JP2022540077A - イヌの高血圧の治療のためのテルミサルタン - Google Patents

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Abstract

本発明は、イヌの高血圧の治療のための医薬品としてのテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩に関し、治療有効量のテルミサルタンは治療期間を通じて多様な1日投与量で投与される。

Description

本発明は、そのような治療が必要なイヌの高血圧の治療のための方法で使用するためのテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩に関し、この方法は治療有効量のテルミサルタンのイヌへの投与を含み、前記治療有効量のテルミサルタンは治療期間を通じて多様な1日投与量で投与される。
イヌの品種間における血圧の違いは記載されているが、全身性高血圧(SHT)は140mmHgを超える持続的な収縮期動脈血圧(SBP)として記載される[1~4]。
SHTの認識は、異なる疾患の管理を改善している晩年に増加する。SHTは組織に損傷を与え、腎臓に損傷を与え、タンパク尿、網膜症、高血圧性脳症につながる。これらは標的器官障害(TOD)と呼ばれる。高血圧の有病率は完全には確率されておらず、イヌでは1~10%とさまざまである[3]。
原発性または特発性SHTは、原因が特定できないまま診断されたケースがわずかしかないという事実のため、イヌでは稀な状態であると考えられている[4]が、2次的SHTは比較的一般的であり、原発性アルドステロン症、副腎皮質機能亢進症、褐色細胞腫、慢性腎臓病(CKD)、甲状腺機能亢進症などの異なる障害、ならびにグルココルチコイド、ミネラルコルチコイド、エリスロポエチン、非ステロイド性抗炎症剤、およびチロシンキナーゼ阻害剤などのいくつかの医薬と関連している[3、5~9]。
特発性SHTは、それ自体が健康の危険因子と考えられている。SBPが180mmHgを超える場合に記載されているSHTの重篤な結果は、網膜症、眼内出血、高血圧性脳症であり、組織傷害の閾値はネコとイヌのほとんどの品種で160mmHgであると推定されている[4、10]。左心室肥大[11]、タンパク尿や機能的な腎臓組織のさらなる喪失[12]を含む他の状態もSHTの原因または結果となり得る。加えて、2次的SHTは基礎疾患の追加的な進行要因となると考えられている。
イヌとネコの高血圧の管理におけるACVIM合意声明ガイドラインは、ACEI、カルシウムチャネル遮断薬(CCB)、β遮断薬、利尿薬などを含む異なる戦略を提案している。単剤療法と毎日の用量投与はSHTを制御するための第1選択であるが、一部の患者は治療抵抗性であり、SBPを良好に制御するためには異なる薬物の併用が必要である[3]。
イヌにおけるSHTの発症にレニン-アンギオテンシンアルドステロン系(RAAS)が関与していることから、ACEIはSHTのファーストライン治療として広く使用されているが、ACEIはアンギオテンシンIIの産生を不完全にしか遮断できないので、SHTの不十分な制御につながる可能性がある。この現象は「アルドステロンブレイクスルー」と呼ばれ、ACEが調節する部位と比較して別の部位からACEIの投与用量とは独立してアンギオテンシンIIが放出されることによる[14]。
CCBの1種であるアムロジピンは、イヌがACEIに治療抵抗性となった場合、切り替えによるかまたは追加療法としてのいずれかで代替治療となる[6、15]が、アルドステロンブレイクスルーはアムロジピンとACEIとの併用でも起こり得る[16]。
利尿薬は高血圧の人に頻繁に投与されているが、これらの薬剤は獣医学の患者には第一選択となる薬物ではなく、CKDにおいては主に脱水や体液量減少が問題のあることを証明し得るが、体液量過剰が明らかな高血圧動物(例えば浮腫のある動物)では有用であり得る[3]。
選択した抗高血圧剤が完全に有効でない場合、通常のアプローチは、投与量を増加することか追加の薬物を追加することである[13、17]。しかし、ACEIとアンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)との併用のような特定の併用は、ヒトについての最近の出版物がこれらの症例で腎不全のより高い危険を示したので[13、18、19]、注意して使用するか避ける必要がある。
ARBの1種であるテルミサルタンは、ネコにおいてCKDと関連するタンパク尿を減少するための獣医学において使用される新規の薬物である[20]。
イヌにおいて、テルミサルタンを1日1回経口投与することにより、カリウムまたはクレアチニンの排泄に影響を与えることなく、血管拡張、利尿およびナトリウム利尿を引き起こし、用量依存的にアルドステロンの放出を阻害してカリウム枯渇を防ぐことが記載されている[21、22]。イヌにおいてタンパク尿の管理で推奨される用量の標準は1mg/kgである[13]。また、イヌの血圧に毎日1mg/kgの用量で効果があることが報告されている[23]。
加えて、テルミサルタンの1.0mg/kg体重の1日用量は、標準的な高血圧の療法に治療抵抗性である全身性高血圧を制御するためにイヌにおいてアムロジピンと併用して使用されている[24]。
別の症例研究では、腎細胞がんの手術を受けた11歳のヨークシャーテリアにおいて、治療抵抗性タンパク尿および全身性高血圧の成功した管理、0.43mg/kgのテルミサルタンおよび0.3mg/kgのアムロジピンが記載されている[25]。
国際特許出願WO2019/008077は、予防のためのサルタンの投与スキーム、またはネコにおける高血圧の治療を教示しており、初期の投与量は1.0~5.0mg/kg体重であり、その後の期間で減少される。
したがって、全身性高血圧に罹患しているイヌ科の患者に対して抗高血圧で持続可能な追加の選択肢が緊急に必要である。
