JP2022542571A - カプセル化により異なる凝固点を有する物質を作製する方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、流動性を有しかつ注射可能な冷スラリーを形成する生体材料を製造するための組成物および方法に関する。より具体的には、本開示は、カプセル化されたリポソーム内媒体とリポソーム外媒体とが異なる凝固点を有する、複数のリポソームを含有する組成物に関する。TIFF2022542571000002.tif110170

Description

関連出願
本願は、35 U.S.C. §119(e)の下で、2019年7月24日に出願された米国仮特許出願第62/878,108号の恩典を主張し、その内容の全体を参照により本明細書に組み入れる。
技術分野
本開示は、概して、流動性を有しかつ注射可能な冷スラリーを形成する生体材料を製造するための組成物および方法に関する。より具体的には、本開示は、複数のリポソームを含有し、カプセル化されたリポソーム内媒体とリポソーム外媒体とが異なる凝固点を有する、組成物に関する。
背景
冷スラリー(例えば、氷スラリー)は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第15/505,042号(「'042」出願、公開第US2017/0274011号(特許文献1))に記載されているように、当技術分野において、無菌の水の氷粒子、様々な量の賦形剤または添加剤(例えば凝固点降下剤)、および任意で1つまたは複数の活性医薬成分から構成される、組成物として知られている。冷スラリーは、予防目的、治療目的、または美容目的で選択的または非選択的な寒冷療法(cryotherapy)および/または冷却脂肪融解術(cryolysis)を行うために、好ましくは注射を通じて、対象(好ましくはヒト患者)の組織に送達され得る。注射可能な冷スラリーは、神経伝達の阻害を必要とする様々な障害の治療に使用され得る。例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第15/505,039号(「'039」出願、公開第US2017/0274078号(特許文献2))は、神経の髄鞘において脂質の結晶化を引き起こすことにより(ワーラー変性を通じた)神経の可逆的変性を誘導するためのスラリーの使用を開示している。'039出願はまた、運動痙攣、高血圧、多汗症、および尿失禁を含む体性神経または自律神経の阻害を必要とする様々な他の障害を治療するための注射可能な冷スラリーの使用を開示している。
冷スラリーを調製する方法は、米国特許出願第16/080,092号(「'092」出願、公開第US2019/0053939号(特許文献3))に示されている。しかし、'092出願は、治療現場が医療用氷スラリー製造システムを導入することにより冷スラリーを製造することを必要とする。この技術はまた、治療現場が、製造中および投与前に冷スラリーの滅菌性を維持する工程を行うことを必要とする。
調製中にスラリーの滅菌性を損なうことなく、治療現場で製造設備が利用可能であることを必要とせず、かつ治療現場での生体材料の滅菌性を損なうことなく、臨床治療現場での流動性を有しかつ注射可能な冷スラリーの簡単な輸送、保管、および調製を可能にする、組成物および方法に対するニーズが存在する。本開示は、容易に搬送および保管される治療物質(例えば注射可能なスラリー)を患者に提供するのに必要な時間を短縮する改善された組成物および方法を提供することにより、このニーズに対応する。
米国特許出願公開第US2017/0274011号 米国特許出願公開第US2017/0274078号 米国特許出願公開第US2019/0053939号
概要
本開示は、内部媒体を外部媒体から隔離する多数のリポソームを含み、内部媒体と外部媒体とが異なる凝固点(すなわち媒体が凍結する温度)を有する、組成物を提供する。本開示はさらに、組成物の異なる凝固点により、標準的な冷凍庫に入れることによって治療現場で注射可能なスラリーに変換することができる、組成物を提供する。
1つの局面において、水、少なくとも1つのリポソーム、および少なくとも1つの賦形剤を含む組成物であって、リポソームが、組成物の第1ボリュームをカプセル化するように構成されており、賦形剤が、リポソームの外側にある組成物の第2ボリュームに制限されるように構成されており、かつカプセル化された第1ボリュームから隔離されるように構成されており、カプセル化された第1ボリュームの第1凝固点が第2ボリュームの第2凝固点よりも高い、組成物が、本明細書において開示される。
いくつかの態様において、リポソームは、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、卵スフィンゴミエリン(DPSM)、ジパルミトイルホスファチジル(DPPC)、リン酸ジセチル(DCP)、L-α-ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルグリセロール(PG)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される脂質から構成される。いくつかの態様において、脂質はL-α-ホスファチジルコリン(PC)である。
いくつかの態様において、賦形剤は、塩、イオン、乳酸リンゲル液、糖、生体適合性界面活性剤、ポリオール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの態様において、賦形剤はポリオールである。いくつかの態様において、ポリオールはポリエチレングリコール1000(PEG1000)である。
いくつかの態様において、組成物は、第1および第2の両ボリューム中に第2賦形剤をさらに含む。いくつかの態様において、第2賦形剤は、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。
