JP2022543378A - Il-38特異的抗体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、単離された抗体、又はその抗原結合断片を含む、ヒトインターロイキン-38(IL-38)に特異的な抗体に関する。ここに記載される抗体、又はその抗原結合断片は、IL-38の生物学的活性を部分的に又は完全にブロックする、阻害する、又は中和する。ここに記載される方法は、腫瘍増殖及び/若しくは転移に苦しむ個人での腫瘍増殖又は転移を阻害するステップに関する。

Description

本出願は、2019年7月30日に提出の米国特許出願公開第62/880,265号の優先権を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明の分野は、治療的に有用なインターロイキン-38(IL-38)特異的分子に関する。
ヒト適応免疫系は、細胞性(T細胞)過程及び体液性(B細胞)過程の両方を通じて応答する。体液性応答は、抗原に結合することができる表面結合免疫グロブリン(Ig)分子を発現するB細胞の選択及びクローン増幅をもたらす。体細胞高頻度突然変異及びクラススイッチの過程は、クローン増幅と調和して起こる。合わせて、これらの過程は分泌された抗体をもたらし、この抗体は、標的抗原に対して親和性成熟されており、アイソタイプとも呼ばれる5種類の一般的クラス、(M、D、A、G、又はE)のうちの1つに属する定常ドメインを含有する。抗体(IgM、IgD、IgA、IgG、及びIgE)のそれぞれのクラスは、はっきりと異なる方法で細胞性免疫系と相互作用する。標的抗原に対して親和性成熟されている抗体の特徴は、1)ヌクレオチド、及びその後のアミノ酸の生殖細胞系遺伝子に関連する変化、2)標的抗原に対する高結合親和性、3)他のタンパク質と比べた標的抗原に対する結合選択性を含むことができる。
腫瘍患者が、腫瘍抗原に対して免疫応答を開始できることはよく理解されている。それらの抗原は、突然変異したタンパク質をもたらす腫瘍内の遺伝子変化、又は免疫系への他の点では正常なタンパク質の異常な提示のいずれかに起因することがある。異常な提示は、新生児タンパク質の異所性発現、高レベルへのタンパク質の過剰発現、細胞内タンパク質の細胞表面への誤った局在化、又は細胞の溶解を含むがこれらに限定されない過程を通じて起こりうる。タンパク質の異常なグリコシル化は、グリコシルトランスフェラーゼなどの、ただしこれに限定されない酵素の発現の変化のせいで起こりうるが、体液性免疫系により認識される非自己抗原も結果として発生させることがある。
抗体は、がんに関連するタンパク質を含む疾患関連タンパク質に選択的に結合するが、治療効果をもたらす方法でその標的タンパク質の機能を調節するのに成功することが判明している。ヒト免疫系が、突然変異した、又は他の点で異常なタンパク質に対する抗体応答を開始できることは、患者の免疫応答が、決定的な腫瘍駆動体を認識しその機能を調節することができる抗体を含む可能性があることを示唆している。
腫瘍微小環境は、腫瘍細胞が免疫系による検出及び除去を避けるのに必要不可欠である。これは、抑制性免疫細胞の動員、PD-1のような免疫チェックポイント分子の発現、及び免疫抑制サイトカインの存在を含むいくつかの機構を通じて達成される。したがって、一部の免疫腫瘍療法は、腫瘍微小環境内で免疫抑制バリアーを担当する鍵となる分子を標的にすることを目指す。成功した免疫腫瘍療法は、細胞傷害性T細胞及びNK細胞の浸潤並びにTh1サイトカインの上方調節及び成功した抗腫瘍応答の誘導をもたらすことができる。
サイトカインのIL-1ファミリーは、IL-38はそのメンバーであるが、膜結合受容体に結合し、これと複合体を形成することにより下流シグナル伝達イベントを誘発する。IL-1受容体複合体の例は、図1に表されている。腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)などの他のサイトカインと同様に、サイトカイン上の1つ又は複数のエピトープへの抗体の結合は、サイトカインがその同族受容体と複合体を形成する能力を妨げると予測することができる(Huら、JBC、2013年)。IL-1の残基は、図1に球体で表されているが、IL-1とインターロイキン-1受容体2(IL-1R2)及びインターロイキン-1受容体アクセサリータンパク質(IL-1RAP)の受容体との間で相互作用面を形成すると予測される。IL-1のこの予測される受容体結合領域内の残基は、抗体が結合できるエピトープを含みうる。抗体がそれらのエピトープに結合すれば、その同族受容体へのIL-1の結合をブロックし、サイトカインの生物学的機能に拮抗する、又は阻害することが予測される。IL-1とIL-38の間の相同性により、対応するエピトープ(単数又は複数)がIL-38上に存在することが示唆される。そのエピトープ(単数又は複数)に抗体が結合すれば、IL-38の機能に拮抗する、又は阻害することが予想される。
サイトカインのIL-1ファミリーは、腫瘍発生の間並びに処置の間、炎症を調節するのに重要な役割を果たしている(Bakerら、2019年)。一部のIL-1ファミリーメンバーは炎症を促進するが、他のIL-1ファミリーメンバーは、炎症を抑制できる。IL-38は、IL-36R及びIL1RALP1を含むIL-1ファミリー受容体を介するシグナル伝達をブロックするアンタゴニストであり、炎症を弱めることにより免疫チェックポイントとしての役目を果たす(Veerdonkら、2017年)。特に、IL-38は炎症性サイトカインの産生を減少させることが示されており、このサイトカインは効果的な抗腫瘍応答において鍵となる役割を果たすことができる。さらに、アポトーシス性腫瘍細胞から分泌されるIL-38は、マクロファージ及びT細胞応答をインビトロで抑制することができる(Moraら、2016年)。同様に、IL-38発現は、肺腺癌を有する患者での予後不良と相関関係があり並びにPDL1発現と相関関係があることが示されている(Takadaら、2017年)。しかし、非小細胞肺がんでは相矛盾する証拠が報告されており、そこではIL-38の発現が低いほど予後不良と相関関係がある(Wangら、2018年)。IL-38は腫瘍微小環境内で免疫抑制サイトカインとしての役目を果たす場合があり、したがって、IL-38シグナル伝達をブロックすれば、効果的な抗腫瘍応答を引き起こしうる(図2)。
本発明は、ヒトインターロイキン-38(IL-38)に特異的な抗体に関し、これは、配列番号22、配列番号27、配列番号32、配列番号37、配列番号42、配列番号47、配列番号52、配列番号2、若しくは配列番号7の可変重鎖(VH)アミノ酸配列;及び/又は配列番号57、配列番号62、配列番号67、配列番号72、配列番号77、配列番号82、配列番号4、若しくは配列番号9の可変軽鎖(VL)アミノ酸配列内に含まれる少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)の少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、又は少なくとも8つの場合により隣接しているアミノ酸を含む、単離された抗体、又はその抗原結合断片を含む。
さらに詳しくは、本発明の抗体、又は抗原結合断片のCDRは、
配列番号23、28、33、38、43、48、53、若しくは15のVH CDR1アミノ酸配列;
配列番号24、29、34、39、44、49、54、若しくは16のVH CDR2アミノ酸配列;
配列番号25、30、35、40、45、50、55、若しくは17のVH CDR3アミノ酸配列;
配列番号58、63、68、73、78、83、若しくは18のVL CDR1アミノ酸配列;
配列番号59、64、69、74、79、84、若しくは19のVL CDR2アミノ酸配列;及び/又は
配列番号60、65、70、75、80、85、若しくは20のVL CDR3アミノ酸配列
の少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、又は少なくとも8つの場合により隣接しているアミノ酸を含みえる。
本発明の抗体、又はその抗原結合断片は、IL-38の生物学的活性を部分的に若しくは完全にブロックする、阻害する、又は中和する。したがって、本発明の方法は、本発明の抗体、又はその抗原結合断片が、腫瘍増殖及び/若しくは転移を促進する又は維持するIL-38の生物学的活性を部分的に若しくは完全にブロックする、阻害する、又は中和する処置のために、抗体又はその抗原結合断片を含む治療有効量の組成物を個人に投与することにより、腫瘍増殖及び/又は転移に苦しむ個人での腫瘍増殖又は転移を阻害する方法を含む。
PyMolを使用して可視化されたインターロイキン-1(IL-1)受容体複合体(RCSB PDBファイル番号3O4O)の共結晶構造を表す図である。共結晶は、IL-1ベータ、インターロイキン-1受容体2型(IL-1R2)、及びインターロイキン-1受容体アクセサリータンパク質(IL-1RAP)を含む。IL-1R2及びIL-1RAPは、それぞれ黒色と薄灰色図案で描かれている。IL-1ベータは、中間灰色リボンで描かれている。球体で描かれているIL-1ベータの残基は、IL-1R2又はIL-1RAPのいずれかの4オングストローム内にあると予想される残基である。
IL-38機能をブロックすることが、抗腫瘍応答をもたらしうる炎症反応をどのように誘発するかを描く図案である。
LICORベースのスクリーンにおけるPR087-29B5ハイブリドーマ産生抗体の結合パターンを示すグラフである。
組換えヒトIL-38へのPR087-29B5の選択的用量依存結合をドットブロットフォーマットで示すグラフである。
種々の細胞系へのIMM20130の結合をフローサイトメトリーにより示すグラフである。
アポトーシス条件下で培養されたがん細胞系の条件培地中の様々な時点でのIL-38濃度を示すグラフである。
前立腺腺癌(PRAD)、結腸直腸腺癌(COAD)、肺腺癌(LUAD)、皮膚皮膚黒色癌(SKCM)、子宮体部子宮内膜癌(UCEC)、頭頚部扁平上皮癌(HNSC)及び膵臓腺癌(PAAD)においてIL-38発現レベルと免疫細胞系譜特異的マーカーを比較するTCGAデータベース由来のデータに基づくRNA発現分析を示すグラフのセットである。
LPS刺激THP-1マクロファージからの条件培地中のIL-6及びTNFα発現のグラフである。
IL-38で処置された場合のLPS刺激マクロファージにおいて下方調節されたマーカーのグラフである。
LPSで刺激されたTHP-1マクロファージにおけるJnk及びSTAT3の指示された時点でのリン酸化状態のグラフである。
IL-38、IMM20130、及びアイソタイプ対照の種々の組合せを用いて処置したLPS刺激THP-1細胞のIL-6産生を示すグラフである。
IL-38及び抗IL-38ポリクローナル抗体の種々の組合せを用いて処置したLPS刺激THP-1細胞のIL-6産生を示すグラフである。
組換えIL-38へのモノクローナル上澄みの結合を示すグラフである。
IL-38処置されたLPS刺激細胞においてIL-6産生を回復させるその能力により定義される、モノクローナル上澄みのパーセント救出を示すグラフである。
選択された抗ヒトIL-38抗体の結合速度論を示すグラフである。
IL-38処置されたLPS刺激抗体においてIL-6産生を回復させるその能力について試験されたリード候補抗体の用量応答を示すグラフである。
IL-38処置されたLPS刺激抗体においてGM-CSF産生を回復させるその能力について試験されたリード候補抗体の用量応答を示すグラフである。
i.v.とi.p.の両方に10mg/kg投与されたC57BL/6マウスでの経時的なリード候補抗体の血漿レベルのグラフである。
