JP2022540074A - イヌの慢性腎臓病の治療のためのテルミサルタン - Google Patents

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Abstract

本発明は、イヌの尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)レベルの上昇の治療のための医薬品としてのテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩に関し、治療有効量のテルミサルタンが治療期間を通じて多様な1日投与量で投与される。

Description

本発明は、イヌの尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)レベルの上昇の治療のための医薬品としてのテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩に関し、治療有効量のテルミサルタンが治療期間を通じて多様な1日投与量で投与される。
米国において、7千万頭のペットのイヌのうち30万~100万頭が慢性腎臓病(CKD)に罹患しており、15歳を超える年齢ではすべての品種のイヌの10%超が、大学病院を訪れる状態にあるとも、推定されている[1-3]。これらのうち、およそ52%が糸球体病変の影響を受けており、その特徴はCKDの影響を受けた動物の尿中の異常なタンパク質漏出(タンパク尿)であり[4]、タンパク尿は、腎臓の罹患率および死亡率、ならびにすべての原因による死亡率の有害転帰の危険因子であると考えられている。実際、UPCが1.0を超えるイヌは、UPCが1.0以下のイヌより、尿毒症の危機と死亡を経験する可能性がおよそ3倍高い[5]。重要なことは、これらの危険は、タンパク尿の程度に応じて増加し、他の点では正常な腎機能を持つ患者にさえ当てはまる可能性がある[5、6]。いくつかのイヌ科の研究では、臨床CKD患者の評価[5]と実験モデルの利用[7]の両方によって、タンパク尿の存在とCKDの進行との間に関連性があることを示しているが、これはタンパク尿がいくつかのメカニズムを通じて腎障害を促進できるためである[8]。
これらの理由から、タンパク尿性CKDを患うイヌに対しては、(食事の改善および尿タンパク質の漏出を緩和するための薬剤による治療の形での)介入が標準的な治療と考えられている[9-11]。病気に侵されたイヌにおけるタンパク尿の程度を減少させる介入は転帰の改善と関連する[10、12、13]。エナラプリルなどのアンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)は、イヌ科のCKDの実験モデル[7]および自然発生モデル[12、14]において、タンパク尿の減少が示されており、この目的のために最も広く処方されている薬物である。アンギオテンシンII(ANGII)の産生を減少させることにより、ACEIの血行力学的効果への効果は、主に糸球体輸出細動脈の抵抗の減少を介して糸球体の経毛細血管性液圧を低下させ、それによってタンパク尿の程度を減少させることである[15]。
集団内でタンパク尿を低下させるという総合的利益にもかかわらず、ACEIは普遍的に成功しているわけではなく、抗タンパク尿効果の程度は患者ごとに大きく異なる。例えば、自然発生したタンパク尿のための治療としてのエナラプリルの有効性を評価するために設計された臨床試験では、タンパク尿の臨床的に顕著な(すなわち50%)減少は9/14(64%)の対象でのみ言及され、3/14(22%)はエナラプリルで治療されたにもかかわらず、タンパク尿の増加を経験している[14]。
症例研究では、6歳の雌のビーグル犬にテルミサルタンを1日当たり0.43mg/kg体重の初期投与量で7日間投与した後、治療抵抗性タンパク尿を治療するため0.86mg/kgに増加したことが報告されている[16]。
別の症例研究では、腎細胞がんの手術を受けた11歳のヨークシャーテリアにおいて、治療抵抗性タンパク尿および全身性高血圧の成功した管理、0.43mg/kgのテルミサルタンおよび0.3mg/kgのアムロジピンが記載されている[17]。
国際特許出願WO2019/008077は、予防のためのサルタンの投与スキーム、またはネコにおける高血圧の治療を教示しており、初期の投与量は1.0~5.0mg/kg体重であり、その後の期間で減少されている。
タンパク質漏出性腎症(PLN)は、一般に尿中でのタンパク質の発見によりイヌで見いだされ、尿中タンパク質-クレアチニン比(UPC)を使用して定量化され、糸球体腎炎(GN)、糸球体症、およびアミロイド症などを含む。正常な糸球体は小さな分子はろ過するが、大きな分子または負電荷を帯びた分子の通過を制限するように働く。糸球体が損傷すると、大きな分子または負電荷を帯びた分子が通過できるようになり、尿中に漏れることにつながる。PLNは、漏出を制御できなければCKDにつながる可能性がある。PLNの治療にとってタンパク尿を制御することは第一焦点である。
したがって、タンパク尿性CKDおよび/またはPLNに苦しむイヌ科の患者のため、抗タンパク尿剤や持続可能な選択肢を増やすことが緊急に必要である。
現在、治療有効量のテルミサルタンを投与することによって、尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)レベルの上昇に対してイヌを治療できることが見いだされており、前記治療有効量のテルミサルタンは治療期間を通じて多様な1日投与量で投与され、治療期間の間の第1の期間にテルミサルタンの1日投与量は少なくとも1.0mg/kg体重であり、前記治療期間の間の第1の期間に続く第2の期間にテルミサルタンの1日投与量が増加される。
したがって、本発明の1つの目的は、UPCレベルの上昇に対するイヌの治療のための新しい治療アプローチを提供することにある。
