突然変異誘発と選択を経たものである。たとえば、過剰にリボフラビン、イノシンおよびグアノシンを生産する菌株を選んでもよい。好ましくはプリンおよびリボフラビン経路のランダムな突然変異誘発および毒性代謝阻害剤を経た菌株を選択するが、表3に含まれている。
Figure 2022546435000020
VKPM B2116菌株はバチルス・サブチリス168菌株(最も見られるバチルス・サブチリス
宿主菌株で、ゲノムが4 Mbpである)の交雑株で、バチルス・サブチリスW23菌株の6.4 kbpのDNAアイランドを有する。このような構造は大多数のバチルス・サブチリス工業菌株によく見られるもので、W23(原栄養型 TrpC+)DNAで168 菌株(トリプトファン栄養要求型
trpC-)を形質転換して得られたものである。ゲノムに一つの6.4 kbpのW23アイランドが
あり、通常のバチルス・サブチリスSMY菌株と同様で、公開された使用可能なゲノムを有
するバチルス・サブチリスのレガシー菌株の一つである(Zieglerら,168の起源, W23お
よびほかのバチルス・サブチリスのレガシー菌株,細菌学雑誌,2008, 21, 6983-6995)。VKPM B2116菌株はSMY菌株の直系の子孫で、従来の突然変異誘発および選択によって得ら
れたものである。当該菌株のもう一つの名称はバチルス・サブチリスVNII Genetika 304
である。当該菌株の構築は1980年に提出されたソ連特許SU908092に記載されている。その後の突然変異誘発および代謝阻害剤による選択によって突然変異が得られた。菌株VKPM B2116はロセオフラビン(ビタミンB2の有毒な類似体)に耐性を有し、リボフラビンキナーゼをコードするribC遺伝子が突然変異したためである。当該菌株は8-アザグアニン(プリン塩基の有毒な類似体)にも耐性を有する。
実施例7:folCの置き換えおよび葉酸生産のための最適な宿主菌株の生成
異種folC2 (folC2-AGまたはfolC2-LR)遺伝子発現カセットを構築した後(実施例4およ
び図5を参照する)、バチルス・サブチリスVBB38およびバチルス・サブチリスVBB38Δribの形質転換を行った。プライマーの配列番号43と配列番号44でPCRによって天然folC遺伝
子干渉のホモログを有する発現カセットを増幅した。形質転換後、テトラサイクリン耐性を有する集落を選び、異種folC2遺伝子(A. gossypiiまたはL. reuteri)で天然folC遺伝子を置き換え、cPCRおよび得られたPCR産物のシーケンシングによって遺伝的に確認した
。新たな菌株は総葉酸の収量の検出に使用し(図18を参照する)、そして上清液と細胞バイオマスの間の総葉酸分布を比較した。
実施例8:バチルス・サブチリスの形質転換
i)バチルス・サブチリスの自然形質転換
新鮮なバチルス・サブチリスプレートから10 mLのSpC培地を接種して一晩培養した。1.3 mLの一晩培養物を10 mLの新鮮なSpC培地に希釈した(9倍希釈)。OD450を測定したところ、約0.5程度であった。培養物を37℃、220 RPMで3時間10分生長した。もう一度OD450を測定したところ、約1.2-1.6の間であった。SpII(飢餓培地)で培養物を1:1で希釈した。3.5 mlの培養物と3.5 mlの飢餓培地を混合し、そして濃度が50 μg/mlのトリプトファン
を添加した。培養物を37℃、220 RPMでさらに2時間生長した。インキュベート後、培養物は多くとも1時間形質転換可能である。2 mL微量遠心管において500 μlの感受性細胞とDNA(5-20μl、濃度によって決まる)を混合し、そして37℃で30分振とうしてインキュベートした。300μlの新鮮なLBを入れて感受性細胞を回収し、そして37℃でさらに30分インキュベートした。微量遠心管を3000 RPMで5分遠心した。顆粒を再懸濁させて適切なビタミ
ンを有するLBプレートに敷いた。
培地:
10×T基準
150 mM 硫酸アンモニウム
800 mM K2HPO4
440 mM KH2PO4
35 mM クエン酸ナトリウム
SpC(最小培地)
100 mL 1×T基準
1 mL 50% グルコース
1.5 mL 1.2% MgSO4
2 mL 10% 酵母抽出物
2.5 mL 1% カザミノ酸
SpII(飢餓培地)
100 ml 1×T基準
1 ml 50% グルコース
7 ml 1.2% MgSO4
1 ml 10% 酵母抽出物
1 ml 1% カザミノ酸
0.5 ml 100 mM CaCl2
実施例10:qPCRによる葉酸オペロンのコピー数の測定
リアルタイム定量PCR (qPCR) 技術によって組み込まれたバチルス・サブチリスの人工
葉酸オペロン遺伝子のコピー数を確認した。葉酸を生成するバチルス・サブチリス形質転換体における人工葉酸オペロンの遺伝子基因 folP、folK、folE、dfrAおよびKnR(カナマイシン耐性遺伝子)のコピー数はqPCRおよびSYBR Green I検出によって推算した。qPCRによって人工バチルス・サブチリス葉酸オペロンにおけるカナマイシン耐性遺伝子(KnR)の
コピー数および葉酸生合成遺伝子folP、folK、folE、dfrAのコピー数を定量した。SW WizardゲノムDNA精製キット(Promega)によってバチルス・サブチリス菌株のゲノムDNAを分離した。OD260とOD280において分光光度法によってgDNAの濃度および純度を評価した。すべての実験において使用されたgDNA量が参照菌株のgDNA量と等しかった。遺伝子folP、folK、folE、dfrAおよびKnRを含有する人工葉酸オペロンの単一コピーのバチルス・サブチリ
スを遺伝子コピー数の相対的定量の参照菌株とした。ハウスキーピング遺伝子DxSはバチ
ルス・サブチリスのゲノムにおける単一コピーの遺伝子で、内因性の対照遺伝子として使用された。葉酸生合成遺伝子の遺伝子コピー数の定量は特定のプライマー組で行われ(プライマー対の配列番号59と配列番号60がfolP遺伝子に、プライマー対の配列番号61と配列番号62がfolK遺伝子に、プライマー対の配列番号63と配列番号64がfolE遺伝子に、プライマー対の配列番号65と配列番号66がdfrA遺伝子に使用された)、葉酸オペロンに連結したカナマイシン耐性マーカーの定量に(プライマー対の配列番号67と配列番号68)、参照のDxS遺伝子のプライマー対の配列番号71と配列番号72が使用された。StepOneTMリアルタイ
