JP2022544464A - 標的分子を評価するためのシステム及び方法 - Google Patents

標的分子を評価するためのシステム及び方法 Download PDF

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ティアン,フイ
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Abstract

【課題】本開示は、標的分子を分析又は同定するためのシステム及び方法を提供する。【解決手段】例えば、本開示のシステムは、(i)センシング電極と、(ii)センシング電極にカップリングされ、及び標的分子の少なくとも一部分に結合するように構成された結合単位と、(iii)センシング電極にカップリングされ、及びセンシング電極の表面の少なくとも一部分を被覆する誘電材料とを含み得る。センサーは、標的分子の少なくとも一部分が結合単位によって結合されるときのセンサーのインピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号を検出するように構成され得る。1つ以上の信号は、標的分子を分析又は同定するために使用可能であり得る。【選択図】図2A

Description

相互参照
[0001] 本願は、2019年7月31日に出願された米国仮特許出願第62/881,254号の利益を主張するものであり、この特許出願は、全体として参照により本明細書に援用される。
背景
[0002] 核酸塩基配列決定法を用いて核酸試料の配列情報を提供し得る。かかる配列情報は、対象(例えば、個体、患者等)の状態(例えば、疾患)の診断又は治療に役立ち得る。例えば、対象の核酸配列情報を用いて、1つ以上の遺伝性疾患を同定するか、診断するか、又はそれに対する治療を開発し得る。別の例では、1つ以上の病原体の核酸配列情報が1つ以上の伝染病の治療につながり得る。
[0003] 1つ以上の稀な配列バリアント(例えば、突然変異)の検出は、保健医療上有用であり得る。稀な配列バリアントの検出は、1つ以上の病的突然変異にとって及びその早期発見に重要であり得る。臨床試料中の1つ以上の癌関連突然変異(例えば、点突然変異)の検出は、化学療法施行時の1つ以上の微小残存病変の同定又は再発患者における腫瘍細胞の検出を向上させ得る。加えて、1つ又は複数の突然変異のかかる検出は、環境突然変異原への曝露の評価、内因性DNA修復のモニタリング又は高齢者における1つ以上の体細胞突然変異の蓄積に関する研究に重要であり得る。1つ又は複数の稀な配列バリアントの検出は、出生前診断を強化し、母体血中に存在する胎児細胞の特徴付けを可能にし得る。
[0004] 代わりに又は加えて、生体試料(例えば、血液、尿、組織生検等)からの小分子及び/又はポリペプチド(例えば、成長因子、酵素等)の検出は、癌などの1つ以上の健康状態の同定又はモニタリングに用いられ得る。
概要
[0005] 本開示のある態様は、標的分子を分析又は同定するためのシステムを提供し、このシステムは、(i)センシング電極と、(ii)センシング電極にカップリングされ、及び標的分子の少なくとも一部分に結合するように構成された結合単位と、(iii)センシング電極にカップリングされ、及びセンシング電極の表面の少なくとも一部分を被覆する誘電材料とを含むセンサーを含み、センサーは、標的分子の少なくとも一部分が結合単位によって結合されるときのセンサーのインピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号を検出するように構成され、1つ以上の信号は、標的分子を分析又は同定するために使用可能である。
[0006] 一部の実施形態において、1つ以上の信号は、(i)センサーの電気的抵抗又はその変化、(ii)センサーの電気的キャパシタンス又はその変化、及び(iii)センサーの電気的インダクタンス又はその変化を含む1つ以上のメンバーを示す。
[0007] 主題のシステムのいずれか1つの一部の実施形態において、1つ以上の信号は、電流又は電圧である。主題のシステムのいずれか1つの一部の実施形態において、1つ以上の信号は、トンネル電流ではない。
[0008] 主題のシステムのいずれか1つの一部の実施形態において、センシング電極の平均断面寸法は、標的分子の平均サイズの20倍以下である。一部の実施形態において、センシング電極の平均断面寸法は、標的分子の平均サイズの2倍以下である。
[0009] 主題のシステムのいずれか1つの一部の実施形態において、センシング電極の平均断面寸法は、標的分子の平均サイズより小さい。
[0010] 主題のシステムのいずれか1つの一部の実施形態において、結合単位は、導電性材料を介してセンシング電極にカップリングされる。
[0011] 主題のシステムのいずれか1つの一部の実施形態において、誘電材料は、自己組織化単分子膜である。
[0012] 主題のシステムのいずれか1つの一部の実施形態において、標的分子は、タグを含み、タグは、1つ以上の信号の変化を誘導するように構成される。
[0013] 主題のシステムのいずれか1つの一部の実施形態において、センサーは、センシング電極と電気的に連通している参照電極を更に含み、1つ以上の信号は、センシング電極と参照電極との間のインピーダンス又はインピーダンス変化を示す。一部の実施形態において、センシング電極及び参照電極は、第1の方向に沿って第1の電界を提供するように構成され、及びシステムは、第1の方向と異なる第2の方向に沿って第2の電界を印加するように構成された追加の電界発生器を更に含む。一部の実施形態において、第2の方向は、第1の方向と実質的に直交する。
[0014] 主題のシステムのいずれか1つの一部の実施形態において、センサーは、結合単位上における標的分子の少なくとも一部分の滞留時間を決定するように更に構成される。
[0015] 主題のシステムのいずれか1つの一部の実施形態において、結合単位は、小分子、酵素、抗体、その機能断片及びその機能バリアントからなる群から選択される1つ以上のメンバーを含む。
[0016] 主題のシステムのいずれか1つの一部の実施形態において、標的分子は、小分子、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド及びそのバリアントからなる群から選択される1つ以上のメンバーを含む。
[0017] 本開示の別の態様は、標的分子を分析又は同定するためのキットを提供し、このキットは、(i)センサーを含む主題のシステムのいずれか1つと、(ii)センサーによって分析される試料を提供することに関する説明書とを含み、試料は、標的分子を含むか又はそれを有する疑いがある。
[0018] 本開示の異なる態様は、標的分子を分析又は同定する方法を提供し、この方法は、(a)(i)センシング電極と、(ii)センシング電極にカップリングされ、及び標的分子の少なくとも一部分に結合するように構成された結合単位と、(iii)センシング電極にカップリングされ、及びセンシング電極の表面の少なくとも一部分を被覆する誘電材料とを含むセンサーを提供すること;(b)標的分子の少なくとも一部分が結合単位によって結合されるときのセンサーのインピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号を検出すること;及び(c)1つ以上の信号を使用して標的分子を分析又は同定することを含む。
[0019] 一部の実施形態において、1つ以上の信号は、(i)センサーの電気的抵抗又はその変化、(ii)センサーの電気的キャパシタンス又はその変化、及び(ii)センサーの電気的インダクタンス又はその変化を含む1つ以上のメンバーを示す。
[0020] 主題の方法のいずれか1つの一部の実施形態において、1つ以上の信号は、電流又は電圧である。主題の方法のいずれか1つの一部の実施形態において、1つ以上の信号は、トンネル電流ではない。
[0021] 主題の方法のいずれか1つの一部の実施形態において、センシング電極の平均断面寸法は、標的分子の平均サイズの20倍以下である。一部の実施形態において、センシング電極の平均断面寸法は、標的分子の平均サイズの2倍以下である。
[0022] 主題の方法のいずれか1つの一部の実施形態において、センシング電極の平均断面寸法は、標的分子の平均サイズより小さい。
[0023] 主題の方法のいずれか1つの一部の実施形態において、結合単位は、導電性材料を介してセンシング電極にカップリングされる。
[0024] 主題の方法のいずれか1つの一部の実施形態において、誘電材料は、自己組織化単分子膜である。
[0025] 主題の方法のいずれか1つの一部の実施形態において、標的分子は、タグを含み、タグは、1つ以上の信号の変化を誘導するように構成される。
[0026] 主題の方法のいずれか1つの一部の実施形態において、センサーは、センシング電極と電気的に連通している参照電極を更に含み、及び1つ以上の信号は、センシング電極と参照電極との間のインピーダンス又はインピーダンス変化を示す。一部の実施形態において、センシング電極及び参照電極は、第1の方向に沿って第1の電界を提供し、及び本方法は、追加の電界発生器を使用して、第1の方向と異なる第2の方向に沿って第2の電界を印加することを更に含む。一部の実施形態において、第2の方向は、第1の方向と実質的に直交する。
[0027] 主題の方法のいずれか1つの一部の実施形態において、本方法は、結合単位上における標的分子の少なくとも一部分の滞留時間を決定することを更に含む。
[0028] 主題の方法のいずれか1つの一部の実施形態において、結合単位は、小分子、酵素、抗体、その機能断片及びその機能バリアントからなる群から選択される1つ以上のメンバーを含む。
[0029] 主題の方法のいずれか1つの一部の実施形態において、標的分子は、小分子、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド及びそのバリアントからなる群から選択される1つ以上のメンバーを含む。
[0030] 当業者には、本開示のあくまでも例示的な実施形態を図示及び説明する以下の詳細な説明から本開示の更なる態様及び利点が容易に明らかになるであろう。認識されるであろうとおり、本開示は、他の異なる実施形態が可能であり、その幾つかの詳細は、いずれも本開示から逸脱することなく様々な自明の点で改良が可能である。従って、図面及び説明は、限定的なものでなく、例示的な性質のものと見なされなければならない。
参照による援用
[0031] 本明細書で言及される全ての刊行物、特許及び特許出願は、それぞれの個別の刊行物、特許又は特許出願が参照によって援用されることが具体的及び個別に示されたのと同程度に、本明細書に参照により援用される。参照によって援用される刊行物及び特許又は特許出願が、本明細書に含まれる本開示と矛盾する限りにおいて、いずれのかかる矛盾する資料にも本明細書が優先し、及び/又はその上位にあることが意図される。
図面の簡単な説明
[0032] 本発明の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細をもって示される。本発明の原理が利用される例示的な実施形態を示す以下の詳細な説明及び添付の図面(本明細書ではまた「図(Figure)」及び「図(FIG.)」)を参照することにより、本発明の特徴及び利点の更なる理解が得られるであろう。
[0033]標的分子を分析又は同定するためのセンサーの一例を概略的に図示する。 [0033]標的分子を分析又は同定するためのセンサーの一例を概略的に図示する。 [0033]標的分子を分析又は同定するためのセンサーの一例を概略的に図示する。 [0033]標的分子を分析又は同定するためのセンサーの一例を概略的に図示する。 [0033]標的分子を分析又は同定するためのセンサーの一例を概略的に図示する。 [0034]標的分子を分析又は同定するためのセンサーの別の例を概略的に図示する。 [0034]標的分子を分析又は同定するためのセンサーの別の例を概略的に図示する。 [0034]標的分子を分析又は同定するためのセンサーの別の例を概略的に図示する。 [0034]標的分子を分析又は同定するためのセンサーの別の例を概略的に図示する。 [0034]標的分子を分析又は同定するためのセンサーの別の例を概略的に図示する。 [0035]チャネル高さを変更したセンサーの一例を概略的に図示する。 [0036]追加の電界発生器を有するセンサーの一例を概略的に図示する。 [0036]追加の電界発生器を有するセンサーの一例を概略的に図示する。 [0037]標的分子のレドックス電位を検出するように構成されたセンサーの一例を概略的に図示する。 [0037]標的分子のレドックス電位を検出するように構成されたセンサーの一例を概略的に図示する。 [0038]本明細書に提供される方法を実装するようにプログラムされるか又は他の方法で構成されたコンピュータシステムを示す。 [0039]標的分子を分析又は同定する例示的プロセスを示す。
詳細な説明
[0040] 本明細書には、本発明の様々な実施形態が示され、及び説明されるが、当業者には、かかる実施形態が単に例として提供されるに過ぎないことが明らかであろう。当業者には、本発明から逸脱することなく、多数の変形形態、変更形態及び置換形態が想起され得る。本明細書において説明される本発明の実施形態に代わる様々な代替形態を用い得ることが理解されなければならない。
[0041] 本明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈上特に明確に指示されない限り、複数形への言及を含むことができる。例えば、用語「膜貫通受容体」は、複数の膜貫通受容体を含むことができる。
[0042] 本明細書で使用されるとおりの用語「約」又は「近似的に」は、当業者が決定するとおりの特定の値について許容される誤差の範囲内にあることを指し得、許容される誤差は、一部には、その値がどのように測定又は決定されるか、即ち測定系の限界に依存することになる。例えば、「約」は、当技術分野の慣習によれば、1標準偏差又は1標準偏差より大きい値の範囲内にあることを意味し得る。代わりに、「約」は、所与の値から最大20%、最大10%、最大5%又は最大1%までの範囲を意味し得る。代わりに、特に生物学的システム又は過程に関して、この用語は、ある値のある桁数分の範囲内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味し得る。本願及び特許請求の範囲に特定の値が記載される場合、特に指定されない限り、特定の値についての許容される誤差範囲内であることを意味する用語「約」が仮定されるべきである。
[0043] 本明細書で使用されるとおりの用語「誘電材料」は、印加された電界の作用によって分極し得る電気絶縁材料を指す。誘電材料が電界中に置かれると、その誘電材料に電荷が流れなくなり得る。場合により、かかる電界中では、誘電材料は、誘電分極を呈することもあり、そこでは、正電荷が電界に沿った位置に移り得るとともに、負電荷が反対方向に移動し得るため、内部電界が作り出され、それが誘電材料内部で外部電界を部分的に打ち消し得る。誘電材料の例としては、限定はされないが、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、布(ナイロンなど)、紙、ラミネート、ガラス、自己組織化単分子膜(SAM)等を挙げることができる。
[0044] 本明細書で同義的に使用されるとおりの用語「自己組織化単分子膜」及び「SAM」は、表面(例えば、電極の表面)上に分子が秩序立って又は比較的秩序立って吸着している集合体(例えば、1つ以上の層)を指す。SAM内の複数の分子は、互いにほぼ平行に配向され得る。SAM内の複数の分子は、表面にほぼ垂直であり得る。分子の各々は、表面に接着するように構成された官能基と、SAMにある1つ以上の隣接分子と(例えば、疎水性相互作用で)相互作用して比較的秩序立った配列を形成するように構成された一部分とを含み得る。官能基は、表面に対して共有結合的又は非共有結合的に結合するように構成され得る。ある例では、官能基は、金表面など、金属表面に共有結合的にカップリングするチオールであり得る。場合により、SAMは、単一の分子集団又は混合分子集団を含み得る。混合分子集団は、複数の付加的な官能性(例えば、生物学的官能性、結合部分等)を呈し得る(露出し得る)。一部の実施形態において、SAMをセンサー(例えば、バイオセンサー、化学センサー等)に使用することにより、生体試料など、試料中の分子(例えば、小分子、生物学的分子等)を検出することができる。SAMの例としては、限定はされないが、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(3MPT)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTES)、p-アミノフェニルトリメトキシシラン(APTS)及び4-[2-(トリエトキシシリル)エチル]ピリジンを挙げることができる。場合により、SAM内に1つ以上の導電材料が混在し、表面と接触した状態にあり得る。
[0045] 本明細書で使用されるとおりの用語「導電材料」は、電流を伝導することのできる任意の材料、金属(例えば、タングステン、チタン、タンタル、アルミニウム、銅)及び非金属(例えば、導電性小分子又は導電性ポリマー)を指し得る。導電性ポリマーの例としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン(例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン))、ポリフラン、ポリフェニレン(例えば、ポリ(p-フェニレンビニレン))、これらの機能バリアント及びこれらの組み合わせを挙げることができる。場合により、導電性ポリマーの重合度は、10から100,000モノマー単位の範囲内であり得る。
[0046] 本明細書で使用されるとおりの用語「結合単位」は、概して、1つ以上の標的分子と相互作用する(例えば、結合する)能力を有する分子を指す。かかる結合は、共有結合性及び/又は非共有結合性(例えば、水素結合、疎水性相互作用等)であり得る。結合単位と1つ又は複数の標的分子との間の相互作用は、可逆的又は不可逆的であり得る。代わりに又は加えて、結合単位は、標的分子にカップリングされたタグ(又はプローブ)に結合するように構成され得る。標的分子は、生体分子であり得る。標的分子は、細胞又は細胞の1つ以上の構成成分又はその誘導体であり得る。
[0047] 本明細書で使用されるとおりの用語「生体分子」は、生体システムに見られる任意の分子、その誘導体又はその機能バリアントを指し得る。生体分子は、天然に存在するもの又はシステムの外部擾乱(例えば、疾患、中毒、遺伝子操作等)の結果であり得、且つその合成類似体及び誘導体であり得る。生体分子の非限定的な例としては、アミノ酸(天然に存在するもの又は合成)、ペプチド、ポリペプチド、グリコシル化及び非グリコシル化タンパク質(例えば、ポリクローナル及びモノクローナル抗体、受容体、インターフェロン、酵素等)、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド(例えば、DNA、RNA、PNAオリゴ)、ポリヌクレオチド(例えば、DNA、cDNA、RNA等)、炭水化物、ホルモン、ハプテン、ステロイド、毒素等を挙げることができる。生体分子は、天然の供給源から単離され得るか、又は生体分子は、合成であり得る。
[0048] 本明細書で使用されるとおりの用語「細胞」は、概して、生物学的細胞又は細胞誘導体を指す。細胞は、生物の基本的な構造的、機能的及び/又は生物学的単位であり得る。細胞は、1つ以上の細胞を有する任意の生物に由来し得る。一部の非限定的な例としては、原核細胞、真核細胞、細菌細胞、古細菌細胞、単細胞真核生物の細胞、原虫細胞、植物からの細胞(例えば、植物作物、果実、野菜、穀類、大豆、コーン、トウモロコシ、コムギ、種子、トマト、コメ、キャッサバ、サトウキビ、カボチャ、干し草、ジャガイモ、綿、大麻、タバコ、顕花植物、針葉樹、裸子植物、シダ類、ヒカゲノカズラ類、ツノゴケ類、ゼニゴケ類、蘚類からの細胞)、藻類細胞、(例えば、ボトリオコッカス・ブラウニイ(Botryococcus braunii)、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)、ナンノクロロプシス・ガディタナ(Nannochloropsis gaditana)、クロレラ・ピレノイドサ(Chlorella pyrenoidosa)、ヤツマタモク(Sargassum patens C. Agardh)など)、海藻(例えば、ケルプ)、真菌細胞(例えば、酵母細胞、キノコからの細胞)、動物細胞、無脊椎動物(例えば、ショウジョウバエ、刺胞動物、棘皮動物、線虫等)からの細胞、脊椎動物(例えば、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類)からの細胞、哺乳類(例えば、ブタ、雌ウシ、ヤギ、ヒツジ、げっ歯類、ラット、マウス、非ヒト霊長類、ヒト等)からの細胞などが挙げられる。ときに、細胞は、天然の生物に由来するものでない(例えば、細胞は、合成的に作られた細胞、ときに人工細胞と呼ばれるものであり得る)。
[0049] 本明細書で同義的に使用されるとおりの用語「ヌクレオチド」、「核酸塩基」及び「塩基」は、概して、塩基-糖-リン酸の組み合わせを指す。ヌクレオチドは、合成ヌクレオチドを含むことができる。ヌクレオチドは、合成ヌクレオチド類似体を含むことができる。ヌクレオチドは、核酸配列(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA))の単量体単位であり得る。用語のヌクレオチドには、リボヌクレオシド三リン酸のアデノシン三リン酸(ATP)、ウリジン三リン酸(UTP)、シトシン三リン酸(CTP)、グアノシン三リン酸(GTP)、ウリジン三リン酸(UTP)及びデオキシリボヌクレオシド三リン酸、例えばdATP、dCTP、dITP、dUTP、dGTP、dTTPなど、又はこれらの誘導体が含まれ得る。かかる誘導体には、例えば、[αS]dATP、7-デアザ-dGTP及び7-デアザ-dATP並びにこれらを含む核酸分子にヌクレアーゼ耐性を付与するヌクレオチド誘導体が含まれ得る。本明細書で使用されるとおりの用語ヌクレオチドは、概して、ジデオキシリボヌクレオシド三リン酸(ddNTP)及びその誘導体を指す。ジデオキシリボヌクレオシド三リン酸の例示的な例としては、限定はされないが、ddATP、ddCTP、ddGTP、ddITP及びddTTPを挙げることができる。ヌクレオチドは、非標識であり得るか、又は検出可能な標識が付され得る。標識は、量子ドットでも行われ得る。検出可能標識には、例えば、放射性同位体、蛍光標識、化学発光標識、生物発光標識及び酵素標識が含まれ得る。ヌクレオチドの蛍光標識としては、限定されないが、フルオレセイン、5-カルボキシフルオレセイン(FAM)、2’7’-ジメトキシ-4’5-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)、ローダミン、6-カルボキシローダミン(R6G)、N,N,N’,N’-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、4-(4’ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、カスケードブルー、オレゴングリーン、テキサスレッド、シアニン及び5-(2’-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸(EDANS)を挙げることができる。蛍光標識ヌクレオチドの具体的な例としては、Perkin Elmer、Foster City, Califから入手可能な[R6G]dUTP、[TAMRA]dUTP、[R110]dCTP、[R6G]dCTP、[TAMRA]dCTP、[JOE]ddATP、[R6G]ddATP、[FAM]ddCTP、[R110]ddCTP、[TAMRA]ddGTP、[ROX]ddTTP、[dR6G]ddATP、[dR110]ddCTP、[dTAMRA]ddGTP及び[dROX]ddTTP;Amersham、Arlington Heights, Ill.から入手可能なFluoroLinkデオキシヌクレオチド、FluoroLink Cy3-dCTP、FluoroLink Cy5-dCTP、FluoroLink Fluor X-dCTP、FluoroLink Cy3-dUTP及びFluoroLink Cy5-dUTP;Boehringer Mannheim、Indianapolis, Ind.から入手可能なフルオレセイン-15-dATP、フルオレセイン-12-dUTP、テトラメチル-ローダミン-6-dUTP、IR770-9-dATP、フルオレセイン-12-ddUTP、フルオレセイン-12-UTP及びフルオレセイン-15-2’-dATP;及びMolecular Probes、Eugene, Oreg.から入手可能な染色体標識ヌクレオチド、BODIPY-FL-14-UTP、BODIPY-FL-4-UTP、BODIPY-TMR-14-UTP、BODIPY-TMR-14-dUTP、BODIPY-TR-14-UTP、BODIPY-TR-14-dUTP、カスケードブルー-7-UTP、カスケードブルー-7-dUTP、フルオレセイン-12-UTP、フルオレセイン-12-dUTP、オレゴングリーン488-5-dUTP、ローダミングリーン-5-UTP、ローダミングリーン-5-dUTP、テトラメチルローダミン-6-UTP、テトラメチルローダミン-6-dUTP、テキサスレッド-5-UTP、テキサスレッド-5-dUTP及びテキサスレッド-12-dUTPを挙げることができる。ヌクレオチドは、化学修飾によって標識又はマーキングすることもできる。化学的に修飾された単一ヌクレオチドは、ビオチン-dNTPであり得る。ビオチン化dNTPの一部の非限定的な例としては、ビオチン-dATP(例えば、bio-N6-ddATP、ビオチン-14-dATP)、ビオチン-dCTP(例えば、ビオチン-11-dCTP、ビオチン-14-dCTP)及びビオチン-dUTP(例えば、ビオチン-11-dUTP、ビオチン-16-dUTP、ビオチン-20-dUTP)を挙げることができる。