CD1-M3、パクリタキセル、又は組合せで処置されたC57BL/6マウスに移植されたB16.F10腫瘍の増殖曲線である。
CD1-M3で処置されたB16.F10腫瘍においてフローサイトメトリーにより腫瘍浸潤骨髄及びリンパ球集団を特徴付けるグラフである。
CD1-M3で処置されたFVBマウスに移植されたMMTV-PyMT腫瘍の増殖曲線及びこれらの腫瘍内でのIL-6レベルを示すグラフである。
CD1-M3、CD1-M8、CD1-M26、及びNZB-M8で処置されたscidマウスに移植されたA549腫瘍の増殖曲線である。
CD1-M3、CD1-M8、CD1-M26、及びNZB-M8で処置されたA549腫瘍においてフローサイトメトリーにより腫瘍浸潤骨髄集団を特徴付けるグラフである。
本明細書に記載される発明は、インターロイキン-38(IL-38)に特異的に結合する抗体に関する。したがって、本発明は、IL-38に特異的である抗体の組成物、IL-38に特異的である抗体を使用するための方法、及びIL-38に特異的である抗体を調製し製剤化するための方法を含む。本発明の抗体を使用する方法は、それを必要とする個人を処置する方法を含みうる。したがって、処置の方法において本発明の抗体を使用する方法は、本発明の抗体組成物を投与する方法を含みうる。本発明の方法は、インビボ及びインビトロ診断法において抗体を使用するステップも含みうる。本発明の診断法は、処置のマルチステップ法におけるステップとして含まれうる。
本発明による抗体は無傷の免疫グロブリン、又は免疫グロブリンのバリアント、又は免疫グロブリンの一部でもよい。天然に存在する免疫グロブリンは2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を有し、そのそれぞれが定常領域と可変領域を含有し、ジスルフィド結合により相互接続されている。軽鎖には2種類あり、ラムダ(「λ」)及びカッパ(「κ」)と名付けられている。アイソタイプとしても知られる5種類の主要重鎖クラス:IgM、IgD、IgG、IgA及びIgEがあり、これらのクラスは抗体分子の機能活性を決定する。その可変ドメインに加えて、IgA、IgD、又はIgG重鎖は3つの定常ドメイン(CH1、CH2、CH3)を有する。IgM及びIgE重鎖は4つの定常ドメイン(CH1、CH2、CH3、CH4)を有する。
軽及び重鎖可変領域は、相補性決定領域(「CDR」)と呼ばれる3つの高頻度可変領域により中断される「フレームワーク」領域を含有する。CDRは主に抗原のエピトープへの結合を担当する。異なる軽又は重鎖のフレームワーク領域の配列は、種内で比較的保存されており、CDRを三次元空間に配置し整列させるために働く。それぞれの鎖の3つのCDRは、典型的にはCDR1、CDR2、及びCDR3と呼ばれ、N末端から開始して逐次番号が付けられ、特定のCDRが位置している鎖により同定される場合が多い。したがって、重鎖CDRは、H-CDR1、H-CDR2、及びH-CDR3と名付けられ、同様に、軽鎖CDRは、L-CDR1、L-CDR2、及びL-CDR3と名付けられている。重及び軽鎖のそれぞれの1つの定常及び1つの可変ドメインで構成されている抗原結合断片は、Fab断片と呼ばれる。F(ab)’断片は、2つのFab断片を含有し、免疫グロブリン分子をそのヒンジ領域の下で切断することにより作製することができる。
本発明の抗体のアミノ酸配列は、配列番号2、4、7、10、12、14~20、22~25、27~30、32~35、37~40、42~45、47~50、52~55、57~60、62~65、67~70、72~75、77~80、及び82~85のアミノ酸配列のうちの1つ若しくは複数、又は配列番号1、3、5、6、8、9、11、13、21、26、31、36、41、46、51、56、61、66、71、76、及び81によりコードされるアミノ酸配列のうちの1つ若しくは複数のバリアントも含有することができる。抗体バリアントは典型的には、アミノ酸配列改変を含有し、例えば、特異性、親和性、又は安定性(すなわち、半減期)を改善するため、を含む任意の理由で作製することができる。本発明の抗体バリアントの例は、抗体の断片、アミノ酸置換、アミノ酸欠失、キメラ抗体、及び前述の任意の組合せを含むがこれらに限定されない。
1つ又は複数のアミノ酸置換を含有する本発明のバリアント抗体は一般に、配列番号2、4、7、10、12、14~20、22~25、27~30、32~35、37~40、42~45、47~50、52~55、57~60、62~65、67~70、72~75、77~80、及び82~85のアミノ酸配列;若しくは配列番号1、3、5、6、8、9、11、13、21、26、31、36、41、46、51、56、61、66、71、76、及び81によりコードされるアミノ酸配列のうちの1つ若しくは複数と比べて15以下、12以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下若しくは1以下の保存的アミノ酸置換;並びに/又は配列番号2、4、7、10、12、14~20、22~25、27~30、32~35、37~40、42~45、47~50、52~55、57~60、62~65、67~70、72~75、77~80、及び82~85のアミノ酸配列;若しくは配列番号1、3、5、6、8、9、11、13、21、26、31、36、41、46、51、56、61、66、71、76、及び81によりコードされるアミノ酸配列のうちの1つ若しくは複数と比べて5以下、4以下、3以下、若しくは2以下の非保存的アミノ酸置換、若しくは1以下の非保存的アミノ酸置換を含有する。
保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が類似する側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられている置換である。類似する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当技術分野で定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン)を有するアミノ酸を含む。本発明のバリアント抗体は、本明細書に記載されるアミノ酸類似体並びにアミノ酸を有するアミノ酸置換を含んでいてもよい。本発明の抗体は、配列番号2、4、7、10、12、14~20、22~25、27~30、32~35、37~40、42~45、47~50、52~55、57~60、62~65、67~70、72~75、77~80、及び82~85のアミノ酸配列のうちの1つ若しくは複数;又は配列番号1、3、5、6、8、9、11、13、21、26、31、36、41、46、51、56、61、66、71、76、及び81によりコードされるアミノ酸配列のうちの1つ若しくは複数のアミノ酸配列と少なくとも85%配列同一性を共有する1つ又は複数のアミノ酸配列を含有することができる。したがって、本発明の抗体は、配列番号2、4、7、10、12、14~20、22~25、27~30、32~35、37~40、42~45、47~50、52~55、57~60、62~65、67~70、72~75、77~80、及び82~85のアミノ酸配列のうちの1つ若しくは複数;又は配列番号1、3、5、6、8、9、11、13、21、26、31、36、41、46、51、56、61、66、71、76、及び81によりコードされるアミノ酸配列のうちの1つ若しくは複数のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%配列同一性を共有するアミノ酸配列を有することができる。本明細書で使用される場合、用語「配列同一性」とは、2つ以上のアミノ酸配列間の類似性のことである。配列同一性は典型的には、アミノ酸配列間の百分率同一性(又は類似性又は相同性)の点から測定され;百分率が高いほど、比較される配列は互いにより類似する。
本発明の一部の抗体のVフレームワーク領域のアミノ酸配列は、配列番号22、27、32、37、42、47、52、2、若しくは7の配列、又はその断片を含有しうる。同様に、同じ、又は異なる抗体のVフレームワーク領域のアミノ酸配列は、配列番号57、62、67、72、77、82、4、又は10の配列、又はその抗原結合断片を含有しうる。
本発明の抗体は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つのCDRを含有する。本発明の抗体中のCDRのアミノ酸配列は、例えば、ImMunoGeneTicsデータベース(「IMGT」)番号付け方式(Lefranc,M.-P.ら、Nucleic Acids Research、27、209~212頁(1999));North,B.ら、「抗体CDRループ立体構造の新しいクラスタリング」(A new clustering of antibody CDR loop conformations)、J Mol Biol(2011)により記載されるCDR定義(単数又は複数);CDR定義(単数又は複数)Kabatら、「免疫学的関心のあるタンパク質の配列」(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1991);CDR定義(単数又は複数)Chothiaら、J.Mol.Biol.196:901~917頁(1987);及びCDR定義(単数又は複数)MacCallumら、J.Mol.Biol.262:732~745頁(1996)を含む、当技術分野で公知の方法、並びにCDRの定義により決定することができる。
本発明の一部の抗体又は抗原結合断片のCDRの1つ若しくは複数は、配列番号23、28、33、38、43、48、53、又は15のアミノ酸配列から選択されるVH CDR1;配列番号24、29、34、39、44、49、54、又は16のアミノ酸配列から選択されるVH CDR2;配列番号25、30、35、40、45、50、55、又は17のアミノ酸配列から選択されるVH CDR3;配列番号58、63、68、73、78、83、又は18のアミノ酸配列から選択されるVL CDR1;配列番号59、64、69、74、79、84、又は19のアミノ酸配列から選択されるVL CDR2;ならびに配列番号60、65、70、75、80、85、又は20のアミノ酸配列から選択されるVL CDR3の少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、又は少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、又は少なくとも12の隣接するアミノ酸を含有する。
一部の実施形態では、本発明の抗体は、配列番号23のVH CDR1、配列番号24のVH CDR2、配列番号25のVH CDR3、配列番号58のVL CDR1、配列番号59のVL CDR2、及び配列番号60のVL CDR3のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つを含有する。
他の実施形態では、本発明の抗体は、配列番号28のVH CDR1、配列番号29のVH CDR2、配列番号30のVH CDR3、配列番号58のVL CDR1、配列番号59のVL CDR2、及び配列番号60のVL CDR3のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つを含有する。
他の実施形態では、本発明の抗体は、配列番号33のVH CDR1、配列番号34のVH CDR2、配列番号35のVH CDR3、配列番号63のVL CDR1、配列番号64のVL CDR2、及び配列番号65のVL CDR3のうちの少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つを含有する。