ム蛍光定量PCRシステムにおいてqPCR分析を行い、そして2-ΔΔCT方法によって定量した
人工BS-FOL-OP菌株における遺伝子の遺伝子コピー数は一つの遺伝子コピーを有する菌
株に対して数量化した。一つのコピー数を有するバチルス・サブチリス菌株のKnR遺伝子
を参照菌株とし、バチルス・サブチリス形質転換菌株における人工葉酸オペロンの遺伝子の遺伝子コピー数を相対的に定量した。単一コピーの遺伝子を有するバチルス・サブチリス菌株と比べ、遺伝子folP、folK、folE、dfrAおよびKnRのqPCR相対的定量では、RQ値が6倍増加した。葉酸高生産菌株のFL179およびFL722は葉酸合成オペロンの多コピー組み込みがあることが実証された。
実施例11:バチルス・サブチリス菌株の培養
凍結したクライオバイアルからの系列希釈液を調製し、そして適切な抗生物質をMBプレートに敷き、37℃で約48時間インキュベートした。さらなるテストのため、各菌株はMBプレートからの少なくとも10-20の単一集落を使用した。まず、新鮮なMBプレートに(同様
の濃度の抗生物質を使用した)改めて10-20の単一集落を補充してテストを行った。
栄養段階では、MC培地を使用し、各遠心管に1つのプラグで接種した(あるいは各バッ
フル付きの三角フラスコに5つのプラグ、あるいはマイクロタイタープレートにごく一部
のパッチ)。培地に適切な抗生物質を入れた。マイクロタイタープレートでは、96のディープウェルに500μlの培地を、遠心管では、5 mlの培地(50 ml遠心管において)を、三
角フラスコでは、25 ml(250 mlフラスコ)使用した。培養物を37℃において220 RPMで18-20時間インキュベートした。
生産培地(MD)への接種は栄養培地における18-20時間の後である。10%の接種物を使
用した(MWは50μl、遠心管は0.5 ml、三角フラスコは2.5 mlである)。各菌株は二つの
均等に分けられた試料でテストされた。マイクロタイタープレートでは、48のディープウェルに500μlの培地を、遠心管では、5 mlの培地を、バッフル付きの三角フラスコでは、25 ml使用した。針金は、三角フラスコにおける栓の代わりにガーゼを使用するように、
遠心管によりよく通気できるように使用された。培養物を37℃において220 RPMで48時間
インキュベートした。開発された手順に従い、微生物測定法によって24と48時間後の総葉酸力価を測定した。
最適な菌株候補は同様の手段で改めてテストし、そして数回の確認後、バイオリアクターにおけるテストに備えた。バイオリアクターのテストのために選定された菌株の100μlの凍結培養物を適切な抗生物質があるMBプレートに敷き、そして37℃で約48時間インキュベートした。各プレートに2 mlの無菌20%グリセリンでバイオマスを完全に収集した。収集されたバイオマスは100μlの均等に分けられた試料に分配されて-80℃で凍結された。
それはバイオリアクターのテストのワーキングセルバンクとして使用された。
培地の成分:
1) MB(プレート)
トリプトン 10 g/l
酵母抽出物 5 g/l
NaCl 5 g/l
マルトース 20 g/l
寒天 20 g/l
pH 7.2-7.4
高圧蒸気処理30分、121℃
高圧蒸気処理および冷却後、適切な抗生物質を入れた。
2) MC(栄養培地)
糖蜜 20 g/l
CSL 20 g/l
酵母抽出物 5 g/l
MgSO4・7H2O 0.5 g/l
(NH4)2SO4 5 g/l
成分を混合してpHを7.2-7.4とした。その後、最終濃度がKH2PO41.5 g/lおよびK2HPO4 3.5 g/lになるように、KH2PO4-K2HPO4溶液を入れた。培地を遠心管(5 ml/50 ml-遠心管)または三角フラスコ(25 ml/250 ml-バッフル付きの三角フラスコ)に分配し、そして121℃で30分高圧蒸気処理を行った。高圧蒸気処理後、最終濃度が7.5 g/lになるように、無
菌グルコースを添加した。接種前、抗生物質を添加した。
3) MD(生産培地)
酵母 20 g/l
コーンスティープリカー(CSL) 5 g/l
MgSO4・7H2O 0.5 g/l
p-アミノ安息香酸(pABA) 0.5g/L
成分を混合してpHを7.2-7.4とした。その後、最終濃度がKH2PO41.5 g/lおよびK2HPO4 3.5 g/lになるように、KH2PO4-K2HPO4溶液を入れた。培地は121℃で30分高圧蒸気処理を行った。高圧蒸気処理後、無菌尿素溶液(20 ml 原液、最終濃度6 g/L)、無菌グルコース
溶液(250 ml 原液、最終濃度100 g/Lグルコース)、無菌pABA溶液(100 ml 原液、最終
濃度0.5 g/L)および150 mlの無菌水を入れ、1 LのMD+pABA500培地を得た。接種前、適切
な抗生物質を入れた。その後、培地を無菌三角フラスコ(25 ml/250 ml-バッフル付きの
三角フラスコ)に分配した。
実施例12:発酵液における総葉酸の定量の微生物測定
エンテロコッカス・ヒラエ(Enterococcus hirae)NRRL B-1295の微生物測定法でバチ
ルス・サブチリス菌株において生成した総葉酸を検出した。微生物測定はバチルス・サブチリスが生成する細胞内(バイオマスに残る)および細胞外(培地に放出する)の総葉酸の評価に使用された。微生物測定では、指示生物であるエンテロコッカス・ヒラエNRRL B-1295を使用し、葉酸に栄養要求型がある。E. hiraeは葉酸(乳酸菌AOACブロス)に富む
生長培地において37℃で予め18-24時間培養した。その後、葉酸を含まない生長培地(葉
酸測定培地)において洗浄して残った葉酸を除去した。洗浄されたE. hirae培養物を葉酸を含まない測定培地に接種した。微生物測定は96ウェルマイクロタイタープレートにおいて行われた。適切に希釈された被験培地サンプルおよび葉酸標準溶液を指示菌株を含有する生長培地に添加し、プレートを37℃で20時間インキュベートした。指示生物の生長反応は培地サンプル/対照に存在する葉酸の量と正比例する。1組の葉酸標準溶液を生長培地および指示菌株に添加することにより、それぞれ測定して標準曲線を作った。波長600 nmにおける光密度(OD)を測定して生長を測量した。E. hiraeのテストサンプルに対する生長反応を既知の標準溶液の生長反応と定量的に比較した。上記のように製造して異なる濃度の葉酸を含有する希釈系列を測定した。既知の濃度の葉酸において測定されたOD600で描い