したがって、本発明は、そのような治療が必要なイヌのUPCレベルの上昇の治療のための方法で使用するためのテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩であって、本方法は治療有効量のテルミサルタンのイヌへの投与を含み、前記治療有効量のテルミサルタンは治療期間を通じて多様な1日投与量で投与され、治療期間の間の第1の期間にテルミサルタンの1日投与量は少なくとも1.0mg/kg体重であり、治療期間の間の第1の期間に続く第2の期間にテルミサルタンの1日投与量が増加される、テルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩に関する。
さらに、本発明は、イヌにおいて、ACE阻害薬による治療に対して非治療抵抗性である尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)レベルの上昇の治療のための医薬品としてのテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩に関する。
本発明のさらなる実施形態では、そのような治療が必要なイヌの尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)レベルの上昇の治療のための方法であって、治療有効量のテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩のイヌへの投与を含み、前記治療有効量のテルミサルタンは治療期間を通じて多様な1日投与量で投与され、治療期間の間の第1の期間にテルミサルタンの1日投与量は少なくとも1.0mg/kg体重であり、前記治療期間の間の第1の期間に続く第2の期間にテルミサルタンの1日投与量が増加される、前記方法が提供される。
さらなる実施形態では、本発明は、イヌにおいて、ACE阻害薬による治療に対して非治療抵抗性である尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)レベルの上昇の治療のための方法であって、治療有効量のテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩のそのような治療が必要なイヌへの投与を含む、前記方法を提供する。
さらに、本発明は、そのような治療が必要なイヌの慢性腎臓病の尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)レベルの上昇の治療のための方法で使用するための医薬組成物に関し、医薬組成物は本発明によるテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される担体とを含む。
30日目に50%以上のUPCの減少を経験したイヌの割合について、テルミサルタンで治療したイヌとエナラプリルで治療したイヌとで比較した図である(実施例1を参照)。 30日目から90日目までのベースラインからのUPCの平均変化について、テルミサルタンで治療したイヌとエナラプリルで治療したイヌとで比較した図である(実施例2を参照)。 30日目から120日目までのベースラインからのUPCの平均割合変化について、テルミサルタンで治療したイヌとエナラプリルで治療したイヌとを比較して示す図である(実施例2を参照)。ここで、90日目にエナラプリルがテルミサルタン群に追加され、テルミサルタンがエナラプリル群に追加されている。 30日目から120日目までのベースラインからのUPCの平均変化について、テルミサルタンで治療したイヌとエナラプリルで治療したイヌとを比較して示す図である(実施例2を参照)。ここで、90日目にエナラプリルがテルミサルタン群に追加され、テルミサルタンがエナラプリル群に追加されている。 30日目から120日目までのベースラインからのUPCの平均変化について、テルミサルタンで治療したイヌとエナラプリルで治療したイヌとを比較して示す図である(実施例2を参照)。ここで、90日目にエナラプリルはテルミサルタン群に追加されず、テルミサルタンはエナラプリル群に追加されない。
本発明の実施形態の前に、本明細書および添付の特許請求の範囲内での使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が明白に他を示さない限り、複数形の参照を含むことに留意する必要がある。したがって、例えば、「調製物」への参照は、そのような複数の調製物を含み、「担体」への参照は、1種または複数種の担体への参照および当業者に知られているその等価物などの参照である。他に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的な用語は、この発明が属する技術分野の通常の技術者によって一般的に理解されているのと同じ意味を持つ。所与のすべての範囲および値は、別段の指示がない限り、または当業者によって他に知られていない限り、1~5%変動する可能性があり、したがって用語「約」は説明から省略した。本明細書に記載されている方法および材料と類似または同等の任意の方法および材料は、本発明の実行または試験において使用できるが、好ましい方法、デバイス、および材料はこれから記載されている。本明細書で言及されているすべての出版物は、本発明に関連して使用される可能性があると出版物で報告されている物質、賦形剤、担体、および方法論を説明し、開示することを目的として、参照によって本明細書に組み込まれる。
本明細書のいかなる内容も、前の発明の効力により、本発明がそのような開示に先行する権利がないことの承認と解釈されるべきではない。
上記の技術的課題の解決は、特許請求の範囲で特徴づけられる説明および実施形態によって達成される。
本発明によれば、そのような治療が必要なイヌのUPCレベルの上昇(タンパク尿も指す)の治療のための方法が本明細書に記載されており、本方法は、治療有効量のテルミサルタンのイヌへの投与を含み、前記治療有効量のテルミサルタンは、治療期間を通じて最初の用量が少なくとも1.0mg/kg体重から始まり、多様な1日投与量で投与される。例えば、治療期間の間の第1の期間にテルミサルタンの1日投与量は1.0~1.5mg/kg体重であり得、前記治療期間の間の第1の期間に続く第2の期間にテルミサルタンの1日投与量が増加される。