他の実施形態では、本発明の抗体は、配列番号38のVH CDR1、配列番号39のVH CDR2、配列番号40のVH CDR3、配列番号68のVL CDR1、配列番号69のVL CDR2、及び配列番号70のVL CDR3のうちの少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つを含有する。
他の実施形態では、本発明の抗体は、配列番号43のVH CDR1、配列番号44のVH CDR2、配列番号45のVH CDR3、配列番号73のVL CDR1、配列番号74のVL CDR2、及び配列番号75のVL CDR3のうちの少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つを含有する。
他の実施形態では、本発明の抗体は、配列番号48のVH CDR1、配列番号49のVH CDR2、配列番号50のVH CDR3、配列番号78のVL CDR1、配列番号79のVL CDR2、及び配列番号80のVL CDR3のうちの少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つを含有する。
他の実施形態では、本発明の抗体は、配列番号53のVH CDR1、配列番号54のVH CDR2、配列番号55のVH CDR3、配列番号83のVL CDR1、配列番号84のVL CDR2、及び配列番号85のVL CDR3のうちの少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つを含有する。
他の実施形態では、本発明の抗体は、配列番号15のVH CDR1、配列番号16のVH CDR2、配列番号17のVH CDR3、配列番号18のVL CDR1、配列番号19のVL CDR2、及び配列番号20のVL CDR3のうちの少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つを含有する。
本発明による抗体はモノクローナル抗体であり、抗体が、単一クローンBリンパ球集団、クローンハイブリドーマ細胞集団、又は単一抗体、若しくはその部分の遺伝子がトランスフェクトされている細胞のクローン集団により産生されることを意味する。モノクローナル抗体は、当業者に公知である方法により、例えば、骨髄腫細胞と免疫リンパ細胞の融合物からハイブリッド抗体形成細胞を作製することにより産生される。
本発明によるモノクローナル抗体は典型的には、ヒト化モノクローナル抗体でもある。さらに具体的には、本発明による「ヒト」抗体は、「完全ヒト」抗体とも呼ばれ、ヒト免疫グロブリン由来のヒトフレームワーク領域及びCDRを含む抗体である。例えば、抗体のフレームワーク及びCDRは、同じ起源のヒト重鎖、若しくはヒト軽鎖アミノ酸配列、又はその両方由来である。代わりに、フレームワーク領域は1つのヒト抗体に由来してもよく、異なるヒト抗体由来のCDRを含むように操作されてもよい。「ヒト化する置換」は、IL-38抗体などの抗体のVH又はVLドメインでの特定の位置に存在するアミノ酸残基が、参照ヒトVH又はVLドメインの同等な位置に生じるアミノ酸残基で置き換えられるアミノ酸置換である。参照ヒトVH又はVLドメインは、ヒト生殖系列によりコードされるVH又はVLドメインでもよい。ヒト化する置換は、本明細書で定義される抗体のフレームワーク領域及び/又はCDRにおいて行ってもよい。「ヒト化バリアント」は、本発明のバリアント抗体であり、これは参照抗体と比べて1つ又は複数の「ヒト化する置換」を含有し、参照抗体の部分(例えば、VHドメイン及び/若しくはVLドメイン又は少なくとも1つのCDRを含有するその部分)は、非ヒト種由来のアミノ酸を有し、「ヒト化する置換」は非ヒト種由来のアミノ酸配列内で起こる。
本発明による抗体は「抗原結合断片」でもよい。抗原結合断片とは、抗原に結合する若しくは抗原結合(すなわち、IL-38への特異的な結合)を巡って無傷の抗体(すなわち、その断片が由来する無傷の抗体)と競合する免疫グロブリン又は抗体のポリペプチド断片のことである。本明細書で使用される場合、用語抗体分子の「断片」は、抗体の抗原結合断片、例えば、抗体軽鎖可変ドメイン(VL)、抗体重鎖可変ドメイン(VH)、一本鎖抗体(scFv)、F(ab’)断片、Fab断片、Fd断片、Fv断片、及び単一ドメイン抗体断片(DAb)を含む。断片は、例えば、無傷の若しくは完全抗体又は抗体鎖の化学的若しくは酵素的処理を経て、又は組換え手段により得ることができる。本発明による抗体と見なされる免疫グロブリンバリアントの例は、単一ドメイン抗体(VHドメイン抗体など)、Fab断片、Fab’断片、F(ab)’断片、一本鎖Fvタンパク質(「scFv」)、及びジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」)を含む。VH単一ドメイン抗体は、重鎖可変ドメインからなる免疫グロブリン断片である。Fab断片は、一価抗原結合免疫グロブリン断片を含有し、これは酵素パパインで全抗体を消化し、無傷の軽鎖及び1つの重鎖の一部を得ることにより産生することができる。同様に、Fab’断片も一価抗原結合免疫グロブリン断片を含有し、これは酵素ペプシンで全抗体を消化し、続いて還元して無傷の軽鎖及び重鎖の一部を得ることにより産生することができる。免疫グロブリン1分子当たり2つのFab’断片が得られる。(Fab’)断片は2つのFab’断片の二量体であり、これは全抗体を酵素ペプシンで処理し、それに続く還元をせずに得ることができるので、Fab’単量体は2つのジスルフィド結合により1つに保持されたままである。Fv断片は、2本の鎖として発現された軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域を含有する遺伝子操作された断片である。scFv断片などの一本鎖(「sc」)抗体は、軽鎖のV領域と重鎖のV領域を含有する遺伝子操作された分子であり、適切なポリペプチドリンカーにより遺伝子融合された一本鎖分子として連結されている。scFV抗体などの、一本鎖抗体の二量体は、scFVの二量体であり、「ミニ抗体」としても知られる場合がある。dsFvsバリアントも免疫グロブリンのV領域とV領域を含有するが、その鎖は鎖の会合を安定化させるジスルフィド結合を導入するように突然変異されている。
当業者であれば、抗体の保存的バリアントを産生できることを理解している。dsFv断片などの抗体断片で又はscFv断片で用いられるそのような保存的バリアントは、正確なホールディング及びVとV領域の間で安定化させるために必要な極めて重要なアミノ酸残基を保持し、分子の低pl及び低毒性を保つために残基の電荷特徴を保持する。
本発明による抗体は、内在性抗体という背景に対して当該生物学的製剤の検出を促進するために「タグ付き」免疫グロブリンCH3ドメインも含みうる。さらに詳しくは、タグ付きCH3ドメインは、ヒトIgG由来CH3ドメインのAB、EF、若しくはCD構造ループのうちの1つ又は複数中に組み込まれている異種抗体エピトープである。CH3タグは、好ましくは、IgG1サブクラス抗体の構造的状況中に組み込まれており、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む、他のヒトIgGサブクラスも本発明により利用可能である。エピトープタグ付きCH3ドメインは、「CH3スキャフォールド」とも呼ばれ、一般的には免疫グロブリンFc部分の形態で、重鎖定常領域を有する本発明の任意の抗体中に組み込むことができる。CH3スキャフォールドタグの例、及びタグを抗体中に組み込むための方法は、国際特許出願PCT/US2019/032780に開示されている。エピトープタグ付きCH3スキャフォールドを検出するために使用される抗体、及びエピトープタグ付きCH3スキャフォールドを含む本発明の抗体は、本明細書では一般に「ディテクター抗体」と呼ばれる。
本発明による抗体の治療及び診断有効性は、その標的抗原に対するその結合親和性に相関する。結合親和性は、Frankelら、Mol.Immunol.、16:101~106頁、1979年により記載されるスキャッチャード法を修正したものにより計算しうる。代わりに、結合親和性は、その抗原からの抗体の解離速度により測定しうる。例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)、競合放射免疫アッセイ、ELISA、及びフローサイトメトリーを含む種々の方法を使用して、結合親和性を測定することができる。抗原に「特異的に結合する」抗体は、抗原に高親和性で結合し、他の無関係な抗原には有意に結合しない抗体である。
その抗原への抗体の高親和性結合は、抗原標的の、抗原決定基としても知られるエピトープへの抗体のCDRのうちの1つ又は複数の結合相互作用により媒介される。エピトープは、抗原性のある分子上の特定の化学基又はペプチド配列であり、エピトープは特定の免疫応答を誘発することができることを意味する。本発明による抗体が特異的に結合するエピトープは、IL-38内に含有されるアミノ酸の線形配列により形成されうる。そのようなエピトープは「線形エピトープ」と呼ばれ、IL-38の変性された形態への本発明による抗体の特異的結合に関して機能的のままでありうる。代わりに、本発明による抗体の特異的結合は、エピトープの寄与残基が必ずしも線形配列ではないように、IL-38標的の特定の三次元構造に依存してもよい。言い換えると、本発明による抗体のエピトープは「立体構造エピトープ」でもよい。
IL-38は、上皮由来の癌細胞を含む種々の癌細胞の表面に存在する又は癌細胞、正常な上皮細胞により、若しくは免疫系の細胞により細胞外環境中に分泌されうる。したがって、本明細書に記載される抗体は組成物中に含まれることができ、この組成物は、IL-38が疾患進行を調節するために作用する種々の疾患を診断する又は処置する方法に有用である。その疾患は、前立腺がん、乳がん、腎臓がん、結腸直腸がん、膵臓がん、黒色腫、子宮がん、頭頚部がん及び肺がんなどのがんを含むがこれらに限定されない。
本発明による抗体の治療及び診断使用は、免疫コンジュゲートの使用を含みうる。本明細書に記載される場合、免疫コンジュゲートはキメラ分子であり、これは本発明による抗体に連結されたエフェクター分子を含む。本明細書で言及される場合、エフェクター分子は、免疫コンジュゲートを向ける細胞に対して所望の効果を及ぼすことが意図されている免疫コンジュゲートの部分である、又はエフェクター分子は本発明による抗体の半減期又は生物学的利用能を増やす働きをしてもよい。エフェクター分子の一般的な例は、治療剤(毒素及び化学療法薬など)、診断薬(検出可能マーカーなど)、並びに半減期及び生物学的利用能増強分子(脂質又はポリエチレングリコールなど)を含む。
エフェクター分子は、共有及び非共有結合手段を含む、当業者に公知である任意の数の手段を使用して本発明による抗体にコンジュゲートすることができる。エフェクター分子を抗体に結合させるための手順は、エフェクターの化学的構造に従って変動しうる。ポリペプチドは、典型的には、カルボン酸(COOH)基、遊離のアミン(--NH)、及びスルフヒドリル(SH)基などの種々の官能基を含有し、これらの官能基は抗体上の適切な官能基との反応に利用可能であり、エフェクター分子の結合をもたらす。代わりに、本発明による抗体を誘導体化して、追加の反応性官能基を露出させる、又は結合させることができる。誘導体化は、抗体をエフェクター分子に結合させる働きをするいくつかの公知のリンカー分子のいずれかを結合させることを含んでもよい。