[0050] 天然に存在するヌクレオチド、グアニン、シトシン、アデニン、チミン及びウラシルは、それぞれG、C、A、T及びUと略され得る。ヌクレオチドには、成長中の核酸鎖に取り込まれ得る任意のサブユニットが含まれ得る。かかるサブユニットは、A、C、G、T若しくはU又は1つ以上の相補的A、C、G、T若しくはUに特異的であるか、或いはプリン(即ちA若しくはG又はそのバリアント)又はピリミジン(即ちC、T若しくはU又はそのバリアント)に相補的な任意の他のサブユニットであり得る。サブユニットは、個々の核酸塩基又は塩基群(例えば、AA、TA、AT、GC、CG、CT、TC、GT、TG、AC、CA又はこれらのウラシル対応物)の分解を可能にし得る。
[0051] 本明細書で同義的に使用されるとおりの用語「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「オリゴマー」及び「核酸」は、概して、一本鎖、二本鎖又は多重鎖のいずれかの形態の、任意の長さのポリマー形態のヌクレオチド(デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドのいずれか)又はその類似体を指す。ポリヌクレオチドは、細胞にとって外因性又は内因性であり得る。ポリヌクレオチドは、無細胞環境に存在し得る。ポリヌクレオチドは、遺伝子又はその断片であり得る。ポリヌクレオチドは、DNAであり得る。ポリヌクレオチドは、RNAであり得る。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有することができ、任意の機能を果たし得る。ポリヌクレオチドは、1つ以上の類似体(例えば、改変された骨格、糖又は核酸塩基)を含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの集合前又は集合後に付与され得る。類似体の一部の非限定的な例としては、5-ブロモウラシル、ペプチド核酸、ゼノ核酸、モルホリノ、ロックド核酸、グリコール核酸、トレオース核酸、ジデオキシヌクレオチド、コルジセピン、7-デアザ-GTP、フルオロフォア(例えば、糖にカップリングしたローダミン又はフルオレセイン)、チオール含有ヌクレオチド、ビオチンカップリングヌクレオチド、蛍光塩基類似体、CpG島、メチル-7-グアノシン、メチル化ヌクレオチド、イノシン、チオウリジン、プソイドウリジン、ジヒドロウリジン、キューオシン及びワイオシンが挙げられる。ポリヌクレオチドの非限定的な例としては、遺伝子又は遺伝子断片のコード領域又は非コード領域、連鎖解析から定義される1つ又は複数の遺伝子座、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、相補DNA(二本鎖cDNA(dd-cDNA)又は一本鎖cDNA(ss-cDNA)などのcDNA)、循環腫瘍DNA(ctDNA)、損傷DNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、無細胞DNA(cfDNA)及び無細胞RNA(cfRNA)を含めた無細胞ポリヌクレオチド、核酸プローブ(例えば、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)プローブ)及びプライマーが挙げられる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって分断され得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体など、1つ以上の修飾ヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの集合前又は集合後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって分断され得る。ポリヌクレオチドは、標識成分とのコンジュゲーションによるなど、重合後に更に修飾され得る。
[0052] 本明細書で使用されるとおりの用語「遺伝子」は、概して、核酸(例えば、ゲノムDNA及びcDNAなどのDNA)及びRNA転写物をコードすることに関与するその対応するヌクレオチド配列を指す。本明細書でゲノムDNAに関連して使用されるとおりの用語「遺伝子」には、介在する非コード領域並びに調節領域が含まれ得、5’及び3’末端が含まれ得る。一部の用例では、この用語は、5’及び3’非翻訳領域(5’-UTR及び3’-UTR)、エクソン及びイントロンを含めた転写配列を包含する。一部の遺伝子では、転写領域は、ポリペプチドをコードする「オープンリーディングフレーム」を含有することになる。この用語の一部の用例では、「遺伝子」は、ポリペプチドをコードするのに必要なコード配列(例えば、「オープンリーディングフレーム」又は「コード領域」)のみを含む。遺伝子は、例えば、リボソームRNA遺伝子(rRNA)及びトランスファーRNA(tRNA)遺伝子など、ポリペプチドをコードしないこともある。用語「遺伝子」には、転写配列が含まれるのみならず、上流及び下流調節領域、エンハンサー及びプロモーターを含めた非転写領域も含まれ得る。遺伝子は、生物のゲノム中のその天然の位置にある「内因性遺伝子」又は天然遺伝子であり得る。遺伝子は、「外因性遺伝子」又は非天然遺伝子であり得る。非天然遺伝子とは、通常、その宿主生物に見られないが、遺伝子導入によって宿主生物に導入される遺伝子(例えば、トランス遺伝子)であり得る。非天然遺伝子は、天然に存在する核酸又はポリペプチド配列であって、突然変異、挿入及び/又は欠失を含むもの(例えば、非天然配列)であり得る。
[0053] 本明細書で使用されるとおりの用語「突然変異」は、概して、通常保存されている核酸配列におけるヌクレオチド配列の変化を指し、正常な(未改変の)配列又は野生型配列と区別されるとおりの突然変異体の形成をもたらす。突然変異の位置(例えば、遺伝子又は標本ポリヌクレオチドとの相対的な位置)及び配列は、シーケンシング前に決定されていないこともある。代わりに、突然変異の位置(例えば、遺伝子又は標本ポリヌクレオチドとの相対的な位置)及び配列は、シーケンシング前に決定されていることもあり、その場合、シーケンシングは、標本ポリヌクレオチド中の突然変異の有無を検出するために実施され得る。突然変異は、塩基対置換(例えば、単一ヌクレオチド置換)及びフレームシフト突然変異を含み得る。フレームシフト突然変異では、1個から数個のヌクレオチド対の挿入又は欠失が必要となり得る。
[0054] 本明細書で使用されるとおりの用語「プローブ」は、概して、ハイブリダイゼーション反応において対応する標的配列とのハイブリダイゼーションによってその対応する標的ヌクレオチド又はポリヌクレオチドを検出又は同定するのに有用なマーカー(例えば、蛍光マーカー)でタグが付加されたヌクレオチド又はポリヌクレオチドを指す。本明細書で同義的に使用されるとおりの用語「ヌクレオチドプローブ」、「ヌクレオチドタグ」及び「タグ付加ヌクレオチド」は、概して、単一のヌクレオチドを有するプローブを指す。本明細書で同義的に使用されるとおりの用語「ポリヌクレオチドプローブ」、「ポリヌクレオチドタグ」及び「タグ付加ポリヌクレオチド」は、概して、ポリヌクレオチドを有するプローブを指す。ポリヌクレオチドプローブは、少なくとも1つのマーカー(例えば、ポリヌクレオチドプローブの各ヌクレオチドにつき1つのマーカー)でタグが付加され得る。プローブは、1つ以上の標的ヌクレオチド又はポリヌクレオチドとハイブリダイズ可能であり得る。ポリヌクレオチドプローブは、試料中の1つ以上の標的ポリヌクレオチドと完全に相補的であり得るか、又は試料中の1つ以上の標的ポリヌクレオチドの1つ以上のヌクレオチドと相補的でない1つ以上のヌクレオチド(即ちミスマッチ)を含有し得る。
[0055] 一部の実施形態において、マーカーは、レドックス種であり得る。本明細書で使用されるとおりの用語「レドックス種」は、概して、電気刺激時に又はそれを受けて(例えば、電位の印加時に又はそれを受けて)酸化及び/又は還元(即ち「レドックス」)され得るか、又はファラデー反応を起こし得る分子又は化合物又はその一部分(例えば、分子又は化合物の分子部分又は官能基部分)を指す。ある例では、レドックス種は、そのレドックス状態に応じて1つ以上の電子を受容及び/又は供与する1つ以上の分子部分を含み得る。場合により、レドックス種は、小分子、化合物、ポリマー分子の一部(例えば、分子部分)を形成し得るか、又は個別の分子若しくは化合物として存在することができる。レドックス種の例としては、イミダゾリウム、ピロリジニウム、テトラアルキルアンモニウム、[OTf]-、[FAP]-、[PF6]-、[BF4]-、[DCA]-、[NTf2]-、[FSI]-、[B(CN)4]-フェロセン(Fc)、これらの誘導体、これらの機能バリアント及びこれらの組み合わせを挙げることができる。Fc誘導体の例としては、メチルフェロセン、ジメチルフェロセン、エチルフェロセン、プロピルフェロセン、n-ブチルフェロセン、t-ブチルフェロセン及び1,1-ジカルボン酸フェロセンを挙げることができる。
[0056] 同一のヌクレオチドに対して、同じマーカーによるタグが付加され得る。代わりに、同一のヌクレオチドに対して、異なるマーカーによるタグが付加され得る。例えば、第1のヌクレオチドAに第1のマーカーでタグが付加され得、及び第2のヌクレオチドAに第2のマーカーでタグが付加され得、第1のマーカーと第2のマーカーとは、異なる。センサーが第1のマーカー及び第2のマーカーを互いに別々に検出し、区別することができる場合、同じヌクレオチドに複数のマーカーを使用すると、逐次的に提供される同一のヌクレオチドのシーケンシングを解くのに役立ち得る。
[0057] 本明細書で同義的に使用されるとおりの用語「相補体」、「複数の相補体」、「相補的な」及び「相補性」は、概して、所与の配列と完全に相補的で、それにハイブリダイズ可能な配列を指す。所与の核酸とハイブリダイズする配列は、所与の領域にわたるその塩基配列がその結合パートナーの塩基配列と、例えばA-T、A-U、G-C及びG-U塩基対が形成されるように相補的に結合する能力を有する場合、その所与の分子の「相補体」又は「逆相補体」と称される。一般に、第2の配列にハイブリダイズ可能な第1の配列は、第2の配列と特異的又は選択的にハイブリダイズ可能であり、即ちハイブリダイゼーション反応時、非標的配列とのハイブリダイゼーションと比べて第2の配列又は一組の第2の配列とのハイブリダイゼーションの方が好ましいものとなる(例えば、当技術分野で一般的に用いられるストリンジェントな条件など、所与の一組の条件下で熱力学的に安定性が一層高い)。典型的には、ハイブリダイズ可能な配列は、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%及び100%の配列相補性を含め、25%~100%の相補性など、そのそれぞれの長さの全て又は一部分にわたってある程度の配列相補性を共有する。それぞれの長さは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50ヌクレオチド又はそれを超える領域を含み得る。
パーセント相補性を評価する目的上など、配列同一性は、限定はされないが、ニードルマン-ブンシュアルゴリズム(例えば、www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_needle/nucleotide.htmlで利用可能なEMBOSS Needleアライナー(任意選択でデフォルト設定による)を参照されたい)、BLASTアルゴリズム(例えば、blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiで利用可能なBLASTアラインメントツール(任意選択でデフォルト設定による)を参照されたい)又はスミス-ウォーターマンアルゴリズム(例えば、www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_water/nucleotide.htmlで利用可能なEMBOSS Waterアライナー(任意選択でデフォルト設定による)を参照されたい)を含めた任意の好適なアラインメントアルゴリズムによって測定することができる。最適アラインメントは、デフォルトパラメータを含め、選択したアルゴリズムの任意の好適なパラメータを用いて評価することができる。
[0058] 相補性は、完全であるか又は相当/十分であり得る。2つの核酸間の完全な相補性とは、それらの2つの核酸が二重鎖を形成することができ、ここで、二重鎖中の各塩基がワトソン・クリック対合則によって相補塩基に結合していることを意味し得る。相当/十分な相補性とは、一方の鎖の配列が逆鎖の配列と全面的及び/又は完全に相補的というわけではなく、しかし、一組のハイブリダイゼーション条件(例えば、塩濃度及び温度)で安定したハイブリッド複合体を形成するのに十分な結合がそれらの2つの鎖の塩基間に起こることを意味し得る。かかる条件は、それらの配列及び標準的な数学的計算を用いて、ハイブリダイズした鎖のTmを予測することによるか、又は常法を用いることによりTmを経験的に決定することにより予測し得る。
[0059] 本明細書で使用されるとおりの用語「ハイブリダイゼーション」は、概して、1つ以上のポリヌクレオチドが反応することにより、ヌクレオチド残基の塩基間の水素結合によって安定化した複合体が形成される反応を指す。水素結合は、ワトソン・クリック塩基対合によるか、フーグスティーン型結合によるか、又は塩基相補性に基づく任意の他の配列特異的な方式で起こり得る。複合体は、二重鎖構造を形成する2本の鎖、多重鎖複合体を形成する3本以上の鎖、単一の自己ハイブリダイズする鎖又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。ハイブリダイゼーション反応は、PCRの開始又はエンドヌクレアーゼによるポリヌクレオチドの酵素的切断など、より広範なプロセスにおける一ステップを構成し得る。第1の配列に相補的な第2の配列は、第1の配列の「相補体」と称され得る。用語「ハイブリダイズ可能」とは、ポリヌクレオチドに適用されるとき、概して、ポリヌクレオチドがハイブリダイゼーション反応においてヌクレオチド残基の塩基間で水素結合によって安定化した複合体を形成する能力を指す。
[0060] 本明細書で使用されるとおりの用語「標的ポリヌクレオチド」は、概して、存在、量及び/又はヌクレオチド配列又はこれらの1つ以上の変化を決定することが所望される標的配列を有する核酸分子集団中の核酸分子又はポリヌクレオチドを指す。用語「標的配列」は、概して、核酸の一本鎖上の核酸配列を指す。標的配列は、遺伝子の一部分、調節配列、ゲノムDNA、cDNA、ctDNA、RNAであって、mRNA、miRNA、rRNAを含めたものなどであり得る。標的配列は、試料からの標的配列であり得るか、又は増幅反応の産物など、二次標的であり得る。標的ポリヌクレオチドは、遺伝子(又はその断片)中で1つ以上の突然変異を含む一部であり得る。
[0061] 本明細書で使用されるとおりの用語「標的部位」は、概して、標的ポリヌクレオチド(又は標的ヌクレオチド)を含むポリヌクレオチド配列を指す。標的部位の標的ポリヌクレオチド(又は標的ヌクレオチド)は、1つ以上の配列バリアントであり得る。1つ以上の配列バリアントの例には、単一のヌクレオチド変化、1つ以上のヌクレオチド(例えば、連続又は非連続ヌクレオチド)の挿入又は欠失、1つ以上のヌクレオチドの1つ以上のリピートを含むコピー数変異(CNV)(例えば、平均サイズが少なくとも1、5、10、50、100、150、200キロベース(kb)又はそれを超えるCNV;平均サイズが最大で200、150、100、50、10、5、1kb又はそれ未満のCNV)及びマイクロサテライト不安定性(MSI)が含まれ得る。標的部位は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、100、200、300、400、500、1,000、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000ヌクレオチド又はそれを超えるものを含み得る。標的部位は、最大で500,000、100,000、50,000、10,000、5,000、1,000、500、400、300、200、100、50、40、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1ヌクレオチドを含み得る。標的部位は、標的ポリヌクレオチドと比べて少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、100、200、300、400、500、1,000、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000ヌクレオチド又はそれを超えるものを含み得る。標的部位は、標的ポリヌクレオチドと比べて最大で500,000、100,000、50,000、10,000、5,000、1,000、500、400、300、200、100、50、40、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1ヌクレオチドを含み得る。一部の例では、標的部位は、標的ポリヌクレオチドであり得る。
[0062] 本明細書で使用されるとおりの用語「ストリンジェントな条件」は、概して、標的配列と相補性を有する核酸が主に標的配列とハイブリダイズし、非標的配列と実質的にハイブリダイズしない1つ以上のハイブリダイゼーション条件を指す。ストリンジェントな条件は、配列依存的であり得、幾つもの要因に応じて異なり得る。場合により、配列が長いほど、配列がその標的配列と特異的にハイブリダイズし得る温度が高くなる。
[0063] 本明細書で使用されるとおりの用語「認識部分」は、概して、核酸配列、即ち所望の(又は標的の)核酸配列など、「認識配列」又は「認識部位」と相互作用する能力を有する分子(例えば、小分子、ポリヌクレオチド、タンパク質、これらのバリエーション又はこれらの組み合わせ)を指す。認識部分は、認識配列と結合する(例えば、ハイブリダイズする)能力を有するドメイン(例えば、ドメインを含む成分)を含み得る。かかるドメインは、1つ以上のアミノ酸、1つ以上のヌクレオチド、これらのバリエーション又はこれらの組み合わせを含み得る。代わりに又は加えて、認識部分は、かかるドメインを含む二次分子と会合(例えば、それに結合)し得る。一部の例では、認識部分は、認識配列とハイブリダイズする能力を有する核酸分子を含み得る。一部の例では、認識部分は、限定はされないが、ヌクレアーゼ(例えば、二本鎖ヌクレアーゼ)、ニッカーゼ、転写アクチベーター、転写リプレッサー、核酸メチル化酵素、核酸脱メチル化酵素及びリコンビナーゼの1つ以上の活性を含む特定の生物学的活性を呈する成分を含み得る。認識配列は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50ヌクレオチド又はそれを超えるものを含み得る。認識配列は、最大で50、45、40、35、30、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3ヌクレオチド又はそれ未満を含み得る。
[0064] 認識部分は、複数の分子(例えば、複数の核酸分子)から所望の核酸配列を含む所望の分子を単離するために使用し得る。認識部分は、組成物又は反応混合物中において所望の核酸を含む所望の分子を濃縮するために使用し得る。一部の例では、認識部分は、1つ以上の相互作用(例えば、アビジン-ビオチン結合、磁気結合等)を用いた捕捉システム(例えば、磁気ビーズ)によって捕捉し得る。ある例では、認識部分がビオチンを含み得、それが単離又は濃縮のためストレプトアビジン磁気ビーズと複合体を形成し得る。
[0065] 認識部分の例としては、CRISPR関連(Cas)システム(例えば、触媒的に活性又は不活性のCasポリペプチドを含めた、Casタンパク質);ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN);転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN);メガヌクレアーゼ;RNA結合タンパク質(RBP);Cas RNA結合タンパク質;リコンビナーゼ;フリッパーゼ;トランスポザーゼ;アルゴノート(Ago)タンパク質(例えば、原核生物アルゴノート(pAgo)、古細菌アルゴノート(aAgo)及び真核生物アルゴノート(eAgo));これらのバリアント;及びこれらの組み合わせを挙げることができる。認識部分は、例えば、ビオチンでタグが付加された、1つ以上のアビジンで官能化された磁気ビーズによって捕捉することのできるポリヌクレオチド配列など、1つ以上の相互作用を用いた捕捉システムによって捕捉することのできるポリヌクレオチド(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10ヌクレオチド長又はそれを超える配列)を含み得る。ポリヌクレオチドの少なくとも一部分は、標的核酸分子の認識配列と相補性を共有し得る。
[0066] 本明細書で使用されるとおりの用語「ニッカーゼ」は、概して、二本鎖核酸分子の一方の鎖を切断する(即ち二本鎖分子に「ニックを入れる」)分子(例えば、酵素)を指す。ニッカーゼは、その天然の機能に起因するか、又はそれが単一のDNA鎖のみを切断するように操作されている(例えば、1つ以上のヌクレオチドの突然変異及び/又は欠失によって修飾されている)ことが理由であるかのいずれかで、単一のDNA鎖のみを切断するヌクレアーゼであり得る。ニッカーゼは、ニッキング酵素(例えば、制限エンドヌクレアーゼ、ニッキングエンドヌクレアーゼ等)であり得る。ニッカーゼは、二本鎖核酸分子のニッキング部位に結合して、その二本鎖核酸分子の一方の鎖にニック(又はギャップ)を作り出し得る。ニックはニッキング部位内に生じ得る。代わりに、ニックは、ニッキング部位に隣接して生じ得る。場合により、ニッカーゼは、ニッキング部位に隣接するニッカーゼ結合部位に結合し得る。ニックは、長さが少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10ヌクレオチド又はそれを超え得る。ニックは、長さが最大で10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1ヌクレオチドであり得る。ニッカーゼの例としては、Casシステム(例えば、Cas9nなどのCasニッカーゼ)、N.Alw I、Nb.BbvCl、Nt.BbvCl、Nb.BsmI、Nt.BsmAI、Nt.BspQl、Nb.BsrDI、Nt.BstNBI、Nb.BstsCI、Nt.CviPII、Nb.Bpu l OI、Nt.Bpu l OI及びNt,Bst9I、これらのバリエーション及びこれらの組み合わせを挙げることができる。一部の例では、核酸分子(例えば、二本鎖核酸分子又は自己相補的な一本鎖核酸分子)は、少なくとも1つのニックを既に含む少なくとも1つのニッキング部位を含み得る。