て標準曲線を得た。標準曲線でテストサンプルにおける総葉酸の量を計算した。指示生物のE. hirae NRRL B-1295で被験サンプルにおける0.05~0.7 ng/mLの範囲内の総葉酸濃度
を検出した。B. subtilis 菌株が生成する細胞外と細胞内の総葉酸は、適切に希釈されたテストサンプルを葉酸測定培地における指示生物のE. hiraeに添加して推算した。
実施例13:異なる出発菌株および初期folC置き換えおよび葉酸オペロン増幅菌株の総葉酸収量の分析
ここで、folC遺伝子がA. gossypii(バチルス・サブチリス菌株FL21)またはL. reuteri(バチルス・サブチリス菌株FL23)由来の異種folC2遺伝子で置き換えられた形質転換体および増幅された葉酸オペロンを有する形質転換体はシェーカースケール(5 ml 生産培
地MD)において総葉酸量をテストした。発酵後、慎重に発酵液サンプル(200 μl)を収
集して均質サンプルを得、そして冷えた抽出緩衝液(0.1 M リン酸塩緩衝液と1%(w/v)アスコルビン酸)において10倍希釈した。サンプルを14,000 rpmと4℃で10分遠心してろ
過して滅菌した(孔径0.22μm)。微生物測定では、サンプルを抽出緩衝液において連続
希釈し、微生物測定が構築できるまで4℃に維持した。表4に微生物測定法によって選定された菌株を測定した結果を示す。
Figure 2022546435000021
実施例14:LC-MSによる葉酸の形態および関連化合物の濃度の測定ならびに10-ホルミル-ジヒドロ葉酸および10-ホルミル葉酸を2つの主要産物とした同定
微生物分析以外、目的は相当短い分析稼働時間を有する、敏感な汎用の分析方法の開発である。当該方法は、揮発性移動相を兼ねるLCMSで、さらにUV検出が可能でなるべく多く葉酸関連分析物を好適なクロマトグラフィーによる分離ができる必要がある。
装置と材料:
当該方法は、PDA検出器付きのThermo Accela 1250 HPLC装置において開発され、MS/MS
ができる質量分析装置Thermo TSQ Quantum Access MAXと合わせ、hESI 源を備えるものである。方法は、Thermo Acclaim RSLC PA2、150x2.1 mm HPLCカラムに設置し、粒子径が2.2 μmである。PDA検出器は282 nmにセットされ、帯域幅が9 nmで、走査速度が80 Hzで、DAD走査範囲が200-800 nmである。カラム温度ボックスは60℃、トレイ冷却(tray cooling)は12℃にセットされる。仕込み溶媒が10%メタノール水溶液で、洗浄とフラッシュの体積が2000 μlである。仕込み量は10 μlにセットされるが、より高い濃度の分析物が必要な場合、1 μlにセットしてもよい。移動相Aは650 mM 酢酸水溶液で、移動相Bはメタノールである。移動相の流速は0.5 ml/minで、合計稼働時間は20分である。方法では、表5に
おける勾配プログラムおよび表6に記載のMS分校装置のパラメーターが使用される。
Figure 2022546435000022
Figure 2022546435000023
LCMS検出器をDAD検出器に連結した後、400-600 m/zモードにおいて走査し、SIMモード
においてそのM.W.+1およびMS/MSモードで分析物を観察した(表 6)。秤量して0.1 M NaOH 溶液(表 7 および表 8)に溶解させて標準品を調製し、そしてすぐにHPLC装置にセッ
トした。
Figure 2022546435000024
Figure 2022546435000025
当該方法は1000 mg/Lと高い分析物のMS/MS検出に線形応答があり、すべての標準品の相関性がいずれも90%と高かった。
実施例15:遺伝子組み換えバチルス・サブチリスによる異なる比率の葉酸およびその誘導体
ここで、folC遺伝子がA. gossypii(バチルス・サブチリス菌株FL21)またはL. reuteri(バチルス・サブチリス菌株FL23)由来の異種folC2遺伝子で置き換えられた形質転換体および増幅された葉酸オペロンを有する形質転換体はシェーカースケール(5 ml 生産培
地MD)において総葉酸量をテストした。
菌株を適切な抗生物質でMBプレートに粘着させ、そして37℃で2日培養した。振とうフ
ラスコ実験では、生長した菌株をFalconの50 mLコニカル型遠心管(1プラグ/5 ml)にお
ける5 mlのMC(シード)培地に移し、そしてロータリーシェーカーにおいて220 RPMと37
℃で16-18時間培養した。10%のシード培養物の接種跟源で5 mLの生産培地(MD+pABA500)
に接種した。菌株をロータリーシェーカーにおいて220 RPMと37℃で暗い環境で48時間培
養した。発酵後、慎重に発酵液サンプル(200 μl)を収集して均質サンプルを得、そし
て冷えた抽出緩衝液(0.1 M リン酸塩緩衝液と1%(w/v)アスコルビン酸)において10倍希釈した。サンプルを14,000 rpmと4℃で10分遠心してろ過して滅菌した(孔径0.22μm)。異なる葉酸の種類に対する定量は、実施例14に記載のようにHPLC方法を使用した。異なるバチルス・サブチリス菌株の結果を表9に、発酵液サンプルの代表的なHPLCクロマトグ
ラムを図13に示す。
Figure 2022546435000026
野生型菌株であるバチルス・サブチリス168と比べ、異種folC-AGおよびバチルス・サブチリス由来の葉酸生合成遺伝子を過剰発現する菌株FL179は43297%の10-ホルミル葉酸の
収量増加を示した。
実施例16:10-ホルミルジヒドロ葉酸から10-ホルミル葉酸への酸化による転換
発酵終了時、ブロスのHPLC分析で比較的に高い量(85面積%)の10-ホルミルジヒドロ
葉酸(10F-DHF)が検出された。また、10-ホルミルジヒドロ葉酸は10-ホルミル葉酸へ酸
化によって転換させることが可能であることが観察された(図14を参照する)。そのため、10-ホルミル葉酸の定量的転換を提供する方案の開発を始めた。その後の脱ホルミル化工