リンカー分子は、抗体とエフェクター分子に共有結合を形成することができる。適切なリンカーは、直鎖若しくは分岐鎖炭素リンカー、複素環式炭素リンカー、又はペプチドリンカーを含むがこれらに限定されない。エフェクター分子がポリペプチドである場合、リンカーは、システインへの、又は末端アミノ酸のアルファ炭素アミノ及びカルボキシル基へのジスルフィド結合を通じてなどの、その側鎖を通じてポリペプチドの構成アミノ酸に結合させうる。組換え技術を使用して、リンカーペプチドを含む、2つ以上のポリペプチドを1つの連続するポリペプチド分子にしてもよい。
エフェクター分子は、循環器系への直接的暴露からエフェクター分子を遮蔽する直接結合された、又は連結された封入システム内に含まれてもよい。抗体に結合されたリポソームを調製する手段は当業者に周知である(例えば、米国特許第4,957,735号、及びConnorら、Pharm Ther 28:341~365頁、1985年参照)。
本発明による免疫コンジュゲートのエフェクター分子は、一般には、がん、及び一般には異常な細胞増殖を特徴とする疾患の処置に有用である。したがって、本発明による免疫コンジュゲートのエフェクター分子は、小分子薬物;アンチセンス核酸、1重鎖又は2重鎖DNAと共有架橋結合するための誘導体化オリゴヌクレオチド、及び3重鎖形成オリゴヌクレオオチドなどの核酸;タンパク質;ペプチド;アミノ酸、及びアミノ酸誘導体;糖タンパク質;放射性同位体;脂質;炭水化物;組換えウイルス;並びにアブリン、リシン、緑膿菌外毒素(PE35、PE37、PE38、及びPE40などの「PE」)、ジフテリア毒素(「DT」)、ボツリヌス毒素、サポリン、レストリクトシン、ゲロニン、ボウガニン(bougani)、及びこれらの改変毒素などの、ただしこれらに限定されない毒素を含む化学療法剤が可能である。
一部の状況では、免疫コンジュゲートがその標的部位に到達した場合はエフェクター分子を抗体から解放するのが望ましい。したがって、これらの状況では、免疫コンジュゲートは標的部位の近傍で切断可能である結合を含む。本発明による抗体からエフェクター分子を放出するためのリンカーの切断は、免疫コンジュゲートが標的細胞の内部又は標的部位の近傍のいずれかで晒される酵素活性又は状態により促されうる。代わりに、その標的抗原への特異的結合後、本発明による抗体は、標的抗原を発現する細胞により内部移行されることができる。
治療免疫コンジュゲートを含む、本発明による治療抗体は、対象において疾患を予防する、処置する、又は寛解させるための方法で使用可能である。本発明のある特定の実施形態では、本発明による抗体は、対象においてがんを予防する、処置する、又は寛解させるために使用可能である。例えば、本発明による抗体を使用して、前立腺がん、乳がん、腎臓がん、結腸直腸がん、膵臓がん、皮膚がん、子宮がん、頭頚部がん及び肺がんを含むがこれらに限定されないがんを予防する、処置する、又は寛解することができる。
疾患を「予防する」とは、疾患の完全な発症を阻害することである。「処置する」とは、疾患又は病態が発症し始めた後、疾患若しくは病態の兆候又は症状を寛解する治療介入のことである。「寛解する」とは、疾患の兆候若しくは症状の数又は重症度の減少のことである。がんを予防する、処置する、又は寛解するための本発明による抗体の使用に関しては、疾患の兆候又は症状は、腫瘍負荷又は転移の数若しくはサイズと相関しうる。
がんを予防する、処置する、又は寛解するための方法は、腫瘍増殖又は転移を阻害するため、本発明による抗体の有効量を含む組成物の対象への投与を必要とする場合があり、抗体の抗原標的を発現する、又は他の方法で本発明による抗体の細胞膜結合標的抗原を提示する腫瘍細胞を特徴とするがんを有する対象を選択するステップを含む。例えば、本発明による抗体は、その標的抗原への結合を経て腫瘍細胞に接触し、標的抗原の機能を調節する、阻害する、又は中和することができる。本発明による抗体は、その標的抗原に結合すると腫瘍細胞の表面に細胞傷害性治療も送達しうる。
本発明による抗体は、血液若しくは血漿及び血清のような血液派生物などの、ただしこれらに限定されない体液、又は腫瘍微小環境内の体液において標的抗原に結合することができる。細胞膜結合標的抗原の場合のように、分泌された標的抗原への本発明による抗体の結合により、標的抗原の生物学的機能が結果として調節される、阻害される、又は中和されることが可能である。したがって、溶液中でその標的抗原に本発明による抗体が結合すれば、その標的抗原の活性、又は膜結合小嚢の活性をインビボで例えば、調節する、阻害する、又は中和することができる。
抗体が、細胞外マトリックス(「ECM」)又はECMタンパク質に会合している標的抗原に結合する本発明による抗体の使用もある。例えば、本発明による抗体は、遊走している又は分化している内皮細胞が結合している、又は遭遇すると予想されるECMとそれ自体が会合している標的抗原に結合して、その標的を調節する、阻害する、又は中和することができる。ECM会合標的抗原の存在は、腫瘍微小環境においてECM会合標的抗原の存在と関連している疾患を含む、種々の疾患状態と相関しうる。
上記の通り、本明細書に開示される抗体を投与すれば、原発腫瘍の増殖を遅くする若しくは阻害することができる、又は種々のタイプの腫瘍の転移を阻害することができる。例えば、本発明による抗体を投与すれば、前立腺がん、乳がん、腎臓がん、結腸直腸がん、膵臓がん、黒色腫、子宮がん、頭頚部がん及び肺がんを含むがこれらに限定されないがんの増殖若しくは転移を遅くする又は阻害することができる。これらの適用では、治療有効量の抗体が、がん細胞の増殖、複製若しくは転移を阻害するのに、又はがんの兆候若しくは症状を阻害するのに十分な量で対象に投与される。適切な対象は、腫瘍細胞が本発明による抗体の標的抗原を発現するがんと診断された対象を含みうる。本発明による抗体の治療有効量は、がんの重症度、及び患者の健康の全身状態に依拠する。抗体の治療有効量とは、症状(単数又は複数)の主観的軽減又は臨床医若しくは他の資格のある専門職により認められる客観的に確認できる改善のいずれかを提供する量である。
それを必要とする対象に投与される本発明による抗体は組成物に製剤化される。さらに詳細には、抗体は、全身投与、又は腫瘍内投与などの局所投与用に製剤化することができる。例えば、本発明による抗体は、静脈内投与などの非経口投与用に製剤化してもよい。組成物は、対象への投与用に単位剤形で調製することができる。投与の量及びタイミングは、所望の結果を達成するため処置を行う臨床医の裁量に委ねられる。
本発明による抗体の投与は、他の抗がん剤の投与又は腫瘍の外科的切除などの治療処置を伴うこともできる。任意の適切な抗がん剤を本明細書に開示される抗体と組み合わせて投与することができる。例となる抗がん剤は、例えば、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、挿入抗生物質、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、抗生存剤、生体応答修飾物質、免疫調節剤、抗ホルモン薬(例えば、抗アンドロゲン薬)及び抗血管新生剤などの化学療法剤を含むがこれらに限定されない。他の抗がん処置は、放射線療法及びがん細胞を特異的に標的にする他の抗体を含む。
投与用の組成物は、水性担体などの薬学的に許容される担体に溶解した抗体の溶液を含むことができる。一般に、担体の性質は、用いられる特定の投与様式に依拠する。例えば、非経口製剤は通常、溶媒として、水、生理食塩水、平衡塩類溶液、水性デキストロース、又はグリセロールなどの薬学的及び生理的に許容される液体を含む注射可能な液体を含む。粉末、丸薬、錠剤、又はカプセル形態などの固体組成物では、従来の非毒性固体担体は、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、又はステアリン酸マグネシウムを含むことができる。生物学的に中性の担体に加えて、投与される医薬組成物は、例えば湿潤剤又は乳化剤、保存剤、及びpH緩衝剤などの少量の非毒性補助物質など、例えば、酢酸ナトリウム又はソルビタントモノラウレートを含有することができる。前述の担体溶液は無菌であり、一般に好ましくない物質がなく、従来の周知である殺菌技法により無菌化しうる。組成物は、pH調整及び緩衝剤などの生理条件を近づけるのに必要な薬学的に許容される補助物質並びに酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、及び乳酸ナトリウムなどの毒性調整剤を含有しうる。これらの製剤中の抗体の濃度は広く変動することができ、選択される特定の投与様式及び対象の必要に従って、主に液量、粘度、体重などに基づいて選択される。
本発明による抗体を投与するための選択肢は、緩徐注入による投与、又は静注若しくはボーラスを経た投与を含むがこれらに限定されない。抗体投与のための他の選択肢は、眼内投与のために最適化しうる。投与に先立って、本発明による抗体組成物は凍結乾燥形態で提供され、投与前に所望の濃度まで無菌液で再水和されてもよい。次に、抗体溶液は0.9%塩化ナトリウム、USP、を含有する注入バッグに添加し、一部の場合では、体重1kg当たり0.5~15mgの投与量で投与しうる。本発明による抗体組成物の投与の一例では、投与される負荷量が高いほど、それに続いて投与される維持量のレベルは低くなる。例えば、4mg/kgの初回負荷量が約90分の時間をかけて注入され、続いて、前の用量が十分許容的であれば、2mg/kgの毎週維持量が4~8週間、30分の時間をかけて注入される。
本発明による抗体組成物は、徐放性製剤でもよい。徐放性非経口製剤は、例えば、植込剤、又は油性注射液として作製することができる。マイクロスフェア、マイクロ粒子、マイクロカプセル、ナノカプセル、ナノスフェア、及びナノ粒子を含む微粒子系を使用して、本発明による抗体組成物を送達してもよい。マイクロカプセルは、本明細書で言及される場合、本発明による抗体を中核構成要素として含有する。マイクロスフェアでは、本発明による抗体は粒子全体に分散されている。約1μmよりも小さな粒子、マイクロスフェア、及びマイクロカプセルは一般に、それぞれナノ粒子、ナノスフェア、及びナノカプセルと呼ばれる。
上記の通り、本発明による抗体は、前立腺がん、乳がん、腎臓がん、結腸直腸がん、膵臓がん、皮膚がん、子宮がん、頭頚部がん及び肺がんなどの。ただしこれらに限定されない病態の存在を診断する又はモニターするのにも有用でありうる。さらに詳細には、本発明の方法は、本発明による抗体の抗原標的の発現を検出するのに有用である。検出はインビトロでもインビボでもよい。任意の組織試料が、生検、検死及び病理検体由来の組織を含むがこれらに限定されないインビトロ診断検出用に使用されうる。生体試料は、組織の切片、例えば、組織学的目的で採取された凍結切片を含む。生体試料は、血液、血清、血漿、唾液、髄液又は尿などの体液をさらに含む。
方法は、対象由来の試料を本発明による抗体に接触させ、試料中に存在するその標的抗原への抗体の結合を検出することにより、対象が疾患を有するかどうかを判定する。対照試料中の抗体の結合と比べた場合、試料中のその標的抗原への抗体の結合が増加していれば、対象ががん又はIL-38を発現する任意の他のタイプの疾患などのIL-38発現に関連する疾患を有することが特定される。一般に、対照試料は疾患のない対象由来の試料である。
診断法はその感度及び特異度が異なる。診断アッセイの「感度」は、病気に罹った個人のうち検査結果が陽性である百分率(真陽性のパーセント)である。診断アッセイの「特異度」は、1引く偽陽性率であり、偽陽性率は疾患のない個人のうち検査結果が陽性である割合として定義される。特定の診断法は状態の確定診断を提供しない場合があるが、その方法が診断を助ける明確な指標を提供するのであれば十分である。「予後」は、膵臓がん又は転移などの病態の進展(例えば、重症度)の可能性である。