[0067] 本明細書で同義的に使用されるとおりの用語「CRISPR関連システム」、「Casシステム」及び「Cas複合体」は、概して、ガイドRNA(gRNA)と、Casポリペプチド又はタンパク質(例えば、Casエンドヌクレアーゼ、その触媒性又は非触媒性誘導体等)又はエンドヌクレアーゼ活性を有する他のタンパク質とを含む二成分リボ核タンパク質複合体を指す。用語「CRISPR」は、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート及びその関連システムを指す。gRNAの少なくとも一部分は、標的領域の少なくとも一部分と相補性を有し得る。標的領域は、「プロトスペーサー」及び「プロトスペーサー隣接モチーフ」(PAM)を含むことができ、Casポリペプチドのヌクレアーゼ活性(例えば、切断)には、両方のドメインが必要であり得る。プロトスペーサーは、標的部位(又はゲノム標的部位)と称されることもある。gRNAがプロトスペーサーの逆鎖(結合部位)と対合する(又はハイブリダイズする)ことにより、Casポリペプチドが標的領域に導かれ得る。PAM部位とは、概して、Casポリペプチドが認識する短い配列を指し、場合により、ヌクレアーゼ(又はニッカーゼ)活性に必要であり得る。PAM部位のヌクレオチドの配列及び数は、Cas酵素の種類に応じて異なり得る。
[0068] Casポリペプチドは、ヌクレアーゼ(又はニッカーゼ)活性を含み得、gRNAがCasポリペプチドと相互作用して、Casポリペプチドのヌクレアーゼ(又はニッカーゼ)活性を所望の標的領域に導き得る。代わりに、Casポリペプチドは、非触媒性であり得、ヌクレアーゼ活性を含まなくてもよい。非触媒性Casポリペプチドは、デッドCas又は不活性Cas(dCas)と称されることもある。
[0069] Casタンパク質は、RNA誘導型ポリヌクレオチド結合活性又はヌクレアーゼ活性を有し得るCRISPR関連I型、II型若しくはIII型システムのタンパク質又はそれから誘導されたタンパク質を含み得る。好適なCasタンパク質の例としては、Cas3、Cas4、Cas5、Cas5e(又はCasD)、Cas6、Cas6e、Cas6f、Cas7、Cas8a1、Cas8a2、Cas8b、Cas8c、Cas9(即ちCsnl及びCsxl2)、Cas10、Cas10d、CasF、CasG、CasH、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1(又はCasA)、Cse2(又はCasB)、Cse3(又はCasE)、Cse4(又はCasC)、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csz1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4、Cu1966、これらのホモログ及びこれらの修飾されたバージョン(例えば、触媒性又は非触媒性)が挙げられる。場合により、Casタンパク質は、Cpf1(又はCas12a)、C2c1(又はCas12b)、C2c2、これらのホモログ及びこれらの修飾されたバージョン(例えば、触媒性又は非触媒性)など、CRISPR関連V型若しくはVI型システムのタンパク質又はそれから誘導されたタンパク質を含み得る。
[0070] 本明細書における特定の例はCasタンパク質を参照するが、エンドヌクレアーゼ活性を有する他のタンパク質が使用され得る。かかる他のタンパク質は、Casタンパク質ではなくてもよいが、しかし、例えばgRNAと共に使用するように構成され得る。
[0071] Casポリペプチド又はタンパク質は、ヌクレアーゼ活性がニッカーゼ活性に変わるように操作され得る。例えば、化膿レンサ球菌(S. pyogenes)由来のCas9のRuvC I触媒ドメインにおいてアスパラギン酸をアラニンに置換すると(D10A)、Cas9は、両方の鎖を切断するヌクレアーゼから、一本鎖のみを切断するCas9nニッカーゼに変換され得る。このCas9nニッカーゼ突然変異体は、野生型Casポリペプチドが作り出す二本鎖切断でなく、代わりにgRNAによって標的化される一本鎖切断をDNAに導入し得る。Cas9をニッカーゼにする突然変異の他の例としては、H840A、N854A及びN863Aを挙げることができる。
[0072] 本明細書で使用されるとおりの用語「ガイドRNA(gRNA)」は、概して、Casポリペプチドに結合して、Casポリペプチドを標的核酸領域(例えば、DNA又は遺伝子)内の特異的な位置に標的化させるのに役立ち得るRNA分子を指す。gRNAと標的核酸領域内の特異的な位置との間の相補性の程度は、少なくとも50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、97.5%、99%又はそれを超え得る。ガイドRNAは、CRISPR RNA(crRNA)セグメントと、トランス活性化crRNA(tracrRNA)セグメントとを含み得る。本明細書で同義的に使用されるとおりの用語「crRNA」及び「crRNAセグメント」は、概して、ポリヌクレオチドターゲティングガイド配列と、ステム配列と、任意選択で5’-オーバーハング配列とを含むRNA分子又はその一部分を指す。本明細書で同義的に使用されるとおりの用語「tracrRNA」及び「tracrRNAセグメント」は、概して、タンパク質結合セグメント(例えば、Cas9などのCRISPR関連タンパク質と相互作用する能力を有するタンパク質結合セグメント)を含むRNA分子又はその一部分を指す。場合により、ガイドRNAは、シングルガイドRNA(sgRNA)であり得、ここで、crRNAセグメントとtracrRNAセグメントとが同じRNA分子に位置する。gRNAは、1つ以上のペプチド核酸を含み得る。
[0073] crRNAは、少なくとも15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40RNA塩基又はそれを超えるものを含み得る。crRNAは、最大で40、35、30、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15RNA塩基又はそれ未満を含み得る。CasシステムのgRNAの標的核酸配列は、少なくとも15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40DNA塩基又はそれを超えるものを含み得る。CasシステムのgRNAの標的核酸配列は、最大で40、35、30、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15DNA塩基又はそれ未満を含み得る。crRNA配列は、任意の標的配列を標的化するように選択することができる。標的配列は、細胞のゲノム内にある配列であり得る。標的配列は、標的ゲノムにユニークなものを含み得る。
[0074] 本明細書で使用されるとおりの用語「ポリメラーゼ」は、概して、重合反応を触媒する能力を有する酵素(例えば、天然又は合成)を指す。ポリメラーゼの例としては、核酸ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ又はRNAポリメラーゼ)、トランスクリプターゼ及びリガーゼを挙げることができる。ポリメラーゼは、重合酵素であり得る。用語「DNAポリメラーゼ」は、概して、DNAの重合反応を触媒する能力を有する酵素を指す。
[0075] 本明細書で使用されるとおりの用語「連結されたポリメラーゼ」は、概して、リンカーにカップリングされる(例えば、融合している)DNAポリメラーゼなどのポリメラーゼを指す。リンカーは、別の実体(例えば、タンパク質ナノポア又は固体ナノポアなどのナノポア)とカップリングする(例えば、それに結合する又はコンジュゲートする)能力を有し得る。
[0076] 本明細書で同義的に使用されるとおりの用語「配列バリアント」及び「シーケンシングバリアント」は、概して、1つ以上の参照配列と比べた配列の任意の変化を指す。典型的には、ある参照配列が提供される所与の個体集団について、配列バリアントは、その参照配列よりも低い頻度で生じる。例えば、特定の細菌属が16S rRNA遺伝子についてコンセンサス参照配列を有し得るが、しかし、その属内のある個体種は、遺伝子又は遺伝子の一部分の範囲内において、細菌集団中にその種を同定する際に有用となる1つ以上の配列バリアントを有し得る。更なる例として、同じ種の複数の個体の配列又は同じ個体の複数のシーケンシングリードは、最適にアラインメントしたときにコンセンサス配列を生じ得、そのコンセンサスに関する配列バリアントを用いると、集団中に危険なコンタミネーションを示す突然変異体を同定し得る。一般に、「コンセンサス配列」とは、種々の配列アラインメントアルゴリズムのいずれかに従う最適な配列アラインメントなど、一連の関連する核酸が集中的な数学解析及び/又は配列解析に供されている場合に配列中の各位置における最も一般的な塩基選択を反映するヌクレオチド配列を指す。参照配列は、単一の個体の予め決められたゲノム配列など、単一の参照配列であり得る。参照配列は、参照集団としての役割を果たす複数の個体の予め決められたゲノム配列又は同じ個体からのポリヌクレオチドの複数のシーケンシングリードなど、複数の配列をアラインメントすることにより形成されるコンセンサス配列であり得る。参照配列は、配列バリアントが同じ試料中の対応する配列と比べた変化に相当するなど、分析下の試料からの配列を最適にアラインメントすることにより形成されるコンセンサス配列であり得る。配列バリアントは、集団中で低い頻度で生じ得る(「稀な」配列バリアントとも称される)。例えば、配列バリアントは、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.75%、0.5%、0.25%、0.1%、0.075%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.005%、0.001%未満の頻度又はそれより低い頻度で生じ得る。配列バリアントは、0.1%未満の頻度で生じ得る。
[0077] 配列バリアントは、参照配列に対する任意の変化であり得る。配列変化は、単一のヌクレオチド又は例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10ヌクレオチド若しくはそれを超えるものなどの複数のヌクレオチドの変更、その挿入又はその欠失からなり得る。配列バリアントが2ヌクレオチド以上の差異を含む場合、それらの異なるヌクレオチドは、互いに連続しているか又は不連続であり得る。配列バリアントのタイプの例としては、一塩基変異多型(SNP)、欠失/挿入多型(DIP)、コピー数バリアント(CNV)、ショートタンデムリピート(STR)、単純配列反復(SSR)、高変異反復配列(VNTR)、増幅断片長多型(AFLP)、レトロトランスポゾンベースの挿入多型、配列特異的増幅多型及び配列バリアントとして検出することのできる後成的マークの差異(例えば、メチル化の差異)が挙げられる。
[0078] 本明細書で使用されるとおりの用語「シーケンシング」は、概して、標的ヌクレオチド配列においてヌクレオチドが現れる順番を決定する手順を指す。シーケンシング方法は、例えば、次世代シーケンシング(NGS)など、ハイスループットシーケンシングを含み得る。シーケンシングは、全ゲノムシーケンシング又は標的シーケンシングであり得る。シーケンシングは、単一分子シーケンシング又は超並列シーケンシングであり得る。次世代シーケンシング法は、単回のランで何百万もの配列を入手するのに有用であり得る。ある例では、シーケンシングは、1つ以上のナノポアシーケンシング法、例えばシーケンシングバイシンセシス、シーケンシングバイライゲーション又はシーケンシングバイクリーベイジを用いて実施され得る。
[0079] 本明細書で使用されるとおりの用語「ナノポア」は、概して、膜に形成されるか又は他の方法で提供されたポア、チャネル又は通路を指す。膜は、脂質二重層などの有機膜又はタンパク質ナノポアなど、ポリマー材料で形成された膜などの合成膜であり得る。膜は、固体膜(例えば、シリコン基板)であり得る。ナノポアは、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)又は電界効果トランジスタ(FET)回路など、センシング回路又はセンシング回路にカップリングされた電極に隣接して又はそれに近接して配置され得る。ナノポアは、センシング回路の一部であり得る。ナノポアは、例えば、約0.1ナノメートル(nm)から1000nmの大きさの固有の幅又は直径を有し得る。ナノポアは、生物学的ナノポア、固体ナノポア、ハイブリッド生物学的-固体ナノポア、これらのバリエーション又はこれらの組み合わせであり得る。生物学的ナノポアの例としては、限定はされないが、大腸菌種(E. coli, sp.)、サルモネラ属種(Salmonella sp.)、赤痢菌属種(Shigella sp.)及びシュードモナス属種(Pseudomonas sp.)からのOmpG並びに黄色ブドウ球菌種(S. aureus sp.)からのアルファ溶血素(α溶血素)、スメグマ菌種(M. smegmatis sp)からのMspA、これらの機能バリアント又はこれらの組み合わせが挙げられる。シーケンシングは、順方向シーケンシング及び/又は逆方向シーケンシングを含み得る。固体ナノポアの例としては、限定はされないが、窒化ケイ素、酸化ケイ素、グラフェン、硫化モリブデン、これらの機能バリアント又はこれらの組み合わせが挙げられる。固体ナノポアは、高エネルギービーム製造法、インプリンティング(例えば、ナノインプリンティング)、レーザーアブレーション、化学エッチング、プラズマエッチング(例えば、酸素プラズマエッチング)等によって作製され得る。
[0080] 本明細書で使用されるとおりの用語「ナノポアシーケンシング複合体」は、概して、ナノポアが酵素、例えばポリメラーゼに連結又はカップリングされ、次にそれがポリマー、例えばポリヌクレオチド鋳型と会合したものを指す。ナノポアシーケンシング複合体は、膜、例えば脂質二重層に位置し得、この場合、それは、ポリマー成分、例えばヌクレオチド又はアミノ酸を同定する役割を果たす。
[0081] 本明細書で同義的に使用されるとおりの用語「ナノポアシーケンシング」及び「ナノポアベースのシーケンシング」は、概して、ナノポアを用いてポリヌクレオチドの配列を決定する方法を指す。場合により、ポリヌクレオチドの配列は、鋳型依存的に決定され得る。場合により、本明細書に開示される方法、システム又は組成物は、いずれの特定のナノポアシーケンシング方法、システム又は装置にも限定されないものであり得る。
[0082] 本明細書で使用されるとおりの用語「バーコード」は、概して、バーコードが関連付けられたポリヌクレオチド(例えば、バーコードの少なくとも一部分を含むポリヌクレオチド又はバーコードの少なくとも一部分と相補性を有するポリヌクレオチド)の何らかの特徴を同定することを可能にする所定の核酸配列を指す。一部の例では、同定されるポリヌクレオチドの特徴は、そのポリヌクレオチドが由来する元の試料であり得る。バーコードは、少なくとも約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20ヌクレオチド長又はそれを超え得る。バーコードは、最大で20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3又は2ヌクレオチド長であり得る。第1の試料からのポリヌクレオチドと関連付けられたバーコードは、第1の試料と異なる第2の試料からのポリヌクレオチドと関連付けられたバーコードと異なり得る(例えば、異なる配列及び/又は異なる長さ)。その場合、それぞれのポリヌクレオチドのバーコードを同定することは、ポリヌクレオチドの1つ以上の試料供給源を同定することを促進し得る。従って、異なるバーコードを有する異なる試料を一緒に(例えば、バッチで)分析し(例えば、シーケンシングし)、分析中、少なくとも一部にはバーコードに基づいて分離することができる。一部の例では、バーコードは、バーコード配列中の1つ以上のヌクレオチドの突然変異、挿入又は欠失(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10ヌクレオチド又はそれを超える突然変異、挿入又は欠失)後でも正確に同定し得る。同じ試料からの複数のポリヌクレオチドが同じバーコードを有し得る。代わりに、同じ試料からの複数のポリヌクレオチドが異なるバーコードを有し得る。第1のバーコードは、第2のバーコードと比べて、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10ヌクレオチド位置又はそれを超えるものなど、少なくとも3ヌクレオチド位置だけ異なり得る。複数のバーコードが試料のプール中に現れ得、各試料が含むポリヌクレオチドが含む1つ以上のバーコードは、プール中の他の試料に由来するポリヌクレオチドに含まれるバーコードと異なる。1つ以上のバーコードを含むポリヌクレオチドの試料は、プール中の各バーコードに沿った1つ以上の位置(バーコードの1、2、3、4、5、6、7、8個若しくはそれを超える位置又は全ての位置など)にヌクレオチド塩基A、G、C及びTの4つ全てがほぼ均等に現れるなど、それがつなぎ合わされているバーコード配列に基づいてプールすることができる。一部の例では、本開示の方法は、標的ポリヌクレオチドが由来する元の試料を、標的ポリヌクレオチドがつなぎ合わされているバーコード配列に基づいて同定することを含み得る。バーコードは、標的ポリヌクレオチドにつなぎ合わされたとき、標的ポリヌクレオチドが由来した元の試料を同定するものとしての役割を果たし得る核酸配列を含み得る。ある例では、オリゴヌクレオチドプライマー(例えば、増幅プライマー)が1つ以上のバーコードを含み得る。別の例では、核酸分子がアダプター核酸に(例えば、環状化のため)カップリングされ(例えば、ライゲートされ)、そのアダプター核酸が1つ以上のバーコードを含み得る。
[0083] 本明細書で使用されるとおりの用語「試料」は、概して、処理又は分析するための1つ以上の構成要素(例えば、核酸分子)を含み得る任意の試料を指す。試料は、生体試料であり得る。試料は、細胞試料又は組織試料であり得る。試料は、血液(例えば、全血)、血漿、血清、汗、唾液又は尿などの無細胞試料であり得る。試料は、インビボで入手されるか又はインビトロで培養され得る。
[0084] 本明細書で使用されるとおりの用語「対象」は、概して、例えば、脊椎動物(例えば、ヒトなどの哺乳類)又は無脊椎動物など、試料が由来する元の個体又は実体を指す。哺乳類は、マウス、サル、ヒト、農業動物(例えば、雌ウシ、ヤギ、ブタ又はニワトリ)又はペット(例えば、ネコ又はイヌ)であり得る。対象は、植物であり得る。対象は、患者であり得る。対象は、疾患(例えば、癌)に関して無症候性であり得る。代わりに、対象は、疾患に関して症候性であり得る。
[0085] 2つ以上の数値が並んでいる中で最初の数値の前に用語「少なくとも」、「より大きい」又は「以上」が付くときには常に、用語「少なくとも」、「より大きい」又は「以上」は、その並んだ数値中にある数値の各々に適用される。例えば、1、2又は3以上は、1以上、2以上又は3以上に等しい。
[0086] 2つ以上の数値が並んでいる中で最初の数値の前に用語「超えない」、「より小さい」又は「以下」が付くときには常に、用語「超えない」、「より小さい」又は「以下」は、その並んだ数値中にある数値の各々に適用される。例えば、3、2又は1以下は、3以下、2以下又は1以下に等しい。
[0087] I.標的分子の分析及び検出のためのシステム及び方法
[0088] ある態様において、本開示は、標的分子を分析又は同定するためのシステムを提供する。本システムは、標的分子の少なくとも一部分がセンサーの少なくとも一部分によって結合されるとき又はそれに近接したときのセンサーのインピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号を検出するように構成されたセンサーを含み得る。1つ以上の信号は、標的分子を分析又は同定するために使用可能であり得る。
[0089] 本システムは、本明細書に開示されるセンサーの少なくとも1つを含み得る。本システムは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000個又はそれを超えるセンサーを含み得る。本システムは、最大で1,000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2個又はそれ未満のセンサーを含み得る。
[0090] 標的分子によって誘導されるセンサーのインピーダンス又はインピーダンス変化を示す検出される信号は、単一の測定値であり得る。代わりに、検出される信号は、複数の測定値の中央値又は平均値であり得る。
[0091] センサーのインピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号の検出時、標的分子の少なくとも一部分は、センサーの結合部分に結合し得る。結合部分は、標的分子(例えば、ヌクレオチド、アミノ酸、小分子、イオン等)の少なくとも一部分に結合するように構成され得る。本明細書に開示されるセンサーは、少なくとも1つの結合部分を含み得る。センサーは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000個又はそれを超える結合部分を含み得る。センサーは、最大で1,000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2個又はそれ未満のセンサーを含み得る。
[0092] 図1Aから図1Eは、例えば、1つ以上の標的分子を評価(例えば、分析、同定、定量化、順位付け等)するための、本開示のセンサーを含むシステムの例を概略的に図示する。図1Aを参照すると、センサーは、液体105(例えば、水又は緩衝液、例えば生理食塩水、高電解質緩衝液、低電解質緩衝液等)に浸漬され得る。センサーは、参照電極115と電気的に連通しているセンシング電極110を含み得る。センサーは、液体105の容積112の1つ以上のLCR(インダクタンス(L)、キャパシタンス(C)及び抵抗(R))特性を検出又は測定するように構成され得、この容積112は、センシング電極110の近傍にあるか又はそれに隣接している。標的分子(102-1、120-2及び120-3の符号が付されている)は、液体中に存在するか又は浮遊し得る。標的分子は、プローブ(例えば、蛍光タグ又はレドックス種)にカップリングされていても又はされていなくてもよい。図1Bを参照すると、標的分子のいずれか(例えば、標的分子120-1)の少なくとも一部分が液体105の容積112に隣接するか又はその中に入ると、容積112のインピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号がセンサーによって検出され得る。
[0093] 場合により、インピーダンス又はインピーダンス変化は、定電圧(例えば、正弦波電圧摂動)を印加しながら電流(例えば、電流の変化)を測定することにより検出され得る。インピーダンス値(Z)は、印加した電圧の値(V)を測定された電流の値(I)で除すことにより測定され得る。