本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容される塩」は、金属塩または剤形において使用可能な付加塩を含む。例えば、本明細書で提供される化合物の薬学的に許容される塩は、酸付加塩、塩基付加塩、または金属塩であってもよく、従来の化学的方法によって、塩基性残基または酸性残基を含有する親化合物から合成されてもよい。そのような塩は、例えば、水または有機溶媒中または両方の混合物中で、これらの化合物の非酸形態または非塩基形態と当量の適切な塩基または酸とを反応させることによって、一般的には調製される。エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒体が、一般的には好ましい。酸付加塩の例として、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの鉱酸付加塩、例えば、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩およびp-トルエンスルホン酸塩などの有機酸付加塩が挙げられる。アルカリ付加塩の例として、例えば、アンモニウム塩などの無機塩、例えば、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、N,N-ジアルキレンエタノールアミン、トリエタノールアミン、グルタミンおよび塩基性アミノ酸塩などの有機アルカリ塩が挙げられる。金属塩の例として、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、リチウム塩が挙げられる。
本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容される」は、生理学的に許容可能であり、ヒトに投与した場合、アレルギー反応または胃の不快感、めまいなどの類似の副作用を通常は引き起こさない分子的実体および組成物に関する。本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容される」は、連邦政府または州政府の規制当局によって承認されているか、米国薬局方または別の薬局方に記載されているか、動物、好ましくは哺乳類、より具体的にはイヌにおいて、その使用が一般的に認められていることを好ましくは意味する。
本明細書において使用される用語「タンパク尿」は、あらゆる種類の上昇した病的なUPCレベルを包含しており、その起源は、糸球体前部、糸球体、または糸球体後部である可能性がある。病的なタンパク尿は糸球体の損傷による持続性の問題であるが、機能的なタンパク尿は一般的には一過性の問題である。下部尿路の感染または炎症(腫瘍を含む)は、重大なタンパク尿を誘導する可能性があり、尿タンパク質は、尿沈渣、培養結果および現在の臨床兆候の観点から、常に評価される必要がある。腎盂腎炎、重症慢性腎不全または急性腎尿細管壊死などの非糸球体性腎疾患もタンパク尿の引き起こす可能性がある。腎臓への過剰なタンパク質供給(「糸球体前部タンパク尿」)は、ヘモグロビン尿症または多発性骨髄腫などの状態で、タンパク尿につながる可能性がある。上昇した、または病的なUPCレベルを伴うタンパク尿は、慢性腎臓病(CKD)および/またはタンパク質漏出性腎症(PLN)と関連する可能性がある。
本明細書において使用される場合、用語「ACE阻害薬による治療に対して非治療抵抗性」は、タンパク尿に罹患しており、ACE阻害薬で治療し得るが、その有効性がテルミサルタンよりも低いイヌを指す。それとは反対に、ACE阻害薬に対して治療抵抗性のイヌのUPCのレベルの上昇はACE阻害薬の助けを借りても下げられない。
イヌの非治療抵抗性の亜集団では、ACE阻害薬による治療の有効性は、UPCレベルを下げるためには、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、50%を超えて、60%を超えて、または70%を超えて、テルミサルタンよりも有効性が低い。
好ましい実施形態では、本発明によるテルミサルタンおよび/または方法は、イヌの非治療抵抗性の亜集団の治療に関する。しかし、本発明による投与スキームは、有利には、非治療抵抗性のイヌと治療抵抗性のイヌの両方の亜集団に投与することができる。
本発明にしたがってテルミサルタンによって治療されるイヌは、好ましくは、あらゆる種類の雑種を含む、あらゆる品種のペットのイヌである。品種または雑種の大きさにもよるが、年齢が7歳またはそれを超えて、好ましくは7~18歳、特に8~16歳のときに、それらはUPCレベルの上昇を伴うタンパク尿症に罹患するであろう。小型品種は、概して大型品種よりもより遅い年齢、好ましくは8~18歳でこの疾患に罹患し、大型品種は7~16歳で影響を受ける可能性がある。
本明細書において使用される場合、用語「と一緒に」または「と併用する」は、テルミサルタンと別の薬物とを別個に投与することおよび逐次的に投与することの両方に及ぶ。例えば、薬剤が逐次的に投与される場合、テルミサルタンまたは他の薬物のいずれかが最初に投与されてもよい。同時に投与される場合、薬剤は同一のまたは異なる医薬組成物として投与されてもよい。補助療法、すなわち、一方の薬剤が1次治療としての使用であり、他方の薬剤が1次治療を支援する使用である場合も本発明の実施形態でもある。
本発明の1つの実施形態において、補助療法には、30日後、40日後、60日後、70、80、90日後、100日後、110日後、120日後、または1、2、3、4、5、6、もしくは12カ月後、または30日から120日の間の任意の期間の後、または1カ月から12カ月の間の任意の期間の後に、他の薬物をテルミサルタンに加えることが含まれる。1つの実施形態では、補助療法を90日目に開始する。1つの実施形態では他の薬物はエナラプリルである。1つの実施形態では、主な薬剤がテルミサルタンであり他の薬物がエナラプリルであり、前記他の薬物はテルミサルタン治療の90日目、または90日以後に加えられる。
さらに別の実施形態では、主な薬剤がテルミサルタンであり、他の薬物がアムロジピン、ピモベンダン、レボシメンダン、ラミプリル、ベナゼプリル、およびエナラプリルからなる群より選択され、90日目、120日目、180日目、360日目、または90日目から360日目までの間の任意の時間に、テルミサルタンによる治療に他の薬物が加えられる。
1種または複数種の有効成分は、別個の製剤または単一の組み合わせた製剤として使用されてもよい。同一の製剤に配合する場合、2つの化合物は安定していなければならず、お互いおよび製剤の他の成分と適合しなければならないことは理解できるだろう。