本発明の抗体は、検出可能な標識に連結させれば、診断剤として有用である免疫コンジュゲートを形成することができる。検出可能な標識は、本明細書で言及される場合、例えば、本発明による抗体の抗原標的である腫瘍細胞抗原などの、疾患の存在に相関する分子の検出を促進する目的で、本発明による抗体に直接的に又は間接的にコンジュゲートされる化合物又は組成物である。そのような目的に有用である検出可能な標識は当技術分野で周知であり、35S、11C、13N、15O、18F、19F、テクネチウム-99m(「99mTc」)、124I、131I、89Zr、H、14C、15N、90Y、111In及び125Iなどの放射性同位元素;フルオロフォア;化学発光剤;西洋ワサビペルオキシダーゼ、ベータガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼなどの酵素標識;ビオチニル基;ロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグなどの二次レポーターにより認識される所定のポリペプチドエピトープ;並びにガドリニウムキレートなどの磁気剤を含む。本発明による標識された抗体は「標識抗体」又はさらに具体的には、「放射標識抗体」と呼ばれる場合もある。本発明による一部の抗体では、標識には種々の長さのスペーサーアームが結合して、潜在的な立体障害を減少させる。
本発明による抗体を使用するステップを含む診断法は、ある特定の用途では、免疫アッセイでもよい。免疫アッセイの詳細は用いられる特定のフォーマットによって変動する場合があるが、生体試料において本発明による抗体の抗原標的を検出する方法は、一般には、免疫学的に反応性の条件下で生体試料を抗原と特異的に反応する抗体に接触させて免疫複合体を形成するステップを含む。こうして得られた免疫複合体の存在は、直接的にでも間接的にでも検出可能である。言い換えると、本発明による抗体は、診断法において一次抗体(1゜Ab)として機能することができ、本発明による抗体に特異的な標識抗体は2゜Abとして機能する。免疫複合体の間接的検出の場合、診断法のための本発明による抗体の使用は、その標的抗原への一次抗体、本発明による抗体、の結合を検出するための標識二次抗体(2゜Ab)の使用も含む。二次抗体用の適切な検出可能標識は、本発明による直接標識された抗体用の上記の標識を含む。国際特許出願PCT/US2019/032780に記載されるように、2゜Abは、本発明による診断法で使用される場合、CH3エピトープタグを含有する本発明による抗体と併せて使用するための上で定義される「ディテクター抗体」でもよい。
本発明による抗体は、蛍光標識細胞分取(FACS)のためにも使用することが可能である。細胞集団のFACS分析は、細胞を分離する又は分類するために、複数の色チャネル、低角度及び鈍い光散乱検出チャネル、並びにインピーダンスチャネル、とりわけより高性能レベルの検出を用いる(米国特許第5,061,620号参照)。
本発明による抗体の診断応用で使用される試薬は、上記のように、血液試料又は組織試料などの生体試料中で本発明による抗体で抗原標的を検出するためのキットで提供しうる。そのようなキットを使用して、対象でのがん診断を確かめることができる。例えば、本発明による抗体を含む診断キットを使用して、生検から得られる組織試料において腫瘍細胞について組織学的検査を実施することができる。より詳細な例では、キットは、肺生検を実施することにより得られる組織又は細胞中で肺がん細胞を検出するのに使用可能である本発明による抗体を含みうる。代わりの特定の例では、キットは、組織生検で膵臓がん細胞を検出するのに使用可能である本発明による抗体を含みうる。本発明による抗体の抗原標的を検出するためのキットは、典型的には、モノクローナル抗体、又はscFv断片、VHドメイン、若しくはFabなどのその抗原結合断片の形態で本発明による抗体を含む。抗体は、無標識であってもよいし、又は上記のような蛍光、放射性、若しくは酵素標識などの検出可能マーカーにより標識されていてもよい。キットは、一般に、本発明による抗体の使用の手段を開示する説明資料も含む。説明資料は、携帯型ハードドライブなどの電子形態で書かれていてもよく、資料はビデオファイルなど視覚的でもよい。説明資料は、説明書を提供するウェブサイト又はモバイル装置若しくはコンピューター「app」などの応用ソフトウェアプログラムへのリンクのことであってもよい。キットは、キットが設計された目的の特定の適用を促進するための追加の構成要素も含んでよい。例えば、キットは、標識を検出する手段(例えば、酵素標識のための酵素基質、蛍光標識を検出するためのフィルターセット、二次抗体などの適切な二次標識など)も含有しうる。緩衝剤及び他の試薬は、ルーチン的に、診断目的で本発明による抗体を使用する方法に存在する。
本発明による抗体は、種々の組換え発現系により産生することができる。言い換えると、抗体は培養中の生細胞においてアミノ酸配列をコードする核酸配列の発現により産生することができる。本発明による「単離された」抗体は、細胞、タンパク質及び細胞小器官などの他の生体成分環境から実質的に分離される又は精製されている抗体である。例えば、抗体は、i)ローリー法により決定されたタンパク質の95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、又は99重量%よりも大きい、及び代わりに99重量%よりも多い;ii)スピニングカップシークエンサーの使用によりN末端又は内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基を得るのに十分な程度;iii)クーマシーブルー又は銀染色を使用しての、還元又は非還元条件下でのSDS-PAGEによる均一性まで精製される場合に単離されうる。単離された抗体は、組換え細胞内のインサイチュである本発明による抗体でもよい。なぜならば、抗体の天然環境の少なくとも1つの構成要素が存在しないからである。しかし、通常は、単離された抗体は、少なくとも1つの精製ステップにより調製される。
多様な宿主発現ベクター系が、細胞を本発明による抗体についての適切なヌクレオチドコード配列で形質転換する又はトランスフェクトすることにより、本発明による抗体を発現するために利用されうる。宿主発現細胞の例は、大腸菌(E.coli)及び枯草菌(B.Subtilis)などの細菌、これは組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、又はコスミドDNA発現ベクター内に含有される抗体コード配列でトランスフェクトされうる;抗体コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターで形質転換される酵母菌属(Saccharomyces)及びピキア属(Pichia)などの酵母;抗体コード配列を含有するバキュロウイルスなどの組換えウイルス発現ベクターで感染される昆虫細胞系;抗体コード配列を含有する、カリフラワーモザイクウイルス(「CaMV」)、又はタバコモザイクウイルス(「TMV」)などの組換えウイルス発現ベクターで感染される植物細胞系;並びにメタロチオネインプロモーター若しくは伸長因子Iアルファプロモーターなどの哺乳動物細胞のゲノム由来の、又はアデノウイルス後期プロモーター、及びワクシニアウイルス7.5Kプロモーターなどの哺乳動物ウイルス由来のプロモーターを含有する組換え発現構築物を宿している、COS、チャイニーズハムスター卵巣(「CHO」)細胞、ExpiCHO、ベビーハムスター腎臓(「BHK」)細胞、HEK293、Expi293、3T3、NSO細胞などの、ただしこれらに限定されない哺乳動物細胞系を含むがこれらに限定されない。例えば、ヒト胎児性腎臓293(HEK293)などの哺乳動物細胞又はExpi293などのその誘導体は、重及び軽鎖断片を発現するためにそれぞれマウス及びラット伸長因子Iアルファプロモーターを組み込んでいる二重プロモーターベクターと併せて、本発明による抗体のための効果的な発現系であり、この発現系は抗体分子が発現されることを目的とする使用に応じて、有利に選択することができる。代わりに、サイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー及びプロモーター配列の制御下で別々のプラスミドから重及び軽鎖断片を発現する2ベクター系は、CHO細胞、HEK細胞、又はその誘導体と併せて抗体のための効果的な発現系である。
抗体の医薬組成物の生成のために大量の本発明による抗体を産生する予定の場合、高レベルの容易に精製される融合タンパク質産物の発現を指示するベクターが望ましい場合がある。そのようなベクターは、pUR278ベクター(Rutherら、EMBO J.2:1791頁(1983))、ここでの抗体コード配列は、融合タンパク質が産生されるように、lacZコード領域とインフレームでベクター中に個別にライゲートしうる;pINベクター(Inouye&Inouye、Nucleic Acids Res.13:3101~3109頁(1985)を含むがこれらに限定されない。
本発明による抗体をコードする挿入配列(単数又は複数)の発現を調節する、又は遺伝子産物を希望通りに修飾しプロセシングする宿主発現細胞系も選択しうる。例えば、グリコシル化を含む修飾及びタンパク質産物の切断などのプロセシングは、タンパク質の機能にとって重要でありうる。実際、異なる宿主細胞は、タンパク質及び遺伝子産物の翻訳後プロセシング並びに修飾に特徴的で特異的な機構を有する。この目的のため、真核宿主細胞は、一次転写物の適切なプロセシング、並びに本発明による遺伝子産物のグリコシル化及びリン酸化に適した細胞機構を有しており、使用しうる。
本発明による抗体を産生するために使用されるベクターは、その特定の抗体の少なくとも一部をコードする核酸分子を含む。例えば、そのような核酸配列は、コドン最適化配列、又はその部分を含む、VH及びVLドメインをその中に含む任意のポリヌクレオチド配列に対応するDNA配列を含むことができる。したがって、本発明による抗体の少なくとも一部をコードする第1の核酸は、第1の核酸配列と機能的な関係に置かれているプロモーターなどの第2の核酸配列と作動可能に連結されているが、本発明による核酸である。作動可能な連結は、連結されたプロモーター配列がコード配列の転写又は発現に影響を及ぼす場合に、存在している。一般に、作動可能に連結されたDNA配列は隣接しており、同じリーディングフレーム内で2つ以上のタンパク質コード領域とも結合しうる。
本発明によるDNA配列を含む核酸が、細胞、他の染色体及び染色体外DNA及びRNA、タンパク質並びに細胞小器官などの環境中の他の生体成分から実質的に分離される又は精製されると、核酸は本発明による「単離された核酸」であると見なしうる。例えば、標準精製法により精製されている核酸は、単離された核酸である。
本発明による核酸は、本発明による抗体をコードするヌクレオチドの縮重バリアントも含む。さらに詳細には、「縮重バリアント」とは、本発明による抗体をコードするが遺伝コードの結果として縮重されるポリヌクレオチドのことである。コードされた抗体のアミノ酸配列が本発明による抗体の抗原標的に特異的に結合する限り、すべての縮重ヌクレオチド配列が本発明により含まれる。
以下の例は、IL-38上のエピトープに結合する抗体であるIMM20130の単離及び特徴付け;IL-38の免疫抑制効果の評価;追加の抗IL-38抗体の生成;並びにインビトロとインビボの両方でのその特徴付けを説明する。IL-38は、ある特定の状況では、可溶性である、又は、多タンパク質複合体という状況を含む、細胞表面などで細胞膜に会合していることが可能である。
(例1)
無傷のヒトがん細胞の表面に結合する抗体を産生するヒトハイブリドーマの単離