いくつかの態様において、カプセル化された第1ボリュームは、組成物の総ボリュームの約20%~約50%である。いくつかの態様において、カプセル化された第1ボリュームは、組成物の総ボリュームの約30%~約40%である。いくつかの態様において、カプセル化された第1ボリュームは、組成物の総ボリュームの約40%~約50%である。いくつかの態様において、カプセル化された第1ボリュームは、組成物の総ボリュームの約35%~約40%である。いくつかの態様において、カプセル化された第1ボリュームは、組成物の総ボリュームの約40%~約45%である。いくつかの態様において、カプセル化された第1ボリュームは、組成物の総ボリュームの約38%である。いくつかの態様において、カプセル化された第1ボリュームは、組成物の総ボリュームの約43%である。
いくつかの態様において、カプセル化された第1ボリュームの第1凝固点は約-2℃~約0℃である。いくつかの態様において、第2ボリュームの第2凝固点は約-20℃~約-10℃である。いくつかの態様において、第1ボリュームと、第2ボリュームと、リポソームとを含む組成物の総ボリュームの平均凝固点は、約-10℃~約-5℃である。
いくつかの態様において、カプセル化された第1ボリュームは、組成物が既定温度まで冷やされたときに複数の氷粒子を形成するように構成されている。いくつかの態様において、氷粒子は、組成物の総重量の約30重量%~約50重量%を構成する。いくつかの態様において、既定温度は約-20℃~約-5℃である。いくつかの態様において、既定温度は約-20℃である。いくつかの態様において、既定温度は約-5℃である。
別の局面において、臨床治療現場で患者に投与するための組成物を調製する方法であって、水性媒体がリポソーム内ボリュームおよびリポソーム外ボリュームを満たしている、複数のリポソームを有する組成物を調製する工程、少なくとも1つの賦形剤をリポソーム外ボリュームに添加する工程であって、少なくとも1つの賦形剤が、リポソーム外ボリュームの第1凝固点をリポソーム内ボリュームの第2凝固点未満に低下させる工程、ならびにリポソーム内ボリューム内の複数の氷粒子を有する冷スラリーが形成されるように組成物を既定温度まで冷却する工程を含む、方法が、本明細書において開示される。
いくつかの態様において、リポソームは、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、卵スフィンゴミエリン(DPSM)、ジパルミトイルホスファチジル(DPPC)、リン酸ジセチル(DCP)、L-α-ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルグリセロール(PG)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される脂質から構成される。いくつかの態様において、脂質はL-α-ホスファチジルコリン(PC)である。
いくつかの態様において、賦形剤は、塩、イオン、乳酸リンゲル液、糖、生体適合性界面活性剤、ポリオール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの態様において、賦形剤はポリオールである。いくつかの態様において、ポリオールはポリエチレングリコール1000(PEG1000)である。
いくつかの態様において、水性媒体は、水、生理食塩水、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)から構成される。
いくつかの態様において、リポソーム内ボリュームは、組成物の総ボリュームの約20%~約50%である。いくつかの態様において、リポソーム内ボリュームは、組成物の総ボリュームの約30%~約40%である。いくつかの態様において、リポソーム内ボリュームは、組成物の総ボリュームの約40%~約50%である。いくつかの態様において、リポソーム内ボリュームは、組成物の総ボリュームの約35%~約40%である。いくつかの態様において、リポソーム内ボリュームは、組成物の総ボリュームの約40%~約45%である。いくつかの態様において、リポソーム内ボリュームは、組成物の総ボリュームの約38%である。いくつかの態様において、リポソーム内ボリュームは、約43%である。
いくつかの態様において、リポソーム外ボリュームの第1凝固点は約-20℃~約-10℃である。いくつかの態様において、リポソーム内ボリュームの第2凝固点は約-2℃~約0℃である。いくつかの態様において、第1ボリュームと、第2ボリュームと、リポソームとを含む組成物の総ボリュームの平均凝固点は、約-10℃~約-5℃である。
いくつかの態様において、氷粒子は、生体材料の約30重量%~約50重量%を構成する。
いくつかの態様において、既定温度は約-20℃~-5℃である。いくつかの態様において、既定温度は約-20℃である。いくつかの態様において、既定温度は約-5℃である。
いくつかの態様において、リポソームの二重層構成は、単層小胞(unilamellar vesicle)、多層小胞(multilamellar vesicle)、オリゴラメラ小胞(oligolamellar vesicle)、多胞性小胞(multivesicular vesicle)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
いくつかの態様において、リポソームは約0.1μm~約2μmの平均径を有する。
別の局面において、流動性を有しかつ注射可能なカプセル化された氷溶液を製造する方法であって、多層小胞、オリゴラメラ小胞、多胞性小胞、巨大単層小胞、大型単層小胞、小型単層小胞、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される小胞を形成するように構成された複数の生分解性リポソームを提供する工程、複数のリポソームのうちの少なくとも2つの内部に水を封入して、水を含む第1ボリュームで満たされたリポソームを生成させる工程、第1ボリュームから隔離されたリポソーム外第2ボリュームに賦形剤を添加する工程であって、賦形剤が、第1ボリュームに対する第2ボリュームの凝固点を変化させる、工程、複数の満たされたリポソームを凍結させ、満たされたリポソーム内で複数の氷粒子を生成させる工程、および複数の氷粒子の各々の平均径が既定サイズになるように制御する工程を含む方法が、本明細書において開示される。