[0094] 例えば、センシング電極110と参照電極115との間の検出されるインピーダンス又はインピーダンス変化は、少なくとも約1マイクロオーム、2マイクロオーム、3マイクロオーム、4マイクロオーム、5マイクロオーム、6マイクロオーム、7マイクロオーム、8マイクロオーム、9マイクロオーム、10マイクロオーム、20マイクロオーム、30マイクロオーム、40マイクロオーム、50マイクロオーム、60マイクロオーム、70マイクロオーム、80マイクロオーム、90マイクロオーム、100マイクロオーム、200マイクロオーム、300マイクロオーム、400マイクロオーム、500マイクロオーム、600マイクロオーム、700マイクロオーム、800マイクロオーム、900マイクロオーム、1ミリオーム、2ミリオーム、3ミリオーム、4ミリオーム、5ミリオーム、6ミリオーム、7ミリオーム、8ミリオーム、9ミリオーム、10ミリオーム、20ミリオーム、30ミリオーム、40ミリオーム、50ミリオーム、60ミリオーム、70ミリオーム、80ミリオーム、90ミリオーム、100ミリオーム、200ミリオーム、300ミリオーム、400ミリオーム、500ミリオーム、600ミリオーム、700ミリオーム、800ミリオーム、900ミリオーム、1オーム、2オーム、3オーム、4オーム、5オーム、6オーム、7オーム、8オーム、9オーム、10オーム、20オーム、30オーム、40オーム、50オーム、60オーム、70オーム、80オーム、90オーム、100オーム、200オーム、300オーム、400オーム、500オーム、600オーム、700オーム、800オーム、900オーム、1キロオーム、2キロオーム、3キロオーム、4キロオーム、5キロオーム、6キロオーム、7キロオーム、8キロオーム、9キロオーム、10キロオーム、20キロオーム、30キロオーム、40キロオーム、50キロオーム、60キロオーム、70キロオーム、80キロオーム、90キロオーム、100キロオーム、200キロオーム、300キロオーム、400キロオーム、500キロオーム、600キロオーム、700キロオーム、800キロオーム、900キロオーム、1,000キロオーム又はそれを超え得る。例えば、センシング電極110と参照電極115との間の検出されるインピーダンス又はインピーダンス変化は、最大で約1,000キロオーム、900キロオーム、800キロオーム、700キロオーム、600キロオーム、500キロオーム、400キロオーム、300キロオーム、200キロオーム、100キロオーム、90キロオーム、80キロオーム、70キロオーム、60キロオーム、50キロオーム、40キロオーム、30キロオーム、20キロオーム、10キロオーム、9キロオーム、8キロオーム、7キロオーム、6キロオーム、5キロオーム、4キロオーム、3キロオーム、2キロオーム、1キロオーム、900オーム、800オーム、700オーム、600オーム、500オーム、400オーム、300オーム、200オーム、100オーム、90オーム、80オーム、70オーム、60オーム、50オーム、40オーム、30オーム、20オーム、10オーム、9オーム、8オーム、7オーム、6オーム、5オーム、4オーム、3オーム、2オーム、1オーム、900ミリオーム、800ミリオーム、700ミリオーム、600ミリオーム、500ミリオーム、400ミリオーム、300ミリオーム、200ミリオーム、100ミリオーム、90ミリオーム、80ミリオーム、70ミリオーム、60ミリオーム、50ミリオーム、40ミリオーム、30ミリオーム、20ミリオーム、10ミリオーム、9ミリオーム、8ミリオーム、7ミリオーム、6ミリオーム、5ミリオーム、4ミリオーム、3ミリオーム、2ミリオーム、1ミリオーム、900マイクロオーム、800マイクロオーム、700マイクロオーム、600マイクロオーム、500マイクロオーム、400マイクロオーム、300マイクロオーム、200マイクロオーム、100マイクロオーム、90マイクロオーム、80マイクロオーム、70マイクロオーム、60マイクロオーム、50マイクロオーム、40マイクロオーム、30マイクロオーム、20マイクロオーム、10マイクロオーム、9マイクロオーム、8マイクロオーム、7マイクロオーム、6マイクロオーム、5マイクロオーム、4マイクロオーム、3マイクロオーム、2マイクロオーム、1マイクロオーム又はそれ未満であり得る。
[0095] 例えば、センシング電極110と参照電極115との間の検出されるインピーダンス又はインピーダンス変化は、少なくとも約1ナノ秒、2ナノ秒、3ナノ秒、4ナノ秒、5ナノ秒、6ナノ秒、7ナノ秒、8ナノ秒、9ナノ秒、10ナノ秒、20ナノ秒、30ナノ秒、40ナノ秒、50ナノ秒、60ナノ秒、70ナノ秒、80ナノ秒、90ナノ秒、100ナノ秒、200ナノ秒、300ナノ秒、400ナノ秒、500ナノ秒、600ナノ秒、700ナノ秒、800ナノ秒、900ナノ秒、1マイクロ秒、2マイクロ秒、3マイクロ秒、4マイクロ秒、5マイクロ秒、6マイクロ秒、7マイクロ秒、8マイクロ秒、9マイクロ秒、10マイクロ秒、20マイクロ秒、30マイクロ秒、40マイクロ秒、50マイクロ秒、60マイクロ秒、70マイクロ秒、80マイクロ秒、90マイクロ秒、100マイクロ秒、200マイクロ秒、300マイクロ秒、400マイクロ秒、500マイクロ秒、600マイクロ秒、700マイクロ秒、800マイクロ秒、900マイクロ秒、1ミリ秒、2ミリ秒、3ミリ秒、4ミリ秒、5ミリ秒、6ミリ秒、7ミリ秒、8ミリ秒、9ミリ秒、10ミリ秒、20ミリ秒、30ミリ秒、40ミリ秒、50ミリ秒、60ミリ秒、70ミリ秒、80ミリ秒、90ミリ秒、100ミリ秒、200ミリ秒、300ミリ秒、400ミリ秒、500ミリ秒、600ミリ秒、700ミリ秒、800ミリ秒、900ミリ秒、1秒、2秒、3秒、4秒、5秒、6秒、7秒、8秒、9秒、10秒又はそれを超える時間にわたって取られた測定値(例えば、単一の測定値、複数の測定値の平均値を求めるための複数の測定値)であり得る。例えば、センシング電極110と参照電極115との間の検出されるインピーダンス又はインピーダンス変化は、最大で約10秒、9秒、8秒、7秒、6秒、5秒、4秒、3秒、2秒、1秒、900ミリ秒、800ミリ秒、700ミリ秒、600ミリ秒、500ミリ秒、400ミリ秒、300ミリ秒、200ミリ秒、100ミリ秒、90ミリ秒、80ミリ秒、70ミリ秒、60ミリ秒、50ミリ秒、40ミリ秒、30ミリ秒、20ミリ秒、10ミリ秒、9ミリ秒、8ミリ秒、7ミリ秒、6ミリ秒、5ミリ秒、4ミリ秒、3ミリ秒、2ミリ秒、1ミリ秒、900マイクロ秒、800マイクロ秒、700マイクロ秒、600マイクロ秒、500マイクロ秒、400マイクロ秒、300マイクロ秒、200マイクロ秒、100マイクロ秒、90マイクロ秒、80マイクロ秒、70マイクロ秒、60マイクロ秒、50マイクロ秒、40マイクロ秒、30マイクロ秒、20マイクロ秒、10マイクロ秒、9マイクロ秒、8マイクロ秒、7マイクロ秒、6マイクロ秒、5マイクロ秒、4マイクロ秒、3マイクロ秒、2マイクロ秒、1マイクロ秒、900ナノ秒、800ナノ秒、700ナノ秒、600ナノ秒、500ナノ秒、400ナノ秒、300ナノ秒、200ナノ秒、100ナノ秒、90ナノ秒、80ナノ秒、70ナノ秒、60ナノ秒、50ナノ秒、40ナノ秒、30ナノ秒、20ナノ秒、10ナノ秒、9ナノ秒、8ナノ秒、7ナノ秒、6ナノ秒、5ナノ秒、4ナノ秒、3ナノ秒、2ナノ秒、1ナノ秒又はそれ未満の時間にわたって取られた測定値(例えば、単一の測定値、複数の測定値の平均値を求めるための複数の測定値)であり得る。
[0096] 図1A及び図1Bを参照すると、センシング電極と参照電極との間に電界が印加され得る。場合により、センサーに関数発生器が作動可能にカップリングされ、それが電圧(例えば、小振幅正弦波電圧)を印加し得、センサーの回路に電流が生じ得る。続いて、電流並びに(交流電流(即ちa.c.)成分の)振幅及び位相が測定され得る。かかる値は、センサーのインピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号に変換され得る。一連の異なる電圧(又は周波数)で測定が繰り返され、従ってセンサーのインピーダンススペクトルが蓄積され得る。場合により、センサーにLCRメーターが作動可能にカップリングされ得、標的分子がセンシング電極と(例えば、直接又は間接的に)接触したとき又はその近傍に来たときのセンサーのLCR信号又はシグネチャの1つ以上が測定され得る。
[0097] 図1Cを参照すると、センサーのセンシング電極110は、ほぼ平坦及び平面的な表面130に隣接して配置され得る。図1Dを参照すると、センサーのセンシング電極110は、ウェル135内、例えばウェル135の底部分に配置され得る。ウェル135は、閉じた底型のウェルであり得る。場合により、ウェルの表面の少なくとも一部分(例えば、ウェルの表面のうち、センシング電極で被覆されていない一部分)が誘電材料(例えば、絶縁材料)で被覆され得る。代わりに、ウェルの表面は、誘電材料で被覆されなくてもよい。ウェルは、より長い期間にわたって及び/又はより高い結合親和性で標的分子をウェル内部に局在させるか又は捕捉することを促進し得るため、センサーの精度及び感度が向上し得る。場合により、(i)第1の標的分子がウェルに捕捉されて、センサーのインピーダンス又はインピーダンス変化を示す第1の信号が測定され得、及び(ii)続く標的分子がウェルに捕捉されて、センサーのインピーダンス又はインピーダンス変化を示す追加の信号が測定され得る。(ii)中、第1の標的分子は、ウェル内に捕捉されたままであり得る。例えば、標的分子は、ウェル内に配置された基質に結合し得る。代わりに、第1の標的分子は、(ii)中、ウェルに捕捉されていなくてもよい。例えば、第1の標的分子は、(ii)より前にウェルを抜け出ることができる。図1Eを参照すると、センサーのセンシング電極110は、ナノポア(例えば、タンパク質ナノポア又は固体ナノポア)の下に配置され得る。この例では、センシング電極110は、脂質二重層145中に埋め込まれたタンパク質ナノポア140の下に配置され得る。脂質二重層145は、キャパシタンスを有することも又は有しないこともある。ナノポア140は、電荷及び/又はサイズフィルタとして機能するように構成され、従って何がナノポア140を通過してウェル135に入り、センサーのLCR特性の変化を誘導するのかを制御し得る。ナノポア145のサイズは、調節可能であり得る。ナノポア145の全体的な電荷は、調節可能であり得る。ある例では、ナノポア145に正の電気信号を印加すると、正電荷分子をフィルタで除去して負電荷分子のみを入らせ、センシング電極110と相互作用させることを促進し得る。場合により、図1Eに示されるとおりのセンサーは、(i)標的分子(又は標的分子に当初カップリングされていたタグ)がナノポア140を通り抜け、及び(ii)通過した標的分子(又はタグ)がセンシング電極110に(例えば、直接又は間接的に)カップリングした後、センサー内でのインピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号を検出し得る。かかる1つ以上の信号は、標的分子(又はタグ)がナノポア140内にある間、検出されなくてもよい。ある例では、1つ以上の信号の検出に際して、標的分子(又はタグ)の少なくとも一部分が(例えば、導電性材料などのリンカーを介して)センシング電極にカップリングし得る。別の例では、1つ以上の信号の検出に際して、標的分子(又はタグ)の少なくとも一部分が導電性材料に近接し得る。
[0098] 別の態様において、本開示は、標的分子を分析又は同定するためのシステムを提供する。本システムは、互いに電気的に連通しているセンシング電極と参照電極とを含むセンサーを含み得る。センサーは、センシング電極にカップリングされ、及びセンシング電極の表面の第1の部分を被覆する誘電材料を含み得る。センサーは、センシング電極にカップリングされ、及びセンシング電極の表面の第2の部分を被覆する導電性材料を含み得る。センサーは、導電性材料にカップリングされた結合単位を含み得、結合単位は、標的分子に結合するように構成される。センサーは、標的分子の少なくとも一部分が結合単位に結合されるときのセンサーのインピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号を検出するように構成され得る。1つ以上の信号は、標的分子を分析又は同定するために使用可能であり得る。導電性材料は、結合(例えば、化学結合)であり得るか、又は任意の所望の寸法(例えば、長さ、断面直径又は断面積、容積等)の連結単位(例えば、ナノロッド、ペプチド、小分子等)を含み得る。代替的な態様において、結合単位は、センシング電極に直接カップリングされ得る。更に異なる態様において、結合単位は、誘電材料のうち、センシング電極にカップリングされている少なくとも一部分にカップリングされ得る。
[0099] 1つ以上の信号は、(i)センサーの電気的抵抗若しくはその変化、(ii)センサーの電気的キャパシタンス若しくはその変化、又は(ii)センサーの電気的インダクタンス若しくはその変化を示し得る。1つ以上の信号は、(i)センサーの電気的抵抗又はその変化、(ii)センサーの電気的キャパシタンス又はその変化、及び(ii)センサーの電気的インダクタンス又はその変化の少なくとも2つを示し得る。1つ以上の信号は、(i)センサーの電気的抵抗若しくはその変化、(ii)センサーの電気的キャパシタンス若しくはその変化、又は(ii)センサーの電気的インダクタンス及びその変化を示し得る。
[0100] 1つ以上の信号は、電流又は電圧であり得る。1つ以上の信号は、電流及び電圧であり得る。1つ以上の信号は、トンネル電流でなくてもよい。
[0101] 誘電材料に被覆されているセンシング電極の第1の部分は、センシング電極の表面の少なくとも50パーセント(%)であり得る。場合により、センシング電極の第1の部分は、センシング電極の表面の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%又はそれを超え得る。場合により、センシング電極の第1の部分は、センシング電極の表面の最大で100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%又はそれ未満であり得る。
[0102] センシング電極の第2の部分は、センシング電極の表面の最大で50%であり得る。場合により、センシング電極の第2の部分は、センシング電極の表面の最大で50%、45%、0%、35%、0%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%又はそれ未満であり得る。場合により、センシング電極の第2の部分は、センシング電極の表面の少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%又はそれを超え得る。
[0103] センシング電極の平均断面寸法(又は誘電材料及び導電性材料にカップリングされている表面積)は、標的分子の平均サイズの100倍以下であり得る。場合により、センシング電極の平均断面寸法は、標的分子の平均サイズの最大で100倍、90倍、80倍、70倍、60倍、50倍、40倍、30倍、25倍、20倍、15倍、10倍、9倍、8倍、7倍、6倍、5倍、4倍、3倍、2倍、1倍、0.5倍又は0.1倍であり得る。場合により、センシング電極の平均断面寸法は、標的分子の平均サイズの少なくとも0.1倍、0.5倍、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍又は100倍であり得る。場合により、センシング電極の平均断面寸法は、標的分子の平均サイズと比べて少なくとも0.1ナノメートル(nm)、0.5nm、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、10nm、50nm、100nm、500nm、1,000nm、5,000nm、10,000nm又はそれを上回るもの以下であり得る。場合により、センシング電極の平均断面寸法は、標的分子の平均サイズと比べて最大で10,000nm、5,000nm、1,000nm、500nm、100nm、50nm、10nm、5nm、4nm、3nm、2nm、1nm、0.5nm、0.1nm又はそれ未満以下であり得る。
[0104] 代わりに、センシング電極の平均断面寸法は、標的分子の平均サイズより小さいことができる。場合により、センシング電極の平均断面寸法は、標的分子の平均サイズと比べて少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、40%又は50%小さいことができる。場合により、センシング電極の平均断面寸法は、標的分子の平均サイズと比べて最大で50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%小さいことができる。
[0105] センシング電極の表面の第2の部分の面積は、500平方オングストローム(Å)、100Å、50Å,10Å、9Å、8Å、7Å、6Å、5Å、4Å、3Å、2Å、1Å又はそれ未満以下であり得る。場合により、センシング電極の表面の第2の部分の断面寸法又は直径は、導電性材料の原子の直径(例えば、ファンデルワールス半径の2倍)にほぼ等しいことができる。
[0106] 誘電材料は、固体層(例えば、固体金属又は半導体材料)又は自己組織化単分子膜(SAM)であり得る。
[0107] 導電性材料は、単一の分子(例えば、単一の導電性ポリマー鎖)であり得る。場合により、センシング電極の表面の範囲内にある特異的な(又はランダムな)位置に単一分子をカップリングするための原子間力顕微鏡法(AFM)の1つ以上の特徴(例えば、AFMの圧電カンチレバープローブ)。代わりに、導電性材料は、複数の分子(例えば、複数の同一の及び/又は異なる導電性ポリマー鎖)であり得る。導電性材料には、少なくとも1、5、10、50、100、500、1,000、5,000、10,000、50,000、100,000個又はそれを超える分子が含まれ得る。導電性材料には、最大で100,000、50,000、10,000、5,000、1,000、500、100、50、10、5又は1個の分子が含まれ得る。
[0108] 場合により、本開示のセンサーの結合単位(例えば、ヌクレアーゼ又はそのバリアント)に基質が結合し得、結合単位又は追加の要素(例えば、追加の酵素)が基質の少なくとも一部分を切断するように構成され得る。センサーは、(i)かかる切断に続くセンサーのインピーダンス変化を示す1つ以上の信号の差を検出し、及び(ii)1つ以上の信号の分析に基づいて何が切断されたかを同定するように構成され得る。
[0109] 結合単位は、酵素、抗体、アプタマー、非生物学的材料(例えば、合成ポリマー)、これらの機能断片、これらの機能バリアント又はこれらの組み合わせであり得る。酵素は、ポリメラーゼ、ヌクレアーゼ(例えば、二本鎖ヌクレアーゼ)、ニッカーゼ、転写アクチベーター、転写リプレッサー、核酸メチル化酵素、核酸脱メチル化酵素及びリコンビナーゼからなる群から選択され得る。抗体は、全抗体又はその抗原結合断片、例えばscFv、Fab断片、VHHドメイン又は重鎖単独抗体のVHドメインなどであり得る。抗体は、単一特異性又は多重特異性(例えば、二重特異性、三重特異性等)であり得る。抗体は、一価又は多価(例えば、二価、三価等)であり得る。
[0110] 結合単位は、導電性材料に直接カップリングされ得、例えば導電性材料に共有結合的又は非共有結合的に取り付けられ得る。代わりに、結合単位は、センシング電極に対して、例えば片側で導電性材料を結合し、及び反対側で結合単位を結合するリンカーを介して間接的にカップリングされ得る。そのような場合、センサーの検知能力への干渉を最小限に抑えるため、リンカーも導電性リンカーであり得る。代わりに、リンカーは、導電性でなくてもよい。
[0111] 標的分子は、小分子、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、これらのバリアント及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
[0112] 標的分子は、1個以上のタグを含み得る。標的分子は、少なくとも1、2、3、4、5個又はそれを超えるタグを含み得る。標的分子は、最大で5、4、3、2又は1個のタグを含み得る。タグは、センサーの1つ以上の信号の変化を誘導するように構成され得る。場合により、複数の標的分子に複数の種類のタグが使用され得、そのそれぞれのタグを有する標的分子の各々の1つ以上の信号は、他とほぼ区別可能であり得る。場合により、標的分子の1つ以上の特徴又は特性(例えば、サイズ、形状、電荷、振動、流体中での動き等)がセンサーの1つ以上の信号に更に影響を及ぼし得、それにより、そのそれぞれのタグを有する標的分子の各々の1つ以上の信号が他と一層区別し易いものとなり得る。場合により、本開示のタグは、インピーダンスタグであり得る。インピーダンスタグは、センサーの、例えばセンシング電極と参照電極との間で検出されるインピーダンスに変化を生じさせるように構成され得る。インピーダンスタグの例としては、限定はされないが、有機化合物、有機金属化合物、ナノ粒子、金属、これらの機能バリアント及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
[0113] 代わりに、標的分子は、いかなるタグも含まなくてもよい。そのような場合、標的分子の1つ以上の特徴又は特性(例えば、サイズ、形状、電荷、振動、流体中での動き等)がセンサーの1つ以上の信号に更に影響を及ぼし得、それにより、そのそれぞれのタグを有する標的分子の各々の1つ以上の信号が他と一層区別し易いものとなり得る。ある例では、結合単位は、血液、血漿又は尿などの生体試料中のタンパク質であり得る。結合単位は、ローリングサークル増幅(RCA)のための環状核酸に結合する酵素(例えば、RCAを遂行するように構成されたポリメラーゼ)であり得る。標的部分は、いかなる蛍光タグ又はレドックス種タグも有しない核酸塩基であり得るが、しかし、本開示のセンサーの感度は、ヌクレオチドがポリメラーゼによって環状核酸に結合したときのセンサーのインピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号を分析する能力を有し得る。
[0114] 本開示のセンサーの1つ以上の構成要素のサイズ、形状及び/又は分解能は、フォトリソグラフィ、エッチング、ナノインプリンティング、バイオナノポアのサイズ等、技法の分解能によって定義又は制限され得る。
[0115] 図2Aから図2Eは、例えば、1つ以上の標的分子を評価(例えば、分析、同定、定量化、順位付け等)するための、本開示のセンサーを含むシステムの例を概略的に図示する。図2Aを参照すると、センサーは、液体105(例えば、水又は緩衝液、例えば生理食塩水、高電解質緩衝液、低電解質緩衝液等)に浸漬され得る。センサーは、参照電極115と電気的に連通しているセンシング電極110を含み得る。センサーは、センシング電極110の少なくとも上面にカップリングされた誘電材料(例えば、SAM)205を含み得る。SAM205は、センシング電極110の上面のほとんどを被覆し得る。加えて、センシング電極110の上面に導電性材料210(例えば、1つ以上の導電性ポリマー鎖)がカップリングされ得る。導電性材料210は、SAM205の「海」中に埋め込まれ得る。また、導電性材料210には、センシング電極110と反対側(又は末端)で結合部分215もカップリングされ得る。センサーは、液体105の容積217内の1つ以上のLCR特性又はその変化を検出又は測定するように構成され得、この容積217は、結合単位215の近傍にあるか又はそれに隣接している。この例では、結合単位215は、酵素(例えば、ポリメラーゼ)であり得、この酵素は、ポリヌクレオチド基質220に1つ以上のヌクレオチドを付加するように構成され得る。
[0116] センシング電極の表面の少なくとも一部分にカップリングされる誘電材料(例えば、図2Aに示されるとおりのSAM205)の厚さは、少なくとも約0.1nm、0.5nm、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1,000μm又はそれを超え得る。センシング電極の表面の少なくとも一部分にカップリングされる誘電材料の厚さは、最大で約,000μm、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、90μm、80μm、70μm、60μm、50μm、40μm、30μm、20μm、10μm、9μm、8μm、7μm、6μm、5μm、4μm、3μm、2μm、1μm、900nm、800nm、700nm、600nm、500nm、400nm、300nm、200nm、100nm、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nm、10nm、9nm、8nm、7nm、6nm、5nm、4nm、3nm、2nm、1nm、0.5nm、0.1nm又はそれ未満であり得る。