本発明の製剤は、経口、非経口(例えば、注射またはデポ剤による皮下、皮内、髄腔内、例えばデポ剤による筋肉内および静脈内を含む)、直腸、局所(皮膚、頬および舌下を含む)に適切なもの、または吸入もしくはガス注入投与による投与に適切な形態のものを含む。投与の最適経路は、患者の状態および障害に依存してもよい。好ましくは、本発明の組成物は経口投与のために製剤される。
製剤は単位剤形で便利に提示することができ、例えば、"Remington: The Science and Practice of Pharmacy", Lippincott Williams and Wilkins, 21st Edition, (2005)に記載されているような、調剤学の分野でよく知られている方法のいずれかにより調製されてもよい。適切な方法は、有効成分と1種または複数種の賦形剤を構成する担体とを会合させるステップを含む。一般的に、製剤は、有効成分と液体担体または微粉末化された固体担体またはその両方とを一様にかつ密接に会合させることによって調製し、次に、必要に応じて生成物を目的の製剤に成形する。2つの有効成分が独立して投与される場合、各有効成分は異なる手段で投与されてもよいことは理解されるだろう。
経口投与に適切な製剤は、各々が所定量の有効成分を含有する、カプセル、オブラート入りの薬、錠剤などの別々の単位として、特にチュアブル錠として;粉末もしくは顆粒として;水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として;または水中油型液体エマルションまたは油中水型液体エマルションとして提示されてもよい。有効成分は、大丸薬、舐剤、またはペーストとして提示されてもよい。
あるいは、有効成分は、水性または油性の懸濁液、溶液、乳液、シロップ、エリキシルなどの経口液体調製物に組み込まれてもよい。有効成分を含有する製剤は、使用の前に水または別の適切なビヒクルで構成するための乾燥製品として提示されてもよい。このような液体調製物は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/シュガーシロップ、ゼラチン、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルおよび/または水素添加食用油脂)、乳化剤(例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタンおよび/またはアカシアゴム)、非水系ビヒクル(例えば、アーモンドオイル、画分されたココナッツオイルなどの食用油、油性エステル、プロピレングリコールおよび/またはエチルアルコール)、保存料(例えば、メチルまたはプロピルp-ヒドロキシ安息香酸塩および/またはソルビン酸)などの従来からある添加剤を含有してもよい。
加えて、経口製剤は1種または複数種の香味剤を含有していてもよく、香味料は医薬を噛んで飲み込んで治療されるイヌの服薬順守を高めることができる。
最も好ましくは、テルミサルタンは、チュアブル錠の形で、またはBoehringer Ingelheim Vetmedica GmbH、インゲルハイム、ドイツから市販されている製品Semintra(登録商標)のように塩化ベンザルコニウムを含有する水溶液の形として経口投与される。
具体的には、以下の項目が本明細書で開示される:
a)そのような治療が必要なイヌの尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)レベルの上昇の治療のための方法で使用するためのテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩であって、方法は治療有効量のテルミサルタンのイヌへの投与を含み、前記治療有効量のテルミサルタンは治療期間を通じて多様な1日投与量で投与され、治療期間の間の第1の期間にテルミサルタンの1日投与量は少なくとも1.0mg/kg体重であり、前記治療期間の間の第1の期間に続く第2の期間にテルミサルタンの1日投与量が増加される、テルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩。
b)UPCレベルの上昇は、慢性腎臓病(CKD)、タンパク質漏出性腎症(PLN)および/または全身性高血圧と関連する、項目a)に記載のテルミサルタン。
c)ナトリウム塩またはカリウム塩である、項目a)またはb)に記載のテルミサルタン。
d)1日治療有効量が1.0~4.0mg/kg体重、好ましくは1.0~3.5mg/kg体重、特に1.0~3.0mg/kg体重の範囲にある、項目a)~c)のいずれか1項目に記載のテルミサルタン。
e)テルミサルタンの1日投与量が0.25~2.50mg/kg体重の範囲の増分量、第2の期間に増加される、項目a)~d)のいずれか1項目に記載のテルミサルタン。
f)治療期間の間の第1の期間おけるテルミサルタンの1日投与量が1.0~1.5mg/kg体重であり、第2の期間おけるテルミサルタンの1日投与量が1.75~3.50mg/kg体重である、項目a)~e)のいずれか1項目に記載のテルミサルタン。
g)テルミサルタンの1日投与量が0.25~2.50mg/kg体重の範囲の増分量だけ、第2の期間の後に減少される、項目a)~f)のいずれか1項目に記載のテルミサルタン。
h)第2の期間の後、イヌについて測定される尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)レベルが、第1の期間の前にイヌについて測定されたベースラインUPC値と比べて少なくとも70%減少した場合、テルミサルタンの1日投与量が減少される、項目a)~g)のいずれか1項目に記載のテルミサルタン。
i)そのような治療が必要なイヌに少なくとも1種の他の薬物と一緒に投与される、項目a)~h)のいずれか1項目に記載のテルミサルタン。
j)他の薬物が、カルシウムチャネル遮断薬、好ましくはアムロジピン、強心性カルシウム増感剤、好ましくはピモベンダンまたはレボシメンダン、ACE阻害薬、好ましくはラミプリル、ベナゼプリルまたはエナラプリルからなる群より選択される、項目i)に記載のテルミサルタン。