程はなるべく高い収量で葉酸を提供することが予想された。文献の検索では、特定のpH値の水溶液における空気のテトラヒドロ葉酸に対する酸化が記載された報道が見つかった(Reed1980)。当該報道によると、 pH値が4、7および10の場合、主な酸化産物はp-アミノ
ベンゾイルグルタミン酸(PABG)および6-ホルミルプテリンである。また、pH=10の場合の
み、中間体の7,8-ジヒドロ葉酸が検出された。発酵液の上清液に対して一連の酸化実験を行うことにより、10-ホルミルジヒドロ葉酸から10-ホルミル葉酸への快速の転換を促進した。いくつかの酸化試薬、たとえばO2、H2O2およびNaIO4をチェックした(図14を参照す
る)。
Figure 2022546435000027
10 mLの発酵液の上清液で50 mL丸底フラスコにおいて実験を行った。pH値は1.0 Mと0.1
M NaOH溶液で設定した。HPLCによって反応の進展と結果を測定した。HPLCサンプルは抽
出緩衝液(1% (w/v) アスコルビン酸含有0.1 Mリン酸塩緩衝液)において調製した。す
べての反応は環境温度(25℃)で光を避けて48時間撹拌した。
1 Mと0.1 M HClまたはNaOHで必要なpH値に調整した。低いpH値における反応が比較的に遅く、そして比較的に高い葉酸の総量を維持した(表 10、項目2-4)。逆に、高いpH値における反応(表 10、項目5-7)では、葉酸の総量は顕著に低下したものの、10-ホルミル
ジヒドロ葉酸の消耗が高くなった。代替の試薬、たとえば過酸化水素や過ヨウ素酸ナトリウムで酸化させることができると推測した。
代表的な実験プログラム:
発酵ブロスを4,500 rpmで遠心してゆっくり上清液を出した。10 mLの発酵液の上清液を50 mL丸底フラスコに移し、当該フラスコは撹拌棒、pH計および光を避けるためのアルミ
箔を備えた。水酸化ナトリウムまたは塩酸(1.0 Mと0.1 Mは微調整に使用する)を滴下し
てpH値を設定し、そして環境温度(25℃)で激しく撹拌して24時間反応させた。バルーンからの空気で反応混合物を吹いた。48時間撹拌した後、9 mLの抽出緩衝液(1% (w/v) アスコルビン酸含有0.1 Mリン酸塩緩衝液)で1 mLの各発酵液を希釈し、実験を2回繰り返した。懸濁液をボルテックスで撹拌し、4,500 rpmで遠心し、0.22 μm フィルターでろ過してHPLCによって分析した。
Figure 2022546435000028
10 mLの発酵液の上清液で50 mL丸底フラスコにおいて実験を行った。過酸化水素を30%水溶液の形態で1滴ずつ入れた。HPLCによって反応の進展と結果を測定した。HPLCサンプ
ルは抽出緩衝液(1%(w/v) アスコルビン酸含有0.1 Mリン酸塩緩衝液)において調製した。すべての反応は環境温度(25℃)で光を避けて48時間撹拌した。
50-500 mg/Lの濃度範囲で過酸化水素を添加し、10-ホルミルジヒドロ葉酸を酸化によって10-ホルミル葉酸へ転換させるための代替酸化剤で、よってより進んだ結果を提供する
(表 11)。反応の最初の24時間内で、10-ホルミルジヒドロ葉酸の濃度がその初期値の50%まで低下した。反応を48時間に延ばして良い転換率を提供することで、比較的に高い総葉酸合計量を維持した。
代表的な実験プログラム:
発酵ブロスを4,500 rpmで遠心してゆっくり上清液を出した。10 mLの発酵液の上清液を50 mL丸底フラスコに移し、当該フラスコは撹拌棒、pH計および光を避けるためのアルミ
箔を備えた。過酸化水素を30%の水溶液の形態で1滴ずつ入れ、そして反応混合物を環境
温度(25℃)で激しく24-48時間撹拌した。48時間撹拌した後、9 mLの抽出緩衝液(1% (w/v) アスコルビン酸含有0.1 Mリン酸塩緩衝液)で1 mLの各発酵液を希釈し、試験を2回繰
り返した。懸濁液をボルテックスで撹拌し、4,500 rpmで遠心し、0.22 μm フィルターでろ過してHPLCによって分析した。
Figure 2022546435000029
10 mLの発酵液の上清液で50 mL丸底フラスコにおいて実験を行った。一括に過ヨウ素酸ナトリウムを入れた。HPLCによって反応の進展と結果を測定した。HPLCサンプルは抽出緩衝液(1%(w/v) アスコルビン酸含有0.1 Mリン酸塩緩衝液)において調製した。すべての反応は環境温度(25℃)で光を避けて48時間撹拌した。
過ヨウ素酸ナトリウムはよく変わる基質の第一選択の試薬として使用される。当該試薬の初歩的な実験では、酸化による転換の有効濃度が1-10 g/Lの間であることが示された。5 g/Lと10 g/Lという2つの異なる濃度で過ヨウ素酸ナトリウムを添加した。反応の最初の24時間内で、10-ホルミルジヒドロ葉酸の濃度が初期値よりも顕著に低下した(表 12)。反応を48時間に延ばして非常に良い転換率を提供することで、比較的に高い総葉酸合計量を維持した。
代表的な実験プログラム:
発酵ブロスを4,500 rpmで遠心してゆっくり上清液を出した。10 mLの発酵液の上清液を50 mL丸底フラスコに移し、当該フラスコは撹拌棒、pH計および光を避けるためのアルミ
箔を備えた。一括に過ヨウ素酸ナトリウムを入れて反応混合物を環境温度(25℃)で24時間激しく撹拌した。48時間撹拌した後、9 mLの抽出緩衝液(1% (w/v) アスコルビン酸含有0.1 Mリン酸塩緩衝液)で1 mLの各発酵液を希釈し、実験を2回繰り返した。懸濁液をボルテックスで撹拌し、4,500 rpmで遠心し、0.22 μm フィルターでろ過してHPLCによって分析した。
実施例18:5Lバイオリアクター体積における葉酸の生産
適切な条件で培養して葉酸を生産するバイオリアクターにおいて、葉酸の生産は大幅に向上する。当該過程は予備培養物の製造および主要な流加バイオプロセスを含む。
i) 予備培養物の製造
菌株FL179のワーキングセルバンクをフラスコにおける予備培地(FOL-MC、表13)に接種
し、そしてロータリーシェーカーにおいて37℃と220 RPM(2”スロー)で11-14時間培養
した。
ii) 流加バイオプロセス
葉酸の生産は5LバイオリアクターにおいてFOL-ME培地で行われた(表14)。バイオリアクターの初期パラメーターは、撹拌 = 600 RPM、通気 = 1 vvmで、水酸化アンモニウム溶液でpHを7に維持した。10%の予備培養物をバイオリアクターに接種した。DOは空気飽和