PR087-29B5ハイブリドーマ細胞は、頭頚部がん患者のリンパ節から単離されたヒトB細胞とB56T融合パートナーの融合物から生成した。ヒトB細胞とB56Tの融合は、本質的にUSPTO#EP2242836「有用な抗体を発現するハイブリッド細胞を作製する方法(Method of making hybrid cells that express useful antibodies)」に記載されている電気融合により実行した。融合後、ハイブリドーマを蒔きおおよそ2週間増殖させられるようにした。次に、IgG/A陽性ハイブリドーマ由来の条件培地を収集し、がん細胞系の表面に結合する抗体の能力を求めてスクリーニングした。生きた無傷のがん細胞系のプールへのPR087-29B5産生Abの結合は、フルオロフォア標識抗ヒトIgG二次Ab及び96ウェルプレート用に構成されたLI-COR Odyssey(商標)Saイメージングシステムを使用して検出した。スクリーニングに先立って、がん細胞は等しい割合で混合し、プールを96ウェルプレート中にアリコートし24時間結合させられるようにした。ハイブリドーマ上澄みは細胞と一緒にインキュベートし、がん細胞系への結合は、抗ベイシジン、抗EGFR、及び抗ERBB2(BCH)抗体の混合物を等比で含む陽性対照と比べて評価した。BCH陽性対照は、それぞれの抗体66.6、22.2、及び7.4ng/mLで細胞と一緒にインキュベートした。抗インテグリン(ITGA3)抗体(20ng/mL)も陽性対照として使用した。二次抗体単体は陰性対照として使用した。対照の組合せは、細胞系プールとLI-COR機器の検出範囲の両方にわたり一定範囲の絶対シグナル強度を提供する。BCH(7.4ng/mL)陽性対照はバックグラウンドのシグナルのおおよそ160%のシグナルを示し、バックグラウンドは、二次単体対照の4ウェルで見出されるシグナルの平均として定義した。その4つのウェルにまたがるシグナルは、8.5%の標準偏差を有していた。PR087-29B5はバックグラウンドのレベルよりも上のシグナルを示さなかったが、むしろ、それに続くフォローアップのために選択された低レベル点状染色パターンとして提示された(図3)。
(例2)
PR087-29B5ハイブリドーマはIGHV1/IGLV2可変ドメインを含むIgGを産生する。
PR087-29B5の可変重鎖(V)及び可変軽鎖(V)ドメインをコードするヌクレオチド配列は、PR087-29B5ハイブリドーマ系の細胞から単離されたRNAのRT-PCR増幅及び得られた抗体cDNAに配列決定反応を受けさせることにより得られた。配列番号1は、ハイブリドーマから単離されたPR087-29B5のVのヌクレオチド配列に対応し、配列番号3はVのヌクレオチド配列に対応する。配列番号2及び配列番号4は、ハイブリドーマから単離されたPR087-29B5のV及びVの対応するアミノ酸配列に対応する。IGHV1-18及びIGKV3-20遺伝子割当は公知の生殖系列遺伝子配列に対する相同性に基づいて予測し、V及びVの5’末端を生成するのに使用して、配列番号5及び配列番号8により表される完全長コード配列を創造し、これらの配列はそれぞれアミノ酸配列の配列番号7及び配列番号10をコードする。2つのプラスミド系を使用して、IgG1重鎖及びカッパ軽鎖定常ドメインと一緒にPR087-29B5の可変ドメインを含有する抗体の組換え発現を促進した。コドン最適化は配列番号5で実行し、配列番号7に対応するアミノ酸配列をコードする配列番号6に対応するヌクレオチド断片は、PR087-29B5のVドメインを含む抗体の発現を促進するために合成した。コドン最適化は配列番号8でも実行し、配列番号9に対応するヌクレオチド断片は、配列番号10をコードするが、PR087-29B5のVドメインを含む抗体の発現を促進するために合成した。PR087-29B5の重鎖又は軽鎖を発現するベクターは、VとVドメインを合成し、配列番号12及び配列番号14に対応するアミノ酸配列を含む完全長IgG1抗体をコードする2つのベクター系中にクローニングすることにより作製した。PR087-29B5V及びVドメインを含有する抗体は、標準条件を使用して、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)及びヒト胎児性腎臓(HEK)などの哺乳動物細胞系中への一過性トラスフェクションにより組換え的に発現させた。組換え抗体は、IMM20130と呼ばれるが、当業者に周知である技法を使用して親和性クロマトグラフィーにより条件培地から精製した。
(例3)
IMM20130 AbはIL-38上のエピトープに結合する。
IMM20130が結合した標的抗原を同定するため、標的タンパク質がその天然の立体構造で配置されたCDI HuProtアレイに対して抗体をスクリーニングした。さらに具体的には、IMM20130は天然のCDI HuProtアレイに対して4℃で一晩インキュベートした(1マイクログラム/mL)。スライドを洗浄し、IMM20130結合はAlexa-647コンジュゲート抗H+L二次抗体で検出した。二次抗体が結合した非特異的ヒットは任意の分析から排除した。標的タンパク質への選択的結合は、それぞれのスライド上での複製物への結合の再現性を判定するためのZ-スコア、と選択性対可能な標的の差を判定するためのS-スコアの組合せにより分析した。第1位と第2位のヒットの間のS-スコア>3は、第1位ヒットに高度に特異的であると見なされる。
IMM20130は、天然アレイ上に見出されるIL1F10/IL-38に選択的に結合した。IL-38はCDIアレイ上で第1位のヒットを表し、Z-スコアは119.635及びS-スコアは51.643であった。表1を参照されたい。
Figure 2022543378000002
組換えIL-38へのIMM20130の結合は、ドットブロット分析により確かめた。漸増用量の組換えヒトIL-38(NovusBio、カタログ番号NBP2-22645)をニトロセルロース上に配置し、IMM20130と一緒にインキュベートした。図4に示されるように、IMM20130はIL-38と用量依存的に相互作用した。市販の抗IL-38抗体はアッセイ用の陽性対照としての役割を果たし、同じアイソタイプの抗デング抗体は陰性対照としての役割を果たした。組換えタンパク質STIP1は、最初のCDIアレイでは低いほうのレベルヒットであったが、非特異的対照として使用した。
IL-38(NovusBio、カタログ番号NBP2-22645)へのIMM20130の結合は、表面プラズモン共鳴(SPR)により定量化した。手短に言えば、IMM20130をSPR泳動用緩衝液(10mMのHEPES、pH7.4、150mMのNaCl、0.0005%のTween-20、0.2%のウシ血清アルブミン)に最終濃度150nM及び25nMまで希釈し、抗ヒトFc被覆CM5センサーチップ上、4つの異なる表面密度で捕捉した。表面密度は600~3200RUの範囲に及んだ。IL-38(NovusBio、カタログ番号NBP2-22645)はSPR泳動用緩衝液に600nMの濃度まで希釈し、3倍希釈系列を4つの異なるIMM20130密度表面を横切って流した。データは25℃で収集した。4つすべての表面由来のデータは1対1相互作用モデルにフィットさせ、表2に描かれる速度定数を得た。
Figure 2022543378000003
IMM20130は、いくつかの内因的に発現する細胞系の表面にも特異的に結合した(図5)。生細胞をIMM20130又はアイソタイプ対照及び蛍光色素コンジュゲート抗ヒト二次抗体で染色した。ヨウ化プロピジウムを使用して死細胞を排除した。データは、アイソタイプ対照に対するMFIの倍率変化として表されている。IL-38はアポトーシス条件下で分泌させることができる(Moraら、2016年)ので、いくつかのIMM20130結合がん細胞系をIL-38を分泌するその能力について試験した。がん細胞系は、20ng/mLのTNFα及び10μg/mLのシクロヘキシミドで指示されている期間処置した。0時間及び4時間の時点では、細胞は処置後16時間無添加のRPMIで培養した。16時間の時点では、細胞は、無添加のRPMIにおいてまる16時間TNFα及びシクロヘキシミドと一緒に培養した。上澄み中のIL-38の濃度は、Moraら、2016年から改作したプロトコルを使用して直接ELISAにより決定した。手短に言えば、100μLの上澄みを高結合96ウェルプレート(Corning)に添加し、無添加のRPMIでの組換えIL-38の2倍希釈(Adipogen、カタログ番号AG-40A-0191-C050)の7つの標準曲線と比較した。プレートは4℃で一晩インキュベートした。ウェルはPBS2%BSAでブロックし、PBS0.05%Tweenで3回洗浄し、ラット抗ヒトIL-38抗体(R&D Systems)と一緒に室温で2時間インキュベートした。3回洗浄後、ウェルはビオチン化抗ラット二次抗体(Invitrogen)と一緒に室温で2時間インキュベートした。3回洗浄に続いて、PBS2%BSA中のストレプトアビジン-HRP(R&D Systems)を20分間添加した。3回洗浄後、ホスホクエン酸/過ホウ酸ナトリウム緩衝液に希釈した100μLのOPD基質をウェルごとに添加し、5~30分間現像し、吸光度を450nmで測定した。実際、複数のがん細胞系がアポトーシス誘導条件下でIL-38を分泌し(図6)、腫瘍細胞をIL-38の潜在的供給源として同定した。
(例4)
IL-38は、炎症反応を阻害するプロ腫瘍形成性免疫抑制サイトカインである。
IMM20130を用いて種々のがん細胞系でのIL-38の発現を評価した後、TCGAデータベースを使用して、腫瘍微小環境に対するIL-38の効果を評価した。遺伝子発現分析は、上で明示される兆候由来のTCGA Firehouse Legacyデータセットを使用して実施した。それぞれのデータセットでの試料の数は、それぞれの分析についてのR-2乗値と一緒に示されている。RNA_Seq_v2_mRNA_median_Zスコアデータをデータ解析のために使用した。複数のがん型では、IL-38の発現は、T細胞及び骨髄細胞を含む、効果的な抗腫瘍応答に不可欠である免疫細胞型と関連する遺伝子の発現の減少と相関しており(図7)、IL-38が、腫瘍微小環境中への免疫細胞の浸潤を抑制するのに重要な役割を果たすことができることを示唆している。
IL-38が免疫系をどのようにして抑制することができたのかを確かめるため、THP-1単球細胞系(ATCC、カタログ番号TIB-202)を使用してインビトロモデルを確立した。THP-1単球は、100nM PMAと一緒に72時間培養することにより、マクロファージに分化させた。分化後、PMAを取り除き、マクロファージをPBSで洗浄し、1μg/mL組換え完全長ヒトIL-38(Adipogen、カタログ番号AG-40A-0191-C050)を用いて又は用いずに無添加のRPMIにおいて24時間培養した。マクロファージを刺激し炎症性サイトカインの産生を誘導するため、10ng/mLのLPSをさらに24時間添加した。上澄みを収穫し、サイトカイン発現は、CBAヒト炎症性サイトカインキット(BD Biosciences、カタログ番号551811)を製造業者の説明書によって使用して測定した。THP-1マクロファージをIL-38で処置すると、いくつかの炎症性サイトカイン、すなわち、IL-6及びTNFαが結果として減少した(図8)。マクロファージ炎症反応に対するIL-38の効果をもっと完全に理解するため、Nanostring PanCancer IO 360遺伝子発現パネルを使用して重要な炎症性マーカーのRNA発現についてTHP-1細胞をアッセイした。THP-1細胞は、図8について記載される通りに分化され刺激された。LPS刺激後、細胞を収穫しRNAはRNeasyキット(Qiagen)を使用して単離した。Nanostring PanCancer IO 360遺伝子発現パネルを使用し、nCounterプラットホーム(Nanostring Technologies)を使用して遺伝子発現を評価した。nSolverソフトウェアをデータ解析のために使用した。LPS刺激試料を使用して遺伝子発現を1に正規化した。炎症促進性M1マクロファージマーカー(CD80、IL-6)及び免疫細胞動員に重要なケモカイン(CXCL10、CXCL13)を含む、いくつかの重要な炎症性マーカーはIL-38処置細胞では減少した(図9)。