現在、高血圧、特に全身性高血圧(SHT)に対して治療効果量のテルミサルタンを投与することによりイヌを治療することができることが分かっており、前記治療有効量のテルミサルタンは治療期間を通じて多様な1日投与量で投与され、治療期間の間の第1の期間にテルミサルタンの1日投与量は少なくとも1.0mg/kg体重であり、前記治療期間の間の第1の期間に続く第2の期間にテルミサルタンの1日投与量が増加される。
したがって、本発明の1つの目的は、全身性高血圧に対するイヌの治療のための新しい治療アプローチを提供することにある。
したがって、本発明は、そのような治療が必要なイヌの高血圧の治療のための方法で使用するためのテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩であって、本方法は治療有効量のテルミサルタンのイヌへの投与を含み、前記治療有効量のテルミサルタンは治療期間を通じて多様な1日投与量で投与され、治療期間の間の第1の期間にテルミサルタンの1日投与量は少なくとも1.0mg/kg体重であり、前記治療期間の間の第1の期間に続く第2の期間にテルミサルタンの1日投与量が増加される、テルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩に関する。
さらに、本発明は、ACE阻害薬による治療に対して非治療抵抗性であるイヌの高血圧の治療のための医薬品としてのテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩に関する。
本発明のさらなる実施形態では、そのような治療が必要なイヌの高血圧の治療のための方法であって、治療有効量のテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩のイヌへの投与を含み、前記治療有効量のテルミサルタンは治療期間を通じて多様な1日投与量で投与され、前記治療期間の間の第1の期間にテルミサルタンの1日投与量は少なくとも1.0mg/kg体重であり、前記治療期間の間の第1の期間に続く第2の期間にテルミサルタンの1日投与量が増加される、前記方法が提供される。
さらなる実施形態では、本発明は、ACE阻害薬による治療に対して非治療抵抗性であるイヌの高血圧の治療のための方法であって、治療有効量のテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩のそのような治療が必要なイヌへの投与を含む、前記方法を提供する。
さらに、本発明は、そのような治療が必要なイヌの高血圧の治療のための方法に使用するための医薬組成物であって、本発明によるテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される担体とを含む前記医薬組成物に関する。
図1は、0日目に高血圧を患っておりアムロジピンを投与されていないイヌの30日目から120日目までのベースラインからの平均SBPの変化を示す図である。イヌは、最初の薬物の投与に加えてエナラプリルまたはテルミサルタンのいずれかの1用量を90日目に投与された。 図2は、0日目に高血圧を患っておりアムロジピンを投与されていないイヌの30日目から120日目までのベースラインからの平均SBPの割合変化を示す図である。イヌは、最初の薬物の投与に加えて、エナラプリル(…・…E)またはテルミサルタン(-・-T)のいずれかの1用量を90日目に投与された。 図3は、0日目に高血圧を患っておりアムロジピンを投与されていたイヌの30日目から90日目までのベースラインからの平均SBPの変化を示す。 図4は、0日目に高血圧を患っておりアムロジピンを投与されていなかったイヌの0日目から90日目までの平均SBPをmmHgで示す。
本発明の実施形態の前に、本明細書および添付の特許請求の範囲内での使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が明白に他を示さない限り、複数形の参照を含むことに留意する必要がある。したがって、例えば、「調製物」への参照は、そのような複数の調製物を含み、「担体」への参照は、1種または複数種の担体への参照および当業者に知られているその等価物などの参照である。他に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的な用語は、この発明が属する技術分野の通常の技術者によって一般的に理解されているのと同じ意味を持つ。所与のすべての範囲および値は、別段の指示がない限り、または当業者によって他に知られていない限り、1~5%変動する可能性があり、したがって用語「約」は説明から省略した。本明細書に記載されている方法および材料と類似または同等の任意の方法および材料は、本発明の実行または試験において使用できるが、好ましい方法、デバイス、および材料はこれから記載されている。本明細書で言及されているすべての出版物は、本発明に関連して使用される可能性があると出版物で報告されている物質、賦形剤、担体、および方法論を説明し、開示することを目的として、参照によって本明細書に組み込まれる。
本明細書のいかなる内容も、先行発明により本発明がそのような開示に先行する権利がないことの承認と解釈されるべきではない。
上記の技術的課題の解決は、特許請求の範囲で特徴づけられる説明および実施形態によって達成される。
本発明によれば、そのような治療が必要なイヌの高血圧の治療のための方法が本明細書に記載されており、この方法は、治療有効量のテルミサルタンのイヌへの投与を含み、前記治療有効量のテルミサルタンは、最初の用量が少なくとも1.0mg/kg体重から始まる、治療期間を通じて多様な1日投与量で投与される。例えば、治療期間の間の第1の期間にテルミサルタンの1日投与量は1.0~1.5mg/kg体重であり得、前記治療期間の間の第1の期間に続く第2の期間にテルミサルタンの1日投与量が増加される。