度が30%以上に維持するように撹拌と気流で制御した。発酵液におけるグルコースが消耗されると、グルコースおよびCSL混合物の添加を始めた(表 15)。一定のレベルで、アセ
トイン(10 g/L以下)の蓄積にならないように仕込み速度を慎重に制御した。発酵液にアセトインが検出されないと、仕込み速度が低すぎる。発酵液におけるp-アミノ安息香酸(PABA)の濃度を定期的に測定することが必要で、そして500 mg/L以上になるように濃縮されたPABA原液(50 g/L)を分けて入れた。バイオプロセスは、通常、50時間内で完成する。葉酸生産のバイオプロセスの概要は図17に示す。
Figure 2022546435000030
Figure 2022546435000031
Figure 2022546435000032
実施例19:qPCRによる葉酸生合成遺伝子の発現レベルの測定
培養生長条件:バチルス・サブチリス培養物はLB培地において対数期まで増殖した。培養物を2倍体積のRNA保護細菌試薬(QIAGEN)と混合し、4500 rpmで10分遠心して-80℃で凍
結したか、すぐに処理した。細胞沈殿を200 μLの1 mg/mLリゾチーム含有TE緩衝液に15分再懸濁させ、細胞壁を除去した。メーカーのプロトコールに従い、QIAGEN Rneasy miniキットによってRNAを分離した。分光光度法によって得られたRNAの濃度と質量をチェックした。DNase(Ambionキット)で分離されたRNAを処理し、そしてRevertAid H Minus第一鎖cDNA合成キット(Thermo Scientific)によってcDNAに逆転写した。得られたcDNAを希釈し、最終のcDNA収量がcca 2.5 ng/μLであった。
得られたcDNAをqPCR分析(StepOneリアルタイム蛍光定量PCRシステム、Applied Biosystems)およびSYBR Green I(Thermo Scientific)検出によって分析した。リアルタイム
定量PCR(qPCR)技術によってに組み込まれたバチルス・サブチリス人工葉酸オペロン遺
伝子folP、folK、folE、dfrAにおける葉酸オペロン遺伝子の発現をを定量した。
内部対照遺伝子はqPCR発現を定量したデータの標準化の参照として、バチルス・サブチリスの16S rRNA遺伝子が使用された。葉酸生合成遺伝子の発現は特定のプライマー組で確認され(プライマー対の配列番号59と配列番号60がfolP遺伝子に、プライマー対の配列番号61と配列番号62がfolK遺伝子に、プライマー対の配列番号63と配列番号64がfolE遺伝子に、プライマー対の配列番号65と配列番号66がdfrA遺伝子に使用された)、内部対照として選ばれた16S遺伝子には、プライマー対の配列番号69と配列番号70が使用された。StepOneTMリアルタイム蛍光定量PCRシステムにおいてqPCR分析を行い、そして2-ΔΔCT方法に
よって定量した。
2つの単独のゲノムの位置(amyEおよびlacA)に多コピー合成葉酸オペロンがある最適
な葉酸生産菌株FL722が最も強い葉酸生合成遺伝子の発現レベルを有することが実証され
た。
実施例20:10-ホルミル葉酸から葉酸への化学的転換
酸を介する脱ホルミル化
10-ホルミル葉酸の脱ホルミル化は0.01 mmolスケール (5 mg)で行われた。撹拌棒を備
える2 mL微量遠心管に10-ホルミル葉酸を秤量して蒸留水(1 mL)に懸濁させた。酸(50当量、0.5mmol)で懸濁液を処理して環境温度で16時間撹拌した。その後、DMSO (800 μL)で懸濁液 (200 μL)を希釈し、ボルテックスミクサーにおいて均質化してHPLCにおいて分析した。脱ホルミル化の結果を表16に示す。
Figure 2022546435000033
すべての実験は2 mL微量遠心管において10-ホルミル葉酸(5 mg,0.01 mmol)で行われ
た。A 転換率はHPLCによって測定された。b n.d. - 検出されなかった。分析物がDowex 50WX2樹脂に吸着する可能性があるため、当該実験において10-ホルミル葉酸も葉酸も検出
されなかった。c TFA - トリフルオロ酢酸。d TCA - トリクロロ酢酸。e PTSA - p-トル
エンスルホン酸。
10-ホルミル葉酸と強い無機酸の脱ホルミル化はほとんど定量的に葉酸まで進んだ(表 16、項目1および8)。あるいは、より強い有機酸を使用した脱ホルミル化はほとんど同等の効率の葉酸を提供することができた(表 16、項目3、4および6)。予想通り、ギ酸および酢酸を使用した脱ホルミル化は転換を提供できなかった(表 16、項目5および7)。Dowex 50WX2樹脂の使用は脱ホルミル化のHPLC分析に開始材料または産物の検出を提供できず、それは樹脂に吸着して溶離が必要になるためである。
発酵液における10-ホルミル葉酸の酸を介するN-脱ホルミル化
前の実験では、図15に示すように、強酸で10-ホルミル葉酸の標準品を脱ホルミル化し
て完全に葉酸に転換できることを説明した。ここで、同原理をより複雑なシステム、すなわち、発酵液に応用した。続いて生物サンプルに対して実験を行うため、塩酸(HCl)を
脱ホルミル化試薬として選んだが、それは研究されるほかの酸よりも効率的で安価であるためである。実施例18からの発酵液のHPLC分析では、生合成の過程で形成したほかの葉酸のうち、大量の10-ホルミル葉酸があることが示された(10-ホルミル葉酸は46%の面積、5-イミノメチルテトラヒドロ葉酸は47%の面積、そして5-メチルテトラヒドロ葉酸は7%の面積である)。発酵液サンプルを1 M HClで異なるpHレベル(pH = 4、3、2、1および0)まで処理し、そして光を避けて環境温度(25℃)で24時間撹拌した。HPLC分析によると、低いpH値(pH = 1および0)の場合のみ、脱ホルミル化は適量の葉酸を提供した。これらの
結果に基づき、酸を介する脱ホルミル化のアプローチは葉酸の下流加工に適すると推測した。複雑なシステム(たとえば発酵液)においてコスト効率が高いホルミル葉酸類の脱ホルミル化方案を開発するため、さらなる酸量および反応温度の最適化が不可欠である。
実施例18からの十分に撹拌された発酵液を6つの撹拌棒とpH電極を備える100mL丸底フラスコに移した。撹拌しながら、表17に記載のいくつかのpH値(pH = 4、3、2、1、0)になるように塩酸を滴下した。