THP-1細胞においてIL-38が炎症反応をどのようにして抑制しているのかを判定するため、重要なシグナル伝達タンパク質のリン酸化を測定した。図8に記載されるインビトロ系を使用して、IL-38で前処置した分化THP-1マクロファージは、10ng/mLのLPSを用いて種々の時点で刺激した。刺激に続いて、細胞はホスファターゼ及びプロテアーゼ阻害剤と一緒に、1%のTriton含有溶解緩衝液(Cell Signaling)に溶解した。レーンごとに20μgを4%~12%ポリアクリルアミド(Invitrogen)上に充填し、ニトロセルロース膜上に移した。膜は、p-STAT3及びGAPDHを認識するウサギ抗ヒト抗体並びにマウス抗ヒトp-Jnk抗体(Cell Signaling)を用いて一晩探索した。次に、膜を蛍光抗ウサギ及び抗マウス二次抗体(LI-COR Biosciences)と一緒に1時間インキュベートした。ブロットは、LI-CORイメージングシステムを使用してスキャンし、定量化はImage Studioソフトウェア(LI-COR Biosciences)で実施した。Jnkのリン酸化は、IL-38処置THP-1マクロファージにおいて損なわれた(図10)。逆に、STAT3のリン酸化は、LPSでの刺激に先立ってIL-38処置THP-1マクロファージにおいて増加した。
(例5)
IL-38機能をブロックする抗IL-38抗体の産生
図8で確立したインビトロ系を使用して、IL-38の機能をブロックするIMM20130の能力を試験した。THP-1単球は、100nMのPMAを用いて72時間マクロファージに分化させた。分化後、1μg/mLのIL-38(Adipogen、カタログ番号AG-40A-0191-C050)及び10μg/mLの指示された抗体を無添加のRPMIにおいて室温で1時間インキュベートした。マクロファージはPBSで洗浄し、指示されたIL-38/抗体含有培地を用いて24時間培養した。それに引き続き、細胞は10ng/mLのLPSで24時間刺激し、上澄みを収穫してIL-6産生はヒトIL-6DuoSet ELISAキット(R&D Systems)を使用して測定した。IL-38の阻害により、IL-38処置、LPS刺激THP-1細胞でのIL-6産生はLPS刺激細胞に匹敵するレベルにまで回復するはずである。しかし、IMM20130はこれらの細胞のIL-6産生を回復させることができなかった(図11)。対照として、IL-38タンパク質の異なる部分に対して産生された2つのポリクローナル抗体(Lifespan Biosciences、カタログ番号LS-C135753及びLS-C201139)もこの系でIL-6産生を回復するその能力について試験した。IL-38のC末端の一部に対して産生された1つのポリクローナル抗体は、IL-38処置、LPS刺激THP-1マクロファージのIL-6産生を首尾よく回復させ(図12)、IMM20130がIL-38機能をブロックしないIL-38のエピトープに結合することを示している。
IMM20130は、IL-38の機能をブロックしなかったが、IL-38を炎症反応の重要なモジュレーター及び有望ながん標的として確かに同定した。したがって、IL-38機能もブロックする抗IL-38抗体を単離する抗体産生キャンペーンを開始した。NZB/w及びCD-1マウスを完全長組換えIL-38で免疫化した。免疫化後21日目に、HRPコンジュゲート抗マウス二次抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories、カタログ番号115-035-071)を使用して例2に記載される直接ELISAにより抗IL-38抗体の存在についてマウス血清をアッセイした。最も高い抗IL-38血清力価を有する動物由来の脾臓を骨髄腫細胞系と融合させてポリクローナルハイブリドーマライブラリーを生成した。ポリクローナル上澄みが抗IL-38抗体を有することをELISAにより確認した後、個々のハイブリドーマは単細胞選別し、96ウェルプレートで培養して抗体含有モノクローナル上澄みを生成した。直接IL-38 ELISAは、図6に記載されるNZB/w及びCD-1マウス由来ハイブリドーマ由来のモノクローナル上澄みで指示された対照を用いて実施した。複数のモノクローナル上澄みが抗IL-38抗体を含有していた(図13)。分泌されたIL-38結合モノクローナル上澄みも、図11に記載されるインビトロ系においてIL-38機能をブロックする能力について試験した。IL-6産生は、それぞれのモノクローナル上澄みの2つの調製物を使用して測定した。ブロッキング効率は、LPS刺激THP-1細胞のIL-6産生を100%に、IL-38処置、LPS刺激THP-1細胞のIL-6産生を0%に正規化することにより決定した。したがって、それぞれのモノクローナル上澄みのパーセント救済は、[(モノクローナルsup、LPS、及びIL-38を含有する試料)-(LPS、IL-38対照)]/[(LPS単体対照)-(LPS、IL-38対照)]のIL-6産生として計算した。抗ブロッキング効率は、複数のモノクローナル上澄みを用いて観察され(図14)、これらはさらなる展開のために選択した。
マウスハイブリドーマ上澄み及び精製した抗体を含む抗体含有溶液は、ForteBio’s抗マウスFc(AMC)バイオセンサー及びForteBio’sキネティック緩衝液に連続的に希釈された可溶性組換えヒト(Adipogen、カタログ番号40A-0191-C050)又はマウス(Lifespan Biosciences、カタログ番号LS-G3934)IL-38タンパク質を使用してOctet Qke機器上で試験した。抗体はAMCプローブに負荷させ、キネティック緩衝液で1分間ブロックし(ベースライン)、適切なIL-38溶液中に浸漬した。目的の抗体へのIL-38会合は28℃で180秒間測定した。これに続いて、バイオセンサーはキネティック緩衝液含有ウェルに浸漬し、タンパク質解離は600秒間測定した。生のトレースは表3に示される通りに分析した。KD、Kon及びKdis値は、ForteBio’sデータ解析9ソフトウェアの1対1ビルトインモデルを使用して同定した。選択された抗ヒトIL-38抗体の結合動態は図15に示されている。
Figure 2022543378000004
IL-38に対する特異性を確かめるため、いくつかのリード候補抗体(CD1-M3、CD1-M8、NZB-M8)は、天然HuProtアレイ(CDI Laboratories)を使用してHigh-Spec交差反応性アッセイで分析した。1°/mLの抗体を低温室で一晩インキュベートし、洗浄し、抗ヒト二次抗体を用いて探索した。結合の指標としての蛍光強度(F635)はそれぞれのスポットについて測定した。CDIソフトウェアは、Z-スコアに基づいてそれぞれのスポットに対する抗体の特異性を定量化した。Z-スコアは[F635-(アレイ上の平均F635)]/(アレイ上のF635の標準偏差)として定義される。S-スコアは、所与のタンパク質のZ-スコアと次に最も高いタンパク質のZ-スコアの間の差として定義される。CD1-M3及びCD1-M8は、天然アレイ上のIL-38に選択的に結合し、Z-スコアはそれぞれ139.533及び142.421であった(表4)。
Figure 2022543378000005
しかし、NZB-M8は、IFNγを第1位ヒットとして、IL-38を第7位ヒットとして同定し、IL-38に対する低い忠実度を示唆していた。IL-38はIL-1ファミリーメンバーであるため、抗体結合は他のIL-1ファミリーメンバーとも比較した。IL-38と他のIL-1ファミリーメンバーの間の相同性にもかかわらず、交差反応性は確認されなかった(表5)。
CD1-M3、CD1-M8、及びCD1-M26は、モノクローナル抗体上澄みから単離し、PBS精製した。これらの抗体は、それぞれの抗体の半ログ希釈液を使用して図11に記載される確立したインビトロ系において試験した。IL-6及びGM-CSF産生は、ヒトIL-6及びヒトGM-CSF DuoSet ELISA キット(R&D Systems)を製造業者の説明書によって使用して評価した。すべての主要抗体が、IL-38処置、LPS刺激THP-1マクロファージのIL-6及びGM-CSF産生を回復させることができた(図16A~B)。
Figure 2022543378000006
(例6)
インビボ腫瘍モデルでの抗IL-38抗体の効果を評価する
CD1-M3、CD1-M8、及びCD1-M26がIL-38に結合してその機能をインビトロでブロックすることが確かめられた後、これらの抗体は、薬物動態研究においてマウス血漿に存続するその能力について評価した。6~7週齢のC57BL/6マウスに0時間で10mg/kgをi.p.及びi.v.投与した(1群当たりn=9)。それぞれのマウスは2つの時点では眼窩後に出血させ、最終時点で末端に出血させた。血漿はK2 EDTAチューブを使用して単離し、直接IL-38 ELISAにより抗体についてアッセイした。PBS中IL-38の100μL(CD1-M3、M8では50ng/mL;CD1-M26では600ng/mL)を96ウェル高結合プレートのウェルごとに添加し、プレートは4℃で一晩インキュベートした。PBS 0.05%Tweenでの3回洗浄後、プレートはPBS 2%BSAを用いて室温で1時間ブロックした。3回洗浄後、PBS 2%BSAに希釈した100μLのマウス血漿をそれぞれのウェルに添加した。標準曲線を作成するため、CD1-M3、M8、M26抗体を、500ng/mLで開始してPBS2%BSAで希釈した未処置のマウス血漿中にスパイクした。プレートは室温で2時間インキュベートし、3回洗浄した。PBS2%BSAに1対2000で希釈したHRPコンジュゲート抗マウス抗体の100μLをウェルごとに添加し、室温で2時間インキュベートした。3回洗浄後、ホスホクエン酸/過ホウ酸ナトリウム緩衝液に希釈したOPD基質の100μLをウェルごとに添加し、5~30分間現像し、450nmで吸光度を測定した。10mg/kg投与後、すべての抗体は投与後すぐに100,000ng/mL血漿濃度に到達し、この濃度は時間をかけてゆっくり減少した(図17)。CD1-M3、CD1-M8、及びCD1-M26のi.v.及びi.p.投与は、1週間の試験期間中ずっと類似する血漿レベルの結果であった。
選択されたリード候補抗体のうち、CD1-M3は、ヒト及びマウスIL-38に結合できる唯一の抗体であった。したがって、この抗体をいくつかの同系腫瘍モデルで試験し、ここでは腫瘍微小環境でのIL-38のブロックを免疫能力のあるマウスにおいて評価することができた。第1の研究では、2×10のB16.F10細胞を6~7週齢のC57BL/6メスマウスの横腹に移植した。平均腫瘍サイズが85mmに到達すると、マウスを指示された群(n=10)に無作為化した。マウスは指示されたCD1-M3及び/又はパクリタキセルで処置し、腫瘍量は1週間当たり3回キャリパーを用いて測定した。抗CD1-M3で処置すると、溶媒対照と比べて腫瘍量がわずかに減少した(図18)。CD1-M3処置は、化学療法剤パクリタキセルと組み合わせた場合も腫瘍量を減少させた。