いくつかの態様において、第1ボリュームは、組成物の総ボリュームの約20%~約50%である。いくつかの態様において、第1ボリュームは、組成物の総ボリュームの約20%~約50%である。いくつかの態様において、第1ボリュームは、組成物の総ボリュームの約30%~約40%である。いくつかの態様において、第1ボリュームは、組成物の総ボリュームの約40%~約50%である。いくつかの態様において、第1ボリュームは、組成物の総ボリュームの約35%~約40%である。いくつかの態様において、第1ボリュームは、組成物の総ボリュームの約40%~約45%である。いくつかの態様において、第1ボリュームは、組成物の総ボリュームの約38%である。いくつかの態様において、第1ボリュームは、組成物の総ボリュームの約43%である。
いくつかの態様において、賦形剤はPEG1000である。
以下の図は、本開示の例示的な態様を示す。
図1は、リポソーム内媒体とリポソーム外媒体とで異なる凝固点を有する、リポソームを含有する組成物の概要図である。 図2は、水と、体積比(v/v)47%のPEG1000を含有する溶液とについての凝固点降下グラフを示す。 図3は、結晶化設定点が-6.5℃である冷スラリーの固相-液相遷移のグラフである。
詳細な説明
本開示は、注射可能な生体材料(例えば無菌の冷スラリー)を調製する組成物および方法に関する。この生体材料は、好ましくは、異なる凝固点を有する内部媒体と外部媒体とを隔離する懸濁化された物質(例えばリポソーム)を含有する。内部媒体および外部媒体の凝固点が異なることにより、リポソームは好ましくは、所定温度(例えば0℃)で凍結する内部媒体(一方、外部媒体は当該温度で液体状態を維持する)をカプセル化することができる。好ましい態様において、この生体材料は、複数の氷粒子を含有する流動性を有しかつ注射可能なスラリーを形成する。氷粒子は、好ましくは、複数のリポソーム内に保持され、リポソームバリアにより溶液から隔離された状態で維持される。内部媒体は、好ましくは純水であり、外部媒体は、好ましくは水および非活性賦形剤物質を含む溶液である。他の態様において、スラリーは公知の活性医薬化合物をさらに含む。
本開示は、正確な粒子サイズ分布を有する氷粒子を含有する流動性を有しかつ注射可能な氷スラリーに関し、このスラリーは生分解性、生体適合性であり、長期間(例えば、2年またはそれ以上)保管することが可能である。いくつかの態様において、純水または生理食塩水は、生体適合性かつ生分解性の物質(例えばリポソーム)内にカプセル化され、これにより、この組成物を標準的な冷凍庫(例えば約-20℃に設定された冷凍庫)に入れて、流動性を有しかつ注射可能なカプセル化された氷粒子を作製する際に、水相溶液を固相物質から隔離することができる。異なる凝固点は、リポソーム外媒体に凝固点降下物質を添加することにより生成される。水のカプセル化は、この生体材料が凍結温度条件にさらされた際に、氷粒子のサイズおよび形状の制御を可能にする。水/氷をカプセル化するために使用され得る物質の例は、リポソームである。リポソームは、医薬品において、活性分子および薬物を標的組織に送達するために幅広く使用されている。しかし、本開示は、治療用生体材料としての冷スラリー組成物を作製する氷粒子をカプセル化するためのリポソームの使用に関する。
いくつかの態様において、生体材料は、予防目的、治療目的、または美容目的で注射を通じてヒト患者または対象の組織に直接送達することができる冷スラリー(例えば、氷スラリー)である。注射可能なスラリーは、選択的または非選択的な寒冷療法または冷却脂肪融解術に使用することができる。
いくつかの態様において、リポソームは、流動性のある冷スラリーを作製する目的で、異なる凝固点を有する溶液または混合物を作製するために使用される。図1を参照して、生体材料の概要図は、0度の凝固点を有する水(または生理食塩水)から構成される内部媒体を有するリポソーム、ならびに0℃より低い凝固点を有する、水(または生理食塩水)および少なくとも1つの賦形剤(例えば、ポリエチレングリコール1000、「PEG1000」)から構成される、リポソームが懸濁される外部媒体の正投影図を示している。いくつかの態様において、リポソーム内媒体の凝固点は、約-2℃よりも低い、約-2℃~約0℃である、約0℃~約2℃である、または約2℃よりも高い。いくつかの態様において、リポソーム外媒体の凝固点は、約-15℃よりも低い、約-15℃~約-10℃である、約-10℃~約-5℃である、または約-5℃よりも高い。内部媒体と外部媒体で凝固点が異なる場合、生体材料が特定温度下での冷却に供されたときに、リポソーム外媒体は水性状態で維持されつつ、リポソーム内媒体中で氷粒子が形成され、流動性を有しかつ注射可能な冷スラリー組成物が作製される。いくつかの態様において、生体材料はまた、注射可能かつ流動性のあるスラリーを作製するよう、生体材料を患者に投与する前に部分的に融解する氷粒子を有するようにすることができる。
リポソームは、非毒性の脂質/リン脂質から作製され得る球形の小胞である。図1に示されているように、リン脂質は、親水性ヘッド基13および2つの長い疎水性テイル14を有し、これらが、水中に懸濁されたときに二重層小胞を自己形成する特性をそれらに付与する。いくつかの態様において、リポソームは、当技術分野で公知の一般に使用されている脂質/リン脂質、例えば、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、卵スフィンゴミエリン(DPSM)、ジパルミトイルホスファチジル(DPPC)、リン酸ジセチル(DCP)、L-α-ホスファチジルコリン(例えば、卵黄PCもしくは大豆PC)、ホスファチジルエタノールアミン(例えば、卵黄PEもしくは大豆PE)、ホスファチジルセリン(PS)およびホスファチジルグリセロール(PG)、またはそれらの任意の組み合わせから合成される。所望のレベルの流動性および透過性のリポソームを作製するために様々なリン脂質を選択することができる。好ましい態様において、リポソーム組成物は、二重層の安定性を向上させ、脂質の凝集を低減するために、コレステロールを含む。リポソームはさらに、安定性を向上させるよう、ポリマー、例えばポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)またはポリエチレングリコール(PEG)を用いて合成(またはそれらでコーティング)され得る。いくつかの態様において、リポソームはさらに、1つまたは複数の界面活性剤(例えば、コール酸ナトリウム)を含む。好ましい態様において、リポソームは、もっぱら、生分解性かつ非免疫原性の成分から構成される。