本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容される塩」は、金属塩または剤形において使用可能な付加塩を含む。例えば、本明細書で提供される化合物の薬学的に許容される塩は、酸付加塩、塩基付加塩、または金属塩であってもよく、従来の化学的方法によって、塩基性残基または酸性残基を含有する親化合物から合成されてもよい。そのような塩は、例えば、水または有機溶媒中または両方の混合物中で、これらの化合物の非酸形態または非塩基形態と当量の適切な塩基または酸とを反応させることによって、一般的には調製される。エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒体が、一般的には好ましい。酸付加塩の例として、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの鉱酸付加塩、例えば、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩およびp-トルエンスルホン酸塩などの有機酸付加塩が挙げられる。アルカリ付加塩の例として、例えば、アンモニウム塩などの無機塩、例えば、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、N,N-ジアルキレンエタノールアミン、トリエタノールアミン、グルタミンおよび塩基性アミノ酸塩などの有機アルカリ塩が挙げられる。金属塩の例として、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、リチウム塩が挙げられる。
本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容される」は、生理学的に許容可能であり、ヒトに投与した場合、アレルギー反応または胃の不快感、めまいなどの類似の副作用を通常は引き起こさない分子的実体および組成物に関する。本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容される」は、連邦政府または州政府の規制当局によって承認されているか、米国薬局方または別の薬局方に記載されているか、動物、好ましくは哺乳類、より具体的にはイヌにおいてその使用が一般的に認められていることを好ましくは意味する。
本明細書において使用される場合、用語「高血圧」は、心臓が収縮して血液が空になる時間、および心臓が弛緩して血液が充満して心臓の中を埋めている時間における、動脈壁に対する血液の高い圧力を指す。この用語は全身性高血圧および特発性高血圧を包含する。
用語「全身性高血圧」は、収縮期血圧の持続的増加(SBPが140mmHgを超える)に適用され、一般的は次の3つのタイプのいずれか1つにカテゴリー分けできる:(i)環境または状況のストレス要因が原因である可能性がある、(ii)血圧を増加する他の疾患プロセスと関連して発生する可能性がある(すなわち、2次的高血圧である)、または(iii)他の潜在的な原因となる疾患プロセスがない場合に発生する可能性がある(すなわち、特発性高血圧である)。
イヌの「全身性高血圧」は、ACVIM合意声明[26]によると、標的器官障害(TOD)の危険に基づいて、以下のように分類される:
本明細書において使用される場合、用語「ACE阻害薬による治療に対して非治療抵抗性である」は、ACE阻害薬で治療することはできるが、テルミサルタンよりも有効性が低い高血圧に罹患したイヌを指す。それとは反対に、ACE阻害薬に治療抵抗性のイヌの持続的な収縮期動脈血圧(SBP)の高い値は、ACE阻害薬の助けを借りても下げられない。
イヌの非治療抵抗性の亜集団では、SBP値を下げるためには、テルミサルタンよりも有効性が10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、50%を超えて、60%を超えて、または70%を超えて、ACE阻害薬による治療の有効性は低い。
好ましい実施形態では、本発明によるテルミサルタンおよび/または方法は、イヌの非治療抵抗性の亜集団の治療に関する。しかし、本発明による投与スキームは、有利には、非治療抵抗性のイヌと治療抵抗性のイヌの両方の亜集団に投与することができる。
本発明によるテルミサルタンによって治療されるイヌは、好ましくは、あらゆる種類の雑種を含む、あらゆる品種のペットのイヌである。品種や雑種の大きさにより、任意の年齢で、より多くは5歳以上、好ましくは7~18歳、特に10~16歳で高血圧に罹患する可能性がある。小型品種は概して大型品種よりもより遅い年齢、好ましくは12~18歳でこの疾患に罹患し、大型品種は10~16歳で影響を受ける可能性がある。
本明細書において使用される場合、用語「と一緒に」または「と併用する」は、テルミサルタンと別の薬物とを別個に投与することおよび連続して投与することの両方に及ぶ。例えば、薬剤が逐次的に投与される場合、テルミサルタンまたは他の薬物のいずれかが最初に投与されてもよい。同時に投与される場合、薬剤は同一のまたは異なる医薬組成物として投与されてもよい。補助療法、すなわち、一方の薬剤が1次治療としての使用であり、他方の薬剤が1次治療を支援する使用である場合も本発明の実施形態でもある。
1種または複数種の有効成分は、別個の製剤または単一の組み合わせた製剤として使用されてもよい。同一の製剤に配合する場合、2つの化合物は安定していなければならず、お互いおよび製剤の他の成分と適合しなければならないことは理解できるだろう。
本発明の製剤は、経口、非経口(例えば、注射またはデポ剤による皮下、皮内、髄腔内、例えばデポ剤による筋肉内および静脈内を含む)、直腸、局所(皮膚、頬および舌下を含む)に適切なもの、または吸入もしくはガス注入投与による投与に適切な形態のものを含む。投与の最適経路は、患者の状態および障害に依存してもよい。好ましくは、本発明の組成物は経口投与のために製剤される。