Figure 2022546435000034
UV光を遮断するためにフラスコをアルミ箔で包み、発酵混合物を環境温度(25℃)で24時間撹拌した。酸がなかったが(実験1)、正確な条件において制御されたサンプルを製
造できた。24時間撹拌した後、9 mLの抽出緩衝液(1% (w/v) アスコルビン酸含有0.1 M
リン酸塩緩衝液)で1 mLの各発酵液を希釈し、試験を2回繰り返した。懸濁液をボルテッ
クスで撹拌し、4500 rpmで遠心し、0.22 μm フィルターでろ過してHPLCによって分析し
た。表18にHPLCの結果をまとめた。HPLC分析によると、低いpHレベル(pH = 1および0)
の場合のみ、脱ホルミル化は適量の葉酸を提供した。つまり、酸を介する10-ホルミル葉
酸の脱ホルミル化を開発し、発酵の主な産物である。
Figure 2022546435000035


塩基を介する脱ホルミル化
化学文献を閲覧したところ、葉酸がより高いpHでより高い安定性を示すと記載された報道が見つかった。このようなpH値では、葉酸はより高い溶解度を示し、これは合成操作、精製および下流加工を簡略化させた。そのため、0.1 M NaOHを使用した一連のN-脱ホルミル化実験において、目的は10-ホルミル葉酸からクリーンに効率的に葉酸に転換すること
で(図16を参照する)、これは標的産物の発酵液からの分離を簡略化させる。0.01 mmol
スケール (5 mg)で10-ホルミル葉酸の分析標準品に対して初歩的な脱ホルミル化実験を行った。
代表的な実験プログラム:
撹拌棒とゴムセプタムを備える10 mL丸底フラスコに10-ホルミル葉酸を秤量した。0.1 M水酸化ナトリウム(50当量、0.5mmol、5 mL)で懸濁液を処理し、そして光を避けて環境温度で24-48時間撹拌した。その後、葉酸抽出緩衝液 (900 μL)で溶液 (100 μL)を希釈し
、ボルテックスミクサーにおいて均質化してHPLCにおいて分析した。HPLCにおいて3つの
時間に関連する均等に分けた試料をサンプリングして分析した。脱ホルミル化の結果を表19に示す。24時間後の1回目のサンプリングの期間で、0.1 M NaOHで10-ホルミル葉酸が脱ホルミル化してほとんど定量的に葉酸が生成した(表19、項目1)。48時間撹拌した後、HPLC分析に基づき、完全に反応させた。同様の条件において長時間撹拌したところ、新た
に形成した葉酸は144時間(6日)後も分解しなかった。
Figure 2022546435000036
10-ホルミル葉酸(5 mg、0.01 mmol)で10 mL丸底フラスコにおいて実験を行った。過
剰量の0.1 M NaOH(50.0 当量、5 mL)を入れた。実験開始時、10-FFAの質量濃度が約1000 mg/Lであった。HPLCによって反応の進展を測定した。HPLCサンプルは抽出緩衝液(1% (w/v) アスコルビン酸含有0.1 Mリン酸塩緩衝液)において調製した。
発酵液における10-ホルミル葉酸の塩基を介するN-脱ホルミル化
前の実験では、図16に示すように、0.1 M NaOHで10-ホルミル葉酸の標準品を脱ホルミ
ル化して完全に葉酸に転換できることを説明した。ここで、同原理をより複雑なシステム、すなわち、発酵液に応用した。脱ホルミル化の前、実施例18からの発酵液のHPLC分析では、大量の10-ホルミルジヒドロ葉酸(10F-DHF、60%の面積)、および10-ホルミル葉酸(10F-FA、40%の面積)があることが示された。異なるv/v比の0.1 M NaOH(1:1、1:2、1:3
および1:4)で実施例18からの発酵液サンプル(10 mL)を処理し、光を避けて環境温度(25℃)で24時間撹拌した。HPLC分析によると、発酵液/NaOHのv/vが1:1および1:2の実験では、表20に示すように(項目2および3)、脱ホルミル化にならず、10-ホルミルジヒドロ
葉酸が酸化によって10-ホルミル葉酸に転換された。その後、表20に示すように(項目4および5)、発酵液に対してNaOHの量が増加した場合(1:3および1:4)、HPLCによって顕著
な量の葉酸が検出された。興味深いのは、HPLCによって大量の10F-DHFが検出されたこと
から、比較的に高い量のNaOHはある程度で10F-DHFから10F-FAへの酸化による転換を阻害
したことである。
代表的な実験プログラム:
実施例18からの十分に撹拌された発酵液(10mL)を撹拌棒と光を避けるためのアルミ箔を備える50-100mL丸底フラスコに移した。水酸化ナトリウム(0.1M)を1滴ずつ入れて反応
系を環境温度(25℃)で24時間激しく撹拌した。24時間撹拌した後、9 mLの抽出緩衝液(1% (w/v) アスコルビン酸含有0.1 Mリン酸塩緩衝液)で1 mLの各発酵液を希釈し、試験
を2回繰り返した。懸濁液をボルテックスで撹拌し、4500 rpmで遠心し、0.22 μm フィルターでろ過してHPLCによって分析した。
Figure 2022546435000037
実施例18からの発酵液(FB3148、10mL)で50-100mL丸底フラスコにおいて実験を行った。FB3148に対する体積/体積比(1:1、1:2、1:3 和 1:4)で0.1 M NaOHを添加した。HPLCによ
って反応の進展と結果を測定した。HPLCサンプルは抽出緩衝液(1% (w/v) アスコルビン酸含有0.1 Mリン酸塩緩衝液)において調製した。すべての反応は環境温度(25℃)で光
を避けて24時間撹拌した。
実施例21:10-ホルミル葉酸の分離
収集後、5M NaOH水溶液で50 gの葉酸を含有する発酵液をpH = 12になるように調整した。溶液を4℃において10000 rpmで5分間遠心した。上清液に50 gの水酸化カルシウムを入
れて室温で懸濁液を2時間撹拌した。得られた懸濁液を沈降させ、デカントして100μl珪
藻土(Celite)で上清液をろ過した。ケーキを500 mLの水で洗浄してろ過した。ろ液を合併して最終体積が10 Lになるように希釈した。1N HClで清澄の葉酸希アルカリ溶液のpH値を7.0に調整し、70℃まで加熱した後、室温に冷却した。そして、溶液をろ過して中性のpH