いくつかの態様において、リポソームは、1つまたは複数のリン脂質二重層からなり得る。いくつかの態様において、リポソームは、巨大単層小胞(GUV;>1μm(小胞の径))、大型単層小胞(LUV;>0.1μm)および小型単層小胞(SUV;<0.1μm)を含む(例えば図1に記載されているような)単層小胞、すなわち、単一の脂質二重層から構成される小胞である。いくつかの態様において、リポソームは、同心円状のリン脂質球体となるよう組織化された複数の脂質二重層から構成される多層/オリゴラメラ小胞(MLV/OLV)である。いくつかの態様において、リポソームは、単一の二重層内にカプセル化された複数の非同心円状の小胞から構成される多胞性小胞(MVV)である。いくつかの態様において、リポソームのリン脂質の電荷は、中性、アニオン性、またはカチオン性である。脂質の組成、脂質の鎖長および飽和度、サイズ、調製方法、ならびに小胞の電荷はすべて、リポソーム特性を変化させるよう調整され得る。いくつかの態様において、リポソームは、リポソームの凍結または変形なしに二重層の外側の水相を内側の氷固体から隔離できるようにするよう、短い不飽和のリン脂質鎖を用いて合成される。
本明細書において開示されるリポソームを調製するために、当技術分野で公知の任意の方法が使用され得る。例えば、本開示にしたがうリポソームは、Dua J.S., et al., Liposome: methods of preparation and applications, 3 Int. J. Pharm. Stud. Res. 14-20 (Apr. 2012)に開示され、その全体が参照により本明細書に組み入れられる方法にしたがい作製され得る。そのような方法は、機械的分散法(例えば、脂質フィルム水和、超音波処理、凍結乾燥、凍結解凍、フレンチプレッシャーセル、マイクロエマルジョン化)、溶媒分散法(例えば、エタノール注入、逆相蒸発、ダブルエマルジョン)、および界面活性剤除去法(例えば、透析、希釈、カラムクロマトグラフィー)を含む。いくつかの態様において、本明細書にさらに開示されるような特定の径の小さなリポソーム小胞を作製するために、機械的分散法の超音波処理が使用される。リポソームは、純水、生理食塩水、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)の封入を可能にする媒体(すなわち、リポソーム内媒体)中で作製される。これらのリポソームは、凍結乾燥され得、その後に別の媒体(すなわち、リポソーム外媒体)中で再水和され得る。いくつかの態様において、リポソーム外媒体は、溶媒(例えば、純水、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水)および凝固点降下剤として機能し得る少なくとも1つの賦形剤(例えば、PEG1000)から構成される(図1を参照のこと)。
本開示はまた、中央施設で製造され、室温(例えば、約19℃)で治療現場に搬送され、そして標準的な冷凍庫を用いて単純にこの生体材料の温度を低下させることによって治療現場で直ちに氷スラリーに変換され得る、流動性を有しかつ注射可能なカプセル化された氷溶液の製造に関する。これにより、治療現場は、その生体材料を製造する必要も、その生体材料の滅菌性の維持を心配する必要もなくなる。リポソームを含有する水性生体材料は、約-25℃より冷たい、約-25℃~約-20℃、約-20℃~約-15℃、約-15℃~約-10℃、-10℃~約-5℃、約-5℃~約0℃、および約0℃より温かい温度に設定された、臨床治療現場の標準的な冷凍庫に入れられ得る。いくつかの態様において、生体材料は、当該生体材料の温度が、所定の比率の氷粒子を有する冷スラリーを形成するために望ましいレベルまで低下するように、既定の時間、冷凍庫に入れられる。
いくつかの態様において、(内部媒体および外部媒体ならびに脂質を含む)最終リポソーム組成物は、滅菌処理に供されて、製造場所から輸送容器(例えば、バッグまたはシリンジ)に充填されて投与場所まで滅菌状態を維持される。いくつかの態様において、リポソーム内媒体および/またはリポソーム外媒体は、リポソーム調製中に滅菌され、製造、輸送、および保管プロセス全体を通じて滅菌状態を維持される。いくつかの態様において、リポソーム組成物は、当技術分野で公知の任意の滅菌方法を用いて(例えば、熱、放射線照射、高圧等を用いて)治療現場で滅菌される。いくつかの態様において、リポソーム組成物は、容器(例えば、バッグまたはシリンジ)の中で滅菌される。
いくつかの態様において、生体材料は、瞬間凍結を通じて冷スラリーに変えられる。そのような態様において、氷粒子は、圧力の変化によりリポソーム内で作製される。純水が凍結するとき、それは膨張する。特定の形状またはサイズのカプセル化された水から出発して、高圧下で0℃未満に下げられた温度は、その圧力が開放され、水が膨張できるようになるまで凍結することができず、したがってリポソーム内ボリュームの瞬間凍結を引き起こす。瞬間凍結では、熱勾配は必要とされない。