製剤は、単位剤形で便利に提示することができ、例えば、"Remington: The Science and Practice of Pharmacy", Lippincott Williams and Wilkins, 21st Edition, (2005)に記載されているような、調剤学の分野でよく知られている方法のいずれかにより調製されてもよい。適切な方法は、有効成分と1種または複数種の賦形剤を構成する担体とを会合させるステップを含む。一般的に、製剤は、有効成分と液体担体または微粉末化された固体担体またはその両方とを一様にかつ密接に会合させることによって調製し、次に、必要に応じて生成物を目的の製剤に成形する。2つの有効成分が独立して投与される場合、各有効成分は異なる手段で投与されてもよいことは理解されるだろう。
経口投与に適切な製剤は、各々が所定量の有効成分を含有する、カプセル、オブラート入りの薬、錠剤などの別々の単位として、特にチュアブル錠として;粉末もしくは顆粒として;水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として;または水中油型液体エマルションまたは油中水型液体エマルションとして提示されてもよい。有効成分は、大丸薬、舐剤、またはペーストとして提示されてもよい。
あるいは、有効成分は、水性または油性の懸濁液、溶液、乳液、シロップ、エリキシルなどの経口液体調製物に組み込まれてもよい。有効成分を含有する製剤は、使用の前に水または別の適切なビヒクルで構成するための乾燥製品として提示されてもよい。このような液体調製物は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/シュガーシロップ、ゼラチン、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルおよび/または水素添加食用油脂)、乳化剤(例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタンおよび/またはアカシアゴム)、非水系ビヒクル(例えば、アーモンドオイル、画分されたココナッツオイルなどの食用油、油性エステル、プロピレングリコールおよび/またはエチルアルコール)、保存料(例えば、メチルまたはプロピルp-ヒドロキシ安息香酸塩および/またはソルビン酸)などの従来からある添加剤を含有してもよい。
加えて、経口製剤は1種または複数種の香味剤を含有していてもよく、香味料は医薬を噛んで飲み込んで治療されるイヌの服薬順守を高めることができる。
最も好ましくは、テルミサルタンは、チュアブル錠の形で、またはBoehringer Ingelheim Vetmedica GmbH、インゲルハイム、ドイツから市販されている製品Semintra(登録商標)のように塩化ベンザルコニウムを含有する水溶液の形として経口投与される。
特に、以下の項目が本明細書で開示される:
a)そのような治療が必要なイヌの高血圧の治療のための方法で使用するためのテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩であって、前記方法は治療有効量のテルミサルタンのイヌへの投与を含み、前記治療有効量のテルミサルタンは治療期間を通じて多様な1日投与量で投与され、治療期間の間の第1の期間にテルミサルタンの1日投与量は少なくとも1.0mg/kg体重であり、前記治療期間の間の第1の期間に続く第2の期間にテルミサルタンの1日投与量が増加される、テルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩。
b)高血圧が尿中タンパク質クレアチニン濃度(UPC)レベルの上昇と関連する、項目a)に記載のテルミサルタン。
c)ナトリウム塩またはカリウム塩である、項目a)またはb)に記載のテルミサルタン。
d)ACE阻害薬による治療に対して非治療抵抗性であるイヌの治療のための、項目a)~c)のいずれかに記載のテルミサルタン。
e)ACE阻害薬による治療に対して治療抵抗性であるイヌの治療のための、項目a)~c)のいずれかに記載のテルミサルタン。
f)1日治療有効量が、1.0~10.0mg/kg体重、好ましくは1.0~4.0mg/kg体重、特に1.0~3.5mg/kg体重、最も好ましくは1.0~3.0mg/kg体重の範囲にある、項目a)~e)のいずれかに記載のテルミサルタン。
g)テルミサルタンの1日投与量が、0.25~2.50mg/kg体重の範囲の増分量だけ、第2の期間に増加される、項目a)~f)のいずれかに記載のテルミサルタン。
h)治療期間の間の第1の期間にテルミサルタンの1日投与量が1.0~1.5mg/kg体重であり、第2の期間にテルミサルタンの1日投与量が1.75~3.50mg/kg体重である、項目a)~g)のいずれかに記載のテルミサルタン。
i)テルミサルタンの1日投与量が、0.25~2.50mg/kg体重の範囲の増分量で第2の期間の後に減少される、項目a)~h)のいずれかに記載のテルミサルタン。
j)テルミサルタンの1日投与量が、第2の期間の後、イヌについて収縮期血圧(SBP)値が測定される際に減少される、項目a)~i)のいずれかに記載のテルミサルタン。
k)第2の期間の後、イヌについて測定される収縮期血圧(SBP)値が、第1の期間の前にイヌについて測定されたベースラインSBP値と比べて、少なくとも10mmHgまたは少なくとも20mmHg、または10~150mmHg、10~100mmHg、10~80mmHg、10~50mmHg、10~30mmHg、10~20mmHg、20~150mmHg、20~100mmHg、20~80mmHg、20~50mmHg、または20~30mmHg減少した場合、テルミサルタンの1日投与量が減少される、項目a)~j)のいずれかに記載のテルミサルタン。
l)そのような治療が必要なイヌに少なくとも1種の他の薬物と一緒に投与される、項目a)~k)のいずれかに記載のテルミサルタン。
m)他の薬物が、カルシウムチャネル遮断薬、好ましくはアムロジピン、強心性カルシウム増感剤、好ましくはピモベンダンまたはレボシメンダン、ACE阻害薬、好ましくはラミプリル、ベナゼプリルまたはエナラプリルからなる群から選択される、特にエナラプリルから選択される、項目l)に記載のテルミサルタン。