炎症性免疫応答の抑制でのIL-38の報告されている役割のせいで、CD1-M3が骨髄系及びリンパ球集団を浸潤する腫瘍に対して及ぼすと考えられる効果を評価するための追加の研究を実施した。2×10のB16.F10細胞を7~8週齢のC57BL/6メスマウスの横腹に移植した。平均腫瘍サイズが104mmに到達すると、マウスを溶媒及びCD1-M3処置群に無作為化し、10mg/mLのIP QW×2で投与した。9日目、第2の投与の24時間後、マウスは安楽死させ、腫瘍は単細胞懸濁液中に解離させた。リンパ球及び骨髄系集団は、2つのフローサイトメトリーパネルを使用して評価した。T細胞パネルは、CD3、CD4、CD8、CD45、CD25、PD-1、CD69、FoxP3、CD49b/CD335、TCRgdを認識するZombie NIR Viability色素(Biolegend)及び蛍光色素コンジュゲート抗体を含む。骨髄系パネルは、CD45、CD11b、CD11c、CD24、Ly-6C、Ly-6G、F4/80、MHCII、及びCD206を認識するZombie NIR Viability色素(Biolegend)及び蛍光色素コンジュゲート抗体を含む。細胞数はPrecision Countビーズ(BioLegend)を使用して計算し、腫瘍サイズに基づいて正規化した。すべての集団は単一生CD45+細胞上でゲート開閉した。集団は、以下の通りに定義される:Treg-CD4CD25FoxP3;NK細胞-CD3CD49b+CD335+;NKT細胞-CD3+CD49b+CD335+;G-MDSC-CD11b+Ly6G+;M-MDSC-CD11b+Ly6C+;マクロファージ-CD11b+F4/80+(MDSCを除外する);M1-CD206-MHCII+マクロファージ;M2-CD206+マクロファージ;樹状細胞-CD24+F4/80-CD11c+MHCII+。パーセント変化は、[(CD1-M3試料の細胞/グラム)-(溶媒対照群の細胞/グラム)]/(溶媒対照群の細胞/グラム)×100%として計算した。とりわけ、CD1-M3処置により、CD4、CD8、及びγδT細胞を含む腫瘍浸潤T細胞が増加した(図19、上)。B細胞集団も溶媒対照と比べると増加した。CD1-M3は、腫瘍内CD8 T細胞上の活性化マーカーCD69の発現に影響を及ぼさなかったが、PD-1を発現するCD8 T細胞の量を確かに減少させた(図19、下)。
評価された第2の同系モデルは、MMTV-PyMT同所性マウスモデルであった。10のMMTV-PyMT細胞を、メスFVBマウスの乳房脂肪パッド中同所性に移植した。平均腫瘍サイズが150mmに到達すると、マウスを群(n=10)に無作為化し、指示される通りに投与した。腫瘍量は2~3日ごとにキャリパーで測定し、研究は9日目、第2の投与の24時間後に終了させた。CD1-M3処置により再び、溶媒対照と比べて腫瘍量はわずかに減少した(図20、上)。CD1-M3はIL-38処置マクロファージのIL-6産生をインビトロで回復させることができるので、この研究では腫瘍内サイトカインレベルを評価した。瞬間冷凍腫瘍を、ビーズ打撃ホモジナイザー(Omni International)を使用して、0.5%のNP-40を含有する溶解緩衝液でホモジナイズした。タンパク質濃度はPierce BCAタンパク質アッセイキット(ThermoFisher)により測定し、正規化した。サイトカイン濃度はLuminexベースのプラットホーム上で測定した。CD1-M3でのIL-6産生の回復を示すインビトロデータに類似して、腫瘍内IL-6はCD1-M3処置マウスでは増加した。
ヒトIL-38のみに結合する追加のリード候補抗体を評価するため、免疫欠損scidマウスにおいて異種移植モデルも評価した。5×10のA549細胞は、アポトーシス条件下でIL-38を分泌することが以前明らかにされており、7~8週齢のメスscidマウス中に移植された。平均腫瘍サイズが134mmに到達すると、マウスを群に無作為化し、指示される通りに投与した。腫瘍量は2~3日ごとにキャリパーで測定し、研究は9日目、第2の投与の24時間後に終了させた。リード候補抗体での処置後、腫瘍量の大きな減少は観察されなかった(図21)。これはこのモデルでのT及びB細胞の欠乏のせいである可能性があり、T及びB細胞はB16.F10腫瘍では増加した(図19)。骨髄系コンパートメントは、まだscidマウスに存在しているが、図21由来の腫瘍を収穫し、それを単細胞懸濁液に解離させることによりこれらのマウスにおいて評価し、フローサイトメトリーは図19に記載される通りに実施した。全体として、CD1-M3は複数の骨髄系集団をわずかに増加させ、CD1-M8、CD1-M26、及びNZB-M8は主としてこれらの集団がわずかに減少した(図22)。

Claims (23)

  1. 単離されたインターロイキン-38(IL-38)結合抗体、又はその抗原結合断片であって、
    配列番号22、配列番号27、配列番号32、配列番号37、配列番号42、配列番号47、配列番号52、配列番号2、若しくは配列番号7の可変重鎖(VH)アミノ酸配列;及び/又は配列番号57、配列番号62、配列番号67、配列番号72、配列番号77、配列番号82、配列番号4、若しくは配列番号9の可変軽鎖(VL)アミノ酸配列内に含まれる、少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)の少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、若しくは少なくとも8つの場合により隣接するアミノ酸を含む、結合抗体、又はその抗原結合断片。
  2. 前記CDRがNorth法により又はKabat法により定義される、前記単離された抗体、又はその抗原結合断片。
  3. 配列番号23、28、33、38、43、48、53、若しくは15のアミノ酸配列から選択されるVH CDR1;
    配列番号24、29、34、39、44、49、54、若しくは16のアミノ酸配列から選択されるVH CDR2;
    配列番号25、30、35、40、45、50、55、若しくは17のアミノ酸配列から選択されるVH CDR3;
    配列番号58、63、68、73、78、83、若しくは18のアミノ酸配列から選択されるVL CDR1;
    配列番号59、64、69、74、79、84、若しくは19のアミノ酸配列から選択されるVL CDR2;及び
    配列番号60、65、70、75、80、85、若しくは20のアミノ酸配列から選択されるVL CDR3
    の少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、又は少なくとも8つのアミノ酸を含む、抗体、又はその抗原結合断片。
  4. 配列番号33のVH CDR1、配列番号34のVH CDR2、配列番号35のVH CDR3、配列番号63のVL CDR1、配列番号64のVL CDR2、及び配列番号65のVL CDR3から選択される少なくとも1つのCDRを含む、請求項3に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
  5. 配列番号38のVH CDR1、配列番号39のVH CDR2、配列番号40のVH CDR3、配列番号68のVL CDR1、配列番号69のVL CDR2、及び配列番号70のVL CDR3から選択される少なくとも1つのCDRを含む、請求項3に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
  6. 配列番号43のVH CDR1、配列番号44のVH CDR2、配列番号45のVH CDR3、配列番号73のVL CDR1、配列番号74のVL CDR2、及び配列番号75のVL CDR3から選択される少なくとも1つのCDRを含む、請求項3に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
  7. 配列番号48のVH CDR1、配列番号49のVH CDR2、配列番号50のVH CDR3、配列番号78のVL CDR1、配列番号79のVL CDR2、及び配列番号80のVL CDR3から選択される少なくとも1つのCDRを含む、請求項3に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
  8. 配列番号53のVH CDR1、配列番号54のVH CDR2、配列番号55のVH CDR3、配列番号83のVL CDR1、配列番号84のVL CDR2、及び配列番号85のVL CDR3から選択される少なくとも1つのCDRを含む、請求項3に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
  9. 配列番号15のVH CDR1、配列番号16のVH CDR2、配列番号17のVH CDR3、配列番号18のVL CDR1、配列番号19のVL CDR2、及び配列番号20のVL CDR3から選択される少なくとも1つのCDRを含む、請求項3に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
  10. 前記IL-38が多タンパク質複合体の構成要素である、請求項1から9までのいずれか一項に記載の抗体、又は抗原結合断片。
  11. 前記抗体、又は抗原結合断片がIL-38の生物活性を部分的に又は完全にブロックする、阻害する、又は中和する、請求項1から10までのいずれか一項に記載の抗体、又は抗原結合断片。
  12. 前記IL-38が体液中に存在する、請求項1から11までのいずれか一項に記載の抗体又は抗原結合断片。
  13. 前記体液が血液又は血液派生物である、請求項12に記載の抗体又は抗原結合断片。
  14. 前記血液派生物が血漿又は血清である、請求項13に記載の抗体又は抗原結合断片。
  15. 前記IL-38が細胞外マトリックス(「ECM」)、又はECMタンパク質に会合している、請求項1から14までのいずれか一項に記載の抗体又は抗原結合断片。
  16. 前記IL-38が腫瘍微小環境に存在している、請求項15に記載の抗体又は抗原結合断片。
  17. 前記抗原結合断片が、単離された可変重(VH)単一ドメインモノクローナル抗体である、請求項1から16までのいずれか一項に記載の抗原結合断片。
  18. 前記抗原結合断片が、一本鎖(sc)Fv-Fc断片である、請求項1から16までのいずれか一項に記載の抗原結合断片。
  19. 前記単離された抗原結合断片が、Fv、scFv、Fab、F(ab’)2、若しくはFab’断片、ダイアボディ、又はその半減期が増加されている可能性のある任意の断片を含む、請求項1から16までのいずれか一項に記載の抗原結合断片。
  20. 前記抗体又は抗原結合断片がCH3スキャフォールドを含み、免疫グロブリンFc領域由来の該CH3ドメインの野生型アミノ酸配列のうちの少なくとも1つの改変を含む、請求項1から19までのいずれか一項に記載の抗体又は抗原結合断片。
  21. 前記抗体又は抗原結合断片がモノクローナルである、請求項1から20までのいずれか一項に記載の抗体又は抗原結合断片。
  22. 前記抗体又は抗原結合断片がヒト、ヒト化、又は二重特異性である、請求項1から21までのいずれか一項に記載の抗体又は抗原結合断片。
  23. 対象において腫瘍増殖又は転移を阻害する方法であって、請求項1から22までのいずれか一項に記載の抗体又は抗原結合断片を含む組成物の治療有効量を該対象に投与するスッテプを含み、該抗体又は抗原結合断片が、IL-38の生物活性を部分的に又は完全にブロックする、阻害する、又は中和する方法。
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