開示されるリポソーム技術は、様々な用途向けの一定サイズのリポソームの作製を可能にする。いくつかの態様において、リン脂質のサイズを、それらが注射可能であることを確実にするよう制限するために、リポソームの調製中に激しい超音波処理が使用される。サイズはまた、エネルギー的に好ましく、リポソーム内ボリュームからの拡散を防止する最小ラメラサイズを生成することにより制御され得る。そのような最小サイズのリポソームの自由エネルギーバリアは、リポソーム小胞の外側の浸透圧濃度がより高い状況下で水を閉じ込め得る。開示される方法は、約0.02μm~約100μmという幅広い範囲の径の非常に正確な粒子サイズを有する冷スラリー溶液を実現する。好ましい態様において、組成物中のリポソームの平均径は、約0.1μm未満、約0.1μm~約0.5μm、約0.5μm~約1μm、約1μm~約1.5μm、約1.5μm~約2μm、または約2μm超である。いくつかの態様において、組成物中のリポソームの平均径は、約0.2μm~約0.4μm、または約1.1μm~約1.3μmである。
リポソームサイズの分布は、当技術分野で公知の標準的技術を用いて、例えば、電子顕微鏡、動的光散乱(DLS)、原子間力顕微鏡(AFM)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)等を用いて測定される。いくつかの態様において、氷粒子のサイズは、その全体が参照により本明細書に組み入れられる'042出願に記載されている様々なサイズ(例えば、約7~約43のニードルゲージサイズ)の容器を通じた流動性を実現するように制御され得る。いくつかの態様において、平均径は、動的光散乱(DLS)により測定される。
いくつかの態様において、平均径(average diameter)は、平均径(mean diameter)である。
いくつかの態様において、1つまたは複数の賦形剤がスラリーに含まれる。賦形剤は、対象もしくは患者への治療剤の送達のための、希釈剤、アジュバントおよび/もしくはビヒクルとして使用される、それ自体は治療剤ではない、任意の物質、ならびに/またはその取扱い性、安定性もしくは保管性を向上させるために組成物に添加される物質である。リポソーム内媒体とリポソーム外媒体との間で異なる凝固点を有する生体材料を作製するために、1つまたは複数の凝固点降下剤が、リポソーム外溶液の凝固点を(例えば、約0℃未満に)低下させるように賦形剤としてリポソーム外溶液に添加され得る。リポソームを調製して水性媒体中に懸濁した後、賦形剤が外部媒体に添加される。リポソーム外媒体の凝固点の低下により、最終スラリー混合物は、流動性を維持しかつ注射可能性を残しつつも、有効な比率の氷粒子を含有することが可能となる。適切な凝固点降下剤は、塩(例えば、塩化ナトリウム、ベタデックススルホブチルエーテルナトリウム)、イオン、乳酸リンゲル液、糖(例えば、グルコース、ソルビトール、マンニトール、ヘタスターチ(hetastarch)、スクロース、(2-ヒドロキシプロピル)-β-シクロデキストリン、もしくはそれらの組み合わせ)、生体適合性界面活性剤、例えば、グリセロール(グリセリン(glycerin)もしくはグリセリン(glycerine)としても公知)、他のポリオール(例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール1000、プロピレングリコール)、他の糖アルコール、または尿素等を含む。他の例示的な凝固点降下剤は、'042出願に開示されており、その全体を参照により本明細書に組み入れる。
好ましくは、リポソーム外媒体に添加される凝固点降下剤は、ポリエチレングリコール1000(PEG1000)である。PEG1000は、それがリポソームの脂質膜を通過してリポソーム内媒体に侵入し、リポソームをまたいで生成される凝固点差を損なわせることを妨げるその大きな分子量/サイズ(すなわち、約1000 kDa)のために、本開示に特に適する。他の適切な凝固点降下剤は、膜を通過するまたは凝固点差を損なわせることなくリポソーム外媒体の凝固点を低下させる任意の賦形剤を含む。
凝固点降下剤の濃度は、スラリーの氷粒子の比率ならびにその流動性および注射性を決定し得る。いくつかの態様において、凝固点降下剤(例えば、PEG1000)は、リポソーム外媒体の約10% v/v~約70% v/vを占める。いくつかの態様において、凝固点降下剤は、リポソーム外媒体の約30% v/v未満、約30% v/v~約40% v/v、約40%~約50% v/v、約50%~約60% v/v、または約60% v/v超を占める。
図2を参照すると、純水T1および水と47% v/v PEG1000の混合物T2についての凝固点降下グラフが示されている。このグラフにおいて、すべての物質を、-20℃の一定温度を有する冷凍庫に入れた。温度は、各物質/スラリー内に置かれた温度計を用いて測定した。このグラフは、水およびPEG1000の混合物が純水の凝固点とは異なる凝固点を有し得ることを示しており、これはこの溶液を0℃未満に冷却し、部分的にのみ結晶化させることができることを意味する。このグラフは、冷却が、純水T1を0℃の平衡凝固点で結晶化させることを示している。これは、純水T1が約-6℃の過冷却点を通過した直後に始まる、純水T1が約1.3時間から約4.4時間まで約0℃の温度で維持される期間により示される。結晶化の平衡ウィンドウ(すなわち、図2における純水T1の「水平線」部分)が存在することは、純粋な溶媒に典型的である。47% PEG1000溶液T2の場合、冷却により、この溶液は、約1時間弱の後に約-6.5℃の初期凝固点で結晶化し始め、そしてこの結晶化が継続する間、溶液の温度は約2.5時間後に約-19℃となるまでさらに低下する。初期結晶化は、約1時間弱の後に示される、47% PEG1000溶液T2が約-15℃の過冷却点を通過した直後に起こる。いくつかの態様において、47% PEG1000溶液T2において結晶化の下降温度ウィンドウが存在することは、溶液(すなわち、純粋でない混合物)に典型的である。
いくつかの態様において、ヒト患者または対象(例えば、患者でないヒトもしくは非ヒト動物)に注射を通じて投与される最終製品は、無菌の水の氷粒子と、リポソームを形成する脂質と、様々な量の賦形剤または添加剤、例えば凝固点降下剤(例えば、PEG1000)とから構成される、冷スラリーである。
いくつかの態様において、氷粒子は、概ね、リポソーム内媒体に制限される。いくつかの態様において、リポソーム内媒体の総ボリュームが完全にまたは部分的にのいずれかで結晶化される。