n)治療されたイヌのSBPが、期間を通じて、少なくとも50%、または少なくとも40%、30%、または20%低下する、項目a)からm)のいずれかに記載のテルミサルタン。好ましくは、前記期間は日数単位で計測され、10日、20日、30日、60日、90日、120日、またはSBP値が高血圧の閾値を常に大きく下回る時点まで120日より多い日数などの期間である。
図2に示すように、テルミサルタンにより治療されたイヌの大部分は30日目でSBPのほぼ20%の減少を示し、これに対し、エナラプリルにより治療されたイヌのSBPは10%をも超えて増加した。
図1に示すように、テルミサルタンで治療されたイヌのSBPにおける平均減少は、エナラプリルで治療されたイヌと比較して30日目~90日目まで大きくなっている。加えて、90日目~120日目にテルミサルタンとエナラプリルとを併用することによって、0日目~90日目にテルミサルタンで治療されたイヌの平均SBPは40mmHgを超えて減少する。
o)そのような治療が必要なイヌの高血圧の治療のための方法であって、治療有効量のテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩のイヌへの投与を含み、前記治療有効量のテルミサルタンは治療期間を通じて多様な1日投与量で投与され、治療期間の間の第1の期間にテルミサルタンの1日投与量は少なくとも1.0mg/kg体重であり、前記治療期間の間の第1の期間に続く第2の期間にテルミサルタンの1日投与量が増加される、前記方法。
p)高血圧が尿中タンパク質対クレアチニン濃度(UPC)レベルの上昇を伴う、項目n)に記載の方法。
q)有効量のテルミサルタンのナトリウム塩またはカリウム塩を投与することを含む、項目o)またはp)に記載の方法。 r)ACE阻害薬による治療に対して非治療抵抗性または治療抵抗性のイヌの治療のための、項目o)~q)のいずれかに記載の方法。
s)テルミサルタンの1日治療有効量が、1.0~10.0mg/kg体重、好ましくは1.0~4.0mg/kg体重、特に1.0~3.5mg/kg体重、最も好ましくは1.0~3.0mg/kg体重の範囲にある、項目o)~r)の1項目に記載の方法。
t)テルミサルタンの1日投与量が、0.25~2.50mg/kg体重の範囲の増分量で第2の期間に増加される、項目o)~s)の1項目に記載の方法。
u)テルミサルタンの1日投与量が0.25~2.50mg/kg体重の範囲の増分で第2の期間の後に減少される、項目o)~t)の1項目に記載の方法。
v)テルミサルタンの1日投与量が、第2の期間の後、イヌについて測定されるSBP値が第1の期間の前にイヌについて測定されたベースラインSBP値と比べて少なくとも20%減少した場合に減少される、項目o)~u)の1項目に記載の方法。
w)そのような治療が必要なイヌへの少なくとも1種の他の薬物の投与をさらに含む、項目o)~v)の1項目に記載の方法。
x)他の薬物が、カルシウムチャネル遮断薬、強心性カルシウム増感剤、およびACE阻害薬からなる群から選択される、項目o)~w)の1項目に記載の方法。
y)他の薬物が、アムロジピン、ピモベンダン、レボシメンダン、ラミプリル、ベナゼプリルおよびエナラプリルからなる群、特にエナラプリルから選択される、項目o)~x)の1項目に記載の方法。
z)治療されたイヌのSBPが、期間を通じて、少なくとも50%、または少なくとも40%、30%、または20%低下する、項目o)~y)の1項目に記載の方法。好ましくは、前記期間は日数単位で計測され、10日、20日、30日、60日、90日、120日、またはSBP値が高血圧の閾値を常に大きく下回る時点まで120日より多い日数の期間である。
本発明を一般的に記載してきたが、以下の実施例を参照すれば、より理解され易くなるだろう。以下の実施例は本発明のある特定の態様や実施形態を説明する目的のためだけに含まれており、本発明を限定することを意図したものではない。
実施例
実験の方法および設計
前向き、ブロック無作為化、二重盲検臨床試験を実行した。持続性の病的な腎性タンパク尿を患う、顧客所有のイヌ54頭を2年間に渡り募集した。
動物
高血圧および非高血圧CKDを伴う高窒血症および非高窒血症のイヌ(N=54)は、病院に提示された患者から先を見越して募集された。症例として含まれるイヌは、CKDによる持続性の病的な腎性タンパク尿が確認されており、このように分類されるためには以下に記載の基準を満たすことが必要となる。
試験対象患者基準。対象となる動物は、UPCレベルがおよそ2.0(非高窒血症の患者;IRISステージ1)またはおよそ0.5(高窒血症の患者;IRISステージ2~4)であり、2週間離れて採取された2つの尿サンプルの各々で実証されている。腹部超音波検査では、CKDと一致する所見(両方の腎臓が小さく、不規則)や、腎腫瘍がないことも実証されている。
除外基準
以下の1つ以上が特定された場合、動物は除外される:尿沈澱物分析において出血、炎症または細菌の証拠;タンパク尿特定時の尿培養で陽性;タンパク尿の特定から3カ月以内のイヌ糸状虫抗原検査で陽性および/または現在定期的に毎月のイヌ糸状虫予防を受けていない;急性腎障害、感染性腎症または下部尿路感染症を示唆する病歴的、身体的な検査または臨床病理学的所見;収縮期低血圧(SBPが120mmHg未満);中等度から重度の高カリウム血症(血清カリウムが6.5mmol/Lを超える);経口ACEiおよび/または副腎皮質ステロイドを、試験前の1カ月以内(ACEi)または2週間以内(副腎皮質ステロイド)に投与された履歴;タンパク尿と関連する併発疾患、その治療はタンパク尿の緩和となる可能性がある(例えば、全身性エリテマトーデス、エーリキア症、腫瘍形成)。副腎皮質機能亢進症および糖尿病が疑われた、または確認されたイヌは、その疾患が医学的療法によって十分に制御されていると考えられる場合には、含まれる。
ブロック無作為化のための患者の群化