[0117] 図2Bを参照すると、標的分子230は、液体105中に浮遊している3つのヌクレオチドプローブ(1、2及び3の符号が付されている)であり得る。図2Cを参照すると、センシング電極110にカップリングされ、及びSAM(図示せず)中に埋め込まれた結合単位215(例えば、ポリメラーゼ)が標的ヌクレオチドプローブ230-1と相互作用し、その標的ヌクレオチドプローブをヌクレオチド基質220にカップリングし得る。センサーは、(i)タグを含むヌクレオチドプローブ230-1が結合単位215に結合したとき、及び/又は(ii)結合単位215又は結合単位215に作動可能にカップリングされた追加の酵素がヌクレオチドプローブ230-1からタグを切断したときのセンサーのインピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号を測定し得る。場合により、測定されるとおりのインピーダンス又はインピーダンス変化は、バルクのインピーダンス又はインピーダンス変化であり得る。一部の例では、検出されるインピーダンス又はインピーダンス変化は、電極、例えば図2Cに示されるとおりのセンサー電極110のデバイ層(又は二重層)中にない。ある例では、検出されるインピーダンス又はインピーダンス変化は、電極のデバイ層の外側にあり得る。一部の例では、検出されるインピーダンス又はインピーダンス変化は、センシング電極にカップリングされている誘電材料(例えば、図2Aに示されるとおりのSAM205)のデバイ層(又は二重層)中にない。ある例では、検出されるインピーダンス又はインピーダンス変化は、誘電材料のデバイ層の外側にあり得る。
[0118] 図2Dを参照すると、標的分子230は、液体105中に浮遊している4つのヌクレオチドプローブ(240-1、240-2、240-3及び240-4の符号が付されている)であり得る。ここで、ヌクレオチドプローブは、同一のヌクレオチド塩基(例えば、アデニン、即ちA)を有するが、異なる形状のタグによって描写されるとおり、タグが異なる。ヌクレオチド基質220の長さに沿った所与の位置(即ちt=N)において、センシング電極110にカップリングされ、及びSAM(図示せず)中に埋め込まれた結合単位215(例えば、ポリメラーゼ)が標的ヌクレオチドプローブ240-4と(例えば、液体105中でのヌクレオチドプローブの自由運動に基づくランダムな選択によって)相互作用して、標的ヌクレオチドプローブ240-4をヌクレオチド基質220にカップリングし得る。続いて、センサーは、基質220にヌクレオチドプローブ240-4が付加されたことに起因するセンサーのインピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号(例えば、キャパシタンス対抵抗プロット)を検出し得る。同様に、ヌクレオチド基質220の次の位置(即ちt=N+1)について、基質が再び前と同じ核酸塩基を動員すると、結合単位215が別の標的ヌクレオチドプローブ240-1と(例えば、ランダムな選択によって)相互作用して、標的ヌクレオチドプローブ240-1をヌクレオチド基質220にカップリングし得る。続いて、センサーは、基質220にヌクレオチドプローブ240-1が付加されたことに起因するセンサーのインピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号(例えば、キャパシタンス対抵抗プロット)を検出し得る。
[0119] 場合により、センサーは、標的分子(及び/又は標的分子にカップリングされたタグ)の少なくとも一部分が(例えば、直接又は結合単位215及び導電性材料210を介して間接的に)センサーの少なくとも一部分、例えばセンシング電極110に結合したとき、例えばセンシング電極110と参照電極115との間のインピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号を検出するように構成され得る。代わりに、センサーは、標的分子(及び/又は標的分子にカップリングされたタグ)の少なくとも一部分がセンサーの少なくとも一部分、例えばセンシング電極110に、結合しないが、近接したとき、例えばセンシング電極110と参照電極115との間のインピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号を検出するように構成され得る。
[0120] 本開示のセンサーは、(i)標的分子(及び/又は標的分子にカップリングされたタグ)の少なくとも一部分と(ii)センシング電極との間の距離が少なくとも約0.1nm、0.5nm、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1,000μm又はそれを超えるとき、例えばセンシング電極と参照電極との間のインピーダンス又はインピーダンス変化を示す信号を更に多く検出するように構成され得る。本明細書に開示されるとおりのセンサーは、(i)標的分子(及び/又は標的分子にカップリングされたタグ)の少なくとも一部分と(ii)センシング電極との間の距離が最大で約1,000μm、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、90μm、80μm、70μm、60μm、50μm、40μm、30μm、20μm、10μm、9μm、8μm、7μm、6μm、5μm、4μm、3μm、2μm、1μm、900nm、800nm、700nm、600nm、500nm、400nm、300nm、200nm、100nm、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nm、10nm、9nm、8nm、7nm、6nm、5nm、4nm、3nm、2nm、1nm、0.5nm、0.1nm又はそれ未満になったとき、例えばセンシング電極と参照電極との間のインピーダンス又はインピーダンス変化を示す信号を更に多く検出するように構成され得る。
[0121] 本開示のセンサーは、標的分子(及び/又は標的分子にカップリングされたタグ)が、センシング電極の近傍にある又はそれに隣接している所定の空間(例えば、図2Aに例えば示されるとおりの所定の容積217)の範囲内にあるとき、例えばセンシング電極と参照電極との間のインピーダンス又はインピーダンス変化を示す信号を更に多く検出するように構成され得る。所定の空間は、少なくとも約0.1nm、0.5nm、1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1,000μm又はそれを超える容積を有することによって特徴付けられ得る。所定の空間は、最大で約1,000μm、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、90μm、80μm、70μm、60μm、50μm、40μm、30μm、20μm、10μm、9μm、8μm、7μm、6μm、5μm、4μm、3μm、2μm、1μm、900nm、800nm、700nm、600nm、500nm、400nm、300nm、200nm、100nm、90nm、80nm、70nm、60nm、50nm、40nm、30nm、20nm、10nm、9nm、8nm、7nm、6nm、5nm、4nm、3nm、2nm、1nm、0.5nm、0.1nm又はそれ未満の容積を有することよって特徴付けられ得る。
[0122] 本開示のセンサーは、インピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号を検出するために、標的分子(及び/又は標的分子にカップリングされたタグ)の少なくとも一部分がポア(例えば、タンパク質ナノポア又は固体ナノポアなどのナノポア)に入り及び/又はそれを通過する必要がないものであり得る。例えば、図2A~図2Dに例えば示されるとおり、センサーは、ナノポアを含まなくてもよいか、又はそれに作動可能にカップリングされなくてもよい。代わりに、インピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号をセンサーが検出するために、標的分子(及び/又は標的分子にカップリングされたタグ)の少なくとも一部分がセンサーのポア(例えば、タンパク質ナノポア又は固体ナノポアなどのナノポア)に入り及び/又はそれを通過し得る。例えば、図1Eに例えば示されるとおり、センサーは、ナノポアを含み得る。
[0123] 図2Eは、ヌクレオチドプローブ240-4及び240-1の各々が結合単位215によって基質220に付加された後にセンサーによって得られるキャパシタンス対抵抗プロットの例を示す。液体105のインピーダンス信号の測定値がバックグラウンド又は対照として示され得る。図2Eのプロットにより示されるとおり、同じヌクレオチド塩基(例えば、アデニン)にカップリングされているものの、異なるタグであるため、異なるキャパシタンス対抵抗特性が生じ、それにより、センサーは、基質220への同じ核酸塩基の2つ以上の逐次付加を分解することが可能になり得る。ある例では、本開示のセンサーは、(i)N番目のアデニン(例えば、20番目のアデニン)の付加を示す第1の時刻(t)と、(ii)続く(N+1)番目のアデニン(例えば、21番目のアデニン)の付加を示す第2の時刻との差を分解することが可能であり得る。
[0124] 一部の実施形態において、図3に示されるとおり、流体105を保持するチャネル305の高さ310は、チャネル305の高さ310に平行な軸に沿った標的分子の移動性(又は拡散性)を抑制するように設計され得る。センサーの有効動作面積(例えば、結合単位、導電性材料又はセンシング電極の寸法)を制限すると、センサーの有効動作面積に垂直な軸(例えば、高さ310に平行な軸)に沿った標的分子の任意の移動性が1つ以上の信号の測定値に負の影響を及ぼし得る。従って、チャネル305の高さ310を減少させることにより、システムが実質的に二次元となり、それによりセンシング電極110に対する標的分子の垂直運動による任意の効果を制限し得る。チャネルの高さ310は、最大で300マイクロメートル(μm)、250μm、200μm、150μm、100μm、90μm、80μm、70μm、60μm、50μm、40μm、30μm、25μm、20μm、15μm、10μm、9μm、8μm、7μm、6μm、5μm、4μm、3μm、2μm、1μm又はそれ未満であり得る。チャネルの高さ310は、少なくとも1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm又はそれを超え得る。
[0125] 図3に関して、場合により、チャネル305の高さ310は、(例えばセンサーの製造中に)予め決められた高さであり得る。代わりに、チャネル305の高さ310は、調整可能であり得る。場合により、標的分子のサイズ又は標的分子集団の平均サイズに応じてチャネル305の高さ310を調整することが所望され得る。そのような場合、高さ310をリアルタイムで変えられるように、センサーの少なくとも一部分の上又はそれに隣接して1つ以上のスイッチ(例えば、機械的スイッチ、マイクロ流体スイッチ)が配置され得る。スイッチの例としては、限定はされないが、熱駆動式又は圧電駆動式アクチュエータ、電動式アクチュエータ等を挙げることができる。
[0126] 一部の実施形態において、センシング電極及び参照電極は、第1の方向に沿って第1の電界を提供し得る。加えて、本システムは、第1の電界の第1の方向と異なる(例えば、実質的に垂直な)第2の方向に第2の電界を印加するように構成された追加の電界発生器(例えば、異なる回路にある追加の一組の電極)を更に含み得る。第1の方向と第2の方向との間の差は、少なくとも約1度、2度、3度、4度、5度、6度、7度、8度、9度、10度、15度、20度、30度、40度、50度、60度、70度、80度、90度、100度、110度、120度、130度、140度、150度、160度、170度又はそれを超え得る。第1の方向と第2の方向との間の差は、最大で約180度、170度、160度、150度、140度、130度、120度、110度、100度、90度、80度、70度、60度、50度、40度、30度、20度、15度、10度、9度、8度、7度、6度、5度、4度、3度、2度、1度又はそれ未満であり得る。ある例では、第1の方向と第2の方向との間の差は、約90度であり得る(即ち、第1の方向と第2の方向とは、互いに実質的に直交し得る)。図4Aは、例えば、1つ以上の標的分子を評価(例えば、分析、同定、定量化、順位付け等)するための、センサーを含むシステムを概略的に図示し、ここで、センサーは、いかなる追加の電界発生器も含まない。ポリヌクレオチド基質220が大きいとき、それが結合単位215に結合するときに折り畳まれる。ポリヌクレオチド基質220が折り畳まれると、基質220の1つ以上の位置に結合単位(例えば、ポリメラーゼ酵素)が接触できず、標的ヌクレオチドを付加することができなくなり、従ってセンサーの感度及び/又は精度に負の影響が生じ得る。対照的に、図4Bは、例えば、1つ以上の標的分子を評価(例えば、分析、同定、定量化、順位付け等)するための、センサーと、追加の一組の電極410及び415間に追加の電界405を印加するように構成された追加の電界発生器とを含む異なるシステムを概略的に図示する。図示されるとおり、電界405の方向は、センシング電極110の表面と実質的に垂直であり得る。印加される電界405が電界405の方向に沿って基質220の折り畳みをほどき、及び/又はそれを引き伸ばし、それにより、結合単位215、導電性材料(図示せず)及び/又はセンシング電極110の表面による基質220の折り畳み及び重なりを低減し得る。
[0127] 本システムは、少なくとも1、2、3、4、5個又はそれを超える追加の電界発生器を含み得る。本システムは、最大で5、4、3、2又は1個の追加の電界発生器を含み得る。複数の追加の電界発生器を含むとき、それらの複数の追加の電界発生器は、同じ又は異なる方向に沿った複数の電界を印加し得る。代わりに、本システムは、追加の電界発生器を一切含まなくてもよい。
[0128] 一部の実施形態において、標的分子は、1つ以上のレドックス部分を(例えば、タグとして)含み得、本開示のセンサーは、レドックス部分のレドックス電位(例えば、還元電位又は酸化電位)を測定するように構成され得る。ある例では、センサーは、標的分子の酸化性官能基の酸化電位を測定するように構成され得る。緩衝溶液は、結合単位の活性(例えば、結合単位の酵素活性)に負の影響を及ぼし得るため、従って、一部の結合単位について、溶液中の塩濃度を低下させることが望ましい場合もある。しかしながら、場合により、緩衝液中の塩濃度が低下すると、システムの抵抗が増加し、それによりセンサーの感度又は精度が低下し得る。そのような場合、1つ以上のレドックス部分によるタグを利用して、かかるタグを含む標的分子のレドックス電位を測定することが有利であり、精度が向上し得る。
[0129] 図5Aは、例えば、1つ以上の標的分子を評価(例えば、分析、同定、定量化、順位付け等)するための、1つ以上の標的分子の酸化電位を測定するセンサーを含むシステムの一例を概略的に図示する。このセンサーは、図2Aに図示されるシステムの1つ以上の構成要素、例えばセンシング電極110、参照電極115、液体105(例えば、塩溶液)、結合単位215(例えば、ポリメラーゼ)及びポリヌクレオチド基質220を含み得る。ここで、結合単位215によって基質220に付加される標的分子は、510-1、510-2、510-3及び510-4と表示されるとおりの合成ヌクレオチドA、T、C及びGである。標的分子のレドックス部分は、フェロセン(Fc)又は一連のFc誘導体、即ちFc-x、Fc-y及びFc-dmであり得る。Fc及びその誘導体は、異なる酸化電位を有し、従ってそのそれぞれのレドックスタグを含む各標的分子が結合単位215によって基質220に付加されたとき、異なる電圧(例えば、数ミリボルトだけ異なる)を印加すると、例えばレドックス部分に結合した標的分子が結合単位に結合して基質220に付加されるときの、(i)標的分子のレドックス部分と(ii)センシング電極との間の電子移動を検出することにより、いずれの標的分子が基質220に付加されたかを分解することが可能であり得る。
[0130] 図5Bは、図5Aのセンサーから得られる様々な電圧(y軸に沿ってV、V、V、V及びVと示される)における時間(t、x軸)対電流(I、y軸)プロット及び電流(四角の山によって示される)プロットを概略的に図示する。図5Bでは、様々な電圧における複数の時間対電流プロットを重ね合わせることにより、本明細書に提供されるとおりの異なる標的分子-レドックスタグ複合体によって生じる異なる電流シグネチャを見せている。4つの標的分子510-1、510-2、510-3及び510-4のレドックスタグは、異なる電圧に反応し得るため、従って測定されるそれぞれの電流シグネチャを用いて標的基質220の目的の領域の配列520を決定し得る。
[0131] 一部の実施形態において、センサーは、結合単位上における標的分子の滞留時間を決定するように構成され得る。場合により、異なる標的分子又は標的分子にカップリングされた異なるタグは、センサーの結合単位に対して異なる滞留時間を呈し得、この滞留時間は、標的分子を分析又は同定するユニークな又は追加のシグネチャであり得る。
[0132] 本開示のセンサーは、電気回路(例えば、CMOS又はFET回路)であり得る。電気回路は、電圧源にカップリングされ得る。電気回路に定電圧が印加され得、電流の変化が測定され得る。代わりに、定常電流を維持するために必要な電圧の変化が測定され得る。センサーは、電解液(例えば、0.5M酢酸カリウム及び10mM KCl)中にあり得る。代わりに、センサーは、電解液中になくてもよい。一部の例では、センサーは、水溶液中又は気体中にあり得る。
[0133] 1つ以上の信号は、センシング回路から測定される電流又は電圧であり得る。1つ以上の信号は、センシング回路から測定される電流及び電圧であり得る。信号は、トンネル電流であり得る。代わりに、信号は、トンネル電流でなくてもよい。電流は、ファラデー電流であり得る。代わりに、電流は、ファラデー電流でなくてもよい。電流は、少なくとも1ピコアンペア(pA)、10pA、100pA、1ナノアンペア(nA)、10nA、100nA、1マイクロアンペア(mA)、10mA、100mA又はそれを超え得る。電流は、最大で100mA、10mA、1mA、100nA、10nA、1nA、100pA、10pA、1pA又はそれ未満であり得る。電流は、少なくともピコアンペア(pA)範囲、数十pA範囲、数百pA範囲、ナノアンペア(nA)範囲、数十nA範囲、数百nA範囲、マイクロアンペア(mA)範囲、数十mA範囲又はそれを超え得る。電流は、最大で数十mA範囲、mA範囲、数百nA範囲、数十nA範囲、nA範囲、数百pA範囲、数十pA範囲、pA範囲又はそれ未満であり得る。電圧は、少なくとも0.1ミリボルト(mV)、0.5mV、1mV、5mV、10mV、50mV、100mV、500mV又はそれを超え得る。電圧は、最大で500mV、100mV、50mV、10mV、5mV、1mV、0.5mV、0.1mV又はそれ未満であり得る。電圧は、少なくともミリボルト(mV)範囲、数十mV範囲、数百mV範囲又はそれを超え得る。電圧は、最大で数百mV範囲、数十mV範囲、mV範囲又はそれ未満であり得る。
[0134] 一部の実施形態において、本開示のセンサーは、チップ又はバイオチップ上に存在するアレイなど、アレイとして提供され得る。センサーのアレイは、本開示の任意のセンサーを任意の好適な数だけ有し得る。アレイは、約10、約20、約50、約100、約200、約400、約600、約800、約1000、約1500、約2000、約3000、約4000、約5000、約10000、約15000、約20000、約40000、約60000、約80000、約100000、約200000、約400000、約600000、約800000、約1000000個又はそれを超えるセンサーを含み得る。
[0135] 別の態様において、本開示は、標的分子を分析又は同定する方法を提供する。本方法は、センサーを使用して、標的分子の少なくとも一部分がセンサーの少なくとも一部分によって結合されるときのセンサーのインピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号を検出することを含み得る。本方法は、1つ以上の信号を使用して標的分子を分析又は同定することを更に含み得る。本方法は、図1から図5に図示されるとおりの本開示の主題のシステムのいずれかを利用し得る。
[0136] 別の態様において、本開示は、標的分子を分析又は同定する方法を提供する。本方法は、互いに電気的に連通しているセンシング電極と参照電極とを含むセンサーを提供することを含み得る。センサーは、センシング電極にカップリングされ、及びセンシング電極の表面の第1の部分を被覆する誘電材料を更に含み得る。センサーは、センシング電極にカップリングされ、及びセンシング電極の表面の第2の部分を被覆する導電性材料を更に含み得る。センサーは、導電性材料にカップリングされた結合単位を更に含み得、結合単位は、標的分子に結合するように構成される。本方法は、標的分子の少なくとも一部分が結合部分によって結合されるときのセンサーのインピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号を検出することを更に含み得る。本方法は、1つ以上の信号を使用して標的分子を分析又は同定することを更に含み得る。本方法は、図1から図5に図示されるとおりの本開示の主題のシステムのいずれかを利用し得る。
[0137] 図7は、標的分子を分析又は同定する方法の例示的プロセス701を示す。本方法は、センサーを提供することを含み得る(プロセス710)。センサーは、結合単位を含み得る。本方法は、センサーに標的分子を提供することを含み得る(プロセス720)。本方法は、標的分子の少なくとも一部分が結合単位によって結合されるときのセンサーのインピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号を検出することを含み得る(プロセス730)。本方法は、1つ以上の信号を使用して標的分子を分析又は同定することを含み得る。
[0138] 1つ以上の信号は、(i)センサーの電気的抵抗若しくはその変化、(ii)センサーの電気的キャパシタンス若しくはその変化、又は(ii)センサーの電気的インダクタンス若しくはその変化を示し得る。1つ以上の信号は、(i)センサーの電気的抵抗又はその変化、(ii)センサーの電気的キャパシタンス若しくはその変化、又は(ii)センサーの電気的インダクタンス若しくはその変化の少なくとも2つを示し得る。1つ以上の信号は、(i)センサーの電気的抵抗又はその変化、(ii)センサーの電気的キャパシタンス又はその変化、及び(ii)センサーの電気的インダクタンス又はその変化を示し得る。
[0139] 1つ以上の信号は、電流又は電圧であり得る。1つ以上の信号は、電流及び電圧であり得る。1つ以上の信号は、トンネル電流でなくてもよい。
[0140] 一部の実施形態において、センシング電極及び参照電極が第1の電界を提供し得る。加えて、本方法は、追加の電界発生器を提供することを更に含み得る。本方法は、追加の電界発生器を使用して、第1の電界の第1の方向にほぼ垂直な第2の方向に第2の電界を印加することを更に含み得る。
[0141] 一部の実施形態において、本方法は、結合単位上における標的分子の滞留時間を決定することを更に含み得る。本方法は、1つ以上の信号の代わりに及び/又はそれに加えて滞留時間を用いて標的分子を分析又は同定することを更に含み得る。
[0142] II.試料
[0143] 分析のための試料は、複数のポリヌクレオチドを含むことができる。ポリヌクレオチドは、一本鎖DNA、二本鎖DNA又はこれらの組み合わせであり得る。ポリヌクレオチドは、ゲノムDNA、ゲノムcDNA、無細胞DNA、無細胞cDNA又は前述のいずれかの組み合わせを含むことができる。