において沈殿した不純物を除去した。1N HClで清澄のろ液をpH = 3になるように調整して氷の上において4時間冷却した。懸濁液をろ過して8LのpH=12の熱アルカリ性溶液(1M NaOHで調整)に再溶解させた。当該溶液に50 gの活性炭(1当量/重量の葉酸)を入れて溶液
を50℃に加熱して30分撹拌した。懸濁液をろ過し、ケーキを3 Lのアルカリ性水溶液(pH=12、NaOHで調整)で洗浄した。ろ液を合併して1N HClでpHを3.0に調整し、連続的に撹拌している間に添加した。得られたスラリーを氷の上において24時間または一晩冷却した。懸濁液をろ過して1 LのpH=3の酸性水溶液(pHは1N HClで調整)に再懸濁させた。さらに懸
濁液をろ過した後、得られたケーキを冷却して乾燥し、43 gの葉酸を得たが、10%の水分、そして無水の条件で測定された90.1%の葉酸を含有する。
実施例22 葉酸の分離
収集後、1M NaOH水溶液で30 gの葉酸を含有する発酵液をpH = 10になるように調整した。溶液を4℃において10000 rpmで5分間遠心した。得られた上清液を1N HClでpH 4.0に調
整し、70℃まで加熱した後、室温に冷却した。次に、100 gの珪藻土(Celite)で溶液を
ろ過した。ケーキを5 LのpH=10のアルカリ性溶液(1M NaOHで調整)に再懸濁させた。当
該溶液に50 gの活性炭(1当量/重量の葉酸)を入れて溶液を50℃に加熱して30分撹拌した。懸濁液をろ過し、ケーキを2 Lのアルカリ性水溶液(pH=12、NaOHで調整)で洗浄した。
ろ液を合併して1N HClでpHを3.0に調整し、連続的に撹拌している間に添加した。得られ
た沈殿を氷の上において16-24時間冷却した後、ろ過して1 LのpH=3の酸性水溶液(pHは1
N HClで調整)に再懸濁させた。さらに懸濁液をろ過して得られた沈殿ケーキを乾燥し、21
gの10-ホルミル葉酸を得たが、含有量を測定したところ、92%であった。
比較例1
バチルス・サブチリスの野生型菌株「168」、本発明の非遺伝子組み換え出発菌株VBB38(菌株 VKPM B2116 = B.subtilis VNII Genetika 304)およびその形質転換体の総葉酸収量を確認したが、ここで、天然folC遺伝子はワンステップでA. gossypii(B.subtilis 菌株 FL21)またはL.reuteri(B.subtilis 菌株 FL23)由来の異種folC2 (FOL3)遺伝子に置き換えた。シェーカースケール(5 ml 生産培地 MD)において菌株をテストし、そして葉酸検出のための標準微生物測定法によって総葉酸を測定した。
結果、標準培養条件において(T=37C、栄養豊富のLB培地において有酸素)、バチルス
・サブチリスの天然folC遺伝子が欠失して同時に異種folC2遺伝子を発現しないノックア
ウト突然変異体のみが生長できなかったことが示された。
文献:
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3. Reed, LS, Archer MC. 1980. 空气によるテトラヒドロ葉酸の酸化. J Agric Food Chem. 28(4):801-805.
4. Rossi, M., Raimondi, S., Costantino, L., Amaretti, A., 2016. 葉酸:化学と微生物生産の関連性。ビタミン、生物色素および抗酸化剤の工業的生物技術. Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA, Weinheim, Germany, pp. 103-128.
5. Scaglione and Panzavolta. 2014. 葉酸と5-メチルテトラヒドロ葉酸は違う. Xenobiotica. 44(5):480-488.
6. Serrano-Amatriain C, Ledesma-Amaro R, Lopez-Nicolas R, Ros G, Jimenez A, Revuelta JL. 2016. 工学化されたアシュビア・ゴッシピイによる葉酸の生産. Metab Eng. 38:473-482.
7. Sybesma W, Starrenburg M, Kleerebezem M, Mierau I, de Vos WM, Hugenholtz J.
2003a. ラクトコッカス・ラクティスの代謝工学による葉酸収量の増加. Appl Environ Microbiol. 69(6):3069-3076.
8. Sybesma, W., Starrenburg, M., Tijsseling, L., Hoefnagel, M.H.N., Hugenholtz, J., 2003b. 培養条件の乳酸菌の葉酸生成に対する影響. Applied and Environmental Microbiology. 69(8):4542-4548.
9. Sybesma W, Van Den Born E, Starrenburg M, Mierau I, Kleerebezem M, De Vos WM, Hugenholtz J. 2003c. ラクトコッカス・ラクティスの代謝工学の葉酸のポリグルタミルテイルの長さに対する制御・調節. Appl Environ Microbiol. 69(12):7101-7107.
10. Zeigler DR, Pragai Z, Rodriguez S, Chevreux B, Muffler A, Albert T, Bai R,
Wyss M, Perkins JB. 2008. 168、W23およびほかのバチルス・サブチリスのレガシー菌
株の起源, Journal of Bacteriology. 190(21):6983 - 6995
11. Zhu T, Pan Z, Domagalski N, Koepsel R, Ataai MM, Domach MM. 2005. 葉酸の全合成を増強するためのバチルス・サブチリス工学. Appl Environ Microbiol. 71(11):7122-7129.12. Walkey CJ, Kitts DD, Liu Y, van Vuuren HJJ. 2015. Bioengineering yeast to enhance folate levels in wine. Process Biochem 50(2):205-210.