k)治療の第1の期間内のベースラインと比較してUPCレベルが少なくとも50%減少する、項目a)~j)のいずれか1項目に記載のテルミサルタン。
l)イヌにおいて、ACE阻害薬による治療に対して非治療抵抗性である、尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)レベルの上昇と関連する疾患または障害の治療のための医薬品としてのテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩。
図1に示すように、テルミサルタンにより治療されたイヌの大部分は、エナラプリルにより治療されたイヌと比較して30日目でUPCの少なくとも50%の減少を示した(それぞれ、16/20(80%)対5/17(29.4%))。
図2に示すように、テルミサルタンで治療されたイヌのUPCの平均変化は、エナラプリルで治療されたイヌと比較して30日目から90日目まで大きく、テルミサルタンで治療されたイヌは90日目に大きな変化が実現した。加えて図3に示すように、30日目から90日目までの間、UPCのベースラインからの平均割合変化はテルミサルタンで治療されたイヌがエナラプリルで治療されたイヌと比較して大きい。90日目~120日目にテルミサルタンとエナラプリルとを併用することによって、平均UPCは70を超えて減少する。
m)そのような治療が必要なイヌの尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)レベルの上昇の治療のための方法であって、治療有効量のテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩のイヌへの投与を含み、前記治療有効量のテルミサルタンは治療期間を通じて多様な1日投与量で投与され、治療期間の間の第1の期間にテルミサルタンの1日投与量は少なくとも1.0mg/kg体重であり、前記治療期間の間の第1の期間に続く第2の期間にテルミサルタンの1日投与量が増加される、前記方法。
n)UPCレベルの上昇は、慢性腎臓病(CKD)、タンパク質漏出性腎症(PLN)および/または全身性高血圧と関連する、項目m)に記載の方法。
o)有効量のテルミサルタンのナトリウム塩またはカリウム塩を投与することを含む、項目m)に記載の方法。
p)テルミサルタンの1日治療有効量が1.0~4.0mg/kg体重、好ましくは1.0~3.5mg/kg体重、特に1.0~3.0mg/kg体重の範囲にある、項目m)に記載の方法。
q)テルミサルタンの1日投与量が0.25~2.50mg/kg体重の範囲の増分量だけ、第2の期間に増加される、項目m)に記載の方法。
r)テルミサルタンの1日投与量は、0.25~2.50mg/kg体重の範囲の増分量だけ、第2の期間の後に減少される、項目m)に記載の方法。
s)第2の期間の後、イヌについて測定される尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)レベルが、第1の期間の前にイヌについて測定されるベースラインUPC値と比べて少なくとも70%減少した場合、テルミサルタンの1日投与量が減少される、項目r)に記載の方法。
t)そのような治療が必要なイヌに少なくとも1種の他の薬物を投与することをさらに含む、項目m)に記載の方法。
u)他の薬物が、カルシウムチャネル遮断薬、強心性カルシウム増感剤、およびACE阻害薬からなる群より選択される、項目t)に記載の方法。
v)他の薬物が、アムロジピン、ピモベンダン、レボシメンダン、ラミプリル、ベナゼプリル、およびエナラプリルからなる群より選択される、項目u)に記載の方法。
w)治療の第1の期間内のベースラインと比較して、UPCレベルが少なくとも50%減少する、項目m)に記載の方法。
x)イヌにおいて、ACE阻害薬による治療に対して非治療抵抗性である、尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)レベルの上昇と関連する疾患または障害の治療のための方法であって、治療有効量のテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩のそのような治療が必要なイヌへの投与を含む、前記方法。
本発明を一般的に記載してきたが、以下の実施例を参照すれば、より理解され易くなるだろう。以下の実施例は、本発明のある特定の態様や実施形態を説明する目的のためだけに含まれており、本発明を制限することを意図したものではない。
実施例
実験の方法および設計
前向き、ブロック無作為化、二重盲検臨床試験を実行した。持続性の病的な腎性タンパク尿を患う、顧客所有のイヌ54頭を2年間に渡り募集した。
動物
高血圧および非高血圧CKDを伴う高窒血症および非高窒血症のイヌ(N=54)は、病院に提示された患者から先を見越して募集された。症例として含まれるイヌは、CKDによる持続性の病的な腎性タンパク尿が確認されており、このように分類されるためには、以下に記載の基準を満たすことが必要となる。
試験対象患者基準
対象となる動物は、UPCレベルがおよそ2.0(非高窒血症の患者;IRISステージ1)またはおよそ0.5(高窒血症の患者;IRISステージ2~4)であり、2週間離れて採取された2つの尿サンプルの各々で実証されている。腹部超音波検査では、CKDと一致する所見(両方の腎臓が小さく、不規則)や、腎腫瘍がないことも実証されている。
除外基準
以下の1つ以上が特定された場合、動物は除外される:尿沈澱物分析において出血、炎症または細菌の証拠;タンパク尿特定時の尿培養で陽性;タンパク尿の特定から3カ月以内のイヌ糸状虫抗原検査で陽性および/または現在定期的に毎月のイヌ糸状虫予防を受けていない;急性腎障害、感染性腎症または下部尿路感染症を示唆する病歴的、身体的な検査または臨床病理学的所見;収縮期低血圧(SBPが120mmHg未満);中等度から重度の高カリウム血症(血清カリウムが6.5mmol/Lを超える);経口ACEiおよび/または副腎皮質ステロイドを、試験前の1カ月以内(ACEi)または2週間以内(副腎皮質ステロイド)に投与された履歴;タンパク尿と関連する併発疾患、その治療はタンパク尿の緩和となる可能性がある(例えば、全身性エリテマトーデス、エーリキア症、腫瘍)。副腎皮質機能亢進症および糖尿病が疑われる、または確認されたイヌは、その疾患が医学的療法によって十分に制御されていると考えられる場合には組み入れる。