[0144] ポリヌクレオチドには、無細胞DNA、循環腫瘍DNA、ゲノムDNA及びホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料からのDNAが含まれ得る。一部の例では、FFPE試料からの抽出DNAは、損傷していることもあり、かかる損傷したDNAは、利用可能なFFPE DNA修復キットにより修復され得る。試料は、例えば、尿、便、血液、唾液、組織、生検、体液又は腫瘍細胞など、任意の好適なDNA及び/又はcDNA試料を含むことができる。
[0145] 複数のポリヌクレオチドは、一本鎖又は二本鎖であり得る。
[0146] ポリヌクレオチド試料は、任意の好適な供給源に由来することができる。例えば、試料は、患者、動物、植物又は環境、例えば天然に存在する又は人工的な大気、水系、土壤、大気中病原体収集システム、地下堆積物、地下水又は下水処理場などから入手することができる。
[0147] 試料からのポリヌクレオチドは、例えば、DNA、RNA、リボソームRNA(rRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、マイクロRNA(miRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、前述のいずれかの断片又は前述のいずれかの組み合わせなど、1つ以上の異なるポリヌクレオチドを含み得る。試料は、DNAを含むことができる。試料は、ゲノムDNAを含むことができる。試料は、ミトコンドリアDNA、葉緑体DNA、プラスミドDNA、細菌人工染色体、酵母人工染色体、オリゴヌクレオチドタグ又は前述のいずれかの組み合わせを含むことができる。
[0148] ポリヌクレオチドは、一本鎖、二本鎖又はこれらの組み合わせであり得る。ポリヌクレオチドは、一本鎖ポリヌクレオチドであり得、これは、二本鎖ポリヌクレオチドの存在下であっても又はそうでなくてもよい。
[0149] 試料中のポリヌクレオチドの出発量は、例えば、45ng、40ng、35ng、30ng、25ng、20ng、15ng、10ng、5ng、4ng、3ng、2ng、1ng、0.5ng、0.1ng又はそれを下回って少ないなど、50ngより少ないことができる。試料中のポリヌクレオチドの出発量は、例えば、0.5ng、1ng、2ng、3ng、4ng、5ng、10ng、15ng、20ng、25ng、30ng、35ng、40ng、45ng、50ng又はそれを超えて多いなど、0.1ngより多いことができる。出発ポリヌクレオチドの量は、例えば、0.1ngから100ng、1ngから75ng、5ngから50ng又は10ngから20ngであり得る。
[0150] 試料中のポリヌクレオチドは、入手されたそのままであるか又は処理(例えば、変性)を経たかのいずれかの一本鎖であり得る。好適なポリヌクレオチドの更なる例は、本開示の様々な態様のいずれかに関するなど、本明細書に記載される。ポリヌクレオチドは、抽出ステップなしに及び/又は精製ステップなしに、後続のステップ(例えば、環状化及び増幅)に供することができる。例えば、流体試料を抽出ステップなしに細胞を除去する処理にかけて、精製された液体試料及び細胞試料を生じさせ、続いてその精製された流体試料からポリヌクレオチドを単離し得る。ポリヌクレオチドの単離には、沈殿又は基質との非特異的結合と、続く基質の洗浄によって結合したポリヌクレオチドを遊離させることによるなど、種々の手順が利用可能である。ポリヌクレオチドが細胞抽出ステップなしに試料から単離される場合、ポリヌクレオチドは、概して、死細胞若しくは損傷細胞に対応し得る細胞外又は「無細胞」ポリヌクレオチドであることになる。かかる細胞のアイデンティティを用いて、微生物群落におけるなど、それが由来する元の細胞又は細胞集団を特徴付け得る。
[0151] 試料は、対象からのものであり得る。対象は、例えば、植物、動物、真菌、原生生物、モネラ、ウイルス、ミトコンドリア及び葉緑体を含めた任意の好適な生物であり得る。標本ポリヌクレオチドは、細胞試料、組織試料、体液試料若しくは臓器試料又はこれらのいずれかに由来する細胞培養物、例えば培養細胞株、生検、血液試料、頬スワブ又は唾液などの細胞を含有する流体試料を含めたものなど、対象から単離され得る。対象は、雌ウシ、ブタ、マウス、ラット、ニワトリ、ネコ、イヌ又はヒトなどの哺乳類など、動物であり得る。試料は、対象からの腫瘍組織の試料中などでは、腫瘍細胞を含み得る。
[0152] 試料は、インタクトな細胞を含まなくてもよく、細胞を除去する処理にかけることができるか、又は無細胞DNAなどの無細胞ポリヌクレオチドを単離するなどのため、ポリヌクレオチドは細胞抽出ステップなしに単離される。
[0153] 試料供給源の他の例としては、血液、尿、糞便、鼻孔、肺、腸、他の体液又は排泄物からのもの、これらの誘導体又はこれらの組み合わせが挙げられる。
[0154] 単一の個体からの試料を、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える別個の試料など、複数の別個の試料に分割することができ、これらは、独立に、デュプリケート、トリプリケート、クアドルプリケート又はそれを超えるものでの分析など、本開示の方法に供される。試料が対象からのものである場合、参照配列も、分析下の試料からのコンセンサス配列又は同じ対象の別の試料若しくは組織からのポリヌクレオチドの配列など、対象に由来し得る。例えば、血液試料がctDNA突然変異に関して分析され得、頬側又は皮膚試料など、対象からの別の試料からの細胞DNAを分析して参照配列を決定することができる。
[0155] ポリヌクレオチドは、試料中の細胞からの抽出を伴って又は伴わずに任意の好適な方法により試料から抽出することができる。
[0156] 複数のポリヌクレオチドは、無細胞DNA(cfDNA)又は循環腫瘍DNA(ctDNA)など、無細胞ポリヌクレオチドを含むことができる。無細胞DNAは、健常個体及び罹患個体の両方に循環する。腫瘍からのcfDNA(ctDNA)は、いかなる特定の癌種にも限定されず、種々の悪性腫瘍にわたる共通の所見であるように見える。血漿中の遊離循環DNA濃度は、対照対象では、病態を有するか又は有する疑いがある患者と比較して下がり得る。ある例では、血漿中の遊離循環DNA濃度は、例えば、対照対象では14ng/mLから18ng/mL、新生物を有する患者では18ng/mLから318ng/mLであり得る。
[0157] アポトーシス細胞死及び壊死性細胞死は、体液中の無細胞循環DNAの一因であり得る。例えば、前立腺癌患者並びに良性前立腺肥大症及び前立腺炎などの他の前立腺疾患の血漿中では、循環DNAレベルの有意な増加が観察され得る。加えて、循環腫瘍DNAは、原発腫瘍が生じる臓器に由来する流体中に存在し得る。ある例では、乳管洗浄液で乳癌検出;便で結腸直腸癌検出;喀痰で肺癌検出及び尿又は射精液で前立腺癌検出を実現することができる。無細胞DNAは、種々の供給源から入手され得る。例示的供給源は、対象の血液試料であり得る。しかしながら、cfDNA又は他の断片化されたDNAは、例えば、尿及び便試料を含めた種々の他の供給源に由来し得、ctDNAを含めたcfDNAの供給源となり得る。
[0158] 一部の実施形態において、標的分子は、健康状態又は疾患を示し得る。場合により、疾患は、腫瘍又は癌であり得る。主題のシステムの結合単位によって結合され得る抗原の非限定的な例としては、限定はされないが、1-40-β-アミロイド、4-1BB、5AC、5T4、707-AP、Aキナーゼアンカータンパク質4(AKAP-4)、アクチビン受容体2B型(ACVR2B)、アクチビン受容体様キナーゼ1(ALK1)、腺癌抗原、アディポフィリン、アドレノセプターβ3(ADRB3)、AGS-22M6、α葉酸受容体、α-フェトプロテイン(AFP)、AIM-2、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)、アンドロゲン受容体、アンギオポエチン2、アンギオポエチン3、アンギオポエチン結合細胞表面受容体2(Tie 2)、炭疽毒素、AOC3(VAP-1)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3(CD276)、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)炭疽菌、B細胞活性化因子(BAFF)、Bリンパ腫細胞、骨髄間質細胞抗原2(BST2)、ブラザー・オブ・レギュレーター・オブ・イムプリンテッド・サイト(Brother of the Regulator of Imprinted Sites:BORIS)、C242抗原、C5、CA-125、癌抗原125(CA-125又はMUC16)、癌/精巣抗原1(NY-ESO-1)、癌/精巣抗原2(LAGE-1a)、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、癌胎児性抗原(CEA)、心臓ミオシン、CCCTC結合因子(CTCF)、CCL11(エオタキシン-1)、CCR4、CCR5、CD11、CD123、CD125、CD140a、CD147(ベイシジン)、CD15、CD152、CD154(CD40L)、CD171、CD179a、CD18、CD19、CD2、CD20、CD200、CD22、CD221、CD23(IgE受容体)、CD24、CD25(IL-2受容体のα鎖)、CD27、CD274、CD28、CD3、CD3ε、CD30、CD300分子様ファミリーメンバーf(CD300LF)、CD319(SLAMF7)、CD33、CD37、CD38、CD4、CD40、CD40リガンド、CD41、CD44 v7、CD44 v8、CD44 v6、CD5、CD51、CD52、CD56、CD6、CD70、CD72、CD74、CD79A、CD79B、CD80、CD97、CEA関連抗原、CFD、ch4D5、染色体Xオープンリーディングフレーム61(CXORF61)、クローディン18.2(CLDN18.2)、クローディン6(CLDN6)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、クランピング因子A、CLCA2、コロニー刺激因子1受容体(CSF1R)、CSF2、CTLA-4、C型レクチンドメインファミリー12メンバーA(CLEC12A)、C型レクチン様分子-1(CLL-1又はCLECL1)、C-X-Cケモカイン受容体4型、サイクリンB1、シトクロムP4501B1(CYP1B1)、cyp-B、サイトメガロウイルス、サイトメガロウイルス糖タンパク質B、ダビガトラン、DLL4、DPP4、DR5、大腸菌(E. coli)志賀毒素1型、大腸菌(E. coli)志賀毒素2型、エクト-ADP-リボシルトランスフェラーゼ4(ART4)、EGF様モジュール含有ムチン様ホルモン受容体様2(EMR2)、EGF様ドメイン多重7(EGFL7)、伸長因子2突然変異型(ELF2M)、エンドトキシン、エフリンA2、エフリンB2、エフリンA型受容体2、上皮成長因子受容体(EGFR)、上皮成長因子受容体バリアントIII(EGFRvIII)、エピシアリン、上皮細胞接着分子(EpCAM)、上皮糖タンパク質2(EGP-2)、上皮糖タンパク質40(EGP-40)、ERBB2、ERBB3、ERBB4、ERG(膜貫通型プロテアーゼ、セリン2(TMPRSS2)ETS融合遺伝子)、大腸菌(Escherichia coli)、染色体12pに位置するETS転座バリアント遺伝子6(ETV6-AML)、呼吸器合胞体ウイルスのFタンパク質、FAP、IgA受容体のFc断片(FCAR又はCD89)、Fc受容体様5(FCRL5)、胎児アセチルコリン受容体、フィブリンIIβ鎖、線維芽細胞活性化タンパク質α(FAP)、フィブロネクチンエクストラドメイン-B、FGF-5、Fms様チロシンキナーゼ3(FLT3)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸ヒドロラーゼ、葉酸受容体1、葉酸受容体α、葉酸受容体β、Fos関連抗原1、Frizzled受容体、フコシルGM1、G250、Gタンパク質共役受容体20(GPR20)、Gタンパク質共役受容体クラスCグループ5、メンバーD(GPRC5D)、ガングリオシドG2(GD2)、GD3ガングリオシド、糖タンパク質100(gp100)、グリピカン-3(GPC3)、GMCSF受容体α鎖、GPNMB、GnT-V、成長分化因子8、GUCY2C、熱ショックタンパク質70-2突然変異型(mut hsp70-2)、赤血球凝集素、A型肝炎ウイルス細胞受容体1(HAVCR1)、B型肝炎表面抗原、B型肝炎ウイルス、HER1、HER2/neu、HER3、globoHグリコセラミドの六糖部分(GloboH)、HGF、HHGFR、高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、ヒストン複合体、HIV-1、HLA-DR、HNGF、Hsp90、HST-2(FGF6)、ヒトパピローマウイルスE6(HPV E6)、ヒトパピローマウイルスE7(HPV E7)、ヒト散乱因子受容体キナーゼ、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、ヒトTNF、ICAM-1(CD54)、iCE、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IgE、IgE Fc領域、IGF-1、IGF-1受容体、IGHE、IL-12、IL-13、IL-17、IL-17A、IL-17F、IL-1β、IL-20、IL-22、IL-23、IL-31、IL-31RA、IL-4、IL-5、IL-6、IL-6受容体、IL-9、免疫グロブリンλ様ポリペプチド1(IGLL1)、インフルエンザA型赤血球凝集素、インスリン様成長因子1受容体(IGF-I受容体)、インスリン様成長因子2(ILGF2)、インテグリンα4β7、インテグリンβ2、インテグリンα2、インテグリンα4、インテグリンα5β1、インテグリンα7β7、インテグリンαIIbβ3、インテグリンαvβ3、インターフェロンα/β受容体、インターフェロンγ誘導性タンパク質、インターロイキン11受容体α(IL-11Rα)、インターロイキン-13受容体サブユニットα-2(IL-13Ra2又はCD213A2)、腸カルボキシルエステラーゼ、キナーゼドメイン領域(KDR)、KIR2D、KIT(CD117)、L1細胞接着分子(L1-CAM)、レグマイン、白血球免疫グロブリン様受容体サブファミリーAメンバー2(LILRA2)、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1)、ルイスY抗原、LFA-1(CD11a)、LINGO-1、リポタイコ酸、LOXL2、L-セレクチン(CD62L)、リンパ球抗原6複合体、遺伝子座K9(LY6K)、リンパ球抗原75(LY75)、リンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ(LCK)、リンホトキシン-α(LT-α)又は腫瘍壊死因子-β(TNF-β)、マクロファージ遊走阻害因子(MIF又はMMIF)、M-CSF、乳腺分化抗原(NY-BR-1)、MCP-1、黒色腫癌精巣抗原-1(MAD-CT-1)、黒色腫癌精巣抗原-2(MAD-CT-2)、黒色腫アポトーシス阻害薬(ML-IAP)、黒色腫関連抗原1(MAGE-A1)、メソテリン、ムチン1、細胞表面関連(MUC1)、MUC-2、ムチンCanAg、ミエリン関連糖タンパク質、ミオスタチン、N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼV(NA17)、NCA-90(顆粒球抗原)、神経成長因子(NGF)、神経アポトーシス調節型プロテイナーゼ1、神経細胞接着分子(NCAM)、神経突起伸長阻害薬(例えば、NOGO-A、NOGO-B、NOGO-C)、ニューロピリン-1(NRP1)、N-グリコリルノイラミン酸、NKG2D、ノッチ受容体、o-アセチル-GD2ガングリオシド(OAcGD2)、嗅覚受容体51E2(OR51E2)、癌胎児性抗原(h5T4)、切断点クラスター領域(BCR)とエーベルソンマウス白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ1(Abl)とからなる癌遺伝子融合タンパク質(bcr-abl)、オリクトラグス・クニクルス(Oryctolagus cuniculus)、OX-40、oxLDL、p53突然変異体、ペアードボックスタンパク質Pax-3(PAX3)、ペアードボックスタンパク質Pax-5(PAX5)、パネキシン3(PANX3)、リン酸塩-ナトリウム共輸送体、ホスファチジルセリン、胎盤特異的1(PLAC1)、血小板由来成長因子受容体α(PDGF-Rα)、血小板由来成長因子受容体β(PDGFR-β)、ポリシアル酸、プロアクロシン結合タンパク質sp32(OY-TES1)、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、プロスターゼ、前立腺癌腫瘍抗原-1(PCTA-1又はガレクチン8)、T細胞によって認識される黒色腫抗原1(MelanA又はMART1)、P15、P53、PRAME、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、前立腺癌細胞、プロステイン、プロテアーゼセリン21(テスティシン(testisin)又はPRSS21)、プロテアソーム(プロソーム、マクロペイン(macropain))サブユニット、β型、9(LMP2)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、狂犬病ウイルス糖タンパク質、RAGE、RasホモログファミリーメンバーC(RhoC)、核内因子κ-Bリガンドの受容体アクチベーター(RANKL)、後期糖化最終産物受容体(RAGE-1)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、腎臓ユビキタス1(RU1)、腎臓ユビキタス2(RU2)、呼吸器合胞体ウイルス、Rh血液型D抗原、Rh因子、肉腫転座切断点、スクレロスチン(SOST)、セレクチンP、シアリルルイス接着分子(sLe)、精子タンパク質17(SPA17)、スフィンゴシン-1-リン酸、T細胞によって認識される扁平上皮癌抗原1、2及び3(SART1、SART2及びSART3)、ステージ特異的胎児抗原-4(SSEA-4)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、STEAP1、サーバイビング、シンデカン1(SDC1)+A314、SOX10、サバイビン、サーバイビング-2B、滑膜肉腫、X切断点2(SSX2)、T細胞受容体、TCRγ代替リーディングフレームタンパク質(TARP)、テロメラーゼ、TEM1、テネイシンC、TGF-β(例えば、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3)、甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)、組織因子経路阻害因子(TFPI)、Tn抗原((Tn Ag)又は(GalNAcα-Ser/Thr))、TNF受容体ファミリーメンバーB細胞成熟(BCMA)、TNF-α、TRAIL-R1、TRAIL-R2、TRG、トランスグルタミナーゼ5(TGS5)、腫瘍抗原CTAA16.88、腫瘍内皮マーカー1(TEM1/CD248)、腫瘍内皮マーカー7関連(TEM7R)、腫瘍タンパク質p53(p53)、MUC1の腫瘍特異的グリコシル化、腫瘍関連カルシウムシグナルトランスデューサー2、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG-72)+A327、TWEAK受容体、チロシナーゼ、チロシナーゼ関連タンパク質1(TYRP1又は糖タンパク質75)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TYRP2)、ウロプラキン2(UPK2)、血管内皮成長因子(例えば、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、PIGF)、血管内皮成長因子受容体1(VEGFR1)、血管内皮成長因子受容体2(VEGFR2)、ビメンチン、v-mycトリ骨髄球腫症ウイルス性癌遺伝子神経芽細胞腫由来ホモログ(MYCN)、フォン・ヴィ

レブランド因子(VWF)、ウィルムス腫瘍タンパク質(WT1)、X抗原ファミリー、メンバー1A(XAGE1)、β-アミロイド及びκ軽鎖を挙げることができる。
[0159] III.ナノポア
[0160] シーケンシングシステムは、1つ以上のナノポア装置を含む反応チャンバを含むことができる。ナノポア装置は、個別にアドレス指定可能なナノポア装置であり得る。個別にアドレス指定可能なナノポアは、個別に読取り可能であり得る。個別にアドレス指定可能なナノポアは、個別に書込み可能であり得る。個別にアドレス指定可能なナノポアは、個別に読取り可能及び個別に書込み可能であり得る。本システムは、試料調製及び本開示の様々な操作、例えばポリヌクレオチドシーケンシングなどを促進する1つ以上のコンピュータプロセッサを含み得る。プロセッサは、ナノポア装置にカップリングすることができる。
[0161] ナノポア装置は、複数の個別にアドレス指定可能なセンシング電極を含み得る。各センシング電極は、電極に隣接した膜及び膜にある1つ以上のナノポアを含み得る。ナノポアは、集積回路の一部であるか、又はそれにカップリングされている電極に隣接して配置されるか、又はそれとセンシングのために近接して配置された脂質二重層などの膜にあり得る。ナノポアは、個別の電極及びセンシング集積回路又は複数の電極及びセンシング集積回路と関連付けられ得る。ナノポアは、固体ナノポアを含むことができる。
[0162] 本開示によって提供される方法に用いられる装置及びシステムは、鋳型に相補的な成長中の鎖にヌクレオチドが取り込まれたときなどに個別のヌクレオチド取込みイベントを正確に検出し得る。DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ又はリガーゼなどの酵素により、成長中のポリヌクレオチド鎖にヌクレオチドが取り込まれ得る。ポリメラーゼなどの酵素は、ポリヌクレオチド鎖をもたらすことができる。
[0163] 付加されるヌクレオチドは、成長中の鎖にハイブリダイズされる対応する鋳型ポリヌクレオチド鎖と相補的であり得る。ヌクレオチドは、限定はされないが、ヌクレオチドのγリン酸塩などのリン酸塩、糖又は窒素含有塩基部分を含め、ヌクレオチドの任意の位置にカップリングされているタグ又はタグ種を含むことができる。場合により、タグは、ヌクレオチドタグの取込み時にタグがポリメラーゼに会合している間に検出される。タグは、ヌクレオチド取込み後にタグがナノポアを通し移動し、続いてタグの切断及び/又は遊離が起こるまで検出され続け得る。ヌクレオチド取込みイベントによりヌクレオチドからタグが遊離してナノポアを通過し、それが検出され得る。タグは、ポリメラーゼによって遊離し得るか、又は限定なしに、ポリメラーゼの近傍に位置する酵素による切断を含め、任意の好適な方法で切断され得る/遊離し得る。このようにして、各々の種類のヌクレオチド(即ちアデニン、シトシン、グアニン、チミン又はウラシル)からユニークなタグが遊離するため、取り込まれた塩基(即ちA、C、G、T又はU)を同定し得る。遊離しないヌクレオチド取込みイベントでは、取り込まれたヌクレオチドにカップリングしたタグは、ナノポアを用いて検出される。一部の例では、タグは、ナノポアを通して又はそれに近接するように移動し、それは、ナノポアを用いて検出され得る。
[0164] 本開示の方法及びシステムによれば、所与の時間内に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、100、500、1000、5000、10000、50000又は100000ポリヌクレオチド塩基の分解能などでポリヌクレオチド取込みイベントを検出することが可能になり得る。例えば、ナノポア装置を使用して個別のポリヌクレオチド取込みイベントを検出することができ、ここで、各イベントが個別の核酸塩基と関連付けられる。他の例では、ナノポア装置を使用して、複数の塩基と関連付けられるイベントを検出することができる。例えば、ナノポア装置によって検知される信号は、少なくとも2、3、4又は5塩基からの信号の組み合わせであり得る。