いくつかの態様において、冷スラリー組成物の総ボリュームにおける氷粒子の比率は、スラリーの重量で約10%未満、約10重量%~約20重量%、約20重量%~約30重量%、約30重量%~約40重量%、約40重量%~約60重量%、約60重量%超等を占める。
いくつかの態様において、氷粒子のサイズは、'042出願に記載されており、参照により本明細書に組み入れられる様々なサイズ(例えば、約7~約43のニードルゲージサイズ)の容器を通じた流動性を実現するように制御される。いくつかの態様において、生体材料は、最初に(本明細書中ここより前に開示されているような)特定温度まで冷却され、そしてさらに、所望の比率の氷粒子を達成するよう解凍に供される。
スラリー組成物中の氷粒子の比率は、部分的に、リポソーム組成物におけるカプセル化ボリュームを通じて制御され得る。カプセル化ボリュームが大きいほど、組成物を冷凍庫に入れたときの氷粒子の最終比率が高くなる。カプセル化ボリュームは、組成物の総ボリュームに対するリポソーム内媒体内に位置するものの比率である(例えば、カプセル化ボリューム40%は、組成物の40%がリポソーム内媒体を構成し、組成物の60%が脂質、賦形剤、およびリポソーム外媒体を構成することを意味する)。いくつかの態様において、生体材料のカプセル化ボリュームは、約20%未満、約20%~約30%、約30%~約40%、約40%~約50%、または約50%超である。いくつかの態様において、カプセル化ボリュームは約38%である。代替の態様において、カプセル化ボリュームは約43%である。いくつかの態様において、所望のカプセル化ボリュームは、リポソーム外媒体のボリュームを減少させつつリポソームを濃縮する複数回の組成物のろ過を用いて達成される。カプセル化ボリュームは、その全体が参照により本明細書に組み入れられるOku, N, et al., A simple procedure for the determination of the trapped volume of liposomes, 691 Biochim. Biophys. Acta 332-340 (1982)に記載されている方法を含む、当技術分野で公知の方法を用いて、生体材料の調製中に概算され得る。簡単に説明すると、Okuは、蛍光色素カルセインを含む溶液中でのリポソームの調製を報告した。リポソームが形成されると、コバルトカチオンが外部媒体に添加され、これが外部媒体においてのみカルセインの蛍光を消光するよう作用し、したがって封入ボリュームは、消光が行なわれた後に残存する蛍光の比率である。封入ボリュームを決定するための当技術分野で公知の他の標準的方法も、本開示において使用され得る。
図3を参照すると、2つの異なるスラリー組成物(バッチ)が、それらの温度プロフィールに関して特徴づけられている。温度トレースは、同じ組成:リポソーム外媒体中の47% v/v PEG1000および38%リポソーム封入ボリュームを有し、測定された凝固点が-6.5℃である、2つの別々に生成されたスラリーバッチを示している。この2つのスラリーバッチを、スラリーおよび銅プレートの温度の経時的変化を測定する熱電対線を有する、40℃に加熱された銅プレート上に置いた。プロットされたデータは、どちらも過熱された銅プレート上に置かれる直前に冷凍庫で-18℃まで冷却された、2つの異なるスラリーバッチの経時的な温度変化を示している。温度は、各スラリーにおいて、銅プレート内部の埋め込み位置(トレースACおよびBC)ならびにプレート外に露出している銅プレートの中ほどの位置(トレースAMおよびBM)の、2つの異なる位置で測定した。スラリーバッチを最初に銅プレートに設置したとき、プレート内部に埋め込まれた熱電対線(トレースACおよびBC)は、当初、加熱されたプレートの温められた温度を測定し(トレースACおよびBCともに0時点で約38℃)、その後、設置されたスラリーの冷却効果により、より低い温度で平衡に達する(トレースACではおよそ5分で19℃、トレースBCではおよそ6分で24℃)。他方、プレートの中ほどに位置する熱電対線では、スラリーを最初に銅プレートに設置したとき、この線が露出しているため、それが直ちに熱電対線と接触する。このため、この中ほどの位置では、結晶化されたスラリーが線に接触することから、当初は負の温度の読み取りがあり(0時点においてトレースAMで-15℃、トレースBMで-17℃)、その後にスラリーが過熱プレート上で融解するにつれ、より温かい温度で平衡に達する(トレースAMではおよそ12分で16℃、トレースBMではおよそ8分で19℃)。スラリーに対して露出している熱電対線(トレースAMおよびBM)は、結晶化スラリーが融解し始める相転移を検出するために使用することができる。このグラフは、両方のスラリー組成物が同様の時点(トレースAMおよびBMの両方でおよそ5分)で相転移に達することを示している。このグラフはまた、2つのスラリーバッチが同様の時間枠ならびに熱電対の位置(中ほど/底部)に依存して約17℃~約24℃の同様の温度で(2つの熱電対線位置により測定される)平衡に達することを示している。図3は、したがって、同じ組成を有するスラリー同士で、バッチ間の一貫性が存在することを実証している。
等価物および範囲
特許請求の範囲において、「a」、「an」および「the」等の冠詞は、そうでないことが示されていない限りまたはそれ以外のことが文脈から明らかでない限り、1つまたは2つ以上を意味し得る。ある群の1つまたは複数のメンバーの間に「または、もしくは」を含む請求項または記載は、そうでないことが示されていない限りまたはそれ以外のことが文脈から明らかでない限り、その群のメンバーの1つ、2つ以上、またはすべてがある物もしくはプロセスに存在する場合、ある物もしくはプロセスで用いられる場合、またはそれ以外の様式である物もしくはプロセスに関連する場合に充足されるとみなされる。本開示は、その群の1つのみのメンバーが、ある物もしくはプロセスに存在する、ある物もしくはプロセスで用いられる、またはそれ以外の様式である物もしくはプロセスに関連する態様を含む。本開示は、その群のメンバーの2つ以上またはすべてが、ある物もしくはプロセスに存在する、ある物もしくはプロセスで用いられる、またはそれ以外の様式である物もしくはプロセスに関連する態様も含む。