1度研究に組み込まれた後、高窒素血症の有無/程度に基づいて、国際腎臓病関係学会(IRIS)のCKDのための分類スキームに従ってイヌを群化した。IRISステージ2~4(血清クレアチニンが1.4mg/dL以上、不適当に希釈された尿[USGが1.030未満]を伴う)と分類されたものは高窒血症(AZ)と考え、IRISステージ1(クレアチニンが1.4mg/dL未満)と分類されたものは非高窒血症(非AZ)と考えた。そして、これら2つの群のうち各々の中で、動脈圧(AP)サブステージングに関するIRISの推奨事項に基づいて、イヌを層別化する。このスキームによれば、持続的な平均間接的動脈収縮期血圧が150mmHg未満のイヌは、AP0(標的器官障害の危険は最小)に分類される。持続的な平均間接的動脈収縮期血圧が150mmHg以上のイヌは、AP1~3(標的器官障害の危険あり)に分類されている。そのため、4つの群は以下のように特定される:
1.AZ(IRISステージ2~4)、IRISサブステージAP1~3
2.AZ(IRISステージ2~4)、IRISサブステージAP0
3.非AZ(IRISステージ1)、IRISサブステージAP1~3
4.非AZ(IRISステージ1)、IRISサブステージAP0
この4つの群のいずれか1つに分類された後、各患者は無作為化ブロックスキームに基づいて割り当てられ、以下の記載のように、エナラプリル(n=27)またはテルミサルタン(n=27)のいずれかを投与された。群化の目的は、2つの治療群に同数の患者が確実に含まれるようにすることである。
ベースライン
参加時(0日目)にすべての所有者に対して、彼らのペットが研究に参加することに同意する書類を読んで署名することを求めた。以下のベースラインのデータが各症例に対して収集された:完全な身体検査(研究員の1人により実施)、眼底検査、血圧測定、血液生化学検査パネル、尿検査、腹部超音波検査、UPCおよび尿培養。スクリーニング検査の結果は、研究に参加する2週間以内の実施であればベースラインの情報として使用できる。ベースラインUPCは、組み入れの前に2週間離れて行われた2つの測定値の平均として定義されている。
ARB/ACEi療法
0日目、二重盲検法により、テルミサルタン1mg/kgを24時間ごとに経口投与される群(TEL群、n=27)と、エナラプリル0.5mg/kgを12時間ごとに経口投与される群(ENAL群、n=27)に各イヌを無作為に割り当てた。テルミサルタンまたはエナラプリルの無作為化と分配は適当な用量で実行している。所有者には緊急時に適当な連絡先の電話番号を伝えている。エナラプリルは容易に入手可能であり、テルミサルタンはBoehringer Ingelheim Vetmedica Inc、セントジョセフ、ミズーリ州によって水溶液の形で提供されており、これはSemintra(登録商標)として市販されている。
抗高血圧剤/その他の療法
AP3(SBPが180mmHg以上;視覚ハウンドでは200mmHg以上)として分類されたイヌでは、カルシウムチャネル遮断薬(CCB;アムロジピン;0.1mg/kg24時間ごとに経口投与)が同時に投与されている。RAAS阻害剤とCCBとの併用投与はヒトの患者では一般的であり、獣医学の専門家委員会によって推奨され、タンパク尿の実験モデルでは有効であると示されている。すべてのイヌは、組み入れ前の少なくとも1カ月の間、リンとタンパク質が低くなるように処方された市販の食事を開始または継続している。研究期間の間、食事の内容は一定であった。登録の時点で1カ月を超える期間イヌがこのサプリメントを投与されているという条件で、魚油での処置は許可されている。
モニタリング
モニタリング手順は、IRIS Canine GN研究グループの標準療法サブグループの推奨事項に従った。すべてのイヌを7日目に再検査し、その際に、身体検査、SBP、血清クレアチニン(sCr)、血清カリウム(K)を評価した。ベースラインと比較したsCrの30%を超える増加または中等度/重度の高カリウム血症(血清カリウムが6.5mmol/Lを超える)または収縮期低血圧(SBPが120未満)が確認されることは、患者の隠蔽を解除して研究から患者を除去するように研究者を促す。およそ180mmHgの平均SBPが確実に特定されたイヌの場合(すなわち、イヌがAP3と分類された場合)、アムロジピン0.1mg/kgを1日2回経口投与に漸増する。その後、AP3として分類されたイヌは、抗高血圧剤療法の調整を伴う療法の有効性を確保するため7日間隔で再検査する。各調査訪問時、平均SBP測定値が約180mmHgに留まっていたとすると、イヌのアムロジピン用量は1日2回の0.05mg/kgの増分で1日2回0.3mg/kgの最大用量まで増加される。SBPとsCrは、あらゆる調整を行った後、7日後に再検査する。
最終的な第1相の調査訪問
30日目にすべてのイヌに、身体検査、SBP、血清生化学、尿検査およびUPCの測定を受けさせる。この時点とこれ以降の時点で、UPC測定のための尿は、前日に所有者が採取して冷蔵保存した3つの自由に収集した検体を組み合わせて作られた保存試料からなる。
客観的評価項目
第1相の客観的評価項目は、SBPの減少およびUPCにおける割合変化(ΔUPC)であった。
結論
図2に示すように、テルミサルタンで治療したイヌのSBPの平均変化は、エナラプリルで治療したイヌと比較して、30日目に少なくとも30mmHg減少した。
具体的な目標番号2および番号3(第2相および第3相、中間期間相)
この研究の第2相は、エナラプリルとテルミサルタンの漸増が許可されるプロトコルの一部として使用される場合に、エナラプリルとテルミサルタンの有効性を比較した。第3相は、タンパク尿が各薬物単独の最高用量に直面し続けたイヌでの併用を評価する。54頭のイヌの各々は、彼/彼女が第1相で割り当てられた治療群に残る。これらの群内で、毎月の再検査でタンパク尿のUPCが約0.5で持続した場合、研究薬物の漸増と、それに続く併用療法とを実施する。
ARB/ACEi療法
第2相(31~90日目)