[0165] 特定のシーケンシング方法では、タグは、ナノポアを通過しない。タグは、ナノポアによって検出され、及びタグがナノポアに入った方向と逆向きに出るなど、ナノポアを通過せずにナノポアを出ることができる。シーケンシング装置は、ナノポアからタグを能動的に追い出すように構成することができる。
[0166] 特定のシーケンシング方法では、ヌクレオチド取込みイベントが起こってもタグは遊離しない。ヌクレオチド取込みイベントは、タグを遊離することなくタグをナノポアに提示し得る。タグは、遊離することなくナノポアによって検出され得る。タグは、検出のためタグをナノポアに提示するのに十分な長さのリンカーによってヌクレオチドに取り付けられ得る。
[0167] ヌクレオチド取込みイベントは、それが起こるにつれてリアルタイムでナノポアによって検出され得る。ナノポアに取り付けられた又はそれに近接しているDNAポリメラーゼなどの酵素は、ナノポアを通る又はそれに隣接したポリヌクレオチドの流れを促進することができる。ヌクレオチド取込みイベント、即ち複数のヌクレオチドの取込みでは、1つ以上のタグが遊離するか又は提示され得、それがナノポアによって検出され得る。タグがナノポアを通して又はそれに隣接して流れ、タグがナノポアに滞留し、及び/又はタグがナノポアに提示されるにつれて検出が行われ得る。場合により、1つ以上のヌクレオチドの取込みに伴うタグの検出では、ナノポアに取り付けられた又はそれに近接している酵素が役立ち得る。
[0168] タグは、原子、分子、一群の原子又は一群の分子であり得る。タグは、光学的、電気化学的、磁気的又は誘導性若しくは容量性などの静電気的シグネチャを提供し得、このシグネチャは、ナノポアを用いて検出され得る。
[0169] ナノポアは、集積回路など、センシング回路のセンシング電極に隣接して配置された膜に形成されるか、又は他の方法でそれに埋め込まれ得る。集積回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)であり得る。集積回路は、電界効果トランジスタ又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)であり得る。センシング回路は、ナノポアを有するチップ若しくは他の装置に位置し得るか、又はオフチップ構成にあるなど、チップ若しくは装置から外れて位置し得る。
[0170] 核酸又はタグがナノポアを通して又はそれに隣接して流れるにつれて、センシング回路は、核酸又はタグに関連付けられた電気信号を検出する。核酸は、大型の鎖のサブユニットであり得る。タグは、ヌクレオチド取込みイベント又はタグが付加された核酸とナノポア又はナノポアに隣接している種、例えば核酸からタグを切断する酵素などとの間の他の相互作用の副産物であり得る。タグは、ヌクレオチドに取り付けられたままであり得る。検出された信号は、収集され、記憶場所に保存され、後に核酸の配列の構築に使用され得る。収集された信号は、エラーなど、検出された信号の何らかの異常について説明をつけるために処理され得る。
[0171] ナノポアを使用して、ポリヌクレオチドを間接的に、場合により電気的検出でシーケンシングし得る。間接的シーケンシングは、成長中の鎖に取り込まれたヌクレオチドがナノポアを通過しない任意の方法であり得る。ポリヌクレオチドは、ナノポアから任意の好適な距離の範囲内を、及び/又はそれに近接して、場合によりヌクレオチド取込みイベントから遊離したタグがナノポアにおいて検出されるような距離の範囲内を通過し得る。
[0172] ナノポアにより、ヌクレオチド取込みイベントの副産物が検出され得る。ヌクレオチド取込みイベントとは、成長中のポリヌクレオチド鎖へのヌクレオチドの取込みを指す。副産物は、所与の種類のヌクレオチドの取込みと相関し得る。ヌクレオチド取込みイベントは、DNAポリメラーゼなどの酵素によって触媒され、利用可能なヌクレオチド中から各位置における取込みを選択するために鋳型分子との塩基対相互作用を用い得る。
[0173] 核酸試料は、タグが付加されたヌクレオチド又はヌクレオチド類似体を使用してシーケンシングされ得る。一部の例では、核酸分子のシーケンシング方法は、(a)タグが付加されたヌクレオチドを取り込むこと(例えば、重合すること)であって、個別のヌクレオチドと会合しているタグが取込みに伴って遊離する、取り込むこと、及び(b)遊離したタグを、ナノポアを用いて検出することを含む。一部の例では、本方法は、個別のヌクレオチドに取り付けられた又はそれから遊離したタグがナノポアを通るように誘導することを更に含む。遊離した又は取り付けられたタグは、任意の好適な技術により、場合により酵素(又は分子モータ)及び/又はポアにわたる電圧差を用いて誘導され得る。代わりに、遊離した又は取り付けられたタグは、酵素を用いることなくナノポアを通るように誘導され得る。例えば、タグは、本明細書に記載されるとおり、ナノポアにわたる電圧差によって誘導され得る。
[0174] タグは、膜に少なくとも1つのナノポアを有するナノポア装置を用いて検出され得る。タグは、個別のタグ付加ヌクレオチドの取込み時、その個別のタグ付加ヌクレオチドと会合し得る。ナノポア装置は、取込み時に個別のタグ付加ヌクレオチドと会合したタグを検出することができる。タグ付加ヌクレオチドは、成長中の核酸鎖に取り込まれたか、それとも取り込まれていないかに関わらず、ナノポア装置により、場合によりナノポア装置の電極及び/又はナノポアを用いて所与の時間にわたって検出、決定又は識別され得る。ナノポア装置がタグを検出する間の時間は、タグ及び/又はタグにカップリングされたヌクレオチドが、酵素、例えば核酸鎖へのヌクレオチドの取込みを促進する酵素(例えば、ポリメラーゼ)などに保持される時間と比べて短くなり、場合により実質的に短くなり得る。タグは、取り込まれたタグ付加ヌクレオチドが酵素と会合している時間にわたって複数回、電極によって検出され得る。例えば、タグは、取り込まれたタグ付加ヌクレオチドが酵素と会合している時間にわたって少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、1000、10,000、100,000又は1,000,000回、電極によって検出され得る。
[0175] シーケンシングは、予め負荷されたタグを使用して達成することができる。タグを予め負荷することは、タグがヌクレオチドに取り付けられていることができ、そのヌクレオチドが核酸鎖(例えば、成長中の核酸鎖)に取り込まれた状態にある間、核酸鎖への取込みが起こっている間又は核酸鎖に依然として取り込まれていないが、核酸鎖への取込みが起こり得る間、タグの少なくとも一部分がナノポアの少なくとも一部分を通るように誘導することを含み得る。タグを予め負荷することは、核酸鎖にヌクレオチドが取り込まれる前又は核酸鎖にヌクレオチドが取り込まれている間、タグの少なくとも一部分がナノポアの少なくとも一部分を通るように誘導することを含み得る。タグを予め負荷することには、核酸鎖にヌクレオチドが取り込まれた後、タグの少なくとも一部分がナノポアの少なくとも一部分を通るように誘導することが含まれ得る。
[0176] 個別のヌクレオチドと会合したタグは、取込み時にヌクレオチドから遊離することなくナノポアによって検出され得る。タグは、標的鎖と相補的な核酸鎖の合成中、取り込まれたヌクレオチドから遊離することなく検出され得る。タグは、リンカーを用いて、タグがナノポアに提示される(例えば、タグがナノポアの少なくとも一部分内に垂れ下がるか、又は他にそれを通して延びる)ようにヌクレオチドに取り付けることができる。リンカーの長さは、タグがナノポアの少なくとも一部分にまで延びる又はそれを通して延びることを可能にするのに十分に長いものであり得る。一部の例では、タグは、電圧差によってナノポアに提示される(即ちその中に進む)。タグをポア中に提示する他の方法も好適であり得る(例えば、酵素、磁石、電界、圧力差の使用)。一部の例では、タグに能動的な力が加えられない(即ち、タグは、ナノポア中に拡散する)。
[0177] 核酸試料のシーケンシングのためのチップは、複数の個別にアドレス指定可能なナノポアを含み得る。この複数中の個別にアドレス指定可能なナノポアは、集積回路に隣接して配置された膜に形成された少なくとも1つのナノポアを含有することができる。個別にアドレス指定可能なナノポアの各々は、個別のヌクレオチドに会合したタグを検出する能力を有し得る。ヌクレオチドは、取り込まれ得(例えば、重合し得)、取込み時、タグは、ヌクレオチドから遊離しなくてもよい。
[0178] タグは、ヌクレオチド取込みイベントに伴ってナノポアに提示され得、及びヌクレオチドから遊離する。遊離したタグは、ナノポアを通り抜けることができる。一部の例では、タグは、ナノポアを通過しない。ヌクレオチド取込みイベントに伴って遊離したタグは、ナノポア中を流れ得るが、ヌクレオチド取込みイベントに伴って遊離したのでないタグと少なくとも一部にはナノポアにおける滞留時間によって区別される。場合により、少なくとも100ミリ秒(ms)間にわたってナノポアに滞留するタグは、ヌクレオチド取込みイベントに伴って遊離するものであり、100ms未満だけナノポアに滞留するタグは、ヌクレオチド取込みイベントに伴って遊離するものではない。タグは、第2の酵素又はタンパク質(例えば、核酸結合タンパク質)によってナノポアに捕捉され、及び/又はそれを通るように案内され得る。第2の酵素は、ヌクレオチドの取込みに伴って(例えば、その間又はその後に)タグを切断し得る。タグとヌクレオチドとの間のリンカーが切断され得る。
[0179] 取り込まれたヌクレオチドにカップリングされているタグは、成長中の相補鎖に取り込まれていないヌクレオチドに会合したタグと、ナノポアにおけるタグの滞留時間又は取り込まれていないヌクレオチドから検出される信号に基づいてナノポアを用いて区別される。取り込まれていないヌクレオチドは、1ナノ秒(ns)から100ms又は1nsから50msの時間にわたって検出可能な信号(例えば、電圧差、電流)を生成し得る一方、取り込まれたヌクレオチドは、50msから500ms又は100msから200msの寿命の信号を生成し得る。取り込まれていないヌクレオチドは、1nsから10ms又は1nsから1msの時間にわたって検出可能な信号を生成し得る。取り込まれていないタグは、取り込まれたタグがナノポアにより検出可能な時間よりも長い時間(平均)にわたってナノポアにより検出可能である。
[0180] 取り込まれた核酸は、取り込まれていないヌクレオチドよりも短い時間にわたってナノポアにより検出することができ、及び/又は検出可能である。代わりに、取り込まれた核酸は、取り込まれていないヌクレオチドよりも長い時間にわたってナノポアにより検出することができ、及び/又は検出可能である。これらの時間の差及び/又は比率を用いて、本明細書に記載されるとおりのナノポアにより検出されたヌクレオチドが取り込まれたか否かを決定することができる。
[0181] 検出時間は、ナノポアを通るヌクレオチドの自由流れに基づき得る。取り込まれていないヌクレオチドは、ナノポアに又はそれに近接して1ナノ秒(ns)から100ms又は1nsから50msの時間にわたって滞留し得る一方、取り込まれたヌクレオチドは、ナノポアに又はそれに近接して50msから500ms又は100msから200msにわたって滞留し得る。こうした時間は、処理条件に基づいて変わり得る。しかしながら、取り込まれたヌクレオチドは、取り込まれていないヌクレオチドよりも長い滞留時間を有し得る。
[0182] タグ又はタグ種には、検出可能な原子若しくは分子又は複数の検出可能な原子若しくは分子が含まれ得る。タグには、核酸分子のリン酸基、糖又は窒素含有塩基を含めた任意の位置に連結された1つ以上のアデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル又はこれらの誘導体が含まれ得る。タグには、核酸塩基のリン酸基に共有結合的に連結された1つ以上のアデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル又はこれらの誘導体が含まれ得る。
[0183] タグは、長さが少なくとも0.1ナノメートル(nm)、1nm、2nm、3nm、4、nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm又は1000nmであり得る。
[0184] タグは、複数のアデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル又はその誘導体など、繰り返しサブユニットのテールを含み得る。例えば、タグは、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル又はこれらの誘導体のサブユニットを少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、1000、10,000又は100,000個有するテール部分を含み得る。サブユニットは、互いに及び核酸のリン酸基に連結された末端側端部で連結され得る。タグ部分の他の例には、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリスルホネート類、アミノ酸又は任意の完全に若しくは部分的に正電荷、負電荷若しくは無電荷のポリマーなど、任意のポリマー材料が含まれる。
[0185] IV.ポリメラーゼ
[0186] DNAポリメラーゼは、ニッキング部位にあるポリヌクレオチドのニックが入った鎖の3’末端に結合することができる。DNAシーケンシングは、DNAポリメラーゼなどの酵素を用いて、ポリヌクレオチドをナノポア及びタグ付加ヌクレオチドに近接して増幅及び転写することにより達成され得る。シーケンシング方法は、DNAポリメラーゼなどのポリメラーゼ又はトランスクリプターゼを用いてタグ付加ヌクレオチドを取り込むこと又は重合させることを伴い得る。ポリメラーゼは、それがタグ付加ヌクレオチドを受け入れることが可能になるように突然変異させることができる。ポリメラーゼは、タグがナノポアによって検出される時間が増加するように突然変異させることもできる。
[0187] シーケンシング酵素は、例えば、ヌクレオチドのリン酸塩結合によってポリヌクレオチド鎖を作り出す任意の好適な酵素であり得る。DNAポリメラーゼは、例えば、9°Nm(商標)ポリメラーゼ又はそのバリアント、大腸菌(E. coli)DNAポリメラーゼI、バクテリオファージT4 DNAポリメラーゼ、シーケナーゼ(Sequenase)、Taq DNAポリメラーゼ、9°Nm(商標)ポリメラーゼ(exo-)A485L/Y409V、Φ29 DNAポリメラーゼ、Bst DNAポリメラーゼ又は前述のいずれかのバリアント、突然変異体若しくは相同体であり得る。相同体は、例えば、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも95%の配列同一性など、任意の好適なパーセンテージ相同性を有することができる。
[0188] 一部の例では、ナノポアシーケンシングのため、ナノポアに重合酵素が取り付けられるか又はそれに近接して位置し得る。重合酵素をナノポアに取り付ける好適な方法には、分子内ジスルフィド結合の形成によるなど、酵素をナノポアに又はナノポアに近接して架橋することが含まれる。ナノポア及び酵素は、単一のポリペプチド鎖によってコードされるなどの融合体でもあり得る。融合タンパク質の作製方法には、酵素のコード配列をナノポアのコード配列とインフレームで且つそれに隣接して融合することと、この融合配列を単一のプロモーターから発現させることとが含まれ得る。重合酵素は、分子ステープル又はタンパク質フィンガーを使用してナノポアに取り付けるか又はカップリングすることができる。重合酵素は、例えば、酵素及びナノポアの両方にコンジュゲートしたビオチンであって、両方のビオチンにストレプトアビジン四量体が連結しているものなど、中間分子を介してナノポアに取り付けることができる。この中間分子は、リンカーと称することができる。
[0189] シーケンシング酵素は、ナノポアに抗体で取り付けることもできる。互いの間に共有結合を形成するタンパク質を使用すると、ポリメラーゼをナノポアに取り付けることができる。ホスファターゼ酵素又はヌクレオチドからタグを切断する酵素もナノポアに取り付けることができる。
[0190] ポリメラーゼは、非突然変異型ポリメラーゼと比べた突然変異型ポリメラーゼによる成長中のポリヌクレオチドへのタグ付加ヌクレオチドの取込み効率が促進され及び/又は向上するように突然変異させることができる。ポリメラーゼは、タグ付加ヌクレオチドなどのヌクレオチド類似体によるポリメラーゼの活性部位領域への侵入が向上するように突然変異させることができ、及び/又は活性領域でヌクレオチド類似体と協働するように突然変異させることができる。
[0191] ポリメラーゼに対するアミノ酸置換、挿入、欠失及び/又は外因性特徴などの他の突然変異は、非突然変異型ポリメラーゼと比べた金属イオン配位の増強、エキソヌクレアーゼ活性の低下、ポリメラーゼ反応速度論サイクルの1つ以上のステップにおける反応速度の低下、分岐率の低下、補因子選択性の改変、収率の増加、熱安定性の増加、精度の増加、速度の増加、リード長の増加、塩耐性の増加をもたらし得る。
[0192] 好適なポリメラーゼは、ナノポアによるタグの検出に好適な反応速度プロファイルを有し得る。速度プロファイルとは、概して、全体的なヌクレオチド取込み速度及び/又はヌクレオチド取込みのいずれかのステップ、例えばヌクレオチド付加、閉環状態への又は閉環状態からの酵素的異性化、補因子結合又は放出、産物放出、成長中のポリヌクレオチドへのポリヌクレオチドの取込み又は転座などの速度を指す。
[0193] ポリメラーゼは、シーケンシングイベントの検出が可能となるように適合させることができる。ポリメラーゼの速度プロファイルは、平均0.1ミリ秒(ms)、1ms、5ms、10ms、20ms、30ms、40ms、50ms、60ms、80ms、100ms、120ms、140ms、160ms、180ms、200ms、220ms、240ms、260ms、280ms、300ms、400ms、500ms、600ms、800ms又は1000msにわたってタグがナノポア中に負荷される(及び/又はナノポアによって検出される)ようなものであり得る。例えば、ポリメラーゼの速度プロファイルは、平均少なくとも5ms、少なくとも10ms、少なくとも20ms、少なくとも30ms、少なくとも40ms、少なくとも50ms、少なくとも60ms、少なくとも80ms、少なくとも100ms、少なくとも120ms、少なくとも140ms、少なくとも160ms、少なくとも180ms、少なくとも200ms、少なくとも220ms、少なくとも240ms、少なくとも260ms、少なくとも280ms、少なくとも300ms、少なくとも400ms、少なくとも500ms、少なくとも600ms、少なくとも800ms又は少なくとも1000msにわたってタグがナノポア中に負荷され、及び/又はナノポアによって検出されるようなものであり得る。タグは、ナノポアにより、平均80msから260ms、100msから200ms又は100msから150msにわたって検出され得る。
[0194] ナノポア/ポリメラーゼ複合体は、環状ポリヌクレオチドの増幅及び転写に関連する1つ以上のイベントの検出が可能となるように構成され得る。1つ以上のイベントは、反応速度論的に観察可能なものであり得、及び/又はポリメラーゼと接触することなくナノポアを通して移動するヌクレオチドなど、非反応速度論的に観察可能なものであり得る。
[0195] 場合により、ポリメラーゼ反応は、ヌクレオチド又はポリリン酸塩産物がポリメラーゼ酵素に結合している中間体から進む2段階の反応速度論的ステップ及びヌクレオチド及びポリリン酸塩産物がポリメラーゼ酵素に結合していない中間体から進む2段階の反応速度論的ステップを呈する。これらの2段階の反応速度論的ステップには、酵素異性化、ヌクレオチド取込み及び産物放出が含まれ得る。場合により、これらの2段階の反応速度論的ステップは、鋳型転座及びヌクレオチド結合である。
[0196] 好適なポリメラーゼは、強力な又は亢進した鎖置換を呈し得る。
[0197] V.配列バリアントの同定
[0198] 本開示によって提供される方法を用いて、ポリヌクレオチド試料中の配列バリアントを同定することができる。シーケンシングリードと参照配列との配列の差異は、その配列の差異が少なくとも2つの異なるポリヌクレオチド、例えば2つの異なる環状ポリヌクレオチドに現れ、異なるジャンクションを有する結果としてそれらを区別することができる場合、真正の配列バリアントと称される。増幅又はシーケンシングエラーの結果である配列バリアントの位置及び種類が、同じ標的配列を含む2つの異なるポリヌクレオチドで正確に繰り返される可能性は低いため、このバリデーションパラメータを含めることにより、誤った配列バリアントのバックグラウンドを低減することができ、それと同時に試料中の実際の配列変異を検出する感度及び精度が増加する。配列バリアントは、頻度が5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.75%、0.5%、0.25%、0.1%、0.075%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.005%、0.001%未満又はそれより低いことができ、正確な同定が可能となるのに十分にバックグラウンドを上回っている。配列バリアントは、0.1%未満の頻度で起こり得る。配列バリアントの頻度は、かかる頻度が例えば0.05、0.01、0.001又は0.0001未満のp値であり、統計的に有意にバックグラウンドエラー率を上回るとき、バックグラウンドを十分に上回る頻度であり得る。配列バリアントの頻度は、頻度がバックグラウンドエラー率を少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、25倍、50倍、100倍又はそれを超えて上回るとき、バックグラウンドを十分に上回る頻度であり得る。所与の位置にある配列を正確に決定するためのバックグラウンドエラー率は、1%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%、0.005%、0.001%又は0.0005%未満であり得る。
[0199] 配列バリアントを同定することは、1つ以上のシーケンシングリードを参照配列と最適にアラインメントして、それらの2つの差を同定することと、ジャンクションを同定することとを含み得る。アラインメントは、一方の配列を別の配列に沿って置き、各配列に沿って繰り返しギャップを導入し、それら2つの配列がどの程度よく一致しているかをスコア化し、及び参照に沿った様々な位置について繰り返すことを伴い得る。最もよいスコアの一致となったものをアラインメントと見なし、それは、配列間の関係の程度に関する推論に相当する。
[0200] シーケンシングリードの比較相手となる参照配列は、対象と同じ種のメンバーのゲノムなど、参照ゲノムである。参照ゲノムは、完全又は不完全であり得る。参照ゲノムは、参照ゲノム由来又は分析下のシーケンシングリードから生成されたコンセンサス由来など、標的ポリヌクレオチドを含有する領域のみからなることができる。参照配列は、1つ以上の細菌、古細菌、ウイルス、原生生物、真菌又は他の生物からの配列など、1つ以上の生物のポリヌクレオチドの配列を含むか又はそれからなることができる。参照配列は、分析下の1つ以上の標的配列に対応する領域など、参照ゲノムの一部分のみからなることができる。例えば、病原体の検出には、参照ゲノムは、特定の株又は血清型の病原体など、病原体のゲノム全体又は同定に有用なその一部分であり得る。シーケンシングリードは、複数の異なる生物又は株に関してスクリーニングするためなど、複数の異なる参照配列とアラインメントすることができる。
[0201] VI.治療的適用
[0202] 本明細書に提供される方法、システム及び組成物は、患者試料の特徴付け及び任意選択で対象の病態の診断におけるなど、1つ以上の治療的適用に関し得る。治療的適用には、患者の反応が最良であり得る療法の選択及び/又は治療的介入を必要としている対象の治療に関して、本開示によって提供される方法の結果に基づいて情報を与えることが含まれ得る。