ブロック無作為化のための患者の群化
1度研究に含まれた後、高窒素血症の有無/程度に基づいて、国際腎臓病関係学会(IRIS)のCKDのための分類スキームに従ってイヌを群化した。IRISステージ2~4(血清クレアチニンが1.4mg/dL以上、不適当に希釈された尿[USGが1.030未満]を伴う)と分類されたものは高窒血症(AZ)と考え、IRISステージ1(クレアチニンが1.4mg/dL未満)と分類されたものは非高窒血症(非AZ)と考えた。そして、これら2つの群のうち各々の中で、動脈圧(AP)サブステージングに関するIRISの推奨事項に基づいて、イヌを層別化する。このスキームによれば、持続的な平均間接的動脈収縮期血圧が150mmHg未満のイヌはAP0(標的器官障害の危険は最小)に分類される。持続的な平均間接的動脈収縮期血圧が150mmHg以上のイヌはAP1~3(標的器官障害の危険あり)に分類されている。そのため、4つの群は以下のように特定される:
1.AZ(IRISステージ2~4)、IRISサブステージAP1~3
2.AZ(IRISステージ2~4)、IRISサブステージAP0
3.非AZ(IRISステージ1)、IRISサブステージAP1~3
4.非AZ(IRISステージ1)、IRISサブステージAP0
この4つの群のいずれか1つに分類された後、各患者は無作為化ブロックスキームに基づいて割り当てられ、以下の記載のように、エナラプリル(n=27)またはテルミサルタン(n=27)のいずれかを投与された。群化の目的は、2つの治療群に同数の患者が確実に含まれるようにすることである。
ベースライン
参加時(0日目)、すべての所有者に、彼らのペットが研究に参加することに同意する書類を読んで署名することを求めた。以下のベースラインのデータが各症例に対して収集された:完全な身体検査(研究員の1人により実施)、眼底検査、血圧測定、血液生化学検査パネル、尿検査、腹部超音波検査、UPCおよび尿培養。スクリーニング検査の結果は、研究に参加する2週間以内の実施であればベースラインの情報として使用できる。ベースラインUPCは、組み入れの前に2週間離れて行われた2つの測定値の平均として定義されている。
ARB/ACEi療法
0日目、二重盲検法により、テルミサルタンを1mg/kgで24時間ごとに経口投与される群(TEL群、n=27)と、エナラプリルを0.5mg/kgで12時間ごとに経口投与される群(ENAL群、n=27)に、各イヌを無作為に割り当てた。テルミサルタンまたはエナラプリルの無作為化と分配は、適当な用量で実行している。所有者には、緊急時に適当な連絡先の電話番号を伝えている。エナラプリルは容易に入手可能であり、テルミサルタンはBoehringer Ingelheim Vetmedica Inc、セントジョセフ、ミズーリ州によって水溶液の形で提供されており、これはSemintra(登録商標)として市販されている。
抗高血圧剤/その他の療法
AP3(SBPが180mmHg以上;視覚ハウンドでは200mmHg以上)として分類されたイヌでは、カルシウムチャネル遮断薬(CCB;アムロジピン;0.1mg/kgで24時間ごとに経口投与)が同時に投与されている。RAAS阻害剤とCCBとの併用投与は、ヒトの患者では一般的であり、獣医学の専門家委員会22によって推奨され、タンパク尿の実験モデルでは有効であると示されている。すべてのイヌは、組み入れ前の少なくとも1カ月の間、リンとタンパク質が低くなるように処方された市販の食事を開始または継続している。研究期間の間、食事の内容は一定であった。組み入れ時点で1カ月を超える期間、イヌがこのサプリメントを投与されているという条件で、魚油での治療は許可されている。
モニタリング
モニタリング手順は、IRIS Canine GN研究グループの標準療法サブグループの推奨事項に従った。すべてのイヌを7日目に再検査し、その際に、身体検査、SBP、血清クレアチニン(sCr)、血清カリウム(K)を評価した。ベースラインと比較したsCrの30%を超える増加または中等度/重度の高カリウム血症(血清カリウムが6.5mmol/Lを超える)または収縮期低血圧(SBPが120未満)の特定は、患者の隠蔽を解除して、研究から患者を除去するように、研究者を促す。およそ180mmHgの平均SBPが確実に特定されたイヌの場合(すなわち、イヌがAP3と分類された場合)、アムロジピンを1日2回0.1mg/kgに漸増する。その後、AP3として分類されたイヌは、抗高血圧剤療法の調整を伴う療法の有効性を確保するため、7日間隔で再検査する。各調査訪問時、平均SBP測定値が約180mmHgに留まっていたとすると、イヌのアムロジピン用量は、1日2回0.05mg/kgの増分で1日2回0.3mg/kgの最大用量まで増加される。SBPとsCrは、あらゆる調整を行った後、7日後に再検査する。
最終的な第1相の調査訪問
30日目、すべてのイヌに、身体検査、SBP、血清生化学、尿検査およびUPCの測定を受けさせる。この時点とこれ以降の時点では、UPC測定のための尿は、前日に所有者が採取して冷蔵保存した3つの自由に収集した検体を組み合わせて作られた保存試料からなる。
主な客観的評価項目
第1相の主な客観的評価項目は、UPCの割合変化(ΔUPC)および治療の30日後にUPCの50%減少またはUPCの0.5未満への減少を達成した患者の割合である。
結論
図1に示すように、エナラプリルで治療したイヌと比較して、テルミサルタンで治療したイヌの大部分は、30日目にUPCの50%以上の減少を経験した(それぞれ、16/20(80%)対5/17(29.4%));P=0.003)。
具体的な目標番号2および番号3(第2相および第3相、中間期間相)
この研究の第2相は、エナラプリルとテルミサルタンの漸増を許すプロトコルの一部として使用される場合に、エナラプリルとテルミサルタンの有効性を比較した。第3相は、各薬物単独の最高用量にも関わらずタンパク尿が続いたイヌでの併用を評価する。54頭のイヌの各々は、彼/彼女が第1相で割り当てられた治療群に残る。これらの群内で、毎月の再検査でタンパク尿のUPCが約0.5で持続した場合、研究薬物の漸増と、それに続く併用療法とを実施する。
ARB/ACEi療法