30日目にUPCが0.5未満であったと特定されたイヌの場合、研究の終わり(120日目)まで、テルミサルタン1mg/kgを24時間ごとに経口投与という用量またはエナラプリル0.5mg/kgを1日2回経口投与という用量で治療を継続した。30日目にUPCが約0.5であったと特定されたイヌの場合、研究薬物の用量は、目標UPCが0.5未満に達するまで、または一方の薬物が「天井用量」(テルミサルタンの場合は3mg/kgを24時間ごとに経口投与、またはエナラプリルの場合は1.5mg/kgを1日2回経口投与)に到達するまでのいずれか早い方が発生するまで、1mg/kgを24時間ごとに経口投与(TEL群)または0.5mg/kgを1日2回(ENAL群)の増分で月ごとに漸増する。
第3相(91~120日目)
90日目以前にUPCが0.5未満であると特定されたイヌの場合、研究の終わりまで、タンパク尿の制御を引き起こせる用量のテルミサルタンまたはエナラプリルで治療を継続した。90日目にUPCがおよそ0.5であると特定されたイヌの場合、1日2回の用量0.5mg/kgのエナラプリルまたは24時間ごとに用量1mg/kgのテルミサルタンがTEL群およびENAL群のイヌにそれぞれ加えられる。併用療法は、研究が終了するまで1カ月間継続した。
モニタリング
30日目に個々のイヌの治療レジメンを変更した場合、彼/彼女は1週間後(37日目)に再検査となり、その時点でSBP、sCr、血清カリウムレベルを評価する。クレアチニンの30%を超える増加または中等度/重度の高カリウム血症(血清カリウムが6.5mmol/Lを超える)が確認されることは、患者の隠蔽を解除して研究から患者を除去するように研究者を促した。軽度の高カリウム血症(血清カリウムが6.1~6.5mmol/L)が特定された場合、UPCに関係なく次の用量への漸増は実施しない。
その後、持続的にタンパク尿のイヌは、SBP、UPC、および尿検査の手段によって毎月(すなわち、60日目、90日目に)モニタリングされる。活発な尿沈澱物が特定できた場合、尿培養を実施した。タンパク尿が持続し、薬物の漸増が必要であったイヌの場合、SBP、sCr、および血清カリウムは調整の1週間後(67日目、97日目)に再検査され、上記に概説するように基準に従って隠蔽を解除し、さらに用量を漸増する。0.5未満のUPCがいずれかの時点で特定されたイヌは、研究の終了時(120日目)にのみ、モニタリングパラメータを再検査される。
最終調査訪問
120日目に、すべてのイヌに完全な身体検査、SBP、血清の腎生化学、尿検査(膀胱穿刺)およびUPCの測定を受けさせる。
客観的評価項目
第2相の客観的評価項目は、治療の合計3カ月後に、ベースラインからのΔUPCおよびUPCの50%減少またはUPCの0.5未満への減少を達成した患者の割合、ならびにベースラインから約20%のSBPの平均減少を含んだ。第3相の客観的評価項目は、ベースラインからのΔUPC、治療月を通じたΔUPC(90日目のUPC-120目のUPC)、およびベースラインから少なくとも40%のSBPの平均減少を含んだ。
結論。図1および図2に示すように、30日目から90日目までの間、SBPの平均変化は、テルミサルタンで治療されたイヌがエナラプリルで治療されたイヌと比較して大きく、テルミサルタンで治療されたイヌは90日目により大きな変化が実現した。
加えて、次の表Iおよび表IIに示すように、90日目から120日目までのテルミサルタンとエナラプリルの併用は平均SBPを70mmHgを超えて低下させ、テルミサルタンで治療されたイヌの群において平均で40%を超えるSBPの減少を達成する。
Figure 2022540077000001
Figure 2022540077000002
図3に示すように、0日目にSBPが少なくとも150mmHgである高血圧であってアムロプジピンと追加の薬物を投与されたイヌにおいて、エナラプリルで治療されたイヌと比較して、テルミサルタンで治療されたイヌはベースラインからの平均SBP変化が30日目、60日目、および90日目で大きかった。
さらに、図4に示すように、テルミサルタンを投与されたイヌの絶対的平均SBPは、エナラプリルで治療されたイヌの絶対的平均SBPよりもはるかに低かった。表IIIに示すように、エナラプリルで治療されたイヌのSBPは30日目に163mmHgから153mmHgに減少したが、60日目と90日目に再び増加したのに対して、テルミサルタンで治療されたイヌの平均SBP値は、治療の期間に、最初は163mmHgであったが90日目に132mmHgとなり、定常的に低下していた。
Figure 2022540077000003
引用文献
以下の出版物は、個々の出版物が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾する場合は、本明細書のいかなる定義も含めて本出願が支配する。
Figure 2022540077000004

Figure 2022540077000005

Figure 2022540077000006

Claims (27)

  1. そのような治療が必要なイヌの高血圧の治療のための方法で使用するためのテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩であって、前記方法は治療有効量のテルミサルタンのイヌへの投与を含み、前記治療有効量のテルミサルタンは治療期間を通じて多様な1日投与量で投与され、治療期間の間の第1の期間にテルミサルタンの1日投与量は少なくとも1.0mg/kg体重であり、前記治療期間の間の第1の期間に続く第2の期間にテルミサルタンの1日投与量が増加される、前記テルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩。
  2. 高血圧が、全身性慢性腎臓病(CKD)、尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)レベルの上昇および/または甲状腺機能亢進症を伴う、請求項1に記載のテルミサルタン。
  3. そのナトリウムまたはカリウム塩である、請求項1または2に記載のテルミサルタン。