さらに、本開示は、列挙される請求項の1つまたは複数からの1つまたは複数の限定、要素、条項および記載事項が別の請求項に導入されるすべての派生、組み合わせおよび置換を包含する。例えば、別の請求項を引用する任意の請求項は、同じ基準請求項を引用する任意の他の請求項において見いだされる1つまたは複数の限定を含むよう改変され得る。要素がリストとして、例えばマーカッシュ群形式のリストとして存在する場合、その要素の各々の部分群も開示されており、かつその群から任意の要素が取り除かれ得る。一般に、本開示または本開示の局面が特定の要素および/または特徴を含むと称されている場合、本開示または本開示の局面の特定の態様は、そのような要素および/または特徴からなる、またはから本質的になることが理解されるべきである。簡潔性のために、これらの態様は本明細書にその通りの文言で具体的には示されていない。「含む(comprising)」、「含む(including)」および「含有する(containing)」という用語は、非限定的であることが意図されており、追加の要素または工程の包含が許容されることにも留意されたい。範囲が示される場合は、終点が含まれる。さらに、それ以外のことが示されていない限りまたはそれ以外のことが文脈および当業者の理解から明らかでない限り、範囲で表される値は、文脈が明らかにそれ以外のことを示していない限り、その範囲の下限の単位の10分の1まで、示されている範囲内の任意の具体的値または部分範囲を本開示の異なる態様において想定し得る。
本願は、様々な発行された特許、公開された特許出願、文献の記事および他の刊行物を参照しており、これらはすべて、参照により本明細書に組み入れられる。組み入れられる参考文献のいずれかと本明細書との間で相反があった場合、本明細書が優先される。加えて、先行技術の範囲に含まれる本開示の任意の特定の態様は、任意の1つまたは複数の請求項から明示的に除外され得る。そのような態様は当業者に公知であるとみなされるため、それらは、そのような除外が本明細書に明示的に示されていない場合であっても除外され得る。本開示の任意の特定の態様は、先行技術の存在に関連するかしないかに関わらず、任意の理由で、任意の請求項から除外することができる。
当業者は、慣用的なものを超えない実験を用いて、本明細書に記載されている具体的態様の多くの等価物を把握するまたは確認することができるであろう。本明細書に記載されている本発明の態様の範囲は、上記説明に限定されることは意図されておらず、添付の特許請求の範囲に示されているものである。当業者は、添付の特許請求の範囲に定義されるように、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、当該説明に対する様々の変更および改変がなされ得ることを理解するであろう。

Claims (39)

  1. 水、
    少なくとも1つのリポソーム、および
    少なくとも1つの賦形剤
    を含む組成物であって、
    該リポソームが、該組成物の第1ボリュームをカプセル化するように構成されており、
    該賦形剤が、該リポソームの外側にある該組成物の第2ボリュームに制限されるように構成されており、かつ該カプセル化された第1ボリュームから隔離されるように構成されており、
    該カプセル化された第1ボリュームの第1凝固点が、該第2ボリュームの第2凝固点よりも高い、
    組成物。
  2. 前記リポソームが、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、卵スフィンゴミエリン(DPSM)、ジパルミトイルホスファチジル(DPPC)、リン酸ジセチル(DCP)、L-α-ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルグリセロール(PG)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される脂質から構成される、請求項1記載の組成物。
  3. 前記脂質がL-α-ホスファチジルコリン(PC)である、請求項2記載の組成物。
  4. 前記賦形剤が、塩、イオン、乳酸リンゲル液、糖、生体適合性界面活性剤、ポリオール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
  5. 前記賦形剤がポリオールである、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
  6. 前記ポリオールがポリエチレングリコール1000(PEG1000)である、請求項5記載の組成物。
  7. 前記第1および第2の両ボリューム中に第2賦形剤をさらに含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
  8. 前記第2賦形剤が生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である、請求項7記載の組成物。
  9. 前記カプセル化された第1ボリュームが、前記組成物の総ボリュームの約20%~50%である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
  10. 前記カプセル化された第1ボリュームが、前記組成物の総ボリュームの約38%である、請求項9記載の組成物。
  11. 前記カプセル化された第1ボリュームが、前記組成物の総ボリュームの約43%である、請求項9記載の組成物。
  12. 前記カプセル化された第1ボリュームの前記第1凝固点が約-2℃~約0℃である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
  13. 前記第2ボリュームの前記第2凝固点が約-20℃~約-10℃である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