第2相(31~90日目):30日目にUPCが0.5未満であったと特定されたイヌの場合、研究の終わり(120日目)まで、テルミサルタンを24時間ごとの経口投与1mg/kgの用量またはエナラプリルを0.5mg/kg1日2回の経口投与の用量で、治療を継続した。30日目にUPCが約0.5であったと特定されたイヌの場合、研究薬物の用量は、目標UPCが0.5未満に達するまで、または一方の薬物が「天井用量」(テルミサルタンの場合は3mg/kgで24時間ごとの経口投与、またはエナラプリルの場合は1.5mg/kgで1日2回の経口投与)に到達するまでのいずれか早い方が発生するまで、24時間ごとの経口投与1mg/kg(TEL群)または1日2回投与0.5mg/kg(ENAL群)の増分で月ごとに漸増する。
第3相(91~120日目):90日目以前にUPCが0.5未満であると特定されたイヌの場合、研究の終わりまで、タンパク尿の制御を引き起こせる用量のテルミサルタンまたはエナラプリルで治療を継続した。90日目にUPCがおよそ0.5であると特定されたイヌの場合、1日2回用量0.5mg/kgのエナラプリルまたは24時間ごとの用量1mg/kgのテルミサルタンがTEL群およびENAL群のイヌにそれぞれ加えられる。併用療法は、研究が終了するまで1カ月間継続した。
モニタリング
30日目に個々のイヌの治療レジメンを変更した場合、彼/彼女は1週間後(37日目)に再検査となり、その時点でSBP、sCr、血清カリウムレベルを評価する。クレアチニンの30%を超える増加または中等度/重度の高カリウム血症(血清カリウムが6.5mmol/Lを超える)が確認されることは、患者の隠蔽を解除して研究から患者を除去するように、研究者を促した。軽度の高カリウム血症(血清カリウムが6.1~6.5mmol/L)が特定された場合、UPCに関係なく次の用量への漸増は実施しない。
その後、持続的にタンパク尿のイヌは、SBP、UPC、および尿検査の手段によって毎月(すなわち、60日目、90日目に)モニタリングされる。活発な尿沈澱物が特定できた場合、尿培養を実施した。タンパク尿が持続し、薬物の漸増が必要であったイヌの場合、SBP、sCr、および血清カリウムは調整の1週間後(67日目、97日目)に再検査され、上記に概説するように基準に従って隠蔽を解除し、さらに用量を漸増する。0.5未満のUPCがいずれかの時点で確認されたイヌは、研究の終了時(120日目)にのみモニタリングパラメータを再検査される。
最終調査訪問:120日目に、すべてのイヌに、完全な身体検査、SBP、血清の腎生化学、尿検査(膀胱穿刺)およびUPCの測定を受けさせる。
主な客観的評価項目
第2相の主な客観的評価項目は、治療の合計3カ月後に、ベースラインからのΔUPCおよびUPCの50%減少またはUPCの0.5未満へ減少を達成した患者の割合、ならびにUPCが50%減少するまたはUPCが0.5未満へ減少するまでの時間を含んだ。第3相の主な客観的評価項目は、ベースラインからのΔUPC、治療月を通じたΔUPC(90日目のUPC-120目のUPC)、および併用療法を伴うUPCの50%減少またはUPCの0.5未満への減少を達成した患者の割合を含む。
結論
図2に示すように、30日目から90日目までの間、UPCのベースラインからの平均変化は、テルミサルタンで治療したイヌがエナラプリルで治療したイヌと比較して大きく、テルミサルタンで治療したイヌは90日目により大きな変化が実現した。UPC変化の平均を以下の表Iに示す。
Figure 2022540074000001

加えて図3に示すように、30日目から90日目までの間、UPCのベースラインからの平均割合変化は、テルミサルタンで治療したイヌがエナラプリルで治療したイヌと比較して大きい。90日目から120日目までのテルミサルタンおよびエナラプリルの併用は、70%超の平均UPCの減少を達成する。UPCの割合変化の平均を以下の表IIに示す。
Figure 2022540074000002
さらに、図4に示すように、90日目に追加の薬物を投与したイヌのUPCの平均変化は、初期にテルミサルタンで治療したイヌの方が、エナラプリル治療群のイヌより非常に大きかった。UPC変化の平均を以下の表IIIに示す。
Figure 2022540074000003
加えてまた図5に示すように、90日目から120目に追加の薬物を投与しなかったUPCの平均変化は、テルミサルタンで治療したイヌの方がエナラプリルで治療したイヌより大きかった。UPC変化の平均を以下の表IVに示す。
Figure 2022540074000004
引用文献
以下の出版物は、個々の出版物が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾する場合は、本明細書のいかなる定義も含めて本出願が支配する。
Figure 2022540074000005

Figure 2022540074000006

Claims (30)

  1. そのような治療が必要なイヌの尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)レベルの上昇の治療のための方法で使用するためのテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩であって、治療有効量のテルミサルタンのイヌへの投与を含み、前記治療有効量のテルミサルタンは治療期間を通じて多様な1日投与量で投与され、治療期間の間の第1の期間にテルミサルタンの1日投与量は少なくとも1.0mg/kg体重であり、前記治療期間の間の第1の期間に続く第2の期間にテルミサルタンの1日投与量が増加される、前記テルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩。
  2. UPCレベルの上昇が慢性腎臓病(CKD)と関連する、請求項1に記載のテルミサルタン。
  3. UPCレベルの上昇が漏出性腎症(PLN)と関連する、請求項1または2に記載のテルミサルタン。
  4. CKDおよびUPCレベルの上昇が全身性高血圧と関連する、請求項1~3のいずれか1項に記載のテルミサルタン。
  5. ナトリウムまたはカリウム塩である、請求項1~4のいずれか1項に記載のテルミサルタン。