  4. 高血圧が特発性高血圧である、請求項1~3のいずれか1項に記載のテルミサルタン。
  5. 1日治療有効量が、1.0~10.0mg/kg体重の範囲にある、請求項1~4のいずれか1項に記載のテルミサルタン。
  6. テルミサルタンの1日投与量が、0.25~2.50mg/kg体重の範囲の増分量で第2の期間に増加される、請求項1~5のいずれか1項に記載のテルミサルタン。
  7. 治療期間の間の第1の期間にテルミサルタンの1日投与量が1.0~1.5mg/kg体重であり、第2の期間にテルミサルタンの1日投与量が1.75~3.50mg/kg体重である、請求項1~6のいずれか1項に記載のテルミサルタン。
  8. テルミサルタンの1日投与量が、0.25~2.50mg/kg体重の範囲の増分量で第2の期間の後に減少される、請求項1~7のいずれか1項に記載のテルミサルタン。
  9. テルミサルタンの1日投与量が、第2の期間の後、イヌについて収縮期血圧(SBP)値が測定される際に減少される、請求項1~8のいずれか1項に記載のテルミサルタン。
  10. 第2の期間の後、イヌについて測定される収縮期血圧(SBP)値が、第1の期間の前にイヌについて測定されたベースラインSBP値と比べて、少なくとも10mmHgまたは少なくとも20mmHg、または10~150mmHg、10~100mmHg、10~80mmHg、10~50mmHg、10~30mmHg、10~20mmHg、20~150mmHg、20~100mmHg、20~80mmHg、20~50mmHg、または20~30mmHg減少した場合、テルミサルタンの1日投与量が減少される、請求項1~10のいずれか1項に記載のテルミサルタン。
  11. そのような治療が必要なイヌに少なくとも1種の他の薬物と一緒に投与される、請求項1~11のいずれか1項に記載のテルミサルタン。
  12. 他の薬物が、カルシウムチャネル遮断薬、好ましくはアムロジピン、強心性カルシウム増感剤、好ましくはピモベンダンまたはレボシメンダン、ACE阻害薬、好ましくはラミプリル、ベナゼプリルまたはエナラプリルからなる群から選択される、請求項11に記載のテルミサルタン。
  13. イヌにおいてACE阻害薬による治療に対して非治療抵抗性である、高血圧の治療のための医薬品としてのテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩。
  14. そのような治療が必要なイヌの高血圧の治療のための方法であって、治療有効量のテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩のイヌへの投与を含み、前記治療有効量のテルミサルタンは治療期間を通じて多様な1日投与量で投与され、治療期間の間の第1の期間にテルミサルタンの1日投与量は少なくとも1.0mg/kg体重であり、前記治療期間の間の第1の期間に続く第2の期間にテルミサルタンの1日投与量が増加される、前記方法。
  15. 高血圧が、全身性慢性腎臓病(CKD)、尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)レベルの上昇および/または甲状腺機能亢進症と関連する、請求項14に記載の方法。
  16. 有効量のテルミサルタンのナトリウムまたはカリウム塩を投与することを含む、請求項14に記載の方法。
  17. 高血圧が特発性高血圧である、請求項14に記載の方法。
  18. テルミサルタンの1日治療有効量が、1.0~10.0mg/kg体重の範囲にある、請求項14に記載の方法。
  19. テルミサルタンの1日投与量は、0.25~2.50mg/kg体重の範囲の増分量だけ、第2の期間に増加される、請求項14に記載の方法。
  20. 治療期間の間の第1の期間にテルミサルタンの1日投与量が1.0~1.5mg/kg体重であり、第2の期間にテルミサルタンの1日投与量が1.75~4.0mg/kg体重である、請求項19に記載の方法。
  21. テルミサルタンの1日投与量が0.25~2.50mg/kg体重の範囲の増分量で第2の期間の後に減少される、請求項14に記載の方法。
  22. テルミサルタンの1日投与量が、第2の期間の後、イヌについて収縮期血圧(SBP)値が測定される際に減少される、請求項14に記載の方法。
  23. 第2の期間の後、イヌについて測定される収縮期血圧(SBP)値が、第1の期間の前にイヌについて測定されたベースラインSBP値と比べて、少なくとも10mmHgまたは少なくとも20mmHg、または10~150mmHg、10~100mmHg、10~80mmHg、10~50mmHg、10~30mmHg、10~20mmHg、20~150mmHg、20~100mmHg、20~80mmHg、20~50mmHg、または20~30mmHg減少した場合、テルミサルタンの1日投与量が減少される、請求項22に記載の方法。
  24. そのような治療が必要なイヌへの少なくとも1種の他の薬物の投与をさらに含む、請求項14に記載の方法。
  25. 他の薬物が、カルシウムチャネル遮断薬、強心性カルシウム増感剤、およびACE阻害薬からなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
  26. 他の薬物が、アムロジピン、ピモベンダン、レボシメンダン、ラミプリル、ベナゼプリルおよびエナラプリルからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
  27. イヌにおいてACE阻害薬による治療に対して非治療抵抗性である高血圧の治療のための方法であって、治療有効量のテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩のそのような治療が必要なイヌへの投与を含む、前記方法。
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