[0203] 例えば、本開示によって提供される方法を用いて、分析下のポリヌクレオチドがcfDNA、ctDNA又は断片化された腫瘍DNAを含むか又はそれからなるときなど、腫瘍の有無、腫瘍の進行及び/又は転移を診断することができる。対象は、腫瘍治療の有効性に関して、例えばctDNAの経時的なモニタリングによってモニタされ得、ctDNAの減少を治療有効性の指標として用いることができ、及びctDNAの増加は、異なる治療及び/又は異なる投薬量の選択に関して情報を与え得る。他の使用としては、移植ドナーゲノムに対応する循環DNA量の増加が移植片拒絶反応の早期指標として用いられる場合など、移植レシピエントにおける臓器拒絶反応の評価及びウイルス又は細菌感染など、病原体感染の遺伝子タイピング/アイソタイピングが挙げられる。循環胎児DNAにおける配列バリアントの検出は、胎児の病態の診断に用いられ得る。
[0204] 本開示によって提供される方法は、検出された原因となる遺伝的バリアントに関連する疾患であると対象を診断することなど、シーケンシング結果に基づいて対象を診断すること、又は患者がかかる疾患を有するか若しくはそれを発症するであろう可能性を報告することを含み得る。
[0205] 原因となる遺伝的バリアントには、特定の種類若しくはステージの癌に関連する配列バリアント又は転移能、薬物耐性及び/又は薬物反応性など、特定の特徴を有する癌の配列バリアントが含まれ得る。本開示によって提供される方法を用いると、癌療法の治療決定、指針及びモニタリングに関する情報を与えることができる。例えば、特にモノクローナル薬物などの分子標的療法、化学療法薬、放射線療法プロトコル及び前述のいずれかの組み合わせを含む治療前、その間及びその後の患者ctDNA試料を比較することにより、治療有効性をモニタし得る。例えば、ctDNAをモニタして、治療後に特定の突然変異が増加又は減少するかどうか、又は新規の突然変異が出現するかどうかを確かめることができ、これにより、医師は、患者の症状を追跡するモニタリング方法によって提供されるよりもはるかに短い時間で治療を修正することが可能になり得る。方法は、検出された配列バリアントに関連する特定のステージ又は種類の癌であると対象を診断することなど、ポリヌクレオチドシーケンシングの結果に基づいて対象を診断すること、又は患者がかかる癌を有するか若しくはそれを発症するであろう可能性を報告することを含み得る。
[0206] 例えば、分子マーカーに基づいて患者に特異的に標的化される療法については、患者を検査して、その腫瘍に特定の突然変異が存在するかどうかを見付け出すことができ、及びそれらの突然変異を用いてその療法に対する反応又は抵抗を予測し、その療法を用いるかどうかの決定の指針とすることができる。治療経過中のctDNAの検出及びモニタリングは、治療選択の指針とするのに有用であり得る。
[0207] 診断、予後判定又は治療の決定には、1種以上の癌に関連する配列バリアントが用いられ得る。例えば、腫瘍学的に意味のある好適な標的配列としては、TP53遺伝子、ALK遺伝子、KRAS遺伝子、PIK3CA遺伝子、BRAF遺伝子、EGFR遺伝子及びKIT遺伝子の改変が挙げられる。配列バリアントに関して特異的に増幅され、及び/又は特異的に分析され得る標的配列は、癌関連遺伝子の全て又は一部であり得る。
[0208] 本開示によって提供される方法は、1つ以上の癌種、ステージ又は癌特性に関連する新規の稀な突然変異を発見するのに有用であり得る。例えば、特定の疾患、癌種及び/又は癌ステージなど、分析下の特性を共有する個体集団において、本開示によって提供される方法を用いると、特定の遺伝子又は遺伝子パーツの突然変異を反映する配列バリアントを同定することができる。その特性を有しない個体と比べて、その特性を共有する個体群の中で統計的に有意に高い頻度で出現する同定された配列バリアントに対して、その特性との関連度が割り当てられ得る。次に、そのように同定された配列バリアント又は配列バリアントの種類は、それを有すると判明した個体の診断又は治療に用いられ得る。
[0209] 更なる治療的適用としては、非侵襲的胎児診断における使用を挙げることができる。胎児DNAは、妊婦の血中に存在し得る。本開示によって提供される方法を用いると、循環胎児DNAの配列バリアントを同定することができ、従って、それを用いて、1つ以上の原因となる遺伝的バリアントに関連する遺伝性疾患など、胎児の1つ以上の遺伝性疾患を診断し得る。原因となる遺伝的バリアントの例としては、トリソミー、嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血及びテイ・サックス病が挙げられる。母親は、対照試料及び比較に使用される血液試料を提供し得る。対照試料は、任意の好適な組織であり得、次にそれをシーケンシングして参照配列を提供することができる。次に、胎児ゲノムDNAに対応するcfDNAの配列を、母親の参照と比べた配列バリアントとして同定することができる。父親も、胎児配列及び配列バリアントの同定に役立つ参照試料を提供し得る。
[0210] 別の治療的適用には、細菌、ウイルス、真菌及び微生物などの病原体からのものを含め、外因性ポリヌクレオチドの検出が含まれ得、その情報は、治療について情報を与え得る。
[0211] VII.コンピュータシステム
[0212] 本開示は、本開示の1つ以上の方法を実装するようにプログラムされたコンピュータシステムを提供する。本開示のコンピュータシステムは、標的分子の少なくとも一部分がセンサーの結合部分によって結合されるときのセンサーのインピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号を検出することなど、センサーの様々な動作を制御するために使用され得る。
[0213] 図6は、本開示の手順の様々な態様と通信してそれを制御するようにプログラムされるか又は他の方法で構成されたコンピュータシステム601を示す。コンピュータシステム601は、例えば、センサーにカップリングされた又はそれを含む1つ以上の回路及び検知のために1つ以上の反応混合物を調製、処理又は保持するために使用される1つ以上の装置(例えば、マシン)と通信することができる。コンピュータシステム601は、本開示の1つ以上のコントローラ又はプロセッサとも通信し得る。コンピュータシステム601は、ユーザの電子装置又はその電子装置に対して遠隔設置されているコンピュータシステムであり得る。電子装置は、モバイル電子装置であり得る。
[0214] コンピュータシステム601は、シングルコア又はマルチコアプロセッサ又は並列処理のための複数のプロセッサであり得る中央演算処理装置(CPU、本明細書ではまた「プロセッサ」及び「コンピュータプロセッサ」)605を含む。コンピュータシステム601は、メモリ又は記憶場所610(例えば、ランダムアクセスメモリ、読出し専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶装置615(例えば、ハードディスク)、1つ以上の他のシステムと通信するための通信インターフェース620(例えば、ネットワークアダプタ)及び周辺装置625、例えばキャッシュ、他のメモリ、データストレージ及び/又は電子表示アダプターなども含む。メモリ610、記憶装置615、インターフェース620及び周辺装置625は、マザーボードなどのコミュニケーションバス(実線)を通してCPU605と通信している。記憶装置615は、データを格納するためのデータ記憶装置(又はデータリポジトリ)であり得る。コンピュータシステム601は、通信インターフェース620を用いてコンピュータネットワーク(「ネットワーク」)630と作動可能にカップリングされ得る。ネットワーク630は、インターネット、インターネット及び/又はエクストラネット又はインターネットと通信しているイントラネット及び/又はエクストラネットであり得る。ネットワーク630は、場合により、遠隔通信及び/又はデータネットワークである。ネットワーク630は、1つ以上のコンピュータサーバを含むことができ、これにより、クラウドコンピューティングなど、分散型コンピューティングが可能となり得る。ネットワーク630は、場合によりコンピュータシステム601を用いてピアツーピアネットワークを実装することができ、コンピュータシステム601にカップリングされた装置がクライアント又はサーバとして挙動することを可能にし得る。
[0215] CPU605は、一連のマシン読取り可能な命令を実行することができ、これは、プログラム又はソフトウェアとして具体化され得る。命令は、メモリ610などの記憶場所に格納され得る。命令は、CPU605に向けられ得、続いて、それは、本開示の方法を実装するようにCPU605をプログラムするか又は他の方法で構成し得る。CPU605によって実施される動作の例としては、取出し、解読、実行及び書込みを挙げることができる。
[0216] CPU605は、集積回路など、回路の一部であり得る。回路には、システム601の1つ以上の他の構成要素が含まれ得る。場合により、回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)である。
[0217] 記憶装置615は、ドライバ、ライブラリ及び保存されたプログラムなど、ファイルを格納することができる。記憶装置615は、ユーザデータ、例えば、ユーザ設定及びユーザプログラムを格納することができる。コンピュータシステム601は、場合により、イントラネット又はインターネットを通してコンピュータシステム601と通信しているリモートサーバに位置するなど、コンピュータシステム601にとって外部である1つ以上の追加のデータ記憶装置を含み得る。
[0218] コンピュータシステム601は、ネットワーク630を通して1つ以上のリモートコンピュータシステムと通信することができる。例えば、コンピュータシステム601は、ユーザのリモートコンピュータシステムと通信することができる。リモートコンピュータシステムの例としては、パーソナルコンピュータ(例えば、携帯型PC)、スレート又はタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone、Android対応装置、Blackberry(登録商標))又は携帯情報端末が挙げられる。ユーザは、ネットワーク630を介してコンピュータシステム601にアクセスすることができる。
[0219] 本明細書に記載されるとおりの方法は、例えば、メモリ610又は電子記憶装置615など、コンピュータシステム601の電子記憶場所に格納された、マシン(例えば、コンピュータプロセッサ)が実行可能なコードを用いて実装され得る。マシン実行可能又はマシン読取り可能なコードは、ソフトウェアの形態で提供され得る。使用時、コードは、プロセッサ605によって実行され得る。場合により、コードは、プロセッサ605によるアクセスが容易となるように、記憶装置615から検索され、メモリ610に格納され得る。状況によっては、電子記憶装置615が除外され得、マシン実行可能命令は、メモリ610に格納される。
[0220] コードは、プリコンパイルされ、コードを実行するように適合されたプロセッサを有するマシンと共に使用するように構成され得るか、又は実行時にコンパイルされ得る。コードは、プログラミング言語で供給され得、この言語は、プリコンパイルされた様式又はコンパイルされたそのままの様式でのコードの実行が可能となるように選択され得る。
[0221] コンピュータシステム601など、本明細書に提供されるシステム及び方法の態様は、プログラミングに具体化され得る。本技術の様々な態様は、典型的には、ある種のマシン読取り可能な媒体に担持されるか又はそれに具体化されるマシン(又はプロセッサ)が実行可能なコード及び/又は関連するデータの形態の「製品(product)」又は「製品(article of manufacture)」と考えられ得る。マシン実行可能なコードは、メモリ(例えば、読出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)又はハードディスクなど、電子記憶装置に格納され得る。「ストレージ」型媒体には、コンピュータ、プロセッサなど、又はその関連モジュールのあらゆる有形メモリ、例えば様々な半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブなどが含まれ得、これらは、ソフトウェアプログラミングのために常時、非一時的記憶を提供し得る。ソフトウェアの全て又は一部は、ときにインターネット又は様々な他の遠隔通信ネットワークを通して通信され得る。かかる通信は、例えば、1つのコンピュータ又はプロセッサから別のコンピュータ又はプロセッサへの、例えば管理サーバ又はホストコンピュータからアプリケーションサーバのコンピュータプラットフォームへのソフトウェアのロードを可能にし得る。従って、ソフトウェア要素を担持し得る別の種類の媒体には、有線及び光地上通信線ネットワークを通して且つ様々なエアリンクを経由して、ローカル装置間の物理的インターフェースを介して使用されるなどの光波、電波及び電磁波が含まれる。有線又は無線リンク、光リンクなど、かかる波を搬送する物理的要素も、ソフトウェアを担持する媒体と見なされ得る。本明細書で使用されるとき、非一時的な有形の「ストレージ」媒体に限定されない限り、コンピュータ又はマシン「読取り可能な媒体」などの用語は、プロセッサに実行の命令を与えることに関与する任意の媒体を指す。
[0222] 従って、コンピュータ実行可能なコードなど、マシン読取り可能な媒体は、限定はされないが、有形の記憶媒体、搬送波媒体又は物理的伝送媒体を含め、多数の形態を取り得る。不揮発性記憶媒体には、図面に示されるデータベース等の実装に使用され得るなどの例えば任意の1つ又は複数のコンピュータにおける記憶装置のいずれかなど、光ディスク又は磁気ディスクが含まれる。揮発性記憶媒体には、かかるコンピュータプラットフォームのメインメモリなど、ダイナミックメモリが含まれる。有形の伝送媒体には、コンピュータシステム内のバスを含むワイヤを含め、同軸ケーブル;銅線及び光ファイバーが含まれる。搬送波伝送媒体は、電気信号若しくは電磁信号又は高周波(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に生成されるものなどの音波若しくは光波の形態を取り得る。従ってコンピュータ読取り可能な媒体の一般的な形態としては、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、DVD又はDVD-ROM、任意の他の光媒体、パンチカード、紙テープ、穿孔パターンを有する任意の他の物理的記憶媒体、RAM、ROM、PROM及びEPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップ又はカートリッジ、搬送波輸送データ又は命令、かかる搬送波を輸送するケーブル若しくはリンク又はコンピュータがプログラミングコード及び/又はデータを読み出し得る任意の他の媒体が挙げられる。これらの形態のコンピュータ読取り可能な媒体の多くは、1つ以上の命令の1つ以上の系列をプロセッサに実行のため搬送することに関与し得る。
[0223] コンピュータシステム601は、例えば、(i)反応混合物の進捗、(ii)シーケンシングの進捗、及び(iii)シーケンシングから得られるシーケンシング情報を提供するための、ユーザインターフェース(UI)640を含む電子ディスプレイ635を含み得るか又はそれと通信し得る。UIの例としては、限定なしに、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)及びウェブベースのユーザインターフェースが挙げられる。
[0224] 本開示の方法及びシステムは、1つ以上のアルゴリズムを用いて実装され得る。アルゴリズムは、中央演算処理装置605による実行時にソフトウェアを用いて実装され得る。アルゴリズムは、例えば、標的ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質等の配列リードアウトを決定し得る。
[0225] 本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されているが、当業者には、かかる実施形態が単に例として提供されるに過ぎないことが明らかであろう。本明細書内に提供される具体的な例によって本発明が限定されることは意図されない。本発明は、前述の本明細書を参照して説明されているが、本明細書における実施形態の説明及び例示が限定的な意味で解釈されることは意図されない。ここで、当業者には、本発明から逸脱することなく多数の変形形態、変更形態及び置換形態が想起されるであろう。更に、本発明の態様のいずれも、本明細書に示される具体的な描写、構成又は相対的比率に限定されず、それらは、種々の条件及び変数に依存することが理解されるものとする。本発明の実施では、本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替形態を利用し得ることが理解されなければならない。従って、本発明は、任意のかかる代替形態、改良形態、変形形態又は均等物も包含するものとすることが企図される。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義することと、この特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある方法及び構造は、本発明の範囲に包含されることとが意図される。

Claims (32)

  1. 標的分子を分析又は同定するためのシステムであって、
    (i)センシング電極と、(ii)前記センシング電極にカップリングされ、及び前記標的分子の少なくとも一部分に結合するように構成された結合単位と、(iii)前記センシング電極にカップリングされ、及び前記センシング電極の表面の少なくとも一部分を被覆する誘電材料と、を備えるセンサー
    を備え、
    前記センサーが、前記標的分子の前記少なくとも前記一部分が前記結合単位によって結合されるときの前記センサーのインピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号を検出するように構成され、前記1つ以上の信号が、前記標的分子を分析又は同定するために使用可能である、
    システム。
  2. 前記1つ以上の信号が、(i)前記センサーの電気的抵抗若しくはその変化、(ii)前記センサーの電気的キャパシタンス若しくはその変化、又は(iii)前記センサーの電気的インダクタンス若しくはその変化を示す、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記1つ以上の信号が、電流又は電圧である、請求項1に記載のシステム。
  4. 前記1つ以上の信号が、トンネル電流ではない、請求項3に記載のシステム。
  5. 前記センシング電極の平均断面寸法が、前記標的分子の平均サイズの20倍以下である、請求項1に記載のシステム。
  6. 前記センシング電極の前記平均断面寸法が、前記標的分子の前記平均サイズの2倍以下である、請求項5に記載のシステム。
  7. 前記センシング電極の平均断面寸法が、前記標的分子の平均サイズより小さい、請求項1に記載のシステム。
  8. 前記結合単位が、導電性材料を介して前記センシング電極にカップリングされる、請求項1に記載のシステム。
  9. 前記誘電材料が、自己組織化単分子膜である、請求項1に記載のシステム。
  10. 前記標的分子が、タグを含み、前記タグが、前記1つ以上の信号の変化を誘導するように構成される、請求項1に記載のシステム。
  11. 前記センサーが、前記センシング電極と電気的に連通している参照電極を更に含み、前記1つ以上の信号が、前記センシング電極と前記参照電極との間の前記インピーダンス又はインピーダンス変化を示す、請求項1に記載のシステム。
  12. 前記センシング電極及び前記参照電極が、第1の方向に沿って第1の電界を提供するように構成され、当該システムが、前記第1の方向と異なる第2の方向に沿って第2の電界を印加するように構成された追加の電界発生器を更に含む、請求項11に記載のシステム。
  13. 前記第2の方向が、前記第1の方向と実質的に直交する、請求項12に記載のシステム。
  14. 前記センサーが、前記結合単位上における前記標的分子の前記少なくとも前記一部分の滞留時間を決定するように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
  15. 前記結合単位が、小分子、酵素、抗体、その機能断片及びその機能バリアントからなる群から選択される1つ以上のメンバーを含む、請求項1に記載のシステム。
  16. 前記標的分子が、小分子、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド及びそのバリアントからなる群から選択される1つ以上のメンバーを含む、請求項1に記載のシステム。
  17. 標的分子を分析又は同定する方法であって、
    (a)(i)センシング電極と、(ii)前記センシング電極にカップリングされ、及び前記標的分子の少なくとも一部分に結合するように構成された結合単位と、(iii)前記センシング電極にカップリングされ、及び前記センシング電極の表面の少なくとも一部分を被覆する誘電材料と、を備えるセンサーを提供すること;
    (b)前記標的分子の前記少なくとも前記一部分が前記結合単位によって結合されるときの前記センサーのインピーダンス又はインピーダンス変化を示す1つ以上の信号を検出すること;及び
    (c)前記1つ以上の信号を使用して前記標的分子を分析又は同定すること
    を含む方法。
  18. 前記1つ以上の信号が、(i)前記センサーの電気的抵抗若しくはその変化、(ii)前記センサーの電気的キャパシタンス若しくはその変化、又は(ii)前記センサーの電気的インダクタンス若しくはその変化を示す、請求項17に記載の方法。
  19. 前記1つ以上の信号が、電流又は電圧である、請求項17に記載の方法。
  20. 前記1つ以上の信号が、トンネル電流ではない、請求項19に記載の方法。
  21. 前記センシング電極の平均断面寸法が、前記標的分子の平均サイズの20倍以下である、請求項17に記載の方法。
  22. 前記センシング電極の前記平均断面寸法が、前記標的分子の前記平均サイズの2倍以下である、請求項21に記載の方法。
  23. 前記センシング電極の平均断面寸法が、前記標的分子の平均サイズより小さい、請求項17に記載の方法。
  24. 前記結合単位が、導電性材料を介して前記センシング電極にカップリングされる、請求項17に記載の方法。
  25. 前記誘電材料が、自己組織化単分子膜である、請求項17に記載の方法。
  26. 前記標的分子が、タグを含み、前記タグが、前記1つ以上の信号の変化を誘導するように構成される、請求項17に記載の方法。
  27. 前記センサーが、前記センシング電極と電気的に連通している参照電極を更に含み、前記1つ以上の信号が、前記センシング電極と前記参照電極との間の前記インピーダンス又はインピーダンス変化を示す、請求項17に記載の方法。
  28. 前記センシング電極及び前記参照電極が、第1の方向に沿って第1の電界を提供し、当該方法が、追加の電界発生器を使用して、前記第1の方向と異なる第2の方向に沿って第2の電界を印加することを更に含む、請求項27に記載の方法。
  29. 前記第2の方向が、前記第1の方向と実質的に直交する、請求項28に記載の方法。
  30. 前記結合単位上における前記標的分子の前記少なくとも前記一部分の滞留時間を決定することを更に含む、請求項17に記載の方法。
  31. 前記結合単位が、小分子、酵素、抗体、その機能断片及びその機能バリアントからなる群から選択される1つ以上のメンバーを含む、請求項17に記載の方法。
  32. 前記標的分子が、小分子、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド及びそのバリアントからなる群から選択される1つ以上のメンバーを含む、請求項17に記載の方法。
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