  6. 1日治療有効量が1.0~4.0mg/kg体重の範囲にある、請求項1~5のいずれか1項に記載のテルミサルタン。
  7. テルミサルタンの1日投与量が0.25~2.50mg/kg体重の範囲の増分量だけ、第2の期間に増加される、請求項1~6のいずれか1項に記載のテルミサルタン。
  8. 治療期間の間の第1の期間にテルミサルタンの1日投与量が1.0~1.5mg/kg体重であり、第2の期間にテルミサルタンの1日投与量が1.75~3.50mg/kg体重である、請求項1~7のいずれか1項に記載のテルミサルタン。
  9. テルミサルタンの1日投与量が0.25~2.50mg/kg体重の範囲の増分量だけ、第2の期間の後に減少される、請求項1~8のいずれか1項に記載のテルミサルタン。
  10. 第2の期間の後、イヌについて測定される尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)のレベルが、第1の期間の前にイヌについて測定されたベースラインUPC値と比べて、少なくとも70%減少した場合、テルミサルタンの1日投与量が減少される、請求項1~9のいずれか1項に記載のテルミサルタン。
  11. そのような治療が必要なイヌに少なくとも1種の他の薬物と一緒に投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載のテルミサルタン。
  12. 他の薬物が、カルシウムチャネル遮断薬、好ましくはアムロジピン、強心性カルシウム増感剤、好ましくはピモベンダンまたはレボシメンダン、ACE阻害薬、好ましくはラミプリル、ベナゼプリルまたはエナラプリルからなる群から選択される、請求項9に記載のテルミサルタン。
  13. 治療の第1の期間内のベースラインと比較して、UPCレベルが少なくとも50%減少される、請求項1~9のいずれか1項に記載のテルミサルタン。
  14. イヌにおいて、ACE阻害薬による治療に対して非治療抵抗性である、尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)レベルの上昇と関連する疾患または障害の治療のための医薬品としてのテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩。
  15. そのような治療が必要なイヌの尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)レベルの上昇の治療のための方法で使用するためのテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物であって、前記方法は治療有効量のテルミサルタンのイヌへの投与を含み、前記治療有効量のテルミサルタンは治療期間を通じて多様な1日投与量で投与され、治療期間の間の第1の期間にテルミサルタンの1日投与量は少なくとも1.0mg/kg体重であり、前記治療期間の間の第1の期間に続く第2の期間にテルミサルタンの1日投与量が増加される、前記医薬組成物。
  16. そのような治療が必要なイヌの尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)レベルの上昇の治療のための方法であって、治療有効量のテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩のイヌへの投与を含み、前記治療有効量のテルミサルタンは治療期間を通じて多様な1日投与量で投与され、治療期間の間の第1の期間にテルミサルタンの1日投与量は少なくとも1.0mg/kg体重であり、前記治療期間の間の第1の期間に続く第2の期間にテルミサルタンの1日投与量が増加される、前記方法。
  17. UPCレベルの上昇が慢性腎臓病(CKD)と関連する、請求項16に記載の方法。
  18. UPCレベルの上昇がタンパク質漏出性腎症(PLN)と関連する、請求項16に記載の方法。
  19. UPCレベルの上昇がCKDおよびPLNと関連する、請求項16に記載の方法。
  20. UPCレベルの上昇が全身性高血圧と関連する、請求項16に記載の方法。
  21. 有効量のテルミサルタンのナトリウムまたはカリウム塩を投与することを含む、請求項16に記載の方法。
  22. テルミサルタンの1日治療有効量が1.0~4.0mg/kg体重の範囲にある、請求項16に記載の方法。
  23. テルミサルタンの1日投与量が0.25~2.50mg/kg体重の範囲の増分量だけ、第2の期間に増加される、請求項16に記載の方法。
  24. テルミサルタンの1日投与量が0.25~2.50mg/kg体重の範囲の増分量だけ、第2の期間の後に減少される、請求項16に記載の方法。
  25. 第2の期間の後、イヌについて測定される尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)のレベルが、第1の期間の前にイヌについて測定されたベースラインUPC値と比べて、少なくとも70%減少した場合、テルミサルタンの1日投与量が減少される、請求項24に記載の方法。
  26. そのような治療が必要なイヌへの少なくとも1種の他の薬物の投与をさらに含む、請求項16に記載の方法。
  27. 他の薬物が、カルシウムチャネル遮断薬、強心性カルシウム増感剤、およびACE阻害薬からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
  28. 他の薬物が、アムロジピン、ピモベンダン、レボシメンダン、ラミプリル、ベナゼプリルおよびエナラプリルからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
  29. 治療の第1の期間内のベースラインと比較してUPCレベルが少なくとも50%減少される、請求項16に記載の方法。
  30. イヌにおいて、ACE阻害薬による治療に対して非治療抵抗性である、尿中タンパク質クレアチニン比(UPC)レベルの上昇と関連する疾患または障害の治療のための方法であって、治療有効量のテルミサルタンまたはその薬学的に許容される塩のそのような治療が必要なイヌへの投与を含む、前記方法。
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