各文献がそれぞれ単独に引用されるように、本発明に係るすべての文献は本出願で参考として引用する。また、本発明の上記の内容を読み終わった後、当業者が本発明を各種の変動や修正をすることができるが、それらの等価の形態のものは本発明の請求の範囲に含
まれることが理解されるはずである。

Claims (18)

  1. 葉酸、その塩、その前駆体またはその中間体を合成するための遺伝子工学菌株であって、前記工学菌株において、内因性folC遺伝子の発現レベルが低下し、かつ外因性folC遺伝子が導入され、そして前記工学菌株は出発菌株よりも顕著に向上した葉酸、その前駆体またはその中間体の生産能力を有する遺伝子工学菌株。
  2. 葉酸、その塩、その前駆体またはその中間体の構造式が式Iで表されることを特徴とす
    る請求項1に記載の遺伝子工学菌株。
    Figure 2022546435000038
    (ただし、aは単結合の場合、a’はなしであるか、a’は単結合の場合、aはなしである。
    bは単結合の場合、b’はなしであるか、b’は単結合の場合、bはなしである。
    R1は、-H、-CH3(5-メチル)、-CHO(5-ホルミル)、-CH=または=CH-(5,10-メチレン)、-CH2-(5,10-メチレン)、-CH=NH(5-イミノメチル)、またはこれらの組み合わせからなる
    群から選ばれる。
    R2は、-H、-CHO(10-ホルミル)、-CH=、=CH-(5,10-メチレン)、-CH2-(5,10-メチレン)、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。)
  3. 前記工学菌株の出発菌株は、大腸菌(Escherichia coli)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、カンジダ・
    ファマタ(Candida famata)、アシュビア・ゴシッピイ(Ashbya gossypii)、またはこ
    れらの組み合わせからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の遺伝子工学
    菌株。
  4. 前記外因性folC遺伝子は、アシュビア・ゴシッピイまたはラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)由来のものであることを特徴とする請求項1に記載の遺伝子工学菌株。
  5. 外因性folC遺伝子の発現産物は、ジヒドロ葉酸合成酵素(DHFS-EC 6.3.2.12)からなる群から選ばれるポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドであることを特徴とする請求項1に記載の遺伝子工学菌株。
  6. ジヒドロ葉酸合成酵素のアミノ酸配列が配列番号22または23で示されるものであることを特徴とする請求項5に記載の遺伝子工学菌株。
  7. 葉酸生合成酵素をコードする遺伝子を工学菌株に導入するか、上方調節することを特徴
    とする請求項1に記載の遺伝子工学菌株。
  8. 葉酸生合成遺伝子は、folE/mtrA、folB、folK、folP/sul、folA/dfrA、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の遺伝子工学菌株。
  9. 葉酸生合成遺伝子は、細菌、好ましくはバチルス属の種の細菌、最も好ましくはバチルス・サブチリスまたはラクトコッカス・ラクティスまたはアシュビア・ゴシッピイ由来のものであることを特徴とする請求項1に記載の遺伝子工学菌株。
  10. 葉酸、その塩、その前駆体及びその中間体の製造方法であって、
    (i) 請求項1に記載の工学菌株を提供する工程、
    (ii)工程(i)に記載の工学菌株を培養することにより、葉酸、その塩、その前駆体
    またはその中間体の1つまたは複数の化合物を含有する発酵産物を得る工程、
    (iii)任意に、工程(ii)で得られた発酵産物を分離・精製し、さらに葉酸、その塩
    、その前駆体またはその中間体の1つまたは複数の化合物を得る工程、
    (iv)任意に、工程(ii)または(iii)で得られた産物から酸性または塩基性の条件
    を経てさらに葉酸、その塩、その前駆体またはその中間体の異なる化合物を得る工程を含み、
    ここで、葉酸、その塩、その前駆体またはその中間体の構造式が式Iで表され、
    Figure 2022546435000039
    かつ、R1、R2、a、a'、b、b’は上記で定義された通りであることを特徴とする方法。
  11. 葉酸、その塩、その前駆体またはその中間体は葉酸であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 葉酸、その前駆体及びその中間体を製造する方法であって、
    (i) 請求項1に記載の工学菌株を提供する工程、
    (ii)工程(i)に記載の工学菌株を培養することにより、葉酸を含有する発酵産物を
    得る工程、
    (iii)任意に、工程(ii)で得られた発酵産物を分離・精製し、さらに葉酸、その前
    駆体またはその中間体を得る工程を含むことを特徴とする方法。
  13. 前記方法は、さらに、工程(ii)の培養過程でp-アミノ安息香酸(PABA)を添加する工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 請求項1に記載の工学菌株の製造方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする方
    法:
    (a)出発菌株における内因性folC遺伝子の発現レベルを低下させ、そして外因性folC
    遺伝子を導入することにより、請求項1に記載の工学菌株を得る。
  15. 前記方法は、さらに、葉酸合成調節遺伝子を出発菌株に導入するか、上方調節する工程(b)を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
  16. 請求項1に記載の工学菌株の使用であって、発酵で葉酸、その塩、その前駆体またはそ
    の中間体を生産する工学菌株として用いられる使用。
  17. 遺伝子工学微生物であって、i)ほかの面において同様の微生物(参照微生物)と比べ
    、ジヒドロ葉酸合成酵素の活性およびホリルポリグルタミン酸合成酵素の活性を有するポリペプチドをコードする内因性遺伝子の発現レベルが低下し、ならびにii)ジヒドロ葉酸合成酵素の活性のみを有する異種ポリペプチドを発現するように修飾された微生物。
  18. 葉酸またはその塩、その前駆体またはその中間体を製造する方法であって、i)培地に
    おいて、適切な培養条件で本発明の第五の側面に記載の遺伝子工学微生物を培養することによって前記葉酸、その前駆体またはその中間体を含有する発酵産物を得る工程、ii)任意に、前記葉酸、その前駆体またはその中間体を分離および/または精製する工程を含む
    ことを特徴とする方法。
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