  14. 前記第1ボリュームと、前記第2ボリュームと、前記リポソームとを含む前記組成物の総ボリュームの平均凝固点が、約-10℃~約-5℃である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
  15. 前記カプセル化された第1ボリュームは、前記組成物が既定温度まで冷やされたときに複数の氷粒子を形成するように構成されている、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
  16. 前記氷粒子が、前記組成物の総重量の約30重量%~約50重量%を構成する、請求項15記載の組成物。
  17. 前記既定温度が約-20℃~-5℃である、請求項15または16記載の組成物。
  18. 臨床治療現場で患者に投与するための組成物を調製する方法であって、
    水性媒体がリポソーム内ボリュームおよびリポソーム外ボリュームを満たしている、複数のリポソームを有する組成物を調製する工程、
    該リポソーム外ボリュームに少なくとも1つの賦形剤を添加する工程であって、該少なくとも1つの賦形剤が、該リポソーム外ボリュームの第1凝固点を該リポソーム内ボリュームの第2凝固点未満に低下させる、工程、ならびに
    該リポソーム内ボリューム内に複数の氷粒子を有する冷スラリーが形成されるように、該組成物を既定温度まで冷却する工程
    を含む、方法。
  19. 前記リポソームが、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、卵スフィンゴミエリン(DPSM)、ジパルミトイルホスファチジル(DPPC)、リン酸ジセチル(DCP)、L-α-ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルグリセロール(PG)、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される脂質から構成される、請求項18記載の方法。
  20. 前記脂質がL-α-ホスファチジルコリン(PC)である、請求項19記載の方法。
  21. 前記賦形剤が、塩、イオン、乳酸リンゲル液、糖、生体適合性界面活性剤、ポリオール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項18~20のいずれか一項記載の方法。
  22. 前記賦形剤がポリオールである、請求項18~21のいずれか一項記載の方法。
  23. 前記ポリオールがポリエチレングリコール1000(PEG1000)である、請求項22記載の方法。
  24. 前記水性媒体が、水、生理食塩水、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)から構成される、請求項18~23のいずれか一項記載の方法。
  25. 前記リポソーム内ボリュームが、前記組成物の総ボリュームの約20%~50%である、請求項18~24のいずれか一項記載の方法。
  26. 前記リポソーム内ボリュームが、前記組成物の総ボリュームの約38%である、請求項25記載の方法。
  27. 前記リポソーム内ボリュームが、前記組成物の総ボリュームの約43%である、請求項25記載の方法。
  28. 前記リポソーム外ボリュームの前記第1凝固点が約-20℃~約-10℃である、請求項18~27のいずれか一項記載の方法。
  29. 前記リポソーム内ボリュームの前記第2凝固点が約-2℃~約0℃である、請求項18~28のいずれか一項記載の方法。
  30. 前記第1ボリュームと、前記第2ボリュームと、前記リポソームとを含む前記組成物の総ボリュームの平均凝固点が、約-10℃~約-5℃である、請求項18~29のいずれか一項記載の方法。
  31. 前記氷粒子が、生体材料の約30重量%~約50重量%を構成する、請求項18~30のいずれか一項記載の方法。
  32. 前記既定温度が約-20℃~-5℃である、請求項18~31のいずれか一項記載の方法。
  33. 前記リポソームの二重層構成が、単層小胞、多層小胞、オリゴラメラ小胞、多胞性小胞、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項18~32のいずれか一項記載の方法。
  34. 前記リポソームが約0.1μm~約2μmの平均径を有する、請求項18~33のいずれか一項記載の方法。
  35. 流動性を有しかつ注射可能なカプセル化された氷溶液を製造する方法であって、
    多層小胞、オリゴラメラ小胞、多胞性小胞、巨大単層小胞、大型単層小胞、小型単層小胞、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される小胞を形成するように構成された複数の生分解性リポソームを提供する工程、
    該複数のリポソームのうちの少なくとも2つの内部に水を封入して、水を含む第1ボリュームで満たされたリポソームを生成させる工程、
    該第1ボリュームから隔離されたリポソーム外第2ボリュームに賦形剤を添加する工程であって、該賦形剤が、該第1ボリュームに対する該第2ボリュームの凝固点を変化させる、工程、
    該複数の満たされたリポソームを凍結させて、該満たされたリポソーム内で複数の氷粒子を生成させる工程、および
    該複数の氷粒子の各々の平均径が既定サイズになるように制御する工程
    を含む、方法。
  36. 前記第1ボリュームが、前記組成物の総ボリュームの約20%~50%である、請求項35記載の方法。
  37. 前記第1ボリュームが、前記組成物の総ボリュームの約38%である、請求項36記載の方法。
  38. 前記第1ボリュームが、前記組成物の総ボリュームの約43%である、請求項36記載の方法。
  39. 前記賦形剤がPEG1000である、請求項35~38のいずれか一項記載の方法。
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